説明

IL−18受容体抗原結合タンパク質

IL−18受容体抗原結合タンパク質およびそれをコードするポリヌクレオチドが、本明細書に提供されている。その抗原結合タンパク質の産生のための発現ベクターおよびそれを含む宿主細胞もまた提供されている。加えて、IL−18受容体によって媒介される疾患を診断および処置するための組成物および方法が提供されている。1つの実施形態において、本発明の抗原結合タンパク質は、α−およびβ−IL−18受容体を結合し、(a)スキャフォールド構造;および(b)配列番号89〜139のいずれかのCDRH領域または配列番号140〜190のいずれかのCDRL領域から選択される少なくとも1つの相補性決定領域を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2008年6月17日に出願された米国仮特許出願第61,073,142号、2007年7月24日に出願された米国仮特許出願第60/951,692号、および2007年7月24日に出願された米国仮特許出願第60/951,691号(これらの各々は、それらの全体が参考として本明細書に援用される)の優先権の利益を主張する。
【0002】
I.発明の分野
IL−18受容体抗原結合タンパク質およびそれをコードするポリヌクレオチドが、本明細書に提供されている。その抗原結合タンパク質の産生のための発現ベクターおよびそれを含む宿主細胞もまた提供されている。加えて、IL−18受容体によって媒介される疾患を診断および処置するための組成物および方法が提供されている。
【背景技術】
【0003】
II.背景
IL−18は、リガンドのIL−1ファミリーに属する炎症性サイトカインである。非特許文献1。IL−18は、IFN−γ誘導因子とも呼ばれ、主に、T細胞およびナチュラルキラー細胞でIFN−γ産生を誘導するその能力により、TH1応答に重要な役割を果たすサイトカインである。IL−18は、構造および機能の両方でIL−1ファミリーに関連している。構造に関しては、IL−18とIL−1βは、重要な一次アミノ酸配列を共有し、両方ともβ−シートポリペプチドとして折り畳まれている。機能に関しては、IL−18は、IL−1、TNF、Fasリガンド、およびいくつかのサイトカインの遺伝子発現および合成を誘導する。
【0004】
IL−18の活性は、それがIL−18受容体(IL−18R)複合体を形成することによって開始されるシグナル伝達経路を通して伝達される。IL−18Rは、以前にIL−1R関連タンパク質(IL−1Rrp)と同定されたIL−1Rファミリーのメンバーであるα−IL−18受容体(α−IL−18R)と名付けられた結合鎖、および同様にIL−1Rファミリーのメンバーであり、かつ以前にAcPLと同定されたβ−IL−18受容体(β−IL−18R)を含む;両方の鎖は、シグナル伝達に必要とされる。非特許文献2。IL−18/IL−18R複合体は、IL−1R活性化キナーゼおよびTNF受容体関連因子−6を動員し、それが核内因子κB(NFκB)誘導キナーゼをリン酸化し、引き続いてNFκBを活性化する。IL−18は、自然免疫および獲得免疫の両方に関与する。非特許文献3。
【0005】
発病におけるIL−18のレベルの増加および/またはIL−18媒介性シグナルの関与は、自己免疫疾患(特許文献1;特許文献2;特許文献3;非特許文献4)、肝疾患(非特許文献5;非特許文献6;非特許文献8)、膵疾患、および心血管系疾患(非特許文献9;特許文献4;特許文献5;特許文献6;非特許文献7)を含む様々なヒトの疾患状態で実証されている。したがって、IL−18/IL−18受容体相互作用を調節する能力がある新しい作用物質を作製することは望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2004/002519号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2005/063290号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2004/034988号パンフレット
【特許文献4】国際公開第03/080104号パンフレット
【特許文献5】国際公開第02/060479号パンフレット
【特許文献6】国際公開第01/85201号パンフレット
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Okamuraら、1995年、Nature、378巻、88〜91頁
【非特許文献2】Bornら、1998年、J. Biol. Chem.、273巻、29445〜50頁
【非特許文献3】Dinarello、1999年、J. Allergy Clin. Immun.、103巻、11〜24頁
【非特許文献4】Mallatら、2002年、Circ. Res.、91巻、441〜448頁
【非特許文献5】Finittoら、2004年、Liver、53巻、392〜400頁
【非特許文献6】Tsutsuiら、2000年、Immunological Reviews、174巻、192〜209頁
【非特許文献7】Raeburnら、2002年、Am. J. Physiol. Heart Circ. Physiol.、283巻、H650〜H657頁
【非特許文献8】Ludwiczekら、2002年、J. Clinical Immunology、22巻、331〜337頁
【非特許文献9】Gerdesら、2002年、J. Exp. Med.、195巻、245〜257頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
III.要旨
α−およびβ−IL−18受容体(本明細書ではまとめて「IL−18受容体」または「IL−18R」とも呼ぶ)抗原結合タンパク質およびそれらをコードするポリヌクレオチドが、本明細書に提供されている。IL−18受容体抗原結合タンパク質は、IL−18によって媒介される生物学的応答の少なくとも1つを阻害、妨害、または調節し、したがって、IL−18媒介性疾患または障害の影響を改善するために有用であり得る。α−およびβ−IL−18受容体抗原結合タンパク質の産生のための、株化細胞を含む発現系、および異常なIL−18活性に関連した疾患を診断および処置するための方法もまた提供されている。
【0009】
1つの実施形態において、抗原結合タンパク質は、α−およびβ−IL−18受容体を結合し、(a)スキャフォールド構造;および(b)配列番号89〜139のいずれかのCDRH領域または配列番号140〜190のいずれかのCDRL領域から選択される少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)を含む。この実施形態において、特に有用なのは、配列番号91、94、97、100、103、106、109、112、115、118、121、124、127、130、133、136、139、または配列番号142、145、148、151、154、157、160、163、166、169、172、175、178、181、184、187、190それぞれのCDRH3領域またはCDRL3領域を有する抗原結合タンパク質である。追加の実施形態では、配列番号89〜139のいずれかのCDRH領域から選択される1つのCDR、および配列番号140〜190のいずれかのCDRL領域を有する抗原結合タンパク質を利用する(例えば、抗原結合タンパク質は、1つは重鎖CDR領域であり1つは軽鎖CDR領域である2つのCDR領域を有する;さらに、特定の実施形態において、抗原結合タンパク質は、CDRH3領域およびCDRL3領域の両方を有する)。
【0010】
抗原結合タンパク質は、配列番号69または配列番号71のアミノ酸配列それぞれを有するIL−18受容体α鎖またはβ鎖に結合することができる。
【0011】
本明細書では、(a)配列番号89、92、95、98、101、104、107、110、113、116、119、122、125、128、131、134、137のいずれかのCDRH1;(b)配列番号90、93、96、99、102、105、108、111、114、117、120、123、126、129、132、135、138のいずれかのCDRH2;および(c)配列番号91、94、97、100、103、106、109、112、115、118、121、124、127、130、133、136、139のいずれかのCDRH3からなる群より選択される少なくとも1つのCDRを含む重鎖アミノ酸配列;ならびに/または(a)配列番号140、143、146、149、152、155、158、161、164、167、170、173、176、179、182、185、188のいずれかのCDRL1;(b)配列番号141、144、147、150、153、156、159、162、165、168、171、174、177、180、183、186、189のいずれかのCDRL2;および(c)配列番号142、145、148、151、154、157、160、163、166、169、172、175、178、181、184、187、190のいずれかのCDRL3からなる群より選択される少なくとも1つのCDRを含む軽鎖アミノ酸配列を含む抗原結合タンパク質が記載されている。
【0012】
特定の態様において、抗原結合タンパク質は、配列番号89〜139のいずれかのCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を有する重鎖アミノ酸配列、ならびに/または配列番号140〜190のいずれかのCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列を含む。好ましい抗原結合タンパク質は、配列番号1〜17からなる群より選択される重鎖アミノ酸配列、および/または配列番号18〜34からなる群より選択される軽鎖アミノ酸配列を含む。好ましいCDRH3は、配列番号91、94、97、100、103、106、109、112、115、118、121、124、127、130、133、136、139のいずれかに示されるものを含む。好ましいCDRL3は、配列番号142、145、148、151、154、157、160、163、166、169、172、175、178、181、184、187、190のいずれかに示されるものを含む。
【0013】
特定の態様において、抗原結合タンパク質は、IgG1型、IgG2型、IgG3型、またはIgG4型のものを含む、1つまたは複数のIgG重鎖または軽鎖を含む。好ましいIgG重鎖には、配列番号73、77、81、および85に示されるものが挙げられるが、それらに限定されるわけではない。好ましいIgG軽鎖には、配列番号75、79、83、および87に示されるものが挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0014】
本明細書に記載されているように、成熟α−IL−18受容体(配列番号69)によって形成される3次元構造のアミノ酸残基250〜253位および267〜271位に結合する抗原結合タンパク質は、IL−18のIL−18受容体との相互作用を遮断するのに特に有用である。
【0015】
抗原結合タンパク質は、モノクローナル抗体、ヒト抗体、組換え抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体、またはそれらの断片であり得る。抗体断片には、ミニボディ、ドメイン抗体、F(ab)断片、F(ab’)断片、F(ab’)断片、Fv断片、scFv断片、Fd断片、ダイアボディ、または一本鎖抗体分子が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0016】
他の態様において、1つまたは複数のIL−18受容体抗原結合タンパク質をコードする単離された核酸が、本明細書に提供される。そのような核酸は、ベクター内に含まれて、調節配列に作動可能に連結され得る。また、そのような単離された核酸で形質転換された宿主細胞も本明細書に提供されている。
【0017】
加えて、IL−18受容体抗原結合タンパク質および薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物が本明細書に提供されている。そのような薬学的組成物は、患者においてIL−18受容体に関連した状態を予防または処置するための方法に有用であり、その方法は、患者にその有効量を投与することを含む。IL−18受容体に関連した疾患および状態には、炎症性疾患および自己免疫疾患(乾癬、関節リウマチ、若年性特発性関節炎、スチル病、強直性脊椎炎、変形性関節症、潰瘍性関節炎、セリアック病、乾癬性関節炎、慢性閉塞性肺疾患、喘息、特に慢性重度喘息、急性呼吸促迫症候群、敗血症、アルツハイマー病、狼瘡、アレルギー性鼻炎、特発性血小板減少性紫斑病、移植、アトピー性皮膚炎、II型糖尿病、クローン病、炎症性腸疾患、多発性硬化症、自己免疫性肝炎、HIV、アトピー性皮膚炎、重症筋無力症、サルコイドーシスなど)、肝疾患(肝炎など)、膵疾患(慢性膵炎または急性膵炎など)、ならびに心血管系疾患(急性熱中症、じゅく状斑破裂、虚血後心不全、再灌流障害、血管炎症、慢性心不全、アテローム性動脈硬化、関節リウマチの心血管系合併症、およびアテローム発生など)が挙げられる。
【0018】
さらに、IL−18受容体をIL−18受容体抗原結合タンパク質と接触させることを含む、IL−18のIL−18受容体への結合を阻害する方法が、本明細書に提供されている。IL−18受容体を結合することによって、IL−18受容体抗原結合タンパク質は、その受容体のIL−18への結合を阻止または遮断する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1A】α−およびβ−IL−18受容体結合タンパク質のVH可変ドメインおよびVL可変ドメインの核酸配列およびアミノ酸配列を示す図である。
【図1B】α−およびβ−IL−18受容体結合タンパク質のVH可変ドメインおよびVL可変ドメインの核酸配列およびアミノ酸配列を示す図である。
【図1C】α−およびβ−IL−18受容体結合タンパク質のVH可変ドメインおよびVL可変ドメインの核酸配列およびアミノ酸配列を示す図である。
【図1D】α−およびβ−IL−18受容体結合タンパク質のVH可変ドメインおよびVL可変ドメインの核酸配列およびアミノ酸配列を示す図である。
【図1E】α−およびβ−IL−18受容体結合タンパク質のVH可変ドメインおよびVL可変ドメインの核酸配列およびアミノ酸配列を示す図である。
【図1F】α−およびβ−IL−18受容体結合タンパク質のVH可変ドメインおよびVL可変ドメインの核酸配列およびアミノ酸配列を示す図である。
【図1G】α−およびβ−IL−18受容体結合タンパク質のVH可変ドメインおよびVL可変ドメインの核酸配列およびアミノ酸配列を示す図である。
【図1H】α−およびβ−IL−18受容体結合タンパク質のVH可変ドメインおよびVL可変ドメインの核酸配列およびアミノ酸配列を示す図である。
【図1I】α−およびβ−IL−18受容体結合タンパク質のVH可変ドメインおよびVL可変ドメインの核酸配列およびアミノ酸配列を示す図である。
【図1J】α−およびβ−IL−18受容体結合タンパク質のVH可変ドメインおよびVL可変ドメインの核酸配列およびアミノ酸配列を示す図である。
【図1K】α−およびβ−IL−18受容体結合タンパク質のVH可変ドメインおよびVL可変ドメインの核酸配列およびアミノ酸配列を示す図である。
【図1L】α−およびβ−IL−18受容体結合タンパク質のVH可変ドメインおよびVL可変ドメインの核酸配列およびアミノ酸配列を示す図である。
【図1M】α−およびβ−IL−18受容体結合タンパク質のVH可変ドメインおよびVL可変ドメインの核酸配列およびアミノ酸配列を示す図である。
【図1N】α−およびβ−IL−18受容体結合タンパク質のVH可変ドメインおよびVL可変ドメインの核酸配列およびアミノ酸配列を示す図である。
【図1O】α−およびβ−IL−18受容体結合タンパク質のVH可変ドメインおよびVL可変ドメインの核酸配列およびアミノ酸配列を示す図である。
【図1P】α−およびβ−IL−18受容体結合タンパク質のVH可変ドメインおよびVL可変ドメインの核酸配列およびアミノ酸配列を示す図である。
【図1Q】α−およびβ−IL−18受容体結合タンパク質のVH可変ドメインおよびVL可変ドメインの核酸配列およびアミノ酸配列を示す図である。
【図2A】抗原結合タンパク質の様々な重鎖可変領域および軽鎖可変領域のCDR1、CDR2、およびCDR3領域を示す図である。様々な重鎖領域および軽鎖領域のアミノ酸配列は、配列番号1〜34に同定されている。個々のCDRの配列は、配列番号89〜190に同定されている。
【図2B】抗原結合タンパク質の様々な重鎖可変領域および軽鎖可変領域のCDR1、CDR2、およびCDR3領域を示す図である。様々な重鎖領域および軽鎖領域のアミノ酸配列は、配列番号1〜34に同定されている。個々のCDRの配列は、配列番号89〜190に同定されている。
【図2C】抗原結合タンパク質の様々な重鎖可変領域および軽鎖可変領域のCDR1、CDR2、およびCDR3領域を示す図である。様々な重鎖領域および軽鎖領域のアミノ酸配列は、配列番号1〜34に同定されている。個々のCDRの配列は、配列番号89〜190に同定されている。
【図2D】抗原結合タンパク質の様々な重鎖可変領域および軽鎖可変領域のCDR1、CDR2、およびCDR3領域を示す図である。様々な重鎖領域および軽鎖領域のアミノ酸配列は、配列番号1〜34に同定されている。個々のCDRの配列は、配列番号89〜190に同定されている。
【図2E】抗原結合タンパク質の様々な重鎖可変領域および軽鎖可変領域のCDR1、CDR2、およびCDR3領域を示す図である。様々な重鎖領域および軽鎖領域のアミノ酸配列は、配列番号1〜34に同定されている。個々のCDRの配列は、配列番号89〜190に同定されている。
【図3A】α−およびβ−IL−18受容体結合タンパク質の重鎖可変配列および軽鎖可変配列のアミノ酸配列のアラインメントを示す図である。CDR1、CDR2、およびCDR3領域は灰色で強調されている。
【図3B】α−およびβ−IL−18受容体結合タンパク質の重鎖可変配列および軽鎖可変配列のアミノ酸配列のアラインメントを示す図である。CDR1、CDR2、およびCDR3領域は灰色で強調されている。
【図4】重鎖可変領域配列および軽鎖可変領域配列の様々な可能な組合せを示す表を示す図である。それぞれ1つの重鎖可変領域と1つの軽鎖可変領域の二量体が示されている。天然の抗体は、典型的には、四量体であり、抗体は、その示された二量体のうちの2つの組合せを含んでもよい。
【図5】特定の抗原結合タンパク質実施形態として、エピトープを形成するα−IL−18受容体アミノ酸配列の部分を示す図である。
【図6】完全なAM6重鎖ヌクレオチド配列およびアミノ酸配列(それぞれ、配列番号74および73)を示す図である。矢印は、リーダー配列の切断部位を示す。
【図7】完全なAM12軽鎖ヌクレオチド配列およびアミノ酸配列(それぞれ、配列番号76および75)を示す図である。矢印は、リーダー配列の切断部位を示す。
【図8】完全なAM4重鎖ヌクレオチド配列およびアミノ酸配列(それぞれ、配列番号78および77)を示す図である。矢印は、リーダー配列の切断部位を示す。
【図9】完全なAM14軽鎖ヌクレオチド配列およびアミノ酸配列(それぞれ、配列番号80および79)を示す図である。矢印は、リーダー配列の切断部位を示す。
【図10】完全なAM9重鎖ヌクレオチド配列およびアミノ酸配列(それぞれ、配列番号82および81)を示す図である。矢印は、リーダー配列の切断部位を示す。
【図11】完全なAM9軽鎖ヌクレオチド配列およびアミノ酸配列(それぞれ、配列番号84および83)を示す図である。矢印は、リーダー配列の切断部位を示す。
【図12】完全なAM11重鎖ヌクレオチド配列およびアミノ酸配列(それぞれ、配列番号86および85)を示す図である。矢印は、リーダー配列の切断部位を示す。
【図13】完全なAM7軽鎖ヌクレオチド配列およびアミノ酸配列(それぞれ、配列番号88および87)を示す図である。矢印は、リーダー配列の切断部位を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
V.好ましい実施形態の詳細な説明
本明細書で用いられるセクション見出しは、構成を目的とするのみであり、記載された主題を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0021】
組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、組織培養および形質転換、タンパク質精製などについては、標準技術を用いることができる。酵素反応および精製技術は、製造業者の仕様書に従って、または当技術分野において一般的に達成されているように、または本明細書に記載されているように、行うことができる。以下の手順および技術は一般的には、当技術分野においてよく知られた通常の方法に従って、ならびに本明細書を通して引用および議論されている様々な一般的な参考文献およびより特定の参考文献に記載されているように、行うことができる。例えば、いかなる目的のためにも参照により本明細書に組み入れられている、Sambrookら、2001年、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor, N.Y.を参照されたい。特定の規定が提供されない限り、本明細書に記載された分析化学、有機化学、ならびに医薬品化学および薬化学に関して用いられる用語、ならびにそれらの実験手順および技術は、当技術分野においてよく知られ、かつ一般的に用いられているものである。化学合成、化学分析、薬学的調製、製剤化、および送達、ならびに患者の処置については、標準技術を用いることができる。
【0022】
A.全般的概観
α−またはβ−IL−18受容体を結合する抗原結合タンパク質が本明細書に提供されている;ヒトα−およびβ−IL−18受容体のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号69および71に示されている。本発明の抗原結合タンパク質は、図2A〜2E、3A、および3Bに示されているような、すなわち、配列番号1〜34のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3部分のような(様々なCDRのアミノ酸配列を示す配列番号89〜292も参照)1つまたは複数の相補性決定領域(CDR)を有するスキャフォールド構造を含む。特定の実施形態において、抗原結合タンパク質のスキャフォールド構造は、抗体(モノクローナル抗体、ヒト抗体、マウス抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体を含むが、それらに限定されるわけではない)、抗体断片(ミニボディ、ドメイン抗体、F(ab)断片、F(ab’)断片、F(ab)断片、F(ab’)断片、Fv断片、scFv断片、Fd断片など)、合成抗体(本明細書では、「抗体模倣体」と呼ばれることもある)、Fc融合物を含む抗体融合物(「抗体コンジュゲート」と呼ばれることもある)に基づいている。様々な構造が、以下でさらに記載かつ定義されている。
【0023】
α−およびβ−IL−18受容体抗原結合タンパク質は、以下でさらに記載されているが、TH1駆動型自己免疫疾患(WO2004/002519;WO2005/063290;WO2004/034988;Mallatら、2002年、Circ. Res.、91巻、441〜448頁)、肝疾患(Finittoら、2004年、Liver、53巻、392〜400頁;Tsutsuiら、2000年、Immunological Reviews、174巻、192〜209頁;Ludwiczekら、2002年、J. Clinical Immunology、22巻、331〜337頁)、膵疾患(Yoshidaら、1998年、Anticancer Res.、18巻、333〜5頁)、および心血管系疾患(Gerdesら、2002年、J. Exp. Med.、195巻、245〜257頁;WO03/080104;WO02/060479;WO01/85201;Raeburnら、2002年、Am. J. Physiol. Heart Circ. Physiol.、283巻、H650〜H657頁)を含むIL−18活性に関連した状態を処置するのに有用である。抗原結合タンパク質についての他の使用には、例えば、IL−18関連疾患または状態の診断、およびα−またはβ−IL−18受容体の存在または非存在を決定するためのスクリーニングアッセイが挙げられる。α−またはβ−IL−18受容体抗原結合タンパク質、特に、以下により完全に記載されている、重鎖および/または軽鎖相補性決定領域(CDR)を含む少なくとも1つのCDRならびにそれらの組合せを含む抗原結合タンパク質もまた提供されている。
