説明

ICP発光分析用の試料導入装置

【課題】 ネブライザにより試料液が噴霧されるチャンバのドレン溜まりに滞留するドレン液を水素化物の発生のために活用することにより、簡素な構成でありながら霧化試料と気化試料とを併せて生成することを可能としたICP発光分析用の試料導入装置を提供する。
【解決手段】 サイクロンチャンバ1の内部に試料液Sをネブライザ2により噴霧し、霧化成分をサイクロンチャンバ1の天面の送出口11を経て送出すると共に、ドレン液を底部のドレン溜まり13に回収する構成とした試料導入装置において、サイクロンチャンバ1の内部のドレン溜まり13の上位置に、ドレン液を一旦滞留する中間溜まり16を設け、この中間溜まり16に塩酸導入管17により塩酸を導入し、またドレン溜まり13に水素化剤導入管19により水素化剤を導入して、ドレン溜まり13の内部において、中間溜まり16から流下するドレン液と塩酸との混合液と水素剤とを反応させて水素化物を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICP発光分析装置の試料導入系に用いられ、試料液を噴霧することにより得られる霧化試料と、試料液中の元素の水素化物として得られる気化試料とを併せて導入することを可能としたICP発光分析用の試料導入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
河川水、湖水等の試料液の含有元素の分析に用いられているICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析装置は、分析対象となる試料液を霧化又は気化せしめてプラズマトーチに送り込み、該プラズマトーチにより生成される誘導結合プラズマ中にて励起発光させ、この発光を分光分析することにより、前記含有元素の種類を、夫々の量を含めて検出するように構成されており、霧化試料又は気化試料を生成して前記プラズマトーチに導入することを目的として、従来から、図8又は図9に示す如く構成された試料導入装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
霧化試料を生成するための図8に示す試料導入装置は、天面に送出口が開設され、また底部にドレン溜まりが設けられた噴霧チャンバ50と、該噴霧チャンバ50内に試料液を噴霧するネブライザ51とを備えている。噴霧チャンバ50の送出口は、送出管52を介してプラズマトーチ7に接続され、同じくドレン溜まりは、ドレン管53を介して廃液タンクT2 に接続されている。
【0004】
またネブライザ51は、試料液Sを収納する試料タンクT1 に給液管54を介して接続されており、試料液Sは、給液管54を介してネブライザ51に供給され、該ネブライザ51の動作により、キャリアガスと共に噴霧チャンバ50内に噴霧される構成となっている。この噴霧により試料液Sは、噴霧チャンバ50内にて霧化し、霧化試料がキャリアガスと共に、天面の送出口に接続された送出管52を経てプラズマトーチ7に送り出されて励起発光せしめられる一方、送り出されずに残ったドレン液がドレン溜まりに滞留し、ドレン管53を経て廃液タンクT2 に回収される。
【0005】
なお、前記噴霧チャンバ50をサイクロンチャンバとして構成し、ネブライザ51からの噴霧によりサイクロン気流を生ぜしめ、霧化試料の分離を促進するようにした試料導入装置もあり、また、キャリアガスの噴射により試料液を霧化する構成とした図示の霧吹き式のネブライザに代えて、試料液を超音波振動子に接触させて霧化する構成とした超音波ネブライザを備える試料導入装置もある。
【0006】
気化試料を生成するための図9に示す試料導入装置は、天面に送出口及び給液口が開設され、また底部にドレン溜まりが設けられた分離チャンバ60と、螺旋形をなす反応管61とを備えている。分離チャンバ60の送出口は、送出管62を介してプラズマトーチ7に接続され、同じく給液口は、前記反応管61の一端に接続されている。また分離チャンバ60のドレン溜まりは、サイフォン管として構成された第1のドレン管63と、強制排出用のドレンポンプP2 を中途に備える第2のドレン管64とを介して廃液タンクT2 に接続されている。
【0007】
反応管61の他端は、3方に分岐されており、1つの分岐端が、中途に給液ポンプP1 を備える給液管65を介して試料液Sを収納する試料タンクT1 に接続され、他の2つの分岐端は、水素化剤の導入系とキャリアガスの導入系とに各別に接続されている。
【0008】
以上の構成により反応管61には、給液ポンプP1 の動作により試料タンクT1 内の試料液Sが供給され、この試料液Sは、分岐部にて水素化剤及びキャリアガスと混合されて螺旋状をなす反応管61内を緩やかに流れる。この間に試料液Sと水素化剤との間の化学反応が生じ、試料液S中の一部の含有元素が水素化物となって気化し、この状態で分離チャンバ60内に流入することとなり、水素化物とキャリアガスとは、天面の送出口に接続された送出管62を経てプラズマトーチ7に送り出されて励起発光せしめられる一方、未反応の試料液及び水素化剤を含むドレン液は、分離チャンバ60の底部のドレン溜まりに滞留し、通常時には第1のドレン管63を経て、強制排出時には、ドレンポンプP2 の動作により第2のドレン管64を経て廃液タンクT2 に排出されて回収される。
