説明

ICカード用コネクタ

【課題】カード収容部内に挿入またはカード収容部から排出されるICカードの先端部を確実に検出し、かつ、カード収容部の低背化を図る。
【解決手段】カードエンド検出スイッチ18、および、押圧レバー部材16が、側壁10LWにおけるカードスロット10CSの一部を形成する周縁に設けられ、第1のICカードSDCまたは第2のICカードの先端部で反時計回り方向に押圧される押圧レバー部材16の押圧面により、カードエンド検出スイッチ18の可動端子18Aの折曲片部が押圧され、折曲片部の接点部が、固定端子18Bの接点部に当接され、また、第1のICカードSDCまたは第2のICカードの先端部がカードスロット10CSから排出される場合、可動端子18Aにおける折曲片部は、それ自体の復元力により、押圧レバー部材16を時計回り方向に押圧し初期位置まで戻すとともに、折曲片部の接点部が、固定端子18Bの接点部に対し離隔する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードエンド検出スイッチを備えるICカード用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
ICカード用コネクタは、例えば、電子機器内の配線基板上に配され、ICカードを着脱可能に収容するカード収容部を有している。また、そのようなカード収容部においては、例えば、特許文献1にも示されるように、そのカードスロットを通じて侵入したICカードの先端部を確実に検出するカード残存検知スイッチ、および、レバーを有するシャッタをカード収容部に備えるものが提案されている。レバーを有するシャッタは、両端の軸部によって、カード収容部に対し回動可能にカードスロットの周縁で支持されている。ICカードがカード収容部に挿入されない場合、起立した状態でカードスロットを覆っている。また、シャッタは、ICカードがカード収容部に挿入される場合、ICカードによって内方のカード収容部に向けて押し倒されるように回動し、カードスロットを通じたICカードの進入を許容するものとされる。さらに、シャッタは、ICカードがカード収容部から取り出された後、その軸部に設けられる軸ばねの弾性力によりカードスロットを覆う状態に戻される。
【0003】
挿入されるICカードの先端部により、シャッタがカード収容部の内方に向けて押圧される場合、即ち、ICカードの先端部がカード収容部に進入されるとき、そのシャッタのレバーは、カードスロットの周縁に設けられるカード残存検知スイッチの一方の可動片を押圧するものとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−139212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1に示されるように、シャッタは挿入されるICカードによって内方のカード収容部に向けて押し倒される。従って、カード収容部にはシャッタが押し倒された場合に、シャッタがICカードの挿入を妨げない位置にシャッタを回避させておくための厚みを必要とする。そのためカード収容部におけるICカードの厚さ方向に沿った高さがより高くなり、ICカード用コネクタの低背化の要望に反するという問題を伴うこととなる。
【0006】
以上の問題点を考慮し、本発明は、カードエンド検出スイッチを備えるICカード用コネクタであって、カード収容部内に挿入またはカード収容部から排出されるICカードの先端部を確実に検出することができ、しかも、カード収容部の低背化を図ることができるICカード用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明に係るICカード用コネクタは、少なくとも一つのICカードがカードスロットを通じて着脱可能に配され、ICカードの電極部を電気的に接続するコンタクト端子を有するカード収容部を備えるベース部材と、ベース部材の少なくとも一方の側壁におけるカードスロットの周縁に、ICカードの着脱に応じてカード収容部内に突出する突出位置またはカード収容部から退避する退避位置をとるとともに、ベース部材の底面に対し直交する回動軸線の回りに回動可能に配され、ICカードを案内する案内溝を有する押圧レバー部材と、ICカードの挿入操作に応じて押圧レバー部材の押圧面で押圧される可動端子と、固定端子とを有し、ICカードの先端部がカードスロットに到達し通過したことを検出し、検出出力を送出するカードエンド検出スイッチと、を備え、カードエンド検出スイッチの可