説明

IDタグラベル貼付装置

【課題】 本発明の課題は、非接触型通信により行うための送受信部及びICチップを有したIDタグラベルを所定の対象物に貼付するIDタグラベル貼付装置において、単位時間当たりの貼付処理数を増すことにある。
【解決手段】 IDタグラベル貼付装置1において、IDタグラベル2であるRFIDラベルを送出位置20Eに順次送り出す送出機構10と、そのRFIDラベル2を、自身の回転軸線20Xを中心とする外周面に等間隔で設けられた複数の吸着保持部21Qに順次吸着保持させ、吸着保持したRFIDラベル2を搬送終了位置20Fまで回転搬送するラベル搬送ドラムと、このラベル搬送ドラム20と常時一体回転し、かつ複数の吸着保持部21Qに対応して設けられた複数の書込手段3を有した書込手段群30とを備え、各書込手段3は、対応する吸着保持部21Qが送出位置20Eから搬送終了位置20Fまで回転搬送される間に、吸着保持しているRFIDラベル2に対し非接触型通信により必要情報を書き込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IDタグラベルを貼付対象に貼付するIDタグラベル貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の剥離可能なラベルが所定間隔で付着した台紙をその長手方向に送り出すことにより各ラベルを所定の貼付位置まで順次搬送し、その貼付位置において台紙からラベルを剥離し、別ラインから搬送されてくる所定の対象物に対し、剥離したラベルを順次貼付していくラベル貼付装置等である。近年においては、このラベルに、タグ情報を記憶保持しているタグICチップと、タグアンテナ部とを備えるRFID(Radio Frequency Identification)ラベル等のIDタグラベルを利用することができる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−259075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、IDタグラベルを所定の対象物に貼付するラベル貼付装置においては、IDタグラベルへの情報の書き込みや読込検査の処理時間が長いため、単位時間当たりの貼付処理数が少ないという課題がある。
【0005】
本発明の課題は、非接触型通信により行うための送受信部及びICチップを有したIDタグラベルを所定の対象物に貼付するIDタグラベル貼付装置において、単位時間当たりの貼付処理数を増すことにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のIDタグラベル貼付装置は、
外部機器との間での情報の送受信を非接触型通信により行うための送受信部及びICチップを有したIDタグラベルを所定の送出位置に順次送り出す送出機構と、
送出位置に順次送り出されてくるIDタグラベルを、自身の回転軸線を中心とする略円筒状の外周面に所定間隔おきに複数設けられた吸着保持部に順次吸着保持させ、吸着保持したIDタグラベルを所定の搬送終了位置まで回転搬送するラベル搬送ドラムと、
ラベル搬送ドラムと常時一体回転する形で、複数ある吸着保持部毎に対応して設けられ、対応する吸着保持部に吸着されたIDタグラベルに対し非接触型通信により所定の必要情報をICチップに書き込むとともに、その書き込みを搬送終了位置に到達するまでの間に完了する書込手段と、
搬送終了位置に到達したIDタグラベルを、該IDタグラベルとは別系統で順次搬送されてくる所定の貼付対象物に対し順次貼付していく貼付機構と、
IDタグラベルに対し必要情報が正常に書き込まれたか否かを検査する検査手段と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
上記本発明の構成によれば、自身の回転軸線周りを回転するラベル搬送ドラムの外周面に、周方向に沿って複数の吸着保持部が設けられる。ラベル搬送ドラムの各吸着保持部は、該ラベル搬送ドラムが回転することにより、その回転方向(周方向)において、送出位置から搬送終了位置までの搬送区間を通過することになるが、搬送区間内を通過する各吸着保持部では、その通過期間内に、吸引保持されているIDタグラベルに対し書込処理を実施して、搬送終了位置に達した時点でその書込処理が完了するようになっている。つまり、搬送区間内に順次進入してくるIDタグラベルに対し、対応する書込手段が個別に書込処理を実行するので、複数のIDタグラベルに対して並列的に書込処理が実施される状態となり、搬送終了位置には、書込処理が完了したIDタグラベルが次々と到来する。つまり、IDタグラベルへの書き込みを1つずつ行っていた従来技術よりも、書込処理が完了したIDタグラベルを供給するスピードを増すことができ、ひいては貼付対象への貼付処理速度を増すことができる。
【0008】
また、各書込手段は、ラベル搬送ドラムに固定的に設けられた複数の吸着保持部毎に対応して設けられ、ラベル搬送ドラムと常時一体回転するため、吸着保持部に吸着保持されたIDタグラベルに対し書込処理を確実に行うことができる。また、吸着保持部に吸着保持されては剥がされて貼付対象に貼付され、再び吸着保持されては剥がされていくIDタグラベルのローテーションが繰り返し生じても、全体の動作が回転であることから、そうしたローテーション作業が無理のないスムーズなものとなる。例えば、ラベル搬送ドラムは、等速回転するように構成できる。これにより、ラベル搬送ドラム自体に複雑な動作がないため、IDタグラベルの吸着保持から貼付対象への貼付までを安定的に行うことができるし、それらの間になされる書込処理も安定して行うことができる。また、ラベル搬送ドラムへの複雑な駆動制御も必要なくなる。
【0009】
他方、書込手段の処理ばかりが効率化されても全体としての処理速度は上がらない。このため、本発明においては、貼付機構を、自ラベル搬送ドラムの搬送終了位置に近接する貼付位置にて貼付対象物にIDタグラベルを貼付した後、当該貼付対象物をさらに回転搬送するとともに、当該貼付対象物をさらに回転搬送して検査手段による検査が実施される検査区間を通過させる貼付対象搬送ドラムを備えて構成するとともに、検査手段を、検査区間を回転搬送される貼付対象物のIDタグラベルに対し、非接触型通信(例えば貼付対象搬送ドラムの径方向外側又は内側、あるいは貼付対象搬送ドラムの回転軸方向の上側又は下側からの非接触通信)によりICチップに書き込まれた必要情報を検査するように構成する。これにより、検査も、回転搬送中にスムーズに完了することができる。
【0010】
さらに、本発明における検査手段は、検査手段は、検査区間を回転搬送される貼付対象物に対向するよう該貼付対象物に追従して移動する検査体を有するとともに、検査体は、検査区間の検査開始位置から検査終了位置までの間、貼付対象搬送ドラムの回転搬送方向に向けて該貼付対象物に追従して移動して、該貼付対象物に対する検査を完了する往路移動と、検査をすることなく貼付対象搬送ドラムの回転搬送方向とは逆に向けて検査終了位置から検査開始位置に戻る復路移動とを繰り返す形で動作するものとして構成できる。この場合、往路移動時における平均移動速度の方が、復路移動時における平均速度よりも早くなるように構成することができる。これにより、ただ戻るだけの復路移動の移動時間をより短縮することができるから、効率的に検査を行うことができ、ひいては単位時間当たりの貼付処理数を増すことが可能となる。
【0011】
また、本発明における検査手段は、検査体を複数同時に備え、複数の貼付対象物を同時に検査するように構成できる。往復動作する検査体が、異なる貼付対象を同時に検査することで、効率的に検査を行うことができ、ひいては単位時間当たりの貼付処理数を増すことが可能となる。ただし、検査が非接触通信による検査である場合には、互いの通信波が隣接する検査体同士で干渉しないよう、各検査体は、隣接する検査体に対し予め定められた間隔を隔てた状態を保持した形で往復動作するように構成するとよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のIDタグラベル貼付装置の第一実施形態を概略的に示す平面図。
【図2】図1の剥離手段の拡大平面図。
【図3】図1のラベル搬送ドラムの拡大平面図。
【図4】図3のラベル搬送ドラムの側面に設けられた吸着予定面を示す拡大図。
【図5】図1で使用するラベルロールの一部を示す拡大図。
【図6】図1のラベル搬送ドラムの中央断面図。
【図7】図6の部分拡大図。
【図8A】貼付対象へのIDタグラベルの貼付を説明する図。
【図8B】図8Aの変形例を示す図。
【図9】図1におけるラベル貼付前の搬送ラインを示す拡大平面図。
【図10】図1におけるラベル貼付後の搬送ラインを示す拡大平面図。
【図11】往復動作する検査体による検査処理を説明する図。
【図12】複数の検査体による検査処理を説明する図。
【図13】図1のIDタグラベル貼付装置の構成を概略的に示す第一のブロック図。
