説明

ICカードレンタルシステムおよび方法

【課題】 ICカードを保持していない状況でもサービス利用者が過去取得したICカードの情報を引き継いだICカードを臨時で発行して一時的に貸し出すICカードレンタルシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】 サービス利用者が保持していたICカード(保持カード)の情報を、一時的に発行したICカード(レンタルカード)にコピーし、保持カードは使用を中止させ、レンタルカードを使用させる。レンタルカードを返却する際は、保持カードとレンタルカードの使用履歴データを読み出して精算し、もし不足分があればクレジットカード会社決済システムへの決済要求を発行して対処する。保持カードの残額は、不足分があればゼロとし、不足分がなければ精算後の残額に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカードの情報を管理するシステムおよび方法に関し、特に、サービス利用者が保持しているICカードのデータを引き継いだICカードを一時的に臨時で発行し、期限を設けて貸し出す、言わばICカードのレンタルを実現する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ICカードは、電子マネーや個人情報、定期券などの情報が登録されたカードであり、登録できる情報量が多いこと、データの劣化が無いことなどの利点を持つ。そのような利点を持つことから、特に今日では、これまで使用されてきた磁気カードの発行を中止し、ICカードへの移行が進み、鉄道業界、流通業界など分野を問わずに普及している。
【0003】
ICカードにかかる情報の管理技術として、例えば下記特許文献1に記載の技術がある。該文献に記載の共通乗車券ID管理システムは、ICカードに登録する情報、および利用履歴データの管理を行うものであり、この共通乗車券ID管理システムに登録された情報に従い、ICカードの発行、および利用中止を行う。ICカードは一意に識別可能なIDを付与されて発行され、発行されたICカードの履歴データはこの共通乗車券ID管理システムに定期的に集約され、履歴データの突合処理が行われる。これによりICカードの不正利用を検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-326635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ICカードは利用時にサービス利用者が保持していることが前提であるため、ICカードを保持していない場合、例えば自宅に置き忘れたり紛失した場合には、電子マネーでの商品購入、定期券での電車乗車などのサービスを受けることができない。紛失申請を行うことにより、再発行を行うことも可能であるが、その場合には、ICカードの履歴データの突合処理がすべて完了した状態であることが前提となるため、申請後、履歴データの突合処理が完了するまでの期間を経過しなければ再発行できない。従って、利用者がICカードを自宅に置き忘れたりしたことに気が付いても、すぐに再発行を受けることができないのが現状である。
【0006】
そこで、本発明は、このような実情に鑑みて、ICカードを保持していない状況でも、サービス利用者が過去取得したICカードの情報を引き継いだICカードを臨時で発行して一時的に貸し出し、本来サービス利用者が保持していたICカードが使用できる状態になった場合には、貸し出されていたICカードを返却することが可能な、言わばICカードをレンタルすることができる技術を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため鋭意研究の結果、本発明者は、サービス利用者が保持していたICカードの情報を、一時的に発行したICカードにコピーし、保持していたICカードは使用を中止させ、利用が終了する際はレンタルカードの変更データを保持していたICカードに書き戻し、かつ履歴データの突合処理にて一時的に発行したICカード発行前に使用した変更データを保持していたICカードに書き込むことでICカードのレンタルを行うことができることに想到した。
【0008】
すなわち、請求項1にかかる発明は、電子マネーを格納し該電子マネーによる料金の支払いを行う機能を備えるICカードのレンタルを行うICカードレンタルシステムであって、通信ネットワークに接続されたICカード情報管理サーバと、操作端末と、ICカード処理装置とを備え、前記操作端末は、サービス利用者によるレンタルカードの発行要求を受け付ける手段と、該発行要求を受け付けたとき、該レンタルカードの発行要求と、該サービス利用者により入力された該サービス利用者を特定する情報とを、前記ICカード情報管理サーバに送信する手段と、前記ICカード情報管理サーバから、該サービス利用者が持つ保持カードの最新の使用履歴データと会員情報が送信されたとき、それらの情報に基づいてレンタルカードを発行する手段と、サービス利用者によるレンタルカードの返却要求を受け付ける手段と、該返却要求を受け付けたとき、該レンタルカードの返却要求と、該サービス利用者がもともと所持していた保持カードとレンタルカードの情報を読み取ることで取得した該保持カードとレンタルカードを特定する情報とを、前記ICカード情報管理サーバに送信する手段と、前記ICカード情報管理サーバから、前記返却要求されたレンタルカードのデータをゼロクリアする指示と、前記保持カードの電子マネー残額を書き込む指示が送信されたとき、前記レンタルカードのデータをゼロクリアして使用できないようにし、前記保持カードの電子マネー残額を指示された額に書き込む手段とを備え、前記ICカード処理装置は、サービス利用者による保持カードやレンタルカードを利用した電子マネーでの料金の支払い要求を受け付け、その使用履歴データを定期的に前記ICカード情報管理サーバに送信する手段を備え、前記ICカード情報管理サーバは、前記ICカード処理装置から定期的に送信される使用履歴データを格納する履歴データ格納手段と、サービス利用者を特定する情報と、そのサービス利用者が保持する保持カードのICカードIDと、そのサービス利用者の決済に利用するクレジットカードの番号とを含む会員情報を記憶する会員情報記憶手段と、前記操作端末から送信されるレンタルカードの発行要求と前記サービス利用者を特定する情報を受信したとき、前記会員情報記憶手段からそのサービス利用者の会員情報を取得し、そのサービス利用者が持つ保持カードの最新の使用履歴データを前記履歴データ格納手段から取得し、その最新の使用履歴データと会員情報を前記操作端末に送信する手段と、前記操作端末から送信されるレンタルカードの返却要求と前記保持カードとレンタルカードを特定する情報を受信したとき、前記履歴データ格納手段から前記保持カードとレンタルカードの使用履歴データを取得し、それらの使用履歴データから精算後の電子マネー残額を計算するとともに、不足分の有無を検出する手段と、前記不足分があったときは、その不足分を前記クレジットカード番号に基づいてクレジット会社に請求する手段と、前記返却要求されたレンタルカードのデータをゼロクリアする指示と、前記不足分があったときは前記保持カードの電子マネー残額としてゼロを書き込み、前記不足分がなかったときは前記精算後の電子マネー残額を前記保持カードの電子マネー残額として書き込む指示を、前記操作端末に送信する手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載のICカードレンタルシステムにおいて、前記サービス利用者を特定する情報は、サービス利用者の氏名、生年月日、および暗証番号を含むことを特徴とする。
