説明

IL−18結合タンパク質の活性変異体とその医学的応用

本発明は、IL-18結合タンパク質の活性断片、そのような活性断片を含む医薬組成物と、医学におけるその利用法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新しいインターロイキン18結合タンパク質(IL-18BP)に関する。本発明はさらに、そのようなIL-18BPを含む医薬組成物と、そのようなIL-18BPをコードしている核酸と、医学におけるそのIL-18BPの利用法にも関する。
【背景技術】
【0002】
1989年、内毒素によって誘導された血清活性が、マウスの脾臓細胞からインターフェロンγ(IFN-γ)を誘導したことが報告されている(Nakamura他、1989年)。この血清活性は、IFN-γの直接的誘導因子としては機能せず、IL-2またはマイトジェンとともに共刺激因子として機能した。内毒素で誘導した後のマウス血清から活性を精製する試みにより、見かけ上均質な50〜55kDaのタンパク質が見つかった。他のサイトカインもIFN-γ産生の共刺激因子として機能しうるが、IL-1、IL-4、IL-5、IL-6、TNFのどれに対する中和抗体もその血清活性を中和できなかったため、その血清活性は別の因子であることが示唆された。1995年、同じ研究者たちが、内毒素によって誘導されてIFN-γを産生させる共刺激因子が、ざ瘡プロピオンバクテリウム(P.acne)であらかじめ処理したマウスの肝臓からの抽出液に存在していることを示した(Okamura他、1995年)。このモデルでは、肝臓マクロファージの集合(クッパー細胞)が増殖し、そのマウスでは、前処理していないマウスであれば致死的ではない少量の細菌リポ多糖(LPS)が致死的になる。ざ瘡プロピオンバクテリウムで処理したマウスの肝臓1,200グラムからこの因子(IFN-γ誘導因子(IGIF)と名づけられたが、後にインターロイキン-18(IL-18)という名称になった)を精製して均質にした。精製したIL-18のアミノ酸配列に由来する縮重オリゴヌクレオチドを用いてマウスのIL-18のcDNAをクローニングした。IL-18は、157個のアミノ酸からなる18〜19kDaのタンパク質であり、データベースにあるどのペプチドとも明らかな類似性はない。IL-18とインターロイキン-12(IL-12)のメッセンジャーRNAは、クッパー細胞と活性化したマクロファージの中で容易に検出される。組み換えIL-18は、IL-12とは明らかに別の経路を通じてIL-12よりも強力にIFN-γを誘導する(Micallef他、1996年)。IL-18は、内毒素によって誘導される血清活性と同様、それ自体はIFN-γを誘導せず、マイトジェンまたはIL-2とともに主として共刺激因子として機能する。IL-18は、明らかにIL-2に依存した経路を通じてT細胞の増殖を促進し、試験管内でTh1サイトカインの産生を増大させ、IFN-γの産生増大に関してIL-12と組み合わさって相乗効果を示す(Micallef他、1996年)。
【0003】
マウスでIL-18のcDNAがクローニングされた後、IL-18のヒトcDNA配列が報告された(Okamura他、1995年)。
【0004】
侵された組織からIL-18をクローニングしてIL-18遺伝子の発現を研究することにより、このサイトカインと自己免疫疾患の密接な関係が見いだされた。非肥満性糖尿病(NOD)マウスは自発的に自己免疫性インスリン炎と糖尿病を発症し、その発症は、シクロホスファミドを1回注射するだけで加速させることができ、しかも同時に起こすことができる。IL-18のmRNAは、インスリン炎の初期段階にあるNODマウスの膵臓での逆転写酵素PCRによって見いだされた。IL-18のmRNAのレベルは、シクロホスファミドで処理した後に急激に上昇してIFN-γのmRNAの上昇を上回り、続いて糖尿病を発症した。興味深いことに、この動態は、IL-12-p40のmRNAの動態と似ており、個々のmRNAのレベルは密接な相関関係を示した。膵臓のmRNAからIL-18のcDNAをクローニングした後、シークエンシングをすると、クッパー細胞およびあらかじめ活性化させたマクロファージからクローニングしたIL-18の配列と一致することがわかった。NODマウスのマクロファージもIL-18遺伝子の発現に関してシクロホスファミドに応答したが、並行して処理したBalb/cマウスからのマクロファージは応答しなかった。したがって自己免疫NODマウスではIL-18の発現調節が異常であり、IL-18の発現が糖尿病の発症と密接に関係している(Rothe他、1997年)。
【0005】
IL-18は、Th1細胞上のFasリガンドの機能活性を増大させることにより、免疫調節と炎症において潜在的な役割を果たす(Conti他、1997年)。IL-18は、副腎皮質内でも発現するため、神経免疫調節因子として分泌されてストレス体験の後に免疫系を調節する上で重要な役割を果たしている可能性がある(Chater、1986年)。
【0006】
生体内では、IL-18はプロIL-18の開裂によって形成され、その内部活性が、ざ瘡プロピオンバクテリウムにおけるIFN-γの産生とLPSを媒介とした致死性を説明できるように思われる。成熟したIL-18は、IL-1β変換酵素(ICE、カスパーゼ-1)によってIL-18前駆体から産生される。
【0007】
IL-18受容体は、リガンドに結合する際に協働する少なくとも2つの要素からなる。IL-18に対する親和性の大きな結合部位と小さな結合部位が、T細胞で刺激したマウスのIL-12で見つかった(Yoshimoto他、1998年)。これは、IL-18受容体が多重鎖受容体複合体であることを示唆している。受容体の2つのサブユニットがこれまでに同定されており、両方ともIL-1受容体ファミリーに属する(Parnet他、1996年)。IL-18のシグナル伝達にはNF-κBの活性化が関与する(DiDonato他、1997年)。
【0008】
最近、IL-18に対する親和性が大きい可溶性タンパク質がヒトの尿から単離され、ヒトとマウスのcDNAが報告された(Novick他、1999年;WO 99/09063)。このタンパク質は、IL-18結合タンパク質(IL-18BP)と名づけられた。
【0009】
IL-18BPは、既知のIL-18受容体の1つの細胞外ドメインではなく、自然に分泌されて循環しているタンパク質である。IL-18BPは、分泌タンパク質の新しいファミリーに属する。このファミリーには、ポックスウイルスをコードしていてIL-18BPとの相同性が大きいいくつかのタンパク質も含まれる(Novick他、1999年)。IL-18BPは、脾臓で構成的に発現し、免疫グロブリン・スーパーファミリーに属し、IL-1のタイプII受容体とある程度相同である。IL-18BPの遺伝子は、ヒト染色体11q13に局在していたが、8.3kbのゲノム配列中に膜貫通ドメインをコードしているエキソンは見つからなかった(Novick他、1999年)。
【0010】
mRNAのスプライシングによって得られたIL-18BPのアイソフォーム(ヒトでは4つ、マウスでは2つ)がさまざまなcDNAライブラリで見いだされており、そのアイソフォームが発現され、精製されて、結合とIL-18の生物活性の中和について評価された(Kim他、2000年)。ヒトIL-18BPのアイソフォームa(IL-18BPa)が最大の親和性を示したのは、オン-レートが速く、オフ-レートが遅く、解離定数(K(d))が399pMのIL-18に対してである。IL-18BPcは、IL-18BPaとC末端の29個のアミノ酸を除いてIgドメインが共通である。IL-18BPcのK(d)は、10倍未満である(2.94nM)。しかしIL-18BPaとIL-18BPcは、モル数が2倍以上過剰な状態でIL-18を95%以上中和する。IL-18BPbアイソフォームとIL-18BPdアイソフォームには完全なIgドメインが欠けており、IL-18と結合する能力やIL-18を中和する能力も欠けている。同じIgドメインを有するマウスのIL-18BPbアイソフォームとIL-18BPdアイソフォームもモル数が2倍以上過剰な状態でマウスのIL-18を95%以上中和する。しかしヒトIL-18BPaとC末端のモチーフが共通なマウスのIL-18BPdもヒトIL-18を中和する。分子モデリングにより、IL-18BPのIgドメイン内で静電的かつ疎水性の大きな結合部位が同定されたため、その部位により、IL-18BPがリガンドに対して大きな親和性で結合することが説明できる可能性がある(Kim他、2000年)。
【0011】
いくつかの疾患において、IL-18BPの好ましい効果が報告されている。IL-18BPを用いた治療が可能な疾患の具体例としては、腫瘍の転移(WO 01/07480)、関節炎、炎症性腸疾患、肝臓の損傷(WO 01/62285)、心疾患(WO 02/060479)、外傷性脳損傷(WO 02/096456)、敗血症(WO 02/092008)、アテローム性動脈硬化症(WO 01/85201)、過敏性疾患(WO 03/033015)がある。
【0012】
ウイルスにおけるヒトIL-18BPのホモログのIL-18結合ドメインが文献に報告されている(XiangとMoss、2001年)。これは、伝染性軟属腫ウイルスのIL-18結合タンパク質のフリン開裂形態が、IL-18への結合特性を有することを示している。それに加え、いくつかの点突然変異がIL-18BPのウイルスでのホモログに導入され、そのタンパク質で生物活性のある部分を明らかにするために試験管内でIL-18への結合が調べられた(XiangとMoss、2001年)。
