説明

ICカード

【課題】SIM機能半導体チップとメモリ機能半導体チップに対してセキュリティーレベルを異にしたアクセスを可能にするマルチファンクションを持つICカードを実現する。
【解決手段】 SIMカードユニットの機能を備えたSIM機能半導体チップ(4)とメモリカードユニットの機能を備えたメモリ機能半導体チップ(3)とが基板(1)の外部から個別に書き込み及び読出しアクセス可能に当該基板に搭載され、それぞれの半導体チップには基板の接地電圧供給コネクタ端子(#3)から接地電圧が共通に供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカードにおける互換性の維持と機能拡張に関し、例えばマルチメディアカードとの互換性を維持しながらマルチバンク又はマルチファンクションを実現するICカードに適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、ディジタルネットワーク機器間での情報伝送等を目的として、マルチメディアカードのような小型軽量化及びインタフェースの簡素化を実現したメモリカードが提供されている。マルチメディアカードは、例えばCQ出版社発行のインタフェース(1999年12月号)に記載されるように、外部インタフェース端子として7個のコネクタ端子を有し、シリアルインタフェースが採用さて、PCカードやハードディスクが採用するATAインタフェースに比べてホストシステムの負荷を軽減でき、より簡易なシステムでも利用できるようになっている。また、同文献には、シリアルインタフェースを採用し、9個のコネクタ端子を有し、マルチメディアカードの上位互換メモリカードとしてSDカードが提案されている、との記載もある。
【0003】
【非特許文献1】CQ出版社発行のインタフェース(1999年12月号)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者はマルチメディアカード等のストレージ系ICカードの機能拡張について検討した。これにより、本発明者は、マルチメディアカード等の規格化された端子配列に対して互換性を維持しながら拡張端子を設けて、データビット数を増やす等の機能拡張を可能にする発明を先に出願した(特願2000−18030号)。更に本発明者は、そのような拡張端子を用いたマルチバンク又はマルチファンクションの実現に向けて検討した。例えば、ICカードのSIM(Subscriber Identity Module)を用いるGSM(Group Special Mobile)移動体通信システム等では、SIMカードはセキュリティーのための加入者の承認・管理に必要な加入者情報、課金情報等を記憶すると共に、通信プロトコルを実現し、例えばフラッシュメモリなどの不揮発性メモリを内蔵したシングルチップマイクロコンピュータ等を有する。このようなGSM移動体通信システムの携帯電話機にマルチメディアカードなどのストレージカードを適用しようとすると、SIMカードの他にストレージカードの挿入スロットも必要になり、スペースファクタの点で改良の余地のあることが本発明者によって見出された。更に、ストレージカードとSIMカードでは記憶情報にセキュリティーレベルの差を生ずるのはやむを得ず、マルチファンクションに際してセキュリティーレベルの相違は相違として許容できることの必要性が本発明者によって見出された。
【0005】
本発明の目的は、端子配列に対して所定の規格と互換性を維持しながらマルチバンク又はマルチファンクション等の機能拡張が可能なICカードを提供することにある。
【0006】
本発明の別の目的は、セキュリティーレベルの異なるマルチファンクションを拡張可能なICカードを提供することにある。
【0007】
本発明の上記並びにその他の目的と新規な特徴は本明細書の以下の記述と添付図面から明らかにされるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0009】
〔1〕本発明に係るICカードは、ICカードの互換性と機能拡張に対して考慮する。ICカードの互換性に関しては、上位互換性及び下位互換性を保つようにする。上位互換性とは、例えば上位ICカードのカードスロットに下位ICカードを挿入して利用できる、ことである。下位互換性とは、例えば、上記ICカードを下位ICカードのカードスロットに挿入して利用できる、ことである。ICカードは半導体集積回路によって構成された第1の機能ブロック及び第2の機能ブロックを有し、複数個のコネクタ端子が露出された構成を有する。
【0010】
このICカードの互換性という点に関し、前記複数個のコネクタ端子はICカードの挿入方向の前後に隣合う列相互間で千鳥状に複数列配置される。千鳥状配置に対して異なる表現をすれば、前記複数個のコネクタ端子はICカードの挿入方向の前後に形成された2列の配列を有し、第1列目に配置されたコネクタ端子の端子間領域の配列と第2列目に配置されたコネクタ端子の端子間領域とが列方向で相互にずらされる。千鳥状配置に対して更に異なる表現をすれば、前記複数個のコネクタ端子はICカード挿入方向の前後に形成された2列の配列を有し、第1列目に配置されたコネクタ端子の列方向配置と第2列目に配置されたコネクタ端子の列方向配置とが列方向で相互にずらされる。
【0011】
前記千鳥状で代表される形態の複数列配置を前記コネクタ端子の配列に採用することにより、カードスロットには、その多数のスロット端子を交互に突出量を変えて並列配置するという比較的簡単に構成を採用することができる。また、下位ICカードのコネクタ端子配列をそのままICカードの特定のコネクタ端子列に採用し、これに対して千鳥状の別のコネクタ端子配列に上位ICカード専用の機能を割当てれば、上位ICカードを下位ICカードのカードスロットに装着して利用可能にするような下位互換も容易に実現可能になる。
【0012】
ICカードの機能拡張という点では、前記カードのコネクタ端子は、前記第1の機能ブロックに接続されて専用化された第1のコネクタ端子、前記第2の機能ブロックに接続されて専用化された第2のコネクタ端子、前記第1の機能ブロック及び第2の機能ブロックの双方に対して共通に動作電源を共通する第3のコネクタ端子を含む。電源以外のデータ端子などを夫々第1の機能ブロックと第2の機能ブロックに専用化することにとより、前記上位互換及び下位互換の実現が容易化する。
【0013】
