説明

ICカード

【課題】複数ある表示内容からユーザが所望する表示内容を表示可能とする。
【解決手段】記憶部と、表示部と、センサ部と、通信部と、を備えるICカードであって、前記記憶部は、複数のサービス情報を記憶し、前記表示部は、前記記憶される複数のサービス情報のうち、1つのサービス情報を表示し、前記センサ部により、動作が検知された場合、前記表示部は、前記表示しているサービス情報とは別のサービス情報を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ICカードの表示切り替えの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、様々な分野でICカードが利用されている。
【0003】
ICカードとは、情報(データ)の記録や演算をするために集積回路(IC)を組み込んだカードの事である。
【0004】
カード内に半導体メモリを組み込む事により、取り扱える情報量が従来の磁気ストライプカードと比べて格段に大きくなり、さらに、CPUなどを内蔵する事で、カード内部で情報処理が可能になるという特徴がある。
【0005】
特許文献1には、社員証などの個人情報カードにおいて、個人情報の内容の変更などに対応して表示を書き換えたり、場所により必要情報の表示・非表示の制御を行ったり、情報機器の利用情報を表示したりすることができる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−70313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、場所によりその場所に応じた表示内容を表示する制御することはできるが、複数ある表示内容からユーザが所望する表示内容を表示させる技術ではない。
【0008】
本発明は上記課題を解決するものであり、複数ある表示内容からユーザが所望する表示内容を表示可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、記憶部と、表示部と、センサ部と、通信部と、を備えるICカードであって、前記記憶部は、複数のサービス情報を記憶し、前記表示部は、前記記憶される複数のサービス情報のうち、1つのサービス情報を表示し、前記センサ部により、動作が検知された場合、前記表示部は、前記表示しているサービス情報とは別のサービス情報を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数ある表示内容からユーザが所望する表示内容が表示可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ICカードのハードウェア構成図。
【図2】ユーザがICカードを振る例を示す図。
【図3】ICカードの表示の遷移を示す図。
【図4】ICカードのシステム構成図。
【図5】ICカードの履歴モードにおける表示例を示す図。
【図6】ICカードの処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、ICカードの機能ブロック図である。
【0013】
ICカードは、表示部101、通信部102、電源部103、記憶部104、センサ部105、タイマ部106、制御部107の各機能を有している。
【0014】
表示部101は、電子ディスプレイ技術を用いて、外部記憶装置や内部記憶装置に記憶されている様々な情報を表示することが可能である。
【0015】
通信部102は、RFID(Radio Frequency IDentification)の技術を用いて、外部の通信機器からの高周波を電源として用いて、外部の通信機器と通信を行う。
【0016】
電源部103は、電力を供給するものである。なお、電子ディスプレイ技術では、表示の書き換え時のみに電源が必要で、すでに表示された内容を保持するために電源を必要としないものがある。その場合、表示内容の変更を行う際に通信部102が外部装置から送信される高周波を電源として、表示内容の変更に必要な電力として利用することにより、電源部103を持たなくとも動作可能とすることが出来る。このように外部から電源を取得することができ場合、電源部103は、不要である。
【0017】
記憶部104は、各種情報を記憶するものである。表示部101に表示する情報も記憶される。ここには、複数の電子マネーやポイントカードの情報が格納されている。本実施の形態では、複数のサービスそれぞれの情報をサービス情報という。サービス情報には、後述する図3や図5に示すような表示領域に表示される情報が含まれる。
【0018】
センサ部105は、ICカードに対する物理的作用を検知するものである。例えば、加速度センサなどがある。加速度センサは、加速度を計測するセンサであって、その用途は多岐にわたっており、歩数計や携帯電話の画面の上下方向を決めるのに使用されている。
【0019】
タイマ部106は、時間をカウントする機能を備える。
