説明

ICカード用コネクタ

【課題】トレイ部材に搭載されたICカードのコンタクトパッドのコンタクト端子に対する位置決め手段としての凹凸部をトレイ部材およびカード収容部に設ける必要なく、従って、ICカード用コネクタのさらなる低背化を図ることができること。
【解決手段】開口部16bが形成される底部12Bを有するトレイ部材16は、樹脂材料で成形され、その開口部16bの周縁がベース部材12に形成されるコンタクト支持体14の位置規制用端面14ERおよび14ELにより位置決めされ、ベース部材12の底面を押圧する折曲部16Baを、その開口部16bの周縁に有するもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカードが着脱可能に配されるトレイ部材を備えるICカード用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の電子機器においては、中央処理装置(CPU)あるいはメモリ用の集積回路が内蔵されるSIM(subscriber identity module)カード等のICカードをその各機器にICカード用コネクタを介して着脱可能に装着することにより、電子機器における各種の機能拡張などを行うようにしている。
【0003】
SIMカード等のICカードが装着されるICカード用コネクタは、電子機器内の配線基板上に配される。ICカード用コネクタは、例えば、特許文献1および特許文献2にも示されるように、ICカードと配線基板とを電気的に接続するコンタクト端子群、および、ICカードが搭載されるトレイ部材を備えている。そのトレイ部材は、ICカード用コネクタにおけるカード収容部に対し摺動可能に配されている。
【0004】
その際、そのトレイ部材がカード収容部に対し摺動された後、収容されたとき、搭載されたICカードの各コンタクトパッドが各コンタクト端子の接点部に確実に当接することが必要とされる。そこで、そのようなトレイ部材は、トレイ部材およびカード収容部にそれぞれ、形成された位置決め手段としての凹凸部によってカード収容部内で案内され位置決めされる。
【0005】
その凹凸部は、例えば、特許文献2にも示されるように、搭載されるICカードの厚さ方向、即ち、トレイ部材の厚さ方向に沿ってトレイ部材の底部の外面に形成されるガイド溝、および、カード収容部を形成する底壁部にそのガイド溝に対応し形成される突起により、形成されている。
【0006】
比較的小型化された携帯電話機等の電子機器においては、ICカード用コネクタはさらなる低背化が要望されるので使用されるトレイ部材の底部の厚さおよびカード収容部を形成する底壁部の板厚が、より薄くなる傾向にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−193733号公報
【特許文献2】特許第4138765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、トレイ部材の位置決め手段としての凹凸部が、トレイ部材の厚さ方向に沿って突出するように、トレイ部材およびカード収容部に設けられる場合、ICカード用コネクタにおける低背化の要望に応じてトレイ部材等の厚さを薄くすることが考えられる。
【0009】
しかしながら、トレイ部材における厚さ方向に沿った厚さをより薄くすることにより、より低背化を図ることは、上述の凹凸部からなる位置決め手段が設けられる場合にあっては、一定の限界がある。従って、ICカード用コネクタのさらなる低背化を図ることが困難となる場合がある。
【0010】
以上の問題点を考慮し、本発明は、ICカードが着脱可能に配されるトレイ部材を備えるICカード用コネクタであって、トレイ部材に搭載されたICカードのコンタクトパッドのコンタクト端子に対する位置決め手段としての凹凸部をトレイ部材およびカード収容部に設ける必要なく、従って、ICカード用コネクタのさらなる低背化を図ることができるICカード用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するために、本発明に係るICカード用コネクタは、ICカードの電極部に電気的に接続される接点部を有するコンタクト端子を支持するコンタクト支持部材を含んでなるベース部材と、樹脂材料で成形され、コンタクト支持部材における相対向する一対の位置規制用端面に係合される開口部と、開口部周辺に、ICカードを着脱可能に収容するカード収容部とを底部に有し、ベース部材に対し着脱可能に配されるトレイ部材とを備え、トレイ部材がベース部材に配されるとき、ベース部材の底部を押圧する少なくとも一つの折曲部がトレイ部材の開口部の周縁に形