説明

IGF−1値上昇剤

【課題】経口によってIGF−1の血中濃度を上昇させることができる、IGF−1値上昇剤を提供する。
【解決手段】魚鱗および/または魚皮由来コラーゲンをタンパク分解酵素で処理することにより抽出されたコラーゲンペプチドを経口投与すると、肝臓でのIGF−1 mRNAの発現量が増大し、更に、IGF−1の血中濃度に関与するIGFBP−2やCi1量を左右するIGFBP−2 mRNAやCi1 mRNAの発現量も増大させ、IGF−1値上昇剤として機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚鱗および/または魚皮コラーゲンを加水分解してなるペプチドを主要成分とするIGF−1値上昇剤に関し、より詳細には、上記ペプチドを経口摂取することで肝臓でのIGF−1 mRNA、IGFBP−2 mRNA、Ci1 mRNAなどのIGF−1に関する遺伝子発現量を増加させ、最終的にIGF−1の血中濃度を上昇させることができるIGF−1値上昇剤に関する。
【背景技術】
【0002】
コラーゲンは、魚や豚、牛などの生皮、腱、骨などを形成する主要タンパク質であり、動物組織に普遍的に存在する。コラーゲンや、これを酵素、酸、アルカリなどで加水分解したコラーゲンペプチドは、単独で、または他の成分と併用して医薬組成物または食品組成物、栄養補助食品などとして広く使用されている。
【0003】
例えば、魚から加熱抽出又は加圧加熱抽出によって得たコラーゲンをタンパク加水分解酵素で平均分子量が1000〜10000になるまで酵素分解し、この酵素分解物を濃縮および精製し、固形分中の遊離アミノ酸含量が1.0質量%以下、ヒ素含量が2ppm以下である魚類由来のコラーゲンペプチドを含有する飲食品がある(特許文献1)。コラーゲンの様々な生理効果を期待し、かつ魚特有の味や臭いがなく、ヒ素含量の少ない魚類由来のコラーゲンペプチドの製造方法およびこのようなコラーゲンペプチドを含有する飲食品を提供するものである。コラーゲンペプチドの平均分子量を上記範囲に限定したのは、低粘度で飲食品に使用できからである。
【0004】
また、生体コラーゲン合成促進剤と異常タンパク質除去剤とを含有する抗老化用組成物であって、コラーゲン及び/またはゼラチンの分解物であって分子量が200〜300のものを含有する分解物を生体コラーゲン合成促進剤として含む抗老化用組成物もある(特許文献2)。コラーゲンペプチドによって皮膚のターンオーバーを促進させ皮膚の老化防止効果に優れるという。使用するコラーゲンは、牛や豚や魚などの動物の皮膚、骨及び腱などの結合組織から抽出したものでよく、タンパク分解酵素を使用し、平均分子量が200〜300付近のものを使用する。平均分子量が上記範囲であればトリペプチドを高含有するものであり、コラーゲン合成促進活性を飛躍的に向上させることができるからである。
【0005】
また、コラーゲンやゼラチンのコラゲナーゼによる分解物であって、そのアミノ酸配列が、(Gly−X−Y)(式中、Glyは、グリシン残基を表し、X,Yはアミノ酸残基を表し、互いにX,Yは同一であっても、異なってもよい)で表されるコラーゲントリペプチドからなるコラーゲンペプチド(Gly−X−Y)n(nは、正の整数を表す)を含有することを特徴とするヒアルロン酸産生促進剤もある(特許文献3)。特定のコラーゲンペプチドがヒアルロン酸産生促進剤として有効である事を見出したものである。コラーゲンペプチドの平均分子量は、280〜3000であることが好ましく、より好ましくはコラーゲンペプチド(Gly−X−Y)nにおけるn=1の含有量が、コラーゲンペプチド中に25〜100%のものである。このようなコラーゲンペプチドは、コラーゲンやゼラチンにコラゲナーゼを作用させて製造することができる。
【0006】
更に、食品組成物であって、1)平均分子量10000以下のコラーゲンを食品組成物全量に対して10〜60質量%と、2)グアーガムを食品組成物全量に対して0.001〜0.1質量%と、3)メチルセルロースを食品組成物全量に対して0.01〜1質量%、含有し、且つグアーガムの含有量がセルロースの含有量に対して5〜20質量%であることを特徴とする、美肌用食品組成物もある(特許文献4)。この美肌用食品組成物は、水無しで摂取可能な顆粒形態であることを特徴とするものである。使用するコラーゲンは、魚類を基源として加水分解したものであり、平均分子量は10000以下である。これを超えると口溶け性が阻害されて嚥下しにくくなるためである。
【0007】
