説明

IMSネットワークを介してマルチメディア・サービスを最適化するための方法及びシステム

【課題】プレゼンス・サーバ内で使用可能なユーザに関する情報(例えば、ユーザ装置の位置及び特性)を活用して、現に接続されているユーザの位置に基づき、諸IMSアプリケーションを割り振るべきより効率的な仮想環境を実装するための方法及びシステムを提供する。
【解決手段】ユーザ位置及びユーザ装置の能力(例えば、帯域幅及び距離)に関する情報を活用して、IMSワークロード及び接続されたユーザの位置に基づき、諸IMSサービス(特に、ゲーミング・サービス)のプロビジョニング及び管理を行うことにより、IMSネットワークの効率を改良することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル・ネットワークに係り、さらに詳細に説明すれば、IMS(IPマルチメディア・サブシステム)ネットワークを介してマルチメディア・サービスを最適化するための方法及びシステムに係る。
【背景技術】
【0002】
IPマルチメディア・サブシステム(IMS)は、組み合わされた有線/無線ネットワークを介してIPベースのテレフォニ及びマルチメディア・サービスを実装するための次世代ネットワーキング(NGN)アーキテクチャを記述する、1セットの仕様である。
【0003】
IMSは、個々のサービスをサポートする従来の垂直的サイロ・ネットワーク環境と比較すると、本質的な発展形態である。図1は、かかる従来のアプローチを概略的に表す。IMS(図2を参照)は、プロバイダ・サービスのサイロ化した実装に傾斜しがちな、かかる従来のネットワークに適合したHW及びSWソリューションに基づくのではなく、オープンな標準及び共通のミドルウェアに基づく。特に、サービス・プレーンとして知られているIMSの最上論理層は、種々のコンポーネントに基づく。かかるコンポーネントは、マルチメディア・サーバ、特定のIMSアプリケーション及びアプリケーション・イネーブラ(例えば、プレゼンス・サーバ)をホストするアプリケーション・サーバ、及びXDMS(すなわち、アプリケーション及びサービスから独立した方法で任意のタイプのXML文書を管理可能なXML文書管理サーバ)を含む。
【0004】
特に、プレゼンス・サーバは、他方のユーザの到達可能性、使用可能性及び通信の意欲(willingness to communicate)に関する情報を、一方のユーザに通知することを可能にするサービスを提供する。さらに、プレゼンス・サービスは、諸ユーザがそれぞれの通信手段及び能力(例えば、当該ユーザがオーディオ、ビデオ、インスタント・メッセージング能力等を有するか否か、どの端末内にそれらの能力が存在するか)に関する詳細を与えることを可能にする。プレゼンス・サーバにプレゼンス情報を提供しているエンティティ(人間又はシステム)は、プレゼンティティ(presentity)と呼ばれる。所与のプレゼンティティは、プレゼンス・ユーザ・エージェント(PUA)と呼ばれる幾つかの装置(例えば、SIP電話、ラップトップ又はPDA)を有する。これらの装置は、それらのプレゼンスに関する情報を提供する。
【0005】
プレゼンス情報は、プレゼンティティと通信することを望む、他のエンティティによって使用することができる。当該他のエンティティは、ウォッチャと呼ばれる。ウォッチャは、プレゼンス情報内の変化に関する通知を受けることができる。
【0006】
IMSプレーンは、諸サーバ/アプリケーションをホストする。その概要は、次の通りである。
− サービス・プレーンは、サービス/アプリケーション(例えば、IMSネットワーク
に接続されたユーザによって使用され且つ仮想化環境内で実装することができるマ
ルチゲーミング・アプリケーション)をホストする。
− 制御プレーンは、メディア・サーバをホストする。定義により、メディア・サーバは、
単にメディアを格納し且つ十分な速度を有するネットワーク接続を使用して当該メ
ディアへのアクセスを可能にするための装置である。それがランする用途及びアプリ
ケーションに依存して、メディア・サーバは、大量のRAM、又は強力なマルチコア
CPUを必要とすることがある。
【0007】
