説明

IL28B(rs8099917)とITPA(rs1127354)の変異を検出する方法

【課題】IL28B遺伝子多型のrs8099917とITPA遺伝子多型のrs1127354を検出するのに有効なプローブを特定し、IL28B遺伝子多型のrs8099917とITPA遺伝子多型のrs1127354を検出する方法、およびそのためのキットを提供する。
【解決手段】IL28B遺伝子の多型を検出するためのプローブであって、蛍光標識オリゴヌクレオチドからなることを特徴とする多型検出用プローブ。ITPA遺伝子の多型を検出するためのプローブであって、蛍光標識オリゴヌクレオチドからなることを特徴とする多型検出用プローブ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IL28B(rs8099917)とITPA(rs1127354)の変異検出法、ならびにそのための核酸プローブおよびキットに関する。
【背景技術】
【0002】
C型肝炎は、C型肝炎ウイルス(HCV)に感染することにより発症するウイルス性肝炎の一種である。我が国におけるHCV患者数は約200万人となっており、HCV患者の6〜8割が慢性肝炎に移行する。これを治療せず、慢性肝炎の状態を10〜30年経過することにより、3〜4割が肝硬変、肝がんに移行する。HCVを排除する抗ウイルス療法としては、インターフェロン療法があり、リバビリン併用やインターフェロンのペグ化により治療成績が改善されている。
ペグインターフェロン+リバビリン併用療法が有効な日本人の患者と無効な患者314人
に関して、ヒト遺伝子の中で個人差があるとされる約90万箇所を分析した結果、インターフェロン(IFN)の一種であるIL28B遺伝子及びその遺伝子周辺に存在するSNPが治療効果に関連していることが報告されている(非特許文献1)。また、ペグインターフェロン+リバビリン併用療法の効果に関すると予測した6個のSNPの内、rs8099917が最も治療効
果に影響があると報告されている(非特許文献2)。
リバビリン誘発性貧血は、抗C型肝炎ウイルス(HCV)療法の治療中断および減量の主要要因の一つである(非特許文献3)。ペグインターフェロン(PEG−IFN)/リバビリン併用療法を受けた日本人のC型肝炎患者を対象に、ITPA遺伝子変異が及ぼす臨床的な意義について評価した結果、ITPAエキソン内の機能的SNPであるrs1127354がリバビリン誘発性の貧血の有用な予測因子であることが報告されている(非特許文献
4)。
【0003】
非特許文献2では、IL28B(rs8099917)の変異がC型肝炎患者のペグインターフェロン+リバビリン療法に強く関与していることが報告されており、IL28B(rs8099917)の変異の
有無が、シークエンス解析を用いて検出されている。非特許文献5では、ITPA(rs1127354)の変異がペグインターフェロン/リバビリン療法時の貧血に強く関与していることが報告されており、ITPA(rs1127354)の変異の有無が、シークエンス解析を用いて検出されてい
る。
しかしながら、非特許文献2,5のように、C型肝炎患者のSNP変異を調査する為に全血からゲノム抽出を行うのは実際の臨床現場では非常に手間とコストが掛かる。その為、全血から直接変異の有無を自動的に測定する技術の要望が高まると予測される。また、ペグインターフェロン+リバビリン療法時にはIL28B(rs8099917)およびITPA(rs1127354)
が効果に関与することから、IL28B(rs8099917)およびITPA(rs1127354)の変異有無を同時
に測定する技術は臨床分野で必要とされる可能性が非常に高い。しかし、非特許文献2、5はシークエンス解析を行いIL28B(rs8099917)およびITPA(rs1127354)の変異の有無を見
ているので両変異の有無を同時に検出できていない。特許文献1には、蛍光色素で標識された核酸プローブを用いて標的核酸にハイブリダイゼーションさせ、蛍光色素の発光の減少量を測定する方法が記載されている。しかしながら、蛍光色素で標識された核酸プローブを用いて標的核酸にハイブリダイゼーションさせ、蛍光色素の発光の減少量測定を実施する上で何れの任意配列で実施できるわけではなく、変異毎に適正な配列を見つける必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−119291号公報
【0005】
【非特許文献1】Nature Genetics 41, 1105-1109 (2009)
【非特許文献2】PLoS One. 2010 Oct 29;5(10):e13771.
【非特許文献3】Hepatol Res. 2010 Nov;40(11):1063-1071.
【非特許文献4】Gastroenterology. 2010 Oct;139(4):1190-7. Epub 2010 Jul 14.
【非特許文献5】HePATOLOGY, Vol.53, Issue 2, pages 415-421
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、IL28B遺伝子多型のrs8099917とITPA遺伝子多型のrs1127354を検出するのに
有効なプローブを特定し、IL28B遺伝子多型のrs8099917とITPA遺伝子多型のrs1127354を
検出する方法、およびそのためのキットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、IL28B遺伝子多型のrs8099917を含む特定の領域およびITPA遺伝子多型のrs1127354を含む特定の領域に基づいてプローブを設計し、該プローブを用いて、標的核酸
とのハイブリッド形成・解離に基づくシグナルを検出することにより当該変異を検出できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)IL28B遺伝子の多型を検出するためのプローブであって、下記P1またはP1’の蛍光標識オリゴヌクレオチドからなることを特徴とする多型検出用プローブ。
(P1)配列番号1に示す塩基配列において、301〜307番目の塩基を含む塩基長7〜28の塩基配列又はそれに相同な配列を有し、307番目の塩基に対応する塩基がシトシンであり蛍光色素で標識されている、オリゴヌクレオチド。
(P1’)配列番号1に示す塩基配列において、301〜307番目の塩基を含む塩基長7〜28の塩基配列の相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列を有し、307番目の塩基に対応する塩基がシトシンであり蛍光色素で標識されている、オリゴヌクレオチド。
(2)ITPA遺伝子の多型を検出するためのプローブであって、下記P2〜P3’から選択される少なくとも1種の蛍光標識オリゴヌクレオチドからなることを特徴とする多型検出用プローブ。
(P2)配列番号2に示す塩基配列において、239〜251番目の塩基を含む塩基長13〜28の塩基配列に相補的な配列又はそれに相同な配列を有し、239番目の塩基に対応する(すなわち、相補的な)塩基がシトシンであり蛍光色素で標識されているオリゴヌクレオチド、
(P2’)配列番号2に示す塩基配列において、239〜251番目の塩基を含む塩基長13〜28の塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列を有し、239番目の塩基に対応する(すなわち、相補的な)塩基がシトシンであり蛍光色素で標識されているオリゴヌクレオチド、
(P3)配列番号2に示す塩基配列において、251〜256番目の塩基を含む塩基長6〜42の塩基配列又はそれに相同な配列を有し、256番目の塩基に対応する塩基がシトシンであり蛍光色素で標識されているオリゴヌクレオチド、
(P3’)配列番号2に示す塩基配列において、251〜256番目の塩基を含む塩基長6〜42の塩基配列の相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列を有し、256番目の塩基に対応する塩基がシトシンであり蛍光色素で標識されているオリゴヌクレオチド。
(3)P1およびP1’のオリゴヌクレオチドは、蛍光色素で標識された塩基番号307に対応する塩基を3’末端から数えて1〜3番目の位置に有し、
P2およびP2’のオリゴヌクレオチドは、蛍光色素で標識された塩基番号239に対
応する(すなわち、相補的な)塩基を3’末端から数えて1〜3番目のいずれかの位置に有し、
P3およびP3’のオリゴヌクレオチドは、蛍光色素で標識された塩基番号256に対応する塩基を3’末端から数えて1〜3番目のいずれかの位置に有する、(1)または(2)記載のプローブ。
(4)P1およびP1’のオリゴヌクレオチドは、蛍光色素で標識された塩基番号307に対応する塩基を3’末端に有し、
P2およびP2’のオリゴヌクレオチドは、蛍光色素で標識された塩基番号239に対応する(すなわち、相補的な)塩基を3’末端に有し、
P3およびP3’のオリゴヌクレオチドは、蛍光色素で標識された塩基番号256に対応する塩基を3’末端に有する、(1)または(2)記載のプローブ。
(5)前記蛍光標識オリゴヌクレオチドは、標的配列にハイブリダイズしないときに蛍光を発し、且つ標的配列にハイブリダイズしたときに蛍光強度が減少するかまたは増加する、(1)〜(4)のいずれか一項記載のプローブ。
(6)前記蛍光標識オリゴヌクレオチドが、標的配列にハイブリダイズしないときに蛍光を発し、標的配列にハイブリダイズしたときに蛍光強度が減少する、(5)記載のプローブ。
(7)P1およびP1’のオリゴヌクレオチドの塩基長が7〜23であり、
P2およびP2’のオリゴヌクレオチドの塩基長が13〜23であり、
P3およびP3’のオリゴヌクレオチドの塩基長が6〜27である、(1)〜(6)のいずれか一項記載のプローブ。
(8)P1およびP1’のオリゴヌクレオチドの塩基長が7〜18であり、
P2およびP2’のオリゴヌクレオチドの塩基長が13〜18であり、
P3およびP3’のオリゴヌクレオチドの塩基長が6〜22である、(1)〜(6)のいずれか一項記載のプローブ。
(9)前記プローブが、融解曲線分析用のプローブである、(1)〜(8)のいずれか一項に記載のプローブ。
(10)IL28B遺伝子またはITPA遺伝子における多型の検出方法であって、(1)〜(9)のいずれか一項記載のプローブを用いることを特徴とする方法。前記方法は、前記多型を含み得る核酸を含む試料について行われ、前記プローブと前記試料を接触させること及び前記多型の有無を検出することを含む。本発明はまた、前記多型を検出するためのプローブの使用を含む。
(11)IL28B遺伝子とITPA遺伝子における多型を別々もしくは1つの反応系で同時に検出する方法であって、
下記工程(I)〜(IV)を含むことを特徴とする方法。
(I)DNAを含有する試料に、(1)〜(9)のいずれか一項に記載のプローブを添加
