説明

Hsp90ファミリー蛋白質阻害剤

抗腫瘍剤などの医薬品として有用な一般式(I)


[式中、R、R、RおよびRは同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルキルなどを表し、Xは酸素原子、硫黄原子または−N(R)−を表し、aは−(CRa1a2−、−CHRa3CRa4a5−または−CHRa6Y−を表し、bは−(CRb1b2−を表し、cは−(CHRc1CHRc2−または−CHRc3Z−を表し、dは−CRd1d2−または−NRd4(C=O)−を表し、eは−CRe1e2−または−CHRe3CHRe4−を表し、fは−(CRf1f2−を表し、gは−CRg1g2−を表す]で表される環状安息香酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするHsp90ファミリー蛋白質阻害剤などを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、環状安息香酸誘導体を有効成分として含有し、抗腫瘍剤などの医薬品として有用な、ヒートショックプロテイン90(Hsp90)ファミリー蛋白質阻害剤に関する。
【背景技術】
従来、Hsp90ファミリー蛋白質に結合する化合物としては、ゲルダナマイシン(Geldanamycin)、ハービマイシンなどのベンゾキノンアンサマイシン系抗生物質およびラディシコール(Radicicol)が知られている[セル・ストレス&シャペロンズ(Cell Stress & Chaperones),,100−108(1998)、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.),42,260−266(1999)]。これらの化合物はいずれもHsp90ファミリー蛋白質に結合し、Hsp90ファミリー蛋白質の機能を阻害することにより抗腫瘍活性などの薬理活性を示すと報告されている。したがって、Hsp90ファミリー蛋白質に結合する化合物は、Hsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療薬として有用である。
また、ゲルダナマイシン誘導体[17−AAG、インヴェストゲーショナル・ニュー・ドラッグス(Invest.New Drugs),17,361−373(1999)]およびラディシコール誘導体[キャンサー・リサーチ(Cancer Research),59,2931−2938(1999)、ブラッド(Blood),96,2284−2291(2000)、キャンサー・ケモセラピー&ファーマコロジー(Cancer Chemotherapy and Pharmacology),48,435−445(2001)、WO96/33989、WO98/18780、WO99/55689、WO02/16369]が、抗腫瘍効果を示すことが報告されている。

さらに、ノボビオシン(Novobiocin)およびPU3がHsp90ファミリー蛋白質に結合する化合物として報告されている[ジャーナル・オブ・ナショナル・キャンサー・インスティチュート(Journal of National Cancer Institute),92,242−248(2000)およびケミストリー&バイオロジー(Chemistry & Biology),,289−299(2001)]。
Hsp90ファミリー蛋白質としては、Hsp90α蛋白質、Hsp90β蛋白質、grp94、hsp75/TRAP1などが知られている[ファーマコロジー&セラピューティクス(Pharmacology & Therapeutics),79,129−168(1998)、モレキュラー・エンドクリノロジー(Molecular Endocrinology),13,1435−1448(1999)など]。
一方、環状安息香酸誘導体としては、ゼアラレノン、ゼアララノール誘導体などのレゾルシン酸ラクトン化合物が知られている(例えばUS5795910、EP0606044、WO03/041643などに開示されている)。
【発明の開示】
本発明の目的は、抗腫瘍剤などの医薬品として有用な、環状安息香酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するHsp90ファミリー蛋白質阻害剤などを提供することにある。
本発明は、以下の(1)〜(30)に関する。
(1) 一般式(I)

{式中、R、R、RおよびRは同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、ハロゲン、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換の低級アルケニルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシ、置換もしくは非置換のアロイルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルオキシ、カルバモイルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノカルボニルオキシ、アミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルスルホニルアミノ、カルバモイルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノスルホニルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノカルボニルアミノ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニル、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表し、
Xは、酸素原子、硫黄原子または−N(R)−(式中、Rは水素原子または置換もしくは非置換の低級アルキルを表す)を表し、
aは−(CRa1a2−(式中、mは0〜5の整数を表し、Ra1およびRa2は同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシまたは置換もしくは非置換の低級アルキルを表すか、Ra1とRa2が一緒になって酸素原子(=O)を表す)、−CHRa3CRa4a5−(式中、Ra3、Ra4およびRa5は同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシ、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルまたは置換もしくは非置換の低級アルキルアミノカルボニルを表すか、Ra3とRa4が一緒になって結合または酸素原子を表すか、Ra4とRa5が一緒になって酸素原子(=O)を表す)または−CHRa6Y−(式中、R6aは前記Ra3と同義であり、Yは前記Xと同義である)を表し、
bは−(CRb1b2−(式中、nは前記mと同義であり、Rb1およびRb2はそれぞれ前記Ra1およびRa2と同義である)を表し、
cは−(CHRc1CHRc2−(式中、pは前記mと同義であり、Rc1およびRc2は同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシを表すか、Rc1とRc2が一緒になって結合または酸素原子を表す)または−CHRc3Z−(式中、Rc3は前記Ra1と同義であり、Zは前記Xと同義である)を表し、
dは−CRd1d2−[式中、Rd1およびRd2は同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、アミノ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のアラルキルオキシ、置換もしくば非置換のアリールオキシ、−O(C=O)Rd3(式中、Rd3は置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、アミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノまたは置換もしくは非置換のアリールアミノを表す)、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のアリールアミノ、置換もしくは非置換のアラルキルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表すか、Rd1とRd2が一緒になって酸素原子(=O)、=NORd4(式中、Rd4は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表す)または−O(CHO−(式中、rは2または3を表す)を表す]または−NRd4(C=O)−(式中、Rd4は前記Rと同義である)を表し、
eは、−CRe1e2−(式中、Re1およびRe2はそれぞれ前記Ra1およびRa2と同義である)または−CHRe3CHRe4−(式中、Re3およびRe4はそれぞれ前記Ra3およびRa4と同義である)を表し、
fは−(CRf1f2−(式中、Rf1およびRf2はそれぞれ前記Ra1およびRa2と同義であり、
qは前記mと同義である)を表し、
gは−CRg1g2−(式中、Rg1およびRg2は同一または異なって、水素原子または置換もしくは非置換の低級アルキルを表す)を表すが、
ただし、
(i)RおよびRがヒドロキシであり、
およびRが水素原子であり、
Xが酸素原子であり、
−a−b−c−が−(CH−または−CH=CH−(CH−であり、
eおよびfがそれぞれ−CH−であり、かつ
gが−CH(CH)−であるとき、
dは−C(=O)−または−CH(OH)−ではなく、
(ii)Rがヒドロキシまたはメトキシであり、
がヒドロキシであり、
およびRが水素原子であり、
Xが酸素原子であり、
−a−b−c−が−CH=CH−(CH−であり、
−e−f−が−CH−であり、かつ
gが−CH(CH)−であるとき、
dは−C(=O)−ではない}で表される環状安息香酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するHsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
(2) RおよびRが同一または異なって、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のアルケニルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシ、置換もしくは非置換のアロイルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルオキシ、カルバモイルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノカルボニルオキシ、アミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルスルホニルアミノ、カルバモイルアミノまたは置換もしくは非置換の低級アルキルアミノカルボニルアミノであり、
Xが酸素原子であり、
aが−CHRa3CRa4a5−(式中、Ra3、Ra4およびRa5はそれぞれ前記と同義である)であり、
bが−CRb1b2−(式中、Rb1およびRb2はそれぞれ前記と同義である)であり、
cが−CHRc1CHRc2−(式中、Rc1およびRc2はそれぞれ前記と同義である)であり、
eが−CHRe3CHRe4−(式中、Re3およびRe4はそれぞれ前記と同義である)であり、
fが−CH−であり、かつ
gが−CH(CH)−である上記(1)記載のHsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
(3) Ra3、Ra4、Ra5、Rb1、Rb2、Rc1、Rc2、Re3およびRe4が水素原子である上記(2)記載のHsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
(4) dが−CRd1−id2−i−[式中、Rd1−iおよびRd2−iは同一または異なって、水素原子、−O(C=O)Rd3−i(式中、Rd3−iは置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは置換もしくは非置換のアリールアミノを表す)、置換もしくは非置換の低級アルカノイルアミノ、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表すか、Rd1−iとRd2−iが一緒になって=NORd4(式中、Rd4は前記と同義である)または−O(CHO−(式中、rは前記と同義である)を表す]または−NRd4(C=O)−(式中、Rd4は前記と同義である)である上記(1)〜(3)のいずれかに記載のHsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
(5) RおよびRがヒドロキシである上記(1)〜(4)のいずれかに記載のHsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
(6) Rが水素原子である上記(1)〜(5)のいずれかに記載のHsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
(7) Rが水素原子またはハロゲンである上記(1)〜(6)のいずれかに記載のHsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
(8) Rがハロゲンである上記(1)〜(6)のいずれかに記載のHsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
(9) 一般式(I)

