説明

ICタグおよびICタグを用いた物品の管理方法

【課題】物品に対する特別な加工を必要とすることなく、容易に取り付けが可能であり、インレットの脱落を防止したICタグおよびこれを用いた物品の管理方法を提供する。
【解決手段】本発明のICタグ10は、少なくとも1つの柱状部材を備えてなる物品に取り付けられ、柱状部材に嵌着される筐体20と、その一方の面20aに支持されるインレット30と、を具備してなり、筐体20は、柱状部材に外嵌される外嵌部21A,21B、および、外嵌部21A,21Bに連設され、インレット30を支持する支持部22を有し、支持部22の一方の面22aにインレット30を配置した場合、インレット30の両端部30b,30cが、支持部22から外嵌部21A,21Bの一方の面21a上に突出し、両端部30b,30cにおける一方の面30aが、外嵌部21A,21Bの一方の面21aよりも高い位置にあることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFID(Radio Frequency IDentification)用途の情報記録メディアのように、電波を媒体として外部から情報を受信し、また、外部に情報を送信できるようにしたICタグおよびICタグを用いた物品の管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ICタグは、基材と、その一方の面に設けられ互いに接続されたアンテナおよびICチップとから構成されるインレットを備えており、情報書込/読出装置からの電波を受信すると共振作用によりアンテナに起電力が発生し、この起電力によりICタグ内のICチップが起動し、このICチップ内の情報を信号化し、この信号がICタグのアンテナから発信される。
このようなICタグは、大量かつ多種類の物品が取り扱われる店舗や倉庫、あるいは、物流の現場において、物品の運搬に用いられるカゴ車などに取り付けられ、店舗や倉庫における物品の管理、物流における物品の管理などにおいて、各物品に関する情報をICチップに記録することによって作業効率の向上や正確な物品の管理を行うことを目的として、利用されつつある。
【0003】
カゴ車へのICタグの取付構造としては、カゴ車を構成する周壁部の上端フレームに、その上側部分が欠如された形態の凹入部が設けられ、凹入部を覆う状態に上端フレームに装着される非金属製のカバーの内面にICタグを装着するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−18410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されているカゴ車へのICタグの取付構造は、カゴ車に凹入部を設ける必要があるため、既存のカゴ車をそのまま用いることができなかった。また、内面にICタグを装着したカバーを、カゴ車に装着した後、カバーからICタグが脱落するおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、物品に対する特別な加工を必要とすることなく、容易に取り付けが可能であり、かつ、インレットの脱落を防止したICタグおよびICタグを用いた物品の管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のICタグは、少なくとも1つの柱状部材を備えてなる物品に取り付けられ、前記柱状部材に嵌着される筐体と、該筐体と前記柱状部材の間に少なくとも一部が介在するように、前記筐体の一方の面に支持されるインレットと、を具備してなり、前記筐体は、前記柱状部材に外嵌される外嵌部、および、該外嵌部に連設され、前記インレットを支持する支持部を有し、前記支持部の一方の面に前記インレットを配置した場合、少なくとも前記インレットの一端部が、前記支持部から前記外嵌部の一方の面上に突出し、前記一端部の一方の面が、前記外嵌部の一方の面よりも高い位置にあることを特徴とする。
【0008】
前記インレットが、エラストマーからなる被膜で被覆されたことが好ましい。
【0009】
前記被膜の表面がエンボス加工されたことが好ましい。
【0010】
少なくとも前記支持部に、前記インレットを嵌合する嵌合部が設けられ、前記嵌合部は、前記支持部の長手方向と垂直な中心線、または、前記支持部の長手方向と平行な中心線を介して対称な構造をなしていることが好ましい。
【0011】
本発明の物品の管理方法は、少なくとも1つの柱状部材を備えてなる物品に、ICタグが取り付けられ、前記物品が個別に管理される物品の管理方法であって、前記ICタグは、筐体と、該筐体と前記柱状部材の間に少なくとも一部が介在するように、前記筐体の一方の面に支持されるインレットと、を具備してなり、前記筐体は、前記柱状部材に外嵌される外嵌部、および、該外嵌部に連設され、前記インレットを支持する支持部を有し、前記支持部の一方の面に前記インレットを配置した場合、少なくとも前記インレットの一端部が、前記支持部から前記外嵌部の一方の面上に突出し、前記一端部の一方の面が、前記外嵌部の一方の面よりも高い位置にあり、少なくとも前記インレットの一端部を介在させて、前記柱状部材に前記外嵌部が外嵌され、情報読取/書込装置により前記ICタグに対する情報の読取りまたは書込みが非接触にて行われ、前記物品が管理されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のICタグによれば、筐体の支持部の一方の面にインレットを配置した場合、少なくともインレットの一端部が、筐体の支持部から外嵌部の一方の面上に突出し、インレットの一端部の一方の面が、筐体の外嵌部の一方の面よりも高い位置にあるので、対象となる物品を構成する柱状部材に外嵌部を外嵌する際、柱状部材と筐体との間に、少なくともインレットの一端部を介在させることによって、柱状部材に外嵌部を直接、外嵌すると、両者の間に隙間が生じる場合にも、インレットによってその隙間が埋められて、柱状部材に対して外嵌部を強固に固定することができる。ひいては、物品に対してICタグを強固に固定することができる。また、物品に特別な加工などを施すことなく、物品に対して、ICタグを容易に取り付けることができる。
【0013】