【0010】
請求項3にかかる発明は、請求項1に記載のICカードレンタルシステムにおいて、前記レンタルカードの発行時には、前記保持カードに関して前記履歴データ格納手段に格納されている最新の履歴データの電子マネー残額をそのレンタルカードの残額に設定することを特徴とする。
【0011】
請求項4にかかる発明は、請求項1に記載のICカードレンタルシステムにおいて、前記ICカード情報管理サーバは、使用を許可しないICカードを登録するネガ情報格納手段を備え、前記レンタルカードを発行したときには、前記保持カードを前記ネガ情報格納手段に登録することによりその使用を中止させ、前記レンタルカードが返却されたときには、前記保持カードを前記ネガ情報格納手段から削除してその使用を許可することを特徴とする。
【0012】
請求項5にかかる発明は、電子マネーを格納し該電子マネーによる料金の支払いを行う機能を備えるICカードのレンタルを行うICカードレンタル方法であって、通信ネットワークに接続されたICカード情報管理サーバと、操作端末と、ICカード処理装置とを設け、前記操作端末は、サービス利用者によるレンタルカードの発行要求を受け付け、該発行要求を受け付けたとき、該レンタルカードの発行要求と、該サービス利用者により入力された該サービス利用者を特定する情報とを、前記ICカード情報管理サーバに送信し、前記ICカード情報管理サーバから、該サービス利用者が持つ保持カードの最新の使用履歴データと会員情報が送信されたとき、それらの情報に基づいてレンタルカードを発行し、サービス利用者によるレンタルカードの返却要求を受け付け、該返却要求を受け付けたとき、該レンタルカードの返却要求と、該サービス利用者がもともと所持していた保持カードとレンタルカードの情報を読み取ることで取得した該保持カードとレンタルカードを特定する情報とを、前記ICカード情報管理サーバに送信し、前記ICカード情報管理サーバから、前記返却要求されたレンタルカードのデータをゼロクリアする指示と、前記保持カードの電子マネー残額を書き込む指示が送信されたとき、前記レンタルカードのデータをゼロクリアして使用できないようにし、前記保持カードの電子マネー残額を指示された額に書き込むものとし、前記ICカード処理装置は、サービス利用者による保持カードやレンタルカードを利用した電子マネーでの料金の支払い要求を受け付け、その使用履歴データを定期的に前記ICカード情報管理サーバに送信し、前記ICカード情報管理サーバは、前記ICカード処理装置から定期的に送信される使用履歴データを履歴データ格納手段に格納し、サービス利用者を特定する情報と、そのサービス利用者が保持する保持カードのICカードIDと、そのサービス利用者の決済に利用するクレジットカードの番号とを含む会員情報を会員情報記憶手段に記憶し、前記操作端末から送信されるレンタルカードの発行要求と前記サービス利用者を特定する情報を受信したとき、前記会員情報記憶手段からそのサービス利用者の会員情報を取得し、そのサービス利用者が持つ保持カードの最新の使用履歴データを前記履歴データ格納手段から取得し、その最新の使用履歴データと会員情報を前記操作端末に送信し、前記操作端末から送信されるレンタルカードの返却要求と前記保持カードとレンタルカードを特定する情報を受信したとき、前記履歴データ格納手段から前記保持カードとレンタルカードの使用履歴データを取得し、それらの使用履歴データから精算後の電子マネー残額を計算するとともに、不足分の有無を検出し、前記不足分があったときは、その不足分を前記クレジットカード番号に基づいてクレジット会社に請求し、前記返却要求されたレンタルカードのデータをゼロクリアする指示と、前記不足分があったときは前記保持カードの電子マネー残額としてゼロを書き込み、前記不足分がなかったときは前記精算後の電子マネー残額を前記保持カードの電子マネー残額として書き込む指示を、前記操作端末に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のICカードレンタルシステムおよび方法によれば、例えばICカードを自宅に忘れて、外出先で保持していない場合でも、その場で直近の履歴データの情報をもとにレンタルカードを発行することにより、金銭授受無しに、本来サービス利用者自身が保持していたICカードのように使用することが可能となる。また、レンタルカード返却時に、元々保持していたICカードからシステム利用料金や、突合処理で処理されなかった利用金額を精算するため、サービス利用者から直接金銭授受を行うのは元々保持していたICカードの残額が不足した場合のみで良く、利便性向上につながる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態にかかるICカードレンタルシステムの全体構成を示す概略図である。
【図2】ICカード情報管理サーバの内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【図3】ICカード情報管理サーバのICカード情報記憶部に記憶されるデータ構造を例示する概略図(その1)である。
【図4】ICカード情報管理サーバのICカード情報記憶部に記憶されるデータ構造を例示する概略図(その2)である。
【図5】操作端末の機器構成を概略的に示す図である。
【図6】操作端末の内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【図7】操作端末のレンタルカード発行時のサービス利用者認証時に表示する画面を示す図である。
【図8】操作端末のレンタルカード発行時の発行レンタルカードの内容を表示する画面を示す図である。
【図9】ICカード情報管理サーバのレンタルカード発行時の処理フローを示す図である。
【図10】レンタルカード使用時のシーケンス図である。
【図11】保持カード使用時のシーケンス図である。
【図12】操作端末のレンタルカード返却時のサービス利用者にレンタルカードと保持カードを読み取り装置にかざすことを促す旨を表示する画面を示す図である。
【図13】操作端末のレンタルカード返却時の精算額が残額を上回っている場合に表示する画面を示す図である。
【図14】操作端末のレンタルカード返却時の精算額が残額を下回っている場合に表示する画面を示す図である。
【図15】ICカード情報管理サーバのレンタルカード返却時の処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら、本発明のICカードレンタルシステムを実施するための最良の形態を詳細に説明する。
【0016】
なお、以下、「保持カード」とはサービス利用者が元々保持しているICカードのことを言うものとする。また、「レンタルカード」とは、保持カードの情報を引き継いだICカードであり、サービス利用者のレンタルカード発行操作時点での、ICカード情報管理サーバの履歴データを書き込まれたICカードを言うものとする。
【0017】
図1〜図15は、本発明の一実施形態を例示する図であり、これらの図において、同一の符号を付した部分は同一物を表わし、基本的な構成および動作は同様であるものとする。
【0018】
[1] ICカードレンタルシステムの全体構成
図1は、本発明の一実施形態にかかるICカードレンタルシステムについて、その全体構成を示す概略図である。
