説明

IGF−Iタンパク質、緩衝化剤および等張化剤を含む薬学的組成物

本発明は、活性薬学的成分(API)としてのインスリン様成長因子I(IGF−I)タンパク質、等張化剤および緩衝剤を含む薬学的組成物に関する。この組成物は、注射または輸液として投与されることがあり、神経変性障害、特にアルツハイマー病(AD)、運動ニューロン疾患(MND)、特に筋萎縮性側索硬化症(ALS)もしくは脊髄性筋萎縮症(SMA)、または筋ジストロフィー(MD)、特にデュシェンヌ筋ジストロフィー(DMD)もしくは筋緊張性ジストロフィー(MMD)の治療、予防および/または進行の遅延に特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性薬学的成分(API)としてのインスリン様成長因子I(IGF−I)タンパク質、等張化剤および緩衝剤を含む薬学的組成物に関する。IGF−Iタンパク質は、さらに、ポリ(エチレングリコール)(PEG)とコンジュゲーションされていることがある。この組成物は、注射または輸液として投与されることがあり、神経変性障害、特にアルツハイマー病(AD)、運動ニューロン疾患(MND)、特に筋萎縮性側索硬化症(ALS)もしくは脊髄性筋萎縮症(SMA)、または筋ジストロフィー(MD)、特にデュシェンヌ筋ジストロフィー(DMD)もしくは筋緊張性ジストロフィー(MMD)の治療、予防および/または進行の遅延に特に有用である。
【0002】
インスリン様成長因子I(IGF−I)は、インスリンに構造的に関係する循環タンパク同化ホルモンである。IGF−Iは、従来より末梢組織に及ぼす成長ホルモンの作用の主要な仲介因子と見なされていた。IGF−Iは、70個のアミノ酸から成り、ソマトメジンCとも名付けられ、SwissProt No. P01343によって定義されている。使用、活性および生産は、例えばle Bouc, Y., et al., FEBS Lett. 196 (1986) 108-112; de Pagter-Holthuizen, P., et al., FEBS Lett. 195 (1986) 179-184; Sandberg Nordqvist, A.C., et al., Brain Res. Mol. Brain Res. 12 (1992) 275-277; Steenbergh, P.H., et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 175 (1991) 507-514; Tanner, J.M., et al., Acta Endocrinol. (Copenh.) 84 (1977) 681-696; Uthne, K., et al., J. Clin. Endocrinol. Metab. 39 (1974) 548-554; EP 0 123 228; EP 0 128 733;米国特許第5,861,373号;米国特許第5,714,460号;EP 0 597 033;国際公開公報第02/32449号;国際公開公報第93/02695号に言及されている。
【0003】
IGF−I結合タンパク質(IGFBP)によるIGF−I機能のモデュレーションならびにIGF−Iのin vivo産生および発生に関するさらなる情報は、国際公開公報第2006/066891号および国際公開公報第2009/121759号に記載されている。これらの参考文献は、さらに、中枢神経系(CNS)におけるIGF−Iの吸収、機能および治療応用を記載している。神経変性障害、特にアルツハイマー病(AD)の治療、予防および/または進行の遅延のためのIGF−Iの使用は、国際公開公報第2006/066891号に記載されている。神経筋障害の治療、予防および/または進行の遅延のためのIGF−Iの使用は、国際公開公報第2009/121759号に記載されている。IGF−Iが運動ニューロン疾患(MND)、特に筋萎縮性側索硬化症(ALS)もしくは脊髄性筋萎縮症(SMA)または筋ジストロフィー(MD)、特にデュシェンヌ筋ジストロフィー(DMD)もしくは筋緊張性ジストロフィー(MMD)の処置に有用であることが、そこに記載されている。
【0004】
国際公開公報第2006/066891号は、インスリン様成長因子−1(IGF−I)変異体および1個または2個のポリ(エチレングリコール)基からなるPEG化IGF−Iコンジュゲートを開示している。記載されたIGF−I変異体は、野生型IGF−Iアミノ酸配列のアミノ酸位置27、37、65および68の最大3個のアミノ酸の1個または2個がリシンであり、アミノ酸27が極性アミノ酸であるがリシンではないように該アミノ酸位置にアミノ酸変化を有する。該IGF−I変異体は、該リシンの第一級アミノ基を介してPEGにコンジュゲーションし、該ポリ(エチレングリコール)基は、20〜100kDaの全体の分子量を有する。
【0005】
国際公開公報第2009/121759号に開示されたPEG化IGF−Iコンジュゲートは、IGF−I変異体が野生型ヒトIGF−Iアミノ酸配列由来であり、アミノ酸位置27、65および68のアミノ酸の1個または2個が極性アミノ酸であるがリシンではないように位置27、65および68に1個または2個のアミノ酸変化を有し、PEGが少なくとも1個のリシン残基に結合していることを特徴とする、そのIGF−I変異体を含む。
【0006】
特に示さない限り、本明細書において本発明を記載するために使用される様々な用語の意味および範囲を説明および定義するために、以下の定義を述べる。
【0007】
本明細書に使用される「IGF−Iタンパク質」という用語は、野生型、任意の種類の変異型およびそのPEG化IGF−Iコンジュゲートとしてのインスリン様成長因子Iを表す。
【0008】
本明細書に使用される「IGF−I変異体」という用語は、野生型IGF−Iアミノ酸配列(配列番号1)のアミノ酸位置27、65および/または68にアミノ酸変化を有することを特徴とするIGF−Iタンパク質を表す。そのようなIGF−I変異体は、PEG化IGF−I変異体を製造するための中間体として有用である。IGF−I変異体は、以下のように名付けられる:K27は、アミノ酸27がリシンであることを意味し、K65は、アミノ酸65がリシンであることを意味し、K68は、アミノ酸68がリシンであることを意味し、R27は、アミノ酸27がアルギニンであることを意味し、R65は、アミノ酸65がアルギニンであることを意味し、R68は、アミノ酸68がアルギニンであることを意味し、K27Rは、配列番号1のアミノ酸位置27のリシンがアルギニンに変化していることを意味し、K65Rは、配列番号1のアミノ酸位置65のリシンがアルギニンに変化していることを意味し、K68Rは、配列番号1のアミノ酸位置28のリシンがアルギニンに変化していることを意味する等。
【0009】
本明細書に使用される「極性アミノ酸」は、システイン(C)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、ヒスチジン(H)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、アルギニン(R)、セリン(S)、およびトレオニン(T)からなる群より選択されるアミノ酸を表す。リシンもまた極性アミノ酸であるが、リシンが本発明にしたがって置換されるので、除外される。アルギニンが、好ましくは極性アミノ酸として使用される。
