説明

HMGB1に対するモノクローナル抗体

【課題】HMGB(高移動度グループボックス)に結合する抗体を提供する。
【解決手段】特定のアミノ酸残基61〜78からなるペプチドへの結合が6E6 HMGB1 mAbによって阻害され得る、単離されたモノクローナル抗体または抗原結合断片。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HMGB1に対するモノクローナル抗体に関する。
【0002】
関連出願
本出願は、2003年9月11日に出願された米国仮出願第60/502,568号の利益を主張する。前記出願の全教示を本明細書中に参考として援用する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
炎症は、しばしば、腫瘍壊死因子(TNF)、インターロイキン(IL)-1α、IL-1β、IL-6、マクロファージ遊走阻止因子(MIF)、および他の化合物のようなプロ炎症性サイトカインによって誘導される。これらのプロ炎症性サイトカインはいくつかの異なる細胞型、最も重要には免疫細胞(例えば、単球、マクロファージおよび好中球)によって、また線維芽細胞、骨芽細胞、平滑筋細胞、上皮細胞およびニューロンのような非免疫細胞によっても生産される。これらのプロ炎症性サイトカインは、炎症性サイトカインカスケードの初期段階の間に種々の障害に寄与する。
【0004】
初期プロ炎症性サイトカイン(例えば、TNF、IL-1など)は炎症を媒介し、高移動度グループ(high mobility group)ボックス1(HMGB1;HMG-1およびHMG1としても公知)、すなわち血清に蓄積し、遅延した致死性を媒介し、さらに、初期プロ炎症性サイトカインの誘導を媒介するタンパク質の後期放出を誘導する。HMGB1は、最初に、DNAの構造および安定性に重大である高移動度グループボックス(HMGB)タンパク質といわれるDNA結合タンパク質のファミリーの基本メンバーとして同定された。それは、配列特異性無くして二本鎖DNAに結合する普遍的に発現される核タンパク質として同定された。該HMGB1分子は3つのドメイン:HMGB AおよびHMGB Bボックスと呼ばれる2つのDNA結合モチーフ、および酸性カルボキシル末端を有する。該2つのHMGBボックスは高度に保存された80アミノ酸のL−形状ドメインである。HMGボックスは、RNAポリメラーゼI転写因子ヒト上流結合因子およびリンパ系特異的因子を含めた他の転写因子でも発現される。
【0005】
最近の証拠は、HMG1を、内毒素血症における遅延した致死性のサイトカインメディエーターとして関係付けている(非特許文献1)。その業績は、細菌エンドトキシン(リポ多糖(LPS))が単球/マクロファージを活性化して、活性化に対する後期応答としてHMG1を放出し、その結果、毒性である上昇した血清HMG1レベルをもたらすことを示している。HMG1に対する抗体は、抗体の投与が初期サイトカイン応答の後まで遅延された場合でさえ、エンドトキシンの致死性を妨げる。他のプロ炎症性サイトカインのように、HMG1は単球の有力なアクチベータである。HMG1の気管内適用は急性肺傷害を引き起こし、抗HMG1抗体はエンドトキシン誘導肺水腫から保護する(非特許文献2)。血清HMG1レベルは敗血症または出血性ショックに罹った重病の患者で上昇しており、レベルは生存者と比較して非生存者において有意に高い。
【0006】
HMG1はまたRAGE、すなわち免疫グロブリンスーパーファミリーのマルチリガンド受容体に対するリガンドとして関連付けられている。RAGEは内皮細胞、平滑筋細胞、単球および神経で発現されており、リガンド相互作用はMAPキナーゼ、P21 ras、およびNF-kBを介してシグナルを変換する。内毒素血症の間におけるHMG1出現の遅延したキネティクスは、それを、潜在的に良好な治療標的とするが、HMG1シグナル伝達および毒性の分子的基礎についてはほとんど知られていない。
【0007】
従って、炎症の媒介におけるHMGBタンパク質の重要性を考慮すると、診断および治療目的でHMGBに結合する抗体を同定するのは有用であろう。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Andersson, U.ら,J.Exp.Med.192(4):565-570(2000)
【非特許文献2】Abraham,E.ら,J.Immunol.165:2950-2954(2000)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、HMGBに結合する抗体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕配列番号1のアミノ酸残基61〜78からなるペプチドへの結合が6E6 HMGB1 mAbによって阻害され得る、単離されたモノクローナル抗体または抗原結合断片、
〔2〕配列番号1のアミノ酸残基67〜78からなるペプチドへの結合が6E6 HMGB1 mAbによって阻害され得る、単離されたモノクローナル抗体または抗原結合断片
に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、HMGBに結合する抗体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、ヒト(Homo sapiens)HMGB1ポリペプチドのアミノ酸配列である(配列番号1)。下線を施したアミノ酸残基はHMGB1ポリペプチドのAボックス、Bボックスおよび酸性尾部ドメインを示す。
【図2】図2Aは、ヒトHMGB1のAボックスを含むポリペプチドのアミノ酸配列である(配列番号2)。下線を施したアミノ酸残基は、ヒト、ラットおよびマウスで同一である、HMGB1ポリペプチドのAボックスを示す。図2Bは、ヒトHMGB1ポリペプチドのBボックスのアミノ酸配列である(配列番号3)。下線を施したアミノ酸残基は、ヒト、ラットおよびマウスで同一である、HMGB1ポリペプチドのBボックスを示す。
【図3】図3Aは、モノクローナル抗体を生じさせるために免疫原として用いた組換えCBP-ラットHMGB1ペプチドをコードするヌクレオチド配列である(配列番号4)。図3Bは、モノクローナル抗体を生じさせるために免疫原として用いた組換えCBP-ラットHMGB1ペプチドのコードされたアミノ酸配列である(配列番号5)。トロンビン切断によって除去されたCBP親和性標識は小文字で示し、HMGB1の通常の翻訳開始アミノ酸(すなわち、M)に下線を施す。
【図4】図4Aは、6E6 HMGB1 mAbのVHドメインをコードするヌクレオチド配列である(配列番号6)。図4Bは、6E6 HMGB1 mAbのVHドメインのコードされたアミノ酸配列である(配列番号7);CDRに下線を施す。図4Cは、6E6 HMGB1 mAbのVKドメインをコードするヌクレオチド配列である(配列番号8)。図4Dは、6E6 HMGB1 mAbのVKドメインのコードされたアミノ酸配列である(配列番号9);CDRに下線を施す。
【図5】図5Aは、2E11 HMGB1 mAbのVHドメインをコードするヌクレオチド配列である(配列番号10)。図5Bは、2E11 HMGB1 mAbのVHドメインのコードされたアミノ酸配列である(配列番号11);CDRに下線を施す。図5Cは、2E11 HMGB1 mAbのVKドメインをコードするヌクレオチド配列である(配列番号12)。図5Dは、2E11 HMGB1 mAbのVKドメインのコードされたアミノ酸配列である(配列番号13);CDRに下線を施す。
【図6】図6Aは、10D4 HMGB1 mAbのVHドメインをコードするヌクレオチド配列である(配列番号14)。図6Bは、10D4 HMGB1 mAbのVHドメインのコードされたアミノ酸配列である(配列番号15);CDRに下線を施す。図6Cは、10D4 HMGB1 mAbのVKドメインをコードするヌクレオチド配列である(配列番号16)。図6Dは、10D4 HMGB1 mAbのVKドメインのコードされたアミノ酸配列である(配列番号17);CDRに下線を施す。
【図7】図7は、種々の抗HMGB1モノクローナル抗体の特徴をまとめた表である。クローンの名称、モノクローナル抗体を生じさせるために用いた免疫原(ラットHMGB1-CBP(配列番号5(図3B参照)またはヒトHMGB1ポリペプチドのBボックス(配列番号3(図2B参照))のいずれか)、イソタイプ、抗体についての結合ドメイン、およびインビボCLPアッセイの結果を示す。
【図8】図8は、特定の抗HMGB1モノクローナル抗体によるTNF放出の阻害を示すヒストグラムである。マウスTNFは、RAW 264.7細胞を0.1μg/mlの組換えCBT-ラットHMGB1ペプチド(配列番号5)で刺激することによって誘導された。示した場合、20μg/mlの6E6 HMGB1 mAb(6E6)、10D4 HMGB1 mAb(10D4)、2E11 HMGB1 mAb(2E11)、9G2 HMGB1 mAb(9G2)またはマウスIgG対照抗体(mIgG)を加えた。全ての試料は二連で行い、エラーバーを示す。
【図9】図9は、種々の抗HMGB1モノクローナル抗体によるTNF放出の阻害を示すヒストグラムである。マウスTNFは、RAW 264.7細胞を0.01μg/mlまたは0.1μg/mlの組換えCBP-ラットHMGB1ペプチド(配列番号5)で刺激することによって誘導された。示した場合、20μg/mlの3G8 HMGB1 mAb(3G8)、1A9 HMGB1 mAb(1A9)、9G2 HMGB1 mAb(9G2)、6E6 HMGB1 mAb (6E6)、2E11 HMGB1 mAb (2E11)、10D4 HMGB1 mAb (10D4)、6H9 HMGB1 mAb (6H9)またはマウスIgG対照抗体(IgG)を加えた。
【図10】図10は、盲腸結紮および穿刺(CLP)後における経時的(日)マウスの生存に対する種々の抗HMGB1モノクローナル抗体(6E6 HMGB1 mAb(mAB(6E6));2E11 HMGB1 mAb (mAB (2E11));9G2 HMGB1 mAb (mAB (9G2)))および対照IgG抗体(Ctrl IgG)の効果のグラフである。
【図11】図11は、抗Hisタグ抗体(抗Hisタグ)、抗HMGB2 抗体(抗HMGB2)、抗HMGB1/2モノクローナル抗体(抗HMGB1/2 mAb)または特定の抗HMGB1モノクローナル抗体(すなわち、2E11 HMGB1 mAb(CT3-2E11)、1G3 HMGB1 mAb(CT3-1G3)、6H9 HMGB1 mAb (CT3-6H9)、2G7 HMGB1 mAb (CT3-2G7)、2G5 HMGB1 mAb (CT3-2G5)および6E6 HMGB1 mAb (CT3-6E6))いずれかでプローブされた、CHO HMGB1またはCHO HMGB2および、恐らくは、組換えHMGB1-His6(CHO HMGB2、rec-HMGB1-His6で表示)いずれかを含有する試料の一連の個々のウェスタンブロットを示す。
【図12】図12は、ラット(配列番号18;「ラット#P07155」または「ラット」で表示(GenBank受託番号P07155))、マウス(Mus musculus)(配列番号18;「マウス#AAA20508」または「マウス」(GenBank受託番号AAA20508))およびヒト(配列番号1;「ヒト#AAA64970」または「ヒト」と表示(GenBank受託番号AAA64970))からのHMGB1ポリペプチド配列のアミノ酸配列アラインメントである。AボックスおよびBボックスドメインには下線を施し、示したように表示する。
【図13A】図13Aは、ヒトHMGB1の特定の領域に対応する個々のペプチド、それらの各アミノ酸配列、分子量、1mM原液を作るのに必要な計算された質量、および利用可能な量を示す表である。
【図13B】図13Bは、HMGB1ペプチド結合実験の結果を示すヒストグラムである。ヒトHMGB1の特定の18アミノ酸領域に対応するビオチニル化ペプチド、およびヒトHMGB1のアミノ酸残基9〜85に対応するより長いペプチド(図13Aに記載)を調製し、特定の抗HMGB1モノクローナル抗体(すなわち、2E11 HMGB1 mAb(2E11)、6E6 HMGB1 mAb(6E6)、6H9 HMGB1 mAb (6H9)および2G7 HMGB1 mAb (2G7))に対する結合につきELISAによって解析した。
【図14】図14は、抗HMGB1モノクローナル抗体のELISAの結果を示すグラフである。ELISAにおいては、特定の抗HMGB1モノクローナル抗体(2E11 HMGB1 mAb (2E11)、2G5 HMGB1 mAb (2G5)、2G7 HMGB1 mAb (2G7)および6E6 HMGB1 mAb (6E6))を捕捉抗体として用い、ポリクローナルHMGB1抗体を検出抗体として用いた。
【図15】図15は、抗HMGB1モノクローナル抗体のELISAの結果を示すグラフである。ELISAにおいては、特定の抗HMGB1モノクローナル抗体(2E11 HMGB1 mAb (2E11)、2G5 HMGB1 mAb (2G5)、2G7 HMGB1 mAb (2G7)および6E6 HMGB1 mAb (6E6))を捕捉抗体として用い、6E6 HMGB1 mAbを検出抗体として用いた。
【図16】図16は、盲腸結紮および穿刺(CLP)後における経時的(日)マウスの生存に対する、抗HMGB1モノクローナル抗体6E6 HMGB1 mAb(6E6;表示された1μg/マウス、10μg/マウスまたは100μg/マウスの用量において)または対照IgG抗体(対照IgG)についての用量反応曲線を示すグラフである。
【図17】図17は、CHO細胞(CHOHMGB1;配列番号36);ラット(rat HMGB1;配列番号18)、マウス(musHMGB1;配列番号18)、ヒト(huHMGB1;配列番号74)、ブタ(susHMGB1;配列番号37)およびウシ(bosHMGB1;配列番号38)で発現されたHMGB1ポリペプチドのHMGB1ポリペプチド配列の配列アラインメントである。
【図18】図18Aは、5’6HISタグを含むヒト組換えHMGB1ポリペプチドのヌクレオチド配列である(rec-HMGB1-His6;配列番号39)。クローニング配列は小文字で示す。図18Bは、5’6HISタグを含むヒト組換えHMGB1ポリペプチドのコードされたアミノ酸配列である(rec-HMGB1-His6;配列番号40)。
【図19】図19Aは、2G7 HMGB1 mAbのVHドメインをコードするヌクレオチド配列である(配列番号41)。図19Bは、2G7 HMGB1 mAbのVHドメインのコードされたアミノ酸配列である(配列番号42);CDRに下線を施す。図19Cは、2G7 HMGB1 mAbのVKドメインをコードするヌクレオチド配列である(配列番号43)。図19Dは、2G7 HMGB1 mAbのVKドメインのコードされたアミノ酸配列である(配列番号44);CDRには下線を施す。
【図20】図20はHMGB1ペプチド結合実験の結果を示すヒストグラムである。HMGB1のアミノ酸残基46〜63または61〜78いずれかに対応するビオチニル化ペプチドを調製し、ELISAによって、2G7 HMGB1 mAb(2G7)への結合について解析した。
【図21】図21は、HMGB1ペプチド結合実験の結果を示すヒストグラムである。HMGB1のアミノ酸残基46〜63または151〜168いずれかに対応するビオチニル化ペプチドを調製し、ELISAによって、2E11 HMGB1 mAb(2E11)への結合について解析した。
【図22】図22は、HMGB1およびHMGB2ペプチド結合実験の結果を示すヒストグラムである。ヒトHMGB1のアミノ酸残基46〜63(「huHMGB1-46-63-B」と表示)、ヒトHMGB2のアミノ酸残基46〜63(「huHMGB2-46-63-B」と表示、ヒトHMGB1のアミノ酸残基53〜70(「huHMGB1-53-70」と表示)、またはヒトHMGB1のアミノ酸残基61〜78(「huHMGB1-61-78-B」と表示)いずれかに対応するペプチドを調製し、ELISAによって、2G7 HMGB1 mAb(2G7)またはアビジンへの結合について解析した。
【図23】図23は、HMGB1およびHMGB2ペプチド結合実験の結果を示す表である。表には、種々のペプチド、それらの各アミノ酸配列、および該ペプチドが2G7 HMGB1 mAbに結合するか否かを記載する。記載されたペプチドは:ヒトHMGB1のアミノ酸残基40〜57に対応するペプチド(「ヒトHMGB1-40-57」と表示)、ヒトHMGB1のアミノ酸残基46〜63に対応するペプチド(「ヒトHMGB1-46-63-B」と表示)、ヒトHMGB1のアミノ酸残基53〜70に対応するペプチド(「ヒトHMGB1-53-70」と表示)、ヒトHMGB2のアミノ酸残基46〜63に対応するペプチド(「ヒトHMGB2-46-63-B」と表示)、およびスクランブルアミノ酸配列よりなるペプチド(ここに、スクランブルされたアミノ酸残基はヒトHMGB1のアミノ酸残基46〜63(「ヒトHMGB1-46-63-scr」と表示)のものである)を含む。
【図24】図24は、HMGB1ペプチド結合実験の結果を示す表である。表には、種々のペプチド、それらの各アミノ酸配列、および該ペプチドは6E6 HMGB1 mAbに結合するか否かを記載する。記載されたペプチドは:ヒトHMGB1のアミノ酸残基53〜70に対応するぺプチド(「ヒトHMGB1-53-70」と表示)、ヒトHMGB1のアミノ酸残基61〜78に対応するペプチド(「ヒトHMGB1-61-78-B」と表示)、ヒトHMGB1のアミノ酸残基67〜84に対応するペプチド(「ヒトHMGB1-67-84」と表示)、およびスクランブルアミノ酸配列よりなるペプチド(ここに、スクランブルされたアミノ酸残基はヒトHMGB1のアミノ酸残基61〜78(「ヒトHMGB1-61-78_scr」と表示)のものであった)を含む。
【図25】図25は、HMGB1ペプチド結合実験の結果を示す表である。表には種々のペプチド、それらの各アミノ酸配列、および該ペプチドが2E11 HMGB1 mAbに結合するか否かを記載する。記載されたペプチドは:ヒトHMGB1のアミノ酸残基143〜160に対応するペプチド(「ヒトHMGB1-143-160」と表示、ヒトHMGB1のアミノ酸残基151〜168に対応するペプチド(「ヒトHMGB1-151-168-B」と表示)、ヒトHMGB1のアミノ酸残基157〜174に対応するペプチド(「ヒトHMGB1-157-174」と表示)、およびスクランブルアミノ酸配列よりなるペプチド(ここに、スクランブルされたアミノ酸残基は、ヒトHMGB1のアミノ酸残基151〜168(「ヒトHMGB1-151-168_scr」と表示)のものであった)を含む。
【図26】図26は、ペプチド結合実験の結果をまとめ、かつ2G7 HMGB1 mAb(2G7)、6E6 HMGB1 mAb(6E6)、2G5 HMGB1 mAb(2G5)、6H9 HMGB1 mAb(6H9)および2E11 HMGB1 mAb(2E11)によって認識されるHMGB1のマッピングされたエピトープを示すヒストグラムである。
【図27A】図27Aは、無処置の非還元6E6 HMGB1 mAbの質量スペクトルである。
【図27B】図27Bは、DTTでの処理によって還元された6E6 HMGB1 mAbの質量スペクトルである。
【図27C】図27Cは、DTTでの処理によって還元された6E6 HMGB1 mAbの軽鎖の質量スペクトルである。
【図27D】図27Dは、DTTでの処理によって還元された6E6 HMGB1 mAbの重鎖の質量スペクトルである。
【図28】図28は、盲腸結紮および穿刺(CLP)後における経時的(日)マウスの生存に対する、種々の用量(0.004mg/kg、0.04mg/kgまたは0.4mg/kgのいずれか)の2G7 HMGB1 mAbまたは対照IgG抗体(0.4mg/kg)の投与の効果のグラフである。
【図29】図29は、種々の用量(4mg/kg、0.4mg/kg、0.04mg/kgまたは0.004mg/kgいずれか)の6E6 HMGB1 mAb(6E6)、2G7 HMGB1 mAb(2G7)、または対照IgGを投与したマウスにおけるCLP生存パーセンテージをまとめる表である。
【図30】図30は、ヒトHMGB2ポリペプチドのアミノ酸配列である(配列番号54;GenBank受託番号M83665)。
【図31】図31Aは、ヒトHMGB1ポリペプチドのアミノ酸配列である(配列番号74)。図31Bは、ヒトHMGB1ポリペプチドのAボックスである(配列番号75)。図31Cは、ヒトHMGB1ポリペプチドのBボックスである(配列番号76)。
【図32】図32は、種々の抗HMGB1モノクローナル抗体によるTNF放出の阻害を示すヒストグラムである。マウスTNFは、RAW264.7細胞を0.1μg/mlの組換えCBP-ラットHMGB1ペプチド(配列番号5)で刺激することによって誘導された。示された場合、種々のHMGB1モノクローナル抗体(培養上清)を13%の最終濃度まで添加した。以下の抗体を試験した:1A9 HMGB1 mAb(1A9);2E11 HMGB1 mAb(2E11);2G5 HMGB1 mAb(2G5);2G7 HMGB1 mAb(2G7);3G8 HMGB1 mAb(3G8);4H11 HMGB1 mAb(4H11);3-5A6 HMGB1 mAb(5A6);6E6 HMGB1 mAb(6E6);9G2 HMGB1 mAb(9G2);4C9 HMGB1 mAb(4C9);および6H9 HMGB1 mAb(6H9)。最初の黒い棒はいずれもの抗体の非存在下におけるTNF放出を示す。
【図33】図33は、種々の抗HMGB1モノクローナル抗体によるTNF放出の阻害を示すヒストグラムである。マウスTNFは、RAW264.7細胞を0.1μg/mlの組換えCBP-ラットHMGB1ペプチド(配列番号5)で刺激することによって誘導した。示した場合、種々のHMGB1モノクローナル抗体(培養された上清)を13%の最終濃度まで加えた。以下の抗体を試験した:7H3 HMGB1 mAb(7H3);9H3 HMGB1 mAb(9H3);10D4 HMGB1 mAb(10D4);1C3 HMGB1 mAb(1C3);3E10 HMGB1 mAb(3E10);4A10 HMGB1 mAb(4A10);5C12 HMGB1 mAb(5C12);および7G8 HMGB1 mAb(7G8)。最初の黒い棒はいずれもの抗体の非存在下におけるTNF放出を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の概要
種々の態様において、本発明は、脊椎動物高移動度グループボックス(HMGB)ポリペプチドに結合する抗体またはその抗原結合断片、HMGBポリペプチドに結合する薬剤を検出し、および/または同定する方法、炎症性サイトカインカスケードの活性化によって特徴付けられる被験体における状態を治療する方法、および試料中のHMGBポリペプチドを検出する方法に向けられる。
【0014】
1つの態様において、本発明は、脊椎動物HMGB Aボックスに特異的に結合するが、HMGBの非Aボックスエピトープには特異的には結合しない抗体またはその抗原結合断片であり、ここに、該抗体または抗原結合断片は、HMGBタンパク質で処理した脊椎動物細胞からのプロ炎症性サイトカインの放出を阻害する。
【0015】
ある態様において、本発明は、マウスハイブリドーマ6E6 HMGB1 mAb、マウスハイブリドーマ6H9 HMGB1 mAb、マウスハイブリドーマ2G7 HMGB1 mAb、マウスハイブリドーマ2E11 HMGB1 mAb、またはマウスハイブリドーマ10D4 HMGB1 mAbによって生産された抗体である。他の態様において、本発明は抗体またはその抗原結合断片であり、ここに、該抗体または抗原結合断片の脊椎動物HMGBポリペプチドへの結合は6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、2E11 HMGB1 mAbおよび/または10D4 HMGB1 mAbによって阻害され得る。さらに他の態様において、本発明は抗体またはその抗原結合断片であり、ここに、該抗体または抗原結合断片は6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、2E11 HMGB1 mAbおよび/または10D4 HMGB1 mAbのエピトープ特異性を有する。
【0016】
