説明

ICカード

【課題】本発明では、外部接触端子を有するICカードにおいて、外観を損ねることなく、実装時に用いる接着剤のはみ出しを低減することを課題とする。
【解決手段】カード基材と、カード基材に形成された、開口部と側壁と底部を有する第1の凹部と、第一の凹部の底部に形成された、開口部と側壁と底部を有する第2の凹部と、第1の凹部及び第一の凹部内に固定配置された外部端子付きICモジュールを備えたICカードにおいて、該ICモジュールが、外部端子を有するモジュール基板と、モジュール基板上に実装され外部端子と電気的に接続されたICチップと、ICチップを封止する樹脂封止部を有し、第1の凹部の底部と側壁のなす角度が90°より大きく、底部が側壁側から中心に向かって深くなる傾斜形状であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は外部接触端子を有するICカードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外部接触端子を有する接触式のICカードや接触式と非接触式の通信が可能ないわゆるデュアルICカードでは、外部端子として機能する導電部材を有する基板にICチップを実装し、ICチップと導電部材をワイヤーボンディング等により接続し、ICチップ及びワイヤーボンディングを樹脂等により封止した構造の外部接触端子付きICモジュールが用いられる。
このようなICモジュールをカードに実装する場合、カード基材にICモジュールを埋設するための凹部を形成し、この凹部に外部接触端子付きICモジュールを埋設配置する。
このICモジュールは基板の幅と樹脂封止部の幅が異なるため、通常凸型形状からなるため、カード基材へ形成する凹部も、ICモジュールの幅と樹脂封止部の幅に合わせた2段形状のものを用いる。カード基材に形成する凹部はミリング加工等により行われる。
【0003】
そしてカード基材に形成した凹部の1段目の底部に接着剤または接着シートを設け、ICモジュールをピックアップ装置等を用いて、凹部に配置し熱圧プレスにより基材とICモジュールを接着固定する。
通常ICモジュールをカード基材の凹部に実装する実装装置には、位置精度のばらつきがある。そのため、凹部はICモジュールのサイズと同じではなく少し隙間ができるように形成されている。
1段目の凹部はICモジュールを実装した時に外観を損ねない程度の隙間ができるように形成する。この隙間は通常0.05〜0.1mmの大きさになるように形成されているが、隙間が小さいため、ICモジュールを実装する時に用いる接着剤が表面にはみ出す不良が発生することがある。
【0004】
また、ICモジュールのモジュール基板は外側に沿っている場合がありこのようなICモジュールを用いてICカードを作成すると、ICモジュール実装時の熱圧では矯正することができず、図8に示すように外部接触端子がカード表面から盛り上がり平滑性に欠けることがある。平滑性に欠ける場合、表面印刷・印字の際に印刷・印字不良を起こしたり、また平積みにより保管する場合、カード同士が接することによる傷の原因となりまた、多数枚平積みできないという問題もある。
【0005】
【特許文献1】特開2010−011127
【特許文献2】特開2009−086914
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明では、外部接触端子を有するICカードにおいて、外観を損ねることなく、実装時に用いる接着剤のはみ出しを低減することを課題とする。
さらに、モジュール基板の反りがあるICモジュールを用いても表面平滑性に優れたICカードとすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、カード基材と、カード基材に形成された、開口部と側壁と底部を有する第1の凹部と、第一の凹部の底部に形成された、開口部と側壁と底部を有する第2の凹部と、第1の凹部及び第一の凹部内に固定配置された外部端子付きICモジュールを備えたICカードにおいて、該ICモジュールが、外部端子を有するモジュール基板と、モジュール基板上に実装され外部端子と電気的に接続されたICチップと、ICチップを封止する樹脂封止部を有し、第1の凹部の底部と側壁のなす角度が90°より大きく、底部が側壁側から中心に向かって深くなる傾斜形状であることを特徴とするICカードとする。
また、前記第一の凹部の底部が階段状の傾斜を有することを特徴とするとする。
また、前記カード基材と第1の凹部及び第一の凹部内に固定配置された外部端子付きICモジュールの第1の凹部の開口部における隙間が0.1mm以下以下であることを特徴とする。
また、前記第2の凹部の底部と側壁なす角度が90°より大きいことを特徴とする。
また、前記第2の凹部の底部と側壁なす角度が100〜120°の範囲内であることを特徴とする。
