説明

ICカードの製造方法及び製造装置

【課題】ICモジュールをカード基材の凹部に熱圧着シートを介して収容するに当たり、ICモジュールの押圧を開始するタイミング、その圧力と加圧時間及びそれらのプロファイル、温度等の制御性及びICモジュールとカード基材の位置決め精度に優れる熱圧着方法と熱圧着装置を提供することを目的とした。
【解決手段】カード基材に形成した所定の凹部に熱圧着シートを介してICモジュールを載置した後、所定の温度に加熱した複数のプレス用ヘッドのそれぞれで前記ICモジュールを上方から継起的にプレスし、最後に所定温度の冷却用プレスヘッドでプレスし冷却することでICモジュールを凹部に接着するICカードの製造方法において、前記複数のプレス用ヘッド及び冷却用プレスヘッドの復動がカムシャフトを共通にするカム機構によることを特徴とするICカードの製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカードの製造方法及び製造装置に係わり、詳しくはプラスチック製のカード基材に形成した凹部に、ICモジュールを熱圧着シートを介して接着・固定する方法及びそのための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ICカードとは、図3に示すように名刺サイズのカード基材24にポケットと称されるザグリ穴22(以下、凹部とも記す。)を形成し、このポケットにICモジュール25を、できるだけぴったりと収容し、同時に熱圧着シート28で、ICモジュール25底面をポケット22,23の側壁と底面に固定したものである。ICモジュール25自体は、ICチップがモールド樹脂27で被覆されて裏面側に矩型板状に突出し、表面には金めっきされた銅製の外部接続用電極26を備えたものである。
【0003】
ICカードは、概ね図4に示す工程を経て製造されるが、製造装置全体は、カード基材を一枚ずつ搬送・供給するカード基材供給装置、ICモジュールを搬送・供給するICモジュール供給装置、前記供給装置から供給されるカード基材とICモジュールを使用してカード基材にICモジュールを実装するICモジュール熱圧着装置、出来上がったICカードを検査するICカード検査装置、及びカード回収装置等から構成される。中でも、ICモジュール熱圧着装置が,ICカードを製造する上で最も枢要な部分で、ICカードの生産性を規定する装置である。
【0004】
上記構成を踏襲するICカードの製造装置の概要が特許文献1に開示されている。この文献によると、カード基材の凹部に、ICモジュールを位置合わせの上で熱圧着シートを介在させて接着し収容するICモジュール熱圧着部は、仮ボンディング部と本ボンディング部の2ユニットで構成されており、それぞれが独立に駆動されている。熱圧着機構は、ボンディング機構と記載されるのみで具体的な加圧機構の記載はないが、加熱温度が290℃で加熱時間がそれぞれ0.8秒、1.8秒と記載されている。また、過熱後にICモジュール近傍を冷却する冷却ユニットについての記載がなく備えていないようである。
【0005】
また、ICモジュール実装装置として、2種の実装機(実装機A(ルーラマット社(独)、製品名CI400), 実装機B(ルーラマット社(独)、製品名CI360))が市販されている。実装機AはICモジュール熱圧着ユニット1機, ICモジュール冷却ユニット1機を備え、実装機BはICモジュール熱圧着ユニット2機, ICモジュール冷却ユニット1機を備えているが、こちらもそれぞれの熱圧着ユニットは全て独立して駆動され、圧着する機構は、前記ユニットを”電気制御・エアー制御”で上下に往復駆動する構成である。
ここでエアー制御とは、エアーシリンダ機構であり、電気制御とはソレノイド中の棒状磁性体の往復移動を利用する形態である。
【0006】
上記先行技術では、いずれも熱圧着部が仮ボンディング部と本ボンディング部の2ユニットで構成されているが、ICモジュールと凹部側壁間で充分な接着品質を得るためには本ボンディング部の熱圧着時間を長くする必要があり、他工程に比べてタクトタイムが長くなるという問題とカード基材が熱変形するという問題がある。また、特許文献1に記載の発明は、冷却ユニットを備えていないため、加熱後の余熱によりカード基材の変形がより生じやすいという問題がある。