【0024】
本発明の抗原結合タンパク質は、IL−18とIL−18受容体との間の相互作用を妨害、遮断、または調節する。いくつかの実施形態において、抗原結合タンパク質は、IL−18経路を中断し、それにより、IL−18の少なくとも1つの生物活性を減少させ、その生物活性には、IFN−γ産生の誘導、キラー細胞形成の誘導、およびキラー細胞の細胞傷害性の増強が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。本明細書の実施例に示されているように、KG細胞によるIFN−γのIL−18誘導性産生を低下させる抗原結合タンパク質には、AM8およびAM11、AM9およびAM9、AM10およびAM8、AM11およびAM7、AM15およびAM3、AM13およびAM4、AM13およびAM5、AM16およびAM2、AM2およびAM16、AM2およびAM17、AM1およびAM16、AM1およびAM17、AM4およびAM14、AM4およびAM15、AM3およびAM14、AM3およびAM15、AM6およびAM12、AM6およびAM13、AM5およびAM12、ならびにAM5およびAM13を含むものが挙げられる。
【0025】
したがって、本発明の抗原結合タンパク質は、IL−18またはIL−18受容体誘導性免疫応答に関連した状態を同定するのに役立ち得る。さらに、抗原結合タンパク質は、IL−18またはIL−18受容体媒介性免疫応答を制御および/または抑制することに利用することができ、したがって、過剰免疫応答により引き起こされる様々な疾患、例えば、炎症性疾患の処置および予防に有効である。したがって、本発明のα−およびβ−IL−18受容体抗原結合タンパク質は、IL−18およびIL−18受容体媒介性シグナル伝達経路に関連した疾患または状態の診断、予防、または処置に用いることができる。
【0026】
B.IL−18受容体抗原結合タンパク質
1つの態様において、α−またはβ−IL−18受容体を結合する抗原結合タンパク質が提供される。本明細書に用いられる場合、「抗原結合タンパク質」とは、特定された抗原を特異的に結合するタンパク質を意味する。特定の実施形態において、抗原は、ヒトα−またはβ−IL−18受容体である。
【0027】
本明細書に用いられる場合、「タンパク質」とは、少なくとも2個の共有結合したアミノ酸を意味し、それは、タンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチド、およびペプチドを含む。いくつかの実施形態において、2個以上の共有結合したアミノ酸は、ペプチド結合によって結合している。タンパク質は、例えば、そのタンパク質が、下記に概要を示しているように、発現系および宿主細胞を用いて組換えで作製された場合、天然のアミノ酸およびペプチド結合から構成され得る。または、タンパク質は、合成アミノ酸(例えば、ホモフェニルアラニン、シトルリン、オルニチン、およびノルロイシン)またはペプチド模倣的構造を含んでもよい、すなわち、プロテアーゼまたは他の生理学的および/もしくは保存状態に抵抗性であり得る、ペプトイド(本明細書に参照により組み入れられているSimonら、1992年、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、89巻、9367頁)などの「ペプチドまたはタンパク質類似体」であってもよい。そのような合成アミノ酸は、特に、抗原結合タンパク質が当技術分野においてよく知られた通常の方法によってインビトロで合成される場合、組み入れることができる。さらに、ペプチド模倣体、合成および天然の残基/構造の任意の組合せを用いることができる。「アミノ酸」はまた、プロリンおよびヒドロキシプロリンなどのイミノ酸残基を含む。アミノ酸「R基」または「側鎖」は、(L)−配置または(D)−配置のいずれであってもよい。特定の実施形態において、アミノ酸は、(L)−配置または(D)−配置である。
【0028】
特定の態様において、本発明は、IL−18受容体を、いくつかの実施形態においてはヒトIL−18受容体を、結合する組換え抗原結合タンパク質を提供する。この状況では、「組換えタンパク質」は、組換え技術を用いて、すなわち、本明細書に記載されているような組換え核酸の発現を通して作製されるタンパク質である。組換えタンパク質の産生のための方法および技術は当技術分野においてよく知られている。
【0029】
いくつかの実施形態において、抗原結合タンパク質は、単離されたタンパク質または実質的に純粋なタンパク質である。「単離された」タンパク質は、その天然状態で通常、それが付随している物質の少なくとも一部を伴わず、好ましくは、所与の試料における総タンパク質の少なくとも約5重量%、より好ましくは、少なくとも約50重量%を構成する。「実質的純粋な」タンパク質は、総タンパク質の少なくとも約75重量%を構成し、少なくとも約80%が好ましく、少なくとも約90%が特に好ましい。その定義は、1つの生物体由来の抗原結合タンパク質の異なる生物体または宿主細胞における産生を含む。または、タンパク質は、タンパク質が増加した濃度レベルで作製されるように誘導性プロモーターまたは高発現プロモーターの使用によって、通常見られる濃度より有意に高い濃度で作製することができる。
【0030】
抗原結合タンパク質は、IL−18受容体、好ましくはヒトIL−18受容体に特異的に結合することができる。本明細書に用いられる場合、「特異的に結合する」とは、平衡解離定数が少なくとも10−8M、好ましくは10−7〜10−10M、より好ましくは<10−8〜<10−10M、よりいっそう好ましくは<10−9〜<10−10Mであることを意味する。特定の実施形態において、抗原結合タンパク質は、配列番号69または71のアミノ酸配列を有するヒトIL−18受容体に結合する。好ましい抗原結合タンパク質が特異的に結合するα−またはβ−IL−18受容体におけるエピトープは、下記に詳述されている。
【0031】
抗原結合タンパク質が治療への適用として用いられる実施形態において、IL−18受容体抗原結合タンパク質の重要な特性は、それがIL−18受容体の1つまたは複数の生物活性を阻害、妨害、または調節することができるかどうかである。この場合、抗原結合タンパク質は、過剰の抗体が、IL−18受容体に結合したIL−18(またはその逆)の量を少なくとも約20%、40%、60%、80%、85%、またはそれ以上、低下させる場合(例えば、インビトロ競合的結合アッセイで結合を測定することにより)、特異的に結合し、および/またはIL−18のその受容体への結合を実質的に阻害する。IL−18受容体は、多くの別々の生物学的効果を生じ、それらは、異なる細胞型において多くの異なるアッセイで測定することができる。IL−18受容体抗原結合タンパク質のIL−18の生物活性を阻害、妨害、または調節する能力は、例えば、実施例4に記載されているように、KG1細胞においてIFN−γ放出の阻害を測定することにより、または抗原結合タンパク質のIFN−γ放出を阻害する能力が測定される類似したアッセイを用いて、決定することができる。
【0032】
抗原に特異的に結合するあらゆる抗原結合タンパク質が、抗原のその通常のリガンドへの結合を遮断し、それに従って、抗原の生物学的効果を阻害または調節することができるとは限らない。当技術分野において知られているように、そのような効果は、抗原結合タンパク質が抗原のどの部分に結合するのか、ならびに抗原および抗原結合タンパク質、この場合、IL−18受容体およびIL−18受容体抗原結合タンパク質の絶対的濃度と相対的濃度の両方に依存し得る。本明細書で意味しているようなIL−18受容体の生物活性を阻害または調節する能力があるとみなされるためには、抗原結合タンパク質は、例えば、IL−18の存在下で観察されるIFN−γの放出を、実施例4のKG1細胞アッセイまたは類似したアッセイにおいて測定されるように、IL−18濃度がその生物活性を阻害する作用物質の効果が容易に明らかであり得る範囲内、例えば、約EC80またはEC90である場合、少なくとも約20%、40%、60%、80%、85%、90%、95%、99%、またはそれ以上、阻害できることでもよい。本明細書で意味する場合、EC80は、観察され得るIL−18の最大効果の80%に必要とされるIL−18の量である。IL−18濃度がEC90より十分上である場合には、阻害剤の効果は、過剰のIL−18のためにあまり明らかではない可能性がある。IL−18受容体の生物活性を阻害、妨害、または調節するのに必要とされる抗原結合タンパク質の濃度は、大きく変わり得、抗体がIL−18受容体にどれくらい密接に結合するかに依存する可能性がある。例えば、IL−18の1分子あたり抗原結合タンパク質の1分子またはそれ未満が、KG1細胞アッセイにおいて生物活性を阻害、妨害、または調節するのに十分であることがある。いくつかの実施形態において、約2:1、1:1、1:2、1:4、1:6、1:8、1:10、1:20、1:40、1:60、1:100、1:500、1:1,000、またはそれ以上を含む約1,000:1〜約1:1,000のIL−18受容体/抗体の比が、IL−18濃度が約EC50〜約EC90である場合、IL−18受容体の生物活性を阻害、妨害、または調節するのに必要とされることがある。これらの値の間のIL−18受容体抗原結合タンパク質の比率もまた可能である。
【0033】
一般的構造として、本発明の抗原結合タンパク質は、(a)スキャフォールド、および(b)1つまたは複数のCDR(抗原結合特異性および親和性を決定する領域)を含む。本明細書に用いられる場合、「相補的決定領域」または「CDR」は、抗原結合のための主要な表面接触点を構成する結合タンパク質領域を示す。1つまたは複数のCDRは、抗原結合タンパク質のスキャフォールド構造内に埋め込まれている。抗原結合タンパク質のスキャフォールド構造は、抗体、またはその断片もしくは変異体のフレームワークであってもよいし、事実上、完全に合成であってもよい。抗原結合タンパク質の様々なスキャフォールド構造は以下で、さらに記載されている。
【0034】
1.CDR
抗原結合タンパク質は、(典型的には、天然の抗体の各「アーム」を有するように)6つのCDR、例えば、1つの重鎖CDR1(「CDRH1」)、1つの重鎖CDR2(「CDRH2」)、1つの重鎖CDR3(「CDRH3」)、1つの軽鎖CDR1(「CDRL1」)、1つの軽鎖CDR2(「CDRL2」)、1つの軽鎖CDR3(「CDRL3」)を有してもよい。ポリペプチド、核酸、宿主細胞などの生物学的物質に関連して本明細書を通して用いられる場合、「天然の」という用語は、天然で見出される物質を示す。天然の抗体において、CDRH1は、典型的には、約5個〜約7個のアミノ酸を含み、CDRH2は、典型的には、約16個〜約19個のアミノ酸を含み、CDRH3は、典型的には、約3個〜約25個のアミノ酸を含む。CDRL1は、典型的には、約10個〜約17個のアミノ酸を含み、CDRL2は、典型的には、約7個のアミノ酸を含み、CDRL3は、典型的には、約7個〜約10個のアミノ酸を含む。好ましいCDRは、図2A〜2E、3A、および3Bに示されている。
【0035】
天然の抗体内のCDRの構造および性質は、以下、このセクションでさらに記載されている。簡単には、伝統的な抗体スキャフォールドにおいて、CDRは、抗原結合および認識を担う領域を構成する重鎖可変領域および軽鎖可変領域におけるフレームワーク内に埋め込まれている。可変領域は、少なくとも3つの重鎖または軽鎖CDR(前記(Kabatら、1991年、Sequences of Proteins of Immunological Interest、Public Health Service N.I.H.、Bethesda, MD)参照;ChothiaおよびLesk、1987年、J. Mol. Biol.、196巻、901〜917頁;Chothiaら、1989年、Nature、342巻、877〜883頁も参照)をフレームワーク領域(Kabatら、1991年、前記による名付けられたフレームワーク領域1〜4、FR1、FR2、FR3、およびFR4;ChothiaおよびLesk、1987年、前記もまた参照)内に含む。下記参照。しかしながら、本発明により提供されるCDRは、伝統的な抗体構造の抗原結合ドメインを定義するように用いることができるだけでなく、本明細書に記載されているように、様々な他のスキャフォールド構造に埋め込むことができる。
【0036】
特定の実施形態において、抗原結合タンパク質の1つまたは複数のCDRはそれぞれ、配列番号89〜139のいずれかのCDRH領域および配列番号140〜190のいずれかのCDRL領域から、独立して選択される。したがって、1つの実施形態において、本発明は、α−またはβ−IL−18受容体を結合する抗原結合タンパク質であって、前記抗原結合タンパク質が(a)(下記のような)スキャフォールド構造;および(b)配列番号89〜139のいずれかのCDRH領域および配列番号140〜190のいずれかのCDRL領域から選択される少なくとも1つのCDRを含む抗原結合タンパク質を提供する。この実施形態において、特に有用なのは、CDRH3またはCDRL3領域を有する抗原結合タンパク質である。追加の実施形態では、配列番号89〜139のいずれかのCDRH領域から選択される1つのCDR、および配列番号140〜190のいずれかのCDRL領域を有する抗原結合タンパク質を利用する(例えば、抗原結合タンパク質は、1つのCDRHと1つのCDRLである2つのCDR領域を有し、特定の実施形態は、CDRH3領域およびCDRL3領域の両方を有する抗原結合タンパク質である)。
【0037】
当業者に認識されているように、特に有用な実施形態は、配列番号89〜190の独立して選択されたCDRの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つを含み得る。しかしながら、当業者に認識されているように、特定の実施形態は、一般的に、反復しないCDRの組合せを利用し、例えば、抗原結合タンパク質は、一般的に、2つのCDRH2領域などで作製されていない。
【0038】
いくつかの実施形態において、CDRH3領域およびCDRL3領域を含む抗原結合タンパク質が作製され、特に、CDRH3領域は、配列番号91、94、97、100、103、106、109、112、115、118、121、124、127、130、133、136、139のいずれかのCDRH3領域から選択され、かつCDRL3領域は、配列番号142、145、148、151、154、157、160、163、166、169、172、175、178、181、184、187、190のいずれかのCDRL3領域から選択される。特別の組合せは図4に示されている。
【0039】
追加の実施形態において、配列番号89〜139から、独立して選択されたCDRH1、CDRH2、およびCDRH3領域を含む抗原結合タンパク質が利用される。より特定的な実施形態において、特に有用なのは、すべての3つのCDRH領域が配列番号1〜17のいずれかの同じ可変領域から選択されている、この型の抗原結合タンパク質であり得る。
【0040】
さらなる実施形態において、配列番号140〜190から、独立して選択されたCDRL1、CDRL2、およびCDRL3領域を含む抗原結合タンパク質が利用される。より特定的な実施形態において、特に有用なのは、すべての3つのCDRL領域が配列番号18〜34のいずれかの同じ可変領域から選択されている、この型の抗原結合タンパク質である。
【0041】
追加の実施形態において、抗原結合タンパク質は、この場合もやはり、配列番号89〜139から、独立して選択されたCDRH1、CDRH2、およびCDRH3領域であって、1つの実施形態では、すべての3つの領域が同じ配列番号から選択されている領域、ならびに、やはり先と同様に、配列番号140〜190から、独立して選択されたCDRL1、CDRL2、およびCDRL3領域であって、1つの実施形態では、すべての3つの領域が配列番号1〜34のいずれかの同じ可変領域から選択されている領域を含む。
【0042】
本発明のさらに別の態様において、α−またはβ−IL−18受容体を結合する抗原結合タンパク質であって、単離された抗原結合タンパク質が、それぞれが配列番号89〜139のいずれかから選択されているCDRH1、CDRH2、もしくはCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列もしくはその断片、またはそれぞれが配列番号140〜190のいずれかから選択されているCDRL1、CDRL2、もしくはCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列もしくはその断片を含む抗原結合タンパク質を提供する。本明細書に用いられる場合、重鎖または軽鎖可変領域「断片」は、配列番号1〜34の少なくとも1つのCDRおよび抗体フレームワークのフレームワーク領域の少なくとも部分を含み、前記部分は、少なくとも1個のアミノ酸を含む。
【0043】
さらに別の態様において、本発明は、α−またはβ−IL−18受容体を結合する抗原結合タンパク質であって、単離された抗原結合タンパク質が、それぞれが配列番号89〜139のいずれかから、独立して選択されているCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列、またはそれぞれが配列番号140〜190のいずれかから、独立して選択されているCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列を含む抗原結合タンパク質を提供する。特定の実施形態において、CDRは、配列番号1〜17の同じ近接した重鎖アミノ酸配列由来、または配列番号18〜34の同じ近接した軽鎖アミノ酸配列由来である。
【0044】
本発明のさらなる態様は、α−またはβ−IL−18受容体を結合する、単離された抗原結合タンパク質であって、単離された抗原結合タンパク質が、それぞれが配列番号89〜139のいずれかから、独立して選択されているCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列、ならびに、それぞれが配列番号140〜190のいずれかから、独立して選択されているCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列を含む抗原結合タンパク質を提供する。特定の実施形態において、重鎖CDRは、配列番号1〜17の同じ近接した重鎖アミノ酸配列由来であり、かつ軽鎖CDRは、配列番号18〜34の同じ近接した軽鎖アミノ酸配列由来である。
【0045】
本発明の追加の態様は、α−またはβ−IL−18受容体を結合する単離された抗原結合タンパク質であって、単離された抗原結合タンパク質が、配列番号1〜17のいずれかの重鎖アミノ酸配列、または配列番号18〜34のいずれかの軽鎖アミノ酸配列を含む抗原結合タンパク質を提供する。
【0046】
本発明のさらなる態様は、α−またはβ−IL−18受容体を結合する単離された抗原結合タンパク質であって、単離された抗原結合タンパク質が、配列番号1〜17のいずれかの重鎖アミノ酸配列、および配列番号18〜34のいずれかの軽鎖アミノ酸配列を含む抗原結合タンパク質を提供する。配列番号1〜17の重鎖配列のいずれも、配列番号18〜34の軽鎖配列のいずれとも混合し、かつ適合することができることは留意されたい。その結果として可能な組合せは、図4に示されている。それぞれ1つの重鎖可変領域と1つの軽鎖可変領域との組合せの二量体が示されている。たいていの抗体が四量体であるように、本発明の抗原結合タンパク質は、示された二量体の任意の2つの任意の組合せを含んでもよく、したがって、ヘテロ四量体およびホモ四量体の両方を含み、ホモ四量体(例えば、同一の二量体が2つ)は特異的である。
【0047】
かさねて、さらなる態様において、本発明の抗原結合タンパク質は、配列番号73〜88に示された配列のいずれかを含む。
【0048】
表1は、配列識別番号に関連づけて、配列の簡単な説明を提供する。本発明の可変領域内のCDRは、図2A〜2E、3A、および3Bに同定されている。
【0049】
【表1−1】

【0050】
【表1−2】

【0051】
【表1−3】

【0052】
【表1−4】

【0053】
【表1−5】

【0054】
【表1−6】

【0055】
【表1−7】

2.スキャフォールド
本明細書で述べているように、抗原結合タンパク質は、CDRが移植されているスキャフォールド構造を含むことができる。スキャフォールド構造は、抗体(モノクローナル抗体、ヒト抗体、マウス抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体を含むが、それらに限定されるわけではない)、抗体断片(ミニボディ、ドメイン抗体、F(ab)断片、F(ab’)断片、F(ab)断片、F(ab’)断片、Fv断片、scFv断片、Fd断片など)、合成抗体(本明細書では、「抗体模倣体」と呼ばれることもある)、Fc融合物を含む抗体融合物(「抗体コンジュゲート」と呼ばれることもある)に基づいてもよい。いくつかの実施形態は、ヒトスキャフォールド構成要素の使用を含む。したがって少なくとも、本発明は、IL−18受容体に結合し、および/またはIL−18受容体の生物活性を阻害することができる、配列番号89〜190に同定された、好ましくは配列番号89〜189の、CDRの1つまたはいくつかを含む下記のスキャフォールドのいずれかを含む。いくつかの実施形態において、スキャフォールドは、配列番号1〜17に同定された1つもしくはいくつかの重鎖可変領域、および/または配列番号18〜34のいずれかに同定された1つもしくはいくつかの軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、スキャフォールドは、配列番号77〜88のいずれかに同定されたIgG鎖を含む。
【0056】
1つの実施形態において、1つまたはいくつかのCDRが移植されているスキャフォールドは、抗体である。本明細書に用いられる場合、用語「抗体」は、少なくとも2つ、より典型的には4つのポリペプチド鎖を含む伝統的な抗体構造を有する多量体タンパク質を示す。抗体は、抗原に特異的に結合し、抗原の生物活性を阻害する、または調節することができ得る。特定の実施形態において、抗体は、組換えDNA技術により作製される。追加の実施形態において、抗体は、天然の抗体の酵素的または化学的切断によって作製される。
【0057】
伝統的な抗体構造単位は、典型的には、四量体を構成する。各四量体は、典型的には、ポリペプチド鎖ペアの同一のものが2つで構成され、各ペアは1つの「軽」鎖(典型的には、約25kDaの分子量をもつ)および1つの「重」鎖(典型的には、約50〜70kDaの分子量をもつ)を有する。各鎖のアミノ末端部は、主に抗原認識を担う約100〜110個、またはそれ以上のアミノ酸の可変領域を含む。各鎖のカルボキシ末端部は、主にエフェクター機能を担う定常領域を定義する。ヒト軽鎖は、κ軽鎖およびλ軽鎖として分類される。重鎖は、μ、δ、γ、α、またはεとして分類され、抗体のアイソタイプをそれぞれ、IgM、IgD、IgG、IgA、およびIgEと定義する。IgGはいくつかのサブクラスを有し、それらにはIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。IgMはサブクラスを有し、それらにはIgM1およびIgM2が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0058】
軽鎖および重鎖内には、可変領域および定常領域が、約12個またはそれ以上のアミノ酸の「J」領域によって連結されており、重鎖はまた、約10個またはそれ以上のアミノ酸の「D」領域を含む。一般的には、Paul, W.編、1989年、Fundamental Immunology、7章、第2版、Raven Press, N.Y.を参照。各軽鎖/重鎖ペアの可変領域は、抗体結合部位を形成する。
【0059】
例えば、ラクダおよびラマに見出される、いくつかの天然の抗体は、2つの重鎖からなる二量体であり、軽鎖を含まない。Muldermansら、2001年、J. Biotechnol.、74巻、277〜302頁;Desmyterら、2001年、J. Biol. Chem.、276巻、26285〜26290頁。ラクダの抗体の結晶学的研究により、CDR3領域が、抗原と相互作用する表面を形成し、したがって、より典型的な四量体抗体においてのように、抗原結合に重要であることが明らかにされた。
【0060】