加えて、ゼラチンおよび/またはコラーゲンの分解物であって、分子量が1000以下でありグルタミン酸単位が全アミノ酸単位の平均6モル%以上であるペプチドを有効成分として含む、カルシウム吸収促進剤もある(特許文献5)。吸収効率が高く、においの少ないカルシウム吸収促進剤を提供するものであり、コラーゲンの分解物は水溶性であるため吸収に優れ、かつグルタミン酸単位の含有量および分子量を特定することでカルシウム吸収剤の有効成分として使用できるという。ペプチドは、コラーゲンをブロメライン、フレーバーザイムMなどの酵素で分解して製造することができる。分子量は1000以下であることが好ましく、1000を超えるとカルシウム吸収効率が低下するからである。また、ペプチドを構成する全アミノ酸単位中の酸性アミノ酸単位の割合は、平均6モル%以上である。6モル%未満であると、カルシウム吸収効率が低下するからである。
【0008】
一方、ペプチドホルモンの一つに、下垂体から分泌される成長ホルモン(GH)によって肝臓から分泌されるインスリン様成長因子−1(IGF−1)がある。IGF−1は、インスリン様作用に加え細胞成長と発達に関与し、皮質の骨量、腎サイズ、前立腺サイズ、末梢血管抵抗性、ナトリウム貯留、癌進行、脳機能などの重要な内分泌効果を発揮する。このため、例えば、IGF−1が毛根の活発化を介した育毛効果を発揮する事に鑑み、植物から抽出したスウェルチアマリンをIGF−1産生促進剤として毛髪毛乳頭細胞に直接投与する技術がある(特許文献6)。
【0009】
一方、鮭の卵巣膜をタンパク分解酵素で処理して得られた成分からなるIGF−1上昇剤もある(特許文献7)。加齢によってIGF−1値が低下した場合でも、再びIGF−1値を上昇させることができる、という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第4236850号
【特許文献2】特許第4286513号
【特許文献3】特許第4336486号
【特許文献4】特許第4360986号
【特許文献5】特許第3881453号
【特許文献6】特開2009−263262号公報
【特許文献7】特許第3946238号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
コラーゲンは、分子量によって粘度や溶解性などの物理的性質が異なり、加水分解の方法や分子量によって異なる薬効を発揮する。上記特許文献1のコラーゲンペプチドは様々の生理効果を、特許文献2のコラーゲンペプチドは皮膚の老化防止効果を、特許文献3のコラーゲンペプチドはヒアルロン酸産生促進効果を、特許文献4のコラーゲンペプチドは美肌効果および口溶け性を、特許文献5のコラーゲンペプチドはカルシウム吸収促進効果を発揮する。しかしながら、上記特許文献1〜5に示すコラーゲンペプチドは、主として皮膚や骨に対する局所的な作用を対象とするものである。
【0012】
一方、IGF−1は、ペプチドホルモンの一つであって、特許文献6に示すように、特定物質を毛髪毛乳頭細胞などの特定細胞に投与すると、IGF−1の遺伝子発現が促進され、これにより毛根の活発化を介して育毛効果などの細胞成長効果が期待できる。また、特許文献7に示すように、鮭の卵巣膜をタンパク分解酵素で処理および抽出して得られる成分が、成年期を過ぎてIGF−1値が低下した場合でもIGF−1値を上昇させ、疲れやすさ、食欲、寝つき、眠りなどが改善されることも知られている。
【0013】
一方、コラーゲンやコラーゲンペプチドは、動物組織に普遍的に存在するタンパク質であり、経口摂取による安全性が高い。コラーゲンやコラーゲンペプチドの経口摂取によってIGF−1の血中濃度が上昇すれば、極めて安全性の高いIGF−1値上昇剤となる。
【0014】
上記状況に鑑み、コラーゲンの経口摂取によるIGF−1との係り、特に肝臓への関与を検討し、コラーゲンペプチドの新たな用途を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、本来廃棄される魚鱗および/または魚皮に由来するコラーゲンペプチドの経口摂取による肝臓への効果を検証したところ、後記する実施例に示すように、リボソームプロテインS6が増大し、IGF−1 mRNA、IGFBP−2 mRNA、Ci1 mRNA量が有意に増加し、および血中IGF−1濃度も増加することが判明し、上記コラーゲンペプチドがIGF−1上昇剤として使用しうることを見出し、本発明を完成させた。魚鱗は廃棄部分であり、特定処理して得られた魚鱗および/または魚皮由来コラーゲンペプチドが、経口摂取によって肝臓での遺伝子発現量を増強し、インスリン様成長因子−1(IGF−1)の血中濃度を増加させることは、全く知られていなかった。
すなわち、本発明は、魚鱗および/または魚皮由来コラーゲンをタンパク分解酵素で処理することにより抽出されたコラーゲンペプチドを含むことを特徴とする、IGF−1値上昇剤を提供するものである。
【0016】
