説明

HOF.RCNを生成および使用する方法

本発明は、迅速で安全な方法にてHOF.RCNを生成し、HOF.RCNを用いて有機基質を酸化させる方法に関する。方法は、導管(12)を通して希釈フッ素を、また、別の導管(16)を通して水中RCNをマイクロ反応器(15)内に通し、HOF.RCNを形成するステップおよびこのHOF.RCNを有機基質(2a)と反応させるステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現場にてHOF.RCNを生成する方法および、反応を生じさせるためにHOF.RCNを用いる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
HOFは極めて不安定な公知の酸化剤である。原液HOFは−40℃超の温度にて予測不能に爆発性であり得る。HOFはアセトニトリルと複合させることでより安定化され得ることが見出されている。この結果生じるHOF.MeCN複合体は比較的安定し、極めて良好な酸素移動剤である。HOF.MeCN複合体の水由来の酸素原子は、酸素を強力な求電子剤に変化させる、より高い電気陰性度を有する元素のみに結合される。HOFがこのような効果的な酸化剤としての反応を示すことを可能にするのは、この恒久的な部分的に正の酸素である。酸化反応の結果として、フッ化水素酸(HF)が形成される。H−F結合の形成は酸素移動方法の強力な推進力である。
【0003】
HOF.MeCNは、オレフィンのエポキシ化を行い、芳香族アミンからニトロアレーン;脂肪族アミンからニトロ化合物;アルコールおよびメチルエーテルからケトン;硫化物からスルホン;アミノ酸からα−ニトロ酸;ならびにアジドからニトロ化合物への変換を生じさせるために用いられている。従来技術に詳述されているように、HOF.MeCNは基質を酸化させるためにバッチ方法または連続方法において用いられ得る。Tour,Dirk,MickelsonおよびHendersonによるOrganic Letters 2000,2,3405においてバッチ方法が行われ、フッ素が湿潤アセトニトリル中を通って泡化させられた際、すべてのフッ素が反応したわけではない。また、フッ素ガスが溶液中に蓄積し、溶媒蒸気が存在する容器のヘッドスペースに蓄積した。こうした状況は共に爆発の危険性を生じさせ得る。
【0004】
更に、公知のバッチ方法は、多量のHOF試薬を生成するために必要な限られた時間のため、ある点を超えて拡大することは困難または不可能である。加えて、多量のこのような不安定な試薬の蓄積は安全性リスクを与え得る。
【0005】
Tour,Dirkらの文献では、−20℃でHOF.MeCNを形成することが必要であることが報告され、高温が有意なHOFの分解を引き起こすため、安定性の問題により、HOF.MeCNは同様に低温で用いられなければならない。しかし、低温条件は長い反応時間を必要とし、低温条件が長い反応時間を必要とすることは、RCNの分解または出発物質もしくは生成物の更なる望ましくない反応をもたらし得る。試薬供給および反応器条件の精密制御がなく、従って、フッ素からHOF.MeCNへの変換、HOF.MeCN溶液の滴定が行われる必要があり、フッ素からHOF.MeCNへの変換、HOF.MeCN溶液の滴定は危険な工程である。
【0006】
脂肪族アミンをニトロ化合物に変換するため、フッ化ナトリウム(NaF)のようなHF捕捉剤が用いられて酸化が生じることを可能にする必要がある。酸化反応から生じる生成混合物はHFを含有し、このような混合物の操作は潜在的に危険である。
【0007】
HOF.MeCNによる基質の酸化を行うために用いられる別の方法は連続方法である。ChambersらによるJournal of Fluorine Chemistry,2003,119,81に述べられている方法は、基質のフッ素との反応性により、大部分の基質に役立たない。アルケンまたはアミンのような単純な基質では、基質の広範なフッ素化および/または分解が生じるため、基質のフッ素との反応性により大部分の基質に役立たないということは主要な問題である。更に、HOFに対する溶媒としてのギ酸の使用は、多量のギ酸の腐食性物質の使用により、潜在的に危険で/望ましくない。生じるギ酸中HOF溶液は不安定で腐食性であり、より危険な方法となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Tour,Dirk,MickelsonおよびHendersonら、Organic Letters 2000,2,3405
【非特許文献2】Chambersら、Journal of Fluorine Chemistry,2003,119,81
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来技術よりはるかに迅速で安全なHOF.RCNを生成する方法および使用する方法を提供することで、上記課題を解決しようとするものである。
【0010】
HOF.RCNの高反応性は、HOF.RCNの連続合成および基質の連続酸化のためのマイクロ反応器システムの使用を可能にし、従って、最小限のオペレータの労力で危険な在庫、危険な物質の取扱いを最小限にし、方法効率を最大限にする。20℃で約4時間の半減期を有するHOF.MeCNの不安定性は、このような連続生成手法が如何なる規模でも合成に有益ということである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、マイクロ反応器における少なくとも第一の導管および少なくとも1つのチャネルの第一の端部に連結した第二の導管、少なくとも1つのチャネルの第二の端部に連結し、ポット反応器で終端を成す第三の導管を含む装置を用いて、HOF.RCNを用いて基質を酸化させる方法を含む。方法は、導管を通して希釈フッ素をマイクロ反応器チャネルに通すステップ、別の導管に水中RCNを通し、これにより、HOF.RCNを形成するステップおよびHOF.RCNを酸化される基質と接触させるステップを含み、HOF.RCN形成および酸化段階が同じ反応システム内にて分離され、これにより、HOF.RCNの連続生成を可能にする。
【0012】