ある態様において、本発明は、配列番号1のアミノ酸残基46〜63、配列番号1のアミノ酸残基61〜78および/または配列番号1のアミノ酸残基151〜168よりなるペプチドに結合する抗体または抗原結合断片である。1つの態様において、本発明は抗体または抗原結合断片であり、ここに、該抗体または抗原結合断片の、配列番号1のアミノ酸残基46〜63よりなるペプチドへの結合は2G7 HMGB1 mAbによって阻害され得る。別の態様において、本発明は抗体または抗原結合断片であり、ここに、該抗体または抗原結合断片の、配列番号1のアミノ酸残基61〜78よりなるペプチドへの結合は、6E6 HMGB1 mAbおよび/または6H9 HMGB1 mAbによって阻害され得る。なお別の態様において、本発明は抗体または抗原結合断片であり、ここに、該抗体または抗原結合断片の、配列番号1のアミノ酸残基151〜168よりなるペプチドへの結合は2E11 HMGB1 mAbによって阻害され得る。
【0017】
ある態様において、本発明は、6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAbおよび2G7 HMGB1 mAbよりなる群から選択される抗体の軽鎖CDR(CDR1、CDR2およびCDR3)ならびに重鎖CDR(CDR1、CDR2およびCDR3)を含む抗体または抗原結合断片である。
【0018】
他の態様において、本発明はマウスハイブリドーマ6E6 HMGB1 mAb、マウスハイブリドーマ6H9 HMGB1 mAb、マウスハイブリドーマ2G7 HMGB1 mAb、マウスハイブリドーマ2E11 HMGB1 mAbまたはマウスハイブリドーマ10D4 HMGB1 mAbである。
【0019】
別の態様において、本発明は、脊椎動物HMGB Aボックスに特異的に結合するが、HMGBの非Aボックスエピトープに特異的に結合しない抗体または抗原結合断片を生産する単離された細胞である。他の態様において、本発明は6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、2E11 HMGB1 mAbまたは10D4 HMGB1 mAbを生産する単離された細胞である。なお他の態様において、本発明は抗体またはその抗原結合断片を生産する単離された細胞であり、ここに、該抗体または抗原結合断片の脊椎動物HMGBポリペプチドへの結合は6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、2E11 HMGB1 mAbおよび/または10D4 HMGB1 mAbによって阻害され得る。なお他の態様において、本発明は6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、2E11 HMGB1 mAbおよび/または10D4 HMGB1 mAbのエピトープ特異性を有する抗体または抗原結合断片を生産する単離された細胞である。
【0020】
他の態様において、本発明は、本発明の抗体または抗原結合断片、および薬学的に許容され得る賦形剤を含む組成物である。
【0021】
別の態様において、本発明は、本発明の抗体または抗原結合断片、被験薬剤、および脊椎動物HMGBポリペプチドを含む組成物を合わせることを特徴とする、脊椎動物HMGBポリペプチドに結合する薬剤を検出し、および/または同定する方法である。該方法において、抗体または抗原結合断片およびHMGBポリペプチドの間の複合体の形成が検出または測定され、適当な対照と比較した、複合体形成の減少は、該験薬剤がHMGBポリペプチドに結合することを示す。
【0022】
別の態様において、本発明は、本発明の抗体または抗原結合断片を被験体に投与することを特徴とする炎症性サイトカインカスケードの活性化によって特徴付けられる被験体における状態を治療する方法である。
【0023】
ある態様において、該状態は敗血症、関節炎または狼瘡である。
【0024】
別の態様において、本発明は試料中の脊椎動物HMGBポリペプチドを検出する方法である。該方法において、該抗体または断片が試料中に存在するHMGBポリペプチドに結合するのに適した条件下で、本発明の抗体または抗原結合断片と試料とを接触させる。もし抗体−HMGB複合体または抗原結合断片−HMGB複合体が検出されれば、それらの存在は試料中のHMGBポリペプチドを示す。
【0025】
別の態様において、本発明は、試料中の脊椎動物HMGBポリペプチドまたはその一部の存在を検出するのに用いられる試験キットである。該試験キットは本発明の抗体または抗原結合断片、および該抗体または抗原結合断片とHMGBポリペプチドとの複合体の存在を検出するのに適した1以上の補助的試薬を含む。
【0026】
発明の詳細な説明
種々の態様において、本発明は、脊椎動物高移動度グループボックス(HMGB)ポリペプチドに結合する抗体またはその抗原結合断片HMGBポリペプチドに結合する薬剤を検出しおよび/または同定する方法、炎症性サイトカインカスケードの活性化によって特徴付けられる被験体における状態を治療する方法、および試料中のHMGBポリペプチドを検出する方法に関する。
【0027】
抗体および抗体産生細胞
1つの態様において、本発明は、HMGBポリペプチドに結合する抗体またはその抗原結合断片を含む。本発明の抗体はポリクローナルまたはモノクローナルであり得、用語「抗体」はポリクローナル抗体もモノクローナル抗体も含むことを意図する。用語「ポリクローナルおよびモノクローナル」とは、抗体調製の均一性の程度をいい、特別な生産方法に限定することを意図しない。1つの態様において、抗体または抗原結合断片はモノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。本明細書中で用いる用語「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」とは、本発明のポリペプチドの特定のエピトープと免疫反応できるただ一種類の抗原結合部位を含有する抗体分子の集団をいう。かくして、モノクローナル抗体組成物は、通常、それと免疫反応する本発明の特定のポリペプチドに対する単一結合親和性を呈する。
【0028】
本明細書中で用いる用語「抗体」は、キメラ、ヒト化、霊長類化(primatized)、ベニヤード(veneered)または単一鎖抗体の断片を含めた、抗体の機能的断片をも含む。機能的断片はHMGBポリペプチド(例えば、哺乳動物HMGBポリペプチド(例えば、哺乳動物HMGB1ポリペプチド))に結合する抗体の抗原結合断片を含む。例えば、HMGBポリペプチドまたはその部分に結合し得る抗体断片は、限定されるものではないが、Fv、Fab、Fab’およびF(ab’)2断片を含む。そのような断片は酵素切断によって、または組換え技術によって生産できる。例えば、パパインまたはペプシン切断は、各々、FabまたはF(ab’)2断片を生産し得る。必要な基質特異性を持つ他のプロテアーゼを用いて、FabまたはF(ab’)2断片を生産することができる。また、1以上の停止コドンが天然停止部位の上流に導入されている抗体遺伝子を用いて種々の切形形態で抗体を生産することもできる。例えば、F(ab’)2重鎖部分をコードするキメラ遺伝子を、重鎖のCH1ドメインおよびヒンジ領域をコードするDNA配列を含むように設計することができる。
【0029】
単一鎖抗体、およびキメラ、ヒト化または霊長類化(CDR−移植)、またはベニヤード抗体、ならびに異なる種に由来する部分を含むキメラ、CDR−移植またはベニヤード単一鎖抗体などもまた本発明、および用語「抗体」に包含される。これらの抗体の種々の部分は慣用的な技術によって化学的に一緒に連結することができるか、あるいは遺伝子工学技術を用いて連続的タンパク質として調製することができる。例えば、キメラまたはヒト化鎖をコードする核酸は連続タンパク質を生産するように発現させることができる。例えば、Cabilly ら, 米国特許第4,816,567号;Cabilly ら, 欧州特許第0,125,023 B1号;Boss ら,米国特許第4,816,397号;Boss ら,欧州特許第0,120,694B1号;Neuberger, M. S. ら, WO 86/01533;Neuberger, M. S. ら, 欧州特許第0,194,276 B1号; Winter,米国特許第5,225,539号;Winter, 欧州特許第0,239,400 B1号;Queen ら, 欧州特許第0 451 216 B1号;およびPadlan, E. A. ら, 欧州特許公開公報第0 519 596 A1号参照。また、霊長類化抗体についてはNewman, R. ら, BioTechnology, 10:1455-1460(1992)、および単一鎖抗体に関してはLadner ら,米国特許第4,946,778号およびBird, R. E. ら, Science, 242: 423-426 (1988)参照。
【0030】
ヒト化抗体は標準的な方法または他の適当な技術を用いる合成または組換えDNA技術を用いて生産することができる。また、PCR突然変異誘発方法を用いてヒト化可変領域をコードする核酸(例えば、cDNA)配列を構築して、先にヒト化された可変領域からのDNA鋳型のようなヒトまたはヒト化鎖をコードするDNA配列を改変することもできる(例えば、Kamman, M. ら, Nucl. Acids Res., 17:5404(1989));Sato, K. ら, Cancer Research, 53:851-856(1993);Daugherty, B. L. ら, Nucleic Acids Res., 19(9):2471-2476(1991);ならびにLewis, A. P. および J. S. Crowe, Gene, 101:297-302(1991)参照)。これらまたは他の適当な方法を用い、変種を容易に生産することもできる。1つの態様において、クローン化可変領域を突然変異させることができ、および所望の特異性を持つ変種をコードする配列を(例えば、ファージライブラリーから)選択することができる(例えば、Krebber ら, 米国特許第5,514,548号;Hoogenboom ら, WO 93/06213参照)。
【0031】
該抗体は1以上の免疫グロブリン鎖を含むヒト化抗体(例えば、非ヒト起源のCDR(例えば、非ヒト起源の抗体に由来する1以上のCDR)およびヒト起源の軽鎖および/または重鎖に由来するフレームワーク領域を含む抗体(例えば、フレームワーク変化を含むかまたは含まないCDR−移植抗体))であり得る。1つの態様において、該抗体またはその抗原結合断片は特定の免疫グロブリンの軽鎖CDR(CDR1,CDR2およびCDR3)および重鎖CDR(CDR1,CDR2およびCDR3)を含む。別の態様において、該抗体または抗原結合断片は、さらに、ヒトフレームワーク領域を含む。
【0032】
本明細書中に記載された抗体は薬剤に結合することもできる。1つの態様において、該薬剤は標識、例えば、放射性同位体、エピトープ標識(タグ)、アフィニティー標識(例えば、ビオチン、アビジン)、スピン標識、酵素、蛍光基または化学発光基である。本発明の標識された抗体または抗原結合断片は、例えば、本明細書中に記載された診断および/または予測方法で用いることができる。別の態様において、該抗体は薬物、トキシンまたは抗炎症剤に結合される。薬物、トキシンまたは抗炎症剤の本発明の抗HMGB抗体および抗原結合断片への結合は、これらの薬剤の、HMGB発現および/または活性の部位への標的化を可能とする。本発明の抗体に結合することができる薬物およびトキシンは、例えば、化学療法剤(例えば、マイトマイシンC、パクリタキセル(paxlitaxol)、メトトレキセート、5-フルオロウラシル、シスプラチン、シクロヘキサミド)、トキシン(例えば、リシン、ゲロニン)および本明細書中に記載された他の薬剤(例えば、併用療法につき記載された薬剤)を含む。結合することができる抗炎症剤は、例えば、本明細書中に記載されたものを含む。
【0033】
HMGBポリペプチド(例えば、哺乳動物HMGBポリペプチド)に特異的な抗体は、(合成ペプチドのような合成分子を含めた)単離されたおよび/または組換えHMGBポリペプチドまたはその部分のような適当な免疫原に対して生起させることができる。また、抗体は、GH3下垂体細胞、マクロファージ細胞(例えば、RAW 246.7細胞、ヒトマクロファージ細胞)、末梢血液単核細胞(PBMC(例えば、ヒトPBMC))、一次T細胞(例えば、ヒト一次T細胞)、副腎細胞(例えば、ラット副腎PC-12細胞、ヒト副腎細胞)、および腎臓細胞(例えば、ラット一次腎臓細胞、ヒト一次腎臓細胞)のような、HMGBポリペプチドを発現する細胞で適当な宿主(例えば、マウス)を免役化することによって生起させることもできる。加えて、トランスフェクトされた細胞のような、組換えHMGBポリペプチド(例えば、哺乳動物HMGBポリペプチド)を発現する細胞を、免疫原として、またはそれに結合する抗体用のスクリーニングにおいて用いることができる(例えば、Chuntharapai ら, J. Immunol., 152:1783-1789(1994);Chuntharapai ら, 米国特許第5,440,021号参照)。
【0034】
免疫化抗原の調製、ならびにポリクローナルおよびモノクローナル抗体の生産はいずれかの適当な技術を用いて行うことができる。種々の方法が記載されている(例えば、Kohler ら, Nature, 256: 495-497(1975)およびEur. J. Immunol. 6:511-519(1976); Milstein ら, Nature 266: 550-552(1977); Koprowski ら, 米国特許第4,172,124号;Harlow, E. および D. Lane, 1988, Antibodies: A Laboratory Manual, (Cold Spring Harbor Laboratory: ColdSpring Harbor, NY); Current Protocols In Molecular Biology, Vol. 2 (’94夏, 増刊号27), Ausubel, F. M. ら, 編, (John Wiley & Sons: New York, NY), 第11章,(1991)参照)。一般には、本明細書中に例示したように、ハイブリドーマは適当な不滅細胞系(例えば、SP2/0、P3X63Ag8.653またはヘテロミエローマのような骨髄腫細胞系)を抗体産生細胞と融合させることによって生産される。抗体産生細胞はヒト、または注目する抗原で免疫化した他の適当な動物の末梢血液または、好ましくは、脾臓またはリンパ節から得ることができる。融合細胞(ハイブリドーマ)は、選択的培養条件を用いて単離することができ、および限界希釈によってクローン化することができる。所望の特異性を持つ抗体を生産する細胞は、適当なアッセイ(例えば、ELISA)によって選択することができる。
【0035】
必要な特異性の抗体(例えば、ヒト抗体または抗原結合断片)を生産し、または単離する他の適当な方法を用いることができ、これは例えば、ライブラリー(例えば、ファージディスプレイライブラリー)からの組換え抗体を選択する方法を含む。ヒト抗体のレパートリー(例えば、Xenomouse(登録商標)(Abgenix, Fremont, CA))を生産することができるトランスジェニック動物は、適当な方法を用いて生産することができる(例えば、Jakobovits ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:2551-2555(1993);Jakobovits ら, Nature, 362: 255-258(1993)参照)。ヒト抗体のレパートリーを生産することができるトランスジェニック動物の生産に適したさらなる方法が記載されている(例えば、Lonberg ら, 米国特許第5,545,806号;Surani ら, 米国特許第5,545,807号;Lonberg ら, WO 97/13852)。
【0036】
1つの態様において、該抗体またはその抗原結合断片はHMGBポリペプチド(例えば、哺乳動物HMGBポリペプチド)に対する特異性を有する。特定の態様において、該抗体またはその抗原結合断片はHMGB1ポリペプチド(例えば、配列番号1および/または配列番号74に示されたようなヒトHMGB1ポリペプチド)に対する特異性を有する。別の態様において、該抗体またはその抗原結合断片はIgGまたはIgGの抗原結合断片である。別の態様において、該抗体またはその抗原結合断片はIgG1またはIgG1の抗原結合断片である。なお他の態様において、該抗体またはその抗原結合断片はIgG2a、IgG2b、IgG3抗体、または前記のいずれかの抗原結合断片である。
【0037】
別の態様において、該抗体または抗原結合断片はHMGBポリペプチドに結合し、かつHMGBポリペプチドの1以上の機能を阻害(低下または防止)することができる。そのようなHMGB機能は、例えば、炎症の増加(例えば、国際公開第02/092004号パンフレット参照)、細胞からのプロ炎症性サイトカインの放出の増加(例えば、国際公開第02/092004号パンフレット参照)、RAGEへの結合、TLR2への結合、化学誘引(例えば、Degryse ら, J. Cell Biol. 152 (6): 1197-1206(2001)参照;その全教示を本明細書中に参考として援用する)、および抗原提示細胞の活性化(例えば、国際公開第03/026691号パンフレット参照;その全教示を本明細書中に参考として援用する)を含む。
【0038】
1つの態様において、該抗体はヒト抗体またはその抗原結合断片である。別の態様において、該抗体はヒト化抗体またはその抗原結合断片である。なお別の態様において、該抗体または抗原結合断片はHMGBポリペプチドへのポリペプチド(例えば、RAGE、TLR2)の結合を阻害し、および/またはHMGBポリペプチドおよび他のポリペプチドの結合によって媒介される1以上の機能を阻害することができる。
【0039】
ある態様において、該抗体またはその抗原結合断片はHMGBエピトープまたは抗原決定基(例えば、HMGBエピトープ、HMGB Aボックスエピトープ、HMGB Bボックスエピトープ)に特異的に結合する。本明細書中に記載するように、抗体またはその抗原結合断片は、標準的な方法を用いて、プロ炎症性サイトカインの放出を阻害する能力につき過度な実験無くしてスクリーニングすることができる。プロ炎症性サイトカインの生産および/または細胞からのプロ炎症性サイトカインの放出を阻害し、および/または炎症性サイトカインカスケードの活性化によって特徴付けられる状態を阻害することができる抗HMGB Aボックス抗体および抗HMGB Bボックス抗体は本発明の範囲内のものである。1つの態様において、本発明の抗体または抗原結合断片はTNF、IL-1β、および/またはIL-6の生産を阻害することができる。別の態様において、本発明の抗体または抗原結合断片はTNF(例えば、TNF−α)の生産を阻害することができる。
【0040】
本明細書中で記載されるように、「6E6 HMGB1 mAb」、「2E11 HMGB1 mAb」、「6H9 HMGB1 mAb」、「10D4 HMGB1 mAb」および「2G7 HMGB1 mAb」と称されるモノクローナル抗体(全て、HMGB1に結合する)が作製された。加えて、「9G2 HMGB1 mAb」、「1A9 HMGB1 mAb」、「3G8 HMGB1 mAb」、「2G5 HMGB1 mAb」、「4H11 HMGB1 mAb」、「7H3 HMGB1 mAb」、「3-5A6 HMGB1 mAb」、「9G1 HMGB1 mAb」、「4C9 HMGB1 mAb」、「9H3 HMGB1 mAb」、「1C3 HMGB1 mAb」、「5C12 HMGB1 mAb」、「3E10 HMGB1 mAb」、「7G8 HMGB1 mAb」および「4A10 HMGB1 mAb」と称される他のモノクローナル抗体は生産されている。9G2 HMGB1 mAbおよび1A9 HMGB1 mAbを除く全てはHMGB1に結合することが示されている。9G2 HMGB1 mAbおよび1A9 HMGB1 mAbは(小数割合の免疫原においては切断されない)免疫原のCBP領域に結合するようである。
【0041】
6E6-7-1-1または6E6ともいわれる6E6 HMGB1 mAbは、受託番号PTA-5433の下で、Critical Therapeutics, Inc., 675 Massachusetts Avenue, 14th Floor, Cambridge, MA 02139, U.S.A.を代表してAmerican Type Culture Collection, 10801 University Boulevard, Manassas, Virginia 20110, U.S.A.に2003年9月3日に寄託されたマウスハイブリドーマ6E6 HMGB1 mAbによって生産することができる。本発明は、マウスハイブリドーマ6E6 HMGB1 mAb、それが生産する抗体、および該抗体をコードする核酸に関する。
【0042】
2E11-1-1-2または2E11ともいわれる2E11 HMGB1 mAbは、受託番号PTA-5431の下で、Critical Therapeutics, Inc., 675 Massachusetts Avenue, 14th Floor, Cambridge, MA 02139, U.S.A.を代表してAmerican Type Culture Collection, 10801 University Boulevard, Manassas, Virginia 20110, U.S.A.に2003年9月3日に寄託されたマウスハイブリドーマ2E11 HMGB1 mAbによって生産することができる。本発明は、マウスハイブリドーマ2E11 HMGB1 mAb、それが生産する抗体、および該抗体をコードする核酸に関する。
【0043】
6H9-1-1-2または6H9ともいわれる6H9 HMGB1 mAbは受託番号PTA-5434の下で、Critical Therapeutics, Inc., 675 Massachusetts Avenue, 14th Floor, Cambridge, MA 02139, U.S.A.を代表してAmerican Type Culture Collection, 10801 University Boulevard, Manassas, Virginia 20110, U.S.A.に2003年9月3日に寄託されたマウスハイブリドーマ6H9 HMGB1 mAbによって生産することができる。本発明は、マウスハイブリドーマ6H9 HMGB1 mAb、それが生産する抗体、および該抗体をコードする核酸に関する。
【0044】
10D4-1-1-1-2または10D4ともいわれる10D4 HMGB1 mAbは受託番号PTA-5435の下で、Critical Therapeutics, Inc., 675 Massachusetts Avenue, 14th Floor, Cambridge, MA 02139, U.S.A.を代表してAmerican Type Culture Collection, 10801 University Boulevard, Manassas, Virginia 20110, U.S.A.に2003年9月3日に寄託されたマウスハイブリドーマ10D4 HMGB1 mAbによって生産することができる。本発明は、マウスハイブリドーマ10D4 HMGB1 mAb、それが生産する抗体、および該抗体をコードする核酸に関する。
【0045】
3-2G7-1-1-1または2G7ともいわれる2G7 HMGB1 mAbは受託番号PTA-5432の下で、Critical Therapeutics, Inc., 675 Massachusetts Avenue, 14th Floor, Cambridge, MA 02139, U.S.A.を代表してAmerican Type Culture Collection, 10801 University Boulevard, Manassas, Virginia 20110, U.S.A.に2003年9月3日に寄託されたマウスハイブリドーマ2G7 HMGB1 mAbによって生産することができる。本発明は、マウスハイブリドーマ2G7 HMGB1 mAb、それが生産する抗体、および該抗体をコードする核酸に関する。
【0046】
前記で確認されたマウスハイブリドーマ(例えば、6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb)の培養については、DMEM、10%FCS、1%IL-6、1%L-グルタミンおよび1%Pen-Strepを加えるべきである。
【0047】
9G2-7-1-1-1または9G2ともいわれる9G2 HMGB1 mAbはマウスハイブリドーマ9G2 HMGB1 mAbによって生産することができる。本発明は、マウスハイブリドーマ9G2 HMGB1 mAb、それが生産する抗体、および該抗体をコードする核酸に関する。