【0010】
本明細書に使用される「ポリ(エチレングリコール)」(または「PEG」)という用語は、必須部分としてポリ(エチレングリコール)を含有する残基を意味する。そのようなPEGは、さらに、結合反応に必要な化学基、分子の化学合成から生じた化学基、または分子の部分を相互に最適な距離にするためのスペーサーである化学基を含有することがある。加えて、そのようなPEGは、一緒に連結した一つまたは複数のPEG側鎖からなることがある。一つよりも多いPEG鎖を有するそのようなPEGは、分岐状と呼ばれる。好ましくはPEGは、少なくとも20kDa、より好ましくは約20〜100kDa、特に好ましくは20〜80kDaの全体の分子量を有する。PEGは、好ましくは分岐状である。
【0011】
本明細書に使用される「PEG化IGF−I変異体」は、IGF−I変異体が、IGF−I変異体分子の1個または2個のリシンへのアミノ反応性カップリングによって1個または2個のポリ(エチレングリコール)基に共有結合していることを意味する。PEG基は、リシン側鎖の第一級ε−アミノ基であるIGF−I変異体分子部位に共有結合している。さらに、PEG化がN末端のα−アミノ基にもさらに存在することが可能である。使用される合成法および変異体が原因で、PEG化IGF−I変異体は、K65、K68および/またはK27でPEG化され、N末端をPEG化されているかまたはされていないIGF−I変異体混合物からなることがある。ここで、PEG化部位は、異なる分子では異なることがあるか、または1分子あたりのポリ(エチレングリコール)側鎖の量および/もしくは分子中のPEG化部位に関して実質的に均一でありうる。好ましくは、IGF−I変異体は、モノPEG化されている。
【0012】
好ましいPEG化IGF−I変異体は、野生型IGF−Iアミノ酸配列(配列番号1)の以下のアミノ酸変化によって特徴づけられるリコンビナントヒトIGF−I変異体のPEG化形態である:
K27RおよびK65R(配列番号2);
K27RおよびK68R(配列番号3)。
【0013】
K68でのモノPEG化によって特徴づけられる、アミノ酸変化K27RおよびK65Rを有するリコンビナントヒトIGF−I変異体(配列番号2)のPEG化形態が特に好まれる。
【0014】
また、上記リシン−PEG化IGF−I変異体およびN末端PEG化IGF−I変異体の組成物であって、それらのIGF−I変異体が、一次アミノ酸配列に関して同一であり、そして位置27、65および68のアミノ酸の1個または2個が極性アミノ酸であるがリシンではないように、野生型ヒトIGF−Iアミノ酸配列(配列番号1)のアミノ酸位置27、65および68に1個または2個のアミノ酸変化を有することにおいて同一である組成物も好まれる。好ましくは、分子比は9:1〜1:9である(比は、リシン−PEG化IGF−I変異体/N末端PEG化IGF−I変異体を意味する)。さらに好ましいのは、モル比が少なくとも1:1(1部のN末端PEG化IGF−I変異体あたり少なくとも1部のリシン−PEG化IGF−I変異体)、好ましくは少なくとも6:4(4部のN末端PEG化IGF−I変異体あたり少なくとも6部のリシン−PEG化IGF−I変異体)の組成物である。好ましくは、リシン−PEG化IGF−I変異体およびN末端PEG化IGF−I変異体の両方がモノPEG化されている。好ましくは、この組成物において変異体は、リシン−PEG化IGF−I変異体およびN末端PEG化IGF−I変異体の両方で同一である。
【0015】
配列番号2および3によるリコンビナントヒトIGF−I変異体の好ましいPEG化形態は、国際公開公報第2008/025528号に記載されたような、リシン−PEG化IGF−Iまたはリシン−PEG化IGF−I変異体の製造方法に従うときに入手可能であり、ここで該変異体は、リシン27、65および/または68からなる群より選択される1個または2個のアミノ酸が別の極性アミノ酸によって独立して置換されたものを含む。国際公開公報第2008/025528号に記載された方法は、N末端PEG化を有さない、配列番号2および3によるリコンビナントヒトIGF−I変異体の調製を可能にする。
【0016】
PEG化IGF−I変異体が、N末端で最大3個(好ましくは3個全部)のアミノ酸がトランケーションされた変異体であることがさらに好ましい。それぞれの野生型突然変異体は、Des(1−3)−IGF−Iと名付けられ、それは、N末端からアミノ酸残基グリシン、プロリンおよびグルタミン酸を欠如している(Kummer, A., et al., Int. J. Exp. Diabesity Res. 4 (2003) 45-57)。
【0017】
本明細書に使用される「PEG化IGF−Iコンジュゲート」という用語は、PEG化IGF−I変異体について記載されたような、1個または2個のPEGに共有結合されたIGF−I変異体を表す。
【0018】
本明細書に使用される「モノPEG化」は、IGF−I変異体がIGF−I変異体1分子あたり1個だけのリシンでPEG化され、1個だけのPEG基がこの部位で共有結合していることを意味する。純粋なモノPEG化IGF−I変異体(N末端PEG化を有さない)は、調製物の少なくとも80%、好ましくは90%であり、最も好ましくはモノPEG化IGF−I変異体は、調製物の92%以上であり、残りは例えば未反応の(非PEG化)IGF−Iおよび/またはN末端PEG化IGF−I変異体である。したがって、本発明によるモノPEG化IGF−I変異体調製物は、例えば薬学的適用において均一な調製物の利点を示すために十分なほど均一である。同じことが、ジPEG化化学種にあてはまる。
【0019】
本明細書に使用される「実質的に均一な」は、製造、含有または使用されたPEG化IGF−I変異体分子が、1個または2個のPEG基が結合した分子だけであることを意味する。調製物は、少量の未反応(すなわちPEG基を欠如する)タンパク質を含有することがある。ペプチドマッピングおよびN末端配列決定によって確認されるように、下記一実施例により、少なくとも90%のPEG化IGF−Iコンジュゲートおよび多くても5%の未反応タンパク質である調製物が用意される。PEG化IGF−I変異体のそのような均一調製物の単離および精製は、通常の精製法、好ましくはサイズ排除クロマトグラフィーによって行うことができる。
【0020】
本明細書に使用される「薬学的組成物」(または「組成物」)という用語は、例えば治療有効量の活性薬学的成分を、薬学的に許容されうる賦形剤と一緒に含有する、それを必要とする哺乳動物、例えばヒトに投与されるべき混合物または溶液を意味する。
【0021】
「凍結乾燥された組成物」(または「凍結乾燥組成物(lyocomposition)」)という用語は、液体組成物の凍結乾燥方法によって入手されるかまたは入手可能な組成物を表す。典型的かつ好ましくは、それは、5%未満、好ましくは3%未満の水分含量を有する固体組成物である。
【0022】
本明細書に使用される「凍結乾燥」という用語は、物質を凍結し、次に水の濃度を生物学的反応も化学反応も支持しないレベルまで昇華および/または蒸発によって減少させる方法を表す。
【0023】
