説明

ICタグおよびICタグを用いた物品の管理方法

【課題】物品に対する特別な加工を必要とすることなく、容易に取り付けが可能であり、インレットの脱落を防止したICタグおよびこれを用いた物品の管理方法を提供する。
【解決手段】本発明のICタグ210は、筐体220が2つの柱状部材のそれぞれに外嵌される外嵌部221A,221B、および、外嵌部221A,221Bの間に介在してこれらを連結する連結部222を有し、外嵌部221A,221Bが柱状部材の長手方向に沿ってに互いに離隔して設けられた爪部221b,221bを有し、固定部材240は、爪部221b,221bの間において、2つの柱状部材のそれぞれに外嵌される外嵌部241A,241Bを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFID(Radio Frequency IDentification)用途の情報記録メディアのように、電波を媒体として外部から情報を受信し、また、外部に情報を送信できるようにしたICタグおよびICタグを用いた物品の管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ICタグは、基材と、その一方の面に設けられ互いに接続されたアンテナおよびICチップとから構成されるインレットを備えており、情報書込/読出装置からの電波を受信すると共振作用によりアンテナに起電力が発生し、この起電力によりICタグ内のICチップが起動し、このICチップ内の情報を信号化し、この信号がICタグのアンテナから発信される。
このようなICタグは、大量かつ多種類の物品が取り扱われる店舗や倉庫、あるいは、物流の現場において、物品の運搬に用いられるカゴ車などに取り付けられ、店舗や倉庫における物品の管理、物流における物品の管理などにおいて、各物品に関する情報をICチップに記録することによって作業効率の向上や正確な物品の管理を行うことを目的として、利用されつつある。
【0003】
カゴ車へのICタグの取付構造としては、カゴ車を構成する周壁部の上端フレームに、その上側部分が欠如された形態の凹入部が設けられ、凹入部を覆う状態に上端フレームに装着される非金属製のカバーの内面にICタグを装着するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−18410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されているカゴ車へのICタグの取付構造は、カゴ車に凹入部を設ける必要があるため、既存のカゴ車をそのまま用いることができなかった。また、内面にICタグを装着したカバーを、カゴ車に装着する際、カバーからICタグが脱落するおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、物品に対する特別な加工を必要とすることなく、容易に取り付けが可能であり、かつ、インレットの脱落を防止したICタグおよびICタグを用いた物品の管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のICタグは、少なくとも隣り合う2つの柱状部材を備えてなる物品に取り付けられ、前記2つの柱状部材の間を架け渡して配置される筐体と、該筐体の一方の面に配置されるインレットと、前記2つの柱状部材の間を架け渡して配置されるとともに、前記筐体に対向し、前記筐体に対して前記インレットを固定する固定部材と、を具備してなり、前記筐体は、互いに離隔して設けられ、前記2つの柱状部材のそれぞれに外嵌される一対の外嵌部、および、該一対の外嵌部の間に介在してこれらの外嵌部を連結する連結部を有し、前記外嵌部は、前記柱状部材の長手方向に沿って互いに離隔して設けられた一対の爪部を有し、前記固定部材は、前記一対の爪部の間において、前記2つの柱状部材のそれぞれに外嵌される一対の外嵌部を有することを特徴とする。
前記爪部は、前記柱状部材の外周の半分以上に外嵌することが好ましい。
【0008】
本発明の物品の管理方法は、少なくとも隣り合う2つの柱状部材を備えてなる物品に、ICタグが取り付けられ、前記物品が個別に管理される物品の管理方法であって、前記ICタグは、前記2つの柱状部材の間を架け渡して配置される筐体と、該筐体の一方の面に配置されるインレットと、前記2つの柱状部材の間を架け渡して配置されるとともに、前記筐体に対向し、前記筐体に対して前記インレットを固定する固定部材と、を具備してなり、前記筐体は、互いに離隔して設けられ、前記2つの柱状部材のそれぞれに外嵌される一対の外嵌部、および、該一対の外嵌部の間に介在してこれらの外嵌部を連結する連結部を有し、前記外嵌部は、前記柱状部材の長手方向に沿って互いに離隔して設けられた一対の爪部を有し、前記固定部材は、前記一対の爪部の間において、前記2つの柱状部材のそれぞれに外嵌される一対の外嵌部を有し、前記インレットが前記連結部に嵌合され、前記筐体および前記固定部材が前記2つの柱状部材の間を架け渡すように配置され、前記2つの柱状部材に、前記筐体の外嵌部および前記固定部材の外嵌部が外嵌されて、前記筐体と前記固定部材の間に前記インレットが保持され、情報読取/書込装置により前記ICタグに対する情報の読取りまたは書込みが非接触にて行われ、前記物品が管理されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のICタグによれば、筐体は、互いに離隔して設けられ、2つの柱状部材のそれぞれに外嵌される一対の外嵌部、および、その一対の外嵌部の間に介在してこれらの外嵌部を連結する連結部を有し、外嵌部は、柱状部材の長手方向に沿って互いに離隔して設けられた一対の爪部を有し、固定部材は、一対の爪部の間において、2つの柱状部材のそれぞれに外嵌される一対の外嵌部を有するので、固定部材により、筐体の連結部の一方の面にインレットが固定され、物品へのICタグの取り付け作業時に、筐体からインレットが脱落することがない。したがって、物品に対して、ICタグを容易に取り付けることができる。
【0010】
本発明の物品の管理方法によれば、ICタグを取り付けた物品を正確に管理することができるとともに、その作業効率を向上することができる。また、本発明の物品の管理方法によれば、外観がほぼ等しく、一見しただけでは見分けのつき難い物品を多数重ね置きした場合にも、それぞれの物品を確実に識別して、個別に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のICタグの第一の実施形態を示す概略斜視図であり、(a)はインレットが配置される面側から見た図、(b)はインレットが配置される面とは反対の面側から見た図である。
【図2】本発明のICタグの第一の実施形態の使用方法を示し、ICタグをカゴ車に取り付けた状態を示す概略斜視図である。
【図3】本発明のICタグの第一の実施形態の使用方法として、ICタグをカゴ車のフレームに取り付けた状態を示す概略斜視図である。
【図4】本発明のICタグの第一の実施形態の使用方法として、ICタグをカゴ車のフレームに取り付けた状態を示す概略斜視図である。
【図5】本発明のICタグの第二の実施形態の一部を示す概略平面図である。
【図6】本発明のICタグの第三の実施形態の一部を示す概略平面図である。
【図7】本発明のICタグの第四の実施形態の一部を示す概略斜視図である。
【図8】本発明のICタグの第五の実施形態の一部を示す概略平面図である。
【図9】本発明のICタグの第六の実施形態を示す概略斜視図である。
【図10】本発明のICタグの第六の実施形態を示す概略斜視図である。
【図11】本発明のICタグの第七の実施形態を示す概略斜視図である。
【図12】本発明のICタグの第七の実施形態の使用方法を示す概略斜視図である。
【図13】本発明のICタグの第八の実施形態を示す概略斜視図である。
【図14】本発明のICタグの第八の実施形態の使用方法を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のICタグおよびICタグを用いた物品の管理方法の実施の形態について説明する。
なお、この実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0013】
(1)第一の実施形態
図1は、本発明のICタグの第一の実施形態を示す概略斜視図であり、(a)はインレットが配置される面側から見た図、(b)はインレットが配置される面とは反対の面側から見た図である。
この実施形態のICタグ10は、筐体20と、筐体20の一方の面20aに配置されるインレット30とから概略構成されている。
このICタグ10は、例えば、図2に示すようなカゴ車40に取り付けられて用いられる。この実施形態では、ICタグ10がカゴ車40に取り付けられた場合について説明する。
【0014】
インレット30は、平面視長方形状をなすフィルム状またはシート状の基材31と、ICチップ32と、アンテナ33とから概略構成されている。また、ICチップ32およびアンテナ33は、基材31の一方の面31aに設けられ、互いに電気的に接続されている。また、アンテナ33は、互いに対向し、その対向する側にそれぞれ給電点(ICチップ32と接続する部分)を有する一対の放射素子34,34から構成されるダイポールアンテナである。
【0015】
インレット30の基材31の長手方向の中央部には、その長手方向に沿う両側面31b,31cを基端として、インレット30の長手方向(すなわち、後述する筐体20の連結部22の長手方向)と垂直に、内側に窪むように、一対の平面視三角形状の嵌合凹部(嵌合部)31d,31eが設けられている。すなわち、嵌合凹部31d,31eは、インレット30の長手方向と平行な中心線を介して対称な位置に設けられている。
