説明

ICソケット

【課題】ICパッケージを保持したICソケットの外部から、ソケット本体部の内部状態を容易に観察できるICソケットを提供する。
【解決手段】ICソケット1は、透明または半透明の絶縁性材料からなるソケット本体部10内に第1ソケット端子30、第2ソケット端子40を2列の列状に並んで配設して構成され、第1ソケット端子30、第2ソケット端子40は、IC端子と電気接続されるソケット側接続部と、ソケット本体部10から下方に突出して基板等に電気接続されるリード部とを有し、それぞれの列における第1ソケット端子30、第2ソケット端子40は、少なくとも1ヶ所において所定の配設間隔よりも大きな肉抜き用凹部19分の間隙を空けてソケット本体部10内に配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ROMやRAM等のメモリー、CPU、システムLSIなどのICパッケージ(集積回路)を着脱自在にプリント基板に取り付けるためのICソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
上記ICパッケージには、IC本体部にIC端子が延びて設けられた形態のものがある。この形態のICパッケージをプリント基板に取り付けるためのICソケットとしては、ICパッケージが上方から押し込まれて取り付けられる、いわゆる押圧挿入タイプのICソケットが知られている。ICソケットは通常、ソケット本体部とソケット端子とから構成され、ICパッケージが押し込まれた状態でIC端子と電気接続されるようにソケット本体部内にソケット端子が配設されている。このソケット端子のリード部が、ソケット本体部の下方に突出してプリント基板に電気接続される。また、ソケット端子のリード部とプリント基板とは、例えばプリント基板に開口形成されたスルーホールにリード部の先端を挿入させた状態で半田付けされて電気接続される(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
このため、ICパッケージをICソケットに取り付けることで、ソケット端子を介してIC端子とプリント基板に形成された基板回路とが電気接続され、例えばIC本体部に記憶された制御情報が読み出し可能になる。また、ICパッケージはプリント基板に着脱自在となっており、必要に応じて別の制御情報が記憶されたICパッケージに付け替えることで別の制御情報を読み出すことができるので、制御内容のバージョンアップ等にも臨機応変に対応できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−48191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ICパッケージを保持するICソケットは種々のプリント基板に搭載されるが、その一例としてパチンコ機等の遊技機の作動を制御する制御基板に搭載される場合がある。この搭載例においては、ICパッケージとICソケットとの間に、例えば遊技機を不正に作動させる制御情報が記憶されたICパッケージやメモリ等を挿入する不正行為が確認されており、このような不正行為を早期に見つけ出すことが不正行為に伴う損害を抑えるためにも重要である。特に、IC本体部にIC端子が2列に並んで設けられた構成(いわゆるデュアルタイプ)のICパッケージにおいては、このICパッケージを保持したICソケットを外部から観察した場合、IC端子およびソケット端子によりソケット本体部の内部が遮られて見えにくいため、不正ICパッケージ等を見つけ出すことが難しいという課題があった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、ICパッケージを保持したICソケットの外部から、ソケット本体部の内部状態を容易に観察できるICソケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るICソケットは、IC本体部の左右両側から複数のIC端子がそれぞれ所定の配列間隔で列状に並んで延びて構成されるICパッケージを保持して基板等に取り付けるためのICソケットであって、透明または半透明の絶縁性材料からなるソケット本体部内に複数のソケット端子(例えば、実施形態における第1ソケット端子30、第2ソケット端子40)を前記IC端子の配置に対応する2列の列状に並んで配設して構成され、前記ソケット本体部が前記IC本体部を載置させる載置面(例えば、実施形態におけるIC載置部15)を上面に有し、前記載置面の上に前記IC本体部を載置させた状態で前記IC本体部の左右両側から前記複数のIC端子が前記ソケット本体部内を2列に並んで下方に延びるように前記ICパッケージが構成されており、前記複数のソケット端子はそれぞれ、前記ソケット本体部内に配置された状態で上面側に対向し、前記載置面に載置された前記IC本体部から下方に延びる前記IC端子を受容して前記IC端子と電気接続されるソケット側接続部と、前記ソケット側接続部に繋がって下方に延びて前記ソケット本体部から下方に突出して前記基板等に電気接続されるリード部とを有し、前記2列に並んだそれぞれの列における前記複数のソケット端子は、少なくとも1ヶ所において所定の配設間隔(例えば、実施形態における配設間隔P)よりも大きな確認用間隙(例えば、実施形態における肉抜き用凹部19)を空けて前記ソケット本体部内に配設されたことを特徴とする。