【0048】
1A9-1-2-1-4または1A9ともいわれる1A9 HMGB1 mAbはマウスハイブリドーマ1A9 HMGB1 mAbによって生産することができる。本発明は、マウスハイブリドーマ1A9 HMGB1 mAb、それが生産する抗体、および該抗体をコードする核酸に関する。
【0049】
3G8-7-2-1-5または3G8ともいわれる3G8 HMGB1 mAbはマウスハイブリドーマ3G8 HMGB1 mAbによって生産することができる。本発明は、マウスハイブリドーマ3G8 HMGB1 mAb、それが生産する抗体、および該抗体をコードする核酸に関する。
【0050】
3-2G5-4-1-2または2G5ともいわれる2G5 HMGB1 mAbはマウスハイブリドーマ2G5 HMGB1 mAbによって生産することができる。本発明は、マウスハイブリドーマ2G5 HMGB1 mAb、それが生産する抗体、および該抗体をコードする核酸に関する。
【0051】
4H11ともいわれる4H11 HMGB1 mAbはマウスハイブリドーマ4H11 HMGB mAbによって生産することができる。本発明は、マウスハイブリドーマ4H11 HMGB1 mAb、それが生産する抗体、および該抗体をコードする核酸に関する。
【0052】
7H3ともいわれる7H3 HMGB1 mAbはマウスハイブリドーマ7H3 HMGB1 mAbによって生産することができる。本発明は、マウスハイブリドーマ7H3 HMGB1 mAb、それが生産する抗体、および該抗体をコードする核酸に関する。
【0053】
3-5A6または5A6ともいわれる3-5A6 HMGB1 mAbはマウスハイブリドーマ3-5A6 HMGB1 mAbによって生産することができる。本発明は、マウスハイブリドーマ3-5A6 HMGB1 mAb、それが生産する抗体、および該抗体をコードする核酸に関する。
【0054】
9G1ともいわれる9G1 HMGB1 mAbはマウスハイブリドーマ9G1 HMGB1 mAbによって生産することができる。本発明は、マウスハイブリドーマ9G1 HMGB1 mAb、それが生産する抗体、および該抗体をコードする核酸に関する。
【0055】
4C9ともいわれる4C9 HMGB1 mAbはマウスハイブリドーマ4C9 HMGB1 mAbによって生産することができる。本発明は、マウスハイブリドーマ4C9 HMGB1 mAb、それが生産する抗体、および該抗体をコードする核酸に関する。
【0056】
9H3ともいわれる9H3 HMGB1 mAbはマウスハイブリドーマ9H3 HMGB1 mAbによって生産することができる。本発明は、マウスハイブリドーマ9H3 HMGB1 mAb、それが生産する抗体、および該抗体をコードする核酸に関する。
【0057】
1C3-1-1-1-1または1C3ともいわれる1C3 HMGB1 mAbはマウスハイブリドーマ1C3 HMGB1 mAbによって生産することができる。本発明は、マウスハイブリドーマ1C3 HMGB1 mAb、それが生産する抗体、および該抗体をコードする核酸に関する。
【0058】
5C12-1-1-1-1または5C12ともいわれる5C12 HMGB1 mAbはマウスハイブリドーマ5C12 HMGB1 mAbによって生産することができる。本発明は、マウスハイブリドーマ5C12 HMGB1 mAb、それが生産する抗体、および該抗体をコードする核酸に関する。
【0059】
3E10-5-4-1-1または3E10ともいわれる3E10 HMGB1 mAbはマウスハイブリドーマ3E10 HMGB1 mAbによって生産することができる。本発明は、マウスハイブリドーマ3E10 HMGB1 mAb、それが生産する抗体、および該抗体をコードする核酸に関する。
【0060】
7G8ともいわれる7G8 HMGB1 mAbはマウスハイブリドーマ7G8 HMGB1 mAbによって生産することができる。本発明は、マウスハイブリドーマ7G8 HMGB1 mAb、それが生産する抗体、および該抗体をコードする核酸に関する。
【0061】
4A10-1-3-1-1または4A10ともいわれる4A10 HMGB1 mAbはマウスハイブリドーマ4A10 HMGB1 mAbによって生産することができる。本発明は、マウスハイブリドーマ4A10 HMGB1 mAb、それが生産する抗体、および該抗体をコードする核酸に関する。
【0062】
1つの態様において、該抗体またはその抗原結合断片は6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAb、2E11 HMGB1 mAbおよび前記のいずれかの抗原結合断片よりなる群から選択される。
【0063】
別の態様において、該抗体または抗原結合断片は、6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAb、2E11 HMGB1 mAbおよび/または前記のいずれかの抗原結合断片よりなる群から選択される抗体または抗原結合断片の同一または類似のエピトープ特異性を有する。6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAbおよび/または2E11 HMGB1 mAbのそれと同一または類似のエピトープ特異性を持つ抗体または抗原結合断片は種々の適当な方法によって同定することができる。例えば、例えば6E6 HMGB1 mAbと同一または類似のエピトープ特異性を持つ抗体は、HMGBポリペプチド(例えば、哺乳動物HMGBポリペプチド(例えば、哺乳動物HMGB1ポリペプチド))に対する結合につき6E6 HMGB1 mAbと競合する能力に基づいて同定することができる。別の例において、例えば、6E6 HMGB1 mAbの結合、およびHMGBポリペプチドに対する同一または類似のエピトープ特異性を持つ抗体の結合を単一ペプチド(例えば、天然ペプチド、合成ペプチド)によって阻害することができる。種々の態様において、該ペプチドは、例えば、9〜約50アミノ酸、9〜約40アミノ酸、9〜約30アミノ酸、9〜約25アミノ酸、または9〜約20アミノ酸を含むことができる。
【0064】
本明細書中に例示するように、ヒトHMGB1ポリペプチドの特定の領域に対応する18アミノ酸ペプチドは種々のHMGB1モノクローナル抗体に結合することが示された。本明細書中に記載される研究は、特定のHMGB1抗体に結合するHMGB1内のエピトープを位置づけた。
【0065】
例えば、2E11 HMGB1 mAbはヒトHMGB1のアミノ酸151〜168(配列番号1のアミノ酸残基151〜168;すなわち、LKEKYEKDIAAYRAKGKP(配列番号30))に対応するペプチドに結合することが示された。さらなる研究は、2E11 HMGB1 mAbは、HMGB1のアミノ酸残基156〜161、155〜161、155〜162、156〜162および/または156〜163内に存在するエピトープを認識することを示唆する(実施例14参照)。
【0066】
6E6 HMGB1 mAbおよび6H9 HMGB1 mAbはヒトHMGB1のアミノ酸61〜78(配列番号1のアミノ酸残基61〜78;すなわち、EDMAKADKARYEREMKTY(配列番号24))に対応するペプチドに結合することが示された。さらなる研究は、6E6 HMGB1 mAbがHMGB1のアミノ酸残基67〜78内に存在するエピトープを認識することを示した(実施例13参照)。
【0067】
2G7 HMGB1 mAbはヒトHMGB1のアミノ酸46〜63(配列番号1のアミノ酸残基46〜63;すなわち、SERWKTMSAKEKGKFEDM(配列番号23))に対応するペプチドに結合することが示された(実施例10参照)。さらなる研究は、2G7 HMGB1 mAbがHMGB1のアミノ酸残基53〜63内に存在するエピトープを認識することを示した(実施例12参照)。加えて、2G7 HMGB1 mAbは、HMGB1 46〜63ペプチドおよびHMGB2 46〜63ペプチドの間の単一のアミノ酸の差に過ぎないのにもかかわらず、HMGB2のアミノ酸残基46〜63(配列番号48)に結合しない(実施例12参照)。かくして、1つの態様において、本発明の抗体または抗原結合断片はHMGB1に結合するが、HMGB2には結合しない。他の態様において、本発明の抗体または抗原結合断片はHMGB1およびHMGB2双方に結合する。
【0068】
これらの18アミノ酸ペプチド、またはHMGB1の特定の領域に対応する他のペプチドをエピトープ研究で用いて、抗体または抗原結合断片がそのペプチドに結合することが知られている抗体(例えば、6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAb、2E11 HMGB1 mAb、本明細書中に記載された他の抗体)へのペプチドの結合を阻害したかを測定することができるであろう。かくして、例えば、そのエピトープ特異性につき試験すべき抗体または抗原結合断片は、例えば、2E11 HMGB1 mAbおよび(2E11 HMGB1 mAbが結合することが知られている)ヒトHMGB1のアミノ酸151〜168に対応するペプチドでアッセイすることができるであろう。
【0069】
別の例において、本発明の抗体(例えば、6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAbおよび/または2E11 HMGB1 mAb)と同一または類似のエピトープ特異性を持つ抗体は、キメラHMGBポリペプチドを用いて同定することができる(例えば、Banks, G. C. ら, J. Biol. Chem. 274(23): 16536-16544 (1999)参照)。
【0070】
1つの態様において、該抗体または抗原結合断片は、HMGBポリペプチド(例えば、哺乳動物HMGBポリペプチド(例えば、哺乳動物HMGB1ポリペプチド))に対する結合につき、6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAb、2E11 HMGB1 mAbおよび/または前記のいずれかの抗原結合断片と競合し得る。結合のそのような阻害は(例えば、抗体が重複するエピトープまたは隣接するエピトープに結合する場合)同一または類似のエピトープに対する競合または立体干渉の結果であり得る。6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAb、2E11 HMGB1 mAb、および/または前記のいずれかの抗原結合断片による阻害は、HMGBポリペプチドへの抗体結合に際して誘導されるHMGBポリペプチドの立体配座の変化のためでもあり得る。
【0071】
別の態様において、該抗体またはその抗原結合断片は3G8 HMGB1 mAb、2G5 HMGB1 mAb、4H11 HMGB1 mAb、7H3 HMGB1 mAb、3-5A6 HMGB1 mAb、9G1 HMGB1 mAb、4C9 HMGB1 mAb、9H3 HMGB1 mAb、1C3 HMGB1 mAb、5C12 HMGB1 mAb、3E10 HMGB1 mAb、7G8 HMGB1 mAb、4A10 HMGB1 mAb、および前記のいずれかの抗原結合断片よりなる群から選択される。
【0072】
1つの態様において、該抗体または抗原結合断片は、3G8 HMGB1 mAb、2G5 HMGB1 mAb、4H11 HMGB1 mAb、7H3 HMGB1 mAb、3-5A6 HMGB1 mAb、9G1 HMGB1 mAb、4C9 HMGB1 mAb、9H3 HMGB1 mAb、1C3 HMGB1 mAb、5C12 HMGB1 mAb、3E10 HMGB1 mAb、7G8 HMGB1 mAb、4A10 HMGB1 mAb、および前記のいずれかの抗原結合断片よりなる群から選択される抗体または抗原結合断片のエピトープ特異性を有する。前記したように、これらの抗体または抗原結合断片の1つ以上と同一または類似のエピトープ特異性を持つ抗体または抗原結合断片は(例えば、本明細書中に記載されたおよび/または当該分野で公知の方法を用いて)種々の適切な方法によって同定し得る。
【0073】
別の態様において、該抗体または抗原結合断片は、HMGBポリペプチド(例えば、哺乳動物HMGBポリペプチド)に対する結合につき、3G8 HMGB1 mAb、2G5 HMGB1 mAb、4H11 HMGB1 mAb、7H3 HMGB1 mAb、3-5A6 HMGB1 mAb、9G1 HMGB1 mAb、4C9 HMGB1 mAb、9H3 HMGB1 mAb、1C3 HMGB1 mAb、5C12 HMGB1 mAb、3E10 HMGB1 mAb、7G8 HMGB1 mAb、4A10 HMGB1 mAb、および/または前記のいずれかの抗原結合断片と競合し得る。前記したように、結合の阻害は(例えば、抗体が重複するエピトープまたは隣接エピトープに結合する場合)同一もしくは類似のエピトープに対する競合または立体干渉の結果であり得る。また、阻害は、該抗体または抗原結合断片がHMGBポリペプチドへ結合する際に誘導されるHMGBポリペプチドの立体配座の変化のためであり得る。
【0074】
1つの態様において、該抗体またはその抗原結合断片は6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAbおよび2E11 HMGB1 mAbよりなる群から選択される抗体の6つのCDR(軽鎖CDR(CDR1、CDR2およびCDR3)ならびに重鎖CDR(CDR1、CDR2およびCDR3))を含む。別の態様において、該抗体は6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAbおよび2E11 HMGB1 mAbよりなる群から選択される抗体の軽鎖CDR(CDR1、CDR2およびCDR3)ならびに重鎖CDR(CDR1、CDR2およびCDR3)を含むヒト化抗体である。他の態様において、該抗体またはその抗原結合断片は本明細書中に記載されたいずれかの他の抗体の6つのCDR(軽鎖CDR(CDR1、CDR2およびCDR3)ならびに重鎖CDR(CDR1、CDR2およびCDR3))を含む。
【0075】
別の態様において、該抗体またはその抗原結合断片は本発明の抗体の軽鎖および重鎖CDRの1〜6を含む(例えば、6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAb、2E11 HMGB1 mAb)。例えば、該抗体または抗原結合断片は軽鎖および重鎖CDRの1、2、3、4、5または6を含み得る。別の態様において、該抗体またはその抗原結合断片は本発明の1つの抗体からの少なくとも1つの軽鎖CDRまたは重鎖CDR、および本発明の異なる抗体からの少なくとも1つの軽鎖CDRまたは重鎖CDRを含む(例えば、6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAb、2E11 HMGB1 mAb)。例えば、抗体または抗原結合断片は6E6 HMGB1 mAbからの1つ以上のCDR、および6H9 HMGB1 mAbからの1つ以上のCDRを含み得る。本発明の異なる抗体からのCDRの他の組合せを組み合わせる抗体および抗原結合断片もまた含まれる。
【0076】
別の態様において、該抗体またはその抗原結合断片は、3G8 HMGB1 mAb、2G5 HMGB1 mAb、4H11 HMGB1 mAb、7H3 HMGB1 mAb、 3-5A6 HMGB1 mAb、9G1 HMGB 1 mAb,4C9 HMGB1 mAb、9H3 HMGB1 mAb、1C3 HMGB1 mAb、5C12 HMGB1 mAb、3E10 HMGB1 mAb、7G8 HMGB1 mAbおよび4A10HMGB1 mAbよりなる群から選択される抗体の6つのCDR(軽鎖CDR(CDR1、CDR2およびCDR3)ならびに重鎖CDR(CDR1、CDR2およびCDR3))を含む。別の態様において、該抗体またはその抗原結合断片は、これらの抗体の1つの軽鎖および重鎖CDRの1〜6を含む。
【0077】
ある態様において、該抗体または抗原結合断片は、本発明の抗体(例えば、6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAb、2E11 HMGB1 mAb)のCDRに対して、少なくとも80%同一、少なくとも90%同一、または少なくとも95%同一である1つ以上のCDRを含む。他の態様において、該抗体または抗原結合断片は、本発明の抗体のCDRに対して少なくとも80%類似、少なくとも90%類似、または少なくとも95%類似である1つ以上のCDRを含む。2つのポリペプチドの配列同一性および類似性を決定する方法は本明細書中に記載されており、および/または当該分野で周知である。
【0078】
また、本発明は、HMGBポリペプチドおよび少なくとも1つの他の抗原(例えば、腫瘍抗原、ウイルス抗原)に結合する二重特異性抗体、またはその機能的断片(例えば、F(ab’)2)に関する。特定の態様において、該二重特異性抗体、またはその機能的断片は、6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAbおよび/または2E11 HMGB1 mAb、および少なくとも1つの他の抗体と同一または類似のエピトープ特異性を有する。二重特異性抗体は、トリオーマおよびハイブリッドハイブリドーマによって分泌され得る。一般に、トリオーマはハイブリドーマおよびリンパ球(例えば、抗体分泌B細胞)の融合によって形成され、ハイブリッドハイブリドーマは2つのハイブリドーマの融合によって形成される。融合された細胞(すなわち、ハイブリドーマ、リンパ球)の各々は単一特異的抗体を生じ得る。しかしながら、トリオーマおよびハイブリッドハイブリドーマは、異なる抗原を認識する抗原結合部位を含有する抗体を生じ得る。トリオーマおよびハイブリッドハイブリドーマの上清は、適切なアッセイ(例えば、ELISA)を用いて二重特異性抗体につきアッセイし得、二重特異性抗体は従来の方法を用いて精製し得る(例えば、米国特許第5,959,084号(Ringら)、米国特許第5,141,736号(Iwasaら)、米国特許第4,444,878号、同第5,292,668号、同第5,523,210号(全てPaulusらに対する)および米国特許第5,496,549号(Yamazakiら)参照)。
【0079】
1つの態様において、本発明は、本発明の抗体または抗原結合断片を生じる単離された細胞に関する。特定の態様において、本発明の単離された抗体産生細胞は、ハイブリドーマ、ヘテロハイブリドーマ、リンパ芽球細胞または組換え細胞等の不死化細胞である。本発明の抗体産生細胞は、抗体の産生以外の用途を有する。例えば、本発明の細胞は(適切に薬物標識したヒト骨髄腫、マウス骨髄腫、ヒト−マウスヘテロ骨髄腫またはヒトリンパ芽球細胞等の)他の細胞と融合させて、例えば、さらなるハイブリドーマを生じ得、かくして、抗体をコードする遺伝子の導入を提供し得る。さらに、該細胞は、(例えば、任意の適切な技術(例えば、Cabillyら,米国特許第4,816,567号、Winter, 米国特許第5,225,539号参照)を用いる他の細胞への導入に際して)単離され得、かつ発現させ得る抗HMGB免疫グロブリン鎖をコードする核酸の源として用いられ得る。例えば、配置された抗HMGB軽鎖および/または重鎖をコードする配列を含むクローンを(例えば、PCRによって)単離し得る。さらに、cDNAライブラリーは適正な細胞系から単離されたmRNAから調製され得、抗HMGB免疫グロブリン鎖をコードするcDNAクローンを単離し得る。かくして、抗体の重鎖および/もしくは軽鎖、またはその部分をコードする核酸を得、種々の宿主細胞またはインビトロ翻訳系において、特異的免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、またはその変種(例えば、ヒト化免疫グロブリン)の産生のために用いられ得る。例えば、cDNAを含む核酸、またはヒト化免疫グロブリンもしくは免疫グロブリン鎖等の変種をコードするその誘導体を適切な原核生物または真核生物ベクター(例えば、発現ベクター)の中に取り入れ、核酸を(例えば、ベクター中のまたは宿主細胞ゲノムに組み込まれた)1つ以上の発現制御エレメントに対して操作可能に連結させることで、適正な方法(例えば、形質転換、トランスフェクション、エレクトロポレーション、感染)によって適切な宿主細胞に導入し得、組換え抗体産生細胞を生じるようにする。かくして、ある態様において、本発明は、本発明の抗体または抗原結合断片をコードする核酸である。他の態様において、本発明は、本発明の抗体または抗原結合断片をコードする核酸を含むベクターである。
【0080】
HMGBポリペプチド、HMGB AボックスおよびHMGB Bボックス
記載されたように、1つの態様において、本発明は、HMGBポリペプチドに結合する抗体またはその抗原結合断片である。
【0081】
本明細書中で用いる場合、「HMGBポリペプチド」は、(例えば、本明細書中に記載されたBLASTプログラムおよびパラメータを用いて決定された)配列番号1、配列番号18および配列番号74よりなる群より選択される配列に対して、少なくとも60%、より好ましくは、少なくとも70%、75%、80%、85%、または90%、最も好ましくは少なくとも95%配列同一性を有するポリペプチドである。1つの態様において、HMGBポリペプチドは、炎症を増大させ、および/または細胞からのプロ炎症性サイトカインの放出を増加させる。別の態様において、HMGBポリペプチドは前記生物学的活性の1つを有する。典型的に、HMGBポリペプチドは前記生物学的活性の双方を有する。
【0082】
用語「ポリペプチド」とはアミノ酸のポリマーをいい、特定の長さを言わない;かくして、ペプチド、オリゴペプチドおよびタンパク質はポリペプチドの定義内に含まれる。1つの態様において、HMGBポリペプチドは哺乳動物HMGBポリペプチド、例えば、哺乳動物HMGBポリペプチド(例えば、ヒトHMGB1ポリペプチド)である。別の態様において、HMGBポリペプチドは、本明細書中に記載されたBボックスDNA結合ドメインおよび/もしくはAボックスDNA結合ドメインおよび/または酸性カルボキシル末端を含有する。
【0083】
HMGBポリペプチドの他の例は、GenBank受託番号AAA64970、AAB08987、P07155、AAA20508、S29857、P09429、NP 002119、CAA31110、S02826、U00431、X67668、NP 005333、NM 016957、およびJ04179に記載されており、その全教示は本明細書中に参考として援用される。HMGBポリペプチドのさらなる例は、限定されるものではないが、哺乳動物HMG1(例えば、GenBank受託番号U51677に記載された(HMGB1))、HMG2(例えば、GenBank受託番号M83665に記載された(HMGB2))、HMG-2A(例えば、GenBank受託番号NM 005342およびNP 005333に記載された(HMGB3、HMG-4))、HMG14(例えば、GenBank受託番号P05114に記載)、HMG17(例えば、GenBank受託番号X13546に記載)、HMGI(例えば、GenBank受託番号L17131に記載)、およびHMGY(例えば、GenBank受託番号M23618に記載);非哺乳動物HMG T1(例えば、GenBank受託番号X02666に記載)およびHMG T2(例えば、GenBank受託番号L32859に記載)(ニジマス);HMG-X(例えば、GenBank受託番号D30765に記載)(カエル);HMG D(例えば、GenBank受託番号X71138に記載)およびHMG Z(例えばGenBank受託番号X71139に記載)(ハエ);NHP10タンパク質(HMGタンパク質ホモログNHP1)(例えば、GenBank受託番号Z48008に記載)(酵母);非ヒストン染色体タンパク質(例えば、GenBank受託番号O00479に記載)(酵母);HMG 1/2様タンパク質(例えば、GenBank受託番号Z11540に記載)(小麦、トウモロコシ、ダイズ);上流結合因子(UBF-1)(例えば、GenBank受託番号X53390に記載);PMS1タンパク質ホモログ1(例えば、GenBank受託番号U13695に記載);一本鎖認識タンパク質(SSRP,構造特異性認識タンパク質)(例えば、GenBank受託番号M86737に記載);HMGホモログTDP−1(例えば、GenBank受託番号M74017に記載);哺乳動物性決定領域Yタンパク質(SRY,精巣決定因子)(例えば、GenBank受託番号X53772に記載);真菌類タンパク質:mat-1(例えば、GenBank受託番号AB009451に記載)、ste11(例えば、GenBank受託番号X53431に記載)およびMc1;SOX14(例えば、GenBank受託番号AF107043に記載)(並びにSOX1(例えば、GenBank受託番号Y13436に記載)、SOX2(例えば、GenBank受託番号Z31560に記載)、SOX3(例えば、GenBank受託番号X71135に記載)、SOX6(例えば、GenBank受託番号AF309034に記載)、SOX8(例えば、GenBank受託番号AF226675に記載)、SOX10(例えば、GenBank受託番号AJ001183に記載)、SOX12(例えば、GenBank受託番号X73039に記載)およびSOX21(例えば、GenBank受託番号AF107044に記載));リンパ系特異性因子(LEF-1)(例えば、GenBank受託番号X58636に記載);T-細胞特異性転写因子(TCF-1)(例えば、GenBank受託番号X59869に記載);MTT1(例えば、GenBank受託番号M62810に記載);およびSP100-HMG核自己抗原(例えば、GenBank受託番号U36501に記載)を含む。
