ICカード作製方法及びICカード
【課題】カード断裁性、カード生産性、プリンタ搬送性に優れ、ゴミ混入率が低下する。
【解決手段】 第1と第2のシート材との間に接着剤層を介在し、この接着剤層内にICチップを有するインレットを封入し、このカード基材を打ち抜いてICカードを作製する時、カード基材の少なくとも一面にフォーマット印刷を施し、複数の断裁刃を用いて複数のカード形態に打ち抜く時、断裁刃の少なくとも一つが他の断裁刃より先にカード基材の断裁を開始する。また、同時に作動する断裁刃の少なくとも一つの打ち抜き速度が他の断裁刃と異なる。また、カード基材を抑える部材がフォーマット印刷に合わせて分割されている。また、断裁刃がパンチ形状をしており、かつ断裁刃の角部がパンチ面から打ち抜き方向へ突出している。また、断裁刃の角部分が曲線状であり、かつ曲線状の角部の断裁刃の刃角が30°以上かつ90°より小さい。
【解決手段】 第1と第2のシート材との間に接着剤層を介在し、この接着剤層内にICチップを有するインレットを封入し、このカード基材を打ち抜いてICカードを作製する時、カード基材の少なくとも一面にフォーマット印刷を施し、複数の断裁刃を用いて複数のカード形態に打ち抜く時、断裁刃の少なくとも一つが他の断裁刃より先にカード基材の断裁を開始する。また、同時に作動する断裁刃の少なくとも一つの打ち抜き速度が他の断裁刃と異なる。また、カード基材を抑える部材がフォーマット印刷に合わせて分割されている。また、断裁刃がパンチ形状をしており、かつ断裁刃の角部がパンチ面から打ち抜き方向へ突出している。また、断裁刃の角部分が曲線状であり、かつ曲線状の角部の断裁刃の刃角が30°以上かつ90°より小さい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、偽造、変造防止等の安全性(セキュリティ)が要求される個人情報等を記憶するICカードに適用して好適なICカード作製方法及びICカードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来ICカードはICチップ、アンテナを実装した回路基板を有するインレットを、2枚のシート材の間に挿入し、湿気硬化型接着剤やUV硬化型、2液混合型接着剤などを用いて貼り合わせ、硬化後にカード型に打ち抜いて作製、または熱圧着可能な基材を用いて熱プレスした後、カード型に打ち抜いて作製されることが一般的である(特許文献1〜4)。
【特許文献1】特開2001−205597号公報(第1頁〜第8頁、図1〜図6)
【特許文献2】特開平5−214545号公報(第1頁〜第3頁、図1)
【特許文献3】特開平8−207555号公報(第1頁〜第8頁、図1〜図9)
【特許文献4】特開平9−360810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
作製されたICカードはカード券面に文字情報および画像情報を付与され、保護層を設けた後、一般に使用される。しかしながら、作製されたICカードは、シート材に膜厚分布、うねりがあるため、厳密にはそれぞれ個別に厚みの状態が異なっている。ICカードの厚みが違うと打ち抜きでは、断裁性が部分的に変わりやすい、接着剤がはみ出す、ICカードの角にバリが発生する、といった問題が生じている。
【0004】
ICカードはコストが高いため、打ち抜き前の機械調整では、調整専用のICカードで調整を行ってから打ち抜きを実施するが、実際に本物のICカードを打ち抜くわけではないため、本番の打ち抜き時には、どうしてもICカードのロスが発生してしまっていた。
【0005】
さらに、生産性を高めるために、大きなシートから同時に複数のICカードを打ち抜く場合、表面の凹凸の他、打ち抜き時にカード間に生じる相互の引っ張り応力の関係から、中央部ほどバリが多いといった問題が生じてきた。
【0006】
ロスを補うため、打ち抜き時にバリや接着剤はみ出しの発生したICカードを、人間の手によって除去する作業が行われているが、人件費によりかえって生産コストの上昇を招くといった重大な問題が生じ、解決方法が強く望まれていた。ゆえに作製されたシートの形状によらず、常に一定の断裁性をもってICカードが作製される方法が望まれるようになってきた。
【0007】
この発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、カード断裁性、カード生産性、プリンタ搬送性に優れ、ゴミ混入率が低下するICカード製造方法及びICカードを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0009】
請求項1に記載の発明は、第1のシート材と第2のシート材との間に接着剤層を介在し、この接着剤層内にインレット基材上にICチップを有するインレットを封入してカード基材を作製し、このカード基材をカード状に打ち抜いてICカードを作製するICカード作製方法において、
前記カード基材の少なくとも一面にフォーマット印刷が施され、
前記フォーマット印刷された前記カード基材が、複数の断裁刃を用いて複数のカード形態に打ち抜かれる時、動作する断裁刃の少なくとも一つが他の断裁刃より先に前記カード基材の断裁を開始することを特徴とするICカード作製方法である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、第1のシート材と第2のシート材との間に接着剤層を介在し、この接着剤層内にインレット基材上にICチップを有するインレットを封入してカード基材を作製し、このカード基材をカード状に打ち抜いてICカードを作製するICカード作製方法において、
前記カード基材の少なくとも一面にフォーマット印刷が施され、
前記フォーマット印刷された前記カード基材が、複数の断裁刃を用いて同時に複数のカード形態に打ち抜かれる時、同時に作動する断裁刃の少なくとも一つの打ち抜き速度が他の断裁刃と異なることを特徴とするICカード作製方法である。
【0011】
請求項3に記載の発明は、第1のシート材と第2のシート材との間に接着剤層を介在し、この接着剤層内にインレット基材上にICチップを有するインレットを封入してカード基材を作製し、このカード基材をカード状に打ち抜いてICカードを作製するICカード作製方法において、
前記カード基材の少なくとも一面にフォーマット印刷が施され、
前記フォーマット印刷された前記カード基材が、複数の断裁刃を用いて同時に複数のカード形態に打ち抜かれる時、前記カード基材を抑える部材がフォーマット印刷に合わせて分割されていることを特徴とするICカード作製方法である。
【0012】
請求項4に記載の発明は、第1のシート材と第2のシート材との間に接着剤層を介在し、この接着剤層内にインレット基材上にICチップを有するインレットを封入してカード基材を作製し、このカード基材をカード状に打ち抜いてICカードを作製するICカード作製方法において、
前記カード基の少なくとも一面にフォーマット印刷が施され、
前記フォーマット印刷された前記カード基材が、少なくとも一つの断裁刃を用いてカード形態に打ち抜かれる時、カード形態に打ち抜く断裁刃がパンチ形状をしており、かつ前記断裁刃の角部がパンチ面から打ち抜き方向へ突出していることを特徴とするICカード作製方法である。
【0013】
請求項5に記載の発明は、第1のシート材と第2のシート材との間に接着剤層を介在し、この接着剤層内にインレット基材上にICチップを有するインレットを封入してカード基材を作製し、このカード基材をカード状に打ち抜いてICカードを作製するICカード作製方法において、
前記カード基材の少なくとも一面にフォーマット印刷が施され、
前記フォーマット印刷された前記カード基材が、少なくとも一つの断裁刃を用いてカード形態に打ち抜かれる時、カード形態に打ち抜く断裁刃の角部分が曲線状であり、かつ曲線状の角部の断裁刃の刃角が30°以上かつ90°より小さいことを特徴とするICカード作製方法である。
【0014】
請求項6に記載の発明は、前記貼り合せたカード基材の厚みが650μm以上900μm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のICカード作製方法である。
【0015】
請求項7に記載の発明は、前記カード基材を構成するシート材の厚みが、100μm以上300μm以下で、かつ弾性率の値が100以上800kgf/mm2以下かつ破断伸度の値が10%以上50%以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のICカード作製方法である。
【0016】
請求項8に記載の発明は、前記カード基材を構成する接着剤の弾性率の値が30以上100kgf/mm2以下かつ破断伸度の値が50%以上500%以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のICカード作製方法である。
【0017】
請求項9に記載の発明は、前記カード状に打ち抜く前に、貼り合わせ品を枚葉シート状に断裁することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のICカード作製方法である。
【0018】
請求項10に記載の発明は、前記カード状に打ち抜く前に、印刷ない面にフォーマット印刷を施すことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のICカード作製方法である。
【0019】
請求項11に記載の発明は、請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のICカード作製方法により作成したICカードの少なくとも片面に受像層を有し、
前記受像層に熱転写方式またはインクジェット方式による氏名、顔画像を含む個人識別情報を設け、
前記ICカードの少なくとも一部に筆記可能な筆記層を設けていることを特徴とするICカードである。
【0020】
請求項12に記載の発明は、前記氏名、顔画像を含む個人識別情報を設けた上面に透明保護層が設けられ、
前記透明保護層が活性光線硬化樹脂からなることを特徴とする請求項11に記載のICカードである。
【0021】
請求項13に記載の発明は、前記ICカードのICチップを顔画像部分と重なる位置以外に配置したことを特徴とする請求項11または請求項12に記載のICカードである。
【0022】
請求項14に記載の発明は、前記ICカードが非接触式であることを特徴とする請求項11乃至請求項13のいずれか1項に記載のICカードである。
【発明の効果】
【0023】
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
【0024】
請求項1に記載の発明によれば、フォーマット印刷されたカード基材が、複数の断裁刃を用いて複数のカード形態に打ち抜かれる時、動作する断裁刃の少なくとも一つが他の断裁刃より先にカード基材の断裁を開始する。複数のフォーマット印刷されたカード基材を複数の断裁刃で打ち抜く場合、同時に打ち抜きを行うと、カード基材に同時に圧縮応力と引っ張り応力が多方向から加わるため、カード化する際に複数の断裁刃が同時にカード基材を打ち抜かないようにして、断裁面にカード基材の「切れ残り」が生じ、「バリ」の発生となることを防止し、カード生産性、プリンタ搬送性に優れ、ゴミ混入率が低下する。
【0025】
請求項2に記載の発明によれば、フォーマット印刷されたカード基材が、複数の断裁刃を用いて同時に複数のカード形態に打ち抜かれる時、同時に作動する断裁刃の少なくとも一つの打ち抜き速度が他の断裁刃と異なる。複数のフォーマット印刷されたカード基材を複数の断裁刃で打ち抜く場合、同時に打ち抜きを行うと、カード基材に同時に圧縮応力と引っ張り応力が多方向から加わるため、カード化する際に複数の断裁刃が同時にカード基材を打ち抜かないようにして、断裁面にカード基材の「切れ残り」が生じ、「バリ」の発生となることを防止し、カード生産性、プリンタ搬送性に優れ、ゴミ混入率が低下する。
【0026】
請求項3に記載の発明によれば、
フォーマット印刷されたカード基材が、複数の断裁刃を用いて同時に複数のカード形態に打ち抜かれる時、カード基材を抑える部材がフォーマット印刷に合わせて分割されている。予めフォーマット印刷されたカード基材を用い、それらを基準に個別に分割された抑える部材でカード基材を押さえ、打ち抜きが実施され、打ち抜き位置及び押さえ位置を正確にすることができる。
【0027】
請求項4に記載の発明によれば、フォーマット印刷されたカード基材が、少なくとも一つの断裁刃を用いてカード形態に打ち抜かれる時、カード形態に打ち抜く断裁刃がパンチ形状をしており、かつ断裁刃の角部がパンチ面から打ち抜き方向へ突出していることで、カードの角部分は丸い形態をしているため、この部分にバリが発生しやすい傾向があるが、この部分を切れやすくしてバリの発生をなくすことができ、カード生産性、プリンタ搬送性に優れ、ゴミ混入率が低下する。
【0028】
請求項5に記載の発明によれば、フォーマット印刷されたカード基材が、少なくとも一つの断裁刃を用いてカード形態に打ち抜かれる時、カード形態に打ち抜く断裁刃の角部分が曲線状であり、かつ曲線状の角部の断裁刃の刃角が30°以上かつ90°より小さいことで、角部分を鋭角化するのが良く、これ以上角度が小さくなると、基材を断裁し始める時に基材に別方向の亀裂を生じさせるため断裁性が劣化し、これ以上大きくなると刃の入りが悪くなる。
【0029】
請求項6に記載の発明によれば、貼り合せたカード基材の厚みが650μm以上900μm以下であり、カード基材の厚みを規定することで、カード化される時の断裁性がよく、かつ市場での取扱性がよい。
【0030】
請求項7に記載の発明によれば、カード基材を構成するシート材の厚みが、100μm以上300μm以下で、かつ弾性率の値が100以上800kgf/mm2以下かつ破断伸度の値が10%以上50%以下であり、シート材の厚みかつ弾性率の値を規定することで、カード化される時の断裁性がよく、かつ市場での取扱性がよい。
【0031】
請求項8に記載の発明によれば、カード基材を構成する接着剤の弾性率の値が30以上100kgf/mm2以下かつ破断伸度の値が50%以上500%以下である。接着剤の弾性率が高いとハサミなどの刃物で断裁加工する場合には断裁しやすくなるが、反面、接着剤が固くなってしまうためカード耐久性は低下する。一方、接着剤の弾性率が低いと断裁加工時に断面から接着剤がはみだし、カード化した場合に断面形状が劣化し外観は悪くなる。接着剤の破断伸度が小さいとはさみ状の刃物で断裁を行うときに切れやすく、破断伸度が大きいと接着剤が切れるまでの伸びが大きいため、はさみ状の刃物で断裁するときには切れにくく不利である。 一方、カード基材の一部として接着剤を用いる時は、カードが曲げられたり折られたりした時には、破断伸度の値が大きいほうが、柔軟性があり好ましい。接着剤の弾性率かつ破断伸度の値を規定することで、断裁しやすく、カード耐久性があり、接着剤のはみだしがなく、カード化した場合の外観性が良好である。
【0032】
請求項9に記載の発明によれば、カード状に打ち抜く前に、貼り合わせ品を枚葉シート状に断裁することで、取扱が容易で、かつカード状に打ち抜く精度が向上する。
【0033】
請求項10に記載の発明によれば、カード状に打ち抜く前に、印刷ない面にフォーマット印刷を施すことで、取扱が容易で、かつフォーマット印刷の精度が向上する。
【0034】
請求項11に記載の発明によれば、請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のICカード作製方法により作成したICカードの少なくとも片面に受像層を有し、受像層に熱転写方式またはインクジェット方式による氏名、顔画像を含む個人識別情報を設け、ICカードの少なくとも一部に筆記可能な筆記層を設けていることで、免許証類、身分証明書、パスポート、外国人登録証、図書館利用カード、キャッシュカード、クレジットカード、従業者証、社員証、会員証、医療カード及び学生証等に好ましく用いることができる。
【0035】
請求項12に記載の発明によれば、氏名、顔画像を含む個人識別情報を設けた上面に透明保護層が設けられ、透明保護層が活性光線硬化樹脂からなり、氏名、顔画像を含む個人識別情報が保護され、耐久性が向上する。
【0036】
請求項13に記載の発明によれば、ICカードのICチップを、顔画像部分と重なる位置以外に配置し、ICチップが顔画像部分と重なる位置に存在しないことで、表面の平滑性がよくなり、印字性が向上する。
【0037】
請求項14に記載の発明によれば、ICカードが非接触式であり、安全性に優れることから、データの機密性と偽変造防止性を高く要求する用途に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、この発明のICカード製造方法及びICカードを、図面に基づいて詳細に説明するが、この発明は、この実施の形態に限定されない。また、この発明の実施の形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、この発明は、これに限定されない。
【0039】
図1はICカードの製造工程の概略構成図である。このICカードの製造工程では、長尺シート状の第1のシート材(裏シート)1が第1のシート材供給部Aに配備され、枚葉状の第2のシート材(表シート)2が第2のシート材供給部Bに配備される。第2のシート材2に接着剤供給部C1から接着剤を供給し、第2のシート材2に塗工する。第2のシート材搬送部Dでインレット供給部Eへ送る。この第2のシート材搬送部Dは、搬送ローラd1と搬送ベルトd2で構成され、接着剤供給部C1ではプラテンローラc1によって搬送ベルトd2が支持される。
【0040】
インレット供給部Eでは、ICチップ、アンテナを有するICモジュールを含む部品のインレット3が供給され、第2のシート材2の所定位置に載置され、この第2のシート材2をバックローラ部Fへ送る。第1のシート材1に接着剤供給部C2から接着剤を供給して塗工し、バックローラ部Fへ送る。
【0041】
バックローラ部Fは、温度調節可能なラミネートローラfを有し、このラミネートローラfを用いて第1のシート材1と第2のシート材2とを貼り合わせる。このラミネートローラfの対ローラf1,f2の温度差が0℃以上100℃以下である。この実施の形態では、第2のシート材2が受像層を有し、第1のシート材1が筆記層を有し、対ローラf1,f2は、受像層側のローラの温度が筆記層側のローラの温度より低い温度である。
【0042】
このバックローラ部Fの後段にカード基材搬送部Gが配置され、このカード基材搬送部Gは、対向する搬送ベルトg1,g2と、搬送ローラg3,g4で構成される。カード基材搬送部Gの対向する搬送ベルトg1,g2の間に、第1のシート材1と第2のシート材2とを貼り合わせたシート基材を挟んで搬送し、この貼り合わせ品を裁断部Hへ送る。
【0043】
裁断部Hでは、裁断機h1によって貼り合わせ品のシート基材を枚葉シート状に断裁する。その後に、枚葉シート状のシート基材を回収部Kへ送る。
【0044】
回収部Kでは、枚葉シート状のシート基材の間に平面板k1を配置し、保管部Lへ送る。平面板k1としては、例えばSUS板が用いられる。
