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HLA−E結合
説明

HLA−E結合

【課題】 HLA−Eによって仲介されるNK細胞活性の阻害を予防する方法を提供すること。
【解決手段】 HLA−Eによって仲介されるNK細胞活性の阻害を予防する方法であって、(a)阻害的CD94/NKG2レセプターへのHLA−Eの結合を干渉する化合物を選択し、そして(b)阻害的CD94/NKG2レセプターを発現するNK細胞またはT細胞を化合物と接触させることを含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一群のCD94+細胞、特に天然のナチュラルキラー(NK)細胞およびサブセットのT細胞を含む一群のCD94+細胞を同定し、標的とし、そして単離する方法に関するものである。また本発明は、CD94+細胞に対する毒物のような機能的部分を標的とする方法にも関するものである。さらに本発明は、その方法に使われるHLA−Eの多量体複合体にもまた関するものである。
【背景技術】
【0002】
ヒトの白血球抗原−E(HLA−E)は、極めて限定された多形の非古典的MHCクラスIb分子である。ヒトの非古典的MHCクラスIb分子(HLA−E、HLA−FおよびHLA−Gを含む)は、古典的MHCクラスIa分子(HLA−A、HLA−BおよびHLA−Cを含む)と相同であるが、限定された多形と低い細胞表面発現によって特徴づけられている(Shawar et al,1994,Annu.Rev.Immunol.12:839に総説あり)。マウスのMHCクラスIb分子Qa−1は、ペプチド結合グルーブにおける若干の構造上の類似性および広範な組織分布をもっている点においてHLA−Eと若干の特性を共有している(Soloski et al,1995,Immunol.Rev.147:67に総説あり)。
【0003】
サイトゾル蛋白からCD8+T細胞へ誘導されたペプチドを表わす古典的なMHCクラスI分子の機能がよく確立されているのに対して、非古典的なMHC分子の機能は、特にHLA−Eにおいて未知である。HLA−Eは大抵の組織で転写される。われわれは最近、HLA−Eが3から11の位置において、MHCクラスIリーダー配列から誘導されたペプチド結合部位ペプチドで結合可能であることを示した(Braud et al,1997,Eur.J.Immunol.27:1164−1169)。最適の結合ペプチドはノナマーである。アラニンおよびグリシン置換を用いて、ペプチドの2と9の位置に第一のアンカー残基があり、7とそして多分3の位置に第二のアンカー残基があることが確立された。文献では、HLA−Eは小胞体(ER)の中に位置しており、MHCクラスII分子に対するHLA−DMと同様に古典的MHCクラスI分子へのペプチドの負荷において役割を果たしているであろう事を示唆している。HLA−Eおよびヒトのβ2ミクログロブリン(β2m)でトランスフェクトされたマウスの細胞も、HLA−EおよびHLA−Fを発現するだけの721.221細胞系も、HLA−Eの表面発現を示さない(Ulbrecht et al,J.Immunol.1992,149:2945−2953およびJ.Exp.Med.1992,176:1083−1090)。
【0004】
MHCクラスI分子の集合は、小胞体(ER)の中に現われ、そして抗原プロセシング(TAP)と関連する輸送体を通ってのペプチドトランスロケーションを必要とする(Cerundolo et al,1996、HLA and MHC genes,molecules and function,Browning M.,McMichael A.Oxford編集、Bios.Scientific Publisher Ltd.;193−223に総説あり)。ヒトの細胞においては、新たに合成されたMHCクラスI重鎖は、あとでβ2mの会合で移動するカルネキシンと関連している。カルネキシンの解離に続いて、クラスI−β2mヘテロダイマーは別のER存在蛋白であるカルレチクリンと安定に会合する。TAPやMHCクラスI−カルレチクリン複合体と会合している他の分子のタパシンは、それらの間の架橋として働く。TAPとのMHCクラスIの会合はペプチド結合を促進し、そしてクラスI分子は放出されペプチドの安定な負荷の上に細胞表面へ輸出される。
【0005】
ナチュラルキラー(NK)細胞は大きな顆粒状のリンパ球の形態をもつ毒性細胞であり、通常それらの活性によって定義される。それらは、まだ明瞭に理解されていない認識システムを用いる。しかし、腫瘍細胞系とウイルス感染細胞の認識は、標的細胞表面でのMKCクラスIの不存在によって駆動される(若干のMHCクラスI分子は特定のNKレセプターと相互作用する)。NK細胞毒性は、FasとFasリガンドの間の相互作用によって、または細孔形成蛋白のパーフォリンおよびセリンプロテアーゼのグランザイムBを含む細胞内顆粒の内容の放出によって仲介される。一般に、但しこれに限定するもではないがNK細胞はCD3−およびCD56+である。それらはまたCD16+であってもよく、そして若干はCD8+でもある。ある種のCD8+T細胞は、MHCクラスI陰性細胞を死滅させることが可能であるというNK細胞類似の機能をもっている。
【0006】
NK細胞は、MHCクラスIと相互作用するレセプターを発現し、NK細胞仲介の細胞毒性を阻害または活性化する作用がある。免疫グロブリンスーパーファミリーの一員であるキラー細胞免疫グロブリン様レセプター(KIR)は、そのようなレセプターのグループを補完する。
【0007】
類似の効果をもつ他のNK細胞阻害レセプターは、NKG2Aと共有結合してCD94のヘテロダイマーとして細胞表面で発現するCタイプのレシチンのスーパーファミリーからのCD94/NKG2Aレセプターである。CD94はまた、NKG2A、B、CおよびEという4つの密接に関連した分子、ならびにNKG2DおよびFという2つの更にわずかに関連した分子から成るNKG2ファミリーの他のメンバーとも会合する。CD94/NKG2AおよびBは何れも、MHCクラスIと相互作用してNK細胞溶菌を阻害するNK細胞レセプターには阻害的であり、一方CD94/NKG2CはNK細胞トリガー機能を行なうMHCクラスIと相互作用するNK細胞レセプターには促進的である。
【0008】
CD94/NKG2C活性化レセプターは、ジスルフィド結合ホモダイマーとして発現し、トランスメンブラン領域で荷電された残基を経由してNKG2Cと相互作用する第三のサブユニットDAP12を含んでいる(Lanier,1998,Nature,391:703;Lanier et al,1998,Immunity,8:693)。DAP12は、CD94/NKG2C複合体の細胞表面への効率的な移動のために必要である。CD94のCD94/NKG2C/DAP12トランスフェクタントへの連結反応は、DAP12のチロシンリン酸化をもたらし、これはDAP12を経由する細胞の活性化の誘発を示唆している。
【0009】
4つの遺伝子はNKG2糖蛋白:NKG2A、NKG2C、NKG2EおよびNKG2D/Fをコード化する(Houchins et al,1991,J.Exp.Med.173:1017;Plougastel et al,1997,Eur.J.Immunol.27:2835)。NKG2AおよびBは互いにスプライスする生産物である(トランスメンブラン領域の丁度外側の18個のアミノ酸セグメントで相違している)。NKG2Cは、外部C末端領域でNKG2AおよびBとは94%という高度の相同性があり、内部およびトランスメンブラン領域を通して56%の相同性がある。NKG2Dは、NKG2Fがそうであるように、離れてではあるが著しく関連している(21%の相同性)。
【0010】
HLA−Eは、細胞表面で低レベルで安定に発現することが最近に発見された。その表面での発現は、HLA−Eと結合可能なリーダー配列でペプチドをもっているヒトのMHCクラスI分子の共発現と相互関連している。これらのシグナル配列誘導ペプチドの負荷はTAPおよびタパシン依存的であり、そしてHLA−E集合は古典的MHCクラスI集合と類似していると思われる(Braud et al,1998,Current Biology,8:1−10)。
【0011】
HLA−EはNK細胞と結合してCD94/NKG2A、BおよびCのレセプターを発現することもまた見出された。大多数のNK細胞はCD94/NKG2レセプターを発現し、そして大多数のNK細胞はHLA−Eと結合する能力がある。HLA−EもまたT細胞の小さいサブセットと結合してCD94/NKG2ヘテロダイマーを発現する。
【0012】
更に、HLA−Eの表面発現は、CD94/NKG2A+NK細胞による死滅に対する保護を提供する。
【0013】
更にまた、多量体HLA−E分子はNK細胞およびT細胞サブセットと強力に結合してCD94/NKG2を発現することが見出された。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
最も広範な意味において本発明は、HLA−EおよびNK細胞及び/又はT細胞のサブセットの間の相互作用を使用してこれらの細胞を同定し及び/又は標的化し及び/又は単離することを提供するものであり;ならびにそのような使用のための適当な形態のHLA−Eを提供するものである。
【0015】
1つの態様において本発明は、CD94/NKG2+細胞の相互作用をもたらす方法を提供するものであり、その方法は結合条件下でその細胞をHLA−Eと接触させることを含む。
