HMB組成物及びその使用
【課題】慢性炎症性疾患、ガン、及び不随意性体重低下の予防及び治療のための方法を提供する。
【解決手段】患者はHMB単独で又はそれに替わるものとしてエイコサペンタエン酸(20:5ω−3)、FOS、カルニチン及びそれらの混合物との組み合わせで経腸的に投与される。HMBは、ロイシン、イソロイシン、バリン、チロシン、スレオニン及びフェニルアラニンなどの大型中性アミノ酸で強化されたアミノ−窒素源を含み、遊離アミノ酸を実質的に欠失している食品へ添加されてもよい。
【解決手段】患者はHMB単独で又はそれに替わるものとしてエイコサペンタエン酸(20:5ω−3)、FOS、カルニチン及びそれらの混合物との組み合わせで経腸的に投与される。HMBは、ロイシン、イソロイシン、バリン、チロシン、スレオニン及びフェニルアラニンなどの大型中性アミノ酸で強化されたアミノ−窒素源を含み、遊離アミノ酸を実質的に欠失している食品へ添加されてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、慢性炎症性疾患、癌、及び不随意性体重低下の予防及び治療のための方法に関する。本発明の実施において、患者はHMB単独で、又はこれに代えて、エイコサペンタエン酸(20:5 ω−3)、FOS、カルニチン及びこれらの混合物との組み合わせで経腸的に投与される。HMBは、ロイシン、イソロイシン、バリン、チロシン、スレオニン及びフェニルアラニンなどの大型中性アミノ酸で強化されたアミノ窒素源を含み、遊離アミノ酸を実質的に欠失している食品へ添加されてもよい。
【背景技術】
【0002】
望ましくない体重低下、特に除脂肪体重の低下は、危篤において比較的一般的に発生するものであり、罹患率及び死亡率に有意な影響を及ぼす。このことは、癌患者に特に当てはまり、その場合、このような体重低下は治療を制限する場合があり得、したがって全体的な予後に影響を与える。
【0003】
カヘキシーは、摂食障害、体重低下、早発性満腹、無力症、除脂肪体重の低下、及び多臓器機能障害によって特徴付けられる症候群である。カへキシーは、慢性疾患(悪性及び非悪性の両者)の一般的な結果であり、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性心不全(CHF)、腎不全、エイズ、認知症、慢性肝疾患及び癌における、より予後の悪化と関連している。カヘキシーは、疾病の重度の他の指標とは無関係であることが多い。(Witte,K.K.A.及びClark,A.L.:慢性疾患におけるカヘキシーに関与する栄養上の異常性、International Journal of Cardiology 85: 23−31, 2002)
【0004】
肺疾患はしばしばカヘキシーと関連しており、COPD、特に肺気腫に苦しむ患者の相当数が疾患の経過の間に衰弱してくる。体重低下は、予後についての独立した危険因子であり、酸素消費量の増加としばしば関係する。このことは、非効率的な筋エネルギー代謝の発達と関連付けられてきた(Kutsuzawa, T.et al.:Muscle energy metabolism and in patients with chronic obstructive pulmonary disease.Am.J.Respir.Crit.Care Med. 152(2): 647−652, 1995)。COPDは、全身性炎症反応の一般的な亢進とも関連しており、末梢血における炎症誘発性サイトカインの及び急性期のタンパク質の濃度上昇によって反映される(Schols,A.M.,et al:Evidence for a relation between metabolic derangements and increased levels of inflammatory mediators in a subgroup of patients with chronic obstrutive pulmonary disease.Thorax 51: 819−824, 1996; Takabatake,N.et al.:Circulating leptin in patients with chronic obstructive pulmonary disease.Am J Respir Crit Care Med 159: 1215−1219, 1999; Dentener,M.A.et al.:Systemic anti−inflammatory mediators in COPD:increase in soluble interleukin I receptorII during treatment of exacerbations.Thorax 56: 721−726, 2001)。このような変化はしばしば、筋消耗性症候群と関連している。
【0005】
インキュベートした筋及び筋抽出物を使用する研究は、ATP依存性ユビキチン−プロテオソーム経路が、筋消耗を最終的に生じるタンパク質分解の亢進のほとんどの原因であることを示唆する。特に、ユビキチン結合タンパク質のレベルの上昇、及びポリユビキチン、特定のプロテオソームサブユニット及びユビキチン連結酵素E214KについてのmRNAレベルにおける亢進は、ほとんどの萎縮している筋で見られる特徴である(Schols,A.M.W.J:Pulmonary cachexia.Intl J Cardiology 85: 101−110, 2002; Jagoe,R.T.及びGoldberg,A.L.:What do we really know about the ubiquitin−proteosome pathway in muscle atrophy?Curr Opin Clin Nutr Metab Care 4: 183−190, 2001)。
【0006】
疾患が転移性疾患へと進行する癌患者の大部分は、彼らの治療プログラムの間にカヘキシーを発達させ、カヘキシーは彼らの死に関与する。癌患者における体重低下の頻度は、乳癌、急性骨髄性白血病及び肉腫の患者についての40%から、膵臓及び胃の癌腫の患者における80%超にまで及ぶ。肺、結腸又は前立腺の癌腫の患者の約60%は、化学療法を開始する前に体重低下を経験している。治療前栄養不良(体重低下)と有害な結果との関係は確立されているが、カヘキシーの発達と腫瘍の大きさ、疾病の段階、及び悪性腫瘍のタイプ又は期間との間に一致した関係性は示されていない。
【0007】
癌カヘキシーは単に腫瘍の局所的な効果ではない。タンパク質、脂肪及び炭水化物の代謝における変化が共通して生じる。例えば、炭水化物代謝における異常性には、総グルコース代謝回転の速度の亢進、肝糖新生の亢進、耐糖能障害及びグルコースレベルの上昇が含まれる。脂質分解の亢進、遊離脂肪酸及びグリセロールの代謝回転の亢進、高脂血症、及びリポタンパク質リパーゼ活性の低下がしばしば認められる。癌カヘキシーに付随する体重低下は、体脂肪の保存量における減少によるだけでなく、広範囲にわたる骨格筋消耗を伴う総体タンパク質量における減少にも起因する。タンパク質代謝回転の亢進及びほとんど制御されていないアミノ酸酸化も重要であるかもしれない。癌に応じて生じる宿主由来の因子の存在は、カヘキシーの原因因子、例えば腫瘍壊死因子(TNF)−α又はカケクチン、インターロイキン−1(IL−1)、IL−6、γ−インターフェロン(IFN)、及びプロスタグランジン(PG)(例、PGE2)として関係付けられてきた。
【0008】
体重低下は、肺及び消化管の癌腫を有する患者において共通であり、体脂肪及び筋タンパク質の両者の重量減少を生じる一方で、非筋タンパク質は影響を受けないままである。体脂肪の減少はエネルギー貯蔵の点で重要である一方、不動及び最終的には下位型肺炎由来の死に至る呼吸筋機能の機能障害を生じるのは骨格筋タンパク質の減少である。カヘキシーは摂食障害を頻繁に併発するが、栄養補助単独では安定した体重を維持できず、増加する体重はいずれも、除脂肪体重より、むしろ脂肪組織及び水の増加による。同じことは酢酸メゲストロール及び酢酸メドロキシプロゲステロンなどの食欲刺激剤について真であり、除脂肪体重の低下がエネルギー不足以外の因子によることを示唆する。
【0009】
骨格筋重量は、タンパク質合成の速度と分解速度との平衡である。癌カヘキシーを有する患者は、骨格筋におけるタンパク質合成の抑制及びタンパク質分解の亢進を示し、それは、タンパク質分解の主要決定因子であるユビキチン−プロテアソームタンパク質分解経路の発現の亢進に反映される。したがって、悪液性癌患者由来の骨格筋は、ユビキチン及びプロテアソームサブユニットの両者についてのmRNAの発現の亢進を示すのに対し、プロテアソームタンパク質分解活性はユビキチン発現と並行して亢進することを示す。同化刺激が悪液性患者において除脂肪体重を増加させることができないということは、筋重量が増加できる前にタンパク質分解が減弱しなければならないことを示唆する。エイコサペンタエン酸(EPA)は、悪液性マウスの骨格筋におけるユビキチン−プロテアソームタンパク質分解経路の発現の亢進を下方制御し、膵臓癌を有する悪液性患者の体重を安定化することが示されてきた。患者がタンパク質の32g及びEPAの2gを含有する高エネルギーサプリメントを消費したとき、体重は増加し、このことは単に除脂肪体重の増加に起因した(Barber,M.D., Ross,J.A., Voss,A.C., Tisdale,M.J., Fearon,K.C.H.The effect of an oral nutritional supplement enriched with fish oil on weight−loss in patients with pancreatic cancer. Br.J.Cancer, 81: 80−86, 1999)。
【0010】
Mayほかによる最近の研究(May,P.E., Barber,A., D’Olimpio,J.T., Hourihane,A. and Abumrad,N.N. Reversal of cancer−related wasting using oral supplementation with a combination of β−hydroxy−β−methylbutyrate, arginine and glutamine.Am.J.Surg., 183: 471−479, 2002)は、HMB、アルギニン及びグルタミンの混合物が、進行した(段階IVの)癌を有する体重低下する患者において体重を増加させる上で効果的であることを示した。さらに、体重の増加は、EPAを使用して観察されるように、除脂肪体重の増加に起因した。
【0011】
多価不飽和脂肪酸であるエイコサペンタエン酸の使用は、体液中の脂肪分解因子の脂肪分解活性及び酵素であるグアニジノ−安息香酸分解酵素(benzoatase)の活性を阻害することによるカヘキシーの治療について示唆される。Tisdale,M.J.及びBeck,A.、米国特許第5,457,130号、1995年10月10日発行、及びTisdaleほか、Cancer Research 50: 5022−5026(1990年8月)を参照。しかしながら、Tisdaleにより教示される製剤は固体剤形にあり、すでに病気の患者に1日当たり12個ないし16個のカプセルを服用させる必要がある。この方法は、嚥下、げっぷ及び悪臭の困難を含む重大な欠点を有した。
【0012】
HMBは、さまざまな適用の場面で有用であることがわかってきた。特に、Nissenほかの米国特許第6,031,000号において記載されているのは、HMBのカルシウム塩の重量に基づいている、HMBの約0.5gないし約30g、約0.5gないし約30gが、遊離L−アルギニンの約0.5gないし約50g、及び遊離L−グルタミンの約0.5gないし約50gを含む組成物である。この特許は、動物の疾病関連消耗の治療のための方法、動物のトリグリセリドの血清レベルを低下させるための方法、動物の血清ウィルス量を低下させるための方法、並びに内臓領域及び皮下領域を有する動物において脂肪を再分配するための方法も提供する。方法はすべて、動物へHMBと少なくとも一つの遊離アミノ酸とを含む組成物を投与することを含む。
【0013】
Nissenほかの米国特許第5,348,979号は、ヒト対象での窒素保持におけるHMBの使用を記載する。投与されるHMBの量は、尿窒素の低下によって決定されるタンパク質を保護するのに効果的である。この方法は、疾病状態による負の窒素平衡を有する患者に使用でき、タンパク質減少に曝される健常老年者にも使用できる。HMBは、経口的に又は静脈内注入によって投与されてもよい。HMBの効果的な量は、体重1kg当たり24時間当たり、HMBのカルシウム塩に基づいたHMBの0.01gないし0.20gの範囲内である。
【0014】
Nissenの米国特許第5,028,440号は、除脂肪組織の発達を亢進するために食肉産生用家畜を飼育するための方法を記載する。HMB又はその食用塩は、除脂肪組織重量における実質的な増加を得るために十分な長さの時間、ある量で動物へ投与される。方法は、HMBが相当の反芻胃を破壊しやすくはないため、畜牛及び子ヒツジを含む反芻動物での使用に特に適している。方法は、ニワトリ及びシチメンチョウを含む他の家畜でも実施できる。HMBは0.5mgないし100mgの範囲内で供給される。
【0015】
Nissenの米国特許第4,992,470号は、α−ケトイソカプロン酸塩(KIC)よりも哺乳類のTリンパ球の免疫機能を活性化するのに著しくより効果的であるHMBの使用を記載する。Tリンパ球の活性化のため、HMB又はその食用水溶性塩を、HMBが哺乳類の血液へ入る経路によって哺乳類へ投与される。投与される量は、哺乳類のTリンパ球の胚発生を効果的に亢進するのに十分である。方法は、特にウシ、ヒツジ、及びブタを含む家畜哺乳類での使用に適している。HMBは、免疫系刺激剤としてヒトでも使用できる。HMB(Ca−HMBベース)を、ヒト対象当たり24時間当たり500ないし2,500ミリグラム(mg)の量で経口的又は非経口的に投与される。
【0016】
Kunzの独国特許第DE29707308号は、ウェイトトレーニング集団において筋産生を促進するための、HMBと組み合わせた分岐鎖アミノ酸の使用を記載する。Kunzは、1日当たり200gのタンパク質消費とともに毎日摂取される3gのサプリメントが栄養性タンパク質の値を亢進し、タンパク質効率性を有意に亢進することを教示する。Kunzは、HMBを無処置の(純粋な)タンパク質とよりもむしろ、タンパク質加水分解産物及び/又は遊離アミノ酸混合物と組み合わせるとき、より良好な効果に到達できることも教示する。
【0017】
Engelほかの米国特許第5,976,50号は、キトサン、カバ及び、コリン/イヌシタル(inusital)、ピコリン酸クロム、HMB、カルニチン及びピルビン酸塩を含有してもよい脂肪燃焼栄養補助食品の治療量を含有する糖質ベースの菓子の混合物から形成される体重低下用食事性サプリメントを記載する。キトサン及びカバと混合した栄養補助食品成分は、身体が消費した脂肪が何であれ燃焼するよう機能し、すなわち消化され及びキトサンへ結合しないどんな脂肪もよりよく代謝するよう機能する。
【0018】
HMBを含有するウェイトリフティング集団用に企図された商業製品には、Golden,ColoradoのEAS社によるLean DynamXが含まれる。Lean DynamXは、強力な刺激剤を使用せずに脂肪減少を支持する成分の配合物を提供する。成分には、HMB、ピコリン酸クロム、共役したリノール酸、マテ茶葉及び茎並びに酒石酸カルニチンが含まれる。粉末組成物を水と混合し、毎日2〜3回摂取し、1回の摂取量は運動30分前に摂取する。
【0019】
更なる商業製品には、Hauppauge,NYにあるTwinlab社製のMega HMB Fuel(R)がある。Mega HMB Fuel(R)は、1個のカプセルにHMBの750mgを含有する。示唆された毎日の投与量は、高強度の負荷抵抗運動後に生じうる筋細胞への損傷に対応するように、4カプセルである。
【0020】
また、Garlebほかの米国特許第5,444,054号及び関連した米国特許第5,780,451号も興味深い。これらの文書は潰瘍性大腸炎の治療に有用な組成物及び方法について記載している。このような組成物には、生物学的値の高い(col.21)無処置の又は加水分解されたタンパク質でありうるタンパク質源、フラクトオリゴ糖どの難消化性オリゴ糖、及び比較的高いω−3とω−6との脂肪酸比へ関与するエイコサペンタエン酸の比較的高い割合を含有する脂質配合物が含まれる。
【0021】
長鎖脂肪酸生体経路及び生理学的作用は、DeMicheleほかの米国特許第5,223,285号に論議されており、そのすべてが参照によって本明細書に組み込まれている。
【0022】
カヘキシーの予防及び/又は治療はいらだたしい問題を残している。動物及びヒトの両研究は、癌罹患宿主において除脂肪体重を十分備える上で、栄養的な補助がさほど効果的ではないことを示唆する。細胞毒性抗新生物療法に対するアジュバントとしての総非経口栄養(TPN)補助の有用性を探索する無作為化された試験は、治療結果にほとんど改善を示さなかった。例えば、「Brennan,M.F.及びBurt,M.E., 1981, Cancer Treatment Reports 65 (Suppl.5): 67−68」を参照してほしい。このことは、TPNが動物において腫瘍成長を刺激できることを明確に示すのに付随して、癌治療におけるTPNの決まりきった使用が正当ではないことを示唆する。Kisner,D.L., 1981, Cancer Treatment Reports 65 (Suppl.5): 1−2。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】米国特許第5,457,130号明細書
【特許文献2】米国特許第6,031,000号明細書
【特許文献3】米国特許第5,348,979号明細書
【特許文献4】米国特許第5,028,440号明細書
【特許文献5】米国特許第4,992,470号明細書
【特許文献6】独国特許第29707308号明細書
【特許文献7】米国特許第5,976,50号明細書
【特許文献8】米国特許第5,444,054号明細書
【特許文献9】米国特許第5,780,451号明細書
【特許文献10】米国特許第5,223,285号明細書
【非特許文献】
【0024】
【非特許文献1】Witte,K.K.A.及びClark,A.L.:慢性疾患におけるカヘキシーに関与する栄養上の異常性、International Journal of Cardiology 85: 23−31, 2002
【非特許文献2】Kutsuzawa, T.et al.:Muscle energy metabolism and in patients with chronic obstructive pulmonary disease.Am.J.Respir.Crit.Care Med. 152(2): 647−652, 1995
【非特許文献3】Schols,A.M.,et al:Evidence for a relation between metabolic derangements and increased levels of inflammatory mediators in a subgroup of patients with chronic obstrutive pulmonary disease.Thorax 51: 819−824, 1996
【非特許文献4】Takabatake,N.et al.:Circulating leptin in patients with chronic obstructive pulmonary disease.Am J Respir Crit Care Med 159: 1215−1219, 1999
【非特許文献5】Dentener,M.A.et al.:Systemic anti−inflammatory mediators in COPD:increase in soluble interleukin I receptorII during treatment of exacerbations.Thorax 56: 721−726, 2001
【非特許文献6】Schols,A.M.W.J:Pulmonary cachexia.Intl J Cardiology 85: 101−110, 2002
【非特許文献7】Jagoe,R.T.及びGoldberg,A.L.:What do we really know about the ubiquitin−proteosome pathway in muscle atrophy?Curr Opin Clin Nutr Metab Care 4: 183−190, 2001
【非特許文献8】Barber,M.D., Ross,J.A., Voss,A.C., Tisdale,M.J., Fearon,K.C.H.The effect of an oral nutritional supplement enriched with fish oil on weight−loss in patients with pancreatic cancer. Br.J.Cancer, 81: 80−86, 1999
【非特許文献9】May,P.E., Barber,A., D’Olimpio,J.T., Hourihane,A. and Abumrad,N.N. Reversal of cancer−related wasting using oral supplementation with a combination of β−hydroxy−β−methylbutyrate, arginine and glutamine.Am.J.Surg., 183: 471−479, 2002
【非特許文献10】Tisdaleほか、Cancer Research 50: 5022−5026(1990年8月)
【非特許文献11】Brennan,M.F.及びBurt,M.E., 1981, Cancer Treatment Reports 65 (Suppl.5): 67−68
【非特許文献12】Kisner,D.L., 1981, Cancer Treatment Reports 65 (Suppl.5): 1−2
【発明の概要】
【0025】
本発明は、慢性炎症性疾患、癌、及び不随意性体重低下の予防及び治療のための方法に関する。本発明の実施において、患者はHMB単独で又はそれに替わるものとしてエイコサペンタエン酸(20:5 ω−3)、FOS、カルニチン及びそれらの混合物との組み合わせで経腸的に投与される。
【0026】
別の実施態様において、本発明は、患者の疾病と関連した消耗の治療のための方法を提供する。方法は、患者へ前述の組成物を投与することを含み、組成物は疾病と関連した消耗を治療するのに十分な量でHMBを含み、組成物を患者へ投与すると、疾病と関連した消耗が治療される。
【0027】
別の実施態様において、本発明は、患者における腫瘍成長速度を低下させるための方法を提供する。方法は、患者へ前述の組成物を投与することを含み、組成物は腫瘍成長速度を低下するのに十分な量でHMBを含み、組成物を患者へ投与すると、腫瘍成長速度が低下する。
【0028】
別の実施態様において、本発明は、タンパク質キナーゼC、核因子κB、ユビキチン連結酵素、及び26Sプロテアソーム構成要素の発現及び/又は活性を下方制御することによって、患者における疾病の予防又は治療のための方法を提供する。これらの方法は、患者へHMB、HMBの塩、これらの代謝産物又は誘導体を投与することを含む。
【0029】
さらに別の実施態様において、HMBは、ロイシン、イソロイシン、バリン、チロシン、スレオニン及びフェニルアラニンなどの大型中性アミノ酸で強化されたアミノ窒素源を含み、遊離アミノ酸を実質的に欠失している食品へ添加されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、PIFにより誘発されるプロテアソーム活性化に関与する骨格筋における潜在的な細胞内事象を記載するスキームを表す。
【図2】図2は、MAC16腫瘍を有するマウスにおける体重(A)及び腫瘍体積(B)に及ぼすHMBの効果についての投与量−反応曲線を表す。(PBS中の)HMBを、0.05g/kg(黒塗り丸)、0.125g/kg(白抜き丸)及び0.25g/kg(×)の濃度での毎日の療法で胃管栄養法により経口的に投与した。コントロールマウスはPBS単独(黒塗り菱形)を受容した。示される結果は平均±標準誤差であり、n=20である。
【図3】図3は、MAC16腫瘍を有するマウスの体重に及ぼすHMB(0.25g/kg;黒塗り四角)、EPA(0.6g/kg;×)及び組み合わせ(白抜き丸)並びにPBSコントロール(黒塗り丸)の効果を表す。示される結果は平均±標準誤差であり、n=20である。
【図4】図4は、MAC16を有し、EPA(0.6g/kg)、HMB(0.25g/kg)、又はそれらの組み合わせのいずれかで3日間処理したマウスのヒラメ筋重量(A)及びヒラメ筋におけるタンパク質分解の速度(B)を表す。示される値は平均±標準誤差であり、n=6である。
【図5】図5は、MAC16腫瘍を有し、3日間処理されるマウスの腓腹筋における「キモトリプシン様」酵素活性として決定されるプロテアソーム機能活性に及ぼすHMB及びEPAの効果を表す。結果は平均±標準誤差として示され、n=6である。
【図6】図6は、PBS(コントロール)、HMB(0.25g/kg)、EPA(0.6g/kg)又はそれらの組み合わせで3日間処理されたマウスの腓腹筋における、ウェスタンブロッティングにより検出されるプロテアソーム20Sα−サブユニット(A)及びβ−サブユニット(B)の発現を表す。ブロット(n=6)の濃度測定分析を示す。A.コントロール(黒い棒)、HMB(白い棒)、EPA(細切れの棒)及びそれらの組み合わせ(点模様の棒)。
【図7】図7は、PBS(コントロール)、HMB(0.25g/kg)、EPA(0.6g/kg)又はそれらの組み合わせ(HMB+EPA)で3日間処理されたマウスの腓腹筋における、ウェスタンブロッティングにより検出されるプロテアソーム19SサブユニットであるMSS1(A)及びp42(B)の発現を表す。ブロット(n=6)の濃度測定分析を示す。
【図8】図8は、PBS(コントロール)、HMB(0.25g/kg)、EPA(0.6g/kg)又はそれらの組み合わせ(HMB+EPA)で3日間処理されたマウスの腓腹筋における、ウェスタンブロッティングにより検出されるE214kの発現を表す。ブロット(n=6)の濃度測定分析を示す。
【図9】図9(A)は、50μMのEPA(白抜き四角)、又は25μM(白抜き丸)若しくは50μM(黒塗り丸)のHMBのいずれかのない場合(×)又はある場合のC2C12筋管における総タンパク質分解に及ぼすPIFの効果を表す。PIFの添加24時間後に測定を実施し、平均±標準誤差として示し、n=9である。1(B)はEPA(50μM)又はHMB(25μM若しくは50μM)の有無の下でのPIFで処理したネズミ筋管の可溶性抽出物のキモトリプシン活性を表す。記号は(A)におけるものと同一である。結果は平均ア標準誤差として示され、n=9である。
【図10】図10は、20Sプロテアソームα−サブユニット(A)、β−サブユニット(B)及びp42(C)のPIF誘発に及ぼすEPA及びHMBの効果を表す。アクチン負荷コントロールを(D)に示す。PIF単独(レーンAないしC)で又は50μMのEPA(レーンDないしF)、50μMのHMB(レーンGないしI)又は25μMのHMB(レーンJないしL)の存在下で、4.2nM(レーンB、E、H及びK)又は10nM(レーンC、F、I及びL)の濃度で処理した24時間後のC2C12筋管の可溶性抽出物のウェスタンブロット。コントロール培養物はPBS(レーンA)、50μMのEPA(レーンD)、50μMのHMB(レーンG)又は25μMのHMB(レーンJ)を受容した。示されるブロットは、3つの個別の実験を代表する。
【図11】図11は、ネズミ筋管における細胞質中の(A)及び膜へ結合した(B)PKCαに及ぼすPIFの効果のウェスタンブロットを表す。細胞を、PIF単独(レーンAないしC)で又は50μMのEPA(レーンDないしF)、50μMのHMB(レーンGないしI)又は25μMのHMB(レーンJないしL)の存在下で、4.2nM(レーンB、E、H及びK)又は10nMのPIF(レーンC、F、I及びL)の濃度で処理した。コントロール細胞は、PBS(レーンA)、50μMのEPA(レーンD)、50μMのHMB(レーンG)又は25μMのHMB(レーンJ)を受容した。示されるブロットは、3つの個別の実験を代表する。
【図12】図12は、PIF単独で(レーンAないしC)又はPIFで、50μMのEPA(レーンDないしF)、50μMのHMB(レーンGないしI)又は25μMのHMB(レーンJないしL)の存在下で、4.2nM(レーンB、E、H及びK)又は10nM(レーンC、F、I及びL)のPIF濃度で処理したネズミ筋管の可溶性抽出物中の総ERK1/2(p44及びp42)(A)及び活性型(リン酸化)ERK1/2(B)のウェスタンブロットを表す。コントロール細胞は、PBS(レーンA)、50μMのEPA(レーンD)、50μMのHMB(レーンG)又は25μMのHMB(レーンJ)のいずれかを受容した。示されるブロットは、3つの個別の実験を代表する。
【図13】図13は、ウェスタンブロッティングによって決定されるIκBαのサイトゾルレベルに及ぼす30分間のC2C12筋管の暴露の効果(A)、及びEMSAによって決定される、DNAへ結合するNF−κBの活性化(B及びC)を表す。濃度測定(デンシトメトリー)分析は、3重のブロット又はEMSAの平均である。(A)筋管を、PIF単独で(レーンAないしE)、又は50μMのHMBの存在下でのPIFで0(レーンA及びF)、2.1(レーンB及びG)、4.2(レーンC及びH)、10.5(レーンD及びI)又は16.8nMのPIF(レーンE及びJ)の濃度で処理した。(B)及び(C)において、筋管を0、2.1、4.2、10.5又は16.8nMのPIFで、25μMのHMB(B)又は50μMのHMB(C)のない場合(黒い棒)又はある場合(白い棒)で処理した。
【0031】
β−ヒドロキシ−β−メチル酪酸又はβ−ヒドロキシ−イソ吉草酸とも呼ばれるHMBという語は、(CH3)2(OH)CCH2COOHとしてのHMBの遊離酸形態に表されることができる。HMBは、筋中でのα−ケトイソカプロン酸(KIC)へのアミノ基転移後に、HMBを供与するために肝臓のサイトゾル中でのKICの酸化によって形成されるロイシンの代謝産物である。
【0032】
「大型中性アミノ酸」という語は、ロイシン、イソロイシン、バリン、チロシン、スレオニン及びフェニルアラニンを指す。アミノ酸は、タンパク質の構築ブロックである。アミノ酸は、カルボキシル基(COOH)及び化合物の末端にある同一炭素へ結合されるアミノ基(NH2)の存在によって特徴付けられる。
【0033】
「遊離アミノ酸において実質的に欠失している」という語は、組成物の毎日の投与量における総遊離アミノ酸含有量が0.4g未満である組成物を指す。例えば、もし生成物が1日当たり1缶の速度で供給されるよう企図されれば、生成物の1缶は遊離アミノ酸の総計0.4g未満を含有する。問題のアミノ酸は、以下の化合物の1つ以上からなる自然発生的に生じるL−異性体である。すなわち、L−アラニン、L−アルギニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−システイン(又はL−シスチン)、L−グルタミン酸、L−グルタミン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン及びL−バリン、又はそれらの食品上若しくは医薬的に許容可能な塩、エステル、塩又は誘導体(メチル又はエチルエステルなど)である。
【0034】
「カヘキシー」という語は、一般的な疾病状態及び栄養不良の状態を指す。カヘキシーは、悪性癌としばしば関係付けられ悪性癌によって誘発され、食欲低下、体重、特に除脂肪体重の低下、及び筋の消耗によって特徴付けられる。
【0035】
