説明

IL−8様タンパク質

本発明は、INSP093と命名され、ここではタンパク質を分泌するものとして同定された、特にインターロイキン(IL)8-様ケモカインファミリーの構成員としての、新規なタンパク質、及びこれらタンパク質及びこれをコードする遺伝子由来の核酸配列の、疾患の診断、予防及び治療における使用に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、ここにおいて、分泌されたタンパク質として、特にインターロイキン(IL)-8様のケモカイン群の構成員として同定された、INSP093及びINSP094と呼ばれる新規なタンパク質、及び疾患の診断、予防及び治療における、これらタンパク質及びこれらをコードする遺伝子由来の核酸配列の使用に関連する。
ここに引用する全ての刊行物、特許及び特許出願は、その全体をここに参考文献として組み入れる。
【0002】
背景技術
機能ゲノム学の時代が、機を熟したことから、薬物発見のプロセスは、現在根本的な変革期にある。「機能ゲノム学(functional genomics)」なる用語は、対象とするタンパク質配列に機能を帰属させるためのバイオインフォーマティクス手段を利用する方法に適用される。配列データ発生速度が、研究室の、これらタンパク配列に機能を帰属させる能力を、凌駕していることから、このような手段が、益々必要となってきている。
バイオインフォーマティクス手段の能力及び精度が高まるにつれて、これらの手段は、迅速に、生化学的な特徴付けに関する従来の技術に取って代りつつある。事実、本発明を同定するに際して使用している、最新のバイオインフォーマティクス手段は、高度に信頼することのできる、結果を出すことを可能とする。
様々な機関及び工業的な組織体が、配列データを検討している。というのは、これらが利用可能であり、しかも多大な発見が、継続的になされているからである。しかしながら、更なる遺伝子及びこれらがコードするポリペプチドを、研究の目的及び薬物発見の目的で同定し、かつ特徴付けするための、絶え間ない需要が存在する。
【0003】
緒言
分泌タンパク質
細胞外タンパク質を製造し、また分泌する細胞の能力は、多くの生物学的な過程にとって中心となるものである。酵素、成長因子、細胞外マトリックスタンパク質及びシグナル発生分子は、全て細胞によって分泌される。これは、分泌小胞と細胞膜との融合を通して行われる。全ての場合ではないが、多くの場合において、タンパク質は小胞体に導かれ、シグナルペプチドによって分泌小胞に送られる。シグナルペプチドは、細胞質から膜結合区画、例えば分泌小胞までの、ポリペプチド鎖の輸送に影響を与える、シス作用配列である。分泌小胞に送られるポリペプチドは、細胞外マトリックスに分泌されるか、あるいは細胞膜内に保持される。細胞膜内に保持される該ポリペプチドは、1又はそれ以上の貫膜ドメインを持つであろう。細胞の機能発揮において中心的な役割を演じる、分泌タンパク質の例は、サイトカイン、ホルモン、細胞外マトリックスタンパク質(接着性分子)、プロテアーゼ、及び成長並びに分化因子である。これらタンパク質の特性に関する幾つかの説明は、以下の通りである。
【0004】
ケモカイン
これらシグナル発生分子は、サイトカインとは異なり、化学走性誘発の原因となり、又は移動を支配する。これらは高度に特異的であり、その事実は、IL-8が、単球ではなく、顆粒球に対して走化性であるという事実によって示される。ケモカインは、4つの保存されたシステイン残基を含み、また保存されたシステイン残基位置に基いて、3つの群、即ちα(CXC)、β(CC)及びγ(C)に分けられる。最初の2つのシステインが、他のアミノ酸により分離されている場合、このケモカインは、該α群の一員であり、一方該最初の2つのシステイン残基は、該β群の構成員では、相互に隣接している。該γ群の構成員は、そのN-末端において、システイン残基を2つではなく、一つだけ含んでいる。これらα及びβ群において、ジスルフィド結合は、第一及び第三残基間及び第二及び第四残基間に形成される。
ケモカインの特異性は、細胞表面上の特異的レセプターの存在に依存している。ケモカインは、白血球の移動においてある役割を演じている。活性化の際に、白血球細胞骨格の改造作用が誘発されて、結果的に該細胞が平坦化され、かつ血管内空間から組織空間に移行する。ケモカインと7-貫膜G-タンパク質結合レセプターとの相互作用は、応答細胞における細胞内遊離カルシウムの迅速な蓄積に導く。この移動は、化学走性、呼吸バースト及び白血球の接着性相互作用の上向き調節にとって重要である。ケモカインは、また好中球、単球、リンパ球及び好酸球上の接着性分子の発現を調節することが、明らかにされている。例えば、MIP-1α及びRANTESは、単球と内皮との接着を引起し、一方MIP-1βは、CD8+T-細胞の内皮に対する接着を誘発する。
【0005】
従って、これらドメインに係る増大しつつある知見は、上記のような疾患状態及び関連する疾患状態に導く、根本的な経路に関する理解を高め、かつこれら疾患を治療するための、より一層効果的な遺伝子及び/又は薬物療法の開発において、極めて重要である。
【0006】
発明の開示
本発明は、上記INSP093及び/又はINSP094ポリペプチドが、IL-8様ケモカインであるという発見に基づくものである。
本発明の第一の局面に係る一態様では、以下のようなポリペプチドを提供する:
(i) 配列番号2、配列番号4及び/又は配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(ii) 該IL-8様ケモカイン群の一員として機能し、あるいは上記(i)のポリペプチドと共通の抗原決定基を持つ、該ポリペプチドのフラグメント、又は
(iii) 上記(i)又は(ii)と機能的に等価なものとしてのポリペプチド。
好ましくは、本発明の該第一局面に従うポリペプチドは、以下のようなものである:
(i) 配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチド、
(ii) 該IL-8様のケモカイン群の一員として機能する、あるいは上記(i)のポリペプチドと共通の抗原決定基を持つ、該ポリペプチドのフラグメント、又は
(iii) 上記(i)又は(ii)と機能的に等価なポリペプチド。
本発明に係るこの第一の局面に従う第二の態様によれば、以下のようなポリペプチドを提供する:
(i) 配列番号2、配列番号4及び/又は配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(ii) 該IL-8様のケモカイン群の一員として機能する、あるいは上記(i)のポリペプチドと共通の抗原決定基を持つ、該ポリペプチドのフラグメント、又は
(iii) 上記(i)又は(ii)と機能的に等価なポリペプチド。
【0007】
配列番号2に記載の配列を持つ該ポリペプチドは、以下において「INSP093エキソンAポリペプチド」と呼ぶ。配列番号4に記載の配列を持つ該ポリペプチドは、以下において「INSP093エキソンBポリペプチド」と呼ぶ。配列番号6に記載の配列を持つ該ポリペプチドは、以下において「INSP093部分ポリペプチド」と呼ぶ。
INSP093エキソンAヌクレオチド配列(配列番号1)の開始点に、メチオニン開始コドンが存在しないという事実を考察すると、配列番号1の5'末端に更にエキソンが存在でき、これらが、配列番号2において与えられる配列の開始点に対するN-末端となるアミノ酸を与えるであろうことは、極めてありそうなことと考えられる。また、INSP093エキソンB(配列番号3)の3'末端に停止コドンが存在しないことも重要であり、従って配列番号4に与えられた配列の末端に対するC-末端である、アミノ酸を与えるであろう、該ゲノムにおける配列番号3に対する更なるエキソン3'が存在することも、本出願人にとっては、極めてありそうなことと考えられる。
ここで使用する「INSP093ポリペプチド」なる用語は、該INSP093エキソンAポリペプチド、INSP093エキソンBポリペプチド及びINSP093部分ポリペプチドを含有する、ポリペプチドを包含する。
【0008】
本発明の第一局面に係る、第三の態様では、以下のようなポリペプチドを提供する:
(i) 配列番号8、配列番号10及び/又は配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(ii) 該IL-8様ケモカイン群の一員として機能し、あるいは上記(i)のポリペプチドと共通の抗原決定基を持つ、該ポリペプチドのフラグメント、又は
(iii) 上記(i)又は(ii)と機能的に等価なものとしてのポリペプチド。
好ましくは、本発明の該第一局面に従うポリペプチドは、以下のようなものである:
(i) 配列番号10に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチド、
(ii) 該IL-8様のケモカイン群の一員として機能する、あるいは上記(i)のポリペプチドと共通の抗原決定基を持つ、該ポリペプチドのフラグメント、又は
(iii) 上記(i)又は(ii)と機能的に等価なポリペプチド。
本発明の該第一の局面に従う第四の態様では、以下の如きポリペプチドを提供する:
(i) 配列番号8、配列番号10及び/又は配列番号12に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(ii) 該IL-8様のケモカイン群の一員として機能する、あるいは上記(i)のポリペプチドと共通の抗原決定基を持つ、該ポリペプチドのフラグメント、又は
(iii) 上記(i)又は(ii)と機能的に等価なポリペプチド。
【0009】
配列番号8に記載の配列を持つポリペプチドは、以下において「INSP094エキソンAポリペプチド」と呼ぶ。配列番号10に記載の配列を持つポリペプチドは、以下において「INSP094部分ポリペプチド」と呼ぶ。
INSP094エキソンAヌクレオチド配列(配列番号7)の開始点に、メチオニン開始コドンが存在しないという事実を考察すると、配列番号7の5'末端に更にエキソンが存在でき、これらが、配列番号2において与えられる配列の開始点に対するN-末端となるアミノ酸を与えるであろうことは、極めてありそうなことと考えられる。また、INSP094エキソンA(配列番号7)の3'末端に停止コドンが存在しないことも重要であり、従って配列番号8に与えられた配列の末端に対するC-末端である、アミノ酸を与えるであろう、該ゲノムにおける配列番号7に対する更なるエキソン3'が存在することも、本出願人にとっては、極めてありそうなことと考えられる。
ここで使用する「INSP094ポリペプチド」なる用語は、該INSP094エキソンAポリペプチド及びINSP094部分ポリペプチドを含有する、ポリペプチドを包含する。
【0010】
「該IL-8様のケモカイン群の一員として機能する」なる表現により、我々は、該IL-8様のケモカイン群のポリペプチドに保存されている特長として同定でき、結果的にポリペプチドとリガンドとの相互作用が、完全な長さを持つ野生型ポリペプチドの機能と比較して、実質的に有害な影響を与えないような、アミノ酸配列又は構造上の特徴を含むポリペプチドを意味する。特に、我々は、同一ドメイン内ジスルフィド結合の生成を可能とする、該ポリペプチド内部の特定の位置における、システイン残基の存在を意味する。IL-8様のケモカインとして機能する能力は、アッセイキット、例えば70pg/ml程度の低いIL-8濃度の検出を可能とする、ヒューマン(Human) IL-8ELISA(IBL, ハンブルグ)を用いて測定することができる。
構造-活性関係に関する研究は、ケモカインが、そのアミノ末端領域を利用することにより、レセプターと結合し、かつこれを活性化することを示している。タンパク分解的消化、突然変異誘発、又はこの領域におけるアミノ酸に対する化学的な修飾は、拮抗作用を持つ化合物の発生を可能とする(Loetscher P & Clark-Lewis I, J Leukoc Biol, 2001, 69:881-884; Lambeir A等, J Biol Chem, 2001, 276:29839-29845; Proost P等, Blood, 2001, 98(13):3554-3561)。このように、該アミノ末端領域、又は対応するケモカインの他の領域における、1又はそれ以上の残基の、特異的な修飾(欠失、非-保存性の置換)に起因する拮抗性の分子は、炎症性疾患及び自己免疫疾患に対する治療の可能性を持つものと考えられる(WO 02/28419; WO 00/27880; WO 99/33989; Schwarz MK & Wells TN, Curr Opin Chem Biol, 1999, 3:407-17)。従って、本特許出願の更なる目的は、該本発明のポリペプチドを変性することにより生成される、この種のアンタゴニストで代表される。
【0011】
本発明のポリペプチド及び関連する試薬の治療的用途は、動物細胞、組織及びモデルを使用した、インビボ/インビトロアッセイ(Coleman RA等, Drug Discov Today, 2001, 6:1116-1126; Li AP, Drug Discov Today, 2001, 6:357-366; Methods Mol Biol, Vol.138,「ケモカインズプロトコールズ(Chemokines Protocols)」Proudfoot AI等編, フマナプレス社(Humana Press Inc.), 2000; Methods Enzymol, Vol. 287 & 288, アカデミックプレス(Academic Press), 1997)、あるいは薬物発見及び臨床前開発中の、ケモカイン及び他の生物学的な製品の妥当性に関して公知の、インシリコ(in silico)/計算機法(Johnson DE & Wolfgang GH, Drug Discov Today, 2000, 5:445-454)によって、(安全性、薬物動態学及び効能により)評価することができる。
【0012】
本特許出願は、新規なケモカイン-様のポリペプチド及び一連の関連する試薬を開示するものであり、これらは適当に処方された薬理組成物における活性成分として、諸疾患、例えば細胞増殖性障害、自己免疫性/炎症性障害、心血管障害、神経系の障害、発育障害、代謝異常、感染性及び他の病理学的状態の治療もしくは予防において有用であり得る。特に、ケモカインの既知の特性を与えることによって、ここに開示されるポリペプチド及び薬剤は、異常な又は欠陥のある細胞移動を含む状態を、処置するはずである。このような状態の非-限定的な例は、以下の通りである:関節炎、リウマチ性関節炎(RA)、乾癬性関節炎、骨関節炎、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、全身性硬化症、強皮症、多発性筋炎、糸球体腎炎、線維症、肺線維症及び炎症、アレルギー性又は過敏性疾患、皮膚炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、敗血症性ショック、HIV感染症、移植拒絶反応、創傷治癒、転移、子宮内膜症、肝炎、肝臓線維症、癌、無痛覚症、及びアテローム性動脈硬化症と関連した脈管炎症。
第二の局面において、本発明は、本発明の第一の局面によるポリペプチドをコードする、精製された核酸分子を提供する。
【0013】
好ましくは、この精製された核酸分子は、配列番号1(上記のINSP093エキソンAポリペプチドをコードする)、配列番号3(上記のINSP093エキソンBポリペプチドをコードする)、配列番号5(上記のINSP093部分ポリペプチドをコードする)、配列番号7(上記のINSP094エキソンAポリペプチドをコードする)及び/又は配列番号9(上記のINSP094部分ポリペプチドをコードする)に記載の核酸配列を含むものであるか、あるいはこれら配列の何れか一つの重複等価配列(redundant equivalent)又はそのフラグメントである。
本発明は、更に配列番号1(上記のINSP093エキソンAポリペプチドをコードする)、配列番号3(上記のINSP093エキソンBポリペプチドをコードする)、配列番号5(上記のINSP093部分ポリペプチドをコードする)、配列番号7(上記のINSP094エキソンAポリペプチドをコードする)及び/又は配列番号9(上記のINSP094部分ポリペプチドをコードする)に記載の核酸配列からなる、精製された核酸分子、又はこれら配列の何れか一つの重複等価配列又はそのフラグメントとしての精製核酸分子を提供する。
【0014】
第三の局面において、本発明は、高いストリンジェンシー条件の下で、上記本発明の第二の局面の核酸分子とハイブリッド化した、精製核酸分子を提供する。
第四の局面において、本発明は、上記本発明の第二又は第三の局面の核酸分子を含む、発現ベクター等のベクターを提供する。
第五の局面において、本発明は、上記本発明の第四の局面のベクターによって形質転換した、宿主細胞を提供する。
第六の局面において、本発明は、上記本発明の第一の局面の該IL-8様のケモカイン群の構成員としてのタンパク質に対して特異的に結合するリガンドを提供する。
第七の局面において、本発明は、上記本発明の第一の局面のポリペプチドをコードする天然遺伝子の発現を変更する、又は上記本発明の第一の局面のポリペプチドの活性を調節するのに効果的な化合物を提供する。
本発明の第七の局面に従う化合物は、該遺伝子の発現レベル又は該ポリペプチドの活性レベルを、増大(作動)又は低下(相殺)することができる。重要なことは、該INSP093及びINSP094ポリペプチドの機能の同定が、疾患の治療及び/又は診断において効果的な化合物の同定を可能とする、スクリーニング法の設計を可能とすることである。本発明の第六及び第七の局面によるリガンド及び化合物は、このような方法を利用して同定することができる。これら方法を、本発明の特徴としてここに含める。
【0015】
第八の局面において、本発明は、IL-8様のケモカイン群の構成員が関与している疾患の治療又は診断において使用するための、上記本発明の第一の局面のポリペプチド、又は上記本発明の第二又は第三の局面の核酸分子、又は上記本発明の第四の局面のベクター、又は上記本発明の第五の局面の宿主細胞、又は上記本発明の第六の局面のリガンド、又は上記本発明の第七の局面の化合物を提供する。このような疾患は新生物、黒色腫、肺、結腸直腸、胸部、膵臓、頭部及び頚部並びに他の固形腫瘍を包含する細胞増殖疾患;骨髄増殖性疾患、例えば白血病、非-ホジキンリンパ腫、白血球減少症、血小板減少症、血管形成障害、カポジー肉腫;アレルギー、炎症性腸疾患、関節炎、乾癬及び気道炎症、喘息、及び器官移植の拒絶反応を包含する自己免疫/炎症性疾患;高血圧、浮腫、アンギナ、アテローム性動脈硬化症、血栓症、敗血症、ショック、再灌流傷害及び虚血を包含する心血管障害;中枢神経系疾患、アルツハイマー病、脳傷害、筋萎縮性側索硬化症及び痛みを包含する神経系の障害;発育異常;真性糖尿病、骨粗鬆症、及び肥満、AIDS及び腎疾患を包含する代謝異常;ウイルス感染症、細菌感染症、真菌感染症、寄生虫性感染症を包含する感染症及び他の病理学的な状態を包含する。好ましくは、該疾患は、該IL-8様ケモカイン群が関与している疾患、例えば亜致死性内毒素血症、敗血症性ショック、羊膜腔の微生物感染、回帰熱のヤリッシュ-ヘルクスハイマー反応、中枢神経系の感染症、急性膵炎、潰瘍性大腸炎、蓄膿症、溶血性尿毒症症候群、髄膜炎菌疾患、胃感染症、百日咳、腹膜炎、乾癬、リウマチ性関節炎、敗血症、喘息及び糸球体腎炎である。これら分子は、またこのような疾患を治療するための医薬の製造においても使用できる。
【0016】
第九の局面において、本発明は、患者における疾患の診断方法を提供することにあり、該方法は、該患者由来の組織内の、本発明の上記第一の局面のポリペプチドをコードする、天然遺伝子の発現レベルを評価するか、あるいは本発明の上記第一の局面のポリペプチドの活性を評価する工程、及び該発現又は活性のレベルを、コントロールのレベルと比較する工程を含み、この方法においては、該コントロールレベルと異なるレベルが、疾患の指標となる。このような方法は、好ましくはインビトロで行われる。同様な方法を、患者内の疾患の治療処置を追跡するために使用でき、ここでは、所定期間(period of time)に渡り、ポリペプチド又は核酸分子の発現レベル又は活性レベルの、コントロールレベルに向かう変化が、該疾患の退行を示す。
本発明の第一の局面のポリペプチドを検出するための好ましい方法は、(a) 本発明の第六局面のリガンドと、生物学的サンプルとを、リガンド-ポリペプチド複合体(complex)を生成するのに適した条件下で接触させる工程、及び(b) 該複合体を検出する工程とを含む。
当業者は、本発明の第九局面に従う、多数の異なる方法、例えば短いプローブと核酸とのハイブリッド化、点突然変異分析、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅、及び抗体を使用して、異常タンパクレベルを検出する方法等が存在することに気付くであろう。短期又は長期に渡り、同様な方法を利用して、患者内の追跡すべき疾患を治療処置することも可能である。本発明は、また疾患を診断するために、これら方法において有用なキットをも提供する。
【0017】
第十の局面において、本発明は、本発明の第一の局面によるポリペプチドの、IL-8様ケモカインとしての使用法を提供する。本発明のポリペプチドの、IL-8様ケモカインタンパクとしての適当な使用法は、細胞成長、代謝又は分化のレギュレータとしての使用、レセプター/リガンド対の一部としての使用、及び上に与えられたリストから選択される、生理的又は病理学的状態に関する診断マーカーとしての使用を包含する。
第11の局面において、本発明は薬理組成物を提供するものであり、この組成物は、本発明の第一の局面のポリペプチド、又は本発明の第二又は第三局面の核酸分子、又は本発明の第四局面のベクター、又は本発明の第五局面の宿主細胞、又は本発明の第六局面のリガンド、又は本発明の第七局面の化合物を、製薬上許容される担体と共に含有する。
第12の局面において、本発明は、疾患を診断又は治療するための医薬の製造において使用するための、本発明の第一の局面のポリペプチド、又は本発明の第二又は第三局面の核酸分子、又は本発明の第四局面のベクター、又は本発明の第五局面の宿主細胞、又は本発明の第六局面のリガンド、又は本発明の第七局面の化合物を提供する。
【0018】
第13の局面において、本発明は、患者における疾患の治療法を提供するものであり、該方法は、本発明の第一の局面のポリペプチド、又は本発明の第二又は第三局面の核酸分子、又は本発明の第四局面のベクター、又は本発明の第五局面の宿主細胞、又は本発明の第六局面のリガンド、又は本発明の第七局面の化合物を、患者に投与する工程を含む。
本発明の第一の局面のポリペプチドをコードする天然遺伝子の発現、又は本発明の第一の局面のポリペプチドの活性が、健康な患者における該発現又は活性のレベルと比較した場合に、疾患に罹患した患者においてより低いような疾患については、該患者に投与される該ポリペプチド、核酸分子、リガンド又は化合物は、アゴニストとなるはずである。逆に、該天然遺伝子の発現又は該ポリペプチドの活性が、健康な患者における該発現又は活性のレベルと比較した場合に、疾患に罹患した患者においてより高いような疾患については、該患者に投与される該ポリペプチド、核酸分子、リガンド又は化合物は、アンタゴニストとなるはずである。このようなアンタゴニストの例は、アンチセンス核酸分子、リボザイム及びリガンド、例えば抗体を包含する。
第14の局面において、本発明は、本発明の第一の局面のポリペプチドを、より高い又はより低いレベルで発現し、又はこれを発現しないように形質転換されている、トランスジェニック又はノックアウト非-ヒト動物を提供する。このようなトランスジェニック動物は、疾患研究用の極めて有用なモデルであり、またこのような疾患の治療又は診断において有効な、化合物を同定するためのスクリーニング管理体制において使用することも可能である。
【0019】
本発明を利用するのに使用できる標準的な技術及び手順の概要を、以下に与える。本発明が、記載されるこれら特定の方法論、プロトコール、細胞系、ベクター及び試薬に限定されるものではないことを理解すべきである。また、ここで使用する用語は、特定の態様を説明する目的においてのみ使用するものであり、この用語によって本発明が何等限定されるものではないと、理解すべきである。本発明の内容は、添付した特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。
本明細書においては、ヌクレオチド及びアミノ酸に対して標準的な略号を用いる。
本発明の実施では、特に断らない限り、当業者の実務範囲にある、分子生物学、微生物学、組換えDNA技術及び免疫学の公知の技術を使用する。
