説明

IL−13に結合するリガンド

インターロイキン−13(IL−13)にに対し、またはIL−4とIL−13に対し特異的に結合するリガンドが開示されている。また、これらの使用方法も開示されている。特に、肺疾患、例えば、アレルギー性喘息、のようなIL−13媒介疾患の治療のためのこれらの使用が記載されている。このリガンドは、有力なIL−13結合速度を有している。リガンドが、ヒトIL−13と一つまたは複数の霊長類IL−13の間の交差反応性を有することも記載されている。リガンドは、原核細胞中で良好に発現する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
Th2型免疫反応は抗体の産生および液性免疫の促進を行い、細胞外病原体を撃退するために作り出されている。Th2細胞はIg産生(液性免疫)のメディエーターであり、IL−4、IL−5、IL−6、IL−9、IL−10およびIL−13を産生する(Tanaka, et. al., Cytokine Regulation of Humoral Immunity, 251-272, Snapper, ed., John Wiley and Sons, New York (1996))。Th2型免疫反応は特定のサイトカイン(例えば、IL−3、IL−4)と特異的な型の抗体(IgE、IgG4)を産生し、アレルギー反応に特有の涙目、気道炎症や肺の気道筋収縮等の喘息症状を起こす可能性がある。
【0002】
インターロイキン−13(IL−13)は多面的なサイトカインで、免疫グロブリンのIgG4、IgEへのアイソタイプスイッチ、CD23アップレギュレーション、VCAM−1発現を誘導し、例えば、好酸球や肥満細胞の直接活性化を行う。IL−13は主にTh2細胞により産生され、LPS刺激単球細胞により炎症性サイトカイン(IL−1、IL−6、TNF、IL−8)の産生を阻害する。IL―13はIL−4の近縁種であり、アミノ酸レベルで20〜25%の配列上の類似性がある(Minty et. al., Nature, 363(6417):248-50 (1993))。IL−13の多くの作用はIL−4に似ているが、IL−4に備わっている活性T細胞またはT細胞クローンに対する増殖促進作用は持っていない(Zurawski et al., EMBO J. 12:2663 (1993))。
【0003】
細胞表面受容体および受容体複合体は異なったアフィニティでIL−13と結合する。IL−13と結合する受容体および受容体複合体の基本成分はIL−4Rα、IL−13Rα1およびIL−13Rα2である。これらの鎖は細胞の表面にモノマーまたはIL−4Rα/IL−13Rα1またはIL−4Rα/IL−13Rα2のヘテロダイマーとして発現している。IL−4RαモノマーはIL−4に結合するがIL−13には結合しない。IL−4Rα/IL−13Rα1とIL−4Rα/IL−13Rα2ヘテロダイマーはIL−4、IL−13の両方に結合する。
【0004】
IL−13はその生物学的機能の故に治療上重要なタンパク質である。IL−13には抗腫瘍免疫反応を促進する潜在能力が認められた。IL−13はアレルギー疾患の原因に関与しているため、このサイトカインの阻害剤により治療上の恩恵が得られる。IL−13の阻害剤はWO2007085815で開示されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。WO2007085815では、有効な抗IL−13抗体単一可変ドメイン、DOM10−53−474が開示されている。IL−13の阻害試薬に対する改善要求があるため、本発明者はDOM10−53−474より性能、特に、IL−13との結合反応速度、および/または中和能、および/またはIL−13種間交差反応性、の優れたIL−13阻害剤を見いだそうとしてきた。発明者は、このような利点が治療改善および抗IL−13予防薬およびこれらの進展をもたらすであろうことを理解したからである。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、改善されたIL−13免疫グロブリン単一可変ドメイン、アンタゴニスト、およびこれらを含む組成物、方法、用途を提供する。
【0006】
一つの態様では、本発明は、DOM10−53−474(配列番号1)と比較して1、2、3、4または5のアミノ酸変化以外はDOM10−53−474(SEQ ID NO:1)と同一のアミノ酸配列を含む抗インターロイキンー13(IL−13)免疫グロブリン単一可変ドメインを提供する。ここで、単一可変ドメインは、Kabat ナンバリング方式の位置28にバリンを有し、また単一可変ドメインは任意選択でDOM10−53−616(配列番号5)からなるものではない。
【0007】
第二の態様では、本発明は、DOM10−53−474(配列番号1)と比較して1、2、3、4または5のアミノ酸変化以外はDOM10−53−474と同一のアミノ酸配列を含む抗インターロイキンー13(IL−13)免疫グロブリン単一可変ドメインを提供する。ここで、単一可変ドメインは配列XGX’X’’を有し、GはKabat ナンバリング方式の位置54にあり、
X=HまたはKであり;
X’=GまたはKであり;
X’’=KまたはIであり、
また、単一可変ドメインは任意選択でDOM10−53−616(配列番号5)からなるものではない。
【0008】
さらなる態様では、本発明は、その可変ドメインがDOM10−53−546(配列番号2);DOM10−53−567(配列番号3);DOM10−53−568(配列番号4);またはDOM10−53−616(配列番号5)である、抗インターロイキンー13(IL−13)免疫グロブリン単一可変ドメインを提供する。
【0009】
さらなる態様では、本発明は、その可変ドメインがDOM10−53−546(配列番号2);DOM10−53−567(配列番号3)またはDOM10−53−568(配列番号4)である、抗インターロイキンー13(IL−13)免疫グロブリン単一可変ドメインを提供する。
【0010】
本発明の一つの態様では、DOM10−53−546(配列番号6);DOM10−53−567(配列番号7);DOM10−53−568(配列番号8);またはDOM10−53−616(配列番号9)ヌクレオチド配列によりコードされる抗インターロイキンー13(IL−13)免疫グロブリン単一可変ドメインを提供する。ここで、単一可変ドメインは任意選択でDOM10−53−616(配列番号5)からなるものではない。
【0011】
本発明の一つの態様では、DOM10−53−546(配列番号2);DOM10−53−567(配列番号3);DOM10−53−568(配列番号4);またはDOM10−53−616(配列番号5)に対し少なくとも99%同一、または100%同一のアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。ここで、ポロペプチドは任意選択でDOM10−53−616(配列番号5)を含まないものである。
【0012】
本発明はまた、当該単一可変ドメインを含むアンタゴニスト、融合タンパク質、およびデバイス、用途、方法、ならびに組成物に関する。アンタゴニストは、患者、例えばヒト患者における、IL−13媒介疾患および症状の対処に、例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患またはインフルエンザ等の肺疾患の治療および/または予防に有効である。
【0013】
別の観点による本発明のさらなる実施形態については、本明細書中で企図されており、以下に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】pDOM5ベクターマップ。
【図2】(a)本発明の抗IL−13免疫グロブリン単一可変ドメインおよび従来技術のIL−13単一可変ドメインDOM10−53−474(配列番号1)のアミノ酸配列;ならびに(b)単一可変ドメインのCDRのヌクレオチド配列(Kabatによる)。
【図3】本発明の抗IL−13免疫グロブリン単一可変ドメインおよび従来技術のIL−13単一可変ドメインDOM10−53−474をコードしているヌクレオチド配列。
【図4a】DOM10−53−474(配列番号1)のアミノ酸配列と本発明の抗IL−13免疫グロブリン単一可変ドメインのアミノ酸配列との比較。ナンバリングはKabatによる。DOM10−53−474(配列番号1)に対するアミノ酸残基の差は、差が発生している位置にアミノ酸(一文字形式)で示した。DOM10−53−474に対して特定の位置にアミノ酸に差がない場合は、“.”で示した。CDRは下線で示した。
【図4b】DOM10−53−474(配列番号1)のアミノ酸配列と本発明の抗IL−13免疫グロブリン単一可変ドメインのアミノ酸配列との比較。ナンバリングはKabatによる。DOM10−53−474(配列番号1)に対するアミノ酸残基の差は、差が発生している位置にアミノ酸(一文字形式)で示した。DOM10−53−474に対して特定の位置にアミノ酸に差がない場合は、“.”で示した。CDRは下線で示した。
【図4c】DOM10−53−474(配列番号1)のアミノ酸配列と本発明の抗IL−13免疫グロブリン単一可変ドメインのアミノ酸配列との比較。ナンバリングはChothiaによる。DOM10−53−474(配列番号1)に対するアミノ酸残基の差は、差が発生している位置にアミノ酸(一文字形式)で示した。DOM10−53−474に対して特定の位置にアミノ酸に差がない場合は、“.”で示した。CDRは下線で示した。
【図4d】DOM10−53−474(配列番号1)のアミノ酸配列と本発明の抗IL−13免疫グロブリン単一可変ドメインのアミノ酸配列との比較。ナンバリングはChothiaによる。DOM10−53−474(配列番号1)に対するアミノ酸残基の差は、差が発生している位置にアミノ酸(一文字形式)で示した。DOM10−53−474に対して特定の位置にアミノ酸に差がない場合は、“.”で示した。CDRは下線で示した。
【図5】本発明の抗IL−13免疫グロブリン単一可変ドメインおよび従来技術のIL−13単一可変ドメインDOM10−53−474(配列番号1)のトリプシン消化。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書において本発明は実施形態を参照しながら簡明な明細書記述がなされるように記述されている。実施形態は、本発明を逸脱することなく種々に組合せまたは分離してしてもよいことは意図されており、また、理解されるべきである。
【0016】
別に定義されていなければ、本明細書に使われている全ての技術と科学の用語は、通常の当業者(例えば、細胞培養、分子遺伝学、核酸化学、ハイブリダイゼーション技術、および生化学の分野)により共通に理解されているものと同じ意味を有する。標準的な技術は、分子、遺伝、および生化学の手法(一般的には、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2d ed. (1989) Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. and Ausubel et al., 分子生物額に於ける簡易手法(1999) 4th Ed, John Wiley & Sons, Inc. を参照のこと。これらは参照して本明細書に組み込まれる)および化学的手法で使われている。
【0017】
用語「DOM10-53-474 (配列番号1)と比較してアミノ酸配列の変化」は、各変化がアミノ酸の置換、欠損、または付加のいずれかであるアミノ酸の変化を含む。一実施形態では、アミノ酸の置換のみがこの用語の意味となっている。
【0018】
本明細書で使われている用語「リガンド」は、少なくとも一つのIL−13に特異的に結合する結合部位を有するペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質部分を含む化合物を指す。本発明に係るリガンドは、別の結合特異性を有するが、標的化合物に対する結合部位を同時に形成する可変ドメインペアーを含まない(すなわち、同時にIL−13に対する結合部位を形成する免疫グロブリン重鎖可変ドメインと免疫グロブリン軽鎖可変ドメインを含まない)免疫グロブリン可変ドメインを任意選択的に含んでも良い。さらに任意選択で、標的に対し特異的に結合する結合部位を有する各ドメインが所望の標的(例えば、IL−13)に特異的に結合を行う免疫グロブリン単一可変ドメイン(例えば、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(例えば、V、VHH)、免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(例えば、V))であっても良い。標的(例えば、IL−13)に対し特異的に結合する結合部位を有する各ポリペプチドドメインは、結合ドメインが標的に特異的に結合するように適切なフォーマットで所望の標的(例えば、IL−13)に対し特異的に結合する抗体または抗体フラグメント(例えば、免疫グロブリン単一可変ドメイン)の一つまたは複数の相補性決定領域(CDR)を含んでもよい。例えば、CDRは、アフィボディ(affibody)、SpA足場、LDL受容体クラスAドメイン、またはEGFドメイン等の適切なタンパク質の足場または骨格にグラフト結合してもよい。さらに、本明細書に記述されているようにリガンドは二価(ヘテロ二価)または多価(ヘテロ多価)であってもよい。このように、「リガンド」は2つのdAbを含み、これらが別の標的(例えば、IL−4、IL−13)に結合するポリペプチドを含む。また、リガンドは、抗体フォーマット(例えば、IgG様のフォーマット、scFv、Fab、Fab’、F(ab’))、または、本明細書記載のアフィボディ、SpA足場、LDL受容体クラスAドメイン、EGFドメイン、アビマー、二重特異的、多特異的リガンド等の適切なタンパク質足場や骨格のようなフォーマットで別の標的(またはdAbのCDR)に結合するポリペプチドを含む。
【0019】
また、標的(例えば、IL−13)に特異的結合を行う結合部位を有するポリペプチドドメインは、所望の標的、例えばアフィボディ、SpAドメイン、LDL受容体クラスAドメイン、アビマー(例えば、U.S. Patent Application Publication Nos. 2005/0053973, 2005/0089932, 2005/0164301参照)から選ばれたタンパク質ドメインに対する結合部位を含むタンパク質ドメインであってもよい。必要に応じ、「リガンド」は、さらに一つまたは複数のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質部分や非ペプチド部分(例えば、ポリアルキレングリコール、脂質、炭水化物)等の付加的部分をそれぞれ独立に含んでもよい。例えば、リガンドは、本明細書に記述したように半減期延長部分を含んでもよい(例えば、ポリアルキレングリコール部分、アルブミン、アルブミン断片またはアルブミンバリアントを含む部分、トランスフェリン、トランスフェリン断片、またはトランスフェリンバリアントを含む部分、アルブミンに結合する部分、新生児F受容体に結合する部分)。
【0020】
「二重特異的リガンド」は、一番目の抗原またはエピトープ結合部位(例えば、一番目の免疫グロブリン単一可変ドメイン)および二番目の抗原またはエピトープ結合部位(例えば、二番目の免疫グロブリン単一可変ドメイン)であり、これらの結合部位または可変ドメインが2つの抗原(例えば、別の抗原もしくは同じ抗原の2つのコピー)または単一特異的免疫グロブリンでは本来結合されない同じ抗原上の2つのエピトープ、を含むリガンドを指す。例えば、2つのエピトープは同じ抗原上にあってもよいが、同じエピトープであっても、または単一特異的リガンドにより結合される程充分に近接していてもいけない。一実施形態では、本発明に係る二重特異的リガンドは、別の特異性を有する結合部位または可変ドメインを含むが、同じ特異性を有する(すなわち、単一結合部位を形成しない)相互に相補的な可変ドメインペアー(すなわち、V/Vペアー)を含まない。
【0021】
本明細書で使われている用語「標的」は、結合部位を有するポリペプチドが結合する生体分子(例えば、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、脂質、炭水化物)を指す。例えば、標的は、細胞内標的(例えば、細胞内タンパク質標的)、可溶性性標的(例えば、IL−4、IL−13等の分泌タンパク質)、または細胞表面標的(例えば、膜タンパク質、受容体タンパク質)であってもよい。一実施形態では、標的はIL−4またはIL−13である。
【0022】
用語「免疫グロブリン単一可変ドメイン」は、それぞれ別のまたは他のV領域やドメインの抗原やエピトープに特異的に結合する抗体の可変ドメイン(V、VHH、V)を指す。免疫グロブリン単一可変ドメインは、単一免疫グロブリン可変ドメイン(すなわち、ここでは、免疫グロブリン単一可変ドメインは追加の可変ドメインの抗原と独立に結合する)による抗原結合が必要でない他の可変領域または可変ドメインを伴ったフォーマット(例えば、ホモまたはヘテロマルチマー)で存在してもよい。「ドメイン抗体」または「dAb」は、本明細書でこの用語が使われる場合は、「免疫グロブリン単一可変ドメイン」である。「単一免疫グロブリン可変ドメイン」は、本明細書でこの用語が使われる場合は、「免疫グロブリン単一可変ドメイン」と同じである。「単一抗体可変ドメイン」または「抗体単一可変ドメイン」は、本明細書でこの用語が使われる場合は、「免疫グロブリン単一可変ドメイン」と同じである。免疫グロブリン単一可変ドメインは、一実施形態ではヒト抗体可変ドメインであるが、げっ歯類(例えば、WO 00/29004に開示されており、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる)、テンジクザメ、およびラクダ科動物のVHH dAb等の他の種からの単一抗体可変ドメインも含有する。ラクダ科動物のVHHは、ラクダ、ラマ、アルパカ、ヒトコブラクダおよびグアナコ、等の種から得られた免疫グロブリン単一可変ドメインポリペプチドで、生来軽鎖を欠損する重鎖抗体を産生する。VHHは、ヒト化可能である。
【0023】
本明細書に記述されている免疫グロブリン単一可変ドメイン(dAb)は、相補性決定ドメイン(CDR1、CDR2およびCDR3)を含む。CDRとフレームワーク(FR)ドメインの位置とナンバリング方式は、Kabat等により決定されてきた(Kabat, E.A. et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, U.S. Government Printing Office (1991))。本明細書で開示しているVとV(Vκ)dAbのCDR(CDR1、CDR2、CDR3)のアミノ酸配列は、よく知られたKabatのアミノ酸配列ナンバリング方式とCDRの定義に従えば当業者には容易にわかるであろう。Kabatのナンバリング方式に従って可変長、挿入を有する重鎖CDR−H3は、残基H100とH101の間でK迄の文字でナンバリングされる(すなわち、H100、H100A....H100K、H101)。あるいは、AbMまたは次のコンタクト方法に従って、CDRはChthia方式を用いて決定してもよい(Chothia et al., (1989) Conformations of immunoglobulin hypervariable regions(免疫グロブリン超可変ドメインの構造); Nature 342, p877-883)。適切なCDR決定方法については http://www.bioinf.org.uk/abs/ を参照。
【0024】
各残基をナンバリングした後、続くCDR定義に適用出来る(“−”はKabat方式で同じ残基を意味する)
Kabat配列多様性に基づいて最もよく使われる方法
(Kabatナンバリングを使って):
CDRH1:31−35/35A/35B
CDRH2:50−65
CDRH3:95−102
CDRL1:24−34
CDRL2:50−56
CDRL3:89−97
【0025】
Chothia−構造のループドメインの位置に基づいて
(Chothiaナンバリングを使って):
CDRH1:26−32
CDRH2:52−56
CDRH3:95−102
CDRL1:24−34
CDRL2:50−56
CDRL3:89−97
AbM−KabatとChothiaの中間
(Kabatナンバリングを使って): (Chothiaナンバリングを使って):
CDRH1:26−35/35A/35B 26−35
CDRH2:50−58 −
CDRH3:95−102 −
CDRL1:24−34 −
CDRL2:50−56 −
CDRL3:89−97 −
Contact−結晶構造と抗原との接触残基予測に基づいて
(Kabatナンバリングを使って): (Chothiaナンバリングを使って):
CDRH1:30−35/35A/35B 30−35
CDRH2:47−58 −
CDRH3:93−101 −
CDRL1:30−36 −
CDRL2:46−55 −
CDRL3:89−96 −
【0026】
本明細書で使われる「インターロイキン−4」(IL−4)は、自然発生または内在性の哺乳動物IL−4タンパク質および自然発生または内在性の対応する哺乳動物IL−4タンパク質(例えば、組換えタンパク質、合成タンパク質(すなわち、有機合成化学手法により合成された))の配列に同じアミノ酸配列を有するタンパク質を指す。従って、本明細書で定義されているように、この用語は成熟IL−4タンパク質、多形型または対立遺伝子変異型、およびその他のL−4のイソ型、ならびにこれらの修飾または非修飾型(例えば、脂質化、グリコシル化)を含む。自然発生または内在性のIL−4は、成熟IL−4、多形型または対立遺伝子変異型および哺乳動物(例えば、ヒト、非ヒト霊長目)で自然発生している他のイソ型や変異型、等の野生型タンパク質を含む。例えば、このようなタンパク質は、IL−4を天然に作り出す元のソースから回収または単離することが出来る。これらのタンパク質および自然発生または内在性の対応するIL−4と同じアミノ酸配列を有するタンパク質は、対応する哺乳動物の名前で参照される。例えば、対応する哺乳動物がヒトである場合は、タンパク質はヒトIL−4と表される。WO 03/038041で開示されているような、いくつかの変異体IL−4が当業者には既知である。
【0027】
本明細書で使われる「インターロイキン−13」(IL−13)は、自然発生または内在性の哺乳動物IL−13タンパク質および自然発生または内在性の対応する哺乳動物IL−13タンパク質(例えば、組換えタンパク質、合成タンパク質(すなわち、有機合成化学手法により合成された))の配列に同じアミノ酸配列を有するタンパク質を指す。従って、本明細書で定義されているように、この用語は成熟IL−13タンパク質、多形型または対立遺伝子変異型、およびその他のL−13のイソ型(例えば、選択的スプライシングや他の細胞過程で作られた)およびこれらの修飾または非修飾型(例えば、脂質化、グリコシル化)を含む。自然発生または内在性のIL−13は、成熟IL−13、多形型または対立遺伝子変異型および哺乳動物(例えば、ヒト、人間以外の霊長目)で自然発生している他のイソ型や変異型、等の野生型タンパク質を含む。自然発生または内在性のIL−13は、成熟IL−13、多形型または対立遺伝子変異型および哺乳動物(例えば、ヒト、人間以外の霊長目)で自然発生している他のイソ型や変異型、等の野生型タンパク質を含む。例えば、本明細書で使われているように、IL−13は、ヒトIL−13変異体を包含する。これは、成熟ヒトIL−13の110の位置のArgが、喘息(アトピー性および非アトピー性喘息)および他のIL−13の変異体に関係(Heinzmann et al., Hum Mol Genet. 9:549-559 (2000))しているGln(成熟IL−13の110の位置が前駆タンパク質の130の位置に対応する)で置換されている。このようなタンパク質は、IL−13を天然に作り出す元のソースから回収または単離することが出来る。これらのタンパク質および自然発生または内在性の対応するIL−13と同じアミノ酸配列を有するタンパク質は、対応する哺乳動物の名前で参照される。例えば、対応する哺乳動物がヒトである場合は、タンパク質はヒトIL−13と表される。WO 03/038041で開示されているような、いくつかの変異体IL−13が当業者には既知である。
【0028】
「アフィニティ」と「アビディティ」は結合相互作用の強度を表す技術用語である。本発明のリガンドに対しては、アビディティは、細胞およびリガンド上の標的間(例えば、第一と第二の標的間)の全体の結合力を指す。アビディティは、個々の標的に対するそれぞれのアフィニティの合計より大きくなる。
【0029】
本明細書で使われている「有毒成分」は、毒素を含む成分を指す。毒素は、細胞生理(例えば、細胞壊死、アポートシスを起こす、または細胞分裂を阻害する)に悪影響を及ぼす、および/またはそれを変える薬剤である。
【0030】
本明細書で使われている用語「用量」は、被験者に一度に全投与(単位用量)する、または二回もしくはそれ以上の回数にわけ一定の時間間隔で投与するリガンドの量を指す。例えば、用量は1日(24時間)(1日量)、2日、一週、二週、三週、または一ヶ月または二ヶ月以上のコース(例えば、一回投与、または二回以上の投与で)で被験者に投与するリガンドの量(例えば、リガンドは、IL−13に結合する免疫グロブリン単一可変ドメイン)を指してもよい。投与間隔は任意の所望間隔とすることが出来る。
【0031】
本明細書で使われている「相補的」は、2つの免疫グロブリンドメインが同族ペアーやグループを形成する構造のファミリーに属するか、またはこのファミリーから生成しこの特徴を維持する場合を指す。例えば、抗体のVドメインおよびVドメインは相補的である。2つのVドメインは相補的ではない。また、2つのVドメインも相補的ではない。相補的ドメインは、T細胞受容体のVα、Vβ(またはγとδ)ドメイン、等の免疫グロブリンスーパーファミリーの他のメンバーにも認められる。操作しなければエピトープと結合しないタンパク質足場に基づくドメインのような人工のドメインは相補的ではない。同様に、(例えば)免疫グロブリンドメインおよびフィブロネクチンドメイン、に基づく2つのドメインは相補的ではない。
【0032】
本明細書で使われている「免疫グロブリン」は、2つのβシートと、通常は保存されているジスルフィド結合を含む抗体分子の免疫グロブリン折りたたみ特性を維持しているポリペプチドファミリーを指す。免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーは生体内細胞性、および非細胞性相互作用の多くの側面に関わっている。これらの中には、免疫システムにおける広範囲の役割(例えば、抗体、T細胞受容体分子、等)、細胞間接着への関与(例えば、ICAM分子)、および細胞内信号伝達(例えば、PDGF受容体、等の受容体分子)が含まれる。本発明は、結合ドメインを有する全ての免疫グロブリンスーパーファミリー分子に適用できる。一実施形態では、本発明は抗体に関する。
【0033】
本明細書で使われている「ドメイン」は、他のタンパク質とは独立に三次構造を保持している折り畳みタンパク質構造を指す。一般的には、ドメインはタンパク質個々の固有の機能特性に関与し、多くの場合、残りのタンパク質および/またはドメインの機能を失うことなく付加、削除、または他のタンパク質への移動が可能である。単一抗体に対して、可変ドメインは、抗体可変ドメインの配列特性を含む折り畳みポリペプチドドメインを意味する。従って、これは、抗体可変ドメインおよび変更可変ドメインの全体を含むが、後者の例としては、例えば一つまたは複数のループが抗体可変ドメインの特徴でない配列により置換され、または、切断され、またはN−もしくはC−末端伸長を含む抗体可変ドメイン、ならびに、少なくとも部分的には全長ドメイン時の結合活性および特異性を保持している可変ドメインの折り畳み断片、により置換された場合が含まれる。このように、各リガンドは少なくとも2つの別々のドメインを含む。