【0013】
しかしIL-18BPアイソフォームaで生物活性のある断片はまだ同定されておらず、特性もわかっていない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、組み換えヒトIL-18BPアイソフォームaの製造中に先端が切れた形態が、インビトロ・バイオアッセイで測定したときにIL-18BPの生物活性を保持していたという発見に基づいている。したがって本発明は、配列ID番号2、3、4、5、6、7いずれかのアミノ酸配列を有するIL-18BPの変異体と、これら配列のC末端アミノ酸残基が欠けている変異体に関する。このような変異体は、成熟したIL-18BPの活性な変異体となる。
【0015】
本発明はさらに、そのようなIL-18BP変異体をコードしている核酸分子と、そのような変異体を含む医薬組成物と、Il-18を媒介とした疾患の治療および/または予防へのそのような変異体の使用にも関する。
【0016】
さらに別の特徴として、本発明は、IL-18BP変異体をコードしている配列を含む発現ベクターを利用し、Il-18を媒介とした疾患を治療および/または予防する方法にも関する。
【0017】
本発明はさらに、本発明のIL-18BP変異体の製造方法にも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、ヒト組み換えIL-18BPアイソフォームaの製造中にIL-18BPの変異体を同定できたという発見に基づいている。この変異体のキャラクテリゼーションを行なったところ、完全長IL-18BPアイソフォームaのN末端とC末端の特定の部分が欠けた断片であることが見いだされた。本発明によって組み換えIL-18BPのN-グリコシル化パターンを明確にできたため、完全長IL-18BPの新しい変異体であることがわかった。
【0019】
驚くべきことに、IL-18BPのあらゆる変異体は、インビトロ・アッセイにおいて完全長IL-18BPに匹敵する生物活性を示した。
【0020】
したがって第1の特徴によると、本発明は、配列ID番号2、配列ID番号3、配列ID番号4、配列ID番号5、配列ID番号6、配列ID番号7の中から選択した1つのアミノ酸配列を含むが、配列ID番号1は含まない新しいIL-18結合タンパク質(IL-18BP)、またはその機能性誘導体、またはその融合タンパク質、またはその塩に関する。例えば本発明は、完全長IL-18BPの所定の一部を含むが、配列ID番号1で表わされるIL-18BPアイソフォームaの完全長配列は含まないIL-18BPの活性な断片に関する。
【0021】
好ましい一実施態様では、IL-18BPは、配列ID番号2、3、4、5、6、7いずれかから選択したアミノ酸配列からなる。
【0022】
本発明により、IL-18BP変異体にはC末端の違いが存在しており、まさにC末端のその残基が欠けている種がある割合で検出されることも見いだされた。
【0023】
したがって本発明の好ましい一実施態様は、配列ID番号2、配列ID番号3、配列ID番号4、配列ID番号5、配列ID番号6、配列ID番号7の中から選択した1つのアミノ酸配列を含むかそのアミノ酸配列からなるが、配列ID番号1を含むこと、または配列ID番号1からなることはなく、そこからさらにC末端のグリシン残基が欠けたIL-18結合タンパク質(IL-18BP)、またはその機能性誘導体、またはその融合タンパク質、またはその塩に関する。
【0024】
本発明により、内部クリッピングが起こったIL-18BPの変異体が同定された。
【0025】
第2の特徴によると、IL-18BPは、配列ID番号1のアミノ酸1〜30からなる第1のポリペプチドと、アミノ酸31〜164またはアミノ酸31〜163からなる第2のポリペプチドとを含んでいて、第1のポリペプチドと第2のポリペプチドがジスルフィド結合によって結合している。
【0026】
第3の特徴によると、IL-18BPは、配列ID番号1のアミノ酸15〜30からなる第1のポリペプチドと、アミノ酸31〜164またはアミノ酸31〜163からなる第2のポリペプチドとを含んでいて、第1のポリペプチドと第2のポリペプチドがジスルフィド結合によって結合している。
【0027】
IL-18BPは、グリコシル化されていなくても、グリコシル化されていてもよい。本発明のIL-18BPは、アスパラギン残基49、73、117の位置でN-グリコシル化されていることが好ましい(図1に示した番号による)。
【0028】
本発明へと至る実験中に、組み換えで作った完全長IL-18結合タンパク質のアイソフォームaにおいて、想定されるすべてのN-グリコシル化部位がグリコシル化されているわけではなく、特定の3つのアスパラギン残基(アスパラギン49、73、117)だけがグリコシル化されていることが初めて見いだされた。したがって本発明は、配列ID番号1のアミノ酸配列を持ち、アスパラギン49、アスパラギン73、アスパラギン117の位置がN-グリコシル化されているIL-18結合タンパク質(IL-18BP)、またはその機能性誘導体、またはその融合タンパク質、またはその塩にも関する。
【0029】
好ましい一実施態様では、IL-18BPは、配列ID番号1のアミノ酸配列からC末端のグリシン残基が欠けたものである。
【0030】
完全長ヒトIL-18BPの配列とそのスプライス変異体/アイソフォームは、例えばWO 99/09063;Novick他、1999年;Kim他、2000年に開示されている。配列ID番号1は、成熟した完全長IL-18BPアイソフォームaのアミノ酸配列を表わしている。
【0031】
今後は、本発明のタンパク質を一般に“IL-18BP”または“本発明のIL-18BP”と呼ぶ。この明細書では、これらの用語に、本発明の範囲で説明するあらゆるIL-18BP変異体が含まれる。
【0032】
本発明のタンパク質としては、天然の供給源(例えば尿)からのもの、または組み換えで作ったものが可能であるが、後者が好ましい。組み換え発現は、原核生物発現系(例えば大腸菌)または真核生物発現系(哺乳動物であることが好ましい)で実現することができる。本発明のタンパク質は、ヒト発現系で産生させることも好ましい。確立した細胞系(例えばチャイニーズ・ハムスターの卵巣細胞系(CHO)またはヒト胚性腎臓細胞系293)は、本発明のIL-18BP変異体を産生させるのに特に有用である可能性がある。
【0033】
本発明の範囲に含まれるさらに別の変異体は、図1または添付の配列リストに示した配列に対して保存されたアミノ酸置換がなされたタンパク質であろう。これら変異体は、公知の合成法および/または部位指定突然変異誘発法、または公知になっている適切な他の任意の方法で作ることができる。
【0034】
IL-18BPポリペプチドに対する保存されたアミノ酸置換としては、物理化学的性質が十分に似ているために互いに交換してもその分子の生物学的機能が保持される一群の同義アミノ酸が挙げられる(Grantham、1974年)。上記配列の機能を変化させることがないのであれば(特に、挿入や欠失がアミノ酸数個(例えば30個未満、好ましくは10個未満)だけであり、立体配座が機能する上で決定的に重要なアミノ酸(例えシステイン残基)を移動させないのであれば)、その配列にアミノ酸の挿入や欠失があってよいことも明らかである。そのような欠失および/または挿入によって生じるタンパク質とムテインは、本発明の範囲に含まれる。
【0035】
同義アミノ酸のグループは、表1に規定したものであることが好ましい。同義アミノ酸のグループは、表2に規定したものであることがさらに好ましい。同義アミノ酸のグループは、表3に規定したものであることが最も好ましい。
【0036】
表1
同義アミノ酸の好ましいグループ
アミノ酸 同義グループ
セリン セリン、トレオニン、グリシン、アスパラギン
アルギニン アルギニン、グルタミン、リシン、グルタミン酸、ヒスチジン
ロイシン イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、メチオニン、バリン ロイシン
プロリン グリシン、アラニン、トレオニン、プロリン
トレオニン プロリン、セリン、アラニン、グリシン、ヒスチジン、グルタミン トレオニン
アラニン グリシン、トレオニン、プロリン、アラニン
バリン メチオニン、チロシン、フェニルアラニン、イソロイシン、
ロイシン、バリン
グリシン アラニン、トレオニン、プロリン、セリン、グリシン
イソロイシン メチオニン、チロシン、フェニルアラニン、バリン、ロイシン、
イソロイシン
フェニルアラニン トリプトファン、メチオニン、チロシン、イソロイシン、バリン、
ロイシン、フェニルアラニン
チロシン トリプトファン、メチオニン、フェニルアラニン、イソロイシン、
バリン、ロイシン、チロシン
システイン セリン、トレオニン、システイン
ヒスチジン グルタミン酸、リシン、グルタミン、トレオニン、アルギニン、
ヒスチジン
グルタミン グルタミン酸、リシン、アスパラギン、ヒスチジン、トレオニン、
アルギニン、グルタミン
アスパラギン グルタミン、アスパラギン酸、セリン、アスパラギン
リシン グルタミン酸、グルタミン、ヒスチジン、アルギニン、リシン
アスパラギン酸 グルタミン酸、アスパラギン、アスパラギン酸
グルタミン酸 アスパラギン酸、リシン、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン アルギニン、グルタミン酸