して前記DNAに前記プローブをハイブリダイズさせる工程、
(II)温度を変化させて前記DNAと前記プローブとのハイブリッド形成体を解離させ
、ハイブリッド形成体の解離に基づくシグナルの変動を測定する工程、
(III)前記シグナルの変動を解析してTm値を決定する工程、および
(IV)前記Tm値から目的の多型の有無または多型を有する塩基配列の存在比を決定する工程。
(12)さらに、(I)の工程の前または(I)の工程と同時にDNAを増幅することを含
む、(11)記載の方法。
(13)(10)〜(12)のいずれか一項に記載の方法によりIL28B遺伝子とITPA遺伝子における多型を別々もしくは1つの反応系で同時に検出する工程、および多型の有無に基づいて、薬剤に対する耐性または薬剤の薬効を判定(または予測)することを含む、C型肝炎ウイルス治療薬の薬効の判定(または予測)方法。前記方法は、前記判定/予測が行われる被験者(例えば、ヒト)由来の試料で実施され得る。本明細書中で使用
される場合、「試料」とは、前記多型を含み得る核酸(例えば、DNA)を含む。
(14)IL28B遺伝子とITPA遺伝子における多型を別々もしくは1つの反応系で同時に検出するための試薬キットであって、(1)〜(9)のいずれか一項に記載のプローブを含むキット。
(15)P1もしくはP1’のオリゴヌクレオチドおよびP2もしくはP2’のオリゴヌクレオチドまたはP3もしくはP3’のオリゴヌクレオチドを含む、(14)に記載のキット。
(16)IL28B遺伝子の配列番号1に示す塩基配列におけるP1またはP1’のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする配列を含む領域を増幅するためのプライマー、および/または
ITPA遺伝子の配列番号2に示す塩基配列におけるP2もしくはP2’またはP3もしくはP3’のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする配列を含む領域を増幅するためのプライマーをさらに含む、(14)または(15)に記載の試薬キット。本発明はまた、前記多型を検出するためのキットの使用を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明のプローブをPCRなどの遺伝子増幅系中に添加しておくことで、遺伝子増幅反応
終了後、Tm解析を行うだけで、IL28B遺伝子多型のrs8099917とITPA遺伝子多型のrs1127354のタイピングが可能となる。さらに、全血や口腔粘膜懸濁液などを直接検査すること
が可能であるため、手間やコストを低減することができる。
本発明のプローブは、特異性が高い。
本発明の方法を用いることにより、PCRを行う場合であっても、増幅産物を取り出す必
要がないため、コンタミネーションの危険性がほぼ無い。また、本発明の方法は、手順が簡単なので自動化が容易である。
本発明の方法により、IL28B遺伝子多型のrs8099917とITPA遺伝子多型のrs1127354を同
時に検出することもできる。ペグインターフェロン+リバビリン療法は、IL28B(rs8099917)およびITPA(rs1127354)が療法の効果に大きく関与するので臨床的に2変異を同時に検
出できる意義は非常に大きい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(A)核酸混合物の融解曲線、及び(B)微分融解曲線の一例を示す図である。
【図2】本発明の実施例1にかかる多型検出用プローブを用いて得られた融解曲線である。縦軸は、単位時間当たりの蛍光強度の変化量(d蛍光強度増加量/t)、横軸は、温度(℃)である。四角は野生型、ひし形は変異型、三角はヘテロ型を示す(以下同様)。
【図3】比較例1にかかる多型検出用プローブを用いて得られた融解曲線である。
【図4】本発明の実施例2にかかる多型検出用プローブを用いて得られた融解曲線である。
【図5】比較例2にかかる多型検出用プローブを用いて得られた融解曲線である。
【図6】本発明の実施例3の精製ヒトゲノムにかかる多型検出用プローブを用いて得られた融解曲線である。左図はIL28B遺伝子多型検出の融解曲線、右図はITPA遺伝子多型検出の融解曲線である(以下同様)。
【図7】本発明の実施例3の全血にかかる多型検出用プローブを用いて得られた融解曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<1>本発明プローブおよび本発明検出方法
本発明の(P1)プローブは、IL28B遺伝子多型のrs8099917を検出するためのプローブであって、配列番号1に示す塩基配列において、301〜307番目の塩基を含む塩基長7〜28の塩基配列又はそれに相同な配列を有し、307番目の塩基に対応する塩基がシトシンであり蛍光色素で標識されている、オリゴヌクレオチドからなることを特徴とする
。この文脈で参照する場合、「相同な配列」とは、配列番号1または配列番号1の前記記載部分に相同な配列である。塩基長7〜28の塩基配列は、その全てが、配列番号1または「相同な配列」に連続して含まれる。
本発明の(P1’)プローブは、IL28B遺伝子多型のrs8099917を検出するためのプローブであって、配列番号1に示す塩基配列において、301〜307番目の塩基を含む塩基長7〜28の塩基配列の相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列を有し、307番目の塩基に対応する塩基がシトシンであり蛍光色素で標識されている、オリゴヌクレオチドからなることを特徴とする。この文脈で参照する場合、「ハイブリダイズする配列」は、配列番号1または配列番号1の前記記載部分の相補鎖とハイブリダイズする。塩基長7〜28の塩基配列は、その全てが、配列番号1または「ハイブリダイズする配列」に連続して含まれる。
ここで、IL28B遺伝子多型のrs8099917は、配列番号1の301番目の塩基である。このrs番号は、National Center for Biotechnology InformationのdbSNPデータベース(//www.ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/)の登録番号を示す。なお、配列番号1の301番目をkで示しているが、野生型の塩基がTであり、変異型の塩基がGである。本発明の(P1)または(P1’)プローブにおいては、配列番号1の301番目の塩基は変異型の塩基Gであることが好ましい。
本発明の(P1)または(P1’)プローブは、配列番号1に示す塩基配列において上記特定された配列を有する他は、特許文献1に記載されたプローブと同様にして作製できる。(P1)または(P1’)プローブの長さとしては、例えば、7〜48塩基長、7〜28塩基長、7〜23塩基長、7〜18塩基長である。
本発明に使用される(P1)または(P1’)プローブの塩基配列の例としては、5'-ctgtgagcaatGtcaccc-3'(配列番号3)が挙げられ、大文字の塩基Gが301番目の塩基に
対応する。
【0012】
本発明の(P2)プローブは、ITPA遺伝子多型のrs1127354を検出するためのプローブ
であって、配列番号2に示す塩基配列において、239〜251番目の塩基を含む塩基長13〜28の塩基配列に相補的な配列又はそれに相同な配列を有し、239番目の塩基に対応する(すなわち、相補的な)塩基がシトシンであり蛍光色素で標識されているオリゴヌクレオチドオリゴヌクレオチドからなることを特徴とする。この文脈で参照する場合、「相同な配列」とは、配列番号2または配列番号2の前記記載部分に相同な配列である。すなわち、前記オリゴヌクレオチドは、前記「相同な配列」の相補鎖を含む。塩基長13〜28の塩基配列は、その全てが、配列番号2または「相同な配列」に連続して含まれる。
本発明の(P2’)プローブは、ITPA遺伝子多型のrs1127354を検出するためのプロー
ブであって、配列番号2に示す塩基配列において、239〜251番目の塩基を含む塩基長13〜28の塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列を有し、239番目の塩基に対応する(すなわち、相補的な)塩基がシトシンであり蛍光色素で標識されているオリゴヌクレオチドオリゴヌクレオチドからなることを特徴とする。塩基長13〜28の塩基配列は、その全てが、配列番号2に連続して含まれる。
ここで、ITPA遺伝子多型のrs1127354は、配列番号2の251番目の塩基である。なお
、配列番号2の251番目をvで示しているが、野生型の塩基がCであり、変異型の塩基がAである。また、NCBIのSNPサイトにはITPA遺伝子多型のrs1127354はC/A/Gの3種が登録されているが、日本人はCのアレル頻度87.5%、Aのアレル頻度12.5%と記載されている(Gタイプの日本人は居ない)。また、Gの報告をした人(組織)は1名しか測定していない(P3のプローブについても同様)。本発明の(P2)または(P2’)プローブは、251番目の塩基が変異型の塩基Aである配列番号2の塩基配列に相補的であることが好ましい。
本発明の(P2)または(P2’)プローブは、配列番号2に示す塩基配列において上記特定された配列を有する他は、特許文献1に記載された消光プローブと同様にして作製
できる。本発明のプローブの長さとしては、例えば、13〜48塩基長、13〜28塩基長、13〜23塩基長、13〜18塩基長である。
本発明に使用される(P2)または(P2’)プローブの塩基配列の例としては、5'-gcatgTaaacttatctcc-3'(配列番号4)が挙げられ、大文字の塩基Tが251番目の塩基に
相当する(すなわち、相補的である)。
【0013】
本発明の(P3)プローブは、ITPA遺伝子多型のrs1127354を検出するためのプローブ
であって、配列番号2に示す塩基配列において、251〜256番目の塩基を含む塩基長6〜42の塩基配列又はそれに相同な配列を有し、256番目の塩基に対応する塩基がシトシンであり蛍光色素で標識されているオリゴヌクレオチドからなることを特徴とする。この文脈において参照する場合、「相同な配列」とは、配列番号2または配列番号2の前記記載部分に相同な配列である。塩基長6〜42の塩基配列は、その全てが、配列番号2または「相同な配列」に連続して含まれる。
本発明の(P3’)プローブは、ITPA遺伝子多型のrs1127354を検出するためのプロー
ブであって、配列番号2に示す塩基配列において、251〜256番目の塩基を含む塩基長6〜42の塩基配列の相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列を有し、256番目の塩基に対応する塩基がシトシンであり蛍光色素で標識されているオリゴヌクレオチドからなることを特徴とする。この文脈で参照する場合、「ハイブリダイズする配列」とは、配列番号2または配列番号2の前記記載部分の相補鎖とハイブリダイズする配列である。塩基長6〜42の塩基配列は、その全てが、配列番号2または「ハイブリダイズする配列」に連続して含まれる。
