説明

ICカード、携帯可能電子装置、及び、ICカードの動作報知方法

【課題】 動作したことを報知できるICカード、携帯可能電子装置及びICカードの動作報知方法を提供する。
【解決手段】 実施形態によれば、ICカードは、インターフェースと、起動手段と、報知手段と、処理手段とを有する。インターフェースは、外部装置と通信する。起動手段は、インターフェースを介して外部装置から供給される電圧により起動処理を行う。報知手段は、起動手段により起動処理を実行した後、当該ICカードが動作可能な状態になったことを報知する。処理手段は、報知手段により当該ICカードが動作可能な状態となったことを報知した後、インターフェースを介して外部装置から受信するコマンドに応じた処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ICカード、携帯可能電子装置及びICカードの動作報知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ICカードは、磁気カードなどに比べてセキュリティ性が高い。ただし、ICカードが不正に対して完全に安全となるわけではない。ICカードから不正に情報を読み出す方法としては、スキミングがある。ICカードに対するスキミングは、所有者に気づかれないように、ユーザが所持しているICカードにアクセスして、情報を読み出したり、不正な取引を行ったりするものである。このようなスキミングによる被害を防止するためには、ICカードが動作していることをその所有者に気が付かせることができるものが要望される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明は、動作することを報知できるICカード、携帯可能電子装置及びICカードの動作報知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
実施形態によれば、ICカードは、インターフェースと、起動手段と、報知手段と、処理手段とを有する。インターフェースは、外部装置と通信する。起動手段は、インターフェースを介して外部装置から供給される電圧により起動処理を行う。報知手段は、起動手段により起動処理を実行した後、当該ICカードが動作可能な状態になったことを報知する。処理手段は、報知手段により当該ICカードが動作可能な状態となったことを報知した後、インターフェースを介して外部装置から受信するコマンドに応じた処理を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】図1は、実施形態に係るICカードの構成例を概略的に示す図である。
【図2】図2は、ICカードの第1の動作例を説明するためのフローチャートである。
【図3】図3は、ICカードの第2の動作例を説明するためのフローチャートである。
【図4】図4は、ICカードの第3の動作例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、実施の形態に係る携帯可能電子装置としてのICカード1のハードウエア構成を概略的に示すものである。
ICカード1は、ICカードリーダライタなどの上位端末2から供給される電源電圧により動作する。上位端末2から供給される電圧により動作可能となったICカード1は、起動処理を実行した後、上位端末2から与えられるコマンドに応じた処理を実行するようになっている。ICカード1と上位端末2とは、図1に示すようなICカード処理システムを構成している。
【0007】
図1に示すように、ICカード1は、CPU(セントラル・プロセッシング・ユニット)11、ROM(リード・オンリ・メモリ)12、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)13、通信部(UART/RF)14、不揮発性メモリ(NVM(EEPROM))15、電圧制御部(Voltage Controller)16、スピーカ17および振動部18などを有している。
【0008】
上記CPU11、ROM12、RAM13、通信部14、不揮発性メモリ15、電圧制御部16、スピーカ17および振動部18は、ICチップなどにより一体的に形成されたモジュールCaにより構成される。このモジュールCaは、当該ICカード1を形成する筐体(本体)Cの内部に埋設される。すなわち、上記ICカード1は、モジュールCaが埋設された筐体Cにより構成されている。
【0009】
また、上記ICカード1は、上位端末2から電力の供給を受けた際、活性化し(動作可能な状態となり)、上位端末2からのコマンドに応じて動作するようになっている。上位端末2は、ICカード1の通信方式に適合したICカードリーダライタが接続されたパーソナルコンピュータなどにより構成される。たとえば、上位端末2は、図示しない制御部がアプリケーションプログラムを実行することにより、ICカード1に対してコマンドを送信したり、ICカード1からのレスポンスを受信したりする機能を実現する。