【図14】図1のIDタグラベル貼付装置の構成を概略的に示す第二のブロック図。
【図15】図10の第一変形例を示す図。
【図16】図11の第一変形例を示す図。
【図17】図10の第二変形例を示す図。
【図18】図11の第二変形例を示す図。
【図19】図10及び図11の第二変形例における貼付対象搬送ドラムをその回転軸線を通過する平面で切断した断面の第一例を簡略的に示した断面図。
【図20】図10及び図11の第二変形例における貼付対象搬送ドラムをその回転軸線を通過する平面で切断した断面の第二例を簡略的に示した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のIDタグラベル貼付装置の一実施形態について、図面を用いて説明する。
【0014】
図1は、本発明のIDタグラベル貼付装置の一例である。図1に示すIDタグラベル貼付装置1は、外部機器との間での情報の送受信を非接触型通信により行うためのアンテナコイル(送受信部)2A及びICチップ2Cを有したIDタグラベル2(図5参照)を所定の送出位置20E(図2参照)に順次送り出す送出機構10と、送出位置20Eに順次送り出されてくるIDタグラベル2を、自身の回転軸線20Xを中心とする外周面21に所定間隔おきに設けられた複数の吸着保持部21Q(図3参照)に順次吸着保持させ、各吸着保持部21Qに吸着保持されたIDタグラベル2を所定の搬送終了位置20Fまで回転搬送するラベル搬送ドラム20と、ラベル搬送ドラム20に対し常時一体回転する形で複数の吸着保持部21Qに対応して複数の書込手段3(図3参照)を有するとともにそれら各書込手段3が、対応する吸着保持部21Qが送出位置20Eから搬送終了位置20Fまでの搬送区間20Lを回転搬送される間に、それら各吸着保持部21Qに吸着保持されるIDタグラベル2に対し非接触型通信により所定の必要情報を書き込む書込処理を実行する書込手段群30(図13参照)と、搬送終了位置20Fに到達したIDタグラベル2を、該IDタグラベル2とは別の搬送ライン(別系統)50Lで順次搬送されてくる所定の貼付対象物5に対し順次貼付していく貼付機構50と、IDタグラベル2に対し必要情報が正常に書き込まれたか否かを検査する検査手段60(図13参照)と、を備えて構成される。
【0015】
IDタグラベル2は、図5に示すように、アンテナコイル2AとICチップ2Cを絶縁性の基材に設けた形で構成され、所定の情報をICチップ2Cに記憶可能で、該情報の書き込み及び読み出しが無線通信により可能な非接触型IDタグとして機能するラベルである。具体的には、アンテナコイルとICチップ、そして容量素子によって共振回路が形成されており、外部に設置された書込装置(ライタ)から電波(情報)を無線受信することでICチップにその情報を書き込むことができ、また、外部に設置された読取装置(リーダ)からの電波を無線受信することでICチップに記憶している情報を外部機器に返信することができる。
【0016】
なお、本発明におけるIDタグラベル2は、電磁誘導又は電波通信によるID認識を可能とするRFIDラベルであってもよいが、光IDタグ(例えば赤外線通信によるID認識を可能とするIrIDタグ)等のラベルであってもよい。また、本発明におけるIDタグラベル2は、非接触通信が可能なIDタグとしての機能を有し、かつ貼付に供される貼付用のものであればよく、印字等による表示はあっても無くてもよい。例えば、上記のように視覚的に識別可能な表示ラベルの他にも、該表示ラベルにRFID(Radio Frequency Identification)タグが埋め込まれたRFIDタグ付きラベルでもよいし、RFIDタグそのものがラベルとして形成されたRFIDラベルでもよいし、該RFIDラベルを別のラベル上に貼付したRFIDタグ付きラベルであってもよい。ラベル2に対しなされる印字等による表示は、文字・記号・図形のみならず、バーコードやQRコード等であってもよい。
【0017】
本実施形態におけるIDタグラベル2はRFIDラベルであり、図5に示すように、複数のIDタグ付ラベル2を剥離可能な形で所定間隔おきに貼付したテープ状(帯状)の台紙4に付着されており、それらIDタグラベル2が付着した台紙4が巻き取られてなるラベルロール40として用意される。台紙4に面するIDタグラベル2の裏面2bは接着面をなしている。
【0018】
送出機構10は、複数のIDタグラベル2が剥離可能な形で所定間隔のラベル列として付着して保持される台紙4(ラベルロール40)をその長手方向へ搬送する搬送ライン10Lを形成し、その搬送ライン10L上の台紙4(ラベルロール40)を搬送するための駆動部10M(図14参照)を有する。また、搬送ライン10L上には、印字手段12と、印字検査手段13と、送り停止位置検出手段14と、剥離手段11とが設けられ、各々が作業台9の天面上に配置されている。
【0019】
送出機構10は、ラベルロール40を、巻出軸部15Bから巻き出し、巻取軸部15Aにて巻き取るよう、予め定められた搬送経路10Lに沿って送り出す。搬送ライン10Lは、ラベルロール40を巻き出す巻出軸部15Bと、ラベルロール40からIDタグラベル2が剥離された台紙4を巻き取る形で回収する巻取軸部15Aとの間に形成されるものであり、巻出軸部15Bと巻取軸部15Aとの間に設けられたフリー回転する1以上のガイドローラ16にガイドされることよって、図1のような形状に形成されている。送出機構10の駆動部10M(図14参照)は、搬送ライン10Lの中間位置に設けられたドライブローラ17Aを回転させる回転駆動部(ここではサーボモータ)であり、図13に示す駆動系制御部80により駆動制御される。ドライブローラ17Aは、対をなすフリー回転するローラー17Bとの間で台紙4を挟圧しつつ回転駆動し、このとき生ずる摩擦抵抗によって、台紙4を巻取軸部15A側へと押し出す。これにより、台紙4全体が巻取軸部15A側へ、即ち搬送ライン10Lの下流側へと移動する。なお、巻取軸部15Aには、台紙4に一定の張力を付与しながら、台紙4を巻き取るための上記駆動部10Mとは別の回転駆動部(トルクモータ)を有する。他方、巻出軸部15Bはフリー回転する軸部である。ただし、台紙4に一定の張力を付与するべく上記駆動部10Mとは別の駆動部(トルクモータ)を設けてもよい。
【0020】
剥離手段11は、図2に示すように、搬送ライン10L上の予め定められた剥離位置10Qにて、搬送されてくる台紙4(ラベルロール40)からIDタグラベル2を剥離するとともに、剥離したIDタグラベル2を、その表面2aが、回転するラベル搬送ドラム20の外周面21に近接対向するように送り出す。
【0021】
本実施形態の剥離手段11は、搬送ライン10L上において、図2に示すように、IDタグラベル2の表面2aを外向きにした状態で台紙4を鋭角に折り返す鋭角区間を形成する鋭角区間形成部を有する。台紙4(ラベルロール40)が当該鋭角区間の先端部にて鋭角に折り返す際に、IDタグラベル2は、当該鋭角区間の先端部にて、送り出される自身2の先頭側が鋭角に折り返す際の屈曲に耐えかねて、鋭角に折り返されていく台紙4上から剥離する。さらに順次送り出されてくるIDタグラベル2の残余の部分も、送り出されていくに伴い該台紙4から剥離していく。このようにして、IDタグラベル2は、台紙4(ラベルロール40)が鋭角区間を通過するだけで、台紙4から自動的に剥離される。
【0022】
なお、本実施形態の剥離手段11は、板状の剥離部材11Aを備える。板状の剥離部材11Aにおける一方の主表面11Aaのうち少なくとも先端側の面11Aaを、ラベルロール40の移動をガイドするガイド面として機能させている。剥離部材11Aの先端で剥離したIDタグラベル2は、この平坦なガイド面11Aaに沿って直線的に送り出される。
【0023】
印字手段12は、ラベル2上に表示を形成するラベル表示形成手段であって、ラベル表面への印字処理や印刷処理等の表示形成処理を行う。ここではレーザーマーカーであり、ラベル2上の予め定められた印字領域上に印字処理がなされる。
【0024】
