説明

ICカード

【課題】基材内に、メモリと制御及び演算処理を行うプロセッサとを備えたICチップと、該ICチップと電気的に接続される非接触式の通信インターフェースとを有し、外部と通信インターフェースを介してプロセッサのデータ入出力及び動作電力の供給が行われるICカードであって、電池及びコンデンサを内蔵することなく、または、電池及びコンデンサの容量を小さく出来る表示内容の選択をできる非接触ICカードを提供する。
【解決手段】プロセッサ内のポートと接続され、かつプロセッサにより制御される表示装置3と、ICチップ1に接続された表示内容を選択するスイッチ4とを備え、プロセッサは通信インターフェース2を介した動作電力の供給によってメモリに記録された表示内容のうち、スイッチ4により選択された表示内容を読み出して表示装置3に表示する手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触式ICカードに関する。
【背景技術】
【0002】
ICカードは、薄板状のプラスチック材料に薄型のICチップ(半導体集積回路)を組込み、そのICチップには所定の情報処理を行うプログラムが記録されており、またICチップでの情報の記録や読み出しが可能である、クレジットカード大のカードを総称するものである。また、インターフェース手段の違いによって「接触ICカード」(外部端子付きICカード)と「非接触ICカード」(外部端子なしICカード)の各方式、或いは2つの方式を組み合わせたICカード(一般に複合ICカード、ハイブリッドICカード、コンビネーションICカード或いはデュアルインターフェースカードと称される)とに分けられる。
【0003】
非接触ICカードは、ICチップと、電気的に接続されたコイル又はアンテナなどで形成された非接触式の通信インターフェースが、内蔵されている。そして、微弱な電波である搬送波に載せられたデータ、クロック信号、電力は搬送波から取り出し、内蔵するICチップを動作させ、外部端末との間で通信を行う。近年、その利便性などから、特にこの非接触ICカードが利用されるようになった。
【0004】
従来、ICカードを利用した場合に、ICカードの端末装置と間で行われる通信に連動してICカードが動作している状態であることをICカード利用者に知らせることがなく、あるとしても端末側でアクセスランプの点灯やモニターに処理状況が表示される程度であった。とくに非接触ICカードは非接触状態で行われるため、ICカード利用者は処理状態をICカードから知る手段は無かった。
【0005】
近年、表示デバイスの進化に伴い、ICカードにポイント、残高、履歴等を表示する機能を持ったICカードが検討されている。たとえば、ICカードの情報を表示させるリアルタイムで、またその後にも表示できるものとして特許文献1において、表示装置と、表示を行うための電池を追加した構成の非接触ICカードが提案されている。そして、ユーザが必要なときにスイッチを入れて、電池で駆動し、表示装置に必要なデータが表示できるようにしている。さらに、コンデンサを利用し、電池でチャージし、なるべく電池の利用時間を少なくして駆動している。このようにしてユーザは、例えば非接触ICカードの残高を、いつでも知ることが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3820862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このようにしてICカードに記憶している色々な内容を表示するときに、表示装置の表示内容を保持するためには、電力を殆ど必要としない。しかし、表示内容を変更するためには、電力が必要となる。このために、カード内に電池や、コンデンサを内蔵し、表示内容の変更に対応する必要があった。しかし、表示内容を変更するために、電池及びコンデンサを内蔵することは、コストアップになるだけでなく、ISOで規定されるカードの厚みを実現する上で、障害となっていた。
【0008】
本発明は、電池及びコンデンサを内蔵することなく、または、電池及びコンデンサの容量を小さく出来る、また表示内容の選択をできる非接触ICカードを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のフォトマスクは、以上の課題に鑑みなされたもので、請求項1に記載の本発明は、基材内に、メモリと制御及び演算処理を行うプロセッサとを備えたICチップと、該ICチップと電気的に接続される非接触式の通信インターフェースとを有し、外部と通信インターフェースを介してプロセッサのデータ入出力及び動作電力の供給が行われるICカードであって、
プロセッサ内のポートと接続され、かつプロセッサにより制御されてなる表示装置と、表示内容を選択するスイッチとを備えたことを特徴とするICカード
としたものである。
【0010】
本発明の請求項2に記載の発明は、
表示装置に、電子ペーパーを用いたことを特徴とする請求項1に記載のICカードとしたものである。
【0011】
本発明の請求項3に記載の発明は、
電力一時保持手段を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のICカードとしたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明のICカードは、以上のような構成であるので、スイッチで表示内容を選択し、リーダライタにかざすことにより、カードに表示されるので、電池及びコンデンサを内蔵することなく、または、電池及びコンデンサの容量を小さくして、表示内容を見ることができる。したがって、コストダウン及び薄型化ができる、非接触ICカードである。特に、電子ペーパーで表示することによって、リーダライタによる切替後も、表示内容を保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のICカードの一例の構成を示した説明図である。
【図2】本発明のICカードの他の例の構成を示した説明図である。
【図3】本発明のICカードの一例の動作をフローで示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施する形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