動端子は、ICカードの排出操作に応じて押圧レバー部材を突出位置に戻すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るICカード用コネクタによれば、ICカードの挿入操作に応じて押圧レバー部材の押圧面で押圧される可動端子と、固定端子とを有し、ICカードの先端部がカードスロットを通過したことを検出し、検出出力を送出するカードエンド検出スイッチを備えるのでカード収容部内に挿入またはカード収容部から排出されるICカードの先端部を確実に検出することができ、しかも、その押圧レバー部材が、ベース部材の底面に対し直交する回動軸線の回りに回動可能に配されるのでカード収容部の低背化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係るICカード用コネクタの第1実施例におけるベース部材を示す平面図である。
【図2】図1に示される例において、ベース部材をコンタクト端子固定壁から見た斜視図である。
【図3】図2におけるA部を拡大して示す斜視図である。
【図4】(A)および(B)は、それぞれ、図1に示される例において用いられる押圧レバー部材を示す斜視図である。
【図5】(A)は、図4(A)に示される斜視図における平面図であり、(B)は、図4(B)に示される斜視図における立面図であり、(C)は、図4(A)に示される斜視図における側面図である。
【図6】(A)および(B)は、それぞれ、図1に示される例における動作説明に供される図である。
【図7】本発明に係るICカード用コネクタの第2実施例の外観を示す斜視図である。
【図8】図7に示される例において、カバー部材を取り外した状態を示す斜視図である。
【図9】図7におけるA部を部分的に拡大して示す斜視図である。
【図10】図8におけるB部を部分的に拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明に係るICカード用コネクタの第1実施例を示す。
【0011】
図1において、ICカード用コネクタは、例えば、車載用ナビゲーションシステム、携帯電話機、電話機、PDA、カメラ等の電子機器の内部に配される基板上に設けられる。ICカード用コネクタは、そのカード収容部に着脱可能に収容される第1のICカードSDCの電極部(図6(A)、(B)参照)、または、第2のICカードの電極部(不図示)と所定の電子機器の内部に配される信号入出力用等の基板(不図示)の接続端子部とを電気的に接続するものとされる。第1のICカードSDCは、例えば、SDカード(secure degital card)(商標)とされる。また、第2のICカードは、例えば、第1のICカードSDCの横断面形状と異なる横断面を有するMMC(multi media card)カード(商標)とされる。第1のICカードSDCは、図6(A)に示されるように、先端に面取り部が形成される一方の側部に、切欠部SDaを有する。また、第1のICカードSDCは、相対向する他方の側部に形成される切欠部SDb内に移動可能なライトプロテクトスイッチSDBを有している。
【0012】
ICカード用コネクタは、収容される第1のICカードSDCまたは第2のICカードに対する電気的接続を行う複数のコンタクト端子等が配列されるベース部材10と、ベース部材10と協働して各ICカードのカード収容部を形成するカバー部材(不図示)とを含んで構成されている。
【0013】
ベース部材10におけるカード収容部10Aは、上方、および後述するコンタクト端子固定部側とは反対側の端部が、開口している。
【0014】
従って、上述のカバー部材によりベース部材10が覆われることにより、カード収容部10Aの一方の端部に第1のICカードSDCおよび第2のICカードのうちの一方が選択的に通過される共通のカードスロット10CSが形成されることとなる。その共通のカードスロット10CSとしての開口端部は、挿入される第1のICカードSDCおよび第2のICカードの形状寸法に対応した形状の横断面を有している。
【0015】
ベース部材10は、例えば、成形樹脂材料で一体に成形されている。ベース部材10は、第1のICカードSDCおよび第2のICカードが着脱可能に収容されるカード収容部10Aの両側部をそれぞれ形成する側壁10RW、10LWと、コンタクト端子14ai(i=1〜9)が配されるコンタクト端子固定壁部10BWと、それらを連結する底壁部とを含んで構成されている。
【0016】