(式中、R、R、R、R、X、a、b、c、d、e、fおよびgはそれぞれ前記と同義である)で表される環状安息香酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するHsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療剤。
(10) RおよびRが同一または異なって、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のアルケニルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシ、置換もしくは非置換のアロイルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルオキシ、カルバモイルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノカルボニルオキシ、アミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルスルホニルアミノ、カルバモイルアミノまたは置換もしくは非置換の低級アルキルアミノカルボニルアミノであり、
Xが酸素原子であり、
aが−CHRa3CRa4a5−(式中、Ra3、Ra4およびRa5はそれぞれ前記と同義である)であり、
bが−CRb1b2−(式中、Rb1およびRb2はそれぞれ前記と同義である)であり、
cが−CHRc1CHRc2−(式中、Rc1およびRc2はそれぞれ前記と同義である)であり、
eが−CHRe3CHRe4−(式中、Re3およびRe4はそれぞれ前記と同義である)であり、
fが−CH−であり、かつ
gが−CH(CH)−である上記(9)記載のHsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療剤。
(11) Ra3、Ra4、Ra5、Rb1、Rb2、Rc1、Rc2、Re3およびRe4が水素原子である上記(10)記載のHsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療剤。
(12) dが−CRd1−id2−i−(式中、Rd1−iおよびRd2−iはそれぞれ前記と同義である)または−NRd4(C=O)−(式中、Rd4は前記と同義である)である上記(9)〜(11)のいずれかに記載のHsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療剤。
(13) RおよびRがヒドロキシである上記(9)〜(12)のいずれかに記載のHsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療剤。
(14) Rが水素原子である上記(9)〜(13)のいずれかに記載のHsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療剤。
(15) Rが水素原子またはハロゲンである上記(9)〜(14)のいずれかに記載のHsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療剤。
(16) Rがハロゲンである上記(9)〜(14)のいずれかに記載のHsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療剤。
(17) 一般式(I)

(式中、R、R、R、R、X、a、b、c、d、e、fおよびgはそれぞれ前記と同義である)で表される環状安息香酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する抗腫瘍剤。
(18) RおよびRが同一または異なって、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のアルケニルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシ、置換もしくは非置換のアロイルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルオキシ、カルバモイルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノカルボニルオキシ、アミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルスルホニルアミノ、カルバモイルアミノまたは置換もしくは非置換の低級アルキルアミノカルボニルアミノであり、
Xが酸素原子であり、
aが−CHRa3CRa4a5−(式中、Ra3、Ra4およびRa5はそれぞれ前記と尚義である)であり、
bが−CRb1b2−(式中、Rb1およびRb2はそれぞれ前記と同義である)であり、
cが−CHRc1CHRc2−(式中、Rc1およびRc2はそれぞれ前記と同義である)であり、
eが−CHRe3CHRe4−(式中、Re3およびRe4はそれぞれ前記と同義である)であり、
fが−CH−であり、かつ
gが−CH(CH)−である上記(17)記載の抗腫瘍剤。
(19) Ra3、Ra4、Ra5、Rb1、Rb2、Rc1、Rc2、Re3およびRe4が水素原子である上記(18)記載の抗腫瘍剤。
(20) dが−CRd1−id2−i−(式中、Rd1−iおよびRd2−iはそれぞれ前記と同義である)または−NRd4(C=O)−(式中、Rd4は前記と同義である)である上記(17)〜(19)のいずれかに記載の抗腫瘍剤。
(21) RおよびRがヒドロキシである上記(17)〜(20)のいずれかに記載の抗肺瘍剤。
(22) Rが水素原子である上記(17)〜(21)のいずれかに記載の抗腫瘍剤。
(23) Rが水素原子またはハロゲンである上記(17)〜(22)のいずれかに記載の抗腫瘍剤。
(24) Rがハロゲンである上記(17)〜(22)のいずれかに記載の抗腫瘍剤。
(25) 一般式(I)

(式中、R、R、R、R、X、a、b、c、d、e、fおよびgはそれぞれ前記と同義である)で表される環状安息香酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするHsp90ファミリー蛋白質を阻害する方法。
(26) 一般式(I)

(式中、R、R、R、R、X、a、b、c、d、e、fおよびgはそれぞれ前記と同義である)で表される環状安息香酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするHsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋自質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療方法。
(27) 一般式(I)

(式中、R、R、R、R、X、a、b、c、d、e、fおよびgはそれぞれ前記と同義である)で表される環状安息香酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とする悪性腫瘍の治療方法。
(28) Hsp90ファミリー蛋白質阻害剤の製造のための一般式(I)

