ICタグのロケーション認識装置および方法
質問器1が、固有ID、Xa、Xb、Xcを読み取った後、IDを指定してプローブ信号発信コマンドを送信する。該当のICタグはそれぞれプローブ信号を順番に発信する。隣接するICタグ2は、質問器が指定したID,Xa、Xb、Xcを隣接IDとしてメモリに保存する。次に質問器1は隣接IDを読み取る。コントローラは、固有ID、Xa,Xb、Xcと隣接ID(Xb),(Xa・Xc)、(Xb)の組み合わせ(Xa−Xb)、(Xb−Xc)を求める。最後に繋ぎ合わせて(Xa−Xb−Xc)を得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、IDの識別を非接触で行うICタグを物品に取り付けてロケーション管理を行う際に必要なICタグのロケーション認識技術に関する。
【背景技術】
IDの識別を非接触で行うICタグは、商品の識別、個人の認証、紙幣や有価証券の偽造防止などの分野で利用され、製品の生産ラインや物流などの分野においても広く適用が進んでいる。
特にICタグを物品に付けることにより、物品の生産面や流通面の管理ばかりでなく、在庫面の管理においても大きな効果が期待されている。
物品の在庫管理を確実かつ迅速なものにするためには、物品のロケーションを自動認識する必要がある。
物品のロケーションを自動認識するためには、物品の保管場所毎にICタグの質問器を設置し、保管場所と質問器を1対1に対応させて保管場所を質問器のアドレスで識別する必要がある。
あるいは、物品の保管場所毎に別々のアンテナを取り付け、保管場所とアンテナを1対1に対応させて保管場所をアンテナのアドレスで識別する。
保管場所にある物品を検索するときは、そこに設置した質問器やアンテナにアドレスを切換えて物品のIDを読み取る。
物品の保管場所を検索するときは、質問器やアンテナのアドレスを順番に切換えて保管場所にある全ての物品のIDを読み取り、目的のIDを検出したときの質問器やアンテナのアドレスによって物品の保管場所を識別する。
しかしながら、ICタグの質問器は同一周波数を使用しているため、複数の質問器を近くに設置すると、相互干渉が発生し、通信の妨げになる。
また、アンテナを切換えて物品のIDを読み取る場合、隣接する保管場所に電波が届いてそこにある物品のIDまで読み取られてしまい、誤読が発生する。
このような誤読を防止するためには保管場所の間のシールドを入念に行う必要があり、保管場所の制約が大きくなる。
【発明の開示】
解決しようとする問題点は、保管場所毎に質問器を設置する場合、相互干渉が発生して通信の妨げになり、アンテナを切換えてIDを読み取る場合、隣接する保管場所に電波が届いて誤読が発生する点であり、本発明は、物品の保管場所毎に質問器やアンテナを配置しなくても物品に付けたICタグのロケーションを自動認識できるようにすることを目的になされたものである。
そのため本発明は、質問器が交信エリアA内に存在する複数のICタグとの間で無線による第1の交信を行う一方、前記ICタグが交信エリアB(<A)内に存在する他のICタグとの間でプローブ信号による第2の交信を行い、前記ICタグは質問器に対して自分の情報Xを応答する第1の応答手段と、前記プローブ信号を他のICタグに発信する発信手段と、他のICタグが発信したプローブ信号を受信する受信手段と、受信したプローブ信号の受信強度が所定レベル以上のときは発信元ICタグの情報Yをメモリに保存する保存手段と、質問器に対してメモリに保存した発信元ICタグの情報Yを応答する第2の応答手段とを備え、前記質問器を介して収集した情報Xと情報Yに基づいて前記ICタグの相対位置関係を認識することを最も主要な特徴とする。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明を実施したICタグのロケーション認識装置の構成図である。図2は、本発明を実施したICタグのブロック図である。図3は、距離dによる受信電圧Eの変化を示す図である。図4は、本発明を実施した質問器1とICタグ2のシーケンスフローである。図5は、質問器1のフローチャートである。図6は、ICタグ2のフローチャートである。図7は、本発明の第1実施例の構成図である。図8は、第1実施例の質問器1とICタグ2のシーケンスフローである。図9は、本発明の第2実施例の構成図である。図10は、第2実施例の質問器1とICタグ2のシーケンスフローである。図11は、本発明の第3実施例の構成図である。図12は、第3実施例の質問器1とICタグ2のシーケンスフローである。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1に、本発明を実施したICタグのロケーション認識装置の構成図を示す。
ICタグのロケーション認識装置は、質問器1の交信エリアA内に複数のアンテナ付きICタグ2を配置してコントローラ3からの指令で質問器1とICタグ2の間で交信距離が数cm〜数m程度の比較的距離の長い第1の交信を行い、同時にICタグ2同士が交信エリアB内において交信距離がそれより相対的に短いプローブ信号による第2の交信を行う。
第2の交信の交信距離は、ICタグ2を付ける物品のサイズと配置によって異なり、例えばICタグ2の配置間隔と同程度の長さに設定するのが好適である。
プローブ信号には距離に比例して減衰する無指向性の電波、磁気、音、光などの伝播媒体を使用する。
プローブ信号に電波を使用する場合は、例えば第1の交信をASK変調方式で、第2の交信をFSK変調方式で行うなど第1と第2の交信で異なる変調方式を採用する場合もある。
同様に、例えば第1の交信を13.56MHz帯あるいは2.45GHz帯で、第2の交信を125kHz帯あるいは13.56MHz帯で行うなど第1と第2の交信で異なる周波数帯を使用する場合もある。
図2に、本発明を実施したICタグのブロック図を示す。
以下、プローブ信号に電波を使用した場合について説明するが、本発明はプローブ信号を電波に限定するものではない。
ICタグ2は、アンテナ共用器20に接続する整流回路21、復調回路22、変調回路23、クロック回路24からなる第1交信部と、CPU25、メモリ26からなる制御部と、アンテナ共用器20に接続する受信回路27、受信強度検出回路28、発信回路29からなる第2交信部で構成される。
ICタグのロケーション認識装置は以上のような構成で、質問器1が交信エリアA内にあるICタグ2に対して要求信号を変調して電波を発射すると、ICタグ2のアンテナに誘起電圧が発生する。
この誘起電圧を整流回路21が整流して動作電源とし、クロック回路24がその周波数を用いてIC同期用のクロックを生成する。
これよりIC回路に電力とクロックが供給されると、復調回路22がクロックに同期させながらアンテナ共用器20を経由して受信した要求信号を復調し、それをCPU25が解析して要求信号に応じた応答信号を生成し、それを変調回路23が変調してアンテナ共用器20を経由して質問器1に送信する。
ICタグ2は質問器1の電波を検波して励起電圧を発生し、それを整流して動作電源とする。比較的長い交信距離を安定して確保する場合は電池を内蔵したアクティブタイプのものを使用することもある。
同時に、交信エリアB内にある他のICタグ2に対してアンテナ共用器20を経由して発信回路29がプローブ信号を発信し、それを他のICタグ2の受信回路27が受信して受信強度検出回路28がその受信強度を検出し、A/D変換された受信強度をCPU25に入力する。
CPU25は、受信強度が所定レベル以上のときは質問器1から伝達された発信元ICタグ2の情報をメモリ26に保存する。
質問器1からICタグ2に対する要求信号にはICタグ2に付与されている固有のIDを読み取る固有ID読取コマンドと、ICタグ2に対してプローブ信号の発信を指令するプローブ信号発信コマンドと、ICタグ2がメモリ26に保存した発信元ICタグ2の情報(隣接ID)を読み取る隣接ID読取コマンドがある。
要求信号は応答許可条件を指定して送信し、応答許可条件に適合するICタグ2だけが応答するように質問器1とICタグ2の間でアンチコリジョン(衝突防止)制御を行う。
応答が衝突するとIDの読み取り/書き込みができないばかりでなく、最悪の場合は、書き込み時にICタグ2のデータを破壊してしまうおそれがある。
従って、IDの読み取り/書き込みはアンチコリジョン制御によりICタグ2が単独応答したときのみ行う。
応答が複数か単独かの識別は、応答が重複すると受信信号のビットパターンに乱れが生じることから、サイクリックチェックコード(CRC)などを使用して受信信号のビットパターンをチェックし、誤りを検出したときは複数の応答があったと判断する。
自由空間では、図3に示すように、発信側のICタグ2が発信するプローブ信号の送信電力Pt(W)が一定の場合、受信側のICタグ2が受信する受信電圧E(V/m)は発信側のICタグ2との間の距離d(m)に反比例して高くなる。
その結果、発信側のICタグ2との間の距離dが短くなる(d1>d2>d3となる)ほど、受信側のICタグ2の受ける受信電圧Eは大きくなる(E1<E2<E3となる)。
従って、ICタグ2の受ける受信電圧Eの大きさによってプローブ信号を発信した相手のICタグ2との距離を認識できる。
図4に、本発明を実施した質問器1とICタグ2のシーケンスフローを示す。
最初に質問器1が読取範囲を指定して固有ID読取コマンドを送信し、該当のICタグ2a、2b、2cがそれぞれ固有ID(Xa)、(Xb)、(Xc)を順番に返信する。
同時にIDを指定してプローブ信号発信コマンドを送信し、該当のICタグ2a、2b、2cがそれぞれプローブ信号を順番に発信する。
このとき所定レベル以上の受信強度のプローブ信号を検出したICタグ2は、質問器1が指定したID(Xa)、(Xb)、(Xc)を隣接IDとしてメモリに保存する。
次に、質問器1がIDを指定して隣接ID読取コマンドを送信し、該当のICタグ2a、2b、2cがそれぞれメモリに保存した隣接ID(Xb)、(Xa・Xc)、(Xb)を順番に返信する。