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るICカード用コネクタによれば、トレイ部材がコンタクト支持部材における相対向する一対の位置規制用端面に係合される開口部と、開口部周辺に、ICカードを着脱可能に収容するカード収容部とを底部に有し、トレイ部材がベース部材に配されるとき、ベース部材の底部を押圧する少なくとも一つの折曲部がトレイ部材の開口部の周縁に形成されるのでトレイ部材に搭載されたICカードのコンタクトパッドのコンタクト端子に対する位置決め手段としての凹凸部をトレイ部材およびカード収容部に設ける必要なく、従って、ICカード用コネクタのさらなる低背化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るICカード用コネクタの一例に用いられるトレイ部材の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るICカード用コネクタの一例の外観を示す斜視図である。
【図3】図2に示される例において、カバー部材を取り外した状態を示す斜視図である。
【図4】図2に示される例において、メモリカードとともに示す平面図である。
【図5】図4において、V−V線に沿って示される断面図である。
【図6】(A)は、図5における一部を拡大して示す部分断面図であり、(B)は、参考としてのトレイ部材の動作の説明に供される部分断面図である。
【図7】図1における側面図である。
【図8】図7に示される部分を拡大して示す側面図である。
【図9】(A)は、本発明に係るICカード用コネクタの一例に用いられるトレイ部材の他の一例を示す平面図であり、(B)は、(A)に示される例の正面図であり、(C)は、(A)に示される例の斜視図である。
【図10】(A)および(B)は、本発明に係るICカード用コネクタの一例に用いられるトレイ部材のさらなる他の一例を示す平面図である。
【図11】(A)および(B)は、本発明に係るICカード用コネクタの一例に用いられるトレイ部材のさらなる他の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図2は、本発明に係るICカード用コネクタの一例の外観を示す。
【0015】
図2に示されるICカード用コネクタは、例えば、後述するトレイ部材に対し着脱可能に収容されるメモリカードSCの電極部と所定の電子機器の内部に配される配線基板の接続端子部とを電気的に接続するものとされる。ICカード用コネクタは、例えば、携帯電話機、電話機、PDA、カメラ等の電子機器の内部に配されるものとされる。薄板状のメモリカードSCは、例えば、SIMカードとされ、後述されるコンタクト端子の配列に対応して複数の電極パッドが一方の表面部に形成されている(図4参照)。
【0016】
ICカード用コネクタは、収容されるメモリカードSCに対する電気的接続を行う複数
のコンタクト端子が配列されるベース部材12と、ベース部材12と協働してメモリカー
ドSCおよびトレイ部材の収容部を形成するカバー部材10と、メモリカードSCを着脱可能に搭載するトレイ部材16とを含んで構成されている。
【0017】
カバー部材10は、金属性の薄板材料、例えば、ステンレス鋼板で作られ、両側壁部にそれぞれ複数個の透孔10dを所定の間隔で有している。複数個の透孔10dには、それぞれ、対応するベース部材12の両側壁部に形成される爪部12d(図3参照)が係合される。これにより、カバー部材10とベース部材12とは、一体化され結合される。その際、トレイ部材16およびメモリカードSCが通過するカードスロットが、カバー部材10の開口端部に形成されることとなる。
【0018】
また、カバー部材10における一方の側壁部のカードスロット側の最端部に形成される透孔10dとそれに隣接する透孔10dとの間には、ロック用板ばね10LSがカバー部材10と一体に形成されている。ロック用板ばね10LSの先端部は、トレイ部材16が操作されるとき、トレイ部材16の側壁部16LWに形成される被係合部としてのロック用溝16Ld、および、16Leに選択的に係合する。
【0019】
カバー部材10における他方の側壁部のカードスロット側の最端部に形成される透孔10dとそれに隣接する透孔10dとの間にも、同様なロック用板ばね10LSがカバー部材10と一体に形成されている。ロック用板ばね10LSの先端部は、トレイ部材16が操作されるとき、トレイ部材16の側壁部16RWに形成される被係合部としてのロック用溝16Rd、および、16Reに選択的に係合する。
【0020】
メモリカードSCおよびトレイ部材16が挿入され収容されるカード/トレイ部材収容部は、図5に示されるように、カバー部材10とベース部材12とにより囲まれた内部空間として形成されている。