(式中、R、R、R、R、X、a、b、c、d、e、fおよびgはそれぞれ前記と同義である)で表される環状安息香酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
(29) Hsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療剤の製造のための一般式(I)

(式中、R、R、R、R、X、a、b、c、d、e、fおよびgはそれぞれ前記と同義である)で表される環状安息香酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
(30) 抗腫瘍剤の製造のための一般式(I)

(式中、R、R、R、R、X、a、b、c、d、e、fおよびgはそれぞれ前記と同義である)で表される環状安息香酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
一般式(I)中の各基の定義において、
低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシカルボニル、低級アルコキシカルボニルオキシ、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、低級アルキルアミノカルボニルオキシ、ジ低級アルキルアミノカルボニルオキシ、低級アルキルスルホニルアミノ、低級アルキルアミノスルホニルアミノ、低級アルキルアミノカルボニルアミノおよび低級アルキルアミノカルボニルの低級アルキル部分としては、例えば直鎖または分枝状の炭素数1〜8のアルキル、より具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルなど、および例えば炭素数3〜8のシクロアルキル、より具体的にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどがあげられる。ジ低級アルキルアミノおよびジ低級アルキルアミノカルボニルオキシにおける2個の低級アルキル部分は同一でも異なっていてもよい。
低級アルケニルおよび低級アルケニルオキシの低級アルケニル部分としては、例えば直鎖または分枝状の炭素数2〜8のアルケニル、より具体的にはビニル、アリル、1−プロペニル、メタクリル、クロチル、1−ブテニル、3−ブテニル、2−ペンテニル、4−ペンテニル、2−ヘキセニル、5−ヘキセニル、2−ヘプテニル、2−オクテニルなどがあげられる。
低級アルキニルとしては、例えば直鎖または分枝状の炭素数2〜8のアルキニル、より具体的にはエチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニルなどがあげられる。
低級アルカノイル、低級アルカノイルオキシおよび低級アルカノイルアミノの低級アルカノイル部分としては、例えば直鎖または分枝状の炭素数1〜7のアルカノイル、より具体的にはホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、ヘプタノイルなどがあげられる。
アリール、アリールオキシ、アリールアミノおよびアロイルオキシのアリール部分としては、例えば炭素数6〜14のアリール、より具体的にはフェニル、ナフチル、アントリルなどがあげられる。
アラルキル、アラルキルオキシおよびアラルキルアミノのアラルキル部分としては、例えば炭素数7〜15のアラルキル、より具体的にはベンジル、フェネチル、ベンズヒドリル、ナフチルメチルなどがあげられる。
複素環基としては、芳香族複素環基および脂環式複素環基があげられ、芳香族複素環基としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性芳香族複素環基、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性芳香族複素環基などがあげられ、より具体的にはピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キノリニル、イソキノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、シンノリニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チエニル、フリル、チアゾリル、オキサゾリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、プリニル、フタルイミドなどがあげられる。脂環式複素環基としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性脂環式複素環基、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性脂環式複素環基などがあげられ、より具体的にはピロリジニル、ピペリジノ、ピペラジニル、モルホリノ、チオモルホリノ、ホモピペリジノ、ホモピペラジニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロベンゾフラニルなどがあげられる。
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子を意味する。
置換低級アルキル、置換低級アルコキシ、置換低級アルケニル、置換低級アルキニル、置換低級アルケニルオキシ、置換低級アルカノイルオキシ、置換アロイルオキシ、置換低級アルコキシカルボニルオキシ、置換低級アルキルアミノカルボニルオキシ、置換ジ低級アルキルアミノカルボニルオキシ、置換低級アルキルアミノ、置換ジ低級アルキルアミノ、置換低級アルカノイルアミノ、置換低級アルキルスルホニルアミノ、置換低級アルキルアミノスルホニルアミノ、置換低級アルキルアミノカルボニルアミノ、置換低級アルコキシカルボニル、置換低級アルカノイル、置換アリール、置換複素環基、置換アラルキル、置換低級アルキルアミノカルボニル、置換アラルキルオキシ、置換アリールアミノおよび置換アラルキルアミノにおける置換基としては、例えば同一または異なって置換数1〜3の、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロゲン、カルボキシ、ホルミル、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、低級アルカノイル、低級アルコキシカルボニルなどがあげられる。置換基の置換位置は、特に限定されない。ここで、ハロゲン、低級アルコキシ、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、低級アルカノイルおよび低級アルコキシカルボニルは、それぞれ前記と同義であり、置換低級アルコキシにおける置換基としては、例えば置換数1〜3のヒドロキシなどがあげられる。
化合物(I)の薬理学的に許容される塩は、薬理学的に許容される酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩などを包含する。
化合物(I)の薬理学的に許容される酸付加塩としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などの無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩などの有機酸塩があげられ、薬理学的に許容される金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩などがあげられ、薬理学的に許容されるアンモニウム塩としては、アンモニウム、テトラメチルアンモニウムなどの塩があげられ、薬理学的に許容される有機アミン付加塩としては、モルホリン、ピペリジンなどの付加塩があげられ、薬理学的に許容されるアミノ酸付加塩としては、グリシン、フェニルアラニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸などの付加塩があげられる。
Hsp90ファミリー蛋白質阻害とは、Hsp90ファミリー蛋白質とHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)との結合を阻害することを意味する。
Hsp90ファミリー蛋白質としては、例えばHsp90α蛋白質、Hsp90β蛋白質、grp94、hsp75/TRAP1などがあげられる。
Hsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質は、Hsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質であればいずれでもよいが、例えばEGFR、Erb−B2、Bcr−Ab1、src、raf−1、AKT、Flt−3、PLK、Wee1、FAK、cMET、hTERT、HIF1−α、変異p53、エストロゲン受容体、アンドロゲン受容体などがあげられる[エキスパート・オピニオン・オン・バイオロジカル・セラピー(Expert Opinion on Biological Therapy),,3−24(2002)]。
Hsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患としては、例えば固形癌(例えば網膜芽線維種、骨肉種、大腸癌、乳癌、胃癌、膀胱癌、前立腺癌、腎細胞癌、ヒトパピローマウィルス性子宮頚癌、小細胞肺癌など)、血液癌(例えば急性骨髄芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、レンネルトTリンパ腫など)などの悪性腫瘍、骨粗鵜症、アテローム性動脈硬化症、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、I型糖尿病、橋本甲状腺炎、重症筋無力症、多発性硬化症、全身性強皮症、ベーチェット病、結節性動脈周囲炎、潰瘍性大腸炎、活動性慢性肝炎、慢性糸球体腎炎、変形性関節症、痛風、シェーグレン症候群、乾癬、アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎、じん麻疹、食物アレルギー、各種脳炎、エンドトキシンショック、敗血症、炎症性大腸炎、糖尿病、肺炎、臓器移植に伴う拒絶反応、脳脊髄炎、食欲不振、急性肝炎、薬物中毒性肝障害、アルコール性肝炎、ウイルス肝炎、黄痕、肝硬変、肝不全、心房粘液腫キャッスルマン症候群、メサンギウム増殖性腎炎、虚血性再灌流障害、くも膜下出血、再発狭窄症(restenosis)、悪液質、サイトメガロウイルス性肺炎、サイトメガロウイルス性網膜症、アデノウイルス性感冒、アデノウイルス性プール熱、アデノウイルス性眼炎、エイズ、肉芽腫を伴う肺疾患などがあげられる[例えばファーマコロジカル・レビューズ(Pharmacological Reviews),50,493−514(1998)など]。
<製造法>
化合物(I)は、市販品として入手するか、例えば文献[US5795910、EP0606044、ケミストリー・レターズ(Chemistry Letters),172−173(2001)、テトラヘドロン(Tetrahedron),55,8215−8230(1999)、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.),43,2339−2343(1978)、US3954805、US3925423、US3836544、US3810918、US3764614、US3373039、US3373030、US3239347、US3239342、US3239341など]に記載の方法またはそれらに準じて製造するか、または市販の化合物もしくはこれら文献記載の方法またはそれらに準じて製造される化合物から、さらにこれら文献記載の方法またはそれらに準じて製造することができる。
さらに、有機合成化学で常用される公知の方法[例えば、コンプリヘンシブ・オーガニック・トランスフォーメーションズ(Comprehensive Organic Transformations)、R.C.ラロック(Larock)著(1989)など]によって各官能基を変換して種々の化合物(I)を製造することもできる。また、必要に応じて各官能基の保護、脱保護[例えば、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)、グリーン(T.W.Greene)著、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ・インコーポレイテッド(John Wiley & Sons Inc.)(1981)など]などを組み合わせ、種々の官能基を有する目的化合物を製造することができる。一部の化合物(I)の製造の具体例を後述する参考例に記載した。
上記各製造法における中間体および目的化合物は、有機合成化学で常用される分離精製法、例えば、濾過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、再結晶、各種クロマトグラフィーなどに付して単離精製することができる。また、中間体においては特に精製することなく次の反応に供することも可能である。
化合物(I)の中には、幾何異性体、光学異性体などの立体異性体が存在し得るものもあるが、本発明では、これらを含め、全ての可能な異性体およびそれらの混合物を使用することができる。
化合物(I)の塩を取得したいとき、化合物(I)が塩の形で得られるときはそのまま精製すればよく、また、遊離の形で得られるときは、化合物(I)を適当な溶媒に溶解または懸濁し、酸または塩基を加えて単離、精製すればよい。
また、化合物(I)およびその薬理学的に許容される塩は、水または各種溶媒との付加物の形で存在することもあるが、これらの付加物も本発明で使用することができる。
化合物(I)の具体例を第1表に示す。なお、表中のBondは結合を意味する。


