説明

ICタグ発行管理システムおよび方法

【課題】ICタグのIDとして使用され、回収されないIDも再利用する。
【解決手段】IDとそのIDの「使用中」又は「空き」を表すステータスを対応付けて格納するID採番DBと、ID、そのIDの再利用の履歴を示す履歴番号、及び履歴番号が示すIDの使用の開始日時と終了日時を対応付けた使用履歴を格納するID履歴DBとを有する。ICタグに書き込むIDの採番要求に応答して、未だICタグに割当てたことがない未採番のIDがなく、ID採番DBのステータスが「空き」であるIDがない場合に、ID履歴DBの終了日時が格納されていない使用履歴の開始日時からの経過時間が、予め定めた再利用不可期間を超えている使用履歴のIDをICタグに書き込むIDとして採番し、採番したIDをタグプリンタを用いてICタグに書き込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触IC(Integrated Circuit)タグ(以下、ICタグと記す。)発行管理システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な分野へのICタグの適用が拡大している。特に物流分野では、リターナブル容器や貨物にICタグを貼付することで、それらの管理やトレーサビリティを実現している。ただし、貼付対象物が多量にある場合、ICタグに書き込むためのID(Identifier)が枯渇する可能性がある。実際、EPCglobalが定める「SSCC-96」というコード体系ではSerial Referenceが最小の場合で18ビットであり(非特許文献1)、この場合一企業で約27万件以上の対象物を扱おうとした場合にはSerial Reference、つまりIDが不足する。Serial Referenceが上記桁数以上の場合においても、貨物輸送を受け付ける度に新しいSerial Referenceを採番する(割当てる)と、いずれ枯渇することになる。
【0003】
このような課題に対し、特許文献1に記載の技術では、ICタグを貼付した対象物を廃棄する際にICタグを読み取り、そのICタグのIDを再利用可能IDのデータベースで管理する。これにより、ICタグを貼付する他の対象物への再利用可能IDの提供を可能とし、IDの枯渇を防ぐ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-39696号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】"EPCglobal Tag Data Standards Version 1.4", EPCglobal Ratified on June 11, 2008, pp.36
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の技術は、ICタグを貼付した対象物が廃棄され、ICタグは回収されることを前提にしたICタグのIDを再利用であるので、ICタグが回収されない場合について考慮されていない。したがって、回収されないICタグのIDは有効に利用できない。
【0007】
また、上記特許文献1に記載の技術は、回収したIDを再利用可能IDのデータベースで管理するが、回収前のIDに対応して発生したイベント情報(例えばICタグを読み取って出荷検品等を行った、等)の管理は考慮されていない。そのため、例えば貨物AにICタグを貼付し、配送先に届けた後にそのICタグのIDを再利用して別の貨物Bに同じIDを割当てた場合、ICタグが貨物Aに貼付されていたときに発生したイベント情報と貨物Bに貼付されているときに発生したイベント情報とを区別できない。したがって、ICタグが貨物Aに貼付されていたときの状況確認のためにイベント情報を参照すると、貨物Aとは無関係の貨物Bに貼付されているときのイベント情報も同時に提供されてしまうこともある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のICタグ発行管理システムおよび方法は次のような態様を持つ。IDを採番、すなわち、ICタグへIDを書き込む場合、当該採番において、採番候補となるIDについて、その採番状況、履歴に応じて、再採番を行うかを判定するものである。その一形態として、以下の構成が含まれる。
【0009】
IDとそのIDの「使用中」又は「空き」を表すステータスを対応付けて格納するID採番DBと、ID、そのIDの再利用の履歴を示す履歴番号、及び履歴番号が示すIDの使用の開始日時と終了日時を対応付けた使用履歴を格納するID履歴DBとを有し、ICタグに書き込むIDの採番要求に応答して、未だICタグに割当てたことがない未採番のIDがなく(もしくは、各IDが採番されていることを示す)、ID採番DBのステータスが「空き」であるIDがない場合に(もしくは各IDが「使用中」を示す場合)、ID履歴DBの終了日時が格納されていない使用履歴の開始日時からの経過時間が、予め定めた再利用不可期間を超えている使用履歴のIDを、ICタグに書き込むIDとして採番し、採番したIDをタグプリンタを用いてICタグに書き込む。
【0010】
本発明の他の態様は、未採番のIDがある場合は、未採番のIDをICタグに書き込むIDとして採番する。
【0011】
本発明のさらに他の態様は、ICタグ発行管理システムを、ID採番DB、ID履歴DB、および前述の処理を実行するID管理サーバと、ICタグに書き込むIDの採番要求を発行し、タグプリンタを接続するタグ発行端末と含む構成とする。
【0012】
本発明のさらに他の態様は、ID採番DBは、IDの使用の終了を通知したタグ発行端末を示す端末番号をIDに対応付けて格納し、未採番のIDがなく、ID採番DBのステータスが「空き」であるIDがある場合に、「空き」であるIDに対応して格納されている端末番号が採番要求を発行したタグ発行端末を示すとき、ID採番DBに格納されている端末番号に対応するIDをICタグに書き込むIDとして採番する。
【0013】
本発明のさらに他の態様は、ID採番DBは、採番されたIDのICタグへのタグ発行端末による書き込みがキャンセルされたことを示す優先度「高」をIDに対応付けて格納し、未採番のIDがなく、ID採番DBのステータスが「空き」であるIDがある場合に、「空き」であるIDに対応して格納されている優先度「高」に対応するIDをICタグに書き込むIDとして採番する。
