説明

HXHVウイルス由来の核酸配列及びタンパク質配列並びにこれらの使用

本発明は、HXHVウイルスのゲノムから得ることができる単離核酸配列、特に配列番号4の配列又は配列番号4の配列に相補的な配列からなる核酸配列、該核酸配列によってコードされるポリペプチド及びその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HXHVウイルスのゲノムから得ることができる単離核酸配列、特に配列番号4の配列又は配列番号4の配列に相補的な配列からなる核酸配列、該核酸配列によってコードされるポリペプチド及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
肝炎は、最も重要な伝染病である。伝染の方法は、通常は輸血、臓器移植及び血液透析であるが、肝炎はまた汚染された食物又は水の消化によってあるいは個人同士の間の接触によって伝染することができる。
【0003】
ウイルス性肝炎は、相互にゲノム及び複製の方法によって異なる種々のウイルス(viral agent)によって引き起こされる。ウイルス性肝炎は、肝臓に様々な度合いの重症度で損傷を与える。世界中で10億人に近い人々がウイルス性肝炎を患っている。肝硬変又は肝臓癌に進行することができる慢性型の肝炎に関連した深刻な危険が存在する。ウイルス性肝炎は、明確な症状の表示、例えば黄疸、高いトランスアミナーゼ濃度(アスパラギン酸トランスアミナーゼすなわちAST、アラニントランスアミナーゼすなわちALT、乳酸デヒドロゲナーゼすなわちLDH)、及び肝臓病変によって診断することができる。しかし、A型、B型、C型、D型、E型、G型及びTTV型肝炎について種々のウイルスが知られているにもかかわらず、肝炎の全発生率の5%及び劇症肝炎の症例の40%が未だ説明されないままであり、従って知られていない肝炎ウイルスが存在するという仮説が未だ説明されないままである。未知の病因のこれらの型の肝炎は、輸血によるものであり及び散発性であり、慢性又は劇症である。これらの肝炎は、一般にX型肝炎と呼ばれる。
【0004】
最近になって特定されたG型(GBV−A、GBV−B、GBV−C)及びTTV型肝炎ウイルスは、人で病原性であるとは思われない、従って未知病理の肝炎すなわちX型肝炎の症例を説明できない。
【0005】
未知病理の重症肝炎の症例に基づいて、インターフェロンを用いた治療がトランスアミナーゼを正常化することを可能にした患者において、X型肝炎と関係があるHXHVと呼ばれる新しいウイルスが説明されている。HXHVウイルスのゲノムは、一つ又はそれ以上のタンパク質又はポリタンパク質をコードする一つ又はそれ以上の読み取り枠を含有する少なくとも部分的に一本鎖のDNAゲノムである;前記ゲノムは、XHヌクレオチド配列又はXH配列に相補的なヌクレオチド配列にハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列を含有する。XH配列は、本出願の配列表に配列番号1として示される。XH配列は、GCに富み(62%)、4個の読み取り枠(ORF1、ORF2、ORF3、ORF4)を有する。この単離配列は特定されており、しかもヒトゲノムDNA及びデータベースに存在する配列との配列相同性は認められなかった。HXHVウイルスに関する情報は全て、本出願人の名前で出願された特許出願第PCT/FR02/04578号明細書に含まれている。
【発明の開示】
【0006】
本発明者らは、今般、HXHVウイルスの新規ヌクレオチド配列を単離し、特定した。XH1と呼ばれるこの配列は、GCに富み(61.2%)、これは先に単離されたXH配列のGC含有率と比較できる。XH1配列は、配列表に配列番号4として参照される。XH1配列は、データベースにおいて入手できる配列と有意な相同性又は同一性を示さない。この配列は、5個の読み取り枠を有する。前記の5個の読み取り枠に対応するDNA配列は、それぞれ配列表に配列番号5〜9として特定される。ウイルス学の分野で一般的な方法であるように、本発明者らは、XH1配列の相補的DNA鎖を生じさせ、そして可能な読み取り枠が相補的DNA鎖上に存在するのか否かについても調べた。本発明者らは、それぞれ配列番号10〜17として示される8個の読み取り枠を特定した。前記の8個の読み取り枠に対応するポリペプチド配列は、配列表に配列番号18〜30として特定される。前記の配列及びその断片は、HXHVウイルスの検出に使用される。
【0007】
従って、本発明は:
− HXHVウイルスゲノムから得ることができる核酸配列であって配列番号4からなるか又は配列番号4のみからなる核酸配列;
− 配列番号4のDNAヌクレオチド配列又は配列番号4に相補的なDNA配列の少なくとも12個の連続したヌクレオチド、好ましくは少なくとも15個又は少なくとも18個の連続したヌクレオチド、都合よくは少なくとも20個、21個、22個、23個、24個、27個、30個、33個、36個、39個、42個、45個、48個、51個又は54個の連続したヌクレオチドのDNA又はRNAヌクレオチド配列;あるいは少なくとも12個の連続したヌクレオチド全体にわたって、好ましくは少なくとも15個又は少なくとも18個の連続したヌクレオチド全体にわたって、都合よくは少なくとも20個、21個、22個、23個、24個、27個、30個、33個、36個、39個、42個、45個、48個、51個又は54個の連続したヌクレオチド全体にわたって、配列番号4に示す配列に対して又は配列番号4に相補的なDNA配列に対して少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%又は95%、あるいは少なくとも98%又は99%の相同性又は同一性を示すヌクレオチド配列からなるか又はこれのみからなる単離DNAのヌクレオチド断片;
〔但し、次のヌクレオチド配列:TAGTCGAGACTCAACCATCGC、CCCGCCCCGCTGATGAAAAG 及び前記配列に相補的なヌクレオチド配列の一つは除外される;あるいは20個の連続したヌクレオチド又は21個の連続したヌクレオチド全体にわたって、前記のDNAヌクレオチド断片が配列番号1に示される配列又は配列番号1に相補的な配列のヌクレオチド断片と100%の相同性又は同一性を示さないということを条件とする。前記の断片は、特に前記の連続したヌクレオチドが、次のセグメント:すなわち、配列が配列番号4のヌクレオチド2で始まり且つヌクレオチド286で終わるセグメント、配列が配列番号4のヌクレオチド4で始まり且つヌクレオチド 144で終わるセグメント、配列が配列番号4のヌクレオチド180で始まり且つヌクレオチド1004で終わるセグメント、配列が配列番号4のヌクレオチド614で始まり且つヌクレオチド820で終わるセグメント、配列が配列番号4のヌクレオチド1228で始まり且つヌクレオチド1331で終わるセグメント;配列が配列番号4に相補的な配列のヌクレオチド1283で始まり且つヌクレオチド1197で終わるセグメント、配列が配列番号4に相補的な配列のヌクレオチド1264で始まり且つヌクレオチド1067で終わるセグメント、配列が配列番号4に相補的な配列のヌクレオチド1209で始まり且つヌクレオチド1099で終わるセグメント、配列が配列番号4に相補的な配列のヌクレオチド819で始まり且つヌクレオチド736で終わるセグメント、配列が配列番号4に相補的な配列のヌクレオチド800で始まり且つヌクレオチド6で終わるセグメント、配列が配列番号4に相補的な配列のヌクレオチド784で始まり且つヌクレオチド629で終わるセグメント、配列が配列番号4に相補的な配列のヌクレオチド610で始まり且つヌクレオチド410で終わるセグメント、配列が配列番号4に相補的な配列のヌクレオチド391で始まり且つヌクレオチド221で終わるセグメントの一つに属するものである断片、又はその相補的断片の中から選択されるものであり;好ましくは配列番号5〜17の配列のいずれか一つの配列又は配列番号5〜17の相補的なDNA配列のいずれか一つの配列からなるか又はこれのみからなる断片である(前記の配列が配列番号4のヌクレオチド180で始まり且つヌクレオチド1004で終わるセグメントは、トランスポザーゼ/インテグラーゼタンパク質をコードする)〕;
− 配列番号4からなるか又はこれのみからなる配列の転写生成物、あるいは前記断片の転写生成物、あるいは配列番号4に相補的な配列からなるか又はこれのみからなる配列の転写生成物;
− 配列番号4に示されるDNAヌクレオチド配列からなるか 又はこれのみからなるDNA分子、あるいは前記の少なくとも一つのDNAヌクレオチド断片、又はこれに相補的な配列を含有するDNA分子;
− 配列番号4に示されるDNAヌクレオチド配列 又は配列番号4に相補的な配列の転写生成物であるか又は前記の少なくとも一つの断片の転写生成物であるRNAヌクレオチド配列、又はこれに相補的な配列からなるか又はこれのみからなるRNA分子;
に関する。
【0008】
前記の相同性及び同一性は、配列番号の配列4の配列の機能的均等物、すなわち少なくとも1個のコドンを、同じアミノ酸をコードしながら別のコドンと置換することができるDNA配列を保護する。これは、遺伝暗号の縮重と呼ばれる。従って、アルギニン、セリン及びロイシンについての暗号は6種類の縮重を示し(すなわち、これらのそれぞれについては、6種類のコドンが存在する)、これに対してその他のアミノ酸、例えばグルタミン酸、グルタミン、チロシン、ヒスチジンなどの暗号は、2種類の縮重を示す。全てのアミノ酸の中で、トリプトファンとメチオニンだけが1種類の縮重を有する。従って、その配列が配列番号18〜30に示されるポリペプチドの発現に関しては、コドンの組成が配列番号4に示される核酸配列又はこれに相補的な配列と異なっている変異体及び機能的核酸配列を使用するできることは明らかである。
