説明

HIV用の免疫学的組成物

本開示は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による感染に対し、ヒトにワクチン接種するための免疫学的組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2009年9月17日出願の米国仮特許出願第61/243,522号の優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、一般に免疫学の分野に関し、特に、HIVへの感染および疾病に対し免疫を付与し、宿主に防御を生じる方法および組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)はヒト・レトロウイルスであり、後天性免疫不全症候群(AIDS)の病原因子である。HIVの発見から20年以上経過したにもかかわらず、疾病を改善する、または感染を予防するのに効果的なワクチンは見出されていない。2007年の終わりまでに、世界中の3000万人を超える人々がHIVに感染し、それらの人々のうち2000万を超える人々がサハラ以南のアフリカに居住している(Report on the Global AIDS Epidemic、Joint United Nations Programme on HIV/AIDS(UNAIDS)、2008)。
【0004】
将来のウイルス感染に対する耐性の特徴の1つは、ウイルス性の病原菌を認識することができる「中和抗体」の生成である。別の尺度は、感染細胞に対する細胞性免疫である。典型的なウイルス感染では、感染からの回復の先駆けとして、中和抗体および細胞性免疫が生成する。しかしながら、HIV−1感染では、中和抗体および細胞性免疫は感染の非常に初期に現れ、ウイルス負荷の一時的な減少のみに関わるとされてきた。中和抗体および細胞性免疫の生成にもかかわらず、HIV−1感染におけるウイルス複製は回復し、AIDS(後天性免疫不全症候群)が発現する。よって、HIV−1感染では、中和抗体および細胞性免疫は防御免疫の正確な尺度ではない。ワクチンがHIVによる新しい感染から防御することを意味する防御免疫は、当業者にとっての主要な未完のゴールである。
【0005】
幾つかの潜在的なワクチンをヒトに試験してきたが、防御作用は認められなかった。例えばgp120をベースとするポリペプチドワクチンなどが、単独ワクチンとして、またはプライム・ブースト法で試験されてきたが(例えばAIDSVAX(商標)B/B、「AIDSVAX」B/E(VaxGen社製))、HIV感染に対しては防御を示さなかった(非特許文献1〜3)。動物モデル(例えばサル)を利用した多くの研究も行われた。霊長類のデータは有益であるが、しかしながら、それらはまた、ワクチンに関連した防御を媒介する免疫学的機序についての我々の理解の欠如を目立たせ、有望な候補ワクチンを実験的に試験することを目的とした、ヒトにおける有効性研究を行う必要性を強調することとなっている。
【0006】
ALVAC−HIV(vCP1521)ワクチンは、HIV−1 env遺伝子およびgag遺伝子の産生物を発現する組み換えカナリアポックス由来のウイルス調製物である。遺伝子は、それぞれワクシニアウイルスH6および13Lプロモーターの制御下でC6遺伝子座に挿入される。gp120 env配列はHIV−92TH023(サブタイプE)株に由来するが、gp41のアンカー部分はHIV−LAI(サブタイプB)株に由来する。ALVAC−HIV感染細胞は、envおよびgagタンパク質を天然に近い構造で与える(非特許文献4)。さらには、MHCクラス1経路のHIV−1タンパク質の細胞内プロセシングは、細胞傷害性Tリンパ球の刺激を促進する。タイ国のサブタイプBに由来するgagの使用についての論理的根拠は、一部には、ウイルス・サブタイプの中でも、サブタイプBがgag遺伝子の一部を保存していることにある。したがって、vCP1521によって誘発されるgag特異的CTLは、サブタイプBではない初代ウイルスのCTLエピトープと交差反応しうる。AVEG支援プライム・ブースト試験(vCP205単独、またはChiron SF2 gp120/MF59ブースト)から得られたデータは、一部のワクチン接種者のCD8+CTLが、サブタイプEを含む、非サブタイプBウイルスに感染した標的細胞を認識したことを示した(非特許文献5)。
【0007】
このデータを考慮して、プライム・ブースト免疫方式を利用して防御を提供するためのいくつかの試みがなされてきた(非特許文献6)。例えば、「AIDSVAX」B/E(VaxGen社製)およびALVAC−HIVでは、それぞれ、プライムおよびブースト組成物が使用されており、中和抗体を誘発することが示されている(非特許文献7)。安全性試験の1つにおいて、中和抗体が84%〜100%の被験者に観察され、細胞傷害性リンパ球(CTL)は16〜25%の被験者に観察され、リンパ増殖は55〜93%の被験者に観察された。別の安全性試験では、中和抗体は31%〜71%の被験者に観察され、細胞傷害性リンパ球(CTL)は約25%の被験者に観察され、リンパ増殖は58〜71%の被験者に観察された。しかしながら、HIV感染に対する防御に関しては示されておらず、一部には、このような混合ワクチンの値には疑念が生じる(非特許文献8および9)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】McCarthy, M. Lancet. 362 (9397): 1728 (2003)
【非特許文献2】Nitayaphan, et al. J. Inf. Dis. 190: 702-6 (2004)
【非特許文献3】Pitisuttithum, P. 11th Conf. Retr. Opp. Inf. 2004. 115: Abstract 107
【非特許文献4】Fang, et al., J. Infect. Dis.180 (4): 1122-32 (1999)
【非特許文献5】Ferrari, et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 94;1396-401 (1997)
【非特許文献6】McNeil, et al.Science.303: 961 (2004)
【非特許文献7】Karnasuta, et al. Vaccine, 23: 2522-2529 (2005)
【非特許文献8】Burton, et al. Science.303: 316 (2004)
【非特許文献9】Letters to the Editor, Science.305: 177-180 (2004)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
今日まで、いずれのワクチンもHIV感染に対する防御を示していない。よって、当技術分野では、ヒトにHIVに対する防御的免疫を与える組成物および方法が必要とされていることは明らかである。このような組成物および方法が本開示によって提供される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書に記載の試薬および方法は、以前には実証されていなかったヒト免疫不全ウイルスに対する防御的免疫をヒトに付与するために使用されうる。1つの実施の形態では、
HIV免疫原をコードする発現ベクターを含む第1の組成物、および、
HIV免疫原に由来する、またはHIV免疫原を代表するポリペプチドを含む第2の組成物
を含む2部構成の組成物が提供される。ここで示すように、第2の組成物の投与の前に第1の組成物が投与され、この第1および第2の組成物の投与により、ヒトがHIVの感染から防御される。典型的な実施の形態では、第1の組成物は、少なくとも1種類のHIV免疫原をコードする生の弱毒化したウイルス・ベクターを含み、第2の組成物は、HIV免疫原をポリペプチドの形態で含む。ある特定の実施の形態では、ヒトにワクチン組成物を投与することによって、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に対する防御免疫をヒトに付与する方法が提供される。組成物は、本質的に、第1の組成物および第2の組成物からなり、前記第1の組成物は、多重HIV抗原をコードした生の弱毒化したアビポックス(例えば、カナリアポックス、ALVAC)ベクターから本質的になり、前記第2の組成物は、アミノ酸配列がHIV gp120の少なくとも一部に対応する1つ以上のポリペプチドを含む。一部の実施の形態では、組成物のうち少なくとも1つは、HIVのものに対応するアミノ酸配列、および単純ヘルペスウイルス(HSV)に対応するアミノ酸配列を含む。一部の実施の形態では、第1の組成物がヒトに投与され、その後、第1および第2の組成物がヒトに投与される。ある特定の実施の形態では、組成物は筋肉内経路で投与される。この方法を使用することにより、ヒトがHIVによる感染から防御されうることが、初めて見出された。ある特定の実施の形態では、本方法は、ヒト集団にワクチンを投与し、その結果、集団の少なくとも約3分の1がHIVによる感染から防御される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】A244 rgp120/HIV−1タンパク質(gd244)の予測アミノ酸配列とMN rgp120/HIV−1タンパク質(M.N. mature)の予測配列との比較。
【図2】AはALVAC−HTV(vCP1521)ゲノムのマップ。BはALVAC−HIV(vCP1521)内に含まれる挿入されたHIVのヌクレオチド配列。
【図3】「AIDSV AX」B/E ALVAC−HIV プライム・ブーストワクチンの有効性。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、感染性因子または腫瘍細胞などの他の因子に関連する病状を、このような因子に対する免疫応答を刺激することによって治療および/または予防するのに有用な組成物および方法を提供する。一般に、免疫応答は、例えば、免疫原をコードする核酸ベクターの投与後に、これら因子に由来または関連する免疫原の発現を生じる。ある特定の実施の形態では、多重免疫原(同一であっても異なっていてもよい)が利用され、他の実施の形態では、1種類または複数の免疫原(同一であっても異なっていてもよい)の変異体または誘導体(すなわち、それをコードするアミノ酸またはヌクレオチドの置換、削除または追加による)が用いられる。
【0013】
免疫原は、その免疫原が投与される宿主の免疫応答を誘発または促進する部分(例えば、ポリペプチド、ペプチドまたは核酸)でありうる。免疫応答は、特定の免疫調整剤の頻度、量、または半減期を増大または低減することによって誘発または促進されうる(例えば、サイトカイン、ケモカイン、共刺激分子の発現)。これは、対象とするポリヌクレオチドを含む宿主細胞内に直接的に観察されるか(例えば、組み換えウイルスによる感染後)、または周辺細胞または組織内に観察されうる(例えば、間接的に)。免疫応答は、典型的には、標的抗原に対して生じる。例えば、免疫応答は、免疫原をコードした核酸ベクターを宿主に投与した後に宿主に免疫原の発現を生じうる。免疫応答は、先天性の免疫系または適応性の免疫系のいずれかの細胞に1つ以上の効果(例えば、成熟、増殖、抗原の直接提示または交差提示、遺伝子発現プロファイル)を生じうる。例えば、免疫応答は、例えば、樹枝状細胞、単球、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞、および/または顆粒球(例えば、好中球、好塩基球または好酸球)などの先天性の免疫細胞に関連し、それらをもたらし、あるいはそれらから検出されうる。免疫応答はまた、例えば、リンパ球(例えば、T細胞および/またはB細胞)を含む適応性の免疫細胞に関連し、それらをもたらし、あるいはそれらから検出されうる。免疫応答は、例えば、1つ以上の免疫調節物質の発現または活性の存在、不存在、または変化(例えば、増加または減少)を含めた、関与または効果を検出することによって観察されうる。免疫調節物質としては、ホルモン、サイトカイン、インターロイキン(例えば、IL−1〜IL−35のいずれか)、インターフェロン(例えば、IFN−I(IFN−α、IFN−β、IFN−ε、IFN−κ、IFN−τ、IFN−ζ、IFN−ωのいずれか)、IFN−II(例えば、IFN−γ)、IFN−III(IFN−λΙ、IFN−λ2、IFN−λ3))、ケモカイン(例えば、任意のCCケモカイン(例えば、CCL1〜CCL28のいずれか)、任意のCXCケモカイン(例えば、CXCL1〜CXCL24のいずれか)、Mip1a)、任意のCケモカイン(例えば、XCL1、XCL2)、任意のCX3Cケモカイン(例えば、CX3CL1))、腫瘍壊死因子(例えば、TNF−α、TNF−β))、負の調節因子(例えば、PD−1、IL−T)および/または、免疫調節物質の発現に関与する細胞成分のいずれか(例えば、キナーゼ、リパーゼ、ヌクレアーゼ、転写関連因子(例えば、IRF−1、IRF−7、STAT− 5、NFKB、STAT3、ST AT1、IRF−10)、および/または、免疫調節物質などによって抑制または誘発された細胞表面マーカー)などが挙げられる。