【0021】
ベース部材12は、上述のカード/トレイ部材収容部の底部を形成するものとされる。
ベース部材12は、コンタクト端子20ai(i=1〜n,nは正の整数)を支持するコンタクト支持体14と、コンタクト支持体14における長辺の両脇にそれぞれ一体に結合されるガイド溝形成部材と、を含んで構成されている。
【0022】
各ガイド溝形成部材は、図3に示されるように、金属製の薄板材料、例えば、ステンレス鋼板で作られ、その底部から略垂直に折り曲げられ形成される側壁部に、複数個の爪部12dが所定の間隔で形成されている。各爪部12dは、上述のカバー部材10における対応する透孔10dに係合される。また、その側壁部において、カバー部材10におけるロック用板ばね10LSに対応した位置には、切欠部が形成されている。
【0023】
矩形の薄板状のコンタクト支持体14は、図3に示されるように、例えば、樹脂材料でコンタクト端子20ai(i=1〜6)とともにインサート成形されている。各ガイド溝形成部材の端部が結合されるコンタクト支持体14における端部には、後述するトレイ部材16の開口部周縁を位置決めし案内する位置規制用端面14ERおよび14ELが、その長辺にわたって互いに略平行に形成されている。
【0024】
コンタクト支持体14において、コンタクト端子20aiは、上述のメモリカードSCの複数の電極パッドの配列に対応するように配列されている。
【0025】
コンタクト端子20aiは、メモリカードSCの電極パッドに当接しメモリカードSCと配線基板(不図示)とを電気的に接続するものとされる。各コンタクト端子20aiは、薄板金属材料で作られ,互いに同一の構造を有する。コンタクト端子20aiは、メモリカードSCの電極パッドに当接し電気的に接続される接点部を有する可動片部と、配線基板の導電層に半田付け固定される半田付端子部と、可動片部と半田付端子部とを連結する固定部とを含んで構成されている。その固定部は、コンタクト支持体14と一体に固定されている。これにより、弾性を有する可動片部の接点部は、コンタクト支持体14に所定位置に形成されるスリット内で弾性変位可能とされる。例えば、共通の直線上に所定の間隔で形成される2個のスリットが、各コンタクト端子20aiの可動片部に対応して3列形成されている。
【0026】
トレイ部材16は、図1に示されるように、例えば、樹脂材料で成形され、メモリカードSCが着脱可能に収容されるカード収容部16Aを有している。カード収容部16Aは、ベース部材12における各ガイド溝形成部材上にそれぞれ、摺動可能に配される底部16Bにおける第1の底面部16BRおよび第2の底面部16BLと、第1の底面部16BRの前端部と第2の底面部16BLの前端部とを連結する第3の底面部16BCと、第1の底面部16BRおよび第2の底面部16BLにそれぞれ形成される側壁部16RW、16LWと、第3の底面部に形成される前壁部16Wとにより囲まれて形成されている。
【0027】
側壁部16RWの一端と前壁部16Wの一端とが交差する部分には、搭載されるメモリカードSCの端部の角部に形成される面取り部が係合される斜面部16waが形成されている。また、第3の底面部16BCにおける前壁部16Wの他端と側壁部16LWの端との間には、切欠部16wbが形成されている。切欠部16wbに隣接した側壁部16LWの端部には、カバー部材10に対するトレイ部材16の移動量を規制するストッパ部16wcが形成されている。また、側壁部16RWにおいて、上述のストッパ部16wcに対向した位置には、カバー部材10に対するトレイ部材16の移動量を規制するストッパ部が形成されている。
【0028】
側壁部16RWの外面部には、上述のロック用板ばね10LSの押圧部が係合される凹部16Rd,16Reが、所定の間隔をもって形成され、側壁部16LWの外面部には、上述のロック用板ばね10LSの押圧部が係合される凹部16Ld,16Leが、所定の間隔をもって形成されている。
【0029】
これにより、トレイ部材16は、各ロック用板ばね10LSの押圧部が凹部16Rd、16Ldに係合されるとき、ロック用板ばね10LSの押圧部の弾性力により、図4に示される位置で保持されることにより、トレイ部材16が簡単にカードスロットを介して抜け出すことなく保持される。また、トレイ部材16は、各ロック用板ばね10LSの押圧部が凹部16Re、16Leに係合されるとき、メモリカードSCの着脱が容易に可能となるように、カード/トレイ部材収容部から抜け落ちることなく、最大に突出した状態で保持されることとなる。
【0030】
