説明

IKK−βセリン−スレオニンプロテインキナーゼ阻害剤

式(IA)または(IB)の化合物は、IkBキナーゼ(IKK)の活性阻害剤であり、自己免疫性および炎症性疾患の治療に有用である:式(A)または(B)(式中、R7は水素または任意に置換されていてもよい(C1-C6)アルキルであり;
環Aは任意に置換されていてもよい5〜13の環原子を有するアリールもしくはヘテロアリール環であり;Zは (a)式R1R2CHNH-Y-L1-X1-(CH2)z-であり、
ここでzは0または1であり;R1 はカルボン酸基(-COOH)、または一以上の細胞内エステラーゼ酵素によりカルボン酸基に加水分解され得るエステル基であり;R2 は天然もしくは非天然のα−アミノ酸の側鎖であり;Y は結合手、-C(=O)-、-S(=O)2-、-C(=O)O-、-C(=O)NR3-、-C(=S)-NR3 、-C(=NH)-NR3 または-S(=O)2NR3-であり、ここでR3 は水素または任意に置換されていてもよいC1-C6 アルキルであり;L1 は式-(Alk1)m(Q)n(Alk2)p-の2価の結合基であり、ここで
m、n、 p 、Q、Alk1およびAlk2は請求の範囲で定義されたとおりである。)


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、分子内におけるアミノ酸エステル基の存在により特徴づけられるチオフェンカルボキサミド類、それらを含む組成物、それらの製造方法、ならびに慢性閉塞性肺疾患、喘息、リウマチ性関節炎、乾癬、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、糖尿病、アトピー性皮膚炎、移植対宿主疾患、全身性狼瘡紅斑を含む自己免疫性疾患および炎症性疾患の治療のためのIKK阻害剤としての医薬におけるそれらの使用に関する。
これらの化合物は、癌のような増殖性病状の治療においても有用である。
【背景技術】
【0002】
多くの炎症前遺伝子の発現は、転写調節活性化核因子−kB(NF−kB)により制御されている。これらの転写調節因子は、それらが慢性および急性の炎症性疾患において中心的な役割を果たしていることが分かってから疑われている。NF−kBの異常な制御は、自己免疫疾患および異なったタイプの癌の基礎をもなしているようである。
【0003】
NF−kBの活性化に依存する遺伝子の例は、サイトカイン腫瘍壊死因子TNF−α、インターロイキン(IL)−6、IL−8およびIL−1β;癒着分子E−セレクション、細胞間癒着分子(ICAM)−1および血管細胞癒着分子(VCAM)−1;ならびに酵素5酸化2窒素合成(NOS)およびシクロオキシゲナーゼ(COX)−2を含む。
【0004】
NF−kBは通常、IkB阻害プロテインファミリーの一つとの不活性な複合体として非刺激細胞の細胞質中に存在する。しかしながら、細胞の活性化に伴って、IkBはIkBキナーゼ(IKK)により加燐酸化されて、分解される。遊離のNF−kBは、次いで核へ移動してプロ炎症性遺伝子の発現を媒介する。
【0005】
三つの古典的なIkB:IkBα、IkBβおよびIkBεがあり;これらはすべてそれらが分解され得る前に二つのキーとなるセリン残基の加燐酸化を必要とする。二つの主な酵素IKK−αおよびIKKβは、IkB加燐酸化にとって責任があるようである。
【0006】
これらの酵素のいずれのドミナント−ネガティブ(DN)バージョンも(そこではATP結合がキーとなるキナーゼ支配残基の突然変異により無能化される)、TNF−α、IL−1βおよびLPSによるNF−kBの活性を抑制するのが分かった。特に、IKK−βDNはIKK−αよりはるかに強力な阻害剤であることが分かった(Zandi, E Cell, 1997, 91, 243)。
【0007】
さらに、IKK−αおよびIKK−β欠乏マウス生成は、プロ炎症性刺激によるNF−kBの活性化のためのIKK−βの必要性を立証し、示唆されたIKK−βの支配的な役割を生化学的なデータにより増強した。
実際、これらの刺激によるNF−kB活性化にとってIKK−αが必ずしも必要でないことが実証された(タナカ、M.; Immunity 1999, 10, 421)。
【0008】
かくして、IKK−βの阻害は、免疫機能の調節、したがって自己免疫疾患の治療用医薬開発のために、潜在的に魅力のある標的であることを示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明の簡単な説明
この発明は、IKKアイソフォーム(isoforms)特にIKK−βの強力でかつ選択的な阻害剤である一群のチオフェンカルボキサミドを入手可能にする。
したがって、これらの化合物は、例えばIKKの過度の活性に関連した症状のような種々の増殖性疾患およびNF−kBカスケードにより調節された疾病の治療用医薬において使用され得る。
さらに本発明の化合物は、発作、骨粗しょう症、リウマチ性関節炎、およびその他の炎症性障害の治療に有用である。
【0010】
上記の化合物は、分子内にアミノ酸モチーフまたは細胞内カルボキシエステラーゼにより加水分解され得るアミノ酸エステルモチーフが存在することにより特徴付けられる。
親油性のアミノ酸エステルモチーフを有する本発明の化合物は、細胞膜を通過し、分子内カルボキシエステラーゼにより加水分解されて酸になる。
【0011】
極性の加水分解産物は、細胞膜を簡単に通過しないので、細胞中に蓄積する。したがって、これらの化合物のIKK阻害活性は、持続し、細胞内で高められる。本発明の化合物は、国際特許出願WO 2004063186に開示されたIKK阻害剤に関連しているが、上記のアミノ酸エステルモチーフを有する点においてそれらとは異なっている。
【0012】
発明の詳細な説明
本発明によれば、式(1A)または(1B)の化合物、またはその塩、N−オキサイド、水和物もしくは溶媒和物が提供される。
【0013】
【化1】

【0014】
(式中、
R7は水素または任意に置換されていてもよい(C1-C6)アルキルであり;
環Aは、任意に置換されていてもよい、5〜13の環原子を有する、アリールもしくはヘテロアリール環であり;
Zは (a)式R1R2CHNH-Y-L1-X1-(CH2)z-であり、ここで、
R1 はカルボン酸基(-COOH)、または一以上の細胞内エステラーゼ酵素によりカルボン酸基に加水分解され得るエステル基であり;
R2 は天然もしくは非天然のα−アミノ酸の側鎖であり;
Y は結合手、-C(=O)-、-S(=O)2-、-C(=O)O-、-C(=O)NR3-、-C(=S)-NR3 、-C(=NH)-NR3 または-S(=O)2NR3-であり、ここでR3 は水素または任意に置換されていてもよいC1-C6 アルキルであり、
L1 は式-(Alk1)m(Q)n(Alk2)p-の2価の基であり、ここで
m、n および p は独立して0または1であり、
Q は、(i) 任意に置換されていてもよい、5〜13の環原子を有する、2価の単環もしくは2環の炭素環式基または複素環式基であるか、あるいは
(ii) p が0のとき、式-Q1-X2-の2価の基であり、ここでX2 は-O-、-S-または NRA-であり、ここで RA は水素または任意に置換されていてもよいC1-C3 アルキルであり、Q1 は5〜13の環原子を有し、任意に置換されていてもよい、2価の単環もしくは2環の炭素環式基または複素環式基であり、
Alk1 およびAlk2 は、独立して、任意に置換されていてもよい2価のC3-C7 シクロアルキル基、または任意に置換されていてもよい直鎖状もしくは分枝鎖状の、エーテル(-O-)、チオエーテル(-S-)もしくはアミノ(-NRA-)結合(ここで、RA は水素または任意に置換されていてもよいC1-C3 アルキルである)を任意に含んでいるか、もしくは末端に有している、C1-C6 アルキレン、C2-C6 アルケニレンもしくはC2-C6 アルキニレン基を表し、
X1 は結合手、-C(=O)-;または-S(=O)2-;-NR4C(=O)-、-C(=O)NR4-、-NR4C(=O)-NR5-、-NR4S(=O)2-もしくは-S(=O)2NR4-であり、ここでR4およびR5は独立して、水素または任意に置換されていてもよいC1-C6 アルキルである)であり、
z は0または1である)。
【0015】
もう一つの広い観点によれば、本発明は、上記のように定義された式(IA) または(IB)の化合物、またはそのN-オキサイド、塩、水和物もしくは溶媒和物の、IKK、特にIKKβの活性を阻害する組成物の製造における使用、ならびにNF-kβカスケードにより調節される疾病における使用を提供する。
【0016】
本発明に関連する化合物は、IKK、特にIKKβのインビトロおよびインビボ活性を阻害するのに用いられ得る。
本発明の化合物を一つ以上の医薬的に許容される担体および賦形剤とともに含む医薬組成物も、本発明の一部を構成する。
【0017】
本発明の一つの観点によれば、本発明の化合物は、腫瘍性/増殖性、自己免疫性もしくは炎症性の疾患、特にIKK、中でもIKKβ活性が役割を果たしている上記のような疾患の治療用組成物を製造するのに用いられ得る。
【0018】
もう一つの観点によれば、本発明は、上記のような疾患の患者に、上記のように定義された式(IA)または(IB)の化合物の有効量を投与することを含む、上記のようなタイプの疾患を治療する方法を提供する。
【0019】
用語
ここで用いられている用語「(Ca-Cb)アルキル」(ここで、aおよびbは整数である)とは、a〜bの炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル基をいう。したがって、aが1であり、bが6であるとき、この用語は例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t-ブチル、n-ペンチルおよびn-ヘキシルを含む。
【0020】
ここで用いられている用語「2価の(Ca-Cb)アルキレン基」(ここで、aおよびbは整数である)とは、a〜bの炭素原子を有し、2つの遊離価を有する、飽和の炭化水素鎖をいう。
【0021】
ここで用いられている用語「(Ca-Cb)アルケニル」(ここで、aおよびbは整数である)とは、a〜bの炭素原子を有し、適用できるときEまたはZいずれかの立体化学の2重結合を少なくとも一つ有する、直鎖状もしくは分枝鎖状のアルケニル部分をいう。この用語は、例えばビニル、アリル、1- および2-ブテニルならびに2-メチル-2-プロペニルを含む。
【0022】
ここで用いられている用語「2価の(Ca-Cb)アルケニレン基」は、a〜bの炭素原子を有し、少なくとも1つの2重結合、および2つの未飽和価を有する炭化水素鎖を意味する。
【0023】
ここで用いられている用語「(Ca-Cb)アルキニル」(ここで、aおよびbは整数である)とは、a〜bの炭素原子を有し、かつ一つの3重結合を有する、直鎖状もしくは分枝鎖状の炭化水素基をいう。この用語は、例えばエチニル、1-プロピニル、1-および2-ブチニル、2-メチル-2-プロピニル、2-ペンチニル、3-ペンチニル、4-ペンチニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、 4-ヘキシニルおよび5-ヘキシニルを含む。
【0024】
ここで用いられている用語「2価の(Ca-Cb)アルキニレン基」(ここで、aおよびbは整数である)とは、a〜bの炭素原子を有し、少なくとも一つの3重結合を有する2価の炭化水素鎖をいう。
【0025】
ここで用いられている用語「炭素環」とは、16までの環原子を有する単環、2環もしくは3環式の基を意味し、環原子はすべて炭素であり、 アリールおよびシクロアルキルを含む。
【0026】
ここで用いられている用語「シクロアルキル」とは、3〜8の炭素原子を有する単環式の飽和炭素環式基を意味し、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルを含む。
【0027】
ここで用いられている非限定的な用語「アリール」とは、単環、2環もしくは3環式の、芳香族炭素環式基を意味し、共有結合により直接結合している2つの単環式芳香族炭素環式基を含む。そのような基の具体的な例は、フェニル、ビフェニルおよびナフチルである。
【0028】
ここで用いられている非限定的な用語「ヘテロアリール」とは、単環、2環もしくは3環式の、S、NおよびOから選択されるヘテロ原子を一つ以上含む芳香族基を意味し、そのような単環を二つ有する基、またはそのような環1つと単環式アリール環とが共有結合により直接結合している基を含む。
【0029】
そのような基の具体的な例は、チエニル、ベンゾチエニル、フリル、ベンゾフリル、ピロリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、ベンズオキサゾリル、イソキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ベンズトリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリルおよびインダゾリルである。
【0030】
ここで用いられている非限定的な用語「ヘテロサイクリル」または「ヘテロサイクリック」は、上記で定義されたような「ヘテロアリール」を含み、その非芳香族の意味において、S、NおよびOから選択されるヘテロ原子を一つ以上含む、単環、2環もしくは3環式の非芳香族基、ならびにもう一つのそのような基もしくは単環式の炭素環式基に共有結合している、そのようなヘテロ原子を一つ以上の含む単環の非芳香族基からなる基に関連している。
【0031】
そのような基の具体的な例は、ピロリル、フラニル、チエニル、ピペリジニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピロリジニル、ピリミジニル、モルホリニル、ピペラジニル、インドリル、モルホリニル、ベンゾフラニル、ピラニル、イソキサゾリル、ベンズイミダゾリル、メチレンジオキシフェニル、エチレンジオキシフェニル、マレイミドおよびスクシンイミド基である。
【0032】
「2価のフェニレン、ピリジニレン、ピリミジニレンまたはピラジニレン基」は、2つの未飽和価を有する、ベンゼン、ピリジン、ピリミジンまたはピラジン環であり、1,3-フェニレン、1,4-フェニレンおよび次のものを含む:
【0033】
【化2】