【特許文献1】特開平6−249782号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図8及び図9に夫々示す試料導入装置は、分析対象となる元素に応じて使い分けられている。例えば、砒素(As)、セレン(Se)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等、霧化試料によっては安定した測定感度が得難い元素を分析対象とする場合、図9に示す試料導入装置が使用される一方、カドミウム(Cd)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)等、水素化物として気化しない元素を分析対象とする場合、図8に示す試料導入装置が使用される。
【0010】
このように従来のICP発光分析装置においては、分析対象となる元素が多岐に亘る場合、プラズマトーチに接続される試料導入装置を交換して分析を行う必要があり、この交換に手間を要する上、交換後の分析工程を、プラズマトーチの点灯を含む準備工程から再開せねばならず、試料分析に多大の時間を要するという問題がある。
【0011】
前記特許文献1には、霧化試料を生成する試料導入装置と、気化試料を生成する試料導入装置とを併せて備え、霧化試料及び気化試料とを同時にプラズマトーチに送出できるように構成されたICP発光分析装置が提案されている。この構成によれば、種々の元素を対象とする分析を、試料導入装置の交換及びこの交換後の準備作業を要することなく実施することができ、試料分析の所要時間を短縮することができる。
【0012】
しかしながら、特許文献1に開示されたICP発光分析装置は、図8及び図9に示すような2種の試料導入装置を単純に並設し、これらの送出管を合流させてプラズマトーチに接続した構成となっており、2種の試料導入装置を併せて備えるICP発光分析装置の全体構成が複雑となり、大型化を招来するという問題があり、更には、夫々の試料導入装置に試料液及びキャリアガスの供給が必要であり、これらの消費量が多くなるという問題がある。
【0013】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、ネブライザにより試料液が噴霧されるチャンバのドレン溜まりに滞留するドレン液を水素化物の発生のために活用することにより、簡素な構成でありながら霧化試料と気化試料とを併せて生成することを可能としたICP発光分析用の試料導入装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1発明に係るICP発光分析用の試料導入装置は、天面に送出口を、底部にドレン溜まりを夫々有するチャンバの内部に、ICP発光分析用の試料液をネブライザにより噴霧し、該チャンバ内に発生する霧化試料を前記送出口を経て送出すると共に、周壁を伝って流下するドレン液を前記ドレン溜まりを経て回収するICP発光分析用の試料導入装置において、前記チャンバ内部の前記ドレン溜まりの上位置に設けられ、前記ドレン液を一旦滞留させる中間溜まりと、該中間溜まりに塩酸を導入する手段と、前記ドレン溜まりに水素化剤を導入する手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明においては、チャンバ内への試料液の噴霧によって生じるドレン液を一旦滞留する中間溜まりに塩酸を導入し、ドレン液と塩酸との混合液を生成して、この混合液が流下するドレン溜まりに水素化剤を導入し、該ドレン溜まりの内部において水素化反応を生ぜしめ、これにより気化する水素化物をチャンバ内に上昇させて、前記噴霧により発生する霧化成分と共に送出口を経て送り出す。
【0016】
また本発明の第2発明に係るICP発光分析用の試料導入装置は、天面に送出口を、底部にドレン溜まりを夫々有するチャンバの内部に、ICP発光分析用の試料液をネブライザにより噴霧し、該チャンバ内に発生する霧化試料を前記送出口を経て送出すると共に、周壁を伝って流下するドレン液を前記ドレン溜まりを経て回収するICP発光分析用の試料導入装置において、前記試料液と塩酸との混合液を前記ネブライザに供給する給液手段と、前記ドレン溜まりに水素化剤を導入する手段とを備えることを特徴とする。
【0017】
本発明においては、試料液と塩酸との混合液をネブライザに供給してチャンバ内に噴霧し、この噴霧によって生じる試料液と塩酸とを含むドレン液をドレン溜まりに流下させる一方、このドレン溜まりに水素化剤を導入し、該ドレン溜まりの内部において水素化反応を生ぜしめて、これにより気化する水素化物をチャンバ内に上昇させて、前記噴霧により発生する霧化成分と共に送出口を経て送り出す。
【0018】
また本発明の第3発明に係るICP発光分析用の試料導入装置は、天面に送出口を、底部にドレン溜まりを夫々有するチャンバの内部に、ICP発光分析用の試料液をネブライザにより噴霧し、該チャンバ内に発生する霧化試料を前記送出口を経て送出すると共に、周壁を伝って流下するドレン液を前記ドレン溜まりを経て回収するICP発光分析用の試料導入装置において、前記チャンバ内部の前記ドレン溜まりの上位置に設けられ、前記ドレン液を一旦滞留させる中間溜まりと、該中間溜まりに滞留するドレン液を前記ドレン溜まりに戻す循環手段と、該循環手段による循環液に、塩酸及び水素化剤をこの順に混合させる手段とを備えることを特徴とする。