発現の存在、不存在、または変化は、対象とする細胞内またはそれら細胞の近く(例えば、細胞培養上清内、インビトロまたはインビボにおける細胞または組織のすぐ近く、および/または血液または血漿中)で検出される。免疫原の投与は、例えば、抗体反応の増大(例えば、抗体の量、親和性/結合活性の増大)、または細胞応答の増大(例えば、活性化T細胞の数、T細胞レセプターの親和性/結合活性の増大、限定はしないが、抗体依存性の細胞毒性(ADCC)、増殖を含めた細胞毒性)を生じさせることによって、免疫原に対する既存の応答を誘発(例えば、新たなまたは前回は不検出の応答を刺激する)、あるいは促進または抑制しうる。HIV感染の場合には、免疫(特に防御免疫)に関連した明確な相関性はないが、本明細書に記載の測定値は、本明細書に記載の組成物および方法の有用性の決定に役立ちうる。一部の免疫応答は、ウイルス免疫原の場合には、宿主におけるウイルス負荷の低下、または宿主からのウイルスの排除につながりうる。ある特定の実施の形態では、免疫応答は、防御的であって、免疫応答が、宿主の感染の開始または継続、または宿主内での成長を防ぐことができることを意味する、および/または、宿主から物質(例えば、HIVなどの原因物質)を排除することによって防御しうる。一部の事例では、宿主からの物質の排除は、ワクチンが治療的であることを意味しうる。一部の実施の形態では、免疫原を含む組成物は、宿主(例えば、ヒト)の集団に投与され、その集団の一部にのみ防御免疫を提供することが決定されうる。したがって、組成物は、集団の一部(例えば、集団の約1/10、1/4、1/3、1/2、または3/4)を防御すると考えられる。防御される集団の割合が計算され、それによって、その集団における組成物の有効性(例えば、約10%、25%、33%、50%、または75%の有効性)が提供されうる。
【0014】
HIVに関して、免疫原は、HIV単離株のいずれか(例えば、初代または培養されたHIV−1、HIV−2、および/またはHIV−3単離株、型、またはクレード)から選択されうる。当技術分野で周知のように、HIV単離株は、現在、離散遺伝子サブタイプに分類されている。HIV−1は少なくとも10のサブタイプ(A1、A2、A3、A4、B、C、D、E、F1、F2、G、H、JおよびK)を含むことが知られている(Taylor et al, NEJM, 359(18): 1965-1966 (2008))。HIV−2は少なくとも5つのサブタイプ(A、B、C、D、およびE)を含むことが知られている。サブタイプBは、世界規模の同性愛の男性および静脈注射薬常用者におけるHIVの蔓延に関連している。大抵のHIV−1免疫原、実験室用に適合された単離株、試薬およびマップ化エピトープはサブタイプBに属する。新しいHIV感染の発生率が高い地域であるサハラ以南のアフリカ、インド、および中国では、HIV−1サブタイプBの感染はごく少数しかみられず、HIV−1サブタイプCが最も一般的な感染サブタイプであるように見える。よって、ある特定の実施の形態では、特定のサブタイプ(例えば、HIV−1のサブタイプBおよび/またはC)から免疫原を選択することが好ましいであろう。単一の免疫学的組成物中に複数のHIVサブタイプ(例えば、HIV−1サブタイプBおよびC、HIV−2サブタイプAおよびB、または、HIV−1 、HIV−2、および/またはHIV−3サブタイプの組合せ)に由来する免疫原を含むことが望ましいであろう。適切なHIV免疫原としては、HIVエンベロープ(env;例えば、NCBI参照配列NP 057856、または図1、2および/または配列番号1〜6のいずれかに示す)、gag(例えば、p6、p7、p17、p24、GenBank AAD39400.1)、polによってコードされたプロテアーゼ(例えば、UniProt P03366)、nef(例えば、GenBank CAA41585.1;Shugars, et al. J. Virol. Aug. 1993, pp. 4639-4650 (1993))、ならびに、例えば、Gomez et al. Vaccine, Vol. 25, pp. 1969-1992 (2007)に記載されるそれらの変異体、誘導体、および融合タンパク質が挙げられる。免疫原(例えば、envおよびpol)は、必要に応じて組み合わせてもよい。異なるHIV単離株(例えばHIV−1 A1 envとHIV−1 A2 env)に由来する免疫原(例えば「AIDSVAX」B/Bと「AIDSVAX」B/E)を併用することもできる。一部の実施の形態では、組成物のうち少なくとも1つは、HIVのアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列、および単純ヘルペスウイルス(HSV)に対応する少なくとも1種類のアミノ酸配列を含む。一部の実施の形態では、HSV抗原は、図1に示す糖タンパクD(gD)リーダー配列でありうる。ある特定の実施の形態では、HSVアミノ酸配列は、KYALADASLKMADPNRFRGKDLPVLDQL(配列番号:7)、またはそれらの断片または誘導体を含む。一部の実施の形態では、組成物のうち少なくとも1つは配列番号:7を含む。一部の実施の形態では、適切な免疫原は、図1に示すポリペプチドgd244、またはそれらの断片でありうる。他の実施の形態では、適切な免疫原は図1に示すポリペプチド「M.N. mature」、またはそれらの断片でありうる。適切な株および組合せは、必要に応じて当業者に選択されて差し支えない。
【0015】
一部の実施の形態では、
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に対する防御的免疫をヒトに付与する方法であって、
HIVポリペプチドまたは断片、またはそれらの誘導体をコードしたウイルス・ベクターを含む第1の組成物を少なくとも単回用量でヒトに投与し、
その後、HIVポリペプチドまたは断片、またはそれらの誘導体を含む第2の組成物を少なくとも単回用量でヒトに投与する、
各工程を有してなり、
それによって、HIVに対する防御免疫応答が生じる、
方法が提供される。一部の実施の形態では、
第1の組成物および第2の組成物から本質的になるワクチンをヒトに投与することによって、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に対する防御免疫をヒトに付与する方法であって、
前記第1の組成物が、少なくとも1種類のHIV gp120または断片、またはそれらの誘導体、および、随意的に、少なくとも1種類の追加のHIVポリペプチドまたは断片、またはそれらの誘導体をコードした生の弱毒化ウイルス・ベクターから本質的になり、
前記第2の組成物が、少なくとも1種類のHIV gp120 ポリペプチドまたは断片またはそれらの誘導体、および、随意的に、少なくとも1種類の追加のHIVポリペプチドまたは断片またはそれらの誘導体から本質的になり;
本方法が、
前記第1の組成物をヒトに投与し、
その後、前記第2の組成物の単独投与;前記第1および第2の組成物を、随意的に単回用量として別々にまたは一緒に投与;少なくとも1回の追加用量の前記第1の組成物の投与に続いて、少なくとも単回用量の前記第2の組成物の投与;前記第2の組成物の投与に続いて、 少なくとも1回の追加用量び前記第1の組成物の投与、随意的に、続いて、少なくとも1回の追加用量の前記第1および/または第2の組成物の投与;からなる群より選択される少なくとも1種類の組成物または組成物の組合せをヒトに投与する、
各工程を有してなり、
それによって、ヒトにおけるHIVに対する防御免疫応答が誘発される、
方法が提供される。一部の実施の形態では、組成物は一緒に(例えば、実質的に一度に(例えば、同時に)宿主の同一または異なる部位に)または別々に(例えば、時間または宿主の投与部位)、投与される。
【0016】
ある特定の実施の形態では、組成物のうち少なくとも1つは、単純ヘルペスウイルス(HSV)のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を含む(例えば、図1に示す糖タンパクD(gD))リーダー配列)。ある特定の実施の形態では、HSVアミノ酸配列は、例えば、KYALADASLKMADPNRFRGKDLPVLDQL(配列番号:7)、またはそれらの断片を含みうる。一部の実施の形態では、HSVアミノ酸配列は、図1に示すポリペプチド「M.N. mature」(配列番号:3)またはそれらの断片のものでありうる。一部の実施の形態では、HSVアミノ酸配列は、図1に示すポリペプチドgd244(配列番号:4)またはそれらの断片のものであってもよい。一部の実施の形態では、gp120アミノ酸配列は、配列番号:5でありうる。一部の実施の形態では、組成物のうち少なくとも1つは、配列番号:3、4、5、または7のうち1つ以上のポリペプチドを含みうる。「ポリペプチドを含む」とは、ポリペプチド自体、および/または、発現ベクター内に含まれる核酸によってコードされたものの両方を意味する。本明細書で言及されるポリペプチドの変異および誘導体は、当業者に決定されるように、適切でありうる。
【0017】
一部の実施の形態では、第1の組成物は、第2の組成物の少なくとも1回の投与の前に反復投与され、ここで、投与の時間間隔は、前記ヒトの体内における免疫応答の進行を可能にするのに十分な長さである。一部の実施の形態では、本明細書に記載の方法は、ヒトの集団にワクチンを投与する工程を含み、それによって、集団の少なくとも約3分の1がHIVによる感染から防御される。一部の実施の形態では、第1の組成物は、第2の組成物の少なくとも1回の投与の前に反復投与され、ここで、投与の時間間隔は、前記ヒトの体内における免疫応答の進行を可能にするのに十分な長さである。ある特定の実施の形態では、第1の組成物および第2の組成物のいずれかまたは両方の投与は、粘膜、皮内、筋肉内、皮下、皮膚乱切、節内、または腫瘍内からなる群より選択される経路を経る。組成物の投与用量は変化しうるが、一部の実施の形態では、各回に投与されるウイルス・ベクターの量は約107CCID50に等しく、各回に投与されるポリペプチドの総量は約600μgである。一部の実施の形態では、ウイルス・ベクターは、ワクシニア、NYVAC、改変ウイルス・アンカラ(MVA)、アビポックス、カナリアポックス、ALVAC、ALVAC(2)、鶏痘ウイルス、またはTROVACなどのポックスウイルス・ベクターでありうる。一部の実施の形態では、ウイルス・ベクターは、ALVAC−HIV(vCPI521)でありうる。ウイルス・ベクターは、例えば、配列番号:1または5の核酸配列を含みうる。第2の組成物は、「AIDSVAX」B/Bまたは「AIDSVAX」B/Eでありうる。一部の実施の形態では、ウイルス・ベクターはALVAC−HIV(vCP1521)であって差し支えなく、第2の組成物は「AIDSVAX」B/Eでありうる。
【0018】
ある特定の実施の形態では、HIVポリペプチドまたはHIV gp120は、HIV−1、HIV−2、およびHIV−3からなる群より選択されるHIVウイルスに由来し、ここで、第1および第2の組成物は、同一または異なるHIVポリペプチドおよび/またはgp120を含む。HIV−1は、例えば、HIV−1サブタイプA1、HIV−1サブタイプA2、HIV−1サブタイプA3、HIV−1サブタイプA4、HIV−1サブタイプB、HIV−1サブタイプC、HIV−1サブタイプD、 HIV−1サブタイプE、HIV−1サブタイプF1、HIV−1サブタイプF2、HIVサブタイプG、 HIV−1サブタイプH、HIV−1サブタイプJおよびHIV−1サブタイプKでありうる。HIV−2は、例えば、HIV−2サブタイプA、HIV−2サブタイプB、HIV−2サブタイプC。HIV−2サブタイプD、およびHIV−2サブタイプEでありうる。ウイルス・ベクターは、例えば、HIV gp120 MN 12−485、HIV gp120 A244 12−484、およびHIV gp120 GNE8 12−477からなる群より選択される少なくとも1種類のポリペプチドをコードしうる。
【0019】
複数のHIV免疫原が用いられる場合には、少なくとも1種類の追加のHIV免疫原は、例えば、gag、pol、net、それらの変異体、およびそれらの誘導体でありうる。よって、一部の実施の形態では、前記第1または第2の組成物は、追加的に、gag、polによってコードされたプロテアーゼ成分、nef、それらの変異体、およびそれらの誘導体からなる群より選択される、少なくとも1種類の追加のHIV免疫原を含む。
【0020】
