説明

IL−21の誘導体

【課題】IL-21の誘導体またはその変異体を提供する。
【解決手段】ヒトインターロイキン21(IL-21)の様々な誘導体を提供する。誘導体には、IL-21ペプチドを含む下記(a)(b)の化学的に修飾されたペプチド、またはIL-21ペプチドの変異体が含まれる。(a)成熟IL-21ポリペプチドまたはN−末端のMetを備えた成熟IL-21ポリペプチドからなるヒトIL-21の誘導体;および(b)前記IL-21ポリペプチドのN−末端またはC−末端にある少なくとも一つの親油性置換基を含む誘導体。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
IL-21は、インターロイキン21(IL-21)の誘導体またはIL-21アンタゴニストとして作用するIL-21の変異体を含むその類似体の合成および精製に関する。
【発明の背景】
【0002】
IL-21は、例えばWO 00/53761にT細胞増殖およびNK活性の刺激物質として記載されている。IL-21の誘導体は、以前には記載されていない。修飾された特性をもつ強力な薬学的誘導体は、多くの用途において興味の対象になる。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、IL-21の誘導体またはその変異体を提供する。
【0004】
一つの側面において、本発明は、ポリマー分子(polymeric molecule)または親油性誘導体を含むIL-21の誘導体またはその変異体を提供する。
【0005】
本発明の一側面において、IL-21の誘導体またはその変異体は、一以上のPEG基があるポリマー分子を含む。
【0006】
本発明の一側面において、IL-21の誘導体またはその変異体は、N-末端またはC-末端または分子内部に誘導体化を含む。
【0007】
本発明の一側面において、誘導体化は、天然に存在するアミノ酸上、および/または、その上または代替的に、IL-21配列内に付加または置換されたアミノ酸上にある。
【0008】
本発明は、特異的な変異体Ser-hIL21、特定の変異体を発現する単離されたDNAを提供し、ポリマー分子で誘導体化するための使用を提供する。本発明はまた、癌または感染性疾患の治療のための薬物の製造のための、IL-21の誘導体またはその変異体の使用を提供する。
【発明の説明】
【0009】
本発明は、IL-21ペプチドの様々な誘導体を提供する。誘導体には、IL-21ペプチドを含む化学的に修飾されたペプチド、またはIL-21ペプチドの変異体が含まれる。化学的修飾は、分子の化学的および生物学的特性を変化させ得る。修飾の効果によって、ペプチドの生物学的機能またはペプチドの潜在的により低い活性を維持し得る。例えば、誘導体化によって、誘導体化されたペプチドの機能的なインビボ半減期が延長され、より低い活性が補償され得る。例えば、IL-21誘導体の遅延性プロファイル効果は、IL-21ペプチドまたはその類似体の親水性基への結合によって達成され、維持された生物学的活性を有するIL-21誘導体が得られる。誘導体化によって、例えばペプチドにより長い半減期が提供され、その結果、IL-21または同じ生物学的効果を有するその誘導体の薬学的有効量の継続的存在を容易にさせる。従って、遅延性ペプチドの有効量の投与のために必要とされる量はより少量になる。誘導体化は、酵素による分解に対して分子を保護し、体内からの除去を妨げる。誘導体化は、好ましくは非免疫原性である。本発明の一側面において、ペプチドの溶解性は補正することができる。
【0010】
IL-21の活性は、Parrish-Novak, Nature, 408, 57-63, 2000; Brady, J., Hayakawa, Y., Smyth, M.J., およびNutt, S.L. 2004に記載された通りに定義される。 IL-21は、マウスNK細胞の機能的成熟を誘導する。Journal of immunology (Baltimore, Md. 172:2048-2058; Collins,M., Whitters,M.J., and Young,D.A. 2003)。 IL-21およびIL-21受容体: 新しいサイトカインの経路が、生得的および順応的免疫を調節する。Immunol Res 28:131-140; Habib,T., Nelson,A., and Kaushansky,K. 2003. IL-21: B細胞、T細胞、およびナチュラルキラー細胞の応答を調節する新規なIL-2-ファミリーリンホカイン。 J Allergy Clin Immunol 112:1033-1045. Sivakumar, P.V. 2004. インターロイキン-21は、体液性免疫および細胞仲介性の抗腫瘍反応を調節するT-ヘルパーサイトカインである。Immunology 112:177; Wang,G., Tschoi,M., Spolski,R., Lou,Y., Ozaki,K., Feng,C., Kim,G., Leonard,W.J., and Hwu,P. 2003. ナチュラルキラー細胞によって仲介されたインターロイキン21のインビボ抗腫瘍活性 Cancer Res 63:9016-9022; Wang,G. 2003. ナチュラルキラー細胞によって仲介されたインターロイキン 21のインビボ抗腫瘍活性。Cancer Res 63:9016. IL-21およびその誘導体は、腫瘍性疾患の治療において有用であると考えられる。腫瘍性疾患または癌は、腫瘍性細胞増殖の全ての形態、例えば、嚢胞性および固形腫瘍、骨および軟組織腫瘍、良性および悪性腫瘍、肛門組織、胆管、膀胱、血球、骨、骨(第二)、腸(結腸および直腸)、脳、脳(第二)、胸、胸(第二)の腫瘍、類癌腫、頚部、小児癌、目、咽喉(食道)、頭部および首部の腫瘍、カポジ肉腫、腎臓、喉頭の腫瘍、白血病(急性リンパ性)、白血病(急性骨髄性)、白血病(慢性リンパ性)、白血病(慢性骨髄性)、白血病(その他)、肝臓、肝臓(第二)、肺、肺(第二)、リンパ節(第二)、リンパ腫(ホジキン腫)、リンパ腫(非ホジキン腫)、黒色腫、中皮腫、髄腫、卵巣、膵臓、陰茎、前立腺、皮膚の腫瘍、軟部組織肉腫、胃、精巣、甲状腺、未知の原発腫瘍、膣、陰門、および子宮(子宮)の腫瘍を含む全ての形態に帰するものと理解される。軟組織腫瘍には、一染色体性良性神経鞘腫、類腱腫、脂肪芽細胞腫、脂肪腫、子宮平滑筋腫、明細胞肉腫、隆起性皮膚線維肉腫、ユーイング肉腫、骨外性粘液様軟骨肉腫、脂肪粘液様肉腫、脂肪肉腫、明確に区別された胞状横紋筋肉腫および滑膜肉腫が含まれる。具体的な骨腫瘍には、非骨化性線維腫、単房性骨嚢腫、内軟骨腫、動脈瘤性骨嚢胞、骨芽細胞腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、骨化性繊維腫およびエナメル上皮腫、巨細胞腫、線維性異形成症、ユーイング肉腫、好酸球性肉芽腫、骨肉腫、軟骨腫、軟骨肉腫、悪性線維性組織球腫および転移性腫瘍が含まれる。白血病は、骨髄によって生産される白血球の癌である。白血病には、4つの主要タイプの白血病;急性リンパ性(ALL)、急性骨髄芽球性(AML)、慢性リンパ性(CLL)および慢性骨髄球性(CML)が含まれるがこれらに限定されない。
【0011】
本発明の詳細な態様について議論する前に、本発明の主要な側面に関する特定の用語の定義を行う。
【0012】
本発明の内容において、IL-21は、SEQ ID No.:2またはN-末端配列を含まない同じ配列としてWO00/53761に開示された配列として定義される。本出願はまた、IL-21の変異体および誘導体について説明する。本発明の内容において、用語「IL-21」は、WO00/53761に記載されたIL-21(任意的にはN-末端配列を含まない)を意味する。本発明には、対応タンパク質および他の種由来のタンパク質(「相同分子種」)が含まれる。特に、対象は、げっ歯類、ブタ、ヒツジ、ウシ、イヌ、ネコ、ウマ、および他の霊長類を含む、他の哺乳類種由来のIL-21ポリペプチドである。
【0013】
「IL-21誘導体」には、他の機能性分子が連結して誘導体化されたものが含まれる。連結には、他の分子、例えば抗体、毒性物質、放射性同位元素、細胞障害性物質または細胞増殖抑制物質またはポリマー分子または親油性基の、化学的カップリング、遺伝子融合、非共有結合性会合などがある。制限のない例には、ポリマー基、例えばPCT/DK2004/000531に開示されたデントリマー、ポリアルキレンオキシド(PAO)、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、枝分かれしたPEG、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカルボキシレート、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン共マレイン酸無水物、ポリスチレン共マレイン酸無水物、デキストラン、カルボキシメチルデキストラン; 血清タンパク質結合リガンド、例えばアルブミンと結合する化合物、脂肪酸、C5-C24脂肪酸、脂肪二酸(例えば、C5-C24)が含まれる。アルブミン結合体は、デンマークの特許出願PCT/DK04/000625に記載されている。アルブミン結合体はまた、以下の式の化合物である:
【化1】