【0008】
上述のICソケットにおいて、前記ソケット本体部は、前記IC本体部における前記複数のIC端子が設けられた部分を除いた部分と係合して、前記ソケット本体部に前記ICパッケージを保持させる係合保持部を備えたことが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るICソケットのソケット端子は、少なくとも1ヶ所において所定の配設間隔よりも大きな確認用間隙を空けてソケット本体部内に配設され、透明または半透明の絶縁性材料からなるソケット本体部の確認用間隙を介してソケット本体部内を視認可能に構成されている。このソケット本体部の確認用間隙部分には、IC端子およびソケット端子が位置しておらず、ICパッケージを保持したICソケットの外部から、透明または半透明の確認用間隙部分を介してソケット本体部内を容易に視認することができる。よって、不正ICパッケージ等が挿入されている場合には、即座にこれを見つけ出すことが可能になる。
【0010】
上述のICソケットにおいて、ソケット本体部は、IC本体部における複数のIC端子が設けられた部分を除いた部分と係合して、ソケット本体部にICパッケージを保持させる係合保持部を備えたことが好ましい。この構成の場合、例えば指先をIC本体部に引っ掛けてICソケットからICパッケージを外すことが困難になるため、一旦ICパッケージを外して、ICソケットとICパッケージとの間に例えば不正ICパッケージを挿入する不正行為を効果的に防止可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を適用したICソケットにICパッケージを装着した状態を示す斜視図である。
【図2】上記ICソケットの斜視図である。
【図3】上記ICソケットを示す図であって、(a)は平面図を、(b)は側面図を、(c)は底面図をそれぞれ示す。
【図4】第1コンタクトを示す図であって、(a)は右側面図を、(b)は正面図を、(c)は左側面図をそれぞれ示す。
【図5】第2コンタクトを示す図であって、(a)は右側面図を、(b)は正面図を、(c)は左側面図をそれぞれ示す。
【図6】図1中のVI−VI部分を示す断面図である。
【図7】(a)は従来のICソケットが取り付けられるプリント基板の平面図を、(b)は本発明を適用したICソケットが取り付けられるプリント基板の平面図をそれぞれ示す。
【図8】(a)は別の実施形態に係るICソケットを示す斜視図、(b)はこの別の実施形態に係るICソケットにICパッケージを装着した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照ながら、本発明の実施形態について説明する。説明の便宜上、各図面に示す矢印方向を前後、左右および上下と定義して説明を行う。本発明を適用した一例としてのICソケット1の構成について図1〜7を参照して説明する前に、このICソケット1に着脱可能に取り付けられるICパッケージ5の構成について説明する。
【0013】
ICパッケージ5は、図1に示すように、メモリーやCPU等を内蔵して略矩形平板状に形成されたIC本体部2と、このメモリー等と電気的に接続されて下方に延びて設けられた複数のIC端子3とから構成される。IC端子3は、IC本体部2の後側端部および前側端部に、極狭い配設間隔Pで左右に並んで配設されている。また、IC本体部2の後側端部および前側端部の左右中央部分においては、IC端子3が上記配設間隔Pよりも大きな中央間隔4を有してIC本体部2に配設されている。
【0014】
ICソケット1は、図1に示すように、上記ICパッケージ5が上面側に取り付けられるソケット本体部10と、IC端子3の配置に対応させてソケット本体部10に取り付けられた複数の第1ソケット端子30、第2ソケット端子40とから構成される。
【0015】
ソケット本体部10は、図2および図3に示すように、透明または半透明な絶縁性樹脂材料を用いて略直方体に形成されており、後側において左右に延びる後側基部11と、前側において左右に延びる前側基部12とを主体に構成される。後側基部11には、上下に延びて形成されて第1ソケット端子30が取り付けられる第1端子受容空間13と、上下に延びて形成されて第2ソケット端子40が取り付けられる第2端子受容空間14とが、IC端子3の配置に対応させて左右方向に交互に並んで設けられている。前側基部12にも、上記第1端子受容空間13と上記第2端子受容空間14とが、IC端子3の配置に対応させて左右方向に交互に並んで設けられている。