複数のコンタクト端子14aiは、例えば、所定の相互間隔で側壁10RW,10LWに対して略平行に、カード収容部10Aにおけるコンタクト端子固定壁部10BWに近い部分に配列されている。
【0017】
側壁10RWの内側部分には、第1のICカードSDCまたは第2のICカードをカード収容部10Aに保持するとともに、カード収容部10Aから第1のICカードSDCまたは第2のICカードを選択的に排出するイジェクタ機構12が設けられている。
【0018】
イジェクタ機構12は、ベース部材10に対し移動可能に支持され、第1のICカードSDCまたは第2のICカードを選択的に保持するイジェクタ部材24と、ベース部材10のコンタクト端子固定壁部10BWに隣接する壁およびイジェクタ部材24相互間に介装され、イジェクタ部材24を第1のICカードSDCまたは第2のICカードの排出方向に付勢するコイルスプリング26と、第1のICカードSDCまたは第2のICカードの着脱操作に応じてイジェクタ部材24を選択的にベース部材10に対し保持または解放する制御を行うイジェクタ部材制御部と(不図示)、を含んで構成されている。
【0019】
イジェクタ部材24は、薄板金属材料でプレス加工により一体に成形されており、カード収容部10Aに向けて突出し、図6(B)に示されるように、第1のICカードSDCの先端部および面取り部を保持するカード保持部24aを有している。また、イジェクタ部材24におけるカード収容部10Aに対向する内側の側面には、第1のICカードSDCの切欠部SDaに係止される弾性変位可能なロック片24LSが設けられている。
【0020】
イジェクタ部材制御部は、例えば、特開2004−311416号公報にも示されるようなイジェクタ部材24における側壁10RW側に形成された略ハート形状のカム要素(ハートカム)と、ハートカムの周囲に形成された複数の段差部からなるレバー案内溝と、一方の端部が側壁10RWの孔に連結され、他方の端部がレバー案内溝に沿って摺動せしめられる門形状のカムレバーと、上述のカバー部材の押えバネとを含んで構成されている。
【0021】
側壁10LWにおけるカードスロット10CSの一部を形成する周縁には、第1の検出スイッチとしてのカードエンド検出スイッチ18と、押圧レバー部材16とが設けられている。
【0022】
カードエンド検出スイッチ18は、押圧レバー部材16の回動動作を検出することにより、第1のICカードSDCまたは第2のICカードの先端部の侵入または排出を検出するものとされる。
【0023】
カードエンド検出スイッチ18は、可動端子18Aと、固定端子18Bとから構成されている。可動端子18Aと、固定端子18Bとは、互いに略平行となるように側壁10LWに配されている。固定端子18Bの先端部には、下側の孔10LWpに向けて突出する突出片(不図示)が設けられている。この突出片は、ベース部材10の側壁10LWに形成された孔10LWp内を可動可能に配置されている。これにより、その固定端子18Bの先端部の突出片の動きは、孔10LWpによって規制される。従って、固定端子18Bの過剰な変形が防止される。また、固定端子18Bの先端部の突出片が形成される位置よりもさらに最先端に近い可動端子18Aに対向する面には、後述する可動端子18Aの接点部が選択的に当接する固定側接点部が形成されている。
【0024】
可動端子18Aは、側壁10LWに圧入される固定片部と、固定片部と一体に形成され、接点部を先端に有し後述する押圧レバー部材16の押圧面16Tにより押圧される折曲片部とから構成されている。その折曲片部は、常時、後述する押圧レバー部材16の押圧面16Tに当接し上述の固定端子18Bの固定側接点部に対し近接または離隔するように、弾性変位可能とされる。また、その折曲片部は、押圧レバー部材16の押圧面16Tにより押圧され固定端子18Bの固定側接点部に当接する可動側接点部を先端に有している。
【0025】
これにより、図6(A)および(B)に示されるように、第1のICカードSDCまたは第2のICカードの先端部で反時計回り方向に押圧される押圧レバー部材16の押圧面16Tにより、折曲片部が押圧される場合、可動端子18Aにおける折曲片部の可動側接点部が、固定端子18Bの固定側接点部に対し当接される。その際、カードスロットを通過した第1のICカードSDCまたは第2のICカードの先端部が押圧レバー部材16の案内溝16Gの端部から所定量ΔDだけ侵入した時点で、押圧レバー部材16が、後述する初期位置とされる所定の角度αから反時計回り方向にさらに所定角度、回転されたとき、可動端子18Aにおける折曲片部の可動側接点部が、固定端子18Bの固定側接点部に対し当接される。