本発明の物品の管理方法によれば、ICタグを取り付けた物品を正確に管理することができるとともに、その作業効率を向上することができる。また、本発明の物品の管理方法によれば、外観がほぼ等しく、一見しただけでは見分けのつき難い物品を多数重ね置きした場合にも、それぞれの物品を確実に識別して、個別に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のICタグの第一の実施形態を示す概略斜視図である。
【図2】本発明のICタグの第一の実施形態の使用方法を示し、ICタグをカゴ車に取り付けた状態を示す概略斜視図である。
【図3】本発明のICタグの第一の実施形態の使用方法として、ICタグをカゴ車のフレームに取り付けた状態を示す概略斜視図である。
【図4】本発明のICタグの第一の実施形態の使用方法として、ICタグをカゴ車のフレームに取り付けた状態を示す概略斜視図である。
【図5】本発明のICタグの第二の実施形態の一部を示す概略平面図である。
【図6】本発明のICタグの第三の実施形態の一部を示す概略平面図である。
【図7】本発明のICタグの第四の実施形態を構成する筐体を示す概略斜視図である。
【図8】本発明のICタグの第四の実施形態の使用方法として、ICタグをカゴ車のフレームに取り付けた状態を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のICタグおよびICタグを用いた物品の管理方法の実施の形態について説明する。
なお、この実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0016】
(1)第一の実施形態
図1は、本発明のICタグの第一の実施形態を示す概略斜視図である。
この実施形態のICタグ10は、筐体20と、筐体20の一方の面20aに支持されるインレット30とから概略構成されている。
このICタグ10は、例えば、図2に示すようなカゴ車40に取り付けられて用いられる。この実施形態では、ICタグ10がカゴ車40に取り付けられた場合について説明する。
【0017】
インレット30は、平面視長方形状をなすフィルム状またはシート状の基材31と、ICチップ32と、アンテナ33とから概略構成されている。また、ICチップ32およびアンテナ33は、基材31の一方の面31aに設けられ、互いに電気的に接続されている。また、アンテナ33は、互いに対向し、その対向する側にそれぞれ給電点(ICチップ32と接続する部分)を有する一対の放射素子34,34とから構成されるダイポールアンテナである。
【0018】
ICタグ10が取り付けられるカゴ車40としては、例えば、図2に示すものが挙げられる。
カゴ車40は、物品を載置支持する平面視長方形状の載置台41と、その載置台41における四辺のうちの三辺を基端として立設され、かつ、上端箇所に水平方向に沿う長尺状の上端フレーム42A,43A,44Aを有し、全体として格子状に形成された周壁部42,43,44と、載置台41よりも下方、かつ、載置台41の四隅に配置された複数の車輪45とから概略構成されている。
カゴ車40は、載置台41の四隅に設けられた車輪45により手押し可能となっている。
【0019】
載置台41は、その後端部(載置台41において、周壁部42,43,44が設けられていない辺側を前端部とした場合、その対向する辺側)が、載置台41の後端部側に設けられた周壁部43の下端部に、ヒンジ部材(図示略)を介して横軸心周りに回転自在に支持されている。これにより、載置台41は、周壁部43に対して、上方側に折り畳み自在に支持されている。
また、周壁部43は、その一方の側端部43B(図2において右側の側端部)が、ヒンジ部材46を介して、隣り合う周壁部44(図2において右側の周壁部44)の一方の側端部44Bに連結されている。さらに、周壁部43は、その他方の側端部43C(図2において左側の側端部)が、ヒンジ部材47を介して、隣り合う周壁部42(図2において左側の周壁部42)の一方の側端部42Bに連結されている。
【0020】
また、周壁部44の一方の側端部44Bが、ヒンジ部材46を介して、周壁部43の右側端部(一方の側端部43B)に縦軸心周りに回転自在に支持されることにより、周壁部44が、上方側に折り畳まれた載置台41を周壁部43との間で挟んだ状態で折り畳み自在となっている。
【0021】
つまり、載置台41は、横軸心周りの揺動操作により水平方向に沿う姿勢の載置姿勢と、上方側に折り畳まれて周壁部43と重なる垂直方向に沿う格納姿勢とに、姿勢変更自在に構成されている。また、周壁部44は、縦軸心周りの揺動操作により前後方向に沿う姿勢の使用姿勢と、内方側に折り畳まれて周壁部43および載置台41と重なる横幅方向に沿う折畳姿勢とに、姿勢変更自在に構成されている。
【0022】
カゴ車40は、載置姿勢の載置台41を上方側に折り畳んで格納姿勢に姿勢変更させた後、使用姿勢の周壁部44を内方側に折り畳んで折畳姿勢に姿勢変更させることにより、平面視でL字状となるように折り畳むことができる。そして、L字状に折り畳んだカゴ車40の内方側や外方側に、他のL字状に折り畳んだカゴ車40を重ねることで、複数のカゴ車40を省スペースで格納することができるように構成されている。
【0023】
車輪45には、車輪本体を遊転自在に支持する支持体48にロック手段としてのストッパー49が取り付けられている。ストッパー49は、車輪45の転動を許容する傾斜姿勢のロック解除位置と、車輪45の転動を禁止する水平姿勢のロック位置とに、車輪45の回転軸心周りに回転自在に取り付けられている。つまり、ストッパー49は、車輪45の転動を許容する開放状態と、車輪45の転動を禁止する禁止状態とに、人為操作にて切り換え操作自在に取り付けられている。
【0024】
周壁部42,43,44は、金属製、プラスチック製または木製である。周壁部42,43,44は、その外枠(フレーム)をなす上端フレーム42A,43A,44A、および、側端部42B,43B,43C,44Bなどが円柱状をなしている。
【0025】
ICタグ10では、図3および4に示すように、カゴ車40に取り付けた場合、筐体20が、ヒンジ部材46を介して連結された、隣り合う2つの周壁部43,44に対して、それぞれの側端部43B,44Bの間を架け渡して配置されるように設けられ、また、インレット30が、筐体20における側端部43B,44Bと対向する面(一方の面20a)に設けられている。
【0026】