ここで、ITPA遺伝子多型のrs1127354は、配列番号2の251番目の塩基である。本発
明の(P3)または(P3’)プローブにおいては、配列番号2の251番目の塩基は野生型の塩基Cであることが好ましい。
本発明の(P3)または(P3’)プローブは、配列番号2に示す塩基配列において上記特定された配列を有する他は、特許文献1に記載された消光プローブと同様にして作製できる。本発明のプローブの長さとしては、例えば、6〜72塩基長、6〜42塩基長、6〜27塩基長、6〜22塩基長である。
本発明に使用される(P3)または(P3’)プローブの塩基配列の例としては、5'-tctaggagataagtttCcatgc-3'(配列番号5)が挙げられ、大文字の塩基Cが251番目の塩
基に相当する。
【0014】
前記蛍光色素は、制限されないが、例えば、フルオレセイン、リン光体、ローダミン、ポリメチン色素誘導体等が挙げられ、市販の蛍光色素としては、例えば、BODIPY
FL(商標名、モレキュラー・プローブ社製)、FluorePrime(商品名、アマシャムファルマシア社製)、Fluoredite(商品名、ミリポア社製)、FAM(ABI社製)、Cy3およびCy5(アマシャムファルマシア社製)、TARMA(モレ
キュラープローブ社製)等が挙げられる。プローブの検出条件は、特に制限されず、使用
する蛍光色素により適宜決定できるが、例えば、Pacific Blueは、検出波長
445〜480nm、TAMRAは、検出波長585〜700nm)、BODIPY F
Lは、検出波長520〜555nmで検出できる。このようなプローブを使用すれば、シグナルの変動により、ハイブリダイズと解離とを容易に確認することができる。蛍光色素のオリゴヌクレオチドへの結合方法は、通常の方法、例えば特許文献1に記載の方法に従って行うことができる。
【0015】
本願における「相同な配列」とは、特定の塩基配列において、塩基配列(例えば、配列番号1もしくは2または前記記載部分)または塩基配列の相補鎖(または前記記載部分)に例えば、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%以上の同一性を有する配列を有している塩基配列をさす。本願においては、100%の同一性を有していてもよい。
本願におけるハイブリダイゼーションは、公知の方法あるいはそれに準じる方法、例えば、Molecular Cloning 3rd(J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 2001)
に記載の方法等に従って行うことができる。この文献は、参照により本明細書に組み入れられるものとする。前記ハイブリダイゼーションは、例えば、ストリンジェントな条件下で行う。
ストリンジェントな条件とは、特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。典型的なストリンジェントな条件とは、例えば、カリウム濃度は約25mM〜約50mM、及びマグネシウム濃度は約1.0mM〜約5.0mM
中において、ハイブリダイゼーションを行う条件があげられる。本発明の条件の1例としてTris−HCl(pH8.6)、25mMのKCl、及び1.5mMのMgCl2
においてハイブリダイゼーションを行う条件が、挙げられるが、これに限定されるものではない。その他、ストリンジェントな条件としては、Molecular Cloning 3rd(J. Sambrook et al., Cold Spring Ha
rbor Lab. Press, 2001)に記載されている。この文献は、参照により本明細書に組み入れられるものとする。当業者は、ハイブリダイゼーション反応や、ハイブリダイゼーション反応液の塩濃度等を変化させることによって、このような条件を容易に選択することができる。
前記蛍光標識オリゴヌクレオチドにおける、オリゴヌクレオチドとしては、オリゴヌクレオチドの他、修飾されたオリゴヌクレオチドも含まれる。
前記オリゴヌクレオチドの構成単位としては、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、人工核酸等が挙げられる。前記人工核酸としては、DNA、RNA、RNAアナログであるLNA(Locked Nucleic Acid);ペプチド核酸であるPNA(Peptide Nucleic Acid);架橋化核酸であるBNA(Bridged Nucleic Acid)等が挙げられる。
前記オリゴヌクレオチドは、前記構成単位のうち、一種類から構成されてもよいし、複数種類から構成されてもよい。
【0016】
本発明の(P1)および(P1')のプローブは、配列番号1の塩基番号301〜307を
含む7〜28塩基長の塩基配列に相同な配列であり、配列番号1に対して相同性を有する配列を示している。すなわち、本発明の(P1)および(P1')のプローブは、配列番号1
の塩基番号301〜307を含む7〜28塩基長の塩基配列に相同的であるが、完全に同一でなくてもよい。また、307番目に対応する塩基は、シトシンであり、蛍光標識されている。
本発明の(P2)および(P2')のプローブは、配列番号2の塩基番号239〜251を
含む13〜28塩基長の塩基配列であり、配列番号2に相補的な配列に対して相同性を有する配列を示している。すなわち、本発明の(P2)および(P2')のプローブは、配列番
号2の塩基番号239〜251を含む13〜28塩基長の塩基配列に相補的であるが、完全に相補的でなくてもよい。また、239番目に対応する塩基は、シトシンであり、蛍光標識されている。
本発明の(P3)および(P3')のプローブは、配列番号2の塩基番号251〜256を
含む6〜42塩基長の塩基配列であり、配列番号2に対して相同性を有する配列を示している。すなわち、本発明の(P3)および(P3')のプローブは、配列番号2の塩基番号2
51〜256を含む6〜42塩基長の塩基配列に相同的であるが、完全に同一でなくてもよい。また、256番目に対応する塩基は、シトシンであり、蛍光標識されている。
【0017】
前記蛍光標識オリゴヌクレオチドは、例えば、相補配列にハイブリダイズしていないときの蛍光強度に比べて、相補配列にハイブリダイズしているときの蛍光強度が減少(消光)するかまたは増加する蛍光標識オリゴヌクレオチドである。例えば、相補配列にハイブリダイズしていないときの蛍光強度に比べて、相補配列にハイブリダイズしているときの
蛍光強度が減少する蛍光標識オリゴヌクレオチドである。このような蛍光消光現象(Quenching phenomenon)を利用したプローブは、一般的に、グアニン消
光プローブと呼ばれており、いわゆるQProbe(登録商標)として知られている。例えば、オリゴヌクレオチドを3’末端もしくは5’末端がCとなるように設計し、その末端のCが、Gに近づくと発光が弱くなるように蛍光色素で標識化されたオリゴヌクレオチドである。
また、本発明プローブは、例えば、3’が蛍光色素により標識化されている。
なお、本明細書において、「3’末端から数えて1〜3番目」という場合は、3’末端を1番目として数える。
【0018】
本発明検出方法は、IL28B遺伝子多型のrs8099917および/またはITPA遺伝子多型のrs1127354を有する核酸について、蛍光色素で標識された核酸プローブを用いて、蛍光色素の
蛍光を測定することにより融解曲線分析を行い、融解曲線分析の結果に基づいて多型を検出する方法であって、核酸プローブは本発明のプローブであることを特徴とする。
【0019】
本発明の検出方法は、例えば、本発明のプローブを使用し、以下の工程を含むことを特徴とする。
(I)DNAを含有する試料に、本発明のプローブを添加して前記DNAに前記プローブをハイブリダイズさせる工程、
(II)温度を変化させて前記DNAと前記プローブとのハイブリッド形成体を解離させ、ハイブリッド形成体の解離に基づくシグナルの変動を測定する工程、
(III)前記シグナルの変動を解析してTm値を決定する工程、および
(IV)前記Tm値から目的の多型の有無または多型を有する塩基配列の存在比を決定する工程。
【0020】
なお、(III)でTm値を評価することには、ハイブリッド形成体の解離温度を評価することだけでなく、ハイブリット形成体の融解時に温度に応じて変動する蛍光シグナルの微分値の大きさを評価することを含む。微分値の大きさにより、多型を有する塩基配列(DNA)の存在比を評価することができる。
【0021】
核酸増幅の方法としては、例えば、ポリメラーゼを用いる方法があり、その例としては、PCR、ICAN、LAMP等が挙げられる。ポリメラーゼを用いる方法により増幅する場合は、
例えば、本発明プローブの存在下で増幅を行うことができる。用いるプローブに応じて、増幅の反応条件等を調整することは当業者であれば容易である。これにより、核酸の増幅後にプローブのTm値を解析するだけなので、反応終了後増幅産物を取り扱う必要がない。よって、増幅産物による汚染の心配がない。また、増幅に必要な機器と同じ機器で検出することが可能なので、容器を移動する必要すらない。よって、自動化も容易である。
【0022】
またPCR法に用いるDNAポリメラーゼとしては、通常用いられるDNAポリメラーゼを特に制限なく用いることができる。例えば、GeneTaq(ニッポンジーン社製)、PrimeSTAR Max DNA Polymerase(タカラバイオ社製)、Taq Polymerase等を挙げることができる。
ポリメラーゼの使用量としては、通常用いられている濃度であれば特に制限はない。例えば、Taqポリメラーゼを用いる場合、反応溶液量50μlに対して0.01U〜100Uの濃度とすることができる。これにより、充分な増幅産物量を得ることができるなどの利点を有する。
【0023】
本発明において、試料中のDNAは、一本鎖DNAでもよいし二本鎖DNAであってもよい。前記DNAが二本鎖DNAの場合は、例えば、前記ハイブリダイズ工程に先立って、加熱により前記試料中の二本鎖DNAを解離させる工程を含むことができる。二本鎖D
NAを一本鎖DNAに解離することによって、前記蛍光標識オリゴヌクレオチドとのハイブリダイズが可能となる。
【0024】