印字検査手段13はラベル表示検査手段であり、ラベル表面への表示形成処理が正しくなされたか否かを検査する。ここでは、印字手段12による印字処理により、ラベル2上に正しく印字がなされたか否かを判定し、例えば、ラベル2における表示欠陥(印字不良・印刷不良)、外形欠陥(サイズ違いや欠損、破損等)、貼付位置欠陥(保持台紙3上での位置ズレ)等の欠陥の有無の判定等が行われる。具体的に言えば、カメラ等の撮影手段により撮影されたラベル画像を、印字検査手段13の制御部の所定記憶部に格納されている基準画像と比較する形で画像一致率を算出し、これが基準一致率(例えば97%等)を上回るか否かにより印刷不良・外形欠陥・貼付位置欠陥等の不良の有無を判定する。また、上記撮影手段により撮影されたラベル画像内において、印字検査手段13の制御部が、文字・記号などが表示される所定表示領域を特定し、特定された領域に対し周知の光学文字認識処理(OCR:Optical Character Recognition)を実施して、認識された文字や記号が、本来表示されるべき文字や記号と一致するか否かを判定する印字不良等の不良検査を行う。ラベル表面への表示形成処理として、バーコードやQRコード等の情報画像が形成される場合、印字検査手段13は、バーコードやQRコードの情報画像を読み取る読取装置としての機能を備える必要があり、読み出した情報(誤データが書き込まれている等)の不良を判定するよう構成される。具体的には、読取装置が情報画像からの情報の読み出しを試みて、情報が得られるか否か、得られたとしたらその情報が予め決められている情報に一致するか否かを判定する。これらの表示形成処理における良否判定結果は、メイン制御部100に送信され、記憶・蓄積される。なお、良否判定結果は、先行するIDタグラベル2から順にメイン制御部100(図13参照)に送信される。メイン制御部100は、印字検査手段13に到達するラベル2の順序をカウントしており、そのカウント順に付される順序情報を、対象となるIDタグラベル2の識別情報とし、当該順序情報に対応付ける形で、対象となるIDタグラベル2の良否判定結果を、自身に設けられた所定の記憶部(良否判定結果記憶部)に記憶する。
【0025】
送り停止位置検出手段14は、搬送ライン10上を搬送されていく台紙4(ラベルロール40)の停止位置(停止タイミング)を検出する。具体的にいえば、搬送ライン10上を搬送されていく台紙4に、IDタグラベル2の付着間隔ごとに被検出部4Zが設けられており、この被検出部4Zを送り停止位置検出手段14が検出する。本実施形態においては、図5に示すように、透光性を有する台紙4の長さ方向に沿ってIDタグラベル2の付着間隔ごとに被検出部4Zとして遮光窓領域(例えば黒色アイマーク)が設けられており、台紙4の表面側から裏面側に向けて照射され、裏面側にて検出される光が、当該窓領域によって遮られて非検出となること検知し、これに伴い制御部80が台紙4(ラベルロール40)の搬送を停止させる。そして、停止後、所定期間経過した後に、再び台紙4(ラベルロール40)の搬送を再開させる。
【0026】
剥離位置10Qにおいて剥離されたIDタグラベル2は、回転するラベル搬送ドラム20の外周面21と近接する予め定められた送出位置20Eに送り出されるが、その送り出しタイミングは、送出位置20Eに送り出されたIDタグラベル2が、回転するラベル搬送ドラム20の吸着保持部21Q(図3参照)に吸着可能となるタイミングとしなければならない。即ち、IDタグラベル2が送出位置20Eに送り出されるタイミングと、回転するラベル搬送ドラム20の吸着保持部21Qが送出位置20Eに到達するタイミングとを一致させる必要がある。
【0027】
本実施形態においては、ラベル搬送ドラム20は等速回転するように構成されているから、送出機構10は、吸着保持部21Q(図3参照)が送出位置20Eに到達するタイミングに合わせて、IDタグラベル2を送出位置20Eに送り出すよう間欠的に駆動する。即ち、台紙4(ラベルロール40)が、等速回転するラベル搬送ドラム20の各吸着保持部21Qが送出位置20Eに順次到達してくる各タイミングに合わせて、IDタグラベル2が送出位置20Eに送り出されるよう、図13に示す制御部80が、駆動部10Mを間欠的に駆動させる。その間欠駆動の停止トリガー信号として、さらには再駆動開始位置の位置合わせを行うための位置合わせ信号として、送り停止位置検出手段14の検出結果を利用している。具体的にいえば、ラベル搬送ドラム20は、等速回転するようその駆動部20M(図14参照)が制御部80によって駆動制御され、かつ周方向に等間隔おきに吸着保持部21Qを有するものであり、このラベル搬送ドラム20において、吸着保持部21Qが送出位置20Eに到達する時間間隔は一定で、なおかつ送り停止位置検出手段14の検出結果に基づいて停止した台紙4(ラベルロール40)が搬送を開始してからIDタグラベル2が送出位置20Eに送り出されるまでのラベル送り時間も一定であるから、制御部80は、吸着保持部21Qが送出位置20Eに到達する時間よりも、上記ラベル送り時間だけ前のタイミングで駆動部10Mに駆動信号を出力し、台紙4(ラベルロール40)が搬送を開始させる一方で、送り停止位置検出手段14が被検出部4Zを検出したタイミングで駆動部10M(図14参照)に停止信号を出力し、台紙4(ラベルロール40)の搬送を停止させる。
【0028】
なお、IDタグラベル2が送出位置20Eに送り出されるタイミングと、回転するラベル搬送ドラム20の吸着保持部21Qが送出位置20Eに到達するタイミングとを合わせる制御については、上記に限られる必要は無く、IDタグラベル2が、ラベル搬送ドラム20の各吸着保持部21Qが送出位置20Eに順次到達してくる各タイミングに合わせて、送出位置20Eに送り出されればよい。
【0029】
また、剥離されたIDタグラベル2が回転するラベル搬送ドラム20の吸着保持部21Qに対しスムーズに吸着されるためには、可能送出位置20E(剥離位置)に送り出されてくるIDタグラベル2の送出速度と、ラベル搬送ドラムの回転速度とを一致させる必要がある。このため、駆動部10Mは、IDタグラベル2の送出速度がラベル搬送ドラムの回転速度と一致するよう、制御部80に駆動制御される。
【0030】
ラベル搬送ドラム20は、自身の回転軸線20Xを中心とする略円筒状をなし、図3に示すように、そのドラム20内において各吸着保持部21Qに対応する位置に書込手段3が固定設置されている。ラベル搬送ドラム20の外周面21には、吸着保持部21Q毎に、複数の吸引孔21Hが形成されており、それら吸引孔21Hはドラム内で1つの吸気通路21Kに連通して、その吸気通路21K内が吸引駆動部(図14参照:ここではブロワ)20Vにより吸引されるように構成される。図6に示すように、各吸引孔21Hは、ラベル搬送ドラム20の外周部を回転軸線20Xに対し径方向内向きに延出して吸気通路21Kに連通し、吸気通路21Kは、下方に位置する吸引駆動部20Vに向けて筒状に延出する。なお、吸引駆動部20Vは、吸気通路21K内を外気に対し負圧に保持するものであればよく、少なくとも吸気通路21K内を吸引駆動部20Vに向かう気流を生成するものであればよい。
【0031】
ラベル搬送ドラム20は、各吸着保持部21Qにおいて、IDタグラベル2の裏面2bに設けられた接着面を外周側に露出し、内周側の面が吸着される形で該IDタグラベル2を吸着保持することができる。ここでは、駆動部20Mによる回転駆動によって、吸着保持部21Qが上記の送出位置20Eから搬送終了位置20Fまでの搬送区間20L(図1参照)を回転搬送される間、IDタグラベル2が吸引保持される。そして、その吸引保持期間中に、その吸着保持部21Qに対応する書込手段3が、吸引保持中のIDタグラベル2に対し非接触型通信により所定の必要情報を書き込む書込処理を実行する。搬送区間20L内には、常時複数の吸着保持部21Qが位置し、それらが全て書込処理を行っており、各々が搬送終了位置20Fに達した際には書き込みが完了している。つまり、搬送区間20Lは、送出位置20Eにて吸着保持部21QがIDタグラベル2を吸着保持した後、書き込みを開始し、それが終わるまでの区間として、その長さが定められている。
【0032】
なお、書込手段3は、図3に示すように、アンテナ部3Aと、リーダライタ(書込装置と読取装置の機能を備える装置)3Wと、これらを制御する書込制御部3Cとを備えて構成される。本実施形態における書込手段3は、回転軸線20Xを中心とする周方向に等間隔おきに8箇所設けられている。各書込手段3が実行する書込処理は、IDタグラベル2に対する非接触型通信により、該IDタグラベル2のICチップ2Cに所定の必要情報を書き込むだけでなく、書き込まれた必要情報が変更されないようロック(書き込み不可)状態とするロック処理も含めてもよい。
【0033】
各書込手段3は、回転軸線20Xに対する径方向において、対応する吸着保持部21Qの各吸引孔21Hを包含する予め定められた吸着予定面21R(図4参照)のうち、吸着するIDタグラベル2のRFID機能部2Z(図5参照)に対し対向する位置に設けられる。本実施形態においては、各吸着保持部21Qの吸着予定面21Rのうち、ラベル搬送ドラム20の回転方向側端部に対し、対応する書込手段3のアンテナ部3Aが対向している。これにより、確実な非接触通信が可能となる。具体的にいえば、IDタグラベル2は、図5に示すように、中央部に印字手段14による印字部(レーザーマーキング部)2Yが形成されるとともに、ラベル搬送ドラム20の回転方向先頭側には少なくともアンテナコイル2Aを有したRFID機能部2Zが形成され、他方、ラベル搬送ドラム20の回転方向後方側にはバーコード部2Xが形成されている。そして、各書込手段3において電波を送信するアンテナ部3Aが、IDタグラベル2のRFID機能部2Zに対し対向するよう、ラベル搬送ドラム20内に固定設置されている。
【0034】