【0019】
本発明においては、チャンバ内への試料液の噴霧によって生じるドレン液を中間溜まりに滞留させ、この滞留液を循環手段によりドレン溜まりに戻す間に、まず塩酸を、次いで水素化剤を導入して水素化反応を生ぜしめ、これにより気化する水素化物をドレン溜まりからチャンバ内に上昇させて、前記噴霧により発生する霧化成分と共に送出口を経て送り出す。
【0020】
また本発明の第4発明に係るICP発光分析用の試料導入装置は、天面に送出口を、底部にドレン溜まりを夫々有するチャンバの内部に、ICP発光分析用の試料液をネブライザにより噴霧し、該チャンバ内に発生する霧化試料を前記送出口を経て送出すると共に、周壁を伝って流下するドレン液を前記ドレン溜まりを経て回収するICP発光分析用の試料導入装置において、前記試料液と塩酸との混合液を前記ネブライザに導入する給液手段と、前記チャンバ内部の前記ドレン溜まりの上位置に設けられ、前記ドレン液を一旦滞留させる中間溜まりと、該中間溜まりに滞留するドレン液を前記ドレン溜まりに戻す循環手段と、該循環手段による循環液に水素化剤を混合させる手段とを備えることを特徴とする。
【0021】
本発明においては、試料液と塩酸との混合液をネブライザに供給してチャンバ内に噴霧し、この噴霧によって生じる試料液と塩酸とを含むドレン液を中間溜まりに滞留させ、この滞留液を循環手段によりドレン溜まりに戻す間に、水素化剤を導入して水素化反応を生ぜしめ、これにより気化する水素化物をドレン溜まりからチャンバ内に上昇させて、前記噴霧により発生する霧化成分と共に送出口を経て送り出す。
【発明の効果】
【0022】
本発明の第1発明に係るICP発光分析用の試料導入装置においては、チャンバ内部のドレン溜まりの上位置に中間溜まりを設け、この中間溜まりに塩酸を、前記ドレン溜まりに水素化剤を夫々導入する手段を備える簡素な構成により、ドレン溜まりを水素化物の発生のために活用することができ、広範な元素を対象とする高感度な分光分析を、試料液及びキャリアガスの必要量を増すことなく行わせることが可能であり、分析に要する時間及び手間の削減に寄与することができる。
【0023】
また本発明の第2発明に係るICP発光分析用の試料導入装置においては、試料液と塩酸との混合液をネブライザに供給する一方、ドレン溜まりに水素化剤を導入する手段を備える簡素な構成により、ドレン溜まりを水素化物の発生のために活用することができ、広範な元素を対象とする高感度な分光分析を、試料液及びキャリアガスの必要量を増すことなく行わせることが可能であり、分析に要する時間及び手間の削減に寄与することができる。
【0024】
また本発明の第3発明に係るICP発光分析用の試料導入装置においては、チャンバ内部のドレン溜まりの上位置に中間溜まりを設けると共に、この中間溜まりの滞留液をドレン溜まりに戻す循環手段の中途に、塩酸及び水素化剤をこの順に混合させる手段を備える簡素な構成により、循環手段による循環液が戻されるドレン溜まりを水素化物の発生のために活用することができ、広範な元素を対象とする高感度な分光分析を、試料液及びキャリアガスの必要量を増すことなく行わせることが可能であり、分析に要する時間及び手間の削減に寄与することができる。
【0025】
また本発明の第4発明に係るICP発光分析用の試料導入装置においては、試料液と塩酸との混合液をネブライザに供給する一方、チャンバ内部のドレン溜まりの上位置に中間溜まりを設け、この中間溜まりの滞留液をドレン溜まりに戻す循環手段の中途に水素化剤を混合させる手段を備える簡素な構成により、循環手段による循環液が戻されるドレン溜まりを水素化物の発生のために活用することができ、広範な元素を対象とする高感度な分光分析を、試料液及びキャリアガスの必要量を増すことなく行わせることが可能であり、分析に要する時間及び手間の削減に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、本発明に係るICP発光分析用の試料導入装置の第1の実施の形態を示す側断面図である。本図に示すICP発光分析用の試料導入装置(以下、単に試料導入装置という)は、サイクロンチャンバ1と、該サイクロンチャンバ1内に試料液を噴霧するネブライザ2とを備えている。
【0027】
図2は、図1に示す試料導入装置におけるサイクロンチャンバ1の平面断面図である。本図に示す如くサイクロンチャンバ1は、円形断面を有するガラス製の中空容器であり、周面の一か所に接線方向に突出するように円筒形の固定筒10が連設されている。ネブライザ2は、2重管構造を有する霧吹き形の噴霧器であり、試料液の噴霧口20が開設された先端部を内向きとして前記固定筒10の軸心上に固定支持されている。
【0028】
図1に示す如く、サイクロンチャンバ1は、外側に向けてアーチ形に湾曲する天面及び底面を有しており、天面の中央には、送出口11が開設され、該送出口11は、送出管12を介してプラズマトーチ(図示せず)に接続されている。また底面の中央には、有底円筒形をなすドレン溜まり13が連設されており、該ドレン溜まり13は、底部に開設された排出口14に連続するドレン管15を介して廃液タンクT2 に接続されている。
【0029】
