説明

ICカード

【課題】 十分なセキュリティを確保しかつ使用勝手を損なうことないICカードを提供する。
【解決手段】 生体情報を取得する生体認証部10と、信号の入出力を行う入出力部12と、上記生体認証部10および上記入出力部12からの信号に基づいてアプリケーションに対する有効状態と無効状態とを切り替える処理部とを備え、上記処理部は、上記入出力部12から終了信号を受信した場合にアプリケーションに対して無効状態に切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ICカード(スマートカード)は、IC(集積回路)チップを搭載したカードであり、磁気ストライプカードと比較して、高情報容量化、セキュリティ性向上(偽変造、不正使用の防止)、複数のアプリケーションに対応可能、ホスト負荷軽減(オフライン処理が可能)等の特徴を有する。このため、クレジットカードやキャッシュカードの他、電子マネー、電子商取引、医療保健分野、鉄道・バスなどの交通分野やビルの入退出管理等への展開が盛んに行われ始めている。これに伴い、更なるセキュリティ向上(情報保護、アクセス制限等)の目的から、指紋センサ等の生体認証部を搭載した個人認証機能付きICカードが提案されている。
【0003】
このような個人認証機能付きICカードとしては、例えば、特許文献1に記載された技術が知られている。また、特許文献2には、ICカードの使用目的や機能に応じて、例えば有効期限(時間)やアプリケーションの使用環境等によりパラメータを設定する機能が開示されている。特許文献2に開示された技術によればICカードが有効状態になっている時間やセキュリティレベルを任意に変更でき、例えば使用勝手を損なわない程度に有効時間を設定することが可能となる。
【特許文献1】特開2004−64650号公報
【特許文献2】特開2004−178141号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、有効状態になっている時間を任意に設定できる場合には、有効時間が必要以上に長く設定される可能性もある。このため、有効時間内に第三者がICカードを使用することが可能となり、セキュリティの面において好ましくない。
また、逆に有効時間が短い場合には、ICカードの使用中にICカードが無効状態となる可能性がある。このため、取引が途中で中断される可能性が生じ、その場合には、再度認証からやり直さなければならず、使用勝手を損なうことになる。
また、アプリケーションによって、ICカードの使用時間が異なるため、全てのアプリケーションにおいてセキュリティを確保し、かつ、使用勝手を損なわない有効時間の設定は困難である。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、十分なセキュリティを確保しかつ使用勝手を損なうことないICカードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のICカードは、生体情報を取得する生体認証部と、信号の入出力を行う入出力部と、上記生体認証部および上記入出力部からの信号に基づいてアプリケーションに対する有効状態と無効状態とを切り替える処理部とを備え、上記処理部は、上記入出力部から終了信号を受信した場合にアプリケーションに対して無効状態に切り替えることを特徴とする。
【0007】
このような特徴を有する本発明のICカードは、処理部によって、生体認証部からの信号に基づいてアプリケーションに対して有効状態とされた後に、入出力部を介して終了信号が受信された場合にアプリケーションに対して無効状態とされる。
したがって、アプリケーションが終了した時点においてICカードが確実に無効状態されているため、十分なセキュリティを確保することが可能となる。
また、有効状態とされてから終了信号を受信するまでの間、ICカードの有効状態が維持されるため、取引中にICカードが無効状態となり、取引が中断されることを防止することができ、使用勝手を損なうことはない。
さらには、異なるアプリケーションにおいてICカードを使用した場合等に生じる、ICカードの使用時間のばらつきにも対応することができるため、使用勝手をより向上させることができる。
【0008】
なお、本発明のICカードにおいては、上記生体認証部として、静電容量型指紋センサを用いることができる。
また、本発明のICカードにおいては、上記入出力部として、外部接続端子やアンテナを用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明に係るICカードの一実施形態について説明する。
(ICカードの第1実施形態)