筐体20は、互いに離隔して設けられ、かつ、2つの側端部43B,44Bのそれぞれに外嵌される一対の外嵌部21A,21B、および、この一対の外嵌部21A,21Bの間に、外嵌部21A,21Bに直交するように介在して、これらの外嵌部21A,21Bを連結する平板状の支持部22を有している。すなわち、筐体20は、支持部22を介して一対の外嵌部21A,21Bが連結されてなる略亜鈴形状をなしている。なお、支持部22は、ICタグ10をカゴ車40に取り付ける際、インレット30を支持(配置)する部分である。
【0027】
外嵌部21A,21Bは、筐体20の幅方向に互いに離隔して設けられた一対の爪部21b,21bと、この一対の爪部21b,21bの間に介在して、これらの爪部21b,21bを連結する連結部21cとから構成されている。また、外嵌部21A,21Bの外形は、側端部43B,44Bの外形に沿った形状、すなわち、円弧状をなしている。また、外嵌部21A,21Bの側端部43B,44Bと対向する面(以下、「一方の面」という。)21a,21aの形状は、側端部43B,44Bの外形に沿った形状、すなわち、円弧状をなしている。なお、外嵌部21A,21Bの内面21aとは、外嵌部21A,21Bが側端部43B,44Bに外嵌されたとき、爪部21bの側端部43B,44Bの外周面と対向する面、および、連結部21cの側端部43B,44Bの外周面と対向する面のことである。また、爪部21b,21bは、側端部43B,44Bの外形に沿って、連結部21cよりも長めに設けられており、側端部43B,44Bの外周の2/3〜3/4程度を覆う長さをなしている。
【0028】
これにより、側端部43B,44Bのそれぞれに、外嵌部21A,21Bが外嵌された場合、側端部43B,44Bの外周面に対する外嵌部21A,21Bの内面21aの密着性が高くなり、側端部43B,44Bに対して、ICタグ10が強固にクランプ固定される。
【0029】
このICタグ10では、筐体20の支持部22における側端部43B,44Bと対向する面(以下、「一方の面」という。)22aにインレット30を配置した場合、インレット30の両端部30b、30cが、支持部22から外嵌部21A,21Bの一方の面21a,21a上に突出し、両端部30b、30cにおけるインレット30の側端部43B,44Bと対向する面(以下、「一方の面」という。)30aが、外嵌部21A,21Bの一方の面21a,21aよりも高い位置にある。
【0030】
筐体20とインレット30に上記のような関係があるので、側端部43B,44Bのそれぞれに、筐体20の外嵌部21A,21Bを外嵌する際、側端部43B,44Bと外嵌部21A,21Bとの間にインレット30の両端部30b、30cを介在させることによって、側端部43B,44Bに外嵌部21A,21Bを直接、外嵌すると、両者の間に隙間が生じる場合にも、インレット30によってその隙間が埋められて、側端部43B,44Bに対して外嵌部21A,21Bを強固に固定し、ひいては、カゴ車40に対してICタグ10を強固に固定することができる。
なお、側端部43B,44Bと外嵌部21A,21Bとの間にインレット30の両端部30b、30cを介在させるとは、側端部43B,44Bと外嵌部21A,21Bとの間にインレット30の両端部30b、30cを挟み込むことを言う。
【0031】
また、筐体20は、非導電性部材、あるいは、非導電性部材と金属の複合材からなり、支持部22のうち少なくともインレット30が支持される領域(以下、「領域α」という。)が非導電性部材で形成されていればよい。したがって、筐体20は、支持部22における領域α以外の領域が、非導電性部材、金属、あるいは、非導電性部材と金属の複合材のいずれかで形成されていてもよい。例えば、筐体20は、支持部22が非導電性部材からなり、外嵌部21A,21Bが金属からなっていてもよい。
【0032】
また、側端部43B,44Bが金属製の場合、側端部43B,44Bのそれぞれに、外嵌部21A,21Bが外嵌された場合、側端部43B,44Bに対して、インレット30を構成するアンテナ33の放射素子34,34の先端部(放射素子34,34のICチップ32と接続されている側の端部とは反対側の端部)の一部が対向して交差するように、外嵌部21A,21Bの一方の面21a,21aに沿って、放射素子34,34の先端部が配置されることが好ましい。
また、側端部43B,44Bに対して、放射素子34,34の先端部の一部が交差する角度は、90°であることが好ましく、実用的には45°〜90°である。
【0033】
これにより、アンテナ33の放射素子34,34と金属製の側端部43B,44Bの間には、電磁誘導または静電誘導により電流が流れるようになり、側端部43B,44Bは、アンテナ33の一部、すなわち、アンテナ33を延長した延長部として機能する。したがって、アンテナ33のみでは、インレット30の長手方向からは通信できなかったが、アンテナ33の延長部をなす側端部43B,44Bを介して、インレット30の長手方向からも通信可能となる。すなわち、金属製の側端部43B,44Bを介して、アンテナ33の指向性を広く(指向性を弱く)することができる。
【0034】
さらに、側端部43B,44Bのそれぞれに、外嵌部21A,21Bが外嵌された場合、筐体20の一方の面20aまたは他方の面(一方の面20aとは反対側の面)から見て、側端部43B,44Bが、筐体20から突出していることが好ましい。なお、この側端部43B,44Bが、筐体20から突出しているとは、側端部43B,44Bに対して、アンテナ33の放射素子34,34の先端部の一部を交差させた場合に、側端部43B,44Bの長さが、筐体20の幅よりも大きいことをいう。このようにすれば、金属製の側端部43B,44Bを介して、インレット30の長手方向からも電波の送受信をより効率的に行うことができる。すなわち、金属製の側端部43B,44Bを介して、アンテナ33の指向性をより広く(指向性をより弱く)することができる。
【0035】
側端部43B,44Bの筐体20に対する突出する方向は、筐体20の幅方向の両端側であることが好ましい。このようにすれば、側端部43B,44Bの筐体20に対する突出する方向が、筐体20の幅方向の一端側のみである場合よりも、金属製の側端部43B,44Bを介して、アンテナ33の指向性を広く(指向性を弱く)することができる。
側端部43B,44Bの筐体20に対する突出量は、特に限定されず、必要に応じて、適宜調整される。
