説明

IL−23アゴニストおよびIL−23アンタゴニスト;関連試薬の使用

腫瘍のための処置方法が提供される。特に、サイトカイン分子およびそのレセプターの活性を調節するための方法が提供される。本発明は、IL−23のアゴニストまたはアンタゴニストが、腫瘍の増殖を調節し得るという発見に基づく。本発明は、哺乳動物のサイトカイン分子および関連試薬の使用に関する。より詳細には、本発明は、増殖性障害の処置に使用され得る哺乳動物のサイトカイン様タンパク質およびそのインヒビターの同定に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、哺乳動物のサイトカイン分子および関連試薬の使用に関する。より詳細には、本発明は、増殖性障害の処置に使用され得る哺乳動物のサイトカイン様タンパク質およびそのインヒビターの同定に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
癌および腫瘍は、免疫系によって制御または根絶され得る。この免疫系としては、複数の型のリンパ球ならびに骨髄細胞(例えば、単球、マクロファージ、樹状細胞(DC)、好酸球、T細胞、B細胞、および好中球)が挙げられる。これらのリンパ球ならびに骨髄細胞は、サイトカインとして知られる分泌型シグナル伝達タンパク質を産生する。このサイトカインとしては、例えば、インターロイキン−10(IL−10)、インターフェロン−γ(IFNγ)、IL−12、およびIL−23が挙げられる。免疫応答としては、炎症(すなわち、全身または身体の特定の位置における免疫細胞の蓄積)が挙げられる。感染性因子または外来性の物質に対する応答において、免疫細胞は、サイトカインを分泌し、次にこのサイトカインが、免疫細胞の増殖、発生、分化、または移動を調節する。免疫応答は、病理学的の結果を生じ得る(例えば、自己免疫障害における過剰な炎症に関与する場合、免疫応答の障害は、癌を生じ得る)。免疫系による抗腫瘍応答としては、先天性免疫(例えば、マクロファージ、NK細胞、および好中球によって媒介されるような免疫)ならびに適応性免疫(例えば、抗原提示細胞(APC)、T細胞、およびB細胞によって媒介されるような免疫)が挙げられる(例えば、Abbasら(編)(2000)Cellular and Molecular Immunology W.B.Saunders Co.,Philadelphia,PA;OppenheimおよびFeldmann(編)(2001)Cytokine Reference,Academic Press,San Diego,CA;von AndrianおよびMackay(2000)New Engl.J.Med.343:1020−1034;DavidsonおよびDiamond(2001)New Engl.J.Med.345:340−350を参照のこと)。
【0003】
免疫応答を調節する方法は、癌(例えば、黒色腫)の処置に用いられてきた。これらの方法としては、サイトカインまたは抗サイトカイン抗体(例えば、IL−2、IL−12、腫瘍壊死因子−α(TNFα)、IFNγ、顆粒球マクロファージ−コロニー刺激因子(GM−CSF)、およびトランスフォーミング成長因子(TGF))を用いた処置が挙げられる。癌細胞が、自己の増殖または自己の生存を高めるサイトカインを産生し得る場合、抗サイトカイン抗体は、適切な治療剤であり得る(例えば、Ramirez−Montagutら(2003)Oncogene 22:3180−3187;Braunら(2000)J.Immunol.164:4025−4031;Shawら(1998)J.Immunol.161:2817−2824;CoussensおよびWerb(2002)Nature 420:860−867;Baxevanisら(2000)J.Immunol.164:3902−3912;Shimizuら(1999)J.Immunol.163:5211−5218;BelardelliおよびFerrantini(2002)TRENDS Immunol.23:201−208;Sekiら(2002).J.Immunol.168:3484−3492;Casaresら(2003)J.Immunol.171:5931−5939;Oftら(2002)Nature Cell Biol.4:487−494)。
【0004】
インターロイキン−23(IL−23)は、二つのサブユニット(すなわち、p19およびp40)から構成されるヘテロ二量体のサイトカインである。このp19サブユニットは、IL−6、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、およびIL−12のp35サブユニットに構造的に関係する。IL−23のp40サブユニットはまた、IL−12(p35およびp40を含むヘテロ二量体サイトカイン)の一部である。IL−23は、IL−23RおよびIL−12β1から構成されるヘテロ二量体レセプターに結合することによってシグナル伝達を媒介する。IL−12β1サブユニットは、IL−12β1およびIL−12β2から構成されるIL−12レセプターによって共有される。多数の初期研究は、p40の遺伝子欠損の生理学的な結果(p40ノックアウトマウス;p40KOマウス;p40−/−マウス)は、例えば、より重症にせよ、より重症でないにせよp35KOマウスで見出される生理学的な結果とは異なっていたことを示した。これらの結果の一部は、IL−23の発見およびp40KOが、IL−12およびIL−23の両方の発現を妨げるという所見によって最終的に説明された(Oppmannら(2000)Immunity 13:715−725;Wiekowskiら(2001)J.Immunol.166:7563−7570;Parhamら(2002).J Immunol 168,5699−708;Frucht(2002)Sci STKE 2002,El−E3;Elkinsら(2002)Infection Immunity 70:1936−1948;Cuaら(2003)Nature 421:744−748)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
癌を処置するための現在の方法は、完全に有効ではなく、そしてサイトカイン(例えば、IL−12またはIFNγ)は、有毒な副作用を生じる(例えば、NaylorおよびHadden(2003)Int.Immunopharmacol.3:1205−1215;Fernandezら(1999)J.Immunol.162:609−617)。本発明は、IL−23のアゴニストおよびアンタゴニストを使用する方法を提供することによってこれらの問題に取り組む。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、IL−23のアゴニストまたはアンタゴニストが、腫瘍の増殖を調節し得るという発見に基づく。
【0007】
本発明は、腫瘍細胞を有効量のIL−23のアゴニストまたはアンタゴニストと接触させる工程を包含する、腫瘍増殖を調節する方法を提供する。また上記の方法が提供され、ここでIL−23のアンタゴニストは、腫瘍の増殖を阻害または防止し、;同様に上記の方法において、腫瘍細胞はIL−23を発現する。別の局面において、本発明は、上記の方法を提供し、ここでIL−23のアゴニストまたはアンタゴニストは、p19(配列番号1、配列番号2、配列番号3、もしくは配列番号4)またはIL−23R(配列番号5もしくは配列番号6)のポリペプチドまたは核酸に対して特異的に結合する結合組成物を含み;あるいは上記の方法において、この結合組成物は、抗体の抗原結合部位;IL−23R(配列番号5もしくは配列番号6)の細胞外領域;低分子;アンチセンス核酸もしくは短い干渉RNA(siRNA);または検出可能な標識を含み;そして上記の方法において、この結合組成物は、ポリクローナル抗体;モノクローナル抗体;ヒト化抗体、もしくはそのフラグメント;Fabフラグメント、FvフラグメントもしくはF(ab’)フラグメント;または抗体のペプチド模倣物を含む。
【0008】
本発明のさらに別の実施形態は、腫瘍細胞を有効量のIL−23のアゴニストまたはアンタゴニストと接触させる工程を包含する、腫瘍増殖を調節する方法を提供する;ここで上記の腫瘍細胞は、結腸癌細胞;卵巣癌細胞;乳癌細胞;または黒色腫細胞である。
【0009】
別の局面において、本発明は、癌または腫瘍に罹患する被験体を処置する方法を提供し、この方法は、有効量のIL−23のアゴニストまたはアンタゴニストをこの被験体に投与する工程を包含する。そして上記の方法において、IL−23のアンタゴニストは、以下を阻害する:癌または腫瘍の増殖;悪液質;食欲不振または新脈管形成。また、IL−23のアンタゴニストが、p19(配列番号1、配列番号2、配列番号3、もしくは配列番号4)またはIL−23R(配列番号5もしくは配列番号6)のポリペプチドまたは核酸に特異的に結合する結合組成物を含む、上記の方法が提供される。本発明のさらに別の実施形態は、上記の方法を提供し、ここでこの結合組成物は、抗体の抗原結合部位;IL−23R(配列番号5もしくは配列番号6)の細胞外領域;アンチセンス核酸もしくは短い干渉RNA(siRNA);低分子;または検出可能な標識を含み;そして上記の方法において、この結合組成物は、ポリクローナル抗体;モノクローナル抗体;ヒト化抗体、もしくはそのフラグメント;Fabフラグメント、FvフラグメントもしくはF(ab’)フラグメント;または抗体のペプチド模倣物を含む。
【0010】
別の実施形態において、本発明は、上記の方法を提供し、ここで、胃腸管;気道;生殖系;または内分泌系の癌または腫瘍であり;同様に上記の方法における癌または腫瘍は、結腸癌;卵巣癌;黒色腫;または乳癌である。
【0011】
本発明の他の局面において、癌または腫瘍の診断方法を提供し、この方法は、被験体に由来するサンプルを上記の方法の結合組成物に接触させる工程を包含する。同様に、上記の診断方法において、この結合組成物は、配列番号1、配列番号2、もしくは配列番号5に特異的に結合またはハイブリダイズする核酸プローブもしくはプライマーを含む。
【0012】
本発明のさらに別の実施形態は、癌または腫瘍の診断のためのキットを提供する。このキットは、上記の方法の結合組成物および区画または使用または廃棄のための指示書を含む。また、上記のキットが提供され、ここで上記結合組成物は、p19(配列番号1、配列番号2、配列番号3、もしくは配列番号4)またはIL−23R(配列番号5もしくは配列番号6)に特異的に結合する抗体を含む。
【0013】
(詳細な説明)
添付の特許請求の範囲を含め、本明細書中で使用される場合、単語の単数形(例えば、「ひとつの(aおよびan)」ならびに「その(the)」)は、文脈が別の点を明らかに区別しない限り、それらの対応する複数参照を含む。本明細書中において引用される全ての参考文献は、あたかも、各個別の刊行物、特許出願もしくは特許が、参考として援用されることを詳細かつ個別に示されているかのようであるのと同じ程度に、本明細書において参考として援用される。
【0014】
(I.定義)