【0034】
用語「ライブラリ」は、ヘテロポリペプチド、またはヘテロ核酸の混合物を指す。ライブラリは、単一ポリペプチドまたは核酸配列を有するメンバーから構成されている。この点では、ライブラリはレパートリーの同義語である。ライブラリメンバー間の配列の差はライブラリに存在する多様性によるものである。ライブラリは、ポリペプチドまたは核酸の単純な混合物の形を取ってもよく、あるいは、核酸のライブラリで形質転換した生物または細胞の形、例えばバクテリア、ウイルス、動物または植物等、を取ってもよい。各生物または細胞が、一つまたは限定された数のみのライブラリメンバーを含むようにすることも任意に選択可能である。好都合にも、核酸は発現ベクター中に組み込まれ、核酸によりコードされたポリペプチドを発現させる。一態様では、ライブラリは、宿主生物母集団の形を取って、各生物が発現して対応するポリペプチドメンバーを産生する核酸の形の単一メンバー発現ベクターの一つまたは複数のコピーを含んでもよい。このように、宿主生物母集団は、遺伝的に多様なポリペプチド変異体の大きなレパートリーをコードする可能性を有している。
【0035】
本明細書で使われている「抗体」は、IgG、IgM、IgA、IgDやIgE、またはフラグメント(例えば、Fab、F(ab’)、Fv、ジスルフィド結合Fv、scFv、閉構造多重特異性抗体、ジスルフィド結合scFv、二重特異性抗体)であって、抗体を天然に産生する任意の種から誘導されるか、または組換えDNA技術により作製されるか、または、例えば血清、B細胞、ハイブリドーマ、トランスフェクト細胞、酵母、およびバクテリアから単離するか、のいずれかのものを指す。
【0036】
本明細書で使われている「抗原」は、本発明に係る結合ドメインにより結合される分子である。通常は、抗原は抗体リガンドに結合され、生体内での抗体反応を促進することが出来る。例えば、抗原はペプチド、タンパク質、核酸、または他の分子であってもよい。一般的には、本発明において二重特異性リガンドは2つの特定標的(例えば、抗原)に対する標的特異性で選択される。通常の抗体とそのフラグメントの場合、可変ループ(L1、L2、L3およびH1、H2、H3)により決まる抗体結合部位が抗原に結合出来る。
【0037】
「エピトープ」は、免疫グロブリンV/Vペアーにより通常の方式で結合される構造単位である。エピトープは抗体に対し最小限の結合部位を決定し、抗体の特異性を有する標的を表す。単一ドメイン抗体の場合、エピトープは単独の可変ドメインにより結合される構造単位を表す。
【0038】
「ユニバーサルフレームワーク」は、Kabatの定義(“Sequences of Proteins of Immunological Interest”, US Department of Health and Human Services)による配列に保存されている抗体のドメインに対応する単一抗体フレームワーク配列、または、ChothiaとLeskにより定義((1987) J. Mol. Biol. 196:910-917)されているヒト生殖細胞系列免疫グロブリンレパートリーや構造を指す。本発明は単一フレームワークまたは一連の当該フレームワークの使用方法を提供する。これを使って超可変ドメインのみを変化させることにより実質的にほとんどの結合特異性を導出可能であることが明らかになっている。
【0039】
用語「半減期」は、例えばリガンドの分解、および/または、自然の機構による二重特異性リガンドのクリアランスや隔離によって、リガンドの血清中濃度が体内で50%減少するのに要する時間を指す。本発明のリガンドは体内で安定化され、半減期は分解および/またはクリアランスや隔離に耐える分子に結合することにより延長されている。通常は、この分子は自然発生タンパク質であり、それ自体、体内で長い半減期を有している。そのリガンドの体内機能活性が、半減期延長分子には特異的でない類似リガンドよりも長期間持続する場合、リガンドの半減期は延長される。このように、HSAに特異的なリガンドと2つの標的分子とを、HSAに対する特異性のない、同じリガンドで比較する。すなわち、このリガンドはHSAに結合しないで他の分子に結合する。例えば、細胞上の第3の標的に結合する可能性もある。典型的には、半減期は、10%、20%、30%、40%、50%またはこれ以上延長される。2x、3x、4x、5x、10x、20x、30x、40x、50x、またはこれ以上の半減期延長も可能である。この代わりに、または、これに追加して30x、40x、50x、60x、70x、80x、90x、100x、150xの半減期延長も可能である。
【0040】
本明細書で使われている「低度のストリンジェンシー(low stringency)」、「中度のストリンジェンシー(medium stringency)」、「高度のストリンジェンシー(high stringency)」または「非常に高度のストリンジェンシー(very high stringency)」の条件は、核酸ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件を表している。ハイブリダイゼーション反応のためのガイダンスは、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N.Y. (1989), 6.3.1-6.3.6、で見ることが出来、この全体が参照により本明細書に組み込まれる。この文献に水相、および非水相法が記載されており、いずれの方法も使用可能である。本明細書で言及される具体的なハイブリダイゼーション条件は次のとおりである:(1)低度のストリンジェンシーでのハイブリダイゼーション条件は、6X塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中で約45℃、続いて0.2XSSC、0.1%SDS中で少なくとも50℃で2回洗浄(低度のストリンジェンシー条件の場合、洗浄温度を55℃まで上げることができる);(2)中度のストリンジェンシーでのハイブリダイゼーション条件は、6XSSC中で約45℃、続いて0.2XSSC、0.1%SDS中で60℃にて1回または複数回洗浄;(3)高度のストリンジェンシーでのハイブリダイゼーション条件は、6XSSC中で約45℃、続いて0.2XSSC、0.1%SDS中で65℃にて1回または複数回洗浄;および任意選択で、(4)非常に高度のストリンジェンシーでのハイブリダイゼーション条件は、0.5Mリン酸ナトリウム、7%SDS中で65℃、続いて0.2XSSC、1%SDS中で65℃にて1回または複数回洗浄である。非常に高度のストリンジェンシー条件(4)が好適な条件であり、特に断らない限り、採用すべき条件である。
【0041】
本明細書に記載の配列と類似した配列または相同な配列(例えば、少なくとも約70%の配列同一性)も本発明の一部である。ある実施形態では、アミノ酸レベルでの配列同一性は、約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上であってもよい。核酸レベルでは、配列同一性は約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上であってもよい。あるいは、核酸セグメントが選択的ハイブリダイゼーション条件(例えば、非常に高度のストリンジェンシーでのハイブリダイゼーション条件)下でその相補鎖とハイブリダイズする場合には、実質的同一性が存在する。核酸は細胞内にあっても、細胞溶解液中に存在しても、あるいは部分的に精製されたもしくは実質的に純粋な形態で存在してもよい。
【0042】
2つの配列間の「相同性」または「配列同一性」または「類似性」(本明細書ではこれらの用語を互換的に用いる)の計算は次のように行う。最適な比較のために配列をアライメントする(例えば、最適なアライメントのために第1および第2のアミノ酸または核酸配列の一方または両方にギャップを導入することができ、また、比較のために非相同配列を無視することができる)。一実施形態では、比較のためにアライメントされる参照配列の長さは、その参照配列の長さの少なくとも30%、任意選択で少なくとも40%、任意選択で少なくとも50%、任意選択で少なくとも60%、任意選択で少なくとも70%、80%、90%、または100%である。その後、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置のアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。第1の配列のある位置が、第2の配列の対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドで占められている場合には、それらの分子はその位置で同一である(本明細書で用いるアミノ酸または核酸の「相同性」は、アミノ酸または核酸の「同一性」と同等である)。2つの配列間の同一性パーセントは、これら2つの配列の最適なアライメントのために導入する必要があるギャップの数および各ギャップの長さを考慮して、これらの配列により共有される同一位置の数の関数である。
【0043】
本明細書で定義されるアミノ酸およびヌクレオチド配列のアライメント、ならびに相同性、類似性または同一性は、任意選択として、デフォルトパラメーターを用いて、アルゴリズムBLAST 2 Sequencesにより作製し、決定してもよい (Tatusova, T.A. et al., FEMS Microbiol Lett, 174:187-188 (1999))。あるいは、配列アライメントのためにBLASTアルゴリズム(バージョン2.0)を、デフォルト値に設定されたパラメーターと共に用いる。BLAST(Basic Local Alignment Search Tool)はプログラムblastp、blastn、blastx、tblastn、およびtblastxに採用されている帰納的検索アルゴリズムである。これらのプログラムの有用性は、KarlinおよびAltschulの統計的方法(1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87(6):2264-8)を使った検索結果の恩恵によるものである。
【0044】
特に断らないかぎり、本明細書で用いる技術用語および科学用語はすべて、当分野(例えば、細胞培養、分子遺伝学、核酸化学、ハイブリダイゼーション技法および生化学)の通常の知識を有する者が普通に理解している意味と同じ意味を有する。分子的、遺伝学的および生化学的方法(一般的には、Sambrookら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第2版 (1989) Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.およびAusubelら, Short Protocols in Molecular Biology (1999) 第4版, John Wiley & Sons, Inc.を参照されたい;これらを参照することにより本明細書に含める)、ならびに化学的方法については、標準的手法が使われる。
【0045】
本明細書で使われている用語「IL−13アンタゴニスト」または「抗IL−13アンタゴニスト」等は、IL−13に結合しIL−13の(すなわち、一つのまたは複数の)機能を阻害する薬剤(例えば分子や化合物)を指す。例えば、IL−13アンタゴニストはIL−13受容体へのIL−13の結合を阻害し、および/または、IL−13受容体経由のシグナル伝達を阻害することが出来る。従って、IL−13媒介過程と細胞反応がIL−13アンタゴニストにより阻害され得る。
【0046】
本明細書で使われている「ペプチド」は、ペプチド結合で結合した約2〜50アミノ酸を指す。
【0047】
本明細書で使われている「ポリペプチド」は、ペプチド結合で結合した少なくとも約50アミノ酸を指す。ポロペプチドは通常三次構造を含み、折り畳まれて機能ドメインを形成している。
【0048】
本明細書で使われている、「プロテアーゼ分解に耐性がある」は、ペプチドまたはポリペプチド(例えばドメイン抗体(dAb))が、プロテアーゼ活性好適条件下でプロテアーゼとインキュベートした場合プロテアーゼにより実質的に分解されないということである。プロテアーゼ活性好適温度で約1時間プロテアーゼと一緒にインキュベーション後、このタンパク質がプロテアーゼにより分解されたのは、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約14%以下、約13%以下、約12%以下、約11%以下、約10%以下、約9%以下、約8%以下、約7%以下、約6%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、約1%以下、にすぎない、または、実質的に分解されていない場合、ポリペプチド(例えばdAb)は実質的に分解されていないことになる。例えば、37℃または50℃である。タンパク質分解は、任意の好適な方法、例えば本明細書に記載のSDS−PAGEまたは機能アッセイ(例えばリガンド結合)によって評価することができる。
【0049】
本明細書で使われている「ディスプレイシステム」は、物理的、化学的または機能的特性、等の所望特性を基準にして選択する目的で、ポリペプチドやペプチドのコレクションにアクセス可能なシステムを指す。ディスプレイシステムはポリペプチドやペプチドの適切なレパートリー(例えば、溶液の形で、適切な担体上に固定されて)であってもよい。また、ディスプレイシステムは、細胞発現システム(例えば、形質転換、感染、核酸導入、または形質導入、等を行った細胞の核酸発現ライブラリ、および細胞表面へのコード化ポリペプチドのディスプレイ)、あるいは、無細胞発現システム(例えば、エマルジョン分画とディスプレイ)を採用してもよい。代表的なディスプレイシステムでは、核酸のコード機能と、核酸によりコードされたポリペプチドやペプチドの物理的、化学的、および/または、機能特性とを結びつける。このようなディスプレイシステムが採用されると、所望の物理的、化学的、および/または、機能特性を有するポリペプチドやペプチドが選択でき、選択されたポリペプチドやペプチドをコードする核酸を容易に単離、回収できる。核酸のコード機能とポリペプチドやペプチドの物理的、化学的、および/または、機能特性とを結びつけるいくつかのディスプレイシステムが当業者には既知であり、例えば、バクテリオファージディスプレイ(ファージディスプレイ、例えばファージミドディスプレイ)、リボソームディスプレイ、エマルジョン分画とディスプレイ、酵母ディスプレイ、ピューロマイシンディスプレイ、細菌ディスプレイ、プラスミド上のディスプレイ、共有結合ディスプレイ、等(例えば、EP 0436597 (Dyax), 米国特許第6,172,197号 (McCafferty et al.), 米国特許第6,489,103号 (Griffiths et al.)参照))がある。
【0050】
本明細書で使われている「レパートリー」は、アミノ酸配列の多様性で特徴付けられるポリペプチドやペプチドのコレクションを指す。それぞれのレパートリーのメンバーは、共通の構造特性(例えば、共通のコア構造)、および/または共通の機能特性(例えば、共通のリガンド(例えば、包括的なリガンドや標的リガンド、IL−13)に結合する能力)、等の共通の特徴を有する。
【0051】
本明細書で使われている「機能的」は、特異的結合活性等の生物学的活性を有するポリペプチドやペプチドの特徴を説明する。例えば、用語「機能的ポリペプチド」は、抗原結合部位により標的抗原に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを含む。
【0052】
本明細書で使われている「包括的リガンド」は、所与のレパートリーの機能的メンバーの実質的部分(例えば、実質的に全部)に結合するリガンドを指す。包括的リガンド(例えば、包括的な共通リガンド)は、メンバーが共通標的リガンドに対し結合特異性を持っていなくても、所与のレパートリーの多くのメンバーと結合可能である。通常、ポリペプチド上の包括的な機能的リガンド結合部位が存在する(包括的リガンドに結合する能力で示されるように)と、ポリペプチドは正しく折り込まれ、機能する。包括的リガンドの適切な例には、超抗原や、レパートリーの一部の実質的な機能的メンバー上に発現したエピソードに結合した抗体、等を含む。
【0053】
「超抗原」は、これらタンパク質の標的リガンド結合部位から離れた部位で、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーと相互作用する包括的リガンドを指す技術用語である。ブドウ球菌エンテロトキシンは、T細胞受容体と相互作用する超抗原の例である。抗体と結合する超抗原には、IgG定常領域と結合するGタンパク質(Bjorck and Kronvall, J. Immunol., 133:969 (1984))、TgG定常領域やVドメインと結合するAタンパク質(Forsgren and Sjoquist, J. Immunol., 97:822 (1966))、およびVドメインと結合するLタンパク質(Bjorck, J. Immunol., 140:1194 (1988))が含まれる。
【0054】
本明細書で使われている「抗体フォーマット」は、その構造上の抗原に対する結合特異性を与えるために一つまたは複数の抗体可変ドメインが組み込まれている任意の適切なポリペプチド構造を指す。多様な好適抗体フォーマットが当業者には既知であり、例えば、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、単鎖抗体、二重特異性抗体、抗体重鎖、抗体軽鎖、抗体重鎖および/もしくは軽鎖のホモ二量体・ヘテロ二量体、上記いずれかの抗原結合フラグメント(例えばFvフラグメント(単鎖Fv(scFv)、ジスルフィド結合Fv等)、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’) フラグメント)、単一抗体可変ドメイン(例えば、dAb、V、VHH、V)、および上記いずれかの改変型(例えば、ポリエチレングリコール、または他の適切なポリマーやヒト化VHHの共有結合による改変))がある。
【0055】
本明細書で使われている「流体力学的サイズ」は、水溶液中の分子の拡散から求めた分子(例えば、タンパク質分子、リガンド)の見かけ上の大きさを指す。溶液中のタンパク質の拡散や運動を適切に処理してタンパク質の見かけ上の大きさを導き出すことが出来き、この方式ではタンパク質粒子の大きさが「ストークス半径」または「流体力学的半径」として得られる。タンパク質の「流体力学的サイズ」は、質量と形状(立体配座)に依存する。すなわち、同じ分子質量の2つのタンパク質がその全立体配座に依存して異なる流体力学的サイズを持ち得るということである。
【0056】
本明細書で使われている「競合する」は、第1の標的(例えばIL−13)のそのコグネイトの標的結合ドメイン(例えば、免疫グロブリン単一可変ドメイン)への結合が、前記コグネイト標的に対し特異的な第2の結合ドメイン(例えば、免疫グロブリン単一可変ドメイン)が存在する場合に、阻害されることを意味する。例えば、結合ドメインの物理的ブロックにより、または標的に対するアフィニティやアビディティが低下するような結合ドメインの構造もしくは環境の変化により、結合が立体的に阻害され得る。競合的ELISA法および競合的BiaCore法の実験により第1と第2の結合ドメインの間での競合を測定する方法の詳細ついては、WO2006038027を参照のこと。この詳細は、参照により本明細書に組み込まれるが、ここには本発明における利用に関して明瞭な開示がなされている。
【0057】
本発明者は、DOM10−53−474(配列番号1)の位置28(Kabatナンバリング)の変異が、IL−13に対しさらに大きな効力のあるdAb派生体の提供を実現した。ヒトと少なくとも一つの非ヒト霊長類のIL−13(例えば、カニクイザルおよび/またはアカゲザル)の間の交差反応のような付加的な利点も生じる可能性がある。さらに、原核細胞での有益な発現も得られる可能性がある。
【0058】
そのため、一つの態様では、本発明は、DOM10−53−474(配列番号1)と比較して1、2、3、4または5のアミノ酸変化以外はDOM10−53−474(配列番号1)と同一のアミノ酸配列を含み、この単一可変ドメインがKabatナンバリングで位置28にバリンを有し、さらに任意選択で単一可変ドメインはDOM10−53−616(配列番号5)からなるものではない、抗インターロイキンー13(IL−13)免疫グロブリン単一可変ドメインを提供する。
【0059】
また、本明細書で用語「dAb」(ドメイン抗体)に言及している。dAbは「免疫グロブリン単一可変ドメイン」のことである。
【0060】
本発明者は、配列モチーフXGX’X”(ここで、GはKabatナンバリングによる位置54であり、X=HまたはKであり;X’=GまたはKであり;およびX”=KまたはIである)を有するDOM10−53−474dAb派生体はIL−13結合に対しさらに有効であることも理解した。ヒトと少なくとも一つの非ヒト霊長類IL−13(例えば、カニクイザルおよび/またはアカゲザル)の間の交差反応のような付加的な利点も生じる可能性もある。さらに、原核細胞での発現増加という利点も得られる可能性がある。
【0061】
そのため、第二の態様では、本発明は、DOM10−53−474(配列番号1)と比較して1、2、3、4または5のアミノ酸変化以外はDOM10−53−474と同一のアミノ酸配列を含み、この単一可変ドメインが配列XGX’X”を有し、ここでGはKabatナンバリングによる位置54であり、
X=HまたはKであり;
X’=GまたはKであり;
X”=KまたはIであり、
さらに任意選択で単一可変ドメインはDOM10−53−616(配列番号5)からなるものではない、抗インターロイキンー13(IL−13)免疫グロブリン単一可変ドメインを提供する。
【0062】
第二の態様の一実施形態では、可変ドメインは、Kabatナンバリングで位置28にバリンを有する。
【0063】
第二の態様の一実施形態では、単一可変ドメインは、
KGGK;
XGKI;または
HGKI;
を含み、ここでG(または、KGGKに対する最初のG)はKabatナンバリングで位置54にある。
【0064】
第二の態様の一実施形態では、単一可変ドメインのCDR2(Kabatによる)は、配列SIDW[Z]TYYADSVKGを有し、ここで[Z]は前に定義したXGX’X”、KGGK、KGKIおよびHGKIから選択される。
【0065】
いずれの態様においても、可変ドメインは、任意選択で位置30、53、55、56(Kabatのナンバリングによる)の一つまたは複数のアミノ酸変化(DOM10−53−474(配列番号1)に対して)を有することができる。任意選択として、可変ドメインは、
a)位置30(Kabatナンバリングによる)にプロリン、および/または
b)位置53(Kabatナンバリングによる)にリシン、および/または
c)位置55(Kabatナンバリングによる)にグリシンまたはリシン、および/または
d)位置56(Kabatナンバリングによる)にイソロイシンまたはリシン
を有してもよい。
【0066】
一実施形態として、単一可変ドメインは位置55にリシンを、位置56にイソロイシンを有する(Kabatナンバリングによる)。
【0067】
一つの態様では、本発明は、抗インターロイキン−13(IL−13)免疫グロブリン単一可変ドメインを提供する。この可変ドメインでは、CDR(例えば、Kabatの決定に従って)はDOM10−53−474(配列番号1)のCDRと同一であり、単一可変ドメインが、Kabatナンバリングで位置28にバリンを含む。任意選択で、単一可変ドメインのアミノ酸配列がDOM10−53−474(配列番号1)と比較して1、2、3、4または5のアミノ酸変化を有し、ここで、一つまたは複数の変化は、CDR(例えば、KabatやChothiaによるCDR2)中に任意に存在してもよい。また、任意選択として、単一可変ドメインはDOM10−53−616 (配列番号5)からなるものではない。
【0068】
一つの態様では、本発明は、抗インターロイキンー13(IL−13)免疫グロブリン単一可変ドメインを提供し、この可変ドメインでは、CDR(例えば、Kabatの決定に従って)は、単一可変ドメインが前に定義したSIDW[Z]TYYADSVKG、XGX’X”、KGGK、XGKIまたはHGKIモチーフを含むこと以外は、DOM10−53−474(配列番号1)のCDRと同一である。任意選択として、単一可変ドメインがKabatナンバリングで位置28にバリンを含んでもよい。さらに、任意選択として、単一可変ドメインはDOM10−53−616 (配列番号5)からなるものではない。
【0069】
さらなる態様では、本発明は、抗インターロイキンー13(IL−13)免疫グロブリン単一可変ドメインを提供し、ここで、可変ドメインがDOM10−53−546(配列番号2);DOM10−53−567(配列番号3);DOM10−53−568(配列番号4);またはDOM10−53−616(配列番号5)である。さらなる態様では、本発明は、抗インターロイキンー13(IL−13)免疫グロブリン単一可変ドメインを提供し、ここで、可変ドメインがDOM10−53−546(配列番号2);DOM10−53−567(配列番号3);またはDOM10−53−568(配列番号4)である。
【0070】
一つの態様では、本発明は、DOM10−53−546(配列番号6);DOM10−53−567(配列番号7);DOM10−53−568(配列番号8);またはDOM10−53−616(配列番号9)のヌクレオチド配列によりコードされる抗インターロイキンー13(IL−13)免疫グロブリン単一可変ドメインを提供する。任意選択として、単一可変ドメインはDOM10−53−616(配列番号5)からなるものではない。
【0071】
一つの態様では、本発明は、特異的にヒトIL−13、および少なくとも一つの非ヒト霊長類IL−13に結合する抗インターロイキンー13(IL−13)免疫グロブリン単一可変ドメインを提供する。例えば、その可変ドメインは、特異的にヒトIL−13、およびカニクイザル、および/またはアカゲザルIL−13、および/またはヒヒIL−13、例えば、ヒトおよびカニクイザルIL−13、または、ヒトおよびアカゲザルIL−13、または、ヒトおよびヒヒIL−13、または、ヒト、アカゲザルおよびカニクイザルIL−13に結合する。単一可変ドメインは、任意選択で先のいずれかの態様に準じることが可能である。また、任意選択により、単一可変ドメインはDOM10−53−616(配列番号5)からなるものではない。一実施態様では、可変ドメインは、ヒトIL−13および前記のまたは各非ヒト霊長類 IL−13と、約5nM以下の解離定数(Kd)で結合する。任意選択として、解離定数は、約4nM以下、約3nM以下、約2nM以下、または約1nM以下であってもよい。一実施態様では、可変ドメインは、
(i)ヒトIL−13と解離定数(Kd)約1nM以下、以降任意選択で約500pM以下、約250pM以下、約150pM以下、約100pM以下、約1nM〜約10pM、約1nM〜約50pM、約1nM〜約70pM、約500pM〜約10pM、約500pM〜約50pM、約500pM〜約70pM、250pM〜約10pM、約250pM〜約50pM、約250pM〜約70pM、約150pM〜約10pM、約150pM〜約50pM、約150pM〜約70pM、約100pM〜約10pM、約100pM〜約50pMまたは約100pM〜約70pM;
(ii)非ヒト (例えば、カニクイザル, アカゲザルまたはヒヒ) IL−13と解離定数(Kd)5nM以下、以降任意選択として、4、3、2または1nM以下、5〜約1nM、