図1は、本第1実施形態のICカードK1を示す斜視図であり、図2は、当該ICカードK1を示す平面図である。
これらの図に示すように、ICカードK1は、2枚のプラスチック等の基材が貼り合わされて形成された基板50と、指紋(生体情報)を取得する指紋センサ10(生体認証部)と、信号の入出力を行う接続用IC端子(外部接続端子,入出力部)12と、スイッチ13と、を備えている。また、基板50の内部には、2枚のプラスチック基材によって挟持されたICチップ等の集積回路(処理部)が設けられている。
次に、図3から図5を参照して、ICカードK1を構成する要部について詳述する。
【0010】
(指紋センサ)
図3は指紋センサ10から入力された情報を処理する処理部40を説明するためのブロック図であり、図4は指紋センサ10の構成を示す模式図である。
図3に示すように、処理部40は、指紋センサ10に取り込まれた指紋パターン(抽出指紋パターン)の特徴抽出を行うデータ処理部41と、特定の指紋パターン(認証指紋パターン)の特徴量等の各種情報を記憶するメモリ42と、データ処理部41により抽出された特徴量とメモリ42に記憶された特徴量とを比較する比較部43と、ICカードK1の動作を制御する制御部44と、を備えている。
【0011】
また、図4に示すように、指紋センサ10は、静電容量型、すなわち凹凸を有する指紋と検出面10aとの間の距離に応じて変化する静電容量を測定して、指紋パターンを検出するようになっている。このような静電容量型の指紋センサ10は、光源が不要であるために薄型化することが容易であり、かつ表面保護層(パッシベーション膜)を適切に選択することによって、耐傷性を向上させることができるという特徴がある。
指紋センサ10は、センサ基板115を有しており、このセンサ基板115上には、所定の間隔を空けて互いに平行に形成された不図示の複数の走査線と、この走査線に対して直交するように所定の間隔を空けて互いに平行に形成された複数の信号線116とが設けられている。
【0012】
複数の走査線と複数の信号線116との交点のそれぞれに対応する位置には、トランジスタ等によって構成されるスイッチング素子112が設けられている。
これらの走査線、信号線116およびスイッチング素子112によって、アクティブマトリクスアレイ113が構成されており、このアクティブマトリクスアレイ113の上には、検出電極111が各スイッチング素子112に対応する位置にマトリックス状に設けられている。
各検出電極111は、アクティブマトリクスアレイ113の全面を覆うように絶縁膜114にて覆われており、絶縁膜114は、ICカードK1の利用者の指Fと接触可能になっている。
なお、アクティブマトリクスアレイ113としては、半導体基板上に形成されたMOSトランジスタアレイ、絶縁基板上に形成された薄膜トランジスタ(TFT)等を用いることができる。
【0013】
このような構成を有する指紋センサ10においては、指Fが検出面10aに接触すると、指Fとマトリックス状に配置された各検出電極111との間に、2次元的に分布する静電容量が発生する(図4のC1,C2,C3等)。この2次元的に分布した各静電容量の値をアクティブマトリクスアレイ113によって電気的に読み出すことにより、指Fの表面に形成された微細な凹凸形状のパターン(抽出指紋パターン)を検出することができる。静電容量方式を用いた指紋センサ10において、人体に帯電した静電気による放電破壊を回避するためには、検出前において、指Fに帯電した静電気を放電し、指Fの電位をスイッチング素子112のグランド(基準電位)Gレベルと略同一の電位にしておくことが必須である。更に、各静電容量の値を安定して検出するためには、検出時において、指Fの電位を所定の電位に固定することが好ましい。
このため、検出電極とは異なる電極、すなわち人体に帯電した静電気を放電させる放電用電極120をICカードK1の基板50上に設けている。
【0014】
また、接続用IC端子12は、ICカードK1と不図示の外部装置との間で情報の送受信を行う際に、外部装置に設けられた端子に接続されるものである。また、接続用IC端子12は、ICカードK1の内部に設けられたICチップに接続されており、外部装置とICチップとの間で入出力信号を送受信するようになっている。
また、スイッチ13は、ICカードK1の電源のOFF状態(電源切の状態)から、ON状態(電源入の状態)に切り替えるためのスイッチとしても機能するようになっている。なお、スイッチ13を設置せず、指紋センサ10に触れることによって電源のOFF状態(電源切の状態)から、ON状態(電源入の状態)に切り替える構成を採用することもできる。
【0015】