【0026】
従って、カードエンド検出スイッチ18は、第1のICカードSDCまたは第2のICカードの先端部の侵入開始をあらわす信号を送出する信号回路の一部を形成する。
【0027】
また、第1のICカードSDCまたは第2のICカードの先端部がカードスロット10CSから排出される場合、可動端子18Aにおける折曲片部は、それ自体の復元力により、押圧レバー部材16の押圧面16Tを時計回り方向に押圧し上述の初期位置まで戻すとともに、可動端子18Aにおける折曲片部の可動側接点部が、固定端子18Bの固定側接点部に対し離隔する。従って、カードエンド検出スイッチ18は、排出される第1のICカードSDCまたは第2のICカードの先端部の位置が押圧レバー部材16の案内溝16Gの端部から所定量ΔD未満の位置に到達したことをあらわす信号を送出し、即ち、第1のICカードSDCまたは第2のICカードの概ね全体が排出されたことをあらわす信号を送出する信号回路の一部を形成することとなる。
【0028】
押圧レバー部材16は、図4(A)および(B)に拡大されて示されるように、係止面部16Kおよび押圧面16Tと、第1のICカードSDCの段部を案内する案内溝16Gとを有する上部案内部と、摺接面16Bを有する下部案内部と、側壁10LWの端部に設けられる孔10Dに回動可能に支持される軸部16Sとから構成されている。
【0029】
上部案内部における案内溝16Gは、カードスロット10CS近傍でカード収容部10Aに向き合い、第1のICカードSDCの着脱方向に沿って延在している。案内溝16Gは、図5(A)、(B)、および、(C)に示されるように、摺接面16Bに対し略平行な第1の案内面16SDと、案内面16SDに対し垂直に形成される第2の案内面16SSとにより囲まれて形成されている。第1のICカードSDCまたは第2のICカードが挿入される以前においては、第2の案内面16SSは、図6(A)に示されるように、側壁10LWの側面における仮想の延長した面と所定の角度αで交差するように傾斜している。従って、第2の案内面16SSおよび第1の案内面16SDに連なる側面16SEの一端は、カード収容部10Aの内方に向けて突出している。また、第2の案内面16SSにおけるカードスロット側の他端から相対向する側壁10RWの内側に形成される案内面までの距離Lcは、第1のICカードSDCの横幅寸法Scよりも若干大に設定されている。これにより、挿入される第1のICカードSDCまたは第2のICカードの先端部の一方の角が、必ず第2の案内面16SSまたは側面16SEに当接せしめられることとなる。
【0030】
また、上部案内部における第2の案内面16SSに連なって上端面16SUが形成されている。摺接面16Bから上端面16SUまでの高さ16Hは、図3に示されるように、上述のカードスロットの一部を形成する壁の高さ10Hと略同一に設定されている。これにより、図示が省略されるカバー部材とベース部材10の開口端部とにより形成されるカードスロットの周縁において、上端面16SUとカバー部材の内周面との間の隙間が、比較的小となるので例えば、第1のICカードSDCの挿入時、第1のICカードSDCのガタツキが防止され、その結果、第1のICカードSDCが円滑に案内される。また、摺接面16Bから上端面16SUまでの高さ16Hは、上端面16SUに連なる係止面部16Kおよび押圧面16Tが形成される部分の上端面から摺接面16Bまでの寸法に比して大に設定されているので摺接面16Bから上端面16SUまでの部分は、軸部16Sを補強することとなる。
【0031】
第2の案内面16SSは、第1のICカードSDCおよび第2のICカードにおける一方の側面を案内するものとされる。第1のICカードSDCおよび第2のICカードにおける他方の側面は、側壁10RWにおけるカードスロットの周縁に形成される案内壁により案内される。第1のICカードSDCが、第1の案内面16SDと第2の案内面16SSとにより、案内されることにより、より安定した挿入操作が可能となる。また、図5(C)に示されるように、第1の案内面16SDに連なる側面16SEが、主に、第1のICカードSDCの段差部の側面を案内するとともに、第2の案内面16SSが第1のICカードSDCの側面を案内することとなる。
【0032】
