説明

IL−18をモニターするための方法

本発明は、IL−18のモニタリングに適した方法に関する。本発明はまた、疾患を診断する目的、および、ICEインヒビターまたは他の治療に対する応答を評価する目的のために、ヒト体液中のIL−18を測定するための方法を提供する。これらの方法は、IL−18を調節する化合物の発見、または開発において有用である。IL−18レベルをモニターすることは、IL−18介在性疾患の経過およびIL−1β介在性疾患の経過の両方をモニターするための方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、IL−18をモニターするための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
インターロイキン−1β変換酵素(ICE)(カスパーゼ−1とも呼ばれる)は、主にインターロイキン−1β前駆体(pro−IL−1β)およびインターロイキン−18前駆体(pro−IL−18)を、その生物学的に活性な形態(IL−1βおよびIL−18)に切断することを担う、システインタンパク質分解酵素である。(非特許文献1;非特許文献2)。この生物学的に活性な形態への変換の後、IL−1βおよびIL−18は、細胞から放出されて、細胞の機能を仲介する。ICEは、マクロファージ、Tリンパ球、および好中球において、恒常的に発現されている。ICEの発現はまた、他の細胞型(例えば、ケラチノサイト)における特定の条件下においても、誘導される。
【0003】
IL−1βおよびIL−18は、急性の炎症性免疫応答および慢性の炎症性免疫応答において、重要な役割を持つ。IL−1βは、感染部位または損傷部位へ細胞を標的化する、免疫細胞応答のいくつかの媒介因子(例えば、炎症誘発性サイトカイン(腫瘍壊死因子α(TNFα)およびIL−6)、シクロオキシゲナーゼ(COX−2)、ケモカインおよび細胞表面接着分子)の発現を誘導する(非特許文献2;非特許文献3)。IL−18もまた、ケモカインおよび接着分子の発現を誘導する。加えて、IL−18は、1型Tリンパ球によるIFN−γの産生を誘導するように、IL−12と相乗して働き、ナチュラルキラー(NK)細胞を活性化する。細胞介在性の免疫応答についてのそれぞれの特性は、病原体による感染または他の炎症性刺激に起因する。IL−1βおよびIL−18はまた、実質組織においても、役割を持つ。例えば、IL−1βおよびIL−18は、破骨細胞による骨組織代謝を調節し、IL−18は、ケラチノサイトおよび他の細胞型により、産生される(非特許文献2;非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6)。
【0004】
ICE欠失マウスの作製は、ICEの生理病理学的な役割を評価し、治療戦略としてのICE抑制の安全性および効能を予測する、マウスモデル系を提供した。ICE欠失マウスは、IL−1β産生が顕著に低下した状態で、多くの炎症性刺激に応答し、ICEがpro−IL−1βの切断を担う主要な酵素であることを確認させる(非特許文献7;非特許文献8)。IL−18産生は、ICE欠失マウスにおいて、あまり大いには抑制されず、ICEに加えて、他のタンパク質分解酵素もまた、pro−IL−18をプロセスし得ることを示唆する。ICE欠失マウスのさらなる特性は、特定の実例において、他のタンパク質分解酵素が、優勢なプロセス経路においてではないが、pro−IL−1βおよびpro−IL−18を切断して、その生物学的に活性な形態にし得ることを示した(非特許文献1;非特許文献9)。
【0005】
IL−12の存在下において、IL−1βおよびIL−18は、IFNγの産生により特徴付けられる免疫応答を促進する。このサイトカインのプロフィールは、主に病原体または他の炎症性シグナルに応答する、細胞介在性の免疫に関連する1型免疫応答(これらの刺激に対する適切な応答である)を代表している。しかしながら、1型応答は、特定の疾患(例えば、乾癬、クローン病、多発性硬化症、および慢性関節リウマチ)により証明されるように、不適切に惹起されたとき、または延長されたときに、有害であり得る(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献10;非特許文献4;非特許文献11)。
【0006】
乾癬は、病気に冒された体表面積の大きさおよび程度が変化する、鱗状、赤色、および硬化した病変により特徴付けられる皮膚の炎症性疾患である[非特許文献12]。ヒトの乾癬性病変についての免疫組織化学解析は、主にIFN−γおよびTNFαを発現する、CD4+およびCD8+の両方であるTリンパ球の浸潤を明らかにした[非特許文献13]。皮膚が感染されたとき、または皮膚が刺激されたとき、ランゲルハンス細胞(LC)(IL−12を発現する、皮膚特異的な抗原提示細胞)は、流出(draining)リンパ節に移動し、結果として特定の感染部位または刺激部位へのTリンパ球のホーミングをもたらす。LCの移動は、IL−18およびIL−1βに依存し、どちらかのサイトカインの遮断は、流出リンパ節へのLCの移動を防止する[非特許文献14]。ケラチノサイト(表皮の分化における全体の細胞型)は、pro−IL−1βおよびpro−IL−18を恒常的に発現するが、通常の状況下ではICEを発現しない。(非特許文献6)。ICEの発現は、接触感作剤(例えば、ジニトロクロロベンゼン)により、ケラチノサイトにおいて誘導される(非特許文献14;非特許文献15)。ケラチノサイトにおけるICE発現の重要性が、ケラチノサイトでICEを恒常的に発現するように操作されたトランスジェニックマウスにおいて、評価された(非特許文献16)。8週齢において、これらのマウスは、目の周囲、顔面、耳、頸部、体幹部、および脚部の慢性的に活性化状態の皮膚炎を発症する。病変は断続的に治癒し得るが、皮膚のびらん及び潰瘍は再発する。この組織の変化は、ヒトの乾癬性病変のものに似る。乾癬における炎症性サイトカインの重要性は、臨床的な利益を示す、抗−TNFαの生物学的治療(例えば、エタネルセプト(可溶性TNF−αレセプター)およびインフリキシマブ(ヒト化抗TNFaモノクローナル抗体))の臨床試験において、さらに確認されている(非特許文献17;非特許文献18)。
【0007】
慢性関節リウマチにおいて炎症性サイトカインを抑制することの重要性は、認可された非経口の生物学的治療(インフリキシマブおよびアダリムマブ(ヒト化抗TNF−αモノクローナル抗体)、エタネルセプト(可溶性TNF−αレセプター)、ならびにアナキンラ(可溶性IL−1レセプターアンタゴニスト))により、強調された。TNF−αの抑制はまた、インフリキシマブにより処置(認可された治療)されたクローン病患者における有用性も示した。慢性関節リウマチにおけるICE抑制に関する機構の証拠は、治験用ICEインヒビター(プラルナカサン(pralnacasan))を用いた第II相研究において示された(非特許文献19)。
【0008】
それでも、ICEインヒビターに関する開発中の治療的使用は、臨床上の水準の不足により妨げられている。例えば、血漿中のIL−1βレベルは、代表的に、ELISAアッセイによる測定が出来ないほど低い。したがって、IL−1βの抑制のための化合物(例えば、ICEインヒビター)の投与が、インビボにおいて効力を有するかどうかを判断するのは、困難であり得る。それゆえ、ICEインヒビターおよび他の潜在的に生物学的活性のある化合物の投与に、関連がある生物マーカーに対する必要性がある。IL−18を抑制する強力で、経口的に活性のある化合物に対する必要性もある。
【非特許文献1】Nakanishi K,Y.T.,Tsutsui H,Okamura H.,Interleukin−18 regulates both Th1 and Th2 responses.Annu Rev Immunol.2001.19:423−474
【非特許文献2】Dinarello,C.,Biologic basis for interleukin−1 in disease.Blood 1996;87(6):2095−2147
【非特許文献3】Fantuzzi,G.,Lessons from interleukin−deficient mice:the interleukin−1 system.Acta Physiol Scand 2001;173(1):5−9
【非特許文献4】Ambramson,S.B.およびAmin A,Blocking the effects of IL−1 in rheumatoid arthritis protects bone and cartilage.Rheumatology 2002;41:972−80
【非特許文献5】Udagawa,N,Horwood NJ,Elliott J,Mackay A,Owens J,Okamura H,Kurimoto M,Chambers TJ,Martin TJ,Gillepsie MT,Interleukin−18(interferon−γ−inducing factor)is produced by osteoblasts and acts via granulocyte/macrophage colony−stimulating factor and not via interferon−g to inhibit osteoclast formation.J Exp Med 1997;185(6);1005−12