また、ICカードK1に内蔵されたICチップは、CPU等の演算回路、ドライバ等の駆動回路、ROMやRAM等のメモリからなる記憶回路を備えている。
そして、このような回路が動作することにより、指紋センサ10等の動作が制御されるようになっている。具体的には、指紋センサ10における入力信号の判定やアプリケーションに対する有効状態と無効状態との切り替え等を行う。また、スイッチ13からの入力、接続用IC端子12を介して入出力される外部装置との通信を行うようになっている。更に、ICチップは、ICカードを利用する複数のアプリケーションや、当該アプリケーションに応じたプログラムや、パスワード等を記憶している。また、ICチップは、外部装置との通信に応じてプログラムを動作させたりする。
【0016】
(ICカードの変形例)
次に、上記のICカードの変形例について説明する。
図5は、本変形例にかかるICカードK2の斜視図である。本変形例においては、ICカードK2が太陽電池14を備えた構成となっている。
当該太陽電池14においては、ICカードK2の外部から照射光が入射することにより、光エネルギを電気エネルギに変換するようになっている。また、ICカードK2の内部には不図示の充電器が設けられており、太陽電池14によって変換された電気エネルギが充電器において充電されるようになっている。
【0017】
また、太陽電池14は、光エネルギを電気エネルギに変換するだけではなく、光照射に伴って電流が流れる機能、所謂光センサとしても機能するようになっている。これにより、太陽電池14は、ICカードK2の電源のOFF状態(電源切の状態)から、外光がICカードK2に照射されることによって、ON状態(電源入の状態)に切り替えるためのスイッチとしても機能するようになっている。
また、このような太陽電池14や、電気エネルギを充電する充電器は、ICカードK2に内蔵されたICチップに接続されており、ICチップは充電器から電源を供給される。
【0018】
(ICカードを利用した取引)
次に、上記のICカードを利用した取引について説明する。
本実施形態においては、銀行等の金融機関におけるATMでの取引をアプリケーションとして、当該取引を例示して説明する。図6は、本実施形態のICカードを用いてATMでの取引業務を行う際のフローチャート図である。
次に、当該フローチャート図に従って取引業務について説明する。
【0019】
まず、ICカードのCPUに電源を入れる(ステップS1)。
当該ステップS1においては、スイッチ13をONにしたり、指紋センサ10に触れたり、また、太陽電池14に外光が入射したりした場合に、CPUの電源がONになる。
【0020】
次に、指紋認証(生体認証)を行う(ステップS2)。
当該ステップS2においては、図4に示すように利用者が指Fを指紋センサ10に触れることにより行われる。そして、指紋認証の結果、利用者の指紋と予め設定された指紋とが一致していない場合には、認証不可となり、ICカードの無効状態が維持される(ステップS3)。
一方、ステップS2の指紋認証の結果、利用者の指紋と予め設定された指紋とが一致した場合には、ICカードが有効状態となり(ステップS4)、外部装置に対するパスワード等が生成される(ステップS5)。これにより、引き続きATMの取引を行うことが可能となる。
【0021】
次に、指紋認証後一定時間が経過しているかを判断する(ステップS6)。
当該ステップS6においては、ICカード内におけるタイマー機能を用いて行われる。そして、判断の結果、一定時間が経過している場合には、ICカードがアプリケーションに対して無効状態に切り替えられる(ステップS7)。
一方、ステップS6の判断の結果、一定時間が経過していない場合には、ICカードの有効状態が維持される(ステップS8)。
【0022】
次に、外部装置のリーダーによってICカードにおいて生成されたパスワードを読み取る(ステップS9)。
具体的には、利用者がICカードを外部装置のリーダーに挿入することによって、ICカードにおいて生成されたパスワードが接続IC端子12を介して外部装置に入力される。なお、ステップS8からステップS9に移行する段階で、ICカード内におけるタイマー機能を解除することが好ましい。これによって、ステップS9、すなわちパスワードの読み取り段階の途中においてICカードが無効状態となることを防止することができ、ICカードの使用勝手が損なわれることはない。
【0023】
次に、外部装置がリーダーに読み込まれたパスワードを解読し、更に、ICカードが利用できるか否か、利用認証の判定が行われる(ステップS10)。