最後にコントローラ3が質問器1を介して収集した固有ID(Xa)、(Xb)、(Xc)と隣接ID(Xb)、(Xa・Xc)、(Xb)の全ての組合せ(Xa−Xb)、(Xb−Xa)、(Xb−Xc)、(Xc−Xb)を求め、同一の組合せを排除して最終的な組合せを(Xa−Xb)、(Xb−Xc)とし、組合せの一方が同じものを繋ぎ合わせてID情報のリンクパターン(Xa−Xb−Xc)を生成する。
これより、ICタグ2a、2b、2cが同一交信エリアB内に存在し、ICタグ2a、2b、2cの順に配列されていることが分かる。
以下、フローチャートを参照して質問器1とICタグ2の動作について説明する。
図5に、質問器1のフローチャートを示す。
なお、以下に質問器1とICタグ2の間で行うアンチコリジョン制御は、本出願人が既に特願2004−38621において開示した方法によるが、他の方法でもよく、本発明はこれに限定するものではない。
まず、ステップ101において質問器1は応答許可条件として最大読取範囲を指定し、次のステップ102において固有ID読取コマンドをICタグ2に送信する。
次のステップ103ではICタグ2からの応答があるかどうかを判定し、応答がある場合は次のステップ104に移行し、応答がない場合はステップ107に進む。
ステップ104ではICタグ2からの応答が単独応答か複数応答かを判定し、単独応答の場合は次のステップ105において応答したICタグ2の固有IDを読み取ってメモリに保存し、次のステップ106において応答したICタグ2の固有IDを指定してプローブ信号発信コマンドを送信する。
複数応答の場合はステップ107において読取範囲を縮小し、ステップ102に戻って次の固有ID読取コマンドを実行する。
次のステップ108では読取範囲を拡大し、次のステップ109において読取範囲が最大読取範囲をオーバしたかどうかを判定する。最大読取範囲をオーバした場合はステップ110に移行し、オーバしない場合はステップ102に戻って次の固有ID読取コマンドを実行する。
ステップ110ではメモリに保存した固有IDを順番に読み出し、次のステップ111ではそれを応答許可条件として隣接ID読取コマンドをICタグ2に送信し、次のステップ112では応答したICタグ2の隣接IDを読み取ってメモリに保存する。
次に、ステップ113において読み取りが終了したかどうかを判定し、読み取りが終了しない場合はステップ110に戻って次の固有IDの読み出しを行う。
図6に、ICタグ2のフローチャートを示す。
ICタグ2は質問器1の要求信号を受信したときに起動され、まず、ステップ201において要求信号が固有ID読取コマンドかどうかを判定し、固有ID読取コマンドの場合は次のステップ202において自分のIDが指定された読取範囲内にあるかどうかを判定し、読取範囲内にある場合は次のステップ203において自分のIDを質問器1に返信する。
固有ID読取コマンドでない場合はステップ204において要求信号がプローブ信号発信コマンドかどうかを判定し、プローブ信号発信コマンドの場合は次のステップ205において自分のIDが指定された固有IDかどうかを判定し、指定された固有IDの場合は次のステップ206において他のICタグ2に対してプローブ信号を発信する。
指定された固有IDでない場合は次のステップ207において他のICタグ2が発信したプローブ信号を所定レベル以上の受信強度で検出したかどうかを判定し、検出した場合は次のステップ208において指定された固有IDを隣接IDとしてメモリに保存する。
プローブ信号発信コマンドでない場合はステップ209において要求信号が隣接ID読取コマンドかどうかを判定し、隣接ID読取コマンドの場合は次のステップ210においてメモリに保存した隣接IDを順番に読み出し、それを質問器1に返信する。
次に、本発明の第1の実施例について説明する。
本実施例は、例えば書籍にICタグ2を付けて本棚に並べた場合、各本棚に何の書籍がどのような順序で並んでいるか検索できるようにしたものである。
本実施例では、図7に示すように、書庫に相当する質問器1の交信エリアA内に例えば3、1、6、2、5、7のIDを持つICタグ2を1列に配置して質問器1とICタグ2がデータ通信を行い、ICタグ2同士が本棚に相当する交信エリアB内においてプローブ信号のやり取りを行う構成である。
図8に、本実施例の質問器1とICタグ2のシーケンスフローを示す。
質問器1は、最初に最大読取範囲1〜8を指定して固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、全てのICタグ2が応答する。
次に、質問器1は応答が複数あるので、読取範囲を縮小して読取範囲1〜4の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、3、1、2のICタグ2が応答する。
次に、質問器1は応答が複数あるので、読取範囲をさらに縮小して読取範囲1〜2の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、1、2のICタグ2が応答する。
次に、質問器1は応答が複数あるので、読取範囲をさらに縮小して読取範囲1〜1の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、1のICタグ2だけが応答する。
ここで質問器1は応答が単独なので、1を検出番号として読み取り、次に1を指定してプローブ信号発信コマンドを送信する。
これに対し、1のICタグ2がプローブ信号を発信し、3、6のICタグ2に1のIDが隣接IDとしてとして書き込まれる。
次に、質問器1は読取範囲をシフトして読取範囲2〜2の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、2のICタグ2だけが応答する。
ここで質問器1は応答が単独なので、2を検出番号として読み取り、次に2を指定してプローブ信号発信コマンドを送信する。
これに対し、2のICタグ2がプローブ信号を発信し、5、6のICタグ2に2のIDが隣接IDとして書き込まれる。
次に、質問器1は読取範囲を拡大して読取範囲3〜4の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、3のICタグ2だけが応答する。
ここで質問器1は応答が単独なので、3を検出番号として読み取り、次に3を指定してプローブ信号発信コマンドを送信する。
これに対し、3のICタグ2がプローブ信号を発信し、1のICタグ2に3のIDが隣接IDとして書き込まれる。
次に、質問器1は読取範囲を拡大して読取範囲5〜8の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、6、5、7のICタグ2が応答する。
次に、質問器1は応答が複数あるので、読取範囲を縮小して読取範囲5〜6の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、6、5のICタグ2が応答する。
次に、質問器1は応答が複数あるので、読取範囲をさらに縮小して読取範囲5〜5の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、5のICタグ2だけが応答する。
ここで質問器1は応答が単独なので、5を検出番号として読み取り、次に5を指定してプローブ信号発信コマンドを送信する。
これに対し、5のICタグ2がプローブ信号を発信し、2、7のICタグ2に5のIDが隣接IDとして書き込まれる。
次に、質問器1は読取範囲をシフトして読取範囲6〜6の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、6のICタグ2だけが応答する。
ここで質問器1は応答が単独なので、6を検出番号として読み取り、次に6を指定してプローブ信号発信コマンドを送信する。
これに対し、6のICタグ2がプローブ信号を発信し、1、2のICタグ2に6のIDが隣接IDとして書き込まれる。
次に、質問器1は読取範囲を拡大して読取範囲7〜8の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、7のICタグ2だけが応答する。
ここで質問器1は応答が単独なので、7を検出番号として読み取り、次に7を指定してプローブ信号発信コマンドを送信する。
これに対し、7のICタグ2がプローブ信号を発信し、5のICタグ2に7のIDが隣接IDとして書き込まれる。
次に、質問器1は読取範囲を拡大するが最大読取範囲1〜8をオーバするので固有IDの読み取りを終了する。
質問器1は、次に検出番号として読み取ったIDを順番に指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
最初に質問器1は1を指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
これに対し、1のICタグ2だけが応答し、同時にメモリに保存した3、6を送信する。
ここで質問器1は、3、6を1の隣接IDとして読み取り、次の2を指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
これに対し、2のICタグ2だけが応答し、同時にメモリに保存した5、6を送信する。
ここで質問器1は、5、6を2の隣接IDとして読み取り、次の3を指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
これに対し、3のICタグ2だけが応答し、同時にメモリに保存した1を送信する。
ここで質問器1は、1を3の隣接IDとして読み取り、次の5を指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
これに対し、5のICタグ2だけが応答し、同時にメモリに保存した2、7を送信する。
ここで質問器1は、2、7を5の隣接IDとして読み取り、次の6を指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
これに対し、6のICタグ2だけが応答し、同時にメモリに保存した1、2を送信する。
ここで質問器1は、1、2を6の隣接IDとして読み取り、次の7を指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
これに対し、7のICタグ2だけが応答し、同時にメモリに保存した5を送信する。
