説明

IAP阻害剤とタキサン7の組合せ剤

【課題】a)Smacタンパク質がIAP(アポトーシスタンパク質阻害剤)に結合するのを阻害する化合物;およびb)タキサンを含む組合せ医薬、およびかかる組合せ剤を使用する増殖性疾患の処置または予防法の提供。
【解決手段】代表的な化合物としての、N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドとパクリタキセル、ドセタキセル、ビノレルビンおよびエポチロンとの組合せ医薬。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Smacタンパク質がアポトーシスタンパク質阻害剤(IAP)に結合するのを阻害する化合物とタキサンを含む組合せ医薬、および増殖性疾患、例えば腫瘍、骨髄腫および白血病におけるかかる組合せの使用に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
増殖性疾患を有する患者に対して様々な処置選択肢があるにもかかわらず、有効かつ
安全な分子標的抗増殖薬剤がなお必要とされている。かかる探索薬剤と既存の治療の組合せは、時に相乗作用をもたらし、それぞれの単独の薬剤と比較して上昇した治療効果をもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0003】
発明の要約
Smacタンパク質がIAPに結合するのを阻害する少なくとも1種の化合物と、タキサン、例えば下記定義のものを含む組合せ剤が増殖性疾患、例えば腫瘍、骨髄腫および白血病に対する有利な効果を有することを、本発明において見出した。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】式(III)の化合物のみ(最も下の行)、ドセタキセルのみ(最も左の列)、および用量範囲の2種の薬剤の組合せの、抗増殖性活性を示す。
【図2】式(III)の化合物とデセタキセルの70%増殖阻害のアイソボログラムを示す。
【図3】式(III)の化合物とパクリタキセルの組合せが、同所性乳がんモデルMDA−MB−231において、1つの薬剤として投与した各薬剤と比較して、優れた抗腫瘍活性を有することを示す。
【図4】黒色腫細胞系A375において、タキソールの抗増殖性活性が式(III)の化合物との組合せによって劇的に上昇することを示す。上の曲線はA375における3日間増殖アッセイで、タキソールのみの用量応答を示す。下の2つの曲線は、式(III)の化合物6μMまたは12μMの存在下でのタキソール用量応答を示す。
【図5】タキソール+100nM N−(1−シクロヘキシル−2−{2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、OVCAR−4における組合せの効果を示す。
【図6】タキソール+1μM N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル)−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、OVCAR−4における組合せの効果を示す。
【図7】タキソール+10μM N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル)−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、TOV 21Gにおける組合せの効果を示す。
【図8】タキソール+80nM N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル)−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドのSKOV−3における組合せの効果を示す。
【図9】タキソール+10μM N−(1−シクロヘキシル−2−{2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、SKMEL−2における組合せの効果を示す。
【図10】タキソール+10μM N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル)−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、SKMEL−2における組合せの効果を示す。
【図11】タキソール+10μM N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル)−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、MEWOにおける組合せの効果を示す。
【図12】タキソール+10μM N−(1−シクロヘキシル−2−{2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、A375における組合せの効果を示す。
【図13】タキソール+1μM N−[1−シクロヘキシル−2−(2−{2−[(4−フルオロ−フェニル)−メチル−アミノ]−ピリジン−4−イル}−ピロリジン−1−イル)−2−オキソ−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、A375における組合せの効果を示す。
【図14】タキソール+6μM N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル)−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、A375における組合せの効果を示す。
【図15】タキソール+10μM N−(1−シクロヘキシル−2−{2−[5−(4−フルオロ−ベンゾイル)−ピリジン−3−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、A375における組合せの効果を示す。
【図16】タキソール+10μM N−(1−シクロヘキシル−2−{2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、A375における組合せの効果を示す。
【図17】タキソール+1μM N−[1−シクロヘキシル−2−(2−{2−[(4−フルオロ−フェニル)−メチル−アミノ]−ピリジン−4−イル}−ピロリジン−1−イル)−2−オキソ−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、A375における組合せの効果を示す。
【図18】タキソール+10μM N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル)−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、A375における組合せの効果を示す。
【図19】タキソール+10μM N−(1−シクロヘキシル−2−{2−[5−(4−フルオロ−フェノキシ)−ピリジン−3−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、A375における組合せの効果を示す。
【図20】タキソール+10μM N−(1−シクロヘキシル−2−{2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、NCI−H030における組合せの効果を示す。
【図21】タキソール+2μM N−(1−シクロヘキシル−2−{2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、NCI−H3における組合せの効果を示す。
【図22】タキソール+0.5μM N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル)−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、SK−LU−1における組合せの効果を示す。
【図23】タキソール+7μM N−(1−シクロヘキシル−2−{2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、NCI−H441における組合せの効果を示す。
【図24】タキソール+N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル)−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、NCI−H441における組合せの効果を示す。
【図25】タキソール+4μM N−(1−シクロヘキシル−2−{2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、A−427における組合せの効果を示す。
【図26】タキソール+10μM N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル)−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、A−427における組合せの効果を示す。
【図27】原文に記載なし。
【発明を実施するための形態】
【0005】
発明の詳細な説明
本発明は:
(a)タキサン;および
(b)IAPのカスパーゼ−9阻害特性を阻害する化合物(IAP阻害剤);および所望により、
(c)同時、個別または逐次使用のための少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む、とりわけ増殖性疾患、とりわけ固形腫瘍疾患の処置のための組合せ医薬;かかる組合せ剤を含む医薬組成物;増殖性疾患の処置用医薬の製造のための、かかる組合せ剤の使用;かかる組合せ剤を同時、個別または逐次使用のための組合せ製剤として含む、商品パッケージまたは製品;および温血動物、とりわけヒトの処置法に関する。相加以上の効果が、化合物(a)および(b)を組み合わせて使用したときに見られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
タキサンは、微小管と結合し、紡錘体の形成に干渉して細胞分割を阻害する微小管標的薬剤である。タキサンは転移性乳がん、卵巣がんおよび消化管がんの第一線処置選択肢であり、乳がんに対する補助療法に一般的に使用される。
【0007】
タキサンには、TAXOLとして市販されているパクリタキセルおよびTAXOTEREとして市販されているドセタキセルが含まれる。他のタキサンには、ビノレルビンおよびエポチロン、例えばエポチロンBおよびパツピロン(patupilone)が含まれる。
【0008】
Smacタンパク質がIAPに結合するのを阻害する化合物には、式(I):
【化1】

〔式中、
はH、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−CアルキニルまたはC−C10シクロアルキル(これらは置換もしくは非置換である)であり;
はH、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−CアルキニルまたはC−C10シクロアルキル(これらは置換もしくは非置換である)であり;
はH、−CF、−C、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、−CH−Zであり、
式中、Zは、H、−OH、F、Cl、−CH、−CF、−CHCl、−CHFまたは−CHOHであるか、または
およびRは窒素と一体となってhet環を形成し;
