説明

HSP誘導剤としての新規の置換ピペリドン

本発明は、化学式I又はIIの新規化合物、その薬学的に許容可能な塩、並びにそれらの水和物、溶媒和物、立体異性体、配座異性体、互変異性体、多形体、及びプロドラッグに関し、また、それらを含有する薬学的に許容可能な組成物に関する。
【化1】


【化2】


式中、R、R、R、R、R、R、及びRは、明細書に定義された通りである。本発明の化合物は、HSP誘導剤であり、このような効果により各種病的ストレスを伴う疾患の治療に有用である。また、本発明は、前記新規化合物の製造方法に関する。さらに、本発明は、薬剤として使用するための医薬の製造方法における前述の化合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の置換ピペリドン、これらの薬学的に許容可能な塩、並びにそれらの水和物、溶媒和物、立体異性体、配座異性体、互変異性体、多形体、及びプロドラッグに関し、またこれらを含有する薬学的に許容可能な組成物に関する。本発明の化合物は、HSP誘導剤であり、このような効果により虚血性脳卒中、心筋梗塞、炎症性疾患、ウイルス性疾患、腫瘍性疾患、脳出血、内皮機能障害、糖尿病合併症、肝毒性、急性腎不全、緑内障、敗血症、胃粘膜損傷、同種移植片拒絶、神経変性疾患、てんかん、外傷後神経損傷、及び老化関連皮膚変性から選択される病的ストレスを伴う各種疾患の治療に有用である。さらに、本発明は、前記新規化合物の製造方法に関する。さらに、本発明は、薬剤として使用するための医薬の製造のための前述した化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
熱ショックタンパク質(Heat shock proteins:HSPs)は、熱耐性又は交差耐性として知られているメカニズムにより、各種病的ストレス下にある大部分の生きている細胞において細胞を保護する役割を果たすものとして知られている。熱ショックタンパク質は、生理学的条件下で複数の細胞内機能を果たす分子シャペロン又はプロテアーゼとして機能する。シャペロンは、ミスフォールドした又は変性されたオリゴマータンパク質の結合及び折り畳みに関与するのに対して、プロテアーゼは、損傷したタンパク質の分解を媒介する。
【0003】
熱ショックタンパク質は、これらの概略の分子量に基づいて名づけられるいくつかのファミリーに分類される(例えば、70 kDa HSP−70、ユビキチン、HSP−10、HSP−27、HSP−32、HSP−60、HSP−90など)。HSP−70が正常な細胞において発見される最も豊富なHSPである。HSP−70とそれらの誘導型、いわゆるHSP−72は、全ての生きている細胞において発見される。熱ショック後に、これらの合成量は、細胞で最も豊富な単一タンパク質になるまで増加する。
【0004】
一部のタンパク質は、試験管内において変性剤で低濃度に希釈されたとき、自然にリフォールドされるが、より大きなマルチドメインタンパク質は、ミスフォールドして凝集する傾向を持つことが多い。その結果、緻密に構成された細胞環境内での課題は、非ネイティブ中間体がフォールドされた状態で効果的に捕捉、維持され、その後、リフォールドされるか分解されるようにすることである。HSP−90、HSP−70、及びHSP−60などの分子シャペロンは、非ネイティブ中間体、並びにコシャペロン(co−chaperone)及びATPを共に捕捉することにより達成する。
【0005】
例えば、HSP−70シャペロンは、初期にフォールドされた中間体において一時露出してネイティブ状態で疎水性コア内に通常制限されるポリペプチド鎖における疎水性残基のストレッチ(stretch)を認識する。従って、シャペロン相互作用の結果として、タンパク質フォールドとリフォールド反応の平衡を生産活性化経路側に移動させ、ミスフォールドした種として凝集した非生産性中間体の出現を最小限に抑える。
【0006】
ここ数年、様々な研究結果は、主要熱誘導型タンパク質であるHSP−72が熱ショック及びその他のストレスから細胞及び組織を保護するときに重要なものであることを示している。HSP−72は、損傷したタンパク質のリフォールド及び分解において分子シャペロンとして機能する。これは、HSP−72のシャペロン活性は、ストレスから細胞自身を保護するための細胞の能力を決定させるとの通常の推測を導く。大量のタンパク質損傷及び壊死を誘発させるストレスに露出すると、HSP−72の抗凝集作用及びタンパク質リフォールド活性は、結局細胞保護において重要な役割を果たす。それに対して、アポトーシスを誘導するストレスに露出すると、HSP−72の保護機能は、細胞信号伝達において明確な役割を果たすことで完全に寄与することができる。このような条件下では、タンパク質自身のタンパク質損傷は細胞死に十分でないが、これは、アポトーシス信号伝達経路の抑制は細胞生存を回復させるからである。
【0007】
熱ショックタンパク質という用語は、多少誤った用語であるが、これらは熱ショックによってのみ単独で誘導されるわけではないからである。結局は、組織的に発現されたもの(正常な成長条件下で総タンパク質含有量の5〜10%を構成)以外にも、これらタンパク質は、各種病的ストレスを含む幅広い刺激により顕著に誘導される(総細胞タンパク質含有量の15%以下)。
【0008】
熱ショックタンパク質発現を誘導する病的ストレスには、複数の疾患に関する複数の症状がある。このようなストレスに露出した細胞において熱ショックタンパク質が合成されるということは、病的ストレスに対する細胞防御の第一線であることを示す。
【0009】
脳卒中
HSP−70の保護の役割が関与してきたこのような病理学的症状としては、脳虚血傷害(脳卒中)がある。脳虚血は、脳組織への血流供給の深刻な減少を誘発し、その結果として、酸素が欠乏して細胞の死滅にまで至る。このような状況で、脳組織において熱ショックタンパク質の発現が増加する。一時的な虚血は、脳においてHSPを誘導し、虚血性損傷を克服する神経集団の能力は、HSP−70の発現の増加に対応する。HSP−70 mRNAは、虚血の周辺部にあるニューロンを誘導する。虚血の周辺区域において、半影(penumbra)は、薬剤により復旧できることが提案されている。この区域において、HSP−70タンパク質は、ニューロンに主に分布することが明らかになった[非特許文献1;非特許文献2]。HSP−70の保護の役割の直接的測定は、ラットHSPを過剰発現する遺伝子導入マウス(HSP−70tgマウス)を使用して示される。野生型リターメイト(littermate)とは対照的に、高レベルのHSPメッセンジャーRNA及びタンパク質が正常条件下でHSP−70tgマウスの脳において検出され、免疫組織化学検査の結果、HSP−70のニューロン発現が主に現れた。ヘテロ接合体HSP−70tgマウス及びそれらの野生型リターメイトは、中脳動脈の腔内遮断(intraluminal blockade)により永久的な局所脳虚血を起こしやすい。ニッスル染色により評価したとき、虚血6時間後の脳梗塞は、野生型リターメイトマウスに比べてHSP−70tgマウスにおいてはるかに少なかった。HSP−70tgマウスは、永久的な局所虚血24時間後に脳梗塞から保護された。データは、HSP−70が虚血による損傷から脳を顕著に保護できるということを裏づけた[非特許文献3]。72−kD誘導型熱ショックタンパク質(HSP−72)は、脳虚血による損傷の緩和に重要な役割を果たす。線条体の神経生存率は、虚血が発生した後、HSP−72ベクターが各線条体に伝達されたときに顕著に改善された[非特許文献4]。
【0010】
実験の結果、リチウムなどのHSP誘導剤を投与したとき、虚血によって誘導された神経欠損が減少したことが明らかになった。これら神経保護効果は、虚血脳半球で細胞を保護する熱ショックタンパク質−70の上方調節に関連していた[非特許文献5]。従って、HSP−70の誘導は、脳虚血傷害(脳卒中)において保護効果を付与する。
【0011】
心筋梗塞
脳虚血と類似した他の病理学的症状として心筋梗塞症がある。この場合、重症虚血が比較的短期間に発生して心筋の集中死滅を誘導する。HSP−70の誘導は、虚血後心筋保護、梗塞サイズ減少、改善された代謝、及び機能的回復に対する直接的な相関関係により証明されているように、虚血後の状況から保護することを示す。成人の心筋細胞において誘導型HSP−70の過剰発現は虚血性損傷に対する反応であり、乳酸脱水素酵素の34%の減少に関連していた[非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8]。
【0012】
実験の結果、HSP誘導剤ビモクロモル(bimoclomol)のラットに対する経口前投与は心筋HSP−70を上昇させ、虚血ラットモデルにおいて梗塞サイズを減少させた[非特許文献9]。ビモクロモルの経口投与後、HSP−70誘導と梗塞サイズ減少には大きな相関関係があった。さらに、ビモクロモルは、HSP−70のレベルを上昇させることにより新生ラット心筋細胞における生存率を改善した[非特許文献10]。
【0013】
追加実験においては、遺伝子導入マウスが高レベルのラット−誘導型HSP−70を発現するように操作した[非特許文献11]。遺伝子導入マウスの心臓で全脳虚血20分後、約40%の梗塞サイズの顕著な減少があり、野生型と比較して再潅流期間中の収縮機能が2倍となった。
【0014】
さらに、証拠は、心筋ストレスタンパク質HSP−70が直接的に保護する作用をすることを示すが、HSP−70を過剰発現する形質転換された筋細胞ラインが低酸素ストレスに向上した耐性を有するという観察結果により提供される[非特許文献12]。
ミトコンドリア機能及び血管回復に対する遺伝子治療によるHSP−70過剰発現の役割に関するさらなる研究は、虚血−再潅流損傷後にHSP−70の上方調節がミトコンドリア機能を保護し、心筋機能の改善された保存に関連していることを示す。
【0015】
NAD及びFADに関連する虚血症後ミトコンドリア呼吸調節指数は、保存がさらに良好であり、機械的機能の回復も対照群の心臓に比べてHSP形質転換されたもののほうが大きい[非特許文献13]。従って、前述した証拠は、HSP−70の誘導が心筋梗塞治療に有用であることを示す。
【0016】
炎症性疾患
HSP−70誘導を誘発する組織及び器官に対する病的ストレスの他の例としては、炎症性疾患がある。
【0017】
炎症は、白血球などの食細胞の活性化により、主に高レベルの活性酸素種(reactive oxygen species:ROS)及びサイトカインを発生させる単球−マクロファージによって誘発される。ROS及びサイトカインは、熱ショックタンパク質(HSP)の発現を上方調節し、このHSPは、炎症の有害な効果から細胞及び組織を保護する。成人呼吸窮迫症候群であるHSP誘導を誘発する急性肺炎症状に対する生体内モデルにおいて、HSPは、死亡から完全に保護する[非特許文献14]。
【0018】
HSPは、自己/非自己識別、免疫反応の向上、免疫保護、熱耐性及び炎症性メディエータの細胞毒性からの保護を含む炎症における多様な保護効果を発揮する[非特許文献15]。
【0019】
熱ショックタンパク質(HSP)は、リウマチ性関節炎の進行の調節において繰り返し作用してきた。滑膜組織におけるHSP−70発現の上方調節が、リウマチ性関節炎の患者で一貫して観察された。最近の研究結果は、培養された滑膜線維芽細胞類似細胞において炎症性サイトカインがHSF1−DNA結合の活性化及びHSP−70発現を誘導したことを示す[非特許文献16]。HSP−70は、タンパク質フォールディングにおいて核心的に関与してアポトーシス細胞死を予防し、滑膜増殖及びパンヌス形成を促進するため、これらの上昇したレベルは疾患状態の進行の調節に重要な役割を果たす。
【0020】
NSAIDSなどの抗炎症剤は、HSF−1 DNA結合を活性化し、高用量のグルココルチコイドはHSF−1を活性化するだけでなく、HSP発現を誘導する[非特許文献16]。
【0021】
HSP−70は、炎症の調節の役割を果たす。炎症が始まる前に、HSP−70の誘導は器官損傷を減少させることができる[非特許文献17]。HSP−70誘導剤の手術前投与は、心肺バイパス(CPB)誘導炎症反応の緩和に有用であると考えられる。
【0022】
2−シクロペンテン−1−オンの抗炎症性に関する研究結果は、熱ショック因子1(HSF1)活性化、それに続くHSP−72発現の誘導が炎症性組織において発生し、このような効果は炎症反応の緩和に関連しているということを証明した[非特許文献18]。2−シクロペンテン−1−オンの抗炎症性は、生体内でHSF−1誘導されたHSP−72発現に関連していた。
【0023】
HSP共誘導剤(co−inducer)BRX−220は、ラットにおいてコレシストキニン−オクタペプチド(CCK)性急性膵炎に対する効果が試験されてきた[非特許文献19]。HSP−60及びHSP−72の膵臓レベルは、BRX−220を投与した動物で顕著に増加した。また、膵臓内の総タンパク質含有量、アミラーゼ及びトリプシノーゲン活性は、増加したグルタチオンペルオキシダーゼ活性と共に高かった。血漿中トリプシノーゲン活性化ペプチド濃度、膵臓脂質過酸化、タンパク質酸化及びCu/Zn−スーパーオキシドジスムターゼの活性での減少も観察された。BRX−220の膵炎に対する保護活性は、HSP−70誘導活性として直接説明された。
【0024】
HSP−70の誘導を誘発させるラットにおける高体温症は、それに続くセルレイン誘導急性膵炎から保護することを示す。より詳しくは、アクチン細胞骨格の分解及び解体(disorganization)、すなわち膵炎の重要な初期成分が予防され、[非特許文献20]、これにより、炎症に伴う膵炎における損傷を減少させる。従って、HSP−70の誘導は、炎症性疾患の治療に有利である。
【0025】
肝毒性
HSP−70の保護の役割が関与してきた病的ストレスの他の例としては肝毒性がある。肝において熱ショックタンパク質70(HSP−70)の過剰発現は、各種病理学的症状下の肝細胞を保護する。HSP−70誘導剤の95%肝切除術後急性肝損傷に対する効果を試験するための研究においては、アスパラギン酸又はアラニンアミノトランスフェラーゼの顕著に抑制された放出及び血清インターロイキン−6レベルの上昇を示した[非特許文献21]。
【0026】
HSP誘導剤である塩化ガドリニウムの効果は、メタロチオネインに対するこの効果と、チオアセトアミドにより誘導される肝壊死の生体内モデルにおいて熱ショックタンパク質発現とに関して研究された[非特許文献22]。ガドリニウムは、血清ミエロペルオキシダーゼ活性及びチオアセトアミドにより増加したTNF−アルファ及びIL−6の血清中濃度を著しく減少させた。壊死の程度、酸化ストレス及び脂質過酸化の程度、並びにミクロソームFADモノオキシゲナーゼ活性は著しく低下した。これらの有利な効果は、ガドリニウム投与後にHSP−70の向上した発現に寄与する。
【0027】
従って、HSP−70の誘導は肝毒性の場合において保護効果を発揮する。
【0028】
敗血症
HSP−70の誘導が有利であると明らかになった他の病理学的症状としては敗血症がある。敗血症は、毒素を産生するバクテリアにより血流が完全に感染することにより起きる重症疾患である。熱ショック処理によりHSPが誘導されると、遅発型敗血症による死亡率が非常に減少する。敗血症の進行中におけるHSPの関与は、侵襲性病原体に対する宿主防御の第一線として役に立つ。
【0029】
HSP−72の発現及びこれらの保護の役割は、盲腸結紮穿孔のラットモデルを使用して研究されてきた[非特許文献23]。ゲラニルゲラニルアセトンによるHSP−70発現の誘導は、盲腸結紮穿孔誘導性横隔膜機能不全から保護することが示された。横隔膜においてHSP−70の時間依存的誘導が示されれ、これは、敗血症による横隔膜損傷を緩和する[非特許文献24]。GGAは、横隔膜においてHSP−70発現を誘導することが明らかになり、これは、GGAの保護作用の基礎となるメカニズムである。
【0030】
さらなる実験結果は、亜ヒ酸ナトリウムの投与によるHSP−70の誘導は、盲腸結紮穿孔誘導性死亡から有意な保護をすることが示す[非特許文献25]。体温を上昇させずに生体内に亜ヒ酸ナトリウムを注射すると、肺においてHSP−72の発現が誘導され、実験的敗血症から保護する。このような方式で付与された保護は、死亡率を減少させるが、これは、穿孔後18及び24時間後の肺での熱ショックタンパク質72の発現と直接的に関連する。
【0031】
熱ストレスによる熱ショックタンパク質の誘導は、腹腔内敗血症のラットモデルでの器官損傷及び死亡、また敗血症誘導性急性肺損傷を減少させることが観察された[非特許文献26]。
【0032】
急性呼吸促迫症候群(ARDS)は、未確認炎症、間質/肺胞タンパク質蓄積、及び肺の内皮細胞の破壊の3つの病理学的過程を誘発する。熱ショックタンパク質HSP−70は、適切に発現される場合にのみ3つ全ての反応を制限することができる。アデノウイルス媒介遺伝子治療法を用いてHSP−70の発現を回復させることが有利であることが証明された[非特許文献27]。HSP−70投与は、タンパク質滲出を伴う間質及び肺胞浮腫を著しく減少させ、好中球蓄積を著しく減少させる。約2倍より高いHSP−70の発現は、48時間後に68%が生存するが、これは、投与されていない動物における25%とは対照的である。HSP−70産生の調節は、病理学的変化を減少させ、実験的急性呼吸促迫症候群で結果を改善する。従って、HSP−70の誘導剤は、敗血症において保護効果を付与する。
【0033】
ウイルス性疾患
HSP−70の誘導が発生する他の病理学的症状としてはウイルス性疾患がある。熱ショックタンパク質(HSP)及び分子シャペロンは、ウイルス感染から細胞を保護することが数年来知られている[非特許文献28]。HSP−70の誘導は、水疱性口内炎ウイルス(VSV)に感染したサル腎臓上皮細胞において、感染性ウイルス産生及びウイルスタンパク質合成の抑制に関連することが証明されてきた[非特許文献29]。ヒト免疫不全ウイルスタイプ1(HIV−1)のウイルスタンパク質R(Vpr)の病原性活性は、標的T細胞のアポトーシス及び細胞周期G2停止を誘発するこの能力と一部関連している。HSP−70の過剰発現は、Vpr−依存的G2停止及びアポトーシスを減少させ、またVpr−陽性HIV−1の複製を減少させるが、Vpr−欠損HIV−1にはそうではない[非特許文献30]。プロスタグランジンA1(PGA1)のHSP−70の誘導は、インフルエンザウイルス産生の抑制を誘発する[非特許文献31]。
【0034】
シクロペンテノンプロスタグランジンの抗ウイルス活性は、HSP−70の誘導により媒介される。HSP−70の増加した合成は、いくつかのDNA及びRNAウイルスモデル、すなわち水疱性口内炎ウイルス、シンドビスウイルス、センダイウイルス、ポリオウイルスなどで効能ある抗ウイルス活性を発揮することが証明された[非特許文献32;非特許文献33;非特許文献34;非特許文献35;非特許文献36]。従って、HSP−70の誘導は、抗ウイルス効果を発揮する。
【0035】
同種移植片拒絶
同種移植片(異なる遺伝子型を有する同種の異なる個体に由来する組織又は器官の移植片)拒絶は、HSP−70の誘導を誘発する病理学的症状である。HSP−70誘導は、移植後も器官の機能を保存する保護効果を示す。腎臓は、移植片機能及び生存を脅かすことなく限られた時間だけ保存することができる。熱ショックタンパク質(HSP)の誘導は、期間を延長して低温保存された後、同種移植された後の結果を改善できることが証明された。予熱処理はHSP−70の発現を誘導し、移植片は組織学的に評価されたときに組織的虚血−再潅流損傷から保護された[非特許文献37]。アポトーシスが抑制され、カスパーゼ−3の活性化が抑制されることが証明された。
【0036】
ゲラニルゲラニルアセトン、すなわち非毒性熱ショックタンパク質誘導剤は、温虚血−再潅流損傷での有利な効果を研究するためのラットの同所性肝移植モデルにおいて研究された[非特許文献38]。GGA投与は、温虚血以前に肝にHSP−72及びHSP−90に対するmRNAを蓄積させ、温虚血後にHSP−72及びHSP−90の合成を促進した。さらに、GGA前投与は、再潅流後腫瘍壊死因子−アルファの血清中レベルを著しく減少させた。このような結果は、HSPの増加した誘導及びそれに続くダウンストリームイベントが全て虚血−再潅流損傷に対するGGAの有利な効果に関与していることを示す。その他に、臓器提供者がゲラニルゲラニルアセトン(GGA)を投与された場合、臓器受容者の7日生存率が90%に近いのに対して、賦形剤を投与された提供者の場合、全ての臓器受容者は一次機能不全で死亡した。
【0037】
研究の結果は、HSP発現と拒絶反応の反比例関係は、心筋でHSPの上昇したレベルが、心臓移植の低い拒絶率をもたらす可能性を有することを示す[非特許文献39]。対照群と比較してHSP−70遺伝子に形質転換された心臓の機械的機能の虚血後回復の著しい改善が心臓移植のための保存状態に類似したプロトコル後に観察された。これらの結果は、細胞培養モデルで既に観察された発見を確認したものであり、全心臓モデルで虚血−再潅流損傷からの保護においてHSP−70の役割を示すことに拡大され、これらの結果は、臨床的状況にさらに近づいたものである[非特許文献40]。
【0038】
熱ショック反応は、皮弁虚血に対する保護効果も発揮する。熱ショックタンパク質(HSP)発現は、熱処理前に高用量のアスピリンを投与することにより生体内で増大する[非特許文献41]。免疫組織化学の結果、HSP発現が確認され、皮弁生存率は著しく改善された。従って、HSP−70誘導は、移植後器官機能の保存において有利である。