【0009】
前記の相同性又は同一性は、HXHVウイルスの変異体及びHXHVウイルスの突然変異配列、特に自然変動から誘導される変異体に対して向けられる。実際に、ウイルスが比較的高い自発的及び誘導された突然変異率を有することは周知である。
【0010】
本発明はまた:
− 前記の配列又は断片によって、あるいはこれらの機能的均等物によってコードされるか、あるいは配列番号4に示される配列に対して又は配列番号4に相補的な配列に対して、配列 TAGTCGAGACTCAACCATCGC、CCCGCCCCGCTGATGAAAAG 及び前記配列に相補的なヌクレオチド配列が除外されることを条件として;又は20個の連続したヌクレオチド又は21個の連続したヌクレオチド全体にわたって、DNAヌクレオチド断片が配列番号1に示される配列と又は配列番号1に相補的な配列のヌクレオチド断片と100%の相同性又は同一性を示さないことを条件として、少なくとも90%の相同性又は同一性、好ましくは少なくとも92%又は95%相同性又は同一性、都合よくは少なくとも98%又は99%の相同性又は同一性を示すヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド配列からなるポリペプチド;
− ポリペプチド配列が配列番号18〜30の配列のいずれか一つの配列又は該配列に機能的に均等なポリペプチド配列からなるか 又はそれのみからなるものであるポリペプチド;
− 少なくとも4個の連続したアミノ酸、好ましくは少なくとも5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個又は18個のアミノ酸のペプチド配列、配列番号18〜30に示されるペプチド配列のいずれか一つの配列又は前記の配列番号18〜30に示される配列に機能的に均等なペプチド配列からなるか又はそれのみからなることを特徴とするポリペプチド断片;(但し、“機能的に均等なペプチド配列”という用語は、HXHVウイルスに対する抗体によって認識されるペプチド配列を意味することを意図すると解釈される);
− 配列番号18〜30のいずれか一つに示されるペプチド配列又は配列番号18〜30のいずれか一つに機能的に均等のペプチド配列からなるか又はそれのみからなるポリペプチド断片;(但し、“機能的に均等なペプチド配列”という用語は、HXHVウイルスに対する抗体によって認識されるペプチド配列を意味することを意図すると解釈される);
− 少なくとも6個、8個、9個、10個、12個、15個又は18個のアミノ酸及び多くて10個、12個、15個又は18個のアミノ酸からなるか又はこれのみからなること、特にその配列が6〜10個のアミノ酸、6〜12個のアミノ酸、6〜15個のアミノ酸、6〜18個のアミノ酸、8〜10個のアミノ酸、8〜12個のアミノ酸、8〜15個のアミノ酸、8〜18個のアミノ酸及び15個〜18個のアミノ酸のペプチド配列、配列番号18〜30に示される配列のいずれか一つの配列又は前記の配列番号18〜30の配列に機能的に均等なポリペプチド配列のみからなることを特徴とするエピトープ;(但し、前記のエピトープはHXHVウイルスに対する抗体によって認識されるものであると解釈される);
に関する。
【0011】
“ポリペプチド”という用語は、一連の可変数のアミノ酸、例えばオリゴペプチド、タンパク質、融合タンパク質、融合ペプチド又は合成ペプチドを有する単離された状態のペプチドを表す。ポリペプチドは、当業者に周知の種々の方法で得ることができ、特に化学合成又は遺伝子組換え法によって得ることができる。本発明のポリペプチドは、慣用の合成法、例えば自動ペプチド合成装置を用いることによって得ることができるし又は前記ポリペプチドをコードするDNA配列をプラスミド又はウイルスなどの発現ベクターに挿入し、この発現ベクターを用いて細胞を形質転換し、これらの細胞を培養することからなる遺伝子工学法によって得ることができる。
【0012】
“参照(reference)ペプチド配列に機能的に均等なペプチド配列”という表現は、後記の修飾が実質的に前記の参照ペプチド配列の免疫反応性を保存するか又は発展させる場合さえあるということを条件として、1個又はそれ以上のアミノ酸の挿入及び/又は欠失及び/又は置換及び/又は伸長及び/又は短縮及び/又は化学修飾によって修飾されたアミノ酸配列を意味することを意図する。
【0013】
従って、“機能的に均等の配列”という用語は、配列番号18〜30の配列又はこれらの断片の免疫反応性を保存する配列、特に1個又はそれ以上のアミノ酸が別の1個又はそれ以上のアミノ酸で置換される配列;L系列の1個又はそれ以上のアミノ酸がD系列のアミノ酸で置換される配列、及びその逆の配列;アミン官能基のアセチル化、チオール官能基のカルボキシル化又はカルボキシル官能基のエステル化などのアミノ酸側鎖の修飾が誘導されている配列;例えば、カルバ(carba)、レトロ(retro)、インバース(inverse)、retro-inverso、還元及びメチレンオキシ結合などのペプチド結合の修飾が誘導されている配列;
を意味することを意図する。
【0014】
例えば、本発明のポリペプチドの配列中の1個又はそれ以上のアミノ酸は、機能的均等物として機能する同様の極性をもつ別の1個又はそれ以上のアミノ酸で置換することができる。関心事の(of interest)ポリペプチド配列中のアミノ酸の置換は、そのアミノ酸が属する種類の別のメンバーから決定することができる。例えば、非極性(疎水性)のアミノ酸は、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン及びメチオニンからなる。極性の中性アミノ酸は、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン 及びグルタミンからなる。正に帯電した(塩基性)アミノ酸は、アルギニン、リシン及びヒスチジンからなる。負に帯電した(酸性)アミノ酸は、アスパラギン酸及びグルタミン酸からなる。関心事のポリペプチド配列中のアミノ酸の別の置換は、Kramer A.らの文献(Molecular Immunology, Vol. 32, No. 7, pp.459-465 (1995))に含まれている情報から決定することができる。これらの著者は、ライブラリーを構築し、このライブラリーにおいて、分子の数の組み合わせの急増の問題を軽減することを目的として、彼らは同様の物理化学的性質をもつアミノ酸からなるアミノ酸の群を使用した、またこれらは、以下に示すこれらの6つの群のそれぞれに一緒に分類されるアミノ酸であり、本発明において主として均等であるとみなされる。
【0015】
群1 アラニン、プロリン、グリシン
群2 アスパラギン酸、グルタミン酸
群3 ヒスチジン、リシン、アルギニン
群4 アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン
群5 フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン
群6 イソロイシン、ロイシン、バリン、メチオニン
参照ペプチド配列に対するペプチド配列の均等性(equivalence)は、前記参照配列との同一性又は相同性(%として表される)により定義することができる。この%は、一連の所定の個数の連続したアミノ酸について、2つの配列のアラインメント、一方の配列の他方の配列に対する置換及び2つの配列中のアミノ酸の比較によって決定される。同一性%は、同じ位置での、参照配列中のアミノ酸と同じであるアミノ酸の個数から決定される。相同性%は、同じ位置での、参照配列のアミノ酸と均等であるアミノ酸の個数から決定される。
【0016】
本発明はまた、その発現に必要な要素の制御下に置かれた発現カセットであって前記の核酸配列あるいは前記のDNA断片又はDNA分子の発現を可能にする原核生物又は真核生物から誘導される細胞中で機能する発現カセットに関する。前記の発現カセットは、原核生物、特に大腸菌から誘導される細胞、又は真核生物から誘導される細胞、特に動物、例えば哺乳動物、爬虫類又は昆虫から生じる細胞、特にCOS細胞、CHO細胞、BHK細胞、PK15細胞及びRK13細胞;ヒト骨肉腫細胞系(143B細胞)、HeLaヒト細胞系及びヒト肝癌細胞系(HepG2型の細胞系);昆虫細胞系〔例えば、ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)由来の細胞系〕;又は下等真核生物の細胞、特に酵母細胞、例えばサッカロミセス(Saccharomyces)属、シゾサッカロマイセス(Shizosaccharomyces)属、クルベロマイセス(Kluveromyces)属、 Hanseluna属、Yarowia属、Schwaniomyces属、チゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)属及びピキア(Pichia)属から誘導される細胞、好ましくはサッカロマイセス・セルビジェー(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロマイセス・カールスベルゲンシス
Saccharomyces carlsbergensis)、シゾサッカロマイセス・ボンベ
Shizosaccharomyces pombe)、クルベロマイセス・ラクティス(Kluveromyces lactis)及びピキア・パストーリス(Pichia pastorls)細胞中で機能することを特徴とする。
【0017】