サイクロンチャンバ1の外側においてネブライザ2の内管は、試料液Sを収納する試料タンクT1 に給液管21を介して接続されており、同じく外管は、Arガス等のキャリアガスの給気源(図示せず)に給気管22を介して接続されている。試料タンクT1 内部の試料液Sは、給液管21の中途に介装されたペリスタポンプ等の給液ポンプP1 の動作によりネブライザ2の内管に一定量が供給されており、この試料液Sは、外管の先端からのキャリアガスの噴射に応じて発生する負圧の作用により、内管先端の噴霧口20からサイクロンチャンバ1の内部に噴霧される構成となっている。
【0030】
このように噴霧される試料液Sは、サイクロンチャンバ1の内部に発生するサイクロン気流の作用により有効に霧化され、霧化された試料の一部は、図1中に白抜矢符により示す如く、キャリアガスと共に天面に向けて上昇し、該天面の中央に開口する送出口11及び送出管12を経てプラズマトーチに送り出されて励起発光せしめられる。一方、送り出されずに残るドレン液は、図2中に矢符により示す如く、サイクロンチャンバ1の周面及び底面を伝って下方に流下し、底面中央のドレン溜まり13に集められ、該ドレン溜まり13の内部に滞留保持される。
【0031】
図1に示す試料導入装置において、サイクロンチャンバ1の底面には、ドレン溜まり13との連設部を周方向の適幅に亘って中心に向けて延長し、下向きに凹となる皿形に成形してなる中間溜まり16が設けてあり、この中間溜まり16には、サイクロンチャンバ1の周壁の該当位置を内外に貫通する塩酸導入管17を介して所定量の塩酸(HCl)が導入されている。また、前述の如く設けられた中間溜まり16には、これの延設幅の範囲内にてサイクロンチャンバ1の周面及び底面に沿って流下するドレン液が流入しており、このドレン液は、前述の如く導入される塩酸と混合されて中間溜まり16の内部に一旦滞留する。
【0032】
中心に向けて延びる中間溜まり16の端縁には、下方のドレン溜まり13に向けて垂下された垂れ縁18が連設されており、中間溜まり16から溢れ出すドレン液及び塩酸の混合液が前記垂れ縁18の表面に沿って下方に流下し、ドレン溜まり13に流入するように構成されている。図1及び図2には、中間溜まり16内部のドレン液及び塩酸の混合液の滞留域にハッチングを施して示してある。
【0033】
一方ドレン溜まり13には、これの周壁を内外に貫通する水素化剤導入管19を介して所定量の水素化剤(NaBH4 )が導入されている。このように導入される水素化剤は、ドレン溜まり13内に前述の如く滞留保持されるドレン液及び塩酸に接触し、下記の反応式による化学反応が生じ、ドレン液中に残る含有元素Mが、水素化物MHy となって気化せしめられる。
【0034】
NaBH4 +3H2 O+HCl→H3 BO3 +NaOH+8H
M+yH→MHy
【0035】
このように気化された水素化物は、図1中に黒塗り矢符により示す如く、ドレン溜まり13の上部に連設されたサイクロンチャンバ1の内部に上昇し、該サイクロンチャンバ1内に前述の如く発生する霧化試料と混合され、前述の如く天面の送出口11に接続された送出管12を経て、プラズマトーチに送り出されて励起発光せしめられる。一方、水素化物の発生後に残るドレン液、塩酸及び水素化剤の混合液は、ドレン溜まり13の底面に開設された排出口14から排出され、ドレン管15を経て廃液タンクT2 に回収される。
【0036】
ドレン管15の中途には、ペリスタポンプ等の定量ポンプを用いてなるドレンポンプP2 が介装されており、ドレン溜まり13内のドレン液の液面は、ドレンポンプP2 の動作による排出量の調節により一定レベルに維持されている。なおドレン管15は、サイフォン管として構成し、該サイフォン管により規制される液面がドレン溜まり13の内部に維持されるように構成してもよい。また、給液ポンプP1 及びドレンポンプP2 と同様の定量ポンプは、塩酸導入管17及び水素化剤導入管19への導入系においても、塩酸及び水素化剤の導入量の調整のために用いられている。
【0037】
以上の如く構成された試料導入装置においては、サイクロンチャンバ1の内部にネブライザ2による試料液Sの噴霧によって霧化試料が発生すると共に、ドレン液が滞留するドレン溜まり13において、中間溜まり16から流下するドレン液及び塩酸の混合液と水素化剤(NaBH4 )との化学反応により水素化物が発生し、気化した水素化物(気化試料)と前記霧化試料とが一括して送出口11に送り出される。従って、送出口11に送出管12を介して接続されたプラズマトーチにおいて、霧化成分及び気化成分が併せて励起発光せしめられ、この発光の分光分析により、砒素(As)、セレン(Se)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等、霧化によっては安定した測定感度が得難い元素を対象とする分析と、カドミウム(Cd)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)等、水素化物として気化しない元素を対象とする分析とを併せて実施することが可能となる。
【0038】
また以上の如き霧化及び気化が、サイクロンチャンバ1内に中間溜まり16を設け、この中間溜まり16に塩酸を導入し、またドレン溜まり13に水素化剤を導入することにより実現されるから、簡素な構成により広範な元素を対象とする試料液SのICP発光分析を行わせることが可能となる。
