説明

IL−21変異体

【課題】IL-21の改良された特性あるいは代替的な特性、たとえば活性、選択性、安定性、および循環時間または生物学的半減期を有するIL-21変異体の提供。
【解決手段】アミノ酸番号65-96からなる領域でアミノ酸が欠失および/または置換したヒトインターロイキンー21(IL-21)変異体ペプチドであって、前記変異体ペプチドがヒトIL-21レセプターに結合する、ヒトインターロイキンー21(IL-21)変異体。前記ヒトIL-21変異体ペプチドを有効成分として含む、癌を治療するための薬学的組成物。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、治療に有効な新規IL-21変異体に関する。
【発明の背景】
【0002】
IL-21ペプチドは、WO 00/53761に配列番号2(SEQ ID NO: 2)として最初に開示された。プロペプチドは、161アミノ酸残基のペプチドである。便宜上、この配列は、本願に配列番号1(SEQ ID NO: 1)として繰り返される。成熟ペプチドは、配列番号1の33番目〜162番目のアミノ酸からなるペプチドであると当初信じられていたが;近年(WO 2004/112703)、成熟ペプチドは、実際には30番目〜162番目のアミノ酸であることが提案され、これは、本願では、更にN-末端にメチオニンを付して配列番号11として開示される。
【0003】
IL-21は、サイトカインである。サイトカインは、一般には、造血系統の細胞の増殖、分化および/または活性化を刺激するか、あるいは身体の免疫および炎症反応メカニズムに関与する。インターロイキンは、種々のサイトカインを産生することにより免疫学的応答を媒介するサイトカインの一つのファミリーであり、抗原に対する適応的免疫に影響を及ぼす。成熟T細胞は、すなわち抗原または他の刺激剤により活性化され、たとえば、T細胞集団の運命に更に影響を及ぼすサイトカイン、生化学的シグナル分子、またはレセプターを産生することができる。
【0004】
T細胞により産生されるサイトカインは、タイプ1とタイプ2に分類されている(Kelso, A. Immun. Cell Biol. 76: 300-317, 1998)。タイプ1サイトカインは、IL-2、IFN-γ、LT-αを含み、炎症反応、ウイルス免疫、細胞内寄生生物免疫、および同種移植拒絶に関与する。タイプ2サイトカインは、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10およびIL-13を含み、体液性応答、蠕虫免疫、およびアレルギー反応に関与する。タイプ1とタイプ2の共通のサイトカインは、IL-3、GM-CSF、およびTNF-αを含む。タイプ1およびタイプ2産生T細胞の集団が、様々なタイプの炎症性組織に優先的に移動することを示唆する幾つかの証拠が存在する。
【0005】
成熟T細胞は、すなわち抗原または他の刺激剤により活性化され、たとえば、T細胞集団の運命に更に影響を及ぼすサイトカイン、生化学的シグナル分子、またはレセプターを産生することができる。
【0006】
B細胞は、B細胞レセプターを含む細胞表面レセプターおよび他のアクセサリー分子を介して活性化され、サイトカインおよび抗体の産生などの付随する細胞機能を行うことができる。
【0007】
ナチュラルキラー(NK)細胞は、T細胞およびB細胞と共通の前駆細胞をもち、免疫監視機構において役割を果たす。血液リンパ球の15%までを構成するNK細胞は、抗原レセプターを発現しないため、ターゲット細胞への結合のための要件としてMHC認識を使用しない。NK細胞は、ある種の腫瘍細胞およびウイルス感染細胞の認識および殺傷に関与する。インビボにおいてNK細胞は、活性化を必要とすると信じられているが、インビトロでNK細胞は、KIRリガンド依存性活性化を介して、幾つかのタイプの腫瘍細胞を殺傷することが示されている。
【0008】
種々の疾患の治療においてIL-21による薬効が示されているにもかかわらず、医療の要求を満たすために、改良された特性あるいは代替的な特性、たとえば活性、選択性、安定性、および循環時間または生物学的半減期を有するIL-21変異体に対する需要が残っている。
【発明の概要】
【0009】
IL-21の活性は、領域66〜98のアミノ酸が欠失および/または置換すると、大きく維持されるか、更に改良されることを本発明者らは驚くべきことに見出した。本文脈において、アミノ酸のナンバリングは、133アミノ酸の成熟ペプチド(プロペプチド、配列番号1のアミノ酸30〜162番)に関するものである。この配列は、更にN-末端にメチオニンを含み、134アミノ酸のペプチドとなって、配列番号11として示される。配列番号2は、プロペプチド、配列番号1のアミノ酸30〜162番であり、追加のN-末端のメチオニンを含まず、133アミノ酸のペプチドである。よって、一つの態様において、本発明は、
a) 配列番号2の65番目のアミノ酸〜96番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失および/または置換により得られる第一の配列;または
b) 前記第一の配列における10個までのアミノ酸の保存的置換により得られる配列
を含むペプチドに関する。
【0010】
一つの態様において、本発明は、治療における本発明のペプチドの使用を提供する。
【0011】
一つの態様において、本発明は、本発明のペプチドを含む薬学的組成物に関する。
【0012】
一つの態様において、本発明は、治療に効果的な量の本発明のペプチドを、それを必要としている患者に投与することを含む治療方法を提供する。
【0013】
一つの態様において、本発明は、医薬の製造における本発明のペプチドの使用に関する。
【0014】
一つの態様において、本発明は、本発明のペプチドをコードする核酸構築物;前記構築物を含むベクター;および前記ベクターを含む宿主細胞に関する。
【0015】
一つの態様において、本発明は、本発明のペプチドに対して特異的な抗体に関する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】IL-21変異体のBaf3/hIL-21R/Stat-Luc分析。 記載されるIL-21構築物でトランスフェクトしたHEK293-FS細胞に由来する上清を、BAf3-hIL-21R/Stat-Lucレポーターアッセイで分析した。タンパク質含量は、ELISAにより評価した。 黒四角 野生型IL-21;黒三角----IL-21欠失変異体[A83 - R86](配列番号3);および白三角 配列[K77 - T92]が置換されたIL-21変異体(配列番号7)。
【図2】hIL-WTおよびChimIL-21/4の用量反応曲線。 精製されたタンパク質を、Baf3/hIL-21Ra細胞を用いてレポーターアッセイで分析した。曲線は、全て3回ずつ行った独立した実験(n = 4)の全体を示す。活性は、最大反応のパーセンテージで表す。得られたEC50値±S.E.M.を示す。Chim-IL21は、IL-21 sub[K77 - T92]である。
【定義】
【0017】
本文脈において、「a」は、一または複数を指すことを意図する。
【0018】
本文脈において、「ペプチド」の用語は、ペプチド結合により結合される二つ以上のアミノ酸を指すことを意図する。前記アミノ酸は、遺伝暗号によりコードされていてもよいし、コードされていなくてもよく、この用語は、ペプチドの一または複数のアミノ酸が、たとえばPEGまたは親油性基により化学的に置換されたペプチド誘導体も含む。「ペプチド」と「ポリペプチド」の用語は、交換可能に使用され、同じものを指すことを意図する。
【0019】
本文脈において、「薬学的に許容可能な塩」の用語は、患者に有害でない塩を指すことを意図する。かかる塩には、薬学的に許容可能な酸付加塩、薬学的に許容可能な金属塩、アンモニウムおよびアルキル化アンモニウム塩が含まれる。酸付加塩には、無機酸の塩、並びに有機酸の塩が含まれる。適切な無機酸の代表的な例には、塩化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硫酸、硝酸などが含まれる。適切な有機酸の代表的な例には、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、桂皮酸、クエン酸、フマル酸、グリコール酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、シュウ酸、ピクリン酸、ピルビン酸、サリチル酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、酒石酸、アスコルビン酸、パモ酸、ビスメチレンサリチル酸、エタンジスルホン酸、グルコン酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、EDTA、グリコール酸、p−アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などが含まれる。薬学的に許容可能な無機酸または有機酸の付加塩の更なる例には、J. Pharm. Sci. 1977, 66, 2(参照により本明細書に組み込まれる)に列記されている薬学的に許容可能な塩が含まれる。金属塩の例には、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム塩などが含まれる。アンモニウムおよびアルキル化アンモニウム塩の例には、アンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ヒドロキシエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、ブチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム塩などが含まれる。
【0020】
本明細書で使用されるペプチドの「治療に効果的な量」は、所定の疾患およびその合併症の臨床上の症状発現を治癒、軽減、または部分的に抑えるために充分な量を意味する。これを達成するのに充分な量は、「治療に効果的な量」と定義される。各目的のために効果的な量は、疾患または傷害のタイプおよび重症度、並びに被検体の体重および全般的な状態に依存する。適切な投与量は、値のマトリックスを構築し、マトリックスにおける異なる点を試験することによって、ルーチン試験を使用して決定され得ることが理解され、これは、熟練の医師または獣医の通常の技術の範囲内である。
【0021】
本明細書で使用される「治療」および「治療する」の用語は、疾患および障害などの症状を撲滅するための患者の管理およびケアを意味する。この用語は、患者が罹患している所定の症状の全範囲の治療を含むことを意図し、たとえば、症候もしくは合併症を軽減し、疾患、障害もしくは症状の進行を遅延させ、症候および合併症を軽減もしくは緩和し、および/または疾患、障害もしくは症状を除去し、並びに症状を予防するための活性化合物の投与などであり、ここで予防は、疾患、症状もしくは障害を撲滅するための患者の管理およびケアと理解すべきであり、症候または合併症の発症を予防するための活性ペプチドの投与を含む。治療される患者は、好ましくは哺乳類、とりわけヒトであるが、動物、たとえばイヌ、ネコ、ウシ、ヒツジおよびブタを含んでもよい。治療および予防の治療プログラムは、本発明の別個の側面を表すことを理解すべきである。
【発明の説明】
【0022】
一つの態様において、本発明は、
a) 配列番号2の65番目のアミノ酸〜96番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失および/または置換により得られる第一の配列;または
b) 前記第一の配列における10個までのアミノ酸の保存的置換により得られる配列
を含むペプチドに関する。とりわけ、少なくとも2個、たとえば少なくとも3個、たとえば少なくとも4個、たとえば少なくとも5個、たとえば少なくとも6個のアミノ酸が、第一の配列において欠失および/または置換している。
【0023】
また本発明は、後述される更に具体的な態様の本発明のペプチドにおける保存的置換により得られるペプチドに関する。
【0024】
とりわけ、10個まで、たとえば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のアミノ酸が、保存的に置換され得る。本文脈において、あるアミノ酸残基が、同一グループに由来する別のアミノ酸残基、すなわち同様の特性を有する別のアミノ酸残基で置換された場合、置換は保存的である。アミノ酸は、その特性に基いて、以下のグループに便宜的に分けることができる:塩基性アミノ酸(たとえばアルギニンおよびリジン)、酸性アミノ酸(たとえばグルタミン酸およびアスパラギン酸)、極性アミノ酸(たとえばグルタミン、ヒスチジン、メチオニンおよびアスパラギン)、脂肪族または疎水性アミノ酸(たとえばアラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン)、芳香族アミノ酸(たとえばフェニルアラニン、トリプトファン、チロシン)、および小さいアミノ酸(たとえばグリシン、アラニン、セリン、およびトレオニン)。
【0025】
一つの態様において、本発明は、配列番号2の83番目のアミノ酸〜86番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失および/または置換により得られる配列を含むペプチドに関する。
【0026】
一つの態様において、本発明は、配列番号2の83番目のアミノ酸〜88番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失および/または置換により得られる配列を含むペプチドに関する。
【0027】
一つの態様において、本発明は、配列番号2の83番目のアミノ酸〜90番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失および/または置換により得られる配列を含むペプチドに関する。
【0028】
一つの態様において、本発明は、配列番号2の82番目のアミノ酸〜88番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失および/または置換により得られる配列を含むペプチドに関する。
【0029】
一つの態様において、本発明は、配列番号2の77番目のアミノ酸〜92番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失および/または置換により得られる配列を含むペプチドに関する。
【0030】
一つの態様において、本発明は、配列番号2の71番目のアミノ酸〜92番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失および/または置換により得られる配列を含むペプチドに関する。
【0031】
一つの態様において、本発明は、配列番号2の65番目のアミノ酸〜92番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失および/または置換により得られる配列を含むペプチドに関する。
【0032】
一つの態様において、本発明は、配列番号2の77番目のアミノ酸〜96番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失および/または置換により得られる配列を含むペプチドに関する。
【0033】
一つの態様において、本発明は、配列番号2の83番目のアミノ酸〜86番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失により得られる配列を含むペプチドに関する。
【0034】
一つの態様において、本発明は、配列番号2の83番目のアミノ酸〜88番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失により得られる配列を含むペプチドに関する。
【0035】
一つの態様において、本発明は、配列番号2の83番目のアミノ酸〜90番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失により得られる配列を含むペプチドに関する。
【0036】
一つの態様において、本発明は、配列番号2の82番目のアミノ酸〜88番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失により得られる配列を含むペプチドに関する。
【0037】
一つの態様において、本発明は、配列番号2の77番目のアミノ酸〜92番目のアミノ酸からなる領域における二以上のアミノ酸の置換および欠失により得られる配列を含むペプチドに関する。
【0038】
一つの態様において、本発明は、配列番号2の71番目のアミノ酸〜92番目のアミノ酸からなる領域における二以上のアミノ酸の置換および欠失により得られる配列を含むペプチドに関する。
【0039】
一つの態様において、本発明は、配列番号2の65番目のアミノ酸〜92番目のアミノ酸からなる領域における二以上のアミノ酸の置換および欠失により得られる配列を含むペプチドに関する。
【0040】
一つの態様において、本発明は、配列番号2の77番目のアミノ酸〜96番目のアミノ酸からなる領域における二以上のアミノ酸の置換および欠失により得られる配列を含むペプチドに関する。
【0041】
一つの態様において、本発明は、配列番号2の83番目のアミノ酸〜86番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失および/または置換により得られるペプチドに関する。
【0042】
一つの態様において、本発明は、配列番号2の83番目のアミノ酸〜88番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失および/または置換により得られるペプチドに関する。
【0043】
一つの態様において、本発明は、配列番号2の83番目のアミノ酸〜90番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失および/または置換により得られるペプチドに関する。
【0044】
一つの態様において、本発明は、配列番号2の82番目のアミノ酸〜88番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失および/または置換により得られるペプチドに関する。
【0045】