ここで質問器1は、5を7の隣接IDとして読み取り、全ての読み取りを終了する。
最後にコントローラ3が質問器1を介して収集した固有ID(1、2、3、5、6、7)と隣接ID(3、6)、(5、6)、(1)、(2、7)、(1、2)、(5)の全ての組合せ(1−3)、(1−6)、(2−5)、(2−6)、(3−1)、(5−2)、(5−7)、(6−1)、(6−2)、(7−5)を求め、同一の組合せを排除して最終的な組合せを(1−3)、(1−6)、(2−5)、(2−6)、(5−7)とし、組合せの一方が同じものを繋ぎ合わせてID情報のリンクパターン(3−1−6−2−5−7)を生成する。
これより、ICタグ2(1、2、3、5、6、7)が同一交信エリアB内に存在し、3、1、6、2、5、7の順に配列されていることが分かる。
次に、本発明の第2の実施例について説明する。
本実施例は、第1の実施例の本棚を2列にしてそれぞれの本棚に何の書籍がどのような順序で並んでいるか検索できるようにしたものである。
本実施例では、図9に示すように、書庫に相当する質問器1の交信エリアA内に例えば3、1、6、2、5、7のIDを持つICタグ2を2列に配置して質問器1とICタグ2がデータ通信を行い、(3、1、6)と(2、5、7)のICタグ2同士がそれぞれ本棚に相当する別の交信エリアB1、B2内においてプローブ信号のやり取りを行う構成である。交信エリアB1、B2の区分けは、例えば両者を離間するか、間をシールドして行う。
図10に、本実施例の質問器1とICタグ2のシーケンスフローを示す。
質問器1は、最初に最大読取範囲1〜8を指定して固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、全てのICタグ2が応答する。
次に、質問器1は応答が複数あるので、読取範囲を縮小して読取範囲1〜4の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、3、1、2のICタグ2が応答する。
次に、質問器1は応答が複数あるので、読取範囲をさらに縮小して読取範囲1〜2の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、1、2のICタグ2が応答する。
次に、質問器1は応答が複数あるので、読取範囲をさらに縮小して読取範囲1〜1の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、1のICタグ2だけが応答する。
ここで質問器1は応答が単独なので、1を検出番号として読み取り、次に1を指定してプローブ信号発信コマンドを送信する。
これに対し、1のICタグ2がプローブ信号を発信し、3、6のICタグ2に1のIDが隣接IDとしてとして書き込まれる。
次に、質問器1は読取範囲をシフトして読取範囲2〜2の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、2のICタグ2だけが応答する。
ここで質問器1は応答が単独なので、2を検出番号として読み取り、次に2を指定してプローブ信号発信コマンドを送信する。
これに対し、2のICタグ2がプローブ信号を発信し、5のICタグ2に2のIDが隣接IDとして書き込まれる。
次に、質問器1は読取範囲を拡大して読取範囲3〜4の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、3のICタグ2だけが応答する。
ここで質問器1は応答が単独なので、3を検出番号として読み取り、次に3を指定してプローブ信号発信コマンドを送信する。
これに対し、3のICタグ2がプローブ信号を発信し、1のICタグ2に3のIDが隣接IDとして書き込まれる。
次に、質問器1は読取範囲を拡大して読取範囲5〜8の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、6、5、7のICタグ2が応答する。
次に、質問器1は応答が複数あるので、読取範囲を縮小して読取範囲5〜6の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、6、5のICタグ2が応答する。
次に、質問器1は応答が複数あるので、読取範囲をさらに縮小して読取範囲5〜5の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、5のICタグ2だけが応答する。
ここで質問器1は応答が単独なので、5を検出番号として読み取り、次に5を指定してプローブ信号発信コマンドを送信する。
これに対し、5のICタグ2がプローブ信号を発信し、2、7のICタグ2に5のIDが隣接IDとして書き込まれる。
次に、質問器1は読取範囲をシフトして読取範囲6〜6の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、6のICタグ2だけが応答する。
ここで質問器1は応答が単独なので、6を検出番号として読み取り、次に6を指定してプローブ信号発信コマンドを送信する。
これに対し、6のICタグ2がプローブ信号を発信し、1のICタグ2に6のIDが隣接IDとして書き込まれる。
次に、質問器1は読取範囲を拡大して読取範囲7〜8の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、7のICタグ2だけが応答する。
ここで質問器1は応答が単独なので、7を検出番号として読み取り、次に7を指定してプローブ信号発信コマンドを送信する。
これに対し、7のICタグ2がプローブ信号を発信し、5のICタグ2に7のIDが隣接IDとして書き込まれる。
次に、質問器1は読取範囲を拡大するが最大読取範囲1〜8をオーバするので固有IDの読み取りを終了する。
質問器1は、次に検出番号として読み取ったIDを順番に指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
最初に質問器1は1を指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
これに対し、1のICタグ2だけが応答し、同時にメモリに保存した3、6を送信する。
ここで質問器1は、3、6を1の隣接IDとして読み取り、次の2を指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
これに対し、2のICタグ2だけが応答し、同時にメモリに保存した5を送信する。
ここで質問器1は、5を2の隣接IDとして読み取り、次の3を指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
これに対し、3のICタグ2だけが応答し、同時にメモリに保存した1を送信する。
ここで質問器1は、1を3の隣接IDとして読み取り、次の5を指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
これに対し、5のICタグ2だけが応答し、同時にメモリに保存した2、7を送信する。
ここで質問器1は、2、7を5の隣接IDとして読み取り、次の6を指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
これに対し、6のICタグ2だけが応答し、同時にメモリに保存した1を送信する。
ここで質問器1は、1を6の隣接IDとして読み取り、次の7を指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
これに対し、7のICタグ2だけが応答し、同時にメモリに保存した5を送信する。
ここで質問器1は、5を7の隣接IDとして読み取り、全ての読み取りを終了する。
最後にコントローラ3が質問器1を介して収集した固有ID(1、2、3、5、6、7)と隣接ID(3、6)(5)、(1)、(2、7)、(1)、(5)の全ての組合せ(1−3)、(1−6)、(2−5)、(3−1)、(5−2)、(5−7)、(6−1)、(7−5)を求め、同一の組合せを排除して最終的な組合せを(1−3)、(1−6)、(2−5)、(5−7)とし、組合せの一方が同じものを繋ぎ合わせてID情報のリンクパターン(3−1−6)、(2−5−7)を生成する。
これより、ICタグ2(1、3、6)、(2、5、7)が別の交信エリアB1、B2内に存在し、それぞれ(3、1、6)、(2、5、7)の順に配列されていることが分かる。
次に、本発明の第3の実施例について説明する。
本実施例は、例えば将棋の駒と将棋盤の枡目、あるいは碁石と碁盤の目にそれぞれICタグ2を付けて並べた場合、どの枡目や目に何の駒や碁石が置かれているか、あるいは目的の駒や碁石がどの枡目や目に置かれているか検索できるようにしたものである。
本実施例では、図11に示すように、将棋盤や碁盤に相当する質問器1の交信エリアA内に例えば駒や碁石に対応する3、1、6のIDを持つICタグ2を枡目や目に対応する2、5、7のICタグ2の上に重ねて質問器1とICタグ2がデータ通信を行い、(3、2)、(1、5)、(6、7)のICタグ2同士がそれぞれ枡目や目に相当する別の交信エリアB1、B2、B3内においてプローブ信号のやり取りを行う構成である。
交信エリアB1、B2、B3の区分けは、例えばプローブ信号の到達距離を数mm程度の至近距離に設定して行う。
図12に、本実施例の質問器1とICタグ2のシーケンスフローを示す。
質問器1は、最初に最大読取範囲1〜8を指定して固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、全てのICタグ2が応答する。
次に、質問器1は応答が複数あるので、読取範囲を縮小して読取範囲1〜4の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、3、1、2のICタグ2が応答する。
次に、質問器1は応答が複数あるので、読取範囲をさらに縮小して読取範囲1〜2の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、1、2のICタグ2が応答する。