【0036】
筐体20を構成する非導電性部材としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン樹脂;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレンなどのポリフッ化エチレン系樹脂;ナイロン6、ナイロン6,6などのポリアミド樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロンなどのビニル重合体;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系樹脂;ポリスチレン;ポリカーボネート(PC);ポリアリレート;ポリイミド;ガラスエポキシ樹脂などのプラスチックからなる部材などが用いられる。
【0037】
インレット30の基材31としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PET−G)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂からなる基材;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン樹脂からなる基材;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレンなどのポリフッ化エチレン系樹脂からなる基材;ナイロン6、ナイロン6,6などのポリアミド樹脂からなる基材;ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロンなどのビニル重合体からなる基材;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系樹脂からなる基材;ポリスチレンからなる基材;ポリカーボネート(PC)からなる基材;ポリアリレートからなる基材;ポリイミドからなる基材;上質紙、薄葉紙、グラシン紙、硫酸紙などの紙からなる基材などが用いられる。
【0038】
インレット30のICチップ32としては、特に限定されず、アンテナ33を介して非接触状態にて情報の書き込みおよび読み出しが可能なものであれば、非接触型ICタグや非接触型ICラベル、あるいは、非接触型ICカードなどのRFIDメディアに適用可能なものであればいかなるものでも用いられる。
【0039】
インレット30のアンテナ33は、基材31の一方の面31aに、ポリマー型導電インクを用いて所定のパターンにスクリーン印刷、インクジェット印刷などの印刷法により形成されてなるもの、もしくは、導電性箔をエッチングしてなるもの、金属メッキしてなるものである。
【0040】
ポリマー型導電インクとしては、例えば、銀粉末、金粉末、白金粉末、アルミニウム粉末、パラジウム粉末、ロジウム粉末、カーボン粉末(カーボンブラック、カーボンナノチューブなど)などの導電微粒子が樹脂組成物に配合されたものが挙げられる。
【0041】
樹脂組成物として熱硬化型樹脂を用いれば、ポリマー型導電インクは、200℃以下、例えば、100〜150℃程度でアンテナ33をなす塗膜を形成することができる熱硬化型となる。アンテナ33をなす塗膜の電気の流れる経路は、塗膜をなす導電微粒子が互いに接触することにより形成され、この塗膜の抵抗値は10-5Ω・cmオーダーである。
また、本発明におけるポリマー型導電インクとしては、熱硬化型の他にも、光硬化型、浸透乾燥型、溶剤揮発型といった公知のものが用いられる。
【0042】
光硬化型のポリマー型導電インクは、光硬化性樹脂を樹脂組成物に含むものであり、硬化時間が短いので、製造効率を向上させることができる。光硬化型のポリマー型導電インクとしては、例えば、熱可塑性樹脂のみ、あるいは、熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特に、ポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、導電微粒子が60質量%以上配合され、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、溶剤揮発型あるいは架橋/熱可塑併用型(ただし、熱可塑型が50質量%以上である)のものや、熱可塑性樹脂のみ、あるいは、熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特に、ポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、架橋型あるいは架橋/熱可塑併用型のものなどが好適に用いられる。
【0043】
また、アンテナ33をなす導電性箔としては、銅箔、銀箔、金箔、白金箔、アルミニウム箔などが挙げられる。
さらに、アンテナ33をなす金属メッキとしては、銅メッキ、銀メッキ、金メッキ、白金メッキなどが挙げられる。
【0044】
また、インレット30は、少なくともその一方の面30aが、エラストマーからなる被膜で被覆されていることが好ましい。
この被膜を形成するエラストマーとしては、特に限定されないが、インレット30と側端部43B,44Bの密着性、または、側端部43B,44Bに対するインレット30の保持力の向上を目的とした場合、アクリルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、ブチルゴムなどから選択される合成ゴム(弾性ゴム)が好適に用いられる。
さらに、インレット30と外嵌部21A,21Bの一方の面21a,21aとの密着性を向上させるには、インレット30の一方の面30とは反対側の面も、エラストマーからなる被膜で被覆されていることが好ましい。
【0045】
また、インレット30と側端部43B,44Bの密着性、側端部43B,44Bに対するインレット30の保持力、または、インレット30と外嵌部21A,21Bの一方の面21a,21aとの密着性をより向上させるためには、上記の被膜の表面がエンボス加工され、その表面が凹凸になっていることが好ましい。このようにすれば、被膜の滑り抵抗が大きくなり、前記の密着性や保持力がより向上する。
【0046】