メチオニン フェニルアラニン、イソロイシン、バリン、ロイシン、メチオニン
トリプトファン トリプトファン
【0037】
表2
同義アミノ酸のより好ましいグループ
アミノ酸 同義グループ
セリン セリン
アルギニン ヒスチジン、リシン、アルギニン
ロイシン ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、メチオニン
プロリン アラニン、プロリン
トレオニン トレオニン
アラニン プロリン、アラニン
バリン バリン、メチオニン、イソロイシン
グリシン グリシン
イソロイシン イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、バリン、ロイシン
フェニルアラニン メチオニン、チロシン、イソロイシン、ロイシン、
フェニルアラニン
チロシン フェニルアラニン、チロシン
システイン システイン、セリン
ヒスチジン ヒスチジン、グルタミン、アルギニン
グルタミン グルタミン酸、グルタミン、ヒスチジン
アスパラギン アスパラギン酸、アスパラギン
リシン リシン、アルギニン
アスパラギン酸 アスパラギン酸、アスパラギン
グルタミン酸 グルタミン酸、グルタミン
メチオニン メチオニン、フェニルアラニン、イソロイシン、バリン、ロイシン
トリプトファン トリプトファン
【0038】
表3
同義アミノ酸の最も好ましいグループ
アミノ酸 同義グループ
セリン セリン
アルギニン アルギニン
ロイシン ロイシン、イソロイシン、メチオニン
プロリン プロリン
トレオニン トレオニン
アラニン アラニン
バリン バリン
グリシン グリシン
イソロイシン イソロイシン、メチオニン、ロイシン
フェニルアラニン フェニルアラニン
チロシン チロシン
システイン システイン、セリン
ヒスチジン ヒスチジン
グルタミン グルタミン
アスパラギン アスパラギン
リシン リシン
アスパラギン酸 アスパラギン酸
グルタミン酸 グルタミン酸
メチオニン メチオニン、イソロイシン、ロイシン
トリプトファン トリプトファン
【0039】
IL-18BP変異体のアミノ酸配列がわずかに変化しても、この明細書に記載したIL-18BP変異体と十分に重なっているアミノ酸配列を持っていて例えばIL-18BPと同等の活性を有するのであれば、そのIL-18BP変異体は、本発明の範囲に含まれることが理解されよう。IL-18BPの1つの活性は、IL-18に結合する能力である。例えばある変異体がIL-18BPと実質的に同じ活性を持つかどうかは、定型的な実験で測定することができる。その実験というのは、ムテインに対する単純なサンドイッチ競合アッセイ(例えばラジオイムノアッセイやELISAアッセイ)であり、そのムテインが適切な標識を付けたIL-18に結合するかどうかを調べる操作を含んでいる。IL-18BPの活性を調べるより重要なアッセイは、後出の実施例で説明するバイオアッセイである。
【0040】
本発明で使用するIL-18BPポリペプチドまたはタンパク質の変異体を得るためにタンパク質にアミノ酸置換を起こす方法の具体例は、公知の任意の方法であり、例えば、Markらに付与されたアメリカ合衆国特許第4,959,314号、第4,588,585号、第4,737,462号;Kothsらに付与されたアメリカ合衆国特許第5,116,943号;Namenらに付与されたアメリカ合衆国特許第4,965,195号;Chongらに付与されたアメリカ合衆国特許第4,879,111号;Leeらに付与されたアメリカ合衆国特許第5,017,691号に記載されており;リシン置換されたタンパク質は、アメリカ合衆国特許第4,904,584号(Shaw他)に提示されている。
【0041】
本発明の一実施態様では、IL-18BP変異体は融合タンパク質である。
【0042】
“融合タンパク質”という用語は、本発明のIL-18BPを含むポリペプチドが、例えば体液中の滞在時間が長い他のタンパク質と融合したものを意味する。したがってIL-18BPは、他のタンパク質やポリペプチドなど(例えば免疫グロブリンまたはその断片)と融合させることができる。
【0043】
本発明の好ましい一実施態様では、本発明のIL-18BPは、免疫グロブリン融合体を含んでいる。すなわちそのIL-18BPは、本発明のIL-18BPの全体または一部を含んでいて、免疫グロブリンの全体または一部と融合している融合タンパク質である。免疫グロブリン融合タンパク質の製造方法は従来技術でよく知られており、例えばWO 01/03737に記載されている方法がある。当業者であれば、得られる本発明の融合タンパク質がIL-18BPの生物活性、特にIL-18への結合能力を保持していることが理解できよう。直接融合させること、あるいは短いリンカー・ペプチドを介して融合させることが可能である。リンカー・ペプチドとしては、長さがアミノ酸1〜3個のものや、より長くて例えばアミノ酸残基が13個のものが可能である。リンカー・ペプチドは、例えば配列E-F-M(グルタミン酸-フェニルアラニン-メチオニン)を持つトリペプチドにすること、またはグルタミン酸-フェニルアラニン-グリシン-アラニン-グリシン-ロイシン-バリン-ロイシン-グリシン-グリシン-グルタミン-フェニルアラニン-メチオニンという13個のアミノ酸を含むリンカー配列にすることが可能であり、それをIL-18BP配列と免疫グロブリン配列の間に導入できる。得られる融合タンパク質は特性が改善され、体液中の滞在時間(半減期)が延びたり、比活性が増大したり、発現レベルが増大したりする。また、融合タンパク質の精製が簡単になる可能性もある。
【0044】
好ましい一実施態様では、IL-18BPをIg分子の定常領域と融合させる。IL-18BPは、重鎖領域(例えばヒトのIgG1またはIgG3のCH2ドメインまたはCH3ドメイン)と融合させることが好ましい。IL-18BPと免疫グロブリンの一部とを含む特別な融合タンパク質を作る方法は、例えばWO 99/09063の実施例11に記載されている。Ig分子の他のアイソフォーム(例えばアイソフォームIgG2やIgG4、または他のクラスのIgであるIgMやIgA)も、本発明の融合タンパク質を作るのに適している。融合タンパク質は、単量体でも多量体でもよく、ヘテロ多量体でもホモ多量体でもよい。
【0045】
本発明はさらに、IL-18BPが融合したタンパク質の製造方法であって、本発明のIL-18BPをコードしている核酸に第2のポリペプチドをコードしている核酸が連結したDNA構造体を作る操作を含んでいて、発現したときに、そのDNA構造体が、第2のポリペプチドと融合した本発明のIL-18BPを含む融合タンパク質をコードしている方法にも関する。
【0046】
第2のポリペプチドは、免疫グロブリンの一部であることが好ましく、免疫グロブリンのFc部であることがさらに好ましい。
【0047】
さらに別の一実施態様では、IL-18結合タンパク質変異体は機能性誘導体である。
【0048】
この明細書では、“機能性誘導体”に、IL-18BP変異体の誘導体またはその誘導体との融合タンパク質が含まれる。その機能性誘導体は、各残基の上、あるいはN末端またはC末端の基の上に側鎖として存在する官能基から従来技術で知られている手段で作ることができ、薬理学的に許容可能な状態を維持している(すなわちIL-18BPまたはウイルスのIL-18BPと実質的に同じ活性を壊すことがなく、その機能性誘導体を含む組成物に毒性を与えない)限りは本発明に含まれる。IL-18BPの機能性誘導体をポリマーと共役させてそのタンパク質の性質(例えば安定性、半減期、生物学的利用能、ヒトの身体における耐性、免疫原性)を改善することができる。この目的を達成するため、IL-18BPは例えばポリエチレングリコール(PEG)と結合させることができる。PEG化は、公知の方法で実施することができ、その方法は例えばWO 92/13095に記載されている。
【0049】
誘導体としては、例えば、カルボキシル基の脂肪族エステル;アンモニア、第一級アミン、第二級アミンのいずれかと反応させることによるカルボキシル基のアミド;アミノ酸残基の自由なアミノ基とアシル部分(例えばアルカノイル基または炭素環式アロイル基)で形成されたN-アシル誘導体;(例えばセリル残基またはトレオニル残基の)自由なヒドロキシル基とアシル部分で形成されたO-アシル誘導体も挙げることができる。
【0050】
本発明はさらに、本発明のIL-18BP誘導体を製造する方法であって、本発明のIL-18BPを化学的に修飾して少なくとも1つの誘導体部分が含まれるようにする操作を含む方法にも関する。その部分は、ポリエチレングリコール部であることが好ましい。
【0051】
本発明のさらに別の実施態様は、IL-18結合タンパク質変異体の塩に関する。
【0052】
この明細書では、“塩”という用語は、IL-18BP変異体分子のカルボキシル基の塩と、IL-18BP変異体分子のアミノ基の酸添加塩の両方、またはそのアナログを意味する。カルボキシル基の塩は公知の方法で形成することができ、例えば無機塩(ナトリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、鉄塩、亜鉛塩など)と有機塩基との塩(例えばアミン(トリエタノールアミンなど)、アルギニン、リシン、ピペリジン、プロカインなどとの塩)がある。酸添加塩としては、例えば無機酸(例えば塩酸や硫酸)との塩や、有機酸(例えば酢酸やシュウ酸)との塩がある。もちろん、このようなどの塩も、本発明によるIL-18BPの生物活性(例えば後出の実施例に記載したバイオアッセイにおけるIFNγの誘導抑制)を保持している必要がある。