次に、質問器1は応答が複数あるので、読取範囲をさらに縮小して読取範囲1〜1の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、1のICタグ2だけが応答する。
ここで質問器1は応答が単独なので、1を検出番号として読み取り、次に1を指定してプローブ信号発信コマンドを送信する。
これに対し、1のICタグ2がプローブ信号を発信し、5のICタグ2に1のIDが隣接IDとしてとして書き込まれる。
次に、質問器1は読取範囲をシフトして読取範囲2〜2の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、2のICタグ2だけが応答する。
ここで質問器1は応答が単独なので、2を検出番号として読み取り、次に2を指定してプローブ信号発信コマンドを送信する。
これに対し、2のICタグ2がプローブ信号を発信し、3のICタグ2に2のIDが隣接IDとして書き込まれる。
次に、質問器1は読取範囲を拡大して読取範囲3〜4の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、3のICタグ2だけが応答する。
ここで質問器1は応答が単独なので、3を検出番号として読み取り、次に3を指定してプローブ信号発信コマンドを送信する。
これに対し、3のICタグ2がプローブ信号を発信し、2のICタグ2に3のIDが隣接IDとして書き込まれる。
次に、質問器1は読取範囲を拡大して読取範囲5〜8の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、6、5、7のICタグ2が応答する。
次に、質問器1は応答が複数あるので、読取範囲を縮小して読取範囲5〜6の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、6、5のICタグ2が応答する。
次に、質問器1は応答が複数あるので、読取範囲をさらに縮小して読取範囲5〜5の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、5のICタグ2だけが応答する。
ここで質問器1は応答が単独なので、5を検出番号として読み取り、次に5を指定してプローブ信号発信コマンドを送信する。
これに対し、5のICタグ2がプローブ信号を発信し、1のICタグ2に5のIDが隣接IDとして書き込まれる。
次に、質問器1は読取範囲をシフトして読取範囲6〜6の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、6のICタグ2だけが応答する。
ここで質問器1は応答が単独なので、6を検出番号として読み取り、次に6を指定してプローブ信号発信コマンドを送信する。
これに対し、6のICタグ2がプローブ信号を発信し、7のICタグ2に6のIDが隣接IDとして書き込まれる。
次に、質問器1は読取範囲を拡大して読取範囲7〜8の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、7のICタグ2だけが応答する。
ここで質問器1は応答が単独なので、7を検出番号として読み取り、次に7を指定してプローブ信号発信コマンドを送信する。
これに対し、7のICタグ2がプローブ信号を発信し、6のICタグ2に7のIDが隣接IDとして書き込まれる。
次に、質問器1は読取範囲を拡大するが最大読取範囲1〜8をオーバするので固有IDの読み取りを終了する。
質問器1は、次に検出番号として読み取ったIDを順番に指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
最初に質問器1は1を指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
これに対し、1のICタグ2だけが応答し、同時にメモリに保存した5を送信する。
ここで質問器1は、5を1の隣接IDとして読み取り、次の2を指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
これに対し、2のICタグ2だけが応答し、同時にメモリに保存した3を送信する。
ここで質問器1は、3を2の隣接IDとして読み取り、次の3を指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
これに対し、3のICタグ2だけが応答し、同時にメモリに保存した2を送信する。
ここで質問器1は、2を3の隣接IDとして読み取り、次の5を指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
これに対し、5のICタグ2だけが応答し、同時にメモリに保存した1を送信する。
ここで質問器1は、1を5の隣接IDとして読み取り、次の6を指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
これに対し、6のICタグ2だけが応答し、同時にメモリに保存した7を送信する。
ここで質問器1は、7を6の隣接IDとして読み取り、次の7を指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
これに対し、7のICタグ2だけが応答し、同時にメモリに保存した6を送信する。
ここで質問器1は、6を7の隣接IDとして読み取り、全ての読み取りを終了する。
最後にコントローラ3が質問器1を介して収集した固有ID(1、2、3、5、6、7)と隣接ID(5、3,2,1,7,6、)の全ての組合せ(1−5)、(2−3)、(3−2)、(5−1)、(6−7)、(7−6)を求め、同一の組合せを排除して最終的な組合せを(1−5)、(2−3)、(6−7)とする。この場合、組合せの一方が同じものがないのでこれをID情報のリンクパターンとする。
これより、ICタグ2(1、5)、(2、3)、(6、7)が別の交信エリアB1、B2、B3内に存在し、駒や碁石に対応する3、1、6のICタグ2が枡目や目に対応する2、5、7のICタグ2に密着して配置されていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
本発明のICタグのロケーション認識装置は、質問器とICタグの交信エリアAより狭小の交信エリアB(<A)内においてICタグ同士が互いにプローブ信号による交信を行い、プローブ信号の受信強度が所定レベル以上のときは発信元ICタグの情報Yをメモリに保存し、質問器に対して自分の情報Xとメモリに保存した発信元ICタグの情報Yを応答し、質問器を介して収集した情報Xと情報Yに基づいてICタグの相対位置関係を認識する。
従って、交信エリアA内のICタグをその相対位置関係によってグループ分けすることができ、このグループとICタグの所在場所を任意に対応させることにより、ICタグの所在場所が特定できるようになる。
その結果、保管場所毎に質問器やアンテナを配置しなくても1台の質問器やアンテナで保管場所にある物品と物品の保管場所の両方を認識できるようになる。
また、電波洩れによる誤読を防止するために保管場所の間のシールドを入念に行う必要もなくなる。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【技術分野】
本発明は、IDの識別を非接触で行うICタグを物品に取り付けてロケーション管理を行う際に必要なICタグのロケーション認識技術に関する。
【背景技術】
IDの識別を非接触で行うICタグは、商品の識別、個人の認証、紙幣や有価証券の偽造防止などの分野で利用され、製品の生産ラインや物流などの分野においても広く適用が進んでいる。
特にICタグを物品に付けることにより、物品の生産面や流通面の管理ばかりでなく、在庫面の管理においても大きな効果が期待されている。
物品の在庫管理を確実かつ迅速なものにするためには、物品のロケーションを自動認識する必要がある。
物品のロケーションを自動認識するためには、物品の保管場所毎にICタグの質問器を設置し、保管場所と質問器を1対1に対応させて保管場所を質問器のアドレスで識別する必要がある。
あるいは、物品の保管場所毎に別々のアンテナを取り付け、保管場所とアンテナを1対1に対応させて保管場所をアンテナのアドレスで識別する。
保管場所にある物品を検索するときは、そこに設置した質問器やアンテナにアドレスを切換えて物品のIDを読み取る。
物品の保管場所を検索するときは、質問器やアンテナのアドレスを順番に切換えて保管場所にある全ての物品のIDを読み取り、目的のIDを検出したときの質問器やアンテナのアドレスによって物品の保管場所を識別する。
しかしながら、ICタグの質問器は同一周波数を使用しているため、複数の質問器を近くに設置すると、相互干渉が発生し、通信の妨げになる。
また、アンテナを切換えて物品のIDを読み取る場合、隣接する保管場所に電波が届いてそこにある物品のIDまで読み取られてしまい、誤読が発生する。
このような誤読を防止するためには保管場所の間のシールドを入念に行う必要があり、保管場所の制約が大きくなる。
【発明の開示】
解決しようとする問題点は、保管場所毎に質問器を設置する場合、相互干渉が発生して通信の妨げになり、アンテナを切換えてIDを読み取る場合、隣接する保管場所に電波が届いて誤読が発生する点であり、本発明は、物品の保管場所毎に質問器やアンテナを配置しなくても物品に付けたICタグのロケーションを自動認識できるようにすることを目的になされたものである。