本発明の好ましい実施の形態では、ベクターを用いて、ポリペプチドをコードした核酸配列を細胞に移す。ベクターは、核酸配列を宿主細胞に移動するのに用いられるいずれかの分子である。ある特定の事例では、発現ベクターが用いられる。発現ベクターは、宿主細胞の形質転換に適した核酸分子であり、移された核酸配列の発現を導くおよび/または制御する核酸配列を含む。発現は、限定はしないが、転写、翻訳、および、イントロンが存在する場合にはスプライシングなどのプロセスを含む。発現ベクターは、典型的には、ポリペプチドをコードした異種核酸配列に動作可能に連結した1つ以上のフランキング配列を含む。本明細書では、動作可能に連結とは、プロモーターまたはエンハンサーがコード配列の転写に影響を与えるなど、ポリヌクレオチド要素間の連結が機能的な関係にあることをいう。フランキング配列は、例えば、同種(すなわち、宿主細胞として同一の種および/または株に由来)、異種(すなわち、宿主細胞の種または株以外の種に由来)、ハイブリッド(すなわち、2つ以上の起源に由来するフランキング配列の組合せ)、または合成物でありうる。
【0021】
ある特定の実施の形態では、フランキング配列は、標的細胞において遺伝子を高頻度で発現する転写調節領域であることが好ましい。転写制御領域は、例えば、プロモーター、エンハンサー、サイレンサー、抑制エレメント、またはそれらの組合せを含みうる。転写制御領域は、構造的、組織特異性、細胞型特異性(すなわち、その領域は、組織または細胞の1つの型における転写が別の型に比べて高レベルである)、または制御可能(すなわち、テトラサイクリンなどの化合物との相互作用に対し反応性)のいずれかでありうる。転写調節領域の起源は、細胞におけるフランキング配列が、その細胞内に核酸の転写を生じることによって機能することを条件に、原核生物または真核生物、脊椎動物または無脊椎動物、または植物のいずれかであって差し支えない。本発明の実施にはさまざまな転写制御領域が用いられうる。
【0022】
一部の実施の形態では、例えばそれらの断片および/または変異体を含む本明細書に記載のベクターに取り込まれるか、該ベクターによって発現されるポリペプチド、ペプチド、またはポリヌクレオチドの誘導体が用いられうる。誘導体は、例えば、参照配列(例えば、親配列)からのアミノ酸またはヌクレオチドの置換、削除、または、参照配列(例えば、親配列)へのアミノ酸またはヌクレオチドの置追加の結果として生じる。ポリペプチドまたはタンパク質の誘導体とは、例えば、典型的には、参照するポリペプチドまたはペプチドに関連して変化したアミノ酸配列のことをいう。ポリペプチドの誘導体は、典型的には、ポリペプチドの活性の少なくとも1つを保持する。誘導体は、典型的には、参照配列と少なくとも約60%、70%、80%、90%。95%または99%の同一性を有する。ポリペプチドおよびペプチドに関して、誘導体は、「保守的な」変化を有してもよく、ここで、置換アミノ酸は同様の構造的または化学的特性を有する。誘導体はまた、「非保守的な」変化を有していてもよい。典型的な適切な保守的アミノ酸置換としては、例えば、表1に示すものなどが挙げられる:
【表1】

【0023】
他のアミノ酸置換は非保守的とみなされうる。誘導体は、アミノ酸またはヌクレオチドの削除および/または追加/挿入、またはそれらの一部の組合せを含んでいてもよい。誘導体の所望の活性を失わずに、どのアミノ酸残基またはヌクレオチドが置換、挿入、または削除されうるかを決定する指針は、当業者に利用可能ないずれかの方法を使用して特定することができる。
【0024】
誘導体とは、化学修飾されたポリヌクレオチドまたはポリペプチドのことをいう。ポリヌクレオチドの化学修飾は、例えば、アルキル、アシル、ヒドロキシル、またはアミノ基による水素の置換を含みうる。ポリヌクレオチド誘導体は、天然分子の生物学的または免疫学的機能のうち少なくとも1つを保持しているポリペプチドをコードしうる。ポリペプチド誘導体は、グリコシル化、PEG化、ビオチン化、または、それが由来するポリペプチドの生物学的または免疫学的機能のうち少なくとも1つを保持する同様のプロセスによって改質されたものである。
【0025】
ポリペプチド配列に適用される「パーセント同一」および「%同一」という用語は、標準化アルゴリズムを用いて整列させた少なくとも2つのポリペプチド配列間で一致する残基の割合のことをいう。ポリペプチド配列アラインメントの方法は周知である。一部のアラインメント方法は、保守的アミノ酸置換を考慮に入れている。これらの保守的な置換は、先に詳細に説明したように、一般に、置換部位における電荷および疎水性を保ち、したがって、ポリペプチドの構造(および機能)を保持する。パーセント同一は、例えば、特定の配列番号によって定義されるなど、定義されたポリペプチド配列の全長にわたり測定されて差し支えなく、または全長より短い長さについて測定されてもよく、例えば、より大きい、定義されたポリペプチド配列から得られた断片の長さにわたり測定されて差し支えなく、例えば、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも70または少なくとも150の連続した残基の断片にわたり測定されうる。これらの長さは典型例に過ぎず、本明細書、表、図、または配列表に示す配列によって支持されるいずれかの断片長が、パーセント同一を測定する長さの説明に用いられうることが理解されよう。パーセント同一は、全体的(グローバル)または局所的(ローカル)に測定することができる。グローバルアラインメントのための当技術分野で知られているアラインメントアルゴリズムの例は、Needleman−Wunschアルゴリズムなど、各配列において各残基を整列させるものである。ローカルアラインメントアルゴリズムは、Smith−Watermanアルゴリズムなど、より大きい配列内に同様の配列モチーフの領域を含む、似ていない配列に有用である。
【0026】
上述のように、本開示は、組み換えベクターを含む組成物、ベクター自体、およびその利用方法に関する。「ベクター」は、ポリヌクレオチドまたは対象を別の部分(例えば、宿主細胞)に運搬、導入、または移動するのに用いられるいずれかの部分(例えば、ウイルスまたはプラスミド)である。ある特定の事例では、 発現ベクターが用いられる。発現ベクターは、ポリペプチド、ペプチド、またはポリヌクレオチドをコードする対象のポリヌクレオチドを含み、かつ、対象とするポリヌクレオチドの発現を導くおよび/または制御する他のポリヌクレオチドも含む、核酸分子である。発現には、限定はしないが、転写、翻訳、および/またはスプライシング(例えば、イントロンが存在する場合)などのプロセスが含まれる。
【0027】
用いられるウイルス・ベクターとしては、例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、アルファウイルス、ヘルペスウイルス、およびポックスウイルス・ベクターが挙げられる。これらウイルス・ベクターの多くは、当技術分野で利用可能である。本明細書に記載のベクターは、当業者に幅広く利用可能な標準的な組み換え技術を使用して構成されうる。これらの技術は、一般的な分子生物学の参照文献から得ることができる。例えば、Molecular Cloning:A laboratory Manual (Sambrook, et al. 1 89, Cold Spring Harbor Laboratory Press)、Gene Expression Technology (Methods in Enzymology, Vol. 185, edited by D. Goeddel, 1991. Academic Press, San Diego, CA)、およびPCH Protocols:A Guide to Methods and Applications (Innis, et al. 1990. Academic Press, San Diego, CA)参照。
【0028】
適切なレトロウイルス・ベクターとしては、レンチウイルスの誘導体、ならびにマウスまたは鳥のレトロウイルスの誘導体が挙げられる。典型的な、適切なレトロウイルス・ベクターとしては、例えば、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMuLV)、ハーベイマウス肉腫ウイルス(HaMuSV)、マウス乳癌ウイルス(MuMTV)、SIV、BIV、HIVおよびラウス肉腫ウイルス(RSV)が挙げられる。多くのレトロウイルス・ベクターは、複数の外因性ポリヌクレオチドを取り込むことができる。組み換えレトロウイルスは欠損があるため、感染性のベクター粒子を産生するためには支援を必要とする。この支援は、例えば、レトロウイルス構造遺伝子をコードするヘルパー細胞株によって提供することができる。適切なヘルパー細胞株としては、とりわけ、Ψ2、PA317およびPA12が挙げられる。これらの細胞株を使用して産生したベクタービリオンを、次に、NIH 3T3細胞などの組織細胞株の感染に使用し、大量のキメラレトロウイルスビリオンの産生させることができる。レトロウイルス・ベクターは、従来の方法(すなわち、注入)によって、または標的細胞の近接部位に「プロデューサー細胞株」を移植することによって投与することができる(Culver, K., et al., 1994, Hum. Gene Ther., 5 (3): 343-79; Culver, K., et al., Cold Spring Harb. Symp. Quant. Biol., 59: 685-90;Oidflekl, E., 1993. Hum. Gene Ther., 4 (1): 39-69)。プロデューサー細胞株は、ウイルス・ベクターを産生し、さらに標的細胞の近傍にウイルス粒子を放出するように操作される。放出ウイルス粒子の一部は標的細胞と接触し、それら細胞を感染させ、免疫原をコードする核酸を標的細胞に送達する。標的細胞への感染に続き、ベクターから、対象とするポリヌクレオチドの発現が起こる。
【0029】
アデノウイルス・ベクターは、真核細胞への遺伝子導入(Rosenfeld, M., et al., 1991, Science, 252 (5004): 431-4;Crystal, R., et al., 1994, Nat. Genet., 8 (1): 42-51)、真核生物遺伝子発現の研究(Levrero, M., et al., 1991, Gene, 101 (2): 195-202)、ワクチン発現(Graham, F. and Prevec, L., 1992, Biotechnology, 20: 363-90)、および動物モデル(Stratford-Pemcaudet, L., et al., 1992, Bone Marrow Transplant, 9 (Suppl. 1): 151 -2; Rich, et al., 1993, Hum. Gene Ther., 4 (4): 461-76)に特に有用であることが証明されている。組み換えAdをインビボで異なる組織に投与するための実験経路としては、とりわけ、気道内注入(Rosenfeld, M, et al., 1992, Cell, 68 (1): 143-55)筋肉内への注入(Quantin, B., et al., 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 89 (7): 2581-4)、末梢静脈内への注入(Herz, J., and Gerard, R., 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 90 (7): 2 12-6)および/または脳への定位接種(Le Gal La Salle, G., et al., 1993, Science, 259 (5097): 988-90)が挙げられる。
【0030】
アデノ関連ウイルス(AAV)は、宿主細胞のゲノム組み込みにおける、高レベルの感染性、幅広い宿主域および特異性を実証している(Hermonat, P., et al., 1984. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 81 (20): 6466-70)。また、単純ヘルペスウイルスタイプ−1(HSV−1)は、その神経向性特性の理由から、特に神経系への使用にとって、さらに別の魅力的なベクター系である(Gelier, A., et al., 1991, Trends Neurosci., 14 (10): 428-32;Glorioso, et al., 1995, Mol. Biotechnol., 4 (1): 87-99;Glorioso, et al., 1995, Annu. Rev. Microbiol., 49: 675-710)。
【0031】