重鎖および軽鎖の可変領域は、典型的には、相補性決定領域またはCDRとも呼ばれる、3つの超可変領域によって連結された、比較的保存されたフレームワーク領域(FR)の同じ一般的構造を示す。CDRは、抗原認識および結合を担っている、抗体(または、本明細書で概要を示しているような抗原結合タンパク質)の超可変領域である。各ペアの2つの鎖由来のCDRは、フレームワーク領域によって整列し、特定のエピトープへの結合を可能にしている。N末端からC末端まで、軽鎖および重鎖の両方は、ドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4を含む。アミノ酸の各ドメインへの配置は、Kabat Sequence of Proteins of Immunological Interestの定義に従っている。Chothiaら、1987年、J. Mol. Biol.、196巻、901〜917頁;Chothiaら、1989年、Nature、342巻、878〜883頁。
【0061】
CDRは、抗原結合のための主要な表面接触点を構成する。例えば、ChothiaおよびLesk、1987年、J. Mol. Biol.、196巻、901〜917頁参照。さらに、軽鎖のCDR3、および特に、重鎖のCDR3は、軽鎖可変領域および重鎖可変領域内で抗原結合における最も重要な決定因子を構成する可能性がある。例えば、ChothiaおよびLesk、1987年、前記;Desiderioら、2001年、J. Mol. Biol.、310巻、603〜615頁;XuおよびDavis、2000年、Immunity、13巻、37〜45頁;Desmyterら、2001年、J. Biol. Chem.、276巻、26285〜26290頁;ならびにMuyldermans、2001年、J. Biotechnol.、74巻、277〜302頁参照。いくつかの抗体において、重鎖CDR3は、抗原と抗体の間の接触の主要な領域を構成するように思われる。Desmyterら、2001、前記。CDR3だけを変化させるインビトロ選択スキームは、抗体の結合性質を変化させるために用いることができる。Muyldermans、2001年、前記;Desiderioら、2001年、前記。
【0062】
天然の抗体鎖は、典型的には、抗体鎖をタンパク質分泌のための細胞経路へと方向付け、かつ成熟抗体内には存在しない、シグナル配列を含む。抗体鎖をコードするポリヌクレオチドは、天然のシグナル配列、または下記のような異種性のシグナル配列をコードしてもよい。
【0063】
1つの実施形態において、抗原結合タンパク質は、本明細書で概要を示しているように、配列番号89〜190のいずれかの示されたCDRの1〜6つを有するモノクローナル抗体である。本発明の抗体は、IgM、IgG(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4を含む)、IgD、IgA、またはIgE抗体を含む任意の型であってもよい。特定の実施形態において、抗原結合タンパク質は、IgG型抗体である。よりいっそう特定的な実施形態において、抗原結合タンパク質は、IgG2型抗体である。
【0064】
いくつかの実施形態において、例えば、抗原結合タンパク質が完全な重鎖および軽鎖を有する抗体である場合、CDRはすべて、同じ種、例えば、ヒト由来である。しかしながら、いくつかの実施形態において、スキャフォールド構成要素は、異なる種由来の混合物であり得る。したがって、抗原結合タンパク質が抗体である場合には、そのような抗体は、キメラ抗体および/またはヒト化抗体であり得る。一般的に、両方の「キメラ抗体」は、1つより多い種由来の領域を組み合わせる抗体を示す。例えば、「キメラ抗体」は、伝統的には、マウス(または、場合によっては、ラット)由来の可変領域およびヒト由来の定常領域を含む。
【0065】
例えば、抗原結合タンパク質が、上記で概要が示された配列由来の6つ未満のCDRを含む実施形態において、追加のCDRは、他の種(例えば、マウスCDR)由来であってもよいし、その配列に示されたものとは異なるヒトCDRであってもよい。例えば、本明細書で同定された適切な配列由来のヒトCDRH3およびCDRL3領域を用いてもよく、CDRH1、CDRH2、CDRL1、およびCDRL2は、任意で、別の種から選択されても、または異なるヒト抗体配列であっても、またはそれらの組合せであってもよい。例えば、本発明のCDRは、商業的関連のあるキメラ抗体またはヒト化抗体のCDR領域を置換することができる。
【0066】
本発明の特定の実施形態は、ヒトの構成要素である、抗原結合タンパク質のスキャフォールド構成要素を利用する。
【0067】
「ヒト化抗体」は、一般的に、可変ドメインフレームワーク領域が、ヒト抗体に見出される配列と交換されている非ヒト抗体を示す。一般的に、ヒト化抗体において、CDRを除く抗体全体は、ヒト起源のポリヌクレオチドによってコードされている、またはそのCDR内を除いて、そのような抗体と同一である。一部または全部が非ヒト生物体に由来する核酸によってコードされているCDRは、ヒト抗体可変領域のβ−シートフレームワークへ移植されて、抗体を生じ、その抗体の特異性は、移植されたCDRによって決定される。そのような抗体の作製は、例えば、WO92/11018、Jones、1986年、Nature、321巻、522〜525頁、Verhoeyenら、1988年、Science、239巻、1534〜1536頁に記載されている。ヒト化抗体はまた、遺伝子操作された免疫系を有するマウスを用いて作製することができる。Roqueら、2004年、Biotechnol. Prog.、20巻、639〜654頁。本発明において、同定されたCDRはヒトであり、したがって、この関連におけるヒト化抗体およびキメラ抗体の両方は、いくつかの非ヒトCDRを含む;例えば、CDRH3およびCDRL3領域を含み、その他のCDR領域のうちの1つまたは複数が異なる特別な起源である、ヒト化抗体を作製してもよい。
【0068】
1つの実施形態において、IL−18抗原結合タンパク質は、多重特異性抗体、とりわけ、「ダイアボディ」と呼ばれることもある二重特異性抗体である。これらは、2つ(またはそれ以上)の異なる抗原に結合する抗体である。ダイアボディは、当技術分野において知られた様々な方法で製造することができ(HolligerおよびWinter、1993年、Current Opinion Biotechol.、4巻、446〜449頁)、例えば、化学的に、またはハイブリッドハイブリドーマから調製することができる。
【0069】
1つの実施形態において、IL−18抗原結合タンパク質は、完全なヒト抗体、すなわち、完全にヒト構成要素で構成される抗体である。この実施形態において、上記で概要を示しているように、特定の構造は、図2A〜2E、3A、および3Bに示されたCDR領域を含む、示された完全な重鎖および軽鎖を含む。追加の実施形態は、本発明のCDRの1つまたは複数を利用し、その他のCDR、フレームワーク領域、J領域およびD領域、定常領域などは、他のヒト抗体由来である。例えば、本発明のCDRは、いくつのヒト抗体のCDRでも、特に、商業的関連のある抗体のCDRを、置換することができる。
【0070】
1つの実施形態において、IL−18抗原結合タンパク質は抗体断片であり、それは、α−またはβ−IL−18受容体への結合特異性を保持する、本明細書で概要が示された抗体のいずれかの断片である。
【0071】
特定の抗体断片には、(i)VL、VH、CL、およびCH1ドメインからなるFab断片、(ii)VL、VH、CL、およびCH1ドメイン、さらに重鎖ヒンジ領域からなるFab’断片、(ii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片、(iii)単一抗体のVLおよびVHドメインからなるFv断片、(iv)単一の可変ドメインからなるdAb断片(Wardら、1989年、Nature、341巻、544〜546頁)、(v)単離されたCDR領域、(vi)2つの連結されたFab’断片を含む二価断片である、F(ab’)、(vii)VHドメインおよびVLドメインが、その2つのドメインを結合させるペプチドリンカーによって連結され、抗原結合部位を形成している、一本鎖Fv分子(scFv)(Birdら、1988年、Science、242巻、423〜426頁、Hustonら、1988、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、85巻、5879〜5883頁)、(viii)二重特異性一本鎖Fv二量体(PCT/US92/09965)、ならびに(ix)遺伝子融合により構築された多価または多重特異性断片である、「ダイアボディ」または「トリアボディ」(Tomlinsonら、2000年、Methods Enzymol.、326巻、461〜479頁;WO94/13804;Holligerら、1993年、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、90巻、6444〜6448)が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。抗体断片を修飾してもよい。例えば、分子は、VHドメインとVLドメインを連結するジスルフィド架橋の組み入れによって安定化され得る(Reiterら、1996年、Nature Biotech.、14巻、1239〜1245頁)。本明細書で概要を示しているように、この場合もやはり、これらの断片の非CDR構成要素は、好ましくは、ヒト配列である。
【0072】
1つの実施形態において、IL−18抗原結合タンパク質はミニボディである。ミニボディは、CH3ドメインに連結されたscFvを含む、最小化された抗体様タンパク質である。Huら、1996年、Cancer Res.、56巻、3055〜3061頁。
【0073】
1つの実施形態において、IL−18抗原結合タンパク質は、ドメイン抗体である;例えば、米国特許第6、248,516号参照。ドメイン抗体(dAb)は、ヒト抗体の重鎖(VH)かまたは軽鎖(VL)のいずれかの可変領域に対応する、抗体の機能性結合ドメインである。dABは、約13kDaの分子量、または完全な抗体の10分の1未満のサイズをもつ。dABは、細菌、酵母、および哺乳類細胞系を含む様々な宿主で十分発現する。加えて、dAbは高度に安定しており、凍結乾燥または熱変性などの過酷な状態に曝された後でさえも、活性を保持する。例えば、米国特許第6,291,158号;第6,582,915号;第6,593,081号;第6,172,197号;米国特許出願第2004/0110941号;欧州特許第0368684号;米国特許第6,696,245号、WO04/058821、WO04/003019、およびWO03/002609参照。
【0074】
1つの実施形態において、IL−18抗原結合タンパク質は、抗体融合タンパク質、またはFc融合物などの抗体断片融合物である(本明細書では、まとめて「抗体コンジュゲート」と呼ばれることもある)。コンジュゲートのパートナーは、タンパク質性または非タンパク質性であり得る;後者は、一般的に、抗原結合タンパク質上(抗原結合タンパク質の共有結合的修飾に関する考察を参照)およびコンジュゲートパートナー上の官能基を用いて作製される。例えば、リンカーは当技術分野において知られている;例えば、ホモまたはヘテロ二官能性リンカーはよく知られている(参照により本明細書に組み入れられている、1994年 Pierce Chemical Companyカタログ、架橋剤に関するテクニカルセクション、155〜200頁を参照)。
【0075】
適切なコンジュゲートには、下記のような標識、薬物、および、限定されるわけではないが、細胞傷害性薬物(例えば、化学療法剤)または毒素もしくはそのような毒素の活性断片を含む細胞傷害性薬剤が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。適切な毒素およびそれらの対応する断片には、ジフテリアA鎖、外毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、クルシン、クロチン、フェノマイシン、エノマイシンなどが挙げられる。細胞傷害性薬剤はまた、抗原結合タンパク質に放射性同位元素をコンジュゲートする、または抗原結合タンパク質に共有結合しているキレート化剤に放射性核種を結合することによって作製された放射性化学物質が挙げられる。追加の実施形態は、カリチアマイシン、アウリスタチン、ゲルダナマイシン、およびマイタンシンを利用する。
【0076】
1つの実施形態において、IL−18抗原結合タンパク質は、抗体類似体であり、「合成抗体」と呼ばれることもある。例えば、様々な最近の研究は、移植されたCDRを有する、代替タンパク質スキャフォールドかまたは人工的スキャフォールドのいずれかを利用する。そのようなスキャフォールドは、結合タンパク質の3次元構造を安定化させるために導入された突然変異、および、例えば生体適合性ポリマーからなる、完全に合成のスキャフォールドを含むがそれらに限定されるわけではない。例えば、Korndorferら、2003年、Proteins: Structure, Function, and Bioinformatics、53巻、1号、121〜129頁、Roqueら、2004年、Biotechnol. Prog.、20巻、639〜654頁参照。加えて、ペプチド抗体模倣体(「PAM」)、およびスキャフォールドとしてフィブロネクチン成分を利用する抗体模倣体に基づいたスキャフォールドを用いることができる。IL−18抗原結合タンパク質を作製するために用いることができる代替のスキャフォールドは、Heyら、2005年、Trends Biotechnol.、23巻、514〜22頁およびBinzら、Nature Biotechnology、23巻、1257〜68頁(両方とも全体として参照により本明細書に組み入れられている)に概説されている。
【0077】
3.CDR変異体
配列番号89〜190に示されたCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列の変異体もまた本発明内に含まれる。したがって、変異体CDRは、本明細書に用いられたCDRの定義内に含まれる。これらの変異体は、以下の3つのクラス、置換変異体、挿入変異体、または欠失変異体のうちの1つまたは複数に分類され、その最初のクラスは特異的である。
【0078】
当技術分野において知られているように、タンパク質または核酸が有する、既知の配列に対する配列同一性または類似性の程度を同定するために、いくつかの異なるプログラムを用いることができる。
【0079】
アミノ酸配列について、配列同一性および/または類似性は、当技術分野において知られた標準技術を用いることによって決定され、それらには、SmithおよびWaterman、1981年、Adv. Appl. Math.、2巻、482頁の局所的配列同一性アルゴリズム、NeedlemanおよびWunsch、1970年、J. Mol. Biol.、48巻、443頁の配列同一性アラインメントアルゴリズム、PearsonおよびLipman、1988年、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、85巻、2444頁の類似性検索方法、これらのアルゴリズムのコンピュータ化された実行(Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group、575 Science Drive、Madison、Wis.におけるGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)、Devereuxら、1984年、Nucl. Acid Res.、12巻、387〜395頁により記載され、好ましくはデフォルト設定を用いる、Best Fit配列プログラム、または洞察によるものが挙げられるが、それらに限定されるわけではない。好ましくは、以下のパラメータに基づいたFastDB、「Current Methods in Sequence Comparison and Analysis」、Macromolecule Sequencing and Synthesis、Selected Methods and Applications、127〜149頁、(1988年)、Alan R. Liss, Inc.によってパーセント同一性が計算される:1のミスマッチペナルティ;1のギャップペナルティ;0.33のギャップサイズペナルティ;および30の連結(joining)ペナルティ。
【0080】
有用なアルゴリズムの例はPILEUPである。PILEUPは、累進的なペアワイズアラインメントを用いて一群の関連配列から多重配列アラインメントを作成する。それはまた、アラインメントを作成するために用いられるクラスタリング関係を示すツリーをプロットすることができる。PILEUPは、FengおよびDoolittle、1987年、J. Mol. Evol.、35巻、351〜360頁の累進的アラインメント方法の単純化を用いる;その方法は、HigginsおよびSharp、1989年、CABIOS、5巻、151〜153頁により記載されたものに類似している。有用なPILEUPパラメータは、3.00のデフォルトギャップ重み、0.10のデフォルトギャップ長重み、および重み付けされた末端ギャップを含む。
【0081】
有用なアルゴリズムの別の例は、Altschulら、1990年、J. Mol. Biol.、215巻、403〜410頁;Altschulら、1997年、Nucleic Acids Res.、25巻、3389〜3402頁;およびKarinら、1993年、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、90巻、5873〜5787頁に記載されたBLASTアルゴリズムである。特に有用なBLASTプログラムは、Altschulら、1996年、Methods in Enzymology、266巻、460〜480頁から入手されたWU−BLAST−2プログラムである。WU−BLAST−2はいくつかの検索パラメータを用い、それらの大部分は、デフォルト値に設定されている。調整可能なパラメータは、以下の値に設定される:オーバーラップスパン=1、オーバーラップフラクション=0.125、ワード閾値(T)=11。HSP SおよびHSP S2パラメータは動的値であり、特定の配列の構成、および対象となる配列が検索されることになっている特定のデータベースの構成に依存するプログラム自体によって確立される;しかしながら、その値は、感度を高めるように調整することができる。
【0082】
追加の有用なアルゴリズムは、Altschulら、1993年、Nucl. Acids Res.、25巻、3389〜3402頁によって報告されているようなギャップドBLASTである。ギャップドBLASTは、BLOSUM−62置換スコアを用いる;閾値Tパラメータは9に設定される;非ギャップド伸長をトリガーする2ヒット方法は、kのギャップ長に10+kのコストをチャージする;Xuは16に設定され、Xgは、データベース検索段階について40に、およびアルゴリズムの出力段階について67に設定される。ギャップドアラインメントは、約22ビットに対応するスコアによってトリガーされる。
【0083】
一般的に、個々の変異体CDR間のアミノ酸相同性、類似性、または同一性は、本明細書に示された配列に対して少なくとも80%であり、より典型的には、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、およびほとんど100%の好ましく増加した相同性または同一性を有する。
【0084】
同じような様式で、本明細書に同定された結合タンパク質の核酸配列に関する「パーセント(%)核酸配列同一性」は、抗原結合タンパク質のコード配列におけるヌクレオチド残基と同一である、候補配列におけるヌクレオチド残基のパーセンテージとして定義される。特定の方法は、デフォルトパラメータに設定されたWU−BLAST−2のBLASTNモジュールを利用し、オーバーラップスパンおよびオーバーラップフラクションは、それぞれ、1および0.125に設定される。
【0085】
一般的に、個々の変異体CDRをコードするヌクレオチド配列と本明細書に示されたヌクレオチド配列との間の核酸配列相同性、類似性、または同一性は、少なくとも60%であり、より典型的には、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、およびほとんど100%の好ましく増加した相同性または同一性を有する。
【0086】
ヌクレオチド配列間の相同性は、お互いにハイブリダイズするそれらの能力によって定義されることが多い。本明細書で言及される、用語「選択的にハイブリダイズする」とは、検出可能かつ特異的に結合することを意味する。本発明によるポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、およびそれらの断片は、非特異的核酸への検出可能な結合のかなりの量を最小にするハイブリダイゼーション条件および洗浄条件下で核酸鎖に選択的にハイブリダイズする。高ストリンジェンシー条件は、当技術分野において知られた、および本明細書で論じられた選択的ハイブリダイゼーション条件を達成するために用いることができる。
【0087】
高ストリンジェンシー条件は、当技術分野において知られている;例えば、Sambrookら、2001、前記、およびShort Protocols in Molecular Biology、第2版、Ausubelら編、John Wiley & Sons、1992年を参照、両方とも参照により本明細書に組み入れられている。ストリンジェントな条件は、配列依存性であり、様々な状況で異なる。より長い配列は、より高い温度で特異的にハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションに関する広範な手引きは、Tijssen、Techniques In Biochemistry and Molecular Biology−Hybridization with Nucleic Acid Probes、「Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid assays」(1993年)に見出される。
【0088】
一般的に、ストリンジェントな条件は、規定のイオン強度およびpHにおいて特定の配列についての熱融解点(Tm)より約5〜10℃低いように選択される。Tmは、標的に相補的なプローブの50%が標的配列に平衡状態でハイブリダイズする(標的配列が過剰に存在する場合、Tmにおいて、プローブの50%が平衡状態で占有されている)温度(規定のイオン強度、pH、および核酸濃度下で)である。ストリンジェントな条件は、塩濃度が、pH7.0〜8.3で約1.0M未満ナトリウムイオン、典型的には、約0.01〜1.0Mナトリウムイオン濃度(または他の塩)であり、温度は、短いプローブ(例えば、10〜50ヌクレオチド)について少なくとも約30℃、および長いプローブ(例えば、50ヌクレオチドより長い)について少なくとも約60℃である。ストリンジェントな条件はまた、ホルムアミドなどの不安定化剤の添加で達成してもよい。
【0089】
別の実施形態において、あまりストリンジェントではない条件が用いられる;例えば、当技術分野において知られているように、中程度または低いストリンジェンシー条件を用いてもよい;Sambrookら、2001年、前記;Ausubelら、1992年、およびTijssen、1993年、前記参照。
【0090】
本発明による変異体については、通常、本明細書に概要を示しているように、カセット式突然変異誘発もしくはPCR突然変異誘発または当技術分野においてよく知られた他の技術を用いて、抗原結合タンパク質をコードするDNAにおけるヌクレオチドの部位特異的突然変異誘発により調製して、変異体をコードするDNAを生じさせ、その後、その組換えDNAを細胞培養で発現させる。しかしながら、約100〜150個に及ぶ残基を有する変異体CDRを含む抗原結合タンパク質断片は、確立された技術を用いるインビトロ合成によって調製することができる。変異体は、典型的には、天然の類似体と同じ質的生物活性、例えば、IL−18受容体への結合およびシグナル伝達の阻害を示すが、より完全に下記で概要を示しているように、改変された特性を有する変異体もまた選択することができる。
【0091】
したがって、「変異体CDR」は、本発明の親CDRに対して特定された相同性、類似性、または同一性を有するものであり、限定されるわけではないが、親CDRの特異性および/または活性の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を含む、生物学的機能を共有する。例えば、変異体は、典型的には、下記に概要が示された同じIL−18受容体エピトープに結合し、IL−18受容体シグナル伝達を同じように阻害する。
【0092】