【0045】
保管部Lでは、所定の温度で、所定時間保管し、フォーマット印刷部Mへ送る。
【0046】
フォーマット印刷部Mでは、第1のシート材1と第2のシート材2のいずれか一方にフォーマット印刷を施し、打ち抜き部Nへ送る。
【0047】
打ち抜き部Nでは、打ち抜き機n1によってカード状に打ち抜く。打ち抜いたICカードは、印刷部Oで裏面フォーマット印刷またはインクジェット印刷のカード印刷機o1を用いて印刷し、装填部Pへ送る。
【0048】
装填部Pでは、マガジンp1に収納し、カバーp2で封止するカートリッジ装填を行なう。
【0049】
この実施の形態では、カード状に打ち抜く前に、裁断部Hで貼り合わせ品のシート基材を枚葉シート状に断裁することで、取扱が容易で、かつ打ち抜き精度が向上する。また、カード状に打ち抜く前に、フォーマット印刷部Mでフォーマット印刷を施すことで、取扱が容易で、かつフォーマット印刷の精度が向上する。
【0050】
また、第1のシート材1と第2のシート材2との間に接着剤を介在させ、この接着剤層内にインレット基材上にICチップを有するインレット3を封入してカード基材を作成し、このカード基材をカード状に打ち抜いてICカードを作成する。カード基材の作成工程はクリーンルーム501で行ない、カード基材の保管工程はクリーンルーム502で行ない、フォーマット印刷、カード基材の打ち抜き工程及び打ち抜いたICカードのカートリッジ装填工程はクリーンルーム503で行ない、ICカードをクラス100,000以下の環境下で作成する。このように、ICカードをクラス100,000以下の環境下で作成することで、ICカードの製造時にゴミ等の塵埃が混入することを防止でき、打ち抜き、印刷時、さらにカード搬送時等にキズや汚れが発生することを抑えることができ、良品カード収率が向上する。
【0051】
このICカードの作成は、カード基材の作成、カード基材の保管、カード基材の打ち抜き、打ち抜いたICカードのカートリッジ装填を含み、これらでICカードをクラス100,000以下の環境下で作成するが、これらの少なくともいずれかをクラス100,000以下の環境下で作成するようにしてもよく、ICカードの製造時にゴミ等の塵埃が混入することを防止できる。特に、打ち抜きや装填等のICカードを取り扱う工程で、付着したゴミが動いてカード面にキズを発生することのないようにするためには、カード基材の保管からカートリッジ装填までの工程がクラス10,000以下であるほうが好ましい。
【0052】
この発明のICカード製造方法、またはICカード製造装置を用いて作製されたICカードを、図2に示す。図2はICカードの貼り合わせ品の画像形成体の断面図である。
【0053】
ICカードの貼り合わせ品の画像形成体であるカード基材は、第1のシート材1と第2のシート材2との間に所定の厚みの電子部品3aを備えている。電子部品3aは、アンテナ3a1、ICチップ3a2等からなり、この電子部品3aのICモジュールはインレット3に備えられている。第1のシート材1と第2のシート材2との間にインレット3を配置し、接着剤層6,7を介在して積層した積層構造である。ICチップ3a2は補強板3bで覆われ、この補強板3bはICチップ3a2より大きな形状であり、ICチップ3a2を保護している。
【0054】
この第1のシート材1または第2のシート材2の、少なくとも片面に、この実施の形態では第2のシート材2の片面に受像層8aを有し、熱転写方式またはインクジェット方式による氏名、顔画像を含む個人識別情報8bを設けている。また、氏名、顔画像を含む個人識別情報8bを設けた上面に透明保護層8cが転写箔の転写によって設けられ、この透明保護層8cが活性光線硬化樹脂からなる。個人識別情報8bを設けた上面に透明保護層8cを設けることで、個人識別情報8bが保護され、耐久性が向上する。
【0055】
また、この実施の形態では、第1のシート材1の片面に、筆記可能な筆記層9aを設けている。また、ICチップ3a2は、顔画像の部分と重なる位置以外の位置に配置し、ICチップ3a2が顔画像部分と重なる位置に存在しないことで、表面の平滑性がよくなり、印字性が向上するICカードを得ることができる。
【0056】
このように、ICカードは、ICモジュールを有し、非接触式カードであり、安全性に優れることから、データの機密性と偽変造防止性を高く要求する用途に使用することができる。
【0057】
このように作製されたICカードは、ICカードにキズや汚れが発生することを抑えることができ、この実施の形態では、カード1枚の内部もしくは外部に混入もしくは付着するゴミの個数が100個以下であり、ICカードにキズや汚れが発生することを抑えることができ、良品カード収率が向上する。
【0058】
また、ICカードの少なくとも片面の受像層に、熱転写方式またはインクジェット方式による氏名、顔画像を含む個人識別情報を設け、少なくとも一部に筆記可能な筆記層を設けることで、免許証類、身分証明書、パスポート、外国人登録証、図書館利用カード、キャッシュカード、クレジットカード、従業者証、社員証、会員証、医療カード及び学生証等に好ましく用いることができる。
【0059】
次に、この発明の構成を詳細に説明する。
【0060】
[打ち抜き方式]
この発明では、図3及び図4に示す打ち抜き機が用いられる。この実施の形態では、打ち抜き機を打抜金型装置で構成し、図3は打ち抜き刃の平面図であり、図4は打抜金型装置の主要部の正面端面図である。
【0061】
この打抜金型装置は、上刃110及び下刃120を有する打抜金型を備え、上刃110は、外縁の内側に逃げ141が設けられた打抜用ポンチ111を含み、下刃120は、打抜用ダイス121を有する。打抜用ポンチ111を、打抜用ダイス121の中央に設けられたダイス孔122に、下降させることにより、ダイス孔122と同じサイズのICカードを打ち抜く。このために、打抜用ポンチ111のサイズは、ダイス孔122のサイズより若干小さくなっている。上部断裁刃の角度が直角に近いものが一般的にパンチダイと呼ばれる。
【0062】
この発明においては、生産性、メンテナンス性を考慮して、打ち抜き刃は、打ち抜くパンチ側の刃と、受けるダイ側の刃との上下が対になった金型を用い、刃の角度が90°前後でシートを断裁する方式を用いた。この方式(以後、パンチダイ方式と記す)の断裁刃の角度は80°以上100°以下であることが好ましく、より好ましくは85°以上95°以下である。
【0063】
パンチダイ方式は刃の構造が簡易であるため、多量のシートを打ち抜く生産時にはパンチダイ方式が適している。破断伸度の高いシートに対しては打ち抜くことが困難であるため、破断伸度が500%以下の接着剤を用いることが好ましい。
【0064】
この発明のように、複数のフォーマット印刷された基材を複数のパンチで打ち抜く場合、同時に打ち抜きを行うと、シートに同時に圧縮応力と引っ張り応力が多方向から加わるため、カード化する際に、断裁面に基材の「切れ残り」が生じ、「バリ」の発生となることが多い。その対策として、この発明では応力を分散する手段として、複数のパンチが同時にカード基材を打ち抜かないように、同時に複数のパンチが作動しても、図5の実施例のようにパンチの高さに差をつけることで、同時打ち抜きを回避する。
【0065】
図5は打ち抜き刃の高さを示す例であり、図5(A)は打ち抜き刃の高さが同一である比較例であり、図5(B)〜(F)は打ち抜き刃の高さが異なる実施例である。打ち抜き刃のパンチの高さの差は大きすぎると打ち抜き位置ズレが発生するため1000μm以下が好ましく、500μm以下であることがより好ましい。複数のパンチの切れ方に差をつける手段として、複数のモーターを用いて複数のパンチを用い、それぞれの打ち抜き速度を変えて、同時に打ち抜くことを回避する手段も同様に好ましい。
【0066】
貼り合わされたシートを打ち抜く速度は速すぎると基材が割れてバリの発生が多くなり、遅すぎても断裁までにカード基材が伸びてしまうため、バリが発生する。好ましい打ち抜き速度は5mm/s以上1000mm/s以下であり、さらに好ましくは50mm/s以上500mm/s以下である。
【0067】
[ストリッパ]
上下が対になった金型を用いて断裁を行う場合、予め打ち抜かれるカード基材を抑える部材(以後ストリッパと記す)で充分に基材を抑える方がバリの発生を少なくすることができる。しかし、同時に複数の部分を打ち抜く場合、打ち抜かれる基材が平坦であれば良いが、ICカードのように、接着剤等を用いて複数の基材が貼り合わされ、かつ内部に電子部品が混入されると、完全に平坦に貼り合せ基材を作製することは困難である。完全に平坦でないカード基材をほぼ同時に打ち抜くとなると、従来のように一体型のストリッパを用いると、強い力で押させても、平坦でない部分があると、凹んだ部分を押さえることができずに断裁され、バリが発生してしまう。そのため、複数の部分を同時に打ち抜く時は、それぞれの打ち抜かれる部分が個別に押さえられることが好ましい。さらに、打ち抜き位置及び押さえ位置を正確にするために、図6に示すように、予めフォーマット印刷されたカード基材を用い、それらを基準に、図7に示すように、個別に分割されたストリッパでカード基材を押さえ、打ち抜きが実施されることがより好ましい形態である。
【0068】
[打ち抜き刃の形状]
カード形態の打ち抜きにおいては、ICカードの角部分は丸い形態をしているため、この部分にバリが発生しやすい傾向がある。バリが発生しやすい原因としては、この部分が切れにくいためであるため、先に角部分を断裁してしまうのが良い。そのため、図8に示すように、カード型のパンチの角部分を他の残りの長辺部分、短辺部分より高くし、角部分を残りの部分より先に断裁してしまうような形状にすることが好ましい。角部分の突出量は0.1mm異常が好ましく、より好ましくは0.5mm以上10mm以下、さらに好ましくは1.0mm以上5mm以下である。
【0069】
他の手段としては、図9に示すように、パンチの刃の角度は、角部分を鋭角化するのが良く、好ましくは角部分の角度が30°以上90°以下、さらに好ましくは40°以上70°以下である。これ以上角度が小さくなると、基材を断裁し始める時に基材に別方向の亀裂を生じさせるため断裁性が劣化し、これ以上大きくなると刃の入りが悪くなり効果が見られない。
【0070】
[シート厚み]
この発明において、カード化される時の断裁性は、シート厚みの標準偏差によって規定されるが、断裁前のシートの厚み範囲は、カード厚みの平均値から±10%以内であることが好ましく、より好ましくは±6%以内である。通常市場で流通しているICカードは760μmから800μm程度のものが多く、800μmの場合では±80μm以内、好ましくは±48μm以下となる。
【0071】
その他、シート厚みレンジが広くなると、プリンタなどで印字や画像形成した場合に、プリンタヘッドでカード表面を押せなくなるため、濃度ムラや印字カスレが生じ好ましくない。
【0072】
[カード面内の傾斜]
作製されるICカードには内部にICチップやアンテナまたはチップを保護する部材が挟まれているため、凹凸を生じやすい。
【0073】
この発明におけるカード面内の傾斜とは、カード面内部の中立面に対して、ICカードの隆起した部分の頂上から、その隆起部分の裾までの間のあらゆる点において接線をひいた時、その接線とカード面内部の中立面との傾斜角度(傾き)をカード面内傾斜と定義する。カード面内傾斜が0.004より大きくなると、プリンタで印刷する際にカスレを生じる。
【0074】
[インレット基材]
使用されるインレット基材としてはPET(ポリエチレンテレフタレート)、PET−G、PEN(ポリエチレンナフタレート)、塩化ビニル、PC(ポリカーボネート)、TAC(トリアセチルセルロース)、アクリル、紙、ユポなどがいずれも用いられるが、この発明では機械的強度、寸法安定性、耐溶剤性の点からPET、PET−G、PENが好ましく、さらに好ましくは透明性、加工適性、コストの点からPET又はPET−Gである。
【0075】
[カードサイズより小さいインレットサイズ]
インレットサイズがカードより大きいとカード断面にインレットが現れるため、一般的にカードとして使用される場合を想定すると、その隙間から液体等がしみこみ、密着性および耐久性を劣化させる。インレットシートのサイズはカード断面から0.1mm以上内側にインレットシートの外周部がくることが好ましく、1.0mm以上内側であることがより好ましい。
【0076】
[接着剤の破断伸度]
接着剤の破断伸度とは接着剤を一定の速さで引っ張り続けると、ある時点で接着剤がちぎれて破断する。その時までに伸びた接着剤の伸び率のことである。一般に破断伸度が小さいとはさみ状の刃物で断裁を行うときに切れやすく、破断伸度が大きいと接着剤が切れるまでの伸びが大きいため、はさみ状の刃物で断裁するときには切れにくく不利である。
【0077】
一方、カード基材の一部として接着剤を用いる時は、カードが曲げられたり折られたりした時には、破断伸度の値が大きいほうが、柔軟性があり好ましい。
【0078】
パンチダイ方式でカード断裁をする場合、破断伸度が小さく接着剤硬化完了時の破断伸度が大きいのが理想的である。断裁加工時の破断伸度の好ましい範囲は5%以上500%以下であり、さらに好ましくは50%以上400%以下である。完全硬化完了時の破断伸度は50%以上500%以下が好ましく、より好ましくは100%以上400%以下である。
【0079】
[接着剤の弾性率]
接着剤に外力を加えて変形させるとき、外力によって生ずる応力と、変形によって生ずるひずみとは、変形があまり大きくない範囲では比例する(フックの法則)。接着剤の弾性率は、このときの比例定数を弾性率として求める。すなわち、弾性率CはC=(応力)/(ひずみ)で表される。弾性率が高いとハサミなどの刃物で断裁加工する場合には断裁しやすくなるが、反面、接着剤が固くなってしまうためカード耐久性は低下する。一方、弾性率が低いと断裁加工時に断面から接着剤がはみだし、カード化した場合に断面形状が劣化し外観は悪くなる。好ましい接着剤の弾性率の範囲は30kgf/mm2以上100 kgf/mm2以下であり、さらに好ましくは40kgf/mm2以上80kgf/mm2以下である。
【0080】
[破断伸度、2%弾性率の測定方法]
この発明における樹脂破断伸度(%)、2%弾性率は、23℃55%RHの条件下で、接着剤を塗工後300時間以上放置した後、株式会社オリエンテックテンシロン万能試験機RTA−100を用いデータ処理は、テンシロン多機能型データ処理TYPE MP−100/200S Ver.44を用い測定を行った。樹脂の固定手段はエアーチャック方式で固定した。クロスヘッドスピードは、5〜100mm/min、RANGEは5〜100%、荷重は0.1〜500kgを選択することができるが、本発明の評価では、クロスヘッドスピードは、30mm/min、RANGEは20%、荷重は100kgの条件で評価を行った。
【0081】
接着剤の破断伸度、2%弾性率を測定するに当たり、特に単独膜を作成するのは難しいため、PP離型シートに500μmの樹脂層を形成し所望のサンプルを作成し測定を行った。測定は、1cm巾のサンプルをエアーチャックに固定し引っ張り試験を行った。
【0082】
破断伸度は、引っ張り時の活性光線硬化樹脂の破断又は亀裂が入ったときの破断点伸びから破断点伸度を求めた。
【0083】
[バックロール温調]
この発明における、第1のシート材と第2のシート材を貼合させるラミネート第1ロールは、温度調整機構がついており、このロールの温度が40℃以上90℃以下であることが好ましい。この温度調整機構としてはロールを電気的に加熱したり、ロール内部に熱風を吹き込んだり、温調した液体を循環させる方法などがあるが、温水を循環させる方法が簡便で好ましい。より好ましい温度範囲としては60℃以上90℃以下である。
【0084】
加えて、塗工された接着剤の温度低下を防ぐために、塗工された接着剤が相手側シートと貼りあわされる前に再加熱のための加熱装置をつけるほうが好ましい。加熱装置の温度は50℃以上120℃以下が好ましく、更に好ましくは60℃以上120℃以下である。
【0085】
[ラミネート時の環境]
通常、ラミネートをする際に特に環境湿度や温度を調整せずとも接着剤は塗工可能で、接着剤の硬化も進行するが、湿気硬化型接着剤を用いる際は作成時から温度と湿度を与えるような環境で作業が行われるほうが接着剤硬化速度が速くなり、接着剤の完全硬化が速くなる。作成時の環境としては、温度は20℃以上50℃以下が好ましく、湿度は70%以上100%以下が好ましい。
【0086】
[ラミネート後のシート保管環境]
接着剤が塗工され、貼り合わされたシートは接着剤が硬化するまで保管される。シートの保管環境は温度が20℃以上50℃以下で、かつ湿度が40%以上100%以下であることが好ましい。温湿度がこれらの値以下だと接着剤の硬化が進まず、温度がこの範囲以上であると接着剤に発砲が生じてシートが膨れる原因となる。
【0087】
シートは約3日後でシート間の剥離強度が1500g/2.5cm以上となり、持ち運んだり、シートを断裁加工しても、シートがゆがんだり、たわんだりしなくなる。その後1週間から4週間かけて接着剤が完全に硬化する。
【0088】
[シートにかかる荷重]
ラミネートした直後のシートは接着剤の硬化が完了していないため、貼り合わされた2枚のシートの密着性を上げるために、保管する際にはある程度の荷重をかけることが必要である。また、かける荷重が大きすぎると、シートに歪みが生じたり、貼り合わされたシートの内部にあるICチップなどが破損する可能性がある。シートに加えられる荷重は2kg/m2以上1500kg/m2以下であることが好ましい。
【0089】
[完全硬化の判断]
実施例の湿気硬化型接着剤を用いたシートの硬化後とは、湿気硬化型接着剤に含まれるイソシアネート基が95%以上反応した時のことで、硬化の確認には作成したシートをカード状に断裁し、90℃以上の熱処理を行った際に炭酸ガスの発生による膨れが生じるか否かで反応が終了しているかどうかを判断することができる。反応の途中経過を知るには、赤外吸収スペクトルを測定し、スペクトル強度よりイソシアネート基(NCO基)の量を定量することで調べることができる。
【0090】
[接着剤の塗工粘度]
ラミネートシート作成時の接着剤塗工粘度が5000mPsよりも小さい場合はカードを貼り合せる際に気泡が多く発生し、平面凹凸性が悪化し、40000mPsよりも大きい場合では接着剤の塗布性が劣化するため、平面凹凸性が悪化する。平面凹凸性の他に、硬化後のカード表面強度が低下するといった問題が発生するため、好ましくは5000mPs以上30000mPs以下、より好ましくは7000mPs以上20000mPs以下である。塗工温度は140℃以下が好ましく、より好ましくは130℃以下である。
【0091】
[ICカード基材作成用接着剤]
この発明の貼り合わせ材料としては、ホットメルト接着剤、熱可塑性樹脂等を用いることが好ましい。例えば、ホットメルト接着剤は、一般に使用されているものを用いることができる。ホットメルト接着剤の主成分としては、例えばエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)系、ポリエステル系、ポリアミド系、熱可塑性エラストマー系、ポリオレフィン系などが挙げられる。但し本発明においては、低温接着剤の中でも具体的には湿気硬化型接着剤が好ましい。