図1は、本発明のICカードの一例の構成を示した説明図である。本例のICカード10は、基材内に、メモリと制御及び演算処理を行うプロセッサとを備えたICチップ1と、該ICチップと電気的に接続される非接触式の通信インターフェース2とを有し、外部と通信インターフェース2を介してプロセッサのデータ入出力及び動作電力の供給が行われることを前提とする。そして、プロセッサ内のポートと接続され、かつプロセッサにより制御される表示装置3と、表示内容を選択するスイッチ4とを備えたICカードである。表示装置3は、ディスプレイパネルとディスプレイドライバより構成される。本例では、スイッチ4により、ポイント表示、残高表示、履歴表示の表示内容を選択する。
【0016】
表示装置3を構成するディスプレイパネルは、ICカードに内蔵するため、2ミリ以下程度のフラットディスプレイパネルを用いる。特に消費電力を抑制するために、メモリ性を有するものが好ましい。例えば、強誘電性液晶、電気泳動方式等の電子ペーパーである。これらは、表示内容の切り替え時にのみ電力を消費し、電源OFFの時にもメモリ性により表示内容を保持することができる。
【0017】
スイッチ4は、ICチップ1に電気的に接続されている。スイッチによる選択に従って、プロセッサは表示装置に送信する表示内容情報を切り替えることができる。当該スイッチは電力の供給なしに切り替え選択が可能な物理スイッチであり、例えばスライドスイッチやロータリースイッチなどを用いることができる。
【0018】
ICチップ内のメモリには、少なくともディスプレイパネルに表示するための表示内容のデータが記憶される領域を有する。図1に示した例では、通信インターフェース2を介したプロセッサのデータ入出力により、ポイント表示、残高表示、履歴表示等の表示内容のデータが読み出し又は書き換えられる。
【0019】
本発明のICカード10では、不揮発性メモリ(図1のROM)、揮発性メモリ(図1のRAM)を備えている。図示していないが、書き込み可能な不揮発性メモリとしてEEPROMを備えていても良い。本発明のICカードによれば、プロセッサはリーダ/ライタから受信したデータあるいは不揮発性メモリから読み出したデータを揮発性メモリに記録し、これを表示装置側に出力することで、ディスプレイパネルに内容を表示する。不揮発性メモリから読み出す場合には、揮発性メモリに記録せずに表示装置側に出力するようにしても良い。表示装置に電子ペーパーを用いることで、揮発性メモリから表示装置に出力された表示内容は、プロセッサから書き換え指示があるまで保持される。
【0020】
図2は、本発明のICカードの別の構成例である。同じ構成要素については図1のICカードと同一の符号を付し、説明を省略する。図1の構成に加えて図2のICカードでは、電力一時保持手段5を備えている。ICカードのリーダ/ライタが通過ゲートのような場所に設けられている場合、1S未満の短い時間でデータ送受信を完了するため、データ送受信時間で表示内容の切り替えができない可能性がある。電力一時保持手段は、通信インターフェース2がデータ送受信を行う間に電力を充電し、完了後に放電することで、ICチップ及び表示装置への動作電力供給を行うことができ、この間にICチップの駆動と表示内容の切り替えが可能になる。また、データ送受信の後に表示内容の切り替え処理を行うことで、データ送受信と表示内容の切り替え処理のタイミングをずらすことができるので、安定して必要な電力の供給を行うことができる。電力一時保持手段は、例えばキャパシタや、リチウムイオン電池等の二次電池を用いて構成される。
図3は、本例の動作をフローで示した説明図である。本例のICカード10で、必要な内容を表示するには、まずカードのセレクトスイッチ4を選択する(S1)。例えば、上記のように、ポイント表示、残高表示、履歴表示の表示内容を1つ選択する。次に、ICカード10をリーダライタ(ゲートや、レジなど)にかざす(S2)。ICカード10に通信インターフェース2を経由して、電力が供給される。ICチップ1に電力が供給され、ICカード10がアクティブになる(S3)。ICカード10とリーダライタ間で通信(ポイント加算など)を行い、データの更新などを行う(S4)。選択された情報(ポイントなど)をICカード10内メモリより読み出す(S6)。選択された情報(ポイントなど)をディスプレイパネルに表示する(S7)。ICカード10をリーダライタから離す(S8)。
【0021】
表示機能付きICカードを、ゲートおよびレジにてリーダライタにかざしたときには、
ICカードには通信インターフェースを経由して電力が供給される。この時には、リーダライタからの電力を使用し、表示内容を切り替えることが出来る。ただし、リーダライタからカードが離れ、通信が完了してしまうと、表示した内容を切り替えることは出来ない。
【0022】
本発明のICカードではこれに対し、リーダライタにICカードをかざす前に、表示する内容を、スイッチを使用して事前に選択することにより、表示したい内容をICカードの表示装置に表示させることで、表示内容を切り替えることができる。また、表示装置に電子ペーパーを用いることで、リーダライタからICカードを離しても、表示内容を保持できる。この場合、従来よりも容量の小さい電池とコンデンサを用いることにより、保持期間を延長できる。
【符号の説明】
【0023】
1・・・ICチップ
10・・・ICカード
2・・・通信インターフェース
3・・・表示装置
4・・・スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材内に、メモリと制御及び演算処理を行うプロセッサとを備えたICチップと、該ICチップと電気的に接続される非接触式の通信インターフェースとを有し、外部と通信インターフェースを介してプロセッサのデータ入出力及び動作電力の供給が行われるICカードであって、
プロセッサ内のポートと接続され、かつプロセッサにより制御されてなる表示装置と、ICチップに接続された表示内容を選択するスイッチとを備え、
プロセッサは通信インターフェースを介した動作電力の供給によってメモリに記録された表示内容のうち、スイッチにより選択された表示内容を読み出して表示装置に表示する手段を有することを特徴とするICカード。
【請求項2】
表示装置に、電子ペーパーを用いたことを特徴とする請求項1に記載のICカード。
【請求項3】
電力一時保持手段を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のICカード。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−4002(P2013−4002A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137199(P2011−137199)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】