はC−C16直鎖もしくは分枝鎖アルキル、C−C16アルケニル、C−C16アルキニルまたは−C−C10シクロアルキル、−(CH1−6、−(CH0−6アリールまたは−(CH0−6het(ここで、アルキル、シクロアルキルおよびフェニルは置換もしくは非置換である)であり、
式中、
は−N(R)−C(O)−C−C10アルキル、−N(R)−C(O)−(CH1−6−Cシクロアルキル、−N(R)−C(O)−(CH0−6フェニル、−N(R)−C(O)−(CH1−6het、−C(O)−N(R)(R10)、−C(O)−O−C−C10アルキル、−C(O)−O−(CH1−6−Cシクロアルキル、−C(O)−O−(CH0−6フェニル、−C(O)−O−(CH1−6het、−O−C(O)C−C10アルキル、−O−C(O)−(CH1−6−Cシクロアルキル、−O−C(O)−(CH0−6フェニル、−O−C(O)−(CH1−6het(ここで、アルキル、シクロアルキルおよびフェニルは置換もしくは非置換である)であり;そして
hetはN、OおよびSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5〜7員ヘテロ環式環であるか、またはN、OおよびSから選択される1、2または3個のヘテロ原子を含む5〜7員ヘテロ環式環を少なくとも1個含む、8〜12員縮合環系(これらヘテロ環式環または縮合環系は炭素または窒素原子で置換もしくは非置換である)であり、
式中、
はH、−CH、−CF、−CHOHまたは−CHClであり;
およびR10は各々独立して、H、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、
−(CH1−6−Cシクロアルキル、−(CH0−6フェニル(ここで、アルキル、シクロアルキルおよびフェニルは置換もしくは非置換である)であるか、または
およびR10は窒素と一体となってhetを形成し;
はH、C−C10アルキル、アリール、フェニル、C−Cシクロアルキル、−(CH1−6−Cシクロアルキル、−C−C10アルキル−アリール、−(CH0−6−Cシクロアルキル−(CH0−6フェニル、−(CH)0−4CH−((CH)1−4フェニル)、−(CH0−6CH(フェニル)、−インダニル、−C(O)−C−C10アルキル、−C(O)−(CH1−6−C−シクロアルキル、−C(O)−(CH0−6フェニル、−(CH0−6C(O)−フェニル、−(CH0−6het、−C(O)−(CH1−6hetであるか、または
はアミノ酸残基(ここで、アルキル、シクロアルキル、フェニルおよびアリール置換基は置換もしくは非置換である)であり;そして
【0009】
Uは式(II):
【化2】

{式中、
nは0〜5であり;
Xは−CHまたはNであり;
RaおよびRbは独立して、O、SもしくはN原子であるか、またはC−Cアルキル(ここで、アルキル鎖の1個以上の炭素原子はO、SおよびNから選択されるヘテロ原子で置換されていてもよく、アルキルは置換もしくは非置換である)であり;
Rdは:
(a)−Re−Q−(Rf)p(Rg)q;または
(b)AR−D−AR
〈式中、
pおよびqは独立して0または1であり;
ReはC−Cアルキルまたはアルキリデンであり、そして
Reは非置換であるかまたは置換されていてよく;
QはN、O、S、S(O)、またはS(O)であり;
ARおよびARは置換もしくは非置換アリールまたはhetであり;
RfおよびRgは各々独立してH、−C−C10アルキル、C−C10アルキルアリール、−OH、−O−C−C10アルキル、−(CH0−6−Cシクロアルキル、−O−(CH0−6アリール、フェニル、アリール、フェニル−フェニル、−(CH1−6het、−O−(CH1−6het、−OR11、−C(O)−R11、−C(O)−N(R11)(R12)、−N(R11)(R12)、−S−R11、−S(O)−R11、−S(O)−R11、−S(O)−NR1112、−NR11−S(O)−R12、S−C−C10アルキル、アリール−C−Cアルキル、het−C−C−アルキル(ここで、アルキル、シクロアルキル、hetおよびアリールは置換もしくは非置換である)、−SO−C−Cアルキル、−SO−C−Cアルキルフェニル、−O−C−Cアルキルであるか、または
RgおよびRfは、hetおよびアリールから選択される環を形成し;
Dは−CO−、−C(O)−C−Cアルキレンまたはアリーレン、−CF−、−O−、−S(O)r(ここで、rは0〜2である)、1,3−ジオキソランまたはC−Cアルキル−OH(ここで、アルキル、アルキレンまたはアリーレンは非置換であるかまたは、1個以上のハロゲン、OH、−O−C−Cアルキル、−S−C−Cアルキルまたは−CFで置換されていてもよい)であるか、または
Dは−N(Rh)であり、式中、RhはH、C−Cアルキル(置換もしくは非置換)、アリール、−O(C−Cシクロアルキル)(置換もしくは非置換)、C(O)−C−C10アルキル、C(O)−Co−C10アルキル−アリール、C−O−C−C10アルキル、C−O−Co−C10アルキル−アリールまたはSO−C−C10−アルキル、SO−(Co−C10−アルキルアリール)である〉
から選択され;
【0010】
RcはHであるか、または
RcおよびRdは一体となってシクロアルキルまたはhetを形成してもよく、ここでRdおよびRcがシクロアルキルまたはhetを形成するとき、Rは形成される環とCまたはN原子で結合しており;
、R、R’およびR’は各々独立してH、−C−C10アルキル、−C−C10アルコキシ、アリール−C−C10アルコキシ、−OH、−O−C−C10アルキル、−(CH0−6−Cシクロアルキル、−O−(CH0−6アリール、フェニル、−(CH1−6het、−O−(CH1−6het、−OR11、−C(O)−R11、−C(O)−N(R11)(R12)、−N(R11)(R12)、−S−R11、−S(O)−R11、−S(O)−R11、−S(O)−NR1112、−NR11−S(O)−R12(ここで、アルキル、シクロアルキルおよびアリールは置換もしくは非置換である)であり;そして
、R、R’およびR’は一体となって環系を形成していてもよく、
式中、
11およびR12は独立してH、C−C10アルキル、−(CH0−6−Cシクロアルキル、−(CH0−6(CH)0−1(アリール)1−2、−C(O)−C−C10アルキル、−C(O)−(CH1−6−Cシクロアルキル、−C(O)−O−(CH0−6アリール、−C(O)−(CH0−6O−フルオレニル、−C(O)−NH−(CH0−6アリール、−C(O)−(CH0−6アリール、−C(O)−(CH1−6het、−C(S)−C−C10アルキル、−C(S)−(CH1−6−Cシクロアルキル、−C(S)−O−(CH0−6アリール、−C(S)−(CH0−6O−フルオレニル、−C(S)−NH−(CH0−6アリール、−C(S)−(CH0−6アリール、−C(S)−(CH1−6het(ここで、アルキル、シクロアルキルおよびアリールは置換もしくは非置換である)であるか、または
11およびR12は、細胞膜を通過する分子の移動を促進する置換基であるか、または
11およびR12は窒素原子と一体となって、hetを形成し、
式中、
11およびR12のアルキル置換基は、非置換であるか、またはC−C10アルキル、ハロゲン、OH、−O−C−Cアルキル、−S−C−Cアルキルおよび−CFから選択される1個以上の置換基によって置換されていてもよく;
11およびR12の置換シクロアルキル置換基はC−C10アルケン、C−Cアルキル、ハロゲン、OH、−O−C−Cアルキル、−S−C−Cアルキルおよび−CFから選択される1個以上の置換基によって置換されており;そして
11およびR12の置換フェニルまたはアリールは、ハロゲン、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ニトロ、−CN、−O−C(O)−C−Cアルキルおよび−C(O)−O−C−Cアリールから選択される1個以上の置換基によって置換されている}
で示されるとおりである〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩が含まれる。
【0011】
本明細書において使用される一般的な用語は、好ましくは本明細書の文脈において、特に記載がない限り、下記意味を有する:
「アリール」は、6〜14個の炭素原子を有する芳香族性基であり、縮合していてもしていなくてもよく、そして非置換であるかまたは、1個以上、好ましくは1または2個の下記置換基で置換されている。好ましい「アリール」はフェニル、ナフチルまたはインダニルである。
【0012】
「Het」は、ヘテロアリールおよびヘテロ環式環、ならびに芳香族性および非芳香族性ヘテロ環式環を含む縮合環を意味する。「Het」は、N、OおよびSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5〜7員ヘテロ環式環、またはN、OおよびSから選択される1、2または3個のヘテロ原子を含む5〜7員ヘテロ環式環を少なくとも1個含む、8〜12員縮合環系である。好適なhet置換基には、非置換および置換ピロリジル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロチオフラニル、ピペリジル、ピペラジル、テトラヒドロピラニル、モルフィリノ、1,3−ジアザパン、1,4−ジアザパン、1,4−オキサゼパン、1,4−オキサチアパン、フリル、チエニル、ピロール、ピラゾール、トリアゾール、1,2,3−トリアゾール、テトラゾリル、オキサジアゾール、チオフェン、イミダゾル、ピロリジン、ピロリドン、チアゾール、オキサゾール、ピリジン、ピリミジン、イソオキサゾリル、ピラジン、キノリン、イソキノリン、ピリドピラジン、ピロロピリジン、フロピリジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフラン、ベンズインドール、ベンゾオキサゾール、ピロロキノリン等が含まれる。het置換基は非置換であるか、または炭素原子でハロゲン、とりわけフッ素もしくは塩素;ヒドロキシ;C−Cアルキル、例えばメチルおよびエチル;C−Cアルコキシ、とりわけメトキシおよびエトキシ;ニトロ;−O−C(O)−C−Cアルキルまたは−C(O)−O−C−Cアルキルによって置換されているか、あるいは窒素でC−Cアルキル、とりわけメチルもしくはエチル;−O−C(O)−C−Cアルキルまたは−C(O)−O−C−Cアルキル、例えばカルボメトキシもしくはカルボエトキシによって置換されている。
【0013】
2個の置換基が一体となって、共に窒素と結合してhetであるとき、得られたヘテロ環式環が窒素含有環、例えばアジリジン、アゼチジン、アゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルフィリン、ピロール、ピラゾール、チアゾール、オキサゾール、ピリジン、ピリミジン、イソオキサゾリル等であると理解される。
【0014】
ハロゲンはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素、とりわけフッ素および塩素である。
【0015】
特に限定がない限り、「アルキル」には直鎖または分枝鎖アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチルおよび分枝鎖ペンチル、n−ヘキシルおよび分枝鎖ヘキシル等が含まれる。
【0016】
「シクロアルキル」基は、3〜8個の環炭素原子を含むC−C10シクロアルキルであり、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルであり得る。好ましくは、シクロアルキルはシクロヘプチルである。シクロアルキル基は、非置換であるかまたは、下記定義の置換基のいずれか、好ましくはハロ、ヒドロキシまたはC−Cアルキル、例えばメチルで置換されていてもよい。
