説明

ICカードを利用した交通費清算方法

【課題】ICカードを利用した、手書きや手入力が不要な交通費の清算方法を提供する。
【解決手段】
パーソナルコンピュータ5に接続されたカードリーダ6に、ICカード1をかざすと、カードリーダ6は、ICカード1と無線通信を行い、ICカード1に記録された乗降履歴データを受信できるように設定されている。受信された乗降履歴データは、パーソナルコンピュータ5に取り込まれ、取り込まれた乗降履歴データは、パーソナルコンピュータ5上で動作する表計算ソフトウエアに自動的に読み込まれ表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストアードフェア機能を有し、かつ、乗降履歴を記録する機能を有するICカードを利用した交通費の清算方法に関する。
【背景技術】
【0002】
企業において交通費の清算をする際には、交通費の清算を申請する社員が、交通機関の利用日、利用交通機関名、利用区間、料金等をまとめて記載した申請書を提出すると、企業の経理部門はこの申請書類をチェックし、この申請が正しい場合には、申請者に対して交通費の清算を行う、という事務フローとなっていた。このような事務フローによれば、交通費の申請者側も、経理部門側も事務作業が繁雑であるという問題があった。このような問題に対処するために、企業内において交通費の清算を簡便にする処理システムが提案されている。
【0003】
このようなシステムとして、特許文献1(特開2001−331761号公報)には、申請者からの指示に応じて複数の項目データから成る申請データを生成し、責任者による当該申請データの検証を支援する申請処理システムであって、予め正当性を検証された検証済みデータを保持する保持手段と、申請者からの指示に従って前記保持手段が保持する検証済みデータを転記することで前記申請データ中に転記項目データを設定する転記手段と、申請者が入力した入力データを前記申請データ中に手入力項目データとして設定する入力受付手段と、前記申請データ中に設定された項目データの各々について、転記項目データであるか手入力項目データであるかの区別を表す識別情報を付加する付加手段と、申請データを責任者に提示する際、前記識別情報に応じ、前記転記項目データと前記手入力項目データとを異なる形式で提示する提示手段とを有することを特徴とする申請処理システムが開示されている。
【特許文献1】特開2001−331761号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された申請処理システムによっても、申請者は申請者端末から、交通費申請に係る情報を手入力しなければならず、必ずしも事務効率が向上するようなものではない。
【0005】
ところで、近年、鉄道事業者により、定期券の機能やストアードフェア機能を有するICカードが発行されており、このICカードには乗降履歴が記憶されるようになっている。このようなカードを用いた場合でも、交通費の清算を申請する社員は、交通費の清算のためにいちいち手入力により申請書を記入しなければならず、企業内の事務手続きが煩雑であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するために、請求項1に係る発明は、ストアードフェア機能を有し、かつ、乗降履歴を記録する機能を有するICカードを利用した交通費清算方法において、該ICカードに記録された乗降履歴データを、パーソナルコンピュータに接続されたカードリーダで読み取るステップと、該カードリーダで読み取られた該乗降履歴データを、該パーソナルコンピュータ上で動作する表計算ソフトウエアに読み込むステップと、該乗降履歴データを該表計算ソフトウエア上で編集するステップとからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、ICカードに記録された乗降履歴データを、パーソナルコンピュータに接続されたカードリーダで読み取り、読み取られた乗降履歴データを、パーソナルコンピュータ上で動作する表計算ソフトウエアに読み込んで、編集するようにした交通費の清算方法であるので、交通費の申請をしようとする社員は、いちいち申請書を手書きしたり、或いはパーソナルコンピュータ上の申請フォームにキーボードから手入力したりする必要がなく、表計算ソフトウエア上に表示された乗降履歴データを単に編集するだけでよいので、企業内事務の効率化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明に用いるICカードの一例を示す図である。本発明の実施の形態を、ICカードの一例としてこのような非接触型のものを用いて説明するが、本発明で用い得るICカードはこれに限定されるものではない。非接触型のICカード1には、ICチップ2、アンテナ3が組み込まれており、カードリーダライタにかざすと、カードリーダライタ内のアンテナとの間で通信が行われ、カードリーダライタ側で、ICカード1の検知、認証、データの読み取り、データの書き込み等が行われる仕組みとなっている。
【0009】
このようなICカード1においては、近年、鉄道事業者が発行するもので、鉄道の定期券の機能やストアードフェア機能を有するものが広く普及している。このような鉄道事業者が発行するICカード1では、駅の自動改札機に内蔵されたカードリーダライタに、ICカード1をかざすと、所定の改札処理がなされるようになっている。