【0034】
この明細書で特に限定されていなければ、いかなる基にも適用されている用語「置換された」は、4つまでの矛盾しない置換基で置換されていることを意味し、それらの置換基はそれぞれ独立して、例えば、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシ(C1-C6)アルキル、メルカプト、メルカプト(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルキルチオ、フェニル、ハロ(フルオロ、ブロモおよびクロロを含む)、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、ニトリル(-CN)、オキソ、-COOH、-COORA、-CORA、-SO2RA、-CONH2、-SO2NH2、-CONHRA、-SO2NHRA、-CONRARB、-SO2NRARB、-NH2、-NHRA
-NRARB、-OCONH2、-OCONHRA、-OCONRARB、-NHCORA、-NHCOORA、-NRBCOORA、-NHSO2ORA、-NRBSO2OH、-NRBSO2ORA、-NHCONH2、-NRACONH2、-NHCONHRB、-NRACONHRB -NHCONRARBまたは-NRACONRARB(ここで、RAおよびRBは、独立して(C1-C6)アルキル、(C3-C6)シクロアルキル、フェニルまたは5もしくは6の環原子を有する単環式のヘテロアリールであるか、あるいはRAおよびRBが同一の窒素原子に結合しているときは環状のアミノ基(例えばモルホリノ、ピペリジニル、ピペラジニルもしくはテトラヒドロピロリル)を形成する)であり得る。「任意の置換基」は、上記の置換基の一つであり得る。
【0035】
ここで用いられている用語「塩」は、塩基付加塩、酸付加塩および4級塩を含む。
本発明の酸性の化合物は、水酸化アルカリ金属、例えば水酸化ナトリウムおよびカリウム;水酸化アルカリ土類金属、例えば水酸化カルシウム、バリウムおよびマグネシウムのような塩基;有機塩基、例えばN-メチル-D-グルカミン、コリントリス(ヒドロキシメチル)アミノ-メタン、L-アルギニン、L-リジン、N-エチルピペリジン、ジベンジルアミンなどとの医薬的に許容される塩を含む、塩を形成することができる。
【0036】
塩基性である化合物(IA)および(IB)は、例えば塩酸または臭化水素酸のようなハロゲン化水素酸、硫酸、硝酸もしくはリン酸などのような無機酸との塩、ならびに酢酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、サリチル酸、クエン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスホン酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、グルタミン酸、乳酸およびマンデル酸などのような有機酸との塩を含む、医薬的に許容される塩を形成することができる。
【0037】
本発明の化合物は、水和物または溶媒和物の形態でも回収され得る。
「溶媒和物」という用語は、ここでは、本発明の化合物および1以上の医薬的に許容される溶媒分子、例えばエタノールの化学量論的な量を含む分子複合体を記述するのに用いられる。
「水和物」という用語は、上記の溶媒が水であるときに用いられる。
【0038】
不斉炭素原子の存在により、現実のもしくは潜在的なキラル中心を一つ以上含む本発明の化合物は、各キラル中心におけるRまたはS立体化学のいくつかのジアステレオマーとして存在し得る。本発明は、そのようなすべてのジアステレオマーおよびそれらの混合物を含む。
【0039】
上記の置換基R1と関連して、「エステル」または「エステル基」または「エステル化されたカルボキシ基」という用語は、基RxO(C=O)-(ここで、Rx はエステルを特徴づける基、概念的にはアルコールRxOHから誘導される基である)を意味する。
【0040】
本発明の化合物における種々の置換基を、以下に詳細に説明する:
置換基R7
R7は水素、または任意に置換されていてもよいメチル、エチルまたはn-もしくはイソプロピルのような(C1-C6)アルキルである。R7は水素であるときが好ましい。
【0041】
環A
環Aは、単環式の5-もしくは6-員環、あるいは2環式の5,6-、6,6-もしくは5,5-環システムのような、任意に置換されていてもよい5-13原子の2価のアリールもしくはヘテロアリール環である。
【0042】
具体例は、2価のフェニレン、ピリジニレン、ピリミジニレンおよびピラジニレン基を含む。好ましいのは、1,4-フェニレンまたは1,3-フェニレンである。
環A における任意の置換基は、例えば、フルオロ、クロロ、メチル、トリフルオロメチル、 (その他のリストされているもの)から選択され得る。
【0043】
式-(CH2)z-X1-L1-Y- NHCHR1R2の基Z
Z中の基R1
R1は、カルボン酸基または細胞内の1つ以上のカルボキシエステラーゼ酵素によりカルボン酸基に加水分解され得るエステル基である。
本発明の化合物のエステル基を対応する酸に加水分解し得る細胞内のカルボキシエステラーゼ酵素は、3つの公知のヒト酵素アイソタイプhCE-1、hCE-2およびhCE-3を含む。
これらは主な酵素であると考えられているが、ビフェニルヒドロラーゼ(BPH)のような他の酵素も、エステルを加水分解する役割を有している。
【0044】
一般に、カルボキシエステラーゼが遊離のアミノ酸エステルを親化合物の酸に加水分解すれば、それはIKK阻害剤に共有的に結合しているエステルモチーフをも加水分解するだろう。
【0045】
したがって、ここに記載されている破壊細胞アッセイは、要求される加水分解プロフィルを有するエステルのための率直、迅速かつ単純な第1のスクリーンを提供する。
そのような方法により選択されるエステルモチーフは、それがなお該背景におけるカルボキシエステラーゼ基質であることを確認するために、選択された結合化学を介してモジュレータに結合しているとき、同じカルボキシエステラーゼアッセイにおいて再びアッセイされる。
【0046】
それらが細胞内のカルボキシエステラーゼ酵素により加水分解され得るという要件を条件として、具体的なエステル基R1の例は、次の式のものを含む。
-(C=O)OR14(ここで、R14はR8R9R10C-であり、ここで
【0047】
(i)R8は水素、または任意に置換されていてもよい(C1-C3)アルキル-(Z1)a-[(C1-C3)アルキル]b-もしくは(C2-C3)アルケニル-(Z1)a-[(C1-C3)アルキル]b- (ここで、aおよびbは独立して0もしくは1であり、Z1は-O-、-S-または- NR11-(ここで、R11は水素または(C1-C3)アルキルであり;R9およびR10は独立して水素または(C1-C3)アルキル-である;
【0048】
(ii) R8は水素または任意に置換されていてもよいR12R13N-(C1-C3)アルキル- (ここで、R12は水素または (C1-C3)アルキルであり、R13は水素または(C1-C3)アルキルであるか;あるいはR12およびR13はそれらが結合している窒素と一緒になって、任意に置換されていてもよい、5-もしくは6-の環原子を有する単環の複素環、または8〜10の環原子を有する2環の複素環システムを形成し、R9およびR10は独立して水素または(C1-C3)アルキル-であるか;あるいは
【0049】
(iii)R8およびR9はそれらが結合している炭素と一緒になって、任意に置換されていてもよい、3〜7の環原子を有する単環の炭素環、または8〜10の環原子を有する2環の炭素環システムを形成し、
R10は水素である。
これらのクラスにおいて、R10はしばしば水素である。
【0050】
R14の具体的な例は、メチル、エチル、n-もしくはイソ-プロピル、n-、sec-もしくはtert-ブチル、シクロヘキシル、アリル、フェニル、ベンジル、2-, 3-もしくは4-ピリジルメチル、N-メチルピペリジン-4-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、メトキシエチル、インダニル、ノルボルニル、ジメトキシアミノエチルまたはモルホリノエチルを含む。R14がシクロペンチルまたはtert-ブチルである場合が好ましい。
【0051】
マクロファージは、サイトカイン、特にTNFαおよびIL-1の放出を介して炎症性の疾患において重要な役割を果たすことが知られている (van Roonら、 Arthritis and Rheumatism、2003、1229-1238)。リュウマチ性関節炎において、それらは関節の炎症および関節の破壊を維持するのに主に貢献している。
【0052】
マクロファージは、腫瘍の生長および進展にも関与している(Naldini and Carraro, Curr Drug Targets Inflamm Allergy、2005、3-8 )。したがって、マクロファージの細胞増殖および機能を選択的に標的とする薬剤は、癌および自己免疫疾患の治療に有用である。特定のタイプの細胞を標的とすれば、副作用を軽減できるものと予想される。
【0053】
本発明者らは、hCE-1を発現する細胞、特にマクロファージ、ならびにモノサイト、オステオクラストおよびデンドリティック細胞のようなミエロ−モノサイティックラインエージから誘導されるその他の細胞に対する阻害剤を標的とする方法を見出した。
【0054】
これは、エステラーゼモチーフが阻害剤に結合するという方法が、3つのヒトのカルボキシエステラーゼすべてにより加水分解されるか、あるいはhCE-1により加水分解されるか、したがってそれが異なったタイプの細胞中に蓄積するか否かを決定するという知見に基づいている。
【0055】
とりわけ、マクロファージ、およびミエロ−モノサイティックラインエージから誘導される、正常および癌性両方の他の細胞が、ほかのタイプの細胞はそうでないのに、ヒトカルボキシエステラーゼhCE-1を含んでいるということが見出された。
【0056】
一般式(IA)および(IB)において、エステラーゼモチーフR1CH(R2)NH-の窒素がカルボニル(-C(=O)-)に直接結合していないとき、すなわちYが-C(=O)、-C(=O)O-または-C(=O)NR3-基でないとき、エステルはhCE-1だけにより加水分解され、したがって阻害剤はマクロファージ関連細胞中に選択的に蓄積する。
【0057】
Zにおけるアミノ酸側鎖R2
エステル基R1が細胞内のカルボキシエステラーゼ酵素により加水分解され得るという要件を条件として、側鎖基R2の同一性は、非−マクロファージ選択的化合物にとって重要でない。
【0058】
マクロファージ選択的化合物にとって、バリン、シクロヘキシルグリシン、t-ブチルセリン、t-ブチルシステイン、プロリン、フェニルアラニン、ロイシンおよびフェニルグリシンのような側鎖が好ましい。
【0059】
アミノ酸側鎖の例は、次のものを含む。
(C1-C6)アルキル、フェニル、2,- 3-もしくは4-ヒドロキシフェニル、2,- 3-もしくは4-メトキシフェニル、2,-3-もしくは4-ピリジルメチル、ベンジル、フェニルエチル、2-, 3-もしくは4-ヒドロキシベンジル、2,- 3-もしくは4-ベンジルオキシベンジル、2,- 3-もしくは4- (C1-C6)アルコキシベンジルおよびベンジルオキシ(C1-C6)アルキル基;
【0060】
天然のαアミノ酸の特徴的な基であり、官能基は保護されていてもよい;
基-[Alk]nR16(ここで、Alkは一つ以上の-O-もしくは-S-原子または-N(R17)- 基 [ここで、R17は水素原子または(C1-C6)アルキル基である]で任意に中断されていてもよい(C1-C6)アルキルまたは(C2-C6)アルケニル基であり、nは0または1であり、R16は任意に置換されていてもよいシクロアルキルまたはシクロアルケニルである);
【0061】
式-OCH2COR18(ここで、R18はヒドロキシ、アミノ、(C1-C6)アルコキシ、フェニル(C1-C6)アルコキシ、(C1-C6)アルキルアミノ、ジ((C1-C6)アルキル)アミノ、フェニル(C1-C6)アルキルアミノ、アミノ酸またはその酸ハライド、エステル、もしくはアミド誘導体の残基によりフェニル環が置換されたベンジル基であり、上記の残基はアミド結合を介して結合しており、上記のアミノ酸はグリシン、αもしくはβアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、セリン、スレオニン、システイン、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、リジン、ヒスチジン、アルギニン、グルタミン酸およびアスパラギン酸から選択される;
【0062】
複素環が、置換されていないか、あるいはハロ、ニトロ、カルボキシ、(C1-C6)アルコキシ、シアノ、(C1-C6)アルカノイル、トリフルオロメチル、(C1-C6)アルキル、ヒドロキシ、ホルミル、アミノ、(C1-C6)アルキルアミノ、ジ-(C1-C6)アルキルアミノ、メルカプト、(C1-C6)アルキルチオ、ヒドロキシ(C1-C6)アルキル、メルカプト(C1-C6)アルキルまたは(C1-C6)アルキルフェニルメチルで、モノ-もしくはジ-置換されている複素環(C1-C6)アルキル基;ならびに
【0063】
基-CRaRbRcここで:
Ra、RbおよびRcは、それぞれ独立して水素、(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、(C2-C6)アルキニル、フェニル(C1-C6)アルキル、(C3-C8) シクロアルキルであるか;または
Rcは水素であり、RaおよびRbは独立してフェニルまたはピリジルのようなヘテロアリールであるか;または
【0064】
Rcは水素、(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、(C2-C6)アルキニル、フェニル(C1-C6)アルキルまたは (C3-C8) シクロアルキルであり、RaおよびRbはそれらが結合している炭素原子と一緒になって、3〜8員のシクロアルキルまたは5〜6-員の複素環を形成するか;または
Ra、RbおよびRcはそれらが結合している炭素原子と一緒になって、3環式基(例えばアダマンチル)を形成するか;または
【0065】
RaおよびRbはそれぞれ独立して、(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、(C2-C6)アルキニル、フェニル(C1-C6)アルキル、またはRcについて以下に定義される水素以外の基であるか、あるいはRaおよびRbはそれらが結合している炭素原子と一緒になってシクロアルキルまたは複素環を形成し、Rcは水素、-OH、-SH、ハロゲン、-CN、-CO2H、(C1-C4)パーフルオロアルキル、-CH2OH、-CO2(C1-C6)アルキル、-O(C1-C6)アルキル、-O(C2-C6)アルケニル、-S(C1-C6)アルキル、-SO(C1-C6)アルキル、-SO2(C1-C6)アルキル、-S(C2-C6)アルケニル、-SO(C2-C6)アルケニル、-SO2(C2-C6)アルケニル、または基-Q-W(ここで、Qは結合手または-O-、-S-、-SO-もしくは-SO2-を表し、Wはフェニル、フェニルアルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C3-C8)シクロアルキルアルキル、(C4-C8) シクロアルケニル、(C4-C8)シクロアルケニルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル基を表し、この基Wはヒドロキシ、ハロゲン、-CN、-CO2H、-CO2(C1-C6)アルキル、-CONH2、-CONH(C1-C6)アルキル、-CONH(C1-C6アルキル)2、-CHO、-CH2OH、(C1-C4)パーフルオロアルキル、-O(C1-C6)アルキル、-S(C1-C6)アルキル、-SO(C1-C6)アルキル、-SO2(C1-C6)アルキル、-NO2、-NH2、-NH(C1-C6)アルキル、-N((C1-C6)アルキル)2, -NHCO(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、(C2-C6)アルキニル、(C3-C8)シクロアルキル、(C4-C8)シクロアルケニル、フェニルまたはベンジルから選択される1つ以上の置換基で任意に置換されていてもよい。
【0066】
R2基の具体的な例は、水素(グリシン「側鎖」)、ベンジル、フェニル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシル、ピリジン-3-イルメチル、tert-ブトキシメチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、1-ベンジルチオ-1-メチルエチル、1-メチルチオ-1-メチルエチル、1-メルカプト-1-メチルエチルおよびフェニルエチルを含む。好ましいR2基は、フェニル、ベンジル、イソ-ブチル、シクロヘキシルおよびt-ブトキシメチルを含む。
【0067】
全本発明の全身投与される化合物では、カルボキシエステラーゼ開裂速度の遅いエステルが、プレシステミック代謝に対して敏感でないので好ましい。
かかる化合物は分解されないで標的の組織へ到達する度合いが増し、該エステルは標的とする組織の細胞内で酸物質に変換され得る。
【0068】
しかしながら、エステルが標的とする組織へ直接適用されるか、あるいは例えば吸入のように標的とする組織へ向けられる局所投与では、エステラーゼ開裂速度の速いエステルは、全身性の露呈が少なくなり、したがって望ましくない副作用を低減できるので、好ましい場合もある。
【0069】
本発明の化合物において、αアミノ酸のα炭素に結合している炭素がモノ置換されていると、すなわちR2が-CH2Rz (Rzは当該モノ置換基である) であると、かかるエステルは、R2が例えばフェニルまたはシクロヘキシルである場合のように該炭素がジ-もしくはトリ-置換されている場合より速く開裂される傾向がある。
【0070】
Zにおける基-(CH2)z-X1-L1-Y-
この基(または結合手)は、アミノ酸エステルモチーフR1CH(R2)NH-を分子の残り部分に結合させるために選択された特殊な化学的戦略から生じる。
明らかに、そのような結合のための化学的戦略は広範に変動することができ、したがって変動し得るz、L1、X1およびYの多くの組合せが可能である。
【0071】
アミノ酸エステルモチーフと該分子の残りとの間の化学結合を作り上げる変動し得るものの的確な組合せは、当該化合物の主要な結合モードに全体として不適切である場合もある。
他方、そのような結合化学は、酵素との付加的結合の相互作用を起こし、それにより結合を高める場合もあり得る。
【0072】
上記のアミノ酸エステルモチーフの恩恵(細胞内への進入、細胞内でのカルボキシエステラーゼ加水分解、および加水分解物である活性なカルボン酸の細胞内での蓄積を高める)は、アミノ酸エステルモチーフと該分子の残りとの間の結合が、細胞内でのペプチダーゼ活性のための基質でないときに最もよく達成され、該分子からのアミノ酸の開裂がもたらされるということも留意すべきである。
【0073】
もちろん、細胞内ペプチダーゼに対する安定性は、化合物を崩壊した細胞内容物とともに培養し、かかる開裂を分析することにより容易に試験することができる。
【0074】
上記の一般的な展望に留意して、基-(CH2)z-X1-L1-Y-を構成する種々のものを順次取り上げる:
zは0または1であることができる;
基L1において、Alk1およびAlk2基の例は、存在するとき、-CH2-、-CH2CH2-、 -CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-、-CH=CH-、-CH=CHCH2-、-CH2CH=CH-、-CH2CH=CHCH2-、-C≡C-、-C≡CCH2-、CH2C≡C-および-CH2C≡CCH2-を含む。
【0075】
Alk1およびAlk2の追加の例は、-CH2W-、-CH2CH2W-、-CH2CH2WCH2-、-CH2CH2WCH(CH3)-、-CH2WCH2CH2-、-CH2WCH2CH2WCH2-および-WCH2CH2-(ここで、 Wは-O-、-S-、-NH-、-N(CH3)-または-CH2CH2N(CH2CH2OH)CH2-である)を含む。
【0076】
Alk1およびAlk2のさらなる例は、2価のシクロプロピル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル基を含む。
Alk1およびAlk2は、存在するとき、-CH(CH3)-、-C(CH3)2-、またはどちら向きでもよい-CH2CH(CH3)-、-CH2C(CH3)2-のような、分枝鎖状のアルキルであってもよい。
【0077】
L1において、nが0であり、mおよびpの少なくとも1つが1であるとき、この基は炭化水素鎖 (任意に置換されていてもよく、多分エーテル、チオエーテルまたはアミノ結合を有している)である。 L1に任意の置換基がないのが好ましい。
【0078】
mおよびpがともに0であるとき、L1は5〜13の環原子を有する2価の単環もしくは2環の炭素環もしくは複素環式基 (任意に置換されていてもよいが、非置換であるのが好ましく、多分エーテル、チオエーテルもしくはアミノ結合を介して隣接の原子に結合している(注:本発明に適用できれば、これはQが-Q2-X2-のときである)。
【0079】
nが1であり、mおよびpの少なくとも一方が1であるとき、L1は、炭化水素鎖(任意に置換されていてもよく、多分エーテル、チオエーテルもしくはアミノ結合を有している)、および5〜13の環原子を有する単環もしくは2環の炭素環もしくは複素環式基(任意に置換されていてもよいが、好ましいのは非置換であり、多分エーテル、チオエーテルもしくはアミノ結合を介して隣接の原子に結合している)を含む2価の基である。
【0080】
存在するとき、Qは例えば2価のフェニル、ナフチル、シクロプロピル、シクロペンチルもしくはシクロヘキシル基、またはピペリジニル、ピペラジニル、インドリル、ピリジル、チエニルもしくはピロリル基のような、5〜13の環原子を有する、単環もしくは2環の複素環式基であってもよい。
【0081】
本発明のある実施態様において、L1、nが1であって、mおよびpは0であり得る。
他の実施態様において、mは1であって、nおよびpは0であり得る。
さらなる実施態様において、m、nおよびpはすべて0であり得る。
さらなる実施態様において、mは0であり、nは1であり、Qは単環の複素環式基であり、pは0または1であり得る。
【0082】
具体的には、Alk1およびAlk2は、存在するとき、-CH2-、-CH2CH2-および-CH2CH2CH2-から選択することができ、Qは存在するとき次のものから選択され得る:
【0083】
【化3】