【0017】
アミノ酸残基には、標準的なアミノ酸、例えばアラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシンおよびバリンが含まれる。アミノ酸残基にはまた、非一般的および修飾アミノ酸の側鎖が含まれる。非一般的および修飾アミノ酸は、当業者に既知であり[例えばFields, Tiam and Barany, Synthetic Peptides A Users Guide, University of Wisconsin Biochemistry Center, Chapter 3, (1992)参照]、アミノ酸、例えば4−ヒドロキシプロリン、5−ヒドロキシリシン、デスモシン、ベータ(β)−アラニン、アルファ(α)−、ガンマ(γ)−およびβ−アミノ酪酸、ホモシステイン、ホモセリン、シトルリン、オルニチン、2−または3−アミノアジピン酸、6−アミノカプロン酸、2−または3−アミノイソ酪酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、ジフェニルアラニン、ヒドロキシプロリンなどを含み得る。アミノ酸残基の側鎖が誘導可能(derivatizable)な基、例えばCOOH、−OHまたはアミノを含むとき、側鎖は誘導可能な基と反応する置換基によって誘導されていてもよい。例えば、アスパラギン酸およびグルタミン酸のような酸性アミノ酸、またはセリンもしくはスレオニンのもののようなヒドロキシ置換側鎖は、誘導化されてエステルを形成していてもよく、あるいはアミノ側鎖はアミドまたはアルキルアミノ誘導体を形成していてもよい。とりわけ誘導体は、細胞膜を通過する分子の移動を促進する置換基である。さらに、アミノ酸残基の任意のカルボン酸基、例えばα−カルボン酸基は、上記の通り誘導化されてエステルまたはアミドを形成していてもよい。
【0018】
細胞膜を通過する分子の移動を促進する置換基は、医薬化学の分野における当業者に既知である。例えば、Gangewar et al., Drug Dis Today, Vol. 2, pp. 148-155 (1997);およびBundgaard and Moss, Pharma Res, Vol. 7, p. 885 (1990)参照。一般的に、かかる置換基は親油性の置換基である。かかる親油性置換基には、飽和、モノ不飽和、ポリ不飽和であるC−C0アルキル、例えばメチレン介在ポリエン、フェニル、1個または2個のC−Cアルキル基で置換されているフェニル、C−Cシクロアルキル、1または2個のC−Cアルキル基で置換されているC−Cシクロアルキル、−X−フェニル、フェニル環で1または2個のC−Cアルキル基で置換されている−X−フェニル、X−C−Cシクロアルキルまたは1または2個のC−Cアルキル基で置換されているX−C−Cシクロアルキル(式中、Xは飽和、モノ不飽和またはポリ不飽和であり、直鎖または分枝鎖状であるC−C24アルキルである)が含まれる。
【0019】
非置換は、水素が唯一の置換基であることを意味する。
【0020】
上記定義のアリール、het、アルキル、シクロアルキルまたはヘテロ環式基は、非置換であるかまたは、独立して4個まで、好ましくは1、2または3個の、下記群から選択される置換基で置換されていてもよい:ハロ、例えばClまたはBr;ヒドロキシ;低級アルキル、例えばC−C低級アルキル;本明細書で定義のいずれかの置換基で置換されていてもよい低級アルキル;低級アルケニル;低級アルキニル;低級アルカノイル;アルコキシ、例えばメトキシ、アリール、例えばフェニルまたはベンジル;置換アリール、例えばフルオロフェニルまたはメトキシフェニル;アミノ;1または2置換アミノ;アミノ低級アルキル、例えばジメチルアミノ;アセチルアミノ;アミノ低級アルコキシ、例えばエトキシアミン;ニトロ;シアノ;シアノ低級アルキル;カルボキシ;エステル化カルボキシ、例えば低級アルコキシカルボニル、例えばメトキシカルボニル;n−プロポキシカルボニルまたはイソ−プロポキシカルボニル;アルカノイル;ベンゾイル;カルバモイル;N−1またはN,N−2置換カルバモイル;カルバメート;アルキルカルバミン酸エステル;アミジノ;グアニジン;ウレア;ウレイド;メルカプト;スルホ;低級アルキルチオ;スルホアミノ;スルホンアミド;ベンゾスルホンアミド;スルホネート;スルファニル低級アルキル、例えばメチルスルファニル;スルホアミノ;置換もしくは非置換スルホンアミド、例えばベンゾスルホンアミド;置換もしくは非置換スルホネート、例えばクロロ−フェニルスルホネート;低級アルキルスルフィニル;フェニルスルフィニル;フェニル−低級アルキルスルフィニル;アルキルフェニルスルフィニル;低級アルカンスルホニル;フェニルスルホニル;フェニル−低級アルキルスルホニル;アルキルフェニルスルホニル;ハロゲン−低級アルキルメルカプト;ハロゲン−低級アルキルスルホニル、例えばとりわけトリフルオロメタンスルホニル;ホスホノ(−P(=O)(OH));ヒドロキシ−低級アルコキシホスホリルまたはジ低級アルコキシホスホリル;置換ウレア、例えば3−トリフルオロ−メチル−フェニルウレア;アルキルカルバミン酸エステルまたはカルバメート、例えばエチル−N−フェニル−カルバメートまたは−NR
(式中、
およびRは同一または異なって、独立してH;低級アルキル、例えばメチル、エチルまたはプロピルであるか、または
およびRはN原子と一体となって、1〜4個の窒素、酸素または硫黄原子を含む3〜8員ヘテロ環式環、例えばピペラジニル、ピラジニル、低級アルキル−ピペラジニル、ピリジル、インドリル、チオフェニル、チアゾリル、n−メチルピペラジニル、ベンゾチオフェニル、ピロリジニル、ピペリジノまたはイミダゾリニル(ここで、ヘテロ環式環は本明細書に定義の置換基のいずれかで置換されていてもよい)を形成する。
【0021】
好ましくは、上記アルキル、シクロアルキル、アリールまたはhet基は、ハロゲン、カルボニル、チオール、S(O)、S(O)、−OH、−SH、−OCH、−SCH、−CN、−SCNまたはニトロで置換されていてもよい。
【0022】
複数形を化合物、塩、医薬組成物、疾患などに使用するとき、これは1個の化合物、塩などについても意味するものとする。
【0023】
本発明の化合物は、塩形、とりわけ酸付加塩または塩基付加塩として存在していてもよいことが、当業者には明らかであろう。化合物が塩形で存在していてもよいとき、当該塩形は本発明の技術的範囲に含まれる。任意の塩形が化学的操作、例えば精製手段において使用され得るが、薬学的に許容される塩のみが医薬製品としては有用である。
【0024】
薬学的に許容される塩には、適当なとき、薬学的に許容される塩基付加塩および酸付加塩、例えばアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩のような金属塩;アンモニウム塩;有機アミン付加塩;アミノ酸付加塩;およびスルホン酸塩が含まれる。酸付加塩には、無機酸付加塩、例えば塩酸塩、スルフェート、ホスフェート;および有機酸付加塩、例えばアルキルスルホネート、アリールスルホネート、アセテート、マレエート、フマレート、タートレート、サイトレートおよびラクテートが含まれる。金属塩の例は、アルカリ金属塩、例えばリチウム塩、ナトリウム塩およびカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えばマグネシウム塩およびカルシウム塩、アルミニウム塩ならびに亜鉛塩である。アンモニウム塩の例は、アンモニウム塩およびテトラメチルアンモニウム塩である。有機アミン付加塩の例は、モルホリンおよびピペリジンとの塩である。アミノ酸付加塩の例は、グリシン、フェニルアラニン、グルタミン酸およびリシンとの塩である。スルホネートには、メシレート、トシレートおよびベンゼンスルホネートが含まれる。
【0025】
遊離形の化合物と、中間体として例えば化合物の精製または同定に使用することができる塩を含む塩形のもの、互変異性体および互変異性体の混合物、ならびにそれらの塩との密接な関係からすると、特に記載がない限り、あらゆる化合物、とりわけ式(I)の化合物に対する本明細書の記載は、適当かつ便宜であるとき、これらの化合物、とりわけ式(I)の化合物の対応する互変異性体、これらの化合物、とりわけ式(I)の化合物の対応する互変異性体の混合物、またはこれらのいずれかの塩についても言及されているものと理解されるべきである。
【0026】
不斉炭素原子は(R)−、(S)−または(R,S)−立体配置、好ましくは(R)−または(S)−立体配置で存在していてよい。飽和結合を有する原子での環の置換基は、可能であるとき、シス(=Z−)またはトランス(=E−)形で存在していてよい。したがって、化合物は異性体、好ましくはエナンチオマー純粋なジアステレオマーまたは純粋なエナンチオマーとして存在していてよい。
【0027】
式(I)の範囲内の化合物、およびそれらの製造法は、2005年10月20日公開のWO 05/097791に記載されており、これを出典明示により本明細書の一部とする。式(I)の範囲内の好ましい化合物は、式(III)
【化3】

のN−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドである。
【0028】
Smacタンパク質がIAPに結合するのを阻害するさらなる化合物には、式(IV)
【化4】

〔式中、
はHであり;
はH、C−Cアルキル(これは、非置換であるかまたは、ハロゲン、−OH、−SH、−OCH、−SCH、−CN、−SCNおよびニトロから選択される1個以上の置換基によって置換されている)であり;
はH、−CF、−C、−CH−Z(式中、ZはH、−OH、F、Cl、−CH、−CF、−CHCl、−CHFまたは−CHOHである)であるか、または
およびRは窒素原子と一体となって、C−Cヘテロ脂肪族環を形成し;
はC−C16直鎖アルキル、C−C10分枝鎖アルキル、−(CH0−6−Cシクロアルキル、−(CH1−6、−(CH0−6フェニルおよび−(CH0−6het(ここで、アルキル、シクロアルキルおよびフェニル置換基は置換もしくは非置換である)であり、
式中、
は−N(R)−C(O)−C−C10アルキル、−N(R)−C(O)−(CH1−6−Cシクロアルキル、−N(R)−C(O)−(CH0−6フェニル、−N(R)−C(O)−(CH1−6het、−C(O)−N(R10)(R11)、−C(O)−O−C−C10アルキル、−C(O)−O−(CH1−6−Cシクロアルキル、−C(O)−O−(CH0−6フェニル、−C(O)−O−(CH1−6het、−O−C(O)−C−C10アルキル、−O−C(O)−(CH1−6−Cシクロアルキル、−O−C(O)−(CH0−6フェニル、−O−C(O)−(CH1−6het(ここで、アルキル、シクロアルキルおよびフェニル置換基は置換もしくは非置換である)であり、
式中、
はH、−CH、−CF、−CHOHまたはCHClであり;
10およびR11は各々独立して、H、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、
−(CH1−6−Cシクロアルキル、−(CH0−6フェニル(ここで、アルキル、シクロアルキルおよびフェニル置換基は置換もしくは非置換である)であるか、または
10およびR11は窒素と一体となってhetであり;