このような技術は、文献において十分に説明されている。参照するのに特に適したテキストの例は、以下に列挙する通りである:サムブロックモレキュラークローニング;アラボラトリーマニュアル(Sambrook Molecular Cloning; A Laboratory Manual),第二版(1989);DNAクローニング(DNA Cloning), vols. I & II (D.N. Glover編, 1985); オリゴヌクレオチド合成(Oligonucleotide Synthesis)(M.J. Gait編, 1984); 核酸のハイブリッド化(Nucleic Acid Hybridization)(B.D. Hames & S.J. Higgins編, 1984); 転写及び翻訳(Transcription and Translation)(B.D. Hames & S.J. Higgins編, 1984); 動物細胞培養(Animal Cell Culture)(R.I. Freshney編, 1986); 固定化細胞及び酵素(Immobilized Cells and Enzymes)(IRLプレス, 1986); B. Perbal, 分子クローニングに関する実務ガイド(A Practical Guide to Molecular Cloning)(1984); 酵素学における方法(the Methods in Enzymology)シリーズ(アカデミックプレス社),特にvols. 154 & 155; 哺乳動物細胞に関する遺伝子トランスファーベクター(Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells)(J.H. Miller & M.P. Calos編, 1987,コールドスプリングハーバーラボラトリー);細胞及び分子生物学における免疫化学的方法(Immunochemical Methods in Cell and Molecular Biology)(Mayer & Walker編, 1987,アカデミックプレス、ロンドン); Scopes, (1987),タンパク質の精製:原理と実際(Protein Purification: Principles and Practice)(スプリンガーフェアラグ(Springer Verlag), N.Y.);及び実験的免疫学の手引き(Handbook of Experimental Immunology), vols. I-IV (D.M. Weir & C.C. Blackwell編, 1986)。
【0020】
ここで使用する用語「ポリペプチド」とは、ペプチド結合、又は修飾ペプチド結合、即ちペプチドアイソスターによって相互に結合した、2又はそれ以上のアミノ酸を含む任意のペプチド又はタンパク質を含む。この用語は、単鎖(ペプチド及びオリゴペプチド)及びより長い連鎖(タンパク質)両者に関連する。
本発明のポリペプチドは、成熟タンパク質状態であり得、またプレ-、プロ-又はプレプロ-タンパクであり得、該プレ-、プロ-又はプレプロ-タンパクの開裂により活性化して、活性な成熟ポリペプチドを生成することができる。このようなポリペプチドにおいて、該プレ-、プロ-又はプレプロ-配列は、リーダー又は分泌配列であり得、また該成熟ポリペプチド配列の精製の目的で使用される配列であり得る。
本発明の第一局面のポリペプチドは、融合タンパクの一部を形成し得る。例えば、分泌又はリーダー配列、プロ-配列、精製において役立つ配列、又は例えば組換え体の製造中に、より高いタンパクの安定性を付与する配列を含むことができる、1又はそれ以上の追加のアミノ酸配列を含むことが、しばしば有利である。あるいはまた、もしくは付随的に、該成熟ポリペプチドは、他の化合物、例えば該ポリペプチドの半減期を長くする化合物(例えば、ポリエチレングリコール)と融合することができる。
【0021】
ポリペプチドは、20種の遺伝子によりコードされるアミノ酸以外のアミノ酸、即ち翻訳後のプロセシング等の自然の過程により、あるいは当分野において周知の化学的変性技術によって修飾されたアミノ酸を含むことができる。本発明のポリペプチドにおいて通常存在し得る、該公知の修飾としては、グリコシル化、脂質の付着、硫酸化、グルタミン酸残基等のγ-カルボキシル化、ヒドロキシル化及びADP-リボシル化がある。他の可能な修飾はアセチル化、アシル化、アミド化、フラビンの共有結合による付着、ヘム部分の共有結合による付着、ヌクレオチド又はヌクレオチド誘導体の共有結合による付着、脂質誘導体の共有結合による付着、ホスファチジルイノシトールの共有結合による付着、架橋、環化、ジスルフィド結合の形成、脱メチル化、共有結合性の架橋の形成、システインの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、GPIアンカー形成、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク分解プロセシング、ホスホリル化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化(selenoylation)、アルギニル化等の、タンパク質に対するアミノ酸のtRNA媒介付加、及びユビキチン化を包含する。
修飾は、ポリペプチドの骨格、そのアミノ酸側鎖、及びそのアミノ又はカルボキシル末端を含む、該ポリペプチドのどの部分でも起こり得る。事実、ポリペプチドのアミノ又はカルボキシル末端、又はこれら両者における、共有結合による遮断は、天然に産するポリペプチド及び合成ポリペプチドにおいて共通であり、またこのような修飾は、本発明のポリペプチドにおいても存在する。
【0022】
ポリペプチドにおいて起こるこれら修飾は、しばしば該ポリペプチドを製造した方法の関数である。組換えにより製造したポリペプチドに関して、その大部分における該修飾の性質及び程度は、特定の宿主細胞の翻訳後の修飾能力及び問題とするポリペプチドのアミノ酸配列中に存在する修飾シグナルによって決定されるであろう。例えば、グリコシル化パターンは、異なる型の宿主細胞間で変化する。
本発明のポリペプチドは、任意の適当な方法で製造できる。このようなポリペプチドは、単離された天然に産するポリペプチド(例えば、細胞培養物から精製されたもの)、組換え技術により製造したポリペプチド(融合タンパク質を含む)、合成により製造したポリペプチド又はこれら方法の組合せにより製造したポリペプチドを包含する。
本発明の第一局面による、機能的に等価なポリペプチドは、INSP093及びINSP094ポリペプチドと相同性のポリペプチドであり得る。2種のポリペプチドは、その一方のポリペプチドの配列が、その他方のポリペプチドの配列に対して十分に高い同一性又は類似性の度合いを持つ場合に、ここで使用する用語の意味としての、「相同」であるといわれる。「同一性」とは、整列された配列中の、任意の特定位置において、そのアミノ酸残基が、これら配列間で同一であることを示す。「類似性」とは、整列された配列中の、任意の特定位置において、そのアミノ酸残基が、これら配列間で類似型のものであることを示す。同一性又は類似性の度合いは、容易に計算できる(計算機による分子生物学(Computational Molecular Biology), A.M. Lesk編, Oxford University Press, NY, 1988; バイオコンピューティングインフォーマティックス及びゲノムプロジェクツ(Biocomputing Informatics and Genome Projects), D.W. Smith編, アカデミックプレス, NY, 1993; 配列データのコンピュータ解析(Computer Analysis of Sequence Data), Part I, A.M. Griffin & H.G. Griffin編, フマナプレス, NJ, 1994; 分子生物学における配列分析(Sequence Analysis in Molecular Biology), von Heinje, G., アカデミックプレス, 1987; 及び配列分析、プライマー((Sequence Analysis Primer), M. Gribskov & J. Devereux編, M Stockton Press, NY, 1991)。
【0023】
相同ポリペプチドは、従って該INSP093及びINSP094ポリペプチドの、天然産の生物学的変異体(例えば、該ポリペプチドを誘導した種内の、対立変異体又は地理的変異体)及び突然変異体(例えば、アミノ酸置換、挿入又は欠失を含む突然変異体)を包含する。このような突然変異体は、1以上のアミノ酸残基が、保存性又は非-保存性のアミノ酸残基(好ましくは、保存性アミノ酸残基)で置換されているポリペプチドを含むことができ、またこのような置換アミノ酸残基は、遺伝コードによってコードされるものであっても、コードされないものあってもよい。典型的なこの種の置換は、Ala、Val、Leu及びIle間で、SerとThrとの間で、酸性残基AspとGluとの間で、AsnとGlnとの間で、塩基性残基LysとArgとの間で、あるいは芳香族性残基PheとTyrとの間で起こる。特に好ましいものは、幾つかの、即ち5と10、1と5、1と3、1と2又は1のみのアミノ酸が、任意の組合せで置換、欠失又は付加されている変異体である。とりわけ好ましいものは、沈黙置換、付加及び欠失であり、これらは該タンパク質の特性及び活性を変更しない。同様に、この点に関して特に好ましいものは、保存性の置換である。このような突然変異体は、また1又はそれ以上のアミノ酸残基が、置換基を含むポリペプチドを包含する。
典型的には、2つのポリペプチド間の30%を越える同一性は、機能的に等価なものを示すものと考えられる。好ましくは、本発明の第一局面の機能的に等価なポリペプチドは、80%を越える、該INSP093及びINSP094ポリペプチドとの、又はその活性フラグメントとの配列同一性を持つ。より好ましくは、ポリペプチドは、夫々85%、90%、95%、98%又は99%を越える程度の同一性を持つ。
【0024】
本発明の第一局面の機能的に等価なポリペプチドは、また1又はそれ以上の構造的な整列技術を利用して同定されたポリペプチドであっても良い。例えば、バイオペンジウム(BiopendiumTM)検索データベースを生成するのに使用する研究手段の一局面を構成する、インファーマチカゲノムスレッダー(Inpharmatica Genome Threader)技術を用いて(PCT出願WO 01/69507を参照のこと)、現時点において未知の機能を持つポリペプチドを同定することができる。該未知の機能を持つポリペプチドは、該INSP093及びINSP094ポリペプチドと比較して低い配列同一性を持つが、該INSP093及びINSP094ポリペプチド配列との、有意な構造上の相同性を持つことによって、該IL-8様のケモカイン群の構成員であると予想されている。「有意な構造上の祖同姓」とは、インファーマチカゲノムスレッダーが、2種のタンパク質について、10%及びそれ以上の確実性にて、構造上の相同性を分け合っているものと予測したことを意味する。
本発明の第一局面のポリペプチドは、また該INSP093又はINSP094ポリペプチドのフラグメントもしくは該INSP093又はINSP094ポリペプチドの機能的に等価なフラグメントを含むが、これらのフラグメントは、該IL-8様ケモカイン群の構成員であるか、あるいは該INSP093又はINSP094ポリペプチドと共通の抗原決定基を持つことを条件とする。
【0025】
ここで使用する用語「フラグメント」とは、該INSP093又はINSP094ポリペプチド又はその機能的等価物の一種の、アミノ酸配列の全てではないが、その一部と同一のアミノ酸配列を持つポリペプチドを意味する。これらフラグメントは、少なくともn個の、該配列由来の連続するアミノ酸を含み、また特定の配列に依存して、このnは、好ましくは7又はそれ以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20又はそれ以上)である。小さなフラグメントが、抗原決定基を形成し得る。
完全な長さの該INSP093及びINSP094ポリペプチドのフラグメントは、夫々該INSP093及びINSP094ポリペプチド配列内の2又は3個の隣接するエキソン配列の組合せからなるものであり得る。例えば、このような組合せは、該INSP093ポリペプチドのエキソンA及びエキソンBを含む。このようなフラグメントは、本発明の範囲に含められる。本発明の更に好ましいフラグメントは、配列番号12に与えられているもの、即ち本発明においてクローニングされたINSP094のフラグメントである。
このようなフラグメントは、「それ自体独立した(free-standing)」ものであり得、即ち他のアミノ酸又はポリペプチドの一部でも、これと融合されたものでもなく、あるいはこれらは、より大きなポリペプチド内に含まれ、その一部又は領域を構成するものであっても良い。より大きなポリペプチド内に含まれる場合、本発明のフラグメントは、最も好ましくは単一の連続する領域を構成する。例えば、幾つかの好ましい態様は、アミノ末端に対して融合したプレ-及び/又はプロ-ポリペプチド領域を持つフラグメント及び/又は該フラグメントのカルボキシ末端に対して融合した追加の領域を持つフラグメントに関連する。しかし、幾つかのフラグメントは、単一の大きなポリペプチド内に含まれるものであり得る。
【0026】
本発明のポリペプチド又はその免疫原性フラグメント(少なくとも一つの抗原決定基を含む)は、該ポリペプチドに対して免疫特異的である、ポリクローナル又はモノクローナル抗体等のリガンドを生成するのに利用できる。このような抗体は、本発明のポリペプチドを発現するクローンの単離又は同定のために、又はアフィニティークロマトグラフィーによる該ポリペプチドの精製の目的で使用できる。これら抗体は、また当業者には明らかな如く、他にも用途があるが、特に診断又は治療用助剤として使用することができる。
上記用語「免疫特異的(immunospecific)」とは、これらの抗体が、公知の他の関連するポリペプチドに対するアフィニティーよりも、本発明のポリペプチドに対して、実質的に大きなアフィニティーを持つことを意味する。ここで使用する用語「抗体」とは、完全な分子並びにそのフラグメント、あるいはFab、F(ab')2及びFvを意味し、これらは問題とする抗原決定基と結合することができる。従って、このような抗体は、本発明の第一局面のポリペプチドと結合する。
「実質的に大きなアフィニティー」なる用語によって、我々は、既知の分泌されたタンパク質に対するアフィニティーと比較して、本発明のポリペプチドに対するアフィニティーに、測定可能な増加が見られることを意味する。
【0027】
好ましくは、このアフィニティーは、既知の分泌されたタンパク質、例えば該IL-8ケモカイン群タンパクの構成員に対するアフィニティーよりも、本発明のポリペプチドに対して、少なくとも1.5倍、2倍、5倍、10倍、100倍、103-倍、104-倍、105-倍、106-倍又はそれ以上である。
ポリクローナル抗体が望ましい場合には、選択された哺乳動物、例えばマウス、ウサギ、ヤギ又はウマを、本発明の第一局面のポリペプチドにより、免疫感作することができる。該動物を免疫感作するのに使用する該ポリペプチドは、組換えDNA技術によって誘導することができ、あるいは化学的に合成することができる。望ましくは、該ポリペプチドは、担体タンパク質との複合体を形成することができる。該ポリペプチドを化学的に結合できる、通常使用される担体は、ウシ血清アルブミン、チログロブリン及びキーホールリンペットヘモシアニンを含む。次いで、この結合したポリペプチドを、該動物の免疫感作のために使用する。この免疫化した動物由来の血清を集め、公知の手順、例えばイムノアフィニティークロマトグラフィーによって処理する。
本発明の第一局面のポリペプチドに対するモノクローナル抗体も、当業者は容易に製造できる。ハイブリドーマ技術を用いた、モノクローナル抗体を製造するための一般的な方法は周知である(例えば、Kohler, G. & Milstein, C., Nature, 1975, 256:495-497; Kozbor等, Immunology Today, 1983, 4:72; Cole等, モノクローナル抗体及び癌治療(Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy), pp. 77-96, Alan R. Liss, Inc. (1985)を参照のこと)。
【0028】
本発明の第一局面のポリペプチドに対して製造したモノクローナル抗体のパネルを、様々な特性、例えばイソタイプ、エピトープ、アフィニティー等についてスクリーニングすることができる。モノクローナル抗体は、これらに対して導かれた、個々のポリペプチドの精製において、特に有用である。あるいはまた、対象とするモノクローナル抗体をコードする遺伝子は、ハイブリドーマから、例えば当分野において公知のPCR技術によって単離し、また適当なベクターにクローニングし、かつそこで発現させることができる。非-ヒト可変部が、ヒト定常部と結合もしくは融合するキメラ抗体(例えば、Liu等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1987, 84:3439)も、有用であり得る。
この抗体は、例えばヒト化によって、個体内で、低免疫原性のものとなるように変性することができる(以下の文献を参照のこと:Jones等, Nature, 1986, 321:522; Verhoeyen等, Science, 1988, 239:1534; Kabat等, J. Immunol., 1991, 147:1709; Queen等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1989, 86:10029; Gorman等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1991, 88:34181;及びHodgson等, Bio/Technology, 1991, 9:421)。本明細書で使用する「ヒト化抗体」とは、非-ヒトドナー抗体の重鎖及び/又は軽鎖の可変部ドメインにおけるCDRアミノ酸及び選択された他のアミノ酸が、ヒト抗体における等価なアミノ酸の代わりに置換されている、抗体分子を意味する。従って、このヒト化抗体は、ヒト抗体と厳密に類似するが、該ドナー抗体の結合能を持つ。
更にまた、該抗体は、「二重特異性」抗体であり得、これは2つの異なる抗体結合ドメインを持つ抗体であり、各ドメインは異なるエピトープに対するものである。
【0029】
ファージディスプレイ技術は、関連する抗体の存在につきスクリーニングされた、ヒト由来のリンパ細胞の、PCR増幅されたV-遺伝子のレパートリーから、あるいはナイーブ(naive)ライブラリーから、本発明のポリペプチドに対する結合活性を持つ、抗体をコードする遺伝子の選別のために利用できる(McCafferty, J.等, Nature, 1990, 348:552-554; Mark, J.等, Biotechnology, 1992, 10:779-783)。これら抗体のアフィニティーは、また連鎖シャッフリングによっても改善できる(Clackson, T.等, Nature, 1991, 352:624-628)。
ポリクローナルであれ、モノクローナルであれ、上記技術により生成された抗体は、イムノアッセイ、ラジオイムノアッセイ(RIA)又は酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)における試薬として使用できる点で、付随的な有用性を持つ。これら用途において、これら抗体は、放射性同位元素、蛍光性分子又は酵素等の、分析により検出可能な試薬で標識することができる。
本発明の第二及び第三局面の好ましい核酸分子は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10及び配列番号12に記載のようなポリペプチド配列及び機能的に等価なポリペプチドをコードするものである。これらの核酸分子は、ここに記載する方法並びに用途において使用することができる。本発明の核酸分子は、好ましくは少なくともn個の、ここに記載する該配列由来の連続するヌクレオチドを含み、ここで特定の配列に依存して、このnは、10又はそれ以上(例えば、12、14、15、18、20、25、30、35、40又はそれ以上)である。
本発明の核酸分子は、また上記の核酸分子に対して相補的な配列(例えば、アンチセンス又はプロービングのための)をも包含する。
【0030】
本発明の核酸分子は、mRNA等のRNA、例えばcDNA、合成DNA又はゲノムDNA等を包含するDNAの形状を持つことができる。このような核酸分子は、クローニング、化学的な合成技術、又はこれらの組合せによって得ることができる。これら核酸分子は、例えば固相ホスホロアミダイト化学合成等の技術を用いて、ゲノム又はcDNAライブラリーから、あるいは生物からの分離によって、製造することができる。RNA分子は、一般にDNA配列のインビボ又はインビトロ転写によって、生成し得る。
これらの核酸分子は一本鎖又は二本鎖何れであっても良い。一本鎖DNAは、センスストランドとしても知られる、コードストランドであり得、あるいはアンチセンスストランドとしても知られる、非-コードストランドであっても良い。
用語「核酸分子」とは、またDNA及びRNAの類似体、例えば修飾された骨格を持つもの及びペプチド核酸(PNA)を含む。ここで使用する用語「PNA」とは、好ましくはリジンで終端する、アミノ酸残基を含むペプチド骨格と結合した、少なくとも5個のヌクレオチドに相当する長さを持つ、オリゴヌクレオチドを含む、アンチセンス分子又はアンチ-ジーヌ(anti-gene)剤を意味する。該末端リジンは、この構造に溶解性を付与する。PNAは、ペギレート化(pegylated)して、細胞内でのその寿命を延長することができ、ここで該PNAは、相補性の一本鎖DNA及びRNAと優先的に結合しかつ転写物の伸長を停止することができる(Nielsen, P.E.等, Anticancer Drug Des., 1993, 8:53-63)。
本発明のポリペプチドをコードする核酸分子は、ここに記載する核酸分子の1種又はそれ以上のコード配列と同一であり得る。
【0031】
これらの分子は、また遺伝的コード縮重の結果として、ポリペプチド:配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10又は配列番号12をコードする、異なった配列を持つことができる。このような核酸分子は、該成熟ポリペプチド自体に対するコード配列;該成熟ポリペプチドに対するコード配列及び追加のコード配列、例えばプロ-、プレ-又はプレプロ-ポリペプチド配列等のリーダー又は分泌配列をコードするもの;上記追加のコード配列との組合せで又は単独で、転写(終止シグナルを含む)、リボソーム結合及びmRNAの安定性においてある役割を演じる、転写された、非-翻訳配列等の、非-コード5'及び3'配列を包含する、更なる追加の、非-コード配列を含む、該成熟ポリペプチドに対するコード配列を包含するが、これらに限定されない。これらの核酸分子は、また付随的な官能性をもたらすもの等の、追加のアミノ酸をコードする、付随的な配列を含むこともできる。
本発明の第二及び第三局面の核酸分子は、また該ポリペプチドのフラグメント又はその機能的な等価物及び本発明の第一局面のフラグメントをもコードし得る。このような核酸分子は、天然に産する変異型、例えば天然に産するアレリック変異型であり得、あるいは該分子は、天然に産することが知られていない変異型であり得る。該核酸分子の天然産以外のこのような変異型は、突然変異誘発技術、例えば核酸分子、細胞又は器官に適用されるものを含むこれら技術により、製造することができる。
【0032】
この点に関連して、変異型としては、特にヌクレオチド置換、欠失又は挿入によって、上記核酸分子とは異なる変異体を挙げることができる。この置換、欠失又は挿入は、1又はそれ以上のヌクレオチドを含む。該変異体は、コード、非-コード領域又は両者において変更することができる。コード領域における変更は、保存性又は非-保存性アミノ酸の置換、欠失又は挿入を発生する可能性がある。
また、本発明の核酸分子は、該遺伝子生成物(ポリペプチド)のクローニング、プロセッシング、及び/又は発現を含む様々な理由で、当業者において一般的に公知の方法を用いて、操作することができる。ランダムフラグメント化及び遺伝子フラグメント及び合成オリゴヌクレオチドのPCR再集合(PCR reassembly)によるDNAシャッフリングは、該ヌクレオチド配列を操作するために使用できる技術として含まれる。サイト特異的突然変異誘発を利用して、新たな制限サイトの挿入、グリコシル化パターンの変更、コドンの優先性の変更、切片変異型の生成、突然変異の導入等を可能とする。
本発明の第一局面のポリペプチドをコードする核酸分子は、異種配列と結合し、融合タンパク質をコードする、結合核酸分子を得ることを可能とする。このような結合核酸分子は、本発明の第二又は第三の局面に含まれる。例えば、該ポリペプチドの活性の阻害剤に関するペプチドライブラリーをスクリーニングするために、このような結合核酸分子を用いて、市販品として入手できる抗体により認識できる、融合タンパク質を発現するのに有用であり得る。融合タンパク質を、本発明によるポリペプチドの配列と、異種タンパク質の配列との間に位置する開裂サイトを含むように操作して、該ポリペプチドを、該異種タンパク質から開裂し、かつこれから精製し得るようにすることが可能である。
【0033】
本発明の核酸分子は、また本発明のポリペプチドをコードする核酸分子と、部分的に相補的であり、またその結果として該コード核酸分子とハイブリッドを形成する(ハイブリッド化)、アンチセンス分子を含む。このようなアンチセンス分子、例えばオリゴヌクレオチドは、当業者には公知であるように、本発明のポリペプチドをコードする、ターゲット核酸を識別し、特異的にこれと結合し、かつその転写を阻止するように設計することができる(例えば、Cohen, J.S. Trends in Pharm. Sci., 1989, 10:435; Okano, J. Neurochem. 1991, 56:560; O'Connor, J. Neurochem. 1991, 56:560; Lee等, Nucleic Acids Res. 1979, 6:3073; Cooney等, Science, 1988, 241:456; Dervan等, Science, 1991, 251:1360を参照のこと)。ここで使用する用語「ハイブリッド化」とは、2つの核酸分子の、水素結合による相互の結合を意味する。典型的には、1個の分子が固体担体に固定され、また他方の分子は溶液中で遊離状態にある。次いで、これら2つの分子を、水素結合にとって好ましい条件下で、相互に接触状態に置くことができる。この結合に影響を及ぼす因子は、溶媒の型及び体積、反応温度、ハイブリッド化時間、撹拌、該液相中の分子の、該固体担体への非-特異的な結合を遮断する試薬(デンハート試薬又はBLOTTO);該分子の濃度、分子の結合速度を高めるための試薬(デキストランサルフェート又はポリエチレングリコール)、及びハイブリッド化後の洗浄条件のストリンジェンシーを包含する(Sambrook等の[上記文献]を参照のこと)。