(式中、EおよびGは独立してCHまたはNである)
【0084】
結合X1は、結合手、-(C=O)-、-S(O2)-、-NR4C(=O)-、-C(=O)NR4-、-NR4C(=O)-NR5-、-NR4S(=O)2-または-S(=O)2NR4-(ここで、R4およびR5は独立して水素、または任意に置換されていてもよいメチルもしくはエチルのようなC1-C6アルキルである)を表す。
【0085】
結合Yは、結合手、-C(=O)-、-S(=O)2-、-C(=O)O-、-C(=O)NR3-、-C(=S)-NR3、-C(=NH)-NR3または-S(=O)2NR3-(ここで、R3は水素または任意に置換されていてもよいメチルもしくはエチルのようなC1-C6アルキルである)である。
【0086】
上で定義され、説明されたように、アミノ酸エステラーゼモチーフR1R2CHNH-がXを含む環に基L1により結合するように、zは0であり、X1およびYはそれぞれ単に結合手であり得る。
【0087】
本発明の具体的な例において、基R1R2CHNH-Y-L1X1-(CH2)z-は、R1R2CHNH-(CH2)a-、R1R2CHNH-(CH2)aO-およびR1R2CHNH-CH2CH=CHCH2-(ここで、aは1、2、3、4または5である)から選択される。
【0088】
本発明のその他の化合物において、R1R2CHNH-Y-L1X1-(CH2)z-は、1R2CHNHSO2-、R1R2CHNHCO-、
【化4】

から選択される。
【0089】
本発明の具体的な化合物は、以下の実施例で得られた化合物、それらの塩、N-オキサイド、水和物および溶媒和物を含む。
【0090】
上記のように、本発明の化合物は、IKK、特にIKKβキナーゼ活性の阻害剤であり、したがってIKK活性およびNF-kBカスケードにより調節される疾患の治療において有用である。
そのような疾患は、腫瘍性/増殖性、免疫性および炎症性疾患を含む。特に、本発明の化合物の使用は、ヘパトセルラー(hepatocellular)癌またはメラノーマのような癌だけでなく、腸癌、 卵巣癌、頭部および首部および頚部の鱗状癌、胃もしくは肺の癌、形成外科の膠腫、グリア芽細胞多形もしくは髄芽腫のような癌の治療;ならびにリウマチ性関節炎の治療;ならびに乾癬、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、慢性閉塞性肺過膨張疾患、喘息、多発性硬化症、糖尿病、アトピー性皮膚炎、移植対宿主病もしくは全身性狼瘡紅斑の治療を含む。
【0091】
本発明の化合物は、それらの薬物動態的性質に適った経路により投与するために製剤化され得る。
経口投与可能な組成物は、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、ロゼンジ、経口用、局所用もしくは非経口用の無菌の溶液もしくは懸濁液のような液剤またはゲル製剤の形態であり得る。
【0092】
経口投与用の錠剤およびカプセル剤は、単回投与の形態であってよく、結合剤、例えばシロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガントもしくはポリビニルピロリドン;充填剤、例えばラクトース、砂糖、とうもろこし澱粉、リン酸カルシウム、ソルビトールもしくはグリシン;打錠用滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコールもしくはシリカ;崩壊剤、例えばジャガイモ澱粉、またはラウリル硫酸ナトリウムのような許容される湿潤剤のごとき通常の賦形剤を含むことができる。
錠剤は、通常の医薬分野で周知の方法に従って、コーティングされていてもよい。
【0093】
経口用の液体製剤は、例えば水性もしくは油性の懸濁液、溶液、乳液、シロップもしくはエリキシルの形態であってもよく、あるいは使用前に水またはその他の適当な媒体で再構成される乾燥製品としても提供され得る。
【0094】
そのような液体製剤は、懸濁化剤、例えばソルビトール、シロップ、メチルセルロース、グルコースシロップ、ゼラチン、水素添加食用油脂;乳化剤、例えばレシチン、ソルビタンモノオレエートまたはアカシア;(食用油脂を含み得る)非水性媒体、例えばアーモンド油、分別ココナッツ油、グリセリン、プロピレングリコールのような油性エステル、またはエチルアルコール;保存剤、例えばメチルもしくはプロピルp-ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸、ならびに所望により通常の香料または着色剤のような通常の添加剤を含んでいてもよい。
【0095】
皮膚への局所投与のために、医薬はクリーム、ローションまたは軟膏に製剤化され得る。医薬に用いられるクリームまたは軟膏は、当該分野で周知の通常の製剤、例えば英国薬局方のような標準的な医薬教科書に記載されているような製剤である。
【0096】
本発明の化合物は、吸入剤の形態で投与され得る。エアロゾルの生成は、例えば加圧式噴霧器または超音波噴霧器を用いて行うことができ、噴射剤式定量エアロゾル、または噴射剤なしで例えば吸入カプセルもしくはその他の乾燥粉末送達システムからの微細化された活性化合物を投与するのが好ましい。
【0097】
活性化合物は、用いられる吸入システムに記載されているような量で投与される。活性化合物に加えて、投与形態は、例えば噴射剤(定量エアロゾルの場合、例えばフリゲン(Frigen))、界面活性物質、乳化剤、安定化剤、保存剤、香料、充填剤(粉末吸入の場合、例えばラクトース)のような賦形剤、あるいは適当ならば他の活性化合物をさらに含んでいてもよい。
【0098】
吸入目的のために、患者に適した吸入技術を用いて、最適粒子径のエアロゾルが生成され、投与され得る多くのシステムが入手可能である。
定量エアロゾル用には、アダプター(スペーサー、エクスパンダー)および洋梨型のコンテナー(例えば、Nebulator(商標)、Volumatic(商標))ならびに噴射スプレーを噴出する自動器具 (Autohaler(商標)) の使用に加えて、特に粉末吸入の場合には、多くの技術的な解決方法 (例えば、Diskhaler(商標)、Rotadisk(商標)、Turbohaler(商標)またはEP-A-0505321に記載のインヘイラー) がある。
【0099】
眼への局所適用のために、適当な水性もしくは非水性の媒体中の溶液または懸濁液に製剤化され得る。添加剤、例えばメタビサルファイトナトリウムまたはエデト酸2ナトリウムのような緩衝剤;フェニル酢酸水銀もしくはナイトレート、塩化ベンザルコニウムまたはクロルヘキシジンのような殺菌剤を含む保存剤、およびヒプロメロースのような濃稠化剤も含まれ得る。
【0100】
活性成分は、無菌媒体中で非経口的にも投与され得る。用いられる媒体および濃度により、医薬は媒体中に溶解または懸濁され得る。好ましくは、局所麻酔剤、保存剤および緩衝剤のようなアジュバントが媒体中に溶解される。
【0101】
本発明の化合物は、多くの医薬的に活性な公知の物質と組み合わせて用いられ得る。例えば、本発明の化合物は、細胞障害物質、HDAC阻害剤、キナーゼ阻害剤、アミノペプチダーゼ阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、bcl-2 アンタゴニスト、mTorおよびモノクロナル抗体(例えば生長因子レセプタに向けられたもの)の阻害剤とともに用いられ得る。
好ましい細胞障害物質は、例えばtaxanes、platins、5-フルオラシルのような抗代謝剤、トポイソメラーゼ阻害剤などを含む。
【0102】
式(IA)または(IB)のアミノ酸誘導体、その互変異性体またはそれらの医薬的に許容される塩、N-オキサイド、水和物もしくは溶媒和物を含む本発明の医薬は、したがって典型的には細胞障害物質、HDAC阻害剤、キナーゼ阻害剤、アミノペプチダーゼ阻害剤および/またはモノクロナル抗体をさらに含み得る。
【0103】
さらに、本発明は、次のものを含む医薬組成物を提供する:
(a) 式(IA)または(IB)のアミノ酸誘導体、またはその医薬的に許容される塩、N-オキサイド、水和物もしくは溶媒和物;
(b) 細胞障害剤、HDAC阻害剤、キナーゼ阻害剤、アミノペプチダーゼ阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、bcl-2 アンタゴニスト、mTの阻害剤および/またはモノクロナル抗体;ならびに
(c) 医薬的に許容される担体または希釈剤。
【0104】
また、次のものを含む、ヒトまたは動物の治療において、別々に、同時にもしくは連続して用いられるための製品も提供される:
(a) 式(IA)または(IB)のアミノ酸誘導体、その医薬的に許容される塩、またはそれらのN-オキサイド、水和物もしくは溶媒和物;ならびに
(b) 細胞障害剤、HDAC阻害剤、キナーゼ阻害剤、アミノペプチダーゼ阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、bcl-2 アンタゴニスト、mTの阻害剤および/またはモノクロナル抗体
【0105】
合成
本発明の化合物(I)を合成するためのいくつかの合成方法があるが、いずれも有機合成化学者に知られている公知の化学に依存している。
したがって、式(I)の化合物は、標準的な文献に記載された当業者に周知の方法に従って合成され得る。
【0106】
典型的な文献のソースは、Advanced organic chemistry、第4版 (Wiley)、J March, Comprehensive Organic Transformation,第2版(Wiley)、R.C. Larock , Handbook of Heterocyclic Chemistry、第2版(Pergamon)、A.R. Katritzky), Synthesis、Acc. Chem. Res、Chem. Rev、または標準的な文献オンラインサーチにより特定される一次文献ソース中に見出されるようなレビュー記事、あるいはChemical AbstractsもしくはBeilsteinのような2次ソースからのものである。
【0107】
本発明の化合物は、以下に一般的に記載されている方法、より具体的には以下の実施例におけるいくつかの方法により製造することができる。
以下に記載の反応において、反応性の官能基、例えばヒドロキシ、アミノおよびカルボキシ基が最終物質で望まれる場合には、これらの基が反応に関与するのを避けるために、保護することが必要だろう。 [例えば、Greene, T.W. Protecting Groups in Organic Synthesis、John Wiley and Sons, 1999参照]。
【0108】
通常の保護基が標準的な手法でもって用いられる。ある事例では、脱保護は、一般式(IA)または(IB)の化合物の合成における最後の工程であり、以下に記載の本発明による方法は、そのような保護基の脱離まで含むものと理解されるべきである。
【0109】
上記のように、本発明の化合物は、IkB ファミリー、すなわちIKK-αおよびIKK-βの阻害剤であり、したがってヒトおよびその他の動物における癌のような細胞増殖性疾患および炎症の治療に有用である。
【0110】
略語
MeOH = メタノール
EtOH = エタノール
EtOAc = 酢酸エチル
DCM = ジクロロメタン
DIBAL = ジ-イソブチルアルミニウムハイドライド
DMF = ジメチルホルムアミド
DME = ジメチルエーテル
DMSO = ジメチルスルホキサイド
DMAP = ジメチルアミノピリジン
TFA = トリフルオロ酢酸
THF = テトラヒドロフラン
【0111】
Na2CO3 = 炭酸ナトリウム
HCl = 塩酸
DIPEA = ジイソプロピルエチルアミン
LiHMDS = リチウムビス(トリメチルシリル)アミド
MP-CNBH3 = 多孔質トリエチルアンモニウムメチルポリスチレンシアノボロハイドライド
NaH = 水素化ナトリウム
NaOH = 水酸化ナトリウム
NaHCO3 = 炭酸水素ナトリウム
HCl = 塩酸
Pd/C = パラジウム炭素
PdCl2(dppf) = [1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン] ジクロロパラジウム(II).
【0112】
EDC = 1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
KOAc = 酢酸カリウム
TBAI = テトラブチルアンモニウムヨーダイド
ml = ミリリットル
g = グラム
mg = ミリグラム
mol = モル
mmol = ミリモル
Sat = 飽和
LCMS = 高性能液体クロマトグラフィ/質量分析
NMR = 核磁気共鳴吸収
【0113】
市販の反応試剤および溶媒 (HPLC グレード) は、さらに精製することなく用いられた。溶媒はBuchiロータリーエバポレーターを用いて除去された。 マイクロ波照射は、CEM Discovery モデルを用い、300Wにセットして行われた。フラッシュクロマトグラフィによる化合物の精製は、Fluorochem から得られた粒子径40〜63μm (230〜400メッシュ)のシリカゲルを用いて行われた。
【0114】
プレパラティブHPLCによる化合物の精製は、逆相Agilent prep-C18カラム(5μm, 50 x 21.2 mm)を用いてAgilent prep システムで、次の条件下に行われた。グラディエント0-100% B (A = 水/ 0.1% アンモニアまたは0.1%ギ酸およびB = アセトニトリル/ 0.1%アンモニアまたは0.1%ギ酸)10分以上、流速= 28 ml/分、UV検出254 nm。
【0115】
1H NMR スペクトルは重水素化溶媒中、Bruker 400または300 MHz AV スペクトロメーターで記録された。ケミカルシフト(δ)は、ppmである。薄層クロマトグラフィ(TLC)分析は、Kieselgel 60 F254 (Merck)プレートで、UV光を用い可視化して行われた。
【0116】
分析HPLC/MSは次のようにして得られた:Agilent Prep-C18 Scalarカラム、 5 μm (4.6 x 50 mm、流速2.5 ml/min)、 0.1% v/vギ酸グラジエント含有H2O-MeCNで溶出、7分以上、254 nmでUV検出。
【0117】
グラディエント情報:0.0-0.5 分:95% H2O-5% MeCN; 0.5 -5.0分; 95% H2O-5% MeCNから 5% H2O-95% MeCNに傾斜をつける; 5.0-5.5分: 5% H2O-95% MeCNでホールド; 5.5-5.6 分: 5% H2O-95% MeCNでホールド、流速3.5 ml/分まで上げる; 5.6-6.6分: 5% H2O-95% MeCNでホールド、流速3.5 ml/分; 6.6-6.75分:95% H2O-5% MeCNにリターン、流速 3.5 ml/分; 6.75-6.9 分:95% H2O-5% MeCNでホールド、流速3.5 ml/分; 6.9-7.0分:95% H2O-5% MeCNでホールド、流速2.5 ml/分まで下げる。
【0118】
マススペクトルは、ポジティブ(APCI + ESI+)またはネガティブ(APCI + ESI-) モードのいずれかで、Agilent マルチモードソースを用いて得られた。
【0119】
一般式(IA)および(IB)の化合物の合成に採用され得る方法の実施例が以下に記載されるが、以下のスキーム1-9に示される反応に限定されない。
【0120】
スキーム1は、関連のボロネートエステル(または酸)中間体(4-11)を中央のチオフェン骨格(中間体 1)と結合させる典型的なスズキ反応を用いる、以下に記載の実施例の一般的な合成経路を示す。
【0121】
【化5】

【0122】
スキーム2は、これらのフェニル置換チオフェン類似体へのもう一つの合成を示す。
【0123】
【化6】

【0124】
スキーム3は、置換フェニルリンカーを有するチオフェン類似体への合成を示す。
【0125】
【化7】

【0126】
スキーム4は、延長リンカーを有するチオフェン類似体への合成を示す。
【0127】
【化8】

【0128】
スキーム5および6は、延長された酸素が結合したチオフェン類似体への合成を示す。
【0129】
【化9】

【0130】
【化10】

【0131】
スキーム7は、もう一つのアルケンリンカーを有するチオフェン類似体の合成を示す。
【0132】
【化11】

【0133】
スキーム8は、アルケンリンカーを有するチオフェン類似体へのもう一つの合成を示す。
【0134】
【化12】

【0135】
スキーム9は、フェニル置換された延長リンカーを有するチオフェン類似体の合成を示す。
【0136】
【化13】

【0137】
中間体
中間体1 5-ブロモ-2-(カルバモイルアミノ)チオフェン-3-カルボキサミド
【化14】

スキーム1における工程4により強調される中間体1の合成は、WO03104218に詳述されている。
【0138】
中間体2 2-(カルバモイルアミノ)-5-(4-ホルミルフェニル)チオフェン-3-カルボキサミド
【化15】