本発明はまた、前記の発現カセットを含有するベクター;原核生物、真核生物又は下等真核生物、好ましくは前記の真核生物又は下等真核生物あるいは前記ベクターから誘導される細胞;及び前記の発現カセット、ベクター又は細胞により生成することができるポリペプチドに関する。
【0018】
本発明の主題は、前記のポリペプチド又はペプチド断片の製造方法であって、前記の定義に相当する宿主細胞を適当な培地で培養し、(但し、前記の宿主細胞は、前記のDNA核酸配列又は前記のDNAヌクレオチド断片又は前記のDNA分子を含有する発現ベクターを用いて形質転換される)、生成した前記ポリペプチドを必要な程度の純度まで精製することからなる前記のポリペプチド又は前記のペプチド断片の製造方法である。
【0019】
また、本発明の主題は、免疫原性ポリペプチドであって、前記のポリペプチド又はペプチド配列からなるか又はこれのみからなるポリペプチドである。かかる免疫原性ポリペプチドは、モノクロナール抗体又はポリクロナール抗体の製造、あるいは前記抗体の断片の製造に使用される。本発明は、このような免疫原性ペプチドを用いて哺乳動物(ウサギ、ラット、マウス)の免疫処置によって得られるモノクロナール抗体又はポリクロナール抗体あるいはその断片を包含する。
【0020】
モノクロナール抗体又はポリクロナール抗体の製造は、当業者には周知である。参考例として、ポリクロナール抗体の製造については、Kohler G. and Milstein C. (1975):
Continuous culture of fused cells secreting antibody of predefined specificity, Nature 256:495-497 及び Galfre G. et al., (1977): Nature, 266:522-550 を挙げ得、モノクロナール抗体の製造については Roda A., Bolelli G.F.: Production of
high-titer antibody to bile acids, Journal of Steroid Biochemistry, Vol.13,
pp.449-454 (1980)を挙げ得る。抗体はまた、マウス、ラット又はウサギを、HXHVウイルス粒子を用いて免疫処置することによって生成させることもできる。ポリクロナール抗体及びモノクロナール抗体の生成については、免疫原を、免疫処置担体として血清アルブミン(SAペプチド)又はカブトガニヘモシアニン(KLHペプチド)に結合させることができる。次いで、抗体をその特異性について通常の方法、例えばELISA法又はウェスタンブロッテイングアッセイを使用して選別する。モノクロナール抗体の産生については、動物にフロイントの完全アジュバントを使用して免疫原を注射する。免疫処置した動物から誘導される血清及びハイブリドーマ培養上清を、その特異性及びその選択性について慣用の方法、ELISA法又はウェスタンブロッテイングアッセイを使用して分析する。最も特異的で且つ最も感受性の抗体を産生するハイブリドーマが選択される。モノクロナール抗体はまた、生成したハイブリドーマの細胞培養によって又は該ハイブリドーマをマウスに腹腔内注射した後に腹水液を回収することによって、生体外(in vitro)で生成させることもできる。上清又は腹水において、製造方法がどんな方法であっても、その後に抗体は精製される。使用する精製方法は、本質的にイオン交換ゲルを用いた濾過及び排除クロマトグラフィー又はアフィニティークロマトグラフィー(タンパク質A又はG)である。最も効果的な抗体を特定定するように、十分な個数の抗体が機能的アッセイにおいて選別される。抗体、抗体断片又は抗体誘導体、例えば遺伝子工学により製造されるキメラ抗体の生体外(in vitro)での製造は、当業者には周知である。ヒト化抗体を使用することが都合がよい。非ヒト抗体、例えばネズミ抗体の“ヒト化”体は、非ヒト免疫グロブリンから誘導される最少配列を含有するキメラ抗体である。最もヒト化された抗体は、レシピエントの超可変領域の残基が所望の特異性、親和性及び能力を有するマウス、ラット、ウサギ又は非ヒト霊長類などの非ヒトドナー種(ドナー抗体)の超可変領域の残基で置換されているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。ある場合には、ヒト免疫グロブリンのF領域の残基(FR)は、対応する非ヒト残基で置換される。また、ヒト化抗体は、レシピエント抗体又はドナー抗体に認められない残基を含有することができる。これらの修飾は、抗体の性能レベルを改善するために行われる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも及び好ましくは2つの可変ドメインを含有するであろうし、その超可変ループの全部又は実質的に全部が非ヒト免疫グロブリンに相当し且つFR領域の全部又は実質的に全部がヒト免疫グロブリンのFR領域であろう。ヒト化抗体は、場合によりヒト免疫グロブリンなどの免疫グロブリンの定常(Fc)部の少なくとも一部を含有していてもよい〔Jones et al., Nature 321: 522-525 (1986);Reichmann et al., Nature 332: 323-329 (1988);及び Presta et al., Curr. Op. Struct. Biol. 2: 593-596 (1992)〕。
【0021】
さらに詳しくは、“抗体断片”という用語は、自然抗体のF(ab)2 、Fab、Fab´又はsFv断片(Blazar et al., 1997, Journal of Immunology 159: 5821-5833 及び Bird et al., 1988, Science 242: 423-426)を意味することを意図し、“誘導体”という用語は、特に自然抗体のキメラ誘導体を意味することを意図する(例えば、Arakawa et al.,
1996, J. Biochem 120: 657-662 及び Chaudray et al., 1989, Nature 339: 394-397参照)。これらの抗体断片及び抗体誘導体は、標的抗原に選択的に結合することができる能力を保存する。
【0022】
このようにして得られるモノクロナール抗体又はポリクロナール抗体、あるいはその断片は診断用組成物に組み込まれ、該診断用組成物は、生物学的試料を、抗体/抗原複合体の形成を可能にする条件下で前記組成物と接触させ、次いで前記複合体の形成を検出することによる生物学的試料中の前記の少なくとも一つのポリペプチド又は一つのペプチド断片の検出方法で使用される。
【0023】
本発明の主題はまた、前記のポリペプチド又はペプチド断片を含有する診断用組成物、及びHXHVウイルスに感染している又はおそらくは感染していると疑われる生物学的試料を、抗体/抗原複合体の形成を可能にする所定の条件下で前記診断用組成物と接触させ、前記複合体の形成を検出することによるHXHVウイルスあるいは少なくとも本発明のポリペプチド又はペプチド断片に対する抗体の検出方法である。これは、ウイルスとの感染中に、宿主がこのウイルスに対して抗体を生じる(体液性応答)ことが知られているからである。
【0024】
本発明の主題はまた、少なくともHXHVウイルスに感染したヒト又は動物の治療に使用される医薬組成物を製造するための生物学的物質、並びにHXHVウイルス感染症に対する治療用ワクチン及び可能性のあるHXHVウイルス感染症を予防するための予防用ワクチンを製造するのに使用できる免疫原又はワクチン組成物である。前記の免疫原製剤は、本発明の少なくとも一つの天然、組換え又は合成ポリペプチド又はペプチド断片を、製薬学的に許容し得るビヒクル及び/又は補助剤及び/又は希釈剤及び/又は賦形剤と組み合わせて含有してなる。
【0025】
本発明の主題はまた、HXHVウイルスに感染した患者に投与した場合に、該ウイルスの増殖及び/又は複製を低下させる能力又は場合によっては抑制する能力を有する医薬組成物を製造するための、前記の少なくとも一つのポリペプチド又はペプチド断片に特異的な、本発明の少なくとも一つのモノクロナール又はポリクロナール抗体あるいは前記のの抗体の少なくとも一つの断片の使用である。これらの抗体又はその断片は、中和抗体と呼ばれる。
【0026】
“生物学的試料”という用語は、例えば、血液、血清、血漿又は組織試料、例えば肝生検抽出物を意味することを意図する。
【0027】
調製されたワクチンは、注射可能である、すなわち溶液又は懸濁液状である。オプションとして、製剤は乳化させることもできる。抗原分子は、製薬学的に許容し得且つ有効成分と混和性である賦形剤と混合することができる。都合のよい賦形剤の例は、水、食塩溶液、デキストロース、グリセロール、エタノール又はこれらの均等物及びこれらの組み合わせである。所望ならば、ワクチンは、少量の補助物質、例えば湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝剤又は補助剤(アジュバント)、例えば水酸化アルミニウム、ムラミルジペプチド、又はこれの変形物(variations)を含有することができる。ペプチドの場合には、それよりも大きい分子(KLH、破傷風毒素)に対するペプチドの連結は、場合により免疫原性を高める。ワクチンは、筋肉内注射などの注射により慣用的に投与される。その他の投与方法に都合のよい別の製剤としては、坐薬、場合によっては経口製剤が挙げられる。
【0028】