【0014】
本発明のさらに他の態様は、ID管理サーバは、ID管理サーバに向けて参照要求メッセージを発行する情報参照端末と接続し、IDが書き込まれたICタグの使用に伴う対象イベントを示すイベント情報とイベントの発生日時とをIDに対応付けて格納するトレース情報DBを設け、ID管理サーバは、参照要求メッセージに含まれる、ICタグを使用する対象の属性情報を基にIDと履歴番号とを特定し、特定したIDと履歴番号の使用履歴の開始日時をID履歴DBから取得し、発生日時が、取得した開始日時以降の日時を示すイベント情報をトレース情報DBから検索し、検索したイベント情報をイベントの発生日時でソートして参照要求メッセージを送信した情報参照端末に送信する。
【0015】
その他、本願が開示する課題およびその解決手段は、発明を実施するための形態の欄および図面により明らかになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ICタグのIDとして使用完了したにもかかわらず、回収されないIDや実際にはICタグとして発行されなかったIDを再利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】ICタグ発行管理システムの構成図である。
【図2】ID採番DBの構成例である。
【図3】ID履歴DBの構成例である。
【図4】トレース情報DBの構成例である。
【図5】IDステータスファイルの構成例である。
【図6】ICタグ発行管理システムの動作概要である。
【図7】端末番号優先選択処理のフローチャートである。
【図8】優先度選択処理のフローチャートである。
【図9】再利用ID収集処理のフローチャートである。
【図10】ID再利用処理のフローチャートである。
【図11】タグ発行処理のフローチャートである。
【図12】イベント情報参照処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態について説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態のICタグ発行管理システムを、物流貨物管理へ適用した構成図を表す。
【0020】
図1のICタグ発行管理システムは、物流貨物管理の本部やデータセンタに設置されるID管理サーバ1、貨物取扱拠点に設置される一つまたは複数のタグ発行端末2を有する。ID管理サーバ1とタグ発行端末2とは、インターネット等の有線または無線のネットワークで接続される。
【0021】
ID管理サーバ1とタグ発行端末2との各々は、後述する処理に用いる、RAM(Random Access Memory)などのメモリ17、27と、その処理を実行する演算処理装置(CPU:Central Processing Unit)12、24と、通信のためのネットワークインタフェース11,21とを少なくとも備えるコンピュータとして構成される。各処理は、CPU12、24が、メモリ17、27に格納されたプログラムを実行することで実現される。
【0022】
ID管理サーバ1は、ICタグ4の個体識別のためのID(Identifier:識別子)を管理する。ID管理サーバ1による処理の詳細は後述する。
【0023】
タグ発行端末2は貨物に貼付するICタグ4を発行するタグプリンタ3を制御する端末である。ICタグ4を発行するとは、割当てたIDをICタグ4に書き込むことである。タグプリンタ3は、IDが書き込まれていないICタグ4に、タグ発行端末2から指定された(割当てられた)IDを書き込む。タグ発行端末2の処理の詳細は後述する。
【0024】
ICタグ4は、発行時に割当てられたIDが書き込まれる。貨物取扱拠点で配送を受付けた貨物ごとに、異なるIDのICタグ4が貼付される。これにより、ICタグ4をリーダ(ICタグリーダ)で読取ることで貨物の一つ一つが識別される。貨物が所定の配送先へ配送されたら、ICタグ4は貨物から取り外される。その際に取り外されたICタグ4に書き込まれているIDの使用を明示的に終了させる(ID管理サーバ1へ使用終了を通知する)ことで、そのIDを再び利用し、他のICタグ4の発行時に書き込む。
【0025】
なお、ID管理サーバ1とタグ発行端末2とは、同一の装置であってもよいし、さらに他のサーバや端末を用いて、以下に説明する処理を分担して実行しても良い。例えば、ID管理サーバ1と相互に情報参照・取得が可能なトレース情報管理サーバをID管理サーバ1に接続し、トレース情報DB15とトレース情報にかかわる処理をこのトレース情報管理サーバが実行してもよい。、ID管理サーバ1には、ID管理サーバ1が保持する情報を参照する際に用いる端末(情報参照端末)などもネットワークを介して接続する。
【0026】
ICタグ発行管理システムが用いる各DB(データベース)を説明する。
【0027】
図2に、採番済(割当て済み。「割当て」の意味で「採番(IDを示す番号を採ること)」を使用する。)のIDを管理するID採番DB13の構成例を示す。ID採番DB13は、一つのレコード(図2の行)が一つのIDに関する情報を表し、採番したID131、そのIDのステータス132、そのIDが使用済みになり、使用済みIDを回収したタグ発行端末2を識別するための端末番号133、ID採番の優先順位を表す優先度134などを保持する。
【0028】
ID採番DB13のレコードは、IDの採番に応じて登録され、そのIDまたはそのIDが書き込まれたICタグ4の状態変化に伴って、ステータス132が変更される。本実施形態では、ステータス132は、「使用中」、「空き」及び「タグ故障」のいずれかである。「使用中」は、そのIDが書き込まれたICタグ4が発行され、使用されている状態を示す。「空き」は、そのIDが書き込まれたICタグが使用済みとして回収され、そのIDが新たに採番されていない状態(再利用されていない状態)や、IDを採番したものの、タグ発行端末2でそのIDのICタグの発行がキャンセルされたり、タグプリンタ3の不調などによりICタグの発行が不可だった場合などのような、採番したIDが使用されていない状態を示す。「タグ故障」は、採番したIDを書き込んだICタグが故障している状態を示す。