次に、化合物(I)の薬理作用について試験例により具体的に説明する。
試験例1 Hsp90蛋白質結合活性試験
(1)アーカイブズ・オブ・バイオケミストリー・アンド・バイオフィジックス(Archives of Biochemistry and Biophysics),282,290−296(1990)記載の方法に従って、ウシ脳から精製したHsp90蛋白質(純度58%)をトリス緩衝化生理食塩水(TBS、pH7.4)で1μg/mLになるように希釈し、住友ベークライト社製96穴ELISAアッセイプレートに75μL/ウェルの量で分注後、4℃で1晩放置して固相化した。
(2)上清を除去し、1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含むトリス緩衝化生理食塩水を300μL/ウェルの量で分注してブロッキングを行った。
(3)ブロッキング液を除去後、0.05%ツィーン20を含むトリス緩衝化生理食塩水(TBST)を500μL/ウェルの量加えて固相を洗浄する操作を3回繰り返した。
(4)被験化合物(化合物1〜23)をTBSTを用いて最高濃度0.5mmol/Lから√10倍希釈で8段階に希釈した溶液を別の容器に作成した。この被験化合物溶液を、プロテアーゼ阻害剤コンプリートEDTA−フリー(ロシュ社製)およびペファブロックSC(Pefabloc SC,ロシュ社製)をそれぞれ1錠/40mLおよび0.4mmol/Lの濃度で含むTBSTを80μL/ウェルの量であらかじめ分注したアッセイプレートに、20μL/ウェルの量で添加し、室温で1時間放置した。ここで、アッセイのポジティブコントロールとしてジメチルスルホキシドを終濃度1μL/ウェルで、ネガティブコントロールとしてラディシコールを終濃度0.25μmol/Lで用い、被験化合物と同一プレートに並べて被験化合物を用いた場合と同様の操作を行った。
(5)最終濃度0.1μmol/Lになるように、式(II)で示されるビオチン化ラディシコールを加え、さらに室温で1時間放置して、固相化したHsp90蛋白質に対する被験化合物の結合の競合反応を行った。