なお、本実施形態においては、吸着保持部21Qの吸着予定面21Rのうち、吸着するIDタグラベル2の印字部(レーザーマーキング部)2Yに対応する位置には、印字カスなどの吸引防止のために吸引孔21Hが形成されない吸引孔非形成領域21Jが形成されている(図4参照)。
【0035】
本実施形態におけるラベル搬送ドラム20は、図6に示すように、回転軸線20Xを中心とする筒状の軸部22の上端部に環状のリング部23が設けられ、そのリング部23の外周側に、周方向に沿って等間隔おきに複数の書込手段3が固定設置されている。具体的にいえば、図3に示すように、周方向両側を主表面及び主裏面が向くように配置された固定用板材24のうち、周方向の一方の側にリーダライタ3Wが設けられた基板24Wが固定され、他方の側に書込手段3を制御する個別制御手段(マイコン:制御部)3Cが設けられた基板(マイコンボード)24Cが固定され、さらに、固定用板材24の径方向外側にアンテナ部3Aが設けられた基板24Aが固定されている。ここでは、個別制御手段3Cの基板24C及びリーダライタ3Wの基板24Wの主面が、ラベル搬送ドラム20の周方向に向くよう配置されている。これにより、ラベル搬送ドラム20内の周方向において、これらの基板をより多く配置することができ、ひいてはより多くの書込手段3を配置することが可能となり、結果として全体の処理速度をより増すことができる。なお、本実施形態の固定用板材24は、図3に示すように、回転軸線20Xに対する径方向外向きに延出するL字立部24Yと、その径方向外端から周方向に延出するL字底部24Xとを有した水平断面L字型をなし、L字立部24Yの周方向におけるそれぞれの主面に固定部材を介在させる形で、基板24W,24Cが固定されている。
【0036】
ラベル搬送ドラム20において、搬送終了位置20Fに到達した吸着保持部21Qは、吸着保持されているIDタグラベル2の接着面2bを、IDタグラベル2とは別系統の搬送ライン50Lで搬送されてくる貼付対象物5に対し押圧する形で貼付する。ここで、貼付対象物5の搬送ライン50Lについて説明する。なお、本実施形態の貼付対象物5は筒状部材であり、本実施形態ではアンプルである。
【0037】
図9に示すように、貼付対象物5は、貼付対象供給コンベア51上に多数をまとめて置かれる。貼付対象供給コンベア51は、それら多数の貼付対象物5が搬送ドラム52に向けて移動するよう駆動する。貼付対象供給コンベア51は、図14のコンベア駆動部51Mの回転駆動により貼付対象物5が載置されるベルトを駆動し、コンベア駆動部(ここではトルクモータ)51Mは制御部80により駆動制御される。
【0038】
搬送ドラム52は、自身の回転軸線52Xを中心とする略円筒状の外周面に、所定間隔おきに複数設けられた貼付対象保持部52Aにて貼付対象物5を保持し、保持した貼付対象物5を、貼付ドラム50への受け渡し位置まで回転搬送する。具体的にいえば、搬送ドラム52の外周面には、貼付対象保持部52Aとして、貼付対象物5を1つずつ収容可能な凹部をなす貼付対象保持部52Aが所定間隔おきに複数形成されており、搬送ドラム52に向けて移動してきた貼付対象物5は、ガイド部51Gに案内される形で搬送ドラム52の一部の外周区間に向けて搬送され、当該外周区間に追いやられた貼付対象物5が順次それら凹部52Aに1つずつ収容されていく。そして、貼付対象保持部52Aに収容保持された貼付対象物5は、搬送ドラム52の回転に従い貼付ドラム50に向けて回転搬送される。この回転搬送中において、貼付対象供給コンベア51から離れると、凹部をなす貼付対象保持部52Aの開口側(搬送ドラム52の回転軸52Xに対する径方向外側)には、収容された貼付対象物5が凹部52Aから離間しないようガイドするガイド部52Gが出現する。ただし、このガイド部52Gは、搬送ドラム52が貼付ドラム50と対向する位置の手前で無くなる。この搬送ドラム52と貼付ドラム50とが近接対向する位置が貼付対象物5の受け渡し位置であり、離間ガイド部50Bによって、搬送ドラム52の貼付対象保持部52Aに収容保持されている貼付対象物5は、強制的に搬送ドラム52の回転に伴い凹部をなす貼付対象保持部52Aの開口から外に押し出して離間させられ、貼付ドラム50に受け渡される。
【0039】
貼付ドラム(貼付対象搬送ドラム)50は、搬送ドラム52から受け渡された貼付対象物5を保持し、ラベル搬送ドラム20の搬送終了位置20Fに近接する貼付位置50Qまで回転搬送するとともに、ラベル搬送ドラム20の吸着保持部21Qにおいて径方向外側に露出する接着面に、回転搬送している貼付対象物5を接触させる形で貼付させる貼付機構をなす。具体的に言えば、貼付ドラム50は、自身の回転軸線50Xを中心とする略円筒状の外周面に所定間隔おきに複数設けられた貼付対象保持部50Aにて、搬送ドラム52から受け渡された貼付対象物5を保持し、保持した貼付対象物5を、ラベル搬送ドラム20の搬送終了位置20Fに近接する貼付位置50Qまで回転搬送する。貼付対象保持部50Aに受け渡されて保持された貼付対象物5は、貼付ドラム50の回転に従いラベル搬送ドラム20に向けて回転搬送される。貼付対象保持部50Aは、貼付ドラム50の回転軸線50Xに対する径方向内側に設けられた対をなす2つのフリーローラ50R,50Rに挟まれる形で、径方向内側から支持される形で保持されており、径方向外側に設けられたガイド部50G1によって径方向外側への離間が妨げられ、当該保持状態が継続したまま回転搬送される。
【0040】
なお、対をなす2つのフリーローラ50R,50Rは、貼付ドラム50の回転軸線50Xの軸線方向と同方向に回転軸線を有するローラであり、ローラ支持体50Dによりそれら回転軸線周りに回転自在に設けられている。そして、対をなす2つのフリーローラ50R,50Rは、回転軸線50Xに対する径方向内向きに、付勢手段(ここではばね部材)50Sに抗して押し込むことが可能である。ただし、ここでの回転搬送時においては、図8A(a)に示すように、回転搬送中の遠心力もあって、付勢手段50Sが径方向内向きに押し込まれるようなことはない。
【0041】
搬送ドラム52から受け渡されて貼付ドラム50の貼付対象保持部50Aに保持された貼付対象物5は、ラベル搬送ドラム20と接触する貼付位置50Qに到達すると、図8A(b)に示すように、ラベル搬送ドラム20の外周面によって、対をなす2つのフリーローラ50R,50Rごと回転軸線50Xに対する径方向内向きに、付勢手段50Sに抗して押し込まれる。このとき、貼付対象物5と接触するラベル搬送ドラム20の外周面は上述の吸引面21Rであり、当該吸引面21R上にはIDタグラベル2が吸引保持されている。さらにいえば、吸引保持されているIDタグラベル2は、接着面2bをラベル搬送ドラム20の回転軸線20Xに対する径方向外向きに向けている。このため、貼付対象物5は、この接着面2bに押圧されることによってIDタグラベル2が貼付されるとともに、双方のドラム20,50が互いの回転方向を異にして回転するため、フリーローラ50R,50R上で貼付対象物5が回転し、貼付対象物5の外周面にIDタグラベル2が巻きつけられ(図8A(c))、最終的にIDタグラベル2が貼付対象物5に対し接着固定される(図8A(d))。なお、IDタグラベル2が貼付された貼付対象物の符号は5’とする。図8B(a)〜(d)に示す変形例のように、フリーローラ50R,50Rに代えて中心位置が固定(浮動でない)の固定ローラ50rと、固定ローラ50rの中心を支点として回動する回動体50Lの自由端部側に位置する浮き沈み自在なフリーローラ50R’と、フリーローラ50R’を貼付対象物5側へ付勢する付勢手段(ばね部材)50S’との組合せにより、IDタグラベル2を貼付対象物5に貼り付けることもできる。
【0042】
IDタグラベル2が貼付された貼付対象物5’は、貼付前と同様にして、貼付対象保持部50Aをなす対をなす2つのフリーローラ50R,50R(又は固定ローラ50rとフリーローラ50R’)に挟まれる形で径方向内側から支持され、かつ径方向外側に設けられたガイド部50G2によって径方向外側への離間が妨げられた形で保持されており、当該保持状態が継続したまま回転搬送される。この回転搬送中に、検査手段60によって、IDタグラベル2に対し必要情報が正常に書き込まれたか否かが検査される。
【0043】
本実施形態の検査手段60は、貼付対象物5である容器に貼付されたIDタグラベル2に対し検査を実施する。これは、IDタグラベル2の貼付対象物5への貼付が物理接触(押圧)を伴う形でなされるため、IDタグラベル2のRFID機能部2Zに対する破損が懸念されるためである。ただし、例えば貼付時の押圧力が調整され、そうした懸念が心配ない場合であれば、ラベル搬送ドラム20の搬送中に、上述の書込処理がなされた後に、直ちに検査処理を実施してもよい。
【0044】
本実施形態においては、貼付ドラム50の貼付対象保持部50Aに保持された貼付対象物5に対し、貼付位置50QにてIDタグラベル2が貼付された後、当該貼付対象物5’はさらに回転搬送されて、検査手段60による検査が実施される弧状の検査区間60Rを通過する。このとき、検査手段60は、当該検査区間60Rを通過する貼付対象物5’のIDタグラベル2に対し、貼付ドラム50の径方向外側から非接触型通信によりICチップ2Cに書き込まれた必要情報を読み出して検査する。