最新のIMSネットワークでは、IMSサービス・プレーンの諸要素及び諸メディア・サーバの連結(collocation)は、資源、エネルギー及びトラフィックを節約するという点で、IMSサービス及び制御プレーン内の資源消費(例えば、必要とされていないネットワーク輻輳)を最適化するためにプレゼンス情報と関係付けられていない。このため、改良されたIMSネットワーク・アーキテクチャを提供することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、従来技術の前述の欠点を緩和する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の側面において、本発明は、IPマルチメディア・サブシステム(IMS)を通して、所定のマルチメディア・サービスを複数のユーザに提供するための方法を提供する。
【0010】
本発明は、プレゼンス・サーバ内で使用可能なユーザに関する情報(例えば、ユーザ装置の位置及び特性)を活用して、現に接続されているユーザの位置に基づき、諸IMSアプリケーションを割り振るべきより効率的な仮想環境を実装するための方法を提供することにより、従来技術の問題点を解決するのを支援することができる。プレゼンス情報は、仮想環境内に配備される、諸IMSサービス・プレーン・アプリケーション及び諸メディア・サーバの割り振りを動的に最適化する。推奨実施形態では、この最適化は、同じゾーンから接続されているユーザの数及び使用可能な最良の通信帯域幅の両方の観点から行われる。
【0011】
第2の側面において、本発明は、前記方法を実装するのに適した諸コンポーネントを備えるシステムを提供する。
【0012】
第3の側面において、本発明は、 コンピュータ上で実行されるとき、前記方法を実施するためのコンピュータ・プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、ユーザ位置及びユーザ装置の能力(例えば、帯域幅及び距離)に関する情報を活用して、IMSワークロード及び接続されたユーザの位置に基づき、諸IMSサービス(特に、ゲーミング・サービス)のプロビジョニング及び管理を行うことにより、IMSネットワークの効率を改良することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来のアーキテクチャを示す図である。
【図2】IPマルチメディア・サブシステムのアーキテクチャを示す図である。
【図3】本発明の推奨実施形態の方法をサポートするのに適した汎用コンピュータ・システムのブロック図である。
【図4】本発明の推奨実施形態に従ったネットワーク・システムのブロック図である。
【図5】本発明の推奨実施形態に従った方法を実施するための諸ステップを表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図3には、汎用コンピュータ・システム(例えば、コンピュータ、インターネット・サーバ、ルータ、リモート・サーバ)250が示されている。コンピュータ250は、システム・バス253に並列に接続された幾つかのユニットから形成される。詳述すると、1つ以上のマイクロプロセッサ256は、コンピュータ250の動作を制御し、RAM 259は、マイクロプロセッサ256によって作業メモリとして直接的に使用され、ROM 262は、コンピュータ250のブートストラップ用の基本コードを格納する。諸周辺ユニットは、(それぞれのインタフェースを介して)ローカル・バス265のまわりでクラスタ化される。特に、大容量メモリは、ハード・ディスク268及びCD-ROM 274を読み取るためのドライブ271から成る。さらに、コンピュータ250は、入力装置277(例えば、キーボード及びマウス)と、出力装置280(例えば、モニタ及びプリンタ)を含む。ネットワーク・インタフェース・カード283は、コンピュータ250をネットワークに接続するために使用される。ブリッジ・ユニット286は、システム・バス253をローカル・バス265とインタフェースする。マイクロプロセッサ256及びブリッジ・ユニット286の各々は、情報を伝送するためにシステム・バス253へのアクセスを要求するマスタ・エージェントとして動作することができる。アービタ289は、システム・バス253へのアクセスを相互排除式に許可する。システムが異なるトポロジを有するか、又は他のネットワークに基づく場合、同様の事項が該当する。代替的に、コンピュータは、異なるアーキテクチャを有するか、同等のユニットを含むか、又は他のデータ処理エンティティ(例えば、PDA、携帯電話等)から成る。
【0016】
