説明

ICカード付き携帯電話機

【課題】電池パックによる電力供給の遮断前にICカードの抜き取りが行われることを確実に防止するICカード付き携帯電話機を提供すること。
【解決手段】電池パック3と電池パック3を装着するための凹部4を有する携帯電話機本体2とICカード5とからなり、凹部4には電池パック3の一側面31に設けられた電池パック側端子9に対向する本体側端子8とICカード5の装着口7とが設けられているICカード付き携帯電話機1において、電池パック3において電池パック側端子9が設けられた側面32の電池パック表面寄りの位置に設けられた突起11と、携帯電話機本体1に設けられた突起11を受ける受け部12とを設け、電池パック3を突起11を支点として回動可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パックと該電池パックを装着するための凹部を有する携帯電話機本体とICカードとからなり、前記凹部には前記電池パックの一側面に設けられた電池パック側端子に対向する本体側端子と前記ICカードの装着口とが設けられているICカード付き携帯電話機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機には各種の多量のデータを用いるために着脱自在なICカードを用いたものが普及されている。同時に、携帯電話機は電源供給のために装着自在な電池パックが備えられている。
【0003】
この種の携帯電話機としては、例えば、下記の特許文献1で示すようにICカードの上方に電池パックが装着されるようにしたものがある。すなわち、電池パックと携帯電話機本体との間にICカードが挟みこまれる構造になっている。そして、ICカードは携帯電話機本体の中央付近に設けたICカード接続コネクタと接続されるようになっている。したがって、電池パックを取り外さないとICカードも取り外せないため、携帯電話機の電源が入った状態ではICカードを取り出せなくなり、ICカード内及び携帯電話機本体内のデータ破壊を防止できる利点を有する。
【0004】
しかし、下記特許文献1で示す従来技術においては、ICカードと電池パックとを重ねているため携帯電話機の厚みが大きくなるという欠点がある。また、電池パックを取り外したときに、ICカードが全体的に露出するので誤ってICカードを携帯電話機本体から外してしまうという恐れがある。
【0005】
そこで、従来においては、更に、ICカードの大きさが電池パックよりも小さいことに着目し、携帯電話機に形成した電池パックを収納するための凹部内の側面にICカード用装着口を形成し、電池パックとICカード装着部を並置させるようにした構造のものが考えられている。一方、凹部内の他の側面には本体側端子を設け、電池パック側端子と接触するようにしている。
【0006】
上記のような従来の携帯電話機は、電池パックが本体から取り外されることにより電池パック側端子と本体側端子との接触状態が解除され、その後に、ICカードの端が凹部側面に臨ませるようにしたものである。したがって、その一側面に設けた凹部の本体側側面に設けたICカードへの電力供給が停止された後に、ICカードの取り外しが可能となり、ICカード内及び携帯電話機本体内のデータ破壊を防止できる利点を有する。同時に、携帯電話機の小型化を図ることができる。
【特許文献1】特開平6−276263号公報(段落[0010]、[0019])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来技術においては、通常、本体側端子は携帯電話機本体から弾性的に突出する構成をとり、電池パック側端子との接触を確実にする方法が取られている。そのため、電池パックを取り外すために携帯電話機本体に対して回動しても、本体側端子が電池パック側端子に接触したままでICカードを露出してしまう。そのため、使用者が電池パックと携帯電話機本体との間の隙間からICカードを抜き取ることを可能としてしまう。したがって、ICカードは通電中に抜き取られないようにすることが確実に防止できないため、ICカードに記憶されたデータを破壊してしまうという事故を確実に防止することができなかった。
【0008】
特に、ICカードに記憶されるデータは破損すると回復が不可能であるため上記のような事故の発生を確実に防止することが強く望まれていた。
【0009】