【0053】
さらに別の特徴として、本発明は、本発明のIL-18BPをコードしている核酸にも関する。そのようなコード配列は、図1または添付の配列リストに示したアミノ酸配列から容易に導出することができる。遺伝暗号は縮重しているため、当業者であれば、本発明のIL-18BPをコードしているさらに多くの核酸を考えることができよう。
【0054】
さらに別の特徴として、本発明は、本発明の核酸を含む宿主細胞に関する。そのような宿主細胞は、原核細胞でも真核細胞でもよいが、哺乳動物の細胞であることが好ましい。より好ましいのは、治療用タンパク質の組み換え発現に適した宿主細胞(例えばチャイニーズ・ハムスターの卵巣細胞系(CHO)またはヒト細胞)である。
【0055】
本発明はさらに、本発明のIL-18BPを製造する方法であって、本発明の宿主細胞を、IL-18BPの発現に適した条件下で培養するステップを含む方法にも関する。
【0056】
IL-18BPの製造方法には、本発明による宿主細胞の細胞培養物の上澄からIL-18BPを単離するステップも含めることができる。
【0057】
別の特徴として、本発明は、本発明のIL-18BPを含む組成物に関する。この組成物は、医薬組成物であることが好ましい。場合によっては、この医薬組成物はさらに、薬理学的に許容可能な界面活性剤、賦形剤、基剤、希釈剤、ビヒクルを含んでいる。
【0058】
“薬理学的に許容可能な”の定義には、活性成分の生物活性の効果に影響を与えることがなく、投与された宿主細胞に対して毒性がない、あらゆる基剤が含まれる。例えば非経口投与では、注射用に活性タンパク質をビヒクル(例えば生理食塩水、デキストロース溶液、血清アルブミン、リンゲル液)中の単位用量の形態に製剤化するとよい。
【0059】
本発明の医薬組成物に含まれる活性成分は、さまざまな方法で個人に投与することができる。投与経路としては、皮内、経皮(例えば徐放製剤の場合)、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、口内、頭蓋内、硬膜上、局所、直腸、鼻腔内といった経路がある。
【0060】
本発明における好ましい投与経路は、皮下と筋肉内である。
【0061】
治療に有効な他の任意の投与経路を利用できる。例えば、上皮組織または内皮組織を通じて吸収させたり、活性剤をコードしているDNA分子を遺伝子治療によって患者に投与してその活性剤を生体内で発現させて分泌させたりする。本発明のIL-18BPをコードしている配列を含む発現ベクターを投与する場合には、例えば裸のDNAとして筋肉内に注射することができる。
【0062】
非経口投与(例えば静脈内、皮下、筋肉内)では、活性なタンパク質を、薬理学的に許容可能な非経口用ビヒクル(例えば水、生理食塩水、デキストロース溶液)、等張性を維持する添加剤(例えばマンニトール)、化学的安定性を維持する添加剤(例えば保存剤、緩衝液)とともに、溶液、懸濁液、エマルジョン、凍結乾燥させた粉末として製剤化することができる。その製剤は、一般に利用されている方法で殺菌する。
【0063】
本発明による活性タンパク質の生物学的利用能は、人体内でそのタンパク質の半減期を長くする共役手続きを利用して向上させることもできる。そのためには、例えばPCT特許出願WO 92/13095に記載されているように、そのタンパク質をポリエチレングリコールと結合させる。
【0064】
活性タンパク質の治療に有効な量は、多くの変数の関数である。変数としては、使用するIL-18BPのタイプ、IL-18に対するIL-18BPの親和性、IL-18BPが示す何らかの残留細胞傷害活性、投与経路、患者の臨床状態(内在性IL-18の活性が非毒性レベルであることを維持したい、など)などがある。
【0065】
“治療に有効な量”は、IL-18BP変異体を投与したときにIL-18の生物活性が抑制されるような量である。個人への投与量は、1回の投与であれ、複数回の投与であれ、多数の因子に依存する。因子としては、IL-18BP変異体の薬理動態、投与経路、患者の状態と特性(性別、年齢、体重、健康状態、サイズ)、症状の進み具合、同時に実施している治療、治療の頻度、望む効果などがある。確立した投与量の範囲を調節したり操作したりすることと、ある個人でIL-18を抑制する試験管内または生体内の方法は、当業者がよく知っている。
【0066】
本発明の好ましい一実施態様では、IL-18BP変異体の使用量は、体重1kgにつき約0.001〜1000mg、または体重1kgにつき約0.001〜100mg、または体重1kgにつき約0.01〜10mg、または体重1kgにつき約0.1〜5mg、または体重1kgにつき約1〜3mgである。
【0067】
投与の頻度は、毎日または2日に1回が可能である。1週間に3回または1週間に1回にすることもできる。
【0068】
投与量は、患者の必要性に応じ、常に同じでも、変化してもよい。投与量は、通常は、望む結果を得るのに有効な分割用量または徐放形態として与える。第2回目の投与量または前回に続く投与量は、その個人に対する最初の投与量または前回の投与量と同じ、またはそれよりも少なく、またはそれよりも多くすることができる。第2回目の投与量または前回に続く投与は、疾患の発症中または発症前に行なうことができる。
【0069】
本発明によれば、IL-18BP変異体は、予防または治療のため、他の治療法または治療薬(例えば複数の薬を用いる方法)の前、またはそれと同時、またはその後に、治療に有効な量を、特にインターフェロンおよび/またはTNF阻害剤とともに投与することができる。他の治療薬と同時に投与される活性剤は、同じ組成物または異なる組成物にして投与することができる。
【0070】
さらに別の特徴では、本発明は、本発明のIL-18BPを利用してIL-18を媒介とした疾患または異常を治療および/または予防するための薬を調製する方法にも関する。IL-18を媒介とした疾患は従来からよく知られている(例えばGracie他、2003年に概説がある)。
【0071】
好ましい一実施態様では、本発明のIL-18BP変異体で治療または予防する疾患の選択を、乾癬、関節炎(特に関節リウマチ)、炎症性腸疾患(特にクローン病)、肝臓の損傷、アテローム性動脈硬化症、敗血症、心筋梗塞、外傷性脳損傷、アレルギー、末梢血管疾患、多発性硬化症、腫瘍の転移の中から行なう。
【0072】
これら疾患の詳しい説明と定義に関しては、以下の公開特許出願:WO 99/09063、WO 01/07480、WO 01/62285、WO 02/060479、WO 02/096456、WO 02/092008、WO 03/013577を特に参照されたい。なおその内容全体が、参考としてこの明細書に組み込まれているものとする。
【0073】
インターフェロンはウイルスの複製と細胞増殖を抑制する効果を持つことがよく知られている。例えばインターフェロンγは、免疫応答と炎症応答を促進する上で重要な役割を果たす。インターフェロンβ(IFN-β、インターフェロンのタイプI)には抗炎症作用があると言われている。
【0074】
したがって本発明は、本発明のIL-18BPとインターフェロンを組み合わせて製造した、IL-18を媒介とする疾患を治療するための薬にも関する。
【0075】
インターフェロンは、タンパク質の安定性を向上させるためにポリマーと共役させることもできる。インターフェロンβとポリオールであるポリエチレングリコール(PEG)の共役は、例えばWO 99/55377に記載されている。
【0076】
本発明の好ましい別の一実施態様では、インターフェロンはインターフェロンβ(IFN-β)であり、そのインターフェロンβはIFN-β1aであることがより好ましい。
【0077】
本発明のIL-18結合タンパク質は、インターフェロンと同時に、またはその後に、または別々に用いることが好ましい。
【0078】
本発明の好ましいさらに別の一実施態様では、本発明のIL-18BPをTNFアンタゴニストと組み合わせて用いる。TNFアンタゴニストは、いくつかの方法で作用を及ぼす。第1に、アンタゴニストは、十分な親和性かつ特異性でもってTNF分子そのものに結合するか、TNF分子そのものを封鎖し、TNF受容体との結合にとって重要なTNFのエピトープを部分的または実質的に中和することができる(今後は、“封鎖アンタゴニスト”と呼ぶ)。封鎖アンタゴニストとしては、例えばTNFに対する抗体が可能である。
【0079】
あるいはTNFアンタゴニストは、TNFと結合した後に細胞表面の受容体によって活性化されるTNFシグナル伝達経路を抑制することができる(今後は、“シグナル伝達アンタゴニスト”と呼ぶ)。それぞれのアンタゴニストを単独で、または両方合わせてIL-18BPと組み合わせることで、過敏性疾患の治療に役立つ。
【0080】
TNFアンタゴニストは容易に同定され、試験管内の感受性のある細胞系(例えばヒトB細胞であり、その細胞内では、TNFが増殖と免疫グロブリンの分泌を引き起こす)において候補が元のTNFの活性に及ぼす効果を定型的な方法でスクリーニングすることによって評価される。このアッセイには、候補アンタゴニストをさまざまな濃度に希釈したTNF製剤(例えばアッセイで使用するTNFの0.1〜100倍のモル数)が含まれており、TNFなしの状態、またはアンタゴニストだけの状態が対照となる(Tucci、1992年)。
【0081】
