説明

IPボタン電話装置

【課題】小規模から大規模までのIP外線回線数に対応できるIP外線機能およびルータ機能を備え、これらの機能が高速に実行され、さらに低コストで実現できるIPボタン電話装置を提供すること。
【解決手段】CCU1は、パケット転送回路10をハードウエアとして備え、IP外線機能および該IP外線機能に必要なルータ機能を持つ。CEU2もパケット転送回路20をハードウエアとして備え、IP外線機能および該IP外線機能に必要なルータ機能を持つ。CCU1とCEU2を直列接続して連動させることで、全体としてIPボタン電話装置のIP外線機能およびルータ機能を実現する。IP外線を制御するソフトウエアの基本ブロックをCCU1上で動作させ、SIPメッセージと音声・画像のNATを行うブロックをCEU2上で動作させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IPボタン電話装置に関し、特に、小規模から大規模までのIP外線回線数に対応できるIP外線機能およびルータ機能を持つIPボタン電話装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IPボタン電話装置は、IP外線機能とルータ機能を持つ。ルータ機能には、IPボタン電話装置に接続されているPC(Personal Computer)などをISP(Internet Service Provider)を介してインターネットに接続するためのルータ機能と、IPボタン電話装置のIP外線とIP内線との間で音声/映像による通話を可能とするための、外線/内線間の音声/映像パケットのルータ機能とがある。従来のIPボタン電話装置のルータ機能は、ソフトウエア転送により実現され、IP外線機能は多数の基板構成で実現されている。
【0003】
特許文献1には、収容端末数の拡張が可能なインタネットプロトコル対応構内電子交換機が記載されている。これでは、MGC(Multimedia Gateway Controller:マルチメディア・ゲートウエイ・コントローラ)に内蔵のプロトコルハンドラを導入することによって、小規模から大規模までスケーラブルな制御対象端末のポート数拡張を実現する。
【特許文献1】特開2003−318954号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
IPボタン電話装置は、音声および映像のメディア能力を持ったIP-KT(Internet Protocol Key Telephone)、さらに映像入出力やブラウザ機能を持ったA-KT(Advanced Key Telephone)、PCにボタン電話機能を追加したソフトフォン(Software Key Telephone)など、種々のIP内線電話機を収容する。このような状況下では、IPボタン電話装置は、1〜48程度の小規模のIP外線回線数から49〜192といった大規模のIP外線回線数まで収容できるIP外線機能とルータ機能を備え、これらの機能が高速に実行されることが望まれる。
【0005】
従来のソフトウエア転送によるルータ機能を持ったIPボタン電話装置において大規模のIP外線回線数に対応できるIP外線機能を実現しようとすると、多数の基板が必要となり、高コストなハードウエアになり、さらに処理速度が低下するという課題がある。
【0006】
特許文献1のインタネットプロトコル対応構内電子交換機は、収容端末数の拡張を可能とするものであり、IP外線回線数の拡張を可能とするものではない。
【0007】
本発明の目的は、比較的小規模の、あるいは小規模から大規模までのIP外線回線数に対応できるIP外線機能およびルータ機能を備え、これらの機能が高速に実行され、さらに低コストで実現できるIPボタン電話装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、パケット転送回路をハードウエアとして含み、IP外線機能および該IP外線機能に必要なルータ機能を持つ主制御ユニットを搭載した主制御基板と、パケット転送回路をハードウエアとして含み、IP外線機能および該IP外線機能に必要なルータ機能を持つIP外線ルータ制御ユニットを搭載したIP外線ルータ制御基板を備え、前記主制御基板と前記IP外線ルータ制御基板とは直列接続され、前記主制御ユニットと前記IP外線ルータ制御ユニットとが連動して、全体のIP外線機能およびルータ機能が実現されている点に第1の特徴がある。