【0010】
上記CPU11は、当該ICカード1全体の制御およびデータ処理などを司るものである。上記CPU11は、制御プログラム等に基づいて動作することにより種々の処理を行う。上記ROM12は、制御用プログラムおよび制御データなどが予め格納されている不揮発性メモリである。上記RAM13は、ワーキングメモリとして機能する揮発性のメモリである。
【0011】
上記通信部14は、通信手段として機能し、上位端末2とのデータ通信を制御するものである。また、上記通信部14は、上記ICカード1が動作するための電源を受給する手段としても機能する。上記不揮発性メモリ15は、各種データやアプリケーション(アプリケーションプログラム)などを記憶する書き換え可能な不揮発性メモリである。上記電圧制御部16は、各部に供給する電圧を制御する。
【0012】
スピーカ17は、音を発生させる。スピーカ17は、CPU11の制御により発生させる音の音量、周波数、鳴動時間、および、パターンなどが設定される。振動部18は、ICカードの筐体Cを振動させる。振動部18は、CPU11の制御により発生させる振動の振幅、周波数、振動時間、および、振動パターンなどが設定される。スピーカ17および振動部18は、ユーザの当該ICカードの動作状況を報知するものであれば良い。スピーカ17および振動部18は、何れかを一方を設けるようにしても良い。
【0013】
また、上記通信部14は、ICカード1の通信方式に応じた構成を有する。たとえば、上記ICカード1の通信方式が接触式の通信方式である場合、上記通信部14は、上位端末2のコンタクト部と物理的に接触するためのコンタクト部及び通信制御部などにより構成される。この場合、ICカード1は、上位端末2と物理的に接触している通信部14により上位端末2からの電源を受給する。つまり、上記ICカード1が接触式ICカードである場合、上記ICカード1は、通信部14のコンタクト部を介して上位端末2から供給される動作電源および動作クロックを電圧制御部16が制御して各部へ供給することにより活性化される。
【0014】
また、上記ICカード1の通信方式が非接触式(無線式)の通信方式である場合、上記通信部14は、電波の送受信を行うアンテナおよび通信を制御する通信制御部等により構成される。この場合、上記ICカード1は、通信部14により受信した電波から電圧制御部16が動作電源および動作クロックを生成するようになっている。つまり、上記ICカード1が非接触式ICカードである場合、上記ICカード1は、通信部14としてのアンテナおよび通信制御部等を介して上位端末2からの電波を受信し、その受信した電波から電圧制御部16が動作電源および動作クロックを生成して各部に供給することにより活性化されるようになっている。
【0015】
次に、ICカード1における第1の動作例について説明する。
図2は、ICカード1における第1の動作の流れを説明するためのフローチャートである。
第1の動作例は、ICカード1が起動した場合、所有者(ユーザ)あるいは所有者の周囲にいる人に対して、ICカード1が起動して動作可能な状態となったことを音あるいは振動により報知する動作例である。なお、図2は、ICカード1が接触式ICカードである場合を想定した場合の動作例であり、以下の第1の動作例の説明においても、ICカード1が接触式ICカードであることを想定するものとする。
【0016】
まず、ICカード1は、上位端末2から電圧が供給されて各部が動作可能な状態となる(ステップS11)。動作可能となった状態において上位端末2からリセット解除信号を受信すると、ICカード1のCPU11は、起動処理を実行する(ステップS12)。たとえば、CPU11は、起動処理として、各種パラメータなどの初期化処理、および、自己診断処理などの処理を実施する。なお、起動処理の内容は、ICカードの種類、あるいは、ICカードの運用形態に応じて予め設定されるものであれば良い。たとえば、自己診断処理は、ICカードの種類、あるいは、ICカードの運用形態によって実施の可否が設定されるようにしても良い。
【0017】
起動処理が終了すると、CPU11は、上位端末2に対してATR(Answer to Reset)信号を送信する前に、当該ICカードが起動したこと(つまり、ICカードが上位端末2からのコマンドに対する処理が可能な状態(ICカードとして動作可能)となったこと)を報知する動作を行う。ICカード1が動作可能となったことを報知する動作として、CPU11は、スピーカ17により音を発生させ(ステップS14)、さらに、振動部18により当該ICカード本体を振動させる(ステップS15)。
【0018】