このため、基質と接触するフッ素がないことが確実になり、従って、方法はフッ素に反応を示す官能性を含有する基質に適用され得る。このような基質には、限定されないが、脂肪族および芳香族アミン、アルケン、N−複素環、アジド、活性化カルボニル化合物、エステルならびに炭化水素が含まれる。
【0013】
上述の装置を用いて基質を酸化させる方法は、導管を通して希釈フッ素をマイクロ反応器チャネルに通すステップ、導管に水中RCNを通すステップ、およびこの混合物を酸化される基質と接触させるステップを含み、HOF.RCN形成および酸化段階が同じ反応システム内にて分離され、これにより、HOF.RCNの連続生成を可能にする。
【0014】
本発明の方法は、半バッチ方法または、連続方法におけるマイクロ反応器への基質溶液の連続注入によるHOF.RCNの連続生成を含む連続方法であり得る。
【0015】
HOF.RCNは本発明において、水中または水を含有するRCN流が希釈フッ素と接触させられる従来技術の選択的方法にて生成される。
【0016】
本発明の方法では、すべてのフッ素がHOFに変換され、そのため、爆発の危険性がなく、従って、フッ素ガスの効率的な利用がある。可燃性蒸気がヘッドスペースに蓄積し得る容器に達する前にすべてのフッ素が消費されるため、爆発の危険性は軽減される。加えて、すべてのフッ素の消費により、HOF.RCN生成ステップ後の溶液中フッ素の潜在的に危険な蓄積が防止される。方法は、同じ反応ブロックまたは1つ以上の別個のマイクロ反応器における追加の同一反応チャネルを用いることで拡大され得、必要な場合、チャネルの寸法は変更され得る。基質投入流量が反応全体にわたって一定で同一であるように、方法をブロック反応器にて行うことが好ましい。
【0017】
HOF.RCNが連続的に生成されるこの方法は、反応器の酸化域の加熱を可能にし、従って、扱いにくい基質をより効率的に酸化させる能力を付与する。HOF.RCN生成域を明らかに20℃未満の温度に冷却することは必要ではない。HOF.RCN生成時に小規模においては温度制御は必ずしも必要ではない。
【0018】
どの時点においても方法の安全水準を高める、フッ素およびHOFの最小限の在庫がある。試薬供給および反応器条件の精密制御により、HOF.MeCN溶液の危険な滴定は必要ではない。試薬供給は気体流量計または他の任意好適な手段によって制御され得る。液体流はシリンジまたは他の任意の定量ポンプによって制御され得る。回収物質の収率または他の任意好適な方法時分析法に基づいて最適な経路長を画定するように、経路長は、例えば、滞留時間を測定することで最適化され得る。マイクロ反応器は必要とされることに依存してマイクロ反応器が加熱または冷却され得る経路を有し、マイクロ反応器における優れた熱伝導をもたらす。脂肪族アミンをニトロ化合物に酸化させるためにHF捕捉剤が必要とされず、方法が連続的であることが可能になる。方法は反応の直接急冷も可能にし、つまり、生成混合物を操作している際にHFを取り扱う危険がないということである。
【0019】
マイクロ反応器が効率を向上させ、マイクロ反応器に優れた熱伝導があることにより、安全を最重視する冷却の必要性を低減するため、方法は方法の拡大に役立つ。更なるチャネルまたは反応器を追加することにより、方法の拡大が可能になると同時に、バッチ拡大方法と対照的に、単一チャネルと同じ安全性または方法・パラメータを維持する。
【0020】
同方法は半バッチモードにて稼働されると、基質が、HOF.RCN混合物が送り込まれるポット反応器に位置するため、連続的に生成されるHOF.RCNとの不良の可溶性または不溶性基質の酸化を可能にする。
【0021】
基質は半バッチ方法におけるHOF.RCN生成時に存在し、または後に加えられ得る。基質が酸感受性である場合、HF捕捉剤(例えば、NaF)が加えられ得る。
【0022】
半バッチ方法
本発明の半バッチ方法は、HOF.RCN形成ステップにおけるフッ素の完全な消費を確実にするために流量の制御を付与する。既存の単一チャネルシステムに関して、冷却の使用は不要である。しかし、多くのチャネルを含むことによる方法の拡大は、マイクロ反応器に通される冷却流体の使用を必要とし得る。急冷はフローを溶液、例えば、NaHCOに通すことで達成される。このため、生成混合物を操作する際にHFの取扱いと関連する、公開方法に見られる健康および安全性の問題が排除される。HOF.RCNは撹拌槽または基質の溶液を含有する他の反応器に通され得る。このため、フッ素およびHOF.RCNの在庫が最小限にされる。または、基質はHOF.RCNの生成後に加えられ得る。基質がHOF.RCNの生成後に加えられることは、HF(副生成物)への長時間の暴露に晒される不安定な、または分解もしくは更なる反応前にHOFとのわずかに短時間の接触を必要とする、基質の酸化が可能になると同時に、システムにおけるフッ素の在庫を最小限にする。
【0023】
連続
本発明の連続方法は、HOF.RCN形成ステップにおけるフッ素の完全な消費を確実にするために流量の制御を付与する。試薬供給は気体流量計または他の任意好適な手段によって制御され得る。液体流はシリンジまたは他の任意の定量ポンプによって制御され得る。この場合も経路長は上述のように最適化され得る。マイクロ反応器は必要とされることに依存してマイクロ反応器が加熱または冷却され得る経路を有し、マイクロ反応器における優れた熱伝導をもたらす。
【0024】
HOF.RCN溶液は潜在的に同じフロー反応器において第二の連続段階に送り込まれ得、このフロー反応器に酸化基質または酸化基質の溶液が注入される。次に、すべてのフッ素が消費されるため、基質に用いられる溶媒はフッ素と適合しない溶媒を含み得、これは本発明の方法に特有である。溶媒混合物、例えば、MeCN/DCMは基質のキャリア位相としても用いられ得、フッ素に反応を示す溶媒、例えば、ジクロロメタン(DCM)を含む。
【0025】
本発明の連続法は、従来技術と比べて少なくとも一級および三級脂肪族アミン、芳香族アミン、脂肪族アジド、アルケンならびにアザ複素環のより迅速で安全な酸化を可能にする。本発明の連続法は、方法のはるかに容易な拡大も可能にし、脂肪族アミンの酸化のためにNaFのような異種酸捕捉剤の使用を必要としない。
【0026】