【0016】
従って本発明はその1つの実施態様において、検体の中のCD94/NKG2+NK細胞とT細胞の存在を同定する方法を含むものであり、その方法は検体を適当な条件下でHLA−Eと接触させ次いで細胞とHLA−Eの結合を検出することを含む。
【0017】
他の実施態様において本発明の方法は、検体からCD94/NKG2+細胞、特にNK細胞とT細胞のサブセットを選択する方法を提供するものであり、その方法は検体を結合条件下でHLA−Eと接触させ次いでHLA−Eと結合した細胞を混合物から分離することを含む。
【0018】
別の実施態様においては、NK細胞およびT細胞のサブセットを死滅または不活性化する方法を提供するものであり、その方法は細胞をHLA−Eと結合条件下で接触させ次いで結合細胞上で標的死滅を行なうことを含む。いかなる標的死滅方法も用いることができ、例えばNK細胞を結合HLA−Eで検出して同定し次いでレーザー光線を用いて破壊してもよいし、またはHLA−Eが結合している細胞を死滅もしくは不活性化する毒性部分をHLA−Eに担持させてもよい。
【0019】
更に別の実施態様において本発明は、HLA−Eを標的細胞の表面で発現させることによって潜在的な標的細胞に対するNK細胞活性を修飾する方法を提供するものである。この実施態様においては、細胞表面HLA−EへのCD94/NKG2レセプターの結合は、CD94/NKG2+細胞とHLA−E所有細胞の間の相互作用をもたらす。CD94/NKG2AまたはBレセプターの場合はこれは阻害的相互作用であり、その効果はNK細胞による死滅からHLA−E所有細胞を保護することである。CD94/NKG2Cレセプターの場合は、NK細胞促進効果があるであろう。阻害的と活性化CD94/NKG2レセプターの両方を発現するNK細胞の場合は、標的細胞表面でのHLA−Eとの相互作用の全体としての効果は阻害的である。これは阻害的レセプターが促進的レセプターを凌駕しているからである。
【0020】
すなわち本発明は、可能性のある種々の目的のために、新規に発見されたHLA−E−CD94/NKG2レセプター結合協力関係を使用することを含んでいる。本発明による方法での相互作用は、HLA−Eに対するCD94/NKG2の単なる結合であってもよい。その代わりに又はそれに加えて、CD94/NKG2+細胞とHLA−Eの相互作用は、たとえば阻害効果のようなCD94/NKG2+細胞の活性に対する効果をもたらしてもよい。
【0021】
別の実施態様において本発明は、本発明による方法で単離されたCD94/NKG2+細胞を提供するものであり、また本発明の方法によるCD94/NKG2+細胞のない細胞の集団を提供するものである。
【0022】
更に別の実施態様において本発明は、細胞のゲノムの中へ組み込まれたHLA−Eをコード化する核酸により細胞表面でHLA−Eを発現する非ヒト哺乳動物細胞を提供する。HLA−Eをコード化する核酸は、それが天然には見出されないという意味で異種の核酸である。本発明はまた、そのような細胞を含む組換え動物をも提供し、その動物は体細胞および生殖細胞中にHLA−Eコード化核酸材料を含有するトランスジェニック動物を含み、またそのようなトランスジェニック動物から移植した受容体である動物を含む。
【0023】
また別の観点において本発明は、化合物の生物学的活性を試験する方法を提供するものであって、その方法は
(I)細胞表面でCD94/NKG2レセプターを発現する細胞を提供し、
(II)試験すべき化合物の存在下にその細胞をHLA−Eと接触させ、そして
(III)その化合物の存在がHLA−Eと細胞の結合に影響を与えるかどうかを決定する
ことを含み、その方法で同定された化合物が、HLA−EとCD94/NKG2レセプターの結合に影響する化合物であるとするものである。
【0024】
好ましくは本発明のこの観点による方法でCD94/NKG2レセプターを発現する細胞はレセプターを自然に発現せず、そして最も好ましくはそれらは非ヒト細胞である。それら細胞は好ましくは安定なトランスフェクタントであり、すなわちそれら細胞はそのゲノムの中へ安定して組み込まれたCD94/NKG2を発現する核酸材料を含むものである。
【0025】
抗体、特にモノクローナル抗体のような化合物は、特定の所望の性質によってこの方法でスクリーニングすることができる。化合物はHLA−EとCD94/NKG2A(ただしCD94/NKG2Cではなく、逆も同じ)の間の相互作用で特異的に干渉する方法によって同定することができる。そのような特性をもつ抗体は、たとえばCD94/NKG2A NK細胞をCD94/NKG2C細胞と区別することが可能で有用である。HLA−EのCD94/NKG2レセプターへの結合を阻害する抗体の治療的用途、たとえば骨髄への移植もまた検討されている。マッチしたヒトのドナーを見出すことは困難であり、同種の細胞はすべてのNK細胞の阻害的レセプターをもつことができるMHCクラスIリガンドを所有することはできないであろう。従って、アクチベーターレセプターCD94/NKG2CとNK細胞との結合を特異的にブロックする抗体は有用である。抗体の可能性のある治療的用途の他の一例は、ある種の自己免疫疾患の治療におけるものである。
【0026】
他の観点において本発明は、2つまたはそれより多いHLA−E分子を含むHLA−Eの多量体を提供するものであり、該多量体はシグナル部分で標識されていてもよい非多量体HLA−Eと比較すると高い結合能力をもっている。HLA−Eの多量体は、二機能性または多機能性の種を生成するために、互いに結合したHLA−Eレセプター(すなわちCD94/NKG2レセプターと結合する)の結合性質をもつ少なくとも2つのサブユニットを含んでいる。各々のサブユニットは、β2ミクログロブリンと共にHLA−Eの全てのまたは実質的な部分の細胞外領域、一般に少なくともα1,α2及びα3HLA−E領域、およびペプチド結合グルーブの中の適当なペプチドを含んでいる。好ましいHLA−E多量体はテトラマーであるが、それ以外の多量体たとえばダイマー、トリマーおよび5つ、6つ、7つ等のHLA−E分子を含むものも除外されるものではない。
他の観点において本発明は、毒性剤とカップリングした組換えHLA−Eを提供する。この毒性剤の目的は、組換えHLA−Eが結合する不活性細胞を死滅させることである。それは、該目的のために充分な毒性がある。この毒性剤は好ましくは局所的効果をもっており、すなわち好ましくはHLA−Eが結合してない周囲の細胞に影響を与えない。好ましくは組替えHLA−Eは、多量体の形態である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】HLA−EテトラマーはNK細胞とサブセットのT細胞と結合することを示すものである。
【図2】HLA−Eテトラマー染色は抗CD94抗体で阻害されることを示すものである。
【図3】HLA−Eは、NK細胞CD94/NKG2A、CD94/NKG2BおよびCD94/NKG2Cと結合するが、CD94またはNKG2単独とは結合しないことを示すものである。
【図4】HLA−EはCD94/NKG2Aとの相互作用によるNK細胞の阻害を仲介することを示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は診断の目的に有用であり、一般には疾患のモニターのために有用である。NK細胞、またはNK細胞のサブ集団、またはT細胞のサブ集団(これらは更に抗CD8または抗CD4抗体もしくは他のT細胞マーカーに対する抗体またはリガンドによる共染色により同定することができる)の検出及び/又は定量は、以下のものを含む様々な条件において有用であろう。
【0029】
(i)ガン、リンパ腫、および白血病(特に大顆粒細胞白血病)
NK細胞は抗腫瘍細胞活性をもつと信じられている。治療の進行のためのマーカーまたは単純な予後は、NK細胞数および任意的にはそれらの活性状態をモニターする事によって提供することができる。これは極度に簡単な試験を提供する。ここに記載する方法は、患者から採取した検体の中のNK細胞の数を決定または見積もるために用いることができる。NK様の活性(CD94/NKG2+)でのNK細胞とT細胞の数は、NK細胞(たとえばCD56もしくはCD16)のマーカーに対する抗体またはT細胞マーカー(たとえばCD3)に対する抗体の使用によって概算することができる。NK細胞の活性の状態は、活性化マーカーへの抗体による共染色で調べることができる。あるいは、NK細胞の活性化状態は、インビトロでの機能的アッセイで評価することができる。NK細胞を検体から単離し、その細胞傷害活性及び/又はサイトカイン生成能力(たとえばインターフェロン−γ及び/又はTNF−α)を直接または培養中の短時間後で評価する。
【0030】
(ii)感染
NK細胞数は、ウイルスまたはそれ以外で感染中は変化し得る。そしてそれらの数を知ることはたとえばHIVに感染した患者において大きな価値がある。サイトメガロウイルス(CMV)感染におけるNK細胞数のモニターは特に重要であろう。CMVはその蛋白の中に、HLA−E発現に影響を与え得る配列をもっている。さらに詳しくは、これらのCMV配列は、ウイルス宿主細胞中のHLA−Eの細胞表面発現を誘発する。
【0031】
(iii)妊娠
胎児の拒絶反応の予防における胎盤中のNK細胞の役割は重要である。本発明は、胎盤中のNK細胞をモニターする手段を提供する。
【0032】
(iv)移植