また、3世代間若しくは3種類以上のICカード間で互換性を達成しようとするとき、第1のICカードのコネクタ端子配列をそのまま第1列目のコネクタ端子列に採用し、これに対して千鳥状の別の第2列目のコネクタ端子列に第2のICカードに追加されている専用の機能を割当て、また、前記特定の第1列目の端子列と前記第2列目のコネクタ端子列の双方に第3のICカードに追加されている専用の機能を割当てるような場合が想定される。このとき第2のICカードと第3のICカードとの間で上位互換及び下位互換を実現する事を考慮する。そのために、前記第2列目に配置されたコネクタ端子の列方向一端のコネクタ端子は前記第1列目に配置されコネクタ端子の列方向一端のコネクタ端子と列方向で隣合う位置まで延在させ、前記第2列目に配置されたコネクタ端子の列方向他端のコネクタ端子は前記第1列目に配置されコネクタ端子の列方向他端のコネクタ端子と列方向で隣合う位置まで延在させる構成を採用する。これによれば、第1乃至第3のICカードは相互に他の何れのICカードのスロットにも挿入して利用可能な互換性を容易に実現可能になる。
【0014】
〔2〕ICカードの機能拡張を例えばマルチバンクメモリに向ける。このとき前記第1の機能ブロックは、電気的に書き換え可能な第1の不揮発性メモリと、前記第1のコネクタ端子から供給される指示に従って前記第1の不揮発性メモリのアクセス制御を行なうと共に前記第1のコネクタ端子を介して外部とのインタフェース制御を行なう第1のコントローラとを備えた第1のメモリカードユニットである。前記第2の機能ブロックは、電気的に書き換え可能な第2の不揮発性メモリと、前記第2のコネクタ端子から供給される指示に従って前記第2の不揮発性メモリのアクセス制御を行なうと共に前記第2のコネクタ端子を介して外部とのインタフェース制御を行なう第2のコントローラとを備えた第2のメモリカードユニットである。
【0015】
コネクタ端子の具体的な機能は任意であるが、現状のマルチメディアカードなどを考慮すると、前記第1のコネクタ端子はクロック端子とデータ端子を含み、前記第2のコネクタ端子はクロック端子とデータ端子を含み、前記第3のコネクタ端子は電源電圧供給用端子及び接地電圧供給用端子を含む。
【0016】
前記第1のメモリカードユニットと第2のメモリカードユニットとは並列動作可能なマルチバンクメモリユニットとして構成される。
【0017】
不揮発性メモリに格納されるデータのセキュリティーを増すには、前記第1のコントローラは、前記第1の不揮発性メモリに書込むデータに対して暗号化を行い、前記第1の不揮発性メモリから読み出したデータに対して復号又は別の暗号化を行う機密保護機能を有し、前記第2のコントローラは、前記第2の不揮発性メモリに書込むデータに対して暗号化を行い、前記第2の不揮発性メモリから読み出したデータに対して復号又は別の暗号化を行う機密保護機能を有するとよい。
【0018】
〔3〕ICカードの機能拡張を例えばマルチファンクションに向ける。このとき前記第1の機能ブロックは、第1の不揮発性メモリと、前記第1の不揮発性メモリのアクセス制御を行なうと共に前記第1のコネクタ端子を介して外部とのインタフェース制御を行なう第1のコントローラとを備えた第1のデータ処理ユニットである。前記第2の機能ブロックは、第2の不揮発性メモリと、前記第2の不揮発性メモリのアクセス制御を行なうと共に前記第2のコネクタ端子を介して外部とのインタフェース制御を行なう第2のコントローラとを備えた第2のデータ処理ユニットである。前記第1のデータ処理ユニット及び第2のデータ処理ユニットは夫々セキュリティーのための秘密コードの格納エリアを別々に有して成る。
【0019】
これにより、1個のICカードでセキュリティーレベルの異なるマルチファンクション機能を実現することができる。
【0020】
前記第1のデータ処理ユニットには不揮発性メモリの製造段階で秘密コードの格納エリアに秘密コードを書き込み、前記第2のデータ処理ユニットにはICカードの製造段階で若しくはICカードのベンダーが秘密コードの格納エリアに秘密コードを書き込むことも可能である。これにより、セキュリティーレベルの相違に応じてセキュリティー維持に必要な手法若しくは手続で秘密コードの設定が可能になる。例えば、前記第1のデータ処理ユニットを一般的なデータストレージ用途のメモリカードユニットとし、前記第2のデータ処理ユニットをマイクロコンピュータ化されたSIMカードユニットとするとき、課金情報を処理・管理する前記第2のデータ処理ユニットに対するセキュリティーは第1のデータ処理ユニットに比べて厳しくせざるを得ず、そのような要求に充分答えることができる。
【0021】
前記第1のデータ処理ユニットを一般的なデータストレージ用途のメモリカードユニットとする場合にも、そこに格納されるデータの著作権保護等の実効性を高めるには、前記第1のコントローラには、前記第1の不揮発性メモリに書込むデータに対して暗号化を行い、前記第1の不揮発性メモリから読み出したデータに対して復号又は別の暗号化を行う機密保護機能を採用するとよい。
【0022】
マルチファンクション機能として前記メモリカードユニットとSIMカードユニット等を採用するとき、例えば、前記第1のコネクタ端子はクロック端子、複数ビットのデータ端子及び1ビットのコマンド端子を含み、前記第2のコネクタ端子はクロック端子、データ端子及びリセット端子を含み、前記第3のコネクタ端子は電源電圧供給用端子及び接地電圧供給用端子を含む。
【0023】
〔4〕ICカード挿入方向第1列目のコネクタ端子列に電源電圧供給用のコネクタ端子が配置されているとき、第2列目のコネクタ端子列には前記電源電圧供給用のコネクタ端子に隣り合う位置に端子間領域を形成しておく。仮に、第2列目のコネクタ端子列に前記電源電圧供給用のコネクタ端子に隣り合う別のコネクタ端子が千鳥状で配置されている場合、カードスロットにICカードを挿入する途上で、当該別のコネクタ端子に対応されるカードソスロットのスロット端子は前記別のコネクタ端子に接触する前にその前方に位置する電源供給用コネクタ端子と他のコネクタ端子との双方に接触する虞があり、この状態で電源電圧供給用のコネクタ端子に電源用のスロット端子が既に接触しているなら、電源間ショートの虞がある。前記端子間領域を確保する構成を採用すれば、コネクタ端子の第1列目と第2列目の列間距離を大きくしたり、コネクタ端子の幅を狭くしたりする手段を講じなくてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0025】
すなわち、端子配列に対して所定の規格と互換性を維持しながらマルチバンク又はマルチファンクション等の機能拡張が可能なICカードを実現することができる。
【0026】