追加のマイクロ反応器または同じ反応器における追加のチャネルは、酸化のような発熱バッチ反応の拡大と関連する従来の課題を解決し、安全な方法の拡大を可能にする。2つのマイクロ反応器が用いられる場合、第一のマイクロ反応器はHOF形成を行い、一方、第二のマイクロ反応器は基質酸化を行う。幸いにも、マイクロ反応器ブロックの中に加熱または冷却流体を通すことで、必要な場合には完全な独立した温度制御が達成され得る。より多くの数のチャネルでHOF.RCNの生成時にマイクロ反応器ブロックを冷却し、または酸化段階が緩徐である場合にはマイクロ反応器ブロックを加熱することが必要であり得る。
【0027】
上記方法は、基質および生成物が方法溶媒に可溶である(連続方法のために)という条件で、HOF.RCN化学に従う、酸化を必要とする如何なる化学方法にも適用可能である。この方法は、従来の酸化法に抵抗性を示し、またはより環境に優しい、重金属を含まない手法が必要な基質に特に好適である。多量の基質に対して酸化が行われるように、本方法は拡大に好適である。生じる生成物は、例えば、エネルギー物質、医薬品、および精製化学製品において用いられ得る。
【0028】
本発明において用いられる装置は物質の安全な取扱いを可能にし、従来技術と関連する健康および安全性の課題を解決する。装置はより迅速な反応時間ももたらし、通常、1秒未満から数秒までである。前述の時間は従来技術において公知の時間より著しく速く、同様の収率を生じさせる。例えば、基質注入で1つの反応器にHOF.RCNを生成させ、次に、より多くのHOF.RCN形成で第二の反応器に基質としてこの部分的酸化流中に送り込む連続反応が用いられ得る。または、単一反応器において収率を高めるため、流量および条件は任意公知の方法で最適化され得る。
【0029】
装置は、希釈フッ素、水中RCNおよび、おそらく酸化される基質が通過する種々の導管を含む。希釈フッ素、水中RCNおよび、おそらく酸化される基質の一部またはすべてはマイクロ反応器に流れ込み、そこで液体は混合して最終生成物を形成し、HOF.RCNを生成し、または単に冷却もしくは加熱され得る。
【0030】
マイクロ反応器は、連続方法において生成物を回収するために導管によってポット反応器に連結されている。半バッチ方法では、ポット反応器は酸化される基質の溶液またはRCNを含有し得、酸化される基質はポット反応器に付加される。ポット反応器が生成物を回収する連続方法では、ポット反応器は形成されるHOF.RCNおよびHFを中和するために急冷溶液も含有し得る。ポット反応器は冷却され得る。ポット反応器は、HF、フッ素、HOFまたは他の反応化学物質に影響されないフルオロポリマー材料製であることが好ましい。
【0031】
加えて、装置は危険な揮発性物質を回収する冷却キャッチポットを含み得る。こうした危険な物質の痕跡がある場合、冷却キャッチポットは安全装置の単に一部である。キャッチポットは導管を介してソーダ石灰洗浄器に連結され得る。ソーダ石灰洗浄器は残留フッ素またはフッ化水素酸を破壊する。フッ素またはフッ化水素酸のいずれかが通過する可能性は低く、洗浄器は単に別の安全装置である。
【0032】
以下、本発明は、添付図面を参照して更に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】半バッチ方法用の好ましい装置の配置を示す概略図である。
【図2】連続モード方法用の第一の好ましい装置の配置を示す概略図である。
【図3】連続モード方法用の第二の好ましい装置の配置を示す概略図である。
【図4】連続モード方法用の第三の好ましい装置の配置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、HOF.RCNが連続的に生成される半バッチ方法において用いられる装置の概略図である。
【0035】
第一の導管12は、マイクロ反応器15における第一のチャネル14の開始部分に送り込まれている。第二の導管16はチャネル14の長さに沿ってチャネル14に連結している。マイクロ反応器ブロック15は、加熱または冷却流体がこの中を流れる第二のチャネル18を有する。チャネル14は第三の導管20を介してポット反応器22に連結され、ポット反応器22は酸化される基質の溶液24または、基質が後で加えられる場合にはRCNを含有する。ポット反応器22は第四の導管26によってキャッチポット28に連結されている。キャッチポット28は氷浴槽30内で冷却される。キャッチポット28は第五の導管32によってソーダ石灰洗浄器34に連結されている。第六の導管36はソーダ石灰洗浄器34から大気中へ延びている。
【0036】
希薄な、好ましくは窒素中10%フッ素が第一の導管12を通してマイクロ反応器チャネル14に送り込まれ、RCN/水混合物が第二の導管16を介してマイクロ反応器ブロック15におけるチャネル14に送り込まれ、マイクロ反応器15においてHOF.RCNを形成する。HOF.RCNは、酸化される基質の溶液24が既に存在するポット反応器22に移される。または、ポット反応器22はHOF.RCNが流れ込むRCNを含有し、酸化される基質はHOF.RCN生成後に加えられる。反応生成物はポット反応器22に集まり、任意適用可能な公知の方法、例えば、溶媒抽出、次に、抽出溶媒の乾燥および蒸発を用いて分離され得る。キャッチポット28は、第四の導管26を通ってポット反応器22に由来する危険な揮発性物質を回収するために用いられるが、キャッチポット28には何も集まらないと予期され、キャッチポット28は単に安全上の特徴である。ソーダ石灰洗浄器34は、第五の導管を介してキャッチポット28から移される残留フッ素またはHFを破壊するために用いられるが、残留物質が集まることが予期されないため、ソーダ石灰洗浄器34も安全装置である。
【0037】
または、窒素中フッ素は第二の導管16を介してマイクロ反応器に送り込まれ得、RCN/HO混合物は第一の導管12を通して送り込まれ得る。
【0038】
図2は、連続モード方法において用いられる装置の第一の好ましい実施形態の概略図である。第一の導管12はマイクロ反応器15におけるチャネル14の開始部分に送り込まれている。第二の導管16はチャネル14の長さに沿ってチャネル14に連結している。マイクロ反応器ブロックは加熱または冷却流体がこの中を流れるもう1つのチャネル18を有する。チャネル14は第三の導管20を介してポット反応器22に連結されている。第三の導管20は第三の導管20の長さに沿ってT字形部品21を有し、T字形部品21はT字形部品21に付着した第七の導管38を有する。ポット反応器22は第四の導管26によってキャッチポット28に連結されている。ポット反応器22内に急冷溶液25がある。キャッチポット28は氷浴槽30内で冷却される。キャッチポット28は第五の導管32によってソーダ石灰洗浄器34に連結されている。第六の導管36はソーダ石灰洗浄器34から大気中へ延びている。