封鎖アンタゴニストは、本発明で使用するのが好ましいTNFアンタゴニストである。封鎖アンタゴニストのうちで、TNFと高い親和性で結合し、しかも免疫原性が低いポリペプチドが好ましい。特に好ましいのは、可溶性TNF受容体分子と、TNFに対する中和抗体である。例えば可溶性TNF-RI(p55とも呼ばれる)と可溶性TNF-RII(p75とも呼ばれる)が本発明では有用である。これら受容体の先端が切れているが、その受容体の細胞外ドメイン(すなわちその機能する部分)は含まれている形態が、本発明の特に好ましいアンタゴニストである。可溶性TNFのタイプIとタイプIIの受容体は、例えばヨーロッパ特許第308 378号、第398 327号、第433 900号に記載されている。
【0082】
先端が切れたこれらの可溶性TNF受容体は可溶性であり、尿や血清中にTNF抑制性結合タンパク質(それぞれTBPI、TBPIIと呼ばれる)として検出されている(Engelmann他、1990年)。本発明では、IL-18BP変異体をTNFアンタゴニストおよび/またはインターフェロンとともに使用するが、これらは同時に、または順番に、または別々に使用することが好ましい。
【0083】
本発明によれば、TBPIとTBPIIは、本発明のIL-18BP変異体と組み合わせて使用するのが好ましいTNFアンタゴニストである。受容体分子の誘導体、断片、領域、生物活性部がその受容体分子と機能が似ている場合には、やはり本発明で使用できる。受容体分子と生物活性がこのように等価なもの、すなわち受容体分子の誘導体とは、ポリペプチドの一部、または受容体分子をコードしている配列の一部であって、十分なサイズがあり、TNFと高い親和性で結合できるために膜結合TNF受容体との相互作用が抑制または阻止されるものを意味する。
【0084】
本発明はさらに、本発明のIL-18BPをコードしている配列を含む発現ベクターを利用して製造した、IL-18を媒介とした疾患を治療および/または予防する薬にも関する。例えばIL-18BP変異体を、それを必要とする部位に送達するには、遺伝子治療という方法が考えられる。過敏性疾患を治療および/または予防するには、IL-18BP変異体を産生および/または作用させる配列を含む遺伝子治療ベクターを例えば疾患状態の組織に直接注入し、遺伝子治療ベクターを全身投与した場合の問題(例えばベクターの希釈化、標的細胞または標的組織への到達、副作用)を回避するとよい。
【0085】
本発明はさらに、本発明のIL-18BPを産生するように遺伝子改変した細胞を利用して製造した、IL-18を媒介とした疾患を治療および/または予防する薬にも関する。
【0086】
本発明はさらに、医薬組成物の調製方法であって、IL-18BP変異体、および/またはインターフェロン、および/またはTNFアンタゴニストの有効量と、薬理学的に許容可能な基剤とを混合する操作を含む方法にも関する。
【0087】
本発明はさらに、IL-18を媒介とした疾患の治療法であって、IL-18BP変異体を必要としている患者にそのIL-18BP変異体を薬理学的に有効な量投与する操作を含む方法にも関する。
【0088】
以上で本発明を十分に説明したのであるから、当業者であれば、本発明の精神と範囲を逸脱することなく、しかも難しい実験を行なうことなく、本発明を広い範囲の同等なパラメータ、濃度、条件で実施できることがわかるであろう。
【0089】
本発明を特別な実施態様に関してこれまで説明してきたが、さらなる変更が可能であることが理解されよう。この出願は、一般に、本発明の原理に従う本発明のあらゆる変形例、用途、適応例を含むことを意図しており、その中には、開示した内容ではないが、本発明に関係する従来技術において公知だったり一般的に行なわれたりしている操作に含まれるものや、添付の請求項の範囲に示した上記の重要な特徴に適用できるものも含まれる。
【0090】
この明細書で引用したあらゆる参考文献(その中には、学術論文または要約、アメリカ合衆国またはそれ以外の国の特許出願と特許などが含まれる)は、その引用文献に提示されているあらゆるデータ、表、図、文章を含め、その全体が参考としてこの明細書に組み込まれているものとする。さらに、この明細書で引用した参考文献の中で引用されている参考文献の全内容も、その全体が参考としてこの明細書に組み込まれているものとする。
【0091】
公知の方法のステップ、従来法のステップ、公知の方法または従来法への言及があるからといって、本発明のあらゆる特徴、説明、実施態様が、関連する従来技術に開示、教示、示唆されていることを意味するものでは決してない。
【0092】
特別な実施態様に関する上記の説明により本発明の一般的な性質が十分に明らかになったはずであるゆえ、第三者は、従来技術での知識(その中にはこの明細書で引用した参考文献の内容が含まれる)を適用することにより、難しい実験を行なったり、本発明の一般的な考え方から逸脱したりすることなく、さまざまな用途のために実施態様を容易に変更および/または改変することができる。したがってそのような改変や変更は、この明細書に示した教えとガイドに基づき、開示した実施態様の等価物の範囲に含まれるものとする。この明細書で用いる表現または用語は説明を目的としたものであって本発明を制限することは意図していないため、当業者は、この明細書の表現または用語を、この明細書に示した教えとガイドに当業者の知識を組み合わせて解釈すべきであることを理解されたい。
【実施例】
【0093】
IL-18結合タンパク質変異体の同定
【0094】
材料と方法
【0095】
材料と装置
【0096】
96ウエルのマイクロタイタープレート光度計MCC379またはEXラブシステム社
化学天秤 モデルAG145 メトラー-トレド社
アクアポアRP300 30×4.6mmカートリッジ コード0711-0055ブラウンリー社
自動シーケンサ モデル プロサイス494 アプライド・バイオシステムズ社
自動化ピペット(P1000、P200、P100、P20) ギルソン社
細胞カウンタ カウンタ-Z1社
CO2インキュベータ ヘレウス社
エクセル・ソフトウエア
フリーザ-20℃±5℃ アンジェラントーニ社
フリーザ-80℃±10℃ アンジェラントーニ社
グラフ・パッド・プリズム・ソフトウエア
HPLC モデル アリアンス2690 ウォーターズ社
HPLC-ポンプ モデル600S、カラム・ヒーター付き ウォーターズ社
インテグレータD2500 メルク社
層流フード フロー・ラボラトリーズ社
MALDI-ToF モデル ボイジャーDE-プロ パーセプティブ・バイオシステム社
質量分析器 モデルZQ ウォーターズ・マイクロマス社
マルチフォアII ファルマシア社
マルチテンプII ファルマシア社またはそれと同等なもの
パーソナル・コンピュータ コンパック社
pHメータMA235 メトラー社またはそれと同等なもの
pHメータMP225 メトラー-トレド社
電源EPS3501XL ファルマシア社またはそれと同等なもの
冷蔵庫+5℃±3℃ アンジェラントーニ社
スキャナー・アグファ・アーカスII アグファ社またはそれと同等なもの
分離モジュール2690 アリアンス ウォーターズ社
ソフトウエア・アグファ・フォトルック バージョン3.0
アグファ社またはそれと同等なもの
ソフトウエア・ミレニアム32 バージョン3.20 ウォーターズ社
ソフトウエア・フォレティックス1D フォレティックス社またはそれと同等なもの
ソフトウエア・ピクチャー・パブリッシャー バージョン8
マイクログラフィックス社またはそれと同等なもの
スペクトロリンカーXL1000架橋装置(紫外線源) スペクトロニクス社
スタットグラフィックス・プラス・シンメトリーC18 3.5μm75×4.6mmカラム コードWAT066224 ウォーターズ社
テクニカル天秤 モデルPEG2002 メトラー-トレド社
UV検出器 モデル2487 ウォーターズ社
UV検出器 モデル996 ウォーターズ社
【0097】
化学薬品
【0098】
ジチオトレイトール(DTT)コードD5545 シグマ社
トリス コード1.08382 メルク社
EDTA コード1.08418 メルク社
アセトニトリル(ACN)コード1.00030 メルク社
炭酸水素アンモニウム コード1.01131 メルク社
アンモニア25% コード1.05432 メルク社
塩化カルシウム・2H2O コードI3381 シグマ社
エンドプロテイナーゼ ウシのトリプシン(修飾されたもの)、シークエンシング・グレード コード1418-025 ロッシュ社
ノイラミニダーゼ(シアリダーゼ)コード1080-725 ロッシュ社
水(H2O)ミリQグレード ミリポア社
トリフルオロ酢酸(TFA)コード9470 ベーカー社
氷酢酸 コード00063 メルク社
水酸化ナトリウム コード7067 ベーカー社
ヨード酢酸 コードI2512 シグマ社
酢酸ナトリウム3M、pH5.5 コード400471 アプライド・バイオシステム社
塩酸37% コード1.000314 メルク社
β-メルカプトエタノール コードM6250 シグマ社
ジエチルエーテル コード447521 カルロ・エルバ社
グアニジン コードN24115 ピアース社
NaCsI コード700000889-2 ウルトラ・サイエンティフィック社
窒素UPP カラッチョロ社
メタノール(勾配グレード)コード1.06007 メルク社
エッペンドルフ1.5ml エッペンドルフ社
モジュラブ2020(登録商標)で精製した水(H2O) コンティネンタル社
アセトニトリル(HPLCグレード)コード1.00030 メルク社
o-リン酸(H3PO4)85% コード1.00573 メルク社