【0092】
反応型ホットメルト接着剤として湿気硬化型の材料で特開2000−036026、特開2000−211278、特開2000−219855で開示されている。これら接着剤のいずれも使用してもよく、低温接着ができれば特に制限はない材料を用いることができる。
【0093】
接着剤の膜厚は、電子部品と含めた厚さで100〜600μmが好ましく、より好ましくは150〜500μm、更に好ましくは150μ〜450μmである。
【0094】
[電子部品]
電子部品とは、情報記録部材のことを示し、具体的にはICカードの利用者の情報を電気的に記憶するICチップ及びICチップに接続されたコイル状のアンテナ体である。ICチップはメモリのみやそれに加えてマイクロコンピューターなどである。場合により電子部品にコンデンサーを含んでもよい。この発明はこれに限定はされず情報記録部材に必要な電子部品であれば特に限定はない。
【0095】
ICモジュールはアンテナコイルを有するものであるが、アンテナパターンを有する場合、導電性ペースト印刷加工、或いは銅箔エッチング加工、巻線溶着加工等のいずれかの方法を用いてもよい。プリント基板としては、ポリエステル等の熱可塑性のフィルムが用いられ、更に耐熱性が要求される場合はポリイミドが有利である。ICチップとアンテナパターンとの接合は銀ペースト、銅ペースト、カーボンペースト等の導電性接着剤(日立化成工業のEN−4000シリーズ、東芝ケミカルのXAPシリーズ等)や、異方性導電フィルム(日立化成工業製アニソルム等)を用いる方法、或いは半田接合を行う方法が知られているがいずれの方法を用いてもよい。
【0096】
予めICチップを含む部品を所定の位置に載置してから樹脂を充填するために、樹脂の流動による剪断力で接合部が外れたり、樹脂の流動や冷却に起因して表面の平滑性を損なったりと安定性に欠けることを解消するため、予め基板シートに樹脂層を形成しておいて該樹脂層内に部品を封入するために該電子部品を多孔質の樹脂フィルム、多孔質の発泡性樹脂フィルム、可撓性の樹脂シート、多孔性の樹脂シート又は不織布シート状にして使用されることが好ましい。例えば特願平11−105476号等の記載されている方法等を用いることができる。
【0097】
また、ICチップは点圧強度が弱いためにICチップ近傍に補強板を有することも好ましい。電子部品の全厚さは10〜300μmが好ましく、より好ましくは30〜300μm、更に好ましくは30〜250μmが好ましい。
【0098】
[ICカード基材用シート部材]
シート部材の基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレン、エチレン−4フッ化エチレン共重合体、等のポリフッ化エチレン系樹脂、ナイロン6、ナイロン6.6等のポリアミド、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体、生分解性脂肪族ポリエステル、生分解性ポリカーボネート、生分解性ポリ乳酸 、生分解性ポリビニルアルコール、生分解性セルロースアセテート、生分解性ポリカプロラクトン等の生分解性樹脂、三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂、ポリメタアクリル酸メチル、ポリメタアクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、等のアクリル系樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド等の合成樹脂シート、又は上質紙、薄葉紙、グラシン紙、硫酸紙等の紙、金属箔等の単層体或いはこれら2層以上の積層体が挙げられる。この発明の支持体の厚みは、30〜300μm、望ましくは50〜200μmである。
【0099】
この発明においては、支持体の熱による収縮、反りなどによるカード基材搬送性の観点から低温接着剤の他にシート部材として150℃/30minにおける熱収縮率が縦(MD)で1.2%以下、横(TD)で0.5%以下が好ましい。また、支持体上に後加工上密着性向上のため易接処理を行っていても良く、チップ保護のために帯電防止処理を行っていても良い。
【0100】
具体的には、帝人デュポンフィルム株式会社製のU2シリーズ、U4シリーズ、ULシリーズ、東洋紡績株式会社製クリスパーGシリーズ、東レ株式会社製のE00シリーズ、E20シリーズ、E22シリーズ、X20シリーズ、E40シリーズ、E60シリーズQEシリーズを好適に用いることができる。
【0101】
第2のシート材は、当該カード利用者の顔画像を形成するため受像層のほかにクッション層を設けてもよい。個人認証カード基体表面には画像要素が設けられ、顔画像等の認証識別画像、属性情報画像、フォーマット印刷から選ばれる少なくとも一つが設けられたものであってもよく、また全く印刷部分のないホワイトカードであってもよい。
【0102】
[受像層]
第2のシート材に有する受像層は、バインダーと各種の添加剤で形成することができる。
【0103】
受像層は、昇華型熱転写方式により階調情報含有画像を形成すると共に、昇華型熱転写方式または溶融型熱転写方式により文字情報含有画像を形成するので、昇華性色素の染着性、または昇華性色素の染着性とともに熱溶融性インクの接着性も良好でなければならない。かかる特別な性質を受像層に付与するには、後述するように、バインダー、および各種の添加剤の種類およびそれらの配合量を適宜に調整することが必要である。
【0104】
フォーマット印刷からなる情報坦持体とは、識別情報及び書籍情報を記録した複数の選ばれる少なくとも一つが設けられた情報坦持体を表し、具体的には、罫線、社名、カード名称、注意事項、発行元電話番号等を表す。
【0105】
フォーマット印刷からなる情報坦持体の形成には、日本印刷技術協会出版の「平版印刷技術」、「新・印刷技術概論」、「オフセット印刷技術」、「製版・印刷はやわかり図鑑」等に記載されている一般的なインキを用いて形成することができ、光硬化型インキ、油溶性インキ、溶剤型インキなどにカーボンなどのインキにより形成される。
【0106】
また、場合により目視による偽造防止の為に透かし印刷、ホログラム、細紋等が採用されてもよく、偽造変造防止層としては印刷物、ホログラム、バーコード、マット調柄、細紋、地紋、凹凸パターンなどで適時選択さ、可視光吸収色材、紫外線吸収材、赤外線吸収材、蛍光増白材、金属蒸着層、ガラス蒸着層、ビーズ層、光学変化素子層、パールインキ層、隣片顔料層、帯電防止層などから表シートに印刷等で設けることも可能である。
【0107】
[筆記層]
筆記層は、IDカードの裏面に筆記をすることができるようにした層である。このような筆記層としては、例えば炭酸カルシウム、タルク、ケイソウ土、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機微細粉末を熱可塑性樹脂(ポリエチレン等のポリオレフィン類や、各種共重合体等)のフィルムに含有せしめて形成することができる。特開平1−205155号公報に記載の「書き込み層」をもって形成することができる。筆記層は支持体における、複数の層が積層されていない第1のシート材に形成される。筆記層にワックス等の滑り性を良好にする素材を添加すると、擦られた場合の破損や摩耗を防ぐために有効である。添加剤としてはポリエチレンワックスが好ましく用いられる。
【0108】
[ICカード作製方法]
ここでホットメルト接着剤を使用したICカードの作製方法の一例を挙げる。ICカードの作製に当たっては、先ず表裏のシートにアプリケーターでホットメルト接着剤を所定の厚さに塗工する。塗工方法としてはローラー方式、Tダイ方式、ダイス方式などの通常の方法が使用される。この発明でストライプ状に塗工する場合、Tダイスリットを間欠に開口部を持たせる等の方法があるが、これに限られるものではない。
【0109】
また、第1のシート材と第2のシート材は貼り合わせる前後いずれかにフォーマット印刷又は、情報記録を行ってもよく、オフセット印刷、グラビア印刷、シルク印刷、スクリーン印刷、凹版印刷、凸版印刷、インクジェット方式、昇華転写方式、電子写真方式、熱溶融方式等のいずれの方式によって形成することができる。
【0110】
この発明のICカードの製造方法は、特開2000−036026、特開2000−219855、特開2000−211278、特開平10−316959、特開平11−5964等のように貼り合わせ、塗設方法が開示されている。いずれの貼り合わせ方式、塗設方式方法等を用いることができ、この発明では特に制限はない。
【0111】
また、特定の位置に接着剤部材を配置させる方法としては、スクリーン印刷法、グラビア印刷法などにより、所定位置に接着剤を塗布することにより製造することができる。また、ホットメルト接着剤を使用する場合には、ハンドガンタイプのホットメルトアプリケーターにより、ノズルから接着剤をビード状に塗布することでそれぞれの配置へ塗布することも可能である。
【0112】
或いは、フィルム状に加工された該接着剤を、所定の配置に設置するべく断裁し、それぞれの配置へ設置した後に、加熱、加圧処理を施して貼り合わせることもできる。
【0113】
貼り合わせ時には、基材の表面平滑性、第1のシート材と第2のシート材との間に所定の電子部品の密着性をあげるために加熱及び加圧を行うことが好ましく、上下プレス方式、ラミネート方式等で製造することが好ましい。加熱は、10〜180℃が好ましく、より好ましくは30〜150である。加圧は、1.0〜300kgf/cm2が好ましく、より好ましくは1.0〜200kgf/cm2である。これより圧が高いとICチップが破損する。加熱及び加圧時間は好ましくは、0.001〜90secより好ましくは0.001〜60secである。これより時間が長いと製造効率が低下する。
【0114】
第1のシート材と第2のシート材が接着剤を介して貼り合わされ、その接着剤層中にICチップおよびアンテナを有するICモジュールを有するICカード用のシートは、所定の条件下で保管された後に、ICカード用のシートを打ち抜き金型に供給し、前記打ち抜き金型によって、ICカード用のシートからICカードを打ち抜くことによって、ICカードは製造される。この場合、打ち抜き加工の前に、認証識別画像や書誌事項を記録してもよい。硬化促進のために貼り合わせたシートのカードサイズの周囲に反応に必要な水分供給のための穴を開ける方法も有効な手段の一つである。
【0115】
[ICカード上への転写箔付与方法]
転写箔の被転写材への転写は通常サーマルヘッド、ヒートローラー、ホットスタンプマシンなどの加熱しながら加圧を行える手段を用い転写を行う。
【0116】
[実施例1]
以下、実施例を挙げてこの発明を詳細に説明するが、この発明の態様はこれに限定されない。尚、以下において「部」は「重量部」を示す。
【0117】
[接着剤の選定]
用いる接着剤は、積水化学工業(株)製エスダイン2013MKを使用した。
【0118】
<第1のシート材(裏シート)の作成>
表面シートおよび裏面シートとして帝人デュポンフィルム株式会社製U2L98W低熱収グレード188μmを使用した。
【0119】
(筆記層の作成)
前記支持体裏シート188μmに下記組成の第1筆記層形成用塗工液、第2筆記層形成用塗工液及び第3筆記層形成用塗工液をこの順に塗布乾燥して、それぞれの厚みが5μm、15μm、0.2μmになる様に積層することにより筆記層を形成した。
〈第1筆記層形成用塗工液〉
ポリエステル樹脂〔東洋紡績(株)製:バイロン200〕 8部
イソシアネート 1部
〔日本ポリウレタン工業(株)製:コロネートHX〕
カーボンブラック 微量
二酸化チタン粒子〔石原産業(株)製:CR80〕 1部
メチルエチルケトン 80部
酢酸ブチル 10部
〈第2筆記層形成用塗工液〉
ポリエステル樹脂 4部
〔東洋紡績(株)製:バイロナールMD1200〕
シリカ 5部
二酸化チタン粒子〔石原産業(株)製:CR80〕 1部
水 90部
〈第3筆記層形成用塗工液〉
ポリアミド樹脂〔三和化学工業(株)製:サンマイド55〕 5部
メタノール 95部
得られた筆記層の中心線平均粗さは1.34μmであった。
【0120】
(筆記層へのフォーマット印刷層の形成)
オフセット印刷法により、フォーマット印刷(罫線、発行者名、発行者電話番号)を行った。印刷インキはUV墨インキを用いた。印刷時のUV照射条件は、高圧水銀灯で200mj相当であった。
【0121】
<第2のシート材(表シート)の作成>
表シートとして帝人デュポンフィルム株式会社製U2L98W低熱収グレードを使用した。PETシートの厚みは表裏とも188μmである。
【0122】
(表シートの作成)
表シート188μmに下記組成物からなるクッション層、受像層を順次塗工乾燥してなる第2のシート材(表シート)を形成した。
(光硬化型クッション層) 膜厚10μm
ウレタンアクリレートオリゴマー(新中村化学社製:NKオリゴUA512)
55部
ポリエステルアクリレート(東亞合成社製:アロニックスM6200)
15部
ウレタンアクリレートオリゴマー(新中村化学社製:NKオリゴUA4000)
25部
ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ:イルガキュア184) 5部
メチルエチルケトン 100部
塗布後の活性光線硬化性化合物は、90℃/30secで乾燥を行い、次いで水銀灯(300mj/cm2)で光硬化を行った。
【0123】
(受像層)
上記クッション層上に下記組成の第1受像層形成用塗工液、第2受像層形成用塗工液及び第3受像層形成用塗工液をこの順に塗布乾燥して、それぞれの厚みが0.2μm、2.5μm、0.5μmになる様に積層することにより受像層を形成した。
〈第1受像層形成用塗工液〉
ポリビニルブチラール樹脂 9部
〔積水化学工業(株)製:エスレックBL−1〕
イソシアネート 1部
〔日本ポリウレタン工業(株)製:コロネートHX〕
メチルエチルケトン 80部
酢酸ブチル 10部
〈第2受像層形成用塗工液〉
ポリビニルブチラール樹脂 6部
〔積水化学工業(株)製:エスレックBX−1〕
金属イオン含有化合物(化合物MS) 4部
メチルエチルケトン 80部
酢酸ブチル 10部
〈第3受像層形成用塗工液〉
ポリエチレンワックス 2部
〔東邦化学工業(株)製:ハイテックE1000〕
ウレタン変性エチレンアクリル酸共重合体 8部
〔東邦化学工業(株)製:ハイテックS6254〕
メチルセルロース〔信越化学工業(株)製:SM15〕 0.1部
水 90部
【0124】
【化1】
【0125】
(フォーマット印刷層からなる情報坦持体形成)
受像層上にオフセット印刷法により、フォーマット印刷(従業員証、氏名)を行った。印刷インキはUV墨インキを用いた。印刷時のUV照射条件は、高圧水銀灯で200mj相当であった。
【0126】
(透明樹脂層形成)
下記組成物からなる印刷インキを用いロールミルにより混合し、印刷インキを作成した。オフセット印刷法により受像層上に印刷を行った。印刷時のUV照射条件は、高圧水銀灯で200mj相当であった。
【0127】
(透明樹脂層組成物1)
ウレタンアクリレートオリゴマー 50部
脂肪族ポリエステルアクリレートオリゴマー 35部
ダイロキュア1173(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製) 5部
トリメチロールプロパンアクリレート 10部
(IC隠蔽層の作成)
樹脂凸印刷法により、受像層面とは反対側の支持体最表面に透かし印刷を行った。印刷紋様は図10または図11の何れかで行った。印刷インキはUV墨インキにより印刷を行った。印刷時のUV照射条件は、高圧水銀灯で200mj相当であった。膜厚は1.0μmであった。
【0128】
(使用インレット)
帝人デュポンフィルム(株)製Sシリーズテトロンフィルムの上に厚さ10μmのアルミニウム箔を蒸着させた後、アンテナ線の形態のようにエッチング処理をした。こうして得られたベースシートの上にICチップ、補強板などを設置し、ICカード用インレットとした。
【0129】
<ICカード用画像記録体の作成>
上記作成された、図12の第1のシート材(裏シート)と、図13の第2のシート材(表シート)を用い、図1に記載のIC搭載カード基材及び受像層付きカード基材の作成装置を用いてカード基材を作成した。
【0130】
実施形態としてのカード基材作成について説明をする。第1のシート材(裏シート)は第1のシート供給部、第2のシート材(表シート)は第2のシート供給部に設置する。ホットメルト剤供給部に接着剤を投入した。
【0131】
このように、長尺シート状の第1のシート材(裏シート)と、枚葉シートの第2のシート材(表シート)とが配備され、第2のシート材に特定温度で窒素下で湿気硬化型の接着剤供給部からTダイ塗布方式により接着剤を供給し、厚さ270μmの図14乃至図16から構成される電子部品を配置した。接着剤の温度低下を防ぐために加熱部材を加熱し加温した。
【0132】
図14はICカード用材料のICモジュールの模式図であり、銅線を巻いたアンテナコイルのアンテナ3a1にICチップ3a2が接合され、電子部品3aのICモジュールである。
【0133】
図15のインレットの構造は、不織布タイプであり、プリントパターンが形成された不織布3a4とICチップ3a2がボンディング等で接合され、ICチップ3a2には補強板3bがICチップ3a2を50%以上覆うようにして介在している模式図である。日立マクセル株式会社製ICカードシート「FTシリーズ」も使用することも可能である。
【0134】
図16はプリント基板タイプであり、プリントパターンが形成されたプリント基板3a5とICチップ3a2がボンディング等で接合され、ICチップ3a2には補強板3bがICチップ3a2を50%以上覆うようにして介在している模式図である。
【0135】
使用インレットは、各種の帝人デュポンフィルム(株)製Sシリーズテトロンフィルムを加熱処理し熱収縮率を調整した。その後支持体表面に各種樹脂を1μm厚でシート両面をコーティングした。さらにこの上に厚さ10μmのアルミニウム箔を蒸着させた後、アンテナ線の形態のようにエッチング処理をした。こうして得られたベースシートの支持体上に、ICチップ、補強板などを設置し、ICカード用インレットとした。
【0136】
第1のシート材に特定温度の窒素下で湿気硬化型の接着剤供給部からTダイ塗布方式により接着剤を供給し、この第1のシート材と第2のシート材に湿気硬化型接着剤とICモジュールのIC/固定部材とからなる複合体を介在し、加熱加圧ロール、(圧力3kg/cm2、ロール表面温度70℃)膜厚制御ロールにより貼り合され、740μmに制御されたカード基材原版が作成された。このカード基材原版を図17及び図18に示す。図17は図15のインレットを用いた実施例であり、図18は図16のインレットを用いた実施例である。
【0137】