細胞またはレセプターに対して適用される場合、「活性化」、「刺激」、および「処理」は、文脈によってかもしくは明示的に別の点を示されない限り、同じ意味(例えば、リガンドによる細胞またはレセプターの活性化、刺激または処理)を有し得る。「リガンド」は、天然および合成のリガンドを包含する(例えば、サイトカイン、サイトカイン改変体、アナログ、ムテイン、および抗体に由来する結合組成物)。「リガンド」はまた、低分子(例えば、サイトカインのペプチド模倣物および抗体のペプチド模倣物)を包含する。「活性化」は、内部機構により調節されるような細胞活性化、および外部因子または環境因子によるような細胞活性化に言及し得る。「応答」(例えば、細胞、組織、器官または生体の応答)は、生化学的挙動または生理学的挙動における変化(例えば、生物学的区画内での濃度、密度、接着もしくは移動、遺伝子発現の速度、または分化の状態)を包含する。ここで、この変化は、活性、刺激、もしくは処理に相関するか、または内部機構(例えば、遺伝的プログラミング)に相関する。
【0015】
分子の「活性」は、その分子のリガンドもしくはレセプターへの結合;触媒活性;遺伝子発現もしくは細胞シグナル伝達、分化または移動を刺激する能力;抗原性活性;他の分子の活性の調節など、を説明し得るか、または言及し得る。分子の「活性」はまた、細胞−細胞相互作用(例えば、接着)、または細胞の構造を維持する活性(例えば、細胞膜もしくは細胞骨格)を調節または維持する活性に言及し得る。「活性」はまた、特定の活性(例えば、[触媒活性]/[タンパク質1mg]または[免疫学的活性]/[タンパク質1mg]、生物学的区画内の濃度、など)を意味し得る。「増殖活性」は、例えば、正常な細胞分裂、および癌、腫瘍、形成異常、細胞軽質転換、転移、および新脈管形成を促進するか、それらに必要であるか、またはそれらに特異的に関連する活性を包含する。
【0016】
動物、ヒト、実験被験体、細胞、組織、器官または生物学的流体に適用される場合、「投与」および「処理(処置)(treatment)」とは、外因性の薬学的、治療用、診断用の因子、化合物または組成物の、動物、ヒト、被験体、細胞、組織器官または生物学的流体への接触をいう。「投与」および「処理(処置)」は、例えば、治療法、プラシーボ法、薬物動態学的方法、診断方法、研究方法、および実験方法に言及し得る。「細胞の処理」は、試薬の細胞との接触、および試薬の流体(この流体は、細胞に接触している)との接触を包含する。「投与」および「処理」はまた、例えば、試薬、診断物、結合組成物によるかまたは別の細胞による、細胞のインビトロ処理およびエキソビボ処理を意味する。ヒト、獣医学、または研究用被験体に適用される場合「処置」とは、治療処置、予防(prophylactic)または予防(preventative)の手段、研究および診断用用途をいう。ヒト、獣医学、もしくは研究用被験体、または細胞、組織もしくは器官に適用される場合、「処理(処置)」は、IL−23アゴニストまたはIL−23アンタゴニストの、動物被験体、細胞、組織、生理学的区画、または生物学的流体への接触を包含する。「細胞の処理」はまた、IL−23アゴニストまたはIL−23アンタゴニストが(例えば、流体相またはコロイド相において)IL−23レセプター(IL−23RおよびIL−12Rβ1のヘテロ二量体)に接触する状況、ならびにこのアゴニストまたはアンタゴニストが流体に接触する状況(ここで、この流体は細胞もしくはレセプターに接触しているが、アゴニストもしくはアンタゴニストはこの細胞もしくはレセプターに接触していると実証されていない)を包含する。
【0017】
「結合組成物」とは、標的に結合し得る、分子、低分子、高分子、抗体、そのフラグメントもしくはアナログ、または可溶性レセプターをいう。
「結合組成物」はまた、標的に結合し得る、分子の複合体(例えば、非共有結合性複合体)、イオン化分子、および共有結合性もしくは非共有結合性に改変された分子(例えば、リン酸化、アシル化、架橋、環化、または限定的切断)に言及し得る。「結合組成物」はまた、安定剤、賦形剤、塩、緩衝剤、溶媒もしくは添加剤と組み合わせた分子に言及し得る。「結合」は、結合組成物と標的との結合として定義され得、ここで、この結合は、結合組成物が溶液中に溶解もしくは懸濁され得る場合、結合組成物の正常なブラウン運動を減少させる。
【0018】
「悪液質」は、筋肉の減少(筋肉のるいそう)および脂肪の減少を伴ったるいそう症候群であり、代謝の障害から生じる。悪液質は、種々の癌、慢性肺閉塞性障害(COPD)、進行性器官不全、およびAIDSで生じる。「癌性悪液質」は、癌によって生じる悪液質である。癌性悪液質は、例えば、顕著な体重減少、食欲不振、無力症および貧血によって特徴付けられる。食欲不振は、食べることへの動機付けの欠乏(例えば、食物嫌悪)から生じる障害である(例えば、MacDonaldら(2003)J.Arn.Coll.Surg.197:143−161;Rubin(2003)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 100:5384−5389;Tisdale(2002)Nature Reviews Cancer 2:862−871;Argilesら(2003)Drug Discovery Today 8:838−844;Lelliら(2003)J.Chemotlier.15:220−225;Argilesら(2003)Curr.Opisl.Clizl.Nutr.Metab.Care 6:401−406、を参照のこと)。
【0019】
「保存的に改変された改変体」は、アミノ酸配列および核酸配列の両方に適用される。特定の核酸配列に関して、保存的に改変された改変体とは、同一または本質的に同一なアミノ酸配列をコードする核酸をいうか、または、この核酸がアミノ酸配列をコードしない場合、本質的に同一な核酸配列をいう。遺伝暗号の同義性のため、多数の機能的に同一な核酸が、任意のタンパク質をコードし得る。
【0020】
アミノ酸配列に関して、当業者は、コードされた配列中の一アミノ酸またはアミノ酸の一部を保存アミノ酸と置き換える、核酸、ペプチド、ポリペプチドもしくはタンパク質配列に対する個別の置換が、「保存的に改変された改変体」であることを認識する。機能的に類似のアミノ酸を提供する保存的置換の表は、当該分野で周知である。保存的置換の例は、以下の群のうちの一つのアミノ酸の、同じ群の別のアミノ酸に対する交換である(Leeらに発行された米国特許第5,767,063号;KyteおよびDoolittle(1982)J.Mol.Biol.157:105−132)。
【0021】
(1)疎水性:ノルロイシン、Ile、Val、Leu、Phe、Cys、またはMet;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:Asn、Gln、His、Lys、Arg;
(5)鎖の配向に影響する残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe;
(7)低分子アミノ酸:Gly、Ala、Ser。
【0022】
「有効量」は、病状の症状または徴候を回復または予防するのに十分な量を包含する。有効量はまた、診断を可能にするかまたは促進するのに十分な量を意味する。特定の患者または獣医学上の被験体のための有効量は、処置されるべき状態、患者の全体的な健康状態、投与の方法経路および用量、ならびに副作用の重症度のような因子に依存して変動し得る(例えば、Nettiらに発行された米国特許第5,888、530号を参照のこと)。有効量は、最大容量または顕著な副作用もしくは毒性作用を回避する投薬プロトコルであり得る。その効果は、少なくとも5%まで、通常少なくとも10%まで、より通常には少なくとも20%まで、最も通常には少なくとも30%まで、好ましくは少なくとも40%まで、より好ましくは少なくとも50%まで、最も好ましくは少なくとも60%まで、理想的には少なくとも70%まで、より理想的には少なくとも80%まで、そして最も理想的には少なくとも90%まで、診断的測定値またはパラメータの向上をもたらす(ここで、100%は、正常被験体によって示される診断パラメータとして定義される)(例えば、Maynardら(1996)A Handbook of SOPs for Good Clizlical Practice,Interpharm Press,Boca Raton,FL;Dent(2001)Good LaboratoryおよびGood Clinical Practice,Urch Publ.,London,UKを参照のこと)。
【0023】
「外因性」とは、本文脈において、生体、細胞、またはヒトの身体の外部で生成された物質をいう。「内因性」とは、本文脈において、細胞、生体、またはヒトの身体の内部で生成された物質をいう。
【0024】
「免疫状態」または「免疫障害」は、例えば、病理学的炎症、炎症性障害、および自己免疫障害または自己免疫疾患を包含する。「免疫状態」とはまた、感染、持続感染、および増殖性状態(例えば、癌、腫瘍、および新脈管形成(免疫系による根絶(irradication)に抵抗する感染、腫瘍、および癌を含む))をいう。「癌性状態」としては、例えば、癌、癌細胞、腫瘍、新脈管形成、および前癌性状態(例えば、形成異常)が挙げられる。
【0025】
「炎症状態」とは、病態が、全体的または部分的に、例えば、免疫系の細胞の数の変化、移動速度の変化、活性の変化から生じる障害または病理学的状態を意味する。免疫系の細胞としては、例えば、T細胞、B細胞、単球もしくはマクロファージ、抗原提示細胞(APC)、樹状細胞、小膠細胞、NK細胞、NKT細胞、好中球、好酸球、肥満細胞、または免疫に特異的に関連する他のあらゆる細胞(例えば、サイトカイン産生内皮細胞もしくはサイトカイン産生上皮細胞)が挙げられる。
【0026】
「インヒビター」および「アンタゴニスト」、または「活性化因子」および「アゴニスト」とは、それぞれ、阻害性または活性性の分子(例えば、リガンド、レセプター、補因子、遺伝子、細胞、組織、または器官等の活性化のための分子)をいう。例えば、遺伝子、レセプター、リガンド、または細胞の調節因子は、その遺伝子、レセプター、リガンド、または細胞の活性を変化させる分子である(ここで、活性は、その調節特性を活性化され得るか、阻害され得るか、または変更され得る)。調節因子は、単独で作用し得るか、または補因子(例えば、タンパク質、金属イオン、もしくは低分子)を使用し得る。インヒビターは、例えば、タンパク質、リガンド、レセプターまたは細胞を、減少させるか、ブロックするか、防止するか、活性を遅延するか、不活性化するか、脱感作するかまたはダウンレギュレートする化合物である。活性化因子は、例えば、タンパク質、リガンド、レセプターまたは細胞を、増加させるか、活性化するか、促進するか、活性を増強するか、感作するか、またはアップレギュレートする化合物である。インヒビターはまた、構成的な活性を、減少するか、ブロックするか、または不活性化する組成物として定義され得る。「アゴニスト」は、標的と相互作用して、その標的の活性の増大を引き起こすかまたは促進する化合物である。「アンタゴニスト」は、アゴニストの作用に拮抗する化合物である。アンタゴニストは、アゴニストの活性を、防止するか、減少させるか、阻害するかまたは中和する。アンタゴニストはまた、同定されたアゴニストが存在していなくとも、標的(例えば、標的レセプター)の構成的な活性を、防止するか、阻害するか、または減少させ得る。