【0016】
後側基部11および前側基部12におけるICパッケージ5の中央間隔4に対応する部分には、肉抜き用凹部19が上下に延びて形成されている。この肉抜き用凹部19により、後側基部11および前側基部12の樹脂厚の均一化が図れており、成形収縮に伴う凹みの発生を抑えることができる。この肉抜き用凹部19の左右幅は、配設間隔Pよりも大きく且つ外部からソケット本体部10の内部を確認できる大きさとなっている。なお、本実施形態では、下方に向けて凹んだ肉抜き用凹部19を例示しているが、これに代えて上方に向けて凹んだ形状にしても良く、さらには、上下に貫通させても良い。
【0017】
図6に示すように、第1端子受容空間13内には、上下に延びて形成されて第1ソケット端子30の係止突起35a(図4参照)が係止される係止溝13aが形成されている。また、第1端子受容空間13における前後内側の底部には、下方に延びるリード挿入孔13bが形成されている。一方、第2端子受容空間14内には、上下に延びて形成されて第2ソケット端子40の係止突起45a(図5参照)が係止される係止溝14aが形成されている。また、第2端子受容空間14における前後外側の底部には、下方に延びるリード挿入孔14bが形成されている。図6から分かるように、第1端子受容空間13と第2端子受容空間14とは、リード挿入孔13bとリード挿入孔14bとの形成位置、および第2端子受容空間14が前後外側に向けて広がっている点を除いては同一形状に形成されている。
【0018】
後側基部11および前側基部12の上部には、図2に示すように部分的に上方に突出した複数のIC載置部15が形成されている。このIC載置部15にIC本体部2が載置されることで、各IC端子3が対応する第1端子受容空間13または第2端子受容空間14内に受容されて下方に延びて位置するように構成されている。このとき、IC端子3は、後述するように第1ソケット端子30または第2ソケット端子40に弾性的に挟持されて電気的に接続される一方で、IC端子3の先端部が第1ソケット端子30、第2ソケット端子40またはソケット本体部10に上下に突き当たることがないようにIC載置部15が形成されている(図6参照)。そのため、IC端子3が第1ソケット端子30または第2ソケット端子40と電気的に接続された状態において、IC端子3に対して上下方向に過度な外力が作用することを防止できるとともに、上下方向におけるIC端子3の電気接続位置を安定させることができる。
【0019】
第1ソケット端子30は、図4に示すように、下部において上下に延びるリード部31、リード部31の上端部が略90度折曲されて側方に延びる中間部32、中間部32の先端部が略90度折曲されて上下に延びる基部33、基部33が断面視U字状に180度折り返された折り返し部34、折り返し部34から上方に延びる圧入部35、折り返し部34から下方に延びて折曲された下部折曲部36、下部折曲部36に繋がって斜め上方に延びるストレート部37、ストレート部37の上端部が下方に向けて折曲された上部折曲部38、上部折曲部38に繋がって斜め下方に延びるガイド部39、および、ガイド部39の下端部が折曲されたソケット側接続部39aから構成される。
【0020】
図1に示すように、リード部31の下端部がプリント基板7に開口形成された内側スルーホール8に挿入されて半田接続されることで、第1ソケット端子30(リード部31)がプリント基板7に形成された基板回路(図示せず)と電気的に接続される。圧入部35には、第1端子受容空間13内に形成された係止溝13aに係止される係止突起35aが設けられている。
【0021】
第2ソケット端子40は、図5に示すように、下部において上下に延びるリード部41、リード部41の上端部が略90度折曲されて側方に延びる中間部42、中間部42の先端部が略90度折曲されて上下に延びる基部43、基部43が断面視U字状に180度折り返された折り返し部44、折り返し部44から上方に延びる圧入部45、折り返し部44から下方に延びて折曲された下部折曲部46、下部折曲部46に繋がって斜め上方に延びるストレート部47、ストレート部47の上端部が下方に向けて折曲された上部折曲部48、上部折曲部48に繋がって斜め下方に延びるガイド部49、および、ガイド部49の下端部が折曲されたソケット側接続部49aから構成される。
【0022】
