説明

ICカード

【課題】 個人情報の漏洩を困難にし、ICカードの使用時のセキュリティを向上させる。
【解決手段】 接触型ICカード1の表面に液晶パネル2および入力キー3を配置し、接触型ICカード1を使用する場合、入力キー3を操作することにより、接触型ICカード1にパスワードを入力し、比較論理部6は、入力キー3から入力されたパスワードとROM7に記憶されたパスワード7aとを比較し、入力キー3から入力されたパスワードとROM7に記憶されたパスワード7aが一致した場合(ステップS3)、ICチップ4に対して個人情報7cの取り込みを許可し、ICチップ4は、個人情報7cの取り込みが許可されると、ROM7に記憶された個人情報7cをRAM4aに取り込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はICカードに関し、特に、ICカードの認証方法に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来のICカードでは、盗難などによって紛失したICカードの不正使用を防止するため、ICカードの使用時にパスワードやID番号を端末機に入力させることが行なわれている。
また、例えば、特許文献1には、不正に入手した暗証番号や生年月日などの個人情報から類推した暗証番号を用いることで、ICカードが不正使用されることを防止するために、ICカードの表面の周囲に複数の感圧センサを配置し、ICカードの使用時に本人のみが記憶しているICカードの特定の位置を押圧した場合にのみ、ICカードの使用を許可する方法が開示されている。
【特許文献1】特開平9−180036号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のICカードでは、ICカードの認証処理が端末機側で行われるため、パスワードやID番号を端末機側に保持させる必要があり、パスワードやID番号の機密情報が漏洩しやすいという問題があった。
また、従来のICカードでは、氏名や取引先や会社名などの個人情報がICカード上に記載されていることがあるため、ICカードを紛失した場合には、それらの個人情報が悪用されるという問題があった。
【0004】
また、特許文献1に開示された方法では、ICカードに感圧センサを配置できる個数には制限がある上に、ICカードの押圧位置を正確に特定することは困難であるために、ICカードの認証精度が低いという問題があった。
そこで、本発明の目的は、個人情報の漏洩を困難にし、使用時のセキュリティを向上させることが可能なICカードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様に係るICカードによれば、パスワードを入力する入力キーと、予め決められたパスワードを記憶する記憶部と、情報の入出力処理を行うICチップと、前記入力キーから入力されたパスワードと前記記憶部に記憶されたパスワードとの比較結果に基づいて、前記ICチップに情報の出力を許可する比較論理部とを備えることを特徴とする。
【0006】
これにより、接触型ICカードに対応しつつ、ICカード自体にパスワードを入力することが可能となり、ICカード上で本人認証を行わせることができる。このため、パスワードやID番号を端末機側に保持させる必要がなくなり、機密情報の漏洩を防止することが可能となるとともに、盗難などによってICカードを紛失した場合においても、ICチップからの情報の読み出しを不可能として、ICカードの不正使用を防止することができる。
【0007】
また、本発明の一態様に係るICカードによれば、パスワードを入力する入力キーと、予め決められたパスワードおよび個人情報を記憶する記憶部と、情報の入出力処理を行うICチップと、前記入力キーから入力されたパスワードと前記記憶部に記憶されたパスワードとの比較結果に基づいて、前記ICチップへの前記個人情報の取り込みを許可する比較論理部とを備えることを特徴とする。
【0008】
これにより、接触型ICカードに対応しつつ、ICカード自体にパスワードを入力することが可能となり、ICカード上で本人認証を行わせることができる。このため、パスワードやID番号を端末機側に保持させる必要がなくなり、機密情報の漏洩を防止することが可能となるとともに、盗難などによってICカードを紛失した場合においても、ICカードからの個人情報の読み出しを不可能として、個人情報の流出を防止することができる。
【0009】
また、本発明の一態様に係るICカードによれば、パスワードを入力する入力キーと、予め決められたパスワード、個人情報および画像データを記憶する記憶部と、情報の入出力処理を行うICチップと、前記画像データを表示する表示部と、前記表示部を駆動する駆動部と、前記入力キーから入力されたパスワードと前記記憶部に記憶されたパスワードとの比較結果に基づいて、前記ICチップへの前記個人情報の取り込みを許可するとともに、前記表示部への前記画像データの表示を許可する比較論理部とを備えることを特徴とする。