本明細書に使用される「凍結乾燥物」または「凍結乾燥された形態」という用語は、凍結乾燥によって得られた、5%未満の水分含量を有する、固体形態の物質または組成物を表す。
【0024】
本発明による組成物に関連して本明細書に使用される「再構成された組成物」という用語は、再構成媒質の添加によって再溶解された、凍結乾燥された組成物を意味する。再構成媒質は、非限定的に、注射用水(WFI)、注射用静菌水(bacteriostatic water for injection)(BWFI)、塩化ナトリウム溶液(例えば0.9%(w/v)NaCl)、グルコース溶液(例えば5%グルコース)、界面活性剤含有溶液(例えば0.01%ポリソルベート20)、またはpH緩衝溶液(例えばリン酸緩衝溶液)を含む。
【0025】
「活性薬学的成分」(または「API」)は、薬学的組成物中の生物学的に活性な物質である。
【0026】
「薬学的に許容されうる賦形剤」という用語は、医薬品の製剤化に使用される、崩壊剤、結合剤、増量剤、緩衝剤、等張化剤、安定化剤、抗酸化剤、界面活性剤または滑沢剤などの治療活性を有さず無毒な任意の成分を表す。それらは、米国食品医薬品局によって公表された基準などの確立された政府機関の基準にしたがうとき、一般にヒトへの投与に安全である。
【0027】
本明細書に使用される「緩衝剤」という用語は、製剤のpHを安定化する、薬学的に許容される賦形剤を意味する。適切な緩衝剤は、当技術分野において周知であり、文献から見出すことができる。薬学的に許容される好ましい緩衝剤は、非限定的に、ヒスチジン緩衝剤、クエン酸緩衝剤、コハク酸緩衝剤、酢酸緩衝剤およびリン酸緩衝剤を含む。最も好ましい緩衝剤は、クエン酸塩、L−ヒスチジン、またはL−ヒスチジンとL−ヒスチジン塩酸塩の混合物を含む。他の好ましい緩衝剤は、酢酸緩衝剤である。使用される緩衝剤とは独立して、当技術分野において公知の酸または塩基、例えば塩酸、酢酸、リン酸、硫酸ならびにクエン酸、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムを用いてpHを調整することができる。
【0028】
本明細書に使用される「等張化剤」という用語は、組成物の張性をモデュレーションするために使用される、薬学的に許容されうる賦形剤を意味する。一般に張性は、通常はヒト血清に比べた溶液の浸透圧に関する。組成物は、低張、等張または高張でありうる。組成物は、好ましくは等張である。等張性組成物は、液体であるか、または固体形態から、例えば凍結乾燥された形態から再構成された液体であり、生理食塩溶液および血清などのある他の被比較溶液と同じ張性を有する溶液を意味する。適切な等張化剤は、非限定的にアミノ酸および糖を含む。好ましい等張化剤は、トレハロース、スクロースまたはアルギニンである。
【0029】
「張性」は、半透膜によって分離された二つの溶液の浸透圧の尺度である。浸透圧は、半透膜を通過する水の内向き流を阻止するために溶液に適用しなければならない圧力である。膜を通過できない溶質だけが浸透圧を及ぼすので、浸透圧および張性はこれらによってのみ影響される。膜を自由に通過する溶質は、膜の両側で常に等濃度であることから、それらは張性に影響しない。
【0030】
等張化剤または安定化剤に関連して「アミノ酸」という用語は、カルボキシル基のα−位に位置するアミノ部分を有する、薬学的に許容されうる有機分子を意味する。アミノ酸の例には、アルギニン、グリシン、オミチン(omithine)、リシン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸(asparagic acid)、イソロイシン、ロイシン、アラニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、メチオニン、セリン、プロリンが挙げられる。等張化剤または安定化剤に関連して好ましいアミノ酸は、アルギニンである。
【0031】
本明細書に使用される「糖」という用語は、単糖またはオリゴ糖を意味する。単糖は、単糖類(simple sugars)およびその誘導体、例えばアミノ糖を含めた、酸によって加水分解可能でないモノマー性糖質である。単糖の例には、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、リボース、デオキシリボース、ノイラミン酸が挙げられる。オリゴ糖は、グリコシド結合を介して結合した一つを超えるモノマー性糖ユニットからなる、分岐状または鎖状のいずれかの糖質である。オリゴ糖内のモノマー性糖ユニットは、同一または異なることがありうる。モノマー性糖ユニットの数に応じて、オリゴ糖は、二糖、三糖、四糖、五糖などである。多糖とは対照的に、単糖およびオリゴ糖は水溶性である。オリゴ糖の例には、スクロース、トレハロース、ラクトース、マルトースおよびラフィノースが挙げられる。好ましい糖は、スクロースおよびトレハロースであり、最も好ましいのはトレハロースである。
【0032】
本明細書に使用される「界面活性剤」という用語は、タンパク質組成物を撹拌および剪断のような機械的応力から保護するために使用される、薬学的に許容されうる賦形剤を意味する。薬学的に許容される界面活性剤の例には、ポロキサマー、ポリソルベート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(Brij)、アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテル(Triton-X)またはドデシル硫酸ナトリウム(SDS)が挙げられる。好ましい界面活性剤は、ポリソルベートおよびポロキサマーである。
【0033】
本明細書に使用される「ポリソルベート」という用語は、ソルビトールのオレイン酸エステルおよびその無水物が、典型的にはエチレンオキシドと共重合したものを表す。好ましいポリソルベートは、ポリソルベート20(ポリ(エチレンオキシド)(20)ソルビタンモノラウレート、Tween20)またはポリソルベート80(ポリ(エチレンオキシド)(80)ソルビタンモノラウレート、Tween80)である。
【0034】
本明細書に使用される「ポロキサマー」という用語は、ポリ(プロピレンオキシド)(PPO)の中心疎水性鎖が2本のポリ(エチレンオキシド)(PEO)の親水性鎖によって隣接されたものから構成される、非イオン性トリブロックコポリマーを表し、各PPOまたはPEO鎖は、異なる分子量でありうる。ポロキサマーは、また、商品名Pluronicsによって知られている。好ましいポロキサマーは、ポロキサマー188であって、それは、PPO鎖が分子量1800g/molを有し、PEO含量が80%(w/w)のポロキサマーである。
【0035】
「抗酸化剤」という用語は、活性薬学的成分の酸化を防止する、薬学的に許容されうる賦形剤を意味する。抗酸化剤は、非限定的にアスコルビン酸、グルタチオン、システイン、メチオニン、クエン酸、EDTAを含む。好ましい抗酸化剤はメチオニンである。
【0036】
本明細書に使用される「神経変性障害」は、対象の神経系の部分の退化を引き起こしているか、または引き起こすおそれのある身体状態を意味し、それには、非限定的にアルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、および他の類似の疾患が挙げられる。
【0037】
