説明

HMG−CoA還元酵素阻害剤とニコチン酸化合物との組み合わせ、及び夜に1日1回高脂質血症を治療する方法

【課題】本発明はニコチン酸又はニコチン酸化合物又はそれらの混合物の持続放出性形態とHMG−CoA還元酵素阻害剤とを含んでいる経口投与用の固形の薬剤組合せに関し、それは薬物によって誘発される肝毒性、筋障害又は横紋筋変性を起こすことなく、たとえば、高脂血症及びアテローム性動脈硬化症を患う患者の脂質レベルを変質させるのに有効な医薬品の提供。
【解決手段】本願発明は、薬物によって誘発される肝毒性、筋障害又は横紋筋変性を起こすことなく個体の脂質を変質させるための製剤組成物であって、該製剤組成物は一日一回単一投与として投与用の固体経口剤形を含んでおり、該剤形は約250mg〜約3000mgの徐放性形態のニコチン酸と約0.1mg〜約80mgの即時放出性形態のスタチンを含んでおり、個体によって該製剤組成物が摂取された後、約4〜約8時間でニコチン酸のほぼ100%が血流中に放出される、製剤組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、薬剤誘発による肝毒性、筋障害または横紋筋融解(変性)症を起こさせることなしに夜間の時間中、単一投与として1日に1回投与する場合に、患者における血清脂質水準を変化させるために有用である、延長された放出形でのニコチン酸またはニコチン酸化合物またはそれらの混合物と、即時または延長された放出形での3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリン補酵素A(HMG−CoA)還元酵素抑制因子と、を含む経口投与のための医薬組合せに一般に関する。本発明はまた、薬剤誘発による肝毒性、筋障害または横紋筋融解症を起こさせることなしに、例えば高脂質血症およびアテローム性動脈硬化症を治療するために患者の血清脂質水準を変化させるために、夜間の時間中単一投与として1日に1回、そのような医薬組合せを患者に経口的に投与する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高脂質血症または血清脂質類の上昇は心臓血管系の病気およびアテローム性動脈硬化症の増大した罹病率を伴なっている。高脂質血症の特定の形は、例えば高コレステロール血症、家族性異βリポ蛋白血症、糖尿病性異脂質症、ネフローゼ異脂質症および家族性複合型高脂質血症を包含する。高コレステロール血症は血清低密度リポ蛋白−コレステロールおよび血清総コレステロールにおける上昇により特徴づけられる。低密度リポ蛋白(LDL−コレステロール)は血液中のコレステロールを輸送する。III型高脂質症としてまた知られている家族性異βリポ蛋白血症は血清中ベータ−VLDLと称される非常に低い密度のリポ蛋白−コレステロール(VLDL−コレステロール)粒子の蓄積により特徴づけられる。また、この症状と組み合わさって、異常なイソ形のアポリポ蛋白E2との正常なアポリポ蛋白E3の置き換えがある。糖尿病性異脂質症は、VLDL−コレステロールの過剰生成、異常なVLDLトリグリセリド脂肪分解、減少したLDL−コレステロール受容体活性そして時にはIII型高脂質血症のような、複合リポ蛋白異常性により特徴づけられる。ネフローゼ異脂質症は治療するのが困難でありそして多くの場合、高コレステロール血症および高トリグリセリド血症を包含する。家族性複合型高脂質血症は、高脂質血症の複合表現型、即ちIIa型、IIb型、IV型、V型または高アポβリポ蛋白血症により特徴づけられる。
【0003】
もし血清脂質そして特にLDLコレステロールを減少させることが出来るならば、心臓血管系の病気を起こすおそれを減少させることが出来ることは周知である。もし血清脂質を低下させることが出来るならば、アテローム性動脈硬化症の進行を遅延化されることが出来るかあるいはアテローム性動脈硬化症の軽減を誘発させることが出来ることがまた周知である。そのような場合において、高脂質血症または高コレステロール血症と診断された個人は心臓血管系の病気そして特に冠状動脈疾患のそれらの危険性を減少させる目的のためにアテローム性動脈硬化症の進行を遅らせるかまたはアテローム性動脈硬化症の軽減を誘発させるための脂質低下治療を考えるべきである。
【0004】
高トリグリセリド血症はまた、冠状動脈疾患のような心臓血管系の病気についての独立した危険因子である。高脂質血症または高コレステロール血症を有する多くのヒトは上昇したトリグリセリド水準を有する。上昇したトリグリセリドにおける減少はコレステロールの二次低下を生じる可能性があることが知られている。これらの個人はアテローム性動脈硬化症および冠状動脈疾患のそれらの発生を減少させる目的のためにこれらの個人の上昇したトリグリセリドを減少させるために脂質低下治療をまた考えるべきである。
【0005】
コレステロールは、VLDL−コレステロール、LDL−コレステロールおよび高い密度のリポ蛋白−コレステロール(HDL−コレステロール)のような、リポ蛋白複合体により血液中で輸送される。LDLは、血管壁の内膜細胞隙にまで、血液中においてコレステロールを運ぶ。血管壁の内膜細胞隙内のLDL−コレステロールの過酸化はアテローム性動脈硬化プラーク形成に導く。他方、HDL−コレステロールはプラーク形成に対抗しそして心臓血管系の病気およびアテローム性動脈硬化の症状の開始を遅らせるかまたは防止すると信じられている。HDL−コレステロール、HDL−コレステロールおよびHDL−コレステロールのような数種の下位の型のHDL−コレステロールが今までに確認された。
【0006】
過去において、上昇したコレステロール水準を減少させるためにそしてHDL−コレステロール水準を増大させるために提案された多くの方法があった。典型的にはこれらの方法は規定食および(または)脂質変化剤または血中脂質低下薬の毎日の投与を包含する。提案された他の方法は、米国特許第4,895,558号において記載されたような、連続流動濾過システムによる、周期的プラズマ破壊に関する。高脂質血症または高コレステロール血症、あるいは心臓血管系の病気と診断された正常脂質血を治療するために幾つかのタイプの血中脂質低下薬が開発された。一般にこれらの薬剤は、(1)血清リポ蛋白質または脂質の生成を減少させることによりあるいは(2)血清またはプラズマからのそれらの除去を高めることにより働く。血清リポ蛋白質または脂質の濃度を低下させる医薬は、コレステロールの生合成経路の律速酵素であるHMG−CoA還元酵素の抑制因子を包含する。HMG−CoA還元酵素抑制因子の例は、メバスタチン、米国特許第3,983,140号、メビノリンとしてまた称せられるロバスタチン、米国特許第4,231,938号、プラバスタチン、米国特許第4,346,227号および同第4,410,629号、プラバスタチンのラクトン類、米国特許第4,448,979号、シンビノリン(synvinolin)としてまた称せられるベロスタチン(velostatin)、シンバスタチン、米国特許第4,448,784号および同第4,450,171号、リバスタチン(rivastatin)、フルバスタチン(fluvastatin)、アトルバスタチン(atorvastatin)およびセリバスタチン(cerivastatin)を包含する。HMG−CoA還元酵素抑制因子については、米国特許第5,217,992号、同第5,196,440号、同第5,189,180号、同第5,166,364号、同第5,157,134号、同第5,110,940号、同第5,106,992号、同第5,099,035号、同第5,081,136号、同第5,049,696号、同第5,049,577号、同第5,025,017号、同第5,011,947号、同第5,010,105号、同第4,970,221号、同第4,940,800号、同第4,866,058号、同第4,686,237号、同第4,647,576号、ヨーロッパ出願第0142146A2および同第0221025A1そしてPCT出願第WO86/03488および同WO86/07054参照。
【0007】
血清コレステロールを低下させる他の医薬は、ニコチン酸、胆汁酸隔離剤、例えばコレスチラミン、コレスチポール、DEAEセファデックス(SecholexおよびPolidexide)、プロブコールおよび米国特許第3,674,836号に開示されているような関連化合物、リポスタビル(lipostabil)(Rhone−Poulanc)、エイザイE5050(N−置換エタノールアミン誘導体)、イマニキシル(imanixil)(HOE−402)、テトラヒドロリプスタチン(THL)、イジチグマスタニルホスホリルコリン(isitigmastanylphosphoryl−choline(SPC,Roche)、アミノシクロデキストリン(田辺製薬)、アジノモトAJ−814(アズレン誘導体)、メリンアミド(melinamide)(住友)、Sandoz58−035、アメリカンシアナミドCL−277,082およびCL−283,546(二置換尿素誘導体)、ロニトール(ronitol)(これはニコチン酸に対応するアルコールを有する)、ネオマイシン、p−アミノサリチル酸、アスピリン、第四級アミンポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)および米国特許第4,027,009号に開示されているようなイオネン類、米国特許第4,759,923号に開示されているようなポリ(ジアリルメチルアミン)誘導体、種々の魚油補助食品に見い出されるオメガ−3−脂肪酸、フィブリック酸誘導体類(fibric acid derivatives)、例えば、ゲムフィブロジム、クロフィブレート、ベザフィブレート(bezabibrate)、フェノフィブレート(fenofibrate)、シプロフィブレート(ciprofibrate)およびクリノフィブレート(clinofibrate)そして米国特許第5,200,424号、ヨーロッパ特許出願第0065835A1号、ヨーロッパ特許第164,698−A、英国特許第1,586,152号および英国特許出願第2162−179−Aを包含する。
【0008】
ナイアシンとしてまた知られているニコチン酸は高脂質血症または高コレステロール血症の治療において多年にわたって用いられて来た。この化合物は人体における総コレステロール、VLDL−コレステロールおよびVLDL−コレステロールレムナント、LDL−コレステロール、トリグリセリド類および“Lp(a)”として知られているアポリポ蛋白aを減少させる一方で、望ましいHDL−コレステロールを増加させる、有益な効果を示すことが長い間知られていた。
【0009】
ニコチン酸は通常、食後に、1日に3回投与された。この投与規定は、Metabolism(34)7:第642頁〜第647頁(1985)の“Contrasting Effects of Unmodified and Time−Release Forms of Niacin on Lipoproteins in Hyperlipidemic Subjects:Clues to Mechanism of Action of Niacin”においてKnopp等により論じられているとおりに血液脂質に対して非常に有益な作用を提供することが知られている。このプロフィルの主要な利点は、総コレステロール、LDL−コレステロール、トリグリセリド類およびLp(a)を減少させる一方で、HDL−コレステロール粒子を増加させるニコチン酸の能力である。そのような規定は有益な効果を生成する一方で、ニコチン酸が投与される高脂質血症患者において、皮膚潮紅、等がいぜんとして多くの場合に起る。
【0010】
ニコチン酸療法から生ずる皮膚潮紅を避けるかまたは減少させるために、米国特許第4,965,252号において報告されたようなグァガム、米国特許第5,023,245において開示されたようなミネラル塩、米国特許第4,911,917号において報告されたような無機マグネシウム塩およびPCT出願第96/32942号において開示されたような、アスピリンのような非ステロイド系抗炎症剤のような多数の薬剤が、ニコチン酸の有効な抗高脂質血症量とともに投与するために示唆された。これらの薬剤は通常ニコチン酸分投与治療を用いて伴なう皮膚潮紅副作用を避けるかまたは減少させることが報告された。
【0011】
即時放出ナイアシンに伴なう副作用を避けるかまたは減少させる他の方法は、延長されたまたは持続された放出配合物の使用である。延長されたまたは持続された放出配合物は、慣用または即時投与型に伴なう典型的な投与回数に比較して、投与回数における減少を可能にする、錠剤またはカプセルから活性成分をゆっくりと放出するようにデザインされる。ゆっくりとした医薬放出は医薬の血液水準を減少させそして延長させそしてしたがって慣用のまたは即時の放出ナイアシン製品に伴なう皮膚潮紅副作用を最少限にするかまたは減少させる。Nicobidカプセル(Rhone−Poulenc Rorer)、Endur−acin(Innovite Corporation)そして2種の異なるタイプのヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび疎水性成分を含有する持続放出ナイアシン配合物を記載する米国特許第5,126,145号および同第5,268,181号に記載された配合物のような、ナイアシンの延長されたまたは持続された放出配合物が開発された。
【0012】
多数の延長されたまたは持続された放出ナイアシン製品を用いて、高脂質血症患者における研究が行なわれた。これらの研究は、延長されたまたは持続放出製品が即時放出ナイアシンと同じ有利な脂質変化効果を有せずそして、事実即時放出製品と比較してさらに悪い副作用プロフィルを有することを示した。Metabolism,34(7)第642頁〜第647頁(1985)においてKnopp等により報告されたとおりに、持続放出配合物の主な不利な点は、トリグリセリドにおけるかなり低い減少(即時放出について−38%に対して持続された放出について−2%)そしてHDL−コレステロールにおける一層低い増加(即時放出について+22%に対して持続放出について+8%)および最も有益であると当業界により知られているHDL−コレステロールにおける一層低い増加(即時放出について+37%に対して持続された放出について−5%)である。
【0013】
さらに、延長されたまたは持続されたナイアシン配合物はHenken等(Am.J.Med.,91:1991(1991))およびDalton等(Am.J.Med.,93:102(1992))により記載されたように、大きな発生率の肝毒性を起すことが知られている。また、分断グルコース代謝および尿酸水準におけるこれらの配合物の能力に関して大きな問題がある。
【0014】
the Journal of the American Medical Association(JAMA)の以前の版において、ニコチン酸持続された放出形に伴なう肝毒性問題を調査検討する研究結果を提供する記事が示された。JAMA,271(9):672(March 2,1994)におけるMcKenney 等による“A Comparison of the Efficacy and Toxic Effects of Sunstained−vs.Immediate−Release Niacin in Hypercholesterolemic Patients”。その数の中で、18%または78%が取り出され、その理由は肝機能テスト(複数)(LFTs)が潜在的な肝損傷の呈示が増加したからである。この記事の著者の結論は、ナイアシンの持続された放出形が“使用することを制限すべきである”ことであった。
【0015】
代表的な食品および医薬投与および Am.J.Med.,92:77(January,1992)におけるRader 等による表題“Hepatic Toxicity of Unmodified and Time−Release Preparations of Niacin”による記事において同様な結論に到達した。これらの研究および同様な結論が他のヘルスケア専門家により引き出された。
【0016】
HMG CoA還元酵素抑制因子は高脂質血症を治療するために多年にわたってまた使用された。これらの化合物は、人体中の総コレステロールおよびLDL−コレステロールを減少させそしていくらかの個人におけるHDL−コレステロール水準を上昇させる有益な効果を示すことが知られている(Grundy SM:N.Engl.J.Med.319(1):24−32、25−26および31(July 7,1988))。メバロネートへのHMG−CoAの転換はコレステロールの生合成における早期の工程である。メバロネートの生成を妨げる、HMG−CoA還元酵素の抑制はHMG−CoA還元酵素抑制因子がそれらの総コレステロール低下作用およびLDL−コレステロール低下作用を発揮する基礎である(Grundy SM:N.Engl.J.Med.,319(1):24−32、25および26(July 7,1988))。