【0010】
これにより、接触型ICカードに対応しつつ、ICカード自体にパスワードを入力することが可能となり、ICカード上で本人認証を行わせることができる。このため、パスワードやID番号を端末機側に保持させる必要がなくなり、機密情報の漏洩を防止することが可能となるとともに、盗難などによってICカードを紛失した場合においても、ICカードからの個人情報の読み出しを不可能として、個人情報の流出を防止することが可能となるとともに、本人画像が表示されないようにして、プライバシーなどを保護することができる。
【0011】
また、本発明の一態様に係るICカードによれば、前記画像データが前記表示部に表示されてから一定時間経過後に、前記画像データを前記表示部から消去することを特徴とする。
これにより、本人がICカードを使用した場合においても、その時に最小限必要な時間だけ本人画像を表示部に表示させた上で、本人画像が表示部に必要以上に表示され続けることを防止することができる。このため、本人がICカードを使用した後に、盗難などによってICカードを紛失した場合においても、本人によるICカードの使用に支障を来たすことなく、本人画像が表示されないようにすることができ、プライバシーなどを保護することができる。
【0012】
また、本発明の一態様に係るICカードによれば、前記ICチップに取り込まれた個人情報が外部に読み取られた後、前記ICチップに取り込まれた個人情報を前記ICチップから消去することを特徴とする。
これにより、本人がICカードを使用した場合においても、ICチップに一旦取り込まれた個人情報がICチップにそのまま残ることを防止することができる。このため、本人がICカードを使用した後に、盗難などによってICカードを紛失した場合においても、ICカードからの個人情報の読み出しを不可能とすることができ、本人によるICカードの使用に支障を来たすことなく、個人情報の流出を防止することが可能となる。
【0013】
また、本発明の一態様に係るICカードによれば、前記パスワードの入力、前記パスワードとの比較および前記ICチップへの前記個人情報の取り込みに必要な電力を供給するバッテリまたは太陽電池をさらに備えることを特徴とする。
これにより、端末機などから電力の供給を受けることなく、ICカード自体にパスワードを入力することが可能となるとともに、ICカード上で本人認証を行わせることができる。このため、パスワードやID番号を端末機側に保持させる必要がなくなり、機密情報の漏洩を防止することが可能となるとともに、盗難などによってICカードを紛失した場合においても、ICチップからの情報の読み出しを不可能として、ICカードの不正使用を防止することができる。
【0014】
また、ICカードに太陽電池を組み込むことで、バッテリが切れた場合においても、ICカードの認証機能を動作させることが可能となり、ICカード自体に認証機能を持たせた場合においても、ICカードが使用できなくなることを防止することができる。
また、本発明の一態様に係るICカードによれば、パスワードを入力する入力キーと、予め決められたパスワードを記憶する記憶部と、情報の出力処理を行う情報出力部と、前記情報出力部から出力される信号の周波数を無線周波数に変換するRF部と、前記RF部にて変換された信号を電波として放射するアンテナと、前記入力キーから入力されたパスワードと前記記憶部に記憶されたパスワードとの比較結果に基づいて、前記情報出力部に情報の出力を許可する比較論理部とを備えることを特徴とする。
【0015】
これにより、非接触型ICカードに対応しつつ、ICカード自体にパスワードを入力することが可能となり、ICカード上で本人認証を行わせることができる。このため、パスワードやID番号を端末機側に保持させる必要がなくなり、機密情報の漏洩を防止することが可能となるとともに、盗難などによってICカードを紛失した場合においても、ICカードからの情報の読み出しを不可能として、ICカードの不正使用を防止することができる。
【0016】
また、本発明の一態様に係るICカードによれば、パスワードを入力する入力キーと、予め決められたパスワードおよび個人情報を記憶する記憶部と、情報の出力処理を行う情報出力部と、前記情報出力部から出力される信号の周波数を無線周波数に変換するRF部と、前記RF部にて変換された信号を電波として放射するアンテナと、前記入力キーから入力されたパスワードと前記記憶部に記憶されたパスワードとの比較結果に基づいて、前記情報出力部への前記個人情報の取り込みを許可する比較論理部とを備えることを特徴とする。
【0017】