【0039】
腫瘍性疾患
HSP−70の誘導は、腫瘍の治療にも有利であることが証明された。HSP−70の向上した発現は、各種動物モデルにおける腫瘍退行の誘発を助けることが分かった。熱ショックタンパク質(HSP)は、熱ストレス後の耐性(熱耐性)だけでなく、前立腺癌などの癌において特定化学治療剤の臨床反応の向上にも関与する。コロニー形成分析の結果は、各化学治療剤と同時に混合したとき、高熱症を感作させる(sensitizing)効果を示し、これは、局在的細胞毒性を増強する[非特許文献42]。化学治療剤及び高熱症の同時適用は、ダニング(Dunning)ラット前立腺腺癌に対して相乗的細胞毒性効果を有することが証明された。さらに、HSP−70誘導により測定されているように、耐熱性細胞のHSPの誘導は、化学治療媒介性細胞毒性の調節をももたらすことが証明された。
【0040】
熱ショックタンパク質の直接的な誘導は、癌免疫に大きく貢献すると認識される。坑癌免疫は、高熱症により誘導され、原位置で(in−situ)組み換えHSP−70タンパク質を腫瘍に投与することにより一層向上する[非特許文献43]。正電荷を有すると共に交番磁界で熱を発生させるマグネタイトカチオン性リポソームと組み合わせられた500KHz交番磁界を用いて高熱症を誘導すると、30日間の期間にわたって腫瘍成長を抑制し、20%のマウスで腫瘍の完全な減少が発見された。全身抗腫瘍免疫が治療されたマウスに誘導されたこともわかった。高熱症により誘導された抗腫瘍免疫がHSP−70遺伝子導入により向上するか否かを決定するための他の研究[非特許文献44]において、複合治療は、30日間の期間にわたって強く腫瘍成長を抑制し、30%のマウスで腫瘍の完全な退行が観察された。従って、HSP−70の誘導は、腫瘍性疾患の治療に有用である。
【0041】
胃粘膜損傷
消化されていない食物及びヘリコバクターピロリに由来する有害物により誘発された胃粘膜損傷は、HSP−70を誘導する他の病理学的症状の1つである。胃表面粘膜細胞は、このような有害物防御の第一線である。モルモット胃底腺からの胃表面粘膜細胞の1次培養液は、エタノールや過酸化水素などの代謝性有害物及び上昇した温度に露出した後、典型的な熱ショック反応を示し、これらは、このようなストレス要因に対する耐性を得た。HSP−70mRNAタンパク質は、ストレス後にラットの胃粘膜に誘導され、誘導の程度は粘膜病変の深刻度とは反比例するが、これは、胃粘膜防御においてHSP−70の保護の役割を示唆する[非特許文献45]。
【0042】
脳出血
HSP−70の誘導を誘発する他の病理学的症状としては脳出血がある。ビモクロモルを使用した研究の結果、脳血管損傷、特に、血管内有害物がくも膜下自家血液により誘発される場合、脳血管損傷時に血液脳関門透過性の病理学的増加を減少できる能力が示された[非特許文献46]。ビモクロモルは、エバンスブルーで染色された大脳組織のサイズを39%まで減少させた。ビモクロモルは、HSP−72発現に対する共誘導剤効果により実験的くも膜下出血に有利な影響を及ぼす。
【0043】
内皮機能障害
各種内皮機能障害は、体細胞においてHSP−70の誘導をもたらす病理学的症状となる。熱ショックタンパク質の共誘導剤であるビモクロモルの治療が72 Kd熱ショックタンパク質の内皮機能及び発現に及ぼす効果を自然発生高血圧ラットにおいて研究した[非特許文献47]。アセチルコリンに対する弛緩及び血管のHSP−72mRNAレベルにおける顕著な年齢依存的減少がSHR動物で観察された。これらの変化は、ビモクロモルの適用により予防されたことが分かり、これは、HSP−72の維持されるレベルと内皮機能の保存の関係を示唆する。
【0044】
糖尿病合併症
神経障害、網膜症、腎症、及び創傷治癒の遅延などの糖尿病患者に発生する合併症は、HSP−70の保護の役割に関与してきた病理学的症状の1つとなる。
【0045】
(a)糖尿病性神経障害
神経梗塞を誘発する神経内膜の細小血管障害が糖尿病性神経障害の病因に関与すると考えられる[非特許文献48]。実験的証拠は、糖尿病性神経障害に対するHSP−72誘導の保護効果を示唆する[非特許文献49]。HSP−70誘導性能を利用したビモクロモル治療は、運動神経の場合は38%、感覚神経の場合は42%まで神経伝導遅延を著しく減少させ、これは、用量依存的反応を示す。ストレプトゾトシン誘発性の神経障害による典型的な虚血耐性の上昇も、71%まで遅延した。これらの効果は、虚血に対する反応として心臓及び腎臓などの他の組織においてHSP−72の転写を誘導することが知られている用量で観察されたものである。
【0046】
(b)糖尿病性網膜症
糖尿病網膜症は、血液網膜関門(BRB)の破壊に関連し、黄斑浮腫を起こし、糖尿病による視力障害をもたらす。HSP共誘導剤ビモクロモル(BRLP−42)は、糖尿病誘導性網膜症に効能があることが証明された[非特許文献50]。保護は、光受容体区域内及びその下の浮腫の少なさ、網膜色素上皮の微絨毛のほぼ正常な配列、並びにさらに緻密かつ均一な網膜毛細血管基底膜として反映される[非特許文献51]。このような改善は、糖尿病関連虚血細胞損傷に対する網膜グリア及び/又はニューロンにおいて、ビモクロモルの細胞保護効果に寄与する。さらに、HSP−70の過剰発現は、網膜の光による損傷に対して保護効果を示す[非特許文献52]。
【0047】
(c)慢性創傷治癒
HSPは、細胞増殖の調節に関与する。HSP−70発現の異常は、糖尿病の動物における創傷治癒の遅延に関連する[非特許文献53]。より迅速かつ強力な治療は、レーザによる創傷におけるHSP−70の活性化により達成される[非特許文献54]。
【0048】
従って、HSP−70の誘導は、各種糖尿病合併症の治療に有利である。
【0049】
神経変性疾患
アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、及びパーキンソン病などの神経変性疾患は、HSP−70がこれらの疾患の進行に対する保護作用及び遅延作用の発揮に関与する病理学的症状の集まりとなる。
【0050】
(a)アルツハイマー病は、ベータアミロイド及びtauタンパク質凝集体(神経原線維変化)を特徴とする神経変性疾患である。各種細胞モデルにおいてHSPレベルが増加すると(8倍〜10倍増加)、tau溶解度を増加させて微小管に対するtau結合を促進し、不溶性tauを減少させて減少したtauリン酸化を誘発することが証明された。従って、HSPの上方調節は、神経原線維変化の形成を抑制する[非特許文献55]。研究の結果、ウイルス媒介HSP−70過剰発現は、細胞内ベータアミロイド蓄積の毒性効果からニューロンを救助することが証明された。[非特許文献56]。
【0051】
(b)筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、脊髄の運動ニューロン及び運動皮質において麻痺が進進行する致死性神経変性疾患である。ALSの病因には、Cu/Znスーパーオキシドジスムターゼ−1(SOD1)をコード化する遺伝子の突然変異が関与する。アリモクロモル、すなわち熱ショックタンパク質(HSP)の誘導剤を投与すると、ヒトALS患者で観察されるものと非常に類似した表現型及び病症を示すヒト突然変異SOD1を過剰発現する遺伝子導入マウスにおいて疾患進行を非常に遅らせることが証明された[非特許文献57;非特許文献58]。
【0052】
(c)パーキンソン病は、黒質緻密部でのドーパミン作動性ニューロンの脱落、ミスフォールドしたタンパク質アルファシヌクレインのレビー小体やレビー神経突起と言われる蓄積(これは細胞毒性である)を特徴とする神経変性疾患である。ミトコンドリア機能障害、酸化ストレス、タンパク質のミスフォールディング、凝集、及び特定神経タンパク質のプロテアソーム分解の失敗がパーキンソン病(PD)の病因として関与してきた。組み換えアデノ随伴ウイルスを使用してHSP−70遺伝子をドーパミンニューロンに伝達することによるHSP−70の上方調節は、MPTP−誘導性ドーパミンニューロン脱落及び関連する線条体ドーパミンレベルの減少に対してマウスドーパミン合成系を有意に保護する[非特許文献59]。最近の実験結果からは、パーキンソン病の治療に臨床的に使用されるデプレニール及びその他のプロパルギルアミンは、HSP−70及びその他の抗アポトーシスタンパク質の合成を増加させることにより、ニューロン生存率を向上させることが証明された[非特許文献60]。HSP−70過剰発現マウスと交配させることによりアルファシヌクレイン遺伝子導入マウスにHSP−70を導入することは、子孫においてミスフォールドされかつ凝集されたアルファ−シヌクレインの大幅な減少をもたらす[非特許文献61]。最近の証拠から、ゲルダナマイシンは、HSP−70媒介シャペロン活性を向上させることによりアルファ−シヌクレイン毒性から神経を保護することが証明された[非特許文献62]。
【0053】
従って、HSP−70誘導剤は、前述した神経変性疾患症状の治療に有用であり、その進行の遅延にも有用である。
【0054】
てんかん
HSP−70の保護の役割が関与する他の病理学的症状としては発作(てんかん)がある。HSP−70mRNA及びタンパク質は、辺縁系の様々な部位及びラット脳皮質でカイニン酸誘導性発作に反応して上方調節される(非特許文献63;非特許文献64)。ラットにおいてカイニン酸誘導性発作は、ヒトの側頭葉てんかんに対する確立された動物モデルを示し、成人てんかんに最も多い形態である。海馬におけるHSP発現は、KA誘導性辺縁系発作の深刻度と正比例する(非特許文献65)。ラットにおけるHsp72過剰発現(遺伝子治療)は、海馬ニューロンの生存を改善する(非特許文献66)。カイニン酸は、hsp70誘導と正比例する発作の用量依存的深刻度を示す。
【0055】
外傷後神経損傷
外傷後神経損傷に関連する病的ストレスは、神経組織においてHSP−70の誘導を誘発する。神経組織における外傷性損傷後のHSP−70の発現は、細胞反応の一部であると予想されていたが、これは、損傷したタンパク質の修復に関与する[非特許文献67]。BRX−220、すなわちHSP−70の誘導剤は、仔ラット坐骨神経挫滅(crush)後の損傷した運動ニューロンの生存に対する効果について試験されてきた[非特許文献68]。著しく多数のニューロンがBRX−220の治療で生存し、さらなる運動ニューロン脱落はないことが明らかになった。損傷14日後に、BRX220で治療した群において39%の運動ニューロンが生存したのに対して、賦形剤群においては21%が生存した。さらに、BRX220治療群においてさらなる運動ニューロン脱落は発生せず、10週目に42%の運動ニューロンが生存したのに対して、非治療群では15%が生存した。対照群に比べて、治療群において後肢の筋肉ではより機能的な運動もあった。これらの観察は、HSP−70の上昇したレベルと一致し、この化合物は、HSP−70を介する機序により軸索切断によって引き起こされた細胞死から運動ニューロンを保護する。従って、HSP−70の誘導は、外傷後神経損傷に有利である。
【0056】
急性腎不全
HSP−70の誘導を誘発する他の病理学的症状としては急性腎不全がある。急性腎不全とは、老廃物を排出し、尿を濃縮し、電解質を保存する腎臓の機能が突然失われることをいう。熱ショックタンパク質(HSP)の誘導は、虚血性急性腎不全において保護の役割を果たす。亜ヒ酸ナトリウム又は酢酸ウラニルをシスプラチンに誘導された急性腎不全に投与すると、HSP−72発現が顕著に増加する。亜ヒ酸ナトリウム及び酢酸ウラニルは、血清クレアチニン及び尿細管障害スコアにおけるシスプラチンに誘導された増加を軽減する[非特許文献69]。このような発見は、HSP−72がCDDP−誘導性腎臓毒性を軽減することを示唆する。HSP−72の保護効果は、Bcl−2/BAX率の増加及びアポトーシスの減少に関連している。
【0057】
緑内障
HSP−70の誘導を誘発する他の病理学的症状としては緑内障がある。緑内障は、眼圧が上昇して網膜神経節細胞(RGC)が選択的に損失することにより視神経に損傷が生じることが特徴である。細胞死の高度に調節された過程であるアポトーシスは、緑内障においてRGC死に対する最終共通路であると推測されている。研究の結果、HSP−72発現の誘導は、有害な条件でRGC生存を向上させ、ラットモデルにおいて緑内障による損傷を緩和することを示唆した[非特許文献70]。このような研究は、HSP−72の発現は、HSP誘導剤であるゲラニルゲラニルアセトンの投与後に網膜神経節細胞において増加したことを示す。治療は、網膜神経節細胞の損失をさらに減少させ、視神経損傷を減少させ、網膜神経節細胞層においてTUNEL陽性細胞の数を減少させた。
【0058】
老化関連皮膚変性
ヒト肝細胞においては老化に伴ってHSP−70誘導が軽減される。[非特許文献71]。さらに、ヒトの皮膚細胞は、弱い熱刺激に繰り返し露出すると、高齢になるまで若い細胞が持つ幾つかの特徴を維持することが明らかになった[非特許文献72]。
【0059】
熱ショックタンパク質遺伝子の過剰発現は、熱、虚血、細胞毒性薬物、及び毒素に対する致死的露出からの保護に十分である。このような例は、異なる疾患に寄与する各種病的ストレスから細胞を保護するためのHSP−70の能力を説明している。
【0060】
特許文献1は、細胞及び組織の生存率を向上させる方法と、これにより外因性HSP−70を投与することによる各種疾患症状を退治する方法とを開示している。
【0061】
複数の化合物がHSPのレベルの向上に有用であり、それにより幅広い疾患の治療に有用であると報告されている。
【0062】
特許文献2は、老化した細胞とプロテアソーム阻害剤を接触させて老化した細胞においてHSP−72産生を誘導する方法と、老化した個体においてアポトーシス及び炎症に関するストレス誘導性の病気を治療する方法とを開示している。
【0063】
特許文献3は、HSP−70を誘導する方法と、ベンゾキノイドアンサマイシンを使用し、酸化ストレスにより誘導された細胞死を抑制することにより心臓麻痺及び脳卒中に由来する神経損傷を治療する方法とを開示している。
【0064】
特許文献4は、ヒドロキシルアミン誘導体を使用してHSP−70を含む分子シャペロンの発現を増加させ、これにより、脳卒中、脳血管虚血、冠状動脈疾患、アレルギー疾患、免疫疾患、自己免疫疾患、ウイルス性又はバクテリア性疾患、腫瘍、皮膚及び/又は粘膜疾患、腎尿細管の上皮疾患、アテローム性動脈硬化、肺筋緊張亢進、及び頭部外傷などのストレス関連疾患を治療する方法を説明している。
【0065】
細胞におけるHSP−70の増加した発現に関する利点の観点から、このような発現を増加させる方法又はHSP−70の活性を増加させる方法は、各種疾患の予防及び治療で非常に有利になる。熱ショックタンパク質の発現又は機能を向上させる小型分子は、特定のヒト疾患の慢性又は急性治療において有望である。
【0066】
本発明の化合物は、HSP−70を誘導することが明確に証明された。従って、これらの化合物は、HSP誘導が、例えば脳卒中、心筋梗塞、炎症性疾患、ウイルス性疾患、腫瘍性疾患、脳出血、内皮機能障害、糖尿病合併症、肝毒性、急性腎不全、緑内障、敗血症、胃粘膜損傷、同種移植片拒絶、神経変性疾患、てんかん、外傷後神経損傷、及び老化関連皮膚変性などの各種疾患状態を保護することが知られていた症状の予防及び治療に有利である。
【0067】
抗うつ剤などの中枢神経系に対する薬理学的活性を有するヒドロキシ−及びオキソ−置換アルファ−ベンジリデンシクロアルカノンは特許文献5を参考すれば分かる。フェニル環は、本質的に、置換基がメトキシ又はメチレンジオキシ基から選択される二置換環である。
【0068】
特許文献6は、固体担体上におけるライブラリーの合成のために利用できる有用な中間体であり、2,4−ジオキソピペリジン化合物を説明している。
【0069】
特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10は、本発明の化合物とは構造的に異なる化合物を説明している。
【0070】
特許文献11は、ケラチン繊維を染色する方法のためのオキソノールタイプのメチン直接染料を含む染料組成物として有用な4−ピペリドン化合物に関する。
【0071】
前述した先行技術においては、HSP誘導剤としての化合物の使用については教示も提案もしていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0072】
【特許文献1】米国特許第5348945号明細書
【特許文献2】米国特許第6096711号明細書
【特許文献3】米国特許第6174875号明細書
【特許文献4】米国特許第6653326号明細書
【特許文献5】米国特許第4177271号明細書
【特許文献6】米国特許第6288235号明細書
【特許文献7】国際公開第01/40188号パンフレット
【特許文献8】米国特許出願公開第2004009914号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2005069551号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第20060089378号明細書
【特許文献11】国際公開第06087194号パンフレット
【非特許文献】
【0073】
【非特許文献1】Dienel G.A. et al., J. Cereb. Blood Flow Metab., 1986, Vol. 6, pp. 505−510
【非特許文献2】Kinouchi H. et al., Brain Research, 1993, Vol. 619, pp. 334−338
【非特許文献3】Rajdev S., Hara K, et al., Ann. Neurol., 2000 Jun, Vol. 47(6), pp. 782−791
【非特許文献4】Hoehn B. et al., J. Cereb. Blood Flow Metab., 2001 Nov, Vol. 21(11), pp. 1303−1309
【非特許文献5】Ren M. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 2003 May 13; Vol. 100(10), pp. 6210−6215
【非特許文献6】Hutter M.M. et al., Circulation, 1994, Vol. 89, pp. 355−360
【非特許文献7】Liu X. et al., Circulation, 1992, Vol. 86, pp. II358−II363
【非特許文献8】Martin J.L., Circulation, 1997, Vol. 96, pp. 4343−4348
【非特許文献9】Lubbers N.L. et al., Eur. J. Pharmacol., 2002 Jan 18, Vol. 435(1), pp. 79−83
【非特許文献10】Polakowski J.S. et al., Eur. J. Pharmacol., 2002 Jan 18, Vol. 435(1), pp. 73−77
【非特許文献11】Marber M.S. et al., J. Clin. Invest., 1995 April, Vol. 95, pp. 1446−1456
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【非特許文献13】Jayakumar J. et al., Circulation, 2001 Sep 18, Vol. 104(12 Suppl 1), pp. 1303−1307
【非特許文献14】Jacquier−Salin M.R. et al., Experientia, 1994 Nov 30, Vol. 50(11−12), pp. 1031−1038
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【非特許文献67】Dutcher S.A et al., J. Neurotrauma, 1998, Vol. 15(6), pp. 411−420
【非特許文献68】Kalmar B. et al., Exp. Neurol., 2002 Jul, Vol. 176(1), pp. 87−97
【非特許文献69】Zhou H. et al., Pflugers Arch., 2003 Apr, Vol. 446(1), pp. 116−124
【非特許文献70】Ishii Y. et al., Invest. Ophthalmol. Vis. Sci., 2003 May, Vol. 44(5), pp. 1982−1992
【非特許文献71】Verbeke P. et al., Cell Biol. Int., 2001, Vol. 25(9), pp. 845−857
【非特許文献72】Rattan S.I. et al., Biochem. Mol. Biol. Int., 1998, Vol. 45(4), pp. 753−759
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0074】
本発明の一実施形態においては、下記化学式Iの化合物、その薬学的に許容可能な塩、並びにそれらの水和物、溶媒和物、立体異性体、配座異性体、互変異性体、多形体、及びプロドラッグを提供する。
【化1】