【0139】
DME (50 ml)中の、5-ブロモ-2-(カルバモイルアミノ)チオフェン-3-カルボキサミド (1.0 g, 3.79 mmol)、4-ホルミルフェニルホウ酸(0.625 g, 4.17 mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)Pd触媒(0.438 g, 0.379 mmol)の混合物に、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液(10 ml)を加えた。 反応容器を窒素で満たし、90℃に1夜加熱する。LCMSは出発物質の完全な消失を示した。ロータリーエバポレーターを用いて濃縮した。得られた暗褐色の残留物をDCM (17 ml)に溶解し、2M水酸化ナトリウム水溶液(8.5 ml)とともに20分間撹拌した。ジエチルエーテル(20 ml)を加え、混合物をさらに30分間撹拌した。得られた懸濁液を超音波で2分間処理した。沈殿物を濾取し、熱ジエチルエーテルで洗浄して、着色した固形物(440 mg)を得た。
LCMS: m/z 288 [M-H]+; m/z 290 [M+H]+.
【0140】
中間体 3a-3i アミノ酸エステルの製造
【化16】

【0141】
製造された中間体:
【化17】

【0142】
表1に示された化合物の合成
経路 I (中間体3e について例示)
工程 1−エステル形成
【0143】
【化18】

【0144】
DMF (50 ml)中の(S)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ―3-シクロヘキシル-プロピオン酸(5 g, 19.4 mmol)の溶液に、シクロペンタノール(8.8 ml, 97.15 mmol)、EDCI (4.09 g, 21.37 mmol)および最後にDMAP (237 mg, 1.94 mmol)を0℃で加えた。反応混合物を室温に温め、18時間撹拌した。真空下にDMFを除去し、清澄な油状物を得た。これを水とEtOAc で分離した。有機相を乾燥し(MgSO4)、真空下に濃縮した。粗抽出物をカラムクロマトグラフィ(ヘプタン中25% EtOAc)により精製して、所期の物質を清澄な油状物として得た(14.87 g, 55%)。
1H NMR (300 MHz, d6-DMSO) δ; 7.09 (1H, d), 5.08 (1H, t), 3.76 (1H, t), 1.50-1.85 (10H, br m), 1.39 (9H, s), 1.00-1.25 (9H, br m).
【0145】
工程2 シクロペンチル (2S)-アミノ (シクロヘキシル)アセテート塩酸塩 (中間体3e)
【化19】

【0146】
工程1の生成物 (14.87 g, 45.69 mmol) をDCM (100 ml)に溶解し、4M HCl/ジオキサン (22.8 ml, 91.38 mmol)で処理し、反応混合物を室温で24 時間撹拌した。粗混合物を減圧下に濃縮して、橙色の油状物を得た。これをEt2O でトリチュレートして白色の沈殿物を得た。これをさらにEt2Oで洗浄して、所期の物質を白色粉末として得た (7.78 g, 65%)。
1H NMR (300MHz, d6-DMSO) δ; 8.45 (3H, br s), 5.22 (1H, t), 3.28 (1H, d), 1.95-1.50 (10H, br m), 1.30-0.90 (9H, br m).
【0147】
経路 II (中間体3cについて例示)
工程1 (1S)-2-(シクロペンチルオキシ)-2-オキソ-1-フェニルエタンアンモニウム 4-メチルベンゼンスルホネート(中間体 3c)
【化20】

【0148】
シクロヘキサン(150 ml)中の(S)-フェニルグリシン (5 g, 33.1 mmol)のスラリーに、シクロペンタノール (29.84 ml, 331 mmol)およびp-トルエンスルホン酸(6.92 g, 36.4 mmol)を加えた。反応液をDean-Starkレシーバで 濾過し、135℃に加熱して、完全に溶解させた。12 時間後、反応液を室温に冷却し、白色の固形物を沈殿させた。この固形物を濾取し、EtOAcで洗浄し、減圧下に乾燥して、目的の物質を白色の粉末として得た (11.01 g, 85%)。
1H NMR (300MHz, d6-DMSO) δ;8.82 (2H, br s), 8.73 (1H, br s), 7.47 (7H, m), 7.11 (2H, d), 5.25 (1H, br s), 5.18 (1H, m), 2.29 (3H, s), 1.87-1.36 (8H, m).
【0149】
上記の中間体の対応する (R)-アミノ酸エステルは、市販されている関連の(R)-アミノ酸から出発して、上記と同様の方法により製造することができる。
また、相当するロイシンおよびフェニルグリシンtert-ブチルエステルは、市販されており、適当ならばそのまま用いられる。
【0150】
中間体4a シクロペンチル N-[3-(ジヒドロキシボリル)ベンジル]-L-ロイシネート
【化21】

【0151】
中間体4aの合成は、スキーム2に示される合成経路に従う。
DCM (10 ml)中の、中間体3a (244.6 mg, 1.227 mmol)および(3-ホルミルフェニル) ホウ酸(184 mg, 1.227 mmol)の溶液に、NaBH(OAc)3 (780 mg, 3.68 mmol)を20分かけて少しずつ加えた。反応液を室温で2時間撹拌した後、反応混合物を1M HCl (50 ml)中に注ぎ、DCM (50 ml)で洗浄した。水相をNaHCO3でpH 7にして、DCM (2 x 50 ml)で抽出した。有機抽出液を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を除去した。上記の物質(270.3 mg, 0.811 mmol,収率 66.1%) を無色の泡状固形物として単離し、直接用いた。
LCMS: m/z 334 [M+H]+.
【0152】
中間体 4b [3-([[(1S)-2-(シクロペンチルオキシ)-2-オキソ-1-フェニルエチル]アミノ]メチル)フェニル]ホウ酸
【化22】

【0153】
中間体4bへの合成は、スキーム2においt、中間体3cを用い、中間体4aへの合成経路と同様の方法に従う。
LCMS: m/z 354 [M+H]+.
【0154】
中間体4c [3-([[(1S)-1-シクロヘキシル-2-(シクロペンチルオキシ)-2-オキソエチル]アミノ]メチル)フェニル]ホウ酸
【化23】

【0155】
中間体4cへの合成は、スキーム2においt、中間体3e を用い、中間体4aへの合成経路と同様の方法に従う。
LCMS: m/z 360 [M+H]+.
【0156】
中間体 4d シクロペンチル O-tert-ブチル-N-[3-(ジヒドロキシボラニル)ベンジル]-L-セリネート
【化24】

【0157】
中間体 4dへの合成は、スキーム2において、中間体3fを用い、中間体4aへの合成経路と同様の方法に従う。
LCMS: m/z 364 [M+H]+.
【0158】
中間体 4e シクロペンチル O-tert-ブチル-N-[3-(ジヒドロキシボラニル)ベンジル]-L-スレオニネート
【化25】

【0159】
中間体 4e への合成は、スキーム2において、中間体3gを用い、中間体4aへの合成経路と同様の方法に従う。
LCMS: m/z 322 [M+H]+.
【0160】
中間体 4f シクロペンチル N-[3-(ジヒドロキシボラニル)ベンジル]-L-バリネート
【化26】

【0161】
中間体4f への合成は、スキーム2において、中間体3iを用い、中間体4aへの合成経路と同様の方法に従う。
LCMS: m/z 320 [M+H]+.
【0162】
中間体 5a シクロペンチル N-[3-クロロ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンジル]-L-ロイシネート
【化27】

【0163】
中間体 5aへの合成は、スキーム3に示された合成経路に従う。
(S)-2-(4-ブロモ-3-クロロ-ベンジルアミノ)-4-メチル-ペンタン酸シクロペンチルエステル(715 mg, 1.775 mmol)、ビス[ピナコラート]ジボロン(90 mg, 3.55 mmol)、PdCl2(dppf) (130 mg, 0.178 mmol) および酢酸カリウム(348 mg, 3.55 mmol) を含むフラスコに、DMSO (10 ml, dry)を加え、反応容器をN2で完全にパージする。反応混合物を予め80 ℃ に加熱された油浴中に置いた。2時間後の分析は、残っている出発物質に加えて、所期の物質を示した。反応液を80 ℃でさらに3 時間置いた。反応混合物を室温に冷却し、水(10 ml)中に注いだ。生成物をEt2O 中に抽出し、有機抽出液を合わせ、水および食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を除去した。残渣をヘキサン中の10-20% EtOAcで溶出するカラムクロマトグラフィにより精製して、無色の油状物150 mgを得た。 SCX上の捕捉および溶出によりさらに精製して、62 mg, 0.131 mmolを得た。収率 7.4%。
LCMS: m/z 450 [M+H]+.
【0164】
(S)-2-(4-ブロモ-3-クロロ-ベンジルアミノ)-4-メチル-ペンタン酸シクロペンチルエステルを以下に示すようにして製造した。
4-ブロモ-3-クロロ-ベンズアルデヒド(0.5 g, 2.278 mmol) および中間体 3a (0.537 g, 2.278 mmol) を含むバイアルに、DCM (10 ml)を加え、室温で20分間撹拌した後、NaBH(OAc)3 (1.45 g, 6.83 mmol)を少しずつ加えた。反応液を室温で2時間撹拌した。反応混合物を2M HCl 中に注ぎ、DCMで抽出した。水層をNaHCO3 で中性にし、DCM 中に再度抽出した。有機抽出液を合わせ、水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を真空下に除去して、無色の油状物900 mgを得た。LCMS による分析は、所期の物質を未反応の中間体 3aとともに示した。生成物をヘキサン中の50-100% DCM で溶出するカラムクロマトグラフィにより精製して、無色の油状物(715 mg, 1.243 mmol、収率54.5%)を得た。
LCMS: m/z 401.8/403.8 [M+H]+.
【0165】
4-ブロモ-3-クロロ-ベンズアルデヒドを以下に示すようにして製造した。
4-ブロモ-3-アミノ-ベンズアルデヒド (1.39 g, 6.95 mmol)を HCl (conc) (15 ml)に溶解し、0℃で亜硝酸ナトリウム(0.504 g, 7.30 mmol)で処理した。反応液を30 分間撹拌し、次いで30 分間で室温まで温めた。混合物を濃HCl (10 ml)中の塩化銅(0.964 g, 9.74 mmol)の溶液に、撹拌下に室温で加えた。緑色の溶液を60℃で45分間加熱し、次いで放冷した。反応混合物を水中へ注ぎ、EtOAc 中に抽出した。有機層を合わせ、水、NaHCO3 および食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下に溶媒を除去して、褐色の油状物(1.2 g)を得た。この物質をヘキサン中の10% EtOAcで溶出するカラムクロマトグラフィにより精製して、無色のロウのような固形物 (1.061 g, 4.50 mmol, 収率64.7%)を単離した。
【0166】
中間体5b シクロペンチル N-[2-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンジル]-L-ロイシネート
【化28】

【0167】
スキーム3において、4-ブロモ-2-メチル-ベンズアルデヒドを用い、中間体5aと同様の方法により合成した。
LCMS: m/z 430 [M+H]+.
【0168】
中間体 6a シクロペンチル N-[2-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]エチル]-L-ロイシネート
【化29】

【0169】
中間体6a への合成は、スキーム4に示された合成経路に従う。
(S)-2-[2-(4-ブロモ-フェニル)-エチルアミノ]-4-メチル-ペンタン酸シクロペンチルエステル (320 mg, 0.837 mmol)、ビス [ピナコラート]ジボロン (319 mg, 1.255 mmol)、PdCl2(dppf) (30 mg, 5 mol%) およびKOAc (123 mg, 1.255 mmol) を充填したバイアルを窒素で満たし、DMSO (乾燥, 2 ml)を加えた。反応混合物を80 ℃で5時間撹拌し、LCMS により完了したと判断した。混合物を室温に冷却し、水中に注ぎ、エーテルで抽出した。有機層を合わせ、水(x 3)および食塩水で洗浄し、乾燥 (MgSO4)し、濾過し、真空下に蒸発させて、暗色の油状残留物(467.2 mg)を得た。暗色の残留物をヘキサン中の10% EtOAc で溶出するカラムクロマトグラフィにより精製して、無色の油状物として上記の物質(223 mg、62 %)を得た。
LCMS: m/z 430 [M+H]+.
【0170】
(S)-2-[2-(4-ブロモ-フェニル)-エチルアミノ]-4-メチル-ペンタン酸シクロペンチルエステルを以下に記載のようにして製造した。
DCM (15 ml)中の、中間体3a (500 mg, 2.509 mmol)および4-ブロモフェニルアセトアルデヒド (510 mg, 2.56 mmol)の撹拌溶液に、NaBH(OAc)3 (1.595 g、7.53 mmol)を、不活性雰囲気下に、室温で20 分以上かけて加え、 室温で30分間撹拌した。反応混合物に2M HCl (50ml)を加え、DCM (50 ml x 2)で抽出した。DCM層をMgSO4で乾燥し、溶媒を除去して、無色油状の固体(994 mg)を得た。SCX上の捕捉および溶離により、上記の物質(320 mg, 33%)を淡黄色の油状物として得た。
LCMS: m/z 384 [M+H]+.
【0171】
中間体6b シクロペンチル N-[2-[3-クロロ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]エチル]-L-ロイシネート
【化30】

【0172】
スキーム4において、4-ブロモ-3-クロロ-フェニルアセトアルデヒドを用い、中間体6a と同様の方法により合成した。
LCMS: m/z 464 [M+H]+.
【0173】
中間体6c シクロペンチル N-[2-[3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]エチル]-L-ロイシネート
【化31】

【0174】
スキーム4において、3-ブロモフェンルアセトアルデヒドを用い、中間体6a と同様の方法により合成した。
LCMS: m/z 430 [M+H]+.
【0175】
中間体 6d シクロペンチル (2S)-フェニル([2-[3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]エチル]アミノ)アセテート
【化32】

【0176】
スキーム4において、3-ブロモフェニルアセトアルデヒドおよび中間体3cを用い、中間体6a と同様の方法により合成した。
LCMS: m/z 450 [M+H]+.
【0177】
中間体 6e シクロペンチル O-tert-ブチル-N-[2-[3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]エチル]-L-セリネート
【化33】

【0178】
スキーム4において、3-ブロモフェニルアセトアルデヒドおよび中間体3fを用い、中間体6aと同様の方法により合成した。
LCMS: m/z 460 [M+H]+.
【0179】
中間体 6f シクロペンチル O-tert-ブチル-N-[2-[3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]エチル]-L-スレオニネート
【化34】

【0180】
スキーム4において、3-ブロモフェニルアセトアルデヒドおよび中間体3gを用い、中間体6aと同様の方法により合成した。
LCMS: m/z 474 [M+H]+
【0181】
中間体 7a シクロペンチル N-[3-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェノキシ]プロピル]-L-ロイシネート
【化35】