そのため本発明は、質問器が交信エリアA内に存在する複数のICタグとの間で無線による第1の交信を行う一方、前記ICタグが交信エリアB(<A)内に存在する他のICタグとの間でプローブ信号による第2の交信を行い、前記ICタグは質問器に対して自分の情報Xを応答する第1の応答手段と、前記プローブ信号を他のICタグに発信する発信手段と、他のICタグが発信したプローブ信号を受信する受信手段と、受信したプローブ信号の受信強度が所定レベル以上のときは発信元ICタグの情報Yをメモリに保存する保存手段と、質問器に対してメモリに保存した発信元ICタグの情報Yを応答する第2の応答手段とを備え、前記質問器を介して収集した情報Xと情報Yに基づいて前記ICタグの相対位置関係を認識することを最も主要な特徴とする。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明を実施したICタグのロケーション認識装置の構成図である。図2は、本発明を実施したICタグのブロック図である。図3は、距離dによる受信電圧Eの変化を示す図である。図4は、本発明を実施した質問器1とICタグ2のシーケンスフローである。図5は、質問器1のフローチャートである。図6は、ICタグ2のフローチャートである。図7は、本発明の第1実施例の構成図である。図8は、第1実施例の質問器1とICタグ2のシーケンスフローである。図9は、本発明の第2実施例の構成図である。図10は、第2実施例の質問器1とICタグ2のシーケンスフローである。図11は、本発明の第3実施例の構成図である。図12は、第3実施例の質問器1とICタグ2のシーケンスフローである。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1に、本発明を実施したICタグのロケーション認識装置の構成図を示す。
ICタグのロケーション認識装置は、質問器1の交信エリアA内に複数のアンテナ付きICタグ2を配置してコントローラ3からの指令で質問器1とICタグ2の間で交信距離が数cm〜数m程度の比較的距離の長い第1の交信を行い、同時にICタグ2同士が交信エリアB内において交信距離がそれより相対的に短いプローブ信号による第2の交信を行う。
第2の交信の交信距離は、ICタグ2を付ける物品のサイズと配置によって異なり、例えばICタグ2の配置間隔と同程度の長さに設定するのが好適である。
プローブ信号には距離に比例して減衰する無指向性の電波、磁気、音、光などの伝播媒体を使用する。
プローブ信号に電波を使用する場合は、例えば第1の交信をASK変調方式で、第2の交信をFSK変調方式で行うなど第1と第2の交信で異なる変調方式を採用する場合もある。
同様に、例えば第1の交信を13.56MHz帯あるいは2.45GHz帯で、第2の交信を125kHz帯あるいは13.56MHz帯で行うなど第1と第2の交信で異なる周波数帯を使用する場合もある。
図2に、本発明を実施したICタグのブロック図を示す。
以下、プローブ信号に電波を使用した場合について説明するが、本発明はプローブ信号を電波に限定するものではない。
ICタグ2は、アンテナ共用器20に接続する整流回路21、復調回路22、変調回路23、クロック回路24からなる第1交信部と、CPU25、メモリ26からなる制御部と、アンテナ共用器20に接続する受信回路27、受信強度検出回路28、発信回路29からなる第2交信部で構成される。
ICタグのロケーション認識装置は以上のような構成で、質問器1が交信エリアA内にあるICタグ2に対して要求信号を変調して電波を発射すると、ICタグ2のアンテナに誘起電圧が発生する。
この誘起電圧を整流回路21が整流して動作電源とし、クロック回路24がその周波数を用いてIC同期用のクロックを生成する。
これよりIC回路に電力とクロックが供給されると、復調回路22がクロックに同期させながらアンテナ共用器20を経由して受信した要求信号を復調し、それをCPU25が解析して要求信号に応じた応答信号を生成し、それを変調回路23が変調してアンテナ共用器20を経由して質問器1に送信する。
ICタグ2は質問器1の電波を検波して励起電圧を発生し、それを整流して動作電源とする。比較的長い交信距離を安定して確保する場合は電池を内蔵したアクティブタイプのものを使用することもある。
同時に、交信エリアB内にある他のICタグ2に対してアンテナ共用器20を経由して発信回路29がプローブ信号を発信し、それを他のICタグ2の受信回路27が受信して受信強度検出回路28がその受信強度を検出し、A/D変換された受信強度をCPU25に入力する。
CPU25は、受信強度が所定レベル以上のときは質問器1から伝達された発信元ICタグ2の情報をメモリ26に保存する。
質問器1からICタグ2に対する要求信号にはICタグ2に付与されている固有のIDを読み取る固有ID読取コマンドと、ICタグ2に対してプローブ信号の発信を指令するプローブ信号発信コマンドと、ICタグ2がメモリ26に保存した発信元ICタグ2の情報(隣接ID)を読み取る隣接ID読取コマンドがある。
要求信号は応答許可条件を指定して送信し、応答許可条件に適合するICタグ2だけが応答するように質問器1とICタグ2の間でアンチコリジョン(衝突防止)制御を行う。
応答が衝突するとIDの読み取り/書き込みができないばかりでなく、最悪の場合は、書き込み時にICタグ2のデータを破壊してしまうおそれがある。
従って、IDの読み取り/書き込みはアンチコリジョン制御によりICタグ2が単独応答したときのみ行う。
応答が複数か単独かの識別は、応答が重複すると受信信号のビットパターンに乱れが生じることから、サイクリックチェックコード(CRC)などを使用して受信信号のビットパターンをチェックし、誤りを検出したときは複数の応答があったと判断する。
自由空間では、図3に示すように、発信側のICタグ2が発信するプローブ信号の送信電力Pt(W)が一定の場合、受信側のICタグ2が受信する受信電圧E(V/m)は発信側のICタグ2との間の距離d(m)に反比例して高くなる。
その結果、発信側のICタグ2との間の距離dが短くなる(d1>d2>d3となる)ほど、受信側のICタグ2の受ける受信電圧Eは大きくなる(E1<E2<E3となる)。
従って、ICタグ2の受ける受信電圧Eの大きさによってプローブ信号を発信した相手のICタグ2との距離を認識できる。
図4に、本発明を実施した質問器1とICタグ2のシーケンスフローを示す。
最初に質問器1が読取範囲を指定して固有ID読取コマンドを送信し、該当のICタグ2a、2b、2cがそれぞれ固有ID(Xa)、(Xb)、(Xc)を順番に返信する。
同時にIDを指定してプローブ信号発信コマンドを送信し、該当のICタグ2a、2b、2cがそれぞれプローブ信号を順番に発信する。
このとき所定レベル以上の受信強度のプローブ信号を検出したICタグ2は、質問器1が指定したID(Xa)、(Xb)、(Xc)を隣接IDとしてメモリに保存する。
次に、質問器1がIDを指定して隣接ID読取コマンドを送信し、該当のICタグ2a、2b、2cがそれぞれメモリに保存した隣接ID(Xb)、(Xa・Xc)、(Xb)を順番に返信する。
最後にコントローラ3が質問器1を介して収集した固有ID(Xa)、(Xb)、(Xc)と隣接ID(Xb)、(Xa・Xc)、(Xb)の全ての組合せ(Xa−Xb)、(Xb−Xa)、(Xb−Xc)、(Xc−Xb)を求め、同一の組合せを排除して最終的な組合せを(Xa−Xb)、(Xb−Xc)とし、組合せの一方が同じものを繋ぎ合わせてID情報のリンクパターン(Xa−Xb−Xc)を生成する。
これより、ICタグ2a、2b、2cが同一交信エリアB内に存在し、ICタグ2a、2b、2cの順に配列されていることが分かる。
以下、フローチャートを参照して質問器1とICタグ2の動作について説明する。
図5に、質問器1のフローチャートを示す。
なお、以下に質問器1とICタグ2の間で行うアンチコリジョン制御は、本出願人が既に特願2004−38621において開示した方法によるが、他の方法でもよく、本発明はこれに限定するものではない。
まず、ステップ101において質問器1は応答許可条件として最大読取範囲を指定し、次のステップ102において固有ID読取コマンドをICタグ2に送信する。
次のステップ103ではICタグ2からの応答があるかどうかを判定し、応答がある場合は次のステップ104に移行し、応答がない場合はステップ107に進む。
ステップ104ではICタグ2からの応答が単独応答か複数応答かを判定し、単独応答の場合は次のステップ105において応答したICタグ2の固有IDを読み取ってメモリに保存し、次のステップ106において応答したICタグ2の固有IDを指定してプローブ信号発信コマンドを送信する。
複数応答の場合はステップ107において読取範囲を縮小し、ステップ102に戻って次の固有ID読取コマンドを実行する。
次のステップ108では読取範囲を拡大し、次のステップ109において読取範囲が最大読取範囲をオーバしたかどうかを判定する。最大読取範囲をオーバした場合はステップ110に移行し、オーバしない場合はステップ102に戻って次の固有ID読取コマンドを実行する。
ステップ110ではメモリに保存した固有IDを順番に読み出し、次のステップ111ではそれを応答許可条件として隣接ID読取コマンドをICタグ2に送信し、次のステップ112では応答したICタグ2の隣接IDを読み取ってメモリに保存する。
次に、ステップ113において読み取りが終了したかどうかを判定し、読み取りが終了しない場合はステップ110に戻って次の固有IDの読み出しを行う。
図6に、ICタグ2のフローチャートを示す。
ICタグ2は質問器1の要求信号を受信したときに起動され、まず、ステップ201において要求信号が固有ID読取コマンドかどうかを判定し、固有ID読取コマンドの場合は次のステップ202において自分のIDが指定された読取範囲内にあるかどうかを判定し、読取範囲内にある場合は次のステップ203において自分のIDを質問器1に返信する。
固有ID読取コマンドでない場合はステップ204において要求信号がプローブ信号発信コマンドかどうかを判定し、プローブ信号発信コマンドの場合は次のステップ205において自分のIDが指定された固有IDかどうかを判定し、指定された固有IDの場合は次のステップ206において他のICタグ2に対してプローブ信号を発信する。
指定された固有IDでない場合は次のステップ207において他のICタグ2が発信したプローブ信号を所定レベル以上の受信強度で検出したかどうかを判定し、検出した場合は次のステップ208において指定された固有IDを隣接IDとしてメモリに保存する。
プローブ信号発信コマンドでない場合はステップ209において要求信号が隣接ID読取コマンドかどうかを判定し、隣接ID読取コマンドの場合は次のステップ210においてメモリに保存した隣接IDを順番に読み出し、それを質問器1に返信する。
次に、本発明の第1の実施例について説明する。
