HSP90阻害化合物を用いる併用がん療法
パクリタキセルまたはパクリタキセルアナログの有効量と、以下の構造式によって示される化合物、その互変異性体、またはその薬学的に許容される塩の有効量とを対象へ投与する工程を含む、がんを有する対象を治療するための方法を開示する。構造式に示される変数は本明細書に定義される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願への相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、2009年10月19日に出願された仮出願である米国出願第61/279,330号の優先権を主張する。本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、2010年1月11日に出願された仮出願である米国出願第61/335,778号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
がんは、米国および世界中において依然として主要な死因である。そのため、がんに対する療法の継続的な必要性がある。
【発明の概要】
【0003】
あるトリアゾロンであるHSP90阻害剤とタキサンとの組み合わせが、驚くべきことに、副作用をさらに増加させることなく、非小細胞肺癌、結腸癌および赤白血病を有する対象を治療するのに有効であることが、今回、分った。本明細書に開示される特定の併用療法は、最小限の副作用を示すと同時に顕著な抗がん効果を示すことによって、驚くべき生物学的活性を示す。
【0004】
本発明は、Hsp90の活性を阻害し、タキサン化合物と組み合わせて肺癌障害(例えば、非小細胞肺癌)、結腸癌および赤白血病の治療に有用である、トリアゾロン化合物を利用する。肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、結腸癌または赤白血病を有する対象を治療する方法は、本明細書に記載のHSP90阻害剤およびタキサンを対象へ投与する工程を含む。一態様において、HSP90阻害剤およびタキサンの投与は、同時に行われる。別の態様において、HSP90阻害剤およびタキサンの投与は、連続して行われる。これらの態様のいずれか1つにおいて、タキサンは、ドセタキセル、パクリタキセルまたはアブラキサン(Abraxane)(商標)である。これらの態様のいずれか1つにおいて、HSP90阻害剤は、表1または2に示される化合物である。
【0005】
一態様において、本発明は、タキサンと組み合わせて肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、結腸癌または赤白血病を治療するための医薬の製造のための、本明細書に記載のHSP90阻害剤の使用を含む。
【0006】
ある態様において、本明細書に記載のHSP90化合物と他の化学療法剤とを利用する併用治療は、哺乳動物における多剤耐性肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、結腸癌または赤白血病細胞の発生を予防するまたは減らすのに役立ち得る。この態様において、本発明の化合物は、哺乳動物へ与えられる第2化学療法剤の有効量を減らすことを可能にし得る。何故ならば、HSP90阻害剤は、多剤耐性癌性肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、結腸癌または赤白血病の発生を阻害するためである。一態様において、第2化学療法剤はタキサンである。別の態様において、タキサンはパクリタキセル、ドセタキセルまたはアブラキサン(Abraxane)(登録商標)である。
【0007】
タキサンであるパクリタキセルおよびドセタキセルは、進行期非小細胞肺癌(NSCLC)の治療において広く使用されている。タキサンと組み合わせて使用される化合物1などの本発明のHSP90阻害剤の組み合わせを調べるために、NCI-H1975細胞を用いてインビトロ研究を行った。ChauおよびTalalayのメジアンエフェクト法(median-effect method)を使用して、化合物1は、パクリタキセルまたはドセタキセルのいずれかと組み合わせて、相乗的範囲(0.23〜0.65 CI)内のコンビネーションインデックス値(combination index value)を示した(実施例2を参照のこと)。インビボで、NCI-H1975異種移植モデルにおいて、化合物1とパクリタキセルとの組み合わせは、いずれかの単一薬剤のみよりも大きな効能を示した(組み合わせ、パクリタキセルおよび化合物1について、それぞれ、7、38および55の%T/C値)(実施例1を参照のこと)。化合物1およびパクリタキセル間での相乗効果は、いずれかの薬剤の薬物動態の変化に起因せず、併用治療は、追加の毒性を生じさせなかった。HT29結腸癌細胞およびHEL92.1.7赤白血病細胞を用いて、相乗効果がまた示された(実施例3)。
【0008】
これらの結果は、化合物1が、NSCLC、結腸癌および赤白血病の前臨床モデルにおいて広範囲のインビトロおよびインビボ抗がん活性を示す非常に強力なHsp90阻害剤であることを示している。化合物1などの本発明のHSP90阻害剤はまた、パクリタキセル及びドセタキセルと相乗作用を示す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ヒトNSCLC細胞株NCI-H1975のインビボ増殖速度に対する化合物1+パクリタキセルの組み合わせの効果を測定するために行われたSCIDマウス異種移植研究を示す。腫瘍を有する動物(8マウス/群)に、ビヒクルのみ、化合物1のみ、パクリタキセルのみ、または同時に投薬された化合物1とパクリタキセルとの組み合わせを、合計3回用量(矢じり)について1週当たり1回i.v.注射した。各群についての平均腫瘍体積(エラーバーはSEMを示す)を3〜4日毎に測定した。50 mg/kg体重の用量の化合物1での処置は腫瘍増殖を中程度に阻害し、55の%T/C値が第32日に観察された。7.5 mg/kg体重の用量のパクリタキセルでの処置は腫瘍増殖を中程度に阻害し、38の%T/C値が第32日に観察された。50 mg/kg体重の化合物1+7.5 mg/kg体重のパクリタキセルの組み合わせでの同時処置は、腫瘍増殖を劇的に阻害し、7の%T/C値が第32日に観察された。併用処置群について観察された効能は、いずれかの単一薬剤のみについてよりも有意に大きかった(P<0.05;一元配置分散分析)。明白な毒性は観察されず、研究開始時に対する第29日(測定最終日)における平均体重変化は、ビヒクル処置群の+5.1%(+/- 1.4 SEM)と比較して、化合物1+パクリタキセル併用処置群は+3.1%(+/- 1.2 SEM)を有した。
【図2】図1において詳述された併用処置は、単一薬剤と比べて追加の毒性をもたらさなかったことを示しており、研究の間の累積的な平均体重変化に対する最小限の影響しかなかった。
【図3】化合物1がCD-1ヌードマウスにおけるパクリタキセルの血漿曝露に影響を与えなかったことを示している。エラーバーは+/-を示す。
【図4】パクリタキセルがCD-1ヌードマウスにおける化合物1の血漿曝露に影響を与えなかったことを示している。
【図5】1μΜの最高濃度で開始して化合物の3倍連続希釈シリーズを使用して決定された、パクリタキセルおよび化合物1についての半数阻害濃度(IC50)を示している。H1975における化合物1についての単一薬剤IC50値は15 nMと計算され;パクリタキセルについては、IC50は7 nMであった。
【図6】H1975細胞におけるパクリタキセルと化合物1との組み合わせでの同時処理の結果を示している。
【図7】連続処理レジメンの結果を示している:H1975細胞における、パクリタキセルでの最初の処理、続いての24時間後の化合物1での処理。
【図8】記載の濃度での、化合物1、パクリタキセル、または2つの薬物の組み合わせによって殺滅されたH1975細胞のパーセントを示している。
【図9】図9aおよび9bは、 ChauおよびTalalayのメジアンエフェクト法(4)を示しており、CalcuSyn 2.0ソフトウェア(Biosoft, Cambridge, UK)を使用して、化合物1とパクリタキセルまたはドセタキセルとの間の相互作用を調べた。様々な濃度の各薬物を、72時間、NCI-H1975細胞へ同時に添加し、alamarBlue(登録商標)アッセイ(Invitrogen)によって生存率を測定した。(A)図9aは、NCI-H1975細胞を使用しての、パクリタキセルと組み合わせた化合物1のアイソボログラムおよびコンビネーションインデックス分析を示す。アイソボログラム中の赤線より下のデータポイントは相乗効果を示し、一方、赤線より上のデータポイントは2つの薬物間の拮抗作用を示す。コンビネーションインデックス(CI)値<1は相乗効果を示し、一方、CI>1は2つの薬物間の拮抗作用を示す。同様の結果がまた、HCC827細胞を使用して観察された(データを示さず)。化合物1は、パクリタキセルとの強力な相乗作用を示すことがわかった。(B)図9bは、上記のようなNCI-H1975細胞を使用しての、ドセタキセルと組み合わせた化合物1のアイソボログラムおよびコンビネーションインデックス分析を示す。化合物1は、ドセタキセルとの強力な相乗作用を示すことがわかった。
【図10A】HEL92.1.7細胞におけるパクリタキセルおよび化合物1の同時処理についての標準化アイソボログラム(上部パネル)およびCI値(下部パネル)を示す。
【図10B】HEL92.1.7細胞におけるドセタキセルおよび化合物1の同時処理についての標準化アイソボログラム(上部パネル)およびCI値(下部パネル)を示す。
【図11】HT29細胞におけるドセタキセルおよび化合物1の同時処理についての標準化アイソボログラム(左パネル)およびCI値(右パネル)を示す。
【図12】NCI-HCC827 NSCLCモデルにおける1×/週で投薬された75 mg/kgの化合物1と4 mg/kgのドセタキセルとの組み合わせの効果を示すグラフである。第40日についての%T/C値が右側に示されている。エラーバーは+または-0.5 SEMを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明の詳細な説明
別段の定めがない限り、本明細書において使用される下記の用語は以下のように定義される:本明細書において使用される場合、用語「アルキル」は、1〜10個の炭素原子を有する飽和、直鎖または分枝鎖、非環式炭化水素を意味する。代表的な直鎖アルキルとしては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニルおよびn-デシルが挙げられ;一方、代表的な分枝鎖アルキルとしては、イソプロピル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、イソペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2-メチルヘキシル、3-メチルヘキシル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル、2,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルペンチル、2,4-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルヘキシル、2,4-ジメチルヘキシル、2,5-ジメチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、2,2-ジメチルヘキシル、3,3-ジメチルペンチル、3,3-ジメチルヘキシル、4,4-ジメチルヘキシル、2-エチルペンチル、3-エチルペンチル、2-エチルヘキシル、3-エチルヘキシル、4-エチルヘキシル、2-メチル-2-エチルペンチル、2-メチル-3-エチルペンチル、2-メチル-4-エチルペンチル、2-メチル-2-エチルヘキシル、2-メチル-3-エチルヘキシル、2-メチル-4-エチルヘキシル、2,2-ジエチルペンチル、3,3-ジエチルヘキシル、2,2-ジエチルヘキシル、3,3-ジエチルヘキシルなどが挙げられる。用語「(C1-C6)アルキル」は、1〜6個の炭素原子を有する飽和、直鎖または分枝鎖、非環式炭化水素を意味する。本発明の化合物に含まれるアルキル基は、1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0011】
本明細書において使用される場合、用語「アルケニル」は、2〜10個の炭素原子を有しかつ少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する直鎖または分枝鎖、非環式炭化水素を意味する。代表的な直鎖および分枝鎖(C2-C10)アルケニルとしては、ビニル、アリル、1-ブテニル、2-ブテニル、イソブチレニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-メチル-1-ブテニル、2-メチル-2-ブテニル、2,3-ジメチル-2-ブテニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、1-ヘプテニル、2-ヘプテニル、3-ヘプテニル、1-オクテニル、2-オクテニル、3-オクテニル、1-ノネニル、2-ノネニル、3-ノネニル、1-デセニル、2-デセニル、3-デセニルなどが挙げられる。本発明の化合物に含まれるアルケニル基は、1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0012】
本明細書において使用される場合、用語「アルキニル」は、2〜10個の炭素原子を有しかつ少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する直鎖または分枝鎖、非環式炭化水素を意味する。代表的な直鎖および分枝鎖アルキニルとしては、アセチレニル、プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-メチル-1-ブチニル、4-ペンチニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニル、5-ヘキシニル、1-ヘプチニル、2-ヘプチニル、6-ヘプチニル、1-オクチニル、2-オクチニル、7-オクチニル、1-ノニニル、2-ノニニル、8-ノニニル、1-デシニル、2-デシニル、9-デシニルなどが挙げられる。本発明の化合物に含まれるアルキニル基は、1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0013】
本明細書において使用される場合、用語「シクロアルキル」は、3〜20個の炭素原子を有する飽和、単環式または多環式、非芳香族炭化水素を意味する。代表的なシクロアルキルとしては、シクロプロピル、1-メチルシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、オクタヒドロペンタレニルなどが挙げられる。本発明の化合物に含まれるシクロアルキル基は、1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0014】
本明細書において使用される場合、用語「シクロアルケニル」は、環式系中に少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有しかつ3〜20個の炭素原子を有する単環式または多環式、非芳香族炭化水素を意味する。代表的なシクロアルケニルとしては、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプテニル、シクロヘプタジエニル、シクロヘプタトリエニル、シクロオクテニル、シクロオクタジエニル、シクロオクタトリエニル、シクロオクタテトラエニル、シクロノネニル、シクロノナジエニル、シクロデセニル、シクロデカジエニル、1,2,3,4,5,8-ヘキサヒドロナフタレニルなどが挙げられる。本発明の化合物に含まれるシクロアルケニル基は、1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0015】
本明細書において使用される場合、用語「アルキレン」は、2つの結合点を有するアルキル基を指す。用語「(C1-C6)アルキレン」は、1〜6個の炭素原子を有するアルキレン基を指す。直鎖(C1-C6)アルキレン基が好ましい。アルキレン基の非限定的な例としては、メチレン(-CH2-)、エチレン(-CH2CH2-)、n-プロピレン(-CH2CH2CH2-)、イソプロピレン(-CH2CH(CH3)-)などが挙げられる。本発明の化合物に含まれるアルキレン基は、1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0016】
本明細書において使用される場合、用語「低級」は、4個までの原子を有する基を指す。例えば、「低級アルキル」は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を指し、「低級アルコキシ」は「-O-(C1-C4)アルキル」を指し、「低級アルケニル」または「低級アルキニル」は、2〜4個の炭素原子を有するアルケニルまたはアルキニル基を指す。
【0017】
本明細書において使用される場合、用語「ハロアルキル」は、全てを含む1つまたは複数の水素基がハロ基によって置き換えられているアルキル基を意味し、ここで、各ハロ基は、独立して、-F、-Cl、-Br、および-Iより選択される。例えば、用語「ハロメチル」は、1〜3個の水素基がハロ基によって置き換えられているメチルを意味する。代表的なハロアルキル基としては、トリフルオロメチル、ブロモメチル、1,2-ジクロロエチル、4-ヨードブチル、2-フルオロペンチルなどが挙げられる。
【0018】
本明細書において使用される場合、「アルコキシ」は、酸素リンカーを介して別の部分に結合しているアルキル基である。本発明の化合物に含まれるアルコキシ基は、1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0019】
本明細書において使用される場合、「ハロアルコキシ」は、酸素リンカーを介して別の部分に結合しているハロアルキル基である。
【0020】
本明細書において使用される場合、用語「芳香環」または「アリール」は、少なくとも1つの環が芳香族である、6〜15個の炭素原子を含有する、単環式または多環式炭化水素を意味する。適切なアリール基の例としては、フェニル、トリル、アントラセニル、フルオレニル、インデニル、アズレニル、およびナフチル、ならびにベンゾ縮合炭素環式部分、例えば、5,6,7,8-テトラヒドロナフチルが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の化合物に含まれるアリール基は、1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。一態様において、アリール基は、本明細書において「(C6)アリール」と呼ばれる、環が6個の炭素原子を含む単環式環である。
【0021】
本明細書において使用される場合、用語「アラルキル」は、(C1-C6)アルキレン基によって別の基に結合しているアリール基を意味する。代表的なアラルキル基としては、ベンジル、2-フェニル-エチル、ナフト-3-イル-メチルなどが挙げられる。本発明の化合物に含まれるアラルキル基は、1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0022】
本明細書において使用される場合、用語「ヘテロシクリル」は、典型的に5〜20員および少なくとも1つのヘテロ原子を含有する単環式または多環式、飽和または不飽和、非芳香族環または環系を意味する。ヘテロ環式環系は、飽和環または不飽和非芳香環、またはそれらの混合物を含有し得る。3〜10員ヘテロ環は5個までのヘテロ原子を含有し得、7〜20員ヘテロ環は7個までのヘテロ原子を含有し得る。典型的に、ヘテロ環は、少なくとも1つの炭素原子環員を有する。各ヘテロ原子は、独立して、酸化(例えば、N(O))または四級化され得る窒素、酸素、ならびにスルホキシドおよびスルホンを含む硫黄より選択される。ヘテロ環は、ヘテロ原子または炭素原子を介して結合され得る。代表的なヘテロ環としては、モルホリニル、チオモルホリニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリンジニル(pyrindinyl)、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニルなどが挙げられる。ヘテロ原子は、当業者に公知の保護基で置換され得、例えば、窒素原子は、tert-ブトキシカルボニル基で置換され得る。さらに、本発明の化合物に含まれるヘテロシクリルは、1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。このような置換ヘテロ環式基のうちの安定な異性体のみが、この定義において意図される。
【0023】
本明細書において使用される場合、用語「ヘテロ芳香族」、「ヘテロアリール」、または同様の用語は、少なくとも1つの環が芳香族である、少なくとも1つのヘテロ原子を含有する単環式または多環式、不飽和基を意味する。多環式ヘテロアリール環は、少なくとも1つのヘテロ原子を含有しなければならないが、多環式ヘテロアリール部分の全ての環がヘテロ原子を含有しなければならないわけではない。各ヘテロ原子は、独立して、酸化(例えば、N(O))または四級化され得る窒素、酸素、ならびにスルホキシドおよびスルホンを含む硫黄より選択される。代表的なヘテロアリール基としては、ピリジル、1-オキソ-ピリジル、フラニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、ベンゾ[1,4]ジオキシニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、キノリニル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、トリアゾリル、チアジアゾリル、イソキノリニル、インダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾフリル、インドリジニル、イミダゾピリジル、テトラゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、インドリル、テトラヒドロインドリル、アザインドリル、イミダゾピリジル、キナゾリニル、プリニル、ピロロ[2,3]ピリミジニル、ピラゾロ[3,4]ピリミジニル、イミダゾ[1,2-a]ピリジル、およびベンゾチエニルが挙げられる。一態様において、ヘテロ芳香環は、5〜8員単環式ヘテロアリール環より選択される。ヘテロ芳香族またはヘテロアリール環の結合点は、炭素原子またはヘテロ原子のいずれかにおいてであり得る。本発明の化合物に含まれるヘテロアリール基は、1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。本明細書において使用される場合、用語「(C5)ヘテロアリール」は、環の少なくとも1つの炭素原子が、例えば、酸素、硫黄または窒素などのヘテロ原子で置き換えられている、5員のヘテロ芳香環を意味する。代表的な(C5)ヘテロアリールとしては、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピラジニル、トリアゾリル、チアジアゾリルなどが挙げられる。本明細書において使用される場合、用語「(C6)ヘテロアリール」は、環の少なくとも1つの炭素原子が、例えば、酸素、窒素または硫黄などのヘテロ原子で置き換えられている、6員の芳香族ヘテロ環式環を意味する。代表的な(C6)ヘテロアリールとしては、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、テトラジニルなどが挙げられる。
【0024】
本明細書において使用される場合、用語「ヘテロアラルキル」は、(C1-C6)アルキレンによって別の基に結合しているヘテロアリール基を意味する。代表的なヘテロアラルキルとしては、2-(ピリジン-4-イル)-プロピル、2-(チエン-3-イル)-エチル、イミダゾール-4-イル-メチルなどが挙げられる。本発明の化合物に含まれるヘテロアラルキル基は、1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0025】
本明細書において使用される場合、用語「ハロゲン」または「ハロ」は、-F、-Cl、-Brまたは-Iを意味する。
【0026】
本明細書において使用される場合、用語「ヘテロアルキル」は、鎖中の内部炭素原子の1つまたは複数がヘテロ原子によって置き換えられている直鎖または分枝鎖アルキル基を意味する。例えば、ヘテロアルキルは式-[CH2]X-Z-[CH2]y[CH3]によって示され、式中、xは正の整数であり、yはゼロまたは正の整数であり、ZはO、NR、S、S(O)、またはS(O)2であり、炭素原子の置換は不安定な化合物をもたらさない。本発明の化合物に含まれるヘテロアルキル基は、1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0027】
アルキル、アルキレン、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアラルキル基についての適切な置換基としては、本発明の化合物の反応性または生物学的活性に顕著に悪影響を与えることなく本発明の安定な化合物を形成する置換基が挙げられる。アルキル、アルキレン、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアラルキルについての置換基の例としては、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、(これらの各々は、独立して、置換されていてもよい)、-C(O)NR28R29、-C(S)NR28R29、-C(NR32)NR28R29、-NR33C(O)R31、-NR33C(S)R31、-NR33C(NR32)R31、ハロ、-OR33、シアノ、ニトロ、-C(O)R33、-C(S)R33、-C(NR32)R33、-NR28R29、-C(O)OR33、-C(S)OR33、-C(NR32)OR33、-OC(O)R33、-OC(S)R33、-OC(NR32)R33、-NR30C(O)NR28R29、-NR33C(S)NR28R29、-NR33C(NR32)NR28R29、-OC(O)NR28R29、-OC(S)NR28R29、-OC(NR32)NR28R29、-NR33C(O)OR31、-NR33C(S)OR31、-NR33C(NR32)OR31、-S(O)pR33、-OS(O)pR33、-NR33S(O)pR33、-S(O)pNR28R29、-OS(O)pNR28R29、-NR33S(O)pNR28R29、グアニジノ、-C(O)SR31、-C(S)SR31、-C(NR32)SR31、-OC(O)OR31、-OC(S)OR31、-OC(NR32)OR31、-SC(O)R33、-SC(O)OR31、-SC(NR32)OR31、-SC(S)R33、-SC(S)OR31、-SC(O)NR28R29、-SC(NR32)NR28R29、-SC(S)NR28R29、-SC(NR32)R33、-OS(O)pOR31、-S(O)pOR31、-NR30S(O)pOR31、-SS(O)pR33、-SS(O)pOR31、-SS(O)pNR28R29、-OP(O)(OR31)2、または-SP(O)(OR31)2が挙げられる。さらに、アルキル、シクロアルキル、アルキレン、ヘテロシクリル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アラルキルおよびヘテロアラルキル基の任意の飽和部分はまた、=O、=S、または=N-R32で置換されていてもよい。
【0028】
各R28およびR29は、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、またはヘテロアラルキルであり、ここで、R28またはR29によって示される各アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、またはヘテロアルキルは、独立して、置換されていてもよい。
【0029】
各R31およびR33は、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、またはヘテロアラルキルであり、ここで、R31またはR33によって示される各アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、およびヘテロアラルキルは、独立して、非置換であってもよい。
【0030】
各R32は、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、-C(O)R33、-C(O)NR28R29、-S(O)pR33、または-S(O)pNR28R29であり、ここで、R32によって示される各アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキルおよびヘテロアラルキルは、独立して、置換されていてもよい。
【0031】
変数pは、0、1または2である。
【0032】
ヘテロシクリル、ヘテロアリールまたはヘテロアラルキル基が窒素原子を含有する場合、それは置換されていても非置換であってもよい。ヘテロアリール基の芳香環中の窒素原子が置換基を有する場合、窒素は、酸化されていても第4級窒素であってもよい。
【0033】
本明細書において使用される場合、用語「対象」、「患者」および「哺乳動物」は、交換可能に使用される。用語「対象」および「患者」は、動物(例えば、鳥、例えば、ニワトリ、ウズラまたはシチメンチョウ、または哺乳動物)、好ましくは非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ウサギ、モルモット、ラット、ネコ、イヌ、およびマウス)および霊長類(例えば、サル、チンパンジーおよびヒト)を含む哺乳動物、より好ましくはヒトを指す。一態様において、対象は、非ヒト動物、例えば、家畜(例えば、ウマ、ウシ、ブタまたはヒツジ)、またはペット(例えば、イヌ、ネコ、モルモットまたはウサギ)である。好ましい態様において、対象はヒトである。
【0034】
本明細書において使用される場合、用語「本発明の化合物」および同様の用語は、式(I)〜(III)もしくは(Ia)〜(IIIa)のいずれか1つの化合物または表1もしくは表2中の化合物またはその薬学的に許容される塩を指す。
【0035】
開示の方法のいくつかは、がんが「薬剤耐性」または「多剤耐性」となった対象の治療に特に有効であり得る。抗がん剤に対して最初は反応したがんは、がんを有する対象の治療に抗がん剤がもはや有効でない場合、抗がん剤に対して耐性となっている。例えば、多くの腫瘍は、サイズの減少によってまたは寛解にすら入ることによって抗がん剤での治療に最初は反応するが、結局、薬剤に対して耐性を示す結果となる。「薬剤耐性」腫瘍は、増加した投薬量の抗がん剤の投与にもかかわらず、寛解へ外見上は向かった後のそれらの増殖の回復および/または再発を特徴とする。2つ以上の抗がん剤に対して耐性を示したがんは、「多剤耐性」であると言われる。例えば、がんが、3つ以上の抗がん剤、しばしば5つ以上の抗がん剤、時には10以上の抗がん剤に対して耐性となることは一般的である。
【0036】
本明細書において使用される場合、用語「薬学的に許容される塩」は、カルボン酸官能基などの酸性官能基を有する式(I)〜(III)もしくは(Ia)〜(IIIa)のいずれか1つの化合物または表1もしくは表2中の化合物と、薬学的に許容される無機または有機塩基とから作製される塩を指す。適切な塩基としては、ナトリウム、カリウムおよびリチウムなどのアルカリ金属の水酸化物;カルシウムおよびマグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;アルミニウムおよび亜鉛などの他の金属の水酸化物;アンモニア、および有機アミン、例えば、非置換のまたはヒドロキシ置換されたモノ-、ジ-、もしくはトリアルキルアミン;ジシクロヘキシルアミン;トリブチルアミン;ピリジン;N-メチル,N-エチルアミン;ジエチルアミン;トリエチルアミン;モノ-、ビス-、もしくはトリス-(2-ヒドロキシ-低級アルキルアミン)、例えば、モノ-、ビス-、もしくはトリス-(2-ヒドロキシエチル)アミン、2-ヒドロキシ-tert-ブチルアミン、またはトリス-(ヒドロキシメチル)メチルアミン、N,N,-ジ-低級アルキル-N-(ヒドロキシ低級アルキル)-アミン、例えば、N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アミン、またはトリ-(2-ヒドロキシエチル)アミン;N-メチル-D-グルカミン;およびアミノ酸、例えば、アルギニン、リジンなどが挙げられるが、これらに限定されない。用語「薬学的に許容される塩」はまた、アミン官能基などの塩基性官能基を有する式(I)〜(III)もしくは(Ia)〜(IIIa)のいずれか1つの化合物または表1もしくは表2中の化合物と、薬学的に許容される無機または有機酸とから作製される塩を指す。適切な酸としては、硫酸水素塩、クエン酸、酢酸、シュウ酸、塩酸(HCl)、臭化水素(HBr)、ヨウ化水素(HI)、硝酸、二硫化水素、リン酸、イソニコチン酸、オレイン酸、タンニン酸、パントテン酸、糖酸、乳酸、サリチル酸、酒石酸、酒石酸水素酸(bitartratic acid)、アスコルビン酸、コハク酸、マレイン酸、ベシル酸、フマル酸、グルコン酸、グルカロン酸(glucaronic acid)、ギ酸、安息香酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パモ酸およびp-トルエンスルホン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
薬学的に許容される担体は、化合物の生物学的活性を過度に阻害しない不活性成分を含有し得る。薬学的に許容される担体は、生体適合性であるべきであり、即ち、非毒性、非炎症性、非免疫原性であるべきであり、かつ、対象への投与時に他の望ましくない反応を欠くべきである。REMINGTON, J. P., REMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES (Mack Pub. Co., 17th ed., 1985)に記載されるものなどの、標準的な医薬品処方技術が用いられ得る。非経口投与について適切な薬学的担体としては、例えば、滅菌水、生理食塩水、静菌性食塩水(約0.9% mg/mlベンジルアルコールを含有する食塩水)、リン酸緩衝食塩水、ハンクス液、乳酸リンゲル液(Ringer's-lactate)などが挙げられる。硬質ゼラチンまたはシクロデキストランのコーティングなどにおいて、組成物をカプセル化するための方法は、当技術分野において公知である。BAKER, ET AL., CONTROLLED RELEASE OF BIOLOGICAL ACTIVE AGENTS, (John Wiley and Sons, 1986)を参照のこと。
【0038】
本明細書において使用される場合、用語「有効量」は、疾患または障害の重篤度、持続、進行または発症を減らすかまたは改善し、疾患または障害の発症を遅らせ、疾患または障害の進行を遅らせるかまたは停止させ、疾患または障害の退縮を引き起こし、疾患または障害に関連する症状の再発、発生、発症または進行を予防するかまたは遅らせ、または別の療法の治療効果を増強または改善するために十分である本発明の化合物の量を指す。対象へ投与される化合物の正確な量は、投与様式、疾患または状態のタイプおよび重篤度、ならびに対象の特徴、例えば、全体的な健康、年齢、性別、体重および薬物に対する耐性に依存する。例えば、増殖性疾患または障害について、有効量の決定はまた、細胞増殖の程度、重篤度およびタイプに依存する。当業者は、これらおよび他の因子に応じて適切な投薬量を決定することができる。他の治療剤と共に同時投与される場合、例えば、抗がん剤と共に同時投与される場合、追加の治療剤の「有効量」は、使用される薬物のタイプに依存する。適切な投薬量は、認可された治療剤について公知であり、対象の状態、治療される状態のタイプ、および使用される本発明の化合物の量に応じて、当業者によって調節され得る。量が明確に記載されていない場合、有効量は仮定されるべきである。本発明の化合物の有効量の非限定的な例をここで下記に提供する。特定の態様において、本発明は、NSCLC、結腸癌または赤白血病、またはその1つまたは複数の症状を治療、管理、または改善する方法を提供し、該方法は、本発明の1つまたは複数の化合物の少なくとも150μg/kg、少なくとも250μg/kg、少なくとも500μg/kg、少なくとも1 mg/kg、少なくとも5 mg/kg、少なくとも10 mg/kg、少なくとも25 mg/kg、少なくとも50 mg/kg、少なくとも75 mg/kg、少なくとも100 mg/kg、少なくとも125 mg/kg、少なくとも150 mg/kg、または少なくとも200 mg/kgまたはそれ以上の用量を、1日1日、2日毎に1回、3日毎に1回、4日毎に1回、5日毎に1回、6日毎に1回、7日毎に1回、8日毎に1回、10日毎に1回、2週毎に1回、3週毎に1回、または月1回、その必要がある対象へ投与する工程を含む。日用量は単回用の部分で投与され得る。あるいは、日用量は、1日当たり2回、3回、4回またはそれ以上で投与される部分(典型的に等しい部分)に分割され得る。
【0039】
肺癌(例えば、NSCLC)、結腸癌または赤白血病、またはその1つまたは複数の症状を治療、管理、または改善するために使用されていたかまたは現在使用されている、本発明の化合物以外の治療剤の投薬量が、本発明の併用療法において使用され得る。好ましくは、前記併用療法において使用される各個々の治療剤の投薬量は、疾患または障害、またはその1つまたは複数の症状を治療、管理、または改善するために独立して提供される場合の個々の治療剤の用量よりも少ない。疾患または障害、またはその1つまたは複数の症状の治療、管理、または改善のために現在使用される治療剤の推奨される投薬量は、当技術分野における任意の参考文献から得ることができる。例えば、GOODMAN & GILMAN'S THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF BASIS OF THERAPEUTICS 9TH ED, (Hardman, et al, Eds., NY:Mc-Graw-Hill (1996)); PHYSICIAN'S DESK REFERENCE 57TH ED. (Medical Economics Co., Inc., Montvale, NJ (2003))を参照のこと。
【0040】
本明細書において使用される場合、用語「治療する」、「治療」および「治療すること」は、1つまたは複数の療法(例えば、1つまたは複数の治療剤、例えば、本発明の化合物)の投与から生じる、疾患または障害の進行、重篤度および/または持続の減少または改善、疾患または障害の発症の遅延、または疾患または障害の1つまたは複数の症状(好ましくは、1つまたは複数の識別可能な症状)の改善を指す。用語「治療する」、「治療」および「治療すること」はまた、疾患または障害を発症する危険性の減少、および疾患または障害の再発の遅延または抑制を包含する。特定の態様において、用語「治療する」、「治療」および「治療すること」は、患者によって必ずしも識別可能でない、腫瘍の成長などの、疾患または障害の少なくとも1つの測定可能な物理的パラメータの改善を指す。他の態様において、用語「治療する」、「治療」および「治療すること」は、物理的には識別可能な症状の安定化による、生理的には物理的パラメータの安定化による、または両方による、疾患または障害、例えば、肺癌(例えば、NSCLC)、結腸癌または赤白血病の進行の抑制を指す。別の態様において、増殖性疾患または障害の用語「治療する」、「治療」および「治療すること」は、腫瘍サイズまたはがん細胞カウントの減少または安定化、および/または腫瘍形成の遅延を指す。
【0041】