【0182】
中間体 7a への合成経路はスキーム5に示されている。
(S)-2-[3-(4-ブロモ-フェノキシ)-プロピルアミノ]-4-メチル-ペンタン酸 シクロペンチルエステル (0.37 g, 0.897 mmol)、ビス [ピナコラート]ジボロン (0.684 g, 2.69 mmol)、PdCl2(dppf) (0.066 g, 0.090 mmol)および KOAc (0.264 g, 2.69 mmol)の混合物に、DMSO (2 ml)を加えた。この混合物を窒素でパージし、予め80 ℃に加熱された油浴中に置いた。4 時間後、LC-MSにより反応の完了を確認した。混合物を室温に冷却し、エーテルと水の混液中に注いだ。水相をエーテルで抽出し、有機抽出液を合わせ、水(x 4)および食塩水で洗浄した。乾燥し、蒸発させた後、残渣をヘキサン中の5 〜10% EtOAc で溶出するカラムクロマトグラフィに付した。収量= 0.2 g、0.435 mmol、収率48.5%。
LCMS: m/z 460 [M+H]+
【0183】
(S)-2-[3-(4-ブロモ-フェノキシ)-プロピルアミノ]-4-メチル-ペンタン酸 シクロペンチルエステルを、以下に示すようにして製造した。
DCM (15 ml)中の、中間体 3a (0.365 g, 1.833 mmol)および3-(4-ブロモ-フェノキシ)-プロピオンアルデヒド (0.6 g, 1.833 mmol) の溶液に、NaBH(OAc)3 (1.166 g, 5.50 mmol)を加えた。室温で2 時間撹拌した後、LC-MS により反応の完了を確認した。反応混合物に1M HCl (10 ml)を加え、10 分間急速に撹拌した。混合物を飽和NaHCO3 に注ぎ、DCM で抽出した。有機層を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発させた。残渣をヘキサン中の10% EtOAc で溶出するカラムクロマトグラフィに付した。収量= 0.375 g、0.818 mmol、収率44.6%。
LCMS: m/z 412 and 414 [M+H]+
【0184】
3-(4-ブロモ-フェノキシ)-プロピオンアルデヒドを以下に示すようにして製造した。
2-[3-(4-ブロモ-フェノキシ)-プロピル]-[1,3]ジオキソラン (1.5 g, 5.49 mmol) をアセトン(15 ml)に溶解し、水(10 ml)で処理した。この溶液にHCl (14.98 ml, 165 mmol)を加えた。室温で1時間撹拌した後、TLC (ヘキサン中20% EtOAc) により反応の完了を確認した。混合物を水に注ぎ、エーテルで抽出した。有機層を合わせ、2M NaOH、水および食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、真空下に蒸発させた。収量 = 0.6 g、1.833 mmol、収率33.4%。
【0185】
2-[3-(4-ブロモ-フェノキシ)-プロピル]-[1,3]ジオキソランを以下に示すようにして製造した。
DMF (50 ml)中の、4-ブロモフェノール (10 g, 57.8 mmol)、TBAI (0.813 g, 5.78 mmol)およびK2CO3 (7.99 g, 57.8 mmol)の混合物に、2-(3-ブロモ-プロピル)-[1,3]ジオキソラン (10.19 ml, 87 mmol) を加えた。この混合物を、予め50℃に加熱された油浴中に3時間置いた。混合物を室温に冷却し、2M NaOH 中に注ぎ、エーテルで抽出した。有機層を合わせ、2M NaOH、1M HCl (x 2)、水(x 2)および食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥した後、濾過し、真空下に蒸発させた。残留物をシリカに吸収させ、ヘキサン中の6% EtOAcで溶出するカラムクロマトグラフィに付して、白色の固形物を得た。収量 = 12.5 g、43.5 mmol、収率75%。
【0186】
中間体7b シクロペンチル N-[3-[3-クロロ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェノキシ]プロピル]-L-ロイシネート
【化36】

【0187】
スキーム5において、4-ブロモ-3-クロロフェノールを用い、中間体 7aと同様の方法により合成した。
LCMS: m/z 494 [M+H]+.
【0188】
中間体 8a シクロペンチル N-[5-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェノキシ]ペンチル]-L-ロイシネート
【化37】

【0189】
中間体 8a への合成経路はスキーム6に示されている。
(S)-2-[5-(4-ブロモ-フェノキシ)-ペンチルアミノ]-4-メチル-ペンタン酸シクロペンチルエステル (0.63 g, 1.430 mmol)、ビス [ピナコラート]ジボロン (0.908 g, 3.58 mmol)、PdCl2(dppf) (0.105 g, 0.143 mmol)および KOAc (0.351 g, 3.58 mmol) の混合物に、DMSO (5 ml)を加えた。この混合物を窒素で置換し、予め80℃に加熱された油浴中に置いた。4時間加熱した後、LC-MSにより反応の完了を確認した。混合物を水に注ぎ、エーテルで抽出した。 有機抽出液を合わせ、水(x 3)および食塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、減圧下に蒸発させ、ヘキサン中の10% EtOAc で溶出するカラムクロマトグラフィに付した。収量= 0.61 g、1.214 mmol、収率85%。
LCMS purity 97%: m/z 488 [M+H]+
【0190】
(S)-2-[5-(4-ブロモ-フェノキシ)-ペンチルアミノ]-4-メチル-ペンタン酸シクロペンチルエステルを以下に示すようにして製造した。
DIPEA (2.2 ml, 13.01 mmol)を、DMF (5 ml)中の中間体 3a (2.3 g, 9.76 mmol)およびTBAI (0.458 g, 3.25 mmol) の混合物に加えた。この混合物に、DMF (2 ml)中の1-ブロモ-4-(5-クロロ-ペンチルオキシ)-ベンゼン (0.903 g, 3.25 mmol)の溶液を加え、予め95℃に加熱された油浴中に置いた。混合物を1夜撹拌した。LC-MSは〜60 % の変換率を示した。混合物を水に注ぎ、エーテルで抽出し、有機層を合わせ、飽和NaHCO3、水 (x 2)および食塩水で洗浄した。乾燥(MgSO4)し、減圧下に蒸発させた後、残渣をヘキサン中の15% EtOAc で溶出するカラムクロマトグラフィに付した。収量= 0.64 g、1.381 mmol、収率42.5%。
【0191】
上記の2-[3-(4-ブロモ-フェノキシ)-プロピル]-[1,3]ジオキソランの合成と同様の方法により、 1-ブロモ-4-(5-クロロ-ペンチルオキシ)-ベンゼンを製造した。
LCMS 純度95%
m/z 440および442 [M+H]+
【0192】
中間体 8b シクロペンチル N-[5-[3-クロロ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェノキシ]ペンチル]-L-ロイシネート
【化38】

【0193】
スキーム6において、1-ブロモ-2-クロロ-4-(5-クロロ-ペンチルオキシ)-ベンゼンを用い、中間体 8a と同様の方法により合成した。
LCMS 純度 98%: m/z 522 [M+H]+
【0194】
中間体 9a シクロペンチル N-(tert-ブトキシカルボニル)-N-[(2E)-3-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]プロプ-2-エン-1-イル]-L-ロイシネート
【化39】

【0195】
中間体 9a への合成経路は、スキーム7に示されている。
シクロペンチル N-[(2E)-3-(4-ブロモフェニル)プロプ-2-エン-1-イル]-N-(tert-ブトキシカルボニル)-L-ロイシネート (204 mg, 0.413 mmol)、ビス[ピナコラート]ジボロン (157 mg, 0.619 mmol)、酢酸カリウム(60.7 mg, 0.619 mmol)およびPdCl2(dppf) (16.85 mg, 0.021 mmol) の混合物を、DMSO (1.6 ml)中に懸濁し、窒素置換した。反応混合物を油浴の温度50℃に加熱し、1夜撹拌下に放置した。反応混合物をエーテルと水に分配した。水層をさらなるエーテルで抽出した。有機層を合わせ、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、真空下に濃縮して、褐色の残渣を得た。この残渣をイソヘキサン中の5% 酢酸エチルで溶出するカラムクロマトグラフィにより精製した。所期の物質を清澄な無色油状物(102 mg, 0.188 mmol, 46%)として単離した。
LCMS 純度 100%: m/z 542.1 [M+H]+
【0196】
シクロペンチル N-[(2E)-3-(4-ブロモフェニル)プロプ-2-エン-1-イル]-N-(tert-ブトキシカルボニル)-L-ロイシネートを、以下に示すようにして製造した。
シクロペンチル N-アリル-N-(tert-ブトキシカルボニル)-L-ロイシネート (1 g, 2.95 mmol)、4-ブロモ-ヨードベンゼン(0.917 g, 3.24 mmol)、パラジウム (II)アセテート(0.066 g, 0.295 mmol)、TBAI (1.197 g, 3.24 mmol)および炭酸水素ナトリウム (0.742 g, 8.84 mmol)の混合物を、乾燥アセトニトリル (10 ml)に懸濁した。混合物を窒素で置換し、予め70 ℃に加熱した油浴中に置いた。反応液を2時間撹拌し、LCMSにより反応が完了していないことを確認したので、反応混合物にパラジウム(II)アセテート3 mgをさらに加えた。さらに3時間撹拌した後、反応混合物を放置して室温に冷却した。粗反応混合物をアセトニトリルで希釈し、シリカに吸収させ、イソヘキサン中の5% 酢酸エチルで溶出するカラムクロマトグラフィに付した。所期の物質を無色の油状物(220 mg、0.445 mmol、収率15%)として単離した。
LCMS 純度 100%: m/z 494.0, 496.0 [M+H]+
【0197】
シクロペンチル N-アリル-N-(tert-ブトキシカルボニル)-L-ロイシネートを以下に示すようにして製造した。
シクロペンチル N-アリル-L-ロイシネート (2 g, 8.36 mmol)およびBoc-無水物 (1.824 g, 8.36 mmol)をバイアルに入れ、隔壁でキャップした。反応混合物を撹拌下に1夜放置した。反応混合物をエーテルと水に分配した。有機相を1M HCl、飽和NaHCO3溶液および食塩水で順次洗浄し、MgSO4で乾燥し、真空下に濃縮して、無色の油状物(2.66 g, 7.84 mmol, 94%)を得た。
LCMS 純度 100%: m/z 340.2 [M+H]+
【0198】
シクロペンチル N-アリル-L-ロイシネートを以下に示すようにして製造した。
DMF (150 ml)中の水酸化リチウム水和物 (2.72 g, 64.7 mmol)および4Å篩ダスト (15 g)の懸濁液を、 20分間撹拌した。中間体 3a (遊離塩基) (6 g, 30.1 mmol)を加え、40分間撹拌を続けた。次いで臭化アリル(3.13 ml, 36.1 mmol)を加え、混合物を室温で1夜撹拌した。LCMSは、いくらかのジ-アルキル化物とともに目的物の生成を示した。この混合物を濾過し、水に注ぎ、エーテルで抽出(x 3)した。有機層を合わせ、水 (x 3) および食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、真空下に蒸発させた。残渣をヘキサン中の15% EtOAcで溶出するカラムクロマトグラフィに付した。生成物を無色の油状物として単離した。収量 = 4.34 g、18.13 mmol、収率60.2%。 LCMS: m/z 240.1 [M+H]+
【0199】
中間体9b tert-ブチル N-[(2E)-3-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]プロプ-2-エン-1-イル]-L-ロイシネート
【化40】

【0200】
中間体 9b への合成経路はスキーム8に示されている。
ビスピナコラートジボロン(0.897 g, 3.53 mmol)、PdCl2(dppf) (0.120 g, 0.165 mmol)およびKOAc (0.347 g, 3.53 mmol)を、tert-ブチル N-[(2E)-3-(4-ブロモフェニル)プロプ-2-エン-1-イル]-L-ロイシネート (0.9 g, 2.354 mmol) のDMSO (5 ml)溶液に加え、フラスコを窒素で充満させる。次いで、反応液を80 ℃で3時間加熱した。反応液を水 (50 ml)に注ぎ、生成物をEtOAc (2 x 50 ml)で抽出した。有機抽出液を合わせ、水 (2 x 25 ml) および食塩水 (25 ml)で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、真空下に濃縮して、黒色の油状物を得た。この粗物質をイソヘキサン中の10% EtOAc で溶出するカラムクロマトグラフィにより精製して、黄色の油状物(0.62 g, 1.444 mmol, 61.収率3%)を得た。
LCMS: m/z 430 [M+H]+
【0201】
tert-ブチル N-[(2E)-3-(4-ブロモフェニル)プロプ-2-エン-1-イル]-L-ロイシネートを以下に示すようにして製造した。
(E)-3-(4-ブロモ-フェニル)-プロペナール (0.75 g, 3.20 mmol)および t-ブチル-L-ロイシネート (1.073 g, 4.80 mmol)の混合物に、THF (20 ml)を加え、次いで〜5 g の4Å篩ダストを加えた。容器を窒素で満たし、予め60℃に加熱した油浴中に70分間置いて、反応を完結させた。反応混合物を氷浴中で冷却し、Na(OAc)3BH (3.39 g, 15.99 mmol)で処理した。30分間撹拌後、水 (1 ml) および MeOH (3 ml) を加えて溶解させた。さらに40分間撹拌した後、TLC (へ起算中の20% EtOAc)により、反応の完了を確認した。この混合物に1M HCl (50 ml)を加え、次いで混合物を飽和NaHCO3 溶液に注ぎ、エーテルで抽出した。有機抽出液を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、真空下に蒸発させ、ヘキサン中の20% EtOAcで溶出するカラムクロマトグラフィにより精製した。収量 = 1 g、2.354 mmol、収率73.6%。
LCMS: m/z 382 [M+H]+.
【0202】
(E)-3-(4-ブロモ-フェニル)-プロペナールを以下に示すようにして製造した。
(E)-3-(4-ブロモ-フェニル)-プロプ-2-エン-1-オール (1 g, 4.69 mmol)のDME (20 ml) 溶液に、二酸化マンガン (8.16 g, 94 mmol)を加えた。室温で1時間撹拌した後、TLC (へ起算中の20% EtOAc)により反応の完了を確認した。反応混合物をセライトのパッドを通して濾過し、DME (2 x 15 ml)で洗浄した。真空下に蒸発させて、無色の固形物を得た。収量= 0.95 g、4.50 mmol、収率96% 。
【0203】
(E)-3-(4-ブロモ-フェニル)-プロプ-2-エン-1-オールを以下に示すようにして製造した。
(E)-3-(4-ブロモ-フェニル)-アクリル酸エチルエステル (13.5 g, 52.9 mmol)の溶液に、-78 ℃で窒素雰囲気下にトルエン中のDIBAL(159 ml, 159 mmol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、この溶液を同温度でさらに1時間撹拌し、次いで5分間で-50℃に温めた。1M HCl (200 ml) を滴下し、その間に反応混合物を室温まで温めた。室温で30分間急速に撹拌した後、EtOAc (500 ml)を加え、有機層を集めた。水層をさらにEtOAcで抽出した。有機相を合わせ、1M HClおよび食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、真空下に蒸発させた。残渣をヘキサン(100 ml)中でこすり、生成した白色の固形物を濾取し、ヘキサン (200 ml) で洗浄した。収量= 9.8 g、46.0 mmol、収率 87% 。
【0204】
中間体 9c シクロペンチル (2S)-フェニル([(2E)-3-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]プロプ-2-エン-1-イル]アミノ)エタノエート
【化41】

【0205】
中間体9c への合成経路は、スキーム8において、中間体3c を用い、中間体9bと同様である。
LCMS: m/z 462 [M+H]+
【0206】
中間体 9d シクロペンチル (2S)-シクロヘキシル([(2E)-3-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]プロプ-2-エン-1-イル]アミノ)エタノエート
【化42】

【0207】
中間体 9d への合成経路は、スキーム8において、中間体3e を用い、中間体9bと同様である。
LCMS: m/z 468 [M+H]+
【0208】
中間体 9e シクロペンチル O-tert-ブチル-N-[(2E)-3-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]プロプ-2-エン-1-イル]-L-セリネート
【化43】

【0209】
中間体 9e への合成経路は、スキーム8において、中間体3fを用い、中間体9bと同様である。
LCMS: m/z 472 [M+H]+
【0210】
中間体 9f tert-ブチル N-[(2E)-3-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]プロプ-2-エン-1-イル]-D-ロイシネート
【化44】

【0211】
中間体9f への合成経路は、スキーム8において、シクロペンチル-D-ロイシネートを用い、中間体9bと同様である。
LCMS: m/z 442 [M+H]+
【0212】
中間体 9g tert-ブチル(2S)-シクロヘキシル([(2E)-3-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]プロプ-2-エン-1-イル]アミノ)エタノエート
【化45】

【0213】
中間体 9g への合成経路は、スキーム8において、中間体3hを用い、中間体9bと同様である。
LCMS: m/z 468 [M+H]+
【0214】
中間体 9h シクロペンチル O-tert-ブチル-N-[(2E)-3-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]プロプ-2-エン-1-イル]-L-スレオニネート
【化46】

【0215】
中間体 9gへの合成経路は、スキーム8において、中間体3g を用い、中間体9bと同様である。
LCMS: m/z 486 [M+H]+
【0216】
中間体 10 シクロペンチル N-[(2E)-3-[3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]プロプ-2-エン-1-イル]-L-ロイシネート
【化47】

【0217】
中間体 10への合成経路は、スキーム7において、3-ブロモ-ヨードベンゼンを用い、中間体9aと同様である。
LCMS: m/z 442 [M+H]+
【0218】
中間体 11a シクロペンチル N-[2-[2-フルオロ-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]エチル]-L-ロイシネート
【化48】