ICカード1の起動時にスピーカ17が発生させる音は、ICカードのプログラム等によって任意には消音できない仕様とする。また、ICカードの起動時に振動部18が発生させる振動についても、任意には消すことができない仕様となっているものとする。なお、第1の動作例においては、スピーカ17が発生する音の設定、および、振動部18が発生させる振動の設定は、ICカードの発行段階などで予め設定されるものとする。
【0019】
当該ICカードが起動したことを報知する動作を実行した後(つまり、スピーカ17が音を発生し、振動部18がICカード本体を振動させた後)、CPU11は、上位端末2に対してATR信号を送信する(ステップS16)。ICカード1からのATR信号を上位端末2が受信した後、ICカード1と上位端末2とはコマンドとレスポンスとのやり取りによる一般的なICカードの処理を実行する。すなわち、ATR信号を出力した後、CPU11は、上位端末2からコマンドを受信し(ステップS17)、受信したコマンドに対して処理を実施し(ステップS18)、その処理結果をレスポンスとして送信する(ステップS19)。
【0020】
たとえば、スキミングは、一般的なICカードの処理中で実施される可能がある。これに対応して、上記した第1の動作例では、ICカードは、起動した時(つまり、一般的なICカードの処理に移行する前)に、当該ICカードが起動したことを所有者に知らせるために、音および振動を発生させる。これにより、当該ICカードの所有者は、一般的なICカードの処理(上位端末からのコマンドに対する処理)が終了してからではなく、ICカードが起動した直後に当該ICカードが起動したことを気付くことができる。
【0021】
なお、上記した第1の動作例による処理の流れは、上位端末2から特別なコマンドをICカードへ供給するなどの特別な処理が必要ないため、上位端末2の処理自体は既存の処理と同様なもので実現できる。
【0022】
次に、ICカード1における第2の動作例について説明する。
図3は、ICカード1における第2の動作の流れを説明するためのフローチャートである。
第2の動作例は、ICカード1が起動した後、上位端末2からの応答要求に応答する場合に、所有者(ユーザ)あるいは所有者の周囲にいる人に対して、ICカード1が上位端末からのコマンドに対する処理が実行可能な状態となったことを音あるいは振動により報知する動作例である。なお、図3は、ICカード1が非接触式ICカードである場合を想定した場合の動作例であり、以下の第2の動作例の説明では、ICカード1が非接触式のICカードであることを想定するものとする。
【0023】
まず、ICカード1は、上位端末2から電波として供給される電圧により各部が動作可能な状態となる(ステップS21)。すなわち、非接触式のICカード1は、上位端末2から発信される電波を受信し、受信した電波から電源電圧を生成する。上位端末2から受信した電波により各部が動作可能な状態になると、ICカード1のCPU11は、起動処理を実行する(ステップS22)。たとえば、CPU11は、起動処理として、各種パラメータなどの初期化処理、および、自己診断処理などの処理を実施する。なお、起動処理の内容は、ICカードの種類、あるいは、ICカードの運用形態に応じて予め設定される。たとえば、自己診断処理は、ICカードの種類、あるいは、ICカードの運用形態によって実施の可否が設定されるようにしても良い。
【0024】
起動処理が終了すると、CPU11は、上位端末2から初期応答を要求するコマンドの受信待ち状態となる。この状態において上位端末2から初期応答を要求するコマンド(REQA(WUPA)又はREQB(WUPB)コマンド)を受信すると(ステップS23)、CPU11は、受信したコマンドに対する処理を実施し(ステップS24)、当該ICカードが動作可能(上位端末2からのコマンドに対する動作が実行可能)となったことを報知する処理が実施済みであるか否かを判定する(ステップS25)。
【0025】
当該ICカードが動作可能となったことを報知する動作を未だ実施していないと判断した場合(ステップS25、NO)、CPU11は、当該ICカードが動作可能となったこと(上位端末2からのコマンドに対する処理が実行可能な状態となったこと)を報知する動作を行う。ICカード1が動作可能となったことを報知する動作として、CPU11は、スピーカ17により音を発生させ(ステップS26)、さらに、振動部18により当該ICカード本体を振動させる(ステップS27)。
【0026】
第2の動作例においても、ICカード1の動作可能となった時にスピーカ17が発生させる音は、ICカードのプログラム等によって任意には消音できない仕様であるものとする。また、ICカードの起動時に振動部18が発生させる振動についても、任意には消すことができない仕様となっているものとする。なお、第2の動作例においても、スピーカ17が発生する音の設定、および、振動部18が発生させる振動の設定は、ICカードの発行段階などで予め設定されるものとする。