ターゲット分子と完全に相補的な分子のハイブリッド化の阻害は、当分野において公知である如く、ハイブリッド化アッセイを利用して検討することができる(例えば、Sambrook等の[上記文献]を参照のこと)。従って、実質的に相同な分子は、Wahl, G.M. & S.L. Berger (Methods Enzymol. 1987, 152:399-407)及びKimmel, A.R. (Methods Enzymol. 1987, 152:507-511)において教示されているように、様々なストリンジェンシー条件下で、ターゲット分子と完全に相補的な分子の結合と競合し、かつ阻害するであろう。
【0034】
「ストリンジェンシー」とは、非常に似通っている分子同士の結合を、異なる分子間の結合よりも好ましいものとする、ハイブリッド化反応における条件を意味する。高ストリンジェンシーハイブリッド化条件は、50%のホルムアミド、5XSSC(150mMのNaCl、15mMのクエン酸3ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH 7.6)、5xデンハート溶液、10%デキストランサルフェート、及び20μg/mlの変性、剪断サケ精液DNAを含む溶液中で、42℃にて一夜インキュベートし、次いで該フィルターを約65℃にて0.1X SSCで洗浄するものとして定義される。低ストリンジェンシー条件は、このハイブリッド化反応を35℃にて行うことを含む(Sambrook等の[上記文献]を参照のこと)。好ましくは、ハイブリッド化のために使用するこれら条件は、高度にストリンジェンシーな条件である。
本発明のこの局面の好ましい態様は、該INSP093又はINSP094ポリペプチドをコードする核酸分子に対して、同一性が、全長に渡り少なくとも70%である核酸分子、及びこのような核酸分子に対して実質的に相補的な核酸分子である。好ましくは、本発明のこの局面による核酸分子は、このようなコード配列に対して、同一性が、全長に渡り少なくとも80%である領域を含み、あるいは該コード配列に対して相補的な核酸分子である。この点に関連して、該コード配列に対して、同一性が、全長に渡り少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、99%又はそれ以上である核酸分子が、特に好ましい。この点に関連して好ましい態様は、該INSP093又はINSP094ポリペプチドと同一の生物学的機能又は活性を実質的に維持する、ポリペプチドをコードする核酸分子である。
【0035】
本発明は、また本発明の核酸分子を検出するための方法をも提供するものであり、この方法は、以下に列挙する諸工程を含む:(a) 本発明による核酸プローブと、生物学的サンプルとを、デュプレックスを形成するハイブリッド化条件下で、接触させる工程、及び(b) 形成されるあらゆるこのようなデュプレックスを検出する工程。
以下において、本発明に従って使用することのできるアッセイとの関連で、付随的に論じるように、上記のような核酸分子は、RNA、cDNA又はゲノムDNAに対するハイブリッド化用のプローブとして使用して、該INSP093又はINSP094ポリペプチドをコードする完全な長さのcDNA及びゲノムクローンを単離し、またこのポリペプチドをコードする遺伝子に対して高い配列類似性を持つ、相同又はオーソロガス遺伝子のcDNA及びゲノムクローンを単離することができる。
この点に関連して、当分野において公知の、特に以下の技術を利用することができ、またこれらを例示の目的で以下に論じる。DNAの配列決定法及び分析法は周知であり、また当分野において一般的に利用でき、実際に、ここで論じる本発明の多くの態様を実施するのに利用できる。このような方法は、酵素、例えばDNAポリメラーゼIのクレノウフラグメント、シーケナーゼ(Sequenase; OH、クリーブランドのUSバイオケミカル社(US Biochemical Corp.))、Taqポリメラーゼ(パーキンエルマー(Perkin Elmer))、熱安定性T7ポリメラーゼ(IL、シカゴのアマーシャム(Amersham))、又はポリメラーゼとプルーフリーディングエキソヌクレアーゼ、例えばギブコ/BRL(MD、ガイザースバーグ)により市販されている、ELONGASE増幅システム(Amplification System)において見出されるものとの組合せを使用することができる。好ましくは、配列決定法は、ハミルトンミクロラブ(Hamilton Micro Lab) 2200 (NV、レノのハミルトン社)、ペルチェサーマルサイクラー(Peltier Thermal Cycler)(PTC200; MA、ウォータータウンのMJリサーチ(MJ Research)社)及びABIキャタリスト(Catalyst)及び373及び377DNAシーケンサ(Sequencers;パーキンエルマー)等の装置を使用して、自動化することができる。
【0036】
該INSP093ポリペプチドと等価な機能を持つポリペプチドをコードする核酸分子を単離するための一つの方法は、当分野において認識されている標準的な手順を用いて、天然又は人工的に設計したプローブを用いて、ゲノム又はcDNAライブラリーを精査することである(例えば、アウスベル(Ausubel)等(編)の「カレントプロトコールインモレキュラーバイオロジー(Current Protocols in Molecular Biology)」, Greene Publishing Association & John Wiley Interscience, NY, 1989, 1992を参照のこと)。適当なコード遺伝子(配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7及び配列番号9)由来の核酸配列に相当する、あるいはこれに対して相補的な、少なくとも15個の、好ましくは少なくとも30個の、及びより好ましくは少なくとも50個の、連続する塩基を含むプローブが、特に有用なプローブである。このようなプローブは、分析により検出可能な試薬で標識して、その同定を簡略化することができる。有用な試薬は、放射性同位元素、蛍光性染料及び検出可能な生成物の形成を触媒することのできる酵素を含むが、これらに限定されない。これらのプローブを使用することにより、当業者は、ヒト、哺乳動物又は他の動物源由来の、対象とするタンパク質をコードする、ゲノムDNA、cDNA又はRNAポリヌクレオチドの、相補的なコピーを単離し、かつこのような源を、関連する配列、例えば該群(family)、タイプ及び/又はサブタイプの付随的な構成員についてスクリーニングすることが可能となる。
【0037】
多くの場合において、単離cDNA配列は、該ポリペプチドをコードする領域が、通常は5'末端において、短く切断される点において、不完全である。幾つかの方法を利用して、完全な長さのcDNAを得、もしくは短いcDNAを伸長する。部分的なヌクレオチド配列を使用し、かつ当分野において公知の様々な方法を利用して、このような配列を伸長して、上流側の配列、例えばプロモータ及び調節要素を検出することができる。例えば、使用可能な方法の一つは、cDNA末端の迅速な増幅(Rapid Amplification of cDNA Ends)方法に基くものである(RACE;例えばFrohman等, PNAS USA 1988, 85:8998-9002を参照)。例えば、マラソン(MarathonTM)技術(クロンテックラボラトリーズ社(Clontech Laboratories Inc.))によって代表される、この技術の最近の改良は、より長いcDNAに関する探索を、大幅に簡略化した。「制限-サイト」PCRと呼ばれる、幾分異なる技術は、既知の遺伝子座と隣接する未知の核酸配列を探し出すために、普遍プライマーを使用する(Sarkar, G., PCR Methods Applic., 1993, 2:318-322)。また、逆PCRを利用して、既知領域に基いて、多様型プライマーを用いて、配列を増幅し、あるいは伸長することができる(Triglia, T.等, Nucleic Acids Res., 1988, 16:8186)。使用できるもう一つの方法は、捕獲PCRであり、この方法はヒト及び酵母の人工染色体DNAにおける既知の配列に隣接するDNAフラグメントのPCR増幅を含む(Lagerstrom, M.等, PCR Methods Applic., 1991, 1:111-119)。未知の配列を捜し出すために使用できるもう一つの方法は、Parkar, J.D.等の方法(Nucleic Acids Res., 1991, 19:3055-3060)である。更に、PCR、ネステッドプライマー、及びプロモータファインダ(PromoterFinderTM)ライブラリーを使用して、ゲノムDNAを探すことができる(CA, パロアルトのクロンテック(Clontech)社)。この方法は、ライブラリーをスクリーニングする必要性を排除し、またイントロン/エキソン結合を見出す上で有用である。
【0038】
完全な長さのcDNAをスクリーニングするに際して、より大きなcDNAを含めるように、サイズ-選別されているライブラリーを使用することが好ましい。また、遺伝子の5'領域を含む配列をより多く含む点において、無秩序に感作されたライブラリーが好ましい。無秩序に感作されたライブラリーの使用は、オリゴd(T)ライブラリーが、完全な長さのcDNAを生成しない状況に対して、特に好ましい可能性がある。ゲノムライブラリーは、5'非-転写調節領域に、配列を伸長するために有用であり得る。
本発明の一態様において、本発明の核酸分子は、染色体を局在化するために使用できる。この技術において、核酸分子を、特に目標とし、また個々のヒト染色体上の特定の位置で、これとハイブリッド化することができる。本発明による染色体と関連する配列のマッピングは、遺伝子関連疾患と、これら配列との確証的関連付けにおいて重要な段階である。一度、配列が、正確な染色体位置に関してマッピング(位置決定)されると、該染色体上の該配列の物理的な位置は、遺伝子マップデータと関連付けすることができる。このようなデータは、例えばV. McKusick, ヒトにおけるメンデル遺伝(Mendelian Inheritance in Man)(ジョーンズホプキンス大学ウエルチメディカルライブラリー(Johns Hopkins University Welch Medical Library)を通してオンラインで入手可能である)に見られる。次いで、同一の染色体領域にマッピングされている遺伝子と疾患との関連性を、結合分析(物理的に隣接する遺伝子の同時遺伝)によって同定する。これは、位置クローニング又は他の遺伝子発見技術を用いて、疾患遺伝子を探索する研究者に、価値ある情報を提供する。一旦、該疾患又は症候群が、特定のゲノム領域に対する遺伝的結合によって、大雑把に局在化されれば、該当領域に関するあらゆる配列マッピングが、更なる検討のための、関連又は調節遺伝子を表す可能性がある。該核酸分子は、また正常な、キャリヤとしての又は罹患した個体における、転位、逆位等による、染色体位置における差異の検出のために使用することができる。
【0039】
本発明の核酸分子は、また組織の局在化にとっても価値がある。このような技術は、また組織内のポリペプチドの発現パターンを、該ポリペプチドをコードするmRNAの検出により、決定することを可能とする。これら技術は、その場でのハイブリッド化技術及びヌクレオチド増幅技術、例えばPCR技術を包含する。これらの研究により得られる結果は、該生物における該ポリペプチドの正常な機能の指標を与える。更に、mRNAの正常な発現パターンと、突然変異遺伝子によってコードされるmRNAによる発現パターンとの比較研究は、疾患における突然変異ポリペプチドの役割に関する有益な見識を与える。このような不適当な発現は、時間的、空間的又は定量的特性を持つものである。
遺伝子のスライシング法は、本発明のポリペプチドをコードする遺伝子の内在的発現をダウンレギュレーションすることも可能である。RNA干渉(RNAi)(Elbashir, SM等, Nature, 2001, 411:494-498)は、利用することのできる、配列特異的な転写後の遺伝子サイレント化法(gene silencing)の一つである。短いdsRNAオリゴヌクレオチドを、インビトロで合成し、かつ細胞内に導入する。これらdsRNAオリゴヌクレオチドの、配列特異的結合は、ターゲットmRNAの分解を開始させ、ターゲットタンパク発現を減少又は削除する。
上で評価した遺伝子サイレント化法の有効性は、ポリペプチド発現の測定(例えば、ウエスタンブロッティング法による)を通して、またTaqManを基本とする方法を利用して、RNAレベルで評価することができる。
【0040】
本発明のベクターは、本発明の核酸分子を含み、またクローニング又は発現ベクターであり得る。本発明のベクターによって形質転換、トランスフェクション又は形質導入することのできる、本発明の宿主細胞は、原核細胞又は真核細胞何れであっても良い。
本発明のポリペプチドは、宿主細胞内に含まれるベクター中のコード核酸分子の発現により、組換え体として作ることができる。このような発現法は、当業者には周知であり、またその多くは、Sambrook等[上記文献]及びFernandez & Hoeffler(1998, 編,「遺伝子発現系。発現技術に関する特徴を利用(Gene expression systems. Using nature for the art of expression)」アカデミックプレス、サンジエゴ、ロンドン、ボストン、NY、シドニー、東京、トロント)に詳しく記載されている。
一般に、所定の宿主内でポリペプチドを製造するためには、核酸分子を維持し、増殖させ又は発現させるのに適した、任意の系又はベクターを使用することができる。この適当なヌクレオチド配列を、様々な周知かつルーチン技術、例えばSambrook等[上記文献]に記載されている技術の何れかによって、発現系に挿入することができる。一般に、該コード遺伝子は、制御要素、例えばプロモータ、リボソーム結合系(バクテリア発現の場合)及び場合によってはオペレータの制御下に置いて、該所定のポリペプチドをコードする該DNA配列を、該形質転換された宿主細胞内のRNAに転写することができる。
【0041】
適当な発現系の例は、例えば染色体、エピソーム及びウイルス由来の系、例えばバクテリアプラスミド、バクテリオファージ、トランスポゾン、酵母エピソーム、挿入要素、酵母染色体要素、ウイルス、例えばバキュロウイルス、パポーバウイルス、例えばSV40、ワクチニアウイルス、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルス及びレトロウイルス由来のベクター又はこれらの組合せ、例えばコスミド及びファージミドを含む、プラスミド及びバクテリオファージ遺伝子要素由来のものを包含する。ヒトの人工的な染色体(HACs)も、プラスミド内に含まれ、かつ発現し得るものよりも大きなDNAフラグメントを放出するのに使用できる。ベクターpCR4-TOPO-INSP094(図7)、pENTR-INSP094-6HIS(図11)、pEAK12d-INSP094-6HIS(図12)及びpDEST12.2-INSP094-6HIS(図13)が、INSP094に関連する本発明の局面に従って使用するのに適したベクターの、好ましい例である。
特に適した発現系は、組換えバクテリオファージ、プラスミド又はコスミドDNA発現ベクターで形質転換されたバクテリア等の微生物;酵母発現ベクターにより形質転換された酵母;ウイルス(例えば、バキュロウイルス)発現ベクターにより形質転換された昆虫細胞系;ウイルス(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)発現ベクター又はバクテリア発現ウイルス(例えば、Ti又はpBR322プラスミド)により形質転換された植物細胞系;又は動物細胞系を包含する。また、細胞を含まない翻訳系を使用して、本発明のポリペプチドを製造することも可能である。
【0042】
本発明のポリペプチドをコードする核酸分子の、宿主細胞への導入は、多くの標準的な実験室マニュアル例えばDavis等の分子生物学における基本的な方法(Basic Methods in Molecular Biology)(1986)及びSambrook等[上記文献]に記載されている方法により、行うことができる。特に適した方法は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、トランスフェクション、マイクロインジェクション、カチオン性脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、スクレイプローディング(scrape loading)、弾道導入又は感染を包含する(例えば、Sambrook等, 1989 [上記文献]; Ausubel等, 1991 [上記文献]; Spector, Goldman & Leinwald, 1998を参照のこと)。真核生物細胞において、発現系は、該系の必要に応じて、一時的(例えば、エピソーム性)又は永続的(染色体への組込み)の何れかであり得る。
該コード核酸分子は、例えば小胞体の内腔、細胞質空間又は細胞外環境に、該翻訳されたポリペプチドを分泌するために望ましい、コントロール配列をコードする配列、例えばシグナルペプチド又はリーダー配列を含んでも、含まなくても良い。これらシグナルは、該ポリペプチドに対して内在性であり得、あるいはこれらは、異種シグナルであり得る。リーダー配列は、翻訳後のプロセッシングにおいて、バクテリア宿主により除去され得る。
【0043】
コントロール配列に加えて、該宿主細胞の成長と相対的に、該ポリペプチドの発現を調節することを可能とする、調節配列を付加することが望ましい可能性がある。調節配列の例は、調節化合物の存在を含む化学的又は物理的な刺激、又は様々な温度又は代謝条件に応答して、遺伝子発現の増減を引起すものである。調節配列は、該ベクターの非-翻訳領域のもの、例えばエンハンサ、プロモータ及び5'及び3'未翻訳領域である。これらは、宿主細胞タンパクと相互作用して、転写及び翻訳を行う。このような調節配列の長さ及び特異性は、変動し得る。使用したベクター系及び宿主に依存して、構成的及び誘導性プロモータを含む、任意の数の適当な転写及び翻訳要素を用いることができる。例えば、バクテリア系内でクローニングする場合、誘導性プロモータ、例えばBluescriptファージミド(CA、ラジョラのストラタジーヌ(Stratagene))又はpSportlTMプラスミド(ギブコBRL)等のハイブリッドlacZプロモータ等を使用することができる。バキュロウイルスポリヘドリンプロモータを、昆虫細胞内で使用することができる。植物細胞ゲノム由来(例えば、熱ショック、RUBISCO及び貯蔵タンパク遺伝子)又は植物ウイルス(例えば、ウイルスプロモータ又はリーダー配列)由来のプロモータ又はエンハンサを、このベクターにクローニングすることができる。哺乳動物細胞系においては、哺乳動物遺伝子又は哺乳動物ウイルス由来のプロモータが好ましい。該配列の複数のコピーを含む細胞系を生成する必要がある場合には、SV40又はEBVに基くベクターを、適当な選別マーカーと共に使用することができる。
【0044】
発現ベクターを、適当な核酸コード配列が、適当な調節配列を含むベクター内に位置するように構築する。ここで、該調節配列に対する、該コード配列は、このコード配列が、該調節配列の「制御」の下で転写されるように、配置され、かつ配向されている。即ち、該コントロール配列において該DNA分子と結合しているRNAポリメラーゼは、該コード配列を転写する。幾つかの場合において、該配列を修飾して、これを、適当な配向で、該コントロール配列に結合できることが必要である。即ち、該読み取り枠を維持することが必要であり得る。
該コントロール配列又は他の調節配列を、ベクター内に挿入する前に、該核酸コード配列と連結することができる。あるいはまた、該コード配列は、既に該コントロール配列及び適当な制限サイトを含んでいる発現ベクターに、直接クローニングすることができる。
組換えポリペプチドを、長期に渡り、高収率で生産するためには、安定な発現が好ましい。例えば、対象とする該ポリペプチドを安定に発現する細胞系は、ウイルス起源の複製及び/又は内在性の発現要素及び選別可能なマーカー遺伝子を、同一の又は別々のベクター内に含むことのできる、発現ベクターを用いて形質転換することができる。該ベクターの導入に続いて、細胞を選別培地での培養に切り替える前に、これらを1-2日間に渡り、栄養強化培地で育成することができる。選別可能なマーカーを用いる目的は、選別に対する抵抗性を付与することにあり、その存在は、該導入された配列を首尾よく発現する細胞の育成及び回収を可能とする。安定に形質転換された細胞の耐性クローンを、この種の細胞にとって適当な、組織培養技術を用いて増殖させることができる。
【0045】
発現用の宿主として利用できる哺乳動物細胞系は、当分野において公知であり、アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection; ATCC)から入手できる、多くの不死化細胞系を包含し、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)、HeLa、ベビーハムスター腎臓(BHK)、サルの腎臓(COS)、C127、3T3、BHK、HEK 293、ボウエ(Bowes)黒色腫、及びヒト肝細胞癌腫(例えば、Hep G2)細胞及び多くの他の細胞系を含むが、これらに限定されない。
バキュロウイルス系において、バキュロウイルス/昆虫細胞発現系用の物質は、市販品として、特にCA、サンジエゴのインビトロゲン(Invitrogen)社から、キット(マックスバック(MaxBac)キット)として入手できる。これらの技術は、一般に当業者には公知であり、Summers & Smith, Texas Agricultural Experiment Station Bulletin No.1555 (1987)に十分に記載されている。この系において使用するのに特に適した宿主細胞は、昆虫細胞、例えばドロソフィラ(Drosophila) S2及びスポドプテラ(Spodoptera) Sf9細胞である。
当分野において公知の、多くの植物細胞培養物及び全植物遺伝子発現系がある。適当な植物細胞遺伝子発現系の例は、米国特許第5,693,506号、同第5,659,122号及び同第5,608,143号に記載されているものを包含する。植物細胞培養物中の遺伝子発現系の更なる例は、Zenk, Phytochemistry, 1991, 30:3861-3863に記載されている。
【0046】
特に、プロトプラストを単離し、かつ培養して全再生植物を与えることのできる、全ての植物を使用することができ、従って全植物を回収することができ、これは該伝達された遺伝子を含む。実際に、全ての植物は、培養細胞又は組織から再生することができる。サトウキビ、サトウダイコン、綿、果実及び他の樹木、マメ科植物及び野菜の主な種の全てを含むが、これらに制限されない。
特に好ましいバクテリア宿主細胞の例は、ストレプトコッカス(streptococci)、スタフィロコッカス(staphylococci)、E.コリ(E. coli)、ストレプトミセス(Streptomyces)、及びバチルスズブチリス(Bacillus subtilis)細胞を包含する。
真菌発現用に特に適した宿主細胞の例は、酵母細胞(例えば、S.セレビシアエ(S. cerevisiae))及びアスペルギルス(Aspergillus)細胞を含む。
形質転換細胞系を回収するのに使用できる、多数の選別系が、当分野において公知である。その例は、単純疱疹ウイルスチミジンキナーゼ(Wigler, M.等, Cell, 1977, 11:223-32)及びアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy, I.等, Cell, 1980, 22:817-23)遺伝子を含み、これらは夫々、tk-又はaprt±細胞において使用できる。また、代謝拮抗物質、抗生物質又は除草剤耐性を、選別用の基礎として使用することができ、例えばメトトレキセートに対する耐性を付与する、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)(Wigler, M.等, Proc. Natl. Acad. Sci., 1980, 77:3567-70);アミノグリコシドネオマイシン及びG-418に対する耐性を付与する、npt(Colbere-Garapin, F.等, J. Mol. Biol., 1981, 150:1-14);及び夫々クロルスルフロン(Chlorsulfuron)及びホスフィノトリシン(phosphinotricin)アセチルトランスフェラーゼ対する耐性を付与するals又はpatである。更なる選別可能な遺伝子が記載されており、その例は、当業者には明らかであろう。