【0016】
ICタグ10が取り付けられるカゴ車40としては、例えば、図2に示すものが挙げられる。
カゴ車40は、物品を載置支持する平面視長方形状の載置台41と、その載置台41における四辺のうちの三辺を基端として立設され、かつ、上端箇所に水平方向に沿う長尺状の上端フレーム42A,43A,44Aを有し、全体として格子状に形成された周壁部42,43,44と、載置台41よりも下方、かつ、載置台41の四隅に配置された複数の車輪45とから概略構成されている。
カゴ車40は、載置台41の四隅に設けられた車輪45により手押し可能となっている。
【0017】
載置台41は、その後端部(載置台41において、周壁部42,43,44が設けられていない辺側を前端部とした場合、その対向する辺側)が、載置台41の後端部側に設けられた周壁部43の下端部に、ヒンジ部材(図示略)を介して横軸心周りに回転自在に支持されている。これにより、載置台41は、周壁部43に対して、上方側に折り畳み自在に支持されている。
また、周壁部43は、その一方の側端部43B(図2において右側の側端部)が、ヒンジ部材46を介して、隣り合う周壁部44(図2において右側の周壁部44)の一方の側端部44Bに連結されている。さらに、周壁部43は、その他方の側端部43C(図2において左側の側端部)が、ヒンジ部材47を介して、隣り合う周壁部42(図2において左側の周壁部42)の一方の側端部42Bに連結されている。
【0018】
また、周壁部44の一方の側端部44Bが、ヒンジ部材46を介して、周壁部43の右側端部(一方の側端部43B)に縦軸心周りに回転自在に支持されることにより、周壁部44が、上方側に折り畳まれた載置台41を周壁部43との間で挟んだ状態で折り畳み自在となっている。
【0019】
つまり、載置台41は、横軸心周りの揺動操作により水平方向に沿う姿勢の載置姿勢と、上方側に折り畳まれて周壁部43と重なる垂直方向に沿う格納姿勢とに、姿勢変更自在に構成されている。また、周壁部44は、縦軸心周りの揺動操作により前後方向に沿う姿勢の使用姿勢と、内方側に折り畳まれて周壁部43および載置台41と重なる横幅方向に沿う折畳姿勢とに、姿勢変更自在に構成されている。
【0020】
カゴ車40は、載置姿勢の載置台41を上方側に折り畳んで格納姿勢に姿勢変更させた後、使用姿勢の周壁部44を内方側に折り畳んで折畳姿勢に姿勢変更させることにより、平面視でL字状となるように折り畳むことができる。そして、L字状に折り畳んだカゴ車40の内方側や外方側に、他のL字状に折り畳んだカゴ車40を重ねることで、複数のカゴ車40を省スペースで格納することができるように構成されている。
【0021】
車輪45には、車輪本体を遊転自在に支持する支持体48にロック手段としてのストッパー49が取り付けられている。ストッパー49は、車輪45の転動を許容する傾斜姿勢のロック解除位置と、車輪45の転動を禁止する水平姿勢のロック位置とに、車輪45の回転軸心周りに回転自在に取り付けられている。つまり、ストッパー49は、車輪45の転動を許容する開放状態と、車輪45の転動を禁止する禁止状態とに、人為操作にて切り換え操作自在に取り付けられている。
【0022】
周壁部42,43,44は、金属製、プラスチック製または木製である。周壁部42,43,44は、その外枠(フレーム)をなす上端フレーム42A,43A,44A、および、側端部42B,43B,43C,44Bなどが円柱状をなしている。
【0023】
ICタグ10では、図3および4に示すように、カゴ車40に取り付けた場合、筐体20が、ヒンジ部材46を介して連結された、隣り合う2つの周壁部43,44に対して、それぞれの側端部43B,44Bの間を架け渡して配置されるように設けられ、また、インレット30が、筐体20における側端部43B,44Bと対向する面(一方の面20a)に配置される。
【0024】
筐体20は、互いに離隔して設けられ、かつ、2つの側端部43B,44Bのそれぞれに外嵌される一対の外嵌部21A,21B、および、この一対の外嵌部21A,21Bの間に、外嵌部21A,21Bに直交するように介在して、これらの外嵌部21A,21Bを連結する平板状の連結部22を有している。すなわち、筐体20は、連結部22を介して一対の外嵌部21A,21Bが連結されてなる略亜鈴形状をなしている。
【0025】
外嵌部21A,21Bは、筐体20の幅方向に互いに離隔して設けられた一対の爪部21b,21bと、この一対の爪部21b,21bの間に介在して、これらの爪部21b,21bを連結する連結部21cとから構成されている。また、外嵌部21A,21Bの外形は、側端部43B,44Bの外形に沿った形状、すなわち、円弧状をなしている。また、外嵌部21A,21Bの側端部43B,44Bと対向する面(以下、「内面」という。)21a,21aの形状は、側端部43B,44Bの外形に沿った形状、すなわち、円弧状をなしている。なお、外嵌部21A,21Bの内面21a,21aとは、外嵌部21A,21Bが側端部43B,44Bに外嵌されたとき、爪部21bの側端部43B,44Bの外周面と対向する面、および、連結部21cの側端部43B,44Bの外周面と対向する面のことである。また、爪部21b,21bは、側端部43B,44Bの外形に沿って、連結部21cよりも長めに設けられており、側端部43B,44Bの外周の2/3〜3/4程度を覆う長さをなしている。
【0026】
これにより、側端部43B,44Bのそれぞれに、外嵌部21A,21Bが外嵌された場合、側端部43B,44Bの外周面に対する外嵌部21A,21Bの内面21a,21aの密着性が高くなり、側端部43B,44Bに対して、ICタグ10が強固にクランプ固定される。
【0027】
また、筐体20の連結部22における側端部43B,44Bと対向する面(以下、「一方の面」という。)22aには、連結部22の中央部において、連結部22の長手方向と垂直に、その頂角が対向するように、一対の平面視三角形状の嵌合突起(嵌合部)23,23が所定の間隔を置いて設けられている。この嵌合突起23,23は、インレット30の基材31に設けられた嵌合凹部31d,31eに嵌合する。すなわち、嵌合突起23,23は、嵌合凹部31d,31eとほぼ形状が等しくなっており、かつ、連結部22の長手方向と平行な中心線を介して対称な位置に設けられている。
【0028】
筐体20の連結部22に設けられた嵌合突起23,23に、インレット30の嵌合凹部31d,31eを嵌合することにより、筐体20の連結部22の一方の面22aにインレット30が配置され、固定される。
【0029】
また、筐体20は、非導電性部材、あるいは、非導電性部材と金属の複合材からなり、連結部22のうち少なくともインレット30が配置される領域(以下、「領域α」という。)が非導電性部材で形成されていればよい。したがって、筐体20は、連結部22における領域α以外の領域が、非導電性部材、金属、あるいは、非導電性部材と金属の複合材のいずれかで形成されていてもよい。例えば、筐体20は、連結部22が非導電性部材からなり、外嵌部21A,21Bが金属からなっていてもよい。
【0030】
筐体20を構成する非導電性部材としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン樹脂;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレンなどのポリフッ化エチレン系樹脂;ナイロン6、ナイロン6,6などのポリアミド樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロンなどのビニル重合体;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系樹脂;ポリスチレン;ポリカーボネート(PC);ポリアリレート;ポリイミド;ガラスエポキシ樹脂などのプラスチックからなる部材などが用いられる。
【0031】
インレット30の基材31としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PET−G)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂からなる基材;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン樹脂からなる基材;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレンなどのポリフッ化エチレン系樹脂からなる基材;ナイロン6、ナイロン6,6などのポリアミド樹脂からなる基材;ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロンなどのビニル重合体からなる基材;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系樹脂からなる基材;ポリスチレンからなる基材;ポリカーボネート(PC)からなる基材;ポリアリレートからなる基材;ポリイミドからなる基材;上質紙、薄葉紙、グラシン紙、硫酸紙などの紙からなる基材などが用いられる。
【0032】
インレット30のICチップ32としては、特に限定されず、アンテナ33を介して非接触状態にて情報の書き込みおよび読み出しが可能なものであれば、非接触型ICタグや非接触型ICラベル、あるいは、非接触型ICカードなどのRFIDメディアに適用可能なものであればいかなるものでも用いられる。