一つの態様において、本発明は、配列番号2の77番目のアミノ酸〜92番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失および/または置換により得られるペプチドに関する。
【0046】
一つの態様において、本発明は、配列番号2の71番目のアミノ酸〜92番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失および/または置換により得られるペプチドに関する。
【0047】
一つの態様において、本発明は、配列番号2の65番目のアミノ酸〜92番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失および/または置換により得られるペプチドに関する。
【0048】
一つの態様において、本発明は、配列番号2の77番目のアミノ酸〜96番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失および/または置換により得られるペプチドに関する。
【0049】
一つの態様において、本発明は、配列番号2の83番目のアミノ酸〜86番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失により得られるペプチドに関する。
【0050】
一つの態様において、本発明は、配列番号2の83番目のアミノ酸〜88番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失により得られるペプチドに関する。
【0051】
一つの態様において、本発明は、配列番号2の83番目のアミノ酸〜90番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失により得られるペプチドに関する。
【0052】
一つの態様において、本発明は、配列番号2の82番目のアミノ酸〜88番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失により得られるペプチドに関する。
【0053】
一つの態様において、本発明は、配列番号2の77番目のアミノ酸〜92番目のアミノ酸からなる領域における二以上のアミノ酸の置換および欠失により得られるペプチドに関する。
【0054】
一つの態様において、本発明は、配列番号2の71番目のアミノ酸〜92番目のアミノ酸からなる領域における二以上のアミノ酸の置換および欠失により得られるペプチドに関する。
【0055】
一つの態様において、本発明は、配列番号2の65番目のアミノ酸〜92番目のアミノ酸からなる領域における二以上のアミノ酸の置換および欠失により得られるペプチドに関する。
【0056】
一つの態様において、本発明は、配列番号2の77番目のアミノ酸〜96番目のアミノ酸からなる領域における二以上のアミノ酸の置換および欠失により得られるペプチドに関する。
【0057】
上述のとおり、IL-21は、161アミノ酸ペプチドとして発現されるが、1〜29番目のアミノ酸の除去または1〜31番目のアミノ酸の除去により翻訳後プロセッシングを受ける。よって、本発明は、65番目のアミノ酸〜96番目のアミノ酸からなる領域から、一または複数のアミノ酸を除去および/または欠失することにより得られる配列を含むペプチドであって、そのN-末端が、配列番号1に由来するN-末端の29アミノ酸または配列番号1に由来するN-末端の31アミノ酸で伸長されているペプチドを包含することも意図する。
【0058】
ペプチドを哺乳類細胞、たとえばCHO細胞で発現させた場合、N-末端のシグナルペプチドは、いわゆるシグナルペプチダーゼによりしばしば除去され、成熟ペプチドが得られる。原核細胞、たとえばE.coliで同じ異種ペプチドを発現させるためには、当業者に周知の組換え技術により、追加のN-末端メチオニンを成熟ペプチドの配列に導入することがしばしば必要であることは、当該技術分野で周知である。よって、本発明は、N-末端メチオニンを有している上記ペプチドまたはN-末端メチオニンを有していない上記ペプチドを包含することを意図する。
【0059】
一つの態様において、本発明は、
A) 配列番号3(欠失A83-R86)、配列番号4(欠失A83-K88)、配列番号5(欠失A83-R90)、および配列番号6(欠失N82-K88);および
B) 更にN-末端にMetを有するA)のペプチド
C) 10個までのアミノ酸が保存的に置換された、A)−B)のペプチド
から選択されるペプチドに関する。
【0060】
一つの態様において、本発明は、
D) 配列番号7(K77-T92置換)、配列番号8(I71-T92置換)、配列番号9(R65-T92置換)、および配列番号10(K77-C96置換);および
E) 更にN-末端にMetを有するD)のペプチド;および
F) 10個までのアミノ酸が保存的に置換された、D)−E)のペプチド
から選択されるペプチドに関する。
【0061】
一つの態様において、本発明は、上記ペプチドの薬学的に許容可能な塩に関する。
【0062】
本発明のペプチドは、血漿中の循環時間および/または生物学的半減期を延長させる基、または免疫原性を低下させる基の結合により更に誘導体化されていてもよい。かかる効果が、たとえば、ポリエチレングリコール(PEG);親油性基、たとえば脂肪酸;血漿タンパク質、たとえばアルブミン;またはアルブミン結合部分などのある種の基の結合により達成され得ることは当該技術分野において周知である。当該技術分野から得られる例については、たとえば、WO 01/79271、US 5,739,208、およびWO 03/44056が参照される。
【0063】
本明細書で使用される「核酸構築物」の用語は、cDNA、ゲノムDNA、合成DNAまたはRNA起源の任意の核酸分子を指すことを意図する。「構築物」の用語は、核酸セグメントを指すことを意図し、これは、一本鎖でも二本鎖でもよく、また、対象タンパク質をコードする天然存在の完全なヌクレオチド配列または部分的なヌクレオチド配列の何れに基いていてもよい。構築物は、他の核酸セグメントを必要に応じて含有していてもよい。
【0064】
本発明のタンパク質をコードする本発明の核酸構築物は、適切には、ゲノム起源またはcDNA起源の何れでもよく、たとえば、標準的な技術(cf. Sambrook et al., 同上)に従って、ゲノムまたはcDNAライブラリーを調製し、合成オリゴヌクレオチドプローブを用いたハイブリダイゼーションによりタンパク質の全体または一部をコードするDNA配列をスクリーニングすることにより得ることができる。本目的のために、タンパク質をコードするDNA配列は、好ましくはヒト起源のものであり、すなわちヒトゲノムDNAまたはcDNAライブラリーに由来するものである。とりわけ、DNA配列は、ヒト起源のもの、たとえば、特定のヒトの器官または細胞タイプに由来するcDNA、またはヒトゲノムDNAに由来する遺伝子であり得る。
【0065】
ペプチドをコードする本発明の核酸構築物は、確立された標準的方法により、たとえば、Beaucage and Caruthers, Tetrahedron Letters 22 (1981), 1859-1869に記載されるホスホアミダイト法、またはMatthes et al., EMBO Journal 3 (1984), 801-805に記載される方法により、合成的に調製されてもよい。ホスホアミダイト法に従って、オリゴヌクレオチドを、たとえば自動DNA合成機で合成し、精製し、アニーリングし、ライゲートし、適切なベクターにクローニングする。
【0066】
更に、核酸構築物は、標準的技術に従って、完全な核酸構築物の種々の部分に対応する合成、ゲノム、またはcDNA起源のフラグメントを(適宜)ライゲートすることにより調製された、合成とゲノム起源の混合、合成とcDNA起源の混合、またはゲノムとcDNA起源の混合であってもよい。
【0067】
核酸構築物は、たとえばUS 4,683,202またはSaiki et al., Science 239 (1988), 487-491に記載されるとおり、特定のプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により調製されてもよい。
【0068】
核酸構築物は、好ましくはDNA構築物であり、この用語は、以下で専ら使用される。
【組換えベクター】
【0069】
更なる側面において、本発明は、本発明のDNA構築物を含む組換えベクターに関する。本発明のDNA構築物が挿入される組換えベクターは、組換えDNAの手順を簡便に行うことができる任意のベクターであり得、ベクターの選択は、ベクターが導入される宿主細胞にしばしば依存する。よって、ベクターは、自己複製ベクター、すなわち染色体外のものとして存在し、その複製が染色体の複製とは独立しているベクター、たとえばプラスミドであり得る。あるいは、ベクターは、宿主細胞に導入されると、宿主細胞のゲノムに統合され、統合された染色体と共に複製されるものであってもよい。
【0070】
ベクターは、好ましくは、本発明のタンパク質をコードするDNA配列が、DNAの転写に必要な追加のセグメントに動作可能に連結された発現ベクターである。一般に、発現ベクターは、プラスミドまたはウイルスDNAに由来するか、あるいは両方のエレメントを含有していてもよい。「動作可能に連結された(operably linked)」の用語は、セグメントが、意図した目的に合わせて機能するように、たとえば転写がプロモーターで開始し、タンパク質をコードするDNA配列を通して進行するように配置されていることを指す。
【0071】
プロモーターは、選択された宿主細胞において転写活性を示し、宿主細胞と同種または異種のタンパク質をコードする遺伝子に由来し得る任意のDNA配列とすることができる。
【0072】
哺乳類細胞において本発明のタンパク質をコードするDNAの転写を指示する適切なプロモーターの例は、SV40プロモーター (Subramani et al., Mol. Cell Biol. 1 (1981), 854-864)、MT-1(メタロチオネイン遺伝子)プロモーター (Palmiter et al., Science 222 (1983), 809-814)、またはアデノウイルス2主要後期プロモーターである。
【0073】
昆虫細胞で使用するための適切なプロモーターの例は、ポリヘドリン(polyhedrin)プロモーター (US 4,745,051; Vasuvedan et al., FEBS Lett. 311, (1992) 7-11)、P10プロモーター (J.M. Vlak et al., J. Gen. Virology 69, 1988, pp. 765-776)、Autographa californica多角体病ウイルス塩基性タンパク質プロモーター (EP 397 485)、バキュロウイルス前初期(immediate early)遺伝子1プロモーター (US 5,155,037; US 5,162,222)、またはバキュロウイルス39K遅延型-初期(delayed-early)遺伝子プロモーター (US 5,155,037; US 5,162,222)である。
【0074】
酵母宿主細胞で使用するための適切なプロモーターの例には、酵母の解糖遺伝子 (Hitzeman et al., J. Biol. Chem. 255 (1980), 12073-12080; Alber and Kawasaki, J. Mol. Appl. Gen. 1 (1982), 419-434) またはアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子 (Young et al., in Genetic Engineering of Microorganisms for Chemicals (Hollaender et al, eds.), Plenum Press, New York, 1982) に由来するプロモーター、またはTPI1 (US 4,599,311) またはADH2-4c (Russell et al., Nature 304 (1983), 652-654) プロモーターが含まれる。
【0075】
糸状菌宿主細胞で使用するための適切なプロモーターの例は、たとえば、ADH3プロモーター (McKnight et al., The EMBO J. 4 (1985), 2093-2099)、またはtpiAプロモーターである。他の有用なプロモーターの例は、A.oryzae TAKAアミラーゼ、Rhizomucor miehei アスパラギン酸プロテイナーゼ、A.niger 中性α-アミラーゼ、A.niger 酸安定α-アミラーゼ、A.nigerまたはA.awamori グルコアミラーゼ (gluA)、Rhizomucor miehei リパーゼ、A.oryzae アルカリプロテアーゼ、A.oryzae トリオースリン酸イソメラーゼ、またはA.nidulans アセトアミダーゼをコードする遺伝子に由来するものである。TAKA-アミラーゼおよびgluAプロモーターが好ましい。
【0076】
細菌宿主細胞で使用するための適切なプロモーターの例には、Bacillus stearothermophilus マルトジェニックアミラーゼ遺伝子、Bacillus licheniformis アルファ-アミラーゼ遺伝子、Bacillus amyloliquefaciens BANアミラーゼ遺伝子、Bacillus subtilis アルカリプロテアーゼ遺伝子、またはBacillus pumilus キシロシダーゼ遺伝子のプロモーター、またはラムダファージPRもしくはPLプロモーター、またはE.coli lactrpもしくはtacプロモーターが含まれる。
【0077】
本発明のタンパク質をコードするDNA配列は、必要な場合、適切なターミネーター、たとえば、ヒト成長ホルモンターミネーター (Palmiter et al., 同上) または (真菌宿主については) TPI1 (Alber and Kawasaki, 同上) または ADH3 (McKnight et al., 同上) ターミネーターに動作可能に連結されていてもよい。ベクターは、たとえば、ポリアデニル化シグナル (たとえばSV40またはアデノウイルス5 Elb領域に由来する)、転写エンハンサー配列 (たとえばSV40エンハンサー)、および翻訳エンハンサー配列 (たとえばアデノウイルスVA RNAsをコードするもの) などのエレメントを更に含んでいてもよい。
【0078】
本発明の組換えベクターは、該当する宿主細胞においてベクターの複製を可能にするDNA配列を更に含んでいてもよい。(宿主細胞が哺乳類細胞である場合)かかる配列の例は、SV40複製起点である。
【0079】
宿主細胞が酵母細胞である場合、ベクターの複製を可能にする適切な配列は、酵母プラスミド2μ複製遺伝子REP1-3および複製起点である。
【0080】
宿主細胞が細菌細胞である場合、ベクターの複製を可能にする配列は、DNAポリメラーゼIII複合体をコードする遺伝子および複製起点である。
【0081】
ベクターは、選択マーカー、たとえば、その産物が宿主細胞の欠陥を補う遺伝子、たとえば、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)をコードする遺伝子またはSchizosaccharomyces pombe TPI遺伝子 (described by P.R. Russell, Gene 40, 1985, pp. 125-130)、または薬剤に対する耐性を付与する遺伝子、たとえば、アンピシリン、カナマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ネオマイシン、ハイグロマイシン、またはメトトレキサートに対する耐性を付与する遺伝子を含んでいてもよい。糸状菌に関して選択マーカーは、amdSpyrGargBniaDおよびsCが挙げられる。
【0082】
宿主細胞の分泌経路に本発明のタンパク質を導くために、(リーダー配列、プレプロ配列、またはプレ配列としても公知である)分泌シグナル配列を、組換えベクターに付与してもよい。分泌シグナル配列は、正しいリーディングフレームで、タンパク質をコードするDNA配列に連結される。分泌シグナル配列は、一般に、タンパク質をコードするDNA配列の5’に配置される。分泌シグナル配列は、当該タンパク質と通常関連のあるものであってもよいし、別の分泌タンパク質をコードする遺伝子に由来するものであってもよい。
【0083】
酵母細胞からの分泌に関して分泌シグナル配列は、細胞の分泌経路に発現タンパク質を効率よく確実に導く任意のシグナルペプチドをコードし得る。シグナルペプチドは、天然に存在するシグナルペプチド、またはその機能的部分であってもよいし、合成ペプチドであってもよい。適切なシグナルペプチドは、α-因子シグナルペプチド (cf. US 4,870,008)、マウス唾液アミラーゼのシグナルペプチド (cf. O. Hagenbuchle et al., Nature 289, 1981, pp. 643-646)、改変されたカルボキシペプチダーゼシグナルペプチド (cf. L.A. Valls et al., Cell 48, 1987, pp. 887-897)、酵母BAR1シグナルペプチド (cf. WO 87/02670)、または酵母アスパラギン酸プロテアーゼ3(YAP3)シグナルペプチド (cf. M. Egel-Mitani et al., Yeast 6, 1990, pp. 127-137) であることが見出されている。
【0084】
酵母での効率的な分泌のために、リーダーペプチドをコードする配列は、シグナル配列の下流およびタンパク質をコードするDNA配列の上流に挿入されていてもよい。リーダーペプチドの機能は、発現タンパク質が、培地へ分泌されるように、小胞体からゴルジ装置へ、更に分泌小胞へ導かれるようにすること(すなわち、細胞壁を横断するタンパク質の移出、または少なくとも細胞膜を通過した酵母細胞の細胞周腔へのタンパク質の移出)である。リーダーペプチドは、酵母α-因子リーダー (その使用は、たとえばUS 4,546,082、EP 16 201、EP 123 294、EP 123 544およびEP 163 529に記載される) であり得る。あるいは、リーダーペプチドは、合成リーダーペプチド、つまり天然に見出されないリーダーペプチドであってもよい。合成リーダーペプチドは、たとえば、WO 89/02463またはWO 92/11378に記載されるとおり構築することができる。
【0085】