【0007】
市販の実装機Aと実装機Bでは、ICモジュール冷却ユニットを備えているので、長時
間加熱によるカードの熱変形の問題は少ない。しかしながら、ICモジュール熱圧着ユニットを”電気制御・エアー制御”で個別に制御しているため、加熱と冷却の”タイミング制御”にバラツキが存在し、ICモジュールが凹部の所定箇所に接着する接着強度にバラツキが発生するという問題がある。
【0008】
すなわち、カード基材側の凹部の深さと形状、熱圧着シートの厚みの制御と接着特性、ICモジュールの厚み等が比較的高精度で制御できるのに対して、”電気制御・エアー制御”方式の熱圧着装置は、フィルタのゴミ詰まりやスピードコントローラの調整などエアー供給量が変動する要素が多いため、加圧開始のタイミング、加圧圧力、加圧時間等を、例えば複数の熱圧着ユニット間で同期をとりつつ高精度で制御することが相対的に難しく、その結果ICモジュールのカード基材への接着品質が安定しないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−276576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、ICモジュール25をカード基材24の凹部22に熱圧着シート28を介して接着・固定するに当たり、ICモジュール25の押圧を開始するタイミング、その圧力と加圧時間及びそれらのプロファイル、温度等の制御性及びICモジュール25とカード基材24の位置決め精度に優れる熱圧着方法と熱圧着装置を提供することを目的とした。プレス時の位置決め精度も、熱圧着装置の高度化に対応させ、且つそれが備える構成を利用して改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を達成するための請求項1に記載の発明は、カード基材に形成した所定の凹部に熱圧着シートを介してICモジュールを載置した後、所定の温度に加熱した複数のプレス用ヘッドのそれぞれで前記ICモジュールを上方から継起的にプレスし、最後に所定温度の冷却用プレスヘッドでプレスし冷却することでICモジュールを凹部に接着するICカードの製造方法において、前記複数のプレス用ヘッド及び冷却用プレスヘッドの往復運動がカムシャフトを共通にするカム機構によることを特徴とするICカードの製造方法としたものである。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記プレス用ヘッドに対するカード基材の位置決めも前記カムシャフトを共通にするカム機構によることを特徴とする請求項1に記載のICカードの製造方法としたものである。
【0013】
請求項3に記載の発明は、少なくとも、ICモジュール搬送機構、ICモジュールをカード基材に形成した所定の凹部に仮圧着するICモジュール搭載機構、個片化したICモジュールをICモジュール搭載機構に供給するICモジュール供給機構、所定位置に凹部を形成したカード基材をICモジュール搭載機構に供給するカード基材供給機構、仮圧着したICモジュールとカード基材を熱圧着するICモジュール熱圧着機構、ICカードを良品と不良品に分別するICカード検査機構とICカード回収機構、とを有するICカード製造装置であって、ICモジュール熱圧着機構は、熱圧着ユニットと位置決めユニットのペアーを複数組、冷却ユニットと位置決めユニットのペアーを1組を備え、前記熱圧着ユニット、冷却ユニット及び位置決めユニットのそれぞれは、カムシャフトを共通とするカム機構に連接していることを特徴とするICカードの製造装置としたものである。
【0014】
請求項4に記載の発明は、前記熱圧着ユニットと位置決めユニットのペアーの数が3以
上であることを特徴とする請求項3に記載のICカードの製造装置としたものである。
【0015】
請求項5に記載の発明は、前記熱圧着ユニットは、プレスのタイミングを微調整するためのタイミング調整シリンダを備えることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のICカードの製造装置としたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、プレス用ヘッドを備えるICモジュール熱圧着ユニットを3ユニット以上の複数ユニットとし、3回以上の熱圧着工程を有する結果、熱圧着が確実になるとともに、1ユニットの冷却ユニットを設けることで接着状態の安定化が図られ、また基材カードの変形が抑制された。熱圧着ユニットを3ユニット用いたことで、接着に必要な熱量を得る時間が短縮され生産性の向上を図ることができる。