NK細胞は、骨髄移植後の移植拒絶反応および移植片対宿主病(GVHD)に関与しているであろう。NK細胞をモニターすることは、患者の管理において価値があろう。
【0033】
(v)免疫不全症
HLA−Eの診断的使用は、正常なNK細胞レベルよりも低いかまたは高い、本態性または後天的な新しい免疫不全症症候群の検出まで広げることができる。若干の治療はNK細胞に毒性的であるか促進的であろう。
【0034】
(vi)自己免疫疾患
たとえば全身的エリテマトーデス、糖尿病、甲状腺疾患、白斑、関節リュウマチ、などの自己免疫疾患におけるNK細胞のモニターは有用であろう。
【0035】
(vii)追跡治療
本発明はまた、CD94/NKG2+NK細胞のアップまたはダウンレギュレーションをもたらし得る治療の二次的効果のモニターをも可能とする。
【0036】
NK細胞は上記の疾患や状態の例において特異的に参照されたが、HLA−Eで認識されるレセプターを発現するT細胞サブセットのモニターもまた包含される。
【0037】
本発明はまた一連の治療的応用をもっている。以下にそれを例示する。
【0038】
(i)NKレベルの向上
本発明は、HLA−E結合NK細胞またはT細胞を混合細胞集団から選択する方法を提供する。選択された細胞はインビトロで拡大されそして患者に戻される。そのような処置は、これらの細胞の生長不全が予後不良と関連しているような幾つかの重篤な感染やガンにおいて効果的であろう。
【0039】
(ii)NK細胞の除去
本発明は、たとえば移植においてドナー骨髄として用いられるべき骨髄からのHLA−E結合NK細胞とT細胞の除去のための方法や手段を提供する。他の技術を用いる骨髄のT細胞除去は既知であり効果的である。毒素とカップリングしたHLA−EもまたインビボでHLA−E結合細胞を破壊するために用いることができる。
【0040】
(iii)細胞表面でのHLA−Eの発現
本発明は、細胞表面へHLA−Eを提供することによるNK細胞活性の阻害または刺激のための方法や手段を提供する。NK細胞は移植の拒絶反応において役割を果たしている。したがってHLA−Eが異種移植片臓器や組織での細胞表面で発現することを確かめることによって、拒絶反応の可能性が減少されるであろうし、また拒絶反応も避けることができるであろう。
【0041】
本発明によるHLA−Eの多量体は、種々の可能性のある形態をとることができる。HLA−E分子は、リンカー分子を経由して交互に会合することができる。それとは別にまたはそれに加えて、HLA−E分子は、たとえばリポソームのような膜分子の如き大きなものに付着させることができる。適当なリンカー分子は、たとえばアビジン、ストレプタビジンおよびエクストラビジンのような多価付着分子(それらの各々はビオチンに対して4つの結合部位をもっている)を包含する。すなわち、ビオチン化したHLA−E分子は、4つまでのHLA−E結合部位をもつHLA−Eの多量体複合体の中へ形成することができる。得られた複合体におけるHLA−E分子の数は、複合体を作るのに用いたリンカー分子や、またそれ以外のビオチン化した分子たとえばビオチン化したシグナル部分あるいは毒性部分の存在や不存在に依存するであろう。好ましい複合体はトリマーまたはトリマーのHLA−E複合体である。
【0042】
HLA−Eのダイマーまたは多量体を作製するのに適当な他の架橋技術はたとえば、ダイマーを製造するための抗体架橋、ならびにフルロゲニック(flurogenic)化合物のような架橋剤その他の化学的架橋剤を用いる技術を含む。
【0043】
ここで詳細に記載するものは、組換えHLA−E重鎖(α1、α2およびα3領域)をビオチン化し、そしてβ2m分子およびHLA−Bからの合成リーダーペプチドでインビトロにおいてHLA−E重鎖を再生して複合体を構成することによるHLA−Eテトラマーの製法である。ここに記載の方法においてビオチン化部位は、HLA−E重鎖のC末端の中へ組換えられており、そして組換えHLA−E分子は適当なビオチン化酵素という手段でビオチン化される。次いで、この場合のエクストラビジンでは、多価のリンカー分子が加えられる。このテトラマー化方法の変法も考えられる。たとえばβ2mは、その7つのリジン残基において化学的にビオチン化することができ、そのうち4つは複合体をつくるのに適切な位置にある。
【0044】
どんな形態のHLA−Eが用いられても、HLA−Eペプチドグルーブでの結合のための適当なペプチドが必要であろう。表1と2は、MHCクラスIリーダー配列の3から11までの残基で見出される可能性のあるペプチドの例を示す。これらの表は、それらのうちのどれがHLA−Eとインビトロで結合することが分かるかを示すものである。HLA−Eと結合するこれ例外のペプチドもまた用いられる。その例は、MHCクラスIリーダー配列ペプチドと同じかまたは異なるであろうウイルス蛋白からのペプチドである。通常ノナマーペプチドはHLA−Eと結合するのに最適の大きさであるが、それよりも僅かに短いかまたは僅かに長いペプチド、たとえば片方または両方の末端の1つまたは2つの残基もまた作用することが可能である。HLA−Eと結合する合成ペプチドを同定する適当なアッセイはBraud et al,1997,Eur.J.Immunol.27:1164−1169に記載されている。
【0045】
HLA−Eの標識化は、いかなる適当な方法により行なってもよい。ここでは、テトラマー複合体を製造するために、エクストラビジンを経由してフィコエリスリンで標識化したテトラマーHLA−Eについて記載する。種々のこれ以外のシグナル部分が、HLA−Eモノマーまたは多量体の種々の可能性のある部位で用いることができ、そしてHLA−Eは多量体化の途中またはその後で標識化することができる。蛋白を標識化するために普通に使用される有用なシグナル部分は、放射性(たとえば32−P、33−Pまたは35−S)、蛍光性(たとえばFITC)および酵素性(たとえばセイヨウワサビのペルオキシダーゼ)の標識を含む。これらの及びその他の検出可能な標識が、本発明において用いられる。
【0046】
本発明においては、HLA−Eはまた担体と結合して提供される。このように固定化されたHLA−Eは捕捉の目的、すなわちCD94/NKG2+細胞を捕捉し分離するために特に有用である。CD94/NKG2+細胞を含有し、または含有していると思われる混合物を、結合条件下で固定化HLA−Eと接触させ、そして非結合物を除去する。ついでCD94/NKG2+細胞を回収する。適当な固体の担体の例としては、たとえばビーズ、ウエル、チューブおよびプレートの形状の担体物または粒子が含まれるがこれに限定されるものではない。HLA−Eは当業者によく知られている種々の手段で固定化することができ、適当なリンカー分子によって担体に付着することができる。
【0047】
本発明によれば、HLA−Eはまた毒性部分のようなエフェクター剤に付着して提供され、その目的はインビトロまたはインビボでの細胞の混合集団におけるCD94/NKG2+細胞の標的的な除去であり得る。この毒性部分は好ましくは、HLA−Eが結合している細胞を選択的に死滅させる毒素である。適当な毒素は、植物(たとえばリシンやアブリン)もしくは細菌(たとえばジフテリア毒素、シュードモナスの菌体外毒素)のような天然の材料から誘導することができ、または合成品もしくは天然に存在する毒素の合成種であってもよい。1つの特定の例において毒素は、HLA−Eと毒素の間のジスルフィド結合を誘導するリンカー分子によってHLA−Eとカップリングしている(Vitetta et al,Biol.Therapy of Cancer,1991,482−495;Myers et al,J.Immunol.Methods,1991,131:221−237)。チオエーテルや他の関連化合物を、非還元結合を形成するために使うことができる。別の例においては、組換え融合蛋白を作り出すために毒素をコード化する遺伝子をリガンドをコード化する遺伝子にスプライシングすることによって、HLA−E分子との融合蛋白として毒素を発現することができる(Pastan et al,Annu.Rev.Biochem.1992,61:331−354)。そのような融合はまた、毒素とHLA−Eのテトラマーのまたは多量体の複合体の創製を可能とするビオチン化部位をも含む。
【0048】
CD94/NKG2+細胞に対する毒素を検出し、分離し、標的とするのに用いるためにここに記載のHLA−Eは、一般に可溶性のHLA−E分子である。ここで「可溶性」という用語は、細胞表面レセプターに関する分野において通常使用されるような意味で用いている。細胞表面レセプターの可溶性形態は通常、トランスメンブラン領域の除去によって天然の形態から誘導される。この蛋白は細胞質のおよびトランスメンブランの領域の両方を除去してトランケートされるか、または残っている細胞質領域の一部分もしくは全部でトランスメンブラン領域のみを除去してもよい。大切なことは、レセプターの所望の細胞外機能が残っていることであり、これは今の場合はHLA−E結合領域のCD94/NKG2−結合能力である。野生型のHLA−Eは、蛋白分解的な分解で、または遺伝子的に作製しトランケートした若しくは部分的に除去した形態を発現して、所望の形態を得るために修飾することができる。
【0049】