(6)(5)の反応液を除去後、TBSTを500μL/ウェルの量加えて固相を洗浄する操作を3回繰り返した。
(7)ユーロピウム標識ストレプトアビジン(ワラック オイ(Wallac Oy)社製)をアッセイ用緩衝液[ワラック オイ(Wallac Oy)社製]で最終濃度0.1μg/mLになるように希釈し、100μL/ウェルの量で分注した後、室温で1時間放置して、ビオチン−アビジン結合反応を行った。
(8)(7)の反応液を除去後、TBSTを500μL/ウェルの量加えて固相を洗浄する操作を3回繰り返した。
(9)蛍光増強溶液(ワラック オイ(Wallac Oy)社製)を100μL/ウェルの量で加え、室温で5分間発色反応を行い、マルチラベルカウンター(ARVOTM、ワラック オイ(Wallac Oy)社製)を用いて、励起波長340nm、測定波長615nmで時間分解蛍光を測定した。
ポジティブコントロールでの時間分解蛍光の測定値を結合率100%、ネガティブコントロールでの測定値を結合率0%として、被験化合物を加えたウェルでの結合率をそれぞれのウェルでの測定値より算出した。
化合物1〜23は、100μmol/L以下の濃度において、ビオチン化ラディシコールのHsp90との結合を30%以上阻害し、Hsp90蛋白質に対する結合活性があることが示された。
試験例2 ヒト乳癌KPL−4細胞に対する細胞増殖抑制試験
96穴マイクロプレート(ヌンク#167008)中に1ウェルあたり3000個のヒト乳癌KPL−4細胞をまきこみ、5%炭酸ガスインキュベーター内で37℃、24時間、牛胎児血清(FBS 10%)を含むDMEM培地で前培養した。その後、ジメチルスルホキシド(DMSO)で10mmol/Lに調整した被験化合物を培養用の培地で希釈した後、段階的に1/3希釈添加し、さらに72時間培養した。培養終了後、培地を捨て、培養培地中で最終濃度1mg/mLとなるように溶解した3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド[3−(4,5−dimethylthiazol−2−yl)−2,5−diphenyltetrazorium bromide(シグマ)、以後MTTと省略する]をウェルあたり50μLずつ分注した。5%炭酸ガスインキュベーター内で37℃で5時間保温後、DMSOをウェルあたり150μLずつ分注した。プレートミキサーを用いて激しく攪拌してMTT−ホルマザンの結晶を完全に溶解させ、マイクロプレートリーダーSPECTRAmax250(和光純薬)で550nmと630nmでの吸光度の差を測定した。細胞増殖抑制活性[50%増殖阻害濃度(IC50)]は付属のソフトウェアSOFTmaxPROの4−パラメーターロジスティック検量線を用いて算出した。
化合物1、2、3、4、5および6は、ヒト乳癌KPL−4細胞に対して、50μmol/L以下の濃度で50%以上の細胞増殖抑制活性を示した。
化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩は、そのまま単独で投与することも可能であるが、通常各種の医薬製剤として提供するのが望ましい。また、それら医薬製剤は、動物および人に使用されるものである。
本発明に係わる医薬製剤は、活性成分として化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩を単独で、あるいは任意の他の治療のための有効成分との混合物として含有することができる。また、それら医薬製剤は、活性成分を薬理学的に許容される一種もしくはそれ以上の担体と一緒に混合し、製剤学の技術分野においてよく知られている任意の方法により製造される。
投与経路は、治療に際し最も効果的なものを使用するのが望ましく、経口または、例えば静脈内などの非経口をあげることができる。
投与形態としては、錠剤、注射剤などがある。
経口投与に適当な、例えば錠剤などは、乳糖、マンニットなどの賦形剤、澱粉などの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、ヒドロキシプロピルセルロースなどの結合剤、脂肪酸エステルなどの界面活性剤、グリセリンなどの可塑剤などを用いて製造できる。
非経口投与に適当な製剤は、好ましくは受容者の血液と等張である活性化合物を含む滅菌水性剤からなる。例えば、注射剤の場合は、塩溶液、ブドウ糖溶液または塩水とブドウ糖溶液の混合物からなる担体などを用いて注射用の溶液を調製する。
また、これら非経口剤においても、経口剤で例示した賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、界面活性剤、可塑剤などから選択される1種もしくはそれ以上の補助成分を添加することもできる。
化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩の投与量および投与回数は、投与形態、患者の年齢、体重、治療すべき症状の性質もしくは重篤度により異なるが、通常経口の場合、成人一人当り0.01mg〜1g、好ましくは0.05〜50mgを一日一回ないし数回投与する。静脈内投与などの非経口投与の場合、成人一人当り0.001〜100mg、好ましくは0.01〜10mgを一日一回ないし数回投与する。しかしながら、これら投与量および投与回数に関しては、前述の種々の条件により変動する。
以下に、本発明の態様を実施例および参考例で説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
実施例1:錠剤
常法により、次の組成からなる錠剤を調製する。化合物13 40g、乳糖286.8gおよび馬鈴薯澱粉60gを混合し、これにヒドロキシプロピルセルロースの10%水溶液120gを加える。この混合物を常法により練合し、造粒して乾燥させた後、整粒し打錠用顆粒とする。これにステアリン酸マグネシウム1.2gを加えて混合し、径8mmの杵をもった打錠機(菊水社製RT−15型)で打錠を行って、錠剤(1錠あたり活性成分20mgを含有する)を得る。
処方 化合物13 20 mg
乳糖 143.4mg
馬鈴薯澱粉 30 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 6 mg
ステアリン酸マグネシウム 0.6mg
200 mg
実施例2:錠剤
常法により、次の組成からなる錠剤を調製する。化合物19 40g、乳糖286.8gおよび馬鈴薯澱粉60gを混合し、これにヒドロキシプロピルセルロースの10%水溶液120gを加える。この混合物を常法により練合し、造粒して乾燥させた後、整粒し打錠用顆粒とする。これにステアリン酸マグネシウム1.2gを加えて混合し、径8mmの杵をもった打錠機(菊水社製RT−15型)で打錠を行って、錠剤(1錠あたり活性成分20mgを含有する)を得る。
処方 化合物19 20 mg
乳糖 143.4mg
馬鈴薯澱粉 30 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 6 mg
ステアリン酸マグネシウム 0.6mg
200 mg
実施例3:注射剤
常法により、次の組成からなる注射剤を調製する。化合物10,1gを精製大豆油100gに溶解させ、精製卵黄レシチン12gおよび注射用グリセリン25gを加える。この混合物を常法により注射用蒸留水で1000mLとして練合・乳化する。得られた分散液を0.2μmのディスポーザブル型メンブランフィルターを用いて無菌濾過後、ガラスバイアルに2mLずつ無菌的に充填して、注射剤(1バイアルあたり活性成分2mgを含有する)を得る。
処方 化合物10 2 mg
精製大豆油 200 mg
精製卵黄レシチン 24 mg
注射用グリセリン 50 mg
注射用蒸留水 1.72mL
2.00mL
以下の参考例でいう通常の後処理とは、各工程の反応終了後、必要に応じて反応液に、水、酸、塩基、緩衝液などを加え、酢酸エチル、エーテルなどの非水溶性溶媒で抽出し、抽出液を水、食塩水などで洗浄後、無水硫酸ナトリウムなどで乾燥し、溶媒を減圧下留去することをいう。
参考例1:化合物7および8の合成
市販の化合物1(Zearalanone)(64.8mg)をエタノール(5.0mL)に溶解し、炭酸カリウム(81.8mg)およびヒドロキシルアミン塩酸塩(53.7mg)を加え、0.5時間還流した。通常の後処理を行った後、分取薄層クロマトグラフィーで精製して、化合物7(9.8mg,14%)および化合物8(5.0mg,7%)を白色粉末として得た。
化合物7:MASS(m/z)AP334([M−H]).TLCヘキサン−酢酸エチル1:1,Rf=0.74.
化合物8:MASS(m/z)AP334([M−H]).TLCヘキサン−酢酸エチル1:1,Rf=0.69.
参考例2:化合物9および10の合成
市販の化合物1(Zearalanone)(29.4mg)をエタノール(5.0mL)に溶解し、炭酸カリウム(119mg)およびメトキシアミン塩酸塩(73.5mg)を加え、2時間還流した。通常の後処理を行った後、分取薄層クロマトグラフィーで精製して、化合物9(25.6mg,56%)および化合物10(15.5mg,34%)を白色粉末として得た。
化合物9:MASS(m/z)AP348([M−H]).TLCヘキサン−酢酸エチル2:1,Rf=0.65.
化合物10:MASS(m/z)AP348([M−H]).TLCヘキサン−酢酸エチル2:1,Rf=0.62.
参考例3:化合物11の合成
市販の化合物2(α−Zearalanol)(31.1mg)をジクロロメタン(5.0mL),に溶解し、ジメチルアミノピリジン(105mg)および無水酢酸(0.100mL)を加え、室温で11時間攪拌した。通常の後処理を行った後、さらにアンモニアのメタノール溶液中、室温で3時間攪拌した。溶媒を留去し、分取薄層クロマトグラフィーで精製して、化合物11(28.0mg,80%)を白色粉末として得た。
化合物11:MASS(m/z)AP363([M−H]).
参考例4:化合物12の合成
市販の化合物2(α−Zearalanol)(49.5mg)をジクロロメタン(10mL)に溶解し、トリエチルアミン(0.050mL)およびフェニルイソシアネート(0.100mL)を加え、室温で5時間攪拌した。通常の後処理を行った後、さらにアンモニアのメタノール溶液中、室温で10時間攪拌した。溶媒を留去し、分取薄層クロマトグラフィーで精製して、化合物12(25.7mg,38%)を白色粉末として得た。
化合物12:MASS(m/z)AP440([M−H]).H−NMR(270MHz,CDCl,ppm)δ 1.20−2.10(m,14H),1.37(d,J=5.9Hz,3H),2.42(ddd,J=4.6,12.2,12.2Hz,1H),3.31(ddd,J=4.0,12.2,12.2Hz,1H),4.92−5.06(m,1H),5.10−5.24(m,1H),5.50(brs,1H),6.22(d,J=2.6Hz,1H),6.28(d,J=2.6Hz,1H),6.55(brs,1H),7.00−7.10(m,1H),7.22−7.42(m,4H),12.18(s,1H).
参考例5:化合物13および14の合成
市販の化合物2(α−Zearalanol)(40.1mg)をテトラヒドロフラン(10mL)に溶解し、カルボニルジイミダゾール(225mg)を加え、20時間還流した。室温で、アンモニアのメタノール溶液を加え、室温で4時間攪拌した後、溶媒を留去し、分取薄層クロマトグラフィーで精製して、化合物13(16.5mg,35%)および化合物14(26.4mg,58%)を白色粉末として得た。
化合物13:MASS(m/z)AP379([M−H]).H−NMR(270MHz,CDCl,ppm)δ 1.20−2.00(m,14H),1.37(d,J=6.3Hz,3H),2.41(ddd,J=4.6,12.2,12.2Hz,1H),3.29(ddd,J=4.0,12.2,12.2Hz,1H),3.78(s,3H),4.78−4.85(m,1H),5.05−5.22(m,1H),5.33(brs,1H),6.22(d,J=2.6Hz,1H),6.28(d,J=2.6Hz,1H),12.15(s,1H).
化合物14:MASS(m/z)AP364([M−H]).
参考例6:化合物15の合成
市販の化合物2(α−Zearalanol)(210mg)をテトラヒドロフラン(10mL)に溶解し、ジエチルアゾジカルボキシレート(5.00mL)、トリフェニルホスフィン(2.45g)および酢酸(0.500mL)を加え、室温で24時間攪拌した。さらにアンモニアのメタノール溶液中、室温で8時間攪拌後、通常の後処理を行い、分取薄層クロマトグラフィーで精製し、化合物15(114mg,48%)を白色粉末として得た。
化合物15:MASS(m/z)AP363([M−H]).
参考例7:化合物16の合成
市販の化合物1(Zearalanone)(20.8mg)をジクロロメタン(2.0mL)に溶解し、エチレングリコール(1.00mL)およびトリメチルシリルクロライド(1.00mL)を加え、室温で19時間攪拌した。通常の後処理を行った後、分取薄層クロマトグラフィーで精製し、化合物16(4.0mg,17%)を白色粉末として得た。
化合物16:MASS(m/z)AP363([M−H]).
参考例8:化合物17および18の合成
市販の化合物3(β−Zearalanol)(29.9mg)をテトラヒドロフラン(10mL)に溶解し、カルボニルジイミダゾール(203mg)を加え、12時間還流した。さらにアンモニアのメタノール溶液を加え、室温で6時間攪拌した。溶媒を留去した後、分取薄層クロマトグラフィーで精製し、化合物17(14.6mg,40%)および化合物18(21.0mg、60%)を白色粉末として得た。
化合物17:MASS(m/z)AP379([M−H]).H−NMR(270MHz,CDCl,ppm)δ 1.20−2.00(m,14H),1.37(d,J=5.9Hz,3H),2.52−2.70(m,1H),3.15−3.22(m,1H),3.77(s,3H),4.72−4.85(m,1H),5.10−5.25(m,1H),5.42(brs,1H),6.25(d,J=2.6Hz,1H),6.28(d,J=2.6Hz,1H),11.55(s,1H).
化合物18:MASS(m/z)AP364([M−H]).
参考例9:化合物19の合成
市販の化合物3(β−Zearalanol)(22.6mg)をジクロロメタン(5.0mL)に溶解し、トリエチルアミン(0.100mL)およびフェニルイソシアネート(0.100mL)を加え、室温で20時間攪拌した。アンモニアメタノール溶液を加えて後処理を行い、化合物19(1.2mg,4%)を白色粉末として得た。
化合物19:MASS(m/z)AP440([M−H]).
参考例10:化合物20および21の合成
市販の化合物2(α−Zearalanol)(105mg)をアセトンに(10mL)に溶解し、クロロメチルメチルエーテル(0.200mL)および炭酸カリウム(944mg)を加え、6時間還流し、ビスメトキシメチルエーテル体を得た(146mg,100%)。得られた化合物(49.2mg)をテトラヒドロフラン(10mL)に溶解し、ジエチルアゾジカルボキシレート(0.200mL)、トリフェニルホスフィン(157mg)およびフタルイミド(79.2mg)を加え、室温で24時間攪拌した。通常の後処理を行った後、分取薄層クロマトグラフィーで精製し、化合物21のビスメトキシメチルエーテル体(41.4mg,64%)を白色粉末として得た。
化合物21のビスメトキシメチルエーテル体(17.5mg)をエタノール(2.0mL)に溶解し、ヒドラジン水和物(0.100mL)を加え、室温で4時間攪拌した。通常の後処理を行った後、分取薄層クロマトグラフィーで精製し、得られたアミノ体をさらに濃塩酸−エタノール溶液(1:14)中で処理し、化合物20(3.9mg、2工程通算33%)を得た。
化合物20:MASS(m/z)AP322([M+H]).
化合物21のビスメトキシメチルエーテル体(17.5mg)を、濃塩酸−エタノール溶液(1:14)中、室温で5時間攪拌し、溶媒を留去した後、分取薄層クロマトグラフィーで精製し、化合物21(11.9mg,81%)を白色粉末として得た。
化合物21:MASS(m/z)AP450([M−H]).
参考例11:化合物22の合成
化合物1(Zearalanone)のビスメトキシメチルエーテル体(54.4mg)をジメチルホルムアミド(DMF)(10mL)に溶解し、N−ブロモコハク酸イミド(36.1mg)を加え、室温で4時間攪拌した。通常の後処理を行った後、さらに濃塩酸−エタノール溶液(1:14)中、60℃で1時間攪拌し、溶媒を留去した後、分取薄層クロマトグラフィーで精製し、化合物22(29.4mg,73%)を白色粉末として得た。
化合物22:MASS(m/z)AP397,399([M−H]).H−NMR(270MHz,CDCl,ppm)δ 1.02−2.00(m,10H),1.38(d,J=5.9Hz,3H),2.02−2.25(m,2H),2.60−3.00(m,3H),3.20−3.30(m,1H),5.05−5.18(m,1H),6.11(s,1H),6.56(s,1H),11.99(s,1H).
参考例12:化合物23の合成
市販の化合物3(β−Zearalanol)(15.7mg)をDMF(2.0mL)に溶解し、N−ブロモコハク酸イミド(13.6mg)を加え、室温で1時間攪拌した。通常の後処理を行った後、分取薄層クロマトグラフィーで精製し、化合物23(10.9mg,56%)を白色粉末として得た。
化合物23:MASS(m/z)AP399,401([M−H]).H−NMR(270MHz,CDCl,ppm)δ 1.20−1.85(m,15H),1.38(d,J=6.3Hz,3H),2.92−3.05(m,1H),3.30−3.45(m,1H),3.80−3.92(m,1H),5.15−5.30(m,1H),6.06(s,1H),6.55(s,1H),11.02(s,1H).
【産業上の利用可能性】
本発明により、抗腫瘍剤などの医薬品として有用な、環状安息香酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するHsp90ファミリー蛋白質阻害剤などが提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)