で結合する。一実施形態では、追加として、あるいは代わりとして、単一可変ドメインはKabatナンバリングによる位置28にバリンを含む。一実施形態では、追加として、あるいは代わりとして、単一可変ドメインは、配列XGX’X”を含み、ここで、GはKabatナンバリングで位置54にあり、
X=HまたはKであり;
X’=GまたはKであり;
X”=KまたはIである。
【0072】
一実施形態では、追加として、あるいは代わりとして、可変ドメインは、
a)位置30(Kabatナンバリングによる)にプロリン、および/または
b)位置53(Kabatナンバリングによる)にリシン、および/または
c)位置55(Kabatナンバリングによる)にグリシンまたはリシン、および/または
d)位置56(Kabatナンバリングによる)にイソロイシンまたはリシン、
を有する。
【0073】
一実施形態では、追加として、あるいは代わりとして、可変ドメインが、位置55にリシンを、位置56(Kabatナンバリングによる)にイソロイシンを有する。
【0074】
全ての態様において以下にあるような一つまたは複数の利点が認められるため、本発明の単一可変ドメインは、有益である:
(i) ヒトIL−13に対し優れた効能(DOM10−53−474より良い効能);
(ii) カニクイザルIL−13に対して優れた効力(DOM10−53−474より良い効力);
(iii)アカゲザルIL−13に対して優れた効力(DOM10−53−474より良い効力);
(iv) ヒトおよび非ヒト霊長類 (例えば、カニクイザル、アカゲザルまたはヒヒ)IL−13に対して優れた効力(DOM10−53−474より良い効力);
(v) ヒト、カニクイザル、およびアカゲザルIL−13に対して優れた効力(DOM10−53−474より良い効力);
(vi) 原核細胞で優れた発現(任意選択としてDOM10−53−474より良好);
(vii)ヒトIL−13に対する優れた中和性能(DOM10−53−474より良好);
(viii)カニクイザルIL−13に対する優れた中和性能(DOM10−53−474より良好);
(ix) アカゲザルIL−13に対する優れた中和性能(DOM10−53−474より良好);
(x) ヒトおよび非ヒト霊長類 (例えば、カニクイザル、アカゲザルまたはヒヒ) IL−13に対する優れた中和性能(DOM10−53−474より良好);
(xi) ヒト、カニクイザル およびアカゲザルIL−13に対する優れた中和性能(DOM10−53−474より良好);
(xii)二種以上の霊長類IL−13の間の交差反応性(任意選択で、ヒトとカニクイザル、および/またはアカゲザルIL−13、例えば、ヒトとカニクイザルIL−13;またはヒトとアカゲザルIL−13;またはヒトとヒヒIL−13;ならびに
(xiii)プロテアーゼの安定性(任意選択として、トリプシンの安定性)。
【0075】
利点(i)〜(v)は、一実施形態で、表面プラズモン共鳴法、例えば、BiacoreTM により測定できる。ある実施形態では、より優れた効力は解離定数(Kd)で判断できる。
【0076】
利点(vi)は、一実施形態で、大腸菌における発現によって測定可能である。ある実施形態で、本発明の単一可変ドメインが良好に発現する(大腸菌中で、少なくとも3 mg/L、例えば少なくとも5、10、15、20 mg/L)。
ある実施形態では、本発明の単一可変ドメインがピキア・パストリスまたは酵母類中で良好に発現する。
【0077】
利点(vii)〜(xi)は、一実施形態において、ELISAまたは標準的HEK STATアッセイにより測定した中和能力により決定できる。ある実施形態では、中和能力はEC50により表される。
【0078】
利点(xii)は、一実施形態では、ELISA、BiacoreTM または標準的HEK STATアッセイにより測定できる。ある実施形態では、交差反応性は解離定数(Kd)で示される。
【0079】
利点(xiii)は、一実施形態では、以下のように測定可能である:
0.3 mg/mlの単一可変ドメインをトリプシン(例えば、トリプシン活性 >5000unit/mg)と25:1のdAb:トリプシンの比率にして、PBSバッファー中で混合する。30℃で24時間インキュベーション後、インキュベーション後に残っている活性dAbが測定できる。
【0080】
一実施形態では、活性dAbの存在は残っているdAb活性率として求められ、これは表面プラズモン共鳴(例えば、BiacoreTM)により測定される。少なくとも20%(例えば、少なくとも30%、40%、または50%)の活性率は、プロテーゼ安定性を示すものである。別の実施形態では、プロテーゼ安定性dAbはELISAを使って求められ、この場合プロテーゼ安定性の可変ドメインはインキュベーション後のELISAのOD45の読み値で少なくとも0.404を有する。別の実施形態では、活性dAbは、インキュベーション後に、dAbが特異的にAタンパク質またはLタンパク質に結合しているかどうかで決定される。別の実施形態では、活性dAbは、ゲル電気泳動により求められ、プロテーゼ安定性の可変ドメインはインキュベーション後のゲル電気泳動で実質的に単一のバンドとして現れる。
【0081】
一実施形態では、本発明の単一可変ドメインは利点(iv)と(x)を有する。別の実施形態では、本発明の単一可変ドメインは利点(v)と(xi)を有する。任意選択として、単一可変ドメインはDOM10−53−616(配列番号5)からなるものではない。
【0082】
一実施形態では、本発明は、本明細書に開示されたあらゆる疾病や疾患を対象としたあらゆる用途、利点、治療および/または予防を目的とした本発明に係る単一可変ドメインを提供する。一実施形態では、本発明は、本明細書に開示されたあらゆる疾病や疾患を対象としたあらゆる用途、便宜、治療および/または予防のためのIL−13 アンタゴニストの製造における本発明に係る単一可変ドメインの使用を提供する。これらの記載は、本明細書の請求項への移入に際して明瞭な基礎となるものである。
【0083】
本発明の単一可変ドメイン(DOM10−53−546、DOM10−53−567、DOM10−53−568およびDOM10−53−616)は、表面プラズモン共鳴(例えば、BiacoreTM)により測定されたIL−13結合の解離定数(Kd)が示すように、ヒトおよびカニクイザル(cyno)IL−13の両方に対して優れた効能を示す。本発明の単一可変ドメインはDOM10−53−474よりずっと良い効力がある。DOM10−53−567およびDOM10−53−568は、ヒトおよびカニクイザルIL−13の両方に対し最良の効力を示す。
【0084】
本発明の単一可変ドメイン(DOM10−53−546、DOM10−53−567、DOM10−53−568およびDOM10−53−616)は、一つまたは複数の霊長類IL−13の間で交差反応性を示す。一つの態様では、本発明は、二種以上の霊長類IL−13種間で交差反応する単一可変ドメインを提供するために単一可変ドメインを提供し、この組合せには、任意選択で、ヒトと非ヒト霊長類IL−13間、さらに任意選択で(i)ヒトとカニクイザルIL−13種、(ii)ヒトとアカゲザル IL−13種、(iii)ヒト、カニクイザルと アカゲザルIL−13種、または(iv)ヒトとヒヒIL−13種、間がある。一つの態様では、本発明は、二種以上の霊長類IL−13種間で交差反応を起こすIL−13 アンタゴニストの製造における本発明の単一可変ドメインの使用を提供し、この組合せには、任意選択で、ヒトと非ヒト霊長類IL−13間、さらに任意選択で(i)ヒトとカニクイザルIL−13種、(ii)ヒトとアカゲザル IL−13種、(iii)ヒト、カニクイザルと アカゲザルIL−13種、または(iv)ヒトとヒヒIL−13種、間がある。可変ドメインは特異的にヒトおよび非ヒト霊長類 IL−13(例えば、ヒト、カニクイザルと アカゲザルIL−13種が可変ドメインにより結合される)と結合する。薬剤開発では、通常、その薬剤をヒトで試験する前にカニクイザルやアカゲザル等の非ヒト霊長類系を使って主要候補薬剤の試験が必要なため、このことは特に有用である。ヒトや他の霊長類IL−13種に結合する薬剤の提供によって、このシステムでの結果を試験することが出来、同じ薬剤を使ったデータの対照比較が可能となっている。これにより、非ヒトIL−13に支障となる薬剤、およびヒトIL−13に支障となる別の薬剤を見つけ出すことが必要という面倒を避けられ、また、非等価薬剤使ったヒトと非ヒト霊長類の結果の比較を回避出来る。
【0085】
任意選択で、少なくとも一つの非ヒト霊長類(例えば、カニクイザルおよび/またはアカゲザルおよび/またはヒヒ)IL−13に対する免疫グロブリン単一可変ドメインの結合アフィニティとヒトIL−13に対する免疫グロブリン単一可変ドメインの結合アフィニティは、10、50、100、500、または1000の倍数以下で異なる。一つの態様では、本発明は、少なくとも一つの非ヒト霊長類(例えば、カニクイザルおよび/またはアカゲザルおよび/またはヒヒ)IL−13に対する免疫グロブリン単一可変ドメインのアフィニティとヒトIL−13に対するアフィニティが10、50、100、500、または1000の倍数以下で異なるという条件で、本発明に係る単一可変ドメインを提供する。一つの態様では、本発明はIL−13 アンタゴニストの製造にための本発明に係る単一可変ドメインの使用を提供し、この場合、非ヒト霊長類(例えば、カニクイザルおよび/またはアカゲザルおよび/またはヒヒ)IL−13に対する免疫グロブリン単一可変ドメインのアフィニティとヒトIL−13に対するアフィニティが10、50、100、500、または1000の倍数以下で異なる。
【0086】
本発明の単一可変ドメイン(DOM10−53−546、DOM10−53−567、DOM10−53−568およびDOM10−53−616)は、二種以上の霊長類IL−13を中和することが出来る。一つの態様では、本発明は、二種以上の霊長類IL−13の中和のために本発明に係る単一可変ドメインを提供し、中和のための組合せの任意選択肢としては、(i)ヒトとカニクイザルIL−13種、(ii)ヒトおよびアカゲザルIL−13種、(iii)ヒト、カニクイザルおよびアカゲザルIL−13種、または(iv)ヒトおよびヒヒIL−13種、がある。一つの態様では、本発明は、IL−13 アンタゴニストの製造のため、また二種以上の霊長類種IL−13の中和のため、任意選択で(i)ヒトとカニクイザルIL−13種、(ii)ヒトとアカゲザルIL−13種、(iii)ヒト、カニクイザルおよびアカゲザルIL−13種、または(iv)ヒトおよびヒヒIL−13種の中和のための、本発明に係る単一可変ドメインの使用を提供する。後の実施例で示されるように、DOM10−53−546、DOM10−53−567、DOM10−53−568およびDOM10−53−616は、ELISAまたはHEK STATアッセイで、試験した全ての形態のIL−13(ヒト、カニクイザルおよびアカゲザルIL−13)に対し中和作用を示した。DOM10−53−546、DOM10−53−567、およびDOM10−53−568は、ヒト、カニクイザルおよびアカゲザルIL−13に対しさらに良好な中和能を示した。DOM10−53−616は、カニクイザルおよびアカゲザルIL−13に対しDOM10−53−474より優れた中和剤であり、ヒトIL−13に対しては概して同程度の効果であった。
【0087】
単一可変ドメイン(DOM10−53−567とDOM10−53−568)は、特にプロテアーゼに安定である。一つの態様では、本発明は、プロテアーゼに安定な単一可変ドメイン、またはIL−13 アンタゴニストを提供するための本発明の単一可変ドメインを提供する。一つの態様では、本発明は、プロテアーゼに安定なIL−13アンタゴニストを提供するためのIL−13 アンタゴニストの製造における本発明の単一可変ドメインの使用を提供する。プロテアーゼの安定性は次のようにして求められる:
0.3 mg/mlの単一可変ドメインをトリプシン(例えば、トリプシン活性 >5000unit/mg)と25:1のdAb:トリプシンの比率にして、PBSバッファー中で混合する。30℃で24時間インキュベーション後、インキュベーション後残っている活性dAb%が求まる(例えば、BiacoreTM を使って)。24時間後の少なくとも20%の活性率(例えば、少なくとも、30%、40%または50%)は、dAbのプロテアーゼ安定性を示すものである。
【0088】
ここでWO2008149143を参照する。参照によりこの出願の全体を本明細書に組み込み、本明細書で、プロテアーゼ耐性のポリペプチドおよびdAb;これらの選択方法(使用可能な別のプロテアーゼおよび選択条件の開示を含む);これらの使用;組成物、リガンドおよびこれらを含む産物;当該ポリペプチドおよびdAbの利点、に関するさらなる開示を行う。これらの開示は、本開示に明確に含まれ、本発明に使われる本開示の一部を形成する。
【0089】
ポリペプチドおよびペプチドは、医療、治療、および診断用薬剤としての産業上の応用と利用を含む種々の応用に対して、ますます重要な薬剤になってきている。しかし、炎症状態(例えばCOPD)、および癌、等の特定の生理学的状態では、組織、器官、または動物中(肺の中、腫瘍の中、または、腫瘍に近接した)に存在するプロテアーゼの量が増加する可能性がある。このプロテアーゼの増加により、内因性タンパク質や治療用ペプチド、ポリペプチド、および疾患治療に投与されたタンパク質の急速分解・失活が起こる。従って、体内での使用(例えば、ヒト等の哺乳動物の疾患の治療、診断または予防での使用)で効力のある一部の薬剤がプロテアーゼによって急速に分解・失活するという理由で、限られた効果しか持たないことになる。
【0090】
プロテアーゼ耐性のポリペプチドはいくつかの利点がある。例えば、プロテアーゼ耐性ポリペプチドは、プロテアーゼ感受性の薬剤より体内で長い時間活性を維持し、従って、生化学的効果を生み出すのに充分な期間にわたって機能を維持出来る。プロテアーゼ分解に耐性を示し、また所望の生物学的活性を有するポリペプチドを選択する改良法を求める要望がある。肺を含む系統である消化管(GI tract)および/または肺系統中の体液や組織中に分布するプロテアーゼへの耐性を有するペプチドやポリペプチドを提供することは特に有用であろう。消化管と肺系統は両方ともヒト等の哺乳動物の疾患や悪性状態に関係する部位であり、この意味でもプロテアーゼ耐性ペプチドとポリペプチド薬剤は有用であろう。
【0091】
本発明の単一可変ドメイン(DOM10−53−546およびDOM10−53−616)は原核細胞においてDOM10−53−474より遙かに良好な発現レベルを示した。一つの態様では、本発明は、原核細胞中でDOM10−53−474の発現より優れた発現を行う単一可変ドメインを提供するために本発明の単一可変ドメイン(例えば、DOM10−53−546およびDOM10−53−616)を提供する。一つの態様では、IL−13 アンタゴニストの製造における本発明の単一可変ドメイン(例えば、DOM10−53−546およびDOM10−53−616)の使用を提供する。この場合、単一可変ドメインは、原核細胞中でDOM10−53−474の発現より優れた発現を行う。
【0092】
先に述べた本発明のいずれの態様の実施形態でも、単一可変ドメインはヒト、カニクイザルおよびアカゲザルIL−13と特異的に結合する。特異的結合は、10マイクロモル以下の解離定数 Kdで表され、1マイクロモル以下のKdも任意に選択可能である。抗原結合タンパク質の抗原またはエピトープに対する特異的結合は、例えば、スキャッチャード解析、および/または競合的結合アッセイ、例えば放射性免疫検定法(RIA)等、ELISAおよびおよびサンドイッチ競合的アッセイ等の酵素免疫測定法、、ならびにこれらの様々な変種、を含む適切なアッセイによって測定可能である。
【0093】
結合アフィニティは、任意選択肢として、Biacoreシステム(Uppsala、Sweden)を使って表面プラズモン共鳴(SPR)やBiacore(Karlsson et al., 1991)により測定してもよい。Biacoreシステムは、表面プラズモン共鳴(SPR, Welford K. 1991, Opt. Quant. Elect. 23:1; Morton and Myszka, 1998, Methods in Enzymology 295: 268)を使いリアルタイムに生体分子間相互作用をモニターし、300nmの深さまでの屈折率の変化の結果としてガラス支持上の金薄膜表面の光の共鳴角度変化を検出することが可能な表面プラズモン共鳴を使う。Biacore解析は、好都合にも、会合速度定数、解離速度定数、平衡解離定数、および親和性定数を生成する。結合アフィニティは、Biacoreプラズモン共鳴システム(Biacore、Inc.社)を使って、会合と解離速度定数を評価することにより得られる。製造メーカー(Biacore)の説明書によれば、のバイオセンサーチップが標的の共有結合のために活性化される。次いで標的は希釈され、チップ越しに注入されて固定化物質の反応単位の信号を得る。共鳴単位(RU)で表示の信号は固定化物質の質量に比例するので、これは、マトリックス上の一連の固定化標的密度を表す。解離データは、1部位モデル(one−site model)へのフィッティングでkoff+/−s.d.(測定値の標準偏差)を得る。疑似一次反応速度定数(Kd)が、各解離曲線に対し計算され、タンパク質濃度の関数としてプロットしてkon+/−s.e.(フィットの標準誤差)を得る。結合の平衡解離定数Kdは、SPR測定からkoff/konとして計算される。
【0094】
先に述べた本発明のいずれの態様の実施形態でも、可変ドメインは、標準的HEK STATアッセイのEC50値の約0.1〜0.2 nMでヒトIL−13を中和する。ここで、EC50値は、任意選択肢として、約0.2〜約2.0 nM、約0.3〜約1.5 nM、約0.2〜約1.0 nM、または約0.3〜約1.0 nMであってもよい。一つの態様では、本発明は、標準的HEK STATアッセイのEC50値の約0.1〜0.2 nMで、また、任意選択肢として、約0.2〜約2.0 nM、約0.3〜約1.5 nM、約0.2〜約1.0 nM、または約0.3〜約1.0 nMで、ヒトIL−13を中和するために本発明の単一可変ドメインを提供する。一つの態様では、本発明は、標準的HEK STATアッセイのEC50値の約0.1〜0.2 nMで、また、任意選択肢として、約0.2〜約2.0 nM、約0.3〜約1.5 nM、約0.2〜約1.0 nM、または約0.3〜約1.0 nMで、可変ドメインまたはアンタゴニストがヒトIL−13を中和する場合の、IL−13 アンタゴニストの製造における本発明の単一可変ドメインの使用を提供する。
【0095】
先に述べた本発明のいずれの態様の実施形態でも、可変ドメインは、標準的HEK STATアッセイのEC50値の約1〜20 nMで、また、任意選択肢として、約1〜約15 nM、約2〜約15 nM、または約2〜約11.5 nMで、アカゲザルIL−13を中和する。一つの態様では、本発明は、標準的HEK STATアッセイのEC50値の約1〜20 nMで、また、任意選択肢として、約1〜約15 nM、約2〜約15 nM、または約2〜約11.5 nMで、アカゲザルIL−13を中和するための本発明の単一可変ドメインを提供する。一つの態様では、本発明は、標準的HEK STATアッセイのEC50値の約1〜20 nMで、また、任意選択肢として、約1〜約15 nM、約2〜約15 nM、または約2〜約11.5 nMで、可変ドメインまたはアンタゴニストがアカゲザル IL−13を中和する場合の、IL−13 アンタゴニストの製造における本発明の単一可変ドメインの使用を提供する。
【0096】
先に述べた本発明のいずれの態様の実施形態でも、可変ドメインは、標準的HEK STATアッセイのEC50値の約1〜20 nMで、また、任意選択肢として、約5〜約15 nM、または約5〜約10 nMで、カニクイザルIL−13を中和する。一つの態様では、本発明は、標準的HEK STATアッセイのEC50値の約1〜20 nMで、また、任意選択肢として、約5〜約15 nM、または約5〜約10 nMで、カニクイザルIL−13を中和するための本発明の単一可変ドメインを提供する。一つの態様では、本発明は、標準的HEK STATアッセイのEC50値の約1〜20 nMで、また、任意選択肢として、約5〜約15 nM、または約5〜約10 nMで、可変ドメインまたはアンタゴニストがカニクイザルIL−13を中和する場合の、IL−13 アンタゴニストの製造における本発明の単一可変ドメインの使用を提供する。
【0097】
標準的HEK STATアッセイの実施例を以下に示す:
(i) 抗IL−13dAb(または、抗IL−13dAbを含むアンタゴニスト)を6 ng/mlのIL−13と共に37℃、5%COの条件下、1時間インキュベートする;
(ii) インキュベーション混合物を、ウエル当たり5x10のHEKBlueTM−STAT6細胞(STAT6遺伝子と分泌胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)レポーター遺伝子を形質移入されたHEK293細胞)を入れたマイクロタイタープレートのDMEM(ダルベッコ変法イーグル培地)に添加する;
(iii)プレートを37℃、5%CO下で24時間インキュベートする;
(iv) レポーター遺伝子産物を検出し定量する。
【0098】
ステップ (i)で、任意選択肢として、等容積のdAbと組換え型IL−13を使って予備インキュベーションを行ってもよい。また、任意選択肢として、最高濃度の400 nm(アッセイ中の最終濃度の2X)から1/2ログ希釈を使ってdAbを滴定して8点用量反応曲線を作成し、次いでこれをIL−13とインキュベートしてもよい。ステップ(iv)で、任意選択肢として、培養上澄みをQuantiBlue(Invivogen社 )と混ぜ、640 nmで吸光度を読みとってもよい。
【0099】
抗IL−13dAb活性は、IL−13の刺激に比べSTAT6活性化と対応するA640の減少をもたらす。EC50値は当業者には既知の方法により計算できる。
【0100】
「HEK293細胞」とは、293と命名されたヒト胚腎細胞株(ATCC Number CRL−1573)またはその派生体を指す。例えば、293/SF細胞は(ATCC Number CRL−1573.1)は、HEK293であり、無血清培地中で増殖するように適合されている。また、本発明で意図されているように、HEK293細胞は、他の培養条件下でも、またはどのようなHEK293細胞種または派生体であっても増殖するように適合されている。HEKBlueTM−STAT6細胞は、4つのSTAT6結合部位に融合したIFNβ最小プロモーターの制御下で、レポーター遺伝子分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)を安定的に発現する。HEK293細胞操作およびSTAT6遺伝子と分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)レポーター遺伝子を形質移入したHEK293細胞の操作に適用される適切な構築物の詳細については、Loignon et al, “Stable high volumetric production of glycosylated human recombinant IFNalpha2b in HEK293 cells”, BMC Biotechnology 2008, 8:65を参照のこと。
【0101】
ある態様では、本発明は、本発明に係る抗IL−13免疫グロブリン単一可変ドメインを含むインターロイキンー13(IL−13)アンタゴニストを提供する。任意選択肢として、前記アンタゴニストはDOM10−53−616(配列番号5)からなるものではない。任意選択肢として、前記アンタゴニストはDOM10−53−616(配列番号5)を含むものではない。任意選択肢として、前記アンタゴニストは、モノクローナル抗体(mAb)に結合したDOM10−53−616(配列番号5)を含むものではなく、さらに任意選択しとして、ここでmAbが抗IL−4 mAbまたは抗IL−5 mAbであってもよい。
【0102】
一実施形態では、アンタゴニストは、IL−13との結合について、DOM10−53−546(配列番号2);DOM10−53−567(配列番号3);DOM10−53−568(配列番号4);またはDOM10−53−616(配列番号5)と競合する。任意選択肢として、前記アンタゴニストは、DOM10−53−616(配列番号5)からなるものではない。任意選択肢として、前記アンタゴニストは、DOM10−53−616(配列番号5)を含むものではない。任意選択肢として、前記アンタゴニストは、モノクローナル抗体(mAb)に結合したDOM10−53−616(配列番号5)を含むものではなく、さらに任意選択肢として、ここでmAbが抗IL−4 mAbまたは抗IL−5 mAbであってもよい。一実施形態では、IL−13はヒトIL−13である。別の実施形態では、IL−13はカニクイザルIL−13である。別の実施形態では、IL−13はアカゲザルIL−13である。一実施形態では、アンタゴニストは、ヒトIL−13およびカニクイザルIL−13との結合について、DOM10−53−546(配列番号2);DOM10−53−567(配列番号3);DOM10−53−568(配列番号4);またはDOM10−53−616(配列番号5)と競合する。
【0103】
別の実施形態では、アンタゴニストは、ヒトIL−13、カニクイザルIL−13およびアカゲザルIL−13との結合について、DOM10−53−546(配列番号2);DOM10−53−567(配列番号3);DOM10−53−568(配列番号4);またはDOM10−53−616(配列番号5)と競合する。任意選択肢として、前記アンタゴニストは、DOM10−53−616(配列番号5)からなるものではない。任意選択肢として、前記アンタゴニストは、DOM10−53−616(配列番号5)を含むものではない。任意選択肢として、前記アンタゴニストは、モノクローナル抗体(mAb)に結合したDOM10−53−616(配列番号5)を含むものではなく、さらに任意選択肢として、ここでmAbが抗IL−4 mAbまたは抗IL−5 mAbであってもよい。
【0104】
一つの態様では、本発明は、肺送達のための、本発明に係るあらゆる抗IL−13単一可変ドメイン(例えば、DOM10−53−616)もしくはアンタゴニスト、組成物、または融合タンパク質を提供する。一つの態様では、本発明は、患者の肺への送達のための抗IL−13単一可変ドメインまたはアンタゴニストまたは融合タンパク質を提供する。一つの態様では、本発明は、肺送達のための医薬品の製造における、本発明に係るあらゆる抗IL−13単一可変ドメイン(例えば、DOM10−53−616)もしくはアンタゴニスト、組成物、または融合タンパク質の使用を提供する。一つの態様では、本発明は、患者の肺への送達のための医薬品の製造における、本発明に係るあらゆる抗IL−13単一可変ドメイン(例えば、DOM10−53−616)もしくはアンタゴニスト、組成物、または融合タンパク質の使用を提供する。一実施形態では、可変ドメインそれ自体で、またはアンタゴニストや融合タンパク質の一部として、ロイコザイム、および/またはトリプシンに耐性を示す。
【0105】
本発明は、他の肺疾患、例えば慢性閉塞性肺疾患(COPD)または肺炎を治療、抑制または予防するための方法を提供する。本発明に従って治療、抑制または予防が可能な他の肺疾患には、例えば、嚢胞性繊維症および喘息(例えば、ステロイド耐性喘息)が含まれる。このように、別の態様では、本発明は肺疾患(例えば、嚢胞性繊維症、喘息)を治療、抑制または予防する方法であり、それを必要とする哺乳動物に、治療上有用な用量または用量の、本発明に係るポリペプチド、融合タンパク質、単一可変ドメイン (例えば、DOM10−53−616)、アンタゴニスト、または組成物を投与することを含む。
【0106】