【0047】
マーカー遺伝子発現の有無は、対象とする遺伝子も存在し、その存在及び発現を、確認する必要があることを示唆している。例えば、関連する配列が、マーカー遺伝子配列内に挿入されている場合、この適当な配列を含む形質転換細胞は、マーカー遺伝子機能が無いことによって同定できる。あるいはまた、マーカー遺伝子が、単一のプロモータの制御の下で、本発明のポリペプチドをコードする配列と、縦列状態で配置することができる。誘導又は選別に応答する、このマーカー遺伝子の発現は、通常該縦列遺伝子の発現をも示す。
あるいはまた、本発明のポリペプチドをコードする核酸配列を含み、また該ポリペプチドを発現する宿主細胞は、当業者には公知の様々な手順で同定できる。これらの手順は、DNA-DNA又はDNA-RNAハイブリッド化、及びタンパク質バイオアッセイ、例えば蛍光活性化細胞選別(FACS)、又はイムノアッセイ技術(例えば、酵素結合イムノソルベントアッセイ[ELISA]及びラジオイムノアッセイ[RIA])を含むが、これらに限定されず、これらは、膜、溶液又はチップを基本とする、核酸又はタンパク質の検出及び/又は定量用の技術を包含する(Hampton, R.等, 血清学的方法(Serological Methods), 研究室用マニュアル(a Laboratory Manual), APS Press, MN、セントポール及びMaddox, D.E.等, J. Exp. Med., 1983, 158:1211-1216を参照のこと)。
【0048】
広範囲に渡る標識及び複合化技術が当業者には公知であり、また様々な核酸及びアミノ酸アッセイにおいて利用できる。本発明のポリペプチドをコードする核酸分子と関連する配列を検出するための、標識されたハイブリッド化又はPCRプローブを製造するための手段は、オリゴ標識化(oligolabelling)、ニックトランスレーション、末端標識、又は標識したポリヌクレオチドを使用するPCR増幅を包含する。あるいはまた、本発明のポリペプチドをコードする配列は、mRNAプローブを製造するために、ベクター中にクローニングすることができる。このようなベクターは当業者において公知であり、市販品として入手可能であり、またインビトロにて、適当なRNAポリメラーゼ、例えばT7、T3、又はSP6及び標識されたヌクレオチドの添加により、RNAプローブを合成するために利用できる。これらの手順は、様々な市販品として入手できるキット(ファルマーシア&アップジョン(MI、カラマゾー);プロメガ(WI、マディソン);及びU.S.バイオケミカル社(U.S. Biochemical Corp., OH、クリーブランド))を用いて、実施することができる。
欠失を容易にするために使用できる、適当なリポータ分子又はラベルは、放射性核種、酵素及び蛍光性物質、化学発光物質又は色素原物質並びに基質、補助因子、阻害剤、磁性粒子等を含む。
本発明による核酸分子は、またトランスジェニック動物、特に齧歯目の動物を創造するのに使用することができる。このようなトランスジェニック動物は、本発明の更なる局面を構成する。これは、体細胞の変性により、あるいは生殖系列療法(germ line therapy)によって局所的に行って、遺伝性の修飾を組込むことができる。このようなトランスジェニック動物は、本発明のポリペプチドのモジュレータとして効果的な薬物分子に対する、動物モデルの生成において、特に有用であり得る。
【0049】
該ポリペプチドは、硫酸アンモニウム又はエタノール沈殿、酸抽出、アニオン又はカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、及びレクチンクロマトグラフィーを含む周知の方法によって、組換え細胞培養物から回収し、かつ精製することができる。精製のためには、高性能液体クロマトグラフィーが特に有用である。該ポリペプチドが、その単離及び/又は生成中に変性する場合には、その活性な立体配座を再生するために、タンパク質再生用の周知の技術を利用することができる。
また、特殊なベクター構造を使用して、所望の如く、本発明のポリペプチドをコードする配列と、可溶性のタンパク質の精製を容易にするであろう、ポリペプチドドメインをコードするヌクレオチド配列とを結合することにより、タンパク質の精製を簡略化することができる。このような精製を簡略化するドメインの例は、金属キレート化ペプチド、例えば固定化金属上での精製を可能とするヒスチジン-トリプトファンモジュール、固定化免疫グロブリン上での精製を可能とするプロテインAドメイン、及びFLAGS/アフィニティー精製システム(WA、シアトルのイムネックス社(Immunex Corp.))において使用されるドメインを包含する。開裂可能なリンカー配列、例えばファクタXA又はエンテロキナーゼ(CA、サンジエゴのインビトロゲン社)に対して特異的なものの、該精製ドメインと本発明のポリペプチドとの間への挿入は、精製を容易化する目的で利用できる。このような発現ベクターの一つは、本発明のポリペプチドを含む融合タンパク質の発現のために準備する。該融合タンパク質は、チオレドキシン又はエンテロキナーゼ開裂サイトよりも先行する、幾つかのヒスチジン残基と融合している。これらのヒスチジン残基は、IMAC(Porath, J.等, Prot. Exp. Purif., 1992, 3:263-281に記載されているような、固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィー)による精製を簡略化するが、チオレドキシン又はエンテロキナーゼ開裂サイトは、該融合タンパク質から該ポリペプチドを精製するための手段を与える。融合タンパク質を含有するベクターに関する議論は、Kroll, D.J.等(DNA Cell Biol., 1993, 12:441-453)によって与えられている。
【0050】
該ポリペプチドを、スクリーニングアッセイにおいて使用する目的で発現させる場合には、一般に、これを発現する宿主細胞の表面において製造することが好ましい。この点に関連して、該宿主細胞は、例えば蛍光活性化細胞分別(FACS)又はイムノアフィニティー技術を用いて、該スクリーニングアッセイで使用する前に収穫することができる。該ポリペプチドが該培地中に分泌される場合、該培地を回収して、発現された該ポリペプチドを回収し、かつ精製することができる。ポリペプチドが細胞内で製造される場合、該ポリペプチドを回収するに先立って、まず該細胞を溶解する必要がある。
本発明のポリペプチドは、様々な薬物スクリーニング技術の何れかにおいて、化合物のライブラリーをスクリーニングするために使用することができる。このような化合物は、該遺伝子の発現レベル又は本発明のポリペプチドの活性レベルを、活性化(活発化)又は阻害(拮抗、相殺)することができ、また本発明の更なる局面を構成する。好ましい化合物は、本発明の第一局面のポリペプチドをコードする、天然遺伝子の発現を変更し、あるいは本発明の第一局面のポリペプチドの活性を調節するのに有効である。
アゴニスト又はアンタゴニスト化合物は、例えば細胞、細胞を含まない処方物、化学ライブラリー又は天然生成物の混合物から単離することができる。これらのアゴニスト又はアンタゴニストは、天然又は変性基質、リガンド、酵素、レセプター、又は構造的又は機能的擬似物質であり得る。このようなスクリーニング技術に関する適当な概説に関しては、Coligan等, Current Protocols in Immunology, 1991, 1(2):第5章を参照のこと。
【0051】
高い可能性で良好なアンタゴニストであると考えられる化合物は、結合した際に、本発明のポリペプチドの生物学的な効果を誘発することなしに、該ポリペプチドと結合する分子である。有力なアンタゴニストは、小さな有機分子、ペプチド、ポリペプチド、及び本発明のポリペプチドと結合して、その活性を阻害し、もしくは消滅させる抗体を包含する。このように、該ポリペプチドの正常な細胞結合分子との結合を、阻害することができ、結果的に該ポリペプチドの正常な生物学的活性が阻止される。
このようなスクリーニング技術において使用される本発明のポリペプチドは、溶液中で遊離状態とし、固体担体に固定し、細胞表面上に担持させ、又は細胞内に配置させることができる。一般に、このようなスクリーニング手順は、該ポリペプチドを発現する適当な細胞又は細胞膜の使用を含み、該ポリペプチドは、結合、又は機能的応答の刺激又は阻害を観察するためのテスト化合物と接触される。該テスト化合物と接触状態にある、該細胞の該機能的な応答を、次に該テスト化合物と接触していないコントロール細胞とを比較する。このようなアッセイは、適当な検出系を用いて、該テスト化合物が、該ポリペプチドの活性化による、シグナルの発生を結果するか否かを評価することを可能とする。活性化の阻害剤は、一般に既知のアゴニストの存在下で検定され、また該テスト化合物の存在下における、該アゴニストによって活性化に及ぼされる効果が、観測される。
【0052】
本発明のポリペプチドのアゴニスト又はアンタゴニスト化合物を同定するための、好ましい方法は、以下の諸工程を含む:
(a) 本発明の第一局面によるポリペプチドを、表面上に発現する細胞を、該ポリペプチドとの結合を可能とする条件の下で、スクリーニングすべき化合物と接触させる工程、ここで該ポリペプチドは、これに対するある化合物の結合に応答して、検出可能なシグナルを発生することのできる、第二の成分と結合している;及び
(b) 該化合物と該ポリペプチドとの相互作用により発生するシグナルのレベルを測定することによって、該化合物が該ポリペプチドと結合し、かつ活性化又は阻害するか否かを決定する工程。
本発明のポリペプチドのアゴニスト又はアンタゴニストを同定するための、更に好ましい方法は、以下の諸工程を含む:
(a) 該ポリペプチドを、表面上に発現する細胞を、該ポリペプチドとの結合を可能とする条件の下で、スクリーニングすべき化合物と接触させる工程、ここで該ポリペプチドは、これに対するある化合物の結合に応答して、検出可能なシグナルを発生することのできる、第二の成分と結合している;及び
(b) 該化合物と該ポリペプチドとの相互作用により発生するシグナルのレベルを、該化合物が存在しない場合のシグナルレベルと比較することにより、該化合物が該ポリペプチドと結合し、かつ活性化又は阻害するか否かを決定する工程。
更に好ましい態様において、上記した一般的な方法は、標識された又は標識されていない、該ポリペプチドに対するリガンドの存在下で、アゴニスト又はアンタゴニストを同定する工程を更に含む。
【0053】
本発明のポリペプチドのアゴニスト又はアンタゴニストを同定するための、別の態様は、以下の工程を含む:
該ポリペプチドとの結合を可能とする条件の下で、候補化合物の存在下で、表面に本発明のポリペプチドを持つ細胞、又はこのようなポリペプチドを含む細胞膜と、リガンドとの結合の阻害を測定する工程、及び該ポリペプチドと結合したリガンドの量を測定する工程。リガンド結合量を低下することのできる化合物は、アゴニスト又はアンタゴニストであると考えられる。好ましくは、リガンドは標識されている。
より具体的には、ポリペプチドのアゴニスト又はアンタゴニスト化合物をスクリーニングする方法は、以下の諸工程を含む:
(a) 標識したリガンドと、細胞表面において本発明のポリペプチドを発現する全細胞、又は本発明のポリペプチドを含有する細胞膜と共にインキュベートする工程;
(b) 該全細胞又は該細胞膜と結合した、標識リガンドの量を測定する工程;
(c) 標識されたリガンドと、上記工程(a)の該全細胞又は該細胞膜との混合物に、候補化合物を添加し、かつ得られる混合物を平衡状態にする工程;
(d) 該工程(c)の完了後、該全細胞又は該細胞膜と結合した標識リガンドの量を測定する工程;及び
(e) 上記工程(b)及び(d)において結合した、該標識リガンドにおける差異を比較する工程。結果的に、該工程(d)における結合量に減少を生じた該化合物が、アゴニスト又はアンタゴニストであると考えられる。
【0054】
該INSP094ポリペプチドが、上記アッセイにおいて、用量依存型の様式で、免疫系及び/又は神経系の細胞増殖及び分化を変調することを理解することができる。従って、該INSP094ポリペプチドの「機能的な等価物」は、上記アッセイにおいて、用量依存型の様式で、同一の成長並びに分化調節活性の何れかを呈する、ポリペプチドを含む。用量依存型の活性の程度は、該INSP094ポリペプチドのものと同一である必要はないが、好ましくは、該「機能的な等価物」は、該INSP094ポリペプチドと比較した場合に、所定の活性に関するアッセイにおいて、実質的に同様な用量依存性を示すであろう。
上記態様の幾つかにおいて、簡単な結合アッセイを使用することができ、ここで該ポリペプチドを担持する表面に対するテスト化合物の結合性は、該テスト化合物に直接又は間接的に結合した標識によって、あるいは標識された競合物質との競合を含むアッセイにおいて検出される。他の態様では、競合的薬物スクリーニングアッセイを利用することができ、ここでは、該ポリペプチドを結合できる中和抗体が、結合に関して、テスト化合物と特異的に競合する。このように、該抗体は、該ポリペプチドに対する特異的な結合アフィニティーを持つ、任意の化合物の存在を検出するのに使用できる。
【0055】
また、細胞内での該ポリペプチドをコードするmRNAの製造に及ぼす、添加したテスト化合物の効果を検出するように、アッセイを設計することも可能である。例えば、モノクローナル又はポリクローナル抗体を用いて、当分野において公知の標準的な方法によって、分泌された又は細胞-結合レベルを測定するように、ELISAを構成することができ、またこれを、適当に操作された細胞又は組織による、ポリペプチドの製造を阻害又は増強することのできる化合物を探索するために使用できる。次いで、該ポリペプチドと該テストすべき化合物との間の結合複合体の形成を、測定することができる。IL-8アッセイの例は、ペリキンコンパクトヒューマン(Pelikine compact Human) IL-8 ELISA(リサーチダイアグノスティックス(Research Diagnostics))、IL-8(タイタージム(TiterZymeTM))イムノアッセイキット(アッセイデザイン社(Assay Designs, Inc.))及びイムライト(ImmuliteTM) IL-8テスト(ダイアグノスティックプローダクツ社(Diagnostic Products Corporation))を包含する。
使用可能なもう一つの薬物スクリーニング技術は、対象とするポリペプチドに対する適当な結合アフィニティーを持つ化合物の高いスクリーニング能力を与える(国際特許出願WO 84/03564を参照)。この方法では、多数の異なる小さなテスト化合物を、固体基質上に合成し、次いでこれらを本発明のポリペプチドと反応させ、洗浄することができる。該ポリペプチドを固定化する一つの方法は、非-中性抗体を用いることである。次いで、結合したポリペプチドを、当分野において周知の方法を用いて、検出することができる。また、生成したポリペプチドを、プレート上に直接被覆して、上記の薬物スクリーニング技術で使用することも可能である。
【0056】
本発明のポリペプチドは、当分野において公知の、標準的なレセプター結合技術を用いて、膜-結合した又は可溶性レセプターを同定するために使用でき、該結合技術は、例えばリガンド結合及び架橋アッセイであり、そこでは、該ポリペプチドは、放射性同位元素で標識されており、あるいはその検出又は生成を簡単化する、ペプチド配列と融合されており、また該ポリペプチドは、推定上のレセプターの源(例えば、細胞、細胞膜、細胞上澄み、組織抽出物、又は体液)と共にインキュベートされる。この結合の効力は、生物物理的な技術、例えば表面プラスモンレゾナンス及びスペクトル分析を用いて測定できる。結合アッセイは、該レセプターの精製及びクローニングのために利用できるが、該ポリペプチドとそのレセプターとの結合と競合する、該ポリペプチドのアゴニスト及びアンタゴニストを同定することもできる。スクリーニングアッセイを実施するための標準的な方法は、当分野において十分に理解されている。
本発明は、また上記のようなアゴニスト、アンタゴニスト、リガンド、レセプター、基質、酵素を同定する方法において有用な、スクリーニングキットをも含む。
本発明は、これらのアゴニスト、アンタゴニスト、リガンド、レセプター、基質及び酵素、並びに上記方法によって発見された本発明のポリペプチドの活性又は抗原性を変調する他の化合物をも包含する。
本発明は、また本発明のポリペプチド、核酸、リガンド又は化合物を、適当な製薬上の担体と共に含む薬理組成物をも提供する。これら組成物は、治療薬又は診断用の試薬として、ワクチンとして、又は以下において詳細に概説するように、他の免疫原性組成物として適したものであり得る。
【0057】
本明細書で使用する用語によれば、ポリペプチド、核酸、リガンド又は化合物[X]を含む組成物は、この組成物の全量[X+Y] (ここで、Yは不純物である)に対して少なくとも85質量%がXである場合には、不純物(Y)を「実質的に含まない」ものである。好ましくは、Xは該組成物全重量[X+Y]の少なくとも約90質量%、より好ましくは少なくとも約95%、98%、又は99質量%でありさえする。
これら薬理組成物は、好ましくは治療上有効な量の、本発明のポリペプチド、核酸分子、リガンド又は化合物を含むべきである。ここで使用する用語「治療上有効な量」とは、標的とする疾患又は状態を治療し、改善し又は予防するに要する、あるいは検出可能な治療又は予防効果を示すのに要する治療薬の量を意味する。任意の化合物に対して、治療上有効な用量は、初めに例えば腫瘍細胞の細胞培養アッセイ、通常マウス、ウサギ、イヌ又はブタである動物モデルにおいて見積もることができる。該動物モデルは、また適当な濃度範囲又は投与経路を決定するために使用することも可能である。次いで、このような情報を使用して、ヒトにおける有用な用量及び投与経路を決定することができる。
【0058】
ヒトを対象とする際の、正確な有効量は、疾患状態の重篤度、該対象の一般的な健康状態、該対象の年齢、体重及び性別、食事、投与時間とその頻度、薬物の組合せ、反応に対する敏感性及び治療に対する寛容度/応答性に依存するであろう。この量は、ルーチン実験により決定することができ、また臨床医の判断の範囲内にある。一般に、有効投与量は、0.01mg/kg〜50mg/kgなる範囲、好ましくは0.05mg/kg〜10mg/kgなる範囲内にある。組成物は、個別に患者に投与することができ、あるいは他の薬剤、薬物又はホルモンとの組合せで投与することができる。
薬理組成物は、また治療薬の投与のために、製薬上許容される担体を含むこともできる。このような担体は、抗体及び他のポリペプチド、遺伝子及び他の治療薬、例えばリポソームを含むが、該担体それ自体は、該組成物を受容れる個体にとって有害な抗体の製造を誘発することが無く、しかも不当に毒性を示すことなしに投与できるものであることを条件とする。適当な担体は、大きな、徐々に代謝される巨大分子、例えばタンパク質、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸、アミノ酸コポリマー及び不活化されたウイルス粒子であり得る。
ここでは、製薬上許容される塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩等の無機酸の塩;及び酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩等の有機酸との塩を使用することも可能である。製薬上許容される担体に関する十分な議論は、レミントンの製薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)(Mack Pub. Co. N.J. 1991)において入手できる。
【0059】
治療組成物における製薬上許容される担体は、更に水、塩水、グリセロール及びエタノール等の液体を含むこともできる。更に、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝物質等の補助的物質も、このような組成物に存在し得る。このような担体は、該薬理組成物を、患者に摂取させるために、錠剤、ピル、糖衣剤、カプセル、液剤、ゲル、シロップ、スラリー剤、懸濁剤として処方することを可能とする。
一旦処方した後には、本発明の組成物は、対象に直接投与することができる。治療すべき対象は、動物であり得、特にヒトを治療の対象とすることができる。
本発明で使用する該薬理組成物は、あらゆる数の経路で、例えば経口、静脈内、筋肉内、動脈内、延髄内、鞘内、心室内、経皮(トランスデルマル(transdermal)又はトランスクタニアス(transcutaneous))(例えば、WO98/20734を参照)、皮下、腹腔内、鼻内、経小腸、局所、舌下、膣内、又は直腸内投与手段を含む(これらに限定されない)経路で投与できる。遺伝子銃又はハイポスプレイを使用して、本発明の薬理組成物を投与することもできる。典型的には、これら治療組成物は、注射可能な、溶液又は懸濁液として、注射前に液状ビヒクルの溶液又は懸濁液とするのに適した、固体形状で調製できる。
この組成物の直接的な放出は、一般に注射、皮下、腹腔内、静脈内又は筋肉内投与によって達成され、あるいは組織の間隙空間に放出される。これら組成物は、また病巣に投与することも可能である。投薬による治療は、単一投与スケジュール又は多重投与スケジュールであり得る。
【0060】
本発明のポリペプチドの活性が、特定の疾患状態において顕著である場合、幾つかの方法を利用できる。その一つの方法は、上記のように、対象に、製薬上許容される担体と共に、阻害性化合物(アンタゴニスト)を投与することを含むが、その量は、例えばリガンド、基質、酵素、レセプターの結合を遮断することによって、あるいは第二のシグナルを阻害することによって、該ポリペプチドの機能を阻害し、結果的にこの異常な状態を軽減するのに有効なものである。好ましくは、このようなアンタゴニストは抗体である。最も好ましくは、このような抗体は、前に記載したように、その免疫原性を最小化するために、キメラ及び/又はヒト化されたものである。
もう一つの方法において、問題とする、リガンド、基質、酵素、レセプターに対する結合アフィニティーを維持する、該ポリペプチドの可溶性型を投与することができる。典型的には、該ポリペプチドは、関連する部分を保持しているフラグメントとして投与することもできる。
【0061】
別の方法において、該ポリペプチドをコードする遺伝子の発現は、発現遮断技術、例えば内部で生成される又は外部から投与された、アンチセンス核酸分子(上記のような)の使用により阻害することができる。遺伝子発現の変更は、該ポリペプチドをコードする遺伝子の調節領域(シグナル配列、プロモータ、エンハンサ及びイントロン)又はコントロール5'に対する、相補配列又はアンチセンス分子(DNA、RNA又はPNA)を設計することによって得ることができる。同様に、阻害は、「トリプルヘリックス」塩基対形成法を利用して達成できる。トリプルヘリックス対形成法は、この対形成が、ダブルヘリックスの、ポリメラーゼ、転写ファクタ又は調節分子の結合を受容れる十分な能力を阻害することから、有用である。トリプレックスDNAを用いる最近の治療における進歩は、文献に記載されている(Gee, J.E.等(1994) In: Huber, B.E. & B.I. Carr, 分子的及び免疫学的研究法(Molecular and Immunologic Approaches),フツラ(Futura)出版社NY、Mt.キスコ)。該相補配列及びアンチセンス分子は、また転写生成物の、リボソームに対する結合を阻害することにより、mRNAの翻訳を遮断するように設計することができる。このようなオリゴヌクレオチドを投与することができ、あるいはこれをインビボでの発現によりその場で生成することができる。
【0062】
更に、本発明のポリペプチドの発現は、そのコードmRNA配列に対して特異的なリボザイムを用いることにより阻害し得る。リボザイムは、触媒的に活性なRNAであり、これは天然又は合成何れであっても良い(例えば、Usman, N.等, Curr. Opin. Struct. Biol., 1996, 6(4):527-33を参照のこと)。合成リボザイムは、選択された位置でmRNAを特異的に開裂するように設計して、該mRNAの機能的ポリペプチドへの翻訳を阻害することができる。リボザイムは、通常RNA分子において見られるように、天然リボースホスフェート骨格及び天然塩基を用いて合成することができる。あるいは、また、このリボザイムは、非-天然型骨格、例えば2'-O-メチルRNAを用いて合成し、リボヌクレアーゼによる分解から保護することができ、また修飾した塩基を含むことができる。
RNA分子を変性して、細胞内安定性を高め、かつ半減期を延長することが可能である。可能な変性は、該分子の5'及び/又は3'末端におけるフランキング配列の付加、又は該分子骨格内での、ホスホジエステル結合ではなく、寧ろホスホロチオエート又は2'-O-メチルの使用を含むが、これらに限定されない。この概念は、PNAの製造において固有のものであり、非-伝統的塩基、例えばイノシン、キューオシン(queosine)及びブトシン並びにアセチル-、メチル-、チオ-及び同様に修飾された形状にあるアデニン、シチジン、グアニン、チミン及び/又はウリジンを含めることによって、これらの分子全てに拡張できる。上記塩基は、内在性のエンドヌクレアーゼによって、容易に認識されるものではない。また、本発明のポリペプチドの過少発現及びその活性と関連した、異常な状態を処置するために、幾つかの方法を利用することができる。その一つは、対象に、治療的に有効な量の、該ポリペプチドを活性化する化合物、即ち上記したアゴニストを投与して、該異常な状態を軽減する工程を含む。あるいは、適当な製薬担体と組み合わせた、治療的量の該ポリペプチドを投与して、ポリペプチドの関連する生理的なバランスを回復させることが可能である。