【0029】
端末番号133は、タグ発行端末2を識別する番号であり、ICタグ4の発行をキャンセルしたり、ICタグ4の発行が不可だったタグプリンタ3を接続している場合に、そのタグ発行端末2を識別するために用いる。優先度134はID採番時に優先的に使用されるIDの場合に「高」を保持する。
【0030】
図3に、IDの使用履歴を管理するID履歴DB14の構成例を示す。ID履歴DB14は、1レコードが、あるIDの1つの使用履歴を表す。1つの使用履歴とは、そのIDが採番されてから、そのIDが書き込まれたICタグ4が使用済みとして回収されるまでの履歴である。したがって、ICタグ4が回収され、書き込まれていたIDが新たに使用されると、その新たな使用(再利用)に対応した新たな使用履歴として、ID履歴DB14に新たなレコードを設ける。
【0031】
ID管理サーバ1は、IDの使用履歴を、対象(使用済みまたは使用中)のID141、履歴番号142、開始日時143、終了日時144により管理する。履歴番号142は、ID141の使用回数を表しり、初めて採番されたときに「1」、その使用を終了し、再び採番され使用(再利用)されたときに「2」、というように同じIDが新たに使用される度にインクリメントされる。開始日時143は、そのIDの使用が開始された(採番された)日時を表し、終了日時144はそのIDを書き込んだICタグ4が使用済みとして回収されたときなど、明示的にそのIDの終了が登録された日時を表す。明示的にとは、そのIDがICタグリーダを介して読み取られ、そのIDの使用終了を示す情報とともにID管理サーバ1に入力されることである。
【0032】
図4に、ICタグ4が貼付された貨物に関する入荷や出荷などの業務の実績情報(イベント情報)を管理するトレース情報DB15の構成例を示す。トレース情報DB15は、1レコードが1つのイベントを表し、イベントを生じた貨物のICタグ4のID151、イベントとしての業務内容を表す業務152、その業務が実行された貨物取扱拠点などを表す場所153、そのイベントが発生した日時154などを含む。トレース情報DB15の情報は、業務が実行する場所によっては、タグ発行端末2とは異なる携帯情報端末などを用いて入力され、入力された情報はタグ発行端末2を経由してまたは直接的に、ID管理サーバ1に送られる。ID管理サーバ1は、トレース情報DB15からID151が同一のイベント情報(レコード)を取得し、日時154の順に並べることで、そのID151に対応する貨物に生じたイベントをトレースする。
【0033】
図示を省略するが、ID属性DB16は、IDに対応して、そのIDを書き込んだICタグ4が貼付された貨物の属性情報を保持する。1つのレコードが1つのID及びその履歴番号(ID履歴DB14の履歴番号142)に対応する貨物の属性情報を表し、貨物の属性情報は貨物の種別、荷主、大きさ、重さなどである。貨物の配送の受付時に、IDを書き込んだICタグ4を貨物に貼付し、タグ発行端末2が、貼付したICタグ4から読み込んだIDと、入力した貨物の属性情報とを対応させて、ID管理サーバ1のID属性DB16に登録する。
【0034】
図1の説明に戻り、タグ発行端末2を説明する。タグ発行端末2の入出力部22は、タグ発行端末2を使用するユーザとのインタフェースであり、ユーザからのタグ発行要求やキャンセルの受付、およびユーザの操作、確認のための表示装置の画面へのタグ発行結果の出力等を実行する。
【0035】
プリンタ制御部23は、タグ発行端末2に接続されている一つまたは複数のプリンタ3を制御し、CPU24から受け取ったタグ発行ジョブをプリンタ制御部23が保持するキューに順次格納し、キューからタグ発行ジョブを順次取り出し実行することにより、プリンタ3がICタグ4ヘIDなどを書き込む。このICタグ4ヘのIDの書込みがタグ発行である。
【0036】
プリンタ制御部23は、ユーザからのキャンセル要求を受けたとき、キューから該当するタグ発行ジョブを取り出し、または実行中のタグ発行ジョブの実行を中断し、キャンセルする。該当するタグ発行ジョブとは、IDを特定したキャンセル要求の場合は、特定されたIDに対応するタグ発行ジョブであり、IDが特定されないキャンセル要求の場合は、キューに格納されているタグ発行ジョブと実行中のタグ発行ジョブである。タグ発行ジョブを実行した後、タグプリンタ3からの返値(ICタグ4の発行の成功/失敗)を入力し、CPU24に送る。
【0037】
タグ発行端末2は、入出力部22を通じてユーザが要求したタグ発行枚数のIDの発行をID管理サーバ1へ要求する。タグ発行端末2は、ID管理サーバ1から採番されたIDを取得したら、IDステータスファイル26を作成し、記憶部25に格納する。
【0038】
図5に、タグ発行端末2が記憶部25に格納するIDステータスファイル26の構成例を示す。IDステータスファイル26は、1レコードが1つのIDのステータスを表す。ID管理サーバ1からのIDの取得に応じて、タグ発行端末2は取得したIDのステータスを管理するレコードをIDステータスファイル26に追加する。IDのステータスは、そのID261、そのIDのステータス262、ステータス262が変更された日時263などにより管理される。本実施形態では、ステータス262は、「発行済」、「未発行」、「キャンセル」及び「発行失敗」のいずれかである。「発行済」は、そのID261を書き込んだICタグ4が発行された状態(ICタグ4を貨物に貼付して使用開始しても良い状態、または使用開始した状態)を表す。「未発行」は、ID管理サーバ1からIDを取得したが、タグ発行端末2がタグ発行処理を未実行の状態(ICタグ4にIDを未書き込みの状態)を表す。「キャンセル」は、タグ発行端末2がタグ発行処理の実行を開始したが、タグ発行処理の実行がユーザによりキャンセルされた状態またはタグ発行処理の実行がソフトウェアエラーにより異常終了した状態などの、タグ発行処理の実行が正常に終了しなかった状態(ICタグ4にIDを書き込みを試みたが、書き込めなかった状態)を表す。「発行失敗」は、タグ発行処理の実行に伴い、タグプリンタ3の故障やICタグ4の不良によるにもIDの書き込みの失敗などの、タグプリンタ3またはICタグ4の不調によりICタグ4にIDを書き込めなかった状態(ICタグ4にIDを書き込みを試みたが、ハードウェアとしてのタグプリンタ3またはICタグ4の不調により書き込めなかった状態)を表す。「発行失敗」のときも、タグ発行処理の実行は正常に終了しないが、正常に終了しない原因箇所に応じた優先度処理(後述するIDの優先発行)のためのステータスを管理するために、「キャンセル」とは異なるステータスとして「発行失敗」を設ける。換言すると、「発行失敗」の状態は、「キャンセル」の状態に含まれるが、ステータス管理の上で異なる状態として扱う。ID管理サーバ1からのIDの取得に応じて、レコードをIDステータスファイル26に追加するとき、ステータス262を「未発行」とし、ステータス更新日時263をレコード追加時点の日時とする。