【0017】
熱圧着ユニット3機と冷却ユニット1機に備わるプレス用ヘッド(ユニット)の上下動作及び搬送レール上のカード基材の位置を、同一のカム軸上に配置したカム機構で駆動させる構成としたため、各プレス用ヘッド(ユニット)のストロークや工程時間及びカード基材の位置が、カムを1回転させるごと確実に再現され、異なるユニット間であっても容易に同期を取ることができた。
【0018】
その結果、カード基材の水平方向の位置決め精度が向上しカード基材とICモジュールの位置ずれがなくなり、また加圧開始のタイミング、加圧圧力、加圧時間等の加圧条件を全てのユニットで揃えるか同期をとることが可能となって、加圧条件、冷却条件のバラツキを抑えることができるようになった結果、カード基材に対するICモジュールの安定した接着品質(接着強度)が得られた。
【0019】
個々の熱圧着ユニットに対しては、タイミング調整シリンダを別に設けることで、カム軸の回転速度の調整に加えてプレスのタイミングの微調整とプレス回数の変更ができるようになったので、カード構成材料等の変更が発生した場合などに柔軟に対応ができる適用範囲の広い装置とすることができた。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】熱圧着ユニット(プレス用ヘッド)の上下の往復運動を模式的に説明するカム機構の一例の説明図である。
【図2】タイミング調整シリンダの動作を説明するための図面である。
【図3】ICモジュールの埋め込み状態を説明するための図である。(a)カード基材の上面視と断面視の図、(b)ICモジュールの上面視と断面視の図、(c)ICカードの上面視の図である。
【図4】ICカードの製造工程を説明するブロック図である。
【図5】位置決め装置の動作を説明するカム機構の一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、ICカード(接触型)の製造装置の構成とICカード基材の流れを図1から図4を用いて説明し、その中で本発明に係るICモジュール熱圧着機構におけるカム機構の詳細を説明する。
【0022】
(1)カード基材供給装置
カード基材24には、PVC(ポリ塩化ビニル)、PET−G(グリコール変性ポリエチレンテレフタレート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)といったプラスチック材料を用いることができる。
カード基材が回流するカード基材供給装置は、例えば下記のようなユニットを備えている

【0023】
1−1.ザグリ穴加工ユニット
カード基材24の所定の位置に、ICモジュール25を埋め込むための凹部20を形成する工程である。凹部20はミリング加工や成形によって形成する。図3で示すように、凹部20は,ICモジュールの外形に合わせて第一凹部22の中に第二凹部23が形成された形状である。第一凹部22の寸法の一例は、x:8.67mm〜10.03×y:7.67mm〜9.03mm、深さはカード基材表面から0.175mm〜0.28mm、第二凹部23の寸法の一例は、x:13.08mm〜14.13mm×y:11.67mm〜12.19mm、深さはカード基材表面から0.58mm〜0.68mmである。
これらの寸法は、ICモジュール25を嵌め込みやすくするため、モジュールの外形寸法より0.2mm程度大きく設計されている。また、凹部の形状は、ICモジュールの外形等に応じて決まるので、上記の2段型に限定されるものではない。
【0024】
1−2.カード供給ユニット
ザグリ加工時の加工屑が取り除かれてから供給マガジンにセットされた凹部20を備えるカード基材24を1枚ずつ取出し、搬送用ユニットの所定のホルダに供給するユニットである。また別の形態としては、搬送用ユニットにザグリ穴加工ユニットを設け、ザグリ穴が設けられていないカード基材をカード供給ユニットから搬送用ユニットに供給した後、ICモジュール25を埋め込むための凹部20を形成するようにしても良い。