【0020】
制御部107は、表示部101、通信部102、電源部103、記憶部104、センサ部105、タイマ部106を制御する。
【0021】
図2は、ICカードの所有者が、ICカードを振った例を示す図である。本実施の形態では、ICカードを振る方向として第一方向と第二方向があるものとして説明する。
【0022】
センサ部は、ICカードが振られた場合、第一方向または第二方向のいずれに振られたかを検知することができる。
【0023】
本実施の形態では、センサ部により第一方向または第二方向のいずれに振られたかを検知した場合、その方向に応じて、制御部が、表示部の内容を変化させる制御を行う。
【0024】
なお、本実施の形態では、第一方向および第二方向の二種類の例で説明するが、方向の種類は、二種類に限定されるものではない。センサ部は、三種類以上の方向でも検知可能であるため、それぞれの方向に応じて表示内容を切り替えることができる。
【0025】
表示部に表示される表示内容の遷移を、図3を用いて説明する。
【0026】
なお、表示内容は、一般に、電子マネーやポイントカードなどのサービス毎に異なる内容となっている。
【0027】
まず、ICカードの表示領域301には、電子マネーAについての内容が表示されているものとする。301には、残高が8746円、Aポイントが13450ポイントであると表示されている。なお、Aポイントとは、電子マネーAの利用実績に応じて利用者に付与されるポイントのことである。
【0028】
ここで、ICカードが第一方向へ振られたことをセンサ部が検知した場合、制御部は、記録部から電子マネーBについての情報を取り出し、表示部に表示する制御を行う。302に例を示す。302には、残高が3566円、Bポイントが340ptであると表示されている。なお、Bポイントとは、電子マネーBの利用実績に応じて利用者に付与されるポイントのことである。
【0029】
更に、ICカードが第一方向へ振られたことをセンサ部が検知した場合、制御部は、記録部から△△カメラについての情報を取り出し、表示部に表示する制御を行う。303に例を示す。303には、ポイントが13450ポイント、有効期限が2011/10/10であると表示されている。なお、ポイントとは、△△カメラでの購入額に応じて一定の割合で付与されるポイントのことである。
【0030】
ここで、表示領域には、表示可能な表示内容の数と、現在の表示内容の番号が把握できる表示を311〜313にしている。例えば、「2/3」とは、全部で表示可能な表示内容の数が「3」つあり、現在、「2」ページ目を表示していることを示している。
【0031】
なお、最後のページが表示された状態で、さらに第一方向へ振られた場合、最初のページにループして表示することができる。
【0032】
一方、ICカードが第二方向へ振られたことをセンサ部が検知した場合、制御部は、現在表示しているページから1ページ戻って、表示する制御を行うことができる。また、1ページ戻るのではなく、常に最初のページ戻って、表示する制御を行うことができてもよい(デフォルト表示)。
【0033】
図4は、実際にICカードを利用する場合のシステム構成図である。
【0034】
ICカード10を、リーダ/ライタ20へかざすと、リーダ/ライタ20は、ICカードから情報を読み取り、サーバ30に読み取った情報を送信する。サーバ30は、サービスの内容に応じた処理を行い、処理結果をリーダ/ライタ20を介して、ICカード10を書き込む。
【0035】
例えば、電子マネーAで決済をする場合、リーダ/ライタ20は、ICカード10から残高情報を読み取り、サーバ30へ情報を送信する。サーバ30では、決済処理を行い、その結果(決済後の残高)を、リーダ/ライタ20を介して、ICカード10へ書き込む。
【0036】
なお、一般に、ユーザは、決済後に利用した電子マネーの残高を確認したいことから、本実施の形態では、電子マネーAによる決済がされた後は、表示領域に、電子マネーBや△△カメラのポイントが表示されていたとしても、切り替えて、電子マネーAを表示領域へ表示する。このようにすることで、ユーザは、カードを振ることなく、直ちに、所望の情報を確認することができる。
【0037】
さらに、表示画面を切り替えて所定の時間内は、履歴閲覧モードに変更することができる。この履歴閲覧モード時に、ICカードを第一方向または第二方向へ振ることで、履歴情報を確認することができる。
【0038】
図5は、電子マネーAについて、履歴閲覧モードになった場合の画面例を示す。
【0039】
まず、1回、第一方向へICカードを振ることで、表示領域に512の画面が表示される。511に「1/5」との表示があるように、5ページある履歴のうち、1ページ目を表示していることを示す。
【0040】
この状態で、第一方向へ振ることで次のページを閲覧することができる。3回振ると3ページ進むため、512のように「4/5」と表示され、そのページに記録されている過去の明細を確認することができる。