ここで、利用認証が不可である場合(ステップS11)には、利用不可となり、ICカードが無効状態とされる。この場合には、例えば、外部装置の表示部に認証不可の表示がされる。
一方、利用可能である場合には、口座確認が行われる(ステップS12)。これにより、引き続き、ATMの取引を行うことが可能となる。
【0024】
そして、ステップS10の口座確認の結果、利用不可である場合(ステップS13)には、外部装置の表示部に利用不可の表示がされる。そして、ICカードが無効状態とされる。
一方、口座確認の結果、利用可能である場合には、取引が開始される(ステップS14)。そして、本実施形態のICカードは、取引が終了(ステップS15)すると、外部装置から終了信号を接続用IC端子を介して受信し(ステップS16)、この終了信号の受信によって、無効状態となる(ステップS17)。
そして、以上の一連の動作が終了することにより、ICカードが使用終了となる。
【0025】
このような一連のICカードの利用においては、指紋認証を行うことにより、利用者が利用者本人であることが証明できる。そして、本実施形態のICカードによれば、指紋センサ10からの信号に基づいてアプリケーションに対して有効状態とされた後に、接続用IC端子12を介して終了信号が受信された場合にアプリケーションに対して無効状態とされる。
したがって、アプリケーションが終了した時点においてICカードが確実に無効状態されている、逆に言えば、利用者が取引を行う間のみICカードの有効状態が維持される。このため、十分なセキュリティを確保することが可能となる。
また、有効状態とされてから終了信号を受信するまでの間、ICカードの有効状態が維持されるため、取引中にICカードが無効状態となり、取引が中断されることを防止することができ、使用勝手を損なうことはない。
さらには、異なるアプリケーションにおいてICカードを使用した場合等に生じる、ICカードの使用時間のばらつきにも対応することができるため、使用勝手をより向上させることができる。
【0026】
なお、本実施形態においては、金融機関におけるATMでの取引業務をアプリケーションとしたICカードの利用について説明したが、本発明のICカードは、これに限定されるものではなく、各種個人情報を取り扱う機関における他のアプリケーションに利用するICカードや、複数のアプリケーションに対して利用可能なICカードに応用することが可能である。
【0027】
また、本実施形態においては、外部装置との取引が終了した時点において外部装置から終了信号を受け取ることによって、ICカードを無効状態にした。しかしながら、本実施形態の場合には、ステップS9において、外部装置のリーダーによってICカードで生成されたパスワードを読み取った後は、ICカードと外部装置との間において信号の送受信が行われない。このため、ステップS9の直後にステップS15(終了信号の受信)およびステップ16(無効状態への切り替え)を行っても良い。
【0028】
また、本実施形態においては、接続用IC端子12を介してICカードと外部装置との間で信号の送受信を行った。しかしながら、ICカードにループコイル等のアンテナを搭載し、当該アンテナを介して信号の送受信を行っても良い。
【0029】
また、本実施形態においては、生体認証部として指紋センサを用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、生体認証部として静脈認証センサや虹彩認証センサ等を利用することも可能である。
【0030】
また、例えば、外部装置が終了信号を送信する機能を有していない場合には、取引終了後にICカードの有効状態が維持されてしまう。このため、十分なある一定時間が経過した後は、ICカードが無効状態となるように、タイマー機能を設定しておくことが好ましい。なお、十分なある一定時間は、最長のアプリケーションを使用する場合におけるICカードの使用時間よりも十分に長く設定され、取引中にICカードが無効状態とならないような時間に設定される。
【0031】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、図7および図8を参照して説明する。なお、本第2実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分ついては、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0032】
図7は、本第2実施形態のICカードK3の斜視図である。この図に示すように、本第2実施形態のICカードK3は、上記第1実施形態のICカードK1に、更に電気泳動表示デバイス(Electro Phoretic Display、以下、EPDと称する)11を備えて構成されている。