「脂肪酸」という語は、炭化水素鎖を有するカルボン酸のファミリーを指し、一般に約12個ないし24個の炭素長である。(二重結合を有する)不飽和のとき、脂肪酸などの炭化水素鎖における少なくとも一箇所が第一の二重結合の位置によって命名される。ω−3脂肪酸は、鎖のメチル末端から3番目の炭素で最初の二重結合を有し、それらにはα−リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸(「EPA」)、ドコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸(「DHA」)及びそれらの類似物が含まれるがそれには限定されない。ω−6脂肪酸は鎖のメチル末端から6番目の炭素で最初の二重結合を有し、それらにはリノール酸、γ−リノレン酸、アラキドン酸(「AA」)、及びそれらの類似物が含まれるがそれらには限定されない。
【0036】
本明細書で使用される「食品」という語は、脂肪、アミノ窒素及び炭水化物の1つ以上を含有する送達担体を指し、栄養的な補助のいくつか又はすべてを、推奨される1日量で患者に提供する。しばしば、食品は、食品置換物、医用食品、サプリメントへバランスの取れた栄養を提供するため、ビタミン、ミネラル、微量ミネラル及びそれらの類似物を含有するであろう。食品は、飲料、粉末、バー、ジュース、炭酸飲料、ミネラルウォーター(bottled water)などの任意の典型的な形態とすることができる。
【0037】
「基準1日摂取量又はRDI」という語は、栄養所要量に基づいた、必須ビタミン及びミネラルについての食事基準の1セットを指す。推奨栄養所要量は、最新の科学的知識を反映するように、周期的に更新される、米国科学アカデミーにより確立される概算された栄養所要量の1セットである。
【0038】
「患者」という語は、ヒト、イヌ、ネコ、及びその他の非反芻動物を指す。
【0039】
本願における数の範囲に対するいずれの表記も、「約」という形容詞によって修飾されるものと考慮されるべきである。さらに、いずれの数の範囲も、その範囲のサブセットを志向する請求項についての対応を提供するよう考慮されるべきである。例えば、1から10までという範囲の開示は、明細書及び特許請求の範囲における対応を1ないし10の範囲におけるいずれかのサブセット(すなわち、2ないし9、3ないし6、4ないし5、2.2ないし3.6、2.1ないし9.9、等)へ提供すると考えるべきである
【0040】
操作の何らかの特定の理論に本発明を限定することを意図するものではないが、出願者は推測されるメカニズムを以下に記載する。
【0041】
極端な必要性(例、飢餓など)の場合、骨格筋はしばしば、アミノ酸及びエネルギーの貯蔵庫として身体によって使用される。このことは、筋におけるタンパク質分解の上方制御及びタンパク質合成の下方制御によって仲介される。その正味の結果は、必須なシステムの維持において使用するための、一般的な循環へのアミノ酸の筋からの放出である。良好な健康状態及び適切な栄養上の利用可能性が回復されるとき、筋は再構築される。カヘキシーの場合、このシステムは不適切に活性化され、そのため、栄養上適切な場合でさえ、筋組織タンパク質は分解され続ける。
【0042】
不適切に活性化された鍵となるタンパク質分解系の1つは、ユビキチンプロテオソーム系である。正常に機能しているとき、この系は、老化したタンパク質、又は、何らかの様式で、損傷を受け、若しくはもはや必要とされていないタンパク質を認識し、ユビキチンとの結合を介して除去するためにタンパク質をマークする。このようなユビキチン化したタンパク質は、プロテオソームによって認識され、分解され、遊離ユビキチン及びペプチド及び遊離アミノ酸をエネルギー消費過程において放出する。この系を活性化又は上方制御するシグナル伝達分子は多く存在し、それには特定のカヘキシー誘発腫瘍によって生じるタンパク質因子であるタンパク質分解誘発因子(PIF)が含まれる。PIFの筋細胞への結合は、ホスホリパーゼA(PLA)の上方制御を生じる。これが順に、タンパク質キナーゼCを最終的に活性化するシグナル伝達因子を生じ、ユビキチン共役についての及びプロテオソームの特定のサブユニットについての(核因子κB、NFκBを介する)遺伝子の活性化を生じる。このシグナル伝達の全体の正味の結果は、ユビキチンプロテオソーム系の上方制御であり、及び筋における不適切な持続されたタンパク質分解である。図1は、この活性化シーケンスの詳細な経路を示す。
【0043】
タンパク質キナーゼC
タンパク質キナーゼCは、カルシウム及び脂質により活性化されるセリン−スレオニンキナーゼのファミリーであり、多くの細胞内シグナル伝達カスケードにおいて重要な役割を担う。少なくとも12個の異なるPKCアイソタイプがあり、それらはその一次構造及び生化学的特性に基づいて3つのクラスへ分類される(CA Carter:“Protein kinase C as a drug target:Implications for drug or diet prevention and treatmento of cancer.”Current Drug Targets 1: 163−183 (2000))。これらは、活性化のためにジアシルグリセロール、ホスファチジルセリン及びカルシウムを要する従来型(cPKCα、βI、βII及びγ)、ジアシルグリセロール及びホスファチジルセリンを要するがカルシウムとは無関係の新規型(nPKCδ、ε、η、θ及びμ)、並びにカルシウム及びジアシルグリセロールとは無関係の非定型(aPKCλ、τ及びζ)である。
【0044】
PKCは、膜結合型酵素前駆体として合成される。タンパク質分解性開裂による前駆配列の除去、及びその後のリン酸化は、膜からサイトゾルへ形質転換受容性酵素を放出する。その後の活性化因子の独特のセットとの相互作用は活性型酵素を生じる。したがって、可能な制御のいくつものレベルがあり、それには発現の調節、タンパク質分解プロセシングの調節、初期リン酸化事象の調節及び最終的には、完全な活性のために必要とされるさまざまな活性化因子のサイトゾルレベルの制御が含まれる。
【0045】
タンパク質キナーゼCは、細胞の有糸分裂誘発及び増殖、アポトーシス、血小板活性化、アクチン細胞骨格のリモデリング、イオンチャネルの修飾及び分泌にいたるシグナル伝達経路のいくつかにおいて関与する。さらに、PKCが腫瘍促進性ホルボールエステルに対す主要な受容体でもあるという他の知見は、この酵素の作用のメカニズムを研究するための重要な試薬を提供した。PKCは、炎症、心臓循環器系、末梢微小循環系、CNS、腫瘍学、免疫及び感染性の疾病状態に関与する経路を制御し、薬物開発のための重大かつ重要な標的として考慮される(P.G.Goekjian及びM.R.Jirousek:「Protein Kinase C in the Treatment of Disease:Signal Transduction Pathways, Inhibitors, and Agents in Development“、Current Medicinal Chemistry 6(9): 877−903, (1999); CA O’Brian、NE Ward, KR Gravitt及びKP Gupta:「The tumor promoter receptor protein kinaseC:A novel target for chemoprevention and therapy of human colon cancer.”、Growth Factors and Tumor Promotion: Implications for Risk Assessment、117ページ−120ページ、1995、Wiley−Liss社; F Battaini:“Protein kinase C isoforms as therapeutic targets in nervous system disease states.」、Pharmacological Research 44(5): 353−361、(2001); RN Frank:“Potential new medical therapies for diabetic retinopathy:protein kinase C inhibitors.”Am J Ophthalmol 133: 693−698 (2002); M Meier及びGL King:“Protein kinase C activation and its pharmacological inhibition in vascular disease.”Vascular Medicine 5: 173−185 (2000))。
【0046】
NFκB
核因子κB(NFκB)は、哺乳類細胞の幅広い種類で見られる転写因子のファミリーである。成熟分子は、次の5つの遺伝子産物(RelA (p65)、p50、RelB、c−Rel及びp52)の1つ又は2つから生成されるホモ二量体又はヘテロ二量体であり、そのもっとも共通のものはRelA及びp50の二量体である。非活性化条件下で、NFκBは、阻害性タンパク質IκBαとの会合によって、サイトゾルに局在化する。上流のシグナル伝達はIκBキナーゼを包含し、結合したIκBαのリン酸化はNFκBからのその放出を生じ、後者を核へと転移させ、特異的遺伝子転写を活性化させる。リン酸化したIκBαはユビキチン−プロテオソーム経路によって分解される。
【0047】
NFκBは、炎症と関連した重要な制御分子として広く認識される。したがって、NFκBは、急性及び慢性の両炎症性疾患において重要な役割を担う(AB Lentsch及びPA Ward:“Activation and regulation of NFκB during acute inflammation”Clin Chem Lab Med 37(3):205−208 (1999))。NFκBは、癌の転移などの他の疾病の特定の側面においても役割を担う(VB Andela, AH Gordon, G Zotalis, RN Rosier, JJ Goater, GD Lewis, EM Schwarz, JE Puzas及びRJ O’Keefe:“NFκB:A pivotal transcription factor in prostate cancer metastasis to bone”Clinical Orthopaedics and Related Research 415S: S75−S85 (2003))。この転写因子は、糖尿病症候群の発達(E.Ho及びTM Bray:“Antioxidants, NFκB activation and diabetogenesis”Proceedings of the Society for Experimental Biology and Medicine 222: 205−213 (1999))並びに免疫発達及び制御(J Moscat, MT Diaz−Meco及びP Rennert:“NFκB activation by proptein kinase C isoforms and B−cell function.”、EMBO Reports 4:31−36 (2003))において関与する。最後に、NFκBは、アポトーシスの、並びに成長及び分化における調節と関連している。実際、PIF(腫瘍により放出され、癌により誘発される除脂肪体重の低下に関与するタンパク質分解誘発因子)は、胚発生の制御因子であると考えられており、最終的にNFκBを通じてシグナル伝達カスケードの引き金を引く(F Delfino及びWH Walker:“Hormonal regulation of the NFκB signaling pathway.”、Molecular and Cellular Endocrinology 157: 1−9 (1999); TM Watchorn, I Waddell, N Dowidar及びJA Ross:“Proteolysis−inducing factor regulates hepatic gene expression via the transcription factor NFκB and STST3.”、FASEB J 15: 562−564 (2001))。
【0048】
PLAの活性化から生じるシグナル伝達の阻害、特にアラキドン酸(AA)の放出を介してカヘキシーに及ぼすEPAの有利な効果をEPAが発揮することも周知である。このことは、初期のシグナル伝達事象を除去することによって、ユビキチン−プロテオソーム経路のその後の上方制御及び活性化を予防する。HMBは、PLAの活性化又はAAの放出を予防しない一方で、タンパク質キナーゼCの上方制御を予防し、シグナル伝達経路におけるその後の活性化すべてを予防し、最終的に、ユビキチン−プロテオソーム系の活性化も予防する。
【0049】
HMB単独は腫瘍の成長速度を低下でき、EPAの最適下の投与量レベルと組み合わせて抗悪液性効果を増強することができることはいまや驚くべきことに及び予期せぬことに発見されている。EPA及びHMBの組み合わせは、ユビキチン−プロテアソームタンパク質分解経路の重要な制御構成要素の発現の亢進の下方制御を通じてタンパク質分解を減弱することによって、筋重量を保存する。
【0050】
「HMB」という語は、その遊離酸及び塩の両形態にある、前述の化学式を有する化合物、その代謝産物及び誘導体を指す。HMBのいずれかの適切な形態が本発明に関連して使用できるが、好ましくはHMBが、遊離酸、塩、エステル、及びラクトンからなる群から選択され、より好ましくはHMBが塩である。
【0051】
HMBのいずれかの医薬的に適切な塩が本発明の脈絡内で使用できるが、好ましくはHMB塩が患者の胃又は腸において水溶性であるか又は水溶性になる。より好ましくは、HMB塩はナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、クロム塩、及びカルシウム塩からなる群から選択される。最も好ましくは、HMB塩はカルシウム塩である。しかしながら、他のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩などの他の非毒性塩が使用できる。
【0052】
同様に、いずれかの医薬的に許容可能なエステルは、本発明において使用できる。望ましくは、HMBエステルは、その遊離酸の形態でHMBへ迅速に変換される。好ましくは、HMBエステルはメチルエステル又はエチルエステルである。HMBメチルエステル及びHMBエチルエステルはHMBの遊離酸形態へ迅速に変換される。
【0053】
同様に、いずれかの医薬的に許容可能なラクトンは、本発明において使用できる。望ましくは、HMBラクトンは、その遊離酸の形態でHMBへ迅速に変換される。好ましくは、HMBラクトンはイソバラリルラクトン又は同様のラクトンである。このようなラクトンはHMBの遊離酸形態へ迅速に変換される。
【0054】
HMB及びその誘導体を生成するための方法は本分野で周知である。例えば、HMBはジアセトンアルコールの酸化によって合成できる。ある適切な手法は、Coffmanほか、J.Am.Chem.Soc.80: 2882-2887 (1958)によって記載されている。そこに記載されるように、HMBはジアセトンアルコールのアルカリ性の次亜塩素酸ナトリウムの酸化によって合成される。生成物を遊離酸の形態で回収し、それを望ましい塩へ変換できる。例えば、3−ヒドロキシ−3−メチル酪酸(HMBA)を、冷次亜塩素酸塩水溶液(漂白剤)を使用する酸化を介してジアセトンアルコール(4−ヒドロキシ−4−メチルペンタン−2−オン)から合成できる。HClを使用して反応混合物を酸性化した後、HMBA生成物を、酢酸エチルを使用する抽出によって回収し、抽出混合物から有機層を分離及び保持する。酢酸エチルを蒸発により除去し、残渣をエタノールに溶解する。Ca(OH)2の添加及び冷却後、結晶性CaHMBをろ過により回収でき、結晶をエタノールで洗浄した後に乾燥させる。あるいは、HMBのカルシウム塩はSalt Lake City,UtahにあるTSIから商業的に入手可能である。
【0055】
癌患者における栄養的な補助は、(i)適切に栄養を供与された患者における栄養の悪化を予防するよう、又は最終的な療法の前に欠亡した患者にリハビリさせるよう栄養的な補助が開始される支持的なもの、(ii)治療上の計画における統合的な役割を栄養的な補助が担う付属的なもの、及び(iii)積極的な栄養的な補助が患者の存在にとって必要とされる決定的なもの、として分類できる。栄養的な補助を提供するための経路には、経口食、チューブ摂食及び末梢若しくは全身的非経口栄養がある。本発明の栄養的方法及び組成物についての好ましい実施態様は、経口経路によるものである。
【0056】
経口摂食に替わるものとして、鼻腔胃、鼻腔十二指腸、食道瘻造設術、胃瘻造設術又は空腸瘻造設術のチューブによるチューブ摂食である。
【0057】
HMBが患者の除脂肪体重に及ぼす有益な効果は、多くの方法において達成できる。所望であれば、HMBは単独で、担体なしで投与してもよい。HMBは水に単純に溶解され、患者によって消費されてもよい。あるいは、HMBは、食物上に振り掛けられ、コーヒーに溶解されるなどしてもよい。患者のための総1日投与量は幅広く変動するであろうが、典型的には患者はHMBの少なくとも2g/日を消費することから利益を得るであろう。あるいは、20mg/kg/日ないし40mg/kg/日である。
【0058】
更なる実施態様において、HMBはピル、カプセル、迅速に溶解される錠剤、トローチ剤などへと組み込まれてもよい。活性投与量は幅広く変動できるが、典型的には1回の投与当たり250mgないし1gの範囲であり、患者は2回ないし8回の投与を1日に消費し、最低2g/日の目標を達成するであろう。このような剤形を調製するための方法は本分野で周知である。読者の注意は、このような剤形を調製する方法に関するガイダンスについてのRemingtons Pharmaceutical Sciencesの最新版へ向けられる。
【0059】
HMBは、単回実体として投与されてもよいが、典型的には、食品へ組み込まれ、患者の食事又は間食の間に患者によって消費されるであろう。もし望めば、患者は彼らが通常食事に振り掛け、コーヒーに溶解するなどによって消費する食事のレシピを単純に修正してもよい。
【0060】
更なる実施態様において、HMBは、その嗜好性を増強し、代替形態の選別を増加させるよう特に企図された飲料、バー、クッキーなどへ組み込まれ、それにより患者/消費者の受容を増強するであろう。
【0061】
典型的に、HMBは、Ensure(R)、Boost(R)、Glucema(R)、Pediasure(R)、Pedialyte(R)等の食事置換飲料へと組み込まれるであろう。HMBは、PowerBars(R)、Glucema(R)バー、Choice DM(R)バー、Ensure(R)バー、及びBoost(R)バー等の食事置換バーへも組み込まれてもよい。あるいは、HMBは、ジュース、炭酸飲料、ミネラルウォーターなどへ組み込まれてもよい。さらに、HMBは、癌、HIV/エイズ、COPD、関節炎等の特定の疾病状態を支援するよう企図されたProSure(R)、Promote(R)、Jevity(R)及びAdvera(R)などの医用栄養剤へと組み込まれてもよい。このような食品のいずれかを製造するための方法は、当業者に周知である。以下の論議は、このような食品及びそれらの調製を説明するように意図される。
【0062】
たいていの食事置換製品(すなわちバー又は液体)は、脂肪、炭水化物、及びタンパク質由来のカロリーを提供する。これらの製品はそれらが一つの栄養源として使用するのに適しているよう企図されるため、ビタミン及びミネラルも典型的に含有する。これらの食事置換製品が栄養の単一源として提供されてもよいが、典型的には、それらは提供されない。個人は1日に1回又は2回の食事を置換するために、又は健康的なスナックを提供するためにこれらの製品を消費する。本発明の栄養補助製品はこれらの実施態様のいずれかを包含するよう解釈されるべきである。
【0063】
これらの栄養補助成分の量は、標的とされる患者集団(すなわち、癌、HIV/エイズ、関節炎、感覚受容性考慮、文化的優先度、使用、等)によって幅広く変動しうる。しかしながら、一般的な制限のないガイドラインとして、本発明の食事置換製品は、(総カロリーの相対的な割合に基づいた)タンパク質、脂肪、及び炭水化物の以下の相対的な量を含有するであろう。すなわち、総カロリー含有量の5%ないし80%を提供するタンパク質成分、総カロリー含有量の10%ないし70%を提供する炭水化物成分、及び総カロリー含有量の5%ないし50%を提供する脂質成分である。
【0064】
食事置換物は、栄養処方を調製する当業者に公知のように、適切な炭水化物、脂質及びタンパク質を含有するであろう。適切な炭水化物には、トウモロコシ、タピオカ、コメ又はジャガイモを原材料とするワックス形態又は非ワックス形態にある加水分解された、無処置の、天然修飾される、及び/又は化学的に修飾されるデンプン、及びグルコース、果糖、ラクトース、ショ糖、マルトース、高濃度果糖トウモロコシシロップ、トウモロコシシロップ固体、フラクトオリゴ糖、及びそれらの混合物などの糖が含まれるが、それらには限定されない。
【0065】
適切な脂質には、やし油、大豆油、トウモロコシ油、オリーブ油、ベニバナ油、高オレインベニバナ油、MCT油(中鎖トリグリセリド)、ヒマワリ油、高オレインヒマワリ油、パーム油、パームオレイン、アブラナ油、綿実油、魚油、パーム殻粒油、メンヘイデン(menhaden)油、大豆油、レシチン、アラキドン酸及びドコサヘキサエン酸の脂質源、及びそれらの混合物が含まれるが、それらには限定されない。アラキドン酸及びドコサヘキサエン酸の脂質源には、海洋油(marine oil)、卵黄油、及び真菌油若しくは藻類油が含まれるが、それらには限定されない。
【0066】
これらの脂肪の数多くの商業源は容易に入手可能であり、当業者に公知である。例えば、大豆油及びアブラナ油はDecartur, IllinoisのArcher Daniels Midland社から利用可能である。トウモロコシ油、やし油、パーム油、及びパーム穀粒油はPortland, OrganのPremier Edible Oils Corporationから入手可能である。精製やし油は、LaGrange, IllinoisのHenkel Corporationから入手可能である。高オレインベニバナ油及び高オレインヒマワリ油は、Eastlake, OhioのSVO Specialty Productsから入手可能である。海洋油は、日本の東京の持田インターナショナルから入手可能である。オリーブ油は、英国のNorth HumbersideのAngila Oilsから利用可能である。ヒマワリ油及び綿実油は、Minneapolis, MinnesotaのCargilから利用可能である。ベニバナ油は、Richmond, CaliforniaのCalifornia Oils Corporationから利用可能である。
【0067】
これらの食品級の油に加えて、調整脂質が、もし望めば食品へ組み込まれてもよい。調整脂質は本分野で公知である。調整脂質の簡潔な記載は、調整脂質は脂肪適合化を可能にするという表題でINFORM, Vol.8, No.10, 1004ページ(1997年10月)に見られる。又、米国特許第4,871,768号を参照してほしい。調整脂質は主に、同一グリセロール核の中鎖脂肪酸及び長鎖脂肪酸の混合物を含有するトリアシルグリセロールである。調整脂質及び経腸処方におけるそれらの使用は米国特許第6,194,379号及び第6,160,007号にも記載されている。
【0068】
必要に応じて、ω−3脂肪酸は油配合物の約30%を含んでもよく、好ましくは、ω−3脂肪酸はエイコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸から主としてなる。栄養組成物の調製において使用される食用油は、トリグリセリドの形態にあるω−3脂肪酸を一般に含有し、それにはアブラナ油、中鎖トリグリセリド、魚油、大豆油、大豆レシチン、トウモロコシ油、ベニバナ油、ヒマワリ油、高オレインヒマワリ油、高オレインベニバナ油、オリーブ油、ルリヂサ油、クロスグリ油、マツヨイグサ油及び亜麻仁油が含まれるが、それらには限定されない。必要に応じて、本発明に記載の脂質配合物におけるω−6脂肪酸とω−3脂肪酸との重量比は約0.1ないし3.0である。ω−3脂肪酸の毎日の送達は少なくとも450mgであるべきであり、個体の体重、性別、年齢及び医学的状態によって変動してもよい。前述のように、より高いレベルが成人の消費に対して望ましく、例えば毎日約0.5gないし50g、より好ましくは毎日約2.5gないし5gである。
【0069】
ω−3脂肪酸及びHMBを組み合わせることの予期せぬ利点は、食事置換物の味における改善である。ω−3脂肪酸の典型的な供給源は魚油及び藻類油である。各供給源は、食事置換製品へ不快な香りをもたらす。本発明者は、HMBを添加することによって、製品中のω−3脂肪酸の最適量以下の低いレベルを使用するときでさえ、不随意的な体重低下を予防することに関する同一又はより良好な臨床結果が得られうることを発見した。結果的に発明者は、ω−3脂肪酸及びHMBのレベル間に逆の関係があることを発見した。例えば、もしω−3脂肪酸の効果的な投与量が食事置換物2缶に送達される3gであれば、同一の臨床結果は、2缶に送達されるω−3脂肪酸の2g及びHMBの1gを含有するよう処方される製品において、又は2缶に送達されるω−3脂肪酸の1g及びHMBの2gを含有するよう処方される製品において見られるであろう。ω−3脂肪酸の1gのみを含有するよう処方される製品は、同一の臨床的な有効性に達しながらω−3脂肪酸の2g又は3gで処方される製品よりも非常により良好な味であろう。さらに、ω−3脂肪酸は炎症の仲介物質であるAAの公知の阻害剤であるため、ω−3脂肪酸及びHMBを含有する製品は、成分のいずれかを単独で含有するものよりも幅広い利点を有しうるであろう。
【0070】
適切なタンパク質源には乳、乳清及び乳清画分、大豆、米、食肉(例、牛肉)、動物及び野菜(例、エンドウ、ジャガイモ)、卵(卵アルブミン)、ゼラチン及び魚があるがそれらには限定されない。適切な無処置のタンパク質源には、大豆ベース、乳ベース、カゼインタンパク質、乳清タンパク質、米タンパク質、牛肉コラーゲン、エンドウタンパク質、ジャガイモタンパク質、及びそれらの混合物が含まれるが、それらには限定されない。
【0071】
必要に応じて、無処置のタンパク質源は、バリン、イソロイシン、ロイシン、スレオニン、チロシン及びフェニルアラニンを含む大型中性アミノ酸(LNAA)に富んでいる。典型的には、カゼイン、乳清及び大豆のタンパク質源の約40%が大型中性アミノ酸である。例えば、カゼインは約38重量%のLNAAを含有し、乳清タンパク質濃縮物は約39重量%のLNAAを含有し、大豆タンパク質単離物は約34重量%のLNAAを含有する。典型的には、食事置換物は、1日当たりLNAAの約1gないし25g、好ましくは1日当たりLNAAの約1gないし20g、より好ましくは1日当たりLNAAの約4gないし20gを送達するであろうタンパク質源とともに処方される。一例として、4.8gのLNAAを含むタンパク質を含有する1日に3回消費される食事置換物は、1日当たり14.4gのLNAAを送達するであろう。
【0072】
食事置換物は、処方を受容する人の1日栄養所要量を供給又は補充するよう企図された量でビタミン及びミネラルも好ましく含有する。当業者は、栄養処方にはしばしば、製品の保存期間の間、目標とするレベルに適合するのを確実にするための特定のビタミン及びミネラルの賞味期限があることを認識する。当業者は、患者が苦しむいずれかの潜在的な疾患又は疾病による、人々にとって有力な利益を特定の微量成分が有するかもしれないことも認識する。例えば、癌患者はβカロテン、ビタミンE、ビタミンC及びセレンなどの抗酸化剤から利益を得る。食品には好ましくは以下のビタミン及びミネラルが含まれるがそれらには限定されない。すなわち、カルシウム、リン、ナトリウム、塩化物、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、セレン、ヨウ素、クロム、モリブデン、条件つきで必須栄養素であるm−イノシトール、カルニチン及びタウリン、及びビタミンA、C、D、E、K及びB複合体、及びそれらの混合物である。
【0073】
条件付きで必須栄養素であるカルニチンは、メチオニン及びリジンから形成される、天然に存在するアミノ酸である。その主要な代謝上の役割は、ミトコンドリア膜を通過する長鎖脂肪酸を輸送し、したがって、代謝エネルギーのためのこれらの燃料物質の酸化を刺激することと関連する。カルニチン補充は、肝臓及び腎臓の疾患、並びに栄養不良によって複雑になる主要慢性疾患又は広範囲の損傷などの状態における重要な代謝上のツールである。必要に応じて、食事置換物は、カルニチンの4g/日まで供給するのに十分なレベルでカルニチンにより補充されてもよい。
【0074】
食事置換物は、繊維及び安定剤も含有してもよい。繊維及び/又は安定剤の適切な源には、キサンタンガム、グアーガム、アラビアガム、ゴートガム、カラヤガム、トラカカンスガム(gum tracacanth)、アガー、フルセララン(furcellaran)、ゲランガム(gellan gum)、イナゴマメガム、ペクチン、低及び高メトキシペクチン、カラスムギ及び大麦グルカン、カラゲナン、サイリウム、ゼラチン、微結晶性セルロース、CMC(カルボキシメチルセルロースナトリウム)、メチルセルロースヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、DATEM(モノグリセリド及びジグリセリドの酒石酸ジアセチルエステル)、デキストラン、カラゲナン、FOS(フラクトオリゴ糖)、及びそれらの混合物である。可溶性食物繊維の多くの商業源が入手可能である。例えば、アラビアゴム、加水分解されたカルボキシメチルセルロース、グアーガム、ペクチン並びに低及び高メトキシペクチンがBelCamp,MarylandのTIC Gums社から入手可能である。カラスムギグルカン及び大麦グルカンは、Omaha,NebraskaのMountain Lake Specialty Ingredients社から入手可能である。サイリウムは、North Bergen,New JerseyのMeer Corporationから入手可能であるのに対し、カラゲナンは、Philadelphia,PennsylvaniaのFMC Corporationから入手可能である。
【0075】
組み込まれた繊維は、カラスムギ穀皮繊維、エンドウ穀皮繊維、大豆穀皮繊維、大豆子葉繊維、テンサイ繊維、セルロース及びトウモロコシふすまを代表例が含む不溶性食物繊維であってもよい。不溶性食物繊維のための多くの源も入手可能である。例えば、トウモロコシふすまはChicago,IllinoisのQuaker Oatsから入手可能であり、カラスムギ穀皮繊維はCambridge,MinnesotaのCanadian Harvestから、エンドウ穀皮繊維はWinnipeg,カナダのWoodstone Foodsから、大豆穀皮繊維及びカラスムギ穀皮繊維はLaVale,MarylandのThe Fibrad Groupから、大豆子葉繊維はSt.Louis,MissouriのProtein Technologies Minneapolisから、テンサイ繊維はMinneapolis,MinnesotaのDelta Fiber Foodsから、セルロースはSaddle Brook,New JerseyのJames River社から入手可能である。
【0076】
繊維の例のより詳細な論議及び食品へのそれらの組み込みは、Garlebほかの発行した米国特許第5,085,883号に見出されるかもしれない。
【0077】
処方で利用される繊維の量は変動できる。利用される繊維の特定のタイプは決定的ではない。人間の消費に適し、食品のマトリクス中で安定であるいずれかの繊維が利用されてもよい。
【0078】
繊維に加え、食事置換物は、フラクトオリゴ糖(FOS)又はグルコオリゴ糖(GOS)などのオリゴ糖も含有してもよい。オリゴ糖は、大腸に生息する嫌気性微生物によって短鎖脂肪酸へと迅速かつ広範囲に発酵される。これらのオリゴ糖はたいていのビフィズス菌種のための優先的なエネルギー源であるが、クロストリジウムペルフィンゲン(Clostridium perfingen)、クロストリジウムディフィシレ、又は大腸菌などの潜在的に病原性の生命体によっては利用されない。
【0079】
典型的には、FOSは食事置換物の0g/回ないし5g/回を、好ましくは1g/回ないし5g/回を、より好ましくは食事置換物の2g/回ないし4g/回を含む。
【0080】