【0075】
本発明の他の実施形態においては、下記化学式IIの化合物、その薬学的に許容可能な塩、並びにそれらの水和物、溶媒和物、立体異性体、配座異性体、互変異性体、多形体、及びプロドラッグを提供する。
【0076】
【化2】

[式中、
は、置換されていないか又は置換された、
a.5〜12員の単環式もしくは二環式アリール、
b.窒素、酸素、及び硫黄から選択される1つ以上のヘテロ原子を含有する5〜12員の単環式もしくは二環式ヘテロアリール、又は、
c.窒素、酸素、及び硫黄から選択される1つ以上のヘテロ原子を含有する4〜12員の単環式もしくは二環式ヘテロシクリル
から選択され、
前記アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクリル系の例としては、フェニル、ナフチル、ヘプタレニル、ベンゾシクロヘプタレニル、シクロブタジエニル、シクロブテニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、シンノリニル、フタラジニル、ピラゾリル、ピロリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チオモルホリン1,1−ジオキシド、ピペリジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、チアゾリジニル、ヘキサヒドロピリダジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ヘキサヒドロピラジニル、アゼパニル、ジアゼパニル、チアゼパニル、アゼピニル、ベンゾピラゾリル、インドリニル、インドリル、フタラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフリル、ベンゾピロリル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、及びベンズオキサジアゾリルがあり、
前記アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルは、置換される場合、1〜4個の置換体R、好ましくは、1〜3個の置換体R、より好ましくは、1〜2個の置換体Rにより置換され、ここで、Rは、ハロゲン、−OH、−SH、−C1−8アルキル、ニトロ、アミノ、シアノ、−N(R)C(O)(C1−8アルキル)、−N(R)C(O)(アリール)、−N(R)C(O)(ヘテロアリール)、−N(R)C(O)(ヘテロシクリル)、−N(R)SO(C1−8アルキル)、−N(R)SO(アリール)、−N(R)SO(ヘテロアリール)、−N(R)SO(ヘテロシクリル)、−N(R)SOCF、−COOH、−C(O)N(R)(R)、−C(O)N(R)(アリール)、−C(O)N(R)(ヘテロアリール)、−C(O)N(R)(ヘテロシクリル)、−SON(R)(R)、−SON(R)(アリール)、−SON(R)(ヘテロアリール)、−SON(R)(ヘテロシクリル)、−C(O)O−(C1−8アルキル)、−C(O)O−アリール、−C(O)O−ヘテロアリール、−C(O)O−ヘテロシクリル、−N(R)C(O)O−(C1−8アルキル)、−N(R)C(O)O−アリール、−N(R)C(O)O−ヘテロアリール、−N(R)C(O)O−ヘテロシクリル、−CF、−C(O)CF、−SOCF、−(C1−8アルキル)−O(C1−8アルキル)、−(C1−8アルキル)−O(アリール)、−(C1−8アルキル)−O(ヘテロアリール)、−(C1−8アルキル)−O(ヘテロシクリル)、−(C1−8アルキル)−N(R)(C1−8アルキル)、−(C1−8アルキル)−N(R)(アリール)、−(C1−8アルキル)−N(R)(ヘテロアリール)、−(C1−8アルキル)−N(R)(ヘテロシクリル)、−(C1−8アルキル)−C(O)(C1−8アルキル)、−(C1−8アルキル)−C(O)(アリール)、−(C1−8アルキル)−C(O)(ヘテロアリール)、−(C1−8アルキル)−C(O)(ヘテロシクリル)、−C(O)(C1−8アルキル)−アリール、−C(O)(C1−8アルキル)−ヘテロアリール、−C(O)(C1−8アルキル)−ヘテロシクリル、−(C1−8アルキル)−S(O)(C1−8アルキル)、−(C1−8アルキル)−S(O)(アリール)、−(C1−8アルキル)−S(O)(ヘテロアリール)、−(C1−8アルキル)−S(O)(ヘテロシクリル)、−(C1−8アルキル)−S(O)(C1−8アルキル)、−(C1−8アルキル)−S(O)O−(C1−8アルキル)、−(C1−8アルキル)−SO(アリール)、−(C1−8アルキル)−SO(ヘテロアリール)、−(C1−8アルキル)−SO(ヘテロシクリル)、−N(R)(SO−アリール)、−N(R)(SO−ヘテロアリール)、−N(R)(SO−ヘテロシクリル)、−N(R)C(O)N(R)(R)、−N(R)C(O)N(R)(アリール)、−N(R)C(O)N(R)(ヘテロアリール)、−N(R)C(O)N(R)(ヘテロシクリル)、−N(R)C(O)C(O)N(R)(R)、−N(R)C(O)C(O)N(R)(アリール)、−NRC(O)C(O)N(R)(ヘテロアリール)、−N(R)C(O)C(O)N(R)(ヘテロシクリル)、−N(R)C(S)N(R)(R)、−N(R)C(S)N(R)(アリール)、−N(R)C(S)N(R)(ヘテロアリール)、−N(R)C(S)N(R)(ヘテロシクリル)、−N(R)SON(R)(R)、−N(R)SON(R)(アリール)、−N(R)SON(R)(ヘテロアリール)、−N(R)SON(R)(ヘテロシクリル)、−S(C1−8アルキル)、−SOOH、−NHC(NH)NH、−N(R)(アリール)、−N(R)(ヘテロアリール)、−N(R)(ヘテロシクリル)、−(C1−8アルキル)−アリール、−(C1−8アルキル)−ヘテロアリール、−(C1−8アルキル)−ヘテロシクリル−オキソ、及び−チオキソからなる群から独立して選択され、
は、水素又は(C1−8アルキル)から選択され、
ここで、R中に置換体として存在するアリールは、5〜7員の単環式環であり、R中に置換体として存在するヘテロアリール及びヘテロシクリルは、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1つ以上のヘテロ原子を含有する3〜7員の単環式環系であり、ここで、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクリルは、オキソ、チオキソ、ハロゲン、−OH、−SH、−C1−8アルキル、−O(C1−8アルキル)、ニトロ、アミノ、モノ(C1−8アルキル)アミノ、ジ(C1−8アルキル)アミノ、−COOH、−CONH、−CF、−C(O)CF、−SOCF、−S(C1−8アルキル)、−SO(C1−8アルキル)、及び−SONHからなる群から独立して選択される1〜3個の置換体で置換されるか又は置換されず、
ここで、C1−8アルキルは、直鎖状、分枝鎖状、又は環状であり、1つの二重結合を含有してもよく、−OH、−SH、オキソ、チオキソ、アミノ、モノ(C1−3アルキル)アミノ、ジ(C1−3アルキル)アミノ、−S(C1−3アルキル)、及び−C1−3アルコキシからなる群から独立して選択される1〜2個の置換体で置換され、
ここで、C1−3アルコキシは、直鎖状又は分枝鎖状であり、1つ又は2つの二重又は三重結合を含有してもよく、C1−3アルキルは、直鎖状又は分枝鎖状であり、
は、水素又は(C−C)アルキルから選択され、
mは、0又は1であるが、
ただし、Rが、置換されていないか又は置換された、
a)シクロヘキサン、
b)シクロヘキセン、又は、
c)窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜2つのヘテロ原子を含有する6員の単環式ヘテロアリールもしくはヘテロシクリルの場合、
上の置換体であるRは、ヒドロキシル及びオキソ基からは選択されず、
は、水素、ハロゲン、−C1−3アルキル、−OH、−SH、−O(C1−3アルキル)、アミノ、モノ(C1−3アルキル)アミノ、ジ(C1−3アルキル)アミノ、−C(O)CF、−C(O)CH、−SOCF、−CF、−S(C1−8アルキル)、−SO(C1−8アルキル)、及び−SONHからなる群から選択され、
ここで、C1−8アルキルは、直鎖状、分枝鎖状、又は環状であり、1つ又は2つの二重又は三重結合を含有してもよく、−OH、−SH、オキソ、チオキソ、アミノ、モノ(C1−3アルキル)アミノ、ジ(C1−3アルキル)アミノ、−S(C1−3アルキル)、及び−C1−3アルコキシからなる群から独立して選択される1〜2個の置換体で置換され、
ここで、C1−3アルコキシは、直鎖状又は分枝鎖状であり、1つの二重結合を含有してもよく、C1−3アルキルは、直鎖状又は分枝鎖状であり、
は、ハロゲン、ニトロ、アミノ、−OH、−SH、−N(R)C(O)(C1−8アルキル)、−N(R)C(O)(アリール)、−N(R)C(O)(ヘテロアリール)、−N(R)C(O)(ヘテロシクリル)、−N(R)SO(C1−8アルキル)、−N(R)SO(アリール)、−N(R)SO(ヘテロアリール)、−N(R)SO(ヘテロシクリル)、−(C1−3アルキル)、−(C1−3アルキル)−アリール、−(C1−3アルキル)−ヘテロアリール、−(C1−3アルキル)−ヘテロシクリル、−C(O)N(R)(R)、−C(O)N(R)(アリール)、−C(O)N(R)(ヘテロアリール)、−C(O)N(R)(ヘテロシクリル)、−SON((R)(R)、−SON(R)(アリール)、−SON(R)(ヘテロアリール)、−SON(R)(ヘテロシクリル)、−N(R)SOCF、−C(O)O−(C1−8アルキル)、−C(O)O−アリール、−C(O)O−ヘテロアリール、−C(O)O−ヘテロシクリル、−N(R)C(O)O−(C1−8アルキル)、−N(R)C(O)O−アリール、−N(R)C(O)O−ヘテロアリール、−N(R)C(O)O−ヘテロシクリル、−CF、−C(O)CF、−SOCF、−COOH、−(C1−3アルキル)−O(C1−8アルキル)、−(C1−3アルキル)−N((R)(C1−8アルキル)、−(C1−3アルキル)−C(O)(C1−8アルキル)、−(C1−3アルキル)−C(O)(アリール)、−(C1−3アルキル)−C(O)(ヘテロアリール)、−(C1−3アルキル)−C(O)(ヘテロシクリル)、−C(O)(C1−3アルキル)−アリール、−C(O)(C1−3アルキル)−ヘテロアリール、−C(O)(C1−3アルキル)−ヘテロシクリル、−(C1−3アルキル)−C(O)(C1−3アルキル)−アリール、−(C1−3アルキル)−C(O)(C1−3アルキル)−ヘテロアリール、−(C1−3アルキル)−C(O)(C1−3アルキル)−ヘテロシクリル、−(C1−3アルキル)−S(O)(C1−8アルキル)、−(C1−3アルキル)−S(O)(アリール)、−(C1−3アルキル)−S(O)(ヘテロアリール)、−(C1−3アルキル)−S(O)(ヘテロシクリル)、−(C1−3アルキル)−S(O)(C1−8アルキル)、−(C1−3アルキル)−S(O)O−(C1−8アルキル)、−(C1−3アルキル)−SO(アリール)、−(C1−3アルキル)−SO(ヘテロアリール)、−(C1−3アルキル)−SO(ヘテロシクリル)、−S(O)−(C1−3アルキル)−アリール、−S(O)−(C1−3アルキル)−ヘテロアリール、−S(O)−(C1−3アルキル)−ヘテロシクリル、−(C1−3アルキル)SO−(C1−3アルキル)−アリール、−(C1−3アルキル)SO−(C1−3アルキル)−ヘテロアリール、−(C1−3アルキル)SO−(C1−3アルキル)−ヘテロシクリル、−N(R)SO(アリール)、−N(R)SO(ヘテロアリール)、−N(R)SO(ヘテロシクリル)、−N(R)C(O)N((R)(R)、−N(R)C(O)N(R)(アリール)、−N(R)C(O)N(R)(ヘテロアリール)、−N(R)C(O)N(R)(ヘテロシクリル)、−N(R)C(O)C(O)N((R)(R)、−N(R)C(O)C(O)N(R)(アリール)、−N(R)C(O)C(O)N(R)(ヘテロアリール)、−N(R)C(O)C(O)N(R)(ヘテロシクリル)、−N(R)C(S)N(R)(R)、−N(R)C(S)N(R)(アリール)、−N(R)C(S)N(R)(ヘテロアリール)、−N(R)C(S)N(R)(ヘテロシクリル)、−N(R)SON(R)(R)、−N(R)SON(R)(アリール)、−N(R)SON(R)(ヘテロアリール)、−N(R)SON(R)(ヘテロシクリル)、−S(C1−8アルキル)、−SOOH、−NHC(=NH)NH、−(C1−3アルキル)−O(アリール)、−(C1−3アルキル)−O(ヘテロアリール)、−(C1−3アルキル)−O(ヘテロシクリル)、−(C1−3アルキル)−N(R)(アリール)、−(C1−3アルキル)−N(R)(ヘテロアリール)、−(C1−3アルキル)−N(R)(ヘテロシクリル)、−C(O)C(O)(アリール)、−C(O)C(O)(ヘテロアリール)、及び−C(O)C(O)(ヘテロシクリル)からなる群から選択され、
ここで、R中に置換体として存在するアリールは、5〜7員の単環式環であり、R中に置換体として存在するヘテロアリール及びヘテロシクリルは、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1つ以上のヘテロ原子を含有する3〜7員の単環式環であり、ここで、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクリルは、オキソ、チオキソ、−OH、−SH、ハロゲン、−C1−8アルキル、−O(C1−8アルキル)、ニトロ、アミノ、モノ(C1−8アルキル)アミノ、ジ(C1−8アルキル)アミノ、−COOH、−CONH、−CF、−C(O)CF、−SOCF、−S(C1−8アルキル)、−N(R)SO(C1−8アルキル)、−SO(C1−8アルキル)、及び−SONHからなる群から独立して選択される1〜3個の置換体で置換されるか又は置換されず、
ここで、C1−8アルキルは、直鎖状、分枝鎖状、又は環状であり、1つ又は2つの二重又は三重結合を含有してもよく、−OH、−SH、オキソ、チオキソ、アミノ、モノ(C1−3アルキル)アミノ、ジ(C1−3アルキル)アミノ、−S(C1−3アルキル)、及び−C1−3アルコキシからなる群から独立して選択される1〜2個の置換体で置換され、
ここで、C1−3アルコキシは、直鎖状又は分枝鎖状であり、1つの二重結合を含有してもよく、C1−3アルキルは、直鎖状又は分枝鎖状であり、
mは、0又は1であり、
及びRは、水素もしくはRからこれらの出現位置で独立して選択されるか、又はRもしくはRは、Rと共にオキソであるが、ただし、Rがオキソの場合、Rは、−C(O)(C1−8アルキル)、−C(O)O(C1−8アルキル)、−C(O)(C1−8アルキル)−アリール、−C(O)アリール、−C(O)チエニル、及び−C(O)フリルからは選択されず、
は、−(C1−8アルキル)、−C(O)N(R)(R)、−C(O)N(R)(アリール)、−C(O)N(R)((C1−8アルキル)−アリール)、−C(O)N(R)(ヘテロアリール)、−C(O)N(R)SO(アリール)、−C(O)N(R)(ヘテロシクリル)、−C(S)N(R)(R)、−C(S)N(R)(アリール)、−C(S)N(R)(ヘテロアリール)、−C(S)N(R)(ヘテロシクリル)、−SON(R)(R)、−SON(R)(アリール)、−SON(R)(ヘテロアリール)、−SON(R)(ヘテロシクリル)、−C(O)C(O)N(R)(R)、−C(O)C(O)N(R)(アリール)、−C(O)C(O)N(R)(ヘテロアリール)、−C(O)C(O)N(R)(ヘテロシクリル)、−C(O)O−(C1−8アルキル)、−C(O)O−(C1−8アルキル)−アリール、−C(O)O−(C1−8アルキル)−ヘテロアリール、−C(O)O−(C1−8アルキル)−ヘテロシクリル、−CF、−C(O)CF、−SOCF、−(C1−8アルキル)O(C1−8アルキル)、−(C1−8アルキル)−O(アリール)、−(C1−8アルキル)−O(ヘテロアリール)、−(C1−8アルキル)−O(ヘテロシクリル)、−(C1−8アルキル)−N(R)(C1−8アルキル)、−(C1−8アルキル)−N(R)(アリール)、−(C1−8アルキル)−N(R)(ヘテロアリール)、−(C1−8アルキル)−N(R)(ヘテロシクリル)、−(C1−8アルキル)C(O)(C1−8アルキル)、−(C1−8アルキル)−C(O)(アリール)、−(C1−8アルキル)−C(O)(ヘテロアリール)、−(C1−8アルキル)−C(O)(ヘテロシクリル)、−C(O)−(C1−3アルキル)−アリール、−C(O)−(C1−3アルキル)−ヘテロアリール、−C(O)−(C1−3アルキル)−ヘテロシクリル、−(C1−8アルキル)−C(O)(C1−8アルキル)−アリール、−(C1−8アルキル)−C(O)(C1−8アルキル)−ヘテロアリール、−(C1−8アルキル)−C(O)(C1−8アルキル)−ヘテロシクリル、−(C1−8アルキル)−SO(C1−8アルキル)、−(C1−8アルキル)−SO(アリール)、−(C1−8アルキル)−SO(ヘテロアリール)、−(C1−8アルキル)−SO(ヘテロシクリル)、−(C1−8アルキル)−S(O)(C1−8アルキル)、−(C1−8アルキル)−S(O)(アリール)、−(C1−8アルキル)−S(O)(ヘテロアリール)、−(C1−8アルキル)−S(O)(ヘテロシクリル)、−S(O)(C1−8アルキル)−アリール、−S(O)(C1−8アルキル)−ヘテロアリール、−S(O)(C1−8アルキル)ヘテロシクリル、−(C1−8アルキル)SO−(C1−8アルキル)−アリール、−(C1−8アルキル)SO−(C1−8アルキル)−ヘテロアリール、−(C1−8アルキル)SO−(C1−8アルキル)−ヘテロシクリル、−(C1−8アルキル)−S(C1−8アルキル)、−(C1−8アルキル)−S(C1−8アルキル)−アリール、−(C1−8アルキル)−S(C1−8アルキル)−ヘテロアリール、−(C1−8アルキル)−S(C1−8アルキル)−ヘテロシクリル、−(C1−8アルキル)−S(アリール)、−(C1−8アルキル)−S(ヘテロアリール)、−(C1−8アルキル)−S(ヘテロシクリル)、−(C1−8アルキル)−アリール、−(C1−8アルキル)−ヘテロアリール、−(C1−8アルキル)−ヘテロシクリル、−C(O)C(O)(ヘテロアリール)、−C(O)C(O)(ヘテロシクリル)、及び−C(O)C(O)(アリール)からなる群から選択され、
ここで、R中に置換体として存在するアリールは、5〜7員の単環式環であり、R中に置換体として存在するヘテロアリール及びヘテロシクリルは、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1つ以上のヘテロ原子を含有する3〜7員の単環式環であり、ここで、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクリルは、オキソ、チオキソ、ハロゲン、−OH、−SH、−C1−8アルキル、−O(C1−8アルキル)、ニトロ、アミノ、モノ(C1−8アルキル)アミノ、−CO(C1−8アルキル)、ジ(C1−8アルキル)アミノ、−COOH、−COO(C1−8アルキル)、−CONH、−CF、−C(O)CF、−S(C1−8アルキル)、−SO(C1−8アルキル)、−SOCF、及び−SONHから独立して選択される1〜3個の基で置換されるか又は置換されず、
ここで、C1−8アルキルは、直鎖状、分枝鎖状、又は環状であり、1つ又は2つの二重又は三重結合を含有してもよく、−OH、−SH、オキソ、チオキソ、アミノ、モノ(C1−3アルキル)アミノ、ジ(C1−3アルキル)アミノ、−S(C1−3アルキル)、−COOH、CONH、及び−C1−3アルコキシから独立して選択される1〜2個の置換体で置換されてもよく、
ここで、C1−3アルコキシは、直鎖状又は分枝鎖状であり、1つの二重結合を含有してもよく、C1−3アルキルは、直鎖状又は分枝鎖状であり、mは、これらの出現位置で0〜1から独立して選択され、
ただし、
i)Rがメチル、−CH−CH=CH又は−CHフェニルから選択され、R=H又はメチルの場合、Rは、
a.トリメトキシフェニル、
b.ベンズジオキソールもしくはクロロ置換されたベンズジオキソール、又は、
c.フリル
から選択されず、
ii)Rがメチルから選択され、R=H、R=フェニルの場合、Rは、置換されていないフェニルから選択されず、
iii)R、R、及びRが水素であり、Rが−(C1−8アルキル)、−(C1−8アルキル)−O(C1−8アルキル)、−(C1−8アルキル)−O(アリール)、−(C1−8アルキル)−O(ヘテロアリール)、−(C1−8アルキル)−O(ヘテロシクリル)、−(C1−8アルキル)−N(R)(C1−8アルキル)、−(C1−8アルキル)−N(R)(アリール)、−(C1−8アルキル)−N(R)(ヘテロアリール)、−(C1−8アルキル)−N(R)(ヘテロシクリル)、−(C1−8アルキル)−C(O)(C1−8アルキル)、−(C1−8アルキル)−C(O)(アリール)、−(C1−8アルキル)−C(O)(ヘテロアリール)、−(C1−8アルキル)−C(O)(ヘテロシクリル)、−(C1−8アルキル)−C(O)(C1−8アルキル)−アリール、−(C1−8アルキル)−C(O)(C1−8アルキル)−ヘテロアリール、−(C1−8アルキル)−C(O)(C1−8アルキル)−ヘテロシクリル、−(C1−8アルキル)−アリール、−(C1−8アルキル)−ヘテロアリール、−(C1−8アルキル)−ヘテロシクリル、−C(O)N(R)(R)、−(C1−8アルキル)−SO(C1−8アルキル)、−(C1−8アルキル)−S(O)(C1−8アルキル)、−(C1−8アルキル)−S(O)(アリール)、−(C1−8アルキル)−S(O)(ヘテロアリール)、−(C1−8アルキル)−S(O)(ヘテロシクリル)、−(C1−8アルキル)−SO(C1−8アルキル)−アリール、−(C1−8アルキル)−SO(C1−8アルキル)−ヘテロアリール、−(C1−8アルキル)−SO(C1−8アルキル)−ヘテロシクリル、−(C1−8アルキル)−S(C1−8アルキル)、−(C1−8アルキル)−S(C1−8アルキル)−アリール、−(C1−8アルキル)−S(C1−8アルキル)−ヘテロアリール、−(C1−8アルキル)−S(C1−8アルキル)−ヘテロシクリル、−(C1−8アルキル)−S(アリール)、−(C1−8アルキル)−S(ヘテロアリール)、−(C1−8アルキル)−S(ヘテロシクリル)、−(C1−8アルキル)−SO(アリール)、−(C1−8アルキル)−SO(ヘテロアリール)、−(C1−8アルキル)−SO(ヘテロシクリル)、アシル、及び−C(O)O−(C1−8アルキル)からなる群から選択される場合、Rは、−CH−フェニル、−CH−置換されたフェニル、−CH−ピリジル、−CH−置換されたピリジル、−CH−ピリミジニル、−CH−置換されたピリミジニルではなく、ここで、アリール、ピリジル、及びピリミジニル上の置換体は、ヒドロキシル、アルコキシ、ハロゲン、及びCFから選択され、
は、水素、ハロゲン、−OH、−SH、−C1−8アルキル、−O(C1−8アルキル)、ニトロ、アミノ、モノ(C1−8アルキル)アミノ、ジ(C1−8アルキル)アミノ、−COOH、−CONH、−CF、−C(O)CF、−SOCF3、−S(C1−8アルキル)、−SO(C1−8アルキル)、及び−SONHからなる群から選択され、
ここで、C1−8アルキルは、直鎖状、分枝鎖状、又は環状であり、1つ又は2つの二重又は三重結合を含有してもよく、−OH、−SH、オキソ、チオキソ、アミノ、モノ(C1−3アルキル)アミノ、ジ(C1−3アルキル)アミノ、−S(C1−3アルキル)、及び−C1−3アルコキシからなる群から選択される1〜2個の置換体で置換され、
ここで、C1−3アルコキシは、直鎖状又は分枝鎖状であり、1つの二重結合を含有してもよく、C1−3アルキルは、直鎖状又は分枝鎖状である。]
【0077】
さらに他の実施形態において、本発明は、前述の化合物の薬学的に許容可能な塩を含む。
【0078】
本発明のさらに他の実施形態は、下記反応式で表される化学式I及びIIの化合物の製造方法である。
【0079】
本発明のさらに他の実施形態は、薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤、又はキャリアと共に任意に混合された、化学式I又はIIの化合物を含む医薬組成物である。
【0080】
本発明のさらに他の実施形態は、虚血性脳卒中、心筋梗塞、炎症性疾患、ウイルス性疾患、腫瘍性疾患、脳出血、内皮機能障害、糖尿病合併症、肝毒性、急性腎不全、緑内障、敗血症、胃粘膜損傷、同種移植片拒絶、神経変性疾患、てんかん、外傷後神経損傷、及び老化関連皮膚変性から選択される、病的ストレスを伴う各種疾患の症状を治療する方法を提供するが、ここで、基礎となるメカニズムは、本発明の化合物の有効治療量を、これを必要とする哺乳類に投与することにより、ヒトを含む哺乳類において熱ショックタンパク質(HSP)を誘導することである。
【0081】
本発明のさらに他の実施形態は、ヒトを含む哺乳類においてHSPを誘導することにより、虚血性脳卒中、心筋梗塞、炎症性疾患、ウイルス性疾患、腫瘍性疾患、脳出血、内皮機能障害、糖尿病合併症、肝毒性、急性腎不全、緑内障、敗血症、胃粘膜損傷、同種移植片拒絶、神経変性疾患、てんかん、外傷後神経損傷、及び老化関連皮膚変性から選択される、病的ストレスを伴う各種疾患の症状を治療するための薬剤の製造における、前述の化合物の使用である。
【発明を実施するための形態】
【0082】
定義
特定の例において特に限定されない限り、本明細書の全般にわたって使用される用語の定義は次の通りである。
【0083】
本明細書において、「化合物」という用語は、本明細書に開示された一般式により包括される全ての化合物を示す。本明細書に説明された化合物は、1つ以上の二重結合を含有してもよいため、幾何異性体、E及びZ異性体などの立体異性体として存在することもあり、鏡像異性体、ジアステレオ異性体などの不斉炭素原子(キラル中心)を有することもある。従って、本明細書に開示された化学構造は、立体異性体的に純粋な形態(例えば、幾何学的又は鏡像異性的に純粋な形態)と立体異性体の混合物(ラセミ体)をはじめとし、説明された化合物の可能な全ての立体異性体を包括する。本明細書に説明された化合物は、椅子形や舟形などの配座異性体として存在することもある。化合物は、エノール形、ケト形、及びそれらの混合物を含むいくつかの互変異性体の形態で存在することもある。従って、本明細書に開示された化学構造は、説明された化合物の可能な全ての互変異性体の形態を包括する。説明された化合物は、また、その1つ以上の原子が自然界で通常発見される原子量とは異なる原子量を有する、同位元素で表識された化合物も含む。本発明の化合物に組み込むことができる同位元素の例としては、H、H、13C、14C、15N、18O、17Oなどがあるが、これらに限定されるものではない。化合物は、水和形態をはじめとして溶媒和形態だけでなく、非溶媒和形態でも存在する。一般に、化合物は、水和又は溶媒和することができる。特定の化合物は、多重結晶形又は非晶形で存在することができる。一般に、全ての物理的形態は、本発明において、想定された用途において同等であり、本発明の範囲に含まれる。
【0084】
本発明を説明する文脈(特に、請求の範囲の文脈)において、冠詞「a」、「an」及び「the」、並びに同様の指示詞は、本明細書において異なる意味で表示される場合、又は、文脈上明確に矛盾する場合を除いて、単数形と複数形を全て包括する。
また、化合物の部分構造を示す場合、ダッシュ(「−」)は、その部分構造が分子の残りの部分に結合される位置を示す。
【0085】
本発明の化合物の命名法は、MDL ISIS(登録商標) Draw Version 2.5に従う。
【0086】
「薬学的に許容可能な塩」とは、親化合物の所望の薬理活性を有する化合物の塩をいう。このような塩としては、(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、炭酸、リン酸などの無機酸で形成された酸付加塩、もしくは酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、シュウ酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、スベリン酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、フタル酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクト−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプタン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルクロン酸、ガラクツロン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などの有機酸で形成された酸付加塩、又は(2)親化合物に存在する酸性プロトンが金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、もしくはアルミニウムイオンで置換されている場合に形成された塩、又は(3)エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルグルカミンなどの有機塩基と配位した塩がある。さらに、アルギネートなどのアミノ酸の塩も含まれる(参照:例えば、Berge, S. M., et al., 「Pharmaceutical Salts」 Journal of Pharmaceutical Science, 1977, 66, 1−19)。
【0087】
本明細書において、「多形体」という用語は、化学式、塩タイプ、及び水和物/溶媒和物の形態は同一であるが、結晶学的特性は異なる化合物を示す。
本明細書において、「水和物」という用語は、その分子にいくつかの水分子が結合された化合物を示す。
【0088】
本明細書において、「溶媒和物」という用語は、その分子にいくつかの溶媒分子が結合された化合物を示す。
【0089】
本発明は、プロドラッグ形態の化合物も含む。本明細書に説明された化合物のプロドラッグとは、生理学的条件(生体内)で容易に化学的変化を経て本発明の活性化合物を提供する化合物をいう。また、プロドラッグは、生体外環境、例えば適切な酵素又は化学物質を含有する経皮用パッチリザーバで化学的又は生化学的方法により本発明の化合物に変換される場合もある。プロドラッグは、一部の場合、活性薬物より容易に投与される。これらは、例えば経口投与用として生体に適合するが、活性薬物はそうでない。プロドラッグは、活性薬物より医薬組成物でより溶解度が高い。化合物のエステル、ペプチジル誘導体などが本発明のプロドラッグの例である。
【0090】
カルボキシ基を含有する、生体内で加水分解可能な(又は、開裂可能な)本発明化合物のエステルは、例えば、ヒト又は動物の体内で加水分解して親酸を生成する、薬学的に許容可能なエステルである。カルボキシに対する薬学的に許容可能な適切なエステルとしては、C−Cアルコキシメチルエステル例えばメトキシメチル、C−Cアルカノールオキシメチルエステル例えばピバロイルオキシメチル、フタリジルエステル、C−Cシクロアルコキシカルボニルオキシ−C−Cアルキルエステル例えば1−シクロヘキシルカルボニルオキシエチル、1,3−ジオキソレン−2−オニルメチルエステル例えば5−メチル−1,3−ジオキソレン−2−オニルメチル、C−Cアルコキシカルボニルオキシエチルエステル例えば1−メトキシカルボニルオキシメチルがあり、本発明の化合物中のカルボキシ基で形成される。
【0091】
本明細書に使用された「置換された」という用語は、指定された原子上の1つ又はそれ以上の水素が、前記指定された原子の正常な原子価は超えないようにし、かつ該当指示群から選択されたもので置換され、安定した化合物を形成することを意味する。例えば、置換体がケトの場合、原子上の2つの水素が置換される。全ての置換体(R、R…)及びそれらの追加の置換体が任意のヘテロ原子又は炭素原子の主構造体に結合され、安定した化合物の形成をもたらす。
【0092】
本明細書に使用された「オキソ」又は「チオキソ」という用語は、これらが飽和炭素原子に結合した場合にC=O又はC=Sを示し、これらが不飽和炭素原子に結合した場合に互変異性のエノール型を示す基を意味する。
【0093】
本明細書に使用された「アリール」という用語は、完全な又は部分的な芳香族炭酸環又は環系を意味する。
【0094】
「ヘテロアリール」という用語は、1つ又はそれ以上の炭素原子がヘテロ原子、例えば窒素(=N−又は−NH−)、酸素、及び硫黄原子で置換されている、完全な又は部分的な芳香族炭素環又は環系を意味する。
【0095】
「ヘテロシクリル」という用語は、1つ又はそれ以上の炭素原子がヘテロ原子、例えば窒素(=N−又は−NH−)、酸素、及び硫黄原子で置換されている非芳香族炭素環又は環系を意味する。
【0096】
本明細書に使用された「室温」という用語は、25℃〜35℃の温度をいう。
【0097】
本明細書に使用された「ハロ」又は「ハロゲン」置換体は、クロロ、ブロモ、ヨード、及びフルオロから選択された1価ハロゲンラジカルである。
【0098】
本明細書に使用された「哺乳類」は、サル、霊長類、イヌ、ネコ、ウマ、ウシなどの動物、又はヒトを意味する。
【0099】
一実施形態において、任意の疾病もしくは疾患を「治療する」又は「治療」という用語は、疾病もしくは疾患を緩和すること(すなわち、疾患の進展を停止もしくは減少させるか、又はその臨床徴候の1つ以上を停止もしくは減少させること)をいう。他の実施形態において、「治療する」又は「治療」という用語は、患者が気づかない少なくとも1つの身体的パラメータを緩和することをいう。さらに他の実施形態において、「治療する」又は「治療」という用語は、身体的に(例えば、認められる症状の安定化)、生理学的に(身体的パラメータの安定化)、又はこれら両方において疾病もしくは疾患を抑制することをいう。さらに他の実施形態において、「治療する」又は「治療」は、疾病もしくは疾患の開始を遅延させることをいう。本明細書に使用された、特定の化合物又は医薬組成物の投与による特定の疾患の徴候の緩和とは、永久的であれ一時的であれ、持続的であれ非持続的であれ、組成物の投与に関連するか、又はそれに寄与する緩和をいう。
【0100】
「有効治療量」という表現は、疾患治療のために患者に投与される化合物の量がその疾患を治療するのに十分に効果的な量であることを示す。「有効治療量」は、化合物、投与方式、疾患の重症度、治療を受ける患者の年齢、体重などによって変わる。
【0101】
「含有する」及び「含有している」という表現は「含む」及び「含んでいる」という意味であるが、これらに限定されるものではない。従って、他の成分、担体、及び添加剤も存在する。
【0102】
本発明の一実施形態においては、下記化学式Iの化合物を提供する。
【化3】