第1の底面部16BRおよび第2の底面部16BLは、それぞれ、トレイ部材16の長手方向に沿って互いに略平行に形成されている。第1の底面部16BRおよび第2の底面部16BL、第3の底面部16BCにより囲まれる内側部分には、コンタクト支持体14が挿入される開口部16bが形成されている。これにより、開口部16bを形成する第1の底面部16BRおよび第2の底面部16BLの周縁部は、図6(A)に部分的に拡大されて示されるように、コンタクト支持体14の位置規制用端面14ERおよび14ELにより案内されることとなる。従って、挿入されるトレイ部材16がコンタクト支持体14の位置規制用端面14ERおよび14ELにより案内されることにより、トレイ部材16に装着されたメモリカードSCのコンタクト支持体14におけるコンタクト端子20aiの接点部に対する位置決めがなされる。その際、メモリカードSCの電極パッドは、開口部16bを介してコンタクト端子20aiの接点部に当接することとなる。
【0031】
また、第1の底面部16BRにおける開口部16bを形成する周縁の一部には、押圧手段として、折曲部16Baが形成されている。折曲部16Baは、斜線16aに沿ってガイド溝形成部材の底面に向けて所定の角度で折り曲げられている。斜線16aは、第1の底面部16BRの後端から開口部16bを形成する周縁に対し所定の角度で傾斜している。これにより、トレイ部材16がカード/トレイ部材収容部に挿入されていない場合、図7に示されるように、折曲部16Baの端面16Beが、第1の底面部16BRの他の部分、第2の底面部16BL、および、第3の底面部16BCにより形成される共通の平面よりも下方に所定の高さDHだけ突出することとなる。
【0032】
従って、図8に示されるように、メモリカードSCが装着されたトレイ部材16がカード/トレイ部材収容部に挿入される場合、折曲部16Baの端面16Beおよび裏面16BBが、その弾性力に抗してガイド溝形成部材の底面に向けて押し付けられ、端面16Beが上述のコンタクト支持体14の位置規制用端面14ERと一致するようにメモリカードSCに向けて押圧される。これによりトレイ部材16に生じる反作用力によって、メモリカードSCおよびトレイ部材16は、カバー部材10の内周面に対し押し付けられるのでメモリカードSCおよびトレイ部材16のカバー部材10に対する遊びが吸収されることとなる。
【0033】
また、メモリカードSCが装着されたトレイ部材16のロック用溝16Rd、および、16Ldが、それぞれ、ロック用板ばね10LSに係合されるとき、ロック用板ばね10LSにおける弾性力により、第1の底面部16BR、および、第2の底面部16BLの内縁の一部がコンタクト支持体14の位置規制用端面14ERおよび14ELに対しトレイ部材16の横幅(短辺)方向に沿って押圧される。
【0034】
一方、仮に上述のような折曲部16Baを有しないトレイ部材16´の場合にあっては、図6(B)に拡大して示されるように、トレイ部材16´が比較的薄く成形された底部を有するとき、メモリカードSCおよびトレイ部材16のカバー部材10に対する遊びが吸収されないので第2の底面部がコンタクト支持体14に対し乗り上がり、メモリカードSCおよびトレイ部材16´の円滑な着脱操作が困難となる虞がある。
【0035】
従って、本発明に係るICカード用コネクタの一例にあっては、折曲部16Baを有する構成において比較的小さな操作力で、トレイ部材の着脱操作をおこなうことができるとともに、トレイ部材に搭載されたICカードのコンタクトパッドのコンタクト端子に対する位置決め手段としての凹凸部をトレイ部材およびカード収容部に設ける必要なく、従って、比較的薄く成形された底部を有するトレイ部材16を採用することが可能となるのでICカード用コネクタのさらなる低背化を図ることができる。
【0036】
斯かる構成において、メモリカードSCが装着されたトレイ部材16が、カード/トレイ部材収容部に挿入される場合、トレイ部材16の開口部16bの内縁がコンタクト支持体14の位置規制用端面14ERおよび14ELに位置合わせされた後、一方の端部がカードスロットを通じて挿入される。その際、メモリカードSCにおける電極パッドがコンタクト端子20aiに対向するようにトレイ部材16が所定位置まで挿入される。これにより、メモリカードSCは、各コンタクト端子20aiの可動片部の弾性力によりカバー部材10側に付勢される。
【0037】
一方、メモリカードSCがトレイ部材16から取り出されるとき、トレイ部材16が2個のロック用板ばね10LSの弾性力に抗して引き出された後、メモリカードSCがトレー部材16のカード収容部16Aから取り出される。
【0038】