前述のように、本発明の推奨実施形態は、IPマルチメディア・サブシステム(IMS)アーキテクチャによって提供される利点を活用する。IMSは、第3世代パートナーシップ・プロジェクト(3GPP)及び第3世代パートナーシップ・プロジェクト2(3GPP2)によって定義された、1セットの要件及び仕様である。これらの2つのプロジェクトは、多くの地域通信標準化団体(例えば、欧州電気通信標準化協会、電波産業会/情報通信技術委員会(ARIB/TTC)(日本)、中国通信標準化協会、電気通信産業ソリューション連合(北米)、通信技術協会(韓国))を含む、協力協定を通して形成された。IMSは、パケット及び回線交換ネットワークの両方にわたって、IPベース・サービス用の統一的アーキテクチャを定義する。IMSは、マルチメディア・サービスの生成、配信及び消費のために、互いに異なる無線通信及び固定アクセス技術の融合を可能にする。また、IMSは、標準化された諸基準点(インタフェース及びプロトコルと同種のもの)を通して、サービス統合をサポートする。このことは、サービスの生成をより速く且つより容易にするだけでなく、インターネット技術を通して使用可能なサービス(例えば、Webサービス)を活用することを可能にする。IMSの1つの目的は、できるだけ速くサービスを開発し且つ配備する能力である。IMSアーキテクチャは、個々のサービスをサポートする従来の垂直的サイロ・ネットワーク環境とは対照的な環境を提供することにより、この能力を可能にするように設計されている。一方、IMSによって構築される単一の融合化ネットワーク環境は、諸サービスの重複を排除することを目的として、互いに異なる機能性プレーンにわたって諸サービスの共有を可能にすることにより、コストを削減し且つより良いユーザ・エクスペリエンスをもたらす。以下には、IPマルチメディア・サブシステム・ネットワークを通してユーザに配信することができる、IPベースのマルチメディア・サービスの幾つかの例が示されている。
− マルチプレイヤ・ゲーム、
− プッシュ・トゥ・トーク、
− ビデオ・チャット、
− コンファレンシング、
− インスタント・メッセージング。
【0017】
マルチメディア・サービスは、アプリケーション・サーバ上で使用可能なマルチメディア・アプリケーションによって提供される。本発明の推奨実施形態に従った方法及びシステムによれば、ユーザ位置及びユーザ装置の能力(例えば、帯域幅及び距離)に関する情報を活用して、IMSワークロード及び接続されたユーザの位置に基づき、諸IMSサービス(特に、ゲーミング・サービス)のプロビジョニング(provisioning)及び管理を行うことにより、IMSネットワークの効率を改良することが可能である。
【0018】
図4は、本発明の推奨実施形態に従ったシステムを概略的に示す。この例では、米国地域及び欧州地域の、2つの地域301が表されている(しかし、これに代えて、他の可能な任意の地理的位置を使用することができる)。2人のユーザ303(ユーザA及びB)は、2人ともメディア・サーバ305を通して、欧州地域からIMSネットワークに接続される。前述のように、ユーザA及びBに関する情報は、プレゼンス・サーバ307上に事前に格納されている。また、本システムに含まれる配置(placement)サーバ309は、接続されたユーザによって要求されるときに仮想アプリケーションが使用可能であり且つセットアップされることを保証する機能を有する。さらに、配置サーバ309は、接続され且つそれを使用する現在のユーザに基づき、IMSアプリケーション及びメディア・サーバを割り振るべき最良の仮想環境を決定する。また、配置サーバ309に含まれるリポジトリは、IMSネットワークの全体を通して使用可能な全てのマルチメディア・アプリケーションに関する情報に加えて、かかる情報にアクセスし且つかかるアプリケーションの仮想イメージを異なるサーバ上にインストール/移動させて仮想環境をセットアップするために必要な全ての情報を格納する。複数のアプリケーション・サーバ311は、異なる地域(例えば、この例では、欧州地域及び米国地域)内に物理的に配置することができる。各アプリケーション・サーバ311は、IMSネットワークに接続された任意のユーザによってアクセスすることができる、多数のマルチメディア・アプリケーションを保持する。各マルチメディア・アプリケーションは、1つ以上のマルチメディア・サービスを提供することができる。この例に沿って説明すると、ユーザA及びBが、或るマルチメディア・サービス(例えば、ゲーム・セッションを開始するゲーミング・サービス)にアクセスするために、或るマルチメディア・アプリケーションに接続することを望んでいるのであれば、ユーザA及びBは、ローカルのメディア・サーバ305及び配置サーバ309を通して、任意のアプリケーション・サーバ311に接続することができるであろう。しかし、要求されたアプリケーションが欧州地域内のサーバ上で使用可能であれば、遙かに効率的であろう。本発明の推奨実施形態に従って、配置サーバ309は、プレゼンス・サーバ307からプレゼンティティ情報を検索する。かかるプレゼンティティ情報は、以下の1つ以上を含むことができる。