これにより、非接触型ICカードに対応しつつ、ICカード自体にパスワードを入力することが可能となり、ICカード上で本人認証を行わせることができる。このため、パスワードやID番号を端末機側に保持させる必要がなくなり、機密情報の漏洩を防止することが可能となるとともに、盗難などによってICカードを紛失した場合においても、ICカードからの個人情報の読み出しを不可能として、個人情報の流出を防止することができる。
【0018】
また、本発明の一態様に係るICカードによれば、パスワードを入力する入力キーと、予め決められたパスワード、個人情報および画像データを記憶する記憶部と、情報の出力処理を行う情報出力部と、前記情報出力部から出力される信号の周波数を無線周波数に変換するRF部と、前記RF部にて変換された信号を電波として放射するアンテナと、前記画像データを表示する表示部と、前記表示部を駆動する駆動部と、前記入力キーから入力されたパスワードと前記記憶部に記憶されたパスワードとの比較結果に基づいて、前記情報出力部への前記個人情報の取り込みを許可するとともに、前記表示部への前記画像データの表示を許可する比較論理部とを備えることを特徴とする。
【0019】
これにより、非接触型ICカードに対応しつつ、ICカード自体にパスワードを入力することが可能となり、ICカード上で本人認証を行わせることができる。このため、パスワードやID番号を端末機側に保持させる必要がなくなり、機密情報の漏洩を防止することが可能となるとともに、盗難などによってICカードを紛失した場合においても、ICカードからの個人情報の読み出しを不可能として、個人情報の流出を防止することが可能となるとともに、本人画像が表示されないようにして、プライバシーなどを保護することができる。
【0020】
また、本発明の一態様に係るICカードによれば、前記画像データが前記表示部に表示されてから一定時間経過後に、前記画像データを前記表示部から消去することを特徴とする。
これにより、本人がICカードを使用した場合においても、その時に最小限必要な時間だけ本人画像を表示部に表示させた上で、本人画像が表示部に必要以上に表示され続けることを防止することができる。このため、本人がICカードを使用した後に、盗難などによってICカードを紛失した場合においても、本人によるICカードの使用に支障を来たすことなく、本人画像が表示されないようにすることができ、プライバシーなどを保護することができる。
【0021】
また、本発明の一態様に係るICカードによれば、前記情報出力部に取り込まれた個人情報が外部に読み取られた後、前記情報出力部に取り込まれた個人情報を前記情報出力部から消去することを特徴とする。
これにより、本人がICカードを使用した場合においても、情報出力部に一旦取り込まれた個人情報が情報出力部にそのまま残ることを防止することができる。このため、本人がICカードを使用した後に、盗難などによってICカードを紛失した場合においても、ICカードからの個人情報の読み出しを不可能とすることができ、本人によるICカードの使用に支障を来たすことなく、個人情報の流出を防止することが可能となる。
【0022】
また、本発明の一態様に係るICカードによれば、前記パスワードの入力、前記パスワードとの比較および前記情報出力部への前記個人情報の取り込みに必要な電力を供給するバッテリまたは太陽電池をさらに備えることを特徴とする。
これにより、端末機などから電力の供給を受けることなく、ICカード自体にパスワードを入力することが可能となるとともに、ICカード上で本人認証を行わせることができる。このため、パスワードやID番号を端末機側に保持させる必要がなくなり、機密情報の漏洩を防止することが可能となるとともに、盗難などによってICカードを紛失した場合においても、情報出力部からの情報の読み出しを不可能として、ICカードの不正使用を防止することができる。
【0023】
また、ICカードに太陽電池を組み込むことで、バッテリが切れた場合においても、ICカードの認証機能を動作させることが可能となり、ICカード自体に認証機能を持たせた場合においても、ICカードが使用できなくなることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態に係るICカードについて図面を参照しながら説明する。
図1(a)は、本発明の第1実施形態に係るICカードの概略構成を示す斜視図、図1(b)は、本発明の第1実施形態に係るICカードの内部構成を示すブロック図である。
図1において、接触型ICカード1の表面には、液晶パネル2および入力キー3が配置されるとともに、ICチップ4が埋め込まれ、接触型ICカード1の端部には、外部電源端子5が設けられている。なお、接触型ICカード1の厚さは、例えば、0.67mmとすることができる。ここで、入力キー3は、パスワードや暗証番号などを入力することができ、各キーには、数字やローマ字などを割り当てることができる。また、入力キー3のうちの1個に電源スイッチを割り当ててもよく、入力キー3を操作することで、接触型ICカード1の電源をオン/オフできるようにすることができる。また、各キーには、複数の数字やローマ字などを割り当てるようにしてもよい。また、ICチップ4は、外部端末との間で情報の入出力処理を行い、ICチップ4には、接触型ICカード1を使用するために必要な情報を一時的に記憶するRAM4aが設けられている。