【0039】
図3は、第1の実施の形態に係る試料導入装置の変形例を示す側断面図、図4は、図3に示す試料導入装置におけるサイクロンチャンバの平面断面図である。この変形例に係る試料導入装置においては、サイクロンチャンバ1の底面をドレン溜まり13との連設部の全周に亘って凹み成形して中間溜まり16が設けられており、この中間溜まり16には、サイクロンチャンバ1の周壁の一か所を内外に貫通する塩酸導入管17を介して塩酸(HCl)が導入されている。
【0040】
このように設けられた中間溜まり16には、図4中に矢符により示す如く、サイクロンチャンバ1の周面及び底面に沿って流下するドレン液の略全量が流入し、前述の如く導入される塩酸と混合されて一旦滞留せしめられた後、内周縁を乗り越えてドレン溜まり13の周面に沿って流下し、該ドレン溜まり13に滞留保持されることとなり、この滞留の間に水素化剤導入管19から導入される水素化剤(NaBH4 )との前述した反応が生じ、ドレン液中の含有元素が水素化物となって気化する。なお他の部分の構成については、図1に示す第1の実施の形態と同様であり、対応する構成部材に図1と同一の参照符号を付して構成及び動作の説明を省略する。
【0041】
この変形例に係る試料導入装置においては、ネブライザ2からの噴霧によりサイクロンチャンバ1内にて霧化し、送出口11を経てプラズマトーチに送出されなかったドレン液の略全量が中間溜まり16に流入し、該中間溜まり16に導入される定量の塩酸と十分に混合されるから、この混合液が流下するドレン溜まり13内での水素化が良好になされ、この水素化により発生する気化成分の分析精度を高めることができる。
【0042】
図5は、本発明に係る試料導入装置の第2の実施の形態を示す側断面図である。本図に示す試料導入装置は、サイクロンチャンバ1と、該サイクロンチャンバ1内に試料液を噴霧するネブライザ2とを備えている。
【0043】
サイクロンチャンバ1は、第1の実施の形態と同様、円形断面を有する中空のガラス容器であり、アーチ形に湾曲する天面の中央に送出口11を備え、同じくアーチ形に湾曲する底面の中央に有底円筒形をなすドレン溜まり13を備えており、このドレン溜まり13には、周壁を内外に貫通する水素化剤導入管19を介して所定量の水素化剤(NaBH4 )が導入されている。
【0044】
一方、第1の実施の形態とは異なり、サイクロンチャンバ1の内部には、中間溜まり及び塩酸導入管は設けられておらず、サイクロンチャンバ1の周面及び底面に沿って流下するドレン液は、ドレン溜まり13の内部に直接流入して滞留保持されるように構成されている。ドレン溜まり13の底面に開設された排出口14と廃液タンクT2 との接続、及び前記送出口11とプラズマトーチとの接続は、第1の実施の形態と同様であり、対応する構成部材に図1と同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0045】
ネブライザ2は、第1の実施の形態と同様の霧吹き形の構成を有し、サイクロンチャンバ1の周面に接線方向に連設された固定筒10に、内管先端の噴霧口20を内向きとして固定支持されており、外管に導入されるキャリアガスの噴射により前記噴霧口20から試料液Sを噴霧せしめる動作をなす。
【0046】
サイクロンチャンバ1の外側においてネブライザ2の内管は、試料液Sを収納する試料タンクT1 に給液管21を介して接続されており、試料タンクT1 内部の試料液Sは、給液管21の中途に介装された給液ポンプP1 の動作によりネブライザ2の内管に一定量が供給されている。この実施の形態において給液管21の中途には、給液ポンプP1 の下流側において塩酸導入管23が合流させてあり、この塩酸導入管23には、所定量の塩酸(HCl)が導入されるようになしてある。
【0047】
以上の構成により試料タンクT1 内部の試料液Sは、塩酸導入管23の合流部に導入される塩酸と混合され、キャリアガスの噴射に応じて発生する負圧の作用によりネブライザ2先端の噴霧口20からサイクロンチャンバ1の内部に噴霧される。このように噴霧される試料液Sと塩酸との混合液は、サイクロンチャンバ1の内部に発生するサイクロン気流の作用により有効に霧化され、霧化された試料の一部は、図5中に白抜矢符により示す如く、キャリアガスと共に天面に向けて上昇し、該天面に開口する送出口11に送り出される。一方、送り出されずに残る塩酸を含むドレン液は、図2中に矢符により示す如く、サイクロンチャンバ1の周面及び底面を伝って下方に流下し、底面中央のドレン溜まり13に集められ、該ドレン溜まり13の内部に滞留する。
【0048】
このドレン溜まり13には、水素化剤導入管19を介して水素化剤(NaBH4 )が導入されており、この水素化剤は、ドレン溜まり13に滞留する塩酸を含むドレン液と接触し、前述した水素化反応が生じ、ドレン液中に残る含有元素Mが、水素化物MHy となって気化せしめられ、図5中に黒塗り矢符により示す如く、ドレン溜まり13の上部に連設されたサイクロンチャンバ1の内部に上昇し、該サイクロンチャンバ1内に前述の如く発生する霧化試料と混合されて天面に開口する送出口11に送り出され、送出管12を経てプラズマトーチに送給されて励起発光せしめられる。一方、水素化物の発生後に残るドレン液、塩酸及び水素化剤の混合液は、ドレン溜まり13の底面に開設された排出口14から流出し、ドレン管15を経て廃液タンクT2 に排出されて回収される。
