説明

ICタグ付き転がり軸受

【課題】軸受装置にICタグを装着する際に、ICタグ本体やアンテナが振動や外力を受け難い状態とし、特に軸受装置に予圧をかけて装着した場合にも、ICタグ本体に歪みが発生せず、さらに潤滑油に接する環境で使用され、また予圧を維持する必要のある場合でも長期安定した情報発信および受信機能を確実に発揮されるICタグ付き軸受装置とすることである。
【解決手段】外輪1と内輪2の間に保持器3で回転自在に保持された円錐ころからなる転動体4を介在させた円錐ころ軸受5の内輪2および外輪1の外側端面の金属面には、それぞれ穴6、7を形成し、この穴6、7内に非接触交信型のICタグ8をゴム状弾性材からなる緩衝体9を介して装着する。外輪1や内輪2が予圧付与面などであって表面に外力が加えられても、また振動や衝撃を受けた場合にも、そのような外力による歪や衝撃や振動はゴム状弾性材からなる緩衝体9に吸収される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建設機械や産業機械などに使用される転がり軸受であって、非接触通信により情報の交信が可能なICタグを取り付けたICタグ付き転がり軸受に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、非接触通信によって情報の交信を可能にするRFID(Radio Frequency Identification)技術を用いたICタグが知られている。
【0003】
図10に示すように非接触型のICタグ8は、メモリー13と処理回路14によって情報の書き込みと読み取りが可能なものであり、処理回路14に接続されるコイル状のアンテナ12からの発信または受信される電磁波やマイクロ波により電力およびデータのリーダライタ15などへの情報の転送が可能なものである。
【0004】
このようなICタグを転がり軸受などの機械装置または部品の表面に取り付け、部品の識別情報、製造時期、ロット番号、過去のメンテナンス情報などのように、履歴、適用、所在その他の各種情報を記憶させておき、メンテナンスなどの際に読み出し、さらに記録を更新して利用する技術が知られている。
【0005】
転がり軸受は、外観が同じであっても素材の種類、また素材に対する熱処理条件、内部隙間の大きさ、封入グリースの種類などの仕様または製造条件の異なる場合が多いため、識別情報の利用価値は高く、特に保管時などの使用前ばかりでなく、使用中および使用後などのメンテナンスの際などにおいても現状の把握と保守管理の情報が求められている。
【0006】
また、電磁波が転がり軸受などの金属表面に吸収されてしまうことを考慮し、電磁波やマイクロ波の干渉を避けるように金属面に穴を形成しておき、その穴にICタグの本体部を嵌め入れ、先端のアンテナ部はできるだけ穴の開口部に近づけ、その上に比較的硬質の熱硬化性樹脂を保護のために被覆して封止した状態とすることが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−53603号公報(段落0008、0030)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記したようにICタグを装着する際、金属面に形成した穴にICタグの本体を直接に嵌め入れて装着すると、金属製の穴に荷重などにより圧力や衝撃が作用し、金属に歪みが発生し、そのひずみや振動や衝撃はICタグに伝わって、回路やアンテナが損壊し、誤作動の原因になるという問題点がある。
【0009】
また、穴の開口部にICタグのアンテナ部を近づけて配置し、その上から熱硬化性樹脂で封止しても、外部からの物体の侵入は阻止されているが、ICタグの本体やアンテナ部に硬質の樹脂層を介して外力や振動が伝わるので、回路の断線や損傷が生じやすく、ICタグに長期安定した情報発信および受信機能を確実に発揮させることはできないという問題点がある。
【0010】
特に、転がり軸受においては、回転軸の振れ精度向上や振動や騒音の低減のために予圧をかけて転がり軸受を装着する場合があり、その場合に封止した樹脂は、加圧されて外部から振動や衝撃はICタグの本体やアンテナ部により伝わりやすい状態になり、振動や衝撃などの外力によって回路やアンテナのコイルの歪みや損傷が起きやすく、電磁波やマイクロ波による送・受信機能が損なわれてしまうという問題点がある。
【0011】
そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決し、転がり軸受にICタグを装着する際に、ICタグ本体やアンテ部が振動や外力を受け難い状態とし、特に転がり軸受に予圧をかけて装着した場合にもICタグ本体やアンテナ部に歪みが発生せず、好ましくは他の転がり軸受特有の潤滑油に接する高温の環境で使用されても耐油性や耐熱性があり、長期安定した情報発信および受信機能を確実に発揮されるICタグ付き転がり軸受とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、この発明においては、転がり軸受の外輪もしくは内輪または両輪に形成した穴内に、非接触交信型のICタグをゴム状弾性材からなる緩衝体を介して保持してなるICタグ付き転がり軸受としたのである。
【0013】
上記したように構成されるこの発明のICタグ付き転がり軸受は、ICタグが、外輪や内輪の表面に形成された穴に対してゴム状弾性材からなる緩衝体を介して保持されているので、外輪や内輪の表面に外力が加わって圧力を受け、また外部から振動や衝撃を受けた場合にも、そのような外力による歪や衝撃や振動は、ゴム状弾性材からなる緩衝体に吸収される。
【0014】
そのため、外力による歪や衝撃や振動は、ICタグには直接伝わることなく減衰されて伝わるか、または伝わらないので、ICタグ付き転がり軸受には長期安定した情報発信機能および受信機能が備わる。
【0015】
また、上記穴内の開口部側に、ICタグを覆うようにゴム状弾性材からなる緩衝体を設けたICタグ付き転がり軸受では、穴の開口部側からの圧力、歪、振動などは、ICタグを覆うゴム状弾性材からなる緩衝体で吸収される。
【0016】
上記穴を形成した外輪もしくは内輪または両輪の表面が、転がり軸受を被装着物に固定するための予圧付与面である場合には、転がり軸受を固定するために必要な軸受押え部品などからの予圧が穴の開口部周辺から穴の壁面に伝わるが、その際、ICタグが前記穴にゴム状弾性材からなる緩衝体を介して保持されていることにより、歪や振動などはゴム状弾性材からなる緩衝体で吸収される。
【0017】
なお、この発明でいう予圧付与面は、予圧を直接受けている面およびそれと同一面を形成している周囲の面全体を言い、すなわち軸受の固定のための予圧によって歪みの起こりうる可能性のある面全体を含めて言うものである。
【0018】
また、緩衝体を形成しているゴム状弾性材が、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、ニトリルゴムまたは水素化ニトリルゴムであるものは、上記した作用を奏する他、耐油性および耐熱性にも優れたICタグ付き転がり軸受になる。
【0019】
また、上記穴が、粗面またはねじ面を有するものであるICタグ付き転がり軸受では、前記粗面によるアンカー効果や摩擦係数の向上により、ICタグの周囲の緩衝体と穴の側壁との一体性は高められ、ICタグは穴から充分に抜け止めされる。
【0020】
また、ねじ面を有する穴である場合には、ICタグの穴へねじ込み固定が可能になり、穴からICタグは抜け止めされると共に、取り付けが容易になり、またねじ込み量を増減することにより、ICタグのアンテナ部分の金属面に対する位置(深さ)の調整ができ、ICタグの感度調整も容易になる。
【0021】
上記穴が、その底部に接着剤を溜める凹部を形成したものでは、凹部に溜めた接着剤によって、ICタグは穴によって高い接着強度で固定できる。
【0022】
上記ICタグが、外側に緩衝体係止用の凹凸部を有するものでは、ICタグと緩衝体との接触面積の増加および凹凸による物理的な係止作用によって、これらは一体化されてICタグは穴からより確実に抜け止めされる。
【0023】
そのような作用効果が充分に得られるように、上記係止用凹凸部が、平目ローレットまたは綾目ローレットであることが好ましく、また上記係止用凹凸部が、1以上のフランジであることが好ましく、さらにまた上記係止用凹凸部が、1以上の周溝であることが好ましい。
【0024】
上記ICタグが、外周面に接着層を有し、緩衝体を接着により装着したものであれば、接着力によってICタグは穴に対して抜け止めされる。
【0025】
また、上記ICタグが、成形されたゴム状弾性材からなる緩衝体と加硫または接着により一体化されたものは、緩衝体とICタグとを一体としてICタグの装着やメンテナンスの作業効率が良いものになる。