hetはN、OおよびSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5〜7員ヘテロ環式環であるか、またはN、OおよびSから選択される1、2または3個のヘテロ原子を含む5〜7員ヘテロ環式環を少なくとも1個含む、8〜12員縮合環系(これらヘテロ環式環または縮合環系は非置換であるか、または炭素原子でハロゲン、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ニトロ、−O−C(O)−C−Cアルキルまたは−C(O)−O−C−Cアルキルで置換されているか、あるいは窒素でC−Cアルキル、−O−C(O)−C−Cアルキルまたは−C(O)−O−C−Cアルキルで置換されている)であり、;
【0029】
XはCHまたはNであり;
はH、C−C10アルキル、C−Cシクロアルキル、−(CH1−6−Cシクロアルキル、−C−C10アルキル−アリール、−(CH0−6−Cシクロアルキル−(CH0−6フェニル、−(CH)0−4CH−((CH)1−4フェニル)
−(CH0−6CH(フェニル)、−C(O)−C−C10アルキル、−C(O)−(CH1−6−Cシクロアルキル、−C(O)−(CH0−6フェニル、−(CH1−6het、−C(O)−(CH1−6hetであるか、または
はアミノ酸残基であり、ここで、アルキル、シクロアルキル、フェニルおよびアリール置換基は置換もしくは非置換であり;
はH、メチル、エチル、−CF、−CHOHまたは−CHClであるか、または
およびRは窒素と一体となってhetであり;
およびRは環の1位でアシル置換基とシスであり、そして各々独立してH、−C−C10アルキル、−OH、−O−C−C10アルキル、−(CH0−6−Cシクロアルキル、−O−(CH0−6アリール、フェニル、−(CH1−6het、−O−(CH1−6het、−N(R12)(R13)、−S−R12、−S(O)−R12
−S(O)−R12、−S(O)−NR1213(ここで、アルキル、シクロアルキルおよびアリール置換基は置換もしくは非置換である)であり、
式中、
12およびR13は独立してH、C−C10アルキル、−(CH0−6−Cシクロアルキル、−(CH0−6(CH)0−1(アリール)1−2、−C(O)−C−C10アルキル、−C(O)−(CH1−6−Cシクロアルキル、−C(O)−O−(CH0−6アリール、−C(O)−(CH0−6O−フルオレニル、−C(O)−NH−(CH0−6アリール、−C(O)−(CH0−6アリール、−C(O)−(CH1−6het(式中、アルキル、シクロアルキルおよびアリール置換基は置換もしくは非置換である)であるか;または細胞膜を通過する分子の移動を促進する置換基であるか、または
12およびR13は窒素と一体となってhetであり;そして
アリールは置換もしくは非置換であるフェニルまたはナフチルであり;
nは0、1または2である〕
の化合物が含まれる。
【0030】
非置換であるとは水素が唯一の置換基であることを意味する。
【0031】
ハロゲンはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素、とりわけフッ素および塩素である。
【0032】
特に記載がない限り、アルキル置換基には、直鎖または分枝鎖アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチルおよび分枝鎖ペンチル、n−ヘキシルおよび分枝鎖ヘキシル等が含まれる。
【0033】
シクロアルキル置換基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルが含まれる。
【0034】
式(VIII)の化合物およびそれらの製造法は、WO 04/005284に記載されており、これを出典明示により本明細書の一部とする。
【0035】
各々の場合において、特許出願の記載が存在するとき、化合物に関する主題を参照により本明細書の一部とする。同様に、上記化合物の薬学的に許容される塩、対応するラセマート、ジアステレオマー、エナンチオマー、タウトマー、ならびに対応する結晶形、存在する場合、例えばそれらに記載されている溶媒和物、水和物および多型が含まれる。本発明の組合せ剤において有効成分として使用する化合物は、それぞれ文献に記載のとおりに製造および投与することができる。2種類以上の別個の上記有効成分の組合せ剤も本発明の範囲内であり、すなわち本発明の範囲内の組合せ剤には、3種以上の有効成分を含んでいてもよい。
【0036】
本発明の具体的な知見によって、下記のものを提供する:
1. a)式(I)または(IV)のSmacタンパク質がIAPに結合するのを阻害する化合物;と
b)少なくとも1種のタキサン
を含む組合せ医薬。
2. 必要とする対象における増殖性疾患の処置または予防法であって、当該対象に治療上有効量の式(I)または(IV)のSmacタンパク質がIAPに結合するのを阻害する化合物と、少なくとも1種のタキサンを、例えば同時に、または連続して共投与することを含んでなる方法。増殖性疾患の例には、例えば腫瘍、白血病および骨髄腫が含まれる。
3. 上記2)の方法に使用するための上記1)に記載の組合せ医薬。
4. 上記2)の方法に用いる医薬の製造に使用するための、上記1)に記載の組合せ医薬。
【0037】
上記方法における本発明の組合せ剤の有用性は、例えば下記のとおりの、動物試験ならびに臨床試験において示すことができる。
【0038】
驚くべきことに、本発明者らは、Smacタンパク質がIAPに結合するのを阻害する化合物とタキサンの組合せ剤が治療特性を有すること、これが増殖性疾患の処置にとりわけ有効であることを見出した。
【0039】
他の態様において、本発明は、処置を必要とする哺乳類に、治療上有効量のSmacタンパク質がIAPに結合するのを阻害する化合物とタキサンまたはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグの組合せ剤を投与することを含む、増殖性疾患の処置法を提供する。
【0040】
他の態様において、Smacタンパク質がIAPに結合するのを阻害する化合物は、上記式(I)および(IV)の化合物から選択される。
【0041】
好ましくは、本発明は増殖性疾患を有する哺乳類、とりわけヒトの処置法であって、処置を必要とする哺乳類に、阻害量のSmacタンパク質がIAPに結合するのを阻害する化合物とタキサンまたはその薬学的に許容される塩の組合せ剤を投与することを含んでなる方法を提供する。
【0042】
本明細書において、「処置」なる用語には、疾患に罹るおそれがある対象または疾患を有する疑いのある患者、ならびに病気の患者の処置を含む、予防または予防的処置、ならびに治療または疾患抑制処置の両方が含まれる。この用語はさらに、疾患の進行の遅延のための処置を含む。
【0043】
「治療」なる用語は、本明細書において使用するとき、増殖性疾患を含むエピソードの進行の処置に有効であることを意味する。
【0044】
「予防」なる用語は、増殖性疾患を含む疾患の発症または再発の予防を意味する。
【0045】
「進行の遅延」なる用語は、本明細書において使用するとき、例えば対応する疾患の前病態が診断されている患者または例えば医薬処置中の状態または偶発的に発生する状態であって、対応する疾病の進行が予測される患者あって、当該疾患の前段階または初期病状にある患者に活性化合物を投与することを意味する。
【0046】
この予期し得ない特性は、Smacタンパク質がIAPに結合するのを阻害する化合物とタキサンの組合せの使用が増殖性疾患の処置用医薬の製造のためにとりわけ有用であることを意味する。
【0047】
Smacタンパク質がIAPに結合するのを阻害する化合物とタキサンの組合せが増殖性疾患の処置にとりわけ適しており、良好な治療マージンおよび他の利点を有することを示すために、臨床試験を当業者に既知の方法で行うことができる。
【0048】
A.組合せ処置
(a)タキサン:および
(b)IAP阻害剤(ここで、有効成分はそれぞれの場合において、遊離形または薬学的に許容される塩形である);ならびに所望により少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む組合せ剤を、以後本発明の組合せ剤と称する。
【0049】
適当な臨床試験は、例えば、増殖性疾患を有する患者におけるオープンラベル、用量漸増試験である。かかる試験によってとりわけ、本発明の組合せ剤の有効成分の相乗効果が証明される。有利な効果は、当業者に既知のこれらの試験結果そのものによって直接測定することができる。かかる試験は、とりわけ、有効成分を使用するモノセラピーと本発明の組合せ剤の効果を比較するのに適している。好ましくは:
・薬剤(a)の用量を最大耐用量に達するまで漸増し;そして
・薬剤(b)を固定用量で投与する。
【0050】
あるいは、薬剤(a)を固定用量で、そして薬剤(b)の用量を漸増する。各患者は薬剤(a)を毎日または断続的に投与される。処置の効果をかかる試験において、例えば12、18または24週後に、6週間毎の症状スコアーの評価によって決定することができる。
【0051】
本発明の組合せ医薬の投与によって、有利な効果、例えば症状の軽減、進行の遅延または阻害の点での例えば相乗効果のみならず、さらなる驚くべき有利な効果、例えば副作用の減少、生活の質の改善または致死率の減少が、本発明の組合せ剤において使用される薬学的有効成分の1種のみを使用するモノセラピーと比較して、もたらされる。
【0052】
さらなる利点は、本発明の組合せ剤の有効成分の使用する用量をより少なくすることができることであり、例えばしばしば投与量を少なくする必要があるのみならず、より少ない頻度で使用することである。これは副作用の発生または重症度を減少させることができる。これは、処置する患者の要求および必要に従うものである。
【0053】
本明細書において使用される「共投与」または「組合せ投与」等の用語は、選択された治療薬剤を1人の患者に投与することを含み、必ずしも薬剤を同じ投与経路で、または同時に投与しない処置レジメンを含む。
【0054】
増殖性疾患を標的とするかまたは予防するのに共同的に治療上有効な量の本発明の組合せ剤を含む医薬組成物を提供することが、本発明の目的のひとつである。この組成物において、薬剤(a)および(b)は一緒に、連続的に、または別個に、1個の組合せ単位投与形で、または2個の別個の単位投与形で投与することができる。単位投与形はまた、固定された組合せ剤であり得る。
【0055】
薬剤(a)および(b)の個別投与のための、または固定された組合せ剤、すなわち少なくとも2種の組合せパートナー(a)および(b)を含む1個のガレヌス製剤での投与のための本発明の医薬組成物は、自体公知の方法で製造することができ、ヒトを含む哺乳類(温血動物)に経腸、例えば経口または直腸、および非経腸投与するのに適した、治療上有効量の少なくとも1種の薬理学的に活性な組合せパートナーを単独で、例えば上記の通り、または1種以上の薬学的に許容される担体もしくは希釈剤とともに含む、とりわけ経腸または非経腸投与に適したものである。
【0056】
適当な医薬組成物には、例えば約0.1%〜約99.9%、好ましくは約1%〜約60%の有効成分が含まれる。経腸または非経腸投与組合せ治療のための医薬製剤は、例えば単位投与形のもの、例えば糖衣錠、錠剤、カプセル剤または座薬、あるいはアンプルである。特に記載がない限り、これらは自体公知の方法、例えば常套の混合、造粒、糖コーティング、溶解または凍結乾燥手段で製造される。各投与形態の個々の投与量を含む組合せパートナーの単位成分は、必要な有効量が複数の単位投与量の投与によっても達成されるので、それ自体が有効量を構成する必要がないことが理解される。
【0057】