【0039】
HOF.RCNは、第一の導管12を通してマイクロ反応器15におけるチャネル14にRCN/HOを、また、第二の導管16を通してチャネル14に希薄な、好ましくは窒素中10%フッ素を送り込むことによって連続的に生成される。こうしてマイクロ反応器15においてHOF.RCNが形成され、HOF.RCNは第三の導管20を介してマイクロ反応器15からポット反応器22へ流れる。酸化される基質の溶液24(図示せず)が第七の導管38およびT字形部品21を通して第三の導管20に連続的に送り込まれ、HOF.RCNと反応する。反応生成物はポット反応器22に集まる。ポット反応器22はHOF.RCNおよびHFを中和するために急冷溶液25を含有し得る。反応生成物はポット反応器22に集まり、任意適用可能な公知の方法、例えば、溶媒抽出、次に、抽出溶媒の乾燥および蒸発を用いて分離され得る。キャッチポット28は、第四の導管26を通ってポット反応器22に由来する危険な揮発性物質を回収するために用いられるが、キャッチポット28には何も集まらないと予期され、キャッチポット28は単に安全上の特徴である。ソーダ石灰洗浄器34は、第五の導管を介してキャッチポット28から移されるHFの残留フッ素を破壊するために用いられるが、残留物質が集まることが予期されないため、ソーダ石灰洗浄器34も安全装置である。
【0040】
または、窒素中フッ素は第一の導管12を介してマイクロ反応器に送り込まれ得、RCN/HO混合物は第二の導管16を通して送り込まれ得る。
【0041】
図3は、連続モード方法において用いられる装置の第二の好ましい実施形態の概略図である。第一の導管12は、マイクロ反応器15におけるチャネル14の開始部分に送り込まれている。第二の導管16はチャネル14の長さに沿ってチャネル14に連結している。前記第二の導管16は第二の導管16の長さに沿ってT字形部品21を有し、T字形部品21はT字形部品21に付着した第八の導管40を有する。マイクロ反応器ブロック15は加熱または冷却流体がこの中を流れるもう1つのチャネル18を有する。チャネル14は第三の導管20を介してポット反応器22に連結されている。ポット反応器22は第四の導管26によってキャッチポット28に連結されている。ポット反応器22内に急冷溶液25がある。キャッチポット28は氷浴槽30内で冷却される。キャッチポット28は第五の導管32によってソーダ石灰洗浄器34に連結されている。第六の導管36はソーダ石灰洗浄器34から大気中へ延びている。
【0042】
酸化される基質の溶液24(図示せず)が第一の導管12を通ってマイクロ反応器15におけるチャネル14に送り込まれる。希薄な、好ましくは窒素中10%フッ素が、第二の導管16を通して送り込まれ、第八の導管40およびT字形部品21を通って第二の導管16に送り込まれるRCN/HOと接触する。生じる生成物流がチャネル14に流れ込む。酸化基質および他の生成物が第三の導管20を介してマイクロ反応器15からポット反応器22へ流れる。ポット反応器はHOF.RCNおよびHFを中和するために急冷溶液25を含有し得る。反応生成物はポット反応器22に集まり、任意適用可能な公知の方法、例えば、溶媒抽出、次に、抽出溶媒の乾燥および蒸発により分離され得る。キャッチポット28は、第四の導管26を通ってポット反応器22に由来する危険な揮発性物質を回収するために用いられるが、キャッチポット28には何も集まらないと予期され、キャッチポット28は単に安全上の特徴である。ソーダ石灰洗浄器34は、第五の導管を介してキャッチポット28から移されるHFの残留フッ素を破壊するために用いられるが、残留物質が集まることが予期されないため、ソーダ石灰洗浄器34も安全装置である。基質溶液は酸化剤と接触する前に本装置を用いて予熱され得る。
【0043】
または、窒素中フッ素は第八の導管40を介してマイクロ反応器に送り込まれ得、RCN/HO混合物は第二の導管16を通して送り込まれ得る。
【0044】
図4は、連続モード方法において用いられる装置の第三の好ましい実施形態の概略図である。第一の導管12は、マイクロ反応器15におけるチャネル14の開始部分に送り込まれている。第二の導管16はチャネル14の長さに沿ってチャネル14に連結している。第九の導管42も第二の導管16より遠位にチャネル14の長さに沿ってチャネル14と連結している。マイクロ反応器ブロック15は加熱または冷却流体がこの中を流れるもう1つのチャネル18を有する。チャネル14は第三の導管20を介してポット反応器22に連結されている。ポット反応器22は第四の導管26によってキャッチポット28に連結されている。ポット反応器22内に急冷溶液25があり得る。キャッチポット28は氷浴槽30内で冷却される。キャッチポット28は第五の導管32によってソーダ石灰洗浄器34に連結されている。第六の導管36はソーダ石灰洗浄器34から大気中へ延びている。
【0045】
HOF.RCNは、第一の導管12を通してマイクロ反応器15におけるチャネル14に希薄な、好ましくは窒素中10%フッ素を、また、第二の導管16を通してチャネル14にRCN/HOを送り込むことによって連続的に生成される。こうしてマイクロ反応器15においてHOF.RCNが形成される。酸化される基質の溶液24(図示せず)が、やはりチャネル14に流れ込む第九の導管42を通って送り込まれる。基質溶液24が加えられる前にマイクロ反応器15においてHOF.RCNが生成される。反応生成物は第三の導管20を介してマイクロ反応器15からポット反応器22へ流れる。反応生成物はポット反応器22に集まり、任意適用可能な公知の方法、例えば、溶媒抽出、次に、抽出溶媒の乾燥および蒸発により分離され得る。ポット反応器22はHOF.RCNおよびHFを中和するために急冷溶液を含有し得る。キャッチポット28は第四の導管26を通ってポット反応器22に由来する危険な揮発性物質を回収するために用いられるが、キャッチポット28には何も集まらないと予期され、キャッチポット28は単に安全上の特徴である。ソーダ石灰洗浄器34は、第五の導管を介してキャッチポット28から移されるHFの残留フッ素を破壊するために用いられるが、残留物質が集まることが予期されないため、ソーダ石灰洗浄器34も安全装置である。