【0084】
HMGBタンパク質の他の例は、GenBank受託番号NG 000897(HMG1L10)(特に、NG 000897のヌクレオチド658〜1305による);AF076674(HMG1L1)(特に、AF076674のヌクレオチド1〜633による);AF076676(HMG1L4)(特に、AF076676のヌクレオチド1〜564による);AC010149(BACクローンRP11-395A23からのHMG配列)(特に、AC010149のヌクレオチド75503〜76117による);AF165168(HMG1L9)(特に、AF165168のヌクレオチド729〜968による);XM 063129(LOC122441)(特に、XM 063129のヌクレオチド319〜558による);XM 066789(LOC139603)(特に、XM 066789のヌクレオチド1〜258による);およびAF165167(HMG1L8)(特に、AF165167のヌクレオチド456〜666による)を有するHMGB核酸配列によってコードされるポリペプチドである。
【0085】
本発明の抗体および抗原結合断片はHMGBポリペプチド(例えば、前記リストのHMGBポリペプドの1つ以上)に結合する。1つの態様において、該抗体またはその抗原結合断片は脊椎動物HMGBポリペプチドに結合する。別の態様において、該抗体またはその抗原結合断片は哺乳動物HMGBポリペプチド(例えば、ラットHMGB、マウスHMGB、ヒトHMGB)に結合する。さらなる別の態様において、該抗体またはその抗原結合断片は哺乳動物HMGB1ポリペプチド(例えば、ラットHMGB1、マウスHMGB1、ヒトHMGB1)に結合する。特定の態様において、該抗体またはその抗原結合断片はヒトHMGB1ポリペプチド(例えば、配列番号1または配列番号74として示されたヒトHMGB1ポリペプチド)に結合する。
【0086】
本発明の組成物および方法はまた、高移動度グループB(HMGB)Aボックスに対する抗体を特徴とする。1つの態様において、該抗体またはその抗原結合断片はHMGB Aボックスに結合するが、HMGBの非Aボックスエピトープには特異的に結合しない。別の態様において、該抗体またはその抗原結合断片は脊椎動物HMGB Aボックスに結合するが、HMGBの非Aボックスエピトープには特異的に結合しない。別の態様において、該抗体またはその抗原結合断片は哺乳動物(例えば、ヒト、ラット、マウス)HMGB Aボックスに結合するが、HMGBの非Aボックスエピトープには特異的に結合しない。さらなる別の態様において、該抗体またはその抗原結合断片はHMGB1ポリペプチド(例えば、哺乳動物HMGB1ポリペプチド(例えば、ヒトHMGB1、ラットHMGB1、マウスHMGB1))のAボックスに結合するが、HMGB1の非Aボックスエピトープには特異的に結合しない。
【0087】
本明細書中で用いる場合、ここでは「Aボックス」または「HMG Aボックス」ともいう「HMGB Aボックス」は、HMGB Aボックス(例えば、本明細書中に記載するHMGB Aボックス)に対して少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%または95%配列同一性を有するタンパク質またはポリペプチドである。1つの態様において、HMGB Aボックスは以下の生物学的活性:HMGBによって媒介される炎症の阻害および/または細胞からのプロ炎症性サイトカインの放出の阻害の1つ以上を有する(例えば、PCT公開第WO 02/092004号参照;その全教示を本明細書中に参考として援用する)。1つの態様において、HMGB Aボックスポリペプチドは前記生物学的活性の1つを有する。典型的には、HMGB Aボックスポリペプチドは前記生物学的活性の双方を有する。1つの態様において、Aボックスは図2A(配列番号2の残基9〜85)または図31B(配列番号75)に示したAボックスに対して少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%または95%配列同一性を有する。別の態様において、該Aボックスは哺乳動物におけるHMGBタンパク質の対応する領域におけるアミノ酸配列を含むか、またはそれよりなる。HMGB Aボックスはまた、本明細書中に記載されたAボックス配列と同一のアミノ酸配列を有する組換えにより生じたポリペプチドである。HMGB Aボックスは、好ましくは、脊椎動物HMGB Aボックス、例えば、哺乳動物HMGB Aボックス、より好ましくは、哺乳動物HMGB1 Aボックス、例えば、ヒトHMGB1 Aボックス、最も好ましくは、図2A(配列番号2の残基9〜85)または図31B(配列番号75)に示されたAボックスの配列を含むか、またはそれよりなるHMGB1 Aボックスである。
【0088】
HMGB Aボックスは、多くの場合、約85以下のアミノ酸かつ約4以上のアミノ酸を有する。他の態様において、HMGB Aボックスは10〜85アミノ酸、20〜85アミノ酸、30〜85アミノ酸または40〜85アミノ酸を含み得る。内部にAボックス配列を有するポリペプチドの例は、限定されるものではないが、前記したHMGBポリペプチドを含む。かかるHMGBポリペプチド内のAボックス配列は、本明細書中に記載された方法を用いて、例えば、本明細書中に記載したAボックスに対する配列比較、および本明細書中に記載した方法ならびに/または当該分野で公知の他の方法を用いた生物学的活性についての試験によって決定され得、単離され得る。
【0089】
HMGB Aボックスポリペプチド配列のさらなる例は以下の配列:PDASVNFSEF SKKCSERWKT MSAKEKGKFE DMAKADKARY EREMKTYIPP KGET(ヒトHMGB1;配列番号55);DSSVNFAEF SKKCSERWKT MSAKEKSKFE DMAKSDKARY DREMKNYVPP KGDK(ヒトHMGB2;配列番号56);PEVPVNFAEF SKKCSERWKT VSGKEKSKFD EMAKADKVRY DREMKDYGPA KGGK(ヒトHMGB3;配列番号57);PDASVNFSEF SKKCSERWKT MSAKEKGKFE DMAKADKARY EREMKTYIPP KGET(HMG1L10;配列番号58);SDASVNFSEF SNKCSERWK MSAKEKGKFE DMAKADKTHY ERQMKTYIPP KGET(HMG1L1;配列番号59);PDASVNFSEF SKKCSERWKA MSAKDKGKFE DMAKVDKADY EREMKTYIPP KGET(HMG1L4;配列番号60);PDASVKFSEF LKKCSETWKT IFAKEKGKFE DMAKADKAHY EREMKTYIPP KGEK(BACクローンRP11-395A23からのHMG配列;配列番号61);PDASINFSEF SQKCPETWKT TIAKEKGKFE DMAKADKAHY EREMKTYIPP KGET(HMG1L9;配列番号62);PDASVNSSEF SKKCSERWKTMPTKQGKFE DMAKADRAH(HMG1L8;配列番号63);PDASVNFSEF SKKCLVRGKT MSAKEKGQFE AMARADKARY EREMKTYIP PKGET(LOC122441;配列番号64);LDASVSFSEF SNKCSERWKT MSVKEKGKFE DMAKADKACY EREMKIYPYL KGRQ(LOC139603;配列番号65);およびGKGDPKKPRG KMSSYAFFVQ TCREEHKKKH PDASVNFSEF SKKCSERWKT MSAKEKGKFE DMAKADKARY EREMKTYIPP KGET(ヒトHMGB1 Aボックス;配列番号66)を含む。
【0090】
また、本発明の組成物および方法は高移動度グループB(HMGB)Bボックスに対する抗体を特徴とする。1つの態様において、該抗体またはその抗原結合断片はHMGB Bボックスに結合するが、HMGBの非Bボックスエピトープに特異的に結合しない。別の態様において、該抗体またはその抗原結合断片は脊椎動物HMGB Bボックスに結合するが、HMGBの非Bボックスエピトープに特異的に結合しない。別の態様において、該抗体またはその抗原結合断片は哺乳動物(例えば、ヒト、ラット、マウス)HMGB Bボックスに結合するが、HMGBの非Bボックスエピトープに特異的に結合しない。さらなる別の態様において、該抗体またはその抗原結合断片はHMGB1ポリペプチド(例えば、哺乳動物HMGB1ポリペプチド(例えば、ヒトHMGB1、ラットHMGB1、マウスHMGB1))のBボックスに結合するが、HMGB1の非Bボックスエピトープには特異的に結合しない。
【0091】
本明細書中で用いる場合、ここでは「Bボックス」または「HMG Bボックス」ともいう「HMGB Bボックス」は、HMGB1ポリペプチド(例えば、本明細書中に記載されたHMGB Bボックス)に対して少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%配列同一性を有するポリペプチドである。1つの態様において、HMGB1ボックスは、以下の生物学的活性:炎症の増大および/または細胞からのプロ炎症性サイトカインの放出の増加の1つ以上を有する(例えば、PCT公開第WO 02/092004号参照)。1つの態様において、HMGB Bボックスポリペプチドは前記生物学的活性の1つを有する。典型的に、HMGB Bボックスポリペプチドは前記生物学的活性の双方を有する。1つの態様において、HMGB Bボックスは図2B(配列番号3)または図31C(配列番号76)に示されたBボックスに対して少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%または95%配列同一性を有する。別の態様において、該Bボックスは哺乳動物におけるHMGBタンパク質の対応する領域におけるアミノ酸配列を含むか、またはそれよりなる。HMGB Bボックスはまた、本明細書中に記載されたBボックス配列と同一のアミノ酸配列を有する組換えにより生じたポリペプチドである。HMGB Bボックスは、好ましくは、脊椎動物HMGB Bボックス、例えば、哺乳動物HMGB Bボックス、より好ましくは哺乳動物HMGB 1 Bボックス、例えば、ヒトHMGB1 Bボックス、最も好ましくは、図2B(配列番号3)もしくは図31C(配列番号76)に示されたBボックスの配列を含むか、またはそれよりなるHMGB1 Bボックスである。
【0092】
HMGB Bボックスは、多くの場合、約85以下のアミノ酸かつ約4以上のアミノ酸を有する。内部にBボックス配列を有するポリペプチドの例は、限定されるものではないが、前記したHMGBポリペプチドを含む。かかるポリペプチド内のBボックス配列は、本明細書中に記載された方法を用いて、例えば、本明細書中に記載されたBボックスに対する配列比較、および生物学的活性についての試験によって決定され得、単離され得る。
【0093】
さらなるHMGB Bボックスポリペプチド配列の例は、以下の配列:FKDPNAPKRP PSAFFLFCSE YRPKIKGEHP GLSIGDVAKK LGEMWNNTAA DDKQPYEKKA AKLKEKYEKD IAAY(ヒトHMGB1;配列番号67);KKDPNAPKRP PSAFFLFCSE HRPKIKSEHP GLSIGDTAKK LGEMWSEQSA KDKQPYEQKA AKLKEKYEKD IAAY(ヒトHMGB2;配列番号68);FKDPNAPKRL PSAFFLFCSE YRPKIKGEHP GLSIGDVAKK LGEMWNNTAA DDKQPYEKKA AKLKEKYEKD IAAY(HMG1L10;配列番号69);FKDPNAPKRP PSAFFLFCSE YHPKIKGEHP GLSIGDVAKK LGEMWNNTAA DDKQPGEKKA AKLKEKYEKD IAAY (HMG1L1;配列番号70);FKDSNAPKRP PSAFLLFCSE YCPKIKGEHP GLPISDVAKK LVEMWNNTFA DDKQLCEKKA AKLKEKYKKD TATY(HMG1L4;配列番号71);FKDPNAPKRP PSAFFLFCSE YRPKIKGEHP GLSIGDVVKK LAGMWNNTAA ADKQFYEKKA AKLKEKYKKD IAAY(BACクローンRP11-359A23からのHMG配列;配列番号72);およびFKDPNAPKRP PSAFFLFCSE YRPKIKGEHP GLSIGDVAKK LGEMWNNTAA DDKQPYEKKA AKLKEKYEKD IAAYRAKGKP DAAKKGVVKA EK(ヒトHMGB1ボックス:配列番号73)を含む。
【0094】
本明細書中に記載されたように、HMGBポリペプチド、HMGB Aボックス、およびHMGB Bボックスは、天然由来かまたは非天然由来のどちらかであり、本明細書中に記載した、HMGBポリペプチド、HMGB Aボックスおよび/またはHMGB Bボックスに対する配列同一性を有するポリペプチドを包含する。本明細書中で用いる場合、2つのポリペプチド(または該ポリペプチドの領域)は、アミノ酸配列が少なくとも約60%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%以上相同または同一である場合に実質的に相同または同一である。2つのアミノ酸配列(または2つの核酸配列)のパーセント同一性は、最適な比較目的のために配列を整列されることによって決定され得る(例えば、ギャップを第一配列の配列中に導入し得る)。次いで、対応する位置におけるアミノ酸またはヌクレオチドを比較し、2つの配列の間のパーセント同一性は、配列によって共有される同一の位置の数の関数となる(すなわち、%同一性=同一な位置の数/位置の合計数×100)。ある態様において、比較目的で整列させた、HMGBポリペプチド、HMGB Aボックスポリペプチド、またはHMGB Bボックスポリペプチドの長さは、参照配列、例えば、HMGBポリペプチド(例えば、配列番号1;配列番号18、配列番号74)、HMGB Aボックスポリペプチド(例えば、配列番号2の残基9〜85、配列番号75)またはHMGB Bボックスポリペプチド(例えば、配列番号3、配列番号76)に対応する本明細書中に記載された配列の長さの少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも60%、なおより好ましくは少なくとも70%、80%、90%または100%である。2つの配列の実際の比較は、例えば、数学的アルゴリズムを用いた周知の方法によって達成され得る。かかる数学的アルゴリズムの好ましい非限定的例はKarlinらに記載されている(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:5873-5877(1993))。かかるアルゴリズムはSchafferら(Nucleic Acids Res.,29:2994-3005(2001))に記載されたBLASTNおよびBLASTXプログラム(バージョン2.2)に取り込まれる。BLASTおよびギャップトBLASTプログラムを利用する場合、各プログラム(例えば、BLASTN;National Center for Biotechnology Informationのインターネットサイトで利用可能)のデフォルトパラメーターが用いられ得る。1つの態様において、検索されたデータベースは非冗長(NR)データベースであり、配列比較用のパラメータは:フィルター無し;10の期待値;3のワードサイズ;マトリックスはBLOSUM62である;およびギャップコストは11の存在および1の延長を有する;に設定し得る。
【0095】
配列の比較で利用される数学的アルゴリズムの別の非限定的例はMyersおよびMiller, CABIOS(1989)のアルゴリズムである。かかるアルゴリズムはALIGNプログラム(バージョン2.0)に取り込まれ、GCG(Accelrys, San Diego, California)配列アラインメントソフトフェアパッケージの一部となる。アミノ酸配列を比較するためにALIGNプログラムを利用する場合、PAM120重量残基表、12のギャップ長さペナルティ、および4のギャップペナルティが用いられ得る。配列解析用のさらなるアルゴリズムは当該分野で公知であり、TorellisおよびRobottiに記載されたADVANCEおよびADAM(Comput. Appl.Biosci.,10:3-5,1994);ならびにPearsonおよびLipmanに記載されたFASTA(Proc.Natl.Acad.Sci USA, 85:2444-2448,1988)を含む。
【0096】
別の態様において、2つのアミノ酸配列の間のパーセント同一性は、Blossom63マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれか、および12、10、8、6または4のギャップ重量、ならびに2、3または4の長さ重量を用いたGCGソフトウェアパッケージ(Accelrys, San Diego,California)におけるGAPプログラムを用いて達成し得る。さらなる別の態様において、2つの核酸配列の間のパーセント同一性は、50のギャップ重量および3の長さ重量を用いた、GCGソフトウェアパッケージ(Accelrys, San Diego, California)におけるGAPプログラムを用いて達成し得る。
【0097】
プロ炎症性サイトカインの放出の阻害および処置方法
1つの態様において、本発明は哺乳動物細胞からのプロ炎症性サイトカインの放出を阻害する方法である。1つの態様において、該方法は本発明の抗体または抗原結合断片で細胞を処置することを含む。適切な抗体または抗原結合断片は本明細書中に記載されたものであり、例えば、6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAb、2E11 HMGB1 mAb、 6E6 HMGB1 mAb、 6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、 10D4 HMGB1 mAbおよび/または2E11 HMGB1 mAbのエピトープ特異性を有する抗体、脊椎動物高移動度グループボックス(HMGB)ポリペプチドに対する結合につき6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAbおよび/または2E11 HMGB1 mAbと競合し得る抗体、ならびに前記のいずれかの抗原結合断片を含む。
【0098】
本明細書中で用いる場合、「サイトカイン」は哺乳動物細胞によって天然に産生され、免疫反応を調節し、細胞−細胞相互作用を媒介する可溶性タンパク質またはペプチドである。サイトカインは、正常または病理学的状態のいずれかの下で、個々の細胞および組織の機能的活性を調整する。プロ炎症性サイトカインは炎症または炎症性状態に関連する以下の生理学的反応:血管拡張、充血、浮腫に関連する血管の増大した透過性、顆粒球および一核食細胞の蓄積、およびフィブリンの沈着の1つ以上の原因となり得るサイトカインである。いくつかの場合において、プロ炎症性サイトカインはアポトーシスの原因にもなり得る。例えば、慢性心不全において、TNFは心筋細胞アポトーシスを刺激することが示されている(Pulkki,Ann.Med.29:339-343(1997);およびTsutsui,ら, Immunol.Rev.174:192-209(2000))。プロ炎症性サイトカインの非限定的例は腫瘍壊死因子(TNF)、インターロイキン(IL)-1α、IL-1β、IL-6、IL-8、IL-18、インターフェロンγ、HMG-1、血小板活性化因子(PAF)、およびマクロファージ遊走阻止因子(MIF)である。
【0099】
別の態様において、本発明は被験体における状態の処置方法であり、ここで該状態は、本発明の抗体または抗原結合断片を被験体に投与することを含む炎症性サイトカインカスケードの活性化によって特徴付けられる。適切な抗体または抗原結合断片は本明細書中に記載されたものであり、例えば、6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAb、2E11 HMGB1 mAb、6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAb、および/または2E11 HMGB1 mAbのエピトープ特異性を有する抗体、脊椎動物高移動度グループボックス(HMGB)ポリペプチドに対する結合につき6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAbおよび/または2E11 HMGB1 mAbと競合し得る抗体、ならびに前記のいずれかの抗原結合断片を含む。
【0100】
1つの態様において、該処置方法は、本発明の抗体または抗原結合断片の有効量を被験体に投与することを含む。本明細書中で用いる場合、「有効量」または「治療有効量」は、炎症反応を妨げるか、もしくは減少させ、および/または炎症反応に関連する症状の長さを軽減しおよび/もしくは減少させるのに十分な量である。特定の状態の処置、予防または治療技術において効果のある本発明の組成物の量は、例えば、本明細書で開示したおよび/または当業者に公知の動物モデル等の動物モデルに組成物を投与することによって決定し得る。さらにインビトロアッセイを、最適用量範囲の同定のために任意に使用し得る。
【0101】
好ましい有効用量の選択を、当業者に公知であるいくつかの因子の考慮に基づいて、当業者が(例えば、臨床試験を介して)決定し得る。かかる因子は、例えば、処置される状態または複数の状態、被験体の症状の重篤度、投与される抗体または抗原結合断片の選択、被験体の年齢、被験体の体重、被験体の免疫現状、個々の被験体の反応、および投与される医薬組成物の精度を反映するための当業者に公知の他の因子を含む。
【0102】
製剤に使用される正確な用量は、投与の経路、および状態の重症度にも依存するので、実行者および各被験体の状況の判断に従って決定されるべきある。有効用量は、インビトロまたは動物モデル試験系に由来する用量応答曲線から推定され得る。例えば、本明細書中で例示するように、インビボ盲腸結紮および穿刺(CLP)アッセイを用いて、(1マウスあたり1μg、1マウスあたり10μgまたは1マウスあたり100μgの用量で)抗HMGB1モノクローナル抗体6E6 HMGB1 mAbにおける用量応答アッセイを行った(図16)。
【0103】
抗体について、被験体(例えば、ヒト患者)に投与される用量は、典型的に、被験体の体重1kgにつき0.1mg〜100mgである。好ましくは、被験体に投与される用量は被験体の体重1kgにつき0.1mgおよび20mgの間、より好ましくは被験体の体重1kgにつき1mg〜10mgである。本発明のある態様において、用量は被験体の体重1kgにつき少なくとも1mg、または少なくとも5mg、または少なくとも10mg、または少なくとも50mg、または少なくとも100mg、または少なくとも150mgである。一般にヒトおよびヒト化抗体は、異種ポリペプチドに対する免疫反応のため、他の種からの抗体よりも人体内でより長い半減期を有する。かくして、ヒト抗体のより低い用量およびより低い頻度の投与が多くの場合可能である。例えば、毎日、1週間、2週間、または1ヶ月に投与される抗体の有効量は、被験体の体重1kgにつき約0.01mg〜約5または10mgの範囲となり得る。
【0104】