【0049】
以上の如く構成された試料導入装置においても、サイクロンチャンバ1の底部に連設されたドレン溜まり13の内部にて水素化物が発生し、気化した水素化物がサイクロンチャンバ1内に上昇し、ネブライザ2の噴霧により発生する霧化試料と共に送出口11に送り出されるから、送出口11に送出管12を介して接続されたプラズマトーチにおける励起発光の分光分析により、広範な元素を対象とする分析を一工程にて実施することが可能となる。
【0050】
また以上の如き霧化及び気化が、ドレン溜まり13に水素化剤を導入し、また試料液Sに塩酸を混合してネブライザ2に供給することにより達成されるから、簡素な構成により目的を達成することができる。なお、図5に示す試料導入装置においては、試料液Sの給液管21の中途に塩酸導入管23を合流させ、この合流部において塩酸が混合されるように構成してあるが、予め適量の塩酸と混合された試料液Sを試料タンクT1 に収容し、この試料液Sを給液ポンプP1 の動作によりネブライザ2に供給する構成としてもよい。
【0051】
図6は、本発明に係る試料導入装置の第3の実施の形態を示す側断面図である。本図に示す試料導入装置は、サイクロンチャンバ3と、該サイクロンチャンバ3内に試料液を噴霧するネブライザ2とを備えている。
【0052】
サイクロンチャンバ3は、円形断面を有するガラス製の中空容器であり、周面の一か所に接線方向に突出するように円筒形をなす固定筒30が連設されている。ネブライザ2は、第1,第2の実施の形態と同様の2重管構造を有する霧吹き形の噴霧器であり、内管先端の噴霧口20を内向きとして前記固定筒30の軸心上に固定支持されている。
【0053】
サイクロンチャンバ3の外側においてネブライザ2の内管は、試料液Sを収納する試料タンクT1 に給液管21を介して接続されており、同じく外管は、Arガス等のキャリアガスの給気源(図示せず)に給気管22を介して接続されている。試料タンクT1 内部の試料液Sは、給液管21の中途に介装されたペリスタポンプ等の給液ポンプP1 の動作によりネブライザ2の内管に一定量が供給されており、この試料液Sは、外管の先端からのキャリアガスの噴射に応じて発生する負圧の作用により、内管先端の噴霧口20からサイクロンチャンバ3の内部に噴霧される構成となっている。
【0054】
サイクロンチャンバ3は、外側に向けてアーチ形に湾曲する天面を有し、この天面の中央に開設された送出口31が送出管32を介してプラズマトーチ(図示せず)に接続されている。またサイクロンチャンバ3の底面には、下方に向けてテーパ状に縮径するドレン溜まり33が連設されており、該ドレン溜まり33は、下端に開設された排出口34に連続するドレン管35を介して廃液タンクT2 に接続されている。
【0055】
一方、サイクロンチャンバ3の内部には、下向きに湾曲するアーチ形の中間板が架設され、該中間板を底板とする中間溜まり36が設けてある。このように形成された中間溜まり36の底面中央には、排出管37が連設されており、ドレン溜まり33の周壁を貫通して外部に突出する前記排出管37の端部は、循環管路4の一端部に接続されている。ドレン溜まり33には、前記排出管37と異なる位置にて周壁を貫通する戻り管38が設けられており、この戻り管38の外側への突出端は、前記循環管路4の他端部に接続されている。なお中間溜まり36の底板には、周方向の一か所においてサイクロンチャンバ3の周壁との間に適宜の間隔を隔てて上方に立ち上がる壁板が連設され、この壁板と前記周壁との間に、前記ドレン溜まり33をサイクロンチャンバ3の上部に連通する連通路39が形成されている。
【0056】
循環管路4には、ペリスタポンプ等の定量ポンプを用いてなる循環ポンプP3 が介装されており、この循環ポンプP3 の動作により循環管路4の内部には、排出管37との接続端から戻り管38との接続端に向かう流れが生じるようになしてある。このような循環管路4の中途には、塩酸導入管40が合流接続され、またこの塩酸導入管40の下流側に水素化剤導入管41が合流接続されており、更に、この水素化剤導入管41の下流側に螺旋管として構成された反応管42が介装されている。
【0057】
以上の如く構成されたICP発光分析用の試料導入装置において、試料タンクT1 内部の試料液Sは、ネブライザ2の前述した動作によりサイクロンチャンバ3の内部に噴霧され、該サイクロンチャンバ3の内部に発生するサイクロン気流の作用により有効に霧化され、霧化された試料の一部は、図6中に白抜矢符により示す如く、キャリアガスと共に天面に向けて上昇し、該天面の中央に開口する送出口31及び送出管32を経てプラズマトーチに送り出されて励起発光せしめられる。一方、送り出されずに残るドレン液は、下方に流下して、サイクロンチャンバ3の内部の略全面に亘って架設された中間溜まり36に集められ、該中間溜まり36の上に滞留保持される。
【0058】
