説明

Hsp90蛋白質阻害剤としての及び癌治療のためのプリン誘導体の使用

本発明はHsp90シャペロン蛋白質阻害剤としてのプリン誘導体の使用、特にHsp90シャペロン蛋白質のATPアーゼ触媒活性の阻害剤としてのその使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はHsp90シャペロン蛋白質の活性の阻害剤としてのプリン誘導体の使用、特にHsp90シャペロン蛋白質のATPアーゼ触媒活性の阻害剤としてのその使用に関する。
【0002】
本発明は特に抗癌剤としてのプリン誘導体の使用に関し、癌治療用医薬を獲得するためのプリン誘導体の使用にも関する。
【0003】
本発明はHsp90蛋白質の異常活性が関与する疾患の治療用医薬組成物の製造におけるプリン誘導体及びその医薬的に許容可能な塩の使用にも関する。
【0004】
本発明の該当プリン誘導体は下記一般式(IA)、(IB)又は(II):
【0005】
【化5】

に対応する。
【背景技術】
【0006】
特許出願EP300726は血糖降下剤としてのプリンのピペラジニル誘導体を請求の範囲に記載している。
【0007】
特許出願WO04/035740はインターロイキン−12(IL−12)の過剰産生に関連する疾患の治療に有用なアミノ−モルホリノプリン誘導体を請求の範囲に記載している。
【0008】
特許出願WO02/051843はプリン誘導体の製造方法と抗真菌薬としてのこれらの誘導体の使用を請求の範囲に記載している。
【発明の開示】
【0009】
本発明はHsp90蛋白質の異常活性が関与する疾患の治療に有用な医薬の製造における下記一般式(IA)、(IB)又は(II):
【0010】
【化6】

[式中、
1)一般式が(IA)又は(IB)であるとき、Xは水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表し;
2)一般式が(II)であるとき、Xは水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表し;
3)一般式が(IA)であるとき、AはN又はCHを表し;
4)一般式が(IB)であるとき、AはO、S、NH、CH又はCHRを表し;
5)一般式が(II)であるとき、AはO、S、NH、NR1、CH又はCHR1を表し;
6)BはO、S、NR’、CH又はCHR’を表し;
7)Rは水素原子、又はC−Cアルキル基を表し;
8)R’は水素原子、又はC−Cアルキル基、又はC−Cアルケニルもしくはアルキニル基、又は(CH−アリールもしくはヘテロアリール基、又はC(Z)−アリールもしくはヘテロアリール基を表し;前記アリール又はヘテロアリール環は5〜10員単環式又は二環式であり、O、S又はNから選択される同一又は異なる0〜3個のヘテロ原子を含んでいてもよく、場合により1個以上のハロゲン原子又はアルキル、OH、Oアルキル、SH、Sアルキル、NH、NHアルキル、N(アルキル)、CF、CN、NO、COOH、C(O)Oアルキル、CONH、C(O)NHアルキル、C(O)N(アルキル)、S(O)アルキル、S(O)アルキル、SONH、S(O)NH、S(O)NHアルキル、S(O)N(アルキル)、−C(O)NH、P(O)(OH)、P(O)(アルキル)OH、P(O)(Oアルキル)、P(O)(アルキル)Oアルキル、NH−C(O)−NH、NH(CO)NHアルキル、NH(CO)N(アルキル)、O−C(O)NHアルキル、O−C(O)N(アルキル)から構成される群から選択される1個以上の基で置換されていてもよく、前記アルキル部分はC−Cとすることができ;
9)n=0、1又は2であり;
10)Zは酸素原子、硫黄原子又はNR’基を表し、式中、R’は上記に定義した通りであり;
11)R1は水素原子又はC−Cアルキル基を表し;