【0009】
また、本発明は、前記主制御ユニット上では、IP外線を制御するソフトウエアの基本ブロックが動作し、前記IP外線ルータ制御ユニット上では、IP外線を制御するソフトウエアのうち、SIPメッセージと音声・画像のNAT(Network Address Translation)を行うブロックが動作する点に第2の特徴がある。
【0010】
さらに、本発明は、パケット転送回路をハードウエアとして含み、IP外線機能および該IP外線機能に必要なルータ機能を持つ主制御ユニットを搭載した主制御基板を備え、前記主制御ユニット上で、IP外線を制御するソフトウエアの基本ブロック、およびSIPメッセージと音声・画像のNAT(Network Address Translation)を行うブロックが動作する点に第3の特徴がある。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1、第2の特徴によれば、小規模のIP外線回線数から大規模のIP外線回線数まで収容できるIP外線機能とルータ機能を備え、これらの機能を高速に実行するIPボタン電話装置を低コストで実現できる。
【0012】
また、第3の特徴によれば、比較的小規模のIP外線回線数を収容できるIP外線機能とルータ機能を備え、これらの機能を高速に実行するIPボタン電話装置を低コストで実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明を説明する。図1は、本発明のIPボタン電話装置を概念的に示すブロック図である。本発明のIPボタン電話装置100は、主制御ユニット(CCU:Central Control Unit)1とカスタマエッジユニット(CEU:Customer Edge Unit)2を備える。CCU1、CEU2はそれぞれ、本発明の主制御ユニット、IP外線ルータ制御ユニットに相当する。CCU1とCEU2はそれぞれ、1枚の基板で構成され、これらは直列接続される。
【0014】
CCU1は、主制御ソフトウエアに従ってIPボタン電話装置全体の基本動作を制御する。また、CCU1は、IP外線機能および該IP外線機能に必要なルータ機能を持ち、IP外線およびIP内線とそれらの間(IP内線同士を含む。)での呼処理制御を行う。CCU1は、パケット転送回路10をハードウエアとして備え、これによりルータ機能が実現される。主制御ソフトウエアは、IP外線のプロトコルであるSIPを解釈することができ、これによって、IP外線を収容してIP外線の発着信ができるようになっている。
【0015】
CEU2は、IP外線機能および該IP外線機能に必要なルータ機能を持ち、音声情報と制御情報が多重化されたIP通信を行う高速ブロードバンドルータとして機能する。CEU2もパケット転送回路20をハードウエアとして備え、これによりルータ機能が実現される。
【0016】
CCU1は、IPボタン電話機31、その他のIP内線端末32などのIP内線電話機を多数収容可能である。PCは、CEU2に接続することもできる。
【0017】
CEU2は、ONU(Optical Network Unit)5を介して次世代ネットワーク(NGN:Next Generation Network)6に接続される。NGN6はさらに、ISP7に接続される。ONU5は、光ファイバー加入者通信網において、パソコンなどの端末機器をネットワークに接続するために、加入者宅に設置される装置である。0AB〜Jは、NGN6のIP電話サービスでの電話番号を示し、050は、IP電話をサービスするIP電話キャリア(050で始まる電話番号)を示す。なお、NGN6は、電話サービスや映像通信サービスなどをSIPを使って統合的に実現するIPネットワークであり、これには0AB〜Jの電話番号のIP電話サービスがある。
【0018】
IPボタン電話装置には多様な機能を実現する多種の基板を実装できる。本発明は、特にIP外線機能およびルータ機能に着目したものであり、CCU1をハードウエア(カスタムLSI)構成のパケット転送回路10を含ませて1枚の基板として構成し、また、CEU2もハードウエア構成のパケット転送回路20を含ませて1枚の基板として構成する。また、IP外線を制御するソフトウエアのブロックをCCU1とCEU2に分散させることで負荷分散を図る。実装に際しては、これらの2枚の基板を直列接続し、CCU1とCEU2を連動させることで全体としてIPボタン電話装置のIP外線機能およびルータ機能を実現する。
