説明

ICパッケージ

【課題】ICパッケージの接続ピンの相互間で識別を容易にする。
【解決手段】ICパッケージの接続ピンが、相互に形状が異なる第1及び第2の接続ピンを含み、第1の接続ピンの数と第2の接続ピンの数のリードピンの比率が約1:n(nは2以上の整数)である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICパッケージに関し、更に詳しくは、ICパッケージのピン構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デバイスの高集積化及び多機能化が進んだことにより、ICパッケージの外部接続端子(リードピン)数は増加の一途を辿っている。ICパッケージの小型化に伴い、リードピンの配列間隔は狭小化の傾向にある。そのため、プリント基板への半田実装に際して、外部端子と接続すべきリードピンの識別が困難になっている。
【0003】
また、半田実装後の目視検査においても、接続不良のリードピンが、どのリードピンに該当するのかの識別も困難になっている。更に、デバッグ試験を行う際にも、オシロスコープやロックアナライザのプローブを接続させる検査用端子を目視で特定するのが困難になってきているため、信号のモニタを容易に行うことができない。
【0004】
特許文献1には、リードピン相互間の識別を容易にする目的で、特定のリードピンについて、他のリードピンとは色を変えて形成し、或いは、特別な識別番号などを付したリードピンを有するICパッケージが示されている。特許文献1では、例えば全体のリードピンのうち、通常のリードピンには半田めっきを施し、電源端子用のリードピンには金めっきを施すことで、リードピンの色を変える例が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−177452号公報(図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記公報に記載のICパッケージでは、特定のリードピンに識別色を施すなどして、目視の際における特定のリードピンの識別を容易にしている。しかし、目視による識別ではなく、カメラなどによる自動識別では、単に色の違いや識別番号では、周囲の光源による照射などによって、或いは、リードピンの汚れなどによって、識別に際して誤りが発生することがある。識別に誤りがあると、検査などに支障が生じるため、正確な識別が不可欠である。
【0007】
本発明は、上記に鑑み、接続ピンの識別に際して識別誤りが発生し難いICパッケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、接続ピンを有するICパッケージであって、前記接続ピンが、相互に形状が異なる第1及び第2の接続ピンを含み、第1の接続ピンの数と第2の接続ピンの数の比率が約1:n(nは2以上の整数)であることを特徴とするICパッケージを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のICパッケージでは、第1の接続ピンと第2の接続ピンの形状が異なることにより、ICパッケージに並んで配設される接続ピンの自動識別に際して、接続ピンの相互間の識別が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るICパッケージの上面図。
【図2】(a)及び(b)はそれぞれ、図1のICパッケージのA−A断面図及びB−B断面図。
【図3】第1の実施形態の変形例のICパッケージの上面図。
【図4】第1の実施形態におけるリードピンの変形例の断面図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るICパッケージの上面図。
【図6】(a)及び(b)はそれぞれ、図5のICパッケージのA−A断面図及びB−B断面図。
【図7】第2の実施形態の変形例のICパッケージの上面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、全図を通して同様な要素には同様な符号を付して示す。図1は、本発明の第1の実施形態に係るICパッケージの上面図である。ICパッケージ10は、半導体集積回路を内部に備え、デバイスの外形を形成するモールドケース(パッケージ本体)11と、モールドケース11内部に備えた半導体集積回路の接続端子から延長し、基板端子との半田付け部分となるリードピン12及びリードピン13とを有する。リードピン13は識別用のリードピン(接続ピン)であり、リードピン12は通常のリードピン(接続ピン)である。
【0012】
リードピン13は、図1の例では、全体のリードピンのうちで4本に1本の割合で配設される。この構成によって、各リードピンのピン番号などの識別が容易になる。リードピン12は、本発明における第2のリードピンを構成し、リードピン13が、本発明における第1のリードピンを構成する。第1のリードピンと第2のリードピンとは形状が異なる。具体的には、その長さが異なる。なお、形状相違に加えて色が異なっていてもよい。
【0013】
図2(a)及び(b)はそれぞれ、図1のICパッケージのA−A断面図及びB−B断面図である。通常のリードピン12は、モールドケース11本体から延長する部分が、識別用リードピン13よりも長い旨が示されている。基板端子と接続する部分の長さは、リードピン12とリードピン13とで同じである。具体的には、通常のリードピン12のモールドケースから突出する全長DはD=aであり、識別用リードピン13のモールドケース11から突出する全長DはD=bであり、a>bである。
【0014】
本実施形態では、QFP型のモールドケース11にガルウイング型のリードピンを取り付けた例であり、識別用のリードピン13の突出長さを通常のリードピン12よりも短くした例である。このように、モールドケース11のケース端からピン先端までの距離が異なる識別用リードピン13を備えることで、ピン位置やピン状態の視認性を向上させている。
【0015】