アルファウイルスは、宿主における免疫原の発現に使用されうる。アルファウイルス属の適切な種類としては、とりわけ、シンドビスウイルス、セムリキ森林ウイルス(SFV)、ロスリバーウイルスおよびベネズエラ、西部および東部ウマ脳炎ウイルスが挙げられる。アルファウイルス・ベクターを利用する発現系は、例えば、米国特許第5,091 ,309号;同第5,217,879号;同第5,739,026号;同第5,766,602号;同第5,843,723号;同第6,015,694号;同第6,156,558号;同第6,190,666号;同第6,242,259号;および同第6,329,201号の各明細書;国際出願第92/10578号パンフレット;Xioag et al., Science, Vol. 243, 1989, 1188- 1191;Liliestrom, et al., Bio/Technology, 9: 1356-1361, 1991に記載されている。よって、発現系としてのアルファウイルスの使用は当業者にとって周知である。
【0032】
ポックスウイルスは別の有用な発現ベクターである(Smith, et al., 1983, Gene, 25 (1): 21-8;Moss, et al., 1992, Biotechnology, 20: 345-62;Moss, et al., 1992, Curr. Top. Microbiol. Immunol., 158: 25-38;Moss, et al., 1991. Science, 252: 1662-1667)。最も頻繁に用いられるポックスウイルス・ベクターは、とりわけ、NYVACおよびMVAなどのワクシニアおよびそれに由来する誘導体、および鶏痘ウイルス、カナリアポックス、ALVAC、およびALVAC(2)などのアビポックス属の仲間を含む。
【0033】
典型的な適切なベクターは、既知のまたは潜在的な毒性因子をコードするゲノムの6つの非必須領域を削除することによる、ワクシニアウイルスのコペンハーゲンワクチン株に由来するNYVAC(vP866)である(例えば、米国特許第5,364,773号および同第5,494,807号の各明細書参照のこと)。削除した遺伝子座は、外来遺伝子の挿入のための受容者の遺伝子座として、改変されている。削除領域は、チミジンキナーゼ遺伝子(TK:J2R);出血性領域(u;B13R+B14R);A型の封入体領域(ATI;A26L);ヘマグルチニン遺伝子(HA;A56R);宿主域遺伝子領域(C7L−K1L);および、大型のサブユニット、リボヌクレオチド還元酵素(ML)である。NYVACは、毒性および宿主域に関連する遺伝子産物をコードする18のオープン・リーディング・フレームの特異的欠失によって作出した、遺伝子操作されたワクシニアウイルス株である。NYVACは、TAの発現に有用であることが示されている(例えば、米国特許第6,265,189号明細書参照)。NYVAC(vP866)、vP994、vCP205、vCP1433、placZH6H4Lリバース、pMPC6H6K3E3およびpC3H6FHVBもまた、ブダペスト条約の条件下、それぞれ、受託番号:VR−2559、VR−2558、VR−2557、VR−2556、ATCC−97913、ATCC−97912、およびATCC−97914としてATCCに寄託されている。
【0034】
別の適切なウイルスは、ワクシニアウイルス(CVA)のアンカラ株のニワトリ胚線維芽細胞において、516の連続的継代によって生じた改変ワクシニアアンカラ(MVA)ウイルスである(Mayr, A., et al., Infection 3, 6-14 (1975)参照)。得られたMVAは、さまざまな動物モデルにおいて、顕著に無毒性であったことが示され(Mayr, A. & Damter, K. (1978) Dev. Biol. Stand. 41: 225.34)、天然痘ワクチンとして臨床試験において試験された(Mayr et al., Zbl. Bakt. Hyg. I, Abt. Org. B 167, 375-390 (1987);Stickl et al., Dtsch. Med. Wschr. 99, 2386-2392 (1974))。MVAはまた、両方の組み換え遺伝子発現研究用のウイルス・ベクターとして、および組み換えワクチンとして使用するために遺伝子操作されてきた(Sutter, G. et al., (1994), Vaccine 12: 1032-40;Blanchard et al., 1998, J Gen Virol 79, 1 159-1167;Carroll & Moss, 1997, Virology 238, 198-211;Altenberger, 米国特許第5,185,146号明細書;Ambrosini et al., 1999, J Neurosci Res 55(5), 569)、改変ウイルス・アンカラ(MVA)は、例えば、米国特許第5,185,146号および同第6,440,422号の各明細書:Sutter, et al. (B. Dev. Biol. Stand. Basel, Karger 84:195- 200 (1995));Antome, et al. (Virology 244:365-396, 1998):Sutter et al. (Proc. Natl. Acad. Set. USA 89:10847-10851, 1992);Meyer et al. (J. Gen. Virol. 72: 1031-1038, 1991);Mahnel, et al. (Berlin Munch. Tierarztl, Wochenschr, 107: 253-256, 1994);Mayr et al. (Zbl. Bakt. Hyg. I, Abt. Org. B 167: 375-390 (1987);および、Stickl et al. (Dtsch. med. Wschr. 99: 2386-2392 (1974))に記載されている。典型的なMVAは、受託番号VR−1508およびVR−1566の下、ATTCから入手可能である。
【0035】
ALVAG系の組み換えウイルス(すなわち、ALVAC−1およびALVAC−2)は、本発明の実施における使用に適している(例えば、米国特許第5,756,103号明細書参照)。ALVAC(2)は、ALVAC(2)ゲノムがワクシニア・プロモーターの制御下で、ワクシニアE3LおよびK3L遺伝子を含む以外は、ALVAC(1)と同一である(米国特許第6,130,066号明細書;Beattie et al., 1995a, 1995b, 1991;Chang et al., 1992; Davies et al., 1993)。ALVAC(1)およびALVAC(2) は、両方とも、TAなどの外来DNA配列の発現に有用であることが実証されている(Tartaglia et al., 1993 a,b;米国特許第5,833,975号明細書)。ALVACは、ブダペスト条約の条件下、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)(米国20110−2209バージニア州マナッサス、ユニバーシティ・ブールバード10801所在)に、ATCC受託番号VR−2547として寄託されている。ワクシニアウイルス宿主域遺伝子(例えば、C18L、C17L、C7L、KIL、E3L、B4R、B23R、およびB24R)もカナリアポックスにおいて発現可能であることが示されている(例えば、米国特許第7,473,536号明細書)。
【0036】
別の有用なポックスウイルス・ベクターはTROVACである。TROVACとは、1日齢の鶏のワクチン接種が許可された鶏痘ウイルスのFP−1ワクチン株に由来するプラーク−クローン化単離株であった、弱毒化した鶏痘ウイルスのことをいう。TROVACも同じように、ブダペスト条約条件下、受託番号2553としてATCCに寄託されている。
【0037】
「非ウイルス性」のプラスミド・ベクターも使用に適している。「裸のDNA」の免疫付与のために、免疫原発現のための発現カセットを含むプラスミドDNA分子が使用されうる。好ましいプラスミド・ベクターは、細菌、昆虫、および/または哺乳動物の宿主細胞に適合性である。これらのベクターとしては、例えば、PCR−II、pCR3、およびpcDNA3.1(Invitrogen社製(米国カリフォルニア州サンディエゴ所在))、pBSII(Stratagene社製(米国カリフォルニア州ラ・ホーヤ所在))、pET15(Novagen社製(米国ウィスコンシン州マディソン所在))、pGEX(Pharmacia Biotech社製(米国ニュージャージー州ピスカタウェイ所在))、pEGFP−N2(Clontech社製(米国カリフォルニア州パロ・アルト所在))、pETL(BlueBacII、Invitrogen社製)、pDSR−アルファ(国際出願第90/14363号パンフレット)およびpFastBacDual(Gibco−BRL社製(米国ニューヨーク州グランドアイランド所在))ならびに、 Bluescript(登録商標)プラスミド誘導体(高コピー数のCOLE1系ファージミド、Stratagene Cloning Systems社製(米国カリフォルニア州ラ・ホーヤ所在))、Taq−増幅したPCR産生物をクローニングするために設計されたPCRクローニングプラスミド(例えば、TOPO(商標)TAクローニング(登録商標)キット、PCR2.1(登録商標)プラスミド誘導体、Invitrogen社製(米国カリフォルニア州カールズバッド所在))が挙げられる。
【0038】
細菌ベクターもまた使用に適しうる。これらのベクターとしては、例えば、サルモネラ・シゲラ(Shigella, Salmonella)(例えば、Darji, et al. Cell, 91: 765-775 (1997);Woo, et al., Vaccine, 19: 2945-2954 (2001))、コレラ菌(Vibrio cholerae)、乳酸桿菌(Lactobacillus)、カルメット・ゲラン桿菌(Baciile calmette guerin(BCG))、および連鎖球菌(Streptococcus)(例えば、国際出願第88/6626号パンフレット、国際出願第90/0594号パンフレット、国際出願第91/33157号パンフレット、国際出願第92/1796号パンフレット、および国際出願第92/21376号パンフレット)が挙げられる。多くの他の非ウイルスプラスミド発現ベクターおよび系が当技術分野で知られており、本発明に使用することができる。
【0039】
使用されうる核酸の送達または形質転換技術としては、とりわけ、DNA−リガンド複合体、アデノウイルス−リガンド−DNA複合体、DNAの直接注入、CaPO4沈殿、遺伝子銃法、エレクトロポレーション、およびコロイド分散系が挙げられる。コロイド分散系としては、巨大分子錯体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズが挙げられ、脂質系としては、水中油型エマルション、ミセル、混合ミセル、およびリポソームが挙げられる。本発明の好ましいコロイド系は、インビトロおよびインビボにおける送達ビヒクルとして有用な人工膜小胞であるリポソームである。RNA、DNAおよび完全なままのビリオンは、内部の水に封入され、細胞を生物学的に活性な形態で送達することができる(Fraley, R., et al., Trends Biochem. 6: 77 (1981))。リポソーム組成物は、通常は、リン脂質、特に相転移温度が高いリン脂質と、ステロイド、特にコレステロールとの組合せである。他のリン脂質または他の脂質も使用して差し支えない。リポソームの物理的特性は、pH、イオン強度、および二価陽イオンの存在に依存する。リポソームの産生に有用な脂質の例としては、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴ糖脂質、セレブロシド、およびガングリオシドなどのホスファチジル化合物が挙げられる。特に有用なのは、脂質部分が14〜18個の炭素原子、特に16〜18個の炭素原子を含み、飽和している、ジアシルホスファチジルグリセロールである。例証するリン脂質は、卵ホスファチジルコリン、ジパルミトイルフォスファチジルコリンおよびジステアロイルホスファチジルコリンを含む。
【0040】