硫酸ナトリウム(Na2SO4)コード1.06649 メルク社
カラムTSK G2000 SWXL 7.8×300 コード08540 トソハアス社
ヤギ抗マウスIgG HRP共役体 コード170-6516 バイオラド社
モノクローナル抗体 抗r-hIL-18BPクローン582.10 IPL社
エクセルゲルSDS緩衝液ストリップ コード17-1342-01 ファルマシア社
エクセルゲルSDS均一12.5% コード80-1261-01 ファルマシア社
ハイパーフィルムECL18×24cm コードRPN2103 ファルマシア-バイオテック社
キットECL コードRPN2106 ファルマシア-バイオテック社
キット・シルバー・プラスワン コード17-1150-01 ファルマシア社
ニトロセルロース膜0.2mm コードBA-83 シュライヒャー&シュエル社
I-ブロック コードAI300 トロピックス社
暫定参照材料ST1P01/r-hIL-18BP IFS社
分子量マーカー(97〜14kDa)コード17-0446-01 ファルマシア社
トゥイーン20 メルク社
カルシウム・イオンとマグネシウム・イオンを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)
シグマ社
96ウエルのプレート ファルコン社
96ウエルのマイクロタイタープレート マクシ・ソープ・ナンク社
IMDM ギブコ社
2-メルカプトエタノール シグマ社
ペニシリン/ストレプトマイシン ギブコ社
ウシ胎仔血清(FBS) ギブコ社
ヒトIFN-γイムノアッセイ・キット - デュオ・セットELISA開発システム
R&Dシステムズ社
ウシ血清アルブミン(BSA) シグマ社
基質溶液 R&Dシステムズ社
硫酸(H2SO4) メルク社
【0099】
生物材料
【0100】
ヒト急性骨髄性白血病細胞系KG-1自家製
組み換えヒト腫瘍壊死因子-α(TNF-α) R&Dシステムズ社
組み換えヒト・インターロイキン-18(r-hIL-18) 自家製
組み換えヒト・インターロイキン-18結合タンパク質(r-hIL-18BP)
自家製
(アミノ酸分析によると46.39mg/ml)
【0101】
方法
【0102】
トリプシンによるペプチド・マッピング
【0103】
以下に概略を示す標準的なプロトコルに従ってマッピングを行なった。
【0104】
ノイラミニダーゼを用いた処理
【0105】
約150μgの乾燥したr-hIL-18BPを、0.2Mの酢酸アンモニウムと16mMの塩化カルシウムを含むpH5.5の緩衝液200μlに、100mlUのシアリダーゼとともに溶かした。反応は37℃±1℃にて1時間にわたって行なわせた。次に、そのタンパク質をスピード-バキュームの中で乾燥させた。脱水後、以下のようにしてタンパク質を還元し、アルキル化した。
【0106】
還元とアルキル化
【0107】
窒素雰囲気下で、0.5Mのトリス-Cl、2mMのEDTA、pH8.5±0.05、6Mのグアニジン、11mg/mlのジチオトレイトールを含む緩衝液200μlにタンパク質を溶かした。反応は室温にて1時間にわたって行なわせた。次に、窒素雰囲気下で250mg/mlのヨード酢酸25μlを添加した。混合物を暗所で37℃±1℃にて45分間にわたってインキュベートした後、0.1%水性TFA200μlとβ-メルカプトエタノール20μlを窒素雰囲気下で添加して反応を停止させた。反応物を室温にて15分間にわたってインキュベートした。
【0108】
精製手続き
【0109】
タンパク質の還元とアルキル化を行なった後、以下のようにしてRP-HPLCで精製した。
カラム:アクアポアRP300(4.6×30mm)コード0711-0055、ブラウンリー社
溶離液A:0.1%水性TFA
溶離液B:0.1%TFAを含むCH3CN
温度:+40℃
UV検出器を214nmに設定
【0110】
【表1】

【0111】
精製した材料をスピード-バキュームの中で乾燥させ、0.1Mの炭酸水素アンモニウム(pH9.0±0.05)250μlの中に溶かし、修飾したウシ・トリプシン5μlを添加して絶えず揺すりながら37℃±1℃にて4時間にわたってインキュベートした。5%水性TFAを60μl添加することによって反応を停止させた。
【0112】
トリプシン・ペプチド・マッピングのRP-HPLCによる分析
【0113】
r-hIL-18BPペプチド混合物の半量を以下のようにしてRP-HPLCで精製した。
カラム:ウォーターズ社シンメトリーC18 3.5μm(4.6×75mm)
溶離液A:0.1%水性TFA
溶離液B:0.1%TFAを含むCH3CN
温度:+45℃
UV検出器を214nmに設定
【0114】
【表2】

【0115】
エドマン・シークエンシング分析
【0116】
自動化したエドマン・シークエンシングを、プロサイス・タンパク質シーケンサ上で製造者の指示に従って実施した。
【0117】
MALDI-TOF
【0118】
MALDI-TOFスペクトルをボイジャーPE-プロ上で製造者の指示に従って取得した。
【0119】
トリプシン・ペプチド・マッピングのLC-ES/MS
【0120】
r-hIL-18BPに関して上記の手続きに従ってペプチド・マッピングを行なった。消化後、各サンプルのペプチド混合物のアリコートを以下のようにして分析した。
カラム:ウォーターズ社シンメトリーC18 3.5μm(4.6×75mm)
溶離液A:0.1%水性TFA
溶離液B:0.1%TFAを含むCH3CN
温度:+45℃
UV検出器を214nmに設定
【0121】
【表3】

【0122】
UV検出器を使用した後、流れを分割し、50μl/分の割合で質量分析器に導入されるようにした。
【0123】
質量分析器のパラメータは以下のように設定した。
キャピラリーの電圧:3.5kV
コーンの電圧:35V
HVレンズ:0.45kV
電源の温度:80℃
解像度:14HM;14LM
【0124】
二量体/凝集体の含有量を求めるためのSEC選択法
【0125】
SE-HPLC分析を以下のようにして実施した。
【0126】
【表4】

【0127】
SDS-PAGEと銀染色
【0128】
2μgのr-hIL-18BPをあらかじめ成形したゲル(アマーシャム・バイオサイエンシーズ社のエクセルゲル(登録商標)SDS均一12.5%)に非還元条件にてロードし、定圧(600V)で15℃にて走らせた。分子量マーカーと暫定参照材料ST1P01/r-hIL-18BPもゲルにロードした。
【0129】
電気泳動の後、ゲルを、キット-プロテイン(プラスワン)を用い、キットの説明書に記載されている指示に従って銀染色した。簡単に説明すると、酢酸とエタノールからなる溶液中にゲルを30分間にわたって固定した。洗浄ステップの後、増感溶液を添加し、30分後に除去した。ゲルを再び洗浄した後、銀溶液と20分間にわたって反応させた。洗浄サイクルの後、染色を現像溶液の中で現像した後、染色を停止した。次にゲルを水中で完全に洗い流し、セロハン(登録商標)・シートの間に最終的に保管するまで保存溶液の中に保管した。
【0130】
ゲルを走査し、フォレティックス1Dフル・ソフトウエアを用いてデータを取得した。
【0131】
SDS-PAGEとウエスタン・ブロッティング
【0132】
200ngのr-hIL-18BPをあらかじめ成形したゲル(アマーシャム・バイオサイエンシーズ社のエクセルゲル(登録商標)SDS均一12.5%)に非還元条件にてロードし、定圧(600V)で15℃にて走らせた。分子量マーカーと暫定参照材料ST1P01/r-hIL-18BPもゲルにロードした。
【0133】
電気泳動の後、タンパク質を室温での60分間にわたる受動的接触によってゲルからニトロセルロース膜に移し、r-hIL-18BPクローン582.10(IPL社)に対するモノクローナル抗体を0.1μg/ml用いて調べた。2000倍に希釈したヤギ抗マウスIgG HRP共役体と反応させた後、反応を化学発光基質(アマーシャム・バイオサイエンシーズ社のECLキット)によって明らかにした。10秒間または1分間にわたって感光性放射能写真フィルムに露出することによって発光を検出した。
【0134】
クーマシー・ブルーまたは銀染色による方法で分子量マーカーを検出した。
【0135】
免疫検出の後、フィルムを走査し、フォレティックス1-Dフル・ソフトウエアを用いてバンドの分子量(MW)の値をMW較正曲線から自動的に導出した。
【0136】
インビトロ・バイオアッセイにおけるKG-1細胞
【0137】
インビトロ・バイオアッセイを利用してサンプルの生物活性を定量した。このバイオアッセイは、ヒト急性骨髄性白血病細胞系KG-1が、ヒトIL-18とヒトTNF-αに投与量に対して依存した応答をしてIFN-γを産生することに基づいている。r-hIL-18BPは、r-hIL-18と特異的に結合してその生物活性を中和し、そのことによってIFN-γの産生を抑制する。
【0138】
簡単に説明すると、所定の濃度のr-hIL-18(ウエル内に40ng/ml)と所定の濃度のr-hTNF-α(ウエル内に10ng/ml)が存在している中にさまざまな濃度のr-hIL-18BPがすでに含まれている96ウエルのプレートに、KG-1細胞をウエル1つにつき1×105個の割合で添加した。これら2つの物質(r-hIL-18とr-hTNF-α)のそれぞれの濃度を合わせると、KG-1細胞にIFN-γの産生を最大に近い程度まで誘導することができた。37℃、5%CO2の条件にしてから24時間後、処理した細胞に凍結/解凍サイクルを経験させるためにプレートを-20℃にした後、イムノアッセイを実施することにより、細胞の上澄に存在するIFN-γの量を調べた。細胞の上澄を回収し、ヒトIFN-γを特別なイムノアッセイ(ヒトIFN-γのELISA、デュオ・セット、R&Dシステムズ社のキット)で測定した。Log/Log変換した投与量-応答シグモイド曲線(4PL)でフィットしたキット付属のIFN-γ基準曲線上でy値(O.D.)を内挿してx値(IFN-γの濃度)を取得することにより、処理した細胞が産生したIFN-γの量を計算した(グラフパッド・プリズム)。