【0025】
また、接触型ICカード1には、パスワードの比較判定処理などを行う比較論理部6、外部から直接読み出しできないように情報を記憶するROM7および液晶パネル2を駆動する液晶コントローラ8が設けられるとともに、接触型ICカード1に電力を供給するバッテリ9が内蔵されている。ここで、ROM7には、予め決められたパスワード7a、接触型ICカード1の所有者本人の画像データ7b、接触型ICカード1を使用するために必要な所有者本人に関する個人情報7cなどを記憶することができる。なお、パスワード7aは、複数桁の数字のみで構成してもよく、数字やローマ字などを混在させて構成してもよい。また、個人情報7cとしては、例えば、接触型ICカード1の所有者本人の氏名、銀行などの取引先名、会社名、学校名、住所、生年月日などを挙げることができる。
【0026】
比較論理部6は、入力キー3から入力されたパスワードとROM7に記憶されたパスワード7aとの比較結果に基づいて、ICチップ4に情報の出力を許可することができる。例えば、比較論理部6は、入力キー3から入力されたパスワードとROM7に記憶されたパスワード7aが一致した場合、ICチップ4に対して個人情報7cの取り込みを許可するとともに、液晶コントローラ8に対して画像データ7bの表示を許可することができる。
【0027】
図2は、本発明の第1実施形態に係るICカード1の動作を示すフローチャートである。
図2において、接触型ICカード1を使用する場合、入力キー3に割り当てられた電源スイッチを押下することにより、接触型ICカード1の電源をオンする(ステップS1)。そして、入力キー3を操作することにより、接触型ICカード1にパスワードを入力する(ステップS2)。ここで、接触型ICカード1にパスワードが入力されると、そのパスワードが比較論理部6に送られるとともに、ROM7に記憶されたパスワード7aが比較論理部6にて読み出される。そして、比較論理部6は、入力キー3から入力されたパスワードとROM7に記憶されたパスワード7aとを比較し、入力キー3から入力されたパスワードとROM7に記憶されたパスワード7aが一致した場合(ステップS3)、ICチップ4に対して個人情報7cの取り込みを許可する。そして、ICチップ4は、個人情報7cの取り込みが許可されると、ROM7に記憶された個人情報7cをRAM4aに取り込む(ステップS4)。
【0028】
そして、接触型ICカード1の所有者は、接触型ICカード1にパスワードを入力すると、接触型ICカード1を端末機に挿入する。そして、端末機は、ICチップ4から個人情報7cを読み出すことにより、その接触型ICカード1の使用を受け付けることができる。
一方、入力キー3から入力されたパスワードとROM7に記憶されたパスワード7aが一致しない場合、ROM7に記憶された個人情報7cがRAM4aに取り込まれない。このため、接触型ICカード1が端末機に挿入された場合においても、端末機は、ICチップ4から個人情報7cを読み出すことができず、接触型ICカード1の使用を拒絶することができる。
【0029】
これにより、接触型ICカード1自体にパスワードを入力することが可能となり、接触型ICカード1上で本人認証を行わせることができる。このため、パスワード7aを端末機側に保持させる必要がなくなり、機密情報の漏洩を防止することが可能となるとともに、盗難などによって接触型ICカード1を紛失した場合においても、接触型ICカード1からの個人情報7cの読み出しを不可能として、個人情報7cの流出を防止することが可能となる。
【0030】
また、入力キー3から入力されたパスワードとROM7に記憶されたパスワード7aが一致した場合(ステップS3)、比較論理部6は、液晶コントローラ8に対して画像データ7bの読み出しを許可する。そして、液晶コントローラ8は、画像データ7bの読み出しが許可されると、ROM7から画像データ7bを読み出す。そして、液晶コントローラ8は、液晶パネル2を駆動するための各種タイミング信号とともに、画像データ7bを液晶パネル2に出力することにより、画像データ7bを液晶パネル2に表示させる(ステップS5)。
【0031】
一方、入力キー3から入力されたパスワードとROM7に記憶されたパスワード7aが一致しない場合、液晶コントローラ8は画像データ7bの読み出しを拒否される。このため、盗難などによって接触型ICカード1を紛失した場合においても、本人画像が液晶パネル2に表示されることを防止することが可能となり、本人画像の悪用を防止することができる。
【0032】