アミノ酸配列変異を導入する部位または領域はあらかじめ決定されているが、突然変異それ自体は、あらかじめ決定される必要はない。例えば、所定の部位における突然変異の実施を最適化するために、標的コドンまたは領域でランダム突然変異誘発を行い、発現した抗原結合タンパク質CDR変異体を、所望の活性の最適な組合せについてスクリーニングしてもよい。既知の配列を有するDNAにおけるあらかじめ決定された部位に置換突然変異を行うための技術は、よく知られており、例えば、M13プライマー突然変異誘発およびPCR突然変異誘発である。突然変異体のスクリーニングは、IL−18受容体結合などの抗原結合タンパク質活性のアッセイを用いて行われる。
【0093】
アミノ酸置換は、典型的には、単一の残基についてである;挿入は、通常、おおよそ約1個〜約20個のアミノ酸残基であるが、より相当に大きい挿入を許容することができる。欠失は、約1個〜約20個のアミノ酸残基の範囲であるが、場合によっては、欠失はずっと大きいこともある。
【0094】
置換、欠失、挿入、またはそれらの任意の組合せは、最終の誘導体または変異体に達するように用いることができる。一般的に、これらの変化は、分子の変化、特に抗原結合タンパク質の免疫原性および特異性の変化を最小にするように少数のアミノ酸に対して行われる。しかしながら、より大きな変化が特定の状況において許容されることもある。抗原結合タンパク質のCDRの特性における小さな変化が望まれる場合、一般的に、置換が、表2に示された以下のチャートに従って行われる。
【0095】
【表2】

機能または免疫学的同一性における実質的変化は、表2に示されたものより保存性が低い置換を選択することによりもたらされる。例えば、より有意に以下に影響する置換を行うことができる:変化の領域におけるポリペプチドバックボーンの構造、例えば、α−ヘリックス構造またはβ−シート構造;標的部位における分子の電荷または疎水性;または側鎖の容積。一般的に、ポリペプチドの性質に最大の変化を生じることが予想される置換は、(a)親水性残基、例えば、セリルもしくはスレオニルが、疎水性残基、例えば、ロイシル、イソロイシル、フェニルアラニル、バリル、もしくはアラニルの代わりに(またはそれらによって)置換される;(b)システインもしくはプロリンが任意の他の残基の代わりに(またはそれらによって)置換される;(c)正荷電側鎖を有する残基、例えば、リシル、アルギニル、もしくはヒスチジルが、負荷電残基、例えば、グルタミルもしくはアスパルチルの代わりに(またはそれらによって)置換される;または(d)かさ高い側鎖を有する残基、例えば、フェニルアラニンが、側鎖を有しないもの、例えば、グリシンの代わりに(またはそれらによって)置換されることである。
【0096】
変異体は、典型的には、天然の類似体と同じ質的生物活性を示し、同じ免疫応答を誘発するが、変異体はまた、必要に応じて、抗原結合タンパク質の特性を改変するように選択される。または、変異体は、抗原結合タンパク質の生物活性が変化しているように設計されてもよい。例えば、本明細書で論じられているように、グリコシル化部位が変化してもよい、または除去されてもよい。
【0097】
4.VHおよびVL変異体
上記で概要を示しているように、いくつかの実施形態において、本発明は、配列番号12、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、もしくは17の重鎖可変領域および/または配列番号18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、もしくは34の軽鎖可変領域をそれぞれ、または上記で定義されているようなその断片を含む、またはそれらからなる抗原結合タンパク質を提供する。したがって、それらの実施形態において、抗原結合タンパク質は、配列番号1〜34に示された少なくとも1つのCDRまたはその変異体を含むだけでなく、示されたフレームワーク配列の少なくとも部分もまた含む。さらに、本発明は、そのような重鎖可変配列または軽鎖可変配列の変異体を含む。
【0098】
「変異体VH」または「変異体重鎖可変領域」、および「変異体VL」または「変異体軽鎖可変領域」は、一般的に、本明細書に示されたものと少なくとも80%のアミノ酸相同性、類似性、または同一性を共有し、より典型的には、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、およびほとんど100%の好ましく増加した相同性または同一性を有する。個々の変異体VHおよびVLをコードするヌクレオチド配列と本明細書に示された核酸配列との間の核酸配列相同性、類似性、または同一性は、本明細書に示されたものと少なくとも60%であり、より典型的には、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、およびほとんど100%の好ましく増加した相同性または同一性を有する。さらに、「変異体VH」または「変異体重鎖可変領域」、および「変異体VL」または「変異体軽鎖可変領域」は、典型的には、限定されるわけではないが、親CDRの特異性および/または活性の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を含む生物活性を共有する。例えば、変異体は、典型的には、下記で概要が示された、同じIL−18受容体エピトープに結合し、IL−18受容体シグナル伝達を同じように阻害する。
【0099】
変異体を作製する方法、ならびに配列相同性、類似性、および同一性を決定する方法は、前記で概要が示されており、セクションV.B.1を参照されたい。
【0100】
いくつかの実施形態において、定常領域変異体もまた含めてもよい。好ましい定常領域変異体には、変異を含む抗体の生物学的機能を変化させるものが挙げられる。例えば、抗体は、補体を活性化する、または抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を誘導する抗体の能力を変化させる変異を含んでもよい。そのような変異体には、抗体のグリコシル化の変化を結果として生じるものが挙げられ得る。
【0101】
C.IL−18受容体およびIL−18受容体エピトープ
「IL−18受容体」または「IL−18R」とは、本明細書では、限定されるわけではないが、IL−18を含むリガンドに結合し、結果として、細胞内のシグナル伝達経路を開始する細胞表面受容体を意味する。IL−18受容体複合体は、「α−IL−18受容体」(α−IL−18R)または「IL−18Rα鎖」と名付けられたIL−18結合鎖、およびβ−IL−18受容体「β−IL−18受容体」(「β−IL−18R」)または「IL−18Rβ鎖」と名付けられたシグナル伝達鎖で構成される。本明細書に用いられる場合、用語「IL−18受容体」は、α−IL−18受容体およびβ−IL−18受容体の両方をまとめて示している。
【0102】
本明細書に開示された抗原結合タンパク質は、ヒトアミノ酸配列が配列番号69に示されている(その核酸配列は配列番号70に示されている)IL−18Rα鎖、またはヒトアミノ酸配列が配列番号71に示されている(その核酸配列は配列番号72に示されている)IL−18Rβ鎖に結合する。特定の実施形態において、IL−18受容体はヒトであるが、場合によっては、他の種を用いてもよい。さらに、下記のように、IL−18受容体タンパク質にはまた、断片を含めてもよい。
【0103】
下記のように、抗原結合タンパク質の特定のエピトープへの結合は特異的である。
【0104】
「エピトープ」、「抗原決定基」、および文法的相当語句とは、本明細書では、抗原結合タンパク質によって特異的に結合され得る、抗原、例えば、IL−18受容体の領域を意味する。当業者に認識されているように、エピトープは直鎖状または立体構造であり得る。「直鎖状エピトープ」は、直鎖状様式で連結した、少なくとも約5個で、最高で約20個までのアミノ酸の配列(それらのアミノ酸が、それらだけで、またはより大きな配列の部分として、本発明の抗原結合タンパク質に結合する)を含むエピトープを示す。「立体構造エピトープ」は、3次元、2次および/または3次構造が抗体結合の実質的な面であり得るエピトープを示す。一律ではないが、一般的に、立体構造エピトープを含むアミノ酸は、タンパク質の1次構造の直鎖状配列を含まない。したがって、立体構造エピトープは、非相同性直鎖状アミノ酸配列を有するタンパク質により共有され得る。理論にとらわれるつもりはないが、抗体によって認識される3次構造は2つ以上のアミノ酸配列間で共有され得るため、立体構造エピトープは共有され得る。1つの実施形態において、適切なIL−18受容体エピトープは、本発明の抗原結合タンパク質によって認識されるいずれかを含む。
【0105】
本発明は、ヒトIL−18Rαの第3のIgドメインにおける立体構造エピトープ、特に、配列番号69のアミノ酸残基250〜253位(すなわち、残基MFGE)およびアミノ酸残基267〜271位(すなわち、残基MRIMT)によって構成された、アミノ酸残基243〜271位によって定義される領域を認識かつ結合する抗原結合タンパク質を提供する。このエピトープのアミノ酸構造は、図5に示されている。このエピトープに結合する抗原結合タンパク質は、特に、IL−18のIL−18Rとの相互作用を遮断するのに効果的である。抗原結合タンパク質の結合エピトープを決定する方法は、当技術分野においてよく知られており、1つのそのような方法は、本明細書の実施例4に記載されている。
【0106】
実施例4は、特定のヒトIL−18R抗原結合タンパク質が、アミノ酸243〜271位、例えば、250〜253位または267〜271位によって定義されるエピトープ内の残基が対応するマウス残基へ変化した場合、ヒトIL−18Rαを結合する能力が有意に低下していることを実証している。したがって、ヒトIL−18Rを結合するが、ヒトIL−18Rα鎖の残基250〜253位が対応するマウスアミノ酸で置換される場合、そのような結合が低下する、抗原結合タンパク質が本明細書で提供されている。ヒトIL−18Rを結合するが、ヒトIL−18Rα鎖の残基267〜271位が対応するマウスアミノ酸で置換される場合、そのような結合が低下する、抗原結合タンパク質もまた本明細書で提供されている。
【0107】
D.抗原結合タンパク質の共有結合的修飾
抗原結合タンパク質の共有結合的修飾は、本発明の範囲内に含まれ、常にというわけではないが、一般的に、翻訳後に行われる。例えば、抗原結合タンパク質の共有結合的修飾のいくつかの型は、選択された側鎖またはN末端もしくはC末端残基と反応する能力がある有機誘導体化剤と抗原結合タンパク質の特定のアミノ酸残基を反応させることによって、分子へ導入される。
【0108】
システイニル残基は、最も一般的には、クロロ酢酸またはクロロアセトアミドなどのα−ハロアセテート(および対応するアミン)と反応して、カルボキシメチルまたはカルボキシアミドメチル誘導体を生じる。システイニル残基はまた、ブロモトリフルオロアセトン、α−ブロモ−β−(5−イミドゾイル)プロピオン酸、クロロアセチルホスフェート、N−アルキルマレイミド、3−ニトロ−2−ピリジルジスルフィド、メチル2−ピリジルジスルフィド、p−クロロ第二水銀安息香酸塩、2−クロロ水銀−4−ニトロフェノール、またはクロロ−7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾールとの反応によって誘導体化される。
【0109】
ヒスチジル残基は、pH5.5〜7.0でジエチルピロカルボネートとの反応によって誘導体化されるが、なぜならば、この作用物質は、相対的に、ヒスチジル側鎖に特異的であるからである。p−臭化ブロモフェナシルもまた有用である;反応は、好ましくは、pH6.0で、0.1Mカコジル酸ナトリウム中で行われる。
【0110】
リシニル残基およびアミノ末端残基は、コハク酸または他のカルボン酸無水物と反応する。これらの作用物質での誘導体化は、リシニル残基の電荷を逆転させる効果を生じる。α−アミノ含有残基を誘導体化するための他の適切な試薬には、メチルピコリンイミデートなどのイミドエステル;ピリドキサルホスフェート;ピリドキサル;水素化クロロホウ素;トリニトロベンゼンスルホン酸;O−メチルイソ尿素;2,4−ペンタンジオン;およびグリオキシル酸とのトランスアミナーゼ触媒性反応が挙げられる。
【0111】
アルギニル残基は、1つまたはいくつかの通常の試薬、とりわけ、フェニルグリオキサール、2,3−ブタンジオン、1,2−シクロヘキサンジオン、およびニンヒドリンとの反応によって修飾される。アルギニン残基の誘導体化は、グアニジン官能基の高いpKのために、反応がアルカリ性条件下で行われることを必要とする。さらに、これらの試薬は、リシンの基、およびアルギニンε−アミノ基と反応することができる。
【0112】
チロシル残基の特定の修飾を行ってもよく、芳香族ジアゾニウム化合物またはテトラニトロメタンとの反応によってチロシル残基へスペクトル標識を導入することは特に興味深い。最も一般的には、N−アセチルイミジゾールおよびテトラニトロメタンが、O−アセチルチロシル種および3−ニトロ誘導体をそれぞれ、形成するために用いられる。チロシル残基は、ラジオイムノアッセイに用いる標識タンパク質を調製するために125Iまたは131Iを用いてヨウ素化され、上記のクロラミンT方法が適している。
【0113】
カルボキシル側基(アスパラチルまたはグルタミル)は、カルボジイミド(R’−N=C=N−R’、式中、RおよびR’は、任意で、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリニル−4−エチル)カルボジイミドまたは1−エチル−3−(4−アゾニア−4,4−ジメチルペンチル)カルボジイミドなどの異なるアルキル基でもよい)との反応によって選択的修飾される。さらに、アスパルチルおよびグルタミル残基は、アンモニウムイオンとの反応によってアスパラギニルおよびグルタミニル残基へ変換される。
【0114】
二官能性作用物質での誘導体化は、様々な方法に用いる水不溶性支持体マトリックスまたは表面へ抗原結合タンパク質を架橋するために有用である。一般に用いられる架橋剤には、例えば、1,1−ビス(ジアゾアセチル)−2−フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、例えば、4−アジドサリチル酸とのエステル、3,3’−ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)などのジスクシンイミジルエステルを含むホモ二官能性イミドエステル、およびビス−N−マレイミド−1,8−オクタンなどの二官能性マレイミドが挙げられる。メチル−3−[(p−アジドフェニル)ジチオ]プロピオイミデートなどの誘導体化剤は、光の存在下で架橋を形成する能力がある光活性化可能中間体を生じる。または、臭化シアン活性化炭水化物などの反応性水不溶性マトリックス、ならびに米国特許第3,969,287号;第3,691,016号;第4,195,128号;第4,247,642号;第4,229,537号;および第4,330,440号に記載された反応性基質が、タンパク質固定化に用いられる。
【0115】
グルタミルおよびアスパラギニル残基は、対応するグルタミルおよびアスパルチル残基へ、それぞれ、脱アミドされることが多い。または、これらの残基は、弱酸性条件下で脱アミドされる。これらの残基のいずれの型も本発明の範囲内にある。
【0116】
他の修飾には、プロリンおよびリシンのヒドロキシル化、セリルまたはスレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リシン、アルギニン、およびヒスチジン側鎖のα−アミノ基のメチル化(T. E. Creighton、Proteins: Structure and Molecular Properties、W. H. Freeman & Co.、San Francisco、79〜86頁、[1983年])、N末端アミンのアセチル化、ならびに任意のC末端カルボキシル基のアミド化が挙げられる。
【0117】
1.グリコシル化
本発明の範囲内に含まれる抗原結合タンパク質の共有結合的修飾の別の型は、タンパク質のグリコシル化パターンを変化させることを含む。当技術分野において知られているように、グリコシル化パターンは、タンパク質の配列(例えば、下記で論じられた、特定のグリコシル化アミノ酸残基の存在または非存在)、またはタンパク質が産生される宿主細胞もしくは生物体の両方に依存し得る。特定の発現系は下記で論じられている。
【0118】
ポリペプチドのグリコシル化は、典型的には、N−結合型かまたはO−結合型のいずれかである。N−結合型は、アスパラギン残基の側鎖への糖部分の結合を示す。トリペプチド配列、アスパラギン−X−セリンおよびアスパラギン−X−スレオニン(Xは、プロリン以外の任意のアミノ酸である)は、アスパラギン側鎖への糖部分の酵素的結合のための認識配列である。したがって、ポリペプチドにおけるこれらのトリペプチド配列のいずれかの存在が潜在的グリコシル化部位を生じる。O−結合型グリコシル化とは、糖、N−アセチルガラクトサミン、ガラクトース、またはキシロースの1つの、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的には、セリンまたはスレオニンへの結合を示すが、5−ヒドロキシプロリンまたは5−ヒドロキシリシンもまた用いてもよい。
【0119】
グリコシル化部位の抗原結合タンパク質への付加は、便利には、アミノ酸配列が上記のトリペプチド配列の1つまたは複数を含むようにそれを変化させることによって達成される(N−結合型グリコシル化部位について)。変化はまた、出発配列への1つまたは複数のセリンまたはスレオニン残基の付加、またはその残基による置換によってもたらされてもよい(O−結合型グリコシル化部位について)。簡単にするために、抗原結合タンパク質アミノ酸配列は、好ましくは、DNAレベルでの変化を通して変化しており、特に、所望のアミノ酸へ翻訳するコドンが生じるように、標的ポリペプチドをコードするDNAをあらかじめ選択された塩基で突然変異させることによって、変化している。
【0120】
抗原結合タンパク質上の糖部分の数を増加させる別の手段は、タンパク質へのグリコシドの化学的または酵素的結合による。これらの手順は、N−結合型およびO−結合型グリコシル化のためのグリコシル化能力を有する宿主細胞におけるタンパク質の産生を必要としない点で有利である。用いられる結合様式に依存して、糖は、(a)アルギニンおよびヒスチジン、(b)遊離カルボキシル基、(c)システインのものなどの遊離スルフヒドリル基、(d)セリン、スレオニン、もしくはヒドロキシプロリンのものなどの遊離ヒドロキシル基、(e)フェニルアラニン、チロシン、もしくはトリプトファンのものなどの芳香族残基、または(f)グルタミンのアミド基に結合することができる。これらの方法は、1987年9月11日に公開されたWO87/05330、ならびにAplinおよびWriston、1981年、CRC Crit. Rev. Biochem.、259〜306頁に記載されている。
【0121】
出発の抗原結合タンパク質上に存在する糖部分の除去は、化学的または酵素的に達成することができる。化学的脱グリコシルは、化合物トリフルオロメタンスルホン酸または等価化合物へのタンパク質の曝露を必要とする。この処理は、結合糖(N−アセチルグルコサミンまたはN−アセチルガラクトサミン)を除く、大部分または全部の糖の切断を生じるが、ポリペプチドを無傷のままにしておく。化学的脱グリコシルは、Hakimuddinら、1987年、Arch. Biochem. Biophys.、259巻、52頁、およびEdgeら、1981年、Anal. Biochem.、118巻、131頁に記載されている。ポリペプチド上の糖部分の酵素的切断は、Thotakuraら、1987年、Meth. Enzymol.、138巻、350頁により記載されているように、様々なエンド−グリコシダーゼおよびエキソ−グリコシダーゼの使用によって達成することができる。潜在的グリコシル化部位でのグリコシル化は、Duskinら、1982年、J. Biol. Chem.、257巻、3105頁によって記載されているように、化合物ツニカマイシンの使用によって防止することができる。ツニカマイシンは、タンパク質−N−グリコシド結合の形成を遮断する。
【0122】
2.PEG化
抗原結合タンパク質の共有結合的修飾の別の型は、限定されるわけではないが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、またはポリオキシアルキレンなどの様々なポリオールを含む様々な非タンパク質性ポリマーに抗原結合タンパク質を、米国特許第4,640,835号;第4,496,689号;第4,301,144号;第4,670,417号;第4,791,192号、または第4,179,337号に示された方法で、連結することを含む。さらに、当技術分野において知られているように、PEGなどのポリマーの付加を容易にするために抗原結合タンパク質内の様々な位置にアミノ酸置換を行ってもよい。
【0123】
3.標識およびエフェクター群
いくつかの実施形態において、本発明の抗原結合タンパク質の共有結合的修飾は、1つまたは複数の標識の付加を含む。
【0124】
用語「標識群」とは、任意の検出可能な標識を意味する。適切な標識群の例としては、以下が挙げられるが、それらに限定されるわけではない:放射性同位元素または放射性核種(例えば、H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I)、蛍光群(例えば、FITC、ローダミン、ランタニドリン光体)、酵素群(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学発光群、ビオチニル群、または二次レポーターによって認識されるあらかじめ決定されたポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパーペア配列、二次抗体についての結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)。いくつかの実施形態において、標識群は、可能性のある立体障害を低減するために様々な長さのスペーサーアームを介して抗原結合タンパク質に結合している。タンパク質を標識するための様々な方法は当技術分野において知られており、本発明を行うのに用いることができる。
【0125】
用語「エフェクター群」とは、細胞傷害性物質として働く、抗原結合タンパク質に結合した任意の群を意味する。適切なエフェクター群の例は、放射性同位元素または放射性核種(例えば、H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I)である。他の適切な群には、毒素、治療薬群、または化学療法薬群が挙げられる。適切な群の例には、カリチアマイシン、アウリスタチン、ゲラダナマイシン、およびマイタンシンが挙げられる。いくつかの実施形態において、エフェクター群は、可能性のある立体障害を低減するために様々な長さのスペーサーアームを介して抗原結合タンパク質に結合している。
【0126】
一般的に、標識は、それらが検出されることになっているアッセイに依存して、以下の様々なクラスに分類される:a)放射性同位元素または重同位元素であり得る、同位元素標識;b)磁気標識(例えば、磁気粒子);c)酸化還元活性部分;d)光学色素;酵素群(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ);e)ビオチン化群;およびf)二次レポーターによって認識されるあらかじめ決定されたポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパーペア配列、二次抗体についての結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグなど)。いくつかの実施形態において、標識群は、可能性のある立体障害を低減するために様々な長さのスペーサーアームを介して抗原結合タンパク質に結合している。タンパク質を標識するための様々な方法は当技術分野において知られており、本発明を行うのに用いることができる。
【0127】
特定の標識としては、光学色素が挙げられ、それらには、限定されるわけではないが、発色団、リン光体、およびフルオロフォアが含まれ、最後のものは、多くの場合、特異的である。フルオロフォアは、「小分子」蛍光体またはタンパク質性蛍光体のいずれでもあり得る。
【0128】