第1、第2のシート材に塗工される接着剤の厚みはそれぞれ、30〜40μm、330〜350μmを目標とした。この発明においては、それぞれの塗工厚み分布を制御することで、カード厚み標準偏差、厚みばらつき範囲、面内傾斜の値を調整し、打ち抜き後に実施例に示される値のICカードを得た。
【0138】
断裁工程は接着剤の初期硬化、支持体との密着性が十分に行われたてから断裁することが好ましい。断裁性を考慮すると接着剤は必ずしも完全に硬化させる必要はない。作成された原版は後に示される打ち抜き方式により55mm×85mmサイズのICカード用画像記録体を得ることができた。仕上がったカード基材表裏面にフォーマット印刷部がない場合は、カード印刷機により樹脂凸版印刷法で、ロゴとOPニスを順次印刷した。
【0139】
[ICカードの保管]
上記で得られたICカードを図1に示した形状のカードマガジンに300枚を上下左右同じ方向で重ねて装填した.カードマガジンは、図19に示すカードプリンタの装填部に装着可能な形態とした。カードマガジンをシールした後、これらのマガジンを23℃55%環境下で10日間保管した。
【0140】
[ICカード作成方法]
[ICカードへ認証識別画像、属性情報画像の記載方法]
(昇華型感熱転写記録用のインクシートの作成)
裏面に融着防止加工した厚さ6μmのポリエチレンテレフタレートシートに下記組成のイエローインク層形成用塗工液、マゼンタインク層形成用塗工液、シアンインク層形成用塗工液を各々の厚みが1μmになる様に設け、イエロー、マゼンタ、シアンの3色のインクシートを得た。
〈イエローインク層形成用塗工液〉
イエロー染料
(三井東圧染料(株)製MSYellow) 3部
ポリビニルアセタール 5.5部
〔電気化学工業(株)製:デンカブチラールKY−24〕
ポリメチルメタアクリレート変性ポリスチレン 1部
〔東亜合成化学工業(株)製:レデダGP−200〕
ウレタン変性シリコンオイル 0.5部
〔大日精化工業(株)製:ダイアロマーSP−2105〕
メチルエチルケトン 70部
トルエン 20部
〈マゼンタインク層形成用塗工液〉
マゼンタ染料
(三井東圧染料(株)製 MS Magenta) 2部
ポリビニルアセタール 5.5部
〔電気化学工業(株)製:デンカブチラールKY−24〕
ポリメチルメタアクリレート変性ポリスチレン 2部
〔東亜合成化学工業(株)製:レデダGP−200〕
ウレタン変性シリコンオイル 0.5部
〔大日精化工業(株)製:ダイアロマーSP−2105〕
メチルエチルケトン 70部
トルエン 20部
〈シアンインク層形成用塗工液〉
シアン染料
(日本化薬(株)製 カヤセットブルー136) 3部
ポリビニルアセタール 5.6部
〔電気化学工業(株)製:デンカブチラールKY−24〕
ポリメチルメタアクリレート変性ポリスチレン 1部
〔東亜合成化学工業(株)製:レデダGP−200〕
ウレタン変性シリコンオイル 0.5部
〔大日精化工業(株)製:ダイアロマーSP−2105〕
メチルエチルケトン 20部
(溶融型感熱転写記録用のインクシートの作成)
裏面に融着防止加工した厚さ6μmのポリエチレンテレフタレートシートに下記組成のインク層形成用塗工液を厚みが2μmになる様に塗布乾燥してインクシートを得た。
〈インク層形成用塗工液〉
カルナバワックス 1部
エチレン酢酸ビニル共重合体 1部
〔三井デュポンケミカル社製:EV40Y〕
カーボンブラック 3部
フェノール樹脂〔荒川化学工業(株)製:タマノル521〕 5部
メチルエチルケトン 90部
(顔画像の形成)
受像層又は透明樹脂部、情報印刷部と昇華型感熱転写記録用のインクシートのインク側を重ね合わせインクシート側からサーマルヘッドを用いて出力0.23W/ドット、パルス幅0.3〜4.5m秒、ドット密度16ドット/mmの条件で加熱することにより画像に階調性のある人物画像を受像層に形成した。この画像においては上記色素と受像層のニッケルが錯体を形成している。
【0141】
(文字情報の形成)
透明樹脂部と溶融型感熱転写記録用のインクシートのインク側を重ね合わせインクシート側からサーマルヘッドを用いて出力0.5W/ドット、パルス幅1.0m秒、ドット密度16ドット/mmの条件で加熱することにより文字情報をICカード用画像記録体上に形成した。
【0142】
上記により顔画像と属性情報を設けた。
[ICカード表面保護層添加樹脂の合成]
[ICカード表面保護用箔の作成]
(転写箔1の作成)
0.1μmのフッ素樹脂層の離型層を設けた厚み25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムー2の離型層上に下記組成物を積層し転写箔1の作成を行った。
(活性光線硬化性化合物)
新中村化学社製 A-9300/新中村化学社製EA-1020=
35/11.75部
反応開始剤
イルガキュア184日本チバガイギー社製 5部
添加剤不飽和基含有樹脂 48部
その他の添加剤
大日本インキ界面活性剤F-179 0.25部
〈中間層形成塗工液〉 膜厚1.0μm
ポリビニルブチラール樹脂
〔積水化学(株)製:エスレックBX-1〕 3.5部
タフテックスM-1913(旭化成) 5部
硬化剤 ポリイソシアネート[コロネートHX 日本ポリウレタン製] 1.5部
メチルエチルケトン 90部
塗布後硬化剤の硬化は、50℃、24時間で行った。
〈接着層形成塗工液〉 膜厚0.5μm
ウレタン変性エチレンエチルアクリレート共重合体
〔東邦化学工業(株)製:ハイテックS6254B〕 8部
ポリアクリル酸エステル共重合体〔日本純薬(株)製:ジュリマーAT510〕2部
水 45部
エタノール 45部
(転写箔2の作成)
0.1μmのフッ素樹脂層の離型層を設けた厚み25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムー2の離型層上に下記組成物を積層し活性光線硬化型転写箔2の作成を行った。
(活性光線硬化性化合物)
新中村化学社製 A-9300/新中村化学社製
EA-1020=35/11.75部
反応開始剤
イルガキュア184日本チバガイギー社製 5部
添加剤不飽和基含有樹脂 48部
その他の添加剤
大日本インキ界面活性剤F-179 0.25部
〈中間層形成塗工液〉 膜厚1.0μm
ポリビニルブチラール樹脂〔積水化学(株)製:エスレックBX−1〕
3.5部
タフテックスM-1913(旭化成) 5部
硬化剤
ポリイソシアネート[コロネートHX 日本ポリウレタン製] 1.5部
メチルエチルケトン 90部
塗布後硬化剤の硬化は、50℃、24時間で行った。
〈バリヤー層形成塗工液〉 膜厚1.0μm
ポリビニルブチラール樹脂〔積水化学(株)製:エスレックBX-1〕
1部
タフテックスM-1913(旭化成) 8部
硬化剤 ポリイソシアネート[コロネートHX 日本ポリウレタン製] 1部
メチルエチルケトン 90部
〈接着層形成塗工液〉 膜厚0.5μm
ウレタン変性エチレンエチルアクリレート共重合体
〔東邦化学工業(株)製:ハイテックS6254B〕 8部
ポリアクリル酸エステル共重合体〔日本純薬(株)製:ジュリマーAT510〕2部
水 45部
エタノール 45部
画像、文字が記録された前記受像体上に前記構成からなる転写箔1および転写箔2を用いて、表面温度200℃に加熱した、直径5cmゴム硬度85のヒートローラーを用いて圧力150kg/cm2で1.2秒間熱をかけて、転写箔1および転写箔2の順番で転写を行った。前記転写は、図19に記載のICカード作成装置を使用して行った。
【0143】
図19はICカードの作成装置としてのカードプリンタであり、カードプリンタには、上方位置にカード基材供給部10及び情報記録部20が配置され、下方位置に、透明保護層及び/又は光学変化素子転写層付与部及び/又は樹脂層付与部70が配置され、この後更に透明保護層及び/又は光学変化素子転写層付与部及び/又は樹脂層付与部70が配置され、画像記録体としてカードを作成する。
【0144】
カード基材供給部10には、例えば、図1で作成されたカード使用者の個人情報を書き込むために予め枚葉状にカットされた複数枚のカード基材50が、顔写真を記録する面を上に向けてストックされている。この例では、カード基材50が支持体と受像層からなり、このカード基材50は1枚ずつカード基材供給部10から所定のタイミングで自動供給される。
【0145】
情報記録部20には、イエローリボンカセット21、マゼンタリボンカセット22、シアンリボンカセット23、ブラックリボンカセット24が配置され、それぞれに対応して記録ヘッド25〜28が配置されている。イエローリボン、マゼンタリボン、シアンリボン等の熱転写シートによる熱転写で、カード基材50が移動されている間に、その受像層の所定領域にカード使用者の顔写真等の諧調を有する画像領域が記録される。
【0146】
また、文字リボンカセット31及び記録ヘッド32が配置され、文字リボン等の熱転写シートによる熱転写で、その氏名やカード発行日等の認証識別情報が記録され、画像記録層が形成される。この情報記録部20では、イメージワイズに加熱して前記受像層に諧調情報画像を形成し、画像を形成する際の記録ヘッド条件は0.01〜0.3kg/cm2の範囲で加圧し、ヘッドの温度50〜500℃で形成する。
【0147】
透明保護層及び/又は光学変化素子転写層付与部及び/又は樹脂層付与部70では、転写箔カセット71が配置され、この転写箔カセット71に対応して熱転写ヘッド72が配置されている。光学変化素子転写箔43及び/又は透明保護転写箔64、硬化型転写箔66を転写し、光学変化素子転写層及び/透明保護転写層、硬化型済保護層含有転写層が設けられる。
【0148】
表1に示すように、打ち抜き刃の動作方式、打ち抜き速度、打ち抜き刃の高さ、裁断刃の角部の角度、ストリッパ分割の有無、裁断刃の角部突出、カード基材破断伸度、カード基材弾性率、接着剤破断伸度、接着剤弾性率を変化させてカード基材を打ち抜いた。この物性の評価を以下に示す。
【0149】
[カード断裁性]
図4に示されたカード打ち抜き機にパンチダイもしくは中空刃を載せ、カード基材をカード形態に打ち抜いた後、ICカードの断面を観察、5段階評価した。4以上が好ましい結果である。
【0150】
5:カード断面に基材のバリや接着剤のはみ出しがなく、手で触るとつるつるしている。
【0151】
4:カード断面に基材のバリや接着剤のはみ出しがない。
【0152】
3:カード断面に基材のバリが発生はないが、接着剤が飛び出していて、断面がざらつく。
【0153】
2:カード断面に基材のバリが発生し、接着剤が飛び出していて、断面がざらつく。
【0154】
1:カード断面に基材のバリが発生し、接着剤が大きく飛び出している。
【0155】
[カード生産性]
図4に示されたカード打ち抜き機にパンチダイを載せ、作成されたカード基材をカード形態に打ち抜いた。カードを1日あたり1500枚打ち抜き、ICカードの断面に切れ残りが発生して刃の交換が必要となるまでのカード枚数を記録した。30万枚以上打ち抜けることが生産で使用可能となる条件とした。これ以下では、工程の停止回数や刃のメンテ性が悪化し、生産に適さない。また、断裁性が悪いと刃の摩耗がおきやすい。
【0156】
[プリンタ搬送性]
実施例において作製されたカード10000枚を図19に示されたプリンタで連続してプリントを行い、その時に発生した搬送カード枚数の割合を搬送不良率として計算した。搬送不良率は1%以下が好ましい範囲である。
【0157】
[ゴミ混入率]
実施例において作製されたカード10000枚を図19に示されたプリンタで連続してプリントを行い、その時にICカードと保護箔との間にゴミが混入したカード枚数の割合をゴミ混入率として計算した。ゴミ混入率は0.5%以下が好ましい範囲である。
【0158】
結果を表1に示す。
表1
【0159】
表1の結果により、この発明においては比較例に対し、カード断裁性、カード生産性、プリンタ搬送性、ゴミ混入率において、優れた効果を示す結果となり、発明の効果が認められる。
【産業上の利用可能性】
【0160】
この発明は、複数のフォーマット印刷されたカード基材を複数の断裁刃で打ち抜く場合、同時に打ち抜きを行うと、カード基材に同時に圧縮応力と引っ張り応力が多方向から加わるため、カード化する際に複数の断裁刃が同時にカード基材を打ち抜かないようにして、断裁面にカード基材の「切れ残り」が生じ、「バリ」の発生となることを防止し、カード生産性、プリンタ搬送性に優れ、ゴミ混入率が低下する。
【図面の簡単な説明】
【0161】
【図1】ICカードの製造工程の概略構成図である。
【図2】ICカードの貼り合わせ品の画像形成体の断面図である。
【図3】打ち抜き刃の平面図である。
【図4】打抜金型装置の主要部の正面端面図である。
【図5】打ち抜き刃の高さを示す図である。
【図6】フォーマット印刷されたカード基材を示す図である。
【図7】分割されたストッパを示す図である。
【図8】断裁刃の平面図である。
【図9】断裁刃の角度を示す図である。
【図10】受像層面とは反対側の支持体最表面に透かし印刷の印刷紋様を示す図である。
【図11】受像層面とは反対側の支持体最表面に透かし印刷の印刷紋様を示す図である。
【図12】第1のシート材(裏シート)を示す図である。
【図13】第2のシート材(表シート)を示す図である。
【図14】ICカード用材料のICモジュールの模式図である。
【図15】ICカード用材料のICモジュールの模式図である。
【図16】ICカード用材料のICモジュールの模式図である。
【図17】カード基材原版の断面図である。
【図18】カード基材原版の断面図である。
【図19】ICカードの作成装置としてのカードプリンタを示す図である。
【符号の説明】
【0162】
1 第1のシート材(裏シート)
2 第2のシート材(表シート)
3 インレット
3a 電子部品
3a1 アンテナ
3a2 ICチップ
3b 補強板
6,7 接着剤層
8a 受像層
8b 個人識別情報
8c 透明保護層
9a 筆記層
50 カード基材
501,502,503 クリーンルーム
A 第1のシート材供給部
B 第2のシート材供給部
C1,C2 接着剤供給部
D 第2のシート搬送部
E インレット供給部
F バックローラ部
G カード基材搬送部
H 裁断部
K 回収部
L 保管部
M フォーマット印刷部
N 打ち抜き部
n1 打ち抜き機
O 印刷部
o1 カード印刷機
P 装填部
【技術分野】
【0001】
この発明は、偽造、変造防止等の安全性(セキュリティ)が要求される個人情報等を記憶するICカードに適用して好適なICカード作製方法及びICカードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来ICカードはICチップ、アンテナを実装した回路基板を有するインレットを、2枚のシート材の間に挿入し、湿気硬化型接着剤やUV硬化型、2液混合型接着剤などを用いて貼り合わせ、硬化後にカード型に打ち抜いて作製、または熱圧着可能な基材を用いて熱プレスした後、カード型に打ち抜いて作製されることが一般的である(特許文献1〜4)。
【特許文献1】特開2001−205597号公報(第1頁〜第8頁、図1〜図6)
【特許文献2】特開平5−214545号公報(第1頁〜第3頁、図1)
【特許文献3】特開平8−207555号公報(第1頁〜第8頁、図1〜図9)
【特許文献4】特開平9−360810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
作製されたICカードはカード券面に文字情報および画像情報を付与され、保護層を設けた後、一般に使用される。しかしながら、作製されたICカードは、シート材に膜厚分布、うねりがあるため、厳密にはそれぞれ個別に厚みの状態が異なっている。ICカードの厚みが違うと打ち抜きでは、断裁性が部分的に変わりやすい、接着剤がはみ出す、ICカードの角にバリが発生する、といった問題が生じている。
【0004】
ICカードはコストが高いため、打ち抜き前の機械調整では、調整専用のICカードで調整を行ってから打ち抜きを実施するが、実際に本物のICカードを打ち抜くわけではないため、本番の打ち抜き時には、どうしてもICカードのロスが発生してしまっていた。
【0005】
さらに、生産性を高めるために、大きなシートから同時に複数のICカードを打ち抜く場合、表面の凹凸の他、打ち抜き時にカード間に生じる相互の引っ張り応力の関係から、中央部ほどバリが多いといった問題が生じてきた。
【0006】
ロスを補うため、打ち抜き時にバリや接着剤はみ出しの発生したICカードを、人間の手によって除去する作業が行われているが、人件費によりかえって生産コストの上昇を招くといった重大な問題が生じ、解決方法が強く望まれていた。ゆえに作製されたシートの形状によらず、常に一定の断裁性をもってICカードが作製される方法が望まれるようになってきた。
【0007】
この発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、カード断裁性、カード生産性、プリンタ搬送性に優れ、ゴミ混入率が低下するICカード製造方法及びICカードを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0009】
請求項1に記載の発明は、第1のシート材と第2のシート材との間に接着剤層を介在し、この接着剤層内にインレット基材上にICチップを有するインレットを封入してカード基材を作製し、このカード基材をカード状に打ち抜いてICカードを作製するICカード作製方法において、
前記カード基材の少なくとも一面にフォーマット印刷が施され、
前記フォーマット印刷された前記カード基材が、複数の断裁刃を用いて複数のカード形態に打ち抜かれる時、動作する断裁刃の少なくとも一つが他の断裁刃より先に前記カード基材の断裁を開始することを特徴とするICカード作製方法である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、第1のシート材と第2のシート材との間に接着剤層を介在し、この接着剤層内にインレット基材上にICチップを有するインレットを封入してカード基材を作製し、このカード基材をカード状に打ち抜いてICカードを作製するICカード作製方法において、
前記カード基材の少なくとも一面にフォーマット印刷が施され、
前記フォーマット印刷された前記カード基材が、複数の断裁刃を用いて同時に複数のカード形態に打ち抜かれる時、同時に作動する断裁刃の少なくとも一つの打ち抜き速度が他の断裁刃と異なることを特徴とするICカード作製方法である。
【0011】
請求項3に記載の発明は、第1のシート材と第2のシート材との間に接着剤層を介在し、この接着剤層内にインレット基材上にICチップを有するインレットを封入してカード基材を作製し、このカード基材をカード状に打ち抜いてICカードを作製するICカード作製方法において、
前記カード基材の少なくとも一面にフォーマット印刷が施され、
前記フォーマット印刷された前記カード基材が、複数の断裁刃を用いて同時に複数のカード形態に打ち抜かれる時、前記カード基材を抑える部材がフォーマット印刷に合わせて分割されていることを特徴とするICカード作製方法である。
【0012】
請求項4に記載の発明は、第1のシート材と第2のシート材との間に接着剤層を介在し、この接着剤層内にインレット基材上にICチップを有するインレットを封入してカード基材を作製し、このカード基材をカード状に打ち抜いてICカードを作製するICカード作製方法において、