「神経筋障害」という用語は、筋肉の機能発揮を直接的(内因性の筋肉病態による)または間接的(神経病態による)のいずれかで障害する疾患を包含する。神経筋障害の例には、非限定的に:
筋萎縮性側索硬化症ALS(ルー・ゲーリック病としても知られている)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、脊髄性筋萎縮症1型(SMA1、ウェルドニッヒ・ホフマン病)、脊髄性筋萎縮症2型(SMA2)、脊髄性筋萎縮症3型(SMA3、クーゲルベルク・ヴェランデル病)、球脊髄性筋萎縮症(SBMA、ケネディー病およびX連鎖SBMAとしても知られている)のような運動ニューロン疾患(MND);または
デュシェンヌ筋ジストロフィー(DMD、偽肥大性としても知られている)、ベッカー型筋ジストロフィー(BMD)、エメリー・ドライフス型筋ジストロフィー(EDMD)、肢帯筋ジストロフィー(LGMD)、顔面肩甲上腕筋ジストロフィー(FSHまたはFSHD、ランドウジー・デジェリンとしても知られている)、筋緊張性ジストロフィー(MMD、シュタイネルト病としても知られている)、眼咽頭筋ジストロフィー(OPMD)、遠位型筋ジストロフィー(DD、三好型)、先天性筋ジストロフィー(CMD)のような筋ジストロフィー(MD)が挙げられる。
【0038】
医薬品へのIGF−I組成物に関連して認識されている一問題は、ポリペプチドの望まれない凝集、したがって安定性低下である。さらに、PEG−IGF−Iの既存の組成物は、低い安定性および増大した粘性を損なうが、その両方が、注射または輸液用薬学的組成物にとって高度に望ましくない作用である。したがって、得られた当該組成物は、低濃度の活性薬学的成分だけを伴った。
【0039】
したがって、増大したPEG−IGF−I濃度であっても、増大した分子安定性および低下した凝集に繋がり、良好な溶解性および許容されうる粘性を提供する、PEG−IGF−Iのための薬学的組成物の必要性がある。
【0040】
この問題は、本発明にしたがってIGF−Iタンパク質、等張化剤および緩衝剤を含む薬学的組成物を提供することによって解決する。
【0041】
驚くことに、この組成物中にIGF−Iタンパク質を製剤化することで、冷蔵温度よりも高い温度(2〜8℃)、特に室温(すなわち25℃未満)で、そしてより高い温度、例えば40℃であってもその安定性が高まることが見出された。これは、その組成物を冷却せずに長時間、活性の著しい量を失わずに、著しい分解なしに保存できることを意味する。
【0042】
さらに驚くことに、生理的pHおよび冷蔵温度で組成物へのIGF−Iタンパク質の溶解性をかなり改善することができた。
【0043】
さらに予想外の作用は、IGF−Iタンパク質の濃度をかなり増大させる、組成物の全体の粘性低下であった。
【0044】
好ましい態様では、緩衝剤は、ヒスチジン、クエン酸、酢酸またはコハク酸のいずれかである。最も好ましい緩衝剤は、ヒスチジンまたはクエン酸である。他の好ましい緩衝剤は、酢酸緩衝剤である。
【0045】
好ましい態様では、緩衝剤は、濃度5〜100mMを有する。
【0046】
好ましい態様では、緩衝剤は、5〜100mMのヒスチジン緩衝液である。
【0047】
好ましい態様では、緩衝剤は、5〜100mMのクエン酸緩衝液である。
【0048】
好ましい態様では、pHは、4.5から6.5の間である。いっそうより好ましいのは、5.0から6.0の間のpHである。
【0049】
好ましい態様では、等張化剤は、アミノ酸、糖またはその組み合わせである。いっそうより好ましい態様では、等張化剤は、好ましくは濃度10〜1000mMのトレハロース、スクロースもしくはアルギニン、またはその組み合わせである。最も好ましくは、等張化剤は、スクロース、トレハロースまたはアルギニンである。最も好ましくは、等張化剤は、濃度50〜300mMである。
【0050】
好ましい態様では、薬学的組成物は、さらに界面活性剤を含む。いっそうより好ましい態様では、界面活性剤は、ポリソルベートもしくはポロキサマー、またはその組み合わせである。好ましくは、界面活性剤は、濃度0.001〜1%(w/w)である。
【0051】
さらに好ましい態様では、界面活性剤は、好ましくは濃度0.001〜1%(w/w)のポリソルベート20、ポリソルベート80またはポロキサマー188である。
【0052】
さらに好ましい態様では、界面活性剤は、好ましくは濃度0.001〜0.1%(w/w)、より好ましくは濃度0.01〜0.1%(w/w)のポリソルベート20である。
【0053】
さらに好ましい態様では、界面活性剤は、好ましくは濃度0.001〜0.1%(w/w)、より好ましくは濃度0.01〜0.1%(w/w)のポリソルベート80である。
【0054】
さらに好ましい態様では、界面活性剤は、好ましくは濃度0.001〜0.1%(w/w)、より好ましくは濃度0.01〜0.1%(w/w)のポロキサマー188である。
【0055】
好ましい態様では、薬学的組成物は、さらに抗酸化剤を含む。いっそうより好ましい態様では、抗酸化剤はメチオニンである。好ましい態様では、抗酸化剤は、濃度2〜50mMである。
【0056】
好ましい態様では、IGF−Iタンパク質はIGF−I変異体であって、野生型ヒトIGF−Iアミノ酸配列(配列番号1)由来であること、およびアミノ酸位置27、65および68の1個または2個のリシンがアルギニンであるように位置27、65および68に1個または2個のアミノ酸変化を有することを特徴とするIGF−I変異体である。
【0057】
好ましい態様では、IGF−Iタンパク質はPEG化IGF−Iコンジュゲートである。いっそうより好ましい態様では、該PEG化IGF−Iコンジュゲートは、K68でモノPEG化されており、野生型ヒトIGF−Iアミノ酸配列(配列番号1)の以下のアミノ酸変化によって特徴づけられる:K27RおよびK65R(配列番号2)。等しく好ましい態様では、該PEG化IGF−Iコンジュゲートは、K65でモノPEG化されており、野生型ヒトIGF−Iアミノ酸配列(配列番号1)の以下のアミノ酸変化によって特徴づけられる:K27RおよびK68R(配列番号3)。
【0058】
好ましい態様では、該PEG化IGF−Iコンジュゲートの各PEGは、20〜100kDaの全体の分子量を有する。
【0059】
好ましい態様では、該PEG化IGF−Iコンジュゲートの各PEGは分岐状PEGである。
【0060】
さらに好ましい態様では、IGF−Iタンパク質は、参照により本明細書に組み入れられる国際公開公報第2006/066891号または国際公開公報第2009/121759号に開示されているIGF−I分子、変異体およびPEG化IGF−Iコンジュゲートより選択される。
【0061】
好ましい態様では、IGF−Iタンパク質は、濃度0.1〜50mg/mlで存在する。いっそうより好ましいのは、IGF−Iタンパク質が濃度1〜20mg/mlで存在する態様である。
【0062】
好ましい態様では、組成物は、K68でモノPEG化されているPEG化IGF−Iコンジュゲートであって、野生型ヒトIGF−Iアミノ酸配列のアミノ酸変化K27RおよびK65R(配列番号2)によって特徴づけられる濃度0.1〜10mg/mlのPEG化IGF−Iコンジュゲート、濃度50〜500mMのアルギニン、濃度0.001〜0.01%(w/w)のポリソルベート20、ならびに濃度5〜20mMのメチオニンを、pH5.0〜6.0の1〜100mMヒスチジン緩衝剤中に含む。