【0017】
しかしながら、HMG−CoA還元酵素抑制因子は欠点がないわけではない。HMG−CoA還元酵素抑制因子は、例えばGarnett WRによるAm.J.Cardiol,78(Suppl 6A):20−25(Sept.26,1996);The Lovastatin Pravastatin Study GroupによるAm.J.Cardiol,71:810−815(April 1,1993);Dujovne CA等による Amer.J.Med.91(Suppl 1B):25S−30S(July 31,1991)および Mantell GM等による Am.J.Cardiol,66:11B−15B(Set.18,1990)において報告されているように、肝毒性、筋障害および横紋筋融解症を誘発することが知られている。
【0018】
さらに、Physicians’Desk Reference(PDR)第50版(1996)の第1700頁第3欄において、HMG−CoA還元酵素抑制因子であるロバスタチンは過去に肝臓障害を有する患者においては注意して使用されなければならず、活ぱつな肝臓障害または説明されない持続する血清アミノ転移酵素の上昇を有する患者に対してはロバスタチン治療は禁止されていることを報告している。該1996 PDRは第1701頁、第1欄において、横紋筋融解症は、ロバスタチン療法単独と結びついておりそしてニコチン酸の脂質低下投与量(≧1g/日)と組み合わせた場合と結びついていたことを報告しておりそしてロバスタチンと脂質低下投与量のニコチン酸との組み合わせた療法を意図する医者は潜在的利点と危険性とを注意深く比較しながら考慮すべきでありそして特に治療の初期の数か月間そしていずれかの医薬の上昇投与量滴定のすべての期間中に、筋肉痛、圧痛、または衰弱の何らかの徴候および症状について個人を注意深く監視すべきであることをさらに報告している。該1996 PDRはさらに、第1701頁第1欄において、筋障害の症例がニコチン酸の脂質低下投与量と同時にロバスタチンを摂取している患者に伴なっていたことを報告している。該1996 PDRはまた、(1)第2267頁第3欄および第2268頁第1欄においてフルバスタチンについて、(2)第767頁第1欄においてプラバスタチンについてそして第1777頁第2欄においてシンバスタチンについて同様な禁忌を報告している。なおさらに該PDRは、HMG−CoA還元酵素抑制因子およびこれらの薬剤[脂質低下性投与量のニコチン酸]を用いての同時療法が一般に推奨されないことを、第768頁第3欄において提示している。
【0019】
該1996 PDRにおける提示にもかかわらず、N.Engl.J.Med,319(1):24−33(July 7,1988)において Grundy SMは、単独で用いられる場合のHMG−CoA還元酵素抑制因子(第29頁〜第30頁)および単独で用いられる場合のニコチン酸が上昇したコレステロールプラズマ水準を減少させるのに有効であることを報告している。Grundy は第24頁第2欄第10行〜第25行において、“それらの効力の故に、胆汁酸隔離剤(コレスチラミンおよびコレスチポール)およびナイアシンは恐らくは高コレステロール血症に対して第1に選択される医薬である。−−−−−これらの医薬は高いコレステロール水準を有する多くの患者において使用するために高度に有効でありそして満足すべきであるけれども、残念ながらそれらはすべての患者によっては十分に許容されない。それ故に、それらの判明した有用性にもかかわらず、胆汁酸隔離剤およびナイアシンは理想的なコレステロール低下剤ではない。”とさらに報告している。なおさらに、Grundy は第30頁、第1欄第13行〜第17行において、“1日に2回の[HMG−CoA]還元酵素抑制因子の投与は、同じ合計投与量で、1日1回の投与よりも幾分か一層有効である。”と報告している。Grundy はまた第29頁第1欄第7行〜第11行において、“ロバスタチンと、シクロスポリン、ゲムフィブロジルまたはニコチン酸との組み合わせは患者を筋障害にそして場合によっては横紋筋融解症にさえかかりやすくする可能性がある。”と報告している。なおさらに Grundy は第30頁第1欄第54行〜第59行において、“ロバスタチンとナイアシンとの該組み合せは、制御された臨床試験において安全であることが示されなかった:さらに筋障害のような、薬剤間の有害な相互作用の徴候が起る可能性があった。”と報告している。しかし、Gardner SF等によるPharmacotherapy,16(3):421−423(1996);Pasternak RC等によるAnn Intern Med 125(7):529−540(Oct.1,1996);O’Keefe JH等によるAm.J.Cardiol,76:480−484(Sept.1,1995)およびDavignon J等によるAm.J.Cardiol,73:339−345(Feb.15,1994)を参照。
【0020】
Vacek JL等によるAm.J.Cardiol,76:182−184(July 15,1995)において、彼らは、第183頁において、“−−−−−ニコチン酸の遅延化放出形を用いての肝毒性の危険性の知識の現在の状態の故に、この形の医薬は将来の試行および臨床上の実施において[ロバスタチンと組み合わせて]、恐らくは使用されるべきでない。”と報告している。
【0021】
Vacek JL等による報告および該1996PDRと一致して、Am.J.Cardiol.,73:25D−29D(May 26,1994)におけるJacobson TAおよび Amorosa LFによる記事は、第28D頁〜第29頁において、“肝臓酵素プロフィルにおける異常および劇症肝臓機能不全はまた、ナイアシン、特に持続放出製剤の使用に結びついていた。−−−−−持続放出ナイアシン製剤と組み合せてのフルバスタチンの使用は、結晶質、即ち即時放出ナイアシンだけを調べた、この研究に基づいて、一般に推奨されることは出来ない。”と報告している。
【0022】
それ故に、特に肝臓毒性、グルコース代謝への作用、尿酸水準、筋障害および横紋筋融解症に関して、許容出来る安全プロフィルとともに、“バランスのとれは脂質変化”、即ち総コレステロール、LDL−コレステロール、トリグリセリド類およびLp(a)における減少ならびにHLD粒子における増加を患者に提供する脂質変化性または血中脂質低下性製薬剤および前記製薬剤を送り出す方法を開発する必要性があることが科学文献から分かるだろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
要するに、本発明は、経口投与のための新規なHMG−CoA還元酵素抑制因子/ニコチン酸医薬的組み合わせおよびそのような医薬的組み合わせを用いての治療方法の発見により、HMG−CoA還元酵素抑制因子治療およびニコチン酸治療の現在の状態の明らかな上記問題および欠点を緩和するかまたは克服する。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明に従えば、医薬誘導肝毒性、横紋筋融解症または筋障害を起こさせることなしに、個人における血清脂質水準を変化させるために、例えば高脂質血症を減少させそしてアテローム性動脈硬化を阻止するために、経口投与のための医薬組み合わせが提供される。一般的に云って、本発明の医薬組み合わせは、延長された放出形のニコチン酸、ニコチン酸の誘導体、身体中で代謝されてニコチン酸を形成する化合物またはそれらの任意の混合物およびHMG−CoA還元酵素抑制因子を含む。本医薬組み合せは、総コレステロール、VLDL−コレステロール、LDL−コレステロール、Lp(a)およびトリグリセリド類水準のような血清脂質水準を変化させるかまたは減少させるためにそしてHDL−コレステロール水準を高めるかまたは上昇させるために有効である量で投与される。これは、医薬誘導肝毒性、横紋筋融解症または筋障害を起すことなしにあるいはグルコース代謝または尿酸水準に悪影響することなしに、あるいは、少なくとも、そのような治療の中断を必要とするような水準に、認識出来る数の個人にそのような副作用を起こさせることなしに達成される。
【0025】
本発明に従えば、本医薬組合せは単一の経口投与量として1日に1回投与される。好ましくはそして典型的な日中スケジュールを有する個人のために、該単一経口投与量は、総コレステロール、VLDL−コレステロール、LDL−コレステロール、Lp(a)およびトリグリセリド類水準を減少させるためにあるいはHDL−コレステロール水準を増加させるために(これらのあるものは脂質成分がそのような個人において夜に主として生合成される)有効なインビボ水準で夜間に個人において達成させるために、夕食時または夕食後のような夕方の時間中または就寝時に投与される。日中スケジュールとは異なって典型的な夜間スケジュールを有する個人のために、例えば夜中働らきそして日中に寝る個人のために、彼らの日中就寝時にまたはその近くに単一投与量として本発明の医薬組合せを投与することが好ましいだろう。
【0026】
本発明の医薬組合せが単一経口投与で1日に1回投与される場合、その単一投与はニコチン酸単独を用いて得られる以上に、総コレステロール、LDL−コレステロールおよびトリグリセリド類の追加の減少を提供することがまた、見い出された。事実、単一経口投与として投与される場合の本発明の医薬組み合わせは、いずれかの脂質低下用医薬が等しい投与量で単一経口投与として単独で投与される場合よりも実質的に大きな程度に、総コレステロール、LDL−コレステロールおよびトリグリセリドの水準を減少させることが分かった。さらに、単一経口投与として投与される場合の本発明の医薬組合せは、HMG−CoA還元酵素抑制因子が等しい投与量で単一経口投与として単独で投与される場合よりも実質的に大きな程度に、HDL−コレステロール水準を増加させることが分かった。本発明の医薬組合せが単一投与として1日に1回投与される場合、その単一投与は、(1)分割した経口投与で投与されるニコチン酸の等しいまたは一層高い毎日の投与量およびニコチン酸の分割した投与とは別に投与されるHMG−CoA還元酵素抑制因子の等しい毎日の経口投与量の組合せと少なくとも同じに有効でありそして(2)それは分割した投与療法よりも、肝毒性を起こす可能性が一層低いことがまた信じられる。
【0027】
まったく驚くべきことに、本発明の医薬組合せは、医薬誘導肝臓損傷、横紋筋融解症または筋障害を起すことなしにあるいはグルコース代謝または尿酸水準に有害に作用することなしに、例えば高脂質血症(例えばコレステロール関連心臓血管系疾患)および複合病因のアテローム性動脈硬化症、および心臓血管系と診断されたまたはその恐れがある正常脂質状態を有効に治療するために使用されることが出来る。
【0028】
本発明の医薬組合せは、(a)HMG−CoA還元酵素抑制因子、および(b)延長された放出形の、ニコチン酸、それと同様にニコチン酸の誘導体、身体中でニコチン酸に代謝される化合物およびそれらの任意の組合せ、の組み合せを意図しているけれども、本発明に従う好ましい医薬組合せは、即時放出形でのHMG−CoA還元酵素抑制因子および延長された放出形でのニコチン酸から構成される、経口投与のための医薬組合せである。好ましいHMG−CoA還元酵素抑制因子はアトルバスタチン(atorvastatin)、セルバスタチン(cervastatin)、フルバスタチン(fluvastatin)、ロバスタチン、プラバスタチンおよびシンバスタチンを包含する。
【0029】
本発明の方法を実施するにあたって、本発明の医薬組合せはヒトそしてうし、犬、ねこ、豚、馬、羊、うさぎ、ねずみ、ラット、げっ歯動物、さる、等のような他の動物種に投与されることが出来、そしてそのようなものとして、錠剤、カプセル、カプレット(caplet)、顆粒、ビーズ、等のような慣用の全身投与剤型中に導入されることが出来る。他の脂質変化剤または血中脂質低下剤ならびに皮膚潮紅を減少させるが防止することが知られている薬剤は、そのような添加剤が本発明の目的を損なわない限り、本発明の医薬組合せの有益な効果を補なう適当な管理下で、本医薬組合せに包含されるかあるいは本医薬組合せと同時に投与されることが出来る。
【0030】
本発明はまた、患者の順応性を制限するニコチン酸誘導潮紅を減少させるかまたは排除するために、ニコチン酸治療の開始まえに、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)を用いて患者を前処置することを意図する。予備投与スケジュールに従って用いられる場合の、アスピリンのようなNSAIDの低い投与量を用いての前処置は、プロスタグランジンD(PGD)生成を漸増的に抑えて、ニコチン酸の投与を一層許容出来るようにする。本発明に従えば、NSAIDを用いての患者の前処置は、ニコチン酸投与のまえの少なくとも約7日間そして好ましくは少なくとも約14日間、1日に1〜4回、低投量の、アスピリンのようなNSAIDを投与することを包含する。
【0031】
投与される投与量は、年令、体重および患者の症状、ならびに投与の経路、剤型および管理および所望の結果に従って注意深く調節されるべきである。
【0032】
したがって、経口投与のために、約250mg〜約3000mg、そして好ましくは約500mg〜約2500mg、そして最も好ましくは約1000mg〜約2000mgの範囲内の量におけるような、ニコチン酸についてthe 1996 Physician’s Desk Referenceにおいて示されるような、通常使用される投与量でのニコチン酸と組み合わせて、約0.05mg〜約160mg、そして好ましくは約0.05mg〜80mgそしてさらに好ましくは約0.2mg〜約40mgの範囲内の量におけるような、例えばthe 1996 Physician’s Desk Referenceまたはこれらの製品のための包装差込み指針に示されているような投与量でHMG−CoA還元酵素抑制因子を使用して満足出来る結果が得られることが出来、HMG−CoA還元酵素抑制因子およびニコチン酸は、同時にまたはほとんど同時に摂取される、同じ経口投与剤型でまたは別々の経口投与剤型で、一緒に使用される。それ故にニコチン酸は、例えば250mg,500mg,750mg,1000mg,1500mg,2000mg,2500mgおよび3000mgの増加していく量で毎日投与されることが出来る。かくして本発明の経口投与剤型は、例えば250mg,375mg,500mg,750mgおよび1000mgの投与量でニコチン酸を含むことが出来る。
【0033】
HMG−CoA還元酵素抑制因子についての正確な投与は選択される特定のHMG−CoA還元酵素抑制因子により左右される。それ故にそして本発明に従って、経口投与剤型は、例えば10mg,20mg,40mgまたは80mgのような、約10mg〜約80mgまたはそれ以上の投与量でロバスタチン、アトルバスタチン(atorvastatin)、またはプラバスタチン、例えば5mg,10mg,20mg,40mg、または80mgのような、約5mg〜約80mgまたはそれ以上の投与量でシンバスタチン、例えば20mg,40mgまたは80mgのような約20mg〜80mgまたはそれ以上の投与量でフルバスタチン(fluvastatin)そして例えば0.05mg,0.1mg,0.2mgおよび0.3mgのような、約0.05mg〜約0.3mgまたはそれ以上の投与量でセリバスタチン(cerivastatin)を、所望の毎日の投与量を達成させるために、含むことが出来る。
【0034】