前記カード基の少なくとも一面にフォーマット印刷が施され、
前記フォーマット印刷された前記カード基材が、少なくとも一つの断裁刃を用いてカード形態に打ち抜かれる時、カード形態に打ち抜く断裁刃がパンチ形状をしており、かつ前記断裁刃の角部がパンチ面から打ち抜き方向へ突出していることを特徴とするICカード作製方法である。
【0013】
請求項5に記載の発明は、第1のシート材と第2のシート材との間に接着剤層を介在し、この接着剤層内にインレット基材上にICチップを有するインレットを封入してカード基材を作製し、このカード基材をカード状に打ち抜いてICカードを作製するICカード作製方法において、
前記カード基材の少なくとも一面にフォーマット印刷が施され、
前記フォーマット印刷された前記カード基材が、少なくとも一つの断裁刃を用いてカード形態に打ち抜かれる時、カード形態に打ち抜く断裁刃の角部分が曲線状であり、かつ曲線状の角部の断裁刃の刃角が30°以上かつ90°より小さいことを特徴とするICカード作製方法である。
【0014】
請求項6に記載の発明は、前記貼り合せたカード基材の厚みが650μm以上900μm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のICカード作製方法である。
【0015】
請求項7に記載の発明は、前記カード基材を構成するシート材の厚みが、100μm以上300μm以下で、かつ弾性率の値が100以上800kgf/mm2以下かつ破断伸度の値が10%以上50%以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のICカード作製方法である。
【0016】
請求項8に記載の発明は、前記カード基材を構成する接着剤の弾性率の値が30以上100kgf/mm2以下かつ破断伸度の値が50%以上500%以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のICカード作製方法である。
【0017】
請求項9に記載の発明は、前記カード状に打ち抜く前に、貼り合わせ品を枚葉シート状に断裁することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のICカード作製方法である。
【0018】
請求項10に記載の発明は、前記カード状に打ち抜く前に、印刷ない面にフォーマット印刷を施すことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のICカード作製方法である。
【0019】
請求項11に記載の発明は、請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のICカード作製方法により作成したICカードの少なくとも片面に受像層を有し、
前記受像層に熱転写方式またはインクジェット方式による氏名、顔画像を含む個人識別情報を設け、
前記ICカードの少なくとも一部に筆記可能な筆記層を設けていることを特徴とするICカードである。
【0020】
請求項12に記載の発明は、前記氏名、顔画像を含む個人識別情報を設けた上面に透明保護層が設けられ、
前記透明保護層が活性光線硬化樹脂からなることを特徴とする請求項11に記載のICカードである。
【0021】
請求項13に記載の発明は、前記ICカードのICチップを顔画像部分と重なる位置以外に配置したことを特徴とする請求項11または請求項12に記載のICカードである。
【0022】
請求項14に記載の発明は、前記ICカードが非接触式であることを特徴とする請求項11乃至請求項13のいずれか1項に記載のICカードである。
【発明の効果】
【0023】
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
【0024】
請求項1に記載の発明によれば、フォーマット印刷されたカード基材が、複数の断裁刃を用いて複数のカード形態に打ち抜かれる時、動作する断裁刃の少なくとも一つが他の断裁刃より先にカード基材の断裁を開始する。複数のフォーマット印刷されたカード基材を複数の断裁刃で打ち抜く場合、同時に打ち抜きを行うと、カード基材に同時に圧縮応力と引っ張り応力が多方向から加わるため、カード化する際に複数の断裁刃が同時にカード基材を打ち抜かないようにして、断裁面にカード基材の「切れ残り」が生じ、「バリ」の発生となることを防止し、カード生産性、プリンタ搬送性に優れ、ゴミ混入率が低下する。
【0025】
請求項2に記載の発明によれば、フォーマット印刷されたカード基材が、複数の断裁刃を用いて同時に複数のカード形態に打ち抜かれる時、同時に作動する断裁刃の少なくとも一つの打ち抜き速度が他の断裁刃と異なる。複数のフォーマット印刷されたカード基材を複数の断裁刃で打ち抜く場合、同時に打ち抜きを行うと、カード基材に同時に圧縮応力と引っ張り応力が多方向から加わるため、カード化する際に複数の断裁刃が同時にカード基材を打ち抜かないようにして、断裁面にカード基材の「切れ残り」が生じ、「バリ」の発生となることを防止し、カード生産性、プリンタ搬送性に優れ、ゴミ混入率が低下する。
【0026】
請求項3に記載の発明によれば、
フォーマット印刷されたカード基材が、複数の断裁刃を用いて同時に複数のカード形態に打ち抜かれる時、カード基材を抑える部材がフォーマット印刷に合わせて分割されている。予めフォーマット印刷されたカード基材を用い、それらを基準に個別に分割された抑える部材でカード基材を押さえ、打ち抜きが実施され、打ち抜き位置及び押さえ位置を正確にすることができる。
【0027】
請求項4に記載の発明によれば、フォーマット印刷されたカード基材が、少なくとも一つの断裁刃を用いてカード形態に打ち抜かれる時、カード形態に打ち抜く断裁刃がパンチ形状をしており、かつ断裁刃の角部がパンチ面から打ち抜き方向へ突出していることで、カードの角部分は丸い形態をしているため、この部分にバリが発生しやすい傾向があるが、この部分を切れやすくしてバリの発生をなくすことができ、カード生産性、プリンタ搬送性に優れ、ゴミ混入率が低下する。
【0028】
請求項5に記載の発明によれば、フォーマット印刷されたカード基材が、少なくとも一つの断裁刃を用いてカード形態に打ち抜かれる時、カード形態に打ち抜く断裁刃の角部分が曲線状であり、かつ曲線状の角部の断裁刃の刃角が30°以上かつ90°より小さいことで、角部分を鋭角化するのが良く、これ以上角度が小さくなると、基材を断裁し始める時に基材に別方向の亀裂を生じさせるため断裁性が劣化し、これ以上大きくなると刃の入りが悪くなる。
【0029】
請求項6に記載の発明によれば、貼り合せたカード基材の厚みが650μm以上900μm以下であり、カード基材の厚みを規定することで、カード化される時の断裁性がよく、かつ市場での取扱性がよい。
【0030】
請求項7に記載の発明によれば、カード基材を構成するシート材の厚みが、100μm以上300μm以下で、かつ弾性率の値が100以上800kgf/mm2以下かつ破断伸度の値が10%以上50%以下であり、シート材の厚みかつ弾性率の値を規定することで、カード化される時の断裁性がよく、かつ市場での取扱性がよい。
【0031】
請求項8に記載の発明によれば、カード基材を構成する接着剤の弾性率の値が30以上100kgf/mm2以下かつ破断伸度の値が50%以上500%以下である。接着剤の弾性率が高いとハサミなどの刃物で断裁加工する場合には断裁しやすくなるが、反面、接着剤が固くなってしまうためカード耐久性は低下する。一方、接着剤の弾性率が低いと断裁加工時に断面から接着剤がはみだし、カード化した場合に断面形状が劣化し外観は悪くなる。接着剤の破断伸度が小さいとはさみ状の刃物で断裁を行うときに切れやすく、破断伸度が大きいと接着剤が切れるまでの伸びが大きいため、はさみ状の刃物で断裁するときには切れにくく不利である。 一方、カード基材の一部として接着剤を用いる時は、カードが曲げられたり折られたりした時には、破断伸度の値が大きいほうが、柔軟性があり好ましい。接着剤の弾性率かつ破断伸度の値を規定することで、断裁しやすく、カード耐久性があり、接着剤のはみだしがなく、カード化した場合の外観性が良好である。
【0032】
請求項9に記載の発明によれば、カード状に打ち抜く前に、貼り合わせ品を枚葉シート状に断裁することで、取扱が容易で、かつカード状に打ち抜く精度が向上する。
【0033】
請求項10に記載の発明によれば、カード状に打ち抜く前に、印刷ない面にフォーマット印刷を施すことで、取扱が容易で、かつフォーマット印刷の精度が向上する。
【0034】
請求項11に記載の発明によれば、請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のICカード作製方法により作成したICカードの少なくとも片面に受像層を有し、受像層に熱転写方式またはインクジェット方式による氏名、顔画像を含む個人識別情報を設け、ICカードの少なくとも一部に筆記可能な筆記層を設けていることで、免許証類、身分証明書、パスポート、外国人登録証、図書館利用カード、キャッシュカード、クレジットカード、従業者証、社員証、会員証、医療カード及び学生証等に好ましく用いることができる。
【0035】
請求項12に記載の発明によれば、氏名、顔画像を含む個人識別情報を設けた上面に透明保護層が設けられ、透明保護層が活性光線硬化樹脂からなり、氏名、顔画像を含む個人識別情報が保護され、耐久性が向上する。
【0036】
請求項13に記載の発明によれば、ICカードのICチップを、顔画像部分と重なる位置以外に配置し、ICチップが顔画像部分と重なる位置に存在しないことで、表面の平滑性がよくなり、印字性が向上する。
【0037】
請求項14に記載の発明によれば、ICカードが非接触式であり、安全性に優れることから、データの機密性と偽変造防止性を高く要求する用途に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、この発明のICカード製造方法及びICカードを、図面に基づいて詳細に説明するが、この発明は、この実施の形態に限定されない。また、この発明の実施の形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、この発明は、これに限定されない。
【0039】
図1はICカードの製造工程の概略構成図である。このICカードの製造工程では、長尺シート状の第1のシート材(裏シート)1が第1のシート材供給部Aに配備され、枚葉状の第2のシート材(表シート)2が第2のシート材供給部Bに配備される。第2のシート材2に接着剤供給部C1から接着剤を供給し、第2のシート材2に塗工する。第2のシート材搬送部Dでインレット供給部Eへ送る。この第2のシート材搬送部Dは、搬送ローラd1と搬送ベルトd2で構成され、接着剤供給部C1ではプラテンローラc1によって搬送ベルトd2が支持される。
【0040】
インレット供給部Eでは、ICチップ、アンテナを有するICモジュールを含む部品のインレット3が供給され、第2のシート材2の所定位置に載置され、この第2のシート材2をバックローラ部Fへ送る。第1のシート材1に接着剤供給部C2から接着剤を供給して塗工し、バックローラ部Fへ送る。
【0041】
バックローラ部Fは、温度調節可能なラミネートローラfを有し、このラミネートローラfを用いて第1のシート材1と第2のシート材2とを貼り合わせる。このラミネートローラfの対ローラf1,f2の温度差が0℃以上100℃以下である。この実施の形態では、第2のシート材2が受像層を有し、第1のシート材1が筆記層を有し、対ローラf1,f2は、受像層側のローラの温度が筆記層側のローラの温度より低い温度である。
【0042】
このバックローラ部Fの後段にカード基材搬送部Gが配置され、このカード基材搬送部Gは、対向する搬送ベルトg1,g2と、搬送ローラg3,g4で構成される。カード基材搬送部Gの対向する搬送ベルトg1,g2の間に、第1のシート材1と第2のシート材2とを貼り合わせたシート基材を挟んで搬送し、この貼り合わせ品を裁断部Hへ送る。
【0043】
裁断部Hでは、裁断機h1によって貼り合わせ品のシート基材を枚葉シート状に断裁する。その後に、枚葉シート状のシート基材を回収部Kへ送る。
【0044】
回収部Kでは、枚葉シート状のシート基材の間に平面板k1を配置し、保管部Lへ送る。平面板k1としては、例えばSUS板が用いられる。
【0045】
保管部Lでは、所定の温度で、所定時間保管し、フォーマット印刷部Mへ送る。
【0046】
フォーマット印刷部Mでは、第1のシート材1と第2のシート材2のいずれか一方にフォーマット印刷を施し、打ち抜き部Nへ送る。
【0047】
打ち抜き部Nでは、打ち抜き機n1によってカード状に打ち抜く。打ち抜いたICカードは、印刷部Oで裏面フォーマット印刷またはインクジェット印刷のカード印刷機o1を用いて印刷し、装填部Pへ送る。
【0048】
装填部Pでは、マガジンp1に収納し、カバーp2で封止するカートリッジ装填を行なう。
【0049】
この実施の形態では、カード状に打ち抜く前に、裁断部Hで貼り合わせ品のシート基材を枚葉シート状に断裁することで、取扱が容易で、かつ打ち抜き精度が向上する。また、カード状に打ち抜く前に、フォーマット印刷部Mでフォーマット印刷を施すことで、取扱が容易で、かつフォーマット印刷の精度が向上する。
【0050】
また、第1のシート材1と第2のシート材2との間に接着剤を介在させ、この接着剤層内にインレット基材上にICチップを有するインレット3を封入してカード基材を作成し、このカード基材をカード状に打ち抜いてICカードを作成する。カード基材の作成工程はクリーンルーム501で行ない、カード基材の保管工程はクリーンルーム502で行ない、フォーマット印刷、カード基材の打ち抜き工程及び打ち抜いたICカードのカートリッジ装填工程はクリーンルーム503で行ない、ICカードをクラス100,000以下の環境下で作成する。このように、ICカードをクラス100,000以下の環境下で作成することで、ICカードの製造時にゴミ等の塵埃が混入することを防止でき、打ち抜き、印刷時、さらにカード搬送時等にキズや汚れが発生することを抑えることができ、良品カード収率が向上する。
【0051】
このICカードの作成は、カード基材の作成、カード基材の保管、カード基材の打ち抜き、打ち抜いたICカードのカートリッジ装填を含み、これらでICカードをクラス100,000以下の環境下で作成するが、これらの少なくともいずれかをクラス100,000以下の環境下で作成するようにしてもよく、ICカードの製造時にゴミ等の塵埃が混入することを防止できる。特に、打ち抜きや装填等のICカードを取り扱う工程で、付着したゴミが動いてカード面にキズを発生することのないようにするためには、カード基材の保管からカートリッジ装填までの工程がクラス10,000以下であるほうが好ましい。
【0052】
この発明のICカード製造方法、またはICカード製造装置を用いて作製されたICカードを、図2に示す。図2はICカードの貼り合わせ品の画像形成体の断面図である。
【0053】
ICカードの貼り合わせ品の画像形成体であるカード基材は、第1のシート材1と第2のシート材2との間に所定の厚みの電子部品3aを備えている。電子部品3aは、アンテナ3a1、ICチップ3a2等からなり、この電子部品3aのICモジュールはインレット3に備えられている。第1のシート材1と第2のシート材2との間にインレット3を配置し、接着剤層6,7を介在して積層した積層構造である。ICチップ3a2は補強板3bで覆われ、この補強板3bはICチップ3a2より大きな形状であり、ICチップ3a2を保護している。
【0054】
この第1のシート材1または第2のシート材2の、少なくとも片面に、この実施の形態では第2のシート材2の片面に受像層8aを有し、熱転写方式またはインクジェット方式による氏名、顔画像を含む個人識別情報8bを設けている。また、氏名、顔画像を含む個人識別情報8bを設けた上面に透明保護層8cが転写箔の転写によって設けられ、この透明保護層8cが活性光線硬化樹脂からなる。個人識別情報8bを設けた上面に透明保護層8cを設けることで、個人識別情報8bが保護され、耐久性が向上する。
【0055】
また、この実施の形態では、第1のシート材1の片面に、筆記可能な筆記層9aを設けている。また、ICチップ3a2は、顔画像の部分と重なる位置以外の位置に配置し、ICチップ3a2が顔画像部分と重なる位置に存在しないことで、表面の平滑性がよくなり、印字性が向上するICカードを得ることができる。
【0056】
このように、ICカードは、ICモジュールを有し、非接触式カードであり、安全性に優れることから、データの機密性と偽変造防止性を高く要求する用途に使用することができる。
【0057】
このように作製されたICカードは、ICカードにキズや汚れが発生することを抑えることができ、この実施の形態では、カード1枚の内部もしくは外部に混入もしくは付着するゴミの個数が100個以下であり、ICカードにキズや汚れが発生することを抑えることができ、良品カード収率が向上する。
【0058】
また、ICカードの少なくとも片面の受像層に、熱転写方式またはインクジェット方式による氏名、顔画像を含む個人識別情報を設け、少なくとも一部に筆記可能な筆記層を設けることで、免許証類、身分証明書、パスポート、外国人登録証、図書館利用カード、キャッシュカード、クレジットカード、従業者証、社員証、会員証、医療カード及び学生証等に好ましく用いることができる。
【0059】
次に、この発明の構成を詳細に説明する。
【0060】
[打ち抜き方式]
この発明では、図3及び図4に示す打ち抜き機が用いられる。この実施の形態では、打ち抜き機を打抜金型装置で構成し、図3は打ち抜き刃の平面図であり、図4は打抜金型装置の主要部の正面端面図である。
【0061】
この打抜金型装置は、上刃110及び下刃120を有する打抜金型を備え、上刃110は、外縁の内側に逃げ141が設けられた打抜用ポンチ111を含み、下刃120は、打抜用ダイス121を有する。打抜用ポンチ111を、打抜用ダイス121の中央に設けられたダイス孔122に、下降させることにより、ダイス孔122と同じサイズのICカードを打ち抜く。このために、打抜用ポンチ111のサイズは、ダイス孔122のサイズより若干小さくなっている。上部断裁刃の角度が直角に近いものが一般的にパンチダイと呼ばれる。
【0062】
この発明においては、生産性、メンテナンス性を考慮して、打ち抜き刃は、打ち抜くパンチ側の刃と、受けるダイ側の刃との上下が対になった金型を用い、刃の角度が90°前後でシートを断裁する方式を用いた。この方式(以後、パンチダイ方式と記す)の断裁刃の角度は80°以上100°以下であることが好ましく、より好ましくは85°以上95°以下である。
【0063】
パンチダイ方式は刃の構造が簡易であるため、多量のシートを打ち抜く生産時にはパンチダイ方式が適している。破断伸度の高いシートに対しては打ち抜くことが困難であるため、破断伸度が500%以下の接着剤を用いることが好ましい。
【0064】