【0033】
図8は、EPD11の断面を示す断面図である。
プラスチック等の可撓性を有するEPD基材211e上に、電極フィルム211d、電気泳動表示層211c、電極フィルム211bおよびこの表示部を保護する表面保護層211aが積層されている。なお、表面保護層211aは省略することも可能である。
電極フィルム211bは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド等の寸法安定性の優れた透明なプラスチックフィルムに電極が形成されているものである。電極フィルム211dも同様な基材の電極が形成されてなるものであるが、必ずしも透明性は要求されない。なお、電極フィルム211bと電極フィルム211dとは、上下動通電極211fにより導通される。
電極フィルム211bは、全面に同一の電位がかかる共通電極となり、一方、電極フィルム211dにはアクティブマトリックス電極或いはセグメント電極等が形成されて駆動電極となる。
【0034】
電気泳動表示層211cを形成するマイクロカプセル211は、アラビアガム・ゼラチンの複合膜、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、尿素樹脂等をカプセル殻とし、カプセル殻の作製方法としては、界面重合法、in−situ重合法、相分離法、界面沈殿法、スプレードライング法、等の公知のマイクロカプセル化手法を採用することができる。内部には泳動粒子と分散媒が封入される。泳動粒子としては有機あるいは無機の粒子(高分子あるいはコロイド)が用いられる。たとえば、アニリンブラック、カーボンブラック等の黒色顔料、二酸化チタン、亜鉛華、三酸化アンチモン等の白色顔料、モノアゾ、ジイスアゾン、ポリアゾ等のアゾ系顔料、イソインドリノン、黄鉛、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、チタンイエロー、アンチモン等の黄色顔料、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、キナクリドンレッド、クロムバーミリオン等の赤色顔料、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー、アントラキノン系染料、紺青、群青、コバルトブルー等の青色顔料、フタロシアニングリーン等の緑色顔料等の1種又は2種以上を用いることができる。分散媒としては無色または染料により染色された水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、メチルセルソルブ等のアルコール系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等の各種エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ぺンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素、シクロへキサン、メチルシクロへキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキシルベンゼン、ヘブチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン等の長鎖アルキル基を有するベンゼン類等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、カルボン酸塩又はその他の種々の油類等の単独又はこれらの混合物に界面活性剤等を配合したものを用いることができる。
【0035】
電気泳動は、電気泳動粒子は予め正または負に帯電させられており、また、分散媒と電気泳動粒子とは、互いに異なる着色がなされている。例えば白の粒子である酸化チタンを正電荷に、一方黒の粒子であるカーボンブラックを負電荷にした場合、二つの電極フィルム211b,211dに電界を印加して、電極フィルム211bが負極、電極フィルム211dが正極になると、正に帯電した白の粒子が電極フィルム211b側に引かれ、黒の粒子が電極フィルム211d側に引かれるので、電極フィルム211bを透明電極としておくことにより、電極フィルム211b側の上方から観察すると、その部分が白く見えるようになる。逆に、電極フィルム211bが正極、電極フィルム211dが負極になった場合には、正に帯電した白の粒子が電極フィルム211d側に引かれ、黒の粒子が電極フィルム211b側に引かれるので、電極フィルム211bの上方から観察するとその部分が黒く見える。
【0036】