本明細書において使用される場合、用語「治療剤(therapeutic agent)」および「治療剤(therapeutic agents)」は、疾患または障害、例えば、肺癌(例えば、NSCLC)、結腸癌または赤白血病、またはその1つまたは複数の症状の治療において使用され得る任意の薬剤を指す。ある態様において、用語「治療剤」は本発明の化合物を指す。ある他の態様において、用語「治療剤」は本発明の化合物を指さない。好ましくは、治療剤は、疾患または障害、例えば、肺癌(例えば、NSCLC)、結腸癌または赤白血病、またはその1つまたは複数の症状の治療のために、有用であることが公知であるか、または使用されていたかまたは現在使用されている薬剤である。
【0042】
本明細書において使用される場合、用語「相乗的」は、一緒に与えた場合、個々の療法の相加効果よりも有効である、本発明の化合物と別の治療剤との組み合わせを指す。療法の組み合わせ(例えば、治療剤の組み合わせ)の相乗効果は、1つまたは複数の治療剤のより少ない投薬量の使用および/または疾患または障害、例えば、肺癌(例えば、NSCLC)、結腸癌または赤白血病を有する対象への該薬剤のより頻繁でない投与を可能にする。1つまたは複数の治療剤のより少ない投薬量を利用するおよび/または該治療剤をより少ない頻度で投与する能力は、疾患または障害の治療における該療法の効能を低下させることなく、対象への該薬剤の投与に関連する毒性を低下させる。さらに、相乗効果は、疾患または障害、例えば、肺癌(例えば、NSCLC)、結腸癌または赤白血病の予防、管理または治療において、薬剤の改善された効能をもたらし得る。最後に、療法の組み合わせの相乗効果は、いずれかの治療剤単独の使用に関連する有害なまたは望ましくない副作用を回避するかまたは減少させ得る。
【0043】
本明細書において使用される場合、用語「組み合わせて」は、1つを超える治療剤の使用を指す。用語「組み合わせて」の使用は、該治療剤が肺癌(例えば、NSCLC)、結腸癌または赤白血病を有する対象へ投与される順序を限定しない。本発明の化合物などの第1治療剤は、肺癌(例えば、NSCLC)、結腸癌または赤白血病を有する対象へ、抗がん剤などの第2治療剤の投与の前に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週、2週、3週、4週、5週、6週、8週、または12週前に)、と同時に、または後に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週、2週、3週、4週、5週、6週、8週、または12週後に)投与され得る。
【0044】
本明細書において使用される場合、用語「療法(therapies)」および「療法(therapy)」は、肺癌(例えば、NSCLC)、結腸癌または赤白血病の予防、治療、管理、または改善において使用され得る任意のプロトコル、方法、および/または薬剤を指し得る。
【0045】
本明細書において使用される場合、「プロトコル」は、投薬スケジュールおよび投薬レジメンを含む。本明細書におけるプロトコルは、使用の方法であり、治療プロトコルを含む。
【0046】
本明細書において使用される場合、化合物を「実質的に」含む組成物は、組成物が、約80重量%を超える、より好ましくは約90重量%を超える、さらにより好ましくは約95重量%を超える、最も好ましくは約97重量%を超える化合物を含有することを意味する。
【0047】
本発明の化合物は、それらの化学構造および/または化学名によって本明細書において定義される。化合物が化学構造および化学名の両方によって言及され、化学構造および化学名が矛盾する場合、化学構造が、化合物のアイデンティティーを決定する。
【0048】
安定な構造を生じさせる置換基の選択および組み合わせのみが意図される。このような選択および組み合わせは、当業者に明らかであり、過度の実験なしで決定され得る。
【0049】
本発明は、本発明の非限定的な態様を例示するように意図される、下記の詳細な説明および例示的な実施例を参照することによってより完全に理解され得る。
【0050】
タキサンは、本明細書に定義される任意のタキサンであり得る。特定の態様において、タキサンは、約94μmol/m2(80 mg/m2)の週用量で静脈内投与されるパクリタキセルである。
【0051】
開示の発明において用いられるタキサンとしては、パクリタキセル(例えば、タキソール(Taxol)(登録商標))およびパクリタキセルアナログが挙げられる。パクリタキセルは、微小管形成を増強し安定させることによって作用し得る、周知の抗がん剤である。従って、用語「パクリタキセルアナログ」は、基本パクリタキセル骨格を有しかつ微小管形成を安定させる化合物を意味するように本明細書において定義される。「タキソテール(Taxotere)(登録商標)」とも呼ばれる、ドセタキセルを含む、パクリタキセルの多くのアナログが公知である。パクリタキセルおよびドセタキセルはそれぞれの構造式を有する。
【0052】
開示の発明に用いられるタキサンは、構造式Aで下記に示される共通の構造特徴としての基本タキサン骨格を有する:
二重結合は、構造式Aによって示されるタキサン骨格中のシクロヘキサン環から省略されている。基本タキサン骨格は、下記のパクリタキセルアナログならびに構造式BおよびCに示されるように、一方または両方のシクロヘキサン環中に0または1つの二重結合を含み得ることが理解される。パクリタキセルアナログ内で構造変化が一般的に起こる部位を示すために、多数の原子がまた構造式Aから省略されている。
【0053】
広範囲の置換基が、生物学的活性に悪影響を与えることなく、タキサン骨格を修飾し得る。また、パクリタキセルアナログのシクロヘキサン環の0個、1個または両方が、示される位置で二重結合を有し得る。例えば、単に酸素原子でのタキサン骨格での置換は、ヒドロキシル、アシル、アルコキシ、または他の酸素含有置換基がその部位で一般的に見られることを示す。タキサン骨格上でのこれらおよび他の置換が、微小管形成を増強し安定させる能力を失わせることなく、行われ得ることが理解される。従って、用語「パクリタキセルアナログ」は、基本パクリタキセル骨格を有しかつ微小管形成を安定させる化合物を意味するように本明細書において定義される。用語タキサンは、パクリタキセルおよび本明細書に記載のパクリタキセルアナログ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物などの化合物を含むように、本明細書において定義される。
【0054】
典型的に、開示の発明において用いられるタキサンは、構造式BまたはCによって示される:
R10は、置換されていてもよい低級アルキル基、置換されていてもよいフェニル基、-SR19、-NHR19または-OR19である。
R11は、置換されていてもよい低級アルキル基、置換されていてもよいアリール基である。
R12は、-H、-OH、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルコキシ、置換低級アルコキシ、-O-C(O)-(低級アルキル)、-O-C(O)-(置換低級アルキル)、-O-CH2-O-(低級アルキル) -S-CH2-O-(低級アルキル)である。
R13は、-H、-CH3であるか、または、R14と一緒になって、-CH2-である。
R14は、-H、-OH、低級アルコキシ、-O-C(O)-(低級アルキル)、置換低級アルコキシ、-O-C(O)-(置換低級アルキル)、-O-CH2-O-P(O)(OH)2、-O-CH2-O-(低級アルキル)、-O-CH2-S-(低級アルキル)であるか、または、R20と一緒になって、二重結合である。
R15は、-H、低級アシル、低級アルキル、置換低級アルキル、アルコキシメチル、アルキルチオメチル、-C(O)-O(低級アルキル)、-C(O)-O(置換低級アルキル)、-C(O)-NH(低級アルキル)または-C(O)-NH(置換低級アルキル)である。
R16は、フェニルまたは置換フェニルである。
R17は、-H、低級アシル、置換低級アシル、低級アルキル、置換低級アルキル、(低級アルコキシ)メチルまたは(低級アルキル)チオメチルである。
R18は、-H、-CH3であるか、または、R17とR17およびR18が結合している炭素原子と一緒になって、5または6員の非芳香族ヘテロ環式環である。
R19は、置換されていてもよい低級アルキル基、置換されていてもよいフェニル基である。
R20は、-Hまたはハロゲンである。
R21は、-H、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アシルまたは置換低級アシルである。
【0055】
好ましくは、構造式BおよびC中の変数は、下記の通り定義される:R10は、フェニル、tert-ブトキシ、-S-CH2-CH-(CH3)2、-S-CH(CH3)3、-S-(CH2)3CH3、-O-CH(CH3)3、-NH-CH(CH3)3、-CH=C(CH3)2またはパラクロロフェニルであり;R11は、フェニル、(CH3)2CHCH2-、-2-フラニル、シクロプロピルまたはパラトルイルであり;R12は、-H、-OH、CH3CO-または-(CH2)2-N-モルホリノであり;R13はメチルであるか、または、R13およびR14は、一緒になって、-CH2-であり;
R14は、-H、-CH2SCH3または-CH2-O-P(O)(OH)2であり;
R15は、CH3CO-であり;
R16はフェニルであり;R17は-Hであるか、または、R17およびR18は、一緒になって、-O-CO-O-であり;
R18は-Hであり;R20は-Hまたは-Fであり;かつR21は、-H、-C(O)-CHBr-(CH2)13-CH3または-C(O)-(CH2)14-CH3;-C(O)-CH2-CH(OH)-COOH、-C(O)-CH2-O-C(O)-CH2CH(NH2)-CONH2、-C(O)-CH2-O--CH2CH2OCH3または-C(O)-O-C(O)-CH2CH3である。
【0056】
パクリタキセルアナログの具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
【0057】
パクリタキセルアナログはまた、ポリアクリルアミドなどの薬学的に許容されるポリマーへと結合されていてもよく、または該ポリマーから張り出していてもよい。このタイプのポリマーの一例は、下記のパクリタキセルアナログ22であり、これは、ポリマー骨格から張り出しているタキソールアナログ基を含むポリマーの構造を有する。ポリマーは、示される3つのモノマー単位のターポリマーである。用語「パクリタキセルアナログ」は、本明細書において使用される場合、このようなポリマーを含む。
【0058】
本発明は、式(I)〜(III)もしくは(Ia)〜(IIIa)のいずれか1つを有する化合物ならびに表1および2に記載のものならびにその互変異性体または薬学的に許容される塩を包含する。
【0059】
本発明はまた、式(I)または(Ia)によって示される化合物またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩を利用する:
式中、
X41は、O、S、またはNR42であり;
X42は、CR44またはNであり;
Y40は、NまたはCR43であり;
Y41は、NまたはCR45であり;
Y42は、それぞれの場合で、独立してN、CまたはCR46であり;
Zは、OH、SH、またはNHR7であり;
R41は、-H、-OH、-SH、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいシクロアルケニル、置換されていてもよいヘテロシクリル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアラルキル、ハロ、シアノ、ニトロ、グアニジノ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシまたはシクロアルコキシ、ハロアルコキシ、-NR10R11、-OR7、-C(O)R7、-C(O)OR7、-C(S)R7、-C(O)SR7、-C(S)SR7、-C(S)OR7、-C(S)NR10R11、-C(NR8)OR7、-C(NR8)R7、-C(NR8)NR10R11、-C(NR8)SR7、-OC(O)R7、-OC(O)OR7、-OC(S)OR7、-OC(NR8)OR7、-SC(O)R7、-SC(O)OR7、-SC(NR8)OR7、-OC(S)R7、-SC(S)R7、-SC(S)OR7、-OC(O)NR10R11、-OC(S)NR10R11、-OC(NR8)NR10R11、-SC(O)NR10R11、-SC(NR8)NR10R11、-SC(S)NR10R11、-OC(NR8)R7、-SC(NR8)R7、-C(O)NR10R11、-NR8C(O)R7、-NR7C(S)R7、-NR7C(S)OR7、-NR7C(NR8)R7、-NR7C(O)OR7、-NR7C(NR8)OR7、-NR7C(O)NR10R11、-NR7C(S)NR10R11、-NR7C(NR8)NR10R11、-SR7、-S(O)pR7、-OS(O)pR7、-OS(O)pOR7、-OS(O)pNR10R11、-S(O)pOR7、-NR8S(O)pR7、-NR7S(O)pNR10R11、-NR7S(O)pOR7、-S(O)pNR10R11、-SS(O)pR7、-SS(O)pOR7、-SS(O)pNR10R11、-OP(O)(OR7)2、または-SP(O)(OR7)2であり;
R42は、-H、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいシクロアルケニル、置換されていてもよいヘテロシクリル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアラルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、-C(O)R7、-(CH2)mC(O)OR7、-C(O)OR7、-OC(O)R7、-C(O)NR10R11、-S(O)pR7、-S(O)pOR7、または-S(O)pNR10R11であり;
R43およびR44は、独立して、-H、-OH、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいシクロアルケニル、置換されていてもよいヘテロシクリル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアラルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、ハロ、シアノ、ニトロ、グアニジノ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、-C(O)R7、-C(O)OR7、-OC(O)R7、-C(O)NR10R11、-NR8C(O)R7、-SR7、-S(O)pR7、-OS(O)pR7、-S(O)pOR7、-NR8S(O)pR7、-S(O)pNR10R11であるか、またはR43およびR44は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、置換されていてもよいシクロアルケニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロシクリル、または置換されていてもよいヘテロアリールを形成し;
R45は、-H、-OH、-SH、-NR7H、-OR26、-SR26、-NHR26、-O(CH2)mOH、-O(CH2)mSH、-O(CH2)mNR7H、-S(CH2)mOH、-S(CH2)mSH、-S(CH2)mNR7H、-OC(O)NR10R11、-SC(O)NR10R11、-NR7C(O)NR10R11、-OC(O)R7、-SC(O)R7、-NR7C(O)R7、-OC(O)OR7、-SC(O)OR7、-NR7C(O)OR7、-OCH2C(O)R7、-SCH2C(O)R7、-NR7CH2C(O)R7、-OCH2C(O)OR7、-SCH2C(O)OR7、-NR7CH2C(O)OR7、-OCH2C(O)NR10R11、-SCH2C(O)NR10R11、-NR7CH2C(O)NR10R11、-OS(O)pR7、-SS(O)pR7、-NR7S(O)pR7、-OS(O)pNR10R11、-SS(O)pNR10R11、-NR7S(O)pNR10R11、-OS(O)pOR7、-SS(O)pOR7、-NR7S(O)pOR7、-OC(S)R7、-SC(S)R7、-NR7C(S)R7、-OC(S)OR7、-SC(S)OR7、-NR7C(S)OR7、-OC(S)NR10R11、-SC(S)NR10R11、-NR7C(S)NR10R11、-OC(NR8)R7、-SC(NR8)R7、-NR7C(NR8)R7、-OC(NR8)OR7、-SC(NR8)OR7、-NR7C(NR8)OR7、-OC(NR8)NR10R11、-SC(NR8)NR10R11、または-NR7C(NR8)NR10R11であり;
R46は、それぞれの場合で、独立して、H、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいシクロアルケニル、置換されていてもよいヘテロシクリル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアラルキル、ハロ、シアノ、ニトロ、グアニジノ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、-NR10R11、-OR7、-C(O)R7、-C(O)OR7、-OC(O)R7、-C(O)NR10R11、-NR8C(O)R7、-SR7、-S(O)pR7、-OS(O)pR7、-S(O)pOR7、-NR8S(O)pR7、または-S(O)pNR10R11からなる群より選択され;
R7およびR8は、それぞれの場合で、独立して、-H、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいシクロアルケニル、置換されていてもよいヘテロシクリル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアラルキル、または置換されていてもよいヘテロアラルキルであり;
R10およびR11は、それぞれの場合で、独立して、-H、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいシクロアルケニル、置換されていてもよいヘテロシクリル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアラルキル、または置換されていてもよいヘテロアラルキルであるか;またはR10およびR11は、それらが結合している窒素と一緒になって、置換されていてもよいヘテロシクリルまたは置換されていてもよいヘテロアリールを形成し;
R26は、低級アルキルであり;
pは、それぞれの場合で、独立して、1または2であり;かつ
mは、それぞれの場合で、独立して、1、2、3、または4である。
【0060】
一態様において、式(I)または(Ia)において、X41はNR42であり、X42はCR44である。
【0061】
別の態様において、式(I)または(Ia)において、X41はNR42であり、X42はNである。
【0062】
別の態様において、式(I)または(Ia)において、R41は、-H、低級アルキル、低級アルコキシ、低級シクロアルキル、および低級シクロアルコキシからなる群より選択される。
【0063】
別の態様において、式(I)または(Ia)において、R41は、-H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、およびシクロプロポキシからなる群より選択される。
【0064】
別の態様において、式(I)または(Ia)において、X41はNR42であり、R42は、-H、低級アルキル、低級シクロアルキル、-C(O)N(R27)2、および-C(O)OHからなる群より選択され、R27は-Hまたは低級アルキルである。
【0065】
別の態様において、式(I)または(Ia)において、X41はNR42であり、R42は、-H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、-C(O)OH、-(CH2)mC(O)OH、-CH2OCH3、-CH2CH2OCH3、および-C(O)N(CH3)2からなる群より選択される。
【0066】
一態様において、Y40はCR43である。好ましくは、Y40はCR43であり、R43はHまたは低級アルキルである。
【0067】
別の態様において、式(I)または(Ia)において、R43およびR44は、独立して、-H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルまたはシクロプロピルからなる群より選択される。
【0068】
別の態様において、式(I)または(Ia)において、X42はCR44であり;YはCR43であり;R43およびR44は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリール環を形成する。この態様の一局面において、R43およびR44は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C5-C8シクロアルケニルまたはC5-C8アリールを形成する。
【0069】
別の態様において、式(I)または(Ia)において、R45は、-H、-OH、-SH、-NH2、低級アルコキシおよび低級アルキルアミノからなる群より選択される。
【0070】
別の態様において、式(I)または(Ia)において、R45は、-H、-OH、メトキシおよびエトキシからなる群より選択される。
【0071】
別の態様において、式(I)または(Ia)において、X41はOである。
【0072】
別の態様において、化合物は、以下からなる群より選択される:
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(2-メチル-7-メトキシ-ベンゾフラン-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(ベンゾフラン-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(2-メチル-1,3-ベンゾオキサジ-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【0073】
別の態様において、式(I)または(Ia)において、Zは-OHである。
【0074】
別の態様において、化合物は、以下からなる群より選択される:
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1,3-ジメチル-インドール-5-イル)-5-ヒドロキシ-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(1,3-ジメチル-インドール-5-イル)-5-ヒドロキシ-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(1-メチル-インドール-5-イル)-5-ヒドロキシ-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(1-イソプロピル-インドール-4-イル)-5-ヒドロキシ-[1,2,4]トリアゾール、またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【0075】
別の態様において、Zは-SHである。
【0076】
別の態様において、化合物は、以下からなる群より選択される:
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(1-メチル-インダゾール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(1-メチル-インダゾール-6-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【0077】
本発明はまた、式(II)または(IIa)によって示される化合物またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩を利用する:
式中、
Z1は、-OHまたは-SHであり;かつ
X42、R41、R42、R43、およびR45は、上記のように定義される。
【0078】
一態様において、式(II)または(IIa)において、Z1は-OHである。
【0079】
別の態様において、式(II)または(IIa)において、Z1は-SHである。
【0080】
別の態様において、式(II)または(IIa)において、R41は、-H、低級アルキル、低級アルコキシ、低級シクロアルキル、および低級シクロアルコキシからなる群より選択される。
【0081】
別の態様において、式(II)または(IIa)において、R41は、-H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、およびシクロプロポキシからなる群より選択される。
【0082】
別の態様において、式(II)または(IIa)において、R42は、低級アルキル、低級シクロアルキル、-C(O)N(R27)2、または-C(O)OHからなる群より選択され、R27は-Hまたは低級アルキルである。
【0083】
別の態様において、式(II)または(IIa)において、R42は、-H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、-C(O)OH、-(CH2)mC(O)OH、-CH2OCH3、-CH2CH2OCH3、および-C(O)N(CH3)2からなる群より選択される。
【0084】
別の態様において、R43はHまたは低級アルキルである。
【0085】
別の態様において、式(II)または(IIa)において、X42はCR44であり、R43およびR44は、独立して、-H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、およびシクロプロピルからなる群より選択される。
【0086】
別の態様において、式(II)または(IIa)において、X42はCR44であり、R43およびR44は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリール環を形成する。好ましくは、この態様において、R43およびR44は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C5-C8シクロアルケニルまたはC5-C8アリールを形成する。
【0087】
別の態様において、式(II)または(IIa)において、R45は、-H、-OH、-SH、-NH2、低級アルコキシおよび低級アルキルアミノからなる群より選択される。
【0088】
別の態様において、式(II)または(IIa)において、R45は、-H、-OH、メトキシ、およびエトキシからなる群より選択される。
【0089】
別の態様において、式(II)または(IIa)において、X43はCR44である。
【0090】
別の態様において、化合物は、以下からなる群より選択される:
3-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4-(1-エチル-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4-(1-イソプロピル-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4-(インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4-(1-メトキシエチル-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-イソプロピル-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4-(1-ジメチルカルバモイル-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-1-プロピル-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1,2,3-トリメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(2,3-ジメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-アセチル-2,3-ジメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-イソプロピル-7-メトキシ-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-プロピル-2,3-ジメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(N-メチル-テトラヒドロカルボゾール(carbozol)-7-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(N-メチル-シクロノナン[a]インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-n-ブチル-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-n-ペンチル-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-n-ヘキシル-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-シクロプロピル-フェニル)-4-(1-(1-メチルシクロプロピル)-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-シクロプロピル-フェニル)-4-(1-イソプロピル-7-メトキシ-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-シクロプロピル-フェニル)-4-(1,2,3-トリメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-イソプロピル-7-メトキシ-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール二ナトリウム塩、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-tert-ブチル-フェニル)-4-(1-イソプロピル-7-メトキシ-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-シクロプロピル-フェニル)-4-(1-プロピル-7-メトキシ-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-メチル-3-エチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1,3-ジメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(1-イソプロピル-7-メトキシ-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-メチル-3-イソプロピル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(N-エチル-カルボゾール-7-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-イソプロピル-7-ヒドロキシ-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-イソプロピル-7-エトキシ-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1,2-ジメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(N-メチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(1,3-ジメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-シクロプロピル-フェニル)-4-(1,3-ジメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-シクロプロピル-フェニル)-4-(1-メチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(1H-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1,2-ジメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(1-エチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(1-プロピル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【0091】
別の態様において、式(II)または(IIa)において、X42はNである。
【0092】
別の態様において、化合物は、以下からなる群より選択される:
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-エチル-ベンゾイミダゾール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-エチル-ベンゾイミダゾール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾールHCL塩、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(2-メチル-3-エチル-ベンゾイミダゾール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-エチル-2-メチル-ベンゾイミダゾール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(1-メチル-2-トリフルオロメチル-ベンゾイミダゾール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【0093】
本発明はまた、式(III)または(IIIa)を有する化合物またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩を利用する:
式中、
X45は、CR54またはNであり;
Z1は、-OHまたは-SHであり;
R52は、-H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、-(CH2)2OCH3、-CH2C(O)OH、および-C(O)N(CH3)2からなる群より選択され;
R53およびR54は、各々、独立して、-H、メチル、エチル、またはイソプロピルであるか;またはR53およびR54は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、フェニル、シクロヘキセニル、またはシクロオクテニル環を形成し;
R55は、-H、-OH、-OCH3、および-OCH2CH3からなる群より選択され;
R56は、-H、メチル、エチル、イソプロピル、およびシクロプロピルからなる群より選択される。
【0094】
一態様において、式(III)または(IIIa)において、Z1は-OHである。
【0095】
別の態様において、式(III)または(IIIa)において、Z1は-SHである。
【0096】
別の態様において、式(III)または(IIIa)において、R53はHまたは低級アルキルである。
【0097】
別の態様において、式(III)または(IIIa)において、X45はCR54である。好ましくは、R54はHまたは低級アルキルである。
【0098】
別の態様において、X45はNである。
【0099】
別の態様において、化合物は、3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(N-メチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩である。
【0100】
i)例示的な本発明の化合物
互変異性体または薬学的に許容される塩を含む、例示的な本発明の化合物を下記の表1に示す。
【0101】
(表1)
【0102】
(表2)式(Ia)に従う化合物
【0103】
開示の方法において使用される化合物は、米国出願第2006-0167070号およびWO2009/023211に開示の方法に従って作製され得、これらの全教示は参照により本明細書に組み入れられる。
【0104】
本発明の化合物は、典型的に、下記に示されるように、また表1および2に示される互変異性構造によって例示されるように、互変異性構造を形成し得る。
【0105】
本発明はまた、肺癌(例えば、NSCLC)、結腸癌または赤白血病、またはその1つまたは複数の症状を治療、管理、または改善する方法を提供し、該方法は、1つまたは複数の本発明の化合物および1つまたは複数の他の療法(例えば、肺癌(例えば、NSCLC)、結腸癌または赤白血病、または、肺癌(例えば、NSCLC)、結腸癌または赤白血病に関連する1つまたは複数の症状の治療または改善における使用について、現在使用されているか、使用されていたか、有用であることが公知であるかまたは開発中である、1つまたは複数の治療剤)を、その必要がある対象へ投与する工程を含む。
【0106】
本発明の併用療法の治療剤は、連続してまたは同時に投与され得る。特定の態様において、本発明の併用療法は、1つまたは複数の化合物、および該化合物と同一の作用機構を有する少なくとも1つの他の療法を含む。別の特定の態様において、本発明の併用療法は、1つまたは複数の本発明の化合物、および該化合物と異なる作用機構を有する少なくとも1つの他の療法を含む。ある態様において、本発明の併用療法は、化合物と一緒に相加または相乗効果を有するように機能することによって、1つまたは複数の本発明の化合物の治療効果を改善する。ある態様において、本発明の併用療法は、療法に関連する副作用を減らす。ある態様において、本発明の併用療法は、1つまたは複数の療法の有効投薬量を減らす。
【0107】
併用療法の治療剤は、同一の薬学的組成物で、対象、好ましくはヒト対象へ投与され得る。代替の態様において、併用療法の治療剤は、別個の薬学的組成物で、対象へ同時に投与され得る。治療剤は、同一のまたは異なる投与経路によって対象へ投与され得る。特定の態様において、1つまたは複数の本発明の化合物を含む薬学的組成物は、増殖性障害、例えばがん、またはその1つまたは複数の症状を予防、治療、管理、または改善するために、対象、好ましくはヒトへ投与される。本発明によれば、本発明の薬学的組成物はまた、肺癌(例えば、NSCLC)、結腸癌または赤白血病、またはその症状)の治療または改善において、使用されているか、使用されていたか、または有用であることが公知である、1つまたは複数の他の薬剤を含み得る。
【0108】
本発明は、肺癌(例えば、NSCLC)、結腸癌または赤白血病についての既存の薬剤療法に対して(完全にまたは部分的に)難治性の対象における肺癌(例えば、NSCLC)、結腸癌または赤白血病、またはその1つまたは複数の症状を管理、治療または改善するための方法であって、該方法が、有効量の用量の1つまたは複数の本発明の化合物および有効量の用量の1つまたは複数の療法を該対象へ投与する工程を含む方法を提供する。本発明はまた、他の療法に対して難治性であることが判明したがこれらの療法をもはや受けていない患者へ任意の他の療法と組み合わせて1つまたは複数の本発明の化合物を投与することによる、肺癌(例えば、NSCLC)、結腸癌または赤白血病、またはその症状を治療、管理、または改善するための方法を提供する。
【0109】
本発明の化合物および/または他の療法は、当業者に公知の任意の経路によって対象へ投与され得る。投与経路の例としては、非経口、例えば、静脈内、皮内、皮下、経口(例えば、吸入)、鼻腔内、経皮(局所)、経粘膜、および直腸投与が挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
本発明は、肺癌(例えば、NSCLC)、結腸癌または赤白血病の治療および改善のための組成物を提供する。特定の態様において、組成物は、1つまたは複数の本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む。別の態様において、本発明の組成物は、本発明の化合物または薬学的に許容される塩以外の1つまたは複数の治療剤を含む。別の態様において、本発明の組成物は、1つまたは複数の本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩、および1つまたは複数の他の治療剤を含む。別の態様において、組成物は、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む。