【0027】
阻害の程度を調べるため、例えば、所定の、例えばタンパク質、遺伝子、細胞、または生体を含むサンプルまたはアッセイは、可能性のある活性因子またはインヒビターで処理され、そしてインヒビターを含まないコントロールサンプルと比較される。コントロールサンプル(すなわち、アンタゴニストで処理されていない)は、100%の相対活性値を割り当てられる。阻害は、コントロールに対する活性値が以下である場合に達成される:約90%以下、代表的に85%以下、より代表的に80%以下、最も代表的に75%以下、一般的に70%以下、より一般的に65%以下、最も一般的に60%以下、代表的に55%以下、通常50%以下、より通常には45%以下、最も通常には40%以下、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下、さらにより好ましくは25%以下、および最も好ましくは25%未満。活性は、コントロールに対する活性値が以下である場合に達成される:約110%、一般的に少なくとも120%、より一般的に少なくとも140%、より一般的に少なくとも160%、多くの場合少なくとも180%、より多くの場合少なくとも2倍、最も多くの場合少なくとも2.5倍、通常少なくとも5倍、より通常には少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍、より好ましくは少なくとも40倍、および最も好ましくは40倍を超えて、より高い。
【0028】
活性または阻害の終点は、以下のようにモニタリングされ得る。(例えば、細胞、生理学的流体、組織、器官および動物もしくはヒト被験体の)活性、阻害、および処置への応答は、終点までモニタリングされ得る。終点は、所定の量およびパーセンテージの、例えば、炎症の徴候、腫瘍形成能、または細胞の脱顆粒もしくは分泌(例えば、サイトカイン、毒性酸素もしくはプロテアーゼの放出)を含み得る。終点は、例えば、所定の量の、イオン流入もしくは輸送;細胞移動;細胞接着;細胞増殖;転移の可能性;細胞分化;および表現型の変化(例えば、炎症、アポトーシス、形質転換、細胞周期もしくは転移に関する遺伝子の発現の変化)を含み得る(例えば、Knight(2000)Ann.Clin.Lab.Sci.30:145−158;HoodおよびCheresh(2002)Nature Rev.Cancer 2:91−100;Timmeら(2003)Curr.Drug Targets 4:251−261;RobbinsおよびItzkowitz(2002)Med.Clin.North Am.86:1467−1495;GradyおよびMarkowitz(2002)Atlzlu.Rev.Genomics Hum.Genet.3:101−128;Bauerら(2001)Glia 36:235−243;StanimirovicおよびSatoh(2000)Brain Pathol.10:113−126を参照のこと)。
【0029】
阻害の終点は、一般的に、コントロールの75%以下であり、好ましくは50%コントロールの以下であり、より好ましくはコントロールの25%以下であり、そして最も好ましくはコントロールの10%以下である。一般的に、活性の終点は、少なくともコントロールの150%であり、好ましくは少なくともコントロールの2倍であり、より好ましくは少なくともコントロールの4倍であり、そして最も好ましくは少なくとも10倍である。
【0030】
「標識」された組成物は、分光法、光化学的方法、生化学的方法、免疫化学的方法、同位体法または化学的方法によって、直接的または間接的のいずれかで検出可能である。例えば、有用な標識としては、32P、33P、35S、14C、H、125I、安定同位体、蛍光色素、高電子密度の試薬、基質、エピトープタグ、または酵素(例えば、酵素結合免疫アッセイにおいて使用されるようなもの、またはフルオレット(fluorette)(例えば、RozinovおよびNolan(1998)Chem.Biol.5:713−728を参照のこと))が挙げられる。
【0031】
「リガンド」とは、例えば、レセプターのアゴニストまたはアンタゴニストとして作用し得る低分子、ペプチド、ポリペプチド、および膜関連分子もしくは膜結合分子、またはそれらの複合体をいう。「リガンド」はまた、アゴニストまたはアンタゴニストではないが、レセプターに、その生物学的性質(例えば、シグナル伝達もしくは接着)に顕著に影響することなく結合し得る因子も包含する。さらに、「リガンド」としては、例えば化学的方法または組み換え法によって、可溶化した種類の膜結合リガンドに変化させられた膜結合リガンドが挙げられる。通例、リガンドが第一の細胞において膜結合している場合、そのレセプターは通常、第二の細胞上に存在する。第二の細胞は、第一の細胞と同じかまたは異なる同一性を有し得る。リガンドまたはレセプターは、完全に細胞内性であり得る。すなわち、細胞質ゾル、核もしくは他のいくつかの細胞内区画の中に存在し得る。リガンドまたはレセプターは、例えば、細胞内から原形質膜の外表面の区画へと、その位置を変化させ得る。リガンドとレセプターとの複合体は、「リガンドレセプター複合体」と称される。リガンドおよびレセプターがシグナル伝達経路に関与する場合、リガンドは、そのシグナル伝達経路の上流に存在し、そしてレセプターは、そのシグナル伝達経路の下流に存在する。
【0032】
「低分子」は、腫瘍および癌の病理および障害の処置のために提供される。「低分子」は、10kD未満、代表的には2kD未満、および好ましくは1kD未満の分子量を有する分子として定義される。低分子としては、無機分子、有機分子、無機成分を含む有機分子、放射性の原子を含む分子、合成分子、ペプチド模倣物、および抗体模倣物が挙げられるが、これらに限定されない。治療剤として、低分子は、高分子よりも、細胞に対して透過性が高い可能性があり、分解に対してより感受性が低い可能性があり、そして免疫応答を誘発しにくい可能性がある。低分子(例えば、抗体のペプチド模倣物およびサイトカイン)、ならびに低分子毒は、記載されている(例えば、Cassetら(2003)Biochem.Biophys.Res.Commun.307:198−205;Muyldermans(2001)J.Biotechnol.74:277−302;Li(2000)Nat.Biotechnol.18:1251−1256;Apostolopoulosら(2002)Curr.Med.Chem.9:411−420;Monfardiniら(2002)Curr.Pharm.Des.8:2185−2199;Dominguesら(1999)Nat.Struct.Biol.6:652−656;SatoおよびSone(2003)Biochem.J.371:603−608;Stewartらに発行された、米国特許第6,326,482号、を参照のこと)。
【0033】
リガンド/レセプターに言及する場合、抗体/抗原または他の結合対に「特異的に」または「選択的に」結合するとは、タンパク質および生物製剤の異種性の集団におけるタンパク質の存在を決定する結合反応を示す。したがって、指定された条件下で、特定のリガンドは、特定のレセプターに結合し、そしてサンプル中に存在する他のタンパク質とは有意な量で結合しない。検討される方法の抗体または抗体の抗原結合部位に由来する結合組成物は、任意の他の抗体またはそれらに由来する結合組成物との親和性よりも、少なくとも2倍大きい、好ましくは少なくとも10倍大きい、より好ましくは少なくとも20倍大きい、および最も好ましくは少なくとも100倍大きい親和性で、その抗原またはその改変体もしくはムテインに結合する。好ましい実施形態において、抗体は、スキャッチャード分析によって決定される場合、約10L/molよりも大きい親和性を有する(Munsenら(1980),analyt.Biochem.107:220−239)。
【0034】
(II.概要)
本発明は、IL−23ヘテロ二量体、p19サブユニット、p40サブユニット、IL−23レセプターヘテロ二量体、IL−23RサブユニットまたはIL−l2Rβ1サブユニットのポリペプチド、核酸、改変体、ムテインおよび模倣物を用いる方法を提供する。ハイパーカイン(hyperkine)(すなわち、例えばp40サブユニットに連結したp19サブユニットを含む、融合タンパク質)およびハイパーカインをコードする核酸を用いるための方法もまた提供される(例えば、配列番号10または配列番号11を参照のこと)(Oppmannら,上述;Fischerら(1997)Nature Biotechnol.15:142−145;Rakemannら(1999)J.Biol.Chem.274:1257−1266;およびPetersら(1998)J.Immunol.161:3575−3581)。
【0035】
インターロイキン−23(IL−23;IL−B30としても知られる)は、IL−12の新規のp19サブユニット(配列番号2または4)およびp40サブユニット(配列番号8または9)からなるヘテロ二量体のサイトカインである(Oppmannら,上述)。p35と同様に、p19は、生物学的活性のためにp40の共発現を必要とする(Wiekowskiら,上述)。IL−23レセプターは、p19に結合する新規のレセプターサブユニット(IL−23R;配列番号6)およびp40に結合するIL−12Rβ1(配列番号7)を含む(例えば、Parhamら(2002)J.Immunol.168:5699−5708を参照のこと)。これら2つのレセプターサブユニットは、機能的シグナル伝達複合体を形成し、そしてCD4CD45Rblo記憶T細胞において、およびIFNγ活性化骨髄マクロファージにおいて発現される(Parhamら,上述)。
【0036】
抗体は、種々のサイトカインタンパク質(天然に存在する(全長)形態またはその組み換え形態の両方である、個別の改変体、多型改変体、対立遺伝子改変体、株改変体、もしくは種改変体、およびそれらのフラグメントを含む)(例えば、配列番号2、4、10または11を参照のこと)に対して惹起され得る。さらに、抗体は、レセプタータンパク質(ネイティブ(もしくは活性)形態またはその不活性な(例えば変性した)形態の両方である)(例えば、配列番号6を参照のこと)に対して惹起され得る。抗イディオタイプ抗体もまた使用され得る。
【0037】
IL−23アゴニスト(すなわち、IL−23またはIL−23ハイパーカイン)の投与は、例えば記憶T細胞、PHA芽細胞、CD45ROT細胞、CD45ROT細胞の増殖を誘導し得;芽細胞またはCD45ROT細胞によるインターフェロン−γ(IFNγ)の産生を増強し得る。IL−12と対照的に、IL−23は、主に、ヒトおよびマウスの両方において、T細胞集団に対して記憶を刺激する。IL−23は、多くの細胞内の細胞−シグナル伝達分子(例えば、Jak2、Tyk2、Stat1、Stat2、Stat3、およびStat4)を活性化する。IL−12は、この同じ群の分子を活性化するが、IL−23に対するStat4の応答は比較的弱く、一方IL−12に対するStat4の応答は強い(Oppmannら,上述;Parhamら(2002)J.Immunol.168:5699−5708)。