糸状菌での使用に関してシグナルペプチドは、都合よくは、Aspergillus sp. アミラーゼまたはグルコアミラーゼをコードする遺伝子、Rhizomucor miehei リパーゼまたはプロテアーゼ、またはHumicola lanuginosa リパーゼをコードする遺伝子に由来し得る。シグナルペプチドは、好ましくは、A.oryzae TAKAアミラーゼ、A.niger 中性α-アミラーゼ、A.niger 酸安定アミラーゼ、またはA.niger グルコアミラーゼをコードする遺伝子に由来する。
【0086】
昆虫細胞での使用に関してシグナルペプチドは、都合よくは、昆虫遺伝子 (cf. WO 90/05783)、たとえばlepidopteran Manduca sexta アジポキニンホルモン前駆体シグナルペプチド (cf. US 5,023,328) に由来し得る。
【0087】
本発明のタンパク質、プロモーター、および必要に応じてターミネーターおよび/または分泌シグナル配列をコードするDNA配列をそれぞれライゲートし、これらを、複製に必要な情報を含有する適切なベクターに挿入するために使用される手順は、当業者に周知である (cf., たとえばSambrook et al., 同上)。
【宿主細胞】
【0088】
本発明のDNA構築物または組換えベクターが導入される宿主細胞は、本発明のタンパク質を産生することが可能な任意の細胞であり得、細菌、酵母、真菌および高等真核細胞が含まれる。
【0089】
本発明のタンパク質を培養時に産生することが可能な細菌宿主細胞の例は、グラム陽性細菌、たとえばBacillusの菌株、たとえばB.subtilis、B.licheniformis、B.lentus、B.brevis、B.stearothermophilus、B.alkalophilus、B.amyloliquefaciens、B.coagulans、B.circulans、B.lautus、B.megatheriumまたはB.thuringiensisの菌株、またはStreptomycesの菌株、たとえばS.lividansまたはS.murinus、またはグラム陰性細菌、たとえばEcherichia coliである。細菌の形質転換は、プロトプラスト形質転換により、あるいはそれ自体公知の手法でコンピーテント細胞を使用することにより行うことができる (cf. Sambrook et al., 同上)。
【0090】
タンパク質をE.coliなどの細菌で発現させたとき、タンパク質は、典型的には(封入体として公知の)不溶性顆粒として細胞質に保持してもよいし、あるいは細菌分泌配列により細胞周腔に導いてもよい。前者の場合、細胞を溶解し、顆粒を回収し、変性させ、その後、変性剤を希釈することによりタンパク質を再び折り畳む。後者の場合、たとえば音波処理または浸透圧ショックにより細胞を破壊して細胞周腔の中味を放出し、タンパク質を回収することにより、タンパク質を細胞周腔から回収することができる。
【0091】
適切な哺乳類細胞株の例は、COS (ATCC CRL 1650)、BHK (ATCC CRL 1632, ATCC CCL 10)、CHL (ATCC CCL39) またはCHO (ATCC CCL 61) 細胞株である。哺乳類細胞をトランスフェクトし、細胞に導入されたDNA配列を発現させる方法は、たとえば、Kaufman and Sharp, J. Mol. Biol. 159 (1982), 601-621; Southern and Berg, J. Mol. Appl. Genet. 1 (1982), 327-341; Loyter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79 (1982), 422-426; Wigler et al., Cell 14 (1978), 725; Corsaro and Pearson, Somatic Cell Genetics 7 (1981), 603, Graham and van der Eb, Virology 52 (1973), 456; およびNeumann et al., EMBO J. 1 (1982), 841-845に記載される。
【0092】
適切な酵母細胞の例には、Saccharomyces spp.またはSchizosaccharomyces spp.の細胞、とりわけSaccharomyces cerevisiaeまたはSaccharomyces kluyveriの菌株が含まれる。酵母細胞を異種DNAで形質転換し、そこから異種タンパク質を産生する方法は、たとえば、US 4,599,311、US 4,931,373、US 4,870,008、5,037,743、およびUS 4,845,075に記載され、これらの全ては参照により本明細書に組み込まれる。形質転換された細胞は、選択マーカーにより決定される表現型により、一般には薬剤耐性または特定の栄養素(たとえばロイシン)の非存在下で生育する能力により選択される。酵母で使用するための好ましいベクターは、US 4,931,373に開示されるPOT1ベクターである。たとえば上述のとおり、本発明のタンパク質をコードするDNA配列の前に、シグナル配列、および必要に応じてリーダー配列が存在していてもよい。適切な酵母細胞の更なる例は、Kluyveromyces、たとえばK.lactis、Hansenula、たとえばH.polymorpha、またはPichia、たとえばP.pastorisの菌株である (cf. Gleeson et al., J. Gen. Microbiol. 132, 1986, pp. 3459-3465; US 4,882,279)。
【0093】
他の真菌細胞の例は、糸状菌の細胞、たとえばAspergillus spp.、Neurospora spp.、Fusarium spp.またはTrichoderma spp.、とりわけA.oryzae、A.nidulansまたはA.nigerの菌株である。タンパク質を発現させるためのAspergillus spp.の使用は、たとえばEP 272 277およびEP 230 023に記載される。F.oxysporumの形質転換は、たとえば、Malardier et al., 1989, Gene 78: 147-156に記載されるとおり行うことができる。
【0094】
糸状菌を宿主細胞として使用する場合、都合よくはDNA構築物を宿主染色体に統合して組換え宿主細胞を得ることにより、本発明のDNA構築物で形質転換することができる。この統合は、DNA配列が細胞内で安定に維持されやすいため、有利であると一般に考えられる。DNA構築物の宿主染色体への統合は、慣用的な方法に従って、たとえば相同または非相同組換えにより行うことができる。
【0095】
昆虫細胞の形質転換および当該細胞での異種タンパク質の産生は、US 4,745,051; US 4,879,236; US 5,155,037; 5,162,222; EP 397,485に記載されるとおり行うことができ、これらの全ては参照により本明細書に組み込まれる。宿主として使用される昆虫細胞株は、適切には、Lepidoptera細胞株、たとえばSpodoptera frugiperda細胞またはTrichoplusia ni細胞とすることができる (cf. US 5,077,214)。培養条件は、適切には、たとえばWO 89/01029またはWO 89/01028または上記参考文献の何れかに記載されるとおりとすることができる。
【0096】
その後、上述の形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞は、適切な栄養培地において、本発明のタンパク質の発現が可能な条件下で培養し、その後、得られたタンパク質を培養物から回収する。
【0097】
細胞を培養するために使用される培地は、宿主細胞を生育させるのに適した慣用的な任意の培地、たとえば、適切な追加成分を含有する最少培地または天然培地とすることができる。適切な培地は、商業源から入手可能であるし、あるいは、公開されたレシピに従って(たとえばAmerican Type Culture Collectionのカタログで)調製することもできる。細胞により産生されたタンパク質は、その後、慣用的な手法により培養培地から回収することができ、慣用的な手法には、該当するタンパク質のタイプに依存して、遠心分離または濾過による培地からの宿主細胞の分離、硫酸アンモニウムなどの塩による上清または濾液のタンパク質成分の沈殿、種々のクロマトグラフィー手法による精製、たとえばイオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィーなどが含まれる。
【0098】
本発明のペプチドは、本発明のペプチドに特異的に結合する抗体を作成する(raise)ために使用することができる。本文脈において「抗体」は、モノクローナルおよびポリクローナル抗体、およびその抗原結合フラグメント、たとえばF(ab’)2およびFabフラグメントを含み、遺伝子操作された抗体およびヒト化抗体も含む。抗体は、107 M-1以上のKaで本発明のペプチドに結合した場合、特異的であると言われる。抗体を調製する方法は、たとえば、Hurrell J.G.R. (Ed.) Monoclonal Hybridoma Antibodies: Techniques and Applications, CRC Press, Boca Raton, Florida, 1982 and Sambrok, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbour, New York, 1989に開示される。
【0099】
IL-21は、ウイルス性疾患、たとえばB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、呼吸器系合胞体ウイルス、Eppstein-Barrウイルス、インフルエンザウイルス、サイトメガロウイルス、ヘルペスウイルス、および重症急性呼吸症候群;アレルギー性疾患、たとえば喘息、アレルギー性鼻炎または皮膚のアレルギー性疾患;寄生虫病、たとえば蠕虫感染、自己免疫疾患、たとえば同種移植拒絶および糖尿病;および癌の治療に関与する。
【0100】
本文脈において「癌」は、任意の腫瘍性障害を指し、これには、細胞性障害、たとえば肉腫、癌腫、黒色腫、白血病、リンパ腫、乳房、頭頸部、卵巣、膀胱、肺、咽頭、喉頭、食道、胃、小腸、肝臓、膵臓、結腸、女性生殖管、男性生殖管、前立腺、腎臓および中枢神経系における癌が含まれる。とりわけ、「癌」は、非転移性および転移性腫瘍性障害、たとえば、悪性黒色腫、非黒色腫皮膚癌、腎細胞癌、頭頸部の癌、内分泌系の癌、卵巣癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、乳癌、食道癌、上部消化管癌、結腸直腸癌、肝臓と胆管の癌、膵臓癌、前立腺癌、膀胱癌、睾丸癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、骨と軟部組織の肉腫、中枢神経系の癌、リンパ腫、白血病、および未知の原発性起源の癌を指すことを意図する。
【0101】
本発明の更に具体的な側面において、「腫瘍性障害」、「癌」または「腫瘍増殖」の用語は、あらゆる形態の腫瘍性細胞増殖を指すものと理解することができ、これには、嚢胞性腫瘍および充実性腫瘍の両方、骨と軟部組織の腫瘍、たとえば良性および悪性腫瘍の両方、たとえば、肛門組織、胆管、膀胱、血液細胞、骨、骨(続発性)、腸(結腸と直腸)、脳、脳(続発性)、乳房、乳房(続発性)、カルチノイド、子宮頸部(cervix)、小児癌、眼、食道(gullet)(食道(oesophagus))、頭頸部、カポジ肉腫、腎臓、喉頭、白血病(急性リンパ芽球性)、白血病(急性骨髄性)、白血病(慢性リンパ球性)、白血病(慢性骨髄性)、白血病(その他)、肝臓、肝臓(続発性)、肺、肺(続発性)、リンパ節(続発性)、リンパ腫(ホジキン)、リンパ腫(非ホジキン)、黒色腫、中皮腫、骨髄腫、卵巣、膵臓、陰茎、前立腺、皮膚、軟部組織肉腫、胃、精巣、甲状腺、未知の原発性腫瘍、膣、外陰部、子宮(womb)(子宮(uterus))における腫瘍が含まれる。
【0102】
軟部組織腫瘍には、良性神経鞘腫モノソミー、デスモイド腫瘍、脂肪芽細胞腫、脂肪腫、子宮平滑筋腫、明細胞肉腫、皮膚線維肉腫、ユーイング肉腫、骨外性粘液性軟骨肉腫、粘液性脂肪肉腫、脂肪肉腫、高分化型胞巣状横紋筋肉腫、および滑膜肉腫が含まれる。
【0103】
具体的な骨腫瘍には、非骨化性線維腫、単房性骨嚢腫、内軟骨腫、動脈瘤性骨嚢腫、骨芽細胞腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、骨化性線維腫およびアダマンチノーム、巨細胞腫、線維性骨異形成、ユーイング肉腫、好酸球性肉芽腫、骨肉腫、軟骨腫、軟骨肉腫、悪性線維性組織球腫、および転移性癌腫が含まれる。
【0104】
白血病は、骨髄によりつくられる白血球細胞の癌を指す。これには、4つの主要タイプの白血病:急性リンパ芽球性(ALL)、急性骨髄芽球性(AML)、慢性リンパ球性(CLL)、および慢性骨髄性(CML)が含まれるがこれらに限定されない。
【0105】
一つの態様において、本発明は、上述のウイルス感染、アレルギー性疾患、自己免疫疾患および癌を治療する方法であって、効果的な量の本発明のペプチドを、それを必要としている患者に投与することを含む方法に関する。
【0106】
一つの態様において、本発明は、上述のウイルス感染、アレルギー性疾患、自己免疫疾患および癌を治療するための医薬の製造のための本発明のペプチドの使用に関する。
【0107】
癌治療プログラムが、しばしば二以上の医薬または治療様式を含むことは当該技術分野で周知である。したがって、一つの態様において、本発明は、癌の治療方法であって、効果的な量の本発明のペプチドを、効果的な量の以下のI〜VIの一または複数と併用して投与することを含む方法を提供する。本発明において、「併用して」とは、本発明のペプチドが、以下のI〜VIの一または複数による治療の(i)前、(ii)同時および/または(iii)後に投与されることを意味する。
【0108】
I.腫瘍細胞の死またはウイルス感染細胞の死を誘導する薬剤
a) 慣用的な化学療法
b) 放射線療法
c) モノクローナル抗体
d) 細胞周期コントロール/アポトーシスレギュレーター
e) 増殖因子およびシグナル伝達モジュレーター
f) 腫瘍血管新生の阻害剤(血管形成阻害剤、抗血管形成薬)
g) ウイルスターゲッティング(腫瘍細胞を破壊するための組換えウイルスの使用)
h) 抗ウイルス剤
i) ホルモン剤。
【0109】
II.腫瘍細胞またはウイルス感染細胞に対する免疫応答を増強する薬剤
j) 免疫系活性化剤
k) 免疫系阻害剤(たとえば、免疫シグナルを阻害して免疫応答をダウンレギュレートする薬剤)、たとえば抗アネルギー剤
l) 治療ワクチン。
【0110】
III.腫瘍増殖、転移、またはウイルス感染細胞の蔓延を妨害する薬剤
m) インテグリン、細胞接着分子モジュレーター
n) 抗転移剤
o) 内皮細胞モジュレーター。
【0111】
IV.体内ワクチン接種(internal vaccination)。
【0112】
V.組織因子アンタゴニストおよび凝固カスケードに影響を及ぼす他の因子
p) 抗第Xa因子、抗第IIa因子阻害剤、抗フィブリノゲン剤(anti-fibrinogenic agents)
q) ペンタサッカリドなど。
【0113】
VI.免疫抑制/免疫調節剤
r) T-リンパ球ホーミングに影響を及ぼす薬剤、たとえばFTY-720
s) カルシニューリン阻害剤
t) TOR阻害剤。
【0114】
可能な併用薬剤の幾つかの更に詳細な説明を以下に提供する。
【0115】
I:腫瘍細胞の死またはウイルス感染細胞の死を誘導する薬剤
a) 慣用的な化学療法剤
本発明の一つの態様において、併用療法は、本発明のペプチドおよび慣用的な化学療法剤を投与することにより行われる。化学療法剤は、たとえば
a) DNAレベル
b) RNAレベル
の何れかに影響を及ぼすことにより、異なる作用様式を有する。
【0116】
DNAレベルまたはRNAレベルにおける慣用的な化学療法剤の非限定的な例は、代謝拮抗剤 (たとえば、アザチオプリン、シタラビン、リン酸フルダラビン、フルダラビン、ゲムシタビン、シタラビン、クラドリビン、カペシタビン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、メトトレキサート、5-フルオロウラシル、およびヒドロキシウレア)、アルキル化剤 (たとえば、メルファラン、ブスルファン、シス-プラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、イホスファミド、ダカルバジン、プロカルバジン、クロラムブシル、チオテパ、ロムスチン、テモゾラミド)、有糸分裂阻害剤 (たとえば、ビノレルビン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ドセタキセル、パクリタキセル)、トポイソメラーゼ阻害剤 (たとえば、ドキソルビシン、アムサクリン、イリノテカン、ダウノルビシン、エピルビシン、マイトマイシン、ミトキサントロン、イダルビシン、テニポシド、エトポシド、トポテカン)、抗生物質 (たとえば、アクチノマイシンおよびブレオマイシン)、アスパラギナーゼ、またはアントラサイクリン系またはタキサン系である。
【0117】
本発明の一つの態様において、併用療法は、本発明のペプチドおよびダカルバジン(DTIC)を投与することにより行われる。
【0118】
b) 放射線療法
ある種の腫瘍は、放射線(radioation)または放射線医薬品を用いて治療することができる。放射線源は、治療される患者の外部または内部の何れかとすることができる。放射線源が患者の外部である場合、その治療は、外部ビーム照射療法(EBRT)として公知である。放射線源が患者の内部である場合、その治療は、近接照射療法(BT)と呼ばれる。使用されている典型的な放射性原子には、ラジウム、セシウム-137、イリジウム-192、アメリシウム-241、金-198、コバルト-57、銅-67、テクネチウム-99、ヨウ素-123、ヨウ素-131、およびイリジウム-111が含まれる。
【0119】
放射線療法は、切除不能または手術不能の腫瘍および/または腫瘍転移をコントロールするための標準的な治療である。放射線療法は、他の療法と併用した場合に、改良された結果が観察されている。
