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ICカード
説明

ICカード

【課題】カードリーダーを使用しなくても、簡便に、ICカードの偽造・変造の有無を識別できる、優れたセキュリティー性を有するICカードを提供する。
【解決手段】電子部品を収納したカードコア層と、前記カードコア層の一方の面に設けられた表基材層と、前記表基材層の表面に設けられた情報記録層と、をすくなくとも備えたICカードであって、前記表基材層の、前記情報記録層が設けられた面とは反対側の面に、透かし模様が印刷されており、前記透かし模様が、前記表基材層との接着力が異なる少なくとも2種以上の材料を用いて形成されたものであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身分証明証カード等の個人情報等が記録されたICカードに関し、より詳細には、偽造、変造を防止でき、また、偽造、変造等が行われた場合であっても容易に真贋判定を行うことができるICカードに関する。
【背景技術】
【0002】
身分証明書等のIDカードや銀行等のキャッシュカード等のICカードには、個別認識できるように、ICカードの表面に人物の顔写真やその人物の住所や名前等の文字情報が記載されるとともに、ICカード内部の電子部品のメモリに個人情報が記録されている。そのため、たとえICカードの表面のみをすげ替えて変造したとしても、ICカード内部に記録された個人情報と照合することにより、ICカードを変造したことがわかるようになっている。したがって、ICカードの表面に記載されている内容とICカード内部に記録されている情報とが一致している必要がある。
【0003】
ところで、ICカード内部に備えられた電子部品のメモリに記録された内容を確認するには、専用の読み取り機(カードリーダー)が必要になるため、カードリーダーを持ち合わせていないと、ICカード内部に記録された情報を読み出すことができない。また、ICカード内部の電子部品が破損している場合も同様に情報の読み出しができなくなる。その場合、ICカードの表面に記載されている内容とICカード内部に記録されている情報とが一致しているかを確認できないため、そのICカードが偽造・変造されたものであるかどうかの識別ができなくなる。
【0004】
上記のような問題に対して、ICカードが偽造・変造されたものであるかどうかを容易に識別できるように、種々の対策が講じられている。例えば、ICカードの表面にホログラムや光学特性が変化するような特殊なインクで文字等を印刷したり、拡大鏡によってしか視認できないようなマイクロ文字を印刷することが行われている。また、透かし印刷によってICカード内部に紋様パターンを設けておき、所有者に紋様パターンが印刷されていることを認識させないようにすることも行われている。特許文献1には、ICカード使用者が通常の使用時には透かし模様を認識せず、特定の場合、例えば、ICカードを太陽光や室内照明等に透かして見た場合にのみICカード内部の模様を識別できるようなICカードが提案されている。これらの偽造防止手段は、偽造や変造が容易に行われないようにするとともに、たとえ偽造・変造等が行われた場合であっても、それがすぐにわかるようにして、セキュリティー性を向上させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−85525公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したホログラム等の偽造防止手段はICカードの表側に形成されるため、ICカードの表基材を剥離するなどしてICカードを分解し、他のICカードの表面とすげ替えたような場合には、視認しただけではICカードの真偽判定は困難である。
【0007】
また、上記した透かし模様を形成する方法の一例として、ICカードのカード基材(電子部品が収容される部分)と表基材(受像層を設ける部分)との間に紋様パターンを予め形成する。具体的には、表基材のカード基材との貼着面、あるいは、カード基材の表基材との貼着面に、紋様パターンを印刷することにより、透かし模様をICカードに入れることができる。しかしながら、ICカードから表基材を剥離して、紋様パターンも含めてその表基材をすげ替えてICカードを偽造・変造した場合、紋様パターンのみによっては、偽造・変造の有無がわからず、カードリーダーを使用しないと(即ち、ICカード内の電子部品に記録されている情報と表基材に記載されている情報とを照合しないと)、そのICカードが偽造・変造されているかどうかの判別を行うことができない。
【0008】
本発明は、このような点からなされたものであり、カードリーダーを使用しなくても、簡便に、ICカードの偽造・変造の有無を識別できる、優れたセキュリティー性を有するICカードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるICカードは、電子部品を収納したカードコア層と、前記カードコア層の一方の面に設けられた表基材層と、前記表基材層の表面に設けられた情報記録層と、をすくなくとも備えたICカードであって、
前記表基材層の、前記情報記録層が設けられた面とは反対側の面に、透かし模様が印刷されており、前記透かし模様が、前記表基材層との接着力が異なる少なくとも2種以上の材料を用いて形成されたものであることを特徴とするものである。
【0010】
本発明によるICカードは、前記透かし模様が、前記表基材層よりも前記カードコア層に対する接着力が強い第1の材料と、前記カードコア層よりも前記表基材層に対する接着力が強い第2の材料の2種の材料を用いて形成されたものであってもよい。
【0011】
本発明によるICカードは、前記透かし模様が紋様パターンであってもよい。
【0012】
本発明によるICカードは、紋様パターンが、前記第1の材料を用いて形成される第1パターンと、前記第2の材料を用いて形成される第2パターンとから構成され、前記紋様パターンは、各ICカードで同じであるが、前記第1パターンと前記第2パターンは、ICカード毎に異なっていてもよい。