【0014】
伸長基の他の例には、生理学的条件のもと荷電性質を変化させる小さな有機分子、例えば、カルボン酸またはアミン、グリカンの特異的認識を妨げる中性の置換基、例えばより小さなアルキル置換基(例えば、C1-C5アルキル)が含まれる。
【0015】
IL-21ペプチドの変異体または類似体は、一以上のアミノ酸が置換、削除または付加されることによって特徴づけられる。これらの変化は、典型的には軽度のものであって、保存的アミノ酸の置換、およびペプチドの受容体の結合性、受容体の親和性、折り畳み状態または生物学的活性に大きな影響を与えないその他の置換である。しかしながら、以下に記載したように、主要アミノ酸では、小さな補正であってもIL-21ペプチドの効果を変化させる。小さな欠失、典型的には1〜約30のアミノ酸の欠失;および小さなアミノ末端またはカルボキシル末端の伸長、例えばアミノ末端のメチオニン残基、約20〜25残基までの小さな連結ペプチド、または精製を容易にする小さな伸長(親和性タグ)、例えばポリヒスチジン区域、タンパク質A、Nilsson et al., EMBO J. 4:1075 (1985); Nilsson et al., Methods Enzymol. 198:3 (1991)、グルタチオンSトランスフェラーゼ、Smith and Johnson, Gene 67:31 (1988)、または他の抗原性エピトープまたは結合ドメイン。一般的には、Ford et al., Protein Expression and Purification 2: 95-107 (1991)を参照。親和性タグをコードするDNAは、商業的な提供者から利用可能である(例えば、Pharmacia Biotech, Piscataway, NJ)。
【0016】
IL-21ペプチドの変異体はまた、天然に存在しないアミノ酸残基を含んでいてもよい。天然に存在しないアミノ酸には、trans-3-メチルプロリン、2,4-メタノプロリン、cis-4-ヒドロキシプロリン、trans-4-ヒドロキシプロリン、N-メチルグリシン、addo-トレオニン、メチルトレオニン、ヒドロキシエチルシステイン、ヒドロキシエチルホモシステイン、ニトログルタミン、ホモグルタミン、ピペコリン酸、チアゾリジンカルボン酸、デヒドロプロリン、3-および4-メチルプロリン、3,3-ジメチルプロリン、tert-ロイシン、ノルバリン、2-アザフェニルアラニン、3-アザフェニルアラニン、4-アザフェニルアラニン、および4-フルオロフェニルアラニンが含まれるがこれらに限定されない。天然には存在しないアミノ酸残基をタンパク質に組み込むための幾つかの方法が当業者に知られている。例えば、化学的にアミノアシル化されたサプレッサーtRNAを使用してナンセンス変異を抑制する、インビトロ系が使用され得る。アミノ酸およびアミノアシル化されたtRNAを合成するための方法は当業者に知られている。本発明のポリペプチド内の主要アミノ酸は、当業者に知られた手順によって同定され得る(例えば、部位特異的変異誘発またはアラニン走査変異誘発)[Cunningham and Wells, Science 244: 1081-1085 (1989)]; Bass et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:4498-4502 (1991)。後の技術において、単一のアラニンの変異が分子内の全ての残基に導入され、得られた変異分子の生物学的活性について試験を行い(例えば、リガンドへの結合能力やシグナル伝達について)、分子の活性にとって重要なアミノ酸残基を同定する。また、リガンドとタンパク質の相互作用部位が、結晶構造の分析、例えば核磁気共鳴、結晶学または光親和性ラベリングの技術によって決定され得る。また、主要アミノ酸の同定は、関連したタンパク質でのホモロジーの分析から推測され得る。
【0017】
一つの実施形態において、変異体はWO0053761のSEQ ID NO:2の配列と70%以上同一である。一つの実施形態において、変異体はWO0053761のSEQ ID NO:2と80%以上同一である。他の態様において、変異体はWO0053761のSEQ ID NO:2の配列と90%以上同一である。さらなる実施形態において、変異体はWO0053761のSEQ ID NO:2の配列と95%以上同一である。
【0018】
二つのアミノ酸配列間の配列同一性パーセンテージは、タンパク質とDNAのアラインメントの両方に有用なNeedelman-Wunsch alignmentによって決定される。タンパク質のアライメントのために、使用されたデフォルトスコアリングマトリックスはBLOSUM50であり、ギャップにおける第一の残基についてのペナルティは-12であり、ギャップにおける追加の残基についてのペナルティは-2である。アライメントは、FASTAパッケージ バージョン v20u6のAlignソフトウェアで行うことができる(W.R. Pearson and D.J. Lipman (1988), "Improved Tools for Biological Sequence Analysis", PNAS 85:2444-2448; and W.R. Pearson (1990) "Rapid and Sensitive Sequence Comparison with FASTP and FASTA", Methods in Enzymology, 183:63-98)。
【0019】
野生型のIL-21と比較して実質的に修飾された生物学的活性を有するIL-21変異体の制限のない例はWO03/40313に記載されており、IL-21配列の単一のアミノ酸の置換がIL-21の効果を拮抗する。
【0020】
本発明によれば、IL-21で正常に観察される活性を阻害するIL-21化合物のアンタゴニストである。このような化合物は、非常に小さな分子、ペプチドまたはIL-21と相互作用する可溶性受容体であってもよい。本発明によれば、IL-21のアンタゴニストの誘導体は、ペプチドまたは可溶性受容体である。本発明の一側面において、ペプチドはアンタゴニスト効果を有するIL-21類似体または変異体である。
【0021】
アンタゴニストはまた、Fc免疫グロブリン領域と融合したIL-21受容体の細胞外ドメインを含む融合タンパク質である。
【0022】
アンタゴニスト融合タンパク質の例は、WO03/28630のSEQ ID NO:23, SEQ ID NO:25, SEQ ID NO:27, SEQ ID NO:29, SEQ II) NO:31, SEQ ID NO:33, SEQ ID NO:35, SEQ ID NO:37, またはSEQ ID NO:39に示されている。
【0023】
本発明に基づいて使用される他のIL-21アンタゴニストは、WO03/40313の配列4および6、WO03/87320で言及された位置114および119の一つまたは両方に変異をもつIL-21ペプチドである。
【0024】
IL-21に対してアンタゴニスト作用を有するIL-21の可能性受容体は、WO04/07682に開示されている。
【0025】
本発明の方法において使用され得るアンタゴニスト融合タンパク質の例は、WO03/28630のSEQ ID NO:23, SEQ ID NO:25, SEQ ID NO:27, SEQ ID NO:29, SEQ ID NO:31, SEQ ID NO:33, SEQ ID NO:35, SEQ ID NO:37, およびSEQ ID NO:39に示されている。
【0026】
ここで与えられた本発明において使用され得る他のIL-21アンタゴニストは、WO03/40313のSEQ ID NOS 4および6、WO03/87320に言及されたヒトIL-21の位置114および119の一つまたは両方に変異をもつIL-21ペプチドである。WO04/07682には、IL-21に対するアンタゴニスト活性を有する可溶性受容体が記載されている。
【0027】
本発明の一側面において、IL-21抗体は、IL-21アンタゴニストとして使用される。例えば抗体は、当業者に周知の任意の適切な方法によって生成され得、このような抗体の例がWO00/53761に記載されている。IL-21アンタゴニスト抗体は、IL-21の一以上の生物学的活性を阻害することによって特徴づけられる。生物学的活性の阻害は、例えばBa F3アッセイによって測定され得る。ヒトIL-21受容体(IL-21R-Ba F3)を安定的にトランスフェクトされたBa F3細胞は、IL-21が培養液に加えられると増殖する。IL-21R-Ba F3細胞へのIL-21アンタゴニストの添加は、IL-21R-Ba F3細胞のIL-21依存型の増殖を部分的または完全に阻害する。
【0028】
用語「ポリマーの分子(polymeric molecule)」または「ポリマーの基(polymeric group)」または「ポリマーの基(polymeric moiety)」または「ポリマー分子(polymer molecule)」には、二以上のモノマーの共有結合的連結によって形成される分子が含まれる(但し、モノマーがアミノ酸残基のものは除かれる)。好ましいポリマーは、PCT/DK2004/000531に開示されたデントリマー、ポリアルキレンオキシド(PAO)、ポリアルキレングリコール(PAG)、例えばポリエチレングリコール(PEG)およびポリプロピレングリコール(PPG)、枝分かれしたPEG、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカルボキシレート、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン共マレイン酸無水物、ポリスチレン共マレイン酸無水物、およびデキストラン、例えばカルボキシメチルデキストランからなる群から選択されたポリマー分子である。この中でPEGが特に好ましい。
【0029】
用語「PEG化されたIL-21」は、一以上のPEG分子をヒトIL-21ポリペプチドに結合させたIL-21を意味する。PEG分子は、任意のアミノ酸残基または糖質部分を含むIL-21ポリペプチドの任意の部分に結合し得ることが理解されるべきである。用語「システイン-PEG化されたIL-21」は、PEG分子がスルフヒドリル基と結合したIL-21を意味する。
【0030】
用語「ポリエチレングリコール」または「PEG」は、カップリング剤、カップリング基または活性化基(例えば、チオール、トリフレート、トレシレート、アジルジン、オキシラン、または好ましくはマレイミド基)を含むまたは含まない、ポリエチレングリコール化合物またはその誘導体を意味する。マレイミドモノメトキシPEGのような化合物は、本発明の活性化されたPEG化合物の好ましい例である。用語「PEG」は、500〜150,000Daの間の分子量のポリエチレングリコールを意味し、その類似体も含まれる。例えば、末端OH-基が、メトキシ基によって置換されている(mPEGとして表記)。
【0031】
本明細書中において、単語「ペプチド」および「ポリペプチド」および「タンパク質」は、相互に交換可能に使用され、同一のものを意味するものとする。
【0032】
本発明の内容において、「治療」または「治療する」は、疾患、例えば疾患の症状、疾患の根底にある状態、またはその両方の予防、軽減、管理、治療または減少することである。
【0033】
用語「機能的インビボ半減期」は、その一般的意味において使用される。すなわち、ポリペプチドまたは結合体の生物学的活性の50%が、体内/標的器官に存在する時間、またはポリペプチドまたは結合体の活性がその初期値の50%になる時間である。機能的インビボ半減期を決定する代替案として、「血清半減期」が決定され得る。すなわち、ポリペプチドまたは結合体分子の50%が、除去されずに血漿または血流中を循環している時間である。血清半減期の決定は、しばしば機能的インビボ半減期を決定するよりもより単純であり、かつ血清半減期の大きさは、通常は機能的インビボ半減期の大きさの指数として適している。血清半減期に対する代替の用語には、血漿半減期、循環(circulating)半減期、循環(circulatory)半減期、血清クリアランス、血漿クリアランス、およびクリアランス半減期が含まれる。保持される機能性は、凝血促進性、タンパク質分解性、共因子結合性、受容体結合活性、または特定のタンパク質と関係した他のタイプの生物学的活性から選択される。
【0034】
機能性インビボ半減期または血漿半減期と関係した用語「増加した」は、ポリペプチドまたは結合体の半減期がリファレンス分子(例えば、比較可能な条件のもとで測定されたときの非結合の糖タンパク質)の半減期と比較して統計学的に有意に増加していることを示すために使用される。例えば、半減期は、少なくとも約25%、例えば少なくとも約50%、少なくとも約100%、150%、200%、250%または500%まで増加し得る。
【0035】
一つの実施形態において、本発明は、T細胞およびNK細胞増殖の刺激に反応する疾患の治療のための薬剤の調製のための、IL-21の誘導体の使用に関する。
【0036】
本発明は、さらに様々な他のポリペプチド融合体[および一以上のポリペプチド融合体を含む多量体タンパク質]を提供する。例えば、IL-21ポリペプチドは、米国特許番号5,155,027および5,567,584に開示された二量体タンパク質への融合体として調製され、本発明に従って誘導体化され得る。これに関連した好ましい二量体タンパク質には、免疫グロブリン定常領域ドメインが含まれる。免疫グロブリンとIL-21ポリペプチドとの融合体は、遺伝的に加工された細胞内で発現し得る。補助的ドメインをIL-21ポリペプチドに融合し、特定の細胞、組織、または巨大分子(例えば、コラーゲン)を標的にすることができる。
【0037】
全長ペプチド、ペプチド断片(例えば、リガンド−結合断片)、および融合ポリペプチドを含む本発明のペプチドは、従来技術に基づいて遺伝的に加工された宿主細胞内において生成され得る。適切な宿主細胞は、外因性DNAで形質転換または形質移入でき、かつ培地中で増殖可能な細胞である。このような細胞には、細菌、真菌細胞、および培養されたより高等の真核生物細胞が含まれる。真核生物細胞、特に、多細胞生物の培養された細胞が好ましい。クローン化されたDNA分子を操作するための技術や、外因性DNAを様々な宿主細胞に導入するための技術が、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed.(Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989), and Ausubel et al., ibid.によって開示されている。
【0038】
本発明によれば、cDNAについて権利を主張するとき、クレームされるものは、センス鎖、抗センス鎖、およびセンス鎖と抗センス鎖が互いに水素結合によって会合した二本鎖DNAであると認識すべきである。また、本発明のポリペプチドをコードする伝達RNA(mRNA)について権利を主張する。このとき、mRNAは上述したcDNAによってコードされる。伝達RNA(mRNA)は、各チミンヌクレオチド(T)がウラシルヌクレオチド(U)によって置換されることを除いて、上述したコドンと同じコドンを使用してポリペプチドをコードする。
【0039】
宿主細胞の分泌経路にIL−21ポリペプチドを導くために、分泌シグナル配列(リーダー配列、プレプロ配列またはプレ配列としても知られる)が発現ベクター内において付与される。分泌シグナル配列は、タンパク質の分泌シグナル配列であり、例えば他の分泌タンパク質から誘導されたものであっても、あるいはde novo合成されたものであってもよい。分泌シグナル配列は、正確な読み取り枠においてIL-21 DNA配列に連結される。分泌シグナル配列は、対象のポリペプチドをコードするDNA配列の5’側に位置するのが一般的であるが、シグナル配列が対象のDNA配列の他の場所に位置してもよい(例えばWelch et al., 米国特許第5,037,743号; Holland et al., 米国特許第5,143,830号を参照)。
【0040】