【0039】
タグ発行端末2は、プリンタ制御部23によるタグ発行ジョブの実行結果やユーザからのキャンセルの指示に応じて、IDステータスファイル26のステータス262を変更し、ステータス更新日時263に現在日時(タグ発行端末2が有する、図示しないタイマから読み取った日時)を格納する。ユーザから要求のあったタグ発行枚数全てのIDステータスファイル26に格納されているID261の各々にタグ発行結果が反映されたら(ステータス262の変更及びステータス更新日時263の格納)、直ちに又は所定時間後に、IDステータスファイル26をID管理サーバ1に送信する。ID管理サーバ1への送信に成功したならば、IDステータスファイル26を削除する。
【0040】
図6に、ICタグ発行管理システムのID管理サーバ1とタグ発行端末2とが協働して、ICタグ4を発行する動作の概要を示す。
【0041】
タグ発行端末2は、ICタグ4の枚数を指定したタグ発行要求を入出力部22を介してユーザから受け、ICタグ4の発行枚数分のID採番(ID割当て)のリクエストメッセージ(ID採番要求)をID管理サーバ1に送信する。このリクエストメッセージは、発行枚数(採番するID数)の他に、タグ発行端末2を特定する端末番号などを含む(S001)。
【0042】
ID管理サーバ1は、タグ発行端末2からのリクエストメッセージを受信し、ID採番DB13のID131を参照し、登録されていないIDを採番し、そのIDを、新規に採番したIDであることを示す情報(たとえば、「0」)と共に、メモリ17上の図示しないワークエリア(記憶領域)のテーブルに格納し、ID採番DB13に登録する。ID採番DB13への登録の処理は、ID採番DB13に新規にレコードを設け、そのレコードのID131に採番したIDを格納し、ステータス132を「使用中」とする(S002)。ID管理サーバ1は、このIDの採番、採番したIDのワークエリアのテーブルへの格納、及びID採番DB13への登録の処理を、受信したリクエストメッセージに含まれる発行枚数分、繰り返す。ワークエリアのテーブルには、採番したIDの一覧表が作成される。
【0043】
S002の繰返し処理中に、新規に採番できるIDが無くなることがある。発行枚数分のIDの採番が完了し場合はS005の処理へ移る。新規に採番できるIDが無くなった場合はS004の処理へ移る(S003)。
【0044】
新規に採番できるIDが無くなった場合、ID管理サーバ1は、後述する再利用ID取得処理を実行する。再利用ID取得処理により、再利用するIDを決定し、そのIDを、再利用するIDであることを示す情報(たとえば、「1」)と共にワークエリアのテーブルに格納し、ID採番DB13を更新する。ID採番DB13の更新の処理は、ID採番DB13のID131が再利用するIDであるレコードのステータス132を「使用中」とする(S004)。ID管理サーバ1は、再利用するIDの決定、決定したIDのワークエリアのテーブルへの格納、及びID採番DB13の更新の処理を、S002の処理で不足したIDの数 ((不足ID数)=(受信したリクエストメッセージに含まれるICタグ4の発行枚数)−(S002の処理で、新規に採番したIDの数)分、実行する。ワークエリアのテーブルには、新規に採番したIDと再利用するIDとの一覧表が作成される。
【0045】
ID管理サーバ1は、ワークエリアのテーブルに格納されている新規に採番したID及び再利用するIDの履歴情報をID履歴DB14に登録する。新規に採番したIDであることを示す情報(たとえば、「0」)と共にワークエリアのテーブルに格納されているIDのID履歴DB14への登録は、ID履歴DB14のテーブルに新たなレコードを設け、そのレコードのID141に新規に採番したIDを格納し、履歴番号142に「1」を格納し、開始日時143に現在日時(ID管理サーバ1が有する、図示しないタイマから読み取った日時)を格納する。再利用するIDであることを示す情報(たとえば、「1」)と共にワークエリアのテーブルに格納されているIDのID履歴DB14への登録は、ID履歴DB14のテーブルに新たなレコードを設け、そのレコードのID141に再利用するIDを格納し、再利用するIDをキーにしてID履歴DB14のID141を参照し、該当するID141の最新の履歴番号142を取得し、取得した履歴番号をインクリメントして、新たに設けたレコードの履歴番号142に格納し、開始日時143に現在日時を格納する(S005)。
【0046】
ワークエリアのテーブルに一覧表として格納されているIDを応答メッセージとして、リクエストメッセージを送信した端末番号のタグ発行端末2に送信する(S006)。
【0047】
後述するように、再利用ID取得処理を実行しても、リクエストメッセージ(ID採番要求)に含まれるICタグ4の発行枚数のIDを取得できない場合がある。その場合は、後述する再利用ID取得処理中に作成される返信メッセージを応答メッセージに含む。
【0048】
タグ発行端末2は、ID管理サーバ1からの応答メッセージを受信し、IDステータスファイル26を作成する。IDステータスファイル26は、リクエストメッセージに含んだ発行枚数分のレコード数を持つファイルとして予め作成しておいても良い。応答メッセージに含まれるIDを、IDステータスファイル26のID261に格納し、そのIDのステータス262を「未発行」とし、日時263に現在日時(タグ発行端末2が有する、図示しないタイマから読み取った日時)を格納する(S007)。タグ発行端末2は応答メッセージに含まれるIDのすべて(要求したICタグ4の発行枚数に相当)に関してS007の処理を実行する。ただし、返信メッセージにより、要求したICタグ4の発行枚数に相当するIDを取得できない場合は、その旨を入出力部22を介してユーザに通知する。