12)R2はC−Cアルキル基又はCHR1−アリールもしくはヘテロアリール環を表し;前記アリール又はヘテロアリール環は5〜10員単環式又は二環式であり、O、S又はNから選択される同一又は異なる0〜3個のヘテロ原子を含んでいてもよく;前記アルキル基又はアリールもしくはヘテロアリール環は場合により1個以上のハロゲン原子又はアルキル、OH、Oアルキル、SH、Sアルキル、NH、NHアルキル、N(アルキル)、CF、CN、NO、COOH、C(O)Oアルキル、CONH、C(O)NHアルキル、C(O)N(アルキル)、S(O)アルキル、S(O)アルキル、SONH、S(O)NH、S(O)NHアルキル、S(O)N(アルキル)、−C(O)NH、P(O)(OH)、P(O)(アルキル)OH、P(O)(Oアルキル)、P(O)(アルキル)Oアルキル、NH−C(O)−NH、NH(CO)NHアルキル、NH(CO)N(アルキル)、O−C(O)NHアルキル、O−C(O)N(アルキル)から選択される1個以上の基で置換されていてもよく、前記アルキル部分はC−Cとすることができる]のエナンチオマーリッチ及びジアステレオマーリッチなラセミ体生成物、その互変異性体、そのプロドラッグ並びにその医薬的に許容可能な塩の使用に関する。
【0011】
本発明は病態、好ましくは癌の治療に有用な医薬の製造における上記に定義した一般式(IA)、(IB)又は(II)の生成物の使用にも関する。
【0012】
本発明で有用な特に好ましい化合物としては以下の化合物が挙げられる。
【0013】
Xが水素原子を表す一般式(IA)又は(IB)の生成物が好ましい。
【0014】
Xが表すことができるハロゲン原子の例としては、塩素(Cl)、フッ素、臭素、又はヨウ素が挙げられる。
【0015】
X=Clである一般式(II)の生成物が好ましい。
【0016】
O、S又はNから選択される同一又は異なる0〜3個のヘテロ原子を含んでいてもよく、場合により置換されていてもよい5〜10員単環式又は二環式アリール又はヘテロアリール環の例としては、フェニル、ピリジル、ピリミジン、トリアジン、ピロリル、イミダゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フリル、チエニル、インドリル、インダゾリル、アザインドリル、イソベンゾフラニル、イソベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリニル、アリールビニレン、アリールアミド、アリールカルボキサミド、アラルキルアミン、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリル、ナフチリジル、トリアゾリル又はテトラゾリル基が挙げられる。
【0017】
式(IA)の化合物からはA=Nである化合物を選択することが好ましい。
【0018】
A=Nである一般式(IA)の生成物が好ましい。
【0019】
A=N、B=NR’である一般式(IA)の生成物が好ましい。
【0020】
A=N、B=NR’、及びn=1である一般式(IA)の生成物が好ましい。
【0021】
BがNR’又はCHR’であるとき、好ましいR’置換基はフェニル、又はハロゲン原子、Oアルキル、−C(O)NHから選択される少なくとも1個の基で置換されたフェニル、又はフェニルメチル、又はフェニルアミノ、又はピリジル、又はピリミジニル又はキノリニルから選択することができる。
【0022】
一般式(IA)の生成物からはX=H、A=N、及びn=1である生成物を選択することがより好ましい。
【0023】
式(IB)の生成物からA=NHである生成物を選択することも好ましい。
【0024】
A=NH、B=CHである一般式(IB)の生成物が好ましい。
【0025】
A=NH、n=0である一般式(IB)の生成物が好ましい。
【0026】
X=H、A=NHである一般式(IB)の生成物が好ましい。
【0027】
式(II)の生成物からA=NHである生成物、特にX=Cl及びA=NHである生成物を選択することも好ましい。
【0028】
式(II)の生成物からA=CHである生成物を選択することも好ましい。
【0029】
A=NH、R1=Hである一般式(II)の生成物が好ましい。
【0030】
本発明により使用される式(IA)、(IB)又は(II)の化合物としては、以下の化合物を挙げることができる:
6−(フェニルメチル)アミノ−1H−プリン一塩酸塩;
2−クロロ−6−フェニルメチルオキシ−1H−プリン;
2−クロロ−6−(1(R,S)−フェニルエチル)アミノ−1H−プリン;
2−クロロ−6−[2−(モルホリン−4−イル)エチルアミノ]−1H−プリン;