【0025】
1−3.カード供給検査ユニット
カード基材24に形成した凹部20の位置と加工寸法を測定し、カード基材24の過多供給、装着間違い(天地・表裏間違い)の有無も含めて供給カード基材の良否を判定するユニットである(図示せず)。
【0026】
(2)ICモジュール供給装置
2−1.COT(chip on tape)供給ユニット
ICモジュール25が搭載されたテープをリールから巻き上げて供給するユニットである。本装置では、COTとしてICチップの樹脂モールド側が高温接着性の熱圧着シート27が仮接着されているタイプを使用した。熱圧着シート28は熱硬化タイプと熱可塑タイプが使用でき、例えばTESA社のTESA8410(二トリルゴム/アルキルフェノール樹脂)や日東シンコー社のFB−ML80(ポリエステル)が使用できる。熱圧着シートを本装置内で貼り付ける構成とすることもできる。
【0027】
2−2.個片化ユニット
リールから供給されたテープ状のCOTを抜き金型で1個ずつのICモジュール25に個片化するユニットである。その際、画像認識によって、ICモジュールのNGマーク, パターン, 位置ズレの検出を行う。良品のICモジュールだけが抜き金型によって個片化され、ICモジュール搭載ユニットのホルダに搬送設置される。
【0028】
2−3.テープ回収ユニット
ICモジュールを個片化した後、繋ぎ部分の残余テープ部を回収するユニットである。
【0029】
(3)ICモジュール搭載装置
3−1.ICモジュール搭載ユニット
個片化したICモジュール25をカード基材24の凹部20に載置し仮接着するユニットである。
【0030】
3−2.仮圧着ユニット
カード基材24の凹部20に個片化したICモジュール25を嵌め込み、ホットプレスにてICモジュール25下方部を凹部20に仮圧着し、カード基材搬送時のICモジュールのズレや散逸を防止する。
【0031】
(4)ICモジュール熱圧着装置
4−1.ICモジュール熱圧着ユニット(3ユニット)
ICモジュール25をカード基材24の凹部20に熱圧着させるために、カードリフターとカード位置決めユニットにより定位置に固定されたICモジュール25の上面側(外部接続端子側)を加熱されたプレス用ヘッドでプレスするユニットである。全ての圧着ユニット2と冷却ユニット3は、図1に示すように同じカムシャフト4に連接しておりカム駆動される。すなわち、回転するカム6の円周側面に追随するカムフォロワ5の往復動作が圧着ユニット2(すなわちプレスヘッド)を上下に往復運動させる方式である。
カム形状は、円形偏芯カム型を例示してあるが、加圧と加熱のプロファイルに応じて決まるもので、楕円、変形楕円、ひょうたん形状など適宜選択可能であって、図示したものに限定されるものではない。
【0032】
熱圧着ユニット2自体はプレスヘッド10内部にヒーターを嵌め込むことで加熱を行っており、プレス温度:常温〜250±2℃、プレス圧:10〜200N/m±5%、熱圧着時間:0.01〜10秒±0.1秒の範囲で設定可能である。好ましい範囲は、160〜210℃、40〜80N/m、0.55〜0.70秒、の範囲である。
【0033】
ICモジュール熱圧着ユニット2のプレス用ヘッド10でプレス後、カードリフターとカード位置決めユニットからカードが解放され、次の熱圧着ユニット2に搬送される。その後、さらに熱圧着ユニット3に搬送される。熱圧着ユニット2,3でも熱圧着ユニット1と同様の工程でプレスされるが、カード基材24の材質、ICモジュール25の形状と材質, 熱圧着シートの種類や組合せによって安定した接着品質が得られるプレス条件は異なり、上記の数値に限定されるものではない。
【0034】
4−2.ICモジュール冷却ユニット(1ユニット)
冷却用プレスヘッドでICモジュールの外部接続端子側よりプレスしてICモジュール周辺の冷却を行うユニットである。冷却ユニットでは水冷式チラーによりプレスヘッドを冷却しており、プレス圧10〜200N/m、熱圧着時間:0.01〜10秒の範囲で設定可能である。
【0035】
4−3.位置決めユニット