【0045】
本実施形態における検査手段60は、検査区間60Rを回転搬送される貼付対象物5’に対向するよう該貼付対象物5’に追従して移動する検査体6を有するとともに、検査体6は、図11に示すように、検査区間60Rの検査開始位置60Sの静止状態(図11の(1))から、貼付ドラム50の回転搬送方向に向けて加速し、その後、貼付対象物5と同速(定速)となる中間区間(図11の(2))を経た後に減速し、検査終了位置60Tにて静止状態となって(図11の(3))、再び検査開始位置60Sに向けて戻り、静止状態となる(図11の(4))という往復動作をするように構成されている。ここでは、検査開始位置60Sから検査終了位置60Tに向かう往路における検査体6の平均移動速度の方が、検査終了位置60Tから検査開始位置60Sに戻る復路における検査体6の平均移動速度よりも速くなるように設定されている。つまり、検査対象とされた貼付対象物5’に追従する形で検査を実施する往路ではより確実な検査のために移動速度を落とす一方で、戻るだけの復路では、往路で遅くなった分を取り戻すように移動速度がより早くなっている。復路を検査体6が移動する移動時間は、検査などが実施されない、いわば無駄な時間となるため、この時間をより短縮することが、全体の処理速度を増す上で重要となる。
【0046】
本実施形態においては、図11に示すように、一定速度で回転搬送される貼付対象物5’のうち、検査対象とされた貼付対象物5’が検査開始位置60Sに位置するときに、回転搬送方向において当該貼付対象物5’よりも1つ先に位置する貼付対象物(検査済み)5’の位置を60Uとすると、当該貼付対象物5’が、検査区間60Rをなす検査開始位置60Sから検査終了位置60Tに到達するまでに移動する移動距離と、検査終了位置60Tから上記位置60Uに到達するまでに移動する移動距離とでは、前者の移動距離の方が後者の移動距離よりも長い。また、貼付対象物5’は一定速度で移動するので、移動時間も前者の移動距離の方が長く、後者の移動距離の方が短い。一方で、検査体6が検査区間60Rをなす検査開始位置60Sから検査終了位置60Tに到達するまでに移動する往路の移動距離と、検査体6が検査終了位置60Tから検査開始位置60Sに到達するまでに移動する復路の移動距離とは同距離であるが、移動時間は、前者の往路の方が長く、後者の復路の方が短い。そして、本実施形態においては、検査体6の復路の移動距離を移動する移動時間と、貼付対象物5’が検査終了位置60Tから上記位置60Uに到達するまでの移動時間とが同じとなるように、検査体6の移動速度が設定されており、さらにいえば、検査体6が往路を移動する往路移動時間と、検査体6が復路を移動する復路移動時間との比が3:1となっており、具体的には、往路の移動時間が150ms、復路の移動時間が50msとなっている。ただし、より望ましくは、往路の移動時間と復路の移動時間との比が4:1など、往路の移動時間の割合がより長くなるとよい。なお、図11においては、位置60Sから位置60Uまでの距離が回転搬送方向において隣接する貼付対象物5’間の距離である。
【0047】
検査手段60を、ラベル搬送ドラム20内に書込手段3を設けたように貼付ドラム50内に設けなかった理由は、貼付ドラム50において隣接して保持される貼付対象物5(あるいは5’)の隣接間隔(ピッチ)が短いからであり、貼付対象物5(あるいは5’)の保持位置毎に検査手段60を配置すると、各々が送受信する電波が干渉する恐れがあるし、さらにその数も膨大になることから、これを取り止め、上述のようなオシュレート機構(決められた区間の間は貼付対象物5’の搬送に追従した後、元に位置に戻る)を採用している。なお、本実施形態の検査体6は、後述するように複数設けられており、各々が自身の検査区間60Rを往復動作するように構成されている。
【0048】
なお、検査手段60の検査体6は、リーダライタ(書込装置と読取装置の機能を備える装置)6Rと、アンテナ部6Aと、これらを制御する検査制御部6Cを備えて構成される。各検査体6が実行する検査処理は、IDタグラベル2に対する非接触型通信により、該IDタグラベル2のICチップ2Cに書き込まれた所定の必要情報を読み出し、その読み出した情報の正否をチェックするだけでなく、ここではロック(書き込み不可)状態となっているか否かをチェックしてもよい。ここでは、検査処理として、必要情報の正否判定と、ロック状態の正否判定との双方を行う。これらの正否判定結果(良否判定結果)は、先行するIDタグラベル2のものから順に、メイン制御部100(図13参照)に送信され、記憶・蓄積される。
【0049】
検査区間60Rを通過した貼付対象物5’は、貼付ドラム50の貼付対象保持部50Aに保持された状態で、なおかつガイド部50G2からさらにはガイド部50G3によってガイドされる形で、第1の排出ドラム53へ向かけて回転搬送される。ガイド部50G3は、貼付ドラム50が排出ドラム53と対向する位置の手前で無くなる。貼付ドラム50と排出ドラム53とが近接対向する位置が貼付対象物5’の受け渡し位置であり、離間ガイド部53Bによって、貼付ドラム50の貼付対象保持部50Aに保持されている貼付対象物5’は、強制的に搬送ドラム52の回転に伴い外に離間させられて、排出ドラム53の外周面に凹部として形成された貼付対象保持部53Aに受け渡される。
【0050】
第1の排出ドラム53は、自身の回転軸線53Xを中心とする略円筒状の外周面に所定間隔おきに複数設けられた貼付対象保持部53Aにて、貼付ドラム50から受け渡された貼付対象物5’を保持し、保持した貼付対象物5’を、所定の排出分岐位置55まで回転搬送する。なお、貼付対象保持部53Aは、ラベル搬送ドラム20と同様、排出ドラム53の回転軸線53Xに対する径方向内側に吸引される吸着保持部として構成されるとともに、径方向外側に設けられたガイド部53Gによって径方向外側への離間が妨げられ、吸着保持状態が継続したまま回転搬送される。
【0051】
排出分岐位置55に到達した貼付対象物5’は、第1の排出ドラム53の貼付対象保持部53Aに保持された状態で、同時に、第2の排出ドラム54の貼付対象保持部54Aにも保持された状態となる。
【0052】
第2の排出ドラム54は、自身の回転軸線54Xを中心とする略円筒状の外周面に所定間隔おきに複数設けられた貼付対象保持部54Aにて、第1の排出ドラム53から受け渡される貼付対象物5’を保持し、保持した貼付対象物5’を回転搬送し、搬送された貼付対象物5’を不良品回収トレイ57へと送り出す。なお、貼付対象保持部54Aは、第1の排出ドラム53と同様、排出ドラム53の回転軸線53Xに対する径方向内側に吸引される吸着保持部として構成される。吸着保持状態が継続したまま回転搬送されるとともに、径方向外側に設けられたガイド部54Gによって径方向外側への離間が妨げられる。その後、離間ガイド部57Bによって、排出ドラム54の貼付対象保持部54Aに吸着保持されている貼付対象物5’は、強制的に排出ドラム54の回転に伴い凹部をなす貼付対象保持部54Aの開口から外に押し出して離間させられ、ガイド部57G,57Gにガイドされる形で、不良品回収トレイ57に収容される。
【0053】
排出分岐位置55に到達した貼付対象物5’は、図13及び図14のメイン制御部100によって、貼付されているIDタグラベル2の表示形成不良、書込異常(書込不良)、検査異常(検査不良)等の不良が存在しているか否かが判定され、不良と判定されなかった場合には、良品回収トレイ56へと貼付対象物5’を搬送され、不良と判定された場合には、不良品回収トレイ57へと貼付対象物5’を搬送される。メイン制御部100の所定の記憶部には、順次排出分岐位置55に搬送されてくる貼付対象物5’に貼付されたラベル2の、印字検査(表示検査)や、書込処理、検査処理での良否判定結果が、順次搬送されてくる貼付対象物5’上のラベル2の順序情報に対応付けられた形で記憶・蓄積されているので、メイン制御部100は、順次排出分岐位置55に到達する貼付対象物5’の順序をカウントする一方で、そのカウント値から得られる順序情報に対応するラベル2の良否判定結果を所定の記憶部から読み出し、読み出した良否判定結果に基づいて、不良の有無を判定する。不良と判定されなかった場合には、排出分岐位置55にて貼付対象物5’を吸着保持している第1の排出ドラム53の貼付対象保持部53Aの吸引を継続し、第2の排出ドラム54の貼付対象保持部54Aの吸引を停止するよう弁駆動し、吸引ラインを切り替える。これにより、排出分岐位置55の貼付対象物5’は、ガイド部54Gによって径方向外側への離間が妨げられた状態で、第1の排出ドラム53の貼付対象保持部53Aに吸着保持された状態が継続したまま回転搬送される。その後、離間ガイド部56Bによって、排出ドラム53の貼付対象保持部53Aに吸着保持されている貼付対象物5’は、強制的に排出ドラム53の回転に伴い凹部をなす貼付対象保持部53Aの開口から外に押し出して離間させられ、ガイド部56G,56Gにガイドされる形で、良品回収トレイ56に収容される。他方、不良と判定された場合には、排出分岐位置55にて貼付対象物5’を吸着保持している第1の排出ドラム53の貼付対象保持部53Aの吸引を停止し、第2の排出ドラム54の貼付対象保持部54Aの吸引を開始するよう弁駆動し、吸引ラインを切り替える。これにより、排出分岐位置55の貼付対象物5’を、貼付対象保持部54Aによる吸着保持状態が継続したまま回転搬送し、離間ガイド部57Bやガイド部57G,57Gにガイドされる形で、不良品回収トレイ57に収容される。