核酸をベースとした免疫付与の効率を改善するための戦略も使用して差し支えなく、例えば、以下のものが挙げられる:自己複製ウイルスレプリコンの使用(Caley, et al. Vaccine, 17: 3124-2135 (1999);Dubeasky, et al. Mol. Med. 6: 723-732(2000);Leitner, et al. Cancer Res. 60: 51-55 (2000))、コドン最適化(Liu, et al. Mol. Ther., 1: 497-500 (2000);Dubensky, 上記参照;Huang, et al. J. Virol. 75: 4947-4951 (2001))、インビボにおける エレクトロポレーション(Widera, et al. J. Immunol. 164: 4635-3640 (2000))、CpG刺激モチーフの取り込み(Gurunathan, et al. Ann. Rev. Immunol. 18: 927-974 (2000);Leitner, 上記参照)、標的とするエンドサイトーシスまたはユビキチンのプロセシング経路のための配列(Thomson, et al. J. Virol. 72:2246-2252(1998);Velders, et al. J. Immunol. 166:5366- 5373(2001 ))、および/またはプライム・ブースト投与計画(Gurunathan, 上記参照;Sullivan, et al. Nature, 408:605-609 (2000);Hanke, et al. Vaccine, 16: 439-445 (1998);Amara, et al. Science, 292: 69-74 (2001))。他の方法は当技術分野で知られており、それらの一部は以下に記載される。
【0041】
他の実施の形態では、組成物または組み換えベクター内に、「同時刺激」成分として機能する1つ以上のポリペプチドまたはペプチドをコードする追加のポリペプチド、ペプチドまたはポリヌクレオチドを併用するまたは含むことが有利であろう。これらの共刺激成分は、本発明の組成物内に、例えば、細胞表面タンパク質、サイトカインまたはケモカインを含みうる。共刺激成分は、組成物内に、例えば、ポリペプチドまたはペプチドとして、またはポリペプチドまたはペプチドをコードするポリヌクレオチドとして含まれうる。適切な共刺激分子としては、例えば、次のものが挙げられる:CD28の仲間に属するものを結合するポリペプチド(すなわち、CD28、ICOS;Hutloff, et al. Nature 1999, 397: 263-265;Peach, et al. J Exp Med 1994, 180: 2049-2058)、例えばCD28結合ポリペプチドB7.1(CD80:Schwartz, 1992;Chen et al, 1992;Ellis, et al. J. Immunol., 156 (8): 2700-9)およびB7.2(CD86;Ellis, et al. Immunol, 156 (8): 2700-9)など;インテグリンの仲間に属するものを結合するポリペプチド(すなわち、LFA−1(CD11a/CD18)、ICAMの仲間(すなわち、ICAM− 1 、−2または−3)に属するものを含む;Sedwiek, et al. J Immunol 1999, 162: 1367-1375;Wulfing, et al. Science 1998, 282: 2266-2269;Lub, et al. Immunol Today 1995, 16: 479-483);CD2の仲間に属するものを結合するポリペプチド(すなわち、CD2、シグナル伝達リンパ球活性化分子(CDw150または「SLAM」;Aversa, et al. J Immunol 1997, 158: 4036-4044)、例えばCD58(LPA−3;CD2リガンド;Davis, et al. Immunol Today 1996, 17: 177-187)またはSLAMリガンド(Sayos, et al. Nature 1998, 395: 462-469)など;熱安定性の抗原を結合するポリペプチド(HSAまたはCD24;Zhou., et ai Eur J Immunol 1997, 27;2524-2528);TNFレセプター(TNFR)の仲間に属するものを結合するポリペプチド(すなわち、4−1BB(CD 137;Vinay, et al. Semin Immunol 1998, 10: 481-489))、OX40(CD134;Weinberg, et al. Semin Immunol 1998, 10: 471-480;Higgins, et al. J Immunol 1999, 162: 486-493)、およびCD27(Lens, et al. Semin Immunol 1998, 10: 491-499))、例えば4−IBBL(4−IBBリガンド;Vinay, et al. Semin Immunol 1998, 10: 481-48;DeBenedette, et al. J Immunol 1997, 158: 551-559)、TNFR関連因子−1(TRAF−1;4−IBBリガンド;Saoulli, et al. J Exp Med 1998, 187: 1849-1862;Arch, et al. Mol Cell Biol 1998, 18: 558-565)、TRAF−2(4−IBBおよびOX40リガンド;Saoulli, et al. J Exp Med 1998, 187: 1849-1862;Oshima, et al. Int Immunol 1998, 10: 517-526;Kawamata, et al. J Biol Chem 1998, 273: 5808-5814)、TRAF−3(4−1BBおよびOX40リガンド;Arch, et al. Mol Cell Biol 1998, I8: 558-565;Jang, et al. Biochem Biophys Res Commun 1998, 242: 613-620;Kawamata S, et al. J Biol Chem 1998, 273: 5808-5814)、OX40L(OX40リガンド;Gramaglia, et al. J Immunol 1998, 161: 6510-6517)、TRAF−5(OX40リガンド;Arch, et al. Mol Cell Biol 1998, 18: 558-565;Kawamata, et al. J Biol Chem 1998, 273:5808-5814)、CD70(CD27リガンド;Couderc, et al. Cancer Gene Ther., 5(3): 163-75)、およびCD154(CD40リガンドまたは「CD40L」;Gurunathan, et al. J. Immunol., 1998, 161: 4563-4571;Sine, et al. Hum. Gene Ther., 2001, 12: 1091-1102)。他の共刺激分子もまた本発明の実施に適切でありうる。
【0042】
1つ以上のサイトカインもまた、ポリペプチドまたは本発明の組成物内に含まれる核酸によってコードされたものとしての適切な共刺激成分または「アジュバント」でありうる(Parmiani et al. Immunol Lett 2000 Sep 15: 74(1): 41-4;Berzofsky, et al. Nature Immunol. 1: 209-219)。適切なサイトカインとしては、例えば、以下のものが挙げられる:インターロイキン−2(IL−2)(Rosenberg, et al. Nature Med. 4: 321-327 (1998))、IL−4、IL−7、IL−12(Pardoll, 1992;Harries, et al. J. Gene Med. 2000 Jul-Aug; 2(4): 243-9;Rao, et al. J. Immunol 156: 3357-3365 (1996)参照)。lL−15(Xin, et al. Vaccine, 17: 858-866, 1999)、IL−16(Cruikshank, et al. J. Leuk Biol. 67(6): 757-66, 2000)、IL−18(J. Cancer Res. Clin. Oncol. 2001 , 127(12): 718-726)、GM−CSF(CSF(Disis, et al. Blood, 88:202-210 (1996))、腫瘍壊死因子アルファ(TNF−α)、またはインターフェロン−γ(INF−γ)。他のサイトカインは本発明の実施に適切でありうる。
【0043】
ケモカインを利用してもよい。例えば、腫瘍自己抗原と融合するCXCL10(IP−10)およびCCL7(MCP−3)を含む融合タンパク質は、抗腫瘍免疫を誘発することが示されている(Biragyn, et al. Nature Biotech. 1999, 17: 253-258)。ケモカインCCL3(MIP−1α)およびCCL5(RANTES)(Boyer, et al. Vaccine, 1999, 17 (Supp. 2): S53-S64)も本発明の実施に使用して差し支えない。他の適切なケモカインは当技術分野で知られている。
【0044】
抑制または負の調節因子の免疫機構が遮断されると、免疫応答を促進する結果となることも、当技術分野で知られている。例えば、抗CTLA−4(Shrikant, et al. Immunity, 1996, 14: 145-155;Sutmuller, et al. J. Exp. Med., 2001, 194: 823-832)、抗CD25(Sutmuller, 上記参照)、抗CD4(Matsui, et al. J. Immunol., 1999, 163: 184- 193)、融合タンパク質IL13Ra2−Fc(Terabe, et al. Nature Immunol., 2000, 1: 515-520)、およびそれらの組合せ(すなわち、抗CTLA−4および抗CD25、Sutmuller, 上記参照)を使用した治療は、本発明の実施に適しているであろう抗腫瘍免疫応答を上方制御することを示している。
【0045】
免疫原は、免疫応答を上昇させるために1つ以上のアジュバントと組み合わせて投与してもよい。アジュバントは、免疫原に対する免疫応答を刺激または促進するために含まれうる。適切なアジュバントの非限定的な例としては、とりわけ、微生物起源(ムラミルジペプチド(MDP))のゲルタイプのもの(すなわち、水酸化/リン酸アルミニウム(「アルム・アジュバント」)、リン酸カルシウム)、細菌外毒素(コレラ毒素(CT)、天然のコレラ毒素サブユニットB(CTB)、大腸菌不安定毒素(LT)、百日咳毒素(PT)、CpGオリゴヌクレオチド、BCG配列、破傷風トキソイド、例えば、大腸菌(E. coli)、サルモネラ・ミネソタ(Salmonella Minnesota)、サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)、または赤痢菌(Shigella exseri)のモノホスホリルリピドA(MPL)、微粒子アジュバント(生分解性のポリマーミクロスフェア)、免疫賦活性複合体(ISCOM))、油エマルションおよび界面活性剤系アジュバント(フロイント不完全アジュバント(FJA)、マイクロ流動化エマルション(MF59、SAF)、サポニン(QS−2))、合成物(ムラミルペプチド誘導体(ムラブチド、トレオニル−MDP)、非イオン性ブロック共重合体(L121)、ポリホスファゼン(PCCP)、合成ポリヌクレオチド(ポリA:U、ポリI:C)、サリドマイド誘導体(CC−4407/ACTIMID))、RH3−リガンド、またはポリ乳酸−グリコール酸(PLGA)ミクロスフィアが挙げられる。これら毒素の断片、同族体、誘導体、および融合体も、アジュバント活性を保持するかぎりにおいて、適切である。アジュバントの適切な突然変異体または変異体は、例えば、国際出願第95/17211号パンフレット(ARG−7−Lys CT突然変異体)、国際出願第96/6627号パンフレット(Arg−192−GIy LT突然変異体)、および国際出願第95/34323号パンフレット(Arg−MysおよびGlu−129−Gly PT突然変異体)に記載されている。本発明の方法および組成物に使用できる追加のLT突然変異体としては、例えば、Ser−63−Lys、Ala−69−Gly、Glu−110−Asp、およびGlu−112−Asp突然変異体が挙げられる。他の適切なアジュバントも当技術分野で周知である。
【0046】
一例として、アルム・アジュバントなどの金属塩アジュバントも、アジュバント活性を有する安全な賦形剤を提供することが当技術分野でよく知られている。これらアジュバントの作用機構は、抗原が投与に注入部位に最長で3週間留まるように抗原の貯留が形成されること、および、抗原が存在する細胞に、より容易に取り込まれる抗原/金属塩複合体が形成されることに関係すると考えられている。アルミニウムに加えて、抗原の吸収の目的で、亜鉛、カルシウム、セリウム、クロム、鉄、およびベリリウムの塩を含めた他の金属塩が用いられている。アルミニウムの水酸化物およびリン酸塩が最も一般的である。アルミニウム塩、抗原、および追加の免疫賦活剤を含む配合物または組成物が当技術分野で知られている。免疫賦活剤の例は、3−O−脱アシル化(3-de-O-acylated)モノホスホリルリピドA(3D−MPL)である。
【0047】