【0013】
本発明によるICカードは、前記第1材料が、可視光では視認できるが、赤外光では視認できないものであり、前記第2材料が、可視光および赤外光の両方で視認できるものであってもよい。
【0014】
本発明によるICカードは、前記情報記録層には、可視光では視認できるが、赤外光では視認できない画像が形成されており、前記画像が形成された領域に対応した位置に第2パターンが含まれるように前記紋様パターンが形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によるICカードは、表基材層との接着力が異なる少なくとも2種以上の材料により、表基材層とカードコア層との間に透かし模様が形成されている。したがって、ICカードを偽造しようとして表基材層とカードコア層とを剥離した場合に、透かし模様の一部が表基材層側に残り、他の部分がカードコア層側に付着する。そのため、ICカードの表基材層のみをすげ替えて偽造・変造を行った場合に、もとの透かし模様を再現できなくなるため、ICカードの透かし模様によって真偽判定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1(a)は、本発明の一実施の形態によるICカードを情報記録層側から見た正面概略図であり、図1(b)は、図1(a)のb−b線に沿った断面図である。
【図2】2種の材料を用いて、透かし模様を形成したICカード10を、裏基材層側から光を照射して、表基材層側から見たときの正面図である。
【図3】ICカードを、表基材層2とカードコア層1との間で引き剥がして分離した場合を示した断面図である。
【図4】図4(a)は、引きはがした後の表基材層側のICカード10(a)を、表基材層2側から光りを当てて、透過光により保護層6側から見た図であり、図4(b)は、引きはがした後のカードコア層側のICカード10(b)を、光を照射してカードコア層1側から見た図である。
【図5】図5(a)は、別の所有者のICカード10’を、裏基材層側から光を照射して、表基材層側から見たときの正面図であり、図5(b)は、上記したICカード10と同様にして、ICカードの表基材層とカードコア層とを引き剥がしたときの、表基材層側のICカード10’を、表基材層側から光を照射して保護層側から見たときの図である。
【図6】図6は、引きはがされたカードコア層側のICカード10(b)に、別の所有者のICカード10’から引きはがした表基材層側のICカード10’(a)を貼り合わせたもの10”を、筆記層9側から光を照射して、保護層6側から視認したときの図である。
【図7】図7(a)は、図2のICカードにおいて、紋様パターン4を、第1材料として可視光では視認できるが赤外光では視認できない材料を用いて第1パターン4a(3)を形成し、第2材料として可視光および赤外光の両方で視認できる材料を用いて第2パターン4a(2)を形成したものを、光(可視光)を筆記層9側から照射し、保護層6側から見た図であり、図7(b)は、図7(a)のICカードを、可視光から赤外光に代えて透かして見た図である。
【図8】図8(a)は、新たな第2パターン4a’(1)を加えて、もともとの紋様パターン4と同じ形状の紋様パターン4”に改変したICカードの偽変造品を、筆記層9側から光を照射して、保護層6側から視認したときの図であり、図8(b)は、図8(a)の偽変造品を、筆記層9側から赤外光を照射して、保護層6側から視認したときの図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0018】
図1(a)は、本発明の一実施の形態によるICカードを情報記録層側から見た正面概略図であり、図1(b)は、図1(a)のb−b線に沿った断面図である。ICカード10は、電子部品7を収容したカードコア層1と、カードコア層1の一方の面に設けられた表基材層2と、その表基材層2の表面に設けられた情報記録層3を備えている。
【0019】
表基材層2は、上記した情報記録層を支持するともに、裏基材層8との間に設けられるカードコア層1を支持する層である。この表基材層2には、情報記録層3が設けられた面とは反対側の面に、透かし模様4が印刷されている。透かし模様とは、ICカードの表面を通常の明るさで視認した場合には当該模様を認識することができず、ICカードを太陽光や室内照明等にかざして見た場合にその模様の形状を認識できるものを意味する。すなわち、ICカードの中を透過する光量が、模様のある部分と模様のない部分とで異なることを利用して、ICカードの内部に印刷されている模様の形状を認識できる。したがって、ICカードの厚み方向の光の透過率が0%であってはならないが、ある程度の透過率を有していれば、透かし模様を認識することができる。
【0020】
透かし模様4は、表基材層2に形成されるが、その材料として、表基材層2との接着力が異なる少なくとも2種の材料が用いられる。図2は、2種の材料を用いて、透かし模様を印刷したICカード10を、裏基材層側から光を照射して、表基材層側から見たときの正面図である。ICカードの表基材層2側からの光照射によって、画像情報5aおよび文字情報5bを視認できることに加え、裏基材層8側からの光によって、透かし模様4と電子部品7のICチップ7aおよびアンテナ7bが透けて視認できる。
【0021】
透かし模様4は、第1の材料を用いて形成された第1パターン4a(1)と第2の材料を用いて形成された第2パターン4a(2)とから構成される紋様パターン4aおよび4bからなる。なお、図2では、理解を容易にするために第1パターン4a(1)と第2パターン4a(2)との色を変えて紋様パターンが描かれているが、第1パターン4a(1)部分と第2パターン4a(2)部分が光の透過率が同じであれば、ICカードを表基材層2側から視認しても、濃度差を判別することはできなくなる。
【0022】