上述のトレイ部材16において、折曲部16Baの形状が第1の底面部16BRにおける長手方向の途中まで延びる略三角形とされているが、斯かる例に限られることなく、例えば、図11(A)および(B)に示されるように、折曲部の形状が第1の底面部の端まで延びる細長い三角形状、あるいは、折曲部の形状が、第1の底面部の後端に形成される略二等辺三角形であってもよい。即ち、上述の折曲部の形状は、ICカードおよびICカード用コネクタの大きさ、トレイ部材の外周部とカバー部材の内周部との間の隙間(遊び)、その隙間を抑制するために必要とされる折曲部による反力、および、トレイ部材等の材質の相違に起因した摩擦係数の大小等の他の要因に応じて適宜、変更され得る。これにより、他の相似形のICカード用コネクタにおいても、折曲部を有する構成において比較的小さな操作力で、トレイ部材の着脱操作をおこなうことができるとともに、上述したようなトレイ部材の底面部のコンタクト支持体への乗り上がりが、回避されることとなる。
【0039】
図11(A)において、トレイ部材56は、例えば、樹脂材料で成形され、メモリカードSCが着脱可能に収容されるカード収容部56Aを有している。カード収容部56Aは、ベース部材12における各ガイド溝形成部材上にそれぞれ、摺動可能に配される底部56Bにおける第1の底面部56BRおよび第2の底面部56BLと、第1の底面部56BRの前端部と第2の底面部56BLの前端部とを連結する第3の底面部56BCと、第1の底面部56BRおよび第2の底面部56BLにそれぞれ形成される側壁部56RW、56LWと、第3の底面部に形成される前壁部56Wとにより囲まれて形成されている。
【0040】
側壁部56RWの一端と前壁部56Wの一端とが交差する部分には、斜面部56waが形成されている。また、第3の底面部56BCにおける前壁部56Wの他端と側壁部56LWの端との間には、切欠部56wbが形成されている。切欠部56wbに隣接した側壁部56LWの端部には、ストッパ部56wcが形成されている。また、側壁部56RWにおいて、上述のストッパ部56wcに対向した位置には、上述と同様なトレイ部材56の移動量を規制するストッパ部が形成されている。側壁部56RWおよび56LWの外面部には、それぞれ、上述のロック用板ばね10LSの押圧部が係合される凹部(不図示)が、所定の間隔をもって形成されている。
【0041】
第1の底面部56BRおよび第2の底面部56BL、第3の底面部56BCにより囲まれる内側部分には、コンタクト支持体14が挿入される開口部56bが形成されている。これにより、開口部56bを形成する第1の底面部56BRおよび第2の底面部56BLの周縁部は、コンタクト支持体14の位置規制用端面14ERおよび14ELにより案内されることとなる。
【0042】
また、第1の底面部56BRにおける開口部26bを形成する周縁の一部には、押圧手段として、折曲部56Baが形成されている。なお、斯かる例においても、折曲部56Baは、上述の例と同様な作用効果を奏する。
【0043】
折曲部56Baは、斜線56aに沿ってガイド溝形成部材の底面に向けて所定の角度で折り曲げられている。斜線56aは、第1の底面部56BRの後端から開口部56bを形成する周縁に対し所定の角度で傾斜した後、第3の底面部56BCと交差する部分近傍まで延在している。これにより、トレイ部材56がカード/トレイ部材収容部に挿入されていない場合、折曲部56Baの端面が、第1の底面部56BRの他の部分、第2の底面部56BL、および、第3の底面部56BCにより形成される共通の平面よりも下方に所定の高さだけ突出することとなる。
【0044】
図11(B)において、トレイ部材66は、例えば、樹脂材料で成形され、メモリカードSCが着脱可能に収容されるカード収容部66Aを有している。カード収容部66Aは、ベース部材12における各ガイド溝形成部材上にそれぞれ、摺動可能に配される底部66Bにおける第1の底面部66BRおよび第2の底面部66BLと、第1の底面部66BRの前端部と第2の底面部66BLの前端部とを連結する第3の底面部66BCと、第1の底面部66BRおよび第2の底面部66BLにそれぞれ形成される側壁部66RW、66LWと、第3の底面部に形成される前壁部66Wとにより囲まれて形成されている。
【0045】
側壁部66RWの一端と前壁部66Wの一端とが交差する部分には、斜面部66waが形成されている。また、第3の底面部66BCにおける前壁部66Wの他端と側壁部66LWの端との間には、切欠部66wbが形成されている。切欠部66wbに隣接した側壁部66LWの端部には、ストッパ部66wcが形成されている。また、側壁部66RWにおいて、上述のストッパ部66wcに対向した位置には、上述と同様なトレイ部材66の移動量を規制するストッパ部が形成されている。
【0046】
側壁部66RWおよび66LWの外面部には、それぞれ、上述のロック用板ばね10LSの押圧部が係合される凹部(不図示)が、所定の間隔をもって形成されている。