ここで、R、R、R、R、R、R、及びRは、前述の通りである。
【0103】
本発明の他の実施形態においては、下記化学式IIの化合物を提供する。
【0104】
【化4】

【0105】
ここで、R、R、R、R、R、及びRは、前述の通りである。
【0106】
本発明はまた、その薬学的に許容可能な塩、並びにそれらの水和物、溶媒和物、立体異性体、配座異性体、互変異性体、多形体、及びプロドラッグを提供する。
【0107】
本発明の好ましい実施形態は、前述の化学式I又はIIの化合物であるが、ここで、Rは、任意に置換されたフェニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、ピラゾリル、ピロリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チエニルから選択され、Rは、水素、メチル、エチル、イソプロピル、−SOCH、及びSONHから選択される。
【0108】
本発明の一実施形態は、下記化合物又はその薬学的に許容可能な塩からなる前記化学式I又はIIの特定の例に含まれる具体的な化合物のファミリーである。
【表1】

























【0109】
本発明の他の実施形態においては、薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤、又はキャリアと共に、本発明の化合物を含有する薬学的に許容可能な組成物を提供する。
【0110】
医薬組成物
本発明のさらに他の実施形態において、1種以上の化学式I又はIIの化合物の有効治療量を含有する医薬組成物が提供される。化学式I又はIIの化合物の有効治療量をいかなる剤形にもすることなく、個別に又は組み合わせて投与することができるが、実務上、本発明の化合物を薬学的に許容可能な賦形剤及び少なくとも1種の活性成分を含む薬の剤形の形態で投与することが一般的である。これらの剤形は、経口、局所、経皮、皮下、筋肉内、静脈内、経鼻、経肺などの多様な経路で投与することができる。
【0111】
経口用組成物は、固体又は液体剤形の形態でもよい。固体剤形としては、ペレット、パウチ、サシェ、又は、錠剤、多粒子単位、カプセル(軟質及び硬質ゼラチン)などの個別単位がある。液体剤形は、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、液剤、シロップ剤などの形態でもよい。経口用の組成物は、組成物製造のための技術分野において公知の方法で製造でき、このような医薬組成物は、活性成分に加えて、希釈剤、崩壊剤、結合剤、可溶化剤、潤滑剤、流動促進剤、界面活性剤、懸濁剤、乳化剤、キレート剤、安定剤、香料、甘味料、色素などの賦形剤を含有してもよい。適切な賦形剤のいくつかの例としては、ラクトース、セルロース、及びそれらの誘導体、例えば微結晶セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、第二リン酸カルシウム、マンニトール、澱粉、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、多様なガム類、例えばアカシア、トラガカント、キサンタン、アルギン酸塩及びそれらの誘導体、ソルビトール、デキストロース、キシリトール、ステアリン酸マグネシウム、タルク、コロイド状二酸化ケイ素、鉱油、モノステアリン酸グリセリン、ベヘン酸グリセリン、グリコール酸スターチナトリウム、クロスポビドン、架橋カルボキシメチルセルロース、様々な乳化剤、例えばポリエチレングリコール、ソルビトール脂肪酸、エステル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、糖エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピルブロック共重合体、ポリエトキシレート脂肪酸モノエステル、ジエステル及びそれらの混合物がある。
【0112】
注射用滅菌組成物は、注射用水、N−メチル−2−ピロリドン、プロピレングリコール及びその他のグリコール、アルコール、天然植物性油、例えばごま油、ココナッツ油、ピーナッツ油、綿実油又は合成脂肪賦形剤、例えばオレイン酸エチルなどの賦形剤中に活性成分を溶解又は懸濁させることにより通常の製薬実務に従って調剤することができる。緩衝液、抗酸化剤、保存剤、錯化剤、例えばセルロース誘導体、ペプチド、ポリペプチド及びシクロデキストリンなども必要に応じて混入させることができる。剤形は、活性成分の即効性剤形でもよく、活性成分の持続放出性、活性成分の遅延放出性、又は活性成分の制御放出性を有するように実現されてもよい。
【0113】
治療効果を得るために要求される活性成分の量は、もちろん、特定化合物、投与経路、治療対象者、及び治療される特定疾病又は疾患によって変わる。本発明の化合物は、1日0.001〜1500mg/kg、好ましくは1日0.01〜1500mg/kg、より好ましくは1日0.1〜1500mg/kg、最も好ましくは1日0.1〜500mg/kgの投与量で経口又は非経口で投与することができる。ヒト成人の場合、投与量の範囲は、一般に1日5mg〜35gであり、好ましくは1日5mg〜2gである。錠剤又は個別単位で提供されるその他の剤形は、その剤形又は同一剤形を何度も投与すると、有効な量を簡便に含有することができ、例えば前記単位は5mg〜500mgを含有する。
【0114】
本発明のさらに他の実施形態において、本発明の化合物の製造方法を提供する。
【0115】
次の反応式は、本発明による化合物の代替合成経路を提供する。
【0116】
本発明の化学式I及びIIの化合物は、以下の反応式に示すように製造することができ、より詳しくは後述する。
【0117】
【化5】

【0118】
化学式I及びIIの化合物は、中間体III又はIVにより得ることができ、ここで、R、R、R、R、R、R、及びRは前述した通りである。
【0119】
【化6】

(a)RCHO、NaOH/KOH、(b)RCHO、ピペリジン(10%)、酢酸(50%)、(c)i)臭素、HBr−酢酸、ii)トリフェニルホスフィン、(d)RCHO
【0120】
本発明の具体的な実施形態において、反応式1に示すように、化学式I又はIIの化合物は、化学式RCHOのアルデヒド[ここで、Rは、前述したように、非置換又は置換のベンズアルデヒド、ピリジンカルボキシアルデヒド、ピロールカルボキシアルデヒド、キノリンカルボキシアルデヒド、キノキサリンカルボキシアルデヒド又はキナゾリンカルボキシアルデヒドである]を0〜110℃の範囲の温度で2〜12時間、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノールなどの溶媒中のNaOHもしくはKOH、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシドなどの塩基、又は、トルエン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミドなどの溶媒中の水素化ナトリウム、又は、トルエン中のピリジン及びピペリジン存在下で、化学式III又はIVの置換ピペリドンと反応させることにより形成される。各化学式I及びIIの化合物を得るために、(Furniss, et al, Vogel’s Textbook of Practical Organic Chemistry, Fifth Edition, New York; John Wiley & Sons, Inc, (1989), Page:1033 and Canadian Journal of Chemistry, 1968, 46, 1952−1956)を参照されたい。他の置換体は全て前述した通りである。
【0121】
代替方法において、化学式I又はIIの化合物は、化学式RCHOのアルデヒド及び各化学式III又はIVの置換されたピペリドンからなる溶液を4Å分子篩上でソックスレーを用いて10%ピペリジン及び50%酢酸を含有するエタノール中において24〜30時間還流させることにより製造される。
【0122】
あるいは、化学式III及びIVの化合物を四塩化炭素又はメタノールなどのHBr−酢酸を含有する適切な溶媒中に溶解させ、等モルの臭素を使用して0〜80℃の温度で2時間処理する。生成された粗生成物をトルエンなどの適切な溶媒中においてトリフェニルホスフィンを用いて60〜110℃で30分〜2時間処理する。このようにして生成されたトリフェニルホスフィン塩(III−a)及び(IV−a)を4〜6時間100〜115℃の範囲の温度でピリジンなどの適切な溶媒中においてRCHOで処理することにより、化学式I及びIIの化合物をそれぞれ得る。
【0123】
他の具体的な実施形態において、以下の反応式2に示すように、化学式Iの化合物は、以下の方法で生成される。
【0124】
i)非置換又は置換のベンジルアミン、チオフェンエチルアミン、チオフェンメチルアミン、フリルメチルアミン、モルホリンエチルアミン、ピペリジンエチルアミン、ピペラジンエチルアミン、シクロプロピルアミン、シクロペンチルアミン、2−アミノ−5−メチル−イソオキサゾールなどの化学式RNHのアミンを0〜110℃の範囲の温度で2〜16時間、メタノール、エタノール、プロパノール、又はブタノールなどのアルコール溶媒中においてパラホルムアルデヒド、ベンズアルデヒドなどの1つ又は2つの等モルRCHOで処理する。
【0125】
【化7】

(a)i)RCHO、ii)置換又は非置換のアセトン、HCl、(b)RCHO、NaOH/KOH、(c)RCHO、NaOH/KOH
【0126】
このように生成された反応混合物を酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ヘプタン酸などの有機酸、又は塩酸、硫酸、過塩素酸などの無機酸を10%〜50%含有するアルコール溶媒中の2−メチル−3−ブタノン、3−フェニル−ブタン−2−オン、フェニルアセトンなどの置換又は非置換のアセトンの還流溶液に滴下し(1〜2時間)、8時間〜10時間さらに還流させ、化学式V又はV−aの化合物を得る。
【0127】
ii)また、化学式IIIの化合物は、化学式Vの化合物を水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシドなどの塩基を含有するエタノール、メタノール、プロパノール、ブタノールなどの適切な溶媒、トルエン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド中の水素化ナトリウム、又はトルエン中のピリジン及びピペリジンに溶解させ、非置換又は置換のベンズアルデヒド、ピリジンカルボキシアルデヒド、チオフェンカルボキシアルデヒド、フリルカルボキシアルデヒド、ピロールカルボキシアルデヒドなどの化学式RCHOの化合物に0〜110℃の温度で2〜16時間処理することにより製造する。
【0128】
iii)化学式Iの化合物は、反応式1に示す方法と同様の方法で化学式III又はV−aの化合物から製造する。
【0129】
【化8】