かくしてそして本発明に従って、錠剤のような、経口固体投与剤型は約0.05mg〜約40mgそして好ましくは約0.1mg〜約20mgの量でHMG−CoA還元酵素抑制因子および約250mg〜約1000mgそして好ましくは500mg〜約1000mgの量でニコチン酸を含有することが出来る。本発明に従う経口団体投与剤形の例は、例えば250mg/5mg,500mg/5mg,750mg/5mg,250mg/7.5mg,500mg/7.5mg,750mg/7.5mg,1000mg/7.5mg,250mg/10mg,500mg/10mg,750mg/10mg,1000mg/10mg,250mg/20mg,500mg/20mg,750mg/20mg,1000mg/20mg,250mg/45mg,500mg/40mg,750mg/40mgおよび1000mg/40mgの投与量強度で、ニコチン酸/アトルバスタチン、ニコチン酸/フルバスタチン、ニコチン酸/フルバスタチン、ニコチン酸/ロバスタチン、ニコチン酸/プラバスタチンまたはニコチン酸/シンバスタチンの錠剤を包含しそして例えば250mg/0.05mg,500mg/0.05mg,750mg/0.05mg,1000mg/0.05mg,250mg/0.1mg,500mg/0.1mg,750mg/0.1mg,1000mg/0.1mg,250mg/0.15mg,500mg/0.15mg,750mg/0.15mg,1000mg/0.15mg,250mg/0.2mg,500mg/0.2mg,750mg/0.2mg,1000mg/0.2mg,250mg/0.3mg,500mg/0.3mg,750mg/0.3mgおよび1000mg/0.3mgの投与量強度でニコチン酸/セルバスタチンの錠剤を包含する。
【0035】
それ故に、本発明の目的は、患者、例えば高脂質血症、アテローム性動脈硬化症および正常脂質状態における脂肪血症と診断された患者を治療するための、血清脂質を変化させるために、(a)HMG−CoA還元酵素抑制因子および(b)持続放出形でのニコチン酸、ニコチン酸の誘導体、身体により代謝されてニコチン酸を形成する化合物またはそれらの組合せを含む、経口投与のための医薬組合せを提供することである。
【0036】
本発明の他の目的は、ニコチン酸、ニコチン酸の誘導体、身体によりニコチン酸に代謝される化合物またはそれらの混合物について延長された放出特性を有しそしてHMG−CoA還元酵素抑制因子について延長されたまたは即時放出特性を有する、経口固体医薬組合せを提供することである。
【0037】
本発明のなお他の目的は、肝臓損傷、筋障害または横紋筋融解症をほとんど生じないかまたは全く生じないで、高脂質血症、あるいは心臓血管系疾患と診断されたまたはその恐れがある正常脂質状態を治療するために、上記のとおりの組成物を使用する方法を提供することである。
【0038】
以下の本明細書から明らかになるであろう、高脂質血症の治療に関する既知の技術に優さるその利点と共に、上記目的の少なくとも1つまたはそれ以上は、以下に記載されまたは特許請求されたとおりの本発明により達成される。
【0039】
一般に、本発明は、有効な脂質変化または抗高脂質血症量のHMG−CoA還元酵素抑制因子およびニコチン酸を使用する、経口タイプの改良された脂質変化または抗高脂質血症医薬組合せを提供し、その医薬組合せは例えば錠剤または配合物の100重量部当り約5%重量部〜約50%重量部のヒドロキシプロピルメチルセルロースをニコチン酸と調合しそしてその錠剤を錠剤または配合物の約0.01%重量部〜約30%重量部のHMG−CoA還元酵素抑制因子でコーティングすることからなる。
【0040】
本発明はまた、約0.01%重量部〜約30%重量部のHMG−CoA還元酵素抑制因子、約30%重量部〜約90%重量部のニコチン酸および約5%重量部〜約30%重量部のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、経口的に投与される脂質変化用または抗高脂質血症組成物を提供する。
【0041】
本発明はまた、高脂質血症の患者における高脂質血症あるいは心臓血管系疾患と診断されたまたはその恐れのある正常な脂質状態の患者における脂肪血症を治療するような、患者における脂質水準を変化させる方法を包含する。その方法は、有効な脂質を変化させる量のHMG−CoA還元酵素抑制因子およびニコチン酸そしてHMG−CoA還元酵素抑制因子の即時または延長された放出およびニコチン酸の延長された放出を提供するための量の賦形剤を含む組成物を形成する工程を含む。その方法はまた、夜間に、高脂質血症の患者または正常な脂質の状態の患者にその組成物を経口的に投与する工程を含む。
【0042】
本発明に従う、高脂質血症の患者の高脂質血症または正常な脂質状態の患者の脂肪血症を治療する方法は、HMG−CoA還元酵素抑制因子、およびニコチン酸、ニコチン酸の誘導体、身体によりニコチン酸に代謝される化合物またはそれらの混合物の、有効な脂質を変化させる量を、高脂質血症患者または正常な脂質の状態の患者に投与することからなる。その投与は、医薬的に許容出来る担体と組み合わせて、好ましくは夕方または夜に1日1回与えられて、総コレステロールおよびLDL−コレステロールのかなりの減少を生じ、それと同様に、トリグリセリド類およびLp(a)のかなりの減少を生じ、それとともにHDLコレステロールのかなりの増加を生じる。
【0043】
本発明の上記特徴および利点は、以下の詳細な記載および例を参照して一層良く理解されるだろう。本発明を例示する特定の方法および配合物は例示のためだけでありそして本発明の限としてみなされるべきでない。
【発明を実施するための形態】
【0044】
詳細な記載
本発明の一層完全な評価およびその多くの付随する利点を例示し且つ提供するために、以下の詳細な記載は新規な方法および調合薬に関して提供される。
【0045】
本発明は、HMG−CoA還元酵素抑制因子およびニコチン酸、ニコチン酸の誘導体あるいは身体がニコチン酸に代謝するニコチン酸自体以外の化合物またはそれらの混合物を使用し、かくして本明細書に記載されたと同じ効果を有する。ニコチン酸誘導体および他の化合物は特定的は以下の化合物を包含ししかしそれらに限定されない:ニコチニルアルコールタルトレート、d−グルシトールヘキサニコチネート、ニコチン酸アルミニウム、ニセリトール(niceritol)、d,l−アルファ−トコフェリルニコチネート、6−OH−ニコチン酸、ニコチナリア酸(nicotinaria acid)、ニコチンアミド、ニコチンアミド−N−オキシド、6−OH−ニコチンアミド、NAD、N−メチル−2−ピリジン−8−カルボキシアミド、N−メチルニコチンアミド、N−リボシル−2−ピリドン−5−カルボキシド、N−メチル−4−ピリドン−5−カルボキシアミド、ブラジリアン(bradilian)、ソルビニケート(sorbinicate)、ヘキサニサイト(hexanicite)、ロニトール(ronitol)およびメチル、エチル、プロピルまたはブチルエステルのような低級アルコールエステルのような、ニコチン酸のエステル類。任意のそのような誘導体または化合物の各々は、“ニコチン酸化合物”として本明細書においてまとめてに称されるであろう。
【0046】
特定のHMG−CoA還元酵素抑制因子は以下の化合物を包含するがしかしそれらに限定されない:ロバスタチンおよび米国特許第4,231,938号において開示されているような関連化合物、プラバスタチンおよび米国特許第4,346,227号および同第4,448,979号に報告されているような関連化合物、メバスタチンおよび米国特許第3,983,140号に開示されているような関連化合物、ベロスタチンおよびシンバスタチン、および米国特許第4,448,784号および同第4,450,171号に記載されているような関連化合物、フルバスタチン(fluvastatin)、アトルバスタチン(atorvastatin)、リバスタチン(rivastatin)およびフルインドスタチン(fluindostatin)(Sandoz XU−62−320;フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチンおよびセリバスタチンが好ましい。本発明において使用されることが出来る他のHMG−CoA還元酵素抑制因子は以下の化合物を包含するがしかしそれらに限定されない:米国特許第4,613,610号に開示されているようなメバロノラクトン誘導体のピラゾール類似体、PCT出願WO86/03488号に開示されているようなメバロノラクトン誘導体のインデント類似体、米国特許第4,647,576号に開示されているような6−[2−(置換ピロール−1−イル)アルキルピラン−2−オンおよびその誘導体、SearleのSC−45355(3−置換ペンタンジオン酸誘導体)ジクロロアセテート、PCT出願WO86/07054に開示されているようなメバロノラクトンのイミダゾール類似体、フランス特許第2,596,393号に開示されているような3−カルボキシ−2−ヒドロキシ−プロパンりん酸誘導体、ヨーロッパ特許出願第0221025A14に開示されているような2,3−二置換されたピロール、フランおよびチオフェン誘導体、米国特許第4,686,237号に開示されているようなメバロノラクトンのナフチル類似体、米国特許第4,499,289号に開示されているようなオクタヒドロナフタレン、ヨーロッパ特許出願第0142146A2に開示されているようなロバスタチンのケト類似体、ならびに英国特許第2,205,837号、同第2,205,838号、米国特許第5,217,992号、同第5,196,440号、同第5,189,180号;同第5,166,364号、同第5,157,134号、同第5,110,134号、同第5,110,940号、同第5,106,992号、同第5,099,035号、同第5,081,136号、同第5,049,696号、同第5,049,577号、同第5,025,017号、同第5,011,947号、同第5,010,105号、同第4,970,221号、同第4,940,800号、同第4,866,058号および同第4,686,237号に開示されているような他の公知のHMG−CoA還元酵素抑制因子。
【0047】
上に記載されたように、HMG−CoA還元酵素抑制因子およびニコチン酸は、症状が血液流中のコレステロールおよびトリグリド類のような過剰の脂肪類の存在によって特徴づけられる高脂質血症の治療のために過去において使用されていた。本発明の1つの面に従えば、HMG−CoA還元酵素抑制因子の即時放出コーティングでコーティングされたニコチン酸の延長されたまたは持続された放出組成物が1例として造られる。“延長された放出(extended release)”または“持続された放出(sustained release)”とは、治療されるべき患者に径口的に投与された場合にHMG−CoA還元酵素抑制因子、ニコチン酸、ニコチン酸化合物またはそれらの混合物のような活性成分が或る時間期間にわたって血液流中への吸収のために放出される組成物を意味することが理解される。例えばニコチン酸の約1500ミリグラム(以後、“mg”と示される)の投与量において、約100パーセントのニコチン酸が摂取後約4〜約8時間でそして好ましくは約6時間内に放出されるのが好ましい。
【0048】
ニコチン酸は持続された放出様式で本医薬組合せから放出されるけれども、HMG−CoA還元酵素抑制因子は摂取後に即時放出または延長された放出のために配合されることが出来る。“即時放出”とは、治療されるべき患者に経口的に投与されたとき、HMG−CoA還元酵素抑制因子が、摂取後約30分以内に、血液流中に吸収のために組成物から完全に放出されることを意味することが理解される。
【0049】
本発明に従う特定の持続放出組成物は有効な脂質変化用量のHMG−CoA還元酵素抑制因子でコーティングされた、有効な脂質変化用量のニコチン酸を使用する。“有効な脂質変化用量”または“有効な抗高脂質血症量”とは、治療されるべき患者に経口的に投与されたときに、患者の血液流において、以下の、総コレステロール、LDL−コレステロール、トリグリセリド類およびLp(a)の1種またはそれ以上の、少なくともいくらかの低下およびHDL−コレステロールの少なくともいくらかの増加、そしてさらに特定的は、例えばHDL−コレステロールおよび(または)HDL−コレステロールにおける増加を包含する、患者の生理学上に有益な効果を有する量を意味することが理解される。その有益な効果は患者の血液流においての、総コレステロール/HDL−コレステロールの比においてそしてLDL−コレステロール/HDL−コレステロールの比においてのいくらかの減少をまた包含する。或る個人においては、その有益な効果は、アポリポ蛋白Bにおける減少、アポリポ蛋白Eにおける減少および(または)アポリポ蛋白A−Iにおける増加をまた包含するだろう。ニコチン酸の例示的な有効な脂質変化用量は、本明細書において以下に一層十分に記載されるように、本発明に従って投与されるニコチン酸の約250mg〜約3000mgであろう。HMG−CoA還元酵素抑制因子の例示的な有効な脂質変化用量は、約0.1mg〜約80mgであろう。これらの量は、勿論、治療されるべき患者の生理学的必要性を包含する、多くの可変因子に依存して変化するだろう。
【0050】
好ましくは、患者に持続放出組成物が経口的に投与されたとき、膨潤剤が患者の胃腸管中で時間経過にわたって膨潤しそして時間期間経路にわたってニコチン酸および(または)ニコチン酸化合物を放出するように、ニコチン酸および(または)ニコチン酸化合物と調合される膨潤剤、即ち持続放出剤がまた、本発明に従う持続放出組成物中に含まれる。当業界に知られているように、そのような膨潤剤およびその量は、活性なニコチン酸成分の時間放出を制限するために予じめ選択されることが出来る。そのような膨潤剤は、ナトリウムカルボキシメチルセルロースおよびエチルセルロースのような重合体、みつろうのようなワックス類およびガムまたはゼラチンのような天然物質または上記のいずれかの混合物を包含するがしかしそれらに限定されない。膨潤剤の量はその膨潤剤の種類、患者の時間放出必要性、等に依存して変化するので、本発明の目的を達成する量の膨潤剤を使用することが好ましい。
【0051】
例示的な且つ好ましい膨潤剤は、錠剤または配合物の100重量部当り約5〜約50%重量部の範囲の量で、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。好ましい例は約4〜8時間の期間にわたっての持続された時間放出を確実にするであろう。
【0052】
結合剤がまた、本組成物において使用されることが出来る。任意の既知の結合用材料が本発明において有用であるけれども、1−エテニル−2−ピロリドンの繰り返し単位を有する重合体のグループの1種またはそれ以上のような物質を使用することが好ましい。これらのポリビニルピロリドン重合体は一般に約10,000〜700,000の分子量を有しそしてまた“ポビドン(povidone)またはPVP”として知られている。
【0053】
結合剤材料の量は勿論、結合剤の種類および組成物の他の成分の量に依存して変化するだろう。本組成物中のポビドンの例示的な量は合計の配合物の100重量部当たり約1〜約5重量%のポビドンである。
【0054】
ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ベヘン酸グリセリル、タルクおよびコロイド状二酸化珪素を包含する、膨潤剤のような処理助剤は当業界において知られているように、また使用されることが出来る。本組成物中の、ステアリン酸のような、膨潤剤の例示的な量は錠剤または配合物の100重量部当たり約0.5〜約2.0重量%であろう。
【0055】
また、本発明に従えば、ニコチン酸および(または)ニコチン酸化合物を含有する持続放出組成物は、経口投与後の即時放出のためのHMG−CoA還元酵素抑制因子でコーティングされるのが好ましい。本発明に従う例示的なコーティングは、HMG−CoA還元酵素抑制因子、可塑剤、フィルム形成用および(または)コーティング剤および着色剤からなる。可塑剤の特定な例は、安息香酸ベンジル、クロロブタノール、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、グリセリン、ミネラルオイルとラノリンアルコール、ペトロラタムとラノリンアルコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、トリアセチンおよびくえん酸トリエチルを包含するがしかしそれらに限定されない。本発明のコーティングに使用される可塑剤の例示的な量は錠剤の約0.01〜約5重量%である。
【0056】