IL-21およびその変異体は、WO04/55168に記載されたように大腸菌内で発現し得る。任意的には、IL-21の変異体は、他の生物における組換えDNA技術によって生成され得る。このため、ヒトIL-21関連ポリペプチドまたはIL-21変異体をコードするDNA配列は、ゲノムまたはcDNAライブラリを調製し、合成オリゴヌクレオチドプローブを使用するハイブリダイゼーションによって該タンパク質の全部または一部をコードするDNA配列をスクリーニングすることによって単離され得る(Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York, 1989)。本発明の目的のために、タンパク質をコードするDNA配列は、好ましくはヒト起源、すなわちヒトゲノムDNAまたはcDNAライブラリから誘導化される。
【0041】
IL-21変異体をコードするDNA配列はまた、確立された標準的な方法、例えばホスホアミダイト方法(Beaucage and Caruthers, Tetrahedron Letters 22 (1981), 1859-1869またはMatthes et al., EMBO Journal 3 (1984), 801-805によって記載)によって合成的に調製され得る。ホスホアミダイト方法によれば、オリゴヌクレオチドは、例えば自動DNA合成器において合成され、精製、アニール化、ライゲートされ、適切なベクター中にクローン化される。
【0042】
本発明はまた、IL-21ポリペプチド、その変異体またはIL-21またはその変異体を含む融合タンパク質の化学的修飾を含む。化学的修飾には、選択された側鎖または末端残基と反応できる有機物質での共有結合性修飾が含まれる。
【0043】
このような修飾の例では、親油性置換基が上述したSEQ ID NO:1または2のアミノ酸配列上の一以上のアミノ酸残基と結合している。SEQ ID NO:2のアミノ酸配列上のアミノ酸残基は、その位置に存在する天然のアミノ酸だけではなく任意のアミノ酸残基でもよいことを理解すべきである。一つの実施形態において、親油性置換基はリシンに結合する。
【0044】
IL-21内の一以上のリシンは、誘導体化の起点となり得る。他の好ましい実施形態において、リシンが置換、リシンが配列内に挿入、またはリシンがN-末端またはC-末端に付加され、その後に任意的に誘導体化される。本発明の他の側面は、誘導体化のための側鎖における官能基を保有するasp, glu, cys, gln, ser, thrまたはtyrの付加を含む。
【0045】
挿入の好ましい領域は、タンパク質の全体的活性に悪影響を与えない場所である。N-末端およびC-末端の切断が同時に起こり、かつ適切な配列の末端において付加が起こる。
【0046】
本発明の幾つかの側面において、以下の位置: Lys22, Lys53, Lys57,Lys76, Lys78, Lys89, Lys102, Lys103, Lys106, Lys113またはLys118が任意的な置換のために選択される。
【0047】
本発明の一側面において、以下の置換基Arg66, Arg86, Arg87, Arg91, Arg111またはArg127が誘導体化され得、その後に任意的には対応する位置においてリシンで変異体を調製する。上述した位置の全てはWO00/53761に記載されたIL-21ペプチド(28アミノ酸の最初のN-末端の配列を含まない)の位置から数える。
【0048】
用語「親油性置換基」は、4〜40炭素原子を含み、かつ20℃の水中で約0.1 mg/100 ml水〜約250 mg/100 ml水、例えば約0.3 mg/100 ml水〜約75 mg/100 ml水の溶解度を有することによって特徴づけられる。例えば、オクタン酸(C8)は20℃で68mg/100mlの溶解度を示し、デカン酸(C10)は20℃で15mg/100mlの溶解度を示し、オクタデカン酸(C18)は、20℃で0.3mg/100mlの溶解度を示す。
【0049】
IL-21誘導体の作用の十分に長いプロファイルを得るために、IL-21の一部分に結合した親油性置換基は、例えば4〜40炭素原子(例として8〜25炭素原子)を含む。親油性置換基は、親油性置換基のカルボキシル基によってIL-21の一部分のアミノ基に結合し得る(結合するアミノ酸のアミノ基とアミド結合を形成する)。また、親油性置換基が前記アミノ酸に結合する際、逆に、親油性置換基のアミノ基がアミノ酸のカルボキシル基とアミド結合を形成してもよい。さらに任意的には、親油性置換基はエステル結合を介してIL-21部分に結合してもよい。形式的には、前記エステルは、IL-21部分のカルボキシル基と置換基のヒドロキシル基との反応かまたはIL-21部分のヒドロキシル基と置換基のカルボキシル基との反応のいずれかの反応によって形成され得る。さらにまた、親油性置換基は、IL-21部分の第一アミノ基に導入されるアルキル基になり得る。
【0050】
本発明の一態様において、IL-21誘導体は、IL-21ペプチドに結合した一つの親油性置換基のみを有する。
【0051】
本発明の一態様において、親油性置換基は4〜40炭素原子を含む。
【0052】
本発明の一態様において、親油性置換基は8〜25炭素原子を含む。
【0053】
本発明の一態様において、親油性置換基は12〜20炭素原子を含む。
【0054】
本発明の一態様において、親油性置換基がアミノ酸残基に結合する際、親油性置換基のカルボキシル基が、アミノ酸残基のアミノ基とアミド結合を形成する。
【0055】
他の好ましい態様では、リシンが置換、リシンが配列内に挿入、またはリシンがN-末端またはC-末端に付加される。挿入の好ましい領域は、タンパク質の全体的活性に悪影響を与えない場所である。好ましい領域は上記に挙げた位置である。
【0056】
本発明の一態様において、親油性置換基がアミノ酸残基に結合する際、親油性置換基のアミノ基が、アミノ酸残基のカルボキシル基とアミド結合を形成する。
【0057】
本発明の一態様において、親油性置換基は、スペーサーによってIL-21ペプチドに結合する。
【0058】
本発明の一態様において、スペーサーは、1〜7メチレン基、例えば二つのメチレン基を有する枝分かれしていないアルカンα,ω-ジカルボン酸基であり、スペーサーはIL-21ペプチドのアミノ基と親油性置換基のアミノ基との間に架橋を形成する。
【0059】
本発明の一態様において、スペーサーは、Cys残基、またはジペプチドを除くアミノ酸残基である。適切なスペーサーの例には、β-アラニン、γ-アミノ酪酸 (GABA)、γ-グルタミン酸、コハク酸、Lys、GluまたはAspまたはジペプチド(例えばGly-Lys)が含まれる。スペーサーがコハク酸であるとき、その一つのカルボキシル基は、アミノ酸残基のアミノ基とアミド結合を形成してもよく、その他のカルボキシル基は、親油性置換基のアミノ基とアミド結合を形成してもよい。スペーサーがLys、GluまたはAspであるとき、そのカルボキシル基は、アミノ酸残基のアミノ基とアミド結合を形成してもよい。そのアミノ基は、親油性置換基のカルボキシル基とアミド結合を形成してもよい。Lysがスペーサーとして使用されるとき、さらなるスペーサーが、例えばLysのε-アミノ基と親油性置換基との間に挿入され得る。一つの実施形態において、前記さらなるスペーサーは、Lysのε-アミノ基と、親油性置換基中に存在するアミノ基の両方とアミド結合を形成するコハク酸である。他の実施形態において、前記さらなるスペーサーは、Lysのε-アミノ基とアミド結合を形成し、かつ親油性置換基中に存在するカルボキシル基と他のアミド結合を形成するGluまたはAspである(すなわち、親油性置換基は、Nε-アシル化されたリシン残基である)。
【0060】
本発明の一態様において、前記スペーサーは、β-アラニン、γ-アミノ酪酸 (GABA)、γ-グルタミン酸、Lys、Asp、Glu、Aspを含むジペプチド、Gluを含むジペプチド、またはLysを含むジペプチドからなる群から選択される。本発明の一態様において、スペーサーはβ-アラニンである。本発明の一態様において、スペーサーは、γ-アミノ酪酸 (GABA)である。本発明の一態様において、スペーサーは、γ-グルタミン酸である。
【0061】
本発明の一態様において、親IL-21ペプチドのカルボキシル基は、スペーサーのアミノ基とアミド結合を形成し、アミノ酸またはジペプチドスペーサーのカルボキシル基が、親油性置換基のアミノ基とアミド結合を形成する。
【0062】
本発明の一態様において、親IL-21ペプチドのアミノ基は、スペーサーのカルボキシル基とアミド結合を形成し、スペーサーのアミノ基が、親油性置換基のカルボキシル基とアミド結合を形成する。
【0063】
本発明の一態様において、親油性置換基は、水素化されたシクロペンタノフェナトレン骨格を部分的または完全に含む。
【0064】
本発明の一態様において、親油性置換基は、直鎖または枝分かれしたアルキル基である。本発明の一態様において、親油性置換基は、直鎖または枝分かれした脂肪酸のアシル基である。
【0065】
本発明の一態様において、親油性置換基のアシル基は、CH3(CH2)nCO-(式中、nは4〜38であり、例えばCH3(CH2)6CO-, CH3(CH2)8CO-, CH3(CH2)10CO-, CH3(CH2)12CO-, CH3(CH2)14CO-, CH3(CH2)16CO-, CH3(CH2)18CO-, CH3(CH2)20CO- およびCH3(CH2)22CO-)を含む群から選択される。
【0066】
本発明の一態様において、親油性置換基は、直鎖または枝分かれしたアルカンα、ω-ジカルボン酸のアシル基である。
【0067】
本発明の一態様において、親油性置換基のアシル基は、HOOC(CH2)mCO-(式中、mは4〜38であり、例えばHOOC(CH2)14CO-, HOOC(CH2)16CO-, HOOC(CH2)18CO-, HOOC(CH2)20CO-およびHOOC(CH2)22CO-)を含む群から選択される。
【0068】
本発明の一態様において、親油性置換基は、式CH3(CH2)p((CH2)qCOOH)CHNH-CO(CH2)2CO-の基である(式中、pおよびqは整数かつp+q=8〜40の整数であり、例えば12〜35の整数である)。
【0069】
本発明の一態様において、親油性置換基は、式CH3(CH2)rCO-NHCH(COOH)(CH2)2CO-の基である(式中、rは10〜24の整数である)。
【0070】
本発明の一態様において、親油性置換基は、式CH3(CH2)sCO-NHCH((CH2)2COOH)CO-の基である(式中、sは8〜24の整数である)。
【0071】
本発明の一態様において、親油性置換基は、式COOH(CH2)tCO-の基である(式中、tは8〜24の整数である)。
【0072】
本発明の一態様において、親油性置換基は、式-NHCH(COOH)(CH2)4NH-CO(CH2)uCH3の基である(式中、uは8〜18の整数である)。
【0073】
本発明の一態様において、親油性置換基は、式-NHCH(COOH)(CH2)4NH-COCH((CH2)2COOH) NH-CO(CH2)wCH3の基である(式中、wは10〜16の整数である)。
【0074】
本発明の一態様において、親油性置換基は、式-NHCH(COOH)(CH2)4NH-CO(CH2)2CH(COOH) NH-CO(CH2)xCH3の基である(式中、xは10〜16の整数である)。
【0075】
本発明の一態様において、親油性置換基は、式-NHCH(COOH)(CH2)4NH-CO(CH2)2CH(COOH) NHCO(CH2)yCH3の基である(式中、yは0または1〜22の整数である)。
【0076】
本発明の一態様において、親油性置換基は、N-リトコロイル(N-Lithocholoyl)である。
【0077】
本発明の一態様において、親油性置換基は、N-コロイルである。
【0078】
本発明の一態様において、IL-21誘導体は、一つの親油性置換基を有する。本発明の一態様において、IL-21誘導体は二つの親油性置換基を有する。本発明の一態様において、IL-21誘導体は三つの親油性置換基を有する。本発明の一態様において、IL-21誘導体は四つの親油性置換基を有する。
【0079】
本発明の方法はまた、化学的に修飾されたIL-21組成物を使用する。ここでIL-21ポリペプチドは、ポリマー分子と連結する。具体的IL-21ポリペプチドは、機能的膜貫通ドメインを欠く可溶性ポリペプチド、たとえば成熟(mature)IL-21ポリペプチドである。典型的には、ポリマーは水溶性であり、IL-21結合体は水性環境、例えば生理学的環境において沈殿しない。適切なポリマーの例は、単一の反応基(例えば、アシル化のための活性エステルやアルキル化のためのアルデヒド)をもつように修飾されたポリマーである。ポリマーの重合度は調節することができる。反応性アルデヒドの例には、ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド、またはモノ-(C1-C10)アルコキシ、またはそのアリールオキシ誘導体がある(例えばHarris, et al., 米国特許番号5,252,714号を参照)。ポリマーの分岐の有無は問わない。さらに、ポリマーの混合物が、IL-21結合体を生成するために使用され得る。
【0080】
治療のために使用されるIL-21結合体は、薬学的に許容可能な水溶性ポリマー部位を含み得る。適切な水溶性ポリマーには、ポリエチレングリコール(PEG)、モノメトキシ-PEG、モノ-(C1-C10)アルコキシ-PEG、アリールオキシ-PEG、ポリ-(N-ビニルピロリドン)PEG、トレシルモノメトキシPEG、PEGプロピオンアルデヒド、ビス-スクシンイミジルカルボネートPEG、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えばグリセロール)、ポリビニルアルコール、デキストラン、セルロース、または他の炭水化物に基づいたポリマーが含まれる。異なるサイズのPEGが上述されている。
【0081】
本発明の一側面において、ペプチドはN-末端PEG基で誘導体化される。具体的には、過ヨウ素酸ナトリウムでペプチド内のセリンが酸化され、続いてPEG誘導体が反応し、ヒドロキシルアミンが結合し、オキシムを産生する。原則として、前記セリンはペプチド内部のセリン残基かまたは付加されたセリン残基である。
【0082】
PEG基を結合させるための他の方法は、G. Pasut, A. Guiotto, F. M. Veronese Expert Opin. Ther. Patents 2004, 14, 859-894に記載されている。ポリマー基の結合に適したIL-21の変異体が、上述したように得られ得る。
【0083】
本発明の一側面において、IL-21はC-末端側において結合する。これは、CPY(カルボキシペプチダーゼY)の基質として適したIL-21または適切なIL-21の変異体を使用することによって達成され得る。この反応の一部は、EP243929に記載されている。この中間体は、反応基Yを含む分子とのさらなる置換に適した、一以上の反応基Xを含む化合物によって置換され得る。該反応基は、以下に掲げる基から選択され得る。
【0084】
一つの実施形態において、XおよびYの官能基は、カルボニル基、例えばケト基およびアルデヒド基から選択され、ならびにアミノ誘導体、例えば
ヒドラジン誘導体 -NH-NH2,
ヒドラジン カルボキシラート誘導体 -O-C(O)-NH-NH2,
セミカルバジド誘導体 -NH-C(O)-NH-NH2,
チオセミカルバジド誘導体 -NH-C(S)-NH-NH2,
炭酸ジヒドラジド誘導体 -NHC(O)-NH-NH-C(O)-NH-NH2,
カルバジド誘導体 -NH-NH-C(O)-NH-NH2,
チオカルバジド誘導体 -NH-NH-C(S)-NH-NH2,
アリールヒドラジン誘導体 -NH-C(O)-C6H4-NH-NH2, および
ヒドラジド誘導体 -C(O)-NH-NH2;
オキシルアミン誘導体、例えば-O-NH2, -C(O)-O-NH2, -NH-C(O)-O-NH2 および-NH-C(S)-O-NH2から選択される。
【0085】
理解すべき点は、Xに含まれる官能基がカルボニル基である場合、Yに含まれる官能基はアミン誘導体になるということである(またはその逆)。大半のペプチドには-NH2基が存在するため、Xがケトまたはアルデヒド官能性を含む場合、よりよい選択性が得られると考えられる。
【0086】
上述した反応における好適なPEGの誘導体の例は、
【化2】