プレス用ヘッド10がプレスする箇所とICモジュール25が収容されている凹部20の位置が合致するようにプレスに先立って、ICモジュール側の位置決めを行うユニットである。具体的には、ICモジュール熱圧着ユニットとICモジュール冷却ユニットに搬送されてきたカードを位置決めアームで挟むことで、カード搬送方向の位置決めを行った。図5に示すように、カムシャフト4に連接する最初のカム機構30で回転運動を水平方向の往復運動に変換し、水平方向の往復運動を台形状の直進カムを使って位置決めアーム31の上下往復運動に変換した。位置決めアームが下がったときに搬送ユニットを挟んで固定することでカードの位置決めを行う構成を採用した。これも一例であってこの態様に限定されるものではない。
【0036】
4−4.タイミング調整シリンダ
前記熱圧着ユニットにはタイミング調整シリンダ9を備えることができる。カード基材の構成材料に変更が発生した場合など、カムシャフト4の回転速度の調整に加えてICモジュール熱圧着ユニット2のユニット毎に設けたタイミング調整シリンダ9により、プレスのタイミングを微調整し安定した品質(接着強度)を得るためである。
【0037】
図2に示すように、タイミング調整用シリンダ9が状態ONになると、タイミング調整用シリンダ9と連結したストッパー8が上昇し、熱圧着ユニット2に組み込まれたブロックがストッパー8で動きが制限されるため、熱圧着ユニット2が上昇したままとなり、プレスされない。これによりプレス時間の微調整を行うことや、プレス回数を3回から2回、1回と低減する場合などに利用できる。本装置ではタイミング調整用シリンダ9にはエアータイプを用いているが、前記の用途では厳しい精度が要求されないので油圧タイプや電動タイプでも適用可能である。
【0038】
安定した接着状態を確保するためには、熱圧着シート28を溶融するがあるが、必要な熱量を得るためには、熱圧着時間が大きな要素となることは明らかである。従来は熱圧着ユニットを2つ設けることで熱圧着工程を2回としていたが、本発明では3ユニット設置して3回とした。増やすことで、1ユニットあたりの熱圧着時間を2/3以下に短縮することができ、当該工程のタクトタイムが短縮され生産性向上が達成された。
【0039】
(5)ICカード検査装置
5−1. 通信検査ユニット
圧着後のICモジュール25が正常に作動するかどうか、表面の外部接続用電極26を利用してICカードの通信検査を行うユニットである。
【0040】
5−2.ICカード高さ検査ユニット
接触型センサを用いてICモジュール搭載位置の高さの測定により、ICモジュール実装の有無や実装位置ズレ、及びモジュール面とカード面との段差を測定し、設定判定値と比較し良否判定するユニットである。
【0041】
(6)ICカード回収装置
6−1.不良ICカード回収ユニット
異常発生や緊急停止により装置が停止したために熱圧着が途中になってしまったカードやカード供給検査ユニット、通信検査ユニット、IC高さ検査ユニットにて判定が不良品となったカードをリフターで排出し回収し収納マがジンに収納するユニットである。
【0042】
6−2. 良品ICカード回収ユニット
良品を回収し収容マガジンに収納するユニットである。
【0043】
本装置は、接触型のICモジュールに加え、非接触型のICモジュールに対しては、予めカード基材中にアンテナ等を埋設しておくことに同じ装置、方法を適用できる。もちろん、ハイブリッド型ICカードやデュアルインターフェース型ICカードの製造にも適用が可能である。その場合には、ICモジュールとアンテナとを電気的に接続するための銀ペースト等の導電性材料の供給ユニット、管理ユニット等を備える必要がある。
【0044】
上記装置の特長を列記すると、
1.ICモジュール熱圧着ユニットを3ユニット以上の複数ユニットとし、3回以上の熱圧着工程により熱圧着を確実にすると共に、1ユニットの冷却ユニットを設けて接着状態の安定化及びカード基材への熱拡散を防止したことである。
【0045】
2.4つの異なるカムを同一カムシャフトに設けて、それぞれのカムにICモジュール熱圧着ユニットの4ユニット(ホットプレス3ユニット, コールドプレス1ユニット)のを連接した。図1に示すように、カムシャフトを共通とする4つのカムの回転運動がカムフォロワの往復運動に変換され、これによりプレス用ヘッド(熱圧着ユニット)が上下するものである。カム駆動はカムの形状やシャフトの貫通位置を調整することで、カムフォロワ