【0063】
遺伝子療法を利用して、該対象内における関連細胞による、該ポリペプチドの内的生産を行うことができる。欠陥遺伝子を、修正された治療用の遺伝子で置換することによって、該ポリペプチドの不適当な生産性を、永続的に処置する目的で、遺伝子療法を利用する。
本発明の遺伝子療法は、インビボ又はエクスビボ(ex vivo)にて実施できる。エクスビボ遺伝子療法は、患者細胞の単離及び精製、治療遺伝子の導入及び遺伝的に変更した細胞の患者への再度の導入を必要とする。逆に、インビボ遺伝子療法は、患者細胞の単離及び精製を必要としない。
該治療用遺伝子は、典型的に患者に投与するために「包装される」。遺伝子放出ビヒクルは、非-ウイルス性のビヒクル、例えばリポソーム、又は複製能力に乏しいウイルス、例えばBerkner, K.L., Curr. Top. Microbiol. Immunol., 1992, 158:39-66に記載されているようなアデノウイルス、又はMuzyczka, N., Curr. Top. Microbiol. Immunol., 1992, 158:97-129及び米国特許第5,252,479号に記載されているような、アデノ-関連ウイルス(AAV)ベクターであり得る。例えば、本発明のポリペプチドをコードする核酸分子を、複製能力に乏しいレトロウイルスベクター内で発現するように操作することができる。次いで、この発現構築物を単離し、該ポリペプチドをコードするRNAを含む、レトロウイルスプラスミドベクターで、形質導入したパッケージング細胞内に導入する。結果的に、該パッケージング細胞は、今や、対象とする遺伝子を含む感染ウイルス粒子を製造する。これらの産生細胞は、インビボで細胞を操作し、かつインビボで該ポリペプチドの発現を行うために、対象に投与することができる(遺伝子療法及び他の分子遺伝学的治療法(Gene Therapy and other Molecular Genetic-based Therapeutic Approaches),第20章(及びそこに引用されている文献)、ヒューマンモレキュラージェネチックス(Human Molecular Genetics)(1996), T. Strachan & A.P. Read, BIOS サイエンティフィック(Scientific)出版社)。
【0064】
他の方法は、該治療用の遺伝子が、直接血流中又は筋肉組織内に注射される、「裸のDNA」の投与である。
本発明のポリペプチド又は核酸分子が、疾患の原因薬剤となっている状況下では、本発明は、これらをワクチンにおいて使用して、該疾患原因薬剤に対する抗体を生成する方法を提供する。
本発明のワクチンは、予防的(即ち、感染防止)又は治療的(即ち、感染後の疾患の治療)何れであっても良い。このようなワクチンは、免疫感作抗原、免疫原、ポリペプチド、タンパク質又は核酸を、通常上記のような製薬上許容される担体と共に含有し、該担体は、それ自体、この組成物を受容れる個人に対して有害な抗体の生産を誘発しない、任意の担体を包含する。更に、これらの担体は、免疫刺激剤(アジュバント)として機能することもできる。その上、該抗原又は免疫原は、バクテリアトキソイド、例えばジフテリア、狂犬病、コレラ、H.ピロリ及び他の病原体由来のトキソイドと複合化することも可能である。
ポリペプチドは胃において分解される恐れがあるので、ポリペプチドを含むワクチンは、好ましくは腸管外(例えば、皮下、筋肉内、静脈内、又は皮内注射)投与される。腸管外投与に適した処方物は、水性及び非水性滅菌注射溶液を含み、これらは酸化防止剤、バッファー、静菌剤、レシピエントの血液に対して該処方物を等張性にする溶質を含むことができ、また水性及び非水性滅菌懸濁液をも含み、これらは懸濁剤又は増粘剤を含むことができる。
【0065】
本発明のワクチン処方物は、単位投与容器内又は多重投与容器内で調製することができる。例えば、封止されたアンプル及びバイアルを、凍結乾燥された状態で保存することができ、これらは、使用の直前に無菌液状担体の添加のみを必要とする。投与量は、該ワクチンの特異的な活性に依存し、また容易にルーチン実験により決定できる。
本発明によるポリペプチドと結合する抗体の遺伝子的放出も、国際特許出願WO98/55607に記載されているように、効果的である。
ジェット注入(jet injection)と呼ばれる技術(例えば、www.powderject.comを参照のこと)も、ワクチン組成物の処方において有用である。
予防接種に関する多くの適当な方法及びワクチン放出系が、国際特許出願WO00・29428に記載されている。
本発明は、また本発明による核酸分子の、診断用試薬としての使用にも関連する。機能不全と関連する本発明の核酸分子によって特徴付けられる遺伝子の、突然変異型の検出は、診断手段をもたらし、この手段は、又は該遺伝子の過少発現、過剰発現又は変更された空間的又は時間的な発現に起因する、疾患又は疾患に対する感受性の診断に追加し、あるいはこれを定義することを可能とする。遺伝子に突然変異を含む個体は、様々な技術で決定される、DNAレベルによって検出できる。
【0066】
診断用の核酸分子は、対象の細胞、例えば血液、尿、唾液、組織の生検又は剖検材料から得ることができる。該ゲノムDNAは、検出のために直接使用することができ、また分析に先立って、PCR、リガーゼ連鎖反応(LCR)、ストランド置換増幅(SDA)、又は他の増幅技術(Saiki等, Nature, 1986, 324:163-166; Bej等, Crit. Rev. Biochem. Molec. Biol., 1991, 26:301-334; Birkenmeyer等, J. Virol. Meth., 1991, 35:117-126; Van Brunt, J., Bio/Technology, 1990, 8:291-294を参照)を利用することにより、酵素を利用して増幅することができる。
一態様において、本発明のこの局面は、患者における疾患を診断する方法を提供し、この方法は、本発明によるポリペプチドをコードする天然遺伝子の発現レベルを評価する工程及びこの発現レベルと、コントロールレベルとを比較する工程を含み、ここで該コントロールレベルと異なる遺伝子発現レベルは、疾患存在の指標となる。この方法は以下のような諸工程を含むことができる:
a) 該患者を由来とする組織のサンプルと、核酸プローブとを、本発明の核酸分子と該プローブとの間に、ハイブリッド複合体の形成を可能とするストリンジェント条件下で接触させる工程と、
b) コントロールサンプルと該プローブとを、上記工程a)において使用したものと同一の条件下で接触させる工程と、
c) 該サンプルにおけるハイブリッド複合体の存在を検出する工程とを含み、
ここで、該コントロールサンプルにおける該ハイブリッド複合体レベルとは異なる、該患者サンプルにおける該ハイブリッド複合体レベルの検出が、疾患の指標となる。
【0067】
本発明の更なる局面は、以下の様な諸工程を含む、診断法を包含する:
a) 疾患につきテストすべき患者由来の組織を得る工程と、
b) 該組織サンプルから、本発明の核酸分子を単離する工程と、
c) 該核酸分子における、該疾患と関連する突然変異の存在を検出することにより、該患者を該疾患について診断する工程。
上記方法における核酸分子の検出を助けるために、例えばPCRを利用する増幅段階を含むことができる。
欠失及び挿入は、正常な遺伝子型と比較した際の、該増幅生成物のサイズにおける変化により検出できる。点突然変異は、増幅されたDNAと、本発明の標識したRNA、あるいはまた本発明の標識されたアンチセンスDNA配列とハイブリッド化することにより同定できる。完全に一致する配列は、RNase消化、又は溶融温度における差異を評価することによって、適合しない二重鎖から識別することができる。該患者における突然変異の有無は、DNAと、ハイブリッド二本鎖分子を形成するためのストリンジェント条件下で、このDNAとハイブリッド化する核酸プローブとを接触させることによって、検出することができる。ここで、該ハイブリッド二本鎖分子は、疾患と関連する突然変異と対応する任意の部分に、該核酸プローブストランドのハイブリッド化されていない部分を含み、また該DNAストランドの対応する部分における疾患関連突然変異の有無の指標として、該プローブストランドのハイブリッド化されていない部分の有無を検出する。
かかる診断は、出生前及び新生児のテストに対してさえも、極めて有用である。
【0068】
点突然変異及び基準遺伝子と「突然変異」遺伝子との間の他の配列差は、他の周知の技術、例えば直接的DNA配列決定又は一本鎖の配座多形性等により同定することができる(Orita等, Genomics, 1989, 5:874-879を参照のこと)。例えば、配列決定プライマーを、二本鎖PCR生成物又は改良PCRによって生成された、一本鎖鋳型分子と共に使用することができる。この配列決定は、放射性標識されたヌクレオチドを使用した公知の手順により、又は蛍光性タグを用いた自動配列決定手順によって行われる。クローニングされたDNAセグメントを、特定のDNAセグメントを検出するためのプローブとして使用することもできる。この方法の感度は、PCRと組み合わせた場合、大幅に高められる。更に、点突然変異及び他の配列上の変動、例えば多形性は、上記のようにして、例えば単一のヌクレオチドだけ異なる配列の、PCR増幅のために、対立遺伝子-特異的オリゴヌクレオチドを使用することによって、検出することができる。
DNA配列差は、変性剤の存在下又は不在下での、ゲル中でのDNAフラグメントの電気泳動移動度における変動により、あるいは直接的なDNA配列決定によって検出することも可能である(例えば、Myers等, Science, 1985, 230:1242)。特定の位置における配列変化も、ヌクレアーゼ保護アッセイ、例えばRNase及びS1保護又は化学的開裂法によって明らかにすることができる(Cotton等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1985, 85:4397-4401を参照のこと)。
【0069】
公知のゲル電気泳動法及びDNA配列決定法に加えて、突然変異、例えばマイクロ欠失(microdeletions)、異数性、転座、逆位をも、その場での分析によって検出することができる(例えば、Keller等, DNA Probes, 1993, 第2版,ストックトンプレス(Stockton Press), NY, NY, USAを参照のこと)、即ち細胞内のDNA又はRNA配列は、これらを単離し、及び/又は膜上に固定化する必要なしに、突然変異につき分析することができる。その場での蛍光ハイブリッド化(FISH)は、現時点において最も一般的に利用される方法であり、またFISHに関する多くの概説が提出されている(例えば、Tranchuck等, Science, 1990, 250:559-562及びTrask等, Trends, Genet., 1991, 7:149-154を参照のこと)。
本発明のもう一つの態様では、本発明による核酸分子を含む、オリゴヌクレオチドのアレイを、遺伝的変異、突然変異及び多形性を効果的にスクリーニングするために、構築することができる。アレイ技術は周知であり、一般的な応用性を有し、また遺伝子発現、遺伝子結合、及び遺伝子の変異性を包含する、分子遺伝学における様々な問題点を扱う上で利用することができる(例えば、M. Chee等, Science, 1996, 274:610-613を参照のこと)。
【0070】
一態様において、該アレイは、PCT出願WO95/11995(Chee等);Lockhart, D.J.等, Nat. Biotech., 1996, 14:1675-1680;及びSchena, M.等, Proc. Natl. Acad. Sci., 1996, 93:10614-10619に記載されている方法に従って、製造し、かつ使用される。オリゴヌクレオチド対は、2〜1,000,000以上なる範囲であり得る。これらオリゴマーは、光-誘発科学的方法を利用して、基質上で、指定された場所で合成される。該基質は、紙、ナイロン、又は他の型の膜、フィルタ、チップ、ガラススライド又は任意の他の適当な固体支持体であり得る。別の局面では、PCT出願WO95/25116(Baldeschweiler等)に記載されているように、化学的なカップリング手順及びインクジェット塗布装置を用いて、該基質の表面上にオリゴヌクレオチドを合成することができる。別の態様では、ドット(又はスロット)ブロットに類似する、「グリッド状」のアレイを使用して、cDNAフラグメント又はオリゴヌクレオチドを配置させ、かつこれと基質表面とを排気系、熱、UV、機械的又は化学的結合手順を用いて、結合することができる。上記のようなアレイは、手作業で、又は利用可能なデバイス(スロットブロット又はドットブロット装置)、材料(任意の適当な固体支持体)、及び装置(ロボット装置を含む)を利用して製造でき、また8、24、96、384、1536又は6144個のオリゴヌクレオチド、あるいは2〜1,000,000以上なる範囲内の任意の数のオリゴヌクレオチドを含むことができ、このような数のオリゴヌクレオチドは、市販品として入手できる装置の効果的な使用にとって適している。
【0071】
上で論じた方法に加えて、疾患は、対象由来のサンプルから、ポリペプチド又はRNAレベルの異常な増加又は減少を測定する工程を含む方法によって、診断することができる。発現における増大又は減少は、ポリヌクレオチドの定量のために、当分野において周知の何れかの方法、例えば核酸増幅、例えばPCR、RT-PCR、RNase保護、ノーザンブロッティング及び他のハイブリッド化法を利用して、RNAのレベルにつき測定できる。
宿主由来のサンプルにおける、本発明のポリペプチドのレベルを測定するために利用できるアッセイ技術は、当業者には周知であり、上において幾分詳しく論じた(ラジオイムノアッセイ、競合的結合アッセイ、ウエスタンブロット分析及びELISAアッセイを包含する)。本発明のこの局面は、診断法を提供するものであり、この方法は、以下の諸工程を含む:(a) 上記のリガンドと、生物学的サンプルとを、リガンド-ポリペプチド複合体を生成するのに適した条件下で接触させる工程、及び(b) 該複合体を検出する工程。
ポリペプチドレベルを測定するための、ELISA(前に記載したような)、RIA、及びFACS等のプロトコールは、付随的に、変更された又は異常なポリペプチド発現レベルに関する診断の基礎を与える。ポリペプチド発現の正常な又は標準的な値は、正常な哺乳動物の対象から採取した、体液又は細胞抽出物と、該ポリペプチドに対する抗体とを、複合体の形成に適した条件下で結合させることによって設定される。この標準的な複合体形成量は、様々な方法、例えば測光的手段により低了することができる。
【0072】
本発明のポリペプチドに特異的に結合する抗体は、該ポリペプチドの発現により特徴付けられる状態又は疾患の診断のために、あるいは本発明の該ポリペプチド、核酸分子、リガンド及び他の化合物で治療している患者を、監視するためのアッセイにおいて使用することができる。診断の目的にとって有用な抗体は、治療法に関連して上記したものと同様な方法で製造できる。該ポリペプチドに関する診断アッセイは、ヒト体液及び細胞又は組織の抽出物における該ポリペプチドを検出するために、抗体及び標識を使用する方法を含む。これらの抗体は、変性し又は変性せずに使用でき、またこれらを、共有結合的に又は非-共有結合的にリポータ分子と結合することによって、標識することができる。当分野において公知の広範囲に及ぶリポータ分子を使用することができ、その幾つかは上に記載されている。
対象、コントロール及び生検処理した組織由来の疾患サンプル中で発現されたポリペプチドの量を、その標準値と比較する。該標準値と対象の値との間のズレは、疾患を診断するためのパラメータを設定する。診断アッセイは、ポリペプチドの存在、不在及び過剰発現間の識別、及び治療による介入があった際のポリペプチドレベルの調節を監視するために、利用することができる。このようなアッセイは、動物研究、臨床上の試み又は個々の患者に対する治療を監視する際に、特定の治療処置養生の効能を評価するのに使用することも可能である。
【0073】
本発明の診断用のキットは、以下のものを含むことができる:
(a) 本発明の核酸分子;
(b) 本発明のポリペプチド;又は
(c) 本発明のリガンド。
本発明の一局面において、診断キットは、ストリンジェント条件下で、本発明による核酸分子とハイブリッドを形成する核酸プローブを含む、第一の容器;該核酸分子を増幅するのに有用なプライマーを含む、第二の容器;及び疾患の診断を容易にするための、該プローブ及びプライマーの使用に関連する取扱説明書を含む。このキットは、更にハイブリッド化されていないRNAを消化するための試薬を収容した、第三の容器をも含むことができる。
本発明の別の局面においては、診断キットは、核酸分子のアレイを含み、その少なくとも一つは、本発明の核酸分子であり得る。
本発明のポリペプチドを検出するために、診断キットは、本発明のポリペプチドと結合する、1種又はそれ以上の抗体、及び該抗体と該ポリペプチドとの間の結合反応を検出するのに有用な試薬を含むことができる。
【0074】
このようなキットは、上記IL-8様ケモカインファミリーの構成員が関与している、疾患又は該疾患に罹り易さを診断する上で有用である。このような疾患は、新生物、黒色腫、肺、結腸直腸、胸部、膵臓、頭部及び頚部並びに他の固形腫瘍を包含する細胞増殖疾患;骨髄増殖性疾患、例えば白血病、非-ホジキンリンパ腫、白血球減少症、血小板減少症、血管形成障害、カポジー肉腫;アレルギー、炎症性腸疾患、関節炎、乾癬及び気道炎症、喘息、及び器官移植の拒絶反応を包含する自己免疫/炎症性疾患;高血圧、浮腫、アンギナ、アテローム性動脈硬化症、血栓症、敗血症、ショック、再灌流傷害及び虚血を包含する心血管障害;中枢神経系疾患、アルツハイマー病、脳傷害、筋萎縮性側索硬化症及び痛みを包含する神経系の障害;発育異常;真性糖尿病、骨粗鬆症、及び肥満、AIDS及び腎疾患を包含する代謝異常;ウイルス感染症、細菌感染症、真菌感染症及び寄生虫性感染症、並びに他の病理的な状態を包含する。好ましくは、これらの疾患は、該IL-8様ケモカインファミリーの構成員が関与しているもの、例えば亜致死性内毒素血症、敗血症性ショック、羊膜腔の微生物感染、回帰熱のヤリッシュ-ヘルクスハイマー反応、中枢神経系の感染症、急性膵炎、潰瘍性大腸炎、蓄膿症、溶血性尿毒症症候群、髄膜炎菌疾患、胃感染症、百日咳、腹膜炎、乾癬、リウマチ性関節炎、敗血症、喘息及び糸球体腎炎である。
【0075】
実施例
本発明の様々な局面及び態様を、特にINSP093及びINSP094ポリペプチドを参照して、実施例によって、以下により詳しく記載する。
実施例1:INSP093のゲノムスレッダによる結果
INSP093の部分ポリペプチド配列(配列番号8)を、ゲノムスレッダ(Genome ThreaderTM)を用いて、バイオペンディウム(Biopendium)データベースから、PDB構造に対して、探索を行った。最大の一致(図1)は、CXC-ケモカインとして注釈をつけた、PDBエントリー(entry)に関するものであった。更に、ゲノムスレッダは、該INSP093ポリペプチドが、高い信頼度(65%)で、該トップヒット(top hit)と同様にしてフォールディングするものと予測している。図2は、該トップ構造、lqg7(ストロマ細胞由来のファクタ-1α)に対して、INSP093の部分ポリペプチド配列(配列番号8)に関して、ゲノムスレッダにより得られた、実際の配列-構造アライメントを示す図である。
実施例2:INSP094のゲノムスレッダによる結果
INSP094の部分ポリペプチド配列(配列番号10)を、ゲノムスレッダ(Genome ThreaderTM)を用いて、バイオペンディウムデータベースから、PDB構造に対して、探索を行った。最大の一致(図3)は、CC-ケモカインとして注釈をつけた、PDBエントリーに関するものであった。更に、ゲノムスレッダは、該INSP094ポリペプチドが、高い信頼度(65%)で、該トップヒットと同様にしてフォールディングするものと予測している。図4は、該トップ構造、lhum(ホモサピエンスマクロファージ炎症性タンパク質1β)に対して、INSP094の部分ポリペプチド配列(配列番号10)に関して、ゲノムスレッダにより得られた、実際の配列-構造アライメントを示す図である。
【0076】
実施例3:INSP094のクローニング
1. ゲノムDNA由来のINSP094のPCR
該INSP094の予測されたコード配列の一部領域を含む、264bpのPCR生成物を、遺伝子-特異的クローニングプライマー(INSP094-CP1及びINSP094-CP2、表1、図5及び6)を用いて、ゲノムDNAから増幅した。このPCRは、1X AmpliTaqTM(パーキンエルマー(Perkin Elmer))バッファー、200μMのdNTP、各50pMのクローニングプライマー、2.5単位のAmpliTaqTM(パーキンエルマー(Perkin Elmer))及び100ngのゲノムDNA(ノバゲン社(Novagen Inc.))を含む、最終体積50μl内で、以下のようにプログラムされたMJリサーチDNAエンジン(MJ Research DNA Engine)を用いて行った:94℃にて2分間;94℃にて30秒間、51℃にて30秒間及び72℃にて30秒間の30サイクル;次いで72℃にて7分間の1サイクル、及び4℃に維持するサイクル。
この増幅生成物は、1X TAEバッファー(インビトロゲン(Invitrogen)社)中の0.8%アガロースゲル上で可視化し、また予想された分子量において移動するPCR生成物を、ウイザードPCRプレプスDNA精製システム(Wizard PCR Preps DNA Purification System);プロメガ(Promega)社)を用いて、該ゲルから精製した。
2. PCR用の遺伝子特異的クローニングプライマー
18〜25塩基なる範囲の長さを持つ、PCRプライマー対を、プライマーデザイナーソフトウエア(Primer Designer Software)(サイエンティフィック&エデュケーショナルソフトウエア(Scientific & Educational Software), PO Box 72045, Durham, NC 27722-2045, USA)を用いて、実際のcDNAのコード配列を増幅するように設計した。PCRプライマーは、55±10℃に近いTm及び40-60%なる範囲のGC含有率を持つように、最適化された。ターゲット配列(殆ど又は全く特異的開始作用を示さない)に対して高い選択性を持つ、プライマーを選択した。
【0077】
3. PCR生成物のサブクローニング
インビトロゲン社から購入したTOPOクローニングキットを用い、またその製造業者によって指定された条件を使用して、PCR生成物を、トポイソメラーゼI変性クローニングベクタ(pCR4-TOPO)内でサブクローニングした。簡単に説明すると、4μlのゲル精製PCR生成物を、室温にて15分間、1μlのTOPOベクター及び1μlの塩溶液と共にインキュベートした。次いで、この反応混合物を、以下のようにしてE.コリ菌株TOP10(インビトロゲン)に、形質転換した:ワンショット(One Shot)TOP10細胞のアリコート50μlを、氷上で解凍し、2μlのTOPO反応液を添加した。この混合物を、氷上で15分間インキュベートし、次に42℃にて正確に30秒間インキュベートすることによって、該混合物に熱ショックを与えた。サンプルを氷に戻し、250μlの加温したSOC培地(室温)を添加した。サンプルを、振とう(220rpm)しつつ37℃にて1時間インキュベートした。次いで、この形質転換混合物を、アンピシリン(100μg/ml)を含むL-ブロス(LB)プレート上に置き、37℃にて一夜インキュベートした。アンピシリン耐性コロニー含有インサートを、コロニーPCRによって同定した。
4. コロニーPCR
コロニーを、滅菌した爪楊枝を用いて、50μlの無菌水中に接種した。次に、この接種物の10μlアリコートを、上記のように全反応体積20μlにて、PCRに掛けたが、使用したプライマーはT7及びT3であった。サイクル条件は、以下の通りであった:94℃にて2分間;94℃にて30秒間、48℃にて30秒間及び72℃にて30秒間の30サイクル。次いで、サンプルを更に分析する前に、4℃に維持した(維持サイクル)。
PCR反応性生物を、1X TAEバッファー中で、1%アガロースゲル上で分析した。予想されたPCR生成物のサイズ(多重クローニングサイト又はMCSのために、約264bp cDNA + 105bp)を与えるコロニーを、アンピシリン(100μg/ml)を含む5mlのL-ブロス(LB)中で、37℃にて一夜、振とう(220rpm)しつつ成長させた。
【0078】
5. プラスミドDNAの製造及び配列決定
ミニプレプ(Miniprep)プラスミドDNAを、キアプレプターボ(Qiaprep Turbo) 9600ロボット装置(キアゲン(Qiagen))又は(ウイザードプラスSVミニプレプス(Wizard Plus SV Minipreps)キット(プロメガ(Promega)カタログNo.1460)を用いて、その製造業者の指示に従って、5mlの培養液から製造した。プラスミドDNAは、100μlの滅菌水で溶出した。このDNA濃度は、エッペンドルフ(Eppendorf) BOフォトメータを用いて測定した。プラスミドDNA(200-500ng)を、ビッグダイターミネータ装置(アプライドバイオシステムズ(Applied Biosystems)カタログNo.4390246)を用いて、その製造業者の指示に従って、プライマーT7及びT3により、DNA配列決定に掛けた。これらプライマーの配列を表1に示す。配列決定反応生成物は、Dye-Exカラム(キアゲン)又はモンタージ(Montage) SEQ 96クリーンアッププレート(ミリポア(Millipore)カタログNo.LSKS09624)を用いて精製し、次いでアプライドバイオシステムズ(Applied Biosystems) 3700配列決定装置で分析した。