フィルム形成用および(または)コーティング剤の特定の例はカルボキシメチルセルロースナトリウム、カルナウバろう、酢酸フタル酸セルロース、セチルアルコール、菓子用砂糖、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、液体グルコース、マルトデキストリン、メチルセルロース、微結晶ワックス、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコール、セラック、スクロース、タルク、二酸化チタンおよびゼインを包含するがしかしそれらに限定されない。本コーティング中のフィルム形成用/コーティング剤の例示的な量は錠剤の約0.01〜約5重量%である。本発明に従うコーティングを造るために一般的に云えば、HMG−CoA還元酵素抑制因子は、ポリエチレングリコールおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースの水溶液に懸濁されるかまたは溶解されそして次に、HMG−CoA還元酵素抑制因子の有効な抗高脂質血症の量を含有する厚さにまで、フィルム−コーティング処理により、持続放出錠剤上に噴霧される。本発明に従う適当なコーティングの厚さの例は約0.1mm〜約2.0mmまたはそれ以上である。
【0057】
上に記載された範囲で両方の活性物質を含有し、残りが許容された医薬慣習に従う他の物質の生理学的に許容出来る担体である、例えば合計重量で約265mg〜1650mgの種々の大きさのコーティングされた持続放出錠剤が造られることが出来る。これらのコーティングされた錠剤は、勿論、分割された投与を与えるために刻み目がつけられことが出来る。ゼラチンカプセルが同様に配合されることが出来る。
【0058】
本発明と一致させて、そのような投与剤型は、好ましくは夕方中に、1日に1回投与の管理下で個人に投与されるべきである。
【0059】
投与量計画をさらに微細に規制するために、同じ時間でまたは注意深く調整された時間で各投与量単位で別々に投与されることが出来る。投与の規制された計画により血液水準が確立され且つ維持されるので、2種の物質の同時の存在により同じ結果が達成される。各々の物質は上に記載された方法に類似の方法で別々の単位投与量形に個別的に配合されることが出来る。
【0060】
同じ調合薬中のHMG−CoA還元酵素抑制因子とニコチン酸および(または)ニコチン酸化合物との組合せは一層都合よくそしてそれ故に、特に経口投与のためのコーティングされた錠剤またはカプレット(caplet)形において好ましい。しかしながら、別法として、本発明の医薬組合せは、一方の経口投与剤型がニコチン酸またはニコチン酸化合物またはそれらの混合物の延長されたまたは持続された放出のために配合されそして他方の経口投与剤がHMG−CoA還元酵素抑制因子の延長されたまたは即時の放出のための配合される、同時的に投与されることが出来る、2つの異なる経口投与剤からなってよい。
【0061】
場合により、本発明の経口医薬組合せは他の活性成分を含んでよい。また、本発明は、他の活性成分が本発明の医薬組合せと同時に投与されることが出来ることを意図する。他の活性成分の例は抗脂肪血症剤および潮紅抑制剤である。抗脂肪血症剤の特定の例は以下の薬剤を包含するがしかしそれらに限定されない:胆汁酸隔離剤(bile acid sequestrant)、例えば、コレスチラミン、コレスチポール、DEAEセファデックス(SecholexおよびPolidexide)、米国特許第3,674,836号に開示されたようなプロブコールおよび関連化合物、リポスタビル(lipostabil)(Rhone−Poulenc)、エイザイE5050(N−置換エタノールアミン誘導体)、イマニキシル(imanixil)(HOE−402)、テトラヒドロリプスタチン(THL)、イジチグマスタニルホスホリルコリン(isitigmastanyl−phosphorylcholine(SPC,Roche)、アシノシクロデキストリン(田辺製薬)、アジノモトAJ−814(アズレン誘導体)、メリナミド(melinamide)(住友)、Sandoz58−035、アメリカンシアナミドCL−277,082およびCL−283546(置換尿素誘導体)、ネオマイシン、p−アミノサリチル、アスピリン、第四級アミンポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)および米国特許第4,027,009号に開示されたようなイオネン類、米国特許第4,759,923号に開示されたようなポリ(ジアリルメチルアミン)誘導体、種々の魚油補助食品に見い出されるオメガ−3−脂肪酸類、フィブリック酸誘導体(fibric acid derivative)、例えばゲムフィブロジル、クロフィブレート(clofibrate)、ベザフィブレート(bezafibrate)、フェノフィブレート(fenofibrate)、シプロフィブレート(ciprofibrate)、およびクリノフィブレート(clinofibrate)そして米国特許第5,200,424号、ヨーロッパ特許出願第0065834A1、ヨーロッパ特許第164−698−A号、英国特許第1,586,152号および英国特許出願第2162−179−Aに開示されている薬剤のような他の公知の血清コレステロール低下剤。
【0062】
フラッシュ阻害物質(潮紅抑制剤)の具体例には、特に限定されないが、非ステロイド性抗炎症薬、例えばアスピリンやサリチル酸塩;プロピオン酸、例えばイブプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、カルプロフェン、およびスプロフェン;インドール酢酸誘導体、例えばインドメタシン、エトドラク、およびスリンダック;ベンゼン酢酸、例えばアクロフェナック、ジクロフェナックおよびフェンクロフェナック;ピロール酢酸、例えばゾメピラックおよびトルメクチン;ピラゾール、例えばフェニルブタゾンおよびオキシフェンブタゾン;オキシカム、例えばピロキシカム;およびアントラニル酸、例えばメクロフェナメートおよびメフェナム酸がある。
【0063】
組成物の調製において、活性物質は前記の量で、許容されている薬剤学的慣習に従って、薬剤学的に許容されるビヒクル、担体、賦形剤、結合剤、保存剤、安定剤、香味などと、特定のタイプの単位投与型で混合される。
【0064】
錠剤中に取り込まれる補助剤のさらなる例には以下がある:結合剤、例えばトラガカントゴム、アラビアゴム、コーンスターチ、ポテトデンプン、アルギン酸など;甘味剤、ショ糖、アスパルターゼ、乳糖、またはサッカリン;香味剤、例えばオレンジ、ペパーミント、冬緑油、またはサクランボ油。投与単位型がカプセルである時、これは上記タイプの物質以外に、脂肪油などの液性担体を含有してもよい。コーティングとしてまたは投与単位の物理的剤型を修飾するために、種々の他の物質が存在してもよい。例えば、錠剤またはカプセル剤を、セラック、糖またはこの両方でコーティングしてもよい。
【0065】
前記活性物質の一部は、公知の薬剤学的に許容される塩(例えば、アルカリ金属塩、ならびに他の塩基塩や酸付加塩など)を形成する。従って基剤への言及は、親化合物と実質的に同等であることが知られている一般的な塩を含有することを企図する。
【0066】
本発明の目的の実施において、ニコチン酸、ニコチン酸化合物および/またはHMG−CoA還元酵素インヒビター(抑制因子、阻害剤)は、錠剤(例えば、急速崩壊錠剤、圧縮被覆錠剤、腸溶性錠剤)、カプセル剤、キャプレッツ、スプリンクル投与ためのサッシェ剤などの、経口での使用に適した種々の経口投与剤型に取り込むための医薬組成物製造の分野で公知の任意の方法に従って、持続放出顆粒、持続放出粒子、持続放出被覆粒子、または持続放出ビーズもしくはペレットに製剤化してもよい。さらにHMG−CoAインヒビターは、本発明の経口投与剤型中に取り込むために、即時放出顆粒または即時放出被覆原料に製剤化してもよい。
【0067】
好適なニコチン酸持続放出投与剤型は、ニアスパン(Niaspan)(登録商標)錠剤である。ニアスパン(Niaspan)(登録商標)錠剤は、ニコチン酸とHMG−CoA還元酵素インヒビターが持続放出型であるニアスパン(Niaspan)(登録商標)錠剤に圧縮して本発明の医薬組合せを調製する前に、ニアスパン(Niaspan)(登録商標)顆粒の形成中またはニアスパン(Niaspan)(登録商標)錠剤調合物の製造中に、HMG−CoA還元酵素インヒビターを含有するように、本発明に従って修飾することができる。あるいはニアスパン(Niaspan)(登録商標)錠剤は、即時放出型でHMG−CoA還元酵素インヒビターを含有するコーティングで被覆して、ニコチン酸が延長放出型であり、HMG−CoA還元酵素インヒビターが即時放出型である、本発明の医薬組合せを調剤してもよい。
【0068】
本発明はまた、HMG−CoA還元酵素インヒビターとニコチン酸、ニコチン酸化合物またはこれらの混合物を含有する他の組合せ投与剤型を企図する。例えばそのような組合せ投与剤型には、例えばHMG−CoA還元酵素インヒビターの即時放出または持続放出顆粒、およびニコチン酸、ニコチン酸化合物またはこれらの混合物の持続放出顆粒を含有する、二層または多層錠剤、カプセル剤またはサッシェ剤がある。二層または多層錠剤は、当該分野で公知の方法(例えば、持続放出ニコチン酸顆粒を含有するニコチン酸層を軽く型押しし、持続放出物質または膨潤物質が欠失しているかまたはこれを含有するHMG−CoA還元酵素インヒビターを含有する層を加え、組合せ粉末を圧縮して二層錠剤を作成することにより製造してもよい。場合により、HMG−CoA還元酵素層は、フラッシュ阻害物質(例えば、アスピリン)のような他の物質をさらに含有してもよい。
【0069】
さらなる実施態様において、本発明の医薬組合せは、胃腸管での崩壊と吸収を遅らせるために腸溶コーティングされてもよい。例えば、(1)持続放出ニコチン酸顆粒または即時放出もしくは持続放出HMG−CoA還元酵素インヒビター顆粒は、個々に腸溶コーティングされ、圧縮されて錠剤または二層錠剤の層を形成するか、または(2)錠剤自身またはその層は腸溶コーティングにより被覆される。
【0070】
腸溶コーティングされた投与剤型は、胃の低pH環境を通過し小腸の比較的高いpHを通過するまでは、必ずしも溶解しないかまたはヒトにより吸収されない。腸溶コーティングとして従来から使用される典型的な物質には、特に限定されないが、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、およびメタクリル酸−メチルメタクリレート共重合体がある。このような物質は、個々にまたは組合せて使用することができる。物理的強度と加工性(例えば、ストレス、低湿度または他の要因によるひび割れを防ぐため)を確保するために、さらなる配合物質、例えば可塑剤(例えば、1つまたはそれ以上のポリエチレングリコールまたはプロピレングリコール)を添加してもよい。
【0071】
腸溶コーティングしたニコチン酸の微小球または小粒子が形成されるように、腸溶コーティングしたニコチン酸またはHMG−CoA還元酵素インヒビター顆粒は、流動床造粒機で、ナイアシン粉末を1つまたはそれ以上の腸溶コーティング物質で凝集させて調製することができる。あるいはHMG−CoA還元酵素インヒビターおよび/またはニコチン酸を含む全錠剤またはカプセル剤を、腸溶コーティング物質により被覆することができる。
【0072】
典型的には、腸溶コーティング工程は、投与剤型を複数の層、例えば腸溶コーティング物質(例えば、ローム(Rohm)から入手できるユードラギット(EUDRAGIT)S−100のようなメタクリレートポリマー)の1つまたは2つの層またはそれ以上の層で被覆し、好ましくは重量錠剤またはカプセル剤を5秒間、その物質の新たに調製した溶液中に浸して被覆することを含んでなる。腸溶コーティング物質の溶液は、その物質の適当な量を、例えばアセトンとイソプロピルアルコールの4:6混合物100mlに溶解して調製する。各浸漬後、コーティングを空気乾燥(例えば30分)し、次に5秒間浸漬する。カプセル剤または錠剤が胃内で溶解するのを防ぐのに、通常1回のコーティングで充分である。あるいは、顆粒剤、錠剤またはカプセル剤は、標準的なコーティング装置(例えば、医薬品工業で典型的に使用されるもの)中でコーティングまたは噴霧乾燥される。
【0073】
本発明はまた、ニコチン酸またはニコチン酸組合せ治療法の開始前に、ニコチン酸治療法により誘導されるフラッシュ反応を低減または防止するように、プロスタグランジンPGD合成を阻害または低下させるのに有用な量で非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)で被験体を前治療する方法を企図する。本発明のこの面の実施において、前治療は、ニコチン酸の投与の少なくとも7日前、および好ましくは少なくとも約14日前に開始すべきである。より短期の前治療では、フラッシュに対する充分な防御を被験体に提供しないが、ある程度の防御作用が観察され、すなわち、本発明の範囲内でこのような短期の前治療期間も実施される。
【0074】
NSAIDで被験体を前治療の間、選択されたNSAIDは、少なくとも1日1〜4回またはそれ以上経口投与される。しかし被験体の便利さとコンプライアンスの点からは、1日に3回またはそれ以下の投与が好ましく、1日1回または2回の投与がより好ましい。NSAIDは、即時放出投与剤型または延長放出投与剤型として経口投与してもよい。もちろん、延長放出投与剤型が選択される場合は、NSAIDは、匹敵する即時放出投与剤型より1日の投与回数が少なく、ニコチン酸誘導フラッシュに対して同様の防御を提供する。
【0075】
前治療中にNSAIDを投与することが好ましいが、本発明はまた、ニコチン酸またはニコチン酸化合物治療中にNSAIDを継続して投与することも企図する。これは、NSAIDを毎日別の投与剤型として投与するか、またはNSAIDを含む本発明の医薬成分を投与することにより行われる。
特に好適なNSAIDは、インドメタシン、イブプロフェン、ナプロキセン、アスピリン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、フェニルブタゾン、およびピロキシカムを含む。これらのNSAIDは、炎症の治療のための通常の用量で投与される。アスピリンが特に好ましい。アスピリンは、少なくとも1日約60mg〜約1000mg、より好ましくは少なくとも約80mg〜650mg、および最も好ましくは約80mg〜325mgの用量で投与される。本発明においてはフラッシュを抑制するためにより多量の1日用量のアスピリンを消費してもよいが、高用量ならびに好適な用量の多い方では、胃腸管の不調や潰瘍が誘発されるリスクがある。
【0076】
延長放出型は一部のNSAIDについては市販されているが、他の延長放出型製剤は、当業者が従来法により調製できるか、または本明細書に記載の方法に従って顆粒または粉末混合段階にNSAIDをニコチン酸と調合し、ニコチン酸とNSAIDからなる延長放出型の医薬組合せが作成される。あるいはNSAIDを、NSAIDの即時放出のためのコーティング中でHMG−CoA還元酵素インヒビターと調合することができる。本発明が企図するさらなる別の例として、延長放出ニコチン酸錠剤(例えば、ニアスパン(Niaspan)(登録商標))を、遅延放出のために腸溶コーティングし、次にこれを即時放出のためにHMG−CoA還元酵素とNSAIDからなるコーティングで被覆してもよい。
【0077】
本発明のさらなる面において、経口投与用の固体医薬組合せを種々の形に調製してもよい。例えば錠剤は、球形/平形、球形/凸型、楕円/平形、楕円/凸型またはカプセル(キャプレット)の形でもよく、カプセル剤は、球形または楕円形でもよい。本発明に従って錠剤が被覆される時、錠剤が楕円形/凸型なら、コーティングが改良されると考えられる。例えば、持続放出ニコチン酸錠剤(例えば、ニアスパン(Niaspan)(登録商標)錠剤)を楕円形/凸型に製剤化することにより、例えばカプセル(キャプレット)型を有する錠剤上の同様のコーティングに比べて、HMG−CoA還元酵素インヒビターを含有するコーティングが改良されると考えられる。
【0078】
前記製剤は、長期間、すなわち血清コレステロールの上昇と動脈硬化の可能性が続くかまたは症状が続く限り、投与される。所望の治療効果を達成するには、少なくとも4週間の投与期間が必要である。
【0079】
本明細書に記載し引用した米国特許および特許出願の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0080】
本発明の種々の実施態様の例を、以下の例を参照してさらに詳述する。
【実施例】
【0081】
例I
既知の抗高脂血症組成物および当該分野で公知の方法に対する本発明の組成物と方法の有効性を証明するために、上記開示に従って多くの実質的に同じ組成物を調製した。組成物の成分と量を、以下の表IBに示す。
【0082】
【表1】