一方では、細胞の表面に存在する本発明で用いられるHLA−Eは、好ましくは、但し必須ではないけれども、トランスメンブラン領域を含むHLA−Eの膜結合形態である。それは細胞質領域を持ってもよく、また持たなくてもよい。通常は表面でHLA−Eを発現しない細胞の表面において発現するようなHLA−Eを得るためには、グルーブを結合したHLA−Eペプチドで結合するペプチドを提供することが必要である。このペプチドは、HLA−E発現を許容するHLAリーダー配列から誘導され得るか、またはHLA−Eと結合しそして発現を誘発するペプチドを発現するような別の源から誘導することができる。そのような別の源は、HLA−Eと結合しその発現を誘発するペプチドをコード化することでNK細胞仲介の細胞毒性を逃れるウイルスを包含する。たとえばヒトのサイトメガロウイルス(HCMV)は、HLA−Eと結合可能なペプチド(VMAPRTLIL)をもつところのUL40(受理番号p16780)として知られている蛋白をコード化する(表1参照)。
【0050】
すなわち非ヒト哺乳動物細胞の表面でのHLA−E発現はたとえば、その細胞をHLA−EならびにHLA−Eと結合可能なリーダー配列ペプチドをもつ別のHLAクラスIをコード化する核酸で共トランスフェクトすることによって達成することができる。別法としてその細胞は、HCMVのUL40やHLA−Eをコード化する核酸で共トランスフェクトすることもできる。われわれは、UL40でトランスフェクトしたときは、細胞内でHLA−Eを発現する細胞は、細胞表面でHLA−Eを発現すべく誘発されることを示した。細胞を2つの異なった配列で共トランスフェクトするかわりに、その細胞を両方の配列を含む単一ベクターで、あるいは更に好ましくはペプチドでHLA−Eの融合蛋白をコード化するキメラの核酸でトランスフェクトすることができる。このキメラ核酸は、たとえばHLA−Eをコード化する組換え核酸であってもよく、そこでHLA−B8のリーダー配列はHLA−Eのリーダー配列と置き換えられる。別の例において核酸は、充分な長さのリンカーを経由してペプチドと結合するHLA−Eをコード化して、そのペプチドをペプチド結合のグルーブに位置させ、また一方ではHLA−E分子に共有結合的に付着させたままとする。この例においてペプチドは、切断除去されたリーダー配列の一部分ではなく、細胞表面において発現する成熟したHLA−E分子へ結合する。有利には、このペプチドはHLA−EのN末端(α−1領域)を経由してHLA−E重鎖と結合している。そのようなMHC−結合ペプチドは、刊行された文献(たとえばMottez et al,J.Exp.Med.,1995,181:493−502を参照)に記載されている。更にはHLA−E重鎖およびβ2mを融合蛋白として発現することも有利である。そのような融合は文献(たとえばToshitani et al,PNAS,1996,93:236を参照)に記載されている。すなわちHLA−Eペプチド分子は、単一コード化配列から発現することができる。
【0051】
別の種の中へ移植されるべき器官や組織の中の細胞表面でのHLA−Eの提供のために、適当なトランスジェニックな動物を生産することができる。トランスジェニックなブタやラットやマウスのようなトランスジェニック動物の創製技術は、当業界でよく知られている。本発明の目的のために、HLA−Eや受容体生物内でペプチドと結合する適当なHLA−Eを発現する核酸材料を、発生の適当な初期段階で生物体の細胞内へ導入する。次いで、細胞の表面でHLA−Eを発現する個々の動物を選択する。これら動物からの器官や組織は、移植のための異種個体の材料を提供する。
【0052】
異種個体細胞におけるHLA−Eの欠如は、NK細胞仲介の溶菌にたいして感受性にさせる。何故ならばそれらのMHCクラスI分子は、ヒトのキラー細胞阻害レセプターによって認識されないからである。これはブタの内皮細胞上でのHLA−Cw0301の発現を誘発することから明白であり、それはHLA−Cw0301と結合する阻害的NKレセプターを発現するNK細胞で仲介される異種個体の細胞毒性からブタの細胞を保護する(Seebach et al,J.Immunol.1997,159:3655)。NK細胞が、異種移植片に対する細胞免疫応答において役割を果たしているという証拠がある(Kaufman et al,Ann.Rev.Immunol.1995,13:339およびBach et al,Immunol.Today,1996,17:379に総説がある)。内皮は、血管化異種移植片と受容体免疫系のあいだの接触の最初の部位である。ヒトのNK細胞は血管内皮に付着して異種個体の器官の中へ浸透することが示され(Kirk et al,Transplantation,1993,56:785;Inverardi,Immunol.Rev.,1994,141:71)、またNK細胞はブタの内皮細胞を直接的に活性化することが示されている(Goodman et al,Transplantation,1996,61:763)。インビトロでの異種個体のヒトの抗ブタ細胞毒性はポリクローナルNK集団から重要なMHC非限定的貢献を含んでいることが観察されている(Inverardi,Immunol.Rev.,1994,141:71;Kirk et al,Transplantation,1993,55:294;Seebach et al,Xenotransplantation,1996,3:188)。HLA−Cw3を認識する免疫スーパーファミリーCD158からのキラー細胞阻害レセプターを発現するトランスジェニックマウスは、同系のMHCクラスI HLA−Cw3対立遺伝子を発現するH−2ミスマッチ骨髄移植片の拒絶反応を防ぐこともまた示されている(Cambiaggi et al,PNAS,1997,94(15):8088−92)。すなわちHLA−Eトランスジェニック動物は、CD94/NKG2Aレセプターを発現するヒトのNK細胞による攻撃する傾向がないような器官を提供するのに用いることができる。
【0053】
異種個体の移植はまた、移植物の生存を改善する目的のために、他のメカニズム及び/又は試薬をも含む。とくに免疫抑制剤が用いられる。免疫抑制剤は移植治療においてふつうに用いられる。
【0054】
最近、異種移植片の源として提案されている一次的動物種はブタおよびヒヒ(そしてウシもまた可能)である。現在検討中の特定の治療例は次のようである。
− ブタ胎児のニューロン組織の移植によるパーキンソン病の治療、
− カプセル化したブタの膵臓島(pancreatic islet)の移植または浸透による糖尿病の治療、
− ブタの全肝臓を通しての浸透または移植による肝不全の治療
(Deacon,Nat.Med.,1997,3:350;Tibell,Transplant.Proc.1994,26:762:Cramer,Transplant.Proc.,1995,27:80を参照)
【0055】
トランスメンブラン及び/又は細胞質領域の欠如、または多量体のために要求されるビオチン化部位の存在、といった特別の態様に加えて、本発明で用いられる組換えHLA−Eは天然のHLA−Eと違ったものにするような別の態様をもつことができる事は明白であろう。たとえば組換えHLA−Eは、天然のHLA−Eと比べて削除物、挿入物または変化残基をもつことができ、それは本発明で用いられるように、高められた結合能力または改善された安定性のような改良された性質をもたらす。4℃を越える及び/又は室温を越える及び/又は約37℃といった高い温度での改善された安定性をもつHLA−Eは、特に重要である。
【0056】
ここで述べたような組換え形態のHLA−Eはまた、インビボでの用途のための適当な処方で提供される。そのような処方は、医薬的に許容される希釈剤または担体を含む。
【0057】
HLA−Eそれ自体は極めてわずかの多形ももっている。HLA−Eの2つの異なる対立遺伝子の配列は、以下のデータベース位置で見出すことができる。すなわち、M20022におけるE0101;およびM32507におけるE01031(107の位置におけるグリシン残基)。
【0058】
以下に、その原理が本発明の分離、同定または標的死滅方法に付加的に応用されるであろうところの若干の公知技術を説明する。
【0059】
若干の公知の分離方法は、HLA−Eを用いるCD94/NKG2+細胞の分離または単離における使用のために使用されるであろう。たとえばT細胞集団は、抗体で被覆したプレートを用いて単離することができる。この抗体は、特定の細胞表面マーカーに特異的なものである。細胞の分離は、陰性選択プロセスまたは陽性選択プロセスであってよい(Wysocki et al,1978,PNAS,75:2840−2848)。HLA−E被覆プレートは、CD94/NKG2+細胞の分離のために使用することができる。
【0060】
T細胞のサブ集団の免疫磁気精製法もまた、陰性もしくは陽性選択プロセスにおける磁気ビーズ上に被覆した適当な抗体を用いて行なうことができる(Funderud et al.1987,Lymphocytes:A Practical Approach,Oxford University Press,New York,55−61)。HLA−Eで被覆したビーズは同様にしてCD94/NKG2+NKおよびT細胞の選択のために使用することができる。
【0061】
FACS(蛍光活性化セルソーティング)技術もまた用いることができる。蛍光標識細胞のセルソーティングはフローサイトメトリーを用いて、特定の細胞内および細胞表面の発現をモニターしそして細胞集団をソートするものである(Fleisher et al,1988,Cytometry,9:309−315)。
【0062】