本実施例は、例えば書籍にICタグ2を付けて本棚に並べた場合、各本棚に何の書籍がどのような順序で並んでいるか検索できるようにしたものである。
本実施例では、図7に示すように、書庫に相当する質問器1の交信エリアA内に例えば3、1、6、2、5、7のIDを持つICタグ2を1列に配置して質問器1とICタグ2がデータ通信を行い、ICタグ2同士が本棚に相当する交信エリアB内においてプローブ信号のやり取りを行う構成である。
図8に、本実施例の質問器1とICタグ2のシーケンスフローを示す。
質問器1は、最初に最大読取範囲1〜8を指定して固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、全てのICタグ2が応答する。
次に、質問器1は応答が複数あるので、読取範囲を縮小して読取範囲1〜4の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、3、1、2のICタグ2が応答する。
次に、質問器1は応答が複数あるので、読取範囲をさらに縮小して読取範囲1〜2の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、1、2のICタグ2が応答する。
次に、質問器1は応答が複数あるので、読取範囲をさらに縮小して読取範囲1〜1の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、1のICタグ2だけが応答する。
ここで質問器1は応答が単独なので、1を検出番号として読み取り、次に1を指定してプローブ信号発信コマンドを送信する。
これに対し、1のICタグ2がプローブ信号を発信し、3、6のICタグ2に1のIDが隣接IDとしてとして書き込まれる。
次に、質問器1は読取範囲をシフトして読取範囲2〜2の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、2のICタグ2だけが応答する。
ここで質問器1は応答が単独なので、2を検出番号として読み取り、次に2を指定してプローブ信号発信コマンドを送信する。
これに対し、2のICタグ2がプローブ信号を発信し、5、6のICタグ2に2のIDが隣接IDとして書き込まれる。
次に、質問器1は読取範囲を拡大して読取範囲3〜4の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、3のICタグ2だけが応答する。
ここで質問器1は応答が単独なので、3を検出番号として読み取り、次に3を指定してプローブ信号発信コマンドを送信する。
これに対し、3のICタグ2がプローブ信号を発信し、1のICタグ2に3のIDが隣接IDとして書き込まれる。
次に、質問器1は読取範囲を拡大して読取範囲5〜8の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、6、5、7のICタグ2が応答する。
次に、質問器1は応答が複数あるので、読取範囲を縮小して読取範囲5〜6の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、6、5のICタグ2が応答する。
次に、質問器1は応答が複数あるので、読取範囲をさらに縮小して読取範囲5〜5の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、5のICタグ2だけが応答する。
ここで質問器1は応答が単独なので、5を検出番号として読み取り、次に5を指定してプローブ信号発信コマンドを送信する。
これに対し、5のICタグ2がプローブ信号を発信し、2、7のICタグ2に5のIDが隣接IDとして書き込まれる。
次に、質問器1は読取範囲をシフトして読取範囲6〜6の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、6のICタグ2だけが応答する。
ここで質問器1は応答が単独なので、6を検出番号として読み取り、次に6を指定してプローブ信号発信コマンドを送信する。
これに対し、6のICタグ2がプローブ信号を発信し、1、2のICタグ2に6のIDが隣接IDとして書き込まれる。
次に、質問器1は読取範囲を拡大して読取範囲7〜8の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、7のICタグ2だけが応答する。
ここで質問器1は応答が単独なので、7を検出番号として読み取り、次に7を指定してプローブ信号発信コマンドを送信する。
これに対し、7のICタグ2がプローブ信号を発信し、5のICタグ2に7のIDが隣接IDとして書き込まれる。
次に、質問器1は読取範囲を拡大するが最大読取範囲1〜8をオーバするので固有IDの読み取りを終了する。
質問器1は、次に検出番号として読み取ったIDを順番に指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
最初に質問器1は1を指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
これに対し、1のICタグ2だけが応答し、同時にメモリに保存した3、6を送信する。
ここで質問器1は、3、6を1の隣接IDとして読み取り、次の2を指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
これに対し、2のICタグ2だけが応答し、同時にメモリに保存した5、6を送信する。
ここで質問器1は、5、6を2の隣接IDとして読み取り、次の3を指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
これに対し、3のICタグ2だけが応答し、同時にメモリに保存した1を送信する。
ここで質問器1は、1を3の隣接IDとして読み取り、次の5を指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
これに対し、5のICタグ2だけが応答し、同時にメモリに保存した2、7を送信する。
ここで質問器1は、2、7を5の隣接IDとして読み取り、次の6を指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
これに対し、6のICタグ2だけが応答し、同時にメモリに保存した1、2を送信する。
ここで質問器1は、1、2を6の隣接IDとして読み取り、次の7を指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
これに対し、7のICタグ2だけが応答し、同時にメモリに保存した5を送信する。
ここで質問器1は、5を7の隣接IDとして読み取り、全ての読み取りを終了する。
最後にコントローラ3が質問器1を介して収集した固有ID(1、2、3、5、6、7)と隣接ID(3、6)、(5、6)、(1)、(2、7)、(1、2)、(5)の全ての組合せ(1−3)、(1−6)、(2−5)、(2−6)、(3−1)、(5−2)、(5−7)、(6−1)、(6−2)、(7−5)を求め、同一の組合せを排除して最終的な組合せを(1−3)、(1−6)、(2−5)、(2−6)、(5−7)とし、組合せの一方が同じものを繋ぎ合わせてID情報のリンクパターン(3−1−6−2−5−7)を生成する。
これより、ICタグ2(1、2、3、5、6、7)が同一交信エリアB内に存在し、3、1、6、2、5、7の順に配列されていることが分かる。
次に、本発明の第2の実施例について説明する。
本実施例は、第1の実施例の本棚を2列にしてそれぞれの本棚に何の書籍がどのような順序で並んでいるか検索できるようにしたものである。
本実施例では、図9に示すように、書庫に相当する質問器1の交信エリアA内に例えば3、1、6、2、5、7のIDを持つICタグ2を2列に配置して質問器1とICタグ2がデータ通信を行い、(3、1、6)と(2、5、7)のICタグ2同士がそれぞれ本棚に相当する別の交信エリアB1、B2内においてプローブ信号のやり取りを行う構成である。交信エリアB1、B2の区分けは、例えば両者を離間するか、間をシールドして行う。
図10に、本実施例の質問器1とICタグ2のシーケンスフローを示す。
質問器1は、最初に最大読取範囲1〜8を指定して固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、全てのICタグ2が応答する。
次に、質問器1は応答が複数あるので、読取範囲を縮小して読取範囲1〜4の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、3、1、2のICタグ2が応答する。
次に、質問器1は応答が複数あるので、読取範囲をさらに縮小して読取範囲1〜2の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、1、2のICタグ2が応答する。
次に、質問器1は応答が複数あるので、読取範囲をさらに縮小して読取範囲1〜1の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、1のICタグ2だけが応答する。
ここで質問器1は応答が単独なので、1を検出番号として読み取り、次に1を指定してプローブ信号発信コマンドを送信する。
これに対し、1のICタグ2がプローブ信号を発信し、3、6のICタグ2に1のIDが隣接IDとしてとして書き込まれる。
次に、質問器1は読取範囲をシフトして読取範囲2〜2の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、2のICタグ2だけが応答する。
ここで質問器1は応答が単独なので、2を検出番号として読み取り、次に2を指定してプローブ信号発信コマンドを送信する。
これに対し、2のICタグ2がプローブ信号を発信し、5のICタグ2に2のIDが隣接IDとして書き込まれる。
次に、質問器1は読取範囲を拡大して読取範囲3〜4の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、3のICタグ2だけが応答する。
ここで質問器1は応答が単独なので、3を検出番号として読み取り、次に3を指定してプローブ信号発信コマンドを送信する。