【0054】
なお、図14に示すように、搬送ドラム52、貼付ドラム50、排出ドラム53,54は、それぞれのドラム駆動部(ここではステッピングモータ)52M,50M,53M,54Mの回転駆動によって回転し、それら駆動部52M,50M,53M,54Mが制御部80により駆動制御される。ただし、本実施形態においては、これらのドラム52,50,53,54の回転速度が同じである。この場合、共通のドラム駆動部(ここではステッピングモータ)の回転駆動力をギア等により各ドラム52,50,53,54に伝達することにより、全てのドラム52,50,53,54を同速回転させるように構成してもよい。また、本実施形態における全てのドラム52,50,53,54の回転軸線52X,50X,53X,54Xは全て同方向で平行をなし、ここでは全て重力方向に向いている。なお、本実施形態においては、図1に示すように、送出機構10における巻出軸部15A、巻取軸部15B、ガイドローラ16等もそれぞれの回転軸線が重力方向を向いており、台紙4は、その幅方向が重力方向に向いた形で搬送されている。また、貼付対象物5(5’)も、各ドラム52,50,53,54による回転搬送中は、軸線を重力方向とし、作業台9(図1参照)の天面上をすべる形で搬送されている。
【0055】
また、排出ドラム53,54の吸着保持部に保持された貼付対象物5’は、上記した吸引駆動部(図13参照:ここではバキュームポンプ)20Vにより吸引されるように構成される。
【0056】
図13及び図14は、本実施形態の電気的構成を示すブロック図である。
【0057】
書込手段3は、ラベル搬送ドラム20の外周の各吸着保持部21Qに対応して設けられており、各々が、アンテナ部3Aと、リーダライタ3Wと、書込制御部3Cと、を備える。また、本実施形態においては、メイン制御部100がラベル搬送ドラム20に対し非回転に設けられており、メイン制御部100と各書込制御部3Cとが、非回転時のみならず回転時においても接続状態が保持されるよう回転接続部(ロータリーコネクタ)102を介して接続されている。また、本実施形態においては、各書込手段3の書込制御部3C同士がマルチドロップ接続(直列接続)されているため、回転接続部(ロータリーコネクタ)102の接続ポートが少なくて済み、シンプルな配線形態となっている。各書込制御部3Cへの入出力信号には、それら各書込制御部3C固有の識別情報(子局番号)が付され、識別可能とされている。
【0058】
また、各書込手段3への電源供給も、ラベル搬送ドラム20に対し非回転に固定された電源部から、回転接続部(ロータリーコネクタ)102を介して供給される(図13参照)。
【0059】
各書込手段3の書込制御部3Cは、メイン制御部100からの書込トリガー信号の入力を受けると、自身の記憶部のうち書込情報記憶部に記憶された必要情報(書込用データ)をRFIDラベルに書き込むための書込指令信号をリーダライタ3Wに出力し、アンテナ部3Aからこれに応じた電波出力をさせる。メイン制御部100は、各書込手段3の書込タイミングを検出する書込タイミング検出手段91(図13参照)の検出情報に基づいて、対応する各書込制御部3Cに対する書込トリガー信号を出力する。本実施形態においては、ラベル搬送ドラム20が等速回転し、各書込手段3が周方向に等間隔配置されているから、各書込手段3が、送出位置20Eを過ぎた所定角度位置に達した場合に、メイン制御部100が、当該書込手段3に対応する書込トリガー信号を出力するようにする。書込タイミング検出手段91は、例えばラベル搬送ドラム20の回転角度を検出する回転センサとすることができ、一定の回転角度が到来する毎に、順次出力先となる書込制御部3Cを切り替えながら書込トリガー信号を出力するようにすることができるし、また、ラベル搬送ドラム20の各吸着保持部21Qに被検出部を設け、該吸着保持部21Qの被検出部が、送出位置20Eを過ぎた所定角度位置に達したことを検出した場合に、当該所定角度位置に達した吸着保持部21Qに対応する書込制御部3Cに書込トリガー信号を出力するようにしてもよい。
【0060】
本実施形態の書込制御部3Cは、自身に対応する書込トリガー信号の入力を受けるに伴い書込指令信号をリーダライタ3Wに出力し、書込処理として、対応する吸着保持部に保持されたRFIDラベルのICチップ2Cに所定の必要情報を書き込む処理と、書き込んだ必要情報が変更されないようロック(書き込み不可)状態とするロック処理とを連続的に実行させる。
【0061】
また、上記書込処理後は、当該書込処理が正常に行われたか否かを示す正否応答信号を、アンテナ部3Aを介してリーダライタ3Wが受信する。書込制御部3Cは、この正否応答情報をメイン制御部100に送信し、メイン制御部100にて、この正否応答情報に基づく良否判定結果を記憶蓄積する。これにより、書込異常のIDタグラベル2が記憶される。なお、正否応答情報は、先行するIDタグラベル2から順にメイン制御部100に順次送信される。メイン制御部100は、順次送信されてくる正否応答情報の順序をカウントしており、そのカウント順に付される順序情報(識別情報)に対応付ける形で、対象となるIDタグラベル2への書込処理(ここではロック処理を含む)の良否判定結果を、自身に設けられた所定の記憶部(良否判定結果記憶部)に記憶する。
【0062】
検査手段60は、回転搬送される貼付対象物5’に追従する形で動作するよう設けられており、各々が、アンテナ部6Aと、リーダライタ6Rと、書込制御部6Cと、を有した検査体6として構成される。各検査体6は、ガイド部502によってガイドされる形で各々の弧状の一定検査区間60R(A),60R(B)を、貼付対象物5’に追従する形で往復動作するだけであるから、検査体6の検査制御部6Cは、非回転のメイン制御部100に対し可撓性を有する配線によって有線接続されている(ここでは各検査手段60の検査制御部6C同士がマルチドロップ接続(直列接続)されている)。検査手段60への電源供給も同様である。なお、本実施形態における検査手段60は、検査体6を複数同時に備え、複数の貼付対象物5’を同時に検査するように構成されている。ここでは、3つの検査体6を設けることが可能に構成されているが、実際には2つを用いている。
【0063】
なお、検査手段60は、往復動作するための駆動部6M(ここではサーボモータ)を1つ備えて構成される。2つの検査体6は一体化されており、1つの共通の駆動部6M(図14参照)によって一体的に往復動作する。
【0064】
図13に示す検査手段60の各検査制御部6Cは、メイン制御部100からの検査トリガー信号の入力を受けると、自身の記憶部のうち検査情報記憶部に記憶された必要情報(検査用データ)をRFIDラベルから読み込むための読込指令信号をリーダライタ6Rに出力し、アンテナ部6Aからこれに応じた電波出力をさせる。メイン制御部100は、検査手段60の検査タイミングを検出する検査タイミング検出手段92の検出情報に基づいて、各検査制御部6Cに対する検査トリガー信号を出力する。本実施形態においては、貼付ドラム50が所定角度位置に達した場合に、メイン制御部100が、双方の検査手段60に検査トリガー信号を出力する。検査タイミング検出手段92は、例えば貼付ドラム50の回転角度を検出する回転センサとすることができ、一定の回転角度が到来する毎に、検査トリガー信号を出力するようにすることができるし、また、貼付ドラム50の各貼付対象保持部50Aに被検出部を設け、該貼付対象保持部50Aの被検出部が、貼付位置50Qを過ぎた所定角度位置に達したことを検出した場合に、検査制御部6Cに検査トリガー信号を出力するようにしてもよい。
【0065】
また、検査トリガー信号は駆動系制御部80にも出力される。検査トリガー信号の入力を受けた駆動系制御部80は、各検査体6が図11のような往復動作を開始するように、共通の駆動部6Mを駆動制御する。
【0066】