このICタグ10によれば、筐体20の支持部22の一方の面22aにインレット30を配置した場合、インレット30の両端部30b、30cが、支持部22から外嵌部21A,21Bの一方の面21a,21a上に突出し、両端部30b、30cにおけるインレット30の一方の面30aが、外嵌部21A,21Bの一方の面21a,21aよりも高い位置にあるので、カゴ車40の側端部43B,44Bのそれぞれに、筐体20の外嵌部21A,21Bを外嵌する際、側端部43B,44Bと外嵌部21A,21Bとの間にインレット30の両端部30b、30cを介在させることによって、側端部43B,44Bに外嵌部21A,21Bを直接、外嵌すると、両者の間に隙間が生じる場合にも、インレット30によってその隙間が埋められて、側端部43B,44Bに対して外嵌部21A,21Bを強固に固定することができる。ひいては、カゴ車40に対してICタグ10を強固に固定することができる。また、カゴ車40に特別な加工などを施すことなく、カゴ車40に対して、ICタグ10を容易に取り付けることができる。
【0047】
なお、この実施形態では、筐体20の外嵌部21A,21Bの内面の形状を、円柱状の側端部43B,44Bの外形に沿った形状、すなわち、円弧状としたICタグ10を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、ICタグ10が取り付けられる、カゴ車などを構成する柱状部材(側端部)が三角柱状、四角柱状、五角柱状などであってもよく、筐体の外嵌部の内面の形状が、その柱状部材の外形に沿った形状であってもよい。
【0048】
また、この実施形態では、筐体20が、並列に設けられた2つの側端部43B,44Bの間を架け渡して配置されるように設けられたICタグ10を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、ICタグが取り付けられる隣り合う2つの柱状部材は並列に設けられていなくてもよく、この2つの柱状部材は交差していてもよい。このように、隣り合う2つの柱状部材が交差している場合も、筐体は、これら2つの柱状部材の間を架け渡して配置されるように設けられる。
【0049】
また、この実施形態では、筐体20が、一対の外嵌部21A,21Bと支持部22を有する場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、筐体が、柱状部材に外嵌される外嵌部を1つ有し、その外嵌部に連設された支持部を1つ有する構造であってもよい。この場合、1つの柱状部材と、1つの外嵌部との間にインレットの一端部を介在させることにより、柱状部材に対して外嵌部を強固に固定し、ひいては、柱状部材を構成部材として含む物品に対してICタグを強固に固定することができる。
【0050】
また、この実施形態では、ICタグ10がカゴ車40に取り付けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明のICタグは、少なくとも隣り合う2つの柱状部材を備えてなる全ての物品に対して適用することができる。このような少なくとも隣り合う2つの柱状部材を備えた構造を有する物品としては、例えば、椅子、テーブル、机、箪笥などの家具、台車などが挙げられる。
【0051】
次に、ICタグ10を用いたカゴ車40の管理方法を例示して、本発明の物品の管理方法を説明する。
まず、図2〜4に示すように、ICタグ10は、その筐体20が、カゴ車40の周壁部のうち隣り合う2つの周壁部43,44に対して、それぞれの側端部43B,44Bの間を架け渡すように配置され、側端部43B,44Bのそれぞれに、外嵌部21A,21Bが外嵌される。なお、筐体20の外嵌部21A,21Bを外嵌する際、側端部43B,44Bと外嵌部21A,21Bとの間にインレット30の両端部30b、30cを介在させる。
【0052】
この状態で、情報読取/書込装置(図示略)により、ICタグ10を構成するインレット30のICチップ32に対する情報の読取りまたは書込みが非接触にて行われ、カゴ車40が個別に管理される。
ICチップ32に書き込まれる情報としては、カゴ車40の識別番号、所属(保管場所)、管理者;カゴ車40によって運搬される物品の種類、製造者、製造場所、製造年月日、発注者、配送先(住所、電話電話番号など)、保管場所などが挙げられる。
【0053】
このように、ICタグ10を用いたカゴ車40の管理方法によれば、ICタグ10を取り付けたカゴ車40を正確に管理することができるとともに、その作業効率を向上することができる。特に、このカゴ車40の管理方法によれば、外観がほぼ等しく、一見しただけでは見分けのつき難いカゴ車を多数重ね置きした場合にも、それぞれのカゴ車を確実に識別して、個別に管理することができる。
【0054】
また、側端部43B,44Bが金属製であり、側端部43B,44Bと外嵌部21A,21Bとの間に、アンテナ33の放射素子34,34の先端部の一部または全部が介在するように、筐体20に対してインレット30が配置され、かつ、側端部43B,44Bに対して、放射素子34,34の先端部の一部または全部が対向し、交差するように、カゴ車40の所定の位置にICタグ10を配置した場合、放射素子34,34と側端部43B,44Bの間には、電磁誘導または静電誘導により電流が流れるようになり、側端部43B,44Bを、アンテナ33の延長部として機能させることができる。これにより、この延長部を介して、情報読取/書込装置(図示略)によるインレット30のICチップ32に対する情報の読取りまたは書込みが非接触にて行われ、カゴ車40を個別に管理することができる。
【0055】
このように、金属製の側端部43B,44Bを、アンテナ33の延長部として機能させることにより、この側端部43B,44Bを介して、アンテナ33の指向性を広くすることができるので、アンテナ33のみで、情報読取/書込装置とICタグ10の非接触通信を行った場合には、インレット30の長手方向からは、情報読取/書込装置によるICチップ32に対する情報の読取りまたは書込みを行うことができなかったのが、全ての方向、すなわち、ICタグ10に対して360°の全方向から、情報読取/書込装置によるICチップに対する情報の読取りまたは書込みを行うことができるようになる。
【0056】
(2)第二の実施形態
図5は、本発明のICタグの第二の実施形態の一部を示す概略平面図である。
この実施形態のICタグ50は、筐体60と、筐体60の一方の面60aに支持されるインレット70とから概略構成されている。