【0049】
タグ発行端末2は、IDステータスファイル26に格納してあるID261をICタグ4に書き込むタグ発行処理を実行する。タグ発行処理は前述のとおりである。タグ発行処理の実行結果として、書き込んだIDのステータスがIDステータスファイル26のステータス262に格納される(S008)。
【0050】
S008の処理の実行直後または所定時間後に、タグ発行端末2はIDステータスファイル26を、タグ発行端末2の端末番号と共にID管理サーバ1に送信する(S009)。
【0051】
ID管理サーバ1は、タグ発行端末2から送信されたIDステータスファイル26を受信し、IDステータスファイル26に格納されているID261のステータス262を、ID採番DB13の該当するID131のステータス132に反映する。本実施形態では、IDステータスファイル26のステータス262が「発行済」のIDに関しては、ID採番DB13のステータス132を「使用中」のままとし、IDステータスファイル26のステータス262が「未発行」、「キャンセル」、及び「発行失敗」のいずれかのIDに関してはID採番DB13のステータス132を「空き」に変更する(S010)。
【0052】
ID優先発行ポリシーの設定情報に基づき、IDの優先発行に関する情報(優先順位)をID採番DB13に登録する。本実施形態では、「発行失敗」のIDを、ハードウェアとしてのタグプリンタ3またはICタグ4の不調により書き込めなかったタグ発行端末2が新たにICタグ4を発行する際に優先的に採番するという設定情報に基づき、端末番号133にタグ発行端末2の端末番号を登録する。また、設定情報に基づき、「キャンセル」のIDは、ICタグ4の発行処理がハードウェアの不調以外の要因により実行されなかったので、他のタグ発行端末2でも優先的に利用できるよう優先度134として「高」を登録する。これらの設定情報はID優先発行ポリシーに基づくので、このポリシーの変更により優先順位を変更できる。ID管理サーバ1は、IDステータスファイル26の送信元の(端末番号により特定する)タグ発行端末2に、ID採番DB13のステータス132の更新完了の通知メッセージを送信する(S011)。
【0053】
タグ発行端末2は、ID管理サーバ1からの通知メッセージを受信し、ID採番DB13のステータス132が更新されたことを確認し、IDステータスファイル26を削除する(S012)。
【0054】
なお、分かり易くするために、S002の処理によるIDの新規採番の処理とS004の処理による再利用ID取得処理とを分けて処理するように説明したが、ICタグ発行管理システムの運用開始時に初期状態として採番可能な全てのIDをID採番DB13のID131に格納し、そのステータス132を「空き」としておくことにより、S002及びS003の処理を省略したID管理サーバ1の処理としても良い。
【0055】
再利用ID取得処理の詳細を説明する。再利用ID取得処理の実行は、端末番号優先選択処理、優先度選択処理および再利用ID収集処理を選択的に実行する。本実施形態では各処理の選択的実行を、端末番号優先選択処理によってIDを選択し、それでもIDが要求数に足りない場合は優先度選択処理によりさらにIDを選択し、さらにそれでもIDが要求数に足りない場合は再利用ID収集処理により再利用するIDを選択する。これらの処理の選択順序は、ID優先選択ポリシーとして事前に設定する。
【0056】
図7に、端末番号優先選択処理のフローチャートを示す。ID採番要求に含まれるタグ発行端末2の端末番号を取得する(S021)。不足ID数分、S027までの処理を繰り返す(S022)。
【0057】
取得したタグ発行端末2の端末番号133であり、かつステータス132が「空き」のレコードをID採番DB13から検索する(S023)。該当するレコードがない場合、S022からS027までの繰り返し処理を抜け、S028の優先度選択処理へ移る(S024)。
【0058】
該当するレコードがある場合、そのレコードのID131を、再利用するIDであることを示す情報(たとえば、「1」)と共にワークエリア(記憶領域)のテーブルに格納し、そのレコードのステータス132を「使用中」に変更し(S025)、不足ID数をデクリメントする(S026)。以上の処理を不足ID数が0になるまで実行する(S027)。不足ID数が0になったならば、図6のS005の処理へ移る。
【0059】
図8に、優先度選択処理のフローチャートを示す。不足ID数分、S036までの処理を繰り返す(S031)。ID採番DB13から優先度134が「高」で、ステータス132が「空き」のレコードを検索する(S032)。該当するレコードがない場合、S031からS036までの繰り返し処理を抜け、S037の処理へ移る(S033)。
【0060】
該当するレコードがある場合、そのレコードのID131を、再利用するIDであることを示す情報(たとえば、「1」)と共にワークエリアのテーブルに格納し、そのレコードのステータス132を「使用中」に変更し、そのレコードの優先度134の「高」を消去する(S034)。不足ID数をデクリメントする(S035)。以上の処理を不足ID数が0になるまで実行する(S036)。不足ID数が0になったならば、図6のS005の処理へ移る。
【0061】
S033の判定において該当するレコードがない場合、すなわちIDが不足している場合、以下のように、端末番号133および優先度134に関係なく、ステータス132が「空き」のレコードをID採番DB13から不足ID分、取得する。
【0062】
不足ID数分、S042までの処理を繰り返す(S037)。ID採番DB13からステータス132が「空き」のレコードを検索する(S038)。該当するレコードがない場合、S037からS042までの繰り返し処理を抜け、S043の再利用ID収集処理へ移る(S039)。