次に、液晶コントローラ8は、画像データ7bが液晶パネル2に表示されてから一定時間経過後に、画像データ7bを液晶パネル2から消去する(ステップS6)。これにより、所有者本人が接触型ICカード1を使用した場合においても、その時に最小限必要な時間だけ本人画像を液晶パネル2に表示させた上で、本人画像が液晶パネル2に必要以上に表示され続けることを防止することができる。このため、所有者本人が接触型ICカード1を使用した後に、盗難などによって接触型ICカード1を紛失した場合においても、所有者本人による接触型ICカード1の使用に支障を来たすことなく、本人画像が液晶パネル2に表示されないようにすることができ、所有者本人のプライバシーなどを保護することができる。
【0033】
次に、ICチップ4に取り込まれた個人情報7cが端末機に読み取られると、ICチップ4に取り込まれた個人情報7cをRAM4から消去する(ステップS7)。これにより、所有者本人が接触型ICカード1を使用した場合においても、ICチップ4に一旦取り込まれた個人情報7cがICチップ4にそのまま残ることを防止することができる。このため、所有者本人が接触型ICカード1を使用した後に、盗難などによって接触型ICカード1を紛失した場合においても、接触型ICカード1からの個人情報7cの読み出しを不可能とすることができ、所有者本人による接触型ICカード1の使用に支障を来たすことなく、個人情報7cの流出を防止することが可能となる。
【0034】
次に、ICチップ4に取り込まれた個人情報7cをRAM4aから消去すると、接触型ICカード1の電源を自動的にオフする(ステップS8)。これにより、接触型ICカード1の使用に支障を来たすことなく、バッテリ9の電力の消耗を抑制することが可能となる。
なお、バッテリ9は、パスワードの入力、パスワードの比較およびICチップ4への個人情報7cの取り込みに必要な電力を供給する部分と、画像データ7bを液晶パネル2に表示させるために必要な電力を供給する部分とで分けるようにしてもよい。これにより、画像データ7bを液晶パネル2に表示させるための電力がなくなった場合においても、パスワードの入力、パスワードとの比較およびICチップ4への個人情報7cの取り込みを行わせることができ、接触型ICカード1が使用不能となることを防止することができる。
【0035】
また、バッテリ9の電力が切れた場合、外部電源端子5を電源に接続することにより、接触型ICカード1に電力を供給することができ、接触型ICカード1が使用不能となることを防止することができる。
図3(a)は、本発明の第2実施形態に係るICカードの概略構成を示す斜視図、図3(b)は、本発明の第2実施形態に係るICカードの内部構成を示すブロック図である。
【0036】
図3において、非接触型ICカード11の表面には、液晶パネル12および入力キー13が配置され、非接触型ICカード11の端部には、外部電源端子15が設けられている。なお、非接触型ICカード11の厚さは、例えば、1cm以上とすることができる。ここで、入力キー13は、パスワードや暗証番号などを入力することができ、各キーには、数字やローマ字などを割り当てることができる。また、入力キー13のうちの1個に電源スイッチを割り当ててもよく、入力キー13を操作することで、非接触型ICカード11の電源をオン/オフできるようにすることができる。
【0037】
また、非接触型ICカード11には、パスワードの比較判定処理などを行う比較論理部16、外部から直接読み出しできないように情報を記憶するROM17および液晶パネル12を駆動する液晶コントローラ18が設けられるとともに、非接触型ICカード11に電力を供給するバッテリ19が内蔵されている。また、非接触型ICカード11には、外部端末との間で情報の出力処理を行う情報出力部14、情報出力部14から出力された信号の周波数を無線周波数に変換するRF部21およびRF部21にて変換された信号を電波として放射するアンテナ20が設けられている。
【0038】
ここで、情報出力部14には、非接触型ICカード11を使用するために必要な情報を一時的に記憶するRAM14aが設けられている。また、ROM17には、予め決められたパスワード17a、非接触型ICカード11の所有者本人の画像データ17b、非接触型ICカード11を使用するために必要な所有者本人に関する個人情報17cなどを記憶することができる。また、比較論理部16は、入力キー13から入力されたパスワードとROM17に記憶されたパスワード17aとの比較結果に基づいて、情報出力部14に情報の出力を許可することができる。例えば、比較論理部16は、入力キー13から入力されたパスワードとROM17に記憶されたパスワード17aが一致した場合、情報出力部14に対して個人情報17cの取り込みを許可するとともに、液晶コントローラ18に対して画像データ17bの表示を許可することができる。
【0039】
図4は、本発明の第2実施形態に係るICカードの動作を示すフローチャートである。