食事置換物は、その口に合いやすさを亢進するための香料も含有してもよい。人工甘味料は、香料を補完し塩味を隠すよう添加されてもよい。有用な人工甘味料には、サッカリン、ヌートラスイート(nutrasweet)、スクラロース、アセスルファン(acesulfane)−K(ace−K)、等がある。
【0081】
食事置換物は、当業者に周知の技術を使用して製造できる。さまざまな加工技術が存在する。典型的には、これらの技術には水及び以下のもの、すなわち炭水化物、タンパク質、脂質、安定剤、ビタミン及びミネラルのうちの1つ以上を含有してもよい1つ以上の溶液からのスラリーの形成が含まれる。HMBを、その他のミネラルの前に炭水化物スラリーへ典型的に添加する。スラリーを乳化し、均質化し、冷却する。さまざまな他の溶液は、加工前、加工後又は両者の時にスラリーへ添加されてもよい。次に、加工された処方を、滅菌し、粉末へと乾燥するために希釈し、即時供給ベースで利用し、又は濃縮された液体形態に包装してもよい。結果として生じる処方が即時供給液体又は濃縮液体であることを意味されるとき、滅菌前に水の適切な量を添加するであろう。
【0082】
バー、クッキー、等の固体組成物も、当業者に公知の技術を利用して製造されてもよい。例えば、それらは、本分野で公知の冷却押し出し成形技術を使用して製造されてもよい。このような組成物を調製するために、典型的に粉末化した構成要素のすべてを互いに乾燥配合するであろう。このような構成要素には典型的に、タンパク質、ビタミン予備混合物、特定の炭水化物等が含まれる。次に、脂溶性構成要素を互いに配合し、前述の粉末化した予備混合物と混合する。その後、最終的にいずれの液体構成要素も組成物へと混合し、プラスチック様の組成物又は生地を形成する。
【0083】
前述のプロセスは、冷却形成又は押し出し成形として公知の手段によって生じるさらなる物理的変化又は化学的変化がなく、後に成形できるプラスチック塊を供与するよう企図される。このプロセスにおいて、プラスチック塊は望ましい形状を付与するダイスを通じて比較的低圧で力を加えられる。次に、結果として生じる押し出し成形物を適切な位置で切断して、望ましい重量の製品を供与する。もし望めば、固体製品を次にコーティングして嗜好性を亢進し、分配のために包装する。典型的には、包装は末端消費者による使用(つまり、癌患者によって消費される、除脂肪筋の減少を予防するのを助ける、等)のための方向付けを提供するであろう。
【0084】
本発明の固体組成物は、シリアル、クッキー、及びクラッカーを製造するための焼き上げ適用又は加熱された押し出し成形を通じても製造されてもよい。当業者は、望ましい最終製品を製造するのに利用可能な多くの製造プロセスのうちの1つを選択できるであろう。
【0085】
前述のように、HMBは、ジュース、非炭酸飲料、炭酸飲料、電解質溶液、フレーバー水(以下、集約的に「飲料」)等へも組み込まれてもよい。HMBは、飲料の0.5g/杯ないし2g/杯を典型的に含むであろう。このような飲料を製造するための方法は、本分野で周知である。読者の注意は米国特許第6,176,980号及び第5,792,502号へ向けられ、各内容は参考文献によって本明細書に組み込まれる。例えば、HMBを含む成分はすべて、水の適切な量に溶解される。香料、着色料、ビタミン等が次に、必要に応じて添加される。次に、混合物を低温殺菌し、包装し、発送まで保存する。
【0086】
消耗又は炎症が心臓循環器、末梢微小循環、中枢神経系、腫瘍学、免疫及び感染性の疾病状態などと関連するいずれかの疾病は、本発明の方法に従って治療できる。好ましくは、疾病は、癌、カヘキシー、年齢関連消耗、長期入院と関連した消耗、HIV/エイズ、関節炎、外傷、肝疾患、クローン病又は他の炎症性腸疾患(IBD)、腎不全及びCOPD(慢性閉塞性肺疾患)からなる群から選択される。より好ましくは、疾病はカヘキシーである。
【0087】
本発明は、別の実施態様において、哺乳類など、好ましくはヒトの患者の疾病と関連した消耗の治療のための方法を提供する。方法は、患者へ前述の組成物を投与することを含み、組成物は疾病と関連した消耗を治療するのに十分な量でHMBを含み、組成物を患者へ投与すると、疾病と関連した消耗が治療される。
【0088】
ある患者における疾病と関連した消耗を治療するのに十分なHMBの量は、本分野で周知の方法に従って決定できる。患者の疾病と関連した消耗を治療するとき、望ましくは、HMBを含む組成物は、患者の除脂肪体重が患者の体脂肪量の減少を付随せずに増加するであろう量、様式、時間で、疾病と関連した消耗に苦しむ患者へ投与される。ヒトの癌カヘキシーと関連した消耗を治療する脈絡内にある一例は、組成物が最短2週間で1日に約2回経口投与されるとき、投与量は少なくとも2gHMB/日を提供するのに十分である。
【0089】
本発明は、別の実施態様において、哺乳類など、好ましくはヒトの患者において腫瘍成長速度を低下させるための方法を提供する。方法は、患者へ前述の組成物を投与することを含み、組成物は腫瘍成長速度を低下するのに十分な量でHMBを含み、組成物を患者へ投与すると、腫瘍成長速度が低下する。
【0090】
ある患者において腫瘍成長を減退させるのに十分なHMBの量は、本分野で周知の方法に従って決定できる。患者における腫瘍成長を治療するとき、望ましくは、HMBを含む組成物は、患者の腫瘍成長速度が低下するであろう量、様式、時間において、腫瘍成長に苦しむ患者へ投与される。成人における腫瘍成長を治療する脈絡内での一例は、組成物が最短2週間で1日に約2回経口投与されるとき、投与量は少なくとも約2gHMB/日を提供するのに十分である。
【0091】
本発明は、別の実施態様において、タンパク質キナーゼCの発現及び/又は活性を下方制御するための方法を提供する。実施例IないしIVは、EPA及びHMBの両者がタンパク質キナーゼC(PKC)のPIFにより誘発される活性化及び、その後のIκBαの分解及び核因子−κB(NF−κB)の核内蓄積を減退させたことを示す。
【0092】
本発明は、別の実施態様において、核因子−κBの発現及び/又は活性を下方制御するための方法を提供する。実施例IないしIVは、EPA及びHMBの両者がタンパク質キナーゼC(PKC)のPIFにより誘発される活性化及び、その後のIκBαの分解及び核因子−κB(NF−κB)の核内蓄積を減退させたことを示す。
【0093】
本発明は、別の実施態様において、核因子κBの発現及び/又は活性を下方制御するための方法を提供する。実施例1ないし4は、EPA及びHMBの両者が、タンパク質キナーゼC(PKC)のPIFにより誘発される活性化及びその後のIκBαの分解及び核因子−κB(NF−κB)の核内蓄積を減退させたことを示す。
【0094】
本発明は、別の実施態様において、ユビキチン連結酵素の発現及び/又は活性を下方制御するための方法を提供する。実施例1ないし4は、ユビキチン連結酵素の発現及び/又は活性の下方制御にはE214kユビキチン連結酵素の発現における低下が伴ったことを示す。EPA及びHMBの組み合わせはいずれかの治療単独と少なくとも同じ程度効果的であったか又はいずれかの治療単独よりも効果的であった。これらの結果は、EPA及びHMBの両者が、ユビキチン−プロテアソームタンパク質分解経路の重要な制御構成要素の発現の亢進の下方制御を通じてタンパク質分解を減弱させることによって、筋重量を保存する。
【0095】
本発明は、別の実施態様において、26Sプロテアソームの構成要素の発現及び/又は活性を下方制御するための方法を提供する。実施例1ないし4は、「キモトリプシン様」酵素活性によって決定されるプロテアソーム活性がHMBによって減弱したことを示す。20Sα−サブユニット又はβ−サブユニットのタンパク質発現は、19Sプロテアソーム制御サブユニットのATPaseサブユニットであるMSS1及びp42と同様、少なくとも50%まで低下した。
【実施例1】
【0096】
癌カヘキシーを有する動物における体重低下の予防及びタンパク質分解の減退。
【0097】
本研究は、MAC16腫瘍によって誘発される体重低下に関して、EPAとの比較で又は組み合わせでのHMBの効果及び関与したメカニズムを査定する。MAC16腫瘍により誘発される体重低下はPIFにより主として誘発される。
【0098】
純系雄NMRIマウス(平均体重25g)を我々独自の交配コロニーから得、MAC16腫瘍の断片を脇腹へ、トロカールによって皮下移植し、Bibby,M.C.ほかによる、「レシピエント動物においてカヘキシーを生じるマウス結腸の移植可能な腺癌の特徴づけ」、J.Natl.Cancer Inst., 78: 539−546, 1987に記載のように、体重低下の確立されたドナー動物から選択した。移植された動物にラット及びマウス飼育食(Special Diet Services, Witham,英国)及び水を自由摂取で給餌し、体重低下は腫瘍移植10日ないし12日後に明白であった。図の凡例に記載されるように、胃管栄養法によって経口投与される(オリーブ油中の)EPA、(PBS中の)HMB又はこれらの組み合わせのいずれかを毎日受容するよう、一方、コントロール動物はオリーブ油又はPBSのいずれかを受容するよう、体重低下の発達の直前の動物を無作為に分けた。EPA(遊離酸として98%)を米国PAのBiomol Research Laboratories社から購入した。(カルシウム塩としての)HMBを米国Columbus,OhioのAbbott Laboratoriesから得た。すべての群は最低6匹のマウスを含有した。腫瘍の体積、体重並びに餌及び水の摂取量を毎日モニターした。体重低下が25%に達したとき、動物を頸部脱臼により屠殺し、すべての研究を実験動物の取り扱い及び使用のためのUKCCR指針に従って実施した。ヒラメ筋を無処置の腱とともに迅速に摘出し、タンパク質分解の決定前に等張性の氷冷塩類溶液中に維持した。
【0099】
摘出されたヒラメ筋を即時、腱を介してアルミニウムワイヤ支持体へほぼ静止長で固定して筋の短縮を予防し、5mMグルコース及び0.5mMシクロヘキシミドを含有する、酸素化された(95%酸素:5%二酸化炭素)クレブス−ヘンスレイ(Henseleit)炭酸水素緩衝液(pH7.4)の3ml中で45分間予備インキュベートした。Waalkes,T.P.ほか、血漿及び組織におけるチロシンの概算のための蛍光測定方法、J.Lab.Clin.Med., 50: 733−736, 1957に記載のように、2時間にわたるチロシンの放出によってタンパク質分解を決定した。
【0100】
機能的プロテアソーム活性を、プロテアソームのβサブユニットの有力なタンパク質分解活性である「キモトリプシン様」酵素活性を、Orino,Eほかの方法(ヒトHL−60細胞におけるユビキチン化したタンパク質を分解する26S複合体を形成するためのプロテアソームの複数のタンパク質構成要素とのATP依存性可逆的会合、FEBS Lett. 284: 206−210, 1991)に従って測定することによって決定した。筋を氷冷PBSですすぎ、細かく刻み、20mMトリスHCl、pH7.5、2mMATP、5mMMgCl2及び1mMDTT中で超音波処理した。超音波処理したものを次に、18,000gで4℃において10分間遠心分離し、上清を使用して、蛍光源基質であるスクシニル−LLVY−アミノメチルクマリン(AMC)からのAMCの放出によって「キモトリプシン様」酵素活性を決定した。プロテアソーム特異的阻害剤であるラクタシスチン(10μM)の有無の下で活性を測定した。ラクタシスチン抑制可能活性のみをプロテアソーム特異的であると考慮した。
【0101】
ウェスタンブロッティングのため、前述のアッセイから得られたヒラメ筋サイトゾルタンパク質(2μgないし5μg)の試料を10%SDS−PAGEで分離し、PBS中の5%マーヴェルでブロッキングしておいた0.45μmのニトロセルロース膜(Hybond(R)、Amersham Life Science Products, Bucks,英国)へ転写した。MSS1及びp42についての一次抗体を1:5000の希釈で使用し、20Sプロテアソームαサブユニットについては1:1500の、βサブユニットについては1:1000の希釈で使用したのに対し、E214kについての抗体を1:500の希釈で使用した。二次抗体を1:2000の希釈で使用した。20Sプロテアソームサブユニットα1、2、3、5、6及び7(クローンMCP231)、20Sプロテアソームサブユニットβ3(HC10)、19S制御因子ATPaseサブユニットRpt1(S7, Mss1; クローンMSS1−104)及び19S制御因子ATPaseサブユニットRpt4(S106, p42; クローンp42−23)に対するマウスモノクローナル抗体をAffiniti Research Products, Exeter,英国から購入した。ユビキチン連結酵素E2に対するウサギポリクローナル抗血清(抗UBC2抗体)はSimon Wing博士、McGill University,Montreal,Quebec,カナダから送られたものであった。ペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ウサギ及びウサギ抗マウス二次抗体は、Dako社(Cambridge、英国)製であった。インキュベーションを室温で2時間実施し、化学発光(ECL; Amersham)により現像した。
【0102】
MAC16腫瘍を有するマウスにおける体重低下に及ぼすHMBの投与量−反応関係を図2に示す。0.125g/kgよりも多量のHMBの投与量は、体重低下における有意な縮小を生じた(図2A)。コントロール群との差異を、a、p<0.05; b、p<0.01及びc、p<0.005として示す。体重低下の減退には、摂餌量及び摂水量における変化は伴わなかった。0.25g/kgの投与レベルをすべてのその後の実験のために選択した。MAC16悪液性腫瘍を有するマウスにおける体重低下に及ぼすHMB、EPA及びHMBとEPAとの組み合わせの効果を図3に示す。コントロール群との差異を、a、p<0.05; b、p<0.01又はc、p<0.005として示す。HMBとの相互作用を研究するために、EPAの最適下の投与量を選択した。実験はすべて、ヒラメ筋重量における有意な増加(図4A)、及びチロシン放出における有意な減少(図4B)を生じ、これらは総タンパク質分解における減少を示す。PBSコントロール群との差異を、a、p<0.05; b、p<0.01及びc、p<0.005として示す。選択された投与量において、HMBはEPAと同程度に効果的であった。
【0103】
プロテアソーム発現は、MAC16腫瘍を有するマウスの腓腹筋で亢進するのが示され、この遺伝子発現の亢進はEPAによって減退されることが示された。図5における結果は、「キモトリプシン様」酵素活性によって決定される機能的プロテアソーム活性が、選択された投与量でEPAと同一の程度までHMBにより減退され、HMBとEPAとの組み合わせは活性において更なる減退を生じなかったことを示す。コントロールとの差異をc、p<0.005として示す。プロテアソームサブユニットのタンパク質発現を、超音波処理した筋組織由来の上清のウェスタンブロッティングにより分析した。20Sプロテアソームの構造的ユニットであるプロテアソームαサブユニットの発現をHMB及びEPAの両者によって減退させ、組み合わせについてのバンド2の更なる減少のいくらかの徴候があった(図6A)。コントロールとの差異をc、p<0.001として示す一方、HMBとの差異をe、p<0.01として示す。20Sプロテアソームの触媒作用サブユニットであるプロテアソームβサブユニットの発現もHMB及びEPAによって減退したが、組み合わせは、いずれかの因子単独よりも効果的であった(図6B)。コントロールとの差異をc、p<0.005として示す。
【0104】
19Sプロテアソーム制御複合体のATPaseサブユニットであるMSS1の発現を図7Aに示す。HMB及びEPAの両者はMSS1発現を減退させたが、組み合わせは更なる減少を生じるようではなかった。同様の結果を、20SプロテアソームのATP依存性会合を19S制御因子で促進して、26Sプロテアソームを形成する、19S制御因子の別のATPaseサブユニットであるp42で得た(図7B)。コントロールとの差異をc、p<0.005として示す。これも又、HMB及びEPAの両者は等しく効果的であるように見えたが、組み合わせはp42発現をさらに低下させるようには見えなかった。ユビキチン連結酵素E214kの発現もHMB及びEPAの両者によって低下したが、組み合わせは発現における更なる低下を生じた(図8)。コントロールとの差異をb、p<0.01及びc、p<0.001として示す一方、HMB単独との差異をd、p<0.05及びf、p<0.001として示す。これらの結果は、筋重量の減少、タンパク質の分解及びユビキチン−プロテアソーム分解経路の下方制御を減退させる上で、HMBがEPAと同程度に効果的であることを確認し、この機構は、MAC16腫瘍を有する悪液性マウスにおける筋重量の保存を生じるようである。
【0105】
本研究は、HMBがMAC16腫瘍を有するマウスにおけるカヘキシーの発達又は不随意的体重低下を減退させる上で効果的であることを示し、ユビキチン−プロテアソーム経路の発現の亢進を下方制御することによって、骨格筋におけるタンパク質分解の低下を生じた。したがって、20Sプロテアソームα及びβサブユニットのタンパク質発現を、19S制御因子の2つのサブユニットであるMSS1及びp42、及びE214kの発現及びプロテアソームのタンパク質分解活性と同様に低下させる上で、HMBはEPAと同様に効果的であった。
【実施例2】
【0106】
動物における腫瘍成長の減退。
【0107】
前述の実施例1において記載される動物研究は、MAC16悪液性腫瘍を有するマウスにおける腫瘍成長速度に及ぼすHMBの効果も評価した。本実験を実施例1に記載されるように実施した。
【0108】
MAC16腫瘍を有するマウスにおける腫瘍成長速度に及ぼすHMB単独の投与量−反応関係を図2Bに示す。コントロール群との差異を、a、p<0.05; b、p<0.01及びc、p<0.005として示す。0.125g/kgを超えるHMBの投与量は、腫瘍成長速度における有意な低下を生じた。腫瘍成長速度の減退には、摂餌量及び摂水量における変化は伴わなかった。
【実施例3】
【0109】
ネズミ筋管におけるタンパク質分解の減退。
【0110】
本研究は、ユビキチン−プロテアソームタンパク質分解経路の発現の亢進の減退のメカニズムを決定するため、ネズミ筋管におけるPIF誘発性タンパク質分解及びシグナル伝達経路に及ぼすHMBの効果を検討する。
【0111】
C2C12筋管を10%FCS、グルタミン及び1%ペニシリン−ストレプトマイシンで補充したDMEM中で、37℃で空気中にある10%CO2の大気下で慣例通り経代培養した。培地を2日ごとに交換しながら、コンフルエント培養物を2%HSを含有するDMEM中で分化させることによって、筋管を形成した。
【0112】
体重低下が20%ないし25%のマウスから摘出した固体MAC16腫瘍(Todorov,P.ほか、「癌悪液性因子の特徴づけ」、Nature、379: 739−742, 1996)からPIFを精製した。0.5mMフッ化フェニルメチルスルホニル、0.5mMEGTA及び1mMジチオスレイトールを含有する10mMトリス−HCl、pH8.0中に5ml/g腫瘍の濃度で腫瘍を均質化した。固体硫酸アンモニウムを40%(w/v)まで添加し、硫酸アンモニウムの除去後の上清を、Todorov,Pほか、「腫瘍生成物による筋タンパク質分解および体重低下の誘発」、Cancer Res., 56: 1256−1261, 1996に記載のように固体マトリクスへ連結される抗PIFモノクローナル抗体を使用するアフィニティクロマトグラフィーへ供した。免疫原性画分を濃縮し、更なる研究に使用した。
【0113】
6穴のマルチ皿にある筋管をL−[2,6−3H]フェニルアラニン(0.67mCi/mmole)により、2%HSを含有する2mlのDMEM中で24時間標識した。次にこれらをPBS中で3回洗浄した後、フェノール赤を含まないDMEM中で、更なる放射性活性が上清に現れなくなるまで、37℃で2時間インキュベートした。次に、これらの筋管をPIFの存在下で、フェノール赤を含まない新鮮なDMEM中でEPA又はHMBの有無の下で24時間さらにインキュベートして、放射性活性の再組み込みを予防した。培地中へ放出される放射性活性の量を、総タンパク質分解を決定するためにPIFへ暴露されないコントロール培養物の%として表した。
【0114】
アラキドン酸放出の測定について、2%HSの入った2mlのDMEMを含有する6穴のマルチ皿にある筋管を、([3H]アラキドン酸塩/mlの1μCiを含有する)10μMのアラキドン酸で24時間標識した(Smith,H.ほか、ネズミC2C12筋芽細胞におけるタンパク質合成/分解に及ぼす癌悪液性因子の効果: エイコサペンタエン酸による修飾、Cancer Res., 59; 5507−5513, 1999)。次に、細胞をPBSで広範囲に洗浄して、組み込まれていない[3H]アラキドン酸塩の痕跡を除去し、EPA又はHMBのいずれかをPIFの2時間前に添加した。さらに24時間後、培地の1mlを回収して、放出された放射性活性を決定した。
【0115】
プロテアソームのβサブユニットの機能的活性を、Orino,E.ほか(ヒトHL−60細胞におけるユビキチン化したタンパク質を分解する26S複合体を形成するための、プロテアソームの多重タンパク質構成要素とのATP依存性可逆的会合、FEBS Lett., 284: 206−210, 1991)の方法に従って蛍光測定的に得られた「キモトリプシン様」酵素活性として決定した。筋管をPIFへ24時間、EPAの有無の下で暴露したか又はPIFの2時間前にHMBを添加し、特異的プロテアソーム阻害剤であるラクタシスチン(10μM)(Fenteany,G.ほか、ラクタシスチン、プロテアソーム機能及び細胞の運命、J.Biol.Chem., 273: 8545−8548, 1998)の有無の下で、スクシニル−LLVY−アミノメチルクマリン(AMC)(0.1mM)からのAMCの放出によって酵素活性を上清画分中で決定した(Whitehouse,A.S.ほか、タンパク質分解誘発因子(PIF)によるネズミ筋管におけるユビキチン−プロテアソーム経路の発現の亢進は、転写因子NF−κBの活性化と関係する、J.Cancer, 89: 1116−1122, 2003)。ラクタシスチン抑制可能活性のみをプロテアソーム特異的であると考慮した。ウシ血清アルブミンを標準物質として使用するブラッドフォードアッセイ(Sigma Chemical社、Dorset、英国)を使用して決定される試料のタンパク質濃度について、活性を調整した。
【0116】
ウェスタンブロット分析について、前述のアッセイ用に得られたサイトゾルタンパク質(2ないし5μg)を10%SDS−PAGE上で分離し、PBS中の5%マーベルにより4℃で一晩ブロッキングしておいた0.45μmニトロセルロース膜へ転写した。一次抗体を1:100(抗アクチン及び抗PKCα)、1:500(抗ERK1及び抗ERK2)、1:1000(抗20Sプロテアソームβサブユニット及び抗I−κBα)、1:1500(抗20Sプロテアソームαサブユニット)又は1:5000(抗p42)の希釈で使用したのに対し、二次抗体を1:2000の希釈で使用した。インキュベーションを室温で2時間実施し、ECLにより現像した。負荷をアクチン濃度により一定にした。
【0117】
DNA結合タンパク質を筋管から、低張溶解後の核の高塩抽出を利用するAndrews,N.C.ほかの方法(哺乳類細胞の限定数からDNA結合タンパク質を抽出するための迅速な微量調製技術、Nucleic Acids Res., 19: 2499, 1991)によって抽出した。EMSA(電気泳動度シフトアッセイ)結合アッセイを製造者の説明書に従って実施した。
【0118】
MAC16腫瘍を有するマウスにおけるユビキチン−プロテアソームタンパク質分解経路のタンパク質分解及び活性化は、PIFにより仲介されていると考えられるため、タンパク質分解に及ぼすHMBの効果に関する機械論的研究を、PIFで処理したネズミ筋管において実施した。PIF誘発性総タンパク質分解は、4nMで最大効果のある、Gomes−Marcondesほか(タンパク質分解誘発因子により誘発される筋タンパク質異化作用のメカニズムを研究するための試験管内モデルシステムの開発、Br.J.Cancer, 86: 1628−1633, 2002)によりすでに報告されている典型的なベル型投与量−反応曲線を有した。EPAの効果は、50μMで効果のあることがすでに示されており(Smith,H.J.ほか、ネズミC2C12筋芽細胞に及ぼすタンパク質合成/分解に及ぼす癌悪液性因子の効果: エイコサペンタエン酸による修飾、Cancer Res.59: 5507−5513, 1999; Whitehouse,A.S.ほか、ユビキチン−プロテアソーム経路の発現の亢進を通じての15(S)−ヒドロキシエイコサテトラ塩酸による筋管におけるタンパク質異化作用の誘発、Br.J.Cancer, 89: 737−745, 2003; Whitehouse,A.S.ほか、タンパク質分解誘発因子(PIF)によるネズミ筋管におけるユビキチン−プロテアソームの発現の亢進は転写因子NF−κBの活性化と関係する、Br.J.Cancer,89: 1116−1122, 2003)、図9Aにあるデータは、50μMの濃度でHMB及びEPAの両者がPIF誘発性タンパク質分解を減退させる上で等しく効果的であったことを示す。低い25μMHMBではいくらか減退もあったが、PIFの高濃度ではなかった。PIFのない場合のコントロールとの差異を、a、p<0.005として示すのに対し、(HMV又はEPAの添加のある群についての)PIFのある場合のコントロールとの差異をb、p<0.01及びc、p<0.005として示す。
【0119】
PIF誘発性タンパク質分解は、Lorite,M.J., Smith,H.J., Arnold,J.A., Morris,A., Thompson,M.G.及びTisdale,M.J.(タンパク質分解誘発因子(PIF)による生体内における骨格筋及び試験管内におけるネズミ筋芽細胞におけるATP−ユビキチン依存性タンパク質分解の活性化、Br.J.Cancer, 85: 297-302, 2001)及びGomes−Marcondes,M.C.C., Smith,H.J., Cooper,J.C.及びTisdale,M.J.(タンパク質誘発因子により誘発される筋タンパク質異化作用のメカニズムを研究するための試験管内モデルシステムの開発、Br.J.Cancer,86: 1628−1633, 2002)によって、ユビキチン−プロテアソームタンパク質分解経路の制御構成要素の発現の亢進によることがすでに示されている。
【0120】
この経路の機能的活性は、プロテアソームのβサブユニットの有力なタンパク質分解活性である「キモトリプシン様」酵素活性によって測定される。PIFは、4.2nMで最大である「キモトリプシン様」酵素活性における亢進を誘発した。PIFの効果は、50μMEPA及び25μM及び50μMの両者のHMBによって完全に減退した。(図9B、コントロールとの差異をa、p<0.001として示すのに対し、EPA又はHMBの存在下での差異をb、p<0.001として示す。)同様の効果を、プロテアソーム20Sαサブユニット、βサブユニット、及び26Sプロテアソームを形成するよう20Sプロテアソームと19S制御因子とのATP依存性会合を促進する19S制御因子のATPaseサブユニットであるp42の発現及びに関して観察した(図10)。すべての場合において、4.2nM及び10nMでPIFによって発現が亢進し、このことは50μMでEPA及びHMBによって減退したが、25μMでは減退しなかった。これらの結果は、ユビキチン−プロテアソーム経路のPIF誘発に及ぼす効果を通じてHMBがタンパク質分解を減退させることを確認する。
【実施例4】
【0121】
炎症及びタンパク質分解におけるシグナル伝達の仲介物質の活性に及ぼす効果。
【0122】
前述の実施例3において記載される試験管内研究は、炎症の経路における重要な仲介物質である分子に及ぼすHMBの効果も査定した。本実験を実施例3に記載されるように実施した。
【0123】
PKCの活性化はMAPKシグナル伝達経路の細胞外シグナルにより制御されるキナーゼ(ERK)カスケードを活性化することが示されてきた(Toker,A.タンパク質キナーゼCを通じてのシグナル伝達、Front.Biosci., 3: 1134−1147, 1998; Wolf,I及びSeger,R、有糸分裂により活性化されるタンパク質キナーゼシグナル伝達カスケード:ベンチからベッドサイドまで、IMAJ., 4: 641−647)。活性化されるERK、例えばERK1(又はp44 MAPK)及びERK2(又はp42 MAPK)は炎症におけるアラキドン酸放出を包含する経路における律速酵素であるサイトゾルホスホリパーゼA2をリン酸化した後に活性化できる。さらに、PIFは、p42/44MAPKのリン酸化を誘発することが示されてきたのに対し、総MAPKは変化しないままであり、PIF誘発性プロテアソーム発現に関与することが示されてきた(Smith,H.J.ほか、ネズミ筋管におけるタンパク質分解誘発因子により誘発されるプロテアソーム発現に関与するシグナル伝達経路、Br.J.Cancer, 89: 1783−1788, 2003)。この過程に及ぼすEPA及びHMBの効果を図12に示す。PIFは、4.2nMで最大であるp42/44のリン酸化の亢進を誘発し、この効果は50μMでのEPA及びHMBの両者によって完全に減退するが、25μMでのHMBではそうならなかった。ERK1/2リン酸化を減退させるHMBの能力は、HMBによるPIF誘発性プロテアソーム発現の阻害に重要でありうる。
【0124】
PKCの突然変異をこの酵素の阻害剤と同様に使用する実験は、PKCがPIFによる細胞内シグナル伝達の中心的な仲介物質を形成することを示す。PKCは、NF−κBの核内蓄積及び遺伝子転写の亢進にいたるI−κBαのリン酸化(及び分解)に関与していそうである。PIFは、細胞質から形質膜へのPKCαの転位を刺激し(図11)、タンパク質分解によるのと同様の、4.2nMPIFでの最大効果による活性化を生じる(図9)。この過程は、50μMでEPA及びHMBの両者によって効果的に減退したのに対し、HMBは25μMでほとんど効果的ではなかった(図11)。このことは、PKCのPIF誘発性刺激が、PKCの阻害を通じてHMBにより減退されることを示唆する。
【0125】
前述のように、PIFは、I−κBαの分解を誘発し、NF−κBの核内蓄積を刺激し、この過程は50μMEPAによって減退することが示されてきた(Whitehouse,A.S.ほか、タンパク質分解誘発因子(PIF)によるネズミ筋管におけるユビキチン−プロテアソームの発現の亢進は転写因子NF−κBの活性化と関係する、Br.J.Cancer,89: 1116−1122, 2003)。図13Aにおける結果は、50μMでのHMBがネズミ筋管におけるPIFの存在下でのI−κBα分解を効果的に減退させ、NF−κBの核内蓄積を予防することを示す(図13C)。0nMのPIFとの差異をb、p<0.01及びc、p<0.001として示す。HMBを25μMの濃度で使用したとき、NF−κBのDNAへの結合の部分的な阻害のみを観察した(図13B)。0nMのPIFとの差異はb=p<0.01及びc=p<0.001である。50μMでのPIF単独に対して処理した50μMのHMBとPIFとの差異はe=p<0.01及びf=p<0.001であった。これらの結果は、遺伝子発現の同時活性化による核へのNF−κBの移動を予防する上で、HMBの全体的な効果がEPAの全体的な効果に匹敵することを示唆する。
【0126】
したがって、HMBは癌カヘキシーにおけるサイトカイン誘発性炎症及び筋消耗の治療において効果的な因子であるように見える。HMBは、PKC活性の阻害によりHMBの効果を発揮するように見え、その結果、細胞質IκB/NF−κB複合体の安定化が生じる。これらの分子は、炎症の経路における重要な仲介物質であるため、HMVは抗炎症性化合物であるようである。
【実施例5】
【0127】
不随意的体重低下を予防するための栄養製品の組成。
【0128】
この例における栄養製品を製造するための材料の特異的なリストを表1に表す。もちろん、特異的な成分及び量におけるさまざまな変化は、本発明の範囲から逸脱せずになされてもよい。
【0129】
【表1】
【0130】