図3は、ICカードを、表基材層2とカードコア層1との間で引き剥がして分離した場合を示した断面図である。また、図4(a)は、引きはがした後の表基材層側のICカード10(a)を、表基材層2側から光りを当てて、透過光により保護層6側から見た図であり、図4(b)は、引きはがした後のカードコア層側のICカード10(b)を、外光によりカードコア層1側から見た図である。第1の材料が表基材層2よりもカードコア層1に対する接着力が強く、かつ、第2の材料がカードコア層1よりも表基材層2に対する接着力が強い場合、両者を引き剥がすと カードコア層側10(b)に第1パターン4a(1)が残り、表基材層側10(a)に第2パターン4a(2)が残る。
【0023】
図5(a)は、別の所有者のICカード10’を、裏基材層側から光を照射して、表基材層側から見たときの正面図である。紋様パターン自体は、先に説明したICカード10のものと全く同じであるが、第1パターン4’a(1)と第2パターン4’a(2)が、ICカード10とは異なっている。したがって、ICカード10’のカード所有者がたとえ透かし模様自体を視認できたとしても、ICカード10の透かし模様と区別することはできない。
【0024】
図5(b)は、上記したICカード10と同様にして、ICカードの表基材層とカードコア層とを引き剥がしたときの、表基材層側のICカード10’を、表基材層側から光を照射して保護層側から見たときの図である。第2パターン4’a(2)は、カードコア層1よりも表基材層2に対する接着力が強い第2の材料により形成されているため、表基材層側に残っている。
【0025】
図6は、引きはがされたカードコア層側のICカード10(b)に、別の所有者のICカード10’から引きはがした表基材層側のICカード10’(a)を貼り合わせたもの10”を、筆記層9側から光を照射して、保護層6側から視認したときの図である。ICカード10とICカード10’とでは、もとの紋様パターン自体は同じであるが、それを構成する第1パターンおよび第2パターンがそれぞれ異なるため、ICカード10の第1パターン4a(1)とICカード10’の第2パターン4’a(2)とを組み合わせると、元の紋様パターン4a(4b)と異なる紋様パターン4cが形成される。したがって、ICカードの透かし模様を確認するだけで、カードリーダー等を使用することなく、そのICカードが偽造・変造されているかどうかの判別を行うことができる。このように、第1パターンと第2パターンとの組み合せが、ICカード毎に異なるように形成しておけば、引きはがしたカードコア層側のICカードに別の所有者の表基材層側のICカードを貼り合わせて表基材層側のICカードをすげ替える偽変造の判別に対して有効である。ICカード毎の第1パターンと第2パターンの組合せ数は、10種類以上であることが好ましく、より好ましくは50種類以上である。
【0026】
次に、別の実施形態によるICカードの透かし模様について説明する。図7(a)は、図2のICカードにおいて、紋様パターン4を、第1材料として可視光では視認できるが赤外光では視認できない材料を用いて第1パターン4a(3)を形成し、第2材料として可視光および赤外光の両方で視認できる材料を用いて第2パターン4a(2)を形成したものを、光(可視光)を筆記層9側から照射し、保護層6側から見た図である。なお、本明細書中、「光」または「可視光」とは、波長が約380〜約750nmの範囲にある電磁波を意味し、赤外光とは、波長が約750nm〜約4000nmの範囲にある電磁波を意味するものとする。図7(b)は、図7(a)のICカードを、可視光から赤外光に代えて透かして見た図である。第1材料および第2材料は、可視光により視認可能な材料であるため、視認できる紋様パターン4は、図2のICカードと同じ形状である。一方、第1材料は、赤外光で視認できるものの、第2材料は視認できないため、赤外光によって、ICカードを透かして見ると、第2パターン4a(3)を視認できなくなるため、図7(b)に示すように、第1パターン4a(2)のみ視認することができる。なお、画像情報5aは、後記するように赤外光を吸収しない昇華性染料によって記録されるため、赤外光では視認できなくなる。
【0027】
ICカードを偽造・変造しようとする者が、別の所有者のICカードを利用して、一方のICカードの表基材側と他方のICカードのカードコア層側とを貼り合わせる際に、図6に示したように、紋様パターン4cが、もとの紋様パターン4aと異なることに気づき、紋様パターンを、もともとの紋様パターンと同じ形状となるように改変して、ICカード10”を偽造・変造する場合も想定される。例えば、図8(a)に示すように、新たな第2パターン4a’(1)を加えて、もともとの紋様パターン4と同じ形状の紋様パターン4”に改変したとしても、そのような改変が加えられた紋様パターンを赤外光によって視認すると、図8(b)のように、第2パターン4a’(1)が赤外線で視認されるため、図7(b)の真性な紋様パターン4とは異なる紋様パターン4”として視認される。したがって、ICカードの紋様パターンに改変を加える様な巧妙な偽造・変造に対しても、容易にその真偽を判別することができる。
【0028】
また、上記したように、画像情報5aは赤外光では視認できないことから、図7に示すように、画像情報5aが記録されている領域に対応した位置に第2パターン4b(3)が含まれるように紋様パターン4を形成することにより、もとの画像情報を別の画像情報に書き換えようとすると、必ず第2パターン4b(3)を改変しなければならないため、画像情報に改変を加えたICカードの真偽判定が容易になる。
【0029】
表基材層2よりもカードコア層1に対する接着力が強い第1材料としては、カードコア層を構成する材料と接着性のよいインクバインダーを含むインクを用いればよい。例えば、後記するように、カードコア層を後記するようなポリウレタン系の粘着剤で構成した場合、ウレタン等をインクバインダーとして含むUV印刷インクを好適に使用することができる。また、カードコア層1よりも表基材層2に対する接着力が強い第2材料としては、表基材層を構成する材料と接着性のよい材料か、または、カードコア層との接着力が弱い材料を用いればよい。例えば、カードコア層を後記するようなポリウレタン系の粘着剤で構成した場合、カードコア層よりもUV開始剤比率を高めたウレタン樹脂、ポリアミド、ポリイミド、エポキシ等の樹脂をインクバインダーとして含むインクを用いればよい。また、表基材層にあらかじめフォトエッチング法にてアルミ箔等で紋様パターンを形成する方法も好適に使用することができる。