【0033】
インレット30のアンテナ33は、基材31の一方の面31aに、ポリマー型導電インクを用いて所定のパターンにスクリーン印刷、インクジェット印刷などの印刷法により形成されてなるもの、もしくは、導電性箔をエッチングしてなるもの、金属メッキしてなるものである。
【0034】
ポリマー型導電インクとしては、例えば、銀粉末、金粉末、白金粉末、アルミニウム粉末、パラジウム粉末、ロジウム粉末、カーボン粉末(カーボンブラック、カーボンナノチューブなど)などの導電微粒子が樹脂組成物に配合されたものが挙げられる。
【0035】
樹脂組成物として熱硬化型樹脂を用いれば、ポリマー型導電インクは、200℃以下、例えば、100〜150℃程度でアンテナ33をなす塗膜を形成することができる熱硬化型となる。アンテナ33をなす塗膜の電気の流れる経路は、塗膜をなす導電微粒子が互いに接触することにより形成され、この塗膜の抵抗値は10−5Ω・cmオーダーである。
また、本発明におけるポリマー型導電インクとしては、熱硬化型の他にも、光硬化型、浸透乾燥型、溶剤揮発型といった公知のものが用いられる。
【0036】
光硬化型のポリマー型導電インクは、光硬化性樹脂を樹脂組成物に含むものであり、硬化時間が短いので、製造効率を向上させることができる。光硬化型のポリマー型導電インクとしては、例えば、熱可塑性樹脂のみ、あるいは、熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特に、ポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、導電微粒子が60質量%以上配合され、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、溶剤揮発型あるいは架橋/熱可塑併用型(ただし、熱可塑型が50質量%以上である)のものや、熱可塑性樹脂のみ、あるいは、熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特に、ポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、架橋型あるいは架橋/熱可塑併用型のものなどが好適に用いられる。
【0037】
また、アンテナ33をなす導電性箔としては、銅箔、銀箔、金箔、白金箔、アルミニウム箔などが挙げられる。
さらに、アンテナ33をなす金属メッキとしては、銅メッキ、銀メッキ、金メッキ、白金メッキなどが挙げられる。
【0038】
このICタグ10によれば、筐体20の連結部22に、その連結部22の長手方向と平行な中心線を介して対称な位置に設けられた嵌合突起23,23に、インレット30の嵌合凹部31d,31eを嵌合するので、筐体20の連結部22の一方の面22aにインレット30が固定され、カゴ車40へのICタグ10の取り付け作業時に、筐体20からインレット30が脱落することがない。すなわち、連結部22の長手方向と平行な中心線を介して対称な位置に嵌合突起23,23を設け、その嵌合突起23,23に、インレット30の嵌合凹部31d,31eを嵌合することにより、筐体20に対して安定にインレット30を固定することができる。したがって、カゴ車40に対して、ICタグ10を容易に取り付けることができる。
【0039】
なお、この実施形態では、インレット30の基材31の長手方向の中央部に、平面視三角形状の嵌合凹部31d,31eが設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、インレットの基材に設けられる嵌合凹部の形状は、平面視半円形状、平面視四角形状、平面視多角形状(五角形以上)などであってもよい。そして、筐体の連結部に設けられる嵌合突起の形状は、前記の嵌合凹部の形状に応じて、半円柱状、四角柱状、多角柱状(五角形以上)などであってもよい。
【0040】
また、この実施形態では、筐体20の外嵌部21A,21Bの内面の形状を、円柱状の側端部43B,44Bの外形に沿った形状、すなわち、円弧状としたICタグ10を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、ICタグ10が取り付けられる、カゴ車などを構成する柱状部材(側端部)が三角柱状、四角柱状、五角柱状などであってもよく、筐体の外嵌部の内面の形状が、その柱状部材の外形に沿った形状であってもよい。
【0041】
また、この実施形態では、筐体20が、並列に設けられた2つの側端部43B,44Bの間を架け渡して配置されるように設けられたICタグ10を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、ICタグが取り付けられる隣り合う2つの柱状部材は並列に設けられていなくてもよく、この2つの柱状部材は交差していてもよい。このように、隣り合う2つの柱状部材が交差している場合も、筐体は、これら2つの柱状部材の間を架け渡して配置されるように設けられる。
【0042】
また、この実施形態では、筐体20の側端部43B,44Bと対向する面(一方の面20a)に、インレット20が設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、インレットが、筐体の柱状部材と対向する面とは反対側の面に設けられていてもよい。この場合、筐体の連結部の柱状部材と対向する面とは反対側の面に、インレットの嵌合凹部を嵌合する嵌合突起が設けられる。
【0043】
また、この実施形態では、筐体20の連結部22の一方の面22a内にインレット30が配置された場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、筐体の外嵌部における柱状部材(側端部)と対向する面(内面)に、アンテナの放射素子の先端部の一部または全部が延在するように、筐体に対してインレットが配置されていてもよい。すなわち、隣り合う2つの柱状部材に、筐体の外嵌部が外嵌された場合、柱状部材と外嵌部の間に、放射素子の先端部の一部または全部が介在するように、筐体に対してインレットが配置されていてもよい。
【0044】
特に、柱状部材が金属製の場合、放射素子の先端部の一部または全部が、柱状部材と交差するように配置されるのが好ましい。また、この場合、柱状部材に対して、放射素子の先端部の一部または全部が交差する角度は、90°であることが好ましく、実用的には45°〜90°である。
これにより、アンテナの放射素子と金属製の柱状部材の間には、電磁誘導または静電誘導により電流が流れるようになり、柱状部材は、アンテナの一部、すなわち、アンテナを延長した延長部として機能する。したがって、アンテナのみでは、インレットの長手方向からは通信できなかったが、アンテナの延長部をなす柱状部材を介して、インレットの長手方向からも通信可能となる。すなわち、金属製の柱状部材を介して、アンテナの指向性を広く(指向性を弱く)することができる。
【0045】
また、柱状部材が金属製、かつ、隣り合う2つの柱状部材に、筐体の外嵌部が外嵌された場合、筐体の一方の面または他方の面(一方の面とは反対側の面)から見て、柱状部材が、筐体から突出していることが好ましい。柱状部材が、筐体から突出しているとは、柱状部材に対して、アンテナの放射素子の先端部の一部または全部を交差させた場合に、柱状部材の長さが、筐体の幅(筐体の長手方向と垂直な方向の長さ)よりも大きいことをいう。このようにすれば、金属製の柱状部材を介して、インレットの長手方向からも電波の送受信をより効率的に行うことができる。すなわち、金属製の柱状部材を介して、アンテナの指向性をより広く(指向性をより弱く)することができる。
【0046】
さらに、柱状部材の筐体に対する突出する方向は、筐体の幅方向の両端側であることが好ましい。このようにすれば、柱状部材の筐体に対する突出する方向が、筐体の幅方向の一端側のみである場合よりも、金属製の柱状部材を介して、アンテナの指向性を広く(指向性を弱く)することができる。
なお、柱状部材の筐体に対する突出量は、特に限定されず、必要に応じて、適宜調整される。
【0047】
また、アンテナの放射素子の先端部と柱状部材の間に、電磁誘導または静電誘導を生じさせるためには、両者が密着していても、密着していなくてもよく、両者が対向してさえいればよい。したがって、インレットの一方の面には、アンテナおよびICチップを覆うように、被膜が設けられていてもよい。
この被膜は、インレットの保護、外嵌部と柱状部材の密着性、柱状部材に対する外嵌部の保持力の向上などを目的として設けられるものである。
被膜の厚みは、その目的に応じて、適宜調整される。
【0048】
この被膜を形成する材料としては、特に限定されないが、外嵌部と柱状部材の密着性、または、柱状部材に対する外嵌部の保持力の向上を目的とした場合、アクリルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、ブチルゴムなどから選択される合成ゴム(弾性ゴム)が好適に用いられる。
【0049】
また、この実施形態では、ICタグ10がカゴ車40に取り付けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明のICタグは、少なくとも隣り合う2つの柱状部材を備えてなる全ての物品に対して適用することができる。このような少なくとも隣り合う2つの柱状部材を備えた構造を有する物品としては、例えば、椅子、テーブル、机、箪笥などの家具、台車などが挙げられる。
【0050】
次に、ICタグ10を用いたカゴ車40の管理方法を例示して、本発明の物品の管理方法を説明する。