【0083】
成分を混合して錠剤を調製した。より詳しくは、本発明の1日1回のニアスパン(Niaspan)(登録商標)錠剤は、親水性マトリックス制御ドラッグデリバリーシステムを利用する。これは、ポリマー湿潤化、ポリマー水和、およびポリマー崩壊/溶解からなるダイナミックなシステムである。薬剤放出が制御される機構は、例えば初期のポリマー湿潤化、ゲル層の拡張、錠剤浸食、およびナイアシン安定性に依存する。初期の湿潤化後、親水性ポリマーは部分的に水和し始め、ゲル層を形成する。水が錠剤に浸透してゲル層の厚さが増加し、薬剤はゲル層から拡散放出される。錠剤の外層が充分水和されると、侵食される。侵食により追加の薬剤が放出されると考えられる。このマトリックスデリバリーシステムからの制御放出は、使用される親水性ポリマーのタイプと分子量に依存して修飾することができる。
【0084】
ニアスパン(Niaspan)(登録商標)製剤は、ナイアシン、メトセル(Methocel)(登録商標)E10Mプレミウム、ポビドンK90およびヒストレン(Histrene)5016(ステアリン酸)からなる。ニアスパン(Niaspan)(登録商標)製剤の制御放出物質として、メトセル(Methocel)(登録商標)E10Mプレミウムが使用される。メトセル(Methocel)は部分的にO−メチル化されており、O−(2−ヒドロキシプロピル化)セルロースであり、粘度と置換の程度が異なるいくつかのグレードで入手できる。メトセル(Methocel)は、ダウケミカル(Dow Chemical)が製造している。
【0085】
ポビドンK90は、ニアスパン(Niaspan)(登録商標)製剤中の造粒剤/結合材として使用される。ポビドンは、線状1−ビニル−2−ピロリドン基からなる合成ポリマーであり、重合の程度により種々の分子量のポリマー、また上記したものが得られる。これは水と比較して水溶液中の粘性が特徴であり、K−値として表すと10〜120の範囲である。ポビドンK90のおよその分子量は1,000,000である。ポビドンは、吸湿性の水溶性物質である。ニアスパン(Niaspan)(登録商標)製剤中のポビドンK90は、ISP(インターナショナルスペシャルティプロダクツ(International Speciality Products))により製造される。ヒステン(Hystene)5016は、ニアスパン(Niaspan)(登録商標)製剤中の外部滑沢剤として利用される。ヒストレン5016は、ステアリン酸とパルミチン酸の混合物である。ステアリン酸の含量は、約40.0%以上であり、2つの酸の合計は、約90.0%以上である。ヒストレン5016は、ウィツコ(Witco)が製造している。ニアスパン(Niaspan)(登録商標)製剤の詳細については、表IBを参照されたい。
【0086】
定性的には、4つの錠剤濃度製剤は同一である。各製剤の主要成分は、ナイアシン、メトセル(Methocel)(登録商標)E10MおよびポビドンK90の顆粒混合物である。造粒工程は、圧縮性を改良する。
【0087】
【表2】