【非特許文献6】Naik SM,C.G.,Burbach GJ,Singh SR,Swerlick RA,Wilcox JN,Ansel JC,Caughman SW,Human keratinocytes constitutively express interleukin−18 and secrete biologically active interleukin−18 after treatment with pro−inflammatory mediators and dinitrochlorobenzene.J Invest Dermatol 1999;113:766−772
【非特許文献7】Kuida K,L.J.,Ku G,Harding MW,Livingston DJ,Su MS,Flavell RA,Altered cytokine export and apoptosis in mice deficient in interleukin−1 beta converting enzyme.Science 1995;267(5206):2000−2003
【非特許文献8】Li P,A.H.,Banerjee S,Franklin S,Herzog L,Johnston C,McDowell J,Paskind M,Rodman L,Salfeld J,等,Mice deficient in IL−1 beta−converting enzyme are defective in production of mature IL−1 beta and resistant to endotoxic shock.Cell 1995;80(3):401−411
【非特許文献9】Fantuzzi,G,Harding MW,Livingston DJ,Sipe JD,Kuida K,Flavell RA,Dinarello CA,Response to local inflammation of IL−1 beta−converting enzyme− deficient mice.J Immunol 1997;158(4):1818−1824
【非特許文献10】Singh B,P.F.,Mortensen NJ,Immune therapy in inflammatory bowel disease and models of colitis.Br J Surg 2001;88(12):1558−1569
【非特許文献11】Ohta Y,H.Y.,Katsuoka K,Expression of IL−18 in psoriasis.Arch Dermatol Res 2001;293(7):334−342
【非特許文献12】Krueger GG,F.S.,Camisa C,Duvic M,Elder JT,Gottlieb AB,Koo J,Krueger JG,Lebwohl M,Lowe N,Menter A,Morison WL,Prystowsky JH,Shupack JL,Taylor JR,Weinstein GD,Barton TL,Rolstad T,Day RM,“Two considerations for patients with psoriasis and their clinicians:what defines mild,moderate,and severe psoriasis? What constitutes a clinically significant improvement when treating psoriasis?”J Am Acad Dermatol,(2000)43,pp.281−285
【非特許文献13】Krueger,JG「The immunologic basis for the treatment of psoriasis with new biologic agents」J Am Acad Dermatol,(2002)46,pp.1−23
【非特許文献14】Cumberbatch M,D.R.,Antonopoulos C,Groves RW,Kimber I,「Interleukin(IL)−18 induces Langerhans cell migration by a tumour necrosis factor−alpha− and IL−1 beta−dependent mechanism」Immunology,(2001)102,pp.323−330
【非特許文献15】Zepter K,A.Haffner,L.F.Soohoo,D.De Luca,H.P.Tang,P.Fisher,J.Chavinson,およびC.A.Elmets,Induction of biologically active IL−1−β−converting enzyme and mature IL−1b in human keratinocytes by inflammatory and immunologic stimuli.J.Immunol.1997;159:6203−8
【非特許文献16】Yamanaka K,T.M.,Tsutsui H,Kupper TS,Asahi K,Okamura H,Nakanishi K,Suzuki M,Kayagaki N,Black RA,Miller DK,Nakashima K,Shimizu M,Mizutani H,Skin−specific caspase−1−transgenic mice show cutaneous apoptosis and pre−endotoxin shock condition with a high serum level of IL−18.J Immunol 2000;165(2):997−1003
【非特許文献17】Mease PJ,G.B.,Metz J,VanderStoep A,Finck B,Burge DJ,Etanercept in the treatment of psoriatic arthritis and psoriasis:a randomised trial.Lancet 2000;356(9227):385−390
【非特許文献18】Chaudhari U,R.P.,Mulcahy LD,Dooley LT,Baker DG,Gottlieb AB,Efficacy and safety of infliximab monotherapy for plaque−type psoriasis:a randomised trial.Lancet 2001;357:1842−1847
【非特許文献19】Pavelka K,Kuba V,Moeller Rasmussen J,Mikkelsen K,Tamasi L,Vitek P,Rozman B.Clinical effects of pralnacasan(PRAL),an orally−active interleukin−1b converting enzyme(ICE)inhibitor,in a 285 patient Ph II trial in rheumatoid arthritis(RA).[American College of Rheumatology 2002 Conference;Late−Breaking Abstract;New Orleans,LA,USA]
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
本発明は、IL−18レベルを測定するための方法に関する。本発明は、疾患を診断する目的、および、ICEインヒビターまたは他の治療に対する応答を評価する目的のために、ヒト体液中のIL−18を測定するための方法を提供する。これらの方法は、IL−18を調節する化合物の発見、または開発において有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(発明の詳細な説明)
本発明は、主に臨床的な場面において、IL−18をモニターするための方法を提供する。
【0011】
IL−18レベルをモニターすることは、IL−18介在性疾患の経過およびIL−1β介在性疾患の経過の両方をモニターするための方法を提供する。加えて、多くの疾患の状態において、IL−1βは恒常的には亢進していないので、IL−18レベルをモニターすることは、IL−1β介在性疾患の処置をモニターすることにおける利点を提供する。潜在的な他の生物マーカーはまた、IL−18介在性およびIL−1β介在性の生物学的現象をモニターするのに不適当のようである[Konstan,M.W.等,「Effect of Ibuprofen on Neutrophil Migration In Vivo in Cystic Fibrosis and Healthy Subjects」The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics,306,pp.1086−1091(2003)]。IL−18およびIL−1βはどちらも、同一の酵素(ICE(カスパーゼ−1))によりプロセスされる。それゆえ、IL−18調節をモニターすることは、IL−1β調節をモニターすることの「代用(proxy)」となる。