本発明において、前記試料中のDNAに対する、本発明のプローブの添加割合(モル比)は、制限されないが、検出シグナルを十分に確保できることから、例えば、試料中のDNAに対して1倍以下または0.3倍以下である。この際、試料中のDNAとは、例えば、検出目的の多型が発生している検出対象DNAと前記多型が発生していない非検出対象DNAとの合計でもよいし、検出目的の多型が発生している検出対象配列を含む増幅産物と前記多型が発生していない非検出対象配列を含む増幅産物との合計でもよい。なお、試料中のDNAにおける前記検出対象DNAの割合は、通常、不明であるが、結果的に、前記プローブの添加割合(モル比)は、例えば、検出対象DNA(検出対象配列を含む増幅産物)に対して100倍以下、50倍以下、または、30倍以下である。また、その下限は特に制限されないが、例えば、0.001倍以上、0.01倍以上、または0.2倍以上である。前記DNAに対する本発明のプローブの添加割合は、例えば、二本鎖DNAに対するモル比でもよいし、一本鎖DNAに対するモル比でもよい。
【0025】
Tm値について説明する。二本鎖DNAを含む溶液を加熱していくと、260nmにおける吸光度が上昇する。これは、二本鎖DNAにおける両鎖間の水素結合が加熱によってほどけ、一本鎖DNAに解離(DNAの融解)することが原因である。そして、全ての二本鎖DNAが解離して一本鎖DNAになると、その吸光度は加熱開始時の吸光度(二本鎖DNAのみの吸光度)の約1.5倍程度を示し、これによって融解が完了したと判断できる。この現象に基づき、融解温度Tmとは、一般に、吸光度が、吸光度全上昇分の50%に達した時の温度と定義される。
【0026】
本発明において、Tm値を決定するための温度変化に伴うシグナル変動の測定は、前述のような原理から260nmの吸光度測定により行うこともできるが、例えば、本発明のプローブに付加した標識のシグナルに基づくシグナルであってDNAとプローブとのハイブリッド形成の状態に応じて変動するシグナルを測定することができる。このため、本発明のプローブとして、例えば、前述の標識化プローブを使用することができる。前記標識化プローブとしては、例えば、標的配列にハイブリダイズしないときに蛍光を発し、且つ標的配列にハイブリダイズしたときに蛍光強度が減少(消光)する蛍光標識オリゴヌクレオチドプローブ、または標的配列にハイブリダイズしないときに蛍光を発し、且つ標的配列にハイブリダイズしたときに蛍光強度が増加する蛍光標識オリゴヌクレオチドプローブが挙げられる。前者のようなプローブであれば、検出対象配列とハイブリッド(二本鎖DNA)を形成している際にはシグナルを示さないか、シグナルが弱いが、加熱によりプローブが遊離するとシグナルを示すようになるか、シグナルが増加する。また、後者のプローブであれば、検出対象配列とハイブリッド(二本鎖DNA)を形成することによってシグナルを示し、加熱によりプローブが遊離するとシグナルが減少(消失)する。したがって、この標識に基づくシグナルの変化をシグナル特有の条件(吸光度等)で検出することによって、前記260nmの吸光度測定と同様に、融解の進行ならびにTm値の決定を行うことができる。標識化プローブにおける標識化物質は、例えば、前述のとおりであるが蛍光色素標識化プローブが使用できる。
【0027】
次に、本発明の多型検出方法について、蛍光色素に基づくシグナルの変化を検出する方法について具体的例を挙げて説明する。なお、本発明の多型検出方法は、前記多型検出用プローブを使用すること自体が特徴であり、その他の工程や条件については何ら制限されない。
【0028】
蛍光強度の変動を測定する際の温度範囲は、特に制限されないが、例えば、開始温度が室温〜85℃、または25℃〜70℃であり、終了温度は、例えば、40℃〜105℃で
ある。また、温度の上昇速度は、特に制限されないが、例えば、0.1℃/秒〜20℃/秒、または0.3℃/秒〜5℃/秒である。
【0029】
次に、前記シグナルの変動を解析してTm値として決定する。具体的には、得られた蛍光強度から各温度における微分値(−d蛍光強度/dt)を算出し、最も低い値を示す温度をTm値として決定できる。また、単位時間当たりの蛍光強度増加量(蛍光強度増加量/t)が最も高い点をTm値として決定することもできる。なお、標識化プローブとして、消光プローブではなく、ハイブリッド形成によりシグナル強度が増加するプローブを使用した場合には、反対に、蛍光強度の減少量を測定すればよい。
【0030】
また、本発明においては、前述のように、ハイブリッド形成体を加熱して、温度上昇に伴う蛍光シグナル変動(例えば蛍光強度の増加)を測定するが、この方法に代えて、例えば、ハイブリッド形成時におけるシグナル変動の測定を行ってもよい。すなわち、前記プローブを添加した試料の温度を降下させてハイブリッド形成体を形成する際の前記温度降下に伴う蛍光シグナル変動を測定してもよい。
【0031】
具体例として、相補配列にハイブリダイズしていないときの蛍光強度に比べて、相補配列にハイブリダイズしているときの蛍光強度が減少(消光)する蛍光標識オリゴヌクレオチドプローブ(例えば、QProbe)を使用した場合、前記プローブを試料に添加した際には、前記プローブは解離状態にあるため蛍光強度が大きいが、温度の降下によりハイブリッド形成体を形成すると、前記蛍光が減少(または消光)する。したがって、例えば、前記加熱した試料の温度を徐々に降下して、温度下降に伴う蛍光強度の減少を測定すればよい。
他方、ハイブリッド形成によりシグナルが増加する標識化プローブを使用した場合、前記プローブを試料に添加した際には、前記プローブは解離状態にあるため蛍光強度が小さい(または消光)が、温度の降下によりハイブリッドを形成すると、蛍光強度が増加するようになる。したがって、例えば、前記試料の温度を徐々に降下して、温度下降に伴う蛍光強度の増加を測定すればよい。
【0032】
核酸増幅を行う際の鋳型となる核酸としては、核酸を含んでいればよく、特に制限されないが、例えば、血液、口腔粘膜懸濁液、爪や毛髪等の体細胞、生殖細胞、乳、腹水液、パラフィン包埋組織、胃液、胃洗浄液、腹膜液、羊水、細胞培養などの任意の生物学的起源に由来する又は由来しうるものである。鋳型となる核酸は、該起源から得られたままで直接的に、あるいは該サンプルの特性を改変するために前処理した後で使用することができる。例えば、全血を試料とする場合、全血からのゲノムDNAの単離は、従来公知の方法によって行うことができる。例えば、市販のゲノムDNA単離キット(商品名GFX
Genomic Blood DNA Purification kit;GEヘルスケアバイオサイエンス社製)等が使用できる。
【0033】
PCR法に適用するプライマーは、本発明の多型検出用プローブがハイブリダイゼーションできる領域が増幅できるものであれば特に制限されず、配列番号1または2で示され
る塩基配列から、当業者であれば適宜設計することができる。プライマーの長さ及びTm値は、12mer〜40mer及び40℃〜70℃、又は16mer〜30mer及び55℃〜60℃にすることができる。
また、プライマーセットの各プライマーの長さは同一でなくてもよいが、両プライマーのTm値はほぼ同一(又は、Tm値の両プライマーでの差が5℃以内)であることが好ましい。
【0034】
Tm解析は、本発明プローブの蛍光色素の蛍光を測定する他は通常の方法に従って行うことができる。蛍光の測定は、蛍光色素に応じた波長の励起光を用い発光波長の光を測定す
ることに行うことができる。Tm解析における昇温速度は、通常には、0.1〜1℃/秒である。Tm解析を行うときの反応液の組成は、プローブとその塩基配列に相補的な配列を有する核酸とのハイブリダイゼーションが可能であれば特に制限されないが、通常には、一価の陽イオン濃度が1.5〜5 mM、pHが7〜9である。PCR等のDNAポリメラーゼを用いる増幅方
法の反応液は、通常、この条件を満たすので、増幅後の反応液をそのままTm解析に用いることができる。
【0035】
Tm解析の結果に基づくIL28B遺伝子多型のrs8099917および/またはITPA遺伝子多型のrs1127354の検出は通常の方法に従って行うことができる。本発明における検出とは、変異
の有無の検出を包含する。
なお、本発明のプローブおよび方法により、変異の有無の検出が可能であるため、変異の有無に基づいて、C型肝炎ウイルス治療薬の薬効およびC型肝炎ウイルス治療薬に対する耐性を判断または予測することも本発明に含まれる。具体的には、IL28B遺伝子多型のrs8099917のの塩基が野生型のTである場合(T/T)は、ペグインターフェロン+リバビリン併用療法が有効であることが示唆され、変異型のGを含む場合(G/GまたはT/G)は、有効でないことが示唆される。また、ITPA遺伝子多型のrs1127354の塩基が変異型
のAを含む場合(A/AまたはC/A)は、リバビリンの副作用である重度の貧血が発症し難く、リバビリンの高用量投与が可能であることが示唆される。
さらに、本発明の方法により、IL28B遺伝子多型のrs8099917およびITPA遺伝子多型のrs1127354を同時に検出することも可能である。
【0036】
<2>本発明キット
本発明キットは、本発明の検出方法に用いるためのキットである。このキットは、蛍光色素で標識され、ハイブリダイゼーションしたときに蛍光色素の蛍光が変化する核酸プローブ(例えば、消光プローブ)であって、上記オリゴヌクレオチドからなる核酸プローブを含むことを特徴とする。なお、本発明のキットは、C型肝炎ウイルス治療薬の薬効およびC型肝炎ウイルス治療薬に対する耐性を判断または予測するのにも使用できる。
【0037】
本発明検出キットは、プローブの他に、本発明の検出方法における核酸増幅を行うのに必要とされる試薬類、特にDNAポリメラーゼを用いる増幅のためのプライマーをさらに含
んでいてもよい。
具体的には、本発明のプライマーは、IL28B遺伝子の配列番号1に示す塩基配列におけるP1またはP1’のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする配列を含む領域を増幅するためのプライマー、および/またはITPA遺伝子の配列番号2に示す塩基配列におけるP2もしくはP2’またはP3もしくはP3’のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする配列を含む領域を増幅するためのプライマーである。
【0038】
本発明検出キットにおいてプローブ、プライマーおよびその他の試薬類は、別個に収容されていてもよいし、それらの一部が混合物とされていてもよい。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、これらの実施例は例示であり、これらに限定されない。
本発明において、検出対象となる試料中の試料核酸、多型検出用プローブ又はプライマーの個々の配列に関して、これら互いの相補的な関係に基づいて記述された事項は、特に断らない限り、それぞれの配列と、各配列に対して相補的な配列とについても適用される。各配列に対して相補的な当該配列について本発明の事項を適用する際には、当該相補的な配列が認識する配列は、当業者にとっての技術常識の範囲内で、対応する本明細書に記載された配列に相補的な配列に、明細書全体を読み替えるものとする。
【実施例】
【0039】
実施例1(IL28Bの鋳型オリゴヌクレオチドを検出対象とし、単一プローブを用いる場合