押圧面16Tは、上部案内部における第2の案内面16SSに対向し上述のカードエンド検出スイッチ18の可動端子18Aに向かい合うように形成されている。また、押圧面16Tに連なる係止面部16Kは、側壁10LWにおけるストッパ部10Lws(図6(B)参照)に係合するように窪み内に形成されている。ストッパ部10Lwsにより、回動する押圧レバー部材16の動きが規制されるため、カードエンド検出スイッチ18の可動端子18Aの過剰な変形が防止される。
【0033】
下部案内部の摺接面16Bは、図3に部分的に拡大されて示されるように、側壁10LWの端部の凹部10Lwaに形成される孔10Dの周囲に、ベース部材10の底面に対し略平行な平坦面10Lwbに当接される。なお、孔10Dは、貫通した孔であっても、有底の孔であってもよい。
【0034】
軸部16Sの外周部と下部案内部の摺接面16Bとの間には、図4(B)に示されるように、円弧状の隙間16Rが形成されている。その隙間16Rには、図2および図3に示される孔10Dの円弧状の周縁が係合される。
【0035】
第2の案内面16SSにおけるカードスロット側の他端から相対向する側壁10RWの内側に形成される案内面までの距離Lcは、第1のICカードSDCの横幅寸法Scよりも若干大に設定されている。これにより、挿入される第1のICカードSDCまたは第2のICカードの先端部の一方の角が、必ず第2の案内面16SSまたは側面16SEに当接せしめられることとなる。
【0036】
なお、上述の例においては、挿入される第1のICカードSDCまたは第2のICカードの先端部の一方の角が、必ず押圧レバー部材16の第2の案内面16SSまたは側面16SEの端部に確実に当接せしめられるように、上述の図6(A)における所定の距離Lcが、第1のICカードSDCの横幅寸法Scよりも若干大に設定されているが、斯かる例に限られることなく、第1のICカードSDCの横幅とは異なる横幅を有する他のICカード、例えば、第1のICカードSDCの横幅の短いメモリスティック(登録商標)のような他のICカードにおいては、その距離Lcがメモリスティックの横幅よりも若干大に設定されることにより、メモリスティック用のカードコネクタに対し本発明に係るICカード用コネクタの一例が適用されてもよいことは勿論である。さらに、側壁10LWにおける第1の検出スイッチとしてのカードエンド検出スイッチ18に隣接して、ライトプロテクトスイッチ検出用スイッチ20、および、ロック/アンロック検出スイッチ22が設けられている。
【0037】
ライトプロテクトスイッチ検出用スイッチ20は、第1のICカードSDCのライトプロテクトスイッチSDBの位置を検出するものとされる。ライトプロテクトスイッチ検出用スイッチ20は、可動接点部を有する可動片部20Bと、可動片部20Bの接点部が選択的に当接する固定片部20Aとから構成されている。これにより、可動片部20Bの可動接点部がライトプロテクトスイッチSDBにより押圧されることによって固定片部20Aに当接される場合、ライトプロテクトスイッチ検出用スイッチ20は、ライトプロテクトスイッチSDBがオフ状態であることをあらわすハイレベルの信号を送出することとなる。一方、可動片部20Bの可動接点部がライトプロテクトスイッチSDBにより押圧されない場合、ライトプロテクトスイッチ検出用スイッチ20は、ライトプロテクトスイッチSDBがオン状態であることをあらわすローレベルの信号を送出することとなる。
【0038】
第2の検出スイッチとしてのロック/アンロック検出スイッチ22は、カード収容部10A内に装着された第1のICカードSDCまたは第2のICカードのロック状態またはアンロック状態を検出するものとされる。ロック/アンロック検出スイッチ22は、ロック状態とされるイジェクタ部材24に保持される第1のICカードSDCの先端部の角により押圧される接点部を有する可動片部22Bと、可動片部22Bの接点部が選択的に当接する固定片部22Aとから構成されている。これにより、可動片部22Bが第1のICカードSDCまたは第2のICカードの先端部の角により押圧される場合、その接点部が固定片部22Aに当接されるとき、ロック/アンロック検出スイッチ22は、第1のICカードSDCまたは第2のICカードが装着完了状態をあらわすハイレベルの信号を送出する。一方、可動片部22Bが押圧されない場合、その接点部と固定片部22Aが互いに離隔し、ロック/アンロック検出スイッチ22は、第1のICカードSDCまたは第2のICカードの先端部の角が到来していないことをあらわすローレベルの信号を送出する。
【0039】