【0012】
加えて、IL−18は、例えば、薬物の有効性についての早期応答指標として使用され得る。生物マーカーとしてIL−18を使用することにより、より早く、薬物に対する最終的に正の応答(すなわち、遅延性の応答)の存在が認識され得る。
【0013】
不活性型IL−18(proIL−18)、および活性型IL−18の両方についてのアッセイが利用可能である。活性型IL−18をモニターするためのアッセイは、本発明の方法において使用されるはずである(実施例;K.Shida等,「An Alternative Form of IL−18 in Human Blood Plasma:Complex Formation with IgM Defined by Monoclonal Antibodies」,J.Immunol.,166,pp.6671−6679(2001);およびM.Taniguchi,「Characterization of Anti−human Interleukin−18(IL−18)/Interferon−γ−inducing Factor(IGIF) Monoclonal Antibodies and their Application in the Measurement of Human IL−18 by ELISA」,J.Immunol.Methods,206,pp.107−113(1997)を参照せよ)。いかなるこのようなアッセイも、本発明に関連して使用され得る(Interleukin−18,GlaxoSmithKline Clinical Data,R&D Focus Drug News,June 23,2003を参照せよ)。IL−18測定を行うためのサンプルは、いかなる生物学的供給源(血清、血液および組織が挙げられるが、これらに限定されない)からでも取得され得る。
【0014】
本発明のICEインヒビターは上記のように試験され、IL−18を抑制することが示された。化合物Aは、14日間の処置にわたって徐々に、血清IL−18メジアンレベルを減少させ、約60%の抑制に達した。プラシーボによる処置は、血清IL−18メジアンレベルを変更しなかった。
【0015】
理論に束縛されないが、化合物Aは、化合物Bのプロドラッグであるとみなされる。化合物Aは、経口投与により、迅速に吸収され、そして化合物Bに変換される。化合物Bは、選択的かつ可逆的なICEインヒビターである。化合物BについてのICE阻害定数(Ki)は、0.8nMである。
【0016】
【化5】

本発明のこの特定の実施形態は、治療用化合物による処置または他の治療の前と、後との、被験体におけるIL−18レベルを比較することを提供する。
【0017】
したがって、1つの実施形態において、IL−1介在性の状態および/またはIL−18介在性の状態を改善すること、処置すること、または防止することにおいて、ICEインヒビターが有効であるかどうかを評価するための方法が提供され、この方法は:
処置前の患者の血液中のIL−18レベルを測定する工程、および
さらに処置後の患者の血液中のIL−18レベルを、測定する工程を包含し、
ここで、処置後のIL−18レベルにおける減少は有効であることを示す。
【0018】
本発明はまた、インビボでIL−18レベルをモニターすることによる、化合物の薬力学を評価するための方法も提供する。好都合に、IL−18調節について試験することは、本質的に化合物の薬力学を試験する方法である。多くの方法(例えば、アッセイ方法)は、化合物の薬物動態(すなわち、薬物への身体の効果)を評価する[Rowland,M.およびTozer,T.N.,Clinical pharmacokinetics:Concepts and applications,第3版,Lippincott Williams & Wilkins,Philadelphia,(1995);Yu,D.K.,Bhargava V.O.,およびWeir S.J.,「Selection of doses for phase II clinical trials based on pharmacokinetic variability consideration.J Clin Pharmacol.37(8),pp.673−8(1997)]。薬力学は、身体への薬物の効果を測定する一方で、薬物動態は、薬物への身体の効果を測定する。薬物の発見において、薬物の薬力学を測定するための方法は、多くの場合において、その薬物の薬物動態を測定するための方法より有用である。
【0019】
薬物の発見および薬物の開発の多くの局面において、化合物の薬力学を評価するための方法は有用である。この方法は、例えば、化合物、薬学的組成物、処方物、投薬形態、投薬量、および投薬、ならびに治療レジメン(例えば、投薬レベル、投薬経路、および投薬頻度)を評価するために、単独か、または組み合わせて使用され得る。
【0020】
本発明はまた、化合物の処方物を評価する工程も提供する。したがって、別の実施形態は、IL−1介在性の状態および/またはIL−18介在性の状態を改善すること、処置すること、または防止することにおいて、ICEインヒビターを含む処方物が有効であるかどうかを評価するための方法を提供し、この方法は:
この処方物による処置前の患者の血液中のIL−18レベルを測定する工程、および、
さらにこの処方物による処置後の患者の血液中のIL−18レベルを、測定する工程を包含し、
ここで、処置後のIL−18レベルにおける減少は有効であることを示す。
【0021】
本発明はまた、薬物の用量または薬物の投薬レジメンを評価する工程も提供する。したがって、別の実施形態は、IL−1介在性の状態および/またはIL−18介在性の状態を改善すること、処置すること、または防止することにおいて、ICEインヒビターの投薬量またはレジメンが有効であるかどうかを評価するための方法を提供し、この方法は:
この投薬量またはレジメンによる処置前の患者の血液中のIL−18レベルを測定する工程、および、
さらにこの投薬量またはレジメンによる処置後の患者の血液中のIL−18レベルを、測定する工程を包含し、
ここで、処置後のIL−18レベルにおける減少は有効であることを示す。
【0022】
本発明の方法は、臨床試験、治療レジメンの効能を評価すること、または、被験体への処置をモニターすることにおいて有用である。被験体としては、動物(例えば、霊長類、げっ歯類、および鳥類(モルモット、ハムスター、スナネズミ、ラット、マウス、ウサギ、イヌ、ネコ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ウシ、ヤギ、アカゲザル、サル、タマリン(tamarind)、類人猿、ヒヒ、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、テナガザル、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、およびガチョウ))が挙げられる。動物園の動物、実験動物、および家畜は、本発明のもとで、被験体であり得る。好ましい被験体は、哺乳動物であり、より好ましくはヒトである。
【0023】
別の実施形態において、本発明は、患者が、ICEインヒビターによる治療に適した候補であるかどうかを判断する方法を提供し、この方法は、被験体中のIL−18レベルを決定する工程、被験体中のIL−18レベルを健常な個体中のIL−18レベルと比較する工程を包含し、ここで、潜在的な被験体中のIL−18レベルがより高ければ、その患者を治療に適格とされる。
【0024】
さらに別の実施形態において、本発明は、ICEインヒビター治療の治療結果を予測するための方法を提供し、この方法は、ICEインヒビター投与前およびICEインヒビター投与後における、被験体中のIL−18レベルを決定する工程を包含し、ここで、ICEインヒビター投与後のIL−18レベルにおける減少は、潜在的に成功した治療結果の前兆となる。
【0025】
本発明により、ICEインヒビターによる治療の経過を追跡する方法もまた提供され、この方法は、治療の開始時および治療の継続中での患者中のIL−18レベルをモニターする工程を包含する。
【0026】
いかなる化合物も、本発明のアッセイにおいて、試験され得る。IL−18の調節を目的とする化合物が試験され得る。好ましい化合物は、IL−18の減少が治療上有用であるものである。しかしながら、本発明の方法が、例えば、IL−18の調節に伴って生じる副作用をモニターするために使用されることは、制限されない。
【0027】