【0019】
図1において、本実施形態のICカードレンタルシステムは、ICカード情報管理サーバ101と、サービス利用者が操作する操作端末102と、レンタルカード103と、ICカード処理装置104,105,…と、サービス利用者が元々保持していた保持カード106と、クレジットカード会社決済システム107とを含んでいる。ICカード情報管理サーバ101と操作端末102とICカード処理装置104,105,…とクレジットカード会社決済システム107は、通信回線網に接続されており、相互に通信可能である。
【0020】
ICカード処理装置104,105,…は、例えばICカードの電子マネーで買い物ができる店舗やICカードで乗車できる鉄道の改札などに設置される装置であり、ICカードに対して電子マネーの入金ができる端末も含むものとする。なお、ICカード処理装置104,105,…は複数存在するが、説明の便宜のため、以下の説明では「ICカード処理装置104」と呼ぶものとする。操作端末102は、サービス利用者がレンタルカードの発行を受けるために操作する端末であり、ICカード処理装置104に近接して設置されている。操作端末102も複数台存在するが、図1では1台のみ図示している。
【0021】
サービス利用者は、例えば元々保持していた保持カード106を自宅に置き忘れたことに気が付いたとき、操作端末102を操作して、レンタルカード103を申請し、その発行を受けることができる。すなわち、サービス利用者が操作端末102を操作し、レンタルカード発行に必要な情報を入力すると、操作端末102は、ICカード情報管理サーバ101にレンタルカード発行に必要となるデータを送信する。ICカード情報管理サーバ101は、その利用者が適正な利用者であることをチェックし、発行するレンタルカードの情報を操作端末102に返す。該情報を受信した操作端末102は、受信したデータに従ってレンタルカード103の発行を行う。
【0022】
レンタルカード103を返却する場合は、サービス利用者が操作端末102を操作し、レンタルカード103と保持カード106を操作端末102のICカード読み取り装置にかざす。操作端末102は、レンタルカード103と保持カード106の情報を読み取り、ICカード情報管理サーバ101に読み取ったデータを送信する。ICカード情報管理サーバ101は、レンタルカード103の履歴データと保持カード106の履歴データを突き合わせし、保持カード106に書き込むデータを作成して操作端末102に送信する。操作端末102は、ICカード情報管理サーバ101から受信した保持カードの書き込みデータを元に保持カード106へのデータ書き込みを行う。また、操作端末102は、レンタルカード103のデータをゼロクリアして使用できないようにする。なお、返却されたレンタルカード103を、操作端末102で回収してもよい。
【0023】
レンタルカード103と保持カード106は、ICカード処理装置104にかざすことにより、電子マネーの利用や電車乗車などのICカードサービスを利用できる。
【0024】
ICカード処理装置104は、定期的にICカードの使用履歴データをICカード情報管理サーバ101に送信する。また、ICカード情報管理サーバ101からネガ情報を定期的に受信する。ネガ情報は、不正利用が疑われるため利用中止となったICカードの情報である。ICカード処理装置104は、ICカード処理時に、使用するICカードの情報をネガ情報と突き合わせて、使用可能か判断する。本システムでは、レンタルカード103を発行するとき、保持カード106をいったんネガ情報に登録して使用できないようにしている。レンタルカード103が返却されたとき、保持カード106をネガ情報から削除して、再度保持カード106を使うことができるようにする。
【0025】
クレジットカード会社決済システム107は、レンタルカード返却時に保持カード106の残額よりも精算金額が上回っている場合に、ICカード情報管理サーバ101から不足金額の決済要求を受け取る。上述したように、ICカード処理装置104からICカード情報管理サーバ101への使用履歴データの送信は、例えば1日1回というように定期的に行われる。そのため、保持カード106が使用されてICカード処理装置104にはその使用履歴データが存在するにもかかわらず、その使用履歴データがICカード処理装置104からICカード情報管理サーバ101に送信される前にレンタルカード103が発行され、結果として、レンタルカード103の返却時に、レンタルカード103と保持カード106の使用履歴データを突き合わせたとき、電子マネーの残額を超えて買い物などをしてしまっているケースがあり得る。そのような場合の不足額については、クレジットカード会社決済システム107への決済要求で対処する。
【0026】
[2] ICカード情報管理サーバの構成
図2は、ICカード情報管理サーバ101の内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【0027】
図2において、ICカード情報管理サーバ101は、操作端末102からのレンタルカード発行要求を処理する発行要求処理部201と、ICカード処理装置104から定期的に送信される履歴データを蓄積処理する履歴データ処理部202と、レンタルカード103と保持カード106への書き込みデータを作成する発行処理部203と、履歴データの突き合わせ処理を行う突合処理部204と、クレジットカード会社決済システム107に要求するレンタルカード103返却時の不足金額の決済を要求する決済要求部205と、履歴データやサービス利用者の情報を記憶するICカード情報記憶部206と、操作端末102、ICカード処理装置104、およびクレジットカード会社決済システム107とのデータ送受信を行う送受信部207と、突合処理部204の突き合わせ処理で不正利用が疑われるICカードを利用中止に設定するネガ処理部208と、会員情報の登録・更新・削除処理を行う会員情報処理部209とを含んでいる。
【0028】
図3は、ICカード情報管理サーバ101のICカード情報記憶部206に記憶されるデータ構造を例示する概略図である。図3において、ICカード情報記憶部206は、履歴データ310および会員情報320を記憶している。
【0029】
履歴データ310は、ICカード情報管理サーバ101の履歴データ処理部202により蓄積処理をされたICカードの使用履歴を、通番を付して記憶したものである。履歴データ310の各レコードは、ICカードID311、通番312、利用日時313、利用場所314、および電子マネー残額315の各フィールドから構成されている。ICカードID311は、各ICカード(保持カード106とレンタルカード103)を特定する識別子である。通番312は、ICカードごとに、そのICカードが利用された履歴に通番を付すものである。ICカードごとの使用履歴に通番312を付与することで、ICカード情報管理サーバ101の突合処理部204において通番の重複、漏れ、電子マネー残額315の異常な増減を検知することができ、ICカードの不正利用を監視することができる。利用日時313、利用場所314、および電子マネー残額315は、そのICカードが利用された日時と場所、および利用後の残額を示す。履歴データ310には、電子マネーを出金した場合だけでなく、ICカードを作ったときや電子マネーを入金したときの履歴データも格納するものとする。
【0030】