(a)Zn、TMSI、(b)NaCNBH、(c)置換又は非置換のエチルアクリレート、酢酸又はエチル−3−ブロモプロピオネート、KCO、(d)NaOEt、(e)DMSO:HO、(1:1)、(f)RCHO、NaOH/KOH、(g)R−カルボン酸、EDCI、HOBT、DIEA又はBOP、DIEA/R−塩化カルボニル、トリエチルアミン、(h)RNCO又はRNCS/RNH、トリホスゲン又はチオホスゲン、(i)R−クロロギ酸エステル、トリエチルアミン/ROH、トリホスゲン、DIEA、(j)エチルオキサリルクロリド、トリエチルアミン、(k)R−ハロゲン又はRSOCl、トリエチルアミン
【0130】
他の具体的な実施形態において、反応式3に示すように、化学式Iの化合物は、以下の方法で製造される。
【0131】
i)ヨードトリメチルシラン溶液をジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラヒドロフラン、トルエンなどの溶媒中の亜鉛懸濁液に添加し、これを0〜110℃の範囲の温度で1〜2時間攪拌し、さらにブロモイソ酪酸エチルを添加した後、15分〜1時間攪拌し、その後、非置換又は置換のフェニルアセトニトリル、ベンゾニトリル、又はモルホリン−4−イルアセトニトリルなどの化学式RCNの化合物を添加し、これを60〜110℃の温度で2〜8時間続けて攪拌する。反応混合物を冷却し、セライトで濾過した後、真空蒸発させる。得られた粗生成物をアルコールなどの適切な溶媒中の水素化ホウ素ナトリウム又はシアノ水素化ホウ素ナトリウムを用いて0〜110℃の温度で1〜6時間還元させ、化学式VIの化合物を得る。
【0132】
ii)化学式VIの化合物を0〜160℃の範囲の温度で1〜6時間トルエン、N−メチルピロリドン、アルコールなどの溶媒中の酢酸、塩酸などの酸を含有する置換又は非置換のエチルアクリレートと反応させることにより化学式VIIの化合物を製造する。あるいは、化学式VIの化合物を0〜110℃の範囲の温度で1〜12時間トルエン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタンなどの溶媒中の炭酸カリウム、炭酸ナトリウム又は水素化ナトリウムなどの塩基の存在下で置換又は非置換のエチル3−ブロモプロピオネートと反応させることにより、化学式VIIの化合物を得る。
【0133】
iii)化学式VIIの化合物を−78℃〜110℃の温度で3〜12時間ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド、水素化ナトリウム、リチウムヘキサメチルジシラザン、リチウムジイソプロピルアミド、n−ブチルリチウムなどの塩基にエタノール、メタノール、ブタノール、トルエン、テトラヒドロフランなどの適切な溶媒中において処理して化学式VIIIの化合物を得る。
【0134】
iv)また、化学式VIIIの化合物を60℃〜150℃の温度で6〜12時間ジメチルスルホキシド(DMSO):水(1:1)の混合物と還流させることにより、化学式IXの化合物を得る。
【0135】
v)化学式IXの化合物から反応式1に記載された方法と同様の方法で化学式Xの化合物を製造する。
【0136】
vi)(a)化学式Iの化合物は、0〜25℃の範囲の温度でテトラヒドロフラン又はジメチルホルムアミドなどの溶媒中においてRカルボン酸を1−ヒドロキシベンゾトリアゾール及び1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)又はベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)と反応させ、N−エチルジイソプロピルアミン、化学式Xの化合物を添加した後、6〜20時間室温で攪拌することにより製造する。
【0137】
参照:(i)(Sheehan, J. C.; Ledis, S.L.; Journal of American Chemical Society, (1973), 95, 875). (ii)(Keller−Schirlein, W; Muller, A; Hagmann, L; Schneisler, U; Zahner, H;Helv. Chim. Acta, (1985), 68, 559.; Le Nguyen, D; Castro, B; Peptide Chemistry (1987); Protein Research Foundation, Osaka, (1988), 231.; Kiso, Y; Kimura, T; Chemical Abstract, (1991), 114, 164722K)。
【0138】
代替方法において、Rカルボン酸を0〜110℃の範囲の温度で3〜4時間ジクロロメタン又はトルエンなどの溶媒中の塩化オキサリル又は塩化チオニルで処理して中間体化合物であるR塩化カルボニルを得、これに0〜25℃の範囲の温度で1〜4時間テトラヒドロフラン、トルエン、ジメチルホルムアミドなどの溶媒中の塩基、トリエチルアミン又は炭酸カリウムの存在下で化学式Xの化合物にさらに処理することにより化学式Iの化合物を得る。あるいは、Rカルボン酸のエステルが100〜140℃の範囲の温度で1〜12時間トルエン又はキシレンなどの溶媒中において化学式Xの化合物で処理された場合、化学式Iの化合物が提供される。
【0139】
(b)化学式Iの化合物は、トルエン、キシレン又はクロロホルムなどの溶媒中に6〜12時間化学式Xの化合物とRイソシアネート又はRイソチオシアネートを還流させることにより製造する。
【0140】
イソシアネートは、Rカルボン酸を0〜60℃の範囲の温度で30分〜3時間ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエンなどの溶媒中においてクロロギ酸エチル、トリエチルアミン、又はN−エチルジイソプロピルアミンで処理することにより混合したRの無水物を生成し、これに25〜110℃の範囲の温度で1〜12時間アジ化ナトリウム溶液(水溶液)で処理してRアジドを得ることにより製造される。さらに、Rアジドを1〜4時間トルエン又はキシレン中において還流させて、Rイソシアネートを得る。参照:(Carl Kaiser and Joseph Weinstock, Org. Syn. Coll. (1988), Vol. 6, 95, 910)。
【0141】
c)あるいは、R NHを0℃〜30℃の範囲の温度で30分〜2時間ジクロロメタン、クロロホルム又はジクロロエタンなどの溶媒中のトリエチルアミン、N−エチルジイソプロピルアミン、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム又は炭酸ナトリウムなどの塩基の存在下で、トリホスゲン又はチオホスゲンと反応させ、化学式Xの化合物を添加した後、0〜60℃の範囲の温度で1〜6時間攪拌することにより化学式Iの化合物を製造する。参照:(Iwakura,Y., Uno, K., Kang, S., J.Org. Chem., (1966), 31, 142; Kurita, K., Iwakura, Y., Org. Syn. Coll. Vol. 6, (1988), 715)。
【0142】
d)化学式Xの化合物を0〜60℃の範囲の温度で10分〜8時間テトラヒドロフラン、アセトニトリル、トルエンなどの溶媒中のトリエチルアミン、N−エチルジイソプロピルアミン、炭酸カリウム又は炭酸ナトリウムなどの塩基の存在下で、クロロギ酸エチル又はクロロギ酸フェニルで処理することにより化学式Iの化合物を製造する。
【0143】
あるいは、Rアルコールを0〜20℃の範囲の温度で1時間ジクロロメタン、クロロホルム又はジクロロエタンなどの溶媒中のN−エチル−ジイソプロピルアミン、トリエチルアミン、炭酸カリウム又は炭酸ナトリウムなどの塩基の存在下でホスゲン又はトリホスゲンで処理し、化学式Xの化合物を添加した後、0〜60℃の範囲の温度で1〜6時間攪拌し、化学式Iの化合物を得る。参照:(Cotarca, L., Detogan, P., Norddli, A., Sunji, V., Synthesis, (1996) 553)。
【0144】
e)化学式Xの化合物溶液を0〜110℃の範囲の温度で3〜6時間テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、トルエンなどの溶媒中のトリエチルアミン又は炭酸カリウムなどの塩基の存在下でエチルオキサリルクロリドで処理し、100℃〜160℃の範囲の温度で2〜16時間キシレン、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどの溶媒中においてRアミンで処理することにより化学式Iの化合物を製造する。
【0145】
(f)化学式Xの化合物を0〜110℃の範囲の温度で1〜6時間テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、アセトニトリル、トルエンなどの溶媒中のトリエチルアミン又は炭酸カリウムなどの塩基の存在下でR−ハロゲン又はR塩化スルホニルで処理することにより化学式Iの化合物を製造する。
【0146】
【化9】

(a)パラホルムアルデヒド、KCO、(b)KCO、(c)エチルマロニルクロリド、トリエチルアミン/エチルヒドロゲンマロナート、EDCI、HOBT、DIEA、(d)置換又は非置換のエチルアクリレート、酢酸又はエチル−3−ブロモプロピオネート、KCO、(e)i)NaOEt、ii)DMSO:HO(1:1)、(f)RCHO、NaOH/KOH
【0147】
さらに他の実施形態において、反応式4に示すように、化学式Iの化合物は、以下の手順に従って製造される。
【0148】
i)Rカルボン酸のエステルを0〜110℃の範囲の温度で2〜12時間N−メチルピロリジノン、トルエン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの溶媒中の炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水素化ナトリウム、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド又はナトリウムメトキシドなどの塩基の存在下でパラホルムアルデヒドで処理して、化学式XIの化合物を得る。
【0149】
ii)化学式XIの化合物を0〜110℃の温度で2〜12時間炭酸カリウム、炭酸ナトリウム又は水酸化ナトリウムなどの塩基の存在下で、トルエン、キシレン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミドなどの溶媒中においてRアミンで処理することにより化学式XIIの化合物を得る。
【0150】
iii)化学式XIIの化合物を0℃〜110℃の範囲の温度で1〜8時間炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水素化ナトリウム、トリエチルアミン又はN−エチルジイソプロピルアミンなどの塩基を含有するテトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、トルエン、ジクロロメタンなどの溶媒中のエチルマロニルクロリドと反応させることにより化学式XIIIの化合物を得る。あるいは、エチルヒドロゲンマロナートを0〜25℃の温度で約1時間テトラヒドロフラン又はジメチルホルムアミドなどの溶媒中の1−ヒドロキシベンゾトリアゾール及び1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)で処理し、N−エチルジイソプロピルアミン、化学式XIIの化合物を添加した後、6〜20時間室温で攪拌して化学式XIIIの化合物を得る。
【0151】
iv)化学式XIIの化合物を0〜110℃の範囲の温度で1〜12時間エタノール、メタノール、ブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド又はトルエンなどの溶媒中において炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、トリエチルアミン又はN−エチルジイソプロピルアミンなどの塩基を含有する酢酸、塩酸又はエチル−3−ブロモプロピオネートなどの酸を含有する置換又は非置換のエチルアクリレートと反応させて化学式XIVの化合物を得る。
【0152】
v)また、化学式XIII又はXIVの化合物を−78℃〜110℃の範囲の温度で3〜12時間、エタノール、メタノール、ブタノール、トルエン又はテトラヒドロフランなどの適切な溶媒中においてナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド、水素化ナトリウム、リチウムヘキサメチルジシラザン、リチウムジイソプロピルアミド又はn−ブチルリチウムなどの適切な塩基で処理することにより環状中間体を得、これを60℃〜150℃の温度で、6〜12時間ジメチルスルホキシド:水(1:1)の混合物で処理してそれぞれ化学式XV又はXVIの化合物を得る。
【0153】
vi)化学式XV又はXVIの化合物を反応式1で説明した手順に従って化学式Iの化合物に変換する。
【0154】
【化10】

(a)ジエチルカーボネート、NaH、(b)キシレン、還流、(c)置換又は非置換のエチルアクリレート、酢酸又はエチル−3−ブロモプロピオネート、KCO、(d)i)NaOEt、ii)DMSO:HO、(1:1)、(e)RCHO、NaOH/KOH
【0155】
本発明のさらに他の実施形態において、反応式5に示すように、化学式Iの化合物が得られる。
【0156】
i)Rカルボン酸のエステルを60℃〜150℃の範囲の温度で6〜12時間、トルエン、キシレン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミドなどの溶媒中の水素化ナトリウム、炭酸カリウム又は炭酸ナトリウムの存在下でジエチルカーボネートで処理することにより化学式XVIIの化合物を得る。
【0157】
ii)また、化学式XVIIの化合物を100℃〜140℃の範囲の温度で1〜12時間トルエン又はキシレンなどの溶媒中のRアミンで処理して化学式XVIIIの化合物を得る。
【0158】
iii)化学式XVIIIの化合物を0℃〜110℃の範囲の温度で、1〜8時間エタノール、メタノール、ブタノール、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、トルエン又はジメチルホルムアミドなどの適切な溶媒中の炭酸カリウム又は炭酸ナトリウム、トリエチルアミン、N−エチルジイソプロピルアミン又は水素化ナトリウムなどの適切な塩基中において、酢酸、塩酸又はエチル−3−ブロモプロピオネートなどの酸を含有する置換又は非置換のエチルアクリレートと反応させることにより化学式XIXの化合物を得る。
【0159】
iv)また、化学式XIXの化合物を−78℃〜110℃の範囲の温度で3〜12時間エタノール、メタノール、ブタノール、トルエン又はテトラヒドロフランなどの適切な溶媒中においてナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド、水素化ナトリウム、リチウムヘキサメチルジシラザン、リチウムジイソプロピルアミド又はn−ブチルリチウムなどの適切な塩基で処理して環状中間体を得、これにジメチルスルホキシド:水(1:1)の混合物で60℃〜150℃の温度で6〜12時間処理して化学式XXの化合物を得る。
【0160】
v)化学式XXの化合物から反応式1に記載された手順に従って化学式Iの化合物を得る。
【0161】
本発明の化学式IIの化合物は、以下の反応式に示すように製造され、より詳しくは後述する。
【0162】
【化11】