【0030】
また、可視光では視認できるが、赤外光では視認できない材料としては、後記するような赤外線を吸収しない染料や顔料等、公知のインクを使用することができる。また、可視光および赤外光の両方で視認できる材料としては、例えばカーボンブラックを含む顔料インクや金属含有インク、または金属箔等が挙げられる。
【0031】
情報記録層3は、顔写真等の画像情報5aや、カードの種類、氏名、住所、生年月日、有効期限等の文字情報5b(以下、これらをまとめて個人情報という場合がある)が記録される層である。また、情報記録層3には、上記した画像情報5aや文字情報5bの他、画像情報5aの枠や文字情報5b以外の固定文字等のフォーマット印刷(図示せず)がされていてもよい。また、ICカードは、上記した情報記録層3に記録された画像や文字の情報を保護するために、情報記録層3上には保護層5が設けられていてもよい。
【0032】
画像情報5aや文字情報5bは、熱転写記録方式で昇華性染料もしくは熱拡散性染料を受容して、情報記録層3に印画される。したがって、情報記録層3は、昇華性染料または熱溶融性インク等の熱移行性の色材を受容し易い材料から形成されることが好ましい。このような材料としては従来公知の樹脂材料を使用することができ、例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルもしくはポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体もしくはポリアクリル酸エステル等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンもしくはプロピレン等のオレフィンと他のビニルポリマーとの共重合体系樹脂、アイオノマーもしくはセルロースジアスターゼ等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート等が挙げられ、特に、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂またはポリエステル樹脂が好ましい。
【0033】
また、上記した個人情報を記録する染料としては、後記するような、低いエネルギーで画像の濃淡を表現できかつ優れた画像耐久性を実現できるポストキレート染料が好適に使用されることから、情報記録層3には、ポストキレート染料と反応してキレートを形成し得る金属イオン含有化合物を含有していることが好ましい。情報記録層3中に含有させる金属イオン含有化合物としては、従来公知のものを使用することができ、第I、第VIII族に属する2価および多価の金属の無機または有機の塩および金属錯体を好適に使用することができる。例えば、Ni2+、Cu、Co2+、Cr2+およびZn2+を含有する、下記一般式:
[M(Q1)k(Q2)m (Q3)n]pp(L
(式中、Mは金属イオンを表し、Q1、Q2、Q3は各々Mで表される金属イオンと配位結合可能な配位化合物を表わし、Lは錯体を形成しうる対アニオンを表し、kは1、2または3の整数を表し、mは1、2または0を表し、nは1または0を表すが、これらは前記一般式で表される錯体が4座配位か、6座配位かによって決定されるか、あるいはQ1、Q2、Q3の配位子の数によって決定され、pは1、2または3を表す。)で表される錯体が好ましく用いられる。これらの中でも、金属と配位結合する少なくとも一個のアミノ基を有する配位化合物が好ましく、具体的にはエチレンジアミンおよびその誘導体、グリシンアミドおよびその誘導体、ピコリンアミドおよびその誘導体が挙げられる。また、錯体を形成しうる対アニオンLとしては、Cr、SO、ClO等の無機化合物アニオンやベンゼンスルホン酸誘導体、アルキルスルホン酸誘導対等の有機化合物アニオンが挙げられるが、特に好ましくはテトラフェニルホウ素アニオンおよびその誘導体、ならびにアルキルベンゼンスルホン酸アニオンおよびその誘導体である。このような金属イオン含有化合物としては、米国特許第4,987,049号明細書に例示されたものを挙げることができる。金属イオン含有化合物の樹脂中への添加量は0.5〜20g/mが好ましく、1〜15g/mがより好ましい。
【0034】
画像情報5aや文字情報5b等の個人情報は、公知の熱転写シートを用いて、情報記録層3に熱転写方式により形成される。熱転写シートの色材層に用いられる色材としては、上記したようなポストキレート染料が好適に用いられる。ポストキレート色素としては、従来公知のものを使用することができ、このようなキレート形成可能な昇華性色素としては、例えば特開昭59−78893号、同59−109349号、特願平2−213303号、同2−214719号、同2−203742号に記載されている、少なくとも2座のキレートを形成することができるシアン色素、マゼンタ色素およびイエロー色素を挙げることができる。キレートの形成可能な好ましい昇華性色素は、下記一般式で表わすことができる。
X1−N=N−X2−G
(式中、X1は、少なくとも一つの環が5〜7個の原子から構成される芳香族の炭素環、または複素環を完成するのに必要な原子の集まりを表わし、アゾ結合に結合する炭素原子の隣接位の少なくとも一つが、窒素原子またはキレート化基で置換された炭素原子であり、X2は、少なくとも一つの環が5〜7個の原子から構成される芳香族複素環または、芳香族炭素環を表わし、Gはキレート化基を表わす。)
【0035】