例えば、IL−18BPのような例えば、IL−18活性を中和することにより、IL−18を阻害する化合物(WO99/09063)、または抗IL−18抗体は、本明細書に開示されているように、試験され得る。
【0028】
ICEインヒビターは、本発明の方法において使用および/または試験され得る、化合物の1クラスである。ICEを阻害するいかなる化合物も、本発明の方法および組成物において、使用され得る。このような化合物としては、ICEを選択的に阻害する化合物、およびカスパーゼファミリーまたはICE/CED−3ファミリー中の1つ以上の酵素を阻害する化合物が挙げられる。本発明に従って試験され得る化合物の例としては、WO04/058718、WO04/002961、WO03/088917、WO03/068242、WO03/042169、WO98/16505、WO93/09135、WO00/55114、WO00/55127、WO00/61542、WO01/05772、WO01/10383、WO01/16093、WO01/42216、WO01/72707、WO01/90070、WO01/94351、WO02/094263、WO02/42278、WO03/106460、WO03/103677、WO03/104231、米国特許第6,184,210号、同第6,184,244号、同第6,187,771号、同第6,197,750号、同第6,242,422号、2001年4月米国カリフォルニア州サンディエゴにおけるAmerican Chemical Society(ACS)集会、WO02/22611、米国特許出願公開第2002/0058630号、WO02/085899、WO95/35308、WO97/22619、WO99/47545、およびWO01/90063に記載された化合物が挙げられるが、これらに限定されない。本発明に従って試験するための、好ましい化合物は、WO04/058718、WO04/002961、WO95/35308、WO97/22619、WO99/47545、およびWO01/90063に記載されている。
【0029】
構造についての、全ての異性体の(例えば、鏡像異性体の、ジアステレオ異性体の、および幾何異性体の(または立体配座異性体の))形態(例えば、それぞれの非対称中心についてのR立体配置およびS立体配置、(Z)および(E)二重結合異性体、ならびに(Z)および(E)立体配座異性体)が含まれる。したがって、単一の立体化学異性体と同様に、本発明の化合物についての、鏡像異性体の、ジアステレオ異性体の、および幾何異性体の(または立体配座異性体の)混合物も、本発明の範囲内である。別に言及されない限り、本発明の化合物についての全ての互変異性の形態は、本発明の範囲内である。加えて、別に言及されない限り、本明細書で示された構造はまた、1つ以上の同位体濃縮原子の存在についてのみ異なる化合物も含むことを意味する。例えば、重水素もしくはトリチウムによる水素の置換、または13C−濃縮炭素もしくは14C−濃縮炭素による炭素の置換を除いてほかは、前述の構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。
【0030】
別の実施形態によれば、本発明は、IL−1介在性の疾患を改善、処置、または防止する化合物を同定するための方法を提供し、この方法は:
この化合物の投与前の被験体中のIL−18レベルを測定する工程、および、
さらにこの化合物の投与後の被験体中のそのレベルを、測定する工程を包含し、
ここで、この化合物の投与後のIL−18レベルにおける減少は、この化合物が、IL−1介在性の状態または疾患を、改善、処置、または防止し得ることを示唆する。
【0031】
さらに別の実施形態によれば、本発明は、IL−18介在性の疾患を改善、処置、または防止する化合物を同定するための方法を提供し、この方法は:
この化合物の投与前の被験体中のIL−18レベルを測定する工程、および、
さらにこの化合物の投与後の被験体中のそのレベルを、測定する工程を包含し、
ここで、この化合物の投与後のIL−18レベルにおける減少は、この化合物が、IL−18介在性の状態または疾患を、改善、処置、または防止し得ることを示唆する。
【0032】
出願人は、ヒトおよび動物における、ICEインヒビターによるインビボでのIL−18の抑制を実証した。したがって、本発明の別の実施形態は、本発明の方法に従って、化合物を投与して、IL−18の抑制をモニターすることによりIL−18を抑制するための方法を提供する。
【0033】
本発明の化合物は、ICEを阻害する能力およびIL−18レベルを減少させる能力について試験され得る。本発明の方法で試験することに加え、これらの化合物は、例えば、IL−1βの産生を抑制する能力、ならびに/または、IL−1βレベルおよび/もしくはIL−1β活性を調節する能力について、アッセイされ得る。各々の活性についてのアッセイは、本明細書で記載されたものも含めて、当該分野において公知である。
【0034】
本発明はまた、本発明の方法に従って選択もしくは評価された化合物または薬学的に受容可能なその誘導体(例えば、塩)、および薬学的に受容可能なキャリアを含む組成物も提供する。
【0035】
それゆえ、本発明の薬学的組成物および方法は、インビトロまたはインビボにおいて、IL−1βレベルおよび/またはIL−1β活性を制御するのに有用である。したがって、本発明の組成物および方法は、インビボにおいて、IL−18レベルまたはIL−1βレベルを制御するのに有用であり、特定の状態(本明細書で記載されたような、疾患、障害、または影響が挙げられる)の進行、重症度または影響を改善する、処置する、防止する、または低減するのに有用である。
【0036】
薬学的組成物は、当該分野において周知である(Ainley WadeおよびPaul J Weller,Handbook of Pharmaceutical Excipients,第2版,American Pharmaceutical Association,2215 Constitution Avenue,NW,Washington DC 20037−2985 USA,およびthe Pharmaceutical Press,Royal Pharmaceutical Society of Great Britain,1 Lambeth High Street,London,SE1 7JN,England)。特定の薬学的組成物もまた、本明細書に記載されている。
【0037】
別の実施形態によれば、本発明の組成物は、別の治療薬をさらに含み得る。このような薬剤としては、血栓溶解剤(例えば、組織プラスミノゲン賦活剤およびストレプトキナーゼ)、抗炎症剤、マトリックスメタロプロテアーゼインヒビター、リポキシゲナーゼインヒビター、サイトカインアンタゴニスト、サイトカインインヒビター、サイトカイン抗体、サイトカイン結合タンパク質、免疫抑制剤、抗がん剤、抗ウイルス剤、サイトカイン、増殖因子、免疫調節因子(例えば、ブロピリミン、抗ヒトαインターフェロン抗体、IL−2、GM−CSF、メチオニンエンケファリン、インターフェロンα、ジエチルジチオカルバメート、腫瘍壊死因子(TNF)、TNFインヒビター、ナルトレキソンおよびrEPO)、プロスタグランジン、または抗血管過剰増殖化合物(anti−vascular hyperproliferation compound)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
用語「薬学的に受容可能なキャリア」は、本発明の化合物と共に患者に投与され得、かつその薬理学的な活性を破壊しない無毒性のキャリアを言う。
【0039】
これらの組成物において使用され得る薬学的に受容可能なキャリアとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝物質(例えば、リン酸塩)、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、植物性飽和脂肪酸の部分的なグリセリド混合物、水、塩または電解質(例えば、硫酸プロタミン)、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛の塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸塩、ろう、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂。
【0040】
活性成分として本発明の化合物のみを含む、薬学的組成物において、これらの組成物を投与するための方法は、追加の薬剤を被験体に投与する工程をさらに包含し得る。このような薬剤としては、血栓溶解剤(例えば、組織プラスミノゲン賦活剤およびストレプトキナーゼ)、抗炎症剤、マトリックスメタロプロテアーゼインヒビター、リポキシゲナーゼインヒビター、サイトカインアンタゴニスト、サイトカインインヒビター、サイトカイン抗体、サイトカイン結合タンパク質、免疫抑制剤、抗がん剤、抗ウイルス剤、サイトカイン、増殖因子、免疫調節因子(例えば、ブロピリミン、抗ヒトαインターフェロン抗体、IL−2、GM−CSF、メチオニンエンケファリン、インターフェロンα、ジエチルジチオカルバメート、腫瘍壊死因子(TNF)、TNFインヒビター、ナルトレキソンおよびrEPO)、プロスタグランジン、または抗血管過剰増殖化合物が挙げられるが、これらに限定されない。別の薬剤が使用される場合、この別の薬剤は、本発明の化合物または組成物と、別個の投薬形態としてか、または単一の投薬形態の一部としてのいずれかで、投与され得る。