とりわけ、本発明の組合せ剤の各組合せパートナーの治療上有効量を、各々同時に、または連続的に、そして任意の順序で投与することができ、そして成分を別個に、または固定された組合せ剤として投与することができる。例えば、本発明の増殖性疾患の予防または処置法は、
(i)遊離形または薬学的に許容される塩形の第1の薬剤(a)を投与することおよび
(ii)遊離形または薬学的に許容される塩形の薬剤(b)を、同時に、または任意の順序で連続的に、共同的に治療上有効量で、好ましくは相乗効果量で、例えば本明細書に記載の量に対応する1日投与量で投与することを含んでいてもよい。個々の組合せパートナーを、治療コースの間に異なる時点で別個に、または異なるかまたは一個の組合せ形態で同時に投与することができる。さらに、「投与」なる用語はまた、インビボで組合せパートナーそれ自体に変換される組合せパートナーのプロドラッグの使用を包含する。本発明は、したがって、同時および/または異なる処置の全てのレジメンを含むと理解され、「投与」なる用語はそのように理解される。
【0058】
「組合せ製剤」なる用語は、本明細書において使用するとき、上記定義の組合せパートナー(a)および(b)を独立して、または異なる量の組合せパートナー(a)および(b)を含む、すなわち同時または異なる時点で使用することによって投与することができる、とりわけ「パーツのキット」を意味する。パーツのキットのパーツを、例えば同時にまたは時間を違えて、すなわち異なる時点で、そして等しいまたは異なる時間間隔で任意のパーツのキットのパーツを投与することができる。組合せ製剤において投与される組合せパートナー(a)の全量の組合せパートナー(b)の量に対する比は、例えば処置する患者亜群の必要または1人の必要に応えるために、変化し得る。
【0059】
使用される組合せパートナーの有効量は、使用する具体的な化合物または医薬組成物、投与形態、処置する状態、および/または処置する状態の重症度に依存して変化することがある。したがって、本発明の組合せ剤の投与レジメンは、投与経路、ならびに患者の腎臓および肝臓機能を含む様々な因子によって選択される。通常の知識を有する医師または臨床医は、状態を緩和、逆転または停止させるのに必要な1種の有効成分の有効量を、容易に決定し、そして予測することができる。毒性を示さない有効成分濃度を達成する正確な予測には、有効成分の標的部位に対する利用能の動力学に基づくレジメンが必要である。
【0060】
薬剤(a)または(b)の1日投与量は、様々な要素、例えば選択される化合物、処置する具体的な状態、および所望の効果に依存して、当然変化する。しかし一般的に、満足のいく結果が、1回投与量または分割投与量として、約0.03〜約5mg/kg/日、とりわけ0.1〜5mg/kg/日、例えば0.1〜2.5mg/kg/日のオーダーの1日投与速度で、薬剤(a)を投与することで達成される。薬剤(a)および(b)をあらゆる常套の経路、とりわけ経腸、例えば経口、例えば錠剤、カプセル剤、飲用液の形態で、または非経腸、例えば注射溶液または懸濁液の形態で投与することができる。経口投与のための好適な単位投与形態には、約0.02〜50mgの有効成分を、通常0.1〜30mgの例えば薬剤(a)または(b)を、薬学的に許容される希釈剤または担体と共に含む。
【0061】
薬剤(b)を、0.5〜1000mgの1日用量範囲でヒトに投与することができる。経口投与のための好適な単位投与形は、約0.1〜500mgの有効成分を、薬学的に許容される希釈剤または担体と共に含む。
【0062】
本発明の組合せ医薬の投与によって、有利な効果、例えば血液幹細胞の非制御的増殖の阻害、または白血病、例えば慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ球白血病(ALL)または急性骨髄性白血病(AML)の進行、あるいは腫瘍の増殖の遅延という点での相乗効果のみならず、さらなる驚くべき効果、例えば副作用の減少、生活の質の改善または致死率の減少が、本発明の組合せ剤において使用される薬学的有効成分の1種のみを使用するモノセラピーと比較して、もたらされる。
【0063】
さらなる利点は、本発明の組合せ剤の有効成分の使用する用量をより少なくすることができることであり、例えばしばしば投与量を少なくする必要があるのみならず、より少ない頻度で使用することである。これは副作用の発生または重症度を減少させることができる。これは、処置する患者の要求および必要に従うものである。
【0064】
Smacタンパク質がIAPに結合するのを阻害する化合物とタキサンの組合せ剤は、独立してまたは一体として、1種以上の薬学的に許容される担体、および所望により1種以上の常套の医薬アジュバントと組み合わせることができ、そして経腸、例えば経口的に、錠剤、カプセル剤、カプレット等の形態で、または非経腸、例えば腹腔内または静脈内に、滅菌注射溶液または懸濁液の形態で投与することができる。経腸または非経腸組成物は常套の方法で製造することができる。
【0065】
Smacタンパク質がIAPに結合するのを阻害する化合物とタキサンの組合せ剤を、単独で、またはこれらの病状に使用するための少なくとも1種の他の薬学的に活性な化合物と組み合わせて使用することができる。これらの活性化合物は、同じ医薬組成物に、あるいは組合せパートナーを独立して、または異なる量の異なる固定された組合せ剤の使用によって、すなわち同時にまたは異なる時点で投与することができるという意味における組合せ製剤の「パーツのキット」の形態で組み合わせることができる。パーツのキットのパーツを、例えば同時にまたは時間を違えて、すなわち異なる時点で、そして等しいまたは異なる時間間隔で任意のパーツのキットのパーツを投与することができる。Smacタンパク質がIAPに結合するのを阻害する化合物とタキサンの組合せ剤と組み合わせて使用することができる化合物の非限定的な例は、細胞毒性化学治療薬剤、例えばシトシンアラビノシド、ダウノルビシン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、VP−16またはイマチニブ等である。さらに、Smacタンパク質がIAPに結合するのを阻害する化合物とタキサンの組合せは、シグナル変換の他の阻害剤または顕著な相乗効果が期待できる他のがん遺伝子標的薬剤と組み合わせることができる。
【0066】
本発明の組合せ剤は、組合せ製剤または医薬組成物である。
【0067】
さらに、本発明は、増殖性疾患を有する温血動物の処置法であって、動物に、当該増殖性疾患に対して治療上有効である量の本発明の組合せ剤を投与することを含んでなる方法に関する。
【0068】
さらに、本発明は、増殖性疾患の処置のための、そして増殖性疾患の処置用医薬の製造のための、本発明の組合せ剤の使用に関する。
【0069】
さらに、本発明は有効成分として本発明の組合せ剤を、増殖性疾患の進行の遅延または処置において同時、個別または逐次使用するための指示書と共に含む商品パッケージを提供する。
【0070】
本発明の好ましい態様は:
・化合物Iとパクリタキセル;
・化合物IVとパクリタキセル;
・化合物Iとドセタキセル;および
・化合物IVとドセタキセルを含む組合せ剤である。
【0071】
さらなる局面において、本発明は、下記のものを提供する:
・(a)有効成分がそれぞれの場合において遊離形または薬学的に許容される塩形、またはその水和物である、本発明の組合せ剤;および所望により
(b)少なくとも1種の薬学的に許容される担体;
を含む、同時、個別または逐次使用のための組合せ剤;
・(a)増殖性疾患に対して共同的に治療上有効量の本発明の組合せ剤;と
(b)少なくとも1種の薬学的に許容される担体;
を含む医薬組成物;
・増殖性疾患の処置のための、本発明の組合せ剤の使用;
・増殖性疾患の処置用医薬の製造のための、本発明の組合せ剤の使用;
・Smacタンパク質がIAPに結合するのを阻害する化合物が式(I)の化合物である本発明の組合せ剤の使用;および
・Smacタンパク質がIAPに結合するのを阻害する化合物が式(IV)の化合物である本発明の組合せ剤の使用。
【0072】
とりわけ、本発明は、
(a)タキサン;および
(b)Smacタンパク質がIAPに結合するのを阻害する化合物
を含む組合せ剤に関する。
【0073】
さらにとりわけ、本発明は:
(a)タキサンの1個以上の単位投与形;と
(b)Smacタンパク質がIAPに結合するのを阻害する化合物の1個以上の単位投与形;
を含む組合せ製剤に関する。
【0074】
さらにとりわけ、本発明は、増殖性疾患の処置用医薬の製造のための:
(a)タキサン;と
(b)Smacタンパク質がIAPに結合するのを阻害する化合物;
を含む組合せ剤の使用に関する。
【0075】
B.処置する疾患
「増殖性疾患」なる用語には、これらに限定されないが、腫瘍、乾癬、再狭窄、強皮症および線維症が含まれる。
【0076】
血液学的悪性腫瘍なる用語は、とりわけ白血病、とりわけBcr−Abl、c−KitまたはHDACを発現するもの(またはBcr−Abl、c−KitまたはHDACに依存するもの)に関し、これらに限定されないが、CMLおよびALL、とりわけフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ球白血病(Ph+ALL)、ならびにイマチニブ抵抗性白血病を含む。白血病、例えばCML、ALLまたはAMLに対して本発明の組合せ剤の使用がとりわけ好ましい。Gleevec(登録商標)として市販されているイマチニブに抵抗性を示す疾患における使用がとりわけ好ましい。
【0077】
「固形腫瘍疾患」なる用語は、とりわけ卵巣がん、乳がん、結腸および一般的な胃腸管のがん、頸部がん、肺がん、例えば小細胞性肺がんおよび非小細胞性肺がん、頭部および頸部のがん、膀胱がん、前立腺がんまたはカポジ肉腫を意味する。
【0078】
上記タンパク質キナーゼ、とりわけ本明細書に記載のチロシンタンパク質キナーゼ活性を阻害する本発明の組合せ剤は、したがって、タンパク質キナーゼ依存疾患の処置に使用することができる。タンパク質キナーゼ依存疾患は、とりわけ増殖性疾患、好ましくは良性もしくはとりわけ悪性腫瘍、例えば、腎臓、脳、肝臓、副腎、膀胱、胸部、胃(とりわけ胃腫瘍)卵巣、結腸、直腸、前立腺、膵臓、肺(とりわけSCLC)、膣または甲状腺の癌腫、肉腫、多発性骨髄腫、グリア芽腫ならびに頸部および頭部の様々な腫瘍、ならびに白血病;とりわけ結腸癌腫または結直腸線腫、または頸部および頭部の腫瘍、上皮過増殖、とりわけ乾癬、前立腺過形成、とりわけ上皮形質の新生物、好ましくは乳房癌腫、または白血病である。それらは腫瘍の退行をもたらすこと、および腫瘍転移の形成および転移(および微小転移)増殖を予防することが可能である。さらに、それらは上皮過増殖、例えば乾癬;前立腺過形成;およびとりわけ上皮形質の新生物、例えば乳房癌腫の処置に使用することができる。本発明の組合せ剤を、様々な、とりわけ1個のチロシンタンパク質キナーゼが関与する免疫系の疾患の処置に使用することが可能であり、さらに、本発明の組合せ剤は、少なくとも1個のチロシンタンパク質キナーゼ、とりわけ上記のものから選択されるものによるシグナル伝達が関与する中枢または末梢神経系の疾患の処置に使用することもできる。
【0079】