【0063】
別の好ましい態様では、組成物は、濃度1〜20mg/mlのIGF−Iタンパク質、好ましくはK68でモノPEG化されており、野生型ヒトIGF−Iアミノ酸配列のアミノ酸変化K27RおよびK65R(配列番号2)によって特徴づけられるPEG化IGF−IコンジュゲートをpH5.0〜6.0の5〜100mMヒスチジン緩衝液中に含み、さらに、以下の群より選択される等張化剤、随意の界面活性剤および随意の抗酸化剤の組み合わせを含む:
50〜500mMトレハロース;
50〜500mMトレハロースおよび0.001〜0.1%(w/w)のポロキサマー188;
50〜500mMトレハロースおよび0.001〜0.1%(w/w)のポリソルベート80または20;
50〜500mMトレハロース、0.001〜0.1%(w/w)のポリソルベート80または20、および1〜100mMメチオニン;
50〜500mMスクロース;
50〜500mMスクロースおよび0.001〜0.1%(w/w)のポロキサマー188;
50〜500mMスクロースおよび0.001〜0.1%(w/w)のポリソルベート80または20);
50〜500mMスクロース、0.001〜0.1%(w/w)のポリソルベート80または20、および1〜100mMメチオニン;
50〜500mMアルギニン;
50〜500mMアルギニンおよび0.001〜0.1%(w/w)のポロキサマー188;
50〜500mMアルギニンおよび0.001〜0.1%(w/w)のポリソルベート80または20;ならびに
50〜500mMアルギニン、0.001〜0.1%(w/w)のポリソルベート80または20、および1〜100mMメチオニン。
【0064】
別の好ましい態様では、組成物は、濃度1〜20mg/mlのIGF−Iタンパク質、好ましくはK68でモノPEG化されており、野生型ヒトIGF−Iアミノ酸配列のアミノ酸変化K27RおよびK65R(配列番号2)によって特徴づけられるPEG化IGF−IコンジュゲートをpH5.0〜6.0の5〜100mMクエン酸緩衝液中に含み、さらに、以下の群より選択される等張化剤、随意の界面活性剤および随意の抗酸化剤の組み合わせを含む:
50〜500mMトレハロース;
50〜500mMトレハロースおよびポロキサマー188(0.001〜0.1%(w/w));
50〜500mMトレハロースおよび0.001〜0.1%(w/w)のポリソルベート80または20;
50〜500mMトレハロース、0.001〜0.1%(w/w)のポリソルベート80または20、および1〜100mMメチオニン;
50〜500mMスクロース;
50〜500mMスクロースおよび0.001〜0.1%(w/w)のポロキサマー188;
50〜500mMスクロースおよび0.001〜0.1%(w/w)のポリソルベート80または20;
50〜500mMスクロース、0.001〜0.1%(w/w)のポリソルベート80または20、および1〜100mMメチオニン;
50〜500mMアルギニン;
50〜500mMアルギニンおよび0.001〜0.1%(w/w)のポロキサマー188;
50〜500mMアルギニンおよび0.001〜0.1%(w/w)のポリソルベート80または20;ならびに
50〜500mMアルギニン、0.001〜0.1%(w/w)のポリソルベート80または20、および1〜100mMメチオニン。
【0065】
別の好ましい態様では、組成物は、K68でモノPEG化されているPEG化IGF−Iコンジュゲートであって、野生型ヒトIGF−Iアミノ酸配列のアミノ酸変化K27RおよびK65R(配列番号2)によって特徴づけられる濃度1〜20mg/mlのPEG化IGF−Iコンジュゲート、濃度50〜500mMのアルギニン、ならびに濃度0.001〜0.1%(w/w)のポロキサマー188をpH5.0〜6.0の5〜100mMクエン酸緩衝液中に含む。
【0066】
別の好ましい態様では、組成物は、K68でモノPEG化されているPEG化IGF−Iコンジュゲートであって、野生型ヒトIGF−Iアミノ酸配列のアミノ酸変化K27RおよびK65R(配列番号2)によって特徴づけられる濃度5〜20mg/mlのPEG化IGF−Iコンジュゲート、濃度100〜200mMのトレハロースまたはスクロース、ならびに濃度0.01〜0.04%(w/w)のポリソルベート80または20を、10〜40mMのヒスチジンまたはクエン酸から調製されたpH5.0〜6.0の水性緩衝液中に含む。
【0067】
好ましい態様では、組成物は、液体形態、凍結乾燥された形態または凍結乾燥された形態から再構成された液体形態である。
【0068】
ある態様では、本発明による組成物は、凍結乾燥された組成物である。本発明による凍結乾燥された組成物は、通常、同濃度の液体組成物では達成が困難な、より高い分子量の微粒子および凝集物の形成に関して改善された安定性という利点を有する。
【0069】
好ましい態様では、組成物は、薬学的組成物に使用されることが意図された緩衝液に対してIGF−Iタンパク質溶液が透析され、所望の最終タンパク質濃度が濃縮または希釈によって調整される方法で調製される。
【0070】
好ましい態様では、組成物は、医薬の製造のために使用される。より好ましい態様では、組成物は、神経変性障害、特にアルツハイマー病(AD)、運動ニューロン疾患(MND)、特に筋萎縮性側索硬化症(ALS)もしくは脊髄性筋萎縮症(SMA)または筋ジストロフィー(MD)、特にデュシェンヌ筋ジストロフィー(DMD)もしくは筋緊張性ジストロフィー(MMD)の治療、予防および/または進行の遅延のための医薬を製造するために使用される。
【0071】
本発明の組成物は、特に、バイアル、充填済みシリンジ、アンプル、カートリッジなどの中にIGF−Iタンパク質を保存するために適する。
【0072】
本発明の組成物は、凍結保存、冷蔵状態または室温での保存を含め、IGF−Iタンパク質を異なる温度で所定の時間、安定に保存するために使用することができる。
【0073】
本発明による組成物は、非経口的に、好ましくは静脈内(i.v.)もしくは皮下(s.c.)ボーラス注射として、または薬学の技術分野で公知のものなどの任意の他の親投与手段として投与することができる。組成物は、さらに、薬学的技術分野において公知の輸液によって投与することができる。
【0074】
実施例
材料および方法
PEG−IGF−Iは、国際公開公報第2006/066891号に類似した方法で製造した。
【0075】
酢酸ナトリウム緩衝液は、適切な量の市販の酢酸を秤量し、続いて水酸化ナトリウムを使用してpHを調整することによって調製した。
【0076】
クエン酸ナトリウム緩衝液は、適切な量の市販のクエン酸を秤量し、続いて水酸化ナトリウムを使用してpHを調整することによって調製した。
【0077】
コハク酸ナトリウム緩衝液は、適切な量の市販のコハク酸を秤量し、続いて水酸化ナトリウムを使用してpHを調整することによって調製した。
【0078】
ヒスチジン緩衝剤液は、適切な量の市販のL−ヒスチジンHCl一水和物およびL−ヒスチジン塩基を秤量することによって調製した。
【0079】
ポリソルベート20は市販されている。それを重量希釈し、高濃縮原液を得た。この原液をさらに薬学的組成物に希釈した。