会員情報320は、ICカード情報管理サーバ101の会員情報処理部209により、サービス利用者(会員)の情報を、IDを付して記憶したものである。会員情報320の各レコードは、会員ID321、氏名322、生年月日323、暗証番号324、ICカードID325、およびクレジットカード番号326の各フィールドから構成されている。
【0031】
会員ID321はそのサービス利用者を特定する識別子であり、氏名322、生年月日323、暗証番号324はそのサービス利用者の氏名と生年月日と暗証番号である。ICカードID325は、そのサービス利用者が持つICカード(保持カード106である。レンタルカード103が会員情報320のICカードID325に登録されることはない。)のICカードIDである。ICカードID325と履歴データ310のICカードIDコード311を関連付けることで、サービス利用者とICカードの使用履歴との関連付け、および突き合せ処理後の最新データの確定が可能となる。また、氏名322、生年月日323、暗証番号324により、操作端末102を操作しているサービス利用者の認証を行うことができる。クレジットカード番号326は、そのサービス利用者が持つクレジットカードの番号であり、クレジットカード会社決済システム107にレンタルカード103返却時の不足金額の決済を要求する際に送信する。
【0032】
図4は、ICカード情報管理サーバ101のICカード情報記憶部206に記憶されるデータ構造を例示する概略図である。図4において、ICカード情報記憶部206は、ネガ情報410およびレンタルカード情報420を記憶している。
【0033】
ネガ情報410の各レコードは、ICカードID411、登録日412、理由413の各フィールドから構成されている。ネガ情報410には、利用を許可しないICカードを登録する。レンタルカード103を発行する際、保持カード106を一時的にネガ情報410に登録する。これにより、レンタルカード103と保持カード106とを同時にサービス利用者が使用することを防ぐことが可能となる。例えば、図4のネガ情報410のうち、ICカードID411が「id0000001」のレコードは、この「id0000001」の保持カードに対してレンタルカードが発行されたので、この保持カードを使用不許可にしたことを意味している。レンタルカード103返却後は、保持カード106をネガ情報410から削除することで、保持カード106を継続して使用することができるようになる。
【0034】
レンタルカード情報420の各レコードは、会員ID421、ICカードID422、レンタル元ICカードID423、レンタル元通番424、発行日425、および状態426の各フィールドから構成されている。レンタルカード情報420には、発行したレンタルカード103にかかる情報を登録する。会員ID421はレンタルカード103を発行した会員のID、ICカードID422は発行したレンタルカード103のID、レンタル元ICカードID423はその会員が持っている保持カード106のIDである。レンタル元通番424には、レンタルカード103を発行したとき、その保持カード106に関して履歴データ310に登録されている最新の通番312を格納する。発行日425は、そのレンタルカード103の発行日である。状態426は、そのレンタルカードが有効か無効かの状態を設定する。保持カード106のICカードIDと通番をそれぞれレンタル元ICカードID423とレンタル元通番424としてレンタルカード103に関連付けることで、レンタルカード103返却時に、レンタルカード103発行時点で突き合わせ処理が完了していなかった履歴データの利用情報を返却後の保持カード106に反映させることが可能となる。
【0035】
[3] 操作端末の構成
図5は、操作端末102の機器構成を概略的に示す図である。図5において、操作端末102は、画面表示を行い、またサービス利用者の入力操作を受け付けるタッチパネル501と、ICカードに対する読み込み処理と書き込み処理を行うICカード読み書き装置502と、を含んでいる。
【0036】
図6は、操作端末102の内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。図6において、操作端末102は、タッチパネル501に表示する画面を制御する画面表示部601と、ICカード情報管理サーバ101とのデータの送受信を行う送受信部603と、ICカード読み書き装置502にICカード読み込み処理やICカード書き込み処理を指示するICカード制御部602と、ICカード情報管理サーバ101から取得したネガ情報を用いて処理を行うネガ処理部604と、を含んでいる。
【0037】
[4] レンタルカード発行時の動作
次に、図7、図8、および図9を参照しながら、上記した本実施形態のICカードレンタルシステムのレンタルカード103発行時の動作について説明する。
【0038】
図7は、操作端末102のレンタルカード発行時のサービス利用者認証時に表示する画面を示す図である。該画面には、氏名、生年月日、および暗証番号の入力を促す文言と、次画面への遷移を行うボタンと、ソフトキーボードとを表示し、利用者はタッチパネル操作により入力を行う。入力後、次画面への遷移を行う「次へ」ボタンを押すことにより、入力された情報をICカード情報管理サーバ101に送信し、ICカード情報管理サーバ101からの応答を待つ。
【0039】
図8は、操作端末102のレンタルカード発行時の発行レンタルカードの内容を表示する画面を示す図である。該画面には、ICカード情報管理サーバ101から受信した履歴データ(後述するステップ903で送信されるデータ)と、レンタルカード発行により保持カード106が使用できなくなる旨の注意文言と、期限以内にレンタルカード103が返却されない場合にはレンタルカード103が使用できなくなる旨の注意文言と、発行処理を行う「発行」ボタンと、発行処理をキャンセルする「キャンセル」ボタンと、を表示する。利用者が発行処理を行うボタンを押すと、操作端末102は、ICカード情報管理サーバ101に発行処理を行う旨を送信し、ICカード情報管理サーバ101からの応答を待つ。
【0040】
なお、図8の「現在お持ちのICカード」の「残額:3,000円」は、現在このサービス利用者が持っている保持カード106について、ICカード情報管理サーバ101に格納されている最新の履歴データの電子マネー残額が3,000円であることを示している。実際にはその最新の履歴データの利用日時の後に、当該保持カード106を利用したがその履歴データは未だICカード情報管理サーバ101に送信されていないことがあるので、この「残額:3,000円」は厳密には確定した残額とは言えない。ただし、本実施形態のシステムでは、利用者の便宜を考慮して、確定していない残額でとりあえずレンタルカードを発行し、該レンタルカードの返却時に不足分があった場合はクレジットカード決済でその不足分を回収するようにしている。レンタルカードの返却時の処理などについては後に詳しく説明する。
【0041】
図9は、ICカード情報管理サーバ101のレンタルカード発行時の処理フローを示す図である。
【0042】
まず、操作端末102から送信された氏名、生年月日、および暗証番号(図7の画面で入力されたもの)といった利用者の情報を会員情報320から検索し、当該利用者の会員情報が存在するか確認する(ステップ901)。該当する会員情報が存在しない場合、エラー情報を操作端末102に送信して終了する(ステップ908)。この場合は、レンタルカード103は発行されない。