【0139】
基準調製物と比較したIL-18BPサンプルの生物活性を、基準となる投与量-応答曲線の直線部分に対応する2つの濃度でサンプルをテストすることによって調べた。少なくとも2回の独立な実験を行なった。独立なそれぞれのアッセイにおいて、それぞれの濃度を、1つのプレート内にある2つの互いに依存したコピーで調べた。
【0140】
IFN-γ産生量であるy値(O.D.)の(2つのコピーでの)平均を(Log/Log変換した)投与量-応答曲線の直線部分において内挿してx値(IL-18BPの活性)を取得することにより、それぞれの濃度で調べたIL-18BPサンプルの力価を計算した。
【0141】
各濃度で得られた値を平均し、独立に実施した各アッセイから得られた力価の算術平均を、IL-18BP薬剤物質サンプルの活性の決定値とした。
【0142】
異なるIL-18BP薬剤物質の力価を計算し、暫定参照材料ST1P01/r-hIL-18BPと比較した。
【0143】
独立した実験を2回行なった。
【0144】
結果
【0145】
背景
【0146】
完全長r-hIL-18BPの一次構造を図1に示してある。このタンパク質はC末端が異なっており、残基164(完全長)で終わっている分子と、残基163(C-1aa)で終わっている分子がある。そのうちで後者が主要な形態である。トリプシン・ペプチドの質量分析により、この分子が高度にグリコシル化されていて、N-結合オリゴ多糖とO-結合オリゴ多糖の両方を有することがさらにわかった。
【0147】
この分子は、4つの潜在的なN-グリコシル化部位をアスパラギン49、アスパラギン64、アスパラギン73、アスパラギン117に備えている。その4つの部位のうちの3つだけがグリコシル化していることが見いだされている。すなわち、アスパラギン49、アスパラギン73、アスパラギン117である。それに対してアスパラギン64は、痕跡量しかグリコシル化していない。
【0148】
SDS-PAGEとSE-HPLCで決定した分子全体の平均分子量は、約50kDaである。
【0149】
アミノ酸組成は、表4から知ることができる。
【0150】
表4 アミノ酸組成
アミノ酸 三文字コード 一文字コード 数 %
アラニン Ala A 13 7.9%
アルギニン Arg R 7 4.3%
アスパラギン Asn N 4 2.4%
アスパラギン酸 Asp D 2 1.2%
システイン Cys C 6 3.7%
グルタミン Gln Q 12 7.3%
グルタミン酸 Glu E 9 5.5%
グリシン Gly G 9 5.5%
ヒスチジン His H 4 2.4%
イソロイシン Ile I 2 1.2%
ロイシン Leu L 19 11.6%
リシン Lys K 3 1.8%
メチオニン Met M 0 0.0%
フェニルアラニン Phe F 5 3.0%
プロリン Pro P 17 10.4%
セリン Ser S 18 11.0%
トレオニン Thr T 15 9.1%
トリプトファン Trp W 4 2.4%
チロシン Tyr Y 1 0.6%
バリン Val V 14 8.5%
【0151】
無血清培地で産生されたバッチに関する定型的なQCテストから、以下のことが明らかになった。
・一致しないペプチド・マッピング・プロファイルが存在していた(還元してアルキル化したタンパク質を精製している間にすでに別の1つの大きなピークが現われた);
・異常なSE-HPLCプロファイルが得られた;
・2つのバンドがSDS-PAGEで検出された;
・似たプロファイルがRP-PAGEで検出された;
・血清含有培地の中で産生された均一なIL-18BP(“参照基準”)と比べた比活性は同じ程度であった。
【0152】
ペプチド・マッピングの手続き
【0153】
r-hIL-18BPは高度にグリコシル化されている分子であってグリコシル化に関して強い不均一性を示すため、そのタンパク質に対してノイラミニダーゼ処理を行なってシアル酸によるオリゴ多糖の不均一性を減らした。次にこのタンパク質を還元し、カルボキシメチル化し、精製して、トリプシン開裂部位にトリプシンが近づけるようにした。
【0154】
ペプチド・マッピングの手続きを以下のステップに従って実施した。
r-hIL-18BP → シアル酸の除去 → 還元とアルキル化 → アルキル化されたタンパク質のRP-HPLCによる精製(すべてのピークを回収する) → トリプシンを用いた消化 → タンパク質分解した断片のRP-HPLCによる分析。
【0155】
血清含有培地で産生されたr-hIL-18BPとは異なるクロマトグラフィのプロファイルが、無血清培地で産生されたr-hIL-18BPのバッチを還元しアルキル化したものを精製している間にすでに検出された(図示せず)。
【0156】
さらに、先端が切れた形態のr-hIL-18BPのペプチド・マッピング・プロファイルは、参照基準であるr-hIL-18BPと比較すると、余分なピークの存在と、グリコシル化されたペプチドの相対強度の違いという2つの特徴を示した(図示せず)。
【0157】
N末端の分析
【0158】
完全な分子の配列を分析すると、それぞれ残基1、16、31から始まる分子に対応する別々の断片が見られ、それよりも少ない量でそれぞれ残基69、70、107、125から始まる断片が見られた。N末端分析結果を図1に示してある。
【0159】
MALDI-TOF
【0160】
MALDI-TOFによって得られたスペクトルから、小さな分子量の位置に別のピークがあることがわかった(図示せず)。
【0161】
SDS-PAGE分析
【0162】
r-hIL-18BPは、12.5%のSDS-PAGEによると、相対分子量が約50kDaである。産生された無血清r-hIL-18BPには、銀染色によって検出された約40kDaのバンドがさらに存在していた。両方のバンドは、ウエスタン・ブロッティング・アッセイにおいてIL-18BP特異的抗体(クローン582.10)と反応した。銀染色したSDS-PAGEゲルを図2Aに示してあり、ウエスタン・ブロットを図2Bに示してある。
【0163】
各レーンには以下のものをロードした。
6.分子量マーカー 5.分子量マーカー
7.r-hIL-18BP CT20(2μg) 6.r-hIL-18BP CT20(200ng)
8.r-hIL-18BP CT20(2μg) 7.ST1P01/r-hIL-18BP(200ng)
9.r-hIL-18BP CT20(2μg) 8.分子量マーカー
10.ST1P01/r-hIL-18BP
【0164】
CT20は、先端が切れたIL-18BPのバッチであるのに対し、ST1P01は、先端が切れた形態を含まない標準的な完全長IL-18BPである。
【0165】
バイオアッセイ
【0166】
さまざまなIL-18BP薬剤物質のバッチでの比活性に関する結果を表5に示してある。この表には、先端が切れていない形態(ILNCT16〜18とST1PO1)と先端が切れた形態(太字、ILNCT19〜22)が示してある。
【0167】
【表5】

【0168】
この実験から、先端が切れたIL-18BPの生物活性が、先端が切れていないIL-18BPと同等であることがわかる。
【0169】
先端が切れたr-hIL-18BP
【0170】
さまざまな方法で検出された余分なピークの特徴を調べるため、SE-HPLC分析を利用して興味の対象であるピークを分離し、そのピークのキャラクタリゼーションをさらに実施した。目的を実現するため、2つのピークを別々に回収した。
【0171】
回収したピークを間違いなく同定するため、ピーク1とピーク2をHPLCカラムに再び注入した。
【0172】
これら2つのピークに対し、上記のプロトコルに従ってペプチド・マッピングを行なった。
【0173】
還元しアルキル化したサンプルのクロマトグラフィ・プロファイルを図3に示してある。
【0174】
各分画の主要なピークだけについてペプチド・マッピングを行ない、LC-ES/MSで分析した。
【0175】
ペプチド・マッピング・プロファイルに現われる余分なピーク(ペプチド31〜61)は、分子の内部開裂によるものである。そのことは、ピークと、完全な分子の配列とを分析することよって確認される。
【0176】
さらに、グリコシル化されたペプチド(ペプチド1〜15、ペプチド1〜32、ペプチド16〜32)の強度が異なることから、グリコシル化パターンが異なることがわかる。
【0177】
SE-HPLC分析から直接回収したピーク1とピーク2に対してN末端分析を行なったところ、以下の結果が得られた。
【0178】
【表6】

【0179】
【表7】

【0180】
SDS-PAGE(図3)によって得られた見かけの分子量をMALDI-TOFスペクトルによって確認した。
【0181】
結論
【0182】
さまざまな分析ツールを用いて得られた結果から、以下の主要な開裂部位を同定することができた。
・残基15で切断されたタンパク質。すなわち残基16から始まって残基163/164で終わる配列。