【0111】
好ましい態様において、本発明の組成物は、薬学的組成物または単回単位投薬形態である。本発明の薬学的組成物および投薬形態は、与えられた薬学的組成物または投薬形態が肺癌(例えば、NSCLC)、結腸癌または赤白血病を治療するために使用され得る様式で処方された、相対量での、1つまたは複数の有効成分を含む。好ましい薬学的組成物および投薬形態は、任意で1つまたは複数の追加の活性薬剤と組み合わせて、式(I)〜(III)もしくは(Ia)〜(IIIa)のいずれか1つの化合物または表1もしくは表2中の化合物、またはその薬学的に許容されるものを含む。
【0112】
本発明の薬学的組成物は、その意図される投与経路と適合性であるように処方される。投与経路の例としては、非経口、例えば、静脈内、皮内、皮下、経口(例えば、吸入)、鼻腔内、経皮(局所)、経粘膜、および直腸投与が挙げられるが、これらに限定されない。特定の態様において、組成物は、ヒトへの静脈内、皮下、筋内、経口、鼻腔内または局所投与に適した薬学的組成物として型通りの手順に従って処方される。好ましい態様において、薬学的組成物は、ヒトへの皮下投与について型通りの手順に従って処方される。
【0113】
本発明の単回単位投薬形態は、患者への経口、粘膜(例えば、鼻、舌下、膣、頬、または直腸)、非経口(例えば、皮下、静脈内、ボーラス注射、筋内、または動脈内)、または経皮投与に適している。投薬形態の例としては、錠剤;カプレット剤;カプセル剤、例えば、軟弾性ゼラチンカプセル剤;カシェ剤;トローチ剤;ロゼンジ剤;分散剤;坐剤;軟膏剤;パップ剤(湿布);泥膏;散剤;包帯剤;クリーム剤;硬膏剤;液剤;パッチ剤;エアロゾル剤(例えば、鼻腔スプレーまたは吸入器);ゲル剤;患者への経口または粘膜投与に適した液体投薬形態、例えば、懸濁剤(例えば、水性または非水性液体懸濁剤、水中油型乳剤、または油中水型液体乳剤)、液剤、およびエリキシル剤;患者への非経口投与に適した液体投薬形態;ならびに、患者への非経口投与に適した液体投薬形態を提供するために再構成され得る滅菌固体(例えば、結晶性またはアモルファス固体)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0114】
本発明の投薬形態の組成、形状およびタイプは、典型的にそれらの用途に応じて変化する。例えば、粘膜投与に適した投薬形態は、同一の適応症を治療するために使用される経口投薬形態よりも少ない量の有効成分を含有し得る。本発明のこの局面は当業者に容易に明らかである。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences (1990) 18th ed., Mack Publishing, Easton PAを参照のこと。
【0115】
典型的な薬学的組成物および投薬形態は、1つまたは複数の賦形剤を含む。適切な賦形剤は、薬学の当業者に周知であり、適切な賦形剤の非限定的な例をここに提供する。特定の賦形剤が薬学的組成物または投薬形態中への組み込みに適しているかどうかは、投薬形態が患者へ投与される様式を含むがこれらに限定されない、当技術分野において周知の様々な因子に依存する。例えば、錠剤などの経口投薬形態は、非経口投薬形態における使用に適さない賦形剤を含有し得る。
【0116】
特定の賦形剤の適合性はまた、投薬形態中の特定の有効成分に依存し得る。例えば、ある有効成分の分解が、ラクトースなどのある賦形剤によって、または水へさらされた場合に、促進され得る。第1級または第2級アミン(例えば、N-デスメチルベンラファキシンおよびΝ,Ν-ジデスメチルベンラファキシン)を含む有効成分は、このような促進される分解に対して特に敏感である。従って、本発明は、たとえあったとしても僅かなラクトースを含有する、薬学的組成物および投薬形態を包含する。本明細書において使用される場合、用語「ラクトースフリーの」は、たとえあったとしても、存在するラクトースの量が、有効成分の分解速度を実質的に増加させるには不十分であることを意味する。本発明のラクトースフリーの組成物は、当技術分野において周知でありかつ例えば、米国薬局方(U.S. Pharmocopia)(USP)SP(XXI)/NF(XVI)に列挙されている賦形剤を含み得る。一般的に、ラクトースフリーの組成物は、薬学的に適合性でありかつ薬学的に許容される量で、有効成分、結合剤/充填剤、および滑沢剤を含む。好ましいラクトースフリーの投薬形態は、有効成分、微結晶性セルロース、アルファ化デンプン、およびステアリン酸マグネシウムを含む。
【0117】
本発明は、有効成分を含む無水薬学的組成物および投薬形態をさらに包含する。何故ならば、水は、ある化合物の分解を促進し得るためである。例えば、水(例えば、5%)の添加は、経時的な製剤の安定性または貯蔵寿命などの特性を測定するために、長期保存をシミュレートする手段として薬学の技術分野において広く受け入れられている。例えば、Jens T. Carstensen (1995) Drug Stability: Principles & Practice, 2d. Ed., Marcel Dekker, NY, NY, 379-80を参照のこと。実際に、水および熱は、ある化合物の分解を促進する。従って、製剤に対する水の効果は非常に重要であり得、何故ならば、製剤の製造、取り扱い、包装、保管、出荷および使用の間、水分および/または湿度に一般的に遭遇するためである。
【0118】
本発明の無水薬学的組成物および投薬形態は、無水または低水分含有成分および低水分または低湿度条件を使用して、作製され得る。ラクトースと第1級または第2級アミンを含む少なくとも1つの有効成分とを含む薬学的組成物および投薬形態は、製造、包装、および/または保管の間の水分および/または湿度との実質的な接触が予想される場合、好ましくは無水である。
【0119】
無水薬学的組成物は、その無水性質が維持されるように、作製および保存されるべきである。従って、無水組成物は、好ましくは、それらが適切な処方キット中に含まれ得るように、水への曝露を防ぐことが公知である材料を使用して包装される。適切なパッケージングの例としては、密封ホイル、プラスチック、単位用量容器(例えば、バイアル)、ブリスターパック、およびストリップパックが挙げられるが、これらに限定されない。
【0120】
本発明は、有効成分が分解する速度を低下させる1つまたは複数の化合物を含む薬学的組成物および投薬形態をさらに包含する。「安定剤」と本明細書において呼ばれるこのような化合物としては、抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸、pH緩衝剤、または塩緩衝剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0121】
経口投与に適している本発明の薬学的組成物は、分離した投薬形態、例えば、しかしこれらに限定されないが、錠剤(例えば、チュアブル錠)、カプレット剤、カプセル剤、および液体(例えば、風味付けされたシロップ剤)として提示され得る。このような投薬形態は、所定量の有効成分を含有し、当業者に周知の調剤法によって作製され得る。一般的に、Remington's Pharmaceutical Sciences (1990) 18th ed., Mack Publishing, Easton PAを参照のこと。
【0122】
本発明の典型的な経口投薬形態は、従来の医薬品調合技術に従って、有効成分と少なくとも1つの賦形剤とを混合することによって作製される。賦形剤は、投与について望ましい調製物の形態に応じて広範囲の形態をとり得る。例えば、経口液体またはエアロゾル投薬形態における使用に適した賦形剤としては、水、グリコール、油、アルコール、矯味矯臭剤、保存剤、および着色剤が挙げられるが、これらに限定されない。固体経口投薬形態(例えば、散剤、錠剤、カプセル剤、およびカプレット剤)における使用に適した賦形剤の例としては、デンプン、糖類、微結晶性セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、および崩壊剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0123】
投与の容易さに起因して、錠剤およびカプセル剤は、最も有利な経口投薬単位形態を示し、この場合、固体賦形剤が用いられる。必要に応じて、錠剤は、標準の水性または非水性技術によってコーティングされ得る。このような投薬形態は、任意の調剤法によって作製され得る。一般的に、薬学的組成物および投薬形態は、有効成分と液体担体、微細な固体担体または両方とを一様にかつよく混合し、次いで、必要ならば、生成物を所望の形状に成形することによって、作製される。
【0124】
例えば、錠剤は圧縮または成形によって作製され得る。圧縮錠剤は、任意で賦形剤と混合された、粉末または顆粒などの自由流動形態の有効成分を適切な機械中において圧縮することによって作製され得る。湿製錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らされた粉末状化合物の混合物を適切な機械中において成形することによって作製され得る。
【0125】
本発明の経口投薬形態において使用され得る賦形剤の例としては、結合剤、充填剤、崩壊剤、および滑沢剤が挙げられるが、これらに限定されない。薬学的組成物および投薬形態における使用に適した結合剤としては、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、または他のデンプン、ゼラチン、天然および合成ゴム、例えば、アカシア、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギネート、トラガント末、グアーガム、セルロースおよびその誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシルメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、番号2208、2906、2910)、微結晶性セルロース、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0126】
微結晶性セルロースの適切な形態としては、AVICEL-PH-101、AVICEL-PH-103 AVICEL RC-581、AVICEL-PH-105として販売される材料(FMC Corporation, American Viscose Division, Avicel Sales, Marcus Hook, PAから入手可能)、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。一つの具体的な結合剤は、AVICEL RC-581として販売される、微結晶性セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムの混合物である。適切な無水または低水分賦形剤または添加剤としては、AVICEL-PH-103JおよびStarch 1500 LMが挙げられる。
【0127】
本明細書に開示される薬学的組成物および投薬形態における使用に適した充填剤の例としては、タルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒または粉末)、微結晶性セルロース、粉末セルロース、デキストレート(dextrate)、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の薬学的組成物中の結合剤または充填剤は、典型的に、薬学的組成物または投薬形態の約50〜約99重量パーセントで存在する。
【0128】
水性環境へさらされると崩壊する錠剤を提供するために、本発明の組成物において崩壊剤が使用される。崩壊剤を過度に含有する錠剤は保存中に崩壊する場合があり、一方、非常に少量を含有するものは、所望の速度でまたは所望の条件下で崩壊しない場合がある。従って、有効成分の放出を不利益に変化させるほどには多すぎでも少なすぎでもない、十分な量の崩壊剤が、本発明の固体経口投薬形態を形成するために使用されるべきである。使用される崩壊剤の量は、製剤のタイプに基づいて変化し、当業者に容易に識別可能である。典型的な薬学的組成物は、約0.5〜約15重量パーセントの崩壊剤、好ましくは約1〜約5重量パーセントの崩壊剤を含む。
【0129】
本発明の薬学的組成物および投薬形態において使用され得る崩壊剤としては、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、他のデンプン、アルファ化デンプン、他のデンプン、クレイ、他のアルギン、他のセルロース、ゴム、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0130】
本発明の薬学的組成物および投薬形態において使用され得る滑沢剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水添植物油(例えば、落花生油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、およびダイズ油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。さらなる滑沢剤としては、例えば、シロイド(syloid)シリカゲル(AEROSIL 200、W.R. Grace Co., Baltimore, MDによって製造)、合成シリカの凝固エアロゾル(Degussa Co., Plano, TXによって販売)、CAB-O-SIL(Cabot Co., Boston, MAによって販売される発熱性二酸化ケイ素生成物)、ならびにそれらの混合物が挙げられる。使用される場合、滑沢剤は、それらが組み入れられる薬学的組成物または投薬形態の約1重量パーセント未満の量で典型的に使用される。
【0131】
本発明の有効成分は、当業者に周知である送達デバイスによってまたは制御放出手段によって投与され得る。例としては、米国特許第3,845,770号;第3,916,899号;第3,536,809号;第3,598,123号;および第4,008,719号、第5,674,533号、第5,059,595号、第5,591,767号、第5,120,548号、第5,073,543号、第5,639,476号、第5,354,556号、および第5,733,566号に記載されるものが挙げられるが、これらに限定されず、これらの各々は、参照により本明細書に組み入れられる。このような投薬形態は、様々な割合で、所望の放出プロフィールを提供するために、例えば、ヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過膜、浸透システム、多層コーティング、マイクロ粒子、リポソーム、マイクロスフェア、またはそれらの組み合わせを使用して、1つまたは複数の有効成分の徐放または制御放出を提供するために使用され得る。本明細書に記載されるものを含む、当業者に公知の適切な制御放出製剤は、本発明の有効成分との使用について容易に選択され得る。従って、本発明は、これらに限定されないが、制御放出に適している錠剤、カプセル剤、ゲルキャップ剤およびカプレット剤などの、経口投与に適した単回単位投薬形態を包含する。
【0132】
全ての制御放出性医薬品は、それらの非制御相当物によって達成されるものよりも薬物療法を改善するという一般的な目的を有する。理想的には、医学的処置における最適に設計された制御放出性調製物の使用は、最小限の原薬が最小限の時間で状態を治すまたは制御するために用いられることを特徴とする。制御放出性製剤の利点としては、薬物活性の持続、投薬頻度の減少、および患者コンプライアンスの向上が挙げられる。
【0133】
大部分の制御放出性製剤は、所望の治療効果を即座にもたらす量の薬物(有効成分)を最初に放出し、そして長期間にわたってこのレベルの治療または予防効果を維持するために徐々にかつ継続的に他の量の薬物を放出するように設計される。体内における薬物のこの一定レベルを維持するために、薬物は、代謝され体から排出される薬物の量を置換する速度で投薬形態から放出されなければならない。有効成分の制御放出は、pH、温度、酵素、水、または他の生理学的条件もしくは化合物を含むが、これらに限定されない、種々の条件によって刺激され得る。
【0134】
本発明の特定の持続放出性製剤は、微結晶性セルロースと、任意で、エチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースの混合物でコーティングされたヒドロキシプロピルメチルセルロースとをさらに含む回転楕円体中に、治療的にまたは予防的に有効な量の式(I)〜(III)もしくは(Ia)〜(IIIa)のいずれか1つの化合物または表1もしくは表2中の化合物、または薬学的に許容される塩を含む。このような持続放出性製剤は、米国特許第6,274,171号に従って作製され得、この全体は参照により本明細書に組み入れられる。
【0135】
本発明の特定の制御放出性製剤は、約6重量%〜約40重量%の式(I)〜(III)もしくは(Ia)〜(IIIa)の化合物または表1もしくは表2中の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、包接化合物、もしくはプロドラッグ、約50重量%〜約94重量%の微結晶性セルロース,NF、ならびに任意で約0.25%〜約1重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース,USPを含み、ここで、回転楕円体は、エチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースから構成されるフィルムコーティング組成物でコーティングされている。
【0136】
非経口投薬形態は、皮下、静脈内(ボーラス注射を含む)、筋内、および動脈内を含むが、これらに限定されない、種々の経路によって患者へ投与され得る。それらの投与は汚染物質に対する患者の自然防御を典型的に回避するので、非経口投薬形態は、好ましくは、無菌であるかまたは患者への投与前に滅菌することができる。非経口投薬形態の例としては、注射の準備ができている液剤、注射用の薬学的に許容されるビヒクル中に溶解または懸濁される準備ができている乾燥プロダクト、注射の準備ができている懸濁剤、および乳剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0137】
本発明の非経口投薬形態を提供するために使用され得る適切なビヒクルは、当業者に周知である。例としては、注射用水USP;水性ビヒクル、例えば、しかしこれらに限定されないが、塩化ナトリウム注射液、リンゲル液、デキストロース注射液、デキストロースおよび塩化ナトリウム注射液、および乳酸リンゲル液;水混和性ビヒクル、例えば、しかしこれらに限定されないが、エチルアルコール、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコール;ならびに非水性ビヒクル、例えば、しかしこれらに限定されないが、トウモロコシ油、綿実油、落花生油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、および安息香酸ベンジルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0138】
本明細書に開示の1つまたは複数の有効成分の溶解性を増加させる化合物がまた、本発明の非経口投薬形態中へ混合され得る。
【0139】
本発明の経皮、局所、および粘膜投薬形態としては、点眼剤、スプレー剤、エアロゾル剤、クリーム剤、ローション剤、軟膏剤、ゲル剤、液剤、乳剤、懸濁剤、または当業者に公知の他の形態が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences (1980 & 1990) 16th and 18th eds., Mack Publishing, Easton PA and Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms (1985) 4th ed., Lea & Febiger, Philadelphiaを参照のこと。口腔内の粘膜組織を治療するために適した投薬形態は、含嗽剤としてまたは口腔用ゲル剤として処方され得る。さらに、経皮投薬形態としては、皮膚へ塗布され、所望の量の有効成分の浸透を可能にする特定の期間身につけられ得る、「リザーバー型」または「マトリックス型」パッチ剤が挙げられる。
【0140】
本発明によって包含される経皮、局所、および粘膜投薬形態を提供するために使用され得る適切な賦形剤(例えば、担体および希釈剤)および他の物質は、薬学の技術分野の当業者に周知であり、与えられる薬学的組成物または投薬形態が適用される特定の組織に依存する。
【0141】
その事実を考慮して、典型的な賦形剤としては、非毒性であり薬学的に許容される、ローション剤、チンキ剤、クリーム剤、乳剤、ゲル剤または軟膏剤を形成するための、水、アセトン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン-1,3-ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱油、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。保湿剤または湿潤剤もまた、必要に応じて、薬学的組成物および投薬形態へ添加され得る。このような追加の成分の例は当技術分野において周知である。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences (1980 & 1990) 16th and 18th eds., Mack Publishing, Easton PAを参照のこと。
【0142】
治療される特定の組織に応じて、追加の成分が、本発明の有効成分での治療の前に、と同時に、または後に、使用され得る。例えば、浸透促進剤が、組織への有効成分の送達を助けるために使用され得る。適切な浸透促進剤としては、アセトン;種々のアルコール、例えば、エタノール、オレイル、およびテトラヒドロフリル;アルキルスルホキシド、例えば、ジメチルスルホキシド;ジメチルアセトアミド;ジメチルホルムアミド;ポリエチレングリコール;ピロリドン、例えば、ポリビニルピロリドン;Kollidon等級(ポビドン(Povidone)、ポリビドン(Polyvidone));尿素;ならびに種々の水溶性または不溶性の糖エステル、例えば、Tween 80(ポリソルベート80)およびSpan 60(ソルビタンモノステアレート)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0143】
薬学的組成物または投薬形態の、または薬学的組成物または投薬形態が適用される組織の、pHはまた、1つまたは複数の有効成分の送達を改善するために調節され得る。同様に、溶媒担体の極性、そのイオン強度、または張性が、送達を改善するために調節され得る。1つまたは複数の有効成分の親水性または親油性を有利に変えて送達を改善するために、ステアレートなどの化合物がまた薬学的組成物または投薬形態へ添加され得る。この点に関して、ステアレートは、製剤についての液体ビヒクルとして、乳化剤または界面活性剤として、および送達促進剤または浸透促進剤として、役立ち得る。有効成分の種々の塩、水和物または溶媒和物が、得られる組成物の特性をさらに調節するために使用され得る。
【0144】
増殖性障害、例えばがん、またはその1つまたは複数の症状の予防、治療、管理、または改善において有効である本発明の化合物または組成物の量は、疾患または状態の性質または重篤度、および有効成分が投与される経路で変化する。頻度および投薬量はまた、投与される特定の療法(例えば、治療剤または予防剤)、障害、疾患または状態の重篤度、投与経路、ならびに患者の年齢、体重、反応、および病歴に依存する各患者について固有の因子に応じて変化する。有効量は、インビトロまたは動物モデル試験系から誘導される用量応答曲線から外挿され得る。適切なレジメンが、このような因子を考慮することによって、および例えば、文献において報告され、Physician's Desk Reference (57th ed., 2003)において推奨されている投薬量に従うことによって、当業者によって選択され得る。
【0145】
小分子の例示的な用量としては、対象重量または試料重量1キログラム当たりの小分子のミリグラム量またはマイクログラム量(例えば、1キログラム当たり約1マイクログラム〜1キログラム当たり約500ミリグラム、1キログラム当たり約100マイクログラム〜1キログラム当たり約5ミリグラム、または1キログラム当たり約1マイクログラム〜1キログラム当たり約50マイクログラム)が挙げられる。
【0146】
一般的に、本明細書に記載の状態についての本発明の化合物の推奨される日用量範囲は、1日当たり約0.01 mg〜約1000 mgの範囲内にあり、1日1回の単回用量として、好ましくは1日にわたって分割された用量として提供される。一態様において、日用量は、等しく分割された用量で1日2回投与される。具体的には、日用量範囲は、1日当たり約5 mg〜約500 mg、より具体的には、1日当たり約10 mg〜約200 mgであるべきである。患者の管理において、療法は、患者の全体的な反応に応じて、単回用量または分割用量のいずれかとして、より低い用量、恐らく約1 mg〜約25 mgで開始され、必要ならば1日当たり約200 mg〜約1000 mgまで増加されるべきである。当業者に明らかであるように、場合によっては、本明細書に開示される範囲外の投薬量の有効成分を使用することが必要であり得る。さらに、臨床医または担当医は、個々の患者反応と関連して療法をどのようにおよびいつ中断する、調節する、または終わらせるかを理解していることが留意される。
【0147】
種々の治療有効量が、当業者によって容易に理解されるように、種々の増殖性障害について適用可能であり得る。同様に、このような増殖性障害を予防、管理、治療または改善するために十分であるが、本発明の化合物に関連する有害効果を引き起こすには不十分であるか、または有害効果を減らすには十分である量もまた、上述の投薬量および投薬頻度スケジュールによって包含される。さらに、本発明の化合物の複数の投薬量が患者に投与される場合、投薬量の全てが同一である必要はない。例えば、患者へ投与される投薬量は、化合物の予防または治療効果を改善するために増加する場合があり、またはそれは、特定の患者が経験する1つまたは複数の副作用を減らすために減少する場合がある。
【0148】
特定の態様において、患者における増殖性障害、例えばがん、またはその1つまたは複数の症状を予防、治療、管理、または改善するために投与される本発明の組成物または本発明の化合物の投薬量は、患者の体重について、150μg/kg、好ましくは250μg/kg、500μg/kg、1 mg/kg、5 mg/kg、10 mg/kg、25 mg/kg、50 mg/kg、75 mg/kg、100 mg/kg、125 mg/kg、150 mg/kg、または200 mg/kgまたはそれ以上である。別の態様において、患者における増殖性障害、例えばがん、またはその1つまたは複数の症状を予防、治療、管理、または改善するために投与される本発明の組成物または本発明の化合物の投薬量は、0.1 mg〜20 mg、0.1 mg〜15 mg、0.1 mg〜12 mg、0.1 mg〜10 mg、0.1 mg〜8 mg、0.1 mg〜7 mg、0.1 mg〜5 mg、0.1〜2.5 mg、0.25 mg〜20 mg、0.25〜15 mg、0.25〜12 mg、0.25〜10 mg、0.25〜8 mg、0.25 mg〜7m g、0.25 mg〜5 mg、0.5 mg〜2.5 mg、1 mg〜20 mg、1 mg〜15 mg、1 mg〜12 mg、1 mg〜10 mg、1 mg〜8 mg、1 mg〜7 mg、1 mg〜5 mg、または1 mg〜2.5 mgの単位用量である。単位用量は、1日1回、2回、3回、4回またはそれ以上、または2、3、4、5、6または7日毎に1回、または週1回、2週毎に1回、3週毎に1回、または毎月1回投与され得る。
【0149】
一態様において、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)は、3週毎に1回のスケジュールで投与され、HSP阻害剤(例えば、化合物1)は、第1および2週に投与され(その後1週間休み)、その後、再び開始される。あるいは、パクリタキセルまたはドセタキセルについて75mg/m2へ上昇する60 mg/m2の開始用量での3週毎に1回のレジメンが使用される。別の選択肢において、パクリタキセルまたはドセタキセルを用いての、30 mg/m2で開始し35 mg/m2へ上昇する3週オン/1週オフレジメンが使用される。HSP90阻害剤の量は、上述したように、耐容性および効能に従って調節される。
【0150】
別の選択肢において、パクリタキセルは、週1回提供される(典型的な用量90 mg/m2、範囲70〜100)。あるいは、それは、3週毎に1回提供される。3週毎に1回提供される場合、用量は、175〜225 mg/m2の範囲にある。HSP90阻害剤の用量は、一般的に、完全単回薬剤用量である(上述したように、耐容性に応じて、例えば、200 mg/m2、またはそれ未満)。
【0151】
別の選択肢において、ドセタキセルは、3週毎に1回提供される(用量レベル75 mg/m2、範囲60〜100 mg/m2)。それはまた、毎週、範囲30〜40 mg/m2で、提供され得る。HSP90阻害剤の用量は、一般的に、完全単回薬剤用量である(上述したように、耐容性に応じて、例えば、200 mg/m2、またはそれ未満)。
【0152】
あるいは、治療サイクルは、2週間の毎週の治療、続いての1週間の休息期間を含む。治療サイクルは3週毎に繰り返される。HSP90阻害剤は、各サイクルの第1日および第8日に投与され(150 mg/m2または200 mg/m2)、ドセタキセル(60 mg/m2または75mg/m2)は、各サイクルの第1日に投与される。治療は3週毎に繰り返される。
【0153】
別の選択肢において、対象には、連続する3週間についてHSP90阻害剤200 mg/m2続いてドセタキセル25 mg/m2、30 mg/mまたは35 mg/m2が投与され、続いて1週間の投薬の無い間隔が空けられる。次いで、治療が繰り返される。
【0154】
増殖性障害、例えばがん、またはその1つまたは複数の症状を予防、治療、管理するために使用されていたかまたは現在使用されている、本発明の化合物以外の予防または治療剤の投薬量が、本発明の併用療法において使用され得る。好ましくは、増殖性障害、またはその1つまたは複数の症状を予防、治療、管理、または改善するために使用されていたかまたは現在使用されているものよりも低い投薬量が、本発明の併用療法において使用される。増殖性障害、例えばがん、またはその1つまたは複数の症状の予防、治療、管理、または改善のために現在使用される薬剤の推奨される投薬量は、Hardman et al., eds., 1996, Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis Of Basis Of Therapeutics 9th Ed, Mc-Graw-Hill, New York; Physician's Desk Reference (PDR) 57th Ed., 2003, Medical Economics Co., Inc., Montvale, NJを含むが、これらに限定されない、当技術分野における任意の参考文献から得ることができ、これらはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0155】
ある態様において、本発明の化合物が別の療法と組み合わせて投与される場合、療法(例えば、予防または治療剤)は、5分未満間隔で、30分未満間隔で、1時間間隔で、約1時間間隔で、約1〜約2時間間隔で、約2時間〜約3時間間隔で、約3時間〜約4時間間隔で、約4時間〜約5時間間隔で、約5時間〜約6時間間隔で、約6時間〜約7時間間隔で、約7時間〜約8時間間隔で、約8時間〜約9時間間隔で、約9時間〜約10時間間隔で、約10時間〜約11時間間隔で、約11時間〜約12時間間隔で、約12時間〜18時間間隔で、18時間〜24時間間隔で、24時間〜36時間間隔で、36時間〜48時間間隔で、48時間〜52時間間隔で、52時間〜60時間間隔で、60時間〜72時間間隔で、72時間〜84時間間隔で、84時間〜96時間間隔で、または96時間〜120時間間隔で、投与される。一態様において、2つ以上の療法(例えば、予防または治療剤)は、患者通院の同日中に投与される。
【0156】
ある態様において、本発明の1つまたは複数の化合物および1つまたは複数の他の療法(例えば、治療剤)が、周期的に投与される。サイクリング療法は、ある期間の第1療法(例えば、第1の予防または治療剤)の投与、続いてのある期間の第2療法(例えば、第2の予防または治療剤)の投与、続いてのある期間の第3療法(例えば、第3の予防または治療剤)の投与など、およびこの一連の投与を繰り返すこと、即ち、薬剤のうちの1つに対する耐性の発生を低減するため、薬剤のうちの1つの副作用を回避または低減するため、および/または治療の効能を改善するためのサイクルを含む。
【0157】
ある態様において、本発明の同一の化合物の投与が繰り返され得、投与は、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2ヶ月、75日、3ヶ月、または6ヶ月間隔を空けられ得る。他の態様において、同一の予防または治療剤の投与が繰り返され得、投与は、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2ヶ月、75日、3ヶ月、または6ヶ月間隔を空けられ得る。
【0158】
特定の態様において、本発明は、増殖性障害、例えばがん、またはその1つまたは複数の症状を予防、治療、管理、または改善する方法を提供し、該方法は、本発明の1つまたは複数の化合物の少なくとも150μg/kg、好ましくは少なくとも250μg/kg、少なくとも500μg/kg、少なくとも1 mg/kg、少なくとも5 mg/kg、少なくとも10 mg/kg、少なくとも25 mg/kg、少なくとも50 mg/kg、少なくとも75 mg/kg、少なくとも100 mg/kg、少なくとも125 mg/kg、少なくとも150 mg/kg、または少なくとも200 mg/kgまたはそれ以上の用量を、1日1回、好ましくは、2日毎に1回、3日毎に1回、4日毎に1回、5日毎に1回、6日毎に1回、7日毎に1回、8日毎に1回、10日毎に1回、2週毎に1回、3週毎に1回、または1ヶ月に1回、その必要がある対象へ投与する工程を含む。あるいは、用量は、1日2回、3回、4回またはそれ以上投与される部分(典型的に等しい部分)へ分割され得る。
【0159】
本発明を下記の実施例によって説明し、これらは決して限定であるようには意図されない。
【実施例】
【0160】
実施例1:化合物1とパクリタキセルとの組み合わせはNCI-H1975 NSCLC細胞を有するSCIDマウス異種移植モデルのヒト腫瘍細胞に対して増強された抗腫瘍活性を示す
ヒト非小細胞肺癌(NSCLC)細胞株である、NCI-H1975(ATCC #CRL-5908)を、American Type Culture Collection (ATCC; Manassas, Virginia, USA)から得た。50%ダルベッコの改変イーグル培地(高グルコース)、50% RPMI培地1640(4.5 g/Lグルコース)、10%ウシ胎仔血清(FBS)、10 mM HEPES、1% 100Xペニシリン-ストレプトマイシン、1% 100Xピルビン酸ナトリウムおよび1% 100X MEM非必須アミノ酸から作製した増殖培地において、細胞株を培養した。FBSをATCCから得、全ての他の試薬をInvitrogen Corp. (Carlsbad, California, USA)から得た。液体窒素中に凍結保存されていた細胞を37℃で急速に解凍し、増殖培地を含有する組織培養フラスコへ移し、次いで、5%CO2インキュベータ中において37℃でインキュベートした。NCI-H1975細胞株を増やすために、培養物を3日毎に1:5に分割し、このとき175 cm2フラスコは85%コンフルエントであった。室温のリン酸緩衝食塩水(PBS)10 mLで洗浄し、次いで、1×トリプシン-EDTA 5 mLを添加し、細胞がフラスコの表面から離れるまで37℃でインキュベートすることにより、細胞を分離することによって、培養物を継代した。トリプシンを不活性化するために、増殖培地5 mLを添加し、次いでフラスコの内容物を遠心分離し、細胞をペレット化した。上澄みを吸引し、細胞ペレットを増殖培地10 mLに再懸濁し、血球計を使用して細胞数を測定した。細胞を、増殖培地50 mLを含有する175 cm2フラスコへ接種し、5%CO2インキュベータ中において37℃でインキュベートした。フラスコが85%コンフルエンスに達したら、マウスへの移植について十分な細胞が得られるまで、上記の継代プロセスを繰り返した。
【0161】
6〜7週齢の雌性CB17/Icr-Prkdcscid/Crl(SCID)マウスを、Charles River Laboratories (Wilmington, Massachusetts, USA)から得た。動物を12時間/12時間の明/暗サイクルでマイクロアイソレーター中に4〜5/ケージで収容し、使用前に少なくとも1週間順応させ、通常の飼料を適宜与えた。動物は移植時に7〜8週齢であった。SCIDマウスにNCI-H1975腫瘍細胞を移植するために、細胞を上述のように収集し、PBS中で洗浄し、50%無添加培地および50% Matrigel基底膜マトリックス(#354234; BD Biosciences; Bedford, Massachusetts, USA)中に5×10(7)細胞/mLの濃度で再懸濁した。27ゲージ針および1 cc注射器を使用して、細胞懸濁物0.1 mL中の5×10(6) NCI-H1975細胞を、SCIDマウスの側腹へ皮下注射した。
【0162】
次いで、大多数が95〜195 mm3の腫瘍体積に達するまで、腫瘍をインビボで成長させ、これは、NCI-H1975モデルについて移植後およそ1 1/2週間を要した。楕円形の非常に小さなまたは大きな腫瘍を有する動物を捨て、一貫した増殖速度を示す腫瘍を有する動物のみを研究について選択した。以下の式:V=0.5236×(L×W×T)を使用して、腫瘍の幅(W)、長さ(L)および厚み(T)のカリパス測定によって、腫瘍体積(V)を計算した。各群の平均腫瘍体積が投薬の開始時に同様になるように、動物を処置群へ無作為化した。効能の指標としての%T/C値を、下記のように決定した:
(i)ΔΤ>0である場合:%T/C=(ΔT/ΔC)×100
(ii)ΔT<0である場合:%T/C=(ΔT/T0)×100
(iii)ΔT=投薬の開始と研究の終了との間での平均腫瘍体積の変化
(iv)ΔC=投薬の開始と研究の終了との間での平均腫瘍体積の変化
(v)T0=投薬の開始時の平均腫瘍体積。
【0163】
DRDにおいて化合物1、パクリタキセルまたは両方の組み合わせを処方するために、超音波水浴中において超音波処理をすることによりジメチルスルホキシド(DMSO)中に適切な量の化合物を溶解することによって、テスト物品のストック溶液を調製した。ストック溶液を毎週調製し、-20℃で保存し、投薬のために毎日新たに希釈した。液化し透明になるまで50〜60℃で100% Cremophore RH40を先ず加熱し、100% D5Wで1:5に希釈し、透明にまるまで再び再加熱し、次いでよく混合することによって、水中5%デキストロース(Abbott Laboratories, North Chicago, Illinois, USA)中の20% Cremophore RH40(ポリオキシル40硬化ヒマシ油;BASF Corp., Aktiengesellschaft, Ludwigshafen, Germany)の溶液もまた調製した。この溶液は使用前の3ヶ月間まで室温で保存され得る。毎日の投薬のためのDRD製剤を作製するために、DMSOストック溶液を20% Cremophore RH40で1:10に希釈した。投薬のための最終DRD製剤は、10% DMSO、18% Cremophore RH40、3.6%デキストロース、68.4%水、および適切な量のテスト物品を含有した。毎週1日、体重1 kg当たり10 mLで、動物にこの製剤を静脈内(i.v.)注射した。