{式中、R、R、RおよびRは同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、ハロゲン、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換の低級アルケニルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシ、置換もしくは非置換のアロイルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルオキシ、カルバモイルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノカルボニルオキシ、アミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルスルホニルアミノ、カルバモイルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノスルホニルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノカルボニルアミノ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニル、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表し、
Xは、酸素原子、硫黄原子または−N(R)−(式中、Rは水素原子または置換もしくは非置換の低級アルキルを表す)を表し、
aは−(CRa1a2−(式中、mは0〜5の整数を表し、Ra1およびRa2は同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシまたは置換もしくは非置換の低級アルキルを表すか、Ra1とRa2が一緒になって酸素原子(=O)を表す)、−CHRa3CRa4a5−(式中、Ra3、Ra4およびRa5は同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシ、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルまたは置換もしくは非置換の低級アルキルアミノカルボニルを表すか、Ra3とRa4が一緒になって結合または酸素原子を表すか、Ra4とRa5が一緒になって酸素原子(=O)を表す)または−CHRa6Y−(式中、R6aは前記Ra3と同義であり、Yは前記Xと同義である)を表し、
bは−(CRb1b2−(式中、nは前記mと同義であり、Rb1およびRb2はそれぞれ前記Ra1およびRa2と同義である)を表し、
cは−(CHRc1CHRc2−(式中、pは前記mと同義であり、Rc1およびRc2は同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシを表すか、Rc1とRc2が一緒になって結合または酸素原子を表す)または−CHRc3Z−(式中、Rc3は前記Ra1と同義であり、Zは前記Xと同義である)を表し、
dは−CRd1d2−[式中、Rd1およびRd2は同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、アミノ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のアラルキルオキシ、置換もしくは非置換のアリールオキシ、−O(C=O)Rd3(式中、Rd3は置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、アミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノまたは置換もしくは非置換のアリールアミノを表す)、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のアリールアミノ、置換もしくは非置換のアラルキルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表すか、Rd1とRd2が一緒になって酸素原子(=O)、=NORd4(式中、Rd4は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表す)または−O(CHO−(式中、rは2または3を表す)を表す]または−NRd4(C=O)−(式中、Rd4は前記Rと同義である)を表し、
eは、−CRe1e2−(式中、Re1およびRe2はそれぞれ前記Ra1およびRa2と同義である)または−CHRe3CHRe4−(式中、Re3およびRe4はそれぞれ前記Ra3およびRa4と同義である)を表し、
fは−(CRf1f2−(式中、Rf1およびRf2はそれぞれ前記Ra1およびRa2と同義であり、
qは前記mと同義である)を表し、
gは−CRg1g2−(式中、Rg1およびRg2は同一または異なって、水素原子または置換もしくは非置換の低級アルキルを表す)を表すが、
ただし、
(i)RおよびRがヒドロキシであり、
およびRが水素原子であり、
Xが酸素原子であり、
−a−b−c−が−(CH−または−CH=CH−(CH−であり、
eおよびfがそれぞれ−CH−であり、かつ
gが−CH(CH)−であるとき、
dは−C(=O)−または−CH(OH)−ではなく、
(ii)Rがヒドロキシまたはメトキシであり、
がヒドロキシであり、
およびRが水素原子であり、
Xが酸素原子であり、
−a−b−c−が−CH=CH−(CH−であり、
−e−f−が−CH−であり、かつ
gが−CH(CH)−であるとき、
dは−C(=O)−ではない}で表される環状安息香酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するHsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
【請求項2】
およびRが同一または異なって、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のアルケニルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシ、置換もしくは非置換のアロイルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルオキシ、カルバモイルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノカルボニルオキシ、アミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルスルホニルアミノ、カルバモイルアミノまたは置換もしくは非置換の低級アルキルアミノカルボニルアミノであり、
Xが酸素原子であり、
aが−CHRa3CRa4a5−(式中、Ra3、Ra4およびRa5はそれぞれ前記と同義である)であり、
bが−CRb1b2−(式中、Rb1およびRb2はそれぞれ前記と同義である)であり、
cが−CHRc1CHRc2−(式中、Rc1およびRc2はそれぞれ前記と同義である)であり、
eが−CHRe3CHRe4−(式中、Re3およびRe4はそれぞれ前記と同義である)であり、
fが−CH−であり、かつ
gが−CH(CH)−である請求の範囲1記載のHsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
【請求項3】
a3、Ra4、Ra5、Rb1、Rb2、Rc1、Rc2、Re3およびRe4が水素原子である請求の範囲2記載のHsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
【請求項4】
dが−CRd1−id2−i−[式中、Rd1−iおよびRd2−iは同一または異なって、水素原子、−O(C=O)Rd3−i(式中、Rd3−iは置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは置換もしくは非置換のアリールアミノを表す)、置換もしくは非置換の低級アルカノイルアミノ、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表すか、Rd1−iとRd2−iが一緒になって=NORd4(式中、Rd4は前記と同義である)または−O(CHO−(式中、rは前記と同義である)を表す]または−NRd4(C=O)−(式中、Rd4は前記と同義である)である請求の範囲1〜3のいずれかに記載のHsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
【請求項5】
およびRがヒドロキシである請求の範囲1〜4のいずれかに記載のHsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
【請求項6】
が水素原子である請求の範囲1〜5のいずれかに記載のHsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
【請求項7】
が水素原子またはハロゲンである請求の範囲1〜6のいずれかに記載のHsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
【請求項8】
がハロゲンである請求の範囲1〜6のいずれかに記載のHsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
【請求項9】
一般式(I)