− ユーザ装置のタイプ、
− ユーザの能力(例えば、当該ユーザがオーディオ、ビデオ、インスタント・メッセー
ジング装置を有するか否か)、
− ユーザ接続用の帯域幅、
− 特定のゾーンから接続されるユーザとIMS配備サービスとの間の通信「距離」(例
えば、プロキシ・サーバの数)、
− IMSサービスに関係する課金情報、
− 当該サービスに関連するQoS(サービス品質)。
【0019】
配置サーバ309は、かかる収集済みの情報を使用して、接続されている現在のユーザに基づき、IMSアプリケーション及びメディア・サーバを割り振るべき最良の仮想環境を決定することができる。図4の例では、配置サーバ309は、米国地域内のサーバ311上で使用可能な特定のゲーミング・アプリケーションについて、メディア・サーバ305を通してユーザA及びBからの要求を受け取る。
【0020】
仮想環境をどのように配置するかという選択肢及び以前に選択されたIMS要素のための最良の配置の選択は、幾つかの異なるパラメータ及びプロパティに基づくことがある。以下には、これらの幾つかの例が示されている。
− 特定のゾーンから接続されるユーザの最大数、
− 特定のゾーンから接続されるユーザのための平均通信帯域幅、
− 特定のゾーンから接続されるユーザとIMS配備サービスとの間の平均通信「距離」
(例えば、プロキシ・サーバの数又はサーバ間の地理的距離)。一般に、「距離」パラ
メータは、トポロジカル距離(すなわち、ネットワーク構成及びトポロジに依存する
距離)又は物理的距離の、任意の種類の距離を表すことができる。
【0021】
図5は、本発明の推奨実施形態に従った方法を実施するための諸ステップを概略的に示す。本プロセスは、ステップ401で開始した後、ステップ403に進む。ステップ403では、前述のようにIMSネットワークのマルチメディア・サービスにアクセスするために、1人以上のユーザからの要求が受け取られる。1人のユーザからの新しい要求は、本発明の推奨実施形態に従った方法をトリガすることができる、イベントの幾つかの例のうちの1つである。他の可能性は、当該接続への新しいユーザの追加、新しいリモート・サーバの使用可能性(又は一般的には、サーバとエンド・ユーザとの間の接続のより良い分配又は編成を可能にする、IMSネットワーク・レイアウトへの任意の修正)、及び仮想環境のより効率的な配置である。次のステップ405では、配置サーバ309(図4)は、ステップ403で要求を発行した1人以上のユーザに関する情報を収集する。1人以上のユーザに関する当該情報は、前述のプレゼンス・サーバ307内で使用可能であり、当該ユーザの位置、当該ユーザ装置の能力、及び接続(例えば、各ユーザに使用可能な帯域幅)に関する情報を含むことがある。ステップ407では、配置サーバ309は、要求されたアプリケーションに関する情報(例えば、当該アプリケーションが使用可能な場所及びサーバ、当該サーバと当該ユーザとの間のネットワーク接続の伝送速度)を検索する。この情報は、配置サーバ309内のリポジトリに格納するか、又は配置サーバ309によってアクセス可能な外部リポジトリ上に格納することができる。配置サーバ309は、要求されたマルチメディア・サービスを提供可能なマルチメディア・アプリケーションを含む、1つ以上のアプリケーション・サーバ311を識別する。次に、最良の性能を提供する(例えば、ユーザからの平均距離が最短である)アプリケーション・サーバ311が選択される。もし、かかる予想性能が満足できるものでなければ(例えば、平均距離が所定のしきい値より大きければ)、システムは、より良いソリューションを識別することを試みる。収集された全ての情報に従って、配置サーバ309は、速度及びマルチメディア・サービスの効率を改良するために、IMSネットワークの可能な再配置の評価を行うことができる。図4の例に沿って説明すると、欧州地域内のユーザ303が特定のゲーミング・アプリケーションを要求し、このアプリケーションがリモート・サーバ(例えば、米国地域内のアプリケーション・サーバ311)上で使用可能であれば、仮想イメージを欧州地域内のアプリケーション・サーバ311にインストール又は移動させるほうが遙かに良いであろう。このことは、使用可能なパラメータ及び情報に基づいた評価が終わった後、配置サーバ309によって行われる。当業者には明らかなように、ワークロード及び伝送を最適化するための幾つかのツールをこの動作のために使用することができる。以下には、考慮することができるパラメータの例が示されている。