図4において、非接触型ICカード11を使用する場合、入力キー13に割り当てられた電源スイッチを押下することにより、非接触型ICカード11の電源をオンする(ステップS11)。そして、入力キー13を操作することにより、非接触型ICカード11にパスワードを入力する(ステップS12)。ここで、非接触型ICカード11にパスワードが入力されると、そのパスワードが比較論理部16に送られるとともに、ROM17に記憶されたパスワード17aが比較論理部16にて読み出される。そして、比較論理部16は、入力キー13から入力されたパスワードとROM17に記憶されたパスワード17aとを比較し、入力キー13から入力されたパスワードとROM17に記憶されたパスワード17aが一致した場合(ステップS13)、情報出力部14に対して個人情報17cの取り込みを許可する。そして、情報出力部14は、個人情報17cの取り込みが許可されると、ROM17に記憶された個人情報17cをRAM14aに取り込む(ステップS14)。
【0040】
そして、非接触型ICカード11の所有者が非接触型ICカード11を端末機に接近させると、非接触型ICカード11と端末機との間で通信が確立する。そして、非接触型ICカード11と端末機との間で通信が確立すると、情報出力部14は、RAM14aに取り込まれた個人情報17cをRF部21に送る。そして、RF部21は、情報出力部14から個人情報17cを受け取ると、その個人情報17cを含む信号の周波数を無線周波数に変換し、その個人情報17cを電波に乗せてアンテナ20から放射させる。そして、端末機は、アンテナ20を介して送られた個人情報17cを受信すると、非接触型ICカード11の使用を受け付けることができる。
【0041】
一方、入力キー13から入力されたパスワードとROM17に記憶されたパスワード17aが一致しない場合、ROM17に記憶された個人情報17cが情報出力部14に取り込まれない。このため、非接触型ICカード11と端末機との間で通信が確立した場合においても、端末機は、非接触型ICカード11から個人情報17cを受信することができず、非接触型ICカード11の使用を拒絶することができる。
【0042】
また、入力キー13から入力されたパスワードとROM17に記憶されたパスワード17aが一致した場合(ステップS13)、比較論理部16は、液晶コントローラ18に対して画像データ17bの読み出しを許可する。そして、液晶コントローラ18は、画像データ17bの読み出しが許可されると、ROM17から画像データ17bを読み出す。そして、液晶コントローラ18は、液晶パネル12を駆動するための各種タイミング信号とともに、画像データ17bを液晶パネル12に出力することにより、画像データ17bを液晶パネル12に表示させる(ステップS15)。
【0043】
一方、入力キー13から入力されたパスワードとROM17に記憶されたパスワード17aが一致しない場合、液晶コントローラ18は画像データ17bの読み出しが拒否される。
次に、液晶コントローラ18は、画像データ17bが液晶パネル12に表示されてから一定時間経過後に、画像データ17bを液晶パネル12から消去する(ステップS16)。
【0044】
次に、ICチップ14に取り込まれた個人情報17cが端末機に送信されると、情報出力部14に取り込まれた個人情報17cをRAM14から消去する(ステップS17)。
次に、情報出力部14に取り込まれた個人情報17cをRAM14aから消去すると、非接触型ICカード11の電源を自動的にオフする(ステップS18)。
これにより、非接触型ICカード11を使用した場合においても、非接触型ICカード11自体にパスワードを入力することが可能となり、非接触型ICカード11上で本人認証を行わせることができる。このため、パスワードやID番号を端末機側に保持させる必要がなくなり、機密情報の漏洩を防止することが可能となるとともに、盗難などによって非接触型ICカード11を紛失した場合においても、非接触型ICカード11からの個人情報17cの読み出しを不可能として、個人情報17cの流出を防止することが可能となるとともに、本人画像が液晶パネル12に表示されないようにして、プライバシーなどを保護することができる。
【0045】
図5(a)は、本発明の第3実施形態に係るICカードの概略構成を示す斜視図、図5(b)は、本発明の第3実施形態に係るICカードの内部構成を示すブロック図である。
図5において、非接触型ICカード31の表面には、液晶パネル32、入力キー31および太陽電池39が配置されている。ここで、入力キー33は、パスワードや暗証番号などを入力することができ、各キーには、数字やローマ字などを割り当てることができる。また、入力キー33のうちの1個に電源スイッチを割り当ててもよく、入力キー33を操作することで、非接触型ICカード31の電源をオン/オフできるようにすることができる。
【0046】