また、前記ICモジュールの樹脂封止部がモジュール基板面と表面と側壁を有し、前記第2の凹部の底部と側壁なす角度が、該樹脂封止部の表面と側壁のなす角度より大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、外部接触端子を有するICカードにおいて、外観を損ねることなく、実装時に用いる接着剤のはみ出しを低減することができる。
また、不良の発生をすることなく、従来よりカード基材に設けた凹部とICモジュールの隙間を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のカードの一例を示す断面図である。
【図2】本発明のカードの一例を示す断面図である。
【図3】本発明のICモジュールの一例を示す断面説明図である。
【図4】本発明のICモジュールの実装の一例を示す断面説明図である。
【図5】本発明のICモジュールの実装の一例を示す概略説明図である。
【図6】本発明のICモジュールの実装の一例を示す概略説明図である。
【図7】本発明の凹部の切削加工(ミリング加工)の方法の一例を示す説明図である。
【図8】従来のICモジュールの実装の一例を示す断面説明図である。
【図9】従来のICモジュールの実装の一例を示す断面説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を図面を参照しながら説明する。
図1、図3は本発明のICカードの断面の一例を示す断面図である。
本発明で用いるカード基材1としてはカードの基材として機能するものであれば特に限定するものではない。カード基材は単層の基材を用いてもよいし、複数の基材を積層したものを用いてもよい。複数の基材を積層する場合、例えば図2に示すように1層または2層程度のコア基材1aの両面に外装基材1bを積層したものを用いることができる。
【0011】
カード基材としては、塩化ビニルや塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、テレフタル酸と、シクロヘキサンジメタノール及びエチレングリコールとの共重合体、テレフタル酸とイソフタル酸及びエチレングリコールとの共重合体、またはその共重合体とポリカーボネート及び、またはポリアリレートとのポリマーアロイからなる非晶性ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ABS樹脂、紙、含浸紙等が挙げられる。
中でも、コア基材及び外装基材として、塩素を含まない非結晶性ポリエステル系樹脂を用いる構成が、環境配慮の点から好ましい。
【0012】
これらのカード基材は白色または透明なものを用いることができる。
カード基材の厚みは特に限定するものではないが、総厚で0.76±0.08mm以下であればJISX6301を満たし、クレジットカード、キャッシュカード、IDカードなどに適用できるため好ましい。
【0013】
本発明では、カード基材の表面に外部接触端子を有する接触式のICモジュール2を埋設する。
外部接触端子を有する接触式のICモジュールとしては、図3に示すように外部の読取装置と接触通信するための導電部材からなる外部端子6を有するモジュール基板5にICチップ7を実装し、ICチップ7と外部端子6をワイヤーボンディング等の接続部材8により接続し、ICチップ7及びワイヤーボンディングを樹脂等により封止した樹脂封止部9を有する構造の外部接触端子付きICモジュールを用いる。
【0014】
ICモジュールとしては、例えば、以下の工程で製造されるものを用いることができる。
モジュール基板5は、ガラス−エポキシやポリイミドなどを用いることができる。
モジュール基板の厚みは100〜170μm程度で、縦横の大きさは11.8×13mm程度である。
モジュール基板5はパンチング等により外部端子6へ導通するための穴が形成されている。外部端子6は、銅ラミネーション、エッチングを経てパターンが形成され、ニッケル、金、銀によってメッキされる。メッキ材料は特に限定するものではなく、パラジウム等の蒸着をされていてもよい。
またICモジュールの形態によって、接触用とする場合(接触用ICモジュールとする場合)は、片面に外部端子6として導電部材を有するモジュール基板としてもよいし、接触と非接触の兼用とする場合(デュアルICモジュールとする場合)は、片面に外部端子6となる導電部材を設け、反対の面にアンテナコイルと接続をするための導電部材を形成することができる。
【0015】
ICチップ7は、Siウェハーに回路を形成し、このSiウェハーを研磨することによりウェハーの厚みを規定の厚みとし、ダイシング装置により1つのICチップとして切り離され製造されるたものを用いることができる。