【0038】
IL−12およびIL−23は、同様のシグナル伝達機構に関与する。IL−23は、そのレセプター複合体に結合し、Jak2、Tyk2、ならびにStat−1,Stat−−3,Stat4、およびStat−5を活性化する。IL−12も同様である。しかし、IL−23に対するStat−4活性化は、IL−12よりも非常に弱い。また、IL−12と対照的に、IL−23によって誘導される最も顕著なStatは、Stat−3である(例えば、Parhamら,上述を参照のこと)。
【0039】
IL−23のp19サブユニットの投与は、例えば、成長不良、不妊、および動物の死、ならびに(例えば、胃腸管、肺、皮膚および肝臓における)炎症性浸潤、そして上皮細胞過形成、小球性貧血、好中球数増加、血清TNFαの増加;および肝臓における急性期遺伝子の発現の増加;(Wiekowskiら,上述)をもたらす。したがって、IL−23は、インビボにおける腫瘍可能性の初期シグナルを提供し得る。
【0040】
他の研究は、IL−23が、感染に対する免疫応答を調節することを示した(例えば、Pirhonenら(2002)J.Immunol.169:5673−5678;Brobergら(2002)J.Interferon Cytokine Res.22.641−651;Elkinsら(2002)Infection Immunity 70:1936−1948;Cooperら(2002)J.Imrnunol.168:1322−1327、を参照のこと)。
【0041】
癌に関して、個体からの生検組織中における比較的大量の転写因子の存在は、疾患の発生についての素因を示すか、または実際の臨床症状の出現前に疾患を検出するための手段を提供し得る。遺伝子発現データは、疾患および病理学的状態の診断および処置における有用な手段である(例えば、LiおよびWong(2001)Genome Informatics 12:3−13;Lockhartら(1996)Nature Biotechnol.14:1675−1680;Homeyら(2000)J.Immunol.164:3465−3470;Debetsら(2000)J.Immunol.165:4950−4956、を参照のこと)。
【0042】
(III.アゴニスト、アンタゴニスト、および結合組成物)
本発明は、IL−23のアゴニストおよびアンタゴニストを用いる方法を提供する。IL−23のアゴニストは、例えば、IL−23、IL−23改変体、ムテイン、ハイパーカイン、もしくはペプチド模倣物、IL−23Rに対するアゴニスト抗体、およびそのアゴニストをコードする核酸を包含する。IL−23のアンタゴニストとしては、例えば、IL−23に対する抗体、IL−23Rに対するブロッキング抗体、IL−23Rのサブユニットの細胞外領域に基づく可溶性レセプター、それらのペプチド模倣物、およびそれらのアンタゴニストをコードする核酸が挙げられる。
【0043】
本発明は、p19、p19とp40との複合体、IL−23R、およびIL−23RとIL−12Rβ1との複合体のアゴニストならびにアンタゴニスト、(p19、p19とp40との複合体、IL−23R、およびIL−23RとIL−12Rβ1との複合体のタンパク質ならびにタンパク質複合体に特異的に結合する結合組成物を含む)、を用いる方法を提供する。
【0044】
IL−23ハイパーカインは、例えば、p19およびp40のポリペプチド配列を含有する融合タンパク質を含む。ここで、p19およびp40は、一つの連続するポリペプチド鎖中に存在する。p19およびp40の配列は、いずれの順序でもよい。融合タンパク質は、一つの連続するポリペプチド鎖においてp19の配列とp40の配列との間に存在する、リンカー配列を含有し得る。
【0045】
抗原性が増大された領域が、抗体産生のために使用され得る。ヒトp19の抗原性が増大された領域は、例えば、GenBank AAQ89442(gi:37183284)のアミノ酸16〜28;57〜87;110〜114;136〜154;および182〜186に存在する。ヒトIL−23Rの抗原性が増大された領域は、例えば、GenBank AAM44229(gi:21239252)のアミノ酸22〜33;57〜63;68〜74;101〜112;117〜133;164〜177;244〜264;294〜302;315〜326;347〜354;444〜473;510〜530;および554〜558に存在する。分析は、ベクターNTI(登録商標)Suite(Informax,Inc,Bethesda,MD)を用いたパーカープロットによるものであった。本発明はまた、可溶性レセプターであるIL−23アンタゴニスト(すなわち、IL−23Rの細胞外領域、例えば、GenBank AAM44229のアミノ酸1〜353、を含む)、またはそのフラグメントを提供する。ここで、この細胞外領域またはそのフラグメントは、IL−23に特異的に結合する。マウスIL−23Rは、GenBank NP653131(gi:21362353)である。ムテインおよび改変体は、例えば、脱アミドされたAsn残基を除去または置換するための、ペグ化または突然変異を検討される。
【0046】
モノクローナル、ポリクローナル、およびヒト化抗体が調製され得る(例えば、SheperdおよびDean(編)(2000)Monoelonal Antibodies,Oxford Univ.Press,New York,NY;KontermannおよびDubel(編)(2001)Antibody Engineering,Springer−Verlag,New York;HarlowおよびLane(1988)Antibodies A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,pp.139−243;Carpenterら(2000)J.Immunol.165:6205;Heら(1998)J.Immunol.160:1029;Tangら(1999)J.Biol.Chem.274:27371−27378;Bacaら(1997)J.Biol.Chem.272:10678−10684;Chothiaら(1989)Nature 342:877−883;FooteおよびWinter(1992)J.Mol.Biol.224:487−499;Vasquezらに発行された米国特許第6,329,511号、を参照のこと)。
【0047】
抗原の精製は、抗体の産生に必要ではない。免疫化は、DNAベクター免疫化によって行われ得る(例えば、Wangら(1997)Virology 228:278−284を参照のこと)。あるいは、動物は、目的の抗原を産生する細胞を用いて免疫化され得る。次いで、脾細胞が、免疫化された動物から単離され得、そしてその脾細胞は、骨髄腫細胞株に融合されてハイブリドーマを産生し得る(Meyaardら(1997)Immunity 7:283−290;Wrightら(2000)Immunity 13:233−242;Prestonら(1997)Eur.J.Immunol.27:1911−1918)。得られたハイブリドーマは、機能的アッセイまたは生物学的アッセイ(すなわち、精製された抗原の所有に依存しないアッセイ)によって、所望の抗体の産生についてスクリーニングされ得る。細胞による免疫化が、精製された抗原による免疫化よりも抗体産生について優れていることが判明する可能性がある(Kaithamanaら(1999)J.Immunol.163:5157−5164)。
【0048】
抗原に対する抗体の結合特性およびレセプターに対するリガンドの結合特性は、例えば、表面プラスモン共鳴によって(Karlssonら(1991)J.Immunol.Methods 145:229−240;Neriら(1997)Nat.Biotechnol.15:1271−1275;Jonssonら(1991)Biotechniques 11:620−627)、または競合ELISAによって(Friguetら(1985)J.Immunol.Methods 77:305−319;Hubble(1997)Immunol.Today 18:305−306)測定可能である。抗体は、アフィニティー精製のために使用されて、抗体の標的抗原および関連する結合タンパク質を単離し得る(例えば、Wilchekら(1984)Meth.Enzymol.104:3−55を参照のこと)。
【0049】
抗体は、通常、少なくとも約10−3MのK、より通常には少なくとも10−6MのK、代表的に少なくとも10−7MのK、より代表的には少なくとも10−8MのK、好ましくは少なくとも約10−9MのK、およびより好ましくは少なくとも10−10MのK、および最も好ましくは少なくとも10−11MのKで、結合する(例えば、Prestaら(2001)Thromb.Haemost.85:379−389;Yangら(2001)Crit.Rev.Oncol.Hematol.38:17−23;Carnahanら(2003)Clin.Cancer Res.(補遺)9:3982s−3990s、を参照のこと)。
【0050】
IL−23RまたはIL−12Rβ1レセプターポリペプチドの細胞外ドメインを含む可溶性レセプターが、提供される。可溶性レセプターは、標準的方法に従って調製および使用され得る(例えば、Jonesら(2002)Biochim.Biophys.Acta 1592:251−263;Prudhommeら(2001)Expert Opinion Biol.Ther.1:359−373;Fernandez−Botran(1999)Crit.Rev.Clin.Lab Sci.36:165−224、を参照のこと)。
【0051】
(IV.治療組成物、方法)
本発明は、例えば、増殖性状態および増殖性障害(癌、腫瘍、新脈管形成、悪液質、癌悪液質、食欲不振、および前癌性障害(例えば、形成異常)を含む)の処置に用いるためのIL−23および抗IL−23Rを提供する。これらの治療用途のための核酸(例えば、IL−23もしくはIL−23Rをコードする核酸、またはこれらの抗原性フラグメント、これらに対応するアンチセンス核酸、およびこれらのハイブリダイゼーション生成物)もまた、提供される。本発明はまた、siRNA干渉のための組成物(例えば、ArenzおよびSchepers(2003)Naturwissenschaften 90:345−359;SazaniおよびKole(2003)J.Clin.Invest.112:481−486;Pirolloら,(2003)Pharmacol.Therapeutics 99:55−77;Wangら,(2003)Antisense Nucl.Acid Drug Devel.13:169−189を参照のこと)も提供する。
【0052】