【0219】
中間体 11a への合成経路は、スキーム9に示されている。
シクロペンチル N-[2-[2-フルオロ―5-ブロモフェニル]エチル]-L-ロイシネート (450 mg, 1.124 mmol)、ビス-ピナコラートジボロン(428 mg, 1.686 mmol)、PdCl2(dppf) (92 mg, 0.112 mmol)および酢酸カリウム (276 mg, 2.81 mmol)を乾燥容器に入れ、N2で置換した。DMSO (3 ml)を加え、混合物を80 ℃で18時間加熱して、反応を完結させた。混合物をEt2O (50 ml) および水(100 ml)に分配し、両方の相を分離した。水相をEt2O (2 x 25 ml)で抽出し、有機相を合わせ、食塩水 (3 x 100 ml)で洗浄し、乾燥 (MgSO4)し、真空下に蒸発させて、粗物質を黄色の油状物として得た。カラムクロマトグラフィ(5-10% EtOAc/イソヘキサン)により精製して、生成物(286 mg、0.511 mmol、収率45.5%)を淡黄色の油状物として得た。
m/z 448 [M+H]+
【0220】
シクロペンチル N-[2-[2-フルオロ-5-ブロモフェニル]エチル]-L-ロイシネートを以下に示すようにして製造した。
(5-ブロモ-2-フルオロフェニル)アセトアルデヒド(0.336 g, 1.548 mmol) をDCM (12 ml)に溶解し、中間体 3a (0.719 g, 1.935 mmol)で処理した。得られた溶液を室温で20分間撹拌し、次いでナトリウムトリアセトキシボロハイドライド (1.641 g, 7.74 mmol) で少しずつ処理した。混合物を室温で2時間撹拌して、反応を完結させた。混合物を1 M HClでクェンチし、次いで NaHCO3 溶液で中性にした。混合物をDCM (75 ml)で希釈し、相を分離した。水相をDCM (25 ml)で抽出し、有機相を合わせ、NaHCO3 溶液(100 ml)および 食塩水 (100 ml) で洗浄し、乾燥 (MgSO4)し、真空下に蒸発させて、粗物質を黄色の油状物として得た。カラムクロマトグラフィ(5% EtOAc/イソヘキサン)により精製して、生成物(450 mg、0.877 mmol、収率56.6%)を淡黄色の油状物として得た。
m/z 400 [M+H]+
【0221】
(5-ブロモ-2-フルオロフェニル)アセトアルデヒドを、以下に示すようにして製造した。
4-ブロモ-2-エテニル-1-フルオロベンゼン (1.3 g, 3.23 mmol) のDCM (10 ml)溶液を、4酢酸鉛(1.434 g, 3.23 mmol) のTFA (5 ml) 溶液に、0 ℃で30 分間かけて滴下した。次いで、混合物を室温まで温め、1.5時間撹拌した。TLC分析では反応が終わっていなかったので、混合物を室温で18 時間撹拌した。混合物を水(50 ml)に注ぎ、10分間撹拌し、次いでDCM (50 ml)で抽出した。有機相をNaHCO3 溶液 (100 ml)、食塩水 (100 ml)で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、真空下に蒸発させて、粗物質を黄色の油状物として得た。カラムクロマトグラフィ(0-5% EtOAc/イソヘキサン)により精製して、生成物 (336 mg、1.548 mmol、収率47.9 %) を淡黄色の油状物として得た。
【0222】
4-ブロモ-2-エテニル-1-フルオロベンゼンを、以下に示すようにして製造した。
THF (40 ml)中のメチル トリフェニルホスホニウムブロマイド (6.60 g, 18.47 mmol) に、-10 ℃で1M LiHMDS (18.47 ml, 18.47 mmol)を滴下して処理し、得られた溶液を同温度で30 分間撹拌し、次いで-78 ℃に冷却した。 次いで、5-ブロモ-2-フルオロベンズアルデヒド (2.5 g, 12.31 mmol) のTHF (10 ml) 溶液を滴下した。混合物を-78 ℃で10分間撹拌し、次いで室温まで温め、さらに3時間撹拌した。混合物を水 (200 ml)に注ぎ、イソヘキサン(2 x 200 ml)で抽出した。有機相を合わせ、食塩水(200 ml)で洗浄し、乾燥し (MgSO4)、真空下に蒸発させて、粗物質を得た。カラムクロマトグラフィにより精製して、生成物(1.34 g、3.33 mmol、収率27.1%)を清澄な無色油状物として得た。
【0223】
中間体 11b シクロペンチル N-[2-[2-メチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]エチル]-L-ロイシネート
【化49】

【0224】
中間体11b の合成は、スキーム9において、5-ブロモ-2-メチルベンズアルデヒドを用い、中間体11a と同様である。
LCMS: m/z 444 [M+H]+
【0225】
中間体11c シクロペンチル N-[2-[2-クロロ-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]エチル]-L-ロイシネート
【化50】

【0226】
中間体11c の合成は、スキーム9において、5-ブロモ-2-クロロベンズアルデヒドを用いて、中間体11a と同様である。
LCMS: m/z 464 [M+H]+
【実施例】
【0227】
以下の実施例は、本発明の個々の化合物の製造およびそれらのIKK 阻害活性を示す。
【0228】
実施例1 シクロペンチル (2S)-([4-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]ベンジル]アミノ)(フェニル)アセテート
【化51】

LC/MS 純度 95%, m/z 493 [M+H]+, 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6), δ: 11.0 (1H, s), 7.8 (1H, s), 7.72 (2H, br s), 7.6 (2H, d, J=8.8Hz), 7.46 (2H, d, J=8.3Hz), 7.5-7.3 (5H, m), 7.0 (2H, s), 5.1 (1H, m), 4.2 (1H, s), 3.6 (2H, s), 3.0 (1H, s), 1.9-1.4 (8H, m)
【0229】
5-(4-ホルミル-フェニル)-2-ウレイド-チオフェン-3-カルボン酸アミド(中間体 2) (0.15 g, 0.518 mmol)および中間体 3c (0.227 g, 1.037 mmol)のテトラヒドロフラン(4.5 ml)溶液に、窒素雰囲気下に、DIPEA (0.181 ml, 1.037 mmol)を加え、5分間撹拌した後、酢酸 (1.5 ml)を加えた。さらに10分間撹拌した後、MP-CNBH3 (0.665 g, 1.556 mmol) を加え、反応液を室温で1.5 時間撹拌し、次いで1夜撹拌した。MP-CNBH3 をジクロロメタンで洗浄し、洗浄液および濾液を合わせ、真空下に濃縮した。残渣を少量のメタノール中にとり、5 g SCX カラムを通し、物質をメタノール中の1%アンモニアで溶出した。粗物質を3:2 酢酸エチル:イソヘキサンで溶出するカラムクロマトグラフィで精製した(75 mg, 49%)。
【0230】
次の化合物を実施例1と同様の方法で製造した。
実施例2 シクロペンチルN-[4-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]ベンジル]-L-ロイシネート
【化52】

【0231】
中間体 2 および中間体 3aから。
LC/MS 純度 99%, m/z 473 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6), δ: 10.9 (1H, s), 7.7 (1H, s), 7.62 (2H, br s), 7.46 (2H, d, J=8.3Hz), 7.25 (2H, d, J=8.3Hz), 7.0 (2H, br s), 5.1 (1H, m), 3.72 (1H, d, J=13.7Hz), 3.53 (1H, d, J=12.9Hz), 3.10 (1H, t, J=7.1Hz), 1.80-1.71 (3H, m), 1.68-1.33 (8H, m), 0.81 (3H, d, J=8.7Hz), 0.78 (3H, d, J=8.8Hz)
【0232】
実施例 3 シクロペンチル N-[4-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]ベンジル]-L-フェニルアラニネート
【化53】

【0233】
中間体 2 および中間体 3dから。
LC/MS 純度 98%, m/z 507 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6), δ: 10.9 (1H, s), 7.7 (1H, s), 7.62 (2H, br s), 7.46 (2H, d, J=8.3Hz), 7.25 (2H, d, J=8.3Hz), 7.21 (5H, m), 7.0 (2H, br s), 5.0 (1H, m), 3.72 (1H, d, J=13.7Hz), 3.58 (1H, d, J=12.9Hz), 3.35 (1H, m), 2.90 (1H, dd, J=7.3Hz), 2.79 (1H, dd, J=8.1Hz), 1.80-1.71 (2H, m), 1.68-1.33 (6H, m)
【0234】
実施例 4 シクロペンチル (2R)-([4-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]ベンジル]アミノ)(フェニル)アセテート
【化54】

【0235】
中間体 2 および中間体 3c (R) 異性体から。
LC/MS 純度 95%, m/z 493 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6), δ: 11.0 (1H, s), 7.8 (2H, d, J= 8.4Hz), 7.62 (2H, br s), 7.4 (2H, d, J=8.7Hz), 7.5-7.3 (7H, m), 7.0 (2H, br s), 5.15 (1H, m), 4.43 (1H, s), 3.7 (2H, s), 3.1 (1H, s), 1.9-1.4 (8H, m)
【0236】
実施例 5 シクロペンチル (2S)-([4-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]ベンジル]アミノ)(2-ナフチル)アセテート
【化55】

【0237】
中間体 2 および中間体 3bから。
LC/MS純度93%, m/z 543 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6), δ: 11.0 (1H, s), 7.8 (4H, m), 7.69 (1H, s), 7.65 (2H, br s), 7.55-7.43 (5H, m), 7.3 (2H, d, J=13.4Hz), 7.26 (1H, br s), 6.9 (2H, br s), 5.15 (1H, m), 4.43 (1H, s), 3.7 (2H, s), 3.1 (1H, s), 1.9-1.4 (8H, m)
【0238】
実施例 6 シクロペンチル N-[4-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]-3-クロロベンジル]-L-ロイシネート
【化56】

【0239】
中間体 5a (62 mg, 0.138 mmol)、中間体 1 (33.1 mg, 0.125 mmol) およびテトラキス (トリフェニルホスフィン)パラジウム (14.48 mg, 0.013 mmol) を入れたバイアルに、窒素雰囲気下に、DME を加えた。反応混合物を撹拌し、1 mlの炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。この反応バイアルを予め80 oC に加熱した油浴中に置いた。2時間後、分析の結果、所期の物質への変換が終了していることがわかった。反応混合物を室温に冷却し、水に注ぎ、EtOAc で抽出し、有機抽出液を合わせ、水/食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。この物質をDCM 中の3-5% MeOHで溶出するカラムクロマトグラフィで精製して、表題の化合物37.5 mg、0.072 mmolを得た。収率57.8%。
LCMS purity 98%: m/z 507/509 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6), δ: 10.9 (1H, s), 7.7 (1H, s), 7.62 (2H, br s), 7.44 (2H, d, J=8.7Hz), 7.29 (1H, s), 7.0(2H, br s), 5.1 (1H, m), 3.72 (1H, d, J=13.7Hz), 3.53 (2H, d, J=12.9Hz), 3.10 (1H, t, J=7.1Hz), 1.80-1.71 (2H, m), 1.68-1.33 (6H, m), 0.81 (3H, d, J=8.7Hz), 0.78 (2H, d, J=8.8Hz).
【0240】
実施例 7 シクロペンチル N-[4-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]-2-メチルベンジル]-L-ロイシネート
【化57】

【0241】
中間体 5bを用い、実施例 6と同様の方法による合成。
LCMS純度99 %, m/z 487 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO), δ: 11.0 (1H, s), 7.7 (1H, s), 7.7 (1H, br s), 7.3 (3H, m), 7.2 (1H, d, J = 7.7Hz), 7.0 (2H, br s), 5.1 (1H, m), 3.7 (1H, d, J = 13.1Hz), 3.5 (1H, d, J = 13.1Hz), 3.1 (1H, br s), 3.0 (1H, br s), 2.3 (3H, s), 1.8 (2H, m), 1.6 (7H, m), 1.4 (2H, m), 0.9 (3H, d J = 6.6Hz), 0.8 (3H, d J = 6.6Hz)
【0242】
実施例 8 シクロペンチル N-[3-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]ベンジル]-L-ロイシネート
【化58】

テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム (99 mg, 0.085 mmol)、中間体 1 (22 mg, 0.854 mmol)および中間体 4a (313 mg, 0.939 mmol) を入れたバイアルを、窒素で置換し、DME (乾燥、12 ml) を加えた。この混合物に、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(2.5 ml) を加え、反応混合物を油浴中90 oCで4 時間加熱した。混合物を室温に冷却し、水(50 ml)に注ぎ、EtOAc (100 ml)で抽出した。有機抽出液を合わせ、食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下に乾燥した。残渣をDCM中の 0-3% MeOH で溶出するカラムクロマトグラフィで精製した。所期の物質 (291 mg, 0.573 mmol, 67.1%yield) を、淡黄色の固形物として単離した。
LCMS純度100%: m/z 473 [M+H]+, 472 [M-H]-. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6), δ: 10.9 (1H, s), 7.7 (1H, s), 7.62 (2H, br s), 7.46 (1H, s), 7.25 (3H, m), 7.0(2H, br s), 5.1 (1H, m), 3.72 (1H, d, J=13.7Hz), 3.53 (2H, d, J=12.9Hz), 3.10 (1H, t, J=7.1Hz), 1.80-1.71 (2H, m), 1.68-1.33 (6H, m), 0.81 (3H, d, J=8.7Hz), 0.78 (2H, d, J=8.8Hz)
【0243】
実施例 9-15
中間体 4b-4f について詳述された種々のアミノ酸エステルを用い、実施例8と同様の方法で、以下の実施例の化合物を合成した。
【化59】

【0244】
【表1−1】

【0245】
【表1−2】

【0246】
*以下に示す方法により、実施例 11の化合物から実施例 12 の化合物を製造した。
【0247】
実施例 11の化合物(40 mg, 0.080 mmol)のDCM (2 ml)溶液に、トリフルオロ酢酸(0.4 ml)を加えた。反応混合物を室温で1夜撹拌した。溶媒を真空下に除去し、残渣にメタノールおよび2滴の酢酸を加えた。この溶液をSCXカラムに詰め、生成物をメタノール中の1%アンモニアで溶出した。アンモニアのフラクションを真空下に濃縮して油状物を得、これにDCMおよびイソヘキサンを加えた。生じた固形物(22 mg、収率55%)を濾取した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6), δ: 11.0 (1H, s), 7.7 (1H, s), 7.7 (1H, br s), 7.4 (1H, s), 7.4 (1H, d), 7.3 (2H, m), 7.1 (1H, d), 6.9 (2H, br s), 5.1 (1H, m), 4.8 (1H, br s), 3.8 (1H, d), 3.6 (3H, m), 3.2 (1H, br s), 1.8 (2H, m), 1.6-1.4 (6H, m)
【0248】
実施例 16 シクロペンチル N-(2-[4-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]フェニル]エチル)-L-ロイシネート
【化60】

【0249】
中間体 6a (153 mg, 0.356 mmol)、中間体1 (86 mg, 0.324 mmol) および Pd(PPh3)4 (37.4 mg, 0.032 mmol)をバイアルに充填し、バイアルを窒素で置換した。DME (6 ml, 乾燥) をNaHCO3 (1.0 ml, 飽和水溶液)とともに加え、反応液を80 oC で3時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、水(50 ml)中に注いだ。EtOAc (2 x 40 ml)で生成物を抽出し、有機層を水(50 ml)および食塩水(50 ml) で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下に溶媒を除去して、トリフェニルホスフィンオキサイドが混入した褐色の油状固形物を得た。SCX 上に捕捉し、溶離(MeOH で溶出)により精製して、53 mg の橙色の油状物(純度70%)を得た。この物質をヘキサン中のEtOAc 50 %で溶出するカラムクロマトグラフィにより精製して、淡橙色の粉末42 mg (27%)を得た。
LCMS純度96%: m/z 487 [M+H]+; 485 [M-H]-. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6), δ: 10.9 (1H, s), 7.8 (2H, s), 7.44 (2H, d, J=8.7Hz), 7.29 (1H, s), 7.23 (2H, d, J=8.7Hz), 6.9 (2H, br s), 5.1 (1H, m), 3.10 (1H, t, J=7.1Hz), 2.6-2.79 (4H, m), 1.80-1.71 (3H, m), 1.68 -1.33 (7H, m), 1.32 (1H, m), 0.81 (3H, d, J=8.7Hz), 0.78 (2H, d, J=8.8Hz)
【0250】
実施例17 シクロペンチル N-(2-[4-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]-3-クロロフェニル]エチル)-L-ロイシネート
【化61】

【0251】
中間体6bを用い、実施例16と同様の方法により合成した。
LCMS純度98%: m/z 522 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6), δ: 10.9 (1H, s), 7.8 (2H, s), 7.42 (1H, s), 7.29 (1H, s), 7.23 (2H, d, J=8.7Hz), 6.9 (2H, br s), 5.1 (1H, m), 3.10 (1H, t, J=7.1Hz), 2.6-2.79 (4H, m), 1.80-1.71 (3H, m), 1.68-1.33 (7H, m), 1.32 (1H, m), 0.81 (3H, d, J=8.7Hz), 0.78 (2H, d, J=8.8Hz)
【0252】
実施例18 シクロペンチル N-(2-[3-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル] フェニル]エチル)-L-ロイシネート
【化62】