また、本発明は、前記タンパク分解酵素が、アスペルギルス オリザエ(Aspergillus oryzae)、バチルス ズブチリス(Bacillus subtilis)またはバチルス リケニフォルミス(Bacillus Licheniformis)のいずれかから産生されたプロテアーゼであることを特徴とする、上記IGF−1値上昇剤を提供するものである。
【0017】
また本発明は、前記コラーゲンペプチドの重量平均分子量が1000〜10000である、上記IGF−1値上昇剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0018】
IGF−1は、一般には、成長ホルモンによって肝臓から分泌され、インスリン様作用に加えて細胞成長と発達に関与するホルモンである。本発明によれば、特定処理した魚鱗および/または魚皮コラーゲンペプチドを経口で摂取するだけで、肝臓でのIGF−1 mRNAの発現量を増大させ、かつIGF−1の血中濃度を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実験1の結果を示すものであり、カゼインを10%含有する餌を経口摂食した群(10C群)とカゼイン6%とコラーゲンペプチド4%含有する餌を経口摂食した群(6C+4CP群)とにおける肝臓でのリボソームプロテインスモール6の遺伝子発現量の差を示す図である。**:p<0.01
【図2】実験1の結果を示すものであり、カゼインを10%含有する餌を経口摂食した群(10C群)とカゼイン6%とコラーゲンペプチド4%含有する餌を経口摂食した群(6C+4CP群)とにおける肝臓でのリボソームプロテインスモール6量の差を示す図である。
【図3】実験2の結果を示すものであり、カゼインを10%含有する餌を経口摂食した群(10C群)とカゼイン6%とコラーゲンペプチド4%含有する餌を経口摂食した群(6C+4CP群)とにおける肝臓でのIGF−1 mRNAの発現量の差を示す図である。*:p<0.05
【図4】実験2の結果を示すものであり、カゼインを10%含有する餌を経口摂食した群(10C群)とカゼイン6%とコラーゲンペプチド4%含有する餌を経口摂食した群(6C+4CP群)とにおける肝臓での10C群と6C+4CP群とにおけるIGFBP−2 mRNAの発現量の差を示す図である。**:p<0.01
【図5】実験2の結果を示すものであり、カゼインを10%含有する餌を経口摂食した群(10C群)とカゼイン6%とコラーゲンペプチド4%含有する餌を経口摂食した群(6C+4CP群)とにおける体重の経時変化を示す図である。*:p<0.05、 **:p<0.01
【図6】実験2の結果を示すものであり、カゼインを10%含有する餌を経口摂食した群(10C群)とカゼイン6%とコラーゲンペプチド4%含有する餌を経口摂食した群(6C+4CP群)とにおける10C群と6C+4CP群との餌摂取量の経時変化を示す図である。
【図7】実験2の結果を示すものであり、カゼインを10%含有する餌を経口摂食した群(10C群)とカゼイン6%とコラーゲンペプチド4%含有する餌を経口摂食した群(6C+4CP群)とにおける10C群と6C+4CP群との大腿骨の各部位における骨密度を示す図である。*:p<0.05
【図8】実験3の結果を示すものであり、カゼインを10%含有する餌を経口摂食した群(10C群)とカゼイン6%とコラーゲンペプチド4%含有する餌を経口摂食した群(6C+4CP群)とにおける肝臓での10C群と6C+4CP群とにおけるCi1 mRNAの発現量の差を示す図である。*:p<0.05
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、魚鱗および/または魚皮由来コラーゲンをタンパク分解酵素で処理することにより抽出されたコラーゲンペプチドを含むことを特徴とする、IGF−1値上昇剤である。好ましくは、上記タンパク分解酵素がアスペルギルス オリザエ(Aspergillus oryzae)、バチルス ズブチリス(Bacillus subtilis)またはバチルス リケニフォルミス(Bacillus Licheniformis)のいずれかから産生されたプロテアーゼであり、得られたコラーゲンペプチドの重量平均分子量が1000〜10000のものである。以下、本発明を詳細に説明する。
(1)IGF−1値上昇剤の製造方法
本発明のIGF−1値上昇剤は、魚鱗および/または魚皮由来コラーゲンをタンパク分解酵素で処理することにより抽出されたコラーゲンペプチドからなる。このコラーゲンペプチドの製造方法に限定はないが、魚鱗および/または魚皮を前処理し、ついでコラーゲンを抽出し、得られたコラーゲンをタンパク分解酵素で加水分解したものを好ましく使用することができる。加水分解物は、濾過その他によって精製し、イオン交換によってpHを5〜7に調整されたものであってもよい。