【0080】
ポリソルベート80は市販されている。それを重量希釈し、高濃縮原液を得た。この原液をさらに薬学的組成物に希釈した。
【0081】
ポロキサマー188は市販されている。それを重量希釈し、高濃縮原液を得た。この原液をさらに薬学的組成物に希釈した。
【0082】
トレハロース二水和物は市販されている。それの適切な量を秤量し、高濃縮原液を得た。この原液をさらに薬学的組成物に希釈した。
【0083】
スクロースは市販されている。それの適切な量を秤量し、高濃縮原液を得た。この原液をさらに薬学的組成物に希釈した。
【0084】
L−アルギニンHClは市販されている。それの適切な量を秤量し、高濃縮原液を得た。この原液をさらに薬学的組成物に希釈した。
【0085】
L−メチオニンは市販されている。それの適切な量を秤量し、高濃縮原液を得た。この原液をさらに薬学的組成物に希釈した。
【0086】
ストレス試験のための条件
薬学的組成物は、200rpmの水平振盪機の上で2〜8℃で1週間振盪することによって、および25℃で1週間振盪することによって機械的応力に供した。薬学的組成物は、それぞれ−20℃および2〜8℃、または−80℃および2〜8℃のいずれかで繰り返し凍結および解凍する(5サイクル)ことによって凍結−解凍ストレスに供した。ストレスを加えられた試料を、可視粒子についての目視検査、肉眼不可視の粒子、濁度、pH、浸透圧、UV/VIS分光測定によるタンパク質濃度、粘性、逆相HPLC(RP−HPLC)、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、カールフィッシャー滴定(凍結乾燥物のみ)、NMR分光測定、FT−IR分光測定およびμDSCを含めた多様な分析技法によって分析した。
【0087】
安定性試験
薬学的組成物の安定性は、それらを−80℃、−20℃、2〜8℃、25℃および40℃で最長8ヶ月間保存することによって試験した。所定の時点で、試料を安定性チャンバーから取り出し、可視粒子についての目視検査、肉眼不可視の粒子、濁度、pH、浸透圧、UV/VIS分光測定によるタンパク質濃度、粘性、逆相HPLC(RP−HPLC)、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、カールフィッシャー滴定(凍結乾燥物のみ)、NMR分光測定、FT−IR分光測定およびμDSCを含めた多様な分析技法によって分析した。
【0088】
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、組成物中のモノPEG化IGF−Iコンジュゲート(主ピーク)、ならびに可溶性高分子量化学種(HMW)および低分子量加水分解産物(LMW)を検出および定量するために行った。HMW化学種は、主ピークの前に溶離するピークとして定義され、一方でLMW化学種は主ピークの後に溶離する。
【0089】
実施例1 − 液体組成物の調製
本発明にしたがって静脈内投与および皮下投与するための液体組成物を以下のように開発した:
PEG化IGF−Iコンジュゲートの緩衝液交換を行い、適切なタンパク質濃度に濃縮した。続いて賦形剤を原液として加えた。得られた薬学的組成物を濾過滅菌し、無菌ガラスバイアルに無菌的に充填し、そのバイアルをゴム栓およびアルミキャップで封栓した。全ての試料を目視検査し、逆さにして人工気候室に入れた。
【0090】
実施例2 − 凍結乾燥された組成物の調製
本発明による静脈内投与および皮下投与のための凍結乾燥された組成物を以下のように開発した:
PEG化IGF−Iコンジュゲートの緩衝液交換を行い、適切なタンパク質濃度に濃縮した。続いて賦形剤を原液として加えた。得られた薬学的組成物を濾過滅菌し、無菌ガラスバイアルに無菌的に充填した。そのバイアルを凍結乾燥後にアルミキャップで封栓し、人工気候室に入れた。
【0091】
実施例3 − 様々な緩衝系の安定性
K68でモノPEG化されており、野生型ヒトIGF−Iアミノ酸配列のアミノ酸変化K27RおよびK65R(配列番号2)によって特徴づけられる1mg/mlのPEG化IGF−Iコンジュゲートおよび様々なpH値の20mM緩衝液を含む組成物を実施例1にしたがって調製した。40℃で4週間(4w)保存後の安定性のデータを表1に示す。保存中の高分子量化学種(HMW)の初期値に比べた増加は、PEG化IGF−Iコンジュゲートの凝集を示し、一方で保存中の低分子量化学種(LMW)の初期値に比べた増加は、例えば分岐状PEG側鎖の切断によるPEG化IGF−Iコンジュゲートの分解を示す。
【0092】
【表1】

【0093】
表1. SECによって決定された、緩衝液に依存したAPI濃度1mg/mlの様々な組成物の安定性
【0094】
K68でモノPEG化されており、野生型ヒトIGF−Iアミノ酸配列のアミノ酸変化K27RおよびK65R(配列番号2)によって特徴づけられる8mg/mlのPEG化IGF−Iコンジュゲートおよび様々なpH値の20mM緩衝液を含むさらなる組成物を、実施例1にしたがって調製した。40℃で7週間(7w)保存後の安定性のデータを表2に示す。保存中の高分子量化学種(HMW)の初期値に比べた増加は、PEG化IGF−Iコンジュゲートの凝集を示し、一方で保存中の低分子量化学種(LMW)の初期値に比べた増加は、例えば分岐状PEG側鎖の切断によるPEG化IGF−Iコンジュゲートの分解を示す。
【0095】
【表2】

【0096】
表2. SECによって決定された、緩衝液に依存したAPI濃度8mg/mlの様々な組成物の安定性
【0097】
実施例4 − 安定性に及ぼす界面活性剤の作用
K68でモノPEG化されており、野生型ヒトIGF−Iアミノ酸配列のアミノ酸変化K27RおよびK65R(配列番号2)によって特徴づけられる6mg/mlのPEG化IGF−Iコンジュゲート、pH5.5の20mMヒスチジン/ヒスチジンHCl緩衝液または20mMクエン酸Na緩衝液のいずれか、ならびに場合によりポリソルベート20、ポリソルベート80およびポロキサマー188より選択される界面活性剤を含む組成物を実施例1にしたがって調製した。ストレス試験後の目視検査の結果および40℃で26週間(26w)保存後の安定性のデータを表3および表4に示す。保存中の高分子量化学種(HMW)の初期値に比べた増加は、PEG化IGF−Iコンジュゲートの凝集を示し、一方で保存中の低分子量化学種(LMW)の初期値に比べた増加は、例えば分岐状PEG側鎖の切断によるPEG化IGF−Iコンジュゲートの分解を示す。
【0098】
【表3】

【0099】
表3. 界面活性剤に依存した、ストレス試験でのpH5.5のヒスチジン/ヒスチジンHCl緩衝液中のAPI濃度6mg/mlの様々な組成物の目視検査の結果および安定性の結果(−80℃および2〜8℃で繰り返し凍結−解凍、2〜8℃で振盪および25℃で振盪)。「−」:可視粒子を検出。「+」:可視粒子を検出せず。
【0100】
【表4】

【0101】
表4. 界面活性剤に依存した、ストレス試験でのpH5.5のクエン酸Na緩衝液中にAPI濃度6mg/mlの様々な組成物の目視検査の結果および安定性の結果(−80℃および2〜8℃で繰り返し凍結−解凍、2〜8℃で振盪および25℃で振盪)。「−」:可視粒子を検出。「+」:可視粒子を検出せず。
【0102】