− 特定のゾーンから接続されるユーザの数、
− 特定のゾーンから接続されるユーザのための平均通信帯域幅、
− 特定のゾーンから接続されるユーザとIMS配備サービスとの間の平均通信「距離」
(例えば、プロキシ・サーバの数)。
【0022】
この例では、再配置の必要性を決定するために使用されるしきい値は、「大陸」距離に対応する。言いかえれば、もし、要求されたアプリケーション(及びサービス)を有するアプリケーション・サーバ311を同じ大陸ゾーン(例えば、欧州)内で見つけることができないのであれば、当該アプリケーションの移動が必要とされる、ということである。また、1つ以上の開始条件が変わる場合は、ネットワーク・レイアウトを動的に修正することが可能である。図5に戻って説明を続ける。ステップ409で、ネットワーク編成の改良が可能であることを配置サーバ309が決定すれば、かかる改良が実装される。例えば、前述の例に沿って説明すると、ステップ411で、要求されたゲーミング・アプリケーションが米国地域内のアプリケーション・サーバ311から欧州地域内のアプリケーション・サーバ311に移動され、その後のステップ413で、マルチメディア・セッションが開始される。アプリケーションを「移動させる」とは、同じ条件を再作成することにより、要求されたマルチメディア・サービスを異なるアプリケーション・サーバ311上で提供可能にすることを意味する。当業者には明らかなように、この移動ステップは、幾つかの異なる技術を用いて実装することができる。本発明の推奨実施形態に従って、この移動は、マルチメディア・アプリケーションの仮想イメージを作成することに対応する。仮想イメージの移動は、使用される特定の仮想化技術に従って異なる方法で行うことができる。例えば、仮想イメージは,如何なるユーザ中断も行わずに、「オンザフライ」で移動させることができる。代替的に、仮想環境をサスペンドし、移動させ、新しいシステム上に復元することができる。さもなければ(すなわち、改良が可能でないか、又は所定のしきい値パラメータに従って十分に有利でなければ)、ステップ409からステップ413に直接的に進み、そこでマルチメディア・セッションが開始される。
【0023】
本発明の範囲から逸脱することなく、前述のソリューションに対し変更及び修正を施すことができる。当然のことながら、当業者は、地域ごとの特定の要件を満たすために、前述のソリューションに対し多くの修正及び変更を施すことができる。特に、本発明は、推奨実施形態を参照しつつ、ある程度の特殊性を有するように説明されたが、形式及び細部に係る種々の省略、置換及び変更が可能であり、他の実施形態も可能であることを理解されたい。さらに、本発明の任意の実施形態に関連して説明された特定の要素及び/又は方法ステップは、これを設計上の選択の一般的な事項として他の任意の実施形態に組み入れることができる。
【0024】
例えば、コンピュータが異なる構造を有するか、同等のユニットを含むのであれば、同様の考察が当てはまる。何れの場合でも、これらのコンピュータを任意のコード実行エンティティ(例えば、PDA、携帯電話等)で置き換えることが可能である。
【0025】
(本発明の各実施形態を実装するために使用することができる)プログラムが異なる方法で構造化されるか、又は追加のモジュール若しくは機能が提供されるのであれば、同様の考察が当てはまる。同様に、メモリ構造は、他のタイプのものとすることができ、又は(必ずしも物理的ストレージ媒体から構成されるとは限らない)同等のエンティティと置き換えることができる。さらに、提案されたソリューションは、(同様又は追加のステップを有し、さらには順序が異なることもある)同等の方法で実装されるのに適している。何れの場合も、プログラムは、任意のデータ処理システムによって、又はこれに関連して使用するのに適した任意の形式(例えば、外部若しくは常駐ソフトウェア、ファームウェア又はマイクロコードの形式)を取ることができる。さらに、プログラムは、任意のコンピュータ使用可能媒体上に提供することができる。媒体は、プログラムを保持し、格納し、通信し、伝播し、転送するのに適した,任意の要素とすることができる。かかる媒体の例は、(プログラムをプリロード可能な)固定ディスク、取り外し可能ディスク、テープ、カード、ワイヤ、ファイバ、無線接続、ネットワーク、放送波等である。例えば、媒体は、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線又は半導体タイプのものとすることができる。