情報記録層3には、離型剤が添加されていてもよい。離型剤としては、用いるバインダーと相溶性のあるものが好ましく、具体的には変性シリコーンオイル、変性シリコーンポリマーが代表的であり、例えばアミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、ポリエステル変性シリコーンオイル、アクリル変性シリコーン樹脂、ウレタン変性シリコーン樹脂等が挙げられる。このなかでもポリエステル変性シリコーンオイルはインクシートとの融着を防止するが、情報記録層3の2次加工性を妨げないという点で特に優れている。その他の離型剤として、シリカ等の微粒子や硬化型シリコーン化合物等を使用することもできる。
【0036】
情報記録層3は、上記した各成分を溶媒に分散あるいは溶解させた受像層用塗工液を調製し、受像層用塗工液を後記する表基材層2の一方の面に塗布し、乾燥することよって形成することができる。情報記録層3の厚みは、一般的に1〜50μm、好ましくは2〜10μm程度である。
【0037】
保護層6は情報記録層3を保護してICカードの耐久性を向上させる機能を有するものであり、上記した情報記録層3に画像情報5a等を印刷した後、保護層転写箔シートを用いて、情報記録層3上に保護層6を転写することにより形成される。保護層転写箔シートとしては、支持体上に離型層を介して保護層を設けたものを好適に使用することができる。保護層転写箔シートに使用される支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレン、エチレン−4フッ化エチレン共重合体、等のポリフッ化エチレン系樹脂、ナイロン6、ナイロン6.6等のポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体、三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂、ポリメタアクリル酸メチル、ポリメタアクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、等のアクリル系樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド等の合成樹脂シート、又は上質紙、薄葉紙、グラシン紙、硫酸紙等の紙、金属箔等の単層体またはこれら2層以上の積層体が挙げられる。支持体の厚みは10〜200μm、好ましくは15〜80μmである。
【0038】
支持体上に設けられる離型層としては、高ガラス転移温度を有するアクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ボリビニルブチラール樹脂などの樹脂、ワックス類、シリコーンオイル類、フッ素化合物、水溶性を有するポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、Si変性ポリビニルアルコール、メチルセルロース樹脂、ヒドロキシセルロース樹脂、シリコン樹脂、パラフィンワックス、アクリル変性シリコーン、ポリエチレンワックス、エチレン酢酸ビニルなどの樹脂、ポリジメチルシロキサンやその変性物、フッ素化オレフィン、パーフルオロ燐酸エステル系化合物等のフッ素系化合物が挙げられる。
【0039】
保護層としては、情報記録層を保護するために、耐久性や透明性に優れた樹脂であれば、従来公知の何れの樹脂も使用でき、例えば、アクリル樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。透明保護層は、例えば、適当な溶剤又は分散液に、上記の樹脂を溶解又は分散させた保護層塗工液を、支持体又は離型層の表面に、厚みが0.5〜5g/m(乾燥基準)程度となるように塗布し、乾燥させることにより形成することができる。透明樹脂層の厚みは0.3〜50μmが好ましく、より好ましくは0.3〜30μm、特に好ましくは0.3〜20μmである。
【0040】
保護層転写箔シートの保護層面には、情報記録層との接着性を向上させるために、接着層が設けられていてもよく、接着層としては、熱貼着性樹脂としてエチレン酢酸ビニル樹脂、エチンエチルアクリレート樹脂、エチレンアクリル酸樹脂、アイオノマー樹脂、ポリブタジエン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂、粘着付与剤などが挙げられ、それらの共重合体や混合物でもよい。具体的には、ハイテックS−6254、S−6254B、S−3129等(東邦化学工業(株)製)、ジュリマーAT−210、AT−510、AT−613等(日本純薬(株)製)、プラスサイズL−201、SR−102、SR−103、J−4等(互応化学工業(株)製)の市販のものを使用することができる。接着層の厚みは0.1〜1.0μm程度である。
【0041】
上記した保護層転写箔シートは、支持体、離型層、保護層、接着層の各層の接着性を向上させるため、各層の間に中間層としてプライマー層やバリア層が設けられていてもよい。
【0042】
表基材層2および裏基材層8としては、各種のカード基材の材料として使用されているものを用いることができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレン、エチレン−4フッ化エチレン共重合体、等のポリフッ化エチレン系樹脂、ナイロン6、ナイロン6.6等のポリアミド、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体、生分解性脂肪族ポリエステル、生分解性ポリカーボネート、生分解性ポリ乳酸、生分解性ポリビニルアルコール、生分解性セルロースアセテート、生分解性ポリカプロラクトン等の生分解性樹脂、三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂、ポリメタアクリル酸メチル、ポリメタアクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、等のアクリル系樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド等の合成樹脂シートが挙げられるが、これらのなかでもポリエチレンテレフタレートを好適に使用することができる。
【0043】