【0120】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、放射線療法と併用して投与される。
【0121】
c) モノクローナル抗体(モノクローナル;MAbs)
MAbsは、白血病およびリンパ腫並びに固形癌の治療のために開発され、この原理は、高い関心を得ている。これら抗体は、腫瘍細胞の生存に不可欠な機能を阻害することにより、毒性ペイロードをデリバーすることにより、重要なシグナリングを中断することにより、あるいは腫瘍細胞に対して抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)または補体指示性細胞傷害(CDC)を誘導することにより機能する。腫瘍細胞の死は、その後、腫瘍抗原の放出につながり、これは、免疫系に「ワクチン接種」をし、それを刺激して、その後腫瘍細胞を標的にする二次応答を引き起こす(すなわち、後述の「体内ワクチン接種」)。過剰発現された癌遺伝子および腫瘍特異抗原は、開発中の多くのmAbsの重要なターゲットである。
【0122】
腫瘍抗原は、たとえば、Stauss H, Kawakami Y and Parmiani G: Tumor antigens recognized by T cells and antibodies. Taylor and Frances (2003) に記載される。本発明は、これらターゲットに対して作成された抗体を包含する。本発明はまた、ウイルス抗原に対して作成された抗体を包含する。
【0123】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、リツキシマブ(Rituximab)、アレムツズマブ(Alemtuzumab)、トラスツズマブ(Trastuzumab)、ゲムツズマブ(Gemtuzumab)、ゲムツズマブ-オゾガマイシン(Gemtuzumab-ozogamicin) (Myelotarg(登録商標)、Wyeth)、セツキシマブ(Cetuximab) (ErbituxTM)、ベバシズマブ(Bevacizumab)、HuMax-CD20、HuMax-EGFr、Zamyl、およびペルツズマブ(Pertuzumab)などの抗体と併用される。
【0124】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、リツキシマブと併用される。
【0125】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、セツキシマブと併用される。
【0126】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、ベバシズマブと併用される。
【0127】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、ベバシズマブおよびセツキシマブと併用される。
【0128】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、ベバシズマブおよびセツキシマブと併用される。
【0129】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、パニツムマブ(Panitumumab)と併用される。
【0130】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、ベバシズマブおよびパニツムマブと併用される。
【0131】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、組織因子、キラーIg様レセプター (KIR)、ラミニン-5、EGF-R、VEGF-R、PDGF-R、HER-2/neuに対する抗体、または腫瘍抗原、たとえばPSA、PSCA、CEA、CA125、KSAなどに対する抗体と併用される。
【0132】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、治療抗体、たとえば上述のものとともに投与され、更に追加のADCC-増強化合物、たとえばブロッキング抗KIR抗体、NKG2Dアゴニスト、NKG2Aアンタゴニスト、IL-2、IL-12、IL-15、IL-18またはIL-21と併用される。
【0133】
本発明の別の態様において、本発明のペプチドは、ウイルス抗原に対する抗体と併用して投与される。
【0134】
d) 細胞周期コントロール/アポトーシスレギュレーター
一連のレギュレーターは、正常な細胞周期の維持に関与する。レギュレーターを標的にする化合物、たとえば、(i) cdc-25 (非限定的な例としてNSC 663284 (Pu et al (2003) J Biol Chem 278, 46877))、(ii) 細胞周期を過剰刺激するサイクリン依存性キナーゼ (以下の非限定的な例:フラボピリドール (L868275, HMR1275; Aventis)、7-ヒドロキシスタウロスポリン (UCN-01, KW-2401; Kyowa Hakko Kogyo) およびロスコビチン (R-roscovitine, CYC202; Cyclacel) - Fischer & Gianella-Borradori (2003) Exp Op Invest Drugs 12, 955-970によりレビューされる)、および (iii) テロメラーゼ、癌細胞のテロメアを再構築するのを助ける酵素は、本発明の範囲内であり、たとえば以下の非限定的な例BIBR1532 (Damm et al (2001) EMBO J 20, 6958-6968) およびSOT-095 (Tauchi et al (2003) Oncogene 22, 5338-5347) が挙げられる。更に、アポトーシス経路を妨害する薬剤は、本発明の範囲内であり、たとえば以下の非限定的な例が挙げられる:TNF-関連アポトーシス誘導リガンド (TRAIL)/アポトーシス-2リガンド (Apo-2L)、TRAILレセプターを活性化する抗体、IFN-αおよびアンチセンスBcl-2 (Igney and Krammer (2002) Nature Rev. Cancer 2, 277-288; Makin and Dive (2003) Trends Mol Med 9, 2519; Smyth et al (2003) Immunity 18, 1-6; Panaretakis et al (2003) Oncogene 22, 4543-4556およびその中の参考文献を参照)。本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、一または複数の細胞周期レギュレーターおよび/またはアポトーシス誘導薬剤と併用される。
【0135】
上記本発明の一つの態様において、化合物は、cdc-25、NSC 663284、フラボピリドール、7-ヒドロキシスタウロスポリン、ロスコビチン、BIBR1532 SOT-095、TNF-関連アポトーシス誘導リガンド (TRAIL)/アポトーシス-2リガンド (Apo-2L)、TRAILレセプターを活性化する抗体、IFN-αおよびアンチセンスBcl-2を含む群から選択される。
【0136】
e) 増殖因子阻害剤
増殖因子および増殖因子レセプターに対する多くのmAbsが、癌の治療のために開発中である。よって、非限定的な例として、上皮増殖因子レセプター(EGF-R)ファミリーのメンバーは、多くの上皮性腫瘍で異常に活性化され、このことは、より攻撃的な臨床経過としばしば関連がある。これらレセプターの細胞外リガンド結合ドメインに対する抗体およびこれらのチロシンキナーゼドメインを阻害する低分子量分子は、単一の薬剤として、または他の制癌剤と併用して、癌を治療するために、臨床開発の後期段階にあるか、または承認されている。非限定的な例は、ヘルセプチン(Herceptin) (モノクローナル抗体)、セツキシマブ (モノクローナル抗体)、タルセバ(Tarceva) (低分子量阻害剤)、およびイレッサ(Iressa) (低分子量阻害剤) である。加えて、リガンドは、レセプターに結合する前に中和することができる。
【0137】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、増殖因子阻害剤と併用される。
【0138】
本発明の一つの態様において、増殖因子阻害剤は、ヘルセプチン (モノクローナル抗体)、セツキシマブ (モノクローナル抗体)、タルセバ (低分子量阻害剤)、およびイレッサ (低分子量阻害剤) を含む群から選択される。
【0139】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、ヘルセプチンと併用される。
【0140】
f) 腫瘍血管新生の阻害剤(抗血管形成薬および抗転移剤)
腫瘍増殖は、充分な血管の供給および新規血管の発達に依存する。固形腫瘍のこの一般的な特徴は、治療の観点から魅力的にみえる。すなわち、抗血管形成薬で癌患者を治療すると、腫瘍増殖の低下および腫瘍の後退が期待される。現在、60を越える抗血管形成薬が、臨床試験中であり、天然に存在するエンドスタチンおよびアンギオスタチンが含まれる (Marx (2003) Science 301, 452-454に概説される)。しかし、従来の化学療法薬、他の医薬、および放射線療法も、抗血管形成効果を有する。本発明の態様の一つのタイプでは、IL-21、その類似体または誘導体、および一または複数の抗血管形成薬、たとえば以下の非限定的な例を用いた併用療法である:エンドスタチン、アンギオスタチン、血管形成を開始する因子をブロックする抗体(たとえば、抗-VEGF-Avastin)、関連のシグナル伝達経路において重要なエレメントを阻害することにより血管形成を阻害する低分子化合物。
【0141】
腫瘍および細胞外マトリクスの血管系を攻撃することは、注目され認識が高まっている。以下の原理がこれまでに開発されている:上皮細胞の妨害、アンギオスタチンおよびエンドスタチンの投与、VEGFターゲッティングおよび細胞外マトリクス。
【0142】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、抗血管形成薬と併用される。
【0143】
本発明の一つの態様において、抗血管形成薬は、アバスチン、ネオバスタット、サリドマイド、PTK787、ZK222584、ZD-6474、SU6668、PD547、632、VEGF-Trap、CEP-7055、NM-3、SU11248を含む群から選択される。
【0144】
g) ウイルスターゲッティング
ウイルスターゲッティングは、組換えウイルス(通常複製能力をもたない)を使用し、腫瘍を直接破壊する。実際には、ウイルスの能力が奪われる前に、少なくとも1回の複製が起こる。よって、腫瘍は溶解され、これは、しばしば全身の免疫化につながり、結果として保護を伴う。このアプローチは、更に遺伝的改変を使用して改良され、免疫応答を増強する。たとえば、ワクチンの効能を改良するために、単純ヘルペスウイルスタイプ2ベクターへのヒトGM-CSF遺伝子の遺伝子挿入が使用されている。本発明の一つの態様において、併用療法は、IL-21、その類似体または誘導体の投与と、ウイルスターゲッティングにより行われる。
【0145】
i) ホルモン剤
ホルモン剤は、ホルモン依存性癌、たとえば、卵巣癌、乳癌、および前立腺癌の治療、たとえば抗アンドロゲン療法および抗エストロゲン療法において主に公知である。ホルモンおよび抗ホルモンは、リン酸エストラムスチン、リン酸ポリエストラジオール、エストラジオール、アナストロゾール、エクセメスタン、レトロゾール、タモキシフェン、酢酸メゲストロール、酢酸メドロキシプロゲステロン、オクトレオチド、酢酸シプロテロン、ビカルタミド、フルタミド、トリトレリン(Tritorelin)、リュープロレリン、ブセレリン、またはゴセレリンなどの化合物である。
【0146】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、ホルモン療法と併用される。
【0147】
II.腫瘍細胞またはウイルス感染細胞に対する免疫応答を増強する薬剤
j) 免疫系活性化剤
免疫系の効力を増強することにより、癌およびウイルス感染の併用療法において本発明のペプチドと共に使用することができる以下のリストの成分または薬剤は、本発明の範囲を限定することを意図しない:
アジュバント:
免疫療法は、特異的および非特異的な治療様式から成る。非特異的な免疫療法の例として、免疫応答の開始のための触媒として主に作用するアジュバントがある。かかるワクチンアジュバントの非限定的な例は、QS21、GM-CSF、およびCpGオリゴデオキシヌクレオチド、リポポリサッカリド、およびポリイノシン酸:ポリシチジル酸である。
【0148】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、一または複数のアジュバントと併用される。
【0149】
本発明の一つの態様において、アジュバントは、以下のものを含む群から選択される:QS21、GM-CSF、およびCpGオリゴデオキシヌクレオチド、リポポリサッカリド、およびポリイノシン酸:ポリシチジル酸、a-ガラクトシルセラミドまたはその類似体、ヒスタミンジヒドロクロライド、または水酸化アルミニウム。
【0150】
サイトカイン:
サイトカインの非限定的な例は、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、IL-2、PEG-IL-2、IL-4、IL-6、IL-7、IL-12、IL-13、IL-15、IL-18、IL-21、IL-23、IL-27、IL-28a、IL-28b、IL-29、GM-CSF、Flt3リガンド、または幹細胞因子である。
【0151】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、一または複数のサイトカインと併用される。
【0152】
本発明の一つの態様において、IL-21は、以下のものを含む群から選択される一または複数の化合物と併用される:IFN-α、IFN-β、IFN-γ、IL-2、PEG-IL-2、IL-4、IL-6、IL-7、IL-12、IL-13、IL-15、IL-18、IL-21、IL-23、IL-27、IL-28a、IL-28b、IL-29、GM-CSF、Flt3リガンド、または幹細胞因子、またはこれらの何れかの類似体または誘導体。
【0153】
本発明の一つの態様において、化合物は、以下のものを含む群から選択される:IFN-α、IFN-β、IFN-γ、PEG-IL-2、IL-18、IL-23、IL-27、IL-28a、IL-28b、IL-29。
【0154】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、以下の一つと併用される:IL-2、PEG-IL-2、IL-7、IL-12、IL-15、IL-18、およびIFN-α。
【0155】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、IL-12と併用される。本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、IFN-αと併用される。
【0156】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、PEG-IL-2と併用される。
【0157】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、以下の二つ以上と併用される:IL-2、PEG-IL-2、IL-7、IL-12、IL-15、IL-18、およびIFN-α。本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、以下の少なくとも一つと併用される:IL-2、PEG-IL-2、IL-7、IL-12、IL-15、IL-18、およびIFN-α、および一つの追加の有効成分。本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、以下の少なくとも一つと併用される:IL-2、PEG-IL-2、IL-7、IL-12、IL-15、IL-18、およびIFN-α、および上記リストに由来する一つの追加のサイトカイン。本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、IFN-αおよびGM-CSFと併用される。本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、IFN-αおよびサイモペンチン(thymopentin)と併用される。
【0158】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、IFN-γと併用される。
【0159】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、TILsおよびIFN-αと併用される。
【0160】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、IFN-αおよびIL-12と併用される。
【0161】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、シスプラチンおよびIFN-αと併用される。
【0162】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、シスプラチン、タモキシフェン、およびIFN-αと併用される。
【0163】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、シスプラチン、DTIC、タモキシフェン、およびIFN-αと併用される。
【0164】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、シスプラチン、DTIC、タモキシフェン、およびGM-CSFと併用される。
【0165】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、シスプラチン、カルムスチン、DTIC、およびIFN-αと併用される。
【0166】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、シスプラチン、カルムスチン、DTIC、タモキシフェン、およびIFN-αと併用される。