【0088】
ニアスパン(Niaspan)(登録商標)製剤は、白色キャプレット型の錠剤で提供される。キャプレットの大きさは、製品の濃度により異なる。375mgと500mgのニアスパン(Niaspan)(登録商標)錠剤は、長さ約0.687”×幅0.281”の型押しで圧縮される。750mgと1000mgの長さと幅は、約0.750”×幅0.320”である。標的錠剤の重さと硬さが、4つのニアスパン(Niaspan)(登録商標)製品の厚さを規定する。ニアスパン(Niaspan)(登録商標)錠剤の生産を以下に一般的に説明する。
【0089】
ニアスパン(Niaspan)(登録商標)造粒工程フローチャート

原料 工程フロー 装置
ナイアシン 顆粒 高剪断造粒機
ポビドンK90 (リトルフォードFM130)
メトセルE10M
(顆粒内)
精製水

乾燥 流動床ドライヤー
(グラット流動床ドライヤー)

包みサイズの低減 粉砕(ケムテックベータグラインド)
【0090】
ニアスパン(Niaspan)(登録商標)造粒工程の説明
ニアスパン(Niaspan)(登録商標)造粒原料は、高剪断造粒機中に入れられ造粒される。湿った顆粒をふるいにかけて流動床ドライヤーに入れ乾燥させる。乾燥工程が完了後、顆粒を粉砕する。粉砕により、ニアスパン(Niaspan)(登録商標)造粒中の均一な粒子サイズが確保される。
【0091】
ニアスパン(Niaspan)(登録商標)錠剤工程フローチャート

原料 工程フロー 装置
ニアスパン(商標)錠剤調合物
メトセルE10M 粉砕したニアスパン(商標)顆粒に ブレンダー
(顆粒外) 顆粒外メトセルE10Mとヒストレン
5016を (パターソン−ケリー
ヒストレン5016 調合 V−ブレンダー)
(ステアリン酸)

ニアスパン(商標)錠剤製造
ニアスパン(商標)錠剤調合物を圧縮 回転錠剤圧縮
【0092】
ニアスパン(Niaspan)(登録商標)工程の説明
ニアスパン(Niaspan)(登録商標)錠剤調合物は、ニアスパン(Niaspan)(登録商標)顆粒、顆粒外メトセル(Methocel)E10M、およびヒストレン(Histrene)5016を調合して製造する。各ニアスパン(Niaspan)(登録商標)錠剤調合物成分の量は、製造される特定のニアスパン(Niaspan)(登録商標)剤型に依存する(表IBを参照)。ニアスパン(Niaspan)(登録商標)錠剤調合物を圧縮して、ニアスパン(Niaspan)(登録商標)錠剤を形成する。ニアスパン(Niaspan)(登録商標)錠剤の物性は、製造される特定のニアスパン(Niaspan)(登録商標)剤型に依存する。
【0093】
ニアスパン(Niaspan)(登録商標)錠剤の製造を、以下に詳述する。製造の初期段階は、ニアスパン(Niaspan)(登録商標)のすべての4つの錠剤濃度(375、500、750、および100mg)について同じである。ニアスパン(Niaspan)(登録商標)顆粒の1つのバッチは、別々にしかし同様の条件で処理される4つの各40.0kg単位の顆粒からなる。4つの個々の顆粒をサンプリングし、個々に試験し、次に調合のために放出される。基剤顆粒は濃度特異的ではなく、ニアスパン(Niaspan)(登録商標)の錠剤濃度を製造するために使用してもよい。
【0094】
基剤顆粒中の成分を以下の表ICに示す:
【0095】
【表3】

【0096】
原料を定量的に、適切に印を付けた2重のポリエチレンで裏貼りした容器中にスケールを使用して入れる。精製水(USP)を適当な容器に入れ、ここから後にウェットマシング(wet−massing)操作中にポンプで出される。
【0097】
リトルフォード(Littleford)FM130造粒機に、工程単位(〜17.4kg)に必要なほぼ半分のナイアシン(Niacin)(USP)、次に約4.00kgのメトセル(Methocel)(登録商標)、USPE10MプレミアムCRグレードを充填し:約1.20kgのポビドン、USP;残りのナイアシン(Niacin)SP(〜17.40kg)を入れる。粉末ベッドをチョッパーを取り付けたリトルフォードFM130造粒機中で約1分乾燥混合する。1分のプレミックスサイクルの完了後、約12.0±0.05kgの精製水(USP)を約2.40±0.24kg/分の速度で粉末ベッドに噴霧する。精製水(USP)の添加直後に、単位を約5分間造粒する。
【0098】
造粒単位を、2重のポリエチレン裏貼りした容器に入れ、次に#4メッシュスクリーンを通しながら用手的にグラット(Glatt)ボウルに入れる。グラット(Glatt)ボウルに、グラット(Glatt)TFO−60流動床ドライヤーに、流入空気温度を約70℃±5℃に維持して入れる。コンプトラック(Computrac)(登録商標)湿度アナラーザーモデルMA5Aを使用して、湿度レベル≦1.0%が得られるまで、単位を乾燥する。乾燥顆粒を、適切に印を付けた2重のポリエチレンで裏貼りしたドラムに入れ、混合する。
【0099】
乾燥し混合した顆粒を、約1500RPMで運転している1.5mmのふるいを取り付けたケムテックベータグランドミル(Kemutec BetaGrind mill)に通過させる。粉砕した顆粒を、適切に印を付けた2重のポリエチレンで裏貼りしたドラムに入れ、混合する。粉砕した顆粒をサンプリングし、品質管理により試験し、放出してからさらに処理する。
【0100】
放出した顆粒単位を、パッターソン−ケリイ(Patterson−Kelly)の20ftV−ブレンダーに添加し、次にこれを約10±1分調合し、次に適切に印を付けた2重のポリエチレンで裏貼りした容器中に入れる。
【0101】
前記したようにニアスパン(Niaspan)(登録商標)錠剤を通常の顆粒から製剤化し、これを適当な量のメトセル(Methocel)(USP)E10MプレミアムCRグレードとステアリン酸(NF)で調合して最終投与製剤を達成する。表IAとIBは、各ニアスパン(Niaspan)(登録商標)錠剤濃度、375mg、500mg、750mgおよび1000mgの製剤を説明する。
【0102】
各11人と14人からなる2つの試験群を作成した。血液試料を患者から採取し、総コレステロール、LDLコレステロール、トリグリセリド、およびHDLコレステロールについて試験して、ベースラインレベルを確立し、ここからこれらの脂質の変動を比較する。次に患者を上記表の処方で処理し、就寝前に約1500mgのニコチン酸を1日1回投与する。この処方で8週間後、患者を再度脂質プロフィールについて試験する。ベースラインからのパーセント変化として脂質プロフィールの変化を示す8週間目に行なった試験の結果を、以下の表に報告する。この表で、正の数字は、増加パーセントを反映し、負の数字は低下パーセントを反映する。
【0103】
【表4】

【0104】
表IIに報告したデータは、A群患者のLDLレベルは、平均低下が−13.9%であり、トリグリセリドの低下は−18.9%、有効なコレステロールであるHDLコレステロールレベルはこの群では23.0%上昇したことを示す。同様の結果がB群の患者で得た。これらの試験は、夕方または夜間に除放性製剤を投与することは、mg/mgベースで即時放出ナイアシンに等しいLDLコレステロールレベルを低下させるが、昼間に投与した除放性製剤でmg/mgベースで比較するとトリグリセリドの優れた低下を示すことを示す。さらに夕方または夜間の除放性製剤の投与から得られたHDLコレステロールの増加は、1つの群では+23.0%であり、もう1つの群では+25.3%であった。従って夕方の投与は、1日1回の投与でLDLコレステロールの低下とトリグリセリドの大きな低下を提供し、HDLコレステロールの増加が得られる。
【0105】
A群とB群はまた、肝酵素(AST、ALTおよびアルカリ性ホスファターゼ)、尿酸およびおよび絶食グルコースレベルについて、前記試験の開始時(ベースラインを作成するために)および2、4、および8週間隔で試験した。これらの試験の結果を以下の表III〜VIIに示す。
【0106】
【表5】