(式中、R、R、R、R、X、a、b、c、d、e、fおよびgはそれぞれ前記と同義である)で表される環状安息香酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するHsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療剤。
【請求項10】
およびRが同一または異なって、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のアルケニルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシ、置換もしくは非置換のアロイルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルオキシ、カルバモイルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノカルボニルオキシ、アミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルスルホニルアミノ、カルバモイルアミノまたは置換もしくは非置換の低級アルキルアミノカルボニルアミノであり、
Xが酸素原子であり、
aが−CHRa3CRa4a5−(式中、Ra3、Ra4およびRa5はそれぞれ前記と同義である)であり、
bが−CRb1b2−(式中、Rb1およびRb2はそれぞれ前記と同義である)であり、
cが−CHRc1CHRc2−(式中、Rc1およびRc2はそれぞれ前記と同義である)であり、
eが−CHRe3CHRe4−(式中、Re3およびRe4はそれぞれ前記と同義である)であり、
fが−CH−であり、かつ
gが−CH(CH)−である請求の範囲9記載のHsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療剤。
【請求項11】
a3、Ra4、Ra5、Rb1、Rb2、Rc1、Rc2、Re3およびRe4が水素原子である請求の範囲10記載のHsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療剤。
【請求項12】
dが−CRd1−id2−i−(式中、Rd1−iおよびRd2−iはそれぞれ前記と同義である)または−NRd4(C=O)−(式中、Rd4は前記と同義である)である請求の範囲9〜11のいずれかに記載のHsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療剤。
【請求項13】
およびRがヒドロキシである請求の範囲9〜12のいずれかに記載のHsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療剤。
【請求項14】
が水素原子である請求の範囲9〜13のいずれかに記載のHsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療剤。
【請求項15】
が水素原子またはハロゲンである請求の範囲9〜14のいずれかに記載のHsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療剤。
【請求項16】
がハロゲンである請求の範囲9〜14のいずれかに記載のHsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療剤。
【請求項17】
一般式(I)