“製薬学的に許容し得るビヒクル”という用語は、例えばRemingtonのPharmaceutical Sciences 第16版(Mack Publishing Co.発行)に記載されているような、ヒト又は動物に投与することができる担体及びビヒクルを意味することを意図する。製薬学的に許容し得るビヒクルは、等張性又は低張性であるか、あるいは弱い高張性を示し且つ比較的低いイオン強度を有することが好ましい。製薬学的に許容し得る賦形剤及び補助剤(アジュバント)の定義はまた、前記のRemingtonのPharmaceutical Sciencesにも示されている。
【0029】
また、本発明の主題は:
− 所定の緊縮条件下で、本発明の核酸配列あるいはDMA又はRNAのヌクレオチド断片あるいはDNA又はRNA分子にハイブリダイズすることができることを特徴とするプローブ;〔好ましくは、本発明のプローブは、少なくとも12個のヌクレオチド、好ましくは少なくとも17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個又は25個のヌクレオチドからなり且つハイブリダイゼーションは、検出すべきプローブ/ヌクレオチド配列の複合体のTm(溶融温度)よりも低いほぼ12〜20℃の間から選択される温度及び塩濃度の組み合わせに相当する緊縮条件下で行われる〕;
− 所定の緊縮条件下で、本発明の核酸配列あるいはDMA又はRNAのヌクレオチド断片あるいはDNA又はRNA分子にハイブリダイズすることができることを特徴とするプライマー;
〔好ましくは、本発明のプライマーは、少なくとも12個のヌクレオチド、好ましくは少なくとも17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個又は25個のヌクレオチドからなり且つハイブリダイゼーションは、増幅及び/又は検出すべきプライマー/ヌクレオチド配列の複合体のTm(溶融温度)よりも低いほぼ12〜20℃の間から選択される温度及び塩濃度の組み合わせに相当する緊縮条件下で行われる。配列番号32〜37に示されるプライマーは新規であり且つ実験の部に記載のようにプライマー対はHXHVウイルス核酸を増幅するのに使用され、前記のプライマー対は、次の対:配列番号31/配列番号32、配列番号31/配列番号33、配列番号34/配列番号35、及び配列番号36/配列番号37の中から選択されることが好ましい〕;
− 核酸配列あるいはDNA又はRNAのヌクレオチド断片あるいはDNA又はRNA分子に結合することができることを特徴とする抗核酸抗体;
− 前記の少なくとも一つのプローブ又は一つのプライマー又は一つの抗核酸抗体を含有してなることを特徴とする診断用組成物;
− HXHVウイルスに感染している又はおそらくは感染していると疑われる患者から生物学的試料を採取し、前記試料を、必要ならば、処理してそれからDNA及び/又はRNAを抽出し、前記試料を所定の緊縮条件下で本発明の少なくとも一つのプローブ又はプライマーと接触させ、次いで試料中のウイルスDNA及び/又はRNAの存在を、前記ウイルスDNA及び/又はRNAと少なくとも一つのプローブとのハイブリダイゼーションを行うことによって、あるいは前記DNA及び/又はRNA(例えば、本発明の実験の部に記載のようにして)を増幅させることによって検出することによるウイルスDNA及び/又はRNAの検出方法;及び
− 血清又は血漿試料を患者から採取し、前記試料を、必要ならば、処理してそれからDNA及び/又はRNAを抽出し、前記試料を少なくとも一つの抗核酸抗体と接触させ(前記の抗体は、場合により適当な標識で標識されていてもよい)且つ核酸/抗体複合体の形成を行うことによるウイルスDNA及び/又はRNAの検出方法
に関する。
【0030】
ポリヌクレオチド、プローブ 又はプライマーの製造は、当業者の一般知識の一部である。特に、制限酵素の使用、及び自動合成装置を用いた化学合成の使用を挙げ得る。所定の緊縮条件下で、前記のDNA又はRNAヌクレオチド配列あるいはヌクレオチド断片にハイブリダイズすることができるプローブ及びプライマーは、この定義の一部である。適当な緊縮条件を定めることは、当業者の範囲内にある。特有の緊縮条件は、 調べられるハイブリッドのTm(溶融温度)よりも低い約12〜20℃の間から選択される温度と塩濃度との組み合わせに相当する緊縮条件である。従って、George H. Kellerと Mark M. Manakによる著作、DNA PROBES, 第2版、Stockton Press発行、1993年(49 West 24th St., New
York, N.Y. 10010 USA)を参考にし得る。場合により核酸配列の単一の位置の突然変異さえも判別するための緊縮条件は、少なくとも1979年以来、知られている。例として、
Wallace R.B et al., DNA. Nucleic Acids Res. 6, 3543-3557 (1979)、Wallace R.B. et al., Science, 209, 1396-1400 (1980)、Itakura K. and Riggs A.D., Science, 209,
1401-1405 (1980)、 Suggs S.V. et al., PNAS, 78, 6613-6617 (1981)、 Wallace R.B. et al., DNA. Nucleic Acids Res., 9, 3647-3656 (1981)、 Wallace R.B. et al., DNA. Nucleic Acids Res., 9, 879-894 (1981) 及びConner B.J. et al., PNAS, 80, 278-282 (1983) を挙げ得る。また、抗核酸抗体を製造する方法は公知である。例として、
Philippe Cros et al., Nucleic Acids Researc, 1994, Vol.22, No.15, 2951-2957;
Anderson, W.F. et al., (1988) Bioessays, 8(2), 69-74; Lee, J.S. et al., (1984) FEES Lett., 168, 303-306; Malfoy, B. et al., (1982) Biochemistry, 21(22), 5463-5467; Stollar, B.D. et al., J.J. (eds) Methods in Enzymology, Academic Press,
pp70-85; Traincard, F. et al., (1989) J. Immunol. Meth., 123, 83-91 及び
Traincard, F. et al., (1989) Mol. Cell. Probes, 3, 27-38 を挙げ得る。
【0031】
また、本発明は:
− 本発明の少なくとも一つのポリペプチド又は一つのペプチド断片をコードするDNA配列を含有してなるワクチン組成物(前記のDNAは、適切で且つ製薬学的に許容し得るビヒクル及び/又は希釈剤及び/又は賦形剤と混合される);
− 本発明の少なくとも一つのポリペプチド又は一つのペプチド断片の合成を特異的に妨害することができることを特徴とするアンチセンス又は抗遺伝子オリゴヌクレオチド;
− 少なくとも一つのアンチセンスオリゴヌクレオチド又は一つの抗遺伝子オリゴヌクレオチドを含有してなることを特徴とする医薬組成物;
− 関心事の医薬又はワクチンの少なくとも一つの遺伝子を含有してなることを特徴とするベクター〔前記の遺伝子は、特に下記の(i)〜(iv):すなわち、
(i) 本発明の少なくともポリペプチド又はペプチド断片;又は
(ii) 前記(i)に記載の少なくとも一つのポリペプチド又はペプチド断片に結合することができる抗体の少なくとも全部又は一部;又は
(iii) 前記(i)に記載の少なくとも一つのポリペプチド又はペプチド断片を阻害する少なくとも分子;又は
(iv) 前記(i)に記載の少なくとも一つのポリペプチド又はペプチド断片に結合することができる及び/又はその機能を阻害することができる少なくともリガンド又はリガンドの一部;
をコードする〕;
− 特に、前記のベクターを含有してなること及び関心事の前記遺伝子をその生体内発現を確実にする要素の制御下に置くことを特徴とする医薬又はワクチン組成物;
− 医薬又はワクチン組成物を製造するための生物学的物質であって、特にヒト又は哺乳動物生物に投与すること及び場合によって予め培養することを可能にする形態の少なくとも一つの細胞、特に抗体を自然に産生しない細胞を含有してなる生物学的物質(前記の細胞は、本発明の少なくとも一つの核酸配列又は少なくとも一つの核酸断片又は少なくとも一つのDNA分子又は少なくとも一つのベクターを用いて生体外で遺伝子組み換えされ、前記の核酸配列、 ヌクレオチド断片、DNA分子及びベクターの遺伝子は、本発明の少なくとも一つのポリペプチド又は一つのペプチド断片を生体内でコードするか、あるいは本発明のポリペプチド又はペプチド断片に結合することができる抗体の少なくとも全部又は一部をコードするか、あるいは少なくとも一つのポリペプチド又はペプチド断片の機能及び/又は結合及び/又は発現を阻害する少なくとも一つの分子をコードするものである);
− 前記の生物学的物質を含有してなる医薬又はワクチン組成物;
− 遺伝子組み換え細胞、特に真核細胞、例えばCOS細胞、CHO細胞、Vero細胞、BHK細胞、PK15細胞及びRK13細胞;ヒト骨肉腫細胞系、HeLaヒト細胞系及びヒト肝癌細胞系、昆虫細胞系; 下等真核生物の細胞、例えば酵母細胞、特にサッカロミセス(Saccharomyces)属、シゾサッカロマイセス(Shizosaccharomyces)属、クルベロマイセス(Kluveromyces)属、Hanseluna属、Yarowia属、Schwaniomyces属、チゴサッカロマイセス