【0019】
1〜48回線程度の小規模のIP外線回線数を収容する場合は、CCUの基板だけにIP外線を制御するソフトウエアの全てのブロックを搭載し、これを動作させることでIP外線機能とルータ機能を実現できる。
【0020】
図2は、この場合のIPボタン電話装置を概念的に示すブロック図である。図2において、図1と同じあるいは同等部分には同一符号を付してある。この場合には、CEUの機能もCCUの基板内に組み込まれている。
【0021】
しかし、49〜192回線といった大規模のIP外線回線数を収容する場合には、CCUの基板だけでは、そのCPUの処理負荷が重くなり、処理速度が遅くなったり処理できなくなったりして性能面でのサービスが低下する。そこで、本発明では、CCU1とCEU2に負荷を分散させて、これらの基板を直列接続することで、全体としてIPボタン電話装置のIP外線機能およびルータ機能を実現する。
【0022】
CCU1とCEU2を連動させる場合、IP外線を制御するソフトウエアの基本ブロックをCCU1上で動作させ、IP外線を制御するソフトウエアのうち、処理負荷の重いSIPメッセージと音声・画像のNAT(Network Address Translation)を行うブロックをCEU2上で動作させればよい。
【0023】
CCU1およびCEU2のそれぞれにCPUが配置されており、それらのCPUを連動させて全体の制御を行うマルチCPUシステムとして構成しているので、負荷分散を実現できる。これによりIP外線機能の高速化を図ることができる。
【0024】
IP外線との発着信において、音声/映像パケットは、IP外線網−CEU2−CCU1−IP内線の経路で送受信される。この送受信は、CCU1およびCEU2がそれぞれ搭載しているハードウエア構成のパケット転送回路10,20を通して行われるので、ルータ機能の高速化を図ることもできる。さらにCCU1やCEU2内のCPU自体の処理負担も軽減される。
【0025】
図3は、本発明の一実施形態を示す機能ブロック図である。なお、図2において、図1と同一あるいは同等部分には同じ符号を付してある。
【0026】
本実施形態のIPボタン電話装置100は、外線としてアナログ回線、ナンバーディスプレイ契約回線、網番号ダイヤルイン回線、アナログ専用線、デジタル専用線およびISDN回線などのレガシー(従来型・旧型)外線(TDM外線)のみならず、VoIP回線、NGN(Next Generation Network:次世代ネットワーク)回線(IP外線)を収容する。また、内線電話機として一般アナログ端末、デジタルボタン電話機、ISDN端末、ホテルフォンおよびFAXなどのレガシー端末(TDM内線電話機)のみならず、IPボタン電話機などのIP内線電話機を収容し、各外線と各内線電話機との間の通話を制御する。
【0027】
IPボタン電話装置100において、CCU1は、1枚の基板に搭載され、主制御ソフトウエアに従ってIPボタン電話装置全体の基本動作の制御(主制御)を行う。また、CCU1は、IP外線、IP内線、TDM外線およびTDM内線とそれらの間(IP内線同士、TDM内線同士を含む。)での呼処理制御を行い、多様な通話を可能にする。主制御ソフトウエアは、IP外線のプロトコルであるSIPを解釈することができ、これによって、IP外線を収容してIP外線の発着信ができるようになっている。
【0028】
CEU2も1枚の基板に搭載され、音声情報と制御情報を多重化してIP通信を行う高速ブロードバンドルータとしての機能を備える。
【0029】
TDM系主制御ユニット(TCCU:TDM Central Control Unit)8も1枚の基板に搭載され、CCU1と制御情報を送受信し、TDM系主制御を行う。この制御は、例えば、TDM外線および内線の各種専用インターフェース(TDM制御ユニット)の制御を含む。
【0030】
音声変換ユニット(VCU:Voice Conversion Unit)9は、音声についてのメディア能力が異なる内線電話機に転送されるなどした場合に、通話に選択されたメディア能力および内線電話機のメディア能力に合わせて音声パケットを高音質から標準音質に、あるいはその逆に変換する。また、高音質と標準音質の保留音を保持して保留時に保留音を持たない内線電話機に通話時のメディア能力に合わせて高音質または標準音質の音声パケットを送出する。