【0047】
第1の底面部66BRおよび第2の底面部66BL、第3の底面部66BCにより囲まれる内側部分には、コンタクト支持体14が挿入される開口部66bが形成されている。これにより、開口部66bを形成する第1の底面部66BRおよび第2の底面部66BLの周縁部は、コンタクト支持体14の位置規制用端面14ERおよび14ELにより案内されることとなる。
【0048】
また、第1の底面部66BRにおける開口部66bを形成する周縁の一部には、押圧手段として、折曲部66Baが形成されている。なお、斯かる例においても、折曲部66Baは、上述の例と同様な作用効果を奏する。
【0049】
折曲部66Baは、斜線66aに沿ってガイド溝形成部材の底面に向けて所定の角度で折り曲げられている。斜線66aは、第1の底面部56BRの後端から開口部56bを形成する周縁に対し斜線56aの傾斜角度よりも大なる所定の角度で傾斜している。これにより、トレイ部材56がカード/トレイ部材収容部に挿入されていない場合、折曲部66Baの端面が、第1の底面部66BRの他の部分、第2の底面部66BL、および、第3の底面部66BCにより形成される共通の平面よりも下方に所定の高さだけ突出することとなる。
【0050】
上述のトレイ部材16において、折曲部16Baの形状が略三角形とされているが、斯かる例に限られることなく、例えば、図10(A)に示されるように、折曲部が帯状の形状であってもよい。このような場合、上述の三角形状の折曲部に比して底面部に対する折曲部の押圧面積を大に設定できるので上述の必要とされる反力をより大に設定できる。
【0051】
図10(A)において、トレイ部材36は、例えば、樹脂材料で成形され、メモリカードSCが着脱可能に収容されるカード収容部36Aを有している。カード収容部36Aは、ベース部材12における各ガイド溝形成部材上にそれぞれ、摺動可能に配される底部36Bにおける第1の底面部36BRおよび第2の底面部36BLと、第1の底面部36BRの前端部と第2の底面部36BLの前端部とを連結する第3の底面部36BCと、第1の底面部36BRおよび第2の底面部36BLにそれぞれ形成される側壁部36RW、36LWと、第3の底面部に形成される前壁部36Wとにより囲まれて形成されている。
【0052】
側壁部36RWの一端と前壁部36Wの一端とが交差する部分には、斜面部36waが形成されている。また、第3の底面部36BCにおける前壁部36Wの他端と側壁部36LWの端との間には、切欠部36wbが形成されている。切欠部36wbに隣接した側壁部36LWの端部には、ストッパ部36wcが形成されている。また、側壁部36RWにおいて、上述のストッパ部36wcに対向した位置には、上述と同様なトレイ部材36の移動量を規制するストッパ部が形成されている。
【0053】
側壁部36RWおよび36LWの外面部には、それぞれ、上述のロック用板ばね10LSの押圧部が係合される凹部(不図示)が、所定の間隔をもって形成されている。
【0054】
第1の底面部36BRおよび第2の底面部36BL、第3の底面部36BCにより囲まれる内側部分には、コンタクト支持体14が挿入される開口部36bが形成されている。これにより、開口部36bを形成する第1の底面部36BRおよび第2の底面部36BLの周縁部は、コンタクト支持体14の位置規制用端面14ERおよび14ELにより案内されることとなる。
【0055】
また、第1の底面部36BRおよび第2の底面部36BLにおける開口部36bを形成する周縁の一部には、それぞれ、押圧手段として、折曲部36Baが形成されている。なお、斯かる例においても、折曲部36Baは、上述の例と同様な作用効果を奏する。
【0056】
折曲部36Baは、開口部36bの周縁に対し略平行な直線36aに沿ってガイド溝形成部材の底面に向けて所定の角度で折り曲げられている。直線36aは、第1の底面部36BRの後端から第3の底面部36B近傍まで延在している。これにより、トレイ部材36がカード/トレイ部材収容部に挿入されていない場合、折曲部36Baの端面が、第1の底面部36BRの他の部分、第2の底面部36BL、および、第3の底面部36BCにより形成される共通の平面よりも下方に所定の高さだけ突出することとなる。
【0057】
上述のトレイ部材16においては、折曲部16Baが第1の底面部16BRだけに形成されているが、斯かる例に限られることなく、そのような折曲部が、図9(A)、(B)、および、(C)、図10(B)に示されるように、2箇所に設けられてもよい。このような場合、底面部に対する折曲部の押圧面積を大に設定できるので上述の必要とされる反力をより大に設定でき、しかも、トレイ部材16の操作力が過度に大となることがない。