特定の実施形態では、本発明に係るポリペプチド、融合タンパク質、単一可変ドメイン (例えば、DOM10−53−616)、アンタゴニスト、または組成物は、吸入(例えば、気管支内、鼻孔内投与、経口吸入、鼻腔内ドロップ)または全身送達(例えば、非経口、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下)等の肺送達経由で投与される。
【0107】
本発明のさらなる態様では、本発明に係るあらゆるポリペプチド、単一可変ドメイン(例えば、DOM10−53−616)、組成物、またはアンタゴニストと、薬学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤とを含む組成物が提供される。
【0108】
さらに、本発明は、本発明に係るあらゆるポリペプチド、単一可変ドメイン(例えば、DOM10−53−616)、組成物、またはアンタゴニストを用いた疾患の治療方法を提供する。ある実施形態では、疾患は、癌または炎症性疾患、例えば関節リウマチ、喘息、またはクローン病である。
【0109】
本発明のある態様では、本発明に係るあらゆるポリペプチド、単一可変ドメイン(例えば、DOM10−53−616)、組成物、またはアンタゴニストが、ヒトのIL−13媒介疾患の治療および/または予防のために提供される。別の態様では、ヒトのIL−13媒介疾患の治療または予防のための医薬品の製造におけるポリペプチド、単一可変ドメイン、組成物、またはアンタゴニストの使用が提供される。別の態様では、ヒト患者のIL−13媒介疾患の治療および/または予防方法を提供し、この方法は、本発明に係るあらゆるポリペプチド、単一可変ドメイン(例えば、DOM10−53−616)、組成物、またはアンタゴニストの患者への投与を含む。一実施態様では、IL−13媒介疾患は呼吸症状である。一実施態様では、IL−13媒介疾患は、以下から選択される:
肺炎症、慢性閉塞性肺疾患、喘息、肺炎、過敏性肺炎、好酸球増加を伴う肺湿潤物、環境性肺疾患、肺炎、気管支拡張症、嚢胞性線維症、間質性肺疾患、原発性肺高血圧症、肺血栓塞栓症、胸膜障害、縦隔障害、隔膜障害、換気低下、過呼吸、睡眠時無呼吸、急性呼吸促迫症候群、中皮腫、肉腫、移植片拒絶、移植片対宿主病、肺癌、アレルギー性鼻炎、アレルギー、石綿症、アスペルギルス腫、アスペルギルス症、気管支拡張症、慢性気管支炎、肺気腫、好球性肺炎、特発性肺線維症、侵襲性肺炎球菌疾患、インフルエンザ、非結核性抗酸菌、胸水、塵肺症、ニューモシスチス症、肺炎、肺放線菌症、肺胞タンパク症、肺炭疽、肺水腫、肺塞栓症、肺炎症、肺ヒスチオサイトーシスX、肺高血圧、肺ノカルジア症、肺結核症、肺静脈閉塞性疾患、リウマチ性肺疾患、サルコイドーシス、およびウェゲナー肉芽腫症。
【0110】
本発明のある態様では、本発明に係るポリペプチド、単一可変ドメイン(例えば、DOM10−53−616)、組成物、またはアンタゴニストを含む肺送達デバイスを提供する。このデバイスは、吸入器、または鼻腔内投与デバイスであってもよい。
【0111】
本発明のリガンド(ポリペプチド、単一可変ドメイン、組成物、またはアンタゴニスト)は、IL−13のIL−13Rα1および/またはIL−13Rα2への結合を阻害し、IL−13の活性を抑制し、ならびに/あるいはIL−13のIL−13Rα1および/またはIL−13Rα2への結合を実質的に阻害することなくIL−13の活性を抑制する。一つの態様では、本発明は、IL−13のIL−13Rα1および/またはIL−13Rα2への結合を阻害する、IL−13の活性を抑制する、ならびに/あるいはIL−13のIL−13Rα1および/またはIL−13Rα2への結合を実質的に阻害することなくIL−13の活性を抑制するための本発明に係る単一可変ドメイン(例えば、DOM10−53−616)を提供する。一つの態様では、本発明は、IL−13のIL−13Rα1および/またはIL−13Rα2への結合を阻害する、IL−13の活性を抑制する、ならびに/あるいはIL−13のIL−13Rα1および/またはIL−13Rα2への結合を実質的に阻害することなくIL−13の活性を抑制するためのIL−13アンタゴニストの製造における本発明に係る単一可変ドメイン(例えば、DOM10−53−616)の使用を提供する。
【0112】
一実施形態では、IL−13に結合するリガンド(例えば、免疫グロブリン単一可変ドメイン)は、IL−13のIL−13受容体(例えば、IL−13Rα1、IL−13Rα2)との結合を、抑制濃度50(IC50)の値が、約10μM、約1μM、約100nM、約10nM、約1nM、約500pM、約300pM、約100pM、約10pMで阻害する。任意選択肢として、IC5をインビトロで本明細書に記載されているような受容体結合アッセイを使って測定してもよい。
【0113】
リガンド(例えば、免疫グロブリン単一可変ドメイン)は、適切なインビトロアッセイにおいて中和用量50(ND50)の値が、約10μM、約1μM、約100nM、約10nM、約1nM、約500pM、約300pM、約100pM、約10pM、約1pM、約500fM、約300fM、約100fM、約10fM、でIL−13誘導機能を阻害することが任意に選択できることもまた意図されている。例えば、リガンドは、TF−1細胞を5 ng/mlの最終濃度のIL−13と混合する本明細書記載のアッセイのようなインビトロアッセイでIL−13誘導TF−1細胞増殖(ATCC Accession No.CRL−2003)を阻害できる。
【0114】
リガンドは、任意選択として、1x10B細胞を10または100 nMの抗IL−13dAbでインキュベートした本明細書に記載のアッセイのようなインビトロアッセイでIL−13誘導B細胞増殖の、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%を阻害することが可能であることも意図されている。
【0115】
本発明のある態様では、本発明に係る単一可変ドメインを含む二重特異性リガンドが提供される。より具体的な実施形態では、リガンドは、IL−4およびIL−13に対する結合特異性をを有し、IL−4に対する結合について抗IL−4ドメイン抗体(dAb)と競合するIL−4に対する結合特異性を持つ免疫グロブリン単一可変ドメインを含む。このdAbはWO2007085815に開示された抗IL−4dAb群から選択されるが、ここに記載のdAbの配列は全体が本明細書に組み込まれ本発明に係る二重特異性リガンドに適用される。任意選択で、前記リガンドはDOM10−53−616(配列番号5)からなるものではない。任意選択で、前記リガンドはDOM10−53−616(配列番号5)を含むものではない。前記リガンドは、モノクローナル抗体(mAb)として抗IL−4 mAbまたは抗IL−5 mAbから任意に選択されたmAbに結合しているDOM10−53−616(配列番号5)を含むものではない。
【0116】
本発明の全態様において、特定の、またはそれぞれの免疫グロブリン単一可変ドメインは、抗体重鎖と軽鎖の単一可変ドメイン、例えばV、V、VHH、から独立に選択される。
【0117】
一部の実施形態では、二重特異性リガンドは、IL−13に対する結合特異性を有する2つの免疫グロブリン単一可変ドメイン(例えば、2つの互いに等価なドメイン)、および別の標的(例えばIL−4)に対する結合特異性を有する2つの免疫グロブリン単一可変ドメインを含むIgG様フォーマットであってもよい。任意選択で、前記リガンドはDOM10−53−616(配列番号5)からなるものではない。任意選択で、前記リガンドはDOM10−53−616(配列番号5)を含むものではない。前記リガンドは、モノクローナル抗体(mAb)として抗IL−4 mAbまたは抗IL−5 mAbから任意に選択されたmAbに結合しているDOM10−53−616(配列番号5)を含むものではない。
【0118】
一部の実施形態では、二重特異性リガンドは抗体Fドメインを含んでもよい。任意選択で、前記リガンドはDOM10−53−616(配列番号5)からなるものではない。任意選択で、前記リガンドはDOM10−53−616(配列番号5)を含むものではない。前記リガンドは、モノクローナル抗体(mAb)として抗IL−4 mAbまたは抗IL−5 mAbから任意に選択されたmAbに結合しているDOM10−53−616(配列番号5)を含むものではない。
【0119】
一部の実施形態では、二重特異性リガンドはIgG定常ドメインを含んでもよい。任意選択で、前記リガンドはDOM10−53−616(配列番号5)からなるものではない。任意選択で、前記リガンドはDOM10−53−616(配列番号5)を含むものではない。前記リガンドは、モノクローナル抗体(mAb)として抗IL−4 mAbまたは抗IL−5 mAbから任意に選択されたmAbに結合しているDOM10−53−616(配列番号5)を含むものではない。
【0120】
他の実施形態では、本明細書に記述されたいずれのリガンドも(例えば、アンタゴニスト、または単一可変ドメイン)、半減期延長部分、例えばポリアルキレングリコール部分、血清アルブミンもしくはこれらの断片、トランスフェリン受容体もしくはそのトランスフェリン結合部分、または体内で半減期を延長するポリペプチドのための結合部位を含む部分、をさらに含む。一部の実施形態では、半減期延長部分は、体内で半減期を延長するポリペプチドのための結合部位を含む部分である。このポリペプチドは、アフィボディ、SpAドメイン、LDL受容体クラスAドメイン、EGFドメイン、およびアビマーからなる群から選ばれる。
【0121】
他の実施形態では、半減期延長部分は、ポリエチレングリコール部分である。一実施形態では、アンタゴニストは、ポリエチレングリコール部分(任意選択として、前記部分の大きさが約20 〜約50kDa、任意選択として約40kDa直鎖、または分岐PEGである)に結合している本発明の単一可変ドメインを含む(成分として含有を選択してもよい)。dAbと結合部分のPEG付加に関するより詳細はWO04081026を参照のこと。一実施形態では、アンタゴニストはPEGに結合したdAbモノマーから成る。ここで、dAbモノマーは本発明に係る単一可変ドメインであり、DOM10−53−546(配列番号2);DOM10−53−567(配列番号3);DOM10−53−568(配列番号4);またはDOM10−53−616(配列番号5)も任意に選択できる。このアンタゴニストは、炎症性疾患、肺疾患(例えば、喘息、インフルエンザ、COPD)、または癌の治療用に提供されるが、任意選択で静脈内投与用としてもよい。
【0122】
他の実施形態では、半減期延長部分は抗体または抗体フラグメント(例えば、免疫グロブリン単一可変ドメイン)で、血清アルブミンまたは新生児F受容体のための結合部位を含む。
【0123】
また、本発明は、治療または診断に使用するための本発明のリガンド(例えば、アンタゴニスト、または単一可変ドメイン)、および、本明細書に記載された疾患(例えば、アレルギー疾患、Th2媒介疾患、喘息、癌)の治療、予防または抑制のための医薬品の製造のための本発明のリガンドの使用に関する。任意選択で、前記リガンドはDOM10−53−616(配列番号5)からなるものではない。任意選択で、前記リガンドはDOM10−53−616(配列番号5)を含むものではない。前記リガンドは、モノクローナル抗体(mAb)として抗IL−4 mAbまたは抗IL−5 mAbから任意に選択されたmAbに結合しているDOM10−53−616(配列番号5)を含むものではない。
【0124】
また、本発明は、Th2型免疫反応を治療、抑制または予防に使用するための本発明のリガンド(例えば、アンタゴニスト、または単一可変ドメイン)に関する。任意選択で、前記リガンドはDOM10−53−616(配列番号5)からなるものではない。任意選択で、前記リガンドはDOM10−53−616(配列番号5)を含むものではない。前記リガンドは、モノクローナル抗体(mAb)として抗IL−4 mAbまたは抗IL−5 mAbから任意に選択されたmAbに結合しているDOM10−53−616(配列番号5)を含むものではない。
【0125】
また、本発明は、必要に応じ被験者に治療効果のある本発明のリガンド(例えば、アンタゴニストまたは単一可変ドメイン)を投与すること含む治療方法に関する。一実施形態では、本発明は、必要に応じ被験者に本発明に係る治療上有用な量のリガンドを投与することを含むTh2型免疫反応の阻害方法に関する。任意選択で、前記リガンドはDOM10−53−616(配列番号5)からなるものではない。任意選択で、前記リガンドはDOM10−53−616(配列番号5)を含むものではない。前記リガンドは、モノクローナル抗体(mAb)として抗IL−4 mAbまたは抗IL−5 mAbから任意に選択されたmAbに結合しているDOM10−53−616(配列番号5)を含むものではない。
【0126】
他の実施形態では、本発明は、それを必要とする被験者に本発明に係る治療上有用な量のリガンド(例えば、アンタゴニストまたは単一可変ドメイン)を投与することを含む喘息を治療する方法に関する。任意選択で、前記リガンドはDOM10−53−616(配列番号5)からなるものではない。任意選択で、前記リガンドはDOM10−53−616(配列番号5)を含むものではない。前記リガンドは、モノクローナル抗体(mAb)として抗IL−4 mAbまたは抗IL−5 mAbから任意に選択されたmAbに結合しているDOM10−53−616(配列番号5)を含むものではない。
【0127】
他の実施形態では、本発明は、それを必要とする被験者に本発明に係る治療上有用な量のリガンド(例えば、アンタゴニストまたは単一可変ドメイン)を投与することを含む癌を治療する方法に関する。任意選択で、前記リガンドはDOM10−53−616(配列番号5)からなるものではない。任意選択で、前記リガンドはDOM10−53−616(配列番号5)を含むものではない。前記リガンドは、モノクローナル抗体(mAb)として抗IL−4 mAbまたは抗IL−5 mAbから任意に選択されたmAbに結合しているDOM10−53−616(配列番号5)を含むものではない。
【0128】
また、本発明は、本発明のリガンド(例えば、アンタゴニストまたは単一可変ドメイン)および生理学的に受容可能な担体を含む組成物(例えば、医薬組成物)に関する。一部の実施形態では、組成物は、静脈内、筋肉内、腹腔内、動脈内、硬腔内、関節内、皮下、肺、鼻腔内、膣、直腸への投与、のための賦形剤を含む。
【0129】
また、本発明は、本発明の組成物(例えば、医薬組成物)を含む薬剤送達デバイスに関する。一部の実施形態では、薬剤送達デバイスは、複数の治療効果のある用量のリガンドを含む。
【0130】
他の実施形態では、薬剤送達デバイスは、非経口送達デバイス、静脈内送達デバイス、筋肉内送達デバイス、腹腔内送達デバイス、経皮的送達デバイス、肺送達デバイス、動脈内送達デバイス、硬腔内送達デバイス、関節内送達デバイス、皮下送達デバイス、鼻腔内送達デバイス、膣送達デバイス、直腸内送達デバイス、注射器、経皮吸収デバイス、カプセル、タブレット、噴霧器、吸引器、霧吹き、エアロゾル投与器、噴霧器(ミスター)、ドライパウダー吸入器、定量吸入器、定量噴霧器、定量噴霧器(定量ミスター)、定量霧吹き、およびカテーテル、からなる群より選択される。
【0131】
本発明のリガンドはいくつかの利点を有する。例えば、本明細書で記載されているように、リガンドは体内における所望の血清半減期に合わせることが可能である。ドメイン抗体は通常の抗体より遙かに小さく、通常の抗体より組織への浸透性が優れた投与が可能である。このように、dAbとdAb含有リガンドは、Th2媒介疾患、喘息、アレルギー性疾患、癌(例えば、腎細胞癌)、等の疾患治療のための投与に際し、通常の抗体に勝る利点を提供する。例えば、喘息(例えば、アレルギー性喘息)はIgE媒介でも非IgE媒介でもよく、IL−4、IL−13、または、IL−4とIL−13の両方に対し、結合特異性を有するリガンドは、IgE媒介および非IgE媒介の両喘息の治療のために投与可能である。
【0132】
同様に、IL−4とIL−13の生物活性の重複と類似性により、IL−4およびIL−13に対する結合特異性を有するリガンドを使った治療で、患者(例えば、アレルギー性疾患(例えばアレルギー性喘息)の患者)に投与して単一治療薬剤を使って優れた治療を提供できる。
【0133】
本発明のリガンドは、本明細書で記載されているようなフォーマットにすることが出来る。例えば、本発明のリガンドは体内血清半減期を調整するフォーマットにできる。本明細書に記載されているように、必要に応じ、リガンドがさらに毒素または毒素部分を含むことも可能である。一部の実施形態では、リガンドは、フリーラジカル生成剤(例えば、セレニウム含有毒素)または放射性核種、等の表面活性毒素を含む。他の実施形態では、毒素または毒素成分は、細胞内標的に対し結合特異性のある結合部位を有するポリペプチドドメイン(例えばdAb)である。特定の実施形態では、リガンドは、IL−13 (例えば、ヒトIL−13)に対する結合特異性を有するIgG様フォーマットである。
【0134】
また、本発明は、アレルゲン感作被験者の末梢血単核球(PBMC)増殖を阻害する方法に関し、被験者に本発明のいずれかのリガンド(例えば、アンタゴニストまたは単一可変ドメイン)を含む医薬組成物を投与することを含む。一部の実施形態では、アレルゲンは、イエダニ、チリダニ類、猫アレルゲン、草アレルゲン、かびアレルゲン、花粉アレルゲン、から選択される。
【0135】
また、本発明は、被験者のB細胞増殖を阻害する方法に関し、本発明のリガンドを含む医薬組成物を被験者に投与することを含む。任意選択で、前記リガンドはDOM10−53−616(配列番号5)からなるものではない。任意選択で、前記リガンドはDOM10−53−616(配列番号5)を含むものではない。前記リガンドは、モノクローナル抗体(mAb)として抗IL−4 mAbまたは抗IL−5 mAbから任意に選択されたmAbに結合しているDOM10−53−616(配列番号5)を含むものではない。
【0136】
また、本発明は、本明細書に記載されている疾患(例えば、Yh2媒介疾患、アレルギー性疾患、癌)を治療、予防または抑制するための医薬組成物に関し、活性成分として本明細書に記載のリガンドを含む。任意選択で、前記リガンドはDOM10−53−616(配列番号5)からなるものではない。任意選択で、前記リガンドはDOM10−53−616(配列番号5)を含むものではない。前記リガンドは、モノクローナル抗体(mAb)として抗IL−4 mAbまたは抗IL−5 mAbから任意に選択されたmAbに結合しているDOM10−53−616(配列番号5)を含むものではない。
【0137】
ある態様では、本発明は、本発明の単一可変ドメインを含む融合タンパク質を提供する。可変ドメインは、例えばペプチドやポリペプチド、またはタンパク質と融合できる。一実施形態では、可変ドメインは、例えばモノクローナル抗体等の抗体、または抗体フラグメントと融合する。一般的に、融合は、単一核酸配列から融合産物を発現させるか、または、単一可変ドメインを含むポリペプチドを発現させ、次いで通常の技術を使って、このペプチドをより大きなタンパク質や抗体のフォーマットに組みあげることにより達成される。任意選択で、前記リガンドはDOM10−53−616(配列番号5)からなるものではない。任意選択で、前記リガンドはDOM10−53−616(配列番号5)を含むものではない。前記リガンドは、モノクローナル抗体(mAb)として抗IL−4 mAbまたは抗IL−5 mAbから任意に選択されたmAbに結合しているDOM10−53−616(配列番号5)を含むものではない。
【0138】
一実施形態では、免疫グロブリン単一可変ドメイン、アンタゴニスト、または融合タンパク質は、抗体定常ドメインを含む。一実施形態では、免疫グロブリン単一可変ドメイン、アンタゴニスト、または融合タンパク質は、抗体Fを含み、この場合、FのN末端が可変ドメインのC末端に結合(直接結合も任意選択できる)していることも任意に選択可能である。一実施形態では、免疫グロブリン単一可変ドメイン、アンタゴニスト、または融合タンパク質は、半減期延長部分を含む。半減期延長部分は、ポリエチレングリコール部分、血清アルブミンやその断片、トランスフェリン受容体やそのトランスフェリン結合部分、または生体内半減期を延長するポリペプチドへの結合部位を含む抗体や抗体フラグメントであってもよい。半減期延長部分は、血清アルブミン、または新生児F受容体に対する結合部位を含む抗体や抗体フラグメントであってもよい。半減期延長部分は、dAb、抗体または抗体フラグメントであってもよい。一実施形態では、免疫グロブリン単一可変ドメイン、アンタゴニスト、または融合タンパク質は、可変ドメイン(または、アンタゴニストや融合タンパク質に含まれる可変ドメイン)がさらに、ポリアルキレングリコール部分を含むように作られている。ポリアルキレングリコール部分は、ポリエチレングリコール部分であってもよい。これ以上のことは後で議論される。
【0139】
一実施形態では、本発明の単一可変ドメインは、表面プラズモン共鳴法で測定して約10〜約150pM、任意選択で約50〜約150pM、任意選択で約70〜約150pM、の解離定数(Kd)でヒトIL−13と結合する。一つの態様では、本発明は、ヒトIL−13との結合のための本発明の単一可変ドメインを提供し、この解離定数(Kd)は、表面プラズモン共鳴法で測定して約10〜約150pM、任意選択で約50〜約150pM、任意選択で約70〜約150pMである。一つの態様では、本発明は、Il−13アンタゴニストの製造における本発明の単一可変ドメインの使用を提供し、ここで、可変ドメインまたはアンタゴニストは、表面プラズモン共鳴法で測定して約10〜約150pM、任意選択で約50〜約150pM、任意選択で約70〜約150pM、の解離定数(Kd)でヒトIL−13と結合する。
【0140】
一実施形態では、本発明の単一可変ドメインは、表面プラズモン共鳴法で測定して約1〜約5nMの解離定数(Kd)でカニクイザルIL−13と結合する。一つの態様では、本発明は、表面プラズモン共鳴法で測定して約1〜約5nMの解離定数(Kd)でカニクイザルIL−13との結合のための本発明の単一可変ドメインを提供する。一つの態様では、本発明は、IL−13アンタゴニストの製造における本発明の単一可変ドメインの使用を提供し、ここでは、表面プラズモン共鳴法で測定して約1〜約5nMの解離定数(Kd)で可変ドメインまたはアンタゴニストがカニクイザルIL−13と結合する。
【0141】
一実施形態では、本発明の単一可変ドメイン(例えば、DOM10−53−616)は、dAbモノマーとして提供される。ここで、フォーマットされていない(例えば、PEG付加されていない、もしくは、半減期延長されていない)、または、PEGに結合した状態で、乾燥粉末製剤として、吸入による患者への送達(例えば、肺への送達)のために、肺疾患(例えば、喘息、CIOD、インフルエンザ)の治療および/または予防のために、という条件も任意選択として追加可能である。一実施形態では、本発明の単一可変ドメインは、吸入による患者への送達(例えば、肺への送達)のためのdAbモノマー(PEG付加されていない、または半減期延長されていない)として提供され、また、肺疾患(例えば、喘息、COPD、インフルエンザ)の治療および/または予防のために、という条件も任意選択で入れることが可能である。
【0142】
一つの態様では、本発明は、下記の内の一つまたは複数の内容(明確な下記の2つまたは複数の組合せがこれにより開示され、特許請求の範囲の対照となりうる)を提供するための、本発明のいずれかの態様や実施形態で示された単一可変ドメイン(例えば、DOM10−53−616)、タンパク質、ポリペプチド、アンタゴニスト、組成物、またはデバイスを提供する:
(i)ヒトIL−13との効果的な結合(例えば、約1nM以下、以降任意選択で約500pM以下、約250pM以下、約150pM以下、約100pM以下、約1nM〜約10、約50、約70pM、約500pM〜約10、約50、約70pM、250pM〜約10、約50、約70pM、約150pM〜約10、約50、約70pM、約100pM〜約10、約50、約70pMの解離定数(Kd)で);
(ii)非ヒト霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザルまたはヒヒ)IL−13との効果的な結合(例えば、約5nM以下、以降任意選択として、約4、約3、約2または約1nM以下、約1〜約5nMの解離定数(Kd)で);
(iii)ヒトIL−13との効果的な結合(例えば、約1nM以下、以降任意選択で約500pM以下、約250pM以下、約150pM以下、約100pM以下、約1nM〜約10、約50、約70pM、約500pM〜約10、約50、約70pM、250pM〜約10、約50、約70pM、約150pM〜約10、約50、約70pM、約100pM〜約10、約50、約70pMの解離定数(Kd)で)、および、非ヒト霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザルまたはヒヒ)IL−13との効果的な結合(例えば、約5nM以下、以降任意選択として、約4、約3、約2または約1nM以下、約1〜約5nMの解離定数(Kd)で);
(iv)ヒト、カニクイザル、およびアカゲザルIL−13との効果的な結合(例えば、ヒトIL−13とは、約1nM以下、以降任意選択で約500pM以下、約250pM以下、約150pM以下、約100pM以下、約1nM〜約10、約50、約70pM、約500pM〜約10、約50、約70pM、250pM〜約10、約50、約70pM、約150pM〜約10、約50、約70pM、約100pM〜約10、約50、約70pMの解離定数(Kd)で;および、カニクイザルおよびアカゲザルIL−13とは、それぞれ約5nM以下、以降任意選択として、約4、約3、約2または約1nM以下、約1〜約5nMの解離定数(Kd)で);
(v)原核生物で少なくとも約3mg/Lの優れた発現(例えば、原核生物での発現(例えば大腸菌))。
【0143】
(vi)患者のヒトIL−13に対する効果的な中和、例えば、単一可変ドメイン、タンパク質、ポリペプチド、アンタゴニスト、または組成物は、標準的HEK STATアッセイ法において、約0.1〜約2.0nM、以降任意選択で約0.2〜約2.0nM、約0.3〜1.5nM、約0.2〜約1.0nMまたは約0.3〜約1.0nMのEC50値を示しヒトIL−13を中和する;
(vii)患者のヒトIL−13に対する効果的な中和、例えば、単一可変ドメイン、タンパク質、ポリペプチド、アンタゴニスト、または組成物は、標準的HEK STATアッセイ法において、約1〜約20nM、以降任意選択で約5〜約15nM、または約5〜約10nMのEC50値を示しカニクイザルIL−13を中和する;
(viii)患者のヒトIL−13に対する効果的な中和、例えば、標準的HEK STATアッセイ法において、約1〜約15nM、約2〜約15nM、または約2〜約11.5nMのEC50値を示しアカゲザルIL−13を中和する単一可変ドメイン、タンパク質、ポリペプチド、アンタゴニスト、または組成物を用いた中和;
(ix)ヒトIL−13および非ヒト霊長類の効果的な中和、例えば、標準的HEK STATアッセイ法において、約0.1〜約2.0nM、以降任意選択で約0.2〜約2.0nM、約0.3〜1.5nM、約0.2〜約1.0nMまたは約0.3〜約1.0nMのEC50値を示してヒトIL−13を中和し;標準的HEK STATアッセイ法において、約1〜約20nM、以降任意選択で約5〜約15nM、または約5〜約10nMのEC50値を示し非ヒト霊長類IL−13を中和する単一可変ドメイン、タンパク質、ポリペプチド、アンタゴニスト、または組成物を用いた中和;
(x)2種以上の霊長類IL−13間の交差反応の提供(任意選択として、ヒトとカニクイザル、および/またはアカゲザルIL−13、例えば、ヒトとカニクイザルIL−13、ヒトとアカゲザルIL−13、ヒトとヒヒIL−13);ならびに
(xi)プロテアーゼ安定性の提供(任意選択として、トリプシン安定性)。
【0144】