まず、図2〜4に示すように、ICタグ10は、その筐体20が、カゴ車40の周壁部のうち隣り合う2つの周壁部43,44に対して、それぞれの側端部43B,44Bの間を架け渡すように配置され、側端部43B,44Bのそれぞれに、外嵌部21A,21Bが外嵌される。
【0051】
この状態で、情報読取/書込装置(図示略)により、ICタグ10を構成するインレット30のICチップ32に対する情報の読取りまたは書込みが非接触にて行われ、カゴ車40が個別に管理される。
ICチップ32に書き込まれる情報としては、カゴ車40の識別番号、所属(保管場所)、管理者;カゴ車40によって運搬される物品の種類、製造者、製造場所、製造年月日、発注者、配送先(住所、電話番号など)、保管場所などが挙げられる。
【0052】
このように、ICタグ10を用いたカゴ車40の管理方法によれば、ICタグ10を取り付けたカゴ車40を正確に管理することができるとともに、その作業効率を向上することができる。特に、このカゴ車40の管理方法によれば、外観がほぼ等しく、一見しただけでは見分けのつき難いカゴ車40を多数重ね置きした場合にも、それぞれのカゴ車を確実に識別して、個別に管理することができる。
【0053】
また、側端部43B,44Bが金属製であり、側端部43B,44Bと外嵌部21A,21Bとの間に、アンテナ33の放射素子34,34の先端部の一部または全部が介在するように、筐体20に対してインレット30が配置され、かつ、側端部43B,44Bに対して、放射素子34,34の先端部の一部または全部が対向し、交差するように、カゴ車40の所定の位置にICタグ10を配置した場合、放射素子34,34と側端部43B,44Bの間には、電磁誘導または静電誘導により電流が流れるようになり、側端部43B,44Bを、アンテナ33の延長部として機能させることができる。これにより、この延長部を介して、情報読取/書込装置(図示略)によるインレット30のICチップ32に対する情報の読取りまたは書込みが非接触にて行われ、カゴ車40を個別に管理することができる。
【0054】
このように、金属製の側端部43B,44Bを、アンテナ33の延長部として機能させることにより、この側端部43B,44Bを介して、アンテナ33の指向性を広くすることができるので、アンテナ33のみで、情報読取/書込装置とICタグ10の非接触通信を行った場合には、インレット30の長手方向からは、情報読取/書込装置によるICチップ32に対する情報の読取りまたは書込みを行うことができなかったのが、全ての方向、すなわち、ICタグ10に対して360°の全方向から、情報読取/書込装置によるICチップに対する情報の読取りまたは書込みを行うことができるようになる。
【0055】
(2)第二の実施形態
図5は、本発明のICタグの第二の実施形態の一部を示す概略平面図である。
この実施形態のICタグ50は、筐体60と、筐体60の一方の面60aに配置されるインレット70とから概略構成されている。
ICタグ50は、筐体60にインレット70を嵌合する構造において、上述の第一の実施形態のICタグ10と異なっており、その他の点では、上述の第一の実施形態のICタグ10と同様の構成をなしている。
【0056】
筐体60は、上述の第一の実施形態と同様に、互いに離隔して設けられ、かつ、上述の隣り合う2つの柱状部材(カゴ車40では側端部43B,44B)のそれぞれに外嵌される一対の外嵌部(図示略)、および、この一対の外嵌部の間に、外嵌部に直交するように介在して、これらの外嵌部を連結する平板状の連結部62を有している。すなわち、筐体60は、連結部62を介して一対の外嵌部が連結されてなる略亜鈴形状をなしている。
【0057】
インレット70は、上述の第一の実施形態と同様に、平面視長方形状をなすフィルム状またはシート状の基材71と、ICチップ72と、一対の放射素子74,74から構成されるアンテナ73とから概略構成されている。また、ICチップ72およびアンテナ73は、基材71の一方の面71aに設けられ、互いに電気的に接続されている。
【0058】
また、インレット70の基材71の長手方向の両端部にはそれぞれ、基材71の長手方向(すなわち、筐体60の連結部62の長手方向)と垂直な中心線を介して対称な位置に、基材71を厚さ方向に貫通する平面視円形状の嵌合穴(嵌合部)71b,71cが設けられている。
【0059】
筐体60の連結部62における、上述の柱状部材(カゴ車40では側端部43B,44B)と対向する面(一方の面62a)には、その長手方向の両端部において、インレット70の基材71に設けられた嵌合穴71b,71cに嵌合する、一対の円柱状の嵌合突起(嵌合部)63,63が突設されている。すなわち、嵌合突起63,63は、嵌合穴71b,71cとほぼ形状が等しくなっており、かつ、連結部62の長手方向と垂直な中心線を介して対称な位置に設けられている。
【0060】
このICタグ50によれば、筐体60の連結部62に、その連結部62の長手方向と垂直な中心線を介して対称な位置に設けられた嵌合突起63,63に、インレット70の嵌合穴71b,71cを嵌合するので、筐体60の連結部62の一方の面62aにインレット70が固定され、カゴ車40へのICタグ50の取り付け作業時に、筐体60からインレット70が脱落することがない。すなわち、連結部62の長手方向と垂直な中心線を介して対称な位置に嵌合突起63,63を設け、その嵌合突起63,63に、インレット70の嵌合穴71b,71cを嵌合することにより、筐体60に対して安定にインレット70を固定することができる。したがって、カゴ車40に対して、ICタグ50を容易に取り付けることができる。
【0061】
なお、この実施形態では、インレット70の基材71に、平面視円形状の嵌合穴71b,71cが設けられ、筐体60の連結部62に、円柱状の嵌合突起63,63が設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、インレットの基材に設けられる嵌合穴の形状は、平面視半円形状、平面視楕円形状、平面視三角形状、平面視四角形状、平面視多角形状(五角形以上)などであってもよい。そして、筐体の連結部に設けられる嵌合突起の形状は、前記の嵌合穴の形状に応じて、半円柱状、楕円柱状、三角柱状、四角柱状、多角柱状(五角形以上)などであってもよい。
【0062】
また、この実施形態では、筐体60の連結部62の一方の面62a内にインレット70が配置された場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、ICタグ50の嵌合構造を適用して、筐体の外嵌部における柱状部材(側端部)と対向する面(内面)に、アンテナの放射素子の先端部の一部または全部が延在するように、筐体に対してインレットが配置されていてもよい。
【0063】
(3)第三の実施形態
図6は、本発明のICタグの第三の実施形態の一部を示す概略平面図である。
この実施形態のICタグ80は、筐体90と、筐体90の一方の面90aに配置されるインレット100とから概略構成されている。
ICタグ80は、筐体90にインレット100を嵌合する構造において、上述の第一の実施形態のICタグ10と異なっており、その他の点では、上述の第一の実施形態のICタグ10と同様の構成をなしている。
【0064】
筐体90は、上述の第一の実施形態と同様に、互いに離隔して設けられ、かつ、上述の隣り合う2つの柱状部材(カゴ車40では側端部43B,44B)のそれぞれに外嵌される一対の外嵌部(図示略)、および、この一対の外嵌部の間に、外嵌部に直交するように介在して、これらの外嵌部を連結する平板状の連結部92を有している。すなわち、筐体90は、連結部92を介して一対の外嵌部が連結されてなる略亜鈴形状をなしている。
【0065】
インレット100は、上述の第一の実施形態と同様に、平面視長方形状をなすフィルム状またはシート状の基材101と、ICチップ102と、一対の放射素子104,104から構成されるアンテナ103とから概略構成されている。また、ICチップ102およびアンテナ103は、基材101の一方の面101aに設けられ、互いに電気的に接続されている。
【0066】
筐体90の連結部92における、上述の柱状部材(カゴ車40では側端部43B,44B)と対向する面(一方の面92a)には、その長手方向の両端部において、インレット100の四隅に外嵌する、4つの平面視L字状の嵌合突起(嵌合部)93,93,94,94が所定の間隔を置いて突設されている。すなわち、嵌合突起93,93が対をなしてインレット100の一端部100aに外嵌し、嵌合突起94,94が対をなしてインレット100の他端部100bに外嵌する。
嵌合突起93,93,94,94は、インレット100の四隅の外形とほぼ形状が等しくなっている。そして、一対の嵌合突起93,93と、一対の嵌合突起94,94とが、連結部92の長手方向と垂直な中心線を介して対称な位置に設けられている。
【0067】
このICタグ80によれば、筐体90の連結部92に、連結部92の長手方向と垂直な中心線を介して対称な位置に設けられた嵌合突起93,93,94,94に、インレット100の一端部100aおよび他端部100bが嵌合するので、筐体90の連結部92の一方の面92aにインレット100が固定され、カゴ車40へのICタグ80の取り付け作業時に、筐体90からインレット100が脱落することがない。すなわち、連結部92の長手方向と垂直な中心線を介して対称な位置に嵌合突起93,93,94,94を設け、その嵌合突起93,93,94,94に、インレット100の一端部100aおよび他端部100bを嵌合することにより、筐体90に対して安定にインレット100を固定することができる。したがって、カゴ車40に対して、ICタグ80を容易に取り付けることができる。