「蛍光標識」とは、その固有の蛍光性質によって検出することができる任意の分子を意味する。適切な蛍光標識としては、フルオレセイン、ローダミン、テトラメチルローダミン、エオシン、エリスロシン、クマリン、メチルクマリン、ピレン、Malaciteグリーン、スチルベン、ルシファーイエロー、Cascade BlueJ、テキサスレッド、IAEDANS、EDANS、BODIPY FL、LC Red 640、Cy5、Cy5.5、LC Red 705、Oregonグリーン、Alexa−Fluor色素(Alexa Fluor 350、Alexa Fluor 430、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680)、Cascade Blue、Cascade YellowおよびR−フィコエリトリン(PE)(Molecular Probes、Eugene、OR)、FITC、ローダミン、およびテキサスレッド(Pierce、Rockford、IL)、Cy5、Cy5.5、Cy7(Amersham Life Science、Pittsburgh、PA)が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。フルオロフォアを含む適切な光学色素は、参照により本明細書に明確に組み入れられた、Richard P. HauglandによるMolecular Probes Handbookに記載されている。
【0129】
適切なタンパク質性蛍光標識としてもまた、Renilla種、Ptilosarcus種、またはAequorea種のGFPを含む緑色蛍光タンパク質(Chalfieら、1994年、Science、263巻、802〜805頁)、EGFP(Clontech Laboratories,Inc.、Genbankアクセッション番号U55762)、青色蛍光タンパク質(BFP、Quantum Biotechnologies,Inc.、1801 de Maisonneuve Blvd. West、8th Floor、Montreal、Quebec、Canada H3H 1J9;Stauber、1998年、Biotechniques、24巻、462〜471頁;Heimら、1996年、Curr. Biol.、6巻、178〜182頁)、高感度黄色蛍光タンパク質(EYFP、Clontech Laboratories,Inc.)、ルシフェラーゼ(Ichikiら、1993年、J. Immunol.、150巻、5408〜5417頁)、β−ガラクトシダーゼ(Nolanら、1988年、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、85巻、2603〜2607頁)、およびウミシイタケ(WO92/15673、WO95/07463、WO98/14605、WO98/26277、WO99/49019、米国特許第5292658号、第5418155号、第5683888号、第5741668号、第577079号、第5804387号、第5874304号、第5876995号、第5925558号)が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。上記で引用された参考文献の全部は、参照により本明細書に明確に組み入れられている。
【0130】
E.IL−18受容体抗原結合タンパク質をコードするポリヌクレオチド
特定の態様において、本発明は、IgG、配列番号1〜34、73、75、77、79、81、83、85、87、89〜190の可変領域およびCDRをコードする核酸分子を提供する。1つの実施形態において、核酸は、配列番号35〜68、74、76、78、80、82、84、86、88、および191〜292のいずれかのヌクレオチド配列を有する。
【0131】
本明細書に記載されているように、可変領域核酸またはCDR核酸は、それぞれ、可変領域タンパク質またはCDRタンパク質をコードする。「核酸」とは、本明細書では、DNAおよびRNAの両方を含む、任意の核酸を意味する。本発明の核酸は、典型的には、ポリ核酸、すなわち、3’,5’ホスホジエステル結合によって共有結合性に連結している個々のヌクレオチドのポリマーである。
【0132】
核酸は、その使用に依存して、二本鎖であっても、一本鎖であっても、または二本鎖もしくは一本鎖配列の両方の部分を含んでもよい。当業者に認識されているように、1つの一本鎖(「Watson」)の記載はまた、他方の鎖(「Crick」)の配列も定義する;したがって、配列番号35〜68に示された核酸配列はまた、これらの配列の相補体も含む。本明細書における用語「組換え核酸」とは、天然では通常見出されない形での、本来には、インビトロで形成された、一般的には、エンドヌクレアーゼによる核酸の操作による、核酸を意味する。したがって、直鎖状型の単離された抗原結合タンパク質核酸、または通常、連結していないDNA分子をライゲーションすることによってインビトロで形成された発現ベクターは、両方とも、本発明の目的にとって、組換え体であるとみなされる。いったん、組換え核酸が作製され、宿主細胞または生物体へ再導入されたならば、それは、非組換え的に、すなわち、インビトロ操作というよりむしろ、宿主細胞のインビボ細胞機構を用いて、複製されるだろうことは理解されている;しかしながら、いったん組換えで作製されるが、その後、非組換え的に複製する、そのような核酸は、本発明の目的にとって、なお組換え体とみなされる。
【0133】
当業者に認識されているように、遺伝暗号の縮重のために、極めて多数の核酸が作製される可能性があり、それらの全部が、本発明のCDR(ならびに、抗原結合タンパク質の重鎖および軽鎖または他の構成要素)をコードする。したがって、配列番号1〜34などの特定のアミノ酸配列が同定されたならば、当業者は、コードされたタンパク質のアミノ酸配列を変化させない方法で1つまたは複数のコドンの配列をただ改変するだけで、異なる核酸をいくらでも作製することができる。
【0134】
F.抗原結合タンパク質を作製する方法
本発明はまた、上記の少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むプラスミド、発現ベクター、転写または発現カセットの形をとる、発現系および発現構築物を提供する。さらに、本発明は、そのような発現系または発現構築物を含む宿主細胞を提供する。
【0135】
典型的には、宿主細胞のいずれかで用いられる発現ベクターは、プラスミド維持のための配列、および外因性ヌクレオチド配列のクローニングおよび発現のための配列を含む。特定の実施形態においての、「フランキング配列」とまとめて呼ばれるそのような配列は、典型的には、以下のヌクレオチド配列の1つまたは複数を含む:プロモーター、1つまたは複数のエンハンサー配列、複製開始点、転写終結配列、供与および受容スプライス部位を含む完全イントロン配列、ポリペプチド分泌のためのリーダー配列をコードする配列、リボソーム結合部位、ポリアデニル化配列、発現することになっているポリペプチドをコードする核酸を挿入するためのポリリンカー領域、ならびに選択マーカーエレメント。これらの配列のそれぞれは、下記で論じられている。
【0136】
任意で、ベクターは、「タグ」をコードする配列、すなわち、IL−18受容体抗原結合タンパク質コード配列の5’末端または3’末端に位置するオリゴヌクレオチド分子を含んでもよい;そのオリゴヌクレオチド配列は、ポリHis(ヘキサHisなど)、または市販の抗体が存在するFLAG、HA(赤血球凝集素インフルエンザウイルス)、もしくはmycなどの別の「タグ」をコードする。このタグは、典型的には、ポリペプチドの発現の際にポリペプチドに融合され、宿主細胞からIL−18受容体抗原結合タンパク質のアフィニティ精製または検出のための手段として働くことができる。アフィニティ精製は、例えば、アフィニティマトリックスとしてタグに対する抗体を用いるカラムクロマトグラフィーによって、達成することができる。任意で、タグは、その後、切断のための特定のペプチダーゼを用いることなどの様々な手段によって精製されたIL−18受容体抗原結合タンパク質から除去することができる。
【0137】
フランキング配列は、同種性(すなわち、宿主細胞と同じ種および/または系統由来)、異種性(すなわち、宿主細胞の種または系統以外の種由来)、ハイブリッド(すなわち、1つより多い源由来のフランキング配列の組合せ)、合成、または天然でもよい。したがって、フランキング配列の源は、フランキング配列が宿主細胞機構において機能し、かつ宿主細胞機構によって活性化することができるという条件で、任意の原核生物もしくは真核生物、任意の脊椎動物もしくは無脊椎動物、または任意の植物であってよい。
【0138】
本発明のベクターにおいて有用なフランキング配列は、当技術分野においてよく知られたいくつかの方法のいずれかによって得ることができる。典型的には、本明細書で有用なフランキング配列は、マッピングにより、および/または制限エンドヌクレアーゼ消化により、以前に同定されていると考えられ、したがって、適当な制限エンドヌクレアーゼを用いて適切な組織源から単離することができる。場合によっては、フランキング配列の完全なヌクレオチド配列が知られていることがある。この場合、フランキング配列は、核酸合成またはクローニングについて本明細書に記載された方法を用いて合成することができる。
【0139】
知られているのがフランキング配列の全部であろうと一部だけであろうと、それは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用い、ならびに/または同じもしくは別の種由来のオリゴヌクレオチドおよび/もしくはフランキング配列断片などの適切なプローブでゲノムライブラリーをスクリーニングすることにより、得ることができる。フランキング配列が知られていない場合、フランキング配列を含むDNAの断片は、例えば、コード配列または別の遺伝子(複数可)でも含む可能性があるよりDNAの大きな断片から単離することができる。単離は、制限エンドヌクレアーゼ消化により適切なDNA断片を生じ、続いて、アガロースゲル精製、Qiagen(登録商標)カラムクロマトグラフィー(Chalsworth、CA)を用いる単離、または当業者に知られた他の方法により達成することができる。この目的を達成するための適切な酵素の選択は、当業者にとって容易に明らかであろう。
【0140】
複製開始点は、典型的には、商業的に購入される原核生物発現ベクターの一部であり、開始点は、宿主細胞におけるベクターの増幅を助ける。最適のベクターが複製開始点部位を含まない場合には、既知の配列に基づいて化学合成し、そのベクターへライゲーションしてもよい。例えば、プラスミドpBR322(New England Biolabs、Beverly、MA)由来の複製開始点は、たいていのグラム陰性細菌に適しており、様々なウイルス開始点(例えば、SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、またはHPVもしくはBPVなどのパピローマウイルス)は、哺乳類細胞におけるクローニングベクターに有用である。一般的に、複製開始点構成要素は、哺乳類発現ベクターに必要とされない(例えば、SV40開始点は、それがまたウイルス初期プロモーターを含むという理由だけで、しばしば用いられる)。
【0141】
転写終結配列は、典型的には、ポリペプチドコード領域の末端の3’側に位置し、転写を終結する働きをする。通常、原核細胞における転写終結配列は、ポリT配列が後に続くG−Cリッチ断片である。配列は、ライブラリーから容易にクローン化される、またはベクターの部分として商業的に購入されるとはいえ、それはまた、本明細書に記載された方法などの核酸合成のための方法を用いて容易に合成することができる。
【0142】
選択マーカー遺伝子は、選択培地で増殖する宿主細胞の生存および増殖に必要なタンパク質をコードする。典型的な選択マーカー遺伝子は、(a)原核生物宿主細胞について、抗生物質または他の毒素、例えば、アンピシリン、テトラサイクリン、もしくはカナマイシンに対する抵抗性を与えるタンパク質;(b)細胞の栄養要求性欠損を補うタンパク質;または(c)天然培地もしくは合成培地から利用できない重要な栄養素を供給するタンパク質をコードする。特定の選択マーカーは、カナマイシン抵抗性遺伝子、アンピシリン抵抗性遺伝子、およびテトラサイクリン抵抗性遺伝子である。有利には、ネオマイシン抵抗性遺伝子はまた、原核生物および真核生物の両方の宿主細胞における選択に用いることができる。
【0143】
他の選択遺伝子は、発現することになっている遺伝子を増幅するために用いることができる。増幅は、増殖または細胞生存にとって重要なタンパク質の産生に必要とされる遺伝子が、代々の組換え細胞の染色体内に直列に反復している過程である。哺乳類細胞に適した選択マーカーの例としては、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子、およびプロモーターをもたないチミジンキナーゼ遺伝子が挙げられる。哺乳類細胞形質転換体は、その形質転換体のみが、ベクターに存在する選択遺伝子のおかげで生存するように特異的に適応する淘汰圧下に置かれる。培地中の選択用物質の濃度が連続的に増加する条件下で形質転換細胞を培養することにより淘汰圧が課せられ、それにより、選択遺伝子、およびIL−18受容体ポリペプチドに結合する抗原結合タンパク質抗体などのもう1つの遺伝子をコードするDNAの両方の増幅がもたらされる。結果として、増加した量のIL−18受容体抗原結合タンパク質などのポリペプチドが、増幅されたDNAから合成される。
【0144】
リボソーム結合部位は、通常、mRNAの翻訳開始に必要であり、シャイン・ダルガノ配列(原核生物)またはコザック配列(真核生物)によって特徴付けられる。そのエレメントは、典型的には、プロモーターの3’側で、かつ発現されることになっているポリペプチドのコード配列の5’側に位置する。
【0145】
真核生物宿主細胞発現系においてグリコシル化が望まれる場合などの場合によっては、グリコシル化または収率を向上させるために様々なプレ配列またはプロ配列を操作してもよい。例えば、特定のシグナルペプチドのペプチダーゼ切断部位を変化させてもよいし、またはグリコシル化にも影響する可能性があるプロ配列を付加してもよい。最終タンパク質産物は、発現にありがちな、完全に除去されなかった可能性がある1個または複数の付加的なアミノ酸を−1位(成熟タンパク質の最初のアミノ酸に対して)に有してもよい。例えば、最終タンパク質産物は、アミノ末端に結合した、ペプチダーゼ切断部位に見出される1個または2個のアミノ酸残基を有してもよい。または、いくつかの酵素切断部位の使用によって、酵素が成熟ポリペプチド内のそのような領域で切断する場合には、所望のポリペプチドのわずかに切り詰められた型が生じることもある。
【0146】
本発明の発現およびクローニングベクターは、典型的には、宿主生物に認識され、かつIL−18受容体抗原結合タンパク質をコードする分子に作動可能に連結されているプロモーターを含む。プロモーターは、構造遺伝子の転写を調節する構造遺伝子(一般的に、約100〜1000bp内)の開始コドンの上流(すなわち、5’側)に位置する非転写配列である。プロモーターは、通常、以下の2つのクラスの1つに分類される:誘導性プロモーターおよび構成的プロモーター。誘導性プロモーターは、栄養素の存在もしくは非存在、または温度の変化などの培養条件の何らかの変化に応答して、それらの調節下のDNAからの転写レベルの増加を開始する。他方、構成的プロモーターは、それらが作動可能に連結している遺伝子を一律に転写する、すなわち、遺伝子発現に対してほとんど調節せずに、転写する。様々な宿主細胞候補に認識される多数のプロモーターはよく知られている。適切なプロモーターは、供給源DNAから制限酵素消化によってプロモーターを取り出し、所望のプロモーター配列をベクターへ挿入することにより、本発明のIL−18受容体抗原結合タンパク質を含む重鎖または軽鎖をコードするDNAに作動可能に連結されている。
【0147】
酵母宿主で用いる適切なプロモーターもまた当技術分野においてよく知られている。酵母エンハンサーは、有利には、酵母プロモーターと共に用いられる。哺乳類宿主細胞で用いる適切なプロモーターはよく知られており、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(アデノウイルス2など)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、および最も好ましくは、サルウイルス40(SV40)などのウイルスのゲノムから得られるものが挙げられるが、それらに限定されるわけではない。他の適切な哺乳類プロモーターは、異種性哺乳類プロモーター、例えば、熱ショックプロモーターおよびアクチンプロモーターが挙げられる。
【0148】
対象となり得る追加のプロモーターとしては、以下が挙げられるが、それらに限定されるわけではない:SV40初期プロモーター(BenoistおよびChambon、1981年、Nature、290巻、304〜310頁);CMVプロモーター(Thornsenら、1984年、Proc. Natl. Acad. U.S.A.、81巻、659〜663頁);ラウス肉腫ウイルスの3’末端反復配列に含まれるプロモーター(Yamamotoら、1980年、Cell、22巻、787〜797頁);ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagnerら、1981年、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、78巻、1444〜1445頁);メタロチオニン遺伝子由来のプロモーターおよび制御配列(Prinsterら、1982年、Nature、296巻、39〜42頁);ならびにβ−ラクタマーゼプロモーター(Villa−Kamaroffら、1978年、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、75巻、3727〜3731頁)またはtacプロモーター(DeBoerら、1983年、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、80巻、21〜25頁)などの原核生物プロモーター。また、対象となるのは、以下の動物転写調節領域であり、それらは、組織特異性を示し、トランスジェニック動物に利用されている:膵腺房細胞で活性があるエラスターゼI遺伝子調節領域(Swiftら、1984年、Cell、38巻、639〜646頁;Ornitzら、1986年、Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol.、50巻、399〜409頁;MacDonald、1987年、Hepatology、7巻、425〜515頁);膵β細胞で活性があるインスリン遺伝子調節領域(Hanahan、1985年、Nature、315頁、115〜122頁);リンパ球系細胞で活性がある免疫グロブリン遺伝子調節領域(Grosschedlら、1984年、Cell、38巻、647〜658頁;Adamesら、1985年、Nature、318巻、533〜538頁;Alexanderら、1987年、Mol. Cell. Biol.、7巻、1436〜1444頁);精巣細胞、乳腺細胞、リンパ球系細胞、およびマスト細胞で活性があるマウス乳癌ウイルス調節領域(Lederら、1986年、Cell、45巻、485〜495頁);肝臓で活性があるアルブミン遺伝子調節領域(Pinkertら、1987年、Genes and Devel.、1巻、268〜276頁);肝臓で活性があるα−フェトプロテイン遺伝子調節領域(Krumlaufら、1985年、Mol. Cell. Biol.、5巻、1639〜1648頁;Hammerら、1987年、Science、253巻、53〜58頁);肝臓で活性があるα1−アンチトリプシン遺伝子調節領域(Kelseyら、1987年、Genes and Devel.、1巻、161〜171頁);骨髄系細胞で活性があるβ−グロビン遺伝子調節領域(Mogramら、1985年、Nature、315巻、338〜340頁;Kolliasら、1986年、Cell、46巻、89〜94頁);脳のオリゴデンドロサイト細胞で活性があるミエリン塩基性タンパク質遺伝子調節領域(Readheadら、1987年、Cell、48巻、703〜712頁);骨格筋で活性があるミオシン軽鎖−2遺伝子調節領域(Sani、1985年、Nature、314巻、283〜286頁);ならびに、視床下部で活性がある生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン遺伝子調節領域(Masonら、1986年、Science、234巻、1372〜1378頁)。
【0149】
高等真核生物により本発明のIL−18受容体抗原結合タンパク質を含む軽鎖または重鎖をコードするDNAの転写を増加させるために、エンハンサー配列をベクターへ挿入してもよい。エンハンサーは、転写を増加させるようにプロモーターに作用するDNAのシス作用性エレメントであり、通常、長さが約10〜300bpである。エンハンサーは、比較的、配向および位置に非依存的であり、転写単位の5’側および3’側の両方の位置で見出されている。哺乳類遺伝子から利用できるいくつかのエンハンサー配列が知られている(例えば、グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α−フェトプロテイン、およびインスリン)。しかしながら、典型的には、ウイルス由来のエンハンサーが用いられる。当技術分野において知られた、SV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、ポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーは、真核生物プロモーターの活性化のための例示的な促進エレメントである。エンハンサーは、コード配列の5’側かまたは3’側のどちらにでもベクター内で位置することができるが、典型的には、それは、プロモーターから5’側の部位に位置する。適当な天然または異種性シグナル配列(リーダー配列またはシグナル配列)をコードする配列を、抗体の細胞外分泌を促進するために、発現ベクターに組み入れることができる。シグナルペプチドまたはリーダーの選択は、抗体が産生されることになっている宿主細胞の型に依存し、異種性シグナル配列が、天然シグナル配列に取って代わることができる。哺乳類宿主細胞で機能するシグナルペプチドの例としては、以下が挙げられる:米国特許第4,965,195号に記載されたインターロイキン−7(IL−7)のシグナル配列;Cosmanら、1984年、Nature、312巻、768頁に記載されたインターロイキン−2受容体のシグナル配列;欧州特許第0367 566号に記載されたインターロイキン−4受容体シグナルペプチド;米国特許第4,968,607号に記載されたI型インターロイキン−1受容体シグナルペプチド;欧州特許第0 460 846号に記載されたII型インターロイキン−1受容体シグナルペプチド。
【0150】
本発明の発現ベクターは、市販のベクターなどの出発ベクターから構築してもよい。そのようなベクターは、所望のフランキング配列の全部を含んでいてもよいし、全部でなくてもよい。本明細書に記載されたフランキング配列の1つまたは複数がベクター内にまだ存在していない場合、それらを個々に取得し、ベクターへライゲーションしてもよい。各フランキング配列を取得するために用いられる方法は、当業者によく知られている。
【0151】
ベクターを構築し、かつIL−18受容体抗原結合配列を含む軽鎖、重鎖、または軽鎖および重鎖をコードする核酸分子がベクターの適切な部位へ挿入した後、完成したベクターを、増幅および/またはポリペプチド発現に適した宿主細胞へ挿入することができる。IL−18抗原結合タンパク質についての発現ベクターの選択された宿主細胞への形質転換は、トランスフェクション、感染、リン酸カルシウム共沈、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポフェクション、DEAE−デキストラン媒介性トランスフェクション、または他の知られた技術を含め、よく知られた方法によって達成することができる。選択される方法は、ある程度、用いられることになっている宿主細胞の型に相関する。これらの方法および他の適切な方法は、当業者によく知られており、例えば、Sambrookら、2001年、前記に示されている。
【0152】
適当な条件下で培養される場合、宿主細胞は、IL−18受容体抗原結合タンパク質を合成し、それは、その後、培地から(宿主細胞がそれを培地へ分泌する場合)、またはそれを産生する宿主細胞から直接(それが分泌されない場合)、収集することができる。適当な宿主細胞の選択は、所望の発現レベル、活性に望ましいまたは必要であるポリペプチド修飾(グリコシル化またはリン酸化など)、および生物活性のある分子への折り畳みの容易さなどの様々な因子に依存する。
【0153】
発現のために宿主として利用できる哺乳類株化細胞は、当技術分野においてよく知られており、それらには、限定されるわけではないが、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(例えば、Hep G2)、およびいくつかの他の株化細胞を含む、American Type Culture Collection (ATCC)から入手できる不死化株化細胞が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。特定の実施形態において、株化細胞は、どの株化細胞が高い発現レベルを有し、かつIL−18受容体結合性を有する抗原結合タンパク質を恒常的に産生するのかを決定することによって選択することができる。別の実施形態において、自分自身の抗体を産生しないが、異種性抗体を産生し、分泌する能力をもつB細胞系列由来の株化細胞を選択することができる。