一つの態様では、本発明は、直前の段落の(i)〜(xi)の内の一つまたは複数の内容を提供するために、本発明のいずれかの態様や実施形態に示された単一可変ドメイン(例えば、DOM10−53−616)、タンパク質、ポリペプチド、アンタゴニスト、組成物、またはデバイスの使用を提供する。また、本発明は対応する方法も提供する。
【0145】
ここで、WO2007085815を参照するが、これは抗IL−13 免疫グロブリン単一可変ドメインを開示している。本文書の開示内容はその全体が本明細書に組み込まれ、特に使用、フォーマット、選択方法、製造法、製剤方法、および抗IL−13単一可変ドメイン、リガンド、アンタゴニストのアッセイ法を提供する。これにより、この開示内容が、本発明の審査請求項目に組み込める明確な記述が与えられることを含め、本明細書の内容に具体的かつ明確に適用される。
【0146】
抗IL−13免疫グロブリン単一可変ドメインは、任意の適切な免疫グロブリン可変ドメインであってよく、任意選択として、ヒト可変ドメインであっても、またはヒトフレームワークドメイン(例えばDP47またはDPK9フレームワークドメイン)を含むか、もしくは、それから派生した可変ドメインであってもよい。特定の実施形態では、本明細書記載の可変ドメインはユニバーサルフレームワークを基準にしている。
【0147】
特定の実施形態では、IL−13に対して結合特異性のある結合部位を有するポリペプチドドメイン(例えば、免疫グロブリン単一可変ドメイン)は、凝集、折り畳み可逆性に抵抗する(WO04101790を参照のこと。この文書の教示は参照により本明細書に組み込まれる)。
【0148】
核酸分子、ベクターおよび宿主細胞
また、本発明は、本明細書に記載のリガンド(単一可変ドメイン、融合タンパク質、ポリペプチド、二重特異性リガンドおよび多重特異性リガンド)をコードする、単離された、および/または、組換え型の核酸分子を提供する。
【0149】
一つの態様では、本発明は、本発明に係る免疫グロブリン単一可変ドメインを含むポリペプチドをコードする単離されたまたは組換え型の核酸を提供する。一実施形態では、核酸はDOM10−53−546(配列番号6);DOM10−53−567(配列番号7);DOM10−53−568(配列番号8);またはDOM10−53−616(配列番号9)のヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、核酸はDOM10−53−546(配列番号6);DOM10−53−567(配列番号7);またはDOM10−53−568(配列番号8)のヌクレオチド配列を含む。
【0150】
一つの態様では、本発明は単離されたまたは組換え型の核酸を提供し、ここで核酸はDOM10−53−546(配列番号6);DOM10−53−567(配列番号7);DOM10−53−568(配列番号8);またはDOM10−53−616(配列番号9)のヌクレオチド配列に対し少なくとも99%同一のヌクレオチド配列を含み、また、核酸が、IL−13に特異的に結合する免疫グロブリン単一可変ドメインを含むポリペプチドをコードしている。任意選択肢として、核酸はヌクレオチド配列DOM10−53−616(配列番号9)からなるものではない、または、含むものではない。
【0151】
一つの態様では、本発明は、本発明の核酸を含むベクターを提供する。一つの態様では、本発明は、本発明の核酸、またはベクターを含む宿主細胞を提供する。また、免疫グロブリン単一可変ドメインを含むポリペプチドを産生する方法および前記核酸またはベクターの発現に適切な条件下で宿主細胞を維持し、それにより免疫グロブリン単一可変ドメインを含むポリペプチドが産生される方法が提供される。任意選択として、この方法がさらにポリペプチドを単離するステップを含み、また、任意選択として、標準的HEK STATアッセイににおいて、単離ポリペプチドよりも改善されたアフィニティ(Kd)やEC50を有する変異体(例えば突然変異体)を産生するステップを含む。
【0152】
本明細書で「単離された」と呼んでいる核酸は、それらの元(例えば、細胞中に、またはライブラリーのように核酸の混合物中にある状態)のゲノムDNAまたは細胞性DNAの核酸から分離された核酸であり、本明細書に記載された方法、または他の適切な方法により得られた核酸を含み、また、本質的に純粋な核酸、化学的合成により作られた核酸、生物学的・化学的方法の組合せにより作られた核酸、および単離された組換え型核酸(Daugherty, B.L. et al., Nucleic Acids Res., 19(9): 2471-2476 (1991); Lewis, A.P. and J.S. Crowe, Gene, 101: 297-302 (1991)を参照のこと)を含む。
【0153】
本明細書で「組換え型」と呼んでいる核酸は、組換えDNA手法により作られた核酸であり、ポロメラーゼ連鎖反応(PCR)および/または制限酵素を使ってベクタにクローニングする、等の人工組換え法による手法により生成した核酸を含む。
【0154】
特定の実施形態では、単離されたおよび/または組換え型の核酸は、本明細書に記載されたリガンドをコードするヌクレオチド配列を含み、前記リガンドは、本明細書で開示のIL−13に結合するdAbのアミノ酸配列、例えば、DOM10−53−546(配列番号2);DOM10−53−567(配列番号3);DOM10−53−568(配列番号4);またはDOM10−53−616(配列番号5)と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。ヌクレオチド配列の同一性は、選択した抗IL−13dAbをコードするヌクレオチド配列全長にわたり決定可能である。
【0155】
また本発明は、本発明の組換え型核酸分子を含むベクターを提供する。特定の実施形態では、ベクターは発現ベクターであり、本発明の組換え型核酸に機能的に連結された一つまたは複数の発現制御因子または配列を含む。また本発明は、本発明の組換え型核酸分子またはベクターを含む組換え型宿主細胞を提供する。適切なベクター(例えば、プラスミド、ファージミド)、発現制御因子、宿主細胞および本発明の組換え型宿主細胞を産生する方法は当業者にはよく知られており、実施例が後ほど本明細書中で記載される。
【0156】
適切な発現ベクターは多くの要素を含むことが可能で、例えば、複写起点、選択可能なマーカー遺伝子、一つもしくは複数の発現制御因子、転写調節因子(例えば、プロモーター、エンハンサー、ターミネーター)、および/または一つもしくは複数の翻訳シグナル、シグナル配列、またはリーダー配列、等を含むことができる。発現制御因子およびシグナル配列は、存在する場合には、ベクターまたは他のソースにより提供される。例えば、抗体鎖をコードするクローン核酸の転写、および/または翻訳調節因子は直接発現に使用可能である。
【0157】
プロモーターは所望の宿主細胞での発現に供することができる。プロモーターは構成型であっても誘導型であってもよい。例えば、プロモータ−は、抗体、抗体鎖、またはこれらの一部をコードする核酸に機能的に連結されていて、核酸を直接転写してもよい。種々の適切なプロモーターが、原核生物宿主用(例えば、大腸菌用lac、tac、T3、T7プロモーター)および真核生物宿主用(例えば、シミアンウイルス40の初期や後期プロモーター、ラウス肉腫ウィルス長末端反復プロモーター、サイトメガロウイルスプロモーター、アデノウイルス後期プロモーター)として入手可能である。
【0158】
さらに、通常、発現ベクターはベクターを担持している宿主細胞を選別するために選択可能なマーカーを含み、さらに複製可能な発現ベクターの場合には、複製起点を含む。抗生物質耐性や薬剤耐性を与える産物をコードした遺伝子は、よく用いられる選択マーカーであり、原核生物細胞(例えば、ラクタマーゼ遺伝子(アンピシリン耐性)、テトラサイクリン耐性用Tet遺伝子)および真核生物細胞(例えば、ネオマイシン(G418やジェネテシン)、gpt(ミコフェノール酸)、アンピシリン、またはハイグロマイシン耐性遺伝子)で使うことが可能できる。ジヒドロ葉酸還元酵素マーカー遺伝子は、多様な宿主中のメトトレキサートの選択を可能とする。宿主の栄養要求性マーカー(例えば、LEU2、URA3、HIS3)は、酵母の選択マーカーとして使われることが多い。ウイルスベクター(例えば、バキュロウイルス)、またはファージベクターの使用、および、レトロウイルスベクターのような宿主細胞のゲノムへ統合可能なベクターの使用もまた意図されているものである。哺乳動物細胞および原核生物細胞(大腸菌)、昆虫細胞(ショウジョウバエ Schnieder S2細胞、Sf9)および酵母(P.methanolica、P.pastoris、S.cerevisiae)での発現に適切な発現ベクターは、当業者にはよく知られている。
【0159】
適切な宿主細胞は、大腸菌、枯草菌等の細菌性細胞、および/または他の適切な細菌を含む原核生物細胞であってもよく、また、真菌細胞や酵母細胞(例えば、Pichia pastoris、Aspergillus sp.、Saccharomyces cerevisiae、Schizosaccharomyces pombe、Neurospora crassa)、または他の下等真核細胞および昆虫由来(例えば、Drosophila Schnieder S2 細胞、Sf9 昆虫細胞(WO94/26087(O’Connor))のような高等真核生物、哺乳動物(例えば、COS−1(ATCC寄託番号CRL−1650)およびCOS−7(ATCC寄託番号CRL−1651)等のCOS細胞、CHO(例えば、ATCC寄託番号CRL−9096、CHODG44(Urlaub, G. and Chasin, LA., Proc. Natl. Acac. Sci. USA, 77(7):4216-4220 (1980)))、293(ATCC寄託番号CRL−1573)、HeLa(ATCC寄託番号CCL−2)、CV1(ATCC寄託番号CCL−70)、WOP(Dailey, L., et al., J. Virol., 54:739-749 (1985), 3T3、293T(Pear, W. S., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 90:8392-8396 (1993))NS0細胞、SP2/0、HuT 78細胞、等、または植物(例えば、たばこ)を含む真核生物細胞であってもよい。 (例えば、Ausubel, F.M. et al., eds. Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates and John Wiley & Sons Inc. (1993)を参照のこと)。一部の実施形態では、宿主細胞は単離された宿主細胞であり、多細胞生物(例えば、植物または動物)の一部ではない。特定の実施形態では、宿主細胞は非ヒト宿主細胞である。
【0160】
また、本発明は、組換え核酸の発現に適切な条件下で、本発明の組換え核酸を含む組換え宿主細胞の維持を含む、本発明のリガンド(例えば、二重特性リガンド、多重特異性リガンド)の製造法を提供する。これにより、組換え核酸が発現し、リガンドが産生される。一部の実施態様では、この方法がさらにリガンドの単離を含む。
【0161】
本発明の実施形態に適用可能な開示詳細に関しては、WO200708515の161ページ、24行から189ページ、10行を参照されたい。本開示は、参照によって本明細書に組み込まれ、本開示内容が明確になり、本発明の実施形態に関わるようになる。また、下記の特許請求の範囲への開示の組み込みに対する明確な裏付けを行う。これには、WO200708515の161ページ、24行から189ページ、10行にある「免疫グロブリンベースリガンドの合成」、「ライブラリベクターシステム」、「ライブラリ構築」、「単一可変ドメインの結合」、「リガンドのキャラクタリゼーション」、「リガンドの構造」、「骨格」、「タンパク質の骨組」、「リガンド構築における骨組の使用」、「基準の配列の多様性」、「治療と診断用組成物とその使用」、ならびに定義「機能的に連結された」、「ナイーブ」、「予防」、「抑制」、「治療」、「アレルギー性疾患」、「TH2媒介疾患」、「治療効果のある用量」、「有効な」、を詳細に提供している開示が含まれる。
【0162】
フォーマット
半減期の延長は、免疫グロブリンの生体内適用において有用である。サイズが小さい抗体では特に、また、抗体フラグメントでは殊更に有用である。このようなフラグメント(FVS、ジスルフィド結合FVS、FabSCVS、dAb)は身体から急速な除去作用を受ける。このように、それが身体の大抵の部分に早く到達できて、素早く産生でき、容易に扱えても、生体内での短い持続性だけのためにその生体内での適用には、限界があった。本発明の一実施態様では、体内でのリガンドの半減期延長、および、その結果、体内でのリガンドの機能活性のより長い持続時間を提供することによりこの問題が解決されている。
【0163】
薬物動態解析およびリガンドの半減期の測定方法は当業者にはよく知られている。詳細については、Kenneth, A et al: Chemical Stability of Pharmaceuticals: A Handbook for PharmacistsおよびPeters et al, Pharmacokinetc analysis: A Practical Approach (1996)で見られるであろう。また、tα、tβ半減期、曲線下面積(AUC)等の薬物動態パラメーターについて記述されている次の文献を参照されたい:“Pharmacokinetics”, M Gibaldi & D Perron, published by Marcel Dekker, 2nd Rev. ex edition (1982)。
【0164】
半減期(t1/2 α、t1/2 β)および、AUCはリガンドの血清中濃度対時間の曲線から求められる。例えば、WinNonlin解析パッケージ(Pharsight Corp.社, Mountain View, CA94040, USA から入手可能)を使って、曲線をモデル化することができる。最初の相(α相)では、リガンドは主に患者の中で分配が行われている。第二相(β相)は、終末過程で、リガンドの分配が完了し、リガンドが患者から除去されるにつれ血清中濃度が減少していく。t1/2 α半減期は、最初の相の半減期で、t1/2 β半減期は、第二相の半減期である。従って、一実施形態では、本発明は、15分以上の範囲のt1/2 α半減期を有する、本発明に係るリガンドまたは組成物を提供する。一実施態様では、前記範囲の下端が30分、45分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、10時間、11時間、または12時間である。さらに追加して、または、その代わりに、本発明に係るリガンドまたは組成物は、12時間までの範囲のt1/2 α半減期を有することになる。一実施形態では、前記範囲の上端が11、10、9、8、7、6、または5時間である。適切な範囲の実施例は、1〜6時間、2〜5時間、または3〜4時間である。
【0165】
一実施形態では、本発明は、本発明に係る約2.5時間以上範囲のt1/2 β半減期を有するリガンド(ポリペプチド、dAbまたはアンタゴニスト)または組成物を提供する。一実施態様では、前記範囲の下端が約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約10時間、約11時間、または約12時間である。一実施形態では、さらに追加して、またはその代わりに、本発明に係るリガンドまたは組成物が21日迄の範囲のt1/2 β半減期を有する。一実施形態では、前記範囲の上端が約12時間、約24時間、約2日、約3日、約5日、約10日、約15日、または約20日である。一実施形態では、本発明に係るリガンドまたは組成物は、約12〜約60時間の範囲のt1/2 β半減期を有する。さらなる実施形態では、その範囲は、約12〜48時間の範囲である。またさらなる実施形態では、その範囲は12〜26時間の範囲である。
【0166】
上記基準に追加して、またはその代わりに、本発明は、約1 mg/ml以上の範囲のAUC値(曲線下面積)を有する、本発明に係るリガンドまたは組成物を提供する。一実施形態では、前記範囲の下端が約5、約10、約15、約20、約30、約100、約200、約300 mg・min/mlである。追加して、またはその代わりとして、本発明に係るリガンドまたは組成物が約600 mg・min/ml迄の範囲のAUCを有する。一実施形態では、前記範囲の下端が約5、約10、約15、約20、約30、約100、約200、または約300 mg・min/mlである。追加して、またはその代わりとして、本発明に係るリガンドまたは組成物は、600 mg・min/ml迄の範囲のAUCを有する。一実施形態では、前記範囲の上端が約500、約400、約300、約200、約150、約100、約75、または約50 mg・min/mlである。一実施態様では、本発明に係るリガンドは、下記の事項からなる群から選ばれた範囲のAUC有する:約15〜約100mg・min/ml、約15〜約75mg・min/ml、約15〜約50mg・min/ml。
【0167】
ポリペプチドとdAb、およびこれらを含むアンタゴニストは、例えば、PEG基、血清アルブミン、トランスフェリン、トランスフェリン受容体または少なくともそれのトランスフェリン結合部、抗体Fドメインの付加により、あるいは、抗体ドメインへのコンジュゲートにより、さらに大きな流体力学的サイズを持つようにフォーマットすることが可能である。例えば、より大きな抗体の抗原結合フラグメントとして、または抗体(例えば、Fab、Fab’、F(ab)、F(ab’)、IgG、scFvとしてフォーマットされた)としてフォーマットされたポリペプチドdAbおよびアンタゴニストがあり。
【0168】
本発明のリガンド(例えば、dAbモノマー、マルチマー)の流体力学的サイズは、当業者にはよく知られた方法により求めることができる。例えば、ゲル濾過クロマトグラフィーを使ってリガンドの流体力学的サイズを求めてもよい。架橋アガロースマトリックスのような流体力学的サイズ測定に適したゲル濾過マトリックスはよく知られ、容易に入手可能である。
【0169】
リガンドフォーマットのサイズ(例えば、dAbに結合したPEG部分のサイズ)は所望の用途に依存して変わりうる。例えば、リガンドが血液循環から抜け出て周辺細胞組織に入ることが意図されている場合、流体力学的サイズを小さく保ち、血流からの溢出を促進する。あるいは、リガンドを体循環中に長時間残すことが望まれる場合は、例えばIg様タンパク質としてフォーマットすることにより、リガンドサイズを増やすことが可能である。
【0170】
生体内で半減期を延長する抗原またはエピトープを標的にすることによる半減期の延長
本明細書で記載されているように、本発明のIL−13結合ポリペプチド、dAb、またはアンタゴニストを、生体内で半減期を延長する抗原とエピトープを結合した結合ドメイン(例えば、抗体または抗体フラグメント)にコンジュゲートまたは会合させることにより、リガンドの流体力学的サイズおよびその血清中半減期も増加させることができる。例えば、IL−13結合薬剤(例えばポリペプチド)は、抗血清アルブミンや抗新生児F受容体抗体または抗体フラグメント、例えば抗SAまたは抗新生児F受容体dAb、Fab、Fab’またはscFvに、あるいは、抗SAアフィボディもしくは抗新生児FC受容体アフィボディ、または抗SAアビマー、または、これに限定されるものではないが、以下に示す群から選択された足場を含む抗SA結合ドメインへコンジュゲートまたは結合することができる:CTLA−4、リポカリン、DpA、アフィボディ、アビマー、GroElおよびフィブロネクチン(これらの結合ドメインの開示については、WO2008096158を参照のこと。ここに示されたドメインと配列は参照により本明細書に組み込まれ、本明細書の開示の一部を形成する)。コンジュゲートとは、血清アルブミンに結合した結合ドメインに結合(共有結合的あるいは非共有結合的に)した本発明のポリペプチド、dAb、またはアンタゴニストを含む組成物を指す。
【0171】
生体内での血清中半減期を延長する適切なポリペプチドには、例えば、トランスフェリン受容体特異的なリガンド神経医薬剤融合タンパク質(米国特許第5,977,307号参照のこと。この中の教示は参照により本明細書に組み込まれる)、脳毛細血管内皮細胞受容体、トランスフェリン、トランスフェリン受容体(例えば、可溶性トランスフェリン受容体)、インシュリン、インシュリン様成長因子1(IGF1)受容体、インシュリン様成長因子2(IGF2)受容体、インシュリン受容体、血液凝固第X因子、α1抗トリプシン、およびHNF1αが含まれる。さらに、血清内半減期を延長する適切なポリペプチドには、α1糖タンパク質(オロソムコイド;AAG)、α1アンチキモトリプシン(ACT)、α1ミクログロブリン(タンパク質HC;AIM)、アンチトロンビンIII(AT III)、アポリポタンパク質A−1(Apo A−1)、アポリポタンパク質B(Apo B)、セルロプラスミン(Cp)、補体成分C3(C3)、補体成分C4(C4)、C1エステラーゼ阻害剤(C1 INH)、C反応性タンパク質(CRP)、フェリチン(FER)、ヘモペキシン(HPX)、リポタンパク質(a)(Lp(a))、マンノース結合タンパク質(MBP)、ミオグロビン(Myo)、プレアルブミン(トランスチレチン;PAL)、レチノール結合タンパク質(RMP)、およびリウマチ因子(RF)が含まれる。
【0172】
細胞外マトリックスからの適切なタンパク質には、例えば、コラーゲン、ラミニン、インテグリン、およびフィブロネクチンが含まれる。コラーゲンは、細胞外マトリックスの主要タンパク質である。約15の型のコラーゲン分子が現在知られており、身体の別々の部位で見つかっている。例えば、骨、皮膚、腱、靱帯、角膜、内臓器官で見つかったI型コラーゲン(身体コラーゲンの90%に達する)、または、軟骨、椎間板、脊索、および眼球ガラス体液で見つかったII型コラーゲン。
【0173】
血液からの適切なタンパク質には、例えば、血漿タンパク質(例えば、フィブリン、α2マクログロブリン、血清アルブミン、フィブリノゲン(例えば、フィブリノゲンA、フィブリノゲンB)、血清アミロイドタンパク質A、ハプトブロビン、プロフィリン、ユビキチン、)、ウテログロブリンおよびβ2ミクログロブリン)、酵素および酵素阻害剤(例えば、プラスミノーゲン、リゾチーム、シスタチンC、α1抗トリプシンおよび膵臓トリプシン阻害剤)、免疫グロブリンタンパク質(例えば、IgA、IgD、IgE、IgG、IgM、免疫グロブリン軽鎖(κ/λ))、等の免疫システムタンパク質、輸送タンパク質(例えば、レチノール結合タンパク質、α1ミクログロブリン)、ディフェンシン(例えば、βディフェンシン1、好中球ディフェンシン1、好中球ディフェンシン2、および好中球ディフェンシン3)等が含まれる。
【0174】
血液脳関門または神経組織で認めらる適切なタンパク質には、例えば、メラノコルチン受容体、ミエリン、アスコルビン酸塩トランスポーター、等が含まれる。
【0175】
また、生体内での血清中半減期を延長する適切なポリペプチドには、腎臓に局在化したタンパク質(例えば、ポリシスチン、IV型コラーゲン、有機アニオン輸送体K1、ハイマン抗原)、肝臓に局在化したタンパク質(例えば、アルコール脱水素酵素、G250)、肺に局在化したタンパク質(例えば、IgAに結合する分泌成分)、心臓に局在化したタンパク質(例えば、拡張型心筋症に関連したHSP27)、皮膚に局在化したタンパク質(例えばケラチン)、形質転換増殖因子βスーパーファミリータンパク質(骨形成活性(例えば、BMP−2、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−7、BMP−8)を示す)のサブセットである形態形成タンパク質(BMP)等の骨特異的タンパク質、腫瘍特異性タンパク質(例えば、栄養膜抗原、ハーセプチン受容体、エストロゲン受容体、カテプシン(例えば、肝臓と脾臓で認められるカテプシンB))が含まれる。
【0176】
適切な疾患特異性タンパク質には、例えば、LAG−3(リンパ球活性化遺伝子)、オステオプロテジェリンリガンド(OPGL;Nature 402, 304-309 (1999)参照)、OX40(TNF受容体ファミリーのメンバーで、活性化T細胞上で発現しヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV−I)産生細胞中で特異的に発現上昇している;Immunol. 165 (1):263-70 (2000)参照)を含む活性T細胞上にのみ発現する抗原が含まれる。また、適切な疾患特異性タンパク質には、例えば、ショウジョウバエCG6512、ヒトパラプレギン、ヒトFtsH、ヒトAFG3L2、ネズミftsHを含む金属プロテアーゼ(関節炎/癌に関連);ならびに血管新生増殖因子、例えば酸性線維芽細胞増殖因子(FGF−1)、塩基性線維芽細胞増殖因子(FGF−2)、血管内皮増殖因子/血管透過性因子(VEGF/VPF)、トランスフォーミング増殖因子α(TGFα)、腫瘍壊死因子α(TNFα)、アンギオジェニン、インターロイキン3(IL−3)、インターロイキン8(IL−8)、血小板由来内皮細胞増殖因子(PD−ECGF)、胎盤増殖因子(PlGF)、ミッドカイン血小板由来増殖因BB(PDGF)、およびフラクタルカインも含まれる。
【0177】
また、生体内での血清中半減期を延長する適切なポリペプチドには、熱ショックタンパク質(HSP)のようなストレスタンパク質も含まれる。HSPは、通常は、細胞内で見つかる。それが細胞外で見つかる場合は、細胞が死亡し内容物をはき出したという指標になる。このプログラムされていない細胞死(壊死)は外傷、疾患、傷害のとき起こり、細胞外HSPは免疫系からの反応を誘発する。細胞外HSPに対する結合により本発明の組成物の疾患部位への局在化が生じる可能性がある。
【0178】
輸送にかかわる適切なタンパク質には、例えば、Brambell受容体(FRBとしても知られている)が含まれる。このF受容体は送達に潜在的に有用な2つの機能を有する。その機能は(1)胎盤経由で母から子供へIgGの移送、(2)IgGの分解からの保護と、その結果の血清中半減期の延長、である。受容体はエンドソームからIgGを再生利用すると考えられている。(Holliger et al, Nat Biotechnol 15(7):632-6 (1997)参照)。
【0179】
血清アルブミンに結合するdAb
一実施形態で、本発明は、ポリペプチドまたはアンタゴニスト(例えば、IL−13に結合する抗IL−13dAb(第一のdAb)および血清アルブミン(SA)に結合する第二のdAb含む二重特異性リガンド)を提供し、第二のdAbは表面プラズモン共鳴で測定したKd値の、約1nM〜約1、約2、約3、約4、約5、約10、約20、約30、約40、約50、約60、約70、約100、約200、約300、約400、または約500μM(すなわち、x10−9 〜5x10−4 M)、または、約100nM〜約10μM、または、約1〜約5μM、または、約3〜約70nM、または、約10nM〜約1、約2、約3、約4、約5μMでSAに結合している。例えば、表面プラズモン共鳴により測定して約30〜70nMである。一実施形態では、第一のdAb(またはdAbモノマー)はSA(例えば、HSA)と表面プラズモン共鳴で測定したKd値の約1、約50、約70、約100、約150、約200、約300nM、または、約1、約2、約3μMで結合している。一実施形態では、第一の抗SA dAbと第二のIL−13に対するdAbを含む二重特異性リガンドに関して、第二のdAbのその標的に対するアフィニティ(例えば、BiaCore等を使って表面プラズモン共鳴で測定したKdおよび/またはKoff)が、SAに対する第一のdAbのアフィニティの約1〜約10000倍(例えば、約100〜約100000、または約1000〜100000、または約10000〜100000倍)である。一実施形態では、血清アルブミンは、ヒト血清アルブミン(HSA)である。例えば、第一のdAbはSAと約10μMのアフィニティで結合し、第二のdAbはその標的と約100pMのアフィニティで結合する。一実施形態では、血清アルブミンは、ヒト血清アルブミン(HSA)である。一実施形態では、第一のdAbはSA(例えばHSA)とKd値約50、例えば、約70、約100、約150、または約200nMで結合する。二重特異性リガンドの詳細については、WO03002609、WO04003019、WO2008096158およびWO04058821で見付けることができる。