【0253】
中間体6c を用い、実施例16と同様の方法により合成した。
LCMS純度99 %, m/z 487 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6), δ: 11.0 (1H, s), 7.7 (1H, s), 7.7 (1H, br s), 7.3 (4H, m), 7.1 (1H, d, J = 7.4Hz), 7.0 (2H, br s), 5.1 (1H, m), 3.2 (1H, br s), 3.0 (1H, br s), 2.7 (4H, m), 1.8 (2H, m), 1.6 (7H, m), 1.3 (2H, m), 0.9 (3H, d J = 6.6Hz), 0.8 (3H, d J = 6.6Hz)
【0254】
中間体 6d-6fについて詳述した種々のアミノ酸エステルを用い、実施例18と同様の方法により、次の実施例の化合物を合成した。
【化63】

【0255】
【表2】

【0256】
実施例22 シクロペンチルN-(2-[5-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)チオフェン-2-イル]-2-フルオロフェニル]エチル)-L-ロイシネート
【化64】

【0257】
中間体11a を用い、実施例16と同様の方法により合成した。
LCMS 純度 100 %, m/z 505 [M+H]+, 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6), δ: 11.0 (1H, s), 7.6 (2H, br s), 7.4 (1H, m), 7.3 (1H, m), 7.3 (1H, m), 7.1 (1H, t), 6.9 (2H, br s), 5.0 (1H, m), 3.1 (1H, s), 2.7-2.5 (4H, m), 1.9 (1H, br s), 1.7 (2H, m), 1.6-1.4 (7H, m), 0.8 (3H, d), 0.8 (3H, d)
【0258】
実施例23 シクロペンチル N-(2-[5-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)チオフェン-2-イル]-2-メチルフェニル]エチル)-L-ロイシネート
【化65】

【0259】
中間体11b を用い、実施例16と同様の方法により製造した。
LCMS純度 97 %, m/z 499.4 [M-H]-, 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6), δ: 11.0 (1H, s), 7.7 (2H, br s), 7.3 (2H, br s), 7.2 (1H, d), 7.1 (1H, d), 7.0 (2H, br s), 5.1 (1H, m), 3.2 (1H, m), 2.7 (4H, m), 2.2 (3H, s), 1.9 (1H, m), 1.8 (2H, m), 1.6 (7H, m), 1.4 (2H, m), 0.9 (3H, d), 0.8 (3H, d).
【0260】
実施例24 シクロペンチルN-(2-[5-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)チオフェン-2-イル]-2-クロロフェニル]エチル)-L-ロイシネート
【化66】

【0261】
中間体11c を用い、実施例16と同様の方法により合成した。
LCMS純度 96 %, m/z 519.5 [M-H]-, 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6), δ: 11.0 (1H, s), 7.7 (1H, s), 7.7 (1H, br s), 7.5 (1H, d), 7.4 (1H, d), 7.4 (1H, dd), 7.3 (1H, br s), 7.0 (2H, br s), 5.1 (1H. M), 3.2 (1H, m), 2.8 (3H, m), 2.6 (1H, m), 2.0 (1H, br s), 1.8 (2H, m), 1.6 (7H, m), 1.3 (2H, m), 0.9 (3H, d), 0.8 (2H, m), 0.9 (3H, d).
【0262】
実施例25 シクロペンチル N-(3-[4-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]フェノキシ]プロピル)-L-ロイシネート
【化67】

【0263】
中間体7a (0.2 g, 0.435 mmol)、中間体1 (0.126 g, 0.479 mmol)およびPd(PPh3)4 (0.050 g, 0.044 mmol)の混合物に、DME (5 ml)、次いでNaHCO3の飽和水溶液2 mlを加えた。混合物を窒素で満たし、予め80℃に加熱された油浴中に置いた。同温度で3時間撹拌した後、LC-MSにより反応の終了を確認した。混合物を室温に冷却し、MeOHで希釈し、シリカに吸着させた。残渣をDCM中の3〜4 % MeOH で溶出するカラムクロマトグラフィに付した。得られた物質を次いでSCXでの捕捉および溶離に付した。収量 = 0.11 g、0.213 mmol、収率48.9%。
LCMS 純度 100%: m/z 517 (M+H)+; 515 (M-H)-. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6), δ:10.91 (1H, s), 7.61 (1H, br s), 7.52 (1H, s), 7.38 (2H, d, J=8.8Hz), 7.24 (1H, br s), 6.90 (3H, d, J=8.8Hz), 5.05 (1H, t, J=5.9Hz), 3.98 (2H, t, J =6.4Hz), 3.07 (1H, br s), 2.61 (1H, t, J=6.6Hz), 1.70 - 1.83 (4H, m), 1.49 - 1.61 (6H, m), 1.32 (2H, t, J=7.1Hz), 0.81 (6H, dd, J=12.0, 6.6Hz).
【0264】
実施例26 シクロペンチル N-(3-[4-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]-3-クロロフェノキシ]プロピル)-L-ロイシネート
【化68】

【0265】
中間体7bを用い、実施例25と同様の方法により合成した。
LCMS 純度 98%: m/z 552 (M+H)+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6), δ: 10.98 (1H, s), 7.61 (1H, br s), 7.49 (1H, s), 7.41 (1H, d, J=8.8Hz), 7.27 (1H, br s), 7.07(1H, m), 6.9 (2H, m), 5.08 (1H, m), 4.07 (2H, m), 3.05 (1H, m), 2.6 (1H, m), 1.8 (4H, m), 1.60-1.49 (7H, m), 1.3 (2H, m), 0.81 (3H ,d, J=8.4Hz), 0.79 (3H, d, J=8.7Hz).
【0266】
実施例 27 シクロペンチル N-(5-[4-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]フェノキシ]フェニル)-L-ロイシネート
【化69】

【0267】
中間体 8a (600 mg, 1.231 mmol)、中間体1 (361 mg, 1.231 mmol) および Pd(PPh3)4 (142 mg, 0.123 mmol)の混合物に、DME (8 ml) を加えた。NaHCO3 の飽和溶液(3 ml) を加えた後、混合物を窒素で置換し、予め80 ℃に加熱した油浴中に置いた。4時間後、LCMS により反応の終了を確認した。この混合物をMeOHで希釈し、シリカに吸着させ、DCM 中の3〜5% MeOH で溶出するカラムクロマトグラフィに付した。溶出液を蒸発させて、生成物を単離した(0.305 g、0.543 mmol、収率44.1%)。
LCMS 純度 100%: m/z 545 (M+H)+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6), δ: 10.91 (1H, s), 7.60 (1H, br s), 7.52 (1H, s), 7.38 (2H, d, J=8.8Hz), 7.23 (1H, br s), 6.91 (3H, m), 5.05 (1H, t, J=6.1Hz), 3.92 (2H, t, J=6.4Hz), 3.06 (1H, m), 2.34(1H, m), 1.72 - 1.80 (2H, m), 1.65 (3H, dd, J=10.5, 6.1Hz), 1.55 (3H, dd, J=10.5, 7.Hz), 1.50 - 1.61 (3H, m), 1.38 (4H, d, J=2.9Hz), 1.30 (3H, t, J=7.3Hz), 0.81 (6H, dd, J=11.0, 6.6Hz)
【0268】
実施例 28 シクロペンチル N-(5-[4-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]-3-クロロフェノキシ]ペンチル)-L-ロイシネート
【化70】

【0269】
中間体8b を用い、実施例27と同様の方法により合成した。
LCMS 純度 98%: m/z 580 (M+H)+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6), δ: 10.97 (1H, s), 7.69 (1h, br s), 7.45 (1H, s), 7.4 (1H, d, J=13Hz), 7.23 (1H, br s), 7.05 (1H, d, J= 8.5Hz), 6.9 (3H, m), 5.1 (1H, m), 4.0 (2H, m), 3.05 (1H,m), 2.3(1H, m), 1.75 (2H, m), 1.69-1.45 (9H, m), 1.44-1.22 (6H, m), 0.81 (3H ,d, J=8.4Hz), 0.79 (3H, d, J=8.7Hz)
【0270】
実施例29 シクロペンチル N-[(2E)-3-[4-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]フェニル]プロプ-2-エン-1-イル]-L-ロイシネート
【化71】

【0271】
中間体9a を用い、実施例27と同様の方法により合成した。
シクロペンチル N-(tert-ブトキシカルボニル)-N-[(2E)-3-[4-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)チオフェン-2-イル] フェニル]プロプ-2-エン-1-イル]-L-ロイシネート (中間体 9a) (39 mg, 0.065 mmol)のジクロロメタン(1 ml) 溶液に、トリフルオロ酢酸(0.5 ml)を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物から真空下に溶媒を除去した。残渣をメタノールで希釈し、SCXクロマトグラフィにより捕捉し、アンモニア性メタノールで溶出した。アンモニア画分を真空下に濃縮して、油状の残留物を得た。これをジクロロメタン中にとり、イソヘキサンを加えた。溶媒を真空下に除去して、淡橙色の固形物を得た(24.3 mg、0.049 mmol、75%)。
LCMS 純度 100 %, m/z 499.0 [M+H]+, 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6), δ: 11.0 (1H, s), 7.7 (1H, s), 7.6 (1H, br s), 7.4 (2H, d, J = 8.3Hz), 7.3 (2H, d, J = 8.8Hz), 7.2 (1H, br s), 6.9 (2H, br s), 6.4 (1H, d, J = 15.7Hz), 6.2 (1H, m), 5.0 (1H, m), 3.3 (1H, H), 3.2 (2H, m), 1.8-1.7 (2H, m), 1.6-1.5 (7H, m), 1.3 (2H, m), 0.8 (6H, m)
【0272】
実施例 30-40
スキーム7において、中間体 9aについて詳述されているように、市販の種々のモノおよびジ置換された 4-ブロモ-ヨードベンゼンを用い、実施例29と同様の方法により、以下の実施例の化合物を合成した。
【化72】

【0273】
【表3−1】

【0274】
【表3−2】

【0275】
【表3−3】

【0276】
実施例 41-48
スキーム8において、中間体 9b-9h について詳述されているように、種々のアミノ酸エステルを用い、実施例27と同様の方法により、以下の実施例の化合物を合成した。
【化73】

【0277】
【表4−1】

【0278】
【表4−2】

【0279】
実施例 49 シクロペンチル N-[(2E)-3-[3-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル] フェニル]プロプ-2-エン-1-イル]-L-ロイシネート
【化74】

【0280】
中間体10を用い、実施例16と同様の方法により合成した。
LCMS 純度 98 %, m/z 499.2 [M+H]+, 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6), δ: 11.0 (1H, s), 7.7 (1H, s), 7.6 (1H, br s), 7.5 (1H, s), 7.3 (3H, m), 7.2 (1H, m), 6.9 (2H, br s), 6.5 (1H, d), 6.3 (1H, m), 5.0 (1H, m), 3.3 (1H, m), 3.2 (1H, m), 2.1 (1H, br s), 1.8 (2H, bm), 1.7-1.5 (7H, m), 1.4 (2H, m), 0.8 (6H, m)
【0281】
NMRデータ
【表5−1】

【0282】
【表5−2】

【0283】
【表5−3】

【0284】
【表5−4】

【0285】
【表5−5】

【0286】
実施例 50 (2S)-([4-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]ベンジル]アミノ)( フェニル)酢酸
【化75】

【0287】
LC/MS 純度 96%, m/z 425 [M+H]+, 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6), δ: 11.0 (1H, br s), 7.7 (1H, s), 7.6 (1H, br s), 7.5 (2H, m), 7.4-7.3 (8H, m), 6.9 (2H, m), 4.2 (1H, s), 3.7 (2H, q, J=13.9 and 6.6Hz)
【0288】
シクロペンチル (2S)-([4-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]ベンジル]アミノ)( フェニル)アセテート(実施例 1) (50 mg, 102 μmol)のテトラヒドロフラン (1 ml) 溶液に、1.0M aq LiOH (0.508 ml, 508 μmol)を加えた。反応混合物を温度40 ℃の油浴中で撹拌した。4時間後、LCMSは90%完了を示した。油浴から外し、反応混合物を室温で1夜撹拌した。溶媒を真空下に除去し、残渣に水 (2 ml)を加え、この溶液に酢酸5滴を加えた。固形の沈殿物を濾取し、水、エタノールおよびジエチルエーテルで順次洗浄し、減圧下に乾燥した (26 mg, 60%)。
【0289】
実施例50と同様の方法により、以下の実施例の化合物を製造した。
実施例 51 N-[4-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]ベンジル]-L-ロイシン
【化76】

実施例2から。
LC/MS 純度 99%, m/z 405 [M+H]+
【0290】
実施例 52 N-[4-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]ベンジル]-L-フェニルアラニン
【化77】

実施例3から。
LC/MS 純度 98%, m/z 439 [M+H]+
【0291】
実施例 53 (2R)-([4-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]ベンジル]アミノ)( フェニル)酢酸
【化78】

実施例4から。
LC/MS 純度 95%, m/z 425 [M+H]+
【0292】
実施例 54 (2S)-([4-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]ベンジル]アミノ)(2-ナフチル)酢酸
【化79】

実施例5から。
LC/MS純度 98%, m/z 475 [M+H]+
【0293】
実施例 55 N-[4-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]-3-クロロベンジル]-L-ロイシン
【化80】

実施例6から。
LC/MS 純度 98%, m/z 508 [M+H]+
【0294】
実施例 56 N-[4-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]-2-メチルベンジル]-L-ロイシン
【化81】

実施例7から。
LCMS purity 92 %, m/z 417 [M-H]+
【0295】
実施例 57 N-[3-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]ベンジル]-L-ロイシン
【化82】

実施例から。
LC/MS purity 98%, m/z 405 [M+H]+
【0296】
実施例50と同様の方法により、以下の実施例の化合物を製造した。必要に応じて、化合物をプレパラティブHPLCにより精製して、高純度のものを得た。
【化83】

【表6】

【0297】
実施例 63 N-(2-[4-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル] フェニル]エチル)-L-ロイシン
【化84】

実施例16から。
LC/MS 純度 96%, m/z 487 [M+H]+
【0298】
実施例 64 N-(2-[4-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]-3-クロロフェニル]エチル)-L-ロイシン
【化85】

実施例17から。
LC/MS 純度 98%, m/z 522 [M+H]+
【0299】
実施例 65 N-(3-[4-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]フェノキシ]プロピル)-L-ロイシン
【化86】

実施例25から。
LC/MS 純度 100%, m/z 517 [M+H]+
【0300】
実施例 66 N-(3-[4-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]-3-クロロフェノキシ]プロピル)-L-ロイシン
【化87】

実施例26から。
LC/MS 純度 100%, m/z 552 [M+H]+
【0301】
実施例 67 N-(5-[4-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]フェノキシ]ペンチル)-L-ロイシン
【化88】

実施例27から。
LC/MS 純度 100%, m/z 545 [M+H]+
【0302】
実施例 68 N-(5-[4-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]-3-クロロフェノキシ]ペンチル)-L-ロイシン
【化89】

実施例28から。
LC/MS 純度 98%, m/z 580 [M+H]+
【0303】
実施例 69 N-[(2E)-3-[4-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]フェニル]プロプ-2-エン-1-イル]-L-ロイシン
【化90】

実施例29から。
LCMS 純度 100 %, m/z 431.0 [M+H]+, 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6), δ: 11.0 (1H, s), 7.7 (1H, s), 7.6 (1H, br s), 7.5 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.4 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.3 (1H, br s), 7.0 (2H, br s), 6.6 (1H, d, J = 16.1 Hz), 6.2 (1H, m), 3.5 (1H, m), 3.3 (2H, m), 1.8 (1H, m), 1.4 (2H, m), 0.8 (6H, m)
【0304】
実施例50と同様の方法により、次の実施例の化合物を製造した。必要に応じて、化合物をプレパラティブHPLC により精製して、高純度のものを得た。
【化91】

【0305】
【表7−1】

【0306】
【表7−2】

【0307】
【表7−3】

【0308】
実施例50と同様の方法により、次の実施例の化合物を製造した。必要に応じて、化合物をプレパラティブHPLC により精製して、高純度のものを得た。
【化92】

【0309】
【表8−1】

【0310】
【表8−2】

【0311】
実施例87 N-(2-[3-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル] フェニル]エチル)-L-ロイシン
【化93】