【0164】
50 mg/kg体重の用量の化合物1での処置は、SCIDマウスのNCI-H1975腫瘍増殖を中程度に阻害し、%T/C値は55であった。同様に、7.5 mg/kg体重の用量のパクリタキセルでの処置は、SCIDマウスのNCI-H1975腫瘍増殖を中程度に阻害し、%T/C値は38であった。対照的に、50 mg/kg体重の化合物1+7.5 mg/kg体重のパクリタキセルの組み合わせでの同時処置は、SCIDマウスのNCI-H1975腫瘍増殖を劇的に阻害し、%T/C値は7であった。併用処置群について観察された効果は、いずれかの単一薬剤群のみについて観察されたものよりも有意に大きかった(P<0.05;一元配置分散分析)。結果を図1に示す。この効果は過度の毒性を伴わない。何故ならば、研究開始時に対する第29日(測定最終日)における平均体重変化は、ビヒクル処置群の+5.1%(+/- 1.4 SEM)と比較して、化合物1+パクリタキセル併用処置群は+3.1%(+/- 1.2 SEM)を有したためである。結果を図2に示す。
【0165】
化合物1とパクリタキセルとの間での薬物間相互作用についての可能性を調べるために、インビボ薬物動態研究を行った。7〜8週齢の雌性Crl:CD-1-nuBR(ヌード)マウスをCharles River Laboratories (Wilmington, Massachusetts, USA)から得た。動物を12時間/12時間の明/暗サイクルでマイクロアイソレーター中に4〜5/ケージで収容し、使用前に少なくとも1週間順応させ、通常の飼料を適宜与えた。動物(3/時点)に、50 mg/kg体重の化合物1のみ、10 mg/kg体重のパクリタキセルのみ、または50 mg/kg体重の化合物1+10 mg/kg体重のパクリタキセルの組み合わせを、単回、i.v.投薬した。血液試料を複数の時点(0.083、0.25、0.5、1、2、4、6、8、24時間)で採取し、血漿を調製し、化合物1およびパクリタキセルの濃度をHPLCによって測定した。表3に示されるように、化合物1は、パクリタキセルの血漿半減期(t 1/2)、ピーク血漿濃度(Cmax)または総血漿曝露(AUCinf)に対して顕著な効果を有しなかった。結果を図3に示す。同様に、パクリタキセルは、化合物1の血漿半減期(t 1/2)、ピーク血漿濃度(Cmax)または総血漿曝露(AUCinf)に対して顕著な効果を有しなかった。結果を図4に示す。
【0166】
(表3)
【0167】
実施例2:化合物1およびパクリタキセルのインビトロ組み合わせ分析
A.細胞および細胞培養
American Type Culture Collectionからのヒト非小細胞肺癌細胞(H1975)を、4 mM L-グルタミン、抗生物質(100 IU/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシン)およびSigma Aldrich製の10%ウシ胎仔血清を含むダルベッコの改変イーグル培地中において増殖させた。1週当たり2〜3回、1:3〜1:6の比で、細胞を継代培養した。増殖曲線をブラックウォールクリアボトム96ウェルプレート中の細胞に対して行い、下記に記載の4日間アッセイにわたって対数増殖を確実にした。そうするために、細胞を第0日にいくつかの異なる密度で接種し、alamarBlueによって測定されるような第0日に対しての第4日での総増殖を比較することによって、総正味増殖を計算した。結果から、2000細胞/ウェルが4日間研究について最適であると決定した。
【0168】
B.パクリタキセルおよび化合物1を用いての組み合わせ研究
パクリタキセルおよび化合物1についての半数阻害濃度(IC50)を、1μΜの最高濃度で開始して化合物の3倍連続希釈を使用して決定した。いずれかの薬剤へ72時間曝露した後、生存率をalamarBlueによって測定し、このデータを使用し、XLFitソフトウェア(ID Business Solutions)を使用してIC50値を計算した。H1975における化合物1についての単一薬剤IC50値は15 nMと計算され;パクリタキセルについては、IC50は7 nMであった(図5)。
【0169】
次いで、パクリタキセルと化合物1との組み合わせを同時に行い、メジアンエフェクト解析によって分析した。各薬剤についてのIC50モル濃度に基づくそれらの等効力の比で、または非等価の比で、薬物を組み合わせた。細胞を薬物組み合わせと共に3日間インキュベートした。alamarBlue細胞生存率アッセイを使用して、コントロールに対する細胞の生存率を測定した。細胞の20〜70%が影響を受けた(即ち、殺滅された)組み合わせ濃度についてメジアンエフェクト解析ソフトウェアCalcuSyn 2.0(CalcuSyn, Inc.)を使用して、コンビネーションインデックス(CI)を決定した。1を超える、1に等しい、または1未満のコンビネーションインデックスは、それぞれ、拮抗作用、相加性および相乗作用を示す。
【0170】
図6および表4に示されるように、化合物1とパクリタキセルとの組み合わせは、両方の化合物の濃度がIC50未満であるがIC20を超える場合、相乗的であることがわかった。
【0171】
(表4)パクリタキセルおよび化合物1の同時処理についてのコンビネーションインデックス値
【0172】
パクリタキセルおよび他のタキサンなどの化学療法剤は、有糸分裂の間にそれらの細胞傷害効果を有し、それらの効果について細胞周期のこの部分を細胞が進むことを要求する。化合物1を用いた未公表の研究、ならびに他のHsp90阻害剤についての以前公表された研究(Hexner, E. O. et al., Blood 111 (12), 5663 (2008))から、これらのデータは、Hsp90機能の阻害は細胞周期停止へ至ることを示唆している。従って、細胞を連続して(先ずパクリタキセル、その後、化合物1が続く)処理することが、同時投与と比較して組み合わせの効能に影響を与えるかどうかを調べるために、試験を行った。
【0173】
H1975細胞を37℃にて24時間5 nMパクリタキセルで処理し、細胞を洗浄し、薬物を除去し、種々の量の化合物1で24時間処理した。細胞を培地で再び洗浄し、さらに24時間インキュベートし、次いでalamarBlueによる生存率解析へ供した。図7および表5に示されるように、化合物1の前にパクリタキセルで処理することは、相乗的な利点を再びもたらした。
【0174】
(表5)パクリタキセルおよび化合物1の連続した組み合わせについてのコンビネーションインデックス値
【0175】
実施例3:化合物1およびタキサンのインビトロ組み合わせ分析
A.材料および方法
細胞株
4 mM L-グルタミン、抗生物質(100 IU/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシン)および10%ウシ胎仔血清(Sigma Aldrich)を含むダルベッコの改変イーグル培地中において、ヒトNCI-H1975非小細胞肺癌細胞(American Type Culture Collection)を増殖させた。2 mM L-グルタミン、抗生物質(100 IU/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシン)および10%ウシ胎仔血清を含むRPMI中において、ヒトHEL92.1.7赤白血病細胞(ATCC)を増殖させた。10%ウシ胎仔血清および抗生物質(100 IU/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシン)を含むMcCoy's 5a改変培地中において、ヒトHT29結腸癌細胞(ATCC)を増殖させた。全ての細胞を37℃、5%CO2雰囲気で維持し、1週当たり2〜3回、1:3〜1:6の比で継代した。
【0176】
細胞生存率アッセイ
alamarBlueアッセイを使用して、細胞生存率を測定した。簡単に説明すると、細胞を2000細胞/ウェル(H1975)または5000細胞/ウェル(HEL92.1.7)にて三重で96-ウェルプレートに平板培養し、37℃、5%CO2雰囲気で24時間インキュベートし、その後培養培地へ薬物またはビヒクル(0.3% DMSO)を添加した。72時間後、10μl/ウェルalamarBlueをウェルへ添加し、さらに3時間、37℃、5%CO2雰囲気でインキュベートした。蛍光(560EX/590EM nM)をSpectraMaxマイクロプレートリーダー(Molecular Devices)で測定し、得られたデータを使用して、ビヒクルコントロールに対して標準化された細胞生存率を計算した。
【0177】
B.パクリタキセルおよび化合物1を用いての組み合わせ研究
タキサン(ドセタキセルまたはパクリタキセル)または化合物1についての半数阻害濃度(IC50)を、1μΜの最高濃度で開始して化合物の3倍連続希釈シリーズを使用して決定した。薬物へ72時間曝露した後、細胞生存率を測定した。データを使用し、XLFitソフトウェア(ID Business Solutions)を使用してIC50値を計算し、表6に報告する。
【0178】
(表6)化合物1およびタキサンについての単一薬剤IC50値(nM)(N/D=測定されず)
【0179】
次いで、タキサンと化合物1との組み合わせを、各薬剤についてのIC50に基づいて同時に行った。具体的には、パクリタキセルまたはドセタキセルのIC50から開始する、連続1.2倍希釈物を、化合物1のIC50からの同様の倍希釈物と混合した。組み合わせた薬物、ならびに各薬剤のみを、3日間、細胞と共にインキュベートし、コントロールに対する細胞の生存率を、alamarBlueアッセイを使用して測定した。メジアンエフェクト解析ソフトウェアCalcuSyn 2.0(CalcuSyn, Inc.)を使用して、コンビネーションインデックス(CI)を決定した。1を超える、1に等しい、または1未満のコンビネーションインデックスは、それぞれ、拮抗作用、相加性および相乗作用を示す(表7)。
【0180】
(表7)コンビネーションインデックス値の説明
【0181】
図8は、組み合わせ実験からの典型的なデータセットを示す。この場合、結果は、H1975細胞における、化合物1、パクリタキセル、または2つの組み合わせによって影響された細胞のパーセントを示している。次いで、データをCalcuSynによる線形曲線フィッティングへ供し、コンビネーションインデックスを得た。
【0182】
図9aおよび9bに示されるように、H1975 NSCLC細胞における化合物1とドセタキセルまたはパクリタキセルとの組み合わせは、それらのそれぞれの用量の相加効果から予想されるものよりも多くの細胞死をもたらした(コンビネーションインデックス値<1)。従って、これらの組み合わせは相乗的である。いずれかのタキサンがHEL92.1.7赤白血病(図10)細胞において化合物1と同時に組み合わされた場合、強力から非常に強力な相乗作用が見られた。ドセタキセルはまた、HT29結腸癌細胞において化合物1と共に投与された場合、相乗的であることがわかった(図11)。まとめると、データは、化合物1およびタキサンは、がん細胞を殺滅するように相乗的に機能することを実証している。
【0183】
実施例4:化合物1とドセタキセルとの組み合わせはHCC827 NSCLC細胞を有するSCIDマウス異種移植モデルにおいてヒト腫瘍細胞に対して増強された抗腫瘍活性を示す
実施例1に記載されるように正確に、SCIDマウスにHCC827(EGFRDelE726-A750)ヒト非小細胞肺癌(NSCLC)細胞を移植した。大多数が95〜195 mm3に達するまで、腫瘍をインビボで成長させ、次いで、ビヒクルのみ、1 kg体重当たり10 mlでの75mg/kgの化合物1、4 mg/kgのドセタキセル(パクリタキセルと同様に処方)、または同時に2つの組み合わせで、1週当たり1回処置した。図12に示されるように、75 mg/kg化合物1+4 mg/kgドセタキセルは、いずれかの単一薬剤のみと比較して増強された効能を示し、%T/C値は、ドセタキセルおよび化合物1単独それぞれについての46および26に対して0であった。この効果は過度の毒性を伴わず、薬物動態研究において化合物1とドセタキセルとの間で薬物間相互作用は観察されなかった(データを示さず)。
【技術分野】
【0001】
関連特許出願への相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、2009年10月19日に出願された仮出願である米国出願第61/279,330号の優先権を主張する。本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、2010年1月11日に出願された仮出願である米国出願第61/335,778号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
がんは、米国および世界中において依然として主要な死因である。そのため、がんに対する療法の継続的な必要性がある。
【発明の概要】
【0003】
あるトリアゾロンであるHSP90阻害剤とタキサンとの組み合わせが、驚くべきことに、副作用をさらに増加させることなく、非小細胞肺癌、結腸癌および赤白血病を有する対象を治療するのに有効であることが、今回、分った。本明細書に開示される特定の併用療法は、最小限の副作用を示すと同時に顕著な抗がん効果を示すことによって、驚くべき生物学的活性を示す。
【0004】
本発明は、Hsp90の活性を阻害し、タキサン化合物と組み合わせて肺癌障害(例えば、非小細胞肺癌)、結腸癌および赤白血病の治療に有用である、トリアゾロン化合物を利用する。肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、結腸癌または赤白血病を有する対象を治療する方法は、本明細書に記載のHSP90阻害剤およびタキサンを対象へ投与する工程を含む。一態様において、HSP90阻害剤およびタキサンの投与は、同時に行われる。別の態様において、HSP90阻害剤およびタキサンの投与は、連続して行われる。これらの態様のいずれか1つにおいて、タキサンは、ドセタキセル、パクリタキセルまたはアブラキサン(Abraxane)(商標)である。これらの態様のいずれか1つにおいて、HSP90阻害剤は、表1または2に示される化合物である。
【0005】
一態様において、本発明は、タキサンと組み合わせて肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、結腸癌または赤白血病を治療するための医薬の製造のための、本明細書に記載のHSP90阻害剤の使用を含む。
【0006】
ある態様において、本明細書に記載のHSP90化合物と他の化学療法剤とを利用する併用治療は、哺乳動物における多剤耐性肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、結腸癌または赤白血病細胞の発生を予防するまたは減らすのに役立ち得る。この態様において、本発明の化合物は、哺乳動物へ与えられる第2化学療法剤の有効量を減らすことを可能にし得る。何故ならば、HSP90阻害剤は、多剤耐性癌性肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、結腸癌または赤白血病の発生を阻害するためである。一態様において、第2化学療法剤はタキサンである。別の態様において、タキサンはパクリタキセル、ドセタキセルまたはアブラキサン(Abraxane)(登録商標)である。
【0007】
タキサンであるパクリタキセルおよびドセタキセルは、進行期非小細胞肺癌(NSCLC)の治療において広く使用されている。タキサンと組み合わせて使用される化合物1などの本発明のHSP90阻害剤の組み合わせを調べるために、NCI-H1975細胞を用いてインビトロ研究を行った。ChauおよびTalalayのメジアンエフェクト法(median-effect method)を使用して、化合物1は、パクリタキセルまたはドセタキセルのいずれかと組み合わせて、相乗的範囲(0.23〜0.65 CI)内のコンビネーションインデックス値(combination index value)を示した(実施例2を参照のこと)。インビボで、NCI-H1975異種移植モデルにおいて、化合物1とパクリタキセルとの組み合わせは、いずれかの単一薬剤のみよりも大きな効能を示した(組み合わせ、パクリタキセルおよび化合物1について、それぞれ、7、38および55の%T/C値)(実施例1を参照のこと)。化合物1およびパクリタキセル間での相乗効果は、いずれかの薬剤の薬物動態の変化に起因せず、併用治療は、追加の毒性を生じさせなかった。HT29結腸癌細胞およびHEL92.1.7赤白血病細胞を用いて、相乗効果がまた示された(実施例3)。
【0008】
これらの結果は、化合物1が、NSCLC、結腸癌および赤白血病の前臨床モデルにおいて広範囲のインビトロおよびインビボ抗がん活性を示す非常に強力なHsp90阻害剤であることを示している。化合物1などの本発明のHSP90阻害剤はまた、パクリタキセル及びドセタキセルと相乗作用を示す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ヒトNSCLC細胞株NCI-H1975のインビボ増殖速度に対する化合物1+パクリタキセルの組み合わせの効果を測定するために行われたSCIDマウス異種移植研究を示す。腫瘍を有する動物(8マウス/群)に、ビヒクルのみ、化合物1のみ、パクリタキセルのみ、または同時に投薬された化合物1とパクリタキセルとの組み合わせを、合計3回用量(矢じり)について1週当たり1回i.v.注射した。各群についての平均腫瘍体積(エラーバーはSEMを示す)を3〜4日毎に測定した。50 mg/kg体重の用量の化合物1での処置は腫瘍増殖を中程度に阻害し、55の%T/C値が第32日に観察された。7.5 mg/kg体重の用量のパクリタキセルでの処置は腫瘍増殖を中程度に阻害し、38の%T/C値が第32日に観察された。50 mg/kg体重の化合物1+7.5 mg/kg体重のパクリタキセルの組み合わせでの同時処置は、腫瘍増殖を劇的に阻害し、7の%T/C値が第32日に観察された。併用処置群について観察された効能は、いずれかの単一薬剤のみについてよりも有意に大きかった(P<0.05;一元配置分散分析)。明白な毒性は観察されず、研究開始時に対する第29日(測定最終日)における平均体重変化は、ビヒクル処置群の+5.1%(+/- 1.4 SEM)と比較して、化合物1+パクリタキセル併用処置群は+3.1%(+/- 1.2 SEM)を有した。
【図2】図1において詳述された併用処置は、単一薬剤と比べて追加の毒性をもたらさなかったことを示しており、研究の間の累積的な平均体重変化に対する最小限の影響しかなかった。
【図3】化合物1がCD-1ヌードマウスにおけるパクリタキセルの血漿曝露に影響を与えなかったことを示している。エラーバーは+/-を示す。
【図4】パクリタキセルがCD-1ヌードマウスにおける化合物1の血漿曝露に影響を与えなかったことを示している。
【図5】1μΜの最高濃度で開始して化合物の3倍連続希釈シリーズを使用して決定された、パクリタキセルおよび化合物1についての半数阻害濃度(IC50)を示している。H1975における化合物1についての単一薬剤IC50値は15 nMと計算され;パクリタキセルについては、IC50は7 nMであった。
【図6】H1975細胞におけるパクリタキセルと化合物1との組み合わせでの同時処理の結果を示している。
【図7】連続処理レジメンの結果を示している:H1975細胞における、パクリタキセルでの最初の処理、続いての24時間後の化合物1での処理。
【図8】記載の濃度での、化合物1、パクリタキセル、または2つの薬物の組み合わせによって殺滅されたH1975細胞のパーセントを示している。
【図9】図9aおよび9bは、 ChauおよびTalalayのメジアンエフェクト法(4)を示しており、CalcuSyn 2.0ソフトウェア(Biosoft, Cambridge, UK)を使用して、化合物1とパクリタキセルまたはドセタキセルとの間の相互作用を調べた。様々な濃度の各薬物を、72時間、NCI-H1975細胞へ同時に添加し、alamarBlue(登録商標)アッセイ(Invitrogen)によって生存率を測定した。(A)図9aは、NCI-H1975細胞を使用しての、パクリタキセルと組み合わせた化合物1のアイソボログラムおよびコンビネーションインデックス分析を示す。アイソボログラム中の赤線より下のデータポイントは相乗効果を示し、一方、赤線より上のデータポイントは2つの薬物間の拮抗作用を示す。コンビネーションインデックス(CI)値<1は相乗効果を示し、一方、CI>1は2つの薬物間の拮抗作用を示す。同様の結果がまた、HCC827細胞を使用して観察された(データを示さず)。化合物1は、パクリタキセルとの強力な相乗作用を示すことがわかった。(B)図9bは、上記のようなNCI-H1975細胞を使用しての、ドセタキセルと組み合わせた化合物1のアイソボログラムおよびコンビネーションインデックス分析を示す。化合物1は、ドセタキセルとの強力な相乗作用を示すことがわかった。
【図10A】HEL92.1.7細胞におけるパクリタキセルおよび化合物1の同時処理についての標準化アイソボログラム(上部パネル)およびCI値(下部パネル)を示す。
【図10B】HEL92.1.7細胞におけるドセタキセルおよび化合物1の同時処理についての標準化アイソボログラム(上部パネル)およびCI値(下部パネル)を示す。
【図11】HT29細胞におけるドセタキセルおよび化合物1の同時処理についての標準化アイソボログラム(左パネル)およびCI値(右パネル)を示す。
【図12】NCI-HCC827 NSCLCモデルにおける1×/週で投薬された75 mg/kgの化合物1と4 mg/kgのドセタキセルとの組み合わせの効果を示すグラフである。第40日についての%T/C値が右側に示されている。エラーバーは+または-0.5 SEMを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明の詳細な説明
別段の定めがない限り、本明細書において使用される下記の用語は以下のように定義される:本明細書において使用される場合、用語「アルキル」は、1〜10個の炭素原子を有する飽和、直鎖または分枝鎖、非環式炭化水素を意味する。代表的な直鎖アルキルとしては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニルおよびn-デシルが挙げられ;一方、代表的な分枝鎖アルキルとしては、イソプロピル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、イソペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2-メチルヘキシル、3-メチルヘキシル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル、2,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルペンチル、2,4-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルヘキシル、2,4-ジメチルヘキシル、2,5-ジメチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、2,2-ジメチルヘキシル、3,3-ジメチルペンチル、3,3-ジメチルヘキシル、4,4-ジメチルヘキシル、2-エチルペンチル、3-エチルペンチル、2-エチルヘキシル、3-エチルヘキシル、4-エチルヘキシル、2-メチル-2-エチルペンチル、2-メチル-3-エチルペンチル、2-メチル-4-エチルペンチル、2-メチル-2-エチルヘキシル、2-メチル-3-エチルヘキシル、2-メチル-4-エチルヘキシル、2,2-ジエチルペンチル、3,3-ジエチルヘキシル、2,2-ジエチルヘキシル、3,3-ジエチルヘキシルなどが挙げられる。用語「(C1-C6)アルキル」は、1〜6個の炭素原子を有する飽和、直鎖または分枝鎖、非環式炭化水素を意味する。本発明の化合物に含まれるアルキル基は、1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0011】
本明細書において使用される場合、用語「アルケニル」は、2〜10個の炭素原子を有しかつ少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する直鎖または分枝鎖、非環式炭化水素を意味する。代表的な直鎖および分枝鎖(C2-C10)アルケニルとしては、ビニル、アリル、1-ブテニル、2-ブテニル、イソブチレニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-メチル-1-ブテニル、2-メチル-2-ブテニル、2,3-ジメチル-2-ブテニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、1-ヘプテニル、2-ヘプテニル、3-ヘプテニル、1-オクテニル、2-オクテニル、3-オクテニル、1-ノネニル、2-ノネニル、3-ノネニル、1-デセニル、2-デセニル、3-デセニルなどが挙げられる。本発明の化合物に含まれるアルケニル基は、1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0012】
本明細書において使用される場合、用語「アルキニル」は、2〜10個の炭素原子を有しかつ少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する直鎖または分枝鎖、非環式炭化水素を意味する。代表的な直鎖および分枝鎖アルキニルとしては、アセチレニル、プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-メチル-1-ブチニル、4-ペンチニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニル、5-ヘキシニル、1-ヘプチニル、2-ヘプチニル、6-ヘプチニル、1-オクチニル、2-オクチニル、7-オクチニル、1-ノニニル、2-ノニニル、8-ノニニル、1-デシニル、2-デシニル、9-デシニルなどが挙げられる。本発明の化合物に含まれるアルキニル基は、1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0013】
本明細書において使用される場合、用語「シクロアルキル」は、3〜20個の炭素原子を有する飽和、単環式または多環式、非芳香族炭化水素を意味する。代表的なシクロアルキルとしては、シクロプロピル、1-メチルシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、オクタヒドロペンタレニルなどが挙げられる。本発明の化合物に含まれるシクロアルキル基は、1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0014】
本明細書において使用される場合、用語「シクロアルケニル」は、環式系中に少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有しかつ3〜20個の炭素原子を有する単環式または多環式、非芳香族炭化水素を意味する。代表的なシクロアルケニルとしては、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプテニル、シクロヘプタジエニル、シクロヘプタトリエニル、シクロオクテニル、シクロオクタジエニル、シクロオクタトリエニル、シクロオクタテトラエニル、シクロノネニル、シクロノナジエニル、シクロデセニル、シクロデカジエニル、1,2,3,4,5,8-ヘキサヒドロナフタレニルなどが挙げられる。本発明の化合物に含まれるシクロアルケニル基は、1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0015】
本明細書において使用される場合、用語「アルキレン」は、2つの結合点を有するアルキル基を指す。用語「(C1-C6)アルキレン」は、1〜6個の炭素原子を有するアルキレン基を指す。直鎖(C1-C6)アルキレン基が好ましい。アルキレン基の非限定的な例としては、メチレン(-CH2-)、エチレン(-CH2CH2-)、n-プロピレン(-CH2CH2CH2-)、イソプロピレン(-CH2CH(CH3)-)などが挙げられる。本発明の化合物に含まれるアルキレン基は、1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0016】
本明細書において使用される場合、用語「低級」は、4個までの原子を有する基を指す。例えば、「低級アルキル」は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を指し、「低級アルコキシ」は「-O-(C1-C4)アルキル」を指し、「低級アルケニル」または「低級アルキニル」は、2〜4個の炭素原子を有するアルケニルまたはアルキニル基を指す。
【0017】
本明細書において使用される場合、用語「ハロアルキル」は、全てを含む1つまたは複数の水素基がハロ基によって置き換えられているアルキル基を意味し、ここで、各ハロ基は、独立して、-F、-Cl、-Br、および-Iより選択される。例えば、用語「ハロメチル」は、1〜3個の水素基がハロ基によって置き換えられているメチルを意味する。代表的なハロアルキル基としては、トリフルオロメチル、ブロモメチル、1,2-ジクロロエチル、4-ヨードブチル、2-フルオロペンチルなどが挙げられる。
【0018】
本明細書において使用される場合、「アルコキシ」は、酸素リンカーを介して別の部分に結合しているアルキル基である。本発明の化合物に含まれるアルコキシ基は、1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0019】
本明細書において使用される場合、「ハロアルコキシ」は、酸素リンカーを介して別の部分に結合しているハロアルキル基である。
【0020】
本明細書において使用される場合、用語「芳香環」または「アリール」は、少なくとも1つの環が芳香族である、6〜15個の炭素原子を含有する、単環式または多環式炭化水素を意味する。適切なアリール基の例としては、フェニル、トリル、アントラセニル、フルオレニル、インデニル、アズレニル、およびナフチル、ならびにベンゾ縮合炭素環式部分、例えば、5,6,7,8-テトラヒドロナフチルが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の化合物に含まれるアリール基は、1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。一態様において、アリール基は、本明細書において「(C6)アリール」と呼ばれる、環が6個の炭素原子を含む単環式環である。
【0021】
本明細書において使用される場合、用語「アラルキル」は、(C1-C6)アルキレン基によって別の基に結合しているアリール基を意味する。代表的なアラルキル基としては、ベンジル、2-フェニル-エチル、ナフト-3-イル-メチルなどが挙げられる。本発明の化合物に含まれるアラルキル基は、1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0022】
本明細書において使用される場合、用語「ヘテロシクリル」は、典型的に5〜20員および少なくとも1つのヘテロ原子を含有する単環式または多環式、飽和または不飽和、非芳香族環または環系を意味する。ヘテロ環式環系は、飽和環または不飽和非芳香環、またはそれらの混合物を含有し得る。3〜10員ヘテロ環は5個までのヘテロ原子を含有し得、7〜20員ヘテロ環は7個までのヘテロ原子を含有し得る。典型的に、ヘテロ環は、少なくとも1つの炭素原子環員を有する。各ヘテロ原子は、独立して、酸化(例えば、N(O))または四級化され得る窒素、酸素、ならびにスルホキシドおよびスルホンを含む硫黄より選択される。ヘテロ環は、ヘテロ原子または炭素原子を介して結合され得る。代表的なヘテロ環としては、モルホリニル、チオモルホリニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリンジニル(pyrindinyl)、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニルなどが挙げられる。ヘテロ原子は、当業者に公知の保護基で置換され得、例えば、窒素原子は、tert-ブトキシカルボニル基で置換され得る。さらに、本発明の化合物に含まれるヘテロシクリルは、1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。このような置換ヘテロ環式基のうちの安定な異性体のみが、この定義において意図される。
【0023】
本明細書において使用される場合、用語「ヘテロ芳香族」、「ヘテロアリール」、または同様の用語は、少なくとも1つの環が芳香族である、少なくとも1つのヘテロ原子を含有する単環式または多環式、不飽和基を意味する。多環式ヘテロアリール環は、少なくとも1つのヘテロ原子を含有しなければならないが、多環式ヘテロアリール部分の全ての環がヘテロ原子を含有しなければならないわけではない。各ヘテロ原子は、独立して、酸化(例えば、N(O))または四級化され得る窒素、酸素、ならびにスルホキシドおよびスルホンを含む硫黄より選択される。代表的なヘテロアリール基としては、ピリジル、1-オキソ-ピリジル、フラニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、ベンゾ[1,4]ジオキシニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、キノリニル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、トリアゾリル、チアジアゾリル、イソキノリニル、インダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾフリル、インドリジニル、イミダゾピリジル、テトラゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、インドリル、テトラヒドロインドリル、アザインドリル、イミダゾピリジル、キナゾリニル、プリニル、ピロロ[2,3]ピリミジニル、ピラゾロ[3,4]ピリミジニル、イミダゾ[1,2-a]ピリジル、およびベンゾチエニルが挙げられる。一態様において、ヘテロ芳香環は、5〜8員単環式ヘテロアリール環より選択される。ヘテロ芳香族またはヘテロアリール環の結合点は、炭素原子またはヘテロ原子のいずれかにおいてであり得る。本発明の化合物に含まれるヘテロアリール基は、1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。本明細書において使用される場合、用語「(C5)ヘテロアリール」は、環の少なくとも1つの炭素原子が、例えば、酸素、硫黄または窒素などのヘテロ原子で置き換えられている、5員のヘテロ芳香環を意味する。代表的な(C5)ヘテロアリールとしては、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピラジニル、トリアゾリル、チアジアゾリルなどが挙げられる。本明細書において使用される場合、用語「(C6)ヘテロアリール」は、環の少なくとも1つの炭素原子が、例えば、酸素、窒素または硫黄などのヘテロ原子で置き換えられている、6員の芳香族ヘテロ環式環を意味する。代表的な(C6)ヘテロアリールとしては、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、テトラジニルなどが挙げられる。
【0024】
本明細書において使用される場合、用語「ヘテロアラルキル」は、(C1-C6)アルキレンによって別の基に結合しているヘテロアリール基を意味する。代表的なヘテロアラルキルとしては、2-(ピリジン-4-イル)-プロピル、2-(チエン-3-イル)-エチル、イミダゾール-4-イル-メチルなどが挙げられる。本発明の化合物に含まれるヘテロアラルキル基は、1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0025】
本明細書において使用される場合、用語「ハロゲン」または「ハロ」は、-F、-Cl、-Brまたは-Iを意味する。
【0026】
本明細書において使用される場合、用語「ヘテロアルキル」は、鎖中の内部炭素原子の1つまたは複数がヘテロ原子によって置き換えられている直鎖または分枝鎖アルキル基を意味する。例えば、ヘテロアルキルは式-[CH2]X-Z-[CH2]y[CH3]によって示され、式中、xは正の整数であり、yはゼロまたは正の整数であり、ZはO、NR、S、S(O)、またはS(O)2であり、炭素原子の置換は不安定な化合物をもたらさない。本発明の化合物に含まれるヘテロアルキル基は、1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0027】
アルキル、アルキレン、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアラルキル基についての適切な置換基としては、本発明の化合物の反応性または生物学的活性に顕著に悪影響を与えることなく本発明の安定な化合物を形成する置換基が挙げられる。アルキル、アルキレン、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアラルキルについての置換基の例としては、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、(これらの各々は、独立して、置換されていてもよい)、-C(O)NR28R29、-C(S)NR28R29、-C(NR32)NR28R29、-NR33C(O)R31、-NR33C(S)R31、-NR33C(NR32)R31、ハロ、-OR33、シアノ、ニトロ、-C(O)R33、-C(S)R33、-C(NR32)R33、-NR28R29、-C(O)OR33、-C(S)OR33、-C(NR32)OR33、-OC(O)R33、-OC(S)R33、-OC(NR32)R33、-NR30C(O)NR28R29、-NR33C(S)NR28R29、-NR33C(NR32)NR28R29、-OC(O)NR28R29、-OC(S)NR28R29、-OC(NR32)NR28R29、-NR33C(O)OR31、-NR33C(S)OR31、-NR33C(NR32)OR31、-S(O)pR33、-OS(O)pR33、-NR33S(O)pR33、-S(O)pNR28R29、-OS(O)pNR28R29、-NR33S(O)pNR28R29、グアニジノ、-C(O)SR31、-C(S)SR31、-C(NR32)SR31、-OC(O)OR31、-OC(S)OR31、-OC(NR32)OR31、-SC(O)R33、-SC(O)OR31、-SC(NR32)OR31、-SC(S)R33、-SC(S)OR31、-SC(O)NR28R29、-SC(NR32)NR28R29、-SC(S)NR28R29、-SC(NR32)R33、-OS(O)pOR31、-S(O)pOR31、-NR30S(O)pOR31、-SS(O)pR33、-SS(O)pOR31、-SS(O)pNR28R29、-OP(O)(OR31)2、または-SP(O)(OR31)2が挙げられる。さらに、アルキル、シクロアルキル、アルキレン、ヘテロシクリル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アラルキルおよびヘテロアラルキル基の任意の飽和部分はまた、=O、=S、または=N-R32で置換されていてもよい。
【0028】
各R28およびR29は、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、またはヘテロアラルキルであり、ここで、R28またはR29によって示される各アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、またはヘテロアルキルは、独立して、置換されていてもよい。
【0029】
各R31およびR33は、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、またはヘテロアラルキルであり、ここで、R31またはR33によって示される各アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、およびヘテロアラルキルは、独立して、非置換であってもよい。