IL−23のアゴニストもしくはアンタゴニストを含む薬学的組成物または滅菌組成物を調製するために、サイトカインアナログもしくはムテイン、それらに対する抗体、またはこれらの核酸が、薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤と混合される。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences and U.S.Pharmacopeia:National Formulary,Mack Publishing Company,Easton,PA(1984)を参照のこと。治療剤および診断剤の処方物は、生理学的に受容可能なキャリア、賦形剤、または安定剤と混合することによって、例えば凍結乾燥粉末、スラリー、水溶液または懸濁剤の形態に調製され得る(例えば、Hardmanら,(2001)Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,McGraw−Hill,New York,NY;Gennaro(2000)Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Lippincott,Williams,and Wilkins,New York,NY;Avisら,(編)(1993)Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications,Marcel Dekker,NY;Liebermanら,(編)(1990)Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Marcel Dekker,NY;Liebermanら,(編)(1990)Pharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems,Marcel Dekker,NY;WeinerおよびKotkoskie(2000)Excipient Toxicity and Safety,Marcel Dekker,Inc.,New York,NYを参照のこと)。
【0053】
投与の経路は、例えば、局所適用もしくは皮膚適用、皮下注射、静脈内、腹腔内、脳内、筋肉内、眼内、動脈内、脳脊髄内、病巣内による注射もしくは注入、または肺経路によるか、あるいは持続放出系または移植片による。例えば、中枢神経系のための遺伝子運搬(gene transfer)ベクターが、記載されている(例えば、Cuaら,(2001)J.Immunol.166:602−608;Sidmanら,(1983)Biopolymers 22:547−556;Langerら,(1981)J.Biomed.Mater.Res.15:167−277;Langer(1982)Chem.Tech.12:98−105;Epsteinら,(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:3688−3692;Hwangら,(1980)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4030−4034;米国特許第6,350466号および同第6,316,024号を参照のこと)。
【0054】
治療剤のための投与レジメンを選択する工程は、幾つかの因子(実体の血清または組織の代謝率、症状のレベル、実体の免疫原性、および生物学的マトリックス中の標的細胞の接近可能性を含む)に依存する。好ましくは、投与レジメンは、受容可能なレベルの副作用と一致して患者に送達される治療剤の量を最大化する。従って、送達される生物製剤の量は、部分的には、処置される状態の特定の実体および重症度に依存する。適切な用量の抗体、サイトカインおよび低分子を選択する際の手引きが、利用可能である(例えば、Wawrzynczak(1996)Antibody Therapy,Bios Scientific Pub.Ltd,Oxfordshire,UK;Kresina(編)(1991)Monoclonal Antibodies,Cytokines and Arthritis,Marcel Dekker,New York,NY;Bach(編)(1993)Monoclonal Antibodies and Peptide Therapy in Autoimmune Disease,Marcel Dekker,New York,NY;Baertら,(2003)New Engl.J.Med.348:601−608;Milgromら,(1999)New Engl.J.Med.341:1966−1973;Slamonら,(2001)New Engl.J.Med.344:783−792;Beniaminovitzら,(2000)New Engl.J.Med.342:613−619;Ghoshら,(2003)New Engl.J.Med.348:24−32;Lipskyら,(2000)New Engl.J.Med.343:1594−1602を参照のこと)。
【0055】
抗体、抗体フラグメントおよびサイトカインは、連続的注入によってか、または例えば、1日、1週間、もしくは週に1〜7回の間隔における用量によって提供され得る。用量は、静脈内、皮下、局所、経口、経鼻、経直腸、筋肉内、脳内、脊髄内に提供され得るか、または吸入によって提供され得る。好ましい用量プロトコルは、最大用量を含むか、または顕著な所望しない副作用を避ける用量の投与間隔を含む用量プロトコルである。一週間の総用量は、一般的に少なくとも0.05μg/kg体重であり、より一般的には少なくとも0.2μg/kg、最も一般的には少なくとも0.5μg/kgであり、代表的には少なくとも1μg/kg、より代表的には少なくとも10μg/kg、最も代表的には少なくとも100μg/kg、好ましくは少なくとも0.2mg/kg、より好ましくは少なくとも1.0mg/kg、最も好ましくは少なくとも2.0mg/kg、最適には少なくとも10mg/kg、より最適には少なくとも25mg/kg、そして最も最適には少なくとも50mg/kgである(例えば、Yangら,(2003)New Engl.J.Med.349:427−434;Heroldら,(2002)New Engl.J.Med.346:1692−1698;Liuら,(1999)J.Neurol.Neurosurg.Psych.67:451−456;Portieljiら,(2003)Cancer Immunol.Immunother.52:133−144を参照のこと)。好ましい用量の低分子治療剤(例えば、模倣ペプチド(peptide mimetic)、天然の生成物、または有機化学物質)は、モル/kgベースでは、抗体またはポリペプチドについてとほぼ同様である。
【0056】
特定の患者についての有効量は、例えば、処置される状態、患者の全体的な健康状態、投与の方法経路および用量、ならびに副作用の重症度などの因子に依存して異なり得る(例えば、Maynardら,(1996)A Handbook of SOPs for Good Clinical Practice,Interpharm Press,Boca Raton,FL;Dent(2001)Good Laboratory and Good Clinical Practice,Urch Publ.,London,UKを参照のこと)。
【0057】
代表的な獣医学的被験体、実験被験体、または研究被験体としては、サル、イヌ、ネコ、ラット、マウス、ウサギ、モルモット、ウマ、およびヒトが挙げられる。
【0058】
適切な用量の決定は、例えば、当該分野で処置に影響するかまたは処置に影響することが予想されることが公知であるか、あるいは処置に影響するかまたは処置に影響することが予想されることが疑われるパラメータまたは因子を用いて、医者によってなされる。一般的に、その用量は、最適量に幾分満たない量で開始し、そしてその用量および最適量は、その後小量ずつの増加によって、いかなるネガティブな副作用と比較しても所望される効果または最適な効果が達成されるまで増やされる。重要な診断基準としては、例えば、炎症または炎症性サイトカインが生成されるレベルの症状の基準が挙げられる。好ましくは、使用される生物製剤は、処置の標的とされる動物と同じ種に由来し、それによって試薬に対する体液性反応を最小化する。
【0059】
第二の治療剤(例えば、サイトカイン、ステロイド、化学療法剤、抗生物質、もしくは放射線)を使用する同時投与または処置のための方法は、当該分野で周知である(例えば、Hardmanら,(編)(2001)Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,第10版,McGraw−Hill,New York,NY;PooleおよびPeterson(編)(2001)Pharmacotherapeutics for Advanced Practice:A Practical Approach,Lippincott,Williams & Wilkins,Phila.,PA;ChabnerおよびLongo(編)(2001)Cancer Chemotherapy and Biotherapy,Lippincott,Williams & Wilkins,Phila.,PAを参照のこと)。有効量の治療剤は、代表的には少なくとも10%まで;通常は少なくとも20%まで;好ましくは少なくとも約30%;より好ましくは少なくとも40%、そして最も好ましくは少なくとも50%まで症候を減少させる。
【0060】
(V.キットおよび診断試薬)
本発明は、診断キットにおけるIL−23タンパク質、これらのフラグメント、核酸およびこれらのフラグメントを提供する。IL−23およびIL−23レセプターの検出のための結合組成物(抗体または抗体フラグメントを含む)、ならびにこれらの代謝産物および分解生成物もまた、提供される。代表的には、このキットは、p19ポリペプチドまたはこれらの抗原性フラグメント、それに対する結合組成物、もしくは核酸(例えば、核酸プローブまたはプライマー)のいずれかを含む画分を有する。この核酸プローブまたはプライマーは、ストリジェントな条件下で、p19またはIL−23Rをコードする核酸に特異的にハイブリダイズする。
【0061】
このキットは、例えば、試薬および画分、試薬および使用のための指示、または使用のための画分および指示を伴う試薬を備え得る。この試薬は、p19、p19およびp40の複合体、IL−23R、IR−23RおよびIL−12Rβ1の複合体、もしくはこれらの抗原性フラグメント、結合組成物、または核酸を含み得る。試験化合物(例えば、生物学的サンプルからか、または化学ライブラリーから得る)の結合を決定するためのキットは、コントロール化合物、標識化合物、および結合した標識化合物から遊離した標識化合物を分離するための方法を備え得る。
【0062】
診断アッセイは、生物学的マトリックス(例えば、生細胞、細胞抽出物、細胞溶解物、固定された細胞、細胞培養物、体液または法医学的サンプル)を用いて使用され得る。診断またはキットの目的のために有用な結合した抗体としては、色素、同位体、酵素、および金属に結合する抗体が挙げられる(例えば、Le Doussalら,(1991)New Engl.J.Med.146:169−175;Gibelliniら,(1998)J.Immunol.160:3891−3898;HsingおよびBishop(1999)New Engl.J.Med.162:2804−2811;Evertsら,(2002)New Engl.J.Med.168:883−889を参照のこと)。種々のアッセイのフォーマット(例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、ELISA、およびラボ・オン・チップ(lab on a chip)(米国特許第6,176,962号および同第6,517,234号)が存在する。