ICタグ50は、筐体60にインレット70を嵌合する構造を有する点において、上述の第一の実施形態のICタグ10と異なっており、その他の点では、上述の第一の実施形態のICタグ10と同様の構成をなしている。
【0057】
筐体60は、上述の第一の実施形態と同様に、互いに離隔して設けられ、かつ、上述の隣り合う2つの柱状部材(カゴ車40では側端部43B,44B)のそれぞれに外嵌される一対の外嵌部(図示略)、および、この一対の外嵌部の間に、外嵌部に直交するように介在して、これらの外嵌部を連結する平板状の支持部62を有している。すなわち、筐体60は、連結部62を介して一対の外嵌部が連結されてなる略亜鈴形状をなしている。
【0058】
インレット70は、上述の第一の実施形態と同様に、平面視長方形状をなすフィルム状またはシート状の基材71と、ICチップ72と、一対の放射素子74,74から構成されるアンテナ73とから概略構成されている。また、ICチップ72およびアンテナ73は、基材71の一方の面71aに設けられ、互いに電気的に接続されている。
【0059】
また、インレット70の基材71の長手方向の両端部側、すなわち、筐体60の支持部62と外嵌部との接続している側にはそれぞれ、基材71の長手方向(すなわち、筐体60の支持部62の長手方向)と垂直な中心線を介して対称な位置に、基材71を厚さ方向に貫通する平面視円形状の嵌合穴(嵌合部)71b,71cが設けられている。
【0060】
筐体60の支持部62における、上述の柱状部材(カゴ車40では側端部43B,44B)と対向する面(一方の面62a)には、その長手方向の両端部、すなわち、筐体60の支持部62と外嵌部との接続している側の部分において、インレット70の基材71に設けられた嵌合穴71b,71cに嵌合する、一対の円柱状の嵌合突起(嵌合部)63,63が突設されている。すなわち、嵌合突起63,63は、嵌合穴71b,71cとほぼ形状が等しくなっており、かつ、支持部62の長手方向と垂直な中心線を介して対称な位置に設けられている。
【0061】
このICタグ50によれば、筐体60の支持部62の一方の面62aにインレット70を配置した場合、インレット70の両端部が、支持部62から外嵌部の一方の面上に突出し、インレット70の両端部における一方の面70aが、外嵌部の一方の面よりも高い位置にあるので、カゴ車40の側端部43B,44Bのそれぞれに、筐体60の外嵌部を外嵌する際、側端部43B,44Bと外嵌部との間にインレット70の両端部を介在させることによって、側端部43B,44Bに外嵌部を直接、外嵌すると、両者の間に隙間が生じる場合にも、インレット70によってその隙間が埋められて、側端部43B,44Bに対して外嵌部を強固に固定することができる。さらに、筐体60の連結部62に、その連結部62の長手方向と垂直な中心線を介して対称な位置に設けられた嵌合突起63,63に、インレット70の嵌合穴71b,71cを嵌合することにより、筐体60の連結部62の一方の面62aにインレット70を固定することができる。ひいては、カゴ車40に対してICタグ50を強固に固定することができる。また、カゴ車40に特別な加工などを施すことなく、カゴ車40に対して、ICタグ50を容易に取り付けることができる。
【0062】
なお、この実施形態では、インレット70の基材71に、平面視円形状の嵌合穴71b,71cが設けられ、筐体60の支持部62に、円柱状の嵌合突起63,63が設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、インレットの基材に設けられる嵌合穴の形状は、平面視半円形状、平面視楕円形状、平面視三角形状、平面視四角形状、平面視多角形状(五角形以上)などであってもよい。そして、筐体の支持部に設けられる嵌合突起の形状は、前記の嵌合穴の形状に応じて、半円柱状、楕円柱状、三角柱状、四角柱状、多角柱状(五角形以上)などであってもよい。
【0063】
(3)第三の実施形態
図6は、本発明のICタグの第三の実施形態の一部を示す概略平面図である。
この実施形態のICタグ80は、筐体90と、筐体90の一方の面90aに配置されるインレット100とから概略構成されている。
ICタグ80は、筐体90にインレット100を嵌合する構造において、上述の第一の実施形態のICタグ10と異なっており、その他の点では、上述の第一の実施形態のICタグ10と同様の構成をなしている。
【0064】
筐体90は、上述の第一の実施形態と同様に、互いに離隔して設けられ、かつ、上述の隣り合う2つの柱状部材(カゴ車40では側端部43B,44B)のそれぞれに外嵌される一対の外嵌部(図示略)、および、この一対の外嵌部の間に、外嵌部に直交するように介在して、これらの外嵌部を連結する平板状の支持部92を有している。すなわち、筐体90は、支持部92を介して一対の外嵌部が連結されてなる略亜鈴形状をなしている。
【0065】
インレット100は、上述の第一の実施形態と同様に、平面視長方形状をなすフィルム状またはシート状の基材101と、ICチップ102と、一対の放射素子104,104から構成されるアンテナ103とから概略構成されている。また、ICチップ102およびアンテナ103は、基材101の一方の面101aに設けられ、互いに電気的に接続されている。
【0066】
インレット100の基材101の長手方向の中央部には、その長手方向に沿う両側面101b,101cを基端として、インレット100の長手方向(すなわち、筐体90の支持部92の長手方向)と垂直に、内側に窪むように、一対の平面視長方形状の嵌合凹部(嵌合部)101d,101eが設けられている。すなわち、嵌合凹部101d,101eは、インレット100の長手方向と平行な中心線を介して対称な位置に設けられている。
【0067】
筐体90の支持部92における、上述の柱状部材(カゴ車40では側端部43B,44B)と対向する面(一方の面92a)には、その中央部において、その長手方向と垂直に、インレット100の基材101に設けられた嵌合凹部101d,101eに嵌合する、一対の平面視長方形状の嵌合突起(嵌合部)93,93が所定の間隔を置いて設けられている。すなわち、嵌合突起93,93は、嵌合凹部101d,101eとほぼ形状が等しくなっており、かつ、インレット100の長手方向と平行な中心線を介して対称な位置に設けられている。
【0068】