また、セキュリティーレベルの異なるマルチファンクションを拡張可能なICカードを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
1.実施の形態の概要
《マルチファンクションICカード》
第1図には本発明に係るICカードの一例であるマルチファンクションICカードの構成をコネクタ端子と回路ユニットとの接続形態を主体に示している。
【0028】
第1図に示されるマルチファンクションICカードMFCには、カード基板1に対するコネクタ端子2(#1〜#13)の千鳥状2列配置の点においてマルチメディアカードやSDカード等に対する互換性を有し、メモリカードユニット3とSIMカードユニット4を夫々コネクタ端子2(#1〜#13)の所定の端子に専用的に接続して搭載した点においてマルチファンクション機能を実現する。5はメモリカードユニット3及びSIMカードユニット4をコネクタ端子2に接続する配線パターンやボンディングワイヤ等を総称する接続配線である。
【0029】
ここでは、マルチファンクションICカードMFCは携帯電話機に装着されて利用可能な用途を想定する。メモリカードユニット3は、詳細を後述する電気的に書き換え可能なフラッシュッメモリのような不揮発性メモリとコントローラとを有し、電話帳データや着信メロディーデータなどを格納するデータストレージ用途とされる。SIMカードユニット4は、GSM携帯電話などにおけるセキュリティーのための加入者承認・管理に必要な加入者情報及び課金情報の格納並びに通信プロトコルを実現するフラッシュメモリ内蔵マイクロコンピュータによって構成される。
【0030】
第1図において#1〜#13のコネクタ端子2は直接にメモリカードユニット3とSIMカードユニット4に接続されているように図示されているが、実際は、#1〜#13のコネクタ端子2はカード基板1の裏面(端子面)に配置され、カード基板の表面(実装面)にはスルーホール又は配線パターンで対応コネクタ端子に接続する接続パッドが設けられ、これら接続パッドにメモリカードユニット3とSIMカードユニット4が接続されている。
【0031】
マルチファンクションICカードMFCは、マルチメディアカードの大きさに準拠し、厚さが1.4mm、平面寸法が24mm×32mmの規格に従っている。マルチファンクションICカードMFCのカード基板1は、ガラスエポキシ樹脂等の樹脂基板で成る基板の端子面に、#1〜#13のコネクタ端子2がカードの挿入方向(長手方向)の前後に隣合う列相互間で2列に配置されている。
【0032】
前記#1、#2、#5〜#8、#13のコネクタ端子2はメモリカードユニット3に接続され、#9、#11、#12のコネクタ端子2はSIMカードユニット4に接続され、動作電源供給用の#3、#4のコネクタ端子2はメモリカードユニット3及びSIMカードユニット4の双方に共通接続される。
【0033】
前記#1〜#7のコネクタ端子2はマルチメディアカードの規格に従った配置と機能を有する。マルチメディアカードには一般にマルチメディアカードモードとSPI(Serial Peripheral Interface)モードがある。前記動作モードの選択は電源投入時の所定の端子の状態によって決まる。マルチメディアカードの端子機能は第2図の7pin(1bit)の欄に例示されており、マルチメディアカードモードに対してSPIモードが相違する点は括弧内に示される。マルチメディアカードモードでは#1はリザーブ端子NC(オープン又は論理値“1”に固定)、#2はコマンド端子CMD(コマンド入力及び応答信号出力を行う)、#3及び#6は回路の接地電圧(グランド)端子Vss1,Vss2、#4は電源電圧供給端子Vdd、#5はクロック入力端子CLK、#7はデータの入出力端子Dataとして機能される。SPI(Serial Peripheral Interface)モードでは#1はチップセレクト端子CS(負論理)、#2はデータ入力端子Din(ホスト装置からカードへのデータ及びコマンド入力用)、#3及び#6は回路の接地電圧(グランド)端子Vss1,Vss2、#4は電源電圧供給端子Vdd、#5はクロック入力端子CLK、#7はデータ出力端子Dout(メモリカードからホスト装置へのデータ及びステータス出力)として機能される。マルチメディアカードモードは複数のマルチメディアカードを同時に使用するシステムに好適な動作モードであり、マルチメディアカードの識別は図示を省略するホスト装置がマルチメディアカードの初期化シーケンスでマルチメディアカードに設定したカード識別ID(相対アドレス)を用いる。SPIモードは簡易で安価なシステムでの利用に最適であり、マルチメディアカードの選択はホスト装置から#1のコネクタ端子に供給されるチップ選択信号によって行われる。何れの動作モードにおいても、メモリカードユニット3のコントローラはホスト装置から与えられるコマンドに応答してメモリチップのアクセス制御とホスト装置とのインタフェース制御を行う。
【0034】
#8〜#13のコネクタ端子2はマルチメディアカードに対する拡張端子として位置付けられる。前記#1〜#7のコネクタ端子2はカード基板1に対して第1列目のコネクタ端子列を構成し、追加された前記#8〜#13のコネクタ端子2は第1列目のコネクタ端子列に対して離間配置された第2列目のコネクタ端子列を構成する。#9〜#12のコネクタ端子2の大きさは他のコネクタ端子2の大きさと同じである。#13のコネクタ端子2は前記第1列目に配置されコネクタ端子列の列方向一端のコネクタ端子#7と列方向で完全に隣合う位置まで延在され、端子番号#8のコネクタ端子2は前記第1列目に配置されコネクタ端子列のコネクタ端子#1と列方向で部分的に重なって隣合う位置まで延在されている。第1列目のコネクタ端子列と第2列目のコネクタ端子列とはコネクタ端子の列方向配置が列方向で相互にずれている。換言すれば、第1列目のコネクタ端子2と第2列目のコネクタ端子2とは千鳥状に配置されている。
【0035】
#8、#13の拡張端子は、マルチファンクションICカードMFCに第2図の9pin(4bit)の欄に示される4ビットモードが選択されたとき、有意とされるコネクタ端子である。即ち、4ビットモードが選択されると、端子#2〜#7が前記マルチメディアカードモードと同一機能に割り当てられ、当該マルチメディアカードモードにおいてリザーブ端子であった端子#1は第4ビット目のデータ端子Data3、追加された端子#8、#9は第2ビット目のデータ端子Data1、第3ビット目のデータ端子Data2とされる。第1ビット目のデータ端子Data0はマルチメディアカードモードと同じ端子#7である。従ってこのマルチファンクションICカードMFCに4ビットモードが選択されると、データ入出力が4ビット並列で可能にされる。このとき、#8、#13のコネクタ端子2の形状はSDカードのコネクタ端子との互換性を意識して形状設定されている。前記4ビットモードにおいて#8と#13のデータ端子機能を入換えても良く、4ビットモードはSDカードとも互換性を有することが可能になる。