【0021】
(i)魚鱗および/または魚皮
本発明のIGF−1値上昇剤に使用する魚鱗および/または魚皮としては、海水魚、淡水魚などの魚種を問わない。例えば、淡水魚であるテラピア、鯉、フナや、海水魚である鯛、鮭、鰺などを好適に使用することができる。本発明で使用する魚鱗および/または魚皮コラーゲンペプチドは、上記魚鱗および/または魚皮に含まれるコラーゲンをタンパク分解酵素で加水分解し、重量平均分子量が1000〜10000に限定したものである。
【0022】
(ii)前処理
魚鱗および/または魚皮は、水洗して付着物を除去した後に使用することが好ましい。水洗後に更に脱灰処理を行ってもよい。魚鱗には、リン酸カルシウム等の無機物が含まれるため、脱灰処理を行うことでコラーゲン抽出が容易になるからである。
【0023】
脱灰処理は、特に制限されるものではなく、例えば、魚鱗を、塩酸、エチレンジアミン4酢酸、エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム、エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム等の処理液中で2〜48時間攪拌する。前記処理液の使用量は、適宜設定すればよく、特に制限はない。脱灰処理は、必要に応じて複数回行なってもよいし、必要に応じて脱灰後に水洗を行なうようにしてもよい。なお、魚鱗および/または魚皮は粉砕したものを用いてもよい。
【0024】
(iii)コラーゲン抽出
本発明では、前処理した魚鱗および/または魚皮からコラーゲンを抽出する。コラーゲン抽出方法としては、例えば、水を加えて加熱抽出又は加圧加熱抽出する方法が好ましく用いられる。この方法によれば、水難溶性であるエラスチン等の不溶性タンパク質が溶出せず、効率よくコラーゲンを抽出できる。コラーゲン抽出は、魚鱗および/または魚皮100質量部に対して、100〜500質量部の水を加え、60〜100℃で0.5〜10時間加熱抽出すればよい。なお、加圧加熱抽出する場合は110〜120℃で0.5〜3時間抽出すればよい。
【0025】
(iv)加水分解
次いで、上記抽出工程で得たコラーゲンをタンパク加水分解酵素で処理して加水分解する。
【0026】
使用するタンパク加水分解酵素は特に制限されず、中性プロテアーゼ、アルカリ性プロテアーゼ、酸性プロテアーゼ、植物由来、微生物由来のプロテアーゼを用いることができる。
【0027】
植物起源のものとしては、パパイアのパパインやキモパパイン、パイナップルのブロメライン、イチジクのフィシン、キウイフルーツのアクチニジンがあり、又、パパイア、生姜、キウイフルーツ、マンゴー、パイナップルに由来するコラゲナーゼ等を使用することもできる。
【0028】
また、微生物起源のものとしては、リゾムコール ミーヘイ(Rhizomucor miehei)やリゾムコール プシルス(Rhizomucor pusilus)由来のレンネット、バチルス リケニホルミス(Bacillus licheniformis)をはじめとする枯草菌由来のサチライシン、ズブチリシン、アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)やリゾプス ニベウス(Rhizopus niveus)に由来する酸性プロテアーゼ、アスペルギルス オリザエ(Aspergillus oryzae)に由来するプロテアーゼ、バチルス ズブチリス(Bacillus subtilis)に由来する中性またはアルカリ性プロテアーゼ、バチルス リケニフォルミス(Bacillus Licheniformis)に由来するアルカリ性プロテアーゼ、ストレプトマイセス グリセウス(Streptomyces griseus)由来のアクチナーゼ、ストレプトマイセス パルブルス(Streptomyces parvulus)やクロストリジウム ヒストリチクム(Clostridium histolyticum)に由来するコラゲナーゼ等がある。また、本発明においては、エンド型プロテアーゼ活性を有する前記酵素が望ましく、更にはエンド型プロテアーゼ活性を有する酵素及びエキソ型プロテアーゼ活性を有する酵素(アミノペプチダーゼ、カルボキシペプチダーゼ)の混合物を用いてもよい。
【0029】
魚鱗および/または魚皮中のコラーゲンからコラーゲンペプチドを製造する条件は、使用されるタンパク分解酵素に最適な温度、pH、時間等を適宜選択することができる。一般的な温度は30℃〜80℃の範囲である。時間は1〜36時間、好ましくは1〜20時間である。
【0030】