【0087】
式中、nは1, 2, 3, 4, 5または6であり、mPEGは10kDa, 20 kDa, 30kDaまたは40kDaの分子量を有する。
【化3】

【0088】
式中、mは1, 2, 3, 4, 5または6であり、mPEGは10kDa, 20kDa, 30kDaまたは40kDaの分子量を有する。
【化4】

【0089】
式中、mPEGは10kDa, 20kDa, 30kDaまたは40kDaの分子量を有する。
【化5】

【0090】
式中、mPEGは10kDa, 20 kDa, 30kDaまたは40kDaの分子量を有する。
【化6】

【0091】
式中、nは0, 1, 2, 3, 4, 5または6であり、mは1, 2, 3, 4, 5または6であり、mPEGは10kDa, 20kDa, 30kDaまたは40kDaの分子量を有する。
【化7】

【0092】
式中、mPEGは10kDa, 20kDa, 30kDaまたは40kDaの分子量を有する。
【化8】

【0093】
式中、nは1, 2, 3, 4, 5または6であり、mPEGは10kDa, 20kDa, 30kDaまたは40kDaの分子量を有する。
【化9】

【0094】
式中、mPEGは10kDa, 20 kDa, 30kDaまたは40kDaの分子量を有する。
【化10】

【0095】
式中、mPEGは10kDa, 20 kDa, 30kDaまたは40kDaの分子量を有する。
【化11】

【0096】
式中、mPEGは10kDa, 20kDa, 30kDaまたは40kDaの分子量を有する。
【化12】

【0097】
式中、mPEGは10kDa, 20kDa, 30kDaまたは40kDaの分子量を有する。
【化13】

【0098】
式中、Yは-O-NH2, NH-NH2であり、
n, mおよびsは、0〜20の任意の数であり、
R’およびR’’は、各々、例えばメチル、フェニル、ビフェニル、フェノキシフェニル、フェニルカルボキシフェニルを表わす。
【0099】
上述した任意の式におけるアルキル鎖の任意の適切な位置において、式-SO2-, -C(O)NH-, -C(O)NHSO2-, -SO2-フェニル-, C(O)NHSO2-フェニル-の基が、いずれかの方法において挿入され得る。任意的には、上述の式における基C(O)NHは、以下の化学構造式によって置換され得る。
【化14】