Zygosaccharomyces)属及びピキア(Pichia)属から誘導される細胞、好ましくはサッカロマイセス・セルビジェー(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロマイセス・カールスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、シゾサッカロマイセス・ボンベ
Shizosaccharomyces pombe)、クルベロマイセス・ラクティス(Kluveromyces lactis)及びピキア・パストーリス(Pichia pastorls)細胞の中から選択される細胞;原核細胞、例えば大腸菌から誘導される細胞;(前記の細胞は、本発明の少なくとも一つの核酸配列又は少なくとも一つのヌクレオチド断片又はDNA分子又はベクターを用いて形質転換される);及び
− かかる細胞を含有してなる医薬又はワクチン組成物
に関する。
【0032】
前記の医薬組成物は、特に組換えタンパク質を基剤とする“慣用の”ワクチン組成物に関して特に都合のよいDNAワクチン組成物である。これは、組換えタンパク質のワクチン目的の使用は面倒で且つ費用のかかる系であるからであり、特に極めて多くの組換え抗原の精製工程を必要とするからである。また、遭遇する問題の一つは、良好な免疫記憶を十分に長く維持するワクチン持続性を得ることである。逆に、DNAによる免疫処置方法(その利点は、DNAの固有特性に特有である)は、簡単であり且つ比較的安価であり且つ筋肉内又は皮内注射で簡単に行われる。また、下記のことが認められるべきである:
− DNAワクチンは非伝染性/非複製性である、
− DNAを用いた免疫処置は生体内トランスフェクションの形態であることから、ウイルス抗原は哺乳動物細胞中でその天然コンフォメーションで発現される、
− ウイルス感染症の場合におけるように、幅広い免疫応答、すなわち体液性免疫応答及び細胞性免疫応答が誘導され、且つ
− また、DNAワクチンは、その物理化学的等質性により、容易に組み合わせることができる。
【0033】
最後に、本発明の主題は、天然物、組換え体又は合成物であるか、あるいは生物学的試料から場合によりHXHVウイルスを感染させた前記生物学的試料の前処理後に得られる本発明の少なくとも一つのポリペプチド又は一つのペプチド断片の1回量として又は所定の間隔での反復量として所定の用量を動物に投与し、該動物から生物学的試料、好ましくは血液又は血清を採取し、次いで下記のアッセイ:
− (i) ポリペプチド又はポリペプチドに特異的な一つ又は複数の抗体のアッセイ;及び/又は
− (ii)ポリペプチド又はポリペプチド断片に対して、例えばポリペプチド又はポリペプチド断片に特異的な“ヘルパー”Tリンパ球細胞の生体外活性化に関する試験によって誘導される細胞性免疫応答のアッセイ
を行うことによる治療剤の評価方法である。
【0034】
図面は、約1.3 Kbのバンドの部分配列を表す。図において、約200塩基対の配列決定されていない断片の位置を符号(−)で表す。図において、ボールド体で示したヌクレオチド断片は、配列番号1と100%の配列相同性又は同一性を示すヌクレオチド断片に相当する。配列番号1に対するそれぞれの位置は、次の通り:253-233、254-273、273-254である。
【実施例】
【0035】
実施例1:抽出及び伸長
HXHV陽性であると特定された患者から採取した血清試料140μlから、特許出願第PCT/FR02/04578号明細書に記載のようにして、Qiagen社製のQIAamp Viral mini spin Kit (商品名) を使用して、供給業者によって推奨されるプロトコールに従ってPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)増幅により、核酸を抽出した。
次いで、ビオチニル化プライマー(Comp S6M13-ビオチン)(その配列は以下に示す)を使用して、関心事の配列番号1の配列を伸長した。使用したアンチセンスビオチニル化プライマーは、配列番号1のヌクレオチド494-475に相当する。
アンチセンスプライマー Comp S6M13:
5´-GCACTGCCGAGTTACATGGC-3´(配列番号)
上記の伸長については、Roche社製のGENEAmp XL PCR Kit (商品名)を使用し、供給業者によって推奨されたプロトコールに従った。
【0036】
50μlの反応混合物の組成は次の通りである:
25mM Mg(OAc)2 2.4μl
各dNTP2.5mM 4.0μl
プライマー Comp S6M13 2.0μl(20ピコモル)
3.3×XL緩衝液II 15.1μl
rTth DNAポリメラーゼ(2U/μl) 0.5μl(1U)
鋳型DNA 10μl
蒸留水 16μl
前記の伸長は、次のプログラムに従って行った:
反応混合物を、92℃で2分間加熱し、次いで35回のサイクルに供した。それぞれのサイクルは、92℃で30秒間加熱し、55℃で30秒間加熱し且つ68℃で3分間加熱することからなる。最終的伸長は、68℃で10分間加熱し、次いで4℃で冷却することにより行った。
【0037】
実施例2: 伸長した二本鎖DNAの取得
実施例1に記載のプロトコールに従って得られた伸長生成物を、Dynal社製のDynabeads Kilobase BINDER kit (商品名)を使用して、供給業者の使用説明書に従って単離した。得られたビーズ(5μl)を、最初に結合緩衝液中で2回洗浄し、次いでこの緩衝液20μlに懸濁した。伸長生成物のアリコート20μlを加え、回転培養装置(roller)上で懸濁物中にビーズを保持するように周囲温度で3時間インキュベートした。得られた二本鎖DNAを洗浄緩衝液で2回洗浄し且つ蒸留水で1回洗浄することにより精製し、次いでビーズを蒸留水20μlに再懸濁し、4℃で保存した。
【0038】
実施例3:消化及び環化
実施例2に従って捕捉した二本鎖DNA 2μlを、BsaWI酵素(NEB)(その切断部位は配列番号1の位置299に対応した) を用いて60℃で2時間加熱することにより消化した。次いで、酵素を、80℃で20分間加熱することにより不活性化させた。この後に、管を徐々に冷却し、消化したDNAを、Qiagen社製のQIA quick PCR purification Kit (商品名)を使用して精製した。次いで、精製したDNAを、Roche社から販売されているT4リガーゼを使用して4℃で一夜連結反応に供し、65℃で10分間加熱することによって連結を終えた。
【0039】
実施例4:増幅
実施例3に従って得られた連結生成物10μlを、Roche社製のGeneAmp XL PCR Kit(商品名)を使用してセミネステッドPCRを行うための鋳型として使用した。2回のPCRを次のプロトコールに従って同じように行った:
反応混合物を94℃で2分間加熱し、次いで35回のサイクルに供した。それぞれのサイクルは、94℃で30秒間加熱し、47℃で30秒間加熱し、次いで68℃で3分間加熱することからなる。次いで、反応混合物を、68℃で10分間加熱し、次いで4℃で冷却に冷却した。
【0040】
第1回目のPCR:
反応混合物(50μl)の組成:
25mM Mg(OAc)2 2.4μl
各dNTP 2.5mM 4.0μl
センスプライマー 1M13(25μM) 1.0μl
アンチセンスプライマー CIRC1(25μM) 1.0μl
3.3×XL緩衝液II 15.1μl
rTth DNAポリメラーゼ(2U/μl) 0.5μl(1U)
鋳型DNA 10μl
水 16μl
下記のプライマー対を使用した:
センスプライマー(1M13):
5´-CCCGCCCCGCTGATGAAAAG-3´(配列番号31)
アンチセンスプライマー(CIRC 1)
5´-GCGATGGTTGAGTCTCGACTA-3´(配列番号32)
第2回目のPCR:
反応混合物(50μl)の組成:
25mM Mg(OAc)2 2.4μl
各dNTP 2.5mM 4.0μl
センスプライマー 1M13(25μM) 1.0μl
アンチセンスプライマー 6BRACE5´(25μM) 1.0μl
3.3×XL緩衝液II 15.1μl
rTth DNAポリメラーゼ(2U/μl) 0.5μl(1U)
第1回目のPCRの生成物 10μl
水 16μl
次のプライマー対を使用した:
センスプライマー (1M13):
5´-CCCGCCCCGCTGATGAAAAG-3´(配列番号31)
アンチセンスプライマー (6BRACE5´):
5´-AGGTAGCAGGCGATATC-3´(配列番号33)
XH配列(配列番号1)中のプライマーの位置は、それぞれ次の通りである:
1M13: 254-273
CIR 1: 253-233
6BRACE5´: 94-77
【0041】
実施例5:アガロースゲル電気泳動及びハイブリダイゼーション
実施例4に従って得られた増幅生成物を、1.5%アガロースゲル電気泳動により分離した。3つのバンドがゲル上で認められ、その大きさは1.2 Kb〜2.5 Kbであった。
増幅生成物を、Hybond-N (商品名) ナイロン膜(Amersham Biosciences UK Limited製)に移した。この膜を、32P〔Amersham Pharmacia Biotech Inc.社製の the Ready to Go DNALabelling beads kit (商品名) を使用して生じさせた〕でその3´末端で標識した完全XH断片と42℃で一夜ハイブリダイズした。次の洗浄を65℃で行った:2×SSC、15分間、2回;1×SSC、15分間、2回;0.5×SSC、15分間、2回。膜を−80℃で一夜オートラジオグラフィーに供した。上記の3つのバンドは、現像後にX線フィルム上に弱い信号を示した。
【0042】
実施例6:クローニング及び配列決定