配列決定分析により、該予測されたINSP094配列に対して100%の一致性を示す一つのクローンを同定した。このクローニングされたフラグメントの配列を、図6に示す。このクローニングされたPCR生成物(pCR4-TOPO-INSP094)(プラスミドID.13736)のプラスミドマップを、図7に示す。
【0079】
実施例4:HEK293/EBNA細胞内での、INSP094発現用プラスミドの構築
次いで、DNA配列決定により同定されたINSP094の完全なコード配列(ORF)を含むpCR4-TOPOクローン(pCR4-TOPO-INSP094、プラスミドID.13736)(図7)を使用して、該インサートを、ゲートウエイ(GatewayTM)クローニング法(インビトロゲン)を利用して、哺乳動物細胞発現ベクターpEAK12d(図9)及びpDEST12.2(図10)内でサブクローニングした。
1. インフレーム6HISタグ配列と融合した、ゲートウエイ相溶性INSP094 ORFの生成
このゲートウエイクローニング法の第一段階は、2段階PCR反応を含み、該反応は、attB1組換えサイト及びコザック(Kozak)配列によって、5'末端に隣接する及びインフレーム(in frame)6ヒスチジン(6HIS)タグをコードする配列、停止コドン及びattB2組換えサイト(ゲートウエイ相溶性cDNA)により、3'末端に隣接するINSP094のORFを生成する。最初のPCR反応液(最終体積50μl)は、1.5μlのpCR4-TOPO-INSP094(プラスミドID 13736)、1.5μlのdNTPs(10mM)、10μlの10X Pfxポリメラーゼバッファー、1μlのMgSO4(50mM)、各0.5μlの遺伝子特異的プライマー(100μM)(INSP094-EX1及びINSP094-EX2)、2.5μlの10Xエンハンサ(EnhanncerTM)溶液(インビトロゲン)及び1μlのプラチヌム(Platinum) Pfx DNAポリメラーゼ(インビトロゲン)を含む。このPCR反応は、95℃で2分間の最初の変性段階;引続き94℃にて15秒間、55℃にて30秒間及び68℃にて2分間の処理からなる25サイクル;及び4℃での維持サイクルを利用して行った。増幅生成物は、1X TAEバッファー(インビトロゲン)中の、0.8%アガロースゲル上で可視化し、予想された分子量において移動する製品を、ウイザードPCRプレプスDNA精製システム(Wizard PCR Preps DNA Purification System);プロメガ(Promega)社)を用いて、該ゲルから精製し、その製造業者の指示に従って、50μlの滅菌した水中に回収した。第二のPCR反応液(最終体積50μl)は、10μlの生成されたPCR製品、1.5μlのdNTPs(10mM)、5μlの10X Pfxポリメラーゼバッファー、1μlのMgSO4(50mM)、各0.5μlのゲートウエイ変換プライマー(100μM)(GCPフォーワード及びGCPリバース)及び0.5μlのプラチヌムPfx DNAポリメラーゼを含む。この第二PCR反応に関する条件は、以下の通りであった:95℃にて1分間;94℃にて15秒間、50℃にて30秒間及び68℃にて3分間からなる4サイクル;94℃にて15秒間、55℃にて30秒間及び68℃にて3分間からなる25サイクル;及びこれに続く4℃での維持サイクル。PCR生成物は、ウイザードPCRプレプスDNA精製システム(プロメガ)を、その製造業者の指示に従って使用して、ゲル精製した。
【0080】
2. ゲートウエイ相溶性INSP094 ORFの、ゲートウエイエントリーベクタpDONR221及び発現ベクタpEAK12d及びpDEST12.2へのサブクローニング
該ゲートウエイクローニング法の第二段階は、該ゲートウエイ変性PCR生成物の、以下のような、ゲートウエイエントリー(Gateway entry)ベクターpDONR221(インビトロゲン、図8)へのサブクローニングを含む:PCR2からの精製した生成物5μlを、1μlのpDONR221ベクター(0.15μl/μg)、2μlのBPバッファー及び1.5μlのBPクローナーゼ(clonase)酵素混合物(インビトロゲン)と共に、最終体積10μlにて、RTで1時間インキュベートした。この反応を、プロテイナーゼK(2μg)の添加により停止させ、37℃にて更に10分間インキュベートした。この反応系のアリコート(2μl)を、以下のようにエレクトロポレーションすることにより、E.コリDH10B細胞を形質転換するのに使用した:DH10Bエレクトロコンピーテント(electro-competent)細胞(インビトロゲン)のアリコート30μlを、氷上で解凍し、このBP反応混合物2μlを添加した。この混合物を、冷却した0.1cmのエレクトロポレーション用のキュベットに移し、これら細胞を、バイオラドジーン-パルサー(BioRad Gene-PulserTM)を、その製造業者の指示に従って使用して、エレクトロポレーションした。室温まで予め加温した、SOC培地(0.5ml)を、エレクトロポレーションの直後に添加した。この混合物を、15mlのスナップ-キャップチューブに移し、振とう(220rpm)しつつ37℃にて1時間インキュベートした。この形質転換混合物のアリコート(10μl及び50μl)を、次にカナマイシン(40μg/ml)を含むL-ブロス(LB)プレート上に置き、37℃にて一夜インキュベートした。
【0081】
プラスミドミニ-プレプDNAを、キアプレプターボ9600ロボット装置(キアゲン)を用いて、得られたコロニー6由来の5ml培養物から調製した。プラスミドDNA(200-500ng)を、ビッグダイターミネータ装置(アプライドバイオシステムズカタログNo.4390246)を、その製造業者の指示に従って使用して、21M13及びM13RevプライマーによりDNA配列決定に掛けた。これらプライマーの配列を表1に示す。配列決定反応液は、Dye-Exカラム(キアゲン)又はモンタージSEQ 96クリーンアッププレート(ミリポアカタログNo.LSKS09624)を用いて精製し、次いでアプライドバイオシステムズ3700シーケンサで分析した。
正確な配列(pENTR-INSP094-6HIS、プラスミドID13979、図11)を含むクローンの一種由来のプラスミド溶出液(2μl)を、次に、1.5μlのpEAK12dベクター又はpDEST12.2ベクター(図9&10)(0.1μg/μl)、2μlのLRバッファー及び1.5μlのLRクローナーゼ(インビトロゲン)を含有する組換え反応において、最終体積10μl中で使用した。この混合物を、RTにて1時間インキュベートし、プロテイナーゼK(2μg)の添加により停止させ、37℃にて更に10分間インキュベートした。この反応のアリコート(1μl)を、以下のようにエレクトロポレーションすることにより、E.コリDH10B細胞を形質転換するのに使用した:DH10Bエレクトロコンピーテント細胞(インビトロゲン)のアリコート30μlを、氷上で解凍し、このLR反応混合物1μlを添加した。この混合物を、冷却した0.1cmのエレクトロポレーション用のキュベットに移し、これら細胞を、バイオラドジーン-パルサー(BioRad Gene-PulserTM)を、その製造業者の指示に従って使用して、エレクトロポレーションした。室温まで予め加温した、SOC培地(0.5ml)を、エレクトロポレーションの直後に添加した。この混合物を、15mlのスナップ-キャップチューブに移し、振とう(220rpm)しつつ37℃にて1時間インキュベートした。この形質転換混合物のアリコート(10μl及び50μl)を、次にアンピシリン(100μg/ml)を含むL-ブロス(LB)プレート上に置き、37℃にて一夜インキュベートした。
【0082】
プラスミドミニ-プレプDNAを、キアプレプターボ9600ロボット装置(キアゲン)を用いて、各ベクター中でサブクローニングされた、得られたコロニー6由来の5ml培養物から調製した。pEAK12dベクター中のプラスミドDNA(200-500ng)を、上記の如く、pEAK12F及びpEAK12Rプライマーによる、DNA配列決定に掛けた。pDEST12.2ベクター中のプラスミドDNA(200-500ng)を、上記の如く、21M13及びM13Revプライマーによる、DNA配列決定に掛けた。これらプライマーの配列を表1に示す。
CsCl勾配精製したマキシ-プレプ(maxi-prep)DNAを、該配列が明らかにされたクローン(pEAK12d-INSP094-6HIS、プラスミドID No.13981、図12、及びpDEST12.2-INSP094-6HIS、プラスミドID No.13980、図13)各々の1種の培養液500mlから、サムブルックJ.等, 1989 (モレキュラークローニング、ラボラトリーマニュアル(Molecular Cloning, a Laboratory Manual),第2版、コールドスプリングハーバーラボラトリープレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)刊)に記載されている方法を用いて調製し、プラスミドDNAを1μg/μlなる濃度にて、滅菌水中に再度懸濁し、-20℃にて保存した。
【0083】
実施例5:INSP094の発現及び精製
今や、ここに記載したヌクレオチド及びアミノ酸配列に基いて、インビトロにおける、該INSP094ポリペプチドの組織内分布及び発現レベルを決定するための、更なる実験を行うことができる。
INSP094に対する転写物の存在は、異なるヒト組織由来のcDNAをPCR増幅することにより、検討することができる。このINSP094転写物は、テストしたサンプル中に、極めて低レベルで存在することができる。従って、該RNA調製物中の少量のゲノム汚染が、誤った正の結果を与えるので、様々なヒト組織における転写物存在を確認するための実験を設計するに際しては、細心の注意が必要となる。このように、逆転写のために使用する前に、全てのRNAをDNAseで処理すべきである。更に、各組織に対して、逆転写を行わない、コントロール反応(-ve RTコントロール)を設定することができる。
例えば、各組織由来の全RNA1μgを使用して、マルチスクリプト(Multiscript)逆転写酵素(ABI)及びランダムヘキサマープライマーを用いて、cDNAを生成することができる。各組織に対して、該逆転写酵素以外の全ての成分を添加する、コントロール反応(-ve RTコントロール)を計画することができる。該逆転写されたRNAサンプル及び-RTコントロールに基いて、各組織に関してPCR反応を設定する。INSP094-特異的プライマーは、ここに与えられた配列情報に基いて、容易に設計することができる。-RTコントロールにおける生成物の存在しない事実と共に、該逆転写されたサンプルにおける、正確な分子量を持つ生成物の存在は、該当する組織中の転写物の存在に関する証拠であると考えられる。あらゆる適当なcDNAライブラリーを使用して、上記のようにして得たもの以外にも、該INSP094転写物をスクリーニングすることができる。
【0084】
該INSP094ポリペプチドの組織分布パターンは、これらポリペプチドの機能と関連して、更に有用な情報を与えるであろう。また、更なる実験を、pEAK12d-INSP094-6HIS発現ベクターを用いて行うことが、今や可能である。哺乳動物細胞系のこれらベクターによるトランスフェクションは、該INSP094タンパクの高レベルでの発現を可能とし、またこのようにして該INSP094ポリペプチドの機能的な特徴の継続的な研究を可能とする。以下に挙げる物質及び方法は、このような実験に適した物質及び方法の例である:
細胞培養
エプシュタインバールウイルスの核抗原(Epstein-Barr virus Nuclear Antigen)を発現する、ヒト胚腎293細胞(HEK293-EBNA、インビトロゲン)Ex-細胞VPRO血清-フリー培地(種子保存、維持培地、JRH)中に懸濁状態で維持される。トランスフェクション前の16〜20時間(Day-1)において、細胞を2xT225フラスコに播種した(DMEM/F12(1:1)含有2%FBS播種培地(JRH)中で、2x105細胞/mlなる密度にて、フラスコ当たり50ml)。翌日(トランスフェクション日0)、JetPEITM試薬(2μl/μgのプラスミドDNA,ポリプラス(PolyPlus)-トランスフェクション)を用いて、トランスフェクションを引起す。各フラスコに対して、プラスミドDNAを、GFP(蛍光リポータ遺伝子)DNAによって、同時トランスフェクションさせる。次いで、このトランスフェクション混合物を、2xT225フラスコに添加し、37℃(5%CO2)にて6日間インキュベートする。正のトランスフェクションの確認を、1日目及び6日目に定性的蛍光実験により実施することができる(アキシオバート10ザイス(Axiovert 10 Zeiss))。
【0085】
6日目(収穫日)に、2本のフラスコ由来の上澄みをプールし、濃縮(例えば、4℃にて、400gまで)し、かつ特有の同定装置を備えたポット内に配置する。一つのアリコート(500μl)を、6HIS-タグタンパク質QC(内部バイオプロセシングQC)用として保存する。
スケールアップしたバッチを、BP/PEI/HH/02/04として引用される、「懸濁細胞のPEIトランスフェクション」と呼ばれるプロトコールに従って、トランスフェクション剤としての、ポリサイエンス(Polyscience)から入手できるポリエチレンイミン(PolyEthyleneImine)を用いて、製造することができる。
精製法
C-末端6Hisタグを持つ組換えタンパク質を含有する、該培養培地のサンプルを、冷バッファーA(50mM NaH2PO4; 600mM NaCl; 8.7%(w/v)グリセロール、pH 7.5)で希釈する。次に、このサンプルを滅菌フィルタ(ミリポア)を介して濾過し、無菌の角型培地ボトル(ナルゲン(Nalgene)製)中で、4℃にて保存する。
【0086】
この精製は、自動サンプル搭載装置(ラボマチック(Labomatic))と接続した、VISIONワークステーション(アプライドバイオシステムズ製)上で、4℃にて行う。この精製手順は、2つの連続する段階、即ちNiイオンで帯電した、ポロス(Poros) 20MC(アプライドバイオシステムズ製)カラム(4.6x50mm、0.83ml)上での、金属アフィニティークロマトグラフィー、これに続くセファデックスG-25メジアム(アマーシャムファルマーシア)カラム(1.0x10cm)上でのゲル濾過で構成される。該第一のクロマトグラフィー段階に関連して、該金属アフィニティーカラムは、30カラム容積のEDTA溶液(100mM EDTA、1mM NaCl、pH 8.0)で再生し、15カラム容積の100mM NiSO4溶液で洗浄することにより、Niイオンを再度付加し、10カラム体積のバッファーA、次いで7カラム体積のバッファーB(50mM NaH2PO4、600mM NaCl、8.7%(w/v)グリセロール、400mMのイミダゾール、pH 7.5)で洗浄し、最終的に15mMのイミダゾールを含む15カラム体積のバッファーAで平衡化させる。該サンプルを、該ラボマチックサンプル搭載装置によって、200mlのサンプルループに移し、次いで10ml/分なる流量で、該Ni金属アフィニティーカラムに充填する。このカラムを、12カラム体積のバッファーA、次いで28カラム体積の、20mMのイミダゾールを含むバッファーAで洗浄する。この20mMのイミダゾール洗浄中に、緩く結合した汚染タンパク質は、該カラムから溶出される。該組換えHis-タグタンパク質は、最終的に10カラム体積のバッファーBにより、流量2ml/分にて溶出され、また溶出するタンパク質は回収される。
【0087】
該第二のクロマトグラフィー段階に関連して、該セファデックスG-25ゲル-濾過カラムは、2mlのバッファーD(1.137M NaCl、2.7mM KCl、1.5mM KH2PO4、8mM Na2HPO4、pH 7.2)で再生し、次いで4カラム体積のバッファーC(137mM NaCl、2.7mM KCl、1.5mM KH2PO4、8mM Na2HPO4、20%(w/v)グリセロール、pH 7.4)で平衡化させる。このNi-カラムから溶出するピーク画分を、該VISIONの組込まれたサンプル搭載装置を介して、該セファデックスG-25カラムに自動的に充填し、タンパク質を流量2ml/分にてバッファーCで溶出する。この画分を、滅菌した遠心分離用のフィルタ(ミリポア)を介して濾過し、-80℃にて凍結し、かつ保存する。このサンプルのアリコートを、抗-His抗体を用いて、SDS-PAGE(4-12% NuPAGEゲル、ノベックス(Novex))ウエスタンブロットで分析する。このNuPAGEゲルは、0.1%クーマシーブルーR250染色溶液(30%メタノール、10%酢酸)中で、室温にて1時間染色し、次いでバックグラウンドが透明になり、またタンパク質のバンドが、明らかに見えるまで、20%メタノール、7.5%酢酸中で脱染色する。
【0088】
この電気泳動に引続き、該タンパク質を該ゲルから、ニトロセルロース膜に電気的に転写させる(electro-transferred)。この膜は、バッファーE(137mM NaCl、2.7mM KCl、1.5mM KH2PO4、8mM Na2HPO4、0.1%ツイーン(Tween) 20、pH 7.4)中の5%ミルク粉末で、室温にて1時間遮断させ、次いで2.5%ミルク粉末中の2羽のウサギのポリクローナル抗-His抗体(G-18及びH-15、各0.2μg/ml、サンタクルーズ(Santa Cruz))の混合物と共に、バッファーE中で4℃にて一夜インキュベートする。室温にて、更に1時間インキュベートした後、この膜を、バッファーE(3x10分)で洗浄し、次いで2.5%ミルク粉末を含むバッファーEで1/3000倍に希釈した、第二のHRP-複合化抗-ウサギ抗体(DAKO、HRP 0399)と共に、室温にて2時間インキュベートする。バッファーE(3x10分)で洗浄した後、この膜をECRキット(アマーシャムファルマーシア)で1分間現像する。この膜を、引続きハイパーフィルム(Hyperfilm)(アマーシャムファルマーシア)に暴露し、該現像した膜及びウエスタンブロット像を肉眼で分析する。
クーマシー染色によって検出可能なタンパク質バンドを示すサンプルについて、該タンパク質濃度は、標準としてウシ血清アルブミンを用いて、BCAタンパク質アッセイキット(ピアース(Pierce))を利用して測定できる。
更に、細胞系におけるこれらポリペプチドの過剰発現又はその発現の低減を、該宿主細胞ゲノムの、転写活性に及ぼす効果の決定に利用することができる。該INSP094ポリペプチドの二量化用パートナー及び同時リプレッサー(co-repressors)は、ウエスタンブロット法と組合わせた免疫沈降及び質量スペクトル法と組合わせた免疫沈降によって同定できる。
【0089】
実施例6:ケモカインの特異性、効力、及び効能をテストするためのアッセイ
細胞培養物又は動物モデルを用いた、ケモカインの特異性、効力、及び効能をテストするために、幾つかのアッセイ、例えばインビトロ走化性アッセイ(Proudfoot A.等, J. Biol. Chem., 2001, 276:10620-10626; Lusti-Narasimhan M.等, J. Biol. Chem., 1995, 270:2716-21)、又はマウス耳の膨潤(Garrigue JL等, Contact Dermatitis, 1994, 30:231-7)が開発されている。有用な道具及び生成物(抗体、トランスジェニック動物、放射性標識したタンパク質等)を生成するための、多くの他のアッセイ及び技術が、ケモカインに対して与えられた論評及び書物中に記載されており(Methods Mol. Biol., 2000, vol.138「ケモカインズプロトコールズ(Chemokines Protocols)」Proudfoot AI等編, フマナプレス(Humana Press)刊; Methods Enzymol.. 1997, 287 & 288,アカデミックプレス(Academic Press)刊)、またより正確な方法で、本発明のケモカイン-様ポリペプチド及び関連する薬剤の生物学的な活性を、可能な治療又は診断法及び用途との関連で明らかにするために、利用することもできる。
以下のインビトロでの細胞を基本とする、トリ-レプリカアッセイは、本発明のタンパク質の、コンカナバリンA(Con A)によって誘発されるサイトカイン分泌に及ぼす効果を測定するが、ここで該コンカナバリンAは、様々なヒトの抹消血単核細胞(hPBMC)、IL-2、IFN-γ、TNF-α、IL-5、IL-4及びIL-10に関するサイトカインビーズアッセイ(CBA)によって測定される、例えばヒューマンTh1/Th2サイトカイン(Human Th1/Th2 Cytokine) CBAキット(ベクトン-ディッキンソン(Becton-Dickinson))によって測定される細胞に、作用を及ぼす。
【0090】
最適条件は、96-ウエルプレートにおいて、100,000細胞/ウエル及び2%グリセロール中で、最終体積100μlである。マイトジェン(ConA)の最適濃度は、5ng/mlである。このアッセイに関する最適時間は、48時間である。読出し選択は、該CBAである。
1. バフィーコート由来のヒトPBMCの精製
バフィーコート1〜2は、DEMCで希釈する。その後、25mlの希釈した血液を、50mlファルコン(Falcon)チューブ内の、フィコール(Ficoll)の15mlの層に徐々に添加し、これらチューブを遠心分離処理(2000rpm、20分、室温、ブレーキなし)する。次いで、間期(リング)を集め、これらの細胞を25mlのDMEMで洗浄し、次いで遠心分離処理する(1200rpm、5分間)。この手順を3回繰返す。バフィーコートは、約600x106個の全細胞を与える。
2. スクリーニング
1.25x106細胞/mlを含む液80μlを、DMEM+2.5%ヒト血清+1%L-グルタミン+1%ペニシリン-ストレプトマイシンで希釈し、その後96-ウエルマイクロタイタープレートに加える。ウエル当たり10μlを添加する(ウエル当たり1条件):タンパク質は、PBS+20%グリセロールで希釈した(該タンパク質の最終的な希釈率は1/10であった)。
【0091】
次いで、10μlのConA刺激物(Stimulant)(50μg/ml)を、各ウエルに添加する(ウエル当たり1条件 - ConAの最終濃度は5μg/mlである)。
48時間後に、細胞上澄みを集め、またヒトサイトカインを、ヒューマンTh1/Th2サイトカインCBAキットベクトン-ディッキンソンによって測定する。
3. CBA分析
(更なる詳細については、このCBAキットにおける製造業者の使用説明書を参照のこと)。
i) 混合ヒューマンTh1/Th2捕獲ビーズ(Human Th1/Th2 Capture Beads)の調製
この実験に必要なアッセイチューブの数を決定する。
各捕獲ビーズの懸濁液を、混合前に数秒間激しく撹拌する。分析すべき各アッセイに関連して、各捕獲ビーズのアリコート10μlを、「混合捕獲ビーズ」なるラベルを貼った単一のチューブに添加する。このビーズ混合物を十分に撹拌する。
ii) テストサンプルの調製
上澄みを、アッセイダイリューエント(Assay Diluent)を用いて稀釈(1:4)する(20μlの上澄み+60μlのアッセイダイリューエント)。次いで、このサンプル希釈液を、96ウエルの、円錐状の底部を持つマイクロタイタープレート(ヌンク(Nunc))に該サンプルを移す前に、混合する。
【0092】
iii) ヒューマンTh1/Th2サイトカインCBAアッセイ手順
該希釈した上澄み50μlを、96ウエルの、円錐状の底部を持つマイクロタイタープレート(ヌンク)に添加する。該混合捕獲ビーズ液50μlを添加し、次いで50μlのヒューマンTh1/Th2 PEディテクションリエージェント(Detection Reagent)を添加する。次に、このプレートを、RTにて、3時間インキュベートし、直接光に暴露されないように保護し、次に1500rpmにて5分間遠心分離処理する。次に、得られる上澄みを注意して捨てる。次の工程において、200μlの洗浄バッファーを、各ウエルに2度添加し、1500rpmにて5分間遠心分離処理し、かつ得られる上澄みを注意して捨てる。130μlの洗浄バッファーを、その後各ウエルに添加し、該ビーズペレットを再懸濁させる。これらのサンプルを、フローサイトメータで、最終的に分析する。次いで、これらのデータを、CBAアプリケーションソフトウエア、アクティビティーベース&マイクロソフトエクセル(Application Software, Activity Base and Microsoft Excel)ソフトウエアを用いて分析する。
このアッセイの読み出しにより、インビトロにて、本発明のタンパク質が、全てのテストしたサイトカイン(IFN-γ、TNF-α、IL-2、IL-4、IL-5、IL-10)に対して、不変の阻害作用を持つか否かについて評価することができる。
更に、EC50値に基いて、何れのサイトカインが、最も阻害され、また該当するサイトカインに対して特別に関連することが知られている、特異的な自己免疫/炎症性疾患を導くかを、容易に評価することができる。


