実施例5 − 安定性および粘性に及ぼす等張化剤および抗酸化剤の作用
K68でモノPEG化されており、野生型ヒトIGF−Iアミノ酸配列のアミノ酸変化K27RおよびK65R(配列番号2)によって特徴づけられる6mg/mlのPEG化IGF−Iコンジュゲート、pH5.5の20mMヒスチジン/ヒスチジンHCl緩衝液または20mMクエン酸Na緩衝液のいずれか、場合により濃度0.01%w/wのポリソルベート80およびポロキサマー188より選択される界面活性剤、トレハロース(Tre、220mM)、スクロース(Suc、200mM)およびアルギニンHCl(Arg、142mM)より選択される等張化剤、ならびに場合により抗酸化剤としてメチオニン(Met、10mM)を含む組成物を実施例1にしたがって調製した。初期分析の粘性データ、40℃で12週間(12w)保存後の安定性のデータ、および25℃で6ヶ月(6m)後の目視検査の結果を表5および6に示す。保存中の高分子量化学種(HMW)の初期値に比べた増加は、PEG化IGF−Iコンジュゲートの凝集を示す。
【0103】
【表5】

【0104】
表5. 界面活性剤、等張化剤および抗酸化剤に依存した、pH5.5のヒスチジン/ヒスチジンHCl緩衝液中にAPI濃度6mg/mlの様々な組成物の初期分析での粘性、40℃で12週間後の安定性、および25℃で6ヶ月後の目視検査の結果。「−」:可視粒子を検出。「+」:可視粒子を検出せず。
【0105】
【表6】

【0106】
表6. 界面活性剤、等張化剤および抗酸化剤に依存した、pH5.5のクエン酸Na緩衝液中にAPI濃度6mg/mlの様々な組成物の初期分析での粘性、40℃で12週間後の安定性、および25℃で6ヶ月後の目視検査の結果。「−」:可視粒子を検出。「+」:可視粒子を検出せず。
【0107】
実施例6 − 凍結乾燥組成物の安定性および粘性に及ぼす緩衝剤、界面活性剤および等張化剤の作用
K68でモノPEG化されており、野生型ヒトIGF−Iアミノ酸配列のアミノ酸変化K27RおよびK65R(配列番号2)によって特徴づけられる6mg/mlのPEG化IGF−Iコンジュゲート、pH5.5の20mMヒスチジン/ヒスチジンHCl緩衝液または20mMクエン酸Na緩衝液のいずれか、界面活性剤としてポリソルベート80(0.01%w/w)、ならびに等張化剤としてスクロース(220mM)を含む組成物を実施例2にしたがって調製した。40℃で12週間(12w)保存後の粘性データおよび安定性データを表7に示す。保存中の高分子量化学種(HMW)の初期値に比べた増加は、PEG化IGF−Iコンジュゲートの凝集を示す。
【0108】
【表7】

【0109】
表7. 緩衝液、界面活性剤および等張化剤に依存した、API濃度6mg/mlの様々な凍結乾燥組成物の安定性および粘性
【0110】
実施例7 − 高度に濃縮された凍結乾燥組成物の安定性に及ぼす緩衝剤、界面活性剤および等張化剤の作用
K68でモノPEG化されており、野生型ヒトIGF−Iアミノ酸配列のアミノ酸変化K27RおよびK65R(配列番号2)によって特徴づけられる12mg/mlのPEG化IGF−Iコンジュゲート(6mg/ml PEG化IGF−Iコンジュゲート凍結乾燥物の再構成後)、pH5.5の20mMヒスチジン/ヒスチジンHCl緩衝液または20mMクエン酸Na緩衝液のいずれか、界面活性剤としてポリソルベート80(0.02%w/w)、ならびに等張化剤としてスクロース(130mM)またはトレハロース(130mM)を含む組成物を実施例2にしたがって調製した。40℃で9週間(9w)保存後の安定性データを表8に示す。保存中の高分子量化学種(HMW)の初期値に比べた増加は、PEG化IGF−Iコンジュゲートの凝集を示す。
【0111】
【表8】

【0112】
表8. 緩衝液、界面活性剤および等張化剤に依存した、API濃度12mg/mlの様々な凍結乾燥組成物の安定性

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IGF−Iタンパク質、等張化剤および緩衝剤を含む薬学的組成物。
【請求項2】
緩衝剤が、ヒスチジン、クエン酸、酢酸またはコハク酸緩衝剤であり、pHが、4.5から6.5の間である、請求項1記載の薬学的組成物。
【請求項3】
pHが、5.0から6.0の間である、請求項1〜2のいずれか記載の薬学的組成物。
【請求項4】
緩衝剤が、5〜100mMのクエン酸緩衝液である、請求項1〜3のいずれか記載の薬学的組成物。
【請求項5】
緩衝剤が、5〜100mMのヒスチジン緩衝液である、請求項1〜3のいずれか記載の薬学的組成物。
【請求項6】
等張化剤が、アミノ酸、糖またはその組み合わせである、請求項1〜5のいずれか記載の薬学的組成物。
【請求項7】
等張化剤が、濃度10〜1000mMのトレハロース、スクロースもしくはアルギニン、またはその組み合わせである、請求項1〜6のいずれか記載の薬学的組成物。
【請求項8】
等張化剤が、濃度50〜300mMのアルギニンである、請求項1〜7のいずれか記載の薬学的組成物。
【請求項9】
界面活性剤をさらに含む、請求項1〜8のいずれか記載の薬学的組成物。
【請求項10】
界面活性剤が、ポリソルベートもしくはポロキサマー、またはその組み合わせである、請求項9記載の薬学的組成物。
【請求項11】
界面活性剤が、濃度0.001〜1%(w/w)のポリソルベート20、ポリソルベート80またはポロキサマー188である、請求項9〜10のいずれか記載の薬学的組成物。
【請求項12】
抗酸化剤をさらに含む、請求項1〜11のいずれか記載の薬学的組成物。
【請求項13】
抗酸化剤が、濃度1〜50mMのメチオニンである、請求項11記載の薬学的組成物。
【請求項14】
IGF−Iタンパク質がIGF−I変異体であって、該変異体が、野生型ヒトIGF−Iアミノ酸配列(配列番号1)由来であり、アミノ酸位置27、65および68の1個または2個のリシンがアルギニンであるように位置27、65および68に1個または2個のアミノ酸変化を有することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか記載の薬学的組成物。
【請求項15】
IGF−Iタンパク質がPEG化IGF−Iコンジュゲートである、請求項1〜14のいずれか記載の薬学的組成物。
【請求項16】
前記PEG化IGF−Iコンジュゲートが、K68でモノPEG化されており、野生型ヒトIGF−Iアミノ酸配列のアミノ酸変化K27RおよびK65R(配列番号2)によって特徴づけられる、請求項15記載の薬学的組成物。
【請求項17】
前記PEG化IGF−Iコンジュゲートが、K65でモノPEG化されており、野生型ヒトIGF−Iアミノ酸配列のアミノ酸変化K27RおよびK68R(配列番号3)によって特徴づけられる、請求項15記載の薬学的組成物。
【請求項18】
前記PEG化IGF−Iコンジュゲートの各PEGが、20〜100kDaの全体の分子量を有する、請求項15〜17のいずれか記載の薬学的組成物。
【請求項19】
前記PEG化IGF−Iコンジュゲートの各PEGが、分岐状PEGである、請求項15〜18のいずれか記載の薬学的組成物。
【請求項20】
IGF−Iタンパク質が、濃度0.1〜50mg/mlで存在する、請求項1〜19のいずれか記載の薬学的組成物。
【請求項21】