上記の3つのバンドそれぞれを、ベクターPCR2.1-TOPO(Invitrogen社製)にクローン化した。次いで、得られたクローンを、コロニーハイブリダイゼーションにより選別し、EcoRI酵素(Gibco BRL製)を使用して同定した。陽性クローンを選択して配列決定した。 配列決定の結果は、1133塩基対の断片を明らかにした。データベースライブラリーで行った調査は、有意な配列相同性を示さなかった。上記の1133塩基対の断片を、配列表に配列番号2及び3として示した。これはまた図にも示した。
【0043】
実施例7:反復
実施例3に記載の同じ消化及び環化生成物を使用して、実施例4に記載のプロトコールに従ってさらに増幅を行い、次いで実施例5に記載のアガロースゲル電気泳動及びハイブリダイゼーション操作を行った。このアッセイにおいて、単一のバンド(その大きさは約1.3 Kbであった)がゲル上に認められた。実施例6に記載のようにしてクローニングし、配列決定した後に、実施例6に記載の断片に対応する1133塩基対の断片(配列番号2及び3並びに図)を得た。
HXHVウイルスに対するこの1133塩基対の断片の関連性を以下に記載のように検証した。 使用した配列決定に固有の制限により、ゲル上で視覚化された約1.3 Kbのバンドの配列は、不完全であることが判明した。実際に、約1300塩基対の断片が期待された。従って、本発明者らは、さらに操作を用いて、約1.3 Kbのバンドの完全な配列決定を以下に記載のようにして行った。最初の配列決定で配列決定されなかった部分(これは約200塩基対の断片に相当する)を、その位置について図に符号(−)で示す。最初の配列決定された断片を配列番号2に示し、第二の配列決定された断片を配列表の配列番号3に示す。
【0044】
実施例8:1133塩基対の断片の関連性
HXHVウイルスに対する1133塩基対の断片の関連性を検証するために、複数のネステッドPCRを平行して行った。
・ 17種の血清(その中の10種は特許出願第PCT/FR02/04578号明細書に記載のHXHVウイルスのORF4について陽性であり、7種はこの同じORF4について陰性であった)のスクロース勾配を用いて得られた画分を使用して、核酸を抽出し、Promega社製のTaq DNAポリメラーゼを使用して下記のプロトコールに従ってネステッドPCRを行った:
反応混合物を94℃で5分間加熱し、次いで35回のサイクルに供した。それぞれのサイクルは、94℃で45秒間加熱し、43℃で45秒間加熱し 且つ72℃で1分間加熱することからなる。次いで、反応混合物を72℃で10分間の加熱に供し、次いで4℃に冷却した。
【0045】
第1回目のPCR:
反応混合物(50μl)の組成:
10×MgCl2を有するTaq緩衝液 5.0μl
各dNTP 10mM 2.0μl
センスプライマー XF4(25μM) 1.0μl
アンチセンスプライマー XB12(25μM) 1.0μl
Taq DNAポリメラーゼ(2U/μl) 0.5μl
鋳型DNA 10μl
水 30.5μl
下記のプライマー対を使用した:
センスプライマー (XF4):
5´-CCTTCTGGAGAGGGATTTC-3´(配列番号34)
アンチセンスプライマー (XB12):
5´-TGTTACCTGCTACTTCGTGC-3´(配列番号35)
【0046】
第2回目のPCR:
反応混合物(50μl)の組成:
10×MgCl2を有するTaq緩衝液 5.0μl
各dNTP 10mM 2.0μl
センスプライマー XF1(25μM) 1.0μl
アンチセンスプライマー XB1(25μM) 1.0μl
Taq DNAポリメラーゼ(5U/μl) 0.5μl
第1回目の生成物 10μl
水 35.5μl
次のプライマー対を使用した:
センスプライマー (XF1):
5´-TAGAGTTGCGAGGCGTGACC-3´(配列番号36)
アンチセンスプライマー (XB1):
5´-CCTTATCCAGTGGCTTTTGGC-3´(配列番号37)
配列番号4の配列中のプライマーの位置は、それぞれ次の通りである:
XF4: 482-500
XB12: 1255-1236
XF1: 944-963
XB1: 1186-1166
【0047】
実施例4に従って得られた増幅生成物を、1.5%アガロースゲル電気泳動により分離した。得られた増幅生成物を、Hybond-N(商品名)ナイロン膜(Amersham Biosciences
UK Limited製)上に移した。この膜を、32Pでその3´末端を標識した第2回目のPCRの生成物と42℃で一夜ハイブリダイズした。第2回目の生成物をQiaquick Gel Extraction Kit(商品名)を用いて精製し、Amersham Pharmacia Biotech Inc.製の Ready to Go DNA Labelling beads kit(商品名)を使用して標識した。次の洗浄を65℃で行った:2X SSC、15分間、2回;1X SSC、15分間、2回;0.5X SSC、15分間、2回。膜をオートラジオグラフィーに−80℃で一夜供した。
【0048】
約240塩基対の期待した大きさのバンドは、HXHVウイルスのORF4について陽性であった 10個の画分の中の3つの画分の増幅させた核酸中に認められた。HXHVウイルスのORF4について陰性であった7個の画分については、バンドは現れなかった。
・ 非A〜E患者から得た15種類の血清(その中の9種類はHXHV ORF4について陽性であり、6種類はこの同じORFについて陰性であった)から抽出した核酸を、前記のプロトコールと同じプロトコールを用いて、ネステッドPCRにより増幅した。次いで、得られた増幅生成物をアガロースゲル電気泳動により分離し、膜をハイブリダイズし、前記のプロトコールと同じプロトコールを用いてオートラジオグラフィーにより、バンドが明らかされた。
約240塩基対の期待した大きさのバンドは、HXHVウイルスのORF4について陽性であった9個の血清の中の3個の血清から増幅させた核酸中に認められた。HXHVウイルスのORF4について陰性であった6個の血清については、バンドは現れなかった。
【0049】
従って、血清画分から、従って血清から得られた結果から、1133塩基対の配列がHXHVウイルスに関連することが確認された。
【0050】
実施例9:約1.3 Kbのバンドの完全配列決定
PCR生成物を、酵素消化(酵素 Exosup - 商品名)により精製した。得られた核酸を蛍光分析により定量した。配列決定反応を、配列決定すべき領域について特異的なプライマーの存在下での酵素反応によって行った。次いで、生成物をApplied Biosystem 3730 XL sequencer (商品名)に注入した。得られたDNA配列は、配列番号4に示す1314塩基対の配列であった。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、約1.3 Kbのバンドの部分配列を表す。図において、約200塩基対の配列決定されていない断片の位置を符号(−)で表す。図において、ボールド体で示したヌクレオチド断片は、配列番号1と100%の配列相同性又は同一性を示すヌクレオチド断片に相当する。配列番号1に対するそれぞれの位置は次の通り:253-233、254-273、273-254である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
HXHVウイルスゲノムから得ることができる単離核酸配列であって、配列番号4の配列又は配列番号4に相補的な配列からなる単離核酸配列。
【請求項2】
HXHVウイルスゲノムから得ることができる単離核酸配列であって、配列番号4の配列又は配列番号4に相補的な配列のみからなる単離核酸配列。
【請求項3】
配列番号4又はこれに相補的な配列に属する少なくとも12個の連続したヌクレオチドのヌクレオチド配列からなるか又はそれのみからなることを特徴とするDNAヌクレオチド断片。
【請求項4】
配列番号4又はこれに相補的な配列に属する少なくとも15個の連続したヌクレオチドの配列からなるか又はそれのみからなることを特徴とする請求項3に記載の断片。
【請求項5】
配列番号4又はこれに相補的な配列に属する少なくとも18個の連続したヌクレオチドの配列からなるか又はそれのみからなることを特徴とする請求項3又は4に記載の断片。
【請求項6】
配列番号4 又はこれに相補的な配列に属する少なくとも20個、21個、22個、23個、24個、27個、30個、33個、36個、39個、42個、45個、48個、51個又は54個の連続したヌクレオチドの配列からなるか又はそれのみからなることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の断片。
【請求項7】
少なくとも12個の連続したヌクレオチド全体にわたって、配列番号4 又は配列番号4に相補的な配列と少なくとも90%の同一性、好ましくは少なくとも95%の同一性、都合よくは少なくとも98%又は99%の同一性を示すヌクレオチド配列(但し、配列
TAGTCGAGACTCAACCATCGC 及び CCCGCCCCGCTGATGAAAAG 並びに前記配列に相補的なヌクレオチド配列を除く)からなるか又はそれのみからなることを特徴とするDNAヌクレオチド断片。
【請求項8】
少なくとも15個の連続したヌクレオチド全体にわたって、配列番号4又は配列番号4に相補的な配列と少なくとも90%の同一性、好ましくは少なくとも95%の同一性、都合よくは少なくとも98%又は99%の同一性を示すヌクレオチド配列(但し、配列