【0107】
【表6】

【0108】
【表7】

【0109】
【表8】

【0110】
【表9】

【0111】
【表10】

【0112】
【表11】

【0113】
【表12】

【0114】
【表13】

【0115】
【表14】

【0116】
現状の技術と本発明を比較するために、および先行技術に対して本発明が有する改良の程度を定量するために、別の試験を行なった。この試験は、前記の本発明に従って投与した240人の患者を含んだ。この群を、前記で報告されたマケネイ(McKenney)らの試験した患者群と比較した。この試験の結果を、以下の表VIIIと比較する。
【0117】
【表15】

【0118】
【表16】


「高コレステロール血症患者の除放性対即時放出性ナイアシンの有効性と毒性の比較」、マケネイ(McKenney)ら、Journal of American Medical Association、1994年3月2日;第271巻、9号、672〜677頁に記載のように、1日2回の投与。
SRは「除放性」
1日1回夜間に投与
【0119】
表VIIIに報告した試験の比較の結果は、対照群(マケネイ(McKenney)群)では、それぞれの肝機能試験値が上昇したため、18、23、または78パーセントの患者が試験から脱落したことを示す。患者は研究者の指示に従って離脱した。これに比較して、本発明に従って試験した240人の患者の群は、同じ離脱基準に基づくと脱落が0であった。上記で報告されたこの試験結果は、この除放性投与剤型が肝機能試験値の増加を引き起こさず(すなわち、肝臓の障害は無し)、尿酸は増加せず、絶食グルコースレベルはわずかに7.5%の増加であり、これは治療の継続により実際低下したことを示す。
【0120】
すなわち本発明の組成物と方法は、LDLコレステロール、トリグリセリドおよびLp(a)のレベルを低下させ、HDLコレステロールレベルを増加させることにより、高脂質血症患者の高脂質血症を抑制するのに非常に有効であることは明らかである。本発明はまた、高脂質血症患者の肝機能試験値、尿酸またはグルコースレベルを上昇させないことも証明される。
【0121】
実施例II
高脂血症を抑える化合物及び方法に対する本発明の配合薬及び治療方法の有効性を実証するために、様々なHMG−CoA還元酵素阻害剤をコーティングされたニコチン酸徐放性組成物を上記及び下記の開示に従って製造した。組成物の成分及び量は表IXA及びIXBに列挙されており、そして検査結果は後記の表X及びXIに列挙されている。
【0122】
【表17】

【0123】
【表18】

【0124】
コア錠剤の成分を実施例Iに記載のように配合して徐放性錠剤を形成する。次いで、この徐放性錠剤にコーティングを下記の通り施す。ロバスタチン、メトセル(Methocel)E5及びプルラコール(Pluracol)E1450をポリエチレンの袋の中で約2〜3分間予めブレンドする。次いで、この混合物を710mmの篩に通す。精製水、USP、を含有するステンレス鋼ビーカーの中に低剪断プロペラ羽根ミキサーを配置する。ミキサー速度は渦が形成されるまで調節する。ポリエチレンの袋の中のブレンド混合物を精製水の中にゆっくり加える。必要ならば、ミキサー速度は乾燥混合物の添加中に渦状態を維持するように調節すべきである。ブレンド混合物が完全に分散されるまでミキシングを継続する。
【0125】
このステンレス鋼ビーカーを天秤に載せ、そして風袋込みの重量を記録する。コーティング用懸濁液の正味重量を次のように算出する:
コーティング用懸濁液の正味重量
= 風袋込みのコーティング用懸濁液−ビーカー風袋重量
【0126】
このコーティング用懸濁液の製造に続いて、上記の徐放性錠剤に次のようにコーティングを施す。ハイコーター(Hicoater)HCT48/60錠剤コーティングマシンをまず、ハイコーターHCT48/60錠剤コーティングマシンの清浄化用SOP FM700手順にほぼ従って清浄にする。ハイコーターHCT48/60錠剤コーティングマシンは、9リットルのパン、0.6ccのギアプロップ(gear prop)、単一のガンスプレーバー(gun spray bar)、2.5mmのキャップ、及び1.5mmのノズル口を装備しているはずである。
【0127】
ハイコーターHCT48/60錠剤コーティングマシンの手動モードの操作用SOP FM500手順に従って、噴霧空気圧は150リットル/分に設定すべきであり、そしてパターン空気圧は100リットル/分に設定すべきである。噴霧空気圧及びパターン空気圧が設定されたら、コーティング用懸濁液を天秤に載せ、そして懸濁液供給ラインをコーティング用懸濁液の中に配置する。次いで、懸濁液回帰ラインをもう一つの容器内に配置する。次いで、低剪断ミキサーをコーティング用懸濁液の中に配置し、そしてミキシングを開始する。次の工程に進む前に、約60分間を割り当てるべきである。
【0128】
約60分後に、懸濁液ポンプラインとパージラインのスイッチを入れる。これらラインが懸濁液で満たされたときに、懸濁液回帰ラインをコーティング用懸濁液の容器に移す。ガンの中を通る溶液はSOP FM500に従って約40g/分に設定すべきである。
【0129】
次に、上記バッチのニコチン酸徐放性錠剤をコーティングマシンに装填する。マシンのガラス扉を閉じる。流入及び排出エアブロアーをスタートさせる。流入および排出エアブロアーを、流れが170(±20)cfmになり、パン負圧が−1/2インチ〜1インチになるまで調節する。
【0130】
錠剤を下記のように被覆する。パンを3.5rpmのJOGにセットし、5秒間オンし、そして30秒間オフする。流入空気加熱器にスイッチを入れ、それを60℃に調節する。排出空気温度が40℃に達したところでフィルムコーティング相に進む。更に被覆するためにパンを運転に設定する。パン速度を15rpmに上げ、そしてスプレーを開始する。コーティング終了点又は目標コーティング錠重量を次のように算出する:
【0131】
コーティング終了点 = 出発錠剤重量(mg)×1.0413
(750mg) (750mg錠剤用)
コーティング終了点 = 出発錠剤重量(mg)×1.0249
(1000mg) (1000mg錠剤用)
コーティング終了点 = 出発錠剤重量(mg)×1.0643
(500mg) (500mg錠剤用)
コーティング終了点は目標コーティング錠の重量範囲のほぼ±10%にあるべきである。
【0132】
コーティング用懸濁液の適用は終点が達成されるまで継続する。終点に達したら、次の工程すなわち冷却に進む。
冷却するためにスプレーを止める。パンを3.3rpmのJOGに設定する。流入空気熱のスイッチを切り、そしてコーティング錠を約35℃まで放冷する。パンを止め、そして流入及び排出ブロアーのスイッチを切る。
【0133】
吐き出させるために、マシン前部のJOG締め具を使用してパンをターンさせて製品台の表面上にトラップドア(trap door)がくるようにする。放出シュートの下に、外袋の中に乾燥剤を存在させた風袋計量済みの二重ポリエチレン内張り容器を置く。トラップドアを開ける。コーティング錠が排出し始めるまでJOG締め具をまわす。パンをまわし続けてパンから製品を全部吐き出させる。パンを止め、そして容器を取り出す。次いで、これらコーティングされた徐放性錠剤を秤量する。
【0134】
実施例III
患者数382人からなる検査群を形成した。患者から血液サンプルを採取し、そして全コレステロール、LDL−コレステロール、トリグリセリド及びHDL−コレステロールについて検査して、これら脂質における変化の基準となり得る基線量を確立した。次いで、患者を次のように生活規制した:表Xに報告されている通り、382人の患者のうちの258人は1日1回就寝前に約2000mgのナイアスパン(Niaspan)(登録商標)を服用し、そして124人のうちの122人の患者は1日1回就寝前の夜間に約2000mgのナイアスパン(登録商標)(ナイアスパン(登録商標)1000mg錠剤を2個)と1個のHMG−CoA還元酵素阻害剤錠剤を服用した。より詳しくは、4人の患者はナイアスパン(登録商標)1000mg錠剤2個とフルバスタチン(fluvastatin)20mg錠剤1個を1日1回就寝時に同時に服用し;12人の患者はナイアスパン(登録商標)1000mg錠剤2個とロバスタチン20mg錠剤1個を1日1回就寝前の夜間に同時に服用し;69人の患者はナイアスパン(登録商標)1000mg錠剤2個とプラバスタチン(pravastatin)20mg錠剤1個を1日1回就寝前の夜間に同時に服用し;27人の患者はナイアスパン(登録商標)1000mg錠剤2個とシムバスタチン10mg錠剤1個を1日1回就寝前の夜間に同時に服用し;そして10人の患者はナイアスパン(登録商標)1000mg錠剤2個とHMG−CoA還元酵素阻害剤錠剤1個を1日1回就寝前の夜間に同時に服用した。しかしながら、これら10人の患者は検査中HMG−CoA還元酵素阻害剤を様々に取り替えた。それでも、これら10人の患者によって服用された特定のHMG−CoA還元酵素阻害剤は表Xに列挙されたものであった。
【0135】
約43週間の平均治療期間による治療の後に、患者達の脂質プロフィールを再び検査した。脂質プロフィールの変化を基線量からの変化%として示す試験結果は下記の表X及びXIに報告されている。臨床化学プロフィールの変化を基線量からの変化%として示す試験結果は下記の表XIIに報告されており、そして選ばれた臨床化学パラメーターについて正規上限(upper limit of normal)(ULN)より高い値を記録した、被検患者全体の中の患者数とその割合%を示す結果は下記の表XIII及びXIVに報告されている。
【0136】
筋障害(myopathy)又は横紋筋変性(rhabdomyolysis)の発生又は徴候はこの実施例IIIによる組合せ治療を受けている個体数122においては印されなかった又は観察されなかった。
【0137】
【表19】

【0138】
表XIもまた、実施された試験の結果を報告している。より詳しくは、表XIは、この実施例IIIにおいて上記に指摘した通り1日1回就寝前の夜間にナイアスパン(登録商標)とHMG−CoA還元酵素阻害剤を一緒に服用した、患者数124人の中の53人についての完全な効能データを報告している。表XIはさらに、1日1回就寝前の夜間にナイアスパン(登録商標)と胆汁酸金属イオン封鎖剤(bile acid sequestrant)(即ち、コレスチラミン又はコレスチポール)を一緒に服用した16人についての完全な効能データ(脂質結果)を報告している。表XIはまた、1日1回就寝前の夜間にナイアスパン(登録商標)とBAS(胆汁酸金属イオン封鎖剤、即ち、コレスチラミン又はコレスチポール)とHMG−CoA還元酵素阻害剤を一緒に服用した15人についての完全な効能データ(脂質結果)も報告している。
【0139】
【表20】

【0140】
【表21】

【0141】
【表22】

【0142】
【表23】

【0143】
表XIIは1日1回就寝前の夜間にナイアスパン(登録商標)とHMG−CoA還元酵素阻害剤を一緒に服用した患者数124人全部についての臨床化学パラメーター(肝機能)を報告している。表XIIはさらに、1日1回就寝前の夜間にナイアスパン(登録商標)とBAS(胆汁酸金属イオン封鎖剤、即ち、コレスチラミン又はコレスチポール)を一緒に服用した患者22人についての臨床化学パラメーター(肝機能)を報告している。表XIIはまた、1日1回就寝前の夜間にナイアスパン(登録商標)とBAS(胆汁酸金属イオン封鎖剤、即ち、コレスチラミン又はコレスチポール)とHMG−CoA還元酵素阻害剤を一緒に服用した患者17人についての臨床化学パラメーター(肝機能)も報告している。
【0144】
【表24】