本発明の液状栄養製品を、互いに配合し、精製脱臭いわし油と組み合わせ、熱処理し、標準化し、包装し、滅菌した3つのスラリーを調製することによって製造した。表1の材料のリストを使用して液状栄養製品の454kg(1,000ポンド)を製造するための過程を以下に記載する。
【0131】
炭水化物/ミネラルのスラリーを、水約62.6kgを約71℃ないし77℃の範囲の温度へ撹拌しながら加熱することによって調製する。HMBを水へ添加し、できた溶液を少なくとも5分間撹拌することによって溶解する。クエン酸カリウム及び超微量/微量ミネラル予備混合物の必要な量を水へ添加し、できた溶液を少なくとも10分間撹拌することによって溶解する。次に、以下のミネラルを列挙されている順に激しく撹拌しながら添加する。すなわち、塩化マグネシウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウム、ヨウ化カリウム、リン酸マグネシウム及びリン酸三カルシウムである。スラリーを完全に溶解するか又は分散するまで中程度の撹拌の下で混合させる。次に、トウモロコシシロップ、ショ糖及びマルトデキストリンをスラリーへ撹拌しながら添加する。FOSの必要な量を添加して混合させる。完全になった炭水化物/ミネラルスラリーを約60℃ないし66℃の範囲の温度で、その他のスラリーと配合するまで8時間以内で激しく撹拌しながら保持する。
【0132】
中鎖トリグリセリド(精製したやし油)、アブラナ油及び大豆油を組み合わせて、撹拌しながら約32℃ないし43℃の範囲の温度まで加熱することによって油性スラリーを調製する。ビタミンDEK予備混合物を添加し、完全に分散するまで混合させる。以下の成分の必要な量を添加する。すなわち、大豆レシチン、ビタミンA、パルミチン酸アスコルビル、及びビタミンEである。カラゲナンを添加し、完全に分散されるまで混合させる。完全になった油性スラリーを約32℃ないし43℃の範囲の温度で、その他のスラリーと配合するまで8時間以内で中程度の撹拌の下で保持する。
【0133】
タンパク質のスラリーを、まず水約196.78kgを約60℃ないし63℃の範囲の温度へ撹拌しながら加熱することによって調製する。カゼインカルシウム及びカゼインナトリウム及び乳タンパク質単離物をスラリーへ、混合装置を使用して配合する。完全になったタンパク質スラリーを約54℃ないし60℃の範囲の温度で、その他のスラリーと配合する前2時間以内で激しい撹拌の下で保持する。
【0134】
油性及びタンパク質スラリーを撹拌しながら互いに配合し、結果としてできた配合されたスラリーを約54℃ないし66℃の範囲にある温度に維持する。少なくとも5分間待機した後、炭水化物/ミネラルスラリーを先行段階から配合したスラリーへ撹拌しながら添加し、結果として生じる配合されたスラリーを約54℃ないし66℃の範囲にある温度に維持する。精製脱臭いわし油をスラリーへ撹拌しながら添加する。(製造の最も好ましい方法において、いわし油は、配合物が定常速度で導管を通過するにつれ製品へとゆっくり測量されるであろう。)好ましくは少なくとも5分後に、配合されたスラリーのpHを決定する。もし、配合されたスラリーのpHが6.55を下回れば、6.5ないし6.8のpHへ希釈した水酸化カリウムで調整する。
【0135】
1分以上2時間以下の間待機した後、配合したスラリーを以下に記載されるような脱気、超高温(UHT)処理及び均質化へ供する。すなわち、この手段に向けて配合したスラリーを供給するための容積式ポンプを使用する。配合したスラリーを約66℃ないし71℃の範囲の温度へ加熱する。配合したスラリーをHgの25.4cmないし38.1cmへ脱気する。配合したスラリーを61気圧ないし75気圧で乳化する。約10秒の保持時間でプレート/コイル熱交換器を通過させることによって、約120℃ないし122℃の範囲の温度へ配合したスラリーを加熱する。約5秒の保持時間で約144℃ないし147℃の範囲の温度へ配合したスラリーをUHT加熱する。瞬間冷却機を通過させることによって、約120℃ないし122℃の範囲にあるよう配合したスラリーの温度を低下させる。プレート/コイル熱交換器を通過させることによって約71℃ないし82℃の範囲にあるよう配合したスラリーの温度を低下させる。約265気圧ないし266気圧で配合したスラリーを均質化する。約74℃ないし85℃の範囲にある温度で少なくとも16秒間保持チューブに配合したスラリーを通過させる。大型熱交換器を通過させることによって、約1℃ないし70℃の範囲にある温度へ配合したスラリーを冷却する。
【0136】
配合したスラリーを約1℃ないし7℃の範囲にある温度で、好ましくは撹拌しながら保存する。
【0137】
好ましくは、この時点で品質調節のための適切な分析検査を実施する。検査結果に基づいて、希釈水(10℃ないし38℃)の適切な量を配合したスラリーへ撹拌しながら添加する。
【0138】
ビタミン溶液及び香料溶液を個別に調製した後、配合したスラリーへ添加する。
【0139】
ビタミン溶液を約43℃ないし66℃の範囲にある温度へ撹拌しながら、水の約3.94kgを加熱することによって調製した後、以下の成分を列挙される順に添加する。すなわち、アスコルビン酸、45%水酸化カリウム、タウリン、水溶性ビタミン予備混合物、塩化コリン、及びL−カルニチンである。次に、ビタミン溶液を配合されたスラリーへ撹拌しながら添加する。
【0140】
香料溶液を、マシュマロ及びドゥルセ・デ・レチェ香料を水の約7.94kgへ撹拌しながら添加することによって調製する。本発明に従った栄養製品を、Fimenich社(Princeton,New Jersey,米国)によって販売される人工マシュマロ香料及びFimenich社によって販売される天然及び人工ドゥルセ・デ・レチェ香料を使用して製造した。次に、香料溶液を配合したスラリーへ撹拌しながら添加する。
【0141】
必要に応じて、製品が滅菌後に6.4ないし7.0の範囲のpHを有するように、希釈した水酸化カリウムを配合したスラリーへ添加する。完成した製品を次に適切な容器に入れ、滅菌へ供する。もちろん、もし望めば、無菌加工を採用できる。
【実施例6】
【0142】
糖血症反応を調節するための栄養製品の組成。
【0143】
表2は、栄養をヒトへ提供するが、結果として生じるインスリン反応を制限する、液状栄養製品の1,000kgを製造するための材料の組成を表す。栄養製品の製造の詳述は以下のとおりである。
【0144】
【表2】
【0145】
互いに配合し、熱処理し、標準化し、包装し、滅菌する4つのスラリーを調製することによって本発明の糖尿病用液状栄養製品を製造する。
【0146】
炭水化物/ミネラルのスラリーを、まず水約82kgを約65℃ないし71℃の温度へ撹拌しながら加熱することによって調製する。撹拌しながら、HMBカルシウムの必要な量を添加し、5分間撹拌する。Kelco,Division of Merck and Company Incorporated,San Diego,California,米国によって販売されるクエン酸ナトリウム及びジェレンガムの必要な量を添加し、5分間撹拌する。(Fortitech,Schnectady,New Yorkによって販売される)超微量ミネラル/微量ミネラル(UTM/TM)予備混合物を添加する。スラリーの色は緑がかった黄色である。ミネラルを完全に分散するまで撹拌を維持する。次に、撹拌しながら、以下のミネラルの必要な量を添加する。すなわち、クエン酸カリウム、塩化カリウム、塩化クロム、塩化マグネシウム及びヨウ化カリウムである。次に、Grain Processing Corporation,Muscataine,Iowa,米国によって販売される最初のマルトデキストリン及び果糖をスラリーへ、激しく撹拌しながら添加し、溶解させる。撹拌しながら、Roquette America社、Keokuk,Iowaによって販売されるマルチトール粉末、AIGroup Lonza,Fair Lawn,New Jerseyによって販売されるマルチトールシロップ、Golden Technologies Company,Golden,Colorado,米国によって販売されるフラクトオリゴ糖、松谷化学工業、兵庫、日本によってファイバーソル(R)2(E)の製品名の下で販売される第二のマルトデキストリンを添加し、完全に溶解するまで十分撹拌する。リン酸三カルシウム及びリン酸マグネシウムの必要な量をスラリーへ撹拌しながら添加する。完全になった炭水化物/ミネラルスラリーを約65℃ないし71℃の温度で、その他のスラリーと配合するまで12時間以内で撹拌しながら保持する。
【0147】
高オレインベニバナ油及びアブラナ油の必要な量を組み合わせて約40.5℃ないし約49℃の温度へ撹拌しながら加熱することによって、油性スラリーにおける繊維を調製する。撹拌しながら、LaGrange,IllinoisのCognis社製ルティンエステルの必要な量を添加する。最低15分間撹拌する。撹拌しながら、以下の成分の必要な量を加熱した油へ添加する。すなわち、(Central Soya Company,Fort Wayne,Indianaにより販売される)レシチン、(Vitamins社、Chicago,Illinoisにより販売される)ビタミンD、E、K予備混合物、ビタミンA、ビタミンE及びベータカロテンである。Protein Technology International,St.Louis,Missouriにより販売される大豆多糖類の必要な量を加熱した油へゆっくり分散させる。完全になった油/繊維スラリーを約55℃ないし約65℃の温度で、その他のスラリーと配合するまで12時間以内で中程度に撹拌しながら保持する。
【0148】
水の293kgを60℃ないし65℃へ加熱することによって、水性スラリー中の第一タンパク質を調製する。撹拌しながら、20%クエン酸カリウム溶液の必要な量を添加し、1分間保持する。酸性カゼインの必要な量を激しく撹拌しながら添加した直後、20%水酸化ナトリウムの必要な量を添加する。カゼインが溶解するまで撹拌を激しいままに維持する。スラリーを約60℃ないし65℃に、中程度に撹拌しながら保持する。
【0149】
水の約77kgを約40℃の温度へ撹拌しながらまず加熱することによって、水性スラリーにおける第二タンパク質を調製する。カゼイン塩を添加し、スラリーをカゼイン塩が完全に分散するまで十分に撹拌する。撹拌し続けながら、スラリーを60℃ないし65℃へゆっくり加温する。スラリーをその他のスラリーと配合するまで12時間以内保持する。
【0150】
タンパク質スラリー1の344kgをタンパク質スラリー2の84kgと配合することによってバッチを組み合わせる。撹拌しながら、油/繊維スラリーの37kgを添加する。少なくとも1分間待機した後、炭水化物/ミネラルスラリーの216kgを、先行段階から配合したスラリーへ撹拌しながら添加し、結果として生じる配合されたスラリーを約55℃ないし約60℃の温度に維持する。配合したバッチのpHを6.45ないし6.75のpHへ、1N水酸化カリウムで調整する。
【0151】
1分以上2時間以下の間待機した後、配合スラリーを脱気、超高温処理及び均質化へ供する。配合したスラリーを約71℃ないし約82℃の温度へ加熱し、真空下で脱気する。次に、加熱したスラリーを、単一段階ホモジナイザーを通じて900psigないし1100psigで乳化する。乳化後、スラリーを約99℃ないし約110℃へ加熱した後、約146℃の温度へ約5秒間加熱する。スラリーを瞬間冷却機へ通過させ、温度を約99℃ないし約110℃へ低下させた後、プレート冷却機へ通過させ、温度を約71℃ないし約76℃へ低下させる。次に、スラリーを3900ないし4100/400ないし600psigで均質化する。スラリーを約74℃ないし約80℃で16秒間保持した後、1℃ないし約7℃へ冷却する。この時点で、試料を微生物学的検査及び分析検査のために採取する。混合物を撹拌の下で保持する。
【0152】
水溶性ビタミン(WSV)溶液を個別に調製し、加工し配合したスラリーへ添加する。
【0153】
以下の成分を水の9.4kgへ撹拌しながら添加することによって、ビタミン溶液を調製する。すなわち、(J.B.Laboratories,Holland,Michiganによって販売される)WSV予備混合物、ビタミンC、塩化コリン、L−カルニチン、タウリン、イノシトール、葉酸、塩酸ピリドキシン及びシアノコバラミンである。45%水酸化カリウムスラリーの必要な量を添加して、pHを7ないし10へ調整する。
【0154】
品質調節検査の分析結果に基づいて、水の適切な量をバッチへ撹拌しながら添加して望ましい総固体に達する。さらに、ビタミン溶液の8.8kgを希釈したバッチへ撹拌しながら添加する。
【0155】
製品のpHを最適な製品安定性に達するよう調整できる。完成した製品を次に適切な容器に入れ、最終的な滅菌へ供する。
【実施例7】
【0156】
小児科用栄養製品の組成。
【0157】
表3は、本発明の小児科用経腸栄養の771kgを製造するための材料の組成を表す。栄養製品の製造の詳述は以下のとおりである。
【0158】
【表3】
【0159】
DEK予備混合物の指定された量を、可溶性ビタミンの54gを保持するのに十分大きな、ねじ式キャップのついた遮光性容器へ秤量して入れることによって、ストック脂溶性ビタミン配合物(OSV配合物)を調製する。プラスチックピペットを使用して、ビタミンAの必要な量をDEK一定分量へ添加する。容器のふたを適用する前に、容器に窒素を流す。
【0160】
高オレインベニバナ油、大豆油及びMCT油の必要な量を配合タンクへ添加することによって、脂肪スラリー中のストックタンパク質(PIF)を調製した。混合物を40.5℃ないし49℃へ撹拌しながら加熱する。撹拌しながら、Hadley,MassachusettsのAmerican River Nutrition社製のルティンエステルの必要な量を添加する。最低15分間撹拌する。乳化剤である(Decatur,IndianaのCentral Soyaにより販売される)レシチン及び(Owings Mills,MarylandのQuestにより販売される)モノグリセリドを添加し、溶解するよう十分に混合する。次に、OSV配合物をすべて添加する。容器を油性配合物で4回ないし5回すすぎ、ビタミンの完全な転移を確実にする。(Rockland,MaineのFMCにより販売される)カラゲナン及びカゼイン塩を添加する。タンパク質を分散させるようスラリーを十分に混合する。PIFスラリーを使用するまで中程度の撹拌の下で60℃ないし65℃で6時間まで保持する。
【0161】
水の必要な量を配合タンクへ添加することによって、水性スラリー中のストックタンパク質(PIW)を調製する。中程度の撹拌の下で水を保持し、76℃ないし82℃に調整する。カゼイン塩の必要な量を水へ激しく撹拌しながら添加し、タンパク質を完全に分散させるまで激しく混合する。タンパク質スラリーを、加工前に54℃ないし60℃へ冷却させる。一度冷却すると、乳清タンパク質の必要な量を添加し、完全に分散/溶解するまで十分混合する。PIWスラリーを使用するまで54℃ないし60℃で2時間まで保持する。
【0162】
水の必要な量を配合タンクへ添加し、60℃ないし68℃まで加熱することによって、ストックミネラル溶液(MIN)を調製する。(Newark,DelawareのFMCにより販売される)セルロースガム配合物を水へ添加し、中程度の撹拌の下で、次へ進行する前に最低5分間保持する。HMBカルシウムを添加し、次へ進行する前に最低5分間撹拌する。ミネラル塩である塩化マグネシウム、塩化カリウム、クエン酸カリウム、ヨウ化カリウム及びリン酸二カリウムを一度に一つずつ、各添加の間でミネラルが溶解するのを確実にするよう混合しながら添加する。完了したMIN溶液を使用するまで低ないし中程度の撹拌の下で54℃ないし65℃で保持する。
【0163】
PIWスラリーの指定された量を配合タンクへ添加し、54℃ないし60℃へ撹拌しながら加熱することによって、最終配合物を調製する。PIFスラリーの指定された量をタンクへ添加し、十分に混合する。MIF溶液の指定された量を配合物へ添加し、十分に混合する。塩化ナトリウムの指定された量を配合物へ添加し、十分に混合する。ショ糖の指定された量を配合物へ添加し、溶解するよう十分に混合する。リン酸三カルシウムを配合物へ添加し、分散するよう十分に混合する。更なる水の指定された量を配合物へ添加し、十分に混合する。完了した最終配合物を54℃ないし60℃で持続的な撹拌の下で保持する。必要に応じて、pHを6.45ないし6.8へ、1NKOHで調整する。
【0164】
1分以上2時間以下の間待機した後、配合スラリーを脱気、超高温処理、及び均質化へ供する。配合したスラリーを約68℃ないし約74℃の温度へ加熱し、真空下で脱気する。次に、加熱したスラリーを900psigないし1100psig(約6.2ないし6.9MPag)で乳化する。乳化後、スラリーを約120℃ないし約122℃へ加熱した後、約149℃ないし約150℃の温度へ加熱する。スラリーを瞬間冷却機へ通過させ、温度を約120℃ないし約122℃へ低下させた後、プレート冷却機を通じて温度を約74℃ないし約79℃へ低下させる。次に、スラリーを3900ないし4100/400psigないし600psig(約26.9ないし28.3/2.8ないし4.1MPag)で均質化する。スラリーを約74℃ないし約85℃で16秒間保持した後、1℃ないし約6℃へ冷却する。この時点で、試料を微生物学的検査及び分析検査用に採取する。混合物を撹拌の下で保持する。
【0165】
標準化は以下のように進行する。配合タンクにおいて水の指定された量を48℃ないし60℃へ加熱することによってストックビタミン溶液(WSV)を調製する。クエン酸カリウム、(Schenectady,New YorkのFortitechにより販売される)UTM/TM予備混合物、WSV予備混合物、m−イノシトール、タウリン、L−カルニチン及び塩化コリンを溶液へ、列挙された順で各々添加し、各成分を溶解又は分散させるために十分混合させる。ビタミン溶液の14.2kgを進行した混合タンクへ添加する。
【0166】
水の指定された量を配合タンクへ添加することによってストックバニラ溶液を調製する。(Cincinnati,OhioのGlvaudan Roureにより販売される)バニラの指定された量を水へ添加し、十分に混合する。バニラ溶液の18.5kgを加工した混合物タンクへ混合し、十分に混合する。
【0167】
水の指定された量を配合タンクへ添加することによってストックアスコルビン酸溶液を調製する。アスコルビン酸の指定された量を添加し、溶解するよう十分に混合する。45%KOHの指定された量を添加し、十分に混合する。アスコルビン酸溶液の8.4kgを混合タンクへ添加し、十分に混合する。
【0168】
最終的な混合物を最終的な固体全体へ、水の92.5kgを添加することによって希釈し、十分に混合する。最終的な(レトルト)滅菌の前に製品を適切な容器へと充填する。
【実施例8】
【0169】
完全な栄養サプリメントの組成。
【0170】
表4は、典型的なバニラ風味の食事置換液の1,000kgを製造するための材料の組成を表す。食事置換液の製造の詳述は以下のとおりである。
【0171】
【表4】
【0172】
互いに配合し、熱処理し、標準化し、包装し、滅菌した3つのスラリーを調製することによって、本発明の液状食事置換製品を製造する。
【0173】
炭水化物/ミネラルのスラリーを、まず水の必要な量を約65℃ないし約71℃の温度へ撹拌しながら加熱することによって調製する。HMBカルシウムの必要な量を添加し、最低5分間撹拌する。撹拌しながら、クエン酸カリウム及び(Fortitech,Schnectady,New Yorkによって販売される)超微量ミネラル/微量ミネラル(UTM/TM)予備混合物を添加する。スラリーの色は緑がかった黄色である。ミネラルを完全に分散するまで撹拌を維持する。次に、撹拌しながら、以下のミネラルの必要な量を添加する。すなわち、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ヨウ化カリウム、リン酸マグネシウム及びリン酸三カルシウムである。次に、Grain Processing Corporation,Muscataine,Iowa,米国によって販売される、ショ糖及びトウモロコシシロップをスラリーへ、激しく撹拌しながら添加し、溶解させる。完成した炭水化物/ミネラルスラリーを約65℃ないし71℃の温度で、その他のスラリーと配合するまで8時間以内で撹拌しながら保持する。
【0174】
高オレインベニバナ油及びアブラナ油の必要な量を組み合わせて約40.5℃ないし約49℃の温度へ撹拌しながら加熱することによって、脂肪スラリーにおけるタンパク質(PIF)を調製する。撹拌しながら、Des Moines,IowaのKemin Foods社製の遊離ルティンの必要な量を添加する。最低15分間撹拌する。以下の成分を加熱した油へ添加する。すなわち、(Central Soya Company,Fort Wayne,Indianaにより販売される)レシチン、ビタミンA、(Vitamins社、Chicago,Illinoisにより販売される)ビタミンD、E、K予備混合物である。カラゲナンの必要な量を乳清タンパク質の必要な量と乾燥配合し、撹拌している脂質混合物へ添加し、最低10分間撹拌させる。大豆タンパク質の必要な量を配合物へ添加し、適切な混合をゆっくりと確実にする。完成した油/タンパク質スラリーを約40℃ないし約43℃の温度で、その他のスラリーと配合するまで2時間以内で中程度に撹拌しながら保持する。
【0175】
水のほぼ必要な量を約40℃の温度へ撹拌しながらまず加熱することによって、水性スラリーにおけるタンパク質を調製する。カゼイン塩を添加し、スラリーをカゼイン塩が完全に分散するまで十分に撹拌する。撹拌を続行し、スラリーを60℃ないし65℃へとゆっくり加温する。スラリーをその他のスラリーと配合するまで12時間以内で保持する。
【0176】
タンパク質スラリーの必要な量を炭水化物/ミネラルスラリーの必要な量と配合することによってバッチを組み合わせ、10分間撹拌させる。撹拌しながら、油/タンパク質スラリーの必要な量を添加し、少なくとも10分間撹拌する。配合したバッチのpHを6.66ないし6.75のpHへ、1N水酸化カリウムで調整する。
【0177】
1分以上2時間以下の間待機した後、配合スラリーを脱気、超高温処理、及び均質化へ供する。配合したスラリーを約71℃ないし約82℃の温度へ加熱し、真空下で脱気する。次に、単一段階ホモジナイザーを通じて加熱したスラリーを900psigないし1100psigで乳化する。乳化後、スラリーを約99℃ないし約110℃へ加熱した後、約146℃の温度へ約5秒間加熱する。スラリーを瞬間冷却機へ通過させ、温度を約99℃ないし約110℃へ低下した後、プレート冷却機へ通過させ、温度を約71℃ないし約76℃へ低下する。次に、スラリーを3900ないし4100/400psigないし600psigで均質化する。スラリーを約74℃ないし約80℃で16秒間保持した後、1℃ないし約7℃へ冷却する。この時点で、試料を微生物学的検査及び分析検査用に採取する。混合物を撹拌の下で保持する。
【0178】
水溶性ビタミン(WSV)溶液を個別に調製し、加工し配合したスラリーへ添加する。
【0179】
以下の成分を水の9.4kgへ撹拌しながら添加することによって、ビタミン溶液を調製する。すなわち、(J.B.Laboratories,Holland,Michiganによって販売される)WSV予備混合物、ビタミンC、塩化コリン、L−カルニチン、タウリン、イノシトール、葉酸、塩酸ピリドキシン及びシアノコバラミンである。45%水酸化カリウムスラリーの必要な量を添加して、pHを7ないし10へ調整する。
【0180】
品質調節検査の分析結果に基づいて、水の適切な量をバッチへ撹拌しながら添加して望ましい固体全体に達する。さらに、ビタミン溶液の8.8kgを希釈したバッチへ撹拌しながら添加する。
【0181】
製品のpHを最適な製品安定性に達するよう調整してもよい。完成した製品を次に適切な容器に入れ、最終的な滅菌へ供する。
【実施例9】
【0182】
飲料の組成。
【0183】
即時飲用飲料の1000kgバッチを製造するため、撹拌機を備えた容器に水の987.31kgを置く。大気温で、安息香酸カリウムの必要な量を添加し、完全に溶解させる。HMBカルシウムの必要な量を添加し、完全に溶解させる。以下の成分を次に、列挙される順に添加する。次の成分を添加する前に、各成分を完全に溶解する。
【0184】
【表5】
【0185】
12オンスのアルミ缶へと充填する直前に、アスコルビン酸を添加した。アルミ缶へと充填する前に、飲料を炭酸化してもよい。溶液を脱気した後、「カーボクーラー」へと転移し、そこで二酸化炭素の約2.5体積により冷却及び炭酸化する。
【実施例10】
【0186】
電解質置換製品の組成。
【0187】
以下の例は、即時飲用再水和溶液の製造の仕方を説明する。ORSは、表6に概略を述べられた組成を有した。
【0188】
【表6】
【0189】
ろ過水の必要な量を秤量し、配合タンクへ添加する。中程度に撹拌しながら、水を43℃ないし54℃へ加熱する。中程度の拡販を維持しながら、HMBカルシウムを添加し、最低5分間混合させる。中程度の撹拌を持続しながら、デキストロースの必要な量を添加する。溶解するまで撹拌する。果糖の必要な量を添加する。溶解するまで撹拌する。以下の成分の必要な量を、列挙される順序でデキストロース/果糖配合物へ添加し、溶解するまで撹拌する。すなわち、グルコン酸亜鉛、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸カリウム、及びクエン酸である。(New Brunswick,New JerseyのMcNeil Speciality Products Companyにより販売される)スクラロース及び(Somerset,New JerseyのHoechst Food IngredientsによりSunsett(R)として販売される)アセスルファムカリウムの必要な量を添加し、溶解するまで撹拌する。黄色6番及びフルーツポンチ香料をバッチへ、溶解するまで添加する。配合物を1.1℃ないし7.2℃へ冷却し、低速撹拌をしながら保持する。1lのプラスチック瓶の必要な数を充填し、ホイル熱シールを瓶の開口部へ適用し、食品級の滅菌標準へレトルトする。
【0190】
あるいは、冷却した配合物を密閉可能で凍結可能な包装材料内に封入し、熱密閉などにより密閉する。再水和溶液の単一投与量を密閉凍結可能な小袋に包装する。伝統的な冷凍ポップにおいて使用されるなどの、本発明を実施するのに使用できる包装材料のさまざまなタイプが当業者には明白であろう。包装材料は好ましくは、製品の同定、成分などのマーキングをその外部表面へ置くことのできるタイプである。再水和製剤は、この状態において好ましくはその複数の単位で輸送及び保存される。複数の単位又は冷凍ポップは商業化の目的のために互いに包装されるであろうことは熟慮される。
【0191】
投与の前に、液体再水和溶液の包装が凍結される。凍結後、包装を開封し、その内容物を食する。凍結した再水和製剤は通常、大気温で投与されるであろうため、各包装に含有される再水和液の量は好ましくは、凍結された状態でありながらも全体として消費できる量である。1包装当たり、好ましくは20オンスないし35オンス、より好ましくは2.0オンスないし2.5オンス特に好ましい実施態様において、滅菌再水和溶液の2.1オンスが長方形の例えば1”×8”の凍結可能な包装材料内に封入される。透明なプラスチック包装材料が好ましい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、慢性炎症性疾患、癌、及び不随意性体重低下の予防及び治療のための方法に関する。本発明の実施において、患者はHMB単独で、又はこれに代えて、エイコサペンタエン酸(20:5 ω−3)、FOS、カルニチン及びこれらの混合物との組み合わせで経腸的に投与される。HMBは、ロイシン、イソロイシン、バリン、チロシン、スレオニン及びフェニルアラニンなどの大型中性アミノ酸で強化されたアミノ窒素源を含み、遊離アミノ酸を実質的に欠失している食品へ添加されてもよい。
【背景技術】
【0002】
望ましくない体重低下、特に除脂肪体重の低下は、危篤において比較的一般的に発生するものであり、罹患率及び死亡率に有意な影響を及ぼす。このことは、癌患者に特に当てはまり、その場合、このような体重低下は治療を制限する場合があり得、したがって全体的な予後に影響を与える。
【0003】
カヘキシーは、摂食障害、体重低下、早発性満腹、無力症、除脂肪体重の低下、及び多臓器機能障害によって特徴付けられる症候群である。カへキシーは、慢性疾患(悪性及び非悪性の両者)の一般的な結果であり、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性心不全(CHF)、腎不全、エイズ、認知症、慢性肝疾患及び癌における、より予後の悪化と関連している。カヘキシーは、疾病の重度の他の指標とは無関係であることが多い。(Witte,K.K.A.及びClark,A.L.:慢性疾患におけるカヘキシーに関与する栄養上の異常性、International Journal of Cardiology 85: 23−31, 2002)
【0004】
肺疾患はしばしばカヘキシーと関連しており、COPD、特に肺気腫に苦しむ患者の相当数が疾患の経過の間に衰弱してくる。体重低下は、予後についての独立した危険因子であり、酸素消費量の増加としばしば関係する。このことは、非効率的な筋エネルギー代謝の発達と関連付けられてきた(Kutsuzawa, T.et al.:Muscle energy metabolism and in patients with chronic obstructive pulmonary disease.Am.J.Respir.Crit.Care Med. 152(2): 647−652, 1995)。COPDは、全身性炎症反応の一般的な亢進とも関連しており、末梢血における炎症誘発性サイトカインの及び急性期のタンパク質の濃度上昇によって反映される(Schols,A.M.,et al:Evidence for a relation between metabolic derangements and increased levels of inflammatory mediators in a subgroup of patients with chronic obstrutive pulmonary disease.Thorax 51: 819−824, 1996; Takabatake,N.et al.:Circulating leptin in patients with chronic obstructive pulmonary disease.Am J Respir Crit Care Med 159: 1215−1219, 1999; Dentener,M.A.et al.:Systemic anti−inflammatory mediators in COPD:increase in soluble interleukin I receptorII during treatment of exacerbations.Thorax 56: 721−726, 2001)。このような変化はしばしば、筋消耗性症候群と関連している。
【0005】
インキュベートした筋及び筋抽出物を使用する研究は、ATP依存性ユビキチン−プロテオソーム経路が、筋消耗を最終的に生じるタンパク質分解の亢進のほとんどの原因であることを示唆する。特に、ユビキチン結合タンパク質のレベルの上昇、及びポリユビキチン、特定のプロテオソームサブユニット及びユビキチン連結酵素E214KについてのmRNAレベルにおける亢進は、ほとんどの萎縮している筋で見られる特徴である(Schols,A.M.W.J:Pulmonary cachexia.Intl J Cardiology 85: 101−110, 2002; Jagoe,R.T.及びGoldberg,A.L.:What do we really know about the ubiquitin−proteosome pathway in muscle atrophy?Curr Opin Clin Nutr Metab Care 4: 183−190, 2001)。
【0006】