【0041】
上記の組成物に存在する化合物の量は、疾患の重症度において、またはICE抑制、IL−1βレベル、もしくはIL−1活性において、検出可能な低減を引き起こすのに十分であるべきである。
【0042】
これらの組成物において、本発明の化合物についての薬学的に受容可能な塩が利用される場合、これらの塩は、好ましくは、無機酸または有機酸、および無機塩基または有機塩基由来である。次のものが酸性塩に含まれる:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、カンファン酸塩、カンファンスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩(digluconate)、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセリンリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモエート、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニル−プロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバレート、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシレート(tosylate)およびウンデカン酸塩。塩基性塩としては、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)、有機塩基との塩(例えば、ジシクロヘキシルアミンの塩)、N−メチル−D−グルカミン、およびアミノ酸(例えば、アルギニン、リジン等)との塩が挙げられる。
【0043】
塩基性窒素を含有する群もまた、低分子ハロゲン化アルキルのような薬剤(例えば、塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、塩化エチル、臭化エチル、ヨウ化エチル、塩化プロピル、臭化プロピル、ヨウ化プロピル、塩化ブチル、臭化ブチル、およびヨウ化ブチル);硫酸ジアルキル(例えば、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジブチル、および硫酸ジアミル);長鎖ハロゲン化物(例えば、塩化デシル、臭化デシル、ヨウ化デシル、塩化ラウリル、臭化ラウリル、ヨウ化ラウリル、塩化ミリスチル、臭化ミリスチル、ヨウ化ミリスチル、塩化ステアリル、臭化ステアリル、およびヨウ化ステアリル);ならびにハロゲン化アラルキル(例えば、臭化ベンジルおよび臭化フェネチル)などが挙げられる)により四級化され得る。そのことにより、水溶性または油溶性もしくは分散性の産物が得られる。
【0044】
本発明の組成物および方法において利用される化合物はまた、適切な官能性を付加することにより改変されて、選択的な生物学的特性を増大し得る。このような改変は当該分野において公知であり、所定の生体系(例えば、血液、リンパ系、または中枢神経系)への生物学的な貫入を増進するもの、経口アベイラビリティを増進するもの、注射による投与を可能にする溶解度を増進するもの、代謝を変更するもの、および/または、排出速度を変更するものを含む。
【0045】
好ましい実施形態に従って、本発明の組成物は、被験体(例えば、哺乳動物、好ましくは、人間)への薬学的投与のために処方される。
【0046】
本発明の、このような薬学的組成物は、経口的に、非経口的に、吸入スプレーにより、局所的に、直腸に、鼻に、頬に、膣に、または移植されたリザーバを介して投与され得る。本明細書で使用される用語「非経口的」は、皮下の、静脈内の、筋内の、関節内の、滑液包内の、基質内の、クモ膜下腔内の、肝臓内の、病変内の、および頭蓋内の注射技術および注入技術を包含する。好ましくは、この組成物は経口的にか、または静脈内に投与される。
【0047】
本発明の組成物の無菌性の注射可能な形態は、水性懸濁物または油性懸濁物であり得る。これらの懸濁物は、適切な分散剤または適切な湿潤剤および適切な懸濁剤を使用して、当該分野において公知の技術に従って処方され得る。無菌性の注射可能な調製物はまた、無毒性の非経口的に受容可能な希釈剤または溶媒中の、無菌性の注射可能な溶液または懸濁物(例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液として)でもあり得る。使用され得る受容可能なビヒクルおよび溶媒の中でも、とりわけ、水、リンガー液、および等張性の塩化ナトリウム溶液が使用される。加えて、無菌性の不揮発性油が、溶媒または懸濁媒質として慣習的に使用される。この目的のため、任意の無刺激性不揮発性油(例えば、合成モノグリセリドまたは合成ジグリセリド)が使用され得る。脂肪酸(例えば、オレイン酸およびそのグリセリド誘導体)が、注射剤の調製において有用であるが、それは天然の薬学的に受容可能な油(例えば、オリーブ油およびヒマシ油)(特に、それらのポリオキシエチル化バージョン)である。これらの油の溶液または油の懸濁物はまた、長鎖アルコール希釈剤または長鎖アルコール分散剤(例えば、薬学的に受容可能な投薬形態(例えば、乳濁液および懸濁液)の処方において通例使用される、カルボキシメチルセルロースまたは類似の分散剤)も含み得る。他の通例使用される界面活性剤(例えば、薬学的に受容可能な固形の投薬形態、液状の投薬形態、または他の投薬形態の製造において通例使用される、Tween、Spanおよび他の乳化剤またはバイオアベイラビリティ賦活薬)もまた、処方の目的のために使用され得る。
【0048】
固体のキャリアが使用される場合、この調製物は、錠剤にされ得るか、粉末形態もしくはペレット形態中の硬ゼラチンカプセル内に入れられ得るか、またはトローチ形態もしくはロゼンジ形態中に入れられ得る。固体のキャリアの量は、例えば、約25mgから約400mgまで変動する。液体のキャリアが使用される場合、この調製物は、例えば、シロップ、乳濁液、軟ゼラチンカプセル、無菌性の注射可能な液体(例えば、アンプル)または非水性の液状懸濁物の形態中にあり得る。この組成物がカプセル形態中にある場合、いかなる慣用的な被包化(例えば、硬ゼラチンカプセル殻内で前述のキャリアを使用する)も適切である。
【0049】
シロップの処方物は、液体のキャリア(例えば、エタノール、グリセリン、または矯味矯臭料もしくは着色料入りの水)内の、この化合物の懸濁物または溶液から構成され得る。エアロゾルの調製物は、液体のキャリア(例えば、水、エタノールまたはグリセリン)内の、この化合物の溶液または懸濁物から構成され得る一方で、粉末の乾燥エアロゾルにおいて、この調製物は、例えば、湿潤剤を含み得る。
【0050】
本発明の処方物は、活性成分に加えて、1つ以上のその受容可能なキャリアおよび、必要に応じて、1つ以上の任意の他の治療成分を含む。このキャリアは、この処方物のその他の成分と共用でき、かつこれの受容者にとって有害でないという意味において、「受容可能」であるべきである。
【0051】
本発明の薬学的組成物は、任意の経口的に受容可能な投薬形態(例えば、カプセル、錠剤、および水性懸濁物または水性溶液が挙げられるが、これらに限定されない)により、経口的に投与され得る。経口使用のための錠剤の場合、通例使用されるキャリアとしては、ラクトースおよびコーンスターチが挙げられる。潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)もまた、代表的に添加される。カプセル形態による経口投与のために、有用な希釈剤としては、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが挙げられる。水性懸濁物が経口使用のために必要とされる場合、この活性成分は、乳化剤および懸濁剤と併用される。所望される場合、特定の甘味料、矯味矯臭料または着色料もまた添加され得る。
【0052】
あるいは、本発明の薬学的組成物は、直腸投与のための坐剤の形態で、投与され得る。これらは、この薬剤を適切な無刺激性の賦形剤(室温では固体であるが、直腸温度では液体であり、その結果直腸内で溶け、この薬物を放出する)と混合することにより調製され得る。このような物質としては、ココアバター、蜜ろうおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0053】
本発明の薬学的組成物はまた、特に処置目標が、局所投与により容易に到達可能な領域または器官を含む場合(例えば、目の疾患、皮膚の疾患、下部消化管(lower intestinal tract)の疾患)、局所的に投与され得る。適切な局所処方物が、これらの領域またはこれらの器官それぞれのために容易に調製される。