【0145】
【表25】

【0146】
表X〜XIIにおいて、正の数字は増加パーセントを表し、そして負の数字は減少パーセントを表す。
【0147】
表XIIIは、選ばれた臨床化学パラメーターについて正規上限(ULN)より高い値を記録した、被検患者全体の中の患者数とその割合%を報告している。より詳しくは、表XIIIは、1日1回就寝前の夜間にナイアスパン(登録商標)とHMG−CoA還元酵素阻害剤を一緒に服用した患者124人の中の、選ばれた臨床化学パラメーターについてULNより高い値を記録した患者数とその割合%を報告している。表XIIIは更に、1日1回就寝前の夜間にナイアスパン(登録商標)とBAS(胆汁酸金属イオン封鎖剤、すなわち、コレスチラミン又はコレスチポール)を一緒に服用した患者22人の中の、選ばれた臨床化学パラメーターについてULNより高い値を記録した患者数とその割合%を報告している。表XIIIはまた、1日1回就寝前の夜間にナイアスパン(登録商標)とBAS(胆汁酸金属イオン封鎖剤、即ち、コレスチラミン又はコレスチポール)とHMG−CoA還元酵素阻害剤を一緒に服用した患者17人の中の、選ばれた臨床化学パラメーターについてULNより高い値を記録した患者数とその割合%を報告している。
【0148】
【表26】

【0149】
表XIVは臨床化学パラメーターASTとALTについて正規上限(ULN)より2倍又は3倍上の値を記録した被検患者全体の中の患者数とその割合%を報告している。より詳しくは、表XIVは、1日1回就寝前の夜間にナイアスパン(登録商標)とHMG−CoA還元酵素阻害剤を一緒に服用した患者124人の中の、臨床化学パラメーターAST及びALTについてULNより2倍又は3倍上の高さを記録した患者数とその割合%を報告している。表XIVは表XIIIに報告されたものと一致している。
【0150】
【表27】

【0151】
表XI〜表XIVに報告されたデータは次のことを証明している:1日1回就寝前の夜間に一緒に服用された本発明の薬剤組合せ、たとえば、徐放性ニコチン酸と即時放出性HMG−CoA還元酵素阻害剤の組合せは、血清脂質レベル、特に、全コレステロール、VLDL−コレステロール、LDL−コレステロール、トリグリセリド、アポリポプロテインBおよびLp(a)のレベルを低下させるのに有効であり、そして全コレステロール−対−HDL−コレステロール比およびLDL−コレステロール−対−HDL−コレステロール比を低下させるのに有効である。表XI〜XIVは次のことも証明している:1日1回就寝前の夜間に一緒に服用された本発明の薬剤組合せ、たとえば、徐放性ニコチン酸と即時放出性HMG−CoA還元酵素阻害剤の組合せは、HDL−コレステロールのレベルを増強又は増加させるのに有効である。また、表XI〜XIVに報告されたデータが次のことを証明していると信じられる:1日1回就寝前の夜間に一緒に服用された本発明の薬剤組合せ、たとえば、徐放性ニコチン酸と即時放出性HMG−CoA還元酵素阻害剤の組合せは、徐放性ニコチン酸または即時放出性HMG−CoA還元酵素阻害剤のどちらかが同様の量でしかし単独で1日1回就寝前の夜間に与えられたときよりもLDL−コレステロールのレベルを低下させるのにより有効である。更になお、表XI〜XIVに報告されたデータが次のことを証明していると信じられる:1日1回就寝時前の夜間に一緒に服用された本発明の薬剤組合せ、たとえば、徐放性ニコチン酸と即時放出性HMG−CoA還元酵素阻害剤の組合せは、即時放出性HMG−CoA還元酵素阻害剤が単独で同様の投与量で1日1回就寝前の夜間に与えられたときよりもHDL−コレステロールのレベルを増加させるのにより有効である。
【0152】
表XI〜XIVに報告されたデータは次のことも証明している:かかる同時治療法、たとえば、1日1回就寝時前の夜間に与えられる徐放性ニコチン酸と即時放出性HMG−CoA還元酵素阻害剤は、肝毒性(hepatotoxicity)、筋障害又は横紋筋変性を誘発することなく、又は少なくとも、かなりの個体数においてかかる治療の中断を要求するようなレベルに肝毒性、筋障害又は横紋筋変性を誘発することなく、投与することができ、そして利益が達成される。さらに、表XI〜XIVに報告されたデータは次のことを証明している:かかる同時治療法、例えば、1日1回就寝時前の夜間に与えられた徐放性ニコチン酸と即時放出性HMG−CoA還元酵素阻害剤は、グルコース代謝又は尿酸レベルに悪影響を与えることなく、又は少なくともかなりの個体数においてかかる治療の中断を必要とする程にはグルコース代謝又は尿酸レベルに悪影響を与えることなく、投与することができ、そして利益が達成される。
【0153】
上記開示に基づいて、今や、ここに記載された薬剤組合せ、処方、組成物及び方法及びその使用は上記目的を遂行するであろうことが明らかなはずである。従って、薬剤組合せ、処方、組成物及び方法における明らかな変形は本発明の範囲に包含され、従って、特定成分要素の選択はここに開示され記載された本発明の範囲から逸脱することなく決定することができる。本発明によれば、例えば、徐放性の添加剤、結合剤及び加工助剤は上記に例証されたものに必ずしも限定されない。従って、本発明は特許請求の範囲に含まれる全ての変更及び変形に及ぶ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物によって誘発される肝毒性、筋障害又は横紋筋変性を起こすことなく個体の脂質を変質させるための製剤組成物であって、該製剤組成物は一日一回単一投与として投与用の固体経口剤形を含んでおり、該剤形は約250mg〜約3000mgの徐放性形態のニコチン酸と約0.1mg〜約80mgの即時放出性形態のスタチンを含んでおり、個体によって該製剤組成物が摂取された後、約4〜約8時間でニコチン酸のほぼ100%が血流中に放出される、上記製剤組成物。
【請求項2】
前記固体経口剤形が、夕方又は夜に、単一投与として一日一回投与される請求項1の製剤組成物。
【請求項3】
前記スタチンが、アトロバスタチン(atorvastatin)、セリバスタチン(cerivastatin)、フラバスタチン(flavastatin)、ロバスタチン(lovastatin)、プラバスタチン(pravastatin)及びシムバスタチン(simvastatin)からなる群から選ばれる、請求項1の製剤組成物。
【請求項4】
前記の固体経口剤形が、錠剤、カプセル剤、キャップレット(caplet)、顆粒剤、パーティクル、ビーズ及びペレット剤からなる群から選ばれる、請求項1の製剤組成物。
【請求項5】
前記固体経口剤形がコーティングで被覆されている、請求項4の製剤組成物。
【請求項6】
前記コーティングが腸溶コーティングである、請求項5の製剤組成物。
【請求項7】
前記固体経口剤形が第一層及び第二層を有する二重層錠剤であり、第一層がニコチン酸を含有しており、そして第二層がスタチンを含有している、請求項1の製剤組成物。
【請求項8】
前記二重層錠剤が腸溶コーティングを施された二重層錠剤である、請求項7の製剤組成物。
【請求項9】
前記層のうちの一つが腸溶コーティングである、請求項7の製剤組成物。
【請求項10】
前記製剤組成物がさらに、ニコチン酸の個体内での潮紅反応誘発能力を低下させるため、潮紅抑制剤として非ステロイド系抗炎症剤を包含する、請求項1の製剤組成物。
【請求項11】
前記非ステロイド系抗炎症剤が、インドメタシン、スリンダク、エトドラク(etodolac)、アスピリン、サリチル酸塩、イブプロフェン、フルルイブプロフェン(fluribprofen)、フェノプロフェン、スプロフェン、ベノキサプロフェン、ケトプロフェン、カルプロフェン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、アクロフェナク(aclofenac)、ジクロフェナク、フェンクロフェナック、トルメクチン(tolmectin)、ゾメピラック、メクロフェナメート、メファナム酸(mefanamic acid)、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン及びピロキシカムからなる群から選択される、請求項10の製剤組成物。
【請求項12】
前記コーティングが前記HMG−CoA還元酵素阻害剤を含有している、請求項5の製剤組成物。
【請求項13】
前記製剤組成物がさらに、胆汁酸金属イオン封鎖剤、N−置換エタノールアミン誘導体、アズレン誘導体、ジ置換尿素誘導体、イオネン(ionene)、ポリ(ジアリルメチルアミン)誘導体、ω−3−脂肪酸及びフィブル酸からなる群から選択される脂質変質剤を包含する、請求項1の製剤組成物。
【請求項14】
前記製剤組成物がさらに、コレスチラミン、コレスチポール、DEAEセファデックス、プロブコール、リポスタビル、エイザイE5050(N−置換エタノールアミン誘導体)、イマニキシル(HOE−402)テトラヒドロリプスタチン(THL)、イシチグマスタニルホスホリルコリン、アミノシクロデキストリン、味の素AJ−814(アズレン誘導体)、メリナミド、ネオマイシン、第四級アミンポリ(塩化ジアリルジメチルアンモニウム)、ジェムフィブロジル、クロフィブラート、ベザフィブラート、フェノフィブラート、シプロフィブラート及びクリノフィブラートからなる群から選択される脂質変質剤を包含する、請求項1の製剤組成物。
【請求項15】
前記製剤組成物がさらに、脂質を変質させるのに有効な量のコレスチラミンを包含する、請求項1の製剤組成物。
【請求項16】
前記製剤組成物がさらに、脂質を変質させるのに有効な量のコレスチポールを包含する、請求項1の製剤組成物。
【請求項17】
一日一回投与用の固体経口剤形を含む単一投与製剤組成物であって、該固体剤形は、
(a)徐放性形態のニコチン酸又は個人の体内でニコチン酸に代謝される化合物、及び
(b)即時放出性形態のスタチン
を含んでおり、
該組成物は、
(i)総コレステロール、LDLコレステロール、トリグリセリドを減少し;且つ
(ii)HDLコレステロールを増加する;
ために十分な量で提供され、
投与の後、薬物によって誘発される肝毒性、筋障害又は横紋筋変性を個体において起こすことなく、該製剤組成物が個体に摂取された後約4〜約8時間でニコチン酸又は体内でニコチン酸に代謝される化合物のほぼ100%が血流中に放出される、上記製剤組成物。
【請求項18】
前記製剤組成物がさらに、潮紅抑制剤を包含する、請求項17の製剤組成物。
【請求項19】
非ステロイド系抗炎症剤と、約250mg〜約3000mgの徐放性形態のニコチン酸と約0.1mg〜約80mgの即時放出性形態のスタチンを含む固体投与剤形とを含む、薬物によって誘発される肝毒性、筋障害又は横紋筋変性を起こすことなく個体の脂質を変質させるための、1日1回投与用の単一投与製剤組成物であって、該製剤組成物が個体によって摂取された後、約4〜約8時間でニコチン酸のほぼ100%が血流中に放出される、上記製剤組成物。
【請求項20】
夜間、就寝前又は就寝時に一日一回投与される、請求項19に記載の製剤組成物。
【請求項21】
前記製剤組成物が、
(a) 前記固体経口剤形が錠剤であり、ニコチン酸が約5〜約50%重量部のヒドロキシプロピルメチルセルロースと処方されており、
(b) 前記錠剤は、錠剤の約0.01〜約30%重量部を構成するスタチンによって被覆されている、請求項12又は17に記載の製剤組成物。
【請求項22】
前記製剤組成物が、
(a) 約0.01〜約30%重量部のスタチン、
(b) 約30〜約90%重量部のニコチン酸及び約5〜約50%重量部のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項10に記載の製剤組成物。
【請求項23】
薬物によって誘発される肝毒性、筋障害又は横紋筋変性を起こすことなく個体の脂質を変質させるための一日一回投与用の単一投与製剤組成物であって、該製剤組成物は固体経口剤形を含み、該剤形は少なくとも1000mgの徐放性形態のニコチン酸と、約0.1mg〜約80mgの即時放出性形態のスタチンを含んでおり、該製剤組成物が個体によって摂取された後、約4〜約8時間でニコチン酸のほぼ100%が血流中に放出される、上記製剤組成物。

【公開番号】特開2009−235105(P2009−235105A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−170721(P2009−170721)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【分割の表示】特願2000−504849(P2000−504849)の分割
【原出願日】平成10年7月31日(1998.7.31)
【出願人】(503472256)コス・ライフ・サイエンシズ・インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】