・残基30で切断されたタンパク質。すなわち残基1から残基163/164までの完全長配列であり、残基30と残基31の間に互いにジスルフィドで結合された内部クリッピングがある。
・残基15から先が切れていて、残基30で開裂しているタンパク質。すなわち残基16から始まって残基163/164で終わっており、残基30と残基31の間に互いにジスルフィドで結合された内部クリッピングがある配列。
【0183】
r-hIL-18BP の先端が切れた形態が存在している場合には、上記の結果から以下のことがわかる。
・サンプルに対してSDS-PAGEを行なうことにより、2つのバンドが検出される。この2つのバンドは、銀染色とウエスタン・ブロッティングの両方で検出される。
・SE-HPLC分析により、異常なプロファイルが見つかる。
・還元してアルキル化したサンプルに対してRP-HPLCクロマトグラフィを行なって得られるプロファイルは、完全なサンプルのプロファイルとは異なっている。
・ペプチド・マッピング・プロファイルから、余分なピークの存在がわかった。
・N末端配列の分析により、分子の先端が切れた形態の存在が確認される。
・先端が切れた形態が存在するにもかかわらず、比活性は完全なr-hIL-18BPと同等である。
【0184】
参考文献
【0185】
1.Conti, B.、J.W. Jahng、C. Tinti、J.H. Son、T.H. Joh、1997年、「副腎皮質におけるインターフェロンγ誘導因子」、J. Biol. Chem.、第272巻、2035〜2037ページ。
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7.Nakamura K.、Okamura H.、Wada M.、Nagata K.、Tamura T.、Infect. Immun.、1989年2月、第57巻(2)、590〜595ページ。
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12.XiangとMoss、J. Biol. Chem.、2001年、第276巻、17380〜17386ページ。
13.XiangとMoss、J. Virol.、2001年、第75巻(20)、9947〜9954ページ。
【図面の簡単な説明】
【0186】
【図1】完全長IL-18BPアイソフォームaの配列である。想定されるN-グリコシル化部位をN*で示してある。矢印は、本発明による6つのIL-18BP変異体のN末端を示している。
【図2】本発明のIL-18BP変異体を含むIL-18BP変異体調製物についてのSDS-PAGEゲルを銀染色したもの(A)と、対応するウエスタン・ブロット(B)である。各レーンには以下のものをロードした。 図2A:図2B: 1.分子量マーカー 1.分子量マーカー 2.r-hIL-18BP CT20(2μg) 2.r-hIL-18BP CT20(200ng) 3.r-hIL-18BP CT20(2μg) 3.ST1P01/r-hIL-18BP(200ng) 4.r-hIL-18BP CT20(2μg) 4.分子量マーカー 5.ST1P01/r-hIL-18BP
【図3】SE-HPLCのプロファイルを示すとともに、HPLCで得られた2つのピークと、純粋な完全長IL-18BPアイソフォームaの標準調製物とについてのSDS-PAGEゲルを銀染色したもの(A)と、対応するウエスタン・ブロット(B)を比較して示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列ID番号2、配列ID番号3、配列ID番号4、配列ID番号5、配列ID番号6、配列ID番号7の中から選択した1つのアミノ酸配列を含むが、配列ID番号1は含まないIL-18結合タンパク質(IL-18BP)、またはその機能性誘導体、またはその融合タンパク質、またはその塩。
【請求項2】
C末端のグリシン残基が欠けた、請求項1に記載のIL-18結合タンパク質(IL-18BP)。
【請求項3】
配列ID番号1のアミノ酸配列からなり、アスパラギン49、アスパラギン73、アスパラギン117の位置がN-グリコシル化されているが、アスパラギン64の位置はN-グリコシル化されていないIL-18結合タンパク質(IL-18BP)、またはその機能性誘導体、またはその融合タンパク質、またはその塩。
【請求項4】
C末端のグリシン残基が欠けた、請求項3に記載のIL-18結合タンパク質(IL-18BP)。
【請求項5】
配列ID番号1のアミノ酸1〜30からなる第1のポリペプチドと、アミノ酸31〜164またはアミノ酸31〜163からなる第2のポリペプチドとを含んでいて、第1のポリペプチドと第2のポリペプチドがジスルフィド結合によって結合しているIL-18BP。
【請求項6】
配列ID番号1のアミノ酸15〜30からなる第1のポリペプチドと、アミノ酸31〜164またはアミノ酸31〜163からなる第2のポリペプチドとを含んでいて、第1のポリペプチドと第2のポリペプチドがジスルフィド結合によって結合しているIL-18BP。
【請求項7】
上記融合タンパク質が免疫グロブリン融合体を含んでいる、請求項1〜6のいずれか1項に記載のIL-18BP。
【請求項8】
上記機能性誘導体が、アミノ酸残基上の1つ以上の側鎖として存在している1つ以上の官能基と結合した少なくとも1つの部分を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載のIL-18BP。
【請求項9】
上記部分がポリエチレングリコール(PEG)部である、請求項8に記載のIL-18BP。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のIL-18BPをコードしている核酸。
【請求項11】
請求項10に記載の核酸を含む宿主細胞。
【請求項12】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のIL-18BPを製造する方法であって、IL-18結合タンパク質の発現に適した条件下で請求項11に記載の宿主細胞を培養するステップを含む方法。
【請求項13】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のIL-18BPを製造する方法であって、請求項11に記載の宿主細胞の細胞培養物の上澄からIL-18BPを単離するステップを含む方法。
【請求項14】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のIL-18BPを含む組成物。
【請求項15】
して調製した、IL-18を媒介とした疾患の治療および/または予防のための薬の調製のための、請求項1〜9のいずれか1項に記載のIL-18BPの使用。
【請求項16】
IL-18を媒介とした疾患が、乾癬、関節炎(特に関節リウマチ)、炎症性腸疾患(特にクローン病)、肝臓の損傷、アテローム性動脈硬化症、敗血症、心筋梗塞、外傷性脳損傷、アレルギー、末梢血管疾患、多発性硬化症の中から選択される、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
インターフェロンをさらに含んでおり、そのインターフェロンと上記IL-18BPが同時に、または順番に、または別々に使用される、請求項15または16に記載の使用。
【請求項18】
上記インターフェロンがインターフェロンβである、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
腫瘍壊死因子(TNF)阻害剤をさらに含んでおり、そのTNF阻害剤と上記IL-18BPが同時に、または順番に、または別々に使用される、請求項15または16に記載の使用。
【請求項20】
上記TNF阻害剤が可溶性TNF受容体である、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
IL-18BPの使用量が、体重1kgにつき約0.001〜1000mg、または体重1kgにつき約0.01〜100mg、または体重1kgにつき約0.1〜10mg、または体重1kgにつき約5mgである、請求項15〜20のいずれか1項に記載の使用。
【請求項22】
IL-18BPの変異体が皮下投与される、請求項15〜21のいずれか1項に記載の使用。
【請求項23】
IL-18BPの変異体が筋肉内投与される、請求項15〜21のいずれか1項に記載の使用。
【請求項24】
IL-18を媒介とした疾患の治療および/または予防のための薬の製造のための、請求項9に記載の核酸を含む発現ベクターの使用。
【請求項25】
IL-18を媒介とした疾患の治療および/または予防のための薬の製造のための、請求項1〜7のいずれか1項に記載のIL-18BPを産生するように遺伝子改変された細胞の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−535903(P2007−535903A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529792(P2006−529792)
【出願日】平成16年5月11日(2004.5.11)
【国際出願番号】PCT/EP2004/005073
【国際公開番号】WO2004/101617
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(599177396)アプライド リサーチ システムズ エーアールエス ホールディング ナームロゼ フェンノートシャップ (70)
【Fターム(参考)】