【0063】
該当するレコードがある場合、そのレコードのID131を、再利用するIDであることを示す情報(たとえば、「1」)と共にワークエリアのテーブルに格納し、そのレコードのステータス132を「使用中」に変更し(S040)、不足ID数をデクリメントする(S041)。以上の処理を不足ID数が0になるまで実行する(S042)。不足ID数が0になったならば、図6のS005の処理へ移る。
【0064】
図9に、再利用ID収集処理のフローチャートを示す。
【0065】
あらかじめ設定した「再利用不可期間」を取得する。再利用不可期間とは、IDが最後に使用開始された日時から、その再利用不可期間を経過して使用中であるIDを強制的に再利用可能とする(S051)。後述するように、IDの利用の終了に応じて、そのIDを再利用可能な状態にすることをユーザが指示するので、IDの利用を終了したにもかかわらず、ユーザからの指示が入力されない場合に、「再利用不可期間」の設定により、利用を終了したIDの再利用が可能になる。「再利用不可期間」は、たとえば物流貨物管理において貨物の受付から配送完了まで最長でも3日である場合に、マージンを考慮して4日に設定しておく。
【0066】
要求ID数に対し不足しているID数分だけS058までの処理を繰り返す(S052)。ID採番DB13のテーブルのステータス132が「使用中」であり、トレース情報DB15に最後に登録されたレコード(同じIDに関するレコードの中の最新レコード)の日時154が最も古いレコードを検索する(S053)。取得したレコードの日時154と現在の日時との時間間隔を、「再利用不可期間」と比較し、時間間隔が再利用不可期間以下の場合、再利用可能なIDがないので、繰り返し処理を抜けてS0059の処理へ移る(S054)。
【0067】
時間間隔が再利用不可期間を超えている場合、対応するID151は再利用可能なIDとしてS055のID再利用処理を実行する(S055)。ID再利用処理については、後述する。
【0068】
ID再利用処理の実行後、ID採番DB13の該当ID131を、再利用するIDであることを示す情報(たとえば、「1」)と共にワークエリアのテーブルに格納し、そのレコードのステータス132を「使用中」に変更し(S056)、不足ID数をデクリメントする(S057)。以上の処理を不足ID数が0になるまで実行する(S058)。不足ID数が0になったならば、図6のS005の処理へ移る。
【0069】
不足ID数が0にならない(リクエストメッセージ(ID採番要求)に含まれるICタグ4の発行枚数分のIDを取得できない)場合、要求されたID数に対して不足ID数を含む取得不可を示す返信メッセージを作成し(S059)、図6のS005の処理へ移る。この返信メッセージは、一覧表としてワークエリアに格納されている取得できたIDと共に、図6のS006の処理によりタグ発行端末2に送信される応答メッセージに含まれる。
【0070】
なお、再利用不可期間内のIDは再利用できないとし、不足分のIDは取得できないとしたが、再利用不可期間を設定せず、トレース情報DB15に格納された最新のイベント情報が古い順に不足分のIDを選択して、再利用の可否をユーザに確認した上で、再利用してもよい。
【0071】
図10に、ID再利用処理のフローチャートを示す。このID再利用処理は、IDを再利用可能なように開放する(空き状態にする)処理であるので、再利用ID収集処理中に実行される以外に、ユーザがIDの利用を終了し、そのIDを再利用可能な状態にすることをユーザから指示された際にも実行される。例えば、貨物を配送先に配送完了し、ICタグ4を配送した貨物から取り外し、そこに書き込まれていたIDを別のタグでも使えるようにする場合などに、このID再利用処理が実行される。
【0072】
ID再利用処理の対象となるIDを取得する。ID再利用処理が再利用ID収集処理中に実行される場合はS053の処理で取得されたIDであり、ID再利用処理がユーザからの指示に応じて実行される場合はタグ発行端末2から送信されるIDである。(S101)。
【0073】
取得したIDについて、ID履歴DB14の該当するID141レコードの終了日時144に現在日時(ID管理サーバ1が有する、図示しないタイマから読み取った日時)を格納する。該当するID141のレコードが複数ある場合、履歴番号142が最大で終了日時144が格納されていないレコードが、現在日時を格納する対象のレコードである(S102)。
【0074】
取得したIDについて、ID採番DB13の該当するレコードのステータス132を「使用中」から「空き」に変更する(S103)。以上のID再利用処理により、使用中であったIDが再利用可能な状態となる。
【0075】
以上のように、再利用ID取得処理としての端末番号優先選択処理、優先度選択処理、再利用ID収集処理の実行により、再利用するIDを取得し、新規のIDの採番で不足した数のIDを補う。これらの処理の実行順序は変更してもよい。また、端末番号や優先度ではでなく他の基準に従って再利用IDを選択してもよい。
【0076】
図11に、タグ発行端末2のタグ発行処理のフローチャートを示す。タグ発行処理は図6の処理S008である。
【0077】
取得したIDのそれぞれについて、S208までの処理を繰り返す(S201)。
取得したIDを基にタグ発行ジョブを生成し、プリンタ制御部23で実行させる(S202)。プリンタ制御部23は、タグ発行ジョブをキューにエンキューし、順次タグプリンタ3にタグ発行を実行させる。
【0078】
タグ発行ジョブが実行中、またはキューイングされている間に、タグ発行ジョブのキャンセルが入出力部22を通じてユーザから指示された場合(S203)、実行中のタグ発行ジョブの実行をキャンセルし、キューイングされているタグ発行ジョブをデキューして、キャンセル又はデキューしたタグ発行ジョブに対応する、IDステータスファイル26のID261のステータス262を「キャンセル」に変更し、S208の処理へ移る(S204)。
【0079】