【0100】
本発明の一態様において、誘導体の導入は一工程において導入される。R-Xには、IL-21に導入される誘導体が含まれる。求核試薬は、例えば、誘導体を運搬するように修飾されたアミノ酸を表わす。原則的には、アミノ酸の任意の配列が使用され得る。本発明の一側面において、求核試薬、例えばG(1-5)-PEG, G(1-5)-脂質, G(1-4)-NH-CH2-CHO, G(1-4) -NH-CH2-C-O-NH2 等が使用される。
【0101】
PEGは適切なポリマー分子である。PEGは、多糖(例えばデキストラン)と比較してより架橋することができる数少ない反応基である。特に、単官能性PEG、例えばメトキシポリエチレングリコール(mPEG)が好ましい。この結合化学は比較的単純である(一つの反応基のみが、ポリペプチド上の結合基と結合することができる)。結果として、架橋の危険性が取り除かれ、得られたポリペプチド結合体はより均質であり、ポリマー分子とポリペプチドの反応は調節が容易である。
【0102】
ポリマー分子とポリペプチドの共有結合に影響を与えるために、ポリマー分子のヒドロキシル末端基が、活性化された形態、すなわち反応性官能基として与えられる。適切な活性化されたポリマー分子は、商業的に利用可能である(例えば、Shearwater Corp., Huntsville, Ala., USA、またはPolyMASC Pharmaceuticals plc, UK)。代わりに、ポリマー分子は、当業者に周知の従来の方法によって活性化され得る(例えば、WO 90/13540)。本発明で使用するための活性化された直鎖または枝分かれしたポリマー分子の特定の例が、Shearwater Corp. 1997 and 2000 Catalogs (Functionalized Biocompatible Polymers for Research and pharmaceuticals, Polyethylene Glycol and Derivatives, 参照によって本明細書中に組み込まれる)に記載されている。活性化されたPEGポリマーの特定の例には、以下の直鎖PEG: NHS-PEG (例えば、SPA-PEG, SSPA-PEG, SBA-PEG, SS-PEG, SSA-PEG, SC-PEG, SG-PEG, およびSCM-PEG), およびNOR-PEG), BTC-PEG, EPOX-PEG, NCO-PEG, NPC-PEG, CDI-PEG, ALD-PEG, TRES-PEG, VS-PEG, IODO-PEG, およびMAL-PEG, および枝分かれしたPEG(例えばPEG2-NHS), ならびに米国特許番号5,932,462および米国特許番号5,643,575(両方が参照によって本明細書中に組み込まれる)に開示されたPEGが含まれる。さらに、有用なポリマー分子および/またはPEG化された成分を開示する以下の刊行物が参照によって本明細書中に組み込まれる: U.S. Pat. No. 5,824,778, U.S. Pat. No. 5,476,653, WO 97/32607, EP 229,108, EP 402,378, U.S. Pat. No. 4,902,502, U.S. Pat. No. 5,281,698, U.S. Pat. No. 5,122,614, U.S. Pat. No. 5,219,564, WO 92/16555, WO 94/04193, WO 94/14758, WO 94/17039, WO 94/18247, WO 94/28024, WO 95/00162, WO 95/11924, WO 95/13090, WO 95/33490, WO 96/00080, WO 97/18832, WO 98/41562, WO 98/48837, WO 99/32134, WO 99/32139, WO 99/32140, WO 96/40791, WO 98/32466, WO 95/06058, EP 439 508, WO 97/03106, WO 96/21469, WO 95/13312, EP 921 131, U.S. Pat. No. 5,736,625, WO 98/05363, EP 809 996, U.S. Pat. No. 5,629,384, WO 96/41813, WO 96/07670, U.S. Pat. No. 5,473,034, U.S. Pat. No. 5,516,673, EP 605 963, U.S. Pat. No. 5,382,657, EP 510 356, EP 400 472, EP 183 503 および EP 154 316。
【0103】
ポリペプチドと活性化されたポリマー分子の結合は、例えば以下の参照文献に記載されたように、任意の従来の方法の使用によって行われる(また、ポリマー分子の活性化のための適切な方法についても記載している): R. F. Taylor, (1991), "Protein immobilisation. Fundamental and applications", Marcel Dekker, N.Y.; S. S. Wong, (1992), "Chemistry of Protein Conjugation and Crosslinking", CRC Press, Boca Raton; G. T. Hermanson et al., (1993), "Immobilized Affinity Ligand Techniques", Academic Press, N.Y.)。当業者は、使用される活性方法および/または結合化学が、ポリペプチドの結合基(結合基の例は上記に与えられる)、ならびに、ポリマーの官能基(例えば、アミン、ヒドロキシル、カルボキシル、アルデヒド、スルフィドリル、スクシンイミジル、マレイミド、ビニスルホン(vinysulfone)またはハロアセタート)に依存することに気づくであろう。PEG化は、ポリペプチド上の全ての利用可能な結合基(すなわち、ポリペプチドの表面に露出している結合基)との結合に向けて方向づけられてもよい。あるいは一以上の特定の結合基、例えば、N-末端アミノ基に向けて方向づけられてもよい(U.S. Pat. No. 5,985,265)。さらに、結合は、一工程または段階的手法において達成され得る(例えば、WO 99/55377に記載)。
【0104】
結合するPEG分子の数、分子の大きさおよび形態(例えば、直鎖または枝分かれ鎖)、ならびに分子が結合するポリペプチド内の位置に関して最適な分子を生成するためにPEG化がデザインされることが理解されるであろう。使用されるポリマーの分子量は、達成される所望の効果を考慮して選択されるであろう。例えば、結合の主たる目的は、高分子量およびより大きなサイズの結合体を達成することである(例えば腎臓での除去率を低下させるため)。所望の効果が得られる結合体のために、一以上の高分子量のポリマー分子または多数の低分子量のポリマー分子が選択され得る。しかしながら、好ましくはより低分子量の数個のポリマー分子が使用されるであろう。これはまた、高度のエピトープ遮蔽体が望まれるケースである。このようなケースにおいて、約5,000 Daの分子量をもつ2〜8個のポリマー、例えば3〜6個のポリマーが使用されてもよい。さらに、より高分子量のより少数のポリマー分子(例えば、12,000〜20,000 MWの1〜3個のポリマー分子)と比較して、より低分子量のより多数のポリマー分子(例えば、5000 MWの4〜6個のポリマー分子)の方が、ポリペプチド結合体の機能性インビボ半減期を向上させるという観点において有利である。この優位性は、上記二つのケースにおいて結合したポリマー分子の総分子量が同じかまたは近似している場合でも変わらない。より多数のより小さなポリマー分子の存在は、少なくともポリマー分子がポリペプチド表面上に比較的均一に分布しているとき、例えば単一のより大きなポリマー分子と比較して、より大きな直径のまたはより大きな見かけのサイズのポリペプチドを提供すると考えられる。さらに、本発明の結合体の少なくとも主要な部分の見かけのサイズ(または、「見かけの分子量」または「見かけの質量」という)が少なくとも約50 kDa, 例えば少なくとも約55 kDa, 例えば少なくとも約60 kDa, 例えば少なくとも約66 kDaであるとき、有利な結果が得られることを解った。これは、腎臓の除去率(クリアランス)が十分に大きな見かけのサイズをもつ結合体のために実質的に除かれるという事実が原因と考えられる。本発明の内容において、IL-21結合体またはIL-21ポリペプチドの「見かけのサイズ」はSDS-PAGE法によって決定される。
【0105】
本発明の一態様において、本発明に従ってペプチドに結合するPEGは、任意の分子量であってよい。特に、分子量は500〜100,000 Da, 例えば500〜60,000 Da, 例えば1000〜40,000 Da, 例えば5,000〜40,000 Daであってもよい。特に、10,000 Da, 20,000 Daまたは40,000 KDaの分子量をもつPEGが、本発明において使用され得る。全てのケースにおいて、PEGは直鎖でも枝分かれ鎖でもよい。本発明の一態様において、PEG基は、5kDa, 10kDa, 20kDa, 30kDa, 40kDaまたは60kDaである。
【0106】
本発明の一態様において、一以上のポリマー分子がペプチドに結合する。
【0107】
本発明は、ポリマー基の結合に適した化合物を提供する。本発明の一態様において、向上したインビボ半減期を有するペプチドが提供される。これは、化学的分解、タンパク分解、または抗体認識−または任意の他のメカニズムに対して化合物を保護することによって達成され得る。
【0108】
一態様において、提供された化合物は低毒性である。
【0109】
一態様において、提供された化合物はより水溶性である。
【0110】
一態様において、提供された化合物は修飾された体内分布を示す。
【0111】
上記のものは、非誘導体化された類似体またはhIL-21に関連している。
【薬学的組成物】
【0112】
本発明は、特定の実施形態において以下のものを提供する。
【0113】
本発明の他の目的は、IL-21、類似体またはその誘導体を、任意的には本明細書中で言及した0.1 mg/ml〜100 mg/ml濃度で存在する任意の他の化合物とともに含む、2.0〜10.0のpHを有する薬学的処方物(formulation)を提供することである。前記処方物は、さらに緩衝系、防腐剤、張度調節剤、キレート剤、安定剤および界面活性剤を含み得る。本発明の一態様において、薬学的処方物は、水性処方物、すなわち水を含む処方物である。このような処方物は、典型的には溶液または懸濁液である。本発明のさらなる態様において、薬学的処方物は、水性溶液である。用語「水性処方物」は、少なくとも50 %w/w水を含む処方物として定義される。同様に、用語「水性溶液」は、少なくとも50 %w/w水を含む溶液として定義される。そして用語「水性懸濁液」は、少なくとも50 %w/w水を含む懸濁液として定義される。
【0114】
他の態様において、薬学的処方物は、凍結乾燥処方物であり、これに、医師または患者が、使用する前に溶媒および/または希釈液を加える。
【0115】
他の態様において、薬学的処方物は、あらゆる事前溶解を伴わない使える状態の乾燥処方物である(例えば、凍結乾燥または噴霧乾燥)。
【0116】
さらなる側面において、本発明は、IL-21または上述した任意の他の化合物およびバッファーの水性溶液を含む薬学的処方物に関する。このとき、前記化合物は、0.1 mg/mlまたは上述した濃度、好ましくは0.5 mg/ml〜50 mg/mlの濃度で存在し、前記処方物は、約2.0〜約10.0のpHを有する。好ましいpHは、3.0〜約8.0である。特に好ましい範囲は、4.0〜6.0、例えば4.0〜4.5、4.5〜5.0、5.0〜5.5および5.5〜6.0の範囲である。
【0117】
本発明の他の態様において、前記処方物のpHは、2.0, 2.1, 2.2, 2.3, 2.4, 2.5, 2.6, 2.7, 2.8, 2.9, 3.0, 3.1, 3.2, 3.3, 3.4, 3.5, 3.6, 3.7, 3.8, 3.9, 4.0, 4.1, 4.2, 4.3, 4.4, 4.5, 4.6, 4.7, 4.8, 4.9, 5.0, 5.1, 5.2, 5.3, 5.4, 5.5, 5.6, 5.7, 5.8, 5.9, 6.0, 6.1, 6.2, 6.3, 6.4, 6.5, 6.6, 6.7, 6.8, 6.9, 7.0, 7.1, 7.2, 7.3, 7.4, 7.5, 7.6, 7.7, 7.8, 7.9, 8.0, 8.1, 8.2, 8.3, 8.4, 8.5, 8.6, 8.7, 8.8, 8.9, 9.0, 9.1, 9.2, 9.3, 9.4, 9.5, 9.6, 9.7, 9.8, 9.9, および10.0からなる群から選択される。
【0118】
本発明のさらなる態様において、前記バッファーは、ナトリウムアセタート、ナトリウムカルボナート、クエン酸塩、グリシルグリシン、ヒスチジン、グリシン、リシン、アルギニン、二水素リン酸ナトリウム、水素リン酸二ナトリウム、リン酸ナトリウム、およびトリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、ビシン、トリシン、リンゴ酸、スクシナート、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、アスパラギン酸、またはこれらの混合物からなる群から選択される。これらの特定のバッファーの各々が、本発明の代替の態様を構成する。
【0119】
本発明のさらなる態様において、前記処方物は、さらに薬学的に許容可能な抗菌性防腐剤を含む。本発明のさらなる態様において、防腐剤は、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、メチル p-ヒドロキシベンゾアート、プロピル p-ヒドロキシベンゾアート、2-フェノキシエタノール、ブチル p-ヒドロキシベンゾアート、2-フェニルエタノール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、およびチオメルサール、ブロノポール、安息香酸、イミド尿素、クロロヘキシジン、ナトリウムデヒドロアセタート、クロロクレゾール、エチル p-ヒドロキシベンゾアート、ベンゼトニウムクロリド、クロルフェネシン(3p-クロルフェノキシプロパン-1,2-ジオール)またはこれらの混合物からなる群から選択される。本発明のさらなる態様において、防腐剤は、0.1 mg/ml〜20 mg/mlの濃度で存在する。本発明のさらなる態様において、防腐剤は、0.1 mg/ml〜5 mg/mlの濃度で存在する。本発明のさらなる態様において、防腐剤は、5 mg/ml〜10 mg/mlの濃度で存在する。本発明のさらなる態様において、防腐剤は、10 mg/ml〜20 mg/mlの濃度で存在する。これらの特定の防腐剤の各々が、本発明の代替の態様を構成する。薬学的組成物における防腐剤の使用は当業者に周知である。便宜上、参照文献として、「Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19th edition, 1995.」を挙げる。
【0120】
本発明のさらなる態様において、処方物は、さらに等張剤を含む。本発明のさらなる態様において、等張剤は、塩(例えば、塩化ナトリウム)、糖または糖アルコール、アミノ酸(例えば、L-グリシン、L-ヒスチジン、アルギニン、リシン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファン、スレオニン)、アルジトール{例えば、グリセロール(グリセリン)、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール}ポリエチレングリコール(例えば、 PEG400)、またはこれらの混合物からなる群から選択される。任意の糖、例えばモノ-、ジ-、または多糖類、または水溶性グルカン、例えばフルクトース、グルコース、マンノース、ソルボース、キシロース、マルトース、ラクトース、スクロース、トレハロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、シクロデキストリン、溶解性スターチ、ヒドロキシエチルスターチおよびカルボキシメチルセルロース-Naが使用され得る。一つの実施形態において、糖添加物はスクロースである。糖アルコールは、少なくとも一つの--Oh基を有するC4-C8炭化水素として定義され、例えばマンニトール、ソルビトール、イノシトール、ガラクチトール、ズルシトール、キシリトール、およびアラビトールを含む。一つの実施形態において、糖アルコール添加物はマンニトールである。上述した糖または糖アルコールは、別個または組み合わせて使用され得る。糖または糖アルコールが液体製剤中に溶解し、かつ本発明の方法を使用して達成される安定性効果に悪影響を与えない限り、糖または糖アルコールの使用される量に制限はない。一つの実施形態において、糖または糖アルコール濃度は、約1 mg/ml〜約150 mg/mlである。本発明のさらなる態様において、等張剤は、1 mg/ml〜50 mg/mlの濃度で存在する。本発明のさらなる態様において、等張剤は、1 mg/ml〜7 mg/mlの濃度で存在する。本発明のさらなる態様において、等張剤は、8 mg/ml〜24 mg/mlの濃度で存在する。本発明のさらなる態様において、等張剤は、25 mg/ml〜50 mg/mlの濃度で存在する。これらの特定の等張剤の各々が、本発明の代替の実施形態を構成する。薬学的組成物における等張剤の使用は、当業者に周知である。便宜上、参照文献として、「Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19th edition, 1995.」を挙げる。
【0121】
本発明のさらなる態様において、処方物は、さらにキレート剤を含む。本発明のさらなる態様において、キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸、およびアスパラギン酸、およびこれらの混合物の塩から選択される。本発明のさらなる態様において、キレート剤は、0.1mg/ml〜5mg/mlの濃度で存在する。本発明のさらなる態様において、キレート剤は、0.1mg/ml〜2mg/mlの濃度で存在する。本発明のさらなる態様において、キレート剤は、2mg/ml〜5mg/mlの濃度で存在する。これらの特定のキレート剤の各々が、本発明の代替の実施形態を構成する。薬学的組成物におけるキレート剤の使用は、当業者に周知である。便宜上、参照文献として、「Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19th edition, 1995.」を挙げる。
【0122】
本発明のさらなる態様において、処方物は、さらに安定剤を含む。薬学的組成物における安定剤の使用は、当業者に周知である。便宜上、参照文献として、「Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19th edition, 1995.」を挙げる。
【0123】
より詳しくは、本発明の組成物は、安定化された液体薬学的組成物であり、ここで、治療学的活性成分は、液体薬学的処方物中に貯蔵している間に凝集形成を示すおそれのあるポリペプチドを含む。「凝集形成」とは、可溶性を保った状態のオリゴマーの形成をもたらすポリペプチド分子間の物理的相互作用、あるいは溶液から沈殿する大きな可視的凝集塊を意味する。「貯蔵している間」とは、いったん調製された液体薬学的組成物または処方物が、患者に直ちには投与されないことを意味する。さらに調製後に、液体形態または患者への投与に適した他の形態への後の再構成のために、液体形態、凍結形態または乾燥形態のいずれかにおいてパッケージングされる。「乾燥形態」とは、液体薬学的組成物または処方物が、凍結乾燥(すなわち凍結乾燥; 例えば, Williams and Polli (1984) J. Parenteral Sci. Technol. 38:48-59を参照)、噴霧乾燥(Masters (1991) in Spray-Drying Handbook (5th ed; Longman Scientific and Technical, Essez, U.K.), pp. 491-676; Broadhead et al. (1992) Drug Devel. Ind. Pharm. 18:1169-1206; and Mumenthaler et al. (1994) Pharm. Res. 11:12-20を参照)、または空気乾燥(Carpenter and Crowe (1988) Cryobiology 25:459-470; and Roser (1991) Biopharm. 4:47-53)のいずれかによって乾燥されることを意味する。液体薬学的組成物の貯蔵中のポリペプチドによる凝集形成は、ポリペプチドの生物学的活性に悪影響を与え、薬学的組成物の治療学的効力を失わせる。さらに、凝集形成は、ポリペプチド含有薬学的組成物が注入系を使用して投与されるとき、他の問題、例えばチュービング、メンブランまたはポンプの妨害を引き起こす。
【0124】