IL28B遺伝子多型のrs8099917の部位を含む塩基配列(配列番号1)に基づき、表1に示す、3’末端部にCを有するプローブを設計した。表1中、プローブの位置は、配列番号
1に示す塩基配列における塩基番号を示す。BODIPY FLによる標識は、常法に従って行っ
た。
また、検出対象として使用した鋳型オリゴヌクレオチド(変異型(配列番号10)および野生型(配列番号11))の配列を表1に示す。表1中、オリゴの位置は、配列番号1に示す塩基配列における塩基番号を示す。なお、ヘテロ型の時は配列番号10,11の鋳型オ
リゴヌクレオチドを1:1で混合して試料に用いた。
【0040】
【表1】

【0041】
下記の試薬を用いて全自動SNPs検査装置(商品名i-densy(商標)、アークレイ社製)
でTm解析を行い、蛍光標識オリゴヌクレオチド(配列番号3)の性能を確認した。
Tm解析の条件は、95℃で1秒、40℃で60秒処理し、温度の上昇速度1℃/3秒で、40℃から85℃まで温度を上昇させ、その間の経時的な蛍光強度の変化を測定した。Tm解析における励起波長および検出波長は、それぞれ420〜485 nmおよび520〜555 nm(BODIPY FL)で
あった。
【0042】
【表2】