疾患が転移性疾患へと進行する癌患者の大部分は、彼らの治療プログラムの間にカヘキシーを発達させ、カヘキシーは彼らの死に関与する。癌患者における体重低下の頻度は、乳癌、急性骨髄性白血病及び肉腫の患者についての40%から、膵臓及び胃の癌腫の患者における80%超にまで及ぶ。肺、結腸又は前立腺の癌腫の患者の約60%は、化学療法を開始する前に体重低下を経験している。治療前栄養不良(体重低下)と有害な結果との関係は確立されているが、カヘキシーの発達と腫瘍の大きさ、疾病の段階、及び悪性腫瘍のタイプ又は期間との間に一致した関係性は示されていない。
【0007】
癌カヘキシーは単に腫瘍の局所的な効果ではない。タンパク質、脂肪及び炭水化物の代謝における変化が共通して生じる。例えば、炭水化物代謝における異常性には、総グルコース代謝回転の速度の亢進、肝糖新生の亢進、耐糖能障害及びグルコースレベルの上昇が含まれる。脂質分解の亢進、遊離脂肪酸及びグリセロールの代謝回転の亢進、高脂血症、及びリポタンパク質リパーゼ活性の低下がしばしば認められる。癌カヘキシーに付随する体重低下は、体脂肪の保存量における減少によるだけでなく、広範囲にわたる骨格筋消耗を伴う総体タンパク質量における減少にも起因する。タンパク質代謝回転の亢進及びほとんど制御されていないアミノ酸酸化も重要であるかもしれない。癌に応じて生じる宿主由来の因子の存在は、カヘキシーの原因因子、例えば腫瘍壊死因子(TNF)−α又はカケクチン、インターロイキン−1(IL−1)、IL−6、γ−インターフェロン(IFN)、及びプロスタグランジン(PG)(例、PGE2)として関係付けられてきた。
【0008】
体重低下は、肺及び消化管の癌腫を有する患者において共通であり、体脂肪及び筋タンパク質の両者の重量減少を生じる一方で、非筋タンパク質は影響を受けないままである。体脂肪の減少はエネルギー貯蔵の点で重要である一方、不動及び最終的には下位型肺炎由来の死に至る呼吸筋機能の機能障害を生じるのは骨格筋タンパク質の減少である。カヘキシーは摂食障害を頻繁に併発するが、栄養補助単独では安定した体重を維持できず、増加する体重はいずれも、除脂肪体重より、むしろ脂肪組織及び水の増加による。同じことは酢酸メゲストロール及び酢酸メドロキシプロゲステロンなどの食欲刺激剤について真であり、除脂肪体重の低下がエネルギー不足以外の因子によることを示唆する。
【0009】
骨格筋重量は、タンパク質合成の速度と分解速度との平衡である。癌カヘキシーを有する患者は、骨格筋におけるタンパク質合成の抑制及びタンパク質分解の亢進を示し、それは、タンパク質分解の主要決定因子であるユビキチン−プロテアソームタンパク質分解経路の発現の亢進に反映される。したがって、悪液性癌患者由来の骨格筋は、ユビキチン及びプロテアソームサブユニットの両者についてのmRNAの発現の亢進を示すのに対し、プロテアソームタンパク質分解活性はユビキチン発現と並行して亢進することを示す。同化刺激が悪液性患者において除脂肪体重を増加させることができないということは、筋重量が増加できる前にタンパク質分解が減弱しなければならないことを示唆する。エイコサペンタエン酸(EPA)は、悪液性マウスの骨格筋におけるユビキチン−プロテアソームタンパク質分解経路の発現の亢進を下方制御し、膵臓癌を有する悪液性患者の体重を安定化することが示されてきた。患者がタンパク質の32g及びEPAの2gを含有する高エネルギーサプリメントを消費したとき、体重は増加し、このことは単に除脂肪体重の増加に起因した(Barber,M.D., Ross,J.A., Voss,A.C., Tisdale,M.J., Fearon,K.C.H.The effect of an oral nutritional supplement enriched with fish oil on weight−loss in patients with pancreatic cancer. Br.J.Cancer, 81: 80−86, 1999)。
【0010】
Mayほかによる最近の研究(May,P.E., Barber,A., D’Olimpio,J.T., Hourihane,A. and Abumrad,N.N. Reversal of cancer−related wasting using oral supplementation with a combination of β−hydroxy−β−methylbutyrate, arginine and glutamine.Am.J.Surg., 183: 471−479, 2002)は、HMB、アルギニン及びグルタミンの混合物が、進行した(段階IVの)癌を有する体重低下する患者において体重を増加させる上で効果的であることを示した。さらに、体重の増加は、EPAを使用して観察されるように、除脂肪体重の増加に起因した。
【0011】
多価不飽和脂肪酸であるエイコサペンタエン酸の使用は、体液中の脂肪分解因子の脂肪分解活性及び酵素であるグアニジノ−安息香酸分解酵素(benzoatase)の活性を阻害することによるカヘキシーの治療について示唆される。Tisdale,M.J.及びBeck,A.、米国特許第5,457,130号、1995年10月10日発行、及びTisdaleほか、Cancer Research 50: 5022−5026(1990年8月)を参照。しかしながら、Tisdaleにより教示される製剤は固体剤形にあり、すでに病気の患者に1日当たり12個ないし16個のカプセルを服用させる必要がある。この方法は、嚥下、げっぷ及び悪臭の困難を含む重大な欠点を有した。
【0012】
HMBは、さまざまな適用の場面で有用であることがわかってきた。特に、Nissenほかの米国特許第6,031,000号において記載されているのは、HMBのカルシウム塩の重量に基づいている、HMBの約0.5gないし約30g、約0.5gないし約30gが、遊離L−アルギニンの約0.5gないし約50g、及び遊離L−グルタミンの約0.5gないし約50gを含む組成物である。この特許は、動物の疾病関連消耗の治療のための方法、動物のトリグリセリドの血清レベルを低下させるための方法、動物の血清ウィルス量を低下させるための方法、並びに内臓領域及び皮下領域を有する動物において脂肪を再分配するための方法も提供する。方法はすべて、動物へHMBと少なくとも一つの遊離アミノ酸とを含む組成物を投与することを含む。
【0013】
Nissenほかの米国特許第5,348,979号は、ヒト対象での窒素保持におけるHMBの使用を記載する。投与されるHMBの量は、尿窒素の低下によって決定されるタンパク質を保護するのに効果的である。この方法は、疾病状態による負の窒素平衡を有する患者に使用でき、タンパク質減少に曝される健常老年者にも使用できる。HMBは、経口的に又は静脈内注入によって投与されてもよい。HMBの効果的な量は、体重1kg当たり24時間当たり、HMBのカルシウム塩に基づいたHMBの0.01gないし0.20gの範囲内である。
【0014】
Nissenの米国特許第5,028,440号は、除脂肪組織の発達を亢進するために食肉産生用家畜を飼育するための方法を記載する。HMB又はその食用塩は、除脂肪組織重量における実質的な増加を得るために十分な長さの時間、ある量で動物へ投与される。方法は、HMBが相当の反芻胃を破壊しやすくはないため、畜牛及び子ヒツジを含む反芻動物での使用に特に適している。方法は、ニワトリ及びシチメンチョウを含む他の家畜でも実施できる。HMBは0.5mgないし100mgの範囲内で供給される。
【0015】
Nissenの米国特許第4,992,470号は、α−ケトイソカプロン酸塩(KIC)よりも哺乳類のTリンパ球の免疫機能を活性化するのに著しくより効果的であるHMBの使用を記載する。Tリンパ球の活性化のため、HMB又はその食用水溶性塩を、HMBが哺乳類の血液へ入る経路によって哺乳類へ投与される。投与される量は、哺乳類のTリンパ球の胚発生を効果的に亢進するのに十分である。方法は、特にウシ、ヒツジ、及びブタを含む家畜哺乳類での使用に適している。HMBは、免疫系刺激剤としてヒトでも使用できる。HMB(Ca−HMBベース)を、ヒト対象当たり24時間当たり500ないし2,500ミリグラム(mg)の量で経口的又は非経口的に投与される。
【0016】
Kunzの独国特許第DE29707308号は、ウェイトトレーニング集団において筋産生を促進するための、HMBと組み合わせた分岐鎖アミノ酸の使用を記載する。Kunzは、1日当たり200gのタンパク質消費とともに毎日摂取される3gのサプリメントが栄養性タンパク質の値を亢進し、タンパク質効率性を有意に亢進することを教示する。Kunzは、HMBを無処置の(純粋な)タンパク質とよりもむしろ、タンパク質加水分解産物及び/又は遊離アミノ酸混合物と組み合わせるとき、より良好な効果に到達できることも教示する。
【0017】
Engelほかの米国特許第5,976,50号は、キトサン、カバ及び、コリン/イヌシタル(inusital)、ピコリン酸クロム、HMB、カルニチン及びピルビン酸塩を含有してもよい脂肪燃焼栄養補助食品の治療量を含有する糖質ベースの菓子の混合物から形成される体重低下用食事性サプリメントを記載する。キトサン及びカバと混合した栄養補助食品成分は、身体が消費した脂肪が何であれ燃焼するよう機能し、すなわち消化され及びキトサンへ結合しないどんな脂肪もよりよく代謝するよう機能する。
【0018】
HMBを含有するウェイトリフティング集団用に企図された商業製品には、Golden,ColoradoのEAS社によるLean DynamXが含まれる。Lean DynamXは、強力な刺激剤を使用せずに脂肪減少を支持する成分の配合物を提供する。成分には、HMB、ピコリン酸クロム、共役したリノール酸、マテ茶葉及び茎並びに酒石酸カルニチンが含まれる。粉末組成物を水と混合し、毎日2〜3回摂取し、1回の摂取量は運動30分前に摂取する。
【0019】
更なる商業製品には、Hauppauge,NYにあるTwinlab社製のMega HMB Fuel(R)がある。Mega HMB Fuel(R)は、1個のカプセルにHMBの750mgを含有する。示唆された毎日の投与量は、高強度の負荷抵抗運動後に生じうる筋細胞への損傷に対応するように、4カプセルである。
【0020】
また、Garlebほかの米国特許第5,444,054号及び関連した米国特許第5,780,451号も興味深い。これらの文書は潰瘍性大腸炎の治療に有用な組成物及び方法について記載している。このような組成物には、生物学的値の高い(col.21)無処置の又は加水分解されたタンパク質でありうるタンパク質源、フラクトオリゴ糖どの難消化性オリゴ糖、及び比較的高いω−3とω−6との脂肪酸比へ関与するエイコサペンタエン酸の比較的高い割合を含有する脂質配合物が含まれる。
【0021】
長鎖脂肪酸生体経路及び生理学的作用は、DeMicheleほかの米国特許第5,223,285号に論議されており、そのすべてが参照によって本明細書に組み込まれている。
【0022】
カヘキシーの予防及び/又は治療はいらだたしい問題を残している。動物及びヒトの両研究は、癌罹患宿主において除脂肪体重を十分備える上で、栄養的な補助がさほど効果的ではないことを示唆する。細胞毒性抗新生物療法に対するアジュバントとしての総非経口栄養(TPN)補助の有用性を探索する無作為化された試験は、治療結果にほとんど改善を示さなかった。例えば、「Brennan,M.F.及びBurt,M.E., 1981, Cancer Treatment Reports 65 (Suppl.5): 67−68」を参照してほしい。このことは、TPNが動物において腫瘍成長を刺激できることを明確に示すのに付随して、癌治療におけるTPNの決まりきった使用が正当ではないことを示唆する。Kisner,D.L., 1981, Cancer Treatment Reports 65 (Suppl.5): 1−2。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】米国特許第5,457,130号明細書
【特許文献2】米国特許第6,031,000号明細書
【特許文献3】米国特許第5,348,979号明細書
【特許文献4】米国特許第5,028,440号明細書
【特許文献5】米国特許第4,992,470号明細書
【特許文献6】独国特許第29707308号明細書
【特許文献7】米国特許第5,976,50号明細書
【特許文献8】米国特許第5,444,054号明細書
【特許文献9】米国特許第5,780,451号明細書
【特許文献10】米国特許第5,223,285号明細書
【非特許文献】
【0024】
【非特許文献1】Witte,K.K.A.及びClark,A.L.:慢性疾患におけるカヘキシーに関与する栄養上の異常性、International Journal of Cardiology 85: 23−31, 2002
【非特許文献2】Kutsuzawa, T.et al.:Muscle energy metabolism and in patients with chronic obstructive pulmonary disease.Am.J.Respir.Crit.Care Med. 152(2): 647−652, 1995
【非特許文献3】Schols,A.M.,et al:Evidence for a relation between metabolic derangements and increased levels of inflammatory mediators in a subgroup of patients with chronic obstrutive pulmonary disease.Thorax 51: 819−824, 1996
【非特許文献4】Takabatake,N.et al.:Circulating leptin in patients with chronic obstructive pulmonary disease.Am J Respir Crit Care Med 159: 1215−1219, 1999
【非特許文献5】Dentener,M.A.et al.:Systemic anti−inflammatory mediators in COPD:increase in soluble interleukin I receptorII during treatment of exacerbations.Thorax 56: 721−726, 2001
【非特許文献6】Schols,A.M.W.J:Pulmonary cachexia.Intl J Cardiology 85: 101−110, 2002
【非特許文献7】Jagoe,R.T.及びGoldberg,A.L.:What do we really know about the ubiquitin−proteosome pathway in muscle atrophy?Curr Opin Clin Nutr Metab Care 4: 183−190, 2001
【非特許文献8】Barber,M.D., Ross,J.A., Voss,A.C., Tisdale,M.J., Fearon,K.C.H.The effect of an oral nutritional supplement enriched with fish oil on weight−loss in patients with pancreatic cancer. Br.J.Cancer, 81: 80−86, 1999
【非特許文献9】May,P.E., Barber,A., D’Olimpio,J.T., Hourihane,A. and Abumrad,N.N. Reversal of cancer−related wasting using oral supplementation with a combination of β−hydroxy−β−methylbutyrate, arginine and glutamine.Am.J.Surg., 183: 471−479, 2002
【非特許文献10】Tisdaleほか、Cancer Research 50: 5022−5026(1990年8月)
【非特許文献11】Brennan,M.F.及びBurt,M.E., 1981, Cancer Treatment Reports 65 (Suppl.5): 67−68
【非特許文献12】Kisner,D.L., 1981, Cancer Treatment Reports 65 (Suppl.5): 1−2
【発明の概要】
【0025】
本発明は、慢性炎症性疾患、癌、及び不随意性体重低下の予防及び治療のための方法に関する。本発明の実施において、患者はHMB単独で又はそれに替わるものとしてエイコサペンタエン酸(20:5 ω−3)、FOS、カルニチン及びそれらの混合物との組み合わせで経腸的に投与される。
【0026】
別の実施態様において、本発明は、患者の疾病と関連した消耗の治療のための方法を提供する。方法は、患者へ前述の組成物を投与することを含み、組成物は疾病と関連した消耗を治療するのに十分な量でHMBを含み、組成物を患者へ投与すると、疾病と関連した消耗が治療される。
【0027】
別の実施態様において、本発明は、患者における腫瘍成長速度を低下させるための方法を提供する。方法は、患者へ前述の組成物を投与することを含み、組成物は腫瘍成長速度を低下するのに十分な量でHMBを含み、組成物を患者へ投与すると、腫瘍成長速度が低下する。
【0028】
別の実施態様において、本発明は、タンパク質キナーゼC、核因子κB、ユビキチン連結酵素、及び26Sプロテアソーム構成要素の発現及び/又は活性を下方制御することによって、患者における疾病の予防又は治療のための方法を提供する。これらの方法は、患者へHMB、HMBの塩、これらの代謝産物又は誘導体を投与することを含む。
【0029】
さらに別の実施態様において、HMBは、ロイシン、イソロイシン、バリン、チロシン、スレオニン及びフェニルアラニンなどの大型中性アミノ酸で強化されたアミノ窒素源を含み、遊離アミノ酸を実質的に欠失している食品へ添加されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、PIFにより誘発されるプロテアソーム活性化に関与する骨格筋における潜在的な細胞内事象を記載するスキームを表す。
【図2】図2は、MAC16腫瘍を有するマウスにおける体重(A)及び腫瘍体積(B)に及ぼすHMBの効果についての投与量−反応曲線を表す。(PBS中の)HMBを、0.05g/kg(黒塗り丸)、0.125g/kg(白抜き丸)及び0.25g/kg(×)の濃度での毎日の療法で胃管栄養法により経口的に投与した。コントロールマウスはPBS単独(黒塗り菱形)を受容した。示される結果は平均±標準誤差であり、n=20である。
【図3】図3は、MAC16腫瘍を有するマウスの体重に及ぼすHMB(0.25g/kg;黒塗り四角)、EPA(0.6g/kg;×)及び組み合わせ(白抜き丸)並びにPBSコントロール(黒塗り丸)の効果を表す。示される結果は平均±標準誤差であり、n=20である。
【図4】図4は、MAC16を有し、EPA(0.6g/kg)、HMB(0.25g/kg)、又はそれらの組み合わせのいずれかで3日間処理したマウスのヒラメ筋重量(A)及びヒラメ筋におけるタンパク質分解の速度(B)を表す。示される値は平均±標準誤差であり、n=6である。
【図5】図5は、MAC16腫瘍を有し、3日間処理されるマウスの腓腹筋における「キモトリプシン様」酵素活性として決定されるプロテアソーム機能活性に及ぼすHMB及びEPAの効果を表す。結果は平均±標準誤差として示され、n=6である。
【図6】図6は、PBS(コントロール)、HMB(0.25g/kg)、EPA(0.6g/kg)又はそれらの組み合わせで3日間処理されたマウスの腓腹筋における、ウェスタンブロッティングにより検出されるプロテアソーム20Sα−サブユニット(A)及びβ−サブユニット(B)の発現を表す。ブロット(n=6)の濃度測定分析を示す。A.コントロール(黒い棒)、HMB(白い棒)、EPA(細切れの棒)及びそれらの組み合わせ(点模様の棒)。
【図7】図7は、PBS(コントロール)、HMB(0.25g/kg)、EPA(0.6g/kg)又はそれらの組み合わせ(HMB+EPA)で3日間処理されたマウスの腓腹筋における、ウェスタンブロッティングにより検出されるプロテアソーム19SサブユニットであるMSS1(A)及びp42(B)の発現を表す。ブロット(n=6)の濃度測定分析を示す。
【図8】図8は、PBS(コントロール)、HMB(0.25g/kg)、EPA(0.6g/kg)又はそれらの組み合わせ(HMB+EPA)で3日間処理されたマウスの腓腹筋における、ウェスタンブロッティングにより検出されるE214kの発現を表す。ブロット(n=6)の濃度測定分析を示す。
【図9】図9(A)は、50μMのEPA(白抜き四角)、又は25μM(白抜き丸)若しくは50μM(黒塗り丸)のHMBのいずれかのない場合(×)又はある場合のC2C12筋管における総タンパク質分解に及ぼすPIFの効果を表す。PIFの添加24時間後に測定を実施し、平均±標準誤差として示し、n=9である。1(B)はEPA(50μM)又はHMB(25μM若しくは50μM)の有無の下でのPIFで処理したネズミ筋管の可溶性抽出物のキモトリプシン活性を表す。記号は(A)におけるものと同一である。結果は平均ア標準誤差として示され、n=9である。
【図10】図10は、20Sプロテアソームα−サブユニット(A)、β−サブユニット(B)及びp42(C)のPIF誘発に及ぼすEPA及びHMBの効果を表す。アクチン負荷コントロールを(D)に示す。PIF単独(レーンAないしC)で又は50μMのEPA(レーンDないしF)、50μMのHMB(レーンGないしI)又は25μMのHMB(レーンJないしL)の存在下で、4.2nM(レーンB、E、H及びK)又は10nM(レーンC、F、I及びL)の濃度で処理した24時間後のC2C12筋管の可溶性抽出物のウェスタンブロット。コントロール培養物はPBS(レーンA)、50μMのEPA(レーンD)、50μMのHMB(レーンG)又は25μMのHMB(レーンJ)を受容した。示されるブロットは、3つの個別の実験を代表する。
【図11】図11は、ネズミ筋管における細胞質中の(A)及び膜へ結合した(B)PKCαに及ぼすPIFの効果のウェスタンブロットを表す。細胞を、PIF単独(レーンAないしC)で又は50μMのEPA(レーンDないしF)、50μMのHMB(レーンGないしI)又は25μMのHMB(レーンJないしL)の存在下で、4.2nM(レーンB、E、H及びK)又は10nMのPIF(レーンC、F、I及びL)の濃度で処理した。コントロール細胞は、PBS(レーンA)、50μMのEPA(レーンD)、50μMのHMB(レーンG)又は25μMのHMB(レーンJ)を受容した。示されるブロットは、3つの個別の実験を代表する。
【図12】図12は、PIF単独で(レーンAないしC)又はPIFで、50μMのEPA(レーンDないしF)、50μMのHMB(レーンGないしI)又は25μMのHMB(レーンJないしL)の存在下で、4.2nM(レーンB、E、H及びK)又は10nM(レーンC、F、I及びL)のPIF濃度で処理したネズミ筋管の可溶性抽出物中の総ERK1/2(p44及びp42)(A)及び活性型(リン酸化)ERK1/2(B)のウェスタンブロットを表す。コントロール細胞は、PBS(レーンA)、50μMのEPA(レーンD)、50μMのHMB(レーンG)又は25μMのHMB(レーンJ)のいずれかを受容した。示されるブロットは、3つの個別の実験を代表する。
【図13】図13は、ウェスタンブロッティングによって決定されるIκBαのサイトゾルレベルに及ぼす30分間のC2C12筋管の暴露の効果(A)、及びEMSAによって決定される、DNAへ結合するNF−κBの活性化(B及びC)を表す。濃度測定(デンシトメトリー)分析は、3重のブロット又はEMSAの平均である。(A)筋管を、PIF単独で(レーンAないしE)、又は50μMのHMBの存在下でのPIFで0(レーンA及びF)、2.1(レーンB及びG)、4.2(レーンC及びH)、10.5(レーンD及びI)又は16.8nMのPIF(レーンE及びJ)の濃度で処理した。(B)及び(C)において、筋管を0、2.1、4.2、10.5又は16.8nMのPIFで、25μMのHMB(B)又は50μMのHMB(C)のない場合(黒い棒)又はある場合(白い棒)で処理した。
【0031】
β−ヒドロキシ−β−メチル酪酸又はβ−ヒドロキシ−イソ吉草酸とも呼ばれるHMBという語は、(CH3)2(OH)CCH2COOHとしてのHMBの遊離酸形態に表されることができる。HMBは、筋中でのα−ケトイソカプロン酸(KIC)へのアミノ基転移後に、HMBを供与するために肝臓のサイトゾル中でのKICの酸化によって形成されるロイシンの代謝産物である。
【0032】
「大型中性アミノ酸」という語は、ロイシン、イソロイシン、バリン、チロシン、スレオニン及びフェニルアラニンを指す。アミノ酸は、タンパク質の構築ブロックである。アミノ酸は、カルボキシル基(COOH)及び化合物の末端にある同一炭素へ結合されるアミノ基(NH2)の存在によって特徴付けられる。
【0033】
「遊離アミノ酸において実質的に欠失している」という語は、組成物の毎日の投与量における総遊離アミノ酸含有量が0.4g未満である組成物を指す。例えば、もし生成物が1日当たり1缶の速度で供給されるよう企図されれば、生成物の1缶は遊離アミノ酸の総計0.4g未満を含有する。問題のアミノ酸は、以下の化合物の1つ以上からなる自然発生的に生じるL−異性体である。すなわち、L−アラニン、L−アルギニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−システイン(又はL−シスチン)、L−グルタミン酸、L−グルタミン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン及びL−バリン、又はそれらの食品上若しくは医薬的に許容可能な塩、エステル、塩又は誘導体(メチル又はエチルエステルなど)である。
【0034】
「カヘキシー」という語は、一般的な疾病状態及び栄養不良の状態を指す。カヘキシーは、悪性癌としばしば関係付けられ悪性癌によって誘発され、食欲低下、体重、特に除脂肪体重の低下、及び筋の消耗によって特徴付けられる。
【0035】
「脂肪酸」という語は、炭化水素鎖を有するカルボン酸のファミリーを指し、一般に約12個ないし24個の炭素長である。(二重結合を有する)不飽和のとき、脂肪酸などの炭化水素鎖における少なくとも一箇所が第一の二重結合の位置によって命名される。ω−3脂肪酸は、鎖のメチル末端から3番目の炭素で最初の二重結合を有し、それらにはα−リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸(「EPA」)、ドコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸(「DHA」)及びそれらの類似物が含まれるがそれには限定されない。ω−6脂肪酸は鎖のメチル末端から6番目の炭素で最初の二重結合を有し、それらにはリノール酸、γ−リノレン酸、アラキドン酸(「AA」)、及びそれらの類似物が含まれるがそれらには限定されない。
【0036】
本明細書で使用される「食品」という語は、脂肪、アミノ窒素及び炭水化物の1つ以上を含有する送達担体を指し、栄養的な補助のいくつか又はすべてを、推奨される1日量で患者に提供する。しばしば、食品は、食品置換物、医用食品、サプリメントへバランスの取れた栄養を提供するため、ビタミン、ミネラル、微量ミネラル及びそれらの類似物を含有するであろう。食品は、飲料、粉末、バー、ジュース、炭酸飲料、ミネラルウォーター(bottled water)などの任意の典型的な形態とすることができる。
【0037】
「基準1日摂取量又はRDI」という語は、栄養所要量に基づいた、必須ビタミン及びミネラルについての食事基準の1セットを指す。推奨栄養所要量は、最新の科学的知識を反映するように、周期的に更新される、米国科学アカデミーにより確立される概算された栄養所要量の1セットである。
【0038】
「患者」という語は、ヒト、イヌ、ネコ、及びその他の非反芻動物を指す。
【0039】
本願における数の範囲に対するいずれの表記も、「約」という形容詞によって修飾されるものと考慮されるべきである。さらに、いずれの数の範囲も、その範囲のサブセットを志向する請求項についての対応を提供するよう考慮されるべきである。例えば、1から10までという範囲の開示は、明細書及び特許請求の範囲における対応を1ないし10の範囲におけるいずれかのサブセット(すなわち、2ないし9、3ないし6、4ないし5、2.2ないし3.6、2.1ないし9.9、等)へ提供すると考えるべきである
【0040】
操作の何らかの特定の理論に本発明を限定することを意図するものではないが、出願者は推測されるメカニズムを以下に記載する。
【0041】
極端な必要性(例、飢餓など)の場合、骨格筋はしばしば、アミノ酸及びエネルギーの貯蔵庫として身体によって使用される。このことは、筋におけるタンパク質分解の上方制御及びタンパク質合成の下方制御によって仲介される。その正味の結果は、必須なシステムの維持において使用するための、一般的な循環へのアミノ酸の筋からの放出である。良好な健康状態及び適切な栄養上の利用可能性が回復されるとき、筋は再構築される。カヘキシーの場合、このシステムは不適切に活性化され、そのため、栄養上適切な場合でさえ、筋組織タンパク質は分解され続ける。
【0042】
不適切に活性化された鍵となるタンパク質分解系の1つは、ユビキチンプロテオソーム系である。正常に機能しているとき、この系は、老化したタンパク質、又は、何らかの様式で、損傷を受け、若しくはもはや必要とされていないタンパク質を認識し、ユビキチンとの結合を介して除去するためにタンパク質をマークする。このようなユビキチン化したタンパク質は、プロテオソームによって認識され、分解され、遊離ユビキチン及びペプチド及び遊離アミノ酸をエネルギー消費過程において放出する。この系を活性化又は上方制御するシグナル伝達分子は多く存在し、それには特定のカヘキシー誘発腫瘍によって生じるタンパク質因子であるタンパク質分解誘発因子(PIF)が含まれる。PIFの筋細胞への結合は、ホスホリパーゼA(PLA)の上方制御を生じる。これが順に、タンパク質キナーゼCを最終的に活性化するシグナル伝達因子を生じ、ユビキチン共役についての及びプロテオソームの特定のサブユニットについての(核因子κB、NFκBを介する)遺伝子の活性化を生じる。このシグナル伝達の全体の正味の結果は、ユビキチンプロテオソーム系の上方制御であり、及び筋における不適切な持続されたタンパク質分解である。図1は、この活性化シーケンスの詳細な経路を示す。
【0043】
タンパク質キナーゼC
タンパク質キナーゼCは、カルシウム及び脂質により活性化されるセリン−スレオニンキナーゼのファミリーであり、多くの細胞内シグナル伝達カスケードにおいて重要な役割を担う。少なくとも12個の異なるPKCアイソタイプがあり、それらはその一次構造及び生化学的特性に基づいて3つのクラスへ分類される(CA Carter:“Protein kinase C as a drug target:Implications for drug or diet prevention and treatmento of cancer.”Current Drug Targets 1: 163−183 (2000))。これらは、活性化のためにジアシルグリセロール、ホスファチジルセリン及びカルシウムを要する従来型(cPKCα、βI、βII及びγ)、ジアシルグリセロール及びホスファチジルセリンを要するがカルシウムとは無関係の新規型(nPKCδ、ε、η、θ及びμ)、並びにカルシウム及びジアシルグリセロールとは無関係の非定型(aPKCλ、τ及びζ)である。
【0044】
PKCは、膜結合型酵素前駆体として合成される。タンパク質分解性開裂による前駆配列の除去、及びその後のリン酸化は、膜からサイトゾルへ形質転換受容性酵素を放出する。その後の活性化因子の独特のセットとの相互作用は活性型酵素を生じる。したがって、可能な制御のいくつものレベルがあり、それには発現の調節、タンパク質分解プロセシングの調節、初期リン酸化事象の調節及び最終的には、完全な活性のために必要とされるさまざまな活性化因子のサイトゾルレベルの制御が含まれる。
【0045】