そこで、本発明は、上述の問題点を除去したICカード付き携帯電話を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本願の請求項1に係る発明は、電池パックと該電池パックを装着するための凹部を有する携帯電話機本体とICカードとからなり、前記凹部には前記電池パックの一側面に設けられた電池パック側端子に対向する本体側端子と前記ICカードの装着口とが設けられているICカード付き携帯電話機において、
前記電池パックにおいて前記電池パック側端子が設けられた側面の該電池パック表面寄りの位置に設けられた突起と、
前記携帯電話機本体に設けられた前記突起を受ける受け部と、
を設けていることを特徴とする。
【0011】
また、本願の請求項2に係る発明のICカード付き携帯電話機においては、前記電池パック側端子に対向する前記本体側端子は、弾性体からなり前記凹部内に弾性的に突出するように形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、上述した解決手段により以下に述べる通りの優れた効果を奏する。すなわち、本願の請求項1に係る発明のICカード付き携帯電話機によれば、電池パックを凹部から取出すときに、電池パックの突部が本体側の前記受け部によって受けられて該突部の先端が支点となって回動されるので、電池パックの少ない回動状態で前記電池パック側端子と前記本体側端子との接触状態が解除される。そのため、前記ICカード用の装着口がICカードの抜き取りを可能とするように露出される以前に前記電池パックからの電力供給が遮断される。したがって、前記ICカードが作動中に電力供給が停止されてデータを破損する事故を確実に防止できる。また、その構成は、前記突部と受け部を設けるだけの簡単なものである。
【0013】
また、本願の請求項2に係る発明のICカード付き携帯電話機によれば、前記本体側端子は前記凹部に弾性的に突出しているので、前記電池パックを凹部に装着した状態では、前記電池パック側端子に確実に接触する。したがって、前記本体は電池パックからの電力供給が確実になされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。
【実施例】
【0015】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施例に係るICカード付き携帯電話機の下半分を示す平面図、図2は図1におけるA−A線断面図、図3は図1の横断面図であり、図3(a)はB−B線断面図、図3(b)は図3(a)の部分Wの拡大図、図4は図1の横断面図であり、図4(a)はC−C線断面図、図4(b)は図4(a)の部分Xの拡大図、図5は図1において電池パックを取り外している途中の状態を示す平面図、図6は図5におけるD−D線断面図、図7は図5の横断面図であり、図7(a)はE−E線断面図、図7(b)は図7(a)の部分Yの拡大図、図8は図5の横断面図であり、図8(a)はF−F線断面図、図8(b)は図8(a)の部分Zの拡大図である。
【0016】
ICカード付き携帯電話機1は、本体2の一面に平板状の電池パック3を装着するために形成した凹部4と、ICカード5を装着するためのICカード装着部6とを本体2の長手方向に並置して備えている。凹部4のICカード装着部6に接した第一の側面41には、ICカード装着部6の装着口7が設けられている。凹部4における第一の側面41と直交する第二の側面42には、本体側端子8が設けられている。本体側端子8は弾性体、例えばばね材からなり弾性的に凹部4内に突出している。
【0017】
電池パック3は、一側面31に設けられた電池パック側端子9と、該一側面の反対側に位置する他側面32に設けられた爪10とを有する。電池パック側端子9は電池パック3が凹部4に装着された状態で本体側端子8と接している。
【0018】
電池パック3の側面31には、電池パック側端子9から電池パック3の表面よりの位置に突起11が設けられている。凹部4の第二の側面42の上部には、本体2を切り欠いて突起11を受けるための受け部12が形成されている。
【0019】
上述した本発明の実施例によるICカード付き携帯電話機の動作を説明する。図1〜図5で示すように、電池パック3を凹部4に装着した状態では、本体側端子8が電池パック側端子9に接触している。この接触状態は、本体側端子8が凹部4内に弾性的に突出していることにより確実に確保されている。一方、ICカード装着部6の装着口7は電池パック3によって塞がれている。
【0020】
したがって、ICカード付き携帯電話機1は電池パック3から電力供給を受けており、ICカード装着部6に装着されたICカード5に対してデータの書き込み及び読み出しを可能としている。
【0021】