キャンセルの指示が入力されない限り、プリンタ制御部23でタグ発行ジョブが実行されると、タグプリンタ3がタグ発行(該当するIDのICタグ4への書き込み)を実行する。ICタグ4へのIDの書き込みがタグプリンタ3によって正常終了したならば(S205)、IDステータスファイル26の該当するID261のステータス262を「発行済」に変更し、S208の処理へ移る(S206)。異常終了した場合は、IDステータスファイル26の該当するID261のステータス262を「発行失敗」に変更し、S208の処理へ移る(S207)。
【0080】
以上の処理を取得したID数分実行する(S208)
以上では発行失敗した場合のリトライ処理について説明していないが、リトライ処理によりタグ発行が正常終了した場合はステータス262を「発行済」とする。
【0081】
以上の再利用ID取得処理、ID再利用処理およびタグ発行処理により、使用完了したIDを再利用することで、その数が有限のIDを効率よく使用し、IDの枯渇を防ぐことが可能になる。また、実際にタグが発行されたか否かの情報を収集し、保持することで、IDを採番したもののユーザのキャンセルやプリンタ障害によりICタグが発行されなかったIDを再利用することが可能になる。IDの再利用の際に、再利用が可能となった状況に応じて優先順位を設定することで、再利用時に優先して再利用するIDを選択することが可能になる。再利用可能な状態にあるIDが存在しない場合、読取や実績の登録が長期間なされていないIDについて、事実上使用されていないIDとみなし再利用可能とすることで、再利用できるIDが不足している場合にもIDを使用することが可能となる。
【0082】
次に、ID管理サーバ1のトレース情報DB15が保持するイベント情報を、図示しない情報参照端末により参照する場合のICタグ発行管理システムのイベント情報参照処理について説明する。この処理は、例えば貨物の荷主が配送を依頼した貨物が、今どの工程にあるのか、正しく配送されたかを確認する際に実行される。図12に、ICタグ発行管理システムのイベント情報参照処理のフローチャートを示す。
【0083】
ID管理サーバ1は情報参照端末のブラウザ等からイベント情報の参照要求メッセージを受信する(S301)。この参照要求メッセージは、ICタグ4のに格納されているIDの他、ID属性DB16に保持される属性情報(荷主情報、貨物の品目、受付日、配送予定日などの貨物情報)などを含んでいる。
【0084】
参照要求メッセージに含まれるIDを取得する。参照要求メッセージ中にIDが含まれない場合は、参照要求メッセージ中に含まれる属性情報を基にID属性DB16を検索し、該当するIDと使用履歴を示す履歴番号142を取得する。取得したIDと履歴番号142を基にID履歴DB14を検索し、取得したIDの使用履歴を示す履歴番号142に対応する開始日時143を取得する(S302)。履歴番号142は、一般に最新の使用履歴を示すものが特定されるが、参照要求メッセージ中に含まれる属性情報によっては、使用完了した過去のIDの使用履歴を示すものが特定されることもある。
【0085】
取得したIDとその開始日時143を基にトレース情報DB15を検索し、開始日時143以降の取得したIDに関するイベント情報を取得する。取得したイベント情報をイベントの発生日時154でソートして参照要求メッセージを送信した情報参照端末に送信する(S303)。
【0086】
なお、ID属性DB16の項目を条件として該当するIDおよび履歴番号を取得したが、ID属性DB16に荷主等情報参照が可能なユーザ情報を保持し、参照要求時にユーザ認証し、IDおよび履歴番号を特定してもよい。
【0087】
本実施形態によれば、ICタグのIDとして使用完了したIDや実際にはICタグとして発行されなかったIDを再利用することで、有限のIDを効率よく使用しIDの枯渇を防ぐことが可能になる。特に、ICタグのIDとして使用完了したにもかかわらず、回収されないIDを再利用できる。
【0088】
また本実施形態によれば、、イベント情報を参照する際にIDが再利用されている場合でも、対象とする使用期間中に発生したイベント情報と、その使用期間の前後の使用期間に発生したイベント情報とを履歴番号によって区別し、参照要求するユーザの所望または参照可能なイベント情報を参照することが可能となる。
【0089】
以上、本発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。説明した実施形態では貨物管理業務を例に説明したが、ICタグの使用状態が判別できる業務であればよい。例えばパレットなどのリターナブル物流容器管理業務においても適用可能である。
【0090】
本実施形態では、ID管理サーバがトレース情報などを一元的に管理するとして説明したが、他のサーバがトレース情報DBやトレース情報管理処理を実行するする等、情報の分散格納やサーバが実行する処理を分散してもよい。
【符号の説明】
【0091】
1:ID管理サーバ、2:タグ発行端末、3:タグプリンタ、4:ICタグ、11、21:通信部、12、24:CPU、13:ID採番DB、14:ID履歴DB、15:トレース情報DB、16:ID属性DB、17:メモリ、22:入出力部、23:プリンタ制御部、25:記憶部、26:IDステータスファイル、27:メモリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IDと前記IDの「使用中」又は「空き」を表すステータスを対応付けて格納するID採番DB、
前記ID、前記IDの再利用の履歴を示す履歴番号、及び前記履歴番号が示す前記IDの使用の開始日時と終了日時を対応付けた使用履歴を格納するID履歴DB、
ICタグに書き込むIDの採番要求に応答して、未だ前記ICタグに割当てたことがない未採番のIDがなく、前記ID採番DBのステータスが前記「空き」であるIDがない場合に、前記ID履歴DBの前記終了日時が格納されていない前記使用履歴の前記開始日時からの経過時間が、予め定めた再利用不可期間を超えている前記使用履歴の前記IDを、前記ICタグに書き込むIDとして採番する処理部、及び、前記採番したIDを前記ICタグに書き込むタグプリンタを有することを特徴とするICタグ発行管理システム。
【請求項2】
前記処理部は、前記未採番のIDがある場合は、前記未採番のIDを前記ICタグに書き込むIDとして採番することを特徴とする請求項1記載のICタグ発行管理システム。
【請求項3】