【0167】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、シスプラチン、カルムスチン、DTIC、カルボプラチン、タモキシフェン、およびIFN-αと併用される。
【0168】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、シスプラチン、DTIC、ビンブラスチン、タモキシフェン、およびIFN-αと併用される。
【0169】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、シスプラチン、ビンブラスチン、テモゾロミド、およびIFN-αと併用される。
【0170】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、シスプラチン、カルムスチン、DTIC、ビンデシン、タモキシフェン、およびIFN-αと併用される。
【0171】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、シスプラチン、タモキシフェン、およびIFN-αと併用される。
【0172】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、シスプラチン、ビンブラスチン、DTIC、およびIFN-αと併用される。
【0173】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、DTICおよびIFN-αと併用される。
【0174】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、DTIC、GM-CSF、およびIFN-αと併用される。
【0175】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、DTIC、サイモシン-α、およびIFN-αと併用される。
【0176】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、ビンブラスチンおよびIFN-αと併用される。
【0177】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、5-フルオロウラシルおよびIFN-αと併用される。
【0178】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、フォテムスチンおよびIFN-αと併用される。
【0179】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、オキサリプラチンおよびIFN-αと併用される。
【0180】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、オキサリプラチン、タモキシフェン、およびIFN-αと併用される。
【0181】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、オキサリプラチン、DTIC、タモキシフェン、およびIFN-αと併用される。
【0182】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、オキサリプラチン、DTIC、タモキシフェン、およびGM-CSFと併用される。
【0183】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、オキサリプラチン、カルムスチン、DTIC、およびIFN-αと併用される。
【0184】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、オキサリプラチン、カルムスチン、DTIC、タモキシフェン、およびIFN-αと併用される。
【0185】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、オキサリプラチン、カルムスチン、DTIC、カルボプラチン、タモキシフェン、およびIFN-αと併用される。
【0186】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、オキサリプラチン、DTIC、ビンブラスチン、タモキシフェン、およびIFN-αと併用される。
【0187】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、オキサリプラチン、ビンブラスチン、テモゾロミド、およびIFN-αと併用される。
【0188】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、オキサリプラチン、カルムスチン、DTIC、ビンデシン、タモキシフェン、およびIFN-αと併用される。
【0189】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、オキサリプラチン、タモキシフェン、およびIFN-αと併用される。
【0190】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、オキサリプラチン、ビンブラスチン、DTIC、およびIFN-αと併用される。
【0191】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、5-フルオロウラシルまたはその経口的に活性な類似体と併用される。
【0192】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、オキサリプラチン、および5-フルオロウラシルまたはその経口的に活性な類似体と併用される。
【0193】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、オキサリプラチン、ロイコボリン、および5-フルオロウラシルまたはその経口的に活性な類似体と併用される。
【0194】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、イリノテカンと併用される。
【0195】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、イリノテカンおよびオキサリプラチンと併用される。
【0196】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、イリノテカンおよびセツキシマブと併用される。
【0197】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、イリノテカンおよびベバシズマブと併用される。
【0198】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、イリノテカンおよびセツキシマブおよびベバシズマブと併用される。
【0199】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、DTICおよび自己由来のLAK細胞と併用される。
【0200】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、ゲムシタビンおよびIFN-αと併用される。
【0201】
上記組み合わせの何れかを、更にIL-2と併用することができる。
【0202】
細胞性免疫療法
細胞性免疫療法(または養子免疫療法)の例には、生体外で(ex vivo)拡大した腫瘍浸潤T細胞または遺伝的に改変されたT細胞の再注輸が含まれる。
【0203】
本発明の一つの態様において、併用療法は、本発明のペプチドの投与と細胞性免疫療法を併用することである。
【0204】
細胞性免疫療法は、患者から抗癌応答を刺激するかまたは起こすことができる細胞を単離し、これらを多数に拡大し、これらを同一または別の患者に再導入することを含み得る。一つの側面において、これは、腫瘍特異抗原または腫瘍関連抗原を認識するCD4+またはCD8+ T細胞であり得る。別の側面において、これは、腫瘍特異抗原または腫瘍関連抗原に特異的な抗体を発現するB細胞であり得る。別の側面において、これは、腫瘍細胞を殺傷することができるNK細胞であり得る。好ましい側面において、これは、DC拡大剤(DC expanding agent)(たとえば、GM-CSFまたはFlt3-L)と生体外で(ex vivo)培養され、腫瘍特異抗原または腫瘍関連抗原をロードされ、それを必要とする患者に再注輸される樹状細胞(DC)であり得る。本発明の一つの態様において、併用療法は、本発明のペプチドの投与と、細胞性免疫療法または養子療法を併用することである。
【0205】
本発明の一つの態様において、細胞養子療法は、腫瘍特異抗原または腫瘍関連抗原を認識するCD4+またはCD8+ T細胞を含む。
【0206】
本発明の一つの態様において、細胞養子療法は、腫瘍特異抗原または腫瘍関連抗原に特異的な抗体を発現するB細胞を含む。
【0207】
本発明の一つの態様において、細胞養子療法は、腫瘍細胞を殺傷することができるNK細胞を含む。
【0208】
本発明の一つの態様において、細胞養子療法は、樹状細胞(DC)を含む。
【0209】
上記の一つの態様において、樹状細胞は、DC拡大剤(たとえば、GM-CSFまたはFlt3-L)とインビボで培養され、腫瘍特異抗原または腫瘍関連抗原をロードされ、インビボで再導入される。
【0210】
k) 免疫系における抑制性シグナリングをブロックする薬剤
抗腫瘍および抗ウイルス応答を含む免疫応答は、免疫系の細胞において、刺激性および抑制性レセプターを介したシグナリングのバランスにより調節される。活性化レセプターを介した過剰なシグナリングへのシフトは、より効果的な免疫応答につながり得るが、抑制性レセプターを介したシグナリングの増強は、生産性の低い応答につながるか、あるいは免疫を壊すことになる。抗腫瘍または抗ウイルス応答を増強するためには、バランスが活性化へシフトするように、抑制性レセプターを介したシグナリングを治療的にブロックすることが有効である。したがって、抑制性レセプターまたは抑制性シグナリング経路をブロックする薬剤は、本発明のペプチドと併せた併用療法にとって好ましい薬剤である。抑制性レセプターをブロックするかかる薬剤の非限定的な例は、CTLA-4に特異的なmAbs (抗-CTLA-4)、KIRに特異的なmAbs (抗-KIR)、LIRに特異的なmAbs (抗-LIR)、CD94に特異的なmAbs (抗-CD94)、またはNKG2Aに特異的なmAbs (抗-NKG2A)である。
【0211】
抗アレルギー剤は、腫瘍および癌の抗原に対する耐性を破壊することができる、小さい化合物、タンパク質、糖タンパク質または抗体である。
【0212】
腫瘍浸潤リンパ球(TILs)の存在は、多くの様々な癌の形態において、改良された臨床転帰と関連しているが、明らかに、アネルギーまたは腫瘍抗原に対する耐性により、これらTILsの活性を改良する必要がある。アネルギー状態は、かなり多くのケースにおいて、CTLA-4-誘導性アネルギーまたは耐性を妨害するモノクローナル抗体により中和され得る。
【0213】
CTLA-4の遮断は、動物モデルおよびヒト癌患者で、癌治療の有効性を改良することが示されており、これは、CTLA-4の遮断が、癌および腫瘍の抗原に対する耐性を破壊するために使用可能であることを示唆する。TILsの活性を誘導するために使用され得るモノクローナル抗体の非限定的な例は、MDX-010である (Phan et al. (2003) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 100: 8372)。本発明の一つの態様において、併用療法は、本発明のペプチド、および癌、腫瘍またはウイルス抗原に対する耐性を破壊する一または複数の薬剤を投与することにより行われる。本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、MDX-010と併用される。
【0214】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、CTLA-4に対する抗体と併用される。
【0215】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、KIRに対する抗体と併用される。
【0216】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、CD94に対する抗体と併用される。
【0217】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、NKG2Aに対する抗体と併用される。
【0218】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、NK細胞、T細胞、またはNKT細胞で発現される抑制性レセプターに対する抗体と併用される。
【0219】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、抑制性レセプターのアンタゴニストと併用される。
【0220】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、抑制シグナルの伝達に関与するシグナリングタンパク質のアンタゴニストと併用される。
【0221】
l) 治療ワクチン
ほとんど全てのヒトの癌の進行は、遺伝的変化を伴い、これは、腫瘍細胞での変化した分子の発現および正常な分子の過剰発現に、それぞれつながる。原則として、これらの変化は、宿主からの免疫応答につながるべきである(免疫監視機構)。明らかに、免疫系のこの理論上の活性化は、ごく僅かな例外的ケースにおいて、腫瘍の自発的な後退につながるだけである。これは、とりわけ「危険シグナル」の欠如によるものであり、高い関心を集めている現象である。
【0222】
腫瘍特異抗原は、同定され、かかる抗原を用いたワクチン接種は、免疫系を刺激し、腫瘍を全滅させることができる。腫瘍特異抗原(TSAs)は、比較的小さいグループの抗原であり、精巣癌抗原により例示される。これらの遺伝子は、正常な組織では発現しないが、癌細胞により発現される。これらは、非常に特異的な疾患マーカーであり、黒色腫でみられるMAGE(黒色腫抗原遺伝子)が含まれる。
【0223】
腫瘍関連抗原(TAAs)は、通常は、正常な細胞により発現される分化抗原であるが、癌組織において大量に過剰発現する。特定の癌に特異的であると当初考えられていたターゲットは、多くの腫瘍において、実際にかなり共通しており、たとえばガングリオシドおよびムチン抗原である。古典的な分化抗原には、MART-1(T細胞により認識される黒色腫抗原)およびgp 100(何れも黒色腫に由来する)、チロシナーゼ、癌胎児抗原(CEA)およびgp 75が含まれる。
【0224】
突然変異抗原:点突然変異は、多くの癌で共通であり、しばしば同様の位置で起こり、たとえば、P53またはras癌遺伝子の共通の突然変異である。突然変異体と野生型p53のペプチドに対するヒト細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答のインビトロ誘導が報告されている。マウスのモデルにおいて、突然変異体p53をパルスされた樹状細胞は、p53特異的CTLを誘導し、確立された腫瘍の増殖を阻害することができる。
【0225】
ウイルス抗原:ある種のウイルスは、腫瘍形成性であり、これらウイルスによりコードされる遺伝子産物は、免疫応答を誘導することにより癌抗原として機能することができる。一例は、ヒトパピローマウイルスタイプ16に由来するE6およびE7タンパク質であり、これらは、インビトロで細胞傷害性Tリンパ球応答を誘導することが示されている。
【0226】
腫瘍特異抗原、腫瘍関連抗原および/または突然変異抗原およびウイルス抗原は、抗腫瘍免疫応答を誘導するためのワクチンとしての、ペプチド、組換え精製シングル剤抗原、組換え精製抗原の組合せ、および/または癌細胞もしくは腫瘍細胞から単離された精製抗原もしくは抗原プールとして使用することができる。同様に、ペプチド、組換え精製シングル剤抗原、組換え抗原の組合せ、および/またはウイルス感染細胞から単離された精製抗原もしくは抗原プールは、ウイルス感染細胞に対する応答を誘導するためのワクチンにおいて使用することができる。また、治療ワクチンは、自己由来の腫瘍細胞の溶解物または抽出物の形態、または同種異系の腫瘍細胞株の溶解物または抽出物の形態とすることもできる。また、治療ワクチンは、癌およびウイルス感染細胞に対する免疫応答を誘導するためのDNAワクチンの形態とすることもできる。前記DNAワクチンは、抗原のみをコードする発現ベクターから構成されていてもよいし、あるいは癌およびウイルス感染細胞に対する免疫応答を増強することができるサイトカイン(たとえば、GM-CSF、IL-2、IL-12またはIL-21)と共に抗原をコードする発現ベクターから構成されていてもよい。また、前記DNAワクチンは、抗原のみをコードするDNA配列またはサイトカインと共に抗原をコードするDNA配列を含有する改変ウイルス(たとえば、鶏痘ウイルス、ワクシニアウイルス、またはアデノウイルス)から構成されていてもよい。また、治療ワクチンは、癌およびウイルス感染細胞に対する免疫応答を誘導するための抗イディオタイプ抗体の形態とすることもできる。また、治療ワクチンは、DC改変剤(たとえば、サイトカイン、toll様レセプター(TLR)アゴニスト、CpGオリゴデオキシヌクレオチド、GM-CSF、または熱ショックタンパク質)と共に前記抗原またはそれに由来するペプチドをロードされた自己由来の樹状細胞の形態とすることもできる。
【0227】
抗腫瘍応答またはウイルス感染細胞に対する応答の前述のワクチンによる誘導は、アジュバント、サイトカイン、toll様レセプター(TLR)アゴニスト、CpGオリゴデオキシヌクレオチド、樹状細胞、GM-CSF、または熱ショックタンパク質を投与することにより増強することができる。本発明の一つの態様において、併用療法は、アジュバント、サイトカイン、toll様レセプター(TLR)アゴニスト、CpGオリゴデオキシヌクレオチド、樹状細胞、GM-CSF、または熱ショックタンパク質を含むかまたは含まない、一または複数の治療ワクチンと、本発明のペプチドを投与することにより行われる。
【0228】
n) 抗転移剤