ICチップ7の実装は、前述のモジュール基板5にICチップ7を実装するための接着剤を用いて実装される。そしてICチップ7を実装後、外部端子6と電気的に接続する。具体的にはICチップの各端子を外部端子6へ導通させるためにワイヤーボンディングを行う。このワイヤーは通常金ワイヤーを用いられているが、銅、アルミニウムなど他のワイヤー材料であっても構わない。
【0016】
ワイヤーボンディング工程後、ICチップ保護のための樹脂による封止を行う。封止方法としてはトランスファーモールド方法、ポッティング方法、印刷方法等あるが方法は問わない。また封止材料は熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等である。封止樹脂をそれぞれの方法において硬化させることによりICモジュールが製造される。この時、モールド樹脂にテーパー角が付くような形状とすることが望ましい。
【0017】
また、ICモジュール2の形状は、断面においてモジュール基板5の面積よりICチップを保護する樹脂封止部9の面積が小さいため、外形は凸型形状となる。
樹脂封止部9は、通常は、断面において、モジュール基板側面9aの縦横の大きさに対し樹脂封止部表面9bの縦横の大きさが小さくなるように形成され、すなわち、モジュール基板側から樹脂封止部表面側に向かって窄まるように傾斜がついた形状となっている。このICモジュールの樹脂封止部表面9bと側壁9cのなす角度11は100〜110°程度である。なお、樹脂封止部9は傾斜のついていない形状のものを用いてもかまわない。
【0018】
また、モジュール基板5は、製品によっては外側に反っているものがある。この反りは概ね0.05〜0.1程度である。
【0019】
図4に示すように、ICモジュール2の埋設には、まずカード基材にミリング加工、切削加工などによりICモジュールを収用するための凹部を形成する。
前述のようにICモジュール2は、凸型形状であるため、モジュール基板5の大きさに対応した第1の凹部3と、第1の凹部3の底部3bに樹脂封止部9の大きさに対応した第2の凹部4を形成し、2段の凹部を形成する。
【0020】
本発明では、図4、図6、図7等に示すように、第1の凹部3の底部3bが内側に向かって深くなるように傾斜若しくは段差がついていることを特徴としている。即ち第1の凹部3の底部3b(段差をつける場合は近似直線、図7の点線部分参照)と側壁3cのなす角度が90°より大きいことを特徴とする。このようにすることで、カード基材とICモジュールの隙間は小さくできるため外観上好ましく、またモジュール基板と底部の間に一定の隙間ができるため、ICモジュール実装時に広がる接着剤を収容することで表面にはみ出ることを防ぐことができる。さらにモジュール基板に反りがある場合でもモジュール実装時に矯正することができ、表面を平滑にすることができる。
第1の凹部3は、開口部3aにおいてICモジュール2を実装したときにモジュール基板5との隙間14が0.1mm以下になる大きさで形成する。この範囲であれば外観上好ましいものとなる。
第1の凹部3の深さは外部端子6とモジュール基板5の厚み等を考慮して設定する。なお、モジュールを実装する時に用いる接着剤10については、モジュール実装時に上部からの熱や圧力により圧縮されて広がるため、その時の厚みを考慮するか、もしくは厚みは考慮しなくてよい。
【0021】
第2の凹部4は、傾斜のついた形状であってもよいし、傾斜のない従来と同様の形状でもよい。
好ましくは第2の凹部4にも傾斜がついた形状、すなわち第2の凹部4の底面と側壁4cのなす角度が90°より大きいことが好ましい。第2の凹部4に傾斜がついていると、ICモジュールを実装する際、ICモジュールの樹脂封止部表面9aより第2の凹部の開口部4aが大きいため、多少位置がずれてもICモジュールの一部が凹部内に入り、その後傾斜がガイドとなり、ICモジュールの樹脂封止部表面が第2の凹部の底部4bに到達した時に、ICモジュールの樹脂封止部表面9aの大きさと第2の凹部の底部の大きさが略同等であるため、ICモジュールを自動的に固定配置することができる。特にICモジュールの樹脂封止部自体に傾斜が設けられている場合、第2の凹部には、樹脂封止部の傾斜と同等の傾斜、または少し大きい傾斜を設けておくことでスムーズにICモジュールを固定できる。
【0022】
具体的には、断面において、第2の凹部4の開口部4aの縦横の大きさは、樹脂封止部9のモジュール基板5側の縦横の大きさと同等若しくは少し大きくなる形状とする。具体的には第2の凹部4と樹脂封止部9の隙間15が0.3mm以下になるように形成する。
第2の凹部4の底部4bの縦横の大きさは、樹脂封止部9表面の縦横の大きさと同等又は多少の隙間できる程度とする。なお底部においては隙間がより小さい方がICモジュールを固定できるのでより好ましい。具体的には底部における第2の凹部4と樹脂封止部9の隙間16が0.2mm以下になるように形成する。
また、第2の凹部4の底面と側壁4cのなす角度13は100〜120°程度である。