混合細胞集団におけるCD94/NKG2+細胞の選択的削除または標的的死滅のために用いることのできる技術は、抗体/補体−仲介の細胞毒性を含む。補体に固定した抗体を用いて、抗体で認識されるマーカーを発現する細胞を補体の存在下に溶菌することができる(Bianco et al,1970,J.Exp.Med.132:702−720)。たとえば抗HLA−E抗体は、HLA−Eの結合している細胞を選択的に破壊するのに用いることができる。
【0063】
【表1】

【0064】
[SEQ ID NO(配列番号):1−11]
【実施例】
【0065】
例1
HLA−E多量体複合体の構成
HLA−Eテトラマー複合体を、インビトロで組換えHLA−Eとβ2m分子をHLA−B0801のシグナル配列の3−11残基から誘導した合成ペプチド(VMAPRTVLL)で再生することで構成した。ビオチン化部位をHLA−E重鎖のC末端でつくり、HLA−E/β2m/ペプチド複合体を大腸菌BirA酵素を用いて酵素的にビオチン化させ、そしてフィコエリスリン(PE)−標識エクストラビジンと複合させてテトラマー複合体を作った。HLA−Aと−Bテトラマー複合体は、インビトロで末梢血液からの抗原特異的なCD8T細胞上のT細胞レセプターと特異的に結合するのに大変効率的であることが証明された(Altman et al,1996,Science,274:94−96)。
【0066】
方法
HLA−Eは、HLA−E0101ホモ接合体個体の単核細胞から抽出したプライマーのCOO7およびCOO6でRT−PCRによってクローン化した。N末端ヌクレオチド配列は、プライマーCO17およびCOO6を用いるPCR変異誘発によって同義語的に変化して、大腸菌のpGMT7ベクターからの蛋白発現を最適化する。HLA−Eの細胞外部分(1−276残基)をコードする配列は、プライマーCO17とCO23を用いて増幅され、そしてpGMT7誘導体の中へ再クローン化されて、HLA−E重鎖の3’末端のフレーム中のBirA認識とビオチン化部位を含むところのプラスミドCOCO92の発現をもたらす。プライマーは次のようである。
【0067】
COO6 gtgggctaagcttacggcttccatctcagggtgacgggctc[SEQ ID NO:12]
COO7 ctacgggcatatggtagatggaaccctccttttactctcc[SEQ ID NO:13]
CO17 ccgtacctcgagcatatgggttctcattctttaaaatattttcatacttctgtatctagacccggccg[SEQ ID NO:14]
CO23 tggtgtctagaggatcctggcttccatctcagggtgacgggctcg[SEQ ID NO:15]
【0068】
HLA−Eテトラマー複合体は、本質的には既述のようにして製造される(Altman et al,1996)。簡単に言えば、HLA−Eとβ2m蛋白は大腸菌株の、それぞれBL21(DE3)pLysSおよびXA90で過剰発現され、封入体から精製され、尿素溶液の中へ溶解され、ついでHLA−B0801リーダー配列(Research Genetics)からの合成ペプチド(VMAPRTVLL)によりインビトロでの希釈によって再生される。HLA−E重鎖/β2m/ペプチド複合体はBirA酵素でビオチン化され、FPLCおよびMono−Qイオン交換クロマトグラフィーで精製され、ついでエクストラビジンPE(Sigma)と4:1のモル比で複合体とする。
【0069】
例2
HLA−Eテトラマーの結合
9種の正常のドナーからの末梢血液単核細胞(PBMC)を、例1に記載のようにして製造したHLA−Eテトラマーで染色し、エプスタインバーウイルス(EBV)溶菌サイクルBMLF1 259−267ペプチドエピトープ(Steven et al,1997,J.Exp.ed.185:1605−17)で再生したHLA−A2テトラマーで観察される染色と比較した。高い頻度のリンパ系細胞をHLA−Eテトラマーで染色し(2から11%の範囲)(図1A)、一方ではHLA−A2テトラマーは一般にEBV−血清反応陽性のドナー(図1C)中で0から0.8%のリンパ球で染色する。リンパ球結合HLA−Eテトラマー上で電子的ゲートを設定することにより、大部分はNK細胞(典型的には40から80%のCD3、CD56)であるが、著しいサブセットはT細胞であり(典型的には15から50%のCD3)であり、そのうちの若干はまたCD56を発現する(図1B)ことを観察した。リンパ球結合HLA−Eテトラマーの約2%はCD4T細胞であり、そして約5%はCD19B細胞であったが、これらのものはHLA−A2テトラマーによる類似の染色の故に非特異的結合を表わす(データは示してない)。HLA−A2テトラマーはCD56細胞と結合しないが、EBV−血清反応陽性ドナーにおいては、EBV特異的なCD3、CD8T細胞と結合し(図1D)、特定のT細胞レセプターをもつT細胞のためのHMC−テトラマー複合体の特異性についてのこれまでの研究を確認するものである(Altman et al,1996)。
【0070】
Cタイプのレシチンスーパーファミリーに属するNK細胞レセプター(Chang et al,1995,Eur.J.Immunol.25:2433−37)(図2A)であるCD94に対する抗体HP3D9(Aramburu et al,1990,Immunol 144:3238−47)の存在下にPBMCとテトラマーを培養したときに、HLA−Eテトラマー染色を中止した。抗体HP3D9を希釈するにつれ、HLA−Eテトラマー染色は回復した(データは示してない)。多くのよく特性化されたCD94NKクローンをHLA−Eテトラマーで染色することにより、そしてまた別の抗CD94mAb(DX22)(Phillips et al,1996,Immunity,5:163−172)がHLA−Eテトラマー結合を完全に阻害する(図2B、データは示してない)ことを示すことにより、HLA−EとCD94のあいだの相互作用もまた確認された。CD94NKクローン上のHLA−A2テトラマーによる染色は見られなかった(データは示してない)。
【0071】
HLA−Eと相互作用するNKレセプターをさらに特性化するために、これらレセプターでトランスフェクトしたP815および293T細胞を染色した。CD94単独またはNKG2B単独で安定にトランスフェクトしたP815にはHLA−Eテトラマーの染色は観察されず(図3A)、またCD94またはNKG2A単独で一時的にトランスフェクトした293Tでも同様であった(データは示してない)。これとは対照的にHLA−Eテトラマーは、CD94とNKG2A、CD94とNKG2B、またはCD94とNKG2Cで共トランスフェクトした293T細胞と結合した(図3B)。これらのトランスフェクタントにおけるヘテロダイマーの発現を、CD94/NKG2A、NKG2BおよびNKG2Cヘテロダイマーと反応するポリクローナルウサギ血清を用いてモニターした(Lazetic et al,1996,J.Immunol.157:4741−45)。この結果は、阻害的レセプターCD94/NKG2Aを発現するNKクローンまたはCD94/NKG2Cで安定にトランスフェクトしたマウスの前−B Ba/Fe細胞を用いて確認した(図2B、ただしデータは示してない)。テトラマーを作るのに使った組換えHLA−Eが大腸菌内に生産されるので、HLA−E上の炭水化物は結合には必要でない。CD94およびNKG2蛋白の両方がCタイプのレシチンスーパーファミリーのメンバーであると仮定すれば、これは極めて驚くべきことである。炭水化物残基は、結合の親和性を増大させる相互作用の追加的な点を形成する。
【0072】
KIR2DL1(NKAT1もしくはp58)、KIR2DL3(NKAT2もしくはp58)、KIR3DL1(NKAT3もしくはp70)、KIR3DL2(NKAT4もしくはp70/140)、KIR2DS2(NKAT5もしくはp50)、KIR2DL2(NKAT6もしくはp58)、またはKIR2DS4(NKAT8もしくはp50)でトランスフェクトしたBa/F3細胞上ではHLA−Eテトラマーでの染色は観察されなかったので、HLA−Eは他のキラー細胞阻害細胞レセプター(KIR)と相互作用をしないことをわれわれは示した(Lanier et al,1997,Immunol.Rev.155:145−154)。更には、これらのKIRレセプター、すなわちEB6(抗KIR2DL1)、GL183(抗KIR2DL3、−KIR2DS2、−KIR2DL2)、DX9(抗KIR3DL1)、または5.133(抗KIR3DL1、−KIR3DL2)の何れに対する抗体によっても、HLA−EテトラマーによるPBMCの染色はブロックされなかった(データは示してない)。すなわち、CD94/NKG2レセプターはHLA−E認識のための唯一および特異的なレセプターと思われる。
【0073】