【0093】
【表1】

【0094】
配列リスト
配列番号1 (INSP093ヌクレオチド配列エキソンA)
1 ATGTCAGCAC AACATGGTCT TGTTTCCAAA TTTGGGCTGG GGCTTCTGCT CCTTGGGGAC
61 AAATACTTTC AAAGACATGA ACAATCAAAA CCTCATCAAG AAGAAATAGA CAACCTGCAT
121 AGCCCT

配列番号2 (INSP093ポリペプチド配列エキソンA)
1 MSAQHGLVSK FGLGLLLLGD KYFQRHEQSK PHQEEIDNLH SP

配列番号3 (INSP093ヌクレオチド配列エキソンB)
1 GACCTGCCCA CGCCGGGACA CCCGGTGACA CTCCACTCCC TCTGCTTTTG CAGCCCCCGG
61 GGGACCCTCC TCGAGGGCCC CATGTCTTCT GGGTTCCATC GCTTTGAGGT AGAAAATCTG
121 AGGCCTCAAA CTGCCCCCAA AGCAGGCAAA GGTCAGATGT GTGGAGAGAG GATGGCGAGG
181 ATGGCAAGGA CGGCCAAGGA GGGTCGCCCC AGGTGCCTGG ACCCAGGTTT GTCCCGCACC
241 CCGCACCCTG GCCCACATGT CTTCCTTCCC CATAGCCCCA CCCCAGCATC CTGGCACCAG
301 TGGGCTCCTG GTGGCACTGG CTGGATGCTG

配列番号4 (INSP093ポリペプチド配列エキソンB)
1 DLPTPGHPVT LHSLCFCSPR GTLLEGPMSS GFHRFEVENL RPQTAPKAGK GQMCGERMAR
61 MARTAKEGRP RCLDPGLSRT PHPGPHVFLP HSPTPASWHQ WAPGGTGWML

配列番号5 (INSP093部分ヌクレオチド配列)
1 ATGTCAGCAC AACATGGTCT TGTTTCCAAA TTTGGGCTGG GGCTTCTGCT CCTTGGGGAC
61 AAATACTTTC AAAGACATGA ACAATCAAAA CCTCATCAAG AAGAAATAGA CAACCTGCAT
121 AGCCCTGACC TGCCCACGCC GGGACACCCG GTGACACTCC ACTCCCTCTG CTTTTGCAGC
181 CCCCGGGGGA CCCTCCTCGA GGGCCCCATG TCTTCTGGGT TCCATCGCTT TGAGGTAGAA
241 AATCTGAGGC CTCAAACTGC CCCCAAAGCA GGCAAAGGTC AGATGTGTGG AGAGAGGATG
301 GCGAGGATGG CAAGGACGGC CAAGGAGGGT CGCCCCAGGT GCCTGGACCC AGGTTTGTCC
361 CGCACCCCGC ACCCTGGCCC ACATGTCTTC CTTCCCCATA GCCCCACCCC AGCATCCTGG
421 CACCAGTGGG CTCCTGGTGG CACTGGCTGG ATGCTGTAG