抗体または抗原結合断片が炎症性状態を阻害するか否かを決定する方法は当業者において公知である。例えば、細胞からのプロ炎症性サイトカインの放出の阻害は当業者に公知の方法に従って測定され得る。例えば、本明細書中に記載し、例示したように、細胞からのTNF放出は、30pg/mlの最小検出可能濃度にて、標準的なマウス線維芽細胞L929(ATCC, American Type Culture Collection, Rockville, Maryland)細胞傷害性バイオアッセイ(Bianchiら, Journal of Experimental Medicine 183:927-936(1996))を用いて測定され得る。L929細胞傷害性バイオアッセイは以下のように行われる。RAW 264.7細胞を、10%胎児ウシ血清(Gemini, Catabasas, California)、およびペニシリンならびにストレプトマイシン(Life Technologies)を補足したRPMI 1640培地(Life Technologies, Grand Island, New York)中で培養する。ポリミキシン(Sigma, St.Louis, Missouri)を100単位/mlで加え、任意の汚染性LPSの活性を抑制する。細胞をOpti-MEM I培地中で8時間、本明細書中に記載された抗体と共にインキュベートし、(細胞から放出されたTNFを含有する)条件付の上清を収集する。細胞から放出されたTNFは、30pg/mlの最小検出可能濃度にて、標準的マウス線維芽細胞L929(ATCC)細胞傷害性バイオアッセイ(Bianchiら,前掲)によって測定される。組換えマウスTNFはR & D Systems Inc.(Minneapolis, Minnesota)から入手され得、これらの実験において対照として用いられ得る。細胞からの他のサイトカインの放出を測定する方法もまた当該分野で公知である。
【0105】
本明細書中に記載された処置方法に適した炎症性状態は、炎症性サイトカインカスケードが活性化されるものであり得る。1つの態様において、炎症性サイトカインカスケードはエンドトキシンショック等の全身反応を引き起こす。別の態様において、炎症性状態は、慢性関節リウマチにおけるように、局所化された炎症性サイトカインカスケードによって媒介される。本発明の抗体および抗原結合断片を用いて有用に処置し得る炎症性状態の非限定的例としては、例えば、(腸閉塞、虫垂炎、消化性、胃および十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵臓炎、潰瘍性、偽膜性、急性および虚血性結腸炎、憩室炎、咽頭蓋炎、アカラシア、胆管炎、胆嚢炎、セリアック病、肝炎、クローン病、腸炎、およびホウィップル病等の)胃腸管および関連組織に関する疾患;(喘息、アレルギー、アナフィラキシーショック、免疫複合体病、器官虚血症(organ ischemia)、再灌流障害、器管壊死(organ necrosis)、枯草熱、敗血症(sepsis)、敗血症(septicemia)、エンドトキシンショック、悪液質、超高熱、好酸球性肉芽腫、肉芽腫症、およびサルコイドーシス等の)全身性または局所的炎症性疾患および状態;(敗血性流産、精巣上体炎、膣炎、前立腺炎、および尿道炎等の)尿生殖系および関連組織に関する疾患;(気管支炎、気腫、鼻炎、嚢胞性線維症、肺炎、成人呼吸窮迫症候群、塵肺症、肺胞炎(alvealitis)、細気管支炎、咽頭炎、胸膜炎、および静脈洞炎等の)呼吸器系および関連組織に関する疾患;(インフルエンザ、RSウイルス、HIV、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスおよびヘルペス等の)種々のウイルス感染から発生する疾患、(播種性菌血症、デング熱等の)細菌、(カンジダ症等の)真菌、ならびに(マラリア、フィラリア症、アメーバ症、および包虫等の)原生動物および多細胞寄生虫;(火傷、皮膚炎、皮膚筋炎、日焼け、蕁麻疹いぼ、および膨疹等の)皮膚科学的疾患および皮膚の状態;(狭窄症、再狭窄症、脈管炎(vasulitis)、血管炎、心内膜炎、動脈炎、アテローム性動脈硬化症、血栓性静脈炎、心膜炎、うっ血性心不全、心筋炎、心筋虚血症、結節性動脈周囲炎およびリウマチ熱等の)心血管系および関連組織に関する疾患;(アルツハイマー病、髄膜炎、脳炎、多発性硬化症、脳梗塞、脳塞栓症、ギアン・バレー症候群、神経炎、神経痛、脊髄損傷、麻痺およびブドウ膜炎等の)中枢または末梢神経系および関連組織に関する疾患;(種々の関節炎および関節痛、骨髄炎、筋膜炎、パジェット病、痛風、歯周疾患、慢性関節リウマチおよび滑膜炎等の)骨、関節、筋肉および結合組織の疾患;(重症筋無力症、甲状腺炎(thryoiditis)、全身性エリテマトーデス、グッドパスチャー症候群、ベーチェット症候群、同種移植拒絶、対宿主性移植片病、I型糖尿病、強直性脊椎炎、バージャー病、およびライター症候群(Retier’s syndrome)等の)他の自己免疫および炎症性疾患;ならびに(ホジキン病のような)種々の癌、腫瘍および増殖性障害;および、いずれの場合における、任意の原発性疾患に対する炎症性または免疫性の宿主の反応が挙げられる。
【0106】
1つの態様において、該状態は敗血症、同種移植拒絶、関節炎(例えば、慢性関節リウマチ)、喘息、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、狼瘡、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、乾癬、膵臓炎、腹膜炎、火傷、心筋虚血症、器官虚血症、再灌流虚血症、ベーチェット病、対宿主性移植片病、クローン病、潰瘍性結腸炎、腸閉塞、多発性硬化症および悪液質よりなる群から選択される。別の態様において、該状態は敗血症、関節炎(例えば、慢性関節リウマチ)、喘息、狼瘡、乾癬、炎症性腸疾患およびクローン病よりなる群から選択される。
【0107】
好ましくは、抗体および抗原結合断片は、それを必要とする患者に細胞からのプロ炎症性サイトカインの放出を阻害し、および/または炎症性状態を処置するのに十分な量にて投与される。1つの態様において、プロ炎症性サイトカインの放出は、本明細書中に記載された方法または当該分野で公知の他の方法を用いて評価して、少なくとも10%、20%、25%、50%、75%、80%、90%または95%阻害される。
【0108】
本明細書中で用いる場合、用語「治療」、「治療的」および「処置」とは、疾患または状態、例えば、炎症性疾患または炎症性状態に関連する症状を改善することをいい、疾患症状を妨げ、もしくはその開始を遅らせる、および/または疾患もしくは状態の症状の重篤度もしくは頻度を低下させることを含む。本明細書中において、用語「被験体」および「個体」は、限定されるものではないが、霊長類、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット、ラット、マウスまたは他のウシ亜科、ヒツジ、ウマ科、イヌ科、ネコ科、げっ歯類、またはマウス種を含む哺乳動物等の動物を含むよう定義される。1つの態様において、動物はヒトである。
【0109】
1つの態様において、本発明の抗体および抗原結合断片と共に賦形剤を含み得る。賦形剤は治療適用における抗体または抗原結合断片の投与の予測される経路に基づいて選択され得る。組成物の投与経路は処置される状態に依存する。例えば、静脈内注射はエンドトキシンショック等の全身障害の処置で好ましくあり得、また経口投与は胃潰瘍等の胃腸障害の処置で好ましくあり得る。前記したように、投与される抗体または抗原結合断片の用量は、標準的な用量応答実験と関連する必要以上の実験なしで当業者によって決定され得る。状態に応じて、抗体または抗原結合断片を患者に経口、非経口、鼻腔内、膣内、直腸、舌、舌下、口腔内(buccal)、口内(intrabuccal)および経皮投与し得る。
【0110】
従って、経口、舌、舌下、口腔内および口内投与用に設計された抗体または抗原結合断片は、例えば、不活性な希釈剤および/または可食性担体と共に、当該野で周知の手段によって必要以上の実験なしで作成され得る。抗体または抗原結合断片はゼラチンカプセル中に包み込められ得るか、または圧縮して錠剤となり得る。経口治療投与の目的のために、本発明の抗体または抗原結合断片は賦形剤に一体化させられ得、錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ剤、ウエハー剤、チューインガム等の形態で用いられ得る。
【0111】
錠剤、丸剤、カプセル、トローチ等はまた、結合剤、受容器、崩壊剤、潤滑剤、甘味剤、および矯味矯臭剤を含有し得る。結合剤の一例としては微結晶性セルロース、トラガカントガム、およびゼラチンが挙げられる。賦形剤の例としてはデンプンおよびラクトースが挙げられる。崩壊剤の一例としてはアルギン酸、コーンスターチ等が挙げられる。滑沢剤の例としてはステアリン酸マグネシウム、およびステアリン酸カリウムが挙げられる。流動促進剤の例はコロイド二酸化ケイ素である。甘味剤の一例としてはショ糖、サッカリン等が挙げられる。矯味矯臭剤の例としてはペパーミント、サリチル酸メチル、オレンジフレーバー等が挙げられる。これらの種々の組成物を調製するのに用いられる物質は、用いられる量において薬学的に純粋かつ非毒性であるべきである。
【0112】
本発明の抗体および抗原結合断片は、例えば、静脈内、筋肉内、クモ膜下または皮下注射等によって、非経口的に投与され得る。非経口投与は、本発明の抗体および抗原結合断片を溶液または懸濁液に配合することによって達成され得る。かかる溶液または懸濁液は注射用水、生理食塩水、静菌食塩水(約0.9%mg/mlのベンジルアルコールを含有する食塩水)、リン酸緩衝化食塩水(ここではPBSという)、ハンクス溶液、リンゲル溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、および他の合成溶媒等の滅菌希釈剤を含み得る。非経口製剤はまた抗菌剤(例えば、ベンジルアルコール、メチルパラベン)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、二亜硫酸ナトリウム)、およびキレート剤(例えば、EDTA)を含み得る。酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩等の緩衝液、ならびに塩化ナトリウムおよびデキストロース等の緊張を調整するための薬剤もまた添加し得る。非経口調製物はアンプル、使い捨て注射器またはガラスもしくはプラスチックでできた複数用量バイアルに入れられ得る。
【0113】
直腸投与は、直腸または大腸への抗体および抗原結合断片の投与を含む。これは坐薬または浣腸を用いることによって達成され得る。坐薬製剤は当該分野で公知の方法によって作成され得る。例えば、坐薬製剤はグリセリンを約120℃まで加熱し、抗体または抗原結合断片をグリセリンに溶解させ、加熱したグリセリンを混合し、その後精製水が加えられ得、熱い混合物を坐薬鋳型に注ぐことによって調製され得る。
【0114】
経皮投与は、抗体または抗原結合断片の皮膚を通しての経皮吸収を含む。経皮製剤はパッチ、軟膏、クリーム、ゲル、膏薬等を含む。
【0115】
本発明の抗体および抗原結合断片は、被験体に対し鼻腔投与され得る。本明細書中で用いる場合、鼻腔的に投与することまたは鼻腔投与は、抗体または抗原結合断片を被験体の鼻道または鼻腔の粘膜へ投与することを含む。抗体または抗原結合断片の鼻腔投与用の医薬組成物は、治療上有効量の抗体または抗原結合断片を含む。鼻腔投与の周知の方法として、例えば、鼻腔スプレー、点鼻剤、懸濁液、ゲル、軟膏、クリームまたは粉末が挙げられる。抗体または抗原結合断片の投与にはまた、鼻腔タンポンまたは鼻腔スポンジが用いられ得る。
【0116】
前記したように、例えば、経口、ダイエット、局所、経皮、直腸、非経口(例えば、静脈内、動脈内、筋肉内、皮下、皮内注射)、および吸入(例えば、気管支内、鼻腔内、経口吸入、鼻腔内点剤)を含めた種々の投与経路が可能である。投与は、示されたように局所的または全身性であり得る。好ましい投与様式は、投与される抗体または抗原結合断片、および処置を受ける特定の状態(例えば、疾患)に応じて変化し得るが、経口または非経口が一般的には好ましい。
【0117】
所望により、本明細書中に記載された抗体または抗原結合断片は1つ以上のさらなる薬剤(例えば、炎症性状態を処置するのに用いられる薬剤)と共に投与され得る。抗体もしくはその抗原結合断片およびさらなる薬剤(単数か複数)は、単一組成物に存在し得るか、または別々の組成物として投与され得る。別々の組成物として投与する場合、抗体もしくはその抗原結合断片およびさらなる薬剤(単数か複数)は同時投与され得るか、または別々に投与され得る。
【0118】
1つの態様において、本発明の抗体または抗原結合断片は抗炎症性剤と共に投与される。かかる薬剤は当業者に公知である。1つの態様において、該薬剤は初期敗血症メディエイタのアンタゴニストである。本明細書中で用いる場合、初期敗血症メディエイタは、炎症性サイトカインカスケードが誘導(例えば、LPSへの暴露)された後すぐに(すなわち、30〜60分以内に)細胞から放出されるプロ炎症性サイトカインである。これらのサイトカインの非限定的例はIL-1α、IL-1β、IL-6、PAFおよびMIFである。また、初期敗血症メディエイタとして、これらのサイトカインに対する受容体(例えば、腫瘍壊死因子受容体1型)、およびこれらのサイトカインを生じるのに必要な酵素、例えば、インターロイキン−1β変換酵素が含まれる。現在公知であるか、または後に発見される、任意の初期敗血症メディエイタのアンタゴニストは、炎症性サイトカインカスケードをさらに阻害することでこれらの態様において有用であり得る。
【0119】
初期敗血症メディエイタのアンタゴニストの非限定的例は、初期敗血症メディエイタのmRNAに結合しその発現を妨げるアンチセンス化合物(例えば、Ojwangら, Biochemistry 36:6033-6045(1997);Pampferら, Biol. Reprod. 52:1316-1326(1995);米国特許第6,228,642号;Yahataら, Antisense Nucleic Acid Drug Dev.6:55-61(1996);およびTaylorら, Antisense Nucleic Acid Drug Dev.8:199-205(1998)参照)、初期敗血症メディエイタのmRNAを特異的に切断するリボザイム(例えば、Leavittら, Antisense Nucleic Acid Drug Dev. 10:409-414(2000);Kisichら, J. Immunol. 163(4):2008-2016(1999);およびHendrixら, Biochem. J. 314(Pt.2):655-661(1996)参照)、および初期敗血症メディエイタに結合し、それらの作用を阻害する抗体(例えば、KamおよびTargan, Expert Opin. Pharmacother. 1:615-622(2000); Nagahiraら, J. Immunol. Methods 222:83-92(1999); Lavineら, J. Cereb. Blood Flow Metab. 18:52-58(1998);ならびにHolmesら, Hybridoma 19:363-367(2000)参照)である。現在公知であるか、または後に発見される初期敗血症メディエイタのアンタゴニストは、本発明の範囲内と考えられる。当業者であれば、決まりきった手順での用量応答実験にて、必要以上の実験なしでいずれかの特定の炎症性サイトカインカスケードを阻害するために用いる初期敗血症メディエイタの量を決定し得る。
【0120】
本発明の抗体および抗原結合断片と共に投与し得る他の薬剤は、例えば、VitaxinTMおよび他の抗体標的化αvβ3インテグリン(例えば、米国特許第5,753,230号、PCT公開第WO 00/78815号および同第WO 02/070007号参照;その全教示の全てを本明細書中に参考として援用する)、ならびに抗IL-9抗体(例えば、PCT公開第WO 97/08321号参照;その全教示を本明細書中に参考として援用する)を含む。
【0121】
1つの態様において、本発明の抗体および抗原結合断片はTNF生物学的活性の阻害剤、例えば、TNFα生物学的活性の阻害剤と共に投与される。かかるTNF活性の阻害剤は、例えば、ペプチド、タンパク質、合成分子、例えば、合成有機分子、天然由来分子、例えば、天然由来有機分子、核酸分子、およびそれらの成分を含む。TNF生物学的活性を阻害する薬剤の好ましい例は、インフリキシマブ(Remicade;Centocor, Inc., Malvern, Pennsylvania)、エタネルセプト(Immunex; Seattle, Washington)、アダリムマブ(D2E7; Abbot Laboratories, Abbot Park Illinois)、CDP870(Pharmacia Corporation; Bridgewater, New Jersey)、CDP571(Celltech Group plc, United Kingdom)、レネルセプト(Lenercept)(Roche, Switzerland)、およびサリドマイドを含む。
【0122】
ある態様において、本発明は、薬学的に許容され得る賦形剤中の、本明細書中に記載された抗体または抗原結合断片を含む組成物に指向される。前記したように、これらの組成物中に抗体または抗原結合断片と共に含まれる賦形剤は、組成物の投与の予期される経路に基づいて選択される。適切な薬学的に許容され得る賦形剤は前記したものを含み、当業者において公知である。
【0123】
1つの態様において、本発明はHMGBのアプタマー(例えば、HMGB1のアプタマー)に指向される。当該分野で公知のように、アプタマーは特定の分子標的(例えば、本明細書中に記載されたHMGBタンパク質、HMGBボックス(例えば、HMGB Aボックス、HMGB Bボックス)、HMGBポリペプチドおよび/またはHMGBエピトープ)に密接に結合する核酸(例えば、RNA、DNA)から構成されるマクロ分子である。特定のアプタマーは線状ヌクレオチド配列によって記載され得、典型的には長さが約15〜60ヌクレオチドである。アプタマーにおけるヌクレオチド鎖は複雑な三次元形状に分子を折り畳む分子内相互作用を形成し、この三次元形状によってアプタマーがその標的分子の表面に密接に結合することを可能とする。全ての可能なヌクレオチド配列の範囲内に存在する分子形状の異常な多様性を考慮して、タンパク質および小分子を含めた広いアレイの分子標的につきアプタマーが得られ得る。高度の特異性に加え、アプタマーはその標的に対して非常に高い親和性(例えば、タンパク質に対してピコモル〜低いナノモルの範囲における親和性)を有する。アプタマーは化学的に安定であって、活性度を失うことなく沸騰または凍結され得る。それらは合成分子であるので、種々の修飾に使用でき、これにより特定の適用に対するその機能を最適化し得る。例えば、アプタマーを修飾してインビボ適用で使用される血液中の酵素による分解に対し、その感性度を劇的に低下させ得る。さらに、アプタマーを修飾して、それらの生体内分布または血漿滞留時間を変更し得る。
【0124】
HMGBまたはその断片(例えば、HMGB1またはその断片)に結合することができるアプタマーの選択は、当該分野で公知の方法を介して達成することができる。例えば、アプタマーはSELEX(Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment(指数関数的豊富化によるリガンドの系統的進化))方法(Tuerk, C.およびGold, L., Science 249:505-510(1990))を用いて選択することができる。SELEX方法において、核酸分子(例えば、1015の異なる分子)の大きなライブラリーを生産し、および/または標的分子(例えば、HMGBタンパク質、HMGBボックス(例えば、HMFB Aボックス、HMGB Bボックス)、本明細書中に記載されたHMGBポリペプチドおよび/またはHMGBエピトープ)でスクリーニングされる。標的分子はヌクレオチド配列のライブラリーと共に一定時間インキュベートされる。次いで、当該分野で公知のいくつかの方法を用いて、捨てることができる、混合物中の未結合分子からのアプタマー標的分子を物理的に単離することができる。次いで、標的分子に対して最高の親和性を持つアプタマーを標的分子から精製することができ、酵素的に増幅させて、分子の新しいライブラリーを生産することができ、これは、標的分子に結合することができるアプタマーについて実質的に豊富化されている。次いで、豊富化されたライブラリーを用いて選択、分配、および増幅の新しいサイクルを開始させることができる。この反復的選択、分配および増幅プロセスの5〜15サイクルの後、ライブラリーは、標的分子に密接に結合する少数のアプタマーに減少される。次いで、混合物中の個々の分子を単離し、それらのヌクレオチド配列を決定し、次いで、結合親和性および特異性に関するそれらの特性を測定し、比較し得る。次いで、単離されたアプタマーをさらに精錬して標的結合および/またはアプタマー構造に寄与しないいずれのヌクレオチドも排除し、それにより、それらのコア結合ドメインに切形されたアプタマーを生産することができる。アプタマー技術の概説については、その全教示を本明細書中に参考として援用するJayasena, S.D. Clin.Chem.45:1628-1650(1999)参照。
【0125】
特定の態様において、本発明のアプタマーは、本発明の抗体について本明細書中で記載した結合特異性および/または機能的活性を有する。かくして、例えば、ある態様においては、本発明は、本発明の抗体につき本明細書中で記載したのと同一のまたは類似の結合特異性(例えば、脊椎動物HMGBポリペプチド、脊椎動物HMGBポリペプチドの断片(例えば、HMGB Aボックス、HMGB Bボックス)、脊椎動物HMGBポリペプチドのエピトープ領域(例えば、本発明の抗体の1以上によって結合されるHMGB1のエピトープ領域))を有するアプタマーがもたらされる。特定の態様において、本発明のアプタマーはHMGBポリペプチドまたはその断片に結合することができ、HMGBポリペプチドの1以上の機能を阻害することができる。本明細書中に記載するように、HMGBポリペプチドの機能は、例えば、炎症の増加、細胞からのプロ炎症性サイトカインの放出の増加、RAGEへの結合、TLR2への結合、化学的誘引を含む。特定の態様において、アプタマーはHMGB1(例えば、ヒトHMGB1(例えば、配列番号1または配列番号74)に示されたもの)またはその断片(例えば、Aボックス(例えば、配列番号2、配列番号75の残基9〜85)、Bボックス(例えば、配列番号3、配列番号76)、本明細書中に記載されたHMGB1抗体結合エピトープ)に結合し、HMGBポリペプチドの1以上の機能を阻害する(例えば、HMGBで処理された脊椎動物細胞からのプロ炎症性サイトカインの放出を阻害する)。
【0126】
診断および/または予測の方法
別の態様において、本発明は、さらに、試料中の脊椎動物高移動度グループボックス(HMGB)ポリペプチドを検出する診断および/または予測の方法を提供する。該方法の1つの態様において、試料を、本発明の抗体または抗原結合断片と、試料に存在するHMGBポリペプチドへの該抗体または断片の結合に適した条件下で接触させる。該方法は、さらに、抗体−HMGB複合体または抗原結合断片−HMGB複合体を検出することを含み、ここに、抗体−HMGB複合体または抗原結合断片−HMGB複合体の検出は試料中のHMGBポリペプチドの存在を示す。これらの方法で用いられる適当な抗体または抗原結合断片は本明細書中に記載されたもの、例えば、6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、前記のいずれかの抗原結合断片を含む。
【0127】
別の態様において、該抗体または抗原結合断片は検出可能な標識を含む。HMGBポリペプチド(例えば、哺乳動物HMGBポリペプチド)および抗体または抗原結合断片の間の複合体の検出で用いるのに適した標識としては、例えば、放射性同位体、エピトープ標識(タグ)、親和性標識(例えば、ビオチン、アビジン)、スピン標識、酵素,蛍光基、または化学発光基が挙げられる。
【0128】