【0154】
G.診断および治療のためのIL−18受容体抗原結合タンパク質の使用
本発明の抗原結合タンパク質は、生体試料においてIL−18受容体を検出するのに、およびIL−18受容体タンパク質を産生する細胞または組織の同定のために、有用である。IL−18受容体に特異的に結合する本発明の抗原結合タンパク質は、必要としている患者におけるIL−18受容体媒介性疾患の処置に用いることができる。一例としては、本発明のIL−18受容体抗原結合タンパク質は、診断アッセイ、例えば、組織または細胞に発現したIL−18受容体を検出および/または定量化するための結合アッセイに用いることができる。さらに、本発明のIL−18抗原結合タンパク質は、IL−18受容体がそのリガンド、例えば、IL−18との複合体を形成するのを阻害し、それにより、細胞または組織におけるIL−18受容体の生物活性を調節するために用いることができる。このように、IL−18受容体に結合する抗原結合タンパク質は、他の結合化合物との相互作用を調節および/または遮断することができ、したがって、IL−18受容体媒介性疾患を改善することに治療として用いることができる。特定の実施形態において、IL−18抗原結合タンパク質は、IL−18のその受容体への結合を遮断することができ、その結果として、IL−18受容体誘導性シグナル伝達カスケードの崩壊を生じることができる。
【0155】
1.適応症
疾患発生におけるIL−18のレベルの増加および/またはIL−18媒介性シグナルの関与は、様々な状態および疾患で実証されている。したがって、本発明の抗原結合タンパク質は、免疫応答を制御または抑制するように働き、過剰免疫応答により引き起こされる様々な疾患の処置および予防に有効である(WO2004・002519;WO2005/063290;WO2004/034988;Mallatら、2002年、Circ. Res.、91巻、441〜448参照)。したがって、本発明のIL−18受容体抗原結合タンパク質は、IL−18に関連した疾患または状態の診断、予防、または処置に用いることができる。
【0156】
IL−18に関連した疾患または状態とは、患者における発病が、IL−18のIL−18受容体との相互作用によって引き起こされる、または防止される任意の疾患または状態を意味する。疾患または状態の重症度もまた、IL−18のIL−18受容体との相互作用によって増加または減少し得る。例えば、IL−18は、自己免疫疾患(WO2004/002519;WO2005/063290;WO2004/034988;Mallatら、2002年、Circ. Res.、91巻、441〜448頁)、肝疾患(Finittoら、2004年、Liver、53巻、392〜400頁;Tsutsuiら、2000年、Immunological Reviews、174巻、192〜209頁;Ludwiczekら、2002年、J. Clinical Immunology、22巻、331〜337頁)、膵疾患、および心血管系疾患(Gerdesら、2002年、J. Exp. Med.、195巻、245〜257頁;WO03/080104;WO02/060479;WO01/85201;Raeburnら、2002年、Am. J. Physiol. Heart Circ. Physiol.、283巻、H650〜H657頁)に関連している。
【0157】
IL−18に関連している自己免疫疾患の例としては、乾癬、関節リウマチなどの炎症性関節炎(WO2005/063290;Cannettiら、2003年、J. Immunol.、171巻、1009〜1015頁;Charlesら、1999年、J. Immunol.、163巻、1521〜1528頁;Cunnaneら、2000年、Online J. Rheumatol.、27巻、58〜63頁;Yoshimoto、1998年、J. Immunol.、161巻、3400〜3407頁)、狼瘡(WO2005/063290)、I型糖尿病、II型糖尿病、クローン病(Niederau、1997年、Online NLM)、炎症性腸疾患(WO2004/002519)、多発性硬化症、自己免疫性肝炎(Tsutsuiら、2000年、前記)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、後天性免疫不全症候群(AIDS)、アトピー性皮膚炎(Konishiら、2002年、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、99巻、11340〜11345頁)、重症筋無力症、およびサルコイドーシスが挙げられる。
【0158】
関節リウマチにおいて、成熟IL−18のレベルの上昇が患者血清および滑液で実証されている。いくつかの研究において、IL−18レベルは、疾患活動性と相関し、疾患緩和処置に応答することが示された。IL−18の極めて高い血清レベルが、全身性若年性特発性関節炎および密接に関係した成人発症スチル病において、一貫して測定されている。WO2005/063290;Cannettiら、2003年、J. Immunol.、171巻、1009〜1015頁;Charlesら、1999年、J. Immunol.、163巻、1521〜1528頁;Cunnaneら、2000年、Online J. Rheumatol.、27巻、58〜63頁;Yoshimoto、1998年、J. Immunol.、161巻、3400〜3407頁。
【0159】
IL−18に関連している他の型の関節炎には、例えば、強直性脊椎炎、背痛、手根管沈着症候群、エーラースダンロス症候群、痛風、若年性関節炎、エリテマトーデス、筋炎、骨形成不全症、骨粗鬆症、多発性関節炎、多発性筋炎、乾癬性関節炎、ライター症候群、強皮症、腸疾患を伴う関節炎、ベーチェット病、子どもの関節炎、変性関節疾患、線維筋痛症、感染性関節炎、ライム病、マルファン症候群、変形性関節症、骨壊死、骨パジェット病、リウマチ性多発筋痛症、偽痛風、反射性交感神経性ジストロフィー、関節リウマチ、リウマチ、シェーグレン症候群、家族性大腸腺腫症などが挙げられる。Daiら、2004年、Arthritis Rheum.、50巻、432〜443頁;Kawashimaら、2004年、Online Arthritis Res. Ther.、6巻、R39〜R45頁;Myersら、2004年、Rheumatology、43巻、272〜276頁;Weiら、2001年、American Association Of Immunologists、517〜521頁。
【0160】
IL−18レベルの上昇はまた、潰瘍性大腸炎または非炎症性腸状態を有する患者と比較した場合、クローン病を有する患者に見出されている。腸上皮細胞および固有層単核細胞の両方は、生体内原位置で、増加したIL−18産生の源として同定されている。クローン病病変は、IL−18R発現細胞が浸潤していることが示されている。Niederau、1997年、Online NLM。
【0161】
IL−18はまた、潰瘍性大腸炎およびセリアック病に関連しているとされている。
【0162】
中枢神経系(CNS)病変、脳脊髄液、および多発性硬化症を有する患者由来の血清は、IL−18メッセージまたはタンパク質のレベルの増加を含むことが示されている。病変内において、ミクログリアおよびマクロファージが、IL−18の源であると考えられている。非炎症性CNS疾患を有する個体由来の対照組織生検において、IL−18は検出され得ない。特に高いレベルのIL−18は、再発寛解型疾患を有する患者部分集合に見出されている;およびIL−18レベルは、寛解期と比較して再発中に増加することが見出されている。Huangら、2004年、Mult. Scler.、10巻、482〜7頁;Karniら、2002年、J. Neuroimmunol.、125巻、134〜40頁;Losyら、2001年、Acta Neurol. Scand.、104巻、171〜3頁;Nicolettiら、2001年、Neurology、57巻、342〜4頁;Fassbenderら、1999年、Neurology、53巻、1104〜6頁。
【0163】
乾癬を有する患者において、IL−18の血清レベルは、皮膚病変の程度およびPASIスコアと相関して増加していることが報告された。IL−18 mRNAおよびIL−18R mRNAの両方の過剰発現が、非病変対照または正常皮膚対照と比較して、病変皮膚において実証されている。確認された、乾癬皮膚におけるIFN−γおよびTNF−αの過剰発現は、IL−18によって発揮される生物活性と一致している。Aricanら、2005年、Mediators Inflamm.、2005年、273〜9頁;Piskinら、2004年、Exp. Dermatol.、13巻、764〜72頁;Companjenら、2004年、Eur. Cytokine Netw.、15巻、210〜6頁;Pietrzakら、2003年、Acta Derm. Vnereol.、83巻、262〜5頁。
【0164】
様々な他の自己免疫疾患は、罹患組織または血清のいずれかにおけるIL−18レベルの増加に関連している。これらには、全身性エリテマトーデス、アトピー性皮膚炎、筋無力症、I型糖尿病、およびサルコイドーシスが挙げられる。IL−18はまた、喘息、アルツハイマー病、アレルギー性鼻炎、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、移植、およびGvHDに関係している可能性がある。
【0165】
IL−18はまた、肝臓疾患または肝疾患、および肝臓損傷または傷害に関連した状態に結びつけられている。肝臓損傷または傷害は、多様な原因を有し得る。それは、例えば、ウイルスもしくは細菌感染、アルコール中毒、免疫学的障害、または癌による場合がある。肝臓傷害はまた、胆管の損傷、およびアルコール性肝炎、肝硬変、ウイルス性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、およびアルコール関連肝壊死炎症などの状態における肝臓の損傷を含む。Finittoら、2004年、Liver、53巻、392〜400頁;Tsutsuiら、2000年、Immunological Reviews、174巻、192〜209頁;Ludwiczekら、2002年、J. Clinical Immunology、22巻、331〜337頁。
【0166】
IL−18に関連している肝疾患には、C型肝炎およびB型肝炎が挙げられる。IL−18は、自己免疫性肝炎および感染性肝炎の両方の発病に結びつけられている。FasLを含むアポトーシス促進性分子の上方制御による肝細胞死に寄与すると考えられている。C型肝炎におけるインターフェロン−αの有益な効果は、IL−18レベルの低下を通して媒介される可能性があることが示唆されている。対照的に、IL−18投与は、B型肝炎のトランスジェニックモデルにおいて有益な効果を生じ、NKおよびCTL活性の増加を通してウイルス排除を向上させた。Finittoら、2004年、Liver、53巻、392〜400頁;Tsutsuiら、2000年、Immunological Reviews、174巻、192〜209頁;Ludwiczekら、2002年、J. Clinical Immunology、22巻、331〜337頁。
【0167】
B型およびC型肝炎ウイルスは別にして、ウイルス関連肝炎を引き起こす少なくとも4つの他のウイルスがこれまでに発見されており、A型、D型、E型、およびG型肝炎ウイルスと呼ばれている。
【0168】
IL−18はまた、心血管系疾患に関連しており、それらには、じゅく状斑破裂、虚血後心不全、再灌流障害、アテローム性動脈硬化、慢性心不全、関節リウマチの心血管系合併症、および他の心血管系障害が挙げられる。IL−18は、敗血症性または内毒素性ショックの状況において心拍出量を著しく低下させると考えられている。IL−18は、炎症過程とアテローム発生との間の重要なリンクであり、RAおよび狼瘡を含む慢性炎症性状態を有する患者における心血管系原因による大過剰の死亡率についての蓄積した証拠を考慮すれば、特に関連性がある。IL−18レベルは、心イベントによる死の強力な独立予測因子である(CRPレベルより強い予測力を有する)ことが示されている。Gerdesら、2002年、J. Exp. Med.、195巻、245〜257頁;WO03/080104;WO02/060479;WO01/85201;Raeburnら、2002年、Am. J. Physiol. Heart Circ. Physiol.、283巻、H650〜H657頁。
【0169】
IL−18はまた、例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性重度喘息、および急性呼吸窮迫症候群(ARDS)などの肺疾患に関連している。
【0170】
2.診断方法
本発明の抗原結合タンパク質は、IL−18またはIL−18受容体に関連した疾患および/または状態を検出、診断、またはモニターする、診断目的に用いることができる。本発明は、当業者に知られた古典的な免疫組織学的方法(例えば、Tijssen、1993年、Practice and Theory of Enzyme Immunoassays、15巻(R. H. BurdonおよびP. H. van Knippenberg編、Elsevier、Amsterdam);Zola、1987年、Monoclonal Antibodies: A Manual of Techniques、147〜158頁(CRC Press, Inc.);Jalkanenら、1985年、J. Cell Biol.、101巻、976〜985頁;Jalkanenら、1987年、J. Cell Biol.、105巻、3087〜3096頁)を用いる、試料におけるIL−18受容体の存在の検出を提供する。IL−18受容体の検出は、インビボまたはインビトロで行うことができる。
【0171】
本明細書に提供される診断適用は、IL−18受容体の発現、およびIL−18受容体へのリガンドの結合を検出するための抗原結合タンパク質の使用を含む。IL−18受容体の存在の検出に有用な方法の例としては、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)およびラジオイムノアッセイ(RIA)などのイムノアッセイが挙げられる。
【0172】
診断適用について、抗原結合タンパク質は、典型的には、検出可能な標識群で標識される。適切な標識群としては、以下が挙げられるが、それらに限定されるわけではない:放射性同位元素または放射性核種(例えば、H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I)、蛍光群(例えば、FITC、ローダミン、ランタニドリン光体)、酵素群(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学発光群、ビオチニル群、または二次レポーターによって認識されるあらかじめ決定されたポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパーペア配列、二次抗体についての結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)。いくつかの実施形態において、標識群は、可能性のある立体障害を低減するために様々な長さのスペーサーアームを介して抗原結合タンパク質に結合している。タンパク質を標識するための様々な方法は当技術分野において知られており、本発明を行うのに用いることができる。
【0173】
本発明の1つの態様は、IL−18受容体を発現する細胞(複数可)を同定することを提供する。特定の実施形態において、抗原結合タンパク質は標識群で標識され、標識抗原結合タンパク質のIL−18受容体への結合が検出される。さらなる特定の実施形態において、抗原結合タンパク質のIL−18受容体への結合はインビボで検出される。さらなる特定の実施形態において、抗原結合タンパク質−IL−18受容体が単離され、当技術分野において知られた技術を用いて測定される。例えば、HarlowおよびLane、1988年、Antibodies: A Laboratory Manual、New York: Cold Spring Harbor(1991年版および定期的追補);John E. Coligan編、1993年、Current Protocols In Immunology New York: John Wiely & Sonsを参照。
【0174】
本発明の別の態様は、IL−18受容体への結合において本発明の抗原結合タンパク質と競合する試験分子の存在を検出することを提供する。1つのそのようなアッセイの例は、試験分子の存在下または非存在下において、ある量のIL−18受容体を含む溶液中で遊離抗原結合タンパク質の量を検出することを含む。遊離抗原結合タンパク質(すなわち、IL−18受容体に結合していない抗原結合タンパク質)の量の増加は、試験分子が、IL−18受容体結合において抗原結合タンパク質と競合する能力があることを示す。1つの実施形態において、抗原結合タンパク質は標識群で標識される。または、試験分子が標識され、遊離試験分子の量が、抗原結合タンパク質の存在下および非存在下において、モニターされる。
【0175】
3.処置の方法:薬学的製剤、投与経路
いくつかの実施形態において、本発明は、1つまたは複数の本発明の抗原結合タンパク質の治療有効量を、薬学的に許容される希釈剤、担体、可溶化剤、乳化剤、保存剤、および/またはアジュバントと共に含む薬学的組成物を提供する。さらに、本発明は、そのような薬学的組成物を投与することにより患者を処置する方法を提供する。用語「患者」は、ヒトおよび動物の被験体を含む。
【0176】
好ましくは、許容される製剤材料は、用いられる投薬量および濃度においてレシピエントに無毒である。特定の実施形態において、治療有効量のIL−18受容体抗原結合タンパク質を含む薬学的組成物が提供される。
【0177】
特定の実施形態において、許容される製剤材料は、好ましくは、用いられる投薬量および濃度においてレシピエントに無毒である。特定の実施形態において、薬学的組成物は、例えば、pH、モル浸透圧濃度、粘度、透明性、色、等張性、匂い、無菌性、安定性、溶解速度または放出速度、組成物の吸着性または浸透性を改変、維持、または保存するための製剤材料を含んでもよい。そのような実施形態において、適切な製剤材料としては、アミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、またはリシンなど);抗菌剤;抗酸化剤(アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、または亜硫酸水素ナトリウムなど);緩衝剤(ホウ酸塩、重炭酸塩、Tris−HCl、クエン酸塩、リン酸塩、または他の有機酸など);増量剤(マンニトールまたはグリシンなど);キレート化剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)など);錯化剤(カフェイン、ポリビニルピロリドン、β−シクロデキストリン、またはヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンなど);充填剤;単糖;二糖;および他の糖質(グルコース、マンノース、またはデキストリンなど);タンパク質(血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなど);着色剤、香味剤、および希釈用物質;乳化剤;親水性ポリマー(ポリビニルピロリドンなど);低分子量ポリペプチド;塩生成対イオン(ナトリウムなど);保存剤(塩化ベンザルコニウム、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸、または過酸化水素など);溶剤(グリセリン、プロピレングリコール、またはポリエチレングリコールなど);糖アルコール(マンニトールまたはソルビトールなど);懸濁剤;界面活性剤または湿潤剤(プルロニック、PEG、ソルビタンエステル、ポリソルベート20などのポリソルベート、ポリソルベート、トリトン、トロメタミン、レシチン、コレステロール、チロキサパールなど);安定性増強剤(スクロースまたはソルビトールなど);張性増強剤(ハロゲン化アルカリ金属、好ましくは塩化ナトリウムまたは塩化カリウム、メンニトールソルビトールなど);送達媒体;希釈剤;賦形剤、ならびに/または薬学的補助剤が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES、第18版、(A. R. Genrmo編)、1990年、Mack Publishing Company参照。
【0178】
特定の実施形態において、最適な薬学的組成物は、例えば、意図される投与経路、送達様式、および望ましい投薬量に依存して、当業者によって決定される。例えば、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES、前記参照。特定の実施形態において、そのような組成物は、本発明の抗原結合タンパク質の物理的状態、安定性、インビボでの放出速度、およびインビボでのクリアランス速度に影響を及ぼし得る。特定の実施形態において、薬学的組成物における主な媒体または担体は、天然で水性でも非水性でもよい。例えば、適切な媒体または担体は、注射用蒸留水、生理食塩水、または人工脳脊髄液であり得、場合により、非経口投与のための組成物によく見られる他の材料を追加してもよい。中性の緩衝食塩水または血清アルブミンと混合した食塩水は、さらに典型的な媒体である。特定の実施形態において、薬学的組成物は、約pH7.0〜8.5のTris緩衝液、または約pH4.0〜5.5の酢酸緩衝液を含み、さらに、ソルビトールまたは適切なその代用物を含んでもよい。本発明の特定の実施形態において、IL−18受容体抗原結合タンパク質組成物は、所望の純度を有する選択された組成物を凍結乾燥ケーキまたは水溶液の形をとる任意の製剤補助剤(REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES、前記)と混合することにより、保存用に調製してもよい。さらに、特定の実施形態において、IL−18受容体抗原結合タンパク質生成物は、スクロースなどの適当な賦形剤を用いて凍結乾燥物として製剤化してもよい。
【0179】
本発明の薬学的組成物は、非経口送達用に選択することができる。あるいは、組成物は、吸入用、または経口などの消化管を通しての送達用に選択してもよい。そのような薬学的に許容される組成物の調製は、当技術分野内である。
【0180】
製剤成分は、好ましくは、投与部位に受け入れられる濃度で存在する。特定の実施形態において、緩衝剤は、生理的pH、またはよりわずかに低いpH、典型的には、約5〜約8のpH範囲内に組成物を維持するように用いられる。
【0181】
非経口投与が企図される場合、本発明に用いる治療用組成物は、薬学的に許容される媒体に所望のIL−18受容体抗原結合タンパク質を含む、発熱物質非含有の非経口的に許容される水溶液の形で提供してもよい。非経口的注射に特に適した媒体は、滅菌蒸留水であり、その中に、IL−18受容体抗原結合タンパク質は、滅菌等張液として製剤化され、適切に保存される。特定の実施形態において、調製物は、デポー注射によって送達することができる生成物の制御放出および持続放出を与えることができる注射可能ミクロスフェア、生体内分解性粒子、ポリマー化合物(ポリ乳酸またはポリグリコール酸など)、ビーズまたはリポソームなどの作用物質と共に所望の分子の製剤を含むことができる。特定の実施形態において、ヒアルロン酸もまた用いてもよく、循環中の時間の持続を促進する効果を生じる。特定の実施形態において、埋め込み型薬物送達装置は、所望の抗原結合タンパク質を導入するために用いてもよい。
【0182】
本発明の薬学的組成物は、吸入用に製剤化することができる。これらの実施形態において、IL−18受容体抗原結合タンパク質は、有利には、乾燥した吸入可能粉末として製剤化される。特定の実施形態において、IL−18受容体抗原結合タンパク質吸入溶液もまた、エアロゾル送達用に噴霧剤と共に製剤化してもよい。特定の実施形態において、溶液を噴霧してもよい。したがって、肺投与および製剤方法は、国際特許出願第PCT/US94/001875号にさらに記載されており、それは参照により組み込まれ、かつ化学修飾タンパク質の肺送達を記載する。製剤を経口投与し得ることも企図される。この様式で投与されるIL−18受容体抗原結合タンパク質は、錠剤およびカプセルなどの固体剤形の配合に通常用いられる担体を含有して、または担体を含有せずに、製剤化することができる。特定の実施形態において、カプセルは、胃腸管内時点で製剤の活性部分を放出するように設計することができ、その場合、バイオアベイラビリティは最大で、プレシステミック分解は最小になる。IL−18受容体抗原結合タンパク質の吸収を促進するために追加の作用物質を含有することができる。希釈剤、香味剤、低融点ワックス、植物油、潤滑剤、懸濁剤、錠剤崩壊剤、および結合剤もまた用いてもよい。