【0041】
図6は、ICカードにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【0042】
本処理の主体は、制御部である。
【0043】
601において、動きを検知したかを判定する。Yesの場合602へ進み、Noの場合603へ進む。ここでは、加速度センサによりICカードが振られたかを判定し、かつ、第一方向または第二方向のいずれに振られたかを判定する。
【0044】
602において、表示内容を変更する。ここでは、振られた方向に応じて、表示内容を変更する(図3参照)。
【0045】
603において、読み書きが発生したかを判定する。Yesの場合604へ進み、Noの場合601へ戻る。ここではICカードがリーダ/ライタにより読み書きが発生したかを判定する。なお、読み書きが発生した場合、タイマ部が、予め設定されている時間のカウントダウンを始める。例えば、30秒のカウントダウンを始める。
【0046】
604において、履歴モードを開始する。履歴モードを開始することで、表示領域の画面を切り替える。例えば、電子マネーAについての読み書きが発生した場合(決済が行われた場合)、表示内容を、現在表示されている内容にかかわらず、電子マネーAの内容を表示する。
【0047】
605において、所定時間経過したかを判定する。Yesの場合608へ進み、Noの場合606へ進む。ここでは、603で読み書きが発生した際に、タイマ部がカウントダウンしている時間内であるかを判定している。
【0048】
606において、動きを検知したかを判定する。Yesの場合607へ進み、Noの場合605へ戻る。この処理は601と同じである。
【0049】
607において、履歴表示を行う。ここでは、振られた方向に応じて、表示内容を変更する(図5参照)。
【0050】
608において、履歴モードを終了し、601へ戻る。
【0051】
以上説明した通り、本発明によれば、複数ある表示内容からユーザが所望する表示内容が表示可能となる。
【0052】
具体的には、ユーザは、ICカードを振ることで、複数のサービス毎(電子マネーAやポイントカードなど)の表示内容を切り替え表示することが可能となる。
【0053】
また、サービスを利用したタイミング(決済処理など)で、そのサービスの表示を行い(電子マネーAを使った場合は、電子マネーAの表示)、しばらくの時間は、ICカードを振ると、そのサービスの履歴を確認することが可能となる。
【符号の説明】
【0054】
101 表示部
102 通信部
103 電源部
104 記憶部
105 センサ部
106 タイマ部
107 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と、表示部と、センサ部と、通信部と、を備えるICカードであって、
前記記憶部は、複数のサービス情報を記憶し、
前記表示部は、前記記憶される複数のサービス情報のうち、1つのサービス情報を表示し、
前記センサ部により、動作が検知された場合、前記表示部は、前記表示しているサービス情報とは別のサービス情報を表示することを特徴とするICカード。
【請求項2】
前記通信部により、外部装置と通信が行われた場合、前記表示部は、当該通信に係るサービス情報を表示することを特徴とする請求項1に記載のICカード。
【請求項3】
タイマ部を更に備え、
前記通信に係るサービス情報が表示された場合、前記タイマ部により予め定められている時間内に、前記センサ部により、動作が検知された場合、前記表示部は、当該サービス情報についての履歴情報を表示することを特徴とする請求項2に記載のICカード。
【請求項4】
前記動作は、第一方向または第二方向に対する動作であって、
前記表示部は、検知された方向に応じたサービス情報を表示する制御を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のICカード。
【請求項5】
記憶部と、表示部と、センサ部と、通信部と、を備えるICカードにおける制御方法であって、
前記表示部により、前記記憶部に記憶される複数のサービス情報のうち、1つのサービス情報を表示する第一の表示ステップと、
前記センサ部により、動作を検知する検知ステップと、
前記センサ部により、動作が検知された場合、前記表示部により、前記表示しているサービス情報とは別のサービス情報を表示する第二の表示ステップと
を含むことを特徴とする制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−96034(P2011−96034A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249878(P2009−249878)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(390002761)キヤノンマーケティングジャパン株式会社 (656)
【Fターム(参考)】