このICタグ80によれば、筐体90の支持部92の一方の面92aにインレット100を配置した場合、インレット100の両端部が、支持部92から外嵌部の一方の面上に突出し、インレット100の両端部における一方の面100aが、外嵌部の一方の面よりも高い位置にあるので、カゴ車40の側端部43B,44Bのそれぞれに、筐体90の外嵌部を外嵌する際、側端部43B,44Bと外嵌部との間にインレット100の両端部を介在させることによって、側端部43B,44Bに外嵌部を直接、外嵌すると、両者の間に隙間が生じる場合にも、インレット100によってその隙間が埋められて、側端部43B,44Bに対して外嵌部を強固に固定することができる。さらに、筐体90の支持部92の中央部に設けられた嵌合突起93,93に、インレット100の中央部に設けられた嵌合凹部101d,101eを嵌合することにより、筐体90の連結部92の一方の面92aにインレット100を固定することができる。ひいては、カゴ車40に対してICタグ80を強固に固定することができる。また、カゴ車40に特別な加工などを施すことなく、カゴ車40に対して、ICタグ80を容易に取り付けることができる。
【0069】
なお、この実施形態では、インレット100の基材101の長手方向の中央部に、平面視長方形状の嵌合凹部101d,101eが設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、インレットの基材に設けられる嵌合凹部の形状は、平面視半円形状、平面視三角形状、平面視正方形状、平面視多角形状(五角形以上)などであってもよい。そして、筐体の連結部に設けられる嵌合突起の形状は、前記の嵌合凹部の形状に応じて、半円柱状、三角柱状、四角柱状、多角柱状(五角形以上)などであってもよい。
【0070】
また、上述の第二の実施形態および第三の実施形態では、筐体の支持部およびインレットに嵌合部が設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、少なくとも筐体の支持部に、インレットを嵌合する嵌合部が設けられていればよく、その嵌合部が、支持部の長手方向と垂直な中心線、または、支持部の長手方向と平行な中心線を介して対称な構造をなしていればよい。
【0071】
(4)第四の実施形態
図7は、本発明のICタグの第四の実施形態を構成する筐体を示す概略斜視図である。図8は、本発明のICタグの第四の実施形態の使用方法として、ICタグをカゴ車のフレームに取り付けた状態を示す概略斜視図である。
この実施形態のICタグ110は、筐体120と、筐体120の一方の面120aに支持されるインレット130とから概略構成されている。
このICタグ110は、例えば、図2に示すようなカゴ車40に取り付けられて用いられる。
【0072】
インレット110は、上述の第一の実施形態と同様に、平面視長方形状をなすフィルム状またはシート状の基材131と、ICチップ132と、一対の放射素子134,134から構成されるアンテナ133とから概略構成されている。また、ICチップ132およびアンテナ133は、基材131の一方の面131aに設けられ、互いに電気的に接続されている。
【0073】
インレット130の基材131の長手方向の中央部には、インレット130の長手方向(すなわち、筐体120の支持部122の長手方向)と垂直に、内側に窪むように、一対の平面視長方形状の嵌合凹部(嵌合部)131d,131eが設けられている。すなわち、嵌合凹部131d,131eは、インレット130の長手方向と平行な中心線を介して対称な位置に設けられている。
また、インレット130の基材131の長手方向における、嵌合凹部131d,131eの両脇には、インレット130の長手方向(すなわち、筐体120の支持部122の長手方向)と垂直に、外側に突出するように、二対の平面視長方形状の嵌合凸部(嵌合部)131f,131f,131g,131gが設けられている。すなわち、嵌合凸部131f,131fが対をなして、支持部122の長手方向と平行な中心線を介して対称な位置に設けられている。また、嵌合凸部131g,131gが対をなして、支持部122の長手方向と平行な中心線を介して対称な位置に設けられている。
【0074】
筐体120は、上述の第一の実施形態と同様に、互いに離隔して設けられ、かつ、上述の側端部43B,44Bのそれぞれに外嵌される一対の外嵌部121A,121B、および、この一対の外嵌部121A,121Bの間に、外嵌部121A,121Bに直交するように介在して、これらの外嵌部121A,121Bを連結する平板状の支持部122を有している。すなわち、筐体120は、支持部122を介して一対の外嵌部121A,121Bが連結されてなる略亜鈴形状をなしている。
【0075】
外嵌部121A,121Bは、筐体120の幅方向に互いに離隔して設けられた一対の爪部121b,121bと、この一対の爪部121b,121bの間に介在して、これらの爪部121b,121bを連結する連結部121cとから構成されている。また、外嵌部121A,121Bの側端部43B,44Bと対向する面(以下、「内面」という。)121a,121aの形状は、側端部43B,44Bの外形に沿った形状、すなわち、円弧状をなしている。
【0076】
筐体120の支持部122における側端部43B,44Bと対向する面(以下、「一方の面」という。)122a、および、外嵌部121A,121Bの内面121a,121aには、インレット130を嵌合するために、前記の一方の面122a、および、内面121a,121aよりも凹む嵌合部123が設けられている。すなわち、嵌合部123は、支持部122を基端として、その両側の外嵌部121A,121Bに延在するように設けられている。嵌合部123は、インレット130の外形とほぼ形状が等しくなっている。また、嵌合部123の深さは、インレット130の厚さよりも浅くなっており、例えば、インレット130の厚さの1/2〜1/5程度となっている。
嵌合部123の中央部、すなわち、支持部122の長手方向の中央部には、その長手方向と垂直に、内側に突出するように、一対の平面視長方形状の嵌合凸部(嵌合部)124,124が設けられている。すなわち、嵌合凸部124,124は、インレット130の長手方向と平行な中心線を介して対称な位置に設けられている。嵌合凸部124,124は、インレット130の中央部に設けられた嵌合凹部131d,131eの外形とほぼ形状が等しくなっている。