【0031】
TCCU8には、ファックス端末61、ホテルフォン端末62、デジタルボタン電話機63、単体電話機64などのレガシー端末(TDM内線電話機)、および一般外線、ISDNネット回線、デジタル専用線、アナログ専用線などのレガシー外線(TDM外線)が、各種専用インターフェース(TDM制御ユニット)およびTDM通信用のTDMバス51を介して接続可能である。TDMバス51は、制御情報を送受信するDチャネルおよび音声情報を送受信するBチャネルを備える。
【0032】
CCU1とTCCU8とは音声情報伝送用LANケーブル54および制御情報伝送用LANケーブル55の2本のLANケーブルで接続される。CCU1とCEU2およびVCU9もLANケーブルで接続される。CCU1にはさらに、LANケーブル16を介して保守用コンピュータ65が接続されると共に、LANケーブル52を介してスイッチングハブ(HUB)53が接続される。HUB53には、専用インターフェースを介してIPボタン電話機31やIP内線端末32としての音声会議装置が接続され、無線アクセスポイント(AP)にはIPコードレスフォン33が収容され、さらにソフトウエアフォンのアプリケーションが実装されたコンピュータ40が接続される。
【0033】
CCU1は、CPU11、DDRメモリ(RAM)12、フラッシュメモリ13、パケット転送の制御に特化した専用チップ10、挿抜自在のコンパクトフラッシュ(登録商標)(CF)メモリ14およびレイヤ2スイッチ(L2SW)15を主な構成要素としている。専用チップ10は、図1のパケット転送回路10として機能するカスタムLSIである。
【0034】
CCU1がパワーオンあるいはリセット(POWERON/RESET)されると、まず、フラッシュメモリ13にあるブートローダ(ソフトウエア)が動作し、CFメモリ14のファイルシステムに格納されているOSをDDRメモリ12にロードし起動する。次にOSがCFメモリ14のアプリケーション(主制御ソフトウエア)をDDRメモリ12にロードし起動する。これにより主制御ソフトウエアが動作するようになる。
【0035】
また、CFメモリ14には、IPボタン電話装置のシステムデータ(設定データ)のデータベース(DB)があり、これは必要に応じて取り出され、DDRメモリ12上の変数に設定される。これにより、IPボタン電話装置は、システムデータに従って動作する。なお、システムデータは、保守用コンピュータ65により設定できる。
【0036】
CEU2は、CPU21、DDRメモリ22、フラッシュメモリ23、パケット転送の制御に特化した専用チップ20およびL2SW24を主な構成要素としている。専用チップ20は、図1のパケット転送回路20として機能するカスタムLSIであり、専用チップ10と同様のものである。
【0037】
TCCU8は、CPU81、DDRメモリ82、フラッシュメモリ83、ファイ(PHY)84、TDMバス51のBチャネルを制御するハイウエイスイッチ85、Dチャネルを制御するDch制御信号通信チップ86およびDSP(Digital Signal Processor)87を主な構成要素としている。前記PHY84は、Ethernet(登録商標)(図示せず)の物理層を制御するLSIである。また、VCU9は、CPU91、DDRメモリ92、フラッシュメモリ93、L2SW94およびDSP95を主な構成要素としている。DSP95は、音声パケットを高音質から標準音質に変換する。その逆の変換も行う。
【0038】
上記実施形態のIPボタン電話装置100では、CCU1、CEU2、TCCU8およびVCU9のそれぞれにCPU11,21,81,91を分散配置し、それらのCPUを連動させて全体の制御を行うマルチCPUシステムとして構成しているので、負荷分散を実現できる。なお、TDM系の各種専用インターフェース(TDM制御ユニット)もCPUを含んでいる。また、CCU1およびCEU2に搭載された専用チップ10,20のハードウエア構成によりパケット転送を制御するので、ルータ機能の高速化を図ることができるとともに、CPUの処理負荷が軽減される。
【0039】
IPボタン電話装置100において、例えば、単体電話機64がTDM外線経由で発着信した場合、TCCU8は、CCU1とLANケーブル55を介して制御情報を送受信して呼処理制御を行い、TDM内線とTDM外線間で音声情報の送受信を可能にする。単体電話機64とTCCU2は、PCM変換された音声情報をTDMバス51を介して時分割多重化通信により送受信する。