CMLにおいて、造血幹細胞(HSC)の相互にバランスのとれた染色体転座がBcr−Ablハイブリッド遺伝子を生産する。後者は発がんBcr−Abl融合タンパク質をコード化する。Ablは、細胞増殖、接着およびアポトーシスに基本的な役割を果たす、厳密に制御されたタンパク質チロシンキナーゼをコード化するが、Bcr−Abl融合遺伝子は、HSCを形質転換して、脱制御クローン増殖を示し、骨髄間質に接着する能力が減少し、そして進行的により悪性な形質転換を集積させる変異原生刺激に対するアポトーシス性応答が減少した表現型を生み出す構造的に活性化されたキナーゼとしてコード化する。得られた顆粒球は成熟リンパ球になることができずに循環系に放出されて、成熟細胞の不足と、感染に対する感受性の増加をもたらす。Bcr−AblのATP競合阻害剤はキナーゼのマイトジェン経路および抗アポトーシス経路(例えばP−3キナーゼおよびSTAT5)の活性化を防ぎ、Bcr−Abl表現型細胞の死をもたらし、したがってCMLに対して有効な治療を提供することが知られている。したがって、本発明の組合せ剤はとりわけ、過剰発現に関連した疾患、とりわけ白血病、例えばCMLまたはALLの治療に適している。
【0080】
本発明のより広い意味において、増殖性疾患には過増殖性状態、例えば白血病、過形成、線維症(とりわけ他のタイプでもあり得るが肺の線維症、例えば腎線維症)、血管形成、乾癬、アテローム性動脈硬化症;および血管における平滑筋増殖、例えば狭窄または血管形成後の再狭窄が含まれる。他の局面において本発明の組合せ剤は、関節炎の処置に使用することができる。
【0081】
本発明の組合せ剤はまた、繊維形成障害、例えば強皮症(全身性硬化症);タンパク質凝集およびアミロイド形成に関係する疾患、例えばハンチントン病の処置または予防;C型肝炎ウイルスの複製阻害およびC型肝炎ウイルスの処置;ウイルス、例えばヒトパピローマウイルス感染に関係する腫瘍の処置;および熱ショックタンパク質に依存するウイルスの阻害に使用することができる。
【0082】
本発明の組合せ剤は、一次的に、血管の増殖を阻害し、したがって、例えば脱制御された血管形成に関係した疾患、とりわけ眼新血管形成によって引き起こされる疾患、とりわけ網膜症、例えば糖尿病性網膜症、加齢性黄斑変性;乾癬;血管芽腫、例えば血管腫;メサンギウム増殖性障害、例えば慢性または急性腎疾患、例えば糖尿病性ネフロパシー;悪性腎硬化症;血栓性微小血管症候群または移植片拒絶;またはとりわけ炎症性腎疾患、例えば糸球体腎炎、とりわけメサンギウム増殖性糸球体腎炎;溶血性尿毒症候群;糖尿病性ネフロパシー;高血圧性腎硬化症;アテローム;動脈再狭窄;自己免疫性疾患;糖尿病;子宮内膜症;慢性喘息;およびとりわけ腫瘍疾患(固形腫瘍、および白血病および他の血液学的悪性腫瘍)、例えばとりわけ乳癌、結腸がん、肺がん(とりわけ小細胞性肺がん)、前立腺がんまたはカポジ肉腫に対して有効である。本発明の組合せ剤は、腫瘍の増殖を阻害し、そしてとりわけ、腫瘍の転移性拡大および微小転移の増殖の予防に適している。
【0083】
本発明の組合せ剤はとりわけ、下記疾患の処置に使用することができる:
(i)乳がん;類上皮腫、例えば類上皮頭部および/または頸部腫瘍、または口腔腫瘍;肺がん、例えば小細胞性および非小細胞性肺がん;消化器の腫瘍、例えば結直腸がん;または泌尿生殖器の腫瘍、例えば前立腺がん、とりわけホルモン難治性前立腺がん;
(ii)他の化学治療での処置に難治性である増殖性疾患;または
(iii)多剤耐性のために他の化学治療での処置に難治性である腫瘍。
【実施例】
【0084】
実施例1
卵巣癌腫系SKOV3において、ドセタキセルと式(III)の化合物の組合せ剤は、インビトロで顕著な相乗効果をもたらす。図1は式(III)の化合物のみ(最も下の行)、ドセタキセルのみ(最も左の列)、および用量範囲の2種の薬剤の組合せの、抗増殖性活性を示す。
図2は70%増殖阻害のアイソボログラムに対応する。
【0085】
実施例2
式(III)の化合物とパクリタキセルの組合せが、同所性乳がんモデルMDA−MB−231において、1つの薬剤として投与した各薬剤と比較して、優れた抗腫瘍活性を有する。確立した腫瘍を、図2に示す投与レジメンで2週間処置した。
【0086】
実施例3
図4は、黒色腫細胞系A375において、タキソールの抗増殖性活性が式(III)の化合物との組合せによって劇的に上昇することを示す。上の曲線はA375における3日間増殖アッセイで、タキソールのみの用量応答を示す。下の2つの曲線は、式(III)の化合物6μMまたは12μMの存在下でのタキソール用量応答を示す。
式(III)の化合物は、A375において単独では活性を示さない(データは示さず)。
【0087】
実施例4
IAP阻害化合物、例えばLBW242は、インビトロで、一定数の腫瘍細胞系に対して1個で薬剤活性を示す。タキソールとの組合せにおいて、細胞系のより多くがIAP阻害剤に応答であるかを決定するため、タキソール用量応答評価をLBW242の存在下または不在下で、下記がんを有する10〜12種の腫瘍細胞系で行う:肺、卵巣、黒色腫、膵臓。組合せ活性の評価(相加または相乗)に使用する基準は、タキソールのみと比較して、LBW242との組合せにおいてタキソールのIC50が5倍強力にシフトするものが最小である。LBW242のモノセラピーに応答性である腫瘍細胞系、例えばMDA231およびSKOV3は、タキソールとの組合せ活性も示す。試験した全てのがんタイプにおいて、IAP阻害化合物は1個で薬剤活性を示さないが、タキソールへの応答性を上昇させる腫瘍細胞系が同定される。したがって、細胞毒性薬剤との組合せでLBW242に応答性である腫瘍細胞系の範囲は、1種の薬剤としての応答範囲よりもわずかに大きい。
【0088】
LBW242、LCJ917、LCP656およびLCL161は、XIAPおよびCIAP1のBIRドメインに対してnM親和性を有するSmac模倣小分子である。アポトーシスタンパク質阻害剤(IAP)は腫瘍細胞をアポトーシス細胞死から保護すると考えられているため、かかる薬剤が腫瘍細胞をアポトーシス性刺激に敏感にすることは明らかであった。興味深いことに、かかる薬剤は、理由は不明であるが狭い範囲の腫瘍細胞に対して1種の薬剤としての活性を含む抗増殖性/アポトーシスを有する。これらの薬剤に応答する腫瘍細胞系のスペクトラムが細胞毒性薬剤タキソールとの組合せでより広がるかを決定するため、本発明者らは、ヒトのがんの多くを示す一連の腫瘍細胞系を、インビトロ組合せ分析に供する。
【0089】
材料および方法
PBS中、pH6〜6.5のMTS試薬(#G1111;Promega)。フェナジンメタスルフェート(PMS)(#P−5812;Sigma)。96ウェル組織培養プレート(#3585;Corning Costar)。RPMI1640細胞培養培地(#22400−071;Invitrogen)。ペニシリン/ストレプトマイシン(#15140−122;Invitrogen)。胎児ウシ血清(#10082−139;Invitrogen)。(注:RPMI1640+10%FBS+ペニシリン/ストレプトマイシンは、「RPMI/10% FBS完全培地」である)。0.25%トリプシン−EDTA(#25200−056;Invitrogen)。IAP阻害化合物LBW242、LCJ917、LCP656およびLCL161をDMSOに10mMの濃度で溶解し、−20℃で保存する。腫瘍細胞系をATCCから購入する。
【0090】
MTSアッセイ
細胞増殖/細胞死を72時間で分析する。3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム分子内塩(MTS)アッセイ。腫瘍細胞系を亜コンフルーエント密度で96ウェルプレートフォーマットに播種し、12〜16時間接着させる。Cpdsを下記スキームに従って加える:i.化学治療薬剤または細胞毒性化合物(Ctx)を単独で、高用量から低用量へ8点/10倍希釈3連スキームで加える。ii.IAP−阻害剤(NVP−LBW242)を単独で、固定用量(用量は単独MTSアッセイで決定した)、3連で加える。iii.Ctx薬剤(8点/10倍スキーム)およびLBW242(単独固定用量)を同時に3連で共に加える。全ての投与が完成すると、細胞をさらに72時間培養して、MTSフォーマットを使用してアッセイする:
【0091】
1日目
1.RPMI/10% FBS完全培地中に細胞を播種する。開始時間0(T.0)プレートおよび各細胞系に適当な実験(EXP)プレート。各プレートは培養培地(CM)のみを(ブランク)ウェルに含む(200μl/ウェル)。
2.さらなる「ブランク」プレートはブランクウェルを含む:中央の24ウェルには100μlのCM/ウェルを含む12ウェルと、110μlのCM/ウェルを含む12ウェルが含まれる。その周囲のウェルは全て、200μlのCM/ウェルを含む。
3.細胞を37℃/5%COで最大5分間トリプシン化し、トリプシンをCMでクエンチし、細胞を96ウェルプレートに90μl/ウェルで播種する。細胞を各細胞系に適切な密度で播種する(適切な細胞密度によって最適な細胞増殖が達成され、これはT.0のOD490値が0.3〜0.8であることによって反映される。)。90μlのCMをT.0プレートの6個のブランクウェルに加え、200μlのCMを全ての周囲のウェルに加える。200μlのCMをExpプレートの全ての外側のウェルに加える。プレートを37℃/5%COで24(T.0プレート)〜96時間(EXPプレート)培養する。
【0092】
0日目
1.MTS/PMS試薬をT.0プレートに加える。各試薬20μl/ウェルを十分に混合する(2ml 333μg/ml MTS試薬/96ウェルプレートあたり、100μl、500μMのPMS)。20μlの混合物を各ウェルに加え、プレートを2時間、37℃/5%COでインキュベートする。Molecular Devices(Sunnyvale, CA)分光光度計のSoftMax Pro softwareを使用してOD490nmを読み取る。各細胞系のT.0値を、各細胞系のT.0ウェル(6/細胞系)から読み取ったOD490nmの平均値を求めて、ブランクウェルから平均OD490nm値を外挿することによってアッセイするために、計算する。
2.EXPプレートに適当な化合物を図5に示すスキームで3連で投与する。プレートを37℃/5%COで72時間インキュベートする。
【0093】
3日目
1.MTS/PMS試薬をEXPプレートに加える。各試薬20μl/ウェルを十分に混合する(2ml、333μg/ml MTS試薬/96ウェルプレートあたり100μl、500μM PMS)。20μlの混合物を各ウェルに加え、プレートを2時間、37℃/5%COでインキュベートする。Molecular Devices分光光度計のSoftMax Pro softwareを使用してOD490nmを読み取る。MTSデータを下記のとおり求める:
%CGを、3連の結果(ブランク培地値を外挿する)を平均して、下記の通り計算する:
処置OD>T.0 ODのとき:%CG=
100×[(処置OD−T.0 OD)/(未処置72時間OD−T.0 OD)]
処置OD<T.0 ODのとき:%CG=
100×[(処置OD−T.0 OD)/T.0 OD]。
【0094】
IAP阻害剤用量レベルの選択
IAP阻害剤を、1種で固定投与量10μM(上記アッセイでは12μM)で、化合物が1種の薬剤としては効果を示さない(IC50>10μM)系において使用する。
IAP阻害剤を、1種で、70〜80%対照細胞増殖(%CG)(IC20〜IC30用量)が得られる固定投与量で、化合物が1種の薬剤としては単独で中程度の(IC50、1〜10μM)活性を示す系において使用する。
多くの場合、具体的な細胞系における固定投与量は、MTSアッセイにおける実験的データを得ることによって決定される。
【0095】
組合せ活性と呼ぶための基準
タキソール単独と比較してIC50用量において≧5倍強力にシフトを示すが、同様の条件下でLBW242それ自体は<70%CG(IC30)をもたらさない組合せを、組合せ活性ありと記録する。
相乗効果の真の評価には、組合せパートナーの固定比滴定および組合せ指標の決定が必要である。上記基準は、正式に相乗および相加効果を区別していない。