記載されたように、本明細書中に記載された抗体および抗原結合断片を用いて、HMGBポリペプチドの発現を検出し、または測定することができる。例えば、本発明の抗体を用いて、生物学的試料(例えば、血液、血清、白血球(例えば、活性化されたTリンパ球)、気管支肺胞洗浄流体、唾液、腸流体、滑液、生検材料のような個体からの細胞、組織または体液)中のHMGBポリペプチドを検出または測定するのに用いることができる。1つの態様において、試料は血液または血清である。例えば、試料(例えば、組織および/または流体)は個体から得ることができ、適当なアッセイを用いて、HMGBポリペプチドの存在または量を評価することができる。適当なアッセイはフローサイトメトリー(例えば、FACS解析)、および酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、ケミルミネセンスアッセイ、イムノブロット(例えば、ウェスタンブロット)、免疫細胞化学および免疫組織学を含めたイムノソルベントアッセイのような免疫学的および免疫化学的方法を含む。一般には、試料、および本発明の抗体または抗原結合断片を、HMGBポリペプチドおよびその抗体または抗原結合断片の間の複合体の形成に適した条件下で合わせ、該複合体の形成を(直接的にまたは間接的に)評価する。1つの態様において、診断および/または予測はELISAおよび/またはウェスタンブロット解析を用いてなされる。
【0129】
当該分野で知られているように、個体から得られた試料(例えば、組織試料)中の増大したレベルのHMGBポリペプチド(例えば、HMGB1)の存在は、炎症カスケードの活性化によって特徴付けられる疾患に関連する兆候を呈する被験体についての敗血症の重症度をモニターし、該敗血症のありそうな臨床過程を予測するための診断および/または予測インジケーターであり得る(その全教示を本明細書中に参考として援用する米国特許第6,303,321号参照)。かくして、1つの態様において、本発明の抗体および抗原結合断片は、HMGB発現に関連する炎症性疾患(例えば、本明細書中で記載した疾患)の重症度をモニターし、および/または該疾患のありそうな臨床過程を予測する診断および予測で用いることができる。ある態様において、該診断および/または予測の方法は試料、好ましくは、血清試料中のHMGBの濃度を測定し、次いで、その濃度を、同様な試料中の正常な濃度範囲のHMGBを表すHMGBに対する標準のその濃度と比較することを含み、それにより、より高いレベルのHMGBは毒性反応の不充分な予測または尤度の指標である。該診断方法は、脳脊髄液または尿のような他の組織または流体区画に適用することもできる。
【0130】
別の態様において、本発明は、試料中の脊椎動物高移動度グループボックス(HMGB)ポリペプチドまたはその部分の存在を検出するのに用いる試験キットである。そのような試験キットは、例えば、本発明の抗体または抗原結合断片、および該抗体または抗原結合断片およびHMGBポリペプチドまたはその部分の間の複合体の存在を検出するのに適する1以上の補助的試薬を含むことができる。本発明の抗体および抗原結合断片は、単独で、あるいは他のエピトープに対して特異的なさらなる抗体と組み合わせて、凍結乾燥形態で供することができる。標識されたまたはされていない抗体またはその抗原結合断片を、補助的成分(例えば、トリス(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンのような緩衝液)、リン酸塩および炭酸塩、安定化剤、賦形剤、殺生物剤および/または不活性なタンパク質、例えば、ウシ血清アルブミンのような緩衝液)と共にキットに含めることができる。例えば、抗体または抗原結合断片は補助的成分と共に凍結乾燥混合物として供することができ、あるいは補助的成分を使用者が組み合わせるために別々に供することができる。一般に、これらの補助的材料は活性抗体の量に基づいて約5重量%未満で存在させ、通常、抗体濃度に基づいて少なくとも約0.001重量%の合計量で存在させることができる。抗HMGB抗体または抗原結合断片に結合することができる第二の抗体または抗原−特異的断片を使用する場合、そのような抗体または断片は、例えば、別々のバイアルまたは容器中のキットにて提供することができる。第二の抗体または抗原結合断片は、もし存在すれば、典型的には標識され、前記した抗体製剤と同様にして製剤化することができる。キットの抗体、抗原結合断片および/または補助的試薬は、別々に、または適当な格納手段(例えば、ビン、ボックス、包み、チューブ)と共にパッケージすることができる。キットが複数の個々にパッケージングされた成分を含む場合、個々のパッケージは単一のより大きな容器手段(例えば、ビン、ボックス、包み、チューブ)内に含有させることができる。
【0131】
スクリーニングの方法
別の態様において、本発明は、HMGBポリペプチド(例えば、哺乳動物HMGBポリペプチド(例えば、HMGB1ポリペプチド))に結合する剤を検出または同定する方法である。1つの態様において、HMGBポリペプチドに結合する剤を検出または同定する方法は競合結合アッセイであり、そこでは、本発明の抗体または抗原結合断片の結合を阻害する被験剤の能力が評価される。例えば、該抗体または抗原結合断片は本明細書中に記載したように適当な標識で標識することができ、アッセイで存在するHMGBポリペプチドを飽和するのに必要な標識された抗体または抗原結合断片の量を測定することができる。例えば、飽和量の標識された抗体または抗原結合断片および種々の量の被験剤を結合に適した条件下でHMGBポリペプチドと接触させることができ、複合体形成を測定することができる。このタイプのアッセイにおいては、標識された抗体または抗原結合断片およびHMGBポリペプチドの間で形成された複合体の量の減少は、被験剤がHMGBポリペプチドに結合することを示す。別の態様においてHMGBポリペプチドを標識することができる。抗体、抗原結合断片および/またはHMGBポリペプチドを標識するための適当な標識は前記したものを含む。
【0132】
タンパク質(例えば、抗体)、ペプチド、ペプチドミメティックス、小さな有機分子、核酸等のような種々の剤を、HMGBポリペプチド(例えば、哺乳動物HMGBポリペプチド(例えば、HMGB1ポリペプチド))に対する結合につき試験することができる。本発明の方法によると、剤を個々にスクリーニングすることができ、あるいは1以上の剤を同時に試験することができる。化合物の混合物を試験する場合、記載された方法によって選択される化合物を分離し(適切な場合)、適当な方法(例えば、配列決定、クロマトグラフィー)を用いて同定する。試験試料中の1以上の化合物(例えば、リガンド、阻害剤、プロモーター)の存在もまたこれらの方法に従って決定することができる。
【0133】
HMGBポリペプチドに結合し、本明細書中に記載された治療方法で有用な剤は、例えば、本明細書中に記載されたアッセイにおいて、Chemical Repository of the National Cancer Instituteのような、分子のライブラリーまたはコレクションをスクリーニングすることによって、あるいは他の適切な方法を用いて同定することができる。コンビナトーリアル化学合成または他の方法によって生産された化合物(例えば、有機化合物、組換えまたは合成ペプチド、「ペプトイド」、核酸)のコンビナトーリアルライブラリーのようなライブラリーを試験することができる(例えば、Zuckerman, R.N.ら, J.Med.Chem.,37:2678-2685(1994)およびそこに引用された文献参照;また、標識化合物に関連する、Ohlmeyer, M.H.J.ら, Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:10922-10926(1993)およびDeWitt, S.H.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6909-6913(1993)参照;Rutter, W.J.ら,米国特許第5,010,175号;Huebner, W.D.ら, 米国特許第5,182,366号;およびGeysen, H.M.米国特許第4,833,092号を参照のこと)。ライブラリーから選択された化合物が特有のタグを担持する場合、クロマトグラフィー方法による個々の化合物の同定が可能である。
【0134】
次に、本発明を、なんら限定的なことを意図しない以下の実施例によって説明する。参考として明示的には援用しなかった全ての本明細書中に引用された刊行物の関連教示は、その全体を本明細書中に参考として援用する。
【実施例】
【0135】
実施例1:材料および方法
HMGB1に対するモノクローナル抗体の作製
BALB/cマウスを、フロイントのアジュバントと混合した20μgの組換えCBP-ラットHMGB1(ラットHMGB1のアミノ酸1〜215に連結したCBP;CBP-ラットHMGB1のヌクレオチド配列は配列番号4に示し、アミノ酸配列は配列番号5に示す(図3Aおよび3B参照))で2週間間隔で6週間、腹腔内免疫化した。PBS中のCBP-ラットHMGB1の最終ブーストを8週間後に静脈内投与した。最終ブーストから4日後に、マウスからの脾臓を摘出し、融合で用いた。融合は標準的なハイブリドーマ技術を用いて行った。細胞ストレイナーを通じて脾臓を穏やかに押して、単細胞懸濁液を得た。しっかりと洗浄した後、脾臓細胞をSP2/0骨髄腫細胞と混合した。ポリエチレングリコール(PEG)をゆっくりと加え、続いて、5分間にわたって培地を加えた。細胞を洗浄し、20%FCSおよびHATを含有するDMEMに再懸濁させ、96ウェルプレートに移し、10%CO2にて37℃で10〜14日間インキュベートした。
【0136】
他の実験において、ヒトHMGB1 Bボックスポリペプチド(配列番号3;図2B)を免疫原として用いた。5匹のメスBALB/cマウスを、フロイントのアジュバントと混合したHMGB1 Bボックスの10μg/注射で3週間間隔で腹腔内免疫化した。各ブーストから1週間後にマウスから血液を得た。第三のブーストから3週間後に、ラットHMGB1 Bボックスの最終静脈内注射(10μg/マウス)を与えた。最終ブーストから72時間後に、ハイブリドーマ融合を前記したように行った。ハイブリドーマを20%FBS、HAT、CondiMedおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンを含むDMEM中で培養した。光学的に読み取り、次いで、バックグラウンドのそれの5倍の読みを持つものを同定することによって、陽性クローンを同定した。
【0137】
CBP-ラットHMGB1およびヒトHMGB1 Bボックスに対する抗体を、限界希釈およびELISAによってスクリーニングした。ELISAプレートを3μg/mlにて組換えHMGB1で一晩コートし、1%ウシ血清アルブミン(BSA)を補足したリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)でブロックした。ハイブリドーマからの上清をELISAプレートに加え、室温にて30分間インキュベートした。次いで、プレートを洗浄し、西洋ワサビペルオキシダーゼとコンジュゲートした抗マウスIgを加えた。室温でのインキュベーションの30分後に、プレートを洗浄し、発色させた。陽性細胞からの細胞を24-ウェルプレートに移し、限界希釈によってクローン化した。
【0138】
HMGB1はTNF放出を刺激した
(American Type Culture Collection(ATCC), Manassas, VAから入手可能な)マウスマクロファージ細胞系RAW 264.7を、無血清Opti-MEM(Invitrogen, Carlsbad, CA)中で種々の濃度のHMGB1と共に37℃にて4時間インキュベートした。上清を回収し、ELISAキット(R & D Systems, Minneapolis, MN)を用いてTNFレベルを測定した。また、アッセイはヘパリン加全血を用いても行った。この場合、HMGB1をOpti-MEM中に希釈し、100μlの全血に加えて、200μlの最終容量を得、U型底96-ウェルプレートに入れた。次いで、プレートを37℃にて4時間インキュベートし、血漿をELISA解析のために回収した。
【0139】
HMGB1に対するmAbのブロックについてスクリーニングするために、精製されたmAbをOpti-MEMに希釈し、室温にてラットHMGB1と混合した。5分後に、混合物を、RAW 264.7細胞を含有する組織培養ウェルに移した。次いで、プレートを37℃にて4時間インキュベートし、上清をELISA解析のために回収した。
【0140】
HMGB1モノクローナル抗体のSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動、ウェスタンブロット解析および選択性
HMGB1 mAbでのHMGB1の検出のために、試料を4×NuPAGE LDS試料緩衝液、10×NuPAGE試料還元剤(Invitrogen, Carlsbad,CA)と混合した。試料を沸騰水中で5分間加熱し、氷上で直ちに冷却し、SDS-ポリアクリルアミドゲルに負荷した。ウェスタンブロット解析を標準的な技術を用いて行った。
【0141】
HMGB1モノクローナル抗体の選択性(すなわち、HMGB1および/またはHMGB2に対する選択性)を決定するための実験では、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞からの非組換え(すなわち、天然)HMGB1(図11;CHO HMGB1;配列番号36として標識)を含有する試料、またはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞からの非組換え(すなわち、天然)HMGB2、およびいくつかの検出可能な組換えヒトHMGB1-His6(図11;CHO HMGB2、rec-HMGB1-His6として標識)含有する試料につきウェスタンブロット解析を行った。図18Aおよび18Bはヌクレオチド、および5’6HISタグを含有するヒト組換えHMGB1ポリペプチド(rec-HMGB1-His6;配列番号39および40)のコードされたアミノ酸配列を示す。
【0142】
CHO HMGB1を含有する試料では、試料はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞からの約2.5〜5ng/μlの非組換え(すなわち、天然)HMGB1を含有した。20μlの試料(すなわち約50〜100ngのHMGB1)をゲルに負荷し、SDS-PAGEに付した。CHO HMGB1ポリペプチドを単離するために、CHO細胞を溶解させ、引き続いて、遠心によって清澄化した。次いで、アニオン交換クロマトグラフィーおよびヘパリンアフィニティークロマトグラフィーを行い、ピークHMGB1免疫反応性を含むが検出可能なHMGB2免疫反応性を含まない画分をプールし、CHO HMGB1の源として用いた。
【0143】
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞からの非組換え(すなわち、天然)HMGB2、およびいくつかの検出可能な組換えHMGB1-His6(図11;CHO HMGB2、rec-HMGB1-His6と表示)を含有する試料では、組換えHIGB1-His6-発現プラスミドでトランスフェクトしたCHO細胞を利用した。CHO HIGB2ポリペプチドを単離するために、CHO細胞を溶解させ、引き続いて、遠心によって清澄化した。次いで、アニオン交換クロマトグラフィーおよびヘパリンアフィニティークロマトグラフィーを行い、ピークHMGB2免疫反応性を含有するが検出可能な天然HMGB1免疫反応性を含まない画分をプールし、CHO HMGB2の源として用いた。いくつかの場合において、プールされたCHO HMGB2画分は検出可能な量の組換えHMG-1-His6ポリペプチドを含有したが、この組換えHMGB-1−His6ポリペプチドは、SDS-PAGEに付した場合のその低下した移動度(および見掛けのより高い分子量)に基づいて容易にHMGB2から区別することができた。図11に示されるウェスタンブロットを生じさせたゲルシステムを用い、非組換えCHO HMGB2は約27,000の見掛けの分子量を有し、非組換えCHO HMGB1は約29,000の見掛けの分子量を有し、組換えHMGB-1 His6は約31,000の見掛けの分子量を有する。CHO HMGB2、rec-HMGB1-His6試料については、20μlの試料(すなわち、約10〜20ngのHMGB2)を負荷し、SDS-PAGEに付した。
【0144】
図11に示したウェスタンブロットでは、抗His Tag抗体(Santa Cluz CA;2μg/ml)、抗HMGB2抗体(Pharmingen, San Diego, CA;2μg/ml)、抗HMGB1/2 mAb(MBL International, Watertown, MA;2μg/ml)または特定の抗HMGB1モノクローナル抗体(例えば、2E11 HMGB1 mAb(CT3-2E11)、1G3 HMGB1 mAb(CT3-1G3)、6H9 HMGB1 mAb(CT3-6H9)、2G7 HMGB1 mAb(CT3-2G7)、2G5 HMGB1 mAb(CT3-2G5)および6E6 HMGB1 mAb(CT3-6E6);各々につき2μg/ml)のいずれかを用いた。
【0145】
モノクローナル抗体の配列決定
キットプロトコルに記載したように、RNeasy MiniKit(Qiagen, Valencia, CA)を用いて全RNAをハイブリドーマ細胞から単離した。cDNAの第1鎖の合成はキットプロトコルにおいて設計されたように、第1鎖cDNA合成キット(ProtoScript First Strand cDNA Synthesis kit)(New England Biolabs, カタログ番号E6500S)を用いて行った。(重鎖についてMuIgGVH5’−A、MuIgGVH5’−B、MuIgGVH5’−C、 MuIgGVH5’−D、 MuIgGVH5’−E、MuIgGVH5’−F、および軽鎖についてはMuIgGVL5’−A、MuIgGVL5’−B、 MuIgGVL5’−C、MuIgGVL5’−D、MuIgGVL5’−E、MuIgGVL5’−F、およびMuIgGVL5’−GとしてNovagen Ig-プライマー組プロトコルに記載された)25ピコモルの適当な5’プライマーおよび(重鎖についてのMuIgGVH3’−2および軽鎖についてのMuIgGVL3’−2としてNovagen Ig-プライマー組プロトコルに記載された)3’プライマーを含有する(マウスIg-プライマー組、カタログ番号69831-3, Novagen, Madison, WIにつきプロトコルで記載された)PCR反応に5μlのcDNAを加えた。PCR反応条件は35サイクルでの94℃における1分、50℃における1分、および72℃における2分、続いての、72℃における6分間の延長であった。PCR産物をベクターTOPO(Invitrogen, San Diego, CA)にクローン化した。DNA配列解析はGenaissance Pharmaceuticals (New Haven, CT)によって行った。
【0146】
HMGB1ペプチド結合実験
反応結合ストレプトアビジンコートプレート(React-Bind Streptavidin-Coated Plate)(Pierce, Rockford, IL, カタログ番号15501)に結合したビオチン化ペプチド、およびポリ−D−リシンコートELISAプレートに結合した非ビオチン化ペプチドを抗ペプチドELISAで用いた。ヒトHMGB1の特定の18アミノ酸領域に対応するビオチン化ペプチド、ならびにヒトHMGB1のアミノ酸残基9〜85に対応するより長いペプチドを調製し、ELISAによって、特定の抗HMGB1モノクローナル抗体への結合につき解析した。これらのペプチド、およびそれらの各配列を図13Aに示す。ポリ−D−リシンコートプレートは、水中のポリ−D−リシンの0.1mg/ml溶液の60〜100μl/ウェルを加えることによって調製した。次いで、プレートを室温にて5分間インキュベートし、水で濯いで溶液を除去した。
【0147】
簡単には、各ペプチドの分子量を用い、1mMペプチド溶液をパイロジェン−フリー水中で調製し、1×リン酸緩衝化生理食塩水中で希釈した。プレートウェルを200μlのPBSで3回洗浄し、100μlの種々のペプチド溶液を指定されたウェルに加えた。次いで、プレートをコートし、室温にて60分間インキュベートした。次いで、100μlよりも大きな容量を用い、ウェルをPBS、(ここではTween 20TMという)0.05%ポリオキシエチレンソルビタンで3回洗浄した。200μlのブロッキング緩衝液(PBS, 0.05% Tween 20TM中の5%脱脂粉乳)をウェルの各々に加えた。プレートをコートし、室温にて60分間インキュベートした。次いで、PBS、0.05%Tween 20TMを100μlよりも大きな容量で用いて、ウェルを3回洗浄した。
【0148】
100μlの一次抗体(例えば、2E11 HMGB1 mAb、6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb;ブロッキング緩衝液中2μg/ml)を指定したウェルに加え、プレートをコートし、室温にて30分間インキュベートした。次いで、PBS、0.05%Tween 20TMを100μlよりも大きな容量で用いて、ウェルを3回洗浄した。
【0149】
100μlのヤギ抗マウス西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合二次抗体(Jackson ImmunoResearch Laboratories, West Grove, PA, カタログ番号115−035-071;1:2000希釈で使用)をウェルの各々に加えた。プレートをコートし、室温にて30分間インキュベートし、引き続いて100μlよりも大きな容量を用いてPBS、0.05%Tween 20TMで3回洗浄した。プレートは、50μlの1×TMB(Sigma, St. Louis, MO)を各ウェルに加え、室温にて10分間インキュベートし、Microplate/ManagerソフトウェアおよびBioRadモデル680プレートリーダーを用いて655nmで吸光度を読むことによって、プレートを発色させた。平均バックグラウンドシグナルを試料のシグナルの各々から差し引いた。
【0150】
盲腸結紮および穿刺
盲腸結紮および穿刺(CLP)は従前に記載されているように行った(Fink および Heard, J. Surg. Res. 49:186-196(1990);Wichmannら, Crit. Care Med. 26:2078-2086(1998);およびRemickら, Shock 4:89-95(1995))。簡単には、BALB/cマウスを75mg/kgケタミン(Fort Dodge, Fort Dodge, Iowa)および20mg/kgのキシラジン(Boehringer Ingelheim, St. Joseph, MO)の筋肉内投与により麻酔した。中線切開を行い、盲腸を摘出した。6-0プロレン縫合結紮を回盲腸弁から遠いほうの盲腸先端から5.0mmのところに置いた。
【0151】
次いで、結紮した盲腸断端を、糞を直接的に押し出すことなく22−ゲージ針で1回穿刺した。次いで、盲腸をその正常な腹部内位置に戻した。次いで、腹部を2層、腹膜および筋膜にて6-0プロレンのランニング縫合で別々に閉じて、流体の漏れを防いだ。全ての動物を、20ml/kg体重にて皮下投与された規定生理食塩水で蘇生させた。各マウスには外科的処置から30分後にイミペネム(0.5mg/マウス)(Primaxin, Merka & Co., Inc., West Point, PA)の皮下注射を受けさせた。次いで、動物を回復させた。該手法から1週間後までの間死亡率を記録した;生存動物を2週間追跡して、後の死亡が起こらないことを確認した。
【0152】
CLP手法後の日から、100μgの特定の抗HMGB1モノクローナル抗体(すなわち、6E6 HMGB1 mAb(mAB(6E6));2E11 HMGB1 mAb (mAB(2E11));9G2 HMGB1 mAb (mAB(9G2))および対照IgG抗体を、合計5つの処理にて1日に1回または2回マウスに腹腔内投与した。図16に示したデータでは、種々の容量(1μg/マウス、10μg/マウス、100μg/マウス)の6E6 HMGB1 mAbまたは対照IgG抗体を腹腔内投与した。
【0153】
HMGB1 ELISA
種々のHMGB1モノクローナル抗体を用いて2つのELISA方法を行った。
【0154】
モノクローナル(捕捉)+ポリクローナル(検出)抗体対でのHMGB1 ELISA