本発明の薬学的組成物は、さらに組成物の貯蔵中におけるポリペプチドによる凝集形成を減少させるのに十分なアミノ酸塩基の量を含み得る。「アミノ酸塩基」とは、任意の与えられたアミノ酸がその遊離塩基形態(free base form)または塩形態のいずれかにおいて存在する、アミノ酸またはアミノ酸の組み合わせを意味する。アミノ酸の組み合わせが使用される場合、全てのアミノ酸がその遊離塩基形態において存在するか、全てがその塩形態において存在するか、あるいは、幾つかがその遊離塩基形態において存在し、他のものはその塩形態において存在し得る。一つの実施形態において、本発明の組成物を調製するために使用するアミノ酸は、荷電された側鎖を有するアミノ酸、例えばアルギニン、リシン、アルパラギン酸、およびグルタミン酸である。特定のアミノ酸(例えば、グリシン、メチオニン、ヒスチジン、イミダゾール、アルギニン、リシン、イソロイシン、アルパラギン酸、トリプトファン、トレオニンおよびこれらの混合物)の任意の立体異性体(すなわちL, D,またはDL異性体)またはこれらの立体異性体の組み合わせは、特定のアミノ酸がその遊離塩基形態またはその塩形態のいずれかにおいて存在する限りにおいて、本発明の薬学的組成物中において存在し得る。一つの実施形態において、L-立体異性体が使用される。本発明の組成物はまた、これらのアミノ酸の類似体で処方されてもよい。「アミノ酸の類似体」とは、本発明の液体薬学的組成物の貯蔵中のポリペプチドによる凝集形成を減少させる所望の効果をもたらす天然に存在するアミノ酸の誘導体を意味する。適切なアルギニンの類似体は、例えばアミノグアニジン、オルニチンおよびN-モノエチルL-アルギニンが含まれ、適切なメチオニン類似体には、エチオニンおよびブチオニンが含まれ、適切なシステイン類似体には、S-メチル-Lシステインが含まれる。他のアミノ酸では、アミノ酸類似体は、それらの遊離塩基形態またはその塩形態のいずれかにおいて組成物中に組み込まれる。本発明のさらなる態様において、アミノ酸またはアミノ酸類似体は、タンパク質の凝集を防止または遅延させるのに十分な濃度で使用される。
【0125】
本発明のさらなる態様において、メチオニン(または他の硫黄アミノ酸またはアミノ酸類似体)は、治療学的薬剤として作用するポリペプチが酸化を受けやすい少なくとも一つのメチオニン残基を含むポリペプチドであるとき、メチオニン残基のメチオニンスルホキシドへの酸化を阻害するために添加され得る。「阻害」とは、長期にわたるメチオニン酸化型化学種の最小の蓄積を意味する。メチオニンの酸化を阻害することは、ポリペプチドをその適切な分子形態において長時間保持することにつながる。メチオニンの任意の立体異性体(L, D,またはDL異性体)またはその組み合わせが使用され得る。添加される量は、メチオニン残基の酸化を阻害するのに十分な量であるべきであり、メチオニンスルホキシドの量を許容可能な量に抑える。典型的には、これは組成物が約10%〜約30%以上のメチオニンスルホキシドを含むことを意味する。一般的には、添加されたメチオニン 対 メチオニン残基の比率が、約1:1〜約1000:1、例えば10:1〜約100:1の範囲である。
【0126】
本発明のさらなる態様において、処方物は、高分子量ポリマーまたは低分子化合物の群から選択された安定剤をさらに含む。本発明のさらなる態様において、安定剤は、ポリエチレングリコール(例えばPEG 3350)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、カルボキシ/ヒドロキシセルロースまたはその誘導体(例えばHPC, HPC-SL, HPC-LおよびHPMC)、シクロデキストリン、硫黄含有物質(例えばモノチオグリセロール、チオグリコール酸および2-メチルチオエタノール、および異なる塩(例えば、塩化ナトリウム)から選択される。これらの特定の安定剤の各々が、本発明の代替の態様を構成する。
【0127】
薬学的組成物はまた、治療学的活性ポリペプチドの安定性をさらに増強する追加の安定剤を含んでもよい。本発明の対象の特定の安定剤には、メチオニンおよびEDTA(メチオニンの酸化に対してポリペプチドを保護する)、および非イオン性界面活性剤(凍結−解凍または機械的せん断と関係した凝集に対してポリペプチドを保護する)が含まれるがこれらに限定されない。
【0128】
本発明のさらなる態様において、処方物は、さらに界面活性剤を含む。本発明のさらなる態様において、界面活性剤は、洗浄剤、エトキシ化されたヒマシ油、ポリグリコール化されたグリセリド、アセチル化されたモノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロックポリマー(例えばポロキサマー、例えばPluronic(登録商標)F68、ポロキサマー188および407、Triton X-100 )、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンおよびポリエチレン誘導体、例えばアルキル化およびアルコキシル化された誘導体(tweens, 例えばTween-20, Tween-40, Tween-80およびBrij-35)、モノグリセリドまたはそのエトキシ化された誘導体、ジグリセリドまたはそのポリオキシエチレン誘導体、アルコール、グリセロール、レクチンおよびリン脂質(例えば、ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ジホスファチジルグリセロールおよびスフィンゴミエリン)、リン脂質の誘導体(例えば、ジパルミトイルホスファチジン酸)およびリソリン脂質(例えば、パルミトイルリソホスファチジル-L-セリンおよびエタノールアミン、コリン、セリンまたはスレオニンの1-アシル-sn-グリセロ-3-ホスフェートエステル)およびアルキル、アルコキシル(アルキルエステル)、リソホスファチジルおよびホスファチジルコリンのアルコキシ(アルキルエーテル)誘導、例えばリソホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリンのラウロイルおよびミリストイル誘導体、および極性頭部基の修飾、すなわち、コリン、エタノールアミン、ホスファチジル酸、セリン、スレオニン、グリセロール、イノシトール、および正に帯電したDODAC、DOTMA、DCP、BISHOP、リソホスファチジルセリンおよびリソホスファチジルスレオニン、およびグリセロリン脂質(例えば、セファリン)、グリセロ糖脂質(例えば、ガラクトピランソイド)、スフィンゴ糖脂質(例えば、セラミド、ガングリオシド)、ドデシルホスホコリン、鶏卵リソレシチン、フシジン酸誘導体(例えば、ナトリウムタウロ-ジヒドロフシダート等)、長鎖脂肪酸およびその塩 C6-C12(例えばオレイン酸およびカプリル酸)、アシルカルニチンおよび誘導体、リシン、アルジニンまたはヒスチジンのNα-アシル化誘導体、またはリシンまたはアルギニンの側鎖アシル化誘導体、リシン、アルギニンまたはヒスチジンおよび中性または酸性アミノ酸の任意の組み合わせを含むジペプチドのNα-アシル化誘導体、中性アミノ酸および二電荷のアミノ酸の任意の組み合わせを含むトリペプチドのNα-アシル化誘導体、DSS(ドキュセートナトリウム、CAS登録番号[577-11-7])、ドキュセートカルシウム、CAS登録番号[128-49-4])、ドキュセートカリウム、CAS登録番号[7491-09-0])、SDS(ドデシル硫酸ナトリウムまたはラウリル硫酸ナトリウム)、カプリル酸ナトリウム、コール酸またはその誘導体、胆汁酸およびその塩およびグリシンまたはタウリン結合体、ウルソデオキシコール酸、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、N-ヘキサデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホネート、陰イオン性(アルキル-アリール-スルホン酸塩)一価界面活性剤、両性イオン界面活性剤(例えば、N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニオ-1-プロパンスルホネート、3-コルアミド-1-プロピルジメチルアンモニオ-1-プロパンスルホン酸塩、陽イオン性界面活性剤(四級アンモニウム塩基)(例えばセチル-トリメチルアンモニウムブロミド、セチルピリジニウム塩化物)、非イオン性界面活性剤(例えば、ドデシルβ-D-グルコピラノシド)、ポロキサミン(例えば、Tetronic’s)(これはプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドのエチレンジアミンへの連続的添加から誘導体化された四官能性のブロックコポリマーである)から選択される。添加剤はまた、イミダゾリン誘導体またはその混合物の群から選択されてもよい。これらの特定の界面活性剤の各々は、本発明の代替の態様を構成する。
【0129】
薬学的組成物中における界面活性剤の使用は、当業者に周知である。便宜上、参照文献として、「Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19th edition, 1995.」を挙げる。
【0130】
他の成分が、本発明のペプチド薬学的処方物中に存在していてもよい。例えば、追加の成分には、湿潤剤、乳化剤、抗酸化剤、充填剤、張度調節剤、キレート剤、金属イオン、油性ビヒクル、タンパク質(例えばヒト血清アルブミン、ゼラチンまたはタンパク質)および両性イオン(例えば、アミノ酸、例えばベタイン、タウリン、アルギニン、グリシン、リシンおよびヒスチジン)が含まれる。このような追加の成分は、当然のことながら、本発明の薬学的処方物の全体的安定性に悪影響を与えるべきではない。
【0131】
本発明によって上述したIL-21または任意の他の化合物を含む薬学的組成物は、治療の必要性のある患者に幾つかの部位、例えば局所的部位(皮膚および粘膜など)、吸収をバイパスする部位(動脈、静脈、心臓内への投与など)、および吸収に関与する部位(皮膚、皮下、筋肉または腹部内への投与など)で投与され得る。
【0132】
本発明による薬学的組成物の投与は、治療が必要な患者に対し、幾つかの投与経路、例えば、舌、舌下、頬側、口内、経口的、胃内および腸内、鼻、肺、例えば、細気管支および肺胞またはこれらの組み合わせ、上皮、真皮、経皮、膣、直腸、眼球、例えば結膜、尿管、および腸管外を通過し得る。
【0133】
本発明の組成物は、幾つかの投与形態、例えば、溶液、懸濁液、エマルジョン、マイクロエマルジョン、複合のエマルジョン、フォーム、膏薬、ペースト、プラスター、軟膏、タブレット、コーティング錠、リンス、カプセル、例えば、硬質ゼラチンカプセルおよび軟質ゼラチンカプセル、坐薬、直腸カプセル、ドロップ、ゲル、スプレー、パウダー、エアロゾル、吸入剤、点眼薬、眼軟膏、眼リンス、膣内ペッサリー、膣内環、膣内軟膏、注入溶液、in situ形質変換溶液、例えばin situゲル化剤、in situ硬化剤、in situ沈殿剤、in situ結晶化剤、注入溶液、およびインプラントの形態で投与され得る。
【0134】
本発明の組成物はまた、共有結合、疎水結合および静電相互作用を通して、ドラッグキャリアー、ドラッグデリバリーシステムおよびアドバンスドラッグデリバリーシステムに組み込まれてもよい。組み込まれた結果、IL-21または上述した任意の他の化合物の安定性をさらに増強させることができる。さらに、生物利用可能性を増加し、可溶性を増加し、不利益な効果を低下させ、当業者に周知の時間治療を達成し、患者のコンプライアンスを増加させる(あるいはこれらの効果のうち少なくとも一以上の任意の組み合わせを得る)。キャリアー、ドラッグデリバリーシステムおよびアドバンスドラッグデリバリーシステムの例には、ポリマー、例えばセルロースおよびその誘導体、多糖、例えばデキストランおよびその誘導体、デンプンおよびその誘導体、ポリ(ビニルアルコール)、アクリル酸塩およびメタクリル酸塩ポリマーおよびその誘導体、ポリ乳酸およびポリグリコール酸およびこれらのブロックコポリマー、ポリエチレングリコール、キャリアータンパク質、例えばアルブミン、ゲル、例えば、温度ゲル化系、例えば当業者に周知のブロックコポリマー系、ミセル、リポソーム、ミクロスフェア、ナノ粒子、液晶およびその分散系、L2相およびその分散系(脂質−水系の相挙動において当業者に周知)、重合ミセル、多重エマルジョン、自己乳化剤、自己ミクロ乳化剤、シクロデキストリンおよびその誘導体、およびデントリマーが含まれるがこれらに限定されない。
【0135】
本発明の組成物は、L-21または上述した任意の他の化合物の肺性投与のために、固体、半固体、粉末および溶液の処方物において有用である。投与に際して、計測投与吸入器、乾燥粉末吸入器および噴霧器を使用してもよい。全ての装置は当業者に周知のものである。
【0136】
本発明の組成物は、具体的には、制御された、徐放された、延長された、遅延性の、およびゆっくりとした放出ドラッグデリバリーシステムの処方物において有用である。より具体的には、組成物は、当業者に周知の腸管外の制御された放出系および徐放性の放出系(両系は投与回数の何倍もの減少を導く)の処方物において有用である。さらにより好ましくは、皮下に投与される、制御された放出系および徐放性の放出系である。本発明の範囲を制限せずに、有用な制御された放出系および組成物の例には、ヒドロゲル、油性ゲル、液体結晶、ポリマーミセル、ミクロスフェア、ナノ粒子がある。
【0137】
本発明の組成物に有用な制御された放出系を産生する方法には、結晶化、凝縮、共結晶化、沈殿、共沈殿、乳化、分散、高圧均質化、封入、噴霧乾燥、ミクロ封入、コアセルベーション、相分離、ミクロスフェアを生成するための溶媒蒸発、押出しおよび超臨界液体プロセスが含まれるがこれらに限定されない。一般的な参照文献として、Handbook of Pharmaceutical Controlled Release (Wise, D.L., ed. Marcel Dekker, New York, 2000) および Drug and the Pharmaceutical Sciences vol. 99: Protein Formulation and Delivery (MacNally, E.J., ed. Marcel Dekker, New York, 2000)が挙げられる。
【0138】
非経口的(腸管外的)投与は、シリンジ、任意的にはペン型シリンジによって、皮下、筋肉内、腹腔内または静脈内注入によって行われ得る。代わりに、非経口的投与は、注入ポンプによって行われ得る。さらなるオプションは、鼻または肺スプレーの形態においてIL-21または上述した任意の他の化合物を投与するために溶液または懸濁液になり得る組成物である。さらなるオプションとして、IL-21または上述した任意の他の化合物を含む薬学的組成物はまた、経皮的投与、例えば、ニードルフリー注入、またはパッチ、任意的にはイオン導入パッチ、または経粘膜(transmucosal)、例えば、頬側投与に適合され得る。
【0139】
用語「安定化された処方物」は、増加した物理的安定性、増加した化学的安定性または増加した物理的および化学的安定性を示す処方物を意味する。
【0140】
本明細書中に使用されたタンパク質処方物の用語「物理的安定性」は、温度−機械的ストレスに対するタンパク質の暴露の結果、および/または不安定な界面および表面(例えば疎水性表面および界面)での相互作用の結果として、生物学的不活性および/または不溶性凝集体を形成するタンパク質の傾向を意味する。水性タンパク質処方物の物理学的安定性は、適切な容器(例えば、カートリッジまたはバイアル)に充填された処方物を、様々な時間にわたって異なる温度で機械的/物理的ストレス(例えば撹拌)にさらすことによって、視覚的検査および/または濁度測定によって評価される。処方物の視覚的検査は、暗背景下の鋭い集光の中で行われる。処方物の濁度は、視覚スコアによって特徴づけられる。視覚スコアは濁度の程度をランク付けしたものであり、例えば0〜3で点数がつけられる(濁りのない処方物は視覚スコア0に相当し、昼光で視覚的濁りを示す処方物は視覚スコア3に相当する)。処方物が昼光で視覚的濁りを示すとき、該処方物はタンパク質の凝集に関して物理的に不安定なものに分類される。代わりに、処方物の濁度は、当業者に周知の単純な濁度測定によって評価され得る。また、タンパク質の高次構造状態についての水性タンパク質処方物の物理的安定性は、分光学的薬剤またはプローブを使用することによって評価され得る。該プローブは、好ましくはタンパク質の非天然の配座異性体に優先的に結合する小分子である。タンパク質構造の小分子の分光学的プローブの一例は、チオフラビンTである。チオフラビンTは、アミロイド原繊維の検出のために広く使用されている蛍光色素である。原線維と他のタンパク質の立体配置の存在において、チオフラビンTが原線維のタンパク質形態に結合したとき、チオフラビンTは約450 nmでの新しい最大励起と、約482 nmでの増強された発光を引き起こす。未結合のチオフラビンTは、前記波長ではほとんど蛍光を発しない。
【0141】
他の小分子は、天然から非天然状態までのタンパク質構造内の変化のプローブとして使用され得る。例えば、「疎水性パッチ」プローブは、タンパク質の露出した疎水性パッチと優先的に結合する。疎水性パッチは、一般的にはその天然の状態におけるタンパク質の三次構造内に埋め込まれているが、折り畳み構造がほどかれたり変性したりしたときに露出するようになる。これらの小分子、分光学的プローブの例には、芳香族、疎水性染料、例えばアントラセン、アクリジン、フェナントロリンまたはその類似体がある。他の分光学的プローブには、金属−アミノ酸の複合体、例えば疎水性アミノ酸、例えばフェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、およびバリン等のコバルト金属複合体がある。
【0142】
本明細書に使用されたタンパク質処方物の用語「化学的安定性」は、化学的分解生成物の形成を導くタンパク質構造内の化学的共有結合性の変化をいう。化学的分解生成物は、天然のタンパク質構造と比較して、潜在的に低い生物学的能力および/または潜在的に増加した免疫原性質を示す。様々な化学的分解生成物は、天然のタンパク質の型および性質ならびにタンパク質がさらされる環境に依存しながら形成され得る。化学的分解を完全に避けることはおそらくはできず、化学的分解生成物の量の増加が、当業者によく知られたタンパク質処方物の貯蔵中および使用中においてしばしば観察される。大部分のタンパク質は、脱アミドを起こしやすく、あるプロセスにおいて、グルタミニルまたはアスパラギニル残基内の側鎖アミド基が加水分解されて遊離カルボン酸を形成する。他の分解経路は、高分子量の形質転換生成物の形成を伴う。このとき、二以上のタンパク質分子が、共有結合性二量体、オリゴマーおよびポリマー分解生成物の形成を導くアミド基転移および/またはジスルフィド相互作用を通して互いに共有結合する(Stability of Protein Pharmaceuticals, Ahern. T.J. & Manning M.C., Plenum Press, New York 1992)。酸化(例えばメチオニン残基の)は、化学的分解の他の変形として言及され得る。タンパク質処方物の化学的安定性は、異なる環境条件(分解生成物の形成は、例えば温度を上昇させることによって加速され得る)にさらされた後の様々な時間地点で化学的分解生成物の量を測定することによって評価され得る。各個々の分解生成物の量は、様々なクロマトグラフィー技術(例えば、SEC-HPLCおよび/またはRP-HPLC)を使用して分子サイズおよび/または荷電に基づいて分解生成物の分離を行うことによって決定され得る。
【0143】
従って、上記に概説したように、「安定化された処方物」とは、増加した物理的安定性、増加した化学的安定性または増加した物理的および化学的安定性を有する処方物を意味する。一般には、処方物はその満了日が過ぎるまで使用および貯蔵中(推奨された使用および貯蔵条件に従う)に安定でなければならない。
【実施例】
【0144】
組換え型のインターロイキン21(IL21)を、WO 04/55168に記載された大腸菌内においてN末端伸長(Met-Ser-hIL21)を有する封入体として発現させた。N末端Met残基を、大腸菌内に存在するプロテアーゼ系によって除去し、Ser-hIL21を放出させた。Glu-Ala-Gluのアミノ酸配列は存在していても欠損していてもよい。
【0145】
タンパク質を再度折り畳まれた状態に戻し、従来のクロマトグラフィー方法を使用して90〜95%純度まで精製した。
【0146】
その後、N末端セリンの酸化を介して純粋なタンパク質のN末端PEG化を行う。過ヨウ素酸ナトリウムとの反応、続いてPEG誘導体との反応を行い、これにヒドロキシルアミンが結合してオキシムを産生した。
【0147】
後の精製を、ゲルろ過またはサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して行った。
【0148】
例えば、以下に記載されたBAF3アッセイのような増殖アッセイにおいて、PEG化されたIL21は、PEG化されていない標準型IL21と同等の効力を有する。これは、PEG化が受容体の結合を妨げず、かつ反応手順がタンパク質にとって有害ではないことを示している。
【0149】
予備例
IL-21誘導体のC-末端にPEG基を結合させる方法は、上述した他のペプチドまたはタンパク質に対する化学基の結合と同じように行われ得る。
【0150】
以下の二つの工程の方法によって、PEG-基をIL-21またはIL-21誘導体(例えばhIL-21)のC末端に結合し得る。
【0151】
第一工程において、適切なIL-21-類似体(例えば、(hIL-21イル(yl))アラニン)は、適切なpH(例えばpH7.5〜8)および適切な温度(例えば室温30℃〜35℃)で、例えば、適切なバッファー(例えばHEPES/TMEDA-バッファー)中の(S)-2-アミノ-3-(4-(プロパルギルオキシ)フェニル)プロパン酸の存在中において、カルボキシペプチダーゼY(CPY)によって触媒されたペプチド転移反応を受ける。
【化15】