【0043】
表1のプローブを用いてTm解析を行った結果、野生型オリゴヌクレオチド(四角)については、BODIPY FLのピークが55℃付近に見られ、変異型オリゴヌクレオチド(ひし形
)については、BODIPY FLのピークが64℃付近に見られた(図2)。また、野生型およ
び変異型が混合したヘテロ型オリゴヌクレオチド(三角)については、BODIPY FLのピー
クが55℃および64℃付近に見られた(図2)。
上記のように、野生型(T/T)、ヘテロ型(T/G)、変異型(G/G)のいずれについても
明確な固有のピークが見られたため、お互いに区別がつくことが分かった。
【0044】
比較例1(IL28Bの鋳型オリゴヌクレオチドを検出対象とし、単一プローブを用いる場合

IL28B遺伝子多型のrs8099917の部位を含む塩基配列(配列番号1)に基づき、表3に示す、3’末端部にCを有するプローブを設計した。表3中、プローブの位置は、配列番号
1に示す塩基配列における塩基番号を示す。BODIPY FLによる標識は、常法に従って行っ
た。
また、検出対象として使用した鋳型オリゴヌクレオチド(変異型(配列番号13)および野生型(配列番号14))の配列を表3に示す。表3中、オリゴの位置は、配列番号1に示す塩基配列における塩基番号を示す。なお、ヘテロ型の時は配列番号13,14の鋳型オリゴヌクレオチドを1:1で混合して試料に用いた。
【0045】
【表3】

【0046】
下記の試薬を用いて全自動SNPs検査装置(商品名i-densy(商標)、アークレイ社製)
でTm解析を行い、蛍光標識オリゴヌクレオチド(配列番号12)の性能を確認した。
Tm解析の条件は、95℃で1秒、40℃で60秒処理し、温度の上昇速度1℃/3秒で、40℃から85℃まで温度を上昇させ、その間の経時的な蛍光強度の変化を測定した。Tm解析における励起波長および検出波長は、それぞれ420〜485 nmおよび520〜555 nm(BODIPY FL)で
あった。
【0047】
【表4】