EPD11は、上述したマイクロカプセル211を多数有しているので、電極フィルム211b,211dの各アドレス電極の電界を制御することで、所望の文字、数字、或いは記号を白と黒の画素で表示させることができる。
なお、マイクロカプセル211をアクティブマトリックス駆動法で駆動する場合は、電極フィルム211dは画素電極として画素毎に独立してパターニングされ、不図示の薄膜トランジスタ、信号電極、および走査電極を併設し、電極フィルム211bは光透過性基材上に一様に形成された透明な共通電極とする。この場合、電極フィルム211bを共通電極にすると全面同一電位になるので(例えば電位をゼロとする)、電極フィルム211d側の各アドレス電極の電界を制御(正または負の電位を与える)することで、上述した原理に基づき電極位置のマイクロカプセル211内の粒子を移動させ、所望の画像を表示させることができる。同様に、電極フィルム211dを共通電極とし、電極フィルム211b側の各アドレス電極の電界を制御することで、電極位置のマイクロカプセル211内の粒子を移動させることで所望の画像を表示させるようにしてもよい。
時分割駆動の場合は、電極フィルム211b、211dは互いに直交するライン状のITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)等の透明導電体からなる透明電極により構成され、両電極の交わる領域にマイクロカプセル211を配置する。
駆動方式は上述したものに限定されず、用途に応じて最適なものを選択すればよい。また、マイクロカプセル211の径は、種々のものを採用することが可能である。
【0037】
このようなEPD11は、本実施形態においては、処理部40の制御部44によってその動作が制御される。そして、EPD11上には、ICカードの有効状態あるいは無効状態等の適宜必要な情報が表示される。このため、利用者の使用勝手を向上させることが可能となる。
【0038】
なお、本実施形態においては、EDP11に情報を表示する形態について説明したが、例えば、EDP11の代わりにLED等を利用したランプ、液晶表示装置あるいはスピーカ等を設置し、これらのものを使用して利用者に情報を伝達しても良い。
【0039】
また、ICカードに更にメンブレンスイッチ等の操作部を設置し、任意の種々の情報をEPD11に表示するようにしても良い。
【0040】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係るICカードの好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】第1実施形態のICカードを示す斜視図。
【図2】第1実施形態のICカードを示す平面図。
【図3】指紋センサから入力された情報を処理する処理部を示すブロック図。
【図4】指紋センサの構成を示す模式図。
【図5】第1実施形態のICカードの変形例を示す斜視図。
【図6】第1実施形態のICカードを用いて取引業務を行う際のフローチャート図。
【図7】第2実施形態のICカードを示す斜視図。
【図8】電気泳動表示デバイス(EPD)の断面を示す断面図。
【符号の説明】
【0042】
10…指紋センサ(生体認証部)、11…EPD(電気泳動表示デバイス)、12…接続用IC端子(外部接続端子,入出力部)、13…スイッチ、14…太陽電池、40…処理部、K1、K2、K3…ICカード


【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体情報を取得する生体認証部と、信号の入出力を行う入出力部と、前記生体認証部および前記入出力部からの信号に基づいてアプリケーションに対する有効状態と無効状態とを切り替える処理部とを備え、
前記処理部は、前記入出力部から終了信号を受信した場合にアプリケーションに対して無効状態に切り替えることを特徴とするICカード。
【請求項2】
前記生体認証部は、静電容量型指紋センサであることを特徴とする請求項1記載のICカード。
【請求項3】
前記入出力部は、外部接続端子であることを特徴とする請求項1または2記載のICカード。
【請求項4】
前記入出力部は、アンテナであることを特徴とする請求項1または2記載のICカード。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−107334(P2006−107334A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−296219(P2004−296219)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】