【0152】
第二工程において、適切に誘導化されたPEG試薬を、(S)-2-((hIL-21イル)アミノ)-3-(4-(プロパリールオキシ)フェニル)プロパン酸アミドと反応させる。例えば、過剰な4-(mPEG20000イル)-N-(3-(ヒドロキシイミノ)ベンジル)ブタン酸アミドを、酸化的条件、例えば次亜塩素酸ナトリウム溶液下において、4-(mPEG20000イル)-N-(3-(オキシシアノ)ベンジルブタン酸アミドと反応させる。4-(mPEG20000イル)-N-(3-(オキシシアノ)ベンジルブタン酸アミドの溶液を、(S)-2-((hIL-21イル)アミノ)-3-(4-(プロパリールオキシ)フェニル)プロパン酸アミドの溶液に加え、(S)-2-((hIL-21イル)アミノ)-3-(4-((3-(3-((4-(mPEG20000イル)ブタノイルアミノ)メチル)フェニル)イソオキサゾール-5-イル)メトキシ)フェニル)プロパン酸アミドを得る。
【化16】

【0153】
4-(mPEG20000イル)-N-(3-(ヒドロキシイミノ)ベンジル)ブタン酸アミドは、商業的に利用可能な3-((tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル)安息香酸から調製され得る。これは、適切な試薬または複数の試薬の組み合わせで、当業者に知られた二つの工程の手順において還元され得る。この二つの工程の手順は、第一工程において、塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在中においてエチルクロロホルメートを付加し、ろ過によって形成されたトリエチルアンモニウム塩化物を除去し、リチウムホウ化水素を添加し、tert-ブチルN-(3-(ヒドロキシルメチル)ベンジル)カルバメートを得る。tert-ブチルN-(3-(ヒドロキシルメチル)ベンジル)カルバメートを、適切な試薬または複数の試薬の組み合わせで、例えば、当業者に知られたSwern酸化を利用して酸化する。アルコール溶液、例えばジクロロメタンを、オキサリル塩化物とジメチルスルホキシデインジクロロメタンの混合物に-78℃で添加し、これらが-78℃で形成された後、適切なアミノ塩基、例えばトリエチルアミンを添加し、その後に室温まで暖める。形成されたtert-ブチルN-(3-ホルミルベンジル)カルバメートが反応に供され、溶液(例えば水中のナトリウム水酸化物)中のヒドロキシルアミンの遊離塩基または適切な塩との反応によってtert-ブチルN-(3-((ヒドロキシルイミノ)メチル)ベンジル)を得る。文献(例えば、 T.W. Green, P. G. M Wuts Protective groups in organic synthesis 2nd ed. Wiley, New York, 1991)に記載された方法(例えば、ジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸の50%溶液での処理)によって、BOC-保護基を、tert-ブチルN-(3-((ヒドロキシルイミノ)メチル)ベンジル)から取り除き、3-(アミノメチル)ベンズアルデヒドオキシムを得る。最後に、4-(mPEG20000イル)-N-(3-(ヒドロキシイミノ)ベンジル)ブタン酸アミドを、アミド形成反応によって調製する。3-(アミノメチル)ベンズアルデヒドオキシムの遊離塩基または適切な塩を、適切な塩基、例えばエチルジイソプロピルアミンの過剰存在中において、商業的に利用可能な2,5-ジオキシピロリジニル4-(mPEG20000イル)ブタン酸エステル(Nektar, 2M450P01)と反応させる。
【化17】

【0154】
代替の第二工程では、(S)-2-((hIL-21イル)アミノ)-3-(4-(プロパリールオキシ)フェニル)プロパン酸アミドに関して適切な量の硫酸銅五水和物(例えば、5%または10%または1当量または10当量)と、(S)-2-((hIL-21イル)アミノ)-3-(4-(プロパリールオキシ)フェニル)プロパン酸アミドに関して適切な量のL-アスコルビン酸(例えば、50 eq)との混合物を、水中で調製する(これらは2,6-ルチジンで緩衝されている)。適切な時間(例えば5分間)の後、この溶液を、2,6-ルチジンで緩衝されている(S)-2-((hIL-21イル)アミノ)-3-(4-(プロパリールオキシ)フェニル)プロパン酸アミドおよびN-(2-(mPEG20000イル)エチル)11-アジドウンデカン酸アミドの溶液に加える。(S)-((hIL-21)アミノ)-3-(4-((1-(10-(N-(2-(mPEG20000イル)エチル)カルバモイル)デカニル)-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)フェニル)および(S)-((hIL-21)アミノ)-3-(4-((1-(10-(N-(2-(mPEG20000イル)エチル)カルバモイル)デカニル)-1,2,3-トリアゾール-5-イル)メトキシ)フェニル)から選択された単一の化合物の混合物が形成されるまで、反応混合物を、適切な温度、例えば室温において保持する。
【化18】