【0077】
また、筐体120の支持部122の長手方向における、嵌合凸部124,124の両脇には、筐体120の支持部122の長手方向と垂直に、外側に窪むように、二対の平面視長方形状の嵌合凹部(嵌合部)123a,123a,123b,123bが設けられている。すなわち、嵌合凹部123a,123aが対をなして、支持部122の長手方向と平行な中心線を介して対称な位置に設けられている。また、嵌合凹部123a,123aが対をなして、支持部122の長手方向と平行な中心線を介して対称な位置に設けられている。嵌合凹部123a,123a,123b,123bは、インレット130に設けられた嵌合凸部131f,131f,131g,131gの外形とほぼ形状が等しくなっている。
【0078】
このICタグ110によれば、筐体120の支持部122に設けられた嵌合凸部124,124に、インレット130の嵌合凹部131d,131eが嵌合し、筐体120の支持部122に設けられた嵌合凹部123a,123a,123b,123bに、インレット130に設けられた嵌合凸部131f,131f,131g,131gが嵌合し、インレット130が、筐体120の支持部122の一方の面122a、および、外嵌部121A,121Bの内面121a,121aよりも突出した状態で、前記の一方の面122a、および、内面121a,121aに固定されるので、カゴ車40の側端部43B,44Bのそれぞれに、筐体120の外嵌部121A,121Bを外嵌する際、側端部43B,44Bと外嵌部121A,121Bとの間にインレット130の両端部を介在させることによって、側端部43B,44Bに外嵌部を直接、外嵌すると、両者の間に隙間が生じる場合にも、インレット130によってその隙間が埋められて、側端部43B,44Bに対して外嵌部を強固に固定することができる。ひいては、カゴ車40に対してICタグ110を強固に固定することができる。また、カゴ車40に特別な加工などを施すことなく、カゴ車40に対して、ICタグ110を容易に取り付けることができる。
【0079】
なお、この実施形態では、インレット130の基材131の長手方向の中央部に、平面視長方形状の嵌合凹部131d,131eが設けられ、インレット130の基材131の長手方向における、嵌合凹部131d,131eの両脇に、平面視長方形状の嵌合凸部131f,131f,131g,131gが設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、インレットの基材に設けられる嵌合凹部または嵌合凸部の形状は、平面視半円形状、平面視四角形状、平面視多角形状(五角形以上)などであってもよい。そして、筐体の連結部に設けられる嵌合凸部または嵌合凹部の形状は、前記の嵌合凹部または嵌合凸部の形状に応じて、半円柱状、四角柱状、多角柱状(五角形以上)などであってもよい。
【符号の説明】
【0080】
10,50,80,110・・・ICタグ
20,60,90,120・・・筐体
21A,21B,121A,121B・・・外嵌部
22,62,92,122・・・支持部
23,63,93・・・嵌合突起
30,70,100,130・・・インレット
31,71,101,131・・・基材
32,72,102,132・・・ICチップ
33,73,103,133・・・アンテナ
34,74,104,134・・・放射素子
40・・・カゴ車
41・・・載置台
42,43,44・・・周壁部
43B,43C,44B・・・側端部
45・・・車輪
46,47・・・ヒンジ部材
48・・・支持体
49・・・ストッパー
123・・・嵌合凹部
124・・・嵌合凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの柱状部材を備えてなる物品に取り付けられ、前記柱状部材に嵌着される筐体と、該筐体と前記柱状部材の間に少なくとも一部が介在するように、前記筐体の一方の面に支持されるインレットと、を具備してなり、
前記筐体は、前記柱状部材に外嵌される外嵌部、および、該外嵌部に連設され、前記インレットを支持する支持部を有し、
前記支持部の一方の面に前記インレットを配置した場合、少なくとも前記インレットの一端部が、前記支持部から前記外嵌部の一方の面上に突出し、前記一端部の一方の面が、前記外嵌部の一方の面よりも高い位置にあることを特徴とするICタグ。
【請求項2】
前記インレットが、エラストマーからなる被膜で被覆されたことを特徴とする請求項1に記載のICタグ。
【請求項3】
前記被膜の表面がエンボス加工されたことを特徴とする請求項2に記載のICタグ。
【請求項4】
少なくとも前記支持部に、前記インレットを嵌合する嵌合部が設けられ、前記嵌合部は、前記支持部の長手方向と垂直な中心線、または、前記支持部の長手方向と平行な中心線を介して対称な構造をなしていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のICタグ。
【請求項5】
少なくとも1つの柱状部材を備えてなる物品に、ICタグが取り付けられ、前記物品が個別に管理される物品の管理方法であって、
前記ICタグは、筐体と、該筐体と前記柱状部材の間に少なくとも一部が介在するように、前記筐体の一方の面に支持されるインレットと、を具備してなり、前記筐体は、前記柱状部材に外嵌される外嵌部、および、該外嵌部に連設され、前記インレットを支持する支持部を有し、前記支持部の一方の面に前記インレットを配置した場合、少なくとも前記インレットの一端部が、前記支持部から前記外嵌部の一方の面上に突出し、前記一端部の一方の面が、前記外嵌部の一方の面よりも高い位置にあり、
少なくとも前記インレットの一端部を介在させて、前記柱状部材に前記外嵌部が外嵌され、情報読取/書込装置により前記ICタグに対する情報の読取りまたは書込みが非接触にて行われ、前記物品が管理されることを特徴とする物品の管理方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−133461(P2012−133461A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283181(P2010−283181)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】