【0010】
図2に、ICカード1と駅の自動改札機との間でなされる改札処理の一例を示す。この例では、ICカード1を携行した者がA駅の改札で、ICカード1を用いて入場し、B駅まで電車に乗り、B駅の改札から当該ICカード1を用いて出場する場合を示している。まず、ICカード1をA駅の自動改札にかざすと、A駅の自動改札では、A駅に何月何日入場したかを、ICカード1に書き込むとともに、初乗り運賃をICカード1のストアードフェアから引き去り、引き去った金額に係る情報もICカード1に記録しておく(I)。電車に乗りB駅に移動し、次にICカード1をB駅の自動改札にかざすと、A駅からB駅までの料金が初乗り運賃以上の場合は、追加の料金をICカード1のストアードフェアから引き去り、ICカード1には、「○月×日A駅入場B駅出場、合計料金○○○円」の記録を最終的に書き込むようにする(II)。このような乗降履歴データは、ICカード1に、例えば20件書き込めるように設定してある。
【0011】
図3は、ICカード1読み取り用のカードリーダ6をパーソナルコンピュータ5に接続した様子を示している。カードリーダ6は、一般的なパーソナルコンピュータ5に備えられている、例えばUSBなどのインターフェイスを用いて接続することができる。このカードリーダ6にICカードをかざすと、カードリーダ6内のアンテナが、ICカード1とのアンテナと交信して、カードリーダ6は、ICカード1から先ほどの乗降履歴データを受信できるように設定される。カードリーダ6で受信された乗降履歴データは、パーソナルコンピュータ5に取り込まれ、パーソナルコンピュータ5に取り込まれた当該乗降履歴データは、パーソナルコンピュータ5上で動作する表計算ソフトウエアに自動的に読み込まれ、表示される仕組みとなっている。
【0012】
図4は、表計算ソフトウエア上で、読み込まれた乗降履歴データが表示されている状態を示す。図4において、表計算ソフトウエア上の第2行目に表示される「カード番号xxxxx−xxxx−xxxx−xxxx」は、ICカード1に付された固有のIDに対応して表示されるものである。ICカード1には、このような1枚ごとにそれぞれ異なる固有のIDが付与されており、ICチップ2に記憶されている。第2行目以降の、第4行目には、「月日」、「入場」、「退場」、「料金」の見出しが表示され、第5行目以降に乗降履歴データが表示される。
【0013】
交通費の申請をしようとする社員は、このように表計算ソフトウエア上で表示された乗降履歴データにおいて、例えば、第6行目の「4月6日 御徒町 池袋 160」が私用に係る電車の利用である場合には、第6行目を削除して交通費の申請することなどができる。また、近年発行されているICカード1においては、ICカード1のストアードフェアにより買い物をすることができるようになっているが、このような機能を用いて買い物をした場合には、ICカード1の記録は、表計算ソフトウエア上では図5中第11行目の「4月14日 物販 1240」と表示されるようになっている。このような買い物が私用である場合には、この行を削除することによって、社員は交通費の申請をすることができる。
【0014】
以上の通り本発明では、ICカード1に記録された乗降履歴データがパーソナルコンピュータ5の表計算ソフトウエア上に表示される仕組みとなっているので、交通費の申請をしようとする社員は、いちいち申請書を手書きしたり、或いはパーソナルコンピュータ上の申請フォームにキーボードから手入力したりする必要がなく、表計算ソフトウエア上に表示された乗降履歴データを単に編集するだけでよいので、企業内事務の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に用いるICカードの一例を示す図である。
【図2】ICカードと駅の自動改札機との間でなされる改札処理の例を示す図である。
【図3】ICカード読み取り用のカードリーダとパーソナルコンピュータを接続した様子を示す図である。
【図4】読み込まれた乗降履歴情報が表計算ソフトウエア上で表示されている状態を示す図である。
【符号の説明】
【0016】
1・・・ICカード、2・・・ICチップ、3・・・アンテナ、5・・・パーソナルコンピュータ、6・・・カードリーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストアードフェア機能を有し、かつ、乗降履歴を記録する機能を有するICカードを利用した交通費清算方法において、
該ICカードに記録された乗降履歴データを、パーソナルコンピュータに接続されたカードリーダで読み取るステップと、
該カードリーダで読み取られた該乗降履歴データを、該パーソナルコンピュータ上で動作する表計算ソフトウエアに読み込むステップと、
該乗降履歴データを該表計算ソフトウエア上で編集するステップとからなることを特徴とするICカードを利用した交通費清算方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−79911(P2007−79911A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−266506(P2005−266506)
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【出願人】(593092482)ジェイアール東日本メカトロニクス株式会社 (85)