【0026】
また、ICタグが、穴内に挿入されると共にゴム状弾性材を前記穴に充填することにより緩衝体を介して前記穴内に保持されているものは、ICタグの形状に拠らず流動性のあるゴム状弾性材を充填するだけで緩衝体と確実に一体化できるので、様々な型式のICタグを用いることができる。
【0027】
上記ICタグが、圧縮した緩衝体の反発弾性力によって穴に係合するよう装着されているものでは、緩衝体の弾性反発力が、穴と係合面に加わるので、前記した摩擦力や物理的係止作用が一層確実に発揮されて、ICタグは穴から抜け止めされる。
【発明の効果】
【0028】
この発明のICタグ付き転がり軸受は、ICタグが、外輪や内輪の金属面に形成した穴に対してゴム状弾性材からなる緩衝体を介して装着されているので、外輪や内輪の金属面の受ける圧力による歪や振動はゴム状弾性材からなる緩衝体に吸収され、ICタグ本体やアンテナが振動や外力を受け難い利点がある。
【0029】
また、転がり軸受に予圧をかけて被装着物に取り付ける場合、所要の予圧によってICタグ本体に歪みが発生せず、長期間安定した情報発信および受信機能を確実に発揮されるICタグ付き転がり軸受となる利点がある。
【0030】
緩衝体を所定の種類のゴム状弾性材を採用することにより、潤滑油に接する環境や被加熱の環境でも耐油性および耐熱性を発揮して長期安定した情報発信および受信機能を確実に発揮されるICタグ付き転がり軸受となる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施形態を示すICタグ付き転がり軸受の使用状態の要部拡大断面図
【図2】第1実施形態のICタグの穴への装着状態を示す要部拡大断面図
【図3】図2のIII-III線断面図
【図4】第2実施形態のICタグの穴への装着状態を示す要部拡大断面図
【図5】第3実施形態のICタグの穴への装着状態を示す要部拡大断面図
【図6】第4実施形態のICタグの穴への装着状態を示す要部拡大断面図
【図7】第5実施形態のICタグの穴への装着状態を示す要部拡大断面図
【図8】第1実施形態のICタグの穴への装着方法の説明図
【図9】第1実施形態のICタグの穴への他の装着方法の説明図
【図10】穴に装着されたICタグの送受信状態の説明図
【発明を実施するための形態】
【0032】
この発明の実施形態を以下に添付図面に基づいて説明する。
図1〜3に示すように、第1実施形態は、外輪1と内輪2の間に保持器3で回転自在に保持された円錐ころ等からなる転動体4を介在させた円錐ころ軸受5を、2つ一組にして背面合わせにして配置した軸受装置でのICタグ付き転がり軸受を示している。
それぞれの円錐ころ軸受5の内輪2および外輪1の外側端面の金属面には、それぞれ穴(有底穴)6、7を形成し、この穴6、7内に非接触交信型のICタグ8をゴム状弾性材からなる緩衝体9を介して装着している。
【0033】
このような転がり軸受は、少なくとも外輪1と内輪2は軸受鋼などからなる金属製のものであり、内輪2の外側端面を予圧付与面として減速機などの被装着物における軸受押え部品10に圧接し、図中矢印方向からの予圧で内輪2を非回転状態で静止させている。また、回転するハウジング11には外輪1の端面1aを対向させて挟圧状態に保持し、ハウジング11と外輪1は一体に回転させるようにしている。また、予圧の付与されていない外輪1の端面1bにも穴7を形成し、その内部にICタグ8を上記同様に保持させている。
【0034】
図2に示すように、転がり軸受のICタグ8の穴6の開口部側は、ICタグ8を覆うようにゴム状弾性材からなる緩衝体9を蓋状に設けて封止状態にしている。
【0035】
このような緩衝体9に用いられるゴム状弾性材は、転がり軸受を潤滑油での潤滑および加熱状態で使用する場合に、例えば耐油性に優れたフッ素ゴム(FKM)、シリコーンゴム(VQM)、フルオロシリコーンゴム、ニトリルゴム(NBR)または水素化ニトリルゴム(HNBR)などを用いることが好ましい。
【0036】
その他に使用可能な周知のゴム状弾性材としては、周知のゴムまたは弾性樹脂のいずれであってもよく、例えばEVA樹脂(エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂)、ブチルゴム、多硫化ゴム等を挙げることができる。さらにまた熱可塑性エラストマーを用いても良く、スチレン−ブタジエン系、ポリエステル系、ポリエチレン系、塩化ビニル系などの熱可塑性エラストマーを用いることができる。