また、第2の凹部4の底面と側壁4cのなす角度13は、樹脂封止部表面9bと側壁9cのなす角度11以上であることが好ましく、特に、角度11より大きいことが好ましい。このようにすることでモジュールの実装固定が容易にできる。
【0023】
第1の凹部は、底部が内側に向かって深くなるように傾斜または段差を有する形状とすることを特徴とする。このような形状の切削加工(ミリング加工)は、例えば、図7に示すような切削工具を用い加工することができる。また、最初に水平な底部を有する凹部を形成し、径の小さいエンドミルを用いて段階的に内側に向かって深くなるような切削加工を施すことで加工することができる。
第2の凹部は、適宜エンドミルを選択して図7に示す加工装置等を用いて、側壁を垂直又は傾斜のついたテーパー形状に加工形成できる。
【0024】
カード基材に設けた凹部へのICモジュールの実装は、第1の凹部3の底部に接着シートを配置又は接着剤を塗布し、ピックアップ装置などによりICモジュールを凹部内配置し、上部から熱圧プレスすることにより固定配置することができる。また、予めICモジュールに接着シートを仮張りしておき、ピックアップ装置などによりICモジュールを凹部内に配置し、上部から熱圧プレスすることにより固定配置することもできる。
【0025】
また、ICモジュールとして、接触と非接触の兼用のいわゆるデュアルICモジュールを用いる場合、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)等の基材シートにアンテナコイルを形成したアンテナシートの両面をそれぞれ単層または複層の基材を積層したものをカード基材を用い、カード基材に凹部を形成して、前述と同様にICモジュールを設けることができる。なお、カード基材に凹部を形成するとき、アンテナコイルの接続部又はアンテナコイルとICモジュールを接続する接続部材の接続部が露出するようにし、ICモジュールを実装する時にアンテナコイルの接続部または接続部材の接続部と接続させることができる。また、ICモジュールに結合用コイルを設けておき、アンテナコイルにも電気的につながっている結合コイルを設けておき、結合コイル同士を介して電磁結合により接続することもできる。
【0026】
また、カード基材には保護層や絵柄層、磁気記録層を形成してもよい。保護層や絵柄層、磁気記録層は公知の方法で設けることができる。
【0027】
本発明のカードでは、後加工として文字・数字・図形などのエンボス加工や、ホログラム箔等箔押し加工などの成形加工を施す。これらの加工は、公知の手法で形成することができる。なお、エンボスの領域・形状は、JIS X 6302−1で定められたものとする。箔押し条件は、温度が120〜180℃、圧力が1.0〜10MPa、時間が0.5〜3.0secが適している。
【0028】
また、本発明では、多面付けのシート状のカード基材を用い、ICモジュールを実装した後カード小片に打ち抜くことによりカード化してもよい。
カード小片への切り出しは、一般的にプレス機に取り付けた雄雌金型や中空の刃物による打ち抜きが用いられる。
【実施例】
【0029】
<実施例1>
厚み0.6mmのポリ塩化ビニル(PVC)からなる2層のコア基材と、コア基材の両面にそれぞれ厚み0.1mmの非晶質ポリエステルからなる外装基材を熱ラミネートにより貼り合わせカード基材を作成した。
【0030】
次に、カード基材に、ミリング加工により、開口部が縦12mm×横13.2mmの角部を丸めた四角形状で、深さが0.23mmで、側壁と底部のなす角度を91.3°とし中央に向かって傾斜する形状で、かつ、開口部の形状が角部を丸めた四角形状である第1の凹部を形成した。次にミリング加工により開口部が縦8.5mm×横8.2mm、底部が縦8.04mm×横7.74mm、深さが0.63mmで、角度が110°からなる第2の凹部を形成した。
【0031】
この凹部にピックアップ装置を用いてICモジュールを配置し、熱圧プレスにより実装し接触式ICカードを得た。なおICモジュールには予め接着剤としてホットメルトシートを仮貼りしたものを用い、熱圧プレスの条件は250℃、50N、2.5秒で行った。
なお、用いたICモジュールは、外部端子のサイズが縦11.8mm×横13mmの角部を丸めた四角形状で外部端子付きモジュール基板の厚みが0.16mm、樹脂封止部の基板側の断面形状が縦8mm×横7.7mm、表面側形状が縦7.68mm×横7.38mm、深さが0.44mmで、角度が110°からなるものを用いた。
この接触式ICカードを5個作成し、実施例1のサンプルとした。
【0032】
<実施例2>
実施例1の第1の凹部を以下の形状に変更した以外は実施例1と同様に行い接触式のカードを得た。
(第1の凹部)
開口部が縦12mm×横13.2mmの角部を丸めた四角形状で、深さが0.23mmで、底部は中央に向かって段差を有する形状とした。