【0054】
下部消化管に対する局所適用は、直腸坐剤の処方物(上を参照のこと)または適切な浣腸処方物により、達成され得る。局所性の経皮パッチもまた、使用され得る。
【0055】
局所適用のために、この薬学的組成物は、1つ以上のキャリア中に懸濁または溶解させた活性成分を含む、適切な軟膏中に処方され得る。本発明の化合物の局所投与のためのキャリアとしては、鉱油、液体ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ろうおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、この薬学的組成物は、1つ以上の薬学的に受容可能なキャリア中に懸濁または溶解させた活性成分を含む、適切なローション剤またはクリーム中に処方され得る。適切なキャリアとしては、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルろう、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
眼科的な使用のために、この薬学的組成物は、塩化ベンザルコニウム(benzylalkonium chloride)のような保存料を含むかまたは含まないかのいずれかで、等張性のpH調整された無菌生理食塩水中で微粉状にされた懸濁物か、または、好ましくは、等張性のpH調整された無菌生理食塩水中の溶液として処方され得る。あるいは、眼科的な使用のために、この薬学的組成物は、ワセリンのような軟膏中に処方され得る。
【0057】
本発明の薬学的組成物はまた、鼻のエアロゾルまたは吸入によっても投与され得る。このような組成物は、薬学処方の分野において周知の技術に従って調製され、ベンジルアルコールもしくは他の適切な保存料、バイオアベイラビリティを増大する吸収促進物、フッ化炭素、および/または当該分野において公知の、他の従来の可溶化剤もしくは分散剤を使用して、生理食塩水中の溶液として調製され得る。
【0058】
薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤の形態および特性が、それが併用される活性成分の量、投与の経路、および他の周知の変量により決定されることが当業者により認識される。
【0059】
好ましい実施形態において、本発明に従って使用される組成物は、経口投与のために処方される。
【0060】
上記の化合物および組成物はまた、特定の疾患に関する治療上の適用においても有用である。本発明に従った方法は、IL−1介在性もしくはIL−18介在性の疾患に対する治療を発見、開発、または実施することにおいて使用され得る。
【0061】
これらの疾患としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:脳卒中誘発性の炎症(ZarembaおよびLosy、2003)を含む、虚血性脳卒中;マラリア(Nagamine等、2003);不安定狭心症に匹敵する急性心筋梗塞(Yamaoka−Tojo、2003);2型糖尿病患者(Aso、2003);乳癌患者(Gunel等、2003);急性膵炎(Endo、2001;Wereszczynska等、2002);肥満およびグルコース不耐性(Olusi等、2003);HIV(Ahmad等、2002);HIV−1患者における疾患の進行(Stylianou等、2003);アテローム性動脈硬化症におけるアテローム発生の促進(proatherogenicity in artherosclerosis)(Elhage R等、2003);マウスアトピー性皮膚炎モデル(TsukubaおよびYamamoto、2003);アトピー性皮膚炎(Yoshizawa等、2002);2型糖尿病(Moriwaki、2003);セリアック病(Merendino等、2003);乾癬(Gangemi等、2003);中程度−重度のうつ病患者(Merendino、2002);敗血症患者における死亡率(Emmanuilidis等、2002);ベーチェット病(Hamzaoui等、2002);全身性の若年特発性関節炎およびスティル症候群(Kawashima等);全身性エリテマトーデス(Robak等、2002;Amerio等、2002);転移性乳癌(非転移性の患者に対して)(Gunel等、2002);重症筋無力症患者(JanderおよびStoll、2002);CAD(冠状動脈疾患患者)は強力な独立した死の予知因子である(Blankenberg等、2002);IBD(炎症性腸疾患)患者(Furuya等、2002);クッシング症候群(Kristo等、2002);劇症肝不全患者(Yumoto等、2002);CHF(うっ血性心不全)患者(Seta等、2000);Hep−C(Jia等、2003);アレルギー性鼻炎(Ariano等、2003);肥満(特に、ライフスタイルの変化後および体重減少後の女性における)(Esposito等、2003);慢性関節リウマチ(Bresnihan等、2002);クローン病;喘息および他の気道炎症性疾患;ならびに自己炎症性(autoinflammatory)疾患(例えば、マックル−ウェルズ症候群)。他のIL−1介在性またはIL−18介在性の疾患が記載されている(例えば、WO95/35308、WO97/22619、WO99/47545、WO01/90063、WO04/058718、およびWO04/002961を参照のこと)。本発明はまた、IL−1抑制またはIL−18抑制が禁忌を示される処置を評価するためにも使用され得る。
【0062】
本発明はまた、(1)細胞からのIL−18放出を阻害すること、および/または(2)ヒトを含む哺乳動物における過度に高いIL−18の組織レベルの不適当な、毒性のある、もしくは致命的な効果を防止することにより、特定の疾患を処置するための治療方法にも関する。この方法は、効果的にICEを抑制する量の1以上の化合物を哺乳動物に投与する工程を包含する。この方法はまた、この方法にかなう特定の疾患の予防処置または予防にも使用され得る。本発明は、処置を必要とする哺乳動物(ヒトを含む)に、有効量のこのような化合物を投与することにより、これらの障害を処置するための方法を提供する。
【0063】
この化合物は、ICEを阻害すること、および、IL−18の放出を妨害すること、またはIL−18レベルおよびIL−18活性、ならびにこれらの状況それぞれにおける過剰レベルのIL−18の病態生理学上の作用を減少させることにより、特定の疾患の停止もしくは融解を直接的に促進し、そして正常機能の修復を促進する。同時に、これらの作用は、特定の疾患を処置することにおける、これらの新規の使用に関する。
【0064】
ICE阻害は、当該分野において公知である方法および本明細書中でより十分に記載される方法により、測定され得る。
【0065】
句「IL−18を阻害する」は、a)ヒトのような哺乳動物におけるインビボIL−18レベルの減少;b)IL−18レベルのダウンレギュレーション;あるいはc)IL−1βの直接合成の阻害またはインビボもしくはインビトロの翻訳後の現象の阻害による、IL−1活性のダウンレギュレーションを意味する。
【0066】
この化合物は、単球、マクロファージ、ニューロン細胞、上皮細胞、内皮細胞、表皮細胞、間葉細胞(例えば、線維芽細胞、骨格筋細胞、平滑筋細胞、心筋細胞)、および多くの他の型の細胞によるIL−18の放出を阻害することにおいて有用であり得る。
【0067】
用語「状態(condition)」または「状態(state)」は、被験体において有害な生物学的結果を生じる、任意の疾患、障害、または影響をいう。
【0068】
血中のIL−18タンパク質のレベル、または患者もしくは細胞培養の細胞中(すなわち、細胞内または細胞培地内)のIL−18タンパク質のレベルは、例えば、IL−18へ、または活性IL−1bの存在の結果として産生されることが公知である他のタンパク質への免疫特異的な(immunospecific)結合をアッセイすることにより決定され得る。このような方法は、当該分野において公知である。例えば、使用され得る免疫測定法としては、競合アッセイ系および非競合アッセイ系、ウェスタンブロット、放射免疫測定法、ELISA(酵素結合イムノソルベント検定法)、「サンドウィッチ」免疫測定法、免疫沈降アッセイ、沈降反応、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、イムノラジオメトリックアッセイ、蛍光免疫測定法、プロテインA免疫測定法、ならびに標識された抗体を用いてのFACS分析が挙げられるが、これらに限定されない。このようなアッセイは、当該分野において周知である(例えば、Ausubel等,編,1994,Current Protocols in Molecular Biology,Vol.1,John Wiley & Sons,Inc.,New Yorkを参照のこと、この全体が本明細書中で参考として援用される)。
【0069】