タンパク質キナーゼCは、細胞の有糸分裂誘発及び増殖、アポトーシス、血小板活性化、アクチン細胞骨格のリモデリング、イオンチャネルの修飾及び分泌にいたるシグナル伝達経路のいくつかにおいて関与する。さらに、PKCが腫瘍促進性ホルボールエステルに対す主要な受容体でもあるという他の知見は、この酵素の作用のメカニズムを研究するための重要な試薬を提供した。PKCは、炎症、心臓循環器系、末梢微小循環系、CNS、腫瘍学、免疫及び感染性の疾病状態に関与する経路を制御し、薬物開発のための重大かつ重要な標的として考慮される(P.G.Goekjian及びM.R.Jirousek:「Protein Kinase C in the Treatment of Disease:Signal Transduction Pathways, Inhibitors, and Agents in Development“、Current Medicinal Chemistry 6(9): 877−903, (1999); CA O’Brian、NE Ward, KR Gravitt及びKP Gupta:「The tumor promoter receptor protein kinaseC:A novel target for chemoprevention and therapy of human colon cancer.”、Growth Factors and Tumor Promotion: Implications for Risk Assessment、117ページ−120ページ、1995、Wiley−Liss社; F Battaini:“Protein kinase C isoforms as therapeutic targets in nervous system disease states.」、Pharmacological Research 44(5): 353−361、(2001); RN Frank:“Potential new medical therapies for diabetic retinopathy:protein kinase C inhibitors.”Am J Ophthalmol 133: 693−698 (2002); M Meier及びGL King:“Protein kinase C activation and its pharmacological inhibition in vascular disease.”Vascular Medicine 5: 173−185 (2000))。
【0046】
NFκB
核因子κB(NFκB)は、哺乳類細胞の幅広い種類で見られる転写因子のファミリーである。成熟分子は、次の5つの遺伝子産物(RelA (p65)、p50、RelB、c−Rel及びp52)の1つ又は2つから生成されるホモ二量体又はヘテロ二量体であり、そのもっとも共通のものはRelA及びp50の二量体である。非活性化条件下で、NFκBは、阻害性タンパク質IκBαとの会合によって、サイトゾルに局在化する。上流のシグナル伝達はIκBキナーゼを包含し、結合したIκBαのリン酸化はNFκBからのその放出を生じ、後者を核へと転移させ、特異的遺伝子転写を活性化させる。リン酸化したIκBαはユビキチン−プロテオソーム経路によって分解される。
【0047】
NFκBは、炎症と関連した重要な制御分子として広く認識される。したがって、NFκBは、急性及び慢性の両炎症性疾患において重要な役割を担う(AB Lentsch及びPA Ward:“Activation and regulation of NFκB during acute inflammation”Clin Chem Lab Med 37(3):205−208 (1999))。NFκBは、癌の転移などの他の疾病の特定の側面においても役割を担う(VB Andela, AH Gordon, G Zotalis, RN Rosier, JJ Goater, GD Lewis, EM Schwarz, JE Puzas及びRJ O’Keefe:“NFκB:A pivotal transcription factor in prostate cancer metastasis to bone”Clinical Orthopaedics and Related Research 415S: S75−S85 (2003))。この転写因子は、糖尿病症候群の発達(E.Ho及びTM Bray:“Antioxidants, NFκB activation and diabetogenesis”Proceedings of the Society for Experimental Biology and Medicine 222: 205−213 (1999))並びに免疫発達及び制御(J Moscat, MT Diaz−Meco及びP Rennert:“NFκB activation by proptein kinase C isoforms and B−cell function.”、EMBO Reports 4:31−36 (2003))において関与する。最後に、NFκBは、アポトーシスの、並びに成長及び分化における調節と関連している。実際、PIF(腫瘍により放出され、癌により誘発される除脂肪体重の低下に関与するタンパク質分解誘発因子)は、胚発生の制御因子であると考えられており、最終的にNFκBを通じてシグナル伝達カスケードの引き金を引く(F Delfino及びWH Walker:“Hormonal regulation of the NFκB signaling pathway.”、Molecular and Cellular Endocrinology 157: 1−9 (1999); TM Watchorn, I Waddell, N Dowidar及びJA Ross:“Proteolysis−inducing factor regulates hepatic gene expression via the transcription factor NFκB and STST3.”、FASEB J 15: 562−564 (2001))。
【0048】
PLAの活性化から生じるシグナル伝達の阻害、特にアラキドン酸(AA)の放出を介してカヘキシーに及ぼすEPAの有利な効果をEPAが発揮することも周知である。このことは、初期のシグナル伝達事象を除去することによって、ユビキチン−プロテオソーム経路のその後の上方制御及び活性化を予防する。HMBは、PLAの活性化又はAAの放出を予防しない一方で、タンパク質キナーゼCの上方制御を予防し、シグナル伝達経路におけるその後の活性化すべてを予防し、最終的に、ユビキチン−プロテオソーム系の活性化も予防する。
【0049】
HMB単独は腫瘍の成長速度を低下でき、EPAの最適下の投与量レベルと組み合わせて抗悪液性効果を増強することができることはいまや驚くべきことに及び予期せぬことに発見されている。EPA及びHMBの組み合わせは、ユビキチン−プロテアソームタンパク質分解経路の重要な制御構成要素の発現の亢進の下方制御を通じてタンパク質分解を減弱することによって、筋重量を保存する。
【0050】
「HMB」という語は、その遊離酸及び塩の両形態にある、前述の化学式を有する化合物、その代謝産物及び誘導体を指す。HMBのいずれかの適切な形態が本発明に関連して使用できるが、好ましくはHMBが、遊離酸、塩、エステル、及びラクトンからなる群から選択され、より好ましくはHMBが塩である。
【0051】
HMBのいずれかの医薬的に適切な塩が本発明の脈絡内で使用できるが、好ましくはHMB塩が患者の胃又は腸において水溶性であるか又は水溶性になる。より好ましくは、HMB塩はナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、クロム塩、及びカルシウム塩からなる群から選択される。最も好ましくは、HMB塩はカルシウム塩である。しかしながら、他のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩などの他の非毒性塩が使用できる。
【0052】
同様に、いずれかの医薬的に許容可能なエステルは、本発明において使用できる。望ましくは、HMBエステルは、その遊離酸の形態でHMBへ迅速に変換される。好ましくは、HMBエステルはメチルエステル又はエチルエステルである。HMBメチルエステル及びHMBエチルエステルはHMBの遊離酸形態へ迅速に変換される。
【0053】
同様に、いずれかの医薬的に許容可能なラクトンは、本発明において使用できる。望ましくは、HMBラクトンは、その遊離酸の形態でHMBへ迅速に変換される。好ましくは、HMBラクトンはイソバラリルラクトン又は同様のラクトンである。このようなラクトンはHMBの遊離酸形態へ迅速に変換される。
【0054】
HMB及びその誘導体を生成するための方法は本分野で周知である。例えば、HMBはジアセトンアルコールの酸化によって合成できる。ある適切な手法は、Coffmanほか、J.Am.Chem.Soc.80: 2882-2887 (1958)によって記載されている。そこに記載されるように、HMBはジアセトンアルコールのアルカリ性の次亜塩素酸ナトリウムの酸化によって合成される。生成物を遊離酸の形態で回収し、それを望ましい塩へ変換できる。例えば、3−ヒドロキシ−3−メチル酪酸(HMBA)を、冷次亜塩素酸塩水溶液(漂白剤)を使用する酸化を介してジアセトンアルコール(4−ヒドロキシ−4−メチルペンタン−2−オン)から合成できる。HClを使用して反応混合物を酸性化した後、HMBA生成物を、酢酸エチルを使用する抽出によって回収し、抽出混合物から有機層を分離及び保持する。酢酸エチルを蒸発により除去し、残渣をエタノールに溶解する。Ca(OH)2の添加及び冷却後、結晶性CaHMBをろ過により回収でき、結晶をエタノールで洗浄した後に乾燥させる。あるいは、HMBのカルシウム塩はSalt Lake City,UtahにあるTSIから商業的に入手可能である。
【0055】
癌患者における栄養的な補助は、(i)適切に栄養を供与された患者における栄養の悪化を予防するよう、又は最終的な療法の前に欠亡した患者にリハビリさせるよう栄養的な補助が開始される支持的なもの、(ii)治療上の計画における統合的な役割を栄養的な補助が担う付属的なもの、及び(iii)積極的な栄養的な補助が患者の存在にとって必要とされる決定的なもの、として分類できる。栄養的な補助を提供するための経路には、経口食、チューブ摂食及び末梢若しくは全身的非経口栄養がある。本発明の栄養的方法及び組成物についての好ましい実施態様は、経口経路によるものである。
【0056】
経口摂食に替わるものとして、鼻腔胃、鼻腔十二指腸、食道瘻造設術、胃瘻造設術又は空腸瘻造設術のチューブによるチューブ摂食である。
【0057】
HMBが患者の除脂肪体重に及ぼす有益な効果は、多くの方法において達成できる。所望であれば、HMBは単独で、担体なしで投与してもよい。HMBは水に単純に溶解され、患者によって消費されてもよい。あるいは、HMBは、食物上に振り掛けられ、コーヒーに溶解されるなどしてもよい。患者のための総1日投与量は幅広く変動するであろうが、典型的には患者はHMBの少なくとも2g/日を消費することから利益を得るであろう。あるいは、20mg/kg/日ないし40mg/kg/日である。
【0058】
更なる実施態様において、HMBはピル、カプセル、迅速に溶解される錠剤、トローチ剤などへと組み込まれてもよい。活性投与量は幅広く変動できるが、典型的には1回の投与当たり250mgないし1gの範囲であり、患者は2回ないし8回の投与を1日に消費し、最低2g/日の目標を達成するであろう。このような剤形を調製するための方法は本分野で周知である。読者の注意は、このような剤形を調製する方法に関するガイダンスについてのRemingtons Pharmaceutical Sciencesの最新版へ向けられる。
【0059】
HMBは、単回実体として投与されてもよいが、典型的には、食品へ組み込まれ、患者の食事又は間食の間に患者によって消費されるであろう。もし望めば、患者は彼らが通常食事に振り掛け、コーヒーに溶解するなどによって消費する食事のレシピを単純に修正してもよい。
【0060】
更なる実施態様において、HMBは、その嗜好性を増強し、代替形態の選別を増加させるよう特に企図された飲料、バー、クッキーなどへ組み込まれ、それにより患者/消費者の受容を増強するであろう。
【0061】
典型的に、HMBは、Ensure(R)、Boost(R)、Glucema(R)、Pediasure(R)、Pedialyte(R)等の食事置換飲料へと組み込まれるであろう。HMBは、PowerBars(R)、Glucema(R)バー、Choice DM(R)バー、Ensure(R)バー、及びBoost(R)バー等の食事置換バーへも組み込まれてもよい。あるいは、HMBは、ジュース、炭酸飲料、ミネラルウォーターなどへ組み込まれてもよい。さらに、HMBは、癌、HIV/エイズ、COPD、関節炎等の特定の疾病状態を支援するよう企図されたProSure(R)、Promote(R)、Jevity(R)及びAdvera(R)などの医用栄養剤へと組み込まれてもよい。このような食品のいずれかを製造するための方法は、当業者に周知である。以下の論議は、このような食品及びそれらの調製を説明するように意図される。
【0062】
たいていの食事置換製品(すなわちバー又は液体)は、脂肪、炭水化物、及びタンパク質由来のカロリーを提供する。これらの製品はそれらが一つの栄養源として使用するのに適しているよう企図されるため、ビタミン及びミネラルも典型的に含有する。これらの食事置換製品が栄養の単一源として提供されてもよいが、典型的には、それらは提供されない。個人は1日に1回又は2回の食事を置換するために、又は健康的なスナックを提供するためにこれらの製品を消費する。本発明の栄養補助製品はこれらの実施態様のいずれかを包含するよう解釈されるべきである。
【0063】
これらの栄養補助成分の量は、標的とされる患者集団(すなわち、癌、HIV/エイズ、関節炎、感覚受容性考慮、文化的優先度、使用、等)によって幅広く変動しうる。しかしながら、一般的な制限のないガイドラインとして、本発明の食事置換製品は、(総カロリーの相対的な割合に基づいた)タンパク質、脂肪、及び炭水化物の以下の相対的な量を含有するであろう。すなわち、総カロリー含有量の5%ないし80%を提供するタンパク質成分、総カロリー含有量の10%ないし70%を提供する炭水化物成分、及び総カロリー含有量の5%ないし50%を提供する脂質成分である。
【0064】
食事置換物は、栄養処方を調製する当業者に公知のように、適切な炭水化物、脂質及びタンパク質を含有するであろう。適切な炭水化物には、トウモロコシ、タピオカ、コメ又はジャガイモを原材料とするワックス形態又は非ワックス形態にある加水分解された、無処置の、天然修飾される、及び/又は化学的に修飾されるデンプン、及びグルコース、果糖、ラクトース、ショ糖、マルトース、高濃度果糖トウモロコシシロップ、トウモロコシシロップ固体、フラクトオリゴ糖、及びそれらの混合物などの糖が含まれるが、それらには限定されない。
【0065】
適切な脂質には、やし油、大豆油、トウモロコシ油、オリーブ油、ベニバナ油、高オレインベニバナ油、MCT油(中鎖トリグリセリド)、ヒマワリ油、高オレインヒマワリ油、パーム油、パームオレイン、アブラナ油、綿実油、魚油、パーム殻粒油、メンヘイデン(menhaden)油、大豆油、レシチン、アラキドン酸及びドコサヘキサエン酸の脂質源、及びそれらの混合物が含まれるが、それらには限定されない。アラキドン酸及びドコサヘキサエン酸の脂質源には、海洋油(marine oil)、卵黄油、及び真菌油若しくは藻類油が含まれるが、それらには限定されない。
【0066】
これらの脂肪の数多くの商業源は容易に入手可能であり、当業者に公知である。例えば、大豆油及びアブラナ油はDecartur, IllinoisのArcher Daniels Midland社から利用可能である。トウモロコシ油、やし油、パーム油、及びパーム穀粒油はPortland, OrganのPremier Edible Oils Corporationから入手可能である。精製やし油は、LaGrange, IllinoisのHenkel Corporationから入手可能である。高オレインベニバナ油及び高オレインヒマワリ油は、Eastlake, OhioのSVO Specialty Productsから入手可能である。海洋油は、日本の東京の持田インターナショナルから入手可能である。オリーブ油は、英国のNorth HumbersideのAngila Oilsから利用可能である。ヒマワリ油及び綿実油は、Minneapolis, MinnesotaのCargilから利用可能である。ベニバナ油は、Richmond, CaliforniaのCalifornia Oils Corporationから利用可能である。
【0067】
これらの食品級の油に加えて、調整脂質が、もし望めば食品へ組み込まれてもよい。調整脂質は本分野で公知である。調整脂質の簡潔な記載は、調整脂質は脂肪適合化を可能にするという表題でINFORM, Vol.8, No.10, 1004ページ(1997年10月)に見られる。又、米国特許第4,871,768号を参照してほしい。調整脂質は主に、同一グリセロール核の中鎖脂肪酸及び長鎖脂肪酸の混合物を含有するトリアシルグリセロールである。調整脂質及び経腸処方におけるそれらの使用は米国特許第6,194,379号及び第6,160,007号にも記載されている。
【0068】
必要に応じて、ω−3脂肪酸は油配合物の約30%を含んでもよく、好ましくは、ω−3脂肪酸はエイコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸から主としてなる。栄養組成物の調製において使用される食用油は、トリグリセリドの形態にあるω−3脂肪酸を一般に含有し、それにはアブラナ油、中鎖トリグリセリド、魚油、大豆油、大豆レシチン、トウモロコシ油、ベニバナ油、ヒマワリ油、高オレインヒマワリ油、高オレインベニバナ油、オリーブ油、ルリヂサ油、クロスグリ油、マツヨイグサ油及び亜麻仁油が含まれるが、それらには限定されない。必要に応じて、本発明に記載の脂質配合物におけるω−6脂肪酸とω−3脂肪酸との重量比は約0.1ないし3.0である。ω−3脂肪酸の毎日の送達は少なくとも450mgであるべきであり、個体の体重、性別、年齢及び医学的状態によって変動してもよい。前述のように、より高いレベルが成人の消費に対して望ましく、例えば毎日約0.5gないし50g、より好ましくは毎日約2.5gないし5gである。
【0069】
ω−3脂肪酸及びHMBを組み合わせることの予期せぬ利点は、食事置換物の味における改善である。ω−3脂肪酸の典型的な供給源は魚油及び藻類油である。各供給源は、食事置換製品へ不快な香りをもたらす。本発明者は、HMBを添加することによって、製品中のω−3脂肪酸の最適量以下の低いレベルを使用するときでさえ、不随意的な体重低下を予防することに関する同一又はより良好な臨床結果が得られうることを発見した。結果的に発明者は、ω−3脂肪酸及びHMBのレベル間に逆の関係があることを発見した。例えば、もしω−3脂肪酸の効果的な投与量が食事置換物2缶に送達される3gであれば、同一の臨床結果は、2缶に送達されるω−3脂肪酸の2g及びHMBの1gを含有するよう処方される製品において、又は2缶に送達されるω−3脂肪酸の1g及びHMBの2gを含有するよう処方される製品において見られるであろう。ω−3脂肪酸の1gのみを含有するよう処方される製品は、同一の臨床的な有効性に達しながらω−3脂肪酸の2g又は3gで処方される製品よりも非常により良好な味であろう。さらに、ω−3脂肪酸は炎症の仲介物質であるAAの公知の阻害剤であるため、ω−3脂肪酸及びHMBを含有する製品は、成分のいずれかを単独で含有するものよりも幅広い利点を有しうるであろう。
【0070】
適切なタンパク質源には乳、乳清及び乳清画分、大豆、米、食肉(例、牛肉)、動物及び野菜(例、エンドウ、ジャガイモ)、卵(卵アルブミン)、ゼラチン及び魚があるがそれらには限定されない。適切な無処置のタンパク質源には、大豆ベース、乳ベース、カゼインタンパク質、乳清タンパク質、米タンパク質、牛肉コラーゲン、エンドウタンパク質、ジャガイモタンパク質、及びそれらの混合物が含まれるが、それらには限定されない。
【0071】
必要に応じて、無処置のタンパク質源は、バリン、イソロイシン、ロイシン、スレオニン、チロシン及びフェニルアラニンを含む大型中性アミノ酸(LNAA)に富んでいる。典型的には、カゼイン、乳清及び大豆のタンパク質源の約40%が大型中性アミノ酸である。例えば、カゼインは約38重量%のLNAAを含有し、乳清タンパク質濃縮物は約39重量%のLNAAを含有し、大豆タンパク質単離物は約34重量%のLNAAを含有する。典型的には、食事置換物は、1日当たりLNAAの約1gないし25g、好ましくは1日当たりLNAAの約1gないし20g、より好ましくは1日当たりLNAAの約4gないし20gを送達するであろうタンパク質源とともに処方される。一例として、4.8gのLNAAを含むタンパク質を含有する1日に3回消費される食事置換物は、1日当たり14.4gのLNAAを送達するであろう。
【0072】
食事置換物は、処方を受容する人の1日栄養所要量を供給又は補充するよう企図された量でビタミン及びミネラルも好ましく含有する。当業者は、栄養処方にはしばしば、製品の保存期間の間、目標とするレベルに適合するのを確実にするための特定のビタミン及びミネラルの賞味期限があることを認識する。当業者は、患者が苦しむいずれかの潜在的な疾患又は疾病による、人々にとって有力な利益を特定の微量成分が有するかもしれないことも認識する。例えば、癌患者はβカロテン、ビタミンE、ビタミンC及びセレンなどの抗酸化剤から利益を得る。食品には好ましくは以下のビタミン及びミネラルが含まれるがそれらには限定されない。すなわち、カルシウム、リン、ナトリウム、塩化物、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、セレン、ヨウ素、クロム、モリブデン、条件つきで必須栄養素であるm−イノシトール、カルニチン及びタウリン、及びビタミンA、C、D、E、K及びB複合体、及びそれらの混合物である。
【0073】
条件付きで必須栄養素であるカルニチンは、メチオニン及びリジンから形成される、天然に存在するアミノ酸である。その主要な代謝上の役割は、ミトコンドリア膜を通過する長鎖脂肪酸を輸送し、したがって、代謝エネルギーのためのこれらの燃料物質の酸化を刺激することと関連する。カルニチン補充は、肝臓及び腎臓の疾患、並びに栄養不良によって複雑になる主要慢性疾患又は広範囲の損傷などの状態における重要な代謝上のツールである。必要に応じて、食事置換物は、カルニチンの4g/日まで供給するのに十分なレベルでカルニチンにより補充されてもよい。
【0074】
食事置換物は、繊維及び安定剤も含有してもよい。繊維及び/又は安定剤の適切な源には、キサンタンガム、グアーガム、アラビアガム、ゴートガム、カラヤガム、トラカカンスガム(gum tracacanth)、アガー、フルセララン(furcellaran)、ゲランガム(gellan gum)、イナゴマメガム、ペクチン、低及び高メトキシペクチン、カラスムギ及び大麦グルカン、カラゲナン、サイリウム、ゼラチン、微結晶性セルロース、CMC(カルボキシメチルセルロースナトリウム)、メチルセルロースヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、DATEM(モノグリセリド及びジグリセリドの酒石酸ジアセチルエステル)、デキストラン、カラゲナン、FOS(フラクトオリゴ糖)、及びそれらの混合物である。可溶性食物繊維の多くの商業源が入手可能である。例えば、アラビアゴム、加水分解されたカルボキシメチルセルロース、グアーガム、ペクチン並びに低及び高メトキシペクチンがBelCamp,MarylandのTIC Gums社から入手可能である。カラスムギグルカン及び大麦グルカンは、Omaha,NebraskaのMountain Lake Specialty Ingredients社から入手可能である。サイリウムは、North Bergen,New JerseyのMeer Corporationから入手可能であるのに対し、カラゲナンは、Philadelphia,PennsylvaniaのFMC Corporationから入手可能である。
【0075】
組み込まれた繊維は、カラスムギ穀皮繊維、エンドウ穀皮繊維、大豆穀皮繊維、大豆子葉繊維、テンサイ繊維、セルロース及びトウモロコシふすまを代表例が含む不溶性食物繊維であってもよい。不溶性食物繊維のための多くの源も入手可能である。例えば、トウモロコシふすまはChicago,IllinoisのQuaker Oatsから入手可能であり、カラスムギ穀皮繊維はCambridge,MinnesotaのCanadian Harvestから、エンドウ穀皮繊維はWinnipeg,カナダのWoodstone Foodsから、大豆穀皮繊維及びカラスムギ穀皮繊維はLaVale,MarylandのThe Fibrad Groupから、大豆子葉繊維はSt.Louis,MissouriのProtein Technologies Minneapolisから、テンサイ繊維はMinneapolis,MinnesotaのDelta Fiber Foodsから、セルロースはSaddle Brook,New JerseyのJames River社から入手可能である。
【0076】
繊維の例のより詳細な論議及び食品へのそれらの組み込みは、Garlebほかの発行した米国特許第5,085,883号に見出されるかもしれない。
【0077】
処方で利用される繊維の量は変動できる。利用される繊維の特定のタイプは決定的ではない。人間の消費に適し、食品のマトリクス中で安定であるいずれかの繊維が利用されてもよい。
【0078】
繊維に加え、食事置換物は、フラクトオリゴ糖(FOS)又はグルコオリゴ糖(GOS)などのオリゴ糖も含有してもよい。オリゴ糖は、大腸に生息する嫌気性微生物によって短鎖脂肪酸へと迅速かつ広範囲に発酵される。これらのオリゴ糖はたいていのビフィズス菌種のための優先的なエネルギー源であるが、クロストリジウムペルフィンゲン(Clostridium perfingen)、クロストリジウムディフィシレ、又は大腸菌などの潜在的に病原性の生命体によっては利用されない。
【0079】
典型的には、FOSは食事置換物の0g/回ないし5g/回を、好ましくは1g/回ないし5g/回を、より好ましくは食事置換物の2g/回ないし4g/回を含む。
【0080】
食事置換物は、その口に合いやすさを亢進するための香料も含有してもよい。人工甘味料は、香料を補完し塩味を隠すよう添加されてもよい。有用な人工甘味料には、サッカリン、ヌートラスイート(nutrasweet)、スクラロース、アセスルファン(acesulfane)−K(ace−K)、等がある。
【0081】
食事置換物は、当業者に周知の技術を使用して製造できる。さまざまな加工技術が存在する。典型的には、これらの技術には水及び以下のもの、すなわち炭水化物、タンパク質、脂質、安定剤、ビタミン及びミネラルのうちの1つ以上を含有してもよい1つ以上の溶液からのスラリーの形成が含まれる。HMBを、その他のミネラルの前に炭水化物スラリーへ典型的に添加する。スラリーを乳化し、均質化し、冷却する。さまざまな他の溶液は、加工前、加工後又は両者の時にスラリーへ添加されてもよい。次に、加工された処方を、滅菌し、粉末へと乾燥するために希釈し、即時供給ベースで利用し、又は濃縮された液体形態に包装してもよい。結果として生じる処方が即時供給液体又は濃縮液体であることを意味されるとき、滅菌前に水の適切な量を添加するであろう。
【0082】
バー、クッキー、等の固体組成物も、当業者に公知の技術を利用して製造されてもよい。例えば、それらは、本分野で公知の冷却押し出し成形技術を使用して製造されてもよい。このような組成物を調製するために、典型的に粉末化した構成要素のすべてを互いに乾燥配合するであろう。このような構成要素には典型的に、タンパク質、ビタミン予備混合物、特定の炭水化物等が含まれる。次に、脂溶性構成要素を互いに配合し、前述の粉末化した予備混合物と混合する。その後、最終的にいずれの液体構成要素も組成物へと混合し、プラスチック様の組成物又は生地を形成する。
【0083】
前述のプロセスは、冷却形成又は押し出し成形として公知の手段によって生じるさらなる物理的変化又は化学的変化がなく、後に成形できるプラスチック塊を供与するよう企図される。このプロセスにおいて、プラスチック塊は望ましい形状を付与するダイスを通じて比較的低圧で力を加えられる。次に、結果として生じる押し出し成形物を適切な位置で切断して、望ましい重量の製品を供与する。もし望めば、固体製品を次にコーティングして嗜好性を亢進し、分配のために包装する。典型的には、包装は末端消費者による使用(つまり、癌患者によって消費される、除脂肪筋の減少を予防するのを助ける、等)のための方向付けを提供するであろう。
【0084】
本発明の固体組成物は、シリアル、クッキー、及びクラッカーを製造するための焼き上げ適用又は加熱された押し出し成形を通じても製造されてもよい。当業者は、望ましい最終製品を製造するのに利用可能な多くの製造プロセスのうちの1つを選択できるであろう。
【0085】
前述のように、HMBは、ジュース、非炭酸飲料、炭酸飲料、電解質溶液、フレーバー水(以下、集約的に「飲料」)等へも組み込まれてもよい。HMBは、飲料の0.5g/杯ないし2g/杯を典型的に含むであろう。このような飲料を製造するための方法は、本分野で周知である。読者の注意は米国特許第6,176,980号及び第5,792,502号へ向けられ、各内容は参考文献によって本明細書に組み込まれる。例えば、HMBを含む成分はすべて、水の適切な量に溶解される。香料、着色料、ビタミン等が次に、必要に応じて添加される。次に、混合物を低温殺菌し、包装し、発送まで保存する。
【0086】
消耗又は炎症が心臓循環器、末梢微小循環、中枢神経系、腫瘍学、免疫及び感染性の疾病状態などと関連するいずれかの疾病は、本発明の方法に従って治療できる。好ましくは、疾病は、癌、カヘキシー、年齢関連消耗、長期入院と関連した消耗、HIV/エイズ、関節炎、外傷、肝疾患、クローン病又は他の炎症性腸疾患(IBD)、腎不全及びCOPD(慢性閉塞性肺疾患)からなる群から選択される。より好ましくは、疾病はカヘキシーである。
【0087】
本発明は、別の実施態様において、哺乳類など、好ましくはヒトの患者の疾病と関連した消耗の治療のための方法を提供する。方法は、患者へ前述の組成物を投与することを含み、組成物は疾病と関連した消耗を治療するのに十分な量でHMBを含み、組成物を患者へ投与すると、疾病と関連した消耗が治療される。
【0088】
ある患者における疾病と関連した消耗を治療するのに十分なHMBの量は、本分野で周知の方法に従って決定できる。患者の疾病と関連した消耗を治療するとき、望ましくは、HMBを含む組成物は、患者の除脂肪体重が患者の体脂肪量の減少を付随せずに増加するであろう量、様式、時間で、疾病と関連した消耗に苦しむ患者へ投与される。ヒトの癌カヘキシーと関連した消耗を治療する脈絡内にある一例は、組成物が最短2週間で1日に約2回経口投与されるとき、投与量は少なくとも2gHMB/日を提供するのに十分である。
【0089】
本発明は、別の実施態様において、哺乳類など、好ましくはヒトの患者において腫瘍成長速度を低下させるための方法を提供する。方法は、患者へ前述の組成物を投与することを含み、組成物は腫瘍成長速度を低下するのに十分な量でHMBを含み、組成物を患者へ投与すると、腫瘍成長速度が低下する。
【0090】
ある患者において腫瘍成長を減退させるのに十分なHMBの量は、本分野で周知の方法に従って決定できる。患者における腫瘍成長を治療するとき、望ましくは、HMBを含む組成物は、患者の腫瘍成長速度が低下するであろう量、様式、時間において、腫瘍成長に苦しむ患者へ投与される。成人における腫瘍成長を治療する脈絡内での一例は、組成物が最短2週間で1日に約2回経口投与されるとき、投与量は少なくとも約2gHMB/日を提供するのに十分である。
【0091】
本発明は、別の実施態様において、タンパク質キナーゼCの発現及び/又は活性を下方制御するための方法を提供する。実施例IないしIVは、EPA及びHMBの両者がタンパク質キナーゼC(PKC)のPIFにより誘発される活性化及び、その後のIκBαの分解及び核因子−κB(NF−κB)の核内蓄積を減退させたことを示す。
【0092】