これに対し、3のICタグ2がプローブ信号を発信し、1のICタグ2に3のIDが隣接IDとして書き込まれる。
次に、質問器1は読取範囲を拡大して読取範囲5〜8の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、6、5、7のICタグ2が応答する。
次に、質問器1は応答が複数あるので、読取範囲を縮小して読取範囲5〜6の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、6、5のICタグ2が応答する。
次に、質問器1は応答が複数あるので、読取範囲をさらに縮小して読取範囲5〜5の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、5のICタグ2だけが応答する。
ここで質問器1は応答が単独なので、5を検出番号として読み取り、次に5を指定してプローブ信号発信コマンドを送信する。
これに対し、5のICタグ2がプローブ信号を発信し、2、7のICタグ2に5のIDが隣接IDとして書き込まれる。
次に、質問器1は読取範囲をシフトして読取範囲6〜6の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、6のICタグ2だけが応答する。
ここで質問器1は応答が単独なので、6を検出番号として読み取り、次に6を指定してプローブ信号発信コマンドを送信する。
これに対し、6のICタグ2がプローブ信号を発信し、1のICタグ2に6のIDが隣接IDとして書き込まれる。
次に、質問器1は読取範囲を拡大して読取範囲7〜8の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、7のICタグ2だけが応答する。
ここで質問器1は応答が単独なので、7を検出番号として読み取り、次に7を指定してプローブ信号発信コマンドを送信する。
これに対し、7のICタグ2がプローブ信号を発信し、5のICタグ2に7のIDが隣接IDとして書き込まれる。
次に、質問器1は読取範囲を拡大するが最大読取範囲1〜8をオーバするので固有IDの読み取りを終了する。
質問器1は、次に検出番号として読み取ったIDを順番に指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
最初に質問器1は1を指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
これに対し、1のICタグ2だけが応答し、同時にメモリに保存した3、6を送信する。
ここで質問器1は、3、6を1の隣接IDとして読み取り、次の2を指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
これに対し、2のICタグ2だけが応答し、同時にメモリに保存した5を送信する。
ここで質問器1は、5を2の隣接IDとして読み取り、次の3を指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
これに対し、3のICタグ2だけが応答し、同時にメモリに保存した1を送信する。
ここで質問器1は、1を3の隣接IDとして読み取り、次の5を指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
これに対し、5のICタグ2だけが応答し、同時にメモリに保存した2、7を送信する。
ここで質問器1は、2、7を5の隣接IDとして読み取り、次の6を指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
これに対し、6のICタグ2だけが応答し、同時にメモリに保存した1を送信する。
ここで質問器1は、1を6の隣接IDとして読み取り、次の7を指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
これに対し、7のICタグ2だけが応答し、同時にメモリに保存した5を送信する。
ここで質問器1は、5を7の隣接IDとして読み取り、全ての読み取りを終了する。
最後にコントローラ3が質問器1を介して収集した固有ID(1、2、3、5、6、7)と隣接ID(3、6)(5)、(1)、(2、7)、(1)、(5)の全ての組合せ(1−3)、(1−6)、(2−5)、(3−1)、(5−2)、(5−7)、(6−1)、(7−5)を求め、同一の組合せを排除して最終的な組合せを(1−3)、(1−6)、(2−5)、(5−7)とし、組合せの一方が同じものを繋ぎ合わせてID情報のリンクパターン(3−1−6)、(2−5−7)を生成する。
これより、ICタグ2(1、3、6)、(2、5、7)が別の交信エリアB1、B2内に存在し、それぞれ(3、1、6)、(2、5、7)の順に配列されていることが分かる。
次に、本発明の第3の実施例について説明する。
本実施例は、例えば将棋の駒と将棋盤の枡目、あるいは碁石と碁盤の目にそれぞれICタグ2を付けて並べた場合、どの枡目や目に何の駒や碁石が置かれているか、あるいは目的の駒や碁石がどの枡目や目に置かれているか検索できるようにしたものである。
本実施例では、図11に示すように、将棋盤や碁盤に相当する質問器1の交信エリアA内に例えば駒や碁石に対応する3、1、6のIDを持つICタグ2を枡目や目に対応する2、5、7のICタグ2の上に重ねて質問器1とICタグ2がデータ通信を行い、(3、2)、(1、5)、(6、7)のICタグ2同士がそれぞれ枡目や目に相当する別の交信エリアB1、B2、B3内においてプローブ信号のやり取りを行う構成である。
交信エリアB1、B2、B3の区分けは、例えばプローブ信号の到達距離を数mm程度の至近距離に設定して行う。
図12に、本実施例の質問器1とICタグ2のシーケンスフローを示す。
質問器1は、最初に最大読取範囲1〜8を指定して固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、全てのICタグ2が応答する。
次に、質問器1は応答が複数あるので、読取範囲を縮小して読取範囲1〜4の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、3、1、2のICタグ2が応答する。
次に、質問器1は応答が複数あるので、読取範囲をさらに縮小して読取範囲1〜2の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、1、2のICタグ2が応答する。
次に、質問器1は応答が複数あるので、読取範囲をさらに縮小して読取範囲1〜1の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、1のICタグ2だけが応答する。
ここで質問器1は応答が単独なので、1を検出番号として読み取り、次に1を指定してプローブ信号発信コマンドを送信する。
これに対し、1のICタグ2がプローブ信号を発信し、5のICタグ2に1のIDが隣接IDとしてとして書き込まれる。
次に、質問器1は読取範囲をシフトして読取範囲2〜2の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、2のICタグ2だけが応答する。
ここで質問器1は応答が単独なので、2を検出番号として読み取り、次に2を指定してプローブ信号発信コマンドを送信する。
これに対し、2のICタグ2がプローブ信号を発信し、3のICタグ2に2のIDが隣接IDとして書き込まれる。
次に、質問器1は読取範囲を拡大して読取範囲3〜4の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、3のICタグ2だけが応答する。
ここで質問器1は応答が単独なので、3を検出番号として読み取り、次に3を指定してプローブ信号発信コマンドを送信する。
これに対し、3のICタグ2がプローブ信号を発信し、2のICタグ2に3のIDが隣接IDとして書き込まれる。
次に、質問器1は読取範囲を拡大して読取範囲5〜8の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、6、5、7のICタグ2が応答する。
次に、質問器1は応答が複数あるので、読取範囲を縮小して読取範囲5〜6の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、6、5のICタグ2が応答する。
次に、質問器1は応答が複数あるので、読取範囲をさらに縮小して読取範囲5〜5の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、5のICタグ2だけが応答する。
ここで質問器1は応答が単独なので、5を検出番号として読み取り、次に5を指定してプローブ信号発信コマンドを送信する。
これに対し、5のICタグ2がプローブ信号を発信し、1のICタグ2に5のIDが隣接IDとして書き込まれる。
次に、質問器1は読取範囲をシフトして読取範囲6〜6の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、6のICタグ2だけが応答する。
ここで質問器1は応答が単独なので、6を検出番号として読み取り、次に6を指定してプローブ信号発信コマンドを送信する。
これに対し、6のICタグ2がプローブ信号を発信し、7のICタグ2に6のIDが隣接IDとして書き込まれる。
次に、質問器1は読取範囲を拡大して読取範囲7〜8の固有ID読取コマンドを送信する。
これに対し、7のICタグ2だけが応答する。
ここで質問器1は応答が単独なので、7を検出番号として読み取り、次に7を指定してプローブ信号発信コマンドを送信する。
これに対し、7のICタグ2がプローブ信号を発信し、6のICタグ2に7のIDが隣接IDとして書き込まれる。
次に、質問器1は読取範囲を拡大するが最大読取範囲1〜8をオーバするので固有IDの読み取りを終了する。
質問器1は、次に検出番号として読み取ったIDを順番に指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
最初に質問器1は1を指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