競合結合アッセイもまた、IL−18レベルを決定するために使用され得る。競合結合アッセイの一例は放射免疫測定法である。これは、増加する量の標識されていないIL−18の存在下での、IL−18抗体と、IL−18を発現する細胞由来の標識タンパク質(例えば、Hまたは125I)とのインキュベーション、そして標識IL−18に結合したIL−18抗体の検出を含む。特定の抗原に対する目的の抗体の親和性およびその結合解離率(binding off−rate)は、スキャッチャードプロット分析によるデータから決定され得る。別の抗体との競合もまた、放射免疫測定法を使用して決定され得る。この場合、この抗原は、増加する量の標識されていない別の抗体の存在下で、標識化合物(例えば、Hまたは125I)に結合させた目的の抗体とインキュベートされる。
【0070】
IL−18レベルはまた、活性によってもアッセイされ得る(例えば、IL−18レベルは、IL−18のようなサイトカインまたは増殖因子の生物活性レベルを検出し得る細胞株によりアッセイされ得る)。一実施形態に従うと、生物学的サンプルにおける生物活性のあるIL−18レベルは、イソプロピル−b−D−チオガラクトピラノシドにより遺伝学的に操作された細胞株をインキュベートすることにより検出される。この細胞株は、試験されるサンプルと共にインキュベートされる。そしてこの細胞株における細胞死は、試験されたサンプルにおける生物活性のあるサイトカインまたは増殖因子を示す、青色の強度を測定することによりモニターされる(例えば、TNFについてX.−S.Liu,Burns 20(1),pp.40−44(1994)もまた参照のこと)。
【0071】
インビボIL−18レベルを測定するための好ましい方法は、以下の実施例において記載される。
【0072】
活性成分の化合物が一日あたり、体重1kgあたり、約0.01mg〜約100mgの間、好ましくは一日あたり、体重1kgあたり、約0.5mg〜約75mgの間、および最も好ましくは一日あたり、体重1kgあたり、約1mg〜約50mgの間の本発明の薬学的組成物における投薬レベルが、単一の治療において有用である。
【0073】
代表的に、本発明の薬学的組成物は、一日あたり約1回から約5回までか、またはその代わりに連続注入として投与される。このような投与は、長期間の治療または短期間の治療として使用され得る。単回の投薬形態を生成するためにキャリア物質と併用され得る活性成分の量は、処置される宿主および投与の特定の様式に依存して変動する。代表的な調製物は、約5%(w/w)から約95%(w/w)までの活性化合物を含む。好ましくは、このような調製物は、約20%から約80%までの活性化合物を含む。
【0074】
本発明の組成物は、活性成分の組み合わせを含み得る。本発明の組成物が本発明の化合物の組み合わせおよび1つ以上のさらなる治療剤を含む場合、この化合物およびこの追加の薬剤の両方は、単一の治療レジメンにおいて通例投与される投薬量の約10%から約80%までの間の投薬レベルに存在すべきである。
【0075】
患者の状態が改善すれば、必要に応じて、本発明の化合物、組成物または組み合わせの維持用量が投与され得る。続いて、投薬量か、もしくは投与頻度か、またはその両方が、症状の働きとして、改善された状態が維持されるレベルまで低減され得る。この症状が望ましいレベルまで軽減された場合、処置が終わるべきである。しかしながら、患者は、任意の再発または疾患の症状についての長期の基準に基づく断続的な処置を必要とし得る。
【0076】
任意の特定の患者に対する固有の投薬レジメンおよび処置レジメンは、種々の要因(例えば、使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、全身の体調、性別、食事、投与時間、排出速度、薬物の組み合わせ、および処置する医師の判断ならびに処置される特定の疾患の重症度)に依存することもまた理解されるはずである。活性成分の量はまた、特定の化合物および、この組成物中に存在する場合、他の治療剤にも依存する。
【0077】
したがって、被験体において、本発明の、疾患を処置する、または予防するための方法は、本明細書に記載の任意の化合物、薬学的組成物、または組み合わせを、この被験体に投与する工程を包含する。
【0078】
好ましい実施形態において、本発明は、前述の疾患の1つを有する哺乳動物を処置する方法を提供し、この方法は、上記の薬学的に受容可能な組成物をこの哺乳動物に投与する工程を包含する。この実施形態において、この患者がまた別の治療剤も投与される場合、この治療剤は、単回の投薬形態において本発明の化合物と共にか、または個別の投薬形態として送達され得る。個別の投薬形態として投与される場合、その他の治療剤は、本発明の化合物を含む薬学的に受容可能な組成物の投与前にか、この投与と同時か、またはこの投与後に、投与され得る。
【0079】
本発明に従って疾患を処置するための化合物または組成物を同定するための方法は、ICEを阻害する能力について複数の化合物または組成物をスクリーニングするための方法を包含する。本発明の一実施形態に従って、ハイスループットスクリーニングが、以下の工程により達成され得る:マイクロタイタープレート内の複数のウェル中で細胞を培養する工程、それぞれのウェルに異なる化合物または組成物を添加する工程、ならびに、それぞれの細胞培養におけるICE阻害、ならびに/または、IL−1βおよび/もしくはIL−18のレベルおよび/もしくは活性を、コントロールウェル中の細胞培養内に存在するそのレベルまたはその活性と比較する工程。本発明に従った、この比較工程のために有用なコントロールとしては、化合物および組成物により処置されていない細胞または被験体、ならびにICE阻害またはICE活性に対し効果を有さないことが公知である化合物および組成物により処置された細胞または被験体が挙げられる。本発明の一実施形態に従って、このハイスループットスクリーニングは、プレートへの細胞の添加、この化合物もしくは組成物の添加後、データの収集および分析までを包含する工程が機械によりなされるように自動化される。本発明の比較工程において有用な機器、例えば、標識物体(例えば、放射性同位元素標識された物体、蛍光性の物体、または着色された物体)か、またはそれ自体が検出可能な物体を検出し得る機器は、市販されているか、および/または当該分野において公知である。したがって、本明細書中に開示される特定の疾患を処置するために有用な、本発明に基づく化合物および組成物は、迅速に、かつ効率的にスクリーニングされ得、そして評価され得る。
【0080】
本明細書中(上記および下記)で開示される全ての出願、特許、および参考文献は、参考として援用される。本発明がより十分に理解されるために、以下の予備的な、かつ試験的な実施例が示される。これらの実施例は、例示の目的のためのみであり、いかなる方法によっても本発明の範囲を限定するとは解釈されるべきではない。
【実施例】
【0081】
(実施例1)
(錠剤の形成)
下記の実施例において使用する、化合物Aの錠剤の組成を、表1に提供する。錠剤あたり化合物Aを300mg提供するよう、製剤を処方した。
【0082】
表1 化合物Aが300mg入った錠剤の組成
【0083】
【表1】

(実施例2)
(化合物Aの投与)
健康な男性被験体での二重盲検、無作為の、プラシーボ対照した、経口投薬の、連続的な群の研究において、化合物Aを評価した。9人の被験体に、900mgの化合物Aを、14日間与えた。3人の被験体には、プラシーボ処置を与えた。1日目〜13日目までは、1日3回、8時間の間隔で投薬を行い、14日目の朝に1度、投薬を与えた。全ての投薬を、絶食状態で投与した。
【0084】
(実施例3)
(血液サンプリングの手順)
前腕の静脈の静脈穿刺またはカニューレ挿入により、血液サンプル(1x3.5mL)を採取した。
【0085】
血液サンプルを、3.5mL SST Vacutainer(登録商標)チューブ(Becton Dickinson UK Ltd.,Oxford)に集め、混合後、遠心分離に先立って、少なくとも30分間室温に静置した。収集から1時間以内に、約4℃において、1500gで10分間、サンプルを遠心分離した。それぞれのサンプルについて、分離した血清を、適切に標識した2つの5mLポリプロピレンチューブ(それぞれのチューブに、少なくとも0.6mL)に移し、収集から2時間以内に、IL−18アッセイのために、実験室において、約−70℃で静置した。
【0086】
(実施例4)
(IL−18アッセイ手順)
サンドウィッチIL−18 ELISA技術(ヒトIL−18 ELISAキット、Medical and Biological Laboratories,Nagoya,Japan)を使用して、IL−18をアッセイした。抗ヒトIL−18モノクローナル抗体でコートしたウェル中で、標準物質、コントロールおよびサンプルをインキュベートした。洗浄後、ペルオキシダーゼ結合抗ヒトIL−18モノクローナル抗体をウェルに加え、その後、再びインキュベートした。もう一度洗浄した後、次に基質試薬をウェルに加えた。さらなるインキュベーション後、酸性溶液の添加により、反応を停止させた。その後、630nm基準フィルターを使用して、450のODで呈色を測定した。