この発明のように、複数のフォーマット印刷された基材を複数のパンチで打ち抜く場合、同時に打ち抜きを行うと、シートに同時に圧縮応力と引っ張り応力が多方向から加わるため、カード化する際に、断裁面に基材の「切れ残り」が生じ、「バリ」の発生となることが多い。その対策として、この発明では応力を分散する手段として、複数のパンチが同時にカード基材を打ち抜かないように、同時に複数のパンチが作動しても、図5の実施例のようにパンチの高さに差をつけることで、同時打ち抜きを回避する。
【0065】
図5は打ち抜き刃の高さを示す例であり、図5(A)は打ち抜き刃の高さが同一である比較例であり、図5(B)〜(F)は打ち抜き刃の高さが異なる実施例である。打ち抜き刃のパンチの高さの差は大きすぎると打ち抜き位置ズレが発生するため1000μm以下が好ましく、500μm以下であることがより好ましい。複数のパンチの切れ方に差をつける手段として、複数のモーターを用いて複数のパンチを用い、それぞれの打ち抜き速度を変えて、同時に打ち抜くことを回避する手段も同様に好ましい。
【0066】
貼り合わされたシートを打ち抜く速度は速すぎると基材が割れてバリの発生が多くなり、遅すぎても断裁までにカード基材が伸びてしまうため、バリが発生する。好ましい打ち抜き速度は5mm/s以上1000mm/s以下であり、さらに好ましくは50mm/s以上500mm/s以下である。
【0067】
[ストリッパ]
上下が対になった金型を用いて断裁を行う場合、予め打ち抜かれるカード基材を抑える部材(以後ストリッパと記す)で充分に基材を抑える方がバリの発生を少なくすることができる。しかし、同時に複数の部分を打ち抜く場合、打ち抜かれる基材が平坦であれば良いが、ICカードのように、接着剤等を用いて複数の基材が貼り合わされ、かつ内部に電子部品が混入されると、完全に平坦に貼り合せ基材を作製することは困難である。完全に平坦でないカード基材をほぼ同時に打ち抜くとなると、従来のように一体型のストリッパを用いると、強い力で押させても、平坦でない部分があると、凹んだ部分を押さえることができずに断裁され、バリが発生してしまう。そのため、複数の部分を同時に打ち抜く時は、それぞれの打ち抜かれる部分が個別に押さえられることが好ましい。さらに、打ち抜き位置及び押さえ位置を正確にするために、図6に示すように、予めフォーマット印刷されたカード基材を用い、それらを基準に、図7に示すように、個別に分割されたストリッパでカード基材を押さえ、打ち抜きが実施されることがより好ましい形態である。
【0068】
[打ち抜き刃の形状]
カード形態の打ち抜きにおいては、ICカードの角部分は丸い形態をしているため、この部分にバリが発生しやすい傾向がある。バリが発生しやすい原因としては、この部分が切れにくいためであるため、先に角部分を断裁してしまうのが良い。そのため、図8に示すように、カード型のパンチの角部分を他の残りの長辺部分、短辺部分より高くし、角部分を残りの部分より先に断裁してしまうような形状にすることが好ましい。角部分の突出量は0.1mm異常が好ましく、より好ましくは0.5mm以上10mm以下、さらに好ましくは1.0mm以上5mm以下である。
【0069】
他の手段としては、図9に示すように、パンチの刃の角度は、角部分を鋭角化するのが良く、好ましくは角部分の角度が30°以上90°以下、さらに好ましくは40°以上70°以下である。これ以上角度が小さくなると、基材を断裁し始める時に基材に別方向の亀裂を生じさせるため断裁性が劣化し、これ以上大きくなると刃の入りが悪くなり効果が見られない。
【0070】
[シート厚み]
この発明において、カード化される時の断裁性は、シート厚みの標準偏差によって規定されるが、断裁前のシートの厚み範囲は、カード厚みの平均値から±10%以内であることが好ましく、より好ましくは±6%以内である。通常市場で流通しているICカードは760μmから800μm程度のものが多く、800μmの場合では±80μm以内、好ましくは±48μm以下となる。
【0071】
その他、シート厚みレンジが広くなると、プリンタなどで印字や画像形成した場合に、プリンタヘッドでカード表面を押せなくなるため、濃度ムラや印字カスレが生じ好ましくない。
【0072】
[カード面内の傾斜]
作製されるICカードには内部にICチップやアンテナまたはチップを保護する部材が挟まれているため、凹凸を生じやすい。
【0073】
この発明におけるカード面内の傾斜とは、カード面内部の中立面に対して、ICカードの隆起した部分の頂上から、その隆起部分の裾までの間のあらゆる点において接線をひいた時、その接線とカード面内部の中立面との傾斜角度(傾き)をカード面内傾斜と定義する。カード面内傾斜が0.004より大きくなると、プリンタで印刷する際にカスレを生じる。
【0074】
[インレット基材]
使用されるインレット基材としてはPET(ポリエチレンテレフタレート)、PET−G、PEN(ポリエチレンナフタレート)、塩化ビニル、PC(ポリカーボネート)、TAC(トリアセチルセルロース)、アクリル、紙、ユポなどがいずれも用いられるが、この発明では機械的強度、寸法安定性、耐溶剤性の点からPET、PET−G、PENが好ましく、さらに好ましくは透明性、加工適性、コストの点からPET又はPET−Gである。
【0075】
[カードサイズより小さいインレットサイズ]
インレットサイズがカードより大きいとカード断面にインレットが現れるため、一般的にカードとして使用される場合を想定すると、その隙間から液体等がしみこみ、密着性および耐久性を劣化させる。インレットシートのサイズはカード断面から0.1mm以上内側にインレットシートの外周部がくることが好ましく、1.0mm以上内側であることがより好ましい。
【0076】
[接着剤の破断伸度]
接着剤の破断伸度とは接着剤を一定の速さで引っ張り続けると、ある時点で接着剤がちぎれて破断する。その時までに伸びた接着剤の伸び率のことである。一般に破断伸度が小さいとはさみ状の刃物で断裁を行うときに切れやすく、破断伸度が大きいと接着剤が切れるまでの伸びが大きいため、はさみ状の刃物で断裁するときには切れにくく不利である。
【0077】
一方、カード基材の一部として接着剤を用いる時は、カードが曲げられたり折られたりした時には、破断伸度の値が大きいほうが、柔軟性があり好ましい。
【0078】
パンチダイ方式でカード断裁をする場合、破断伸度が小さく接着剤硬化完了時の破断伸度が大きいのが理想的である。断裁加工時の破断伸度の好ましい範囲は5%以上500%以下であり、さらに好ましくは50%以上400%以下である。完全硬化完了時の破断伸度は50%以上500%以下が好ましく、より好ましくは100%以上400%以下である。
【0079】
[接着剤の弾性率]
接着剤に外力を加えて変形させるとき、外力によって生ずる応力と、変形によって生ずるひずみとは、変形があまり大きくない範囲では比例する(フックの法則)。接着剤の弾性率は、このときの比例定数を弾性率として求める。すなわち、弾性率CはC=(応力)/(ひずみ)で表される。弾性率が高いとハサミなどの刃物で断裁加工する場合には断裁しやすくなるが、反面、接着剤が固くなってしまうためカード耐久性は低下する。一方、弾性率が低いと断裁加工時に断面から接着剤がはみだし、カード化した場合に断面形状が劣化し外観は悪くなる。好ましい接着剤の弾性率の範囲は30kgf/mm2以上100 kgf/mm2以下であり、さらに好ましくは40kgf/mm2以上80kgf/mm2以下である。
【0080】
[破断伸度、2%弾性率の測定方法]
この発明における樹脂破断伸度(%)、2%弾性率は、23℃55%RHの条件下で、接着剤を塗工後300時間以上放置した後、株式会社オリエンテックテンシロン万能試験機RTA−100を用いデータ処理は、テンシロン多機能型データ処理TYPE MP−100/200S Ver.44を用い測定を行った。樹脂の固定手段はエアーチャック方式で固定した。クロスヘッドスピードは、5〜100mm/min、RANGEは5〜100%、荷重は0.1〜500kgを選択することができるが、本発明の評価では、クロスヘッドスピードは、30mm/min、RANGEは20%、荷重は100kgの条件で評価を行った。
【0081】
接着剤の破断伸度、2%弾性率を測定するに当たり、特に単独膜を作成するのは難しいため、PP離型シートに500μmの樹脂層を形成し所望のサンプルを作成し測定を行った。測定は、1cm巾のサンプルをエアーチャックに固定し引っ張り試験を行った。
【0082】
破断伸度は、引っ張り時の活性光線硬化樹脂の破断又は亀裂が入ったときの破断点伸びから破断点伸度を求めた。
【0083】
[バックロール温調]
この発明における、第1のシート材と第2のシート材を貼合させるラミネート第1ロールは、温度調整機構がついており、このロールの温度が40℃以上90℃以下であることが好ましい。この温度調整機構としてはロールを電気的に加熱したり、ロール内部に熱風を吹き込んだり、温調した液体を循環させる方法などがあるが、温水を循環させる方法が簡便で好ましい。より好ましい温度範囲としては60℃以上90℃以下である。
【0084】
加えて、塗工された接着剤の温度低下を防ぐために、塗工された接着剤が相手側シートと貼りあわされる前に再加熱のための加熱装置をつけるほうが好ましい。加熱装置の温度は50℃以上120℃以下が好ましく、更に好ましくは60℃以上120℃以下である。
【0085】
[ラミネート時の環境]
通常、ラミネートをする際に特に環境湿度や温度を調整せずとも接着剤は塗工可能で、接着剤の硬化も進行するが、湿気硬化型接着剤を用いる際は作成時から温度と湿度を与えるような環境で作業が行われるほうが接着剤硬化速度が速くなり、接着剤の完全硬化が速くなる。作成時の環境としては、温度は20℃以上50℃以下が好ましく、湿度は70%以上100%以下が好ましい。
【0086】
[ラミネート後のシート保管環境]
接着剤が塗工され、貼り合わされたシートは接着剤が硬化するまで保管される。シートの保管環境は温度が20℃以上50℃以下で、かつ湿度が40%以上100%以下であることが好ましい。温湿度がこれらの値以下だと接着剤の硬化が進まず、温度がこの範囲以上であると接着剤に発砲が生じてシートが膨れる原因となる。
【0087】
シートは約3日後でシート間の剥離強度が1500g/2.5cm以上となり、持ち運んだり、シートを断裁加工しても、シートがゆがんだり、たわんだりしなくなる。その後1週間から4週間かけて接着剤が完全に硬化する。
【0088】
[シートにかかる荷重]
ラミネートした直後のシートは接着剤の硬化が完了していないため、貼り合わされた2枚のシートの密着性を上げるために、保管する際にはある程度の荷重をかけることが必要である。また、かける荷重が大きすぎると、シートに歪みが生じたり、貼り合わされたシートの内部にあるICチップなどが破損する可能性がある。シートに加えられる荷重は2kg/m2以上1500kg/m2以下であることが好ましい。
【0089】
[完全硬化の判断]
実施例の湿気硬化型接着剤を用いたシートの硬化後とは、湿気硬化型接着剤に含まれるイソシアネート基が95%以上反応した時のことで、硬化の確認には作成したシートをカード状に断裁し、90℃以上の熱処理を行った際に炭酸ガスの発生による膨れが生じるか否かで反応が終了しているかどうかを判断することができる。反応の途中経過を知るには、赤外吸収スペクトルを測定し、スペクトル強度よりイソシアネート基(NCO基)の量を定量することで調べることができる。
【0090】
[接着剤の塗工粘度]
ラミネートシート作成時の接着剤塗工粘度が5000mPsよりも小さい場合はカードを貼り合せる際に気泡が多く発生し、平面凹凸性が悪化し、40000mPsよりも大きい場合では接着剤の塗布性が劣化するため、平面凹凸性が悪化する。平面凹凸性の他に、硬化後のカード表面強度が低下するといった問題が発生するため、好ましくは5000mPs以上30000mPs以下、より好ましくは7000mPs以上20000mPs以下である。塗工温度は140℃以下が好ましく、より好ましくは130℃以下である。
【0091】
[ICカード基材作成用接着剤]
この発明の貼り合わせ材料としては、ホットメルト接着剤、熱可塑性樹脂等を用いることが好ましい。例えば、ホットメルト接着剤は、一般に使用されているものを用いることができる。ホットメルト接着剤の主成分としては、例えばエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)系、ポリエステル系、ポリアミド系、熱可塑性エラストマー系、ポリオレフィン系などが挙げられる。但し本発明においては、低温接着剤の中でも具体的には湿気硬化型接着剤が好ましい。
【0092】
反応型ホットメルト接着剤として湿気硬化型の材料で特開2000−036026、特開2000−211278、特開2000−219855で開示されている。これら接着剤のいずれも使用してもよく、低温接着ができれば特に制限はない材料を用いることができる。
【0093】
接着剤の膜厚は、電子部品と含めた厚さで100〜600μmが好ましく、より好ましくは150〜500μm、更に好ましくは150μ〜450μmである。
【0094】
[電子部品]
電子部品とは、情報記録部材のことを示し、具体的にはICカードの利用者の情報を電気的に記憶するICチップ及びICチップに接続されたコイル状のアンテナ体である。ICチップはメモリのみやそれに加えてマイクロコンピューターなどである。場合により電子部品にコンデンサーを含んでもよい。この発明はこれに限定はされず情報記録部材に必要な電子部品であれば特に限定はない。
【0095】
ICモジュールはアンテナコイルを有するものであるが、アンテナパターンを有する場合、導電性ペースト印刷加工、或いは銅箔エッチング加工、巻線溶着加工等のいずれかの方法を用いてもよい。プリント基板としては、ポリエステル等の熱可塑性のフィルムが用いられ、更に耐熱性が要求される場合はポリイミドが有利である。ICチップとアンテナパターンとの接合は銀ペースト、銅ペースト、カーボンペースト等の導電性接着剤(日立化成工業のEN−4000シリーズ、東芝ケミカルのXAPシリーズ等)や、異方性導電フィルム(日立化成工業製アニソルム等)を用いる方法、或いは半田接合を行う方法が知られているがいずれの方法を用いてもよい。
【0096】
予めICチップを含む部品を所定の位置に載置してから樹脂を充填するために、樹脂の流動による剪断力で接合部が外れたり、樹脂の流動や冷却に起因して表面の平滑性を損なったりと安定性に欠けることを解消するため、予め基板シートに樹脂層を形成しておいて該樹脂層内に部品を封入するために該電子部品を多孔質の樹脂フィルム、多孔質の発泡性樹脂フィルム、可撓性の樹脂シート、多孔性の樹脂シート又は不織布シート状にして使用されることが好ましい。例えば特願平11−105476号等の記載されている方法等を用いることができる。
【0097】
また、ICチップは点圧強度が弱いためにICチップ近傍に補強板を有することも好ましい。電子部品の全厚さは10〜300μmが好ましく、より好ましくは30〜300μm、更に好ましくは30〜250μmが好ましい。
【0098】
[ICカード基材用シート部材]
シート部材の基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレン、エチレン−4フッ化エチレン共重合体、等のポリフッ化エチレン系樹脂、ナイロン6、ナイロン6.6等のポリアミド、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体、生分解性脂肪族ポリエステル、生分解性ポリカーボネート、生分解性ポリ乳酸 、生分解性ポリビニルアルコール、生分解性セルロースアセテート、生分解性ポリカプロラクトン等の生分解性樹脂、三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂、ポリメタアクリル酸メチル、ポリメタアクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、等のアクリル系樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド等の合成樹脂シート、又は上質紙、薄葉紙、グラシン紙、硫酸紙等の紙、金属箔等の単層体或いはこれら2層以上の積層体が挙げられる。この発明の支持体の厚みは、30〜300μm、望ましくは50〜200μmである。
【0099】
この発明においては、支持体の熱による収縮、反りなどによるカード基材搬送性の観点から低温接着剤の他にシート部材として150℃/30minにおける熱収縮率が縦(MD)で1.2%以下、横(TD)で0.5%以下が好ましい。また、支持体上に後加工上密着性向上のため易接処理を行っていても良く、チップ保護のために帯電防止処理を行っていても良い。
【0100】
具体的には、帝人デュポンフィルム株式会社製のU2シリーズ、U4シリーズ、ULシリーズ、東洋紡績株式会社製クリスパーGシリーズ、東レ株式会社製のE00シリーズ、E20シリーズ、E22シリーズ、X20シリーズ、E40シリーズ、E60シリーズQEシリーズを好適に用いることができる。
【0101】
第2のシート材は、当該カード利用者の顔画像を形成するため受像層のほかにクッション層を設けてもよい。個人認証カード基体表面には画像要素が設けられ、顔画像等の認証識別画像、属性情報画像、フォーマット印刷から選ばれる少なくとも一つが設けられたものであってもよく、また全く印刷部分のないホワイトカードであってもよい。
【0102】
[受像層]
第2のシート材に有する受像層は、バインダーと各種の添加剤で形成することができる。
【0103】
受像層は、昇華型熱転写方式により階調情報含有画像を形成すると共に、昇華型熱転写方式または溶融型熱転写方式により文字情報含有画像を形成するので、昇華性色素の染着性、または昇華性色素の染着性とともに熱溶融性インクの接着性も良好でなければならない。かかる特別な性質を受像層に付与するには、後述するように、バインダー、および各種の添加剤の種類およびそれらの配合量を適宜に調整することが必要である。
【0104】
フォーマット印刷からなる情報坦持体とは、識別情報及び書籍情報を記録した複数の選ばれる少なくとも一つが設けられた情報坦持体を表し、具体的には、罫線、社名、カード名称、注意事項、発行元電話番号等を表す。
【0105】
フォーマット印刷からなる情報坦持体の形成には、日本印刷技術協会出版の「平版印刷技術」、「新・印刷技術概論」、「オフセット印刷技術」、「製版・印刷はやわかり図鑑」等に記載されている一般的なインキを用いて形成することができ、光硬化型インキ、油溶性インキ、溶剤型インキなどにカーボンなどのインキにより形成される。
【0106】
また、場合により目視による偽造防止の為に透かし印刷、ホログラム、細紋等が採用されてもよく、偽造変造防止層としては印刷物、ホログラム、バーコード、マット調柄、細紋、地紋、凹凸パターンなどで適時選択さ、可視光吸収色材、紫外線吸収材、赤外線吸収材、蛍光増白材、金属蒸着層、ガラス蒸着層、ビーズ層、光学変化素子層、パールインキ層、隣片顔料層、帯電防止層などから表シートに印刷等で設けることも可能である。