TAGTCGAGACTCAACCATCGC 及び CCCGCCCCGCTGATGAAAAG 並びに前記配列に相補的なヌクレオチド配列を除く)からなるか又はそれのみからなることを特徴とするDNAヌクレオチド断片。
【請求項9】
少なくとも18個の連続したヌクレオチド全体にわたって、配列番号4又は配列番号4に相補的な配列と少なくとも90%の同一性、好ましくは少なくとも95%の同一性及び都合よくは少なくとも98%又は99%の同一性を示すヌクレオチド配列(但し、配列
TAGTCGAGACTCAACCATCGC 及び CCCGCCCCGCTGATGAAAAG 並びに前記配列に相補的なヌクレオチド配列を除く)からなるか又はそれのみからなることを特徴とするDNAヌクレオチド断片。
【請求項10】
少なくとも20個、21個、22個、23個、24個、27個、30個、33個、36個、39個、42個、45個、48個、51個又は54個の連続したヌクレオチド全体にわたって、配列番号4又は配列番号4に相補的な配列と少なくとも90%の同一性、好ましくは少なくとも95%の同一性、都合よくは少なくとも98%又は99%の同一性を示すヌクレオチド配列(但し、配列
TAGTCGAGACTCAACCATCGC 及び CCCGCCCCGCTGATGAAAAG 並びに前記配列に相補的なヌクレオチド配列を除く)からなるか又はそれのみからなることを特徴とするDNAヌクレオチド断片。
【請求項11】
前記の連続したヌクレオチドが、配列番号4のヌクレオチド2から始まり且つヌクレオチド286で終わるセグメントに属するものであることを特徴とする請求項3〜10のいずれか1項に記載の断片又は該断片に相補的な断片。
【請求項12】
前記の連続したヌクレオチドが、配列番号4のヌクレオチド4から始まり且つヌクレオチド144で終わるセグメントに属するものであることを特徴とする請求項3〜10のいずれか1項に記載の断片又は該断片に相補的な断片。
【請求項13】
前記の連続したヌクレオチドが、配列番号4のヌクレオチド180から始まり且つヌクレオチド1004で終わるセグメントに属するものであることを特徴とする請求項3〜10のいずれか1項に記載の断片又は該断片に相補的な断片。
【請求項14】
前記の連続したヌクレオチドが、配列番号4のヌクレオチド614から始まり且つヌクレオチド820で終わるセグメントに属するものであることを特徴とする請求項3〜10のいずれか1項に記載の断片又は該断片に相補的な断片。
【請求項15】
前記の連続したヌクレオチドが、配列番号4のヌクレオチド1228から始まり且つヌクレオチド1314で終わるセグメントに属するものであることを特徴とする請求項3〜10のいずれか1項に記載の断片又は該断片に相補的な断片。
【請求項16】
前記の連続したヌクレオチドが、配列番号4に相補的な配列のヌクレオチド1283から始まり且つヌクレオチド1197で終わるセグメントに属するものであることを特徴とする請求項3〜10のいずれか1項に記載の断片又は該断片に相補的な断片。
【請求項17】
前記の連続したヌクレオチドが、配列番号4に相補的な配列のヌクレオチド1264から始まり且つヌクレオチド1067で終わるセグメントに属するものであることを特徴とする請求項3〜10のいずれか1項に記載の断片又は該断片に相補的な断片。
【請求項18】
前記の連続したヌクレオチドが、配列番号4に相補的な配列のヌクレオチド1209から始まり且つヌクレオチド1099で終わるセグメントに属するものであることを特徴とする請求項3〜10のいずれか1項に記載の断片又は該断片に相補的な断片。
【請求項19】
前記の連続したヌクレオチドが、配列番号4に相補的な配列のヌクレオチド819から始まり且つヌクレオチド736で終わるセグメントに属するものであることを特徴とする請求項3〜10のいずれか1項に記載の断片又は該断片に相補的な断片。
【請求項20】
前記の連続したヌクレオチドが、配列番号4に相補的な配列のヌクレオチド800から始まり且つヌクレオチド6で終わるセグメントに属するものであることを特徴とする請求項3〜10のいずれか1項に記載の断片又は該断片に相補的な断片。
【請求項21】
前記の連続したヌクレオチドが、配列番号4に相補的な配列のヌクレオチド784から始まり且つヌクレオチド629で終わるセグメントに属するものであることを特徴とする請求項3〜10のいずれか1項に記載の断片又は該断片に相補的な断片。
【請求項22】
前記の連続したヌクレオチドが、配列番号4に相補的な配列のヌクレオチド610から始まり且つヌクレオチド410で終わるセグメントに属するものであることを特徴とする請求項3〜10のいずれか1項に記載の断片又は該断片に相補的な断片。
【請求項23】
前記の連続したヌクレオチドが、配列番号4に相補的な配列のヌクレオチド391から始まり且つヌクレオチド221で終わるセグメントに属するものであることを特徴とする請求項3〜10のいずれか1項に記載の断片又は該断片に相補的な断片。
【請求項24】
配列番号5〜17の配列のいずれか一つの配列 又は配列番号5〜17の配列に相補的な配列のいずれか一つの配列からなるか又はそれのみからなることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の断片。
【請求項25】
請求項1及び2のいずれか1項に記載の配列又は請求項3〜24のいずれか1項に記載の断片の転写生成物。
【請求項26】
請求項1及び2のいずれか1項に記載の配列又は請求項3〜24のいずれか1項に記載の断片からなるか又は該配列もしくは該断片のみからなることを特徴とするDNA分子。
【請求項27】
請求項26に記載のDNA分子の転写生成物からなるか又はそれのみからなることを特徴とするRNA分子。
【請求項28】
ポリペプチド配列が請求項1及び2のいずれか1項に記載の配列又は請求項3〜24のいずれか1項に記載の断片によってコードされるものであるポリペプチド。
【請求項29】
ポリペプチド配列が配列番号18〜30の配列のいずれか一つの配列、あるいは配列番号18〜30の配列のいずれか一つの配列に均等のポリペプチド配列からなるか又はそれのみからなるものであり、該配列において(i)アミノ酸 アラニン、プロリン及びグリシンが均等であり、(ii)アミノ酸 アスパラギン酸及びグルタミン酸が均等であり、(iii)アミノ酸 ヒスチジン、リシン及びアルギニンが均等であり、(iv)アミノ酸 アスパラギン、グルタミン、セリン及びスレオニンが均等であり、(v)アミノ酸 フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファンが均等であり且つ(vi)アミノ酸 イソロイシン、ロイシン、バリン及びメチオニンが均等である請求項28に記載のポリペプチド。
【請求項30】
配列番号18〜30の配列のいずれか一つの配列に属するか又は配列番号18〜30の配列のいずれか一つに均等のポリペプチド配列に属する少なくとも4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個又は18個のアミノ酸のペプチド配列からなるか又はそれのみからなるものであり、該配列において(i)アミノ酸 アラニン、プロリン及びグリシンが均等であり、(ii)アミノ酸 アスパラギン酸及びグルタミン酸が均等であり、(iii)アミノ酸 ヒスチジン、リシン及びアルギニンが均等であり、(iv)アミノ酸 アスパラギン、グルタミン、セリン及びスレオニンが均等であり、(v)アミノ酸 フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファンが均等であり且つ(vi)アミノ酸 イソロイシン、ロイシン、バリン及びメチオニンが均等である請求項28に記載のポリペプチド。
【請求項31】
少なくとも6個、8個、9個、10個、12個、15個又は18個のアミノ酸及び多くて10個、12個、15個又は18個のアミノ酸のペプチド配列からなるか又はそれのみからなること、特にその配列が6〜10個のアミノ酸、6〜12個のアミノ酸、6〜15個のアミノ酸、6〜18個のアミノ酸、8〜10個のアミノ酸、8〜12個のアミノ酸、8〜15個のアミノ酸、8〜18個のアミノ酸及び15〜18個のアミノ酸のペプチド配列のみからなるか、配列番号18〜30に示される配列のいずれか一つの配列のみからなるか又は前記の配列番号18〜30の配列に機能的に均等なポリペプチド配列のみからなることを特徴とするエピトープ。
【請求項32】
発現に必要な要素の制御下に置かれた発現カセットであって、請求項1及び2のいずれか1項に記載の核酸配列又は請求項3〜24のいずれか1項に記載の断片又は請求項26に記載のDNA分子の発現を可能にする原核生物又は真核生物から誘導される細胞中で機能する発現カセット。
【請求項33】
請求項32に記載の発現カセットを含有するベクター。
【請求項34】
請求項32に記載の発現カセット又は請求項33に記載の発現ベクターを含有する真核生物又は原核生物から誘導される細胞。
【請求項35】
真核生物、特に動物、例えば哺乳動物、爬虫類又は昆虫から生じる細胞、好ましくは
COS細胞、CHO細胞、Vero細胞、BHK細胞、PK15細胞及びRK13細胞から選択される細胞;ヒト骨肉腫細胞系、HeLaヒト細胞系及びヒト肝癌細胞系;昆虫細胞系から誘導されるものであることを特徴とする請求項34に記載の細胞。
【請求項36】
下等真核生物から誘導されるものであり、特に酵母、例えばサッカロミセス