【0036】
このマルチファンクションICカードMFCのメモリカードユニット3は、前記マルチメディアカードに対して下位互換モードを備える。即ち、メモリカードユニット3内の前記コントローラは、マルチメディアカードのSPIモード又はマルチメディアカードモードのような1ビットモードと、前記4ビットのデータ用端子#1、#7、#8、#13を用いた4ビット並列入出力を行う4ビットモードとを有する。前記1ビットモードはマルチファンクションICカードMFCをマルチメディアカードとして動作可能にする動作モードである。
【0037】
前記動作モードの設定は所定のコネクタ端子の状態又は所定のコネクタ端子からのコマンド入力状態に応答して設定すればよい。例えば、マルチファンクションICカードMFCをマルチメディアカードのカードスロットに装着したとき前記端子#8、#13はフローティングになるから、電源投入時にコントローラが端子#8、#13の双方又は一方のフローティング状態を検出することによって当該マルチファンクションICカードに前記1ビットモードを設定すればよい。また、9個のコネクタ端子2に夫々対応されるスロット端子を有する専用のカードスロットに装着したとき前記端子#8、#9はカードスロットのスロット端子に導通されるから、電源投入時にコントローラが少なくとも端子#8、#9の双方又は一方にホスト装置から特定の信号若しくはコマンドが供給されるのを検出することによって当該マルチファンクションICカードMFCに前記4ビットモードを設定すればよい。
【0038】
#9〜#12の拡張端子はSIMカードユニット4に接続されて専用化された端子である。SIMカードユニット4は、例えばフラッシュメモリなどの不揮発性メモリを内蔵したシングルチップマイクロコンピュータによって構成される。#9はデータ入出力端子I/O、#10はノンコネクト端子、#11はクロック端子CLK、#12はリセット端子とされる。SIMカードユニット4の動作電源は、#3の接地端子Vss、#4の電源端子Vddを介して供給される。携帯電話機等に第2図の13pinの欄に記載の端子構成に対応するカードスロットを設け、これにマルチファンクションICカードMFC装着すれば、メモリカードユニット3及びSIMカードユニット4は相互に独立して動作可能にされる。また、前記マルチファンクションICカードMFCをカードアダプタ等を介してパーソナルコンピュータ等に接続すれば、マルチファンクションICカードMFC内のメモリカードユニット3に対して電話帳データの修正なども効率的に行なうことが可能になる。
【0039】
第3図にはマルチファンクションICカードMFCにおける回路実装面の実際の状態が示され、第4図には端子面の実際の状態が例示される。マルチファンクションカードMFCのカード基板1は、ガラスエポキシ樹脂等の樹脂基板で成る基板の端子面に、#1〜#13のコネクタ端子2がカードの挿入方向(長手方向)の前後に隣合う列相互間で2列に配置されている。実装面には前記コネクタ端子2に1対1対応で接続パッド7が形成されている。接続パッド7はアルミニウム、銅又は鉄合金などの導電パターンで形成される。コネクタ端子2はアルミニウム、銅又は鉄合金などの導電パターンに金メッキやニッケルメッキ等が施されて成る。接続パッド7とコネクタ端子2との接続はカード基板1上の図示を省略する配線パターンとカード基板1の表裏を導通されるスルーホール等によって行われる。
【0040】
メモリカードユニット3は、カード基板1の実装面に、例えば電気的に書き換え可能なフラッシュメモリ8と前記フラッシュメモリ8を制御するコントローラ9とを有する。前記フラッシュッメモリ8及びコントローラ9は、特に制限されないが、夫々別個の半導体チップで構成されている。当然双方を併せて1チップで構成しても、或いは別個のチップを積み重ねてもよい。
【0041】
前記コントローラ9はコネクタ端子2を介して外部から与えられる指示に従って前記フラッシュメモリ8に対するリード・ライト動作を制御する。データセキュリティーを考慮する場合には、前記コントローラ9は更に、前記フラッシュメモリ8に書込むデータに対して暗号化を行い、前記フラッシュメモリ8から読み出したデータに対して復号又は別の暗号化を行う機密保護機能を備えるようにすればよい。
【0042】
前記コントローラ9は、前記コネクタ端子2の配列方向に沿って縦長形状を有し、コネクタ端子2側には当該コネクタ端子2に前記接続パッド7を介して接続される複数個のコネクタインタフェース端子9Piと前記フラッシュメモリ8側には当該フラッシュメモリ8に接続される複数個のメモリインタフェース端子9Pjとを有する。前記フラッシュメモリ8はコントローラ9側に当該コントローラ9に接続される複数個のコントローラインタフェース端子8Pkを有する。前記接続パッド7は前記コントローラ9のコネクタインタフェース端子9Piにボンディングワイヤ10で接続される。前記コントローラ9のメモリインタフェース端子9Pjはフラッシュメモリ8のコントローラインタフェース端子8Pkにボンディングワイヤ11で接続さる。前記コネクタインタフェース端子9Piは前記#1〜#8、#13に対応する端子機能を有する。メモリインタフェース端子9Pjは、例えば、フラッシュメモリ8を制御する端子であり、チップイネーブル信号出力、ライトイネーブル信号出力、コマンドイネーブル信号出力、データ入出力、アウトプットイネーブル信号出力、レディー・ビジー信号入力、リセット信号出力等の機能を有する複数個の端子である。前記コントローラインタフェース端子8Pkは、例えば、チップイネーブル信号入力、ライトイネーブル信号入力、コマンドイネーブル信号入力、データ入出力、アウトプットイネーブル信号入力、レディー・ビジー信号出力、リセット信号入力等の機能を有する複数個の端子である。更にカード基板1には、前記コントローラ9及び前記フラッシュメモリ8にボンディングワイヤ(又が配線パターン)12で接続するテスト端子13を有する。
【0043】
SIMカードユニット4はボンディングワイヤ17Aを介して#9、#11、#12に対応する接続パッド7に結合される。SIMカードユニット4に対する動作電源はボンディングワイヤ17Bを介して供給される。16で示されるボンディングワイヤはコントローラ9とSIMカードユニット4を接続するインタフェース配線であり、これはメモリカードユニット3とSIMカードユニット4との間の情報交換を可能にするものである。