【0048】
表3のプローブを用いてTm解析を行った結果、野生型オリゴヌクレオチド(四角)については、BODIPY FLのピークが56℃付近に見られ、変異型オリゴヌクレオチド(ひし形
)については、BODIPY FLのピークが55℃付近に見られた(図3)。従って、Tm値のΔ
(すなわち、Tm値の差)が小さいことから区別が付かないことが分かった。
また、野生型および変異型が混合したヘテロ型オリゴヌクレオチド(三角)については、BODIPY FLのピークが56℃付近のみに見られた(図3)。従って、ヘテロ型では、検
出ピークが1つしか得られず、野生型および変異型と区別できないことが分かった。
よって、実施例1の結果を併せて考慮すると、プローブの3’末端のCが蛍光標識されていればどんなプローブ配列でもよいというわけではなく、配列番号3のプローブのように、配列番号1に示す塩基配列における307番目のCが蛍光標識されることが重要であると理解される。
【0049】
実施例2(ITPAの鋳型オリゴヌクレオチドを検出対象とし、単一プローブを用いる場合)
ITPA遺伝子多型のrs1127354の部位を含む塩基配列(配列番号2)に基づき、表5に示
す、3’末端部にCを有するプローブを設計した。表5中、プローブの位置は、配列番号
2に示す塩基配列における塩基番号を示す。TAMRAによる標識は、常法に従って行った。
また、検出対象として使用した鋳型オリゴヌクレオチド(変異型(配列番号15)および野生型(配列番号16))の配列を表5に示す。表5中、オリゴの位置は、配列番号2に示す塩基配列における塩基番号を示す。なお、ヘテロ型の時は配列番号15,16の鋳型オリゴヌクレオチドを1:1で混合して試料に用いた。
【0050】
【表5】

【0051】
下記の試薬を用いて全自動SNPs検査装置(商品名i-densy(商標)、アークレイ社製)
でTm解析を行い、蛍光標識オリゴヌクレオチド(配列番号5)の性能を確認した。
Tm解析の条件は、95℃で1秒、40℃で60秒処理し、温度の上昇速度1℃/3秒で、40℃から85℃まで温度を上昇させ、その間の経時的な蛍光強度の変化を測定した。Tm解析における励起波長および検出波長は、それぞれ520〜555 nmおよび585〜700 nm(TAMRA)であっ
た。
【0052】
【表6】

【0053】
表5のプローブを用いてTm解析を行った結果、野生型オリゴヌクレオチド(四角)については、TAMRAのピークが64℃付近に見られ、変異型オリゴヌクレオチド(ひし形)に
ついては、TAMRAのピークが56℃付近に見られた(図4)。従って、野生型と変異型と
の区別がつくことが分かった。
また、野生型および変異型が混合したヘテロ型オリゴヌクレオチド(三角)については、TAMRAのピークが56℃および64℃付近に見られた(図4)。従って、野生型と変異
型から、ヘテロ型を区別できることが分かった。
【0054】
比較例2(ITPAの鋳型オリゴヌクレオチドを検出対象とし、単一プローブを用いる場合)
ITPA遺伝子多型のrs1127354の部位を含む塩基配列(配列番号2)に基づき、表7に示
す、3’末端部にCを有するプローブを設計した。表7中、プローブの位置は、配列番号
2に示す塩基配列における塩基番号を示す。TAMRAによる標識は、常法に従って行った。
また、検出対象として使用した鋳型オリゴヌクレオチド(野生型(配列番号18)および変異型(配列番号19))の配列を表7に示す。表7中、オリゴの位置は、配列番号2に示す塩基配列における塩基番号を示す。なお、ヘテロ型の時は配列番号18,19の鋳型オリゴヌクレオチドを1:1で混合して試料に用いた。
【0055】
【表7】

【0056】
下記の試薬を用いて全自動SNPs検査装置(商品名i-densy(商標)、アークレイ社製)
でTm解析を行い、蛍光標識オリゴヌクレオチド(配列番号17)の性能を確認した。
Tm解析の条件は、95℃で1秒、40℃で60秒処理し、温度の上昇速度1℃/3秒で、40℃から75℃まで温度を上昇させ、その間の経時的な蛍光強度の変化を測定した。Tm解析における励起波長および検出波長は、それぞれ520〜555 nmおよび585〜700 nm(TAMRA)であっ
た。
【0057】
【表8】

【0058】
表7のプローブを用いてTm解析を行った結果、野生型オリゴヌクレオチド(三角)については、TAMRAのピークが63℃付近に見られ、変異型オリゴヌクレオチド(四角)につ
いては、TAMRAのピークが59℃付近に見られた(図5)。
また、野生型および変異型が混合したヘテロ型オリゴヌクレオチド(ひし形)については、TAMRAのピークが64℃付近のみに見られた(図5)。従って、ヘテロ型では、検出
ピークが1つしか得られず、野生型および変異型と区別できないことが分かった。
よって、実施例2の結果を併せて考慮すると、プローブの3’末端のCが蛍光標識されていればどんなプローブ配列でもよいというわけではなく、配列番号5のプローブのように、配列番号2に示す塩基配列における256番目のCが蛍光標識されることが重要であると理解される。
【0059】
実施例3(精製ヒトゲノムまたは全血を検出対象とし、複数プローブを用いる場合)
以下の通り、下記のプライマーを用いてPCRにより精製ヒトゲノムまたは全血の多型領
域を増幅し、配列番号3,4に示すプローブを用いてTm解析を行った。
まず、IL28B遺伝子多型のrs8099917の部位を含む塩基配列(配列番号1)に基づき、多型の部位を増幅できるように表9に示すプライマーを設計した。表9中、プライマーの位置は、配列番号1に示す塩基配列における塩基番号を示す。
また、ITPA遺伝子多型のrs1127354の部位を含む塩基配列(配列番号2)に基づき、多
型の部位を増幅できるように表10に示すプライマーを設計した。表10中、プライマーの位置は、配列番号2に示す塩基配列における塩基番号を示す。
次いで、全自動SNPs検査装置(商品名i-densy IS-5310、アークレイ社製)を用いてPCRおよびTm解析を行った。PCR反応液の組成は下記の通りである。試料は、以下の全血
または精製ヒトゲノムを用いた。PCR およびTm解析の条件は、95℃、60秒→(95℃、1秒→58℃、30秒)×50サイクル→95℃、1秒→40℃、60秒→(40℃→85℃、1℃/3秒)であった。
Tm解析における励起波長および検出波長は、それぞれ420〜485 nmおよび520〜555 nm(BODIPY FL)、または、それぞれ520〜555 nmおよび585〜700 nm(TAMRA)であった。
【0060】
【表9】

【0061】
【表10】

【0062】
【表11】

【0063】
【表12】

【0064】
<精製DNA>
精製DNAについては、1 testあたり100コピーとなるようにPCR反応液に加え、鋳
型として使用した。
【0065】
<全血の調製>
全血10μlを希釈液(1) 70μlに加え、よく混合した後、この混合液10μlを希釈液(2)
70μlに加えた。この混合液17μlを95℃10分で加熱して4μlの前処理済全血を得た。こ
れをPCR反応液に加え、前記前処理済全血からもたらされるDNAを鋳型として使用した。
【0066】
【表13】