本発明は、別の実施態様において、核因子−κBの発現及び/又は活性を下方制御するための方法を提供する。実施例IないしIVは、EPA及びHMBの両者がタンパク質キナーゼC(PKC)のPIFにより誘発される活性化及び、その後のIκBαの分解及び核因子−κB(NF−κB)の核内蓄積を減退させたことを示す。
【0093】
本発明は、別の実施態様において、核因子κBの発現及び/又は活性を下方制御するための方法を提供する。実施例1ないし4は、EPA及びHMBの両者が、タンパク質キナーゼC(PKC)のPIFにより誘発される活性化及びその後のIκBαの分解及び核因子−κB(NF−κB)の核内蓄積を減退させたことを示す。
【0094】
本発明は、別の実施態様において、ユビキチン連結酵素の発現及び/又は活性を下方制御するための方法を提供する。実施例1ないし4は、ユビキチン連結酵素の発現及び/又は活性の下方制御にはE214kユビキチン連結酵素の発現における低下が伴ったことを示す。EPA及びHMBの組み合わせはいずれかの治療単独と少なくとも同じ程度効果的であったか又はいずれかの治療単独よりも効果的であった。これらの結果は、EPA及びHMBの両者が、ユビキチン−プロテアソームタンパク質分解経路の重要な制御構成要素の発現の亢進の下方制御を通じてタンパク質分解を減弱させることによって、筋重量を保存する。
【0095】
本発明は、別の実施態様において、26Sプロテアソームの構成要素の発現及び/又は活性を下方制御するための方法を提供する。実施例1ないし4は、「キモトリプシン様」酵素活性によって決定されるプロテアソーム活性がHMBによって減弱したことを示す。20Sα−サブユニット又はβ−サブユニットのタンパク質発現は、19Sプロテアソーム制御サブユニットのATPaseサブユニットであるMSS1及びp42と同様、少なくとも50%まで低下した。
【実施例1】
【0096】
癌カヘキシーを有する動物における体重低下の予防及びタンパク質分解の減退。
【0097】
本研究は、MAC16腫瘍によって誘発される体重低下に関して、EPAとの比較で又は組み合わせでのHMBの効果及び関与したメカニズムを査定する。MAC16腫瘍により誘発される体重低下はPIFにより主として誘発される。
【0098】
純系雄NMRIマウス(平均体重25g)を我々独自の交配コロニーから得、MAC16腫瘍の断片を脇腹へ、トロカールによって皮下移植し、Bibby,M.C.ほかによる、「レシピエント動物においてカヘキシーを生じるマウス結腸の移植可能な腺癌の特徴づけ」、J.Natl.Cancer Inst., 78: 539−546, 1987に記載のように、体重低下の確立されたドナー動物から選択した。移植された動物にラット及びマウス飼育食(Special Diet Services, Witham,英国)及び水を自由摂取で給餌し、体重低下は腫瘍移植10日ないし12日後に明白であった。図の凡例に記載されるように、胃管栄養法によって経口投与される(オリーブ油中の)EPA、(PBS中の)HMB又はこれらの組み合わせのいずれかを毎日受容するよう、一方、コントロール動物はオリーブ油又はPBSのいずれかを受容するよう、体重低下の発達の直前の動物を無作為に分けた。EPA(遊離酸として98%)を米国PAのBiomol Research Laboratories社から購入した。(カルシウム塩としての)HMBを米国Columbus,OhioのAbbott Laboratoriesから得た。すべての群は最低6匹のマウスを含有した。腫瘍の体積、体重並びに餌及び水の摂取量を毎日モニターした。体重低下が25%に達したとき、動物を頸部脱臼により屠殺し、すべての研究を実験動物の取り扱い及び使用のためのUKCCR指針に従って実施した。ヒラメ筋を無処置の腱とともに迅速に摘出し、タンパク質分解の決定前に等張性の氷冷塩類溶液中に維持した。
【0099】
摘出されたヒラメ筋を即時、腱を介してアルミニウムワイヤ支持体へほぼ静止長で固定して筋の短縮を予防し、5mMグルコース及び0.5mMシクロヘキシミドを含有する、酸素化された(95%酸素:5%二酸化炭素)クレブス−ヘンスレイ(Henseleit)炭酸水素緩衝液(pH7.4)の3ml中で45分間予備インキュベートした。Waalkes,T.P.ほか、血漿及び組織におけるチロシンの概算のための蛍光測定方法、J.Lab.Clin.Med., 50: 733−736, 1957に記載のように、2時間にわたるチロシンの放出によってタンパク質分解を決定した。
【0100】
機能的プロテアソーム活性を、プロテアソームのβサブユニットの有力なタンパク質分解活性である「キモトリプシン様」酵素活性を、Orino,Eほかの方法(ヒトHL−60細胞におけるユビキチン化したタンパク質を分解する26S複合体を形成するためのプロテアソームの複数のタンパク質構成要素とのATP依存性可逆的会合、FEBS Lett. 284: 206−210, 1991)に従って測定することによって決定した。筋を氷冷PBSですすぎ、細かく刻み、20mMトリスHCl、pH7.5、2mMATP、5mMMgCl2及び1mMDTT中で超音波処理した。超音波処理したものを次に、18,000gで4℃において10分間遠心分離し、上清を使用して、蛍光源基質であるスクシニル−LLVY−アミノメチルクマリン(AMC)からのAMCの放出によって「キモトリプシン様」酵素活性を決定した。プロテアソーム特異的阻害剤であるラクタシスチン(10μM)の有無の下で活性を測定した。ラクタシスチン抑制可能活性のみをプロテアソーム特異的であると考慮した。
【0101】
ウェスタンブロッティングのため、前述のアッセイから得られたヒラメ筋サイトゾルタンパク質(2μgないし5μg)の試料を10%SDS−PAGEで分離し、PBS中の5%マーヴェルでブロッキングしておいた0.45μmのニトロセルロース膜(Hybond(R)、Amersham Life Science Products, Bucks,英国)へ転写した。MSS1及びp42についての一次抗体を1:5000の希釈で使用し、20Sプロテアソームαサブユニットについては1:1500の、βサブユニットについては1:1000の希釈で使用したのに対し、E214kについての抗体を1:500の希釈で使用した。二次抗体を1:2000の希釈で使用した。20Sプロテアソームサブユニットα1、2、3、5、6及び7(クローンMCP231)、20Sプロテアソームサブユニットβ3(HC10)、19S制御因子ATPaseサブユニットRpt1(S7, Mss1; クローンMSS1−104)及び19S制御因子ATPaseサブユニットRpt4(S106, p42; クローンp42−23)に対するマウスモノクローナル抗体をAffiniti Research Products, Exeter,英国から購入した。ユビキチン連結酵素E2に対するウサギポリクローナル抗血清(抗UBC2抗体)はSimon Wing博士、McGill University,Montreal,Quebec,カナダから送られたものであった。ペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ウサギ及びウサギ抗マウス二次抗体は、Dako社(Cambridge、英国)製であった。インキュベーションを室温で2時間実施し、化学発光(ECL; Amersham)により現像した。
【0102】
MAC16腫瘍を有するマウスにおける体重低下に及ぼすHMBの投与量−反応関係を図2に示す。0.125g/kgよりも多量のHMBの投与量は、体重低下における有意な縮小を生じた(図2A)。コントロール群との差異を、a、p<0.05; b、p<0.01及びc、p<0.005として示す。体重低下の減退には、摂餌量及び摂水量における変化は伴わなかった。0.25g/kgの投与レベルをすべてのその後の実験のために選択した。MAC16悪液性腫瘍を有するマウスにおける体重低下に及ぼすHMB、EPA及びHMBとEPAとの組み合わせの効果を図3に示す。コントロール群との差異を、a、p<0.05; b、p<0.01又はc、p<0.005として示す。HMBとの相互作用を研究するために、EPAの最適下の投与量を選択した。実験はすべて、ヒラメ筋重量における有意な増加(図4A)、及びチロシン放出における有意な減少(図4B)を生じ、これらは総タンパク質分解における減少を示す。PBSコントロール群との差異を、a、p<0.05; b、p<0.01及びc、p<0.005として示す。選択された投与量において、HMBはEPAと同程度に効果的であった。
【0103】
プロテアソーム発現は、MAC16腫瘍を有するマウスの腓腹筋で亢進するのが示され、この遺伝子発現の亢進はEPAによって減退されることが示された。図5における結果は、「キモトリプシン様」酵素活性によって決定される機能的プロテアソーム活性が、選択された投与量でEPAと同一の程度までHMBにより減退され、HMBとEPAとの組み合わせは活性において更なる減退を生じなかったことを示す。コントロールとの差異をc、p<0.005として示す。プロテアソームサブユニットのタンパク質発現を、超音波処理した筋組織由来の上清のウェスタンブロッティングにより分析した。20Sプロテアソームの構造的ユニットであるプロテアソームαサブユニットの発現をHMB及びEPAの両者によって減退させ、組み合わせについてのバンド2の更なる減少のいくらかの徴候があった(図6A)。コントロールとの差異をc、p<0.001として示す一方、HMBとの差異をe、p<0.01として示す。20Sプロテアソームの触媒作用サブユニットであるプロテアソームβサブユニットの発現もHMB及びEPAによって減退したが、組み合わせは、いずれかの因子単独よりも効果的であった(図6B)。コントロールとの差異をc、p<0.005として示す。
【0104】
19Sプロテアソーム制御複合体のATPaseサブユニットであるMSS1の発現を図7Aに示す。HMB及びEPAの両者はMSS1発現を減退させたが、組み合わせは更なる減少を生じるようではなかった。同様の結果を、20SプロテアソームのATP依存性会合を19S制御因子で促進して、26Sプロテアソームを形成する、19S制御因子の別のATPaseサブユニットであるp42で得た(図7B)。コントロールとの差異をc、p<0.005として示す。これも又、HMB及びEPAの両者は等しく効果的であるように見えたが、組み合わせはp42発現をさらに低下させるようには見えなかった。ユビキチン連結酵素E214kの発現もHMB及びEPAの両者によって低下したが、組み合わせは発現における更なる低下を生じた(図8)。コントロールとの差異をb、p<0.01及びc、p<0.001として示す一方、HMB単独との差異をd、p<0.05及びf、p<0.001として示す。これらの結果は、筋重量の減少、タンパク質の分解及びユビキチン−プロテアソーム分解経路の下方制御を減退させる上で、HMBがEPAと同程度に効果的であることを確認し、この機構は、MAC16腫瘍を有する悪液性マウスにおける筋重量の保存を生じるようである。
【0105】
本研究は、HMBがMAC16腫瘍を有するマウスにおけるカヘキシーの発達又は不随意的体重低下を減退させる上で効果的であることを示し、ユビキチン−プロテアソーム経路の発現の亢進を下方制御することによって、骨格筋におけるタンパク質分解の低下を生じた。したがって、20Sプロテアソームα及びβサブユニットのタンパク質発現を、19S制御因子の2つのサブユニットであるMSS1及びp42、及びE214kの発現及びプロテアソームのタンパク質分解活性と同様に低下させる上で、HMBはEPAと同様に効果的であった。
【実施例2】
【0106】
動物における腫瘍成長の減退。
【0107】
前述の実施例1において記載される動物研究は、MAC16悪液性腫瘍を有するマウスにおける腫瘍成長速度に及ぼすHMBの効果も評価した。本実験を実施例1に記載されるように実施した。
【0108】
MAC16腫瘍を有するマウスにおける腫瘍成長速度に及ぼすHMB単独の投与量−反応関係を図2Bに示す。コントロール群との差異を、a、p<0.05; b、p<0.01及びc、p<0.005として示す。0.125g/kgを超えるHMBの投与量は、腫瘍成長速度における有意な低下を生じた。腫瘍成長速度の減退には、摂餌量及び摂水量における変化は伴わなかった。
【実施例3】
【0109】
ネズミ筋管におけるタンパク質分解の減退。
【0110】
本研究は、ユビキチン−プロテアソームタンパク質分解経路の発現の亢進の減退のメカニズムを決定するため、ネズミ筋管におけるPIF誘発性タンパク質分解及びシグナル伝達経路に及ぼすHMBの効果を検討する。
【0111】
C2C12筋管を10%FCS、グルタミン及び1%ペニシリン−ストレプトマイシンで補充したDMEM中で、37℃で空気中にある10%CO2の大気下で慣例通り経代培養した。培地を2日ごとに交換しながら、コンフルエント培養物を2%HSを含有するDMEM中で分化させることによって、筋管を形成した。
【0112】
体重低下が20%ないし25%のマウスから摘出した固体MAC16腫瘍(Todorov,P.ほか、「癌悪液性因子の特徴づけ」、Nature、379: 739−742, 1996)からPIFを精製した。0.5mMフッ化フェニルメチルスルホニル、0.5mMEGTA及び1mMジチオスレイトールを含有する10mMトリス−HCl、pH8.0中に5ml/g腫瘍の濃度で腫瘍を均質化した。固体硫酸アンモニウムを40%(w/v)まで添加し、硫酸アンモニウムの除去後の上清を、Todorov,Pほか、「腫瘍生成物による筋タンパク質分解および体重低下の誘発」、Cancer Res., 56: 1256−1261, 1996に記載のように固体マトリクスへ連結される抗PIFモノクローナル抗体を使用するアフィニティクロマトグラフィーへ供した。免疫原性画分を濃縮し、更なる研究に使用した。
【0113】
6穴のマルチ皿にある筋管をL−[2,6−3H]フェニルアラニン(0.67mCi/mmole)により、2%HSを含有する2mlのDMEM中で24時間標識した。次にこれらをPBS中で3回洗浄した後、フェノール赤を含まないDMEM中で、更なる放射性活性が上清に現れなくなるまで、37℃で2時間インキュベートした。次に、これらの筋管をPIFの存在下で、フェノール赤を含まない新鮮なDMEM中でEPA又はHMBの有無の下で24時間さらにインキュベートして、放射性活性の再組み込みを予防した。培地中へ放出される放射性活性の量を、総タンパク質分解を決定するためにPIFへ暴露されないコントロール培養物の%として表した。
【0114】
アラキドン酸放出の測定について、2%HSの入った2mlのDMEMを含有する6穴のマルチ皿にある筋管を、([3H]アラキドン酸塩/mlの1μCiを含有する)10μMのアラキドン酸で24時間標識した(Smith,H.ほか、ネズミC2C12筋芽細胞におけるタンパク質合成/分解に及ぼす癌悪液性因子の効果: エイコサペンタエン酸による修飾、Cancer Res., 59; 5507−5513, 1999)。次に、細胞をPBSで広範囲に洗浄して、組み込まれていない[3H]アラキドン酸塩の痕跡を除去し、EPA又はHMBのいずれかをPIFの2時間前に添加した。さらに24時間後、培地の1mlを回収して、放出された放射性活性を決定した。
【0115】
プロテアソームのβサブユニットの機能的活性を、Orino,E.ほか(ヒトHL−60細胞におけるユビキチン化したタンパク質を分解する26S複合体を形成するための、プロテアソームの多重タンパク質構成要素とのATP依存性可逆的会合、FEBS Lett., 284: 206−210, 1991)の方法に従って蛍光測定的に得られた「キモトリプシン様」酵素活性として決定した。筋管をPIFへ24時間、EPAの有無の下で暴露したか又はPIFの2時間前にHMBを添加し、特異的プロテアソーム阻害剤であるラクタシスチン(10μM)(Fenteany,G.ほか、ラクタシスチン、プロテアソーム機能及び細胞の運命、J.Biol.Chem., 273: 8545−8548, 1998)の有無の下で、スクシニル−LLVY−アミノメチルクマリン(AMC)(0.1mM)からのAMCの放出によって酵素活性を上清画分中で決定した(Whitehouse,A.S.ほか、タンパク質分解誘発因子(PIF)によるネズミ筋管におけるユビキチン−プロテアソーム経路の発現の亢進は、転写因子NF−κBの活性化と関係する、J.Cancer, 89: 1116−1122, 2003)。ラクタシスチン抑制可能活性のみをプロテアソーム特異的であると考慮した。ウシ血清アルブミンを標準物質として使用するブラッドフォードアッセイ(Sigma Chemical社、Dorset、英国)を使用して決定される試料のタンパク質濃度について、活性を調整した。
【0116】
ウェスタンブロット分析について、前述のアッセイ用に得られたサイトゾルタンパク質(2ないし5μg)を10%SDS−PAGE上で分離し、PBS中の5%マーベルにより4℃で一晩ブロッキングしておいた0.45μmニトロセルロース膜へ転写した。一次抗体を1:100(抗アクチン及び抗PKCα)、1:500(抗ERK1及び抗ERK2)、1:1000(抗20Sプロテアソームβサブユニット及び抗I−κBα)、1:1500(抗20Sプロテアソームαサブユニット)又は1:5000(抗p42)の希釈で使用したのに対し、二次抗体を1:2000の希釈で使用した。インキュベーションを室温で2時間実施し、ECLにより現像した。負荷をアクチン濃度により一定にした。
【0117】
DNA結合タンパク質を筋管から、低張溶解後の核の高塩抽出を利用するAndrews,N.C.ほかの方法(哺乳類細胞の限定数からDNA結合タンパク質を抽出するための迅速な微量調製技術、Nucleic Acids Res., 19: 2499, 1991)によって抽出した。EMSA(電気泳動度シフトアッセイ)結合アッセイを製造者の説明書に従って実施した。
【0118】
MAC16腫瘍を有するマウスにおけるユビキチン−プロテアソームタンパク質分解経路のタンパク質分解及び活性化は、PIFにより仲介されていると考えられるため、タンパク質分解に及ぼすHMBの効果に関する機械論的研究を、PIFで処理したネズミ筋管において実施した。PIF誘発性総タンパク質分解は、4nMで最大効果のある、Gomes−Marcondesほか(タンパク質分解誘発因子により誘発される筋タンパク質異化作用のメカニズムを研究するための試験管内モデルシステムの開発、Br.J.Cancer, 86: 1628−1633, 2002)によりすでに報告されている典型的なベル型投与量−反応曲線を有した。EPAの効果は、50μMで効果のあることがすでに示されており(Smith,H.J.ほか、ネズミC2C12筋芽細胞に及ぼすタンパク質合成/分解に及ぼす癌悪液性因子の効果: エイコサペンタエン酸による修飾、Cancer Res.59: 5507−5513, 1999; Whitehouse,A.S.ほか、ユビキチン−プロテアソーム経路の発現の亢進を通じての15(S)−ヒドロキシエイコサテトラ塩酸による筋管におけるタンパク質異化作用の誘発、Br.J.Cancer, 89: 737−745, 2003; Whitehouse,A.S.ほか、タンパク質分解誘発因子(PIF)によるネズミ筋管におけるユビキチン−プロテアソームの発現の亢進は転写因子NF−κBの活性化と関係する、Br.J.Cancer,89: 1116−1122, 2003)、図9Aにあるデータは、50μMの濃度でHMB及びEPAの両者がPIF誘発性タンパク質分解を減退させる上で等しく効果的であったことを示す。低い25μMHMBではいくらか減退もあったが、PIFの高濃度ではなかった。PIFのない場合のコントロールとの差異を、a、p<0.005として示すのに対し、(HMV又はEPAの添加のある群についての)PIFのある場合のコントロールとの差異をb、p<0.01及びc、p<0.005として示す。
【0119】
PIF誘発性タンパク質分解は、Lorite,M.J., Smith,H.J., Arnold,J.A., Morris,A., Thompson,M.G.及びTisdale,M.J.(タンパク質分解誘発因子(PIF)による生体内における骨格筋及び試験管内におけるネズミ筋芽細胞におけるATP−ユビキチン依存性タンパク質分解の活性化、Br.J.Cancer, 85: 297-302, 2001)及びGomes−Marcondes,M.C.C., Smith,H.J., Cooper,J.C.及びTisdale,M.J.(タンパク質誘発因子により誘発される筋タンパク質異化作用のメカニズムを研究するための試験管内モデルシステムの開発、Br.J.Cancer,86: 1628−1633, 2002)によって、ユビキチン−プロテアソームタンパク質分解経路の制御構成要素の発現の亢進によることがすでに示されている。
【0120】
この経路の機能的活性は、プロテアソームのβサブユニットの有力なタンパク質分解活性である「キモトリプシン様」酵素活性によって測定される。PIFは、4.2nMで最大である「キモトリプシン様」酵素活性における亢進を誘発した。PIFの効果は、50μMEPA及び25μM及び50μMの両者のHMBによって完全に減退した。(図9B、コントロールとの差異をa、p<0.001として示すのに対し、EPA又はHMBの存在下での差異をb、p<0.001として示す。)同様の効果を、プロテアソーム20Sαサブユニット、βサブユニット、及び26Sプロテアソームを形成するよう20Sプロテアソームと19S制御因子とのATP依存性会合を促進する19S制御因子のATPaseサブユニットであるp42の発現及びに関して観察した(図10)。すべての場合において、4.2nM及び10nMでPIFによって発現が亢進し、このことは50μMでEPA及びHMBによって減退したが、25μMでは減退しなかった。これらの結果は、ユビキチン−プロテアソーム経路のPIF誘発に及ぼす効果を通じてHMBがタンパク質分解を減退させることを確認する。
【実施例4】
【0121】
炎症及びタンパク質分解におけるシグナル伝達の仲介物質の活性に及ぼす効果。
【0122】
前述の実施例3において記載される試験管内研究は、炎症の経路における重要な仲介物質である分子に及ぼすHMBの効果も査定した。本実験を実施例3に記載されるように実施した。
【0123】
PKCの活性化はMAPKシグナル伝達経路の細胞外シグナルにより制御されるキナーゼ(ERK)カスケードを活性化することが示されてきた(Toker,A.タンパク質キナーゼCを通じてのシグナル伝達、Front.Biosci., 3: 1134−1147, 1998; Wolf,I及びSeger,R、有糸分裂により活性化されるタンパク質キナーゼシグナル伝達カスケード:ベンチからベッドサイドまで、IMAJ., 4: 641−647)。活性化されるERK、例えばERK1(又はp44 MAPK)及びERK2(又はp42 MAPK)は炎症におけるアラキドン酸放出を包含する経路における律速酵素であるサイトゾルホスホリパーゼA2をリン酸化した後に活性化できる。さらに、PIFは、p42/44MAPKのリン酸化を誘発することが示されてきたのに対し、総MAPKは変化しないままであり、PIF誘発性プロテアソーム発現に関与することが示されてきた(Smith,H.J.ほか、ネズミ筋管におけるタンパク質分解誘発因子により誘発されるプロテアソーム発現に関与するシグナル伝達経路、Br.J.Cancer, 89: 1783−1788, 2003)。この過程に及ぼすEPA及びHMBの効果を図12に示す。PIFは、4.2nMで最大であるp42/44のリン酸化の亢進を誘発し、この効果は50μMでのEPA及びHMBの両者によって完全に減退するが、25μMでのHMBではそうならなかった。ERK1/2リン酸化を減退させるHMBの能力は、HMBによるPIF誘発性プロテアソーム発現の阻害に重要でありうる。
【0124】
PKCの突然変異をこの酵素の阻害剤と同様に使用する実験は、PKCがPIFによる細胞内シグナル伝達の中心的な仲介物質を形成することを示す。PKCは、NF−κBの核内蓄積及び遺伝子転写の亢進にいたるI−κBαのリン酸化(及び分解)に関与していそうである。PIFは、細胞質から形質膜へのPKCαの転位を刺激し(図11)、タンパク質分解によるのと同様の、4.2nMPIFでの最大効果による活性化を生じる(図9)。この過程は、50μMでEPA及びHMBの両者によって効果的に減退したのに対し、HMBは25μMでほとんど効果的ではなかった(図11)。このことは、PKCのPIF誘発性刺激が、PKCの阻害を通じてHMBにより減退されることを示唆する。
【0125】
前述のように、PIFは、I−κBαの分解を誘発し、NF−κBの核内蓄積を刺激し、この過程は50μMEPAによって減退することが示されてきた(Whitehouse,A.S.ほか、タンパク質分解誘発因子(PIF)によるネズミ筋管におけるユビキチン−プロテアソームの発現の亢進は転写因子NF−κBの活性化と関係する、Br.J.Cancer,89: 1116−1122, 2003)。図13Aにおける結果は、50μMでのHMBがネズミ筋管におけるPIFの存在下でのI−κBα分解を効果的に減退させ、NF−κBの核内蓄積を予防することを示す(図13C)。0nMのPIFとの差異をb、p<0.01及びc、p<0.001として示す。HMBを25μMの濃度で使用したとき、NF−κBのDNAへの結合の部分的な阻害のみを観察した(図13B)。0nMのPIFとの差異はb=p<0.01及びc=p<0.001である。50μMでのPIF単独に対して処理した50μMのHMBとPIFとの差異はe=p<0.01及びf=p<0.001であった。これらの結果は、遺伝子発現の同時活性化による核へのNF−κBの移動を予防する上で、HMBの全体的な効果がEPAの全体的な効果に匹敵することを示唆する。
【0126】
したがって、HMBは癌カヘキシーにおけるサイトカイン誘発性炎症及び筋消耗の治療において効果的な因子であるように見える。HMBは、PKC活性の阻害によりHMBの効果を発揮するように見え、その結果、細胞質IκB/NF−κB複合体の安定化が生じる。これらの分子は、炎症の経路における重要な仲介物質であるため、HMVは抗炎症性化合物であるようである。
【実施例5】
【0127】
不随意的体重低下を予防するための栄養製品の組成。
【0128】
この例における栄養製品を製造するための材料の特異的なリストを表1に表す。もちろん、特異的な成分及び量におけるさまざまな変化は、本発明の範囲から逸脱せずになされてもよい。
【0129】
【表1】
【0130】
本発明の液状栄養製品を、互いに配合し、精製脱臭いわし油と組み合わせ、熱処理し、標準化し、包装し、滅菌した3つのスラリーを調製することによって製造した。表1の材料のリストを使用して液状栄養製品の454kg(1,000ポンド)を製造するための過程を以下に記載する。
【0131】
炭水化物/ミネラルのスラリーを、水約62.6kgを約71℃ないし77℃の範囲の温度へ撹拌しながら加熱することによって調製する。HMBを水へ添加し、できた溶液を少なくとも5分間撹拌することによって溶解する。クエン酸カリウム及び超微量/微量ミネラル予備混合物の必要な量を水へ添加し、できた溶液を少なくとも10分間撹拌することによって溶解する。次に、以下のミネラルを列挙されている順に激しく撹拌しながら添加する。すなわち、塩化マグネシウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウム、ヨウ化カリウム、リン酸マグネシウム及びリン酸三カルシウムである。スラリーを完全に溶解するか又は分散するまで中程度の撹拌の下で混合させる。次に、トウモロコシシロップ、ショ糖及びマルトデキストリンをスラリーへ撹拌しながら添加する。FOSの必要な量を添加して混合させる。完全になった炭水化物/ミネラルスラリーを約60℃ないし66℃の範囲の温度で、その他のスラリーと配合するまで8時間以内で激しく撹拌しながら保持する。
【0132】
中鎖トリグリセリド(精製したやし油)、アブラナ油及び大豆油を組み合わせて、撹拌しながら約32℃ないし43℃の範囲の温度まで加熱することによって油性スラリーを調製する。ビタミンDEK予備混合物を添加し、完全に分散するまで混合させる。以下の成分の必要な量を添加する。すなわち、大豆レシチン、ビタミンA、パルミチン酸アスコルビル、及びビタミンEである。カラゲナンを添加し、完全に分散されるまで混合させる。完全になった油性スラリーを約32℃ないし43℃の範囲の温度で、その他のスラリーと配合するまで8時間以内で中程度の撹拌の下で保持する。
【0133】
タンパク質のスラリーを、まず水約196.78kgを約60℃ないし63℃の範囲の温度へ撹拌しながら加熱することによって調製する。カゼインカルシウム及びカゼインナトリウム及び乳タンパク質単離物をスラリーへ、混合装置を使用して配合する。完全になったタンパク質スラリーを約54℃ないし60℃の範囲の温度で、その他のスラリーと配合する前2時間以内で激しい撹拌の下で保持する。
【0134】
油性及びタンパク質スラリーを撹拌しながら互いに配合し、結果としてできた配合されたスラリーを約54℃ないし66℃の範囲にある温度に維持する。少なくとも5分間待機した後、炭水化物/ミネラルスラリーを先行段階から配合したスラリーへ撹拌しながら添加し、結果として生じる配合されたスラリーを約54℃ないし66℃の範囲にある温度に維持する。精製脱臭いわし油をスラリーへ撹拌しながら添加する。(製造の最も好ましい方法において、いわし油は、配合物が定常速度で導管を通過するにつれ製品へとゆっくり測量されるであろう。)好ましくは少なくとも5分後に、配合されたスラリーのpHを決定する。もし、配合されたスラリーのpHが6.55を下回れば、6.5ないし6.8のpHへ希釈した水酸化カリウムで調整する。
【0135】
1分以上2時間以下の間待機した後、配合したスラリーを以下に記載されるような脱気、超高温(UHT)処理及び均質化へ供する。すなわち、この手段に向けて配合したスラリーを供給するための容積式ポンプを使用する。配合したスラリーを約66℃ないし71℃の範囲の温度へ加熱する。配合したスラリーをHgの25.4cmないし38.1cmへ脱気する。配合したスラリーを61気圧ないし75気圧で乳化する。約10秒の保持時間でプレート/コイル熱交換器を通過させることによって、約120℃ないし122℃の範囲の温度へ配合したスラリーを加熱する。約5秒の保持時間で約144℃ないし147℃の範囲の温度へ配合したスラリーをUHT加熱する。瞬間冷却機を通過させることによって、約120℃ないし122℃の範囲にあるよう配合したスラリーの温度を低下させる。プレート/コイル熱交換器を通過させることによって約71℃ないし82℃の範囲にあるよう配合したスラリーの温度を低下させる。約265気圧ないし266気圧で配合したスラリーを均質化する。約74℃ないし85℃の範囲にある温度で少なくとも16秒間保持チューブに配合したスラリーを通過させる。大型熱交換器を通過させることによって、約1℃ないし70℃の範囲にある温度へ配合したスラリーを冷却する。
【0136】
配合したスラリーを約1℃ないし7℃の範囲にある温度で、好ましくは撹拌しながら保存する。
【0137】
好ましくは、この時点で品質調節のための適切な分析検査を実施する。検査結果に基づいて、希釈水(10℃ないし38℃)の適切な量を配合したスラリーへ撹拌しながら添加する。
【0138】
ビタミン溶液及び香料溶液を個別に調製した後、配合したスラリーへ添加する。
【0139】
ビタミン溶液を約43℃ないし66℃の範囲にある温度へ撹拌しながら、水の約3.94kgを加熱することによって調製した後、以下の成分を列挙される順に添加する。すなわち、アスコルビン酸、45%水酸化カリウム、タウリン、水溶性ビタミン予備混合物、塩化コリン、及びL−カルニチンである。次に、ビタミン溶液を配合されたスラリーへ撹拌しながら添加する。
【0140】
香料溶液を、マシュマロ及びドゥルセ・デ・レチェ香料を水の約7.94kgへ撹拌しながら添加することによって調製する。本発明に従った栄養製品を、Fimenich社(Princeton,New Jersey,米国)によって販売される人工マシュマロ香料及びFimenich社によって販売される天然及び人工ドゥルセ・デ・レチェ香料を使用して製造した。次に、香料溶液を配合したスラリーへ撹拌しながら添加する。
【0141】
必要に応じて、製品が滅菌後に6.4ないし7.0の範囲のpHを有するように、希釈した水酸化カリウムを配合したスラリーへ添加する。完成した製品を次に適切な容器に入れ、滅菌へ供する。もちろん、もし望めば、無菌加工を採用できる。