転移性癌細胞は、細胞外マトリクス(ECM)および血管の基底膜に侵入して、標的器官(異所性部位)に転移する。EMCは、炭水化物複合体(ヘパラン硫酸ペプチドグリカン)に埋め込まれたタンパク質から構成され、腫瘍を取り囲むプロテアーゼは活性であり、宿主組織を破壊する。抗転移剤は、かかるプロテアーゼの効果に対抗する(たとえばメタロプロテイナーゼ阻害剤)(Coussens et al. Science 2002; 295: 2387-2392)。本発明の一つの態様では、本発明のペプチドおよび一または複数の抗転移剤、たとえばメタロプロテイナーゼ阻害剤を用いた併用療法である
IV.体内ワクチン接種(internal vaccination)
「体内ワクチン接種」および「体内ワクチン接種療法」は、(a)分泌されたタンパク質、糖タンパク質、または他の産物、(b)膜関連タンパク質もしくは糖タンパク質、または膜に関連しているかもしくは膜に挿入された他の成分、(c)細胞内タンパク質または他の細胞内成分を含む、(i)全体としての腫瘍細胞または(ii)腫瘍細胞の一部に対して指示された免疫応答の誘導につながる、薬剤または放射線により誘発された腫瘍細胞の細胞死を指す。免疫応答は、体液性(すなわち、抗体−補体−媒介性)であってもよいし、または細胞媒介性であってもよく、腫瘍細胞またはその一部を認識した細胞傷害性Tリンパ球の発達が含まれるがこれに限定されない。体内ワクチン接種は、他のワクチン接種の手順と多くの類似点を有し、造血系および免疫系の同一の細胞成分の多くまたは全てを伴い、免疫原または抗原成分が、内因性であるために、腫瘍細胞の抗原レパートリーの代表であるという利点を有する。よって、体内ワクチン接種は、個別のワクチン接種であると考えられ、これは、腫瘍細胞の死につながる癌治療の一般的手順の使用により誘導される。放射線療法に加えて、腫瘍細胞の死および体内ワクチン接種を誘発するために使用することができる医薬および薬剤の非限定的な例は、慣用的な化学療法剤、細胞周期阻害剤、抗血管形成薬、モノクローナル抗体、アポトーシス誘発剤、およびシグナル伝達阻害剤である。
【0229】
「本発明のペプチドおよび体内ワクチン接種の併用療法」は、体内ワクチン接種で治療される癌患者に本発明のペプチドを投与する併用療法を指す。本発明のペプチドは、体内ワクチン接種を行う前、それと同時、またはその後に投与することができる。
【0230】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、体内ワクチン接種療法に含められる。
【0231】
遺伝子治療は、細胞の表現型を一過的または永久に変えるために、細胞に遺伝的材料を転移することを含む。様々な方法が、サイトカイン、腫瘍抗原、および追加の刺激分子のデリバリーのために調査されている。本発明の文脈において、本発明のペプチドは、デリバーされる薬剤であってもよいし、同時投与されてもよい。本発明の一つの態様において、本発明のペプチドは、ポリヌクレオチドとして投与されてもよい。ポリヌクレオチドは、WO 00/53671に記載される。
【0232】
VI: 免疫抑制/免疫調節剤
r) T-リンパ球ホーミングに影響を及ぼす薬剤、たとえばFTY-720
s) カルシニューリン阻害剤
カルシニューリン阻害剤、たとえばvalspodar、PSC833は、MDR-1およびp-糖タンパク質に対する抑制効果により、細胞傷害剤に対する抵抗性の発達を妨害する際に活性である。
【0233】
t) TOR阻害剤
TOR阻害剤は、セリン-トレオニンキナーゼ哺乳類TOR(mTOR)をブロックすることにより作用する。シロリムス、エベロリムスおよびラパマイシンなどの化合物は、抗増殖性薬剤である。これらは、下流のシグナリングカスケードに関与するため、全ての腫瘍タイプの治療に関連がある(たとえば抗血管形成特性)。
【0234】
一つの態様において、上述の癌治療の治療様式は、本発明のペプチドについて例示されたのと同じ方法で、配列番号2と併用される。一つの態様において、本発明は、配列番号2のペプチドと一または複数の上述の癌治療の治療様式を含む、後述の薬学的組成物を提供する。
【薬学的組成物】
【0235】
本発明の別の目的は、10-15 mg/ml〜200 mg/ml、たとえば10-10 mg/ml〜5 mg/mlの濃度で存在する本発明のペプチドを含み、かつ2.0〜10.0のpHを有する薬学的調合物を提供することである。必要に応じて、調合物は、上述のとおり一または複数の更なる制癌剤を含んでいてもよい。調合物は、緩衝系、保存剤、張度作用剤(tonicity agent)、キレート剤、安定剤および界面活性剤を更に含んでいてもよい。本発明の一つの態様において、薬学的調合物は、水性調合物、すなわち水を含む調合物である。かかる調合物は、典型的には液剤または懸濁剤である。本発明の更なる態様において、薬学的調合物は水性液剤である。「水性調合物」の用語は、少なくとも50 %w/wの水を含む調合物と規定される。同様に、「水性液剤」の用語は、少なくとも50 %w/wの水を含む液剤と規定され、「水性懸濁剤」の用語は、少なくとも50 %w/wの水を含む懸濁剤と規定される。
【0236】
別の態様において、薬学的調合物は、使用前に医師または患者が溶媒および/または希釈液を添加する、フリーズドライされた調合物である。
【0237】
別の態様において、薬学的調合物は、事前に溶解しないで使用可能な状態にある、乾燥された調合物(たとえばフリーズドライまたはスプレードライされた調合物)である。
【0238】
更なる側面において、本発明は、本発明のペプチドの水性液剤および緩衝剤を含む薬学的調合物であって、前記OGPタンパク質が0.1〜100 mg/mlの濃度で存在し、かつ約2.0〜約10.0のpHを有する薬学的調合物に関する。
【0239】
本発明の別の態様において、調合物のpHは、2.0, 2.1, 2.2, 2.3, 2.4, 2.5, 2.6, 2.7, 2.8, 2.9, 3.0, 3.1, 3.2, 3.3, 3.4, 3.5, 3.6, 3.7, 3.8, 3.9, 4.0, 4.1, 4.2, 4.3, 4.4, 4.5, 4.6, 4.7, 4.8, 4.9, 5.0, 5.1, 5.2, 5.3, 5.4, 5.5, 5.6, 5.7, 5.8, 5.9, 6.0, 6.1, 6.2, 6.3, 6.4, 6.5, 6.6, 6.7, 6.8, 6.9, 7.0, 7.1, 7.2, 7.3, 7.4, 7.5, 7.6, 7.7, 7.8, 7.9, 8.0, 8.1, 8.2, 8.3, 8.4, 8.5, 8.6, 8.7, 8.8, 8.9, 9.0, 9.1, 9.2, 9.3, 9.4, 9.5, 9.6, 9.7, 9.8, 9.9, および10.0からなるリストより選択される。
【0240】
本発明の更なる態様において、緩衝剤は、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸塩、グリシルグリシン、ヒスチジン、グリシン、リジン、アルギニン、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム、およびトリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、バイシン(bicine)、トリシン(tricine)、リンゴ酸、コハク酸塩、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、アスパラギン酸、またはこれらの混合物からなる群より選択される。これら具体的な緩衝剤の各々は、本発明の択一的な態様を構成する。
【0241】
本発明の更なる態様において、調合物は、薬学的に許容可能な保存剤を更に含む。本発明の更なる態様において、保存剤は、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸プロピル、2-フェノキシエタノール、p-ヒドロキシ安息香酸ブチル、2-フェニルエタノール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、およびチオメロサール(thiomerosal)、ブロノポール(bronopol)、安息香酸、イミドウレア(imidurea)、クロロヘキシジン(chlorohexidine)、デヒドロ酢酸ナトリウム、クロロクレゾール、p-ヒドロキシ安息香酸エチル、塩化ベンゼトニウム、クロルフェネシン(chlorphenesine) (3p-クロルフェノキシプロパン-1,2-ジオール)、またはこれらの混合物からなる群より選択される。本発明の更なる態様において、保存剤は、0.1 mg/ml〜20 mg/mlの濃度で存在する。本発明の更なる態様において、保存剤は、0.1 mg/ml〜5 mg/mlの濃度で存在する。本発明の更なる態様において、保存剤は、5 mg/ml〜10 mg/mlの濃度で存在する。本発明の更なる態様において、保存剤は、10 mg/ml〜20 mg/mlの濃度で存在する。これら具体的な保存剤の各々は、本発明の択一的な態様を構成する。薬学的組成物における保存剤の使用は、当業者に周知である。便宜的には、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th edition, 2000が参照される。
【0242】
本発明の更なる態様において、調合物は、等張剤(isotonic agent)を更に含む。本発明の更なる態様において、等張剤は、塩(たとえば塩化ナトリウム)、糖または糖アルコール、アミノ酸(たとえば、L-グリシン、L-ヒスチジン、アルギニン、リジン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファン、トレオニン)、アルジトール(たとえば、グリセロール(グリセリン)、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール)、ポリエチレングリコール(たとえばPEG400)、またはこれらの混合物からなる群より選択される。任意の糖、たとえばモノ、ジ、またはポリサッカリド、または水溶性グルカン、たとえばフルクトース、グルコース、マンノース、ソルボース、キシロース、マルトース、ラクトース、スクロース、トレハロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、シクロデキストリン、可溶性デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、およびカルボキシメチルセルロース−Naが使用され得る。一つの態様において、糖の添加剤は、スクロースである。糖アルコールは、少なくとも一つの−OH基を有するC4−C8炭化水素と規定され、たとえば、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、ガラクチトール、ズルシトール、キシリトール、およびアラビトールが含まれる。一つの態様において、糖アルコールの添加剤は、マンニトールである。上述の糖または糖アルコールは、単独で、または組合せて使用され得る。糖または糖アルコールは、液体製剤に可溶であり、本発明の方法を用いて達成される安定化効果に悪影響を及ぼさない限り、使用量に定められた制限はない。一つの態様において、糖または糖アルコールの濃度は、約1 mg/ml〜約150 mg/mlである。本発明の更なる態様において、等張剤は、1 mg/ml〜50 mg/mlの濃度で存在する。本発明の更なる態様において、等張剤は、1 mg/ml〜7 mg/mlの濃度で存在する。本発明の更なる態様において、等張剤は、8 mg/ml〜24 mg/mlの濃度で存在する。本発明の更なる態様において、等張剤は、25 mg/ml〜50 mg/mlの濃度で存在する。これら具体的な等張剤の各々は、本発明の択一的な態様を構成する。薬学的組成物における等張剤の使用は、当業者に周知である。便宜的には、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th edition, 2000が参照される。
【0243】
本発明の更なる態様において、調合物は、キレート剤を更に含む。本発明の更なる態様において、キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸、およびアスパラギン酸の塩、およびこれらの混合物から選択される。本発明の更なる態様において、キレート剤は、0.1 mg/ml〜5 mg/mlの濃度で存在する。本発明の更なる態様において、キレート剤は、0.1 mg/ml〜2 mg/mlの濃度で存在する。本発明の更なる態様において、キレート剤は、2 mg/ml〜5 mg/mlの濃度で存在する。これら具体的なキレート剤の各々は、本発明の択一的な態様を構成する。薬学的組成物におけるキレート剤の使用は、当業者に周知である。便宜的には、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th edition, 2000が参照される。
【0244】
本発明の更なる態様において、調合物は、安定剤を更に含む。薬学的組成物における安定剤の使用は、当業者に周知である。便宜的には、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th edition, 2000が参照される。
【0245】
より詳細には、本発明の組成物は、安定化された液体薬学的組成物であり、その治療的に活性な成分は、液体薬学的調合物中での保存の間に凝集体の形成を示す可能性があるポリペプチドを含む。「凝集体の形成」とは、オリゴマーの形成という結果につながる、ポリペプチド分子の間の物理的相互作用を意味し、ここでオリゴマーは、可溶性のまま残ってもよいし、あるいは溶液から沈殿する大きな可視的な凝集体であってもよい。「保存の間」とは、一旦調製された液体薬学的組成物または調合物が、被検体にすぐに投与されないことを意味する。むしろ、液体薬学的組成物または調合物は、調製後に、液体形態、凍結状態、または液体形態もしくは被検体への投与に適した他の形態に後で再構成するための乾燥形態の何れかの形態で、保存のためにパッケージに入れられる。「乾燥形態」とは、フリーズドライ(すなわち凍結乾燥;たとえばWilliams and Polli (1984) J. Parenteral Sci. Technol. 38: 48-59を参照)、スプレードライ(Masters (1991) in Spray-Drying Handbook (5th ed; Longman Scientific and Technical, Essez, U.K.), pp. 491-676; Broadhead et al. (1992) Drug Devel. Ind. Pharm. 18: 1169-1206; およびMumenthaler et al. (1994) Pharm. Res. 11: 12-20を参照)、またはエアドライ(Carpenter and Crowe (1988) Cryobiology 25: 459-470; およびRoser (1991) Biopharm. 4: 47-53)の何れかにより、液体薬学的組成物または調合物を乾燥させることを意味する。液体薬学的組成物の保存の間に起こるポリペプチドによる凝集体の形成は、そのポリペプチドの生物学的活性に悪影響を及ぼし、その結果、薬学的組成物の治療効果を失わせることができる。更に、ポリペプチドを含有する薬学的組成物を輸液システムを用いて投与した場合、凝集体の形成は、チューブ、メンブレン、またはポンプの閉塞などの他の問題を引き起こし得る。
【0246】
本発明の薬学的組成物は、組成物の保存の間に起こるポリペプチドによる凝集体の形成を減少させるのに充分な量のアミノ酸ベースを更に含んでいてもよい。「アミノ酸ベース」とは、任意の所定のアミノ酸が、遊離塩基の形態または塩の形態の何れかで存在する、一つのアミノ酸またはアミノ酸の組合せを意味する。アミノ酸の組合せを使用する場合、アミノ酸のすべてが、遊離塩基の形態で存在してもよいし、すべてが塩の形態で存在してもよいし、あるいは幾つかは遊離塩基の形態で存在するがその他は塩の形態で存在してもよい。一つの態様において、本発明の組成物を調製する際に使用されるアミノ酸は、電荷を帯びた側鎖を有するもの、たとえば、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、およびグルタミン酸である。特定のアミノ酸が、遊離塩基の形態または塩の形態の何れかで存在する限り、特定のアミノ酸(たとえば、メチオニン、ヒスチジン、イミダゾール、アルギニン、リジン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファン、トレオニン、およびこれらの混合物)の任意の立体異性体(すなわち、L、D、またはその混合物)またはこれら立体異性体の組合せが、本発明の薬学的組成物中に存在してもよい。一つの態様において、L-立体異性体が使用される。また、本発明の組成物は、これらアミノ酸の類似体を用いて調合されてもよい。「アミノ酸の類似体」とは、本発明の液体薬学的組成物の保存の間に起こるポリペプチドによる凝集体の形成を減少させるという所望の効果をもたらす、天然に存在するアミノ酸の誘導体を意味する。適切なアルギニン類似体には、たとえば、アミノグアニジン、オルニチンおよびN-モノエチルL-アルギニンが含まれ、適切なメチオニン類似体には、エチオニンおよびブチオニンが含まれ、適切なシステイン類似体には、S-メチル-Lシステインが含まれる。アミノ酸の類似体は、他のアミノ酸と同様、遊離塩基の形態または塩の形態の何れかで組成物に組み込まれる。本発明の更なる態様において、アミノ酸またはアミノ酸の類似体は、タンパク質の凝集を防止または遅延するのに充分な濃度で使用される。
【0247】
本発明の更なる態様において、治療剤として作用するポリペプチドが、かかる酸化を受けやすい少なくとも一つのメチオニン残基を含むポリペプチドである場合、メチオニン残基のメチオニンスルホキシドへの酸化を阻害するために、メチオニン(または硫黄を含む他のアミノ酸またはアミノ酸の類似体)が添加されてもよい。「阻害する」とは、時間を経てメチオニンの酸化種が最小限に蓄積することを意味する。メチオニンの酸化を阻害することにより、ポリペプチドが適切な分子形態で多量に保持される結果につながる。メチオニンの任意の立体異性体(L、D、またはその混合物)またはその組合せを使用することができる。添加される量は、メチオニン残基の酸化を阻害し、その結果、メチオニンスルホキシドの量を監督官庁に許容されるようにするのに充分な量とすべきである。典型的には、これは、組成物が約10%〜約30%以下のメチオニンスルホキシドを含有することを意味する。一般的には、これは、添加されるメチオニンとメチオニン残基との比が、約1:1〜約1000:1、たとえば10:1〜約100:1の範囲になるようにメチオニンを添加することにより達成することができる。