IGF−Iタンパク質が、濃度1〜20mg/mlで存在する、請求項1〜20のいずれか記載の薬学的組成物。
【請求項22】
粘性が、40mPa・s未満である、請求項1〜21のいずれか記載の薬学的組成物。
【請求項23】
K68でモノPEG化されているPEG化IGF−Iコンジュゲートであって、野生型ヒトIGF−Iアミノ酸配列のアミノ酸変化K27RおよびK65R(配列番号2)によって特徴づけられる濃度0.1〜10mg/mlのPEG化IGF−Iコンジュゲート、濃度50〜500mMのアルギニン、濃度0.001〜0.01%(w/w)のポリソルベート20、ならびに濃度1〜100mMのメチオニンをpH5.0〜6.0の5〜100mMヒスチジン緩衝液中に含む、請求項1〜22のいずれか記載の薬学的組成物。
【請求項24】
K68でモノPEG化されているPEG化IGF−Iコンジュゲートであって、野生型ヒトIGF−Iアミノ酸配列のアミノ酸変化K27RおよびK65R(配列番号2)によって特徴づけられる濃度1〜20mg/mlのPEG化IGF−IコンジュゲートをpH5.0〜6.0の5〜100mMヒスチジン緩衝液中に含み、さらに、以下の群:
50〜500mMトレハロース;
50〜500mMトレハロースおよび0.001〜0.1%(w/w)のポロキサマー188;
50〜500mMトレハロースおよび0.001〜0.1%(w/w)のポリソルベート80または20;
50〜500mMトレハロース、0.001〜0.1%(w/w)のポリソルベート80または20、および1〜100mMメチオニン;
50〜500mMスクロース;
50〜500mMスクロースおよび0.001〜0.1%(w/w)のポロキサマー188;
50〜500mMスクロースおよび0.001〜0.1%(w/w)のポリソルベート80または20;
50〜500mMスクロース、0.001〜0.1%(w/w)のポリソルベート80または20、および1〜100mMメチオニン;
50〜500mMアルギニン;
50〜500mMアルギニンおよび0.001〜0.1%(w/w)のポロキサマー188;
50〜500mMアルギニンおよび0.001〜0.1%(w/w)のポリソルベート80または20;ならびに
50〜500mMアルギニン、0.001〜0.1%(w/w)のポリソルベート80または20、および1〜100mMメチオニン
より選択される等張化剤、随意の界面活性剤および随意の抗酸化剤の組み合わせを含む、請求項1〜22のいずれか記載の薬学的組成物。
【請求項25】
K68でモノPEG化されているPEG化IGF−Iコンジュゲートであって、野生型ヒトIGF−Iアミノ酸配列のアミノ酸変化K27RおよびK65R(配列番号2)によって特徴づけられる濃度1〜20mg/mlのPEG化IGF−IコンジュゲートをpH5.0〜6.0の5〜100mMクエン酸緩衝液中に含み、さらに、以下の群:
50〜500mMトレハロース;
50〜500mMトレハロースおよび0.001〜0.1%(w/w)のポロキサマー188;
50〜500mMトレハロースおよび0.001〜0.1%(w/w)のポリソルベート80または20;
50〜500mMトレハロース、0.001〜0.1%(w/w)のポリソルベート80または20、および1〜100mMメチオニン;
50〜500mMスクロース;
50〜500mMスクロースおよび0.001〜0.1%(w/w)のポロキサマー188;
50〜500mMスクロースおよび0.001〜0.1%(w/w)のポリソルベート80または20;
50〜500mMスクロース、0.001〜0.1%(w/w)のポリソルベート80または20、および1〜100mMメチオニン;
50〜500mMアルギニン;
50〜500mMアルギニンおよび0.001〜0.1%(w/w)のポロキサマー188;
50〜500mMアルギニンおよび0.001〜0.1%(w/w)のポリソルベート80または20;ならびに
50〜500mMアルギニン、0.001〜0.1%(w/w)のポリソルベート80または20、および1〜100mMメチオニン
より選択される等張化剤、随意の界面活性剤および随意の抗酸化剤の組み合わせを含む、請求項1〜22のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項26】
K68でモノPEG化されているPEG化IGF−Iコンジュゲートであって、野生型ヒトIGF−Iアミノ酸配列のアミノ酸変化K27RおよびK65R(配列番号2)によって特徴づけられる濃度1〜20mg/mlのPEG化IGF−Iコンジュゲート、濃度50〜500mMのアルギニン、ならびに濃度0.001〜0.1%(w/w)のポロキサマー188をpH5.0〜6.0の5〜100mMクエン酸緩衝液中に含む、請求項1〜22のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項27】
K68でモノPEG化されているPEG化IGF−Iコンジュゲートであって、野生型ヒトIGF−Iアミノ酸配列のアミノ酸変化K27RおよびK65R(配列番号2)によって特徴づけられる濃度5〜20mg/mlのPEG化IGF−Iコンジュゲート、濃度100〜200mMのトレハロースまたはスクロース、ならびに濃度0.01〜0.04%(w/w)のポリソルベート80または20をpH5.0〜6.0の10〜40mMのヒスチジン緩衝液またはクエン酸緩衝液中に含む、請求項1〜22のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項28】
液体形態であるか、凍結乾燥された組成物であるか、または再構成された組成物である、請求項1〜27のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項29】
非経口的に、好ましくは静脈内(i.v.)または皮下(s.c.)ボーラス注射として投与することができる、請求項1〜28のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項30】
IGF−Iタンパク質溶液が、薬学的組成物に使用されることが意図された緩衝液に対して透析され、所望の最終タンパク質濃度が濃縮または希釈によって調整される、請求項1〜29のいずれか記載の薬学的組成物を調製するための方法。
【請求項31】
神経変性障害、特にアルツハイマー病(AD)、運動ニューロン疾患(MND)、特に筋萎縮性側索硬化症(ALS)もしくは脊髄性筋萎縮症(SMA)、または筋ジストロフィー(MD)、特にデュシェンヌ筋ジストロフィー(DMD)もしくは筋緊張性ジストロフィー(MMD)の治療、予防および/または進行の遅延のための医薬を製造するための、請求項1〜30のいずれか一項記載の薬学的組成物の使用。
【請求項32】
本明細書に前述の発明。

【公表番号】特表2013−514340(P2013−514340A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543809(P2012−543809)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【国際出願番号】PCT/EP2010/070174
【国際公開番号】WO2011/076702
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】