われわれは以前に、HLA−EはマウスのQa−1分子と同じく(Aldrich et al,1994,Cell,79:649−658;DeCloux et al,1997,J.Immunol.158:2183−2191;Cotterill et al,1997,Eur.J.Immunol.27:2123−2132)インビトロでMHCクラスI分子からのシグナル配列誘導ペプチドと結合することができると報告し(Braud et al,1997)、そして最近は、HLA−E細胞表面発現はそのようなペプチドの結合によって制御されることを示した(Braud et al,1998)。殆どのHLA−AとHLA−C対立遺伝子はHLA−Eと結合するリーダーペプチド3−11をもっており、一方ではHLA−B対立遺伝子はわずか三分の一しかもっていない。残りのB対立遺伝子は、メチオニンの代わりにペプチドの2の位置でスレオニンをもっている。第一のアンカー残基におけるこの置換は、既に述べた(Braud et al,1997)(表2)インビトロの結合アッセイで測定したようにHLA−Eと結合するペプチドを分離させる。HLA−Eと結合できるリーダーペプチドをもつMHCクラスI対立遺伝子のHLA−A、B、C、G陰性721.221細胞へのトランスフェクションは、721.221細胞の細胞表面での内因性のHLA−Eの発現を生じさせる。リーダー配列ペプチドが結合能力をもたないときは、細胞表面でのそのようなHLA−Eのアップレギュレーションは観察されなかった。
【0074】
阻害的CD94/NKG2Aレセプターを発現するNK細胞が、ある種のHLA−A、−B、−Cまたは−G対立遺伝子でトランスフェクトした721.221細胞を死滅させずに、中和した抗CD94または抗クラスI抗体の存在下にこれらのトランスフェクタントを溶菌することが可能であることは既に示されている(Phillpis et al,1996,Immunity,5:163−172;Sivori et al,1996,Eur.J.Immunol.,26:2487−2492;Sivori et al,1996,Transplant,28:3199−3203)。表面発現をもたらすHLA−Eに結合可能なHLAクラスIリーダー配列ペプチドの存在と、CD94/NKG2A阻害レセプターの特異性のあいだの顕著な相関関係は、表2に示されている。トランスフェクションによって、CD94/NKG2A+NKクローンによる死滅から721.221細胞を防御するMKCクラスI対立遺伝子のすべては、HLA−Eと結合可能なペプチドをもっている。同様にして、これらのクローンに対して防御能力のないHLA対立遺伝子のすべてはHLA−E結合リーダーペプチドを欠如している。HLA−EとCD94/NKG2Aのあいだの物理的相互作用の直接の証拠と共にこれらの結果は、CD94/NKG2Aレセプターによる阻害は、広い範囲のHLA−A、−Bおよび−C分子よりもむしろHLA−Eの認識によって仲介されることを示している。これを更に支持するものとして、ヒトのT細胞リンパ親和性ウイルスHTLV1(Garboczi et al,1996,Nature,384:134−141)のタックスペプチドエピトープの周囲で再生されるHLA−A2テトラマーは、HLA−A2がCD94/NKG2A+NKクローンに対して保護効果を有しHLA−A2標的細胞保護は抗CD94または抗クラスI抗体の存在下で逆となるという事実にもかかわらず、CD94/NKG2AトランスフェクタントまたはCD94/NKG2レセプター発現NK細胞とは結合しない。われわれはさらに、クラスI分子とCD94/NKG2Aのあいだの相互作用を阻害する抗クラスI抗体DX17もまたHLA−Eを認識することを免疫沈殿によって確認した。
【0075】
CD94/NKG2ANKクローンによる721.221標的細胞の認識は、主に栄養芽層細胞で発現する別の非古典的クラスI分子であるHLA−Gのトランスフェクションによって阻害されないことが最近に示されている(Soderstrom et al,1997,J.Immunol.159:1072−1075;Perez Villar et al,1997,J.Immunol.158:5736−5743;Pende et al,1997,Eur.J.Immunol.,27:1875−1880)。しかしながらHLA−Gもまた、著しいレベルのHLA−Eを発現するHLA−Eおよび721.221−Gトランスフェクタントと結合可能なリーダー配列ペプチドをもっている。同様にして、Reyburn et al 1997(Nature,386:514−517)はヒトのサイトメガロウイルスはMHCクラスIと同様に、多分CD94レセプターを含むNK細胞溶菌から721.221細胞を保護できるウイルス蛋白(UL18)をコード化する旨を最近に報告している。これらの観察が721.221中の外因性HLA−E分子へのHLA−GまたはUL18リーダーペプチドの結合によって説明できるか否かは研究中である。
【0076】
HLA−Eはまた、NK細胞トランスフェクタントで細胞傷害活性を活性化することが示されたCD94/NKG2Cとも結合し(Houchins et al,1997,J.Immunol.,158:3603−3609)、これはHLA−Eは、CD94/NKG2AおよびCD94/NKG2B阻害NK細胞レセプターとCD94/NKG2C刺激NK細胞レセプターの両者を経由するNK細胞仲介細胞傷害を規制することに関わっている事を示している。われわれの現在の結果は、非古典的クラスI分子HLA−Eの新規な役割を示し、そしてその卓越したレセプターを同定するものである。シグナル配列誘導ペプチドに対するHLA−Eの強力な優位性が単にHLA−Eの発現を許容するのかどうか、またはそれがCD94/NKG2レセプターによる認識に必須かどうかについては、まだ決定されていない。
【0077】
【表2】

[SEQ ID NO:はそれぞれ1(4)、2、3、4(4)、5、7(4)、8(2)]
* 結果はPhillps et al 1996により発表
† ペプチド結合アッセイは、インビトロで行なわれた。結果は、HLA−Eに結合する百分率として示した光学密度の比率で表わした(Braud et al,1997)
‡ HLA−A、−B、−Cおよび−G陰性.221細胞は、短いリーダー配列を有しておりHLA−Eと結合可能な適当なペプチドを欠如しているようなHLA−EおよびHLA−Fを表わす
§ HLA−Eと結合可能なリーダー配列ペプチドの存在は、HLA−EおよびHLA−C対立遺伝子を認識する抗体DT9を用いHLA−Aまたは−Bによりトランスフェクトされた.221および.221細胞で測定されたHLA−E表面発現をアップレギュレートする。
【0078】
例2のための図の説明
【0079】
図1:HLA−EテトラマーはNK細胞とサブセットのT細胞と結合する
【0080】
(A)HLA−B0801から3−11のリーダー配列ペプチド残基の周囲に再生されたHLA−Eテトラマー、または(C)エプスタインバーウイルス(EBV)溶菌サイクルBMLF1 259−267ペプチドエピトープの周囲に再生されたHLA−A2テトラマー(Steven et al,1997)を用いての正常EBV血清反応陽性ドナーVBからのゲート制御末梢血液リンパ球でのフローサイトメトリー分析。(B)HLA−Eテトラマーまたは(D)HLA−A2テトラマー結合リンパ球のフェノタイプは、指示したしたような三色染色で更に研究した。各々の象限における百分率は、右上の十字で表わす。CD3−、CD56+NK細胞集団全体の中で10.3%の細胞がHLA−Eテトラマーと結合し、CD3+T細胞集団全体の中で2.2%の細胞がHLA−Eテトラマーと結合した。これとは対照的に、0.2%未満のCD3−、CD56+細胞がHLA−A2と結合し、また1%のCD3+T細胞がHLA−A2テトラマーと結合した。
【0081】
図2:HLA−Eテトラマー染色は抗CD94抗体で阻害される
【0082】
(A)正常のドナーSRJからの末梢血液リンパ球を、抗CD94抗体HP3D9(Aramburu et al,1990)(腹水の50倍希釈液)ついでFITC−抗マウスIgG(Fab’)(Sigma);HLA−Eテトラマー−PE単独;またはHLA−Eテトラマー染色を阻害するHP3D9(1/50)の存在下でのHLA−Eテトラマー−PEで染色した。
【0083】
(B)NKレセプターCD94/NKG2Aを発現するがKIR分子を発現しないNK細胞系NKL(Robertson et al,1996,Exp.Haematol.24:406−415)を、抗CD94抗体DX22(Phillips et al,1996)(1mg)、次いでPE抗マウスIgG;HLA−Eテトラマー−PE;またはHLA−Eテトラマー染色を阻害するDX22抗体1mgの存在下でのHLA−Eテトラマーで−PE染色した。各々の象限での百分率を右上に示した。HILV1タックスペプチド(Garbocz et al,1996)の周囲で再生されたHLA−A2テトラマーはNKLと結合しなかった(データは示してない)。
【0084】
図3:HLA−Eは、NK細胞CD94/NKG2A、CD94/NKG2BおよびCD94/NKG2Cと結合するが、CD94またはNKG2単独とは結合しない
【0085】
(A)P815細胞は、ヒトのCD94 cDNA(Chang et al,1995)またはNKG2B cDNA(Houchins et al,1991,J.Exp.Med.173:1017−20)を含有するpBJ−ネオベクターで安定にトランスフェクトされた。細胞は、PE−コントロールマウスIgG1(cMIgG1)もしくはIgG2b(cMIgG2b)、抗CD94抗体DX22−PE、抗NKG2AおよびB抗体DX20−PE、またはHLA−Eテトラマー−PEで染色された。P815トランスフェクタントは、HLA−Eテトラマーでも、またHLA−A2 HTLV1タックスペプチドテトラマーでも染色されなかった。(B)CD94で安定にトランスフェクトされた293T細胞は、NKG2A、NKG2B、およびNKG2Cで一時的にトランスフェクトされた(Lazetic et al,1996)。ウサギの前免疫血清(cRIgG)の500倍希釈またはウサギの抗CD94/NKG2ヘテロダイマー血清(抗CD94/NKG2)の500倍希釈を用い、ついでFITC抗ウサギIgGまたはHLA−Eテトラマー−PEによってフローサイトメトリー染色が行なわれた。HLA−A2−HTLV1タックスペプチドテトラマーによる染色は観察されなかった。対照のプラスミドで共トランスフェクトした293T−CD94細胞の染色は、HLA−Eまたはウサギの抗CD94/NKG2血清によっては染色されなかった(データは示されていない)。