魚鱗および/または魚皮にタンパク分解酵素を作用させる前に、魚鱗および/または魚皮を、30℃以上100℃未満、好ましくは50℃以上100℃未満、特に好ましくは80℃以上100℃未満の温度の水中に、10時間以下、好ましくは2時間以下、浸漬、保持することが好ましい。30℃以上100℃未満の温度の水中に浸漬、保持して前処理することでコラーゲンがゼラチン化し、その一部が水に溶出するのでタンパク質分解酵素による加水分解がスムーズに行われる。
【0031】
なお、本発明では、魚鱗および/または魚皮からコラーゲンを抽出することなく、直接、コラーゲンペプチドを抽出してもよい。例えば、魚鱗および/または魚皮に、バチルス(Bacillus)属由来の細菌アルカリ性プロテアーゼ、パパイン、ブロメライン、サーモライシン、トリプシン、プロナーゼ、キモトリプシン、ズブチリシン、スタフィロコッカスプロテアーゼ、ペプシン、プロクターゼA、プロクターゼBなどの中性ないしアルカリ性タンパク質分解酵素を作用させるとコラーゲンペプチドを得る事ができる。
【0032】
本発明で使用する魚鱗および/または魚皮由来コラーゲンペプチドは、重量平均分子量が1000〜10000の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは2000〜10000、特に好ましくは3000〜7000である。このような重量平均分子量のコラーゲンペプチドは、例えば加水分解工程で、酵素量を調整したり、または処理時間を調整することで、行うことができる。
【0033】
(v)精製
本発明では、上記によって得た魚鱗および/または魚皮由来コラーゲンペプチドを含有する溶液について、酵素加水分解後、酵素を失活させ、ろ過、塩析や酸析によって水に難溶、不溶の成分を除去することが好ましい。更に、イオン交換樹脂処理、半透膜による透析処理、電気透析処理などで脱塩精製した後、pHや濃度を調整してもよい。
【0034】
例えば、得られたコラーゲンペプチド溶液をエバポレーターや逆浸透膜などで処理して濃縮液を回収する。逆浸透膜を用いて、濃縮・精製すれば、魚鱗および/または魚皮特有の味や臭い成分、例えば、アミノ酸、オリゴペプチド、核酸、有機酸、ミネラル、揮発性含硫化合物、脂肪酸、窒素化合物、カルボニル化合物等を除去することができる。回収した濃縮液は、そのまま、あるいは適宜乾燥して粉末化して用いることができる。
【0035】
ここで用いられる逆浸透膜としては、例えば、商品名「NTR−7410」、商品名「NTR−7430」、商品名「NTR−7450」(いずれも日東電工製)等が挙げられる。
【0036】
逆浸透膜の食塩阻止率が上記範囲外であると、呈味成分や臭い成分、ヒ素などの不純物の除去が不十分になったり、コラーゲンペプチドの損失が大きくなるため好ましくない。なお、逆浸透膜処理の条件は適宜設定できるが、通常、処理液を固形分濃度15質量%以下になるように調整し、pH4〜7、液温60℃以下で循環しながら、固形分濃度25質量%以上になるまで濃縮を行うことが好ましい。また、この際、適宜加水しながら原液量の1〜10倍量、好ましくは3〜5倍量の水を加えて液を透過させることが好ましい。加水操作を繰り返すことにより、不純物を効率よく除去することができる。
(2)IGF−1値上昇剤
上記で得たコラーゲンペプチドは水溶液状であるが、フリーズドライやスプレードライなどによって乾燥し、粉末に調製してもよい。また、本発明のIGF−1値上昇剤は、上記コラーゲンペプチドの水溶液や粉末をそのまま摂取してもよいが、乳糖やコーンスターチなどの賦形剤を添加し、更に、他のアミノ酸やビタミン、油脂類、塩類などを添加して、錠剤や丸剤、水剤その他の製剤に調製してもよい。
【0037】
本発明のIGF−1値上昇剤は、経口投与によって血中IGF−1濃度を上昇させうる点に特徴がある。その作用機序の詳細は、不明であるが、後記する実施例に示すように、IGF−1 mRNA量の増加と共にIGF−1の血中濃度を制御するIGFBP−2のmRNAの発現量が増大し、プロトン共役型オリゴペプチド・トランスポーターの一つであるCi1のmRNAの発現量も増大している。特定配列を有するコラーゲンペプチドの経口摂取によって、消化産物であるトリペプチドやオリゴペプチドの消化管吸収物が肝臓に運ばれ、これらペプチドがIGF−1 mRNAおよびIGFBP−2 mRNA、Ci1のmRNAの発現量を増大させ、およびリボソームプロテインの増加によるタンパク合成機能の増大によって、最終的にIGF−1の血中濃度を向上させたと推察される。
【0038】
なお、本発明で使用する魚鱗および/または魚皮由来コラーゲンペプチドは、タンパク分解酵素で加水分解したものに限定される。タンパク分解酵素の特異性によってコラーゲンペプチド中に特定のアミノ酸配列が保存され、このようなペプチドが肝臓に運ばれた結果、上記したように、IGF−1 mRNAおよびIGFBP−2 mRNA、Ci1 mRNAの発現量を増大させると考えられる。