(圧着ユニットに相当)の高さの時間変化(プロファイル)を精度よく調整できる。
【0046】
特に、カム形状によってプレス用ヘッドの動作が決定されるため、カムを1回転させる度に運動のストロークや工程時間などの動作を再現することができ、また同軸上に複数のカムを設けることで容易に異なるプレス用ヘッド間の動作上の同期を取ることができる。カムシャフトの回転速度を変更することで、熱圧着のタイミングも調整可能である。
【0047】
また、カード構成材料の変更が発生した場合など、ICモジュール熱圧着ユニットのユニット毎に設けたタイミング調整シリンダにより、プレスのタイミングを調整し安定した品質(接着強度)を得ることもできる。
【0048】
3.本発明は、さらに搬送位置決めユニットについても、熱圧着ユニットとカムシャフトを共通にするカム駆動としたものである。これらにより、カードの位置合わせからICモジュールの熱プレス動作まで一連の工程全ての同期を容易にとることが可能となった。
【符号の説明】
【0049】
1・・・ICモジュール熱圧着装置
2・・・モジュール熱圧着ヘッド
3・・・モジュール冷却ヘッド
4・・・カムシャフト
5・・・カムフォロワ
6・・・(偏芯)カム
7・・・搬送用ベルト
8・・・ストッパ
9・・・シリンダ
10・・・プレス用ヘッド
20・・・凹部(ザグリ穴)
21・・・ICカード
22・・・第一凹部
23・・・第二凹部
24・・・カード基材
25・・・ICモジュール
26・・・外部接続用電極
27・・・モールド樹脂(ICチップ)
28・・・熱圧着シート
29・・・直進カム
30・・・(水平運動変換用)カム
31・・・位置決めアーム
32・・・LMガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード基材に形成した所定の凹部に熱圧着シートを介してICモジュールを載置した後、所定の温度に加熱した複数のプレス用ヘッドのそれぞれで前記ICモジュールを上方から継起的にプレスし、最後に所定温度の冷却用プレスヘッドでプレスし冷却することでICモジュールを凹部に接着するICカードの製造方法において、前記複数のプレス用ヘッド及び冷却用プレスヘッドの往復運動がカムシャフトを共通にするカム機構によることを特徴とするICカードの製造方法。
【請求項2】
前記プレス用ヘッドに対するカード基材の位置決めも前記カムシャフトを共通にするカム機構によることを特徴とする請求項1に記載のICカードの製造方法。
【請求項3】
少なくとも、ICモジュール搬送機構、ICモジュールをカード基材に形成した所定の凹部に仮圧着するICモジュール搭載機構、個片化したICモジュールをICモジュール搭載機構に供給するICモジュール供給機構、所定位置に凹部を形成したカード基材をICモジュール搭載機構に供給するカード基材供給機構、仮圧着したICモジュールとカード基材を熱圧着するICモジュール熱圧着機構、ICカードを良品と不良品に分別するICカード検査機構とICカード回収機構、とを有するICカード製造装置であって、ICモジュール熱圧着機構は、熱圧着ユニットと位置決めユニットのペアーを複数組、冷却ユニットと位置決めユニットのペアーを1組を備え、前記熱圧着ユニット、冷却ユニット及び位置決めユニットのそれぞれは、カムシャフトを共通とするカム機構に連接していることを特徴とするICカードの製造装置。
【請求項4】
前記熱圧着ユニットと位置決めユニットのペアーの数が3以上であることを特徴とする請求項3に記載のICカードの製造装置。
【請求項5】
前記熱圧着ユニットは、プレス用ヘッドのタイミングを微調整するためのタイミング調整シリンダを備えることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のICカードの製造装置。

【図4】
image rotate

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−203814(P2012−203814A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70082(P2011−70082)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】