【0183】
好ましくは、錠剤の製造に適している無毒性賦形剤との混合物に1つまたは複数のIL−18受容体抗原結合タンパク質の有効量を含む本発明の薬学的組成物が提供される。滅菌水、または別の適当な媒体中に錠剤を溶解させることにより、単位用量の形で溶液を調製することができる。適切な賦形剤としては、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムもしくは重炭酸ナトリウム、ラクトース、もしくはリン酸カルシウムなどの不活性希釈剤;またはデンプン、ゼラチン、もしくはアラビアゴムなどの結合剤;またはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、もしくはタルクなどの潤滑剤が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0184】
さらなる薬学的組成物は当業者にとって明らかであろうが、IL−18受容体抗原結合タンパク質を持続性または制御性送達型製剤に含む製剤が挙げられる。リポソーム担体、生体内分解性微粒子または多孔質ビーズ、およびデポー注射剤などの様々な他の持続性または制御性送達手段を製剤化する技術もまた、当業者に知られている。例えば、国際特許出願第PCT/US93/00829号参照。それは、参照により組み入れられ、薬学的組成物の送達用の多孔質ポリマー微粒子の制御放出を記載する。持続放出調製物は、成形物、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルの形をとる半透性ポリマーマトリックスを含有してもよい。持続放出マトリックスには、ポリエステル、ハイドロゲル、(それぞれが参照により組み入れられている、米国特許第3,773,919号および欧州特許出願公開EP 058481号に開示されているような)ポリラクチド、L−グルタミン酸とγエチル−L−グルタミン酸のコポリマー(Sidmanら、1983年、Biopolymers、2巻、547〜556頁)、ポリ(メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル)、(Langerら、1981年、J. Biomed. Mater. Res.、15巻、167〜277頁およびLanger、1982年、Chem. Tech.、12巻、98〜105頁)エチレン酢酸ビニル(Langerら、1981年、前記)、またはポリ−D(−)−3−ヒドロキシ酪酸(欧州特許出願公開EP 133,988)を挙げることができる。持続放出組成物には、当技術分野において知られたいくつかの方法のいずれかにより調製することができるリポソームも挙げることができる。例えば、参照により組み入れられている、Eppsteinら、1985年、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、82巻、3688〜3692頁;欧州特許出願公開EP 036,676;EP 088,046およびEP 143,949を参照。
【0185】
インビボ投与に用いる薬学的組成物は、典型的には、滅菌調製物として提供される。滅菌は、滅菌濾過膜を通しての濾過によって達成することができる。組成物が凍結乾燥されている場合、この方法を用いる滅菌は、凍結乾燥と再構成の前かまたは後のいずれかで行うことができる。非経口投与のための組成物は、凍結乾燥された形で、または溶液中に保存することができる。非経口組成物については、一般的に、滅菌アクセス口を有する容器、例えば、静脈注射用溶液バッグ、または皮下注射針によって穴を開けることができるストッパーを有するバイアルへ入れる。
【0186】
いったん、薬学的組成物が製剤化されたならば、溶液、懸濁液、ゲル、乳濁液、固体、結晶として、または脱水粉末もしくは凍結乾燥粉末として、滅菌バイアルに保存してもよい。そのような製剤は、すぐに使える形かまたは投与前に再構成される形(例えば、凍結乾燥型)のいずれかで、保存することができる。本発明はまた、単一用量投与単位を作製するためのキットを提供する。本発明のキットは、それぞれ、乾燥したタンパク質を有する第1容器、および水性製剤を有する第2容器の両方を含む。本発明の特定の実施形態において、単一チャンバー型および複数チャンバー型のあらかじめ充填されたシリンジ(例えば、液体シリンジおよび分散シリンジ(lyosyringe))を含むキットが提供される。
【0187】
用いられる治療有効量のIL−18受容体抗原結合タンパク質含有薬学的組成物は、例えば、治療状況および目的に依存する。当業者は、処置のための適当な用量レベルは、ある程度、送達される分子、IL−18受容体抗原結合タンパク質が用いられることになっている適応症、投与経路、ならびに患者のサイズ(体重、体表面または器官のサイズ)および/または状態(年齢および一般的健康状態)によって異なる。特定の実施形態において、臨床医は、最適な治療効果を得るために、用量の力価を測定し、投与経路を変更することができる。典型的な用量は、上記の因子に依存して、約0.1μg/kgから約30mg/kgまで、またはそれ以上の範囲であり得る。特定の実施形態において、用量は、0.1μg/kg〜約30mg/kgの範囲であり得、任意で、1μg/kg〜約30mg/kgまたは10μg/kg〜約5mg/kgであってもよい。
【0188】
投薬頻度は、用いられる製剤における特定のIL−18受容体抗原結合タンパク質の薬物動態パラメータに依存する。典型的には、臨床医は、所望の効果を達成する用量に達するまで組成物を投与する。それゆえに、組成物は、単一用量として、または時間をかけての2回以上の用量(同量の所望の分子を含む場合もあるし、含まない場合もある)として、または埋め込み装置もしくはカテーテルを介する持続注入として投与される。適当な用量のさらなる微調整は、当業者によって日常的になされ、彼らが日常的に行う職務の範囲内である。適当な用量は、適当な用量反応データを用いて確認することができる。特定の実施形態において、本発明の抗原結合タンパク質は、長期間にわたって患者へ投与することができる。本発明の抗原結合タンパク質の長期投与は、完全にはヒトではない抗原結合タンパク質、例えば、非ヒト動物においてヒト抗原に対して産生された抗体、例えば、非ヒト種において産生された不完全ヒト抗体または非ヒト抗体に一般的に関連した有害な免疫応答またはアレルギー性応答を最小化する。
【0189】
薬学的組成物の投与経路は、公知の方法による、例えば、経口で、静脈内、腹腔内、脳内、脳室内、筋肉内、眼内、動脈内、門脈内、または病巣内経路による注射による;持続放出システムによる、または埋め込み装置による。特定の実施形態において、組成物は、ボーラス注入により、もしくは注入により持続的に、または埋め込み装置により、投与してもよい。
【0190】
組成物はまた、膜、スポンジ、または所望の分子が吸収されている、もしくは被包されている別の適当な材料の埋め込みによって局所的に投与してもよい。埋め込み装置が用いられる特定の実施形態において、装置は、任意の適切な組織または器官へ埋め込んでもよく、所望の分子の送達は、拡散、徐放ボーラス投与、または持続投与によることができる。
【0191】
本発明によるIL−18受容体抗原結合タンパク質薬学的組成物をエクスビボで用いることもまた望ましいことがある。そのような場合、患者から取り出された細胞、組織、または器官を、IL−18受容体抗原結合タンパク質薬学的組成物に曝し、その後、続いて、細胞、組織、および/または器官を患者へ移植し、戻す。
【0192】
特に、IL−18受容体抗原結合タンパク質は、そのポリペプチドを発現および分泌するように、本明細書に記載された方法などの方法を用いて遺伝子操作されている特定の細胞を移植することによって、送達することができる。特定の実施形態において、そのような細胞は、動物細胞またはヒト細胞でもよく、自家性、異種性、または異種間でもよい。特定の実施形態において、細胞は不死化していてもよい。他の実施形態において、免疫学的応答の機会を減少させるために、細胞は、周囲組織の浸潤を避けるために被包してもよい。さらなる実施形態において、被包材料は、典型的には、タンパク質産物(複数可)の放出を可能にするが、患者の免疫系による、または周囲組織由来の他の有害因子による細胞の破壊を防ぐ生体適合性の半透性ポリマー被包材または膜である。
【0193】
本明細書の本文内に引用されたすべての参考文献は、全体として参照により本明細書に明確に組み入れられている。
【0194】
行われた実験および得られた結果を含む以下の実施例は、例示のみを目的として提供され、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0195】
VI.実施例
(A.実施例1):pVE414N一過性発現構築物を用いる抗IL−18受容体抗体のIgG2およびIgG4型の産生
以下の実施例は、様々な抗IL−18受容体結合タンパク質のIgG2およびIgG4型を産生するために用いられる一過性発現構築物の作製、ならびにそれらの結合特性および効力を試験するための実験手法を記載する。
【0196】
1.構築物の作製
AM9/AM9、AM11/AM7、AM3/AM14、およびAM6/AM12のIgG4型の一過性発現のための発現構築物を、配列番号74、76、78、80、82、84、86、および88のポリヌクレオチド配列を一過性発現ベクターへサブクローニングすることによって作製した。同じ可変領域のIgG2型については、それらのIgGの可変領域をコードするポリヌクレオチド部分を別の一過性発現ベクターへサブクローニングすることによって作製した。
【0197】
2.一過性ローラーボトルトランスフェクション
各抗体についてのCosPKB株化細胞への8個のローラーボトルトランスフェクションを行った。IgG2についての力価は以下のとおりであった:
【0198】
【表4】

3.様々な抗体の効力および交差反応性についてのアッセイ
KG−1 IFNγ放出アッセイ。様々なIgG構築物を、インビトロのインターフェロン−γ(IFNγ)放出アッセイにおいてそれらの阻害活性を決定するために試験した。IFNγ放出アッセイは、内因性IL−18Rを発現するヒト骨髄単球性KG−1細胞がIL−18に応答してIFNγを放出するという原理に基づいて働く。
【0199】
簡単には、アフィニティ精製scFvなどの試薬を、96ウェル組織培養プレートにおいてKG−1細胞とプレインキュベートする。IL−18(+TNFα)を細胞に加え、IFNγ放出を誘導する。TNFαは、IFNγ応答を増加させるためにIL−18と共に加えられ、それゆえに、より低い濃度のIL−18を用いることを可能にすることによって、アッセイの感度をより高くする。これは、少なくとも一部、TNFαに誘導された、IL−18R表面発現の上方制御による可能性が高い。
【0200】
規定のインキュベーション期間後、細胞上清を収集し、ELISAを用いてIFNγ含有量を分析する。IL−18R媒介性シグナル伝達を阻害する試験化合物は、IFNγ放出の低下を示すことによって、このアッセイで評価することができる。
【0201】
KG−1細胞については、European Collection of Cell Cultures(ECACC、86111306)から入手した。細胞を、追加されたIscoveのDulbecco改変培地(IMDM)中で増殖させ、1〜2×10細胞/mlに維持した。組換えヒトIL−18については、Peprotech(200−18)から入手し、組換えヒトTNFαは、R&D Systems(210−TA)から購入した。1nM IL−18(+1.1nM TNFα)に応答して放出されるIFNγの量を、各実験でモニターし、約250〜4000pg/mlの範囲であった。
【0202】
KG−1アッセイを、96平底ウェル細胞培養プレート(Costar)中で行った。抗体の試験溶液(2連)を、50μlの容量で希釈せずに(またはDulbeccoのPBS中に必要とされる濃度まで希釈して)用いた。その後、後で50μl KG−1細胞を穏やかに混合しながら加えた、(KG−1培地を用いた)6〜9ポイントの1/3希釈系列で、抗体を滴定した。IL−18のみを含む「抗体無し」対照、および「細胞のみ」対照を常に含めた。抗体/細胞混合物の37℃、5%COでの30〜60分間のインキュベーション後、KG−1培地に希釈されたIL−18+TNFαの100μlを穏やかに混合しながら加えた。IMAC精製scFvの最終濃度は、典型的には、25〜200μg/mlの範囲であった。3つの参照阻害剤を全アッセイで用いた。最初の2つは、IL−18Rの2つの異なる鎖、RP1(R&Dsystems、MAB840)およびAcPL(R&Dsystems、MAB1181)に対するモノクローナル抗体であった。これらの抗体は、希釈系列の最終の開始濃度が10〜20μg/mlである点を除いて、scFvについての上記のように用いた。加えて、組換えIL−18BP/Fcキメラ(R&Dsystems、119−BP)を、IL−18を中和するために用いた。この場合、50μlのKG−1培地を細胞培養プレートに加え、続いて、50μlの細胞を加えて、抗体についての上記のように細胞をインキュベートした。別の96ウェル「U」底細胞培養プレートにおいて、60μl/ウェル中(KG−1培地を用いた)6〜9ポイント1/2希釈系列で、IL−18BP/Fcを滴定した。等容量のIL−18+TNFαをIL−18BP/Fc希釈系列に加えた。IL−18BP/Fc/IL−18混合物の37℃、5%COでの30〜60分間のインキュベーション後、100μl/ウェルを、穏やかに混合しながらKG−1細胞プレートに加えた。希釈系列のIL−18BP/Fcの最終の開始濃度は、1mg/mlであった。KG−1細胞の最終濃度は1.5×10細胞/ml(すなわち、3×10/ウェル)であり、IL−18については、1nMの最終濃度(+1.1nM TNFα)で用いた。
【0203】
IFNγ応答のEC50を決定するためにIL−18も滴定した。IL−18については、TNFαを1.1nMで一定に保持して、(KG−1培地を用いた)6〜10ポイント1/2希釈系列で滴定した。この場合、50mlのKG−1培地を細胞培養プレートに加え、続いて、50mlの細胞を加えた。細胞プレートを37℃、5%COで30〜60分間、インキュベートし、その後、滴定されるIL−18の100mlを穏やかに混合しながら加えた。IL−18の最終濃度は、希釈系列として5nMから開始した。典型的には、IL−18(+TNFα)のEC50は、0.5〜1nMの範囲であったが、0.3nMまで下がった、または5nMまで上がった、最小および最大EC50値も、たまに見られた。
【0204】
KG−1細胞プレートを37℃、5%COで一晩、インキュベートした。きれいな「U」底96ウェルプレートへ180ml培地を取り出すことによって、細胞上清を収集し、その後、そのプレートを密封し、1200rpmで5分間、遠心分離した。その後、細胞を含まない上清の160mlを別のきれいな「U」底96ウェルプレートに移し、清澄化した上清をすぐに試験した、または−20℃で凍結させた。
【0205】
KG−1細胞上清におけるIFNγの量を、時間分解蛍光定量読み取りを用いる、標準サンドイッチELISAに基づくアッセイによって決定した。FLUORONUNC平底96ウェルプレート(NUNC、437958)を4mg/mlでのIFNγ特異的モノクローナル捕獲抗体(R&D Systems、MAB2851)の100ml/ウェルを用いてコーティングし、+4℃で一晩、放置した。プレートをDulbeccoのPBSですすぎ、その後、PBS中3%紛ミルクの200ml/ウェルを加え、RT(RT)で1〜2時間、インキュベートすることによって、非特異的タンパク質結合をブロッキングした。組換えヒトIFNγ標準(R&D Systems、285−IF−100)を試薬希釈剤(0.1%BSA、0.05%Tween−20、20mM Tris、150mM NaCl;pH7.2〜7.4)中、16,000pg/mlに希釈し、その後、12ポイント1/2希釈系列で滴定した。ブロッキング緩衝剤を捕獲抗体コーティング化プレートから除去し、100ml/ウェルのIFNγ標準または清澄化細胞上清を加えた。「ブランク」対照として試薬希釈剤を加えた。RTで1〜2時間のインキュベーション後、プレートを、0.1%Tween−20を含むPBSで3回、洗浄した。ビオチン化抗ヒトIFNγポリクローナル検出抗体(R&D Systems、BAF285)を、2%正常ヤギ血清を追加した試薬希釈剤中、100ng/mlに希釈し、100ml/ウェルを加えた。RTで1時間のインキュベーション後、プレートを、0.1%Tween−20を含むPBSで3回、洗浄した。ストレプトアビジン−ユーロピウム(Perkin−Elmer、4001−0010)をDELFIAアッセイ緩衝剤(Perkin−Elmer、4002−0010)中、1/1000希釈し、100ml/ウェルを加えた。RTでの30〜60分間のインキュベーション後、プレートを、DELFIA洗浄緩衝剤(Perkin−Elmer、1244−114)で7回、洗浄した。DELFIA増強溶液(Perkin−Elmer、4001−0010)を100ml/ウェルで加え、プレートをRTで少なくとも10分間、放置した。生じた蛍光シグナルを、Victor2 Vプレートリーダー(Perkin Elmer)を用いる解離増強した時間分解蛍光定量法を用いて測定した。
【0206】
ELISA「ブランク」対照についての平均値をIFNγ標準についての結果から引き算したが、「細胞単独」対照についての平均値は、細胞上清結果に対して引き算した。GraphPad PRISM(GraphPad Software,Inc.)を用いて、(変数傾きを有する)非線形回帰を用いるIFNγ標準曲線を計算した。その後、細胞上清中のIFNγの濃度を、IFNγ標準曲線について「Yからの未知X」の出力を用いることによって決定した。IL−18に応答したKG−1細胞からのIFNγ放出に対するEC50を、(変数傾きを有する)非線形回帰を用いて計算し、必要に応じて、上端および下端を制限した。試験化合物によるKG−1細胞からのIFNγ放出の阻害を、蛍光カウントデータを用いて、「抗体無し」IL−18単独対照の平均値のパーセンテージとして正規化した。その後、試験化合物のIC50値を、(変数傾きを有する)非線形回帰を用い、かつ下端および上端をそれぞれ、0%および100%に制限して、計算することができた。
【0207】
抗体AM9/AM9、AM11/AM7、AM3/AM14、およびAM6/AM12のIgG2型は、KG1細胞によるIFN−γ産生へのそれらの効果を測定するアッセイにおいて最初のIgG4型と少なくとも等価の効力を有する。さらに、IgG2型は、ヒトNK細胞によるINF−γ産生を測定するアッセイにおいて最初のIgG4と少なくとも等価の効力を有する。
【0208】
抗体のIgG2型は、カニクイザルPBMC#010182細胞によるIL−18誘導性INF−γ産生へのそれらの効果を測定するアッセイにおいて最初のIgG4と等価の効力を有する。これは、IgG2への変換が、試験された抗体のカニクイザル交差反応性に影響しなかったことを確信させている。
【0209】
4.特異性のアッセイ
様々な抗体のIgGを、タンパク質のパネルに対するELISAによって交差反応性について分析した。
【0210】
試験抗原を、タンパク質イモビライザー(Immobiliser)96ウェルプレート(Exiqon、製品番号10203−111−60)上にPBS(Dulbeccoのw/o CaおよびMg、Invitrogen、カタログ番号14190−086)中1μg/mlで2連、50μl/ウェル、4℃で一晩、コーティングした。
【0211】
プレートを、96ウェルプレート洗浄機(BIO−TEK、ELX405UV)を用いてウェルあたり、300μl PBS−Tween(0.1%)(PBS−T)で3回、および300μl PBSで3回、洗浄した。洗浄されたプレートへ、ブロッキング剤としてウェルあたり300μlの3%Marvel PBS(MPBS)を加えた。プレートを室温(RT)で1時間、ブロッキングした。
【0212】
前述のように、プレートを、PBS−Tで3回、およびPBSで3回、洗浄した。
【0213】
抗体(hulgG)を、3%MPBS中0.5μg/mlに希釈した。ウェルあたり50μlの希釈されたhulgGを加えた。プレートをRTで1時間、インキュベートした。プレートを、前述のように洗浄した。
【0214】
一次検出抗体(モノクローナル抗ヒトIgG4クローンHP−6025ビオチンコンジュゲート、Sigma、カタログ番号B−3648)を3%MPBS中1:15,000希釈し、ウェルあたり50μlでプレートへ加えた。一次検出抗体とのインキュベーションはRTで1時間であった。プレートを、前述のように洗浄した。
【0215】
二次検出抗体(ExtrAvidinペルオキシダーゼコンジュゲート、Sigma、カタログ番号E−2886)を3%MPBS中1:1,000希釈し、ウェルあたり50μlでプレートへ加えた。二次検出抗体とのインキュベーションはRTで30分間であった。プレートを、前述のように洗浄した。
【0216】
ウェルあたり50μlのテトラメチルベンジジン(TMB)(ELISAについての液体基質、Sigma、カタログ番号T−0440)を加え、RTで10分間、インキュベートした。酵素呈色反応を停止させるために、ウェルあたり50μl 0.5M HSOを加えた。
【0217】
96ウェルプレートリーダー(Victor Vプレートリーダー(Perkin Elmer))上、450nmでプレートを読み取った。
【0218】
特定の抗IL−18受容体IgG4抗体は、ヒトおよびカニクイザルIL−18受容体タンパク質に対してのみ陽性であった。他の種との交差反応性はなかった。上記抗体のIgG2型は、同じ交差反応性を有した、すなわち、それはカニクイザルIL−18受容体とのみ交差反応した。
【0219】
(B.実施例2):IL−18受容体抗体の結合親和性の特徴付け
この実施例は、IL−18受容体結合タンパク質の細胞表面発現性ヒトIL−18Rαへの結合親和性を決定する例示的な方法を提供する。IL−18受容体抗体を、[125I]−ボルトンハンター試薬を用いてヨウ素化した(二ヨウ素化した;Perkin Elmer Life Sciences,Inc.、Boston、MA)。無水ベンゼン中に供給された1ミリキュリーの[125I]−ボルトンハンター試薬を窒素気流下で乾燥状態へと蒸発させた。5マイクロリットルのIL−18受容体抗体(16マイクログラム)を等量のホウ酸緩衝食塩水で希釈し、その後、その最初のバイアル中の乾燥した[125I]−ボルトンハンター試薬に加えた。4℃での一晩のインキュベーション後、10マイクロリットルのPBS、0.1%ゼラチンを加え、全試料を、平衡2mL P6カラム(BioRad;Hercules、CA)へ移し、そこで、ヨウ素化IL−18受容体抗体を、担体タンパク質としての0.1%ゼラチンでのゲル濾過によって遊離125Iから分離した。ヨウ素化抗体を含む画分をプールし、結合培地(2.5%ウシアルブミン、フラクションV、20mM Hepes、および0.2%アジ化ナトリウムを含むRPMI 1640、pH7.2)中100nMの濃度に希釈し、4℃で保存した。3.5×1015cpm/mmolの特異的活性が、アミノ酸分析による抗体の最初のタンパク質濃度、およびヨウ素化抗体のアリコートに[125I]−ボルトンハンター試薬を排除したヨウ素化プロトコールを実施した対照実験からの70%の回収率に基づいて、計算された。
【0220】
1.直接平衡結合
KG−1細胞を、20ng/mLのヒトTNFαの存在下、20%ウシ胎児血清を含むIMDM培地中、5%CO、37℃で20時間、刺激した。刺激されたKG−1細胞(5×10細胞/150マイクロリットル最終)をPBSで2回、洗浄し、その後、一連の濃度のヨウ素化抗体とインキュベートした。ヨウ素化抗体の単一濃度(約350pM、3連)において、1000倍モル過剰の非標識抗体の存在下で、非特異的結合を測定し、存在するヨウ素化抗体の濃度の一次関数であると仮定した。可能性のある細胞によるヨウ素化抗体の内部移行を抑制するために、全試薬を、アジ化ナトリウム(0.2%)を含む結合培地に希釈した。
【0221】