【0063】
本発明は、例えば、増殖性状態、癌、腫瘍、および前癌性障害(例えば、形成異常)の診断のために、診断キットにおけるIL−23およびIL−23Rのポリペプチドおよび核酸、これらのフラグメントを提供する。
【0064】
p19、p19およびp40の複合体、IL−23R、IL−23RおよびIL−12Rβ1の複合体、ならびにこれらの代謝産物および分解生成物を検出するための結合化合物(抗体または抗体フラグメントを含む)もまた、提供される。代表的には、このキットは、IL−23もしくはIL−23Rポリペプチド、またはこれらの抗原性フラグメント、それらに対する結合組成物、または核酸(例えば、核酸プローブ、プライマー、もしくは分子ビーコン(molecular beacon))のいずれかを含む画分を有する(例えば、Rajendranら,(2003)Nucleic Acids Res.31:5700−5713;Cockerill(2003)Arch.Pathol.Lab.Med.127:1112−1120;Zammatteoら,(2002)Biotech.Annu.Rev.8:85−101;Klein(2002)Trends Mol.Med.8:257−260を参照のこと)。
【0065】
診断の方法は、被験体(例えば、試験被験体)由来のサンプルを、pl9、p19およびp40の複合体、IL−23R、ならびにIL−23RおよびIL−12Rβ1の複合体のポリペプチドまたは核酸に特異的に結合する結合組成物と接触させる工程を包含し得る。この方法はさらに、コントロール被験体、正常被験体、または試験被験体からの正常組織もしくは流体に由来するサンプルを、結合組成物と接触させる工程を包含し得る。さらに、この方法はまた、試験被験体への組成物の特異的結合を、正常被験体、コントロール被験体、または試験被験体からの正常組織もしくは流体への組成物の特異的結合と比較する工程を包含し得る。試験サンプルもしくは試験被験体の発現または活性は、コントロールサンプルもしくはコントロール被験体からの発現または活性と比較され得る。コントロールサンプルとしては、例えば、免疫障害で苦しむ患者の非罹患組織または非炎症組織のサンプルが挙げられ得る。コントロール被験体もしくはコントロールサンプルからの発現または活性は、規定値として提供され得る(例えば、統計的に適切な群のコントロール被験体から得る)。
【0066】
(VI.使用)
本発明は、炎症性障害および炎症性状態(例えば、腫瘍性疾患、癌、腫瘍、新脈管形成、前癌状態(例えば、形成異常、食欲不振、悪液質、および癌悪液質))の、免疫応答を調節することによる処置および診断について、IL−23のアゴニストおよびアンタゴニストを使用するための方法を提供する。
【0067】
本発明は、増殖性状態または増殖性障害(例えば、子宮、頚、乳房、前立腺、精巣、陰茎、胃腸管(例えば、食道、口腔咽頭部、胃、小腸もしくは大腸、結腸、または直腸)、腎臓、腎細胞、膀胱、骨、骨髄、皮膚、頭または頚、皮膚、肝臓、胆嚢、心臓、肺、膵臓、唾液腺、副腎、甲状腺、脳、神経節、中枢神経系(CNS)および末梢神経系(PNS)、ならびに免疫系(例えば、脾臓または胸腺)の癌)を処置するか、または診断する方法を提供する。本発明は、例えば、免疫原性腫瘍、非免疫原性腫瘍、休眠腫瘍(dormant tumor)、ウイルス誘導性癌(例えば、上皮細胞癌、内皮細胞癌、扁平上皮細胞細胞癌腫、乳頭腫ウイルス、腺癌、リンパ腫、癌腫、黒色腫、白血病、骨髄腫、肉腫、奇形癌、化学誘導癌、転移、および新脈管形成)を処置する方法を提供する。本発明はまた、腫瘍細胞抗原または癌細胞抗原への耐性を、例えば、調節性T細胞(Treg)の活性を調節することによって減少させることを検討する(例えば、Ramirez−Montagutら,(2003)Oncogene 22:3180−3187;Sawayaら,(2003)New Engl.J.Med.349:1501−1509;Farrarら,(1999)J.Immunol.162:2842−2849;Leら,(2001)J.Immunol.167:6765−6772;CannistraおよびNiloff(1996)New Engl.J.Med.334:1030−1038;Osborne(1998)New Engl.J.Med.339:1609−1618;LynchおよびChapelle(2003)New Engl.J.Med.348:919−932;EnzingerおよびMayer(2003)New Engl.J.Med.349:2241−2252;Forastiereら,(2001)New Engl.J.Med.345:1890−1900;Izbickiら,(1997)New Engl.J.Med.337:1188−1194;Hollandら,(編)(1996)Cancer Medicine Encyclopedia of Cancer.第4版,Academic Press,San Diego,CAを参照のこと)。
【0068】
本発明は、増殖性状態、癌、腫瘍、または前癌状態(例えば、形成異常)を、少なくとも1つのさらなる治療剤または診断剤と一緒にIL−23のアゴニストまたはアンタゴニストで処置するための方法を提供する。この少なくとも1つのさらなる治療剤または診断剤は、例えば、サイトカインまたはサイトカインアンタゴニスト(例えば、IL−12、インターフェロン−α、もしくは抗上皮増殖因子レセプター)、ドキソルビシン、エピルビシン、抗葉酸(anti−folate)(例えば、メトトレキサートまたはフルオロウラシル(fluoruracil))、イリノテカン、シクロホスファミド、放射線治療、ホルモン治療または抗ホルモン治療(例えば、アンドロゲン、エストロゲン、抗エストロゲン、フルタミド、またはジエチルスチルベストロール)、手術、タモキシフェン、イホスファミド、ミトラクトール、アルキル化剤(例えば、メルファランまたはシスプラチン(cis−platin))、エトポシド、ビノレルビン、ビンブラスチン、ビンデシン、糖質コルチコイド、ヒスタミンレセプターアンタゴニスト、新脈管形成インヒビター、放射線、放射線増感剤、アントラサイクリン、ビンカアルカロイド、タキサン(例えば、パクリタキセルおよびドセタキセル)、細胞周期インヒビター(例えば、サイクリン依存性キナーゼインヒビター)、モノクローナル抗体、モノクローナル抗体および毒素の複合体、T細胞アジュバント、骨髄移植、または抗原提示細胞(例えば、樹状細胞)治療であり得る。ワクチンは、例えば、可溶性タンパク質としてか、またはそのタンパク質をコードする核酸として提供され得る(例えば、Leら,前出;GrecoおよびZellefsky(編)(2000)Radiotherapy of Prostate Cancer,Harwood Academic,Amsterdam;ShapiroおよびRecht(2001)New Engl.J.Med.344:1997−2008;Hortobagyi(1998)New Engl.J.Med.339:974−984;Catalona(1994)New Engl.J.Med.331:996−1004;NaylorおよびHadden(2003)lnt.Immunopharmacol.3:1205−1215;The Int.Adjuvant Lung Cancer Trial Collaborative Group(2004)New Engl.J.Med.350:351−360;Slamonら,(2001)New Engl.J.Med.344:783−792;Kudelkaら,(1998)New Engl.J.Med.338:991−992;van Nettenら,(1996)New Engl.J.Med.334:920−921を参照のこと)。
【0069】
本発明は、食欲不振および悪液質(癌悪液質を含む)の処置および診断のための方法を提供する。悪液質は、癌(例えば、肺および上部の胃腸管の癌)を含む多くの疾患で起こるるいそう症候群である。悪液質は、すべての癌患者の約半分で起こる。悪液質の診断は、進行性疾患、および筋肉消耗(やせた体重の減少)に照らして、実質的な体重減少、食欲の喪失、および深刻な衰弱の病歴により行われる。サイトカイン(例えば、IL−6、IL−1、TNFα、およびIFNγ)は、悪液質に関連している(例えば、MacDonaldら,前出;Rubin,前出;Tisdale,前出;Lelliら,前出;Argilesら,前出を参照のこと)。
【0070】
髄外造血(EMH)の癌を処置する方法もまた、提供される。EMHは、記載されている(例えば、Raoら,(2003)Leuk.Lymphoma 44:715−718;Laneら,(2002)J.Cutan.Pathol.29:608−612を参照のこと)。
【0071】
胃腸管は、例えば、唇、口、食道、胃、小腸、虫垂、大腸、結腸、肛門、および直腸を含む。気道は、例えば、気管、細気管支、気管支、肺、肺胞を含む。生殖系は、例えば、精巣、陰茎、卵巣、子宮、卵管を含む。内分泌系は、例えば、下垂体、視床下部、松果体、甲状腺、副甲状腺、膵臓内分泌部、膵島、性腺、および副腎を含む。
【0072】
本発明の広範な範囲は、以下の実施例の参照によって最もよく理解されるが、本発明を特定の実施形態に限定することは意図されない。
【0073】
本明細書中のすべての引用は、各独立の刊行物または特許出願が特異的かつ個別に参考として援用されることが示されるのと同じ程度に、本明細書中で参考として援用される。
【0074】
当業者に明らかであるように、本発明の多くの改変および変更が、本発明の精神および範囲を逸脱することなくなされ得る。本明細書中に記載される特定の実施形態は、例のみとして提供され、そして本発明は、添付の特許請求の範囲の用語によって、これらの特許請求の範囲に権利が与えられる全ての範囲の等価物に従って限定されるべきである;そして、本発明は、本明細書中に例として提示される特定の実施形態によって限定されるべきではない。
【実施例】
【0075】
(I.一般的方法)
分子生物学における標準的方法は、記載される(Maniatisら,(1982)Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY;SambrookおよびRussell(2001)Molecular Cloning,第3版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY;Wu(1993)Recombinant DNA,第217巻,Academic Press,San Diego,CA)。標準的方法はまた、Ausbelら、(2001)Current Protocols in Molecular Biology、第1巻〜第4巻、John Wiley and Sons,Inc.New York,NYに現れ、これらは、細菌細胞におけるクローニングおよびDNA変異誘発(第1巻)、哺乳動物細胞および酵母におけるクローニング(第2巻)、複合糖質およびタンパク質発現(第3巻)、ならびにバイオインフォマティクス(第4巻)を記載する。