【0027】
当該ICカードが動作可能となったことを報知する動作を実行した後(スピーカ17が音を発生し、振動部18がICカード本体を振動させた後)、CPU11は、上位端末2からの応答要求コマンドに対するレスポンス(ATQA又はATQBレスポンス)を上位端末2へ送信する(ステップS28)。
【0028】
ICカード1からATQA(又はATQB)レスポンスを受信した上位端末2は、1つの通信相手を指定するためのアンチコリジョン処理を実行する(ステップS29)。アンチコリジョン処理において、上位端末2は、応答要求に対してレスポンスのあったICカードから通信相手とする1つのICカードを選択する。アンリコリジョン処理において上位端末2が当該ICカード1を選択した場合、上位端末2と当該ICカード1とは、一般的なICカードの処理が実施可能となる。すなわち、上位端末2から通信相手として当該ICカードを選択した場合(ステップS30、YES)、上位端末2は、当該ICカード1ICカード1を指定してコマンドを送信する。通信相手として指定されたICカード1のCPU11は、上位端末2からのコマンドを受信し(ステップS32)、受信したコマンドに対して処理を実施し(ステップS32)、その処理結果をレスポンスとして送信する(ステップS33)。
【0029】
上記第2の動作例によれば、ICカードは、電圧が供給されたCPUが起動処理を実施した後、上位端末から初期応答を要求するコマンドに対応する処理を実施する際に、当該ICカードが動作可能となったことを報知するための音及び振動を発生させる。これにより、通信が確立した後の上位端末とICカードとの通信(コマンドとレスポンスのやり取り)において、スキミングが実施される可能性があったとしても、所有者(ユーザ)は、ICカードが上位端末から初期応答の要求を受信した際に発生する音及び振動によってICカードが起動して動作していることに気づくことができる。
【0030】
また、第2の動作例は、非接触式のICカードを想定しているため、1台の上位端末と複数のICカードとが通信する可能性がある。つまり、1台の上位端末と複数のICカードとが通信を行う場合、上位端末は、1つのICカードを複数回選択することがある。このため、上位端末は、一連の処理において、1つのICカードに対して初期応答を要求するコマンドを複数回送信する可能性がある。例えば、上位端末が2つのICカードを交互に通信相手として指定する場合、各ICカードには初期応答を要求するコマンドが複数回送信される可能性がある。
【0031】
このため、第2の動作例において、ICカードは、CPUが起動した後(つまり、一連の処理において)、上位端末からのコマンドに応じた処理を実行する際、既に音及び振動を発生したか否かを確認する。ICカードは、未だ音及び振動を発生していない場合には音及び振動を発生させ、既に音及び振動を発生している場合には音及び振動を発生させないようにできる。これにより、ICカードが動作可能となったことを報知する動作として音及び振動を発生させるのは、当該ICカードの1回の起動後に対して1回に留めることが可能となる。
【0032】
次に、ICカード1における第3の動作例について説明する。
図4は、ICカード1における第3の動作の流れを説明するためのフローチャートである。
第3の動作例は、ICカード1が起動した後、特定のアプリケーションが起動した場合、所有者(ユーザ)あるいは所有者の周囲にいる人に対して、ICカードにおいて特定のアプリケーションが起動したことを音あるいは振動により報知する動作例である。なお、図3は、ICカード1が非接触式ICカードである場合を想定した場合の動作例であり、以下の第3の動作例の説明では、ICカード1が非接触式のICカードであることを想定するものとする。
【0033】
まず、ICカード1は、上位端末2から電波として供給される電圧により各部が動作可能な状態となる(ステップS41)。上位端末2からの電圧供給により各部が動作可能な状態になると、ICカード1のCPU11は、起動処理を実行する(ステップS42)。たとえば、CPU11は、起動処理として、各種パラメータなどの初期化処理、および、自己診断処理などの処理を実施する。
【0034】
起動処理が終了すると、CPU11は、上位端末2から応答を要求するコマンドの受信待ち状態となる。この状態において上位端末2から応答を要求するコマンド(REQA(WUPA)又はREQB(WUPB)コマンド)を受信すると(ステップS43)、CPU11は、受信したコマンドに対する処理を実施し(ステップS44)、当該コマンドに対するレスポンス(ATQA又はATQBレスポンス)を上位端末2へ送信する(ステップS48)。
【0035】