第一の方法では、ELISAプレートを多数の精製された抗HMGB1 mAb(例えば、2E11 HMGB1 mAb、2G5 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、6E6 HMGB1 mAb)でコートし、4℃にて一晩インキュベートした。次いで、プレートをPBS、1%BSAで37℃にて1時間ブロックした。洗浄の後、組換えラットHMGB1を示した濃度で加え、プレートを室温にて1時間インキュベートした。次いで、プレートを洗浄し、2μg/mlのHMGB1に対するウサギポリクローナル抗体と共にインキュベートした(米国特許第6,303,321号、同第6,448,223号、同第6,468,533号参照)。室温での1時間後、プレートを洗浄し、PBS中に1:1000希釈したヤギ抗ウサギIg-HPR(Jackson ImmunoResearch Laboratories, West Grove, PA)と共に30分間インキュベートした。洗浄の後、プレートをTMB(Invitrogen, San Diego, CA)で発色させ、プレートリーダーを用いて655nmにおける吸光度を測定した。
【0155】
モノクローナル抗体対でのHMGB1 ELISA(6E6 HMGB1 mAbでの検出)
ELISAプレートをコートし、ブロックし、組換えラットHMGB1を引き続いて前記したように加えた。非結合HMGB1ポリペプチドを洗浄除去した後、ビオチン化6E6 HMGB1 mAbを2μg/mlで加え、室温にて1時間インキュベートした。ストレプトアビジン−HRPを用いて、結合した6E6 HMGB1 mAbを検出し、プレートを前記したようにTMBで発色させた。
【0156】
実施例2:抗HMGB1モノクローナル抗体の同定および特徴付け
多数の新規な抗HMGB1モノクローナル抗体を単離し、組換え全長ラットHMGB1(配列番号4;図3Aおよび3B)またはヒトHMGB1(配列番号3;図2B)のBボックスポリペプチドいずれかでの免疫化から精製した。これらの抗体の特徴(クローン名称、免疫原、イソタイプ、精製された抗体結合ドメイン、およびインビボCLPアッセイの結果)をまとめる表を図7に示す。
【0157】
実施例3:抗HMGB1モノクローナル抗体の選択性の決定
HMGB1モノクローナル抗体の選択性を決定する実験(例えば、ELISA、ウェスタンブロット解析)により、特定の抗HMGB1モノクローナル抗体がHMGB1のAボックス部分、HMGB1のBボックス部分および/または全HMGB1タンパク質に結合できることが明らかとなった。例えば、図7に示すように、HMGB1(例えば、6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、2G5 HMGB1 mAb、4H11 HMGB1 mAb、7H3 HMGB1 mAb、9H3 HMGB1 mAb)のAボックスに結合できる抗HMGB1モノクローナル抗体が同定された。HMGB1(例えば、2E11 HMGB1 mAb、3G8 HMGB1 mAb、3-5A6 HMGB1 mAb、9G1 HMGB1 mAb、4C9 HMGB1 mAb、1C3 HMGB1 mAb、5C12 HMGB1 mAb、3E10 HMGB1 mAb、7G8 HMGB1 mAb、4A10 HMGB1 mAb)のBボックスに結合する他のモノクローナル抗体が同定された。
【0158】
実施例4:抗HMGB1モノクローナル抗体のヌクレオチドおよびアミノ酸配列の決定
特定のHMGB1モノクローナル抗体(6E6 HMGB1 mAb、2E11 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb)では、CDRを含めた、VHドメインおよびVKドメインの核酸およびコードされたアミノ酸配列も得られた(図4A〜4D、5A〜5D、6A〜6Dおよび19A〜19D)。
【0159】
実施例5:抗HMGB1モノクローナル抗体によるTNF放出の阻害
TNF放出を阻害する特定のHMGB1モノクローナル抗体の能力を評価した。この実験の結果を図8および9に示し、これはHMGB1のみ、HMGB1+特定のHMGB1モノクローナル抗体、または対照IgG抗体を投与したRAW 264.7細胞によって放出されたTNFを示すヒストグラムである。図8は6E6 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAb、2E11 HMGB1 mAb、9G2 HMGB1 mAb、および対照IgG抗体についてのHMGB1媒介TNF放出の阻害の結果を示す。図9は3G8 HMGB1 mAb、1A9 HMGB1 mAb、9G2 HMGB1 mAb、6E6 HMGB1 mAb、2E11 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、または対照IgG抗体についてのHMGB1媒介TNF放出の阻害の結果を示す。図8および9に示すように、特定のHMGB1モノクローナル抗体(例えば、6E6 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAb)はTNF放出を阻害し、これは、そのような抗体を(例えば、本明細書中に記載したような)1以上のHMGB機能を変調するのに用いることができることを示す。例えば、これらのブロッキング抗体を用いて、HMGB1の生物学的活性(例えば、サイトカインカスケードのHMGB1媒介活性化)を中和し得る。
【0160】
実施例6:抗HMGB1モノクローナル抗体での敗血症マウスの処理はマウスの生存を高める
マウスを盲腸結紮および穿刺(CLP)に付し、これは複数菌腹膜炎および敗血症(Fink および Heard前掲;Wichmannら, 前掲;およびRemichら, 前掲)に導く、外科的に作製された盲腸憩室を行うことによって引き起こされた敗血症のよく特徴付けられたモデルであり、特定の抗HMGB1モノクローナル抗体(6E6 HMGB1 mAb、2E11 HMGB1 mAbまたは9G2 HMGB1)または対照IgG抗体を投与した(1日当たり100μgの抗体を2回投与)。生存を7日間モニターした。この研究の結果を図10に示し、これは、対照抗体または特定の抗HMGB1モノクローナル抗体いずれかで処置した敗血症マウスの生存のグラフである。該結果は、盲腸開口の開始から24時間後からマウスに投与された抗HMGB1モノクローナル抗体が、IgG対照抗体の投与と比較して、動物を死亡から救済することを示す。6E6 HMGB1 mAbでは、救済は7日において有意であった(対照に対してp<0.03、Fisherの直接確率検定)。
【0161】
6E6 HMGB1 mAbで処置した敗血症マウスの生存についての用量応答曲線も作成した。図16に示したように、1、10および100μgの用量の6E6 HMGB1 mAbをマウスに投与した。結果は、10μgの6E6 HMGB1の用量の結果、敗血症マウスの最大救済が得られたことを示す。
【0162】
実施例7:抗HMGB1モノクローナル抗体の選択性
前記したように、特定の抗HMGB1モノクローナル抗体を用いてウェスタンブロット解析を行った。図11は、CHO HMGB1またはCHO HMGB2のいずれか、および恐らくは組換えHMGB1−His6(CHO HMGB2、rec-HMGB1-His6で表す)を含有する試料の個々のウェスタンブロットを示し、これは、抗Hisタグ抗体、抗HMGB2抗体、抗HMGB1/2モノクローナル抗体、または特定の抗HMGB1モノクローナル抗体(例えば、2E11 HMGB1 mAb、1G3 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、2G5 HMGB1 mAbおよび6E6 HMGB1 mAb)いずれかでプローブした。これらの実験の結果は、2G7 HMGB1 mAbがHMGB1に結合するが、HMGB2には検出可能に結合せず、他方、2E11 HMGB1 mAb、1G3 HMGB1 mAbおよび6H9 HMGB1 mAbがHMGB1に加えてHMGB2を検出することを示す。
【0163】
実施例8:HMGB1ペプチド結合実験
ヒトHMGB1の特定の18アミノ酸領域に対応するビオチン化ペプチド、およびヒトHMGB1のアミノ酸残基9〜85に対応するより長いペプチドを調製し、ELISAによって、特定の抗HMGB1モノクローナル抗体への結合につき解析した。これらのペプチドおよびそれらのそれぞれの配列を図13Aに示す。
【0164】
これらのペプチド結合実験の結果を図13Bに示す。図13Bに示すように、2E11 HMGB1 mAbはヒトHMGB1のアミノ酸残基151〜168(すなわち、アミノ酸残基151〜168配列番号1)に対応するペプチドに結合した。6E6 HMGB1 mAbおよび6H9はヒトHMGB1のアミノ酸残基61〜78(すなわち、アミノ酸残基61〜78配列番号1)に対応するペプチドに結合した。2G7 HMGB1 mAbはヒトHMGB1のアミノ酸残基46〜63(すなわち、配列番号1のアミノ酸残基46〜63)に対応するペプチドに結合した。加えて、2G7 HMGB1 mAbおよび6E6 HMGB1 mAbは、ヒトHMGB1のアミノ酸残基9〜85に対応するより長いペプチドにも結合した。これらの実験は、特定の抗HMGB1モノクローナル抗体がHMGB1ポリペプチド内の異なるエピトープを認識することを示す。例えば、HMGB1媒介TNF放出を阻害することが示された6E6 HMGB1 mAbがHMGB1のアミノ酸61〜78内に含まれるエピトープに結合する。HMGB1のこの特定の領域内のブロッキングエピトープの発見を用いて、さらなるブロッキング剤(例えば、HMGB1機能(例えば、サイトカインカスケードのHMGB1媒介活性化)を阻害する剤)につきスクリーニングし得る。
【0165】
実施例9:HMGB1 ELISA
図14および15に示すように、2つの異なるELISA方法を用いて、特定の抗HMGB1モノクローナル抗体の特性を調べた。1つの方法において、HMGB1モノクローナル抗体2E11 HMGB1 mAb、2G5 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、および6E6 HMGB1 mAbを捕捉抗体として用い、ポリクローナルHMGB1抗体を検出抗体として用いた。他のELISA方法においては、HMGB1モノクローナル抗体2E11 HMGB1 mAb、2G5 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、および6E6 HMGB1 mAbを捕捉抗体として用い、6E6 HMGB1 mAbを検出抗体として用いた。ELISA方法の双方からの結果は、モノクローナルHMGB1抗体がHMGB1を検出でき、本明細書中に記載された診断および/または予測の方法に適していることを示す。
【0166】
実施例10:HMGB1への2G7 HMGB1 mAbの結合はHMGB1のアミノ酸残基46〜63に対応するペプチドによって阻害される
2G7 HMGB1 mAbを用いるHMGB1ペプチド結合実験を行った。記載したように、ヒトHMGB1のアミノ酸残基46〜63またはヒトHMGB1のアミノ酸残基61〜78いずれかに対応するビオチン化合成ペプチドを調製し、ELISAによって、2G7 HMGB1 mAb(2G7)への結合につき解析した。簡単には、2μg/mlの2G7 HMGB1 mAbを、示した濃度(0、0.33、1、3、9、27、81および243μMペプチド)の各々にて、HMGB1 46〜63ペプチドまたはHMGB1 61〜78ペプチドいずれかを含有するプレートウェルに25℃にて1時間で加えて、抗体−ペプチド試料を調製した。ELISAプレートを10μg/mlの組換えラットHMGB1でコートし、4℃にて一晩インキュベートした。次いで、プレートを還元乳で37℃で1時間ブロックした。次いで、抗体−ペプチド試料を前記でリストした濃度で加え、室温にて1時間インキュベートした。次いで、プレートを洗浄し、ストレプトアビジン−HRPと共にインキュベートした。洗浄の後、プレートをTMB(Invitrogen, San Diego, CA)で発色させ、プレートリーダーを用いて655nmにおける吸光度を測定した。
【0167】
図20は最大シグナルのパーセントとしての結果を示す(Y軸)。図20が示すように、HMGB1 46〜63ペプチドは(最大シグナルの%で表した減少として示した)全ての濃度におけるHMGB1に結合した2G7 HMGB1 mAbの結合を阻害した。対照的に、HMGB1 61-78ペプチドは、HMGB1への2G7 HMGB1 mAbの結合を阻害しなかった。これらの実験は、2G7 HMGB1 mAbが、HMGB1のアミノ酸46〜63に存在するエピトープに結合することをさらに確認する。
【0168】
実施例11:HMGB1への2E11 HMGB1 mAbの結合は、HMGB1のアミノ酸残基151〜168に対応するペプチドのより高い濃度によって阻害される
2E11 HMGB1 mAb、およびヒトHMGB1(配列番号23)のアミノ酸残基46〜63またはヒトHMGB1(配列番号30)のアミノ酸残基151〜168いずれかに対応するビオチン化合成ペプチドを用いるHMGB1ペプチド結合実験を本明細書中に記載するように行った。これらの実験の結果を(最大シグナルのパーセントとして(Y軸))図21に示す。図21が示すように、HMGB1 151〜168ペプチドは、9μM以上の濃度においてHMGB1に結合した2E11 HMGB1 mAbの結合を有意に阻害した。HMGB1 151〜168ペプチドは、3μM以下の濃度においてHMGB1への2E11 HMGB1 mAbの結合を有意に阻害しなかった(図21)。加えて、HMGB1 46〜63ペプチドは、HMGB1への2E11 HMGB1 mAbの結合を阻害しなかった。これらの実験は、2E11 HMGB1 mAbがHMGB1のアミノ酸151〜168に存在するエピトープに結合することを確認する。
【0169】
実施例12:2G7 HMGB1 mAbはHMGB1のアミノ酸53〜63に存在するエピトープを認識する
種々の合成ペプチドを調製した。これらの合成ペプチドは、ヒトHMGB1のアミノ酸残基46〜63に対応するビオチン化ペプチド(配列番号23;「huHMGB1-46-63-B」または「ヒトHMGB1-46-63-B」と命名)、ヒトHMGB2のアミノ酸残基46〜63に対応するビオチン化ペプチド(配列番号48;「huHMGB2-46-63-B」または「ヒトHMGB2-46-63-B」と命名)、ヒトHMGB1のアミノ酸残基53〜70に対応する非ビオチン化ペプチド(配列番号47;「huHMGB1-53-70」または「ヒトHMGB1-53-70」と命名)、ヒトHMGB1のアミノ酸残基61〜78に対応するビオチン化ペプチド(配列番号24;「huHMGB1-61-78-B」と命名)、ヒトHMGB1のアミノ酸残基40〜57に対応する非ビオチン化ペプチド(配列番号46;「ヒトHMGB1-40-57」と命名)およびスクランブルアミノ酸配列よりなる非ビオチン化ペプチド(ここに、スクランブルされたアミノ酸残基はヒトHMGB1のアミノ酸残基46〜63のものであった(配列番号45;「ヒトHMGB1-46-63-scr」と命名)を含む。本明細書中で用いるように、ELISAによって、これらの重複するペプチドへの2G7 HMGB1 mAbの結合を解析して、2G7 HMGB1 mAbに結合するHMGB1内のエピトープをより特異的に確認した。これらのペプチドおよびそれらの各配列を図23に示す。
【0170】
ペプチド結合実験の結果を図22および23に示す。図22および23に示すように、2G7 HMGB1 mAbはHMGB1 46〜63ペプチド(すなわち、配列番号1または配列番号23のアミノ酸残基46〜63)に結合したが、ヒトHMGB2(すなわち、HMGB2 46〜63ペプチド;配列番号54または配列番号48のアミノ酸残基46〜63)の対応するアミノ酸領域に結合しなかった。加えて、2G7 HMGB1 mAbはHMGB1 53〜70ペプチドに結合したが、HMGB1 40〜75ペプチドに結合しなかった。2G7 HMGB1 mAbはHMGB1のアミノ酸残基46〜63のスクランブル配列よりなるペプチドにも結合しなかった。種々の合成ペプチドへの2G7 HMGB1 mAbの結合を示すことに加え、図22はこれらの合成ペプチドへのアビジンの結合も示す。
【0171】
実施例8においては、2G7 HMGB1 mAbがHMGB1のアミノ酸残基46〜63内に含まれるエピトープに結合することが示された。2G7 HMGB1 mAbがHMGB1 46〜63ペプチドおよびHMGB1 53〜63ペプチドに結合すると仮定すれば、これらの実験は、2G7 HMGB1 mAbがHMGB1のアミノ酸残基53〜63よりなるアミノ酸領域に存在するエピトープを認識することを示す。これらの実験は、さらに、HMGB1 46〜63ペプチドおよびHMGB2 46〜63ペプチドの間の唯一の単一アミノ酸の差にもかかわらず、2G7 HMGB1 mAbがHMGB2 46〜63ペプチドに結合しないことを示す。それ自体、HMGB2における対応するセリン残基である、HMGB1の位置58におけるグリシン残基(Gly-58)は、2G7 HMGB1 mAbによって認識されるHMGB1エピトープにおける重要なアミノ酸残基である(図23)。
【0172】
実施例13:6E6 HMGB1 mAbはHMGB1のアミノ酸67〜78に存在するエピトープを認識する
種々のペプチドを調製した。これらの合成ペプチドはヒトHMGB1のアミノ酸残基53〜70に対応する非ビオチン化ペプチド(配列番号47;「ヒトHMGB1-53-70-B」と命名;前記)、ヒトHMGB1のアミノ酸残基67〜84に対応する非ビオチン化ペプチド(配列番号50;「ヒトHMGB1-67-84」と命名)、ヒトHMGB1のアミノ酸残基61〜78に対応するビオチン化ペプチド(配列番号24;「ヒトHMGB1-61-78-B」と命名)、およびスクランブルアミノ酸配列よりなる非ビオチン化ペプチド(ここに、スクランブルされたアミノ酸残基はヒトHMGB1のアミノ酸残基61-78のものである)(配列番号49;「ヒトHMGB1-61-78 scr」と命名)を含んだ。ELISAによって、本明細書中に記載するように、これらの重複ペプチドへの6E6 HMGB1 mAbの結合を解析して、6E6 HMGB1 mAbに結合するHMGB1内のエピトープをより特異的に確認した。これらのペプチド、それらの各配列、およびペプチドのいずれが6E6 HMGB1 mAbに結合されたかを図24に示す。
【0173】
これらのペプチド結合実験の結果を図24に示す。図24に示したように、6E6 HMGB1 mAbはHMGB1 61〜78ペプチド(配列番号24)に結合した。さらに、6E6 HMGB1 mAbはHMGB1 67〜84ペプチド(配列番号50)に結合したが、HMGB1 53〜70ペプチド(配列番号47)に結合しなかった(図24)。6E6 HMGB1 mAbはやはりHMGB1のアミノ酸残基61〜78のスクランブル配列よりなるペプチド(配列番号49)にも結合しなかった(図24)。実施例8においては、6E6 HMGB1 mAbはHMGB1のアミノ酸残基61〜78内に含まれるエピトープに結合することが示された。6E6 HMGB1 mAbがHMGB1 61〜78ペプチドおよびHMGB1 67〜84ペプチドに結合すると仮定すれば、これらの実験は、6E6 HMGB1 mAbがHMGB1のアミノ酸残基67〜78よりなるアミノ酸領域に存在するエピトープを認識することを示す。
【0174】
実施例14:2E11 HMGB1 mAbでのHMGB1ペプチド結合実験
種々の合成ペプチドを調製した。これらの合成ペプチドはヒトHMGB1のアミノ酸残基151〜168に対応するビオチン化ペプチド(配列番号30;「ヒトHMGB1-151-168-B」と命名)、ヒトHMGB1のアミノ酸残基143〜160に対応する非ビオチン化ペプチド(配列番号52;「ヒトHMGB1-143-160」と命名)、ヒトHMGB1のアミノ酸残基157〜174に対応する非ビオチン化ペプチド(配列番号53;「ヒトHMGB1-157-174」と命名)、およびスクランブルアミノ酸配列に対応する非ビオチン化ペプチド(ここに、スクランブルされた該アミノ酸残基はヒトHMGB1のアミノ酸残基151〜168のものであった)(配列番号51;「ヒトHMGB1-151-168 scr」と命名)を含んだ。ELISAによって、本明細書中に記載するように、これらの重複するペプチドへの2E11 HMGB1 mAbの結合を解析して、2E11 HMGB1 mAbに結合するHMGB1内のエピトープをより特異的に確認した。これらのペプチド、それらの各配列、およびペプチドのいずれが2E11 HMGB1 mAbによって結合されたかを図25に示す。
【0175】
図25に示すように、2E11 HMGB1 mAbはHMGB1 151〜168ペプチド(配列番号30)に結合したが、HMGB1 143〜160ペプチド(配列番号52)またはHMGB1 157〜174ペプチド(配列番号53)いずれにも結合しなかった。当該分野で知られているように、2つのタイプ:線状、順次または連続エピトープおよび非線状の立体配座または不連続エピトープのエピトープまたは抗原性決定基がある。典型的な抗体エピトープの寸法は、しばしば、サイズが6アミノ酸残基として与えられるが、可変サイズとすることができる。これらの実験は、2E11 HMGB1 mAbによって認識されるエピトープがHMGB1のアミノ酸残基156〜161を含むようであることを示唆する。しかしながら、2E11 HMGB1 mAbは、この領域に対するフランキングアミノ酸、例えば、HMGB1のアミノ酸残基155〜161、155〜162、156〜162および/または156〜163を含むエピトープをやはり認識することができる。
【0176】
種々のHMGB1 mAb(例えば、2G7 HMGB1 mAb、6E6 HMGB1 mAb、2G5 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2E11 HMGB1 mAb)によって認識されるHMGB1のマッピングされたエピトープを示すペプチド結合結果のまとめを図26に示す。
【0177】
実施例15:6E6 HMGB1 mAbの質量解析
6E6 HMGB1 mAbの質量は質量解析によって測定した。6E6 HMGB1 mAbをLC/MS解析のためにNovatia、LLC(Princeton, NJ)に送った。簡単には、インタクトまたは(重鎖および軽鎖を分離するために)DTTで処理した後のいずれかの抗体を、PLRP-s 4000A逆相HPLCカラム(HPLC/ESI-MSシステム)および質量解析(Finnigan TSQ7000マススペクトロメーター)を用いる解析に付した。タンパク質についての質量精度は一般に±0.01%であり、この精度は6E6軽鎖の質量の測定において達成された(例えば、2Da/23,917 Da×100%=0.008%)。
【0178】
この解析の結果を図27A〜27Dに示し、これは質量スペクトルプロットを示す。6E6 HMGB1 mAbの全質量は146.5kDaであった(図27A;インタクト6E6 HMGB1 mAbについての質量スペクトルを示す)。6E6 HMGB1 mAbの軽鎖および重鎖の質量は、各々、23.9kDa(図27Bおよび27C)および49.4kDa(図27Bおよび27D)であると決定された。アミノ酸の分子量を用いて計算された軽鎖および重鎖についての予測される質量は、各々、23.9kDaおよび47.9kDaである。
【0179】
実施例16:2G7 HMGB1 mAbは単一用量の投与後における敗血症マウスでの生存を増加させる
マウスを前記したように盲腸結紮および穿刺(CLP)に付した。1つの実験においては、外科的処置から24時間後に、マウスに0.004mg/kg、0.04mg/kgまたは0.4mg/kgの2G7 HMGB1 mAb(2G7)いずれかを1日当たり1回腹腔内投与した。第二の実験において、外科的処置から24時間後に、マウスに、0.04mg/kgの2G7 HMGB1 mAbまたは0.4mg/kgの対照IgG(IgG対照)のいずれかを1日当たり1回投与した。生存を双方の実験で14日間モニターした。2つの実験の結果を合わせ、図28に示す。0.4mg/kgの2G7 HMGB1 mAbの投与の結果、CLP後14日にIgG対照を投与したマウスのほぼ40%生存に過ぎないのと比較して、CLPから14日後におけるほぼ85%生存がもたらされた(図28)。さらに、図28に示すように、0.04mg/kgおよび0.004mg/kgの2G7 HMGB1 mAbの投与の結果、各々、CLP後14日において、ほぼ60%および50%生存がもたらされた。
【0180】
図29は、種々の用量(4mg/kg、0.4mg/kg、0.04mg/kgまたは0.004mg/kgいずれか)の6E6 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAbまたは対照IgGを投与したマウスにおけるCLP生存パーセンテージを比較する表である。図29に示すように、マウスには1日4回抗体を腹腔内投与した。結果は、6E6 HMGB1 mAbまたは2G7 HMGB1 mAbいずれかの0.4mg/kgの用量の投与の結果、対照IgGを投与した場合の、CLP後14日まで生存する敗血症マウスのほぼ40%に過ぎないのに比較して、CLP後14日まで生存する敗血症マウスは80%を超えた。