これらの成分は、単独でまたは他の物質と組み合わせて使用して差し支えなく、例えば、CD80、ICAM−1およびLFA−3(「TRICOM」)の組合せが抗癌性の免疫応答を促進しうることが示されている(Hodge, et al. Cancer Res. 59: 5800-5807(1999))。他の有効な組合せとしては、例えば、IL−12+GM−CSF(Aiders, et al. J. Immunol., 158: 3947-3958 (1997);Iwasaki, et al., J. Immunol. 158: 4591-4601 (1997))、IL−12+GM−CSF+TNF−α(Ahlers, et al. Int. Immunol. 13: 897- 908 (2001))、CD80+IL−12(Fruend, et al. Int. J. Cancer, 85: 508-517 (2000);Rao, et al., 上記参照)、およびCD86+GM−CSF+IL−12(Iwasaki, 上記参照)が挙げられる。当業者は、本発明の実施に有用な追加の組合せを想起するであろう。加えて、当業者は、これらの機構を調節するために使用されうる追加の試薬または方法についても想起するであろう。これらの試薬および方法、ならびに当業者に既知の他のものは、本発明の実施に使用して差し支えない。
【0048】
本明細書で提供される組成物および方法と組み合わせて用いられうる他の物質としては、例えば、プロテアーゼ阻害剤、HIV侵入阻害剤、逆転写酵素阻害剤、および/または抗レトロウイルスヌクレオシド類似体を含めた抗HIV薬が挙げられる。適切な化合物としては、例えば、Agenerase(アンプレナビル)、コンビビル(レトロビル/エピビル)、クリキシバン(インジナビル)、エムトリバ(エムトリシタビン)、エピビル(3tc/ラミブジン)、エプジコム、フォートベイス/インビラーゼ(サクイナビル)、フゼオン(エンフビルチド)、ハイビッド(ddc/ザルシタビン)、カレトラ(ロピナビル)、レクシヴァ(ホスアンプレナビル)、ノービア(リトナビル)、レスクリプター(デラビルジン)、レトロビル/AZT(ジドブジン)、レイアタッツ(アタザナビル、BMS−232632)、ススチバ(エファビレンツ)、トリジビル(アバカビル/ジドブジン/ラミブジン)、ツルバダ(エムトリシタビン/テノフォビルDF)、ヴァイデックス(ddI/ジダノシン)、ヴァイデックスEC(ddI/ジダノシン))、ビラセプト(ネビラピン)、ビリアード(テノホビルジソプロキシルフマル酸塩)、ゼリット(d4T/スタブジン)、およびザイアジェン(アバカビル)などが挙げられる。他の適切な物質は当業者には周知である。これらの物質は、本明細書に記載の組成物の投与および/または方法の使用の前、中、または後に使用して差し支えない。
【0049】
本発明の組成物の宿主への投与は、当業者に基地の様々な技術のいずれかを用いて達成されうる。組成物は、ヒトおよび他の哺乳動物を含めた患者に投与するための薬剤(すなわち、「医薬組成物」)を製造するために、医薬品の従来の方法に従って加工されて差し支えない。医薬組成物は、例えば、所定の量のDNA、ウイルス・ベクター粒子、ポリペプチド、ペプチド、または他の薬物候補を含む投与単位の形態で製造されることが好ましい。ヒトまたは他の哺乳動物に適した日用量は、患者の病状および他の要因に応じて大きく変化しうるが、これもまた、日常的な方法を用いて決定することができる。組成物は、治療効果を引き出すような形態および治療効果を引き出すのに十分な量で患者に投与される。この用途にとっての有効量は、例えば、ワクチン投与計画に関する特定の組成物、投与方法、病気の段階および重症度、患者の全体的な健康状態、および処方する医師の判断など、様々な要因に応じて決定される。本発明の組成物を用いて宿主に免疫を付与する、あるいは障害または疾患を治療するための投与計画は、疾患の種類、年齢、体重、性別、患者の医学的状態、病状の重症度、投与経路、および使用する特定の化合物を含めた、さまざまな要因に基づく。よって、投与計画は大幅に変化しうるが、標準的な方法を用いて日常的に決定することができる。
【0050】
一般に、組み換えウイルスは、組成物において、1接種あたり約104〜約109pfuの用量で投与され;しばしば、約104pfu〜約106pfuの用量で投与され、または実施例に示すように、107〜103pfuの用量で投与される。約104pfu〜約1010pfuなどの比較的高い用量、例えば、約105pfu〜約109pfu、または約106pfu〜約108pfu、または、約107pfuなどを用いることもできる。一般的に用いられる別の尺度は、細胞培養感染量(CCID50)であり;投与に適したCCID50の範囲は、約101、約102、約103、約104、約105、約106、約107、約108、約109、約1010CCID50を含む。通常、プラスミドまたは裸のDNAの適切な用量は、約1μg〜約100mg、約1mg、約2mgであるが、0.1〜1mgまたは1〜10μgなどの低い濃度で使用してもよい。ポリペプチド組成物(例えば「AIDSVAX」組成物)にとって、適量は1〜1000μgでありうる。用量範囲内にある可能性のあるサブ範囲を限定するわけではないが、特定の実施の形態は、5、10、20、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、および1000μgの量を採用してもよい。ポリペプチドの典型的な例となる用量は、例えば、約50〜250μg、約250〜500μg、500〜750μg、または約1000μgでありうる。低用量での投与では、典型的には、約100μg以下の用量で使用して差し支えない。高用量での投与では、典型的には、30μg以上の用量で使用して差し支えない。1回量におけるポリペプチドの量に言及すると、その量は、単一のポリペプチドの量のことを指すか、もしくは、複数のポリペプチドが投与される場合には、すべてのポリペプチドの総量(例えば、2つのポリペプチドそれぞれ300μgの場合の全用量は600μg)のことを指すことが理解されるべきである。本明細書に記載の「AIDSVAX」組成物は、典型的には200μgまたは600μgの全用量で投与されるが、必ずしもこの限りではない(例えば、組み換えMNおよびGNE8 gp120、または組み換えMNおよびA244 gp120)。「用量/投与量」とは、単回用量または複数回用量で投与されることを指し、投与されるすべての用量の合計を含む。これら組成物の実際の投与量は、ワクチン技術の分野における当業者によって容易に決定されうる。
【0051】
医薬組成物は、従来の薬学的に許容される担体、アジュバント、およびビヒクルを含む投与単位製剤で、経口、非経口、吸入噴霧、直腸、節内、または局所的に投与されうる。本明細書では「薬学的に許容される担体」または「生理的に許容される担体」とは、医薬組成物としての核酸、ポリペプチド、またはペプチドの送達を達成または促進するのに適した1種類以上の配合材料のことをいう。「医薬組成物」は、治療的に有効な量の核酸またはポリペプチドを含む組成物である。「有効量」および「治療的に有効な量」という用語は、それぞれ、所望の治療効果(例えば、免疫応答の誘発または増進)を観察するのに用いられる核酸またはポリペプチドの量のことを指す。
【0052】
滅菌した注入用の水性または油性懸濁液などの注入可能な調剤は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用して既知の方法に従って配合されうる。注入可能な調剤は、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶剤における滅菌した注入可能な溶液または懸濁液であって差し支えない。使用するのに適したビヒクルおよび溶媒としては、とりわけ、水、リンゲル液、および塩化ナトリウムの等張液が挙げられる。例えば、ポックスウイルスなどのウイルス・ベクターは、ラクトグルタメートなどの適切な安定化剤を使用して、または使用せずに、また、凍結乾燥した培地を使用して、または使用せずに、0.4% NaClまたはTris−HCl緩衝液中で調製されうる。加えて、滅菌した固定油も溶剤または懸濁媒体として従前から用いられている。この目的のため、無菌性の固定油を使用して差し支えなく、例えば、合成したモノグリセリドまたはジグリセリドが挙げられる。さらには、オレイン酸などの脂肪酸も注入物質の調製のための用途が見出されている。
【0053】
医薬組成物は、幾つかの形態のいずれかで、幾つかの経路のいずれかによって投与される。組成物は、非経口経路(例えば、皮内、筋肉内、皮下、皮膚乱切)で投与されて、宿主に免疫応答を誘発する。あるいは、組成物は、例えば、リンパ節(例えば、節内)または腫瘤(例えば、腫瘍内)などの組織または器官に直接投与されてもよい。投与可能な組成物の好ましい実施の形態は、例えば、核酸、ウイルス粒子、またはポリペプチドを、懸濁液、シロップ、またはエリキシル剤などの液体調剤中に含む。好ましい注入可能な調剤は、滅菌した懸濁液またはエマルションなど、例えば、非経口、皮下、皮内、筋肉内または静脈内投与に適した核酸またはポリペプチドを含む。例えば、裸のDNA分子および/または組み換えポックスウイルスは、滅菌水、生理食塩水、グルコースなどの適切な担体、希釈剤、または賦形剤とは別に、またはそれらと混合して一緒に投与されて差し支えない。組成物はまた、例えば、等張の緩衝生理食塩溶液中で再構成するための凍結乾燥形態で提供されてもよい。加えて、組成物は、他の抗ウイルス化合物、他の抗癌剤化合物、および/またはこれら物質の悪影響を低減または緩和する化合物と同時に投与するか、または連続的に投与することができる。
【0054】
先に述べたように、本明細書に記載の組成物は、単一の活性薬剤として投与されうるが、これらを、1種類以上の他の組成物または物質(すなわち、他の免疫原、共刺激分子、アジュバント)と組み合わせて使用することもできる。組み合わせて投与する場合には、個々の成分は、同時にまたは別の時間に分かれて投与される組成物として調合することができ、あるいは、成分は、単一の組成物として合わせることもできる。1つの実施の形態では、
宿主に第1の形態の免疫原を投与し、その後、第2の形態の免疫原を投与する方法であって、
第1の形態と第2の形態が異なっており、
第2の形態の投与前の第1の形態の投与が、第2の形態単独での投与と比較して、第2の形態の投与の結果生じる免疫応答を増進する、
方法が提供される。宿主に投与するための組成物も提供される。例えば、
第1の部分の組成物が第1の形態の免疫原を含み、第2の部分の組成物が第2の形態の免疫原を含む、2部構成の免疫学的組成物であって、
前記第1および第2の部分が互いに一緒にまたは別々に投与され、それによって、第1の形態の投与が、第2の形態単独での投与と比較して、第2の形態に対する免疫応答を増進する、組成物が提供される。免疫原は、同一であっても異なっていてもよく、感染性因子または他の免疫原起源に由来することが好ましい。複数の免疫原は、単一または複数の組成物として、または、単一または複数の組み換えベクターに、一緒にまたは別々に投与されてもよい。例えば、免疫原をコードするウイルス・ベクターが最初に投与され、次に、第2の形態の免疫原(例えば、ポリペプチド)のが1回以上、投与されてもよい。異なる形態とは、送達形態(例えば、ウイルス・ベクター、ポリペプチド)および各形態を代表する免疫原のいずれかまたは両方が異なっていてもよい。しかしながら、その形態は、特定の標的(例えば、HIV−1)に対する免疫応答を誘発または増強することが好ましい。例えば、本明細書に示すように、ウイルス抗原(例えば、HIV gp120)をコードするウイルス・ベクターが、ヒトに投与されうる。これに次いで、ウイルス・ベクターが同一または同様のウイルス抗原(例えば、HIV gp120)を表すポリペプチドとともに投与されて差し支えない。プライム・ブースト用途(例えば、ALVAC−HIVおよび[AIDSVAX])では、ALVAC−HIVは、典型的には、107CCID50用量(「プライム」用量)で投与され、その後、同一または異なる用量で、適切な用量(例えば、合計600μgの「ブースト」用量)のポリペプチド(例えば「AIDSVAX」B/BまたはB/B)とともに再投与される。ALVAC−HIVは、HIV−1 env(vCP1521のクレードEおよびvCP205のクレードB)、gag(クレードB)、および配列をコードするプロテアーゼ(クレードB)に由来する遺伝子産物を発現する、生の弱毒化した、組み換えカナリアポックスウイルス(ALVAC(1))の調製物である(図2)。典型的な非限定的プライム・ブーストの組合せとしては、組合せにおけるgp120免疫原が由来するHIVクレードが同一である、ALVAC−HIV(vCP205)と「AIDSVAX」B/B、またはALVAC−HIV(vCP1523)と「AIDSVAX」B/Eが挙げられる。典型的には、プライム用量およびブースト用量は、両方とも、同一経路で(例えば、筋肉内、皮内)投与されるが、投与経路は異なっていてもよい。典型的には、プライム用量およびブースト用量は、身体の異なる部位に投与されるが、身体の同一の部位に投与されてもよい。「〜とともに」とは、2つの形態が、特定のプロトコルに応じて、別々の組成物として、単一の組成物の一部として、身体の別々の部位に、または身体の同一の部位に、投与されることを意味しうる。当業者は、これらの典型的な投与計画のバリエーションを作成しうる。