6−(チオフェン−2−イル)メチルアミノ−1H−プリン;
2−クロロ−6−[2−(フェニルメチルアミノ)エチルアミノ]−1H−プリン;
6−{2−[3−(3,5−ジメチルフェニル)オキシプロピル]アミノ}−1H−プリン;
6−[4−(エチルオキシカルボニル)メチルピペリジン−1−イル]−1H−プリン;
6−(ピペリジン−1−イル)−1H−プリン;
6−[4−(ピリジン−2−イル)ピペラジニル]−1H−プリン一塩酸塩。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
一般に、Aが窒素原子である本発明の一般式(IA)又は(IB)の生成物は特にJ.Amer.Chem.Soc.(1959),81,3789−92に記載の方法を使用することによりスキーム1に従って第1級又は第2級アミンを2,6−ジハロプリン(又は6−ハロプリン)に作用させることにより製造することができる。
【0032】
【化7】

【0033】
AがCH基である一般式(IA)又は(IB)の化合物は特にNucleoside,Nucleotide & Nucleic acids 2000,1123に記載の方法に従って有機亜鉛化合物を使用することにより、スキーム2に従って7位窒素原子を予め保護しておいた2,6−ジハロプリン(又は6−ハロプリン)と有機金属シクロアルカン又はヘテロシクロアルカン誘導体(B=CH、CHR、O、S、NH又はNR)をパラジウムテトラキス(トリフェニルホスフィン)等の触媒の存在下でカップリングすることにより製造することができる。
【0034】
【化8】

【0035】
Aが酸素原子又は硫黄原子である一般式(IB)の化合物は特にTetrahedron Lett.,2001,8161に記載の方法を使用することにより、スキーム3に従ってアルカリ金属又はアルカリ土類金属アルコラート又はチオアルコラートを2,6−ジハロプリン(又は6−ハロプリン)に作用させることにより製造することができる。
【0036】
【化9】

【0037】
一般式(II)の生成物は例えばWO2001/049688、WO98/05335、JP04005290、US6096724、US5929046又はTetrahedron Lett.,2001,8161等の文献に記載の方法に従って得ることができる。
【実施例】
【0038】
以下、実施例により本発明の生成物を非限定的に例証する。
【0039】
(実施例1)
6−(フェニルメチル)アミノ−1H−プリン一塩酸塩
50mL容丸底フラスコで2,6−ジクロロ−1H−プリン500mgをブタノール10mLと2−プロパノール1mLに溶かした後、4−(フェニルメチル)ピペラジン620μLを加え、混合物を75℃まで加熱した。約3時間加熱後に白色沈殿が出現し始めた。4時間加熱後に反応は完了した(60F254シリカプレート−ジクロロメタン/メタノール,90/10容量を溶離液とするTLC)。10℃まで冷却後、形成された沈殿を濾別した後、ブタノール0.5mL、メタノール1mLで2回及び酸化ジエチル1mLで2回順次洗浄した。こうして2−クロロ−6−[4−(フェニルメチル)−ピペラジン−1−イル]−1H−プリン一塩酸塩720mgが以下の特性をもつ黄色粉末として得られた。
融点(コフラー)=258−60℃。
質量スペクトル(EI):m/z=294(M+)。
【0040】
4−(フェニルメチル)ピペラジンの代わりに4−(ピリジン−2−イル)ピペラジンを使用した以外は実施例1に従って操作することにより実施例10の6−[4−(ピリジン−2−イル)ピペラジニル]−1H−プリン一塩酸塩が得られた。
【0041】
(実施例2)
2−クロロ−6−フェニルメチルオキシ−1H−プリン
50mL容丸底フラスコで2,6−ジクロロ−1H−プリン500mgをテトラヒドロフラン10mLに溶かした後、フェニルメタノール314.7mgと水素化ナトリウム116mg(油中60%混合物)から使用時に製造したナトリウムフェニルメタノラートのテトラヒドロフラン(10mL)溶液を加え、混合物を20時間還流した。冷却後に反応媒体を減圧濃縮した後、ジクロロメタン20mLで3回抽出した。有機相を合わせて水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮乾涸した。ジクロロメタンを溶離液としてシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製後、2−クロロ−6−フェニルメチルオキシ−1H−プリン195mgが以下の特性をもつ白色粉末として得られた。