【0046】
または、窒素中フッ素は第二の導管16を介してマイクロ反応器に送り込まれ得、RCN/HO混合物は第一の導管12を通して送り込まれ得る。
【0047】
図4の装置がHOFの連続生成および付加により2つ以上の反応器ブロックで稼働するように改変され得ることが図の説明から明らかである。本発明者らは、2つの反応器ブロックの使用を良好に試行した。第一のブロックはHOF.RCN形成を行い、一方、第二のブロックは基質酸化を行った。各マイクロ反応器ブロックの完全な独立した温度制御が得られる。
【0048】
結果
すべての生成物は同定されて分光技術により確認され、文献と一致した。
【0049】
半バッチ方法
図1に示される装置を用いて次の反応を行った。
【0050】
【化1】

【0051】
導管12を通過させた8.9ml min−1(1.49mmol h−1)のF(N中10%)のフロー下、5.50ml h−1(60.4 mmol h−1)の速度にて導管16にMeCN:HO(4:1,5.50ml)を加えた。1−ドデセン24(0.25g,1.49mmol)(DCM:MeCNの1:1混合物中)の溶液を、反応前にポット反応器22に加えた。このようにして生成したHOF.MeCNを、導管20を介してポット反応器22に通した。反応および窒素での浄化後、次に、反応混合物をポット反応器22から重炭酸ナトリウム溶液100mlを含有する容器へ移し、DCM(3×75ml)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過した。減圧下にて溶媒を除去し、更なる精製を必要としない淡黄色油として2−デシルオキシラン(0.233g,1.27mmol,85%)を生成した。
max(cm−1)2923(sp C−H)、2854(sp C−H)、1466、916、833(C−O−C)、722;δ(400MHz,CDCl)0.86(3H,t,HH 6.4,−CHCH)、1.24(15Η,m,−CH−)、1.47(3Η,m,−CH−)、δ(100MHz,CDCl)14.0(1C,s,C)、22.6(1C,s,C)、25.9(1C,s,C)、29.3、29.4、29.5、29.6、31.9(5C,s,C4−8)、32.4(1C,s,C)、32.5(1C,s,C10)、47.0(1C,s,C12)、52.3(1C,s,C11);m/z(EI)184(M,2%)、169(M−CH,100%)
【0052】
【化2】

【0053】
上記方法に従って、フェニルアミンを3.3当量のHOFと反応させ、HOF.MeCN生成後に基質24を加えて94%ニトロベンゼンを生成した。
【0054】
HOF.RCN生成前およびHOF.RCN生成時に基質を加えると、3から4%以内の同様の収率が得られ、HOF.RCN生成ステップによりフッ素が完全に消費されたことを立証した。
【0055】
連続
図2に示される装置を用いて次の反応を行った。
【0056】
アルケン
【0057】
【化3】

【0058】
導管12を通過させた20.0ml min−1(3.33mmol h−1)のF(N中10%)のフロー下、9.90ml h−1(110.0mmol h−1)の速度にて導管16にMeCN:HO(4:1,4.95ml)を加え、9.90ml h−1の速度にて導管38に1−ドデセン24(0.18g,1.07mmol)(DCM:MeCNの1:1混合物中)を加えた。すべての反応流体を、重炭酸ナトリウム溶液25(50ml)を含有するポット22に回収した。次に、反応混合物を別の重炭酸ナトリウム溶液25mlに加え、DCM(3×75ml)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過した。減圧下にて溶媒を除去し、更なる精製を必要としない黄色油として2−デシルオキシラン(0.195g,1.06mmol,99%)を生成した。
max(cm−1)2923(sp C−H)、2854(sp C−H)、1466、916、833(C−O−C)、722;δ(400MHz,CDCl)0.86(3H,t,HH 6.4,−CHCH)、1.24(15Η,m,−CH−)、1.47(3Η,m,−CH−)、δ(100MHz,CDCl)14.0(1C,s,C)、22.6(1C,s,C)、25.9(1C,s,C)、29.3、29.4、29.5、29.6、31.9(5C,s,C4−8)、32.4(1C,s,C)、32.5(1C,s,C10)、47.0(1C,s,C12)、52.3(1C,s,C11);m/z(EI)184(M,2%)、169(M−CH,100%)
【0059】
【化4】

【0060】
導管12を通過させた20.0ml min−1(3.33mmol h−1)のF(N中10%)のフロー下、9.90ml h−1(110.0mmol h−1)の速度にて導管16にMeCN:HO(4:1,4.95ml)を加え、9.90ml h−1の速度にて導管38にtrans−スチルベン24(0.36g,2.0mmol)(DCM:MeCNの1:1混合物中)を加えた。すべての反応流体を、重炭酸ナトリウム溶液25(50ml)を含有するポット22に回収した。次に、反応混合物を別の重炭酸ナトリウム溶液25mlに加え、DCM(3×75ml)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過した。減圧下にて溶媒を除去し、更なる精製を必要としない黄色固体としてtrans−2,3−ジフェニルオキシラン(0.39g,1.99mmol,99%)を生成した。
max(cm−1)2989(sp C−H)、1493、1425、846(C−O−C)、746、696;δ(400MHz,CDCl)3.95(2H,s,OCH)、7.43(10Η,m,−CH−);δ(100MHz,CDCl)61.1(2C、s、エポキシドC’s)、123.8、126.6、126.9、135.4(12C,s,Ar C’s);m/z(EI)196(M,38%)、195(M−H,52%)