【0039】
本発明で使用するコラーゲンペプチドは、重量平均分子量が1000〜10000の範囲内にあることが好ましい。溶解性に優れるからである。
本発明のIGF−1値上昇剤は、一日あたり3〜30g、より好ましくは5〜10gの摂取でよく、食品に添加して健康食品などとして使用することもできる。
【実施例】
【0040】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
(製造例1)
新鮮なテラピア鱗5kgを水洗浄し、一旦水をきった後、水24Lと35%濃度塩酸1.6Lを加えた。2時間攪拌したのち、一旦リン酸カルシウムが溶け込んだ塩酸を取り除き、洗浄水のpHが6以上になるまで洗浄を行った。水をきったあと、熱水を12L加え、5時間、73℃で抽出した。
【0041】
抽出したコラーゲン溶液の固形分100質量部に対して、タンパク分解酵素であるアスペルギルス オリザエ(Aspergillus oryzae)由来のプロテアーゼを0.1質量部添加し、pHを6.0とし、温度50℃で2時間処理した。温度85℃で30分加熱することで酵素を失活させた後、珪藻土による助剤ろ過、イオン交換処理を施した。この溶液を濃度30質量%に濃縮し、噴霧乾燥にて乾燥した。得られたコラーゲンの重量平均分子量を下記方法で測定したところ、5400であった。
(測定方法)
重量平均分子量は、高速液体クロマトグラフを用いてゲル濾過法で測定した。
【0042】
測定条件は、カラム:昭和電工社製、Shodex OHpak SB802.5HQとSB803HQ各1本を直列に装着し、カラム温度40℃で、溶離液(0.1mol/リン酸二水素カリウム溶液と0.1mol/リン酸水素二カリウム溶液をpH6.90になるように混合して0.45μmのフィルターでろ過したもの)を、0.8ml/分の流速で流し、試料を20μl注入し、示差屈折率検出器で測定した。ピーク分子量が既知のゲル濾過用分子量測定スタンダード(Polymer Laboratories製)のポリエチレングリコールの溶液10種(ピーク分子量106、194、400、620、1080、1900、4020、6450、11840、22450)について、上記HPLC条件で同様に測定して作成した検量線に基づき、試料の重量平均分子量を得た。
(実験1)
(1)6週令のマウス24頭を、1群12頭で2群に分け、オリエンタル酵母工業株式会社製、商品名「AIN−93M」にカゼイン10%とコーンスターチ4%とを含有した餌(10C群)、オリエンタル酵母工業株式会社製、商品名「AIN−93M」にカゼイン6%と製造例1で調製したコラーゲンペプチド4%とコーンスターチ4%とを含有した餌(6C+4CP群)を給餌した。
【0043】
(2)各群について、給餌10週後、全肝を摘出し、第一葉(約5mm×5mm×3mm)をRNA安定化溶液(アンビオン株式会社製、商品名「RNAlater」)と共に−80℃で保存した。
【0044】
(3)前記保存肝臓組織から、核酸抽出試薬(株式会社ニッポンジーン、商品名「ISOGEN」)を使用してRNAを抽出した。
(4)cDNA逆転写キット(アプライドバイオシステム製、商品名「ハイキャパシティーcDNA逆転写キット」)を用いて、上記(3)で得たRNAからcDNA合成を行った。
【0045】
リボソームプロテインスモール6のプライマー(アプライドバイオシステムズ製、「TaqMan 遺伝子発現分析;ID Mm02342456_g1」)、リボソームプロテインスモール10のプライマープライマー(アプライドバイオシステムズ製、「TaqMan 遺伝子発現分析;ID Mm02391992_g1」)、リボソームプロテインスモール17のプライマー(アプライドバイオシステムズ製、「TaqMan 遺伝子発現分析;ID Mm01314921_g1」)、リボソームプロテインラージ13aのプライマー(アプライドバイオシステムズ製、「TaqMan 遺伝子発現分析;ID Mm01612986_gH」)および内在性コントロールとしてGAPDHのプライマー(アプライドバイオシステムズ製、「TaqMan遺伝子発現分析;ID Mm0330249_gl」)を使用し、リアルタイムPCR(アプライドバイオシステムズ製;7300リアルタイムPCRシステム)を行った。具体的には、TaqManユニバーサルPCRマスターミックス10μl、プライマー1μlおよび水9μlからなる反応液20μlを、各ウェルに投与し、各サンプルに対し2つのウェルを使用してPCRを行った。増幅条件として、50℃で2分、95℃で10分、ついで95℃で15秒と60℃で1分とを40サイクル行い、Ct値を求めた。
【0046】