融点(コフラー)=126−28℃。
質量スペクトル(EI):m/z=273(M+)。
【0042】
2−クロロ−6−フェニルメチルオキシ−1H−プリンは本発明と異なる生物活性についてNucleotides & Nucleosides 1999,18(4−5),873−74に記載されているが、その製法や物理化学的特性は記載されていない。
【0043】
(実施例3)
2−クロロ−6−(1(R,S)−フェニルエチル)アミノ−1H−プリン
50mL容丸底フラスコで2,6−ジクロロ−1H−プリン500mgをブタノール10mLと2−プロパノール1mLに溶かした後、1(R,S)−フェニルエチルアミン375μLを加え、75℃まで加熱した。約3時間加熱後に白色沈殿が出現し始めた。4時間加熱後に反応は完了した(60F254シリカプレート−ジクロロメタン/メタノール,90/10容量を溶離液とするTLC)。ジクロロメタンとメタノールの混合物(97.5/2.5容量)を溶離液としてシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製後、2−クロロ−6−(1(R,S)−フェニルエチル)アミノ−1H−プリン257mgが以下の特性をもつ白色粉末として得られた。
融点(コフラー)=203−204℃。
【0044】
2−クロロ−6−(1(R,S)−フェニルエチル)アミノ−1H−プリンはCA(1971),74,31728aに従って得ることもできる(融点=199−202℃)。
【0045】
1−フェニルエチルアミンの代わりに対応する出発アミンを使用した以外は実施例3と同様に操作することにより、実施例4、5、6、7、8及び9の生成物が得られた。
(実施例4):2−クロロ−6−[2−(モルホリン−4−イル)エチルアミノ]−1H−プリン;
(実施例5):6−(チオフェン−2−イル)メチルアミノ−1H−プリン;
(実施例6):2−クロロ−6−[2−(フェニルメチルアミノ)エチルアミノ]−1H−プリン;
(実施例7):6−{2−[3−(3,5−ジメチルフェニル)オキシプロピル]アミノ}−1H−プリン;
(実施例8):6−[4−(エチルオキシカルボニル)メチルピペリジン−1−イル]−1H−プリン;
(実施例9):6−(ピペリジン−1−イル)−1H−プリン。
【0046】
本発明を生物学的に特徴付けるための生物学的アッセイ:
Hsp82のATPアーゼ活性によるATPの加水分解中に遊離する無機リン酸をマラカイトグリーン法により定量する。この試薬の存在下では、波長620nmで吸収する無機リン酸−モリブデン酸−マラカイトグリーン複合体の形成が生じる。
【0047】
評価する生成物を反応容量30μlとし、50mM Hepes−NaOH(pH7.5)、1mM DTT、5mM MgCl及び50mM KClから構成される緩衝液中1μM Hsp82と250μM基質(ATP)の存在下に37℃で60分間インキュベートする。同時に、同一緩衝液中1〜40μMの一連の無機リン酸溶液を構成する。次に、Biomel Green試薬(Tebu)60μlを添加することによりATPアーゼ活性を検出する。室温で20分間インキュベーション後にマイクロプレートリーダーを620nmで使用して各ウェルの吸光度を測定する。次に標準曲線から各サンプルの無機リン酸濃度を計算する。
【0048】
60分間に生産された無機リン酸濃度としてHsp82のATPアーゼ活性を表す。各試験生成物の効果をATPアーゼ活性の阻害百分率として表す。
【0049】