【0061】
【化5】

【0062】
第一の導管12を通過させた20.0ml min−1(3.33mmol h−1)のF(N中10%)のフロー下、9.90ml h−1(110.0mmol h−1)の速度にて第二の導管16にMeCN:HO(4:1,4.95ml)を加え、9.90ml h−1の速度にて導管38にcis−スチルベン24(0.18g,1.00mmol)(DCM:MeCNの1:1混合物中)を加えた。すべての反応流体を、重炭酸ナトリウム溶液25(50ml)を含有するポット22に回収した。次に、反応混合物を別の重炭酸ナトリウム溶液25mlに加え、DCM(3×75ml)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過した。減圧下にて溶媒を除去し、cis−2,3−ジフェニルオキシラン(0.16g,0.81mmol,81%)を含む赤色油として3つの生成物の混合物(GCにより確認)(0.19g)を生成した;δ(400MHz,CDCl)4.38(2H,s,OCH)、7.18(10Η,m,−CH−);δ(100MHz,CDCl)59.8(2C、s、エポキシドC’s)、126.9、127.5、127.8、134.4(12C,s,Ar C,s);m/z(EI)196(M,44%)、195(M−H,64%)。
【0063】
【化6】

【0064】
第一の導管12を通して送り込んだ20.0ml min−1(3.33mmol h−1)のF(N中10%)のフロー下、9.90ml h−1(110.0mmol h−1)の速度にて導管16にMeCN:HO(4:1,4.95ml)を加え、9.90ml h−1の速度にて導管38に1,2−ジヒドロナフタレン24(0.13g,1.00mmol)(DCM:MeCNの1:1混合物中)を加えた。すべての反応流体を、重炭酸ナトリウム溶液25(50ml)を含有するポット22に回収した。次に、反応混合物を別の重炭酸ナトリウム溶液25mlに加え、DCM(3×75ml)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過した。減圧下にて溶媒を除去し、1a,2,3,7b−テトラヒドロナフト[1,2−b]オキシレン(0.12g,0.82mmol,82%)を含む暗赤色油として6つの生成物の混合物(GCにより確認)(0.15g)を生成した;
δ(400MHz,CDCl)1.64(1H,m)、2.29(1H,m)、2.43(1H,m)、2.67(1H,m)、3.61(1H,t,HH 4,C)、3.72(1H,d,HH 4,C)、6.97(1H,d,HH 8,C)、7.11(2H,m,C7,8)7.27(1H,d,HH 8,C);δ(100MHz,CDCl)21.8(1C,s,C)、24.4(1C,s,C)、52.8(1C,s,C)、55.1(1C,s,C)、126.1、128.4、128.5、129.6(4C,s,C6−9)、132.6、136.7(2C,s,C5,10);m/z(EI)146(M,28%)、145(M−H,38%)、130(M−O)、115(M−CHO,75%)、91(M−C0,55%)。
【0065】
【化7】

【0066】
第一の導管12を通過させた20.0ml min−1(3.33mmol h−1)のF(N中10%)のフロー下、9.90ml h−1(110.0mmol h−1)の速度にて導管16にMeCN:HO(4:1,4.95ml)を加え、9.90ml h−1の速度にて導管38に1,5−シクロオクタジエン24(0.11g,1.02mmol)(DCM:MeCNの1:1混合物中)を加えた。すべての反応流体を、重炭酸ナトリウム溶液25(50ml)を含有するポット22に回収した。次に、反応混合物を別の重炭酸ナトリウム溶液25mlに加え、DCM(3×75ml)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過した。減圧下にて溶媒を除去し、1,5−ジオキサトリシクロデカン(0.13g,0.96mmol,94%)を含む透明油として3つの生成物の混合物(GCにより確認)(0.14g)を生成した;
δ(400MHz,CDCl)1.88(10H,m,−CH−)、2.92(3Η,t,HH 4,OCH)、;δ(100MHz,CDCl)21.9(4C,s,C)、56.0(4C,s,C);m/z(EI)141(MH,26%)140(M,34%)。
【0067】
【化8】

【0068】
第一の導管12を通過させた20.0ml min−1(3.33mmol h−1)のF(N中10%)のフロー下、9.90ml h−1(110.0mmol h−1)の速度にて導管16にMeCN:HO(4:1,4.95ml)を加え、9.90ml h−1の速度にて導管38にエチルtrans−3−ヘキサノアート24(0.14g,0.98mmol)(DCM:MeCNの1:1混合物中)を加えた。すべての反応流体を、重炭酸ナトリウム溶液25(50ml)を含有するポット22に回収した。次に、反応混合物を別の重炭酸ナトリウム溶液25mlに加え、DCM(3×75ml)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過した。減圧下にて溶媒を除去し、更なる精製を必要としない透明油としてエチル2−(3−エチルオキシラン−2−イル)アセタート(0.15g,0.95mmol,97%)を生成した;vmax(cm−1)2973(sp C−H)、1734(C=O)、1253、1180、1028、887(C−O−C);δ(400MHz,CDCl)0.98(3H,t,HH 8,H)、1.26(3H,t,HH 8,H)、1.58(2H,quin,HH 8,H)、2.53(2H,d,d,HH 8,HH 8,H)、4.16(2H,q,HH 8,H)、2.72(1H,t,d,HH 8,HH 4,H)、3.03(1H,t,d,HH 8,JHH 4,H);δ(100MHz,CDCl)9.7(1C.s,C)、14.1(1C,s,C)、24.8(1C,s,C)、37.8(1C,s,C)53.7(1C,s,C)、59.6(1C,s,C)、60.8(1C,s,C)、170.4(1C,s,C);m/z(EI)159(MH,2%)。