【0086】
例3
NK細胞クローンに対する保護とHLA−E発現を可能とするHLA−E結合リーダー配列での細胞のトランスフェクション
【0087】
方法
ヒトのNK細胞クローンを確立し、文献記載のようにして培養した(Litwin et al,1993,J.Exp.Med.,178:1321−1336)。細胞毒性試験を文献記載のようにして行なった(Phillips et al,1996,Immunity,5:163−172)。HLA−GのリーダーセグメントならびにHLA−B5801の細胞外、トランスメンブラン、および細胞質領域キメラのcDNAを含有するキメラのcDNAを、次のオリゴヌクレオチドプライマーを用いPCRによって作製した。すなわちセンスプライマー1,5’−GCGTCTAGAATGGTGGTCATGGCACCCCGA−3’[SEQ ID NO:16];アンチセンスプライマー1,5’−CATGGAGTGGGAGCCGGCCCAGGTCTCGGT−3’[SEQ ID NO:17];センスプライマー2,5’−GGCTCCCACTCCATGAGGTAT−3’[SEQ ID NO:18];およびアンチセンスプライマー2,5’−AAGCTTTCAAGCTGTGAGAGACA−3’[SEQ ID NO:19]。
【0088】
テンプレートとして野生型のHLA−G cDNAをプライマーセット1と共に用い、そしてテンプレートとして野生型のHLA−B5801 cDNAをプライマーセット2と共に用いてPCRを行なった。これらのPCR反応からの生成物を混合し、そしてセンスプライマー1およびアンチセンスプライマー2と共に次の反応にテンプレートとして使った。生成物をXbaIおよびHindIIIで消化し、pBJネオベクターのなかへ連結させた。
【0089】
HLA−B0702ならびにマウスCD80(またはB7−1)の細胞外、トランスメンブランおよび細胞質領域のリーダーセグメントを含有するキメラcDNAを、つぎのオリゴヌクレオチドプライマーを用いてPCRによって生成させた。すなわちセンスプライマー3,5’−ACCGAGACCTGGGCCGTTGATGAACAACTG−3’[SEQ ID NO:20];アンチセンスプライマー3,5’−GCAAGCTTCTAAAGGAAGACGGTCTGTTC−3’[SEQ ID NO:21];センスプライマー4,5’−GGGCGTCGACCCGGACTCAGAATCTCCTCAGACGCCGAG−3’[SEQ ID NO:22]およびアンチセンスプライマー4,5’−CAGTTGTTCATCAACGGCCCAGGTCTCGGT−3’[SEQ ID NO:23]。
【0090】
テンプレートとして野生型のマウスCD80 cDNAをプライマーセット3と共に用い、テンプレートとして野生型のHLA−B0702 cDNAをプライマーセット4と共に用いてPCRを行なった。これらのPCR反応からの生成物を混合し、そしてセンスプライマー4およびアンチセンスプライマー3と共に次の反応にテンプレートとして使った。生成物をSalIおよびHindIIIで消化し、pBJネオベクターの中へ連結させた。PCR生成物は配列決定によって確認した。721.221B−リンパ芽球細胞を野生型でキメラのcDNAでトランスフェクトし、そして文献記載のようにして選択した(Litwin et al,1993)。
【0091】
結果
HLA−Eの表面発現を誘導するHLA−E結合リーダーペプチドの存在がCD94/NKGT2ANK細胞クローンに対する保護を提供するのに充分かどうかを決定するために、キメラ相補的DNA(GLS−B5801)を作製した。それは、HLA−Gのリーダーセグメント(それからペプチドがHLA−Eを結合可能である;表2参照)ならびにHLA−B5801の細胞外、トランスメンブランおよび細胞質領域(CD94/NKG2Aレセプターでの認識に関連しないHLA分子;Phillips et al,1996,Immunity,5:163−172)を含有している。安定な721.221細胞系トランスフェクタントを選択し、CD94/NKG2Aレセプターを発現するNK細胞クローンによる溶菌に対しての受動性について分析した。図4aに示すように、CD94/NKG2Aレセプターを発現するNK細胞クローンは、野生型HLA−B5801でトランスフェクトした721.221細胞と同じように、トランスフェクトされてない721.221細胞を効果的に死滅させた。しかしながらNK細胞で仲介された溶菌に対する保護はキメラGLS−B5801分子の発現で付与されたが、CD94またはHLAクラスI分子に対する抗体の存在下では逆となる。HLA−B0702(ただしHLA−Eと結合可能なペプチドと共に;表2)のリーダーセグメントならびにマウスCD80の細胞外、トランスメンブランおよび細胞質領域を含有するキメラcDNA(B7LS−mCD80)を、721.221細胞の中へトランスフェクトしCD94/NKG2ANK細胞クローンでの溶菌について試験した。CD80は、活性化したBおよびT細胞ならびにマクロファージで発現する接着細胞表面分子である。この実験でCD80は、MHCクラスI分子のリーダー配列のみがHLA−Eのアップレギュレートと保護効果の誘発に必要なことを示すために、無関係の対照分子として用いられる。B7LS−mCD80分子を発現する721.211細胞の溶菌は少なかったが野生型のCD80を発現する細胞ではそうではなく、そして保護は対照抗体ではなくて抗CD94によって逆となった(図4b)。これらの結果は、HLA−E結合リーダーペプチド単独が、阻害的CD94/NKG2Aタイプのレセプターを発現するNK細胞クローンによる溶菌から721.221細胞を保護するのに充分である。
【0092】
これらの結果は、CD94/NKG2AのリガンドとしてのHLA−Eの更なる確認を提供する。
【0093】
例3の図面の説明
【0094】
図4:HLA−EはCD94/NKG2Aとの相互作用によるNK細胞の阻害を仲介する
【0095】
(A)CD94/NKG2Aレセプターを発現する代表的なNK細胞クローンによる、HLA−Gリーダー配列を含むHLA−B5801、HLA−Gまたはキメラ分子(GLS−B5801)、ならびにHLA−B5801の細胞外、トランスメンブランおよび細胞質領域を発現する721.221細胞の溶菌。5μg ml−1の対照免疫グロブリン(clg)、抗CD94(DX22)または抗HLAクラスI(DX17)の存在下に、0.5:1のエフェクターと標的の比率でアッセイを行なった。(B)マウスのCD80またはHLA−B0702リーダー配列を含むキメラ分子(B7LS−mCD80)ならびにCD94/NKG2Aレセプターを発現する2つの代表的なNK細胞クローンによるマウスの細胞外、トランスメンブランおよび細胞質領域を発現する721.221細胞の溶菌。10μg ml−1の対照免疫グロブリン(clg)または抗CD94(DX22)の存在下で1:1のエフェクター対標的の比率で行なった。
【0096】
例4
蛍光活性化細胞ソーティングによるCD94/NKG2+の単離
末梢血液単核細胞(PBMC)を、ドナーからヘパリン含有のチューブ内へ取出した静脈血から得た。簡単に言えば血液検体を、血清を含まないRPMI−1640で1:1に希釈し、そして希釈血液の10mlを5mlのフィコール−ハイパック勾配においた。1200rpmで30分間遠心分離後、界面のPBMCを注意深く除去し、RPMIで2回洗った。最初の遠心分離は2000rpmで10分間行い、次に1200rpmで10分間行なって殆どの血小板を除去した。次いでPBMCをRPMI内で希釈し、処理中は無菌培地に保持した。
【0097】
HLA−Eテトラマーの結合はフローサイトメトリーでモニターし、そして細胞をソーティングした。PBMC(5×10)を37℃で15分間培養し、次いでフィコエリスリン(PE)で標識した12μlのHLA−Eテトラマーと共に4℃で15分間培養した。次に、FITCで標識したCD3モノクローナル抗体をさらに15分間4℃で加えた。次いで細胞を2回洗浄し、FACScan上でソーティングした。これは蛍光放射を測定し、静電的振れ(電子的細胞ソーティング)による明白な細胞集団を分離するものである。HLA−Eテトラマーで染色した単一細胞や細胞サブセットを、無菌の96ウエルの平板の中へ採取し、培地に入れる。NK細胞(CD3−、HLA−E tet+)およびT細胞(CD3+、HLA−E tet+)は、照射フィーダー細胞(PBMCおよびJY BCL)、0.1μg/mlのPHAおよび、それぞれ100U/mlまたは10U/mlのIL−2の存在下でイッセル(Yssel)の培地(Yssel et al,1984,J.Immunol.Methods,72:2199)中で生長させた。この方法で処理した自己細胞は、患者に再注射するのに適している。FACS技術もまた定量の目的のための細胞計数に用いることができる。