表基材層2および裏基材8の厚みは30〜300μm、好ましくは50〜200μmである。50μm以下であると表基材層と裏基材層とを接着剤を介して互いに貼り合わせる際に加熱したときに熱収縮等を起こす場合がある。なお、熱収縮率を低減させるシート部材のアニール処理を行ってもよい。
【0044】
カードコア層1は、電子部品7を収容するための層である。電子部品7はICチップ7aとコイル状のアンテナ7とから構成されるが、上記した表基材層2および裏基材層8に接着剤を塗布し、表基材層の接着剤が塗布された面に電子部品7を配置して裏基材層8で挟み込むことにより、カードコア層1が形成される。ICカードの平滑性を保つため、表基材層および裏基材層の間に接着剤を介して電子部品7を直接挟み込むのではなく、インレット(図示せず)としたものを挟み込んでもよい。インレットは、基材上に塗布した接着剤に電子部品を封入するために、予め、電子部品を多孔質の樹脂フィルム、多孔質の発泡性樹脂フィルム、可撓性の樹脂シート、多孔性の樹脂シートまたは不織布シート状にしたものである。インレットを含む電子部品の全厚さは100〜600μmが好ましく、より好ましくは150〜500μm、特に好ましくは、150〜450μmである。
【0045】
表基材層2と裏基材層8との間に、電子部品7を収納したカードコア層を設けた積層構造を形成する方式としては、熱貼合法、接着剤貼合法、接着剤塗布法及び射出成形法が挙げられるが、いずれの方法で各部材を貼り合わせてもよい。貼り合わせに接着剤を使用する場合、特に制限されることなく従来公知の接着剤を用いることができるが、本発明においては、ホットメルト接着剤等を好適に使用することができ、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)系や、ポリエステル系、ポリアミド系、熱可塑性エラストマー系、ポリオレフィン系の接着剤を挙げることができる。これらのなかでも、湿気硬化型の接着剤が好ましい。上記したもの以外でも、湿気硬化型接着剤として、特開2000−036026号公報、特開2000−211278号公報、特開2000−219855号公報等に開示されている接着剤を好適に使用することができる。なお、カードコア層の厚みは100〜600μmが好ましく、より好ましくは150〜500μm、特に好ましくは、150〜450μmである。
【0046】
また、裏基材層8の表面には、筆記層9が設けられていてもよい。筆記層とは、ICカードの裏面に筆記をすることができるようにした層である。筆記層としては、例えば炭酸カルシウム、タルク、ケイソウ土、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機微細粉末を含有させた熱可塑性樹脂(ポリエチレン等のポリオレフィン類や、各種共重合体等)フィルムを第1シートの最表面に設けることにより、形成することができる。
【0047】
ICカードには、表基材層2と情報記録層3との間に、クッション層(図示せず)が設けられていてもよい。クッション層を設けると、情報記録層3への記録(熱転写)の際の表面の凹凸の影響を緩和することができ、画像5aや文字5bを再現性良く転写記録することができる。クッション層を形成する材料としては、ポリオレフィンが好ましい。例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−水素添加イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリブタジエン、光硬化型樹脂層のような柔軟性を有し、熱伝導性の低いものが適する。具体的には、特願平2001−16934等のクッション層を使用することができる。
【0048】
上記した各部材を貼り合わせる際には、表基材層および裏基材層の表面平滑性や、表基材層および裏基材層の間に設ける電子部品の密着性を向上させるために、加熱及び加圧を行うことが好ましく、上下プレス方式、ラミネート方式等で製造することが好ましい。加圧によるIC部品の破損を考慮して、ローラプレスよりも平面プレス型とするのが好ましい。加熱は、10〜180℃が好ましく、より好ましくは30〜150℃である。加圧は、1〜300kgf/cmが好ましく、より好ましくは1〜200kgf/cmである。これより圧が高いと電子部品が破損する場合がある。
【0049】
ICカードは、接着剤貼合法や樹脂射出法で連続シートとして形成された貼り合わせた枚葉シートまたは連続塗工ラミロールとして形成してもよく、それらシートないしラミロールを所定のカードサイズに成形して所望の大きさのICカードを作製することができる。なお、ICカードを作製した後、または、情報記録層を形成した後に、他方の面上に、個人識別情報ではない一般的な書誌事項を印刷することもできるが、シートないしラミロール状の状態で、連続して一般的な書誌事項を印刷しておく方が好ましい。所定のカードサイズに成形する方法としては、打ち抜く方法、断裁する方法等を主として採用できる。
【実施例】
【0050】
実施例1
<電子部品(ICインレット)>
厚み38μ mの透明PETシートをICインレット用シート材として使用し、厚み1 8μm のアルミニウムアンテナパターンを形成した。次いで縦3.0mm、横3.0mm、厚さ60μmのIC チップを載置し、さらに接着層を介してICチップ上に縦5mm、横5mm、厚さ175μmのステンレス鋼からなる補強板を設けることによりICインレットを作製した。接着層は湿気硬化型ホットメルト接着剤(エスダイン2013MK、積水化学工業株式会社製)を使用した。
【0051】
<表基材層および情報記録層>
表基材層として、厚さ188μmの白色PETフィルムを用いた。白色PETフィルムの一方の面に、下記組成の第1受像層形成用塗工液および第2受像層形成用塗工液をこの順に塗布乾燥して、それぞれの厚さ寸法が、第1受像層が2.5μm 、第2受像層が0.5μmとなるように積層することにより、情報記録層を形成した。
【0052】
第1受像層形成用塗工液
ポリビニルブチラール樹脂 6部
(エスレックBX−1、積水化学工業株式会社製)
金属イオン含有化合物(化合物MS) 4部