使用者は、図5〜図8で示すように、電池パック3を取り外すときには爪10でもって電池パック3の他側面32を持ち上げる。その結果、突起11が受け部12で受けられることにより、電池パック3は突起11を支点として回動する。
【0022】
電池パック3の回動状態においては、本体側端子8と電池パック側端子9とは突起11からなる支点の下方にあるため、比較的回動角度が小さい段階で両者間の距離が大きくなる。したがって、本体側端子8が弾性的に突出していても電池パック側端子9との接触状態が解除される。
【0023】
この接触状態の解除による電池パック3からの電力供給の停止時点は、図7(a)、図7(b)で示すように、電池パック3がまだ装着口7を部分的に塞いでいる状態にある。したがって、使用者は電池パック3からの電力供給中においてICカード5をICカード装着部6から取り出すことが不可能である。
【0024】
電池パック3を更に大きく回動すると、装着口7は電池パック3によって塞がれなくなり、ICカード5の取り出しを可能とする。
【0025】
上述した本発明の実施例によれば、ICカード付き携帯電話機1は電池パック3とICカード装着部6とが並置されているので、薄型の形状となる。電池パック3を凹部4から取出すときには、電池パック3の表面側に設けた突部11が本体側の受け部12によって受けられ、突部11の先端が支点となって回動される。そのため、電池パック3の少ない回動状態で電池パック側端子9と本体側端子8との接触状態が解除される。この解除時点では、ICカード装着部6の装着口7が電池パック3によって塞がれている。
【0026】
即ち、電池パック3からの電力供給はICカード5が抜き取りを可能とするように露出される以前に遮断される。したがって、ICカード5が作動中に電力供給が停止されてデータを破損する事故を生じない。
【0027】
一方、本体側端子8は凹部4に弾性的に突出しているので、電池パック3を凹部4に装着した状態では、電池パック側端子9に確実に接触する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施例に係るICカード付き携帯電話機の下半分を示す平面図である。
【図2】図1におけるA−A線断面図である。
【図3】図1の横断面図であり、図3(a)はB−B線断面図、図3(b)は図3(a)の部分Wの拡大図である。
【図4】図1の横断面図であり、図4(a)はC−C線断面図、図4(b)は図4(a)の部分Xの拡大図である。
【図5】図1において電池パックを取り外している途中の状態を示す平面図である。
【図6】図5におけるD−D線断面図である。
【図7】図5の横断面図であり、図7(a)はE−E線断面図、図7(b)は図7(a)の部分Yの拡大図である。
【図8】図5の横断面図であり、図8(a)はF−F線断面図、図8(b)は図8(a)の部分Zの拡大図である。
【符号の説明】
【0029】
1 ICカード付き携帯電話機
2 本体
3 電池パック
4 凹部
5 ICカード
6 ICカード装着部
7 装着口
8 本体側端子
9 電池パック側端子
10 爪
11 突起
12 受け部
31 電池パックの一側面
32 電池パックの他側面
41 凹部の第一の側面
42 凹部の第二の側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池パックと該電池パックを装着するための凹部を有する携帯電話機本体とICカードとからなり、前記凹部には前記電池パックの一側面に設けられた電池パック側端子に対向する本体側端子と前記ICカードの装着口とが設けられているICカード付き携帯電話機において、
前記電池パックにおいて前記電池パック側端子が設けられた側面の該電池パック表面寄りの位置に設けられた突起と、
前記携帯電話機本体に設けられた前記突起を受ける受け部と、
を設けていることを特徴とするICカード付き携帯電話機。
【請求項2】
前記電池パック側端子に対向する前記本体側端子は、弾性体からなり前記凹部内に弾性的に突出するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のICカード付き携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−53789(P2008−53789A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−225093(P2006−225093)
【出願日】平成18年8月22日(2006.8.22)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】