【0044】
カード基板1は実装面を内側に向けてケーシング14に取り付け固定され、実装面はケーシング14で覆われて保護され、端子面はケーシング14から露出される。
【0045】
第5図には携帯電話機の外観が示される。前記マルチファンクションICカードMFCは、携帯電話機20の側面に設けられたカードスロット21に装着される。
【0046】
第6図にはカードスロット21にマルチファンクションICカードMFCが装着された状態を示す。カードソスロット21は奥部に夫々のコネクタ端子2に対応して突出されたスロット端子22を有する。前記コネクタ端子2は、前記千鳥状で2列に配置されているから、千鳥状部分ではカードスロット21のスロット端子22の突出量を短いもの(22(S))と長いも(22(L))で交互させればよく、スロット端子22の突出量を変えながら全体としてスロット端子22を並列配置するという比較的簡単に構成を採用することができる。コネクタ端子2との接点はスロット端子22の先端(■印)部分である。
【0047】
第7図にはマルチメディアカード用のカードスロット23にマルチファンクションICカードMFCが装着された状態を示す。マルチファンクションICカードMFCの#1〜#7のコネクタ端子2の配列はマルチメディアカードに準拠しているので、マルチファンクションICカードMFCをマルチメディアカード用のカードスロット23に装着して、メモリカードユニット3を単独で利用する用途にも対応することができる。24は#1〜#7のコネクタ端子2が接続可能なカードスロット23のスロット端子である。
【0048】
第8図には前記メモリカードユニット3の機能ブロック図が示される。コントローラ9はインタフェースコントローラ30、フラッシュメモリコントローラ32、暗号化・復号回路33、及びセキュリティー回路34を有する。インタフェースコントローラ30は前記コネクタ端子2を介して携帯電話機20に接続され、携帯電話機20から与えられるコマンドを解読して、メモリカードユニット3内部の全体的な制御と携帯電話機20とのインタフェース制御を行う。そのような制御プログラム若しくは状態遷移制御ロジックは、特に制限されないが、インタフェースコントローラ30の内部に設けられている。制御プログラムをフラッシュメモリ8に配置しておくことも可能である。
【0049】
前記インタフェース制御は前記コネクタ端子2を介するマルチメディアカードモード或いはSPIモードによるインタフェース制御である。前記メモリカード内部の全体的な制御は、第1に、セキュリティー回路34を利用した認証制御、第2に、フラッシュメモリ8の入出力データに対する暗号化・復号制御、第3に、フラッシュメモリコントローラ32を介するフラッシュメモリ8のファイルメモリとしてのアクセス制御である。
【0050】
前記アクセス制御は、例えばセクタをデータ管理の基本とするようなファイルシステムとの互換を考慮した制御である。例えばデータ若しくはファイルを512バイトのようなセクタ単位で管理するために、フラッシュメモリ8のメモリアレイを、1セクタに対応する512バイト毎のデータエリアとデータエリア毎の管理エリアに分けて利用するようになっている。管理エリアは、対応データエリアに有効データが保持されているか否かというセクタの利用状態を示す情報、後続セクタへのポインティング情報などを有する。それら管理エリアが全体としてセクタ管理テーブル35を構成することになる。アクセス制御ではアクセス対象ファイルのセクタがフラッシュメモリ8の物理アドレスに対応付けられてリード、消去、書込み、ベリファイなどのメモリ動作が行われる。
【0051】
暗号化・復号制御は、例えばフラッシュメモリ8にライトするデータを先ず暗号化・復号回路33で暗号化させ、暗号化されたデータをフラッシュメモリ8に書込み可能にする処理と、フラッシュメモリコントローラ32でフラッシュメモリ8からリードしたデータに対して暗号化・復号回路33で復号又は別の暗号化を行ない、処理されたデータをインタフェースコントローラ30から外部に出力可能にする処理とを行う。暗号化・復号の手法には、秘密キー或いは秘密キーと公開キーを用いる適宜のアルゴリズムを採用すればよい。
【0052】
前記認証制御について説明する。メモリカードユニット3が携帯電話機20などを介して音楽情報や文学情報等の配信に利用されることを想定すると、そのような情報の著作権保護を考慮する事が望ましい。また、メモリカードユニット3に電話番号等が格納されて利用される場合にはそのような情報に対してプライバシー保護を図ることが要求されるであろう。
【0053】
著作権保護に関しては、特に制限されないが、フラッシュメモリ8の特定のエリアに、複製権に関する所定のオーソライゼーションコードが、フラッシュメモリ8の製造段階で書き込まれている。情報配信に際して、複製権に関するオーソライゼーションコードがホスト装置から携帯電話機20などに伝送され、これが、セキュリティー回路34のオーソライゼーションコード管理テーブル36にセットされ、そのオーソライゼーションコードと対応付けられた音楽情報等の配信された情報がダウンロードされ、フラッシュメモリ8にライトされ、そのライトメモリアドレスが上記オーソライゼーションコードに対応付けられてセキュリティー回路34の前記オーソライゼーション管理テーブル36にセットされる。その後、マルチファンクションICカードMFCは携帯電話機20から取り外されて、今度は再生用端末装置等に装着される。マルチファンクションICカードMFCのインタフェースコントローラ30は端末装置からのアクセス要求に対して、アクセス対象ファイルのメモリアドレスが前記オーソライゼーション管理テーブル36上のオーソライゼーションコードに対応付けられたメモリエリアであるか否かを前記オーソライゼーション管理テーブル36を利用してセキュリティー回路34に判定させる。オーソライゼーションコードに対応付けられている場合、セキュリティー回路34は、セキュリティー回路34保有のオーソライゼーションコードが前記フラッシュメモリ8にその製造段階で書き込まれているオーソライゼーションコードと所定の関係が成立していない限り、そのファイルアクセスを許容させない。前記オーソライゼーションコード管理テーブル36は電気的に書き換え可能な不揮発性メモリによって構成してよい。このオーソライゼーションコード管理テーブル36は、インタフェースコントローラ30又はフラッシュメモリ8に配置してもよい。