Hsp82のATPアーゼ活性によるADP形成を利用してピルビン酸キナーゼ(PK)と乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)を用いる酵素カップリングシステムの適用によりこの酵素の酵素活性を評価するための別の方法を開発した。このキネティック型分光光度法では、PKはホスホエノールピルビン酸(PEP)からのATP形成とHsp82により生産されたADPからのピルビン酸形成を触媒する。形成されたピルビン酸はLDHの基質であり、次にNADHの存在下で乳酸に変換される。この場合には、波長340nmでの吸光度低下により測定したNADH濃度の低下はHsp82により生産されたADPの濃度に比例する。
【0050】
100mM Hepes−NaOH(pH7.5)、5mM MgCl、1mM DTT、150mM KCl、0.3mM NADH、2.5mM PEP及び250μM ATPから構成される緩衝液100μlの反応容量中で試験生成物をインキュベートした。この混合物を37℃で30分間プレインキュベートした後、LDH3.77単位とPK3.77単位を加えた。各種濃度の被験生成物と濃度1μMのHsp82を加えることにより反応を開始した。次に37℃、波長340nmにてマイクロプレートリーダーでHsp82の酵素活性の測定を連続的に実施した。記録された曲線から原点に引いた接線の傾きを測定することにより反応の初期速度を得た。1分当たりに形成されたADPのμMで酵素活性を表した。各試験生成物の効果をATPアーゼ活性の阻害百分率として表した。
【0051】
酵素カップリングシステムで本発明の生成物により得られたHsp82のATPアーゼ活性に及ぼす阻害活性を以下のHsp82のATPアーゼ活性阻害基準に従って下表にまとめる。
−A:IC50<1μM
−B:1μM<IC50<10μM
−C:10μM<IC50<100μM
【0052】
【表1】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
Hsp90蛋白質の異常活性が関与する疾患の治療に有用な医薬の製造における下記一般式(IA)、(IB)又は(II)のエナンチオマーリッチ及びジアステレオマーリッチなラセミ体生成物、その互変異性体、そのプロドラッグ並びにその医薬的に許容可能な塩の使用
【化1】

[式中、
1)一般式が(IA)又は(IB)であるとき、Xは水素原子、メチル又はトリフルオロメチル基を表し;
2)一般式が(II)であるとき、Xは水素又はハロゲン原子、メチル又はトリフルオロメチル基を表し;
3)一般式が(IA)であるとき、AはN又はCHを表し;
4)一般式が(IB)であるとき、AはO、S、NH、CH又はCHRを表し;
5)一般式が(II)であるとき、AはO、S、NH、NR1、CH又はCHR1を表し;
6)BはO、S、NR’、CH又はCHR’を表し;
7)Rは水素原子、又はC−Cアルキル基を表し;
8)R’は水素原子、又はC−Cアルキル基、又はC−Cアルケニルもしくはアルキニル基、又は(CH−アリールもしくはヘテロアリール基、又はC(Z)−アリールもしくはヘテロアリール基を表し;前記アリール又はヘテロアリール環は5から10員の単環式又は二環式であり、O、S又はNから選択される同一又は異なる0ないし3個のヘテロ原子を含んでいてもよく、及び場合により1個以上のハロゲン原子又はアルキル、OH、Oアルキル、SH、Sアルキル、NH、NHアルキル、N(アルキル)、CF、CN、NO、COOH、C(O)Oアルキル、CONH、C(O)NHアルキル、C(O)N(アルキル)、S(O)アルキル、S(O)アルキル、SONH、S(O)NH、S(O)NHアルキル、S(O)N(アルキル)、−C(O)NH、P(O)(OH)、P(O)(アルキル)OH、P(O)(Oアルキル)、P(O)(アルキル)Oアルキル、NH−C(O)−NH、NH(CO)NHアルキル、NH(CO)N(アルキル)、O−C(O)NHアルキル、O−C(O)N(アルキル)から構成される群から選択される1個以上の基で置換されていてもよく、前記アルキル部分はC−Cとすることができ;
9)n=0、1又は2であり;
10)Zは酸素もしくは硫黄原子又はNR’基を表し、式中、R’は上記に定義した通りであり;
11)R1は水素原子又はC−Cアルキル基を表し;及び