【0030】
各R32は、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、-C(O)R33、-C(O)NR28R29、-S(O)pR33、または-S(O)pNR28R29であり、ここで、R32によって示される各アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキルおよびヘテロアラルキルは、独立して、置換されていてもよい。
【0031】
変数pは、0、1または2である。
【0032】
ヘテロシクリル、ヘテロアリールまたはヘテロアラルキル基が窒素原子を含有する場合、それは置換されていても非置換であってもよい。ヘテロアリール基の芳香環中の窒素原子が置換基を有する場合、窒素は、酸化されていても第4級窒素であってもよい。
【0033】
本明細書において使用される場合、用語「対象」、「患者」および「哺乳動物」は、交換可能に使用される。用語「対象」および「患者」は、動物(例えば、鳥、例えば、ニワトリ、ウズラまたはシチメンチョウ、または哺乳動物)、好ましくは非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ウサギ、モルモット、ラット、ネコ、イヌ、およびマウス)および霊長類(例えば、サル、チンパンジーおよびヒト)を含む哺乳動物、より好ましくはヒトを指す。一態様において、対象は、非ヒト動物、例えば、家畜(例えば、ウマ、ウシ、ブタまたはヒツジ)、またはペット(例えば、イヌ、ネコ、モルモットまたはウサギ)である。好ましい態様において、対象はヒトである。
【0034】
本明細書において使用される場合、用語「本発明の化合物」および同様の用語は、式(I)〜(III)もしくは(Ia)〜(IIIa)のいずれか1つの化合物または表1もしくは表2中の化合物またはその薬学的に許容される塩を指す。
【0035】
開示の方法のいくつかは、がんが「薬剤耐性」または「多剤耐性」となった対象の治療に特に有効であり得る。抗がん剤に対して最初は反応したがんは、がんを有する対象の治療に抗がん剤がもはや有効でない場合、抗がん剤に対して耐性となっている。例えば、多くの腫瘍は、サイズの減少によってまたは寛解にすら入ることによって抗がん剤での治療に最初は反応するが、結局、薬剤に対して耐性を示す結果となる。「薬剤耐性」腫瘍は、増加した投薬量の抗がん剤の投与にもかかわらず、寛解へ外見上は向かった後のそれらの増殖の回復および/または再発を特徴とする。2つ以上の抗がん剤に対して耐性を示したがんは、「多剤耐性」であると言われる。例えば、がんが、3つ以上の抗がん剤、しばしば5つ以上の抗がん剤、時には10以上の抗がん剤に対して耐性となることは一般的である。
【0036】
本明細書において使用される場合、用語「薬学的に許容される塩」は、カルボン酸官能基などの酸性官能基を有する式(I)〜(III)もしくは(Ia)〜(IIIa)のいずれか1つの化合物または表1もしくは表2中の化合物と、薬学的に許容される無機または有機塩基とから作製される塩を指す。適切な塩基としては、ナトリウム、カリウムおよびリチウムなどのアルカリ金属の水酸化物;カルシウムおよびマグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;アルミニウムおよび亜鉛などの他の金属の水酸化物;アンモニア、および有機アミン、例えば、非置換のまたはヒドロキシ置換されたモノ-、ジ-、もしくはトリアルキルアミン;ジシクロヘキシルアミン;トリブチルアミン;ピリジン;N-メチル,N-エチルアミン;ジエチルアミン;トリエチルアミン;モノ-、ビス-、もしくはトリス-(2-ヒドロキシ-低級アルキルアミン)、例えば、モノ-、ビス-、もしくはトリス-(2-ヒドロキシエチル)アミン、2-ヒドロキシ-tert-ブチルアミン、またはトリス-(ヒドロキシメチル)メチルアミン、N,N,-ジ-低級アルキル-N-(ヒドロキシ低級アルキル)-アミン、例えば、N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アミン、またはトリ-(2-ヒドロキシエチル)アミン;N-メチル-D-グルカミン;およびアミノ酸、例えば、アルギニン、リジンなどが挙げられるが、これらに限定されない。用語「薬学的に許容される塩」はまた、アミン官能基などの塩基性官能基を有する式(I)〜(III)もしくは(Ia)〜(IIIa)のいずれか1つの化合物または表1もしくは表2中の化合物と、薬学的に許容される無機または有機酸とから作製される塩を指す。適切な酸としては、硫酸水素塩、クエン酸、酢酸、シュウ酸、塩酸(HCl)、臭化水素(HBr)、ヨウ化水素(HI)、硝酸、二硫化水素、リン酸、イソニコチン酸、オレイン酸、タンニン酸、パントテン酸、糖酸、乳酸、サリチル酸、酒石酸、酒石酸水素酸(bitartratic acid)、アスコルビン酸、コハク酸、マレイン酸、ベシル酸、フマル酸、グルコン酸、グルカロン酸(glucaronic acid)、ギ酸、安息香酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パモ酸およびp-トルエンスルホン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
薬学的に許容される担体は、化合物の生物学的活性を過度に阻害しない不活性成分を含有し得る。薬学的に許容される担体は、生体適合性であるべきであり、即ち、非毒性、非炎症性、非免疫原性であるべきであり、かつ、対象への投与時に他の望ましくない反応を欠くべきである。REMINGTON, J. P., REMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES (Mack Pub. Co., 17th ed., 1985)に記載されるものなどの、標準的な医薬品処方技術が用いられ得る。非経口投与について適切な薬学的担体としては、例えば、滅菌水、生理食塩水、静菌性食塩水(約0.9% mg/mlベンジルアルコールを含有する食塩水)、リン酸緩衝食塩水、ハンクス液、乳酸リンゲル液(Ringer's-lactate)などが挙げられる。硬質ゼラチンまたはシクロデキストランのコーティングなどにおいて、組成物をカプセル化するための方法は、当技術分野において公知である。BAKER, ET AL., CONTROLLED RELEASE OF BIOLOGICAL ACTIVE AGENTS, (John Wiley and Sons, 1986)を参照のこと。
【0038】
本明細書において使用される場合、用語「有効量」は、疾患または障害の重篤度、持続、進行または発症を減らすかまたは改善し、疾患または障害の発症を遅らせ、疾患または障害の進行を遅らせるかまたは停止させ、疾患または障害の退縮を引き起こし、疾患または障害に関連する症状の再発、発生、発症または進行を予防するかまたは遅らせ、または別の療法の治療効果を増強または改善するために十分である本発明の化合物の量を指す。対象へ投与される化合物の正確な量は、投与様式、疾患または状態のタイプおよび重篤度、ならびに対象の特徴、例えば、全体的な健康、年齢、性別、体重および薬物に対する耐性に依存する。例えば、増殖性疾患または障害について、有効量の決定はまた、細胞増殖の程度、重篤度およびタイプに依存する。当業者は、これらおよび他の因子に応じて適切な投薬量を決定することができる。他の治療剤と共に同時投与される場合、例えば、抗がん剤と共に同時投与される場合、追加の治療剤の「有効量」は、使用される薬物のタイプに依存する。適切な投薬量は、認可された治療剤について公知であり、対象の状態、治療される状態のタイプ、および使用される本発明の化合物の量に応じて、当業者によって調節され得る。量が明確に記載されていない場合、有効量は仮定されるべきである。本発明の化合物の有効量の非限定的な例をここで下記に提供する。特定の態様において、本発明は、NSCLC、結腸癌または赤白血病、またはその1つまたは複数の症状を治療、管理、または改善する方法を提供し、該方法は、本発明の1つまたは複数の化合物の少なくとも150μg/kg、少なくとも250μg/kg、少なくとも500μg/kg、少なくとも1 mg/kg、少なくとも5 mg/kg、少なくとも10 mg/kg、少なくとも25 mg/kg、少なくとも50 mg/kg、少なくとも75 mg/kg、少なくとも100 mg/kg、少なくとも125 mg/kg、少なくとも150 mg/kg、または少なくとも200 mg/kgまたはそれ以上の用量を、1日1日、2日毎に1回、3日毎に1回、4日毎に1回、5日毎に1回、6日毎に1回、7日毎に1回、8日毎に1回、10日毎に1回、2週毎に1回、3週毎に1回、または月1回、その必要がある対象へ投与する工程を含む。日用量は単回用の部分で投与され得る。あるいは、日用量は、1日当たり2回、3回、4回またはそれ以上で投与される部分(典型的に等しい部分)に分割され得る。
【0039】
肺癌(例えば、NSCLC)、結腸癌または赤白血病、またはその1つまたは複数の症状を治療、管理、または改善するために使用されていたかまたは現在使用されている、本発明の化合物以外の治療剤の投薬量が、本発明の併用療法において使用され得る。好ましくは、前記併用療法において使用される各個々の治療剤の投薬量は、疾患または障害、またはその1つまたは複数の症状を治療、管理、または改善するために独立して提供される場合の個々の治療剤の用量よりも少ない。疾患または障害、またはその1つまたは複数の症状の治療、管理、または改善のために現在使用される治療剤の推奨される投薬量は、当技術分野における任意の参考文献から得ることができる。例えば、GOODMAN & GILMAN'S THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF BASIS OF THERAPEUTICS 9TH ED, (Hardman, et al, Eds., NY:Mc-Graw-Hill (1996)); PHYSICIAN'S DESK REFERENCE 57TH ED. (Medical Economics Co., Inc., Montvale, NJ (2003))を参照のこと。
【0040】
本明細書において使用される場合、用語「治療する」、「治療」および「治療すること」は、1つまたは複数の療法(例えば、1つまたは複数の治療剤、例えば、本発明の化合物)の投与から生じる、疾患または障害の進行、重篤度および/または持続の減少または改善、疾患または障害の発症の遅延、または疾患または障害の1つまたは複数の症状(好ましくは、1つまたは複数の識別可能な症状)の改善を指す。用語「治療する」、「治療」および「治療すること」はまた、疾患または障害を発症する危険性の減少、および疾患または障害の再発の遅延または抑制を包含する。特定の態様において、用語「治療する」、「治療」および「治療すること」は、患者によって必ずしも識別可能でない、腫瘍の成長などの、疾患または障害の少なくとも1つの測定可能な物理的パラメータの改善を指す。他の態様において、用語「治療する」、「治療」および「治療すること」は、物理的には識別可能な症状の安定化による、生理的には物理的パラメータの安定化による、または両方による、疾患または障害、例えば、肺癌(例えば、NSCLC)、結腸癌または赤白血病の進行の抑制を指す。別の態様において、増殖性疾患または障害の用語「治療する」、「治療」および「治療すること」は、腫瘍サイズまたはがん細胞カウントの減少または安定化、および/または腫瘍形成の遅延を指す。
【0041】
本明細書において使用される場合、用語「治療剤(therapeutic agent)」および「治療剤(therapeutic agents)」は、疾患または障害、例えば、肺癌(例えば、NSCLC)、結腸癌または赤白血病、またはその1つまたは複数の症状の治療において使用され得る任意の薬剤を指す。ある態様において、用語「治療剤」は本発明の化合物を指す。ある他の態様において、用語「治療剤」は本発明の化合物を指さない。好ましくは、治療剤は、疾患または障害、例えば、肺癌(例えば、NSCLC)、結腸癌または赤白血病、またはその1つまたは複数の症状の治療のために、有用であることが公知であるか、または使用されていたかまたは現在使用されている薬剤である。
【0042】
本明細書において使用される場合、用語「相乗的」は、一緒に与えた場合、個々の療法の相加効果よりも有効である、本発明の化合物と別の治療剤との組み合わせを指す。療法の組み合わせ(例えば、治療剤の組み合わせ)の相乗効果は、1つまたは複数の治療剤のより少ない投薬量の使用および/または疾患または障害、例えば、肺癌(例えば、NSCLC)、結腸癌または赤白血病を有する対象への該薬剤のより頻繁でない投与を可能にする。1つまたは複数の治療剤のより少ない投薬量を利用するおよび/または該治療剤をより少ない頻度で投与する能力は、疾患または障害の治療における該療法の効能を低下させることなく、対象への該薬剤の投与に関連する毒性を低下させる。さらに、相乗効果は、疾患または障害、例えば、肺癌(例えば、NSCLC)、結腸癌または赤白血病の予防、管理または治療において、薬剤の改善された効能をもたらし得る。最後に、療法の組み合わせの相乗効果は、いずれかの治療剤単独の使用に関連する有害なまたは望ましくない副作用を回避するかまたは減少させ得る。
【0043】
本明細書において使用される場合、用語「組み合わせて」は、1つを超える治療剤の使用を指す。用語「組み合わせて」の使用は、該治療剤が肺癌(例えば、NSCLC)、結腸癌または赤白血病を有する対象へ投与される順序を限定しない。本発明の化合物などの第1治療剤は、肺癌(例えば、NSCLC)、結腸癌または赤白血病を有する対象へ、抗がん剤などの第2治療剤の投与の前に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週、2週、3週、4週、5週、6週、8週、または12週前に)、と同時に、または後に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週、2週、3週、4週、5週、6週、8週、または12週後に)投与され得る。
【0044】
本明細書において使用される場合、用語「療法(therapies)」および「療法(therapy)」は、肺癌(例えば、NSCLC)、結腸癌または赤白血病の予防、治療、管理、または改善において使用され得る任意のプロトコル、方法、および/または薬剤を指し得る。
【0045】
本明細書において使用される場合、「プロトコル」は、投薬スケジュールおよび投薬レジメンを含む。本明細書におけるプロトコルは、使用の方法であり、治療プロトコルを含む。
【0046】
本明細書において使用される場合、化合物を「実質的に」含む組成物は、組成物が、約80重量%を超える、より好ましくは約90重量%を超える、さらにより好ましくは約95重量%を超える、最も好ましくは約97重量%を超える化合物を含有することを意味する。
【0047】
本発明の化合物は、それらの化学構造および/または化学名によって本明細書において定義される。化合物が化学構造および化学名の両方によって言及され、化学構造および化学名が矛盾する場合、化学構造が、化合物のアイデンティティーを決定する。
【0048】
安定な構造を生じさせる置換基の選択および組み合わせのみが意図される。このような選択および組み合わせは、当業者に明らかであり、過度の実験なしで決定され得る。
【0049】
本発明は、本発明の非限定的な態様を例示するように意図される、下記の詳細な説明および例示的な実施例を参照することによってより完全に理解され得る。
【0050】
タキサンは、本明細書に定義される任意のタキサンであり得る。特定の態様において、タキサンは、約94μmol/m2(80 mg/m2)の週用量で静脈内投与されるパクリタキセルである。
【0051】
開示の発明において用いられるタキサンとしては、パクリタキセル(例えば、タキソール(Taxol)(登録商標))およびパクリタキセルアナログが挙げられる。パクリタキセルは、微小管形成を増強し安定させることによって作用し得る、周知の抗がん剤である。従って、用語「パクリタキセルアナログ」は、基本パクリタキセル骨格を有しかつ微小管形成を安定させる化合物を意味するように本明細書において定義される。「タキソテール(Taxotere)(登録商標)」とも呼ばれる、ドセタキセルを含む、パクリタキセルの多くのアナログが公知である。パクリタキセルおよびドセタキセルはそれぞれの構造式を有する。
【0052】
開示の発明に用いられるタキサンは、構造式Aで下記に示される共通の構造特徴としての基本タキサン骨格を有する:
二重結合は、構造式Aによって示されるタキサン骨格中のシクロヘキサン環から省略されている。基本タキサン骨格は、下記のパクリタキセルアナログならびに構造式BおよびCに示されるように、一方または両方のシクロヘキサン環中に0または1つの二重結合を含み得ることが理解される。パクリタキセルアナログ内で構造変化が一般的に起こる部位を示すために、多数の原子がまた構造式Aから省略されている。
【0053】
広範囲の置換基が、生物学的活性に悪影響を与えることなく、タキサン骨格を修飾し得る。また、パクリタキセルアナログのシクロヘキサン環の0個、1個または両方が、示される位置で二重結合を有し得る。例えば、単に酸素原子でのタキサン骨格での置換は、ヒドロキシル、アシル、アルコキシ、または他の酸素含有置換基がその部位で一般的に見られることを示す。タキサン骨格上でのこれらおよび他の置換が、微小管形成を増強し安定させる能力を失わせることなく、行われ得ることが理解される。従って、用語「パクリタキセルアナログ」は、基本パクリタキセル骨格を有しかつ微小管形成を安定させる化合物を意味するように本明細書において定義される。用語タキサンは、パクリタキセルおよび本明細書に記載のパクリタキセルアナログ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物などの化合物を含むように、本明細書において定義される。
【0054】
典型的に、開示の発明において用いられるタキサンは、構造式BまたはCによって示される:
R10は、置換されていてもよい低級アルキル基、置換されていてもよいフェニル基、-SR19、-NHR19または-OR19である。
R11は、置換されていてもよい低級アルキル基、置換されていてもよいアリール基である。
R12は、-H、-OH、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルコキシ、置換低級アルコキシ、-O-C(O)-(低級アルキル)、-O-C(O)-(置換低級アルキル)、-O-CH2-O-(低級アルキル) -S-CH2-O-(低級アルキル)である。
R13は、-H、-CH3であるか、または、R14と一緒になって、-CH2-である。
R14は、-H、-OH、低級アルコキシ、-O-C(O)-(低級アルキル)、置換低級アルコキシ、-O-C(O)-(置換低級アルキル)、-O-CH2-O-P(O)(OH)2、-O-CH2-O-(低級アルキル)、-O-CH2-S-(低級アルキル)であるか、または、R20と一緒になって、二重結合である。
R15は、-H、低級アシル、低級アルキル、置換低級アルキル、アルコキシメチル、アルキルチオメチル、-C(O)-O(低級アルキル)、-C(O)-O(置換低級アルキル)、-C(O)-NH(低級アルキル)または-C(O)-NH(置換低級アルキル)である。
R16は、フェニルまたは置換フェニルである。
R17は、-H、低級アシル、置換低級アシル、低級アルキル、置換低級アルキル、(低級アルコキシ)メチルまたは(低級アルキル)チオメチルである。
R18は、-H、-CH3であるか、または、R17とR17およびR18が結合している炭素原子と一緒になって、5または6員の非芳香族ヘテロ環式環である。
R19は、置換されていてもよい低級アルキル基、置換されていてもよいフェニル基である。
R20は、-Hまたはハロゲンである。
R21は、-H、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アシルまたは置換低級アシルである。
【0055】
好ましくは、構造式BおよびC中の変数は、下記の通り定義される:R10は、フェニル、tert-ブトキシ、-S-CH2-CH-(CH3)2、-S-CH(CH3)3、-S-(CH2)3CH3、-O-CH(CH3)3、-NH-CH(CH3)3、-CH=C(CH3)2またはパラクロロフェニルであり;R11は、フェニル、(CH3)2CHCH2-、-2-フラニル、シクロプロピルまたはパラトルイルであり;R12は、-H、-OH、CH3CO-または-(CH2)2-N-モルホリノであり;R13はメチルであるか、または、R13およびR14は、一緒になって、-CH2-であり;
R14は、-H、-CH2SCH3または-CH2-O-P(O)(OH)2であり;
R15は、CH3CO-であり;
R16はフェニルであり;R17は-Hであるか、または、R17およびR18は、一緒になって、-O-CO-O-であり;
R18は-Hであり;R20は-Hまたは-Fであり;かつR21は、-H、-C(O)-CHBr-(CH2)13-CH3または-C(O)-(CH2)14-CH3;-C(O)-CH2-CH(OH)-COOH、-C(O)-CH2-O-C(O)-CH2CH(NH2)-CONH2、-C(O)-CH2-O--CH2CH2OCH3または-C(O)-O-C(O)-CH2CH3である。
【0056】
パクリタキセルアナログの具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
【0057】
パクリタキセルアナログはまた、ポリアクリルアミドなどの薬学的に許容されるポリマーへと結合されていてもよく、または該ポリマーから張り出していてもよい。このタイプのポリマーの一例は、下記のパクリタキセルアナログ22であり、これは、ポリマー骨格から張り出しているタキソールアナログ基を含むポリマーの構造を有する。ポリマーは、示される3つのモノマー単位のターポリマーである。用語「パクリタキセルアナログ」は、本明細書において使用される場合、このようなポリマーを含む。
【0058】
本発明は、式(I)〜(III)もしくは(Ia)〜(IIIa)のいずれか1つを有する化合物ならびに表1および2に記載のものならびにその互変異性体または薬学的に許容される塩を包含する。
【0059】
本発明はまた、式(I)または(Ia)によって示される化合物またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩を利用する:
式中、
X41は、O、S、またはNR42であり;
X42は、CR44またはNであり;
Y40は、NまたはCR43であり;
Y41は、NまたはCR45であり;
Y42は、それぞれの場合で、独立してN、CまたはCR46であり;
Zは、OH、SH、またはNHR7であり;
R41は、-H、-OH、-SH、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいシクロアルケニル、置換されていてもよいヘテロシクリル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアラルキル、ハロ、シアノ、ニトロ、グアニジノ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシまたはシクロアルコキシ、ハロアルコキシ、-NR10R11、-OR7、-C(O)R7、-C(O)OR7、-C(S)R7、-C(O)SR7、-C(S)SR7、-C(S)OR7、-C(S)NR10R11、-C(NR8)OR7、-C(NR8)R7、-C(NR8)NR10R11、-C(NR8)SR7、-OC(O)R7、-OC(O)OR7、-OC(S)OR7、-OC(NR8)OR7、-SC(O)R7、-SC(O)OR7、-SC(NR8)OR7、-OC(S)R7、-SC(S)R7、-SC(S)OR7、-OC(O)NR10R11、-OC(S)NR10R11、-OC(NR8)NR10R11、-SC(O)NR10R11、-SC(NR8)NR10R11、-SC(S)NR10R11、-OC(NR8)R7、-SC(NR8)R7、-C(O)NR10R11、-NR8C(O)R7、-NR7C(S)R7、-NR7C(S)OR7、-NR7C(NR8)R7、-NR7C(O)OR7、-NR7C(NR8)OR7、-NR7C(O)NR10R11、-NR7C(S)NR10R11、-NR7C(NR8)NR10R11、-SR7、-S(O)pR7、-OS(O)pR7、-OS(O)pOR7、-OS(O)pNR10R11、-S(O)pOR7、-NR8S(O)pR7、-NR7S(O)pNR10R11、-NR7S(O)pOR7、-S(O)pNR10R11、-SS(O)pR7、-SS(O)pOR7、-SS(O)pNR10R11、-OP(O)(OR7)2、または-SP(O)(OR7)2であり;
R42は、-H、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいシクロアルケニル、置換されていてもよいヘテロシクリル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアラルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、-C(O)R7、-(CH2)mC(O)OR7、-C(O)OR7、-OC(O)R7、-C(O)NR10R11、-S(O)pR7、-S(O)pOR7、または-S(O)pNR10R11であり;
R43およびR44は、独立して、-H、-OH、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいシクロアルケニル、置換されていてもよいヘテロシクリル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアラルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、ハロ、シアノ、ニトロ、グアニジノ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、-C(O)R7、-C(O)OR7、-OC(O)R7、-C(O)NR10R11、-NR8C(O)R7、-SR7、-S(O)pR7、-OS(O)pR7、-S(O)pOR7、-NR8S(O)pR7、-S(O)pNR10R11であるか、またはR43およびR44は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、置換されていてもよいシクロアルケニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロシクリル、または置換されていてもよいヘテロアリールを形成し;
R45は、-H、-OH、-SH、-NR7H、-OR26、-SR26、-NHR26、-O(CH2)mOH、-O(CH2)mSH、-O(CH2)mNR7H、-S(CH2)mOH、-S(CH2)mSH、-S(CH2)mNR7H、-OC(O)NR10R11、-SC(O)NR10R11、-NR7C(O)NR10R11、-OC(O)R7、-SC(O)R7、-NR7C(O)R7、-OC(O)OR7、-SC(O)OR7、-NR7C(O)OR7、-OCH2C(O)R7、-SCH2C(O)R7、-NR7CH2C(O)R7、-OCH2C(O)OR7、-SCH2C(O)OR7、-NR7CH2C(O)OR7、-OCH2C(O)NR10R11、-SCH2C(O)NR10R11、-NR7CH2C(O)NR10R11、-OS(O)pR7、-SS(O)pR7、-NR7S(O)pR7、-OS(O)pNR10R11、-SS(O)pNR10R11、-NR7S(O)pNR10R11、-OS(O)pOR7、-SS(O)pOR7、-NR7S(O)pOR7、-OC(S)R7、-SC(S)R7、-NR7C(S)R7、-OC(S)OR7、-SC(S)OR7、-NR7C(S)OR7、-OC(S)NR10R11、-SC(S)NR10R11、-NR7C(S)NR10R11、-OC(NR8)R7、-SC(NR8)R7、-NR7C(NR8)R7、-OC(NR8)OR7、-SC(NR8)OR7、-NR7C(NR8)OR7、-OC(NR8)NR10R11、-SC(NR8)NR10R11、または-NR7C(NR8)NR10R11であり;
R46は、それぞれの場合で、独立して、H、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいシクロアルケニル、置換されていてもよいヘテロシクリル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアラルキル、ハロ、シアノ、ニトロ、グアニジノ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、-NR10R11、-OR7、-C(O)R7、-C(O)OR7、-OC(O)R7、-C(O)NR10R11、-NR8C(O)R7、-SR7、-S(O)pR7、-OS(O)pR7、-S(O)pOR7、-NR8S(O)pR7、または-S(O)pNR10R11からなる群より選択され;
R7およびR8は、それぞれの場合で、独立して、-H、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいシクロアルケニル、置換されていてもよいヘテロシクリル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアラルキル、または置換されていてもよいヘテロアラルキルであり;
R10およびR11は、それぞれの場合で、独立して、-H、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいシクロアルケニル、置換されていてもよいヘテロシクリル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアラルキル、または置換されていてもよいヘテロアラルキルであるか;またはR10およびR11は、それらが結合している窒素と一緒になって、置換されていてもよいヘテロシクリルまたは置換されていてもよいヘテロアリールを形成し;
R26は、低級アルキルであり;
pは、それぞれの場合で、独立して、1または2であり;かつ
mは、それぞれの場合で、独立して、1、2、3、または4である。
【0060】
一態様において、式(I)または(Ia)において、X41はNR42であり、X42はCR44である。
【0061】
別の態様において、式(I)または(Ia)において、X41はNR42であり、X42はNである。
【0062】
別の態様において、式(I)または(Ia)において、R41は、-H、低級アルキル、低級アルコキシ、低級シクロアルキル、および低級シクロアルコキシからなる群より選択される。
【0063】
別の態様において、式(I)または(Ia)において、R41は、-H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、およびシクロプロポキシからなる群より選択される。
【0064】
別の態様において、式(I)または(Ia)において、X41はNR42であり、R42は、-H、低級アルキル、低級シクロアルキル、-C(O)N(R27)2、および-C(O)OHからなる群より選択され、R27は-Hまたは低級アルキルである。
【0065】
別の態様において、式(I)または(Ia)において、X41はNR42であり、R42は、-H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、-C(O)OH、-(CH2)mC(O)OH、-CH2OCH3、-CH2CH2OCH3、および-C(O)N(CH3)2からなる群より選択される。
【0066】
一態様において、Y40はCR43である。好ましくは、Y40はCR43であり、R43はHまたは低級アルキルである。
【0067】
別の態様において、式(I)または(Ia)において、R43およびR44は、独立して、-H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルまたはシクロプロピルからなる群より選択される。
【0068】
別の態様において、式(I)または(Ia)において、X42はCR44であり;YはCR43であり;R43およびR44は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリール環を形成する。この態様の一局面において、R43およびR44は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C5-C8シクロアルケニルまたはC5-C8アリールを形成する。
【0069】
別の態様において、式(I)または(Ia)において、R45は、-H、-OH、-SH、-NH2、低級アルコキシおよび低級アルキルアミノからなる群より選択される。
【0070】
別の態様において、式(I)または(Ia)において、R45は、-H、-OH、メトキシおよびエトキシからなる群より選択される。
【0071】
別の態様において、式(I)または(Ia)において、X41はOである。
【0072】
別の態様において、化合物は、以下からなる群より選択される:
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(2-メチル-7-メトキシ-ベンゾフラン-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(ベンゾフラン-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(2-メチル-1,3-ベンゾオキサジ-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【0073】
別の態様において、式(I)または(Ia)において、Zは-OHである。
【0074】
別の態様において、化合物は、以下からなる群より選択される:
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1,3-ジメチル-インドール-5-イル)-5-ヒドロキシ-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(1,3-ジメチル-インドール-5-イル)-5-ヒドロキシ-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(1-メチル-インドール-5-イル)-5-ヒドロキシ-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(1-イソプロピル-インドール-4-イル)-5-ヒドロキシ-[1,2,4]トリアゾール、またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【0075】
別の態様において、Zは-SHである。
【0076】
別の態様において、化合物は、以下からなる群より選択される:
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(1-メチル-インダゾール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(1-メチル-インダゾール-6-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【0077】
本発明はまた、式(II)または(IIa)によって示される化合物またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩を利用する:
式中、
Z1は、-OHまたは-SHであり;かつ
X42、R41、R42、R43、およびR45は、上記のように定義される。
【0078】
一態様において、式(II)または(IIa)において、Z1は-OHである。
【0079】
別の態様において、式(II)または(IIa)において、Z1は-SHである。
【0080】
別の態様において、式(II)または(IIa)において、R41は、-H、低級アルキル、低級アルコキシ、低級シクロアルキル、および低級シクロアルコキシからなる群より選択される。
【0081】
別の態様において、式(II)または(IIa)において、R41は、-H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、およびシクロプロポキシからなる群より選択される。
【0082】
別の態様において、式(II)または(IIa)において、R42は、低級アルキル、低級シクロアルキル、-C(O)N(R27)2、または-C(O)OHからなる群より選択され、R27は-Hまたは低級アルキルである。
【0083】
別の態様において、式(II)または(IIa)において、R42は、-H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、-C(O)OH、-(CH2)mC(O)OH、-CH2OCH3、-CH2CH2OCH3、および-C(O)N(CH3)2からなる群より選択される。
【0084】
別の態様において、R43はHまたは低級アルキルである。
【0085】
別の態様において、式(II)または(IIa)において、X42はCR44であり、R43およびR44は、独立して、-H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、およびシクロプロピルからなる群より選択される。
【0086】
別の態様において、式(II)または(IIa)において、X42はCR44であり、R43およびR44は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリール環を形成する。好ましくは、この態様において、R43およびR44は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C5-C8シクロアルケニルまたはC5-C8アリールを形成する。
【0087】
別の態様において、式(II)または(IIa)において、R45は、-H、-OH、-SH、-NH2、低級アルコキシおよび低級アルキルアミノからなる群より選択される。
【0088】
別の態様において、式(II)または(IIa)において、R45は、-H、-OH、メトキシ、およびエトキシからなる群より選択される。
【0089】
別の態様において、式(II)または(IIa)において、X43はCR44である。
【0090】
別の態様において、化合物は、以下からなる群より選択される:
3-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4-(1-エチル-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4-(1-イソプロピル-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4-(インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4-(1-メトキシエチル-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-イソプロピル-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4-(1-ジメチルカルバモイル-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-1-プロピル-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1,2,3-トリメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(2,3-ジメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-アセチル-2,3-ジメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-イソプロピル-7-メトキシ-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-プロピル-2,3-ジメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(N-メチル-テトラヒドロカルボゾール(carbozol)-7-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(N-メチル-シクロノナン[a]インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-n-ブチル-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-n-ペンチル-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-n-ヘキシル-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-シクロプロピル-フェニル)-4-(1-(1-メチルシクロプロピル)-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-シクロプロピル-フェニル)-4-(1-イソプロピル-7-メトキシ-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-シクロプロピル-フェニル)-4-(1,2,3-トリメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-イソプロピル-7-メトキシ-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール二ナトリウム塩、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-tert-ブチル-フェニル)-4-(1-イソプロピル-7-メトキシ-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-シクロプロピル-フェニル)-4-(1-プロピル-7-メトキシ-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-メチル-3-エチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1,3-ジメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(1-イソプロピル-7-メトキシ-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-メチル-3-イソプロピル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(N-エチル-カルボゾール-7-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-イソプロピル-7-ヒドロキシ-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-イソプロピル-7-エトキシ-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1,2-ジメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(N-メチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(1,3-ジメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-シクロプロピル-フェニル)-4-(1,3-ジメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-シクロプロピル-フェニル)-4-(1-メチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(1H-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1,2-ジメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(1-エチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(1-プロピル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【0091】
別の態様において、式(II)または(IIa)において、X42はNである。
【0092】
別の態様において、化合物は、以下からなる群より選択される:
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-エチル-ベンゾイミダゾール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-エチル-ベンゾイミダゾール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾールHCL塩、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(2-メチル-3-エチル-ベンゾイミダゾール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-エチル-2-メチル-ベンゾイミダゾール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(1-メチル-2-トリフルオロメチル-ベンゾイミダゾール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【0093】
本発明はまた、式(III)または(IIIa)を有する化合物またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩を利用する:
式中、
X45は、CR54またはNであり;
Z1は、-OHまたは-SHであり;
R52は、-H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、-(CH2)2OCH3、-CH2C(O)OH、および-C(O)N(CH3)2からなる群より選択され;
R53およびR54は、各々、独立して、-H、メチル、エチル、またはイソプロピルであるか;またはR53およびR54は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、フェニル、シクロヘキセニル、またはシクロオクテニル環を形成し;
R55は、-H、-OH、-OCH3、および-OCH2CH3からなる群より選択され;
R56は、-H、メチル、エチル、イソプロピル、およびシクロプロピルからなる群より選択される。
【0094】
一態様において、式(III)または(IIIa)において、Z1は-OHである。
【0095】
別の態様において、式(III)または(IIIa)において、Z1は-SHである。
【0096】
別の態様において、式(III)または(IIIa)において、R53はHまたは低級アルキルである。
【0097】
別の態様において、式(III)または(IIIa)において、X45はCR54である。好ましくは、R54はHまたは低級アルキルである。
【0098】
別の態様において、X45はNである。
【0099】
別の態様において、化合物は、3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(N-メチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩である。
【0100】
i)例示的な本発明の化合物
互変異性体または薬学的に許容される塩を含む、例示的な本発明の化合物を下記の表1に示す。
【0101】
(表1)
【0102】
(表2)式(Ia)に従う化合物
【0103】
開示の方法において使用される化合物は、米国出願第2006-0167070号およびWO2009/023211に開示の方法に従って作製され得、これらの全教示は参照により本明細書に組み入れられる。
【0104】
本発明の化合物は、典型的に、下記に示されるように、また表1および2に示される互変異性構造によって例示されるように、互変異性構造を形成し得る。
【0105】
本発明はまた、肺癌(例えば、NSCLC)、結腸癌または赤白血病、またはその1つまたは複数の症状を治療、管理、または改善する方法を提供し、該方法は、1つまたは複数の本発明の化合物および1つまたは複数の他の療法(例えば、肺癌(例えば、NSCLC)、結腸癌または赤白血病、または、肺癌(例えば、NSCLC)、結腸癌または赤白血病に関連する1つまたは複数の症状の治療または改善における使用について、現在使用されているか、使用されていたか、有用であることが公知であるかまたは開発中である、1つまたは複数の治療剤)を、その必要がある対象へ投与する工程を含む。
【0106】
本発明の併用療法の治療剤は、連続してまたは同時に投与され得る。特定の態様において、本発明の併用療法は、1つまたは複数の化合物、および該化合物と同一の作用機構を有する少なくとも1つの他の療法を含む。別の特定の態様において、本発明の併用療法は、1つまたは複数の本発明の化合物、および該化合物と異なる作用機構を有する少なくとも1つの他の療法を含む。ある態様において、本発明の併用療法は、化合物と一緒に相加または相乗効果を有するように機能することによって、1つまたは複数の本発明の化合物の治療効果を改善する。ある態様において、本発明の併用療法は、療法に関連する副作用を減らす。ある態様において、本発明の併用療法は、1つまたは複数の療法の有効投薬量を減らす。
【0107】
併用療法の治療剤は、同一の薬学的組成物で、対象、好ましくはヒト対象へ投与され得る。代替の態様において、併用療法の治療剤は、別個の薬学的組成物で、対象へ同時に投与され得る。治療剤は、同一のまたは異なる投与経路によって対象へ投与され得る。特定の態様において、1つまたは複数の本発明の化合物を含む薬学的組成物は、増殖性障害、例えばがん、またはその1つまたは複数の症状を予防、治療、管理、または改善するために、対象、好ましくはヒトへ投与される。本発明によれば、本発明の薬学的組成物はまた、肺癌(例えば、NSCLC)、結腸癌または赤白血病、またはその症状)の治療または改善において、使用されているか、使用されていたか、または有用であることが公知である、1つまたは複数の他の薬剤を含み得る。
【0108】
本発明は、肺癌(例えば、NSCLC)、結腸癌または赤白血病についての既存の薬剤療法に対して(完全にまたは部分的に)難治性の対象における肺癌(例えば、NSCLC)、結腸癌または赤白血病、またはその1つまたは複数の症状を管理、治療または改善するための方法であって、該方法が、有効量の用量の1つまたは複数の本発明の化合物および有効量の用量の1つまたは複数の療法を該対象へ投与する工程を含む方法を提供する。本発明はまた、他の療法に対して難治性であることが判明したがこれらの療法をもはや受けていない患者へ任意の他の療法と組み合わせて1つまたは複数の本発明の化合物を投与することによる、肺癌(例えば、NSCLC)、結腸癌または赤白血病、またはその症状を治療、管理、または改善するための方法を提供する。
【0109】
本発明の化合物および/または他の療法は、当業者に公知の任意の経路によって対象へ投与され得る。投与経路の例としては、非経口、例えば、静脈内、皮内、皮下、経口(例えば、吸入)、鼻腔内、経皮(局所)、経粘膜、および直腸投与が挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
本発明は、肺癌(例えば、NSCLC)、結腸癌または赤白血病の治療および改善のための組成物を提供する。特定の態様において、組成物は、1つまたは複数の本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む。別の態様において、本発明の組成物は、本発明の化合物または薬学的に許容される塩以外の1つまたは複数の治療剤を含む。別の態様において、本発明の組成物は、1つまたは複数の本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩、および1つまたは複数の他の治療剤を含む。別の態様において、組成物は、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む。
【0111】
好ましい態様において、本発明の組成物は、薬学的組成物または単回単位投薬形態である。本発明の薬学的組成物および投薬形態は、与えられた薬学的組成物または投薬形態が肺癌(例えば、NSCLC)、結腸癌または赤白血病を治療するために使用され得る様式で処方された、相対量での、1つまたは複数の有効成分を含む。好ましい薬学的組成物および投薬形態は、任意で1つまたは複数の追加の活性薬剤と組み合わせて、式(I)〜(III)もしくは(Ia)〜(IIIa)のいずれか1つの化合物または表1もしくは表2中の化合物、またはその薬学的に許容されるものを含む。
【0112】
本発明の薬学的組成物は、その意図される投与経路と適合性であるように処方される。投与経路の例としては、非経口、例えば、静脈内、皮内、皮下、経口(例えば、吸入)、鼻腔内、経皮(局所)、経粘膜、および直腸投与が挙げられるが、これらに限定されない。特定の態様において、組成物は、ヒトへの静脈内、皮下、筋内、経口、鼻腔内または局所投与に適した薬学的組成物として型通りの手順に従って処方される。好ましい態様において、薬学的組成物は、ヒトへの皮下投与について型通りの手順に従って処方される。
【0113】
本発明の単回単位投薬形態は、患者への経口、粘膜(例えば、鼻、舌下、膣、頬、または直腸)、非経口(例えば、皮下、静脈内、ボーラス注射、筋内、または動脈内)、または経皮投与に適している。投薬形態の例としては、錠剤;カプレット剤;カプセル剤、例えば、軟弾性ゼラチンカプセル剤;カシェ剤;トローチ剤;ロゼンジ剤;分散剤;坐剤;軟膏剤;パップ剤(湿布);泥膏;散剤;包帯剤;クリーム剤;硬膏剤;液剤;パッチ剤;エアロゾル剤(例えば、鼻腔スプレーまたは吸入器);ゲル剤;患者への経口または粘膜投与に適した液体投薬形態、例えば、懸濁剤(例えば、水性または非水性液体懸濁剤、水中油型乳剤、または油中水型液体乳剤)、液剤、およびエリキシル剤;患者への非経口投与に適した液体投薬形態;ならびに、患者への非経口投与に適した液体投薬形態を提供するために再構成され得る滅菌固体(例えば、結晶性またはアモルファス固体)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0114】
本発明の投薬形態の組成、形状およびタイプは、典型的にそれらの用途に応じて変化する。例えば、粘膜投与に適した投薬形態は、同一の適応症を治療するために使用される経口投薬形態よりも少ない量の有効成分を含有し得る。本発明のこの局面は当業者に容易に明らかである。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences (1990) 18th ed., Mack Publishing, Easton PAを参照のこと。
【0115】
典型的な薬学的組成物および投薬形態は、1つまたは複数の賦形剤を含む。適切な賦形剤は、薬学の当業者に周知であり、適切な賦形剤の非限定的な例をここに提供する。特定の賦形剤が薬学的組成物または投薬形態中への組み込みに適しているかどうかは、投薬形態が患者へ投与される様式を含むがこれらに限定されない、当技術分野において周知の様々な因子に依存する。例えば、錠剤などの経口投薬形態は、非経口投薬形態における使用に適さない賦形剤を含有し得る。
【0116】
特定の賦形剤の適合性はまた、投薬形態中の特定の有効成分に依存し得る。例えば、ある有効成分の分解が、ラクトースなどのある賦形剤によって、または水へさらされた場合に、促進され得る。第1級または第2級アミン(例えば、N-デスメチルベンラファキシンおよびΝ,Ν-ジデスメチルベンラファキシン)を含む有効成分は、このような促進される分解に対して特に敏感である。従って、本発明は、たとえあったとしても僅かなラクトースを含有する、薬学的組成物および投薬形態を包含する。本明細書において使用される場合、用語「ラクトースフリーの」は、たとえあったとしても、存在するラクトースの量が、有効成分の分解速度を実質的に増加させるには不十分であることを意味する。本発明のラクトースフリーの組成物は、当技術分野において周知でありかつ例えば、米国薬局方(U.S. Pharmocopia)(USP)SP(XXI)/NF(XVI)に列挙されている賦形剤を含み得る。一般的に、ラクトースフリーの組成物は、薬学的に適合性でありかつ薬学的に許容される量で、有効成分、結合剤/充填剤、および滑沢剤を含む。好ましいラクトースフリーの投薬形態は、有効成分、微結晶性セルロース、アルファ化デンプン、およびステアリン酸マグネシウムを含む。
【0117】
本発明は、有効成分を含む無水薬学的組成物および投薬形態をさらに包含する。何故ならば、水は、ある化合物の分解を促進し得るためである。例えば、水(例えば、5%)の添加は、経時的な製剤の安定性または貯蔵寿命などの特性を測定するために、長期保存をシミュレートする手段として薬学の技術分野において広く受け入れられている。例えば、Jens T. Carstensen (1995) Drug Stability: Principles & Practice, 2d. Ed., Marcel Dekker, NY, NY, 379-80を参照のこと。実際に、水および熱は、ある化合物の分解を促進する。従って、製剤に対する水の効果は非常に重要であり得、何故ならば、製剤の製造、取り扱い、包装、保管、出荷および使用の間、水分および/または湿度に一般的に遭遇するためである。
【0118】
本発明の無水薬学的組成物および投薬形態は、無水または低水分含有成分および低水分または低湿度条件を使用して、作製され得る。ラクトースと第1級または第2級アミンを含む少なくとも1つの有効成分とを含む薬学的組成物および投薬形態は、製造、包装、および/または保管の間の水分および/または湿度との実質的な接触が予想される場合、好ましくは無水である。
【0119】
無水薬学的組成物は、その無水性質が維持されるように、作製および保存されるべきである。従って、無水組成物は、好ましくは、それらが適切な処方キット中に含まれ得るように、水への曝露を防ぐことが公知である材料を使用して包装される。適切なパッケージングの例としては、密封ホイル、プラスチック、単位用量容器(例えば、バイアル)、ブリスターパック、およびストリップパックが挙げられるが、これらに限定されない。
【0120】
本発明は、有効成分が分解する速度を低下させる1つまたは複数の化合物を含む薬学的組成物および投薬形態をさらに包含する。「安定剤」と本明細書において呼ばれるこのような化合物としては、抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸、pH緩衝剤、または塩緩衝剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0121】
経口投与に適している本発明の薬学的組成物は、分離した投薬形態、例えば、しかしこれらに限定されないが、錠剤(例えば、チュアブル錠)、カプレット剤、カプセル剤、および液体(例えば、風味付けされたシロップ剤)として提示され得る。このような投薬形態は、所定量の有効成分を含有し、当業者に周知の調剤法によって作製され得る。一般的に、Remington's Pharmaceutical Sciences (1990) 18th ed., Mack Publishing, Easton PAを参照のこと。
【0122】
本発明の典型的な経口投薬形態は、従来の医薬品調合技術に従って、有効成分と少なくとも1つの賦形剤とを混合することによって作製される。賦形剤は、投与について望ましい調製物の形態に応じて広範囲の形態をとり得る。例えば、経口液体またはエアロゾル投薬形態における使用に適した賦形剤としては、水、グリコール、油、アルコール、矯味矯臭剤、保存剤、および着色剤が挙げられるが、これらに限定されない。固体経口投薬形態(例えば、散剤、錠剤、カプセル剤、およびカプレット剤)における使用に適した賦形剤の例としては、デンプン、糖類、微結晶性セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、および崩壊剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0123】
投与の容易さに起因して、錠剤およびカプセル剤は、最も有利な経口投薬単位形態を示し、この場合、固体賦形剤が用いられる。必要に応じて、錠剤は、標準の水性または非水性技術によってコーティングされ得る。このような投薬形態は、任意の調剤法によって作製され得る。一般的に、薬学的組成物および投薬形態は、有効成分と液体担体、微細な固体担体または両方とを一様にかつよく混合し、次いで、必要ならば、生成物を所望の形状に成形することによって、作製される。
【0124】
例えば、錠剤は圧縮または成形によって作製され得る。圧縮錠剤は、任意で賦形剤と混合された、粉末または顆粒などの自由流動形態の有効成分を適切な機械中において圧縮することによって作製され得る。湿製錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らされた粉末状化合物の混合物を適切な機械中において成形することによって作製され得る。
【0125】
本発明の経口投薬形態において使用され得る賦形剤の例としては、結合剤、充填剤、崩壊剤、および滑沢剤が挙げられるが、これらに限定されない。薬学的組成物および投薬形態における使用に適した結合剤としては、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、または他のデンプン、ゼラチン、天然および合成ゴム、例えば、アカシア、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギネート、トラガント末、グアーガム、セルロースおよびその誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシルメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、番号2208、2906、2910)、微結晶性セルロース、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0126】
微結晶性セルロースの適切な形態としては、AVICEL-PH-101、AVICEL-PH-103 AVICEL RC-581、AVICEL-PH-105として販売される材料(FMC Corporation, American Viscose Division, Avicel Sales, Marcus Hook, PAから入手可能)、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。一つの具体的な結合剤は、AVICEL RC-581として販売される、微結晶性セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムの混合物である。適切な無水または低水分賦形剤または添加剤としては、AVICEL-PH-103JおよびStarch 1500 LMが挙げられる。
【0127】
本明細書に開示される薬学的組成物および投薬形態における使用に適した充填剤の例としては、タルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒または粉末)、微結晶性セルロース、粉末セルロース、デキストレート(dextrate)、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の薬学的組成物中の結合剤または充填剤は、典型的に、薬学的組成物または投薬形態の約50〜約99重量パーセントで存在する。
【0128】
水性環境へさらされると崩壊する錠剤を提供するために、本発明の組成物において崩壊剤が使用される。崩壊剤を過度に含有する錠剤は保存中に崩壊する場合があり、一方、非常に少量を含有するものは、所望の速度でまたは所望の条件下で崩壊しない場合がある。従って、有効成分の放出を不利益に変化させるほどには多すぎでも少なすぎでもない、十分な量の崩壊剤が、本発明の固体経口投薬形態を形成するために使用されるべきである。使用される崩壊剤の量は、製剤のタイプに基づいて変化し、当業者に容易に識別可能である。典型的な薬学的組成物は、約0.5〜約15重量パーセントの崩壊剤、好ましくは約1〜約5重量パーセントの崩壊剤を含む。
【0129】
本発明の薬学的組成物および投薬形態において使用され得る崩壊剤としては、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、他のデンプン、アルファ化デンプン、他のデンプン、クレイ、他のアルギン、他のセルロース、ゴム、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0130】
本発明の薬学的組成物および投薬形態において使用され得る滑沢剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水添植物油(例えば、落花生油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、およびダイズ油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。さらなる滑沢剤としては、例えば、シロイド(syloid)シリカゲル(AEROSIL 200、W.R. Grace Co., Baltimore, MDによって製造)、合成シリカの凝固エアロゾル(Degussa Co., Plano, TXによって販売)、CAB-O-SIL(Cabot Co., Boston, MAによって販売される発熱性二酸化ケイ素生成物)、ならびにそれらの混合物が挙げられる。使用される場合、滑沢剤は、それらが組み入れられる薬学的組成物または投薬形態の約1重量パーセント未満の量で典型的に使用される。
【0131】
本発明の有効成分は、当業者に周知である送達デバイスによってまたは制御放出手段によって投与され得る。例としては、米国特許第3,845,770号;第3,916,899号;第3,536,809号;第3,598,123号;および第4,008,719号、第5,674,533号、第5,059,595号、第5,591,767号、第5,120,548号、第5,073,543号、第5,639,476号、第5,354,556号、および第5,733,566号に記載されるものが挙げられるが、これらに限定されず、これらの各々は、参照により本明細書に組み入れられる。このような投薬形態は、様々な割合で、所望の放出プロフィールを提供するために、例えば、ヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過膜、浸透システム、多層コーティング、マイクロ粒子、リポソーム、マイクロスフェア、またはそれらの組み合わせを使用して、1つまたは複数の有効成分の徐放または制御放出を提供するために使用され得る。本明細書に記載されるものを含む、当業者に公知の適切な制御放出製剤は、本発明の有効成分との使用について容易に選択され得る。従って、本発明は、これらに限定されないが、制御放出に適している錠剤、カプセル剤、ゲルキャップ剤およびカプレット剤などの、経口投与に適した単回単位投薬形態を包含する。
【0132】
全ての制御放出性医薬品は、それらの非制御相当物によって達成されるものよりも薬物療法を改善するという一般的な目的を有する。理想的には、医学的処置における最適に設計された制御放出性調製物の使用は、最小限の原薬が最小限の時間で状態を治すまたは制御するために用いられることを特徴とする。制御放出性製剤の利点としては、薬物活性の持続、投薬頻度の減少、および患者コンプライアンスの向上が挙げられる。
【0133】
大部分の制御放出性製剤は、所望の治療効果を即座にもたらす量の薬物(有効成分)を最初に放出し、そして長期間にわたってこのレベルの治療または予防効果を維持するために徐々にかつ継続的に他の量の薬物を放出するように設計される。体内における薬物のこの一定レベルを維持するために、薬物は、代謝され体から排出される薬物の量を置換する速度で投薬形態から放出されなければならない。有効成分の制御放出は、pH、温度、酵素、水、または他の生理学的条件もしくは化合物を含むが、これらに限定されない、種々の条件によって刺激され得る。
【0134】
本発明の特定の持続放出性製剤は、微結晶性セルロースと、任意で、エチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースの混合物でコーティングされたヒドロキシプロピルメチルセルロースとをさらに含む回転楕円体中に、治療的にまたは予防的に有効な量の式(I)〜(III)もしくは(Ia)〜(IIIa)のいずれか1つの化合物または表1もしくは表2中の化合物、または薬学的に許容される塩を含む。このような持続放出性製剤は、米国特許第6,274,171号に従って作製され得、この全体は参照により本明細書に組み入れられる。
【0135】
本発明の特定の制御放出性製剤は、約6重量%〜約40重量%の式(I)〜(III)もしくは(Ia)〜(IIIa)の化合物または表1もしくは表2中の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、包接化合物、もしくはプロドラッグ、約50重量%〜約94重量%の微結晶性セルロース,NF、ならびに任意で約0.25%〜約1重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース,USPを含み、ここで、回転楕円体は、エチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースから構成されるフィルムコーティング組成物でコーティングされている。
【0136】
非経口投薬形態は、皮下、静脈内(ボーラス注射を含む)、筋内、および動脈内を含むが、これらに限定されない、種々の経路によって患者へ投与され得る。それらの投与は汚染物質に対する患者の自然防御を典型的に回避するので、非経口投薬形態は、好ましくは、無菌であるかまたは患者への投与前に滅菌することができる。非経口投薬形態の例としては、注射の準備ができている液剤、注射用の薬学的に許容されるビヒクル中に溶解または懸濁される準備ができている乾燥プロダクト、注射の準備ができている懸濁剤、および乳剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0137】
本発明の非経口投薬形態を提供するために使用され得る適切なビヒクルは、当業者に周知である。例としては、注射用水USP;水性ビヒクル、例えば、しかしこれらに限定されないが、塩化ナトリウム注射液、リンゲル液、デキストロース注射液、デキストロースおよび塩化ナトリウム注射液、および乳酸リンゲル液;水混和性ビヒクル、例えば、しかしこれらに限定されないが、エチルアルコール、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコール;ならびに非水性ビヒクル、例えば、しかしこれらに限定されないが、トウモロコシ油、綿実油、落花生油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、および安息香酸ベンジルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0138】
本明細書に開示の1つまたは複数の有効成分の溶解性を増加させる化合物がまた、本発明の非経口投薬形態中へ混合され得る。
【0139】
本発明の経皮、局所、および粘膜投薬形態としては、点眼剤、スプレー剤、エアロゾル剤、クリーム剤、ローション剤、軟膏剤、ゲル剤、液剤、乳剤、懸濁剤、または当業者に公知の他の形態が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences (1980 & 1990) 16th and 18th eds., Mack Publishing, Easton PA and Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms (1985) 4th ed., Lea & Febiger, Philadelphiaを参照のこと。口腔内の粘膜組織を治療するために適した投薬形態は、含嗽剤としてまたは口腔用ゲル剤として処方され得る。さらに、経皮投薬形態としては、皮膚へ塗布され、所望の量の有効成分の浸透を可能にする特定の期間身につけられ得る、「リザーバー型」または「マトリックス型」パッチ剤が挙げられる。
【0140】
本発明によって包含される経皮、局所、および粘膜投薬形態を提供するために使用され得る適切な賦形剤(例えば、担体および希釈剤)および他の物質は、薬学の技術分野の当業者に周知であり、与えられる薬学的組成物または投薬形態が適用される特定の組織に依存する。
【0141】
その事実を考慮して、典型的な賦形剤としては、非毒性であり薬学的に許容される、ローション剤、チンキ剤、クリーム剤、乳剤、ゲル剤または軟膏剤を形成するための、水、アセトン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン-1,3-ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱油、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。保湿剤または湿潤剤もまた、必要に応じて、薬学的組成物および投薬形態へ添加され得る。このような追加の成分の例は当技術分野において周知である。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences (1980 & 1990) 16th and 18th eds., Mack Publishing, Easton PAを参照のこと。
【0142】
治療される特定の組織に応じて、追加の成分が、本発明の有効成分での治療の前に、と同時に、または後に、使用され得る。例えば、浸透促進剤が、組織への有効成分の送達を助けるために使用され得る。適切な浸透促進剤としては、アセトン;種々のアルコール、例えば、エタノール、オレイル、およびテトラヒドロフリル;アルキルスルホキシド、例えば、ジメチルスルホキシド;ジメチルアセトアミド;ジメチルホルムアミド;ポリエチレングリコール;ピロリドン、例えば、ポリビニルピロリドン;Kollidon等級(ポビドン(Povidone)、ポリビドン(Polyvidone));尿素;ならびに種々の水溶性または不溶性の糖エステル、例えば、Tween 80(ポリソルベート80)およびSpan 60(ソルビタンモノステアレート)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0143】
薬学的組成物または投薬形態の、または薬学的組成物または投薬形態が適用される組織の、pHはまた、1つまたは複数の有効成分の送達を改善するために調節され得る。同様に、溶媒担体の極性、そのイオン強度、または張性が、送達を改善するために調節され得る。1つまたは複数の有効成分の親水性または親油性を有利に変えて送達を改善するために、ステアレートなどの化合物がまた薬学的組成物または投薬形態へ添加され得る。この点に関して、ステアレートは、製剤についての液体ビヒクルとして、乳化剤または界面活性剤として、および送達促進剤または浸透促進剤として、役立ち得る。有効成分の種々の塩、水和物または溶媒和物が、得られる組成物の特性をさらに調節するために使用され得る。
【0144】
増殖性障害、例えばがん、またはその1つまたは複数の症状の予防、治療、管理、または改善において有効である本発明の化合物または組成物の量は、疾患または状態の性質または重篤度、および有効成分が投与される経路で変化する。頻度および投薬量はまた、投与される特定の療法(例えば、治療剤または予防剤)、障害、疾患または状態の重篤度、投与経路、ならびに患者の年齢、体重、反応、および病歴に依存する各患者について固有の因子に応じて変化する。有効量は、インビトロまたは動物モデル試験系から誘導される用量応答曲線から外挿され得る。適切なレジメンが、このような因子を考慮することによって、および例えば、文献において報告され、Physician's Desk Reference (57th ed., 2003)において推奨されている投薬量に従うことによって、当業者によって選択され得る。
【0145】
小分子の例示的な用量としては、対象重量または試料重量1キログラム当たりの小分子のミリグラム量またはマイクログラム量(例えば、1キログラム当たり約1マイクログラム〜1キログラム当たり約500ミリグラム、1キログラム当たり約100マイクログラム〜1キログラム当たり約5ミリグラム、または1キログラム当たり約1マイクログラム〜1キログラム当たり約50マイクログラム)が挙げられる。
【0146】
一般的に、本明細書に記載の状態についての本発明の化合物の推奨される日用量範囲は、1日当たり約0.01 mg〜約1000 mgの範囲内にあり、1日1回の単回用量として、好ましくは1日にわたって分割された用量として提供される。一態様において、日用量は、等しく分割された用量で1日2回投与される。具体的には、日用量範囲は、1日当たり約5 mg〜約500 mg、より具体的には、1日当たり約10 mg〜約200 mgであるべきである。患者の管理において、療法は、患者の全体的な反応に応じて、単回用量または分割用量のいずれかとして、より低い用量、恐らく約1 mg〜約25 mgで開始され、必要ならば1日当たり約200 mg〜約1000 mgまで増加されるべきである。当業者に明らかであるように、場合によっては、本明細書に開示される範囲外の投薬量の有効成分を使用することが必要であり得る。さらに、臨床医または担当医は、個々の患者反応と関連して療法をどのようにおよびいつ中断する、調節する、または終わらせるかを理解していることが留意される。
【0147】
種々の治療有効量が、当業者によって容易に理解されるように、種々の増殖性障害について適用可能であり得る。同様に、このような増殖性障害を予防、管理、治療または改善するために十分であるが、本発明の化合物に関連する有害効果を引き起こすには不十分であるか、または有害効果を減らすには十分である量もまた、上述の投薬量および投薬頻度スケジュールによって包含される。さらに、本発明の化合物の複数の投薬量が患者に投与される場合、投薬量の全てが同一である必要はない。例えば、患者へ投与される投薬量は、化合物の予防または治療効果を改善するために増加する場合があり、またはそれは、特定の患者が経験する1つまたは複数の副作用を減らすために減少する場合がある。
【0148】
特定の態様において、患者における増殖性障害、例えばがん、またはその1つまたは複数の症状を予防、治療、管理、または改善するために投与される本発明の組成物または本発明の化合物の投薬量は、患者の体重について、150μg/kg、好ましくは250μg/kg、500μg/kg、1 mg/kg、5 mg/kg、10 mg/kg、25 mg/kg、50 mg/kg、75 mg/kg、100 mg/kg、125 mg/kg、150 mg/kg、または200 mg/kgまたはそれ以上である。別の態様において、患者における増殖性障害、例えばがん、またはその1つまたは複数の症状を予防、治療、管理、または改善するために投与される本発明の組成物または本発明の化合物の投薬量は、0.1 mg〜20 mg、0.1 mg〜15 mg、0.1 mg〜12 mg、0.1 mg〜10 mg、0.1 mg〜8 mg、0.1 mg〜7 mg、0.1 mg〜5 mg、0.1〜2.5 mg、0.25 mg〜20 mg、0.25〜15 mg、0.25〜12 mg、0.25〜10 mg、0.25〜8 mg、0.25 mg〜7m g、0.25 mg〜5 mg、0.5 mg〜2.5 mg、1 mg〜20 mg、1 mg〜15 mg、1 mg〜12 mg、1 mg〜10 mg、1 mg〜8 mg、1 mg〜7 mg、1 mg〜5 mg、または1 mg〜2.5 mgの単位用量である。単位用量は、1日1回、2回、3回、4回またはそれ以上、または2、3、4、5、6または7日毎に1回、または週1回、2週毎に1回、3週毎に1回、または毎月1回投与され得る。
【0149】