【0069】
【化9】

【0070】
第一の導管12を通過させた20.0ml min−1(3.33mmol h−1)のF(N中10%)のフロー下、9.90ml h−1(110.0mmol h−1)の速度にて導管16にMeCN:HO(4:1,4.95ml)を加え、9.90ml h−1の速度にて導管38にメチルtrans−2−メチルペンタノアート24(0.14g,1.09mmol)(DCM:MeCNの1:1混合物中)を加えた。すべての反応流体を、重炭酸ナトリウム溶液25(50ml)を含有するポット22に回収した。次に、反応混合物を別の重炭酸ナトリウム溶液25mlに加え、DCM(3×75ml)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過した。減圧下にて溶媒を除去し、更なる精製を必要としない透明油としてメチル3−エチル−2−メチルオキシラン−2−カルボキシラート(0.16g,1.08mmol,99%)を生成した;
δ(400MHz,CDCl)1.04(3H,t,HH 8,−CHCH)、1.49(3Η,s,CCH)、1.56(2Η,m,CHCH−)、3.12(1Η,t,ΗΗ 8,−CHCH)、3.72(3Η,s,OCH); δ(100MHz,CDCl)10.2(1C,s,C)、13.3(1C,s,C)、21.4(1C,s,C)、52.5(1C,s,C)、57.6(1C,s,C)、63.4(1C,s,C)、172.0(1C,s,C);m/z(EI)144(M,14%)。
【0071】
【化10】

【0072】
第一の導管12を通過させた20.0ml min−1(3.33mmol h−1)のF(N中10%)のフロー下、9.90ml h−1(110.0mmol h−1)の速度にて導管16にMeCN:HO(4:1,4.95ml)を加え、9.90ml h−1の速度にて導管38にデュロキノン24(0.32g,1.95mmol)(DCM:MeCNの1:1混合物中)を加えた。すべての反応流体を、重炭酸ナトリウム溶液25(50ml)を含有するポット22に回収した。次に、反応混合物を別の重炭酸ナトリウム溶液25mlに加え、DCM(3×75ml)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過した。減圧下にて溶媒を除去し、1,3,4,6−テトラメチル−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−エン−2,5−ジオン(0.13g,0.74mmol,38%)を含有する黄色結晶としての2つの生成物の混合物(0.34g)(GCにより確認)を生成した;
δ(400MHz,CDCl)1.6(3H,s,−OCCH)、1.97(3Η,s,−C=CCH);δ(100MHz,CDCl)11.7(2C,s,C)、13.5(2C,s,C)、63.3(2C,s,C)、141.1(2C,s,C)、194.5(2C,s,C);m/z(EI)165(M−CH,8%)。
【0073】
上述の方法に従ってtrans−5−デセンを1当量のHOF.MeCNと反応させ、対応するエポキシドの90%を生成した。
【0074】
上記方法に従ってエチル−trans−シンナマートを1当量のHOFと反応させ、39%エポキシドおよび61%アルケンを生成した。このアルケンは非反応性であることが公知であり、競合する基である芳香環を有する。上記方法に従ってエチル−trans−シンナマートを2当量のHOFとも反応させ、63%エポキシドおよび37%アルケンを生成した。この基質の場合、反応生成物はこれらのH NMRおよび13C{H}NMRスペクトルにより同定し、分離しなかった。
【0075】
芳香族アミン
上述の方法に従ってフェニルアミンを3.6当量のHOF.MeCNと酸化させ、68%ニトロベンゼンを生成した。
【0076】
上述の方法に従ってペンタフルオロフェニルアミンを4.2当量のHOF.MeCNと酸化させ、35%ペンタフルオロニトロベンゼンを生成した。この低収率は、この場合に用いられなかったより長い滞留時間を必要とするアミンの電子欠損に起因して説明可能である。
【0077】
脂肪族アミン
上記に詳述した方法に従って脂肪族アミンとの以下の反応を行った。従来技術に明示されている反応と異なり、以下の反応はHF捕捉剤の使用を必要としなかった。
【0078】
1−アミノヘキサンを2.5当量のHOF.MeCNと反応させ、81% 1−ニトロヘキサンを生成した。
【0079】
1−アミノデカンを4.2当量のHOF.MeCNと反応させ、60% 1−ニトロデカンを生成した。
【0080】
1−アミノアダマンタンを4.2当量のHOF.MeCNと反応させ、48% 1−ニトロアダマンタンを生成した。
【0081】
1−アミノ−6−ヘキサノールを4.2当量のHOF.MeCNと反応させ、41% 1−ニトロ−6−ヘキサノールを生成した。
【0082】
アミノシクロヘキサンを4.2当量のHOF.MeCNと反応させ、30% ニトロシクロヘキサンを生成した。
【0083】
三級窒素中心
メトキシピラジンを1当量のHOF.MeCNと反応させ、対応するN−オキシドの1つの80%を生成した。
【0084】
4−シアノピリジンを1当量のHOF.MeCNと反応させ、59% 4−シアノピリジン−N−オキシドを生成した。
【0085】
アジド
1−アジドオクタンを4.2当量のHOF.MeCNと反応させ、35% 1−ニトロオクタンおよび65%未反応出発物質を生成した。
【0086】
1−アジドアダマンタンを4.2当量のHOF.MeCNと反応させ、81% 1−ニトロアダマンタンを生成した。
【0087】
高温酸化(アルケン)
図3に示される装置を用いてエチル−trans−シンナマートを40℃で1当量のHOFと反応させ、49%エポキシドおよび51%アルケンを生成し、上述の周囲温度反応に関する改善を示した。同じ方法に従ってエチル−trans−シンナマートを2当量のHOFと反応させ、78%エポキシドおよび22%アルケンを生成した。
【0088】
この反応は数秒で生じ、一方、従来技術では収率85%を達成するために長い反応時間および3当量のHOFを指定している。この基質の場合、反応生成物はこれらのH NMRおよび13C{H}NMRスペクトルにより同定し、分離しなかった。