【0043】
該当する会員情報が存在する場合、その会員の保持カード106の履歴データ310の検索を行う(ステップ902)。ステップ902にて取得した履歴データのうち、最新の履歴データの情報からレンタルカード103発行に関連するデータ(特に最新の履歴データの電子マネー残額315)を操作端末102に送信する(ステップ903)。また、図3では不図示だが、その保持カード106が例えば定期券など電子マネー以外の機能を持つものである場合は、ICカード情報記憶装置206に、その会員の会員情報に紐付けられた定期券などに関する情報(例えば、定期券であれば乗車区間や期間など)が記憶されているので、それらの情報も操作端末102に送信するものとする(ステップ903)。操作端末102は、これらのデータを受信して、図8に示したように画面に表示し、サービス利用者にレンタルカード103の内容の確認を促す。
【0044】
図8の画面でサービス利用者が「キャンセル」ボタンを押したときは、不図示だが図9の以降の処理は行わずに終了する。図8の画面でサービス利用者が「発行」ボタンを押すと、操作端末102からICカード情報管理サーバ101に、レンタルカード103を発行する旨を示すデータが送信される。ICカード情報管理サーバ101は、操作端末102からレンタルカード103発行する旨を示すデータを受信した後、当該会員の保持カード106を使用中止とするためネガ情報410に登録する(ステップ904)。
【0045】
次に、ステップ902で検索した履歴データが存在するか判定する(ステップ905)。履歴データが存在していた場合は、履歴データの最新情報と会員情報などを操作端末102に送信する(ステップ906)。なお、既にステップ903で送信してある情報については、再度送信する必要はない。操作端末102は、送信された履歴データの最新情報と会員情報などに基づいてレンタルカード103を発行する。ステップ905で履歴データが存在しなかった場合は、履歴データの引継ぎを行う必要がないため、会員情報のみを操作端末102に送信する(ステップ907)。この場合、操作端末102は、受信した会員情報に基づいてレンタルカード103を発行する。
【0046】
なお、ステップ905→907と進むケースは、そのICカードが電子マネーの機能を持たない場合である。例えば、定期券の機能のみを持ち電子マネーの機能を持たないICカードなどがあるが、その場合は、電子マネーの残額を管理する必要がないのでそのカードに関して履歴データが格納されることはない。ただし、会員情報320には、定期券に関する情報(乗車区間や期間など)が紐付けられているので、ステップ907(またはステップ903)ではそのような情報も含めて操作端末102に送信し、定期券の機能のみを持つレンタルカード103を発行する。ステップ906,907でレンタルカード103を発行する場合は、レンタルカード情報420(図4)に当該レンタルカードにかかる情報を登録するとともに、履歴データ310(図3)に、当該レンタルカード103を登録する。その際、当該レンタルカード103の電子マネー残額315は、とりあえず保持カード106について確認できた最新の履歴データでの残額と同額としておく。
【0047】
[5] レンタルカード、保持カード使用時の動作
【0048】
次に、図10および図11を参照しながら、上記実施形態のICカードレンタルシステムのレンタルカード103の使用時、およびレンタルカード103発行後の保持カード106の使用時の動作について説明する。
【0049】
図10は、レンタルカードをICカード処理装置104にかざして使用する場合の処理を示す図である。左側の「利用者」の流れはサービス利用者の動作、真ん中の「ICカード処理装置」の流れはICカード処理装置104の処理、右側の「ICカード情報管理サーバ」の流れはICカード情報管理サーバ101の処理を示す。
【0050】
ICカード処理装置104は、定期的にICカード情報管理サーバ101からネガ情報410を取得する(ステップ1001)。また、当該ICカード処理装置104で使用されたICカードの使用履歴データを定期的にICカード情報管理サーバ101に送信する(ステップ1002)。ICカード情報管理サーバ101は、その使用履歴データを受信し、図3の履歴データ310としてICカード情報記憶装置206に格納する。これらのステップ1001,1002の処理は、図10ではそれぞれ1つのブロックで示したが、「定期的に」と説明したように、それぞれ所定期間間隔(例えば、1日1回など)で繰り返し実行される処理である。
【0051】
利用者がレンタルカード103を使用した場合(例えば、店舗で買い物をしその支払をレンタルカード103の電子マネーで行った場合)、ICカード処理装置104は、そのレンタルカード103の読み込み処理を行う(ステップ1003)。次に、ネガ情報(既にステップ1001で取得し、ICカード処理装置104内に保持されている情報)を照会し、読み取り内容を元に、そのカードが使用不可となっていないか確認する(ステップ1004)。もし使用が許可されていないカードであれば、以降の処理は行わず、使用不可のカードである旨を利用者に通知して処理を終了する。使用可能なレンタルカード103である場合、ICカード処理装置104は、そのレンタルカード103に対して使用履歴データの書き込み(例えば、買い物をして電子マネーで支払った場合は、日時などの定型的な情報のほか、幾らの買い物で残額が幾らになったかなどの情報を書き込む)を行う(ステップ1005)。その使用履歴データは、ICカード処理装置104内に保持され、上記ステップ1002の定期送信タイミングが来たときICカード情報管理サーバ101に送信される。
【0052】
図11は、レンタルカードが有効な状態において保持カードをICカード処理装置104にかざして使用した場合の処理を示す図である。左側の「利用者」の流れはサービス利用者の動作、真ん中の「ICカード処理装置」の流れはICカード処理装置104の処理、右側の「ICカード情報管理サーバ」の流れはICカード情報管理サーバ101の処理を示す。ステップ1001と1002は、図10で説明した定期的に行う処理である。
【0053】
利用者(この場合は保持カード106の正当な所有者でない場合もある)が保持カード106を使用した場合(例えば、店舗で買い物をしその支払を保持カード106の電子マネーで行おうとした場合)、ICカード処理装置104は、その保持カード106の読み込み処理を行う(ステップ1101)。次に、ネガ情報(既にステップ1001で取得し、ICカード処理装置104内に保持されている情報)を照会し、読み取り内容を元に、そのカードが使用不可となっていないか確認する(ステップ1102)。その保持カード106に対してレンタルカード103が発行されていたとすると、その保持カード106はネガ情報410に登録され使用不可となっているはずである。そのため、ICカード処理装置104は、その保持カード106に対して使用拒否し、利用者に対してその旨を通知する(ステップ1103)。
【0054】
[6] レンタルカード返却時の動作
次に、図12、図13、図14、および図15を参照しながら、上記実施形態のICカードレンタルシステムのレンタルカード103返却時の動作について説明する。
【0055】