Saccharomyces)属、シゾサッカロマイセス(Shizosaccharomyces)属、クルベロマイセス(Kluveromyces)属、Hanseluna属、Yarowia属、Schwaniomyces属、チゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)属及びピキア(Pichia)属から誘導されるものであり、好ましくはサッカロマイセス・セルビジェー(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロマイセス・カールスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、シゾサッカロマイセス・ボンベ(Shizosaccharomyces pombe)、クルベロマイセス・ラクティス(Kluveromyces lactis)及びピキア・パストーリス(Pichia pastorls)細胞の中から選択されるものであることを特徴とする請求項34に記載の細胞。
【請求項37】
原核生物、好ましくは大腸菌から誘導されるものであることを特徴とすることを請求項34に記載の細胞。
【請求項38】
請求項32に記載の発現カセット、請求項33に記載のベクター又は請求項34〜37のいずれか1項に記載の細胞によって生成させることができるポリペプチド。
【請求項39】
請求項28又は29に記載のポリペプチドあるいは請求項30に記載のペプチド断片の製造方法であって、請求項34〜37のいずれか1項に記載の宿主細胞を適当な培地で培養し、生成した前記ポリペプチド又は前記ペプチド断片を必要な程度の純度まで精製することによる請求項28又は29に記載のポリペプチドあるいは請求項30に記載のペプチド断片の製造方法。
【請求項40】
請求項28又は29に記載のポリペプチドあるいは請求項30に記載のペプチド断片からなるか又はそれのみからなる免疫原性ポリペプチド。
【請求項41】
請求項40に記載の免疫原性ポリペプチドを用いて哺乳動物を免疫処置することによって得ることができるモノクロナール又はポリクロナール抗体。
【請求項42】
請求項28又は29に記載のポリペプチドあるいは請求項30に記載のポリペプチド断片を含有してなることを特徴とする診断用組成物。
【請求項43】
請求項41に記載のモノクロナール抗体又はポリクロナール抗体を含有してなることを特徴とする診断用組成物。
【請求項44】
HXHVウイルスに感染していると疑われる患者から得られる生物学的試料を、抗体/抗原複合体の形成を可能にする所定の条件下で、請求項42に記載の診断用組成物と接触させ、前記複合体の形成を検出することによるHXHVウイルスあるいは少なくとも請求項28又は29に記載のポリペプチドあるいは請求項30に記載のポリペプチド断片に対する抗体の検出方法。
【請求項45】
HXHVウイルスに感染していると疑われる患者から得られる生物学的試料中の請求項28又は29に記載のポリペプチドあるいは請求項30に記載のポリペプチド断片の検出方法であって、前記生物学的試料を、抗体/抗原複合体の形成を可能にする所定の条件下で請求項43に記載の診断用組成物と接触させ、前記複合体の形成を検出することによるHXHVウイルスに感染していると疑われる患者から得られる生物学的試料中の請求項28又は29に記載のポリペプチドあるいは請求項30に記載のポリペプチド断片の検出方法。
【請求項46】
請求項28又は29に記載のポリペプチドあるいは請求項30に記載のポリペプチド断片を、適当なビヒクル及び/又は補助剤及び/又は希釈剤と及び/又は製薬学的に許容し得る賦形剤と組み合わせて含有してなることを特徴とする免疫原又はワクチン組成物。
【請求項47】
請求項1又は2に記載の核酸配列、あるいは請求項3〜24のいずれか1項に記載のヌクレオチド断片、あるいは請求項26又は27に記載のDNA又はRNA分子にハイブリダイズすることができる(前記ハイブリダイゼーションは所定の緊縮条件下で行われる)ことを特徴とする少なくとも12個のヌクレオチドのプローブ。
【請求項48】
請求項1又は2に記載の核酸配列、あるいは請求項3〜24のいずれか1項に記載のヌクレオチド断片、あるいは請求項26又は27に記載のDNA又はRNA分子にハイブリダイズすることができる(前記ハイブリダイゼーションは所定の緊縮条件下で行われる)ことを特徴とする少なくとも12個のヌクレオチドのプライマー。
【請求項49】
配列番号32〜37のプライマーの中から選択されるものであることを特徴とする請求項48に記載のプライマー。
【請求項50】
次の対:配列番号31/配列番号32、配列番号31/配列番号33、配列番号34/配列番号35、及び配列番号36/配列番号37の一つから選択されるものであることを特徴とする請求項48に記載の一対のプライマー。
【請求項51】
請求項1又は2に記載の核酸配列、あるいは請求項3〜24のいずれか1項に記載のヌクレオチド断片、あるいは請求項26又は27に記載のDNA又はRNA分子に結合することができることを特徴とする抗核酸抗体。
【請求項52】
請求項47、48、49、50又は51に記載の少なくとも一つのプローブあるいは少なくとも一つのプライマーあるいは少なくとも1対のプライマーあるいは一つの抗核酸抗体を含有してなることを特徴とする診断用組成物。
【請求項53】
HXHVウイルスに感染していると疑われる患者から得られる生物学的試料中のウイルスDNA又はRNAの検出方法であって、前記試料を、必要ならば、処理してそれからDNA又はRNAを抽出し、前記DNA又はRNAを、所定の緊縮条件下で、請求項47、48、49又は50に記載の少なくとも一つのプローブ、少なくとも一つのプライマー、あるいは少なくとも一対のプライマーと接触させ、前記試料中のウイルスDNA又はRNAの存在を、前記ウイルスDNA又はRNAと請求項47に記載の少なくとも一つのプローブとのハイブリダイゼーションを行うことによって検出するか、あるいは前記DNA又はRNAを請求項48又は49に記載の少なくとも一つのプライマーあるいは請求項50に記載の少なくとも一対のプライマーを使用して増幅させることによって検出することによるHXHVウイルスに感染したと疑われている患者から得られる生物学的試料中のウイルスDNA又はRNAの検出方法。
【請求項54】
生物学的試料、例えば血清、血漿又は血液を患者から採取し、前記試料を、必要ならば、処理してそれから前記DNA及び/又はRNAを抽出し、前記試料を請求項51に記載の少なくとも一つの抗核酸抗体と接触させ(但し、前記抗体は、場合により適当な標識で標識されていてもよい)、そして核酸/抗体複合体の形成を行うことによるHXHVウイルスのウイルスDNA又はRNAの検出方法。
【請求項55】
請求項28又は29に記載の少なくとも一つのポリペプチドをコードするか あるいは請求項30に記載の少なくとも一つのペプチド断片をコードするDNA配列を含有してなる(但し、前記DNAは、製薬学的に許容し得るビヒクル及び/又は希釈剤及び/又は賦形剤と混合されるものである)ワクチン組成物。
【請求項56】
治療又はワクチンに重要な少なくとも一つの遺伝子であって、特に請求項28、29及び30のいずれか1項に記載の少なくとも一つのポリペプチド又はペプチド断片をコードする遺伝子を含有するベクター。
【請求項57】
請求項56に記載のベクターを含有してなること及び前記の関心事の遺伝子がその生体内発現を確実にする要素の制御の下に置かれるものであることを特徴とする医薬又はワクチン組成物。
【請求項58】
特に真核細胞、例えばCOS細胞、CHO細胞、Vero細胞、BHK細胞、PK15細胞及びRK13細胞;ヒト骨肉腫細胞系、HeLaヒト細胞系及びヒト肝癌細胞系、昆虫細胞系;下等真核生物の細胞、例えば酵母細胞、特にサッカロミセス(Saccharomyces)属、シゾサッカロマイセス(Shizosaccharomyces)属、クルベロマイセス(Kluveromyces)属、Hanseluna属、
Yarowia属、Schwaniomyces属、チゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)属及びピキア(Pichia)属から誘導される細胞、好ましくはサッカロマイセス・セルビジェー(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロマイセス・カールスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、シゾサッカロマイセス・ボンベ(Shizosaccharomyces pombe)、クルベロマイセス・ラクティス(Kluveromyces lactis)及びピキア・パストーリス(Pichia pastorls)細胞から選択される細胞;原核細胞、例えば大腸菌から誘導される原核細胞から選択される遺伝子組み換え細胞であって、請求項1又は2に記載の少なくとも一つの核酸細胞、又は請求項3〜24のいずれか1項に記載の少なくとも一つのヌクレオチド断片、又は請求項26に記載のDNA分子、又は請求項56に記載のベクターを用いて形質転換される遺伝子組み換え細胞。
【請求項59】
請求項58に記載の細胞を含有してなることを特徴とする医薬又はワクチン組成物。


【公表番号】特表2007−537698(P2007−537698A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518311(P2006−518311)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【国際出願番号】PCT/FR2004/050310
【国際公開番号】WO2005/005466
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(506005444)アンスティテュー ナシヨナル ド ラ サンテ エ ド ラ ルシェルシュ メデイカル(イ.エーヌ.エス.ウ.エール.エム.) (2)
【Fターム(参考)】