【0089】
図3に示される装置を用いてエチル−trans−シンナマートを60℃で1当量のHOFと反応させ、51%エポキシドおよび49%アルケンを生成した。同じ方法に従ってエチル−trans−シンナマートを2当量のHOFと反応させ、84%エポキシドおよび16%アルケンを生成した。この基質の場合、反応生成物はこれらのH NMRおよび13C{H}NMRスペクトルにより同定し、分離しなかった。
【0090】
上記反応はすべて、従来技術での報告より迅速な時間およびはるかに安全な条件下にて達成された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのチャネル(14)を有するマイクロ反応器(15)を用いて基質(24)を酸化させる方法であって、
導管(12、16、40)を通して希釈フッ素をマイクロ反応器チャネル(14)に通し、
別の導管(12、16、40)に水中RCNを通し、これにより、HOF.RCNを生成し、ならびに
HOF.RCNを酸化される基質(24)と接触させ、ここでHOF.RCN生成および酸化段階が同じ反応システム内にて分離され、これにより、HOF.RCNの連続生成を可能にすることを特徴とする方法。
【請求項2】
酸化される基質(24)が、導管(20)を介してマイクロ反応器(15)に連結されるポット反応器(22)に含有される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
HOF.RCNが、導管(20)を介してRCNを含有するポット反応器(22)に流し込まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
酸化される基質(24)が、HOF.RCN生成後にポット反応器(22)に加えられる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
酸化される基質(24)が、マイクロ反応器ブロック(15)において生成されるHOF.RCNと反応するために導管(38、42)を通して送り込まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
酸化される基質(24)が、マイクロ反応器(15)に流入する前に生成されるHOF.RCNと反応するために導管(12)を通してマイクロ反応器(15)内に送り込まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
酸化される基質(24)が、フッ素およびRCN/HOがマイクロ反応器(15)に流し込まれた後に導管(38、42)を通してマイクロ反応器ブロック(15)に送り込まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
反応生成物がポット反応器(22)に集まる、請求項1または請求項5から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
ポット反応器(22)が急冷溶液(25)を含有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
急冷溶液(25)がNaHCOである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
フッ素が不活性ガス中にて希釈される、請求項1から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
マイクロ反応器ブロック(15)が、マイクロ反応器ブロック(15)を冷却するために冷却流体がこの中を通される第二のチャネル(18)を有する、請求項1から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
マイクロ反応器ブロック(15)が、マイクロ反応器ブロック(15)を加熱するために加熱流体がこの中を通される第二のチャネル(18)を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
Rが1から10個の炭素原子を有するアルキル基である、請求項1から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
アルキル基が環状である場合にRが5である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
基質が、脂肪族アミン、芳香族アミン、アルケン、脂肪族アジドおよびアザ複素環からなる群より選択される、請求項1から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
アザ複素環が、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン、テトラゼン、ピリミジン、キノリン、イソキノリンおよびキノキサリンからなる群より選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
複数のマイクロ反応器ブロック(15)を含む、請求項1から17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
2つのマイクロ反応器ブロック(15)が用いられ、HOF.RCNの形成が一方のマイクロ反応器ブロックにて達成され、ならびに基質(24)の酸化が他方のマイクロ反応器ブロックにて達成される、請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−537942(P2010−537942A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−523588(P2010−523588)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【国際出願番号】PCT/GB2008/003018
【国際公開番号】WO2009/030928
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(503450852)イギリス国 (6)
【Fターム(参考)】