ICカード1からATQA(又はATQB)レスポンスを受信した上位端末2は、1つの通信相手を指定するためのアンチコリジョン処理を実行する(ステップS45)。アンチコリジョン処理において、上位端末2は、応答要求に対してレスポンスのあったICカードから通信相手とする1つのICカードを選択する。
【0036】
アンリコリジョン処理において上位端末2が当該ICカード1を選択した場合(ステップS46、YES)、上位端末2と当該ICカード1とは、コマンドとレスポンスとのやり取りによる般的なICカードの処理が実施可能となる。すなわち、当該ICカード1を通信相手として選択した場合(ステップS46、YES)、上位端末2は、当該ICカード1を指定してコマンドを送信する。上位端末2に通信相手に指定されたICカード1のCPU11は、上位端末2からコマンドを受信し(ステップS47)、受信したコマンドに対して処理を実施し(ステップS48)、その処理結果をレスポンスとして送信する(ステップS49)。
【0037】
上位端末2から受信したコマンドがアプリケーションの選択を要求するコマンド(SELECTコマンド)である場合(ステップS50)、CPU11は、当該コマンドで指定されたアプリケーションを選択する処理を開始する(ステップS51)。アプリケーションを選択する場合、CPU11は、選択するアプリケーションに対する報知関連の設定情報を読み出す(ステップS52)。報知関連の設定情報とは、当該ICカードにおいて当該アプリケーションが起動したことをユーザに報知するための動作設定を示す情報である。
【0038】
また、各アプリケーションに対する報知関連の設定情報は、各アプリケーションに固定的に付加される情報であるが、本実施形態においては、不揮発性メモリ15に設けた設定テーブル15aに予め記憶されるものとする。たとえば、報知関連の設定情報においては、各アプリケーションに対応づけて、各アプリケーションの起動時に、音を鳴らすか、振動を発生させるか設定する。さらに、報知関連の設定情報では、音を鳴らす場合には、音の音量、周波数、音を発生させる時間(鳴動時間)、および、音声パターンなどが設定され、振動を発生させる場合には、振動の大きさ、周波数、振動時間、振動パターンなどが設定される。
【0039】
ただし、各アプリケーションに対する報知関連の設定情報は、アプリケーションごとに固定的(強制的)に設定され、任意には変更できないようになっているものとする。これは、アプリケーション選択時の音及び振動を任意に消すことができないようにするための仕様である。ただし、音及び振動を任意に消すような設定を不可とすれば、アプリケーション選択時の音及び振動の設定内容(例えば、音及び振動の発生パターン)については、ユーザが設定できるようにしても良い。
【0040】
選択するアプリケーションに対する報知関連の設定情報を読み出すと、CPU11は、読み出した報知関連の設定情報に基づいて、当該アプリケーションに選択(起動)に応じて音を発生させる必要があるか否かを判断する(ステップS53)。音を鳴らす必要があると判断した場合(ステップS53、YES)、CPU11は、読み出した報知関連の設定情報に基づいて、音量、周波数、鳴動時間およびパターンなどの発生させる音の設定を行う(ステップS54)。発生させる音を設定すると、CPU11は、設定内容に従った音をスピーカ17により発生させる(ステップS55)。
【0041】
また、CPU11は、読み出した報知関連の設定情報に基づいて、当該アプリケーションに選択(起動)に応じて振動を発生させる必要があるか否かも判断する(ステップS56)。振動を発生させる必要があると判断した場合(ステップS56、YES)、CPU11は、読み出した報知関連の設定情報に基づいて、振幅、周波数、振動時間および振動パターンなどの発生させる振動を設定する(ステップS54)。発生させる振動を設定すると、CPU11は、設定内容に従った振動を振動部18により発生させる(ステップS55)。
【0042】
選択するアプリケーションに対する報知関連の設定情報に基づく報知動作を実行すると、CPU11は、アプリケーションの選択処理として残っている処理を実行し(ステップS59)、アプリケーションの選択処理に対する実行結果を示すレスポンスを上位端末2へ送信する(ステップS60)。これ以降、当該ICカード1のCPU11は、選択したアプリケーションによる処理が実行可能となる。
【0043】
上記第3の動作例によれば、ICカードは、ICカード自体の起動時ではなく、各アプリケーション選択時(アプリケーションの起動時)に、アプリケーションごとの設定内容に従って音および振動を発生させる。これにより、ユーザは、音及び振動によりICカードにおいてアプリケーションが動作したことを認識できる。
【0044】