【0180】
一実施形態で、本発明のリガンドは、表面プラズモン共鳴で測定してKd値約1nM〜約1、約2、約3、約4、約5、約10、約20、約30、約40、約50、約60、約70、約100、約200、約300、約400、または約500μM(すなわち、x10−9 〜5x10−4 M)、または、約100nM〜約10μM、または、約1〜約5μM、または、約3〜約70nM、または、約10nM〜約1、約2、約3、約4、約5μMで血清アルブミン(SA)と結合しているdAbを含む。例えば、表面プラズモン共鳴で測定して約30〜70nMである。一実施形態では、第一のdAb(またはdAbモノマー)は、表面プラズモン共鳴で測定してKd値約1、約50、約70、約100、約150、約200、約300nMまたは約1、約2または約3μMでSA(例えば、HSA)と結合する。一実施形態では、第一および第二のdAbは、リンカー、例えば1〜4アミノ酸、または1〜3のアミノ酸、または3を超えるアミノ酸、4、5、6、7、8、9、10、15、または20を超えるアミノ酸のリンカー、で結合されている。一実施形態では、より長いリンカー(アミノ酸が3を超える)が効力(アンタゴニストの一つあるいは両方のdAbのKd)を高めるために使われる。
【0181】
リガンドとアンタゴニストの具体的な実施形態では、dAbはヒト血清アルブミンに結合し、以下からなる群から選択されるdAbへの結合について競合する:
MSA−16、MSA−26(この配列の開示についてはWO04003019参照。この配列と対応する核酸は参照により本明細書に組み込まれ、本明細書の開示の一部を構成する)、
DOM7m−16(配列番号473)、DOM7m−12(配列番号474)、DOM7m−26(配列番号475)、DOM7r−1(配列番号476)、DOM7r−3(配列番号477)、DOM7r−4(配列番号478)、DOM7r−5(配列番号479)、DOM7r−7(配列番号480)、DOM7r−8(配列番号481)、DOM7h−2(配列番号482)、DOM7h−3(配列番号483)、DOM7h−4(配列番号484)、DOM7h−6(配列番号485)、DOM7h−1(配列番号486)、DOM7h−7(配列番号487)、DOM7h−22(配列番号489)、DOM7h−23(配列番号490)、DOM7h−24(配列番号491)、DOM7h−25(配列番号492)、DOM7h−26(配列番号493)、DOM7h−21(配列番号494)、DOM7h−27(配列番号495)、DOM7h−8(配列番号496)、DOM7r−13(配列番号497)、DOM7r−14(配列番号498)、DOM7r−15(配列番号499)、DOM7r−16(配列番号500)、DOM7r−17(配列番号501)、DOM7r−18(配列番号502)、DOM7r−19(配列番号503)、DOM7r−20(配列番号504)、DOM7r−21(配列番号505)、DOM7r−22(配列番号506)、DOM7r−23(配列番号507)、DOM7r−24(配列番号508)、DOM7r−25(配列番号509)、DOM7r−26(配列番号510)、DOM7r−27(配列番号511)、DOM7r−28(配列番号512)、DOM7r−29(配列番号513)、DOM7r−30(配列番号514)、DOM7r−31(配列番号515)、DOM7r−32(配列番号516)、DOM7r−33(配列番号517)(この配列の開示についてはWO2007080392参照。この配列と対応する核酸は参照により本明細書に組み込まれ、本明細書の開示の一部を構成する。本項の配列番号はWO2007080392中に記載されている)、
dAb8(dAb10)、dAb10、dAb36、dAb7r20(DOM7r20)、dAb7r21(DOM7r21)、dAb7r22(DOM7r22)、dAb7r23(DOM7r23)、dAb7r24(DOM7r24)、dAb7r25(DOM7r25)、dAb7r26(DOM7r26)、dAb7r27(DOM7r27)、dAb7r28(DOM7r28)、dAb7r29(DOM7r29)、dAb7r29(DOM7r29)、dAb7r31(DOM7r31)、dAb7r32(DOM7r32)、dAb7r33(DOM7r33)、dAb7r33(DOM7r33)、dAb7h22(DOM7h22)、dAb7h23(DOM7h23)、dAb7h24(DOM7h24)、dAb7h25(DOM7h25)、dAb7h26(DOM7h26)、dAb7h27(DOM7h27)、dAb7h30(DOM7h30)、dAb7h31(DOM7h31)、dAb2(dAbs4、7、41)、dAb4、dAb7、dAb11、dAb12(dAb7m12)、dAb13(dAb15)、dAb15、dAb16(dAb21、dAb7m16)、dAb17、dAb18、dAb19、dAb21、dAb22、dAb23、dAb24、dAb25(dAb26、dAb7m26)、dAb27、dAb30(dAb35)、dAb31、dAb33、dAb34、dAb35、dAb38(dAb54)、dAb41、dAb46(dAbs47、52および56)、dAb47、dAb52、dAb53、dAb54、dAb55、dAb56、dAb7m12、dAb7m16、dAb7m26、dAb7r1(DOM7r1)、dAb7r3(DOM7r3)、dAb7r4(DOM7r4)、dAb7r5(DOM7r5)、dAb7r7(DOM7r7)、dAb7r8(DOM7r8)、dAb7r13(DOM7r13)、dAb7r14(DOM7r14)、dAb7r15(DOM7r15)、dAb7r16(DOM7r16)、dAb7r17(DOM7r17)、dAb7r18(DOM7r18)、dAb7r19(DOM7r19)、dAb7h1(DOM7h1)、dAb7h2(DOM7h2)、dAb7h6(DOM7h6)、dAb7h7(DOM7h7)、dAb7h8(DOM7h8)、dAb7h9(DOM7h9)、dAb7h10(DOM7h10)、dAb7h11(DOM7h11)、dAb7h12(DOM7h12)、dAb7h13(DOM7h13)、dAb7h14(DOM7h14)、dAb7p1(DOM7p1)、ならびにdAb7p2(DOM7p2)(この配列の開示についてはWO2008096158参照。この配列と対応する核酸は参照により本明細書に組み込まれ、本明細書の開示の一部を構成する)。代替名をカッコ内に示している。例えば、dAb8は代替名dAb10があり、表記はdAb8(dAb10)となる。
【0182】
特定の実施形態では、dAbはヒト血清アルブミンに結合し、下記からなる群から選択されるdAbのアミノ酸配列と少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含む:
MSA−16、MSA−26、
DOM7m−16(配列番号473)、DOM7m−12(配列番号474)、DOM7m−26(配列番号475)、DOM7r−1(配列番号476)、DOM7r−3(配列番号477)、DOM7r−4(配列番号478)、DOM7r−5(配列番号479)、DOM7r−7(配列番号480)、DOM7r−8(配列番号481)、DOM7h−2(配列番号482)、DOM7h−3(配列番号483)、DOM7h−4(配列番号484)、DOM7h−6(配列番号485)、DOM7h−1(配列番号486)、DOM7h−7(配列番号487)、DOM7h−22(配列番号489)、DOM7h−23(配列番号490)、DOM7h−24(配列番号491)、DOM7h−25(配列番号492)、DOM7h−26(配列番号493)、DOM7h−21(配列番号494)、DOM7h−27(配列番号495)、DOM7h−8(配列番号496)、DOM7r−13(配列番号497)、DOM7r−14(配列番号498)、DOM7r−15(配列番号499)、DOM7r−16(配列番号500)、DOM7r−17(配列番号501)、DOM7r−18(配列番号502)、DOM7r−19(配列番号503)、DOM7r−20(配列番号504)、DOM7r−21(配列番号505)、DOM7r−22(配列番号506)、DOM7r−23(配列番号507)、DOM7r−24(配列番号508)、DOM7r−25(配列番号509)、DOM7r−26(配列番号510)、DOM7r−27(配列番号511)、DOM7r−28(配列番号512)、DOM7r−29(配列番号513)、DOM7r−30(配列番号514)、DOM7r−31(配列番号515)、DOM7r−32(配列番号516)、DOM7r−33(配列番号517)(本項の配列番号はWO2007080392中に記載されている)、
dAb8、dAb10、dAb36、dAb7r20、dAb7r21、dAb7r22、dAb7r23、dAb7r24、dAb7r25、dAb7r26、dAb7r27、dAb7r28、dAb7r29、dAb7r30、dAb7r31、dAb7r32、dAb7r33、dAb7h21、dAb7h22、dAb7h23、Ab7h24、Ab7h25、Ab7h26、dAb7h27、dAb7h30、dAb7h31、dAb2、dAb4、dAb7、dAb11、dAb12、dAb13、dAb15、dAb16、dAb17、dAb18、dAb19、dAb21、dAb22、dAb23、dAb24、dAb25、dAb26、dAb27、dAb30、dAb31、dAb33、dAb34、dAb35、dAb38、dAb41、dAb46、dAb47、dAb52、dAb53、dAb54、dAb55、dAb56、dAb7m12、dAb7m16、dAb7m26、dAb7r1、dAb7r3、dAb7r4、dAb7r5、dAb7r7、dAb7r8、dAb7r13、dAb7r14、dAb7r15、dAb7r16、dAb7r17、dAb7r18、dAb7r19、dAb7h1、dAb7h2、dAb7h6、dAb7h7、dAb7h8、dAb7h9、dAb7h10、dAb7h11、dAb7h12、dAb7h13、dAb7h14、dAb7p1、およびdAb7p2。
【0183】
例えば、ヒト血清アルブミンに結合しているdAbは、以下と少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも96%、または少なくとも97%、または少なくとも98%、または少なくとも99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含みうる:
DOM7h−2(配列番号482)、DOM7h−3(配列番号483)、DOM7h−4(配列番号484)、DOM7h−6(配列番号485)、DOM7h−1(配列番号486)、DOM7h−7(配列番号487)、DOM7h−8(配列番号496)、DOM7r−13(配列番号497)、DOM7r−14(配列番号498)、DOM7h−22(配列番号489)、DOM7h−23(配列番号490)、DOM7h−24(配列番号491)、DOM7h−25(配列番号492)、DOM7h−26(配列番号493)、DOM7h−21(配列番号494)もしくはDOM7h−27(配列番号495)(本項の配列番号はWO2007080392中に記載されている)、または、
dAb8、dAb10、dAb36、dAb7h21、dAb7h22、dAb7h23、Ab7h24、Ab7h25、Ab7h26、dAb7h27、dAb7h30、dAb7h31、dAb2、dAb4、dAb7、dAb11、dAb12、dAb13、dAb15、dAb16、dAb17、dAb18、dAb19、dAb21、dAb22、dAb23、dAb24、dAb25、dAb26、dAb27、dAb30、dAb31、dAb33、dAb34、dAb35、dAb38、dAb41、dAb46、dAb47、dAb52、dAb53、dAb54、dAb55、dAb56、dAb7h1、dAb7h2、dAb7h6、dAb7h7、dAb7h8、dAb7h9、dAb7h10、dAb7h11、dAb7h12、dAb7h13もしくはdAb7h14。
【0184】
特定の実施形態では、dAbはヒト血清アルブミンに結合し、下記からなる群から選択されるdAbのアミノ酸配列と少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含む:
DOM7h−2(配列番号482)、DOM7h−6(配列番号485)、DOM7h−1(配列番号486)、DOM7h−7(配列番号487)、DOM7h−8(配列番号496)、DOM7h−22(配列番号489)、DOM7h−23(配列番号490)、DOM7h−24(配列番号491)、DOM7h−25(配列番号492)、DOM7h−26(配列番号493)、DOM7h−21(配列番号494)、DOM7h−27(配列番号495)(本項の配列番号はWO2007080392中に記載されている)、
dAb7h21、dAb7h22、dAb7h23、Ab7h24、Ab7h25、Ab7h26、dAb7h27、dAb7h30、dAb7h31、dAb2、dAb4、dAb7、dAb38、dAb41、dAb7h1、dAb7h2、dAb7h6、dAb7h7、dAb7h8、dAb7h9、dAb7h10、dAb7h11、dAb7h12、dAb7h13、およびdAb7h14。
【0185】
さらに詳細な実施形態では、dAbは、ヒト血清アルブミンに結合し、下記からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVκdAbである:
DOM7h−2(配列番号482)、DOM7h−6(配列番号485)、DOM7h−1(配列番号486)、DOM7h−7(配列番号487)、DOM7h−8(配列番号496)(本項の配列番号はWO2007080392中に記載されている)、
dAb2、dAb4、dAb7、dAb38、dAb41、dAb54、dAb7h1、dAb7h2、dAb7h6、dAb7h7、dAb7h8、dAb7h9、dAb7h10、dAb7h11、dAb7h12、dAb7h13およびdAb7h14。
【0186】
さらに詳細な実施形態では、dAbは、ヒト血清アルブミンに結合し、dAb7h30およびdAb7h31から選択されるアミノ酸配列を有するVdAbである。
【0187】
さらに詳細な実施形態では、dAbは、dAb7h11またはdAb7h14である。
【0188】
他の実施形態では、dAb、リガンド、またはアンタゴニストはヒト血清アルブミンに結合し、前出のいずれかのアミノ酸配列の1つ、2つ、または3つのCDR、例えば、dAb7h11またはdAb7h14の1つ、2つ、または3つのCDRを含む。
【0189】
血清アルブミンに結合する適切なラクダ科動物VHHとしては、WO2004/041862(Ablynx N.V.社)およびWO2007080392(これらに開示されているVHH配列および対応する核酸は参照により本明細書に組み込まれ、本明細書の開示の一部を構成する)で開示されたものが含まれ、配列A(配列番号518)、配列B(配列番号519)、配列C(配列番号520)、配列D(配列番号521)、配列E(配列番号522)、配列F(配列番号523)、配列G(配列番号524)、配列H(配列番号525)、配列I(配列番号526)、配列J(配列番号527)、配列K(配列番号528)、配列L(配列番号529)、配列M(配列番号530)、配列N(配列番号531)、配列O(配列番号532)、配列P(配列番号533)、配列Q(配列番号534)がある。これらの配列番号はWO2007080392またはWO2004/041862(Ablynx N.V.社)で引用されたものに対応する。特定の実施形態では、ラクダ科動物VHHはヒト血清アルブミンに結合し、WO2007080392で開示されたALB1、または、配列番号518〜534のいずれかと少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。これらの配列番号はWO2007080392またはWO2004/041862で引用されたものに対応する。
【0190】
一部の実施形態では、リガンドまたはアンタゴニストは、血清アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)との結合について、本明細書で開示されたいずれかの抗血清アルブミンと競合する抗血清アルブミンdAbを含む。
【0191】
別の実施形態では、アンタゴニストまたはリガンドは、IL−13(例えば、ヒトIL−13)に対して特異的な結合部分を含み、ここで、この部分はWO2008096158で記載されているように非免疫グロブリン配列を含む。これらの結合部分、その製造法と選択法(例えば、多様なライブラリからの)および配列の開示は、参照により本明細書の開示の一部として本明細書に組み込まれる。
【0192】
半減期延長部分(例えばアルブミン)へのコンジュゲート
一実施形態では、一つまたは複数の半減期延長部分(例えば、アルブミン、トランスフェリンと断片、およびそれらの類似体)が、本発明のIL−13結合ポリペプチド、dAbまたはアンタゴニストとコンジュゲートまたは会合する。IL−13結合フォーマットでの使用のために適切なアルブミン、アルブミン断片、またはアルブミン変異体の実例は、WO2005077042に記載されており、この開示は参照により本明細書に組み込まれ本明細書の開示の一部を構成する。特に、下記のアルブミン、アルブミン断片、またはアルブミン変異体は本発明に使用可能である:
・配列番号1(WO2005077042に記載。この配列は参照により明示的に本明細書に組み込まれる);
・WO2005077042に記載の配列番号1のアミノ酸1〜287を含むか、またはそれからなるアルブミン断片または変異体;
・アルブミン、または、これらのアルブミン断片やアルブミン変異体で、次の配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む:(a)WO2005077042記載の配列番号1のアミノ酸54〜61;(b)WO2005077042記載の配列番号1のアミノ酸76〜89;(c)WO2005077042記載の配列番号1のアミノ酸92〜l00;(d)WO2005077042記載の配列番号1のアミノ酸170〜176;(e)WO2005077042記載の配列番号1のアミノ酸247〜252;(f)WO2005077042記載の配列番号1のアミノ酸266〜277;(g)WO2005077042記載の配列番号1のアミノ酸280〜288;(h)WO2005077042記載の配列番号1のアミノ酸362〜368;(i)WO2005077042記載の配列番号1のアミノ酸439〜447;(j)WO2005077042記載の配列番号1のアミノ酸462〜475;(k)WO2005077042記載の配列番号1のアミノ酸478〜486;および(l)WO2005077042記載の配列番号1のアミノ酸560〜566。
【0193】
IL−13結合フォーマットでの使用のために適切なアルブミン、アルブミン断片、および類似体の実例はWO03076567に記載されている。この開示は参照により本明細書に組み込まれ、本明細書の開示の一部を構成する。特に、下記のアルブミン、断片または変異体は本発明に使うことができる:
・WO03076567記載のヒト血清アルブミン(この配列情報は参照により明示的に本明細書に組み込まれる)。図3に一例を示す。
【0194】
・585アミノ酸の単一非グルコシル化ポリペプチド鎖を含むヒト血清アルブミン(HA)で分子式量66、500(Meloun, et al., FEBS Letters 58:136 (1975); Behrens, et al., Fed. Proc. 34:591 (1975); Lawn, et al., Nucleic Acids Research 9:6102-6114 (1981); Minghetti, et al., J. Biol. Chem. 261:6747 (1986)参照)
・アルブミンの多形変異体または類似体または断片(Weitkamp, et al., Ann. Hum. Genet. 37:219 (1973)に記載されている)
・アルブミン断片または変異体(EP322094に記載されている)。例えば、HA(1−373)、HA(1−388)、HA(1−389)、HA(1−369)およびHA(1−419)、ならびに、1−369と1〜419の間の断片。
【0195】
・アルブミン断片または変異体(EP399666に記載されている)。例えば、HA(1−177)およびHA(1−200)、ならびに、HA(1−X)間の断片。ここでXは178〜199の任意の数字。
【0196】
(一つまたは複数の)半減期延長部分(例えば、アルブミン、トランスフェリンおと断片、およびその類似体)が、本発明のIL−13結合ポリペプチド、dAbおよびアンタゴニストをフォーマットするために使われる場合は、IL−13結合部分(例えば、抗IL−13dAb)に任意の適切な方法を使ってコンジュゲート可能である。コンジュゲート法としては、例えば、融合タンパク質をコードしている単一ヌクレオチド構築物を使って直接融合する、等の方法があり、この場合、融合タンパク質は、IL−13結合部分のNまたはC末端位置に半減期延長部分をもつ単一ポリペプチド鎖としてコードされている。あるいは、コンジュゲートは、部分間でペプチドリンカーを使って達成可能である。例えば、ペプチドリンカーは、WO03076567またはWO2004003019に記載されている(このリンカーの開示は、参照により本開示に組み込まれ本発明での使用のための実例を提供する)。通常、生体内血清中半減期を延長するポリペプチドは本来生体内で発生するもので、生体(例えばヒト)から望ましくない物質を除く内因性機構による分解または除去に抵抗性を示す。例えば、生体内で血清中半減期を延長するポリペプチドは、細胞外マトリックスからのタンパク質、血液中で見つかったタンパク質、血液脳関門で見つかったタンパク質、または神経組織中、腎臓に局在化しているタンパク質、肝臓、肺、心臓、皮膚または骨、ストレスタンパク質、疾患特異性タンパク質、または、F輸送に関わるタンパク質から選択可能である。
【0197】
本発明の本開示全体の実施形態では、本発明のアンタゴニストまたはリガンド中の抗IL−13「dAb」を使う代わりに、当業者は、IL−13に結合した、本発明のdAbの一つ、またはそれ以上、または全3つのCDR(例えば、適切なタンパク質足場や骨格上にグラフトしたCDR、例えば、アフィボディ、SpA足場、LDL受容体クラスAドメイン、EGFドメイン)を含むポリペプチドまたはドメインを使うことが可能であるということが意図されている。従って、本開示は全体としてdAbの代わりにこのドメインを使ったアンタゴニストの開示を提供すると理解されるべきである。(この点に関しては、WO2008096158を参照のこと。この開示は参照により組み込まれる)。
【0198】
従って、一実施形態では、本発明のアンタゴニストは、Il−13や適切なフォーマットのこのdAbの相補性決定領域に特異的に結合する免疫グロブリン単一可変ドメインまたはドメイン抗体(dAb)を含む。アンタゴニストはこのdAbからなる、または、基本的にこのdAbからなるポリペプチドであってもよい。アンタゴニストは、抗体フォーマット(例えば、IgG様フォーマット、scFv、Fab、Fab’、F(ab’))等の適切なフォーマットのdAb(またはdAbのCDR)であっても、IL−13に結合したdAb、および他の標的タンパク質、抗原、またはエピトープ(例えば血清アルブミン)に結合した第二のdAbを含む二重特異性リガンドであってもよい。
【0199】
本発明に係るポリペプチド、dAb、およびアンタゴニストは、当業者には既知の多様な適切な抗体フォーマットとしてフォーマットされていてもよい。これらの抗体フォーマットの例としては、次のものがある。IgG様フォーマット、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、単鎖抗体、二重特性抗体、抗体重鎖、抗体軽鎖、抗体重鎖および/または軽鎖のホモ二量体とヘテロ二量体、前出のいずれかの抗原結合フラグメント(例えば、Fフラグメント(例えば、単鎖FSC)、ジスルフィド結合F)、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)フラグメント)、単一可変ドメイン(例えばV、V)、dAb、および前出のいずれかの修飾バージョン(例えば、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール)、または他の適切なポリマーの共有結合により修飾される)。
【0200】
一部の実施形態では、本発明は、IgGフォーマットのリガンド(例えば、抗IL−13アンタゴニスト)を提供する。この様なフォーマットは、通常のIgG分子4鎖構造(2つの重鎖と2つの軽鎖)を有し、一つまたは複数の可変領域(Vおよび/またはV)が本発明のdAbで置換されている。一実施形態では、各可変領域(2V領域と2V領域)はdAbまたは単一可変ドメインで置換されており、その内の少なくとも一つが本発明の抗IL−13dAbである。IgG様フォーマットで含まれているdAbまたは単一可変ドメインは、同じ特異性でも異なる特異性でも持つことが可能である。一部の実施形態では、IgG様フォーマットは4価であり、1つ(抗IL−13のみ)、2つ(例えば、抗IL−13と抗SA)、3つ、4つの特異性を有することが可能である。例えば、IgG様フォーマットは、同じ特異性の4つのdAbを含む単一特異性になることも;同じ特異性の3つのdAbと異なる特異性の別のdAbを含む二重特異性になることも;同じ特異性の2つのdAbと共通だが異なる特異性の2つのdAbを含む二重特異性になることも;同じ特異性の第一、第二のdAb、異なる特異性の第三のdAb、および第一、第二、第三のdAbとは別の特異性を含む三重特異性になることも;または、それぞれ異なる特異性を持つ4つのdAbを含む四重特異性になることもできる。IgG様フォーマットの抗原結合フラグメント(例えば、Fab、F(ab’)、Fab’、Fv、scFv)は作製可能である。一実施形態では、IgG様フォーマットまたは抗原結合フラグメントはIL−13に対し単一特異性であることも可能である。補体活性化および/または抗体依存性細胞毒性(ADCC)機能が必要な場合は、リガンドはIgG様フォーマットでよい。必要に応じ、IgG様フォーマットは変異定常領域(変種IgG重鎖定常領域)を含み、FC受容体への結合および/または補体結合能を最小化できる。(例えば、Winter et al., GB 2,209,757 B; Morrison et al., WO 89/07142; Morgan et al., WO 94/29351, December 22, 1994を参照のこと)。
【0201】
本発明のリガンド(例えば、ポリペプチド、dAb、アンタゴニスト)は、第二の免疫グロブリン単一可変ドメインに直接融合した第一の免疫グロブリン単一可変ドメインを含む融合タンパク質としてフォーマットできる。必要なら、このフォーマットは、さらに半減期延長部分を含んでもよい。例えば、リガンドは、血清アルブミンに結合した免疫グロブリン単一可変ドメインに直接融合した第二の免疫グロブリン単一可変ドメインに直接融合した第一の免疫グロブリン単一可変ドメインを含んでもよい。
【0202】