【0181】
実施例17:抗HMGB1モノクローナル抗体によるTNF放出の阻害
実施例5におけるように、TNF放出を阻害する特定のHMGB1モノクローナル抗体の能力を評価した。この研究の結果を図32および33に示すが、これはHMGB1のみ(黒いバー)またはHMGB1+特定のHMGB1モノクローナル抗体を投与したRAW 264.7細胞によって放出されたTNFを示すヒストグラムである。図32は、1A9 HMGB1 mAb(1A9);2E11 HMGB1 mAb(2E11);2G5 HMGB1 mAb(2G5);2G7 HMGB1 mAb(2G7);3G8 HMGB1 mAb(3G8);4H11 HMGB1 mAb (4H11);5A6 HMGB1 mAb (5A6);6E6 HMGB1 mAb (6E6);9G2 HMGB1 mAb (9G2);4C9 HMGB1 mAb (4C9);および6H9 HMGB1 mAb (6H9)についてのHMGB1媒介TNF放出の阻害の結果を示す。図33は、7H3 HMGB1 mAb(7H3);9H3 HMGB1 mAb(9H3);10D4 HMGB1 mAb (10D4);1C3 HMGB1 mAb (1C3);3E10 HMGB1 mAb (3E10);4A10 HMGB1 mAb (4A10);5C12 HMGB1 mAb (5C12);および7G8 HMGB1 mAb (7G8)についてのHMGB1媒介TNF放出の阻害の結果を示す。
【0182】
図32および33に示すように、さらに、実施例5に記載した結果に対し、特定のHMGB1モノクローナル抗体(例えば、2E11 HMGB1 mAb、4H11 HMGB1 mAb、6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAbおよび10D4 HMGB1 mAb)はTNF放出を阻害し、これは、そのような抗体を用いて、(例えば、本明細書中に記載したような)1以上のHMGB機能を変調できることを示す。例えば、これらのブロッキング抗体を用いて、HMGB1の生物学的活性(例えば、サイトカインカスケードのHMGB1媒介活性化)を中和し得る。
【0183】
本発明をその好ましい態様を参照して具体的に示し、記載してきたが、添付の請求の範囲に含まれる発明の範囲を逸脱することなく、形態および詳細の種々の変形がなされ得るのは当業者に理解されよう。
【0184】
本発明の態様として、以下のものが挙げられる。
[1]脊椎動物高移動度グループ(HMGB)Aボックスに特異的に結合するが、HMGBの非Aボックスエピトープには特異的に結合しない抗体またはその抗原結合性断片であって、高速移動群タンパク質で処理した脊椎動物細胞からのプロ炎症性サイトカインの放出を阻害する抗体またはその抗原結合性断片。
[2]前記脊椎動物高移動度グループ(HMGB)Aボックスが哺乳動物HMGB Aボックスである、[1]記載の抗体または抗原結合性断片。
[3]前記哺乳動物高移動度グループ(HMGB)AボックスがヒトHMGB Aボックスである、[2]記載の抗体または抗原結合性断片。
[4]前記哺乳動物高移動度グループ(HMGB)AボックスがHMGB1 Aボックスである、[2]記載の抗体または抗原結合性断片。
[5]Fab断片、Fab'断片、F(ab')2断片およびFv断片からなる群より選択される抗原結合性断片である、[4]記載の抗体または抗原結合性断片。
[6]モノクローナル抗体またはその抗原結合性断片である、[4]記載の抗体または抗原結合性断片。
[7]6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAbおよび10D4 HMGB1 mAbからなる群より選択される、[4]記載のモノクローナル抗体または抗原結合性断片。
[8]前記高移動度グループ(HMGB)Aボックスへの結合が、6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAbおよび10D4 HMGB1 mAbからなる群より選択される抗体により阻害され得る、[4]記載の抗体または抗原結合性断片。
[9]6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAbおよび/または10D4 HMGB1 mAbのエピトープ特異性を有する、[4]記載の抗体または抗原結合性断片。
[10]6H9 HMGB1 mAbのエピトープ特異性を有する、[4]記載の抗体または抗原結合性断片。
[11]ATCC受託番号PTA-5433で寄託されているマウスハイブリドーマ6E6 HMGB1 mAbにより産生される抗体、またはその抗原結合性断片。
[12]ATCC受託番号PTA-5434で寄託されているマウスハイブリドーマ6H9 HMGB1 mAbにより産生される抗体、またはその抗原結合性断片。
[13]ATCC受託番号PTA-5435で寄託されているマウスハイブリドーマ10D4 HMGB1 mAbにより産生される抗体、またはその抗原結合性断片。
[14]ATCC受託番号PTA-5433で寄託されているマウスハイブリドーマ6E6 HMGB1 mAb。
[15]ATCC受託番号PTA-5434で寄託されているマウスハイブリドーマ6H9 HMGB1 mAb。
[16]ATCC受託番号PTA-5435で寄託されているマウスハイブリドーマ10D4 HMGB1 mAb。
[17]ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体および前記いずれかの抗原結合性断片からなる群より選択される、[4]記載の抗体または抗原結合性断片。
[18]脊椎動物高移動度グループ(HMGB)Aボックスに特異的に結合するが、HMGBの非Aボックスエピトープには特異的に結合しない抗体またはその抗原結合性断片を産生する、単離された細胞。
[19]前記脊椎動物高移動度グループ(HMGB)Aボックスが哺乳動物HMGB Aボックスである、[18]記載の単離された細胞。
[20]前記哺乳動物高移動度グループ(HMGB)AボックスがヒトHMGB Aボックスである、[19]記載の単離された細胞。
[21]前記哺乳動物高移動度グループ(HMGB)Aボックスが哺乳動物HMGB1 Aボックスである、[19]記載の単離された細胞。
[22]前記抗体またはその抗原結合性断片をコードする1種類以上の外因性核酸分子を含有する不死化B細胞、ハイブリドーマおよび組換え細胞からなる群より選択される、[18]記載の単離された細胞。
[23]前記抗体または抗原結合性断片がモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片である、[18]記載の単離された細胞。
[24]前記抗体または抗原結合性断片が、6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAbおよび10D4 HMGB1 mAbからなる群より選択される、[18]記載の単離された細胞。
[25]前記高移動度グループ(HMGB)Aボックスへの結合が、6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAbおよび10D4 HMGB1 mAbからなる群より選択される抗体により阻害され得る抗体またはその抗原結合性断片を産生する、[18]記載の単離された細胞。
[26]6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAbおよび10D4 HMGB1 mAbからなる群より選択される抗体のエピトープ特異性を有する抗体またはその抗原結合性断片を産生する、[18]記載の単離された細胞。
[27]ATCC受託番号PTA-5431で寄託されているマウスハイブリドーマ2E11 HMGB1 mAbにより産生される抗体、またはその抗原結合性断片。
[28]脊椎動物高移動度グループ(HMGB)ポリペプチドへの結合が、2E11 HMGB1 mAbにより阻害され得る、抗体またはその抗原結合性断片。
[29]2E11 HMGB1 mAbエピトープ特異性を有する抗体またはその抗原結合性断片。
[30]ATCC受託番号PTA-5431で寄託されているマウスハイブリドーマ2E11 HMGB1 mAb。
[31]2E11 HMGB1 mAbを生産する単離された細胞。
[32]該単離された細胞が、抗体またはその抗原結合断片をコードする1種類以上の外因性核酸分子を含む不死化B細胞、ハイブリドーマ、および組換え細胞からなる群より選択される、[31]記載の単離された細胞。
[33]脊椎動物高移動度グループ(HMGB)ポリペプチドへの結合が2E11 HMGB1 mAbによって阻害され得る、抗体またはその抗原結合断片を生産する単離された細胞。
[34]該単離された細胞が、抗体またはその抗原結合断片をコードする1種類以上の外因性核酸分子を含む不死化B細胞、ハイブリドーマ、および組換え細胞からなる群より選択される、[33]記載の単離された細胞。
[35]抗体または抗原結合断片が2E11 HMGB1 mAbのエピトープ特異性を有する、抗体またはその抗原結合断片を生産する単離された細胞。
[36]該単離された細胞が、抗体またはその抗原結合断片をコードする1種類以上の外因性核酸分子を含む不死化B細胞、ハイブリドーマ、および組換え細胞からなる群より選択される、[35]記載の単離された細胞。
[37]ATCC受託番号PTA-5432として寄託されたネズミハイブリドーマ2G7 HMGB1 mAbによって生産される抗体、またはその抗原結合断片。
[38]脊椎動物高移動度グループ(HMGB)ポリペプチドへの結合が2G7 HMGB1 mAbによって阻害され得る、抗体またはその抗原結合断片。
[39]抗体または抗原結合断片が2G7 HMGB1 mAbのエピトープ特異性を有する抗体またはその抗原結合断片。
[40]ATCC受託番号PTA-5432として寄託された、ネズミハイブリドーマ2G7 HMGB1 mAb。
[41]2G7 HMGB1 mAbを生産する単離された細胞。
[42]該単離された細胞が、抗体またはその抗原結合断片をコードする1種類以上の外因性核酸分子を含む不死化B細胞、ハイブリドーマ、および組換え細胞からなる群より選択される、[41]記載の単離された細胞。
[43]脊椎動物高移動度グループ(HMGB)ポリペプチドへの結合が2G7 HMGB1 mAbによって阻害され得る、抗体またはその抗原結合断片を生産する単離された細胞。
[44]該単離された細胞が、抗体またはその抗原結合断片をコードする1種類以上の外因性核酸分子を含む不死化B細胞、ハイブリドーマ、および組換え細胞からなる群より選択される、[43]記載の単離された細胞。
[45]抗体または抗原結合断片が2G7 HMGB1 mAbのエピトープ特異性を有する、抗体またはその抗原結合断片を生産する単離された細胞。
[46]該単離された細胞が、抗体またはその抗原結合断片をコードする1種類以上の外因性核酸分子を含む不死化B細胞、ハイブリドーマ、および組換え細胞からなる群より選択される、[45]記載の単離された細胞。
[47]配列番号1のアミノ酸残基151〜168からなるペプチドと結合する抗体または抗原結合断片。
[48]抗体または抗原結合断片がモノクローナル抗体またはその抗原結合断片である、[47]記載の抗体または抗原結合断片。
[49]配列番号1のアミノ酸残基156〜161からなるペプチドと結合する抗体または抗原結合断片。
[50]配列番号1のアミノ酸残基155〜161からなるペプチド;
配列番号1のアミノ酸残基155〜162からなるペプチド;
配列番号1のアミノ酸残基156〜162からなるペプチド;および
配列番号1のアミノ酸残基156〜163からなるペプチド
からなる群より選択されるペプチドに結合する抗体または抗原結合断片。
[51]配列番号1のアミノ酸残基151〜168からなるペプチドへの結合が2E11 HMGB1 mAbによって阻害され得る、抗体または抗原結合断片。
[52]配列番号1のアミノ酸残基61〜78からなるペプチドと結合する抗体または抗原結合断片。
[53]抗体または抗原結合断片がモノクローナル抗体またはその抗原結合断片である、[52]記載の抗体または抗原結合断片。
[54]配列番号1のアミノ酸残基67〜78からなるペプチドと結合する抗体または抗原結合断片。
[55]配列番号1のアミノ酸残基61〜78からなるペプチドへの結合が6E6 HMGB1 mAbおよび6H9 HMGB1 mAbからなる群より選択される抗体によって阻害され得る、抗体または抗原結合断片。
[56]配列番号1のアミノ酸残基67〜78からなるペプチドへの結合が6E6 HMGB1 mAbによって阻害され得る、抗体または抗原結合断片。
[57]配列番号1のアミノ酸残基46〜63からなるペプチドと結合する抗体または抗原結合断片。
[58]抗体が配列番号54のアミノ酸残基46〜63からなるペプチドと結合しない、[57]記載の抗体または抗原結合断片。
[59]抗体または抗原結合断片がモノクローナル抗体またはその抗原結合断片である、[57]記載の抗体または抗原結合断片。
[60]配列番号:1のアミノ酸残基46〜63からなるペプチドへの結合が2G7 HMGB1 mAbによって阻害され得る、抗体または抗原結合性断片。
[61]6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAbおよび2G7 HMGB1 mAbからなる群より選択される抗体の軽鎖CDR (CDR1、CDR2およびCDR3)ならびに重鎖CDR (CDR1、CDR2およびCDR3)を含有する、抗体またはその抗原結合性断片。
[62]ヒトフレームワーク領域をさらに含有する、[61]記載の抗体または抗原結合性断片。
[63]Fab断片、Fab'断片、F(ab')2断片およびFv断片からなる群より選択される抗原結合性断片である、[1]記載の抗体または抗原結合性断片。
[64][1]記載の抗体または抗原結合性断片および薬学的に許容され得る賦形剤を含有してなる組成物。
[65]6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAb、2E11 HMGB1 mAbおよび前記いずれかの抗原結合性断片からなる群より選択される抗体またはその抗原結合性断片ならびに薬学的に許容され得る賦形剤を含有してなる組成物。
[66]ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体および前記いずれかの抗原結合性断片からなる群より選択される、[1]記載の抗体または抗原結合性断片。
[67]a) 6E6 HMGB1 mAb;
b) 6H9 HMGB1 mAb;
c) 2G7 HMGB1 mAb;
d) 10D4 HMGB1 mAb;
e) 2E11 HMGB1 mAb;
f) 6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAbおよび/または2E11 HMGB1 mAbのエピトープ特異性を有する抗体;
g) 6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAbおよび/または2E11 HMGB1 mAbと、脊椎動物高移動度グループ(HMGB)ポリペプチドへの結合に関して競合し得る抗体;および
h) a)、b)、c)、d)、e)、f)またはg)の抗原結合性断片
からなる群より選択される抗体またはその抗原結合性断片。
[68]ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体および前記いずれかの抗原結合性断片からなる群より選択される、[67]記載の抗体または抗原結合性断片。
[69]i) HMGBに結合する抗体または抗原結合性断片;
ii) 試験薬剤;および
iii) 脊椎動物HMGBポリペプチドを含有してなる組成物
を合わせること;
および前記抗体または抗原結合性断片と前記HMGBポリペプチドとの複合体の形成を検出または測定することを含み、ここで、適当な対照と比べた前記複合体の形成の減少は、前記試験薬剤が前記HMGBポリペプチドに結合することを示し、
前記抗体または抗原結合性断片が、
a) 6E6 HMGB1 mAb;
b) 6H9 HMGB1 mAb;
c) 2G7 HMGB1 mAb;
d) 10D4 HMGB1 mAb;
e) 2E11 HMGB1 mAb;
f) 6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAbおよび/または2E11 HMGB1 mAbのエピトープ特異性を有する抗体;
g) 6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAbおよび/または2E11 HMGB1 mAbと、脊椎動物高移動度グループ(HMGB)ポリペプチドへの結合に関して競合し得る抗体;および
h) a)、b)、c)、d)、e)、f)またはg)の抗原結合性断片
からなる群より選択される、脊椎動物高移動度グループ(HMGB)ポリペプチドに結合する薬剤の検出および/または同定方法。
[70]a) 6E6 HMGB1 mAb;
b) 6H9 HMGB1 mAb;
c) 2G7 HMGB1 mAb;
d) 10D4 HMGB1 mAb;
e) 2E11 HMGB1 mAb;
f) 6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAbおよび/または2E11 HMGB1 mAbのエピトープ特異性を有する抗体;
g) 6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAbおよび/または2E11 HMGB1 mAb と、脊椎動物高移動度グループ(HMGB)ポリペプチドへの結合に関して競合し得る抗体;および
h) a)、b)、c)、d)、e)、f)またはg)の抗原結合性断片
からなる群より選択される抗体またはその抗原結合性断片を被験体に投与することを含む、被験体において、炎症性サイトカインカスケードの活性化を特徴とする状態を処置する方法。
[71]前記状態が、敗血症、同種移植拒絶、関節炎、喘息、狼瘡、成人呼吸促進症候群、慢性閉塞性肺疾患、乾癬、膵臓炎、腹膜炎、熱傷、虚血、ベーチェット病、対宿主性移植片病、炎症性腸疾患、多発性硬化症および悪液質からなる群より選択される、[70]記載の方法。
[72]a) 6E6 HMGB1 mAb;
b) 6H9 HMGB1 mAb;
c) 2G7 HMGB1 mAb;
d) 10D4 HMGB1 mAb;
e) 2E11 HMGB1 mAb;
f) 6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAbおよび/または2E11 HMGB1 mAbのエピトープ特異性を有する抗体;
g) 6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAbおよび/または2E11 HMGB1 mAbと、脊椎動物高移動度グループ(HMGB)ポリペプチドへの結合に関して競合し得る抗体;および
h) a)、b)、c)、d)、e)、f)またはg)の抗原結合性断片
からなる群より選択される抗体またはその抗原結合性断片を被験体に投与することを含む、敗血症の被験体の処置方法。
[73]a) 6E6 HMGB1 mAb;
b) 6H9 HMGB1 mAb;
c) 2G7 HMGB1 mAb;
d) 10D4 HMGB1 mAb;
e) 2E11 HMGB1 mAb;
f) 6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAbおよび/または2E11 HMGB1 mAbのエピトープ特異性を有する抗体;
g) 6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAbおよび/または2E11 HMGB1 mAbと、脊椎動物高移動度グループ(HMGB)ポリペプチドへの結合に関して競合し得る抗体;および
h) a)、b)、c)、d)、e)、f)またはg)の抗原結合性断片
からなる群より選択される抗体またはその抗原結合性断片を被験体に投与することを含む、関節炎の被験体の処置方法。
[74]a) 6E6 HMGB1 mAb;
b) 6H9 HMGB1 mAb;
c) 2G7 HMGB1 mAb;
d) 10D4 HMGB1 mAb;
e) 2E11 HMGB1 mAb;
f) 6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAbおよび/または2E11 HMGB1 mAbのエピトープ特異性を有する抗体;
g) 6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAbおよび/または2E11 HMGB1 mAbと、脊椎動物高移動度グループ(HMGB)ポリペプチドへの結合に関して競合し得る抗体;および
h) a)、b)、c)、d)、e)、f)またはg)の抗原結合性断片
からなる群より選択される抗体またはその抗原結合性断片を被験体に投与することを含む、狼瘡の被験体の処置方法。
[75]a) 試料を、[62]記載の抗体または抗原結合性断片と、前記試料中に存在する前記HMGBポリペプチドへの前記抗体または断片の結合に適した条件下で接触させること;および
b) 抗体-HMGB複合体または抗原結合性断片-HMGB複合体を検出すること
を含み、
ここで、前記抗体-HMGB複合体または抗原結合性断片-HMGB複合体の検出は、前記試料中のHMGBポリペプチドの存在を示す、
試料中の脊椎動物高移動度グループ(HMGB)ポリペプチドの検出方法。
[76]前記抗体または抗原結合性断片が、6E6 HMGB1 mAb、6H9 HMGB1 mAb、2G7 HMGB1 mAb、10D4 HMGB1 mAb、2E11 HMGB1 mAbおよび前記いずれかの抗原結合性断片からなる群より選択される、[75]記載の方法。
[77]前記抗体または抗原結合性断片が検出可能な標識を含有する、[75]記載の方法。
[78]前記抗体-HMGB複合体または抗原結合性断片-HMGB複合体の検出が、イムノアッセイによるものである、[75]記載の方法。
[79]前記イムノアッセイがELISAである、[78]記載の方法。
[80]a) [62]記載の抗体または抗原結合性断片;および
b) 前記抗体または抗原結合性断片と前記HMGBポリペプチドまたはその部分との複合体の存在の検出に適した1種類以上の補助試薬
を含む、試料中の脊椎動物高移動度グループ(HMGB)ポリペプチドまたはその部分の検出における使用のための試験キット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1のアミノ酸残基61〜78からなるペプチドへの結合が6E6 HMGB1 mAbによって阻害され得る、単離されたモノクローナル抗体または抗原結合断片。
【請求項2】
配列番号1のアミノ酸残基67〜78からなるペプチドへの結合が6E6 HMGB1 mAbによって阻害され得る、単離されたモノクローナル抗体または抗原結合断片。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27A】
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【図27B】
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【図27C】
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【図27D】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2011−241219(P2011−241219A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118559(P2011−118559)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【分割の表示】特願2006−526305(P2006−526305)の分割
【原出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(504376153)コーナーストーン セラピューティクス インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】