細胞を、ミニオービタルシェーカー上、37℃、5%COで、96ウェル丸底マイクロタイタープレート中でインキュベートした。4時間後、各混合物の2つの60マイクロリットルのアリコートを、200マイクロリットルのフタル酸オイル(フタル酸ジブチル1.5:フタル酸ジオクチル1)を含む冷却した400マイクロリットルのポリエチレン遠心管に移し、4℃卓上用微量遠心分離器(Sorvall、Asheville、NC)内、10,000rpmで1.5分間、回転させて、細胞に会合したヨウ素化抗体を遊離ヨウ素化抗体から分離した。そのオイルチューブを切断し、各細胞ペレットおよび上清を、個々の12×75mmガラス管に採取し、cpm測定のためにCOBRAガンマカウンター(Packard Instrument Company;Boston、MA)に装填した。各ウェルについての2連のアリコートからのcpmを分析のために平均した。Prismバージョン3.03(GraphPad Software,Inc.;San Diego、CA)における非線形回帰によって、データを単純な1部位結合方程式にフィットさせた。
【0222】
37℃における刺激されたKG−1細胞に結合したヨウ素化抗体は、81pMのKおよび約4700部位/細胞を有した。
【0223】
2.競合アッセイ
刺激し、かつ洗浄したKG−1細胞(5×10細胞/150マイクロリットル最終)を、結合培地中、単一濃度のヨウ素化抗体(15.6pM)および様々な濃度の非標識抗体とインキュベートした。1000倍モル過剰の非標識抗体の存在下で、非特異的結合を決定した。ヨウ素化抗体および非標識抗体を、細胞の添加直前に混合した、すなわち、プレインキュベーション工程はなかった。
【0224】
細胞を、ミニオービタルシェーカー上、37℃、5%COで、96ウェル丸底マイクロタイタープレート中でインキュベートした。4時間後、各混合物の2つの60マイクロリットルのアリコートを、200マイクロリットルのフタル酸オイル(フタル酸ジブチル1.5:フタル酸ジオクチル1)を含む冷却した400マイクロリットルのポリエチレン遠心管に移し、4℃卓上用微量遠心機(Sorvall、Asheville、NC)内、10,000rpmで1.5分間、回転させて、細胞に会合したヨウ素化抗体を遊離ヨウ素化抗体から分離した。オイルチューブを切断し、各細胞ペレットおよび上清を、個々の12×75mmガラス管に採取し、cpm測定のためにCOBRAガンマカウンター(Packard Instrument Company;Boston、MA)に装填した。各ウェルについての2連のアリコートからのcpmを分析のために平均した。Prismにおいて、81pMのKd値を用いる非線形回帰によって、データを単一競合阻害方程式にフィットさせた。
【0225】
非標識抗体結合のKdは、53pMであった。
【0226】
(C.実施例3):抗IL−18受容体抗体の活性の特徴付け
IFNγ放出アッセイを、実施例1、セクション3に記載されているように、下記の様々なIgG構築物について実施した。
【0227】
1.AM2/AM16、AM2/AM17、AM1/AM16、およびAM1/AM17構築物でのKG1細胞によるINFγ放出の阻害の比較
AM/AM抗原結合タンパク質構築物AM2/AM16、AM2/AM17、AM1/AM16、およびAM1/AM17で処理した場合のKG1細胞によるINF−γ放出の阻害を、IL−18結合タンパク質(BP)での対照処理と比較した。AM/AM抗原結合タンパク質は、IFNγ放出を阻害することにおいて、有意により効果的であり、すべてが、520pMのIL−18 BPについてのED50と比較して6〜10pMのED50を示した。
【0228】
2.AM4/AM14、AM4/AM15、AM3/AM14、およびAM3/AM15構築物でのKG1細胞によるINFγ放出の阻害の比較
AM/AM抗原結合タンパク質構築物AM4/AM14、AM4/AM15、AM3/AM14、およびAM3/AM15で処理した場合のKG1細胞によるIFN−γ放出の阻害を、IL−18結合タンパク質(BP)での対照処理と比較した。AM/AM抗原結合タンパク質は、IFNγ放出を阻害することにおいて、有意により効果的であり、すべてが、520pMのIL−18 BPについてのED50と比較して3〜7pMのED50を示した。
【0229】
3.AM6/AM12、AM6/AM13、AM5/AM12、およびAM5/AM13構築物でのKG1細胞によるINFγ放出の阻害の比較
AM/AM抗原結合タンパク質構築物AM6/AM12、AM6/AM13、AM5/AM12、およびAM5/AM13で処理した場合のKG1細胞によるINF−γ放出の阻害を、IL−18結合タンパク質(BP)での対照処理と比較した。AM/AM抗原結合タンパク質は、IFNγ放出を阻害することにおいて、有意により効果的であり、すべてが、520pMのIL−18 BPについてのED50と比較して2.9〜11.3pMのED50を示した。
【0230】
4.AM8/AM11、AM9/AM9、AM10/AM8、およびAM11/AM7IgGによる、KG1細胞によるINFγ放出の阻害
AM8/AM11、AM9/AM9、AM10/AM8、およびAM11/AM7IgGの組合せを含むAM/AM IgG抗原結合タンパク質構築物でのKG1細胞によるINF−γ放出の阻害を、IL−18結合タンパク質(BP)での対照処理と比較した。AM/AM抗原結合タンパク質は、IFNγ放出を阻害することにおいて、有意により効果的であり、すべてが、520pMのIL−18 BPについてのED50と比較して3〜45pMのED50を示した。
【0231】
5.AM15/AM3、AM13/AM4、AM13/AM5、およびAM16/AM2IgGによる、KG1細胞によるINFγ放出の阻害
AM15/AM3、AM13/AM4、AM13/AM5、およびAM16/AM2IgGの組合せを含むAM/AM IgG抗原結合タンパク質構築物でのKG1細胞によるINF−γ放出の阻害を、IL−18結合タンパク質(BP)での対照処理と比較した。AM/AM抗原結合タンパク質は、IFNγ放出を阻害することにおいて、有意により効果的であり、すべてが、520pMのIL−18 BPについてのED50と比較して17〜320pMのED50を示した。
【0232】
(D.実施例4):記載されたIL−18受容体抗体の結合エピトープの同定
IL−18受容体結合タンパク質の1つまたは複数に結合するのに重要である、ヒトIL−18受容体(IL−18R)に存在するアミノ酸残基を決定するために実験を行った。ヒトIL−18Rに高親和性で結合する例示的な抗体は、IL−18Rのマウスオルソログを結合しなかった。実験は、ヒトIL−18RとマウスIL−18Rとの間で異なるアミノ酸を調べる方向へ向けられた。それらのアミノ酸のうちのどれが、受容体の表面上に位置し、それゆえに、その抗体と相互作用する可能性がより高いのかを決定するために、IL−18Rのコンピュータによる3次元モデルの分析とこれを合わせた。部位特異的突然変異誘発を用いて、特定のアミノ酸をヒト配列からマウス配列へ変化させ、その後、突然変異体IL−18R分子を抗体への結合について試験することにより、候補アミノ酸を、抗体認識へのそれらの寄与について調べた。異なる突然変異を結合する抗体の相対的能力は、抗体用量反応曲線およびその結果のEC50濃度(最大結合シグナルの50%に必要とされる抗体の濃度)の決定を用いて評価した。
【0233】
抗体結合にとって特に重要であり、したがって、エピトープに寄与する、ヒトIL−18Rの表面上の領域を同定した。この領域は、(図5の太字で示された)アミノ酸243〜271位を含む。この領域における特定のアミノ酸がマウス配列へと突然変異した場合、抗体結合は減少した(表3に報告された、抗体結合への効果)。アミノ酸250〜253位(MFGE突然変異体)および267〜271位(MRIMT突然変異体)は、抗体結合に最も著明な影響を生じたが、どちらも全面的に抗体結合だけに影響したというわけではない(下線のアミノ酸残基を参照)。受容体が、試験された特定の部位のすべての4つにおいて突然変異した場合、抗体結合は事実上、消失した。対照抗IL−18R受容体抗体の結合は、突然変異によって有意には影響されず、受容体の全体的構造が突然変異によって破壊されなかったことを示している。アミノ酸243〜271位は、推定のIL−18接触点のうちの1個をコードし、したがって、このエピトープは、IL−18の受容体への結合を遮断する抗体の能力と一致している。
【0234】
【表3】

ヒトIL18Rを、示された残基においてマウスIL18R配列へ突然変異させ、アビジンタグを有する組換え突然変異型受容体をビオチンコーティング化ビーズ上に固定化した。その後、固定化受容体を、可溶性結合アッセイにおいて相対的抗体結合能力を決定するために用いた。結合についてはまた、例示的な抗体とは異なるエピトープを認識する抗huIL−18R抗体を用いて行った。結合実験をすべて、少なくとも2回、行った。平均EC50は、最大結合の50%を達成するのに必要とされる抗体の濃度を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、ヒトIL−18受容体を結合する単離された抗原結合タンパク質:
(a)配列番号89、92、95、98、101、104、107、110、113、116、119、122、125、128、131、134、137のいずれかのCDRH1;(b)配列番号90、93、96、99、102、105、108、111、114、117、120、123、126、129、132、135、138のいずれかのCDRH2;および(c)配列番号91、94、97、100、103、106、109、112、115、118、121、124、127、130、133、136、139のいずれかのCDRH3からなる群より選択される少なくとも1つのCDRを含む重鎖アミノ酸配列;または
(a)配列番号140、143、146、149、152、155、158、161、164、167、170、173、176、179、182、185、188のいずれかのCDRL1;(b)配列番号141、144、147、150、153、156、159、162、165、168、171、174、177、180、183、186、189のいずれかのCDRL2;および(c)配列番号142、145、148、151、154、157、160、163、166、169、172、175、178、181、184、187、190のいずれかのCDRL3からなる群より選択される少なくとも1つのCDRを含む軽鎖アミノ酸配列。
【請求項2】
以下を含む、請求項1に記載の抗原結合タンパク質:
(a)配列番号89、92、95、98、101、104、107、110、113、116、119、122、125、128、131、134、137のいずれかのCDRH1;(b)配列番号90、93、96、99、102、105、108、111、114、117、120、123、126、129、132、135、138のいずれかのCDRH2;および(c)配列番号91、94、97、100、103、106、109、112、115、118、121、124、127、130、133、136、139のいずれかのCDRH3からなる群より選択される少なくとも1つのCDRを含む重鎖アミノ酸配列;ならびに
(a)配列番号140、143、146、149、152、155、158、161、164、167、170、173、176、179、182、185、188のいずれかのCDRL1;(b)配列番号141、144、147、150、153、156、159、162、165、168、171、174、177、180、183、186、189のいずれかのCDRL2;および(c)配列番号142、145、148、151、154、157、160、163、166、169、172、175、178、181、184、187、190のいずれかのCDRL3からなる群より選択される少なくとも1つのCDRを含む軽鎖アミノ酸配列。
【請求項3】
配列番号89〜139のいずれかのCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列、または配列番号140〜190のいずれかのCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項4】
配列番号89〜139のいずれかのCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列、ならびに配列番号140〜190のいずれかのCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項5】
配列番号1〜17からなる群より選択される重鎖アミノ酸配列、または配列番号18〜34からなる群より選択される軽鎖アミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項6】
配列番号1〜17からなる群より選択される重鎖アミノ酸配列、および配列番号18〜34からなる群より選択される軽鎖アミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項7】
配列番号91、94、97、100、103、106、109、112、115、118、121、124、127、130、133、136、139のいずれかのCDRH3を含む、請求項1に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項8】
配列番号91、94、97、100、103、106、109、112、115、118、121、124、127、130、133、136、139のいずれかのCDRH3、および配列番号142、145、148、151、154、157、160、163、166、169、172、175、178、181、184、187、190のいずれかのCDRL3を含む、請求項1に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項9】
配列番号73、77、81、もしくは85のIgG重鎖、または配列番号75、79、83、もしくは87のIgG軽鎖を含む、単離された抗原結合タンパク質。
【請求項10】
モノクローナル抗体、ヒト抗体、組換え抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体、またはそれらの断片である、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、または9のいずれかに記載の抗原結合タンパク質。
【請求項11】
前記抗体断片が、ミニボディ、ドメイン抗体、F(ab)断片、F(ab’)断片、F(ab’)断片、Fv断片、scFv断片、Fd断片、ダイアボディ、または一本鎖抗体分子である、請求項10に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項12】
IgG1型、IgG2型、IgG3型、またはIgG4型である、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、または9のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項13】
IgG2型である、請求項12に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項14】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、または9のいずれか一項に記載の単離された抗原結合タンパク質を調製するための方法であって、該抗原結合タンパク質を分泌する宿主細胞から該抗原結合タンパク質を調製する工程を含む、方法。
【請求項15】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、または9のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質をコードする単離された核酸分子。
【請求項16】
調節配列に作動可能に連結されている、請求項15に記載の単離された核酸分子。
【請求項17】
請求項15に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項18】
請求項16に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項19】
請求項17に記載のベクターで形質転換された宿主細胞。
【請求項20】
請求項18に記載のベクターで形質転換された宿主細胞。
【請求項21】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、または9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの抗原結合タンパク質、および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
【請求項22】
患者においてIL−18受容体に関連した状態を予防または処置するための方法であって、それを必要としている患者に請求項21に記載の薬学的組成物を投与することを含む、方法。
【請求項23】
前記状態が、自己免疫疾患、肝疾患、膵疾患、および心血管系疾患からなる群より選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記自己免疫疾患が、乾癬、関節リウマチ、狼瘡、I型糖尿病、クローン病、炎症性腸疾患、多発性硬化症、自己免疫性肝炎、HIV、アトピー性皮膚炎、重症筋無力症、およびサルコイドーシスからなる群より選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記肝疾患が肝炎である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記膵疾患が慢性膵炎または急性膵炎である、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記心血管系疾患が、急性心臓発作を含む心臓疾患、じゅく状斑破裂、虚血後心不全、再灌流障害、血管炎症、およびアテローム発生からなる群より選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
IL−18受容体を請求項1、2、3、4、5、6、7、8、または9のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質と接触させることを含む、IL−18のIL−18受容体への結合を阻害する方法であって、該抗原結合タンパク質が該IL−18受容体を結合し、該IL−18受容体のIL−18への結合を阻止する、方法。
【請求項29】
成熟IL−18受容体(配列番号69)のアミノ酸残基250〜253位および267〜271位によって形成される3次元構造に結合する、単離された抗原結合タンパク質。
【請求項30】
モノクローナル抗体、ヒト抗体、組換え抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体、またはそれらの断片である、請求項29に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項31】
前記抗体断片が、ミニボディ、ドメイン抗体、F(ab)断片、F(ab’)断片、F(ab’)断片、Fv断片、scFv断片、Fd断片、ダイアボディ、または一本鎖抗体分子である、請求項30に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項32】
IgG1型、IgG2型、IgG3型、またはIgG4型である、請求項29に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項33】
IgG2型である、請求項32に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項34】
請求項29、30、31、32、または33のいずれか一項に記載の単離された抗原結合タンパク質を調製するための方法であって、該抗原結合タンパク質を分泌する宿主細胞から該抗原結合タンパク質を調製する工程を含む、方法。
【請求項35】
請求項29、30、31、32、または33のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質をコードする単離された核酸分子。
【請求項36】
調節配列に作動可能に連結されている、請求項35に記載の単離された核酸分子。
【請求項37】
請求項35に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項38】
請求項36に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項39】
請求項37に記載のベクターで形質転換された宿主細胞。
【請求項40】
請求項38に記載のベクターで形質転換された宿主細胞。
【請求項41】
請求項29、30、31、32、または33のいずれか一項に記載の少なくとも1つの抗原結合タンパク質、および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
【請求項42】
患者においてIL−18受容体に関連した状態を予防または処置するための方法であって、それを必要としている患者に請求項41に記載の薬学的組成物を投与することを含む方法。
【請求項43】
前記状態が、自己免疫疾患、肝疾患、膵疾患、および心血管系疾患からなる群より選択される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記自己免疫疾患が、乾癬、関節リウマチ、狼瘡、I型糖尿病、クローン病、炎症性腸疾患、多発性硬化症、自己免疫性肝炎、HIV、アトピー性皮膚炎、重症筋無力症、およびサルコイドーシスからなる群より選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記肝疾患が肝炎である、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記膵疾患が慢性膵炎または急性膵炎である、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
前記心血管系疾患が、急性心臓発作を含む心臓疾患、じゅく状斑破裂、虚血後心不全、再灌流障害、血管炎症、およびアテローム発生からなる群より選択される、請求項42に記載の方法。
【請求項48】
IL−18受容体を請求項29、30、31、32、または33のいずれかに記載の抗原結合タンパク質と接触させることを含む、IL−18のIL−18受容体への結合を阻害する方法であって、該抗原結合タンパク質が該IL−18受容体を結合し、該IL−18受容体のIL−18への結合を阻止する、方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図1G】
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【図1H】
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【図1I】
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【図1J】
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【図1K】
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【図1L】
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【図1M】
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【図1N】
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【図1O】
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【図1P】
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【図1Q】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2010−534478(P2010−534478A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518389(P2010−518389)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/071047
【国際公開番号】WO2009/015284
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(500203709)アムジェン インコーポレイテッド (76)
【Fターム(参考)】