図1に示すように、リード部41の下端部がプリント基板7に開口形成された外側スルーホール9に挿入されて半田接続されることで、第2ソケット端子40(リード部41)がプリント基板7に形成された基板回路(図示せず)と電気的に接続される。また、圧入部45には、第2端子受容空間14内に形成された係止溝14aに係止される係止突起45aが設けられている。第1ソケット端子30の中間部32がソケット側接続部39a側に比較的大きな寸法を有して延びて形成されるのに対し、第2ソケット端子40の中間部42がソケット側接続部49aとは反対側に中間部32に比べて小さな寸法を有して延びて形成される点を除いては、第1ソケット端子30と第2ソケット端子40とは同一形状になっている。
【0023】
第1ソケット端子30および第2ソケット端子40は、導電性を有した金属薄板を打ち抜きおよび曲げ加工することで製造されるが、その製造工程について第1ソケット端子30を例に挙げて図4を参照しながら説明する。なお、以下においては、金属薄板を真っ直ぐに延びた針金状に打ち抜き加工した後の曲げ工程について主に説明する。
【0024】
まず、図4(c)に示すように、圧入部35に相当する部分を折り曲げて、圧入側第1折曲部35bを形成する(ステップST31)次に、圧入部35に相当する部分における圧入側第1折曲部35bの下側部分を折り曲げて、圧入側第2折曲部35cを形成する(ステップST32)。続いて、ガイド部39の先端部に相当する部分を折り曲げて、ソケット側接続部39aを形成する(ステップST33)。次に、ガイド部39の基端部に相当する部分を略U字状に折り曲げて、上部折曲部38を形成する(ステップST34)。続いて、折り返し部34を略180度折り曲げることで、下部折曲部36、ストレート部37、上部折曲部38およびガイド部39に相当する部分を、基部33に相当する部分に対して略180度反転させる(ステップST35)。こうすることで、図4(b)に示すように、下部折曲部36、ストレート部37、上部折曲部38およびガイド部39に相当する部分が、基部33に相当する部分に折り重なった状態となる。
【0025】
次に、ストレート部37の基端部に相当する部分を略U字状に折り曲げて、下部折曲部36を形成する(ステップST36)。続いて、中間部32の上端部に相当する部分を略90度折り曲げて、中間側第1折曲部32aを形成する(ステップST37)最後に、中間部32の下端部に相当する部分を略90度折り曲げて、中間側第2折曲部32bを形成することで、図4に示す第1ソケット端子30が形成される(ステップST38)。
【0026】
このように、第1ソケット端子30は、リード部31と基部33との間に側方に延びる(略90度折り曲げられた)中間部32が形成されているので、リード部31の先端部を半田接続する際に半田に含まれるフラックスがリード部31に沿って上昇して付着しても、中間部32から基部33へと伝わって付着することを防止できる。また、仮に基部33にまでフラックスが伝わって付着した場合であっても、断面視U字状に180度折り返された折り返し部34が形成されているので、この折り返し部34にフラックスが溜まることとなり、圧入部35や下部折曲部36へ伝わることを防止できるようになっている。また、図4(a)に示すように、折り返し部34の上端部とソケット側接続部39aとが、上下方向に距離Hだけ離れて形成されているので、フラックスが圧入部35とソケット側接続部39aとの接触部分に伝わりにくい構成となっている。このように、第1ソケット端子30は、フラックス付着に伴う接続不良の発生が大きく低減できる構成となっている。
【0027】
第2ソケット端子40については、製造工程に関する詳細な説明は省略するが、第1ソケット端子30とほぼ同様の曲げ工程を経て形成される。具体的には、図5(c)に示す曲げ手順(ステップST41〜ステップST48)に従って各曲げ部分の曲げ加工が行われる。図4(c)と図5(c)とを比較すると分かるように、ステップST31〜ステップST36とステップST41〜ステップST46とでは、同一の曲げ加工が行われる。そのため、第1ソケット端子30と第2ソケット端子40とで曲げ工程の共通化を図ることで、曲げ加工の加工効率を向上させるとともの曲げ加工の容易化が図られる。また、例えば第1ソケット端子30を製造するプレス金型の金型部品と、第2ソケット端子40を製造するプレス金型の金型部品との共通化を図ることができ、ソケット端子の製造コストを低減できる。第2ソケット端子40は、基本的には第1ソケット端子30と同様の形状となっているため、第1ソケット端子30と同様にフラックス付着に伴う接続不良の発生を低減できる構成となっている。
【0028】
次に、ICソケット1の組立構成について説明する。まず、ソケット本体部10に第1ソケット端子30および第2ソケット端子40を取り付ける。このとき、第1端子受容空間13に対して、上部折曲部38を前後内側に位置させた状態で第1ソケット端子30を挿入して取り付けるとともに、第2端子受容空間14に対して、上部折曲部48を前後内側に位置させた状態で第2ソケット端子40を挿入して取り付ける。