【0026】
何れの場合も、本発明に従ったソリューションは、ハードウェア構造(例えば、半導体物質のチップ内に集積された)によって、又はソフトウェア及びハードウェアの組み合わせによって実施するのに適している。
【符号の説明】
【0027】
301・・・地域
303・・・ユーザ
305・・・メディア・サーバ
307・・・プレゼンス・サーバ
309・・・配置サーバ
311・・・アプリケーション・サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IPマルチメディア・サブシステムを通して、所定のマルチメディア・サービスを複数のユーザに提供するための方法であって、
前記IPマルチメディア・サブシステムが、
(A)前記複数のユーザに関する情報を維持するプレゼンス・サーバを備え、
当該情報は各ユーザの位置を含んでおり、
(B)複数のアプリケーション・サーバを備え、
各アプリケーション・サーバは少なくとも1つのマルチメディア・サービスを提供するのに適合しており、
(C)前記複数のアプリケーション・サーバ及び関連するマルチメディア・アプリケーションに関する情報を保持するリポジトリへのアクセスを有する配置サーバを備え、
当該情報は各アプリケーション・サーバの位置を含んでおり、
前記方法が、
(a)前記配置サーバが、前記複数のユーザのうち少なくとも1人のユーザからのマルチメディア・サービスの要求を受け取るステップと、
(b)前記配置サーバが、前記プレゼンス・サーバ上で前記少なくとも1人のユーザに関する情報を検索するステップと、
(c)前記配置サーバが、前記要求されたマルチメディア・サービスを提供可能なマルチメディア・アプリケーションを含む、少なくとも1つのアプリケーション・サーバを識別するステップと、
(d)識別されたアプリケーション・サーバごとに、前記少なくとも1人のユーザの各々から当該アプリケーション・サーバに到達する難易度を示す距離値を決定するステップと、
(e)前記配置サーバが、前記少なくとも1人のユーザに関して最小平均距離値を有するアプリケーション・サーバを選択するステップと、
(f)前記最小平均距離が所定のしきい値よりも大きいことに応答して、前記少なくとも1人のユーザからの最小平均距離が前記所定のしきい値よりも小さいローカルのアプリケーション・サーバを選択するステップと、
(g)前記選択されたローカルのアプリケーション・サーバ上に、前記マルチメディア・アプリケーションの仮想イメージを作成するステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1人のユーザと前記選択されたアプリケーション・サーバとの間の接続を確立するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記距離値が、前記識別された各アプリケーション・サーバと前記少なくとも1人のユーザとの間の通信ネットワークにおけるプロキシ・サーバの数の表示を含む、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記距離値が、前記識別された各アプリケーション・サーバと前記少なくとも1人のユーザとの間の物理的距離の表示を含む、請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ステップ(f)が、前記複数のユーザと前記選択されたアプリケーション・サーバとの間の平均距離が最小化されるようにアプリケーション・サーバを選択するステップを含む、請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のユーザと前記選択されたアプリケーション・サーバとの間の平均距離が最小化されるようにアプリケーション・サーバを選択する前記ステップが、前記IPマルチメディア・サブシステムの構成が変わるごとに繰り返され、異なるアプリケーション・サービスが選択されることに応答して、既存の接続を修正することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記複数のユーザと前記選択されたアプリケーション・サーバとの間の平均距離が最小化されるようにアプリケーション・サーバを選択する前記ステップが、1人のユーザからの新しい要求が前記同じマルチメディア・サービスのために受け取られるごとに繰り返され、異なるアプリケーション・サービスが選択されることに応答して、既存の接続を修正することを含む、請求項5又は請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のユーザに関する情報が、各ユーザ装置の接続特性、各ユーザ装置の接続速度、各ユーザ装置の帯域幅及び各ユーザから中間のプロキシ・サーバを含む前記アプリケーション・サーバまでのルートのうち少なくとも1つを含む、請求項1ないし請求項7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
各ユーザが、当該ユーザの通信特性を示すパラメータを割り当てられ、前記距離値が当該パラメータに従って調整される、請求項1ないし請求項8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
マルチメディア・サービスが、ゲーミング・サービスを含む、請求項1ないし請求項9の何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
IPマルチメディア・サブシステムを通して、マルチメディア・サービスを複数のユーザに提供するためのシステムであって、
前記IPマルチメディア・サブシステムが、
(A)前記複数のユーザに関する情報を維持するプレゼンス・サーバを備え、
当該情報は各ユーザの位置を含んでおり、
(B)複数のアプリケーション・サーバを備え、
各アプリケーション・サーバは少なくとも1つのマルチメディア・サービスを提供するのに適合しており、
(C)前記複数のアプリケーション・サーバ及び関連するマルチメディア・アプリケーションに関する情報を保持するリポジトリへのアクセスを有する配置サーバを備え、
当該情報は各アプリケーション・サーバの位置を含んでおり、
前記システムが、
請求項1ないし請求項10の何れか1項に記載の方法を実施するのに適合した1つ以上のコンポーネントを備える、システム。
【請求項12】
マルチメディア・サービスを複数のユーザに提供するためのIPマルチメディア・サブシステムであって、
(A)前記複数のユーザに関する情報を維持するプレゼンス・サーバを備え、
当該情報は各ユーザの位置を含んでおり、
(B)複数のアプリケーション・サーバを備え、
各アプリケーション・サーバは少なくとも1つのマルチメディア・サービスを提供するのに適合しており、
(C)前記複数のアプリケーション・サーバ及び関連するマルチメディア・アプリケーションに関する情報を保持するリポジトリを備え、
当該情報は各アプリケーション・サーバの位置を含んでおり、
(D)前記リポジトリ及び前記プレゼンス・サーバへのアクセスを有する配置サーバを備え、
当該配置サーバは、前記複数のユーザのうち少なくとも1人のユーザからのマルチメディア・サービスの要求を受け取る際、当該要求されたマルチメディア・サービスを提供可能なアプリケーション・サーバを識別し、当該識別されたアプリケーション・サーバのうち前記少なくとも1人のユーザからの最小平均距離を有するアプリケーション・サーバを選択し、当該最小平均距離が所定のしきい値よりも大きいことに応答して、前記少なくとも1人のユーザからの最小平均距離が前記所定のしきい値よりも小さいローカルのアプリケーション・サーバを選択し、当該選択されたローカルのアプリケーション・サーバ上に、前記マルチメディア・アプリケーションの仮想イメージを作成するように動作し、
(E)前記少なくとも1人のユーザと前記選択されたアプリケーション・サーバとの間に接続を確立するためのネットワークを備える、IPマルチメディア・サブシステム。
【請求項13】
請求項1ないし請求項10の何れか1項に記載の方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータ・プログラム。
【請求項14】
請求項1ないし請求項10の何れか1項に記載の方法を実施するためにデータ処理システム内に配備されたサービス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−109649(P2011−109649A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−235206(P2010−235206)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】