【0068】
なお、この実施形態では、筐体90の連結部92に、平面視L字状の嵌合突起93,93,94,94が設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、筐体の連結部に設けられる嵌合突起の形状は、上記の一対の平面視L字状の嵌合突起が一体化して、平面視コ字状をなしていてもよい。
【0069】
また、この実施形態では、筐体90の連結部92の一方の面92a内にインレット100が配置された場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、ICタグ80の嵌合構造を適用して、筐体の外嵌部における柱状部材(側端部)と対向する面(内面)に、アンテナの放射素子の先端部の一部または全部が延在するように、筐体に対してインレットが配置されていてもよい。
【0070】
(4)第四の実施形態
図7は、本発明のICタグの第四の実施形態の一部を示す概略斜視図である。
この実施形態のICタグ110は、筐体120と、筐体120の一方の面120aに配置されるインレット130とから概略構成されている。
ICタグ110は、筐体120にインレット130を嵌合する構造において、上述の第一の実施形態のICタグ10と異なっており、その他の点では、上述の第一の実施形態のICタグ10と同様の構成をなしている。
【0071】
筐体120は、上述の第一の実施形態と同様に、互いに離隔して設けられ、かつ、上述の隣り合う2つの柱状部材(カゴ車40では側端部43B,44B)のそれぞれに外嵌される一対の外嵌部(図示略)、および、この一対の外嵌部の間に、外嵌部に直交するように介在して、これらの外嵌部を連結する平板状の連結部122を有している。すなわち、筐体120は、連結部122を介して一対の外嵌部が連結されてなる略亜鈴形状をなしている。
【0072】
インレット130は、上述の第一の実施形態と同様に、平面視長方形状をなすフィルム状またはシート状の基材131と、ICチップ132と、一対の放射素子134,134から構成されるアンテナ133とから概略構成されている。また、ICチップ132およびアンテナ133は、基材131の一方の面131aに設けられ、互いに電気的に接続されている。
【0073】
筐体120の連結部122における、上述の柱状部材(カゴ車40では側端部43B,44B)と対向する面(一方の面122a)には、連結部122において、インレット130全体を嵌合する平面視長方形状の嵌合凹部(嵌合部)123が設けられている。
嵌合凹部123は、インレット130の外形とほぼ形状が等しくなっている。そして、嵌合凹部123は、連結部122の長手方向と垂直な中心線、および、連結部123の長手方向と平行な中心線を介して対称に設けられている。
【0074】
このICタグ110によれば、筐体120の連結部122に、その連結部122の長手方向と垂直な中心線、および、連結部123の長手方向と平行な中心線を介して対称に設けられた嵌合凹部123に、インレット130全体が嵌合するので、筐体120の連結部122の一方の面122a内にインレット130が固定され、カゴ車40へのICタグ110の取り付け作業時に、筐体120からインレット130が脱落することがない。すなわち、連結部122の長手方向と垂直な中心線、および、連結部123の長手方向と平行な中心線を介して対称に嵌合凹部123を設け、その嵌合凹部123に、インレット130全体を嵌合することにより、筐体120に対して安定にインレット130を固定することができる。したがって、カゴ車40に対して、ICタグ110を容易に取り付けることができる。
【0075】
なお、この実施形態では、筐体120の連結部122の一方の面122a内にインレット130が配置された場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、ICタグ110の嵌合構造を適用して、筐体の外嵌部における柱状部材(側端部)と対向する面(内面)に、アンテナの放射素子の先端部の一部または全部が延在するように、筐体に対してインレットが配置されていてもよい。
【0076】
(5)第五の実施形態
図8は、本発明のICタグの第五の実施形態の一部を示す概略平面図である。
この実施形態のICタグ140は、筐体150と、筐体150の一方の面150aに配置されるインレット160とから概略構成されている。
ICタグ140は、筐体150にインレット160を嵌合する構造において、上述の第一の実施形態のICタグ10と異なっており、その他の点では、上述の第一の実施形態のICタグ10と同様の構成をなしている。
【0077】
筐体150は、上述の第一の実施形態と同様に、互いに離隔して設けられ、かつ、上述の隣り合う2つの柱状部材(カゴ車40では側端部43B,44B)のそれぞれに外嵌される一対の外嵌部(図示略)、および、この一対の外嵌部の間に、外嵌部に直交するように介在して、これらの外嵌部を連結する平板状の連結部152を有している。すなわち、筐体150は、連結部152を介して一対の外嵌部が連結されてなる略亜鈴形状をなしている。
【0078】
インレット160は、上述の第一の実施形態と同様に、平面視長方形状をなすフィルム状またはシート状の基材161と、ICチップ162と、一対の放射素子164,164から構成されるアンテナ163とから概略構成されている。また、ICチップ162およびアンテナ163は、基材161の一方の面161aに設けられ、互いに電気的に接続されている。
【0079】
インレット160の基材161の長手方向の中央部には、その長手方向に沿う両側面161b,161cを基端として、インレット160の長手方向(すなわち、筐体150の連結部152の長手方向)と垂直に、内側に窪むように、一対の平面視長方形状の嵌合凹部(嵌合部)161d,161eが設けられている。すなわち、嵌合凹部161d,161eは、インレット160の長手方向と平行な中心線を介して対称な位置に設けられている。
また、インレット160の基材161の四隅にはそれぞれ、その長手方向に沿う両側面161b,161cを基端として、インレット160の長手方向(すなわち、筐体150の連結部152の長手方向)と垂直に、内側に窪むように、平面視長方形状の嵌合凹部(嵌合部)161f,161f,161g,161gが設けられている。すなわち、嵌合凹部161f,161fが対をなしてインレット160の一端部160aに設けられ、嵌合凹部161g,161gが対をなしてインレット160の他端部160bに設けられている。そして、一対の嵌合凹部161f,161fと、一対の嵌合凹部161g,161gとが、連結部152の長手方向と垂直な中心線を介して対称な位置に設けられている。
【0080】
筐体150の連結部152における、上述の柱状部材(カゴ車40では側端部43B,44B)と対向する面(一方の面152a)には、その中央部において、その長手方向と垂直に、インレット160の基材161に設けられた嵌合凹部161d,161eに嵌合する、一対の平面視長方形状の嵌合突起(嵌合部)153,153が所定の間隔を置いて設けられている。すなわち、嵌合突起153,153は、嵌合凹部161d,161eとほぼ形状が等しくなっており、かつ、インレット160の長手方向と平行な中心線を介して対称な位置に設けられている。
【0081】
また、筐体150の連結部152における、上述の柱状部材(カゴ車40では側端部43B,44B)と対向する面(一方の面152a)には、その両端部において、インレット160の四隅に設けられた嵌合凹部161f,161f,161g,161gに外嵌する、平面視L字状の嵌合突起(嵌合部)154,154,155,155が所定の間隔を置いて突設されている。すなわち、嵌合突起154,154が対をなしてインレット160の一端部160aに外嵌し、嵌合突起155,155が対をなしてインレット160の他端部160bに外嵌している。
嵌合突起154,154,155,155は、インレット160の四隅に設けられた嵌合凹部161f,161f,161g,161gの外形とほぼ形状が等しくなっている。そして、一対の嵌合突起154,154と、一対の嵌合突起155,155とが、連結部152の長手方向と垂直な中心線を介して対称な位置に設けられている。
【0082】
このICタグ140によれば、筐体150の連結部152の中央部に設けられた嵌合突起153,153に、インレット160の中央部に設けられた嵌合凹部161d,161eが嵌合し、筐体150の連結部152の四隅に設けられた嵌合突起154,154,155,155に、インレット160の四隅に設けられた嵌合凹部161f,161f,161g,161gが嵌合するので、筐体150の連結部152の一方の面152aにインレット160が固定され、カゴ車40へのICタグ140の取り付け作業時に、筐体150からインレット160が脱落することがない。したがって、カゴ車40に対して、ICタグ140を容易に取り付けることができる。
【0083】
なお、この実施形態では、インレット160の基材161の長手方向の中央部に、平面視長方形状の嵌合凹部161d,161eが設けられ、インレット160の基材161の四隅に、平面視長方形状の嵌合凹部161f,161f,161g,161gが設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、インレットの基材に設けられる嵌合凹部の形状は、平面視半円形状、平面視三角形状、平面視正方形状、平面視多角形状(五角形以上)などであってもよい。そして、筐体の連結部に設けられる嵌合突起の形状は、前記の嵌合凹部の形状に応じて、半円柱状、三角柱状、四角柱状、多角柱状(五角形以上)などであってもよい。