通常、標的に対し結合特異性を持つ結合部位を有するポリペプチドドメインの配向、およびリガンドがリンカーを含むか否かは、設計上の選択事項である。しかし、リンカーがあってもなくても、一部の配向は他の配向よりもよい結合特性を与える可能性がある。全配向(例えば、dAb1−リンカー−dAb2;dAb2−リンカー−dAb1)は本発明に包含され、所望の結合特性を与える配向を含むリガンドはスクリーニングにより容易に特定可能である。
【0203】
dAbモノマー、二量体、三量体を含む本発明にのポリペプチドおよびdAbは、1つまたは両方のC2およびC3ドメイン、ならびに、任意選択でヒンジ領域を含む抗体のF領域に結合できる。例えば、単一ヌクレオチド配列としてFC領域に結合するリガンドをコードしているベクターを、このポリペプチドを生成するために使用することが可能である。
【0204】
さらに、本発明は、前出dAbモノマーの二量体、三量体、およびポリマーを提供する。
【0205】
毒素部分または毒素を含むリガンド
また、本発明は、毒素部分また毒素を含むリガンド(例えば、抗IL−13dAb、dAbモノマー)に関する。適切な毒素部分は毒素(例えば、表面活性毒素、細胞毒)を含む。毒素部分または毒素は適切な方法によりリガンドに結合またはコンジュゲートできる。例えば、毒素部分または毒素はリガンドに直接にまたは適切なリンカーを介して共有結合により結合できる。適切なリンカーには切断不可能な、または切断可能なリンカー、例えば、細胞性酵素(例えば、細胞エステラーゼ、カテプシンB等の細胞プロテアーゼ)の切断サイト含むpH切断リンカー、を含めてもよい。このような切断可能リンカーは、リガンドが内部に取り入れられた後、毒素部分または毒素を開放するリガンドを作成するために使用可能である。
【0206】
リガンドに毒素部分または毒素を結合またはコンジュゲートするために種々の方法を使うことが可能である。結合またはコンジュゲートの詳細方法は結合またはコンジュゲートされる毒素部分または毒素およびリガンドに依存することになる。必要なら、末端機能基を含むリンカーを、リガンドと毒素部分または毒素を結合するために使用可能である。通常、コンジュゲートは、反応官能基を含む(または、反応官能基を含むように修飾した)毒素部分または毒素をリンカーと、または直接リガンドと反応させて成し遂げられる。適切な条件下で第二の化学基と反応し、それにより共有結合を形成する化学的部分または官能基を含む(または含むように修飾された)毒素部分または毒素を反応させて共有結合が形成される。必要なら、適切な反応化学基を任意の適切な方法を使ってリガンドまたはリンカーに追加可能である。(Hermanson, G. T., Bioconjugate Techniques, Academic Press: San Diego, CA (1996)参照)。多くの適切な化学基の組合せが当業者には既知であり、例えば、アミン基は、トシラート、メシラート、ハロゲン基(クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード)、N−ヒドロキシスクシンイミジル エステル(NHS)、等の求電子基と反応可能である。チオールは、マレイミド、ヨードアセチル、アクリロリル、ピリジル、ジスルフィド、5−チオール−2−ニトロ安息香酸 チオール(TNBチオール)、等と反応可能である。アルデヒド機能基は、アミン−、またはヒドラジド−含有分子とカップリングでき、アジド基は、三価の亜リン酸基と反応しホスホルアミダートまたはホスホルイミド結合を作る。活性化基を分子に導入する適切な方法は、当業者には既知である(例えば、Hermanson, G. T., Bioconjugate Techniques, Academic Press: San Diego, CA (1996)を参照)。
【0207】
適切な毒素部分および毒素には、例えば、マイタンシノイド(例えば、マイタンシノール、例えば、DM1、DM4)、タキサン、カリケアマイシン、デュオカルマイシン、またはこれらの派生物が含まれる。マイタンシノイドは、例えば、マイタンシノールまたはその類似体であってもよい。マイタンシノール類似体の例には、修飾された芳香族環(例えば、C−19−デクロロ、C−20−デメトキシ、C−20−アシルオキシ)を持つもの、および他の位置に修飾がなされたもの(例えば、C−9−CH、C−14−アルコキシメチル、C−14−ヒドロキシメチルまたはアセロキシメチル、C−15−ヒドロキシ/アシルオキシ、C−15−メトキシ、C−18−N−デメチル、4、5−デオキシ)が含まれる。マイタンシノールおよびマイタンシノール類似体は、例えば、米国特許第5,208,020号および第6,333,410号に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。マイタンシノールは、例えば、N−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロプリオナート(また、N−スクシンイミジル4−(2−ピリジルジチオ)ペンタノアート(またはSPP)として知られている)、4−スクシンイミジル−オキシカルボニル−a−(2−ピリジルジチオ)−トルエン(SMPT)、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)ブチラート(SDPB)、2イミノチオラン、またはS−アセチルコハク酸無水物、を使って抗体および抗体フラグメントにカップリング可能である。タキサンは、例えば、タクソール、タキソテール、または新規タキサンであってもよい(WO 01/38318参照)。カリケアマイシンは、例えば、ブロモ錯体カリケアマイシン(例えば、α、β、またはγブロモ錯体)、ヨード錯体カリケアマイシン(例えば、α、β、またはγヨード錯体)、または類似体、および、それらの模倣体であってもよい。ブロモ錯体カリケアマイシンには、I1−BR、I2−BR、I3−BR、I4−BR、J1−BR、J2−BRおよびK1−BRが含まれる。ヨード錯体カリケアマイシンには、I1−I、I2−I、I3−I、J1−I、J2−I、L1−IおよびK1−BRが含まれる。カリケアマイシンおよびそれらの変異体、類似体、模倣体は、例えば、米国特許第4,970,198号;第5,264,586号;第5,550,246号;第5,712,374号、および第5,714,586号に記載があり、これらの内容は、参照により本明細書に組み込まれる。デュオカルマイシン類似体(例えば、KW−2189、DC88、DC89CBI−TMI、およびこれらの派生物)は、例えば、米国特許第5,070,092号、米国特許第5,187,186号、米国特許第5,641,780号、米国特許第5,641,780号、米国特許第4,923,990号、および米国特許第5,101,038号、に記載されており、これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0208】
これに限定されないが、他の毒素の例には、代謝拮抗物質(例えば、メトトレキサート)、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオエパクロランブシル、CC−1065(米国特許第5,475,092号、第5,585,499号、第5,846,545号参照)、メルファラン、カルムスチン(BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、およびシス−ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリネス(例えば、ダウノルビシン(以前のダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(以前のアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、マイトマイシン、ピュロマイシンアントラマイシン(AMC))、デュオカルマイシンおよび類似体またはこれらの派生体、および抗有糸分裂剤(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、タキソール、アウリスタチン(例えば、アウリスタチンE)およびマイタンシノイド、およびこれらの類似体または同族体、が含まれる。
【0209】
また、毒素は、フリーラジカルジェネレーター(例えば、セレニウム含有毒素部分)のような表面活性毒素または放射性核種含有部分であってもよい。適切な放射性核種含有部分には、例えば、放射性ヨウ素(131Iまたは125I)、イットリウム(90Y)、ルテニウム(177Lu)、アクチニウム(225Ac)、プラセオジミウム、アスタチン(211At)、レニウム(186Re)、ビスマス(212Biまたは213Bi)、インジウム(111In)、テクネチウム(99mTc)、リン(32P)、ロジウム(188Rh)、硫黄(35S)、炭素(14C)、トリチウム(H)、クロミウム(51Cr)、塩素(36Cl)、コバルト(57Coまたは58Co)、鉄(59Fe)、セレニウム(75Se)、またはガリウム(67Ga)、を含む部分が含まれる。
【0210】
毒素は、細菌源からのタンパク質、ポリペプチド、またはペプチド(例えば、ジフテリア毒素、緑膿菌外毒素(PE))、および、植物タンパク質、例えば、リシンA鎖(RTA)、リボソーム不活性化タンパク質(RIP)ゲロニン、ヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、サポリン、ドデカンドロンであってもよく、これらは毒素として使用されることが意図されている。
【0211】
また、特定の標的タンパク質の生成を担うmRNAに対し、結合、無効化、分解促進、または産生の阻害を行うように設計した核酸のアンチセンス化合物も毒素として使用することもできる。アンチセンス化合物には、アンチセンスRNAまたはDNA、一本鎖または二本鎖オリゴヌクレオチド、あるいはそれらの類似体が含まれ、これらは、個々のmRNA種と特異的にハイブリダイズし、mRNA種の転写および/またはRNAプロセシング、および/またはコードされたポリペプチドの翻訳を阻害し、それによってそれぞれのコードされたポリペプチドの量を減少させることができる。Ching, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 86: 10006-10010 (1989); Broder, et al., Ann. Int. Med. 113: 604-618 (1990); Loreau, et al., FEBS Letters 274: 53-56 (1990)。有用なアンチセンス治療剤には、例えば、VeglinTM(VasGene社)およびOGX−011(Oncogenex社)が含まれる。
【0212】
毒素は、光活性剤であってもよい。適切な光活性剤には、ポルフィリン基材、例えば、ポルフィマーナトリウム、葉緑素ポルフィリン、クロリンE6、ヘマトポルフィリン派生体それ自体、フタロシアニン、エチオプルプリン、テキサフリン、等が含まれる。
【0213】
毒素は、細胞内標的(細胞内抗体)に結合するdAb等の、細胞内標的に結合する抗体または抗体フラグメントであってよい。そのような抗体または抗体フラグメント(dAb)は、所定の細胞内コンパートメントまたは標的を対象とすることができる。例えば、それらの抗体または抗体フラグメント(dAb)は、erbB2、EGFR、BCR−ABL、p21Ras、カスパーゼ3、カスパーゼ7、Bcl−2、p53、サイクリンE、ATF−1/CREB、HPV16E7、HP1、IV型コラゲナーゼ、カテプシンL、および、Kontermann, R.E., Methods, 34:163-170 (2004)(その全体を参照により本明細書に組み込む)に記載されているものから選択した細胞内標的と結合することができる。
【0214】
WO2007085815の実施例は参照により本明細書に組み込まれ、本発明のリガンドにも同様に適用可能な、関連アッセイ、フォーマッティングおよび実験の詳細を提供する。
【0215】
アッセイ
IL−13
IL−13サンドイッチELISA法
MAXISORPTMプレート(高タンパク質結合ELISAプレート、Nunc社、デンマーク)を2.5μg/mlのコーティング抗体(Module Set、Bender MedSystems社、ウイーン、オーストリア)で一晩コートして、次に、PBSに入れた0.05%(v/v)のTween20で1回洗浄し、0.5%(w/v)BSA と0.05%(v/v)Tween20のPBS溶液でブロッキングする。プレートを再度洗浄した後、150pg/mlのIL−13(GSK社)をDOM10dAb(すなわち、抗IL−13dAb)希釈系列またはIL−13単体と混合する。プレートを2回洗浄した後、IL−13を捕捉抗体に結合させ、ビオチン結合検出抗体(Module Set、Bender MedSystems社)、続いてペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(Module Set、Bender MedSystems社)を使って検出する。最後に、プレートを3回洗浄し次いでTMB基質(KPL社、ゲーサーズバーグ、米国)と共にインキュベートした後、HClを添加して反応を停止し450 nmでの吸光度を読みとる。抗IL−13dAbはIL−13結合を減少させ、その結果IL−13のみの対照と比べ吸光度を減少させる。
【0216】
8200細胞検出システムを使ったIL−13受容体結合アッセイ(RBA)
SPHEROTMヤギ抗ヒトIgG(H&L社)ポリスチレン粒子(0.5%w/v)(ヤギ抗ヒト粒子:Spherotech社、リバティービル、米国)を20μgのIL−13Rα1/Fcキメラ、またはIL−13Rα2/Fcキメラ(R&D Systems社、ミネアポリス、米国)を用いて一晩コートする。その後、以下の試薬を、側面が黒で底面が透明な384ウェルのFMATプレート(Applied Biosystems社、フォスターシティ、米国)内で混合する。当該試薬は、DOM−10dAbまたは0.1%(w/v)BSAのPBSによる希釈系列;0.5μg/mlビオチン化抗IL−13抗体(R&D Systems社);0.25μg/ml STREPTAVIDIN ALEX AFLUOR(登録商標)647複合体(蛍光プローブ、分子プローブ、Invitrogen Ltd社、ペーズリー、英国);10ng/ml組換えヒトIL−13(R&D Systems社);およびIL−13R2/Fc被覆粒子の1:10希釈液である。プレートを7時間インキュベートした後、8200細胞検出システム(Applied Biosystems社)で読み取る。IL−13とレセプター被覆粒子との結合は、蛍光発光として8200細胞検出システムにより検出される複合体を形成させる。抗IL−13dAb活性により、IL−13結合の低下と、その結果、IL−13のみの対照と比較して蛍光発光の減少が起こる。
【0217】
IL−13細胞アッセイ
単離されたdAbについて、培養したTF−1細胞(ATCC(登録商標)カタログ番号CRL−2003)におけるIL−13誘導増殖を抑制する能力試験が可能である。簡単に説明すると、フェノールレッドを含まないRPMI培地(Gibco、Invitrogen Ltd社、ペーズリー、英国)中の40000個のTF−1細胞を組織培養マイクロタイタープレートのウェル内に入れ、最終濃度5ng/mlのIL−13(R&D Systems社、ミネアポリス、米国)および検証対象dAbの希釈物を混合する。この混合物を37℃、5%COで72時間インキュベートする。その後、CELLTITER96(登録商標)試薬(生存率測定用の比色定量試薬、Promega社、マディソン、米国)を加え、ウェルあたりの細胞数を490nmにおける吸光度を測定することによって定量する。抗IL−13dAb活性は、細胞増殖を低下させ、A490もIL−13のみに比べ相当する低い値になる。
【0218】
BIACORE(登録商標)解離速度(off−rate)スクリーニング
ストレプトアビジン被覆SAチップ(Biacore)を約500RUのビオチン化IL−13(R&D SYSTEMS社、ミネアポリス、米国)でコートする。可溶性DABを含む上清をランニングバッファで1:5に希釈する。50〜100μlの希釈上清を50μl/分の流速で注入(kininject法)し、続いて、解離フェーズとして5分間保持する。親株と比較して改善された解離速度を有するクローンを、目視によって、またはBIAevaluationソフトウェアV4.1(Biacore社)を用いて測定することによって確認する。
【0219】
抗IL−13 dAbとの競合BIACORE(登録商標)
これらの実験は、約400RUのビオチン化IL−13(R&D Systems社)と結合させたストレプトアビジン被覆SAチップ(Biacore社)を用いて、BIACORE(登録商標)3000装置(表面プラズモン共鳴装置、Biacore社)で行う。ブランクのフローセルとインライン比較しながら、HBS−EPランニングバッファ(Biacore社)中を流速30μl/分で抗原被覆フローセルに検体を通した。最初のdAbを注入し、続いて、すぐに第二のdAbをBiacoreの同時注入機能(co−inject function)を用いて注入する。この競合プロトコルは、通常、IL−13との結合について被検抗体またはフラグメントと、既知dAb(または他の抗体ポリペプチド)との間のIL−13に対する結合の競合を評価するのに使用される。
【0220】
競合とエピトープマッピング
抗IL−13dAbのエピトープマッピング
抗IL−13dAbのエピトープ特異性を調べるために、Biacore競合実験を行うことができる。dAbを注入し、続いて、すぐに第二のdAbを注入する。既に他の(第一の)dAbが結合していると、ある(第二の)dAbが、IL−13に結合できない場合、これは、これらのdAbが同じエピトープに結合することを示している。本競合プロトコルは、通常、被検抗体またはフラグメントと、既知dAb(または他の抗体ポリペプチド)との間のIL−13への結合に対する競合(およびエピトープマッピング)を評価するのに使用することができる。僅かに改変したBIAcoreプロトコルの使用も可能で、このプロトコルでは、第一のdAbをIL−13表面に注入し、その後、高親和結合性dAbを、IL−13表面を飽和させる高濃度(5μM)で注入し、最後に前記dAbを再度注入する。高親和結合性dAbで飽和する前と後で結合に差があれば、エピトープは少なくとも部分的に重複している。
【0221】
IL−13誘導B細胞増殖
血液を正常な血液ドナーから集める。PBMCをフィコール勾配で分離し、その後、B細胞をネガティブB細胞分離キット(EasySep Negative isolation kit、Stem Cell Technologies Inc社)を用いて分離する。純度(任意選択肢として、98%を超える)は、フローサイトメトリー、並びにCD3、CD4、CD8、CD14、CD19およびCD23での染色によって測定される。その後、B細胞を、放射線照射CD40LL細胞で被覆されたプレートにIL−13(10ng/ml)存在下1×10細胞/ウェルで蒔く。培養物を、最後の18時間は3[H]チミジンを添加して、5日間インキュベートする。抗IL−13dAbを培養開始時に10nMまたは100nMで添加する。
【0222】
B細胞増殖アッセイ
CD40Lが、IL−13に対して反応するように細胞を活性化できることは、以前に示されていた。実際、ドナーは、B細胞を放射線照射されたCD40LL細胞と共に、IL−13の濃度を増加させてインキュベートしたときに、用量依存性増殖を示す試験が可能である。ネガティブ対照としてB細胞のみ、またはCD40Lで形質移入したL細胞のみを使用する。抗IL−13 dAbの添加により、ドナー由来のB細胞のIL−13誘導増殖が抑制されるかどうか評価できる。
【0223】
抑制型dAb(WO2007085815参照)の一例であるが、平均抑制率が10nMおよび100nMの濃度においてそれぞれ80%および100%であった。B細胞増殖の完全な抑制も、ポジティブ対照としての3μg/mlの抗IL−13mAb(R&D社)で観察された。IL−13と結合しない対照dAbは、このB細胞増殖を抑制できなかった。
【0224】
IL−13のIL−13Rα2に対する結合の抑制
競合アッセイにより、IL−13のIL−13Rα2に対する結合を抑制する抗IL−13dAbの能力に関する試験が可能である。
【0225】
変異型IL−13(R130Q)への結合
IL−13の遺伝的変異体は、喘息(Heinzmann et al. Hum Mol Genet. (2000) 9549-59)および気管支過敏症(Howard et al., Am. J. Resp. Cell Molec. Biol. (2001) 377-384)のリスクの増加と関連している。それ故、抗IL−13 dAbが変異型IL−13 (R130Q)と結合できるかどうかを測定するため、変異型IL−13(R130Q)を用いdAb量を増加させてTF−1増殖アッセイが行われる。変異体に結合したdAbは、変異型IL−13誘導TF−1増殖を、例えば、約0.5〜10nMのND50値で抑制できる可能性がある。
【0226】
アカゲザルおよびカニクイザルIL−13との交差反応性
dAbに求められる要件は、アカゲザルおよびカニクイザルIL−13との交差反応性であろう。この目的に対し、dAbをTF−1細胞増殖アッセイ試験が行える。当該アッセイでは、細胞をヒトIL−13(5ng/ml、Peprotech社)、アカゲザルIL−13(5ng/ml、R&D systems社)またはカニクイザルIL−13(当所で発現させたカニクイザルIL−13を含む上清の1:4000希釈)で刺激する。dAbの用量反応により、本設定におけるND50が測定される。
【0227】
IL−4
IL−4受容体結合アッセイ(RBA)
MaxiSorpTM プレート(高タンパク質結合ELISAプレート、Nunc社、デンマーク)を0.5μg/mlの組換えヒトIL−4R/Fc(R&D Systems社、ミネアポリス、米国)で一晩コートし、ウェルをPBSに入れた0.1%(v/v)Tween20で3回洗浄後、続いて、PBSで3回洗浄した後、2%(w/v)BSAのPBS溶液でブロッキングする。プレートを再度洗浄した後、希釈系列のIL−4または抗IL−4dAbと混合した10ng/mlのビオチン化IL−4(R&D Systems社)を添加する。IL−4の結合をペルオキシダーゼ標識抗ビオチン抗体(Stratech社、ソーハム、英国)により検出し、その後、TBM基質(KPL社、ゲーサーズバーグ、米国)で発色させる。反応を塩酸の添加によって停止させ、450nmにおける吸光度を読み取る。抗IL−4dAb活性は、受容体に対するIL−4結合を減少させ、結果として、IL−4のみの対照と比較して吸光度が減少する。
【0228】
IL−4細胞アッセイ
単離したdAbに対し、培養したTF−1細胞(ATCC(登録商標))カタログ番号CRL−2003)におけるIL−4誘導増殖の抑制能力について試験できる。簡単に説明すると、フェノールレッドを含まないRPMI培地(Gibco、Invitrogen Ltd社、ぺーズリー、英国)中の40000個のTF−1細胞を組織培養マイクロタイタープレートのウェル内に入れ、最終濃度1ng/mlのIL−4(R&D Systems社、ミネアポリス、米国)および検証対象dAbの希釈物と混合する。混合物を37℃、5%COで72時間インキュベートし、その後、CellTiter 96(登録商標)試薬(生存能測定用の比色定量試薬、Promega社、マディソン、米国)を加え、ウェルあたりの細胞数を490nmにおける吸光度を測定することによって定量する。抗IL−4dAb活性は、細胞増殖の低下を生じさせ、またIL−4単独よりも、相当する低いA490値になる。
【0229】
抗IL−4dAbとの競合Biacore(登録商標)
これらの実験は、約400 RUのビオチン化IL−4(R&D Systems)と組み合わせたストレプトアビジン被覆SAチップ(表面プラズモン共鳴システム、Biacore社)を用いて、競合Biacore(登録商標)3000装置で行われる。ブランクのフローセルとインライン比較しながら、HBS−EPランニングバッファ(Biacore社)を使い流速30μl/minで、検体を抗原被覆フローセル上に通過させる。第1のdAbを注入し、続いて、直ちに第2のdAbをBiacore社の同時注入機能(co−inject function)を用いて注入する。この競合プロトコルは、通常、被検抗体またはフラグメントの既知dAb(または他の抗体ポリペプチド)とのIL−4への結合に対する競合を評価するのに使用できる。
【0230】
実施例
実施例1:DOM10リードdAbの選択
DOM10−53−546
抗IL−13ドメイン抗体(dAb)であるDOM10―53−546を、IL−4とIL−13に対する二重標的分子を単離する試みとしてヒトIL−13に対して選択されたインライン融合ライブラリから単離した。ASTKGPSリンカーを使ってIL−4結合dAbのDOM9−112−210をDOM−53−409dAbと結合しDOM9−112−210−ASTKGPS−DOM10−53−409を作成した。DOM9−112−210およびDOM10−53−409はWO2007085815に開示されている。ASTKGPSリンカーはWO2007085814に開示されている。DOM9dAbを固定して、12のDOM10−53−409ライブラリを構築し、より優れた効果と発現量を有するインライン融合物を選択するために、それぞれ全3つのCDRおよびCDRの周りのフレームワーク残基を含むDOM10−53−409の残基を多様化した。これらのライブラリは残基を多様化するためにNNSコドンを組み込んだオリゴヌクレオチドを使って作成した。NNSコドンにより、20アミノ酸または1つの終止コドンの合計32コドンの内から任意に置換することよって標的残基のランダム化が行われる。Nは、A、T、G、Cの4つのヌクレオチドの内の1つを表し、Sは、GまたはCを表す。これらのオリゴヌクレオチドを使って行った一次PCRを、次にアセンブリPCRを使って組み合わせる。アセンブルPCR(「pull−through」またはSOE(Splicing by Overlap Extension)PCRとして知られている)は、2つの一次PCR産物(一つは多様化されたもの、もう一つは不変のもの)を、分解やライゲーションなしに2つの一次PCR産物の相補性末端を利用して結合させる。
【0231】
インライン融合ライブラリは、ストレプトアビジン被覆磁気ビーズ(Dynal社、ノルウェイ)と10nMのビオチン化ヒトIL−13を使った2ラウンドの選択に供される。IL−13のビオチン化は、5倍モル過剰のEZ−Link Sulfo−NHS−LC−Biotin試薬(Pierce社、ロックフォード、米国)を使って行った(Henderikx et al., 2002, Selection of antibodies against biotinylated antigens. Antibody Phage Display: Methods and protocols, Ed. O'Brien and Atkin, Humana Press) 。
【0232】