【0107】
[筆記層]
筆記層は、IDカードの裏面に筆記をすることができるようにした層である。このような筆記層としては、例えば炭酸カルシウム、タルク、ケイソウ土、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機微細粉末を熱可塑性樹脂(ポリエチレン等のポリオレフィン類や、各種共重合体等)のフィルムに含有せしめて形成することができる。特開平1−205155号公報に記載の「書き込み層」をもって形成することができる。筆記層は支持体における、複数の層が積層されていない第1のシート材に形成される。筆記層にワックス等の滑り性を良好にする素材を添加すると、擦られた場合の破損や摩耗を防ぐために有効である。添加剤としてはポリエチレンワックスが好ましく用いられる。
【0108】
[ICカード作製方法]
ここでホットメルト接着剤を使用したICカードの作製方法の一例を挙げる。ICカードの作製に当たっては、先ず表裏のシートにアプリケーターでホットメルト接着剤を所定の厚さに塗工する。塗工方法としてはローラー方式、Tダイ方式、ダイス方式などの通常の方法が使用される。この発明でストライプ状に塗工する場合、Tダイスリットを間欠に開口部を持たせる等の方法があるが、これに限られるものではない。
【0109】
また、第1のシート材と第2のシート材は貼り合わせる前後いずれかにフォーマット印刷又は、情報記録を行ってもよく、オフセット印刷、グラビア印刷、シルク印刷、スクリーン印刷、凹版印刷、凸版印刷、インクジェット方式、昇華転写方式、電子写真方式、熱溶融方式等のいずれの方式によって形成することができる。
【0110】
この発明のICカードの製造方法は、特開2000−036026、特開2000−219855、特開2000−211278、特開平10−316959、特開平11−5964等のように貼り合わせ、塗設方法が開示されている。いずれの貼り合わせ方式、塗設方式方法等を用いることができ、この発明では特に制限はない。
【0111】
また、特定の位置に接着剤部材を配置させる方法としては、スクリーン印刷法、グラビア印刷法などにより、所定位置に接着剤を塗布することにより製造することができる。また、ホットメルト接着剤を使用する場合には、ハンドガンタイプのホットメルトアプリケーターにより、ノズルから接着剤をビード状に塗布することでそれぞれの配置へ塗布することも可能である。
【0112】
或いは、フィルム状に加工された該接着剤を、所定の配置に設置するべく断裁し、それぞれの配置へ設置した後に、加熱、加圧処理を施して貼り合わせることもできる。
【0113】
貼り合わせ時には、基材の表面平滑性、第1のシート材と第2のシート材との間に所定の電子部品の密着性をあげるために加熱及び加圧を行うことが好ましく、上下プレス方式、ラミネート方式等で製造することが好ましい。加熱は、10〜180℃が好ましく、より好ましくは30〜150である。加圧は、1.0〜300kgf/cm2が好ましく、より好ましくは1.0〜200kgf/cm2である。これより圧が高いとICチップが破損する。加熱及び加圧時間は好ましくは、0.001〜90secより好ましくは0.001〜60secである。これより時間が長いと製造効率が低下する。
【0114】
第1のシート材と第2のシート材が接着剤を介して貼り合わされ、その接着剤層中にICチップおよびアンテナを有するICモジュールを有するICカード用のシートは、所定の条件下で保管された後に、ICカード用のシートを打ち抜き金型に供給し、前記打ち抜き金型によって、ICカード用のシートからICカードを打ち抜くことによって、ICカードは製造される。この場合、打ち抜き加工の前に、認証識別画像や書誌事項を記録してもよい。硬化促進のために貼り合わせたシートのカードサイズの周囲に反応に必要な水分供給のための穴を開ける方法も有効な手段の一つである。
【0115】
[ICカード上への転写箔付与方法]
転写箔の被転写材への転写は通常サーマルヘッド、ヒートローラー、ホットスタンプマシンなどの加熱しながら加圧を行える手段を用い転写を行う。
【0116】
[実施例1]
以下、実施例を挙げてこの発明を詳細に説明するが、この発明の態様はこれに限定されない。尚、以下において「部」は「重量部」を示す。
【0117】
[接着剤の選定]
用いる接着剤は、積水化学工業(株)製エスダイン2013MKを使用した。
【0118】
<第1のシート材(裏シート)の作成>
表面シートおよび裏面シートとして帝人デュポンフィルム株式会社製U2L98W低熱収グレード188μmを使用した。
【0119】
(筆記層の作成)
前記支持体裏シート188μmに下記組成の第1筆記層形成用塗工液、第2筆記層形成用塗工液及び第3筆記層形成用塗工液をこの順に塗布乾燥して、それぞれの厚みが5μm、15μm、0.2μmになる様に積層することにより筆記層を形成した。
〈第1筆記層形成用塗工液〉
ポリエステル樹脂〔東洋紡績(株)製:バイロン200〕 8部
イソシアネート 1部
〔日本ポリウレタン工業(株)製:コロネートHX〕
カーボンブラック 微量
二酸化チタン粒子〔石原産業(株)製:CR80〕 1部
メチルエチルケトン 80部
酢酸ブチル 10部
〈第2筆記層形成用塗工液〉
ポリエステル樹脂 4部
〔東洋紡績(株)製:バイロナールMD1200〕
シリカ 5部
二酸化チタン粒子〔石原産業(株)製:CR80〕 1部
水 90部
〈第3筆記層形成用塗工液〉
ポリアミド樹脂〔三和化学工業(株)製:サンマイド55〕 5部
メタノール 95部
得られた筆記層の中心線平均粗さは1.34μmであった。
【0120】
(筆記層へのフォーマット印刷層の形成)
オフセット印刷法により、フォーマット印刷(罫線、発行者名、発行者電話番号)を行った。印刷インキはUV墨インキを用いた。印刷時のUV照射条件は、高圧水銀灯で200mj相当であった。
【0121】
<第2のシート材(表シート)の作成>
表シートとして帝人デュポンフィルム株式会社製U2L98W低熱収グレードを使用した。PETシートの厚みは表裏とも188μmである。
【0122】
(表シートの作成)
表シート188μmに下記組成物からなるクッション層、受像層を順次塗工乾燥してなる第2のシート材(表シート)を形成した。
(光硬化型クッション層) 膜厚10μm
ウレタンアクリレートオリゴマー(新中村化学社製:NKオリゴUA512)
55部
ポリエステルアクリレート(東亞合成社製:アロニックスM6200)
15部
ウレタンアクリレートオリゴマー(新中村化学社製:NKオリゴUA4000)
25部
ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ:イルガキュア184) 5部
メチルエチルケトン 100部
塗布後の活性光線硬化性化合物は、90℃/30secで乾燥を行い、次いで水銀灯(300mj/cm2)で光硬化を行った。
【0123】
(受像層)
上記クッション層上に下記組成の第1受像層形成用塗工液、第2受像層形成用塗工液及び第3受像層形成用塗工液をこの順に塗布乾燥して、それぞれの厚みが0.2μm、2.5μm、0.5μmになる様に積層することにより受像層を形成した。
〈第1受像層形成用塗工液〉
ポリビニルブチラール樹脂 9部
〔積水化学工業(株)製:エスレックBL−1〕
イソシアネート 1部
〔日本ポリウレタン工業(株)製:コロネートHX〕
メチルエチルケトン 80部
酢酸ブチル 10部
〈第2受像層形成用塗工液〉
ポリビニルブチラール樹脂 6部
〔積水化学工業(株)製:エスレックBX−1〕
金属イオン含有化合物(化合物MS) 4部
メチルエチルケトン 80部
酢酸ブチル 10部
〈第3受像層形成用塗工液〉
ポリエチレンワックス 2部
〔東邦化学工業(株)製:ハイテックE1000〕
ウレタン変性エチレンアクリル酸共重合体 8部
〔東邦化学工業(株)製:ハイテックS6254〕
メチルセルロース〔信越化学工業(株)製:SM15〕 0.1部
水 90部
【0124】
【化1】
【0125】
(フォーマット印刷層からなる情報坦持体形成)
受像層上にオフセット印刷法により、フォーマット印刷(従業員証、氏名)を行った。印刷インキはUV墨インキを用いた。印刷時のUV照射条件は、高圧水銀灯で200mj相当であった。
【0126】
(透明樹脂層形成)
下記組成物からなる印刷インキを用いロールミルにより混合し、印刷インキを作成した。オフセット印刷法により受像層上に印刷を行った。印刷時のUV照射条件は、高圧水銀灯で200mj相当であった。
【0127】
(透明樹脂層組成物1)
ウレタンアクリレートオリゴマー 50部
脂肪族ポリエステルアクリレートオリゴマー 35部
ダイロキュア1173(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製) 5部
トリメチロールプロパンアクリレート 10部
(IC隠蔽層の作成)
樹脂凸印刷法により、受像層面とは反対側の支持体最表面に透かし印刷を行った。印刷紋様は図10または図11の何れかで行った。印刷インキはUV墨インキにより印刷を行った。印刷時のUV照射条件は、高圧水銀灯で200mj相当であった。膜厚は1.0μmであった。
【0128】
(使用インレット)
帝人デュポンフィルム(株)製Sシリーズテトロンフィルムの上に厚さ10μmのアルミニウム箔を蒸着させた後、アンテナ線の形態のようにエッチング処理をした。こうして得られたベースシートの上にICチップ、補強板などを設置し、ICカード用インレットとした。
【0129】
<ICカード用画像記録体の作成>
上記作成された、図12の第1のシート材(裏シート)と、図13の第2のシート材(表シート)を用い、図1に記載のIC搭載カード基材及び受像層付きカード基材の作成装置を用いてカード基材を作成した。
【0130】
実施形態としてのカード基材作成について説明をする。第1のシート材(裏シート)は第1のシート供給部、第2のシート材(表シート)は第2のシート供給部に設置する。ホットメルト剤供給部に接着剤を投入した。
【0131】
このように、長尺シート状の第1のシート材(裏シート)と、枚葉シートの第2のシート材(表シート)とが配備され、第2のシート材に特定温度で窒素下で湿気硬化型の接着剤供給部からTダイ塗布方式により接着剤を供給し、厚さ270μmの図14乃至図16から構成される電子部品を配置した。接着剤の温度低下を防ぐために加熱部材を加熱し加温した。
【0132】
図14はICカード用材料のICモジュールの模式図であり、銅線を巻いたアンテナコイルのアンテナ3a1にICチップ3a2が接合され、電子部品3aのICモジュールである。
【0133】
図15のインレットの構造は、不織布タイプであり、プリントパターンが形成された不織布3a4とICチップ3a2がボンディング等で接合され、ICチップ3a2には補強板3bがICチップ3a2を50%以上覆うようにして介在している模式図である。日立マクセル株式会社製ICカードシート「FTシリーズ」も使用することも可能である。
【0134】
図16はプリント基板タイプであり、プリントパターンが形成されたプリント基板3a5とICチップ3a2がボンディング等で接合され、ICチップ3a2には補強板3bがICチップ3a2を50%以上覆うようにして介在している模式図である。
【0135】
使用インレットは、各種の帝人デュポンフィルム(株)製Sシリーズテトロンフィルムを加熱処理し熱収縮率を調整した。その後支持体表面に各種樹脂を1μm厚でシート両面をコーティングした。さらにこの上に厚さ10μmのアルミニウム箔を蒸着させた後、アンテナ線の形態のようにエッチング処理をした。こうして得られたベースシートの支持体上に、ICチップ、補強板などを設置し、ICカード用インレットとした。
【0136】
第1のシート材に特定温度の窒素下で湿気硬化型の接着剤供給部からTダイ塗布方式により接着剤を供給し、この第1のシート材と第2のシート材に湿気硬化型接着剤とICモジュールのIC/固定部材とからなる複合体を介在し、加熱加圧ロール、(圧力3kg/cm2、ロール表面温度70℃)膜厚制御ロールにより貼り合され、740μmに制御されたカード基材原版が作成された。このカード基材原版を図17及び図18に示す。図17は図15のインレットを用いた実施例であり、図18は図16のインレットを用いた実施例である。
【0137】
第1、第2のシート材に塗工される接着剤の厚みはそれぞれ、30〜40μm、330〜350μmを目標とした。この発明においては、それぞれの塗工厚み分布を制御することで、カード厚み標準偏差、厚みばらつき範囲、面内傾斜の値を調整し、打ち抜き後に実施例に示される値のICカードを得た。
【0138】
断裁工程は接着剤の初期硬化、支持体との密着性が十分に行われたてから断裁することが好ましい。断裁性を考慮すると接着剤は必ずしも完全に硬化させる必要はない。作成された原版は後に示される打ち抜き方式により55mm×85mmサイズのICカード用画像記録体を得ることができた。仕上がったカード基材表裏面にフォーマット印刷部がない場合は、カード印刷機により樹脂凸版印刷法で、ロゴとOPニスを順次印刷した。
【0139】
[ICカードの保管]
上記で得られたICカードを図1に示した形状のカードマガジンに300枚を上下左右同じ方向で重ねて装填した.カードマガジンは、図19に示すカードプリンタの装填部に装着可能な形態とした。カードマガジンをシールした後、これらのマガジンを23℃55%環境下で10日間保管した。
【0140】
[ICカード作成方法]
[ICカードへ認証識別画像、属性情報画像の記載方法]
(昇華型感熱転写記録用のインクシートの作成)
裏面に融着防止加工した厚さ6μmのポリエチレンテレフタレートシートに下記組成のイエローインク層形成用塗工液、マゼンタインク層形成用塗工液、シアンインク層形成用塗工液を各々の厚みが1μmになる様に設け、イエロー、マゼンタ、シアンの3色のインクシートを得た。
〈イエローインク層形成用塗工液〉
イエロー染料
(三井東圧染料(株)製MSYellow) 3部
ポリビニルアセタール 5.5部
〔電気化学工業(株)製:デンカブチラールKY−24〕
ポリメチルメタアクリレート変性ポリスチレン 1部
〔東亜合成化学工業(株)製:レデダGP−200〕
ウレタン変性シリコンオイル 0.5部
〔大日精化工業(株)製:ダイアロマーSP−2105〕
メチルエチルケトン 70部
トルエン 20部
〈マゼンタインク層形成用塗工液〉
マゼンタ染料
(三井東圧染料(株)製 MS Magenta) 2部
ポリビニルアセタール 5.5部
〔電気化学工業(株)製:デンカブチラールKY−24〕
ポリメチルメタアクリレート変性ポリスチレン 2部
〔東亜合成化学工業(株)製:レデダGP−200〕
ウレタン変性シリコンオイル 0.5部
〔大日精化工業(株)製:ダイアロマーSP−2105〕
メチルエチルケトン 70部
トルエン 20部
〈シアンインク層形成用塗工液〉
シアン染料
(日本化薬(株)製 カヤセットブルー136) 3部
ポリビニルアセタール 5.6部
〔電気化学工業(株)製:デンカブチラールKY−24〕
ポリメチルメタアクリレート変性ポリスチレン 1部
〔東亜合成化学工業(株)製:レデダGP−200〕
ウレタン変性シリコンオイル 0.5部
〔大日精化工業(株)製:ダイアロマーSP−2105〕
メチルエチルケトン 20部
(溶融型感熱転写記録用のインクシートの作成)
裏面に融着防止加工した厚さ6μmのポリエチレンテレフタレートシートに下記組成のインク層形成用塗工液を厚みが2μmになる様に塗布乾燥してインクシートを得た。
〈インク層形成用塗工液〉
カルナバワックス 1部
エチレン酢酸ビニル共重合体 1部
〔三井デュポンケミカル社製:EV40Y〕
カーボンブラック 3部
フェノール樹脂〔荒川化学工業(株)製:タマノル521〕 5部
メチルエチルケトン 90部
(顔画像の形成)
受像層又は透明樹脂部、情報印刷部と昇華型感熱転写記録用のインクシートのインク側を重ね合わせインクシート側からサーマルヘッドを用いて出力0.23W/ドット、パルス幅0.3〜4.5m秒、ドット密度16ドット/mmの条件で加熱することにより画像に階調性のある人物画像を受像層に形成した。この画像においては上記色素と受像層のニッケルが錯体を形成している。
【0141】
(文字情報の形成)
透明樹脂部と溶融型感熱転写記録用のインクシートのインク側を重ね合わせインクシート側からサーマルヘッドを用いて出力0.5W/ドット、パルス幅1.0m秒、ドット密度16ドット/mmの条件で加熱することにより文字情報をICカード用画像記録体上に形成した。
【0142】
上記により顔画像と属性情報を設けた。
[ICカード表面保護層添加樹脂の合成]
[ICカード表面保護用箔の作成]
(転写箔1の作成)
0.1μmのフッ素樹脂層の離型層を設けた厚み25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムー2の離型層上に下記組成物を積層し転写箔1の作成を行った。
(活性光線硬化性化合物)
新中村化学社製 A-9300/新中村化学社製EA-1020=
35/11.75部
反応開始剤
イルガキュア184日本チバガイギー社製 5部
添加剤不飽和基含有樹脂 48部
その他の添加剤
大日本インキ界面活性剤F-179 0.25部
〈中間層形成塗工液〉 膜厚1.0μm
ポリビニルブチラール樹脂
〔積水化学(株)製:エスレックBX-1〕 3.5部
タフテックスM-1913(旭化成) 5部
硬化剤 ポリイソシアネート[コロネートHX 日本ポリウレタン製] 1.5部
メチルエチルケトン 90部
塗布後硬化剤の硬化は、50℃、24時間で行った。
〈接着層形成塗工液〉 膜厚0.5μm
ウレタン変性エチレンエチルアクリレート共重合体
〔東邦化学工業(株)製:ハイテックS6254B〕 8部
ポリアクリル酸エステル共重合体〔日本純薬(株)製:ジュリマーAT510〕2部
水 45部
エタノール 45部
(転写箔2の作成)
0.1μmのフッ素樹脂層の離型層を設けた厚み25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムー2の離型層上に下記組成物を積層し活性光線硬化型転写箔2の作成を行った。
(活性光線硬化性化合物)
新中村化学社製 A-9300/新中村化学社製
EA-1020=35/11.75部
反応開始剤
イルガキュア184日本チバガイギー社製 5部
添加剤不飽和基含有樹脂 48部
その他の添加剤
大日本インキ界面活性剤F-179 0.25部
〈中間層形成塗工液〉 膜厚1.0μm
ポリビニルブチラール樹脂〔積水化学(株)製:エスレックBX−1〕
3.5部
タフテックスM-1913(旭化成) 5部
硬化剤
ポリイソシアネート[コロネートHX 日本ポリウレタン製] 1.5部
メチルエチルケトン 90部
塗布後硬化剤の硬化は、50℃、24時間で行った。
〈バリヤー層形成塗工液〉 膜厚1.0μm
ポリビニルブチラール樹脂〔積水化学(株)製:エスレックBX-1〕
1部
タフテックスM-1913(旭化成) 8部
硬化剤 ポリイソシアネート[コロネートHX 日本ポリウレタン製] 1部
メチルエチルケトン 90部
〈接着層形成塗工液〉 膜厚0.5μm