なお、2つの検査体6は、各々異なる検査処理を実施するように構成されている。本実施形態においては、図12に示すように、一方の検査体(ここでは貼付対象物5’の回転搬送方向手前側の検査体)6が、自身に対応する検査トリガー信号の入力を受けるに伴い検査指令信号をリーダライタ6Rに出力し、検査処理として、検査対象とされた貼付対象保持部50Aに保持されたRFIDラベルのICチップ2Cから所定の必要情報を読み込む処理を実施する一方、他方の検査体(ここでは貼付対象物5’の回転搬送方向奥側の検査体)6が、自身に対応する検査トリガー信号の入力を受けるに伴い検査指令信号をリーダライタ6Rに出力し、検査処理として、検査対象とされた貼付対象保持部50Aに保持されたRFIDラベルのICチップ2Cに書き込まれている必要情報が変更されないようロック(書き込み不可)状態となっているかを示すロック情報を読み込む処理を実施する。1つの検査体6で双方の検査処理を実施するようにしてもよいが、上記のように2つの検査体6で分けて実施することで、より効率的な検査が可能となる。
【0067】
なお、本実施形態においては、検査手段60における複数の検査体6によって同時に検査される貼付対象物5は、回転搬送方向において互いに隣接しないもの同士になっている。具体的にいえば、本実施形態の2つの検査体6同士の間隔は、図12に示すように、貼付ドラム50の回転搬送方向において等間隔で隣接する貼付対象保持部50A間距離(ここでは33mm)の少なくとも2倍以上の間隔(ここでは66mm)をおいて配置され、往復動作中も、常にこの間隔が保たれる。これは、2つの検査体のアンテナ部3Aから発生する磁界の干渉により、安定的な読み取りができないためである。
【0068】
また、各検査体6において、上記検査処理が終了した後には、当該検査処理が正常に行われたか否かを示す正否応答信号を、アンテナ部6Aを介してリーダライタ6Rが受信する。検査制御部6Cは、この正否応答情報をメイン制御部100に送信し、メイン制御部100にて、この正否応答情報に基づく良否判定結果を記憶蓄積する。これにより、検査異常のIDタグラベル2が記憶される。なお、正否応答情報は、本実施形態においては、2つの検査体6のそれぞれの検査制御部6Cが正否応答情報を得たタイミングで、個別にメイン制御部100に送信する。これにより、各検査体6からの正否応答情報は、先行するIDタグラベル2から順にメイン制御部100に送信される。メイン制御部100は、順次送信されてくる正否応答情報の順序を、検査体毎にカウントしており、それぞれのカウント順にて付される順序情報(識別情報)に対応付ける形で、それぞれが検査対象としたIDタグラベル2への検査処理(ここではロック処理を含む)の良否判定結果を、自身に設けられた所定の記憶部(良否判定結果記憶部)に記憶する。
【0069】
なお、書込制御部3Cの書込情報記憶部に記憶された必要情報(書込用データ)、及び、検査制御部6Cの検査情報記憶部に記憶された必要情報(検査用データ)は、書込データ入力装置(例えばパーソナルコンピュータ)110からの情報入力に基づいて、書き換えが可能である。
【0070】
書込データ入力装置110と、回転する書込制御部3Cとは有線接続することも可能であるが、ここでは無線受信部をなす接続部111を介して無線接続され、無線通信による情報送信がなされる。これにより、回転体上に固定設置された書込制御部3Cの情報更新を、配線のより少ない形で行うことが可能となり、書き換えの際に作業者が有線接続作業をする必要がない。本実施形態の接続部(無線受信部)111は、各書込手段3(書込制御部3C)に取り囲まれる形で、ラベル搬送ドラム20の回転軸線20X上に配置されており、各書込手段3までの距離が等しくなるような位置に配置されている。
【0071】
他方、書込データ入力装置110と、検査制御部6Cとは共に非回転であるから、本実施形態においては常時有線接続されているが、一度の無線送信で書込制御部3Cの書込情報記憶部と、検査制御部6Cの検査情報記憶部との双方の情報書き換えが可能となるよう検査制御部6Cも、無線受信部をなす接続部112を介して無線接続されるように構成してもよい。
【0072】
なお、上述の必要情報としては、日時情報(日付や時間を含む)、製造番号、消費期限などが含まれる。
【0073】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、これはあくまでも例示にすぎず、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【0074】
例えば、検査手段60は、複数の検査体6により同時に検査される対象となる貼付対象物5が互いに隣接する物同士となるようにしてもよい。ただし、この場合、隣接する検査体6の間、さらには検査される対象とされた隣接する貼付対象物5’の間には、互いに送受信する電波に干渉が生じないよう電波干渉阻止手段として、例えば物理壁等を設ける必要がある。また、検査手段60は、図15、16に示すように、検査区間を回転搬送される貼付対象物5’のIDタグラベルに対し、貼付対象搬送ドラム50の径方向内側から非接触型通信によりICチップに書き込まれた必要情報を検査してもよい。さらに、検査手段60は、図17、18に示すように、検査区間を回転搬送される貼付対象物5’のIDタグラベルに対し、貼付対象搬送ドラム50の貼付対象搬送ドラムの回転軸方向50Xの上側又は下側から非接触型通信によりICチップに書き込まれた必要情報を検査してもよい。これらの場合、検査体6は、搬送ドラム50に対し、貼付対象物5’の外周側になるか内周側になるかの違いのみで、検査体6の作動、機能は図10、11で説明した内容と実質的に変わるものではない。なお、図17、18の場合に関して、貼付対象搬送ドラム50の回転軸方向50Xの上側又は下側からの非接触型通信とは、例えば図19に示すように、貼付対象物(ここではアンプル)5’の底面側からの非接触型通信としたり、図19に示すように、貼付対象物(ここではアンプル)5’の底面側からの非接触型通信や、図20に示すように、貼付対象物(ここではアンプル)5’の上面側からの非接触型通信とすることができる。これらの場合、貼付対象物5’のIDタグラベルは、貼付対象物5’の外周面のうち、該貼付対象物5’の高さ方向における一方の側(図19の場合は底部側(即ち下側)、図20の場合は上部側(即ち上側))に偏った位置に貼付されるため、その偏った側からの非接触型の近接通信とすれば、貼付対象物5’のIDタグラベルに正対する位置でなくとも、高い通信精度を確保することができる。
【0075】
図19の場合、IDタグラベル2が貼付された貼付対象物5’は、他の実施形態と同様、貼付対象保持部50Aをなす対をなす2つのフリーローラ50R,50R(又は固定ローラ50rとフリーローラ50R’)に挟まれる形で径方向内側から支持され、かつ径方向外側に設けられたガイド部50G2によって径方向外側への離間が妨げられた形で保持されるとともに、当該保持状態が継続したまま、貼付対象搬送ドラム50に対し非回転となる形で固定設置されているスライド板5000上をスライドする形で回転搬送される。そして、検査体6のアンテナ部6Aは、このスライド板5000に対し、貼付対象物5’とは逆側に位置しており、スライド板5000は、このアンテナ部6Aが送受信する電波が透過可能な部材(ここでは樹脂部材であり、厚さは約1mm)とされている。
【0076】
さらにいえば、図19のアンテナ部6Aは、貼付対象物5’の底面5A’の直下を通過するよう配置することができる。この場合、アンテナ部6Aは、スライド板5000に対し所定幅のわずかな隙間(ここでは約1mm)を介して対向配置されており、アンテナ部6Aから送信される電波は、スライド板5000及び貼付対象物5’の底面5A’を透過し、貼付対象物5’の内部を通過する形でIDタグラベル2に到達(受信)し、IDタグラベル2からの応答電波も、貼付対象物5’の内部を通過し、その底面5A’及びスライド板5000を透過する形でアンテナ部6Aに到達(受信)する。この構成によれば、貼付対象物5’に貼付されるIDタグラベル2は、検査に際して、貼付対象物5’の外周面のどの位置にあってもよく(どの方向を向いていてもよく)、位置を揃える必要がない。なお、上記電波には、貼付対象物5’の外側から回り込む形でIDタグラベル2やアンテナ部6Aに到達するものもあってよい。
【0077】
図20の場合は、検査体6のアンテナ部6Aが貼付対象物5’の上側に、所定幅(ここでは約1mm〜2mm)の隙間を介して配置されている。さらにいえば、図20のアンテナ部6Aは、貼付対象物5’の上面5B’の直上を通過するよう配置されており、送受信する電波が、図19の場合と同様、上面50B’を介して貼付対象物5’の内部を通過するよう構成されている。
【0078】
なお、アンテナ部6Aを貼付対象物5’の上下の位置に配置する場合、必ずしもその上面5B’の直上又は底面5A’の直下に配置せずともよく、少なくともアンテナ部6AとICタグラベル2との間での電波の送受信が可能な位置であればよい。
【0079】