ここで、R、R、R、R、及びRは前述した通りである。
【0163】
【化12】

(a)置換又は非置換のエチル3−ブロモブチラート、CsCO、(b)LHMDS、(c)HCl、(d)RCHO、NaOH/KOH、(e)R−カルボン酸、EDCI、HOBT、DIEA又はBOP、DIEA/R−塩化カルボニル、トリエチルアミン、(f)RNCO又はRNCS/RNH、トリホスゲン又はチオホスゲン、(g)R−クロロギ酸エステル、トリエチルアミン/ROH、トリホスゲン、DIEA、(h)R−ハロゲン又はRSOCl、トリエチルアミン
【0164】
さらに他の具体的な実施形態において、反応式6に示すように、化学式IIの化合物は、以下の方法で製造される。
【0165】
−アミノ酢酸エチルエステルを0〜110℃の範囲の温度で30分〜12時間テトラヒドロフラン、アセトニトリル、トルエン、ジメチルホルムアミドなどの溶媒中のトリエチルアミン、N−エチルジイソプロピルアミン、炭酸セシウム(CsCO)、炭酸カリウム又は炭酸ナトリウムなどの塩基の存在下で置換又は非置換のエチル3−ブロモブチラート又はエチル3−クロロブチラートで処理して化学式XXIの化合物を得、これを反応式3(VI)に記載されている方法と同様の方法でR誘導体を使用してさらに処理して中間体XXIIを得る。
【0166】
化合物XXI及び中間体XXIIを−78℃〜110℃の範囲の温度で3〜12時間、エタノール、メタノール、ブタノール、トルエン又はテトラヒドロフランなどの適切な溶媒中のナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド、水素化ナトリウム、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(LHMDS)、リチウムジイソプロピルアミド又はn−ブチルリチウムなどの適切な塩基で処理してそれぞれ環状中間体XXIII及びXXIVを得、これを60℃〜100℃の温度で6〜12時間塩酸溶液で処理して化学式XXV及びIVをそれぞれ得る。
【0167】
化学式XXV及びIVの化合物は、反応式1で説明した方法で化学式XXVI及びIIの化合物を生成する。また、化学式XXVIの化合物は、反応式3(IV)で説明した方法で処理することにより、化学式IIの化合物を生成する。
【0168】
当業者は、多様な置換体を含む適切に変形した出発物質に置換できることを認識している。当業者は、購入できるか、先行技術の方法で容易に製造できる出発物質から通常の有機合成法及びマイクロ波技術を用いて、本発明による前記開示された化合物を容易に合成することができる。
【0169】
本発明の化合物は、キラル中心を有し、ラセミ体、単一のジアステレオ異性体又は光学異性体、及び配座異性体として存在し、本発明には全ての形態の異性体が含まれる。従って、ある化合物がキラルである場合、他のものが実質的に存在しない分離された光学異性体も本発明の範囲に含まれ、2つの光学異性体の全ての混合物も本発明の範囲に含まれる。
【0170】
本発明の新規化合物は、本発明において考慮される唯一の属(genus)を形成すると解釈されてはならず、化合物及びその一部の混合物も属を形成することができる。
【0171】
本発明の新規化合物は、前述したような反応式に従って適切な材料を使用して製造することができるが、以下の具体的な実施例により詳細に説明する。この実施例は、本明細書に添付された請求の範囲に記載された本発明の範囲を限定すると解釈されるものではない。
【実施例】
【0172】
実施例1
1−ベンジル−3,3−ジメチル−5−[1−(6−モルホリン−4−イル−ピリジン−2−イル)−メチリデン]−ピペリジン−4−オン
ステップA:6−モルホリン−4−イル−ピリジン−2−カルボキシアルデヒドの製造
アセトニトリル(20ml)中の6−ブロモ−ピリジン−2−カルボキシアルデヒド(1.9g、10mmol)、モルホリン(1.75g、20mmol)、及び炭酸カリウム(3g、22mmol)懸濁液を20時間還流させた。次に、反応混合物を室温に冷却し、水(20ml)で希釈し、塩酸水溶液でpHを7に調整した。この混合物を水(50ml)に注ぎ、酢酸エチル(20ml×3)で抽出した。混合有機層を水(10ml×2)、塩水(10ml×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空蒸発させた。溶離液としてヘキサン中の40%酢酸エチルを使用して、シリカゲルカラムクロマトグラフィにより残渣を精製して、黄色固体の表題化合物(1.5g)を得た。
【0173】
HNMR(DMSOd):δ3.55−3.58(4H,t)、3.91−3.94(4H,t)、7.15−7.18(1H,d)、7.56−7.61(1H,d)、7.65−7.6(1H,t)、9.98(1H,s)
m/e:193(M+1
【0174】
ステップB:1−ベンジル−3,3−ジメチル−ピペリジン−4−オンの製造
エタノール(30ml)中のベンジルアミン(12g、112mmol)及びパラホルムアルデヒド(2g、66.6mmol)溶液を室温で30分間攪拌し、この混合物を10%HClを含有するエタノール中の3−メチル−2−ブタノン(2.8g、32.5mmol)還流溶液に滴下した。反応混合物を8時間還流させた。反応が完了した後、この混合物を室温に冷却して水(100ml)に注ぎ、重炭酸ナトリウム水溶液を使用してpHを7に調整し、酢酸エチル(50ml×3)で抽出した。混合有機層を水(50ml×2)、塩水(50ml×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空蒸発させた。溶離液としてヘキサン中の2%酢酸エチルを使用して、シリカゲルカラムクロマトグラフィにより残渣を精製して、褐色液体の表題化合物(2g)を得た。
【0175】
HNMR(DMSOd):δ1.16(6H,s)、2.70−2.71(2H,t)、2.72−2.77(2H,t)、3.40−3.42(2H,s)、3.50−3.52(1H,d)、3.56−3.66(1H,d)、7.20−7.22(2H,m)、7.26−7.28(3H,m)
m/z:218(M+1
【0176】
ステップC:1−ベンジル−3,3−ジメチル−5−[1−(6−モルホリン−4−イル−ピリジン−2−イル)−メチリデン]−ピペリジン−4−オンの製造
メタノール(20ml)中の実施例1のステップBの生成物0.3g(1.38mmol)の溶液を0℃に冷却した。水酸化ナトリウム水溶液(0.16g、4mmol)及び実施例1のステップAの生成物0.22g(1.14mmol)を反応混合物に添加し、室温で8時間攪拌した。反応が完了した後、混合物を0℃に冷却し、水(20ml)で希釈した。得られた固体生成物を水(10ml×2)で洗浄し、真空乾燥させて、黄色固体の1−ベンジル−3,3−ジメチル−5−[1−(6−モルホリン−4−イル−ピリジン−2−イル)−メチリデン]−ピペリジン−4−オン(0.2g)を得た。
【0177】
HNMR(DMSOd):δ1.12(6H,s)、2.60(2H,s)、3.27−3.29(4H,s)、3.64−3.66(6H,m)、4.02(2H,s)、6.80−6.82(1H,d)、6.95−6.97(1H,d)、7.13(1H,s)、7.25−7.27(1H,m)、7.31−7.37(4H,m)、7.56−7.60(1H,m)
m/z:392(M+1
【0178】
実施例2
2−(2−フルオロ−フェニル)−5,5−ジメチル−3−[1−ピリジン−3−イル−メチリデン]−1−チオフェン−2−イルメチル−ピペリジン−4−オン
ステップA:3,3−ジメチル−4−[(チオフェン−2−イルメチル)−アミノ]−ブタン−2−オンの製造
エタノール(20ml)中のチオフェン−2−メチルアミン(2g、17.7mmol)及びパラホルムアルデヒド(0.531g、17.7mmol)の溶液を60℃で30分間攪拌し、この混合物を10%HClを含有するエタノール中の3−メチル−2−ブタノン(1.67g、19.4mmol)の還流溶液に滴下した。反応混合物を8時間還流させた。反応が完了した後、混合物を室温に冷却し、水(100ml)に注ぎ、重炭酸ナトリウム水溶液を使用してpHを7に調整し、水(100ml)に注ぎ、酢酸エチル(50ml×3)で抽出した。混合有機層を水(10ml×2)、塩水(10ml×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空蒸発させた。溶離液としてヘキサン中の2%酢酸エチルを使用して、シリカゲルカラムクロマトグラフィにより残渣を精製して、褐色液体の表題化合物(0.8g)を得た。
HNMR(DMSOd):δ1.02(6H,s)、2.05(2H,s)、2.12(1H,bs)、2.59(3H,s)、3.85(2H,s)、6.94−6.95(2H,d)、7.36−7.37(1H,m)
m/z:212(M+1
【0179】
ステップB:2−(2−フルオロ−フェニル)−5,5−ジメチル−1−チオフェン−2−イルメチル−ピペリジン−4−オンの製造
メタノール(10ml)中の実施例2のステップAの生成物0.5g(2.4mmol)の溶液を0℃に冷却した。水酸化ナトリウム水溶液(0.114g、2.8mmol)及び2−フルオロベンズアルデヒド(0.294g、2.4mmol)を反応混合物に添加し、室温で10時間攪拌した。反応が完了した後、この混合物を0℃に冷却し、水(20ml)で希釈し、塩酸水溶液を使用してpHを7に調整し、水(10ml)に注ぎ、酢酸エチル(20ml×3)で抽出した。混合有機層を水(10ml×2)、塩水(5ml×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空蒸発させた。溶離液としてヘキサン中の2%酢酸エチルを使用して、シリカゲルカラムクロマトグラフィにより残渣を精製して、褐色液体の表題化合物(0.45g)を得た。
【0180】
HNMR(DMSOd):δ0.92(3H,s)、1.30(3H,s)、2.29−2.34(2H,dd)、2.75−2.82(2H,m)、3.37−3.43(1H,m)、3.64−3.67(2H,d)、6.89−6.90(1H,d)、6.93−6.95(1H,m)、7.24−7.28(2H,d)、7.41−7.46(3H,d)
m/z:318(M+1
【0181】
ステップC:2−(2−フルオロ−フェニル)−5,5−ジメチル−3−[1−ピリジン−2−イル−メチリデン]−1−チオフェン−2−イルメチル−ピペリジン−4−オンの製造
メタノール(10ml)中の実施例2のステップBの生成物0.1g(0.3mmol)の溶液を0℃に冷却した。水酸化ナトリウム(0.02g、0.5mmol)及びピリジン−3−カルボキシアルデヒド(0.034g、0.3mmol)の水溶液を反応混合物に添加し、室温で8時間攪拌した。反応が完了した後、混合物を0℃に冷却し、水(20ml)で希釈し、塩酸水溶液を使用してpHを7に調整し、水(10ml)に注ぎ、酢酸エチル(5ml×3)で抽出した。混合有機層を水(5ml×2)、塩水(50ml×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空蒸発させた。溶離液としてヘキサン中の2%酢酸エチルを使用して、シリカゲルカラムクロマトグラフィにより残渣を精製して、白色固体の表題化合物(0.02g)を得た。
【0182】
HNMR(DMSOd):δ1.14(6H,s)、3.22(2H,s)、3.39−3.46(1H,m)、4.01−4.04(1H,d)、5.45(1H,d)、6.90−6.93(2H,m)、7.21−7.26(2H,m)、7.30(1H,s)、7.33−7.35(1H,m)、7.36−7.41(1H,m)、7.42−7.44(2H,m)、7.60−7.62(1H,m)、8.41(1H,s)、8.47−8.49(1H,dd)
m/z:407(M+1
【0183】
実施例3
2−(4−メトキシ−ベンジル)−3,3−ジメチル−4−オキソ−5−[1−ピリジン−2−イル−メチリデン]−ピペリジン−1−カルボン酸(2,6−ジメチル−フェニル)−アミド
ステップA:3−(2−エトキシカルボニル−エチルアミノ)−4−(4−メトキシ−フェニル)−2,2−ジメチル−酪酸エチルエステルの製造
テトラヒドロフラン(30ml)中のブロモイソ酪酸エチル(12.9g、114.8mmol)の溶液を、窒素雰囲気下でヨードトリメチルシラン(10.4g、67.5mmol)を含有するジクロロメタン(30ml)中の亜鉛懸濁液に添加し、1時間攪拌した。次に、4−メトキシフェニルアセトニトリルを滴下し、12時間還流させた。この反応混合物を冷却し、セライトで濾過し、真空蒸発させた。粗生成物をエタノール中に溶解させ、0℃に冷却した後、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(2.47g、38mmol)を分けて添加し、室温で8時間攪拌した。反応が完了した後、この混合物を0℃に冷却し、アンモニア溶液(15ml)を使用してpHを7に調整し、セライトで濾過し、真空蒸発させた。トルエン中の残渣を10%塩酸(50ml×2)で洗浄し、アンモニアを使用して水相を中和し、水(100ml)に注ぎ、酢酸エチル(50ml×3)で抽出した。混合有機層を水(50ml×2)、塩水(50ml×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空蒸発させて、褐色液体の3−アミノ−4−(4−メトキシ−フェニル)−2,2−ジメチル−酪酸エチルエステル(3g)を得た。次に、この化合物(3g、11.3mmol)及びエチルアクリレート(1.5g、11.3mmol)を4時間還流させた。溶離液としてヘキサン中の25%酢酸エチルを使用して、シリカゲルカラムクロマトグラフィにより粗生成物を精製して、褐色液体の表題化合物(3.48g)を得た。
【0184】
HNMR(DMSOd):δ1.1(3H,s)、1.23(3H,s)、1.25−1.27(3H,t)、1.29−1.37(3H,t)、2.09−2.16(2H,m)、2.18−2.20(1H,dd)、2.27−2.33(2H,m)、2.56−2.78(1H,d)、2.93−2.96(1H,d)、3.67(1H,bs)、3.81(3H,s)、4.05−4.11(2H,q)、4.12−4.16(2H,q)、6.83−6.85(2H,d)、7.15−7.17(2H,d)
m/z:366(M+1
【0185】
ステップB:2−(4−メトキシ−ベンジル)−3,3−ジメチル−ピペリジン−4−オンの製造
トルエン(50ml)中の実施例3のステップAの生成物3.4g(9.4mmol)の溶液を、エタノール(5ml)中のナトリウム(0.43g、18.6mmol)の溶液に滴下し、4時間還流させた。反応が完了した後、混合物を室温に冷却し、水(50ml)に注いだ。塩酸水溶液を使用してpHを7に調整し、酢酸エチル(50ml×3)で抽出した。混合有機層を水(50ml×2)、塩水(50ml×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空蒸発させた。溶離液としてヘキサン中の40%酢酸エチルを使用して、シリカゲルカラムクロマトグラフィにより残渣を精製して、6−ベンジル−5,5−ジメチル−4−オキソ−ピペリジン−3−カルボン酸エチルエステル(2g)を得た。次に、この化合物(2g、3.1mmol)をエタノール(10ml)中の水酸化ナトリウム水溶液(1g、25mmol)と共に3時間還流させた。この反応混合物を室温に冷却し、水(50ml)に注ぎ、塩酸水溶液を使用してpHを7に調整し、酢酸エチル(50ml×3)で抽出した。混合有機層を水(50ml×2)、塩水(50ml×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空蒸発させた。溶離液としてヘキサン中の50%酢酸エチルを使用して、シリカゲルカラムクロマトグラフィにより残渣を精製して、褐色液体の表題化合物(0.88g)を得た。
【0186】
HNMR(DMSOd):δ1.20(3H,s)、1.25(3H,s)、2.07−2.10(2H,d)、2.65−2.72(1H,m)、2.98−3.05(1H,m)、3.51−3.71(2H,m)、3.74(3H,s)、4.12−4.15(2H,d)、6.75−6.77(2H,d)、7.05−7.15(2H,d)
m/z:248(M+1
【0187】
ステップC:2−(4−メトキシ−ベンジル)−3,3−ジメチル−5−[1−ピリジン−2−イル−メチリデン]−ピペリジン−4−オンの製造
テトラヒドロフラン(10ml)中の実施例3のステップBの生成物0.2g(0.8mmol)及びカリウムtert−ブトキシド(0.181g、1.6mmol)の溶液を−20℃に冷却し、15分後にピリジン−2−カルボキシアルデヒド(0.087g、0.8mmol)を添加した。反応混合物を室温で2時間攪拌した。反応が完了した後、混合物を0℃に冷却し、水(20ml)で希釈し、塩酸水溶液を使用してpHを7に調整した。この混合物を水(10ml)に注ぎ、酢酸エチル(50ml×3)で抽出した。混合有機層を水(50ml×2)、塩水(50ml×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空蒸発させた。溶離液としてヘキサン中の60%酢酸エチルを使用して、シリカゲルカラムクロマトグラフィにより残渣を精製して、黄色固体の表題化合物(0.092g)を得た。
【0188】
HNMR(DMSOd):δ1.27(3H,s)、1.31(3H,s)、2.41−2.47(1H,q)、2.87−2.91(2H,dd)、2.96−3.0(1H,dd)、3.83(3H,s)、3.95−4.0(1H,dd)、4.67−4.71(1H,dd)、6.88−6.90(2H,d)、7.15−7.17(1H,m)、7.18−7.20(2H,m)、7.35−7.37(1H,m)、7.39(1H,s)、7.66−7.70(1H,m)、8.61−8.62(1H,d)
m/z:337(M+1
【0189】
ステップD:2−(4−メトキシ−ベンジル)−3,3−ジメチル−4−オキソ−5−[1−ピリジン−2−イル−メチリデン]−ピペリジン−1−カルボン酸(2,6−ジメチル−フェニル)−アミドの製造
トルエン(30ml)中の実施例3のステップCの生成物0.11g(3.3mmol)及び2,6−ジメチルフェニルイソシアネート(0.048g、3.3mmol)からなる懸濁液を12時間還流させた。沈殿物を濾過し、水(10ml×2)で洗浄し、真空乾燥させた。溶離液としてジクロロメタン中の2%メタノールを使用して、シリカゲルカラムクロマトグラフィにより残渣を精製して、黄色固体の表題化合物(0.062g)を得た。
【0190】
HNMR(DMSOd):δ1.27(6H,s)、1.91(6H,s)、2.84−2.86(1H,m)、2.88−2.92(1H,m)、3.63−3.71(1H,d)、3.78(3H,s)、3.83−3.86(1H,d)、4.29−4.33(1H,t)、6.02(1H,bs)、6.82−6.84(2H,d)、6.98−7.03(2H,m)、7.04−7.05(1H,m)、7.06−7.15(3H,m)、7.37−7.39(1H,d)、7.62−7.66(1H,m)、7.78(1H,s)、8.51−8.52(1H,dd)
m/z:484(M+1
【0191】
実施例4
1−ベンジル−3−[1−(6−モルホリン−4−イル−ピリジン−2−イル)−メチリデン]−5−フェニル−ピペリジン−2,4−ジオン
ステップA:3−ベンジルアミノ−2−フェニル−プロピオン酸エチルエステルの製造
1−メチル−2−ピロリドン(30ml)中のフェニル酢酸エチル(5g、30mmol)、炭酸カリウム(6.31g、45mmol)、及びパラホルムアルデヒド(1.37g、45mmol)の溶液を90℃で7時間加熱した。この混合物を水(100ml)に注ぎ、酢酸エチル(50ml×3)で抽出した。混合有機層を水(50ml×2)、塩水(50ml×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空蒸発させた。溶離液としてヘキサン中の1%酢酸エチルを使用して、シリカゲルカラムクロマトグラフィにより残渣を精製して、無色液体の2−フェニル−アクリル酸エチルエステル(3g)を得た。次に、トルエン中のこの化合物(3g、17mmol)及びベンジルアミン(1.82g、17mmol)を4時間還流させた。この混合物を水(50ml)に注ぎ、酢酸エチル(20ml×3)で抽出した。混合有機層を水(10ml×2)、塩水(10ml×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空蒸発させた。溶離液としてヘキサン中の5%酢酸エチルを使用して、シリカゲルカラムクロマトグラフィにより残渣を精製して、褐色液体の表題化合物(3.5g)を得た。
【0192】
HNMR(DMSOd):δ1.17−1.19(3H,t)、2.23(1H,bs)、2.68−2.72(1H,m)、3.06−3.11(1H,t)、3.69−3.70(2H,d)、3.77−3.81(1H,m)、4.02−4.09(2H,q)、7.20−7.22(2H,m)、7.26−7.32(8H,m)
m/z:284(M+1
【0193】
ステップB:3−[ベンジル−(2−エトキシカルボニル−アセチル)−アミノ]−2−フェニル−プロピオン酸エチルエステルの製造
テトラヒドロフラン中の3−ベンジルアミノ−2−フェニル−プロピオン酸エチルエステル(3.5g)の溶液を0℃に冷却し、水素化ナトリウム(1.2g、24mmol)を分けて添加した。15分後、エチルマロニルクロリド(3.72g、24.7mmol)を添加し、60℃で4時間加熱した。この混合物を水(50ml)に注ぎ、酢酸エチル(20ml×3)で抽出した。混合有機層を水(20ml×2)、塩水(50ml×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空蒸発させた。溶離液としてヘキサン中の5%酢酸エチルを使用して、シリカゲルカラムクロマトグラフィにより残渣を精製して、褐色液体の表題化合物(3.5g)を得た。
【0194】
HNMR(DMSOd):δ1.12−1.19(6H,t)、3.18(2H,s)、3.58−3.61(2H,m)、3.70−3.72(2H,s)、3.82−3.85(1H,t)、4.03−4.11(4H,q)、7.20−7.22(2H,m)、7.26−7.34(8H,m)
m/z:398(M+1
【0195】
ステップC:1−ベンジル−5−フェニル−ピペリジン−2,4−ジオンの製造
エタノール(10ml)中の実施例4のステップBの生成物3.5g(8.8mmol)の溶液を0℃に冷却し、カリウムtert−ブトキシド(0.56g、5mmol)を添加した。反応混合物を室温で4時間攪拌した。反応が完了した後、混合物を0℃に冷却し、水(20ml)で希釈し、塩酸水溶液を使用してpHを7に調整した。この混合物を水(50ml)に注ぎ、酢酸エチル(20ml×3)で抽出した。混合有機層を水(50ml×2)、塩水(50ml×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空蒸発させて、無色液体の1−ベンジル−2,4−ジオキソ−5−フェニル−ピペリジン−3−カルボン酸エチルエステル(1g)を得た。次に、この粗化合物(1g)をジメチルスルホキシド:水(1:1、10ml)中に溶解させ、140℃で8時間加熱した。この混合物を水(20ml)に注ぎ、酢酸エチル(10ml×3)で抽出した。混合有機層を水(100ml×2)、塩水(50ml×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空蒸発させた。溶離液としてヘキサン中の40%酢酸エチルを使用して、シリカゲルカラムクロマトグラフィにより残渣を精製して、褐色液体の表題化合物(0.6g)を得た。
【0196】
HNMR(DMSOd):δ3.19−3.27(1H,d)、3.41−3.43(1H,d)、3.74−3.79(1H,m)、3.86−3.87(1H,d)、4.21−4.26(1H,d)、4.34−4.38(1H,d)、4.45−4.49(1H,d)、7.15−7.16(3H,m)、7.20−7.26(2H,m)、7.28−7.36(5H,m)
m/z:280(M+1
【0197】
ステップD:1−ベンジル−3−[1−(6−モルホリン−4−イル−ピリジン−2−イル)−メチリデン]−5−フェニル−ピペリジン−2,4−ジオンの製造
メタノール(20ml)中の実施例4のステップCの生成物0.25g(0.89mmol)の溶液を0℃に冷却し、水酸化ナトリウム(0.07g、1.7mmol)及び6−モルホリン−4−イル−ピリジン−2−カルボキシアルデヒド(0.15g、0.8mmol)を添加し、室温で8時間攪拌した。反応が完了した後、混合物を0℃に冷却し、水(20ml)で希釈し、塩酸水溶液を使用してpHを7に調整し、酢酸エチル(5ml×3)で抽出した。混合有機層を水(50ml×2)、塩水(50ml×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空蒸発させた。溶離液としてヘキサン中の5%酢酸エチルを使用して、シリカゲルカラムクロマトグラフィにより残渣を精製して、黄色固体の表題化合物(0.052g)を得た。
HNMR(DMSOd):δ3.48−3.50(4H,t)、3.71−3.73(4H,t)、4.37(2H,s)、4.80(2H,s)、7.01−7.03(1H,d)、7.13−7.15(1H,d)、7.19−7.22(1H,m)、7.26−7.28(1H,m)、7.30−7.35(6H,m)、7.64−7.67(3H,m)、7.74−7.78(1H,m)、14.65(1H,s)
m/z:454(M+1
【0198】
実施例5
1−メタンスルホニル−2−フェニル−4−[1−ピリジン−2−イル−メチリデン]−ピペリジン−3−オン
ステップA:4−[(エトキシカルボニル−フェニル−メチル)−アミノ]−酪酸エチルエステルの製造
炭酸セシウム(21.7g、67mmol)を含有するジメチルホルムアミド(30ml)中のアミノ−フェニル−酢酸エチルエステル(55.8mmol)10gの溶液を、80℃で12時間ブロモ酪酸エチル(9.2ml、61.38mmol)で処理した。反応が完了した後、この混合物を室温に冷却し、水(50ml)で希釈し、塩酸水溶液を使用してpHを7に調整した。この混合物を水(100ml)に注ぎ、酢酸エチル(50ml×3)で抽出した。混合有機層を水(50ml×2)、塩水(50ml×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空蒸発させた。溶離液としてヘキサン中の5%酢酸エチルを使用して、シリカゲルカラムクロマトグラフィにより残渣を精製して、黄色液体の表題化合物(11.4g)を得た。
【0199】
HNMR(DMSOd):δ1.10−1.17(6H,t)、1.64−1.68(2H,t)、2.29−2.32(2H,t)、2.38−2.46(2H,t)、4.00−4.09(4H,q)、4.10−4.12(1H,m)、4.32(1H,s)、7.26−7.40(5H,m)
m/z:295(M+1
【0200】
ステップB:3−オキソ−2−フェニル−ピペリジン−4−カルボン酸エチルエステルの製造
テトラヒドロフラン中の実施例5のステップAの生成物11g(37.5mmol)の溶液を−20℃に冷却し、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(71ml、75mmol;1.06M、LHMDS)を滴下し、6時間攪拌した。次に、この反応物を塩化アンモニウム溶液で急冷し、この混合物を水(100ml)に注ぎ、酢酸エチル(50ml×3)で抽出した。混合有機層を水(50ml×2)、塩水(50ml×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空蒸発させた。溶離液としてヘキサン中の15%酢酸エチルを使用して、シリカゲルカラムクロマトグラフィにより残渣を精製して、褐色液体の表題化合物(7.4g)を得た。
【0201】
HNMR(DMSOd):δ1.15−1.18(3H,t)、1.81−1.96(2H,m)、2.26−2.32(2H,t)、2.82−2.88(1H,m)、3.44−3.50(1H,m)、4.16−4.21(2H,q)、7.25−7.27(2H,m)、7.36−7.44(3H,m)
m/z:248(M+1
【0202】
ステップC:2−フェニル−4−[1−ピリジン−2−イル−メチリデン]−ピペリジン−3−オンの製造
(i)エタノール:HCl(3:7)混合物(30ml)中の実施例5のステップBの生成物7g(28.3mmol)の溶液を12時間還流させた。次に、この混合物を室温に冷却し、水(20ml)で希釈し、水酸化ナトリウム水溶液を使用してpHを7に調整した。この混合物を水(100ml)に注ぎ、酢酸エチル(50ml×3)で抽出した。混合有機層を水(50ml×2)、塩水(50ml×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空蒸発させて、褐色液体の2−フェニル−ピペリジン−3−オン(1.48g)を得た。
【0203】
HNMR(DMSOd):δ1.82−1.93(2H,m)、2.16−2.30(2H,t)、2.45−2.46(2H,t)、4.05(1H,d)、7.35−7.59(5H,m)、5.32(1H,bs)
m/z:176(M+1
【0204】
(ii)水酸化ナトリウム水溶液(0.7g、17mmol)を含有するメタノール(10ml)中の2−フェニル−ピペリジン−3−オン(1.48g、8.45mmol)の溶液を、ピリジン−2−カルボキシアルデヒド(0.9g、9.2mmol)で室温で12時間処理した。この混合物を水(20ml)に注ぎ、酢酸エチル(10ml×2)で抽出した。混合有機層を水(100ml×2)、塩水(50ml×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空蒸発させた。エタノールを使用して残渣を結晶化することにより、黄色液体の表題化合物(0.89g)を得た。
【0205】
HNMR(DMSOd):δ2.34−2.41(2H,t)、4.46−(2H,t)、5.33(1H,bs)、7.11−7.16(2H,m)、7.27−7.29(4H,m)、7.67−7.70(1H,m)、7.79−7.87(1H,m)、7.91−8.025(1H,m)、8.37−8.39(1H,d)
m/z:265(M+1
【0206】
ステップD:1−メタンスルホニル−2−フェニル−4−[1−ピリジン−2−イル−メチリデン]−ピペリジン−3−オンの製造
トリエチルアミン(0.95ml、6.74mmol)を含有するジクロロメタン(10ml)中の実施例5のステップCの生成物0.89g(3.37mmol)を0℃に冷却し、メタンスルホニルクロリド(0.77g、6.74mmol)を滴下し、室温で4時間攪拌した。この混合物を水(20ml)に注ぎ、酢酸エチル(10ml×2)で抽出した。混合有機層を水(5ml×2)、塩水(5ml×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空蒸発させた。エタノールを使用して残渣を結晶化することにより、褐色液体の表題化合物(0.6g)を得た。
【0207】
HNMR(DMSOd):δ2.31−2.41(2H,t)、3.29(3H,s)、4.10−4.15(1H,m)、5.31−5.32(2H,t)、7.32−7.42(1H,m)、7.43−7.44(1H,d)、7.67−7.73(2H,m)、7.88−7.94(1H,m)、8.26−8.29(1H,m)、8.29−8.37(1H,d)、8.44−8.60(1H,d)、8.68−8.80(1H,m)、9.25−9.26(1H,d)
m/z:343(M+1
【0208】
実施例6
1−(2,4−ジヒドロキシ−ベンゼンスルホニル)−3−フェニル−5−[1−ピリジン−2−イル−メチリデン]−ピペリジン−4−オン
ステップA:2−フェニル−アクリル酸エチルエステルの製造
炭酸カリウム(10.9g、79.3mmol)を含有する1−メチル−2−ピロリドン(50ml)中のフェニル酢酸エチル(60.97mmol)10gの溶液を、パラホルムアルデヒド(2.37g、79.3mmol)で90℃で6時間処理した。反応が完了した後、この混合物を室温に冷却し、水(50ml)で希釈し、塩酸水溶液を使用してpHを7に調整した。この混合物を水(100ml)に注ぎ、酢酸エチル(50ml×3)で抽出した。混合有機層を水(50ml×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空蒸発させた。溶離液としてヘキサン中の10%酢酸エチルを使用して、シリカゲルカラムクロマトグラフィにより残渣を精製して、黄色液体の表題化合物(3.5g)を得た。
【0209】
HNMR(DMSOd):δ1.34−1.37(3H,t)、4.29−4.34(2H,m)、5.9(1H,d)、6.3(1H,d)、7.36−7.39(3H,m)、7.43−7.44(2H,m)
m/z:177(M+1
【0210】
ステップB:3−ベンジルアミノ−2−フェニル−プロピオン酸エチルエステルの製造
トルエン(10ml)中の実施例6のステップAの生成物(19.8mmol)3.5gの溶液を、ベンジルアミン(2.76g、25.8mmol)と共に6時間還流させた。この混合物を水(50ml)に注ぎ、酢酸エチル(10ml×2)で抽出した。混合有機層を水(5ml×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空蒸発させた。エタノールを使用して残渣を結晶化することにより、無色液体の表題化合物(4.2g)を得た。
【0211】
HNMR(DMSOd):δ1.12−1.15(3H,t)、2.2(1H,bs)、2.65−2.73(1H,m)、3.06−3.12(1H,t)、3.69(2H,d)、3.77−3.81(1H,m)、4.05−4.08(2H,m)、7.26−7.34(10H,m)
m/z:284(M+1
【0212】
ステップC:3−[ベンジル−(2−エトキシカルボニル−エチル)−アミノ]−2−フェニル−プロピオン酸エチルエステルの製造
酢酸(0.15ml、2.9mmol)の存在下で、実施例6のステップBの生成物4.2g(14.8mmol)の溶液を、エチルアクリレート(2ml、19.3mmol)と共に12時間還流させた。反応が完了した後、混合物を水(50ml)に注ぎ、酢酸エチル(10ml×2)で抽出した。混合有機層を水(5ml×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空蒸発させた。溶離液としてヘキサン中の6%酢酸エチルを使用して、シリカゲルカラムクロマトグラフィにより残渣を精製して、黄色液体の表題化合物(2.4g)を得た。
【0213】
HNMR(DMSOd):δ1.09−1.15(6H,m)、2.36−2.41(1H,m)、2.43(1H,d)、2.55−2.56(1H,m)、2.58−2.60(1H,t)、2.62−2.70(1H,m)、3.11−3.16(1H,m)、3.70−3.73(1H,d)、3.34−3.52(1H,d)、3.86−3.90(1H,m)、3.95−3.99(4H,t)、7.18−7.22(4H,m)、7.24−7.29(6H,m)
m/z:384(M+1
【0214】
ステップD:3−フェニル−ピペリジン−4−オンの製造
(i)Pd/C(10%)0.22gを含有するメタノール(20ml)中の実施例6のステップCの生成物(6.26mmol)2.4gの溶液を、水素雰囲気(200Psi(約1.38MPa))下で室温で10時間攪拌した。次に、この混合物をセライトで濾過し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空蒸発させた。エタノールを使用して残渣を結晶化することにより、黄色液体の化合物3−(2−エトキシカルボニル−エチルアミノ)−2−フェニル−プロピオン酸エチルエステル(1.65g)を得た。
【0215】
HNMR(DMSOd):δ1.11−1.17(6H,t)、1.80(1H,bs)、2.36−2.41(2H,t)、2.71−2.77(2H,m)、3.07−3.12(1H,m)、3.56−3.58(1H,d)、3.71−3.75(1H,m)、3.99−4.09(4H,q)、7.24−7.34(5H,m)
m/z:294(M+1
【0216】
(ii)テトラヒドロフラン(10ml)中の3−(2−エトキシカルボニル−エチルアミノ)−2−フェニル−プロピオン酸エチルエステルを0℃に冷却し、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(1.88g、11.26mmol)を滴下した。この反応物を0〜10℃で3時間攪拌した。反応が完了した後、塩酸水溶液を使用してpHを7に調整した。この混合物を水(50ml)に注ぎ、酢酸エチル(10ml×3)で抽出した。混合有機層を水(10ml×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空蒸発させた。エタノールを使用して残渣を再結晶化することにより、オレンジ色液体の化合物4−オキソ−5−フェニル−ピペリジン−3−カルボン酸エチルエステル(1.1g)を得た。HNMR(DMSOd):δ1.11−1.17(3H,t)、1.80(1H,bs)、2.36−2.41(2H,t)、3.07−3.12(1H,m)、3.56−3.58(1H,d)、3.71−3.75(1H,m)、3.99−4.09(2H,q)、4.21−4.23(1H,t)、7.24−7.34(5H,m);m/z:248(M+1)。このようにして得た化合物を濃塩酸:水(1:1)の混合物(10ml)中で4時間還流させることにより、加水分解及び脱カルボキシル化を行った。重炭酸ナトリウム水溶液を使用して反応混合物のpHを中和し、水(50ml)に注ぎ、酢酸エチル(10ml×3)で抽出した。混合有機層を水(10ml×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空蒸発させた。エタノールを使用して残渣を再結晶化することにより、赤色液体の表題化合物(0.7g)を得た。
【0217】
HNMR(DMSOd):δ2.23−2.27(1H,d)、2.52−2.55(1H,t)、2.84−2.97(2H,m)、3.25−3.28(2H,t)、3.68−3.72(1H,q)、7.12−7.14(2H,d)、7.18−7.24(1H,t)、7.27−7.33(2H,m)
m/z:176(M+1
【0218】
ステップE:3−フェニル−5−[1−ピリジン−2−イル−メチリデン]−ピペリジン−4−オンの製造
水酸化ナトリウム水溶液(0.32g、8mmol)を含有するメタノール(5ml)中の実施例6のステップDの(ii)の生成物(4mmol)0.7gの溶液を、ピリジン−2−カルボキシアルデヒド(0.42g、4mmol)で室温で4時間処理した。次に、この混合物を水(20ml)に注ぎ、酢酸エチル(10ml×2)で抽出した。混合有機層を水(5ml×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空蒸発させた。溶離液としてジクロロメタン中の2%メタノールを使用して、シリカゲルカラムクロマトグラフィにより残渣を精製して、黄色固体の表題化合物(0.4g)を得た。
HNMR(DMSOd):δ2.15−2.19(2H,t)、2.69(2H,s)、3.43−3.47(1H,t)、7.12−7.22(6H,m)、7.32−7.37(1H,d)、7.58(1H,bs)、7.60−7.64(2H,m)、8.42−8.43(1H,d)
m/z:265(M+1
【0219】
ステップF:1−(2,4−ジヒドロキシ−ベンゼンスルホニル)−3−フェニル−5−[1−ピリジン−2−イル−メチリデン]−ピペリジン−4−オン
テトラヒドロフラン(5ml)中の実施例6のステップEの生成物(1.5mmol)0.4gの溶液を0℃に冷却し、水素化ナトリウム(0.1g、4.5mmol)を添加し、この混合物を15分間攪拌し、2,4−ジヒドロキシベンゼンスルホニルクロリドを添加した。次に、この反応混合物を5時間還流させた。反応が完了した後、この混合物を水(20ml)に注ぎ、酢酸エチル(10ml×2)で抽出した。混合有機層を水(5ml×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空蒸発させた。溶離液としてヘキサン中の50%酢酸エチルを使用して、シリカゲルカラムクロマトグラフィにより残渣を精製して、黄色液体の表題化合物(0.5g)を得た。
【0220】
HNMR(DMSOd):δ3.66−3.69(2H,d)、3.80(3H,s)、6.34−6.36(1H,d)、6.43(1H,s)、7.14(2H,d)、7.24(5H,s)、7.52−7.54(1H,d)、7.75(1H,s)、7.88(1H,s)、8.50(1H,s)、10.55(1H,s)、11.09(1H,s)
m/z:437(M+1
以下に示す本発明の代表的な化合物を前述のような合成方法により製造した。
【0221】
【表2】






















