従って、上述のカードエンド検出スイッチ18が所定の信号を送出し、かつ、ロック/アンロック検出スイッチ22が所定の信号を送出する場合、ICカードコネクタにおける各スイッチからの信号が供給される電子機器内の制御ユニット(不図示)は、上述の検出出力に基づいて図6(B)において二点鎖線で示されるように、第1のICカードSDCまたは第2のICカードのカード収容部内への装着が完了したと判断することとなる。
【0040】
図7は、本発明に係るICカード用コネクタの第2実施例を示す。
【0041】
図1に示される例においては、カードエンド検出スイッチ18は、その可動端子18Aと、その固定端子18Bは、互いに略平行となるように側壁10LWに配されている。一方、図7に示される例においては、カードエンド検出スイッチが、側壁10LWに配される可動端子34Aと、カバー部材32に一体に形成される固定端子32Bとから構成されている。なお、図7および図8においては、図1に示される例における同一の構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
【0042】
ICカード用コネクタは、収容される第1のICカードSDCまたは第2のICカードに対する電気的接続を行う複数のコンタクト端子等が配列されるベース部材30と、ベース部材30と協働して各カードのカード収容部を形成するカバー部材32とを含んで構成されている。
【0043】
門形状の断面形状を有するカバー部材32は、薄板の金属材料で形成されている。カバー部材32の上面には、複数箇所に形成される開口部内に、ブレーキ片が形成されている。これにより、第1のICカードSDCまたは第2のICカードが排出されるとき、ブレーキ片が、第1のICカードSDCまたは第2のICカードを制動させる。
【0044】
カバー部材32における一方の側面32LSには、図9に拡大されて示されるように、開口部の周縁に一体に連結されカードエンド検出スイッチの一部を構成する略長方形の固定端子32Bが設けられている。固定端子32Bの内面に形成される接点部(不図示)は、後述する可動端子34Aの接点部に相対向して形成されている。固定端子32Bは、図示が省略される接地端子に電気的に接続されている。
【0045】
ベース部材30におけるカード収容部30Aは、上方、および後述するコンタクト端子固定部側とは反対側の端部が、開口している。
【0046】
従って、上述のカバー部材32によりベース部材30が覆われることにより、カード収容部30Aの一方の端部に、第1のICカードSDCおよび第2のICカードのうちの一方が選択的に通過される共通のカードスロット30CSが形成されることとなる。その共通のカードスロット30CSとしての開口端部は、挿入される第1のICカードSDCおよび第2のICカードの形状寸法に対応した形状の横断面を有している。
【0047】
ベース部材30は、例えば、成形樹脂材料で一体に成形されている。ベース部材30は、第1のICカードSDCおよび第2のICカードが着脱可能に収容されるカード収容部30Aの両側部をそれぞれ形成する側壁30RW、30LWと、コンタクト端子14ai(i=1〜9)が配されるコンタクト端子固定壁部30BWとを含んで構成されている。
【0048】
複数のコンタクト端子14aiは、例えば、所定の相互間隔で側壁30RW,30LWに対して略平行に、カード収容部30Aにおけるコンタクト端子固定壁部30BWに近い部分に配列されている。
【0049】
側壁30RWの内側部分には、第1のICカードSDCまたは第2のICカードをカード収容部30Aに保持するとともに、カード収容部30Aから第1のICカードSDCまたは第2のICカードを選択的に排出するイジェクタ機構12が設けられている。
【0050】
側壁30LWにおけるカードスロット30CSの一部を形成する周縁には、第1の検出スイッチとしてのカードエンド検出スイッチと、押圧レバー部材16とが設けられている。
【0051】
カードエンド検出スイッチは、押圧レバー部材16の回動動作を検出することにより、第1のICカードSDCまたは第2のICカードの先端部の侵入または排出を検出するものとされる。
【0052】
カードエンド検出スイッチは、上述したように、可動端子34Aと、固定端子32Bとから構成されている。可動端子34Aは、側壁30LWに圧入される固定片部と、固定片部と一体に形成され、接点部を先端に有し後述する押圧レバー部材16の押圧面16Tにより押圧される折曲片部とから構成されている。その折曲片部は、常時、後述する押圧レバー部材16の押圧面16Tに当接し固定端子部32Bの接点部に対し近接または離隔するように、弾性変位可能とされる。また、その折曲片部は、側壁30LWの端部の凹部30Lwa近傍に形成される開口部30Lwcを通じて固定端子32Bに対し近接または離隔可能とされる。