【0084】
また、この実施形態では、筐体150の連結部152の一方の面152a内にインレット160が配置された場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、ICタグ140の嵌合構造を適用して、筐体の外嵌部における柱状部材(側端部)と対向する面(内面)に、アンテナの放射素子の先端部の一部または全部が延在するように、筐体に対してインレットが配置されていてもよい。
【0085】
(6)第六の実施形態
図9は、本発明のICタグの第六の実施形態を示す概略斜視図である。図10は、本発明のICタグの第六の実施形態を示す概略斜視図であり、筐体に対して固定部材を嵌合した状態を示す図である。
この実施形態のICタグ170は、筐体180と、筐体180の一方の面180aに配置されるインレット190と、筐体180に対してインレット190を固定するための固定部材200とから概略構成されている。
このICタグ170は、例えば、図2に示すようなカゴ車40に取り付けられて用いられる。
【0086】
インレット190は、上述の第一の実施形態と同様に、平面視長方形状をなすフィルム状またはシート状の基材191と、ICチップ192と、一対の放射素子194,194から構成されるアンテナ193とから概略構成されている。また、ICチップ192およびアンテナ193は、基材191の一方の面191aに設けられ、互いに電気的に接続されている。
【0087】
インレット190の基材191の1組の対角にはそれぞれ、その長手方向に沿う両側面191b,191cを基端として、インレット190の長手方向(すなわち、筐体180の連結部182の長手方向)と垂直に、内側に窪むように、平面視長方形状の嵌合凹部(嵌合部)191d,191eが設けられている。すなわち、嵌合凹部191d,191eは、インレット190の長手方向と平行な中心線、および、長手方向と垂直な中心線を介して対称な位置に設けられている。
【0088】
筐体180は、上述の第一の実施形態と同様に、互いに離隔して設けられ、かつ、上述の側端部43B,44Bのそれぞれに外嵌される一対の181A,181B、および、この一対の外嵌部181A,181Bの間に、外嵌部181A,181Bに直交するように介在して、これらの外嵌部181A,181Bを連結する平板状の連結部182を有している。すなわち、筐体180は、連結部182を介して一対の外嵌部181A,181Bが連結されてなる略亜鈴形状をなしている。
【0089】
外嵌部181A,181Bは、筐体180の幅方向に互いに離隔して設けられた一対の爪部181b,181bと、この一対の爪部181b,181bの間に介在して、これらの爪部181b,181bを連結する連結部181cとから構成されている。また、外嵌部181A,181Bの側端部43B,44Bと対向する面(以下、「内面」という。)181a,181aの形状は、側端部43B,44Bの外形に沿った形状、すなわち、円弧状をなしている。
【0090】
筐体180の連結部182における、側端部43B,44Bと対向する面(一方の面182a)には、その長手方向の両端部において、固定部材200に設けられた嵌合突起202,202,202,202を嵌合し、基板201を厚さ方向に貫通する平面視四角形状の嵌合穴183,183,184,184が所定の間隔を置いて設けられている。嵌合穴183,183,184,184は、固定部材200の嵌合突起202,202,202,202に対応する位置に設けられている。また、嵌合穴183,183が対をなし、嵌合穴184,184が対をなしている。
そして、一対の嵌合穴183,183と、一対の嵌合穴184,184とが、連結部182の長手方向と垂直な中心線を介して対称な位置に設けられている。
【0091】
筐体180の連結部182における、上述の柱状部材(カゴ車40では側端部43B,44B)と対向する面(一方の面182a)には、その両端部において、インレット190の1組の対角に設けられた嵌合凹部191d,191eに外嵌する、平面視長方形状の嵌合突起(嵌合部)185,185が突設されている。すなわち、嵌合突起185,185は、連結部182において、対角の位置に設けられている。
嵌合突起185,185は、インレット190の対角に設けられた嵌合凹部191d,191eの外形とほぼ形状が等しくなっている。そして、嵌合突起185,185は、連結部182の長手方向と垂直な中心線、および、長手方向と垂直な中心線を介して対称な位置に設けられている。
【0092】
固定部材200は、平板状かつ筐体180の連結部182と大きさ(面積)がほぼ等しい基板201と、基板201における筐体180と対向する面の四隅に立設された略四角柱状の嵌合突起202,202,202,202とから概略構成されている。
【0093】
このICタグ170によれば、筐体180の連結部182の両端部に設けられた嵌合突起185,185に、インレット190の対角に設けられた嵌合凹部191d,191eが嵌合し、筐体180の連結部182に設けられた嵌合穴183,183,184,184に、固定部材200の四隅に設けられた嵌合突起202,202,202,202が嵌合することによって、筐体180の連結部182の一方の面182aにインレット190が固定され、カゴ車40へのICタグ170の取り付け作業時に、筐体180からインレット190が脱落することがない。したがって、カゴ車40に対して、ICタグ170を容易に取り付けることができる。
【0094】
なお、この実施形態では、インレット190の基材191の1組の対角にそれぞれ平面視長方形状の嵌合凹部191d,191eが設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、インレットの基材に設けられる嵌合凹部の形状は、平面視半円形状、平面視三角形状、平面視正方形状、平面視多角形状(五角形以上)などであってもよい。そして、筐体の連結部に設けられる嵌合突起の形状は、前記の嵌合凹部の形状に応じて、半円柱状、三角柱状、四角柱状、多角柱状(五角形以上)などであってもよい。
【0095】
また、この実施形態では、筐体の連結部182に、平面視四角形状の嵌合穴183,183,184,184が設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、筐体の連結部に設けられる嵌合穴の形状は、平面視円形状、平面視半円形状、平面視楕円形状、平面視三角形状、平面視多角形状(五角形以上)などであってもよい。また、筐体の連結部に設けられる嵌合穴の数は、筐体に固定部材を固定するためには、連結部の長手方向と垂直な中心線、または、連結部の長手方向と平行な中心線を介して対称な位置に少なくとも2つ設けられていればよい。そして、固定部材の基板に設けられる嵌合突起の形状は、前記の嵌合穴の形状に応じて、円柱状、半円柱状、楕円柱状、三角柱状、多角柱状(五角形以上)などであってもよい。
【0096】
また、この実施形態では、筐体180の連結部182の一方の面182a内にインレット190が配置された場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、ICタグ170の嵌合構造を適用して、筐体の外嵌部における柱状部材(側端部)と対向する面(内面)に、アンテナの放射素子の先端部の一部または全部が延在するように、筐体に対してインレットが配置されていてもよい。
【0097】
(7)第七の実施形態
図11は、本発明のICタグの第七の実施形態を示す概略斜視図である。図12は、本発明のICタグの第七の実施形態の使用方法を示す概略斜視図である。
この実施形態のICタグ210は、筐体220と、筐体220の一方の面220aに配置されるインレット230と、筐体220に対してインレット230を固定するための固定部材240とから概略構成されている。
このICタグ210は、例えば、図2に示すようなカゴ車40に取り付けられて用いられる。
【0098】
インレット230は、上述の第一の実施形態と同様に、平面視長方形状をなすフィルム状またはシート状の基材231と、ICチップ232と、一対の放射素子234,234から構成されるアンテナ233とから概略構成されている。また、ICチップ232およびアンテナ233は、基材231の一方の面231aに設けられ、互いに電気的に接続されている。
【0099】
インレット230の基材231の長手方向の中央部には、その長手方向に沿う両側面231b,231cを基端として、インレット230の長手方向(すなわち、筐体220の連結部222の長手方向)と垂直に、内側に窪むように、一対の平面視長方形状の嵌合凹部(嵌合部)231d,231eが設けられている。すなわち、嵌合凹部231d,231eは、インレット230の長手方向と平行な中心線を介して対称な位置に設けられている。
また、インレット230の基材231の四隅にはそれぞれ、平面視長方形状の嵌合凹部(嵌合部)231f,231f,231g,231gが設けられている。すなわち、嵌合凹部231f,231fが対をなしてインレット230の一端部230aに設けられ、嵌合凹部231g,231gが対をなしてインレット230の他端部230bに設けられている。そして、一対の嵌合凹部231f,231fと、一対の嵌合凹部231g,231gとが、連結部222の長手方向と垂直な中心線を介して対称な位置に設けられている。