【0067】
BODIPY FLの蛍光によりIL28B遺伝子の評価を行った結果、精製ヒトゲノム(
図6左図)および血液(図7左図)について、野生型および変異型の両方のピークが見られ、ヘテロ型(T/G)の多型であることが分かった。
また、TAMRAの蛍光によりITPA遺伝子の評価を行った結果、精製ヒトゲノム(図6右図
)および血液(図7右図)について、野生型のピークのみが見られ、野生型(C/C)であ
ることが分かった。
【0068】
図6,7の結果より、配列番号3,4で示すプローブを用いたとき、IL28B遺伝子多型
およびITPA遺伝子多型について、Tm解析で解析の可能な蛍光強度の変化が認められた。
すなわち、IL28B遺伝子多型については、ヘテロ型のT/Gである精製ヒトゲノムおよび全血は2つのピーク(53℃及び62℃)を有するものであり、固有の蛍光強度の変化量のパターンの変化が存在する。
また、ITPA遺伝子多型についても、精製ヒトゲノムおよび全血は1つのピーク(48℃)のみを有するものであり、固有の蛍光強度の変化量のパターンの変化が存在する。
従って、配列番号3及び4のプローブを同時に用いることにより、IL28B遺伝子多型と
、ITPA遺伝子多型とを同時に検出することができる。
また、配列番号5のプローブは、配列番号4のプローブと同様に、3’末端のCが蛍光標識されており、実施例2においてその効果が示されているので、配列番号5のプローブと配列番号3のプローブを同時に用いることによっても、IL28B遺伝子多型と、ITPA遺伝
子多型とを同時に検出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は医療、診断、研究等の分野で好適に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IL28B遺伝子の多型を検出するためのプローブであって、下記P1またはP1’の蛍光標識オリゴヌクレオチドからなることを特徴とする多型検出用プローブ。
(P1)配列番号1に示す塩基配列において、301〜307番目の塩基を含む塩基長7〜28の塩基配列又はそれに相同な配列を有し、307番目の塩基に対応する塩基がシトシンであり蛍光色素で標識されている、オリゴヌクレオチド。
(P1’)配列番号1に示す塩基配列において、301〜307番目の塩基を含む塩基長7〜28の塩基配列の相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列を有し、307番目の塩基に対応する塩基がシトシンであり蛍光色素で標識されている、オリゴヌクレオチド。
【請求項2】
ITPA遺伝子の多型を検出するためのプローブであって、下記P2〜P3’から選択される少なくとも1種の蛍光標識オリゴヌクレオチドからなることを特徴とする多型検出用プローブ。
(P2)配列番号2に示す塩基配列において、239〜251番目の塩基を含む塩基長13〜28の塩基配列に相補的な配列又はそれに相同な配列を有し、239番目の塩基に相補的な塩基がシトシンであり蛍光色素で標識されているオリゴヌクレオチド、
(P2’)配列番号2に示す塩基配列において、239〜251番目の塩基を含む塩基長13〜28の塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列を有し、239番目の塩基に相補的な塩基がシトシンであり蛍光色素で標識されているオリゴヌクレオチド、
(P3)配列番号2に示す塩基配列において、251〜256番目の塩基を含む塩基長6〜42の塩基配列又はそれに相同な配列を有し、256番目の塩基に対応する塩基がシトシンであり蛍光色素で標識されているオリゴヌクレオチド、
(P3’)配列番号2に示す塩基配列において、251〜256番目の塩基を含む塩基長6〜42の塩基配列の相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列を有し、256番目の塩基に対応する塩基がシトシンであり蛍光色素で標識されているオリゴヌクレオチド。
【請求項3】
P1およびP1’のオリゴヌクレオチドは、蛍光色素で標識された塩基番号307に対応する塩基を3’末端から数えて1〜3番目の位置に有し、
P2およびP2’のオリゴヌクレオチドは、蛍光色素で標識された塩基番号239に相補的な塩基を3’末端から数えて1〜3番目のいずれかの位置に有し、
P3およびP3’のオリゴヌクレオチドは、蛍光色素で標識された塩基番号256に対応する塩基を3’末端から数えて1〜3番目のいずれかの位置に有する、請求項1または2記載のプローブ。
【請求項4】
P1およびP1’のオリゴヌクレオチドは、蛍光色素で標識された塩基番号307に対応する塩基を3’末端に有し、
P2およびP2’のオリゴヌクレオチドは、蛍光色素で標識された塩基番号239に相補的な塩基を3’末端に有し、
P3およびP3’のオリゴヌクレオチドは、蛍光色素で標識された塩基番号256に対応する塩基を3’末端に有する、請求項1または2記載のプローブ。
【請求項5】
前記蛍光標識オリゴヌクレオチドは、標的配列にハイブリダイズしないときに蛍光を発し、且つ標的配列にハイブリダイズしたときに蛍光強度が減少するかまたは増加する、請求項1〜4のいずれか一項記載のプローブ。
【請求項6】
前記蛍光標識オリゴヌクレオチドが、標的配列にハイブリダイズしないときに蛍光を発
し、標的配列にハイブリダイズしたときに蛍光強度が減少する、請求項5記載のプローブ。
【請求項7】
P1およびP1’のオリゴヌクレオチドの塩基長が7〜23であり、
P2およびP2’のオリゴヌクレオチドの塩基長が13〜23であり、
P3およびP3’のオリゴヌクレオチドの塩基長が6〜27である、請求項1〜6のいずれか一項記載のプローブ。
【請求項8】
P1およびP1’のオリゴヌクレオチドの塩基長が7〜18であり、
P2およびP2’のオリゴヌクレオチドの塩基長が13〜18であり、
P3およびP3’のオリゴヌクレオチドの塩基長が6〜22である、請求項1〜6のいずれか一項記載のプローブ。
【請求項9】
前記プローブが、融解曲線分析用のプローブである、請求項1〜8のいずれか一項に記載のプローブ。
【請求項10】
IL28B遺伝子またはITPA遺伝子における多型の検出方法であって、請求項1〜9のいずれか一項記載のプローブを用いることを特徴とする方法。
【請求項11】
IL28B遺伝子とITPA遺伝子における多型を別々もしくは1つの反応系で同時に検出する方法であって、
下記工程(I)〜(IV)を含むことを特徴とする方法。
(I)DNAを含有する試料に、請求項1〜9のいずれか一項に記載のプローブを添加し
て前記DNAに前記プローブをハイブリダイズさせる工程、
(II)温度を変化させて前記DNAと前記プローブとのハイブリッド形成体を解離させ
、ハイブリッド形成体の解離に基づくシグナルの変動を測定する工程、
(III)前記シグナルの変動を解析してTm値を決定する工程、および
(IV)前記Tm値から目的の多型の有無または多型を有する塩基配列の存在比を決定する工程。
【請求項12】
さらに、(I)の工程の前または(I)の工程と同時にDNAを増幅することを含む、請
求項11記載の方法。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれか一項に記載の方法によりIL28B遺伝子とITPA遺伝子における多型を別々もしくは1つの反応系で同時に検出する工程、および多型の有無に基づいて、薬剤に対する耐性または薬剤の薬効を判定することを含む、C型肝炎ウイルス治療薬の薬効の判定方法。
【請求項14】
IL28B遺伝子とITPA遺伝子における多型を別々もしくは1つの反応系で同時に検出するための試薬キットであって、請求項1〜9のいずれか一項に記載のプローブを含むキット。
【請求項15】
P1もしくはP1’のオリゴヌクレオチドおよびP2もしくはP2’のオリゴヌクレオチドまたはP3もしくはP3’のオリゴヌクレオチドを含む、請求項14に記載のキット。
【請求項16】
IL28B遺伝子の配列番号1に示す塩基配列におけるP1またはP1’のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする配列を含む領域を増幅するためのプライマー、および/または
ITPA遺伝子の配列番号2に示す塩基配列におけるP2もしくはP2’またはP3も
しくはP3’のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする配列を含む領域を増幅するためのプライマーをさらに含む、請求項14または15に記載の試薬キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−74888(P2013−74888A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−200972(P2012−200972)
【出願日】平成24年9月12日(2012.9.12)
【出願人】(000141897)アークレイ株式会社 (288)
【Fターム(参考)】