【実施例6】
【0142】
糖血症反応を調節するための栄養製品の組成。
【0143】
表2は、栄養をヒトへ提供するが、結果として生じるインスリン反応を制限する、液状栄養製品の1,000kgを製造するための材料の組成を表す。栄養製品の製造の詳述は以下のとおりである。
【0144】
【表2】
【0145】
互いに配合し、熱処理し、標準化し、包装し、滅菌する4つのスラリーを調製することによって本発明の糖尿病用液状栄養製品を製造する。
【0146】
炭水化物/ミネラルのスラリーを、まず水約82kgを約65℃ないし71℃の温度へ撹拌しながら加熱することによって調製する。撹拌しながら、HMBカルシウムの必要な量を添加し、5分間撹拌する。Kelco,Division of Merck and Company Incorporated,San Diego,California,米国によって販売されるクエン酸ナトリウム及びジェレンガムの必要な量を添加し、5分間撹拌する。(Fortitech,Schnectady,New Yorkによって販売される)超微量ミネラル/微量ミネラル(UTM/TM)予備混合物を添加する。スラリーの色は緑がかった黄色である。ミネラルを完全に分散するまで撹拌を維持する。次に、撹拌しながら、以下のミネラルの必要な量を添加する。すなわち、クエン酸カリウム、塩化カリウム、塩化クロム、塩化マグネシウム及びヨウ化カリウムである。次に、Grain Processing Corporation,Muscataine,Iowa,米国によって販売される最初のマルトデキストリン及び果糖をスラリーへ、激しく撹拌しながら添加し、溶解させる。撹拌しながら、Roquette America社、Keokuk,Iowaによって販売されるマルチトール粉末、AIGroup Lonza,Fair Lawn,New Jerseyによって販売されるマルチトールシロップ、Golden Technologies Company,Golden,Colorado,米国によって販売されるフラクトオリゴ糖、松谷化学工業、兵庫、日本によってファイバーソル(R)2(E)の製品名の下で販売される第二のマルトデキストリンを添加し、完全に溶解するまで十分撹拌する。リン酸三カルシウム及びリン酸マグネシウムの必要な量をスラリーへ撹拌しながら添加する。完全になった炭水化物/ミネラルスラリーを約65℃ないし71℃の温度で、その他のスラリーと配合するまで12時間以内で撹拌しながら保持する。
【0147】
高オレインベニバナ油及びアブラナ油の必要な量を組み合わせて約40.5℃ないし約49℃の温度へ撹拌しながら加熱することによって、油性スラリーにおける繊維を調製する。撹拌しながら、LaGrange,IllinoisのCognis社製ルティンエステルの必要な量を添加する。最低15分間撹拌する。撹拌しながら、以下の成分の必要な量を加熱した油へ添加する。すなわち、(Central Soya Company,Fort Wayne,Indianaにより販売される)レシチン、(Vitamins社、Chicago,Illinoisにより販売される)ビタミンD、E、K予備混合物、ビタミンA、ビタミンE及びベータカロテンである。Protein Technology International,St.Louis,Missouriにより販売される大豆多糖類の必要な量を加熱した油へゆっくり分散させる。完全になった油/繊維スラリーを約55℃ないし約65℃の温度で、その他のスラリーと配合するまで12時間以内で中程度に撹拌しながら保持する。
【0148】
水の293kgを60℃ないし65℃へ加熱することによって、水性スラリー中の第一タンパク質を調製する。撹拌しながら、20%クエン酸カリウム溶液の必要な量を添加し、1分間保持する。酸性カゼインの必要な量を激しく撹拌しながら添加した直後、20%水酸化ナトリウムの必要な量を添加する。カゼインが溶解するまで撹拌を激しいままに維持する。スラリーを約60℃ないし65℃に、中程度に撹拌しながら保持する。
【0149】
水の約77kgを約40℃の温度へ撹拌しながらまず加熱することによって、水性スラリーにおける第二タンパク質を調製する。カゼイン塩を添加し、スラリーをカゼイン塩が完全に分散するまで十分に撹拌する。撹拌し続けながら、スラリーを60℃ないし65℃へゆっくり加温する。スラリーをその他のスラリーと配合するまで12時間以内保持する。
【0150】
タンパク質スラリー1の344kgをタンパク質スラリー2の84kgと配合することによってバッチを組み合わせる。撹拌しながら、油/繊維スラリーの37kgを添加する。少なくとも1分間待機した後、炭水化物/ミネラルスラリーの216kgを、先行段階から配合したスラリーへ撹拌しながら添加し、結果として生じる配合されたスラリーを約55℃ないし約60℃の温度に維持する。配合したバッチのpHを6.45ないし6.75のpHへ、1N水酸化カリウムで調整する。
【0151】
1分以上2時間以下の間待機した後、配合スラリーを脱気、超高温処理及び均質化へ供する。配合したスラリーを約71℃ないし約82℃の温度へ加熱し、真空下で脱気する。次に、加熱したスラリーを、単一段階ホモジナイザーを通じて900psigないし1100psigで乳化する。乳化後、スラリーを約99℃ないし約110℃へ加熱した後、約146℃の温度へ約5秒間加熱する。スラリーを瞬間冷却機へ通過させ、温度を約99℃ないし約110℃へ低下させた後、プレート冷却機へ通過させ、温度を約71℃ないし約76℃へ低下させる。次に、スラリーを3900ないし4100/400ないし600psigで均質化する。スラリーを約74℃ないし約80℃で16秒間保持した後、1℃ないし約7℃へ冷却する。この時点で、試料を微生物学的検査及び分析検査のために採取する。混合物を撹拌の下で保持する。
【0152】
水溶性ビタミン(WSV)溶液を個別に調製し、加工し配合したスラリーへ添加する。
【0153】
以下の成分を水の9.4kgへ撹拌しながら添加することによって、ビタミン溶液を調製する。すなわち、(J.B.Laboratories,Holland,Michiganによって販売される)WSV予備混合物、ビタミンC、塩化コリン、L−カルニチン、タウリン、イノシトール、葉酸、塩酸ピリドキシン及びシアノコバラミンである。45%水酸化カリウムスラリーの必要な量を添加して、pHを7ないし10へ調整する。
【0154】
品質調節検査の分析結果に基づいて、水の適切な量をバッチへ撹拌しながら添加して望ましい総固体に達する。さらに、ビタミン溶液の8.8kgを希釈したバッチへ撹拌しながら添加する。
【0155】
製品のpHを最適な製品安定性に達するよう調整できる。完成した製品を次に適切な容器に入れ、最終的な滅菌へ供する。
【実施例7】
【0156】
小児科用栄養製品の組成。
【0157】
表3は、本発明の小児科用経腸栄養の771kgを製造するための材料の組成を表す。栄養製品の製造の詳述は以下のとおりである。
【0158】
【表3】
【0159】
DEK予備混合物の指定された量を、可溶性ビタミンの54gを保持するのに十分大きな、ねじ式キャップのついた遮光性容器へ秤量して入れることによって、ストック脂溶性ビタミン配合物(OSV配合物)を調製する。プラスチックピペットを使用して、ビタミンAの必要な量をDEK一定分量へ添加する。容器のふたを適用する前に、容器に窒素を流す。
【0160】
高オレインベニバナ油、大豆油及びMCT油の必要な量を配合タンクへ添加することによって、脂肪スラリー中のストックタンパク質(PIF)を調製した。混合物を40.5℃ないし49℃へ撹拌しながら加熱する。撹拌しながら、Hadley,MassachusettsのAmerican River Nutrition社製のルティンエステルの必要な量を添加する。最低15分間撹拌する。乳化剤である(Decatur,IndianaのCentral Soyaにより販売される)レシチン及び(Owings Mills,MarylandのQuestにより販売される)モノグリセリドを添加し、溶解するよう十分に混合する。次に、OSV配合物をすべて添加する。容器を油性配合物で4回ないし5回すすぎ、ビタミンの完全な転移を確実にする。(Rockland,MaineのFMCにより販売される)カラゲナン及びカゼイン塩を添加する。タンパク質を分散させるようスラリーを十分に混合する。PIFスラリーを使用するまで中程度の撹拌の下で60℃ないし65℃で6時間まで保持する。
【0161】
水の必要な量を配合タンクへ添加することによって、水性スラリー中のストックタンパク質(PIW)を調製する。中程度の撹拌の下で水を保持し、76℃ないし82℃に調整する。カゼイン塩の必要な量を水へ激しく撹拌しながら添加し、タンパク質を完全に分散させるまで激しく混合する。タンパク質スラリーを、加工前に54℃ないし60℃へ冷却させる。一度冷却すると、乳清タンパク質の必要な量を添加し、完全に分散/溶解するまで十分混合する。PIWスラリーを使用するまで54℃ないし60℃で2時間まで保持する。
【0162】
水の必要な量を配合タンクへ添加し、60℃ないし68℃まで加熱することによって、ストックミネラル溶液(MIN)を調製する。(Newark,DelawareのFMCにより販売される)セルロースガム配合物を水へ添加し、中程度の撹拌の下で、次へ進行する前に最低5分間保持する。HMBカルシウムを添加し、次へ進行する前に最低5分間撹拌する。ミネラル塩である塩化マグネシウム、塩化カリウム、クエン酸カリウム、ヨウ化カリウム及びリン酸二カリウムを一度に一つずつ、各添加の間でミネラルが溶解するのを確実にするよう混合しながら添加する。完了したMIN溶液を使用するまで低ないし中程度の撹拌の下で54℃ないし65℃で保持する。
【0163】
PIWスラリーの指定された量を配合タンクへ添加し、54℃ないし60℃へ撹拌しながら加熱することによって、最終配合物を調製する。PIFスラリーの指定された量をタンクへ添加し、十分に混合する。MIF溶液の指定された量を配合物へ添加し、十分に混合する。塩化ナトリウムの指定された量を配合物へ添加し、十分に混合する。ショ糖の指定された量を配合物へ添加し、溶解するよう十分に混合する。リン酸三カルシウムを配合物へ添加し、分散するよう十分に混合する。更なる水の指定された量を配合物へ添加し、十分に混合する。完了した最終配合物を54℃ないし60℃で持続的な撹拌の下で保持する。必要に応じて、pHを6.45ないし6.8へ、1NKOHで調整する。
【0164】
1分以上2時間以下の間待機した後、配合スラリーを脱気、超高温処理、及び均質化へ供する。配合したスラリーを約68℃ないし約74℃の温度へ加熱し、真空下で脱気する。次に、加熱したスラリーを900psigないし1100psig(約6.2ないし6.9MPag)で乳化する。乳化後、スラリーを約120℃ないし約122℃へ加熱した後、約149℃ないし約150℃の温度へ加熱する。スラリーを瞬間冷却機へ通過させ、温度を約120℃ないし約122℃へ低下させた後、プレート冷却機を通じて温度を約74℃ないし約79℃へ低下させる。次に、スラリーを3900ないし4100/400psigないし600psig(約26.9ないし28.3/2.8ないし4.1MPag)で均質化する。スラリーを約74℃ないし約85℃で16秒間保持した後、1℃ないし約6℃へ冷却する。この時点で、試料を微生物学的検査及び分析検査用に採取する。混合物を撹拌の下で保持する。
【0165】
標準化は以下のように進行する。配合タンクにおいて水の指定された量を48℃ないし60℃へ加熱することによってストックビタミン溶液(WSV)を調製する。クエン酸カリウム、(Schenectady,New YorkのFortitechにより販売される)UTM/TM予備混合物、WSV予備混合物、m−イノシトール、タウリン、L−カルニチン及び塩化コリンを溶液へ、列挙された順で各々添加し、各成分を溶解又は分散させるために十分混合させる。ビタミン溶液の14.2kgを進行した混合タンクへ添加する。
【0166】
水の指定された量を配合タンクへ添加することによってストックバニラ溶液を調製する。(Cincinnati,OhioのGlvaudan Roureにより販売される)バニラの指定された量を水へ添加し、十分に混合する。バニラ溶液の18.5kgを加工した混合物タンクへ混合し、十分に混合する。
【0167】
水の指定された量を配合タンクへ添加することによってストックアスコルビン酸溶液を調製する。アスコルビン酸の指定された量を添加し、溶解するよう十分に混合する。45%KOHの指定された量を添加し、十分に混合する。アスコルビン酸溶液の8.4kgを混合タンクへ添加し、十分に混合する。
【0168】
最終的な混合物を最終的な固体全体へ、水の92.5kgを添加することによって希釈し、十分に混合する。最終的な(レトルト)滅菌の前に製品を適切な容器へと充填する。
【実施例8】
【0169】
完全な栄養サプリメントの組成。
【0170】
表4は、典型的なバニラ風味の食事置換液の1,000kgを製造するための材料の組成を表す。食事置換液の製造の詳述は以下のとおりである。
【0171】
【表4】
【0172】
互いに配合し、熱処理し、標準化し、包装し、滅菌した3つのスラリーを調製することによって、本発明の液状食事置換製品を製造する。
【0173】
炭水化物/ミネラルのスラリーを、まず水の必要な量を約65℃ないし約71℃の温度へ撹拌しながら加熱することによって調製する。HMBカルシウムの必要な量を添加し、最低5分間撹拌する。撹拌しながら、クエン酸カリウム及び(Fortitech,Schnectady,New Yorkによって販売される)超微量ミネラル/微量ミネラル(UTM/TM)予備混合物を添加する。スラリーの色は緑がかった黄色である。ミネラルを完全に分散するまで撹拌を維持する。次に、撹拌しながら、以下のミネラルの必要な量を添加する。すなわち、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ヨウ化カリウム、リン酸マグネシウム及びリン酸三カルシウムである。次に、Grain Processing Corporation,Muscataine,Iowa,米国によって販売される、ショ糖及びトウモロコシシロップをスラリーへ、激しく撹拌しながら添加し、溶解させる。完成した炭水化物/ミネラルスラリーを約65℃ないし71℃の温度で、その他のスラリーと配合するまで8時間以内で撹拌しながら保持する。
【0174】
高オレインベニバナ油及びアブラナ油の必要な量を組み合わせて約40.5℃ないし約49℃の温度へ撹拌しながら加熱することによって、脂肪スラリーにおけるタンパク質(PIF)を調製する。撹拌しながら、Des Moines,IowaのKemin Foods社製の遊離ルティンの必要な量を添加する。最低15分間撹拌する。以下の成分を加熱した油へ添加する。すなわち、(Central Soya Company,Fort Wayne,Indianaにより販売される)レシチン、ビタミンA、(Vitamins社、Chicago,Illinoisにより販売される)ビタミンD、E、K予備混合物である。カラゲナンの必要な量を乳清タンパク質の必要な量と乾燥配合し、撹拌している脂質混合物へ添加し、最低10分間撹拌させる。大豆タンパク質の必要な量を配合物へ添加し、適切な混合をゆっくりと確実にする。完成した油/タンパク質スラリーを約40℃ないし約43℃の温度で、その他のスラリーと配合するまで2時間以内で中程度に撹拌しながら保持する。
【0175】
水のほぼ必要な量を約40℃の温度へ撹拌しながらまず加熱することによって、水性スラリーにおけるタンパク質を調製する。カゼイン塩を添加し、スラリーをカゼイン塩が完全に分散するまで十分に撹拌する。撹拌を続行し、スラリーを60℃ないし65℃へとゆっくり加温する。スラリーをその他のスラリーと配合するまで12時間以内で保持する。
【0176】
タンパク質スラリーの必要な量を炭水化物/ミネラルスラリーの必要な量と配合することによってバッチを組み合わせ、10分間撹拌させる。撹拌しながら、油/タンパク質スラリーの必要な量を添加し、少なくとも10分間撹拌する。配合したバッチのpHを6.66ないし6.75のpHへ、1N水酸化カリウムで調整する。
【0177】
1分以上2時間以下の間待機した後、配合スラリーを脱気、超高温処理、及び均質化へ供する。配合したスラリーを約71℃ないし約82℃の温度へ加熱し、真空下で脱気する。次に、単一段階ホモジナイザーを通じて加熱したスラリーを900psigないし1100psigで乳化する。乳化後、スラリーを約99℃ないし約110℃へ加熱した後、約146℃の温度へ約5秒間加熱する。スラリーを瞬間冷却機へ通過させ、温度を約99℃ないし約110℃へ低下した後、プレート冷却機へ通過させ、温度を約71℃ないし約76℃へ低下する。次に、スラリーを3900ないし4100/400psigないし600psigで均質化する。スラリーを約74℃ないし約80℃で16秒間保持した後、1℃ないし約7℃へ冷却する。この時点で、試料を微生物学的検査及び分析検査用に採取する。混合物を撹拌の下で保持する。
【0178】
水溶性ビタミン(WSV)溶液を個別に調製し、加工し配合したスラリーへ添加する。
【0179】
以下の成分を水の9.4kgへ撹拌しながら添加することによって、ビタミン溶液を調製する。すなわち、(J.B.Laboratories,Holland,Michiganによって販売される)WSV予備混合物、ビタミンC、塩化コリン、L−カルニチン、タウリン、イノシトール、葉酸、塩酸ピリドキシン及びシアノコバラミンである。45%水酸化カリウムスラリーの必要な量を添加して、pHを7ないし10へ調整する。
【0180】
品質調節検査の分析結果に基づいて、水の適切な量をバッチへ撹拌しながら添加して望ましい固体全体に達する。さらに、ビタミン溶液の8.8kgを希釈したバッチへ撹拌しながら添加する。
【0181】
製品のpHを最適な製品安定性に達するよう調整してもよい。完成した製品を次に適切な容器に入れ、最終的な滅菌へ供する。
【実施例9】
【0182】
飲料の組成。
【0183】
即時飲用飲料の1000kgバッチを製造するため、撹拌機を備えた容器に水の987.31kgを置く。大気温で、安息香酸カリウムの必要な量を添加し、完全に溶解させる。HMBカルシウムの必要な量を添加し、完全に溶解させる。以下の成分を次に、列挙される順に添加する。次の成分を添加する前に、各成分を完全に溶解する。
【0184】
【表5】
【0185】
12オンスのアルミ缶へと充填する直前に、アスコルビン酸を添加した。アルミ缶へと充填する前に、飲料を炭酸化してもよい。溶液を脱気した後、「カーボクーラー」へと転移し、そこで二酸化炭素の約2.5体積により冷却及び炭酸化する。
【実施例10】
【0186】
電解質置換製品の組成。
【0187】
以下の例は、即時飲用再水和溶液の製造の仕方を説明する。ORSは、表6に概略を述べられた組成を有した。
【0188】
【表6】
【0189】
ろ過水の必要な量を秤量し、配合タンクへ添加する。中程度に撹拌しながら、水を43℃ないし54℃へ加熱する。中程度の拡販を維持しながら、HMBカルシウムを添加し、最低5分間混合させる。中程度の撹拌を持続しながら、デキストロースの必要な量を添加する。溶解するまで撹拌する。果糖の必要な量を添加する。溶解するまで撹拌する。以下の成分の必要な量を、列挙される順序でデキストロース/果糖配合物へ添加し、溶解するまで撹拌する。すなわち、グルコン酸亜鉛、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸カリウム、及びクエン酸である。(New Brunswick,New JerseyのMcNeil Speciality Products Companyにより販売される)スクラロース及び(Somerset,New JerseyのHoechst Food IngredientsによりSunsett(R)として販売される)アセスルファムカリウムの必要な量を添加し、溶解するまで撹拌する。黄色6番及びフルーツポンチ香料をバッチへ、溶解するまで添加する。配合物を1.1℃ないし7.2℃へ冷却し、低速撹拌をしながら保持する。1lのプラスチック瓶の必要な数を充填し、ホイル熱シールを瓶の開口部へ適用し、食品級の滅菌標準へレトルトする。
【0190】
あるいは、冷却した配合物を密閉可能で凍結可能な包装材料内に封入し、熱密閉などにより密閉する。再水和溶液の単一投与量を密閉凍結可能な小袋に包装する。伝統的な冷凍ポップにおいて使用されるなどの、本発明を実施するのに使用できる包装材料のさまざまなタイプが当業者には明白であろう。包装材料は好ましくは、製品の同定、成分などのマーキングをその外部表面へ置くことのできるタイプである。再水和製剤は、この状態において好ましくはその複数の単位で輸送及び保存される。複数の単位又は冷凍ポップは商業化の目的のために互いに包装されるであろうことは熟慮される。
【0191】
投与の前に、液体再水和溶液の包装が凍結される。凍結後、包装を開封し、その内容物を食する。凍結した再水和製剤は通常、大気温で投与されるであろうため、各包装に含有される再水和液の量は好ましくは、凍結された状態でありながらも全体として消費できる量である。1包装当たり、好ましくは20オンスないし35オンス、より好ましくは2.0オンスないし2.5オンス特に好ましい実施態様において、滅菌再水和溶液の2.1オンスが長方形の例えば1”×8”の凍結可能な包装材料内に封入される。透明なプラスチック包装材料が好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
HMB、HMBの塩、これらの代謝産物又は誘導体を投与することを含む、タンパク質キナーゼC、核因子κB、ユビキチン連結酵素及び26Sプロテアソームの構成要素からなる群から選択される構成要素の発現及び/又は活性を下方制御することによる、患者における疾病状態の予防又は治療のための方法。
【請求項2】
HMB、HMBの塩、これらの代謝産物又は誘導体の投与がタンパク質キナーゼCの発現及び/又は活性を下方制御する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
HMB、HMBの塩、これらの代謝産物又は誘導体の投与が核因子κBの発現及び/又は活性を下方制御する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
HMB、HMBの塩、これらの代謝産物又は誘導体の投与がユビキチン連結酵素の発現及び/又は活性を下方制御する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
HMB、HMBの塩、これらの代謝産物又は誘導体の投与が26Sプロテアソームの構成要素の発現及び/又は活性を下方制御する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
L−カルニチン、遊離アミノ酸を実質的に欠如する大型中性アミノ酸で強化されたアミノ窒素源、ω−3脂肪酸及び難消化性オリゴ糖からなる群から選択される構成要素の少なくとも1つがHMB又はHMBの塩との組み合わせで投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
疾病状態が癌、カヘキシー、年齢関連消耗、長期入院と関連した消耗、HIV/エイズ、関節炎、外傷、肝疾患、クローン病、IBD、腎不全及びCOPDからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
疾病がカヘキシーである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
a.HMB、HMBの塩、これらの代謝産物又は誘導体、
b.カルニチン、
c.大型中性アミノ酸で強化されたアミノ窒素源
を含み、遊離アミノ酸を実質的に欠如する組成物。
【請求項10】
HMBがHMBナトリウム、HMBカリウム、HMBマグネシウム、HMBクロム、HMBカルシウム、HMBアルカリ金属、HMBアルカリ土類金属及びHMBラクトンからなる群から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
ω−3脂肪酸をさらに含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記ω−3脂肪酸がエイコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸からなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記大型中性アミノ酸がアミノ窒素源の少なくとも10%である、請求項9に記載の組成物。
【請求項14】
前記遊離アミノ酸が組成物の0.4g/回未満である、請求項9に記載の組成物。
【請求項15】
カルニチンの2g未満/回をさらに含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項16】
FOSの少なくとも1g/回をさらに含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項17】
ビタミン、ミネラル及び微量ミネラルからなる群から選択される栄養素をさらに含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項18】
a.HMBカルシウムの約2g/lから10g/lまで、
b.ω−3脂肪酸の少なくとも1g/l、
c.カルニチンの約1g/lから約8g/lまで、
d.FOSの約1g/lから約25g/lまで、
大型中性アミノ酸で強化されたアミノ窒素源を含む組成物であり、前記アミノ窒素源が大型中性アミノ酸の約10重量%から60重量%までを含み、及び前記組成物が遊離アミノ酸を実質的に欠如する組成物。
【請求項19】
組成物がヒト又は動物へ投与される、請求項9に記載の組成物。
【請求項20】
組成物が食事性サプリメント、食事置換物、栄養バー、咀嚼物又は咬合物及び飲料からなる群から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項21】
請求項9に記載の組成物を患者へ投与することを含む、患者の疾病関連消耗を治療する方法。
【請求項1】
HMB、HMBの塩、これらの代謝産物又は誘導体を投与することを含む、タンパク質キナーゼC、核因子κB、ユビキチン連結酵素及び26Sプロテアソームの構成要素からなる群から選択される構成要素の発現及び/又は活性を下方制御することによる、患者における疾病状態の予防又は治療のための方法。
【請求項2】
HMB、HMBの塩、これらの代謝産物又は誘導体の投与がタンパク質キナーゼCの発現及び/又は活性を下方制御する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
HMB、HMBの塩、これらの代謝産物又は誘導体の投与が核因子κBの発現及び/又は活性を下方制御する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
HMB、HMBの塩、これらの代謝産物又は誘導体の投与がユビキチン連結酵素の発現及び/又は活性を下方制御する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
HMB、HMBの塩、これらの代謝産物又は誘導体の投与が26Sプロテアソームの構成要素の発現及び/又は活性を下方制御する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
L−カルニチン、遊離アミノ酸を実質的に欠如する大型中性アミノ酸で強化されたアミノ窒素源、ω−3脂肪酸及び難消化性オリゴ糖からなる群から選択される構成要素の少なくとも1つがHMB又はHMBの塩との組み合わせで投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
疾病状態が癌、カヘキシー、年齢関連消耗、長期入院と関連した消耗、HIV/エイズ、関節炎、外傷、肝疾患、クローン病、IBD、腎不全及びCOPDからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
疾病がカヘキシーである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
a.HMB、HMBの塩、これらの代謝産物又は誘導体、
b.カルニチン、
c.大型中性アミノ酸で強化されたアミノ窒素源
を含み、遊離アミノ酸を実質的に欠如する組成物。
【請求項10】
HMBがHMBナトリウム、HMBカリウム、HMBマグネシウム、HMBクロム、HMBカルシウム、HMBアルカリ金属、HMBアルカリ土類金属及びHMBラクトンからなる群から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
ω−3脂肪酸をさらに含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記ω−3脂肪酸がエイコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸からなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記大型中性アミノ酸がアミノ窒素源の少なくとも10%である、請求項9に記載の組成物。
【請求項14】
前記遊離アミノ酸が組成物の0.4g/回未満である、請求項9に記載の組成物。
【請求項15】
カルニチンの2g未満/回をさらに含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項16】
FOSの少なくとも1g/回をさらに含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項17】
ビタミン、ミネラル及び微量ミネラルからなる群から選択される栄養素をさらに含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項18】
a.HMBカルシウムの約2g/lから10g/lまで、
b.ω−3脂肪酸の少なくとも1g/l、
c.カルニチンの約1g/lから約8g/lまで、
d.FOSの約1g/lから約25g/lまで、
大型中性アミノ酸で強化されたアミノ窒素源を含む組成物であり、前記アミノ窒素源が大型中性アミノ酸の約10重量%から60重量%までを含み、及び前記組成物が遊離アミノ酸を実質的に欠如する組成物。
【請求項19】
組成物がヒト又は動物へ投与される、請求項9に記載の組成物。
【請求項20】
組成物が食事性サプリメント、食事置換物、栄養バー、咀嚼物又は咬合物及び飲料からなる群から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項21】
請求項9に記載の組成物を患者へ投与することを含む、患者の疾病関連消耗を治療する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−229227(P2012−229227A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−139422(P2012−139422)
【出願日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【分割の表示】特願2007−504991(P2007−504991)の分割
【原出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(391008788)アボット・ラボラトリーズ (650)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−139422(P2012−139422)
【出願日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【分割の表示】特願2007−504991(P2007−504991)の分割
【原出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(391008788)アボット・ラボラトリーズ (650)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
【Fターム(参考)】
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