配列番号6 (INSP093部分ポリペプチド配列)
1 MSAQHGLVSK FGLGLLLLGD KYFQRHEQSK PHQEEIDNLH SPDLPTPGHP VTLHSLCFCS
61 PRGTLLEGPM SSGFHRFEVE NLRPQTAPKA GKGQMCGERM ARMARTAKEG RPRCLDPGLS
121 RTPHPGPHVF LPHSPTPASW HQWAPGGTGW ML

配列番号7 (INSP094ヌクレオチド配列エキソンA)
1 AATACCGAGA ATGATTTTTA TGAGATCTGT GGAAATCAGT CACATCATCA CGACAATGCA
61 AGAATAAAGA AGTTAGTAGA TGGCCTTGAG TTTTCCCAAA CAATGGCATT TTCTGCTACC
121 AAAATAAATA TGTTATTCAG TCAGAACCAC TGGACTATAA GAAGTATATT CCATTCTGGT
181 TTTTACTGGG GGAAAGGATG TTGCCACAAG ATGTCAGTCC ATTTATTCAT TCATATATCC
241 AATAGATATT TTATGACCAC TTCCATGTGC CAGGAGATGG CTAAGATCCT TGGAAGACAG
301 ATAAAATGCT ACCTACCAAC TCAAAGTCCA GTTAGGGAGT CAGGGGGTAA AACAATATTC

配列番号8 (INSP094ポリペプチド配列エキソンA)
1 NTENDFYEIC GNQSHHHDNA RIKKLVDGLE FSQTMAFSAT KINMLFSQNH WTIRSIFHSG
61 FYWGKGCCHK MSVHLFIHIS NRYFMTTSMC QEMAKILGRQ IKCYLPTQSP VRESGGKTIF

配列番号9 (INSP094部分ヌクレオチド配列)
1 AATACCGAGA ATGATTTTTA TGAGATCTGT GGAAATCAGT CACATCATCA CGACAATGCA
61 AGAATAAAGA AGTTAGTAGA TGGCCTTGAG TTTTCCCAAA CAATGGCATT TTCTGCTACC
121 AAAATAAATA TGTTATTCAG TCAGAACCAC TGGACTATAA GAAGTATATT CCATTCTGGT
181 TTTTACTGGG GGAAAGGATG TTGCCACAAG ATGTCAGTCC ATTTATTCAT TCATATATCC
241 AATAGATATT TTATGACCAC TTCCATGTGC CAGGAGATGG CTAAGATCCT TGGAAGACAG
301 ATAAAATGCT ACCTACCAAC TCAAAGTCCA GTTAGGGAGT CAGGGGGTAA AACAATATTC

配列番号10 (INSP094部分ポリペプチド配列)
1 NTENDFYEIC GNQSHHHDNA RIKKLVDGLE FSQTMAFSAT KINMLFSQNH WTIRSIFHSG
61 FYWGKGCCHK MSVHLFIHIS NRYFMTTSMC QEMAKILGRQ IKCYLPTQSP VRESGGKTIF

配列番号11 (クローニングしたINSP094の部分ヌクレオチド配列)
1 ATGGCATTTT CTGCTACCAA AATAAATATG TTATTCAGTC AGAACCACTG GACTATAAGA
61 AGTATATTCC ATTCTGGTTT TTACTGGGGG AAAGGATGTT GCCACAAGAT GTCAGTCCAT
121 TTATTCATTC ATATATCCAA TAGATATTTT ATGACCACTT CCATGTGCCA GGAGATGGCT
181 AAGATCCTTG GAAGACAGAT AAAATGCTAC CTACCAACTC AAAGTCCAGT TAGGGAGTCA
241 GGGGGTAAAA CAATATTCTA GCACA

配列番号12 (クローニングしたINSP094の部分ポリペプチド配列)
1 MAFSATKINM LFSQNHWTIR SIFHSGFYW GKGCCHKMS VHLFIHISN RYFMTTSMCQ
61 EMAKILGRQI KCYLPTQSPV RESGGKTIF
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】INSP093部分ポリペプチド配列(配列番号6)に関する、スタンドアローンゲノムスレッダー(Stand alone Genome Threader)による結果を示す。
【図2】INSP093部分ポリペプチド配列(配列番号6)と、トップヒット(top hit)、iqg7(ストロマ細胞-由来のファクタ-1α)との間のアライメント。
【図3】INSP094部分ポリペプチド配列(配列番号10)に関する、スタンドアローンゲノムスレッダー(Stand alone Genome Threader)による結果を示す。
【図4】INSP094部分ポリペプチド配列(配列番号10)と、トップヒット(top hit)、1hum(ヒトマクロファージ炎症性タンパク質1β)との間のアライメント。
【図5】翻訳を含む、INSP094のヌクレオチド配列。
【図6】プライマーINSP094-CP1及びINSP094-CP2を用いてクローニングした、PCR生成物の、翻訳を含むヌクレオチド配列。
【図7】pCR4-TOPO-INSP094のマップ。
【図8】pDONR221のマップ。
【図9】発現ベクターpEAK12dのマップ。
【図10】発現ベクターpDEST12.2のマップ。
【図11】pENTR-INSP094-6HISのマップ。
【図12】pEAK12d-INSP094-6HISのマップ。
【図13】pDEST12.2-INSP094-6HISのマップ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i) 配列番号10に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチド、
(ii) IL-8様のケモカインファミリーの一員として機能する、あるいは上記(i)のポリペプチドと共通の抗原決定基を持つ、該ポリペプチドのフラグメント、又は
(iii) 上記(i)又は(ii)と機能的に等価なポリペプチド。
【請求項2】
該ポリペプチドが、
(i) 配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチド、
(ii) IL-8様のケモカインファミリーの一員として機能する、あるいは上記(i)のポリペプチドと共通の抗原決定基を持つ、該ポリペプチドのフラグメント、又は
(iii) 上記(i)又は(ii)と機能的に等価なポリペプチドである、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項3】
該ポリペプチドが、
(i) 配列番号10又は配列番号12に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(ii) IL-8様のケモカインファミリーの一員として機能する、あるいは上記(i)のポリペプチドと共通の抗原決定基を持つ、該ポリペプチドのフラグメント、又は
(iii) 上記(i)又は(ii)と機能的に等価なポリペプチドである、請求項1又は2記載のポリペプチド。
【請求項4】
該ポリペプチドが、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10又は配列番号12に記載のアミノ酸配列と相同であり、かつIL-8様のケモカインファミリーの一員であることを特徴とする、上記請求項の何れか1項に記載の項目(iii)記載の、機能的に等価なポリペプチド。
【請求項5】
配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10又は配列番号12に記載のアミノ酸配列又はその活性フラグメントと、80%を越える配列同一性、好ましくは85%、90%、95%、98%又は99%を越える配列同一性を持つ、上記請求項1〜5の何れか1項に記載のフラグメント又は機能的に等価なものとしてのポリペプチド。
【請求項6】
配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10又は配列番号12に記載のアミノ酸配列を持つポリペプチドと、有意な構造上の相同性を示す、上記請求項1〜6の何れか1項記載の、機能的に等価なポリペプチド。
【請求項7】
配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10又は配列番号12に記載のアミノ酸配列由来の、7又はそれ以上のアミノ酸残基からなる、請求項1〜3の何れか1項に記載の項目(i)のポリペプチドと共通の抗原決定基を持つ、請求項1〜3及び5の何れか1項に記載のフラグメントとしての、ポリペプチド。
【請求項8】
上記請求項の何れか1項に記載のポリペプチドをコードする、精製された核酸分子。
【請求項9】
配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9及び/又は配列番号11に記載の核酸配列を含む、又はその重複等価配列又はそのフラグメントである、請求項7記載の精製核酸分子。
【請求項10】
配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9及び/又は配列番号11に記載の核酸配列からなる、又はその重複等価配列又はそのフラグメントである、請求項7又は8記載の精製核酸分子。
【請求項11】
高いストリンジェンシー条件の下で、請求項7〜10の何れか1項に記載の核酸分子とハイブリッド化する、精製核酸分子。
【請求項12】
請求項7〜11の何れか1項に記載の核酸分子を含む、ベクター。
【請求項13】
請求項12記載のベクターによって形質転換した、宿主細胞。
【請求項14】
請求項1〜7の何れか1項に記載のIL-8様のケモカインポリペプチドに対して、特異的に結合する、リガンド。
【請求項15】
抗体である、請求項14記載のリガンド。
【請求項16】
請求項1〜7の何れか1項に記載のポリペプチドの発現又は活性レベルを、増減する化合物。
【請求項17】
該ポリペプチドの如何なる生物学的な効果をも誘発することなしに、請求項1〜7の何れか1項に記載のポリペプチドと結合する、請求項16記載の化合物。
【請求項18】
天然の又は変性された基質、リガンド、酵素、レセプター又は構造的もしくは機能的模擬物質である、請求項17記載の化合物。
【請求項19】
疾患の治療又は診断において使用するための、請求項1〜7の何れか1項に記載のポリペプチド、請求項7〜11の何れか1項に記載の核酸分子、請求項12記載のベクター、請求項13記載の宿主細胞、請求項14又は15記載のリガンド、又は請求項16〜18の何れか1項に記載の化合物。
【請求項20】
患者における疾患を診断する方法であって、該患者由来の組織内の、請求項1〜7の何れか1項に記載のポリペプチドをコードする、天然遺伝子の発現レベルを評価するか、あるいは請求項1〜7の何れか1項に記載のポリペプチドの活性を評価する工程と、該発現又は活性のレベルを、コントロールのレベルと比較する工程とを含み、該コントロールレベルと異なるレベルが、疾患の指標となることを特徴とする、上記方法。
【請求項21】
インビトロで行う、請求項20記載の方法。
【請求項22】
(a) 請求項14又は15記載のリガンドと、生物学的サンプルとを、リガンド-ポリペプチド複合体を生成するのに適した条件下で接触させる工程、及び(b) 該複合体を検出する工程とを含む、請求項20又は21記載の方法。
【請求項23】
a) 該患者を由来とする組織のサンプルと、核酸プローブとを、請求項7〜11の何れか1項に記載の核酸分子と該プローブとの間に、ハイブリッド複合体の形成を可能とするストリンジェント条件下で接触させる工程と、
b) コントロールサンプルと該プローブとを、上記工程a)において使用したものと同一の条件下で接触させる工程と、
c) 該サンプルにおけるハイブリッド複合体の存在を検出する工程とを含み、該コントロールサンプルにおける該ハイブリッド複合体レベルとは異なる、該患者サンプルにおける該ハイブリッド複合体レベルの検出が、疾患の指標となる、請求項20又は21記載の方法。
【請求項24】
a) 該患者の組織由来の核酸サンプルと核酸プライマーとを、請求項7〜11の何れか1項に記載の核酸分子と該プライマーとの間に、ハイブリッド複合体の形成を可能とするストリンジェント条件下で接触させる工程と、
b) コントロールサンプルと該プライマーとを、上記工程a)において使用したものと同一の条件下で接触させる工程と、
c) 該サンプル核酸を増幅する工程と、
d) 該患者及びコントロールサンプル両者由来の増幅された核酸のレベルを検出する工程とを含み、該コントロールサンプル内の該増幅核酸レベルとは有意に異なる、該患者サンプル内の該増幅核酸レベルの検出が、疾患の指標となる、請求項20又は21記載の方法。
【請求項25】
a) 疾患につきテストすべき患者由来の組織を得る工程と、
b) 該組織サンプルから、請求項7〜11の何れか1項に記載の核酸分子を単離する工程と、
c) 該核酸分子における、該疾患の指標としての、該疾患と関連する突然変異の存在を検出することにより、該患者を該疾患について診断する工程を含む、請求項20又は21記載の方法。
【請求項26】
更に、該核酸分子を増幅して、増幅された生成物を生成する工程と、該増幅生成物における突然変異の有無を検出する工程を含む、請求項25記載の方法。
【請求項27】
該核酸分子とハイブリッド化する核酸プローブと、該核酸分子とを、ストリンジェント条件下で接触させて、ハイブリッド二本鎖分子を生成する工程、ここで該ハイブリッド二本鎖分子は、疾患と関連する突然変異に相当する任意の部分において、該核酸プローブの未ハイブリッド化部分を有し;及び該疾患関連突然変異の有無に係る指標としての、該プローブストランドの未ハイブリッド化部分の有無を検出する工程によって、該患者における該突然変異の有無を検出する、請求項25又は26記載の方法。
【請求項28】
該疾患が、新生物、黒色腫、肺、結腸直腸、胸部、膵臓、頭部及び頚部並びに他の固形腫瘍を包含する細胞増殖疾患;骨髄増殖性疾患、例えば白血病、非-ホジキンリンパ腫、白血球減少症、血小板減少症、血管形成障害、カポジー肉腫;アレルギー、炎症性腸疾患、関節炎、乾癬及び気道炎症、喘息、及び器官移植の拒絶反応を包含する自己免疫/炎症性疾患;高血圧、浮腫、アンギナ、アテローム性動脈硬化症、血栓症、敗血症、ショック、再灌流傷害及び虚血を包含する心臓血管障害;中枢神経系疾患、アルツハイマー病、脳傷害、筋萎縮性側索硬化症及び痛みを包含する神経系の障害;発育異常;真性糖尿病、骨粗鬆症、及び肥満、AIDS及び腎疾患を包含する代謝異常;ウイルス感染症、細菌感染症、真菌感染症、寄生虫性感染症、亜致死性内毒素血症、敗血症性ショック、羊膜腔の微生物感染、回帰熱のヤリッシュ-ヘルクスハイマー反応、中枢神経系の感染症、急性膵炎、潰瘍性大腸炎、蓄膿症、溶血性尿毒症症候群、髄膜炎菌疾患、胃感染症、百日咳、腹膜炎、乾癬、リウマチ性関節炎、敗血症、喘息及び糸球体腎炎を包含する感染症を含むが、これらに限定されない、請求項20〜27の何れか1項に記載の方法。
【請求項29】
該疾患が、IL-8様のケモカインが関与している疾患である、請求項20〜27の何れか1項に記載の方法。
【請求項30】
請求項1〜7の何れか1項に記載のポリペプチドの、IL-8様ケモカインタンパク質としての使用。
【請求項31】
請求項1〜7の何れか1項に記載のポリペプチド、請求項7〜11の何れか1項に記載の核酸分子、請求項12記載のベクター、請求項13記載の宿主細胞、請求項14又は15記載のリガンド又は請求項16〜18の何れか1項に記載の化合物を含むことを特徴とする、薬理組成物。
【請求項32】
請求項1〜7の何れか1項に記載のポリペプチド又は請求項7〜11の何れか1項に記載の核酸分子を含むことを特徴とする、ワクチン組成物。
【請求項33】
新生物、黒色腫、肺、結腸直腸、胸部、膵臓、頭部及び頚部並びに他の固形腫瘍を包含する細胞増殖疾患;骨髄増殖性疾患、例えば白血病、非-ホジキンリンパ腫、白血球減少症、血小板減少症、血管形成障害、カポジー肉腫;アレルギー、炎症性腸疾患、関節炎、乾癬及び気道炎症、喘息、及び器官移植の拒絶反応を包含する自己免疫/炎症性疾患;高血圧、浮腫、アンギナ、アテローム性動脈硬化症、血栓症、敗血症、ショック、再灌流傷害及び虚血を包含する心血管障害;中枢神経系疾患、アルツハイマー病、脳傷害、筋萎縮性側索硬化症及び痛みを包含する神経系の障害;発育異常;真性糖尿病、骨粗鬆症、及び肥満、AIDS及び腎疾患を包含する代謝異常;ウイルス感染症、細菌感染症、真菌感染症、寄生虫性感染症、亜致死性内毒素血症、敗血症性ショック、羊膜腔の微生物感染、回帰熱のヤリッシュ-ヘルクスハイマー反応、中枢神経系の感染症、急性膵炎、潰瘍性大腸炎、蓄膿症、溶血性尿毒症症候群、髄膜炎菌疾患、胃感染症、百日咳、腹膜炎、乾癬、リウマチ性関節炎、敗血症、喘息及び糸球体腎炎を包含する感染症を治療する医薬の製造において使用するための、請求項1〜7の何れか1項に記載のポリペプチド、請求項7〜11の何れか1項に記載の核酸分子、請求項12記載のベクター、請求項13記載の宿主細胞、請求項14又は15記載のリガンド、請求項16〜18の何れか1項に記載の化合物、又は請求項31記載の薬理組成物。
【請求項34】
IL-8様のケモカインが関与している疾患を治療する医薬の製造において使用するための、請求項1〜7の何れか1項に記載のポリペプチド、請求項7〜11の何れか1項に記載の核酸分子、請求項12記載のベクター、請求項13記載の宿主細胞、請求項14又は15記載のリガンド、請求項16〜18の何れか1項に記載の化合物、又は請求項31記載の薬理組成物。
【請求項35】
患者における疾患を治療する方法であって、該患者に、請求項1〜7の何れか1項に記載のポリペプチド、請求項7〜11の何れか1項に記載の核酸分子、請求項12記載のベクター、請求項13記載の宿主細胞、請求項14又は15記載のリガンド、請求項16〜18の何れか1項に記載の化合物、又は請求項31記載の薬理組成物を投与することを特徴とする、上記方法。
【請求項36】
健康な患者における天然遺伝子の発現レベル又はポリペプチドの活性レベルと比較して、疾患に罹患している患者における該遺伝子の発現又は該ポリペプチドの活性がより低下している疾患に対して、該患者に投与された該ポリペプチド、核酸分子、ベクター、リガンド、化合物又は組成物が、アゴニストである、請求項35記載の方法。
【請求項37】
健康な患者における天然遺伝子の発現レベル又はポリペプチドの活性レベルと比較して、疾患に罹患している患者における該遺伝子の発現又は該ポリペプチドの活性がより高くなっている疾患に対して、該患者に投与された該ポリペプチド、核酸分子、ベクター、リガンド、化合物又は組成物が、アンタゴニストである、請求項35記載の方法。
【請求項38】
患者における疾患の治療処置を追跡する方法であって、該患者由来の組織における、請求項1〜7の何れか1項に記載のポリペプチドの発現又は活性レベル、又は請求項7〜11の何れか1項に記載の核酸分子の発現レベルを、所定期間に渡り追跡する工程を含み、該所定期間に渡る該発現又は活性レベルの、コントロールレベルに向かう変化が、該疾患の減退を表す指標であることを特徴とする、上記方法。
【請求項39】
疾患の治療及び/又は診断において効果的な、化合物を同定する方法であって、請求項1〜7の何れか1項に記載のポリペプチド、又は請求項7〜11の何れか1項に記載の核酸分子と、該ポリペプチド又は核酸分子に対する結合アフィニティーを持つと思われる、1種又はそれ以上の化合物とを接触させる工程、及び該核酸分子又はポリペプチドと特異的に結合する化合物を選別する工程を含むことを特徴とする、上記同定方法。
【請求項40】
疾患の診断にとって有用なキットであって、ストリンジェント条件下で、請求項7〜11の何れか1項に記載の核酸分子とハイブリッドを形成する核酸プローブを含む、第一の容器;該核酸分子を増幅するのに有用なプライマーを含む、第二の容器;及び該疾患の診断を簡略化するための、該プローブ及びプライマーの使用に関連する取扱説明書を含むことを特徴とする、上記キット。
【請求項41】
更に、ハイブリッド化されていないRNAを消化するための試薬を収容した、第三の容器をも含む、請求項40記載のキット。
【請求項42】
核酸分子のアレイを含み、その少なくとも一つが、請求項7〜11の何れか1項に記載の核酸分子であることを特徴とする、キット。
【請求項43】
請求項1〜7の何れか1項に記載のポリペプチドと結合する、1種又はそれ以上の抗体、及び該抗体と該ポリペプチドとの間の結合反応を検出するのに有用な試薬を含むことを特徴とする、キット。
【請求項44】
請求項1〜7の何れか1項に記載のポリペプチドを、より高い又はより低いレベルで発現し、又はこれを発現しないように形質転換されている、トランスジェニック又はノックアウト非-ヒト動物。
【請求項45】
請求項44記載の非-ヒトトランスジェニック動物と、候補化合物とを接触させ、かつ該動物の疾患に及ぼす該化合物の効果を測定することによる、疾患を治療するのに有効な化合物のスクリーニング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2006−526386(P2006−526386A)
【公表日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−561676(P2004−561676)
【出願日】平成15年12月19日(2003.12.19)
【国際出願番号】PCT/GB2003/005621
【国際公開番号】WO2004/056859
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(504238862)アレス トレイディング ソシエテ アノニム (24)
【Fターム(参考)】