前記ID採番DB、前記ID履歴DB、および前記処理部を有するID管理サーバと、
前記ICタグに書き込むIDの前記採番要求を発行し、前記タグプリンタを接続するタグ発行端末とを設けることを特徴とする請求項1及び2のいずれか1項記載のICタグ発行管理システム。
【請求項4】
前記ID採番DBは、前記IDの使用の終了を通知した前記タグ発行端末を示す端末番号を前記IDに対応付けて格納し、
前記処理部は、前記未採番のIDがなく、前記ID採番DBのステータスが前記「空き」であるIDがある場合に、前記「空き」であるIDに対応して格納されている前記端末番号が前記採番要求を発行した前記タグ発行端末を示すとき、前記ID採番DBに格納されている前記端末番号に対応する前記IDを、前記ICタグに書き込むIDとして採番することを特徴とする請求項3記載のICタグ発行管理システム。
【請求項5】
前記ID採番DBは、採番された前記IDの前記ICタグへの前記タグ発行端末による書き込みがキャンセルされたことを示す優先度「高」を前記IDに対応付けて格納し、
前記処理部は、前記未採番のIDがなく、前記ID採番DBのステータスが前記「空き」であるIDがある場合に、前記「空き」であるIDに対応して格納されている前記優先度「高」に対応する前記IDを前記ICタグに書き込むIDとして採番することを特徴とする請求項3記載のICタグ発行管理システム。
【請求項6】
前記ID管理サーバは、前記ID管理サーバに向けて参照要求メッセージを発行する情報参照端末と接続し、
前記IDが書き込まれた前記ICタグの使用に伴う対象のイベントを示すイベント情報と前記イベントの発生日時とを前記IDに対応付けて格納するトレース情報DBを設け、
前記ID管理サーバの前記処理部は、前記参照要求メッセージに含まれる、前記ICタグを使用する前記対象の属性情報を基にIDと履歴番号とを特定し、特定した前記IDと前記履歴番号の前記使用履歴の前記開始日時を前記ID履歴DBから取得し、前記発生日時が、取得した前記開始日時以降の日時を示す前記イベント情報を前記トレース情報DBから検索し、検索した前記イベント情報を前記イベントの発生日時でソートして前記参照要求メッセージを送信した前記情報参照端末に送信することを特徴とする請求項3記載のICタグ発行管理システム。
【請求項7】
IDと前記IDの「使用中」又は「空き」を表すステータスを対応付けて格納するID採番DB、及び、前記ID、前記IDの再利用の履歴を示す履歴番号、及び前記履歴番号が示す前記IDの使用の開始日時と終了日時を対応付けた使用履歴を格納するID履歴DBを有するICタグ発行管理システムにおけるICタグ発行管理方法であって、
前記ICタグ発行管理システムは、ICタグに書き込むIDの採番要求に応答して、未だ前記ICタグに割当てたことがない未採番のIDがなく、前記ID採番DBのステータスが前記「空き」であるIDがない場合に、前記ID履歴DBの前記終了日時が格納されていない前記使用履歴の前記開始日時からの経過時間が、予め定めた再利用不可期間を超えている前記使用履歴の前記IDを、前記ICタグに書き込むIDとして採番し、前記採番したIDをタグプリンタを用いて前記ICタグに書き込むことを特徴とするICタグ発行管理方法。
【請求項8】
前記ICタグ発行管理システムは、前記未採番のIDがある場合は、前記未採番のIDを前記ICタグに書き込むIDとして採番することを特徴とする請求項7記載のICタグ発行管理方法。
【請求項9】
前記ICタグ発行管理システムを、前記ID採番DBおよび前記ID履歴DBを有するID管理サーバと、前記ICタグに書き込むIDの前記採番要求を発行し、前記タグプリンタを接続するタグ発行端末とを含む構成とすることを特徴とする請求項7及び8のいずれか1項記載のICタグ発行管理方法。
【請求項10】
前記ID採番DBは、前記IDの使用の終了を通知した前記タグ発行端末を示す端末番号を前記IDに対応付けて格納し、
前記ID管理サーバは、前記未採番のIDがなく、前記ID採番DBのステータスが前記「空き」であるIDがある場合に、前記「空き」であるIDに対応して格納されている前記端末番号が前記採番要求を発行した前記タグ発行端末を示すとき、前記ID採番DBに格納されている前記端末番号に対応する前記IDを、前記ICタグに書き込むIDとして採番することを特徴とする請求項9記載のICタグ発行管理方法。
【請求項11】
前記ID採番DBは、採番された前記IDの前記ICタグへの前記タグ発行端末による書き込みがキャンセルされたことを示す優先度「高」を前記IDに対応付けて格納し、
前記ID管理サーバは、前記未採番のIDがなく、前記ID採番DBのステータスが前記「空き」であるIDがある場合に、前記「空き」であるIDに対応して格納されている前記優先度「高」に対応する前記IDを前記ICタグに書き込むIDとして採番することを特徴とする請求項9記載のICタグ発行管理方法。
【請求項12】
前記ID管理サーバは、前記ID管理サーバに向けて参照要求メッセージを発行する情報参照端末と接続し、
前記ID管理サーバは、前記IDが書き込まれた前記ICタグの使用に伴う対象のイベントを示すイベント情報と前記イベントの発生日時とを前記IDに対応付けて格納するトレース情報DBを設け、
前記ID管理サーバは、前記参照要求メッセージに含まれる、前記ICタグを使用する前記対象の属性情報を基にIDと履歴番号とを特定し、特定した前記IDと前記履歴の前記使用履歴の前記開始日時を前記ID履歴DBから取得し、前記発生日時が、取得した前記開始日時以降の日時を示す前記イベント情報を前記トレース情報DBから検索し、検索した前記イベント情報を前記イベントの発生日時でソートして前記参照要求メッセージを送信した前記情報参照端末に送信することを特徴とする請求項9記載のICタグ発行管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−277188(P2010−277188A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−126902(P2009−126902)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】