【0222】
ストレスから細胞を保護する方法
本発明は、化学式I又はIIで示す本発明の1つ以上の化合物、その薬学的に許容可能な塩、並びにそれらの水和物、溶媒和物、立体異性体、配座異性体、互変異性体、多形体、及びプロドラッグ、並びにそれらの薬学的に許容可能な組成物の有効治療量を投与することにより、細胞内で熱ショックタンパク質70(HSP−70)の発現を誘導する方法に関する。
【0223】
本明細書において、「HSP−70」とは、病的ストレスに反応して誘導される分子量約70kDaのHSPファミリーに属するタンパク質をいう。「病的ストレス」とは、細胞の恒常性を乱し、HSP−70などのストレスタンパク質の発現の増加を誘導する因子をいう。このような因子としては、低酸素症、虚血症、感染により誘発された代謝性、酸化性ストレス、金属及び外因性物質により誘導されたストレス、免疫原性ストレス、細胞悪性腫瘍、神経変性、外傷、又は老化がある。病的ストレスの他の例としては、フリーラジカルの形成又は炎症性サイトカイン量の増加を誘発するものがある。
【0224】
本発明の一実施形態において、病的ストレスを伴う疾患は、脳血管疾患、心血管疾患、神経変性疾患、及び免疫疾患から選択されるが、その例としては、虚血性脳卒中、心筋梗塞、炎症性疾患、肝毒性、敗血症、ウイルス性疾患、同種移植片拒絶、腫瘍性疾患、胃粘膜損傷、脳出血、内皮機能障害、糖尿病合併症、神経変性疾患、てんかん、外傷後神経損傷、急性腎不全、緑内障、及び老化関連皮膚変性がある。本発明の化合物は、HSP−70を誘導する能力を有することによって、前述のような症状においてストレスにより誘導された損傷から細胞を保護する。
【0225】
本発明は、式I又はIIで示す1つ以上の化合物、その薬学的に許容可能な塩、並びにそれらの水和物、溶媒和物、立体異性体、互変異性体、多形体、及びプロドラッグ、並びにそれらの薬学的に許容可能な組成物の有効治療量を投与することにより、細胞内でTNF−αを抑制する方法に関する。活性化された単球及びマクロファージにより生成されたTNF−αなどのサイトカインは、免疫反応の調節において重要な役割を果たす。研究の結果、TNF−αは、糖尿病、心筋梗塞、肝不全、敗血症などの感染性疾患、リウマチ性関節炎などの自己免疫疾患、移植片拒絶、臓器移植拒絶、リウマチ性疾患などの慢性炎症性疾患、関節炎、及び結合組織疾患の疾患発生に関与することが証明された。参照:[Han, H.S. and Yenari, M.A., Current Opinion in Investigational Drugs, 2003, Vol. 4(5), pp. 522−529]。TNF−α抑制活性を示す本発明の化合物による治療は、前述の症状において細胞保護効果を発揮する。
【0226】
本発明の具体的な実施形態においては、細胞でHSP−70の発現を増加させる方法を提供する。
【0227】
本発明の他の実施形態においては、TNF−αの発現を抑制する方法を提供する。
【0228】
生物学的活性:
インビトロ活性
(i)本発明の化合物がHSPの細胞内発現に及ぼす効果
このセクションに説明されている実験は、本発明の化合物が細胞内でHSP−70の発現を上昇させるか否かを決定するために行ったものである。
【0229】
ヒーラ細胞株、又は新生ラット小脳に由来する1次混合神経を使用した。示された容量に対して4時間誘導を行い、トータルRNAを分離した。18S rRNAの発現と共に、HSP70b mRNAの発現をリアルタイムPCRで観察した。HSP70b mRNAの発現を18S rRNAの発現に対して正規化した。試験化合物に対する結果は、賦形剤で処理した対照群に対する相対的なHSP−70 mRNAの誘導量(倍)で表し、表2及び3に示した。
【0230】
【表3】

【0231】
上記表において、0は、HSP−70b mRNAの誘導が賦形剤で処理された対照群の4倍未満であることを示し、+、++、+++、++++は、それぞれHSP−70b mRNAの誘導が賦形剤で処理された対照群の4〜24倍、25〜192倍、193〜1536倍、及び1536倍超であることを示す。
【0232】
【表4】

【0233】
上記表において、0は、HSP70b mRNAの誘導が賦形剤で処理された対照群の2倍未満であることを示し、+、++、+++、++++は、それぞれHSP70b mRNAの誘導が賦形剤で処理された対照群の2〜4倍、5〜8倍、9〜16倍、及び16倍超であることを示す。
【0234】
考察
表2及び3に示すように、本発明の化合物で処理することによって、対照群に比べてHSP−70 mRNAレベルが増加した。従って、本発明の化合物はHSP−70を誘導する能力がある。
【0235】
(ii)本発明の化合物がTNF−αの発現に及ぼす効果
本研究の目的は、ホルボールメルスチルエステル(phorbol merstyl ester; PMA)に分化させたTHP−1細胞でリポ多糖(lipopolysaccharide; LPS)誘導性TNF−αの発現を抑制するか否かを測定することにある。
PMA処理によりマクロファージなどの細胞に分化したヒト単球性白血病細胞(THP−1)を使用した。分化した細胞をLPS単独(1ug/ml)又はLPS(1ug/ml)及び化合物で4時間処理した。トータルRNAを分離し、18S rRNAの発現と共に、TNF−α mRNAの発現をリアルタイムPCRで観察した。TNF−α mRNAの発現を18S rRNAの発現に対して正規化した。LPS単独で処理した細胞のTNF−α発現を100%とし、試験化合物の結果をTNF−α発現の抑制%で表し、これを表4に示した。
【0236】
【表5】

【0237】
上記表において、0は、TNF−α発現の20%未満の抑制を示し、+、++、+++、++++は、それぞれTNF−α発現の21〜40%、41〜60%、61〜80%、及び80%超の抑制を示す。
【0238】
考察
表4に示すように、本発明の化合物で処理することによって、LPSにより誘導されたTNF−α発現が抑制された。
【0239】
インビボ活性
【0240】
神経保護活性の測定
体重240〜270gの雄SD(Sprague Dawley)ラットをハロタン麻酔し、腔内縫合糸閉塞法(intraluminal suture occlusion technique)、すなわち近位外頸動脈から内頸動脈の腔側に3−0ポリアミド縫合糸を挿入する方法(Longa EZ. et al. Stroke 20: 84−91;1989)により、一過性脳虚血(2時間)を誘導した。脳卒中を誘導する外科手術の間、動物の体温は体温維持用毛布(homoeothermic blanket)を使用して37℃に維持した。2時間後、縫合糸を除去して再潅流した。閉塞開始から8時間後に試験化合物を動物に投与し、所定の間隔後にさらに投与した。7日経過後、全ての動物を犠牲にし、トリフェニルテトラゾリウムクロリド(TTC)で染色した後、梗塞の程度を特徴付けた。染色された切片の画像をスキャナーにより取得し、スキオン・イメージ・ソフトウエア(Scion image software)を使用して梗塞の大きさ及び浮腫を分析した。手術回復後、様々な時点で神経学的スコアをつけ、基準スコア(虚血症の間のスコア)からの%変化を計算し、再潅流後の改善の程度を測定した。
【0241】
【表6】

【0242】
【表7】

【0243】
考察
虚血性傷害(脳卒中など)を克服する神経集団の能力は、HSP70の発現の増加に関連している。この試験化合物は、インビトロでHSP70を誘導する能力と、培養された細胞でTNF−αを抑制する能力を示した。HSP70 mRNAは、虚血の周辺部(半影部)でニューロンを誘導した。これは、薬剤により半影の梗塞から救えることを提案し、証明したものである(Dienel G.A. et. al., J. Cereb Blood Flow Metab., 1986, 6: pp505−510; Kinouchi H. et. al., Brain Research., 1993, 619: pp334−338)。脳虚血の動物モデルで神経保護活性を測定するための代表的な試験化合物番号68で測定したインビボ効能は神経保護効果を証明し、つまり脳虚血後の梗塞の大きさを減少させ、脳浮腫を減少させ、神経障害の改善を示した。このような結果は、インビトロデータと非常によく相関するものであり、従って、本発明の化合物は、HSP70タンパク質を誘導する能力により神経保護剤として有用であるという結論を出すことができる。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式IもしくはIIの化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、並びにそれらの水和物、溶媒和物、立体異性体、配座異性体、互変異性体、多形体、及びプロドラッグ。
【化1】