一態様において、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)は、3週毎に1回のスケジュールで投与され、HSP阻害剤(例えば、化合物1)は、第1および2週に投与され(その後1週間休み)、その後、再び開始される。あるいは、パクリタキセルまたはドセタキセルについて75mg/m2へ上昇する60 mg/m2の開始用量での3週毎に1回のレジメンが使用される。別の選択肢において、パクリタキセルまたはドセタキセルを用いての、30 mg/m2で開始し35 mg/m2へ上昇する3週オン/1週オフレジメンが使用される。HSP90阻害剤の量は、上述したように、耐容性および効能に従って調節される。
【0150】
別の選択肢において、パクリタキセルは、週1回提供される(典型的な用量90 mg/m2、範囲70〜100)。あるいは、それは、3週毎に1回提供される。3週毎に1回提供される場合、用量は、175〜225 mg/m2の範囲にある。HSP90阻害剤の用量は、一般的に、完全単回薬剤用量である(上述したように、耐容性に応じて、例えば、200 mg/m2、またはそれ未満)。
【0151】
別の選択肢において、ドセタキセルは、3週毎に1回提供される(用量レベル75 mg/m2、範囲60〜100 mg/m2)。それはまた、毎週、範囲30〜40 mg/m2で、提供され得る。HSP90阻害剤の用量は、一般的に、完全単回薬剤用量である(上述したように、耐容性に応じて、例えば、200 mg/m2、またはそれ未満)。
【0152】
あるいは、治療サイクルは、2週間の毎週の治療、続いての1週間の休息期間を含む。治療サイクルは3週毎に繰り返される。HSP90阻害剤は、各サイクルの第1日および第8日に投与され(150 mg/m2または200 mg/m2)、ドセタキセル(60 mg/m2または75mg/m2)は、各サイクルの第1日に投与される。治療は3週毎に繰り返される。
【0153】
別の選択肢において、対象には、連続する3週間についてHSP90阻害剤200 mg/m2続いてドセタキセル25 mg/m2、30 mg/mまたは35 mg/m2が投与され、続いて1週間の投薬の無い間隔が空けられる。次いで、治療が繰り返される。
【0154】
増殖性障害、例えばがん、またはその1つまたは複数の症状を予防、治療、管理するために使用されていたかまたは現在使用されている、本発明の化合物以外の予防または治療剤の投薬量が、本発明の併用療法において使用され得る。好ましくは、増殖性障害、またはその1つまたは複数の症状を予防、治療、管理、または改善するために使用されていたかまたは現在使用されているものよりも低い投薬量が、本発明の併用療法において使用される。増殖性障害、例えばがん、またはその1つまたは複数の症状の予防、治療、管理、または改善のために現在使用される薬剤の推奨される投薬量は、Hardman et al., eds., 1996, Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis Of Basis Of Therapeutics 9th Ed, Mc-Graw-Hill, New York; Physician's Desk Reference (PDR) 57th Ed., 2003, Medical Economics Co., Inc., Montvale, NJを含むが、これらに限定されない、当技術分野における任意の参考文献から得ることができ、これらはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0155】
ある態様において、本発明の化合物が別の療法と組み合わせて投与される場合、療法(例えば、予防または治療剤)は、5分未満間隔で、30分未満間隔で、1時間間隔で、約1時間間隔で、約1〜約2時間間隔で、約2時間〜約3時間間隔で、約3時間〜約4時間間隔で、約4時間〜約5時間間隔で、約5時間〜約6時間間隔で、約6時間〜約7時間間隔で、約7時間〜約8時間間隔で、約8時間〜約9時間間隔で、約9時間〜約10時間間隔で、約10時間〜約11時間間隔で、約11時間〜約12時間間隔で、約12時間〜18時間間隔で、18時間〜24時間間隔で、24時間〜36時間間隔で、36時間〜48時間間隔で、48時間〜52時間間隔で、52時間〜60時間間隔で、60時間〜72時間間隔で、72時間〜84時間間隔で、84時間〜96時間間隔で、または96時間〜120時間間隔で、投与される。一態様において、2つ以上の療法(例えば、予防または治療剤)は、患者通院の同日中に投与される。
【0156】
ある態様において、本発明の1つまたは複数の化合物および1つまたは複数の他の療法(例えば、治療剤)が、周期的に投与される。サイクリング療法は、ある期間の第1療法(例えば、第1の予防または治療剤)の投与、続いてのある期間の第2療法(例えば、第2の予防または治療剤)の投与、続いてのある期間の第3療法(例えば、第3の予防または治療剤)の投与など、およびこの一連の投与を繰り返すこと、即ち、薬剤のうちの1つに対する耐性の発生を低減するため、薬剤のうちの1つの副作用を回避または低減するため、および/または治療の効能を改善するためのサイクルを含む。
【0157】
ある態様において、本発明の同一の化合物の投与が繰り返され得、投与は、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2ヶ月、75日、3ヶ月、または6ヶ月間隔を空けられ得る。他の態様において、同一の予防または治療剤の投与が繰り返され得、投与は、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2ヶ月、75日、3ヶ月、または6ヶ月間隔を空けられ得る。
【0158】
特定の態様において、本発明は、増殖性障害、例えばがん、またはその1つまたは複数の症状を予防、治療、管理、または改善する方法を提供し、該方法は、本発明の1つまたは複数の化合物の少なくとも150μg/kg、好ましくは少なくとも250μg/kg、少なくとも500μg/kg、少なくとも1 mg/kg、少なくとも5 mg/kg、少なくとも10 mg/kg、少なくとも25 mg/kg、少なくとも50 mg/kg、少なくとも75 mg/kg、少なくとも100 mg/kg、少なくとも125 mg/kg、少なくとも150 mg/kg、または少なくとも200 mg/kgまたはそれ以上の用量を、1日1回、好ましくは、2日毎に1回、3日毎に1回、4日毎に1回、5日毎に1回、6日毎に1回、7日毎に1回、8日毎に1回、10日毎に1回、2週毎に1回、3週毎に1回、または1ヶ月に1回、その必要がある対象へ投与する工程を含む。あるいは、用量は、1日2回、3回、4回またはそれ以上投与される部分(典型的に等しい部分)へ分割され得る。
【0159】
本発明を下記の実施例によって説明し、これらは決して限定であるようには意図されない。
【実施例】
【0160】
実施例1:化合物1とパクリタキセルとの組み合わせはNCI-H1975 NSCLC細胞を有するSCIDマウス異種移植モデルのヒト腫瘍細胞に対して増強された抗腫瘍活性を示す
ヒト非小細胞肺癌(NSCLC)細胞株である、NCI-H1975(ATCC #CRL-5908)を、American Type Culture Collection (ATCC; Manassas, Virginia, USA)から得た。50%ダルベッコの改変イーグル培地(高グルコース)、50% RPMI培地1640(4.5 g/Lグルコース)、10%ウシ胎仔血清(FBS)、10 mM HEPES、1% 100Xペニシリン-ストレプトマイシン、1% 100Xピルビン酸ナトリウムおよび1% 100X MEM非必須アミノ酸から作製した増殖培地において、細胞株を培養した。FBSをATCCから得、全ての他の試薬をInvitrogen Corp. (Carlsbad, California, USA)から得た。液体窒素中に凍結保存されていた細胞を37℃で急速に解凍し、増殖培地を含有する組織培養フラスコへ移し、次いで、5%CO2インキュベータ中において37℃でインキュベートした。NCI-H1975細胞株を増やすために、培養物を3日毎に1:5に分割し、このとき175 cm2フラスコは85%コンフルエントであった。室温のリン酸緩衝食塩水(PBS)10 mLで洗浄し、次いで、1×トリプシン-EDTA 5 mLを添加し、細胞がフラスコの表面から離れるまで37℃でインキュベートすることにより、細胞を分離することによって、培養物を継代した。トリプシンを不活性化するために、増殖培地5 mLを添加し、次いでフラスコの内容物を遠心分離し、細胞をペレット化した。上澄みを吸引し、細胞ペレットを増殖培地10 mLに再懸濁し、血球計を使用して細胞数を測定した。細胞を、増殖培地50 mLを含有する175 cm2フラスコへ接種し、5%CO2インキュベータ中において37℃でインキュベートした。フラスコが85%コンフルエンスに達したら、マウスへの移植について十分な細胞が得られるまで、上記の継代プロセスを繰り返した。
【0161】
6〜7週齢の雌性CB17/Icr-Prkdcscid/Crl(SCID)マウスを、Charles River Laboratories (Wilmington, Massachusetts, USA)から得た。動物を12時間/12時間の明/暗サイクルでマイクロアイソレーター中に4〜5/ケージで収容し、使用前に少なくとも1週間順応させ、通常の飼料を適宜与えた。動物は移植時に7〜8週齢であった。SCIDマウスにNCI-H1975腫瘍細胞を移植するために、細胞を上述のように収集し、PBS中で洗浄し、50%無添加培地および50% Matrigel基底膜マトリックス(#354234; BD Biosciences; Bedford, Massachusetts, USA)中に5×10(7)細胞/mLの濃度で再懸濁した。27ゲージ針および1 cc注射器を使用して、細胞懸濁物0.1 mL中の5×10(6) NCI-H1975細胞を、SCIDマウスの側腹へ皮下注射した。
【0162】
次いで、大多数が95〜195 mm3の腫瘍体積に達するまで、腫瘍をインビボで成長させ、これは、NCI-H1975モデルについて移植後およそ1 1/2週間を要した。楕円形の非常に小さなまたは大きな腫瘍を有する動物を捨て、一貫した増殖速度を示す腫瘍を有する動物のみを研究について選択した。以下の式:V=0.5236×(L×W×T)を使用して、腫瘍の幅(W)、長さ(L)および厚み(T)のカリパス測定によって、腫瘍体積(V)を計算した。各群の平均腫瘍体積が投薬の開始時に同様になるように、動物を処置群へ無作為化した。効能の指標としての%T/C値を、下記のように決定した:
(i)ΔΤ>0である場合:%T/C=(ΔT/ΔC)×100
(ii)ΔT<0である場合:%T/C=(ΔT/T0)×100
(iii)ΔT=投薬の開始と研究の終了との間での平均腫瘍体積の変化
(iv)ΔC=投薬の開始と研究の終了との間での平均腫瘍体積の変化
(v)T0=投薬の開始時の平均腫瘍体積。
【0163】
DRDにおいて化合物1、パクリタキセルまたは両方の組み合わせを処方するために、超音波水浴中において超音波処理をすることによりジメチルスルホキシド(DMSO)中に適切な量の化合物を溶解することによって、テスト物品のストック溶液を調製した。ストック溶液を毎週調製し、-20℃で保存し、投薬のために毎日新たに希釈した。液化し透明になるまで50〜60℃で100% Cremophore RH40を先ず加熱し、100% D5Wで1:5に希釈し、透明にまるまで再び再加熱し、次いでよく混合することによって、水中5%デキストロース(Abbott Laboratories, North Chicago, Illinois, USA)中の20% Cremophore RH40(ポリオキシル40硬化ヒマシ油;BASF Corp., Aktiengesellschaft, Ludwigshafen, Germany)の溶液もまた調製した。この溶液は使用前の3ヶ月間まで室温で保存され得る。毎日の投薬のためのDRD製剤を作製するために、DMSOストック溶液を20% Cremophore RH40で1:10に希釈した。投薬のための最終DRD製剤は、10% DMSO、18% Cremophore RH40、3.6%デキストロース、68.4%水、および適切な量のテスト物品を含有した。毎週1日、体重1 kg当たり10 mLで、動物にこの製剤を静脈内(i.v.)注射した。
【0164】
50 mg/kg体重の用量の化合物1での処置は、SCIDマウスのNCI-H1975腫瘍増殖を中程度に阻害し、%T/C値は55であった。同様に、7.5 mg/kg体重の用量のパクリタキセルでの処置は、SCIDマウスのNCI-H1975腫瘍増殖を中程度に阻害し、%T/C値は38であった。対照的に、50 mg/kg体重の化合物1+7.5 mg/kg体重のパクリタキセルの組み合わせでの同時処置は、SCIDマウスのNCI-H1975腫瘍増殖を劇的に阻害し、%T/C値は7であった。併用処置群について観察された効果は、いずれかの単一薬剤群のみについて観察されたものよりも有意に大きかった(P<0.05;一元配置分散分析)。結果を図1に示す。この効果は過度の毒性を伴わない。何故ならば、研究開始時に対する第29日(測定最終日)における平均体重変化は、ビヒクル処置群の+5.1%(+/- 1.4 SEM)と比較して、化合物1+パクリタキセル併用処置群は+3.1%(+/- 1.2 SEM)を有したためである。結果を図2に示す。
【0165】
化合物1とパクリタキセルとの間での薬物間相互作用についての可能性を調べるために、インビボ薬物動態研究を行った。7〜8週齢の雌性Crl:CD-1-nuBR(ヌード)マウスをCharles River Laboratories (Wilmington, Massachusetts, USA)から得た。動物を12時間/12時間の明/暗サイクルでマイクロアイソレーター中に4〜5/ケージで収容し、使用前に少なくとも1週間順応させ、通常の飼料を適宜与えた。動物(3/時点)に、50 mg/kg体重の化合物1のみ、10 mg/kg体重のパクリタキセルのみ、または50 mg/kg体重の化合物1+10 mg/kg体重のパクリタキセルの組み合わせを、単回、i.v.投薬した。血液試料を複数の時点(0.083、0.25、0.5、1、2、4、6、8、24時間)で採取し、血漿を調製し、化合物1およびパクリタキセルの濃度をHPLCによって測定した。表3に示されるように、化合物1は、パクリタキセルの血漿半減期(t 1/2)、ピーク血漿濃度(Cmax)または総血漿曝露(AUCinf)に対して顕著な効果を有しなかった。結果を図3に示す。同様に、パクリタキセルは、化合物1の血漿半減期(t 1/2)、ピーク血漿濃度(Cmax)または総血漿曝露(AUCinf)に対して顕著な効果を有しなかった。結果を図4に示す。
【0166】
(表3)
【0167】
実施例2:化合物1およびパクリタキセルのインビトロ組み合わせ分析
A.細胞および細胞培養
American Type Culture Collectionからのヒト非小細胞肺癌細胞(H1975)を、4 mM L-グルタミン、抗生物質(100 IU/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシン)およびSigma Aldrich製の10%ウシ胎仔血清を含むダルベッコの改変イーグル培地中において増殖させた。1週当たり2〜3回、1:3〜1:6の比で、細胞を継代培養した。増殖曲線をブラックウォールクリアボトム96ウェルプレート中の細胞に対して行い、下記に記載の4日間アッセイにわたって対数増殖を確実にした。そうするために、細胞を第0日にいくつかの異なる密度で接種し、alamarBlueによって測定されるような第0日に対しての第4日での総増殖を比較することによって、総正味増殖を計算した。結果から、2000細胞/ウェルが4日間研究について最適であると決定した。
【0168】
B.パクリタキセルおよび化合物1を用いての組み合わせ研究
パクリタキセルおよび化合物1についての半数阻害濃度(IC50)を、1μΜの最高濃度で開始して化合物の3倍連続希釈を使用して決定した。いずれかの薬剤へ72時間曝露した後、生存率をalamarBlueによって測定し、このデータを使用し、XLFitソフトウェア(ID Business Solutions)を使用してIC50値を計算した。H1975における化合物1についての単一薬剤IC50値は15 nMと計算され;パクリタキセルについては、IC50は7 nMであった(図5)。
【0169】
次いで、パクリタキセルと化合物1との組み合わせを同時に行い、メジアンエフェクト解析によって分析した。各薬剤についてのIC50モル濃度に基づくそれらの等効力の比で、または非等価の比で、薬物を組み合わせた。細胞を薬物組み合わせと共に3日間インキュベートした。alamarBlue細胞生存率アッセイを使用して、コントロールに対する細胞の生存率を測定した。細胞の20〜70%が影響を受けた(即ち、殺滅された)組み合わせ濃度についてメジアンエフェクト解析ソフトウェアCalcuSyn 2.0(CalcuSyn, Inc.)を使用して、コンビネーションインデックス(CI)を決定した。1を超える、1に等しい、または1未満のコンビネーションインデックスは、それぞれ、拮抗作用、相加性および相乗作用を示す。
【0170】
図6および表4に示されるように、化合物1とパクリタキセルとの組み合わせは、両方の化合物の濃度がIC50未満であるがIC20を超える場合、相乗的であることがわかった。
【0171】
(表4)パクリタキセルおよび化合物1の同時処理についてのコンビネーションインデックス値
【0172】
パクリタキセルおよび他のタキサンなどの化学療法剤は、有糸分裂の間にそれらの細胞傷害効果を有し、それらの効果について細胞周期のこの部分を細胞が進むことを要求する。化合物1を用いた未公表の研究、ならびに他のHsp90阻害剤についての以前公表された研究(Hexner, E. O. et al., Blood 111 (12), 5663 (2008))から、これらのデータは、Hsp90機能の阻害は細胞周期停止へ至ることを示唆している。従って、細胞を連続して(先ずパクリタキセル、その後、化合物1が続く)処理することが、同時投与と比較して組み合わせの効能に影響を与えるかどうかを調べるために、試験を行った。
【0173】
H1975細胞を37℃にて24時間5 nMパクリタキセルで処理し、細胞を洗浄し、薬物を除去し、種々の量の化合物1で24時間処理した。細胞を培地で再び洗浄し、さらに24時間インキュベートし、次いでalamarBlueによる生存率解析へ供した。図7および表5に示されるように、化合物1の前にパクリタキセルで処理することは、相乗的な利点を再びもたらした。
【0174】
(表5)パクリタキセルおよび化合物1の連続した組み合わせについてのコンビネーションインデックス値
【0175】
実施例3:化合物1およびタキサンのインビトロ組み合わせ分析
A.材料および方法
細胞株
4 mM L-グルタミン、抗生物質(100 IU/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシン)および10%ウシ胎仔血清(Sigma Aldrich)を含むダルベッコの改変イーグル培地中において、ヒトNCI-H1975非小細胞肺癌細胞(American Type Culture Collection)を増殖させた。2 mM L-グルタミン、抗生物質(100 IU/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシン)および10%ウシ胎仔血清を含むRPMI中において、ヒトHEL92.1.7赤白血病細胞(ATCC)を増殖させた。10%ウシ胎仔血清および抗生物質(100 IU/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシン)を含むMcCoy's 5a改変培地中において、ヒトHT29結腸癌細胞(ATCC)を増殖させた。全ての細胞を37℃、5%CO2雰囲気で維持し、1週当たり2〜3回、1:3〜1:6の比で継代した。
【0176】
細胞生存率アッセイ
alamarBlueアッセイを使用して、細胞生存率を測定した。簡単に説明すると、細胞を2000細胞/ウェル(H1975)または5000細胞/ウェル(HEL92.1.7)にて三重で96-ウェルプレートに平板培養し、37℃、5%CO2雰囲気で24時間インキュベートし、その後培養培地へ薬物またはビヒクル(0.3% DMSO)を添加した。72時間後、10μl/ウェルalamarBlueをウェルへ添加し、さらに3時間、37℃、5%CO2雰囲気でインキュベートした。蛍光(560EX/590EM nM)をSpectraMaxマイクロプレートリーダー(Molecular Devices)で測定し、得られたデータを使用して、ビヒクルコントロールに対して標準化された細胞生存率を計算した。
【0177】
B.パクリタキセルおよび化合物1を用いての組み合わせ研究
タキサン(ドセタキセルまたはパクリタキセル)または化合物1についての半数阻害濃度(IC50)を、1μΜの最高濃度で開始して化合物の3倍連続希釈シリーズを使用して決定した。薬物へ72時間曝露した後、細胞生存率を測定した。データを使用し、XLFitソフトウェア(ID Business Solutions)を使用してIC50値を計算し、表6に報告する。
【0178】
(表6)化合物1およびタキサンについての単一薬剤IC50値(nM)(N/D=測定されず)
【0179】
次いで、タキサンと化合物1との組み合わせを、各薬剤についてのIC50に基づいて同時に行った。具体的には、パクリタキセルまたはドセタキセルのIC50から開始する、連続1.2倍希釈物を、化合物1のIC50からの同様の倍希釈物と混合した。組み合わせた薬物、ならびに各薬剤のみを、3日間、細胞と共にインキュベートし、コントロールに対する細胞の生存率を、alamarBlueアッセイを使用して測定した。メジアンエフェクト解析ソフトウェアCalcuSyn 2.0(CalcuSyn, Inc.)を使用して、コンビネーションインデックス(CI)を決定した。1を超える、1に等しい、または1未満のコンビネーションインデックスは、それぞれ、拮抗作用、相加性および相乗作用を示す(表7)。
【0180】
(表7)コンビネーションインデックス値の説明
【0181】
図8は、組み合わせ実験からの典型的なデータセットを示す。この場合、結果は、H1975細胞における、化合物1、パクリタキセル、または2つの組み合わせによって影響された細胞のパーセントを示している。次いで、データをCalcuSynによる線形曲線フィッティングへ供し、コンビネーションインデックスを得た。
【0182】
図9aおよび9bに示されるように、H1975 NSCLC細胞における化合物1とドセタキセルまたはパクリタキセルとの組み合わせは、それらのそれぞれの用量の相加効果から予想されるものよりも多くの細胞死をもたらした(コンビネーションインデックス値<1)。従って、これらの組み合わせは相乗的である。いずれかのタキサンがHEL92.1.7赤白血病(図10)細胞において化合物1と同時に組み合わされた場合、強力から非常に強力な相乗作用が見られた。ドセタキセルはまた、HT29結腸癌細胞において化合物1と共に投与された場合、相乗的であることがわかった(図11)。まとめると、データは、化合物1およびタキサンは、がん細胞を殺滅するように相乗的に機能することを実証している。
【0183】
実施例4:化合物1とドセタキセルとの組み合わせはHCC827 NSCLC細胞を有するSCIDマウス異種移植モデルにおいてヒト腫瘍細胞に対して増強された抗腫瘍活性を示す
実施例1に記載されるように正確に、SCIDマウスにHCC827(EGFRDelE726-A750)ヒト非小細胞肺癌(NSCLC)細胞を移植した。大多数が95〜195 mm3に達するまで、腫瘍をインビボで成長させ、次いで、ビヒクルのみ、1 kg体重当たり10 mlでの75mg/kgの化合物1、4 mg/kgのドセタキセル(パクリタキセルと同様に処方)、または同時に2つの組み合わせで、1週当たり1回処置した。図12に示されるように、75 mg/kg化合物1+4 mg/kgドセタキセルは、いずれかの単一薬剤のみと比較して増強された効能を示し、%T/C値は、ドセタキセルおよび化合物1単独それぞれについての46および26に対して0であった。この効果は過度の毒性を伴わず、薬物動態研究において化合物1とドセタキセルとの間で薬物間相互作用は観察されなかった(データを示さず)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肺癌、結腸癌、および赤白血病より選択されるがんを有する対象を治療するための方法であって、パクリタキセルまたはパクリタキセルアナログの有効量と、以下より選択される構造式によって示される化合物またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩の有効量とを対象へ投与する工程を含む、前記方法:
式中、
X41は、O、S、またはNR42であり;
X42は、CR44またはNであり;
Y40は、NまたはCR43であり;
Y41は、NまたはCR45であり;
Y42は、それぞれの場合で、独立してN、CまたはCR46であり;
Zは、OH、SH、またはNHR7であり;
R41は、-H、-OH、-SH、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいシクロアルケニル、置換されていてもよいヘテロシクリル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアラルキル、ハロ、シアノ、ニトロ、グアナジノ(guanadino)、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシまたはシクロアルコキシ、ハロアルコキシ、-NR10R11、-OR7、-C(O)R7、-C(O)OR7、-C(S)R7、-C(O)SR7、-C(S)SR7、-C(S)OR7、-C(S)NR10R11、-C(NR8)OR7、-C(NR8)R7、-C(NR8)NR10R11、-C(NR8)SR7、-OC(O)R7、-OC(O)OR7、-OC(S)OR7、-OC(NR8)OR7、-SC(O)R7、-SC(O)OR7、-SC(NR8)OR7、-OC(S)R7、-SC(S)R7、-SC(S)OR7、-OC(O)NR10R11、-OC(S)NR10R11、-OC(NR8)NR10R11、-SC(O)NR10R11、-SC(NR8)NR10R11、-SC(S)NR10R11、-OC(NR8)R7、-SC(NR8)R7、-C(O)NR10R11、-NR8C(O)R7、-NR7C(S)R7、-NR7C(S)OR7、-NR7C(NR8)R7、-NR7C(O)OR7、-NR7C(NR8)OR7、-NR7C(O)NR10R11、-NR7C(S)NR10R11、-NR7C(NR8)NR10R11、-SR7、-S(O)pR7、-OS(O)pR7、-OS(O)pOR7、-OS(O)pNR10R11、-S(O)pOR7、-NR8S(O)pR7、-NR7S(O)pNR10R11、-NR7S(O)pOR7、-S(O)pNR10R11、-SS(O)pR7、-SS(O)pOR7、-SS(O)pNR10R11、-OP(O)(OR7)2、または-SP(O)(OR7)2であり;
R42は、-H、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいシクロアルケニル、置換されていてもよいヘテロシクリル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアラルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、-C(O)R7、-(CH2)mC(O)OR7、-C(O)OR7、-OC(O)R7、-C(O)NR10R11、-S(O)pR7、-S(O)pOR7、または-S(O)pNR10R11であり;
R43およびR44は、独立して、-H、-OH、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいシクロアルケニル、置換されていてもよいヘテロシクリル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアラルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、ハロ、シアノ、ニトロ、グアナジノ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、-C(O)R7、-C(O)OR7、-OC(O)R7、-C(O)NR10R11、-NR8C(O)R7、-SR7、-S(O)pR7、-OS(O)pR7、-S(O)pOR7、-NR8S(O)pR7、-S(O)pNR10R11であるか、またはR43およびR44は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、置換されていてもよいシクロアルケニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロシクリル、または置換されていてもよいヘテロアリールを形成し;
R45は、-H、-OH、-SH、-NR7H、-OR26、-SR26、-NHR26、-O(CH2)mOH、-O(CH2)mSH、-O(CH2)mNR7H、-S(CH2)mOH、-S(CH2)mSH、-S(CH2)mNR7H、-OC(O)NR10R11、-SC(O)NR10R11、-NR7C(O)NR10R11、-OC(O)R7、-SC(O)R7、-NR7C(O)R7、-OC(O)OR7、-SC(O)OR7、-NR7C(O)OR7、-OCH2C(O)R7、-SCH2C(O)R7、-NR7CH2C(O)R7、-OCH2C(O)OR7、-SCH2C(O)OR7、-NR7CH2C(O)OR7、-OCH2C(O)NR10R11、-SCH2C(O)NR10R11、-NR7CH2C(O)NR10R11、-OS(O)pR7、-SS(O)pR7、-NR7S(O)pR7、-OS(O)pNR10R11、-SS(O)pNR10R11、-NR7S(O)pNR10R11、-OS(O)pOR7、-SS(O)pOR7、-NR7S(O)pOR7、-OC(S)R7、-SC(S)R7、-NR7C(S)R7、-OC(S)OR7、-SC(S)OR7、-NR7C(S)OR7、-OC(S)NR10R11、-SC(S)NR10R11、-NR7C(S)NR10R11、-OC(NR8)R7、-SC(NR8)R7、-NR7C(NR8)R7、-OC(NR8)OR7、-SC(NR8)OR7、-NR7C(NR8)OR7、-OC(NR8)NR10R11、-SC(NR8)NR10R11、または-NR7C(NR8)NR10R11であり;
R46は、それぞれの場合で、独立して、H、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいシクロアルケニル、置換されていてもよいヘテロシクリル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアラルキル、ハロ、シアノ、ニトロ、グアナジノ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、-NR10R11、-OR7、-C(O)R7、-C(O)OR7、-OC(O)R7、-C(O)NR10R11、-NR8C(O)R7、-SR7、-S(O)pR7、-OS(O)pR7、-S(O)pOR7、-NR8S(O)pR7、および-S(O)pNR10R11からなる群より選択され;
R7およびR8は、それぞれの場合で、独立して、-H、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいシクロアルケニル、置換されていてもよいヘテロシクリル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアラルキル、または置換されていてもよいヘテロアラルキルであり;
R10およびR11は、それぞれの場合で、独立して、-H、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいシクロアルケニル、置換されていてもよいヘテロシクリル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアラルキル、または置換されていてもよいヘテロアラルキルであるか;またはR10およびR11は、それらが結合している窒素と一緒になって、置換されていてもよいヘテロシクリルまたは置換されていてもよいヘテロアリールを形成し;
R26は、それぞれの場合で、独立して、低級アルキルであり;
pは、それぞれの場合で、独立して、1または2であり;かつ
mは、それぞれの場合で、独立して、1、2、3、または4である。
【請求項2】
X41がNR42であり、X42がCR44である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
X41がNR42であり、X42がNである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
R41が、-H、低級アルキル、低級アルコキシ、低級シクロアルキル、および低級シクロアルコキシからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
R41が、-H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、およびシクロプロポキシからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項6】
X41がNR42であり、R42が、-H、低級アルキル、低級シクロアルキル、-C(O)N(R27)2、および-C(O)OHからなる群より選択され、各R27が独立して-Hまたは低級アルキルである、請求項1記載の方法。
【請求項7】
X41がNR42であり、R42が、-H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、-C(O)OH、-(CH2)mC(O)OH、-CH2OCH3、-CH2CH2OCH3、および-C(O)N(CH3)2からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項8】
R43およびR44が、独立して、-H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、およびシクロプロピルからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
X42がCR44であり;Y40がCR43であり;R43およびR44が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリール環を形成する、請求項1記載の方法。
【請求項10】
R43およびR44が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C5-C8シクロアルケニルまたはC5-C8アリールを形成する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
R45が、-H、-OH、-SH、-NH2、低級アルコキシ、および低級アルキルアミノからなる群より選択される、請求項9記載の方法。
【請求項12】
R45が、-H、-OH、メトキシおよびエトキシからなる群より選択される、請求項11記載の方法。
【請求項13】
X41がOである、請求項9記載の方法。
【請求項14】
化合物が、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(2-メチル-7-メトキシ-ベンゾフラン-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(ベンゾフラン-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、および
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(2-メチル-1,3-ベンゾオキサジ-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩
からなる群より選択される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
Zが-OHまたは-SHである、請求項1記載の方法。
【請求項16】
化合物が、
より選択される構造式またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩によって示され、式中、Z1が-OHまたは-SHである、請求項1記載の方法。
【請求項17】
X42がCR44であり、R43およびR44が、独立して、-H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、およびシクロプロピルからなる群より選択される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
X42がCR44であり、R43およびR44が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリール環を形成する、請求項16記載の方法。
【請求項19】
R43およびR44が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C5-C8シクロアルケニルまたはC5-C8アリールを形成する、請求項18記載の方法。
【請求項20】
X42がCR44である、請求項16記載の方法。
【請求項21】
X42がNである、請求項16記載の方法。
【請求項22】
化合物が、
より選択される構造式またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩によって示され、式中、
X45が、CR54またはNであり;
Z1が、-OHまたは-SHであり;
R56が、-H、メチル、エチル、イソプロピル、およびシクロプロピルからなる群より選択され;
R52が、-H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、-(CH2)2OCH3、-CH2C(O)OH、および-C(O)N(CH3)2からなる群より選択され;
R53およびR54が、各々、独立して、-H、メチル、エチル、またはイソプロピルであるか;またはR53およびR54が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、フェニル、シクロヘキセニル、またはシクロオクテニル環を形成し;
R55が、-H、-OH、-OCH3、および-OCH2CH3からなる群より選択される、
請求項1記載の方法。
【請求項23】
化合物が、