【0058】
図9(A)、(B)、および、(C)において、トレイ部材26は、例えば、樹脂材料で成形され、メモリカードSCが着脱可能に収容されるカード収容部26Aを有している。カード収容部26Aは、ベース部材12における各ガイド溝形成部材上にそれぞれ、摺動可能に配される底部26Bにおける第1の底面部26BRおよび第2の底面部26BLと、第1の底面部26BRの前端部と第2の底面部26BLの前端部とを連結する第3の底面部26BCと、第1の底面部26BRおよび第2の底面部26BLにそれぞれ形成される側壁部26RW、26LWと、第3の底面部に形成される前壁部26Wとにより囲まれて形成されている。
【0059】
側壁部26RWの一端と前壁部26Wの一端とが交差する部分には、搭載されるメモリカードSCの端部の角部に形成される面取り部が係合される斜面部26waが形成されている。また、第3の底面部26BCにおける前壁部26Wの他端と側壁部26LWの端との間には、切欠部26wbが形成されている。切欠部26wbに隣接した側壁部26LWの端部には、カバー部材10に対するトレイ部材26の移動量を規制するストッパ部26wcが形成されている。また、側壁部26RWにおいて、上述のストッパ部26wcに対向した位置には、上述と同様なトレイ部材26の移動量を規制するストッパ部が形成されている。
【0060】
側壁部26RWの外面部には、上述のロック用板ばね10LSの押圧部が係合される凹部26Rd,26Reが、所定の間隔をもって形成され、側壁部26LWの外面部には、上述のロック用板ばね10LSの押圧部が係合される凹部26Ld,26Leが、所定の間隔をもって形成されている。
【0061】
第1の底面部26BRおよび第2の底面部26BLは、それぞれ、トレイ部材26の長手方向に沿って互いに略平行に形成されている。第1の底面部26BRおよび第2の底面部26BL、第3の底面部26BCにより囲まれる内側部分には、コンタクト支持体14が挿入される開口部26bが形成されている。これにより、開口部26bを形成する第1の底面部26BRおよび第2の底面部26BLの周縁部は、コンタクト支持体14の位置規制用端面14ERおよび14ELにより案内されることとなる。従って、挿入されるトレイ部材26がコンタクト支持体14の位置規制用端面14ERおよび14ELにより案内されることにより、トレイ部材26に装着されたメモリカードSCのコンタクト支持体14におけるコンタクト端子20aiの接点部に対する位置決めがなされる。その際、メモリカードSCの電極パッドは、開口部26bを介してコンタクト端子20aiの接点部に当接することとなる。
【0062】
また、第1の底面部26BRおよび第2の底面部26BLにおける開口部26bを形成する周縁の一部には、それぞれ、押圧手段として、折曲部26Baおよび26Bbが形成されている。なお、斯かる例においても、折曲部26Baおよび26Bbは、上述の例と同様な作用効果を奏する。
【0063】
折曲部26Baは、斜線26aに沿ってガイド溝形成部材の底面に向けて所定の角度で折り曲げられている。斜線26aは、第1の底面部26BRの後端から開口部26bを形成する周縁に対し所定の角度で傾斜している。これにより、トレイ部材26がカード/トレイ部材収容部に挿入されていない場合、折曲部26Baの端面が、第1の底面部26BRの他の部分、第2の底面部26BL、および、第3の底面部26BCにより形成される共通の平面よりも下方に所定の高さだけ突出することとなる。
【0064】
折曲部26Bbは、斜線26cに沿ってガイド溝形成部材の底面に向けて所定の角度で折り曲げられている。斜線26cは、第2の底面部26BLの後端から開口部26bを形成する周縁に対し斜線26aの傾斜角度に比して小なる所定の角度で傾斜している。これにより、トレイ部材26がカード/トレイ部材収容部に挿入されていない場合、折曲部26Bbの端面が、第2の底面部26BLの他の部分、第1の底面部26BR、および、第3の底面部26BCにより形成される共通の平面よりも下方に所定の高さだけ突出することとなる。
【0065】
図10(B)においては、トレイ部材46は、例えば、樹脂材料で成形され、メモリカードSCが着脱可能に収容されるカード収容部46Aを有している。カード収容部46Aは、ベース部材12における各ガイド溝形成部材上にそれぞれ、摺動可能に配される底部46Bにおける第1の底面部46BRおよび第2の底面部46BLと、第1の底面部46BRの前端部と第2の底面部46BLの前端部とを連結する第3の底面部46BCと、第1の底面部46BRおよび第2の底面部46BLにそれぞれ形成される側壁部46RW、46LWと、第3の底面部に形成される前壁部46Wとにより囲まれて形成されている。