【0054】
プライバシー保護に関しては、例えば携帯電話機などの装置から暗証コードがセキュリティー回路34の暗証コード管理テーブル37に一旦セットされると、マルチファンクションICカードMFCの初期化処理を終了する度に、フラッシュメモリ8に対する最初のリードアクセス要求に際して、セキュリティー回路34は、インタフェースコントローラ30に暗証コードの入力を要求し、既に暗証コード管理テーブル37にセットされている暗証コードに一致する暗証コードが外部から入力されるまで、インタフェースコントローラ30にそのリード要求に応答するメモリアクセス制御を開始させない。前記暗証コード管理テーブル37は電気的に書き換え可能な不揮発性メモリによって構成してよい。このオーソライゼーションコード管理テーブル36は、インタフェースコントローラ30又はフラッシュメモリ8に配置してもよい。
【0055】
第9図には前記SIMカードユニット4の機能ブロック図が示される。SIMカードユニット4はシングルチップマイクロコンピュータによって実現され、CPU(中央処理装置)40、CPU40のワーク領域等として利用されるRAM(ランダム・アクセス・メモリ)41、CPU40の動作プログラムなどを保有するROM(リード・オンリ・メモリ)42、外部とのデータ入出力を行なうシリアルインタフェース回路(SIO)43、及びフラッシュメモリ44によって構成される。GSM移動体通信システムにおいて、SIMカードユニット4は、セキュリティーに関する加入者情報の蓄積・管理、ユーザPIN(Personal Identification Number)の作成・管理など、GSMオペレータのサポートやGSM加入者の承認・管理に必要な加入者情報を保持し、更に、課金情報、短縮ダイヤル・相手先固定ダイヤルのようなGSMサービスに必要な情報なども保持する。これらの情報をフラッシュッメモリ44に保持し、管理するための処理をCPU40がRAM41を用いて行ない、そのための動作プログラムはROM42が保有する。更に、SIMカードユニット4は、通信プロトコルの実現、ファイル管理、セキュリティー管理を行なう。セキュリティー管理は、前記ユーザPIN等の認証コードを用いて利用者の利用権限の正当性、利用システムの正当性の確認を行なうことである。具体的な認証手順については詳細な説明を省略するが、GSMサービスにおける認証コードはユーザに1対1対応でGSMサービス提供者がSIMカードユニット4のフラッシュメモリ44に予め格納しておく。SIMカードユニット4に予め登録された認証コードは、例えば通話毎にSIMカードユニット4に入力されたコードとの一致判定等に用いられ、その判定結果に基づいて正当性の確認が行われる。課金との関係もあり、SIMカードユニット4におけるセキュリティーレベルはメモリカードユニット3におけるセキュリティーレベルよりも一般に高くされている。マルチファンクションICカードMFCはSIMカードユニット4とメモリカードユニット3はデータ入出力端子として夫々固有のコネクタ端子が割当てられているから、夫々に対するセキュリティー情報などの秘密コードの書込み及び読み出しを独立に行なうことができ、このことが、セキュリティーレベルに対して相互に異なった取り扱いを可能にさせる。換言すれば、マルチファンクションに際してセキュリティーレベルの相違は相違として許容できる。
【0056】
第10図にはマルチファンクションICカードMFCを利用可能な携帯電話機の機能ブロック図が示される。
【0057】
音声はマイクロフォン51によりアナログ音声信号として取り込まれ、A/D変換器52によりディジタル音声信号に変換され、データプロセッサ53に入力される。データプロセッサ53は、受け取ったディジタル音声信号に対する音声符号化処理及びレイヤ処理としてのチャネルコーデック処理等を行い、処理信号を送信信号として出力する。前記音声符号化処理及びチャネルコーデック処理等は、特に制限されないが、DSPを用いて行われる。特に図示はしないが、データプロセッサ53は、前記チャネルコーディックや音声コーディックの為のアクセラレータを内蔵してよい。
【0058】
データプロセッサ53で生成された送信信号は例えばGMSK変調回路54によって変調され、更にD/A変換器55のよりアナログ信号に変換され、高周波送信部(RF送信部)56によりアンテナ57を介して送信される。
【0059】
アンテナ57で受信された受信信号は、高周波受信部(RF受信部)58によって受信され、A/D変換器59にてディジタル信号に変換され、データプロセッサ53に取り込まれる。データプロセッサ53は、ビタビ復号処理、音声復号処理等を行い、音声信号を取り出し得て出力する。ビタビ復号処理、音声復号処理等はDSP又は図示を省略するアクセラレータによって行われる。
【0060】
データプロセッサ53より出力された音声信号はD/A変換器60によりアナログ音声信号に変換され、スピーカ61から音声として出力される。
【0061】
第10図の携帯電話機20においてデータプロセッサ53は中央処理装置(CPU)62、ダイレクトメモリアクセスコントローラ(DMAC)63、前記CPU62の動作プログラムなどを保有するリード・オンリ・メモリ(ROM)64、前記CPU62のワーク領域に利用されるランダム・アクセス・メモリ(RAM)65、及び入出力ポートやシリアルインタフェースなどの入出力回路(I/O)66を有する。特に制限されないが、携帯電話機20の例では、データプロセッサ53は音声符号化復号のための音声コーデック処理、レイヤ処理としてのチャネルコーディック処理、及びシステム制御処理などの動作プログラムは前記ROM64が保有する。DMAC63に対する転送制御条件の設定処理は前記ROM64に格納された動作プログラムをCPU62が実行して行うようになっている。
【0062】
特に制限されないが、前記データプロセッサ53のI/O66には、入力スイッチ部70、表示コントローラ71、及びカードインタフェースコントローラ72が接続されている。入力スイッチ部70はファンクション指定によって数字及び文字等を入力可能な多数の入力スイッチを有している。カードインタフェースコントローラ72はカードスロット21に装着されたマルチファンクションICカードMFCとデータプロセッサ53との間のインタフェース制御を行う。データプロセッサ53は送信電話番号、着信電話番号、通信状態、バッテリ電圧など、携帯電話装置20の状態を表示コントローラ71を介して液晶ディスプレイ75に適宜表示制御する機能を有している。
【0063】
《マルチバンクメモリカード》