【化2】

[式中、Rは、置換されていないか又は置換された、
a.5〜12員の単環式もしくは二環式アリール、
b.窒素、酸素、及び硫黄から選択される1つ以上のヘテロ原子を含有する5〜12員の単環式もしくは二環式ヘテロアリール、又は、
c.窒素、酸素、及び硫黄から選択される1つ以上のヘテロ原子を含有する4〜12員の単環式もしくは二環式ヘテロシクリル
から選択され、
前記アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルは、置換される場合、1〜4個の置換体R、好ましくは、1〜3個の置換体R、より好ましくは、1〜2個の置換体Rにより置換され、ここで、Rは、ハロゲン、−OH、−SH、−C1−8アルキル、ニトロ、アミノ、シアノ、−N(R)C(O)(C1−8アルキル)、−N(R)C(O)(アリール)、−N(R)C(O)(ヘテロアリール)、−N(R)C(O)(ヘテロシクリル)、−N(R)SO(C1−8アルキル)、−N(R)SO(アリール)、−N(R)SO(ヘテロアリール)、−N(R)SO(ヘテロシクリル)、−N(R)SOCF、−COOH、−C(O)N(R)(R)、−C(O)N(R)(アリール)、−C(O)N(R)(ヘテロアリール)、−C(O)N(R)(ヘテロシクリル)、−SON(R),(R)、−SON(R)(アリール)、−SON(R)(ヘテロアリール)、−SON(R)(ヘテロシクリル)、−C(O)O−(C1−8アルキル)、−C(O)O−アリール、−C(O)O−ヘテロアリール、−C(O)O−ヘテロシクリル、−N(R)C(O)O−(C1−8アルキル)、−N(R)C(O)O−アリール、−N(R)C(O)O−ヘテロアリール、−N(R)C(O)O−ヘテロシクリル、−CF、−C(O)CF、−SOCF、−(C1−8アルキル)−O(C1−8アルキル)、−(C1−8アルキル)−O(アリール)、−(C1−8アルキル)−O(ヘテロアリール)、−(C1−8アルキル)−O(ヘテロシクリル)、−(C1−8アルキル)−N(R)(C1−8アルキル)、−(C1−8アルキル)−N(R)(アリール)、−(C1−8アルキル)−N(R)(ヘテロアリール)、−(C1−8アルキル)−N(R)(ヘテロシクリル)、−(C1−8アルキル)−C(O)(C1−8アルキル)、−(C1−8アルキル)−C(O)(アリール)、−(C1−8アルキル)−C(O)(ヘテロアリール)、−(C1−8アルキル)−C(O)(ヘテロシクリル)、−C(O)(C1−8アルキル)−アリール、−C(O)(C1−8アルキル)−ヘテロアリール、−C(O)(C1−8アルキル)−ヘテロシクリル、−(C1−8アルキル)−S(O)(C1−8アルキル)、−(C1−8アルキル)−S(O)(アリール)、−(C1−8アルキル)−S(O)(ヘテロアリール)、−(C1−8アルキル)−S(O)(ヘテロシクリル)、−(C1−8アルキル)−S(O)(C1−8アルキル)、−(C1−8アルキル)−S(O)O−(C1−8アルキル)、−(C1−8アルキル)−SO(アリール)、−(C1−8アルキル)−SO(ヘテロアリール)、−(C1−8アルキル)−SO(ヘテロシクリル)、−N(R)(SO−アリール)、−N(R)(SO−ヘテロアリール)、−N(R)(SO−ヘテロシクリル)、−N(R)C(O)N(R)(R)、−N(R)C(O)N(R)(アリール)、−N(R)C(O)N(R)(ヘテロアリール)、−N(R)C(O)N(R)(ヘテロシクリル)、−N(R)C(O)C(O)N(R)(R)、−N(R)C(O)C(O)N(R)(アリール)、−NRC(O)C(O)N(R)(ヘテロアリール)、−N(R)C(O)C(O)N(R)(ヘテロシクリル)、−N(R)C(S)N(R)(R)、−N(R)C(S)N(R)(アリール)、−N(R)C(S)N(R)(ヘテロアリール)、−N(R)C(S)N(R)(ヘテロシクリル)、−N(R)SON(R)(R)、−N(R)SON(R)(アリール)、−N(R)SON(R)(ヘテロアリール)、−N(R)SON(R)(ヘテロシクリル)、−S(C1−8アルキル)、−SOOH、−NHC(NH)NH、−N(R)(アリール)、−N(R)(ヘテロアリール)、−N(R)(ヘテロシクリル)、−(C1−8アルキル)−アリール、−(C1−8アルキル)−ヘテロアリール、−(C1−8アルキル)−ヘテロシクリル−オキソ、及び−チオキソからなる群から独立して選択され、
は、水素又は(C1−8アルキル)から選択され、
ここで、R中に置換体として存在するアリールは、5〜7員の単環式環であり、R中に置換体として存在するヘテロアリール及びヘテロシクリルは、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1つ以上のヘテロ原子を含有する3〜7員の単環式環系であり、ここで、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクリルは、オキソ、チオキソ、ハロゲン、−OH、−SH、−C1−8アルキル、−O(C1−8アルキル)、ニトロ、アミノ、モノ(C1−8アルキル)アミノ、ジ(C1−8アルキル)アミノ、−COOH、−CONH、−CF、−C(O)CF、−SOCF、−S(C1−8アルキル)、−SO(C1−8アルキル)、及び−SONHからなる群から独立して選択される1〜3個の置換体で置換されるか又は置換されず、
ここで、C1−8アルキルは、直鎖状、分枝鎖状、又は環状であり、1つの二重結合を含有してもよく、−OH、−SH、オキソ、チオキソ、アミノ、モノ(C1−3アルキル)アミノ、ジ(C1−3アルキル)アミノ、−S(C1−3アルキル)、及び−C1−3アルコキシからなる群から独立して選択される1〜2個の置換体で置換され、
ここで、C1−3アルコキシは、直鎖状又は分枝鎖状であり、1つ又は2つの二重又は三重結合を含有してもよく、C1−3アルキルは、直鎖状又は分枝鎖状であり、
は、水素又は(C−C)アルキルから選択され、
mは、0又は1であるが、
ただし、Rが、置換されていないか又は置換された、
a)シクロヘキサン、
b)シクロヘキセン、又は、
c)窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜2つのヘテロ原子を含有する6員の単環式ヘテロアリールもしくはヘテロシクリルの場合、
上の置換体であるRは、ヒドロキシル及びオキソ基からは選択されず、
は、水素、ハロゲン、−C1−3アルキル、−OH、−SH、−O(C1−3アルキル)、アミノ、モノ(C1−3アルキル)アミノ、ジ(C1−3アルキル)アミノ、−C(O)CF、−C(O)CH、−SOCF、−CF、−S(C1−8アルキル)、−SO(C1−8アルキル)、及び−SONHからなる群から選択され、
ここで、C1−8アルキルは、直鎖状、分枝鎖状、又は環状であり、1つ又は2つの二重又は三重結合を含有してもよく、−OH、−SH、オキソ、チオキソ、アミノ、モノ(C1−3アルキル)アミノ、ジ(C1−3アルキル)アミノ、−S(C1−3アルキル)、及び−C1−3アルコキシからなる群から独立して選択される1〜2個の置換体で置換され、
ここで、C1−3アルコキシは、直鎖状又は分枝鎖状であり、1つの二重結合を含有してもよく、C1−3アルキルは、直鎖状又は分枝鎖状であり、
は、ハロゲン、ニトロ、アミノ、−OH、−SH、−N(R)C(O)(C1−8アルキル)、−N(R)C(O)(アリール)、−N(R)C(O)(ヘテロアリール)、−N(R)C(O)(ヘテロシクリル)、−N(R)SO(C1−8アルキル)、−N(R)SO(アリール)、−N(R)SO(ヘテロアリール)、−N(R)SO(ヘテロシクリル)、−(C1−3アルキル)、−(C1−3アルキル)−アリール、−(C1−3アルキル)−ヘテロアリール、−(C1−3アルキル)−ヘテロシクリル、−C(O)N(R)(R)、−C(O)N(R)(アリール)、−C(O)N(R)(ヘテロアリール)、−C(O)N(R)(ヘテロシクリル)、−SON((R)(R)、−SON(R)(アリール)、−SON(R)(ヘテロアリール)、−SON(R)(ヘテロシクリル)、−N(R)SOCF、−C(O)O−(C1−8アルキル)、−C(O)O−アリール、−C(O)O−ヘテロアリール、−C(O)O−ヘテロシクリル、−N(R)C(O)O−(C1−8アルキル)、−N(R)C(O)O−アリール、−N(R)C(O)O−ヘテロアリール、−N(R)C(O)O−ヘテロシクリル、−CF、−C(O)CF、−SOCF、−COOH、−(C1−3アルキル)−O(C1−8アルキル)、−(C1−3アルキル)−N((R)(C1−8アルキル)、−(C1−3アルキル)−C(O)(C1−8アルキル)、−(C1−3アルキル)−C(O)(アリール)、−(C1−3アルキル)−C(O)(ヘテロアリール)、−(C1−3アルキル)−C(O)(ヘテロシクリル)、−C(O)(C1−3アルキル)−アリール、−C(O)(C1−3アルキル)−ヘテロアリール、−C(O)(C1−3アルキル)−ヘテロシクリル、−(C1−3アルキル)−C(O)(C1−3アルキル)−アリール、−(C1−3アルキル)−C(O)(C1−3アルキル)−ヘテロアリール、−(C1−3アルキル)−C(O)(C1−3アルキル)−ヘテロシクリル、−(C1−3アルキル)−S(O)(C1−8アルキル)、−(C1−3アルキル)−S(O)(アリール)、−(C1−3アルキル)−S(O)(ヘテロアリール)、−(C1−3アルキル)−S(O)(ヘテロシクリル)、−(C1−3アルキル)−S(O)(C1−8アルキル)、−(C1−3アルキル)−S(O)O−(C1−8アルキル)、−(C1−3アルキル)−SO(アリール)、−(C1−3アルキル)−SO(ヘテロアリール)、−(C1−3アルキル)−SO(ヘテロシクリル)、−S(O)−(C1−3アルキル)−アリール、−S(O)−(C1−3アルキル)−ヘテロアリール、−S(O)−(C1−3アルキル)−ヘテロシクリル、−(C1−3アルキル)SO−(C1−3アルキル)−アリール、−(C1−3アルキル)SO−(C1−3アルキル)−ヘテロアリール、−(C1−3アルキル)SO−(C1−3アルキル)−ヘテロシクリル、−N(R)SO(アリール)、−N(R)SO(ヘテロアリール)、−N(R)SO(ヘテロシクリル)、−N(R)C(O)N((R)(R)、−N(R)C(O)N(R)(アリール)、−N(R)C(O)N(R)(ヘテロアリール)、−N(R)C(O)N(R)(ヘテロシクリル)、−N(R)C(O)C(O)N((R)(R)、−N(R)C(O)C(O)N(R)(アリール)、−N(R)C(O)C(O)N(R)(ヘテロアリール)、−N(R)C(O)C(O)N(R)(ヘテロシクリル)、−N(R)C(S)N(R)(R)、−N(R)C(S)N(R)(アリール)、−N(R)C(S)N(R)(ヘテロアリール)、−N(R)C(S)N(R)(ヘテロシクリル)、−N(R)SON(R)(R)、−N(R)SON(R)(アリール)、−N(R)SON(R)(ヘテロアリール)、−N(R)SON(R)(ヘテロシクリル)、−S(C1−8アルキル)、−SOOH、−NHC(=NH)NH、−(C1−3アルキル)−O(アリール)、−(C1−3アルキル)−O(ヘテロアリール)、−(C1−3アルキル)−O(ヘテロシクリル)、−(C1−3アルキル)−N(R)(アリール)、−(C1−3アルキル)−N(R)(ヘテロアリール)、−(C1−3アルキル)−N(R)(ヘテロシクリル)、−C(O)C(O)(アリール)、−C(O)C(O)(ヘテロアリール)、及び−C(O)C(O)(ヘテロシクリル)からなる群から選択され、
ここで、R中に置換体として存在するアリールは、5〜7員の単環式環であり、R中に置換体として存在するヘテロアリール及びヘテロシクリルは、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1つ以上のヘテロ原子を含有する3〜7員の単環式環であり、ここで、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクリルは、オキソ、チオキソ、−OH、−SH、ハロゲン、−C1−8アルキル、−O(C1−8アルキル)、ニトロ、アミノ、モノ(C1−8アルキル)アミノ、ジ(C1−8アルキル)アミノ、−COOH、−CONH、−CF、−C(O)CF、−SOCF、−S(C1−8アルキル)、−N(R)SO(C1−8アルキル)、−SO(C1−8アルキル)、及び−SONHからなる群から独立して選択される1〜3個の置換体で置換されるか又は置換されず、
ここで、C1−8アルキルは、直鎖状、分枝鎖状、又は環状であり、1つ又は2つの二重又は三重結合を含有してもよく、−OH、−SH、オキソ、チオキソ、アミノ、モノ(C1−3アルキル)アミノ、ジ(C1−3アルキル)アミノ、−S(C1−3アルキル)、及び−C1−3アルコキシからなる群から独立して選択される1〜2個の置換体で置換され、
ここで、C1−3アルコキシは、直鎖状又は分枝鎖状であり、1つの二重結合を含有してもよく、C1−3アルキルは、直鎖状又は分枝鎖状であり、
mは、0又は1であり、
及びRは、水素もしくはRからこれらの出現位置で独立して選択されるか、又はRもしくはRは、Rと共にオキソであるが、ただし、Rがオキソの場合、Rは、−C(O)(C1−8アルキル)、−C(O)O(C1−8アルキル)、−C(O)(C1−8アルキル)−アリール、−C(O)アリール、−C(O)チエニル、及び−C(O)フリルからは選択されず、
は、−(C1−8アルキル)、−C(O)N(R)(R)、−C(O)N(R)(アリール)、−C(O)N(R)((C1−8アルキル)−アリール)、−C(O)N(R)(ヘテロアリール)、−C(O)N(R)SO(アリール)、−C(O)N(R)(ヘテロシクリル)、−C(S)N(R)(R)、−C(S)N(R)(アリール)、−C(S)N(R)(ヘテロアリール)、−C(S)N(R)(ヘテロシクリル)、−SON(R)(R)、−SON(R)(アリール)、−SON(R)(ヘテロアリール)、−SON(R)(ヘテロシクリル)、−C(O)C(O)N(R)(R)、−C(O)C(O)N(R)(アリール)、−C(O)C(O)N(R)(ヘテロアリール)、−C(O)C(O)N(R)(ヘテロシクリル)、−C(O)O−(C1−8アルキル)、−C(O)O−(C1−8アルキル)−アリール、−C(O)O−(C1−8アルキル)−ヘテロアリール、−C(O)O−(C1−8アルキル)−ヘテロシクリル、−CF、−C(O)CF、−SOCF、−(C1−8アルキル)O(C1−8アルキル)、−(C1−8アルキル)−O(アリール)、−(C1−8アルキル)−O(ヘテロアリール)、−(C1−8アルキル)−O(ヘテロシクリル)、−(C1−8アルキル)−N(R)(C1−8アルキル)、−(C1−8アルキル)−N(R)(アリール)、−(C1−8アルキル)−N(R)(ヘテロアリール)、−(C1−8アルキル)−N(R)(ヘテロシクリル)、−(C1−8アルキル)C(O)(C1−8アルキル)、−(C1−8アルキル)−C(O)(アリール)、−(C1−8アルキル)−C(O)(ヘテロアリール)、−(C1−8アルキル)−C(O)(ヘテロシクリル)、−C(O)−(C1−3アルキル)−アリール、−C(O)−(C1−3アルキル)−ヘテロアリール、−C(O)−(C1−3アルキル)−ヘテロシクリル、−(C1−8アルキル)−C(O)(C1−8アルキル)−アリール、−(C1−8アルキル)−C(O)(C1−8アルキル)−ヘテロアリール、−(C1−8アルキル)−C(O)(C1−8アルキル)−ヘテロシクリル、−(C1−8アルキル)−SO(C1−8アルキル)、−(C1−8アルキル)−SO(アリール)、−(C1−8アルキル)−SO(ヘテロアリール)、−(C1−8アルキル)−SO(ヘテロシクリル)、−(C1−8アルキル)−S(O)(C1−8アルキル)、−(C1−8アルキル)−S(O)(アリール)、−(C1−8アルキル)−S(O)(ヘテロアリール)、−(C1−8アルキル)−S(O)(ヘテロシクリル)、−S(O)(C1−8アルキル)−アリール、−S(O)(C1−8アルキル)−ヘテロアリール、−S(O)(C1−8アルキル)ヘテロシクリル、−(C1−8アルキル)SO−(C1−8アルキル)−アリール、−(C1−8アルキル)SO−(C1−8アルキル)−ヘテロアリール、−(C1−8アルキル)SO−(C1−8アルキル)−ヘテロシクリル、−(C1−8アルキル)−S(C1−8アルキル)、−(C1−8アルキル)−S(C1−8アルキル)−アリール、−(C1−8アルキル)−S(C1−8アルキル)−ヘテロアリール、−(C1−8アルキル)−S(C1−8アルキル)−ヘテロシクリル、−(C1−8アルキル)−S(アリール)、−(C1−8アルキル)−S(ヘテロアリール)、−(C1−8アルキル)−S(ヘテロシクリル)、−(C1−8アルキル)−アリール、−(C1−8アルキル)−ヘテロアリール、−(C1−8アルキル)−ヘテロシクリル、−C(O)C(O)(ヘテロアリール)、−C(O)C(O)(ヘテロシクリル)、及び−C(O)C(O)(アリール)からなる群から選択され、
ここで、R中に置換体として存在するアリールは、5〜7員の単環式環であり、R中に置換体として存在するヘテロアリール及びヘテロシクリルは、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1つ以上のヘテロ原子を含有する3〜7員の単環式環であり、ここで、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクリルは、オキソ、チオキソ、ハロゲン、−OH、−SH、−C1−8アルキル、−O(C1−8アルキル)、ニトロ、アミノ、モノ(C1−8アルキル)アミノ、−CO(C1−8アルキル)、ジ(C1−8アルキル)アミノ、−COOH、−COO(C1−8アルキル)、−CONH、−CF、−C(O)CF、−S(C1−8アルキル)、−SO(C1−8アルキル)、−SOCF、及び−SONHから独立して選択される1〜3個の基で置換されるか又は置換されず、
ここで、C1−8アルキルは、直鎖状、分枝鎖状、又は環状であり、1つ又は2つの二重又は三重結合を含有してもよく、−OH、−SH、オキソ、チオキソ、アミノ、モノ(C1−3アルキル)アミノ、ジ(C1−3アルキル)アミノ、−S(C1−3アルキル)、−COOH、CONH、及び−C1−3アルコキシから独立して選択される1〜2個の置換体で置換されてもよく、
ここで、C1−3アルコキシは、直鎖状又は分枝鎖状であり、1つの二重結合を含有してもよく、C1−3アルキルは、直鎖状又は分枝鎖状であり、mは、これらの出現位置で0〜1から独立して選択され、
ただし、
i)Rがメチル、−CH−CH=CH又は−CHフェニルから選択され、R=H又はメチルの場合、Rは、
a.トリメトキシフェニル、
b.ベンズジオキソールもしくはクロロ置換されたベンズジオキソール、又は、
c.フリル
から選択されず、
ii)Rがメチルから選択され、R=H、R=フェニルの場合、Rは、置換されていないフェニルから選択されず、
iii)R、R、及びRが水素であり、Rが−(C1−8アルキル)、−(C1−8アルキル)−O(C1−8アルキル)、−(C1−8アルキル)−O(アリール)、−(C1−8アルキル)−O(ヘテロアリール)、−(C1−8アルキル)−O(ヘテロシクリル)、−(C1−8アルキル)−N(R)(C1−8アルキル)、−(C1−8アルキル)−N(R)(アリール)、−(C1−8アルキル)−N(R)(ヘテロアリール)、−(C1−8アルキル)−N(R)(ヘテロシクリル)、−(C1−8アルキル)−C(O)(C1−8アルキル)、−(C1−8アルキル)−C(O)(アリール)、−(C1−8アルキル)−C(O)(ヘテロアリール)、−(C1−8アルキル)−C(O)(ヘテロシクリル)、−(C1−8アルキル)−C(O)(C1−8アルキル)−アリール、−(C1−8アルキル)−C(O)(C1−8アルキル)−ヘテロアリール、−(C1−8アルキル)−C(O)(C1−8アルキル)−ヘテロシクリル、−(C1−8アルキル)−アリール、−(C1−8アルキル)−ヘテロアリール、−(C1−8アルキル)−ヘテロシクリル、−C(O)N(R)(R)、−(C1−8アルキル)−SO(C1−8アルキル)、−(C1−8アルキル)−S(O)(C1−8アルキル)、−(C1−8アルキル)−S(O)(アリール)、−(C1−8アルキル)−S(O)(ヘテロアリール)、−(C1−8アルキル)−S(O)(ヘテロシクリル)、−(C1−8アルキル)−SO(C1−8アルキル)−アリール、−(C1−8アルキル)−SO(C1−8アルキル)−ヘテロアリール、−(C1−8アルキル)−SO(C1−8アルキル)−ヘテロシクリル、−(C1−8アルキル)−S(C1−8アルキル)、−(C1−8アルキル)−S(C1−8アルキル)−アリール、−(C1−8アルキル)−S(C1−8アルキル)−ヘテロアリール、−(C1−8アルキル)−S(C1−8アルキル)−ヘテロシクリル、−(C1−8アルキル)−S(アリール)、−(C1−8アルキル)−S(ヘテロアリール)、−(C1−8アルキル)−S(ヘテロシクリル)、−(C1−8アルキル)−SO(アリール)、−(C1−8アルキル)−SO(ヘテロアリール)、−(C1−8アルキル)−SO(ヘテロシクリル)、アシル、及び−C(O)O−(C1−8アルキル)からなる群から選択される場合、Rは、−CH−フェニル、−CH−置換されたフェニル、−CH−ピリジル、−CH−置換されたピリジル、−CH−ピリミジニル、−CH−置換されたピリミジニルではなく、ここで、アリール、ピリジル、及びピリミジニル上の置換体は、ヒドロキシル、アルコキシ、ハロゲン、及びCFから選択され、
は、水素、ハロゲン、−OH、−SH、−C1−8アルキル、−O(C1−8アルキル)、ニトロ、アミノ、モノ(C1−8アルキル)アミノ、ジ(C1−8アルキル)アミノ、−COOH、−CONH、−CF、−C(O)CF、−SOCF3、−S(C1−8アルキル)、−SO(C1−8アルキル)、及び−SONHからなる群から選択され、
ここで、C1−8アルキルは、直鎖状、分枝鎖状、又は環状であり、1つ又は2つの二重又は三重結合を含有してもよく、−OH、−SH、オキソ、チオキソ、アミノ、モノ(C1−3アルキル)アミノ、ジ(C1−3アルキル)アミノ、−S(C1−3アルキル)、及び−C1−3アルコキシからなる群から選択される1〜2個の置換体で置換され、
ここで、C1−3アルコキシは、直鎖状又は分枝鎖状であり、1つの二重結合を含有してもよく、C1−3アルキルは、直鎖状又は分枝鎖状である。]
【請求項2】
前記化合物が以下の群から選択される、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、並びにそれらの水和物、溶媒和物、立体異性体、配座異性体、互変異性体、多形体、及びプロドラッグ。
【表1】

























【請求項3】
請求項1に記載の1種又はそれ以上の化合物の有効治療量を、これを必要とするヒトを含む生きている哺乳類生体に投与することを含む、ヒトを含む生きている哺乳類生体の病的ストレスを伴う疾患の治療方法。
【請求項4】
前記病的ストレスを伴う疾患が、脳卒中、心筋梗塞、炎症性疾患、肝毒性、敗血症、ウイルス性疾患、同種移植片拒絶、腫瘍性疾患、胃粘膜損傷、脳出血、内皮機能障害、糖尿病合併症、神経変性疾患、てんかん、外傷後神経損傷、急性腎不全、緑内障、及び老化関連皮膚変性から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記病的ストレスを伴う疾患が脳卒中である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記病的ストレスを伴う疾患が心筋梗塞である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記病的ストレスを伴う疾患が炎症性疾患である、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記糖尿病合併症が、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、及び慢性創傷治癒から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記神経変性疾患が、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、及びパーキンソン病から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記病的ストレスを伴う疾患がてんかんである、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
薬学的に許容可能なキャリア、希釈剤、又は賦形剤と共に、請求項1に記載の1種又はそれ以上の化合物の有効治療量を含む医薬組成物。
【請求項12】
経口剤形又は非経口剤形である、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
ヒトを含む生きている哺乳類生体の病的ストレスを伴う疾患を治療するための薬剤の製造における、請求項1に記載の1種又はそれ以上の化合物の使用。
【請求項14】
前記病的ストレスを伴う疾患が、脳卒中、心筋梗塞、炎症性疾患、肝毒性、敗血症、ウイルス性疾患、同種移植片拒絶、腫瘍性疾患、胃粘膜損傷、脳出血、内皮機能障害、糖尿病合併症、神経変性疾患、てんかん、外傷後神経損傷、急性腎不全、緑内障、及び老化関連皮膚変性から選択される、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
前記病的ストレスを伴う疾患が脳卒中である、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
前記病的ストレスを伴う疾患が心筋梗塞である、請求項14に記載の使用。
【請求項17】
前記病的ストレスを伴う疾患が炎症性疾患である、請求項14に記載の使用。
【請求項18】
前記糖尿病合併症が、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、及び慢性創傷治癒から選択される、請求項14に記載の使用。
【請求項19】
前記神経変性疾患が、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、及びパーキンソン病から選択される、請求項14に記載の使用。
【請求項20】
前記病的ストレスを伴う疾患がてんかんである、請求項14に記載の使用。

【公表番号】特表2010−531873(P2010−531873A)
【公表日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−514252(P2010−514252)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【国際出願番号】PCT/IN2008/000400
【国際公開番号】WO2009/004650
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(510003117)トレント ファーマシューティカルズ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】