【0155】
N-(2-(mPEG20000yl)エチル)11-アジドウンデカン酸アミドの合成は、適切な溶媒、例えばN,N-ジメチルホルムアミド中において適切な温度(例えば60℃)で、商業的に利用可能なメチル11-ブロモウンデカン酸エステルとナトリウムアジドとの反応によって行われ得る。形成されたメチル11-アジドウンデカン酸エステルを、当業者に周知の方法および文献に記載された方法(例えば、T.W. Green, P. G. M Wuts Protective groups in organic synthesis 2nd ed. Wiley, New York, 1991)(例えば、メタノール中の水酸化カリウムまたはテトラヒドロフラン中のトリエチルシラン酸カリウム)によってけん化する。得られた酸を、当業者に周知の方法によって、適切な溶媒(例えばN,N-ジメチルホルムアミド)中において適切な温度(例えば室温)で、例えば2-スクシンイミド-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート(TSTU)と反応させることによって活性化し、11-アジド-N-2,5-ジオキソピロリジン-1-イルウンデカン酸アミドを得る。11-アジド-N-2,5-ジオキソピロリジン-1-イルウンデカン酸アミドを、適切な溶媒(例えばジクロロメタン)中、適切な塩基(例えば、トリエチルアミンまたはエチルジイソプロピルアミン)の存在下において、商業的に利用可能な(2-(mPEG20000イル)エチル)アミン(Nektar 2M2U0P01)と反応させ、N-(2-(mPEG20000イル)エチル)11-アジドウンデカン酸アミドを得る。
【化19】

【0156】

1-(((((4-((4-(mPEG-20000イル)ブタノイル)アミノ)ブトキシイミノアセチル)セリニル)グルタミル)アラニニル)グルタミル)hIL-21
工程1:
2-(4-(tert-ブトキシカルボニルアミノキシ)ブチル)イソインドール-1,3-ジオン
【化20】

【0157】
商業的に利用可能なN-(4-ブロモブチル)フタルイミド(2.82g, 10 mmol)およびN-Boc-ヒドロキシルアミン(2.08 g, 15.6 mmol)の混合物に対して、アセトニトリル(2 ml)および続いて1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(2.25 ml, 15 mmol)を加えた。反応混合物を30分間室温で攪拌し、その後50℃で2日間にわたって攪拌した。水(30 ml)および1N塩化水素酸(20 ml)の混合物で希釈した。エチルアセテート(2×100 ml)で抽出した。該有機相を鹹水(50 ml)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。粗生成物をシリカ(60 g)上のクロマトグラフィーによって精製した。溶出剤としてヘプタン/エチルアセテート1:0〜0:1の勾配を使用し、2.08 gの2-(4-(tert-ブトキシカルボニルアミノキシ)ブチル)イソインドール-1,3-ジオンを得た。
【0158】
工程 2:
N-(4-アミノブトキシ)カルバミン酸 tert-ブチルエステル
【化21】

【0159】
ヒドラジン水和物(1.0 ml, 20 mmol)を、エタノール(8.0 ml)中の2-(4-(tert-ブトキシカルボニルアミノキシ)ブチル)イソインドール-1,3-ジオン(2.08 g, 6.22 mmol)の溶液に加えた。反応混合物を80℃で65時間にわたって攪拌した。溶媒をin vacuoで除去した。残基をトルエン(10 ml)に溶解し、溶媒を真空中で除去した。残基を1N塩化水素酸(10 ml)で懸濁した。沈殿物をろ過によって取り除き、水(2 ml)で洗浄した。ろ液および洗浄液体を混合し、炭酸カリウムで塩基を調製した。溶液をジクロロメタン(4×20 ml)で抽出した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させた。溶媒をin vacuoで除去し、0.39 gのN-(4-アミノブトキシ)カルバミン酸tert-ブチルエステルを得た。カリウムカルボナート(3 g)を水性相に加え、ジクロロメタン(3×20 ml)で抽出した。これらの混合された有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させた。溶媒をin vacuoで除去し、他の0.39 gのN-(4-アミノブトキシ)カルバミン酸tert-ブチルエステルを得た。
【0160】
工程 3:
N-(4-(4-(mPEG20000イル) ブタノリアミノ(butanolyamino))ブトキシ)カルバミン酸 tert-ブチル エステル
【化22】

【0161】
商業的に利用可能なmPEG2000イルブタン酸のN-ヒドロキシスクシンイミドエステル(Nektar “mPEG-SBA”, # 2M450P01, 3 g, 0.15 mmol)をジクロロメタン(25 ml)中に溶解させた。N-(4-アミノブトキシ)カルバミン酸 tert-ブチルエステル(0.12 g, 0.59 mmol)を加えた。反応混合物を室温で振盪した。沈殿が得られるまでジエチルエーテルを加えた。沈殿をろ過によって分離した。該物質をin vacuoで乾燥させ、2.39 gのN-(4-(4-(mPEG20000イル)ブタノリアミノ)ブトキシ)カルバミン酸 tert-ブチル エステルを得た。
【0162】
工程 4:
N-(4-アミノキシブチル)-4-(mPEG 20000イル)ブタノリアミド
【化23】

【0163】
トリフルオロ酢酸(20 ml)を、ジクロロメタン(20 ml)中のN-(4-(4-(mPEG20000yl)ブタノリアミノ)ブトキシ)カルバミン酸 tert-ブチル エステル(2.39 g, 0.12 mmol)の溶液に加えた。反応混合物を30分間にわたって振盪した。ジエチル エーテル(100 ml)を加えた。形成された沈殿をろ過によって単離した。ジエチルエーテル(2×100 ml)で洗浄し、in vacuoで乾燥させ、1.96 gのN-(4-アミノキシブチル)-4-(mPEG20000イル)ブタノリアミドを得た。
【0164】
工程 5:
1-((((セリニル)グルタミル)アルニニル)グルタミル)hIL-21 (4 mg, リン酸緩衝液中で凍結乾燥された、252 nmol)を、水(4 ml)中トリエタノールアミン(0.008 ml)からなる0.400 mlの緩衝液中に溶解させた。水(0.12 ml)中のメチオニンの溶液(3.15 mg, 21420 nmol)と過ヨウ素酸ナトリウムの溶液(0.38 mg, 1890 nmol)を連続的に加えた。反応混合物を室温で30分間にわたって静置した。水(0.240 ml)中のN-(4-アミノキシブチル)-4-(mPEG20000イル)ブタノイルアミド(77 mg, 3780 nmol)の溶液を加えた。pHを氷酢酸(0.004 ml)でpH 4〜5に調整した。反応混合物を16時間にわたって室温で静置した。反応混合物を水(3.2 ml)中のトリエタノールアミン(12 mg)の溶液で希釈し、精製まで-18℃で保持した。
【0165】
タンパク質化学
組換え型のインターロイキン21(IL21)を、N末端延長(Met-Ser-Glu-Ala-Glu-hIL21)で大腸菌内の封入小体として発現させた。N末端のMet残基を大腸菌内に存在するプロテアーゼ系によって除去し、Ser-Glu-Ala-Glu-hIL21を遊離させる。Glu-Ala-Gluアミノ酸配列は存在してもしなくてもよい(我々はMet-Ser-hIL21で実験を開始する)。
【0166】
タンパク質を再度折り畳まれた状態に戻し、従来のクロマトグラフィー法を使用して90〜95%の純度で精製した。
【0167】
その後、上記工程1〜5に記載された反応を介して純粋なタンパク質のN末端PEG化を行った。
【0168】
続いて、ゲルろ過またはサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して精製を行った。
【0169】
増殖アッセイにおいて、PEG化されたIL21は、PEG化されていない標準体と似たような効能を示した。これは、PEG化が受容体の結合を妨害せず、反応手順がタンパク質にとって有害ではないことを示している。
【0170】
薬理学的方法
Baf-3(IL21R)細胞を使用する増殖試験
マウスまたはヒトIL21RをトランスフェクトしたIL3依存型Baf-3細胞を、増殖試験の開始までIL-3 含有培養液中で増殖させる(好ましくは3日)。
【0171】
試験について使用される細胞を、IL3を含まない培養液で洗浄し、96 ウェルプレートに試験培養液(IL-3を含まない)中50.000c/wで播種する。IL21を、10-7M〜10-13Mまで連続的に希釈して加え、細胞を37℃, 5% CO2でインキュベートする。AlamarBlue (Biosource)を培養66時間後に全てのウェルに加え、さらに6時間にわたって細胞をインキュベートする。細胞が増殖している場合、AlamarBlueは還元され、培養液の色は、青色から赤色に変化する。その後、プレートをFluostar (bmg) 550nm(励起)および590nm(発光)で読み取り、Prism (GrafPad software)によって分析を行う。
【0172】
Baf-3細胞に関する参考文献:
Palacios, R. & Steinmetz, M. (1985) Cell 41 pp 727-734.
[マウスにおけるPEG-hIL-21 PK研究の説明]
この実験は、PEG-hIL-21の生物学的利用能および薬物動態特性を得るために、単回投与のPEG20K-hIL-21、PEG40K-hIL-21およびhIL-21をマウスに静脈内投与および皮下内投与する。
【0173】
材料および方法
約25g体重の48匹のメスC57BL/6Jbom(Bomholtgard, Ry, Denmarkから入手)を本実験で使用する。
研究中、この動物をアニマルユニット(Standard Operating Procedure no. 010364)の標準的手順に従って維持および処理し、かつ餌と水を自由に与える。
【0174】
試験処方物
200μg/ml濃度のhIL-21、PEG20k-hIL-21およびPEG40k-hIL-21。試験物質をpH 7.4のPBSバッファーに溶解させる。
【0175】
投与
試験物質を以下の条件に従って投与する:
20μg/25g マウス(0.8μg/g マウス体重に相当)。
静脈注射は、0.1 mlの容量で尾静脈に与える。
皮下注射は、0.1 mlの容量で後頸部に与える。
【0176】
血液サンプル
血液サンプルを以下のスケジュールに従って回収する。
静脈注射後:
投与前、投与後5, 10, 20, 30, 45 (分), 1, 1.5, 2, 4 および 6時間。
皮下注射後:
投与前、投与後10, 30 (分), 1, 1.5, 2, 3, 4, 6, 8 および 24 時間。
【0177】
血液サンプルを眼窩の静脈叢から引き抜く。約0.1〜0.2 mlの血液を各サンプル毎に引き抜く。三つの血液サンプルを各動物から取り出す。二匹のマウスからの血液サンプルを、各時間地点で引き抜く。
血液サンプルをMicronic試験管内に回収し、最長20分間氷冷し、遠心分離(1200m×g, 4℃, 10 min)を行う。
25μLの血漿サンプルを別のMicronic試験管に移し、直後に遠心分離を行い、分析を行うまで-20℃で保存する。
【0178】
アッセイ
血漿サンプルを、免疫化学、Novo Nordisk A/Sによる特定のイムノアッセイによってhIL-21の含有量について分析を行う。
血漿濃度−時間のプロファイルを、非コンパートメントおよびコンパートメントの薬物動態方法によって分析を行う。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー分子または親油性誘導体を含むIL-21の誘導体またはその変異体。
【請求項2】
前記ポリマー分子が、一以上のPEG基である請求項1に記載の誘導体。
【請求項3】
前記ポリマー分子が、5kDa, 10kDa, 20kDa, 30kDa, 40kDaまたは60kDaの分子量を有し、かつ直鎖または枝分かれした一以上のPEG基である請求項2に記載の誘導体。
【請求項4】
N-末端に誘導体化を含む、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のIL-21の誘導体またはその変異体。
【請求項5】
C-末端に誘導体化を含む、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のIL-21の誘導体またはその変異体。
【請求項6】
ペプチドの内部に誘導体化を含む、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のIL-21の誘導体またはその変異体。
【請求項7】
前記誘導体化が、天然に存在するアミノ酸上にある、請求項1ないし6のいずれか一項に記載のIL-21の誘導体。
【請求項8】
前記誘導体化が、前記天然のIL-21配列に付加または置換されたアミノ酸上にある、請求項1ないし6のいずれか一項に記載のIL-21の誘導体またはその変異体。
【請求項9】
Ser, Tyr, LysまたはCysを有する1〜10のアミノ酸を有するN-末端配列の付加を含むIL-21の変異体。
【請求項10】
変異体Ser-hIL21。
【請求項11】
変異体Ser-hIL-21を発現する単離されたDNA。
【請求項12】
ポリマー分子で誘導体化するための、変異体Ser-hIL-21の使用。
【請求項13】
癌または感染症の治療のための薬物の製造のための、IL-21の誘導体またはその変異体の使用。
【請求項14】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載のIL-21の誘導体またはその変異体の有効量の投与によって癌または感染症疾患を治療する方法。

【公開番号】特開2011−184442(P2011−184442A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−87574(P2011−87574)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【分割の表示】特願2006−529654(P2006−529654)の分割
【原出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(391032071)ノボ ノルディスク アクティーゼルスカブ (148)
【氏名又は名称原語表記】NOVO NORDISK AKTIE SELSXAB
【Fターム(参考)】