【0037】
このようなゴム状弾性材の好ましい弾性率は、例えば23℃における1MPa〜10MPa程度、好ましくは1MPa〜5MPa程度であることが、この発明における適切な緩衝性を発揮させるために充分であって好ましい。
【0038】
非接触型のICタグ8は、穴6、7の中に装着される際、コイル状のアンテナ12(図10参照)の部分を穴6(7)の開口部6a側に向け、メモリー13と処理回路14の部分は底面6b側に近づけて配置されることが、送受信を良好に行なうために好ましい。
【0039】
ICタグ8は、その伝送方式が限定されたものではなく、例えば電磁波、マイクロ波、光など、周知の伝送方式により電力およびデータのリーダライタ15などへの転送が可能なものを使用できる。
【0040】
図2、3に示すように、ICタグ8は、緩衝体係止用の凹凸部として平目ローレットが外周面に形成された外形状の円柱状であるものを示したが、外形状や凹凸部形状を限定するものではなく、ICタグ8と緩衝体9との接触面積の増加などにより、または凹凸形状による物理的な係止作用によって緩衝体9と充分に一体化されたものであれば良い。
【0041】
凹凸部は、上記した平目ローレットばかりでなく、綾目ローレット(図示せず)であってもよく、平目ローレットは回転方向に滑り難く、綾目ローレットは回転方向と軸方向の両方に対して滑り難くなる。
【0042】
また、図4に示す第2実施形態のように、凹凸部が、ICタグ8の要所に形成されたフランジ16であってもよく、また図5に示す第3実施形態のように周溝17であってもよく、いずれも上記同様にICタグ8が緩衝体9と充分に一体化されて、穴6から確実に抜け止めされる。
【0043】
前記したフランジ16や周溝17は、図示したようにICタグ8の一端や中ほどに形成されたものだけではなく、ICタグ8の軸方向に間隔を空けて複数形成したものであってもよく、それらの場合には抜け止め機能をより高めることができる。
【0044】
図6に示す第4実施形態のように、穴6が、その底部に接着剤を溜める凹部18を形成したものとしてもよく、凹部に溜めた接着剤19によって、ICタグ8は穴6に対してより高い接着強度で固定できる。
【0045】
図示した凹部18は、円錐状(すり鉢型)のものを示しているが、その形状および大きさは、ICタグ8の端面より小さな面積で開口する周知の凹型形状であれば特に限定されるものではない。
【0046】
また、穴6は、その形状を特に限定されるものではなく、ICタグを装入可能な大きさを有し、特に全長を収めて、開口部側にICタグを覆う緩衝体9を緩衝に充分な所要厚みの層状に設ける所要深さに形成されることが好ましい。前記層状の緩衝体9の所要の厚みとしては、1〜3mm程度を例示することができる。
【0047】
例えば図7に示す第5実施形態のように、穴20が、周壁にねじ面20aを形成したものであってもよい。穴20の周壁にねじ面20aを形成したICタグ付き転がり軸受では、ICタグ8を緩衝体9と一体にねじ込み固定して取り付けが容易であり、またねじ込み量の増減によるICタグ8の感度調整も容易である。
【0048】
図8、9に示すように、例えば第1実施形態のICタグ8を、緩衝体9を介して穴6へ装着する方法としては、以下の方法を例示できる。
すなわち、図8に示すように、ICタグ8を穴6の底面6bのほぼ中央に挿入し、穴壁との隙間およびICタグ8を覆うように流動性のあるゴム状弾性材を充填する。そして、加熱等により加硫(架橋)を進めることにより硬化させ、いわゆる複合成形をすることにより緩衝体9とICタグ8を一体化させ、穴6に対しても固定させる。
【0049】
図示したICタグ8は、外側に平目ローレットを形成したものを示したが、前記した種々の凹凸形状や接着性や係合力の向上のための粗面化やねじ面を必要に応じて採用することができる。なお、粗面化処理は、アンカー効果が発揮されるように、成形面の粗さの調整やそのような面の加圧成形、ショットブラスト、エッチングなどの周知な粗面化処理によって行なうことができる。
【0050】
また、図9に示すように、ICタグ8は、予め成形されたゴム状弾性材からなる緩衝体9とを接着により一体化しておき、これを穴6に挿入して抜け止めされるように接着などにより固定してもよい。接着は、加硫による接着、接着剤の塗布による接着のいずれであってもよい。
【0051】