【0040】
また、例えば、単体電話機64がIP外線経由で発着信した場合、単体電話機64とTCCU8との間ではPCM変換された音声信号がTDMバス51上で時分割多重化通信により送受信される。TCCU8とCCU1との間ではLANケーブル54を介して音声パケットが交換される。音声情報のTDMとパケットの相互交換にはTCCU8のDSP87が使用される。TCCU8とCCU1間の制御情報は、LANケーブル55を介して送受信される。CEU2ではL2SW24経由でIP外線に接続されており、CCU1およびCEU2は、それぞれの専用チップ10,20を利用して音声パケットを交換する。
【0041】
また、例えば、IPボタン電話機31がTDM外線経由で発着信した場合は、TDMバス51、TCCU8、CCU1およびHUB53の経路が確立される。さらに、IPボタン電話機31がIP外線経由で発着信した場合は、CEU2、CCU1およびHUB53の経路が確立される。
【0042】
図4は、CCU1およびCEU2上で動作するソフトウエアブロックを示す図である。CCU1上では、呼制御処理(CC:Call Controller)101、IP外線収容ブロック(IPTRK)102、IP内線終端ブロック(IPSLTC)103および音声/映像パケットNAT(Network Address Translation)ブロック(RTP-NAT)104を動作させる。
【0043】
CC101は、IPボタン電話装置の主制御および呼処理制御を行うソフトウエアのブロックである。また、IPTRK102は、IP外線のSIPメッセージ([SIP/SDP]IPTRK仕様)を解釈するブロックであり、IPSLTC103は、IP内線のSIPメッセージ([SIP/SDP]内線仕様)を解釈するブロックである。RTP-NAT104は、音声/映像パケットであるRTP(Real-time Transport Protocol)とRTCP(RTP Control Protocol)のNATを行うブロックである。
【0044】
一方、CEU2上では、SIPゲートウエイコントローラ(SGC:SIP Gateway Controller)201を動作させる。SGC201は、IP外線を制御するソフトウエアブロックのうちの、SIPメッセージと音声/映像パケットについて、WAN(WAN:Wide Area Network)-LAN変換を行うブロックである。SGC201は、IPアドレスNATブロック(SIP-NAT)202および音声/映像パケットNATブロック(RTP-NAT)203を含む。
【0045】
SIP-NAT202は、IP外線(WAN)側からのSIP-UA(User Agent)を一度終端してLAN側へSIP-UAを張り直す。あるいはその逆に、LAN側からのSIP-UAを一度終端してWAN側へSIP-UAを張り直す。これにより、SIPメッセージの中に記述されているIPアドレスおよびSIPパケットのIPアドレスをNATし、あるいはその逆を行う。例えば、[SIP/SDP]ITSP(Internet Telephony Service Provider:IP電話サービスを提供する事業者)仕様のSIPメッセージを[SIP/SDP]IPTRK仕様のSIPメッセージに、あるいはその逆に変換する。RTP-NAT203は、音声/映像パケットであるRTPとRTCPのNATを行うブロックである。ここでは、RTP-NAT104とRTP-NAT203に分散させて音声/映像パケットのNATを行うようにしている。
【0046】
以上のように、IP外線を制御するソフトウエアの基本ブロックをCCU1上で動作させ、IP外線を制御するソフトウエアのうち、処理負荷の重いSIPメッセージと音声・画像アドレスのNATを行うブロックをCEU2上で動作させ、CCU1およびCEU2のCPUに分散配置させることにより、全体として大規模のIP外線回線数を収容するIP外線機能とルータ機能の高速化を、低コストで実現できる。
【0047】
図5は、1〜48回線程度の小規模のIP外線回線数を収容する場合(図2)の、CCU1上で動作するソフトウエアブロックを示す図である。図5において、図4と同じあるいは同等部分には同一符号を付してある。この場合には、CEUの機能もCCUの基板内に組み込むので、図4のソフトウエアブロック全てをCCU上で動作させる。このため、収容するIP外線回線数は制限されるが、IP外線機能とルータ機能を高速に実行するIPボタン電話装置を低コストで実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明のIPボタン電話装置を概念的に示すブロック図である。