第11図には本発明に係るICカードの第2の例であるマルチバンクメモリカードの構成をコネクタ端子と回路ユニットとの接続形態を主体に示している。
【0064】
第11図に示されるマルチバンクメモリカードMBCは、図1のマルチファンクションICカードMFCと同様の配列で、カード基板1に2列で千鳥状の#1〜#13のコネクタ端子2が配置され、#1〜#13のコネクタ端子2には並列動作可能なマルチバンクメモリを構成するようにメモリカードユニット3、3Aが接続されている。5はメモリカードユニット3、3Aをコネクタ端子2に接続する配線パターンやボンディングワイヤ等を総称する接続配線である。
【0065】
メモリカードユニット3は、#1〜#8、#13のコネクタ端子2に接続され、図1のマルチファンクションICカードMFCのメモリカードユニット3と同じ構成を有する。したがって、メモリカードユニット3は、前述と同じように、第12図の7pin(1bit)の欄に示すようにマルチメディアカードとして動作可能であり、また、第12図の9pin(4bit)の欄に示すようにSDカードと同様に4ビット並列データ入出力動作可能である。その動作モードは、前述の通り、カードスロットに接続した時のコネクタ端子2の状態で決まり、また、マルチメディアカード互換の動作モードにおけるマルチメディアカードモード、SPIモードは前述の通りホスト装置によるメモリカードユニット3に対する初期化時の指定で決まる。
【0066】
前記メモリカードユニット3Aはマルチメディアカード準拠の1ビットシリアル入出力のみ可能なメモリカードとしての機能だけしか備えていない。このメモリカードユニット3Aは、メモリカードユニット3と共有する#3、#4、#6のコネクタ端子から接地電圧Vss1、電源電圧Vdd、接地電圧Vss2の供給を受る。そして、マルチメディアカードモードでは#9はリザーブ端子NC−2(オープン又は論理値“1”に固定)、#10はコマンド端子CMD−2(コマンド入力及び応答信号出力を行う)、#11はクロック入力端子CLK−2、#12はデータの入出力端子Data−2として機能される。SPIモードでは#9はチップセレクト端子CS−2(負論理)、#10はデータ入力端子Din−2(ホスト装置からカードへのデータ及びコマンド入力用)、#11はクロック入力端子CLK−2、#12はデータ出力端子Dout−2(メモリカードからホスト装置へのデータ及びステータス出力)として機能される。マルチメディアカードモード、SPIモードは前述の通りホスト装置によるメモリカードユニット3Aに対する初期化時の指定で決まる。
【0067】
第11図に示されるマルチバンクメモリカードMBCを第6図に例示されるように13個のスロット端子22を有するカードスロット21に装着してホスト装置とインタフェースした場合、2個のメモリカードユニット3,3Aを並列動作させるとき夫々のメモリカードユニット3,3Aに採り得る動作モードは、第1に、第12図の13pin(A)欄に例示されるように、双方共にマルチメディアカード互換モードにおけるマルチメディアカードモード又はSPIモードとする態様である。第2に、第12図の13pin(B)欄に例示されるように、メモリカードユニット3を4ビット並列入出力可能な動作モード、メモリカードユニット3Aをマルチメディアカード互換モードにおけるマルチメディアカードモードとする態様である。何れにおいても、ホスト装置は1個のICカードに含まれる双方のメモリカードユニット3、3Aを夫々独立に制御でき、完全に並列動作させることも可能である。
【0068】
《電源間ショート防止》
第1図のマルチファンクションICカードMFC及び第11図のマルチバンクメモリカードMBCにおいて前後2列のコネクタ端子2の配列には電源間ショートの防止が考慮されている。上記の例では電源供給用コネクタ端子である#4の端子の後方には端子が配置されていない。第6図に例示されるようにコネクタ端子2が千鳥状に配置されている部分では、カードスロット21のスロット端子22は、短い端子22(S)と長い端子22(L)が交互にコネクタ端子2の半分のピッチで密集して配置されている。これに対して、#4のように後方にコネクタ端子2が無ければ、第6図に例示されるように、電源電圧(Vdd)供給用の#4のコネクタ端子2に対応されるスロット端子22(Vdd)の両隣には長いスロット端子22(L)が配置されない。
【0069】
これに対して第13図の(A)に例示されるように、電源電圧(Vdd)供給用の#4のコネクタ端子の後ろに#10、#11のデータ端子を配置したICカード25を想定する。このICカード25に対応されるカードスロット26では、#4のコネクタ端子に対応されるスロット端子26Aaの隣には長いスロット端子26Abが配置されることになる。
【0070】
第13図のICカード25をカードスロット26に挿入するとき、第13図の(B)に例示されるようにスロット端子26Abの接点(■印部分)は電源電圧Vddを入力する#4のコネクタ端子と回路の接地電圧Vssを入力する#3のコネクタ端子の表面に摺接する。このとき、電源電圧Vddを受けるスロット端子26Aaが#4のコネクタ端子に導通し、回路の接地電圧Vssを受けるスロット端子26Acが#3のコネクタ端子に導通すると、第13図の(C)に示されるように、26Aaの接点、#4、26Abの接点、#3、26Acの接点を介して電源電圧Vddと接地電圧Vssがショートする。
【0071】
第6図に例示されるように電源供給用コネクタ端子である#4の端子の後方にコネクタ端子を配置しないことにより、そのような電源ショートの虞を未然に防止する事ができる。
【0072】
以上本発明者によってなされた発明を実施例に基づいて具体的に説明したが本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【0073】
例えば、本発明はマルチメディアカードの外形仕様以外のメモリカード、例えばコンパクトフラッシュ(登録商標)メモリ等の別の規格のICカードにも適用することができる。したがって、カード基板の大きさ、コネクタ端子の数、及びコネクタ端子の機能などは上記説明に限定されず、適宜変更可能である。また、本発明のICカードに実装されるメモリは不揮発性メモリに限定されるものではなく、揮発性メモリ(SRAM、DRAM等)であってもよい。また、不揮発性メモリは前記フラッシュメモリに限定されず、強誘電体メモリであってもよい。
【0074】