【0100】
筐体220は、上述の第一の実施形態と同様に、互いに離隔して設けられ、かつ、上述の側端部43B,44Bのそれぞれに外嵌される一対の外嵌部221A,221B、および、この一対の外嵌部221A,221Bの間に、外嵌部221A,221Bに直交するように介在して、これらの外嵌部221A,221Bを連結する平板状の連結部222を有している。すなわち、筐体220は、連結部222を介して一対の外嵌部221A,221Bが連結されてなる略亜鈴形状をなしている。
【0101】
外嵌部221A,221Bは、筐体220の幅方向に互いに離隔して設けられた一対の爪部221b,221bと、この一対の爪部221b,221bの間に介在して、これらの爪部221b,221bを連結する連結部221cとから構成されている。また、外嵌部221A,221Bの側端部43B,44Bと対向する面(以下、「内面」という。)221a,221aの形状は、側端部43B,44Bの外形に沿った形状、すなわち、円弧状をなしている。
【0102】
筐体220の連結部222における、側端部43B,44Bと対向する面(一方の面222a)には、その幅方向の両端部において、固定部材240に設けられた4つの嵌合突起243を嵌合し、連結部222を厚さ方向に貫通する平面視長方形状の嵌合穴223,223が設けられている。また、嵌合穴223,223は、連結部222の長手方向と平行な中心線を介して対称な位置に設けられている。
【0103】
また、筐体220の連結部222における側端部43B,44Bと対向する面(以下、「一方の面」という。)222aには、連結部222の中央部において、連結部222の長手方向に延在し、インレット230の基材231に設けられた嵌合凹部231h,231iに嵌合する、一対の平面視長方形状の嵌合突起(嵌合部)224,224が所定の間隔を置いて設けられている。すなわち、嵌合突起224,224は、嵌合凹部231d,231eとほぼ形状が等しくなっており、かつ、連結部222の長手方向と平行な中心線を介して対称な位置に設けられている。
さらに、筐体220の連結部222の一方の面222aには、その長手方向の両端部において、インレット230の四隅に設けられた嵌合凹部231f,231f,231g,231gに外嵌する、4つの平面視L字状の嵌合突起(嵌合部)225,225,226,226が所定の間隔を置いて突設されている。すなわち、嵌合突起225,225が対をなしてインレット230の一端部230aに外嵌し、嵌合突起226,226が対をなしてインレット230の他端部230bに外嵌する。
嵌合突起225,225,226,226は、インレット230の四隅に設けられた嵌合凹部231f,231f,231g,231gの外形とほぼ形状が等しくなっている。そして、一対の嵌合突起225,225と、一対の嵌合突起226,226とが、連結部222の長手方向と垂直な中心線を介して対称な位置に設けられている。
【0104】
固定部材240は、上述の側端部43B,44Bのそれぞれに外嵌される一対の外嵌部241A,241Bと、この一対の外嵌部241A,241Bの間に、外嵌部241A,241Bに直交するように介在して、これらの外嵌部241A,241Bを連結する平板状の連結部242と、連結部242における筐体220と対向する面の四隅に立設された4つの略四角柱状の嵌合突起243とから概略構成されている。すなわち、固定部材240は、連結部242を介して一対の外嵌部241A,241Bが連結されてなる略亜鈴形状をなしている。連結部242は、筐体220の連結部222と大きさ(面積)がほぼ等しくなっている。また、4つの嵌合突起243は、連結部242の長手方向と垂直な中心線、または、連結部242の長手方向と平行な中心線を介して対称な位置に設けられている。
【0105】
また、固定部材240の外嵌部241A,241Bの外形は、筐体220の外嵌部221A,221Bに設けられた爪部221b,221bの間の間隙の形状と等しくなっている。したがって、固定部材240を筐体220に固定する際、固定部材240の嵌合突起243,243,243,243が、筐体220の嵌合穴223,223に嵌合されるとともに、固定部材240の外嵌部241A,241Bが、筐体220の外嵌部221A,221Bの爪部221b,221bの間に嵌合される。そして、筐体220の外嵌部221A,221Bと、固定部材240の外嵌部241A,241Bとが、上述の側端部43B,44Bのそれぞれに外嵌され、カゴ車40に対してICタグ210が固定される。
【0106】
このICタグ210によれば、筐体220の連結部222に設けられた嵌合突起224,224に、インレット230の嵌合凹部231d,231eを嵌合し、筐体220の連結部222に設けられた嵌合突起225,225,226,226に、インレット230の一端部230aおよび他端部230bが嵌合するので、筐体220の連結部222の一方の面222aにインレット230が固定され、カゴ車40へのICタグ210の取り付け作業時に、筐体220からインレット230が脱落することがない。したがって、カゴ車40に対して、ICタグ210を容易に取り付けることができる。また、筐体220の外嵌部221A,221Bと、固定部材240の外嵌部241A,241Bとによって、上述の側端部43B,44BにICタグ210が固定されるので、カゴ車40に対してICタグ210をより強固に固定することができる。
【0107】
なお、この実施形態では、インレット230の基材231の長手方向の中央部に、平面視長方形状の嵌合凹部231d,231eが設けられ、インレット230の基材231の四隅に、平面視長方形状の嵌合凹部231f,231f,231g,231gが設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、インレットの基材に設けられる嵌合凹部の形状は、平面視半円形状、平面視四角形状、平面視多角形状(五角形以上)などであってもよい。そして、筐体の連結部に設けられる嵌合突起の形状は、前記の嵌合凹部の形状に応じて、半円柱状、四角柱状、多角柱状(五角形以上)などであってもよい。
【0108】
また、この実施形態では、筐体220の連結部222に、平面視長方形状の嵌合穴223,223が設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、筐体の連結部に設けられる嵌合穴の形状は、平面視円形状、平面視半円形状、平面視楕円形状、平面視三角形状、平面視正方形状、平面視多角形状(五角形以上)などであってもよい。また、筐体の連結部に設けられる嵌合穴の数は、筐体に固定部材を固定するためには、連結部の長手方向と垂直な中心線、または、連結部の長手方向と平行な中心線を介して対称な位置に少なくとも2つ設けられていればよい。そして、固定部材の連結部に設けられる嵌合突起の形状は、前記の嵌合穴の形状に応じて、円柱状、半円柱状、楕円柱状、三角柱状、多角柱状(五角形以上)などであってもよい。
【0109】
また、この実施形態では、筐体220の連結部222の一方の面222a内にインレット230が配置された場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、ICタグ210の嵌合構造を適用して、筐体の外嵌部における柱状部材(側端部)と対向する面(内面)に、アンテナの放射素子の先端部の一部または全部が延在するように、筐体に対してインレットが配置されていてもよい。
【0110】
(8)第八の実施形態
図13は、本発明のICタグの第八の実施形態を示す概略斜視図である。図14は、本発明のICタグの第八の実施形態の使用方法を示す概略斜視図である。
この実施形態のICタグ250は、筐体260と、筐体260の一方の面260aに配置されるインレット270とから概略構成されている。
このICタグ210は、例えば、図2に示すようなカゴ車40に取り付けられて用いられる。
【0111】
インレット270は、上述の第一の実施形態と同様に、平面視長方形状をなすフィルム状またはシート状の基材271と、ICチップ272と、一対の放射素子274,274から構成されるアンテナ273とから概略構成されている。また、ICチップ272およびアンテナ273は、基材271の一方の面271aに設けられ、互いに電気的に接続されている。
なお、この実施形態では、インレット270は、筐体260の連結部262の一方の面262a内に収まる大きさである。
【0112】
インレット270の基材271の長手方向の中央部には、その長手方向に沿う両側面271b,271cを基端として、インレット270の長手方向(すなわち、後述する筐体260の連結部262の長手方向)と垂直に、内側に窪むように、一対の平面視三角形状の嵌合凹部(嵌合部)271d,271eが設けられている。すなわち、嵌合凹部271d,271eは、インレット270の長手方向と平行な中心線を介して対称な位置に設けられている。
【0113】
筐体260は、上述の第一の実施形態と同様に、互いに離隔して設けられ、かつ、上述の側端部43B,44Bのそれぞれに外嵌される一対の外嵌部261A,261Bと、この一対の外嵌部261A,261Bの間に、外嵌部261A,261Bに直交するように介在して、これらの外嵌部261A,261Bを連結する平板状の連結部262と、外嵌部261A,261Bのそれぞれにヒンジ接合された保持部263A,263Bとから概略構成されている。すなわち、筐体260は、連結部262を介して一対の外嵌部261A,261Bが連結されてなる略亜鈴形状をなしている。