特に、プリント基板に半田付け実装されるICパッケージから成るデバイスに対して、識別用リードピン13を、通常のリードピン12の数本に1本の割合で設けることにより、リードピンの識別が容易になる。このため、オシロスコープやロジックアナライザ等の計測器による電気特性測定の際に、測定対象ピン位置の特定を容易にする。なお、識別ピン13を、特定の用途に利用するリードピンのみとすることも可能である。この場合、特に計測器プローブとの接触が容易になる。また、本実施形態では、a>bの例を示したが、b>aであってもよい。
【0016】
図3は、上記第1の実施形態のICパッケージの構成をSOP型のモールドケースに適用した変形例のICパッケージである。この変形例においても、識別用リードピン13の長さを、通常のリードピン12の長さと変えることにより、その識別を容易にしている。
【0017】
第1の実施形態では、識別用リードピン13を通常のリードピン12に対して、1:n(nは2以上の整数)の割合で配置している。なお、リードピンの総本数によっては、整数比にならなくともよい。本構成を採用することにより、例えば半田の付き具合が悪いリードピンが何番目のリードピンであるかが容易に判別でき、目視による半田検査が容易になる。また、プローブに接触させるべきリードピンの識別が容易になる。この場合、特にリードピン数が多いICパッケージでも製造検査やデバッグ評価における対象ピンの視認性が向上する。
【0018】
図4は、第1の実施形態のICパッケージにおけるリードピンの形状の変形例である。図4の例では、通常のリードピン12にガルウイング型のリードピンを採用し、識別用のリードピン14には、フラット型のリードピンを採用する。本実施形態では、フラット型のリードピン14は、通常のリードピン12に比べて、モールドケース11のケース端からピン先端までの距離が異なるだけでなく、ピンの形状自体も異なる。このため、各ピン先端部がさらに視覚的に強調され、視認性もさらに向上する。
【0019】
図5は、本発明の第2の実施形態に係るICパッケージの上面図である。本実施形態のICパッケージは、識別用ピンを構成する電源ピンがリードレスピンである点が、図1のICパッケージと異なる。本実施形態では、信号用リードピンに通常のガルウイング型のリードピン12を採用し、電源ピンにリードレスピン15を採用する。本実施形態のリードレスピン15は、モールドパッケージ11の側面に取り付けられた平板状電極であり、モールドケース11からの突出長さが極めて小さく抑えられる。
【0020】
電源用のリードレスピンが、他のリードピンとは突出長さが異なるばかりでなく、その形状も大きく異なるので、相互間の識別に際して、視認性が更に向上する。なお、この例とは逆に、電源用ピンを、ガルウイング型のリードピンとし、通常のピンをリードレスピンとしてもよい。或いは、電源用リードレスピンを識別用ピンとする例に代えて、例えば、接地用ピンを識別用のリードレスピンとしてもよい。或いは、電源ピン及び接地ピンの双方を識別用のリードレスピンとしてもよい。図6は第2の実施形態のICパッケージのA−A断面図及びB−B断面図を図2と同様に示している。
【0021】
図7は、第2の実施形態の変形例のICパッケージである。この変形例では、第2の実施形態におけるピン構造を、SOP型のモールドケースのICパッケージに適用した例である。この場合にも、図5のICパッケージと同様な利点が得られる。
【0022】
以下、本発明の最小構成について説明する。本発明の最小構成のICパッケージは、接続用リードピンを有するICパッケージであって、前記リードピンが、相互に形状が異なる第1及び第2のリードピンを含み、第1のリードピンと第2のリードピンの比率が約1:n(nは2以上の整数)である。
【0023】
本発明のICパッケージでは、第1の接続ピンと第2の接続ピンの形状が異なることにより、ICパッケージに並んで配設されるピン相互間の識別が容易になる。このため、例えば識別用接続ピンを特定の周期で配設することで、全体の接続ピンについて、その相互間の識別が容易になる。
【0024】
形状が異なる具体的な例としては、第1の接続ピンと第2の接続ピンの長さが異なる例が挙げられる。形状に加えて色が異なるようにしてもよい。その他に、識別用接続ピンに特別な形状、例えば先端部分に特別な形状を採用することも出来る。第1及び第2の接続ピンの配置の例としては、第1の接続ピンの1つが、連続するn個の第2の接続ピン毎に周期的に挿入される。また、これに代えて、特定の用途の接続ピンを第1の接続ピンとしてもよい。この場合、第1の接続ピンが、電源用接続ピン及び/又は接地用接続ピンとして構成される例が挙げられる。
【0025】
本発明を特別に示し且つ例示的な実施形態を参照して説明したが、本発明は、その実施形態及びその変形に限定されるものではない。当業者に明らかなように、本発明は、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0026】
10:ICパッケージ
11:モールドケース
12:通常のリードピン
13:識別用リードピン
14:フラット型のリードピン
15:リードレスピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続ピンを有するICパッケージであって、
前記接続ピンが、相互に形状が異なる第1及び第2の接続ピンを含み、前記第1の接続ピンの数と前記第2の接続ピンの数の比率が約1:n(nは2以上の整数)であることを特徴とするICパッケージ。
【請求項2】
前記第1の接続ピンと前記第2の接続ピンのパッケージ本体からの突出長さが異なる、請求項1に記載のICパッケージ。
【請求項3】
前記第1の接続ピンの1つが、連続するn個の第2の接続ピン毎に周期的に挿入される、請求項1又は2に記載のICパッケージ。
【請求項4】
前記第1の接続ピンが、電源ピン及び接地ピンの少なくとも一方を含む、請求項1又は2に記載のICパッケージ。
【請求項5】
前記第1の接続ピンが、リードレスピン又はフラット型リードピンである、請求項1〜4の何れか一に記載のICパッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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