実施例18から。
LCMS 純度 98 %, m/z 417 [M-H]+
【0312】
実施例87と同様の方法により、以下の実施例の化合物を合成した。
【化94】

【表9】

【0313】
実施例90 N-(2-[5-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)チオフェン-2-イル]-2-フルオロフェニル]エチル)-L-ロイシン
【化95】

実施例22から。
LCMS 純度 97 %, m/z 435 [M-H]+
【0314】
実施例91 シクロペンチル N-(2-[5-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)チオフェン-2-イル]-2-メチルフェニル]エチル)-L-ロイシン
【化96】

実施例23から。
LCMS 純度 98 %, m/z 431 [M-H]+
【0315】
実施例92 シクロペンチル N-(2-[5-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)チオフェン-2-イル]-2-クロロフェニル]エチル)-L-ロイシン
【化97】

実施例24から。
LCMS 純度 97 %, m/z 451 [M-H]+
【0316】
実施例93 N-[(2E)-3-[3-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]フェニル]プロプ-2-エン-1-イル]-L-ロイシン
【化98】

実施例49から。
LC/MS 純度 90%, m/z 431 [M+H]+
【0317】
生物学的活性の測定
IKKβ酵素アッセイ
化合物のIKKβ キナーゼ活性阻害作用を、Invitrogen (Paisley, UK)により行われたアッセイにおいて測定した。Z´-LYTE(商標)生化学的アッセイは、フルオレッセンスベースのカップル酵素フォーマットを用い、蛋白質加水分解開裂に対する、ホスホリレートおよび非ホスホリレートペプチドのディファレンシャル感受性に基づいている。ペプチドの基質は、FRETペアを作る2つの発蛍光団−各末端におけるもの−でラベルされている。
【0318】
最初の反応において、キナーゼはATPのガンマ−ホスフェートを、合成FRET-ペプチドにおける単一のセリンまたはスレオニン残基へ移す。第2の反応において、部位−特異的プロテアーゼは、非ホスホリレートFRET-ペプチドを認識し、開裂する。
【0319】
FRET-ペプチドのホスホリレーションは、Development Reagentによる開列を抑制する。開裂は、FRET-ペプチドの発蛍光団、 FRETをドナー(すなわち、クマリン) とアクセプター(すなわち、フルオレセイン)との間で分裂させる。一方、開裂しないホスホリレートされたFRET-ペプチドはFRETを維持する。
【0320】
ドナー発蛍光団の400nmにおける励起後のアクセプター放射物に対するドナー放射物の割合(エミッション比)を計算する放射線測定方法は、反応の進展を定量化するのに用いられる。
【0321】
最終の10μL キナーゼ反応は、0.9-8.0ng IKBKB (IKKβ)、50mM HEPES pH 7.5中の2μM Ser/Thr 05 ペプチドおよびATP、0.01% BRIJ-35、10mM MgCl2、1mM EGTAからなっている。アッセイは、Km またはKmに近いATP濃度で行われる。60 分間のキナーゼ反応の後、室温で培養し、5μL の 1:128 希釈のDevelopment Reagentを加える。アッセイプレートを室温でさらに60分間培養し、蛍光プレートリーダーで読み取る。
【0322】
2つのデータポイントを、DMSO中の試験化合物のストック溶液の1/3 log 希釈シリーズから描く。10μMの最高濃度から9段階の希釈を行い、無化合物のブランクを含む。データを集め、IDBS からのXLfit ソフトウェアを用いて、分析した。容量リスポンス曲線は、モデル番号205 (sigmoidal 容量-リスポンスモデル)に合致する曲線である。描かれた曲線から、50%阻害を与える濃度を決定し、報告する。
【0323】
THP-1 細胞のLPS-刺激
THP-1 細胞を、V-ボトムの 96 ウェル組織培養プレートに4 x 104 細胞/ウェルの密度で100μl置き、5% CO2 中、37℃で16時間培養した。組織培養媒体100μl中に阻害化合物を添加して2時間後、細胞を最終濃度1μg/mlで、 LPS (E coli 005:B5 株, Sigma)で刺激し、5% CO2 中、37℃で6時間培養した。サンドウィッチELISA (R&D Systems #QTA00B)により、TNF-α レベルを細胞非含有上澄液から測定した。
【0324】
ヒト全血のLPS-刺激
ヘパリン処理された吸引器(Becton Dickinson)を用いて、ビーナスパンクチュア(venous puncture)により採血し、等量のRPMI1640 組織培養媒体中に希釈した。100μlをV-ボトムの96 ウェル組織培養プレートに入れ、100μlの RPMI1640 媒体中の阻害化合物を添加して2時間後、最終濃度100ng/mlで、細胞をLPS (E coli 005:B5 株, Sigma)で刺激し、5% CO2 中、i37℃で6時間培養した。サンドウィッチ ELISA (R&D Systems #QTA00B)により、TNF-α レベルを細胞非含有上澄液から測定した。
【0325】
次のようにして、IC50 値を3つの範囲の1つに配分した。
範囲 A: IC50 < 1000nM
範囲 B: 1000nM < IC50 <5000nM
範囲 C: IC50 >5000nM
NT = 試験しなかった
【0326】
結果の表
【表10−1】

【0327】
【表10−2】

【0328】
【表10−3】

【0329】
【表10−4】

【0330】
破壊細胞カルボキシエステラーゼアッセイ
R1 がエステル基である本発明の化合物は、以下のアッセイで試験することにより、該化合物が細胞内エステラーゼにより加水分解されるという要件を満たすかどうかを決定することができる。
【0331】
細胞抽出物の調製
U937 または HCT 116 腫瘍細胞(〜109) を4 倍容量のDulbeccos PBS (〜1リットル)で洗浄し、4℃ 、525 g で10 分間ペレットした。これを2回繰返し、最終の細胞ペレットをホモゲナイズされた冷緩衝液(Trizma 10 mM, NaCl 130 mM, CaCl2 0.5 mM pH 7.0 、25℃) 35 mlに再懸濁した。窒素キャビテーション(700 psi、50 分間、4℃で)によりホモゲネートを調製した。このホモゲネートを氷上に保ち、以下の最終濃度の阻害物質のカクテルで補足した。
【0332】
ロイペプチン 1μM
アプロチニン 0.1μM
E64 8μM
ペプスタチン 1.5μM
ベスタチン 162μM
キモスタチン 33μM
【0333】
525 gで10 分間遠心分離することにより、細胞ホモゲネートを澄明にした後、得られた上澄液をエステラーゼ活性のソースとして用い、必要となるまで-80℃で貯蔵した。
【0334】
エステル開裂の測定
エステルの対応カルボン酸への加水分解は、上記のようにして調製した細胞抽出物を用いて測定することができる。この趣旨で、細胞抽出物(〜30 μg / 全アッセイ容量0.5 ml)を、Tris- HCl 25 mM, 125 mM NaCl 25℃でpH 7.5緩衝液中、37℃で培養した。ゼロ時にエステル(基質)を最終濃度2.5μMで加え、試料を37℃で、適当な時間(通常 0または80 分間) 培養した。3倍容量のアセトニトリルを加えて、反応を終結させた。
【0335】
ゼロ時の試料について、エステル化合物に先立って、アセトニトリルを加えた。12000 g で5 分間遠心分離した後、試料を、エステルおよびその対応カルボン酸について、LCMS (Sciex API 3000, HP1100 2連ポンプ, CTC PAL)により室温で分析した。クロマトグラフィは、AcCN (75x2.1mm)カラムおよび5-95 % 水中アセトニトリル/0.1 % ギ酸移動相に基づいている。
【0336】
表1は、いくつかの異なったリンカーにより、種々の細胞内酵素阻害剤に結合している、いくつかのアミノ酸エステルモチーフは、すべて細胞内カルボキシエステラーゼにより、対応する酸に加水分解されたことを示すデータを表している。
【0337】
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(IA)または(IB)の化合物、またはその塩、N-オキサイド、水和物もしくは溶媒和物:
【化1】

(式中、
R7は水素または任意に置換されていてもよい(C1-C6)アルキルであり;
環Aは、任意に置換されていてもよい、5〜13の環原子を有するアリールもしくはヘテロアリール環であり;
Zは (a)式R1R2CHNH-Y-L1-X1-(CH2)z-であり、ここで、
R1 はカルボン酸基(-COOH)、または一以上の細胞内エステラーゼ酵素によりカルボン酸基に加水分解され得るエステル基であり;
R2 は天然もしくは非天然のα−アミノ酸の側鎖であり;
Y は結合手、-C(=O)-、-S(=O)2-、-C(=O)O-、-C(=O)NR3-、-C(=S)-NR3 、-C(=NH)-NR3 または-S(=O)2NR3-であり、ここでR3 は水素または任意に置換されていてもよいC1-C6 アルキルであり、
L1 は式-(Alk1)m(Q)n(Alk2)p-の2価の基であり、ここで、
m、n および p は独立して0または1であり、
Q は、(i) 任意に置換されていてもよい、5〜13の環原子を有する、2価の単環もしくは2環の炭素環式基または複素環式基であるか、あるいは
(ii) p が0のとき、式-Q1-X2-の2価の基であり、ここでX2 は-O-、-S-または NRA-であり、ここでRA は水素または任意に置換されていてもよいC1-C3 アルキルであり、Q1 は5〜13の環原子を有し、任意に置換されていてもよい、2価の単環もしくは2環の炭素環式基または複素環式基であり、
Alk1 およびAlk2 は、独立して、任意に置換されていてもよい2価のC3-C7 シクロアルキル基、または任意に置換されていてもよい直鎖状もしくは分枝鎖状の、エーテル(-O-)、チオエーテル(-S-)もしくはアミノ(-NRA-)結合(ここで、RA は水素または任意に置換されていてもよいC1-C3 アルキルである)を任意に含んでいるか、もしくは末端に有している、C1-C6 アルキレン、C2-C6 アルケニレンもしくはC2-C6 アルキニレン基を表し、
X1 は結合手、-C(=O)-;または-S(=O)2-;-NR4C(=O)-、-C(=O)NR4-、-NR4C(=O)-NR5-、-NR4S(=O)2-、もしくは-S(=O)2NR4-であり、ここでR4およびR5は独立して、水素または任意に置換されていてもよいC1-C6 アルキルであり、
z は0または1である)。
【請求項2】
R7 が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
環 A が、任意に置換されていてもよい1,4-フェニレンまたは1,3-フェニレンである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
環A における任意の置換基が、フルオロ、クロロ、メチルおよびトリフルオロメチルから選択される、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
R1 が、式-(C=O)OR14 のエステル基であり、ここでR14 は R8R9R10C-であり、ここで、
(i)R8 は、水素、任意に置換されていてもよい (C1-C3)アルキル-(Z1)a-[(C1-C3)アルキル]b- または (C2-C3)アルケニル-(Z1)a-[(C1-C3)アルキル]b-であり、ここでa および b は独立して0 または 1 であり、Z1 は -O-、-S-または -NR11-であり、ここでR11 は水素または(C1-C3) アルキルであり、R9 および R10 は独立して水素または(C1-C3) アルキルであるか、
(ii) R8 は水素または任意に置換されていてもよいR12R13N-(C1-C3) アルキル-であり、ここでR12 は水素または(C1-C3)アルキルであり、R13 は水素または (C1-C3) アルキルであるか;あるいはR12 および R13 はそれらが結合している窒素と一緒になって、任意に置換されていてもよい、5- もしくは 6- 環原子を有する単環の複素環、もしくは8 〜 10 の環原子を有する2環の複素環システムを形成し、R9 および R10 は独立して水素または(C1-C3) アルキル-であるか; あるいは
(iii) R8 および R9 は、それらが結合している炭素と一緒になって、任意に置換されていてもよい、3 〜 7 の環原子を有する単環の炭素環、もしくは8 〜 10 の環原子を有する2環の炭素環システム形成し、R10 は水素である、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
R1 が、メチル、エチル、n- もしくは イソプロピル、n-、sec- もしくは tert-ブチル、シクロヘキシル、アリル、フェニル、ベンジル、2-, 3- もしくは 4-ピリジルメチル、N-メチルピペリジン-4-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、メトキシエチル、インダニル、ノルボルニル、ジメチルアミノエチルまたはモルホリノエチルエステル基である、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
R1 がシクロペンチルまたはtert-ブチルエステル基である、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
R2 が、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシル、ピリジン-3-イルメチル、sec-ブチル、tert-ブチル、1-ベンジルチオ-1-メチルエチル、1-メチルチオ-1-メチルエチルまたは1-メルカプト-1-メチルエチルである、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
R2 が、フェニル、ベンジル、フェニルエチル、シクロヘキシル、 tert-ブトキシメチルまたはイソブチルである、請求項1〜6のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
基R1R2CHNH-Y-L1X1-(CH2)z-が、R1R2CHNH-(CH2)a-、R1R2CHNH-(CH2)aO-および R1R2CHNH-CH2CH=CHCH2-(ここで、a は 1、2、3、4または5である)から選択される、請求項1〜9のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
シクロペンチル N-[4-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]ベンジル]-L-ロイシネート、
シクロペンチル N-[3-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル] ベンジル]-L-ロイシネート、
シクロペンチル N-[4-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]-3-クロロベンジル]-L-ロイシネート、
シクロペンチル N-[(2E)-3-[4-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]フェニル]プロプ-2-エン-1-イル]-L-ロイシネート、
シクロペンチル (2S)-[[(2E)-3-[4-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル] フェニル]プロプ-2-エン-1-イル]アミノ](フェニル)アセテート、
シクロペンチル (2S)-([3-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル] ベンジル]アミノ)( フェニル)アセテート、
シクロペンチル N-[(2E)-3-[4-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)チオフェン-2-イル]-3-メチルフェニル]プロプ-2-エン-1-イル]-L-ロイシネート、
シクロペンチル (2S)-[(2-[3-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル] フェニル]エチル)アミノ]( フェニル)アセテート、
シクロペンチル N-[3-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)チオフェン-2-イル] ベンジル]-L-スレオニネート、
シクロペンチル (2S)-([3-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル] ベンジル]アミノ)(シクロヘキシル)アセテート、
シクロペンチル N-[(2E)-3-[3-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]フェニル]プロプ-2-エン-1-イル]-L-ロイシネート、
tert-ブチル N-[3-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル] ベンジル]-L-ロイシネート、および
シクロペンチル N-(2-[3-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]フェニル]エチル)-L-ロイシネート
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物、またはその塩、N-オキサイド、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の化合物を、一つ以上の医薬的に許容される担体および/または賦形剤とともに含む医薬組成物。
【請求項13】
IKK 酵素の活性を阻害する組成物の製造における、請求項1〜11のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項14】
エクスビボまたはインビボでIKKβ活性を阻害するための、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
腫瘍性/増殖性、免疫性または炎症性疾患の治療用組成物の製造における、請求項1〜11のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項16】
16. IKK 酵素を、該酵素の活性を阻害するのに有効な量の請求項1〜11のいずれかに記載の化合物と接触させることを含む、IKK 酵素の活性を阻害する方法。
【請求項17】
エクスビボまたはインビボでIKKβの活性を阻害するための、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
腫瘍性/増殖性、免疫性または炎症性疾患の患者に、請求項1〜11のいずれかに記載の化合物の有効量を投与することを含む、腫瘍性/増殖性、免疫性または炎症性疾患の治療方法。
【請求項19】
癌細胞の増殖を治療するための、請求項13に記載の使用、または請求項18に記載の方法。
【請求項20】
肝細胞の癌またはメラノーマを治療するための、請求項13に記載の使用、または請求項18に記載の方法。
【請求項21】
腸癌、 卵巣癌、頭部および首部および頚部の鱗状癌、胃もしくは肺の癌、形成外科の膠腫、グリア芽細胞多形もしくは髄芽腫を治療するための、請求項13に記載の使用、または請求項18に記載の方法。
【請求項22】
リウマチ性関節炎、乾癬、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、慢性閉塞性肺疾患、喘息、多発性硬化症、糖尿病、アトピー性皮膚炎、移植対宿主疾患または全身性狼瘡紅斑を治療するための、請求項13に記載の使用、または請求項18に記載の方法。

【公表番号】特表2010−508336(P2010−508336A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535115(P2009−535115)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【国際出願番号】PCT/GB2007/004114
【国際公開番号】WO2008/053182
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(507288718)クロマ セラピューティクス リミテッド (18)
【氏名又は名称原語表記】CHROMA THERAPEUTICS LTD
【住所又は居所原語表記】93 Milton Park,Abingdon,Oxfordshire OX14 4RY,UNITED KINGDOM
【Fターム(参考)】