【0029】
第1端子受容空間13について説明すると、第1端子受容空間13の係止溝13aに第1ソケット端子30の係止突起35aを嵌合させるとともに、ソケット本体部10のリード挿入孔13bに第1ソケット端子30のリード部31を挿入させることで、ソケット本体部10に第1ソケット端子30が圧入されて固定される(図6参照)。そうすることで、第1ソケット端子30のストレート部37が第1端子受容空間13の内面に当接して下部折曲部36が弾性変形されることで、ソケット側接続部39aが圧入部35に押圧された状態となり、一方でリード部31はソケット本体部10の下方に突出された状態となる。
【0030】
第2端子受容空間14について説明すると、第2端子受容空間14の係止溝14aに第2ソケット端子40の係止突起45aを嵌合させるとともに、ソケット本体部10のリード挿入孔14bに第2ソケット端子40のリード部41を挿入させることで、ソケット本体部10に第2ソケット端子40が圧入されて固定される(図6参照)。そうすることで、第2ソケット端子40のストレート部47が第2端子受容空間14の内面に当接して下部折曲部46が弾性変形されることで、ソケット側接続部49aが圧入部45に押圧された状態となり、一方でリード部41はソケット本体部10の下方に突出された状態となる。
【0031】
こうすることで、図6に示す断面部分においては、第1ソケット端子30のリード部31および第2ソケット端子40のリード部41が、IC端子3に対して後側に位置して取り付けられる。この図6に示す断面部分に対して左右方向に隣接する第1端子受容空間13および第2端子受容空間14においては、第1ソケット端子30および第2ソケット端子40が圧入されて固定されることで、リード部31およびリード部41がIC端子3に対して前側に位置して取り付けられる。ここで、図6に示す断面部分に対して左右方向に隣接する第1端子受容空間13および第2端子受容空間14に取り付けられた第1ソケット端子30および第2ソケット端子40の取付状態を、図6における点線矢印で引き出した先に示している。このことから分かるように、後側基部11および前側基部12のそれぞれにおいて、リード部31およびリード部41が前後2列に並んだ状態で下方に延びている。
【0032】
次に、第1ソケット端子30および第2ソケット端子40が取り付けられたソケット本体部10(ICソケット1)を、プリント基板7に取り付ける。ここで、プリント基板7には図1に示すように、IC端子3の配設間隔Pで前後2列に並んだリード部31およびリード部41に対応させて千鳥状に内側スルーホール8および外側スルーホール9が開口形成されている。そのため、ソケット本体部10の下方に突出したリード部31およびリード部41を対応する内側スルーホール8または外側スルーホール9に挿入し、その状態でリード部31およびリード部41の先端部を半田付けすることで、半田を介して第1ソケット端子30、第2ソケット端子40と基板回路とが電気的に接続される。このようにして、ICソケット1がプリント基板7に取り付けられる。
【0033】
ところで、従来のICソケットは、図7(a)に示すように、スルーホール708がIC端子と同一の配設間隔Pで左右一列に並んで位置していたため、半田が付着されるラウンド領域750を十分に確保することが困難であった。これに対し本発明を適用したICソケット1においては、第1ソケット端子30および第2ソケット端子40が、IC端子3と同一の極狭い配設間隔Pで配設された構成でありながら、リード部31とリード部41とが交互に前後に位置した千鳥配置となっている。これにより、図7(a)に示す従来の構成と比較して、隣接するリード部31,41同士の間隔を大きくすることができる。このように両ソケット端子30,40が構成されるので、図7(b)に示すようにプリント基板7においては、内側スルーホール8および外側スルーホール9の周囲に十分な大きさのラウンド領域50を確保しつつ、ラウンド領域50同士(ラウンド領域50に付着される半田同士)を離して位置させて短絡の発生を抑えることが可能になる。
【0034】
また、図6から分かるように、第1ソケット端子30と第2ソケット端子40とでは、ソケット側接続部39a,49aに対する中間部32,42の延びる向きが逆になるように形成されている。そのため、第1ソケット端子30および第2ソケット端子40をソケット本体部10に取り付けたときに、隣接するリード部31,41同士を十分に離して位置させつつ、第1ソケット端子30および第2ソケット端子40を前後方向にコンパクトに構成できる。
【0035】