また、非接触型ICカード31には、パスワードの比較判定処理などを行う比較論理部36、外部から直接読み出しできないように情報を記憶するROM37および液晶パネル32を駆動する液晶コントローラ38が設けられている。また、非接触型ICカード31には、外部端末との間で情報の出力処理を行う情報出力部34、情報出力部34から出力された信号の周波数を無線周波数に変換するRF部31およびRF部31にて変換された信号を電波として放射するアンテナ40が設けられている。
【0047】
ここで、情報出力部34には、非接触型ICカード31を使用するために必要な情報を一時的に記憶するRAM34aが設けられている。また、ROM37には、予め決められたパスワード37a、非接触型ICカード31の所有者本人の画像データ37b、非接触型ICカード31を使用するために必要な所有者本人に関する個人情報37cなどを記憶することができる。比較論理部36は、入力キー33から入力されたパスワードとROM37に記憶されたパスワード37aとの比較結果に基づいて、情報出力部34に情報の出力を許可することができる。例えば、比較論理部36は、入力キー33から入力されたパスワードとROM37に記憶されたパスワード37aが一致した場合、情報出力部34に対して個人情報37cの取り込みを許可するとともに、液晶コントローラ38に対して画像データ37bの表示を許可することができる。
【0048】
また、太陽電池39は、パスワードの入力、パスワードの比較、情報出力部34への個人情報37cの取り込みに必要な電力を供給するとともに、画像データ37bを液晶パネル32に表示させるために必要な電力を供給することができる。
これにより、非接触型ICカード31に太陽電池39を組み込むことで、非接触型ICカード31にバッテリを内蔵することなく、非接触型ICカード31の認証機能を動作させることが可能となり、非接触型ICカード31自体に認証機能を持たせた場合においても、非接触型ICカード31が使用できなくなることを防止することができる。
【0049】
なお、上述した実施形態では、非接触型ICカード11に太陽電池39を組み込む方法について説明したが、接触型ICカード1に太陽電池を組み込むようにしてもよい。
また、上述したICカードは、金融機関などで用いるキャッシュカードやクレジットカード、勤務管理システム、学生証や社員証などの様々の態様で使用することができ、それらの態様に合わせてICカード上の認証処理を変更することができる。
【0050】
例えば、ICカードをキャッシュカードとして用いる場合、ICカード側で暗証番号を入力した場合、その暗証番号がATM(自動現金預け払い機)側に自動的に読み込まれるようにして、ATM側での暗証番号の入力を省略できるようにしてもよい。また、ATM側で暗証番号の入力した場合、その暗証番号がICカードに自動的に読み込まれるようにして、ICカード側での暗証番号の入力を省略できるようにしてもよい。また、ICカード上に表示された画像データは数十秒程度で消去され、ICチップに取り込まれた個人情報は数分後に消去されるようにすることができる。
【0051】
また、ICカードをクレジットカードとして用いる場合、ICカードにパスワードを入力した後、ICカード上に本人の顔写真を表示させることにより、本人かどうかの確認がとれるようにすることができる。
また、ICカードを学生証として用いる場合、ICカードにパスワードを入力した後、ICカード上に本人の氏名や学校名や顔写真を表示させることにより、個人情報を保護することができ、学生証の悪用を防止することができる。また、学校の正門などにRFリーダを設置し、ICカードをRFリーダに接近させた時に、氏名とクラス名をRFリーダに送信することにより、生徒の登下校の管理を行うことができ、生徒の出席をとる作業を省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1実施形態に係るICカードの概略構成を示す図。
【図2】本発明の第1実施形態に係るICカードの動作を示すフローチャート。
【図3】本発明の第2実施形態に係るICカードの概略構成を示す図。
【図4】本発明の第2実施形態に係るICカードの動作を示すフローチャート。
【図5】本発明の第3実施形態に係るICカードの概略構成を示す図。
【符号の説明】
【0053】
1 接触型ICカード、2、12、32 液晶パネル、3、13、33 入力キー、4 ICチップ、4a、14a RAM、5、15 外部電源端子、6、16、36 比較論理部、7、17、37 ROM、7a、17a、37a パスワード、7b、17b、37b 画像データ、7c、17c、37c 個人情報、8、18、38 液晶コントローラ、9、19 バッテリ、11、31 非接触型ICカード、14、34 情報出力部、20、40 アンテナ、21、41 RF部、39 太陽電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パスワードを入力する入力キーと、