メチルエチルケトン 80部
酢酸ブチル 10部
なお、化合物MSは、下記式で表されるニッケル化合物である。
【化1】

【0053】
第2受像層形成用塗工液
ポリエチレンワックス 2部
(ハイテックE1000、東邦化学工業株式会社製)
ウレタン変性エチレンアクリル酸共重合体 8部
(ハイテックS6254、東邦化学工業株式会社製)
メチルセルロース(SM15、信越化学工業株式会社製) 0.1部
水 89.9部
【0054】
<透かし模様の形成>
先ず、インクバインダー(D−17、DICグラフィック株式会社製)に20質量部の割合で濃紺色顔料を添加した第1インクを準備した。また、D−17のUV開始剤を50%増量したインクバインダーに、15質量部の割合でカーボンブラックを添加した第2インクを準備した。次いで、表基材層の情報記録層を設けた面とは反対の面に、第1インクを用いて凸版印刷により、図2に示したような第1パターンを印刷した。印刷時の照射条件は、高圧水銀灯で200mJ相当とした。続いて、第2インクを用いて凸版印刷により、図2に示したような第2パターンを印刷した。刷時の照射条件は、高圧水銀灯で300mJ相当とした。また、同様のインクを用いて、図5(a)に示したような第1パターンおよび第2パターンからなる透かし模様を印刷したものを別に準備した。
【0055】
<裏基材層および筆記層>
裏基材層として表基材層と同じ厚さの白色PETフィルムを用いた。白色PETフィルムの一方の面に、ポリエステルエマルジョンに炭酸カルシウムおよびシリカ微粒子を溶剤に分散させた塗工液、グラビアコーターで塗布し、乾燥して溶剤を気化させて、厚さが5μmになる積層することにより筆記層を形成した。
【0056】
<ICカードの作製>
表基材層の透かし模様を印刷した面、および、裏基材層の筆記層を設けた面とは反対側の面のそれぞれに、Tダイ方式のアプリケーターを用いて湿気硬化型ホットメルト接着剤(エスダイン2013MK、積水化学工業株式会社製)を、それぞれの厚みが50μmおよび300μmとなるように塗布し、上記で得られたICインレットを表基材層および裏基材層の接着剤の間に挟み、鏡板平面熱プレスを用いて、75℃、5kgf/cm の条件で熱圧着させ、これをカード状に打抜くことにより、厚さ760μmのICカードを2種作製した。一つ目のICカードは、透かし模様として図2に示したような紋様パターンが印刷されており、2つ目のICカードは、図5(a)示したような紋様パターンが印刷されたものである。
【0057】
<昇華型感熱転写記録用インクシートの準備>
裏面に融着防止加工した厚さ6μmのポリエチレンテレフタレートシートに、下記組成のイエローインク層形成用塗工液、マゼンタインク層形成用塗工液、シアンインク層形成用塗工液を塗布・乾燥して各々の厚みが1μmになるようして、イエロー、マゼンタ、シアンの3色のインクシートを得た。
【0058】
イエローインク層形成用塗工液
イエロー染料(MSYellow、三井東圧染料株式会社製) 3部
ポリビニルアセタール5.5部
(デンカブチラールKY−24、電気化学工業株式会社製)
ポリメチルメタアクリレート変性ポリスチレン 1部
(レデダGP−200、東亜合成化学工業株式会社製)
ウレタン変性シリコーンオイル 0.5部
(ダイアロマーSP−2105、大日精化工業株式会社製)
メチルエチルケトン 70部
トルエン 20部
【0059】
マゼンタインク層形成用塗工液
マゼンタ染料(MSMagenta、三井東圧染料株式会社製) 2部
ポリビニルアセタール 5.5部
(電気化学工業株式会社製:デンカブチラールKY−24〕
ポリメチルメタアクリレート変性ポリスチレン 2部
(レデダGP−200、東亜合成化学工業株式会社製)
ウレタン変性シリコーンオイル 0.5部
(ダイアロマーSP−2105、大日精化工業株式会社製)
メチルエチルケトン 70部
トルエン 20部
【0060】
シアンインク層形成用塗工液
シアン染料(カヤセットブルー136、日本化薬株式会社製) 3部
ポリビニルアセタール 5.6部
(デンカブチラールKY−24、電気化学工業株式会社製)
ポリメチルメタアクリレート変性ポリスチレン 1部
(レデダGP−200、東亜合成化学工業株式会社製)
ウレタン変性シリコーンオイル 0.5部
(ダイアロマーSP−2105、大日精化工業株式会社製)
メチルエチルケトン 70部
トルエン 20部
【0061】
<溶融型感熱転写記録用インクシート>
裏面に融着防止加工した厚さ6μmのポリエチレンテレフタレートシートに、下記組成のインク層形成用塗工液を塗布・乾燥して各々の厚みが1μmになるようして、溶融型感熱転写記録用インクシートを得た。
【0062】
<インク層形成用塗工液>
カルナバワックス 1部
エチレン酢酸ビニル共重合体 1部
(EV40Y、三井デュポンケミカル株式会社製)
カーボンブラック 3部
フェノール樹脂(タマノル521、荒川化学工業株式会社製) 5部
メチルエチルケトン 90部
【0063】
<ICカードへの個人情報記録>
上記のようにして得られた2種のICカードのそれぞれの情報記録層に、所有者1および2の個人情報を記録した。先ず、ICカードの情報記録層と上記の昇華型感熱転写記録用インクシートのインク側を重ね合わせインクシート側からサーマルヘッドを用いて出力0.23W/ドット、パルス幅0.3〜4.5m秒、ドット密度16ドット/mmの熱転写条件で熱転写を行うことにより、階調性のある人物画像を記録した。この画像においては上記色素と受像層のニッケルが錯体を形成している。また、ICカードの情報記録層と上記の溶融型感熱転写記録用インクシートのインク側を重ね合わせインクシート側からサーマルヘッドを用いて出力0.5W/ドット、パルス幅1.0m秒、ドット密度16ドット/mmの熱転写条件で熱転写を行うことにより、所有者1および所有者2の氏名からなる文字情報を記録した。
【0064】
<保護層の形成>
先ず、0.1μmのフッ素樹脂層の離型層を設けた厚み25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの離型層面に、下記組成の活性光線硬化性組成物を塗布・乾燥した。
【0065】
活性光線硬化性化合物
A−9300(新中村化学株式会社製) 35部
EA−1020(新中村化学株式会社製) 11.75部
反応開始剤(イルガキュア184、BASF株式会社製) 5部
添加剤(不飽和基含有樹脂) 48部
界面活性剤(F−179、大日本インキ株式会社製) 0.25部
【0066】
次いで、下記組成の中間層形成塗工液を塗布し、50℃で24時間の条件で硬化剤を硬化させて、膜厚1.0μmの中間層を形成した。
中間層形成塗工液
ポリビニルブチラール樹脂 3.5部
(エスレックBX−1、積水化学株式会社製)
タフテックスM−1913(旭化成株式会社) 5部
硬化剤ポリイソシアネート 5部
(コロネートHX、日本ポリウレタン株式会社製)
メチルエチルケトン 90部
【0067】
さらに、中間層上に、下記組成の接着層形成塗工液を用いて、膜厚0.5μmの接着剤層を形成した。
接着層形成塗工液
ウレタン変性エチレンエチルアクリレート共重合体 8部
ハイテックS6254B、東邦化学工業株式会社製)
ポリアクリル酸エステル共重合体 2部
(ジュリマーAT510、日本純薬株式会社製)
水 45部
エタノール 45部
【0068】
上記のようにして得られた活性光線硬化型転写箔を、個人情報か記録された情報記録層に重ね合わせ、表面温度200℃に加熱した、直径5cmゴム硬度85のヒートローラーを用いて、接圧150kg/cmで転写を行うことにより、保護層を形成した。
【0069】
実施例2
透かし模様の第2パターンを、表基材層にあらかじめフォトエッチング法により、厚さ15μmのアルミ箔で形成した以外は、実施例1と同様にしてICカードを作製した。
【0070】
比較例1
透かし模様の第2パターンを、第1インクを用いて形成したこと以外は、実施例1と同様にしてICカードを作製した。
【0071】
<可視光による透かし模様の観察>
白色LED照明のバックライト上に各ICカードを並べ、透過光でICカードシルエットを観察した。実施例1、2、及び比較例1のICカードのいずれも、全ての透かし模様が視認できた。
【0072】
<ICカードの分解>
カーターナイフを用いて、ICカードの表基材層とカードコア層の間を物理的に剥離分解した。実施例1、2のICカードでは、第1パターンがカードコア層側に残り、第2パターンは表基材層側に残った。これに対して比較例1のICカードでは、全ての透かし模様がカードコア層側に残った。
【0073】
次に、剥離分解した所有者1と所有者2の表基材を、それぞれ互いのカードコア層側に貼り合わせて、ICカードの偽変造を行った。実施例1、2のICカードを用いた偽変造品では、透過光でカードを観察すると透かし模様が異常な配置となり、偽変造が容易に識別できた。一方、比較例1のICカードを用いた偽変造品では、透かし模様の異常は識別できなかった。
【0074】
<赤外光による透かし模様の観察>
赤外光用LED照明(IRTD−7075、日進電子工業株式会社製)を用いて、波長940nmの赤外光をバックライトとし、赤外波長領域感度を有するCCDカメラ(CV−200M、キーエンス株式会社製)を用いて、赤外透過光でICカードシルエットを観察した。実施例1および2のICカードでは、第2パターンのみが観察され、比較例1のICカードでは、透かし模様が視認できなかった。また、いずれもICカードも、表基材層上の個人情報のうち顔画像は視認できなくなり、これにより、実施例1および2のICカードでは、所有者の異なるそれぞれのICカードにおいて、顔画像部のカード内部に形成された第2パターンの透かし模様の差が明瞭に確認できた。
【符号の説明】
【0075】
10 ICカード
1 カードコア層
2 表基材層
3 情報記録層
4 透かし模様
5a 画像情報
5b 文字情報
6 保護層
7 電子部品
7a ICチップ
7b アンテナ
8 裏基材層
9 筆記層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を収納したカードコア層と、前記カードコア層の一方の面に設けられた表基材層と、前記表基材層の表面に設けられた情報記録層と、をすくなくとも備えたICカードであって、
前記表基材層の、前記情報記録層が設けられた面とは反対側の面に、透かし模様が印刷されており、前記透かし模様が、前記表基材層との接着力が異なる少なくとも2種以上の材料を用いて形成されたものであることを特徴とする、ICカード。
【請求項2】
前記透かし模様が、前記表基材層よりも前記カードコア層に対する接着力が強い第1の材料と、前記カードコア層よりも前記表基材層に対する接着力が強い第2の材料の2種の材料を用いて形成されたものである、請求項1に記載のICカード。
【請求項3】
前記透かし模様が紋様パターンである、請求項2に記載のICカード。
【請求項4】
紋様パターンが、前記第1の材料を用いて形成される第1パターンと、前記第2の材料を用いて形成される第2パターンとから構成され、前記紋様パターンは、各ICカードで同じであるが、前記第1パターンと前記第2パターンは、ICカード毎に異なる、請求項3に記載のICカード。
【請求項5】
前記第1材料が、可視光では視認できるが、赤外光では視認できないものであり、前記第2材料が、可視光および赤外光の両方で視認できるものである、請求項4に記載のICカード。
【請求項6】
前記情報記録層には、可視光では視認できるが、赤外光では視認できない画像が形成れており、前記画像が形成された領域に対応した位置に第2パターンが含まれるように前記紋様パターンが形成される、請求項5に記載のICカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−75421(P2013−75421A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216440(P2011−216440)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】