【0114】
外嵌部261A,261Bの側端部43B,44Bと対向する面(以下、「内面」という。)261a,261aの形状は、側端部43B,44Bの外形に沿った形状、すなわち、円弧状をなしている。
また、保持部263A,263Bは、外嵌部261A,261Bの端部(連結部262と連続している側とは反対側の端部)にヒンジ接合され、側端部43B,44Bの長手方向に沿う軸心周りに揺動操作自在になっている。さらに、保持部263A,263Bの側端部43B,44Bと対向する面(以下、「内面」という。)263a,263aの形状は、側端部43B,44Bの外形に沿った形状、すなわち、円弧状をなしている。
【0115】
筐体260の連結部262における、側端部43B,44Bと対向する面(一方の面262a)には、その長手方向の両端部において、保持部263A,263Bの端部(外嵌部261A,261Bと連結されていない側)のそれぞれに2つずつ設けられた嵌合突起264,265を嵌合し、連結部262を厚さ方向に貫通する平面視四角形状の嵌合穴266,266,267,267が所定の間隔を置いて設けられている。嵌合穴266,266,267,267は、保持部263A,263Bの嵌合突起264,265に対応する位置に設けられている。嵌合穴266,266が対をなし、嵌合穴267,267が対をなしている。
そして、一対の嵌合穴266,266と、一対の嵌合穴267,267とが、連結部262の長手方向と垂直な中心線を介して対称な位置に設けられている。
【0116】
また、筐体260の連結部262における側端部43B,44Bと対向する面(以下、「一方の面」という。)262aには、連結部262の中央部において、連結部262の長手方向と垂直に、その頂角が対向するように、インレット270の基材271に設けられた嵌合凹部271d,271eに嵌合する、一対の平面視三角形状の嵌合突起(嵌合部)268,268が所定の間隔を置いて設けられている。すなわち、嵌合突起268,268は、嵌合凹部271d,271eとほぼ形状が等しくなっており、かつ、連結部262の長手方向と平行な中心線を介して対称な位置に設けられている。
【0117】
このICタグ250によれば、筐体260の連結部262に設けられた嵌合突起268,268に、インレット270の嵌合凹部271d,271eを嵌合することによって、筐体260の連結部262の一方の面262aにインレット270が固定され、カゴ車40へのICタグ250の取り付け作業時に、筐体260からインレット270が脱落することがない。したがって、カゴ車40に対して、ICタグ250を容易に取り付けることができる。また、筐体260の外嵌部261A,261Bと、保持部263A,263Bとによって、上述の側端部43B,44BにICタグ250が固定されるので、カゴ車40に対してICタグ250をより強固に固定することができる。
また、側端部43B,44Bに筐体260の外嵌部261A,261Bを外嵌し、外嵌部261A,261Bに対して、保持部263A,263Bを揺動させ、側端部43B,44Bに保持部263A,263Bを外嵌するとともに、連結部262の嵌合穴266,266,267,267に、保持部263A,263Bの嵌合突起264,265を嵌合することによって、カゴ車40に対してICタグ250が固定される。
【0118】
なお、この実施形態では、インレット270の基材271の長手方向の中央部に、平面視三角形状の嵌合凹部271d,271eが設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、インレットの基材に設けられる嵌合凹部の形状は、平面視半円形状、平面視四角形状、平面視多角形状(五角形以上)などであってもよい。そして、筐体の連結部に設けられる嵌合突起の形状は、前記の嵌合凹部の形状に応じて、半円柱状、四角柱状、多角柱状(五角形以上)などであってもよい。
【0119】
また、この実施形態では、筐体の連結部262に、平面視四角形状の嵌合穴266,266,267,267が設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、筐体の連結部に設けられる嵌合穴の形状は、平面視円形状、平面視半円形状、平面視楕円形状、平面視三角形状、平面視多角形状(五角形以上)などであってもよい。また、筐体の連結部に設けられる嵌合穴の数は、筐体に固定部材を固定するためには、連結部の長手方向と垂直な中心線、または、連結部の長手方向と平行な中心線を介して対称な位置に少なくとも2つ設けられていればよい。そして、筐体の保持部に設けられる嵌合突起の形状は、前記の嵌合穴の形状に応じて、円柱状、半円柱状、楕円柱状、三角柱状、多角柱状(五角形以上)などであってもよい。
【0120】
また、この実施形態では、筐体260の連結部262の一方の面262a内にインレット270が配置された場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、ICタグ250の嵌合構造を適用して、筐体の外嵌部における柱状部材(側端部)と対向する面(内面)に、アンテナの放射素子の先端部の一部または全部が延在するように、筐体に対してインレットが配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0121】
10,50,80,110,140,170,210,250・・・ICタグ
20,60,90,120,150,180,220,260・・・筐体
21A,21B,181A,181B,221A,221B,241A,241B,261A,261B・・・外嵌部
22,62,92,122,152,182,222,242,262・・・連結部
23,63,93,94,153,154,155,185,202,224,225,226,243,264,265,268・・・嵌合突起
30,70,100,130,160,190,230,270・・・インレット
31,71,101,131,161,191,231,271・・・基材
32,72,102,132,162,192,232,272・・・ICチップ
33,73,103,133,163,193,233,273・・・アンテナ
34,74,104,134,164,194,234,274・・・放射素子
40・・・カゴ車
41・・・載置台
42,43,44・・・周壁部
43B,43C,44B・・・側端部
45・・・車輪
46,47・・・ヒンジ部材
48・・・支持体
49・・・ストッパー
123・・・嵌合凹部
183,184,223,266,267・・・嵌合穴
200,240・・・固定部材
201・・・基板
263A,263B・・・保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも隣り合う2つの柱状部材を備えてなる物品に取り付けられ、前記2つの柱状部材の間を架け渡して配置される筐体と、該筐体の一方の面に配置されるインレットと、前記2つの柱状部材の間を架け渡して配置されるとともに、前記筐体に対向し、前記筐体に対して前記インレットを固定する固定部材と、を具備してなり、
前記筐体は、互いに離隔して設けられ、前記2つの柱状部材のそれぞれに外嵌される一対の外嵌部、および、該一対の外嵌部の間に介在してこれらの外嵌部を連結する連結部を有し、
前記外嵌部は、前記柱状部材の長手方向に沿って互いに離隔して設けられた一対の爪部を有し、
前記固定部材は、前記一対の爪部の間において、前記2つの柱状部材のそれぞれに外嵌される一対の外嵌部を有することを特徴とするICタグ。
【請求項2】
前記爪部は、前記柱状部材の外周の半分以上に外嵌することを特徴とする請求項1に記載のICタグ。
【請求項3】
少なくとも隣り合う2つの柱状部材を備えてなる物品に、ICタグが取り付けられ、前記物品が個別に管理される物品の管理方法であって、
前記ICタグは、前記2つの柱状部材の間を架け渡して配置される筐体と、該筐体の一方の面に配置されるインレットと、前記2つの柱状部材の間を架け渡して配置されるとともに、前記筐体に対向し、前記筐体に対して前記インレットを固定する固定部材と、を具備してなり、
前記筐体は、互いに離隔して設けられ、前記2つの柱状部材のそれぞれに外嵌される一対の外嵌部、および、該一対の外嵌部の間に介在してこれらの外嵌部を連結する連結部を有し、
前記外嵌部は、前記柱状部材の長手方向に沿って互いに離隔して設けられた一対の爪部を有し、
前記固定部材は、前記一対の爪部の間において、前記2つの柱状部材のそれぞれに外嵌される一対の外嵌部を有し、
前記インレットが前記連結部に嵌合され、前記筐体および前記固定部材が前記2つの柱状部材の間を架け渡すように配置され、前記2つの柱状部材に、前記筐体の外嵌部および前記固定部材の外嵌部が外嵌されて、前記筐体と前記固定部材の間に前記インレットが保持され、
情報読取/書込装置により前記ICタグに対する情報の読取りまたは書込みが非接触にて行われ、前記物品が管理されることを特徴とする物品の管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−47958(P2013−47958A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−213020(P2012−213020)
【出願日】平成24年9月26日(2012.9.26)
【分割の表示】特願2010−283180(P2010−283180)の分割
【原出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】