【0248】
本発明の更なる態様において、調合物は、高分子量ポリマーまたは低分子化合物の群から選択される安定剤(stabilizer)を更に含む。本発明の更なる態様において、安定剤は、ポリエチレングリコール (たとえばPEG 3350)、ポリビニルアルコール (PVA)、ポリビニルピロリドン、カルボキシ-/ヒドロキシセルロースまたはその誘導体 (たとえばHPC、HPC-SL、HPC-LおよびHPMC)、シクロデキストリン、硫黄-含有物質、たとえばモノチオグリセロール、チオグリコール酸および2-メチルチオエタノール、および種々の塩 (たとえば塩化ナトリウム) から選択される。これら具体的な安定剤の各々は、本発明の択一的な態様を構成する。
【0249】
また、薬学的組成物は、治療的に活性なポリペプチドの安定性を更に高める追加の安定化剤(stabilizing agents)を含んでいてもよい。本発明に特に興味深い安定化剤には、メチオニンの酸化に対してポリペプチドを保護するメチオニンおよびEDTA、および凍結−融解または機械的剪断と関連した凝集に対してポリペプチドを保護する非イオン性界面活性剤が含まれるがこれらに限定されない。
【0250】
本発明の更なる態様において、調合物は、界面活性剤を更に含む。本発明の更なる態様において、界面活性剤は、以下のものから選択される:洗剤、エトキシ化ヒマシ油、ポリグリコール化(polyglycolyzed)グリセリド、アセチル化モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンブロック重合体(たとえばポロキサマー(poloxamers)、たとえばPluronic(登録商標)F68、poloxamer 188および407、Triton X-100)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンおよびポリエチレン誘導体、たとえばアルキル化およびアルコキシル化誘導体(ツイーンtweens、たとえばTween-20、Tween-40、Tween-80およびBrij-35)、モノグリセリドまたはそのエトキシ化誘導体、ジグリセリドまたはそのポリオキシエチレン誘導体、アルコール、グリセロール、レシチン、およびリン脂質(たとえば、ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ジホスファチジルグリセロールおよびスフィンゴミエリン)、リン脂質の誘導体(たとえばジパルミトイルホスファチジン酸)、およびリゾリン脂質(たとえば、パルミトイルリゾホスファチジル-L-セリン、およびエタノールアミン、コリン、セリンまたはトレオニンの1-アシル-sn-グリセロ-3-ホスフェートエステル)、リゾホスファチジルおよびホスファチジルコリンのアルキル、アルコキシル(アルキルエステル)、アルコキシ(アルキルエーテル)-誘導体、たとえば、リゾホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリンのラウロイルおよびミリストイル誘導体、および極性ヘッドグループの改変体、すなわちコリン、エタノールアミン、ホスファチジン酸、セリン、トレオニン、グリセロール、イノシトール、および正電荷のDODAC、DOTMA、DCP、BISHOP、リゾホスファチジルセリンおよびリゾホスファチジルトレオニン、およびグリセロリン脂質(たとえばケファリン)、グリセロ糖脂質(たとえばガラクトピラノシド)、スフィンゴ糖脂質(たとえばセラミド、ガングリオシド)、ドデシルホスホコリン、鶏卵リゾレシチン、フシジン酸誘導体(たとえばタウロ-ジヒドロフシジン酸ナトリウム)、長鎖脂肪酸およびその塩C6-C12(たとえばオレイン酸およびカプリル酸)、アシルカルニチンおよび誘導体、リジン、アルギニンまたはヒスチジンのNα-アシル化誘導体、またはリジンまたはアルギニンの側鎖アシル化誘導体、リジン、アルギニンまたはヒスチジンと中性または酸性アミノ酸との任意の組合せを含むジペプチドのNα-アシル化誘導体、中性アミノ酸と二つの荷電アミノ酸との任意の組合せを含むトリペプチドのNα-アシル化誘導体、DSS(ドキュセートナトリウム、CAS registry no [577-11-7]、ドキュセートカルシウム、CAS registry no [128-49-4]、ドキュセートカリウム、CAS registry no [7491-09-0])、SDS(ドデシル硫酸ナトリウムまたはラウリル硫酸ナトリウム)、カプリル酸ナトリウム、コール酸またはその誘導体、胆汁酸およびその塩およびグリシンまたはタウリンコンジュゲート、ウルソデオキシコール酸、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、N-ヘキサデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホネート、陰イオン(アルキル-アリール-スルホネート)一価界面活性剤、双性イオン性界面活性剤(たとえば、N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニオ-1-プロパンスルホネート、3-コラミド-1-プロピルジメチルアンモニオ-1-プロパンスルホネート、陽イオン界面活性剤(第四アンモニウム塩基)(たとえば、セチル-トリメチルアンモニウムブロマイド、セチルピリジニウムクロライド)、非イオン界面活性剤(たとえばドデシルβ-D-グルコピラノシド)、ポロキサミン(poloxamines)(たとえばTetronic’s)、これは、エチレンジアミドにプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドを順次添加することにより得られる四官能性ブロック共重合体である、またはイミダゾリン誘導体の群から選択され得る界面活性剤、またはこれらの混合物。
【0251】
薬学的組成物における界面活性剤の使用は、当業者に周知である。便宜的には、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th edition, 2000が参照される。
【0252】
本発明のペプチド薬学的調合物に他の成分が存在してもよいと考えられる。かかる追加の成分には、湿潤剤、乳化剤、抗酸化剤、増量剤、張度調節剤、キレート剤、金属イオン、油性賦形剤、タンパク質 (たとえば、ヒト血清アルブミン、ゼラチまたはタンパク質) および双性イオン (たとえば、ベタイン、タウリン、アルギニン、グリシン、リジンおよびヒスチジンなどのアミノ酸) が含まれ得る。かかる追加の成分は、当然、本発明の薬学的調合物の全体的な安定性に悪影響を及ぼしてはならない。
【0253】
本発明のペプチドを含有する薬学的組成物は、幾つかの部位、たとえば局所的部位、たとえば皮膚および粘膜部位、吸収をバイパスする部位、たとえば動脈、静脈、心臓における投与、および吸収を伴う部位、たとえば皮膚、皮下、筋または腹部における投与で、かかる治療を必要とする患者に投与され得る。
【0254】
本発明の薬学的組成物は、幾つかの投与ルート、たとえば舌、舌下、頬、口内、経口、胃腸内、鼻、肺、たとえば細気管支および肺胞またはその組合せ、表皮、皮膚、経皮、膣、直腸、眼、たとえば結膜、尿管(uretal)、および腸管外を通じて、かかる治療を必要とする患者に投与され得る。
【0255】
本発明の組成物は、幾つかの投薬形態、たとえば液剤、懸濁剤、エマルジョン、ミクロエマルジョン、マルチプルエマルジョン、発泡剤、膏薬、パスタ剤、硬膏剤、軟膏剤、錠剤、コーティング錠剤、リンス剤、カプセル剤、たとえば硬質ゼラチンカプセル剤および軟質ゼラチンカプセル剤、坐剤、直腸カプセル剤、点滴剤、ゲル、スプレー、粉剤、エアロゾル剤、吸入剤、点眼剤、眼軟膏剤、眼リンス剤、膣ペッサリー、膣リング、膣軟膏剤、注射液、in situ変換液、たとえばin situゲル化、in situセッティング、in situ沈殿、in situ結晶化、輸液、および移植片で投与され得る。
【0256】
本発明の組成物は、本発明のペプチドの安定性を更に高めるため、生物学的利用能を増大させるため、溶解度を増大させるため、副作用を減少させるため、当業者に周知の時間療法を達成するため、患者のコンプライアンスを増大させるため、あるいはこれらの任意の組合せの目的のために、たとえば共有結合的、疎水的および静電的相互作用を介して、ドラッグキャリア、ドラッグデリバリーシステムおよび高度ドラッグデリバリーシステムに、更に複合化していてもよいし結合していてもよい。キャリア、ドラッグデリバリーシステムおよび高度ドラッグデリバリーシステムの例には、ポリマー、たとえばセルロースおよび誘導体、ポリサッカリド、たとえばデキストランおよび誘導体、デンプンおよび誘導体、ポリ(ビニルアルコール)、アクリレートおよびメタクリレートポリマー、ポリ乳酸およびポリグリコール酸およびこれらのブロック共重合体、ポリエチレングリコール、キャリアタンパク質、たとえばアルブミン、ゲル、たとえば熱ゲル化システム、たとえば当業者に周知のブロック共重合体システム、ミセル、リポソーム、ミクロスフェア、ナノ粒子、液晶およびその分散物、脂質−水システムにおける相挙動の分野の当業者に周知のL2相およびその分散物、重合体ミセル、マルチプルエマルジョン、自己乳化、自己ミクロ乳化、シクロデキストリンおよびその誘導体、およびデンドリマーが含まれるが、これらに限定されない。
【0257】
本発明の組成物は、たとえば計量式吸入器、ドライパウダー吸入器および噴霧器(すべてのデバイスが当業者に周知である)を用いて本発明のペプチドを肺投与するための固体、半固体、粉末および溶液の調合物において有効である。
【0258】
本発明の組成物は、制御型、持続型、延長型、遅延型、および低速型放出ドラッグデリバリーシステムの調合物においてとりわけ有効である。より具体的には、組成物は、当業者に周知の腸管外の制御型放出システムおよび持続型放出システム(いずれのシステムも何倍もの投与回数の減少につながる)の調合物において有効であるが、これらに限定されない。更に好ましくは、皮下投与される制御型放出システムおよび持続型放出システムである。本発明の範囲を限定するものではないが、有効な制御型放出システムと組成物の例は、ヒドロゲル、油性ゲル、液晶、重合体ミセル、ミクロスフェア、ナノ粒子である。
【0259】
本発明の組成物に有効な制御型放出システムをつくる方法には、結晶化、凝縮、共結晶化、沈殿、共沈、乳化、分散、高圧ホモジナイゼーション、カプセル化、スプレードライ、マイクロカプセル化、コアセルベーション、相分離、ミクロスフェアをつくるための溶媒蒸発、押出、および超臨界流体プロセスが含まれるが、これらに限定されない。Handbook of Pharmaceutical Controlled Release (Wise, D.L., ed. Marcel Dekker, New York, 2000) およびDrug and the Pharmaceutical Sciences vol. 99: Protein Formulation and Delivery (MacNally, E.J., ed. Marcel Dekker, New York, 2000) が一般的に参照される。
【0260】
腸管外投与は、シリンジ、必要に応じてペン型シリンジを用いて、皮下、筋内、腹腔内または静脈内注射により行うことができる。あるいは、腸管外投与は、輸液ポンプを用いて行うことができる。更なるオプションとして、組成物は、鼻または肺スプレーの形態で本発明のペプチドを投与するための液剤または懸濁剤であり得る。更なるオプションとして、本発明のペプチドを含有する薬学的組成物は、たとえば針フリー注射またはパッチ、必要に応じてイオン電気導入パッチ、または粘膜経由投与、たとえば頬投与による経皮投与に適合させることもできる。
【0261】
「安定化調合物」の用語は、物理的安定性の増大した、化学的安定性の増大した、または物理的および化学的安定性の増大した調合物を指す。
【0262】
本明細書で使用されるタンパク質調合物の「物理的安定性」の用語は、熱−機械的ストレスおよび/または疎水性表面および界面などの不安定な界面および表面との相互作用にタンパク質を晒した結果、生物学的に不活性および/または不溶性のタンパク質凝集体を形成するタンパク質の傾向を指す。水性タンパク質調合物の物理的安定性は、適切な容器(たとえばカートリッジまたはバイアル)中に充填した調合物を、様々な温度で種々の期間、機械的/物理的ストレス(たとえば撹拌)に晒した後、視覚的検査および/または濁度測定を行うことにより評価される。調合物の視覚的検査は、ダークな背景にシャープな焦点の光で行われる。調合物の濁度は、たとえば0〜3のスケールで濁度をランキングする視覚的スコアにより特徴づけられる(濁りのない調合物は視覚的スコア0に相当し、日中の光で目に見える濁りを示す調合物は視覚的スコア3に相当する)。調合物は、日中の光で目に見える濁りを示すとき、タンパク質凝集に関して物理的に不安定であると分類される。あるいは、調合物の濁度は、当業者に周知の単純な濁度測定により評価することができる。水性タンパク質調合物の物理的安定性は、タンパク質のコンフォメーション状態の分光分析薬剤またはプローブを用いることにより評価することもできる。プローブは、好ましくは、タンパク質の非天然の配座異性体に優先的に結合する小分子である。タンパク質構造の小分子分光分析プローブの一例は、チオフラビンTである。チオフラビンTは、アミロイドフィブリルの検出に広く使用されている蛍光色素である。チオフラビンTは、フィブリルの存在下において、おそらく他のタンパク質立体配置の存在下においても、フィブリルタンパク質形態に結合すると、約450 nmに新たな励起極大を生じ、約482 nmにおける放射が増大する。未結合のチオフラビンTは、当該波長において実質的に蛍光を発しない。
【0263】
天然の状態から非天然の状態までタンパク質の構造変化のプローブとして、他の小分子を使用することができる。たとえば、「疎水性パッチ」プローブは、露出されたタンパク質疎水性パッチに優先的に結合する。疎水性パッチは、天然の状態でタンパク質の三次元構造内に一般に埋め込まれているが、タンパク質がアンフォールディングまたは変性を開始すると露出するようになる。これら小分子分光分析プローブの例は、芳香族疎水性色素、たとえばアントラセン、アクリジン、フェナントロリンなどである。他の分光分析プローブは、金属−アミノ酸複合体、たとえば疎水性アミノ酸、たとえばフェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、およびバリンなどのコバルト金属複合体である。
【0264】
本明細書で使用されるタンパク質調合物の「化学的安定性」の用語は、天然のタンパク質構造と比較して、潜在的な生物学的能力の低下および/または潜在的な免疫原性特性の増大した化学的分解産物の形成に至る、タンパク質構造の化学的共有結合の変化を指す。種々の化学的分解産物が、天然のタンパク質のタイプおよび性質、並びにタンパク質が晒されている環境に依存して形成され得る。化学的分解を排除することは、おそらく完全に避けることはできず、当業者に周知のとおり、タンパク質調合物の保存および使用の間に化学的分解産物の量の増大がしばしば観察される。多くのタンパク質は、脱アミドを受けやすく、そのプロセスにおいて、グルタミニルまたはアスパラギニル残基の側鎖アミド基が加水分解され、遊離のカルボン酸を形成する。他の分解経路は、高分子量の変換産物の形成を伴い、ここでは二以上のタンパク質分子が、アミノ基転移および/またはジスルフィド相互作用を介して互いに共有結合し、共有結合したダイマー、オリゴマーおよびポリマー分解産物の形成に至る(Stability of Protein Pharmaceuticals, Ahern. T.J. & Manning M.C., Plenum Press, New York 1992)。(たとえばメチオニン残基の)酸化は、化学的分解の別の変形として挙げることができる。タンパク質調合物の化学的安定性は、様々な環境条件に晒した後、種々の時点で、化学的分解産物の量を測定することにより評価することができる(分解産物の形成は、たとえば温度を上げることによりしばしば促進することができる)。個々の分解産物の量は、種々のクロマトグラフィー技術(たとえばSEC-HPLCおよび/またはRP-HPLC)を用いて、分子サイズおよび/または電荷に依存して分解産物を分離することにより多くの場合決定される。
【0265】
したがって、上述のとおり、「安定化調合物」は、物理的安定性の増大した、化学的安定性の増大した、または物理的および化学的安定性の増大した調合物を指す。一般に、調合物は、有効期限に達するまで、(推奨される使用および保存条件に従って)使用および保存される間、安定でなければならない。
【0266】
本発明の一つの態様において、本発明のペプチドを含む薬学的調合物は、6週間以上の使用の間、および3年以上の保存の間、安定である。
【0267】
本発明の別の態様において、本発明のペプチドを含む薬学的調合物は、4週間以上の使用の間、および3年以上の保存の間、安定である。
【0268】
本発明の更なる態様において、本発明のペプチドを含む薬学的調合物は、4週間以上の使用の間、および2年以上の保存の間、安定である。
【0269】
本発明の更なる態様において、本発明のペプチドを含む薬学的調合物は、2週間以上の使用の間、および2年以上の保存の間、安定である。
【実施例】
【0270】
IL-21変異体の活性テスト
IL-21野生型および突然変異体タンパク質は、stat-制御ルシフェラーゼレポーターシステムを利用した細胞活性アッセイを用いて分析した。
【0271】
アッセイは、マウスBaf3細胞株を使用し、これは、ヒトIL-21RおよびStat-連結ルシフェラーゼレポーター構築物を発現するように安定にトランスフェクトされている。Baf3細胞は、シグナリングIL-21レセプター複合体の必須の構成成分を構成するガンマC「共通鎖」を内因的に発現する。Baf3/hIL-21Rレポーター細胞株は、刺激前の6時間の間、IL-3フリー培地で飢餓状態にした。その後、用量-反応分析を、24時間にわたって細胞の刺激を用いて行った。
【0272】