ICタグ付の緩衝体9を穴6から抜け止めする手法としては、圧縮した緩衝体9の反発弾性力によって穴6に係合するよう装着してもよい。
【0052】
なお、緩衝体9の反発弾性力によって穴6に係合する場合には、緩衝体9を予め穴6の径よりも所定率だけ大径になる所定寸法に成形したものを採用することが、安定した品質のICタグ付き転がり軸受であるために好ましい。
【0053】
このように構成されたICタグ付き転がり軸受は、メンテナンスを行なうときなどに転がり軸受を被装着物から完全に取り外す必要はなく、少なくとも予圧付与のために転がり軸受を押圧している軸受押え部品10が電磁波等を吸収または反射する素材で形成されている金属製である場合には、そのような部品を取り除くなどにより、緩衝体の上からICタグに記憶されている情報をリーダライタなどで読み取り、さらに必要に応じて情報を書き換えすれば、現状の把握と保守管理に役立てることができる。
【0054】
このようなICタグ付き転がり軸受は、外輪1や内輪2が予圧付与面などであって表面に外力が加えられても、また振動や衝撃を受けた場合にも、そのような外力による歪や衝撃や振動は、ゴム状弾性材からなる緩衝体9に吸収される。
【0055】
その際、外力による歪や衝撃や振動は、ICタグ8には直接伝わることなく減衰されて伝わるか、または伝わらないので、ICタグ付き転がり軸受には長期安定した情報発信機能および受信機能が備わったものになる。
【符号の説明】
【0056】
1 外輪
1a 端面
2 内輪
3 保持器
4 転動体
5 円錐ころ軸受
6、7、20 穴
6a 開口部
6b 底面
8 ICタグ
9 緩衝体
10 軸受押え部品
11 ハウジング
12 アンテナ
13 メモリー
14 処理回路
15 リーダライタ
16 フランジ
17 周溝
18 凹部
19 接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転がり軸受の外輪もしくは内輪または両輪の表面に形成した穴内に、非接触交信型のICタグをゴム状弾性材からなる緩衝体を介して保持してなるICタグ付き転がり軸受。
【請求項2】
上記穴の開口部側に、ICタグを覆うようにゴム状弾性材からなる緩衝体を設けた請求項1に記載のICタグ付き転がり軸受。
【請求項3】
上記ゴム状弾性材が、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、ニトリルゴムまたは水素化ニトリルゴムである請求項1または2に記載のICタグ付き転がり軸受。
【請求項4】
上記穴を形成した外輪もしくは内輪または両輪の表面が、転がり軸受を被装着物に固定するための予圧付与面である請求項1〜3のいずれかに記載のICタグ付き転がり軸受。
【請求項5】
上記穴が、粗面またはねじ面を有する穴である請求項1〜4のいずれかに記載のICタグ付き転がり軸受。
【請求項6】
上記穴が、底部に接着剤を溜める凹部を形成した穴である請求項1〜5のいずれかに記載のICタグ付き転がり軸受。
【請求項7】
上記ICタグが、外側に緩衝体係止用の凹凸部を有するものである請求項1〜6のいずれかに記載のICタグ付き転がり軸受。
【請求項8】
上記凹凸部が、平目ローレットまたは綾目ローレットである請求項7に記載のICタグ付き転がり軸受。
【請求項9】
上記凹凸部が、1以上のフランジまたは周溝である請求項7に記載のICタグ付き転がり軸受。
【請求項10】
上記ICタグが、成形されたゴム状弾性材からなる緩衝体と加硫または接着により一体化されたものである請求項1〜9のいずれかに記載のICタグ付き転がり軸受。
【請求項11】
上記ICタグが、穴内に挿入されると共にゴム状弾性材を前記穴に充填することにより緩衝体を介して前記穴内に保持されている請求項1〜9のいずれかに記載のICタグ付き転がり軸受。
【請求項12】
上記ICタグが、圧縮した緩衝体の反発弾性力によって穴に係合して保持されている請求項1〜11のいずれかに記載のICタグ付き転がり軸受。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−197855(P2012−197855A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62243(P2011−62243)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】