12)R2はC−Cアルキル基又はCHR1−アリールもしくはヘテロアリール環を表し;前記アリール又はヘテロアリール環は5から10員の単環式又は二環式であり、O、S又はNから選択される同一又は異なる0ないし3個のヘテロ原子を含んでいてもよく;前記アルキル基又はアリールもしくはヘテロアリール環は場合により1個以上のハロゲン原子又はアルキル、OH、Oアルキル、SH、Sアルキル、NH、NHアルキル、N(アルキル)、CF、CN、NO、COOH、C(O)Oアルキル、CONH、C(O)NHアルキル、C(O)N(アルキル)、S(O)アルキル、S(O)アルキル、SONH、S(O)NH、S(O)NHアルキル、S(O)N(アルキル)、−C(O)NH、P(O)(OH)、P(O)(アルキル)OH、P(O)(Oアルキル)、P(O)(アルキル)Oアルキル、NH−C(O)−NH、NH(CO)NHアルキル、NH(CO)N(アルキル)、O−C(O)NHアルキル、O−C(O)N(アルキル)から選択される1個以上の基で置換されていてもよく、前記アルキル部分はC−Cとすることができる]。
【請求項2】
前記生成物が下記の前記式(IA):
【化2】

[式中、
1)Xは水素原子、メチル又はトリフルオロメチル基を表すX原子を表し;
2)AはN又はCHを表し;
3)BはO、S、NR’、CH又はCHR’を表し;
4)R’は水素原子、又はC−Cアルキル基、又はC−Cアルケニルもしくはアルキニル基、又は(CH−アリールもしくはヘテロアリール基、又はC(Z)−アリールもしくはヘテロアリール基を表し;前記アリール又はヘテロアリール環は5〜10員単環式又は二環式であり、O、S又はNから選択される同一又は異なる0〜3個のヘテロ原子を含んでいてもよく、及び場合により1個以上のハロゲン原子又はアルキル、OH、Oアルキル、SH、Sアルキル、NH、NHアルキル、N(アルキル)、CF、CN、NO、COOH、C(O)Oアルキル、CONH、C(O)NHアルキル、C(O)N(アルキル)、S(O)アルキル、S(O)アルキル、SONH、S(O)NH、S(O)NHアルキル、S(O)N(アルキル)、−C(O)NH、P(O)(OH)、P(O)(アルキル)OH、P(O)(Oアルキル)、P(O)(アルキル)Oアルキル、NH−C(O)−NH、NH(CO)NHアルキル、NH(CO)N(アルキル)、O−C(O)NHアルキル、O−C(O)N(アルキル)から構成される群から選択される1個以上の基で置換されていてもよく、前記アルキル部分はC−Cとすることができ;
5)n=0、1又は2であり;及び
6)Zは酸素原子、硫黄原子又はNR’基を表し、R’は上記に定義した通りである]に対応するエナンチオマーリッチ及びジアステレオマーリッチなラセミ体生成物、その互変異性体、そのプロドラッグ並びにその医薬的に許容可能な塩であることを特徴とするHsp90蛋白質の異常活性が関与する疾患の治療に有用な医薬の製造における請求項1に記載のの使用。
【請求項3】
前記生成物が下記の前記式(IB):
【化3】

[式中、
1)Xは水素原子、メチル又はトリフルオロメチル基を表し;
2)AはO、S、NH、CH又はCHRを表し;
3)BはO、S、NR’、CH又はCHR’を表し;
4)R’は水素原子、又はC−Cアルキル基、又はC−Cアルケニルもしくはアルキニル基、又は(CH−アリールもしくはヘテロアリール基、又はC(Z)−アリールもしくはヘテロアリール基を表し;前記アリール又はヘテロアリール環は5から10員の単環式又は二環式であり、O、S又はNから選択される同一又は異なる0ないし3個のヘテロ原子を含んでいてもよく、及び場合により1個以上のハロゲン原子又はアルキル、OH、Oアルキル、SH、Sアルキル、NH、NHアルキル、N(アルキル)、CF、CN、NO、COOH、C(O)Oアルキル、CONH、C(O)NHアルキル、C(O)N(アルキル)、S(O)アルキル、S(O)アルキル、SONH、S(O)NH、S(O)NHアルキル、S(O)N(アルキル)、−C(O)NH、P(O)(OH)、P(O)(アルキル)OH、P(O)(Oアルキル)、P(O)(アルキル)Oアルキル、NH−C(O)−NH、NH(CO)NHアルキル、NH(CO)N(アルキル)、O−C(O)NHアルキル、O−C(O)N(アルキル)から構成される群から選択される1個以上の基で置換されていてもよく、前記アルキル部分はC−Cとすることができ;
5)n=0、1又は2であり;及び