(式中、R、R、R、R、X、a、b、c、d、e、fおよびgはそれぞれ前記と同義である)で表される環状安息香酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する抗腫瘍剤。
【請求項18】
およびRが同一または異なって、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のアルケニルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシ、置換もしくは非置換のアロイルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルオキシ、カルバモイルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノカルボニルオキシ、アミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルスルホニルアミノ、カルバモイルアミノまたは置換もしくは非置換の低級アルキルアミノカルボニルアミノであり、
Xが酸素原子であり、
aが−CHRa3CRa4a5−(式中、Ra3、Ra4およびRa5はそれぞれ前記と同義である)であり、
bが−CRb1b2−(式中、Rb1およびRb2はそれぞれ前記と同義である)であり、
cが−CHRc1CHRc2−(式中、Rc1およびRc2はそれぞれ前記と同義である)であり、
eが−CHRe3CHRe4−(式中、Re3およびRe4はそれぞれ前記と同義である)であり、
fが−CH−であり、かつ
gが−CH(CH)−である請求の範囲17記載の抗腫瘍剤。
【請求項19】
a3、Ra4、Ra5、Rb1、Rb2、Rc1、Rc2、Re3およびRe4が水素原子である請求の範囲18記載の抗腫瘍剤。
【請求項20】
dが−CRd1−id2−i−(式中、Rd1−iおよびRd2−iはそれぞれ前記と同義である)または−NRd4(C=O)−(式中、Rd4は前記と同義である)である請求の範囲17〜19のいずれかに記載の抗腫瘍剤。
【請求項21】
およびRがヒドロキシである請求の範囲17〜20のいずれかに記載の抗腫瘍剤。
【請求項22】
が水素原子である請求の範囲17〜21のいずれかに記載の抗腫瘍剤。
【請求項23】
が水素原子またはハロゲンである請求の範囲17〜22のいずれかに記載の抗腫瘍剤。
【請求項24】
がハロゲンである請求の範囲17〜22のいずれかに記載の抗腫瘍剤。
【請求項25】
一般式(I)

(式中、R、R、R、R、X、a、b、c、d、e、fおよびgはそれぞれ前記と同義である)で表される環状安息香酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするHsp90ファミリー蛋白質を阻害する方法。
【請求項26】
一般式(I)

(式中、R、R、R、R、X、a、b、c、d、e、fおよびgはそれぞれ前記と同義である)で表される環状安息香酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするHsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療方法。
【請求項27】
一般式(I)

(式中、R、R、R、R、X、a、b、c、d、e、fおよびgはそれぞれ前記と同義である)で表される環状安息香酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とする悪性腫瘍の治療方法。
【請求項28】
Hsp90ファミリー蛋白質阻害剤の製造のための一般式(I)

(式中、R、R、R、R、X、a、b、c、d、e、fおよびgはそれぞれ前記と同義である)で表される環状安息香酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
【請求項29】
Hsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療剤の製造のための一般式(I)

(式中、R、R、R、R、X、a、b、c、d、e、fおよびgはそれぞれ前記と同義である)で表される環状安息香酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
【請求項30】
抗腫瘍剤の製造のための一般式(I)

(式中、R、R、R、R、X、a、b、c、d、e、fおよびgはそれぞれ前記と同義である)で表される環状安息香酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。

【国際公開番号】WO2004/024142
【国際公開日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【発行日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−535891(P2004−535891)
【国際出願番号】PCT/JP2003/011088
【国際出願日】平成15年8月29日(2003.8.29)
【出願人】(000001029)協和醗酵工業株式会社 (276)
【Fターム(参考)】