各ターゲットの増幅によって得たCt値をGAPDH発現レベルを使用して正規化した後にサンプル間で比較した。結果を表1に示す。この結果、リボソームプロテインスモール6のmRNAおよびリボソームプロテインラージ13aのmRNAの遺伝子発現において、6C+4CP群で、t−検定による有意な上昇が観察された。リボソームプロテインスモール6のmRNAの結果を図1に示す。
【0047】
(4)上記(2)で得た肝臓をホモジナイズし、定法に従い、電気泳動、転写、一次抗体・二次抗体反応によるウェスタンブロッティングにより、GAPDHを内在コントロールとして、リボソームプロテインスモール6、リボソームプロテインスモール14、リボソームプロテインラージ7a、リボソームプロテインラージ10量を測定した。リボソームプロテインスモール6のプロテイン量は、10C群より6C+4CP群で高値であった。結果を図2に示す。
(実験2)
(1)6週令のマウス24頭を、1群12頭で2群に分け、オリエンタル酵母工業株式会社製、商品名「AIN−93M」にカゼイン10%とコーンスターチ4%とを含有した餌(10C群)、オリエンタル酵母工業株式会社製、商品名「AIN−93M」にカゼイン6%と製造例1で調製したコラーゲンペプチド4%とコーンスターチ4%とを含有した餌(6C+4CP群)を給餌した。
【0048】
(2)各群について、体重および餌摂取量の経時変化を測定した。
(3)また、各群について、給餌10週後、心臓から採血し、血漿を得た。また、全肝を摘出し、第一葉(約5mm×5mm×3mm)をRNA安定化溶液(アンビオン株式会社製、商品名「RNAlater」)と共に−80℃で保存した。加えて、大腿骨を採取し、70%エタノール中に保存した。大腿骨を20等分した各位置での骨密度は、二重エネルギーX線吸収測定装置(アロカ社製、商品名「CS−600R」で測定した。
【0049】
(4)cDNA逆転写キット(アプライドバイオシステム製、商品名「ハイキャパシティーcDNA逆転写キット」)を用いて、各サンプルの全RNAからcDNA合成を行った。
【0050】
マウスIGF−1のプライマー(アプライドバイオシステムズ製、「TaqMan 遺伝子発現分析;ID Mm01233960_ml」)、IGFBP−1のプライマー(アプライドバイオシステムズ製、「TaqMan 遺伝子発現分析;ID Mm00833447_ml」)、IGFBP−2のプライマー(アプライドバイオシステムズ製、「TaqMan 遺伝子発現分析;ID Mm00492632_ml」)、IGFBP−3のプライマー(アプライドバイオシステムズ製、「TaqMan 遺伝子発現分析;ID Mm00515156_ml」)、IGFBP−4のプライマーアプライドバイオシステムズ製、「TaqMan 遺伝子発現分析;ID Mm01296351_ml」)、IGFBP−5のプライマー(アプライドバイオシステムズ製、「TaqMan 遺伝子発現分析;ID Mm00516037_ml」)、IGFBP−6のプライマー(アプライドバイオシステムズ製、「TaqMan遺伝子発現分析;ID Mm00599696_ml」)および内在性コントロールとしてGAPDHのプライマー(アプライドバイオシステムズ製、「TaqMan遺伝子発現分析;ID Mm0330249_gl」)を使用し、リアルタイムPCR(アプライドバイオシステムズ製;7300リアルタイムPCRシステム)を行った。TaqManユニバーサルPCRマスターミックス10μl、プライマー1μlおよび水9μlからなる反応液20μlを、各ウェルに投与し、各サンプルに対し2つのウェルを使用してPCRを行った。増幅条件として、50℃で2分、95℃で10分、ついで95℃で15秒と60℃で1分とを40サイクル行い、Ct値を求めた。
【0051】
各ターゲットの増幅によって得たCt値をGAPDH発現レベルを使用して正規化した後にサンプル間で比較した。その結果、IGF−1 mRNA、IGFBP−2 mRNAの発現量においてt−検定により有意に高値を示した。結果を図3、図4に示す。
【0052】
(5)体重および餌摂取量の経時変化を図5、図6に示す。
図5に示すように、6C+4CP群の体重の平均値は、10C群と比較し、t−検定により有意に低値であった。また、図6に示すように、餌の摂取量は各群で相違が少なかった。
【0053】
(6)上記(3)で採取した大腿骨について、腰部から膝部に向けて20等分した各部位での骨密度を測定した。結果を図7に示す。
(実験3)
実験2で得た肝臓組織を使用し、プロトン共役型オリゴペプチド・トランスポーターであるPEPT1、PEPT2、PHT1および、ヒトにおけるPHT2のマウス相同遺伝子であるCi1について、TaqMan遺伝子発現分析;ID:Mm00453524_m1,Mm00451610_m1,Mm00505709_m1,Mm00491666_m1を使用し、リアルタイムPCRを行った。結果を表2に示す。