これに対し、1のICタグ2だけが応答し、同時にメモリに保存した5を送信する。
ここで質問器1は、5を1の隣接IDとして読み取り、次の2を指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
これに対し、2のICタグ2だけが応答し、同時にメモリに保存した3を送信する。
ここで質問器1は、3を2の隣接IDとして読み取り、次の3を指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
これに対し、3のICタグ2だけが応答し、同時にメモリに保存した2を送信する。
ここで質問器1は、2を3の隣接IDとして読み取り、次の5を指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
これに対し、5のICタグ2だけが応答し、同時にメモリに保存した1を送信する。
ここで質問器1は、1を5の隣接IDとして読み取り、次の6を指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
これに対し、6のICタグ2だけが応答し、同時にメモリに保存した7を送信する。
ここで質問器1は、7を6の隣接IDとして読み取り、次の7を指定して隣接ID読取コマンドを送信する。
これに対し、7のICタグ2だけが応答し、同時にメモリに保存した6を送信する。
ここで質問器1は、6を7の隣接IDとして読み取り、全ての読み取りを終了する。
最後にコントローラ3が質問器1を介して収集した固有ID(1、2、3、5、6、7)と隣接ID(5、3,2,1,7,6、)の全ての組合せ(1−5)、(2−3)、(3−2)、(5−1)、(6−7)、(7−6)を求め、同一の組合せを排除して最終的な組合せを(1−5)、(2−3)、(6−7)とする。この場合、組合せの一方が同じものがないのでこれをID情報のリンクパターンとする。
これより、ICタグ2(1、5)、(2、3)、(6、7)が別の交信エリアB1、B2、B3内に存在し、駒や碁石に対応する3、1、6のICタグ2が枡目や目に対応する2、5、7のICタグ2に密着して配置されていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
本発明のICタグのロケーション認識装置は、質問器とICタグの交信エリアAより狭小の交信エリアB(<A)内においてICタグ同士が互いにプローブ信号による交信を行い、プローブ信号の受信強度が所定レベル以上のときは発信元ICタグの情報Yをメモリに保存し、質問器に対して自分の情報Xとメモリに保存した発信元ICタグの情報Yを応答し、質問器を介して収集した情報Xと情報Yに基づいてICタグの相対位置関係を認識する。
従って、交信エリアA内のICタグをその相対位置関係によってグループ分けすることができ、このグループとICタグの所在場所を任意に対応させることにより、ICタグの所在場所が特定できるようになる。
その結果、保管場所毎に質問器やアンテナを配置しなくても1台の質問器やアンテナで保管場所にある物品と物品の保管場所の両方を認識できるようになる。
また、電波洩れによる誤読を防止するために保管場所の間のシールドを入念に行う必要もなくなる。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
質問器が交信エリアA内に存在する複数のICタグとの間で無線による第1の交信を行う一方、
前記ICタグが交信エリアB(<A)内に存在する他のICタグとの間でプローブ信号による第2の交信を行い、
前記ICタグは質問器に対して自分の情報Xを応答する第1の応答手段と、
前記プローブ信号を他のICタグに発信する発信手段と、
他のICタグが発信したプローブ信号を受信する受信手段と、
受信したプローブ信号の受信強度が所定レベル以上のときは発信元ICタグの情報Yをメモリに保存する保存手段と、
質問器に対してメモリに保存した発信元ICタグの情報Yを応答する第2の応答手段と、
を備え、
しかして前記質問器を介して収集した情報Xと情報Yに基づいて前記ICタグの相対位置関係を認識することを特徴とするICタグのロケーション認識装置。
【請求項2】
前記情報Xと情報Yの全ての組合せを求め、
この組合せの一方が同じもの同士を繋ぎ合わせて前記ICタグの所在エリアと並び順を特定することを特徴とする請求項1記載のICタグのロケーション認識装置。
【請求項3】
前記プローブ信号は距離に比例して減衰する無指向性の電波、磁気、音、光のいずれかを伝播媒体とするものであることを特徴とする請求項1記載のICタグのロケーション認識装置。
【請求項4】
前記交信エリアBの交信距離は前記ICタグを付ける物品のサイズと配置によって異なる長さに設定されるものであることを特徴とする請求項1記載のICタグのロケーション認識装置。
【請求項5】
前記第1の応答手段と第2の応答手段の応答は質問器が応答許可条件を指定して衝突を防止しながら順番に行われるものであることを特徴とする請求項1記載のICタグのロケーション認識装置。
【請求項6】
前記プローブ信号の発信は質問器が発信許可条件を指定して衝突を防止しながら順番に行われるものであることを特徴とする請求項1記載のICタグのロケーション認識装置。
【請求項7】
質問器が交信エリアA内に存在する複数のICタグとの間で無線による第1の交信を行う一方、
前記ICタグが交信エリアB(<A)内に存在する他のICタグとの間でプローブ信号による第2の交信を行い、
前記ICタグが質問器に対して自分の情報Xを応答する第1の応答ステップと、
前記プローブ信号を他のICタグに発信する発信ステップと、
他のICタグが発信したプローブ信号を受信する受信ステップと、
受信したプローブ信号の受信強度が所定レベル以上のときは発信元ICタグの情報Yをメモリに保存する保存ステップと、
質問器に対してメモリに保存した発信元ICタグの情報Yを応答する第2の応答ステップと、
からなり、
しかして前記質問器を介して収集した情報Xと情報Yに基づいて前記ICタグの相対位置関係を認識することを特徴とするICタグのロケーション認識方法。
【請求項1】
質問器が交信エリアA内に存在する複数のICタグとの間で無線による第1の交信を行う一方、
前記ICタグが交信エリアB(<A)内に存在する他のICタグとの間でプローブ信号による第2の交信を行い、
前記ICタグは質問器に対して自分の情報Xを応答する第1の応答手段と、
前記プローブ信号を他のICタグに発信する発信手段と、
他のICタグが発信したプローブ信号を受信する受信手段と、
受信したプローブ信号の受信強度が所定レベル以上のときは発信元ICタグの情報Yをメモリに保存する保存手段と、
質問器に対してメモリに保存した発信元ICタグの情報Yを応答する第2の応答手段と、
を備え、
しかして前記質問器を介して収集した情報Xと情報Yに基づいて前記ICタグの相対位置関係を認識することを特徴とするICタグのロケーション認識装置。
【請求項2】
前記情報Xと情報Yの全ての組合せを求め、
この組合せの一方が同じもの同士を繋ぎ合わせて前記ICタグの所在エリアと並び順を特定することを特徴とする請求項1記載のICタグのロケーション認識装置。
【請求項3】
前記プローブ信号は距離に比例して減衰する無指向性の電波、磁気、音、光のいずれかを伝播媒体とするものであることを特徴とする請求項1記載のICタグのロケーション認識装置。
【請求項4】
前記交信エリアBの交信距離は前記ICタグを付ける物品のサイズと配置によって異なる長さに設定されるものであることを特徴とする請求項1記載のICタグのロケーション認識装置。
【請求項5】
前記第1の応答手段と第2の応答手段の応答は質問器が応答許可条件を指定して衝突を防止しながら順番に行われるものであることを特徴とする請求項1記載のICタグのロケーション認識装置。
【請求項6】
前記プローブ信号の発信は質問器が発信許可条件を指定して衝突を防止しながら順番に行われるものであることを特徴とする請求項1記載のICタグのロケーション認識装置。
【請求項7】
質問器が交信エリアA内に存在する複数のICタグとの間で無線による第1の交信を行う一方、
前記ICタグが交信エリアB(<A)内に存在する他のICタグとの間でプローブ信号による第2の交信を行い、
前記ICタグが質問器に対して自分の情報Xを応答する第1の応答ステップと、
前記プローブ信号を他のICタグに発信する発信ステップと、
他のICタグが発信したプローブ信号を受信する受信ステップと、
受信したプローブ信号の受信強度が所定レベル以上のときは発信元ICタグの情報Yをメモリに保存する保存ステップと、
質問器に対してメモリに保存した発信元ICタグの情報Yを応答する第2の応答ステップと、
からなり、
しかして前記質問器を介して収集した情報Xと情報Yに基づいて前記ICタグの相対位置関係を認識することを特徴とするICタグのロケーション認識方法。
【国際公開番号】WO2005/069499
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【発行日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−517116(P2005−517116)
【国際出願番号】PCT/JP2005/000620
【国際出願日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(391016093)エル・エス・アイ ジャパン株式会社 (21)
【Fターム(参考)】
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【発行日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【国際出願番号】PCT/JP2005/000620
【国際出願日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(391016093)エル・エス・アイ ジャパン株式会社 (21)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]