図12は、操作端末102においてサービス利用者がレンタルカード103の返却を指示する操作を行ったときに表示される画面例である。この画面では、レンタルカード103と保持カード106をICカード読み書き装置503にかざすことを促す旨の文言を表示する。この画面に応じて、サービス利用者がレンタルカード103と保持カード106を読み書き装置503にかざすと、操作端末102は、そのレンタルカード103と保持カード106のデータ(特に両カードのICカードID)を読み込み、読み込んだ情報をICカード情報管理サーバ101に送信し、ICカード情報管理サーバ101からの応答を待つ。
【0056】
図13は、レンタルカード103返却時の精算において、レンタルカード103発行時点までに保持カード106を利用した結果の電子マネーの残額(レンタルカード103発行時点までに使用履歴データのICカード情報管理サーバ101への送信が間に合わなかった使用履歴も含めた上での実質的な残額)がレンタルカード103による電子マネーの使用額を上回っていた場合(一致している場合も含む)に、操作端末102に表示する画面を示す図である。この画面では、レンタルカード発行時のICカード残額1301と、レンタルカード発行前にご使用頂いた額1302と、ICカードレンタル料金1304と、レンタルカードでご使用頂いた額1303と、お持ちのICカードの残額1305と、返却を実行するボタンと、返却をキャンセルするボタンと、を表示する。
【0057】
レンタルカード発行時のICカード残額1301は、レンタルカード情報420(図4)から、当該保持カード106のICカードIDをレンタル元ICカードID423とし、かつ、当該レンタルカード103のICカードIDをICカードID422とするレコードを取得し、取得したレコードのレンタル元通番424を取得し、履歴データ310(図3)から当該保持カード106のICカードIDをキーに履歴レコードを取得し、取得した履歴レコードの中で通番312が前記レンタル元通番424である履歴レコードの電子マネー残額315を、ICカード残額1301として表示したものである。要するに、この残額は、レンタルカード103発行時に図8の画面で「発行するレンタルカード」の「残額」に表示した額と同額になる。
【0058】
レンタルカード発行前にご使用頂いた額1302は、履歴データ310から当該保持カード106のICカードIDをキーとして取得した履歴レコードのうち、レンタルカード103発行日以降の最も新しい履歴レコードの電子マネー残額315とレンタルカード発行時のICカード残額1301との差額である。要するに、当該レンタルカード103の発行日時425より前に保持カード106を利用したが、その使用履歴が(レンタルカード103発行時点で)ICカード情報記憶装置206の履歴データ310に反映されていなかった利用額を、レンタルカード発行前にご使用頂いた額1302として、表示するものである。
【0059】
ICカードレンタル料金1304は、レンタルカード103を発行した手数料である。レンタルカードでご使用頂いた額1303は、読み込んだレンタルカード103の残額とレンタルカード発行時のICカード残額1301との差額である。お持ちのICカードの残額1305は、レンタルカード発行時のICカード残額1301から、レンタルカード発行前にご使用頂いた額1302と、レンタルカードでご使用頂いた額1303と、ICカードレンタル料金1304と、を減額した額である。
【0060】
最終的には、お持ちのICカードの残額1305が、このサービス利用者の電子マネーの残額になるので、この残額が、返却後に保持カード106の残額として書き込まれる額となる。図13の画面でサービス利用者が返却を実行するボタンを押すと、操作端末102からICカード情報管理サーバ101に返却処理を行う旨を示すデータが送信される。その後、操作端末102は、ICカード情報管理サーバ101からの応答を待つ。
【0061】
図14は、レンタルカード103返却時の精算において、レンタルカード103発行時点までに保持カード106を利用した結果の電子マネーの残額(レンタルカード103発行時点までに使用履歴データのICカード情報管理サーバ101への送信が間に合わなかった使用履歴も含めた上での実質的な残額)がレンタルカード103による電子マネーの使用額を下回っていた場合に、操作端末102に表示する画面を示す図である。この画面では、図13と同様に、レンタルカード発行時のICカード残額と、レンタルカード発行前にご使用頂いた額と、ICカードレンタル料金と、レンタルカードでご使用頂いた額と、お持ちのICカードの残額と、不足金額と、返却を実行するボタンと、返却をキャンセルするボタンと、を表示する。
【0062】
このケースでは、レンタルカード103発行時点における当該利用者の電子マネーの実質的な残額を超えて買い物などで電子マネーを使ってしまっているので、お持ちのICカードの残額は0円となり、さらに不足額が700円あるので、その不足額についてはクレジットカード会社から請求される旨の注意文言が表示されている。この画面で返却を実行するボタンを押すと、操作端末102からICカード情報管理サーバ101に返却処理を行う旨を示すデータが送信される。その後、操作端末102は、ICカード情報管理サーバ101からの応答を待つ。
【0063】
図15は、ICカード情報管理サーバ101のレンタルカード返却時の処理フローを示す図である。操作端末102において、サービス利用者がレンタルカード103の返却を指示する操作を行うと図12の画面が表示され、該画面に応じてサービス利用者がレンタルカード103と保持カード106とを操作端末102のICカード読み書き装置503にかざすと、そのレンタルカード103と保持カード106のデータが読み込まれてICカード情報管理サーバ101に送信される。ICカード情報管理サーバ101は、該データを受信すると、図15の処理を開始する。
【0064】
まず、操作端末102のICカード読み書き装置502にかざされたICカードがレンタルカード103および保持カード106であるかをレンタルカード情報420(図4)を検索して確認する(ステップ1501)。レンタルカード情報420に存在しない場合は、そのまま処理を終了する。かざされたICカードがレンタルカード情報420に登録されているレンタルカード103および保持カード106である場合は、そのレンタルカード103および保持カード106の履歴データ310を検索する(ステップ1502)。取得した履歴データの中から、保持カード106の最終使用履歴データを取得し、返却時点でのレンタルカード103の使用履歴データを取得し、それらのデータから利用料金を計算し、精算後の残額を操作端末102に送信する(ステップ1503)。これにより、操作端末102では図13,14のような表示が実行される。
【0065】
次に、操作端末102で表示された図13,14の画面で返却ボタンが押されたか確認する(ステップ1504)。キャンセルボタンが押された場合は、そのまま処理をキャンセルする。返却ボタンが押された場合は、当該レンタルカード103を使用中止とするため、当該レンタルカード103のデータをゼロクリアする指示を操作端末102に送信する(ステップ1505)。操作端末102は、該指示を受けて、レンタルカード103のデータをゼロクリアして使用できないようにする。次に、当該保持カード106を使用開始とするため、ネガ情報410から当該保持カード106の情報を削除する(ステップ1506)。
【0066】