【0055】
本発明の組成物を含むキットも提供される。キットには、適切な担体、希釈剤または賦形剤を含む別の容器を含めることができる。キットには、同時にまたは連続的に投与するための追加の成分を含めることもできる。1つの実施の形態では、このようなキットは、第1の形態の免疫原および第2の形態の免疫原を含みうる。追加で、キットには、材料の混合または組合せおよび/または投与についての使用説明書を含めることもできる。キットは、例えば、1つ以上のPCRプライマ、ハイブリダイゼーションプローブ、および/またはバイオチップなどの、スクリーニングアッセイを行うための試薬を提供してもよい。
【0056】
例証として示す以下の実施例から、本発明および多くの利点についてさらによく理解できるであろう。
【実施例】
【0057】
実施例1
免疫学的組成物
A.第1の組成物:ウイルス・ベクター
ALVAC−HIVは、配列をコードし、ニワトリ胚線維芽細胞内で培養された、HIV−1 env(vCP1521のクレードEおよびvCP205のクレードB)、gp41の膜貫通アンカー部分(クレードB:LAI)、gag(クレードB:LAI)、およびプロテアーゼ(クレードB:LAI)に由来する遺伝子産物を発現する生の弱毒化した組み換えカナリアポックスウイルス(ALVAC(1))の調製物である。これらのベクターは、標準的方法を用いてALVAC(1)ゲノムのC6挿入部位にHIV−1遺伝子産物をコードした遺伝子を共挿入することによって生成される(図2A)。ALVAC−HIV(vCP1521)内に含まれるHIV−1配列が、図2Bならびに配列番号:5および6に示されている。これらの配列は、1)ワクシニアウイルスH6プロモーターの制御下、gp41のHIV−1膜貫通アンカー配列をコードする配列に連結したHIV−1のTH023株の細胞外エンベロープgp120部分をコードするenv遺伝子領域(28アミノ酸);および、2)同一のワクシニアウイルスプロモーターI3Lの制御下、Gagタンパク質全体をコードするgag遺伝子、およびプロテアーゼ機能をコードするのに十分な、HIV−1のLAI株のpol配列の一部、を含む。
【0058】
ALVAC−HIVは、始原ニワトリ胚繊維芽細胞のALVAC−HIVワーキングシードロットの植菌およびローラーボトルでの培養によって産生させた。ウイルス増幅の後、感染細胞は播種され、超音波処理によって破壊され、細胞残屑が遠心分離によって除去される。等量の安定化剤(ラクトグルタメート)を上清と混ぜ、その懸濁液を4.5μmの膜を通じてろ過した。清澄させた懸濁液をバイアルに満たし、≦−35℃で保管した。このステップでは、生物学的物質は清澄させた採取物である。ワクチン製造の最終段階は、滅菌条件下、清澄させた採取物を凍結乾燥した培地と混ぜ合わせることを必要とする。この混合物(最終的なバルク生成物)を調製し、次に、容器に充填して凍結乾燥させた。
【0059】
非感染のCEF細胞またはALVAC(1)親ウイルスまたはALVAC−HIVのいずれかに感染した細胞に由来する、放射性同位体でラベル付けした溶解物を利用して、免疫沈降分析を行った。HIV−血清陽性個体(抗HIV)由来のヒト血清を使用して免疫沈降を実施した。抗HIVを用いた結果は、ALVAC−HIV感染CEF細胞において55kDaの前駆体Gagポリペプチドであるgp120、および中間体、ならびに主要なカプシドタンパク質p24を含む完全にプロセシングされた状態のgagの発現を実証したが、ALVAC親ウイルスに感染した細胞からは発現しなかった。
【0060】
ALVAC−HIV(vCP1521)に関して、ヒト抗HIV抗体を用いたFACS(蛍光活性化セルソーター)走査分析は、感染HeLa細胞の表面にgp120の発現を実証したが、親ウイルスでは見られなかった。挿入した配列およびALVAC配列のPCR増幅を行った。アガロースゲル電気泳動法、続いてエチジウムブロマイド染色法を実施して、DNA分析を行い、分子の大きさに従って増幅した断片を識別した。ALVAC−HIV(vCF1521)感染細胞由来のウイルスDNAに限定解析を行い、gp120TMおよびgagの発現カセットの挿入が適切であることを確認した。ワーキングシードロット上に配列することにより、挿入した遺伝子のヌクレオチド配列を確認した(継代6)。
【0061】
CEF上での幾つかの継代の後、イムノプラーク・アッセイによってALVAC−HIV(vCP1521)の遺伝的安定性を確認した。イムノプラーク分析は、モノクローナル抗体よるウイルス・プラークにおけるEnvおよびGagの発現を検出することからなる。7継代(すなわち、生産ロットレベル)後および10継代(すなわち、生産ロットレベルを超えた継代)後に分析を行った。
【0062】
注入用の凍結乾燥したワクチンとしてALVAC−HIV(vCP1521)を製剤化し、単回用量用に1.0mLの滅菌した塩化ナトリウム溶液(NaCl,0.4%)で再構成した。0.4%NaCl、1.0mLで再構成後のワクチン組成物は、ALVAC−HIV(vCP1521);≧106.0CCID50および賦形剤(10mMのTRIS−HCl緩衝液、pH9,0.25mL;安定化剤(ラクトグルタメート)、0.25mL;フリーズドライした溶剤、0.50mL;およびNaCl、4mg)を含んでいた。凍結乾燥物(lyophilisate)の外観は均質で白からベージュ色;残留水分は≦3%;再構成時間3分間;再構成後の外観は透明〜乳白色の溶液、粒子またはフィラメントの存在の可能性のある無色;pH7.0〜8.0;オスモル濃度 350〜700mOsmol/kg;BSA含量 ≦50ng/用量;細菌内毒素含量 ≦10IU/用量であった。ALVAC−HIV(vCP1521)を凍結せずに2〜8℃で保存し、再構成から2時間以内に投与した。再構成の前に、バイアルを室温になるようにした。緩徐注入による投与用に、凍結乾燥したALVAC−HIVを含んだバイアルに希釈液1.0mLの0.4%NaClを入れて再構成した(例えば、25ゲージ、5/8インチ針を使用)。バイアルを約3分間静置し、次に、穏やかに撹拌した。次いでバイアルを逆さまにして内容物をシリンジに引き込んだ。
【0063】
B.第2の組成物:ポリペプチド
組み換えgp120は、約120,000ダルトンの見かけの分子量を有するエンベロープ糖タンパクである。分子量の約50%は、タンパク質の広範囲に及ぶグリコシル化から構成される。「AIDSVAX」ワクチンは、チャイニーズハムスターの卵巣(CHO)細胞発現を使用して、組み換えDNA法によって産生したHIV−1に由来するgp120タンパク質の極めて高純度の混合物である。米国に循環するウイルスの分子疫学的分析は、gp120の主要な中和エピトープに多型性が生じることを立証している。MN rgp120/HIV−1のフェーズIおよびフェーズIIにおけるブレイクスルー感染症の臨床試験の分析は、ほとんどが、ウイルスの中和にとって重要なエピトープにおいて(特に、V2、V3およびC4ドメイン)MN rgp120/HlV−1とは異なるアミノ酸置換を含んでいたことを明らかにした。さまざまな米国株の試験後、部位におけるアミノ酸配列が、MNとは異なる中和抗体の標的になることが知られており、主要な中和エピトープにおいてMNを相補する一般的な多型性を有していたGNE8を選択した。よって、典型的なポリペプチド組成物は、「AIDSVAX」B/B(VaxGen社製)であり、これは、HIV−1タイプBエピトープである、MN組み換え糖タンパク(rgp)120(MN gp120のアミノ酸12−485)とGNE8 rpg120(GNE8 gp120のアミノ酸12−477)を1:1の比で含む二価のポリペプチドワクチンを含んでいる。サブタイプBおよびEが普及している場合(例えば、タイ国)に使用する別の典型的なポリペプチド組成物は「AIDSVAX」B/Eであり、これは、サブタイプBの抗原MN rgp120(上述のもの)とサブタイプEの抗原A244(CM244)組み換え糖タンパク120(A244 gp120のアミノ酸12−484) を1:1の比で含む。サブタイプEの抗原は、タイ北部のチェンマイから単離したHIV−1のA244(CM244)株に由来し、バンコクにおける静脈注射薬常用者(IVDU)に付随する感染の約75%を示し、A244 rgp120/HlV−1は、初代マクロファージまたはNSIウイルス型に由来しGNE8 rgp120/HIV−1と同様に、CD4細胞と結合するためにケモカインレセプターCCR5を必要とする。
【0064】
「AIDSVAX」B/Bおよび「AIDSVAX」B/Eでは、MN、GNE8、またはA244株のgp120は、それぞれ、単純ヘルペスウイルスのタイプIgDタンパク質の27のアミノ酸を有するアミノ末端融合タンパク質として表される。gD配列はgp120の発現を促進し、一般的免疫親和性の精製プロセスに使用することができるエピトープを提供する。使用される各HIV−1単離株の成熟した天然のgp120と同等のアミノ酸残基は;MN単離株では12〜485、GNE8単離株では12〜477、A244単離株では32〜484である。
【0065】
組み換えgp120ポリペプチドは、遺伝子操作したGHO細胞株において産生される。CHO細胞はrgp120/HIV−1分子を培地に分泌し、タンパク質はイムノアフィニティークロマトグラフィーを含めたgp120用の一般的精製プロセスによって精製される。「AIDSVAX」二価ワクチンは、使い捨てのガラスのバイアルに入った滅菌懸濁液として供給される。各バイアルは、それぞれ、合計0.6mgの水酸化アルミニウム・ゲル・アジュバントに吸着された、1mLの公称含有量(300μL)のrgp120/HIV−1タンパク質を含んでいる。
【0066】
実施例2
臨床試験デザインおよび結果
「プライム」組成物としてALVAC−HIV(vCPI521)を、「ブースト」組成物として「AIDSVAX」B/Eを使用するプライム・ブースト免疫法を、フォーマルフェーズ01臨床試験において試験した。本明細書に記載の臨床試験は、タイ国で行われた、地域密着型の、無作為化した(ワクチン;プラセボ=1:1)、多施設の、二重盲検、プラセボを対照とした臨床試験であった。本研究の主な目的は、健康なタイの成人において、ALVAC−HIV(vCP1521)ワクチンおよび「AIDSVAX」B/Eワクチンの接種がHIVの感染を防げるか否かを判定することであった。よって、臨床試験中のHIV感染を発現する志願者における感染率ならびに血漿ウイルス負荷およびCD4+T細胞の数を評価した。本研究の統計的仮定のため、16,000人が研究に参加することが必要とされた。24週間の間(0、4、12、24週)、各個人に筋肉内ワクチン接種(例えば三角筋)が行われた。ワクチン接種後、6か月ごとに3年間、血漿中のHIVの存在について志願者を試験した。
【0067】
上記実施例1Aに記載の「第1の組成物」(ALVAC−HIV)を、0、1、3、および6カ月(0、4、12および24週)の時点でプライム用量として最初に患者に投与した。その後、「第2の組成物」(「AIDSVAX」B/E)を、3カ月および6カ月(ALVAC−HIVについては12週および24週)の時点でブースト用量として投与した。ALVAC−HIVの用量は約107CCID50を含んでいた。「AIDSVAX」B/Eの用量は約600μgのポリペプチド(BおよびEを各300μg)を含んでいた。ワクチン志願者を3年間、追跡調査した(Rerks-Ngram, 2009, NEJM 361; 2209)。臨床試験デザインを以下に示す表2にまとめた:
【表2】

【0068】
図3に示すように、2部構成の組成物がプライム・ブースト法で用いられ、31.2%の有効性(例えば、集団の約3分の1)でヒトに成功裏にワクチン接種された。プラセボを投与された集団では、試験期間にわたり、74人がHIV感染を示したが、ALVAC−HIV/「AIDSVAX」B/Eの2部構成の組成物(「ワクチン」)を投与された集団では、試験期間にわたり、51人のHIV感染を示した。2つの群のHIV感染者数の差異は統計的に有意であった(p=0.039)。ワクチン接種後にHIVに感染した患者では、ウイルス負荷の設定値(set-point)および平均CD4+T細胞数のいずれも、ワクチン接種後30カ月の時点でプラセボとの有意な差異はなかった。これは、プラセボと比較してヒトにおけるHIV感染のリスクの低減を示した初めてのワクチンである。観察されたワクチンの有効性は、コックス比例ハザード法で、31.2%であった(p=0.0385、O’Brien−Fleming法で調整、95%CI1.1、52.1)。よって、これは、ヒトをHIVによる感染から防御することができる、安全で有効なワクチンの初めての実証である。