【0087】
化合物Aは、インビボでIL−18レベルを抑制したことを示した。14日間の処置期間にわたって、化合物Aが、血清IL−18濃度の徐々にだが顕著な抑制を引き起こした一方、プラシーボ被験体における血清IL−18濃度は、本質的に不変のままであった。
【0088】
血清IL−18濃度のベースラインで標準化したメジアンは、化合物Aの投薬についての14日間の処置期間にわたって、徐々に低下したのに対し、プラシーボによる被験体についてのメジアンのレベルは本質的に不変のままであった。900mg q8h処置についてのtmax,IL−18パラメーターおよびtmin,IL−18パラメーターの範囲は、この処置を与えた全被験体についての最大血清IL−18濃度は投薬前の時点に現れ、全被験体についての最小濃度は14日目に現われたことを、示唆する。
【0089】
米国特許第5,985,863号(本明細書において参考として援用される(例えば、実施例1〜6を参照せよ))において、ICEおよびIL−18に関連する、他のアッセイが、詳細に記載されている。
【0090】
本発明者らは、本発明について多くの実施形態を記載したが、本発明の化合物および方法を利用した他の実施形態を提供するために、本発明者らの基礎的な実施例が変更され得ることは明らかである。したがって、本発明の範囲は、一例として表現された特定の実施形態ではなく、添付された特許請求の範囲により、規定されるべきことが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】図1は、14日間、化合物A(900mg q8h;黒円)で処置された9人の被験体の群からの血清IL−18レベル、またはプラシーボ(q8h;白円)で処置された9人の被験体の群からの血清IL−18レベルを示す(メジアン+/−標準偏差)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICEインヒビターがIL−1介在性の状態および/またはIL−18介在性の状態を改善すること、処置することまたは予防することにおいて有効であるか否かを評価するための方法であって、該方法は:
処置前の患者の血液中のIL−18レベルを測定する工程、および
さらに処置後の患者の血液中のIL−18レベルを、測定する工程を包含し、
ここで、処置後のIL−18レベルにおける減少は有効であることを示す、方法。
【請求項2】
ICEインヒビターを含有する処方物がIL−1介在性の状態および/またはIL−18介在性の状態を改善すること、処置することまたは予防することにおいて有効であるか否かを評価するための方法であって、該方法は:
該処方物による処置前の患者の血液中のIL−18レベルを測定する工程、および
さらに該処方物による処置後の患者の血液中のIL−18レベルを、測定する工程を包含し、
ここで、処置後のIL−18レベルにおける減少は有効であることを示す、方法。
【請求項3】
ICEインヒビターの投薬量または投薬レジメンがIL−1介在性の状態および/またはIL−18介在性の状態を改善すること、処置することまたは予防することにおいて有効であるか否かを評価するための方法であって、該方法は:
該投薬量または該投薬レジメンによる処置前の患者の血液中のIL−18レベルを測定する工程、および
さらに該投薬量または該投薬レジメンによる処置後の患者の血液中のIL−18レベルを、測定する工程を包含し、
ここで、処置後のIL−18レベルにおける減少は有効であることを示す、方法。
【請求項4】
患者がICEインヒビターによる治療のための候補であるか否かを決定する方法であって、該方法は、該被験体中のIL−18レベルを決定する工程、該被験体中のIL−18レベルを正常な個体中のIL−18レベルと比較する工程を包含し、ここで該潜在的な被験体におけるより高いIL−18レベルは、該患者を治療に適切にさせる、方法。
【請求項5】
ICEインヒビター治療の治療結果を予測するための方法であって、該方法は、該ICEインヒビター投与前および該ICEインヒビター投与後における、被験体中のIL−18レベルを決定する工程を包含し、ここで、該ICEインヒビター投与後のIL−18レベルにおける減少は、潜在的に成功する治療結果の前兆となる、方法。
【請求項6】
IL−1介在性の疾患を改善、処置、または予防する化合物を同定するための方法であって、該方法は:
該化合物の投与前の被験体中のIL−18レベルを測定する工程、および、
さらに該化合物の投与後の該レベルを、測定する工程を包含し、
ここで、該化合物の投与後の該IL−18レベルにおける減少は、該化合物が、該IL−1介在性の状態または該IL−1介在性の疾患を、改善、処置、または予防し得ることを示唆する、方法。
【請求項7】
IL−18介在性の疾患を改善、処置、または予防する化合物を同定するための方法であって、該方法は:
該化合物の投与前の被験体中のIL−18レベルを測定する工程、および、
さらに該化合物の投与後の該レベルを、測定する工程を包含し、
ここで、該化合物の投与後の該IL−18レベルにおける減少は、該化合物が、該IL−18介在性の状態または該IL−18介在性の疾患を、改善、処置、または予防し得ることを示唆する、方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法であって、ここでの前記ICEインヒビターは、WO04/058718、WO04/002961、WO03/088917、WO03/068242、WO03/042169、WO98/16505、WO93/09135、WO00/55114、WO00/55127、WO00/61542、WO01/05772、WO01/10383、WO01/16093、WO01/42216、WO01/72707、WO01/90070、WO01/94351、WO02/094263、WO02/42278、WO03/106460、WO03/103677、WO03/104231、米国特許第6,184,210号、同第6,184,244号、同第6,187,771号、同第6,197,750号、同第6,242,422号、2001年4月米国カリフォルニア州サンディエゴにおけるAmerican Chemical Society(ACS)集会、WO02/22611、米国特許出願公開第2002/0058630号、WO02/085899、WO95/35308、WO97/22619、WO99/47545、およびWO01/90063に記載の化合物のうちの任意の1つであるICEインヒビターからなる群から選択される、方法。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法であって、ここでの前記化合物は、カスパーゼインヒビター、IL−1インヒビター、またはIL−18インヒビターである、方法。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法であって、ここでの前記化合物は、WO95/35308、WO97/22619、WO99/47545、またはWO01/90063に記載の化合物から選択される、方法。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法であって、ここでの前記化合物は、WO99/47545、またはWO01/90063に記載の化合物から選択される、方法。
【請求項12】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法であって、ここでの前記化合物は:
【化1】

を含む、
【化2】

および、各々のその立体異性体である、方法。
【請求項13】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法であって、ここでの前記化合物は:
【化3】

を含む、
【化4】

および、各々のその立体異性体である、方法。
【請求項14】
被験体における特定の疾患を改善、処置、または予防するための薬学的組成物であって、該薬学的組成物は、本発明の方法に従って選択されるか、または評価される化合物と、薬学的に受容可能なキャリアとを含む、薬学的組成物。
【請求項15】
ICEインヒビターによる治療の経過を追跡する方法であって、該方法は、治療の開始時および治療の継続中の、患者におけるIL−18レベルをモニターする工程を包含する、方法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−510931(P2007−510931A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539802(P2006−539802)
【出願日】平成16年11月10日(2004.11.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/037496
【国際公開番号】WO2005/047906
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】