次に、当該保持カード106の残額が精算金額より多いか確認する(ステップ1507)。この判別は、既にステップ1503で精算後の残額を計算して、不足額がないときは図13の表示を行い、不足額があるときは図14の表示を行うようにしているので、その不足額の有無により判別できる。不足額があるときは、ステップ1507から1508に進んで、その不足金額をクレジットカード会社に請求依頼する(ステップ1508)。不足額がないとき(当該保持カード106の残額と精算金額とが一致した場合も含む)は、そのままステップ1509に進む。最後に、保持カード106を引き続き使用できるようにするため、当該保持カード106の残額を精算後の残額(すなわち、図13,14のお持ちのICカードの残額として表示された額)にし、通番を当該保持カード106の履歴データの最新の通番312からインクリメントする指示を操作端末102に送信する(ステップ1509)。なお、ステップ1507でカード残額が精算金額より少ない場合、すなわち上述の不足額があった場合は、残高に0円を書き込むものとする。
【0067】
なお、ステップ1502,1503では、ICカード情報管理サーバ101内に記録されている使用履歴データ310を用いて図13,14の「レンタルカードでご使用頂いた額」1303を求めているが、レンタルカード103を何れかのICカード処理装置104で使用した後、そのICカード処理装置104から履歴データが定期送信(図10,11の1002)される前にレンタルカード103の返却処理が為されると、残額の計算が不正確になる。これを避けるためには、例えば下記(1)〜(3)のような対策がある。
【0068】
(1)「レンタルカードでご使用頂いた額」1303を求める際に、ICカード情報管理サーバ101からICカード処理装置104に問い合わせて、ICカード処理装置104からICカード情報管理サーバ101に未だ送信していない履歴データがあれば、それを送信させる。返却されるレンタルカード103内には、当該レンタルカード103を使用した履歴データが記録されており、該履歴データには当該レンタルカード103を使用したICカード処理装置104を特定する情報が含まれているので、ICカード情報管理サーバ101は、問い合わせるべきICカード処理装置104を特定できる。問い合わせた結果、履歴データが送信されてきたら、ICカード情報管理サーバ101は、それらの履歴データをICカード情報206の履歴データ310に格納し、最新の状態としてからステップ1503の残額の計算を実行する。
【0069】
(2)レンタルカード103内には、当該レンタルカード103を使用した履歴データが記録されているので、ICカード情報管理サーバ101は、履歴データ310に加えて当該レンタルカード103内の履歴データを利用して、「レンタルカードでご使用頂いた額」1303を求める。この場合は、当該レンタルカード103内の履歴データを、後でICカード処理装置104からICカード情報管理サーバ101に定期送信される履歴データと突き合わせる必要がある。
【0070】
(3)とりあえず、レンタルカードの返却時点でICカード情報管理サーバ101に保持されている履歴データ310を用いて図15の返却処理を実行する。その後、ICカード処理装置104から定期送信された履歴データの中に、既に図15の返却処理を終えたレンタルカード103の使用履歴が含まれていたら、追加処理としてその分の不足金額をクレジットカード会社に請求依頼する処理を行う。この場合、図15のステップ1507の判別がYESなら、「当該レンタルカード103に関するクレジットカード会社への請求は無しである旨」を中間結果として記憶し、ステップ1507の判別がNOなら、ステップ1508でクレジットカード会社への請求は行わずに、「当該レンタルカード103に関するクレジットカード会社への請求は有りである旨」とその不足金額を中間結果として記憶しておき、その後、少なくとも全ICカード処理装置104からの履歴データの定期送信が終了するまでの時間を取った後に上述の追加処理を実行し、上記中間結果と追加処理の結果とを合わせて、最終的なクレジットカード会社への請求の有無と請求金額とを決定するようにしてもよい。最終結果としてクレジットカード会社へ請求する必要がある場合は、合算した不足額をクレジットカード会社に請求依頼する。
【0071】
上記実施形態では、不足金額の精算についてはクレジットカード会社による決済としたが、現金での精算としても良い。
【0072】
以上、本発明のICカードレンタルシステムについて、具体的な実施の形態を示して説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。当業者であれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上記各実施形態又は他の実施形態にかかる発明の構成および機能に様々な変更・改良を加えることが可能である。
【0073】
特に、サービス利用者の認証については、氏名、生年月日、暗証番号による認証以外にも、指紋認証や静脈認証などの生体認証を採用することができる。例えば指紋認証であれば、サービス利用者に情報の入力を求める必要が無く、ユーザビリティの向上や誤入力を防止することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明のICカードレンタルシステムは、ICカードの情報を管理するシステムであり、特に、一時的にサービス利用者が保持しているICカードのデータを引き継いだICカードを臨時で発行し、期限を設けて貸し出すICカードレンタルシステムとして利用可能である。
【符号の説明】
【0075】
101…ICカード情報管理サーバ、102…操作端末、103…レンタルカード、104,105,……ICカード処理装置、106…保持カード、107…クレジットカード会社決済システム 、201…発行要求処理部、202…履歴データ処理部、203…発行処理部、204…突合処理部、205…決済要求部、206…ICカード情報記憶部、207…送受信部、208…ネガ処理部、209…会員情報処理部、310…履歴データ、311…ICカードID…、312…通番、313…利用日時、314…利用場所、315…電子マネー残額、320…会員情報、321…会員ID、322…氏名、323…生年月日、324…暗証番号、325…ICカードID、326…クレジットカード番号、410…ネガ情報、411…ICカードID、412…登録日、413…理由、420…レンタルカード情報…、421…会員ID、422…ICカードID、423…レンタル元ICカードID、424…レンタル元通番、425…発行日、426…状態、501…操作端末、502…タッチパネル、503…ICカード読み書き装置、601…画面表示部、602…ICカード制御部、603…送受信部、604…ネガ処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子マネーを格納し該電子マネーによる料金の支払いを行う機能を備えるICカードのレンタルを行うICカードレンタルシステムであって、
通信ネットワークに接続されたICカード情報管理サーバと、操作端末と、ICカード処理装置とを備え、
前記操作端末は、
サービス利用者によるレンタルカードの発行要求を受け付ける手段と、
該発行要求を受け付けたとき、該レンタルカードの発行要求と、該サービス利用者により入力された該サービス利用者を特定する情報とを、前記ICカード情報管理サーバに送信する手段と、
前記ICカード情報管理サーバから、該サービス利用者が持つ保持カードの最新の使用履歴データと会員情報が送信されたとき、それらの情報に基づいてレンタルカードを発行する手段と、