【0096】
卵巣腫瘍細胞系:
図5 タキソール+100nM N−(1−シクロヘキシル−2−{2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、OVCAR−4における組合せ
図6 タキソール+1μM N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル)−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、OVCAR−4における組合せ
図7 タキソール+10μM N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル)−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、TOV 21Gにおける組合せ
図8 タキソール+80nM N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル)−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドのSKOV−3における組合せ
【0097】
黒色腫がん細胞系:
図9 タキソール+10μM N−(1−シクロヘキシル−2−{2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、SKMEL−2における組合せ
図10 タキソール+10μM N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル)−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、SKMEL−2における組合せ
図11 タキソール+10μM N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル)−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、MEWOにおける組合せ
図12 タキソール+10μM N−(1−シクロヘキシル−2−{2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、A375における組合せ
図13 タキソール+1μM N−[1−シクロヘキシル−2−(2−{2−[(4−フルオロ−フェニル)−メチル−アミノ]−ピリジン−4−イル}−ピロリジン−1−イル)−2−オキソ−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、A375における組合せ
図14 タキソール+6μM N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル)−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、A375における組合せ
図15 タキソール+10μM N−(1−シクロヘキシル−2−{2−[5−(4−フルオロ−ベンゾイル)−ピリジン−3−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、A375における組合せ
図16 タキソール+10μM N−(1−シクロヘキシル−2−{2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、A375における組合せ
図17 タキソール+1μM N−[1−シクロヘキシル−2−(2−{2−[(4−フルオロ−フェニル)−メチル−アミノ]−ピリジン−4−イル}−ピロリジン−1−イル)−2−オキソ−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、A375における組合せ
図18 タキソール+10μM N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル)−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、A375における組合せ
図19 タキソール+10μM N−(1−シクロヘキシル−2−{2−[5−(4−フルオロ−フェノキシ)−ピリジン−3−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、A375における組合せ
【0098】
肺腫瘍細胞系:
図20 タキソール+10μM N−(1−シクロヘキシル−2−{2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、NCI−H030における組合せ
図21 タキソール+2μM N−(1−シクロヘキシル−2−{2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、NCI−H3における組合せ
図22 タキソール+0.5μM N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル)−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、SK−LU−1における組合せ
図23 タキソール+7μM N−(1−シクロヘキシル−2−{2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、NCI−H441における組合せ
図24 タキソール+N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル)−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、NCI−H441における組合せ
図25 タキソール+4μM N−(1−シクロヘキシル−2−{2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、A−427における組合せ
図26 タキソール+10μM N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル)−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの、A−427における組合せ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)式(I)
【化1】

〔式中、
はH、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−CアルキニルまたはC−C10シクロアルキル(これらは置換もしくは非置換である)であり;
はH、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−CアルキニルまたはC−C10シクロアルキル(これらは置換もしくは非置換である)であり;
はH、−CF、−C、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、−CH−Zであり、
式中、Zは、H、−OH、F、Cl、−CH、−CF、−CHCl、−CHFまたは−CHOHであるか、または
およびRは窒素と一体となってhet環を形成し;
はC−C16直鎖もしくは分枝鎖アルキル、C−C16アルケニル、C−C16アルキニルまたは−C−C10シクロアルキル、−(CH1−6、−(CH0−6アリールまたは−(CH0−6het(ここで、アルキル、シクロアルキルおよびフェニルは置換もしくは非置換である)であり、
式中、
は−N(R)−C(O)−C−C10アルキル、−N(R)−C(O)−(CH1−6−Cシクロアルキル、−N(R)−C(O)−(CH0−6フェニル、−N(R)−C(O)−(CH1−6het、−C(O)−N(R)(R10)、−C(O)−O−C−C10アルキル、−C(O)−O−(CH1−6−Cシクロアルキル、−C(O)−O−(CH0−6フェニル、−C(O)−O−(CH1−6het、−O−C(O)C−C10アルキル、−O−C(O)−(CH1−6−Cシクロアルキル、−O−C(O)−(CH0−6フェニル、−O−C(O)−(CH1−6het(ここで、アルキル、シクロアルキルおよびフェニルは置換もしくは非置換である)であり;そして
hetはN、OおよびSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5〜7員ヘテロ環式環であるか、またはN、OおよびSから選択される1、2または3個のヘテロ原子を含む5〜7員ヘテロ環式環を少なくとも1個含む、8〜12員縮合環系(これらヘテロ環式環または縮合環系は炭素または窒素原子で置換もしくは非置換である)であり、
式中、
はH、−CH、−CF、−CHOHまたは−CHClであり;
およびR10は各々独立して、H、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、
−(CH1−6−Cシクロアルキル、−(CH0−6フェニル(ここで、アルキル、シクロアルキルおよびフェニルは置換もしくは非置換である)であるか、または
およびR10は窒素と一体となってhetを形成し;
はH、C−C10アルキル、アリール、フェニル、C−Cシクロアルキル、−(CH1−6−Cシクロアルキル、−C−C10アルキル−アリール、−(CH0−6−Cシクロアルキル−(CH0−6フェニル、−(CH)0−4CH−((CH)1−4フェニル)、−(CH0−6CH(フェニル)、−インダニル、−C(O)−C−C10アルキル、−C(O)−(CH1−6−C−シクロアルキル、−C(O)−(CH0−6フェニル、−(CH0−6C(O)−フェニル、−(CH0−6het、−C(O)−(CH1−6hetであるか、または
はアミノ酸残基(ここで、アルキル、シクロアルキル、フェニルおよびアリール置換基は置換もしくは非置換である)であり;そして
Uは式(II):
【化2】

{式中、
nは0〜5であり;
Xは−CHまたはNであり;
RaおよびRbは独立して、O、SもしくはN原子であるか、またはC−Cアルキル(ここで、アルキル鎖の1個以上の炭素原子はO、SおよびNから選択されるヘテロ原子で置換されていてもよく、アルキルは置換もしくは非置換である)であり;
Rdは:
(a)−Re−Q−(Rf)p(Rg)q;または
(b)AR−D−AR
〈式中、
pおよびqは独立して0または1であり;
ReはC−Cアルキルまたはアルキリデンであり、そして
Reは非置換であるかまたは置換されていてよく;
QはN、O、S、S(O)、またはS(O)であり;
ARおよびARは置換もしくは非置換アリールまたはhetであり;
RfおよびRgは各々独立してH、−C−C10アルキル、C−C10アルキルアリール、−OH、−O−C−C10アルキル、−(CH0−6−Cシクロアルキル、−O−(CH0−6アリール、フェニル、アリール、フェニル−フェニル、−(CH1−6het、−O−(CH1−6het、−OR11、−C(O)−R11、−C(O)−N(R11)(R12)、−N(R11)(R12)、−S−R11、−S(O)−R11、−S(O)−R11、−S(O)−NR1112、−NR11−S(O)−R12、S−C−C10アルキル、アリール−C−Cアルキル、het−C−C−アルキル(ここで、アルキル、シクロアルキル、hetおよびアリールは置換もしくは非置換である)、−SO−C−Cアルキル、−SO−C−Cアルキルフェニル、−O−C−Cアルキルであるか、または
RgおよびRfは、hetおよびアリールから選択される環を形成し;