また、アプリケーションの選択時に発生させる音及び振動は、アプリケーションごとの設定情報により設定される。ICカードは、アプリケーションを選択する場合、当該アプリケーションに対応づけて設定された設定情報(報知関連の設定情報)を読み出し、当該アプリケーションに対応する設定内容に従って音及び振動を発生させる。これにより、アプリケーションごとに起動に発生させる音及び振動の設定を変えることができ、起動時の音及び振動によりユーザはどのようなアプリケーションが起動したかを識別できる。たとえば、スキミングに対して注意が必要なアプリケーションと、注意が不要なアプリケーションとで、音及び振動の発生の有無を区別することも可能となる。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
Ca…モジュール、C…筐体、1…ICカード、2…上位端末、11…CPU、12…ROM、13…RAM、14…通信部、15…不揮発性メモリ、15a…設定テーブル、16…電圧制御部、17…スピーカ、18…振動部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置と通信するためのインターフェースと、
前記インターフェースを介して外部装置から供給される電圧により起動処理を行う起動手段と、
前記起動手段により起動処理を実行した後、当該ICカードが動作可能な状態になったことを報知する報知手段と、
前記報知手段により当該ICカードが動作可能な状態となったことを報知した後、前記インターフェースを介して前記外部装置から受信するコマンドに応じた処理を実行する処理手段と、
を有することを特徴とするICカード。
【請求項2】
前記報知手段は、報知動作の変更が禁止されている、
ことを特徴とする前記請求項1に記載のICカード。
【請求項3】
前記報知手段は、前記外部装置に対して初期応答する場合に、当該ICカードが動作可能な状態となったことを報知する、
ことを特徴とする前記請求項1又は2に記載のICカード。
【請求項4】
さらに、前記外部装置に対して初期応答する場合、当該ICカードが動作可能な状態になったことを報知済みであるか否かを確認する確認手段を有し、
前記報知手段は、当該ICカードが動作可能な状態になったことが報知済みでなければ、当該ICカードが動作可能な状態になったことを報知する、
ことを特徴とする前記請求項3に記載のICカード。
【請求項5】
前記報知手段は、前記外部装置からのコマンドに応じて1つのアプリケーションを選択する場合、当該アプリケーションが選択されたことを報知する、
ことを特徴とする前記請求項1又は2に記載のICカード。
【請求項6】
前記報知手段は、前記外部装置からのコマンドに応じて1つのアプリケーションを選択する場合、当該アプリケーションに対応する設定内容に従って、当該アプリケーションが選択されたことを報知する、
ことを特徴とする前記請求項5に記載のICカード。
【請求項7】
前記報知手段は、音を発するスピーカである、
ことを特徴とする前記請求項1乃至6の何れか1項に記載のICカード。
【請求項8】
前記報知手段は、当該ICカードの筐体を振動させる振動部である、
ことを特徴とする前記請求項1乃至6の何れか1項に記載のICカード。
【請求項9】
外部装置と通信するためのインターフェースと、前記インターフェースを介して外部装置から供給される電圧により起動処理を行う起動手段と、前記起動手段により起動処理を実行した後、当該ICカードが動作可能な状態になったことを報知する報知手段と、前記報知手段により当該ICカードが動作可能な状態となったことを報知した後、前記インターフェースを介して前記外部装置から受信するコマンドに応じた処理を実行する処理手段とを有するモジュールと、
前記モジュールを有する本体と、
を有することを特徴とするICカード。
【請求項10】
外部装置と通信するためのインターフェースと、
前記インターフェースを介して外部装置から供給される電圧により起動処理を行う起動手段と、
前記起動手段により起動処理を実行した後、当該携帯可能電子装置が動作可能な状態になったことを報知する報知手段と、
前記報知手段により当該携帯可能電子装置が動作可能な状態となったことを報知した後、前記インターフェースを介して前記外部装置から受信するコマンドに応じた処理を実行する処理手段と、
を有することを特徴とする携帯可能電子装置。
【請求項11】
ICカードの動作状態を報知する方法であって、
外部装置から供給される電圧により起動処理を実行し、
前記起動処理を実行した後、当該ICカードが動作可能な状態になったことを報知し、
当該ICカードが動作可能な状態となったことを報知した後、前記外部装置から供給されるコマンドに応じた処理を実行する、
を有することを特徴とするICカードの動作報知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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