図1は、HEK293 FS細胞において一過的に発現するタンパク質の分析を示す(Stengaard-Pedersen et al. N.Engl.J.Med. (2003) 349: 554; Invitrogen)。タンパク質は、トランスフェクションの48時間後に回収した未精製の上清の形態で分析した。
【0273】
図2は、精製タンパク質として分析された、野生型および突然変異体hIL-21タンパク質の分析を示す。Chim-IL21は、IL-21 sub[K77-T92](配列番号7)である。ここで構築物は、E.coliで発現するように調製し、封入体に存在するタンパク質の再フォールディング(refolding)を介して精製した。
【0274】
IL-21変異体の別の活性テスト
IL-21変異体をコードするcDNAは、一過性発現により分析し、その後、stat-制御レポーターシステムで活性分析を行う。
【0275】
cDNAを、HEK293 FreeStyle細胞にトランスフェクトする(Stengaard-Pedersen et al. N. Engl. J. Med. (2003) 349: 554; Invitrogen)。上清は、トランスフェクションの48時間後に血清フリー培地から回収し、細胞バイオアッセイで分析する。アッセイは、マウスBaf3細胞株を使用し、これは、ヒトIL-21RおよびStat-連結ルシフェラーゼレポーター構築物を発現するように安定にトランスフェクトされている。Baf3細胞は、活性なIL-21レセプター複合体のγc構成成分を内因的に発現する。Baf3/hIL-21Rレポーター細胞株は、刺激前の18時間の間、IL-3フリー培地で飢餓状態にする。用量-反応分析を、HEK293-FSトランスフェクタントに由来する未精製の上清を用いて行う。刺激の期間は4時間である。
【薬理学的方法】
【0276】
ADCCの増強を調査するために以下のインビトロ方法を使用する。
【0277】
ターゲット抗原を発現するターゲット細胞を、ターゲット抗原に対する抗体、および効果器細胞としての末梢血単核細胞、NK細胞、好中球、マクロファージ、単球またはDCとインキュベートする。効果器細胞は、IL-21と1〜10日間プレインキュベートしてもよいし、あるいはIL-21は、効果器細胞とターゲット細胞の両方を含有する培養物に添加してもよい。ADCCを増強することが可能な他の化合物が、培養物またはプレインキュベーション培養物に含有されてもよい。ADCCの効率は、以前に記載されるとおり、ターゲット細胞からの特異的な51Crの放出またはLDH活性として測定される(Golay et al., Haematologica 88: 1002-1012, 2003またはLiu et al., Cancer Immun 2: 13, 2002またはWatanabe et al., Breast Cancer Res Treat 53: 199-207, 1999)。
【0278】
フローサイトメトリーベースのアッセイを利用したADCCの測定は、以前に記載されるとおりである(Flieger et. al., J Immunother 23: 480-486, 2000またはFlieger et al., J Immunol Methods 180: 1-13, 1995またはFlieger et al., Hybridoma 18: 63-68, 1999)。
【0279】
二色蛍光アッセイによるADCPの測定は、Watanabe et al., Breast Cancer Res Treat 53: 199-207, 1999またはAkewanlop et al., Cancer Res 61: 4061-4065, 2001に記載されるとおりである。
【0280】
ADCCの増強を測定するためのインビボ方法を、以下に概説する:
白血病細胞または形質転換細胞を、同系の動物にi.v.、i.p.またはs.c.注入し、その後、白血病細胞または形質転換細胞により発現される抗原を認識する治療抗体により、IL-21療法とともに、あるいはIL-21療法なしで治療する。終点は、全身腫瘍組織量および生存である。ADCCの関与は、FcγRIブロッキング抗体またはFcγRI欠損マウスの使用により確認することができる。
【0281】
ヒト起源のターゲット細胞に対するADCCの増殖を調査するためのインビボ方法は、以前に、Zhang et al., Blood 102: 284-288, 2003またはFlavell et al. Cancer Res 58: 5787-5794, 1998に記載される。これらモデルに従って、ヒト白血病細胞または形質転換細胞を、SCIDマウスにi.v.、i.p.またはs.c.注入し、その後、白血病細胞または形質転換細胞により発現される抗原を認識する治療抗体により、IL-21療法とともに、あるいはIL-21療法なしで治療する。
【0282】
腫瘍細胞株、たとえばルイス肺癌(Lewis Lung Carcinoma(LLC))細胞またはB16-F10黒色腫細胞または腎細胞癌細胞または4T1乳癌細胞を、同系のマウスにs.c.移植する。腫瘍が触診可能になったときに、本願に記載されるとおり、他の抗癌剤と併用してIL-21によりマウスを治療する。方法論は、Palumbo et al. , Cancer Res. 62: 6966-6972 (2002); Bove et al., Biochem Biophys Res Commun 291: 1001-1005 (2002); Wigginton et al., J Immunol 169: 4467-4474 (2002) に記載される。
【0283】
腫瘍細胞株、たとえばルイス肺癌(LLC)細胞またはB16-F10黒色腫細胞を、同系のマウスにs.c.移植する。原発腫瘍を1〜4週間後に除去し、本願に記載されるとおり、他の抗癌剤と併用してIL-21によりマウスを治療する。方法論は、Palumbo et al., Cancer Res. 62: 6966-6972 (2002) に記載される。
【0284】
腫瘍細胞株、たとえばルイス肺癌(LLC)細胞またはB16-F10黒色腫細胞または腎細胞癌細胞を、同系のマウスにi.v.注入し、本願に記載されるとおり、他の抗癌剤と併用してIL-21によりマウスを治療する。方法論は、Amirkhosravi et al., Thromb. Haemost. 87: 930-936 (2002); Hosaka et al., Cancer Lett 161: 231-240 (2000); Maini et al., In vivo 17: 119-123 (2003) に記載される。
【0285】
腎細胞癌細胞を、同系のマウスの一つの腎臓の腎内に注入する。原発腫瘍を1〜4週間後に除去し、本願に記載されるとおり、他の抗癌剤と併用してIL-21によりマウスを治療する。方法論は、Murphy et al., J Immunol 170: 2727-2733 (2003) に記載される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 配列番号2の65番目のアミノ酸〜96番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失および/または置換により得られる第一の配列;または
b) 前記第一の配列における10個までのアミノ酸の保存的置換により得られる配列
を含むペプチド。
【請求項2】
配列番号2の83番目のアミノ酸〜86番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失および/または置換により得られる配列を含む、請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
配列番号2の83番目のアミノ酸〜88番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失および/または置換により得られる配列を含む、請求項1に記載のペプチド。
【請求項4】
配列番号2の83番目のアミノ酸〜90番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失および/または置換により得られる配列を含む、請求項1に記載のペプチド。
【請求項5】
配列番号2の82番目のアミノ酸〜88番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失および/または置換により得られる配列を含む、請求項1に記載のペプチド。
【請求項6】
配列番号2の77番目のアミノ酸〜92番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失および/または置換により得られる配列を含む、請求項1に記載のペプチド。
【請求項7】
配列番号2の71番目のアミノ酸〜92番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失および/または置換により得られる配列を含む、請求項1に記載のペプチド。
【請求項8】
配列番号2の65番目のアミノ酸〜92番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失および/または置換により得られる配列を含む、請求項1に記載のペプチド。
【請求項9】
配列番号2の77番目のアミノ酸〜96番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失および/または置換により得られる配列を含む、請求項1に記載のペプチド。
【請求項10】
配列番号2の83番目のアミノ酸〜86番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失および/または置換により得られる、請求項2に記載のペプチド。
【請求項11】
配列番号2の83番目のアミノ酸〜88番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失および/または置換により得られる、請求項3に記載のペプチド。
【請求項12】
配列番号2の83番目のアミノ酸〜90番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失および/または置換により得られる、請求項4に記載のペプチド。
【請求項13】
配列番号2の82番目のアミノ酸〜88番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失および/または置換により得られる、請求項5に記載のペプチド。
【請求項14】
配列番号2の77番目のアミノ酸〜92番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失および/または置換により得られる、請求項6に記載のペプチド。
【請求項15】
配列番号2の71番目のアミノ酸〜92番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失および/または置換により得られる、請求項7に記載のペプチド。
【請求項16】
配列番号2の65番目のアミノ酸〜92番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失および/または置換により得られる、請求項8に記載のペプチド。
【請求項17】
配列番号2の77番目のアミノ酸〜96番目のアミノ酸からなる領域における一または複数のアミノ酸の欠失および/または置換により得られる、請求項9に記載のペプチド。
【請求項18】
A) 配列番号3、配列番号4、配列番号5、および配列番号6;および
B) 更にN-末端にMetを有するA)のペプチド;および
C) 10個までのアミノ酸が保存的に置換された、A)−B)のペプチド
から選択される、請求項1に記載のペプチド。
【請求項19】
D) 配列番号7、配列番号8、配列番号9、および配列番号10;および
E) 更にN-末端にMetを有するD)のペプチド;および
F) 10個までのアミノ酸が保存的に置換された、D)−E)のペプチド
から選択される、請求項1に記載のペプチド。
【請求項20】
請求項1〜19の何れか1項に記載のペプチドであって、当該ペプチドの効力が、実施例に記載の一または複数のアッセイにおいて、野生型IL-21の効力の少なくとも80%であるペプチド。
【請求項21】
請求項1〜19の何れか1項に記載のペプチドであって、当該ペプチドの効力が、実施例に記載の一または複数のアッセイにおいて、野生型IL-21の効力と少なくとも実質的に同様であるペプチド。
【請求項22】
請求項1〜19の何れか1項に記載のペプチドであって、当該ペプチドの効力が、実施例に記載の一または複数のアッセイにおいて、野生型IL-21の効力より実質的に高いペプチド。
【請求項23】
請求項1〜19の何れか1項に記載のペプチドであって、当該ペプチドの効力が、実施例に記載の一または複数のアッセイにおいて、野生型IL-21の効力より少なくとも2倍高いペプチド。
【請求項23】
請求項1〜19の何れか1項に記載のペプチドであって、当該ペプチドの効力が、実施例に記載の一または複数のアッセイにおいて、野生型IL-21の効力より少なくとも5倍高いペプチド。
【請求項22】
請求項1〜19の何れか1項に記載のペプチドであって、当該ペプチドの効力が、実施例に記載の一または複数のアッセイにおいて、野生型IL-21の効力より約10倍高いペプチド。
【請求項24】
治療に使用するための請求項1〜22の何れか1項に記載のペプチド。
【請求項25】
癌の治療に使用するための請求項1〜22の何れか1項に記載のペプチド。
【請求項26】
癌の治療のための請求項1〜22の何れか1項に記載のペプチド。
【請求項27】
前記癌が、非転移性および転移性腫瘍性障害、たとえば悪性黒色腫、非黒色腫皮膚癌、腎細胞癌、頭頸部の癌、内分泌系の癌、卵巣癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、乳癌、食道癌、上部消化管癌、結腸直腸癌、肝臓と胆管の癌、膵臓癌、前立腺癌、膀胱癌、睾丸癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、骨と軟部組織の肉腫、中枢神経系の癌、リンパ腫、白血病、および未知の原発性起源の癌から選択される、請求項25または請求項26に記載のペプチド。
【請求項28】
前記癌が悪性黒色腫である、請求項27に記載の使用。
【請求項29】
請求項1〜22の何れか1項に記載のペプチドを含む薬学的組成物。
【請求項30】
前記組成物が、癌の薬剤を更に含む、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
癌の治療方法であって、当該治療が、効果的な量の請求項1〜22の何れか1項に記載のペプチドを、必要に応じて癌の薬剤と併用して、それを必要としている患者に投与することを含む方法。
【請求項32】
前記癌が、非転移性および転移性腫瘍性障害、たとえば悪性黒色腫、非黒色腫皮膚癌、腎細胞癌、頭頸部の癌、内分泌系の癌、卵巣癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、乳癌、食道癌、上部消化管癌、結腸直腸癌、肝臓と胆管の癌、膵臓癌、前立腺癌、膀胱癌、睾丸癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、骨と軟部組織の肉腫、中枢神経系の癌、リンパ腫、白血病、および未知の原発性起源の癌から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記癌が悪性黒色腫である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
癌の治療のための医薬の製造における請求項1〜22の何れか1項に記載のペプチドの使用。
【請求項35】
前記癌が、非転移性および転移性腫瘍性障害、たとえば悪性黒色腫、非黒色腫皮膚癌、腎細胞癌、頭頸部の癌、内分泌系の癌、卵巣癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、乳癌、食道癌、上部消化管癌、結腸直腸癌、肝臓と胆管の癌、膵臓癌、前立腺癌、膀胱癌、睾丸癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、骨と軟部組織の肉腫、中枢神経系の癌、リンパ腫、白血病、および未知の原発性起源の癌から選択される、請求項34に記載の使用。
【請求項36】
前記癌が悪性黒色腫である、請求項35に記載の使用。
【請求項37】
前記癌が、非転移性および転移性腫瘍性障害、たとえば悪性黒色腫、非黒色腫皮膚癌、腎細胞癌、頭頸部の癌、内分泌系の癌、卵巣癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、乳癌、食道癌、上部消化管癌、結腸直腸癌、肝臓と胆管の癌、膵臓癌、前立腺癌、膀胱癌、睾丸癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、骨と軟部組織の肉腫、中枢神経系の癌、リンパ腫、白血病、および未知の原発性起源の癌から選択される、請求項に記載の使用。
【請求項38】
前記癌が悪性黒色腫である、請求項に記載の使用。
【請求項39】
請求項1〜22の何れか1項に記載のペプチドをコードする核酸構築物。
【請求項40】
請求項39に記載の核酸構築物を含むベクター。
【請求項41】
請求項39に記載の核酸構築物、または請求項40に記載のベクターを含む宿主。
【請求項42】
請求項1〜22の何れか1項に記載のペプチドに対する抗体。
【請求項42】
請求項1〜22の何れか1項に記載のペプチドに特異的に結合する抗体。
【請求項42】
野生型IL-21に結合しない、請求項42に記載の抗体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−70742(P2012−70742A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−244452(P2011−244452)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【分割の表示】特願2008−507065(P2008−507065)の分割
【原出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【出願人】(509091848)ノヴォ ノルディスク アー/エス (42)
【Fターム(参考)】