ウレタン変性エチレンエチルアクリレート共重合体
〔東邦化学工業(株)製:ハイテックS6254B〕 8部
ポリアクリル酸エステル共重合体〔日本純薬(株)製:ジュリマーAT510〕2部
水 45部
エタノール 45部
画像、文字が記録された前記受像体上に前記構成からなる転写箔1および転写箔2を用いて、表面温度200℃に加熱した、直径5cmゴム硬度85のヒートローラーを用いて圧力150kg/cm2で1.2秒間熱をかけて、転写箔1および転写箔2の順番で転写を行った。前記転写は、図19に記載のICカード作成装置を使用して行った。
【0143】
図19はICカードの作成装置としてのカードプリンタであり、カードプリンタには、上方位置にカード基材供給部10及び情報記録部20が配置され、下方位置に、透明保護層及び/又は光学変化素子転写層付与部及び/又は樹脂層付与部70が配置され、この後更に透明保護層及び/又は光学変化素子転写層付与部及び/又は樹脂層付与部70が配置され、画像記録体としてカードを作成する。
【0144】
カード基材供給部10には、例えば、図1で作成されたカード使用者の個人情報を書き込むために予め枚葉状にカットされた複数枚のカード基材50が、顔写真を記録する面を上に向けてストックされている。この例では、カード基材50が支持体と受像層からなり、このカード基材50は1枚ずつカード基材供給部10から所定のタイミングで自動供給される。
【0145】
情報記録部20には、イエローリボンカセット21、マゼンタリボンカセット22、シアンリボンカセット23、ブラックリボンカセット24が配置され、それぞれに対応して記録ヘッド25〜28が配置されている。イエローリボン、マゼンタリボン、シアンリボン等の熱転写シートによる熱転写で、カード基材50が移動されている間に、その受像層の所定領域にカード使用者の顔写真等の諧調を有する画像領域が記録される。
【0146】
また、文字リボンカセット31及び記録ヘッド32が配置され、文字リボン等の熱転写シートによる熱転写で、その氏名やカード発行日等の認証識別情報が記録され、画像記録層が形成される。この情報記録部20では、イメージワイズに加熱して前記受像層に諧調情報画像を形成し、画像を形成する際の記録ヘッド条件は0.01〜0.3kg/cm2の範囲で加圧し、ヘッドの温度50〜500℃で形成する。
【0147】
透明保護層及び/又は光学変化素子転写層付与部及び/又は樹脂層付与部70では、転写箔カセット71が配置され、この転写箔カセット71に対応して熱転写ヘッド72が配置されている。光学変化素子転写箔43及び/又は透明保護転写箔64、硬化型転写箔66を転写し、光学変化素子転写層及び/透明保護転写層、硬化型済保護層含有転写層が設けられる。
【0148】
表1に示すように、打ち抜き刃の動作方式、打ち抜き速度、打ち抜き刃の高さ、裁断刃の角部の角度、ストリッパ分割の有無、裁断刃の角部突出、カード基材破断伸度、カード基材弾性率、接着剤破断伸度、接着剤弾性率を変化させてカード基材を打ち抜いた。この物性の評価を以下に示す。
【0149】
[カード断裁性]
図4に示されたカード打ち抜き機にパンチダイもしくは中空刃を載せ、カード基材をカード形態に打ち抜いた後、ICカードの断面を観察、5段階評価した。4以上が好ましい結果である。
【0150】
5:カード断面に基材のバリや接着剤のはみ出しがなく、手で触るとつるつるしている。
【0151】
4:カード断面に基材のバリや接着剤のはみ出しがない。
【0152】
3:カード断面に基材のバリが発生はないが、接着剤が飛び出していて、断面がざらつく。
【0153】
2:カード断面に基材のバリが発生し、接着剤が飛び出していて、断面がざらつく。
【0154】
1:カード断面に基材のバリが発生し、接着剤が大きく飛び出している。
【0155】
[カード生産性]
図4に示されたカード打ち抜き機にパンチダイを載せ、作成されたカード基材をカード形態に打ち抜いた。カードを1日あたり1500枚打ち抜き、ICカードの断面に切れ残りが発生して刃の交換が必要となるまでのカード枚数を記録した。30万枚以上打ち抜けることが生産で使用可能となる条件とした。これ以下では、工程の停止回数や刃のメンテ性が悪化し、生産に適さない。また、断裁性が悪いと刃の摩耗がおきやすい。
【0156】
[プリンタ搬送性]
実施例において作製されたカード10000枚を図19に示されたプリンタで連続してプリントを行い、その時に発生した搬送カード枚数の割合を搬送不良率として計算した。搬送不良率は1%以下が好ましい範囲である。
【0157】
[ゴミ混入率]
実施例において作製されたカード10000枚を図19に示されたプリンタで連続してプリントを行い、その時にICカードと保護箔との間にゴミが混入したカード枚数の割合をゴミ混入率として計算した。ゴミ混入率は0.5%以下が好ましい範囲である。
【0158】
結果を表1に示す。
表1
【0159】
表1の結果により、この発明においては比較例に対し、カード断裁性、カード生産性、プリンタ搬送性、ゴミ混入率において、優れた効果を示す結果となり、発明の効果が認められる。
【産業上の利用可能性】
【0160】
この発明は、複数のフォーマット印刷されたカード基材を複数の断裁刃で打ち抜く場合、同時に打ち抜きを行うと、カード基材に同時に圧縮応力と引っ張り応力が多方向から加わるため、カード化する際に複数の断裁刃が同時にカード基材を打ち抜かないようにして、断裁面にカード基材の「切れ残り」が生じ、「バリ」の発生となることを防止し、カード生産性、プリンタ搬送性に優れ、ゴミ混入率が低下する。
【図面の簡単な説明】
【0161】
【図1】ICカードの製造工程の概略構成図である。
【図2】ICカードの貼り合わせ品の画像形成体の断面図である。
【図3】打ち抜き刃の平面図である。
【図4】打抜金型装置の主要部の正面端面図である。
【図5】打ち抜き刃の高さを示す図である。
【図6】フォーマット印刷されたカード基材を示す図である。
【図7】分割されたストッパを示す図である。
【図8】断裁刃の平面図である。
【図9】断裁刃の角度を示す図である。
【図10】受像層面とは反対側の支持体最表面に透かし印刷の印刷紋様を示す図である。
【図11】受像層面とは反対側の支持体最表面に透かし印刷の印刷紋様を示す図である。
【図12】第1のシート材(裏シート)を示す図である。
【図13】第2のシート材(表シート)を示す図である。
【図14】ICカード用材料のICモジュールの模式図である。
【図15】ICカード用材料のICモジュールの模式図である。
【図16】ICカード用材料のICモジュールの模式図である。
【図17】カード基材原版の断面図である。
【図18】カード基材原版の断面図である。
【図19】ICカードの作成装置としてのカードプリンタを示す図である。
【符号の説明】
【0162】
1 第1のシート材(裏シート)
2 第2のシート材(表シート)
3 インレット
3a 電子部品
3a1 アンテナ
3a2 ICチップ
3b 補強板
6,7 接着剤層
8a 受像層
8b 個人識別情報
8c 透明保護層
9a 筆記層
50 カード基材
501,502,503 クリーンルーム
A 第1のシート材供給部
B 第2のシート材供給部
C1,C2 接着剤供給部
D 第2のシート搬送部
E インレット供給部
F バックローラ部
G カード基材搬送部
H 裁断部
K 回収部
L 保管部
M フォーマット印刷部
N 打ち抜き部
n1 打ち抜き機
O 印刷部
o1 カード印刷機
P 装填部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のシート材と第2のシート材との間に接着剤層を介在し、この接着剤層内にインレット基材上にICチップを有するインレットを封入してカード基材を作製し、このカード基材をカード状に打ち抜いてICカードを作製するICカード作製方法において、
前記カード基材の少なくとも一面にフォーマット印刷が施され、
前記フォーマット印刷された前記カード基材が、複数の断裁刃を用いて複数のカード形態に打ち抜かれる時、動作する断裁刃の少なくとも一つが他の断裁刃より先に前記カード基材の断裁を開始することを特徴とするICカード作製方法。
【請求項2】
第1のシート材と第2のシート材との間に接着剤層を介在し、この接着剤層内にインレット基材上にICチップを有するインレットを封入してカード基材を作製し、このカード基材をカード状に打ち抜いてICカードを作製するICカード作製方法において、
前記カード基材の少なくとも一面にフォーマット印刷が施され、
前記フォーマット印刷された前記カード基材が、複数の断裁刃を用いて同時に複数のカード形態に打ち抜かれる時、同時に作動する断裁刃の少なくとも一つの打ち抜き速度が他の断裁刃と異なることを特徴とするICカード作製方法。
【請求項3】
第1のシート材と第2のシート材との間に接着剤層を介在し、この接着剤層内にインレット基材上にICチップを有するインレットを封入してカード基材を作製し、このカード基材をカード状に打ち抜いてICカードを作製するICカード作製方法において、
前記カード基材の少なくとも一面にフォーマット印刷が施され、
前記フォーマット印刷された前記カード基材が、複数の断裁刃を用いて同時に複数のカード形態に打ち抜かれる時、前記カード基材を抑える部材がフォーマット印刷に合わせて分割されていることを特徴とするICカード作製方法。
【請求項4】
第1のシート材と第2のシート材との間に接着剤層を介在し、この接着剤層内にインレット基材上にICチップを有するインレットを封入してカード基材を作製し、このカード基材をカード状に打ち抜いてICカードを作製するICカード作製方法において、
前記カード基の少なくとも一面にフォーマット印刷が施され、
前記フォーマット印刷された前記カード基材が、少なくとも一つの断裁刃を用いてカード形態に打ち抜かれる時、カード形態に打ち抜く断裁刃がパンチ形状をしており、かつ前記断裁刃の角部がパンチ面から打ち抜き方向へ突出していることを特徴とするICカード作製方法。
【請求項5】
第1のシート材と第2のシート材との間に接着剤層を介在し、この接着剤層内にインレット基材上にICチップを有するインレットを封入してカード基材を作製し、このカード基材をカード状に打ち抜いてICカードを作製するICカード作製方法において、
前記カード基材の少なくとも一面にフォーマット印刷が施され、
前記フォーマット印刷された前記カード基材が、少なくとも一つの断裁刃を用いてカード形態に打ち抜かれる時、カード形態に打ち抜く断裁刃の角部分が曲線状であり、かつ曲線状の角部の断裁刃の刃角が30°以上かつ90°より小さいことを特徴とするICカード作製方法。
【請求項6】
前記貼り合せたカード基材の厚みが650μm以上900μm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のICカード作製方法。
【請求項7】
前記カード基材を構成するシート材の厚みが、100μm以上300μm以下で、かつ弾性率の値が100以上800kgf/mm2以下かつ破断伸度の値が10%以上50%以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のICカード作製方法。
【請求項8】
前記カード基材を構成する接着剤の弾性率の値が30以上100kgf/mm2以下かつ破断伸度の値が50%以上500%以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のICカード作製方法。
【請求項9】
前記カード状に打ち抜く前に、貼り合わせ品を枚葉シート状に断裁することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のICカード作製方法。
【請求項10】
前記カード状に打ち抜く前に、印刷ない面にフォーマット印刷を施すことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のICカード作製方法。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のICカード作製方法により作成したICカードの少なくとも片面に受像層を有し、
前記受像層に熱転写方式またはインクジェット方式による氏名、顔画像を含む個人識別情報を設け、
前記ICカードの少なくとも一部に筆記可能な筆記層を設けていることを特徴とするICカード。
【請求項12】
前記氏名、顔画像を含む個人識別情報を設けた上面に透明保護層が設けられ、
前記透明保護層が活性光線硬化樹脂からなることを特徴とする請求項11に記載のICカード。
【請求項13】
前記ICカードのICチップを顔画像部分と重なる位置以外に配置したことを特徴とする請求項11または請求項12に記載のICカード。
【請求項14】
前記ICカードが非接触式であることを特徴とする請求項11乃至請求項13のいずれか1項に記載のICカード。
【請求項1】
第1のシート材と第2のシート材との間に接着剤層を介在し、この接着剤層内にインレット基材上にICチップを有するインレットを封入してカード基材を作製し、このカード基材をカード状に打ち抜いてICカードを作製するICカード作製方法において、
前記カード基材の少なくとも一面にフォーマット印刷が施され、
前記フォーマット印刷された前記カード基材が、複数の断裁刃を用いて複数のカード形態に打ち抜かれる時、動作する断裁刃の少なくとも一つが他の断裁刃より先に前記カード基材の断裁を開始することを特徴とするICカード作製方法。
【請求項2】
第1のシート材と第2のシート材との間に接着剤層を介在し、この接着剤層内にインレット基材上にICチップを有するインレットを封入してカード基材を作製し、このカード基材をカード状に打ち抜いてICカードを作製するICカード作製方法において、
前記カード基材の少なくとも一面にフォーマット印刷が施され、
前記フォーマット印刷された前記カード基材が、複数の断裁刃を用いて同時に複数のカード形態に打ち抜かれる時、同時に作動する断裁刃の少なくとも一つの打ち抜き速度が他の断裁刃と異なることを特徴とするICカード作製方法。
【請求項3】
第1のシート材と第2のシート材との間に接着剤層を介在し、この接着剤層内にインレット基材上にICチップを有するインレットを封入してカード基材を作製し、このカード基材をカード状に打ち抜いてICカードを作製するICカード作製方法において、
前記カード基材の少なくとも一面にフォーマット印刷が施され、
前記フォーマット印刷された前記カード基材が、複数の断裁刃を用いて同時に複数のカード形態に打ち抜かれる時、前記カード基材を抑える部材がフォーマット印刷に合わせて分割されていることを特徴とするICカード作製方法。
【請求項4】
第1のシート材と第2のシート材との間に接着剤層を介在し、この接着剤層内にインレット基材上にICチップを有するインレットを封入してカード基材を作製し、このカード基材をカード状に打ち抜いてICカードを作製するICカード作製方法において、
前記カード基の少なくとも一面にフォーマット印刷が施され、
前記フォーマット印刷された前記カード基材が、少なくとも一つの断裁刃を用いてカード形態に打ち抜かれる時、カード形態に打ち抜く断裁刃がパンチ形状をしており、かつ前記断裁刃の角部がパンチ面から打ち抜き方向へ突出していることを特徴とするICカード作製方法。
【請求項5】
第1のシート材と第2のシート材との間に接着剤層を介在し、この接着剤層内にインレット基材上にICチップを有するインレットを封入してカード基材を作製し、このカード基材をカード状に打ち抜いてICカードを作製するICカード作製方法において、
前記カード基材の少なくとも一面にフォーマット印刷が施され、
前記フォーマット印刷された前記カード基材が、少なくとも一つの断裁刃を用いてカード形態に打ち抜かれる時、カード形態に打ち抜く断裁刃の角部分が曲線状であり、かつ曲線状の角部の断裁刃の刃角が30°以上かつ90°より小さいことを特徴とするICカード作製方法。
【請求項6】
前記貼り合せたカード基材の厚みが650μm以上900μm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のICカード作製方法。
【請求項7】
前記カード基材を構成するシート材の厚みが、100μm以上300μm以下で、かつ弾性率の値が100以上800kgf/mm2以下かつ破断伸度の値が10%以上50%以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のICカード作製方法。
【請求項8】
前記カード基材を構成する接着剤の弾性率の値が30以上100kgf/mm2以下かつ破断伸度の値が50%以上500%以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のICカード作製方法。
【請求項9】
前記カード状に打ち抜く前に、貼り合わせ品を枚葉シート状に断裁することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のICカード作製方法。
【請求項10】
前記カード状に打ち抜く前に、印刷ない面にフォーマット印刷を施すことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のICカード作製方法。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のICカード作製方法により作成したICカードの少なくとも片面に受像層を有し、
前記受像層に熱転写方式またはインクジェット方式による氏名、顔画像を含む個人識別情報を設け、
前記ICカードの少なくとも一部に筆記可能な筆記層を設けていることを特徴とするICカード。
【請求項12】
前記氏名、顔画像を含む個人識別情報を設けた上面に透明保護層が設けられ、
前記透明保護層が活性光線硬化樹脂からなることを特徴とする請求項11に記載のICカード。
【請求項13】
前記ICカードのICチップを顔画像部分と重なる位置以外に配置したことを特徴とする請求項11または請求項12に記載のICカード。
【請求項14】
前記ICカードが非接触式であることを特徴とする請求項11乃至請求項13のいずれか1項に記載のICカード。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2006−218598(P2006−218598A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−35996(P2005−35996)
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(303000419)コニカミノルタフォトイメージング株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(303000419)コニカミノルタフォトイメージング株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
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