【0076】
タンパク質精製についての方法(免疫沈降、クロマトグラフィー、電気泳動、遠心分離、および結晶化を含む)は、記載される(Coliganら,(2000)Current Protocols in Protein Science,第1巻,John Wiley and Sons,Inc.,New York)。化学的分析、化学的改変、翻訳後改変、融合タンパク質の生成、タンパク質のグリコシル化は、記載される(例えば、Coliganら,(2000)Current Protocols in Protein Science,第2巻,John Wiley and Sons,Inc.,New York;Ausubelら,(2001)Current Protocols in Molecular Biology,第3巻,John Wiley and Sons,Inc.,NY,NY,pp.16.0.5−16.22.17;Sigma−Aldrich,Co.(2001)Products for Life Science Research,St.Louis,MO;pp.45−89;Amersham Pharmacia Biotech(2001)BioDirectory,Piscataway,N.J.,pp.384−391を参照のこと)。ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の生成、精製、および断片化は、記載される(Coliganら,(2001)Current Protcols in Immunology,第1巻,John Wiley and Sons,Inc.,New York;HarlowおよびLane(1999)Using Antibodies,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY;HarlowおよびLane,前出)。リガンド/レセプター相互作用を特徴付けるための標準的技術は、利用可能である(例えば、Coliganら,(2001)Current Protcols in Immunology,第4巻,John Wiley,Inc.,New Yorkを参照のこと)。
【0077】
フローサイトメトリーのための方法(蛍光細胞分析分離装置(FACS)を含む)は、利用可能である(例えば、Owensら,(1994)Flow Cytometry Principles for Clinical Laboratory Practice,John Wiley and Sons,Hoboken,NJ;Givan(2001)Flow Cytometry,第2版;Wiley−Liss,Hoboken,NJ;Shapiro(2003)Practical Flow Cytometry,John Wiley and Sons,Hoboken,NJを参照のこと)。例えば、診断試薬としての使用について核酸(核酸プライマーおよびプローブ、ポリペプチド、および抗体を含む)を改変するために適した蛍光試薬は、利用可能である(Molecular Probes(2003)Catalogue,Molecular Probes,Inc.,Eugene,OR;Sigma−Aldrich(2003)Catalogue,St.Louis,MO)。
【0078】
免疫系の組織学の標準的方法は、記載される(例えば、Muller−Harmelink(編)(1986)Human Thymus:Histopathology and Pathology,Springer Verlag,New York,NY;Hiattら,(2000)Color Atlas of Histology,Lippincott,Williams,and Wilkins,Phila,PA;Louisら,(2002)Basic Histology:Text and Atlas,McGraw−Hill,New York,NYを参照のこと)。
【0079】
癌の処置および診断のための方法は、記載される(例えば、Alison(編)(2001)The Cancer Handbook,Grove’s Dictionaries,Inc.,St.Louis,MO;Oldham(編)(1998)Principles of Cancer Biotherapy,第3版,Kluwer Academic Publ.,Hingham,MA;Thompsonら,(編)(2001)Textbook of Melanoma,Martin Dunitz,Ltd.,London,UK;Devitaら,(編)(2001)Cancer:Principles and Practice of Oncology,第6版,Lippincott,Phila,PA;Hollandら,(編)(2000)Holland−Frei Cancer Medicine,BC Decker,Phila.,PA;GarrettおよびSell(編)(1995)Cellular Cancer Markers,Humana Press,Totowa,NJ;MacKie(1996)Skin Cancer,第2版,Mosby,St.Louis;Moertel(1994)New Engl.J.Med.330:1136−1142;Engleman(2003)Semin.Oncol.30(3補遺8):23−29;Mohrら,(2003)Onkologie 26:227−233を参照のこと)。
【0080】
例えば、抗原性フラグメント、リーダー配列、タンパク質の折りたたみ、機能ドメイン、グリコシル化部位、および配列配置を決定するためのソフトウェアパッケージおよびデータベースは、利用可能である(例えば、GenBank,Vector NTI(登録商標)Suite(Informax,Inc,Bethesda,MD);GCG Wisconsin Package(Accelrys,Inc.,San Diego,CA);DeCypher(登録商標)(TimeLogic Corp.,Crystal Bay,Nevada);Menneら,(2000)Bioinformatics 16:741−742;Menneら,(2000)Bioinformatics Applications Note 16:741−742;Wrenら,(2002)Comput.Methods Programs Biomed.68:177−181;von Heijne(1983)Eur.J.Biochem.133:17−21;von Heijne(1986)Nucleic Acids Res.14:4683−4690を参照のこと)。
【0081】
(II.マウスおよび腫瘍誘導)
IL−23 p19欠損マウスを、Cuaら、前出に記載されるように作製した。IL−23を特異的に欠くマウス(pl9KOマウス;p19ノックアウトマウス;p19−/−マウス)、p19+/−マウス、およびp19+/+野生型コントロールマウスは、B6/129 F2バックグラウンドを有していた。
【0082】
野生型(wt)マウスまたはIL−23欠損マウス(p19KOマウス)のどちらかにおいて、皮膚腫瘍を化学的に誘導した。50μgの7,12−ジメチルベンズ[a]アントラセン(DMBA)を使用して腫瘍を生じさせ、1週あたりそれぞれ30μgのTPAの2つの処置からなる促進工程を続けた(例えば、Oftら,(2002)Nat.Cell.Biol.4:487−494を参照のこと)。
【0083】
Ep2X1B1−nu/nuマウスを用いた腫瘍研究では、腫瘍は転移する一方、悪液質は起こらない。このマウスは、例えば髄外造血(EMH)により死亡する。Ep2XB1−Balb/cマウスを用いた腫瘍研究では、腫瘍転移は起こらない。これは明らかに、これらのマウスのインタクトな免疫系のためである。
【0084】
(III.p19およびIL−23Rのサブユニットの発現)
多くの癌、腫瘍、および細胞株(例えば、胃腸管、生殖管、皮膚、および乳房の癌)において、IL−23のp19サブユニットおよびIL−23レセプターのIL−23Rサブユニットの発現が上昇した(表1)。
【0085】
【表1】

組織または細胞ペレット由来のRNAを、RNeasy(登録商標)カラム(Qiagen,Valencia,CA)を使用して抽出し、Dnase I(Promega,Madison,WI)で処理した。cDNAを調製し、定量的リアルタイムPCRのためのテンプレートとして使用した。ある範囲の遺伝子の発現について、GeneAmp(登録商標)5700 Sequence Detection System(Applied Biosystems,Foster City,CA)を使用して、cDNA(25ng)を分析した。正常な結腸組織および卵巣組織ならびに腫瘍の結腸組織および卵巣組織に由来するcDNAサンプルの分析を、ハウスキーピング遺伝子であるユビキチンの発現に対して標準化した。
【0086】
(IV.p19アンタゴニストは腫瘍を阻害するか、または減少させる)
IL−23に対するアンタゴニストで処置したマウスにおいて、腫瘍細胞の注射によってか、または化学的発癌によって誘導した腫瘍を、例えば、抗p19抗体での処置によるか、もしくはp19サブユニット(p19KO)の遺伝的切断によって、根絶するか、または減少させた。p19はIL−23のみのサブユニットである一方、p40はIL−23およびIL−12の両方のサブユニットである。対照的に、IL−12での処置は、幾つかの条件下で腫瘍を悪化させた。すなわち、コントロールマウスと比較して、腫瘍体積の増加をもたらした。
【0087】
マウスでの腫瘍は、癌、癌悪液質、髄外造血、および死をもたらした。腫瘍を有するBalb/cマウスを抗p19抗体で処置すると、腫瘍体積の増加が休止した一方、抗p40抗体で処置すると、その動物の体重増加、おそらく悪液質の逆転を引き起こしたが、腫瘍容積は増加した(表2)。
【0088】
【表2】

癌での死および癌悪液質をマウスで誘導した。ここで、抗p40抗体によって、死および体重減少を阻害した。マウスに1×10EpXT腫瘍細胞を注射した(皮下注射で)。腫瘍を生じたヌードマウス(Ep2XB1 nu/nu)は、致命的な肺転移によって死亡し、この死は注射の22〜42日後に起こった。腫瘍を生じたExp2XB1 Balb/cマウスは、注射の約22〜49日後において死亡し、このBalbC/cマウスは、肺転移なしに死亡した。体重減少の発生(死の前)によって、悪液質を示した。約16日目において開始する進行性の体重減少が起こった。1日目における最初の体重は22〜23gである一方、死亡時の体重は16〜18gの範囲であった。
【0089】
抗体処置は、C17.8ラット抗p40抗体(1mg/週)を用いた。抗体処置をしたEp2XB1−Balb/Cマウス(免疫応答性マウス(immunocompetant mice))は、約64日目まで生存し、その後85日目までに死亡した。抗p40抗体処置はまた、半分のマウスにおいて体重を(約17gで)維持し、残りのマウスの体重における進行的な増加は、実験の期間内で最大22〜23gであった。従って、抗p40抗体は、生存期間および体重の回復によって健康状態の改善をもたらすが、一方、抗p40はまた、腫瘍サイズの増加によって示されるように健康状態の衰弱をもたらし得た(表2)。