【0054】
その結果、Ci1 mRNAにおいて、6C+4CP群は10C群よりも有意に高値を示した。結果を図8に示す。
(実験4)
実験2で得た血漿を使用し、GOT、GPT、IGF−1濃度を測定した。結果を表3に示す。
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【0057】
【表3】

(結果)
(1)表3に示すように、本発明のIGF−1値上昇剤を10週間に亘って経口投与した6C+4CP群は、IGF−1値上昇剤を投与しない10C群と比較して血中のIGF−1濃度が上昇した。なお、GOT値やGPT値は正常値であるから、IGF−1値上昇剤の安全は極めて高い。
【0058】
(2)肝臓には、およそ80種類のリボソームプロテインが存在する。本発明のIGF−1値上昇剤を10週間に亘って経口投与すると、約8割のリボソームプロテインのmRNAの発現量が増大した(非表示)。より詳細な発現量の増加を調べたところ、図1に示すように、6C+4CP群では10C群と比較して、有意にリボソームタンパクスモール6のmRNAの発現量が増加していた。また、図2に示すようにリボソームタンパクスモール6量も、6C+4CP群で高値であった。本発明のIGF−1値上昇剤を経口投与すると、肝臓でのリボソームタンパク量を増大させてタンパク合成を活発化させることが判明した。
【0059】
(3)本発明のIGF−1値上昇剤を経口投与すると、図5に示すように、6C+4CP群で体重の低下が観察されたが、図6に示すように、餌の摂取量に相違は少なかった。このようにして経口摂取されたIGF−1値上昇剤は、消化管から消化吸収されると考えられる。本発明のIGF−1値上昇剤の摂取により、図8に示すように肝臓におけるCi1 mRNAの発現量が有意差をもって増大している。この事から、IGF−1の血中濃度の上昇には、本発明のIGF−1値上昇剤によって肝臓でのペプチドトランスポーター量が増大し、これによって肝臓におけるペプチドの作用が円滑に進行した可能性がある。
【0060】
(4)本発明のIGF−1値上昇剤を経口投与すると、図3、図4に示すように、IGF−1 mRNAやIGFBP−2 mRNAの発現量が増大している。また、実際に表3に示すようにIGF−1の血中濃度も上昇している。このことから、IGF−1値上昇剤の経口摂取により、Ci1 mRNAの発現量が増加し、これによって肝臓における本発明のIGF−1値上昇剤由来のペプチドの作用が肝臓において円滑に進行し、IGF−1 mRNAやIGFBP−2 mRNAの発現量ならびにIGF−1およびIGFBP−2のタンパク合成を増大させたと考えられる。特に、IGFBP−2はIGF−1と結合して血液循環から末梢に移送させる作用を有するため、生産されたIGF−1は、血中へ移行した後、速やかに末梢に移行してその組織に特異的なIGF−1の作用を発揮すると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明によれば、本来廃棄される魚鱗および/または魚皮から得たコラーゲンペプチドをタンパク分解酵素で処理および抽出したコラーゲンペプチドをIGF−1値上昇剤として使用することができる。このIGF−1値上昇剤は、安全性が高く、かつ経口摂取により血中IGF−1濃度を上昇させることができ、有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚鱗および/または魚皮由来コラーゲンをタンパク分解酵素で処理することにより抽出されたコラーゲンペプチドを含むことを特徴とする、IGF−1値上昇剤。
【請求項2】
前記タンパク分解酵素が、アスペルギルス オリザエ(Aspergillus oryzae)、バチルス ズブチリス(Bacillus subtilis)またはバチルス リケニフォルミス(Bacillus Licheniformis)のいずれかから産生されたプロテアーゼであることを特徴とする、請求項1記載のIGF−1値上昇剤。
【請求項3】
前記コラーゲンペプチドの重量平均分子量が1000〜10000である、請求項1または2記載のIGF−1値上昇剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−116773(P2012−116773A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266063(P2010−266063)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000135151)株式会社ニッピ (18)
【Fターム(参考)】