【0066】
側壁部46RWの一端と前壁部46Wの一端とが交差する部分には、斜面部46waが形成されている。また、第3の底面部46BCにおける前壁部46Wの他端と側壁部46LWの端との間には、切欠部46wbが形成されている。切欠部46wbに隣接した側壁部46LWの端部には、ストッパ部46wcが形成されている。また、側壁部46RWにおいて、上述のストッパ部46wcに対向した位置には、上述と同様なトレイ部材46の移動量を規制するストッパ部が形成されている。
【0067】
側壁部46RWおよび46LWの外面部には、それぞれ、上述のロック用板ばね10LSの押圧部が係合される凹部(不図示)が、所定の間隔をもって形成されている。
【0068】
第1の底面部46BRおよび第2の底面部46BL、第3の底面部46BCにより囲まれる内側部分には、コンタクト支持体14が挿入される開口部46bが形成されている。これにより、開口部46bを形成する第1の底面部46BRおよび第2の底面部46BLの周縁部は、コンタクト支持体14の位置規制用端面14ERおよび14ELにより案内されることとなる。
【0069】
また、第1の底面部46BRおよび第2の底面部46BLにおける開口部46bを形成する周縁の一部には、それぞれ、押圧手段として、折曲部46Baおよび46Bbが形成されている。なお、斯かる例においても、折曲部46Baおよび46Bbは、上述の例と同様な作用効果を奏する。
【0070】
折曲部46Baは、開口部46bの周縁に対し略平行な直線46aに沿ってガイド溝形成部材の底面に向けて所定の角度で折り曲げられている。直線46aは、第1の底面部46BRの後端から第3の底面部46B近傍まで延在している。これにより、トレイ部材46がカード/トレイ部材収容部に挿入されていない場合、折曲部46Baの端面が、第1の底面部46BRの他の部分、第2の底面部46BL、および、第3の底面部46BCにより形成される共通の平面よりも下方に所定の高さだけ突出することとなる。
【0071】
折曲部46Bbは、開口部46bの周縁に対し略平行な直線46cに沿ってガイド溝形成部材の底面に向けて所定の角度で折り曲げられている。直線46cは、第2の底面部46BLの後端から第3の底面部46B近傍まで延在している。これにより、トレイ部材46がカード/トレイ部材収容部に挿入されていない場合、折曲部46Bbの端面が、第2の底面部46BLの他の部分、第1の底面部46BR、および、第3の底面部46BCにより形成される共通の平面よりも下方に所定の高さだけ突出することとなる。
【符号の説明】
【0072】
10 カバー部材
12 ベース部材
14 コンタクト支持部材
14ER、14EL 位置規制用端面
16、26、36、46、56、66 トレイ部材
16Ba,26Ba,26Bb,36Ba,46Ba,46Bb,56Ba,66Ba 折曲部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICカードの電極部に電気的に接続される接点部を有するコンタクト端子を支持するコンタクト支持部材を含んでなるベース部材と、
樹脂材料で成形され、前記コンタクト支持部材における相対向する一対の位置規制用端面に係合される開口部と、該開口部周辺に、前記ICカードを着脱可能に収容するカード収容部とを底部に有し、前記ベース部材に対し着脱可能に配されるトレイ部材とを備え、
前記トレイ部材が前記ベース部材に配されるとき、前記ベース部材の底部を押圧する少なくとも一つの折曲部が前記トレイ部材の開口部の周縁に形成されることを特徴とするICカード用コネクタ。
【請求項2】
前記ベース部材における前記コンタクト支持部材が、樹脂材料で成形され、該コンタクト支持部材を除く該ベース部材の他の部分がステンレス鋼板で形成されることを特徴とする請求項1記載のICカード用コネクタ。
【請求項3】
前記トレイ部材が前記ベース部材に配される場合、前記トレイ部材における折曲部は、該ベース部材の底部を押圧し、前記トレイ部材が前記ベース部材から取り外される場合、前記トレイ部材における折曲部は、前記ベース部材の底部に向けて突出していることを特徴とする請求項1記載のICカード用コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−159581(P2011−159581A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−22245(P2010−22245)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【出願人】(000177690)山一電機株式会社 (233)
【Fターム(参考)】