このように滞留するドレン液は、中間溜まり36の底面に連設された排出管37を経て循環管路4に導出され、該循環管路4の内部を循環ポンプP3 の動作により定量単位にて循環せしめられ、まず塩酸導入管40の合流部において塩酸(HCl)が混合され、次いで水素化剤導入管41の合流部において、水素化剤としてのNaBH4 が混合されて、前記反応管42に導入される。このように導入されるドレン液と塩酸及び水素化剤との混合液は、螺旋管として構成された反応管42の内部を緩やかに流れ、この間に前述した反応式による水素化反応が発生し、ドレン液中に残る含有元素Mが、水素化物MHy となって気化せしめられ、戻り管38を経てサイクロンチャンバ3の下部のドレン溜まり33に還流される。
【0059】
ドレン溜まり33への還流液は、該ドレン溜まり33の内部に所定の液面を保って滞留保持され、この間に還流液中に含まれる水素化物MHy は、図6中に黒塗り矢符により示す如く上昇し、中間溜まり36の一側に確保された連通路39を経てサイクロンチャンバ3の上部に送り出され、該サイクロンチャンバ3内に前述の如く発生する霧化試料と混合されて、天面の送出口11に接続された送出管12を経て、プラズマトーチに送り出されて励起発光せしめられる。一方、水素化物の発生後に残るドレン液、塩酸及び水素化剤の混合液は、ドレン溜まり33の底部に開設された排出口34から流出し、ドレン管35を経て廃液タンクT2 に排出されて回収される。
【0060】
以上の如く構成された試料導入装置においては、サイクロンチャンバ3の内部にネブライザ2による試料液Sの噴霧によって霧化試料が発生すると共に、中間溜まり36に一旦滞留されたドレン液が循環管路4中を流れる間に塩酸及び水素化剤と混合されて水素化反応が生じ、これにより発生する水素化物がドレン溜まり33から上昇し、サイクロンチャンバ3内に発生する霧化試料と共に送出口11に送り出される。従って、送出口11に送出管12を介して接続されたプラズマトーチにおいて、霧化成分及び気化成分が併せて励起発光せしめられ、この発光の分光分析により、広範な元素を対象とする試料液Sの分析を一工程にて実施することができる。
【0061】
また以上の如き霧化及び気化が、サイクロンチャンバ3の内部に中間溜まり36を設け、この中間溜まり36とドレン溜まり33とを連絡する循環管路4に、塩酸及び水素化剤を導入する手段を備える簡素な構成により実現することができる。
【0062】
図7は、本発明に係る試料導入装置の第4の実施の形態を示す側断面図である。本図に示す試料導入装置は、図6に示す実施の形態と同様に、ネブライザ2、サイクロンチャンバ3及び循環管路4を備えて構成されており、図6に示す実施の形態との相違点は、循環管路4の中途に水素化剤導入管41のみが合流接続され、この水素化剤導入管41の下流側に螺旋管として構成された反応管42が介装されている点と、ネブライザ2に試料液Sを供給する給液管21の中途に塩酸導入管23が合流接続され、この合流部において試料液S自体に塩酸が混合されるように構成してある点とであり、他の部分の構成は、図6に示す試料導入装置と同一であり、対応する構成部材に同一の参照符号を付して構成及び動作の説明を省略する。なお、第2の実施の形態と同様、予め適量の塩酸と混合された試料液Sを試料タンクT1 に収容し、この試料液Sを給液ポンプP1 の動作によりネブライザ2に供給する構成としてもよい。
【0063】
このように構成された試料導入装置において、試料タンクT1 内部の試料液Sは、給液管21内にて塩酸と混合されてサイクロンチャンバ3の内部に噴霧され、該サイクロンチャンバ3の内部に発生するサイクロン気流の作用により有効に霧化され、霧化された試料の一部は、図6中に白抜矢符により示す如く、キャリアガスと共に天面に向けて上昇し、該天面の中央に開口する送出口31及び送出管32を経てプラズマトーチに送り出される。
【0064】
一方送り出されずに残る塩酸を含むドレン液は、下方に流下して中間溜まり36に集められ、該中間溜まり36の上に一旦滞留し、排出管37を経て循環管路4に導出され、該循環管路4の内部を循環ポンプP3 の動作により循環し、水素化剤導入管41の合流部において、水素化剤としてのNaBH4 が混合されて反応管42に導入され、該反応管42の内部を緩やかに流れる。
【0065】
この間に、ドレン液、塩酸及び水素化剤の前述した水素化反応が発生し、ドレン液中に残る含有元素Mが、水素化物MHy となって気化し、戻り管38を経てドレン溜まり33に還流された後、図6中に黒塗り矢符により示す如く上昇し、連通路39を経てサイクロンチャンバ3の上部に送り出され、該サイクロンチャンバ3内に発生する霧化試料と共にプラズマトーチに送り出されて励起発光せしめられる。一方、水素化物の発生後のドレン液、塩酸及び水素化剤の混合液は、ドレン溜まり33の底部に開設された排出口34から流出し、ドレン管35を経て廃液タンクT2 に排出されて回収される。
【0066】
以上の如く構成された試料導入装置においても、サイクロンチャンバ3の内部において霧化試料と気化試料とを併せて発生させることができ、広範な元素を対象とする試料液Sの分析を一工程にて実施することが可能となる。また前記霧化及び気化が、サイクロンチャンバ3の内部に中間溜まり36を設け、この中間溜まり36とドレン溜まり33とを連絡する循環管路4に水素化剤を導入する手段を備えると共に、ネブライザ2への給液管21に塩酸を導入する手段を備える簡素な構成により実現することができる。
【0067】