【0098】
NK細胞やクローンを培養するのに適した方法は、Litwin et al,J.Exp.Med.,1993,178:1321−1336に記載されている。T細胞の維持方法はDunbar et al,Current Biol.,1998,8(7),413およびNixon et al,Nature,1988,336:484−487に記載されている。
【0099】
例5
HLA−Eで被覆したビーズを用いるCD94/NKG2+細胞の単離
CD94/NKG2レセプターを発現する細胞を、HLA−E−ストレプタビジン被覆のダイナビーズ(dynabeads)で単離した。ダイナビーズM−280ストレプタビジンは、ストレプタビジンで被覆された磁気ビーズである。可溶性のHLA−Eを、HLA−E重鎖のC末端でBirA酵素のビオチン化部位で処理しβ2マイクログロブリン、および若干のHLA分子のシグナル配列の3−11残基からの合成ペプチドで再生した(Braud et al,1998,Nature,391:795に記載されている)。これらのHLA−Eモノマーは、BirA酵素を使ってビオチン化され、そして標準のプロトコールを用いてダイナビーズM−280と複合させた。ビオチン化したHLA−Eは、二方向性の混合(2μgのHLA−E/10ダイナビーズ)で30分間4℃でPBS−洗浄ダイナビーズM280で培養した。これらのビーズを、ダイナル(Dynal)磁気粒子濃縮機(MPC)内のチューブへ入れて採取し、上澄み液を除去した。ビーズを同様の方法で5回洗浄した。次いでHLA−E被覆M−280ダイナビーズを、単離したPBMC(例3記載のようにして得たもの)(10ビーズ/ml)と混合し、緩やかに攪拌しながら4℃で20分間培養した。チューブをダイナルMPCに入れ、2分間放置した。上澄み液を除去し、ビーズに付着した細胞を5回洗浄した。次いで細胞を、例3に記載のようにして生長させた。
【0100】
注:HLA−Eのレセプターを発現する細胞のPBMCを除くために、上澄み液を保存しビーズを廃棄した。
【0101】
例6
NK細胞の標的死滅
組換えビオチン化HLA−Eを、例1に記載のようにして作製した。ビオチン化したHLA−Eと、酵素パーフォリンのようなビオチン化毒性剤との3:1のモル比の混合物をエクストラビジンと結合して、毒性剤と結合した多量体HLA−Eを製造した。ヒトのドナーからのPBMC検体を標準的技術によって製造しHLA−E試薬と接触させたところ、検体に存在するCD94/NKG2+細胞の死滅をもたらした。CD94/NKG2陰性細胞は回収した。
【0102】
例7
異種移植
HLA−Eのリーダー配列をHLA−B8のリーダー配列で置き換えたHLA−Eを発現する組換えDNAを作製した。このキメラcDNAは、HLA−Bのリーダー配列ならびにHLA−Eの細胞外(α1、α2とα3)、トランスメンブランおよび細胞質領域を含んでいる。これは、次のオリゴヌクレオチドプライマーを使って製造した。
【0103】
センスプライマーA:
5’−CTCGGCGGCCCTGGCCCTGACCGAGACCTGGGCGGGCTCCCACTCCTTG−3’[SEQ ID NO:24]
アンチセンスプライマーB:
5’−TTCTGTCTAGATTACAAGCTGTGAGACTCAGACCCCTG−3’[SEQ ID NO:25]
センスプライマーC:
5’−CTGACCGAATTCGCCGCCACCATGCTGGTCATGGCGCCCCGAACCGTCCTCCTGCTGCTCTCGGCGGCCCTGGCC−3’[SEQ ID NO:26]
【0104】
テンプレートとしてHLA−EのcDNAを用いプライマーAおよびBでPCRを行なった。次いでこのPCRからの生成物を、プライマーBおよびCとの引き続いての反応のためのテンプレートとして用いた。最終生成物を、EcoR1とXbaIで消化し、そして発現ベクターpcDNA3の中へ結合させた。
【0105】
次いでトランスジェニックな動物を次のようにして作製した。メスを過剰排卵させ、受精オスとかけ合わせ、そして翌日に屠殺した。2つの生殖核をもつ接合体を回収し、生殖核の1つを、HLA−E−HLA−Bリーダー配列構築を発現するDNAでマイクロインジェクションした。生存している胚を偽妊娠している里親のメスの中へ再移植し、新生児からのDNA検体について外来遺伝子(HLA−E構築)の存在を評価する。これらの技術の詳細は文献に記載がある(たとえばGuide to Techniques in Mouse Development,P.Wasserman and M.DePamphilis,Methods in Enzymology(Academic Press),Section X:Transgenic Animals:Pronuclear Injection(p.747−802)およびSection XI: Transgenic Animals:Embryonic Stem Cells and Gene Targeting(p.803−932))。
【0106】
例8
哺乳動物細胞へのCD94およびNKG2の安定なトランスフェクション
マウスの細胞(P815、L細胞)を、CD94 cDNAおよびNKG2AまたはNKG2CとDAP12を含有する哺乳動物発現ベクターpcDNA3(ネオマイシン耐性遺伝子)で、電気穿孔法または燐酸カルシウム沈澱法のそれぞれにより連続してトランスフェクトした。NKG2AとNKG2C cDNAを発現ベクターpcDNA3.1/ヒグロベクター(ヒグロマイシン耐性遺伝子を含有)の中へクローニングし、そしてDAP12発現ベクターpcDNA3.1/ゼオ(ゼオマイシン耐性)の中へクローニングした。P815細胞を500μF、0.25ボルトで電気穿孔し、そして2日後に選択物(G418とヒグロマイシンとゼオマイシン)を添加した。高いレベルのレセプターを発現する細胞を、フローサイトメトリーでソートした。L細胞を燐酸カルシウムDNA沈澱によってトランスフェクトし、G418、ヒグロマイシンおよびゼオマイシンの存在下で選択した。トランスフェクタントを限定希釈によってクローニングし、CD94/NKG2レセプターの細胞表面発現を特定の抗体を使ってモニターした。
【0107】
安定なトランスフェクタントは、CD94/NKG2へのHLA−Eの結合を阻止する抗体租の他のものを同定するのに有用である。阻害的なCD94/NKG2レセプター(たとえばCD94/NKG2A)または促進的なCD94/NKG2レセプター(たとえばCD94/NKG2C)と結合するHLA−Eを特異的に阻止するものは、2つの異なるトランスフェクタントを用いる結合アッセイを行なうことにより同定することができる。CD94/NKG2へのHLA−Eの結合を阻止する公知の抗体の一覧を以下に掲げる。
【0108】
HLA−EとCD94/NKG2レセプターのあいだの相互作用をブロックする抗体:
1.抗HLA−E:3D12(Lee et al,1998,J.Immunol.,160:4951)
2.抗CD94:
HP3D9(Perez−Villar et al,1995,J.Immunol.,154:5779)Pharmingenにより商業化されている
HP−3B1(Aramburu et al,1990,J.Immunol.,144:3238)Immunotechにより商業化されている
X1A85(Sivori et al,1996,Eur.J.Immunol.26:2487)
DX222(Phillps et al,1996,Immunity,5:163)DNAX
3.抗NKG2A
Z199(Carreto et al,1997,Eur.J.Immunol.,27:563)Immunotechにより商業化されている
Z270(Sivori et al,1996,Eur.J.Immunol.,26:2487)
【0109】
この例に記載した技術はまた、ここに記載したようなHLA−Eをコード化する核酸でネズミのL細胞のような哺乳動物の細胞をトランスフェクトするためにも用いることができる。
【配列表フリーテキスト】
【0110】
SEQ ID NO:1〜11は、MHCリーダー配列から生成されるペプチドの配列である。
SEQ ID NO:12〜26は、プライマーの配列である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
HLA−Eによって仲介されるNK細胞活性の阻害を予防する方法であって、
(a)阻害的CD94/NKG2レセプターへのHLA−Eの結合を干渉する化合物を選択し、そして
(b)阻害的CD94/NKG2レセプターを発現するNK細胞またはT細胞を化合物と接触させる
ことを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−81478(P2013−81478A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−6244(P2013−6244)
【出願日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【分割の表示】特願2009−191564(P2009−191564)の分割
【原出願日】平成10年12月4日(1998.12.4)
【出願人】(599093720)アイシス・イノヴェイション・リミテッド (7)
【氏名又は名称原語表記】Isis Innovation Limited
【Fターム(参考)】