サービス利用者によるレンタルカードの返却要求を受け付ける手段と、
該返却要求を受け付けたとき、該レンタルカードの返却要求と、該サービス利用者がもともと所持していた保持カードとレンタルカードの情報を読み取ることで取得した該保持カードとレンタルカードを特定する情報とを、前記ICカード情報管理サーバに送信する手段と、
前記ICカード情報管理サーバから、前記返却要求されたレンタルカードのデータをゼロクリアする指示と、前記保持カードの電子マネー残額を書き込む指示が送信されたとき、前記レンタルカードのデータをゼロクリアして使用できないようにし、前記保持カードの電子マネー残額を指示された額に書き込む手段と
を備え、
前記ICカード処理装置は、
サービス利用者による保持カードやレンタルカードを利用した電子マネーでの料金の支払い要求を受け付け、その使用履歴データを定期的に前記ICカード情報管理サーバに送信する手段
を備え、
前記ICカード情報管理サーバは、
前記ICカード処理装置から定期的に送信される使用履歴データを格納する履歴データ格納手段と、
サービス利用者を特定する情報と、そのサービス利用者が保持する保持カードのICカードIDと、そのサービス利用者の決済に利用するクレジットカードの番号とを含む会員情報を記憶する会員情報記憶手段と、
前記操作端末から送信されるレンタルカードの発行要求と前記サービス利用者を特定する情報を受信したとき、前記会員情報記憶手段からそのサービス利用者の会員情報を取得し、そのサービス利用者が持つ保持カードの最新の使用履歴データを前記履歴データ格納手段から取得し、その最新の使用履歴データと会員情報を前記操作端末に送信する手段と、
前記操作端末から送信されるレンタルカードの返却要求と前記保持カードとレンタルカードを特定する情報を受信したとき、前記履歴データ格納手段から前記保持カードとレンタルカードの使用履歴データを取得し、それらの使用履歴データから精算後の電子マネー残額を計算するとともに、不足分の有無を検出する手段と、
前記不足分があったときは、その不足分を前記クレジットカード番号に基づいてクレジット会社に請求する手段と、
前記返却要求されたレンタルカードのデータをゼロクリアする指示と、前記不足分があったときは前記保持カードの電子マネー残額としてゼロを書き込み、前記不足分がなかったときは前記精算後の電子マネー残額を前記保持カードの電子マネー残額として書き込む指示を、前記操作端末に送信する手段と
を備えることを特徴とするICカードレンタルシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のICカードレンタルシステムにおいて、
前記サービス利用者を特定する情報は、サービス利用者の氏名、生年月日、および暗証番号を含むことを特徴とするICカードレンタルシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のICカードレンタルシステムにおいて、
前記レンタルカードの発行時には、前記保持カードに関して前記履歴データ格納手段に格納されている最新の履歴データの電子マネー残額をそのレンタルカードの残額に設定することを特徴とするICカードレンタルシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のICカードレンタルシステムにおいて、
前記ICカード情報管理サーバは、使用を許可しないICカードを登録するネガ情報格納手段を備え、前記レンタルカードを発行したときには、前記保持カードを前記ネガ情報格納手段に登録することによりその使用を中止させ、前記レンタルカードが返却されたときには、前記保持カードを前記ネガ情報格納手段から削除してその使用を許可することを特徴とするICカードレンタルシステム。
【請求項5】
電子マネーを格納し該電子マネーによる料金の支払いを行う機能を備えるICカードのレンタルを行うICカードレンタル方法であって、
通信ネットワークに接続されたICカード情報管理サーバと、操作端末と、ICカード処理装置とを設け、
前記操作端末は、
サービス利用者によるレンタルカードの発行要求を受け付け、
該発行要求を受け付けたとき、該レンタルカードの発行要求と、該サービス利用者により入力された該サービス利用者を特定する情報とを、前記ICカード情報管理サーバに送信し、
前記ICカード情報管理サーバから、該サービス利用者が持つ保持カードの最新の使用履歴データと会員情報が送信されたとき、それらの情報に基づいてレンタルカードを発行し、
サービス利用者によるレンタルカードの返却要求を受け付け、
該返却要求を受け付けたとき、該レンタルカードの返却要求と、該サービス利用者がもともと所持していた保持カードとレンタルカードの情報を読み取ることで取得した該保持カードとレンタルカードを特定する情報とを、前記ICカード情報管理サーバに送信し、
前記ICカード情報管理サーバから、前記返却要求されたレンタルカードのデータをゼロクリアする指示と、前記保持カードの電子マネー残額を書き込む指示が送信されたとき、前記レンタルカードのデータをゼロクリアして使用できないようにし、前記保持カードの電子マネー残額を指示された額に書き込むものとし、
前記ICカード処理装置は、
サービス利用者による保持カードやレンタルカードを利用した電子マネーでの料金の支払い要求を受け付け、その使用履歴データを定期的に前記ICカード情報管理サーバに送信し、
前記ICカード情報管理サーバは、
前記ICカード処理装置から定期的に送信される使用履歴データを履歴データ格納手段に格納し、
サービス利用者を特定する情報と、そのサービス利用者が保持する保持カードのICカードIDと、そのサービス利用者の決済に利用するクレジットカードの番号とを含む会員情報を会員情報記憶手段に記憶し、
前記操作端末から送信されるレンタルカードの発行要求と前記サービス利用者を特定する情報を受信したとき、前記会員情報記憶手段からそのサービス利用者の会員情報を取得し、そのサービス利用者が持つ保持カードの最新の使用履歴データを前記履歴データ格納手段から取得し、その最新の使用履歴データと会員情報を前記操作端末に送信し、
前記操作端末から送信されるレンタルカードの返却要求と前記保持カードとレンタルカードを特定する情報を受信したとき、前記履歴データ格納手段から前記保持カードとレンタルカードの使用履歴データを取得し、それらの使用履歴データから精算後の電子マネー残額を計算するとともに、不足分の有無を検出し、
前記不足分があったときは、その不足分を前記クレジットカード番号に基づいてクレジット会社に請求し、
前記返却要求されたレンタルカードのデータをゼロクリアする指示と、前記不足分があったときは前記保持カードの電子マネー残額としてゼロを書き込み、前記不足分がなかったときは前記精算後の電子マネー残額を前記保持カードの電子マネー残額として書き込む指示を、前記操作端末に送信する
ことを特徴とするICカードレンタル方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−101572(P2013−101572A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245971(P2011−245971)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000233055)株式会社日立ソリューションズ (1,610)