本発明は、マルチファンクションICカードとしてGSM等の携帯電話機、その他の携帯情報端末に利用することができ、また、マルチバンクメモリICカードとしてディジタルビデオカメラ、ディジタルスチルカメラ、その他の電子機器の補助記憶装置等に広く利用することができる。さらに、マルチファンクションICカードの機能として、通帳、クレジットカード、IDカード等の機能をメモリ機能と共に組み込むことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】図1は本発明に係るICカードの一例であるマルチファンクションICカードの構成をコネクタ端子と回路ユニットとの接続形態を主体に示した説明図である。
【図2】図2はマルチファンクションICカードのコネクタ端子機能の一覧を例示する説明図である。
【図3】図3はマルチファンクションICカードの回路実装面の実際の状態を例示する平面図である。
【図4】図4はマルチファンクションICカードの端子面の実際の状態を例示する裏面図である。
【図5】図5は携帯電話機の外観を例示する斜視図である。
【図6】図6はカードスロットにマルチファンクションICカードを装着した状態を示す平面図である。
【図7】図7はマルチメディアカード用のカードスロットにマルチファンクションICカードを装着した状態を示す平面図である。
【図8】図8はメモリカードユニットの機能ブロック図である。
【図9】図9はSIMカードユニットの機能ブロック図である。
【図10】図10はマルチファンクションICカードを利用可能な携帯電話機の機能ブロック図である。
【図11】図11は本発明に係るICカードの第2の例であるマルチバンクメモリカードの構成をコネクタ端子と回路ユニットとの接続形態を主体に示した説明図である。
【図12】図12は第11図のマルチファンクションICカードのコネクタ端子機能の一覧を例示する説明図である。
【図13】図13は電源間ショートを生ずるコネクタ端子配列を比較例として示す説明図である。
【符号の説明】
【0076】
1 カード基板
2 コネクタ端子
3 メモリカードユニット
4 SIMカードユニット
5 接続配線
8 フラッシュメモリ
9 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の主面に配列された複数のコネクタ端子と、
情報処理するためのCPU及びROMを有し前記基板の主面に搭載されるSIMカードユニットの機能を備えたSIM機能半導体チップと、
不揮発性メモリ及びその不揮発性メモリを制御するコントローラを有し前記基板の主面に搭載されるメモリカードユニットの機能を備えたメモリ機能半導体チップと、
前記複数のコネクタ端子は、前記SIM機能半導体チップと外部との間でデータ入出力を行うSIMデータ入出力コネクタ端子と、
前記メモリ機能半導体チップと外部との間でデータ入出力を行うメモリデータ入出力コネクタ端子と、
外部から接地電圧が供給される接地電圧供給用コネクタ端子と、を有し、
前記SIM機能半導体チップは、そのチップの主面にSIMデータの入出力に用いられるチップ端子と、
前記接地電圧が供給される第1接地電圧チップ端子と、を有し、
前記メモリ機能半導体チップは、そのチップの主面にメモリデータの入出力に用いられるチップ端子と、
前記接地電圧が供給される第2接地電圧チップ端子と、を有し、
前記SIMデータ入出力コネクタ端子と前記SIMデータ入出力チップ端子とを接続するSIMデータ入出力配線と、
前記メモリデータ入出力コネクタ端子と前記メモリデータ入出力チップ端子とを接続するメモリデータ入出力配線と、
前記接地電圧供給用コネクタ端子と前記第1接地電圧チップ端子と前記第2接地電圧チップ端子とを接続する接地電圧配線と、を有し、
前記SIMカードユニットの第1情報と前記メモリカードユニットの第2情報の書き込み及び読み出しを夫々ユニット毎に独立して行うICカード。
【請求項2】
前記SIM機能半導体チップはチップ内不揮発性メモリを有する、請求項1記載のICカード。
【請求項3】
前記チップ内不揮発性メモリはシステム加入者情報やサービスに必要な情報を保持する、請求項2記載のICカード。
【請求項4】
前記第1情報と前記第2情報のセキュリティレベルは異なる、請求項3記載のICカード。
【請求項5】
前記基板は1対の辺を有し、
前記複数のコネクタ端子は前記基板の1対の辺の一方の1辺に沿うように前記基板の主面に配列され、
前記SIM機能半導体チップは前記基板の1対の辺の他方の辺に沿うように前記基板の主面に搭載され、
前記メモリ機能半導体チップは前記複数のコネクタ端子と前記SIMカード半導体チップに挟まれるように前記基板の主面に搭載され、
前記基板の外形寸法は前記SIM機能半導体チップと前記メモリ機能半導体チップの外形寸法よりも大きく、
前記メモリ機能半導体チップのチップ外形寸法は前記SIM機能半導体チップの外形寸法よりも大きく、
前記メモリ機能半導体チップの主面に配列されたチップ端子の数は前記SIM機能半導体チップのチップ端子の数よりも多い、請求項4記載のICカード。
【請求項6】
前記複数のコネクタ端子は外部から電源電圧が供給される電源電圧供給用コネクタ端子を有し、
前記SIM機能半導体チップは、そのチップの主面に電源電圧が供給される第1電源電圧チップ端子を有し、
前記メモリ機能半導体チップは、そのチップの主面に電源電圧が供給される第2電源電圧チップ端子を有し、
前記電源電圧供給用コネクタ端子と前記第1電源電圧チップ端子と前記第2電源電圧チップ端子とを接続する電源電圧配線とを有する、請求項1乃至5の何れか1項記載のICカード。
【請求項7】
1対の辺を有する基板と、
前記基板の1対の辺の一方の1辺に沿うように前記基板の主面に配列された複数のコネクタ端子と、
前記基板の1対の辺の他方の辺に対向するように前記基板の主面に搭載された1対の辺を有する第1半導体チップと、
前記複数のコネクタ端子と前記第1半導体チッとで挟むように前記基板の主面に搭載された第2半導体チップと、を有するICカード

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−176809(P2008−176809A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−59014(P2008−59014)
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【分割の表示】特願2001−581226(P2001−581226)の分割
【原出願日】平成12年4月28日(2000.4.28)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】