【0069】
特定の範囲に関する言及は、すべての個別の値を含み、その範囲内のサブ範囲は、それぞれが本明細書に個別に記載されているものとして含まれることが理解されるべきである。本明細書で引用されるすべての参考文献は、参照することによってその全体が本明細書に取り込まれる。本発明は好ましい実施の形態の観点から記載されているが、当業者にとって、変形および変更が生じうることも理解されよう。したがって、添付の特許請求の範囲に記載の発明は、その範囲内に含まれる等価物のすべてに及ぶことが意図されている。
【参照文献】
【0070】
Burton, et al. Science, 303: 316 (2004)
de Bruyn, et al. Vaccine, 22: 704-13 (2004)
Esposito, et al. (eds); Arch. Virol. Supp.2. NY, Springer-Verlag, pp 91-102 (1991)
Fang, et al. J. Infect. Dis. 180(4): 1 122-32 (1999)
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Klausner、et al. Science, 300: 2036-39 (2003)
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NIAID Phase 01 HIV vaccine trial to determine correlates of protection will not proceed, NIAID News, February 25, 2002. Retrieved from the World Wide Web on August 9, 2004 (http://www2.niaid.nih.gov/newsroom/release/phase3hiv.htm)
Nitayaphan, et al. J. Inf. Dis. 190: 702-6 (2004)
Rerks-Ngarm et al. NEJM, 361:2209 (2009)
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に対する防御的免疫をヒトに付与する方法であって、
HIVポリペプチドまたは断片、またはそれらの誘導体をコードするウイルス・ベクターを含む第1の組成物を少なくとも単回用量でヒトに投与し、
その後、HIVポリペプチドまたは断片、またはそれらの誘導体を含む第2の組成物を少なくとも単回用量でヒトに投与する、
各工程を有してなり、
それによって、HIVに対する防御免疫応答が誘発される、方法。
【請求項2】
ワクチンをヒトに投与することによってヒト免疫不全ウイルス(HIV) に対する防御的免疫をヒトに付与する方法であって、
前記ワクチンが、第1の組成物および第2の組成物から本質的になり、
前記第1の組成物が、少なくとも1種類のHIV gp120または断片、またはそれらの誘導体、および、随意的に、少なくとも1種類の追加のHIVポリペプチドまたは断片、またはそれらの誘導体をコードする、生の弱毒化したウイルス・ベクターから本質的になり、
前記第2の組成物が、少なくとも1種類のHIV gp120 ポリペプチドまたは断片、またはそれらの誘導体、および、随意的に、少なくとも1種類の追加のHIVポリペプチドまたは断片、またはそれらの誘導体から本質的になり、
本方法が、
前記第1の組成物をヒトに投与し、
その後、少なくとも1種類の組成物または組成物の組合せをヒトに投与する、
各工程を有してなり、
前記少なくとも1種類の組成物または組成物の組合せが、下記:
前記第2の組成物を単独で;
前記第1および第2の組成物を、随意的に、単回用量として別々に、または一緒に;
前記第1の組成物を少なくとも1回の追加用量で、その後、前記第2の組成物を少なくとも単回用量で;
前記第2の組成物、その後、前記第1の組成物を少なくとも1回の追加用量で、随意的に、その後、前記第1および/または第2の組成物を少なくとも1回の追加用量で;
からなる群より選択され、
それによって、ヒトにおけるHIVに対する防御免疫応答が誘発される、方法。
【請求項3】
前記組成物のうち少なくとも1つが、単純ヘルペスウイルス(HSV)のアミノ酸配列に対応したアミノ酸配列を含むことを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記HSVのアミノ酸配列が、配列番号:7を含むことを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記組成物の1つが、配列番号:7を含むことを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項6】
前記ワクチンを投与する工程が、ヒトの集団への投与を含み、
前記集団の少なくとも約3分の1がHIVによる感染から防御されることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項7】
前記第2の組成物の少なくとも1回の投与の前に、前記第1の組成物が反復投与され、
その投与時間間隔が、前記ヒトの体内における免疫応答の進行を可能にするのに十分な長さであることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記第2の組成物が、前記第1の組成物と同時投与されることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項9】
前記第1および第2の組成物の両方の投与が、粘膜、皮内、筋肉内、皮下、皮膚乱切、節内、または腫瘍内からなる群より選択される経路を通じて行われることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記投与が、ヒトの別々の部位で行われることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項記載の方法。
【請求項11】
各回に投与される前記ウイルス・ベクターの量が約107CCID50と同等であり、
各回に投与されるされるポリペプチドの総量が約600μgである
ことを特徴とする請求項1〜7いずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記ウイルス・ベクターが、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、アルファウイルス、ヘルペスウイルス、およびポックスウイルスからなる群より選択されることを特徴とする請求項1〜11いずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記ウイルス・ベクターが、ポックスウイルスであることを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記ポックスウイルス・ベクターが、ワクシニア、NYVAC、改変ウイルス・アンカラ(MVA)、アビポックス、カナリアポックス、ALVAC、ALVAC(2)、鶏痘、およびTROVACからなる群より選択されることを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記ウイルス・ベクターが、NYVAC、ALVAC、およびALVAC(2)からなる群より選択されるポックスウイルスであることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記HIVポリペプチドまたはHIV gp120が、HIV−1、HIV−2、およびHIV−3からなる群より選択されるHIVウイルスに由来し、
前記第1および第2の組成物が、同一または異なるHIVポリペプチドおよび/またはgp120を含む
ことを特徴とする請求項1〜15いずれか1項記載の方法。
【請求項17】
前記HIV−1が、HlV−1サブタイプA1、HIV−1サブタイプA2、HIV−1サブタイプA3、HlV−1サブタイプA4、HIV−1サブタイプB、HIV−1サブタイプC、HIV−1サブタイプD、 HIV−1サブタイプE、HIV−1サブタイプF1、HIV−1サブタイプF2、HIV−1サブタイプG、HIV−1サブタイプH、HIV−1サブタイプJ、およびHIV−1サブタイプKからなる群より選択されることを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記HIV−2が、HIV−2サブタイプA、HIV−2サブタイプB、HIV−2サブタイプC、HIV−2サブタイプD、およびHIV−2サブタイプEからなる群より選択されることを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項19】
gag、pol、nef、それらの変異体、およびそれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種類の追加のHIV免疫原を含む組成物を投与する工程をさらに有してなる、請求項1〜18いずれか1項記載の方法。
【請求項20】
前記第1または第2の組成物が、gag、polによってコードされたプロテアーゼ成分、nef、それらの変異体、およびそれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種類の追加のHIV免疫原を追加的に含むことを特徴とする請求項1〜19いずれか1項記載の方法。
【請求項21】
前記ウイルス・ベクターが、HIV gp120 MN 12−485、HIV gp120 A244 12−484、およびHIV gp120 GNE8 12−477からなる群より選択される少なくとも1種類のポリペプチドをコードすることを特徴とする請求項1〜20いずれか1項記載の方法。
【請求項22】
前記ウイルス・ベクターが、少なくともHIV gp120 MN 12−485とHIV gp120 GNE8 12−477、または少なくともHIV gp120 MN 12−485とHIV gp120 A244 12−484をコードすることを特徴とする請求項1〜20いずれか1項記載の方法。
【請求項23】
前記ウイルス・ベクターがALVAC−HIV(VCP1521)であることを特徴とする請求項1〜22いずれか1項記載の方法。
【請求項24】
前記ウイルス・ベクターが、配列番号5の核酸配列を含むことを特徴とする請求項1〜23いずれか1項記載の方法。
【請求項25】
前記第2の組成物が「AIDSVAX」B/Bまたは「AIDSVAX」B/Eであることを特徴とする請求項1〜24いずれか1項記載の方法。
【請求項26】
前記ウイルス・ベクターがALVAC−HIV(vCF1521)であり、
前記第2の組成物が「AIDSVAX」B/Eである
ことを特徴とする請求項1〜25いずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図2−4】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−505256(P2013−505256A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529911(P2012−529911)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/049206
【国際公開番号】WO2011/035082
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(503263001)サノフィ パストゥール インコーポレイテッド (11)
【出願人】(512070528)ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ アズ リプレゼンティッド バイ ザ セクレタリー オブ ジ アーミー オン ビハーフ オブ ウォルター リード アーミー インスティチュート オブ リサーチ (1)
【氏名又は名称原語表記】THE UNITED STATES OF AMERICA as represented by THE SECRETARY OF THE ARMY,on behalf of WALTER REED ARMY INSTITUTE OF RESEARCH
【出願人】(512070746)グローバル ソリューションズ フォア インフェクシャス ディジージス (1)
【氏名又は名称原語表記】GLOBAL SOLUTIONS FOR INFECTIOUS DISEASES
【出願人】(512070768)
【氏名又は名称原語表記】MINISTRY OF PUBLIC HEALTH
【Fターム(参考)】