予め決められたパスワードを記憶する記憶部と、
情報の入出力処理を行うICチップと、
前記入力キーから入力されたパスワードと前記記憶部に記憶されたパスワードとの比較結果に基づいて、前記ICチップに情報の出力を許可する比較論理部とを備えることを特徴とするICカード。
【請求項2】
パスワードを入力する入力キーと、
予め決められたパスワードおよび個人情報を記憶する記憶部と、
情報の入出力処理を行うICチップと、
前記入力キーから入力されたパスワードと前記記憶部に記憶されたパスワードとの比較結果に基づいて、前記ICチップへの前記個人情報の取り込みを許可する比較論理部とを備えることを特徴とするICカード。
【請求項3】
パスワードを入力する入力キーと、
予め決められたパスワード、個人情報および画像データを記憶する記憶部と、
情報の入出力処理を行うICチップと、
前記画像データを表示する表示部と、
前記表示部を駆動する駆動部と、
前記入力キーから入力されたパスワードと前記記憶部に記憶されたパスワードとの比較結果に基づいて、前記ICチップへの前記個人情報の取り込みを許可するとともに、前記表示部への前記画像データの表示を許可する比較論理部とを備えることを特徴とするICカード。
【請求項4】
前記画像データが前記表示部に表示されてから一定時間経過後に、前記画像データを前記表示部から消去することを特徴とする請求項3記載のICカード。
【請求項5】
前記ICチップに取り込まれた個人情報が外部に読み取られた後、前記ICチップに取り込まれた個人情報を前記ICチップから消去することを特徴とする請求項2から4のいずれか1項記載のICカード。
【請求項6】
前記パスワードの入力、前記パスワードとの比較および前記ICチップへの前記個人情報の取り込みに必要な電力を供給するバッテリまたは太陽電池をさらに備えることを特徴とする請求項2から5のいずれか1項記載のICカード。
【請求項7】
パスワードを入力する入力キーと、
予め決められたパスワードを記憶する記憶部と、
情報の出力処理を行う情報出力部と、
前記情報出力部から出力される信号の周波数を無線周波数に変換するRF部と、
前記RF部にて変換された信号を電波として放射するアンテナと、
前記入力キーから入力されたパスワードと前記記憶部に記憶されたパスワードとの比較結果に基づいて、前記情報出力部に情報の出力を許可する比較論理部とを備えることを特徴とするICカード。
【請求項8】
パスワードを入力する入力キーと、
予め決められたパスワードおよび個人情報を記憶する記憶部と、
情報の出力処理を行う情報出力部と、
前記情報出力部から出力される信号の周波数を無線周波数に変換するRF部と、
前記RF部にて変換された信号を電波として放射するアンテナと、
前記入力キーから入力されたパスワードと前記記憶部に記憶されたパスワードとの比較結果に基づいて、前記情報出力部への前記個人情報の取り込みを許可する比較論理部とを備えることを特徴とするICカード。
【請求項9】
パスワードを入力する入力キーと、
予め決められたパスワード、個人情報および画像データを記憶する記憶部と、
情報の出力処理を行う情報出力部と、
前記情報出力部から出力される信号の周波数を無線周波数に変換するRF部と、
前記RF部にて変換された信号を電波として放射するアンテナと、
前記画像データを表示する表示部と、
前記表示部を駆動する駆動部と、
前記入力キーから入力されたパスワードと前記記憶部に記憶されたパスワードとの比較結果に基づいて、前記情報出力部への前記個人情報の取り込みを許可するとともに、前記表示部への前記画像データの表示を許可する比較論理部とを備えることを特徴とするICカード。
【請求項10】
前記画像データが前記表示部に表示されてから一定時間経過後に、前記画像データを前記表示部から消去することを特徴とする請求項9記載のICカード。
【請求項11】
前記情報出力部に取り込まれた個人情報が外部に読み取られた後、前記情報出力部に取り込まれた個人情報を前記情報出力部から消去することを特徴とする請求項8から10のいずれか1項記載のICカード。
【請求項12】
前記パスワードの入力、前記パスワードとの比較および前記情報出力部への前記個人情報の取り込みに必要な電力を供給するバッテリまたは太陽電池をさらに備えることを特徴とする請求項8から11のいずれか1項記載のICカード。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−221313(P2006−221313A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−32774(P2005−32774)
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】