Dは−CO−、−C(O)−C−Cアルキレンまたはアリーレン、−CF−、−O−、−S(O)r(ここで、rは0〜2である)、1,3−ジオキソランまたはC−Cアルキル−OH(ここで、アルキル、アルキレンまたはアリーレンは非置換であるかまたは、1個以上のハロゲン、OH、−O−C−Cアルキル、−S−C−Cアルキルまたは−CFで置換されていてもよい)であるか、または
Dは−N(Rh)であり、式中、RhはH、C−Cアルキル(置換もしくは非置換)、アリール、−O(C−Cシクロアルキル)(置換もしくは非置換)、C(O)−C−C10アルキル、C(O)−Co−C10アルキル−アリール、C−O−C−C10アルキル、C−O−Co−C10アルキル−アリールまたはSO−C−C10−アルキル、SO−(Co−C10−アルキルアリール)である〉
から選択され;
RcはHであるか、または
RcおよびRdは一体となってシクロアルキルまたはhetを形成してもよく、ここでRdおよびRcがシクロアルキルまたはhetを形成するとき、Rは形成される環とCまたはN原子で結合しており;
、R、R’およびR’は各々独立してH、−C−C10アルキル、−C−C10アルコキシ、アリール−C−C10アルコキシ、−OH、−O−C−C10アルキル、−(CH0−6−Cシクロアルキル、−O−(CH0−6アリール、フェニル、−(CH1−6het、−O−(CH1−6het、−OR11、−C(O)−R11、−C(O)−N(R11)(R12)、−N(R11)(R12)、−S−R11、−S(O)−R11、−S(O)−R11、−S(O)−NR1112、−NR11−S(O)−R12(ここで、アルキル、シクロアルキルおよびアリールは置換もしくは非置換である)であり;そして
、R、R’およびR’は一体となって環系を形成していてもよく、
式中、
11およびR12は独立してH、C−C10アルキル、−(CH0−6−Cシクロアルキル、−(CH0−6(CH)0−1(アリール)1−2、−C(O)−C−C10アルキル、−C(O)−(CH1−6−Cシクロアルキル、−C(O)−O−(CH0−6アリール、−C(O)−(CH0−6O−フルオレニル、−C(O)−NH−(CH0−6アリール、−C(O)−(CH0−6アリール、−C(O)−(CH1−6het、−C(S)−C−C10アルキル、−C(S)−(CH1−6−Cシクロアルキル、−C(S)−O−(CH0−6アリール、−C(S)−(CH0−6O−フルオレニル、−C(S)−NH−(CH0−6アリール、−C(S)−(CH0−6アリール、−C(S)−(CH1−6het(ここで、アルキル、シクロアルキルおよびアリールは置換もしくは非置換である)であるか、または
11およびR12は、細胞膜を通過する分子の移動を促進する置換基であるか、または
11およびR12は窒素原子と一体となって、hetを形成し、
式中、
11およびR12のアルキル置換基は、非置換であるか、またはC−C10アルキル、ハロゲン、OH、−O−C−Cアルキル、−S−C−Cアルキルおよび−CFから選択される1個以上の置換基によって置換されていてもよく;
11およびR12の置換シクロアルキル置換基はC−C10アルケン、C−Cアルキル、ハロゲン、OH、−O−C−Cアルキル、−S−C−Cアルキルおよび−CFから選択される1個以上の置換基によって置換されており;そして
11およびR12の置換フェニルまたはアリールは、ハロゲン、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ニトロ、−CN、−O−C(O)−C−Cアルキルおよび−C(O)−O−C−Cアリールから選択される1個以上の置換基によって置換されている}
で示されるとおりである〕
の、Smacタンパク質がアポトーシスタンパク質阻害剤(IAP)に結合するのを阻害する化合物またはその薬学的に許容される塩、または式(IV)
【化3】

〔式中、
はHであり;
はH、C−Cアルキル(これは、非置換であるかまたは、ハロゲン、−OH、−SH、−OCH、−SCH、−CN、−SCNおよびニトロから選択される1個以上の置換基によって置換されている)であり;
はH、−CF、−C、−CH−Z(式中、ZはH、−OH、F、Cl、−CH、−CF、−CHCl、−CHFまたは−CHOHである)であるか、または
およびRは窒素原子と一体となって、C−Cヘテロ脂肪族環を形成し;
はC−C16直鎖アルキル、C−C10分枝鎖アルキル、−(CH0−6−Cシクロアルキル、−(CH1−6、−(CH0−6フェニルおよび−(CH0−6het(ここで、アルキル、シクロアルキルおよびフェニル置換基は置換もしくは非置換である)であり、
式中、
は−N(R)−C(O)−C−C10アルキル、−N(R)−C(O)−(CH1−6−Cシクロアルキル、−N(R)−C(O)−(CH0−6フェニル、−N(R)−C(O)−(CH1−6het、−C(O)−N(R10)(R11)、−C(O)−O−C−C10アルキル、−C(O)−O−(CH1−6−Cシクロアルキル、−C(O)−O−(CH0−6フェニル、−C(O)−O−(CH1−6het、−O−C(O)−C−C10アルキル、−O−C(O)−(CH1−6−Cシクロアルキル、−O−C(O)−(CH0−6フェニル、−O−C(O)−(CH1−6het(ここで、アルキル、シクロアルキルおよびフェニル置換基は置換もしくは非置換である)であり、
式中、
はH、−CH、−CF、−CHOHまたはCHClであり;
10およびR11は各々独立して、H、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、
−(CH1−6−Cシクロアルキル、−(CH0−6フェニル(ここで、アルキル、シクロアルキルおよびフェニル置換基は置換もしくは非置換である)であるか、または
10およびR11は窒素と一体となってhetであり;
hetはN、OおよびSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5〜7員ヘテロ環式環であるか、またはN、OおよびSから選択される1、2または3個のヘテロ原子を含む5〜7員ヘテロ環式環を少なくとも1個含む、8〜12員縮合環系(これらヘテロ環式環または縮合環系は非置換であるか、または炭素原子でハロゲン、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ニトロ、−O−C(O)−C−Cアルキルまたは−C(O)−O−C−Cアルキルで置換されているか、あるいは窒素でC−Cアルキル、−O−C(O)−C−Cアルキルまたは−C(O)−O−C−Cアルキルで置換されている)であり、;
XはCHまたはNであり;
はH、C−C10アルキル、C−Cシクロアルキル、−(CH1−6−Cシクロアルキル、−C−C10アルキル−アリール、−(CH0−6−Cシクロアルキル−(CH0−6フェニル、−(CH)0−4CH−((CH)1−4フェニル)
−(CH0−6CH(フェニル)、−C(O)−C−C10アルキル、−C(O)−(CH1−6−Cシクロアルキル、−C(O)−(CH0−6フェニル、−(CH1−6het、−C(O)−(CH1−6hetであるか、または
はアミノ酸残基であり、ここで、アルキル、シクロアルキル、フェニルおよびアリール置換基は置換もしくは非置換であり;
はH、メチル、エチル、−CF、−CHOHまたは−CHClであるか、または
およびRは窒素と一体となってhetであり;
およびRは環の1位でアシル置換基とシスであり、そして各々独立してH、−C−C10アルキル、−OH、−O−C−C10アルキル、−(CH0−6−Cシクロアルキル、−O−(CH0−6アリール、フェニル、−(CH1−6het、−O−(CH1−6het、−N(R12)(R13)、−S−R12、−S(O)−R12
−S(O)−R12、−S(O)−NR1213(ここで、アルキル、シクロアルキルおよびアリール置換基は置換もしくは非置換である)であり、
式中、
12およびR13は独立してH、C−C10アルキル、−(CH0−6−Cシクロアルキル、−(CH0−6(CH)0−1(アリール)1−2、−C(O)−C−C10アルキル、−C(O)−(CH1−6−Cシクロアルキル、−C(O)−O−(CH0−6アリール、−C(O)−(CH0−6O−フルオレニル、−C(O)−NH−(CH0−6アリール、−C(O)−(CH0−6アリール、−C(O)−(CH1−6het(式中、アルキル、シクロアルキルおよびアリール置換基は置換もしくは非置換である)であるか;または細胞膜を通過する分子の移動を促進する置換基であるか、または
12およびR13は窒素と一体となってhetであり;そして
アリールは置換もしくは非置換であるフェニルまたはナフチルであり;
nは0、1または2である〕
の、Smacタンパク質がアポトーシスタンパク質阻害剤(IAP)に結合するのを阻害する化合物と、
(b)少なくとも1種のタキサンを含む、組合せ医薬。
【請求項2】
それを必要とする対象における増殖性疾患の処置または予防法であって、当該対象に治療上有効量の少なくとも1種のタキサンと、請求項1に記載の式(I)または(IV)のSmacタンパク質がIAPに結合するのを阻害する化合物を共投与することを含んでなる方法。
【請求項3】
請求項2の方法に使用するための請求項1に記載の組合せ医薬。
【請求項4】
請求項2の方法に用いる医薬の製造に使用するための、請求項1に記載の組合せ医薬。
【請求項5】
薬剤a)が式(III)
【化4】

のN−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドである、請求項1に記載の組合せ医薬。
【請求項6】
薬剤b)がパクリタキセル、ドセタキセル、ビノレルビンおよびエポチロン、ならびにその組合せから選択される、請求項1に記載の組合せ医薬。
【請求項7】
タキサンと、式(I)または(IV)のSmacタンパク質がIAPに結合するのを阻害する化合物の組合せを投与することを含む、増殖性疾患の処置法。
【請求項8】
タキサンと、式(III)のN−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドおよびその薬学的に許容される塩から選択される化合物の組合せを投与することを含む、増殖性疾患の処置法。
【請求項9】
タキサンと、式(I)または(IV)のSmacタンパク質がIAPに結合するのを阻害する化合物の組合せを投与することを含む増殖性疾患の処置法であって、前記タキサンがパクリタキセルおよびドセタキセル、ならびにその混合物から選択される、方法。
【請求項10】
タキサンと、式(I)または(IV)のSmacタンパク質がアポトーシスタンパク質阻害剤(IAP)に結合するのを阻害する化合物の組合せを投与することを含む、乳がん、卵巣がんおよび肺がんから選択される増殖性疾患の処置法。
【請求項11】
タキサンと、式(III)のN−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドおよびその薬学的に許容される塩から選択される化合物の組合せを投与することを含む、乳がん、卵巣がんおよび肺がんから選択される増殖性疾患の処置法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2013−82724(P2013−82724A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−275649(P2012−275649)
【出願日】平成24年12月18日(2012.12.18)
【分割の表示】特願2008−547378(P2008−547378)の分割
【原出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】