【図2】小規模のIP外線回線数を収容する場合のIPボタン電話装置を概念的に示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態を示す機能ブロック図である。
【図4】図1のCCUおよびCEU上で動作するソフトウエアブロックを示す図である。
【図5】図2のCCU上で動作するソフトウエアブロックを示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1・・・主制御ユニット(CCU)、2・・・カスタマエッジユニット(CEU)、5・・・ONU(Optical Network Unit)、6・・・次世代ネットワーク(NGN:Next Generation Network)、7・・・ISP(Internet Service Provider)、8・・・TDM系主制御ユニット(TCCU)、9・・・音声変換ユニット(VCU)、10,20・・・専用チップ(転送回路)、11,21,81,91・・・CPU、12,22,82,92・・・DDRメモリ(RAM)、13,23,83,93・・・フラッシュメモリ、14・・・コンパクトフラッシュ(登録商標)(CF)メモリ、15,24,94・・・レイヤ2スイッチ(L2SW)、16,52,54,55・・・LANケーブル、31・・・IPボタン電話機、32・・・IP内線端末(音声会議装置)、33・・・IPコードレスフォン、40・・・コンピュータ、51・・・TDMバス、53・・・スイッチングハブ(HUB)、61・・・ファックス端末、62・・・ホテルフォン端末、63・・・デジタルボタン電話機、64・・・単体電話機、65・・・保守用コンピュータ、84・・・ファイ(PHY)、85・・・ハイウエイスイッチ、86・・・Dch制御信号通信チップ、87,95・・・DSP、100・・・IPボタン電話装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パケット転送回路をハードウエアとして含み、IP外線機能および該IP外線機能に必要なルータ機能を持つ主制御ユニットを搭載した主制御基板と、
パケット転送回路をハードウエアとして含み、IP外線機能および該IP外線機能に必要なルータ機能を持つIP外線ルータ制御ユニットを搭載したIP外線ルータ制御基板を備え、
前記主制御基板と前記IP外線ルータ制御基板とは直列接続され、前記主制御ユニットと前記IP外線ルータ制御ユニットとが連動して、全体のIP外線機能およびルータ機能が実現されていることを特徴とするIPボタン電話装置。
【請求項2】
前記主制御ユニット上では、IP外線を制御するソフトウエアの基本ブロックが動作し、前記IP外線ルータ制御ユニット上では、IP外線を制御するソフトウエアのうち、SIPメッセージと音声・画像のNAT(Network Address Translation)を行うブロックが動作することを特徴とする請求項1に記載のIPボタン電話装置。
【請求項3】
パケット転送回路をハードウエアとして含み、IP外線機能および該IP外線機能に必要なルータ機能を持つ主制御ユニットを搭載した主制御基板を備え、
前記主制御ユニット上で、IP外線を制御するソフトウエアの基本ブロック、およびSIPメッセージと音声・画像のNAT(Network Address Translation)を行うブロックが動作することを特徴とするIPボタン電話装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−109739(P2010−109739A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−280129(P2008−280129)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(000000181)岩崎通信機株式会社 (133)
【出願人】(399040405)東日本電信電話株式会社 (286)
【出願人】(399041158)西日本電信電話株式会社 (215)
【Fターム(参考)】