6)Zは酸素原子、硫黄原子又はNR’基を表し、式中、R’は上記に定義した通りである]に対応するエナンチオマーリッチ及びジアステレオマーリッチなラセミ体生成物、その互変異性体、そのプロドラッグ並びにその医薬的に許容可能な塩であることを特徴とするHsp90蛋白質の異常活性が関与する疾患の治療に有用な医薬の製造における請求項1に記載の使用。
【請求項4】
前記生成物が下記の前記式(II):
【化4】

[式中、
1)Xは水素又はハロゲン原子、あるいはメチル又はトリフルオロメチル基を表し;
2)AはO、S、NH、NR1、CH又はCHR1を表し;
3)R1は水素原子又はC−Cアルキル基を表し;
4)R2はC−Cアルキル基又はCHR1−アリールもしくはヘテロアリール環を表し;前記アリール又はヘテロアリール環は5から10員の単環式又は二環式であり、O、S又はNから選択される同一又は異なる0ないし3個のヘテロ原子を含んでいてもよく;前記アルキル基又はアリールもしくはヘテロアリール環は場合により1個以上のハロゲン原子又はアルキル、OH、Oアルキル、SH、Sアルキル、NH、NHアルキル、N(アルキル)、CF、CN、NO、COOH、C(O)Oアルキル、CONH、C(O)NHアルキル、C(O)N(アルキル)、S(O)アルキル、S(O)アルキル、SONH、S(O)NH、S(O)NHアルキル、S(O)N(アルキル)、−C(O)NH、P(O)(OH)、P(O)(アルキル)OH、P(O)(Oアルキル)、P(O)(アルキル)Oアルキル、NH−C(O)−NH、NH(CO)NHアルキル、NH(CO)N(アルキル)、O−C(O)NHアルキル、O−C(O)N(アルキル)から選択される1個以上の基で置換されていてもよく、前記アルキル部分はC−Cとすることができる]に対応するエナンチオマーリッチ及びジアステレオマーリッチなラセミ体生成物、その互変異性体、そのプロドラッグ並びにその医薬的に許容可能な塩であることを特徴とするHsp90蛋白質の異常活性が関与する疾患の治療に有用な医薬の製造における請求項1に記載の使用。
【請求項5】
X=Hであることを特徴とする請求項2又は3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
X=Clであることを特徴とする請求項4に記載の使用。
【請求項7】
前記生成物が、
6−(フェニルメチル)アミノ−1H−プリン一塩酸塩;
2−クロロ−6−フェニルメチルオキシ−1H−プリン;
2−クロロ−6−(1(R,S)−フェニルエチル)アミノ−1H−プリン;
2−クロロ−6−[2−(モルホリン−4−イル)エチルアミノ]−1H−プリン;
6−(チオフェン−2−イル)メチルアミノ−1H−プリン;
2−クロロ−6−[2−(フェニルメチルアミノ)エチルアミノ]−1H−プリン;
6−{2−[3−(3,5−ジメチルフェニル)オキシプロピル]アミノ}−1H−プリン;
6−[4−(エチルオキシカルボニル)メチルピペリジン−1−イル]−1H−プリン;
6−(ピペリジン−1−イル)−1H−プリン;
6−[4−(ピリジン−2−イル)ピペラジニル]−1H−プリン一塩酸塩
から選択されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
Hsp90シャペロンの活性の阻害剤としての請求項1から7のいずれか一項に定義される生成物の使用。
【請求項9】
病態の治療に有用な医薬の製造における請求項1から8のいずれか一項に定義される生成物の使用。
【請求項10】
病態が癌である請求項9に記載の使用。

【公表番号】特表2008−526931(P2008−526931A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−550816(P2007−550816)
【出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【国際出願番号】PCT/FR2006/000066
【国際公開番号】WO2006/075095
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(500152119)アバンテイス・フアルマ・エス・アー (65)
【Fターム(参考)】