次に、ICパッケージ5をICソケット1に取り付けたときの作用について説明する。まず、ICソケット1にICパッケージ5を取り付ける場合には、各IC端子3と第1端子受容空間13または第2端子受容空間14との位置を整合させた状態で、各IC端子3を第1端子受容空間13または第2端子受容空間14に上方から挿入して受容させ、IC本体部2をIC載置部15に載置させる。そうすることで、図6に示すように、IC端子3は互いに接触されたソケット側接続部39a(49a)と圧入部35(45)との間に上方から挿入されて挟持され、上部折曲部38(48)およびガイド部39(49)のばね力により圧入部35(45)に押し付けられる。このようにして、IC端子3は確実に、第1ソケット端子30および第2ソケット端子40に電気的に接続される。第1ソケット端子30および第2ソケット端子40を介してIC端子3が基板回路と電気的に接続されると、例えばIC本体部2に記憶された制御情報を読み出し可能になる。
【0036】
ところで、このようにしてICパッケージを保持するICソケットは種々のプリント基板に用いられるが、その一例としてパチンコ機等の遊技機の作動を制御する制御基板に搭載される場合がある。この場合に、ICパッケージとICソケットとの間に、例えば遊技機を不正に作動させる制御情報が記憶されたICパッケージやメモリー等を挿入する不正行為が確認されており、このような不正行為を早期に見つけ出すことが重要となっている。特に、IC本体部にIC端子が2列になって設けられた構成のICパッケージにおいては、このICパッケージを保持したICソケットを外部から観察した場合に、IC端子およびソケット端子によってソケット本体部の内部が遮られて見えにくいため、不正ICパッケージ等を見つけ出すことが難しい。
【0037】
そこで、本発明を適用したICソケット1においては、ソケット本体部10が透明または半透明な絶縁性樹脂材料を用いて形成された上で、後側基部11および前側基部12におけるICパッケージ5の中央間隔4に対応する部分(肉抜き用凹部19が形成された部分)に、第1ソケット端子30および第2ソケット端子40が位置しない構成となっている。そのため、この肉抜き用凹部19の部分を介して、ICパッケージ5の下面側に位置したICソケット1の内部を、ICソケット1からICパッケージ5を外すことなく外部から目視で確認可能となり、不正ICパッケージ等が挿入されている場合には即座に見つけ出すことができる。
【0038】
また、本発明を適用したICソケット1は、ICパッケージ5が誤った向きで取り付けられることを防止するための構成が採用されている。ICパッケージ5においては、IC本体部2の後端部に設けられたIC端子3の個数と、IC本体部2の前端部に設けられたIC端子3の個数とを意図的に異ならせている。例えば図1に示すように、正しい向きで取り付けられた状態でのIC本体部2の後端部には合計35個のIC端子3が設けられ、IC本体部2の前端部には合計36個のIC端子3が設けられて構成される。そして、このIC端子3の配置に対応させて、後側基部11には合計35個の第1端子受容空間13および第2端子受容空間14が形成され、前側基部12には合計36個の第1端子受容空間13および第2端子受容空間14が形成されて構成される(図3(a)参照)。そのため、ICパッケージ5を図1に示す状態に対して水平面内において180度回転させた状態でソケット本体部10に取り付けようとしても、後側左端部に位置するIC端子3に対応する端子受容空間が形成されていないため、この誤った向きでの取り付けが確実に防止される。
【0039】
図8には、別の実施形態に係るICソケット101を示しており、このICソケット101について説明する。ここでは、上述したICソケット1と同一部分には同一番号を付してその説明を省略する。ICソケット101は、図8(a)に示すように、透明または半透明な絶縁性樹脂材料からなるソケット本体部110の左右両端部に、上方に向けて立設された係合保持部116を有している。この係合保持部116は、ソケット本体部110に取り付けられたICパッケージ5の左右端部(IC端子3が設けられていない部分)の上面と係合することで、ICパッケージ5をソケット本体部110に取り付けられた状態に保持するように構成されている。このままの状態では例えば指先をIC本体部2に引っ掛けて、ソケット本体部110からICパッケージ5を外すことができないため、例えば一旦ICパッケージ5を外してソケット本体部110とICパッケージ5との間に不正な制御情報が記憶されたICパッケージを挿入するような不正行為を効果的に防止できる。なお、この係合保持部116が係合されたICパッケージ5を取り外すためには、専用の取り外し治具(図示せず)を用いることが好ましい。
【0040】