【0053】
これにより、第1のICカードSDCまたは第2のICカードの先端部で反時計回り方向に押圧される押圧レバー部材16の押圧面16Tにより、折曲片部が押圧される場合、可動端子34Aにおける折曲片部の接点部が、固定端子32Bの接点部に対し当接される。従って、そのカードエンド検出スイッチは、第1のICカードSDCまたは第2のICカードの先端部の侵入をあらわす信号を送出する信号回路の一部を形成する。
【0054】
また、第1のICカードSDCまたは第2のICカードの先端部がカードスロット30CSから排出される場合、可動端子34Aにおける折曲片部は、それ自体の復元力により、押圧レバー部材16を時計回り方向に押圧し初期位置まで戻すとともに、可動端子34Aにおける折曲片部の接点部が、固定端子32Bの接点部に対し離隔する。従って、カードエンド検出スイッチは、第1のICカードSDCまたは第2のICカードの先端部の排出をあらわす信号を送出する信号回路の一部を形成する。
【0055】
従って、上述のカードエンド検出スイッチがハイレベルの信号を送出し、かつ、上述のロック/アンロック検出スイッチ22がハイレベルの信号を送出する場合、ICカードコネクタにおける各スイッチからの信号が供給される電子機器内の制御ユニット(不図示)は、上述の検出出力に基づいて第1のICカードSDCまたは第2のICカードのカード収容部内への装着が完了したと判断することとなる。
【符号の説明】
【0056】
10、30 ベース部材
10CS,30CS カードスロット
14ai コンタクト端子
16 押圧レバー部材
16G 案内溝
16SD 第1の案内面
16SS 第2の案内面
18 カードエンド検出スイッチ
22 ロック/アンロック検出スイッチ
32 カバー部材
SDC 第1のICカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのICカードがカードスロットを通じて着脱可能に配され、該ICカードの電極部を電気的に接続するコンタクト端子を有するカード収容部を備えるベース部材と、
前記ベース部材の少なくとも一方の側壁における前記カードスロットの周縁に、前記ICカードの着脱に応じて前記カード収容部内に突出する突出位置または該カード収容部から退避する退避位置をとるとともに、前記ベース部材の底面に対し直交する回動軸線の回りに回動可能に配され、前記ICカードを案内する案内溝を有する押圧レバー部材と、
前記ICカードの挿入操作に応じて前記押圧レバー部材の押圧面で押圧される可動端子と、固定端子とを有し、前記ICカードの先端部が前記カードスロットに到達し通過したことを検出し、検出出力を送出するカードエンド検出スイッチと、を備え、
前記カードエンド検出スイッチの可動端子は、前記ICカードの排出操作に応じて前記押圧レバー部材を前記突出位置に戻すことを特徴とするICカード用コネクタ。
【請求項2】
前記ベース部材は、前記押圧レバー部材の回動を規制するストッパ部材を有することを特徴とする請求項1記載のICカード用コネクタ。
【請求項3】
前記押圧レバー部材の案内溝は、前記カード収容部に装着可能な二種類のICカードのうちの一枚のICカードを案内することを特徴とする請求項1記載のICカード用コネクタ。
【請求項4】
前記カードエンド検出スイッチの固定端子が、前記カード収容部を覆う金属製カバー部材に一体に形成されることを特徴とする請求項1記載のICカード用コネクタ。
【請求項5】
前記押圧レバー部材は、前記押圧面が前記一方の側壁の側面における仮想の延長した面と所定の角度で交差するように傾斜し、前記押圧レバー部材は、前記カード収容部において装着される所定幅を有するICカードの先端部が当接される位置から該カード収容部の内方に向けて突出していることを特徴とする請求項1または2記載のICカード用コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−227707(P2011−227707A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96880(P2010−96880)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(000177690)山一電機株式会社 (233)
【Fターム(参考)】