3-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4-(1-エチル-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4-(1-イソプロピル-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4-(インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4-(1-メトキシエチル-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-イソプロピル-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4-(1-ジメチルカルバモイル-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-プロピル-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1,2,3-トリメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(2,3-ジメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-アセチル-2,3-ジメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-イソプロピル-7-メトキシ-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-プロピル-2,3-ジメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(N-メチル-テトラヒドロカルボゾール(carbozol)-7-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(N-メチル-シクロノナン[a]インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-n-ブチル-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-n-ペンチル-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-n-ヘキシル-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-シクロプロピル-フェニル)-4-(1-(1-メチルシクロプロピル)-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-シクロプロピル-フェニル)-4-(1-イソプロピル-7-メトキシ-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-シクロプロピル-フェニル)-4-(1,2,3-トリメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-イソプロピル-7-メトキシ-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール二ナトリウム塩、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-tert-ブチル-フェニル)-4-(1-イソプロピル-7-メトキシ-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-シクロプロピル-フェニル)-4-(1-プロピル-7-メトキシ-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-メチル-3-エチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1,3-ジメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(1-イソプロピル-7-メトキシ-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-メチル-3-イソプロピル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(N-エチル-カルボゾール-7-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-イソプロピル-7-ヒドロキシ-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-イソプロピル-7-エトキシ-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1,2-ジメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(N-メチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(1,3-ジメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-シクロプロピル-フェニル)-4-(1,3-ジメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-シクロプロピル-フェニル)-4-(1-メチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(1H-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1,2-ジメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(1-エチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、および
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(1-プロピル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
4-(4-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)-5-ヒドロキシ-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-5-ヒドロキシ-2-イソプロピルフェニル二水素ホスフェート;
5-ヒドロキシ-4-(5-ヒドロキシ-4-(6-モルホリノピリジン-3-イル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-2-イソプロピルフェニル二水素ホスフェート;
5-ヒドロキシ-4-(5-ヒドロキシ-4-(1-メチル-1H-インドール-5-イル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-2-イソプロピルフェニル二水素ホスフェート;
ナトリウム5-ヒドロキシ-4-(5-ヒドロキシ-4-(1-メチル-1H-インドール-5-イル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-2-イソプロピルフェニルホスフェート;
2-(4-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)-5-ヒドロキシ-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-5-ヒドロキシ-4-イソプロピルフェニル二水素ホスフェート;
4-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)-5-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピルフェニル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル二水素ホスフェート;
4-(4-1',3'-ジヒドロスピロ[[1,3]ジオキソラン-2,2'-インデン]-5'-イル)-5-メルカプト-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-5-ヒドロキシ-2-イソプロピルフェニル二水素ホスフェート;
2-(3,4-ジメトキシフェネチル)-5-ヒドロキシ-4-(5-ヒドロキシ-4-(1-メチル-1H-インドール-5-イル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル二水素ホスフェート;
4-(4-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)-5-(フェニルアミノ)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-5-ヒドロキシ-2-イソプロピルフェニル二水素ホスフェート;
5-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-(5-メルカプト-4-(4-メトキシベンジル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル二水素ホスフェート;
5-ヒドロキシ-4-(5-ヒドロキシ-4-(4-メトキシベンジル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-2-イソプロピルフェニル二水素ホスフェート;
4-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-5-ヒドロキシ-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-5-ヒドロキシ-2-イソプロピルフェニル二水素ホスフェート;
4-(4-(4-ブロモ-2-メチルフェニル)-5-ヒドロキシ-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-3-ヒドロキシフェニル二水素ホスフェート;または
4-(4-(1,3-ジメチル-1H-インドール-5-イル)-5-ヒドロキシ-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-2-エチル-5-ヒドロキシフェニル二水素ホスフェート;
またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩
からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項24】
パクリタキセルまたはパクリタキセルアナログの有効量と、3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1,3-ジメチル-インドール-5-イル)-5-ヒドロキシ-[1,2,4]トリアゾール、またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩の有効量とを対象へ投与する工程を含む、肺癌を有する対象を治療するための方法。
【請求項25】
パクリタキセルまたはパクリタキセルアナログの有効量と、3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(1,3-ジメチル-インドール-5-イル)-5-ヒドロキシ-[1,2,4]トリアゾール、またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩の有効量とを対象へ投与する工程を含む、肺癌を有する対象を治療するための方法。
【請求項26】
パクリタキセルまたはパクリタキセルアナログの有効量と、3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(1-メチル-インドール-5-イル)-5-ヒドロキシ-[1,2,4]トリアゾール、またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩の有効量とを対象へ投与する工程を含む、肺癌を有する対象を治療するための方法。
【請求項27】
パクリタキセルまたはパクリタキセルアナログの有効量と、3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(1-イソプロピル-インドール-4-イル)-5-ヒドロキシ-[1,2,4]トリアゾール、またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩の有効量とを対象へ投与する工程を含む、肺癌を有する対象を治療するための方法。
【請求項28】
パクリタキセルアナログがドセタキセルである、請求項1〜27のいずれか一項記載の方法。
【請求項29】
がんが、非小細胞肺癌である、請求項1〜28のいずれか一項記載の方法。
【請求項30】
がんが、結腸癌である、請求項1〜28のいずれか一項記載の方法。
【請求項31】
がんが、赤白血病である、請求項1〜28のいずれか一項記載の方法。
【請求項1】
肺癌、結腸癌、および赤白血病より選択されるがんを有する対象を治療するための方法であって、パクリタキセルまたはパクリタキセルアナログの有効量と、以下より選択される構造式によって示される化合物またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩の有効量とを対象へ投与する工程を含む、前記方法:
式中、
X41は、O、S、またはNR42であり;
X42は、CR44またはNであり;
Y40は、NまたはCR43であり;
Y41は、NまたはCR45であり;
Y42は、それぞれの場合で、独立してN、CまたはCR46であり;
Zは、OH、SH、またはNHR7であり;
R41は、-H、-OH、-SH、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいシクロアルケニル、置換されていてもよいヘテロシクリル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアラルキル、ハロ、シアノ、ニトロ、グアナジノ(guanadino)、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシまたはシクロアルコキシ、ハロアルコキシ、-NR10R11、-OR7、-C(O)R7、-C(O)OR7、-C(S)R7、-C(O)SR7、-C(S)SR7、-C(S)OR7、-C(S)NR10R11、-C(NR8)OR7、-C(NR8)R7、-C(NR8)NR10R11、-C(NR8)SR7、-OC(O)R7、-OC(O)OR7、-OC(S)OR7、-OC(NR8)OR7、-SC(O)R7、-SC(O)OR7、-SC(NR8)OR7、-OC(S)R7、-SC(S)R7、-SC(S)OR7、-OC(O)NR10R11、-OC(S)NR10R11、-OC(NR8)NR10R11、-SC(O)NR10R11、-SC(NR8)NR10R11、-SC(S)NR10R11、-OC(NR8)R7、-SC(NR8)R7、-C(O)NR10R11、-NR8C(O)R7、-NR7C(S)R7、-NR7C(S)OR7、-NR7C(NR8)R7、-NR7C(O)OR7、-NR7C(NR8)OR7、-NR7C(O)NR10R11、-NR7C(S)NR10R11、-NR7C(NR8)NR10R11、-SR7、-S(O)pR7、-OS(O)pR7、-OS(O)pOR7、-OS(O)pNR10R11、-S(O)pOR7、-NR8S(O)pR7、-NR7S(O)pNR10R11、-NR7S(O)pOR7、-S(O)pNR10R11、-SS(O)pR7、-SS(O)pOR7、-SS(O)pNR10R11、-OP(O)(OR7)2、または-SP(O)(OR7)2であり;
R42は、-H、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいシクロアルケニル、置換されていてもよいヘテロシクリル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアラルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、-C(O)R7、-(CH2)mC(O)OR7、-C(O)OR7、-OC(O)R7、-C(O)NR10R11、-S(O)pR7、-S(O)pOR7、または-S(O)pNR10R11であり;
R43およびR44は、独立して、-H、-OH、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいシクロアルケニル、置換されていてもよいヘテロシクリル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアラルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、ハロ、シアノ、ニトロ、グアナジノ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、-C(O)R7、-C(O)OR7、-OC(O)R7、-C(O)NR10R11、-NR8C(O)R7、-SR7、-S(O)pR7、-OS(O)pR7、-S(O)pOR7、-NR8S(O)pR7、-S(O)pNR10R11であるか、またはR43およびR44は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、置換されていてもよいシクロアルケニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロシクリル、または置換されていてもよいヘテロアリールを形成し;
R45は、-H、-OH、-SH、-NR7H、-OR26、-SR26、-NHR26、-O(CH2)mOH、-O(CH2)mSH、-O(CH2)mNR7H、-S(CH2)mOH、-S(CH2)mSH、-S(CH2)mNR7H、-OC(O)NR10R11、-SC(O)NR10R11、-NR7C(O)NR10R11、-OC(O)R7、-SC(O)R7、-NR7C(O)R7、-OC(O)OR7、-SC(O)OR7、-NR7C(O)OR7、-OCH2C(O)R7、-SCH2C(O)R7、-NR7CH2C(O)R7、-OCH2C(O)OR7、-SCH2C(O)OR7、-NR7CH2C(O)OR7、-OCH2C(O)NR10R11、-SCH2C(O)NR10R11、-NR7CH2C(O)NR10R11、-OS(O)pR7、-SS(O)pR7、-NR7S(O)pR7、-OS(O)pNR10R11、-SS(O)pNR10R11、-NR7S(O)pNR10R11、-OS(O)pOR7、-SS(O)pOR7、-NR7S(O)pOR7、-OC(S)R7、-SC(S)R7、-NR7C(S)R7、-OC(S)OR7、-SC(S)OR7、-NR7C(S)OR7、-OC(S)NR10R11、-SC(S)NR10R11、-NR7C(S)NR10R11、-OC(NR8)R7、-SC(NR8)R7、-NR7C(NR8)R7、-OC(NR8)OR7、-SC(NR8)OR7、-NR7C(NR8)OR7、-OC(NR8)NR10R11、-SC(NR8)NR10R11、または-NR7C(NR8)NR10R11であり;
R46は、それぞれの場合で、独立して、H、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいシクロアルケニル、置換されていてもよいヘテロシクリル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアラルキル、ハロ、シアノ、ニトロ、グアナジノ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、-NR10R11、-OR7、-C(O)R7、-C(O)OR7、-OC(O)R7、-C(O)NR10R11、-NR8C(O)R7、-SR7、-S(O)pR7、-OS(O)pR7、-S(O)pOR7、-NR8S(O)pR7、および-S(O)pNR10R11からなる群より選択され;
R7およびR8は、それぞれの場合で、独立して、-H、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいシクロアルケニル、置換されていてもよいヘテロシクリル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアラルキル、または置換されていてもよいヘテロアラルキルであり;
R10およびR11は、それぞれの場合で、独立して、-H、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいシクロアルケニル、置換されていてもよいヘテロシクリル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアラルキル、または置換されていてもよいヘテロアラルキルであるか;またはR10およびR11は、それらが結合している窒素と一緒になって、置換されていてもよいヘテロシクリルまたは置換されていてもよいヘテロアリールを形成し;
R26は、それぞれの場合で、独立して、低級アルキルであり;
pは、それぞれの場合で、独立して、1または2であり;かつ
mは、それぞれの場合で、独立して、1、2、3、または4である。
【請求項2】
X41がNR42であり、X42がCR44である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
X41がNR42であり、X42がNである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
R41が、-H、低級アルキル、低級アルコキシ、低級シクロアルキル、および低級シクロアルコキシからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
R41が、-H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、およびシクロプロポキシからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項6】
X41がNR42であり、R42が、-H、低級アルキル、低級シクロアルキル、-C(O)N(R27)2、および-C(O)OHからなる群より選択され、各R27が独立して-Hまたは低級アルキルである、請求項1記載の方法。
【請求項7】
X41がNR42であり、R42が、-H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、-C(O)OH、-(CH2)mC(O)OH、-CH2OCH3、-CH2CH2OCH3、および-C(O)N(CH3)2からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項8】
R43およびR44が、独立して、-H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、およびシクロプロピルからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
X42がCR44であり;Y40がCR43であり;R43およびR44が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリール環を形成する、請求項1記載の方法。
【請求項10】
R43およびR44が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C5-C8シクロアルケニルまたはC5-C8アリールを形成する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
R45が、-H、-OH、-SH、-NH2、低級アルコキシ、および低級アルキルアミノからなる群より選択される、請求項9記載の方法。
【請求項12】
R45が、-H、-OH、メトキシおよびエトキシからなる群より選択される、請求項11記載の方法。
【請求項13】
X41がOである、請求項9記載の方法。
【請求項14】
化合物が、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(2-メチル-7-メトキシ-ベンゾフラン-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(ベンゾフラン-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、および
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(2-メチル-1,3-ベンゾオキサジ-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩
からなる群より選択される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
Zが-OHまたは-SHである、請求項1記載の方法。
【請求項16】
化合物が、
より選択される構造式またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩によって示され、式中、Z1が-OHまたは-SHである、請求項1記載の方法。
【請求項17】
X42がCR44であり、R43およびR44が、独立して、-H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、およびシクロプロピルからなる群より選択される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
X42がCR44であり、R43およびR44が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリール環を形成する、請求項16記載の方法。
【請求項19】
R43およびR44が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C5-C8シクロアルケニルまたはC5-C8アリールを形成する、請求項18記載の方法。
【請求項20】
X42がCR44である、請求項16記載の方法。
【請求項21】
X42がNである、請求項16記載の方法。
【請求項22】
化合物が、
より選択される構造式またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩によって示され、式中、
X45が、CR54またはNであり;
Z1が、-OHまたは-SHであり;
R56が、-H、メチル、エチル、イソプロピル、およびシクロプロピルからなる群より選択され;
R52が、-H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、-(CH2)2OCH3、-CH2C(O)OH、および-C(O)N(CH3)2からなる群より選択され;
R53およびR54が、各々、独立して、-H、メチル、エチル、またはイソプロピルであるか;またはR53およびR54が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、フェニル、シクロヘキセニル、またはシクロオクテニル環を形成し;
R55が、-H、-OH、-OCH3、および-OCH2CH3からなる群より選択される、
請求項1記載の方法。
【請求項23】
化合物が、
3-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4-(1-エチル-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4-(1-イソプロピル-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4-(インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4-(1-メトキシエチル-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-イソプロピル-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4-(1-ジメチルカルバモイル-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-プロピル-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1,2,3-トリメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(2,3-ジメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-アセチル-2,3-ジメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-イソプロピル-7-メトキシ-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-プロピル-2,3-ジメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(N-メチル-テトラヒドロカルボゾール(carbozol)-7-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(N-メチル-シクロノナン[a]インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-n-ブチル-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-n-ペンチル-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-n-ヘキシル-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-シクロプロピル-フェニル)-4-(1-(1-メチルシクロプロピル)-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-シクロプロピル-フェニル)-4-(1-イソプロピル-7-メトキシ-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-シクロプロピル-フェニル)-4-(1,2,3-トリメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-イソプロピル-7-メトキシ-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール二ナトリウム塩、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-tert-ブチル-フェニル)-4-(1-イソプロピル-7-メトキシ-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-シクロプロピル-フェニル)-4-(1-プロピル-7-メトキシ-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-メチル-3-エチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1,3-ジメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(1-イソプロピル-7-メトキシ-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-メチル-3-イソプロピル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(N-エチル-カルボゾール-7-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-イソプロピル-7-ヒドロキシ-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1-イソプロピル-7-エトキシ-インドール-4-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1,2-ジメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(N-メチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(1,3-ジメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-シクロプロピル-フェニル)-4-(1,3-ジメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-シクロプロピル-フェニル)-4-(1-メチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(1H-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1,2-ジメチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(1-エチル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、および
3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(1-プロピル-インドール-5-イル)-5-メルカプト-[1,2,4]トリアゾール、
4-(4-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)-5-ヒドロキシ-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-5-ヒドロキシ-2-イソプロピルフェニル二水素ホスフェート;
5-ヒドロキシ-4-(5-ヒドロキシ-4-(6-モルホリノピリジン-3-イル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-2-イソプロピルフェニル二水素ホスフェート;
5-ヒドロキシ-4-(5-ヒドロキシ-4-(1-メチル-1H-インドール-5-イル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-2-イソプロピルフェニル二水素ホスフェート;
ナトリウム5-ヒドロキシ-4-(5-ヒドロキシ-4-(1-メチル-1H-インドール-5-イル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-2-イソプロピルフェニルホスフェート;
2-(4-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)-5-ヒドロキシ-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-5-ヒドロキシ-4-イソプロピルフェニル二水素ホスフェート;
4-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)-5-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピルフェニル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル二水素ホスフェート;
4-(4-1',3'-ジヒドロスピロ[[1,3]ジオキソラン-2,2'-インデン]-5'-イル)-5-メルカプト-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-5-ヒドロキシ-2-イソプロピルフェニル二水素ホスフェート;
2-(3,4-ジメトキシフェネチル)-5-ヒドロキシ-4-(5-ヒドロキシ-4-(1-メチル-1H-インドール-5-イル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル二水素ホスフェート;
4-(4-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)-5-(フェニルアミノ)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-5-ヒドロキシ-2-イソプロピルフェニル二水素ホスフェート;
5-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-(5-メルカプト-4-(4-メトキシベンジル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル二水素ホスフェート;
5-ヒドロキシ-4-(5-ヒドロキシ-4-(4-メトキシベンジル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-2-イソプロピルフェニル二水素ホスフェート;
4-(4-((2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-5-ヒドロキシ-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-5-ヒドロキシ-2-イソプロピルフェニル二水素ホスフェート;
4-(4-(4-ブロモ-2-メチルフェニル)-5-ヒドロキシ-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-3-ヒドロキシフェニル二水素ホスフェート;または
4-(4-(1,3-ジメチル-1H-インドール-5-イル)-5-ヒドロキシ-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-2-エチル-5-ヒドロキシフェニル二水素ホスフェート;
またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩
からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項24】
パクリタキセルまたはパクリタキセルアナログの有効量と、3-(2,4-ジヒドロキシ-5-エチル-フェニル)-4-(1,3-ジメチル-インドール-5-イル)-5-ヒドロキシ-[1,2,4]トリアゾール、またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩の有効量とを対象へ投与する工程を含む、肺癌を有する対象を治療するための方法。
【請求項25】
パクリタキセルまたはパクリタキセルアナログの有効量と、3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(1,3-ジメチル-インドール-5-イル)-5-ヒドロキシ-[1,2,4]トリアゾール、またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩の有効量とを対象へ投与する工程を含む、肺癌を有する対象を治療するための方法。
【請求項26】
パクリタキセルまたはパクリタキセルアナログの有効量と、3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(1-メチル-インドール-5-イル)-5-ヒドロキシ-[1,2,4]トリアゾール、またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩の有効量とを対象へ投与する工程を含む、肺癌を有する対象を治療するための方法。
【請求項27】
パクリタキセルまたはパクリタキセルアナログの有効量と、3-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-4-(1-イソプロピル-インドール-4-イル)-5-ヒドロキシ-[1,2,4]トリアゾール、またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩の有効量とを対象へ投与する工程を含む、肺癌を有する対象を治療するための方法。
【請求項28】
パクリタキセルアナログがドセタキセルである、請求項1〜27のいずれか一項記載の方法。
【請求項29】
がんが、非小細胞肺癌である、請求項1〜28のいずれか一項記載の方法。
【請求項30】
がんが、結腸癌である、請求項1〜28のいずれか一項記載の方法。
【請求項31】
がんが、赤白血病である、請求項1〜28のいずれか一項記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2013−508378(P2013−508378A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535301(P2012−535301)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【国際出願番号】PCT/US2010/053199
【国際公開番号】WO2011/049946
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(504151848)シンタ ファーマシューティカルズ コーポレーション (72)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【国際出願番号】PCT/US2010/053199
【国際公開番号】WO2011/049946
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(504151848)シンタ ファーマシューティカルズ コーポレーション (72)
【Fターム(参考)】
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