【0090】
1週間あたりDMBA(50μg)および2×30μgのテトラデカノイルホルボール−13−アセテート(TPA)で処置することによって、癌を化学的に誘導した(Gschwendtら,(l991)Trends Biochem Sci.16:167−169)。B6/129野生型マウスおよびp19KOマウスに対して、化学発癌処置を適用した。野生型マウスは直ちに腫瘍を発達させたが、p19KOマウスは腫瘍を形成しなかった(表3)。
【0091】
【表3】

別個の研究が、p19KOが腫瘍形成を阻害する一方、p35KOは腫瘍形成を悪化させることを実証した(表4)。
【0092】
【表4】

発癌処置の後、IL−23のサブユニットおよびIL−12のサブユニットの組織発現ならびに細胞発現を決定した。DMBA単独、TPA単独、およびTPAと一緒のDMBAは、IL−23のp19サブユニットの発現を誘導した。これらの化学物質を、マウスの背中に適用した。例えば、DMBAでの処置の2日後に、p19発現は、1.5(未処置)〜6.3(t=2日目において)に増加した。p40の発現は増加したが、この期間間隔においては相対的に低かった(0.1(未処置);0.4(t=2日目において))。TPAでの処置の5時間後に、p19発現は増加したが(2.5(コントロール);15.5(TPA処置))、p40発現の変化は相対的に小さかった(2.0(コントロール);3.5(TPA処置))。TPAに加えてDMBAでの処置の5時間後に、p19発現は大きく増加した(6.0(コントロール);32.0(DMBA+TPA))が、p40発現のレベルは中程度であった(2.0(コントロール);4.0(DMBA+TPA))。
【0093】
例えば、DMBA、TPA、およびリポ多糖類(LPS)に対するヒトケラチノサイトの反応をまた、決定した(表5)。TPAは、特異的にp19を誘導したが、IL−23およびIL−12の共通のサブユニットであるp40の誘導はわずかであるか、または全くなかった。LPSはp19を誘導し、先天性反応のIL−23における役割を示した。LPSを結合するToll様レセプターは、ケラチノサイトに生じる(例えば、Songら,(2002)J.Invest.Dermatol.119:424−432を参照のこと)。エトポシドは、トポイソメラーゼIIを阻害し、アポトーシスを誘導する抗癌剤である(例えば、Robertsonら,(2000)J.Biol.Chem.275:32438−32443;Karpinichら,(2000)J.Biol.Chem.277:16547−16552を参照のこと)。
【0094】
【表5】

4T1マウス乳癌細胞モデルに対する抗p19抗体の効果について、抗p19抗体を試験した。コントロールmIgG1(27F11)抗体または抗p19抗体(29A2)でマウスを処置した。1日目、3日目、4日目、5日目、6日目、7日目、8日目、9日目、10日目、および11日目において、腫瘍増殖をモニタリングした。2日目、5日目、8日目、および10日目に、抗体(1mg/用量)を投与した。4日目において、コントロール抗体で処置したマウスの腫瘍サイズは、約175mmである一方、抗p19抗体で処置したマウスの腫瘍サイズは135mmであった。従って、抗p19抗体は、乳癌のモデルを処置する際に有効である。4日後、両方の群の腫瘍はほぼ同じ速度で増殖し、このことにより、この抗体は、期間の遅い時期に腫瘍によって発現されるIL−23の影響を弱めるには十分でないことが示された。
【0095】
Ep2マウス乳癌モデルの組織学は、IL−23RおよびNK細胞の同時局在化を実証した。これは、p19(IL−23Rに結合して存在する)に対する染色によって、そしてCD49B(NK細胞についてのマーカー)に対する染色によって決定した。この同時局在化は、腫瘍の中心部分(すなわち、壊死性領域)において生じた。Ep2マウス乳癌の組織学はまた、p19およびT細胞の同時局在化を実証した。T細胞の局在化を、CD3に対する染色によって決定した。この同時局在化は、腫瘍の周辺部分において生じた。
【0096】
(V.配列識別名の列挙)
配列番号1は、ヒトIL−23 p19の核酸配列である。
【0097】
配列番号2は、ヒトIL−23 p19のアミノ酸配列である。
【0098】
配列番号3は、マウスIL−23 p19の核酸配列である。
【0099】
配列番号4は、マウスIL−23 p19のアミノ酸配列である。
【0100】
配列番号5は、ヒトIL−23レセプターの核酸配列である。
【0101】
配列番号6は、ヒトIL−23レセプターのアミノ酸配列である。
【0102】
配列番号7は、ヒトIL−12Rβ1のアミノ酸配列である。
【0103】
配列番号8は、ヒトIL−12 p40のアミノ酸配列である。
【0104】
配列番号9は、マウスIL−12 p40のアミノ酸配列である。
【0105】
配列番号10は、マウスIL−23ハイパーカイン(hyperkine)である。
【0106】
配列番号11は、ヒトIL−23ハイパーカインである。
【0107】
本明細書中のすべての引用は、各独立の刊行物または特許出願が特異的かつ個別に参考として援用されることが示されるのと同じ程度に、本明細書中で参考として援用される。
【0108】
当業者に明らかであるように、本発明の多くの改変および変更が、本発明の精神および範囲を逸脱することなくなされ得る。本明細書中に記載される特定の実施形態は、例のみのために提供され、そして本発明は、添付の特許請求の範囲の用語によって、これらの特許請求の範囲に権利が与えられる全ての範囲の等価物に従って限定されるべきである;そして、本発明は、本明細書中に例として提示される特定の実施形態によって限定されるべきではない。
【配列表】






















【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍の増殖を調節する方法であって、該方法は、腫瘍細胞を有効量のIL−23のアゴニストまたはIL−23のアンタゴニストと接触させる工程を包含する、方法。
【請求項2】
前記IL−23のアンタゴニストが、腫瘍の増殖を阻害または防止する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記腫瘍細胞が、IL−23を発現する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記IL−23のアゴニストあるいは前記IL−23のアンタゴニストが、以下:
a)p19(配列番号1、配列番号2、配列番号3、もしくは配列番号4);または
b)IL−23R(配列番号5、もしくは配列番号6)
のポリペプチドあるいは核酸と特異的に結合する結合組成物を含む、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、前記結合組成物が、以下:
a)抗体の抗原結合部位;
b)IL−23R(配列番号5、もしくは配列番号6)の細胞外領域;
c)低分子;
d)アンチセンス核酸もしくは短い干渉RNA(siRNA);または
e)検出可能な標識
を含む、方法。
【請求項6】
請求項4に記載の方法であって、前記結合組成物が、以下:
a)ポリクローナル抗体;
b)モノクローナル抗体;
c)ヒト化抗体、もしくはそのフラグメント;
d)Fabフラグメント、Fvフラグメント、もしくはF(ab’)フラグメント;または
e)抗体のペプチド模倣物
を含む、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記腫瘍細胞が、以下:
a)結腸癌細胞;
b)卵巣癌細胞;
c)乳癌細胞;または
d)黒色腫細胞
である、方法。
【請求項8】
癌または腫瘍に罹患する被験体を処置する方法であって、該方法は、有効量のIL−23のアゴニストまたはIL−23のアンタゴニストを、該被験体に投与する工程を包含する、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、前記IL−23のアンタゴニストが、以下:
a)癌または腫瘍の増殖;
b)悪液質;
c)食欲不振;または
d)新脈管形成
を阻害する、方法。
【請求項10】
請求項8に記載の方法であって、前記IL−23のアンタゴニストが、以下:
a)p19(配列番号1、配列番号2、配列番号3、もしくは配列番号4);または
b)IL−23R(配列番号5、もしくは配列番号6)
のポリペプチドあるいは核酸と特異的に結合する結合組成物を含む、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記結合組成物が、以下:
a)抗体の抗原結合部位;
b)IL−23R(配列番号5、もしくは配列番号6)の細胞外領域;
c)アンチセンス核酸もしくは短い干渉RNA(siRNA);
d)低分子;または
e)検出可能な標識
を含む、方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法であって、前記結合組成物が、以下:
a)ポリクローナル抗体;
b)モノクローナル抗体;
c)ヒト化抗体、もしくはそのフラグメント;
d)Fabフラグメント、Fvフラグメント、もしくはF(ab’)フラグメント;または
e)抗体のペプチド模倣物
を含む、方法。
【請求項13】
請求項8に記載の方法であって、前記癌または腫瘍が、以下:
a)胃腸管;
b)気道;
c)生殖系;または
d)内分泌系
の癌または腫瘍である、方法。
【請求項14】
請求項8に記載の方法であって、前記癌または腫瘍が、以下:
a)結腸癌;
b)卵巣癌;
c)黒色腫;または
d)乳癌
である、方法。
【請求項15】
癌または腫瘍を診断する方法であって、該方法は、被験体に由来するサンプルを請求項10に記載の方法の結合組成物と接触させる工程を包含する、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、前記結合組成物が、配列番号1、配列番号2もしくは配列番号5のポリヌクレオチドに特異的に結合またはハイブリダイズする核酸プローブまたは核酸プライマーを含む、方法。
【請求項17】
癌または腫瘍の診断のためのキットであって、該キットは、請求項10に記載の方法の結合組成物、および以下:
a)区画;または
b)使用または廃棄のための指示書
を包含する、方法。
【請求項18】
請求項17に記載のキットであって、前記結合組成物が、以下:
a)p19(配列番号1、配列番号2、配列番号3、もしくは配列番号4);または
b)IL−23R(配列番号5、もしくは配列番号6)
に特異的に結合する抗体を含む、キット。

【公表番号】特表2006−520781(P2006−520781A)
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507006(P2006−507006)
【出願日】平成16年3月9日(2004.3.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/007198
【国際公開番号】WO2004/081190
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】