上述の実施形態において、第1端子受容空間13と第2端子受容空間14とが交互に並んで形成された後側基部11および前側基部12を例示して説明した。本発明はこの構成に限定されず、例えば端子受容空間を全て第2端子受容空間14の形状に統一して形成するとともに、各端子受容空間の底部に2つのリード挿入孔、例えば前後内側にリード挿入孔13bに対応するリード挿入孔を形成するとともに、前後外側にリード挿入孔14bに対応するリード挿入孔を形成する構成でも良い。このようにすると、各端子受容空間に対して、第1ソケット端子30および第2ソケット端子40のいずれもが挿入可能になる。この構成の場合には、ソケット本体部10を成形するための成形金型部品の共通化が図られ、金型部品の種類を減らして製造コストを低減できる。
【0041】
また、上述の実施形態において、第1ソケット端子30および第2ソケット端子40のどちらもが、側方に延びる中間部32,42を有した構成例について説明したが、第1ソケット端子30および第2ソケット端子40の構成はこれに限定されない。例えば、第1ソケット端子30および第2ソケット端子40のどちらか一方については、中間部を無くして基部からリード部に繋がる部分を真っ直ぐに形成しても良い。この構成の場合、曲げ工程を減らすことができるので、プレス金型の構造を簡素にして製造コストを低減できる。
【0042】
上述の実施形態では、後側基部11および前側基部12におけるICパッケージ5の中央間隔4に対応する部分に肉抜き用凹部19が形成された例について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、この肉抜き用凹部19に代えて端子受容空間を形成した上で、この部分の端子受容空間にソケット端子を挿入しない構成とすることも可能であり、この構成を採用した場合にも、ソケット本体部10におけるソケット端子が挿入されていない端子受容空間を介して外部からソケット本体部10の内部を目視で確認可能となる。また、後側基部11および前側基部12におけるICパッケージ5の中央間隔4に対応する部分に、肉抜き用凹部19および端子受容空間を形成することなくソケット端子を挿入しない構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0043】
1 ICソケット
2 IC本体部
3 IC端子
5 ICパッケージ
10 ソケット本体部
15 IC載置部(載置面)
19 肉抜き用凹部(確認用間隙)
30 第1ソケット端子(ソケット端子)
31 リード部
39a ソケット側接続部
40 第2ソケット端子(ソケット端子)
41 リード部
45 圧入部(ソケット側接続部)
49a ソケット側接続部
116 係合保持部
P 配設間隔(所定の配設間隔)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IC本体部の左右両側から複数のIC端子がそれぞれ所定の配列間隔で列状に並んで延びて構成されるICパッケージを保持して基板等に取り付けるためのICソケットであって、
透明または半透明の絶縁性材料からなるソケット本体部内に複数のソケット端子を前記IC端子の配置に対応する2列の列状に並んで配設して構成され、
前記ソケット本体部が前記IC本体部を載置させる載置面を上面に有し、前記載置面の上に前記IC本体部を載置させた状態で前記IC本体部の左右両側から前記複数のIC端子が前記ソケット本体部内を2列に並んで下方に延びるように前記ICパッケージが構成されており、
前記複数のソケット端子はそれぞれ、
前記ソケット本体部内に配置された状態で上面側に対向し、前記載置面に載置された前記IC本体部から下方に延びる前記IC端子を受容して前記IC端子と電気接続されるソケット側接続部と、
前記ソケット側接続部に繋がって下方に延びて前記ソケット本体部から下方に突出して前記基板等に電気接続されるリード部とを有し、
前記2列に並んだそれぞれの列における前記複数のソケット端子は、少なくとも1ヶ所において前記所定の配設間隔よりも大きな確認用間隙を空けて前記ソケット本体部内に配設されたことを特徴とするICソケット。
【請求項2】
前記ソケット本体部は、前記IC本体部における前記複数のIC端子が設けられた部分を除いた部分と係合して、前記ソケット本体部に前記ICパッケージを保持させる係合保持部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のICソケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−41710(P2013−41710A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176714(P2011−176714)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000105338)ケル株式会社 (51)
【Fターム(参考)】