なお、底部の段差は、カード長辺方向及び短辺方向と平行方向において、端部から中心部に向かい、端部から等間隔に3段階で0.01mmずつ深くなるように段差を設け、段差の高低差の合計は0.03mmとした。
【0033】
<比較例1>
実施例1の第2の凹部を以下の形状に変更した以外は実施例1と同様に行い接触式のカードを得た。この接触式ICカードを10個作成し、比較例1のサンプルとした。
(第1の凹部)
開口部、底部が縦12mm×横13.2mmで、深さが0.23mmである、傾斜がないを形成した。
(第2の凹部)
開口部、底部が縦9.0mm×横8.7mmで、深さが0.63mmである、傾斜がないを形成した。
【0034】
<評価>
実施例、比較例のサンプルのカード基材とICモジュールの間の隙間を各辺について測り、接着剤のはみ出しの有無を確認した。また、それぞれ用いたICモジュールの反り幅(モジュール基板の外部接続端子面の水平面からの最大盛上がり量)と実装後のカード表面からのICモジュールの外部接続端子の最大高さを測定した。
結果を表1に示す。
【0035】
【表1】

【0036】
実施例1、2のサンプルは各辺のいずれにもいても隙間が同じでICモジュールが中央に配置されており、また接着剤のはみ出しもなかった。
それに対し比較例は5個中5個のサンプルで接着剤のはみ出しが生じた。
さらに実施例1のICカードはモジュールの平均高さが−0.007であり、実施例2のICカードは平均高さが−0.009mmであったのに対し、比較例1のICカードは平均高さが0.035mmとなり、少しカード表面からICモジュールが飛び出した形状となった。
【符号の説明】
【0037】
1・・・・カード基材
2・・・・ICモジュール
3・・・・第1の凹部
3a・・・第1の凹部の開口部
3b・・・第1の凹部の底部
4・・・・第2の凹部
4a・・・第2の凹部の開口部
4b・・・第2の凹部の底部
4c・・・第2の凹部の側壁部
10・・・接着剤または接着シート
11・・・ICモジュールの樹脂封止部表面と樹脂封止部側面のなす角度
12・・・第1の凹部3の底面と側面のなす角度
13・・・第2の凹部4の底面と側面のなす角度
14・・・第1の凹部とモジュール基板の間の隙間
15・・・第2の凹部の開口部とモジュール側樹脂封止部の間の隙間
16・・・第2の凹部の底部と表面側樹脂封止部の間の隙間
17・・・はみ出した接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード基材と、
カード基材に形成された、開口部と側壁と底部を有する第1の凹部と、
第一の凹部の底部に形成された、開口部と側壁と底部を有する第2の凹部と、
第1の凹部及び第一の凹部内に固定配置された外部端子付きICモジュールを備えたICカードにおいて、
該ICモジュールが、外部端子を有するモジュール基板と、モジュール基板上に実装され外部端子と電気的に接続されたICチップと、ICチップを封止する樹脂封止部を有し、
第1の凹部の底部と側壁のなす角度が90°より大きく、底部が側壁側から中心に向かって深くなる傾斜形状であることを特徴とするICカード。
【請求項2】
前記第一の凹部の底部が階段状の傾斜を有することを特徴とする請求項1に記載のICカード。
【請求項3】
前記カード基材と第1の凹部及び第一の凹部内に固定配置された外部端子付きICモジュールの第1の凹部の開口部における隙間が0.1mm以下以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のICカード。
【請求項4】
前記第2の凹部の底部と側壁なす角度が90°より大きいことを特徴とする請求項1または2に記載のICカード。
【請求項5】
前記第2の凹部の底部と側壁なす角度が100〜120°の範囲内であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のICカード。
【請求項6】
前記ICモジュールの樹脂封止部がモジュール基板面と表面と側壁を有し、
前記第2の凹部の底部と側壁なす角度が、該樹脂封止部の表面と側壁のなす角度より大きいことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のICカード。

【図6】
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【図7】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−109487(P2013−109487A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252835(P2011−252835)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】