なお以上の実施の形態においては、霧化試料及び気化試料とを併せてプラズマトーチに導入する使用形態について説明したが、本発明に係る試料導入装置は、霧化試料又は気化試料を単独にてプラズマトーチに導入する形態での使用も可能であり、霧化試料を単独にて導入する使用形態は、HCl及び水素化剤の供給を止めることにより実現可能であり、また気化試料を単独にて導入する使用形態は、ネブライザによる噴霧を止めることにより実現可能である。
【0068】
また以上の実施の形態においては、ネブライザによる試料液の噴霧を行わせるチャンバとして、内部にサイクロン気流を発生すべく構成されたサイクロンチャンバを用いてあるが、図8に示すスコットチャンバ等、公知の種々の形態のチャンバを用い得ることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明に係るICP発光分析用の試料導入装置の第1の実施の形態を示す側断面図である。
【図2】図1に示す試料導入装置におけるサイクロンチャンバの平面断面図である。
【図3】第1の実施の形態に係る試料導入装置の変形例を示す側断面図である。
【図4】図3に示す試料導入装置におけるサイクロンチャンバの平面断面図である。
【図5】本発明に係るICP発光分析用の試料導入装置の第2の実施の形態を示す側断面図である。
【図6】本発明に係るICP発光分析用の試料導入装置の第3の実施の形態を示す側断面図である。
【図7】本発明に係るICP発光分析用の試料導入装置の第4の実施の形態を示す側断面図である。
【図8】ICP発光分析装置において従来から用いられている試料導入装置の説明図である。
【図9】ICP発光分析装置において従来から用いられている試料導入装置の説明図である。
【符号の説明】
【0070】
1 サイクロンチャンバ
2 ネブライザ
3 サイクロンチャンバ
4 循環管路
11 送出口
13 ドレン溜まり
16 中間溜まり
17 塩酸導入管
19 水素化剤導入管
23 塩酸導入管
31 送出口
33 ドレン溜まり
36 中間溜まり
40 塩酸導入管
41 水素化剤導入管
3 循環ポンプ
S 試料液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面に送出口を、底部にドレン溜まりを夫々有するチャンバの内部に、ICP発光分析用の試料液をネブライザにより噴霧し、該チャンバ内に発生する霧化試料を前記送出口を経て送出すると共に、周壁を伝って流下するドレン液を前記ドレン溜まりを経て回収するICP発光分析用の試料導入装置において、
前記チャンバ内部の前記ドレン溜まりの上位置に設けられ、前記ドレン液を一旦滞留させる中間溜まりと、
該中間溜まりに塩酸を導入する手段と、
前記ドレン溜まりに水素化剤を導入する手段と
を備えることを特徴とするICP発光分析用の試料導入装置。
【請求項2】
天面に送出口を、底部にドレン溜まりを夫々有するチャンバの内部に、ICP発光分析用の試料液をネブライザにより噴霧し、該チャンバ内に発生する霧化試料を前記送出口を経て送出すると共に、周壁を伝って流下するドレン液を前記ドレン溜まりを経て回収するICP発光分析用の試料導入装置において、
前記試料液と塩酸との混合液を前記ネブライザに供給する給液手段と、
前記ドレン溜まりに水素化剤を導入する手段と
を備えることを特徴とするICP発光分析用の試料導入装置。
【請求項3】
天面に送出口を、底部にドレン溜まりを夫々有するチャンバの内部に、ICP発光分析用の試料液をネブライザにより噴霧し、該チャンバ内に発生する霧化試料を前記送出口を経て送出すると共に、周壁を伝って流下するドレン液を前記ドレン溜まりを経て回収するICP発光分析用の試料導入装置において、
前記チャンバ内部の前記ドレン溜まりの上位置に設けられ、前記ドレン液を一旦滞留させる中間溜まりと、
該中間溜まりに滞留するドレン液を前記ドレン溜まりに戻す循環手段と、
該循環手段による循環液に、塩酸及び水素化剤をこの順に混合させる手段と
を備えることを特徴とするICP発光分析用の試料導入装置。
【請求項4】
天面に送出口を、底部にドレン溜まりを夫々有するチャンバの内部に、ICP発光分析用の試料液をネブライザにより噴霧し、該チャンバ内に発生する霧化試料を前記送出口を経て送出すると共に、周壁を伝って流下するドレン液を前記ドレン溜まりを経て回収するICP発光分析用の試料導入装置において、
前記試料液と塩酸との混合液を前記ネブライザに導入する給液手段と、
前記チャンバ内部の前記ドレン溜まりの上位置に設けられ、前記ドレン液を一旦滞留させる中間溜まりと、
該中間溜まりに滞留するドレン液を前記ドレン溜まりに戻す循環手段と、
該循環手段による循環液に水素化剤を混合させる手段と
を備えることを特徴とするICP発光分析用の試料導入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−64536(P2006−64536A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−247390(P2004−247390)
【出願日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(000155023)株式会社堀場製作所 (638)
【Fターム(参考)】