第2ラウンドの産物をpDOM5ベクター(図1)に挿入した。pDOM5はpUC119ベースの発現ベクターで、LacZプロモーターの制御下にある。上澄み中へのdAbの発現は汎用GASリーダーシグナルペプチドとのN末端での融合により確実に実行される。さらに、c−mycタグがdAbのC末端に付加された。大腸菌HB2151の形質転換の後、クローンを、96個の深底ウエルプレートに100μg/mlのカルベニシリンを添加したovernight express auto−induction培地(high−level protein expression system、Novagen社)0.5ml/ウエルでいれて950rpm、30℃、湿度80%でinfors社の高速シェーカーを用いて2日間発現させた。次いで、プレートを4000rpmで20分、遠心分離を行い、できた上澄み液をHBSバッファーで1/5に薄め、1500RU プロテインA CM5チップへの結合に対しBiacoreTMを用いてスクリーニングを行い、改善発現量を有するクローンを選別した。メーカーの推奨に従い、一級アミンカップリングによりプロテインAをCM5チップとカップリングした(アミンカップリングキット、Biacore、GE healthcare社)。試料をBiacoreで50μl/分の流速で流した。上面を0.1Mのグリシン(pH2)を使ってベースラインまで戻した。改善発現量の任意のクローンを50mlのovernight express autoinduction培地中、30℃で48時間発現させ、遠心分離(4、000rpm、20分)で細胞を沈殿させた後、上澄みを4℃で一晩Streamline−protein Aビーズ(Amersham Biosciences社、結合能力:5 mg dAb/mLビーズ)と一緒にインキュベートした。次に、ビーズをドリップカラムに詰め、カラムの10倍量のPBSで洗浄した後、0.1Mの塩酸グリシン(pH2)で溶出させた。1Mトリス塩酸(pH8.0)で中和し、12%アクリルアミドトリスグリシンゲル(Invitrogen社)上でSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法を行った後、タンパク質の純度を目視で推定した。タンパク質濃度と収率(細菌培養物L当たりのmgで)を280nmでのアミノ酸組成から計算した吸光係数を使って測定した。改善発現量を有するクローンの200Ruビオチン化ヒトIL−13ストレプトアビジンチップに対する結合についてBiacoreを使って解析し効力を評価した。これらのライブラリから選択された最も有効なクローンは、DOM9−112−210−ASTKGPS−DOM10−53−546(フレームワーク残基28〜30が多様化されているライブラリからのもの)であった。これは、DOM9−112−210−ASTKGPS−DOM10−53−409と類似の発現レベルであったが、IL−13に対しては効力が改善されていた。次に、DOM10の一領域であるDOM10−53−546をpDOM5ベクターに挿入しクローニングした。DOM10−53−546のDNAとアミノ酸配列を図2と図3にまとめる。
【0233】
DOM10−53−567
DOM10−53−567を、カニクイザルIL−13に対する改善効力を有するdAbの選別の試みとして、ビオチン化したカニクイザル(cyno)IL−13のDOM10−53−474(このdAbはWO2007085815に開示されている)のエラープローンライブラリに対して行った選別物から単離した。エラープローンDOM10−53−474のライブラリは、メーカーの説明書(カタログNo.200550)に従って、MutazymeTM DNAポリメラーゼを使用するStratagene社のGeneMorph PCR突然変異誘発キットを使って作成した。エラープローンDOM10−53−474のライブラリを使い10nMと5nMのカニクイザルIL−13それぞれに対し2ラウンドの選別を行った。第2ラウンドの産物をpDOM5ベクターに挿入し、前述の様に96個の深底ウエルプレートにいれて大腸菌HB2151中で発現させた。プレートを遠心分離し、上澄みをHBSバッファーで1/5に薄め、Biacoreを使って200Ru カニクイザルIL−13ストレプトアビジンチップで選別し、DOM10−53−474に比べて改善されたカニクイザルIL−13への結合特性を持ったクローンを探した。DOM10−53−567が、カニクイザルIL−13およびヒトIL−13の両方に対し改善された結合速度を有するクローンとして選択された。DNAとアミノ酸配列を図2と図3にまとめる。
【0234】
DOM10−53−568
DOM10−53−567の効力をさらに改善する試みとして、有力な抗IL−13dAbのDOM10−53−386(このdAbはWO2007085815で開示されている)のCDRをDOM10−53−567に導入し、アセンブルPCRを使ってDOM10−53−568を作成し、pDOM5ベクターに挿入しクローニングを行った。DNAとアミノ酸配列を図2と図3にまとめる。
【0235】
DOM10−53−616
DOM10−53−546の効力をさらに改善する試みとして、有力な抗IL−13dAbであるDOM10−53−386のCDR2を導入しDOM10−53−546のCDR2と置換して、DOM10−53−616作成した。これをpDOM5ベクターに挿入しクローニングを行った。DNAとアミノ酸配列を図2と図3にまとめる。
【0236】
実施例2:配列解析
図4a、図4b、図4c及び図4dに示されるように、DOM10−53−546は、DOM10−53−474と比較して5位置にアミノ酸変化がある。それは、N末端からCDR1への位置28(TからV)と30(AからP)の2つのフレームワーク変異、および、CDR2における位置54(HからK)、56(EからG)、57(VからK)の3つの残基である。DOM10−53−567はDOM10−53−474とは位置28(TからV)で一つのアミノ酸が異なるのみである。
【0237】
DOM10−53−568も同じ変異を持つが、さらに2つのアミノ酸変化がCDR2の位置56(EからK)と57(VからI)に追加される。DOM10−53−616はDOM10−53−568と同じ3つの変異全部を持つが、さらに位置30のアミノ酸が変化(AからP)している。位置28のトレオニンからバリンへのアミノ酸変化は4つのdAb全部で共通である。DOM10−53−474を含むこれら全てのdAbは同じCDR1とCDR3を有する。全ナンバリングはKabatによるものである。
【0238】
実施例3:DOM10dAbの発現と効力
以下に示すように、新dAbはDOM10−53−474より高い効力を有する。さらに、新dAbは、ヒトと非ヒト霊長類IL−13との間の結合に対し種間交差反応性(および有効なIL−13種間中和特性)を有する。これにより、新dAbが、IL−13媒介症状と疾患の治療および/または予防のための薬剤として、また薬剤開発のベースとして非常に有用になる。というのは、このような開発には、通常、非ヒト霊長類はヒトの良いモデルでありその後のヒトに対する研究の指針となるデータを与えてくれると信じられているので、ヒトでの試験に先立ち非ヒト霊長類種の最適候補の試験が必要となるからである。
【0239】
上記IL−13 DOM10dAbの対照比較をするために、これらをmycタグ無しでpDOM5ベクターに挿入し、Mach1ケミカルコンピテントセル(Invitrogen社)に入れて、前述と同様にovernight express auto−induction培地の50ml培養物中で発現させた。前述のStreamline−protein Aを使ってタンパク質を精製し、生成物をSDS PAGEにより評価した。簡単に述べれば、SDS PAGEのために、5μlのdAb、15μlのHOおよび6μlのサンプルバッファを混合し、90℃で20分間インキュベートし、続いて、氷の上に2分置き、サンプルをSDS PAGEゲルにローディングした。この結果、全dAbが純粋調製物であることがわかった。
【0240】
DOM10dAbの発現レベルを表1にまとめた。DOM10−53−546とDOM10−53−616の発現レベルは、試験したDOM10−53−474や他の新dAbよりずっと良好であった。
【表1】

【0241】
精製DOM10dAbのヒトとカニクイザルIL−13に対するアフィニティはBiacore解析により評価した。解析は、ビオチン化IL−13を使って行った。約150RUのビオチン化IL−13をストレプトアビジン(SA)チップ(Biacore、GE healthcare社)に被覆した。上表面を0.1Mグリシン(pH2)を使ってベースラインまで戻した。dAbをこの表面上を所定の濃度、50μl/分の流量で流した。データをBIAevaluation software(Biacore、GE Healthcare社)を使い解析して、1:1結合モデルにフィッティングした。Biacoreを25℃で作動させた。ヒトおよびカニクイザルIL−13dAbに対するKD値を表1にまとめた。新dAb全てがヒトとカニクイザル両方のIL−13に対し優れた効力を示し、DOM10−53−474よりずっと好結果であった。DOM10−53−567およびDOM10−53−568がヒトとカニクイザル両方のIL−13に対し最良の効力を示した。
【0242】
また、dAbの試験を、DOM10のELISAアッセイを使ってヒトIL−13に対する効力の評価のため、および細胞ベースのHEK Blue−STAT6(HEK STAT)アッセイを使ってヒト、カニクイザル、アカゲザルIL−13に対する効力を評価するため行った。DOM10 ELISAにより、DOM10dAbのIL−13に対する結合能力およびIL−13検出抗体に対する結合を抑制する能力を測定する。MAXISORPTMプレート(高タンパク結合ELISAプレート、Nunc社、デンマーク)を2.5μg/mlのコーティング抗体(Module Set、Bender MedSystems社、ウイーン、オーストリア)で一晩コートして、次に、PBSに入れた0.05%(v/v)のTween20で1回洗浄し、0.5%(w/v)BSA と0.05%(v/v)Tween20のPBS溶液を用い室温で2時間ブロッキングする。前に述べたように、プレートを2回洗浄した後、150pg/mlのIL−13(GSK社)をDOM10dAb(すなわち、抗IL−13dAb)希釈系列と混合し、1時間インキュベートする。プレートを2回洗浄した後、IL−13を捕捉抗体に結合させ、ビオチンコンジュゲート検出抗体(Module Set、Bender MedSystems社)、続いてペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(Module Set、Bender MedSystems社)を使って検出する。最後に、プレートを3回洗浄し次いでTMB基質(KPL社、ゲーサーズバーグ、米国)と共にインキュベートした後、HClを添加して反応を停止し450nmでの吸光度を読みとる。抗IL−13dAbはIL−13結合を減少させ、その結果IL−13のみの対照と比べ吸光度を減少させる。
【0243】
HEK Blue−STAT6アッセイは、HEK Blue−STAT6細胞中インビトロでヒトIL−13刺激アルカリフォスファターゼ産生を抑制するdAbの能力を測定するものである。このアッセイは、STAT6遺伝子を安定に形質移入したHEK293細胞、およびSEAP(分泌胚性アルカリフォスファターゼ)レポーター遺伝子(Invitrogen社、サンジエゴ)を使用する。IL−13で刺激すると、SEAPが上澄み中に分泌され、これを比色法を使って測定する。可溶性dAbは、STAT6経路経由によるIL−13のシグナル伝達を阻止する能力が試験される。
【0244】
簡潔に言えば、5x10のHEK−Blue STAT6細胞をDMEM(Gibco、Invitrogen Ltd社、ペーズリー、英国)中で、組換えIL131(GSK社)と予め37℃で1時間インキュベートしたdAbと一緒に培養する。予備インキュベーションは等容量のdAbと組換えIL13を使って実施した。この予備インキュベーション混合物は、次に、等容量のHEK−Blue STAT6細胞に添加する。このようにして、このアッセイでのIL13の最終濃度は3μg/mlになり、dAbを200nM〜0.05nMの容量反応範囲で試験する。プレートを37℃、5%COで24時間インキュベートする。次いで、培養上澄みをQuantiBlue(Invivogen社)と混合し、640nmで吸光度を読みとる。抗IL−13dAb活性は、STAT6活性を減少させ、A640値もIL−13刺激に比べ、相当する減少が生ずる。
【0245】
DOM10dAbのアッセイデータの結果を表1にまとめた。Biacoreでのデータと同じく、DOM10−53−567はヒト、カニクイザル、アカゲザルIL−13に対して最良の効力を示した。DOM10−53−568はDOM10−53−567と類似のKD値を示したが、このアッセイでは効力は低かった。
【0246】
データが示すように、全新dAbは、ヒト、カニクイザルIL−13の間で交差反応性を示し、試験した全形式のIL−13に中和能を示した。全新dAb(DOM10−53−616を除いて)は、ヒト、カニクイザル、アカゲザルIL−13に対してDOM10−53−474よりもずっと大きな中和能力を示した。DOM10−53−567はカニクイザルとアカゲザルIL−13に対してDOM10−53−474よりずっと効果の高い中和剤であったが、両者はヒトIL−13に対しては、大体同程度の中和能であった。
【0247】
実施例4:新dAbのプロテアーゼ安定性
同時係属中の特許出願PCT/GB2008/050399およびPCT/GB2008/050405に一般的に記載されている技術を用いて、新dAbのプロテアーゼ安定性を評価した。これらの出願の開示は、その全体が本明細書に組み込まれ、dAbのプロテアーゼ耐性試験法の詳細および本発明の組成物を提供し、また、本明細書における本発明のプロテアーゼ耐性dAbを使った方法の明確な開示を提供する。
【0248】
本発明のDOM10クローンのトリプシン安定性を評価するために、0.3mg/mlの精製タンパク質をシークエンシンググレードのトリプシン(Promega社)を用い、25:1のdAb:トリプシン比でPBSバッファに入れて消化した。反応は30℃、反応時間1、2、4、および24時間で実施し、プロテアーゼ阻害剤の混合物(Complete protease inhibitor tablet、Roche社)を添加して反応を停止した後、次の解析まで−20℃で貯蔵した。
【0249】
消化したタンパク質は、HBSバッファで1/400に希釈し、Biacoreの150Ruビオチン化ヒトIL−13ストレプトアビジンチップ上を流速50μl/mlで流し、未消化dAbの量を評価した。チップ面は、0.1Mグリシン(pH2)を使って各注入サイクル間で元に戻した。各時点での消化されたdAbの最大Ruと未消化dAbの最大Ruを比較して計算し未消化dAbの割合を求めた。結果を図5に示した。試験したdAbの中で、DOM10−53−567は、他のdAbに比べトリプシン分解に対する耐性が高く、他よりDOM10−53−474に類似していた。DOM10−53−546およびDOM10−53−616は他に比べトリプシン分解に対する耐性が低かった。プロテアーゼによる分解が少なくなる傾向があり、そのため長い半減期になると思われるため、我々は、トリプシン消化に対する耐性が生体内でのdAbの安定性を示すと信じている。
【0250】
実施例5:DSC(示差走査熱量測定)
dAbの熱安定性を示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した。試験は1mg/mlのdAbのPBSバッファ溶液で行った。dAbを一晩PBSバッファ中へ透析した。PBSバッファは全サンプルで参照用として使われた。キャピラリーセルマイクロ熱量計VP−DSC(Microcal社、マサッチューセッツ、米国)を使って、加熱速度180℃/時間でDSCを行った。典型的な走査としては、通常、参照バッファとタンパク質サンプルの量法に対し、25〜90℃の範囲であった。参照とサンプル対毎に、キャピラリーセルをDecon(Fisher−Scientific社)の1%水溶液、続いてPBS溶液で洗浄した。データ出力結果をOrigin 7 Microcalソフトウエアで解析した。得られたサンプルのDSC出力から参照バッファのDSCの出力を差し引いた。サンプルの正確な分子濃度をデータ解析ルーチンに入力し、融点(Tm)、エンタルピー(ΔH)、およびファントホッフエンタルピー(ΔHv)値を得た。データを非2状態モデル(non−2−state model)でフィッティングした。結果は、表1にまとめた。dAbの融点は49、9℃〜55.5℃の範囲にある。DOM10−53−546およびDOM10−53−567がそれぞれ55.5℃と54.5℃の最も高いTmを示した。試験したdAbの中では、DOM10−53−567は、最高の効力を有する利点のみならず、かなり高いTmも示し、dAbの相対的に高い安定性を示すものと見られる。dAbが有効性を最大化できる生体内の温度でより安定で、良好な有効期限を持つと思われるので、これは、メリットの多いことであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗インターロイキンー13(IL−13)免疫グロブリン単一可変ドメインであって、DOM10−53−474(配列番号1)と比較して1、2、3、4または5のアミノ酸変化を有することを除いては、DOM10−53−474と同一のアミノ酸配列を含み、該単一可変ドメインがKabatナンバリングよる位置28にバリンを有し、該単一可変ドメインがDOM10−53−616(配列番号5)ではない、単一可変ドメイン。
【請求項2】
抗インターロイキンー13(IL−13)免疫グロブリン単一可変ドメインであって、DOM10−53−474(配列番号1)と比較して1、2、3、4または5のアミノ酸変化を有することを除いては、DOM10−53−474と同一のアミノ酸配列を含み、該単一可変ドメインが配列XGX’X’’を有し、ここでGはKabatナンバリングよる位置54にあり、
X=H、またはKであり;
X’=G、またはKであり;
X’’=K、またはIであり、
該単一可変ドメインがDOM10−53−616(配列番号5)ではない、単一可変ドメイン。
【請求項3】
可変ドメインがKabatナンバリングよる位置28にバリンを有する、請求項2記載の単一可変ドメイン。
【請求項4】
可変ドメインが、Kabatナンバリングによる位置30、53、55または56の一つまたは複数にアミノ酸変化(DOM10−53−474(配列番号1)に対して)を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の単一可変ドメイン。
【請求項5】
可変ドメインが、Kabatナンバリングによる位置30にプロリンを有する、請求項1〜4のいずれかに記載の単一可変ドメイン。
【請求項6】
可変ドメインが、Kabatナンバリングによる位置53にリシンを有する、請求項1〜5のいずれかに記載の単一可変ドメイン。
【請求項7】
可変ドメインが、Kabatナンバリングによる位置55にグリシンまたはイソロイシンを有する、請求項1〜6のいずれかに記載の単一可変ドメイン。
【請求項8】
可変ドメインが、Kabatナンバリングによる位置56にイソロイシンまたはリシンを有する、請求項1〜7のいずれかに記載の単一可変ドメイン。
【請求項9】
可変ドメインが、Kabatナンバリングによる位置55にリシン、および位置56にイソロイシンを有する、請求項1〜8のいずれかに記載の単一可変ドメイン。
【請求項10】
可変ドメインがDOM10−53−546(配列番号2)、DOM10−53−567(配列番号3)、またはDOM10−53−568(配列番号4)である抗インターロイキン−13(IL−13)免疫グロブリン単一可変ドメイン。
【請求項11】
DOM10−53−546(配列番号6)、DOM10−53−567(配列番号7)、またはDOM10−53−568(配列番号8)のヌクレオチド配列によりコードされる抗インターロイキン−13(IL−13)免疫グロブリン単一可変ドメイン。
【請求項12】
可変ドメインが、ヒト、カニクイザル、およびアカゲザルIL−13に特異的に結合する、請求項1〜11のいずれかに記載の単一可変ドメイン。
【請求項13】
可変ドメインが、標準的HEK STATアッセイにおいて、0.1〜2.0nMのEC50値でヒトIL−13を中和する、請求項1〜12のいずれかに記載の単一可変ドメイン。
【請求項14】
可変ドメインが、標準的HEK STATアッセイにおいて、1〜20nMのEC50値でアカゲザルIL−13を中和する、請求項1〜13のいずれかに記載の単一可変ドメイン。
【請求項15】
可変ドメインが、標準的HEK STATアッセイにおいて、1〜20nMのEC50値でカニクイザルIL−13を中和する、請求項1〜14のいずれかに記載の単一可変ドメイン。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれかに記載の抗IL−13免疫グロブリン単一可変ドメインを含むインターロイキン−13(IL−13)アンタゴニスト。
【請求項17】
アンタゴニストが、IL−13との結合について、DOM10−53−546(配列番号2)、DOM10−53−567(配列番号3)、DOM10−53−568(配列番号4)、またはDOM10−53−616(配列番号5)と競合する、請求項16に記載のアンタゴニスト。
【請求項18】
肺送達のためDOM10−53−616(配列番号5)を含む、請求項16もしくは17に記載のアンタゴニスト、またはインターロイキン−13(IL−13)アンタゴニスト。
【請求項19】
肺送達のための医薬品の製造における、DOM10−53−616(配列番号5)を含む請求項16もしくは17に記載のアンタゴニスト、またはインターロイキン−13(IL−13)アンタゴニストの使用。
【請求項20】
ヒトのIL−13媒介疾患の治療または予防のための請求項16または17に記載のアンタゴニスト。
【請求項21】
ヒトのIL−13媒介疾患の治療または予防のための医薬品の製造における、請求項16または17に記載のアンタゴニストの使用。
【請求項22】
ヒト患者のIL−13媒介疾患の治療および/または予防方法であって、DOM10−53−616(配列番号5)を含む請求項16もしくは17に記載のアンタゴニスト、またはインターロイキン−13(IL−13)アンタゴニストを患者に投与することを含む方法。
【請求項23】
IL−13媒介疾患が呼吸器疾患である請求項20に記載のアンタゴニスト、請求項21に記載の使用、または請求項22に記載の方法。
【請求項24】
IL−13媒介疾患が下記の中から選択される請求項23に記載のアンタゴニスト、使用、または方法:肺炎症、慢性閉塞性肺疾患、喘息、肺炎、過敏性肺炎、好酸球増加を伴う肺湿潤物、環境性肺疾患、肺炎、気管支拡張症、嚢胞性線維症、間質性肺疾患、原発性肺高血圧症、肺血栓塞栓症、胸膜障害、縦隔障害、隔膜障害、換気低下、過呼吸、睡眠時無呼吸、急性呼吸促迫症候群、中皮腫、肉腫、移植片拒絶、移植片対宿主病、肺癌、アレルギー性鼻炎、アレルギー、石綿症、アスペルギルス腫、アスペルギルス症、気管支拡張症、慢性気管支炎、肺気腫、好球性肺炎、特発性肺線維症、侵襲性肺炎球菌疾患、インフルエンザ、非結核性抗酸菌、胸水、塵肺症、ニューモシスチス症、肺炎、肺放線菌症、肺胞タンパク症、肺炭疽、肺水腫、肺塞栓症、肺炎症、肺ヒスチオサイトーシスX、肺高血圧、肺ノカルジア症、肺結核症、肺静脈閉塞性疾患、リウマチ性肺疾患、サルコイドーシスおよびウェゲナー肉芽腫症。
【請求項25】
請求項16、17、18、20、23もしくは24に記載のアンタゴニスト、またはDOM10−53−616(配列番号5)を含むインターロイキン−13(IL−13)アンタゴニストを含む肺送達デバイス。
【請求項26】
デバイスが、吸引器、または鼻腔内投与デバイスである請求項25に記載のデバイス。
【請求項27】
請求項1から15のいずれかに記載の可変ドメインを含む二重特異性リガンド。
【請求項28】
請求項1から15のいずれかに記載の免疫グロブリン単一可変ドメインを含むポリペプチドをコードする単離されたまたは組換え型の核酸。
【請求項29】
核酸が、DOM10−53−546(配列番号6)、DOM10−53−567(配列番号7)、DOM10−53−568(配列番号8)、またはDOM10−53−616(配列番号9)のヌクレオチド配列を含む請求項28に記載の核酸。
【請求項30】
単離されたまたは組換え型の核酸であって、DOM10−53−546(配列番号6)、DOM10−53−567(配列番号7)、DOM10−53−568(配列番号8)、またはDOM10−53−616(配列番号9)のヌクレオチド配列と少なくとも99%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸であり、IL−13に特異的に結合する免疫グロブリン単一可変ドメインを含むポリペプチドをコードしている核酸。
【請求項31】
請求項28、29または30に記載の核酸を含むベクター。
【請求項32】
請求項28、29もしくは30に記載の核酸、または請求項に31のベクターを含む宿主細胞。
【請求項33】
免疫グロブリン単一可変ドメインを含むポリペプチドを産生する方法であって、核酸またはベクターの発現に適する条件の下、請求項32に記載の宿主細胞を保持し、それにより免疫グロブリン単一可変ドメインを含むポリペプチドが産生されることを含む方法。
【請求項34】
ポリペプチドを単離すること、および、任意選択肢として、標準的HEK STATアッセイにおいてIL−13中和特性に関して単離されたポリペプチドよりも改善されたアフィニティおよび/またはEC50値を有する変異体または突然変異体を産生すること、をさらに含む請求項33に記載の方法。
【請求項35】
請求項の1から15のいずれかに記載の免疫グロブリン単一可変ドメイン、または請求項の16、17、18、20、23もしくは24のいずれかに記載のアンタゴニスト、および薬学的に許容可能な担体、賦形剤、または希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項36】
請求項の1から15のいずれかに記載の単一可変ドメインを含む融合タンパク質。
【請求項37】
請求項36に記載の融合タンパク質をコードする単離されたまたは組換え型の核酸。
【請求項38】
抗体定常領域を含む、請求項の1から15のいずれかに記載の免疫グロブリン単一可変ドメイン、または請求項の16、17、18、20、23もしくは24のいずれかに記載のアンタゴニスト、または請求項36に記載の融合タンパク質。
【請求項39】
抗体Fを含み、任意選択肢として、そこではFのN末端が可変ドメインのC末端と結合(直接結合も任意選択可能)している、請求項38に記載の可変ドメイン、アンタゴニスト、または融合タンパク質。
【請求項40】
可変ドメインがさらに半減期延長部分を含む、請求項1から15のいずれかに記載の免疫グロブリン単一可変ドメイン、または請求項16、17、18、20、23もしくは24のいずれかに記載のアンタゴニスト、または請求項36に記載の融合タンパク質。
【請求項41】
半減期延長部分がポリエチレングリコール部分、血清アルブミンもしくはその断片、トランスフェリン受容体もしくはそのトランスフェリン結合部、または生体内で半減期を延長するポリペプチドの結合部位を含む抗体もしくはは抗体フラグメントである請求項40に記載の可変ドメイン、アンタゴニスト、または融合タンパク質。
【請求項42】
半減期延長部分が、血清アルブミンまたは新生F受容体の結合部位を含む抗体または抗体フラグメントである請求項41に記載の変異体ドメイン、アンタゴニスト、または融合タンパク質。
【請求項43】
半減期延長部分がdAb、抗体、または抗体フラグメントである請求項40に記載の変異体ドメイン、アンタゴニスト、または融合タンパク質。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−509658(P2012−509658A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536744(P2011−536744)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【国際出願番号】PCT/EP2008/067789
【国際公開番号】WO2010/060486
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【出願人】(502197046)ドマンティス リミテッド (47)
【Fターム(参考)】