なお、上記実施形態において自身の検査区間60Rを往復動作する検査体6は、アンテナ部6Aと、リーダライタ6Rと、検査制御部6Cとにより構成されているが、少なくともアンテナ部6Aを有して構成されていればよく、リーダライタ6R及び検査制御部6Cのいずれか又は双方は、当該往復動作する検査体6とは別に設けられていてもよい。図19の場合、検査体6を、主表面にアンテナ部6Aが形成された基板6Bとし、この基板を介してアンテナ部6Aと接続するためのコネクタ6Dに対し、通信線(通信ケーブル)6Eを接続する。さらにこの通信線6Eを、回転アーム600に沿って内周側に延出させて、検査体6とは別に設けられたリーダライタ6Rに接続する構成としてもよい。回転アーム600は、外周側先端上面にアンテナ部6Aが設けられ、駆動部6Mの駆動により回転する回転体である。
【0080】
また、貼付対象物5にIDタグラベル2が貼付された後、貼付ドラム50により当該貼付対象物5’が検査区間に達する前に、該IDタグラベル2が貼付対象搬送ドラムに対する径方向外向き又は径方向内向きに向くよう該貼付対象物5を回転させるラベル向き整列手段を備えるようにしてもよい。検査体6は、貼付ドラム50の外周側又は内周側に位置して電波を送受信する構成とすることができるため、この場合、IDタグラベル2が外又は内を向いていた方が安定した通信が可能となる。このラベル向き整列手段は、例えば、筒状の貼付対象物5’をその軸線周りに回転させる貼付対象回転手段と、該貼付対象物5’のRFID機能部2Zが検査体6側(貼付ドラム50における径方向外側や径方向内側等)を向いたことを特定するラベル向き特定手段と、該貼付対象物5’のRFID機能部2Zが検査体6側(貼付ドラム50における径方向外側や径方向内側等)を向いたと特定された時に、貼付対象回転手段による貼付対象物5’の回転を停止させる貼付対象回転制御手段を備えて構成できる。具体的にいえば、貼付ドラム50において各貼付対象保持部50Aをなす対をなす2つのフリーローラ50R,50Rのうち少なくとも一方を回転駆動可能な貼付対象回転手段とし、さらに、回転する貼付対象物5の表面上でIDタグラベル2のエッジを検出するエッジ検出手段を設け、メイン制御部100が、当該エッジの検出後、所定時間が経過した場合に、貼付対象物5’のRFID機能部2Zが検査体6側(貼付ドラム50における径方向外側や径方向内側等)を向いたと特定して、回転駆動手段の駆動を停止させるように構成できる。また、RFID機能部2Zが検査体6側を向いたことをカメラなどの撮影手段により撮影した画像等で直接的に検出してもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 IDタグラベル貼付装置
10 送出機構
10Q 剥離位置
10M 駆動部
11 剥離手段
11A 剥離部材
12 印字手段(ラベル表示形成手段)
13 印字検査手段(ラベル表示検査手段)
14 送り停止位置検出手段(停止センサ)
15A 巻出軸部
15B 巻取軸部
2 IDタグラベル
2a ラベル表面
2b ラベル裏面(接着面)
20 ラベル搬送ドラム
20M 駆動部
20V 吸引駆動部
20E 送出位置
20F 搬送終了位置
21Q 吸着保持部
21R 吸着予定面
21H 吸引孔
21K 吸気通路
22 筒状軸部
23 リング部
3 書込手段
3A アンテナ部
3W リーダライタ
3C 書込制御部
30 書込手段群
4 台紙
40 ラベルロール
5 貼付対象物(ラベル貼付前)
5’ 貼付対象物(ラベル貼付後)
50 貼付機構(貼付ドラム:貼付対象搬送ドラム)
50A 貼付対象保持部
50Q 貼付位置
50M 駆動部
51 貼付対象供給コンベア
51M コンベア駆動部
52 搬送ドラム
52M 駆動部
53 第1の排出ドラム
53M 駆動部
54 第2の排出ドラム
54M 駆動部
55 排出分岐位置
56 良品回収トレイ
57 不良品回収トレイ
6 検査体
60 検査手段
60R(60R(A),60R(B)) 検査区間
60S 検査開始位置
60T 検査終了位置
6R リーダライタ
6A アンテナ部
6C 検査制御部
9 作業台
80 駆動系制御部
91 書込タイミング検出手段
92 検査タイミング検出手段
50RM 貼付対象回転手段
100 メイン制御部
102 回転接続部(ロータリーコネクタ)
110 書込データ入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器との間での情報の送受信を非接触型通信により行うための送受信部及びICチップを有したIDタグラベルを所定の送出位置に順次送り出す送出機構と、
前記送出位置に順次送り出されてくる前記IDタグラベルを、自身の回転軸線を中心とする外周面に所定間隔おきに設けられた複数の吸着保持部に順次吸着保持させ、吸着保持した前記IDタグラベルを所定の搬送終了位置まで回転搬送するラベル搬送ドラムと、
前記ラベル搬送ドラムに対し常時一体回転する形で、複数の前記吸着保持部に対応して設けられた複数の書込手段を有し、それら各書込手段は、対応する前記吸着保持部が前記送出位置から前記搬送終了位置までの搬送区間を回転搬送される間に、それら各吸着保持部に吸着保持されるIDタグラベルに対し非接触型通信により所定の必要情報を書き込む書込処理を実行することにより、前記搬送区間内を回転搬送中の複数のIDタグラベルに対し書込処理がなされる書込手段群と、
前記搬送終了位置に到達したIDタグラベルを、該IDタグラベルとは別系統で順次搬送されてくる所定の貼付対象物に対し順次貼付していく貼付機構と、
前記IDタグラベルに対し前記必要情報が正常に書き込まれたか否かを検査する検査手段と、
を備えることを特徴とするIDタグラベル貼付装置。
【請求項2】
前記ラベル搬送ドラムは等速回転するものである請求項1に記載のIDタグラベル貼付装置。
【請求項3】
前記検査手段は、前記貼付対象物である容器に貼付された前記IDタグラベルに対し検査を実施するものである請求項1又は2に記載のIDタグラベル貼付装置。
【請求項4】
前記ラベル搬送ドラムは、各前記吸着保持部において、前記IDタグラベルの接着面を外周側に露出し、内周側の面を吸着する形で該IDタグラベルを吸着保持するものであり、
前記貼付機構は、自身の回転軸線を中心とする略円筒状の外周面に所定間隔おきに複数設けられた貼付対象保持部にて前記貼付対象物を保持し、保持した前記貼付対象物を、前記ラベル搬送ドラムの搬送終了位置に近接する貼付位置まで回転搬送する貼付対象搬送ドラムを備え、前記搬送終了位置に到達した前記IDタグラベルの接着面を前記貼付位置に到達した前記貼付対象物に対し押圧する形で貼付するものである請求項1ないし3のいずれか1項に記載のIDタグラベル貼付装置。
【請求項5】
前記貼付対象搬送ドラムは、前記貼付位置にて前記貼付対象物に前記IDタグラベルを貼付した後、当該貼付対象物をさらに回転搬送して前記検査手段による検査が実施される検査区間を通過させ、
前記検査手段は、前記検査区間を回転搬送される貼付対象物の前記IDタグラベルに対し、非接触型通信により前記ICチップに書き込まれた前記必要情報を検査するものである請求項4に記載のIDタグラベル貼付装置。
【請求項6】
前記検査手段は、前記検査区間を回転搬送される貼付対象物の前記IDタグラベルに対し、前記貼付対象搬送ドラムの径方向外側又は内側から非接触型通信により前記ICチップに書き込まれた前記必要情報を検査するものである請求項5に記載のIDタグラベル貼付装置。
【請求項7】
前記検査手段は、前記検査区間を回転搬送される貼付対象物の前記IDタグラベルに対し、前記貼付対象搬送ドラムの回転軸方向の上側又は下側から非接触型通信により前記ICチップに書き込まれた前記必要情報を検査するものである請求項5に記載のIDタグラベル貼付装置。
【請求項8】
前記検査手段は、前記検査区間を回転搬送される貼付対象物に対向するよう該貼付対象物に追従して移動する検査体を有するとともに、前記検査体は、前記検査区間の検査開始位置から検査終了位置までの間、前記貼付対象搬送ドラムの回転搬送方向に向けて該貼付対象物に追従して移動して、該貼付対象物に対する前記検査を完了する往路移動と、前記検査をすることなく前記貼付対象搬送ドラムの回転搬送方向とは逆に向けて前記検査終了位置から前記検査開始位置に戻る復路移動とを繰り返す形で動作するものである請求項5又は7に記載のIDタグラベル貼付装置。
【請求項9】
前記検査手段は、前記検査体を複数同時に備え、複数の前記貼付対象物を同時に検査するものである請求項8に記載のIDタグラベル貼付装置。
【請求項10】
前記検査手段は、複数の前記検査体により同時に検査される前記貼付対象物が互いに隣接しないようになっている請求項9に記載のIDタグラベル貼付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−30891(P2012−30891A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141842(P2011−141842)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(591037476)株式会社岩田レーベル (32)
【出願人】(000144452)株式会社三宅 (14)
【Fターム(参考)】